衆議院

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第5号 平成14年3月6日(水曜日)

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平成十四年三月六日(水曜日)
    午後六時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      田並 胤明君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    石原健太郎君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 岡本  保君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           板倉 敏和君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
三月六日
 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外九名提出、衆法第六号)
同日
 地方公務員の育児休業期間中における所得保障等に関する請願(春名直章君紹介)(第五〇七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第五〇八号)
 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(大森猛君紹介)(第五八七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岡本保君、総務省大臣官房総括審議官板倉敏和君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長林省吾君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君及び財務省主計局次長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 先般の一般質疑におきまして地方財政等の総論をお聞きいたしましたので、今回は、通告に従いまして順次その各論についてお尋ねいたしたいと思います。そしてまた、これまでの質疑で重複する質問もあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 さて、現下の国民の最大の関心事でありますけれども、それは何よりも景気の回復であります。円、株、債券のトリプル安、この動きなど、日本経済は世界のマーケットから本当に見放されてしまったのではないでしょうか。国民の不安が増幅されるのも無理のないことであります。特に、物価の下落と実体経済の縮小が同時並行的に進行する、いわゆるデフレスパイラルにあります。そしてまた、このデフレの進行におびえて国民は個人消費を控えておるのが実態であります。
 私は、現在のデフレの最大の要因は、さきの一般質疑でお話ししたとおり、需給のギャップの拡大にあり、金融中心の対策のみならず需要を創出する財政対策がデフレ対策として必要なのではないかと考えております。不良債権を処理しても、それだけでは景気は回復いたしませんし、そしてまた、銀行に公的資金を注入しても、それだけで個人消費や企業の設備投資が戻ってくるわけではないのであります。要するに、需要創出には、日本全体が元気になるような、そういう施策がぜひとも必要なのであります。
 私は、この地方分権を、地方の経済の活性化という観点からも大変意義のあるものと考えております。それぞれの地域が地域の実情に応じた施策展開のできる権限と税財源を移譲することが地方分権の本質でありまして、その結果、地方が元気になり活性化すれば、日本全体が活性化し、デフレの克服につながるもの、そう思っておるところであります。
 そこで、最初に、地方分権を支える基幹となる税の安定化という観点から、法人事業税への外形標準課税の導入についてお尋ねいたしたいと思います。
 現在、都道府県税である法人事業税は所得を課税標準としておることから、その税収は大変不安定なものとなっております。地方分権により今後ますます増大する地方公共団体の役割を考えてみれば、基幹税である法人事業税の安定化は、これは一刻の猶予もないわけであります。
 そしてまた、我が国の収入の状況を見ますと、約七割の欠損法人が、都道府県の行政サービスを受けていながら法人事業税を負担していないところであります。このことは、わずか三割の利益法人が、残り七割の欠損法人が本来負担すべき分まですべての法人事業税を負担しているということであります。応益課税という法人事業税の性格を考えれば、税負担の公平性の観点から見ても適当と言えないのではないかと思っております。
 この法人事業税へ外形標準課税を導入することは、都道府県の行政サービスを受けている受益法人が、事業の規模に応じて薄く広く公平に税負担を分かち合うための改革であります。一昨年十一月に公表された旧自治省案に続きまして、昨年の十一月、総務省から外形標準課税の具体案が示されたことでさらにこの議論が深まり、そしてまたこの問題も大きく進展してくるものと思っております。
 そこで、総務省は、この外形標準課税について今後どのように取り組んでいくつもりなのか、そしてまた、推進する上でどのような問題点があるか、大臣にお伺いいたします。
片山国務大臣 今いろいろお話がございましたが、私も委員と同じように、地方分権を推進することが地方の活性化、地方の元気につながってくる、こういうふうに思っておりますし、その地方分権の大きな一つが地方の税財源基盤の充実だ、こういうふうに思っております。
 そういう観点から、年来我々は法人事業税の外形標準課税化を主張いたしております。ことしの一月に閣議決定されました「構造改革と経済財政の中期展望」におきましても、平成十五年度税制改正を目指してその導入を図る、こういうことが明記されたところでございまして、ぜひ、来年度において、平成十五年度の税制改正におきましてはその実現を目指したい、そのために最大限の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
 経済界や中小企業の関係の方から反対が大変強うございますが、それは、こういう景気が悪いときに、今赤字だと法人事業税を納めなくてもいいのが、薄いにしてもその分だけ増税になる、こういうことと、法人事業税が、外形標準は付加価値を中心にいたしておりますので、どうしても人件費のウエートが高くなるんですね。人件費のウエートを高いままにしての税制だと、結局リストラにつながっていく。こういう失業率が高いときにこれ以上失業をふやすような、そういう一つの契機になるような税は困る、こういう話でございますので、平成十四年度の改正における当時の自治省案は人件費のウエートが大変高うございましたが、十四年度の総務省案では資本割を入れまして、人件費のウエートを落としたわけであります。
 しかし、それでもいろいろな御意見がありまして、もう一年待とう、こういうことになったわけでございますが、関係の方々、経済界初め中小企業団体等の御理解をいただきまして、関係します、特に知事会や都道府県議長会とも連携いたしまして、ぜひ御理解を深めて、この実現を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
黄川田委員 今大臣からお話がありましたが、この外形標準課税については、高邁な意義が挙げられておりますけれども、なかなか、この導入に反対する人が少なからずいると思います。損得勘定から反対している人もいるかもしれませんけれども、基本的な理解が欠けたまま、そんな感じで制度改革に漠然と反対する方がおられるかもしれません。そこで、この外形標準課税でありますが、これを実現するために正しい理解を浸透させるということが必要だと思います。
 そこで、外形標準課税に関して、我が国企業の国際競争力の低下を招くのではないかという懸念が導入に反対の方から言われるところでありますけれども、この懸念について総務省はどのように考えているんでしょうか。
若松副大臣 黄川田委員は大変この外形標準課税に御理解をいただいていると理解しておりまして、特に、先ほど委員もおっしゃられた、七割が赤字法人、こういう状況で、黒字法人のみが税負担をしている仕組みが、実際の、現在の法人事業税なわけでありますが、何といっても、あくまでも地方税というのは、応益課税がやはり基本的な姿勢ではないかと思っております。かつ、赤字法人もやはり何らかの行政サービスを受けているというのは、委員も御指摘のとおり事実でありますので、こういった原則論をもう一度見直すことが必要ではないか、そんな観点から、この外形標準課税について再々度この案というものを出させていただいた次第でございます。
 特に、外形標準課税につきましては、あくまでも税収中立という立場での導入を考えておりまして、さらに、平成十五年度から予定される外形標準課税の制度は、あくまでも従来のいわゆる所得課税の部分が減るわけなんですね。その所得課税による課税部分が減るということは、結局、収益が上がれば、収益じゃない形で外形標準課税が課税されますので、要は内部留保が高まる、こういった仕組みにもなっておりまして、しっかりと企業努力がいわゆる見える形で成果が見られる、こういう企業の努力が報われる税制にもなっております。
 そういった意味で、この外形標準課税を施行させていただきますと、まさに先ほどの人材、設備、また研究開発、そういった投資原資を得やすくなる、そういう内部留保の蓄積が非常に図られやすくなるというふうに考えておりますので、私としては、国際競争力の低下を招くのではなくて、反対に経済活性化、国際競争力の強化につながる、そう理解しております。
黄川田委員 副大臣の認識、よくわかりました。
 それでは、不動産関連の税制につきまして個別にお尋ねいたしたいと思います。まず、土地の流動化が経済の活性化に欠かせないとの観点から、土地の流通課税であります不動産取得税についてお尋ねいたします。
 これまで、住宅用地については、一定の面積まで実質的に非課税となる特例措置が講じられておりますけれども、このたび、購入した土地にすぐ家を建てて売る建て売り住宅と、購入した土地を売ってから家を建てる売り建て住宅との均衡を図る等の観点から、この特例措置について要件の緩和が行われております。
 これにより、住宅用地を取得してから三年以内にその土地に住宅を建設する業者の負担が軽減されるなど、最終的には住宅の取得者の負担軽減につながるものと考えられるわけであります。また、住宅政策との関連からこのような特例措置が講じられているところがありますけれども、昨今の不動産取引の不振から、商業地を中心にその軽減を図るべきだという主張がなされているところであります。
 そこで、不動産取得税は都道府県の貴重な自主財源でありますが、その撤廃などは現実的でないと思いますけれども、昨今のこの不動産取得税を軽減すべきという声に対する総務省の見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 これは、不動産取得税というのは、都道府県にとりまして大変貴重な税でございまして、五千億を超えているんですね。五千五、六百億。
 そこで、今一部には、土地の需要喚起、土地の流動化のために、土地の流通にかかる税金を、不動産取得税や登録免許税のことでしょうけれども、これをまけるべきだ、あるいはやめるべきだ、こういう議論がありますけれども、今、土地の状況を見ますと、地価が十年連続で下がっていまして、特に商業地なんというのは一七%になっているんですね、ひどいところは。もとは一〇〇ですよ。今は一七、住宅地が四〇ぐらいでしょうかね。
 そういうことになっておりますし、また、今の土地税制では、特に大都市圏の住宅は、標準的なものはもうほとんど税金がかからないような、こうなっておりますし、商業地も相当まけているんですよ。そういうことで、ここで税金をまければ土地が流動化して、土地需要が喚起されるとはなかなか思えない。
 そういう中で、五千億から六千億もある都道府県の主要な財源をなくして、それで都道府県の行政ができるかといえば、私は大変疑問だ、こういうふうに思っております。そういうことで、税調その他のところではそういう意見を言わせていただいておりまして、今後とも関係方面の理解を深めたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 それでは次に、固定資産税についてお尋ねいたしたいと思います。
 固定資産税は、今度は平成十二年度の決算見込みでありますけれども、市町村の税収の約四六%を占めていると思います。今度は市町村の基幹的な税目であります。
 地方分権の推進とともに、福祉あるいは環境など、多くの分野で行政に求めるニーズが多様化しておりまして、市町村の財政基盤を支える固定資産税の位置づけは、これまでにも増して重要となってきております。特に固定資産税については、償却資産について申告制度があるものの、賦課課税の方式がとられておりまして、それゆえに、かえって市町村の固定資産の評価、課税の透明性と説明責任が強く求められております。そして、こうした固定資産税制については、納税者の視点で制度のあり方を検討することがやはり大事だと思っております。
 現行の地方税法では、市町村長が、原則として毎年三月一日から二十日以上の期間、固定資産課税台帳を関係者の縦覧に供しなければならない旨規定しております。そしてまた、この縦覧制度は、納税者が自己の資産に係る評価が適正であるかどうかを判断し、不服がある場合には審査申し出を行うことを可能にするための制度であります。
 現行では、固定資産課税台帳を縦覧できる者及び縦覧することができる台帳の範囲につきましては、本人の同意がある場合等を除き第三者に対する閲覧は認めるべきではないとされ、縦覧できる範囲は、当該納税義務者に関係する部分のみに限定された取り扱いになっております。これは、自分の資産の評価額や課税標準額が他人に明らかにされることによりまして、プライバシーの保護、これを重視したものと私は思っております。
 しかしながら、別の面から見ますと、納税者にとってみれば、自己の資産の評価額のみを示されておっても、他の事例との比較ができない。その評価が適正であるか、それを考える材料に乏しい。そこで、その評価額が妥当なものであるかという判断をすることが、開示されなければ比較できないというところもあると思います。
 そこで、今回の改正は、他の土地や家屋の評価額についても縦覧できるようにすることとし、こうした比較を通じても評価額の適正さを判断できるというふうにしたものと思っております。
 そこで、一方ではプライバシーの保護、そしてまた一方では自分の評価が適切なものかということで、納税者の視点に立って行われた改正だと思いますけれども、その趣旨についてまずお聞きいたしたいと思います。そしてまた、縦覧制度を活用できる主体についてはどのような範囲を考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
瀧野政府参考人 縦覧制度の改正についてのお尋ねでございます。
 現在の縦覧制度におきましては、ただいまも御指摘がありましたとおり、納税者は、固定資産課税台帳のうち自己の所有する資産部分しか見ることができないという取り扱いになっておるわけでございますが、納税者の立場に立ってみますと、自分の資産の評価額だけを示されても、その評価が適正であるかどうか考える材料に乏しいわけでございまして、資産の評価が妥当なものかどうか判断することが事実上困難な状況にあるわけでございます。
 そのような中で、昨年夏に実施いたしました国政モニターの結果におきましても、評価額を開示すべきだという意見が約四分の三を占めているというような状況にございまして、我々といたしまして、こういった状況も踏まえながら、今回、納税者の立場に立ちまして縦覧制度を改正していこうという制度改正をお願いしているわけでございます。
 内容といたしましては、固定資産税の課税台帳の記載事項のうち市町村内の土地や家屋の評価額などを記載した縦覧帳簿というものを新たに整備した上で、納税者の縦覧に供するということにしたいということでございます。これは、納税者の方が、周辺の土地や家屋の評価額との比較を通じまして、自分の土地や家屋の評価額が適正かどうか判断できるようにしようということでございます。
 また、縦覧制度の活用できる主体についてのお尋ねもあったわけでございますが、今申し上げましたような制度改正の趣旨も踏まえまして、その市町村内で土地や家屋の固定資産税を納税している者というふうにしたいと考えておるところでございます。
黄川田委員 今回の改正においては、課税明細書の送付あるいはまた路線価等の公開についての法定化も行われるわけでありますけれども、ぜひとも納税者にわかりやすいような仕組みでよろしくお願いいたしたいと思います。
 そしてまた、今回の改正の中で大きな改正と考えられるのは、借地借家人が当該土地や建物の税額を閲覧できたり証明を受けることができるとされているところであります。ここで、先ほどの縦覧制度では、税額を開示せず評価額までを対象にすることになっておりますけれども、今回、本人以外に借地借家人に対しては税額についても開示することとされましたが、その趣旨といいますか、それはいかがなものでしょうか。
瀧野政府参考人 今回の改正で新たに法制化をお願いしております固定資産課税台帳の閲覧制度なり、固定資産課税台帳に記載された事項の証明制度におきまして、借地借家人に対しまして課税標準額を開示し、関係の固定資産税額を実質的に把握できるようにしたいということでございます。
 この趣旨につきましては、一つには、借地借家人は固定資産税が転嫁される立場にございまして、実質的な固定資産税の負担者であるというふうに考えられることが一つでございます。
 それから、二つ目といたしましては、借地借家法上認められております地代の変更の請求権、これを行使するためには、借地借家人が固定資産税額を把握しているということが前提でありますので、そういう意味からも借地借家人に開示する必要があるのではないかということでございます。
 それから三つ目には、これまでも、私ども、固定資産税の評価がえの際に、地代なり家賃の不当な引き上げがされないよう配慮するように地方団体にお願いをしてきたところでございますが、こういったことは、むしろ、借家借家人に対しまして固定資産税額を開示することにより解決することができるだろうというふうに考えるということもございまして、以上のような点を踏まえました改正であるということでございます。
黄川田委員 そしてまた、最近、東京都でありますか、現在の税制では二十三区の負担水準が全国に比べて高いことから、これは多分、中小企業対策、商店街の活性化といいますか、そういう一環だと思いますけれども、固定資産税と都市計画税の一部減免の方針を打ち出しております。この考えが厳しい財政状況に苦しんでいる他の地方公共団体に波及しますと、景気の刺激策にはなるんでしょうけれども、一方でまた地方税の減収になります。
 総務省は、課税の公平性の観点から慎重に検討してほしいと、どちらかというと否定的なことといいますか、見解を示しているようでありますけれども、地方自治の独自性といいますか、その観点も含めて、改めて基本的な考え方をお聞きいたします。
片山国務大臣 今お話しのように、東京都は、東京二十三区の商業地の固定資産税がほかに比べて過重である、こういうことで、当面、平成十四年度分について、中小企業対策として、小規模な商業土地四百平米のうちの二百平米を二割、こういうことみたいですけれども、緊急避難的に固定資産税と都市計画税をまけたい、こういうことなんですね。
 そこで、公示価格の七割という評価に直しましたから、その分なるほど、どっと固定資産税が上がったようなことになっておるんですが、それは負担調整を相当やりまして、かなり下げてはおるんです。ただ、東京都は、七割の評価を、七割にする前が実際のあれから見るとやや安かったんですね、全国平均から比べますと。したがって、非常に割高感が私はあると思います、それは。
 しかし、相当まけている上に、今度、知事がお考えのものは、個別減免の規定を適用して一律に全部やろうと。これはいかがかなという感じがややあるんですね。条例をお決めになってまけるというのは、これは税法も認めているんですけれども。個別減免の規定の適用で一律にやろうと。
 それから、東京都の財政は今決してよくありませんから、御承知のように。二百六十億だから、こういう議論はあるかもしれませんけれども、その辺からいいまして、当面の緊急避難というのはわかるけれども、ひとつ慎重にということを、私どもの方の自治税務局長から東京都の主税局長や、あるいは自治財政局長から東京都の、財務局長というんでしょうか、財務局長さんに申し入れたわけであります。東京都のお考えはわからないでもないんですけれども、そこは私どもは慎重にやっていただいたらどうだろうか、こういうふうに思っております。
黄川田委員 それでは、次に、特別土地保有税についてお尋ねいたしたいと思います。
 まずもって、この特別土地保有税でありますけれども、これは主に土地の投機取引を抑制するための政策税制であります。特にバブル期にはかなりの課税強化が行われてきたと思いますけれども。
 そこで、今日、資産デフレが叫ばれ、土地の投機的取引がほとんどあり得ない状況の中で、特別土地保有税は、現在どのような目的の政策課税となっておるのでしょうか。そしてまた、その中で今回の改正はどういう意義を持っておるのでしょうか。総務省からお尋ねいたします。
若松副大臣 特別土地保有税の制度でありますが、これは投機的取引の抑制を目的として昭和四十八年度に導入されたものであるわけですが、現在は、御存じのように土地の有効利用を図るための税制、こういう形になっております。このような趣旨から、土地を有効利用する確実な計画があれば税の徴収を猶予する、そして、計画が達成された段階では納税義務を免除する、こういう制度になっております。
 今回の改正でありますが、徴収猶予期間中の計画変更などの要件を緩和することによりまして土地の有効利用の一層の促進及び土地の流動化に資するためのものでありまして、存在意義が十分あると理解しておりますので、どうぞ御理解、よろしくお願いいたします。
黄川田委員 それでは、今度は土地税制から離れまして、株式譲渡益課税についてお尋ねいたしたいと思います。
 この株式譲渡益課税は、昨年秋の臨時国会におきまして、証券市場の構造改革を進めるとの観点から、平成十五年一月から源泉分離課税を廃止し、申告分離課税へ一本化することが決定されたことに加えて、税負担やリスク負担の緩和に配慮するとの見地から、上場株式について税率の引き下げや損失の繰越控除制度の創設等の措置が講じられたところであります。
 そこでまた、今般、これらの措置の施行にあわせて、証券会社に一定の口座を有する人について申告を不要とする制度を創設することとしておりますけれども、この制度創設の趣旨は何であるか、そしてまた、これにより証券市場の活性化が本当に図られるのか、寄与するのか、お尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 株式譲渡益課税につきましては、いろいろな議論がありましたが、申告分離課税への一本化を平成十五年一月からやろうと。その申告分離課税への一本化とともに、損失繰越控除の創設だとか、あるいは税率引き下げも考えよう、こういうことになりました。
 そこで、申告分離課税に対する、大変反対もありましたね。証券会社なんかも反対だったんですよ。というのは、一々申告する手間が大変で、やはり投資家に嫌がられるんではないか、こういうことなんですね。
 そこで、所得税の源泉徴収を選択した、特定口座を有する個人投資家、一定の個人投資家につきましてはこの申告を不要にしよう、申告不要制度というものをつくりまして、申告事務の負担軽減を図ったわけでありまして、こういう措置をとることによって、やはり申告分離課税への一本化についての理解が深まるし、税としてはその方がいいわけですから、申告分離と源泉徴収が二つありまして選択できるよりは、税としては私は一本化の方がすっきりすると思いますし、この申告不要制度を入れたことによってなじんでいただけるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
黄川田委員 大臣、後段の証券市場が活性化するか、その辺ちょっとお尋ねいたします。
片山国務大臣 証券市場の活性化にもプラスになると思いますが、しかしそれだけじゃだめですね、税だけでは。やはり、証券市場全体に対する信頼、投資しやすい環境、そういうこともぜひ関係者で考えていただきたい。ただ、この申告不要制度が証券市場の活性化にプラスになると私は思っております。
黄川田委員 私も地方税による対応だけでは限りがあると思うわけなんですよね。証券市場の活性化といいますか、それは本質的には、やはり市場への規制緩和、そういうものをどんどんやっていかないと、この地方税の一部改正で取り上げるという話じゃないのではないかとちょっと思っておりますので。
 それから次に、地方税の充実、なかんずく国から地方への税源移譲は重要なポイントでありまして、今後、税源移譲の検討を積極的に進めていくとの答弁は、本当に大臣から機会あるごとにいただいております。
 そして、税制といえば、経済財政諮問会議、ここでも税制版の骨太方針ですか、これが進められると聞いておりますし、そしてまた政府税調も前倒しの議論を行うということであります。加えて、地方分権改革推進会議も地方税財源充実の議論を行うとも聞いております。
 そこで、どうもそれぞれの役割分担といいますか、見えてこないところがありますけれども、大臣、これはどの場所に軸足を置いて具体的な議論をしかけていくおつもりでしょうか。
片山国務大臣 大体、いつも税制改正論議というのは秋なんですけれども、今回は構造改革の大きな柱だということで、小泉総理が少し早目にやったらどうか、こういうことで、それぞれ、政府税調は税制改正論議のスタートを切りましたし、恐らく経済財政諮問会議も今月中からそういう議論を始めていくことになると思いますし、恐らく与党税調や自民党税調の方も同じ動きになるのではなかろうか、こういうふうに思います。
 そこで、経済財政諮問会議がやる、政府税制調査会がやる、地方分権改革推進会議までその戦列に加わると、整理はどうなんだ、こういう御懸念があると思うんですが、私個人はそういう発言もしておりますけれども、経済財政諮問会議では経済財政の骨太方針というのをやりましたけれども、税制もやはり骨太方針を諮問会議ではやってもらう。大きい税制の理念、あるいは国と地方の関係でいうと、あるべき国と地方の役割分担、それに伴う税制のあり方、あるいは地方交付税制度なんというのは、むしろ経済財政諮問会議の方がなじむのではなかろうか、政府税調よりも。
 政府税調は、それに基づく具体的な税制改正の各論といいますか、各論を中心にやる。総論的なことは諮問会議。もちろんダブってもいいと思いますけれども、政府税調は主として各論をやっていただく。それで、党税調はもっといろいろな政治的な考え方を踏まえてやる。それから、地方分権改革推進会議の方は、これはやはり地方の税財政基盤の強化ということに、主としてそこに軸足を置きまして、税源移譲なんかについての議論をしていただいたらどうであろうか。
 こういうふうに思っておりまして、総理は、国会での答弁でも、ダブって結構だ、こういうことを言っておりますので、恐らくかなりの部分ダブると思いますけれども、基本的には、私は、そういう総論、理念は諮問会議、各論は政府税調、地方分権改革推進会議は税源移譲、こういうことがベターではなかろうかと思っております。
黄川田委員 ちょっと通告していないのでありますけれども、私、デフレ対策、本当に気になっておりますので。
 このデフレ対策ですけれども、減税と税制による経済活性化に期待する声も間々あるようでありますけれども、この点について、大臣の認識はいかがでしょうか。
片山国務大臣 先般、経済財政諮問会議を中心に決めましたデフレ対策は、不良債権の処理だとか、金融システムの安定化だとか、空売り規制等の証券に対するいろいろな規制の関係だとか、あるいは中小企業融資、そういうことが中心になりましたが、私は、これが全部じゃない、こういうふうに思っておりまして、やはり税制改革なり規制改革なり、財政出動というのはなかなかそこはつろうございますけれども、そういうものが第二弾としては入ってくるのではなかろうか。
 特に、税制改革というのはいろいろな議論が、デフレ防止についても議論されておりまして、恐らくこれから始まる税制改革論議ではそういうことを含めてのいろいろな検討がなされるものと考えております。
黄川田委員 これまで、今回提出されました地方税法の改正案の内容等について質問してまいりましたけれども、どれもこれも小規模な改正でありまして、冒頭で申し上げましたとおり、地方分権を推進し、この日本経済を活性化するといったような意気込みがちょっと感じられないわけであります。
 今後、先ほどお話しのとおりの経済財政諮問会議、あるいはまた地方分権改革推進会議、政府税制調査会等であるべき日本の税制が議論されるということでありますけれども、ぜひとも小手先の改正に拘泥することなく、思い切って地方に税源を移譲し、この日本全体が元気になるような改革が行われることを御期待いたしたいと思っております。
 それでは次に、先般の一般質疑と多少重複いたしますけれども、地方財政計画の歳出の見直しについて伺いたいと思います。
 政府から示されております平成十四年度地方財政計画によりますと、歳出の圧縮には相当の努力をされたと思っておりますけれども、地方財政計画の規模について見てみますと、対前年比マイナス一・九%でありまして、計画規模全体でマイナスになることは史上初めてのことであります。まさに地方財政計画の歴史的転換点を迎えた、そういう感が強いわけであります。
 そこで、国の歳出の見直しと歩調を合わせまして、地方財政計画の歳出についても見直しを行ったということでありますけれども、その具体的な見直しについて、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 国が構造改革で思い切った歳出見直しをやる、こういうことでございますから、国と地方は構造改革のパートナー、こういうことで、地方財政計画の歳出についても見直しを行おう、こういうことを考えまして、結果としましては、黄川田委員言われましたように、前年度マイナス一・九%で、地方財政計画始まって以来のマイナス、こういうことでございます。国の予算が一・七ですね、一般会計予算が。
 そこで、どういう見直しをやったかということでございますが、一つは定員の計画的な削減。全体として、約一万二千三百人の定数削減を行いました。また、国に準じまして、給与改善費の計上を見送りました。また、給与そのものも今大変抑制的になっておりまして、地方団体全体のラスパイレス指数が一〇〇・四にまで落ちております。
 また、一般行政経費につきましては、既定経費の縮減ということで、重点七分野以外についてはおおむね一〇%削減。ただ、その一方で、重点七分野、個性ある地方の活性化だとか循環型社会の形成だとか少子高齢化への対応等のそういうもの、あるいは合併関係、あるいは防災関係等につきましては財源を重点的に配分する、こういう考えで策定いたしまして、全体としては一般行政経費はマイナス〇・三%、こういうことになっております。
 さらに、投資的経費につきましては、御承知のように公共事業が一〇%カットでございますから、地方にはこれは補助事業、こういうことになるわけでありますけれども、これも約一割補助事業が落ちる。それとともに、地方単独事業につきまして、これは一〇%減額いたしまして、十七兆五千億を十五兆八千億に、こういたしたわけであります。特に、具体的内容では、いわゆる箱物等の投資を抑制して、必要なものはもちろん認めますけれども、原則としては抑制する、そのかわりに、地域情報化等の基盤整備、インフラ整備については重点的に認める。
 こういうことで、全体としては八十七兆六千億でございますか、一・九%減の地方財政計画をまとめたわけでありまして、我々としては、相当思い切った見直しをした、こういうふうに考えております。
黄川田委員 大臣からいろいろお話をいただきましたけれども、歳出の見直し、圧縮の中で、公債費、地方債の返済負担、これは重くなるだけであります。公債費負担比率も一五%を超える団体が全体の約六割を超えております。自治体の財政運営の自由度はますます狭まっているという状況でありますので、この現状を指摘しておきたいと思っております。
 それでは次に、自治体のペイオフ対策についてお伺いいたします。
 いよいよこの四月からペイオフが解禁となります。これについては、連日のように新聞あるいはテレビ等で報道がなされておりまして、個人に限らず、企業、あるいはマンション組合の修繕積立金等、さまざまな形の預金が、どのような対応を行えばよいかということで課題となっております。
 そして、地方公共団体の公金預金についても対象となるということでありまして、その規模の大きさ、あるいは公金であるという性格、さらには地域金融及び地域経済に与える影響、これは本当に大きいものがありまして、公共団体のペイオフ対策をどのように行うか、これが本当に大きな問題となっております。
 そこで、地方公共団体におけるペイオフ対策としては、借入金との相殺など、いろいろ考えられると思いますけれども、まずもって具体的にどのような方法があるか、総務省にお尋ねいたします。
板倉政府参考人 ペイオフ解禁後は、地方公共団体も他の預金者と同様に、みずからの公金預金の管理、運用に関しまして自己責任が前提となりますので、地方自治法の趣旨を踏まえて、安全で確実かつ有利な公金の管理に取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。
 そこで、各地方公共団体が、実情に応じまして創意工夫を重ねて具体的なペイオフ解禁への対応方策を検討しているものと考えておりますけれども、専門家を交えました研究会で御報告をいただいた、その内容を申し上げますと、具体的な保全方策といたしましては、先ほど申されましたように、預金債権につきまして、反対の借入金、地方債等の借入金の債務との相殺によって保全を図るということが可能ではないかということでございます。
 ただ、これは預金債権が借入金よりも小さい場合には全額保全をされるということでございますが、預金債権の方が大きい場合には全額は保全されないということになります。この場合には、例えば指定金融機関からの担保をより充実するということですとか、国債、政府保証債、地方債などの元本の償還及び利息の支払いが確実な債券によります運用を図るといった、幾つかの方策を組み合わせて考えていくというような必要も生じてこようかと考えております。
黄川田委員 借入金との相殺についてでありますけれども、今お話しのとおり、金融機関が持つ地方債の金額は公金預金の五分の一強にすぎないという点、あるいはまた債権者の平等、あるいはまた公平性の観点等、問題点が指摘されている現状もあるようでありますので、なかなか大変なことだと思っております。
 そこで、私は、地方公共団体は、ペイオフ解禁に対しまして、まだまだ十分な取り組みあるいは準備がなされていないところもあるのではないかと思っております。特に、小規模な市町村にあっては、情報不足のところ、あるいはまた、金融という極めて専門的な世界のことなので、具体的に対応することが本当に困難だというところもあるのではないかと思っております。
 そこで、改めて、総務省として、地方公共団体のペイオフ対策についてどのような方針で、そしてまた地方公共団体に対して指導、対応していくか、重ねてお伺いいたします。
若松副大臣 ただいま板倉総括審議官の方から具体的なペイオフ対策の、例えば借入金との相殺とか、そういった話を説明させていただきましたが、総務省といたしましては、研究会を設けてペイオフ解禁への対応方策をずっと検討してまいりまして、まず、昨年三月にとりまとめた結果を各地方公共団体にたび重なる周知をいたしているところでございます。
 そして、先月の二月八日にも全国担当課長等に対して説明会を実施いたしまして、公金預金の保全方策について改めて周知徹底を行ったところであります。
 なお、その際、各地方公共団体が過剰な対応によりかえって地域経済に無用の混乱を起こすことがないように、そのような冷静な対応も要請した次第でございます。
 これらの方策を受けまして、現在多くの地方公共団体が、それぞれの実情に応じた創意工夫を重ねて具体的なペイオフ解禁への対応方策を実施、検討しているものと私どもでは承知しております。総務省といたしましても、大変重要な課題でもありますし、委員御指摘のとおり、しっかりと今後も十分に注意を払いながら、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
黄川田委員 副大臣のお話のように、大変なことは大変であります。
 それで、地方公共団体といいましても、それぞれ置かれている状況は異なりまして、普遍的なペイオフ対策というものが、あるわけはないと思いますけれども、いずれ自治体の自己責任が前提でありますけれども、総務省の指導を重ねてお願いいたしたいと思っております。
 それでは最後に、ちょっと視点を変えまして、公営企業の健全経営についてお尋ねいたしたいと思います。
 公営企業は地方公営企業法で、水道、工業用水道、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス、七種の事業を規定しておりまして、そしてまた、病院事業は経理処理等の財務規定のみを定めておるところであります。
 最近の新聞報道によりますと、少なからずの公営企業は厳しい地方経済の影響を受けるとともに、過去の甘い経営体質等も重なって、厳しい経営を強いられているのではないかと思っております。
 そこで最初に、公営企業全体の過去の損益状況の推移と、最近の累積債務残高はどのような状況でありましょうか。そしてまた、個別事業ごとの最新の決算に基づく経営状況、これもお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 地方公営企業の経営状況についてのお尋ねでございますが、まず、法適用企業につきまして、純損益の状況からお答えをさせていただきます。
 水道事業、工業用水道事業、病院事業等の地方公営企業法を適用いたしております企業体は、十二年度決算によりますと三千四百九十二事業体ございます。その純益の推移でございますが、五年ほど簡単に申し上げます。平成八年度は九百十八億円の赤字でございまして、平成九年度は、やや改善の傾向が見られまして七百四十四億円の赤字となりましたが、平成十年度以降、また赤字額が拡大いたしておりまして、十年度は九百七十八億円、平成十一年度は一千一億円、平成十二年度は一千九十七億円の赤字となっておりまして、引き続き厳しい経営状況下にあると考えております。
 それから、御質問いただきました累積欠損金の状況でございますが、平成十二年度末における累積欠損金は四兆八千七百四十五億円となっておりまして、年々増加をいたしている状況にございます。
 それから、個別事業ごとの経営状況についてもお尋ねがございました。
 事業ごとにちょっと簡単に御説明をさせていただきますが、水道事業と工業用水道事業と下水道事業、これらにつきましては黒字の決算となっておりますが、交通事業と病院事業につきましては、交通事業は二千三百八億円、病院事業は六百四十四億円という赤字となっておりまして、法適用企業全体では、先ほど申し上げましたように一千九十七億円の赤字というのが平成十二年度の決算の状況でございます。
 総務省といたしましては、今後とも一層の事業の効率化、経費の抑制等に努め、経営の健全化を図っていく必要があるものと考えておりまして、そのように指導してまいりたいと考えております。
黄川田委員 私は、公営企業は、ルール分等の繰り出し金であるとかあるいは補助金等によって何とか息をついているというような、そういう状況だと思っております。
 そこで、公営事業の一例として、工業用水道について、この経営健全化についてお尋ねいたしたいと思っております。
 地方公営企業である工業用水道事業は、産業基盤施設として多くの地域で立地企業を支え、そしてまた高度経済成長に寄与してきたことは論をまちません。しかしながら、産業構造の変化等に伴う企業立地の停滞などの影響を受けまして、工業用水の使用量は、昭和五十年以降減少傾向となっておるところであります。工業用水道事業の中には、企業誘致等によりまして水需要の増加に対応するため、水源開発に利水者として参加しておりましたけれども、その後、企業立地が思ったように進まず、結果として大量の未売水を生じるなどの理由によりまして経営が悪化している事業も見受けられると思っております。
 また、将来にわたって水需要が見込めない工業用水道事業にありましては、水利権の他の用途への転用等を行う動きが各地で見られるようになっております。我が国の産業の空洞化、これが懸念されている今日、工業用水の需要が劇的に拡大するというようなことは、残念ながら考えられないのではないでしょうか。このような状況を踏まえまして、工業用水道についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
 そこで、まず、地方団体の経営する工業用水道事業の中には、長引く景気低迷やあるいは企業誘致の停滞、企業の節水などによりまして、水需要が当初見込んだものと比較して大幅に少なくなっているものや、あるいはまた、ダム建設による水源開発に利水者として参加しておりますけれども売水のめどが立たないものがあるなど、厳しい経営状況にあると聞いております。
 そこで、全体のことは先ほど聞きましたけれども、この工業用水道事業の経営状況、もう少し詳しくお話しいただけないでしょうか。
林政府参考人 工業用水道事業の経営状況についてお答えを申し上げます。
 この工業用水道関係は、全体といたしましては、平成十二年度決算で百四十七億円の黒字ということは先ほど申し上げましたが、この事業を行っている団体は百四十一団体ございます。全体としては黒字でございますが、この百四十一団体を個別に見てみますと、黒字のものが百十三団体ございますが、赤字の団体が二十八団体となっておりまして、トータルをいたしますと、先ほど申し上げましたような百四十七億円の黒字、こういうことでございます。
 このように、トータルいたしますと黒字となっておりますが、御指摘をいただきましたように、企業立地の低迷やあるいは受水企業の水使用の合理化などによりまして水需要が伸び悩んでいるというような状況もありまして、今後さらに収益の悪化が懸念される事業もあるというふうに私ども心配をいたしております。全体的には厳しい経営状況にあると認識しなければならないと考えております。
黄川田委員 時間が残り少なくなってまいりましたので、まとめて二つ聞きます。
 工業用水道事業でありますけれども、この経営健全化を進めるためにはどのような対策を講じるのが適当か、そしてまた、例えば需要の見込めない水利権は、治水や水道等の他の利水への転換を早急に図るべきではないかとも思っておりますが、この見解をまずもってお伺いします。
 そして、最後であります。
 今回、工業用水道事業経営健全化対策が創設されるということでありますけれども、この趣旨、内容、期待する効果、これをお尋ねいたしたいと思います。
林政府参考人 経営状況の厳しい工業用水道事業の経営健全化のためには、各事業体におきまして、企業誘致等による需要の開拓であるとかあるいは料金の適正化であるとか、あるいはコストの削減、業務効率化等の経営健全化努力を行っていただく必要があると考えておりますが、将来にわたって水需要の見込まれないような事業にありましては、水利権の他用途への転換などの抜本的な対策を実施していただく必要もあるのではないかと考えております。
 このため、このような取り組みを検討している団体からは国の支援措置に対する御要望も強かったわけでありますが、平成十四年度におきまして、水利権の転用等による未稼働資産の整理等の経営健全化策を講ずる地方公共団体に対しましては、新たに所要の地方財政措置を講ずることといたしたところでございます。
 この措置の具体的な内容でございますが、まず、このような取り組みをされる団体におかれましては、水利権の転換であるとかコストの削減策、需要開拓、あるいは料金の適正化等の経営健全化対策を盛り込んだ経営健全化計画をまず策定していただくことになります。その計画に基づきまして未稼働資産の処分等を行われます場合は、当然処分収益等では賄えないことになるものですから、この繰り上げ償還とか国庫補助金の返還に要する資金につきまして企業債の発行を認めようとするのが第一であります。
 また、この計画期間中におきまして、その企業債の利息などによりまして発生する資金不足額につきましては、最大二分の一までは一般会計から繰り出すことができることとし、その繰り出し額の約半分につきましては交付税措置を講ずることにしよう、こういうのが内容でございます。
 この措置によりまして、厳しい経営環境にある工業用水道事業の抜本的な経営健全化が図られることを期待いたしているところであります。
黄川田委員 最後に、提案された法案につきまして、自由党として意見を述べたいと思います。
 そもそも、地方経済、日本経済が危機的状況にある中で、まず実施しなければならないことは、日本の構造改革であることは言うまでもありません。また、そのために最優先で行わなければならない事項は、経済社会、その仕組みであります、仕組みそのものの改革であります。そのための税制の抜本改革であるべきであります。そして、その中でも国と地方の役割や税財源配分の見直しは早急に行う必要がありますが、今回の法案の中では例年どおりの内容を記述いたしました。本当に、国と地方の役割と税財源配分の見直しについては全く触れられていないと言っても過言ではないと思っております。
 そしてまた、地方財政計画についても問題があると思っております。赤字地方債である交付税特別会計借入金が三十四兆円にも上っている現状を考慮しまして、平成十四年度からは地方交付税特別会計の民間借り入れはやめると昨年決めたばかりなのに、小泉総理が公約としてしがみついている国債発行三十兆円枠、これを達成するだけのためにこの交付税特会の民間借り入れを継続したことは、やはり無原則、無節操な地方財政運営であると私は思います。
 さきの施政方針演説で小泉総理が述べた、「国と地方の役割や税財源配分のあり方の見直しに取り組むなど、地方分権を一層推進してまいります。」とか、政府の地方分権推進委員会が昨年六月にまとめた地方税財源問題報告書、最終報告の、所得税の一部を地方税の個人住民税へ移し、そしてまた地方の自立を促すと同時に地方交付税や補助金の減額を求めるセット論、これは一体どこに行ったのでしょうか。地方経済が危機的状況にあるときに、このような改革の意思も問題意識も、そういうかけらが何もないこれら出された法案は、問題外だと思っております。
 結論であります。これら法案には反対したいと思っております。反対いたします。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 冒頭に、国会での答弁の持つ意味についてひとつただしておきたいと思います。
 総務省は、住民基本台帳ネットワークの国の事務への利用を大幅に拡大する方針だと伝えられております。まだ施行もされていない段階で、今国会に改正案を提案すると報じられております。
 この議論は、委員長の平林先生や桝屋先生とか、私も六年目になりますので、地方行政委員会で相当真剣な議論をこの間尽くしてきまして、最後には、小渕当時総理大臣まで地方行政委員会に登場していただいてこの議論をやりました。
 そのときに、九九年六月十日に地方行政委員会に来ていただいたのです。小渕当時総理は、住民基本台帳ネットワークのシステムの実施に当たりましては、民間部門も対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを整えることが前提である、このことを繰り返し答弁をされ、当時の野田自治大臣も同様の答弁をされています。総務大臣もそのことはもちろん御認識されていると思いますが、御確認をしておきたいと思います。
片山国務大臣 今、春名議員が言われましたように、総理が地方行政委員会に来られまして今のような発言をしたことは、私も承知いたしております。
春名委員 まだ個人情報保護法の法案は成立しておりませんし、するかどうかもわからない段階です。野党四党はこれに反対ですという態度をとっております。そのとき、早くも国の事務への利用を十省庁九十三事務から百事務以上へ拡大する、そういう方針であるということが伝えられているわけです。確認をいたしました。正式な文書でも、そのことを追加するという方向で検討中であるということが提出をされております。
 こういうことをやりますと、国会答弁というものは一体何か、総理の答弁というのは一体何だろうかということを感ぜざるを得ないわけです。しかも、法整備だけじゃなくて、小渕総理は、システムそのものを整えなきゃだめだ、そういう環境までつくらなきゃだめなんだ、法をつくっただけじゃだめなんだということまで言っているんですね。法案そのものが通るかどうかもわからないような段階なんですよ、今。そのときに、事務を拡大する方針を今国会に出すと。一体どういうことですか、これは。これは許されないです。
片山国務大臣 これは総務省の意向というんじゃないのですよ。IT戦略本部や関係各省庁全部の意思なんです。
 何で今回追加するかというと、御承知のように、IT基本法ができ、IT戦略本部ができ、e―Japan戦略という国家戦略が決まり、それに基づくアクションプランが決まり、二〇〇二プログラムが決まって、世界で一番進んだIT国家にしようというのが一応政府の最大の課題として決まったわけですね。その中の一つが電子政府、電子自治体なんですよ。
 例えば、申請や届け出を今のように役所に行ったり市町村役場に行ったり、そういうことじゃなくて、インターネットを利用してオンラインで職場や自宅からやれるようにしよう、こういうことですよ、電子政府、電子自治体。今一万六千件ありますよ、しかし、これをできれば二年間で、平成十五年度までにほとんどを、できれば一〇〇%全部オンライン化しようと。大変便利ですよ、みんな。
 それは、そうするためには、今は申請すると言ったら住民票の写しを持ってこいとか添付しろとかということになるんですよ。だから、これをオンライン化するためには、これは住基ネットからその確認をしよう、こういう話なんで、国民の皆さんに大変歓迎される話だ、私はこういうふうに思っているのです。施行は恐らく法律でことしの八月か何かになると思いますけれども。
 ただ、これは今から二カ年で進めていかなければいかぬわけですから、そこで各省庁にどうですかと言ったら、うちも入れてくれ、うちも入れてくれと、そうでしょう。今は共済のお金だとか、例の……(春名委員「質問に答えてください」と呼ぶ)恩給だとかいろいろなことをやっていますけれども、今度は年金だとかパスポートだとか、そういうことも全部オンライン化するんですよ。
 そのために、今回、この住基ネットでの確認、本人確認情報を、改正して行う、しかもそれは法律改正をやるんですよ。国会で御審議いただいて、国会の皆さんの意思として決めていただく、こういうことでございまして、個人情報の保護は、通るのが私は望ましいと思いますけれども、こっちの方はいろいろな議論があって前に行かない。
 そこで我々は、今度は行政機関に伴う個人情報保護法もいっぱい出すんですよ、これからこの国会に。あわせて御審議いただこう、こういうことでございまして、その点は今までの話とは全く違うじゃないかということじゃございませんので、ぜひ御理解を賜りたい。
春名委員 質問に答えてもらいたいのですがね。要するに、私は中身について今議論しているのじゃないんですね。必要性はもちろんおありだから出すんでしょうから。そうではなくて、総理の答弁との関係を伺っておるのです。
 前提だと。包括的な個人情報保護法をつくるのがそのシステムを確立する前提である、住民基本台帳ネットワークシステムそのものの。もうかんかんがくがくの議論をやってそういう結論に、私たちはそれでも反対でしたけれども、なったわけでしょう。その答弁との関係で、こんなことをやっていいのかと。国会の答弁というのは、総理の答弁というのはそんなに軽いものなんですかということを問うているわけです。そのことについて答弁してください。中身はいいです。
片山国務大臣 だから、個人情報保護の徹底を図るのですよ。そのために今回幾つもの法案を出すのですから。ただ、個人情報保護の基本法である去年の三月に出した法案が、ずっと継続審査になっていることは承知していますよ。それはまた別の議論で、マスコミ関係がどうだとかなんとかということになっているので、しかし、出しているということは、一日も早い成立を我々は願っていますよ。しかし、それはそれでいろいろ時間がかかるんなら、こっちの関係の方の個人情報保護法制をしっかりやろうと。また、今の住民基本台帳法だって、これは目的外利用は禁止したり罰則をかけるのですから。
 そういう意味で、小渕総理が言われたことに我々は背いているとは思わないし、小渕総理が答弁されたときは、e―Japan戦略もなければ、電子政府、電子自治体をつくるということもなかったんだから、それは大きな情勢変更ですよ。しかし、基本的には、小渕総理の言ったことをたがえるなんて全く思っておりません。
春名委員 こっちの行政情報の個人情報保護法を出すからいいんだというような答弁をされているのですが、それは全然違いますよ。民間を含めた包括的な個人情報保護法をきちっとつくらないと住民基本台帳ネットワークシステムはやりませんと言っているのですよ。そういう議論の結論になっているのです。それで採択しているのですよ。桝屋委員、そうだったでしょう。
 ですから、私は中身について議論しているのじゃないんです。こういう総理大臣のあえての言明との関係で、こういうなし崩し的な利用拡大、まだ施行もされていない段階で、本当にやっていいのかという問題を私は提起しているのです。ここを問題にしているのです。どうですか。
片山国務大臣 だから今、私は、その答弁を正確に、その当時その委員会での、地方行政委員会では聞いておりませんから、今いろいろ確かめましたら、前提とは言っているけれども、その法律が通らなければやらないなんということは言われていないということなんで、小渕総理の言われた精神を我々は体してやっているので、だが、その当時と事情が違って、もう全く百も千も同じでなきゃいかぬということはないんで、私は精神を十分生かせば小渕総理の意思を尊重したことになると考えております。事柄を進めないという議論になるのですよ、あなたのようなことを言ったら。
春名委員 違います。今のはすごい後退した答弁をされているので、大変な問題になるのです、これから。
 民間部門も対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを整えることが前提である。前提であるということは私も繰り返し確認をしているのです。前提なんです。法整備は前提なんです。法整備とともにシステム、環境も整えるというのは前提なんです。それは認識を正していただきたい。今のはすごく後退されたので、訂正をしていただきたいと思います。
片山国務大臣 我々は、小渕総理の言われる個人情報、プライバシーをしっかり守る、こういうことの精神は受け継いでいるのですよ。しかし、もっと事を進めるというために、我々は、今度は追加をしようということなので、個人情報保護法も今出しているのだから、ぜひ通してくださいよ、皆さん御議論して。それ以外の別の法制も我々は今度出すわけですから、全体を通していこう、こういうことでございまして、国会でこれから御議論を賜るのですよ、国会で国民の意思として決めてもらうのですよ。小渕さんのその表現が一から十まで全部、ちょっとでもたがえたらいかぬ、こういうことではないんですよ。そういうことでは事を進めませんよ。
 私が言うのは、精神を体して個人情報保護はしっかり守る、そういう中でIT社会を進める、電子政府や電子自治体を国民の便宜の増進のためにやるのだ、こういうことだと御理解賜りたい。
春名委員 私は精神論を言っているんじゃないのです、精神論を言っているんじゃないのです。法律をつくる、システムを整える、これを前提にしなければ住民基本台帳ネットワークシステムは施行しませんと。当然、利用範囲の拡大なんというのはその次の話ですから、そんなことは問題にならないのですね。だから、私は中身について言っているのではなくて、総理大臣がわざわざ答弁されている、この答弁の重みということを、そういう認識で持ってもらわないと、何のために国会で議論しているかということになるんじゃないかと言っているわけです。
 もう一回答弁していただきたいのですが、もう一つ、総理はこう言っているのです。今後、本人確認情報の利用対象を拡大する場合には法改正が必要となるから、法改正の際には、住民基本台帳法の趣旨、目的を踏まえ慎重かつ適切に判断されるものと考えておりますと。これも九九年六月十日、地方行政委員会で答えているのです。
 これは、法改正をしさえすれば何ぼでも事務を拡大していい、そういう趣旨じゃないのですよ。全然そんな議論じゃないのです。そういう議論ではなくて、こういうことをやると、この住民基本台帳ネットワークシステムそのものが国民総背番号制じゃないか、全員に番号を振るという問題、合意がないじゃないかと、物すごい議論があったわけです。そういう議論に答えて総理自身が、安易に、なし崩し的に利用の範囲を拡大することはしない、そういう歯どめがあるのだ、こういう意味合いの中でこの問題を議論されて答弁されているわけです。私は、改正法案を出して、幾らでも利用拡大してよいというような趣旨とは全然違うと思うのです。
 この答弁に照らしても、まだ住基台帳ネットワーク自身が施行されていない、その大前提である個人情報保護法とそのシステムもできていないときに、利用範囲を拡大することを既に検討するということは幾ら何でも許されないのじゃないでしょうか。そのことを私は問うているわけです。
片山国務大臣 春名委員は、見かけによらず保守主義なんですね、あなたは。
 我々は、小渕総理の精神を生かすと言っているのですよ。小渕総理をこれだけ持ち上げていただければ、それは天上の小渕さんも恐らく苦笑していると思いますよ。共産党の春名さんに、都合のいいところだけ賛成していただいて、大変褒めていただいて、苦笑していると思いますけれども、私は、小渕総理の精神を生かす、趣旨を生かす、そういう認識のもとにやっているのですよ。しかし、世の中は日進月歩か秒進分歩ですよ、そういう中でIT社会を進めていく、電子政府、電子自治体をやっていく、こういうことのための調和を考えているのですよ。
 そのために、個人情報保護法を通していただくのが一番だけれども、それはそれとして、別の行政機関の個人情報保護法制だとかいろいろなものをこの国会で御審議を賜ろう。一遍決めたら全く変わらないというのでは国会なんか要りませんよ。だから、事情の変更に応じて国会が議論して、国民の意思として新しいことを決めていくというのは国会の役目ですよ。国会で一遍決めたことを何にも変えてはいかぬなんということはそれこそおかしな話だ、こういうふうに私は思っておりまして、そういう精神で我々は住基法の別表の改正をお願いしようと。そこで大いに議論していただいたら結構でございますので。
 まだ今、各省と調整中でございまして、要望を聞いている段階で、あなたが言われているのはそれは単なる新聞情報ですから、これからきちっと政府の部内で、個人情報保護との関係も絡めて検討して結論を出していきますから、そのときにまたしっかり御議論賜りたいと思います。
春名委員 新聞情報じゃなくて、検討中という正式文書ですので。
 それから、大臣に私が保守主義と言われるとは思いませんでした。決して私は保守主義ではありませんで、国会の答弁というのはそれだけ重いということですよ。そういう深刻な議論をしてきたということですよ。その重みを、精神じゃないのです、言っていることの中身に責任を持たなければだめなんですよ。何のために答弁しているか、何のために議論しているかになるじゃないですか。わざわざ総理に出てきていただいたのは、そういう議論をしたのです。
 このことをまた議論し始めると、これだけで一時間終わりそうですので、また法案も出されるのかもしれませんけれども、そういう問題を私はきょう提起しておりますので、しっかり受けとめて、これは出すべきものではないなということを私は言っておきたいと思います。
 さて、次に、地方税の問題に移りたいと思います。
 地方税の改正の中の特別土地保有税についてお聞きをしたいと思います。
 まず、この特別土地保有税がそもそも創設されたときの目的についてお示しいただきたい。
瀧野政府参考人 特別土地保有税創設時の目的についてのお尋ねでございます。
 特別土地保有税は、昭和四十年代の後半、金融緩和等によりまして全国的な地価の高騰等が起こったわけでございますが、こういう事情を背景といたしまして、投機的な土地取引の抑制を図りつつ土地の供給促進にも配慮する、こういう基本的な観点に立ちまして、昭和四十八年に、土地政策の推進を税制面からも補完するという立場で創設されたものでございます。
春名委員 今回、二つの改正が地方税法でされようとしております。
 一つは、今までは、平成十三年四月一日時点で有効利用される予定、計画があって徴収猶予を受けているというものが、計画変更する際にも徴収猶予の特例を受けることができておりましたが、その日付、平成十三年四月時点というのはもう問わないものになるということ。もう一つは、計画変更等の対象範囲を拡大、従来対象外とされていたオフィスビル、店舗などへの計画変更も可能にするというものだと思います。
 四年前の九八年の改正では、三大都市圏の免税点を一千平方メートルに引き下げる課税強化措置の廃止、地価下落に対応した課税標準の簡易な修正制度の創設、恒久的な建物などの用に供する予定の土地に係る徴収猶予制度、納税義務の免除制度の創設ということが実施されている。
 九九年の改正では、自己使用要件の緩和、徴収猶予期間の延長制度の創設等々がやられていて、額の九五%は法人ですが、いずれも大体、法人が土地を持っていることに苦痛を感じないような方向で、また苦痛を緩和するという方向で、この間ずっと改正が行われてきたという歴史です。
 九八年の改正について私は地行委員会で取り上げて、余りにも大企業優遇に過ぎると批判をいたしました。今回もまたこの流れに沿ったものになっている。大企業の土地買い占めを規制し、投機的な土地取引の抑制というところにもともと政策税制としての特別土地保有税の最大のねらいがあったはずです。どんどんそのねらいから外れる改正が積み重ねられているとしか言いようがない。なぜこんなことになるのか、お答えいただきたいと思います。
瀧野政府参考人 特別土地保有税の改正の件でございます。
 特別土地保有税は、政策的な税制という位置づけでございます。こうした税の性格からいたしまして、特別土地保有税の制度につきましては、土地をめぐります情勢の変化に応じまして、常に見直しを行うという必要があるわけでございます。
 いわゆるバブル期におきましては投機的な土地取引を抑制するために、平成三年度に、三大都市圏の特定市におきます免税点を時限的に引き下げるというような改正を行いまして、課税強化というふうに改正されたわけでございます。
 しかしながら、その後、地価の下落傾向などの状況に移り変わってまいりましたので、平成九年二月の新総合土地政策推進要綱におきまして、土地政策の目標が地価の抑制から土地の有効利用という方へ転換したということも踏まえまして、平成十年度には、先ほども御指摘がございましたけれども、バブル期に課税強化した部分につきまして、もとに戻す改正ということを行ったわけでございます。
 こうした改正の結果、特別土地保有税は、現在は、最終的に利用されない土地についてのみ税負担が生ずる、そういう仕組みになっておりまして、未利用地の有効利用を促進する税制というふうな位置づけになっているというふうに考えられるわけでございます。
 今回の改正につきましても、今申し上げましたような性格に沿った改正を行おうとするものでございまして、これによりまして、土地の有効利用の一層の促進、土地の流動化に資するというふうに考えているところでございます。
春名委員 それでは、そういう改正によって流動化促進、土地利用の促進というのは進んでいるんですか。
瀧野政府参考人 土地の流動化の促進ということにつきましては、もちろん、いろいろな制度面の改正、あるいは財政的な手だて、いろいろな面の手だてが必要なわけでございまして、そういったものの総合的な流動化策の一環として、特別土地保有税の見直しというものが位置づけられているというふうに考えておるところでございます。
春名委員 あなた方は、土地利用を進める、流動化する、だから、持つことについてもっと軽くしてあげる、それから範囲を広げる、そういうことをずっとやってきて、平成三年に強化したことを全部取っ払って、軽く軽くしたわけです。結果、どうなっていますか。
 徴収猶予分の土地、平成元年、十二万五千八百九十五ヘクタール、平成十一年、十年後、二十二万四千六百八十四ヘクタール、一八〇%にふえているじゃないですか。徴収猶予して、お金がかからなくなって、最終的に利用がないということだけに狭く狭く課税をするということに下げたものですから、大企業は安心して土地を存分に持っているわけですよ。ふえているじゃないですか。有効利用に全然なっていない。逆行しているじゃないですか。
瀧野政府参考人 特別土地保有税の課税の状況でございますけれども、ただいまも御指摘がありましたように、徴収猶予中の土地というものが一定の額に上っているということは事実でございます。それは、この特別土地保有税の制度に由来する面があるわけでございまして、特別土地保有税につきまして、一定の計画がありますれば、直ちに有効利用しない場合でありましても、その計画の実現するまでは徴収猶予でできるだけ有効利用を図るように誘導していこう、そういう制度なわけでございます。
 したがいまして、単に徴収猶予の額がふえているということのみをとって、この特別土地保有税の制度の仕組みについてどうだということには直ちにはならないわけでございまして、我々といたしましては、特別土地保有税の制度を常に見直す中で、できるだけ土地が有効利用されて、国土の均衡ある発展にも資していくということが必要であるというふうに考えておるところでございます。
春名委員 土地の有効利用は、一般的には賛成です。しかし、あなた方がやっている政策は逆の方向に行っているじゃないかと言っているんです。持っていることが苦痛でなくなってきているわけよ、毎年毎年。安心して土地をそのまま抱えているわけですよ。だから、猶予している土地がこの十年間で一八〇%にふえているわけですよ。そのことを言っているんです。
 もともと、昭和四十六年でしたか、これができたのは、そのできたときには、先ほどお話がありましたように、土地投機、これを抑える、大企業のそういう買い占め、地価のつり上げ、これを抑える、今は余り表面立ってそういうことにはなっていない、それはわかるんですよ。しかし、それを抑えて、結局、抑えるために重課を課すわけですよ。重課を課して、そして早く吐き出して利用させる、早く移動させるというために特別土地保有税というのはできているんでしょう。その持っていることが全然重荷にならないものですから、猶予土地がどんどんふえていって、面積がどんどんふえている。これは土地の有効利用という方向にはっきり言いまして逆行するようなことになっているし、持っている人はほとんど、さっき言いましたが九五%は法人で、大きな企業が多いですよ、大きな不動産とか、そういうところは安心して持っていける。
 それから今度は、次の計画変更、オフィスビルでもいいですよ、やってください、こういう話じゃないですか。何でこんな大甘な政策をとって土地の有効利用に逆行するような事態をつくるのかと私は本当に不思議で仕方がないんです。これはきちっと私が納得できるような御答弁をしていただきたいと思いますが、大臣はこの辺はどうでしょう。
片山国務大臣 特別土地保有税というのは、御承知のように、これは全くの政策税制なんですよ。御承知のように、バブルの始まりのころにできたんですよね。そこで、上がったり下がったり、広げたり縮まったりするんですよ。
 今、特別土地保有税をやめろという議論がいっぱいあるんですよ。我々は、これはやはり土地の有効利用にはそれなりの効果があるし、地方の財源になっているし、都市計画や何かの、だからこれは守ると言っているんですよ。しかし、聞いてくださいよ、やめろやめろの大合唱ですよ。春名委員のように重くすればいいなんというのは、そういう議論は極めて少ない。土地の有効利用というのは税だけじゃだめなんですよ。都市計画の強化だとか規制の撤廃だとかその他のいろいろな方策の中で土地の有効利用はできるので、私は、これはこれなりの効用はあると思っております。
 高くするという意見も確かにありますよ。しかし、これはやめろという意見、凍結しろという意見。今、地価税は凍結でしょう。固定資産税がこれだけ高いから、東京都は一律減免やろうなんと言っている。そういう中で、やはりこの特別土地保有税というものの意味は大いにある、この政策税制は残したい、私はこう思っております。
春名委員 残すことに大賛成であります。そんなに怒らないでください。だから、その政策税制の目的にふさわしく政策を実行したらどうですかと私は言っているんです。
 僕と大臣は特別土地保有税を強化するという方向で一致するのであれば非常にいいわけですが、では、本当に、有効に利用するということを言っているのに、本来の目的は、持っていること自身、投機的なやり方で持っていること、それ自身に重きがかかって、だから流動化させなきゃいけない、利用しなきゃいけないというためにやはりつくっているわけじゃないですか、一番最初の理念は。それからずっと外れていって、有効利用という名のもとにだんだん軽くしているわけですよね。その軽くしてきた結果が、徴収猶予の土地が一八〇%にふえてしまった、この十年間に。だから、逆行してしまっている、何でこんなことになるのかということなんですよ。
 「最近の企業による土地利用の実態に関する調査」というのを国土交通省がやっておられます。去年の八月の調査なんですが、それを見ますと、東京の区部では八〇年代後半から九〇年代初頭に大量のオフィス供給があったんだが、この間は都心三区外への供給が進んできた、そして現在は、東京区部においては数多くの大規模開発が推進中である、九〇年代より都心に多く、一件当たりの規模もより大きくなっている、こう分析しているんですね。そして、二〇〇一年以降に完成予定の開発、これは六十七件あるそうですが、東京区部ですよ、それはオフィスなどの比率が非常に高まっているということだそうです。
 なるほどなと私は思いまして、大企業や大不動産の方々がこういう土地利用を大いにやっていきたいという要請に皆さん方がこたえて、オフィスの計画変更でもオーケーにする、そして、持っていても計画があれば、またその計画変更をしていても税金はかけない、そういう制度を拡大するということになっているんじゃないか。何で大企業や大不動産会社の方々にそれほど大甘な政策をやる必要があるのか。
 先ほど政策税制だと言われたんだが、本当に持っていることを重荷に感じると。早く手放さなきゃいけないと。そして、手放そうとしたときには、今度はまた自由にその先が利用できるのが幾らでも広がるというようなやり方をやっているわけで、何でそこまで優遇しなきゃいけないのかなと、私は大変不思議でならないですね。もうちょっと変えた方がいいんじゃないですか、政策を。
片山国務大臣 この徴収猶予の制度は、これは計画を幅広に進める、計画的な利用促進のために考えたんで、それはもういろいろな御見解があると思いますよ、緩過ぎるとか。そういう議論は確かにありました。しかし、いろいろな議論の接点として今の制度に落ちついたわけでありまして、また土地のいろいろな状況を見ながら、我々としてもこの政策税制を生かすようにいろいろな検討をいたしたい、こういうふうに思っております。
春名委員 このやり方はちょっといただけないということを申し上げておきたいと思います。
 続いて、地方交付税法の改正の問題について触れたいと思います。
 私たちは、最初に言っておきますが、地方税と地方交付税法は別個に議論をきちっとしていただきたい。とりわけ地方交付税法は、日切れ法案でもありませんので、きちっと議論していただきたいということは強く一貫して言い続けてきましたが、一回しか議論ができませんので、一緒に議論しなければなりません。
 地方交付税法の問題でいいますと、最大の問題は赤字地方債の発行だと思います。私は、昨年の通常国会でも、財源不足の穴埋めを赤字地方債で賄うことは、かつて政府自身が地方交付税法違反として禁止してきたという経過を追及させていただきました。
 端的にもう一度伺いたいと思いますが、当時、七九年ですが、この当時は赤字地方債という手法が地方交付税法に違反する、法律違反ということで断定をしておきながら、今日ではこれは合法であると。その違いが一体何なのか、明確にお答えください。
片山国務大臣 今、春名委員がお話しの答弁は、昭和五十四年に、当時の自治省森岡財政局長が、赤字地方債は趣旨に反するんではないか、こういう答弁をされていることは事実でございます。春名委員、大変昔の答弁にお強うございますので、我々もそれを調べましたが。
 そこで、当時と違うのは、今回は単なる赤字地方債、垂れ流しの赤字地方債じゃないんですね。恐らく森岡局長の頭には、個々の自治体が、地方団体が自前で借金をして財源を調達して経常的経費の穴を埋めると、投資的経費でなくて。そういうものを想定されての御答弁だったと思いますけれども、今度は全体の仕組み、フレームをつくった中で、国、地方が折半で、国も一般会計で加算してもらう、地方は赤字地方債を出してもらう、しかしその赤字地方債は丸々将来交付税で補てんする、こういうことを法定化する。全体、このワンパッケージのシステムをつくる、こういうことで法律に明記するわけですからね。
 私は、森岡財政局長が心配された赤字地方債と違うので、今回はこの地方交付税法六条の三の第二項の趣旨に反しない、こういうふうに思っております。
春名委員 まとまって言っていただいたんで、もう少しきちっと確認していきたいんですが。
 要するに、財源不足の補てんについて赤字地方債を発行したとしても、今回のように後で元利償還を交付税で全部面倒を見るということであれば、国の責任を果たしたことになるので六条三の第二項に違反することにはならない、こういう御認識でしょうか。
片山国務大臣 今回は、私が言いましたように、全体の仕組み、フレームをつくりましてそれを法定化する、そういう中で、地方の持ち分、負担分の赤字地方債については地方交付税で丸々補てんする、こういうことでございますので。
 それはキャッシュの方がいいですよ、春名委員。しかし、今のような経済状況、財政事情の中で、大変苦心惨たんして、十二年の十二月の地方財政対策の折衝で、当時の宮澤大蔵大臣と私、そのときはまさに自治大臣でございましたが、自治大臣が合意いたしたわけでありまして、それは今の交付税法の趣旨に反しないだろう、こういう結論に達して、それを法制化をお願いして去年通していただいたわけでございますので、ぜひその辺は御理解を賜りたいと思います。
春名委員 今、セットの中身、三点おっしゃったんですね。一つは、財源不足を国と地方で半分ずつ折半していく。二つ目に、その赤字地方債の補てんについては、地方交付税で補てんをする。そして、それを法律に明記をすると。この三点セットがあるので法律違反にはならないんじゃないか、こういう御認識でよろしいでしょうか。
片山国務大臣 まあ大体そういうところだと思います。
春名委員 それで、その三点について少しずつ聞いていきます。一つは、地方交付税で補てんをするということについては、これは大臣、やはり少しはっきりさせておきたいのは、地方交付税というのは地方の共有財源でしょう、これは旧自治省の公式見解ですので。ですから、地方の共有財源という、その地方交付税で後で見る、措置するといっても、これはだれが見ても国が責めを果たしたということにはつながらないと言わざるを得ないと思うんですね。これはどうですか。
片山国務大臣 地方交付税は、確かに地方団体すべての共有財源だと私も考えております。ただ、これは今法律で決めていますよ。決めておりますけれども、それが固定するものじゃないんですよ。結局、地方交付税の総額をどう決めるかは、毎年度の地方財政計画策定によって決めていくんですよ。それを後で、伸び縮みや、それは後で法制化して決めていくものですからね。
 恐らく春名委員のお考えは、後年度地方交付税といって、それじゃそれが固定的ならタコの足じゃないか、こういう御懸念だろうと思いますけれども、このタコの足は伸びるんですよ。伸び縮みするんですよ。だから、その点は地方財政計画をきっちりつくる、これも国の責任ですから。それを策定することによって、地方の一般財源の大宗である地方交付税を確保する、これは私は国の責任を果たしているということになると思います。
春名委員 それで、後で交付税で見るということは、一〇〇%地方交付税で見るから責任を果たしたというふうにお考えなのか、それだから合法なんだというふうに認識しているのか。それとも、一〇〇%でなくて、これが九割、八割しか補てんしない、後で見ないということになったら、これは責任を果たしたとはならないのか、これは法違反だと考えておられるのか。この辺はどうですか。
片山国務大臣 私は、八割とか九割とか考えたことはございませんのでね。少なくともそれは、仮定の議論ですからね。ここで、八割ならだめで九二%ぐらいならどうにか、そういうことの議論はいたしません。
 私は、やはり国の責任で不足額を一般会計加算と赤字地方債で見て、赤字地方債は丸々面倒を見る、これが国の責任だと思っております。
春名委員 丸々面倒を見るというのが国の責任であるとおっしゃいました。根掘り葉掘り聞き始めているのはやはり理由がありまして、気を悪くなさらないでいただきたいんですが、来年以降もこの赤字地方債、ふえるでしょう、これは。こういう方向になりかねないと思うんです。だから、これはどうなるのかという非常に大きな心配がありますので、きちっとした御答弁を期待して根掘り葉掘り的に聞いておりますので、御了解いただきたいと思うんです。丸々一〇〇%交付税で見るから責任を果たした、こういう御認識だということでした。
 それからもう一つお聞きしますが、大臣のそういう考え方でいきますと、仮に、これはもう仮の話で申しわけないんですが、財源不足のすべて、今回十兆円ぐらいありますね、財源不足のすべてを赤字地方債発行で賄うと。そうであっても、後で地方交付税で一〇〇%措置をすれば、それは国の責任は果たしたということになるんじゃないかという御認識なのか、あるいは財源不足のどこまでの発行が許されるという認識でおられるのか、その辺を聞かせてください。
片山国務大臣 十二年十二月の宮澤大蔵大臣との合意は、十三年、十四年、十五年の三カ年については、今言いましたように、財源不足額、いろいろな手当てをした残りの財源不足額については、国が二分の一の責任、地方が二分の一の責任。国は一般会計で調達をして加算する、地方は赤字地方債、臨時財政対策債ですが、これを出す、それは丸々交付税で補てんする。折半主義というのをそのとき、三年はそれでやろうということを決めましたので、十五年度もそれでやらせていただく。こういうことでございますが、三年たったらもう一遍議論しようということにいたしておりますから、いずれにせよ、十六年度以降どうするかについては、その時点で考えていきたい。
 我々は、何度も言いますけれども、税源移譲ということが一つ念頭にある、景気の回復、経済の活性化ということが一つ念頭にある、それから、国、地方を見直す、国、地方を通じる行政の簡素効率化、改革ということも一つある、そういうものの総合的な中で、そういう背景の中で地方財政対策も考えていく、こういうことになると思います。
春名委員 今おっしゃったのは、来年度までは二分の一ずつ折半で持っていくというルールと枠組みを御説明いただいたわけです。
 それは私も理解しているんですが、改めてお聞きします。赤字地方債を発行し、一〇〇%交付税で後年度措置をするという仕組みであれば、どれぐらいの割合だろうが、どれぐらいの金額だろうが、それは国の責任を果たしたことになり、六条の三の第二項には違反しない、こういう御認識なのか。それはやはり限度があるというような御認識なのか。その辺はどんな議論をされているのか、大臣はどんなお考えなのか、それを聞かせてください。
片山国務大臣 だから、先ほど言いましたように、平成十三年度から十五年度までは、財源不足額については折半主義で、国が二分の一、地方が二分の一でいこう、しかも、それを法制化する、地方の負担分については丸々交付税で後年度見る、こういう仕組みをつくるということは地方交付税法の規定の趣旨に反しない、こういう合意に達して、あのときは、両大臣、その仕組みについての覚書を交換しましたけれども。
 それでは、十六年度以降はどうか。十五年度までは、私は、この方式が地方交付税法の言うあの趣旨に合っている、こういうふうに思っております。十六年度以降は、十五年度までの地方財政対策のルールを踏まえて、さらにそのときの情勢を勘案しながら、新しいルールをつくるのか、同じルールでいくのか、その時点で検討いたしたいと考えております。
春名委員 枠組みのお話をしていただいているんですが、十六年以降の、そのときの情勢を見て決める際にも、原則論が明確でないとだめだと思うんですね。
 要するに、赤字地方債の発行で、交付税を一〇〇%後で基準財政需要額に算入すればいいんだ、国の責任を果たすという仕組みを導入した、それは合法であると言っておられるわけなんです。ただ、それは限度というのはないんですかということをお聞きしているんです。
 財源不足額を一〇〇%赤字地方債で賄うということだって、後で地方交付税で全部、一〇〇%導入すればそれは許されるんだ、そういう御認識なのか、そうではないのか。そこが明確でなければ、十六年以降、さらに赤字地方債を広げて、またお願いしましょうということにももちろんなりかねないこともありますので、どこまでが国の責任として許容できると考えられているのか、そこを聞きたいんです。
片山国務大臣 同じ答弁になりますけれども、十五年度までは、二分の一は国がストレートでキャッシュで、二分の一は赤字地方債で、それは将来の地方交付税で償還、補てん、これが限度だ、こういうふうに十五年度までは考えております。
 ただ、十六年度以降は、先ほども言いましたように、景気や経済の状況だとか、あるいは行革の進みぐあいだとか、あるいは税制改正論議をこれからやるんですから、そういう中で、税源移譲を含む国と地方の税財源配分の見直し等、いろいろな背景が変わってくると思います。そういう中で新しい議論を行ってまいりたい、こう思っております。
春名委員 私の質問にうまいこと答えずに終わられるんですけれども、仕組みはわかっているんです。十六年度以降は議論をそうやって新たに構築するということもわかります。
 そうではなくて、この赤字地方債というのが、以前は、六条の三第二項に明白に違反している、導入してはならない、非常に厳しく筋を通していたんですね、自治省は。
 例えば、七九年当時のやりとりを見ていると、こう言っているんです。自治省は、赤字地方債の発行による措置については絶対不可の姿勢をとる、当然、地方交付税法六条の三の第二項に規定する事態に該当することとなるので、かかる事態下において地方公共団体に赤字地方債の発行による手段を求めることは、国の責任において財源保障のための制度的措置を行うことを規定している同規定に反することとなるというのが、赤字地方債絶対不可の理由である。これは、七九年二月号の「地方財政」という雑誌の中の財政課長の発言なんですが、こういうふうに非常に厳しく律しているわけです。
 これだけは一線を越えてはいけないということで、赤字地方債の発行は絶対やらないといって、大蔵省と立ち向かって頑張ってきた。それを、ある意味では崩されたんです、さっきの三つの理由から、セットでやっているからということで。その三つの理由を明確に、国の責任の範囲を明確にしないと、六条の三の第二項というのは一体何なのか、死文化するということになる危惧を私は非常に持っておりますので聞いておるわけです。
 もう一回聞きます。財源不足すべてを赤字地方債で賄うということもありでしょうか。そういう認識で今おられるのか。それとも、最低半分は国が責任をこれからも持たなきゃいけないという御認識なのか。どういう基準を持っていらっしゃるのか、これを聞きたいんです。
片山国務大臣 また何度も同じ答弁になりますけれども、十五年度までは、全部赤字地方債で、それを後年度元利償還で交付税で見るといっても、これはそういうわけにはいかない。十五年度までは、私はそう申しております。
 十三年度と十五年度のルールが、十六年度以降、物を考える際の一つの下敷きになることは確かですよね。ただ、ほかの要素がいろいろ出てきて背景が変わってきますから、そういうことの中で新しい議論をしていきたい。
 それから、今まで赤字地方債を大変嫌がるというのか、旧自治省の財政局が言っておりましたのは、赤字地方債というのは垂れ流しになって限度がなくなる、こういうことも一つありまして、単に、自前で出して、経常的なものに当たる赤字地方債は絶対困る、こういうことなんですね。今回、赤字地方債でも、限定がついた、補てんがついた赤字地方債ですから、そこは今の交付税法第六条の三の第二項の許容範囲に入るのではなかろうか。これは法制局とも相談したんですよ。法制局も、そうだという意見ですからね。
 我々も、好きこのんで、喜んでやっているわけじゃない。国の財政の状況がこういうことの中で、しかもこれだけ多額の財源不足額が出るときに、それを全部キャッシュで出せといったって、これは旧大蔵省、今の財務省もなかなかつらい話でございまして、そういうことも我々は考えてこういう措置をとったわけであります。
春名委員 同じ答弁になるので視点を変えますが、六条の三の第二項は、御存じのとおり、二つ言っているわけですね。一つは、制度の改正、三年後も一割以上不足になったら。その次は、交付税率の引き上げ。しかし、赤字地方債は制度の改正に当たらない。私は、もうはっきりしていると思うんです。
 それで、こういうやり方をやられるということになりますと、地方交付税法六条の三第二項、交付税率の引き上げによって国の責任を果たすというこの条文は、完全に死に絶えるといいますか、死文化するんじゃないかと危惧をするわけですが、これはどう考えたらよろしいですか。
片山国務大臣 それは、交付税率の引き上げということもありますよ。現にもともと、御承知のように、地方交付税というのは法人税と所得税と酒税の三二%だったんですよ。今は違うでしょう。法人税は三五%になっている。消費税が二九%入っている。たばこ税が二五%入っている。これは実質的な交付税率の引き上げなんですよ。しかし、それでも多額の財源不足額が出るから、今回のような措置をとっているんですよ。そこはぜひ総合的に御理解賜りたいと思います。
春名委員 いや、私が言っているのは、地方交付税法の第六条三の第二項というのは、交付税率の引き上げによって国の責任を果たすという立場に、かつて、七九年当時も含めて立っておられたわけですよね。
 しかし、それを今度は、法律違反ではないと、私から言わせれば強弁されて、この内容を導入するということになりますと、条文そのものを変えないと、まあ、裏から言えば、何の意味もなくなってしまう、この六条三の二項というのは。財源不足が出たって赤字地方債を発行するという手法でもしやられるということになりますと、何のために交付税率引き上げをやるということが述べられているのか。当時と条文は一切変わっていないわけですよね。条文は変わっていないけれども、当時は違法、今回は合法ということになっているわけですね。
 そうすると、条文をそのまま解釈を変えて解釈して、もうなし崩しに、骨抜きにしてしまうということにならないでしょうか。この六条三の第二項というのが死文化するんじゃないでしょうか。そこを私は心配しているわけです。
片山国務大臣 それは、そんなことはないので、これで経済が安定的な回復軌道に乗り、国の財政もよくなるということの中では、それは将来は交付税率の引き上げあるいは交付税算入税目の拡大ということは当然あり得るので、私は、こういう一つの大きい選択肢は残していく方がずっと正しいし、交付税率引き上げの可能性も将来はあり得る、こういうふうに思っております。
春名委員 議論が平行線ですので、次に進みたいと思います。
 大臣は、私の本会議質問で、合併のむちとしての段階補正の見直し中止を求めた際に、現在の実情を見たときに、それは少し優遇過ぎるのではないかという御指摘もありますので、我々は実態調査をしまして、実態に即したものに少しカットさせてもらう、一六、七%、三年間でカットしようという計画です、こういうふうにお述べになりました。
 そこで、実態調査の内容、要するに実態との乖離というのはどういうものなのか、その内容を示していただきたいと思います。
林政府参考人 段階補正についての御質問にお答えを申し上げます。
 実態を調査した上で、段階補正の適用に当たりまして、地方団体における合理化や効率化への意欲を弱めることにならないよう見直しを図りたい、こういう趣旨で検討いたしているものであります。
 実態を見ますと、現在のところ、段階補正の係数を決めるに当たりましては、すべての費目につきまして、段階別の地方団体における標準的な一人当たりの経費、決算におきます経費を抽出いたしまして、その平均的な単価を用いる形で段階補正の適用係数を決定いたしているところであります。
 ただ、中身を見てみますと、その中には、合理的、効率的に事務事業を執行しておられる団体もございます。例えば、担当職員の併任をとっているとか、施設につきましても併設をしているとか、あるいはIT化を図っているとか、外部委託化を図っているとか、こういう工夫をされながら執行しておられる団体もあるわけでありまして、そういう団体におきます経費の平均的なものをとってみますと、今回御提案申し上げて私どもが検討いたしておりますように、上位の三分の二ぐらいの団体の平均的な数値がそういうものではないだろうか、こういうふうに考えております。
 また、私ども、この段階補正は、御案内のように、人口小規模団体にあっても標準的な事務事業を執行できるような経費を保障する必要もあるという観点から定めるものでございますので、小規模団体にあっても事務事業の執行に支障が生ずることがないように単価としても決める必要があると考えまして、全体の三分の二の団体で執行されているような単価を用いて段階補正の係数をセットしても事務事業の執行にも支障はないだろう、こういうような具体的な検討も行った上でこのような見直しをしたい、こういうふうに考えているものであります。
春名委員 今の話は、計算手法を変えたという話だけなんですよ。私が聞きたいのは、あなた方が地方に優遇過ぎると言っている根拠を言うてくれと言っているんですよ。どこが優遇過ぎるのかという事実を具体的に示さないと、納得できないでしょうと言うているんです。今言ったのは、効率的にやっておられる上位の三分の二の自治体の、それを分母にしてですか、それで計算するんだという、計算手法を変えたというだけの話なんですよ。そうじゃなくて、地方に優遇過ぎると言っている合理的根拠を言ってくれと言っているんです。
林政府参考人 優遇したような段階補正という認識ではございませんが、現在用いている段階補正係数の基礎は、該当する全団体の平均的な一人当たりの経費をもとに設定をしていると申し上げたわけでありまして、それに対して、今後、合理化や効率化への意欲を弱めることにならないよう見直しを図る、その際は、現在合理的、効率的に行財政運営を行っていると考えられます、また私どもがそう考えております団体の平均的な数字を用いることにしたい、そういう考え方で見直しをやろうと考えているものであります。
春名委員 優遇した段階補正はないんだとおっしゃった、これは大事だと思いますね。地方に優遇過ぎるということはないんですよ。だから、あなた方は、地方に優遇過ぎるかのような言い方をして、地方の財政を、これをやったら五万人以下の自治体がだんだん削られていくことになるわけですね。地方に優遇しているんじゃないんですよ。あなた方がおっしゃっている効率的、合理的に運営をしているというところの三分の二だけをとって、それを分母に置けば、当然減らすことができる。これは減らすための手法なんですよ、段階補正を。何で、地方に優遇過ぎるんじゃないんでしょう。
 私、大臣と、十一月十三日の委員会の議論のときに、地方に優遇過ぎるという声があるから、根拠をきっちり、実態調査をして、そして削減をします、こういうふうにおっしゃったんですよ。優遇過ぎることないんですよ、これ。ぬくぬくとやっているような自治体なんてないんですよ。だから、あなた方は、兵糧攻めと言われるんですよ。小さい自治体だけ交付税が削減されていくというふうにとられるのは当然じゃないですか。もっときちっと、優遇過ぎると言うのであったら、どこが優遇なんだということを説明しないと、自治体の首長が納得するわけないでしょう、そんなの。
片山国務大臣 優遇しているとは言っていないんですよ。優遇過ぎるのではないかという声がいっぱいあると言ったんですよ。それはあるんですよ、経済財政諮問会議でも、マスコミ界でも、経済界でも。小規模町村の方が一人当たりの一般財源がずっと多いんだから。その数字づらだけ見て皆さんは言っているのかもしれませんよ、事情はよくわからない。そこで、何で言うのかと我々は考えたら、それは簡素効率化、改革への努力が少ないんではないかと言う、皆さんが。それは何でかというと、インセンティブがきかないと言っている。何にもやらなくても、一般財源は、交付税はどっと来るからだ、こうおっしゃる。
 そこで、今の効率化の努力というのか、インセンティブのために、全体の、人口段階ごとにとって三分の二ですよ、三分の二までやっているようなことを、全部をやってもらおうではないか、こういうことが今の一六、七%なんです。しかも、それを単年度にやるんじゃなくて、三年でやろう、こういうことでございますから、私は、これは大変適正な一つの考え方だと思っております。
春名委員 地方に優遇過ぎるということではなくて、効率化への努力が足りないからもっとやりなさい、インセンティブを与えるものだということだそうです。これは全く説得力に欠けていると私は思いますね。
 十一月にも私言いましたけれども、国民の多くは、地方が特別のいろいろな事情があって、そして努力もしていて、交付税をそれなりに厚く配分されていることを是としておりますよ、それでいいと。一部ですよ、そういうことに対して優遇をし過ぎるという声は。
 そして、結局、その受け取る側にとってみれば、その段階補正の見直しが、真綿で首を絞められるように、合併しなければ交付税が減らされるんじゃないか、事実減らされてきているということへと追いやられているというのは紛れもない事実でありまして、そういうやり方で、少なくとも首長がそういうふうにとらえざるを得ないやり方で、合併ということを、自主的というような言葉では使ってほしくない。
 私は、こういうやり方はもう一回考え直してもらいたいということを改めて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 質問も最後になりました。答弁する方も質問をする方も疲れていると思うのですが、私の質問はわかりやすく簡潔にやりますので、答弁者もわかりやすく簡潔に答弁していただきたいと思います。
 それでは、早速質問に入りますが、まず、地方財政計画の意義と国の責任についてお伺いをいたします。
 地方交付税法第七条において、地方財政計画の策定、公表を国に課している。それは、公経済の両輪の一つである地方財政の歳入歳出を均衡化し、もって自治体の財政運営の指針とすることで行政サービスの安定化を図る、そういうところにあると認識をしています。
 しかし、本年度の財源不足対策における補てん策によって、予測されたこととはいえ、臨時財政対策債にかかわる地方の金利負担は計画に計上されておりません。このことは、地方財政が標準的歳入歳出を計上していない、そういうことを意味するわけでありまして、これは地方交付税法第七条に言う計画たり得ない、こういうことになるのではないかと認識するわけでありますが、大臣の見解をお伺いいたします。
片山国務大臣 何度も御説明申し上げておりますが、平成十三年度から新しい地方財政対策のルールをつくりまして、御承知のとおり、国の一般会計加算が半分、地方は赤字地方債を出す、こういうことにいたしました。
 そこで、十三年度そのものの利払いということはあれでございますので、十四年度の地方財政計画の策定に当たりましては、赤字地方債の利払い額も含めて地方財政計画の中に公債費を計上いたしたわけでありまして、それは一応措置しているんです。
 それで、その利払い額はどっちが持つかというこの議論があるんですけれども、平成十二年の十二月の予算折衝で決めました地方財政対策では、国が一般会計で調達して、簡単に言うとこれも借金ですよ、一般会計で調達して交付税特会に加算してくれる。そこで、我々の方が出す赤字地方債も、利子は我々が持とう、そういう分担関係を合意いたしましたので、利払いは私どもの方で持つ。その利払いは、地方財政計画の上に計上して、そこでその支払いには責任を持つ、こういうことにいたしたわけであります。
重野委員 大臣の答弁はそういうことだろうと思うのですが、重要なことは、地方の借金で不足財源を補うというこの補てん策、それに基づく地方財政計画の策定という方策それ自体の問題というのがあるのじゃないか、こういうふうに私はずっと思うのでありますが、大臣、その点についてはどうですか。
片山国務大臣 それは、重野委員が言われるとおり、地方交付税法六条の三の二項ですか、あれに書いてあるように、制度を直すか交付税率を引き上げるという方が本当はずっと筋なんです。ただ、それがなかなかいろいろな事情でできないものですから、今回のような措置をあれにかわる措置としてとりまして、しかもそれは法律の趣旨からいうと許容範囲になるんではなかろうか、こういうふうにいたしたわけでありまして、ある意味では大変苦渋のルールづくりというかフレームづくりだった、こういうふうに思いますので、ぜひその点は御理解賜りたいと思います。
重野委員 それでは、その点については平行線ということになりますので、それ以上申しません。
 そこで、地方交付税法のあり方についてお伺いをいたします。
 バブル経済が破綻をしまして以降、財源不足を補てんするためさまざまな方策がなされてきたことは今さら指摘するまでもない事実であります。また、そうした補てん策が地方交付税法に定める制度改正と言えるのかどうか、これもまた多くの議論が重ねられてまいりました。
 ところが、制度改正とされてきた補てん策が翌年の法改正では変更され、新たな附則改正を生む。この間の交付税法改正の仕方は、継続性の観点から見ますとやはり問題が多過ぎるという認識をするわけです。補てん策の是非は別としまして、これでは、毎年何のために改正案を審議するのか、翌年はまた変更されるというふうなことがわかり切った上で、これは国会の審議権の実質的否定ではないかというふうに思うのですが、大臣の見解をお聞かせください。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
片山国務大臣 言われるように、バブル経済崩壊後の地方財政というのは、国の財政もそうですけれども、税収は伸びない、国税も伸びないということは交付税が伸びない。それで、我々が思うよりは、手当てをした後の財源不足額が常に大きいんですよね、物すごく。これをどうやって補てんするかというのは、本当に毎年度皆さん苦労してきたと思います。そういう意味では、単年度単年度の本当にショートリリーフの連続みたいなあれではないか、確かにそういう感じはあります。長期的、安定的な地方財政対策、フレームがつくれないんですよね。
 そこで、せめてというので、十三年度から十五年度までは折半方式で、しかもその折半の一方は一般会計加算、一方は赤字地方債、それでこれは二カ年で解消しよう、こういうことが、御承知のように、二カ年で解消できずにもう一カ年かかる、こういうことになりましたけれども、今のこの集中調整期間というんでしょうか、こういう景気の状況、財政状況の中では、私は、いいことじゃないけれどもやむを得ないのかなと。もう少しこの辺が安定してくれば、しっかりした地方財政対策のルールをつくる必要があるんではなかろうか、こういうふうに思っております。
重野委員 これまでの補てん策について、地方交付税法第六条の三第二項に言う制度の改正に当たる、そう言うのであれば、なぜルールを変更するような改正案を毎年出すのか。不足額の違いによる補てん額の違いはあっても、ルールまで毎年変えるような法改正というのは、結局は、制度の改正に当たる、そういう総務省の論拠がいかにいいかげんなものか、政府みずから認めたことと同義語ではないか、こういうふうに思うのですが、再度大臣の見解を伺います。
片山国務大臣 今答弁させていただきましたように、平成八年度以降十四年度まで七年連続して、結局、今言われました地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当するような大きな財源不足額なんですね。そこでルールを決めましてもなかなか難しい。こういうことで、十年から十二年度までは地方交付税特会の借り入れで借り入れの償還を折半しよう、こういうのを三年間とルールを決めたんですよ。御承知のとおりだと思います。
 そうしますと、交付税特会の借り入れが四十兆を超えましたから、しかも十三年の四月から財投はなくなりますから、そこで、これではこの方式はもたないという認識で、十三年度から十五年度までの三カ年は今の一般会計加算と赤字地方債、こういう方式をとったわけでございまして、我々は、とにかく制度も安定させたい、ルールも変えたくないんです。しかし、我々がそういう努力をするのを超えたような財源不足、景気の低迷、税収の伸び悩み、こういうことなんですね。
 だから、総務省になったのは去年からでございますけれども、総務省の前の自治省も今の総務省も、地方財政安定化のためにはそれなりの努力をしているんですけれども、今のような状況なものですからなかなか難しい、こういうことでございまして、その点はひとつぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
重野委員 それでは、さらにお伺いしますが、バブル経済の崩壊以降、地方交付税法附則第四条を中心に補てん方法が書き加えられた結果、法律として物すごく複雑なものとなったばかりではなく、交付税特別会計においても、貸し借りの差額繰り入れのみが附則に書かれている、したがって全体像を理解するのが甚だ難しくなった、こういうふうに思うんですね。
 こういう法律構成では、とても国は、我々を含めて、国民に対し説明責任を果たしているとは言いがたい、このように思うんですが、そういう私の認識に対する見解をお聞かせください。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘のように、各年度の特例が積み重なることによりまして条文として複雑になっているところがあるかもしれない、こういうふうに私どもも考えております。しかしながら、それぞれの特例措置の根拠を正確に、また明示するためにはこのような構成とならざるを得ないところもあるという点を御理解いただきたいと思います。
 私ども、現行の地方交付税法におきましては、法制局とも御相談の上でこのような形をとっているわけでありますが、体系的なことだけちょっと申し上げさせていただきますと、地方交付税の総額につきましては本則の六条で基本的なルールをすべて定めております。そして、当該年度の特例につきましては附則の第四条で整理をする、こういうことにいたしておりまして、翌年度以降、将来の特例につきましては、いろいろ国との約束等もございますから、その点は附則の第四条の二で整理をする。こういうふうな体系的な整理をしながら必要な点を法律に明記し、毎年度国会の御審議をいただくことといたしているところでございますので、御理解をお願い申し上げたいと思います。
重野委員 さらに発展をさせていきたいと思うんですが、この問題は地方の債務残高についても言えることでありまして、毎年国は、予算案とともに、国及び地方の長期債務残高の一覧表を公開しています。それによりますと、来年度末債務残高は国五百二十八兆円、地方百九十五兆円、このようにされています。債務残高自体は現実これだけあることは間違いないのでありますが、これが厳密な意味で不良債権とは言えないと思います。
 地方を例にとれば、財源不足がなければ一般財源で償還可能な債務も多く含まれているはずであります。しかし、単純に一覧表として債務残高をあらわすことが、あたかも地方財政運営が乱脈化しているとの印象を国民に与えかねない、私はそのように危惧をいたしますけれども、総務省並びに財務省の見解をお聞かせください。
若松副大臣 ただいまの御質問でございますが、御存じのように、今、国は、国の貸借対照表という形で国の正確な債務の把握をしっかり公表しようという動きでございます。それと歩調を合わせて、地方も同じようにしっかりと決算制度の改善を行っていこう、こういう大前提がまずあるわけであります。いずれにしても、総務省としては、従来、毎年度の地方財政対策の結果に基づきまして、地方財政の状況を示す一つの指標として、この地方財政の借入金残高見込み額を試算して公表しております。
 その場合に、その公表する範囲でありますが、それは、将来地方税、地方交付税等の地方一般財源で償還されるべき債務の残高を示すという考え方のもとに、三種類ございまして、一つは普通会計債、これが平成十四年度末残高が百三十六兆円、そして二番目が企業会計債のうち普通会計負担分、これが同じく平成十四年度末残高で二十九兆円、そして三番目が交付税特会借入金、これも十四年度末残高で三十兆円、これは地方負担分でありますが、これを合算して、平成十四年度末においては百九十五兆円という数字を出させていただいております。
 委員御指摘のとおり、この中には財源不足補てんのための特例的な借入金と通常の建設地方債に係る残高が含まれているわけでありますが、ともに将来においてその償還財源を地方財政として負担する必要があるという意味において、これは当然債務でもありまして、その二つの数字を合わせた数字を示しているところであります。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御質問のございました国及び地方の長期債務残高につきましては、従来から、財政状況に関する指標の一つといたしまして、その利払い償還財源が主として税財源によって賄われる長期債務、こういったものを集計するという考え方で淡々と作成し、かつ公表しているところでございます。
 具体的には、国債、地方債の残高に借入金等の残高を合計した額ということになるわけでございますが、十四年度末について申し上げますと、普通国債残高が四百十四兆円、これに借入金等を加えました国の長期債務残高が五百二十八兆円程度、ただいまお話にもございました地方債務残高が百九十五兆円程度と見込まれまして、この合計から国、地方の重複分三十兆円程度を控除いたしまして、国及び地方の長期債務残高を六百九十三兆円程度といたしているところでございます。
重野委員 そこで確認をしたいんですが、百九十五兆円の中身について今副大臣から説明がありました。私の認識と同じであります。
 問題は、端的に言って、国の政策責任に帰する債務残高、このくくり方をしますと、今副大臣が答弁しました、合計六十一兆九千億という額が足し算で出てくるわけでありますが、これは、今私が申しましたように、本来国の政策責任に帰する債務残高である、こういうふうに私は認識しますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 国の政策責任に帰する債務という定義、いろいろな考え方があろうかと思いまして、私ども、ちょっと明確に受けとめさせていただけるかどうかわかりませんが、地方財源不足を補てんするための特例的な借入金という観点からも整理ができるのではないかと思っております。
 そういう意味では、百九十五兆円の内訳として、御指摘の六十一兆九千億円、中身といたしまして、減税補てん債あるいは財源対策債、減収補てん債、臨時財政対策債に加えて、特会借入金のうちの地方負担分があろうかと思います。
重野委員 そういう認識に立って、次に、もちろんこれまでの政府の財源補てん策について我が党は是とするものではありませんが、少なくとも、政府の責任に帰すべき債務残高は全体の約三二%となります。もちろん、こうした債務に対する後年度措置について、先ほど指摘しましたように、後年度交付税措置が附則四条で規定されているわけでありますが、それはあくまでも条文上の問題。
 そこで聞きますが、少なくとも政府が、これまでの財源補てん策について、交付税法上制度の改正に当たるというのであれば、地方財政の債務残高の総額、その残高内容と額及びこれに対する制度上の国の責任措置を示す地方財政債務表、これは仮に私がつけるんですが、とでもいう別表を地方交付税法に付することにしたらどうか、提案であります。
 隠れ借金の問題を別にしますれば、国にあっては国債整理基金特別会計があり、これを見ますと、一応国の借金状況を知ることができるわけですね。地方財政にとっても、そうした別表を交付税法に付することは、これは政府の説明責任という点においても必要条件ではないか、このように考えますが、総務大臣、財務省の見解をお聞かせください。
林政府参考人 交付税特別会計の借入金につきましては、国がその元利償還金を負担するもの、それから地方が負担するものとを区別いたしました上で、その残高等につきましては、地方交付税法それから交付税及び譲与税配付金特別会計法におきまして、既に明確に規定をさせていただいているところであります。
 地方交付税法の附則におきましては、交付税の総額の特例を規定いたしますために、国負担分の交付税特別会計借入金について規定をしているものでありまして、御指摘のような交付税の総額と直接に関係ない部分でございますので、地方交付税法の趣旨にはなじまないのではないかと考えているところであります。
重野委員 ただいまの答弁では、余り積極的には聞こえてきません。
 事は、条文にすれば済むという問題ではないはずでありまして、地方の債務残高、それに対する国の措置額をマクロレベルで示すことは、国の現在の補てん策、特に交付税特別会計における民間借り入れ等々が進むわけでありますが、そういうことになればなおさら必要ではないのか、このように思うんですが、再度お伺いいたします。
林政府参考人 御質問が交付税法にという御質問と受けとめたものですから、私の方から、交付税法に付記することはなじまないのではないかという考え方を申し上げたわけであります。
 しかし、地方財政の借入金につきましては、地方財政計画の策定を通じ、償還財源を確保していくべきものでもありますし、今後とも、毎年度の地方財政対策の結果に基づきまして、その残高あるいは内訳あるいは将来の償還計画等につきましては、当然明らかにしながら、御審議をいただき、検討してまいらなければならないと思っておりますので、必要な範囲で適切にお示しをすることは検討させていただきたいと思っております。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 まず、御指摘のような、交付税法へ別表を添付するかどうかという問題でございますが、これは所管の総務省からお答えがございまして、私ども、それにあえてつけ加えることはございません。
 それから、さらに申し上げますと、今総務省からもお話がございましたが、一般論として申し上げれば、財政の状況を明確化して、その透明化を推進するということは重要なことだと考えておりますので、こういった観点から、その目的に応じて各般の資料が作成されているんだというように考えております。
重野委員 大変重要な課題であります。今後、積極的に、多面的に検討することを要求しておきます。
 次に、今回の予算編成に当たりまして、地方交付税の総額抑制が経済財政諮問会議で求められた、その結果、先ほど来問題になっております段階補正の見直しが行われた、このように理解をしていますが、この段階補正と交付税法改正との関連を中心に何点か質問をいたします。
 まず、段階補正見直しの手法として、全団体を基礎として割り増し率を算出するという今までの手法を改めて、より効率的な財政運営を行っている上位三分の二の団体の平均を基礎として割り増し率を算出、このようにされたわけであります。
 そこで聞きますが、現に今こうして法案審議をしているにもかかわらず、具体的根拠、効率的行財政と判断される具体的な指標ないし数値、あるいは影響を受ける市町村数についての資料がこの場に配付されておりません。審議する材料がなくて法案審議ができるのか、このように私は思うんですが、委員長、これらにかかわる資料等々について、出していただきたいことを強く要望しておきます。
 とにかくこれを大変重要な変更をするわけですね。国会が総務省に白紙委任するみたいなことになってはいけないと思うんですね。したがって、要望したいことは、ぜひこれにかかわる資料を最大限委員会に出していただきたい、このことを要望しておきますが、委員長の取り計らいをお願いいたします。
平林委員長 本件につきましては、お申し出でございますので、後日、理事会で御相談をいたしたいと存じます。
重野委員 その中で、まず上位三分の二とする根拠は何かということですね。また、そうした団体の合理的、効率的行財政運営とは具体的にいかなる指標ないし数値をもって算出したものか、非常に具体的になりますが、総務大臣、具体的に示していただきたいと思います。
片山国務大臣 詳細に、具体的な数値等につきましては、後ほど自治財政局長から答えさせていただきますが、段階補正の見直しについては、当委員会の審議でも何度も御議論をいただいております。これは、経済財政諮問会議等でも、いわゆる骨太方針の中に、とにかく小規模町村等では合理化や効率化への意欲を弱めることにならないように段階補正の見直しを図るべきである、こういうふうに書かれまして、先ほども申し上げましたが、とにかく小規模なほど一人当たりの一般財源が多くなるわけですね。これはそうなるんですけれども、そのことが、全体としての今の効率化や合理化や健全化への意欲をちょっと阻害しているんじゃないか、もっとインセンティブを与えるような仕組みを考えたらどうか、こういうことなものですから、十万以下の市町村につきまして、人口段階別に、例えば人口が一万なら、一万というのはちょっと多いんですが、五千なら五千をとりまして、十団体あるとしますと、そのうちの効率的な上から三分の二をとりまして、それでもって全体の数値に置きかえたわけですよ。
 そういうことによりまして計算いたしますと、段階補正総額の一六、七%になるので、それを三カ年ぐらいかけて是正していこう、こういうことにいたしたわけでありますが、人口十万以下は、程度の差はありますけれども、段階補正見直しの影響を受けるわけでありまして、その数は、約三千、二千九百九十八の市町村が影響を受ける、こういうことになるわけでございます。
 具体の費目や何かの具体的な見直しにつきましては、先ほども言いましたが、局長から答弁させていただきますが、資料につきましては、よく理事会の御協議を受けて我々の方でも対応いたしたいと思っております。
林政府参考人 段階補正についての御質問にお答え申し上げます。
 大臣の方から詳細と思われるところもお答えがございましたので、私の方からは、その他のことにつきましてお答えをさせていただきます。
 今回の見直しの趣旨は、合理化や効率化への意欲を弱めることにならないよう見直しをしたいという趣旨で行っているものであります。
 その場合に、見直しの手法はいろいろあろうかと思うわけでありまして、例えば、人口段階ごとに個別経費を、人件費、事務費の内容について一つ一つ見ていく、こういう方法もあろうかと思いますが、一つは煩雑であること、それからまた、地方団体にとりまして今回の見直しの結果が理解しやすい目標となるものである必要があること、あるいは、わかりやすい手法であって、私どもとしても御理解をいただく上で説明のしやすいものである必要がある、こういうふうなことも考えまして、結論的には、先ほど大臣からもちょっとお話がございましたが、それぞれの費目につきまして、全国平均的な一人当たりの決算額の調査の中で、中身を見ますと、例えば、施設を併設しながらやっておられるとか、人の併任を行いながらやっておられるとか、あるいは外部委託であるとか機械化であるとか、こういうものをやっておられると考えられます、これは実態をお聞きしたわけでありますが。そういう団体における平均的な経費をそれぞれの費目につきまして算定いたしました。
 どの辺に水準を置くかという点はございましたが、これは、上位三分の二ぐらいの団体の平均であれば、大半の市町村でもあるし、標準的な処理経費の目安として十分ではないか、また、そのような水準で十分事務事業を執行していただけるんではないだろうか、こういう考え方で今回の見直しの数値を決めようとしているものでございます。
 もちろん、対象は、この段階補正が適用されることになっております十万人未満の全団体が対象になりますが、影響を受ける団体の数といたしましては、先ほどもお答えがありましたが、十万人未満の団体、約二千九百九十八団体ということになっております。
 なお、具体的な費目に適用されます補正係数は、それぞれ異なってまいります。それぞれの費目ごとに、そういう基本的な考え方で実態の数値を求めて今後算定をいたしていくことになりますので、それぞれの費目において適用される数値は変わってくるということもつけ加えさせていただきます。
重野委員 十万人未満、二千九百九十八団体ということでありますが、今年度、交付税算定に当てはめた影響額というのについては公表されております。問題は、小規模市町村にとっての関心は、来年度のカット額がどうなるか、ここにあるわけですね。
 そこで、先ほど二千九百九十八団体と申しましたけれども、段階別影響額、これを示していただきたいと思うんです。
林政府参考人 今回の段階補正の見直しによります平成十四年度における個別団体への影響額につきましては、現在御審議をいただいております平成十四年度の単位費用が確定いたしまして、また、各団体の測定単位や補正係数が確定いたしませんと具体的な計算はできないという事情にございます。ただ、これを十三年度の算定に当てはめて試算をすることができるわけでありますが、そのような試算をいたした結果をお答えさせていただきたいと思います。
 基準財政需要額で見ますと、千人前後で二千四百万円の減、四千人前後の団体では五千五百万円の減、八千人前後の団体では五千二百万円の減程度になるのではないかと推計いたしております。
 ただ、これを三年間かけて見直しを行うことになりますので、単純に計算をいたしますと、平成十四年度における影響額は、千人前後の団体でおおむね八百万円程度の減、四千人前後の団体では一千八百万円の減、八千人前後の団体では一千七百万円の減と試算いたしているところでございます。
重野委員 大臣に聞きますが、本議題に関する趣旨説明に対する私の本会議質問で、塩川財務大臣は、地方交付税は地方固有の財源との過去の大臣答弁を再確認いたしました。当然、総務大臣も同じものと考えますが、この点についていかがでしょうか。
片山国務大臣 塩川大臣も言われましたが、私も、地方交付税は本来的に地方に権利を持つ財源で、いわば国が地方にかわって徴収する地方税、国税の形をかりた地方税だ、こういうように考えております。
重野委員 そこで、地方税収の大きな落ち込みの中で、一般財源の支柱たる交付税に関心が傾くのは当然であります。となれば、当然、影響額について試算していくのが総務省の義務である。したがって、今、およそ、概算の内容が明らかにされました。今後、この点については最も大きな論争点になると思います。今後とも続けて議論をしていきたいというふうに思います。
 今度は別の角度から大臣に聞きますが、交付税に示されているのは単位費用のみであります。それ以外は省令事項とされていると承知をしています。単位費用は明示されていましても、省令が明らかにされるまで実際の基準財政需要額はわからない、これでは地方固有の財源と言えないんじゃないか。審議する国会もわからない、あとは省令任せ、ましてや、今回の見直しは相当数の市町村に影響を与えることは言うまでもありません。そういう意味では、この段階別補正係数、これは一刻も早く示されてしかるべきと思うんですが、総務大臣の説明をしてください。
片山国務大臣 今、地方交付税法は、単位費用は法定いたしておりますが、例えば補正係数等は省令にお願いしておるんですね。法律の方が安定していいんですけれども、ただ、法律をしょっちゅう変えるというわけにいきません。補正係数は大変技術的で詳細にわたりますし、なるべく毎年度直近の数字をとらえたい、その方が実態に合いますから、そういうふうに思っておりまして、そういう意味では、いろいろ議論があるかと思いますけれども、単位費用は法律で、補正係数の詳細は省令で、こういうことにいたしております。
 省令につきましても、これは公表いたしますし、それから、地方財政審議会の意見を聞くようにいたしておりまして、できるだけ地方にもあらかじめわかるような周知の方法を今とっております。特に、段階補正等の補正係数が変わるということは、各市町村にとりまして大変な関心事でございますから、できるだけ早く皆さんにわかるような、自分のところで試算ができるような、そういう方法は考えたい、こう思っております。できるだけひとつ地方交付税法及び来年度の予算を通していただいて、至急の準備態勢に入るように我々も努力してまいりたい、こういうように思っております。
重野委員 段階別補正係数の問題も、非常に技術的な部分があることは承知をしていますが、しかし、自治体にとって重大な関心事であるということは、いわゆる国会の場で、多く、いろいろな議論を受け入れながら、そして練り上げられていくものがよりいい、私はこういうふうな認識を持ちますので、そういうことも含めて、ひとつ検討していただきたいと思います。
 次に、段階補正の是正の可否について質問いたします。
 一般に、都市、それも大都市での税収が還元されず、地方、それも中小の市町村に振り向けられているのは公平ではない、段階補正是正の裏にはそんな懸念があるように見受けられるわけであります。昨年六月の閣議決定による、いわゆる経済社会の構造改革方針では、そう露骨には言っておりませんが、現在の交付税配分について、「実質的負担が少ない事業にインセンティブを与え、」云々というふうになっておりますが、その言い方は、今私が冒頭に申し上げましたことを言っているのかな、このように思うんです。
 しかし、公共投資実績を調べてみました。果たしてそうしたことが言えるのかということですが、例えば、一九七八年度から一九九八年度までの二十年間における可住地単位面積当たりの公共投資を例にとってみますと、七八年度の公共投資は、全国平均を一〇〇といたしますと、投資額最高の東京都の対全国指数は八三一、これに対する最低の北海道のそれはわずか三四、それが九三年度に至っては、東京九九五、北海道二八と、最高と最低の差が拡大をしております。九八年度における両者の指数は七一九と三三となっておりますが、これは、大府県や大都市に顕著にあらわれている不況のせいでありまして、最高の東京都と最低の北海道との差は、本質的には拡大傾向にあると言ってもいいのではないか、このように思うんです。
 交付税と公共投資とは必ずしも同列に議論されない部分もありますが、少なくとも、公共投資のこうした実態からすれば、交付税の段階補正を是正する積極的理由はない、私はそのように考えますが、総務大臣並びに財務省、経済財政担当事務局、それぞれの見解をお聞かせください。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回見直しをさせていただきたいと考えております段階補正は、人口一人当たりの行政経費は割高になるであろうという前提で、十万人規模の団体における経費に対してどの程度の割り増しをするかという点を、経常的な経費につきまして、また標準的な事務事業を執行するために必要な財源を保障するという観点から考えているものであります。そういう意味では、小規模団体において影響を受ける形になりますけれども、割り増しをするということは変わりがない点をひとつ御理解をいただきたいと思います。
 それからまた、そういう趣旨の補正でございますので、地域における事務事業の執行に要する標準的な経費という、その実態を反映した見直しを進める必要がある、そういう趣旨でやっているものであることにつきましても御理解を賜りたいと思っております。
 可住地面積当たりの投資額の地域間格差についてお述べになりました上での御指摘でございましたけれども、私どもといたしましては、今回の段階補正の見直しは、先ほど申し上げましたような考え方で進めようとしているものである点につきまして御理解をいただきたいと思います。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 地方財政は、先生御承知のように大変厳しい状況にございまして、地方公共団体が財政運営の効率化を進めるということは極めて重要であると考えております。今回の「構造改革と経済財政の中期展望」におきましても、こういった観点から、段階補正について、地方の自主的、効率的な財政運営を促す方向に見直すというように方針が出されたものと考えております。
岡本政府参考人 お答えいたします。
 経済財政諮問会議におきます議論を経まして閣議決定されましたいわゆる骨太の方針や「改革と展望」では、地方団体におきますより自主的、効率的な財政運営を促そうという考え方のもとに、段階補正につきましては、先ほど来お話がございますように、合理化、効率化への意欲を弱めることのないよう、その見直しを図ることとされております。今回の見直しは、より効率的な財政運営を行っている団体をベースにしようというものでございまして、このような考え方を踏まえ行われるものというふうに考えております。
片山国務大臣 皆さんがちょっと言い落としていますので補足しますと、段階補正は、重野委員御承知のように、これは経常経費です、投資的経費は関係ありませんから。それから、恐らく、今言われた投資額は、地方だけじゃないですね、国や特殊法人も入っていますから。その点、ひとつ念のために。だれか言うと思ったら、言いませんので。
重野委員 それでは、また違った視点から地方の主張をいたします。
 地方に工場が立地をいたします、その利益は本社に集中していくわけですね。本社はどこにあるか、こういうふうになるわけでありますが、大都市や大府県から上がる税収が、地方、それも小規模市町村に吸い取られる、そういう論理は成り立たないはずであります。この経済の仕組みを無視して交付税の配分のみを問題とするのはいかがなものか。本来、総務省は、そうした経済実態を踏まえて、スケールデメリットを補う方向にこそ交付税算定を高度化すべきである、このように重ねて主張するわけですが、大臣の見解をお聞きしたい。
 それから、もう一点聞きますが、見直し対象費目に、消防費、社会福祉費、高齢者保健福祉費、農業行政費等十二の費目を挙げております。これら行政費目は小規模市町村にとっては欠かせない費目ばかりではありませんか。これら費目を抑制対象とする根拠は一体どこにあるんでしょうか。
 また、本来、交付税は需要額と収入額との差であり、最初からスケールデメリットが働く市町村を対象に交付税抑制の一つとして段階補正に手をつけることが、こうした市町村の行政上の存立基盤である行政費目に手をつける羽目となった、こういうふうにうがった見方を私はするのでありますが、以上二点、大臣の見解をお聞かせください。
若松副大臣 まずは、いわゆる税が大都市から地方に行く、そういった理論ではないのではないか、そういう指摘でございますが、御存じのように、今日本全国、大都市、小規模市町村を問わずに、どこでも法令等で義務づけられたいわゆる標準的な行政サービス、これを保障するのが交付税の機能であるわけで、今後とも当然必要な制度であります。
 ただし、今回の段階補正の見直しの趣旨でございますが、小規模団体におきましても、職員の兼務や外部委託等によりまして合理的、効率的に行財政運営を行っている地方団体も大変多い。こういう実態を考えますと、やはりそういった努力している方々の経験というものを反映した見直しを行うべきではないか、そういった観点から今回の見直しを進めた次第でございます。
 小規模団体におきましては、人口一人当たりの行政経費が割高になることは当然なわけなんですが、一人当たりの経費の割り増しを補正する、いわゆる段階補正ですか、これは当然、今後も必要とされるものと認識しております。
 ただ、今回の見直しは、あくまで団体が法令等で義務づけられた事務等を行うことに支障がないように財源保障をしつつ、しかし合理化や効率化の努力で対応できる範囲で、ぜひ見直しを行っていただきたい、またできるであろう、そういう観点から見直しを行った次第でございます。
 それと、次のいわゆる十二費目の御指摘でございますが、この段階補正につきましては、再三お話が出ましたように、経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針において、合理化や効率化への意欲を弱めることにならないよう、その見直しを図るべきである、こういった御意見が非常に多いという環境下、今回は、小規模団体におきましても、先ほど申し上げましたような職員の兼務等の合理的、効率的に行財政を行っている地方団体、やはりこれを、この市町村分の段階補正についてもそういった努力の実態を反映しよう、こういうことで今の見直しを行っているところでございます。
 そういうことでありますので、特定の費目だけを見直し対象にすることは、今回のこの経済財政諮問会議の骨太の方針に反するわけでありまして、この段階補正が適用されるすべての費目について見直しを行ったものでございます。
 もとより、これらの団体が法律、法令で義務づけられた事務等を行うことに支障がないよう財源保障を行うことは当然でありまして、合理化や効率化の努力で対応できる範囲で見直しを行っていただきたい。また、そうできるものと確信している次第でございます。
重野委員 もう時間も迫ってまいりましたので、次に外形標準課税の問題について二点お伺いします。
 まず、二〇〇四年度の税制改正を目途に外形標準課税の導入を図るというふうにしておりますが、この客観的な根拠はどこにあるのかというのが一点。それから二点目は、この外形標準課税の課税標準について、当初の給与総額を圧縮し、かわりに資本金を加える、こういうふうになっていますが、これはいかなる理由でそうなったのか、その二つ。
片山国務大臣 段階補正でるる御議論を賜りまして、ありがとうございました。
 段階補正は今約一兆三千億あるのです。そのうちの二千億を三年かかって減らそう、こういうことですね。それで、全体の三分の二がやっているようなものを、あとの三分の一にもやってもらおう、そこで二千億落とす、しかもそれを、単年度でなく三カ年で落とす、こういうことでございますので、段階補正は、十三年度の計算でもあと一兆一千億厳然として残りますので、その辺をぜひ、段階補正が全部なくなってしまうというようなことではとてもありませんし、やはり小規模町村の割り増しということは残していかないといかぬと我々も思っております。ぜひ御理解賜りたいと思います。
 そこで、外形標準課税ですけれども、これは何カ年も、政府税調でも、あるいは与党税調でも議論してまいりまして、やっと平成十五年度の税制改正を目途に導入を図るというところまで行ったわけですね。それまでは、早急にとか、速やかにとか、そういうことでございましたが、やっとその年限を区切って書いていただいたという意味では大変前進ではなかろうか、私はこう思っております。
 地方税はやはり応益課税、国は応能、地方は応益、そういう意味では、赤字でも広く薄く負担してもらう。今、税の空洞化が言われておりまして、法人税も法人事業税も七割の人が課税を受けていないのですね。税を納めていないのです。三割しか納めていないので、特に地方の場合には行政サービスに対する対価的な意味がありますから、広く薄く、赤字でもちょっとでも納めてもらおう、こういうのが我々の考え方で、そのことが、安定するし、公平だ、こういうふうに思っておりますし、税収は中立ですから、結局今納めている人が安くなる、こういうことになるわけでございまして、ぜひ来年度の実現を目指したい、こう思っておりますが、一番の反対は、賃金課税だというのですよ。リストラ課税だと。今のような失業が多いときに、失業率が高いときにこの課税をやられると、もっと失業がふえる、こういう反対なんですね、経済団体や中小企業団体は。
 そこで、我々もいろいろ考えまして、付加価値といったらどうしても人件費の、賃金のウエートが高いのですけれども、資本金を持ち込むことによってその辺の御理解を賜ろう、こういうことにいたしておりまして、十五年度の税制改正を目指しまして、現在の案をさらに検討して、直すべきは直し、経済団体や中小企業団体の御理解を得て、ぜひ実現を図りたい。地方六団体の中でも、特に府県税でございますので、知事会や都道府県議長会は大変熱心でございますから、連携をとりながら、結局納める人の御理解を賜るということが一番ではないか、こういうふうに思っておりまして、最善の努力を今後も重ねたい、こう思っておりますので、御指導や御支援をよろしくお願いいたします。
重野委員 最後に、土地開発公社問題について聞きます。
 公社は、多くの借入金によって、どこの土地開発公社も大変厳しい状態にあります。これは、そもそも国の政策を遂行する役割を担って頑張ってこられた、単に地方自治体の公社だけではないわけであります。したがって、この土地開発公社の今日的な厳しい状況に対し、国のやらなきゃならぬことがあるんじゃないか。現在、この利子について特別交付税で一部措置しているということは承知しておりますが、そこにとどまらずに、このことについてはひとつ検討すべき課題ではないのかという点について、大臣の見解を。
平林委員長 質疑時刻が来ておりますので、簡潔に。
片山国務大臣 土地開発公社が保有している土地は、かなり抱えているのが多いのですね、今全国で七兆七千億円。このうち、五年以上が四兆一千億、十年以上が一兆三千億ありまして、これをどうやって打開するかということに各公社は今腐心しておりますが、我々もそのために、公共用地先行取得事業債の弾力的な運用あるいは利子の特別交付税措置によってこの解消を図っていきたい。そのために、経営健全化計画を今各団体につくっていただいておりまして、その計画にのっとって応援してまいりたい、こういうふうに思っております。
 大変な問題意識は持っております。
重野委員 以上で終わります。
平林委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 まず、地方税法改正案についてであります。
 法案は、特別土地保有税の徴収猶予制度の拡大、土地譲渡益課税の軽減など土地税制の緩和により、民間不動産会社など大規模土地所有者の負担軽減を図るとともに、新たにゼネコンなど民間事業者による都市再開発事業に手厚い税制優遇措置をとっております。また、制度創設以来、長期間にわたり鉄道事業者や航空会社に対する固定資産税の特例措置を延長していることなど、担税力のある大企業に対する厚い特例措置を温存しており、容認できません。
 次に、地方交付税法改正案についてであります。
 この改正案が、巨額の地方財源不足が七年連続で生じているにもかかわらず、地方財源を国が保障するという地方交付税制度の大原則に立ち返ることをやらずに、財源不足分を国と地方で折半して、地方負担分は個々の自治体の赤字地方債で賄わせることを踏襲し、交付税特会の地方負担分借り入れで対応させることとしているからです。これは、国の責任を果たさず、地方に負担を押しつけることであり、到底認められません。
 また、国の景気対策でとられた恒久的減税による影響分は、国の政策による財源不足として本来国が全額補てんすべきであり、地方負担として押しつけるのは許せません。また、市町村合併推進に向けて、段階補正の見直しをして小規模市町村への交付税を削減する兵糧攻めを強化しようとしていることなどは、到底認めることはできません。
 今必要なことは、公共事業優先と福祉、社会保障軽視の政策をとり続けることではなく、バブル後の地方税の構造変化に合わせて担税力のある大企業の税負担を拡大し、むだな公共事業を大幅に削減し、自治体による福祉、社会保障サービスを充実することです。こうした政策転換によって国民の不安を解消し、個人消費拡大を通して景気回復を実現していくことが求められていることを述べて、私の反対討論を終わります。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行います。
 未曾有の厳しい経済雇用情勢にある中、住民に密着し身近な仕事を担う自治体は、地域におけるセーフティーネットのとりでともいうべき重要な役割を果たしています。しかし、二〇〇二年度の地方財政計画は、策定以来初のマイナスとなり、不況の克服、不安の解消、暮らしの安定と安心につながるものとはおよそ言えません。
 反対の第一の理由は、地方財政の財源不足の補てんのあり方の問題です。国は、国債発行三十兆円以下の首相公約を守るために、過去に借り入れた財政投融資資金の償還期限の大幅延長、今年度限りで廃止されるはずだった交付税特別会計借入方式の継続、赤字地方債の倍増など、小手先のつじつま合わせに終始しました。一度廃止を決めた交付税特別会計借入方式の復活は、隠れ借金をつくり出すものにほかなりません。
 第二の理由は、赤字地方債で交付税総額を確保することによって、財政調整財源である交付税の総額を自治体が自腹で賄う、まさにタコの足食い状態がますます深められたことであります。しかも、赤字地方債の利子分について財源補てん措置を講じていないことは、地方財政計画が自治体の歳入歳出の見込み額たり得ないことを示しています。これらでたらめな財源補てん措置は、もはや地方財政調整制度の機能不全、破綻を意味していると言えます。
 その一方で、国に甘えるなという自己責任のかけ声のもと、地方交付税の段階補正の見直しなど、市町村合併推進に向けたむちの面が目立ちます。しかし、アメリカ流の市場競争万能主義が席巻する中、自治体にも競争原理を導入しようという小泉構造改革は、都市と地方の不毛な対立をあおるだけであり、本当に豊かな地方自治を創造することにはなりません。本来行うべき改革は、自治体の自己決定権の保障のための税財源の自治体への移譲であるはずです。その改革の結果として地方交付税の機能や総額も重点化されていくのであり、小泉改革は、交付税制度と地方自治への無理解ゆえに袋小路に陥っているのではないでしょうか。
 反対の第三の理由は、不況だからこそ求められている法人事業税の外形標準課税への転換が先送りされたことであります。政府・与党の姿勢は無責任と言わざるを得ません。
 最後に、地方財政は第二の予算ともいうべき性格を有しているにもかかわらず、このように短時間で質疑、採決に至ったことに対し、遺憾の意を表明し、私の反対討論を終わります。
平林委員長 これにて討論は終局いたしました。
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平林委員長 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時三十七分散会


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