衆議院

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第25号 平成14年6月27日(木曜日)

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平成十四年六月二十七日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      渡辺 博道君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      田並 胤明君    武正 公一君
      中村 哲治君    永田 寿康君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           大竹 邦実君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (総務省郵政公社統括官) 野村  卓君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十七日
 辞任         補欠選任
  滝   実君     渡辺 博道君
  島   聡君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     滝   実君
  永田 寿康君     島   聡君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 日本郵政公社法案(内閣提出第九二号)
 日本郵政公社法施行法案(内閣提出第九五号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出第九三号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九六号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 各案審査の参考に資するため、来る七月一日月曜日から二日火曜日までの二日間、北海道及び熊本県に委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君及び郵政事業庁長官松井浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
赤城委員 おはようございます。自由民主党の赤城徳彦でございます。
 片山大臣、連日お疲れさまでございます。佐田総務副大臣、お疲れさまでございます。片山大臣は、この総務委員会ばかりでなく、内閣委員会、それから有事法制の武力攻撃事態法の特別委員会、それから倫理選挙特別委員会にもまたお出ましをいただかなければならないので、東奔西走、大活躍の大臣でございます。
 また、特にこの法案につきましては、総理のたっての思い入れもありまして、いろいろ総理からの指示もあって、大変大臣としてもおつらい立場かもしれません。お察し申し上げますが、きょうは、どうぞ片山大臣の率直なお考えを承れれば幸いでございます。
 まず、この一連の議論を聞いていまして、一つ、私どうも納得いかないのは、中央省庁改革基本法の中にあります、前各号の措置により民営化等の見直しは行わないというあの規定の解釈が、どうにもつじつま合わせというか、とってつけたような解釈で、納得がいかないのであります。
 これまでの経緯を考えてみますと、かつて総理から、この条項を削除しろ、そういう指示があった。それは、削除しろというのは、総理にとっては民営化の一里塚という位置づけですから、将来民営化を考える上で、この民営化等の見直しは行わないという規定があっては邪魔だ、そういうふうに考えられたから、削除しろ、こう言われた。
 しかし、実際削除するとなると、これはまた抵抗も大きいし、大変なことになる。そこで、何とか手はないのかということで、いやいやこれは、前各号の措置というのは、公社化の手続であって、民営化ではありませんということを確認しただけですよという、知恵者がいるんですね、そういううまい解釈を、でっち上げたというとちょっと語弊がありますけれども、つくり上げたということではないかというふうに、うがった見方をすると、そういうふうに見えます。
 では、この条項の解釈は、改めて聞いてみても、恐らく、これは確認規定で将来を縛るものではありませんというお答えになると思いますので、ちょっと角度を変えて伺いたいと思います。
 民営化に関する郵政事業のあり方に対しての議論というのは、もう年来、大変な国民的議論をやってまいりました。古くは、今の小泉総理が橋本前総理と総裁選を争うときに、まさに、民営化すべきかどうか、これが争点になって、その後も、橋本総理になって中央省庁の改革をする、その過程の中で、この郵政事業をどうするか、民営化かどうか、そういう長年の議論を経て、行革審の中間報告があり、最終報告になり、いろいろな紆余曲折を経てきたわけであります。
 したがって、この民営化の議論については、大変な国民的な議論をした上で、行革審の最終報告でその結論として公社化をするという結論を出し、民営化の見直しは行わないとそこに書かれたわけですね。そういう議論の結果、公社化が決まった、そういうことについての大臣の認識を伺いたいと思います。
片山国務大臣 この問題は、私は、法律上の議論と政治上の議論と二つあると思うんですね。
 それで、法律の議論では、私は前々から、この三十三条一項六号は法律的には確認的な効果しかないと思っておりました、大臣になる前から。以上の措置により民営化等の見直しは行わない、当たり前のことなんですね、以上の措置は公社化のことを書いてあるんですから。それによって民営化と。確認的な効果しかない、こういうふうに思っておりましたが、政治的にはいろいろな経緯があって入ったのだと私は思います、法律上の効果じゃなくて。恐らく、公社化で一応のピリオド、一応の区切り、結論だ、こういう意味が、私は挿入されたことに政治的には込められたのではなかろうかと。
 しかし、法律的には、内閣法制局が言うように、これがあるからといって、以後一切公社化以降の議論ができない、法律上の意味を持たないということは私は全くない、こういうふうに思っておるわけでありまして、総理は、私には何回か言われましたのは、公社化後のあり方について、自分の懇談会もつくって自由な議論をするんだから、ない方が自由な議論ができるのではなかろうか、こういう御趣旨だったんです。
 だから、私は、法律上の意味がないので、法律上には確認的な意味しかないから、これはあってもなくても同じです、公社化以後についての議論、あるいはどういうことをやるかについては、法律的には確認的な効果しかないので、これを別に削除してもしなくても同じじゃないでしょうか、こういうふうに申し上げたわけでありまして、的確な答えになったかどうかわかりませんけれども、私はそういうふうに理解しております。
赤城委員 いみじくも、法律的な意味と政治的な意味というふうに大臣はおっしゃいました。
 百歩譲ってというか、法律の文言解釈として、私はちょっと違うなと思うんです。内閣の法制局が仮にそういう解釈をしたとしても、これまでの経緯、そして、それを受けてこの国会であの文言を入れた、そのときの立法者の意思、大臣はそもそもそれは確認的な規定だというふうにお考えだったかもしれませんけれども、これまでの経緯を考えると、その当時の立法者としては、公社化が最終的な結論で、民営化等の見直しは行わない、字義どおり民営化等の見直しは行わないという意味で書き入れたんだ、こういうふうに思います。
 法律というのは、立法をするときに国会の意思というのがありますけれども、それが実際に動き出しますと、行政の方はそれを執行する行政の方の解釈があり、また裁判になれば裁判所の、司法の解釈というのがあって、それぞれの解釈というのにずれがあるというのは、法学でそういうことも教えられました。しかし、行政が議院内閣制のもとで国会がつくった法律を執行するに当たっては、そのときの立法がどういう意思であったのか、それを十分そんたくしていくということが大事なのではないかと思います。
 今の大臣のお話を伺いながら、こういうことであれば、よほどその法律に疑義がないようにきっちり書かないと、その後、内閣がかわり、あるいは大臣がかわり、状況が変わって解釈が変わっていく、そういうことがないようにしなきゃいけないなということを、逆に意を強くしたわけです。
 ところで、総理がこの委員会で答弁された中でちょっと触れられた、自民党の公約の中に、国営、三事業一体を堅持するという言葉を削除させたんだというふうに総理が触れられました。
 実は、自民党があの国営、三事業一体を堅持するという文言を入れたのは、私が政調の担当をしていたときに、どうもこの郵政事業に対する考え方、表現がはっきりしないと。こういう経緯があって、公社化をする、国営でいく、三事業一体でいく、それがはっきりしたんですから、自民党としてはその意思を明らかにすべきだということであの文言を入れたんです。その後、自民党の党大会で異議なくそれが了承された。これは、自民党全体としてそういう意思だと思います。かわったのは総裁がかわったんであって、その後あれは削除されましたけれども、党大会でそういうふうなことが確認されたというのは大変重い、これは自民党の考え方全体をあらわしているんだ、私はそういうふうに申し上げたいと思います。
 さて、もう少し具体的に中身に入りたいと思いますが、一般信書事業について。
 この委員会での御議論を聞いていますと、一般信書便事業について、民間事業者もユニバーサルサービスが確保できるならば、全国津々浦々均一にというユニバーサルサービスが確保できるんならば参入してもいいんではないか、問題はそのユニバーサルサービスの条件だという御意見が多いと思います。後ほどまた伺いたいと思いますが、私は、ちょっと違うのは、仮にユニバーサルサービスの条件をぎっちりかけたとしても、一般信書の分野で公社と民間事業者が並び立つのかな、それでうまく競争し合って国民サービスの向上につながるのかなという疑問を持っています。
 そこで、まず、このユニバーサルサービスの条件というのはどういうものを考えておられるのか。俗に、例えば、ポストが十万とか、即日集荷してどうとか、最低料金が幾らとかあります。そういう条件が公社に対してと民間事業者に対してどこか違いがあるのかどうか、お尋ねします。
佐田副大臣 一般信書便事業者に対しましては、通信の秘密の保護の確保であるとか、今言われましたユニバーサルサービスの確保の観点から規律を設けることとしておりまして、引き受け方法につきましてもその基準的な条件を法律で明確にする、そしてまた差出箱なんかも非常に堅牢にして、そして信書便を抜き取ることができないようにするとか、そういう厳しい条件をつけておるわけであります。
 そしてまた、信書便の差出箱の数についても、随時かつ簡易に差し出すことを可能とするものとしておりまして、個人や小口の利用者の利用を確保するために、全国の市町村ごとに満遍なく設置されることを省令で定めるところでありまして、要するに、そういう意味におきまして、全国にそれなりの数の引受箱をつくることによってユニバーサルサービスを守っていきたい、こういうふうに思っております。
赤城委員 私が伺いたいのは、そういう数は省令で決めることになるんでしょう。そうすると、まだ決まっていませんから、省令でどのぐらいの数になるのかわからない、そういう問題もこの委員会で指摘されています。
 仮にそういう数が決まったとします。十万あるいは八万かもしれない。公社もユニバーサルサービスを提供するわけですから、ユニバーサルサービスの基準というのは最低限、それでどれに対しても同じように適用される基本的な考え方だと思いますから、もし、例えばポストの数が十万でいい、これがユニバーサルサービスの基準ですと決まった途端に、公社は今ポストを十七万でやっていますけれども、競争が激しくなってとてもこれは維持できなくなったら、では、その最低基準の十万までおろしたとしても、ポストの数が少なくなっても、まあまあ、ユニバーサルサービスを提供しているから、公社のそれは自由度を増すわけですから、いいんじゃないか、ポストの数を公社は減らしてもいいんじゃないかというふうな問題が起きるんではないかな。
 ですから、公社に対しても同じような基準が課せられるのか。いや、それとも、公社だから十七万のポストは維持しなきゃいかぬと言えるのかどうか。そこら辺をお答えいただきたい。
佐田副大臣 細かい基準につきまして省令ということに対して、先生がそれはわからないんじゃないかというふうに言われる気持ちもわかるんでありますけれども、十七万七千本というのは、基本的にこれは百三十年の間につくってきた。また、やはり一番大事なのは、今言われたとおり、ユニバーサルサービスを確保していくということが非常に重要なわけであります。そうなってくると、例えば、人口どのぐらいに何本とか、距離はどのぐらい以内に置くとか、そういうきちっとした、地域でもまた都会でもできるだけ平等のサービスが受けられるような形でやるためには何本になるかということをしっかり計算してやっていきたい、こういうふうに思っております。
赤城委員 ちょっとお答えにならないんです。
 民間事業者と公社と同じ基準でいくんだとすれば、公社の方もその基準まで下がっても構わないということになるし、基準が違うんだとすると、なぜ公社だけそれだけ高い基準を課すのか、また公社にとっては経営上の足かせにもなる、そういう問題もあるし、どちらなんでしょうかということです。
團政府参考人 お答えいたします。
 ユニバーサルサービスの確保ということでございますが、これは、改正します郵便法によりまして、郵政公社がこれを提供する、提供義務を負うということにしているところでございます。他方、一般信書便事業者でございますけれども、これについては、ユニバーサルサービスそのものというよりは、クリームスキミングを行わない条件での参入を認めるというふうにしておりまして、義務づけの内容が少し異なっているところがございます。
 具体的に申しますと、郵政公社につきましては一般信書便事業者と違っておりまして、郵政公社につきましては、提供義務のあるサービスにつきまして、手紙やはがきのほかに、書留などの特殊取扱、国際郵便なども提供義務を課しております。一方、一般信書便事業者の必須役務は、一般信書便役務に限定されているということでございます。
 引き受け方法でございますけれども、郵政公社には引き続き、郵便ポストを全国満遍なく、すべての利用者が利用しやすいような設置をするということで、これは業務方法書の認可ということでやってまいりますが、現行十七万七千本というポストは当分維持されていくというふうに考えております。一般信書便事業者につきましては、クリームスキミング防止の観点から、採算性の低い地域も含めまして、郵便事業で行っています最も薄い地域の設置基準でのポストの設置ということを基本的には考えておりまして、それを計算すれば十万本弱になるというふうなことでございます。
 また、料金につきましても、郵政公社につきましては原則認可制、一般信書便役務につきましては届け出制というふうなことで、非対称な規制になっております。これは、考え方としまして、郵政公社がユニバーサルサービスを担う、一般信書便事業者は、競争状況には入りますけれども、クリームスキミングと言えない範囲での義務づけを行うということで、やや非対称にはなっております。
 競争になりますけれども、郵政公社につきましてはこれまでのいろいろな実績、蓄積というものもございますので、義務づけと位置づけは多少違いますけれども、このことによって公正な競争は確保できるんじゃないかというふうに考えているものでございます。
赤城委員 ちょっと私の理解不足だったかもしれません。意外な話を伺いました。
 というのは、公社に対してはユニバーサルサービスを満たせ、民間事業者は、ユニバーサルサービスは達成しなくてもいいけれども、クリームスキミングをしないように条件を課すんだ、このダブルスタンダードというのは、ちょっと、私今までそういうふうには考えていなかったものですから、民間事業者も当然ユニバーサルサービスを提供するんであれば参入してもいい、そういう議論をされてきたんではないかなと思っています。
 もし民間事業者はクリームスキミングをしないようにというふうな意味の基準であるとすると、都会の大量配達の部分だけをやるというのはだめですよ、地方でもやりなさいということで基準を課しただけであって、ポストの数でいってもずっと少なくてもいいし、つまりそれだけの資本装備は民間事業者は軽くても参入できる、一方、公社に対しては、ポストの数もそうですし、三種や四種のこともそうですし、いろいろな公社であるがゆえの義務が課せられる、こういう跛行的な競争を強いられるということになりますね。
 ちょっと時間がないので、その次のことを伺いたいんですが、そうすると、寡占状態になります。この間、ヤマトの有冨社長がこういうことを言われました。全く逆の考え方で言われたんですが、こうした寡占状況では民間活力は発揮できないし、そこに参入しても国民のためにならない、社員の意欲につながらないという、その寡占状態がだめだということを逆の立場から言われたんですが、私は、またそれとは違う考え方から、そういう寡占状態というのは永続できない、成り立ち得ないと思うんです。
 同じパイ、携帯電話市場みたいにどんどん広がっていくのならともかく、郵便物の取扱量がこれからどんどんふえるということは余り想定できません。その中に公社と民間事業者と、二社、三社が併存して競争し合う。しかもその競争条件が大きく異なる。そこで競争が始まったら、はて、どういうことが起こるか。この法律をつくるに当たっては、当然その想定はされていると思うんですね。郵便の取扱量は、公社は当然減るでしょう。シェアが奪われる。それによって収益がどうなるのか。そして、そういう厳しい競争をしながら、料金が競い合って下がっていくということがあり得るのかどうか。そして、いずれ競争に勝ったところが残っていって、また独占状態に戻っていくのではないか。共倒れするのではないか。いろいろ考えられます。
 そういう、何が起こるかということについて、どういう想定をされているかを伺いたいと思います。
佐田副大臣 赤城先生が先ほど言われたことは、確かに公社の方は十七万七千本ということで、私の答えが至らなかったことは補いたいと思うんですけれども、確かに、公社に義務を課しておりまして、また、今度の事業者が参入した場合にクリームスキミングをきちっと防がなくちゃいけない、そういう中において、それをある程度規定を、きちっと条件を課すということは、ひいてはそれはやはりユニバーサルサービスにつながってくる、こういうふうに思っているわけであります。
 それともう一点でありますけれども、今非常に難しい質問なんでありますけれども、寡占状態に入って、普通、例えば、先生などは大変よく御存じのITの関係であるとか、いろいろな、多岐にわたった市場、そういうものについてはいろいろな業界またはサービスが出てくるんじゃないかということでありますけれども、この郵便事業についてはどうなるかというお話ですよね。
 米国等と比較しましても、一人当たりの郵便物もこれはまだ少ないわけですから、そういう意味におきましては、これは別に真っ向からの反論じゃありませんけれども、まだ成長の可能性はあるんじゃないか。それで、またいろいろなサービスもこれから生まれてくるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 したがって、クリームスキミングを排除するための条件を付すことによって、公社と参入事業者が市場において共存して、お互いに切磋琢磨しながら、利用者の利便に応じたサービスの提供に努め、競争によるサービスの向上を図っていくということは、これからのいろいろなサービスにおいてまだ少し可能なんじゃないか、そういうふうに思っているわけであります。
 郵便物数、収入等の面での影響が生じ得ると考えていますけれども、利用者のニーズに対応したサービスの改善等を行うことによって物数の減少や減収を最小限にとどめるものとしておりまして、また、さらなる効率化であるとか合理化を推進して費用をさらに削減するなど、一層の経営努力を払うことによりできるだけ低廉料金で郵便サービスを提供し、それだけではなくて、いろいろなサービスの形態がこれから考えていけるんじゃないか、そしてまた共存をしていくということが可能になってくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
赤城委員 寡占状態、競争状態になって、郵便物もある程度伸びるし、いろいろな工夫がされて、料金競争とかサービス競争とか、ハッピーだ。しかし、これは現実にいろいろな業者を相手にしたことですから、では、どのぐらい郵便物数の伸びが見込まれるのか、シェアがどうなるのか、いろいろな想定を置きながら、そのときの収益とかそういうものをきちっと数字で想定していくということがやはり必要なのかな。これは、なかなか、民間事業者にとってもここに参入して競争するのは大変なことだと思っているから参入者はいませんし、そこら辺をもうちょっと緻密に見ていく必要があるのかなと。
 また、そういうことで民間事業者の参入が見込めないとするのであれば、私は、法律の立て方として、そこにニーズがあって、必要性があって初めて法律というのは規定がされるので、参入も見込めないし、全然その見通しが立たない中で、法律だけ、規定だけ先行しているというのはちょっといかがかな、もちろんこれには反論があると思いますけれども、私はそういうふうに思います。
 次に、信書の定義の方の話に移りますが、信書の定義は、今回、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。」と。ガイドラインでまたさらに具体的に決まるんですけれども、この信書の定義上、信書として扱われていたものが、ガイドラインで、これは信書じゃありませんといって外されるということはないですね。これは、今までの答弁でそうだと思います。
 こういう定義に従って、法律上の定義は今までなかったですけれども、こういう考え方に従って今まで信書として扱ってきたものが、今後、ガイドラインによって、もうこれからは信書でありませんといって外されることもないと理解していいでしょうか。
片山国務大臣 まさにガイドラインというのは法律の定義を明確にするものですから、ガイドラインで法律の定義を左右するようなことはあり得ないんですよ。だから、法律はもうぴしっと確定した判決を書かせていただいておりますから、このボーダーラインのようなところ、やや不分明なものについてガイドラインで具体的にはっきりする、こういうことでございます。
 それから、先ほどのあれですが、民間の事業者もユニバーサルサービスは確保してもらうんですよ。確保してもらうんだけれども、今、公社という、長い歴史を持っている既存の大きいものができるので、だから、入ってくる民間事業者については、ぎりぎりのユニバーサルサービスを確保してもらえばいいので、それは、基本的に言えば、クリームスキミングを排除する、そういうことなので、例えば、十七万七千ポストがありますよ、公社は。だけれども、同じだけのものを参入する者に課するのがユニバーサルサービスの確保上不可欠かどうか、そこは若干のアローアンスがあるのかどうか、こういうことでございまして、基本的には、民間の参入する事業者にもユニバーサルサービスは守ってもらう、こういうことであります。
赤城委員 さらに信書について伺いたいと思います。
 信書の定義上、信書を分けるのは、特定の相手方に対してなのか、不特定なのか、そこがキーワードだと思います。したがって、特定の相手方であれば、同じ文書が複数あるいは多数の人に送られても、信書たる性格は失わないと思います。また、その内容物、中身が人に見られても構わないようなものか、その個人のプライバシーにかかわるものかどうかというのは、受取人の主観ですし、または差出人の主観的判断で決まるものですから、そういうことによって信書であるかどうかが左右されることはない。あくまで、特定の者に対して発出したものか、不特定の者に対して出されているものか、そこが基準である、こういうふうに理解していいでしょうか。
佐田副大臣 それも非常に難しい部分でありますけれども、基本的には、特定の方に対して、要するにいわゆる秘匿性があるものに対して、信書というふうに考えております。
 例えば書物なんかの場合は、これはだれでも、別に秘匿性があるわけじゃないですから信書じゃなくなるわけでありますけれども、ただ、その中において、差出人と受取人の、要するに非常に認識の問題でありますけれども、その中で、判断することがなかなか難しい部分、主観的に判断することが難しい部分があるわけでありますね。そういうものにつきましては、一つ一つについて調べるわけにいきませんから、これは信書として判断をしていく、こういうことであります。
赤城委員 実は、この点の議論、私も非常に悩ましいと思っています。
 法律上は、特定か不特定か。だから、例えば郵便ポストにぽんぽん入れられているチラシみたいなものは、これは不特定に入れられていますし、書物とか新聞というのはだれでも買える、不特定の者が購入できるようなものです。あくまで特定か不特定かがそのメルクマールであって、秘匿性があるかないかというメルクマールをもし入れるとすれば、これはもう一つの基準として議論しなきゃいけないし、法律上もそれは書かなきゃいけないのかな、秘匿性について。
 ところが、秘匿性というのは全く個人的な問題で、例えばカタログ、これはだれでも見てもいいようなと思っても、例えば人に知られたくないようなカタログ、こういう例を出すのはいいのかどうか、例えばかつらのカタログなんというのがあったとする。これは余り人に見られたくないなと。その人あてに出したものだ。見る人が見たら、これはプライバシーにかかわる秘匿性の高いものだ、見る人から見たら、いやいや、それは普通のカタログじゃないか、こういうふうに言われる。そういう基準を持ち込むと、これは非常にわかりにくいわけですね。だからそれは、不特定に対して出せるようなものなのかどうなのかというところがやはりメルクマールなのかな、そういうふうに思います。
 いずれにしても、そういう信書の定義上、特定か不特定か、多数か少数か、秘匿性があるかないか、そういうふうな大まかな基準をもう少し議論して、そこで仕分けをしていく、詰めていく必要がある。だから、法律上の定義があります、あとは具体的なものをガイドラインで、これは入ります、これは入りませんというだけではちょっとどうかなと思います。
 それから、たまたま私、最近、会館にメール便というのが来ました。普通の封筒に入っていて、メール便と書いてあって、あて名も書いてある、中身はわからないんです。だから、その秘匿性があるかないかという話で、わからないものは信書の方に想定するんですよね、今のお答えですと。中身が見えないようにしていますからそれは本来信書の方なんですけれども、そういうものがメール便として一般に扱われているというのが実態ですね。
 ちょっと時間がなくなりました。あと、いろいろ質問したかったんですけれども、こういうユニバーサルサービスの問題、信書の問題、これはどのレベルで、政省令で書くのか、ガイドラインで書くのか、それとも法律で書くのか。それは法形式の問題ですから、どこで書いたとしても、これは総理が言うように民間参入を阻害するような問題ではない。どの形式で書くかというだけの問題ですから、私は、そういう形での法案修正であれば、決して総理の言うようなことを、足を引っ張るとか阻害するとかいうことにはならない。むしろ、はっきりとそこら辺の、例えば信書なら信書がわかりやすくなるという意味で前向きな修正になるのではないかなと思いますので、その辺、さらに議論をさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、田並胤明君。
田並委員 それでは、本題に入る前に、人事院総裁とそれから熊代内閣府副大臣に来てもらっていますので、公務員制度改革の問題について二点ほど聞かせていただきたいと思います。
 まず第一点は、人事院総裁にお伺いをしたいんですが、昨年の十二月二十五日の日に閣議決定された公務員制度改革大綱、これを見ますと、多様で質の高い人材を確保するために公務員の採用試験制度を見直す、こういう目的のもとに、具体的な措置として、一つとして、現在、国家公務員の1種試験の合格者数は採用予定数のおおむね二倍程度となっている、これを平成十四年度の試験ではおおむね採用予定数の二・五倍程度を合格者数にしたい、来年度、平成十五年度の試験からは、合格者数を採用予定数のおおむね四倍程度、これを目途に増加させる、これが1種です。それから、2種、3種についても、必要に応じて合格者数を増加させる、その目的は、先ほど申し上げましたように、多様で質の高い人材を確保するためなんだ、こういうふうに言われているんです。
 この新しい採用試験制度が実施されますと合格者数の四分の三が不採用になる、四倍採るわけですから。今までは二分の一の人が採用されたけれども、この新しい制度ができると四分の三が採用されない、こういう結果になるわけです。
 要するに、合格しても採用の枠が非常に狭いということになりますと、結果として、地方大学だとか私立の大学だとかこういうところから、最初から、もう受けてもむだだということで採用試験を敬遠する結果を招くような気がするんです。そのことは、結果的には、多様で質の高い人材を確保するとした目的は逆に果たせなくなるんじゃないだろうか。
 それともう一つは、新しい日本をつくる国民会議、二十一世紀臨調も、このように採用数と合格者数の乖離を大きくすると、そこには、情実採用であるとか縁故採用であるとか、場合によると今はやりの口きき採用であるとか、こういうものが出る危険性があると。これは指摘しているんですよ、二十一世紀臨調が。
 それで、具体的に、これは国の問題じゃないんですが、地方自治体で首長であるとか助役が、採用のために、合格をしたけれども採用してくれということで、その家族の人から百万だとか五十万もらって採用したことがわかって、裁判で有罪判決を受けている例が幾つも幾つも出ているんです。資料としてもらっています。
 ですから、仮にそういうことになりますと、これは、国家公務員にしても地方公務員にしても、国民全体の奉仕者であって、とにかく国民から信頼される行政運営をしなくちゃいかぬ、公僕なんだ、この本来の公務員の本質も崩れるような結果を招来するんじゃないだろうか、したがって、公務員の採用制度としての中立性、公正性の原則が崩れる、こういうおそれがあると思うんです。
 これは閣議決定をされているのであって、人事院は全然関与していないんですか。人事院総裁として、こういう閣議決定について、これは行革大綱というんですか、そこで決まったことなんでしょうけれども、少しこれはひど過ぎるんじゃないか。人事院の今までやってきた内容を見ると、大体、第1種はおおむね二倍、2種、3種については大体一・五倍程度、これが採用予定数の合格者数の割合になっていますね。これを根本から覆すということはどういう意味があるんだろうか。総裁としてどういうお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
中島政府特別補佐人 今御指摘になりました問題につきましては、関係する公務員の間でも高い関心を持っておりますし、また国会議員さん、与野党を通じて関心をお持ちでございます。したがいまして、私も、これが決定されましてから、与野党の国会議員さんにいろいろ御意見を聞いてまいりました。
 今、先生が質問の中で御指摘になりましたように、地方大学の学生とか私立大学の学生というのは、中央官庁の情報に疎いとか、あるいは先輩が中央官庁に少ないとか、そういうことがあって不利になるんじゃないかというような話も聞いております。また、情実採用とか、そういうものを指摘する国会議員さんもいらっしゃいました。恐らく、私はそれぞれ当たっているんだろうというふうに思います。
 ただ、つい最近、ある国会議員さんがこういうことをおっしゃっていたのは非常に重要な指摘だなというふうに思います。それを御紹介いたしますと、大体、中央官庁は、1種試験の一次合格の発表になる前後に、採用予定者に対して、内定といいますか内々定といいますか、それとなく勧誘するような行動を行っておる。二十名採用する省庁では二十名程度にそういうことを行っている。ところが、二次試験でその中の一割とか二割が不合格になるというようなことでございます。したがいまして、その不合格になる人間を救うための四倍じゃないかというような話がございました。そういうことも議論されたようなことがあるようでございます。
 ただ、地方大学、特に先輩が中央官庁にいない地方大学の学生というのは、そういうことをよく知りませんから、二十名採用する省庁はこれから二十名の選抜が始まるんだろうということで北海道とか九州から上京してくるだろう。ところが、実際は本当に二次試験で落ちた四、五名の枠の選抜が始まるということだったら、非常に地方大学の人がかわいそうじゃないかというような指摘がございました。
 したがいまして、そういうことも考えてこの四倍の議論というのは進めていく必要があるな。言うなれば、採用する側からいいますと恐らくできるだけ選択度、対象者が広い方がいいという議論になるんでしょうが、片一方、受験者といいますか国民の立場から見るとどういうことなんだろうかということで、国民の立場からの議論というのをもう少し深めていく必要があるんだろうというふうに思います。
 したがいまして、ことしは二・五倍という合格者を出しますけれども、それを出した後のいろいろな方面の御意見とか反応というものを見きわめてその後のことを考えていく、慎重な取り扱いというのを国民の立場から考えてみる必要があるなというふうに考えております。
田並委員 一番心配なのは、せっかく1種試験を合格して何とかこれで就職がほぼ決まるのではないか、まして今就職難ですから、そういう意味ではちょっとペテンにかけられるような感じがするんですよ、四倍も合格者数を発表して、そのうちの四分の一しか採らないのですから。これは受験をする人にとっては非常に深刻な問題だと思いますよ。
 ですから、例えば私なんか県会議員をやっていましたけれども、県で採用試験をやって万が一採用できないときは、名簿はもちろんできていますから、その名簿の中から、県が、今、外郭団体は余りなくなりましたけれども、外郭団体でどうしても必要だ、こういう場合は人事委員会の方から名簿をそういう各外郭団体の方に渡しておいて、合格はしているんだけれどもちょっと本課では採用ができないから、そちらでもしあきがあったならば優先的に採用してくれ、こういうことで、救済をする手段というのが地方なんかの場合はあるんですよ。国の場合はそういうのはないでしょうから。
 いずれにしても、多様で質の高い人材を確保する目的でやることが逆な結果を招く、私はそういう気がするんです。これは、もう既に平成十三年の十二月二十五日の日に閣議決定をされているわけですけれども、やはり、どうぞ与野党問わず、そういう制度がいいのかどうかもうちょっと論議をして、いい方法をつくり出していく必要があるんじゃないだろうか、こういう気がいたします。
 それで、きょうは、内閣府の熊代副大臣にも来てもらっていますので、次の問題は、人事院総裁とそれから熊代副大臣にお聞きをしたいと思います。
 この公務員制度改革の内容の二つ目として、今は合格者数を採用数の四倍にするというこの方針、二つ目は、これは、今までやってきた仕事の中身から見て、人事院制度の根幹に触れる問題だろうと思うんですよ。というのは、内閣と人事院の役割分担として、公務員の採用試験制度について、現在人事院が行っている企画立案をこれからは内閣が行うんだ、内閣が企画立案は。人事院は人事行政の中立性、公正性の確保の観点から必要に応じて意見を述べればいいのだと。それと、採用試験は従来どおり人事院がやってください、こういう内容になっているんですね。
 これは、はっきり言って、公務員採用試験制度というのはだれが見ても中立公正でなけりゃいけない。そのために成績主義、公開主義、平等主義、この原則が確保されていると思うんですよ。これは人事院だからできたと思うんです。ということは、こういうことが行われますと、国家公務員採用試験制度の基本部分である企画立案を人事院からとっちゃおうというわけですから、人事院というのは存在価値がうんと薄れると思いますね。
 先ほども言いましたように、公務員はすべての国民の全体の奉仕者であって、公僕だ、だから、採用に当たっては相当厳正、中立にやらなくちゃいかぬと。要するに、政府から離れた独立機関として公明正大にやれということで人事院ができていると思うんですが、採用問題でこの根幹部分を持っていかれるということになりますと、人事院が今までやってきたことは何か間違いがあったのか、公正中立というこの原則が崩れるようなことを人事院がやってきたのか、どういう目的でもってこういうふうにやるんだろうか、このように考えるんです。
 したがって、ぜひ総裁としてお考えをお聞かせ願うと同時に、熊代副大臣の方からも、内閣官房としての、いわゆる行革担当の副大臣としての見解をお聞かせいただきたい。
中島政府特別補佐人 国家公務員というのは、たびたび申し上げておりますように、公僕であり全体の奉仕者でございます。全体の奉仕者ということは、いつも申し上げますように、政治的中立性というものを非常に重要な要素にいたしております。
 その国家公務員を採用する企画立案を、内閣がいいのか人事院がいいのか、こういう話ですけれども、現在の日本の統治構造のつくり方というのは、釈迦に説法ですが、議院内閣制でございます。議院内閣制というのは国会で多数の議席を得た政党が内閣を組織する、いわゆる内閣は政党内閣でございます。その政党内閣が中立性を非常に重要な要素とする国家公務員の採用試験の企画立案を行うというのは、やはり民主的な試験制度の根幹に触れる問題だというふうに私は認識しております。
 したがいまして、この問題はそんなに議論する必要もない、そういうむちゃなことをやはりやってはいけないというふうに私は考えております。
熊代副大臣 田並先生の御指摘、実に重要な、国の統治のあり方そのものについての重要な御指摘を含んでおります。それから、人事院総裁の御答弁も、重要な問題点を含んでおると思います。
 それで、政党がつくる内閣が中立公平であり得ない、これは非常に大きな物の考え方の偏りであると思うんですね。歴史的に言えば、山県有朋がそういう考えを述べました。台頭してきた政党政治に対して、公務員でなきゃだめだという制度もやってきたわけですね。しかし、選挙を通して政府をつくる、政治の根幹でございます。最大多数の最大幸福を求めて政党が争うわけであります。何が最大多数の最大幸福であるかということを求めて争って内閣をつくる、その内閣が党利党略に偏する、そういう政策をすれば、明らかにその政権は短命になりまして、そして内閣であり得ないということでございます。
 そういうことでございますから、ダイナミックに中立公正というのを考えなければならない。役人であれば中立公正と。役人も腐敗します。いろいろな利害の話を聞きます。しかし、これに対して選挙によるチェックがないということでございます。そういう大前提、我々政治家の頭にも、我々が中立公平であり得ない、それで役人は中立公平である、こういう大変不利なイデオロギーをちゃんと信じてしまう、これは大変恐ろしい歴史的な伝統でございます。御承知のように、アメリカですとスポイルズシステムでありますから、局長以上は全部選挙に勝った人たちが来る。アメリカの政治が決して中立公正でないのか、こういう問題点も指摘しているわけですね。
 そういうことでございまして、人事院に企画立案まですべて任せなければいけないのか。野球のアンパイアで、ルールづくりも、どういうゲームをするのかというのもすべて任せなければいけないのか。今まで余りに多くのことを人事院にお願いして、頼り過ぎていたのじゃないか。やはり内閣の責任で、どういう行政がこれから大切なんだ、どういう人材が欲しいのだということをきちっとやっていく、こういうことをして、やるということであります。
 そういうことでございますから、しかし、それだけではなくて、やはり公務員による人事院に中立公正というものもちゃんとチェックしていただこうということで御意見をいただく、そういうシステムになっているわけでございまして、本当に根本的な問題であります。先生の御指摘は非常に重要だと思います。少し長い答弁になりまして恐縮でございますが、申し上げさせていただきます。
田並委員 今の話を聞いていると、アメリカ方式にしたいのかなという感じがするんですね。要するに、政権が交代したら全部交代すると。
 そうじゃなくて、先ほど来言っているように、今の国家公務員法によれば、公務員というのは全体の奉仕者だ、したがって中立公正だと。それは、確かに今、自民党を中心とする政権ですから、官僚はそちらを向かなければ仕事はできないでしょう。しかし、全体の奉仕者なんですから、基本はやはり中立公正を保つということが本来の大原則になっているわけですよ。
 ということになると、内閣府がやるから悪いというよりも、逆に言えば、人事院という独立をした機関が厳正、公正、中立に成績主義、公開主義、平等主義、こういう形で試験制度を行って優秀な公務員を採用する、これの方がよっぽど現実的というか、正しいんじゃないでしょうか。そう思うんですよ。
 ですから、今熊代副大臣が言われたことというのは、何か公務員が中立公正であることが、呪縛みたいな格好で全然身動きできないような感じになっちゃって、逆に国民に対するサービスができなくなるような話にとらえられるのですが、あくまでもやはり、人事院制度ができた、これはもとをただせば、国家公務員が、一つは賃金決定の非常に重要な役割を果たしてもらうと同時に、もう一つは採用について、今言った、厳正、中立、公正に国民の全体の奉仕者としての役割が十分果たせるような制度を担保しようというのでできたと私は思うんですね。ですから、そういう意味では、熊代副大臣の言われることというのは納得できませんね。
 もう一回答弁しますか。しても同じでしょう。
 いずれにしても、これは与野党を問わず、公務員制度の根幹に触れる部分ですから、大いに論議をして、閣議決定しても、今度は国会の方でこれはおかしいよということが言えるわけですから、ぜひそういう方向で我々も努力をする、こういうつもりでおります。
 これは要望なんですが、新しくできる郵政公社の職員は、採用は公社がやるわけですね。もちろん人事院と十分密接な連携をとって試験をやっていくという話なんですが、今言ったように、特別に国家公務員としてのいわゆる資格というか、それを与えるわけですから、そういう意味ではほかの国家公務員とそんなに変わらない、当然、名称が国家公務員なんですから、これは、郵政公社がそういう試験をやる、あるいは採用する、そういう段階においても、ぜひ今まで人事院がやっておったようなことも十分参考にして、まさに厳正、中立に、成績主義、公開平等、こういう大原則でもってひとつやっていただきたい。これは要望です。
 以上で公務員制度の問題についてはとりあえず終わらせてもらいますが、どうぞ、総裁と熊代副大臣、お忙しいようですから御退席願って結構でございます。
 続きまして、総務大臣にお伺いをしたいんです。
 小泉総理大臣というのは本当にいろいろなことを言う方なのでびっくりしているんですが、第一番目は、例の衆議院の本会議、五月二十一日の郵政関連法案の本会議の趣旨説明で我が党の代表が小泉さんに質問をしましたね。それに対して、この郵政公社関連法というのは民営化の一里塚なんだという答弁をされる。それで、それが今度は、質問主意書が出たら、閣議で、いや、閣議としては民営化を決めたことはない、これは小泉総理の年来の持論を述べたものだということで、総理大臣が本会議で答弁をしたことが、総理大臣小泉純一郎さんの個人的な政治的な発言だというふうになっちゃった。これは、総務大臣が答弁したとおりですよね。また、そういうふうに答弁書が出ているんですから。
 それで、その後、今度私は、六月六日の質問で、例のガイドラインの問題について、内閣官房長官とそれから小泉総理が、ガイドラインをつくるときには民間が参入できるようにやりますよと。それこそ総務大臣は、幅広く国民の皆さんや関係者の皆さんの意見を聞いたり、あるいはかなり多くの方々のコメントをいただいて、国民の納得する形でガイドラインをつくりたい、こういうふうに言っているにもかかわらず、総理大臣がそういう発言をするのはおかしいじゃないか、こういう質問をしたと思うんですが、引き続いて、サミットに行く前に、今度は片山総務大臣に、修正なしでひとつ通せ、こういう発言をされてカナダへ飛ばれたと、新聞記事ですが、出ていました。
 私は、確かに、総理大臣とすれば、これが絶対正しいんだと思って出された法案ですから、何としてもこの原案どおり通してくださいよ、通してもらいたいという願望を言うのはいいですよね。ところが、どうも言い方が、それは与党に言ったんだと思うんですよ、事前審査通らないでこの法案は出ているんですから。ですから、いろいろと修正の動きが出ていますから、できれば修正なしで、おれの考えているとおりにやってくれというふうに言ったのかもしれません。
 ただ、我々野党から見ても総理大臣の発言というのは、別に与党に言ったというよりも国会全体に物を言った、立法府に対して、こういうふうにとらえられるんですね。ですから、例の、ガイドラインをつくるときには民間が参入できるようにいたしますよ、こういうふうに言うこと自体、私は前の質問でも言いましたように、立法府に対してちょっと越権じゃないかと。修正をするか原案で通すかあるいは廃案にするかというのは、これは立法府が決めることなんです、政府は提案するだけなんですから。そういうことについて、どうも小泉総理というのは、前にも言いましたように、私が法律だみたいな感じを強く持っているんじゃないか、こういう気がしてならないんです。
 それで、新聞を見ると、片山総務大臣も、いや、これはそういうわけにいきませんよ、なかなか難しいですよというような答弁をしているようですが、これはどうなんですか、総務大臣。小泉総理の言うことというのは、立法府に対して一定の縛りをかけるような発言というふうに私は聞こえたんですが、いかがですか。
片山国務大臣 総理は一昨日、サミットに行かれるということなものですから、状況の報告ということもありまして、閣議の前に総理と二人でお会いして話しました際に、総理みずからぶら下がりで言われたわけですが、ぜひ無修正で通してもらうように、こういうことでございました。
 それは、田並委員、政府はいろいろ検討してベストのものを閣議決定して出しておりますから、無修正で通してもらうというのは全部そうなんですよ。だから、そういうことを総理は確認的に言われたんであろうと私は受けとめておりますが、いろいろな動きがあり、いろいろな意見がありますから、なかなかしかし困難な状況ですということは私からも申し上げておきました。
 だから、総理の御意見は、内閣としては出したものが一番いいから出したので、一番よくなけりゃ直して出すべきなので、そういう意味では、一番いいものを出したので、できるだけ国会の御審議はそういうことでお願いして、無修正で成立、こういうことでございますが、そのことが立法府、国会の審議権を侵害するような意図ではない、こういうふうに私は思っております。
田並委員 総理はそういう思いで言わなかったのかもしれないというふうに片山総務大臣はかばいますが、これはやはり客観的に物事というのはとらえないといけないと思うんですね。客観的にとらえると、どうも総理大臣が総務大臣に対して厳命を下したような感じでとれるんですよ。板挟みで大変だろうと思うんですね、総務大臣も。
 しかし、前回、総理大臣がこの席へ来られて各党の委員の方から質問を受けておった、それをずっと私も聞いていて、大分総理大臣も変わったなと。一里塚発言というのはしませんでしたし、一歩だと。一里塚と一歩じゃそんなに変わらないけれども、まあ、四キロと一歩ですから相当違うのかもしれない。そういうことを言ったり、さらに、いろいろな意見がありますからというふうに言ったので、これはかなり、仮にいい修正案が出れば、それらもいろいろな意見の一つとして聞くのかな、こういうふうに思ったんですが、またまた何か態度が急変をして、ちょっと情緒不安定というとうんと怒られますが、そんな感じがしてならないんですね。私は前回も言いましたように、どうも趣味で民営化論を言っているんじゃないだろうかと。
 私なんかの場合は、これはいろいろな意見がありますが、やはり郵政三事業が今まで国民の生活のインフラとして、また地域の発展のためにかなり貢献をしてきたということから考えると、あるいは三種、四種の政策料金も持続をさせようということになりますと、これは確かに、競争の原理を導入しながらも、それ以上に、社会政策としてあるいは福祉政策としてこの郵政三事業というのは存在をしているんじゃないだろうか、このように思うんですね。
 そうすると、これはどうしても、総理大臣が持論であることは幾ら言ってもらっても結構だけれども、少なくも、前回総理がこの席へ出て述べられたように、とにかくこの公社法を通してほしい、信書便法を通してほしい、こういうふうに考えるんだったら、それと、いろいろな意見もあるので、この意見を加味しながら、必要な修正については、国民のための郵政公社をつくるために必要なものについては謙虚にやはり耳を傾ける、それを総務大臣もぜひ総理の方に伝えて、とにかく、中間報告にもありますように、この新しい郵政公社が長期に安定した経営あるいは運営ができるように、そのために中間報告がまとめられているわけですから、その方向でもう一回再確認をして、この法案についてもっと真摯に受けとめて総理としてもやっていただきたい、こういうふうに思うんですね。
 いかがでしょうか。
片山国務大臣 言われるとおり、総理としては、十分な検討をいたしまして、その検討の基礎には公社化研究会の御意見もあるわけでありますから、それで法案を出したので、この法案で国会に、先生方にぜひ御理解をいただいて、修正せずにできれば通したい、こういうことでございますが、謙虚に立法府の、国会の御意見を聞く、こういう態度は十分お持ちだし、私はそのことは総理に申し上げようと思っております。(発言する者あり)
田並委員 成立していませんか。では、そろうまでやめましょうか。
平林委員長 しばらく速記をとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 田並君。
田並委員 それでは、逐条でお伺いをします。二十条から二十七条関係です。
 第一点目は二十条の関係で、公社は、「総務省令で定めるところにより、郵便局を設置しなければならない。」このようになっています。
 この場合、総務省令で決めるということになっているんですが、郵便局の設置基準、現在でもあると思うんですね。例えば、特定局をつくるときには、距離的には何百メートル以上超えてなくちゃならない、利用人口が一万なら一万人以上でなければならない、こういう一つの設置基準があるんですが、これはそのまま踏襲をすることになるのか。それと同時に、ユニバーサルサービスを確保する観点から、具体的に、おおむね全国にこのくらいの郵便局をつくるという一つの目標があるのかどうか、それをまず統括官にお伺いをいたします。
野村政府参考人 お答えいたします。
 郵政事業の公社化の意義につきましては、郵便、貯金、保険という生活サービスを郵便局ネットワークを活用しましてあまねく公平に提供する、こういった郵政事業の意義は引き続き確保しつつ、自律的、弾力的な経営をやることによりまして、より一層質の高いサービスを提供するというのが目的でございます。
 そういった意味で、こういったサービスを提供する拠点である郵便局についてもきちっと全国あまねく設置する必要があるということから、二十条で、地域住民の利便性の確保について配慮しながら郵便局を設置しなきゃならないという規定を置いているところでございまして、先生おっしゃるように、具体的な基準については総務省令で定めるという形になってございます。
 具体的な総務省令の中身でございますけれども、現在の設置基準、こういったものを参考にしながら今後具体的内容を決定していきたいというふうに考えているところでございます。
田並委員 心配なのは、例えば郵便の民間参入が始まる。始まれば、それは相当、公社が新しい商品を開発して、失った分を取り戻す努力をしなくちゃいけないんですが、それが万が一不可能になった場合に、これは民間と公社と違うんですが、例えば民間の私鉄が、バス会社が、この路線は赤字でもうどうにもならぬ、それで廃止しますね、その路線を。そうすると、これは大変だ、住民の足を守るためにというので、今度は自治体がお金を出してバスを借り上げて、運転手まで雇ってやるということを地方ではやるわけですよ。ですから、例えば設置基準を決めても、独立採算ですから、万が一どうにもならなくなった場合に、この設置基準は省令ですからちょいちょい変えられるのかもしれないけれども、変えてもらっちゃ困るんですよ、ユニバーサルサービスを確保する意味で。そうなった場合に、果たしてどうなるんだろうか。
 ですから、言いたいことは、ユニバーサルサービスを確保しなさいと、確かに公社ですから義務づけられる。しかし、万が一、独立採算のもとでかなりの影響が出てきてしまった、そういう場合は、場合によると、郵便局の統合とか廃止とか、こういうことまで将来的には考えるということに、まあ最初の設置基準はそういうものはつくらないにしても、設置基準の中にそういうものまで考えるのかどうかということなんです。
 ですから、さっき言ったように、ちゃんと全国でこれだけの郵便局は確保するんだよということをこの省令の中に入れておかないと、それがだめになっちゃうんじゃないか、こういう気がするものですから聞いたわけです。統括官、もう一回その辺を聞かせてください。
野村政府参考人 お答えいたします。
 法律に書いてございますように、こういった郵政事業の意義を引き続き確保するために、地域住民の利便性の確保に配慮して定めるということでございますので、上位は法律でございます。ただ、あまり細かいことまで法律で書けないので、設置基準的なものを省令で書こうということでございます。
 設置基準というのはやはりこの法律の趣旨を体してつくりますので、そういったユニバーサルサービスを確保できるような設置基準になろうかと考えております。
田並委員 いずれにしても、今はそんなにはっきり言えないんでしょう。
 今言った二項に、総務省令を定めるに当たっては、「地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。」という配慮規定があります。これは配慮規定であって、独立採算になった場合に、利便を考えるのか、あるいは採算を考えるのかということが必ず出てくると思うんですね。その辺のことをやはり今から頭に入れておかないと、これは過疎化にますます拍車がかかるような結果が将来出てくることになると困りますので、その辺はきちっとしておいてほしいと思うんですね。
 実は、民間参入になりますと、民間参入業者については許可基準というのがありますね。信書便法の九条で、許可基準というのがある。秘密を確保しなくちゃいけないとか、あるいは簡易な差出箱をつくらなきゃいけないとか、いろいろあるんですが、例えば取り集めをしてきた郵便物を区分したり、あるいは目的地の場所に送ったり、そういう作業というのはどこかでしなくちゃいけないと思うんですね、作業所というのは。そういう作業所については全然許可条件の中に触れられていないんですよ。どこでやってもいいということなんですか、これは。
團政府参考人 お答えいたします。
 一般信書便事業者に対する許可の基準についての御質問でございます。
 この許可の考え方は、ユニバーサルサービスを確保するための全国的なサービス義務ということをサービスの観点から主として言っております。つまり、全国において引き受け、配達ができる体制をとっておることということでございます。したがいまして、その中で、どういうふうなところで作業所を設けるかというようなことは、それがないとサービスができませんので、そのサービスを規定しているということは、そういう体制をとっていただくということを当然の前提にしているというものでございます。
 ただ、郵便局の場合は、郵便、貯金、保険、三事業がございますので、少し位置づけが違うと思いますけれども、そういう形で実質的なことは確保していただくということを考えてございます。
田並委員 ということは、信書便法の第九条の許可基準、これを守るためには当然そういうものも想定をしているというふうに理解してよろしいわけですか。――では、そこでこうしましたので結構です。
 それでは、民間の業者にしても何にしても、これはもちろん公社の場合はそうですが、通信の秘密、あるいは信書を扱うようになれば信書の秘密、大変重要な国民の郵便物を扱うわけですから、それにふさわしいような体制を、施設も含めて、人はもちろんですが、きちっとしていただきたい、このことをつけ加えておきたいと思います。
 次に、二十一条関係です。
 二十一条の二項に、公社の業務委託、業務の一部委託ができるというふうになっています。これは、例の郵貯会館だとかあるいは簡易保険の保養所だとか、こういうものを全部指しているんだろうと思うんですが、今調べましたら、簡易保険関係で全国で百十一カ所。これは加入者ホームだとか、あるいは診療所だとか、保養施設だとか、レクリエーション施設、会議施設、これを入れて百十一カ所。郵貯会館等が二十三カ所。会館が十五カ所、総合保養施設が二カ所、さらに地域文化支援施設が六カ所、合計二十三カ所。これを今度は郵政公社が引き受けることになると思うんですね。
 これを引き受けて、具体的に業務委託をして運営するということになるんですが、これは、平成十二年五月二十六日に閣議決定をされた「民間と競合する公的施設の改革について」ということで、その二項目めに「既存施設の廃止、民営化その他の合理化措置」、こう書かれているわけですよ。そうすると、これでいくと、とにかく廃止をするか民営化をするかどっちかにしろ、こういう方針になっちゃっているんですが、今言った加入者福祉施設、これは簡保関係、それから郵貯の貯金会館等を含めた二十三カ所、これは今後どういう形で、業務委託をして運営されるんでしょうけれども、不採算部門の施設についてはどういうお考えで取り組まれようとしているのか、これについて、企画管理局長にお願いします。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の郵便貯金会館、簡易保険加入者福祉施設についての取り扱いでございますが、これまで郵便貯金会館等につきましては、郵便貯金の普及を目的として国が設置し、認可法人でございます郵便貯金振興会に運営を委託してきたということでございます。一方、簡保の加入者福祉施設は、加入者の福祉の増進を図ることを目的として、特殊法人でございます簡易保険福祉事業団が設置、運営を行ってきたということでございます。
 これらの施設は、御指摘のとおり、公社化に伴いまして、それぞれ国及び簡保事業団から公社が承継するということになるわけでございます。承継後のあり方につきましては、今御指摘がございましたように、平成十二年五月二十六日の閣議決定を踏まえてこれを実施していくということになるわけでございます。そこで、公社の責任下ではございますけれども、この方針は踏襲されるということで考えてございます。
 郵貯会館等につきましては、この閣議決定によりまして経費節減等の効率化を行ってもなお不採算となる、こういう施設につきましては、いろいろな施設の目的等にも配意をすることは必要でございますが、廃止、売却等の合理化を行っていくということでございます。
 また、簡保の加入者福祉施設につきましても、個々の施設の統廃合などをやっておりますけれども、公社になりましても、同じ閣議決定にありますが、組織・定員の削減、競争条件を付した外部委託の拡充、それから平成十九年度までに宿泊・レク施設に係る運営費交付金の廃止というふうな合理化、効率化を行っていくことになりますけれども、それでも不採算となる施設につきましては、統廃合、廃止を含めてやっていくことが必要というふうな方針になっているわけでございます。
 まだ、十九年までということでございますので、それまでの間にいろいろな合理化、効率化をやりまして、漫然と廃止になるというふうなことではない努力は必要ではないかというふうに考えておりますが、方針はそういうことで確定しているわけでございます。
田並委員 基本方針はそれでいいんですけれども、地方にこういう施設がかなり多くあるんですね。すると、地方の活性化のためにも、大変地方の人たちというのは期待をしているし、これは今度は公社になるんですから、今までと違って少し知恵を絞って、とにかくそれが採算がとれるように全力を挙げることがまず第一だと思うんですよ。不採算のものを採算がとれるようにする。そういう努力をしない総裁というのはすぐ首切りゃいいんですから、今度は。そういうことはぜひやってもらいたいと思うんですね。それが地方の活性化につながるし、また事業の国民に対する理解を深めるためにも非常にそういう施設は必要だと思うんです。
 一番心配したのは、それでもなおかつだめだという場合に、今度はそこに働いている人たちをどうするか、職員を。地方の方にありますと地方の人がそこに勤めている場合が多いですから、すると、そこがだめになると行き場がなくなっちゃう、こういう状態が出てくるんですね。ですから、余計に、今言ったように、何とか採算がとれるような知恵を絞って、とにかく存続を大前提にして頑張ってくれ、こういうふうに思うんです。その辺、どうですか。
團政府参考人 御指摘のとおり、地方におきましては特に、市町村からの存続の要望というのも非常に強い地域もございます。いろいろな地域によって評価は違いますけれども、そういうことがございます。
 したがいまして、今後のあり方につきましては、これは不採算部門は廃止するという基本は変わりませんので、どうやってこれを維持していくか、こういうことにつきましては、地域にもよりますが、地方公共団体とももう既にいろいろな協議をしまして、どうやって採算をとっていけるかということを、地域を含めて協力していただくということも含めて協議をしているところがございます。
 また、職員につきましては、職員の処遇も大切なことでございますので、いろいろな施設の成り行きはございますけれども、その職員の扱いにつきましても十分公社において配慮していくということが必要だろうというふうに考えております。
田並委員 全力を挙げてひとつ努力をしていただきたいと思うんです。
 時間があと十分ですので、少し速めます。
 次に、二十三条、関連して第六十三条、これは国会への報告義務の問題なんです。中期経営目標と中期経営計画を総務大臣が認可したときは国会に報告する、このようになっています。ところが、年度経営計画だとか中期経営目標に係る業績評価、これは総務大臣が行いますが、これについては国会報告を要しないというふうになっているんですね。要しないと。要するに、国会報告はしなくてもいいとは書いていないんですが、国会報告の中に含まれていないわけです。
 私が考えるのに、年度経営計画は審議会にかけると思うんです。それで具体的に決める。さらに中期経営目標についても、これは審議会にかけたり総務大臣の許可を得る。それに基づいてでき上がった例えば業績評価、これが国会報告は必要ないというのは、国会の関与を余りさせたくないという思いなのか。
 計画をつくるときにはちゃんと、中期経営計画だとか中期経営目標だとかをつくるときには国会へ報告しなさい、ただし業績評価をした場合は国会報告は必要ないよと。要するに予算と決算みたいなものなんですが、予算は国会に報告して決算は要らないよ、こういうふうにとれるんですが、これは何か意味があるんでしょうか。統括官にお伺いします。
野村政府参考人 お答えいたします。
 従来、郵政事業につきましては、国会に予算と決算について御審議いただいたところでございます。今回、公社化に伴いまして、予算の国会審議はなくす、事前管理から事後評価へという形に変わるわけでございますけれども、予算にかわるものといたしまして、中期経営目標とか中期経営計画、それから、決算にかわるものといたしまして、毎年度の財務諸表や事業報告書等を国会に報告するという形で規定しているわけでございます。
 先ほど言われました業績評価の結果につきましては、これもやはり毎年度の財務諸表や事業報告書にあわせまして国会に報告するほか、中期経営計画終了後の中期経営報告書及び業績評価につきましても、最終年度の財務諸表等とあわせまして国会に報告することになる、こういうふうに考えているところでございます。
田並委員 わかりました。別に国会が関与するというんじゃなくて、国会に、公社の経営がどうなっているかということは非常に関心が高いわけですから、ぜひ報告をお願いしたいと思います。
 次に、同じく統括官にお伺いをしたいんですが、十五条に戻って、私の管轄じゃないんですが、中期経営目標だとか中期経営計画に関連をするのでちょっと聞きます。
 公社の業績が悪化した場合には、公社役員を解任することができる。例えば、副総裁以下は、総務大臣と総裁があんたやめなさいというふうに言えるし、総裁については、総務大臣があんただめだからやめなさい、こういうふうに言える。非常にこれはいい制度だと思うんですね。やはり、こういう時代ですから、独立採算のもとに自律的、弾力的経営をする、それで国民の皆さんの信頼を得る、こういう事業をするためには、そのくらいの緊張感といいましょうか責任が必要だろうと思います。
 そこで、例えば、中期経営目標をつくったり中期経営計画をつくる場合に、総務大臣が認可をしたり、あるいは国会に報告をしたり、それから、それが結果として結論が出てくると業績評価を受けたり、いろいろ幾つもクリアをしなけりゃならない関門があるわけですよ。そういうクリアをしなけりゃならない関門があったんだけれども、結果的に業績が伸びなかった。こういう経済情勢ですから非常に問題があると思うんですが、伸びなかった。
 そうすると、この公社の役員をやめさせるときには、一定の基準をつくらなくちゃいけないと思うんですね。どうも気に食わないからあんたやめなよというのじゃ困るので、そういう意味では、今言ったように、中期経営目標だとか中期経営計画をつくったときには総務大臣の認可をもらわなくちゃならない、それで動き出す。年度別の経営目標をつくるときも計画をつくるときも総務大臣に届け出をする。今度は、中期経営計画が終わると、そこで業績評価を受ける。もちろん審議会にもかける。それで、年度の計画が終わった時点でも業績評価を受ける。こういう幾つもクリアしなくちゃならないところがある。そこで見落とされてしまっては困るわけですね。これは何か基準をつくるんですか、任免の。
野村政府参考人 十五条の業績悪化の場合の解任の関係でございますけれども、法律の方にかなり規定されておりまして、一つは、「役員の職務の執行が適当でないため」、つまり、判断の誤りなど役員本人の責任により生じたことというのが一つの要件でございます。二つ目は、その結果「業務の実績が悪化した場合」でございます。三つ目といたしまして、「その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるとき」、つまり、その役員を引き続きその職にとどめておいたのでは中期経営目標の達成が危うくなるとか、または達成に重大な支障を生ずるおそれがある。
 こういった三つの要件に該当する場合に解任できるということでございますので、恣意的な解任というようなことは起こらないというふうに考えているところでございます。
田並委員 任免の問題ですから、条件が合ったとしても、それを実際に行うときは、当然審議会にかけるわけですよね。審議会の諮問を受けるということだろうと思うんです。そういうことでいいですね、理解は。
 それで、これもちょっと前へ戻って申しわけないんですが、公社後に理事だとか監事を置く場合に、十二条の四項でいいますと、理事のうち三人以上、監事のうち一人以上を民間から採用する、こういうふうに規定されています。
 公社の総裁は民間出身者というのを考えているんですか。もちろん、民間であろうと役所であろうと、それは有能な人がいればだれだっていいわけですから、公社の経営について万全な体制がとれる人、リーダーシップの発揮できる人、困難な経済情勢をきちっと分析して、公社の経営が成り立つような、そういう識見といいましょうか能力を持っている人ならどなたでもいいんですが、それを民間から採用する考えなのかどうかということ。
 もう一つちょっと聞きたいのは、前にもどなたか聞いたと思うんですが、例えば総務省から公社へ行かれた、公社からまた総務省に戻られる、こういう行ったり来たりというのがあるのかどうか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。統括官、お願いします。
片山国務大臣 総裁人事の話でございますので。
 法律の十二条で、総裁の任命権は総務大臣、こうなっておりますが、今後十分な検討の上でのことになると思いますけれども、一般論として申し上げれば、官僚出身であろうがずっと民間の方であろうが、その出自を問わずに、高い見識、すぐれた経営能力を有して最もふさわしい人を選ぶ、こういうことになろう、こういうふうに思っております。
 それから、人事交流の話でございますが、私は、役員になる方はノーリターンだ、一遍役員になられた方はもうもとの役所に帰る必要はない、こう思っておりますが、その下の方については余り固定してしまうのもどうかな、こういうふうに思っておりまして、この辺は今十分内部で検討いたしております。国民の目から見てなるほどと思うようなことにいたしたい、こう考えております。
田並委員 いずれにしても、国民のための郵政公社をこれからつくるわけですから、それが、先ほど言ったように、長期に安定的に、ユニバーサルサービスがきちっと確保されて、期待をされる公社をつくるために、それにふさわしい人選をひとつぜひお願いしたい、このように思います。
 時間がないので、最後にこれは事業庁長官にお伺いしますが、この間、伊藤委員の方からも労使関係の問題について触れられました。私も、六月六日の委員会で労使協議制等の問題についてもお話をしましたが、問題は、新しい公社が独立採算制のもとに、とにかく自律的、弾力的な経営、今までと違った経営感覚で事業の運営に当たる、こういうことになりますと、どうしてもこういう新しい公社経営を考える場合に必要なのは職場の労使関係だろうと思うんですよ。
 それで、今あるのかどうかわかりませんが、こういう時代でも、労務連絡官室というのが各県にまだあるんですかね、連絡調整官というのでしょうか。私は、こういう営業の時代になったわけですから、逆に、そういう方々をもう一回再訓練をして、それこそ新しい公社経営の指導に当たる、こういうようなものに切りかえる必要があるだろうと思うし、特に現場の管理者の意識改革を、これはもし法律が通れば来年四月一日から公社になるわけですから、新しい公社になるわけですから、そういうことを考えると、今から、職場の管理者、要するに職場の職員の方々を指導する、指示をする、指揮をする、そういう方々の意識改革をとにかくしなくちゃいかぬ。
 百三十年続いた官庁である郵便局から、今度は新しい郵政公社に切りかわるわけですから、それで、民間が入ってくる、競争にさらされるという新しい経営形態になっていくわけですから、そういう意味での管理者の意識というものを、今までと違った感覚というものをぜひ持ってもらうために、今から計画的に再訓練をするような体制も必要ではないだろうか、このように思うんですが、これは事業庁長官の方にお伺いをいたします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、郵政事業は人力依存度の高い事業でございますので、労使関係の安定は大変大事でございます。私どもといたしましても、良好な労使関係の構築に努力してきたつもりでございます。先ほど御指摘の労務連絡官というのは、今、労働関係調整官、郵政局の課長代理の職員がやっておりますが、郵政公社におきましても、これまで以上に労使相互の信頼関係を深めて、共通認識、共通の価値観を持っていくことが非常に大事ではないかというふうに思っております。
 そういう面で職員全員の意識改革が必要でございますし、そうなりますと、先生の御指摘のように、お客様と向かい合う現場、第一線で特に指導的立場にあります管理者がみずから意識改革をやっていくということが重要だと思っておりますし、既に郵便事業の新生ビジョンというのを昨年春に労働組合にも提起してきたところでございますが、その中でも強調しておりますし、これから、公社発足に向けまして、ほかにも企業会計を初めとする経営管理手法など、それから新たな人事の処遇の問題とかいろいろございますが、会議、研修等あらゆる機会をとらえて指導徹底していくように努めていきたいと思っております。
田並委員 時間ですから、以上で終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、松沢成文君。
松沢委員 民主党の松沢成文でございます。
 総務省というのは非常に守備範囲が広い役所で、大臣、きのうもきょうも連日国会に引っ張り出されて、御答弁大変でお疲れだと思いますが、お仕事でありますので、きょうも元気よく御答弁をいただきたいというふうに思います。
 さて、大臣、最初にちょっと大きな質問をしたいんですが、郵政三事業といいます。これは、郵便事業、信書や小包の配達と郵便貯金という預金の事業、それから簡易保険という簡単な生命保険の事業、これを合わせて郵政三事業というわけですが、このそれぞれの事業を少し個別に見ていただいて、郵便事業、郵貯事業、簡保事業、それぞれ特色あると思いますが、最も民間と競合し、逆の言葉で言えば最も民間でできる、こういう事業は、まあ恐らく大臣、これは三事業一緒に郵便局でやって意義があるんだ、こういう答えになると思いますが、一つ一つの事業をごらんになっていただいて、どこが一番公的な部分が必要なのか、どこが一番民間でもできる事業に近いのか、この三つを比較していただいて、大臣はどの事業だと思われますでしょうか。
片山国務大臣 これにつきましては、この委員会でも議論がありましたように、行革会議の中間報告では、やはり郵便事業は国営がいい、郵便貯金事業はそのうち民営化したらいい、民営化の準備をしたらいい、簡保事業は民営化ということも考えたらどうか、こういう中間答申がありましたよね。最終的には国営公社で三事業一体、これは国会の意思でお決めいただいたんですが、そういう意味からいうと、民間に一番近い距離にあるのは簡保事業ではないかと思っております。
松沢委員 私も全く同感なんです。今大臣が引用された行革会議での議論も、中間報告では、委員さんの議論の中でそういう方向が出たんですね、最終的には国営の公社になりましたけれども。私は、郵政三事業の中で最も民間でできる、あるいは、ある意味で現状はかなり民業を圧迫していると思われるのが簡保事業でありまして、まず、簡保事業について少しお伺いをしていきたいと思うんです。
 私も簡保事業の歴史も調べましたが、確かに国民の皆さんに簡易に生命保険に入っていただく、これはセーフティーネット、将来の保障ですから、これを多くの皆さんに普及をしていくということは長い日本の歴史の中で私は意義のあったことだというふうに思っています。しかし、民間の生命保険会社というのも日本は明治時代からあったわけでありまして、戦前ぐらいまではある意味で簡保と民保というのはすみ分けができていたというふうに思いますが、戦後の成長期を経るに従って競合する部分が多くなって、逆に言えば、民間の保険会社でもかなりの部分、簡保がやっていた部分ができるようになりましたし、簡保の存在意義が薄れてきたと思うんですね。もっと厳しく言えば、簡保の事業というのは民間の補完ではなく、むしろ今民間を圧迫しているというふうに思えるんです。
 例えば、加入限度額というのもどんどん引き上げをしてまいりました。それから、民間生保がさまざま、最近でも介護保険なんというのをつくりましたが、民間生保が新しい商品を開発すると必ず後追いで簡保がそれをまねしてまた商品を出してくる。商品、サービスの追随ですね。それから、国の信用もありますし、何と簡保の保険料の総額が百十兆、百二十兆という規模になっていて、これは日本の保険業全体の三割に迫っている。巨大化、肥大化しているわけですね。それと、予定利率、これも簡保が先行して引き上げをしていくために、それと競争するには民保も利率を上げていかなきゃいけないということで、その結果、今民保が苦しい思いをしているという事実もあるんですね。
 こういう事実を見ると、生命保険マーケット全体の健全な発展の、ある意味でもう簡保は阻害要因になっているんじゃないか、あるいは、公正な金融市場を形成するということにおいて簡保の存在が私は邪魔になってきているんじゃないかというふうに思いますけれども、総務大臣はいかがでしょうか。
片山国務大臣 簡易生命保険は、私は前々から国民の基礎的な、最も身近な生活保障手段だと。これは委員よく御承知のように、無診査で加入できる、職業による加入制限はない、保険金は原則即時に払う、こういうわけでございまして、しかも郵便局を通じて全国あまねく公平にサービスを提供しておりまして、今、民間の生保は全国の市町村、六割以上店舗を持っていないんですね。しかも、今はリストラの時代で、外交員と言われるんですか、外務員と言われるんですか、そういう方もだんだん数が少なくなっている。こういう状況では、基礎的な生活保障手段としてのユニバーサルサービスはやはり簡保でやらせる必要があるんではなかろうか。
 保険金の加入限度額も、御承知のように一千万でございますし、民間生保の場合には大変高うございますし、そういうことでございますので、なるほど掛金は今委員が言われたとおりでございますけれども、そういう意味では、保険金契約額のシェアは大体一一%ぐらいで推移いたしておりまして、私はそれなりに民間生保と簡保はすみ分けができ、お互いに分担と連携の関係にあるんではなかろうか、こういうふうに思っております。
 大体いつも簡保が後追いだ、こういうお話がありましたが、後追いのものもありますし、いろいろこれはあるようでございまして、そういう意味では、これを国営公社、非営利でやっていく、あまねく公平にサービスを提供する、こういう意味では存在意義があると考えております。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
松沢委員 きょうは金融の副大臣、村田副大臣お見えですけれども、今総務大臣は、簡保はやはり日本には必要なんだ、こういう論の展開でありましたが、金融庁として、日本の金融マーケットの健全な発展を目指していかなければいけない。ただ、肥大化した簡保の存在、そしてまた民間の商品とほとんどが競合しているこの状況。そして、大臣がユニバーサルサービスができるのは簡保だけだとおっしゃいましたが、今、民間の保険会社の視点という意味じゃなくて、農協を含めたさまざまな生命保険にアクセスするということを考えますと、全国の九八%の自治体で生命保険へのアクセスはできるわけですね。こういう状況の中で、どうしても日本に国営の簡易保険というのを維持しなければいけないのか。むしろ、日本の簡保マーケットの健全な成長を阻害しているんじゃないか。金融庁の立場から見て、いかがでしょうか。
村田副大臣 今、簡易保険については大臣が御答弁されたことでございますけれども、それぞれが国民のニーズに応じて、選択をするマーケットが成り立っている、こういうふうに思っております。
 私どもといたしましては、万が一、競争上とかいろいろな意味で民間の保険業者との関係で問題が生ずる、こういう場合においては、私ども金融行政全般をつかさどる金融担当大臣の立場から、そうしたケースに応じて適切な協議、あるいはアドバイス、意見を申し述べていきたい、こういうふうに考えているわけです。
松沢委員 もう少し詳しく議論をしたいと思うんですが、簡保の主力商品というのは、いわゆる養老保険に見られるように、保険機能プラス貯蓄機能があるわけですが、どちらかといったら貯蓄機能中心で、個人を対象にしているわけですね。民保の方の主力商品というのは、掛け捨てタイプの定期保険、つまり保険機能中心で、かつては法人対象が中心であったわけなんです。ところが、もう時代は流れて、双方が多様な商品を、あるいは個人も法人も双方やるようになって、簡保が特徴としていた小口、無診査、月掛け、どの職業の人でも簡単に入れますよというのは、今十分、民間の保険会社でもサービス可能になってきたわけなんです。
 それと、実は、規制緩和という観点からしてみても、ここに、二〇〇〇年に出たレポートですが、「規制改革要望書」というアメリカが日本の政府に出した要望書があるんですけれども、ここにもこんなふうに書いてあるんです。「米国は、民間が提供する保険商品と競合する簡保によって提供される政府の保険制度の拡大は、自由で公正でグローバルな金融市場を推進するとの日本の規制緩和の目標に相反するものと考えている。米国はまた、そのような制度は、保険業法の領域外であり、金融庁や公正取引委員会の監督下にないことにも留意している。」もう二年も前ですけれども、アメリカは、日本の金融市場、生命保険市場の健全な発展に向けて、簡易保険の存在は極めて問題であると。そこで、日本の政府というのはこれまでずっとアメリカの政府には極めて弱かった、外圧に弱かったわけですが、いよいよアメリカも、この問題をいわゆる国際金融の問題として取り上げ始めたんですね。
 それともう一つ、今、先進国というか世界じゅうの国の中で、生命保険を国営でやっている国というのはないんですね。こういう標準から見ても、もう日本が簡易保険を国営でやっていくという意義は私は全く薄れてきている。
 したがって、今回公社になるわけですから、この大きな改革時を機に、簡易保険の縮小あるいは廃止に向けてかじを切っていくべきではないかというふうに私は思います。
 それで、今回の公社化法案では、簡保の経営がいわゆる国直営時代よりもある意味で規制がなくなって、ますます民業を圧迫していく可能性が指摘されているんです。
 さて、総務大臣、今私るる述べましたけれども、簡易保険の必要性、あるいは、公社になってから簡易保険をどういう方向に持っていくのか、御見解をいただきたいと思います。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 よその国にというお話がありましたが、諸外国でも、ドイツは州営の生命保険機関を持っておりますし、フランスでは特殊会社が任意加入の生命保険をやっているし、アメリカでも州では似たようなものがあると聞いております。
 いずれにせよ、国でなくて今後は国営公社になるわけでございますから、今委員が指摘されたような点を含めまして、国民にとって広い選択肢、多様な選択肢の方がいいわけでございますし、これは長い歴史と実績と、国民に親しまれているんですね。そういう意味で、同じことを繰り返しますけれども、我々は最も身近な生活保障手段だと思っておりますし、民間とはそれなりのすみ分けが、だんだん近づいておりますけれども、それなりのすみ分けはできておりますし、状況を十分、今後の変化を含めて考えながら、中長期的に検討してまいりたいと思っております。
松沢委員 それでは、簡保に関連して、金融検査に関してちょっと逐条の審議をしていきたいと思うんです。
 今回の郵政公社化法案によれば、公社の中期経営目標、中期経営計画が財務大臣との協議事項になっている。これは六十六条であります。
 大臣、私は、郵貯、簡保の存在がここまで肥大化して大きくなってきて、健全な金融市場の発展を阻害している、こういう批判も民間からさまざまあるわけですね。私は、この六十六条のところに、やはり金融庁長官との協議、すなわち、財務大臣だけではなくて、郵貯というのは、民間と競合してお客様を集めて金融をやっているわけで、預金を集めているわけです。簡易保険も、民間と競争して保険加入者を集めているわけですね。同じフィールドで戦っているわけですよ。ですから、国営の郵貯や簡保が利率を動かしていくとか、さまざまなことをやっていくというのは、完全に民間にも影響を与えるわけですね。そうであれば、金融を担当している金融庁とも協議が必要だと思いますけれども、法案ではそうなっていません。総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 公社は、今委員も言われましたように、中期経営目標、中期経営計画をつくって事後チェックでいく、こういうことが基本法の精神でございまして、ぜひそうやらせていただきたいと思っておりますし、また、その監督は、余りあれもこれもじゃなくて、やはり一元的にしっかり監督した方がいいわけでございますので、これは総務大臣でやらせていただく、こういうことでございます。
 何で財務大臣に協議するかといいますと、これは、予算だとか財政投融資だとか、いろいろな総体の、国の財務に関する、国庫に関する大臣でございますから、これは従来からもそういうことでやってまいりましたので協議をさせていただきますけれども、それ以外の、個別にちょっと関係があるからということでは、私は、かえって監督の多元化、責任の分散につながるんではなかろうか、こういう気がしております。委員が言われるように、リスク管理の必要性は十分ありますから、国民の皆さんのお預かりした金ですから、そういう意味では、今回初めて、リスク管理のいろいろなチェックを金融庁にやっていただこう、こういうことで私どもの方から委任をして金融庁に検査をしていただく、こういうことにいたしたわけであります。
 これは郵貯だけじゃありません。もちろん簡保もそうでございまして、そういうことの上で、専門的な立場からの金融庁のいろいろなアドバイスはいただこう、全般的に。こういうふうに思っておりますが、法律の権限配分としては現在のような形がいいのではなかろうかと考えております。
松沢委員 村田副大臣、公社の中期経営計画とか中期経営目標、この中には、郵貯、簡保を今後どうしていくか、商品の利率の問題や料率の問題、さまざまこれは入ってくるわけですね。これはある意味で、公社が勝手にやられてしまうと、金融市場全体に対する影響、極めて大きいですね、もう規模が巨大でありますから。簡易保険の方でも、予定利率を簡保がどんどん先行して上げていって、それに負けてはいけないということで民保が後追いして頑張った、でも、それが民保の経営難を招いている、こういう事実もこれまであったわけですね。
 ですから、私は、金融庁としてしっかりと、この中期経営目標、経営計画、公社が決めるわけですけれども、財務省だけではなくて金融庁にも相談しろ、これを言うのは金融を担当している大臣、副大臣として当然だと思いますが、副大臣はいかがお考えですか。
村田副大臣 今回の法律の改正によりまして、財務大臣との協議というのが求められていますが、これは、財務大臣の公社に対します、出資をしたりそれから保証をしたり、そういう国庫大臣の立場からの規定であるというふうに解釈をしておりますし、私どもも、金融を総合的に見る、そういう権限は、金融担当大臣の立場として、内閣府設置法におきまして、金融の円滑化を図るための環境の総合的な整備に関する事項の掌理ということになっておりますが、これは、金融庁ではなくて金融担当大臣の職務として法律上規定づけられているということでございます。
 私ども、そういう意味で、先ほど申しましたように、金融担当特命大臣の立場から、例えば民間の金融との競争上不公正な事態が生ずるとか、そういうような事態には担当大臣として適切な対応をしていきたい、こういうふうに考えておりますが、今先生おっしゃるような中期計画の認可の際等々につきまして、私ども、協議を求めるということまでは考えていないというわけでございます。
松沢委員 もう少し細かい議論をしたいと思うんですが、まず郵貯の金利について。
 郵貯の金利は公社が定めるとなっているんですね。この改正の簡保法では、簡保の料率は総務大臣の許可事項となっているんですね。これは微妙に違うんですね。
 そこで、ちょっと詳しくお尋ねしたいんですが、郵貯法の改正案では、公社の定める貯金の利率の決定方法に基づき公社が定めるというふうに条文ではなっています。それで、現行条文では、この第二項に、一般の金融機関の預金の利率についても配慮しなければならないという規定があったんですが、改正法ではそれは削除されているんですね。ただし、現行の郵便貯金法施行令第二条第二項の規定が生きているとすれば、これは問題ないと思うんです。この施行令で、利率についてはしっかりと民間の金融機関を配慮しなければいけないというふうになっているんです。
 ちょっと細かい議論ですが、この施行令にある利率を、民間の配慮をしなければいけないというのはまだ生きている、こう考えてよろしいのかというのが第一点であります。
 もう一点は、簡保の料率については、今度、改正簡保法では総務大臣認可事項となっていて、第三項に、総務大臣の審査に当たっての着眼点として、「保険料の算出方法が、保険数理に基づき、合理的かつ妥当なものであること。」という規定がありますけれども、ここで言う「合理的かつ妥当なもの」という判断の中には、民間の生命保険会社の料率設定に対する影響度というのも含まれているんでしょうか。それがなければ、郵貯の利率と簡保の料率に対して民間との整合性を図るというのが違ってしまうんですね。そこを確認させていただきたいというふうに思います。
山内大臣政務官 お答えをさせていただきます。
 先生の質問の中で、料率とか利率あたりはいろいろ金融庁等々と協議をしながらやってくれということも入っておりますけれども、今回の公社化に伴いまして、郵便貯金の利率というのは公社が決定することになっておりますが、その利率は、市場金利を勘案するほか、預金者利益の確保という面、そして収支相償及び民間預貯金金利への配意といった利率の決定原則のもとに決定をされております。
 利率の決定に当たりましては、公社が利率の決定方針を作成いたします。そして、総務大臣が認可することになっておりますが、その認可に当たりましては、審議会に諮問するといったほか、民間金融機関を所管する金融庁長官とこれを法律上協議するということといたしております。
 また、具体的な利率については、その方針に基づいて公社が定めまして、総務大臣に届け出することになっております。
 もう一つでございますが、簡易保険の保険料の計算とかそういったものについては、今回の法案においては、保険数理に基づきまして、合理的かつ妥当なものであるということを認可基準といたしておりまして、総務大臣が、収支相償原則に従った健全な保険料となるものであるということを判断しまして、審議会に諮問の上、許可を行うことといたしております。
 また、生命保険の保険料というのは、これは死亡率や運用利回り等の実態を踏まえまして、若干の余裕を持って設定をいたしております。実績との差額については、配当によりまして精算する仕組みになっております。
 このため、保険料を高目に設定し、また事後の配当を多くする方法、これは高料高配といいますけれども、それともう一つ、保険料を低目に設定いたしまして事後の配当を少なくする方法、低料低配があります。民間生保の保険料の計算基礎は明らかにされておりませんけれども、各社の経営判断によりまして、さまざまな保険料が設定されているものと我々は認識をいたしております。
 したがいまして、公社の設定する保険料というものについては、預貯金金利とは異なりまして、直接金融市場に影響を及ぼすような性格ではないものと思っておりますので、金融庁に協議するということについては、ちょっとなじまないのではないかなと思っております。
松沢委員 今の答弁で、郵貯と簡保のその若干の違いはわかりますが、ただ、郵貯も簡保も民間との競合状態にあるわけで、これは民間の動向をかなり配慮しながら、審議会でやるところもありますけれども、決定をしていくという仕組みが担保されているというふうに考えてよろしいですね。
 次に、立入検査の五十八条のところをお伺いしたいんですけれども、公社化法案によれば、他の政府系金融機関と同様に、郵政公社についても立入検査権限の一部を金融庁長官に委任できる、総務大臣が総理大臣に、そして総理大臣が金融庁長官に委任できるというふうに五十八条でなっています。
 ただ、郵政公社には、他の政府系金融機関とは違って簡易保険業務というのが存在しているんですね。したがって、事郵政公社に関しては、いわゆる金融機関でやる金融検査マニュアル、プラス金融庁が生命保険会社に行っている保険検査マニュアルに基づく検査も委任されるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
村田副大臣 私ども、今回の改正によりまして、郵政公社に対しても主としてリスク管理分野にかかわるものについて検査をさせていただく、こういう形になっております。これは、私どもも、民間金融機関に対します今まで積み重ねられたその検査の実績といいますか、それを活用させていただくということであるか、こういうふうに思います。
 おっしゃるとおり、金融検査マニュアル並びに簡易保険につきましては保険会社に対します保険検査マニュアルというのがございまして、それを適用しながらやらせていただくということでございます。
 ただ、細かいことを申し上げれば、リスク管理分野の資産運用リスクのうち、不動産投資リスクを見るというのがありますが、それは恐らく、簡保は、不動産について投資する、そういうのは認められておりませんので、そこは省いて適用になるのではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、今後御相談をさせていただきたいというふうに思っております。
松沢委員 具体的に言うと、金融検査マニュアルになくて保険検査マニュアルの方に入っているのが、今の不動産の部分と、いわゆる保険取引リスクと保険募集管理、この二つの項目ですが、これについても検査対象になるという判断でよろしいんですね。
村田副大臣 保険引き受けリスクということだと思いますが、保険引き受けリスクはもちろんリスク管理分野の中に入りますが、委員が今おっしゃった保険募集管理の方は、法令審査といいますか、コンプライアンスの部分なものですから、私どもはそれを除いた部分について、法令遵守義務、そういうものを除いた、純粋にリスク管理の分野について委任を受ける、こういうことになっていると考えております。
松沢委員 そうしますと、改正簡保法の中に、百四条「保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為」というのがあるんですね。
 それで、今、生命保険の勧誘の現場で一番問題になっているのは、簡保の勧誘員、セールスマン、そして民保のセールスマンの中で、さまざまなトラブルがあるんです。実は、報告されているだけでも、例えば、国が事業として行って、その支払いも国が保証しているということを過度に宣伝して、民保は危ないよ、簡保じゃなきゃどうなるかわからないよ、こういう、ある意味でおどしまがいの勧誘がそこらじゅうで行われている。だから、簡保の加入者がどんどんふえちゃうんですね。
 例えば、報告書を見ても、こんなのが出ていますよ。民保の最近のニュースを見て不安を感じないかとか、民保はことし四社も経営破綻しているとか、民保はだめ、あと十一社つぶれるデータがあるとか、民保はいつつぶれるかわからない、こうやって簡保の勧誘員が、よく金融のことをわかっていないお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんを勧誘すれば、それはもう、そんななんですか、じゃ、やはり簡保にかえようとなるわけですよ。
 ですから、この保険の募集についてしっかりと金融庁で金融検査の中で見ていただかないと、これは、国の威信をバックにしている金融機関と民間のリスクを抱えながら競争してやっている金融機関が一緒の市場で競争すれば、国の威信をバックにしている企業が勝つに決まっているんですよ、逆に言えば。それを過度に、民保は危ないよ、つぶれますよ、簡保にしておかなきゃ危ないよと言われたら、これはどんどん簡保に移っちゃいますよ。
 こういう事例が幾つも報告されている中で、この保険募集管理についても検査マニュアルの中に入れないと、ますます簡保の肥大化が進みますよ。どうですか。これは、やはり私は保険募集管理についても検査マニュアルの中に入れていくべきだと思いますけれども、いかがですか。
山内大臣政務官 委員がおっしゃっております件については、まだ実態そのものは十分把握しておりません。ただ、我々総務省側で把握していることについては、この簡易保険において募集行為が公正に行われるべきことは当然であると考えておりまして、公社移行に伴いまして、簡易保険の実施主体が国とは異なる公社ということになることから、今回の法案では、保険募集の公正を確保するために、民間生保の募集行為の規制についてちゃんと規定をいたしております。保険業法第三百条と同種の規定を簡易生命保険法に設けるとともに、保険業法施行規則第二百三十四条と同種の規定を総務省令に設けることを考えております。
 また、御指摘いただきました他社の経営状態に関する風評を利用した募集行為、これは、民間生保であれば、保険業法第三百条に基づきまして保険業法施行規則第二百三十四条に抵触する行為として、保険業法第百三十二条に規定する業務改善命令の対象となるものであります。
 この行為は、郵政公社においても、先ほどおっしゃいました簡易生命保険法第百四条に基づく総務省令に抵触する行為として、日本郵政公社法第六十条に規定する法令違反等の是正命令の対象となります。
 こういった規定によりまして、日本郵政公社に適正な募集体制の確立を期待するとともに、総務大臣としても、保険募集の公正を確保する観点から、日本郵政公社の職員の募集行為について適切に監督をしていくということを考えておりますし、今の段階では、そういったものについてはきっちりと処分をいたしております。
松沢委員 総務大臣、これまで細かい議論をしてきましたけれども、郵政公社の監督体制というのは、もちろん総務省のもとに郵政公社は置かれるわけでありますけれども、これは、例えば郵貯、簡保という、ある意味では巨大な金融機関も抱えるわけですね。その資金が、これから郵貯は自主運用になっていきますが、財政投融資という、政府の財政にも物すごく大きな影響を与えるところと密接に絡まっているんですね。
 ですから、私は、もちろん権限はしっかりと公社化法案に書いてありますけれども、総務大臣を中心に、公社の経営や監督についての閣僚の協議機関というのを設けていかないと、密な情報交換がとれないと思うんですよ。
 それで、一月二十二日の新聞に、随分前ですけれども、郵政公社、閣僚級で協議機関をつくろうという記事が載っていて、福田官房長官も、その方がいいんじゃないかというような記者会見もしているんですね。メンバーは、恐らく総務大臣、財務大臣、金融担当大臣、それに総理も必要だったら絡むと思うんですが、郵政公社の活動領域を見ても、金融ともさまざま絡みますし、財政ともさまざま絡みます。こういう閣僚の協議機関をつくるべきだと私は思いますし、政府の中でも、この新聞を見ると、それを議論した実績があると思うんですが、総務大臣、どうなんでしょうか。
片山国務大臣 今委員が言われました一月二十二日のものは、郵政公社の制度設計の際に財務省や金融庁の意見を反映したい、こういうことの話が閣僚懇で出まして、それは十分協議しましょう、こういうことにいたしたわけです。それを官房長官が、そういう閣僚会議みたいなことで発表されたわけですけれども、協議を十分する、こういうことでございまして、それはそれで十分協議いたしましたので、今の日本郵政公社法になったわけであります。
 今後、必要に応じて、それは財務省なり金融庁とは法律上で協議する事項も決まっておりますけれども、それ以外の事実上もいろいろ協議をする必要が出てくると思いますので、随時、そういうことは適切に、状況に応じて対応してまいりたいと思っております。
松沢委員 金融副大臣、もう終わりですから、いいです。済みません。
 それでは、次のテーマに入ります。郵便制度と密接に絡まる切手の制度を取り上げてみたいと思うんです。
 昨年度の切手の販売枚数、金額というのは、大体どれぐらいになっているんでしょうか。
松井政府参考人 端的にお答えします。
 昨年度の切手の販売枚数については把握しておりません。それから、切手の収入額でございますが、今、決算過程にございます。正確な数字はまだでございますが、約四千二百億円程度かと思っております。
 なお、その前の年の平成十二年度の切手収入額は四千七百八十四億円でございました。
松沢委員 そのうち、実際に消費者が使用した切手枚数や金額はどれぐらいと把握されていますでしょうか。二〇〇〇年の数字で結構ですから。
松井政府参考人 これは、現在データはございません。たくさん発行はしておりますけれども、退蔵されているのもございますし、そのうちどれだけかということにつきましては、現在は、使われているものと使われていないものについての区分けしたデータは持っておりません。
松沢委員 年間発行する切手でどれだけ使われているか全く把握されていない中で、ではその次の年の切手の発行をどれぐらいにしようかという計算は全然成り立たないと思うのですね。ですから、ほとんど想像の世界で、ことしもこれぐらいという形じゃないでしょうか。私は、この切手、実需、つまりはがきや封書に張って使う切手の枚数とはかけ離れた枚数の切手が、今、日本の中に出回っているんじゃないかという疑問を持っている一人なんです。
 さてそこで、郵政事業庁は、切手販売のノルマを各郵便局にかけていますでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 営業目標という形では、これは事業経営上、当然必要になるわけでございますが、これにつきましては、今、切手、はがきの収入をその一部として取り上げております。ほかに別後納料の収入もございますが。
 ただし、先生のおっしゃったノルマという意味合いでございますが、いわゆるノルマを課すというふうなことではないというふうには考えております。
松沢委員 ある近畿地区の五人局員のいる特定局で、年間の郵便収入ノルマ三千九百万円というのが雑誌に出ておりました。それで、その郵便収入の主なツールは、一つはいわゆるふるさと小包であります。ふるさと小包もかなりのノルマで追いまくられているというのはそこらじゅうで記事に出ていますが、もう一つは切手の販売のノルマですね、これがいかないと収入は上がりませんから。
 さて、そこでお聞きしたいのは、切手という政府が郵便のために発行する証書で物品の購入は認められますか。
松井政府参考人 端的にお答え申し上げますが、物品購入に伴う国の支出方法は、一般的には会計法で定められておりまして、日本銀行を支払い人とする小切手を振り出すということが原則でございます。他に、郵政事業特別会計におきましては、郵便局に現金を保管しているということがございますので、債権者に対し現金払いも認められております。しかしながら、お話しのような、切手を購入の手段として用いるということはできないものでございます。
松沢委員 今長官はできないとおっしゃいましたが、それが郵便局で堂々と行われている。私、証拠もつかんでまいりました。
 ここに郵便局奨励物品二〇〇〇年版総合カタログというのがあって、郵政局財務部指定、株式会社ソーリュー、これもファミリー企業なのかなと思いますけれども、このカタログをあけると、郵便局で使っているさまざまな景品、簡易保険に入ってくれたらありがとうございましたといろいろなたぐいを渡すんでしょう。ここで、例えばおふろで使うたわし、単価二十五円と書いてありますね。その下に、K価格〇〇三〇と書いてある。これは三十円ということなんですね、K価格。ほかもすべての物品に単価が書いてあって、その二割増しでK価格というのを打っているんですね。K価格というのは切手価格のことだと私は思います。
 それで、郵便局の局員さんたちは、切手販売のノルマを果たすために、郵便局が購入するすべての文房具だとかこういうものを切手で買っているんです。切手が物品販売の決済手段になっちゃっているんです。それも一物二価であります。現金で買うなら二十五円、それで、K価格、切手で買うなら三十円なんですね。なぜそういうことが起きるかといったら、業者はたまったものじゃないですね、切手なんかもらっても。ですから、業者は金券ショップにそれを売りに行くわけであります。そこで、金券ショップでは一割引くから、二割増しの値段がついているわけですね。皆さん、正々堂々とカタログに切手の価格が明示されて、郵便局では物を買うのに切手を使っている。さあ、こういう事実を長官御存じですか。
松井政府参考人 先生御指摘の雑誌の記事等がございますが、私どもといたしましては、郵便局の会計処理につきましては、先ほど申し上げましたように、切手をもって物品を購入するということは許されておりません。ですから、いろいろ会計監査だとか監察による考査だとかやっております、そういう中で定期的にチェックをいたしておりますけれども、御指摘の、郵便局の業務としてそういった形で購入されたということは承知しておりません。
松沢委員 それでは長官、これはもう郵便局奨励物品カタログなんて出ちゃっていますからね。郵便局で使うものなんですね。それでは、今郵便局で切手を使って物品を決済していたということが事実になったときは、郵政監察含めて何らかの処分をとるんですか。
松井政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、もしそういうことがございましたら、それは当然違則でございますから、明白になりましたら、きちっとした厳正な措置をとらなければならないと考えます。
松沢委員 では、全国の郵便局で調べてください。そして、我々国会に来週までにその調査結果を出していただきたいと思いますが、委員長、どうですか、お願いできますか。
松井政府参考人 私が先ほど答弁させていただきましたのは、そういう事実が確認されればということでございますが、御案内のように、全国には膨大な数の郵便局がございます。日々膨大な業務をやっております。そういう中で、先生の御指摘の形、具体的な局でこういう話があるということでありましたら、そこに関して調査することは当然可能だと思いますが、一般的な形では、全国ですべて調査してということは難しいのではないかと考えております。
松沢委員 一千人以上の郵政監察がいるんですね。それを指令を出して、二万五千局全部調べろとは言いません、各都道府県で十なり二十なりの局を調べるということは全く不可能ではないと思いますが、これはもうある意味で国政調査権でもありますので、きちっと来週以内に、少なくとも全国で百局ぐらいの実態を調べていただきたい、そしてそれを国会に提出いただきたい。できますか。
平林委員長 どうですか、答弁できますか。それとも……。では、答弁してください。
松井政府参考人 これまで、その記事が出た段階で、一般的な、どうかというあれはやっておりますが、今、これまでそういった事実は承知しておりません。ですから、具体的な御提起がありましたら、それに対してはきちっと対処させていただきます。
 ただし、先ほどちょっと申しおくれましたけれども、郵便局とおっしゃいましたけれども、一般に、局としてのあれではなくて、セールスマンがポケットマネーで周知物品を買ってやることも聞いたりします。ですから、いろいろな形はあるのかなと思っておりますが、いずれにしろ、不確かなことで申し上げるのは本当は適当でないのかもしれませんが、いろいろなパターンがあり得るものとは思っております。
松沢委員 だから、できるんですか、できないんですか、調査。やるかやらないか、それを言ってください。
松井政府参考人 具体的な問題を御指摘がございましたら、この局でこういう話があるというお話がございましたら、きちっと対応させていただきます。(松沢委員「無作為抽出でいいですよ。では、各県十局やってください。それはできますか」と呼ぶ)
平林委員長 ちょっと発言を求めてからにしてください。
松沢委員 各都道府県十局、無作為抽出でいいですから、切手で物品購入が行われているか否か、それを調べてください。いかがですか。
松井政府参考人 一カ月とおっしゃいましたか、期限。(松沢委員「千人もいるんだから、郵政監察が」と呼ぶ)私どものブロック機関がございます。郵政局、郵政監察局ございますが、どちらにするかはちょっとあれになってございますが、検討させていただきます。ブロック機関を通して適当な数字でチェックできるかどうか、ちょっと勉強させていただきたいと思います。
松沢委員 これはもう国会には国政調査権がありますから、そんな難しい調査でないと思うんですよ。これは委員長の権限で、しっかり委員会として郵政事業庁に調査をさせる、そういう方向に持っていっていただけませんか。
平林委員長 ただいまの松沢委員の御要請に対しましては、理事会に諮りまして、それで私から処理の方法を決めさせていただきます。
松沢委員 それでは、総務大臣、今、切手で物品を買いまくっているというこの事態、要するに、切手販売というのは郵政事業庁の売り上げになっているわけです。それが切手の本来の目的である封筒やはがきに張られないで、何割かはわかりません、かなりの切手がノルマで買わされて、それが物品購入にどんどん使われているんですね。この実態、これはやはりしっかりと調査してやっていかなきゃいけないと思うんです、正していかなきゃいけないと思うんですが、総務大臣、やはり監督省庁でありますから、きっちりと郵政事業庁にそれを命じていただけませんでしょうか。
片山国務大臣 私も初めて聞いた話なんですが、それは個人で、不心得な個人がやっているのか、どういう形でやっているのか、介在する人がやっているのか、よくわかりませんが、いずれにせよ、ブロックの郵政局や郵政監察局がありますから、そういうところと相談して、実態を明らかにいたします。
 ただ、幾つの局をいつまでにというのはちょっと待ってください。それは十分検討の上でやります。
松沢委員 それでは、委員長、これをきっちり国政調査権で調べていただくと、できるだけ早く。これはもうこれから、私はこの法案、公社化法案も、きっちりとこういう問題がクリアできていなければ、民間の企業会計原則なんかに耐えられませんよ。だって、もうとにかく切手をたくさん売れば収入になるんだ、後は野となれ山となれでしょう。それが、切手がもうあふれちゃって、それを物品購入に使っているわけですよ。そんないいかげんをしているような郵便局を抱えていて、あるいは郵政事業庁のままで、公社、企業会計原則、独立採算制、成り立つはずがないんですよ。
 これは審議の前提ですから、来週中ぐらいに出していただかないと、これは法案をもういつ通そうなんてやっていますから、それはいかがですか。(発言する者あり)
平林委員長 速記をしばらくとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 松沢君。
松沢委員 郵便切手というのは、国民がいつでも郵便サービスを利用できるようにあらかじめ料金を支払ったかわりとして受け取って、後にサービスを受けようとする際に郵便物に張ってやっている、つまりこれは証紙なんですね、証紙。ある意味で国債に類似した、一種の官製の有価証券というふうに見るべきだと思うんです。
 したがって、郵便事業特別会計を一つの企業と見立てた場合には、郵便切手の売り上げは負債に相当する。さらに厳密に言えば、この負債は、毎年ごとの切手売り上げから切手を使って出した郵便物の郵便料金、提供したサービスの合計を差し引いた金額が累積したものと考えられると思うんですね。
 さあそこで、郵政事業庁が、郵政行政統計年報というのがあるんですが、平成十二年度末に郵便事業の累積黒字が千二百二十六億円あると言われています。一方で、ここが大事なんですが、昭和四十年から平成十二年まで、特殊切手、いわゆる記念切手を発行した負債額、このフローは何と一兆八千九百六十五億円になっているんです。
 これまで、日本国は記念切手を乱発してきました。実は、記念切手というのは途上国がたくさん発行するんです、それは、外貨をとりたいし。ですから、上の方に来るのは場所をよく知らないようなアフリカの国が多いんですが、何と日本はいつもその四番目、五番目ですよ。普通、先進国はみんな三十番目、四十番目。日本は記念切手を乱発です。それも、何かもうどういう基準で記念切手を出すのか全くわからない。ひょっとしたら、有力政治家が、これはおもしろいから記念切手にしろなんと言うと、はい、わかりましたとつくっちゃうんじゃないかと思われるぐらいに記念切手シートというのはたくさん出る。
 この記念切手、いわゆる特殊切手というのは使われないことを前提にしていますね。でも使えるんです。ただ、記念切手を乱発しますから、記念切手の相場が額面割れしちゃっているんです。ですから、今、切手収集家は怒っていますよ。せっかく記念切手を持って、将来上がると思ったら、今流通価格は額面割れですから。乱発に乱発を重ねている。これは、郵便局の財政にとって非常においしいんですよ。記念切手ですよ、皆さん、切手に興味ある人、買いましょうとどんどん売るわけですね。それで収入が入る。みんな使わないでやってくれるから、収入だけですよ。
 ただ、もし今全国の切手収集家が、もう今の郵便のやり方は頭にきた、この記念切手、もう額面割れして流通しても意味がないんだから全員でこれを使ってやれといったら、郵政事業庁は大変なことになるんです。一兆八千九百六十五億、これを料金を受け取らないで手紙、はがきを出していかなきゃならなくなる、大変なことになるんですね。
 さあそこで、郵政公社になるので、ここでこの記念切手や切手の問題をしっかりと清算してから独立企業体、郵政公社にしていかないと、これは大変なことになると私は思うんですね。
 それで、お聞きしたいのは、郵政公社化に伴って既発行切手の有効期限を例えば限定するような可能性はありますか。
 それから、郵便料金の大幅な値上げをやるとしたら、これは既発の郵便切手の実質価値を大幅に下げることになって問題なんですけれども、これについてはどう考えているのか。
 あるいは、今後郵便事業は一応リスクを抱えるわけですね、独立企業体ですから。そうなった場合に、例えば郵便切手に付利を行うとか、あるいは郵便切手を国や公社が換金ないし国債や収入印紙等に交換するといった措置をとるということは考えられるのか。
 そして四点目は、今後民間の事業者が信書便法案によって参入した場合、こうした不特定多数から事前に料金を集めることができる郵便切手を自由に発行するということを認めていくんですか、これは総務省ですね。
 まず、その四問についてお伺いしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 四つございました。まず、有効期限を決めるかというお話でございますけれども、これは、既に発行し、お買い上げをいただいておりますので、表示された金額に応ずる価値を法律上当然持つというふうな前提になっております証券でございますので、これから有効期限を決めるということはなじまないのではないかというふうに考えます。
 二つ目に、値上げの場合ということでございましたけれども、これにつきましては、金銭の代用ということでございまして金銭価値は確定しておりますので、これまでもそうでございますけれども、その価値は変わらないものとして、料金に応じたものを納めていただくことになるというふうに考えてございます。
 それから三つ目に、会計原則の関係でございましょうか。現在、切手類につきましては、販売時に販売額を全額収益として認識しておりますが、御指摘のとおり企業会計原則ということになりますので、公社化後は、切手類が使用され、郵便のサービスを提供する時点において収益として計上するという考え方で整理してまいりたいというふうに考えております。
 それから最後に、公社化に伴って、国債や印紙に交換してはどうかという御指摘でございますけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、郵便料金の納付手段として切手を発行しておりますので、今後ともこの切手は有効でございます。したがいまして、換金とか国債、印紙への交換ということにつきましては、そういうことを行わないで、引き続き切手として利用いただきたいというふうに考えているところでございます。
松沢委員 今、大変重要な発言があったと思うんですが、今まで切手というのは、売られた時点で収入に入れていたわけですね。でも、正規の使われ方はしていないような切手が大分流通していた。逆に言えば、郵政事業庁は、売り上げをふやすために切手の乱発をしていたわけです。ところが、これから企業会計原則になるから、そこはしっかりしなきゃいけない、切手というのは、売られたときに会計に入れるのではなくて、使われた部分をしっかり会計に入れる、こういう発言だったというふうに思います。
 大臣、最後に、この累積負債ですよね。切手をどんどん発行しちゃっているわけですから。これをきちっとコントロールできなければ、企業会計基準を採用する日本郵政公社のいわゆる資産、負債の総合管理というのは到底できないんですね。
 民間参入を認める上で、こうした重要なポイントについても十分な詰めを行っておく必要があるというふうに思うんです。総務大臣はいかがですか。最後に。
片山国務大臣 切手についていろいろな御指摘をいただきましたので、御指摘に対して十分今後内部で検討してまいります。
松沢委員 以上です。ありがとうございました。
平林委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 私は、逐条担当は、信書便法の九条から二十二条であります。その質問が終わらなければ、質問主意書で残りを聞くことになりますので、ぜひ大臣、副大臣には、端的な答弁をお願いいたします。
 この質疑に入ります前に、一点だけ、質問通告にはなかったんですけれども、昨日の新聞の記事についてお聞きいたします。
 昨日、六月二十六日の日本経済新聞で、地上波デジタルの記事がありました。国が二千億円負担するという記事です。そこにはこのように書いてあります。「総務省はその財源に携帯電話会社から徴収して電波の不正利用防止などに使っている電波利用料を充てる方針。電波法でアナログ放送を停止すると定めている二〇一一年まで同利用料を毎年二百億円程度投入する。」というふうに書いてあります。
 四月二十五日の武正議員の質問に対して総務大臣は、この二千億円になってもなかなか電波利用料を上げるということにはならないですねとお答えになっていたと私は記憶しております。
 今、個人の携帯電話、年間五百四十円の電波利用料がありますけれども、この新聞の方針になったとしても、携帯の電波利用料は上げないと考えていると考えてよろしいですね。
佐田副大臣 先般のニュースにつきましては、私も拝見させていただきました。
 結論から申し上げまして、電波利用料を上げるという方針は今ありません。
 そしてまた、先ほどもありましたけれども、今のいわゆるアナ・アナ変換、これにつきましては、各地域そして中央で協議会を設けまして、どのぐらいかかるかということを試算しております。これが七月の下旬から中旬にほぼ出てくる、こういうふうに考えておりまして、その二千億という話は我々は聞いていないところであります。
中村(哲)委員 詳しいことは、また後日、武正委員が質問させていただくことになると思います。
 さて、本論に入らせていただきます。
 信書便法九条から二十二条に入ります前に、前回からの引き続きとなっております信書の定義の問題について議論をさせていただきます。
 この間の質疑で、私はこのようにお聞きいたしました。「本日の片山大臣の御答弁を総括いたしますと、信書の送達、ユニバーサルサービスの提供というものは、日本国が立憲主義をとる限りにおいては、必ず国民にあまねく保障しなくてはならない、そういう性質のものだと政府は考えていると考えてよろしいですね。」それに対して片山大臣は、「そういう考え方ですね。」とお答えされております。
 改めて確認から入らせていただきたいんですけれども、なぜ国家は信書の送達を保障しないといけないのでしょうか。
片山国務大臣 前回も中村委員からそういうお話がございましたが、信書による通信は、国民の思想、信条の自由や表現の自由に密接にかかわるものであり、かつ通信の秘密が保障される必要がある、その上であまねく公平に提供される必要がある、そういう基本的な考え方に基づくからであります。
中村(哲)委員 つまり、立憲主義の要請だと考えてよろしいですね。
片山国務大臣 そのとおりであります。
中村(哲)委員 そうすると、国民の基本的な通信手段だというところが一点、ポイントになると思います。大臣も前回の六月六日の質疑において、「国民にとっては基本的な通信手段ではないかと考えております。」と御答弁なさっております。
 なぜ国民の基本的な通信手段なのか、電気通信との違いは何なのか、その点についてもう一度御確認いたします。
片山国務大臣 電気通信の方は、これは設備の購入をし、契約をしなきゃいかぬのですね。基本的な違いは、同じく基本的な状況に今なりつつありますけれども、現物性だとかいろいろな意味での特色が信書の送達にはある、私はこう考えておりまして、電気通信の方も基本的な通信手段の一つになりつつありますけれども、こちらの方は、もう昔から基本的な通信手段、今でもそういう意味では基礎的なものだと考えております。
中村(哲)委員 昔からということ、何がポイントなのかということで、きのう、質問取りという言葉を使っていいのかわかりませんが、質問の内容について総務省の皆さんがいらっしゃったときに、なぜ基本的なのか、なぜ昔からあったのか、そこのポイントは何かという話をさせていただいたときにあらかじめ詰めさせていただいたことがあるんですけれども、そこの点について、大臣、なぜ昔からなのか、そのポイントについてもう一度御確認させていただきたいと思います。
片山国務大臣 委員が言われましたように、立憲民主主義ですか、立憲制度ですね、憲法に基づく、そういうことは、基本的には表現の自由、これが根っこにあるわけでございまして、その表現の自由を基本的には保障しているからであります。しかも、それは、秘密を守るということがどうしても不可分のものとしてこれに付随しておりますよね。それが、我が国が明治以降の立憲政治の発展の過程でこの郵便事業、信書の送達事業というものが一体として今日まで来た、こういうふうに考えているからであります。
中村(哲)委員 通信の秘密という話になると、電気通信でも同じことでございます。なぜ電気通信と違って昔から基本的な通信手段として認められるのか、そこはきちんと把握しておく必要があると思います。それについてもう一度大臣の御見解をお願いいたします。
片山国務大臣 それは先ほども言いましたが、なるべく安い料金であまねく公平に提供される、そういう意味では、基礎的な通信手段として広く国民に提供され、現物性、儀礼性などの電気通信に見られない特性があり、大変重要だ。電気通信の方も、先ほども言いましたように、かなり基礎的な通信手段になりつつありますけれども、郵便の場合と異なりまして、利用に当たっては事前の契約と設備の購入を必要とする、こういうことがございますので、そういう意味で私は信書は違う、こういうことを申し上げたわけであります。
中村(哲)委員 つまり大臣、特別な設備が要らないということだと思うんですね。そうすると、それは具体的に何なのかというと、直接的な可視性、可読性がある、そういうことなのではないか、そう思うんです。そこはきのう確認できていたんですけれども、なぜ答えられないのかと私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
片山国務大臣 まさに言われるとおり、可視性あるいは記録として残る、そういう特性がある、これが目に見えるという、そのところが大きな特色だと思っております。
中村(哲)委員 まず目で見える、目で読める、そこが一番大きなポイントだということですね。だからこそ、立憲民主主義を支える通信手段として一番基本的なものとして、人間の能力として一番基本的な能力である目で見えるということで、きちんとコミュニケーションをとれる手段として信書は保障しないといけない。だからこそ、立憲民主主義を支える一番基本的な通信手段として信書の送達は国家が保障しないといけない、このように考えてよろしいですね。
片山国務大臣 そのとおりであります。
中村(哲)委員 信書の定義について、さらに詳しく考えさせていただきます。
 信書の定義として、今回総務省は三つの要件を定めております。特定性の要件、そして意思表示、これは事実の通知も含みますけれども意思表示の要件、そして文書性の要件。
 それでは次に、文書性の要件について質問をさせていただきます。
 六月六日に私は佐田副大臣とかなりやり合いましたけれども、やはり文書性の要件ということをきちんと詰めていく必要があると思っております。私がなぜ冷蔵庫まで持ち出して議論をしたのかというと、信書というものの文書性を判断する上においては、可視性、目で読めるということが一番ポイントなんじゃないか、そう思ったからでございます。私は、その物体に書かれた文字、記号から、可視的、目で見て読める情報のみで、一般人から見て、送り手、受け手、その通信の主体が意図するその物体の本来の役割が果たせる、そういうものが文書なんじゃないかと考えております。それについてどのようにお考えなのか、見解を伺います。
佐田副大臣 先生のお考え、確かに可視性ということは非常に重要なことだと思っております。また、この文書の面ということを考えますと、文書というものは本質的にどういうものかというふうに考えたときに、文字であるとか記号または人の感覚によって認識することができる情報を記載した紙その他の有体物、例えば、先生が先般言われました携帯であるとか冷蔵庫に当たるわけでありますけれども、すなわち、通信文がそういう中に記載されているか否かによりまして判断すべきことでありまして、要するに、通信文が記載されているものが、素材が何であるか、これにはこだわらないんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 通信の素材が何であるかは問わないというのは、まさに私もそのとおりだと思っておるんですね。しかし、それは目で見えるという可視性を重んじているからでございます。そこが立憲主義と密接に関係してくるからなんです。
 もし私の定義で不都合ならば、総務省の見解をそのまま当てはめることになります。そうすると、この間言ったように、例えば冷蔵庫に通信文を書いた場合、これは文書性に当たるのかどうか。二つあると思いますよ。冷蔵庫の使い方みたいなものを書いた添え状、送り状に当たるものを書いた場合、もう一つは、本当にそれとは関係のない、例えば契約書とかラブレターとかそういうものを冷蔵庫に書く場合、二つあると思いますけれども、どちらにせよ総務省の考え方では信書には当たる、冷蔵庫自体が信書に当たるということになるんじゃないですか。
佐田副大臣 その辺の判断でありますけれども、要するに、何に書くかということは、この間もちょっと申し上げたんですけれども、そういうことよりもやはり、定義として、事実または特定の方に対する意思を伝える、こういうことをかんがみてみた場合に、やはり常識的に、冷蔵庫に、だれが見ても秘匿性もないですし、例えば説明書きみたいなものが書いてある、これについては全く問題はないんじゃないか。ただ、冷蔵庫に文章、こういうことは常識的にまずないですけれども、手紙を書いたら、これはやはり信書と判断せざるを得ないんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 冷蔵庫に文章を書いた場合、それが信書に当たるというのならば、先ほど申しましたように、信書の送達というものは国家が保障しないといけないものとなります。だから、冷蔵庫に通信文を書いた場合に、それが信書に当たるのであれば、この冷蔵庫の運搬に関して国家が保障しないといけないわけになるんですよ。これはどう見ても社会的に私はおかしいと思います。だから、文書性の定義から外すように考えることこそが立憲主義の要請にかなうと思っているわけでございます。
 つまり、総務省の観点、総務省説をとると、信書の範囲は広くなるけれども、実際信書の保障をする範囲はもう少し狭いですよ、四キロ以上のものは保障していないというのはそういう趣旨ですよという議論になるわけですね。しかし、これは立憲主義からしたらおかしい。立憲主義の要請として信書の送達は国家が保障しないといけないというその大前提から考えると、やはりそういう考え方は論理的におかしいことになると私は考えます。その点についてはいかがでしょうか。
佐田副大臣 先生、冷蔵庫に文章を書いてそれを信書として送達することに対して国が保障をする、これはおかしいんじゃないかと。確かにおかしいと思います。常識的に考えて、そういうことが今までなかったわけですから、実際問題としてそれは、原則論を述べるのはいいけれども、これは具体的に私は存在しないんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 常識的に考えるという感覚は非常に大切だと思います。それは法だからです。社会通念、社会規範となっていないと、国家が強制力を持って国民に押しつける社会規範とはならない、それが法ですからね。そうとはならないという意味で、常識的というものは非常に重要なんですよ。だから、常識的な感覚を厳密に定義に生かしたときに、文書性の要件にやはり可視性と、その可視性から認められる情報のみでその本来の役割が果たせる、そういった感覚を私は定義の文言解釈に生かすべきなんじゃないかと考えているという趣旨でございます。
 これ以上問答を繰り返しても仕方がないので、ガイドラインの策定に関しては、必ず文書性の判断において、可視性またその前提となっている特別な設備は要らない、そういうことを考慮していただく、そこは約束していただけますね。
佐田副大臣 もちろん、可視性は非常に重要なことだと思います、これを見て。ただ、そういうものも踏まえまして、先生も御存じのとおり、判例に基づきまして、いわゆる信書の定義としての基本となります判例を踏まえまして、もちろん可視性も含めます。可視性も踏まえてガイドライン、非常にあいまいな部分もありますから、判断をしていきたい、こういうふうに思っています。
中村(哲)委員 立憲主義の要請から、どんな信書の範囲を国家は保障しないといけないのか、そこを改めて考えていただく。そこは改めてお願いしまして、次は特定性の要件に入らせていただきます。
 先ほどから特定性の要件について、通信の秘密とは関係がないという主張もありましたが、私は、総務省が言われておる、通信の秘密とは関係があるとおっしゃっている答弁に非常に論理性を考えております。そこについて、もう一度佐田副大臣に御確認させていただきたいんですけれども、特定性の要件と通信の秘密について、いかにお考えでしょうか。
佐田副大臣 定義がありまして、特定の受取人に対してという定義があるわけでありますけれども、そういうふうに通信の秘密の保護の必要性の有無を考慮することは非常に重要なことだと私は思うんですね。そういう中で、先ほども秘匿性という話が出ました。
 ただ、その必要性の有無について、個々のケースごとに差出人あるいは受取人の主観を一つ一つ確認するということは非常に難しい部分もありまして、そうなってくると、客観的に外形的に信書というふうな形で判断せざるを得ないんじゃないかな、こういうふうに思っております。
 憲法上の要請でもあります表現の自由、通信の秘密の確保の観点からも、そういう疑問に感じた部分は、やはりそういうふうな慎重な取り扱いをしなくてはいけないんじゃないかと思っております。
中村(哲)委員 まさにおっしゃるとおりだと思うんですね。信書がなぜ国家が保障しないといけないものなのか、そういったことを考えたときに、通信の秘密が非常に重要である、表現の自由も、まず信書の秘密が守られてこそ表現の自由が成り立つ。だからこそ、信書には特定性の要件があって国家が保障している、そういうことなんでしょう。
 そして、佐田副大臣がおっしゃったように、通信の秘密を送り手が意図しているのか、受け手が期待しているのかということの判断については、主観的に判断するのもなかなか難しい。一般的に、これは枠をはめて、それをそういうふうに扱うということですから、外形的、客観的な基準を設けないといけない、それはおっしゃるとおりだと思うんですね。ここは改めて確認しないといけない部分だと思っております。
 さて、そうしてくると、具体的にどういうものがこういうものに当たるのか、その検討をしていかなくてはいけないなと考えております。いつも総務省の皆さんと議論をさせていただくんですけれども、そこでまず挙がってきたのが、企業秘密が載っているような、そういった資料、文書を今のクロネコのメール便で送ったような場合、違法なのかどうかという観点です。まず、その資料、文書というものをフロッピーというような電磁的記録で送る場合には問題がない、そこはそのとおりですよね。
佐田副大臣 電磁的なものにつきましても、これはこれからガイドラインで考えていかなくちゃいけないんですけれども、電磁的なものを送るときには、やはりその中に、添え状的なものを書くかもしれませんし、その説明書みたいなものを書くかもしれませんし、そういうことになると常識的にはどうなるか、その辺の非常に境的な送達物になってくるんじゃないか、こう思っております。
中村(哲)委員 企業秘密が載っているもののフロッピーというのは、今の特定性の要件ではなくて、いわゆる文書性の要件ですから、さらっと答えていただいたらよかったと思うんですが、これは当たらないということですよね。
 次に、紙で新社屋の設計図みたいなものはどうなのかというと、これはまた難しいなと思うんですけれども、こういうのはどうお考えでしょうか。
佐田副大臣 設計図というのは、私も昔技術屋だったものですから、中に何も書いていないということはまずないですから、図形だけならばいいですけれども、中にはいろいろな特定な、寸法であるとか仕様書、図面だけ送るというのは意外とないものなんですね。仕様書というのが一緒にありまして、その中にいろいろなものが書いてある。こうなってくると、かなり特定の方に対して送るものになってくるんじゃないかな、私はこういうふうに思っております。
中村(哲)委員 次に、それでは、ある程度特定されたグループに同じ文書を送る場合であっても、信書に当たらないケースというものがあるんじゃないかなと思うんです。例えば通信販売のカタログ、例えば学生が受験して合格したその合格内定者に送る学校からのパンフレット、こういったものは、今のメール便など物品として送られております。こういったものは、ある程度特定されたグループに送るものであっても信書に当たらないというふうに扱われると思うんですけれども、そういうものもあると考えてよろしいですね。
佐田副大臣 先生、やはりどの程度の数で送るかという点があると思うんですね。例えば同窓会の通知だとか、それはかなり限定されますけれども、物すごい広い範囲でやるということになってくると、これはまた議論の中に入ってくると思うんです。
 また、先生が今言われました合格通知みたいなものがありますね……(中村(哲)委員「合格通知じゃないです、合格した人に送るものです」と呼ぶ)もう既に合格をした人に送るものですね。そうした場合には、例えばパンフレットでやった場合、特定のものの場合、本当に狭いものについては、これはまた議論の余地があると思います。
中村(哲)委員 さらに進めて考えていきますと、例えば契約に使うときの文書、それについても議論があると思うんです。
 例えば、よく最近でも新聞広告の中に、生命保険なり損害保険なりで申込書のひな形みたいなものがついているケースがありますよね。これというのは、チラシとかカタログに類するものだと思うんですよ。例えば、これをそのまま送った場合に信書と言えるのかどうか。これは、秘匿性を考えても、一般人から見ての通信の秘密の範囲から考えても、これは当たるだろうとはなかなか言えないと思うんですよ。ただ逆に、契約書のひな形のたぐいであっても、例えば私の名前が書かれたものが送られてくる。私の住所だけ書かれてあって、あと収入要件とかそういうものが書かれてきたら、これはかなりの特定性があるだろう、そういうふうに私は考えます。
 契約に使う文書には、申し込みの勧誘のレベルのものと申し込みのものと二つあると思うんですよね。申し込みのもの、つまり自分の名前を書いて、住所を書いて、収入要件もすべて書いて出すようなもの、これが信書に当たることは論をまたないと思います。しかし、それ以前の申し込みの勧誘のレベルのものは、やはり特定性があるものとないものと二つに分けられるんだろうな、そういうふうに考えるんですけれども、その点については、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生言われるように、非常にそれは微妙な部分があるんじゃないかと思います。
 例えば、契約書といっても、本当に個別の契約書か、または例えば新聞なんかで物すごく広く、こういう契約といっても非常に簡単なものの契約のひな形をわっと送る場合もあるわけですし、また、受取人の方がもう当然それを契約するということを約束していて送ってくるものであるとか、そういうことを考えたときに、いろいろの場合が考えられる。それは先生の言われるとおりだと思います。その辺が非常にあいまいな部分があろうかと思います。
中村(哲)委員 議論をもとに戻しますと、なぜあいまいなのか、そういった議論が出てくるのかというのは、特定性の要件があるかどうかの判断においては、外形的、客観的に判断しないといけない、通信の秘密があるのかどうかということを外形的、客観的に判断しなくてはならない、そこにやはり帰結すると思うんです。そして、この外形性、客観性ということが実は人によって違う、そこにあいまいさというものが出てきているんじゃないか、だからここはガイドラインでしなくちゃいけないというのが総務省の見解だと思うんですよ。だからこそ、私は、ガイドラインというものを法案審議の中で出していただきたいと思うわけでございます。そうしないと、何が客観性を持っているのか、客観的な当てはめと言えるのかどうか、そこを議論できないからでございます。
 ここは、きちんと今後、法案審議はまだ継続しておりますから、その採決までにガイドラインを出していただいて、そして議論していただくということが必要なんじゃないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生、この間もお答えしたんですけれども、非常に難しい部分もありまして、もちろんこれはあくまでも利用者の利益にかなうことでなくちゃまずいわけですから、利用者の方々や事業者の方々の意見をじっくりと聞いて決めたいと思いますので、施行までには何とかそれをつくっていきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 私は、やはりガイドラインを出していただかないと審議の前提を欠くんじゃないか、そういうふうに考えているわけでございます。先ほど赤城委員もおっしゃったとおり、やはり法案に書くのかガイドラインに書くのか、いろいろなバージョンはあると思います。しかし、きちんと出していくこと、国会の場に出していって公の場で議論すること、それが大切なんではないでしょうか。公の、公開の現場で議論をして議事録に残していくこと、それが大事なんではないか、そこが担保されないとなかなかこの法案には私は賛成できないのかな、そういうふうな印象を持っております。
 この点について、大臣、副大臣、どちらでも結構ですから、もう一度お考えをお聞かせください。
佐田副大臣 先生、これは、やはりそういうふうな危惧があるということを先生方にこれだけ言っていただき、それが議事録に残っております。我々は、それを踏まえまして、決して無にしないように、繰り返しになって恐縮ですけれども、事業者の方、利用者の方々にいろいろな意見を聞いて、しっかりとそれは決めていきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 今政治に問われているのは、言葉をいかに実行していくかということだと思うんですね。そして、そのこと、政治家が言った言葉というのがそのとおりに実行されなくて国民が政治不信を抱いてしまっているというのが今の状況だと私は考えています。言ったことはきちんと守ってください。そして、それを前提にして次の国会、また、施行されるときにはどういうふうなことになるかわかりませんけれども、そういったときにまたきょうの議事録をもとにきちんと質疑をさせていただきたいと思いますので、そこは覚悟してください。
 具体的な逐条解釈の方に入らせていただきます。私は、九条から二十二条が担当です。
 許可、認可ということを中心に法体系が組まれております。私は、これを、総務省が事前にするのがいいのかどうかということについて非常に違和感を感じています。確かに、信書の送達ということは国家が保障しなくてはならないユニバーサルサービスです。しかし、その事業形態を考えていくときには、事前裁量の形式ではなく事後チェック型の規定も柔軟に取り入れていくことが必要なんではないか、そのように考えております。そういう視点から、以後、具体的な文言の解釈に入らせていただきます。
 九条です。九条二号のイ「総務省令で定める基準に適合する信書便差出箱」、これがいわゆるポストの問題だと思っております。
 佐田副大臣は以前の答弁で、まあ十万本かなということをおっしゃっておりますから、なぜ十万本なのか、どのような基準か、明確にお答えください。
佐田副大臣 十万本と言ったかなと思うんですけれども……。まあ、これはもうあくまでも基準で決めていくわけでありますけれども。民間参入の効果を全国の利用者が享受できるようにするために、この法案は、一般信書便事業者に対しまして、全国で随時かつ簡易な引き受け方法を提供することを条件としておりまして、だから、これはできるだけ広くやっていかなくちゃいけないわけです。
 現在検討している基準というのは、人口を尺度とするものですけれども、その場合、市町村によっては人口の集中度に大きな格差があることから、仮に全市町村に対して一律の基準を適用すると、人口の希薄な地域においては設置数が少なくなり、また、差出箱までの距離が遠くなるなどの不便が生じることが想定されるわけであります。
 そこで、基本的には、市町村を政令指定都市、過疎地及び人口規模により五つの区分にし、そのグループごとに人口当たりの設置本数が人口集中度の低い地域に相対的に厚くなるような基準を定めることを考えております。
 この基準となる数を算出するに当たっては、現在の郵便差出箱、ポストの設置本数を基礎としているものでありますけれども、郵便差出箱の設置には市町村により疎密があることから、参入事業者が設置する差出箱の基準は、郵便差出箱の設置密度が相対的に低い水準の市町村並みとなるように、要するに、できるだけ田舎の方には手厚くしていこう、こういうことであります。
中村(哲)委員 立憲主義の要請からすべて考えていく必要があるわけですよ。だから、人口何%以上の人が徒歩十五分以内にポストに届くような、そういうふうな基準だとか、そういう立憲主義の要請に基づく基準を立てなくちゃいけないんですよ。その点についてはいかがお考えでしょうか。
佐田副大臣 ですから、先生、ユニバーサルサービスなんかのことも考えまして、ただ人口要件だけではなくて、要するに、とりに行く方々、差出箱に行く方々が遠くてもこれは困るわけですから、そういうことも考えて今いろいろ議論をさせていただいているところであります。
中村(哲)委員 つまり、算定基準においては、一人一人の国民があまねく信書の送達のサービスを受けられるような基準を考えないといけない、そういった気迫が答弁に感じられないわけですよ。五つの区分に分ける、そして人口で考えていく。だけれども、総務省としては、国民がひとしくあまねくサービスを受ける、そういうふうな観点から基準をつくっていくんですよ、そういう主張をしてもらわないと、何で信書の送達が国家独占だったのか、また、国家が今後も国民に保障していかなきゃいけない普遍的価値を持ったものなのか、そこは言えないわけですよ。非常に大事な点なんですよ。そこをはっきり言ってください。
佐田副大臣 先生の言われるとおりでありまして、これはもう、とにかく田舎においても都市部においてもできるだけひとしくなるように努力をしていかなくちゃいけないことだと思っております。したがって、例えば実際にやってみて不備がある場合は、それはまた直していかなくちゃいけない。先生、全部平等というわけにいかないと思いますよ。でも、田舎にいても都市部にいてもできるだけ平等にサービスが受けられるようにしていく、これは当然のことで、先生の言われるとおりだと私は思います。
中村(哲)委員 だからこそ、明確な基準が必要なんですよ。民間事業者は、総務省が示してきた省令の基準で入ろうかどうかを決めるわけですよ。そのときの省令を決めていく基準、考え方、哲学、こういったものが明確に示されないと、何だ、総務省の裁量じゃないか、官僚が全部自分勝手に決めていくんじゃないか、立憲主義の要請だと口ではいいことを言いながら、自分たちの思いで全部決めていくんじゃないか、そういうふうに言われることにつながるわけですよ。
 だから、理念とか考え方とか、省令をつくる上での考え方なんかをきちんと、きょうは無理かもしれない、だけれども、今後聞かれたときには詰めてもらう、こういった考え方、理念、哲学でこのポストの設置というのは省令を決めていきますと。恐らくきょうは無理でしょう。どうですか。無理ですか、答えられますか。
佐田副大臣 ですから、先生、先ほども申し上げましたように、田舎に手厚くと言ったのは、全部が平等になるかどうかというのはわかりませんから、ただ、やはり都市部よりも田舎の方が距離があったりするから、できるだけ手厚くしていってサービスが平等に近づいてくる、こういうことを申し上げているんであります。
 また、いろいろなユニバーサルサービスに対しましては、事業者が入ってきてもクリームスキミングにならないような条件を、毎日一通でも配達するであるとか、三日以内に送達するであるとか、あらゆる条件をつけて、そしてひいてはユニバーサルサービスが損なわれないように、そしてユーザーの、いわゆる利用者の方々の利益が損なわれないように全力でやっていきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 私が言っているのは、その基準が明確にならないといけないと言っているわけですよ。結果的にそれが保障されたらいいだろうというのが総務省の見解なわけですけれども、これは信書便法ですから、対象となるのは事業者なんです。事業者が自分でこの事業をやろうかなと思うときには、法令として、法律、政令両方、省令も含めた法令としてきちんとオープンになっていて、考え方もよくわかる、理念もよくわかる、それじゃ、私たちは事業計画をつくって参入しようかな、そういうことになるわけですよ。
 だから、ここは非常に、限界ぎりぎりの事例なんですよ。ユニバーサルサービスは確保しないといけない、しかし、信書便事業者は参入しなくてはならない、そうじゃないと競争の公平さが担保できない、そこのぎりぎりの線の議論をしているわけです。
 だから、結果としてユニバーサルサービスが担保できるような基準にすればいいですねと総務省としては言っていると思うんですけれども、そうじゃないんですよ。基準自体が明確になって、参入を検討している業者がきちんと考えられるような、そういうふうな理念、思想というものが省令をつくる上において明らかにされていかなくてはならない、そういうことを言っているわけです。だからこそ、今なかなか答えられないかもしれないけれどもということを言わせていただいたんですよ。いかがですか。
佐田副大臣 今も申し上げましたように、ユニバーサルサービスをしっかり守っていくということは基本であります。
 要するに、これは一つ一つの要件についてわからなければ事業者が入れないじゃないですかという御質問、条件が理解できないというふうにお話しだと思うんですけれども、例えば、一つポストの例を挙げさせていただきます。
 ポストの例につきましても、人口であるとか距離であるとか利便性につきましても、勝手に決めるんじゃなくて、審議会にもかけますし、パブリックコメントにもかけまして、そういう中で本当にいろいろな方々の御意見を承りながらこれは判断をしていきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 この点についてもう少し誠実な答弁を期待いたしておりますけれども、次に移ります。
 ロの六日以上の配達とありますけれども、なぜ六日なんでしょうか。週休二日の時代ですから、月から金まで五日間というのでも、ぎりぎりユニバーサルサービスとしては是認できる範囲かなということを思う、そういう考え方もあると思うんですよね。なぜ六日なのか。七日でなく六日なのか、五日でなく六日なのか。その点について、いかがお考えでしょうか。
佐田副大臣 現在との比較という話になるんですけれども、現在は郵便の方で週六日の配達を行っておりまして、国民の生活や社会経済活動の基盤として定着しておりまして、この品質水準の維持が求められるというふうに考えております。民間参入、利用者の利便の向上を目指すものである以上はこの品質が低下することは適切ではなくて、特に、一般信書便事業者に対しても一週間につき六日ということは、この質を下げないという意味においても、利用者の利益ということを考えても、これは必要なんじゃないかと判断しております。
中村(哲)委員 これも、立憲主義の要請から最低限の参入条件として何が必要なのかという観点からもう一度考えていく必要があると思うんですね。今あるサービスが六日だから六日なんだ、これじゃなかなか通らないわけです。今ある水準が立憲主義の要請として最低限のレベルなのかどうか、そこが問われているわけです。
 だから、そこについての明確な考え方、いや、そうじゃないんだ、やはりこの点に関しては、立憲主義の要請からしたらもう少し少なくてもいいかもしれないけれども、六日でないといけないと考えているんですよ、そういうふうに言っていただくんだったらまだわかるわけです。その点について、いかがですか。
佐田副大臣 先生、やはり、よりよい国民のサービスというものを考えたときに、この法律の後で品質が落ちたなんという話になると、これはちょっと国民に対しても申しわけないわけでありますから、これは現状の六日というものを維持していかなくちゃいけないというふうに思っております。
中村(哲)委員 すべて答弁があいまいなわけですよね。これからずうっとまた聞いていきますけれども、そんな答弁じゃなかなか議論にならないわけですよ。
 これは、僕は、副大臣の能力の問題だと思いたくないわけですよ。組織としての対応のあり方が問われているんですね。私は、これは去年の六月十二日にこの総務委員会で質問させていただいています。そのときに、私から大臣に言って、大臣とこれはけんかみたいなことになりましたけれども、政治家主導できちんと議論しないといけないんじゃないですかと。大臣は、今から検討会で議論をしていくんですと。今日の政治状況を見て、どうでしょうか。研究会に任せて、結局この法案はちゃんといけているでしょうか。そういったことも含めて、佐田副大臣の個人的な問題じゃなくて、省全体、政治全体、そういうことが問われているんだというふうに考えております。
 それ以上はこの件に関しては難しいと思いますので、次に行きます。(発言する者あり)淡々と進めていきます。
 四号で、「その事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」と書いてありますが、「能力を有するもの」ということも、これは非常に裁量的ですよね。どういうふうな能力なんでしょうか。
佐田副大臣 「その事業を適確に遂行するに足る能力を有するもの」ということでありますけれども、一般信書便事業を申請された事業計画に従って事業運行ができるかどうかを審査するということでありまして、これは、具体的に申し上げますと、財務諸表や資金調達計画を通じて財産的基礎その他経営的な基礎があると認められるかどうかというものをチェックしていくわけであります。
中村(哲)委員 そういうことであれば、ちゃんと条文に書けばいいわけですよ。何で書かないんですか。そこが今批判されているわけでしょう。何で書かないんですか。
佐田副大臣 大変申しわけないんですけれども、その辺につきましては、ほかの立法例に倣って、横並びということでやらせていただいております。
中村(哲)委員 改革の時代に横並びという姿勢が本当にいいのかどうか、それが問われているんでしょう。違うんですか。今までやってきた前例を踏襲していくんですか。片山大臣は不易流行とおっしゃっていますよ。違うんですか。大臣、どうですか、片山大臣。横並びでいいんですか。
片山国務大臣 立法例というのは、いろいろこれは相当な吟味を経て決めてきておりますし、内閣法制局の審査も受けますから、そういう表現になりましたけれども、この表現で、大体「その事業を適確に遂行するに足る能力」というのは、一つはやはり財政的な、財務的な基礎ですよね。そういうことでございますので、この表現でも十分読める、こういうことでございます。すべて横並びとは全く考えておりません。横並びもいいことは参考にさせていただく、よくないことは変える、それが不易流行だと思っております。
中村(哲)委員 私が言っているのは、やはり今時代が要請していて、普遍的だということは、オープンであること、明確であること、ちゃんと書き込んでいくということなのではないでしょうか。
 そこについて、やはりそれは不易流行の観点から見て云々かんぬんと大臣が言われると、ああ、期待していた改革の政治家ではないのかなという印象も持ってしまう、また国民に持たれてしまうわけでございます。だから、その点は、きちんと今後考えていただかないといけないと思います。そして、そういうふうなトーンであると、法案にはなかなか賛成できない、改革の視点をきちんと示したというふうには受け取れないということで、また次に行かせていただきます。
 第十二条、「事業計画の変更」。事業計画の変更で、この三項においては、軽微な事項に関しては届け出で済むと書いてあるんですね。最初、許可の対象であったものを、何で変えるときは届け出でいいのか。軽微とは何なのか、そこの考え方はどういう考え方なのか。そもそも、届け出で済むのであれば、事前規制じゃなくて事後チェックでいいんじゃないか、そういうことも含めて、ここはどのように考えているのか、副大臣、答弁お願いします。
佐田副大臣 軽微ということは、本当に軽微なことでありまして、変更の影響が微少であるということで、また事業者の負担軽減のため、届け出で足りるということで、そういうことにしておるわけであります。
 具体的な例ということで、例えば、一日の配達回数の許可基準の範囲内での変更などで、一般信書便役務に関して、この法律で条件としている基準を上回る変更であるとか、一般信書便役務以外の役務についての改廃や業務区域の変更であるとか、そういうふうなことであります。
中村(哲)委員 そういったものが届け出で済むのであれば、もともと許可のときにも、そういうふうなことを許可の要件にしなくてもいいんじゃないですか。一定基準を決めておいて、そこがチェックするかどうか評価を下すだけでいいんじゃないでしょうか。いかがですか。
佐田副大臣 ですから、先生、非常に軽微な問題であって、要するに、事業計画であるとか、こういうことは大局的に非常に重要なことでありますから認可しなくちゃいけませんけれども、細かいことについて、やはり負担軽減ということもありますから、その辺のところにつきましては、先ほど挙げさせていただいたような例につきましては届け出、こういう機動性というものを考えたときに、届け出というふうにさせていただいているわけであります。
中村(哲)委員 私が聞いているのは、届け出にすることができるのであったら、事前審査ではなくて事後チェックでいいんではないか、そういうことを聞いているわけですよ。いかがですか。
佐田副大臣 今回の信書便法自体が、非常にこれは、ユニバーサルサービスを守ったり、そして信書の秘密を守ったりする重要な部分もあるわけでありますから、その辺を含めて、やはりきちっと事業計画を出せるようなところに委託していかないとこれはだめですから、そういう意味においては、やはり事後チェックというよりも認可にしていかなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
中村(哲)委員 すべてがこの調子ですよね。
 十三条に移ります。なぜ企業の合併、分割、営業譲渡のときに、すべて総務大臣の認可を得なくちゃいけないのでしょうか。こういうときには大体、迅速な意思決定というものが経営者には要求されるわけですよね。これを、認可を受けなければ効力を生じないわけですから、株式市場の迅速な意思決定に対する要求ということを考えても、これはちょっと厳しいんじゃないかと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
佐田副大臣 先生今も申し上げましたように、そういう秘匿性の問題やらユニバーサルサービスの問題、いろいろありまして、事業譲渡や法人の合併や、今先生が言われました分割、事業主体の変更を来すことから、一般信書便事業者としての重要性を考えて、適格性を有する者であるかどうかを再度しっかり審査する必要があるために、総務大臣の認可制、こういうふうにしているところであります。
中村(哲)委員 相続の場合の十四条、六十日以内に認可を受けられなかった場合はどうなるのでしょうか。
佐田副大臣 事業相続については、相続人が必ずしも事業者として適格性を有する者であるとは限らないという場合もあるわけでありまして、先ほどと同じような答弁でありますけれども、総務大臣の認可制というふうにしておるところであります。
 また、被相続人の死亡後六十日以内の経過期間を設けることとしているわけは、継続的な役務の提供の観点からでありまして、相続人が引き続き事業を経営するか否かは、この期間中に相続人の自由にゆだねることとしておるわけであります。この期間中に申請が行われない場合は、被相続人は一般信書便事業を営むことができない。また、各種事業法制でも、事業の相続については認可制とされているのが通例であるということであります。
中村(哲)委員 私は、六十日以内にできなかった場合の法的効力を聞いているわけです。聞かれてないことを延々と答えないでください。一事が万事、この調子ですよね。
 次に行きます。第十五条。事業の休止、廃止のときには総務大臣の許可を受けないといけない。三項で、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、許可をしなくてはいけないということですから、このおそれというものがあるかないかということを総務省が判断するということがポイントなんだと思います。それは、どういう場合なのか、具体的な基準をお示しください。
佐田副大臣 一般信書便事業は、広く一般公衆の需要に応じて全国の区域において信書便物を引き受け、配達をするという重要な仕事でありまして、これの休廃止に先立って、信書便差出箱に信書便物を投函できなくなったり、送達不能で保管している信書便物を処分する等、利用者の利益を保護するための措置を講じておく必要があるということで、許可制としたわけであります。
 したがって、「公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合」とは、こういうふうに利用者の保護、適切な措置を講じられずに、一般公衆の利益が阻害される、こういうことというふうに思っております。
中村(哲)委員 そのときには、どういうふうな具体的な指導をするのかとか要請をするのかとか、そういうことが重要になってくるわけでしょう、具体的にやる能力が非常に減退しているときなんですから。そのあたりのところの担保も何もなく、こういう規定を置くことだけでは、立憲民主主義の要請から帰結される信書の送達ということにおいては、非常に不十分だと言わざるを得ないわけですよ。
 らちが明かないので、次に行きます。
 第十六条。一項であらかじめの届け出と書いてありますけれども、なぜ事後届け出はできないんでしょうか。「総務省令で定める額」と二項二号に書かれておりますよね。これは八十円を予定しているということを事前に総務省から伺っておりますけれども、八十円を超えないものというふうに決められているのであれば、事後届け出でもいいんじゃないでしょうか。ここは重要な点ですから、明確にお答えください。
佐田副大臣 一般信書便役務につきまして、クリームスキミング防止のために、その料金につきましては、全国均一で、特に二十五グラム以下のものにつきましては一定の上限以下であること等を条件としていることでありまして、こうした条件を満たしていることを確認する必要があることから事前届け出制、これは先生の言われるように重要な料金の体系でありますので、事前届け出制としているというものであります。
中村(哲)委員 佐田副大臣、違うでしょう。
 この規定というものは、例えば信書便事業者が、ある人に対しては安い値段をやっていた、事後届け出をやったら、いや、実はもう中では変えていたんですよ、後で届け出たときに、それは不公平、不公正になりますよね、だから事前届け出でないといけないんですよ。公正性を担保するために事前届け出でないといけない、だからこういうふうにしているんですよ、こう答えないといけないじゃないですか。
 ちゃんと、法の精神、立憲主義の要請からこういう規定にしているということをきちんと把握して答弁していただかないと、できないわけですよ。どうなんですか、私の言ったことじゃないんですか。
佐田副大臣 先生、要するに、後になってやって、金額が違うということになると不平等であるということは、だから私も今クリームスキミングというところで申し上げているのでありまして、後でやって、いいところだけ安くしたりしたなんて話になると、これはクリームスキミングになるわけでありますから、今先生の言われたとおりだと思っております。
中村(哲)委員 質疑時間が終了いたしまして、まだたくさん質問項目が残っております。
 私にもう一度質問時間を与えていただきましたら続きをしますが、もし与党が、強行採決などなさらないと思いますけれども、十分な審議時間をとれない場合には、きちんと質問主意書で問わせていただくことになると思いますので、ぜひ皆様、質疑をきちんとさらに続けていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
平林委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 先ほど、松沢委員からの御指摘の件でございますが、切手を使って郵便局用の物品を購入しているか否かについて、地方郵政局または地方郵政監察局を通じて調査させた上で、七月三日の理事会において御報告をさせていただきます。
    ―――――――――――――
平林委員長 お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑を続行いたします。松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 先ほど大臣から、松沢議員の質問に関しまして、理事会で御報告ということでありますが、若干追加をしていただきたいなと思っております。
 それは、この郵政局財務部指定のソーリューという会社ですね、この実態はどういうことかということと、それから、この郵政局というのは中国でしょうか、これは全国展開しているのか。また、この財務部指定というのはどういう内容なのか。その辺のことをお調べいただきたい。また、K価格ということも知らないというお話だったようでありますけれども、これは、カタログを見ますと、全国展開というか、全部印刷されていますから、各郵政局でこういうことをやっているんじゃないか。ついでに、天下り等がいるかどうか。それも全部お調べをいただきたいということで、追加をお願いしたいということでございます。
松井政府参考人 承りましたが、わかる範囲ではお答えを申し上げたいと思っております。
松崎委員 それでは質問に入りますが、ちょっとその前に、なかなか委員会が開かれませんものですから、ほんのわずかの時間、電子投票のことを聞きたいと思っております。通告はしてありますので。
 私、去年の十二月十三、十四と岡山県の新見市と広島市を倫選特で視察をしまして、いろいろな要望を聞いたり実態を見させていただいた上で、六月二十三日の電子投票を非常に興味深く見ておりました。
 いろいろ地方紙を見ましても、わずか二十五分であるとか、障害者も歓迎している、それから九六%は簡単にいった、次回も九二%が望むと、非常にいいようです。今回は特に実験でありますので、特別の値段なんですよね。ですから、この金銭の問題も含めて非常に難しい点はあると思いますが、トラブルは大したことなかったということであります。
 こういうものをつぶさに大臣もごらんになりまして、全体的な感想。そしてまた、広島市も実は、来年でしょうか、入れたいと。しかし、これは大きな市ですからなかなか難しい。そんなことも含めて、全国の自治体で実現をしたいという希望がどんどん出てくるということになりますが、全体的な感想と今後の課題、その辺をちょっとお知らせいただきたいと思います。
片山国務大臣 新見市が二十三日に全国で初めて電子投票をやりまして、私も、日曜日午前中、視察をさせていただきました。それまで相当な練習と啓蒙、PRをやっておりましたこともあると思いますけれども、大変スムーズでございまして、また投票する人も投票の管理者の方も大変楽しそうにやっているような感じを私は受けましたが、おおむね成功だった、一、二トラブルがございましたが、おおむね成功であったのではなかろうか、こういうふうに思っております。それは、やはり関係者の大変な努力、それから県の選管、市の選管の頑張り等があったことだと思っております。
 電子投票の集計は約二十五分で、不在者投票が、やはり紙に書いていただく、こういうことで、こっちが二時間かかりまして、それでも従前よりは二時間半短く終わった、こういうことでございますが、いろいろ現地で関係の方のお話を聞かせていただくと、一つは、不在者投票も電子投票にしてほしいということですね。それからもう一つは、開票所と投票所をオンラインで、投票が終わったら即結果が出るようなオンラインの仕組みを考えてほしいと。まあ、これは妨害もありますし、電波のセキュリティーの確保をどうやってやるか、技術面やシステム面での開発も私はあると思いますけれども、その二点が強い要望でございました。不在者投票の方は、法律を直せば、若干の工夫をすれば可能になるのではなかろうかと。
 それから、一番大きい問題、今松崎委員が言われましたように、お金の問題なんですよ。
 もともとは我々は買い取りを考えましたけれども、買い取りでは高いことになるものですから、レンタルを私も言いまして、途中から切りかえてもらいました。入札いたしましたら、二百五十万で落としたところがありまして、もう二百五十万といったら実費にも至らない大変な額でございますが、まあ全国最初ということでそういうことになったわけでありますけれども、関係の市というか要望がある市の意見を聞くと、やはりお金のことが心配なので、今後ともできるだけレンタル方式でやらせてほしいと。
 そうしますと、どこか貸し出し主体が要るわけですね。そこで、これは今後の検討ですけれども、いろいろな選挙関係の団体やあるいは地方六団体、そこと相談して、場合によれば、公的なレンタルの主体をつくって、レンタル方式でいくということも検討の対象になるなと。ただ、その場合に、統一地方選や何かはとてもそういうわけにいきませんからね。
 それから、どれだけこれから希望が出てくるのか。今明確に希望されたのは、広島市はぜひ来年やりたいということでございますが、幾つかの市がエントリーというんでしょうか、そういうことを公式、非公式に申し出ておりますので、そういうところの希望を十分聞きながら、制度をつくったわけでありますから、ぜひ普及させていきたい、こういうふうに思っております。
 いずれにせよ、この新見市のケースを総括いたしまして、問題点その他をまとめまして、場合によっては、それをもとに検討させていただく、あるいは国会等でも報告させていただくことを今考えております。
松崎委員 これは、全国民、それから、これからのIT時代を迎えてせざるを得ない方向であろうと思いますが、オンラインになりますと、非常に危ないですね、途中でどのくらいの票が入っているかなんということがわかっちゃうおそれもありますので。ですから、かなり、やる方向なんですが、相当の問題点をはらんでいる。
 お金のこともそうです。大臣は国政選挙への導入も検討しているんだということを言っていますけれども、これはもっと難しいのかなと思います。
 と同時に、もう一つなんですが、ネットを使ったホームページ解禁、この辺の熱がだんだん上がってきました。我が党でもそういう選挙体制にすべきだという意見もありますが、この辺の検討。
 国政選挙への導入は本当にどうなんだろうということと、ネット選挙運動の解禁に関して、いかがでしょうか。
片山国務大臣 国政選挙につきましては、マスメディアの皆さんが大変な興味を持っておりまして、どうするんだ、どうするんだというお話ですが、それは、制度をつくって、我々は、これはいわばトライアルのつもりで、統一地方選でいろいろな経験をし、実績を積み上げ、問題点を出して、それをクリアしていった上で、国会の各会派や国民の合意があれば、国政選挙にいくのは当然である、ねらいはこのIT時代に電子政府、電子自治体、一つはそういうことでもあるのでと、こういうことを申し上げたことがちょっとオーバーに報道されたわけでありますが、私個人は、その方向に行くべきではないか、こう思っております。
 それから、後の方の質問でございますが、インターネットその他を使っての選挙運動その他については、今、私どもの方の研究会で御議論いただいておりまして、一部中間的な、この前発表いたしましたが、これはいろいろな問題点がありますし、どこまでどうできるかわかりませんが、できるだけそれを取り入れる方向で、今後とも検討を進めて一定の結論を出したい、こういうふうに思っておりまして、また委員の皆様方の御指導をいただきたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 それでは、電子投票関連は終わりにいたしまして、私は、特定郵便局関連の公社化法に関係する質問をさせていただきます。
 郵政事業そのものが、全体を見ますと、郵便の方もこの四年間ほど赤字でありますね。留保金がありますので今のところ大丈夫ですけれども、このグラフを見ましても、簡保も郵貯も決していい方向ではありません。郵貯の場合は、二〇〇〇年問題があってぐっと残高が減ったりしておりますが、簡保にいたしましても、決して伸びているということではないわけです。
 ですから、郵政三事業そのものが、通常の民間経営という感覚でいきますと、やはり経営努力をしながらリストラをしたり、そしてまた、つまり銀行ですと支店を減らすわけですよね、景気が悪くて将来の展望が悪いという場合には。都銀の例を見ましても、平成八年と十二年では、一九%店舗数も従業員も減っております。
 ですから、こういう意味でいきますと、郵便局を含めた郵政事業の中で、特に特定局だけが十年間で五百四十三局もふえている。どうもこの辺は、公なのか、あるいはユニバーサルという背後にある採算を度外視してサービスをするんだということがあるかもしれませんけれども、私は、民営化とは言いませんけれども、公社化で民間に近づいていくというその出発の年といたしましたら、やはりこれからはこの特定局もどんどん統廃合をしていく、それが当然ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 特定局が微増いたしておりますけれども、これは大規模な都市開発や団地造成等による人口が急激にふえている地域に設置する場合、それから業務量の減少によって普通局を特定局に切りかえる等の事情がある場合でございまして、それでは、その過疎的になったところの特定局は減らせるか、やめられるかと。これはなかなか難しいんですね。ワンストップサービスをやる、公的な仕事もやってもらう、こういうことでございまして、全体としては微増いたしております。
 今後どうするのかと。ユニバーサルサービスの確保というのが大前提でございまして、現在の二万四千七百という体制が、ある意味ではユニバーサルサービス提供システムなんですね。そこで、我々としてはこれを維持していくということが当面の課題ではないかと思いますが、そういう中で、経営努力は大いにして、現在は郵貯と簡保は黒字でございますし、郵便事業もどうにか昨年度の決算をすれば黒字になると思いますし、本年度も黒字だと思いますけれども、そういう努力をしていこう。現在、公社になるから、特定郵便局が減っていくんだ、効率第一でいくんだ、ユニバーサルサービスの中身を変えていくんだ、こういうことではなかなか私は国民の皆様の納得は得られないと。
 そういう意味では、ユニバーサルサービスの確保を大きな命題にしまして、今の体制を維持していく必要があるのではないかと考えております。
松崎委員 私も民営化論者ではありますけれども、この前の三村先生の御質問でありますとか、社民党さんの御質問等ありましたよね。
 ですから、確かに過疎の場所は、私どもは、民営化論者でもなくすなんて言ってないんですよね。むしろ、民営化をして活力を持たせて、足らないところは補助金を出してもいいじゃないか。そういう意味で、地方分権型の中でやるんですよね。だから、そういう意味で、何でもかんでもなくすとか、それからユニバーサルサービスの重要性というのはだれもが認めているわけなんですね。
 ここに、平成十一年の八月に、特定局の簡易局化というのがあるんです、行政監察。今は総務庁、総務省に入っているんですよね。この十一年八月に、かなりしっかりとした勧告、郵政事業に関する行政監察の結果に基づく勧告というのを出していますね。これの中では、簡易局にもうほとんど変わらないんだと。ほとんどのことはできていますよね。後納郵便ですか、何か幾つかできないのはありますけれども。だから、簡易局で対応することが合理的なんだと。必ずしも無集配特定局である必要のないものがある、そう言っております。
 結論は「郵便局の新設に当たっては、想定される利用形態、取扱業務量等、地域特性を十分勘案しつつ、簡易局の設置で需要にこたえられる場合は、簡易局で対応すること。」こう言っているんですよね。
 ですから、委託型の簡易型というのも都市部にもあります、もちろん農村部にもあるんでありますけれども。こういう形で、いろいろ歴史の経過はありますが、批判の多過ぎる特定局から、なるべく簡便で、実態は仕事は同じようにやっていく、こういう簡易局に、同じ総務省の中の、総務庁がこれだけのことをはっきり言っているわけですから、これはいかがでしょうか、こういう方向性は。
佐田副大臣 先生、ユニバーサルサービスということを考えた場合に、郵政窓口のサービスを全国均一条件で安定的に供給する、こういう条件があるわけであります。そうなりますと、直轄の特定郵便局を設置することが基本的には原則なんでありまして、先生の言われました、委託によります簡易郵便局は、極端に利用人口が少ない、事務量も少ない地域に補完的に設置するということで考えております。
 また、簡易郵便局は民間等に委託しているもので、兼業が多くて、窓口開設時間は局によってまちまちでありまして、提供するサービスも受託者の取り扱いが安易な一部のものに限られている。また、ちょっと不安なところは、受託者の都合で一時閉鎖または廃止する場合も多いということでありますので、その辺のことを御理解いただきたいと思います。
松崎委員 でも、数は四千五百ぐらいありましたよね。だから、私は補完という数字の範囲じゃないと思うんですよね。都市部なんかでしたら、マンションでありますとかデパートの中にもあります。だから、私は、それは特定局を優先していきたいといういろいろな論理をバックにつけた理屈かなと思います。そういう姿勢がそちら様の内部資料なんかにありますよね、なるべく簡易局は極端に人口が少ない限られた地区にやるんだとか。
 ところが、簡易郵便局法ではそんなことは全く書いてありませんで、もっとやはりこれを活用すべきだ、ユニバーサルサービスをなくさないで、しかも、特定局を全部なくすわけじゃありませんけれども、皆さんの言っている機能を生かしながら合理的に、むだを少なくして、そういう点ではこれをもっと活用すべきだということを私は言ったわけでありまして、ぜひその辺は、大臣、この勧告は御承知なんでしょうけれども、やはり副大臣と同じ答えですか。
片山国務大臣 簡易局も郵便局であることは事実なんですけれども、事業を全部やっておりませんし、業務の形態が極めてばらばらなんですよね。委託ですからしようがないんですね、向こうの方の、受託される皆さんの方の都合があるものですから。だから、安定的な郵便局とはなかなかまだ言いがたいから簡易局と言うんでしょう。
 そこで、一部、特定局から簡易局に変わっている例もあるんですよ。それから、普通局になっている例もあるので、そこは地元の状況や関係の皆さんの御意向や、そういうことを考えて、今の普通局、特定局、簡易局というのは全く固定で一切動かさない、こういうことは我々は言っていないわけでございまして、地域の実情に応じて、いわゆるユニバーサルサービスがしっかり確保できるのなら、今後、状況を見ながら検討する考えは全くないわけではないということは申し添えます。
松崎委員 この簡易郵便局法を見ても何ら遜色ないんですね。一つ、二つ、後納郵便物だけ扱えないとか、ほとんどのことをやっています。それで、私ども、都市部におりますから、簡易局を見ていますけれども、全く普通の特定局と変わらない。休んだりなんかはしていませんよね。だから、私は、使命感を帯びた人たちに、皆さんが選別した上で委託されていると思いますので、公社の体質改善にも経営の合理化にもプラスになるでしょうから、ぜひこれはもう少し検討されたらどうかと思います。
 さて、特定局の問題は、歴史もあるわけでありますけれども、この設置基準。皆さんは、我々から見ますと、この特定局は、後で言いますけれども、いろいろな、特推連でありますとか郵便局長会が政治的な問題もずっと抱えて成長してきたということでいくと、今のいろいろな御発言もありましたけれども、やはり政治的なことも含めて優先をしてつくっていくというのも残念ながらあるのかな、そんなふうに思います。ただ、多分その基準があると思うんですね、特定局をつくる基準。これはどういうことでしょうか。
山内大臣政務官 基準でございますが、郵便局の設置基準については、日本郵政公社法第二十条第一項の省令中に規定するものでありまして、その内容については、同条第二項において、地域住民の利便の確保について配慮して定めなければならないという旨を規定されております。このため、省令における郵便局の設置基準については、地域住民の利便の確保について配慮するという法の規定の趣旨、国会における審議等を踏まえ、郵便局が引き続き全国あまねく設置されることとなるよう、その具体的内容を決定することとしております。
 一方、中期経営目標においては、経営の健全性の確保に関する事項が定められていることによりまして、公社における個々の郵便局の設置に当たっては、省令の設置基準を遵守するとともに、中期経営目標に基づく効率的な設置に努めることとなるものと考えております。
松崎委員 私は余り、法律に弱いものですから、そういう文言はよくわかりません。ただ、ここに基準がありますよね。例えば無集配特定局、これが一番多いと思うんですけれども、これの設置基準が、利用見込み人口が八千人以上、それから局間の距離が八百メーター以上ということになっています。無集配の場合、数字的にはこれでよろしいですか、基準は。
山内大臣政務官 無集配はその規定でよろしいかと思います。利用見込み人口は約八千人とか距離が八百メートルとか、細かい数字はありますけれども。
松崎委員 今、それを私が言ったんですよね。これは実はお酒屋さんの基準も、今、自民党さんも我々もそうなんですけれども、陳情を受けながら、何とか規制を残してくれとか、いろいろあります。ところが、酒屋さんも、たしか来年でしたか、全部なくなりますよね、距離基準も何も。それが一概にいいかどうかは別といたしまして、一応そういう規制緩和の時代であることは確かなんですね。
 これを一概に酒屋さんと一緒にする気はありません。ありませんけれども、これは実は昭和三十七年につくったんですよ。四十年前になりますか。これはどう見ても、だからどんどんふえるんですよ。先ほど言いましたように、団地ができた、駅ができたらどんどんつくっていく。つくっていくばかりで、それは後継者がいなかったりしてだめになるところもあるでしょうけれども、こういう基準、昭和三十七年以来、四十年前の基準で、公社になる新しい時代に、しかも特定郵便局というのはなかなかいろいろ歴史的な経過のある特殊なものでありまして、これを、この基準でよろしいんですか、大臣。
片山国務大臣 やはり、なるほど四十年前といえば四十年前ですね、三十七年ですから。そういうことで、公社になりますから、新しいいろいろな手法等を含めてこの基準を見直すということはあるいはあるのかもしれない、こういうふうに思いますが、いずれにせよ、いろいろな御意見を聞きながら、この点についても我々も幅広く勉強してまいりたいと思っております。
松崎委員 本当に時代錯誤も甚だしい話であります。
 普通、民間でしたら、新しい支店をつくったりする場合にはいろいろなリサーチをしてやっていきますよね。先ほど言いましたように、銀行なんかはもちろん統廃合をしていく。そういうことが当然の時代なんでありますので、ぜひ郵政公社も、特定郵便局に関しては特にこういうことをしっかりとやるべきだろう、私はそう思います。
 さて、公社化法の二十条に、郵便局の設置の規定がありますね。国民共有のインフラ、あまねく提供するための拠点ということ、これはまあそういうことでありまして、それと同時に、それをやりながら今の基準でどんどんふやしていくと。これは政治的な背景もあるでしょう。
 それで、同じ公社化法の二十三条の健全性の確保、これはたしか入っていますよね、中期目標でしょうか。これと、今言ったように余り経済性とかそういったことはまず考えずに、必要性、そしてまた人口、距離、そういうことでつくっていくということになりますと、この健全性の確保という本来的な中期目標、計画の目標でしょうか、それとは矛盾しないんでしょうか。
佐田副大臣 政務官の方からも先ほどお話ありましたように、今先生言われましたように、二十条一項の省令中に規定するその内容につきましては、地域住民の利便の確保についての配慮をして定めなければならないということであります。
 また、このために、省令における郵便局の設置基準については、地域住民の利便の確保について配慮するという法の規定の趣旨、国会における審議等を踏まえ、郵便局が引き続き全国あまねく設置されることになるようにその具体的内容を決定するということで、先ほどお話をさせていただきましたけれども、中期目標におきまして経営の健全性の確保に関する事項ということがありまして、これは、経営の健全性というものを考えたときに、中期目標に基づいて効率的な設置ということでありますので、その辺はむだのないように、矛盾しないようにやっていかなくてはいけない、こういうふうに思っております。
松崎委員 大臣もちょっと気がついたんでしょうね。今の話でいったら、やはりさっき言った距離だとかこんなもので、あるいは要望だけでつくっていくというのはおかしいと思いますよね。公社そのものがやはりこういう健全性でやりましょうということを言って出発するときに、片方で、まあ、むだだらけとは言いませんけれども、特定郵便局をつくる基準は、これに合わせて、健全性から合わせていったら、当然これはもっとしっかりとしたものをつくるべきだと思いますけれども、どうでしょうか、そう思いませんか。
佐田副大臣 先生の言われることはよくわかります、それは。随分古い規定でつくられているということと今回のものは矛盾してくるんじゃないか。その辺につきましては、中期経営目標に際しましてじっくりと、しっかりと検討していきたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 ぜひ、これはやるべきだろうと思いますよ。特に、集配特定局の平均が、年間五千二百五十二万ですよね、無集配局でも二千四百六十二万円経費がかかるんですから、この辺のことはしっかりと御検討をすべきであろう、そのように思っております。
 さて、特定郵便局といいますと、ついつい政治的な話になりましてまことに申しわけないと思いますけれども、たしか前回の質問でもしたと思います。例の、昨年は私も三度ぐらい質問をさせていただいた高祖事件でした。これが、近畿特推連の会長人事なんですが、三十一人、あのとき内部処分を受けました。そして、実は半年たっていないんですけれども、二十一人がこの四月に会長に復帰したという話。これは、この前お話ししましたら、質問でも、きちっとその適任を認めたとか、処分も済んで十分反省したと六月六日、松井長官が私に答えましたね。
 ただ、どうも納得できない。これは、国民から見ても納得できないんですよ。起訴猶予になりましたよ。あのとき、大変たくさんの方々がおやめになったり捕まりました。だけれども、これは、起訴猶予というのは、シロじゃないんですね。だから訓告処分受けたわけです。どちらかというとクロに近いんですね。
 十月二十六日に処分を受けて四月一日付で復帰した、これはどう見ても国民は納得しないと思うんですけれども、再度大臣にお考えを伺います。
佐田副大臣 これは大変遺憾に思っておるところでありますけれども、答えが私も同じようになってしまうんですけれども、先生も御存じのとおり、特推連における連絡会長というのは、非常に重要なポストでありまして、連絡会内の営業活動の推進であるとか、業務の正常運行などの推進の責任者として、とにかく、非常に人格、識見にすぐれておりまして、事務に明るく、連絡会内を取りまとめる指導的手腕、信望のある特定局長を地方の郵政局長が指名する、こういうことになっております。
 事件に関しましては、大変遺憾でありますけれども、刑事上も行政上もそれぞれの判断が下され、訓告が行われまして、これらの連絡会長は本当に深く反省をしているところでありまして、今後の特推連業務を行うのが適任であると判断して近畿郵政局長が指名したというふうに聞いております。
 これらの連絡会長が、特推連活動を通じて連絡会内の郵便局のサービスを向上させて、国民の皆さんの郵便局に対する信頼を本当に一生懸命これからも確保していきたい、こういうふうに思っております。大変に遺憾でありますけれども。
松崎委員 人格云々とか、処分受けたからもういいということになるんでしょうけれども、今さらあの事件をまた持ち出す気はありませんけれども、本当に組織ぐるみで、すごい選挙だったんですね。それで、要するに、人格とこの事件とは別なんだということなのか、その立場にいたからそういう違反をするくらいの、選挙運動にかかわりを持った立場なんですよね。
 だから、そこで、常識的にいけば、普通は辞退するんですね、この人たちは。普通は辞退しますよ。五カ月前にそんな事件起こして、まあ警察に引っ張られたかどうか知りませんけれども、いろいろな質問を受けたりはしているんですから。ということは、この役人さんの感覚というのは、普通の常識人の感覚じゃないということでしょうか。考えられないんですよね。
 だから、内部的にはそれでつじつまが合いますよ、訓告処分を受けたとか、反省しているとか、人格が立派だとか。だけれども、人の上に立つ人たちなんですよ。皆さん方の組織が疑られるんですよ、それは。どうなんですか。
佐田副大臣 先生、この特推連という団体も非常にこれはきちっとしたものでありますので、そういう意味において、会長ということになってくると、先ほどの繰り返しになって恐縮なんでありますけれども、きちっとした方をやって、きちっとというのは、やはり、人格、識見にすぐれるという。そして、これは地方の郵政局長が任命するということなものですから、御本人が辞退するべきかどうかということは、これは私にもちょっと判断はできませんけれども、そういうふうな形になっておるわけであります。
松崎委員 これ以上やってもしようがないんでしょうが、逆に、きっと気の毒なんでしょうね。
 というのは、特定郵便局長会が、きょうは野中先生もいらっしゃいますが、前のこの質問でも言いました、自民党の最大の集票組織であったということが、また誇りに多分彼らも思っていたと思います。そういう中での局長さんであったり、あるいは職員さんもありますから、そういう意味では、個人の意思の選挙違反ではないんだということを思っているかもしれませんし、百歩譲って、人格がすばらしいんだろう。しかし、私は、世間には、国民にはそれは通らない話だということを再度申し上げて、この問題はこれ以上触れないことにいたしましょう。
 さて、特定郵便局長、この事件もそうでありましたけれども、ほとんどは局長さんを中心としてやっておりますね。もちろん、この歴史、明治四年以来の、しかも私財をなげうって国のためにやってきたということで、恐らくこの方々は、特に戦前から戦後間もなくまでは、自分たちがこの国をつくってきたんだという意思が非常にあると思う。あるいは天皇のためだと思ったかもしれません。そういう彼らが、やはり、残念ながら最近は随分変わってきておりますよね。
 実は、GHQも特定局の解体を一回言ったそうであります。そして、昭和二十二年にも中労委の方がまた特定局制度を廃止ということを言いました。ところが、三十二年に田中角栄さんが郵政大臣になって、そして、特定郵便局長さんを束ねて全特をつくりこれを強化した、そして、これをどんどん全国につくっていきながら、もちろん、サービスをバックにしながら、そして結果としては集票マシンになったので、医師会も含めて幾つも自民党さんの強固な組織がありますが、最も強固な組織につくり上げた、こういう背景の中で特定郵便局がこれは廃止されるわけがないんです。少なくなるわけがないんです。
 今も、大臣も実は橋本派でございますので、田中先生、金丸先生、小渕先生、野中先生と、それでまた、そういう系列で来ておりますから、やはり、これはそういう政治的な背景で見ると、特定郵便局長システム、局システムというのは、また色の違う見方ができる、そういうことであります。
 さて、その任用問題、局長さんの任用問題に入りたいと思いますけれども、これは今まで、先ほど言いましたように、私財をなげうってそして郵政事業のためにやってきてくれた、国の基礎をつくった。私は、それはそれで認めておりますが、現在は、そういう方は、外部任用はもう二〇%なんですね。八〇%が部内、つまり、郵便局で働いている方の中で取り入れるという、もう形態が変わってきちゃっているんですね。だから、選挙も弱くなっているんですけれどもね。
 そういうことで、この任用問題というのはそろそろ変える必要があるじゃないかと。これは、それじゃなくても、縁故採用だ何だと、この前、大分後藤先生もやりましたけれども、六十八歳まで延長できるとか、代々やるとか、長い人は六代、七代、そういうことになっております。
 ですけれども、今、言いましたように、外部導入が、外部からの方はもう二〇%になっている。しかも、どうも、試験といいながら、よくわからない。やはり縁故が優先される、世襲が優先される、あるいは政治的圧力、そんなこともどうもあるようだ。私どもの近くでも、皆さんすばらしい方がやっております。若手の方も随分いらっしゃいます。それなりに、先ほどの、人格、識見などがすばらしいということでありますけれども、そのとおりの方もたくさんおると思います。
 ただ、ここで、そろそろ基準の明確化が必要じゃないか。そうじゃないと、今、裏口公務員なんて言われる方もいるんですよね。ですから、この際、公社化に際して、やはりこの選考制度、そろそろ変えるべきではないか。特に二〇%の外部からの採用、これはいかがでしょうか。
佐田副大臣 先生、特定局の役割であるとか、こういうこともありまして、特に地域密着型、地域にもひまわりサービスだとかいろいろな業務がありまして、この辺にのっとって、昔の基準ですと学才、学識才幹という言葉があるのですけれども、こういうことにのっとってふさわしい方を選んでいくということなんであります。具体的に、特定郵便局長の希望を有する職員の中から、平素の勤務成績であるとか勤務ぶり等から適任と思われる人にしっかりと試験を受けていただくということで、教養試験であるとか論文試験、人物試験をやって適任者を選んでくるわけであります。
 ただ、試験だけでもないわけでありまして、先ほども申し上げましたように、地域に密着ということが非常に重要でありますので、特に人物試験、いわゆる面接の際には、郵便局の地域事情への精通度合いや地域への貢献の意欲、能力等を確認することとしております。平素の勤務態度等も考え合わせれば、地域住民の信望を担い得るような、試験以外にでも、やはり地域に密着したいろいろな人格を持たれておる、知識を持たれておる、こういうことを選んでいくということでありまして、その辺の御理解をいただきたい、かように思っております。
松崎委員 当然、八割の内部の方は一回試験を受けていますね、国家公務員としての。ですから、それは、次の任用試験は多少違うんでしょう。
 ただ、この任用試験の中に地域住民の信望云々というのが入っています。これは、局に勤めているから外とのつながりがないなんて言いませんけれども、やはり今までのように、伝統的な、局長を外部から入れていく場合には、確かにこういう地域住民云々というのが、地域の名士なんかは当たっていますけれども、どうも内部的にはこういう基準、地域住民の信望をという選考基準なんかはちょっと、もう内部の八割に対してはまた別のやり方をすべきではないか。
 同時に、この二割の外部からの、従来型の外から入れる局長さんに関しても、オープンにしていく、あるいは選考なり公募をするとか、そういうこともそろそろ必要なんじゃないか。
 特に、人事院規則の八―一二というのがある意味では邪魔になっているんじゃないか。候補者名簿がない官職に対しては選考でよろしいということを書いてありますね。この辺も、人事院から見て、今のこの問題を含めて、郵便局長さんの特に外部の任用の仕方、人事院の規則も入っているわけでありますけれども、見直した方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、人事院さん、いかがでしょうか。
中島政府特別補佐人 前からいろいろ御指摘いただき、御議論をいただいておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、国家公務員を採用するわけでございますから、成績主義というものにのっとりまして、中立公正に採用する。そういうことを進めていこうじゃないかということにつきましては、郵政事業庁当局との間で合意が成立しておりますし、その原則のもとで細部の詰めを行っております。
 したがいまして、皆様方の御納得がいただけるような制度にして採用試験というものを進めていきたい。また、そのように郵政当局の方もお考えになっておられますから、私は、基本的に人事院当局と郵政当局との間で考え方が違うわけではございませんので、これは御納得がいただけるんじゃないか、そういう方向で話がまとまっていくというふうに思っています。
松崎委員 考え方が違うというのは、人事院の考えている方向性と総務省なり公社の考えている方向が違うということでよろしいんですか。
中島政府特別補佐人 私が申し上げましたのは、基本的に考え方が同じでございます。したがいまして、細部のことについてはまだ詰める必要がございますけれども、基本的には同じ方向を向いていますので、話は遠からずまとまっていくというふうに考えています。
松崎委員 ということは、公社の発足に伴って特定局の局長の選考の仕方を少しは変えるということですか、話し合って。そうじゃない、これは私の解釈ですか。
中島政府特別補佐人 今まで特定郵便局長さんをお選びになっておられた、その中で、成績主義の原則とか中立公正性という観点から見た場合に、どういうところを直していけばいいかということを詰めておるわけでございます。
松崎委員 なかなか、よくわかったようなわからないような答弁でございまして、どちらにしても、先ほどから指摘しておりますように、特定郵便局の、あるいは局長のあり方というのがやはり国民に納得できるような形に、公社化のスタートのときにやるべきだろう、そんなふうに私は思っております。
 さて、同じように、去年からのずっと連続で申しわけございません、もう終わってしまったんですが、渡切費。
 ただ、これは、今まで毎年八百億、九百億というお金が非常にわかりづらく使われていた。ほとんど国民は知らなかったんですね。これが何年も、多分、これは明治以来なのかわかりませんけれども、そう思いますよ。そうなりますと、百三十年間ぐらい、名前は違ってもそういうような形で会計が行われていた、経費関係ですね。そういうふうに見てもいいんですけれども、そういう歴史があることでありますので、私も、今度需品費に変わったからといって、いいというふうにはいかないわけであります。
 昨年の秋、私もこれは三回ぐらいやりまして嫌われましたけれども、大変な渡し切りの不正が各紙を通じて出ましたね。おびただしい情報でした。去年の十月あたりから、三億五千万どうしたとか、東北特定局だとか、それから近畿も出ました、東京の局長さんも千二百万円だとか、こういうたくさんの報道のもとに、実際に不正の問題があるということで、私も、たしか十月の三十日に、足立長官から調査をするという答弁をいただいて、実際に去年の秋から暮れにかけておやりになりました。
 その報告が出ているわけでありますけれども、この結果の報告の中で、私は非常に納得できそうもないなというのは、大体調査したのが全国の特推連の会長局ですね、これは二百三十八局。そこで、調査対象が五千三十四件で、約二十六億六千万を調査して、その中から水増しだとか架空領収書が出てきて、十六局七十五件、三千八百七十二万円がおかしかったという報告。これは一・四五%ですね、調査対象金額の。そのうち二千五百三十一万円は回収したということであります。
 私は、きょうお聞きしたいのは、これは五万円以上のものをやられたということでありますけれども、この報告は、二百三十八という特に大きな会長の局でありますので、去年のいろいろな報道から見ますと、余りにも少な過ぎると思うのですけれども、どんな調査をされたんでしょうか、この金額は。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の件でございますが、特推連の会長局につきましては、本庁の首席監察官室と地方郵政監察局で、全国の会長の二百三十八局を対象に調査を実施したということでございます。会長局以外の郵便局での調査でございますが、平成十三年の十一月以降十四年三月までの間での調査実施局数は五千七百九局になっております。
 新年度に入りましても、引き続き、会計監査と業務考査の中で経費の適正支出について厳重なチェックを行っているところでございます。
 それで、渡し切り経費に関する会計監査、業務考査を実施した中で、会長局以外の局長による犯罪が二件、それから架空の領収書によりまして経費を捻出するなどの不適正経理が三件、そのほかに事務取扱上の不備が判明して郵便局に指導改善させたということでございます。
 なお、会長局の調査に比べて不適正経理が少ないという御指摘がございましたけれども、これにつきましては、一般局における、会長局、役員局でない一般局での渡切費というのは、その支給額も比較的少額でございます、グループ全体の経費でやっておりませんので。そうなりますと、中身は光熱水料だとか車両の保守料ですね、それから局舎の小さな修繕費、そういった郵便局の業務運営上の必要とされる事務費が大半でございまして、逆に言いますと、不適正経理の余地のある施策費というのは極めて限られているということに起因するんじゃないかと思っております。
松崎委員 これは、去年の高祖問題と一緒に渡し切りもやりながら、いろいろな角度で御質問もしました。非常に巧妙にやっていましたよね、いろいろ物品の購入の領収書を水増ししてみたりとか。それは、普通局の小さいところは二百万、三百万の渡し切りでしょう。でも、これはたしか月間ですよね、月間平均で四百万ですから、だからそんなに少ない金額じゃないと思いますよ。この今回の調査だって五万円以上ですから、細かいお金は幾らでもやればできちゃうわけですよね。
 ですから、私は、細かいその五千七百、これは多分、部会長局は入っているのかどうかわかりませんが、少なくとも、もし重点でやるのであれば、千八百四十二の部会長の局、ここはもう少しお金が行っていると思いますので、ここを調査すべきだと思うんですよね。
 先ほどの会長局、二百三十八局でも、確かに大きいのは一千万以上のものが出てきておりますよね。これは、この前の秋の報道では、東北郵政局の管内で三億五千万の裏金、渡し切り関連だとか、そういう単位なんですよ。販促費なんかも一億円とか、これは十一月二日、読売新聞が出していますよね。こういう単位なんですよ。これは東北だけなんですよ。近畿でもさんざん出ている。東京も、局長の、これは朝日新聞で十一月三十日に一千二百万、架空の会社からの領収書。こういうことをやっていて、こんな金額のはずがないというのが私の考えなんですよ。
 それから、この二百三十八局の中で、東北の管内の会長局が二十五局入っていますよね。これを約四億調べまして、四件、五百五十五万円出た。東北は、これはもっと、新聞報道ですと三億とか四億とかいうおかしなお金が出ていたという中で、五百五十五万円。だから、いかに、どんな検査をしたのかなというふうに私どもは思ってしまうわけであります。
 今おっしゃったこの五千七百、これも、この四百二十万平均でいきますと二百四十億になるんですよね。ですから、こういう中で全然出てこなかったという話が日本の社会の仕組みの中でありますかね、これは。どう考えても、では、どういう調査をしたんだというふうに言われるのが当たり前じゃないですか。
 これはどんな調査をしたんですか。監察ですか、やったのは。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣の指示を受けての調査であったわけでございますが、会長局以外の局につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、ダブりになるかもしれませんが、会計監査、それから監察がやります業務考査、その過程の中で調査を行ったということでございます。
 それから、該当局でございますが、先生御指摘の部会長局もその中に、先ほども申し上げました五千七百九局の中に入っております。つまり、スケジュール的にやっていっていますから、そういう中で調査をしているということでございます。
松崎委員 おやめになっちゃったのですが、足立長官は調査するという答弁をしたのですけれども、それは通常の調査じゃなくて、特別の、暮れまでにやるという調査、それは二百三十八局だったのですか。そのほかは通常の調査ということですか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣から指示がありまして、前長官の時代でございますけれども、本庁の首席監察官室と地方郵政監察局で特別に調査をいたしましたのは、その会長局でございます。まず、それを優先的にやった。
 その他の局については、何せ膨大な局数でございますので、会計監査とそれから業務考査というのを郵便局のパトロール回っております、それぞれの専門家がチェックしておりますので、その問題のことについて留意して調査をしたという結果でございます。
松崎委員 二百三十八だけやっておきゃいいや、もう渡切費もなくなってしまった。今度、確かに共通事務センターになると、細かくびっちり上がっていって、会計帳簿、書類も五年でしょうか、検査院に置かれます。
 私も決算委員会の筆頭をやっていまして、去年も渡切費、やろうと思ったら、一年で領収書がないということで、慌てて三年に変わって、今度は五年になるわけですよね。だから、そういう、まあ前のことは調べようがないのでしょうけれども、いかにずさんだったかということを言って終わるしか方法はないのですけれども。
 ただ、余りにも、普通の調査をして五千七百、しかも、この中に千八百四十二の部会長。部会長のところにはもっとお金が行っているはずですよ。ここから、さっき二件出てきたというのは、この調査の後なんですよ、二件というのは。ごまかして、一緒になって二件その中に入っていたみたいな言い方をしちゃだめですよ、ちゃんと聞いているのですから。この調査の後に出てきた二件なんだから、そんなごまかし答弁、いけませんよね。
 さてそれで、会計検査院は、どうなんでしょう、これはたしか検査院さんも十一月六日の答弁では調査を約束していただいたのですけれども。
円谷会計検査院当局者 昨年の検査報告で、今先生がおっしゃったような証拠書類の保管期限の問題等、幾つかの制度上の問題を検査報告に掲記させていただきましたけれども、その後、いろいろな個別的な問題も出てまいったということで、今年度は、年度末から重点的に渡切費の使途について検査を現在実施いたしております。
 先ほどの郵政監察の結果も踏まえまして、検査院としては検査院の立場から、観点から、先ほども申し上げました会長局だけではなく対象範囲を広げて、現在までのところ約三百七十局ほど検査しておりますが、まだ検査途中でございますので、まだ実施しているというところでございます。
 以上です。
松崎委員 そうしますと、監察なり通常検査の、郵政事業庁がやっている検査をしたところだけやるのか、あるいは、検査院は独自に抽出してどんどんやっていくのか、それはどうなんでしょうか。
円谷会計検査院当局者 検査院が独自に選定をして検査を実施しているというところでございます。
松崎委員 もう時間がないので、最後に、そうしますと、多分ちゃんとした調査は会長局の二百三十八局でしょうから、多分この局には大変なお金が行っておりますよ。それで、その使い方は、自民党の党費になったり選挙運動費になったりというのは、高祖事件ではっきりわかりました。
 調査した中身で、政治家のパーティー券、これに使われた形跡のある渡切費というのはありましたか。ありましたら言ってください。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今回判明いたしました不適正経理のうち、一部ではありますけれども、政治家のパーティー券を購入いたしております。パーティー券を購入した局は二局、支出先は三件、金額は全体で七十万円と承知いたしております。
松崎委員 本当に氷山の一角だけ出たというふうに思っております。
 時間ですので、終わりにいたします。
平林委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 委員の皆さんも、そして大臣も、委員長も、皆お疲れでございます。私どもは、民主党のように逐条解釈を一つ一つやる時間はありませんけれども、与えられた大事な時間を有意義に過ごしたい、このように思っているところであります。
 随分論点が見えてまいりまして、ちょうど私、真ん中で自民党の皆さんの御意見や野党の皆さんの御意見を聞きながら、そろそろ私の頭の中も整理しなきゃならぬな、こう思っている最中、きのう、何か我が党代表は、記者会見で大体この原案でいいんではないかと言ったとか言わないとかという話が流れてきましたけれども、私ども現場は決してそういうことはございませんで、総理からは、賛成をしていただくように努力している公明党と言われましたので、努力はしているわけであります。
 ただ、大臣、総理が六月二十五日に出発をされる前に、静かに立っていただきたかったわけでありますが、何か一言二言おっしゃったようでありまして、また、それを言ったということがマスコミに伝わるように配慮されたという気もしまして、このまま総理、行かれたまま帰ってこられないのならばいいんでありますけれども、これはちゃんとお帰りになるわけでありまして、一説によりますと二十九日の十一時とか。お帰りになった一言は一体どういうことになるのか、気になるところではあります。
 ただ、私は、最初に総理がこの委員会にお出ましをいただいて、一里塚発言について随分議論がありましたけれども、総理は、一歩一歩、まず一歩、こういうお話もされ、みずからは漸進主義者である、一つ一つやっていかなきゃいかぬ、理想を目指して、こういう御答弁をされて、それは非常に心に残っておりまして、まさにそのとおりだな、こう思っております。
 総理が二十五日に出発される前に大臣と意見交換をされた、その内容というのは、決して、私は総理の肩を持つわけではありませんけれども、国会の議論を軽視したり、あるいは一言一句たりといえども手をつけることはならぬというような、こんなことでおっしゃったのではないんではないか、こう思っているんであります。当事者ではありませんからわかりませんが、大臣、そんな私の理解でほぼ間違いないんじゃないかと思っているんですが、どうでしょうか。もう一回正確に教えてください。
片山国務大臣 そのとおりでございまして、内閣としては、最上の案ということでまとめたものを国会に出させていただいて、今御審議をお願いしているわけでございます。その最上の案として出したものをぜひ無傷でそのまま通していただくというのが我々の強い希望だ、こういうことでございまして、ぜひそういうことのために努力をしてほしい、こういうお話でございまして、精いっぱい努力いたします、こういうことでございます。国会の役割だとか審議権だとか機能を侵害しようとか軽視しようとかということではないと私は理解いたしました。
桝屋委員 私どもは、いずれにしても、国会での議論ということは極めて大事であります、立法府における審議をきちっと重ねていきたい、こう決意をしているわけであります。随分論点は出尽くしましたけれども、私はやはり、あくまでもサービスを利用する国民の立場という観点に立って、これからも議論を重ねていきたい、このように思っているところであります。
 そこで、きょうは逐条解釈ぐらいやりたい心境でありますが、時間も限りがありますから、何点かに絞ってお話をさせていただきたいと思いますが、一つは、三種、四種の取り扱いであります。これはやはりどうしても気になるわけでありまして、随分議論が出ておりますが、きょうはいささか詳細にわたって検証させていただきたいというように思っております。
 まず、確認でありますが、現在の三種、四種の収支状況であります。マスコミにもいろいろ報道をされておりますけれども、数字も出ておりますが、三種、四種の政策的料金減免制度、この状況、収支はどういうふうになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 三種郵便物、四種郵便物の収支状況でございます。これは、十二年度の数字がございまして、これを一部推計でございますけれども、三種郵便物につきましては、合わせまして収入が六百六十七億円、費用が九百四十八億円で二百八十一億円の赤字、第四種郵便物は収入が十四億円、費用が五十八億円で四十四億円の赤字というふうに計算しております。
桝屋委員 今の御説明で、三種が三角の二百八十一、四種が三角の四十四ということでありまして、これは収入とそれから当然ながら費用、それで今御説明をいただいたわけでありますが、私はなかなか理解できないのが、この一種、二種全体で、一種で百三十二億通、二種で七十五億通、三種で十億通ぐらいでしょうか、それから四種で三千六百万ぐらいの数字かなと思っておりますが、こうした実際の取り扱われている数、通数からいたしますと、一つ一つの経費が、これはちょっと先の議論にもかかわってきますけれども、どれぐらい、費用を計算するのはどうやって計算されているのかなと。
 要は、種類別の費用計算というのは、一種、二種と比べて三種、四種というのは、これは計算するときは大体同じ単価で置くのではないかな、平均単価で置かれるのかなと。もちろん、本庁等の管理部門の費用、さらには現場の郵便局の費用あたりを総計を出すんでありましょう。大変な大きな数字になると思いますけれども、費用を計算するときには三種と四種が特別高くなるという理由があるのかどうか、高くなっているのかどうか、その辺の計算と、それからその費用の説明はどのようにされているのか。これはひょっとしたら通告していないかもしれませんが、若干の御説明をいただきたいと思います。
 なお、私が見ておりますのは、資料をいただきました「日本の郵便」ということでディスクロージャー冊子ということで出していただいている。一通当たりの費用、これは一種、二種に比べて、三種、四種が非常に高くなっている。特に、四種あたりは相当高くなっているわけでありますが、高いということがにわかに私、素人なもので理解できないわけでありますが、その辺もあわせて御説明をいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 今申し上げました費用の配賦といいますか、計算の仕方でございますけれども、これは種類別に計数を分計しまして、コストのかかります窓口取り集め、配達といったそれぞれの部門ごとの費用を一定の計数を用いまして種類別に分計して、最後に種類別の費用を集計するということでやっておりまして、扱いは、三種であっても一種であっても同様の形状をしておりますので、ほとんどコストは変わっていないというふうに考えるところでございます。したがいまして、そういう計算でやったのが先ほどの計数でございます。
桝屋委員 済みません。今尋ねていることは、余り通告を詳しくしていなかったものですから、おわびをしながら、もう一回確認ですが、今の御説明では、一通当たりのかかる費用というのはそれほど差がないという御説明だったかなと思うんですが、先ほど、私、申し上げた資料ではかなり単価に差がありまして、これを見ますと、例えば、一種が一通当たりの費用が七十六円ぐらい、二種が四十七円、三種が八十七円、四種が百六十円ぐらいの数字が出ているわけでありますが、これほど四種が、その単価が高くなっているこのデータ、これはこういう説明、何でこんなに差がつくのかということを、もうちょっとわかりやすく御説明をいただければと思います。
團政府参考人 失礼いたしました。
 例えば、三種でありましても、一種郵便物と同じものであれば同じコストになっております。ところが、三種郵便物で、例えば新聞等でありますと、これは一般の封書よりは大きい形状でございますし、取り扱いも手間がかかるということで、そういうものにつきましては普通の一種よりはコストが高い、こういうものが多いために全体のコストが一通当たり高いというふうになっているものと考えております。
桝屋委員 恐らく、私、今一番気になっているのは、何度も議論しておりますけれども、点字のみの出版物等は今までは無料であった。これからは新しい取り扱いの世界が始まるわけでありますが、そうしますと、その取り扱いの単価というのはなかなかわからないわけでありまして、先ほどの三百二十五億円、ここが赤になっている、これを当然一種、二種でカバーしているということになるんでしょうが、本当に三百二十五億円なのかな。後ほど、赤字部分は、例えば福祉的な配慮をするような政策減免については一般会計から持ち出しをするという議論もあるわけでありまして、日経に記事が出ておりましたが、この三百二十五億円というのは果たして妥当な数字なのかな、こういう気もしまして気になるんですが、やはり四種というのはこれほど本当に高くなるのかな。
 先ほどの説明で、同じ取り扱いについては同じ単価だけれども、点字はやはりそれだけ高くなるというのは、例えば点字に限って言うと、これぐらいやはり差がついている、倍ぐらいになっているのかどうか、もしお答えできれば、可能であればお示しをいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 四種でもいろいろなものがありますけれども、その細かい区分けはしていないということでございます。コストからいいますと、点字の郵便物であれば普通の手紙、はがきと同じコストだと思いますが、録音物であれば小包並みのコストがかかる、こういう違いがあるかと思いますけれども、余り精密なところまでの計算は現在はできておりません。
桝屋委員 これ以上言いませんが、私は、例えば、一種が七十六円で、四種がその平均が百六十円ぐらい費用がかかっているというこの違い、差が、にわかに、本当に素人ですから理解できないというところがありまして、ここは私もこれからさらに点検を続けていきたい、検証してみたいな、こう思っている部分であります。
 と申しますのは、これから次の話になるわけでありますが、実際に日経あたりには、今の数字で三百二十五億円ぐらい、その部分で赤になる、本当に政策料金で必要なものについては実施をしていただいて、なお、赤の部分については、これは大臣も、この委員会での議論の中でも、一般会計からあるいは補助をする、そういうことも一つの検討するテーマかなというような御発言があったやに記憶しておりますが、私は、そういうことから考えますと、安易に、本当にこれだけあるのかな、やはり費用計算というのはもう一回十分検証しなきゃならぬのではないか、こう思っている次第であります。またその点については、委員会の外でも結構でございますから、お示しをいただきたい、御教示をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 そこで、今回の法律案で三種、四種の料金の取り扱いでありますが、今後は、公社が定めて総務大臣が許可をする。当然これは審議会の諮問を経て行われるということになるわけでありますが、三種、四種、なくなるわけではないわけでありまして、今までと同じように制度としてはあるということでありますが、やはり一番問題なのは、公社後の公社の財政の中で、果たして今のサービスというものが続けられるものかどうかということが大変大きな関心を呼んでいるわけであります。
 きょうも朝出てくるときにファクスが入っておりまして、ぜひともという点字図書館の方からファクスをいただいたわけであります。これは、先ほどの流れからいきまして、公社がまず決めて、そして審議会の諮問を経て総務大臣が認可をされるわけでありますが、たとえ、今の点字図書は、これはもう法律でゼロはなくなったわけでありますから、例えば二分の一程度にするとか三分の一にする、あるいは現行の二分の一のものが三分の二になるというようなことで、どう見ても割引率のカットといいますか、サービスが低下するということが見えたとしても、一種よりも小さい金額であればこれは認可する基準をクリアするわけでありますから、認めざるを得なくなるのではないかと、容易にそういう事態を考えるわけであります。
 そこは、いや、そんなことはない、今の制度は間違いなく続いていくんだということが明らかであれば結構でありますが、なかなかそうは読めない。現に今サービスを利用されている方も、そこは安心できる状況ではないんだろう、こう思うんです。いやいや、そんなことはない、これは当分の間、少なくとも当分の間は続いていくというような御答弁があれば、これはまた皆さんにもお伝えしなきゃならぬわけでありますが、その辺は、大臣、改めてのお尋ねで恐縮でありますが、お考えをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 この問題、大変大きな関心を呼んでおりますが、法律は、公社が減免の幅を決めて総務大臣の認可をとる、こういうことでございます。我々は現行の仕組み、額を維持してもらうことを強く期待しておりまして、我々の認可にかかるわけですから、もちろん審議会の審議も経ますけれども、現行の体制でいこう、経営努力でのみ込める、こういうふうに今考えておるところでございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 そういう力強い大臣の御発言ではありますけれども、しかし、いや大臣、そうはいいますけれども、経営努力をいかにしてもこれはやはり厳しいですよ、結果的に一種以下の料金だから認めていただきたい、これは公社の独立性です、こう言われたときに、では、それを認可しないという根拠は、逆に政府にないのではないか、こう思うわけであります、ここをぎりぎり詰めると大変苦しいわけでありますが。
 これも質問通告はしておりませんが、そもそも論で素朴なお尋ねで教えていただきたいんですが、点字郵便物が郵便料金をゼロにしたという背景は何なのかな。例えばJRが身体障害者の運賃割引をしているのは、これはやはり、介助者がそばへついて、二人の料金を二分の一ずつにすれば一人の人と同じだという哲学のもとに二分の一という割引制度が今日まで行われているわけでありますが、これを無料にしたというそのポリシーといいますか、そこはどんなものか、これは聞かぬでもさすがに基本、教えていただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 この盲人用の点字郵便物を無料にしたのは、昭和三十六年の六月一日からというふうに承知しております。
 この理由でございますけれども、幾つかの理由はありますが、もちろん、盲人の方の福祉の増進に資するためということでございますけれども、一般に、先ほどコストの問題が出ておりましたが、盲人の方の録音物等は非常に大きい、つまり盲人の方の通信手段として郵便は非常に大事である、それと、逆に録音物は非常に重くてコストが高い、そういうこともあって、この録音物と点字の郵便物というのを無料にしたというような経緯というふうに理解しております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 本当に意地悪な質問をして恐縮なんですが、今の御説明であれば、それでは、非常に録音物等は高い、したがって、通常の荷物と、そのぐらいの同じ大きさのと同じ料金を確保してあげるというやり方もあったんではないかと思うんですが、これを無料にする。私は常々、ただほど怖いものはないといつも思っているんでありますが、無料というのはやはり特別の配慮があるわけでありまして、そこのポリシーが何らか明確なものがあれば教えていただきたいなと思ったんですが、重ねての御答弁はありませんか。
 いずれにしても、昭和三十六年から今日まで続いてきたということは、それは当初の政策動機が何であったにせよ今日まで続いてきたということは、少なくとも地域福祉の分野では一つのレベルになっているわけでありますから、ここは容易に壊してはならない、こう私は思っているわけであります。
 そこで、大臣にもう一つ。これは私が申し上げるのではなくて、日経新聞に、第三、四種郵便の割引維持、場合によっては、郵政公社に補助をというような記事も出ておりますが、ここは一つの論点だろうと思っております。ただし、先ほど経営努力の中でのみ込める、こうおっしゃっていただいた、これは私、あるべき姿だろうと思っております。
 と申しますのは、先ほどJRの例を出しましたけれども、JRはやはりJRの法律に基づいて運賃割引をしている、それはほかの利用される方々の負担によって賄われている、こういうスタイルになっているわけですね。それから、御案内のとおり、道路公団がやっている有料道路も二分の一の割引をしておりますが、これも一般財源をつぎ込むことなく、多分ないと思うんですが、ほかの利用者の負担によって賄われているということでありますから、この基本というのは郵政公社においてもそこは守られる点かな、こう私は思っているんです。
 しかし、そうはいっても大臣が、それも一つの方法か、こう言われると、実はそれぐらい現実として厳しい背景があるのかなと思ったり、いろいろするわけでありますが、一般財源をつぎ込むということについての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 先ほどの点字の無料化というのは、一九五二年に、万国郵便連合の条約、郵便条約というのができまして、国際間の点字はまず無料にする、それが国内も無料にしようということに広がっていった、こういうふうに私は承知しておりますが、ちょっと未確認でございますので、しっかり調べてまた御報告申し上げたいと思います。
 そこで、先ほど言いましたように、公社になりましても、やはりユニバーサルサービスというのは、非常に広い観点から考えますと、こういう福祉的な政策料金も維持するのがベターだ、こう思っておりますから、経営努力でのみ込んでもらう、私は当面はトータルではのみ込める、こう思っております。
 ただ、ずっと将来、大変状況が変わってきて厳しくなったときに、それではそのままずっと未来永劫維持できるかといったら、それはなかなかそういうわけにいかない事態も考えられないでもないので、そういうときには一般会計からの補助ということも検討の余地がある、選択肢の一つにはなる、こういうわけでございまして、企業会計、独立採算でございますので、当面は経営努力で、公社の努力でやっていただく、こういうことだと思いますし、それだけの努力はできる、こういうふうに今考えております。
桝屋委員 わかりました。大臣のその御決意を聞いて終わりたいと思います。私も、やはり三百億とかという数字が出るものですから、ここはきちっと、今すぐの話ではありませんが、将来に向けて見きわめていかなければいかぬというふうに思います。
 若干時間がありますので、実はもう二点やりたかったんですが、大臣に一点だけ。
 私、一昨日ですか、ADSLをいよいよ導入しました。ブロードバンドへやっと仲間入りさせていただきまして、遅いわけでありますが、せっかく高速インターネット網にアクセスできるようになったわけでありまして、郵便局の電子郵便局をこの二、三日随分歩いてまいりました。いやいや、なかなか立派なネットワークだなと。
 私は、きょうは郵便局のネットワークで二つの、それぞれの局の個別集配のネットワーク、それから電子のネットワーク、両方の議論をしたかったわけでありますが、個別配達のネットワークの話はもう時間がありませんからいたしませんが、電子郵便局、これは感想を言わせていただくと、なかなかすばらしいな、こう思っております。大臣も暇があったらぜひごらんになって、激励の一本のメールぐらい打ってあげられると喜ばれるんじゃないかと思うんです。
 と申しますのは、この法律の議論が始まった、公社になるということで、郵便局の皆さんは随分苦労されているな、努力されているな、必死になっておやりになっている。ここでワンストップサービスというのは随分議論されておりますが、ワンストップサービスについてもよくよく詰めてみると、では、何があるのかというと、そんなにまだないわけでありますが、その中で一生懸命努力をされている。
 郵便局によってはIT化もかなり差があるな、例えば郵便局によっては自分のホームページまでつくって、情報発信をがっちりやっておられる郵便局もありましたり、逆にこの郵便局は、まず、そういうIT化をするにはなかなか難しい局なんだろうなと想像するようなところもあるわけでありまして、この電子郵便局はどういう趣旨で始められたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 的確なお答えになるか、ちょっと手元にあれなものですから、申し上げないところがあろうかと思いますが、郵便局におけるITの取り組みはいろいろな局面がございます。
 一つは、バーチャルなインターネットの世界の中で、郵便局の各種業務につきまして情報提供させていただいている。あるいは簡保などですと、アクセスをしていただいて、いろいろな内容を知ることができるようにしております。郵貯でも同じような取り組みもございます。あるいはインターネット経由で、例えば小包等につきまして、着いたかどうかを携帯電話から確認する、そういった業務をインターネットでやっているということは一つ取り組みがございます。
 別の側面で申し上げますと、個々の郵便局で、今、全国の郵便局以外のあらゆる活動でインターネットあるいはパソコンの取り組みというのは大変普及しております。そういう盛り上がりの中で、個々の郵便局の局長さんなりあるいは職員の方々の盛り上がりの中で、業務の改善それから工夫がいろいろされておりまして、こういった活動につきましては、全国的にも発表会をつくったりしてやっておりまして、そういう一端について先生から御指摘があったんだというふうに承った次第でございます。
桝屋委員 余りかみ合わない議論でありますけれども、要するに電子郵便局というのは、現場の方に聞くと、まずは郵便局のネットワークをサイバーの世界でしっかり広げましょう。全国どこででも、地図検索もできるし、郵便局がどこにあるか、どういう仕事をしているか、何時までやっているか、お金の引き出しは何時までできるか、そういうサービス提供、情報の提供として郵便局のネットワークをまずは構築しましょうと。これは随分苦労されているようです。
 もう一つは、最近は、電子郵便局はそれぞれの局が、それぞれの地域の中の特色を生かして局から情報発信するということにお取り組みになっているようでありまして、ここはまだ随分差があるような気がいたしますけれども、セキュリティーの対策も講じながら、まことに一生懸命お取り組みになっているな、私はこう思った次第であります。
 したがって、何を言いたいかというと、ワンストップサービスというのは、大臣、将来は行政手続がオンライン化になれば随分、それはもうなくなるかもしれませんし、私は、むしろ行政と郵便局のこのネットワークで、今、ホームページを互いにリンクしているというだけでしっかり連携していますよという今のお話でありますから、その状況を乗り越えて、ITの中でももっと活用できる分野が今からどんどん出てくるだろうと。そこをやはり幹部の職員の皆さんも、電子郵便局を聞かれて、ちょっと想像できないような顔をしながら御答弁されるのではなくて、ぜひその辺も、今後とも御研究、御検討を、負けないように頑張っていただきたいなということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 一昨日に引き続きまして、郵政公社法の個別事項の質疑を行っていきたいと思います。
 少子高齢化あるいは過疎化、そして地域経済の空洞化等がますます進んでいます。このようなときに当たって、地域社会における国民生活のセーフティーネットとしての、全国約二万四千七百の郵便局の果たす、ユニバーサルサービスを前提とした郵便事業の意義は一層高まっておるところであると思っております。
 そしてまた一方、公社化研究会の指摘をまつまでもなく、金融ビッグバンに代表される経済活動のグローバル化に伴い、国民の日常生活に深くかかわり、個人金融資産の三割近くを占める約三百六十兆円にも及ぶ郵貯・簡保資金は、公共の利益に配慮しつつ、金融市場に与える影響を十分勘案して運用されねばならないと思っております。
 そこで、本日は、このような視点を踏まえまして、郵貯・簡保事業の個別課題を検討していきたいと思っております。
 まず、郵貯・簡保資金と金融市場問題であります。最近、追加デフレ対策に関連しまして、ペイオフ全面解禁の延期に関する議論が活発になってきております。まさに同じタイミングで郵政公社がスタートすることになるわけであります。
 ここで気がかりなことがあります。普通預金に全額保護措置を講じたこの春の部分解禁と違いまして、完全解禁下では全預金がペイオフの対象になるため、大量の預金シフトを通じ、問題金融機関の信用リスクを顕在化させやすくすることであります。さらに、もし最近のような株安と重なれば、金融システム全体が不安定な様相を示しかねない心配もあるわけであります。
 そこで、ペイオフの全面解禁に伴い、民間金融機関から郵便貯金への大量の資金シフトが発生し、民間金融を圧迫するおそれはないのか。また、そのため金融システム全体の不安定化を来す心配はないのか。さらには、今春の部分解禁で預金流出が続いた信用金庫等では、ペイオフ全面解禁の延期を求める声が強くなってきておりますけれども、総務省はこれから、地域金融に関して、地方の経済は本当に疲弊しておりますので、どのように配慮していくつもりであるのか。この三点、まず大臣にお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 ペイオフの全面解禁に伴って民間金融機関から郵貯へ流れるのではないか、こういうまず一つの御質問でございます。御承知のように、定額貯金の大量満期によりまして、平成十一年度末が二百六十兆だったんですが、十二年度、十三年度の二カ年で二十兆円減少して、本年度以降もなお減少の傾向が続いております。逆に民間の方は、恐らく株等から回っているんじゃないかと思いますけれども、約三十七兆円ふえているんですね。郵貯がずっと減りまして民間がふえている、こういう状況で、今御心配の大量資金シフトというのは起こっていない、こういうふうに考えております。
 また、郵便貯金の制度面では、御承知のように、預け入れ限度額は一千万を維持しますし、商品、サービスの基本的な内容は法定化されておりますし、利率は市場金利を勘案して民間預貯金の金利にリンクしろ、こういうことで決定されておりますので、その意味ではこれも大きな変動要因にはない。
 ただ、全面開放が近づくにつれまして、そういう声が、延期論が起こっていることは承知いたしておりますが、一方、地域の金融機関におきましては、ぜひ体力をつけようということで、合併だとか再編あるいはその他の経営健全化の取り組みにも努力いたしておりますので、そういうことを含めて、我々としては、郵貯の所管、責任を持つ者としては、地域金融の状況について十分なウオッチをして今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
黄川田委員 大臣から、大きな資金シフトがないということ、あるいはまた地域金融機関の合併ですか、今、総務省は市町村の合併をしておりますから、合併特例債であるとか合併に伴う措置であるとか、いろいろお考えでしょうけれども、総理の私的懇談会のメンバーで金融問題の専門家であります翁日本総研主席研究員でありますけれども、この方は、郵政公社は金融市場に与える影響が大きく、我が国金融システム全体の観点から、金融監督当局の監視が必要であること、ATM接続等によりまして民間金融機関との結びつきが進展する中において、日常的な取引行動あるいはまた金融危機のときの対応などについて、金融監督当局と郵政公社が情報交換できる体制をつくることが重要であること、さらには、巨額な資金運用は万一の場合、納税者負担につながるということなどなど、貴重なアドバイスをしているということを指摘しておきたいと思っております。
 次に、郵便貯金の利率に関してお尋ねいたしたいと思います。
 公社への移行後は、公社の健全かつ自律的、弾力的な経営を確保するために、郵便貯金の利率は公社が機動的、弾力的に定めることとなります。いわば民間金融機関と競争状態にあります公社がみずから利率を定めるわけでありますから、民間の金融機関よりも高い金利を付して民間金融機関の経営を圧迫するのではないかという懸念もあるわけであります。
 そこで、質問でありますけれども、公社が定める利率は、総務大臣が認可する利率の決定方針に基づき定めることになりますけれども、公社化後、郵便貯金の利率の決定方針及び決定方法は具体的にどのように変わるのか。そしてまた同様に、貸し付けの利率の決定方法はどう変わるのか。あわせて総務省の見解を求めておきたいと思います。
團政府参考人 郵便貯金の利率の決定についてのお尋ねでございますが、現在の利率の決定は、郵便貯金法におきまして、市場金利を勘案する、預金者利益を確保する、それから民間の預貯金金利の配意というふうな基本原則を定めておるところでございます。具体的な利率決定に当たりましては、民間金利準拠というふうな目安を定めた金利決定ルールに基づいて総務大臣が決めているというのが現在でございます。
 公社への移行をしますが、こういう基本的な考え方は変わらないということでございます。
 具体的に申しますと、今度は利率は公社が決定いたしますので、まず公社は利率の決定方針というものを作成して、総務大臣が認可するということになります。その場合の決定方針に当たりましては、預金者利益の確保、収支相償、それから御指摘の民間預貯金金利への配意というものを含んだ決定方針を作成するということにしているわけでございます。具体的な決定方針に基づきます利率の決定につきましては、公社は総務大臣に届け出るということにしてございます。届け出られました利率につきまして、これが不適切であるというふうに総務大臣が判断した場合には、これを変更するということを命ずることにしてございます。また、金融庁からの申し出があればその協議に応じる、こういうふうな仕組みで、金利につきまして、このシステムを乱さないというふうな配意をしているものでございます。
 それから、預金者貸し付けの利率についてでございますけれども、これは預金担保貸し付けでございますので、預金の利率に一定の率を上乗せして総務大臣が定めるというふうなことになってございますが、公社に移行しましてこれも公社が決めてまいりますけれども、基本的なやり方というものは変わらないというふうに考えております。
黄川田委員 総務大臣の役割がますます大事になってくるというふうな感じがしますので、よろしくその対応をお願いいたしたいと思っております。
 それで、郵便貯金の資金運用の対象が、ローリスクの国債あるいは地方債が中心でありまして、安全、確実な運用を行っておりますけれども、これまた幾ら資産サイドで安全な運用を心がけているといっても、一方の負債サイドでコストが高まったりするリスクもあると考えられるわけであります。すなわち、郵便貯金の大半は定額貯金でありまして、定額貯金は六カ月たてば預けがえが自由な商品であり、そういった預けがえリスクも常に抱えておるわけであります。
 そこで、このように郵貯は、資産、負債両面で常にリスクにさらされておりますけれども、この郵便貯金の抱えるリスクの管理を具体的にどのように行っていくのか、総務省に見解をお聞きしておきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、郵便貯金におけるリスク管理というのは非常に重要な課題というふうに認識しております。特に、昨年から自主運用ということになってまいりまして、だんだん自主運用額はふえてまいりますので、さらに高度なリスク管理が必要というふうに考えてございます。
 したがいまして、その健全性の確保という観点から、独立したリスク管理担当を設けるというふうなことをいたしまして、主要なリスクを把握し分析して、経営に反映するというふうにしているわけでございます。
 郵便貯金の特性でございますが、今御指摘がありましたとおり、まず、運用についての信用リスク、これは企業貸し付けとか、そういう運用先の信用リスクというものはとっておりませんので、これについてはほとんど問題ないわけでございますが、御指摘のとおり、金利が変動する場合の、定額貯金の預けかえというふうなものが発生した場合の金利変動リスクと申しておりますけれども、そのリスクが一つございます。
 もう一つは、金利の変動等によりまして、国債等の保有資産の価格が変動する、こういう価格変動リスクというのがありまして、この二つが主要なリスクと認識しておりまして、これに対応する体制をどうとっていくかということが必要だと考えております。
 損益変動リスク、預けかえに基づきますリスクにつきましては、定額貯金の預けかえの影響を把握できるモデルをつくりまして、金利変動のいろいろなシミュレーション、一万通りぐらいのシミュレーションをいたしまして、将来の損益を定量的、確率的に把握するというふうな手法をとって、これを管理するということにしてございます。
 また、資産価格変動リスクにつきましては、これも一万通りぐらいのシミュレーションをつくりまして、保有資産を時価評価し、その評価損益を把握するというふうな手法を開発中でございまして、これは、来年の九月に完成予定というふうなところで進めております。
 また、そのほかに、運用リスク、システムリスク等のオペレーショナルリスクと言われているものにつきましては、担当課が個々に管理しておりますけれども、これを統合して管理するというふうな、一元的な管理を行う体制を整備することとしております。
 さらに、議論も出ておりますけれども、こういうふうな内部管理に加えまして外部監査等を導入しまして、万全な体制で臨みたいというふうに考えているところでございます。
黄川田委員 それでは、民間資金需要への対応であります。
 郵便貯金は、国債、地方債等を中心に運用されまして、一たん公的部門に資金の供給を行っております。ただ、この資金も、財投機関から民間企業への貸し付け、あるいはまた公的部門による、民間企業が生み出す財やサービスの購入を通じまして、いずれは民間部門に還流していくものと考えられます。
 しかしながら、これとは別に、郵便貯金から民間部門に資金が直接供給されることが大事だと思っております。適切なリスク対策を行った上であれば、郵便貯金が企業の社債などを購入しても構わないと思っておるわけでありますけれども、郵便貯金から民間部門へ資金が直接供給される規模はどれくらいなのか、そしてまた、このように実際に企業の社債の購入などを行う場合、その企業の持つ信用リスクにどのように対処していくのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 民間部門に対する資金循環という観点から見ればいろいろなお話があろうかと思いますが、特に先生の御指摘は、直接に社債等への投入がどうなっているかというお尋ねだったかと思います。
 お答えを申し上げますが、社債、それにはコマーシャルペーパー等も含みまして、そういった部分への運用がどうなっているかということでございますが、平成十二年度末の残高で申しますと、郵貯の資金でございますが、三兆三千七百十六億円となっております。十三年度末は、今はまだ決算の取りまとめ中でございますが、ほぼ同額程度となるのかなと見ております。
 なお、実際の運用に当たりまして、個別の社債等への運用に当たってどういうふうに考えているかということでございますが、特に問題になりますのは信用リスクだと思っております。具体的には、格付会社による格付をまず参考にいたします。それから、安全性を重視した運用基準を定めておりますが、個々の発行体、実際に社債を発行する発行体でございますが、その株価だとか財務状況も見ながら、信用リスク管理を行っております。
 なお、こういった信用リスクへの対処は、現在では定性的な管理が中心となっておりますが、今後は、このリスク量を定量的に把握するなどの取り組みもしてまいりたいというふうに思っております。
黄川田委員 では、次に、切り口を変えまして、郵貯資金と国債の価格であります。
 日銀の調査によりますと、個人が貯蓄を行う目的は、病気、災害への備えが圧倒的に多いわけでありまして、次いで、昨今の高齢化を反映しまして、老後の生活資金を挙げる割合が多くなってきております。つまり、多くの個人は、ハイリスク・ハイリターンの投資というより、むしろ安全性を第一に考えておるのではないでしょうか。
 バブル以降、土地神話が崩壊しまして、不動産が安全資産としての性格を失っていく中で、個人はますます金融資産に対し安全性を求める気持ちが強くなっております。こうした観点で見れば、郵便貯金に預けられる資金も、いわばローリスク・ローリターンの性格を持つ以上、資金の運用に当たっては、安全性に配慮し、リスクを抑える必要があることは当然であります。こうした状況を踏まえれば、郵便貯金の運用対象は、リスクの小さな国内債、つまるところは国債が中心とならざるを得ないと思うわけであります。
 この場合、郵便貯金の資金が国債市場に流入することになりまして、価格が変動し、国債の健全な価格の形成を阻害する可能性も考えられるわけでありますけれども、この点についての総務省の見解はいかがでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 郵貯資金の国債への運用ということでございます。
 昨年から財投改革で自主運用ということになりましたけれども、御承知のとおり経過措置がございまして、郵貯の市場運用残高というのは本年三月末で約八十六兆円でございますけれども、これは、これから六年ほどかけまして、十九年度末までの間にだんだんふえていくというふうなことでございまして、一気に何百兆が市場に出るということではないわけでございます。
 そこで、資金が漸増していくということと、郵貯の運用のスタンスでございますけれども、これも御指摘のとおり、信用リスクの少ない、あるいはほとんど考えられない債券運用をしながら、その運用の手法につきましても、いわゆるバイ・アンド・ホールドということで、日々売り買いをするということじゃなくて、長期的に保有するというふうな格好のものを基本としております。それから、ポートフォリオということで、それぞれの運用資産の市場規模に配意した運用を行うという安定的な運用を基本方針としているわけでございます。
 今御指摘の国債の運用残高でございますけれども、現在、市場全体の国債の残高が四百六十九兆円と承知しておりますが、郵貯での運用残高は五十・九兆円ということでございまして、一〇・八%のシェアでございます。残高のシェアは一〇・八%でございますが、日々売り買いを行うということをやっておりませんので、売買高で見ますと、その市場シェアは〇・八%ということでございます。したがいまして、日々の売り買いにおいてはそんなに大きなシェアを占めていない、残高については相当大きなシェアを占めているということでございます。
 そういう中でも、こういう大きな残高を持っておりますので、日々の資金運用の実施に当たりましては、市場の動向を随時注視するということと、市場関係者との情報交換を行いまして、国債の市場を乱さないというふうなことを最大の留意点として運用を行っているわけでございます。
 実務担当レベルにおきましても、郵貯の運用といいますものが直接混乱させるというふうな具体的な指摘を受けたことはないというふうに承知しておりますけれども、また国債管理政策というのも国にとって大事な政策でございます。国債市場が乱れるということになりますと、運用にも不測の影響を生じるわけでございますので、郵貯は、市場の一機関投資家といたしましても、市場のルールを尊重し、市場への影響にも適切に配慮して運用していくべきものというふうに考えております。
黄川田委員 最近の新聞報道によりますと、アメリカの国内でも個人や銀行の資金が安全志向を強めておるところは御案内のとおりであります。個人資金は株式から預金に流れ、銀行は企業向け融資を厳しく選別しております。景気の先行き不安や企業業績の下方修正に加えまして、エンロン等の相次ぐ企業の不祥事がリスク回避の背景にあるようであります。企業会計の信頼性が損なわれ、市場不信が高まり、そしてまた我が国の株安にも影響しておると思っております。
 このように金融市場がますますグローバル化する中にあって、国民一人一人は国債の対外評価と価格の安定性に関心を深めているということをここでは指摘しておきたいと思っております。
 それでは次に、公社に対する日銀考査であります。
 公社化研究会の中間報告によりますと、公社は決済用口座として新たに日銀の当座預金口座を利用するとのことであります。当面、企業向け貸し出しを行わないため、信用リスクは問題ないわけであります。しかしながら、金融業務を行う以上、民間と同様に流動性リスクにさらされます。公社化後は日銀ネットを通じて金融機関間の決済に参加することになるため、みずからの問題だけではなく、他への波及も考慮する必要があると思っております。
 そこで、公社は、リスクを内部で管理するのは当然といたしまして、民間金融機関と同様に日銀と考査契約を結びまして、日銀考査を受けることを検討していると思いますけれども、それは概略どのようなものなのでしょうか。総務省にお尋ねいたします。
團政府参考人 お答えいたします。
 公社になりますと、現在の国庫金というものではなくなりますので、現在は国庫預託金口座というところをもちまして決済を行っておりますが、御指摘のとおり、日銀の当座預金口座を公社になれば利用するということで計画をしております。したがいまして、この日銀ネットを通じた金融機関同士の資金決済システムに参加するということになるわけでございます。
 そうしますと、日本銀行がこのシステムを管理しておりますので、日銀の方で、当座預金取引先の金融機関に対しまして、決済システムの円滑な運用を確保する観点から、しっかりした事務処理とか、機動的な資金繰りができているかどうかというふうな業務の状況につきまして、当然、何らかの形で日銀としての立入調査を含む調査を行うというふうなことが必要になると考えております。そういう観点から、日銀と、そういう立入調査等についての契約の締結を行うことになろうかというふうに思っております。
 その具体的内容につきましては、既に日銀当座預金を開設している政府系金融機関等の取り扱い等もございますので、そういうものを踏まえまして適切な契約を結び、この決済システムの円滑な運用のための相互の協定を結んでまいりたいというふうに考えております。
黄川田委員 それでは次に、利益の処分、そして資本金等についてお尋ねいたしたいと思っております。
 郵政公社の国庫納付金については、これまで本委員会におきまして質疑を重ねてまいりました。大臣からは、国庫納付金の性格につきましては、法人税見合い、あるいはまた預金保険料見合いといった議論ではなく、トータルとして考えるものであること、また、その具体的な算出基準については、今後政令を定めていく際に、公社の損益状況や資産、負債の状況等を総合的に勘案するほか、公社は過少資本であるからこれを解消して、健全な経営の見通しがついてから納付すべきであるとの見解が示されたところであります。
 そこで、公社の経営に関する基本的事項につきまして、何点かお尋ねいたしたいと思います。
 そもそもこの公社において生じた利益はどのように処理されるのか。一般の会社であれば、株主に配当する、あるいは資本を増強するなど考えられるわけでありますけれども、公社の場合どうなるのか、総務省の見解を求めます。
野村政府参考人 お答えいたします。
 公社は独立採算制で収支相償を原則にやっているわけでございますけれども、郵政事業に係るサービスを全国あまねく公平に提供する責務を有するということでございますので、その財政状況を安定的なものにする必要がございます。そういった意味で、利益が出ましたら積み立てるという形になってございます。
 具体的には公社法の三十六条に規定してございまして、利益が生じたときは前年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは積立金として整理し、損失が生じたときは積立金を減額して整理し、なお不足があるときはその不足額を繰越欠損金として整理する、かように規定しているところでございます。
黄川田委員 国庫納付については健全性を確保してからということでありますが、それでは、公社の資本金については、退職給付引当金等を除きまして約一・九兆円であり、民間金融機関と比較して極めて過少であるとの指摘を受けているところでありますけれども、そもそもこの公社の資本金の額はどのように算定するのか、その額は承継資産の評価方法によってどう変わるのか、これまた総務省の見解を求めておきたいと思います。
野村政府参考人 承継財産の関係につきましては、具体的には施行法第七条に規定してございます。郵政公社の発足時におきまして、現在、郵政三事業三特別会計から承継する資産、郵便局とか保有する国債等の有価証券等々の資産の額から、承継する負債の価額、郵便貯金の預かり金等の負債、こういったものと、先ほど先生がおっしゃいました、公社が成立時において有することとなる退職給付引当金等の引当金の合計額、これをさっきの資産の額から控除した額が、政府からの出資として資本の額となるわけでございます。
 そこで、資本の額の算定でございますけれども、先ほどの七条に書いてあるわけでございます。まず承継資産の評価につきまして評価委員を任命いたしまして、評価委員の方が具体的な算定をするということになっているわけでございますけれども、その評価の価額につきましては承継時点における時価を基本とするということでございまして、具体的には公社発足時のそういった資産、負債の時価を前提にして算定することになりますので、先ほど一・九兆円というお話がございましたけれども、あれは十二年度末の決算をもとにした推計でございまして、具体的な額は、来年の四月一日の時点でのそれらの資産と負債の価額によって変わってくるという形になろうかと考えております。
黄川田委員 総務省から具体的な見解をいただきましたけれども、これらの諸点を通じまして、この過少資本は公社の事業経営上本当に支障がないのか、また、その対策を今後どうするのか、大臣の見解を重ねて求めておきたいと思います。
片山国務大臣 今、野村統括官が言いましたように、今度発足します公社の資本金は約一兆九千億、これは公社化研究会でも何人かの委員さんから、大変な過少資本だ、こういう指摘を受けたことも事実でございます。
 ただ、現在は国営ということがありますから、過少だからどうだということにはなりませんけれども、今後とも公社が独立採算制のもとに健全な経営を確保していくためには、先ほども話がありましたが、各種の価格変動リスク等をちゃんと補てんできる体制ということが必要でございまして、資本の充実は我々は欠かせない、こう考えております。
 したがいまして、今後、公社において生じた利益は積立金として積み立てていく、資本金を、過少を解消していく、こういうことに充てたいと考えている次第であります。
黄川田委員 残り時間が少なくなってまいりましたので、それでは次に、財投の改革と財投債についてであります。
 国債の中には、財政融資資金特別会計法に基づき発行される国債、いわゆる財投債が含まれますけれども、この財投債は、昨年四月に実施された財政投融資改革により登場したものであります。
 財投改革とは、郵便貯金、年金積立金の全額が資金運用部に預託される制度から、特殊法人等の施策に真に必要な資金だけを市場から調達する仕組みへと抜本的な転換を図ることを目的としたものであったはずでありました。しかしながら、実際には、各特殊法人が個別に発行する財投機関債の発行額は少額にとどまっておりまして、財投債により調達した資金を特殊法人に融資する方法が現実には大宗を占めておるわけであります。
 そこで、財投債を郵貯資金で相変わらず引き受けているわけでありますけれども、これは資金運用部への預託から供給方法が変わっただけでありまして、特殊法人に郵便貯金資金を供給するという構図は何ら変わっていないと思いますけれども、この点に関する総務省の見解はいかがでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 平成十三年度からいわゆる財投改革ということが行われまして、郵貯について見ますと、全額義務預託から自主運用ということになりました。いわゆる財投機関におきましては、財投機関債ないし財投債の発行によりまして、市場から資金を調達するというふうになったわけでございます。
 そこで、仕組みとしましては、財政融資資金、財政投融資の要求を取りまとめまして財投計画をつくるわけでございますが、そういう資金需要を決定した後に、では、その資金の調達をどうするかという二段階になってまいりまして、その資金の調達は、もちろん財投機関債もございますけれども、一部財投債として調達していくというふうになるわけでございます。郵貯の立場としますと、そういう財投債、これは国債の一種でございますので、こういうものが、市場に出たものを購入していくという格好での資金供給をしていくというふうになるわけでございまして、いわゆる出口と入り口は分かれたということになるわけでございます。
 ただし、御指摘の中にあるかもしれませんが、いわゆる財投債の市場での調達ではなくて、直接引き受けというものを財務省から要請を受けておりまして、一部直接引き受けをやっているというふうなことでございます。これは、大量の財投債が市中に出た場合の金融市場の混乱というものが非常に懸念されることから、段階的に減らしてまいりますけれども、当初幾ばくかの直接引き受けをやってほしいという要望がございまして、それに応じているということでございまして、あくまで、平成十九年度、全額自主運用になるまでの経過措置というふうにとらえられているものでございます。
黄川田委員 金融相の懇話会ですか、そこで最近まとめられた金融ビジョン報告書案、これによりますと、公的金融に関しまして、入り口としての郵便貯金、簡易保険、そして、出口としての政策金融機関による公的金融仲介のシェアが特段に大きく、見直しが不可欠であると指摘されておるところであります。
 これは通告していないのでありますが、総務省はこれに対してどのような見解を持っておるでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる金融ビジョンの詳細なものは承知しておりませんけれども、財投の仕組みから申しますと、現在でも、財投債の発行、財投機関債の発行、財投債の引き受けという資金の需要につきましては、財政融資資金というものの規模で決まってくるわけでございます。財投改革以前につきましては全額義務預託でございましたので、入り口の量が出口を決めるような機能といいますか、作用もあったかと思いますが、現在のところは、一義的に財政融資資金の規模が決まって、その後、それを引き受けるかどうかという運用の問題になるわけでございます。
 したがいまして、財政融資資金の規模は、一義的に出口たる財投機関の規模というもので決められていくものだと、運用サイドとしましては、そういうものの規模が決まった後、事後的に対応していくものというふうに考えております。
黄川田委員 あと残り五分を切りましたので、まとめて二点伺います。
 業績評価と政策評価等であります。郵政事業庁が公社化されても、事業を管理するための手段が整備されていなければ、ユニバーサルサービスを維持した上で、かつ独立採算制を維持発展させる重大な課題は達成できないのではないかと思っております。本来、事業の継続性から、公社化のスケジュールにかかわらず、特別会計法でも明示されております企業会計原則に準じた管理会計的な手法は、現在の郵政事業庁においても取り入れられるべきではなかったかと思っております。
 そこでまず、郵政事業庁は発足後一年半と間もないわけでありますが、事業を管理するための手段として、いまだ管理会計的な手法が十分採用されていないと思われますけれども、その理由は何であるのか、また、何か採用事例があるのか、まず第一に伺いたいと思います。
 それからもう一つは、公社化後、具体的にどのような独自の業績評価方法を想定しておるのか、また、公社の業績は、今法案に従えば総務大臣の業績評価の対象となりますが、これに対して、行政評価法では行政機関が政策評価を行うこととなっておりまして、この両者の関係はどうなっておるのか、前回答弁されたかとは思いますけれども、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
松井政府参考人 お答えします。
 最初に、私の方から経営管理に関する取り組みについて申し上げたいと思います。
 現在は、御案内を得たと思いますが、組織は政府組織でございますし、予算は政府の予算という格好になっておりますし、定員も国の定員管理の中に入っております。そういう行政機関であることに起因する制約がありますので、経営管理の仕組みが十分に整備されていないというのが今の状況でございます。
 そういう中で、これから経営管理をしっかりやっていかなければならないわけでございますが、郵便事業につきましては特に厳しい経営環境が考えられるわけでございまして、損益の改善に向けて、その効率化の推進あるいはサービスの向上にまた取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、こういった経営管理あるいは経営改善のための取り組みを着実に推進しまして、単に、最初に計画が決まったからあとは走り切るという話ではなくて、プラン・ドゥー・シーのサイクルがしっかりと働く、そういった自律的な経営管理の仕組みを整備する必要があろうかと考えております。
 現在も特別会計は若干発生主義的要素もあるんですが、公社移行時になりますと、全面的な企業会計原則になります。そうなりますと、中期経営計画あるいは年度経営計画を作成するだけでなくて、中間段階での計画の進捗状況に合わせて、その途中状況での把握と分析をやりながら事業活動をコントロールしていく。また、企業なんかでよくありますが、地域単位でも、機関単位でも自律的な経営管理をしていくというふうなことに取り組まなければいけないと思っておりまして、いずれにしろ、経営管理手法を新たに導入していくために勉強することは大変多いというふうに考えております。
野村政府参考人 公社化後の業績評価をどうするかというお話でございます。公社化後は公社がつくる中期経営目標等を総務省が評価するという形になるわけでございますけれども、具体的にはどういう形になるかというのを検討中でございます。できればということでございますけれども、中期経営目標等をできれば数値目標のような形で決めてもらいまして、それを総務省が評価するという形が評価方法としては客観的でわかりやすいんじゃないかなと思っているところでございます。
 それから、行政評価法との関係はどうなるんだというお尋ねでございますけれども、御案内のように、行政評価法というのは、各省庁が所掌に係る政策についてその有効性等を各省みずからが評価して、評価の結果を当該政策に反映させるものであるということでございます。
 この公社の関係でいきますと、総務省の仕事といたしまして、郵政事業の適正かつ確実な実施の確保というのが総務省の仕事でございますので、行政評価法でいきますと、こういった所掌事務が総務大臣から見て、みずからの政策としてそれが適切に行われているかどうかを評価するのが行政評価法に基づく評価ということでございます。公社に対する評価は、公社がやる目標等がきちっとやっているかどうかについて総務大臣が評価するというものでございます。
黄川田委員 時間が参りましたので、会計監査と業務監査につきましては後日といたします。ありがとうございました。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章です。
 本委員会でも最大の争点の一つになっていますのが、信書の定義の問題です。同僚委員がいろいろな角度から議論をされていますが、私からもこの点についてまずお聞きをしたいと思います。
 まず、基本的な確認を行いたいと思いますが、今回の信書の定義、郵便法の五条の改正なんですが、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。」ということに明定されるということになりました。
 この信書の定義によりますと、改めて聞きますが、ダイレクトメールは信書に当たるというふうに考えていいのか、当たるのかどうか、この点をまずお答えいただきたいと思います。
片山国務大臣 今回の法案で郵便法五条の中に信書の定義を書かせていただきましたけれども、これは何度も御答弁申し上げていますように、今までの確定した判決の表現をそのまま使っているわけでございまして、諸外国の例もほぼ同じでございます。
 これは、これを書いたら、現在の信書の我々の解釈を変更するつもりはないわけで、明らかにするために一応明定をして、ただ、いわゆるダイレクトメールは信書の扱いでございますけれども、物によっては信書から外してもいいものも場合によってはあるかもしれませんので、その辺は精査をして、多くの方の御意見を聞いて、パブリックコメントにもかけて、ガイドラインで具体的に範囲を明定いたしたい、こう思っているわけであります。
春名委員 片山大臣の御答弁は終始一貫しておられまして、今お聞きしたことは一貫して言われているというふうに私も思っております。
 それで、それは確かに文書にもなっていまして、私も昨日いただいたんですが、九九年の八月に郵政省が作成した「信書のしおり」というのを見せていただきまして、そこでも具体例として、信書の具体例は次のとおりですということで、書状とか願書、申込書の類とか、あるいは添え状とか送り状とか投票所の入場券とか等々の列記がされてありまして、その中の一つに、ダイレクトメールというのも信書の具体例の一つということで明定されているわけですね。これが今までの有権解釈というんですか、ということだったと思います。
 これは変わるものではない、今度の信書の定義が明定されましたけれども、これが変わるものではないということが今お話があったことだと思うんです。ただ、グレーゾーンが出てきているので、いろいろ検討せないかぬというお話だったと思うんです。
 ところが、今問われているのは、大臣がおっしゃった、現在ダイレクトメールを信書としている総務省の有権解釈、つまりこれからつくるガイドラインそのものが問われているという事態になっているというふうに私は思っているんですね。
 といいますのは、小泉総理大臣が六月の十一日の当委員会にいらっしゃって、その答弁でこういう御発言をされているわけなんです。
 私はできるだけダイレクトメールも、多くの人に見てもらって構わないというようなものは、どんどん信書の定義から外して民間でできるようにしていくべきだと思っています。こういう方向で、法案が成立したらガイドラインを決めていきたいと思っています。
 多くの人に見てもらっても構わないというようなものは、今信書であってもどんどん信書の定義から外して民間でできるようにしていきたいし、そういう方向で、法案が成立したら、後にガイドラインを決めたい、こういう御発言を、松沢委員の質問に対してのお答えなんですが、こういうふうにおっしゃっているわけです。
 今、信書として扱っているダイレクトメールの中で、多くの人に見てもらっても構わないというようなものというのは、例えば、街頭で不特定多数の人にまいている宣伝チラシを封書に入れて送るとか、それからはがきの表があて名書きで裏が宣伝チラシになっているようなものだとか、そういうものが想定されるわけで、ほとんどダイレクトメールの大部分をこれは占めていると思います。小泉総理大臣は、そういう部分をガイドラインによって信書の定義から外すんだということを方針としてやっていくんだ、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。
 ですから、片山総務大臣の答弁は一貫しているわけなんですが、小泉総理大臣が言っておられることは全然違うんですよね。百八十度違うんじゃないかと私は思ってしまうわけなんです。どちらが統一見解なのかが私はわからないので、教えていただきたいんです。
佐田副大臣 先ほども信書のいろいろ議論がありましたけれども、要するに、基本的に、先ほど大臣の方からもお話がありましたように、いわゆるダイレクトメールの考え方というのは、基本的には今までの判例が変わらないわけでありますから、基本になっている判例が変わらないわけでありますから、それは基本的に変わらないわけです、判断というものは。そして、ダイレクトメールは、原則としてはこれは信書であるわけです。
 それと同時に、多くの人に見てもらっても構わないというふうなお話がありましたけれども、これも非常に難しい問題がありまして、実は、多い人数、多くの人というのはどのぐらい多くかというのがまたあるわけでありますよね。例えば、同窓会の案内であるとか、そのぐらいの人数なのか、もうずうっと広く、不特定多数にいいのかどうか。この辺の判断もあるわけでありますから、この辺の議論はこれからしっかりしていきたい、こういうふうに思っているわけであります。
春名委員 さっぱりわからないんですけれども、私。
 現実をリアルに見ますと、皆さんのお宅にもダイレクトメールが届くわけなんですけれども、多くの人に見てもらっても構わないというようなものが圧倒的多数だと思うんですね。宣伝チラシを封書に入れているようなものだとか、先ほど言いました、はがきの裏が宣伝チラシになっているようなものだとか、大体その二種類でダイレクトメールの九割以上を占めているんじゃないかと私は思うんです。その辺、もしわかれば教えてほしいんですけれども、これはなかなか中身の問題があるので、信書の秘密があるので、わからない面もあると思うんですけれども。
 そういう、小泉総理大臣に言わせれば、多くの人に見てもらっても構わないというようなものが現在ダイレクトメールの大部分を実際は占めている。小泉さんが言っているのは、グレーゾーンのごく一部の話ではなくて、現在のダイレクトメールの本体、要するに信書と位置づけられているダイレクトメールの本体の大部分を信書から外すという方向の議論をされているように、この発言からいいますと、私はこれしか感じ取ることができないわけなんです。
 その点、佐田副大臣や片山大臣がおっしゃっていることと、それから小泉総理大臣がおっしゃっていることがかなりかけ離れているなというように思わざるを得ないわけです。その点はいかがですか。
佐田副大臣 繰り返しになって恐縮なんですけれども、決して恣意的にそういうふうな形で広げるとか、そういうことを考えているのではなくて、あくまでも今までの定義、基本的な定義があるわけでありますから、そういうところにのっとって考えていく。
 また、先ほどもちょっと非常に微妙な部分がありまして、全部に広く配っても、その人が特定的にそれを、例えば記入して申し込むという場合もある、そういう気持ちがあるというふうな形も考えられるわけでありますから、そういうことを考えていきますと、外見的なもので判断しなくてはいけないという部分も、これは随時随時全部調べるわけにいきませんから、そういうふうになってくる可能性があるということで御理解をいただきたい。
春名委員 今までの範囲を広げることを考えているのではない、現状を変えるものじゃないという認識はよくわかるんです。ただ、小泉総理大臣の答弁を聞いていると、その現状を広げようとしているというふうにしか読み取れない中身なんですね。
 もう一つ、小泉総理大臣の御答弁を紹介しますと、今までの信書の定義はあいまいだった。だからこそ、いろいろな民間が配達していたことに対して、旧郵政省がこれは信書だといって嫌がらせというか妨害して、民間の仕事を邪魔していた、私はこれに憤慨していたんですよ。民間ができることをなぜ民間にさせないのかと。だから、今回、独断に陥ってはいけませんから、信書の定義というのはある程度法律には書かなきゃいけないだろう、しかし、民間にできることはできるだけ民間を参入させるような方法を、いろいろな各方面の意見を聞いて、今後、法案が成立したら民間が参入できるような形ではっきりさせていけばいいなと思っています。
 多くの人に見てもらっても構わないようなものというのは、実際には民間ができることなのに、それを信書だというふうに定義して邪魔をしている、そういうことを小泉内閣はなくすんだということを繰り返し御答弁されているわけなんです。
 ですから、現状をそのままなんだというふうに言われるのはよくわかるんですが、その現状をガイドラインの中身によって変えていこうという方向性を小泉総理大臣は志向されているわけなんです。変えていこうという方向性を志向されている。しかし、総務省さんやお二人の大臣、副大臣の見解は、現状は一切変わらないとおっしゃっている。だから、どちらを信用していいのかわからないんですね。どちらを信用していいのかわからないような問題を採決することはできないんですよね。そこのところを、本当にわかりやすく、私にもわかるように御説明をいただかないと納得できないんです。
片山国務大臣 総理はいろいろ言われましたけれども、いわゆるダイレクトメールには多様な形態が想定される、こういうことですね。だから、いわゆるダイレクトメールなんですよ、ダイレクトメールの正確な定義は実はないので、そこのところは広く意見を聞いて整理してやろう、こういうことでございます。
 総理がああいうことを言われることの念頭には、一つには地域振興券という、かつてありましたね、これについて大変争いがあって、当時の郵政省と、当時は総理じゃありませんが、小泉さんとの間に大変なあれがあって、地域振興券というのも、見方によっては、なかなか際どいところがあるんです。しかし、あれは信書だ、こういうことで当時の郵政省は定義づけたわけでございます。
 そういうことを今度は法律上はっきり書く、これは確定判決ですから、だれも異議がない。そこで、解釈できるものはそれでやってもらう、今までのあれで。ただ、多様な形態があって、グレーゾーンについてはガイドラインで明らかにする、こういうことでございますから、言い方がちょっと、両方から言っているようなところがありますけれども、中身はほとんど変わっておりませんので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
春名委員 大臣のおっしゃっていることもわかるんですよ。ダイレクトメールにいろいろな形態ができてきているので、ダイレクトメールというのがあると。そのうちの一部分がグレーゾーンになって、なかなか解釈が難しくなってきているので、これをガイドラインで決めていこうというような認識を言われているんですが。
 小泉総理大臣が言っておられるのは、そもそも今信書と定義しているダイレクトメールの大部分をこのままでいいのかという問題提起をされているんですね、と私は見える。つまり、多くの人に、だれが見たって構わないというような文書というのは、民間でやって信書じゃないようにしたらどうかというふうに言っておられるんです。今はダイレクトメールというのはほとんどそういう部分が大宗を占めているというのを私は認識していますし、皆さんのお宅に届くところもそういうものが多いはずなんですね。だから、そこでどうしても食い違いが出てきているんです。
 そこで、ダイレクトメールにもいろいろあるという発言をなさっておられますので、総務省さん自身がどう考えているかを再度、違う角度から少し聞いておきたいと思うんです。
 郵便法の二十七条の三に「第一種郵便物及び第二種郵便物の料金の特例」というのがありまして、これは広告郵便物の定義が書いてあるわけです。この広告郵便の定義がどうなっているかを読み上げていただければ結構です。
團政府参考人 お答えいたします。
 現行の郵便法の二十七条の三というところで、いわゆる広告郵便物を特定しております。広告郵便物につきましては、この定義でございますけれども、「第一種郵便物又は第二種郵便物のうち、総務省令の定めるところにより、その内容が、専ら商品の広告その他これに類する営業に関する活動であつて総務省令で定めるものを目的として、同一内容で大量に作成された印刷物であると認められたものをいう。」ということでございます。
春名委員 今読んでいただいた広告郵便物の定義、これはほぼイコールダイレクトメールと考えていいんじゃないですか。
團政府参考人 一般にダイレクトメール、いろいろな言われ方をしていますけれども、一般的にダイレクトメールのうちに入るものだろうと考えております。
春名委員 そのとおりですね。
 二点言われているわけですね。一つ、内容は専ら商品の広告その他これに類する営業に関する活動、二つ、同一内容で大量に作成された印刷物、この二つの要素を満たしているものが広告郵便物で、料金の特例、二十七条の三に規定されているわけですね。これはまさに、小泉首相が言われる多くの人に見てもらっても構わないというようなものにもろに当てはまるわけですね。広告郵便の定義と小泉さんがおっしゃっていることがぴたっと一致している。同一内容で大量に作成された印刷物であるということなんですね。
 ところで、教えてほしいんですけれども、この料金の特例で、要するに第一種・第二種郵便物に占めるダイレクトメールの割合、それから売上高は一体どれぐらいありますか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 郵便法上の広告郵便物でありますが、その引き受けで申しますと、部数ベースで、第一種、第二種全体に占める割合は二〇・二%となっております。平成十三年度の実績でございます。
 一方、売り上げでございますが、売り上げの方で申しますと、平成十二年度の試算値で申し上げますと千九百六十五億円ですので、売り上げが第一種、第二種全体の売り上げに占める割合は一二・四%となっております。
春名委員 シェアでは二〇・二%、売上高では千九百六十五億円で、全体の一二%を占めるということになっているわけですね。これがイコールダイレクトメールなわけですね。
 郵便事業は、この間、約一千億円の減収で、最大六百二十五億円の赤字になったことがあります。もし、小泉首相が言うように、まさにぴたっと当てはまってしまっているわけなので、こういう多くの人に見てもらっても構わないというようなものが信書でないというようにガイドラインの中で、そういう議論になって後で決められるというようなことになれば、郵便事業に与える影響は超甚大なわけですね。
 そういうことで、現状を変えないというふうにおっしゃっているわけなんだが、しかし、あなた方が決められている郵便法の第二十七条のほぼイコールダイレクトメールの定義からいっても、小泉首相が言っておられる多くの人に見てもらっても構わないというようなものとほぼイコールなわけですね。その部分をこれからガイドラインで検討して、これからできるだけ外していく方向にしようということを総理大臣自身は言っておられるわけなんですね。
 今、そんな段階でこの法律が、そのことは白紙委任でお任せしますというようなことになったら、私は後で責任とれませんので、それほどの大事な影響を与えるものになりますので、その点を、内閣の統一見解のような形で、あるいは統一したガイドラインの案をここに出していただいて、きちっとそこに基づいて議論をしないと判断できないということに当然なると私は考えるんですけれども、この点、いかがでしょうか。
團政府参考人 この関係では幾つかの論点があろうかと思います。
 まず、ここで言っております広告郵便物がすべて、同一の内容ではございますけれども、同一の内容だからといって、今信書で定義しております、特定の受取人に対して意思を表示し、事実を通知する文書じゃないというものでもないというふうなことだと思っております。総理の答弁の中でも、ダイレクトメールにもいろいろありましてということがありまして、一義的に、広告郵便物の定義とダイレクトメールの定義というのは必ずしも一致するかどうかというのは、イコールのものではないんじゃないかというふうに考えております。
 また、ダイレクトメールはいろいろあるというふうなことを言われているわけでございますけれども、「信書のしおり」の中でも、ダイレクトメールということは信書ということでしておりますけれども、他方、商品目録とか書籍、雑誌は信書に該当しないものというふうなことで、性格の違うものがあるわけでございますけれども、一般の認識は、こういうカタログのようなものもダイレクトメールと受けとめられているような節もありまして、そういう面で、ダイレクトメールという定義ははっきりしない。基本的なものは信書の定義でありまして、あくまで信書の定義に照らしてガイドラインをつくっていくというふうに考えているものでございます。
春名委員 その説明はいいんですけれども、小泉総理大臣と皆さんがおっしゃっていることが食い違っているので、私はよくわからないので質問しているんですね。
 もう一回言います。私はできるだけダイレクトメールも、多くの人に見てもらっても構わないというようなものは、どんどん信書の定義から外していく、民間でできるようにしていくべきだと思っていて、そのために、法案が成立したらそういう方向でガイドラインを決めていきたいというふうにおっしゃっているわけなんですね。そういう方向でガイドラインを決めていきたいと。
 この見解は、内閣の統一見解とは違うんですか。総理の個人的見解なんですか、あるいは内閣の統一見解なんでしょうか。ひとり言なんでしょうか。これはどういうものなんですか。
片山国務大臣 ガイドラインで定義を変えるなんということはできないんですよ。定義は法律に書いたとおりなんですよ。特定の受取人に対し、差出人が事実を通知し、意思を表明する、こういうことなので、そういうことからいって、我々は定義を変えるつもりはないんですよ。
 ただ、総理の答弁の、委員が引用されるそのちょっと前にありますよね、ダイレクトメールにはいろいろありますのでと。こういうことの中で言われたことでございまして、多様な形態の中で整理して、ガイドラインで定義を実質的に変更するなんというのは、これは法律違反ですよ。我々は、法律を補完する意味でのガイドライン、具体的にAかBかを定かにすることをやりたい、こう考えているわけでございまして、ちょっと表現が総理は強うございますけれども、意図は余り違わないんです、我々と。
春名委員 総理の意図というのは一体どういうことかというのをちょっと察してほしいんですけれども。
 私は、定義をガイドラインで変えるなんということは一言も言っていないんですよ。定義は決まったと。その定義に基づいて、有権解釈でこれからガイドラインをおつくりになって具体化していく。その具体化の中身について、できるだけ、不特定多数というか多くの人に見てもらうようなダイレクトメール、今は信書になっているダイレクトメールは省いていこうという方向で進めたいと言っておられるので、それをそのままうのみにして、わかりましたとはできないでしょう。そのことを私は言っているんですよ。
 だから、私は、審議の前提として、ガイドラインを示すのであれば、そのガイドラインの案をこの委員会にきちっと示していただいて、それで判断をするというのがやはり筋だろうと思いますし、内閣の統一した見解を出していただくというのが筋だろうと思うんですよ。そのことをぜひ委員会にやっていただきたいということをお願いしたいんですが、どうでしょうか。
佐田副大臣 大臣の話の繰り返しになるかもしれませんけれども、要するに、定義が変わっていない。基本的に、秘匿性であるとか特定な人に対してであるとか、非常にちょっとあいまいなところもあるわけであります。であるからして、そういう部分においてダイレクトメールの定義がないということを考えたときに、変わる可能性もあるわけであります。
 ただ、先生、このガイドラインも、勝手に決めるんじゃないんですね。これは、要するに、利用者の方々やらいろいろな事業者の方々にいろいろと意見を賜りながら決めていくわけでありまして、その辺の御理解をひとつよろしくお願いいたします。
春名委員 そこを、その大もとになる法案の一番大事な骨格が示されないままに、統一した見解が出ないままに、私たちに目隠しをして採決に参加しなさいということにどうしてもなりますので、先ほど言いましたように、シェアでいえば二〇%、収入でいえば、広告郵便物ですけれども、二千億円という大変大きなものですよ。だからこれが焦点になっているわけですし、これから市場がふえるといえば、ダイレクトメール市場ぐらいがふえるということは一致しているわけですから、そこの部分が明確になっていないというのは、私は、この法案の最大の根本的欠陥ではないかと思わざるを得ないわけですね。
 そのことをぜひ今後明らかにしていただきたいし、採決の前にそのことがきちっと議論できて明らかになることを強く要請しておきたいと思います。
片山国務大臣 玄葉光一郎議員から、信書の定義についての質問主意書がありまして、閣議決定でこれについての内閣の意思を表明しておりますので、参考までに、これを答弁させていただきます。
  「信書」について、民間事業者による信書の送達に関する法律案においては、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案による改正後の郵便法における「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。」との信書の定義を引用し、規定しているところである。
  ダイレクトメールと称されるものの中には多種多様なものがあることから、これらが信書に該当するか否かの判断は、この定義に照らして行われることとなる。なお、この判断は、政府において作成することとしているガイドラインによって容易に行うことができるようになるものと考えている。
 我々が答弁しているのと同じでございまして、これは閣議決定してお答えしたものでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
春名委員 そのことを、総理が言っていることとの関係で最初から問題にしているわけですから、そのことをきょうは議論しているわけなんです。あとは、後にその議論がまた続くことになると思います。
 それでは、時間があれになりましたので、次の問題に入りたいと思います。第四種の無料化問題についてお話をしたいと思います。
 私も、先日、高知で視力障害者の皆さんと懇談して、要望を聞いてまいりました。点字郵便物や点字図書は生活そのものである、点字を読むことのできない視力障害者は録音物に頼らざるを得ないこと、重度の障害を持つ方は外にも出られないで、郵便屋さんと点字郵便物、録音物が外の世界と触れ合う唯一の機会であること、もし有料になって届かなくなると生活の基盤が崩壊すること、切々たる訴えを聞いてきました。
 それから、全国点字図書館の皆さんからは、視力障害者は点字図書館から郵送してもらっていろいろな本を読んでいる、これが有料になると図書館経営自身が成り立たなくなるし、大切な情報や知識が閉ざされることになる、どうしても無料条項を復活していただきたいという強い要請を受けました。
 何度か議論になっておりますけれども、改めて、無料条項は復活していただきたいと考えます。いかがでしょうか。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
團政府参考人 第四種郵便物の無料扱いという問題でございます。
 改正後の郵便法におきまして、第三種・第四種郵便物を引き続き公社が提供すべき郵便物と規定したわけでございますが、その料金につきましては、公社が定めた上で、総務大臣の認可を受けるということにしているわけでございます。その認可基準が、同一重量の第一種郵便物よりも低い料金とするということまで法定しておりまして、以下、どこまで低料にするか、あるいは無料にするかということは、基本的には公社の発意ということにしているわけでございます。
 これは、これまで盲人用……(春名委員「仕組みの説明はいいですから。わかっていますので。復活してくださいという話ですから」と呼ぶ)はい。
 これは、国とは別人格の独立採算の公社ということになりますので、規定としてはこれが限界ではないかということで、こういう規定ぶりにしているわけでございます。
春名委員 別人格の郵政公社になるからこそ、ここだけは守るというものを法律に明記することが特別に大事なんじゃないでしょうか。経営の自由、裁量の問題と言われるんですけれども、この分野はそういう自由裁量に任せてはならない分野だという認識を持つべきだと私は思います。
 お聞きしたいと思います。サミット参加七カ国のうちで、公社の形態をとっているところが幾つかあります。それらの国は、日本と同じように、法律には明記はしないが無料にしている、そういうふうになっているのか、一体どうなっているのか。カナダ、アメリカ、フランスでどうなっているのかをお答えいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 公社という形態で郵便事業を行っている国、サミット参加国の中では、カナダ、フランスとオーストラリアなどがあると承知しております。
 このうち、フランスにつきましては、それぞれ公社の性格は違うと思いますが、法令上、盲人用郵便物を無料で取り扱うことが義務づけられております。また、カナダに関しましては、法令上、無料の取り扱いができる旨を規定されていると承知しております。
 一方、オーストラリアに関しましては、盲人用郵便物について特段の規定はないというふうに承知しております。
 実際の扱いにつきましては、しかし、この参加国のいずれの国におきましても、盲人用の郵便物については無料の取り扱いがなされるものというふうに承知しております。(春名委員「アメリカ」と呼ぶ)アメリカでございますけれども、アメリカの場合は、これはUSPSという国の機関がやっているわけでございますが、これは法令上、盲人用郵便物を無料で取り扱うことができる旨を規定し、実際上、無料の取り扱いをしているというふうに承知しております。
春名委員 今お話しいただきましたが、公社のカナダでは、郵便法の第十九条で、無料にする規定を置くことができる。それからフランスは、同じく公社ですが、これは政令ですけれども、郵便電気通信法典政令第三十三条ですが、盲人用郵便物は、規則の定める条件及び制限で、郵便料金及び書留、受け取り通知等に適用される特別料金を免除される。それからアメリカ、今おっしゃったとおり、別法人格ではないけれども、公社です。合衆国法典の第三十九編第三千四百三条、以下の条件で無料送付されることができる、盲人またはその他の身体障害者に送付される郵便物ということになっているわけですね。それから、イギリスは公社ではないので今お話しいただきませんでしたが、国が一〇〇%出資をしている株式会社です。しかし、そこでも法律で盲人等に対する無料郵便サービスを提供することをあわせて課すよう指示できるというようになっているわけです。
 したがって、同じ公社の形式などをとっているところであっても、公社になったからこういう規定は削らなきゃいけないといういわれは全然ないわけですよね。違いますか。
 ほかのサミットのそういう国々でも自由裁量の方向に進んでいる公社なんでしょう。しかし、そういう公社の形式をとっている、そういうところであっても、あえて法文の中に、あるいは政令の中に、これは無料条項を義務づけているところとそれができるという条項になっているところが両方ありますけれども、ちゃんと書き込んで、しっかり守るという立場に立ってやっているわけですよね。公社になったからこれは削らなきゃいけない、自由経営を損なうから削らなきゃいけないといういわれはないんですよ。そういう点を学んで、きちっと書き込むべきだし、復活させるべきだと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 これは、郵便事業体につきましては、各国いろいろな、政府との関係がそれぞれまちまちだと思いますので、規定の仕方が違うのではないかというふうに思っております。
 追加的に申し上げますと、アメリカ、カナダにつきましては、盲人用郵便物に対する政府からの補助金があるというふうなところもございます。
 フランスの細かい事情はわかりませんけれども、今回の郵政公社の場合は、これは自律的、弾力的な経営を行うということが基本でございます。しかし、公共的な使命がありますので、三種、四種という種目を残しまして、これは実際、このサミットの国の中でも規定がなくても無料扱いをしているところがあるように、こういう三種、四種を残すということによりまして公社の努力を期待していく、こういうことが一番今度の場合は自然な法制ではないかということで御提案しているものでございます。
春名委員 しつこく聞いて申しわけないんですけれども、本当に死活的な問題ですから。
 無料条項を削るということは、選択肢は次は有料にするということしかないんですね。そうでしょう、無料条項を削るわけですから。有料にするという方向の選択肢しか出てこないわけですよね。だから、視覚障害者の皆さん、さまざまな障害者団体の皆さんが、本当にそれでいいのかということを心から心配して、対応してほしい、無料条項を復活してほしいということを言っておられるわけなんです。公社の努力によってそれは続けられるという展望がもしあるのであれば、それを条文にちゃんと示すべきです。
 無料条項ができたのは一九六一年の郵便法の改正です。そのとき、当時の板野郵務局長さんはこう言っておられます、なぜ無料条項にしたのか。盲人用点字等につきましては国際的な例に倣いまして無料にすることといたしました、ちゃんと答弁しています。つまり、国際的な例に倣って無料条項を六一年の改正で入れました。今、国際的な例では、公社であっても無料にしているわけですから、こういう国際的な例に倣って、無料条項をきちっと復活させるとぜひ責任ある答弁を大臣にしていただけないでしょうか。
片山国務大臣 先ほど桝屋委員の質問にもお答えしましたけれども、しなければならないと書くか、することができると書くかということなんで、自律的、弾力的な経営をする公社としては、することができるの方が適当ではなかろうかということで、法文はそうなっておりますが、先ほども言いましたように、公社の経営努力によって、これの経緯についてはのみ込んでいただいて無料を継続してもらいたい、そういうことで、認可は私の方がするわけでございますから、そういうふうに公社にやっていただこう、こう思っております。
春名委員 そこが、改めてお聞きいただきたい、もう御存じのとおりなんですけれども、点字郵便とか録音物というのは視力障害者の生活を支える、要するに不可欠の構成部分ですよね。だから、人権の一部と考えなきゃいけないと思うんですよ。だから諸外国でも公社化になろうが無料を法律に明定して、何があっても無料でいくというのが常識なんじゃないでしょうか。そこを私はしんしゃくする必要があるんじゃないかと思うんです。
 国の公共的な責任をこれは放棄していくということの道筋の一つとして見ざるを得ないということになるんですよね、これ、このままでいきますと。この点も、今修正の議論なんかされているようですけれども、その修正の議論の中では、私はこの問題は絶対避けては通れない問題ではないかということを改めて要望しておきたいと思います。
 最後に、二十五日に私が質問いたしました特定局長制度の問題について一点聞いておきたいと思います。
 今私は、二十五日に議論したとおり、表裏一体性という状況で、癒着という問題が国民的な批判を浴びている。先ほど松崎委員からも質問がありましたけれども、私は、新しい郵政公社ということを議論するときに、絶対にこの特定局長制度というのは避けて通れない見直しの大きな柱だと思います。
 どうして特定局長だけが特別の任用制度になっているのか、国民的な疑問です。そして、わずか二〇%が外部から特別な任用で今は任用されているということであれば、余計に、もうそういうところに来ているわけですから、そういう任用制度を改めて、特定局長制度というのを今やめて、もう企業会計原則でこれからやっていこうというふうにおっしゃっているわけでしょう、そのときに、普通局体系があって特定局体系がある。一つの企業の中に二つの体系がある、こんな不合理な話ないでしょう。そういうことを考えても、私は検討してしかるべきときに来ているんじゃないかと思わざるを得ないわけなんですね。
 検討したことはないんでしょうか、それから、今後どういうおつもりなのか、その点お聞きしておきます。
松井政府参考人 何度も答弁させていただいたかと思いますけれども、少人数でやられる小規模の局で、かつ全国津々浦々で、地域に密着した形で、地域に親しまれながらサービスしていくという基本的なコンセプトで来ております。こういった役回り、それは特定郵便局長が、転勤をしないで、そして地域の人に親しまれながら責任を持って仕事をしていくということでございまして、こういう観点から、これもまた管理者でございますし、そういう国家公務員の任用制度の中で、一般職員は原則競争試験ということになっておりますが、例えば係長以上であれば、そういった官職については選考による任用が認められているというのが今の国家公務員法の制度でございます。そういう一環として人物本位の選考による任用をやっている。それも実際には、教養試験だとか論文試験あるいは人物試験、そういった能力を実証するための試験を実施するという国家公務員法の規定に従って採用しておりまして、これが定着しているということについて、私どもは考え方を変えるつもりはございません。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
春名委員 終わりますが、地域に密着した局そのものを廃止せいとか、そんな話ではなくて、こういう制度的な体系を見直すときに来ているんじゃないかということを今申し上げているわけです。そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 最後の質問者でありまして、大変お疲れのことと存じますが、ひとつ的を得た答弁をお願いいたします。
 まず、先般の質問で私は指摘をしたのでありますが、第一条、国民生活の安定向上、これが郵政公社法案等の基本となっている重要なキーワードと考えます。
 そこで、この規定と、第二十三条から二十六条に規定する中期経営目標、中期経営計画及び年度計画並びにこれにかかわる業績評価の問題についてお聞きいたします。経営の健全性の確保に関する事項、その他業務運営に関する事項を中期経営目標で定める、中期経営計画では事業計画、予算、資金計画及び運用計画を定めることとされ、さらに、年度計画では事業年度の経営計画を定めるとされています。
 これら目標、計画を定める場合、第一条に言う国民生活の安定向上とはどのような関係に立つのか。つまり、ユニバーサルサービスを維持する上で、仮にこれが経営上マイナス要因であっても、必要不可欠な要素であるならば当然盛り込まれてしかるべき、このように私は考えるんですが、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 先般も重野委員、この問題をいろいろ御指摘になりました。
 日本郵政公社法というのは組織法なんですね。それから、郵便法だとか信書便法だというのは作用法でありまして、ちょっとややこしいことを言いますと、行政作用法、行政組織法です。したがって、目的がちょっと違ってくるんですね。日本郵政公社法の方には国民生活の安定向上だとか国民経済の何とかだ、こういうことになる。郵便法や信書便法は公共の福祉の増進だとか、そういうことになるので、そこの書き分けはちょっとあると思うんです。
 しかし、そうはいっても国民生活の安定向上と書いておりますから、具体の公社法案でいいますと、この業務は、例えば、国庫金の支払いを郵便局でやる、あるいは国債の募集を郵便局でやる、一部宝くじもやる、あるいはワンストップサービスを郵政官署法に基づいてやる、こういうことを一応想定してあの文言を入れているわけであります。
重野委員 そこで、経営の独立性を高める、本法案のねらいの一つがこれにあることは理解しないでもないわけでありますが、本法案の意図する独立性、これはあくまでも相対的なものであって、絶対的なものではないと私は思うんです。あくまでも、国民生活の安定向上という大目的のもとでの独立性。
 そうなれば、そこでは収支バランスの向上は唯一絶対目標ではないはずです。経営上、部分的マイナス要因も含めた経営目標、計画も当然認められるべきものである、そうしなければ国民生活の安定向上という第一条に書き込まれた精神が満たされない、このように思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
片山国務大臣 言われるとおりです。しかも、国営公社ですから、これは大変公的な性格はあるんです。国営事業として、国営公社の事業として郵政三事業を一体でやる、こういうことでございまして、その中には、全部、効率だとか収益だとか、そういうことだけじゃないんですね。やはり公的な性格も当然あるわけでありまして、その点は委員と同じ認識であります。
重野委員 そこで、今、大臣から答弁がありました、いわゆる業績評価の性格ですね。一方に政策評価法がございますが、この政策評価法に定める行政評価と、ここで言ういわゆる業績評価、これはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
野村政府参考人 先生が先ほど言われましたように、今回の公社法というのは、事前管理から事後評価へということで、公社に自律的、弾力的な経営をさせて、より利用者国民のためになるようなサービスを提供しようということでございます。そういったことを担保するために、公社そのものが目標とか計画を定めまして、その進捗状況を事後、総務大臣が評価するという仕組みでございまして、今言った二十五条、二十六条の業績評価というのは、そういった事後での公社の状況を評価するのが今回の制度でございます。
 それで、行政機関政策評価法につきましては、各省庁が所掌する政策につきまして、その有効性等をそれぞれの省庁がみずから評価して、その結果をさらに次の政策に反映させようということでございます。今の郵政事業の関係でいきますと、総務省の仕事といたしまして、郵政事業の適正かつ確実な実施の確保というのが総務省の郵政事業関係の所掌事務でございますので、そういった観点から、総務大臣がそういった郵政事業の適正かつ確実な実施についてきちっとやっているかどうかについてみずから判断しまして、その後の政策に反映させようということでございます。
重野委員 それでは次に、総裁などの人事問題についてお伺いいたします。
 第十二条では、総裁及び監事は総務大臣の任命、理事は総裁任命とされています。また、「任命に係る役員の職務の執行が適当でないため公社の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。」このように十五条三項は規定しています。
 そこで、公社の業績が悪化した場合とありますが、この悪化という意味は中期経営計画に基づく年度計画が一つの判断基準となるというふうに考えますが、間違いありませんか。
野村政府参考人 先生おっしゃるように、業績評価といいますのは、公社がつくる中期経営目標なり中期経営計画、こういったものがきちっと予定どおり進捗しているかどうかを、まず年度年度について、今、中期経営計画は四年と考えているわけでございますけれども、四年のうちの当該年度が四年間の目標に向かってきちっと遂行されているかどうかについてチェックする、それから、四年後については、その四年間の中期経営目標がきちっと達成できているかどうかをチェックするという形になるわけでございます。
重野委員 さらにお伺いしますが、そうした計画と経営実績との関係において、どの程度乖離したときに悪化というのか、悪化の範囲、言いかえれば、計画と経営実績との乖離はどこまで許容されるのか、そういうことについて検討されておればお聞かせください。
野村政府参考人 お答えいたします。
 まだ具体的に中期経営目標なり中期経営計画の、まあ法律で概要的なことを書いてございますけれども、具体的中身は今後の検討課題と考えておりまして、そういった意味で、どの程度外れた場合どうなるかというところまで検討がいっておりません。
 ただ、中期経営目標につきましては判断しやすい数値目標に、例えば、収支率が何%というような目標をつくりますと、その目標に対してどうかというのは客観的に判断しやすいので、そういった目標については数値的な目標にして、皆さんが判断しやすいような形にしたいというふうに考えているところでございます。
重野委員 今言ったその目標というのは、いつの段階までにできるんでしょうか、示されるんでしょうか。
野村政府参考人 まあ、法律を通していただきまして、予定どおりいけば来年四月一日から発足ということでございます。その場合、四月一日以降につくりますと、やはり継続性の関係がございますので、施行法の方で、設立委員というのを任命いたしまして、設立委員の方が具体的な四月以降の公社の中期経営目標なり中期経営計画について策定していただくという形になってございます。
 そういった意味で、ちょっと時期的な関係はまだはっきりしておりませんけれども、公社発足以前に、そういった設立委員の方々によって中期経営目標なり中期経営計画、こういったものが策定されまして、それを総務大臣が認可して決めていくという形になろうかと考えております。
重野委員 そこのところをなぜ聞くかというと、この問題は間違いなくその後の役員任命との関係で重大な連関性がある、私はこのように思うから、ここら辺を聞くわけでありますが、総裁、監事は大臣の任命、副総裁は総務大臣の承認を得て総裁が任命する、理事は総裁の任命となっています。それで、郵便事業は、本法案では民間との競争関係に立つことになるわけでありまして、しかも独立採算制が求められることになります。となれば、公社による郵便事業は、当然マイナス要因を抱えることになります。
 そうした条件下で、役員は解任される可能性が常にあるというふうになりますと、私はこの役員の選択肢というのは極めて限定されるのではないかというふうに思うんですが、そういう理解は間違っているのかどうなのか、お聞かせください。
野村政府参考人 お答えいたします。
 具体的な目標等については、先ほども申し上げましたように今後の問題でございますけれども、今回の制度と申しますのは、中期経営目標等を公社がつくりまして、それを大臣が認可して事後評価という形でございます。
 ですから、先生がおっしゃるように、郵便事業について民間参入によって収入が減る想定があるとしたら、そういうものを想定した上で目標なり計画をつくり、それを適当かどうか大臣が認可する形になりますので、収入が、例えば民間参入によってこのぐらい減りそうだという前提での計画で、たとえ初年度は赤字になる場合でも、それについて総務大臣が計画として適当だと認可をすれば、たとえ赤字になったとしても、ほかの要因で一時的な赤字だという形になろうかと思いますので、御懸念のように、赤字が想定されるから、すぐ解任されるおそれがあるから役員になる人はないというような事態にはならないのではないかと考えているところでございます。
重野委員 この問題は、第十五条五項との関係でも非常に重要な問題を含んでいる。同項では、二項、三項に規定する事由に該当すると認めるときは、総裁に対し、その役員の解任を命ずることができるとされている。そもそも、公社化するという政府のねらいの一つは、経営の弾力性の確保、政治からの相対的独立性、ここにあると思うんですね。なのに、この部分については総務大臣の解任命令を法定化するということになるわけですが、そういう必要があるのかということを私は疑問に思うんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 ほとんどこれは使われない方がいいんですね。今回のこの公社、今までの公社と違うのは、もう委員御承知のように、自律的、弾力的な、そういう公社にしよう、できるだけ役所も、総務省も、監督官庁も、国会も、必要最小限度の関与だけしよう、こういうことですから、自由にやってもらうということですが、しかし、自由にやってもらうんだけれども、どうしても自律でセルフコントロールができないような状況になったときは、それはやはり国民の皆さんのお金を預かって、また大変ユニバーサルサービス、郵便事業をやり郵便貯金や簡易生命保険の事業をやっているんですから、政府としては必要最小限度のぎりぎりの口出しはせないかぬ、それがこの規定でございまして、本来なら副総裁や理事の任命権は総裁にあるわけでありますけれども、しかし、総裁がそういうことで機能しない、こういう場合には総務大臣がそういうことができる、こういう規定でございまして、何といいますか、担保といいますか、ぎりぎりの、公社の機能維持のための万一の規定だ、こういうふうに私は理解しております。
重野委員 それでは、また違った角度から聞きますが、総裁並びに役員の任命方法、また総裁による役員の解任、また総務大臣の解任命令、このような仕組みのもとで特定役員を解任するような事態が生じた場合、その経営責任あるいは政治責任はどこに帰着していくのか、こういう点についてお聞かせください。
片山国務大臣 それは、経営責任は最終的には総裁です。それで、その総裁を任命した、あるいはその総裁を監督した総務大臣も一定の責任は免れない、こういうふうに思っております。
重野委員 そうだと思いますが、特定役員の解任権を総裁に保障する、経営の独立を標榜する以上、当然そういうことになるだろうと思います。
 しかし、解任という人事権を保障するということは、その裏側に、そうした役員を任命した経営責任、政治責任というのは当然問われるわけですね。
 極端に言えば、経営実績が悪いから解任、しかし総裁の地位は安泰、こういうことになった場合、本当の経営責任はどこにあるのかということが問われてまいりますが、そういう問いが出されたと仮定をして、どういうふうにお答えするんでしょうか。
野村政府参考人 大臣からお答えいたしましたように、最終責任は総裁が負うわけでございますので、そういった経営についての、役員関係についての責任は総裁が負うわけでございます。
 総務大臣の方は、総裁を任命したとか中期経営目標管理等、業績評価を通じまして、郵政事業が適正かつ確実に実施されるよう監督する責任を持っているわけでございます。それと同時に、国会に対する説明責任を負っているというふうに考えているところでございます。
重野委員 一企業体としての公社の総裁を初めとする役員の経営責任、政治責任は、私は、表裏一体のものである、この点は強く念を押しておきたいと思います。
 しかし、総裁に対する解任命令権を大臣に保障する、先ほどの答弁で、めったにそういうケースはあってはならない、そんなことを招いてはならぬと思うんですが、場合によっては、しかし、政治が介入をすることによってそういう事態が招来されるということもなきにしもあらずと懸念されます。総裁の解任権とは問題が異なるわけでございます。要するに、該当事由の判断が大臣にゆだねられるということでありますが、ここに私は問題を感じるわけです。
 条文上は、二項、三項に該当すると認めるときと限定されていますが、判断権は大臣の側にあることには変わりはない。となれば、そこに恣意的判断が全く入らないという保証はないわけでありまして、その意味でこの規定は、政府の意図する、本案のよって立つ基本的考え方に反するのではないか。もっと公社は、そういう意味では独立をした、そういう存在であるというふうに私は理解をしたいのでありますが、ここの部分を考えると必ずしもそうはならない、こういう懸念を持ちますが、その点について大臣、お聞かせください。
片山国務大臣 総裁の解任理由は、法律には、心身の故障のため職務の遂行にたえないと認められるとき、これはある程度客観性がなきゃいけませんね。それから、職務上の義務違反がある、これも明らかな法令違反だとか義務違反が認められる場合。それ以外に、経営判断の誤りなど総裁の責任により業務の実績が悪化した場合であって、引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるとき、これも法律に書いております。
 しかし、これらも、いずれも恣意的な判断ではなくて、やはり客観的に見て、それは明らかである場合だけだと思いますね。もしそういうことがないのに、別の理由で総務大臣が介入をするとすれば、それは大変大きな責任を総務大臣がかぶる、こういうことになると思いますので、今度は総務大臣が法律違反をやるとかやらぬとかという議論になる、この法律の条項に基づかぬで解任したら。
 そういうことでございますので、法律上、解任権は限定をして、一種の制約をかけているわけであります。
重野委員 わかりました。
 それでは、次に職員の身分問題についてお伺いをいたします。
 本案では、郵政公社の職員は引き続き国家公務員とされていますが、昨年の参議院選挙における高祖事件、先ほども質問がございました。この事件で端的に示されたように、組織ぐるみの選挙がはびこるなど、国家公務員の政治的中立性を損なう事例が目立っていました。このような事例が絶えないのは、特に幹部職員において、全体の奉仕者たる意識や政治的中立性の重要性についての認識が欠如していた、このように言われても仕方のない結果でございました。今回、公社に移行するに当たり、その身分を国家公務員とするとされている以上、改めて全体の奉仕者としての意識を高めるための方策を講じなければならない。人事院等々の協力も得ながら、徹底すべきだと考えます。
 これについては、昨年も私、高祖事件に関連して質問いたしましたが、その後どういう対策が講じられたのかということも含めて、答弁をお願いいたします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の参議院議員通常選挙に関連いたしまして、近畿郵政局の職員が公職選挙法違反で有罪判決を受けるなどいたしましたことはまことに遺憾でございますし、このような事態に至ったことについて厳粛に受けとめ、深く反省しているところでございます。
 公社化後におきましても、職員は国家公務員としての身分を有するものでございますし、求められる政治的中立性は現在と変わらないものでございますので、引き続き国家公務員法等に関する研修を実施するなどして、職員一人一人が国民全体の奉仕者として政治的中立性を求められているということを改めて強く自覚するよう、服務規律の保持の指導徹底を図ってまいる所存でございます。
 また、先般来、昨年の十月でございましたか、御指摘があったところでございますが、その後の取り組みについて申し上げます。
 職員の倫理の保持を高めるために、郵政局などにおきます各種会議の場に国家公務員法等に関する専門家を講師としてお招きし、平成十三年度中には二百七十会場で三万一千六百九十人の職員に対して研修を実施いたしました。また、部内職員研修所におきましては、各種訓練のカリキュラムに服務規律に関する時間を設けまして研修を実施いたしましたほか、関係法令の遵守等に関する職員周知用のリーフレットを作成し、教材として全職員に配付したところでございます。
 なお、その部外の専門家を講師としてお招きするに当たりましては、人事院だとか、あるいは同じ総務省でありますが自治行政局の選挙関係の人だとか、あるいは弁護士の方々、検事の方とか、いろいろな方をお招きしてお教えいただいたところでございます。
重野委員 関連をして、この問題の根源には、特定郵便局長さんの採用問題、先ほども質問がございましたけれども、これはやはりどうしてもぬぐい切れない問題として横たわっていると思うんですね。つまり、特定郵便局長の採用が現在のように不透明なままであるとすれば、採用における中立性、公正性は確保しがたい、そういうことが続いていくと思うんですね。
 そこで私は、公社化に当たってこのときに、特定郵便局長の採用についての中立性、公正性をどのように確保していくのか、これは極めて重要な課題だと認識をいたします。そこで、まず大臣のこの問題に対する見解をお聞かせください。
 また、この点について、きょうは人事院総裁にもお越しいただきましたが、人事院総裁の所感をお聞かせいただければありがたい、このように思っています。
片山国務大臣 特定郵便局長の採用につきましては、当委員会でもいろいろな御論議、御指摘をいただいておりますが、国家公務員の任用は原則は競争試験ですね。ところが、人事院の承認を得て、人事院と協議して、一定の場合には選考による採用ができる、こういうことになっておりまして、特定郵便局長の採用については、もう長い歴史があるんですね、これは。そこで、ずっと選考で採用させていただいている。
 私は、特定郵便局長というのは、もちろん能力もある、実績もある人がいいわけでございまして、それはきちっと認証しなければなりませんが、ある程度地域社会に溶け込んだり、地域社会から信用があるし、あるいは地域社会のために一生懸命やろう、こういう人が適当だ、こう思っておりまして、そういうのはもうペーパーテストだけでは、あるいは面接だけではやはり限界がありますので、選考というのは一つの方法かな、こう思っております。
 ただ、今御指摘のように、不透明さがあるとか公平さに欠けるとかというところがあるのなら、それは直さないといかぬ、こう思っておりまして、今後とも、選考採用を中心にしながら、今の透明度を高める、公正さを高めることについての検討をいたしたい、幅広い関係の皆さんの御意見を聞きたい、こう思っております。
中島政府特別補佐人 おおむね総務大臣がお答えになったところで満たされていると思いますが、要は成績主義、また公正性とか透明性の確保ということが重要でございますので、能力の判定方法とかあるいは選考過程の明確化というようなものをどのように進めていくかということについて、事務当局の方で、それぞれ同じ方向を向いておりますので、詰めさせていただきたいというふうに考えます。
 なお、先ほど話が出ておりましたように、研修というのも非常に重要でございます。特に特定郵便局長の方で中途で公務員になられた方については、余り研修というのを今まで行っておりませんけれども、そういう中途で特定郵便局長として入ってこられた方、そういう方々に対する研修というものも充実していく必要があるなというふうに考えております。
重野委員 もう時間もだんだん迫ってまいりましたが、さきの本委員会でも、公務員制度改革における採用試験の問題について質問がなされました。私もこの点に関してお伺いいたしますが、昨年十二月の公務員制度改革大綱では、「採用試験制度の企画立案については、内閣が行う」とされています。採用試験は公務員制度の根幹にかかわる問題であり、第三者機関である人事院がその実施のみならず企画立案にかかわることで中立性、公正性が確保されてきていると私は考えます。
 今回の郵政公社化に伴い、採用試験は公社が行うこととされておりますが、これも採用試験に関する統一的な企画立案を人事院が行うもとで、郵政公社が実施する、こういう分担機能というものが働くことになるわけであります。採用試験に求められる中立性、公正性を確保するために、今般の公務員制度改革においても、採用試験の企画立案、これは私は人事院が行うべきというふうに考えるんですが、人事院総裁の見解をお聞かせください。
 同時に、行政改革担当の熊代副大臣にもおいでいただいておりますので、見解をお聞かせいただければありがたい。
中島政府特別補佐人 午前中にも議論になりまして、お答え申し上げました。
 少し違った角度から申し上げますと、政党内閣のもとにおいて試験制度の企画立案をなさる、そのように変更する方がより信用性が高くなるか、あるいはまた、中立機関が実施した方が信用性が高いか、そういう観点から議論されるべき問題じゃないかというふうに思います。
 私の考え方は、午前中申し上げましたように、やはり中立機関が担当すべきだろうというふうに考えております。
熊代副大臣 これまでの物の考え方は人事院総裁のおっしゃったとおりでございますけれども、実はそれを改めようというのが今度の閣議決定でございまして、激しく時代が変わる、そういうときにどういう行政課題に積極果敢に取り組まなければいけないか、そのためにはどういう人材が必要であるか、その人材を確保するための試験問題ということであります。
 これまでは中立公正のアンパイアを務めていただく人事院にすべてをお任せしていたということでございますけれども、やはりここの時代の変わり目で内閣が内閣の責任において行うということでございます。午前中にも申し上げましたが、内閣は党が組織する、与党が組織する、だから中立公正であり得ないんじゃないか、そういう意識があるということでございますけれども、それは改めなければならないんじゃないかと思います。
 選挙で選ばれた最大多数の最大幸福を目的とした内閣がしっかりとした責任においてそれを行う、それがもし中立公正でなければその内閣はつぶれる、その与党は選挙に負けるということでありますから、ダイナミックなものとして考えなければならないということでございます。山県有朋の話も午前中申し上げましたけれども、国家公務員が中立であって政治家は中立たり得ないというのは、我々政治家はしっかりと考え直さなければいけないんではないかと思います。
 また、先生の少し前かもしれませんが、自社さきがけの政権をつくったときもございます。政権はいつもかわるものでございます。そういうことで、公平中立を旨とした内閣がやる、積極果敢にやりたいということでございます。どうぞよろしくお願いします。
重野委員 今の熊代副大臣の答弁については、私は、ああそうですかとは言えない。これは、今後私は一つのテーマにしていきたい。
 前もって、きょう、あと時間が詰んでおってという話がありますので、もう退席しても結構です。
 最後に、天下り問題についてお聞きしたいと思うんですが、郵政部門は、郵政省時代から天下りの件数が非常に多い職域であります。全省庁の中で二番目に多いということで、去年が百八十五件、こういうような結果が出ているんですが、その内容が、いわゆるいうところのファミリー企業への再就職、こういうふうに指摘をされているわけですね。これについても、せんだって質問がございました。
 今までがそうだったんですから、今回公社化することになりますと、そこら辺の緩みがますます緩んで、ますますお手盛り的なそういう天下り人事がふえるのではないかと懸念をいたしますが、そういう懸念は御無用と言うんでしょうか、いや、それはそういう懸念がありますなと言うんでしょうか、お聞かせください。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 営利企業への就職につきましては、本人の知識、経験、技能等が就職先に評価されて行われているというものでありますし、また、そうでなければいけません。ただし、その手続として、就職の承認に当たりましては、国家公務員法等に基づきまして適切に措置しているつもりでございます。
 なお、先生御指摘のように、そういった営利企業への就職の承認件数が非常に多いという御指摘でございますけれども、御案内のように、郵政事業庁は大変人が多うございます。約三十万人ということでございまして、ほかの官庁とはけたが違いますので、毎年一万人程度の職員が退職しております。これが反映されているんではないかというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、新しい公社も国家公務員として位置づけられております。営利企業との隔離という位置づけは変わっておりません。ですから、今後の退職規制につきましても、国家公務員法等に基づく規制に厳正に対処してまいる必要があろうかと思っております。
重野委員 時間が来ましたので終わりますが、いずれにいたしましても、緊張感を持ってスタートする、そのことを最後に要望しまして終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二分散会


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