衆議院

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第5号 平成14年11月14日(木曜日)

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平成十四年十一月十四日(木曜日)
    午後二時三十九分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 桝屋 敬悟君
   理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      上川 陽子君    左藤  章君
      佐田玄一郎君    滝   実君
      谷  洋一君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      赤松 広隆君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (郵政事業庁次長)    有冨寛一郎君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十四日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     石田 真敏君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     谷本 龍哉君
    ―――――――――――――
十一月十四日
 有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省郵政企画管理局長團宏明君及び郵政事業庁次長有冨寛一郎君、以上お二人の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。
左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。時間がおくれておりますので、早速質問させていただきたいと思います。
 まずもって、加藤副大臣の御就任、心からお祝いを申し上げたいと思います。ぜひひとつ、総務省のために御活躍をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、日本郵政公社の人事の件、採用の件なんですが、今、御存じのように、国家公務員1種、2種また3種、また郵務関係だけは外務員というのがあります。これが、公社化になることによってどのような採用区分になるのか、どういう予定をしているのか、ひとつお願いを申し上げたいと思います。
加藤副大臣 お答えする前に、開会がおくれたことに対し、心からおわびを申し上げたいと思うわけであります。
 今の左藤委員のお尋ねでありますが、御承知のように、現在の郵政事業職員の採用試験は、人事院が行う国家公務員採用1種、2種、3種、それと、郵政事業庁が行う郵政外務職員採用試験等によっております。
 新しい日本郵政公社は、ユニバーサルサービスを提供しつつ、独立採算で、企業的な経営を行うことが求められておりますところから、公社経営により適した人材を、公社みずからの責任と判断で採用することが必要となってまいります。
 こうした考えに立ちまして、人事院との調整の結果、日本郵政公社が、人事院から、国家公務員法第四十八条でありますが、国家公務員法上の試験機関としての指定を受けて、大学卒業程度の学力を有する者を対象とする郵政総合職採用試験、そして、高校卒業程度の学力を有する者を対象とする郵政一般職採用試験を実施しようとしているところであります。
 ちなみに、郵政総合職採用試験は、本社、中間管理機関の将来の幹部候補者となる職員を確保するための試験であり、また、郵政一般職採用試験は、郵便局等における内務事務及び外務事務に携わる職員を確保するための試験でございます。
 以上であります。
左藤委員 わかりました。
 それと、私は近畿なんですけれども、内務員、3種ですね。外務員を確保するというのに実は外国籍の方を採用しているという話を聞いておるんですが、これは今後、郵政公社としてどのような取り扱いをする予定でおられますか、質問をさせていただきたいと思います。
加藤副大臣 お答えいたします。
 今お尋ねの、日本国籍を有しない者の受験資格につきましては、現在、郵政外務職員採用試験に限って、昭和五十九年度から受験を認めているところでありますが、公社化後は、郵便局の内務事務及び外務事務に携わる職員を郵政一般職採用試験により確保することになるに伴いまして、いわゆる公務員の国籍に関する当然の法理を踏まえて、郵便局等の内務事務職についても日本国籍を有しない者の受験を認める予定であります。
左藤委員 これからもぜひひとつ、外国の方々にも門戸をあけていただいて、そういう仕事の場を与えていただければ本当にありがたいなと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、大臣がお越しですので、済みませんが、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、ユニバーサルサービスの関係で、くどいようで申しわけないんですけれども、確認と思ってひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ちょっと我々、総理が、公社は民営化の準備の機関とか、公社設立機関で民営化の議論をするんだとかいう発言をされておりますので、非常に気になっております。
 大臣が御苦労なさってこの前の公社法、法律を通させていただいたわけでありますが、これは御存じのように、郵便局をあまねく全国に配置して、国民生活に必要な郵政サービス、またユニバーサルサービスを提供し続けるという意味の法律であるわけであります。それで田舎の人とか離島の人とか、非常に安心をしておるのが現状であります。
 この辺、総理が言われているけれども、また、生田公社総裁予定者が、経営効率とか採算性とか競争力とか、市場原理、競争原理を非常に強調しておる、これは経営する場合はある面では当然のことかもしれませんけれども、ユニバーサルサービスというものをしっかりやってほしいというのと、やはり郵便局が地域から撤退してしまうんじゃないかな、こういう懸念をする、御心配の方もたくさんおられるんですね。
 この点、申しわけないんですけれども、改めて大臣としての、もう一度御回答を、御決意をお願い申し上げたいと思います。
片山国務大臣 公社の第一回の設立委員の会議で私はお願いしたんです。今度は、国から公社になったということは、できるだけ自律的、弾力的な経営というか、民間と同じような経営ですよ、同じような視点、同じような経営手法、同じような評価でやってください、ただし、経営形態は国営公社、職員さんは国家公務員ですよと。そこで、国会で与野党の先生方が皆言われたことは、一つは、ユニバーサルサービスは確保する、サービスは落とさないということ、もう一つは、郵便局ネットワークは維持しろと。そこで、国会で修正もありまして、二十条ですか、「あまねく全国に」という文言も入りましたと。したがって、ネットワークの維持はもう大方針でございますのでと。
 こういうことを申し上げまして、各設立委員さんはそれを了承されて議論に入っておりますから。それから、国会の附帯決議もありますから。我々は、郵便局のネットワークは維持しよう、こういうふうに考えておりますし、そのことはまた設立委員さん初め関係の皆さんにお願いいたしております。
左藤委員 今大臣から大変温かいお言葉、確認の言葉がとれて、本当にありがたいと思います。
 その中で、今、自主性、独立性という言葉が強調されました。それは当然だと思います。
 来年の三月になると、クロネコヤマトさんとか佐川さんがメール便とか、また書留で参入をする、こういうお話も聞いておりますので、そうなると、私ども、やはりどうしても経営基盤というものが心配になるわけですね。
 この前の、六月の公社法の質疑のときに、私は資本のお話をさせていただいたわけであります。そのときに、一・九兆円ぐらいでは足りないんじゃないかな、その十倍以上必要じゃないかなという話をさせていただいたんですけれども、十二日の新聞によりますと、十一日の公社設立委員会の中で、ドイツ証券の水野さんが、ちょうど、企業会計原則採用でいろいろ計算をした結果が出ておりました。
 その中で、やはり気になるのが、自己資本率が〇・〇八九にしかすぎないということ。ちなみに、私もちょっと調べて、日本通運さんはどのくらいあるのかなといいますと、自己資本比率が三〇%ぐらいある、クロネコヤマトさんも五〇%ぐらいあったと思います。ちょっとこれは、同じ業種で頑張るにしては自己資本比率が低いんじゃないか。
 また、郵便貯金また簡易保険という金融関係のこともあるわけでありますので、これはやはり、考えると、水野さんが言われているのは、十兆程度の資本が必要ということを新聞に書いてあります。読んでいますが、私は、その前も申し上げたように、三百五十兆掛ける四%としても十四兆、それに郵便事業をやるということになりますと、クロネコヤマトが一千百億円の資本を持っているんですが、やはりそうすると、十兆じゃなくて十四、五兆円の資本が必要じゃないかな、このように思うわけであります。これについての御意見はいかに。
 財務省からいろいろありましたけれども、その辺はしっかりと資本を充実していただきたい。そして、確実なサービスを我々国民にお願いをしたいと思いますので、大臣の御意見をいただきたいと思います。
片山国務大臣 今お話しのように、第二回目の設立委員さんの会議で、水野さんというのはアナリストですから、この方からいろいろな分析の発表があったようで、大変な過少資本であると。この委員会でも何度も委員の皆さんからそういう御指摘を受けておりまして、私たちもそう思っているんですよ。だから、やはり自己資本の充実というのは急務でございまして、これをやった上で、経営基盤をしっかりしてから、国庫納付のできるゆとりがあるんなら一定のルールの中で納付する、こういうことにいたしたい、こう考えております。
 幾らかということもこの前ちょっと記者会見で言われましたが、国会で、委員会等で議論があったのは、郵貯だけでいえば十兆円。簡保はちょっと違いますが、入れるかどうか、これも議論がありますけれども。それから、郵便事業につきましても、これはいろいろな議論がありますが、今のままでは過少だ、こういうことを申し上げたわけでありまして、そういうことを前提に、財務省と、国庫納付の政令等については協議するように、こういうふうに事務方に私はお願いいたしております。
左藤委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
遠藤委員長 次に、松沢成文君。
松沢委員 民主党の松沢成文でございます。
 まず、きょう提案されております郵便法の一部を改正する法律案、これは憲法違反ということなので、法律を直すのは当然だと思っていまして、そういう意味では問題がないと思うんですが、ちょっと法律の文面の中で不明確な部分が私にとってありますので、質問いたします。
 第六十八条の三項に、「郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失により、」というふうになっているんですけれども、また、六十八条の四項には、「「重大な過失」とあるのは、「過失」とする。」と。「重大な過失」と「過失」の違いというのはどこにあるんですか。法律を読んでいて全くわからないんですけれども。
團政府参考人 お答えいたします。
 「重大な過失」と「過失」ということで要件を違えておりますが、「重大な過失」というふうな表現につきましては、現在も、国家賠償法、民法、商法など多数の法律で用いられております。
 そこで、重大な過失ということはどういう意味として表現されているかということでございますけれども、これは、通常人に要求される程度の、相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすればたやすく違法、有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然とこれを見過ごしたような、ほとんど故意に近い、著しい注意欠如の状態を指すというようなことが共通した考え方だというふうに考えております。
 したがって、今度の郵便法改正におきましては、損害賠償に当たりまして、重大な過失に該当するかどうかの判断につきましても、言ってみれば、ほとんど故意に近い、著しい注意欠如の状態というようなことを個々に認定していくというふうに考えております。
 やや具体的に、では郵便の場合はどういうことがありそうかというふうなことを申し上げますと、例えばでございますけれども、配達途上におきましては、書留郵便物等につきましては、保管用のかばんというものをバイクに置きまして、配達するときはこれを持っていくということなんですが、たまたまそういうものをバイクに放置してあってとられてしまったとか、ごくたまに例がありますけれども、そういう場合であるとか、あるいは、自動車の郵便物を置くところに施錠をするんですけれども、施錠もしないで走行して郵便物を落っことしてしまうとか、そういうふうなものはもう通常の過失じゃなくて、これは重過失に当たるんじゃないか。例えばそういうことが考えられるのかなというふうなことで考えているところでございます。
松沢委員 これは個々のケースで、損害賠償を請求されたら考えざるを得ないかもしれませんが、郵政事業庁長官、これから損害賠償を請求される場合が出てくるわけですね。この重大な過失の有無、あるいは重大な過失と普通の過失の判断基準みたいなものは持たないでいいんですか。
有冨政府参考人 今、團郵政企画管理局長から答弁がありましたけれども、重大な過失については、該当するかどうか、個別具体的に判断する必要があるというようなことでございまして、同じように、郵政事業庁としましても、判断基準があればよろしいんですが、なかなか、具体的なケースによって種々あろうかと思いまして、したがって、前もってそういったものを持っておくということは困難ではないか、やはり具体的な事案に即して対応していくことになるんじゃないかというふうに考えております。
松沢委員 郵便法の改正については以上です。
 次に、ちょっと関連して、総務省は、「信書に該当する文書に関する指針(案)」というのを提示しまして、つい先般までパブリックコメントをやっていたわけですね。それで、ちょっとこれに関連してお伺いしたいんですけれども、信書の定義については法文にありますけれども、具体的にどういうものを信書とする、どういうものを信書としないというのはガイドラインに示すということで、この前の信書便法案のときでもそんな議論がありました。
 そのガイドラインの案が出てきたわけですが、この中で、一番争点となっていたダイレクトメール、ダイレクトメールは信書だという判断でこの案が出てきているんですね。これについてはかなり議論があると思うんですけれども、まず端的に伺いますけれども、ダイレクトメールはなぜ信書なんですか。
團政府参考人 委員御指摘のとおり、さきの国会では、信書便法で、随分信書の定義については御議論いただいたわけでございまして、その法律を受けまして、国会でも御説明申し上げたとおり、具体的な当てはめについて、今、案をつくりましてパブリックコメントを求めている。先週金曜日に締め切りまして、この関係では五十九件出ておりまして、これを今整理しまして、よく検討した上でさらに明らかなものにしていきたいというふうに考えているところでございます。
 そこで、これも議論になりましたダイレクトメールでございますが、既に七月三日の当委員会にもその当時の考え方というのをお示ししてありまして、それに基づきまして案を出しているわけでございますが、当時も御説明申し上げましたが、ダイレクトメールといいましても、非常に多様なものがございます。今回のパブリックコメントにも、基本的には信書のものが多いと考えておりますけれども、そういう中でも、専ら街頭において配布するようなチラシのようなものにつきましては、この定義で言っております、特定の受取人に対して意思を表示しているとか、あるいは事実を通知しているというものには当たらないものがあると思います。そういう多様な中でのこういうものにつきましては信書に当たらないというふうなことで、ダイレクトメールの中でも二様あるということで当時の御説明もありましたし、今度の案についても、それを示して意見を求めたというところでございます。
 この多様な中で、定義でありますように、例えば、同一文書でありましても、やはり特定の者に対して意思を表示している、または事実を通知するというようなものは当然あるというふうに考えておりますので、その当てはめのやり方につきましては、どういうふうな迷いがあるのかとか御質問があるかということをさらに詰めてまいりたいというふうに考えているところであります。
松沢委員 ダイレクトメールというのは、本来、利用者がその営業目的に沿って利用する、商品などの広告とかあるいは宣伝手段の一つにすぎないと私は思っているんです。文書の内容そのものは不特定多数を対象として作成された文書であるために信書ではないというふうに私は個人的には判断をしています。
 しかし、このガイドラインでは、商品などの広告を内容として、不特定多数を対象として作成された同一内容の文書であっても、その差出人が特定の受取人を選別して送付する場合には信書に該当するとしている。
 つまり、何を言いたいかというと、同じチラシでも、街頭で配ればこれは信書ではない、しかし、あて名をつけて郵送するとこれは信書になるということなんですね。同じ内容のものが、その配り方によって、こういうときは信書だ、こういうときは信書でないと言っているのに等しいんですね。こんないいかげんな基準じゃ必ずまた信書論争になるんです、これは信書なのか信書でないかと。こういうところをしっかりできないんじゃ、これはガイドラインじゃないと思うんですけれども、いかがですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 後段委員がおっしゃいました、例えば街頭でチラシを配る、それを、たまたまあて名をつけて、だれだれ様ということで送付する、そういう場合には、ここで言っておりますように、一般的にはこれは信書には当たらないのではないかというふうに考えております。つまり、あて名だけが特定性の根拠ということにはならないというふうに考えておりますので、これは七月の国会でも御説明しているんですけれども、そこまでのものも特定性があるというふうには考えていないということで今回も示しているところでございます。
松沢委員 信書論争は余りやりたくないんですけれども、今回の指針では、カタログは信書ではないとなっているんですね。商品のチラシとカタログと、どこが違うんですか。ダイレクトメールのところでいうと、例えば商品の広告物であっても、それを、特定のあて名をつけて郵送していればこれは信書だというんですね。でも、カタログは信書でないと言っているんです。では、商品のチラシとカタログの線引きはどこでどうするんですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 カタログにつきましてもいろいろあろうかと思いますけれども、必要なときに商品を選ぶ、そのための資料としていろいろ編集された商品のリスト、そういうふうなものが一般的であろうと思います。そういう面では、チラシの中で同様なものがありまして、こういう商品を今売っておりますということで街頭で配るようなことがありますから、私は、カタログと、一般的に配布されているチラシというものはかなり共通性があるのではないかというふうに思っております。
 したがって、今回チラシと言っているものを信書じゃないと言っている理由の内容というものはカタログに近いところがあるんじゃないかというふうに考えております。
松沢委員 何か水かけ論というか、これ以上やってもしようがないのでこのテーマはやめますが、もう一つ非常にわかりにくいのが出てきたんですね。
 このガイドラインの「基本的な考え方」のところで、「文書を記載する素材は、紙のほか木片、プラスチック、ビニール等有体物であればよい。」となっているんです。そうしますと、これでは、例えば文書ファイルが中に詰まったフロッピーディスクだとかCD―ROMまでが信書となりかねないんですね。あれは、見方によっては、プラスチックやビニールの中に入った文書ですから。
 では、ここでお聞きしますが、フロッピーディスクやCD―ROMは、これでいうと信書になるんですか、ならないんですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 この指針案の中で、御指摘いただきました、「ウ」というところで書いておりますけれども、「「文書」とは、文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物」で、その有体物にはいろいろある、こういうふうに書いているわけでございます。
 今御指摘のフロッピーディスクとか、そういう電磁的な記録媒体ということになりますと、これは人の知覚によっては直接認識できませんので、情報は中に入っておりますが、信書便というところの文書に当たらないというふうに考えております。
 必要があれば、そういうことも明示してもよろしいのではないかというふうに考えております。
松沢委員 例えば木片だとかプラスチックだって、表から見れば文字が書いていない部分はありますよ、めくらないと書いていないという部分だって。要するに、フロッピーディスクだって、その中にたくさん情報が詰まっている場合と、全く中が空っぽの場合もあるんですね。ですから、素材について、プラスチックだとかビニールだとか、こういうところまで定義していて、フロッピーディスクはその中が見えないから信書じゃないというのも、これはまた極めておもしろい言い方になってしまうと思うんですね。
 私は何が言いたいかといいますと、とにかく、やはり、今回の指針を見ても、さまざま、これは信書か信書でないかという論争が必ず起きちゃう。それで結局、総務省の郵政企画管理局の方でやるんでしょうね、そこで判断するわけですね。その判断が、今までの経緯を見てくると、民間に仕事をとられたくないからもうこれは信書だと言い切っちゃえというようなことで、民間と裁判ざたになるようなことが続くわけですね。
 ですから、信書の定義が極めてあいまいで広過ぎるんですよ。信書というのは、簡単に言えばはがきや手紙のたぐいなんです。それ以外のダイレクトメールだとかあるいはフロッピーディスクだとか、こんなものを信書だといっても、そうしたらもう判断に迷うものばかり。結局、役人の方が、自分たちが不利にならないように、最後、勝手に判断して民間を押し切る、こう続くわけですね。
 大臣、これは、信書か信書でないかというのはまた新たな論争が起きます。昔はクレジットカードもあった、地域振興券もあった、いろいろなものがありました。最終的に、ではそれをだれが判断するんですか、それを信書か信書でないかというのは。郵政企画管理局長なんですか、それとも最後は総務大臣が判断に加わるんですか。
片山国務大臣 その判断は、郵便法の所管をしている役所ということになりますよね。そうすると総務省。総務省の最終的な責任者は総務大臣です。ただしかし、総務大臣が一々全部やるわけじゃありませんね、機関ですから。それはそれぞれ権限の委任を受けた者がやる。これはもう全部の法律、そうなんですよ。全部の法律で、定義については、その法律を持っている所管の役所が責任を持って解釈するんですね。有権解釈と普通言われますけれども。
 それに不服があれば、あとは裁判所ですよ、最後は司法の判断。法治国家でございますので。
 だから郵政企画管理局ですけれども、公社ができますから組織がえするかもしれませんが、いずれにせよ、そこが判断することになると思います。
松沢委員 郵政公社というのは確かに国から独立した国営企業体になっているわけですけれども、郵政企画管理局のもとにできているわけですよね。それで、信書論争がまた起きた場合、郵政公社が不利になるような判断はしにくいですよね。ある意味で自分の子供みたいなものだ。
 ですから、これはやはり、市場の中でその商品がどう扱われるかというのは、あくまでも第三者機関をつくって公正な判断をさせなきゃだめだと思うんです。例えば公正取引委員会みたいなもの、こういう中立な委員会が、郵政公社、民間業者、そして利用者、こういう人たちの意見を聞いた上で、やはり、信書はどうあるべきか、これは信書であるのかないのかというのをきちっと公正に判断しないと私はいけないと思うんですね。やはり、総務省がこの判断をしているというところに、民間から見ると物すごい不信感がある。当然、自分たちの子供である郵政公社寄りの判断になってしまうんじゃないかという不信感があるんですね。
 私は、今後、こういった問題をきっちりと判断できる第三者機関をつくるべきだと思いますけれども、総務大臣はどうお考えでしょうか。
片山国務大臣 日本郵政公社法等の御審議のときにも申し上げましたが、我が国は法治国家で、国会でお決めいただいた法律に基づいて仕事しているわけですね。もうそれは釈迦に説法ですけれども。そこで、信書というのは、もう今まで裁判なんかで、最高裁の判決やいろいろな判例がありますよね。行政上もいろいろ言ってきた。それを変えないということをやっているんです、我々は。基本的には、今までの解釈、今までの範囲をそのままやる。
 しかし、いろいろなものが出てきますから、今お話しのように、フロッピーが出てきたりCD―ROMが出てきたり、いろいろなものが出てきますから、そういうときには、今までの解釈に基づいて常識的に判断していく、しかしそれは時代が変わればまた変わってくるかもしれませんよ。しかし、そのために、我々はガイドラインをつくって、この解釈の基準はこれですよということを国民の皆さんにお示ししているんです。
 総務省ならいいかげんな解釈する、第三者機関ならちゃんと解釈する、全部第三者機関をつくらにゃいけなくなりますよ、解釈委員会、ずっと。それは極めて非効率でございますし、公正が保てないので。法律を所管しているところが責任を持ってやるんですから。そうですよ。それがもし問題があるとすれば、司法の判断を仰げばいい。何でも第三者機関というのは行革に反しますので、構造改革に。ひとつ御理解を賜りたいと思います。
松沢委員 大臣、この信書便法案、もう通りまして、来年四月から公社ができて運営されていくわけですけれども、今のところ、民間業者、こんな規制の強い法案じゃとても入れないと。そして、この信書の定義についても、やはり恣意的な判断をまた総務省にやられるんじゃないか、こんな理由も出しています。あるいは、第三者機関もできていないと。いろいろな理由が出ていますが、今後、特別便の方じゃなくて、一般の信書便の業者の方でどこも参入しないということになったら、この法律は絵にかいたもちになっちゃうわけですね。民間を参入させて、いい意味での郵政公社とサービスの競争をしてもらって、国民の福祉向上に役立てようというのが法の目的ですから。
 さて、では民間業者が一社も入らないという状況が続いた場合には、この信書便法案というのを見直して、もっと規制を緩やかにして、一般業者が入りやすいという方向にしていくんでしょうか。いかがなんでしょうか。
片山国務大臣 我々は、今の規制が、いろいろな手続が必要最小限度のものだと思っておりますよ。まあ、いろいろな見方があるかもしれませんが。
 そこで、私は、今こう考える。特定信書便の方は恐らくかなり入ってくるんですね。特定信書便で実績を積みながら、場合によっては一般信書便をやるというようなことに御判断なされるかどうか。それからもう一つは、郵政公社がまだできていませんからね。郵政公社が発足してどういうふうにやるか、どういうサービスを、そういうことも、私は、例えば一般信書便で入ってこようとする民間の方は見ると思いますよ。競争相手がどういうやり方をやるのかわからないんですから。だから、そういう意味では、なお時間をかければ御検討賜るのではないか、御検討賜って、場合によっては参入という判断をしていただけるのではなかろうかと思っております。
松沢委員 次に、郵政事業のあり方について考える懇談会という総理の私的諮問機関がありました。ここが九月六日に一応報告書を提出したんですね。皆さん御承知のとおり、三つの、民営化に向けての案というかプランを発表しました。
 一つは、特殊会社をつくって、政府の持ち株会社ですね、これでやっていこう。もう一つは、持ち株会社をつくって、そのもとに、郵貯、簡保、将来分割するんでしょうけれども、あと郵便会社。ともにこういうスタイルでやっていこう。三つ目が、郵貯、簡保を廃止して、郵便会社を民営化して将来やっていこう。
 さまざま長所、短所があると思うんですが、大臣、もし将来民営化するとしたら、それはまあ、決まっていないから言えないと言うのかもしれませんが、この三つの案だったら、大臣はどれが最も望ましい案だとお考えですか。
片山国務大臣 私は、将来公社化後のあり方は、国民的な議論の中で、国民の皆さんに決めてもらえばいい。懇談会の御提言は、そのための大変貴重な資料になるのではないかということを言ってきました。
 そこで、あの懇談会の報告書をまとめるときに、田中座長が実は私のところに相談に来られたんですよ。それを、私は、恐らく今の懇談会の状況じゃ一つにまとまらないと。私も出ていますから。今の特殊会社から結局郵便会社にしてマージンをとるような、あとは委託を受けて、金融機関から。いろいろなことを言っておられましたが、私は、それは田中座長、幅をつけて国民の皆さんに出して、パターンを示して、広く議論してもらった方がいいのではないですかということを申し上げたんです。私が言ったからそうなったわけでもありませんが、恐らくいろいろ田中座長もお考えだったと思います。
 そういうことでございますので、いずれも一長一短がありますので、広く国民の皆さんに議論していただきたい、こういうふうに思っております。
松沢委員 郵政公社の設立会議が始まりました。奥田さんが座長になったわけですけれども、この設立会議は、郵政公社発足に向けてさまざまな準備がありますので、それを具体的に詰めていくというのが第一の目的だと思います。
 しかし、小泉総理は、あくまでも郵政公社というのは民営化への準備機関だと。総務大臣も、公社設立準備が第一だけれども、民営化問題も含めて大いに議論をしてもらったらいいという発言をされているようなんですが、今後、この郵政公社設立会議では、郵政公社設立に向けてのさまざまな準備とともに、将来の民営化に向けての議論も同時に行っていくんでしょうか。
片山国務大臣 第一回の会議であいさつをしろということでございますので、私は、公社の設立委員のこの会議というのは、法律や政令に基づくこういうことをお決めいただくところですよ、決めていただいたら総務大臣の認可にかけるわけですが、例えば、中期経営目標、中期経営計画だとか、いろいろな定款だとか料率の基準だとか、法律じゃ全部書いていますよね、だから、法律で決めたことは、まずしっかりやっていただきたいと。その上で、公社化後のあり方等について議論をしていただけるのなら、これだけの豪華けんらんなメンバーですから、大いにやっていただきたい、こう申し上げました。
 その上で、先ほども言いましたが、国会での議論で、与野党の先生方すべて、ユニバーサルサービスは守れ、サービスの後退はだめだ、ネットワークを維持しろと。国会の修正にもなり、附帯決議もありますので、その点は十分配慮の上に御議論いただきたい、こういうことを申し上げたんです。
 だから、私は、皆さんが、そういうことで、公社化後のあり方について、民営化問題を含めて議論したいという御希望なら大いにやってください、ただ、法律で、設立委員の会議として決めていただくのはこういうことですよ、こういうことを申し上げたんです。
松沢委員 小泉総理も将来の民営化に向けてさまざまお考えをお持ちだと思いますので、小泉総理に任命されている総務大臣としても、ぜひとも総理の意を酌んで、民営化へ向けての議論もやっていただきたいと思います。
 以上です。
遠藤委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 本日、郵便法の一部を改正する法律案ということですから、これについての質問として、求償権の問題を当初考えておりました。国家賠償の範囲が広くなるわけですから、国家賠償をする必要がある場合に職員に対する求償はどうなるのか、この論点について当初聞こうと思っていたのですが、二十五分では本格的な国賠法についての議論ができないということもありまして、最後に時間がありましたら少しだけ聞かせていただきたいと思います。
 本日は、国籍条項と非常勤職員について、二点お聞かせいただこうと思います。
 まず、国籍条項についてです。
 大臣、公社は、民間と競争をしなくてはならない企業です。そういったことを念頭に入れますと、公社に採用すべき人材というものはどういった能力が必要だとお考えになっているでしょうか。
片山国務大臣 公社にとって適材な方、そういう方でございまして、具体的にはなかなか難しいと思いますけれども、やはり公共性と、それから効率性というんでしょうか営利性というんでしょうか、営業行為なんかもやっていただくわけですから。外務職員さんの場合には、ずっと外を回っていただきますから、そういう意味では、お客様になる国民の皆さんに好かれるような人ですね。そういうことも必要だと思いますし、自分でいろいろなことを主体的に判断してできるような方だとか、いろいろな条件があると思いますが、いろいろな仕事がありますから、それぞれ、公社として今後採用する場合には、適性を見ながら採用してもらえるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
 今の人事や処遇の仕組みを変えますから、今度は能力主義、実績主義で、今よりはずっと弾力的な処遇や人事体制にするように今お願いしておりまして、人事院とも、郵政事業庁、相談していると思いますので、そういう意味では、もっと意欲を持って頑張れば、成績を上げれば、それだけ処遇がされる、こういうことになると考えております。
中村(哲)委員 公社が競争していく企業というものは、例えば運送業者、銀行、生命保険会社、そういった企業になると思います。お客様に好かれる、また主体的に判断できる、そういった適性を判断しているときに、国籍というものはこういった民間企業では考慮に入れていないと思います。外国人であっても、日本社会で育って、お客様に好かれるキャラクターを持っている人は積極的に登用して、経営に、営業活動に役立てる、そういった人を採用していく。これは民間企業ではよくやられていることですし、公社が競争相手にしているところは、こんなことにはこだわらずにやっていることであると思います。
 そういったことを考えると、人材であれば、国籍にこだわらず採用できる方が公社の経営にとってはプラスなのではないでしょうか。
片山国務大臣 中村委員の言われるとおりですが、公社の職員は国家公務員です。国家公務員につきましては、これはまた確定した解釈がありまして、公権力の行使や公の意思形成に参画するようなことはだめだというのが、これは内閣法制局を中心とした政府の統一見解ですから、そういうことでなければ、私は、公社のいろいろな仕事に適した人は、外国人だからだめだということにはならない、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 この論点は、先ほども左藤章議員もお聞きになった点ですので、もう少し掘り下げて質問させていただきたいと思います。
 事前に総務省の方からいただいた資料で、このような形で公社の採用試験が変わるというチャートをいただきました。その中で、総合職試験と一般職試験を分けるという話でございました。
 先ほど加藤副大臣からの御答弁の中で、一般職の試験においては、内務職の方に関しては、従来の外務職に加えて国籍条項を撤廃するという御答弁があったかと思うんですけれども、それについて、確認となりますけれども、御答弁をよろしくお願いいたします。
加藤副大臣 お答えいたします。
 委員御承知のように、現在の郵便局等の職員の採用は、内務事務に携わる職員は国家公務員3種試験の採用、そして外務事務に携わる職員は郵政外務職員採用試験によって採用されておるわけでありますが、公社化後は、内務事務及び外務事務に携わる職員は郵政一般職採用ということであります。
 したがいまして、現在、郵政外務職採用試験によっている職員には、今の国籍条項といいますか、昭和五十九年から受験を認めているわけでありますから、公社化後、内務、外務に携わる職員、一緒でありますので、国籍を有しない者の受験を認めているということでございます。
中村(哲)委員 それでは、なぜ総合職はだめなんだろうなということを思うんですけれども、なぜ総合職についてはだめなんでしょうか。
加藤副大臣 今大臣もちょっとお触れになりましたが、総合職職員採用試験によって採用される職員は、本社、中間管理機関の将来の幹部候補者となる職員を確保するための試験によって採用されたものでありますから、いわゆる公務員の国籍に関する当然の法理が適用されるので、やはり国籍を有しない者は受験は認めないということであります。
中村(哲)委員 それでは、なぜ幹部候補となる者はこれに当たるのか、公務員の当然の法理として公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるのか。これについて御答弁をお願いいたします。
加藤副大臣 お尋ねの、郵政総合職採用試験に合格して採用された方は、先ほど申し上げました公社幹部候補として、郵便局長等、公社の経営に参画する職につくことが期待されるものでありまして、公権力の行使または公の意思の形成に参画する職につくこととなる蓋然性が高いことから、日本国籍が必要だと考えております。
中村(哲)委員 経営に参画するから、蓋然性が高いという話でしたが、そこをもっと具体的に説明してください。
加藤副大臣 例えば、公の意思形成への参画として考えられる例といたしまして、日本郵政公社法第二十条によりますと、郵便局の設置、廃止の決定への参画、また、郵便法でまいりますと、郵便料金の決定への参画とか郵便貯金利率決定方針の策定への参画とかいうことも考えられますし、いわゆる公権力の行使として考える例といたしましては、職員の採用や懲戒処分、郵政監察官の犯罪捜査等が具体的に考えられます。
中村(哲)委員 具体的にそのようなものが考えられる、なぜそういうものが例として挙げられるのかということを私は聞いているんです。
加藤副大臣 先ほど申しましたように、いわゆる公社の幹部候補として採用されるわけでありますから、当然のこととしてこういった職務につくことが予想されるわけであります。
中村(哲)委員 つくことが予想される、それは僕もわかっていますよ。なぜかと理由を聞いているんですよ。どうですか。
加藤副大臣 やはり、当然のこととして、公社の経営上そういう人たちがそういう場に参画されることが望まれるからであります。
中村(哲)委員 管理職であればなぜ公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるのか、その理由を聞いているんですよ。具体例を聞いているのは、その理由を説明しやすいがために聞いているわけですよ。
 何言っているんですか。もう一度きちんと答えてください。
加藤副大臣 私が申し上げることと同じことじゃないかと思うんでありますけれども、具体的に今申し上げましたし、公権力の行使に当たるのか、また公の意思の形成への参画に当たるか、これは個別にその職務内容を見て判断すべきものだと思いますし、今申し上げたような具体例はまさにその例じゃないのかなということであります。
中村(哲)委員 非常に好意的に解釈して、私が実質的な理由を言ってさしあげましょう。先ほど懲戒処分ということをおっしゃいましたね。懲戒処分というのは、そのことをすることによって職員の身分なり権利に一方的に消長を来すような行為であるからでしょう。
 そういったことをきちんと議論するのが国会の現場じゃないですか。それを当然のこととして言うから議論が進まないんですよ。このことは、事前にきちんと、総務省の質問取りのときも話を詰めていますよ。なぜ副大臣、そこまできちんと把握してこの場に臨まないんですか。もうちょっと実質的な理由を、当然とは言わずに、答えてください。
片山国務大臣 公権力の行使というのは、今、中村委員言われましたように、懲戒権、懲戒処分にする、あるいは任命するというのもこれは任命権に基づく、そういうことを、郵便局長さんになったり何とか部長さんになったりなんかすると、みんな持つようになりますね。そういう公権力の行使は外国人は適当でないだろう。それから、公の意思形成で、郵便局を置くか置かないか、貯金の利子をどうするのか、簡保のいろいろな条件をどうするのか、これは政府として、公の意思として決めるわけですよね、郵政公社が。そういうことの中に外国人がおるというのはやはり都合が悪いのではないかというのが公務員としての当然の法理でございます。
 そこで、総合職にすると、みんな幹部になるわけですから。だから、仕事によっては公権力の行使に関係ない、公の意思形成に関係ないような幹部の仕事も私はあると思いますよ、しかし、それでは一々異動ができないですね、そういう人を幹部にしたら。公権力の行使に当たるか公の意思の形成に当たるか、一々、一回一回考えて。
 だから、そういう意味では、一般職の方には入ってもらっていいけれども、総合職の方は、幹部になって公権力の行使や公の意思形成をやるから、それはちょっと外しておく方が人事管理上も都合がいいのではないか、こういうことなので、総合職になる人が全部幹部になるかどうかはわかりませんし、幹部の仕事も、直接権力の行使や意思形成に関係ないのもある、こう思いますけれども、そこはひとつ幅広く総合的に御理解を賜りたいと思います。
中村(哲)委員 副大臣が答弁に窮したら大臣が出てくるというのは、本来これは逆でして、こういうことだったら全部大臣答弁になるわけですよ、要求が。それは大臣に対する負担が大きいから副大臣に答弁してもろうても構わないということで事前に言っているわけでしょう。どう思われますか、副大臣。今後どうされますか。
加藤副大臣 大変申しわけございませんでした。以後気をつけますので、どうぞよろしくお願いいたします。
中村(哲)委員 それで、大臣がお答えになっていらっしゃったことで、やはり、総合職になったとしても管理職になるとも限らないわけですし、また、私の考えでは、公務員という身分であったとしても、こういった公社のような企業体では、外国籍の者が管理職になっても、いわゆる公務員の当然の法理に触れるような弊害というものは起こらないんじゃないかなと私自身は思っております。ただ、ここをまた議論するとすごく長い時間をとりますので、きょうはおいておきます。
 ただ、政府の考え方として、公務員であっても、公社のような企業体で、今後法律を改正するなどして、外国籍の者が管理職になる手段としてはどういう手段が考えられるのでしょうか。
片山国務大臣 公権力だとか公の意思だとか、そういうことに関係のない幹部の仕事ももちろんあると思うんです。そういうことの人事管理を、うまい仕分けができたり配置がうまくいくようなら、将来は、場合によっては外国の方をそっちの幹部の方に登用することもあり得ると思います。
 しかし、これは研究課題にしていただきたいと思いますし、公社自身の経営陣がどういうふうにこれから考えるか。現に今、外国の方は三十八人おるんですよ、全部外務職員さんですけれどもね。これから国際化時代ですから、そういうこともこれからの公社の課題としては私は検討していく必要があると考えております。
中村(哲)委員 大臣、その御答弁を受けての御質問なんですが、現行法では、おっしゃった範囲の御答弁だと思います。
 今後法律を改正したら、外国籍の者が管理職になるとしたらどういう手段があるのか。例えば、民営化するという議論もあるでしょうし、非公務員型ということもあるでしょうし、公務員型でも、特別法でこの公社に限っては認めるという方法もあると思うんですけれども、この三つとも選択肢としてあり得るということでいいんでしょうか。
片山国務大臣 非公務員型だとか民営化ということは、まだ公社、これから発足するんですから、これは将来の国民の皆さんに御議論して決めていただくことでございます。
 ただ、一般職に入ったから絶対幹部になれない、こういうことはありませんよ。一般職に入って、頑張っていただければ、今の解釈の範囲でも幹部になる道は幾らでもあると私は思うんですよ。赤裸々な公権力の行使やストレートな意思の形成に参加しない幹部の仕事もあるわけですから、一般職でも、頑張っていただければそういう登用の道はあると思います。研究いたします。
中村(哲)委員 研究していただけるということなので、研究していただいて、また、本当に民間と競争をして勝てるような公社にしていただきたいと思います。
 それでは次に、非常勤職員についてお伺いいたします。
 いわゆるゆうメイトと言われる非常勤職員の身分保障について、いわゆるパート労働法の適用はあるのでしょうか。
加藤副大臣 いわゆるパートタイム労働法、これは、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善等を目的として制定され、この法に基づいて雇用管理の改善等の指針が定められているところであることは委員御存じでありますが、ゆうメイトの身分は国家公務員でありますので、この法律の三十二条の規定により、適用除外となっております。
 しかしながら、郵政事業庁におきましては、同法の精神や労働基準法の規則にのっとり、パートタイム労働指針の定める勤務条件通知の交付や、また相談員の選任等を実施しているところであります。
中村(哲)委員 くどいようで、確認なんですけれども、適用はないけれども、実質的にパート労働法以上のことをケアしているので安心してくださいということなんでしょうか。
加藤副大臣 はい、そのとおりであります。非常勤職員の適切な雇用管理を行っているということであります。
中村(哲)委員 では次に、常勤の職員と同じ仕事をしていて、かつ、通算すると、経験年数では何年も郵便局で働いているという人がいらっしゃいます。例えば、五年以下の人は七万六千九百人、五年を超えて十年以下の人は二万二千二百人、十年を超えて十五年以下が七千二百人、十五年を超えた人が二千人、合計十万八千三百人の方が非常勤で働いていらっしゃるということなんです。
 公社になれば、このような、特に五年以上働いている人というのが三万人ほどいらっしゃるわけですから、定員の規制が外れるがゆえに、常勤の人と同じ仕事をしているのですから、そういう非常勤の人には常勤の道を開くなどの処遇等の改善をしていくべきなのではないでしょうか。いかがでしょうか。
片山国務大臣 公社になりましても、職員の方は国家公務員ですから、国家公務員というのは正規の採用は試験なんですよ。だから、試験を受けていただければ、受かりさえすれば、非常勤の方でも常勤の職員にいたします。受からなければ、これは公務員ですから、今の制度ではどうにもならない。
 ただ、今度公社は、先ほど言いました業績主義、成績主義、能力主義ですから、大いに頑張って、そういう非常勤の方がいい成績を上げていただいたり大きな業績を上げていただければ、今度は、お金と言うたらいけませんけれども、報酬だとかあるいはボーナス的なことで処遇をさせていただくようなことになると思います。
中村(哲)委員 大臣の答弁を受けての質問をさせていただきたいんですけれども、試験を受けるということはもちろんそうなんですけれども、公務員の場合、選考採用というのもありますよね。試験と同様の能力があると認められれば認められるということなんですけれども、ここはどのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 これは、選考というのは限られているんですよ、今は。ただ、今度公社になりますから、その辺について人事院と、人事院の了解を得にゃいけませんから、今相談しているところです。
 ただ、それを歯どめもなく選考でずっと採るというのも、これはやはり、今の公務員制度、公務員の仕組みからいってなかなか難しいところがありますが、御趣旨はわかりますので、人事院と、いろいろな、選考採用がどれだけ広げられるか、どういうことになるのか、よく協議いたしたいと思います。
中村(哲)委員 ありがとうございます。
 時間が最後に少し余りましたので、郵便法の改正について一言、求償権についてお伺いいたします。
 今回の改正で国家賠償の範囲は広くなります。なぜ今まで賠償の範囲は制限されていたのか、また、国家賠償の範囲が広くなることによって、職員に対する求償のなされ方はどのようになるのか。いかがでしょうか。
加藤副大臣 最初の御質問でありますが、郵便法第一条は、「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供すること」を目的としておりますが、御承知のように、郵便事業においては、すべて民法や国家賠償法の定める原則に従って損害賠償をしなければならないとすると、当然、その金銭負担が多額になる可能性があるだけではなくて、千差万別の事故態様、また損害について、損害が生じたという主張に対して、一々、債務不履行とか不法行為だとか、該当事実や損害額を確定するために多くの労力を必要としてしまう、そのことによって料金の値上がりにつながったりすると当初の目的が害されるんではないのかということで、郵便法に特別の規定を設けて、損害賠償の対象及び範囲を限定するとともに、書留郵便物の亡失、毀損等の一定の事実が生じた場合には、画一的に処理する損害賠償制度を設けたということであります。
 そして、今回の郵便法の改正によって損害賠償責任を負う範囲が拡大しますが、国に賠償義務があるとされた事案については、一般的に言うと、個々の事案について、国家賠償法または民法に基づき、職員に故意または重過失がある場合に求償することとなるものでありますが、個々のケースについては、職員の過失の状況等を十分見きわめた上で適正に対処していきたいと考えております。
中村(哲)委員 後の質問の答えはあったのかどうかちょっとわかりませんけれども、時間が参りましたし、これで終わらせていただきますが、加藤副大臣におかれましては、ペーパーを読むのではなく、今の最後の質問もそんな長い答弁を私は要求しているわけでないですので、その点だけ今後御留意していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問していきたいと思っております。
 国の郵便事業が明治四年に開設されてから約百三十年になります。それ以前から、飛脚により伝達されているとおり、この郵便事業というものは、人的資源への依存度が極めて高い輸送業であります。しかしながら、私も何度かこの委員会で質問させていただいておりますけれども、インターネットの普及による通信環境の変化、あるいはまた景気低迷による企業の経費削減の影響等によりまして、郵便物の伸び率がどうも鈍化しているようであります。
 このような状況下におきまして、ヤマト運輸は、来春スタートする郵政公社に対抗すべく、企業の書類やチラシを配送するメール便事業の集配体制を強化し、来年三月から翌日配達体制を確立するとともに、発送料も引き下げるということであります。同社は、千代田区で、既に二時間配送を可能にしております。そして、三時間以内配送と千円以上を条件としております特定信書便事業への参入もねらっているのではないかと思われます。
 そしてまた、佐川急便も、郵政公社の発足を視野に入れまして、クレジットカードなどを扱う書留便の配送を来春から始めるようであります。また、JR貨物が開発した新型貨物列車を東京―大阪間の専用コンテナ列車として活用し、宅配便などの輸送効率を改善するとともに、環境負荷の少ない鉄道輸送へのモーダルシフトを進める予定と聞いております。
 一方、郵政事業庁でありますけれども、最近、郵政公社の「中期経営計画作成の基本的考え方」をまとめまして、郵便事業では、宅配便事業者と対抗するため、郵便料金の見直しや小包の翌日配達区域の拡大等を挙げております。
 しかし、去る十一日に開催された日本郵政公社設立会議での水野委員の指摘によりますと、郵便事業については経費の八割も人件費が占めておりまして、そのため収益力が低く、約四千百億円の債務超過になっているとのことであります。
 そこで、総務省の郵便新生ビジョンによりますと、平成十三年から平成十七年までの五年間で一万五千人の人員削減の計画と聞いておりますけれども、郵便事業にかかわる職員十三万八千人の一割強を、五年をかけて、退職者の不補充で達成するという計画であるようであります。国家公務員並みに身分保障されている公社職員のリストラ対策、これは極めて困難な課題と思いますけれども、初めに、大臣の見解を伺いたいと思います。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
片山国務大臣 今、黄川田委員御指摘のように、郵便事業はなかなかこれから厳しくなりますね。景気の低迷が続いている。民間事業者の方もいろいろ工夫をして、シェアをふやそう、仕事をふやそう、こうされている。それから、インターネットの普及率がまだ四四%ですけれども、もっともっと普及しますね。携帯電話も、さらに第三世代、伸びてくる。
 こういう中で、郵便事業がどうなるのか、我々もいろいろ今考えておりまして、お話がありましたように、郵便新生ビジョンでは、五年間で一万五千人の人員削減をやろうと。これは、郵便物処理の機械化や非常勤職員の活用ですね。
 しかし、黄川田委員、同時に、先ほども言いましたが、日本郵政公社は、ユニバーサルサービスは確保しないといかぬのですよ。少々効率が悪くても、全国あまねく設置して、それから同時に、今のネットワークは維持する、こういうことでございますから、民間みたいに思い切ったリストラだとか、ひっくり返るようなことはできないんですよ。
 だから、そういう限界がある中で、新しい商品を開発したりビジネスモデルをいろいろ考えたり、そういうことでやはりこれから業績を伸ばしていく。おかげさまで、平成十三年度は、郵便事業、黒字になりましたけれども、久しぶりに。しかし、十四年度はなかなか大変なんですよ。そこで、今、皆さん真剣に苦労しているので、生ぬるいなどと言わぬで、ぜひそこは御理解を賜りたいと思います。
黄川田委員 大臣お話しのとおり、定員管理と申しますか人事管理、大変厳しい、難しい問題であります。
 国は、郵政公社化に際して、郵便事業に限り関連企業に出資できることとなっていることでもありますので、大胆に、事業の多角化戦略といいますか、そういうものを中期の事業計画に取り込んでいくことを指摘しておきたいと思っております。
 そしてまた、水野委員は、人件費が巨額で収益力が低い郵便事業の独立採算の目標達成、これは極めて難しく、制度的見直しを含めてビジネスモデルの再構築を検討する必要があると提言しておるところであります。また一方、郵政事業庁は、同日、先ほどお話ししました郵政公社の「中期経営計画作成の基本的考え方」をあわせて発表しておりますけれども、この問題に郵政事業庁はどのように対処していく方針であるのか、お尋ねいたしたいと思います。
有冨政府参考人 今、先生から御指摘のとおりでありまして、水野委員からも、これからの郵便事業につきまして、経営基盤の安定という観点から、ビジネスモデルを再構築すべしというような御提言をいただいております。
 我々も、そういう厳しい経営環境を十分認識しておりまして、「中期経営計画作成の基本的考え方」の中におきましても、顧客のニーズに的確に対応するような商品、サービスの見直しをしよう、あるいは大口法人の営業体制を強化しよう、さらに、人件費だけでなくて物件費も、少しコスト全体の削減を考えるべきであろうというようなこと。
 さらに、先ほど大臣からも答弁ありましたけれども、せっかくこの公社法で認められました出資条項をうまく活用して、例えば、郵便物に関する、発送準備段階からトータルでいいサービスが提供できないかというような新たなモデルの構築を求めていきたい、このように考えております。
黄川田委員 お話がありましたけれども、ビジネスモデルといっても、明示的にスマートな姿であらわすことはなかなか難しいと思っております。
 ヤマトの自動仕分け機の導入強化、あるいはまた佐川のトラックから鉄道へ一部モーダルシフトを図るなど、これは民間との競争の知恵比べだと思っております。この新しい事業に対しても、事業評価、厳しく、採算性も含めて取り組んでいただきたいと思っております。
 さらに、先ほど左藤委員からもお話がありましたけれども、ことし四月一日時点の三事業の自己資本を水野氏は算出しております。それによりますと、郵貯が七千四百三十六億円、簡保が四百八十七億円、郵便がマイナスの四千百二十一億円と債務超過になっております。そして、公社全体で三千八百二億円となり、総資産約四百二十七兆円の〇・一%にも満たない超過少資本であります。
 そこで質問でありますけれども、さきの通常国会で公社化の質疑の際に、総務省は、三事業の自己資本は一・九兆円と答弁していたと記憶しておりますけれども、この水野委員の試算約三千八百億円と五倍もの開きがあるわけであります。このような大きな違いはどこにあり、どうしてこんなことが生じるのか、答弁を求めておきたいと思います。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
有冨政府参考人 自己資本に関する一・九兆円という試算、それから水野委員の三千八百億円という試算、これは、実は試算の対象とする時点が異なっております。将来を予測するのか、あるいは過去の一定の時点で分析するのかということと、それから、計算手法で、例えば時価評価をどうするのかというようなことに根本的な差が実はあります。
 一・九兆円という試算でございますが、これは十三年の十二月に、郵政事業の公社化に関する研究会ということで、十二年度決算計数をベースに計算されたものでありまして、二年後の十五年四月一日という将来の公社発足の時点での財務状況を予測するということで算出されております。
 それから、その当時は、まだ十分な公社制度というものが確定しておりませんものですから、財務状況の全体像、おおよそどうだろうかというようなことで、先ほど申しましたような時価評価等々の計算方法はとられておりませんでした。
 これに対しまして、水野委員の三千八百億円というのは、国の会計制度における直近の決算の実績、十三年度決算でございますが、それを、企業会計原則に基づいて、税制等も含めて計算をした、こういうことでございまして、この辺が、いわゆる十三年度、十四年度まで予算ベースを含めて推測をした計数と、それから、十三年度の決算だけで計算をした計数との差でございます。
黄川田委員 いずれ事業の中で、当面は、国庫納付金を納めずに、その分を自己資本に充当するということになると思います。それ以外の対応策はちょっと見えないと思います。いずれ新しい公社として、新しい総裁に民間流の手腕をぜひとも発揮していただきたいと思っております。
 それから、十一月十二日発表の郵政事業庁の資料によりますと、平成九年度から昨年十三年度までの過去五年間の国内郵便物の引受数でありますが、これは一%前後の微増で推移しているということであります。しかしながら、今年度上半期の引受郵便物数でありますけれども、前年同期比で二・三%の減であったということであります。第一種、第二種、第三種、第四種、いずれも一・二%から三・三%のマイナスとなっております。
 そこで、通常郵便物が、今年度、このように減少傾向にあるのはなぜでしょうか。私、前に述べたヤマト運輸や佐川急便の例に見るまでもなく、その理由は単純なものではなくて、景気低迷により企業が差し出しを抑えているというふうなこともあるでしょうが、根本は、この構造的要因に立脚していると思っております。今後の経営計画立案において、抜本的な経営改善の必要性を示唆するものであると私は考えておりますけれども、郵政事業庁の見解はいかがでしょうか。
有冨政府参考人 今、先生お話しのとおりでありまして、平成十四年度の通常郵便物の引受物数というのが二億六千三百六十万通の減、二・三%減、こういう形になっております。
 これは、先ほど大臣もお答えになりましたけれども、今の郵便事業の環境、簡単に言いますと、景気の低迷、あるいはそれに伴いまして企業の経費節減、さらには民間の宅配便等の競争の激化、そして、いわゆるインターネット等のIT化の進展、こういったものが大きな影響があるだろうというふうに思っております。
 それから、大きく減っておりますのは、実は、昨年度ありましたマイラインという、そういった、スポット的なと私ども呼んでおりますが、スポット的な差し出し、これが一億通あったんですが、そういったものがないということで、物数でいいますと去年よりは相当減っているというようなことでございます。
 これからどうだろうかということも分析しておりますが、今の状況ですと、今後とも、かなりこの影響は尾を引くだろうなというようなことでございます。
 したがって、これに対してどうするかということでございますが、要は、これまでのサービスのあり方、やり方を抜本的に見直すことも必要であろうということで、輸送や集配のネットワークの見直し、あるいは情報システムについても改めて見直す、それを活用していく、さらには損益管理の方もきちんとしたIT等を活用してやっていこう、こういうことで積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
黄川田委員 ちょっと耳にするんですけれども、例えば、選挙があるときは市町村が投票の入場券なんかを発送するわけですが、そういう影響もあったというふうな形を耳にしたが、全国に、有権者といいますか、相当の人数でありますので、そういうこともあるのでしょうか。
有冨政府参考人 先ほど申しましたマイラインのように、そういう選挙郵便というものが出ますと、スポット的な収入になります。
黄川田委員 郵便事業はまさに輸送業でありまして、ドイツ・ポストが航空貨物に事業参加してグローバルな戦略に挑戦している例を見るまでもありません。とにもかくにも、郵便事業の収益性の改善が図られないことには公社の三事業の自己資本比率の向上も望めないと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
 それでは後半戦、ここで、本題の郵便法の改正の質疑に入りたいと思います。
 郵便法の損害賠償制度の規定は、日本国憲法のもとで昭和二十二年に郵便法が制定されてから基本的には変わっておらず、書留郵便物の亡失、毀損の場合など、郵便法に列挙している場合のみ、一定の範囲額について損害賠償することになっております。
 これまでも、この制限を争点といたしまして、郵便物に関する損害賠償を求めた裁判があったのではないかと思っております。そこで、今回の違憲判決となった事案と類似の損害賠償請求事件に関して最高裁判所で確定したものが、最近では平成八年と平成十三年にあって、国側の主張が認められたと聞いております。
 そこでまず、従来、平成八年、平成十三年なんですけれども、従来はどのように判断されていたかを確認するために、これらの事案の内容とその判決の内容について総務省に伺いたいと思います。
有冨政府参考人 二つの事案がございます。
 まず最初でございますが、平成八年の最高裁の事案でございます。
 まず、内容でございますが、これは平成五年でございますが、裁判所が、ある債権者の申し立てに基づきまして、その債務者が受け取り予定の死亡保険金、これの差し押さえ命令を内容とする特別送達郵便物を生命保険会社に差し出しをいたしました。これに対しまして、郵便局職員がこの会社の営業所に配達に行ったわけでありますが、そこの営業所の従業員から受領を拒否されましたので、そのものを裁判所に還付いたしました。
 それで、もう一度、その八日後でございますが、再度その郵便物が差し出されまして、そのときには差し押さえ命令書は受領されました。ところが、その前日に、もう生命保険会社から保険金、これは一千万円でございましたが、債務者に支払われてしまったということで、債権者からは、いわば取り損ねたということで、国と生命保険会社に対しまして損害賠償請求がされたというようなものでございます。
 判決の内容は、第一審、控訴審、上告審とも同じでございますが、原告の請求が棄却されて、国側が勝訴しております。
 内容はどういうものであるかということでございますが、これは郵便法第六十八条を引用されまして、国は、書留郵便物の亡失、毀損、それから代金引きかえ郵便物の引きかえ金の取り立て漏れ、小包郵便物の亡失、毀損の場合にのみ賠償責任を負うこととされておる、したがって、本件はこれらの場合に該当しない、国に損害賠償義務はないというようなことでございます。
 これが一審の判断でございますし、控訴審でも、この六十八条は、郵便事業の特質と目的に照らせば十分必要性と合理性が認められる、したがって、憲法十七条に違反しない。最高裁でもこれらの判断が是認されたというようなことでございます。
 平成十三年の最高裁の事例でございますが、これは平成三年でございますが、ある銀行から原告あてに、キャッシュカードを内容とする簡易書留郵便物が差し出されました。これを持ちまして郵便局職員が原告のお宅に配達に行ったわけでありますが、いらっしゃらなかった。それで、不在配達通知書を郵便受け箱に入れて持ち帰ったということでございます。
 ところが、翌日になりまして、原告と金銭トラブルがありました者複数人が共謀いたしまして、この不在配達通知書を郵便受け箱から盗み出して、偽造した委任状で郵便局の窓口で郵便物の交付を受けて、そのキャッシュカードを手に入れて、それを使って預金を引き出したというようなことでございます。これは、犯人は後ほど、窃盗・詐欺罪で有罪を受けておりますが。
 したがって、こういったことで不在配達通知書を盗まれて、偽造された委任状でお金が引き落とされたということに対しまして、国と銀行に対しまして賠償請求が出されたというようなものでございます。
 判決の内容でござますが、これは、一審、控訴審、上告審ともでございますが、原告の請求は棄却、国側勝訴という判決になっております。
 その理由でございますが、先ほどは郵便法の六十八条ということでございますが、今度は郵便法の七十三条でございまして、損害賠償の請求ができる者は、郵便物の差出人またはその承諾を得た受取人に限定している、本件については、受取人である原告はその承諾を受けていない、したがって、国に賠償責任はない。これは、一審、控訴審、ともにそういう判断でございます。
 また、郵便法の損害賠償に関する規定は、公共の福祉に沿った合理的なものである、憲法にも違反しないということで、最高裁においてもこれらの判断が是認された、こういうことでございます。
黄川田委員 今の答弁のとおり、これまでは郵便法の第六十八条、そして第七十三条ですか、この規定も憲法に違反しないということであったようでありますが、ことし九月に、郵便法第六十八条及び第七十三条の規定が部分的に違憲との判断が新たに示されたというわけであります。
 今回の判決は、郵便法に規定があるから損害賠償しなくてもよいというのは問題であり、郵便局の方に故意あるいは重過失がある場合には損害賠償の責任を負うべきだという制度論であると思っております。事実関係については、大阪高裁に差し戻されまして、さらに事実審理がなされているということになるわけであります。
 そこで、最高裁判所の判決内容及び今回の郵便法の改正案を提出するに至った理由を、改めて郵政企画管理局長にお伺いしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 今回の最高裁の判決でございますが、去る九月十一日に大法廷において判決を受けておりまして、今御紹介ありました二件からしますと、判例の変更に当たるのかなというふうに思います。
 そこで、判決の内容でございますが、御指摘のとおり、事実認定ということには至っておりませんので差し戻しになっておりますが、今回の判決内容につきましては、まず、郵便法の規定によって郵便物に関する損害賠償の対象、範囲に限定を加えておりますけれども、郵便の特質、それから役割からしまして、その目的自体は正当だと言っております。
 しかしながら、本件では特別送達について争われたわけでございますけれども、敷衍しまして、書留郵便物につきましては、郵便業務従事者の軽過失、この場合による不法行為に基づき損害が生じたにとどまる場合には、これは損害賠償責任を免除したり制限することはやむを得ないということで、憲法違反でもないということでございますが、故意または重過失というような場合におきましては、こういう事例というものはもともと例外的にしか起こらないはずなんだということがありまして、こういう場合にまで免責、責任制限を認める郵便法の規定には合理性がなくて、この部分につきましては、憲法十七条に違反し、無効であるというふうに言っております。
 さらに、特別送達ということになりますと、これは、裁判所から差し出される訴訟関係の書類等を内容とする、国民の権利を実現する手続の進行に不可欠な取り扱いであるというふうな重大性等にかんがみまして、郵便法のうち、この特別送達郵便物につきましては、書留郵便物と違いまして、軽過失による場合につきましても、損害賠償責任を免除し制限する部分は憲法十七条違反であるというふうなことで判断が示されたものでございます。
 したがいまして、このような憲法判断が示されたということから、同種の問題が生じた場合には、これは当然のことながら、司法は同一の判断を示すということになりますので、このような違憲の状態を速やかに解消する必要があるというふうに考えまして、判示された部分につきましてこの改正案を提出しているものでございます。
黄川田委員 残り時間が少なくなりましたので、最後の質問であります。
 今回の判決におきまして、最高裁判所は、記録をすることが定められている書留郵便物について、郵便業務従事者の故意または重大な過失による不法行為に基づき損害が生じるようなことは、通常の職務規範に従って業務執行がなされている限り、ごく例外的な場合にとどまるはずであって、このような事態は、書留の制度に対する信用を損なうものであると述べております。
 私も、郵便局側の故意や重大な過失によって、不法行為によって郵便の役務を提供しないということそれ自体がそもそも問題でありまして、今回新たに拡大される損害賠償の対象となるような事例が発生することがないように、そうしていくことが一番大事だと思っております。
 また、特別送達郵便物については、過失による場合でも損害賠償の責任を負うということでありますので、送達手段のルール化を図るなどして、十分注意して取り扱っていかなければならないと思っております。
 そこで、来年の四月一日から日本郵政公社となるこの重要な時期、あるいはまた国民の信頼、期待に十分こたえていかねばならないのでありまして、より一層の徹底を図らなければならないと思っております。郵便局における郵便物の取り扱い、これが厳格になされるよう、今後どのような指導をしていくのか、最後に総務省にお尋ねいたして、終わりたいと思います。
有冨政府参考人 先生今御指摘のように、利用者にお約束をした郵便でございますので、これをきちんと届けるというのが一番大事なことであるということは十分認識しております。したがって、郵便局職員あるいは運送の受託者等に対しましても、郵便物の大切な取り扱いについて一層の徹底を図っていきたいというようにまず考えております。
 あわせまして、具体的なことを言いますと、全国の郵便局に対しまして、今回の法改正の内容あるいはその正規取り扱いの徹底等、通達あるいはテレビ会議等によって指導を行いたいというふうに思います。
 また、郵便局におきましても、これまでですと、配達の担当者が、個人的にといいますか、一人で特別送達郵便物の受取人対応とか還付とかいうようなことを判断しておりましたけれども、やはりこれは一人ではだめなので、ダブルチェックというような観点で、より確実なシステムを取り入れたい、このように思っております。
 いずれにしましても、こういったことを踏まえて、もう少し徹底的な正規取り扱いをできるように指導していきたい、このように思っております。
黄川田委員 モラール、士気を高めまして、適切な対処をよろしくお願いいたします。
 時間でありますので、終わります。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 現在、出席委員十六名ということで非常に、もう少し採決が近づきますとだあっと来るんですが、実際、きちんと成立しているような状況の中で審議が行われるということに努力していただきたい、こういうことを申し上げて、質問に入ります。
 提案されております法案は、先ほど来話がありますように、九月十一日の最高裁の違憲判決、これを踏まえて郵便法を改正するものですけれども、私は当然のことだと思います。
 そこで、法案に関係して幾つかの点で質問したいわけですが、この改正によって、国のいわゆる損害賠償責任の範囲、これが拡大するわけであります。一つの事例をちょっと挙げさせていただきますが、これは九月六日の日経新聞なんですけれども、岡山の中央郵便局でNTTの料金請求書が大量に紛失したという事件がありました。
 事業庁に聞きますけれども、これは賠償したんですか。
有冨政府参考人 先生御指摘の岡山中央郵便局で昨年発生をした事故でございますが、これは、普通扱いの通常郵便物であったということでございます。
 現行の郵便法第六十八条によりますと、国は、書留郵便物の亡失、毀損、代金引きかえ郵便物の引きかえ金の取り立て漏れ、小包郵便物の亡失、毀損という場合のみということになっておりまして、したがって、この普通扱いの通常郵便物は該当しないということで、賠償は行っておりません。
矢島委員 現行法で賠償する責任がないわけです。
 そこで、信書便法の場合にはこれはどうなりますか。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便事業者は信書便法によって事業を行いますが、これはあくまで民間事業者であって、私人でございます。したがいまして、契約につきましては、契約自由の原則ということによりまして、民法に基づきまして、消費者契約法の規定の範囲内で約款にゆだねるということにしているわけでございます。
 したがいまして、信書便法におきましては、御指摘のとおり、郵便法のような免責規定を置いておりませんので、お尋ねのようなケースにつきましては、信書便事業者の場合は損害賠償する場合もあり得るというふうに考えております。
矢島委員 信書便法では賠償する必要が出てくる、こういうことだと思います。
 そこで、ことしに入ってからも相当事故が多いんですね、いわゆる通常郵便物を含めて。海外で結婚する娘にドレスを送ったけれども届かなかった、遅配は郵便賠償の対象外だ、父親無念という新聞もありますし、ことしに入って全部で十三件、事故というもので一応新聞報道されたものは。その中で、例えば住基ネットの通知票が誤配されたなんということもあるわけです。九月二日の盛岡です。
 いわゆる通常郵便の場合にも一定の賠償が可能となるように考えていくということが必要じゃないかと思うんですが、この辺についてどうお考えですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 先ほどから御説明しております最高裁の判決におきましても、やはり郵便の大量取り扱い、これを円滑に進める観点から賠償の制限はやむを得ないということでございますので、今回の法律もそういう形で提出させていただいているところでございます。
 それから、もちろんこのことは、個々の郵便従事者の責任を弱めるということではなくて、全体的なシステムを円滑に動かしていくためのものでございまして、当然のことながら、これに甘えて遅延をするとかいうことは許されないわけでございます。これは国がやっているということもございまして、郵便法の中では、普通郵便の取り扱いも含めまして、郵便物の取り扱いをしない、あるいは遅延させるということについては刑事罰までかけるというようなことも行っておりまして、少し違った体系でこれを担保しようとしているものでございます。
 それから、ユニバーサルサービスの最後の担い手というふうなこともございまして、信書便の事業者とはちょっと違った体系になっておりますが、もちろん、こういうことに甘えずに、きちんとした業務をやっていただくことが一番大事というふうに考えております。
矢島委員 公社へ移行するに当たって、いろいろと研究もしていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
 先ほど、非常勤職員の問題もちょっと出ました。非常勤職員が大変増加しております。そして、各郵便局で、非常勤職員として勤務するに当たっての「心構え等について」というような通達が出され、朝の訓示等の中で行われております。いわゆる事故や犯罪の防止ということに十分気をつけろという内容であります。特に非常勤の職員に対してです。
 同時に、第一普通郵便課からあてた非常勤の訓練資料ということで出されているものの中に、「非常勤職員による営業活動への参画について」というのがあります。これは、非常勤職員の皆さんに、ぜひ営業活動に参加してくれ、四半期ごとに実施されるイベントゆうパックの販売にぜひ協力しろ、こういう中身であります。
 もちろん、非常勤職員だけにこういう問題が、つまり、ゆうパックをどんどん売れというようなことが言われているわけじゃなくて、普通の職員の皆さん方にも、「「グルメ会」取組の強化について」というような通達、これは一年間に何回も出ているようです。「「グルメ会」ゆうパックの獲得を最重点課題として、全局体制での営業推進を図っていただきますようよろしくお願いいたします。」郵務部営業課長名で各郵便局長へ。
 つまり、私がこれから申し上げたいのは、それぞれの郵便局で、営業活動というものに対して相当叱咤激励が行われている、しかも、一定のノルマを課して。これは、私、去年、随分取り上げてきた問題です。北海道グルメ会などの問題を取り上げてまいりました。いわゆる頒布会と呼ばれている問題。ほとんどが天下りの役員でできた、そういう事業所がつくるところのゆうパックを郵便局が一生懸命売り歩いている。しかも、売り歩く職員に対しては一定のノルマが課される。この問題を、具体的な例を挙げながら去年取り上げてきたわけです。
 そこでお尋ねしたいのは、昨年の十一月三十日、「普通局新集配システムの試行に関する提示」というものを出していらっしゃいます。その中の、効果的な営業活動の展開、こういう項目がありますけれども、そこで、黒字体質への転換を図るためには、コスト削減とともに事業収入の確保が重要であり、より効果的な営業活動が求められる。また、高付加価値の郵便の配達時は、お客様と対面できるため、営業に必要な情報収集や商品・サービス説明の絶好のチャンスである、こう書いてあります。つまり、書留だとかあるいは小包の配達、こういうときにはお客様と対面して営業をしなきゃならない。だから、対面していろいろ話すチャンスだ、これは営業のチャンスに結びつけていこう、こういうことです。
 そこで、今ここに書かれている営業のチャンス、商品やサービス、営業するわけですが、この中に、いわゆる施策小包、例えばクリスマス小包だとかあるいは頒布会の味紀行、こんなものを含んでいるのかどうか、その辺についてお答えいただきたい。
有冨政府参考人 今お話ありました新集配システム、これは、お客様に直接手渡しで配達するものと、それから郵便受け箱に配達するものと担当者を分けまして、対面での場合はいわゆる常勤職員が対応する、こういうことで、四月から試行実施をしてきているものでございます。
 今お話ありましたように、今の事業の置かれている経営環境は非常に厳しいものがございますので、当然のごとく、営業の機会というものを最大限利用するというようなことでございます。したがって、書留とかあるいは速達とかということは、配達する際にお客様と対面できるという機会がございますので、そこで営業に必要な情報収集とかあるいは郵便商品や郵便サービスの説明が可能であるということでその機会を活用させていただいているということでございまして、その中には施策小包も入っておるということでございます。
矢島委員 そこで聞きますが、これは国会内の郵便局からいただいてまいりました。郵便局のところにずっと積んであります。ふるさとグルメのパンフであります。
 恐らく、私が思うに、いわゆるお客様と対面できるような状態、こういうときには、こういう頒布会の発行しておりますいろいろなサービス、商品を見せながら、カニもありますとかリンゴもありますということでいろいろ対話が進むんだろうと思うんですが、そういうやり方で説明をそれぞれお客様にしている、こう考えてよろしいですか。
有冨政府参考人 今お話ありましたように、ゆうパック、郵便小包でございますが、これの一層の需要拡大を図るということの一環として、そのカタログ、チラシなどにありますような地場産業の振興のための特産品や名産品というものを掲載したもの、これを用いて需要拡大の努力をするというようなことでございます。
矢島委員 ある郵便局の施策小包の企画案、こういうものが出ておりますが、それによりますと、例えば、二月はバレンタインデーでチョコレート、五月は母の日でカーネーション、こういう企画になっています。あるいはラーメンの企画もあります。
 この施策小包とかあるいは頒布会によって小包の利用拡大を図っているんだという次長の答弁ですけれども、営業の企画も、小包で送る商品をどうするのか、つまり、ゆうパックの拡大で郵便事業の収益をふやそう、こういう意図であるということだろうと思うんですが、非常にお客さんの方から見ると奇異に感ずることがあるんですよ。
 私のところにも来ましたけれども、つまり、郵便局の方が、記念切手だとか年賀はがき、これをひとつどうぞ買ってくださいよ、これは、ああ、郵便局の皆さん方がこういうものを今販売しているんだなということがすぐわかりますし、何の奇異も感じないんです。ところが、来た郵便局員の人が、チョコレートやカーネーションやラーメン、こういうものを勧めるわけですよ。営業に熱心な郵便局員の方だと、このラーメンはおいしいんだ、こっちは○○屋の製品でございますとか、非常に説明をしながらやっているんです。
 つまり、私が言いたいのは何かというと、チョコレートだとかカーネーションだとか、商品自体のセールス、これをやっているんですよ。問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
有冨政府参考人 あくまでも、これはゆうパックの利用勧奨という観点でやっているわけでありますが、多少、営業の中でそういったことについて熱が入り過ぎるということがあるのかもしれません。
 私どもといたしましては、特定企業のカタログとかあるいは特定の商品に偏ってそういったものを活用するということのないように指導してきているつもりでございまして、個別の問題があれば個々に対処していきたいというように思います。
矢島委員 熱が入るとと言うけれども、みんな熱が入っちゃっているんですよ。というのは、ノルマがあるんですよ、何個売らなきゃいけないと。職員の中には、自腹を切ってそれを買っている人もいるくらいですからね。ですから、何とかして売りたいとなれば、それは一生懸命やられるんです。だから、ラーメンやチョコレートやカーネーション、こういうカタログを持ってぐるぐる歩きまして、国民から見ると、郵便局員の皆さん方がこうやって、いつからこんな商売を郵便局は始めたんですか、こういう疑問が出てくることがあるんですよ。
 つまり、私が言いたいのは、郵便局員の行う営業活動というのには、おのずと一定の節度と制約があるんじゃないか。大臣、今までのことをお聞きいただいて、やはりこれは一定の節度が必要なんだなというお考えになられませんか。
片山国務大臣 このゆうパックは、そういう商品を地場産業の振興につなげて、地域の活性化に相当役立っているんですね。例えば沖縄のパイナップルというと、あれであそこがよみがえったようなこともありますので、少々熱が入るのは大目に見ていただかなきゃいかぬところはあると思いますが、みんなセールスマンと同じようにやるというのは、やはり郵便局は国家公務員でございまして、本来は郵便という国家的な公共性の高い仕事を担っておりますから、その限度がなかなか難しいと思いますが、よく注意してやっていただくように努力いたします。
矢島委員 それで、一つには、やはり売り上げを上げたい、小包関係ですね。これが大変窮屈な状況ですから、これを収益を上げていきたいという意図があることはもちろんだろうと思うんです。
 そこでお聞きしたいんですが、このゆうパックで、年間、大体どれだけ収益が上がっているか。例えば、昨年度でいいです、そこがまだ出ていなければ十二年度でもいいです。ゆうパックによってどれだけ収益が上がったか、その数値を教えていただきたいんです。
有冨政府参考人 ゆうパックだけの数字は、残念ながらちょっとまだ持ち合わせておりません。
矢島委員 そうなんですよね。つまり、小包が大変だ、どんどんゆうパックでお客さんを獲得しよう、そういう方向はあるんだけれども、実際にそれが効果が上がっているのかどうかということが問題なんですよ。
 つまり、私が言いたいのは、いわゆる小包の収支は、このゆうパックを含めてずっと赤字ですよね。十年度が百十八億円、十一年度が百三十七億円、十二年度が八十億円、十三年度が五十一億円、いずれも赤字です。もちろん、ゆうパックがどれだけを占めているのかというのは、そちらで集計をとっていませんからわかりません。わかりませんけれども、皆さん方が一生懸命やる割には、どうもこのやり方というのは、本当に営業、つまり収益に役立っているんだろうか。
 実は、このやり方というのは非常に問題があるんじゃないかということを指摘したいのは、つまり、売り主は頒布会ですよ、買う人は一般の市民です。その間に、郵便局の外務職員の方がいわゆる売買契約の勧誘をしているわけです。こういう構造にあるわけです。ですから、ここには売買契約というものが、書類を書いたときとかあるいはお金を受け取ったときとか、いろいろあるんでしょうけれども、そこに成立するような形をとっているんですね。
 一方、事業庁と業者、この間はどういう関係にあるか、その点をお聞きしたいんです。つまり、グルメ会あるいは頒布会、これを委託者とすれば、事業庁は受託者に相当するわけですね。すると、訪問販売委託契約というものが必要だろうと思うんです。
 ところで、この中で委託手数料というのが当然支払われていいと思うんですが、それはどうなっているんですか。
有冨政府参考人 もう何度もお答えしていますが、あくまでもゆうパックの需要拡大という形で、地場振興等の観点もあわせて、一生懸命営業活動をやっているところでございます。
 基本的には、頒布会等の申込書でございますが、これはあくまでも間接的なポジションにございます。例えば申込書につきましても、郵便貯金の引き落とし申し込みとセットになっておるような感じで、いわばお客様の依頼で職員が預かるということでございます。俗に言う商品取引というものに関知していない、特定商取引に関する法律というものは適用されない、こういうような位置づけになっておりまして、したがって、受託手数料というようなことについては、徴収はしておりません。
矢島委員 これは、前に私がこの委員会で取り上げたことですけれども、グルメ会が全国で十八社ありましたが、現在、十六社だと思います。北海道グルメ会から始まって、九州・沖縄ゆうパックの会まで、これらのグルメ会なり頒布会というのは、職員数は、すごいのはゼロというのもあるんですよ。いずれにしろ、一つの会社がやっているのは、平均しますと六人ぐらいです。そして、あとは、役員が三人とか四人おります。いずれも天下り、つまり、元何々郵政局の何とかという役員です。いわゆる官職にあった人です。そういう人たちが、言うなれば郵便局を使ってどんどん販売網を広げて、たった六人でいながら、大変な利益を一年間に上げているんですね。みんなそうなんです。
 例えば、幾つか例を挙げましょうか。四国ゆうパックの会というのは、従業員数はゼロですよ。役員はいます。そういう中で、十八億ですよ、売り上げが。こづつみ倶楽部というのがあります。愛媛県なんです。従業員は三名です。十六億円。まだほかにもありますが。
 つまり、もうかっているのはグルメ会や頒布会であって、労力を提供しているのが郵便局、これがどうしてこんなつながりになっているのかという点は天下りに原因があるんだということを私は何回も指摘してきたわけです。しかし、依然として、そのことはいずれも直っておりません。
 いかがですか。一生懸命郵便局の職員を働かせて、それで頒布会やグルメ会のもうけをどんどん広げている。その割に、郵便局の方の小包収益というのは上がっていないんですよ。こういうのは直ちに改めていくべきだと思うんですが、もっと効率のよい営業をしたらどうですか。
有冨政府参考人 いろいろと御指摘がございましたけれども、先ほど、ふるさと小包そのものについての収支は行っていないと申し上げましたけれども、これをどう見るかでございます。ただ、小包全般の利用個数というのは伸びておりまして、かなり小包全体の収支には貢献しておるというふうに私どもは受けとめております。
 それから、あくまでも、ふるさと小包というのは郵便小包として出されますものですから、頒布会が何か関係があるというよりも、料金そのものも一般の郵便物と全く同じでございまして、直接的な関係はない、このように思っております。
 それから、OBの関係でございますが、現時点でいいますと、頒布会そのもの、今、十六ございます。ございますが、その中で、ポスタルサービスセンターが十、株式会社が三、任意団体が二、有限会社が一、このような内訳になっておりまして、いずれもこれは、私企業である株式会社あるいは有限会社並びに任意団体でございますので、具体的な役員について、いわゆるOBの天下りという観点から見ますと、国家公務員法等に基づいた承認すべき対象にはなっておりません。
 ただ、ポスタルサービスセンターについては、理事の十名のうち二名が、いわゆる公益法人の設立許可及び指導監督基準に定める「所管する官庁の出身者」に該当するということでございますけれども、いずれもこの基準を十分満たしておりまして、現時点で問題はないのではないかというふうに考えておるところでございます。
矢島委員 いろいろ言いわけを言われますが、何しろもうかっていると思う、あるいは収益を上げていると思うと言ったって、大体、ゆうパックでどれだけ収益が上がったか集計もしていなくて、多分このことによって収益は増加しているだろうなんというのでは、ああそうですかとは引っ込められませんよ。
 これはぜひ、私は資料を要求したいんです。ゆうパックについてどれだけの営業収益を上げたか、その資料を私のところに提出していただくことをお願いしたいと思います。委員長、お願いします。
 もう時間がなくなりました。私は、一つこのことだけは聞いておきたいと思ったんですが、各郵便局がノルマを課して年間契約のカタログの販売、この契約を追求しているんですよ。このことは、いわゆる年間で、三千円ぐらいの商品についてカタログで売り歩くというようなやり方です。
 そこで、私は、きのうリストをいただいたんです。十六社あるんですけれども、この十六社以外に、郵便局員がこういう年間契約のカタログを持って販売の契約をやっているところはありますか。
有冨政府参考人 現時点で私どもが把握している数は十六ということでございます。
矢島委員 郵便局の職員が自腹まで切るようなノルマを課して営業に駆り立てる。このもうけの方は、後できちんと調べてもらいたいんですが、私も資料を要求しましたので調べますが、このゆうパックの、天下りの人たちが何人かでやっている企業なんですよ。私企業だから私企業だからと言うけれども、そこへもう全面的なサービスを総務省はやっているんじゃないか、あるいは事業庁はやっているんじゃないか、こう言われるような事態があるわけですね。
 こういうようなことになると、郵便局の職員の皆さん方も、ユニバーサルサービスの維持のためとか、あるいは郵便事業をさらにきちんと発展させるために頑張ろう、こういう気になかなかならない。おまえ、これ売ってこい、そこへ行って契約を幾つとってこい、こういうようなことでは困るわけなんです。
 そこで大臣、最後です。
 私がずっとやってきましたように、このゆうパック営業というものを職務命令でやってこいというような強制をしてしまったり、その成績をもとにして昇格だとか昇給だとかそういうことに影響させるとか、あるいは分限の対象や配転の対象にする、不利益を与える、こういうことがあっては絶対ならないと思うんですけれども、そういう決意をひとつお願いいたします。
片山国務大臣 私は必ずしも実情をよく知らないところがありますけれども、ゆうパックというのも、それは郵便局の業績を上げるための一つの手段としてやっているわけでございまして、委員はそこのところのいろいろな限度についてのお話だと思いますので、私自身が実情を認識しながら、公社になるわけですから、公社の中でどうやるのか考えてまいりたいと思います。
矢島委員 終わります。
遠藤委員長 次に、横光克彦君。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。
 まず、郵便法改正についてお尋ねをいたします。
 最高裁で違憲という判決が出たわけでございます。憲法第十七条に違反するということですね。この違憲判決がなされるまでは、郵便法の改正の動きは全然なかったと聞いております。
 私、お聞きしましたら、これまで同じような案件ではほとんど国側が勝訴してきた、だから、そういった改正の動きなんかほとんど考えられなかったということだったんですが、今回、違憲となったわけですね。違憲となった以上は、やはり法改正はしなければならないわけでございますが、現在、郵便物の取り扱いに係る係争中の案件はどれぐらいあるのかということが一つ。そして、その中に、今回の法改正に該当する案件が何件あるか、そのことをちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思います。
有冨政府参考人 現在、郵便物の取り扱いにつきまして係争中の事案、六件ございます。そのうち、今回の郵便法改正の対象にならない普通通常郵便物に係るもの二件を除きますと、損害賠償に係るものは四件ということでございます。
 そして、これらの四件の事案につきましては、今回、法改正が行われれば、この改正法に基づきまして、関係の裁判所において、郵便局職員の過失の程度や損害との因果関係の有無について審理が行われるというふうに考えております。
横光委員 今回の法改正に関係しているのが二件あるんですね。
有冨政府参考人 四件でございます。二件は、普通の通常郵便物でございます。
横光委員 では、この四件は、当然、改正後は賠償責任が生じる可能性があるということになりますね。
有冨政府参考人 可能性としてはそうだと思いますが、先ほど申しましたように、いずれ裁判所において判断されるものというふうに考えております。
横光委員 わかりました。
 先ほど松沢委員から出ました、六十八条第三項では「重大な過失」という文言になっていながら、特別送達のときにただの「過失」ということになっている。こういった文言がある以上、やはりこの仕分け、区分けというのはどうしても必要となってきますね。先ほど御答弁では、その判断はなかなか難しいんだというお話でございましたが、局長は、例えば施錠しない場合は重大な過失になるとか、いろいろなことも考えられると言われましたし、やはりここはそれなりに基準をつくっておかなければ、むやみやたらと重大な過失ということで訴えられる可能性もなきにしもあらずなんですね。
 ですから、ある程度の判断基準、ここは重大な過失であるが、ここは軽微な過失であるぐらいのことは、やはり当局はしっかりと、難しいというような答えじゃなくて、いろいろな案件によって想定をして判断基準というものを私はつくるべきではないか。はっきりと線は引けませんよ、もちろん引けませんけれども、最低限のリストぐらいはつくっていくのが、いわゆる被害をこうむった人も、あるいは被害を与えた人も、お互いのためにそのリストは、判断基準は事前につくっておくべきではないかと思いますが、もう一度御見解をお聞かせください。
團政府参考人 お答えいたします。
 この「重大な過失」と「過失」ということが、特別送達と書留で違うわけでございます。その区分けが必要だということで、具体な事例では、先生おっしゃるとおりだろうと思っております。
 そこで、郵便局からしますと、これは軽過失であっても犯してはならないことでありまして、すべてこういうことについては厳重に、過失のないようにということの指導をやらなくちゃいけないというふうに思いますが、その中で、とりわけ故意に当たるようなものはとんでもないことでございますので、そこについてはまた厳にやるようにという、多少注意の度合いというものも違います。いろいろなケースもありますので、そういうことについては、よく認識する材料としては、そういう事例を積み上げていく、あるいは説明していくということは非常に重要ではないかというふうに考えております。
横光委員 今おっしゃられたように、軽微な過失としても郵便局にとっては重大な過失であるという御認識、私はそれが大事だと思うんですね。そういった意味からも、ある程度のラインは必要ではなかろうかと思っております。
 次に、賠償責任の範囲についてちょっとお聞きします。
 範囲が拡大されたわけですが、その中でも、同じ特殊取扱でも、速達郵便については範囲の拡大の中に入っておりません。速達郵便についても、遅延等によって損害が与えられることは十分考えられるわけですね。例えば入学願書など、期日指定で速達で送って、結局、間に合わなければ受け付けてもらえない。しかし、これはもう、何ら文句を言えないというような状況です。ここまで範囲を拡大するというのは大変だと思いますが、一応、事業庁のお考えをちょっとお聞かせください。
團政府参考人 お答えいたします。
 委員おっしゃるとおり、速達というのは、早く届く必要があるので料金を払って出しているわけでございますので、これがおくれますと、重大な損害が起こるおそれというのはあると思います。
 そこで、それとこの損害賠償の関係でございます。今回の判決の中でも言われておりますが、一般的にはすべての郵便が重要でございますが、やはり記録があることによっていろいろな証明とか証拠を発揮するという、このよすがによって区別をしていいというふうなことでございます。
 このことによって、速達については、その重要性がないというわけではございませんが、とりあえず今回の改正につきましては、そういう記録の挙証ができるということに限らせていただきたいということで提案させていただいている次第でございます。
横光委員 確かにおっしゃるとおり、書留がない、証明するものがない、記録もない、難しいことは承知しております。しかし、追加料金を特別にいただいているわけでございますので、たとえ今回、賠償責任の拡大の範囲に入っておりませんが、意識としては、やはり追加料金をいただいている以上、範囲に入っているんだという意識を私は職員に督励していってほしい、この改正を機に、そういうことをお願いしたいと思います。
 次に、郵政公社の方にちょっと移らせていただきたいんですが、先ほどからお話がございますこの郵政公社、発表されました過少資本、これは、公社化研究会の試算では一・九兆円という資本を試算しておりましたね。これが、三千八百二億、約五分の一という試算が今度発表になっております。自己資本比率〇・〇八九、超過少資本というより、私は、もう超々々過少資本だと言わざるを得ない。
 本来、企業であるならば、当然、信用不安で、スタートからこんなことはもうできないような状況にあるわけですが、これだけの過少資本でこれから郵政公社がスタートしていくわけです。まず、いかがこのことについてお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
加藤副大臣 先ほど大臣からもお答えさせていただきましたが、横光委員御指摘の、第二回の設立委員会で水野委員から指摘されました。これは、平成十四年度の四月一日時点の郵政事業の自己資本額を企業会計原則ベースで試算するとこうなるということでありまして、平成十五年四月一日スタート時点の自己資本については、昨今の経済事情や将来の予測を踏まえて、これからさらに試算されていくものだと思っております。
横光委員 いずれ一定の利益が上がった場合は国庫に納付するということになっておりますね。しかし、このような資本の状況で、たとえ一定の利益が上がったからといって、私は、国庫に納付どころではない、むしろ、本当に信用不安を解消する意味からも、資本の充実にこそ充てるべきだという考えを持っておりますが、いかがですか。
片山国務大臣 横光委員言われるように、今の超過少資本の状況を改善していかなきゃいけません。しかし、なかなか一遍には難しいものですから、公社として十五年度からとにかく利益を出していただいて、できるだけそれを解消していく、こういうことでございまして、今の国庫納付のルールからいいましても、はい、それじゃすぐ納付しますというような状況にはしばらくはならないのではなかろうか、私はこう思っております。
 いずれにせよ、公社になるときには、きちっともう一遍、自己資本その他を計算し直す。これは、評価委員が今度はできますので、評価委員に評価してもらいまして、そういうこともきちんとやっていこう、こう思っております。
横光委員 もう一回やるということですが、そのときもやはり超過少資本ということになれば、私は、財務省に、国庫納付の期待なんか持ってもらわないように、ある程度意思表示していくべきではないかという思いも持っておるわけでございます。
 次に、郵便局の設置基準、いわゆる省令が出され、答申されていますね。この中でいろいろと基準が書かれておるわけですが、市町村ごと一局という最低基準も答申されております。こうなりますと、現在の市町村数が約三千二百、しかも、郵便局は二万四千七百。現在、それぞれ市町村に複数局設置されているわけですが、この省令では市町村に最低一局という最低基準がなされている以上、それに向かって削減が可能ということになってくるわけですね。これは、郵便事業及び郵便局ネットワークの維持という観点から、総務省はどのようにお考えなんでしょうか。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
團政府参考人 お答えいたします。
 御質問の郵便局の設置でございますけれども、これについては、御審議いただきました日本郵政公社法第二十条がございまして、これは、この衆議院において修正をいただいた条項でございます。この中におきまして、公社は、郵便局はあまねく全国に設置しなければならない、その設置については総務省令で定めるということになっております。この総務省令を、今、案としてつくっておりますが、これは、修正の趣旨、それから、国会審議におきまして附帯決議もいただいておりますので、それを踏まえて、今、案をつくっているものでございます。
 そこで、委員御指摘の、市町村に一局というお話がございましたけれども、これは一つの部分でございまして、まず基本としましては、公社設立時における郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするというのが基本でございます。全体的なネットワークの水準、これは、数とか配置とかいうことを、現行水準を維持するというのが原則でございます。その中におきまして市町村には少なくとも一局ということでございますので、市町村の数が三千幾つでございますし、今、二万四千七百でございますので、これは、全体が二万四千七百であっても、一つもない市町村があってはいけないということを言っていることでございまして、そこまで削減していいというふうに考えているものではございません。
横光委員 よくわかりました。よろしくお願いします。
 ただ、地域住民が容易に利用できる位置に設置という項目がありますね。これがさっぱりわからない。地域住民が容易に利用できる位置というのは、余りにも漠然とし過ぎているわけですね。地域住民というのは千差万別なんです。おじいちゃんもいれば、おばあちゃんもいる、歩いて行く人もいれば、自転車で行く人も、車で行く人も、いろいろな人たちが地域住民。その人たちが容易に利用できる位置に設置するということが、余りにもわかりにくい。
 私は、ある意味で外国の例を見習って、距離とか面積に着目した設置基準も必要ではなかろうかという気がいたしております。例えばドイツの場合は、二キロ以内に最寄りの郵便局がなければならないとか、あるいはイギリスの場合、百平方キロ、いわゆる十キロ四方に八局の郵便局がなければならない、こういった設置基準がされている国もあるんですね。こういった距離やあるいは面積に着目して設置基準をこれから考えていくというようなお考えはどうなんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 この省令に当たりましては、委員御指摘の点についていろいろ検討いたしたところでございます。具体的には、やや抽象的な表現で設置基準を決めているのがアメリカ、フランス、デンマーク等でございます。今御指摘のとおり、具体的な指標をもちまして基準を設定しているのがイギリス、ドイツ、ニュージーランド等というふうに考えております。そういう中では、例えばドイツでありますと、都市部においては二キロ以内に一局設置とか、地方郡におきましては八十平方キロ以内に一局は設置とか、そういうことでございます。
 そこで、いろいろ検討をいたしましたけれども、一つは、公社の自律性というものもございますので、全般的な配置については公社の自律性に任せたいというのが一つ。それから、地域の発展等がございます。なかなか、発展地には設置がおくれますし、かといっても、人口が減るところに急速な廃止もできないというふうなこともあろうと思いますので、現在の配置を基本としながら、そこら辺は抽象的な表現にとどめまして、全体の水準を決めた上で、具体的には、やはり公社の、地域に配慮した自律性にお任せしたいということでこういう表現にしているものでございます。
横光委員 次に、ちょっと耳の痛い質問をいたします。
 やはりまた、郵政事業関係でマスコミに不祥事が出てしまいました。老人マル優の非課税限度額超過や不正利用などが明るみに出てしまったんですね。これは、私は、いわゆる国税が動いたということが非常に大きい意味を持つと思うんです。税法を遵守するように異例の要請を受けてしまった。これは厳重注意です、非常に重い抗議だと私は思うんですね。しかも、全国各地の郵便局が積極的にこの不正行為に加担していたというところまで明るみになってしまった。
 これから大事なのは、来年四月からの郵政公社のスタートでしょう。そういったときにこういった不祥事がマスコミに載るということは、本当に利用者の信頼が第一である、大前提であるにもかかわらず、その大前提をみずから崩そうとしているとしか思えない。これは以前にもこういった、やはり郵貯に関しての所得隠しというものが十年ぐらい前にあったそうですが、結果的には、再発防止というものを当時唱えながらも、同じことが繰り返されているということになってしまうんです。
 改めて、どのような再発防止をとっていくのか。このような不正というものが一番信頼を失うわけですので、もう一度このことに対しての、再発の防止についてお聞かせいただきたいと思います。
有冨政府参考人 今、先生御指摘にありましたような郵便貯金に関しまする不適正な取り扱いにつきまして、大変遺憾なことだというふうに思っております。
 かねてから、こういったことのないようには注意しておりますけれども、とりわけ最近は、コンプライアンスの重要性というものが非常に重要視をされておりまして、私どもも、いま一層、本人確認あるいは限度額管理等について講習会を開く、セミナーを開く等々によりまして法令厳守の徹底を図ってまいりたい、このように思っております。これは一回だけじゃなくて、何度も何度も、機会に応じてやるべきだろうというふうに思っております。
横光委員 この老人マル優の不正利用だけでなく、結局、財形の不正契約まで出ている。こっちの方はもっと私は悪いんじゃないか、本当に利用者をだましていくことになりますので。
 唯一、得点といいますか、これは、みずからの庁内で調査した結果ということです、これはすごい。もう一つのものは国税の抗議ですから。こっちはみずから調査した。これは、せっかくこういってみずから調査した結果、たった二カ月間で二千二百六十六件も判明した。
 これも本当に、財形住宅貯蓄保険、勧誘するということで、入れない方まで入れてしまうような、これはもう明らかに職員が誘導しているわけですね。加入者は知らないわけですよ。こういったことをやるようでは、本当に信頼感がなくなってしまう。ですから、そういったものは無効だ、こちらの郵政事業庁サイドは無効だと言いますが、無効だと言われた人たちはさっぱりですよ、全くだまされたことになるわけですから。これの再発防止も同じ。
 私は、やはりこの原因は、先ほどもありましたけれども、現場の人たちの話を聞くと、ノルマが非常に厳しいと言うんですね。確かに営業成績は大事ですよ。大事ですけれども、余りにもノルマが厳しいから、いろいろな形を、不正を使ってでも加入してもらおうという動きをどうしてもせざるを得ない状況をみずからつくっているのではないかという気もするんです。
 確かに、これからさらに営業は責任を持っていかなきゃならないわけですから、より営業成績にウエートを置くんじゃないか。そのことによって職員は過酷な環境に置かれて、結局、とれないからそういった不正をやるということにつながりかねない。ここのところもこれからしっかり私は考えていただきたい、このように思います。
 いよいよ来年の四月から日本郵政公社がスタートするわけでございますが、これまで数年間、紆余曲折してきましたね、ここにたどり着くまで。民営化するのか、あるいは縮小するのか、分割されるのかとか、いろいろなことで、郵政三事業に携わる人たちは大変不安を持っておりましたが、ここで不安が一応取り除かれた。そして、国民側、利用者にとりましても、やはり国営であるということになった、いわゆる郵便局ネットワークを維持し、三事業一体で経営をしていくのが郵便事業の使命であるということになったわけでございますから、これから郵政公社、四月の設立に向けて、大臣ひとつ、職員の皆様方それから国民利用者の皆様方に、いろいろな不安を払拭する、それからまた利用者の負託にこたえられるような、郵政公社に向けてのメッセージをどうかお願い申し上げたいと思います。
片山国務大臣 御承知のように、郵政改革四法案、特に日本郵政公社法案については、本当にこの総務委員会の委員の皆様に大変なお世話になってあの法案は成立させていただいたわけでございます。
 これは百三十一年ぶりの改革なんですよ、郵政事業全般が。しかも、初めて国から国営公社にする、こういうことでございまして、国営公社にしてよかったなと国民の皆さんに思ってもらうということがどうしても必要だと私は考えております。そのためには思い切ったいろいろな体制も手法も考えてもらいたい、こう言っておりまして、そういう意味では、意識改革も職員のすべての皆さんにしていただかなきゃいかぬと思っております。
 今後とも、そういうつもりで新総裁以下頑張ってもらいたい、こう思っておりますから、どうか委員の皆様にも、一層の御指導や御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。
横光委員 終わります。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、来る十九日火曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会


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