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第7号 平成14年11月21日(木曜日)

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平成十四年十一月二十一日(木曜日)
    午前九時三十三分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    梶山 弘志君
      上川 陽子君    小西  理君
      左藤  章君    滝   実君
      谷  洋一君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      赤松 広隆君    荒井  聰君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      永田 寿康君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 堀内 文隆君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   稲村 公望君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   大野 慎一君
   政府参考人
   (郵政事業庁次長)    有冨寛一郎君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局スポーツ・青少年統
   括官)          徳重 眞光君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           渡辺 芳樹君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     小西  理君
  谷本 龍哉君     梶山 弘志君
  伊藤 忠治君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     谷本 龍哉君
  小西  理君     佐田玄一郎君
  永田 寿康君     伊藤 忠治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、有線電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長高原耕三君、同じく総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、総務省政策統括官稲村公望君、同じく総務省政策統括官大野慎一君、郵政事業庁次長有冨寛一郎君、警察庁長官官房審議官堀内文隆君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年統括官徳重眞光君及び厚生労働省大臣官房審議官渡辺芳樹君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。
 きょうは、ワン切り法案の審査でございますが、ワン切り法案、あるいはそれに関係する携帯電話にかかわる犯罪等について、少し質問をしたいと思います。時間が二十分ですので、簡潔にお願いを申し上げます。
 まず、私の認識なんですけれども、ワン切りの被害なんですけれども、この被害実態については、直接ビジネスにかかわる部分で障害が生じたりということで、NTTが相当な技術開発をして、これのコントロールというか制御が相当進んできたように思います。
 したがって、実質的に、ワン切り法案については、今回この法案で規制をするわけですけれども、実態的な被害、社会的な影響というのは相当小さくなったのではないかというふうに私は思うんですけれども、総務大臣、簡潔に、このワン切り法案によって被害への実効性というものをどのように認識をされているのか、これは総務大臣にお聞きしたいと思います。どうぞ、お願いします。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
加藤副大臣 今先生がおっしゃるとおりでありますが、この法案が成立いたしますと、ワン切りを行う目的でワン切りのための装置を用いて発信すれば、実際にネットワークのふくそうの危険を生じなくても、このワン切りに対して懲役刑を含む罰則が科せられることから、相当な抑止力が働くものと考えております。
 それと同時に、総務省といたしましては、この八月から十月初めにかけまして開催した迷惑通信への対応の在り方に関する研究会の提言を受けて、この法案以外にも電気通信事業者による自主的対応、今お話しになりましたNTT東西による約款の改正とか携帯電話事業者による受信ブロックサービス等の促進や、また携帯端末の機能強化によって、ワン切り問題に総合的に対応してまいれば、これらの取り組みによってワン切りが根絶されるというぐらいの期待が持てると思っております。
荒井(聰)委員 これは、ビジネスの世界でビジネスに障害が生ずるということで、NTTも相当な技術開発もしたのだと思うんですね。ところが、ビジネスに関係しない、あるいは、むしろ頻繁になればなるほどビジネス上はもうかるということから、さまざまなビジネスが発生しているんですけれども、その一つに、出会い系サイトに書き込んでいく、あるいは出会い系サイトというものがビジネスとして成立している。
 この実態は、我が国が携帯電話文化と言われるぐらい携帯電話の普及率が非常に大きくなっていて、その携帯電話のパーソナリティー性とそれから秘密性というんでしょうか、あるいは簡便性というようなものから、青少年の間にこの出会い系サイトにアクセスする件数が物すごく急速度に拡大しているという実態があります。
 私は、これは大変ゆゆしき事態だと思うんですね。今、高校生の約八三%が携帯電話を持っています。中学生の二〇%以上も携帯電話を持っているというふうに言われています。この携帯電話の加入増加率も、このごろちょっと落ち込んだかもしれませんけれども、年率一〇%ぐらいで伸びている。こういう国は恐らく世界じゅうにどこにもないのだと思うんですね。
 ある公的な調査機関ですけれども、その調査機関が、青少年がどのぐらい出会い系サイトと言われているところにアクセスしたか、その行動を調査してございます。驚くことに、中学生の女子の七%、全中学生ですよ、これが出会い系サイトにアクセスをしている。そして、その七%のうちの二〇%以上がそこで知り合ったというかメール上で知り合った男性と会っている、交際しているという実態があるんですね。これが高校生ですと、女子の二二%、女子高校生の二二%が出会い系サイトにアクセスをしている。そして、これはアンケート調査ですから詳しい数字が出てくるのですけれども、そのうちの四三%がそこで出会った、そこで知り合った男性と交際している、あるいは会っているという実態があるんです。
 大臣、出会い系サイトというのをのぞいてみたことがありますか、ちょっとお聞きしますけれども。
片山国務大臣 私はありません。話はよく聞きますが、私はありません。
荒井(聰)委員 私、こんなことを格式が高い当委員会の議事録に載せていいものかどうかちょっと迷ったのですけれども、でも、実態を知るということから問題の解決があると思いますので、ちょっとその実態を言いますよ。大変なことなんですよ。
 出会い系サイトにアクセスをしますと、会員になって、そしてその会員になった女子高校生や中学生が書き込みをするんですね。どんな書き込みをしているか、ちょっと言いますよ。これは恥ずかしくて僕も言えないのですけれども、氏名何とかかんとか、年齢十六歳、身長百五十、地域東京都、体型、スリムです、投稿日は何月何日、タイトル、選んでねと。本文、これは何と読むんですかね、生脱ぎパンティー一万円、クンニまで二万円、ゴムつきエッチ四万円。これは何を意味しているか。別のもの。タイトル、絶対ゴムつきで、本文、高校生とエッチしたい人いませんか、三万円から、絶対ゴムつきで。こういうのがずらっと並んでいるんですよ。
 これが、今の高校生の女子の二二%がここにアクセスし、そのうち四〇%以上の人がこういう、まあ全部がこういうのかどうかわからないけれども、こういうものの方が物すごく多いですよ。こんなものが放置されている、あるいは制約をかけられないというのは一体どういうことなのか。
 きょうは、警察庁の人にも来てもらっていますので、出会い系サイトにかかわる犯罪の検挙状況及びその特徴というのは一体どんな状況になっているのか、ちょっとお聞かせ願えますか。
堀内政府参考人 平成十四年上半期の出会い系サイトに関係した事件で警察庁に報告のあった事件は、七百九十三件であります。
 また、その特徴といたしましては、出会い系サイトに関係した事件の検挙数は、昨年同期と比較しますと約二・六倍増加していること、被害者六百九十二人のうち、女子の高校生が三百三十五人で四八・四%、女子の中学生が百七十三人で二五%でありまして、女子中高生合わせて七三・四%を占めること、また、児童買春事件は全体の約五〇%の四百件でありまして、昨年同期百三十三件の約三倍に増加していることなどが挙げられます。
荒井(聰)委員 きょうは、調べているうちに急遽、日本の、我が国の文教政策は一体どうなっているんだろうと。私は、文教政策の基本、特に初等教育の基本というのは、算数がよくできるとか国語がよくできるとかそんなことよりも、何をすれば反社会的な行為なのか、何をすれば自分の身やあるいは心を守るということにつながるのか、つながらないのか、そういうことを教えることだと思うんですね。
 私は、世の中の若年者の、青少年の実態がここまで進んでいるというか、大変な状況になっているというのは余り認識がなかったんですけれども、この出会い系サイトを調べて、こんな状況になっている、全高校女子の一〇%ぐらいがこういうものに何らかの形で経験があるという実態というのは、教育に大変大きな問題があると思うんですね。
 文部省の責任は一体どうなっているのか、このことに関してどう認識して、これからどう取り組もうとしているのか。それをぜひ責任ある方にお聞きしたいと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
徳重政府参考人 お答えいたします。
 出会い系サイトをめぐりますさまざまな問題がありますことにつきましては、大変重大な問題であるというふうに認識をしております。
 特に、学校教育におきましては、性教育を推進する中で、現実に生徒がさまざまな性情報に接する状況において、生徒みずから、性情報に惑わされて被害を受ける可能性があることを認識して、批判的な目を持って性情報に対処し、責任ある行動をとれる能力や態度を育てるとともに、自分自身をかけがえのない存在として大切にし、人間としての倫理観や規範意識を形成することが重要であるというふうに考えております。こういう観点から、教師用指導資料で性情報の問題も記述をし、各学校に配付しておりますとともに、教員の研修にも努めているところでございます。
 実態としましては、問題は必ずしも十分解決されている状況ではございませんけれども、さらに性に関する指導の充実が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
荒井(聰)委員 今、何か大変たくさんのことを回答していただいたんですけれども、実態は全然よくなっていないというか、悪化しているばかりで、しかもその原因というのが、子供の教育、あるいは、これは一種の売春ですよ、売春というのは買う方がいるから成立しているわけですけれども、その買う方の社会的な責任ということに対する責任のなさみたいなもの、そういうものが、横行する理由になっていると思うんですね。
 児童側の罪悪感のなさということが、このサイトが子供たちの中に拡大していく大きな原因になっているのではないかと思うんですね。こういう掲示板でわっとはんらんするように出ていると、隣の人もしているんだからという、そんな感じで広がっているんじゃないかというふうに思うんです。
 これは、まさしく教育の問題ですよ。教育でこういう実態をきちっと子供たちに教えないと、日本の子供たちは本当におかしくなってしまいますよ。文部省はもっと責任を感じて、性教育だけじゃないんでしょう、子供の心と体を守るというのはどういうことなのか、社会的な犯罪というのは何なのかという教育の根本をしっかり教え込むべきだというふうに僕は思います。
 この出会い系サイトにかかわる犯罪、子供たちが被害者になることが大変多いんですけれども、その急増に関して、警察庁はどのような法規制なり対策ということを今後考えているのか、いないのか。いないのならいないでもいいんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか、警察庁。
堀内政府参考人 お答えをいたします。
 関係省庁で構成される青少年育成会議におきましても、「「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を守るために当面講ずべき措置」についての申し合わせが行われたところであり、関係省庁と連携しつつ、出会い系サイトに係る児童買春事件等の取り締まりの強化や広報啓発等の対策を進めております。
 さらに、警察といたしましては、出会い系サイト対策については、少年の被害が深刻化している実態、昨年の風営適正化法改正時の国会での附帯決議もあることから、有識者の方々による研究会を設置して検討していただいており、また、プロバイダーやサイト運営者等インターネット関係業者の方等にも御参加いただいてシンポジウムを開催し、有識者、関係業者から幅広い意見を聞いているところであり、これらを踏まえ、法的規制を含めて検討を進めてまいりたいと存じております。
荒井(聰)委員 私は、こういう事態が私たちが考えている以上に青少年の中に進行しているということにかんがみて、ぜひ法的な規制あるいは技術的な研究というものをやるべきだというふうに思います。
 例えば、簡単なところからいくと、十八歳未満の携帯電話を持っている子供たちには、こういうサイトにアクセスできないような技術的なソフトが何かないのかどうかとか、あるいは、必ず親権者、親御さんにどこにアクセスしたかということがわかるような仕組みをつくっていくべきだと思います。
 また、ボランティア団体で幾つかの団体が、NGOの団体だと思いますけれども、どんなサイトがあって、それが反社会的なサイトでないかどうかというのをウオッチしているようなNGOもあるんですね。そういうNGOなどを使って、こういうサイトの規制、一番必要なのは、このサイトの責任者がだれなのかということをはっきりさせていく、そういうようなサイトしかサーバーに認めさせないというような規制のあり方があると思うんですけれども、このあたり、総務大臣、いかがでしょうか。
鍋倉政府参考人 先生が今おっしゃいましたように、例えば、コンテンツ中の特定の単語や表現を自動的に判断して、これが含まれるコンテンツへのアクセスを遮断するようなフィルタリングソフト、そういったことを導入することも技術的に考えられるわけでございますけれども、ただ、残念ながら、まだ携帯端末においてこの種のソフトウエアが実現していないというようなこと、それから、多様な出会い系サイトの中から何を有害なものと判断するのか、そこがなかなか難しい課題があるかな、技術的にはそういう問題がございます。
 ただ、一般的に申し上げますと、出会い系サイトについて法的に規制することにつきましては、規制の内容によっては、表現の自由という問題や通信の秘密といった憲法上の権利ともいろいろ絡んでくる問題がございます。
 そういうことで、いろいろな害があるわけでございますけれども、慎重に検討しなきゃいけないということも事実だろうと思いますけれども、なお、関係省庁と一緒になって検討してまいりたいというふうに思います。
荒井(聰)委員 今、聞きようによっては大変後ろ向きな意見のように思えたんですけれども、私は、実態はもっと深刻な状況だととらえないとだめだと思うんですね。警察庁も、法的な規制が必要ではないかという話がありましたし、文部省は、僕はもっと、性教育も含めて、子供の体を守っていくという積極的な姿勢が必要だと思うんです。あとは総務省が、この携帯電話という新しくできた技術と文化、これをどういうふうに適正に利用していくのかという観点で、もっと議論を進めていくべきだというふうに私は思っています。
 最後に、大臣、どうですか。
片山国務大臣 私も、話に聞いておりましたけれども、今、荒井委員から具体的な書き込みの例を聞きまして、少しびっくりしましたね。世の中は乱れているという感じを持ちました。やはり社会全体が、もっと倫理だとか道義だとか道徳だとかを見直す、こういうことも必要だと思いますし、教育にも頑張っていただかなきゃいけませんし、警察の問題もあるな、こう思いました。
 私どもの方では、やはり携帯電話、インターネットがこういうことに利用されるというのは、なかなかつらいですね。IT社会の影の部分でございますので、今後、技術的な問題、法制度の問題、運用の問題万般について、我々としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
荒井(聰)委員 最後に、こういう事態が発生するのは、確かに子供の教育という側面からの問題もあるんですけれども、やはりそれ以上に、性というものを商売の道具にする、あるいはそれを買う、買う側がたくさん存在しているということですね。私は、ぜひ警察庁に、これは売春行為だ、こういう行為をした者には社会的制裁が加えられるんだ、そういうことをしっかり、捜査上からも、厳密に、厳しく捜査をしてほしいというふうに思います。
 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。
林(幹)委員長代理 次に、武正公一君。
武正委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの武正公一でございます。
 今、荒井委員からさまざまな質疑がございましたが、今回のこのワン切り法でございます。法的規制をということでございますが、検討会の方の報告書も見せていただきました。一番最後に書いてあります「おわりに」というところなんですが、一カ月の限られた時間の中でこの検討書を書いたということで、今後の課題として、今、荒井委員からもお話がありましたが、総合的な検討が必要だということも言っております。
 ワン切りに限らず、多様なものが電気通信ネットワークへの脅威となる。今の出会い系サイトもそうでしょうし、とにかく、次から次に、迷惑メールもそうでしたけれども、迷惑メールの業者がこのワン切り業者になっているという指摘もあるわけですが、この法的規制を今回行うということに関しての副大臣としての御所見、伺えますでしょうか。
加藤副大臣 通信の利用に当たりましては、もう先生も百も御承知のとおりでありますが、通信の自由という、まさに基本的人権にかかわるテーマでありますので、原則として、ひとまず通信利用者の自由にゆだねるということが当然のことであります。規制については最小限度にとどめる必要があるというふうに考えております。
 このワン切りに関しましては、まさに、既に御議論があったとおりに、昼夜を問わず携帯電話が鳴ったりして平穏な生活が害されるとか、着信履歴にコールバックすると、今お話がありましたアダルト番組などの有料の音声サービスに接続されて、後日、多額な料金を請求されるといった利用者に迷惑を生じさせるという問題と、大量のワン切りが行われることによって、電気通信ネットワークのふくそうが発生いたしまして、これによる通信障害を引き起こすおそれがあります。電気通信の安全性、信頼性を確保する上で、放置できない大問題だと考えております。
 今回の改正は、まさに社会問題化しているワン切りに絞って、これに必要な規制を課そうとするものでありまして、通信の自由の観点からも、問題はないといいますか、やむを得ないというふうに考えております。
武正委員 私も副大臣の考えに賛成でございまして、このワン切り法、必要だというふうに考える者の一人でございます。
 通信の自由、通信の秘密とのかかわり、これは日本もサイバーテロ条約に署名もしておりますので、これから批准をしていく中で、この通信の秘密、通信の自由とのかかわりというのはまた考えていかなければならない、乗り越えなければならない大変重い課題があろうかと思っております。
 ただ、インターネットは自由というのは、インターネットにかかわる参加者の一つのルールでありまして、先ほどの出会い系サイトの問題と、大変これは、まだまだ混乱しているなということなんですね。この整理を早くやらないと、現場でまた次から次に新しい技術というか、提供者が出てくる。これは、本委員会に課せられた課題も大きいものというふうに理解をいたします。
 そういった意味で、きょうはワン切り法でございますが、e―Japan戦略、そろそろ二年になろうとしておりますが、総務大臣にはこの評価をお聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 e―Japan戦略をつくりましたのは去年の一月末ですね、アクションプランが三月でございまして、そういう意味からいうと、今、武正委員言われるように、ほぼ一年になろうとしています。私は、副本部長だから言うわけじゃないんですが、e―Japan戦略に従って、着実にいろいろな成果を上げてきているな、こう思っております。
 特に四つ、さらに五つといってもいいと思いますが、重立った課題で、最初に取り上げましたのが、高速・超高速インターネットの加入を促進するためにそのインフラを整備する、ネットワークを整備する、こういうことでございますが、この加入の可能数では、既に二〇〇五年の目標の数値を超えているんですね。超高速では一千万世帯、高速では三千万世帯といいますけれども、今、高速の方では、DSLで三千五百万世帯のキャパシティーがある、ケーブルテレビで二千三百万のキャパシティーがあるわけでございますし、それから超高速の方は、光ファイバーですけれども、一千五百万世帯のキャパシティーを持っているんですね。
 問題は、加入者がなかなか、これがもうひとつ、こういうことでございまして、高速道路ができたんですから、たくさん車に走ってもらうようにこれから考えないといかぬ。特に、コンテンツ、アプリケーションということがこれから大きな議論になるのではなかろうかというふうに思っております。
 携帯電話の方は、携帯電話のお話が今いろいろございましたけれども、七千二百万でございまして、世界で第三位ですね。中国、アメリカ、日本、こうなっておりまして、そのうちの七二%がインターネット接続、こういうことで、そういう面から見ると、私は、e―Japan戦略は成果を上げている。しかし、それだけじゃないいろいろな問題がありますから、万般にこれを進めていく、見直しをやろう、こういうことでございまして、来年早々ぐらいには改訂版をつくる、こういうことになると思います。
武正委員 可能数ですね、インターネット接続可能数ということで、実際の加入数はそれに伴っていないということでございます。
 このe―Japan戦略、そろそろ二年ということでございますが、やはりいろいろな指摘がございまして、電子政府関連の政府支出は、国、地方合わせて年間二兆、これが本当に有効に使われているんだろうか、与党内部からもこれについて疑義が上がり、さまざまな形でその支出の見直しを進めている。それによって、今年度から、情報システムに係る政府調達制度の見直し、入札制度の見直しが始まったといったところにもなってきているというふうに理解いたします。
 また、ユーザーの視点が欠けているんじゃないか、あるいは行革の視点というものがどこに行っちゃったんだ、人員の効率化はIT化の目的なんだけれども、本当に、公務員の数あるいは公務員の全体の数は変わっていないとすれば、その有効配置にどれだけ寄与したんだろう、こういったところが見えないといった指摘があるわけなんです。どちらかというと、政府内部の、省庁間のオンライン化、そしてまた地方政府、自治体とのオンライン化に熱心ではないか、こういった指摘もあるわけでございます。
 アクセンチュアがことしの四月に、第三回電子政府進捗度調査を行っております。日本は第十七位、前年と変わらない。昨年はスロー・スターター・グループだったんですが、十七位でありますけれども、エマージング・パフォーマー・グループということで、グループとしては上がっておりますが、順位は変わらない。第一位は昨年同様カナダでございます。
 この指摘で、日本のことを、受益者中心、市民中心という発想をやはり上位の国は持っているんだよ、こういった視点、あるいは行革のツールとしての視点、あくまでもユーザーサイドの視点がこの電子政府の進捗度の基準なのではないかということをアクセンチュアは言っているんです。この中で、電子政府としてリーダーになるか追随者になるか、ここの分かれ目は、あくまでもユーザーサイド、国民サイドに立った視点でなければならないという指摘があるわけなんですが、これについてはどのようにお考えですか。
片山国務大臣 今アクセンチュアは恐らく、武正委員が言われたようなあれで、税だとか自動車の登録ですか、それからパスポート、こういうものの視点で電子政府をつかまえておりまして、利用者というかユーザーの観点を注視しているというような点は、確かにそうだと思います。
 日本の方は、この十四年度と来年、十五年度で行政手続は全部オンライン化しよう、こう思っておりまして、これは国民の皆さんと役所の関係ですね、国、地方自治体との関係。今度は国と地方自治体の関係。それから国の中の関係。地方自治体相互の関係。そういうことで、日本の電子政府、電子自治体は、総合的に全部をやろう、こういうことでございまして、私は、今、行政手続オンライン化法が参議院で御審議いただいておりますけれども、これを通していただければ、本年度のこれからと来年度とかけて、国民と行政との関係の手続はほぼオンライン化できる、行政間の方は少し残ると思いますけれども。ぜひ、これを進めてまいりたい。
 そうしますと、アクセンチュアの順位も上がってきます、今のパスポートや自動車の登録の関係も今、行政手続オンライン化法の中では対象にしておりますから。税の関係は幾らかおくれると思います、電子申告、電子納税の方は。そういうことでございますけれども、そういう意味では相当評価が変わってくるんではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
 我々としては、国民の皆さんには、そういうことのオンライン化、それから行政ポータルの利用のしやすさということで、電子政府総合窓口を去年の四月に開設いたしておりますが、この辺についても、さらにその質、量の充実を図りまして、国民の皆さんに利用しやすいものにいたしたい、こういうふうに思っております。
武正委員 住基ネットがこの八月五日から稼働したわけでございますが、横浜市の八十万人以上の方がいわゆる選択制を希望したり、あるいは複数の自治体がその接続を拒否したりという中で見切り発車的にスタートしておりまして、野党四党は凍結法案を出しているといった過程でございます。
 オンライン化三法案についても、この住基ネットとの接続をなぜ前提としなければならないのか、これからまた法案審議の中でという話もありますし、果たしてこれは法案審議に入っていいんだろうかということも、実際多くの方々から意見が寄せられている大変問題の多い法案というふうに認識をいたすわけでございます。その理由というのは、アクセンチュアがいみじくも指摘しているように、ユーザーサイド、市民サイド、国民の視点に立った電子政府化ではなくて、日本はあくまでも政府サイド、自治体サイド、サプライヤー、供給者側の視点に立ち過ぎているんではないか、だから順位が十七位であって、オンライン化三法案が通ったから来年順位が上がるとは到底思えないのでございます。
 そんな中、会計検査院さんが、今、IT化について、国、地方合わせて年間二兆円支出がございますが、むだが多いんじゃないかなというようなことも含めて検査を行っているようでございます。既に新聞では六億円のむだありというような記事も見受けられておるんですけれども、会計検査院さんとしてどのような検査を行っているか、御紹介いただけますでしょうか。
円谷会計検査院当局者 本年度の検査報告につきましては、ただいま取りまとめ中でございます。間もなく御報告できるかと思いますので、いましばらくお待ちをいただきたいと思います。
 IT関連施策につきましては、IT基本法の成立あるいはe―Japan戦略の決定等を受けまして、近年、予算が大変急増いたしておりますので、本院といたしましても、重要な検査対象の一つと認識をしているところであります。
 IT国家を目指すという国の政策そのものの重要性につきましては本院も十分認識をいたしておりますが、予算が急増いたしますと、ともすれば補助要綱等の整備が追いつかない、ハードは整備いたしましてもソフトが追いつかない、あるいはハードを使いこなす技術者や指導者等の養成が追いつかない、システムが住民のニーズを十分反映していない、あるいは各省庁間の連携、調整等が不十分なためむだが生じている、こういった事態が起きやすいということを考えております。ハードそのものは非常に高価なものでありますが、反面、技術は日進月歩ということで旧式化するおそれも非常に多いということで、その効果の発現には特に留意をしていただきたいということで、本院といたしましては、幾つかの検査の観点の中で、経済性、効率性、有効性の観点を中心にいたしまして、幅広い観点から検査を実施しているというところであります。
 また、昨年度の検査報告におきましても、公立小中学校等のコンピューター教室等の効率的な利活用につきまして改善をする要があるという指摘を初めといたしまして、幾つか御指摘を申し上げている、本年度もそういったものが幾つか含まれると思います。
 以上であります。
武正委員 この二兆円のIT予算についてむだが多いんではないかという指摘が出ている中で、今年度、e―Japan戦略も、ある面、IT化につきましてもう一度見直そうといった背景には、IT予算の効率的な使い方がされていないんじゃないかということが与党からも出てきたといったことがあるのかなというふうに思います。会計検査院さんには、これからその検査結果の公表があろうかと思いますが、ぜひ引き続きお取り組みを強く求めておきます。
 さて、ITの入札の件でございますが、よく言われますのが一円入札、一円で落札をしていくケースがよく指摘されました。
 ちょっと例を挙げますと、国税庁、二〇〇〇年七月十日、電子納税申告実験システムの開発、NTTデータが、これは一円ではないんですが、一万円で落札。二〇〇一年六月二十八日、電子申告・電子納税システムの設計はNTTデータが九億八千万円で落札。これが一万円で落札した延長線上にある九億八千万円。そしてまた、運輸省、二〇〇〇年二月二十四日、省庁間電子文書交換システム、リコーが一万一千四百円、月額借入金額で落札。同じ二〇〇〇年の十二月二十六日には総合的文書管理システムの拡張、これは随契ですね、リコーが随契で四億八千五百六万円で落札ということが指摘をされているところでございます。つまり、安い価格で最初入札をして、その延長線上のさまざまなシステム設計について、随契も含めて巨額なお金がその後契約される、こういった指摘でございます。
 あわせて、先ほど大臣から税の話がありましたが、KSKシステム、これはいわゆる六社体制、窓口役の出入り業者が文祥堂さん、これが年間六百億円。まあ昨年やっと稼働が始まったということでございますが、これも、KSKシステムは、最初の三年間は競争入札の合計百六十億円、四年目以降の随契総額二千九百七十八億円ということでございます。このように、最初は安く落札をして、その後随契もしくは巨額な契約をする、これが結局はIT予算のむだにつながっているんではないか。
 そこで、入札制度の見直しということが言われているわけでございますが、こうした入札制度につきまして、総務大臣、どのようにお考えになり、またそれをどのように見直されようとしているのか、お答えいただけますか。
片山国務大臣 先ほど武正委員、住基ネットに触れまして、横浜市は選択制だと言われましたが、選択じゃありません。選択は一切認めておりません。市長が来られて、段階的にやりたいのでわかってほしいと。段階的も、法律上想定していないけれども、事務的にどういう対応ができるか検討しましょう、こういうふうにお答えして、今の二百何十万の方をまず持ってこられて、これも接続するのに相当時間がかかるんです、その後も引き続いて、全員参加でぜひお願いします、こういうことでございますので、一部必ずしも正確でない報道が一、二散見されましたけれども、ぜひそういうふうに御理解賜りたいと思います。見切り発車じゃありませんよ、一億二千七百万のうちの九九%や九八%はみんなやっているんですから。だから、残りの三団体についても今理解を求めているところでございまして、それはぜひ御理解を賜りたいと思います。
 そこで、今の政府調達の問題ですけれども、委員御指摘のように、最初が安値でそのうち高くする、公正さにやや欠けるんではないか、あるいはいろいろなことでもう少ししっかり対応すべきではないかというような指摘があることは、私たちも承知いたしております。
 このような御指摘に対応するために、昨年末から、各府省の情報システム担当、会計担当の課長クラスから成る情報システムに係る政府調達府省連絡会議において、対応策の検討を進めております。本年三月、同会議におきまして、複数年にまたがる入札案件についての将来の運用コストまでを含めた評価を実施する、原則として複数年契約を活用するということが一つと、著しい安値入札があった場合の適切なシステム構築の可能性の調査を徹底する、重大な問題が認められる場合には、入札業者を以降の競争参加から排除する、こういう対応策を各府省において講じていくことにしたところでございます。こういう対応を通じて適正な価格で質の高いシステムを調達できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
武正委員 横浜市の例は、行政機関の個人情報保護法が制定されれば参加というようなことも言われておりますが、そのほかにも六つの条件を加えております。これは、さまざまなそうした観点から担保されれば接続、通知をするといったことだと思っておりますので、私は、まだまだその条件をクリアするに今の住基ネットは至っていないなというふうに考えます。
 さて、経済産業省からお見えいただいております。桜田政務官、お待たせいたしました。お答えいただけましたらお引き取りいただいて結構でございますが、今の入札制度の見直しについて、既にプロジェクトマネジメント研究会ということで報告を出されておりまして、これについて御紹介いただけますでしょうか。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 プロジェクトマネジメント研究会につきましては、東京工業大学の大山永昭教授を座長にお願いいたしまして、ソフトウエア関係企業の専門家をメンバーに、昨年来、経済産業省において開催して、本年三月に報告書を公表させていただいたところでございます。この報告書におきましては、政府のIT調達を効率化するとの観点から、主に運用上の問題点とその解決策を明らかにしておるところでございます。
 具体的には、政府のIT調達においては、発注者がその調達プロジェクトの内容と意図を伝えるためのリクエスト・フォー・プロポーザルがあいまいである、そのため受注者の作業範囲が不明確になりまして、機能が確保できないおそれがある。さらに、下請を含む受注者の作業計画及び進捗に関する監査がなされていないために、成果物の品質を確保できず、また納期おくれが頻発をしているということでございます。
 また、発注者である各省庁のIT調達、運用を一元的に監視する窓口がないために重複投資が行われ、成功及び失敗事例が蓄積されていないところであります。このような問題点が挙げられているところでございます。
 これに対する解決策といたしましては、リクエスト・フォー・プロポーザル作成に当たっての専門人材の活用、そして、受注者が行う作業について、より詳細な作業計画の策定と作業状況の定量的な進捗を確認する、また、各省庁の情報化戦略及び調達マネジメントに関する責任と権限を有するチーフ・インフォメーション・オフィサーの設置などを提言しているところでございます。
 現在、こうした報告書の内容を踏まえまして、経済産業省におきましては、具体的な調達プロジェクトにおいて、プロジェクトマネジメント手法の活用により、その効果の実証を進めているところであります。
 先般、十一月一日には、内閣官房副長官補を議長といたしまして、各省の事務次官、官房長など情報化の責任者を構成員とする各府省情報化統括責任者連絡会議が設置され、各省庁のみならず政府全体として情報化の推進を図る体制を確立するなど、政府が一丸となって効率的かつ信頼性の高い行政の情報化に取り組んでいるところでございます。
武正委員 私は、今のプロジェクトマネジメント研究会の指摘、まさに正鵠を得ているなと思います。発注者の側、発注する担当者に、やはり発注に関する専門知識とか能力についてもっともっときちっとしたものがないと、結局は受注者の側が混乱をしている、あるいはまた、重複投資があるんではないかといった指摘、また別な指摘では、中小企業の参入が困難といったことも指摘されているんですよね。これについては総務大臣に御所見、御感想をお伺いしたいんです。
 あわせて、次の質問も同時に行わせていただきたいんですが、二年前、当時逓信委員会ですけれども、私、逓信委員会で、IT関係ですね、大手さんが受注してしまうと、そこに一次、二次、三次、四次と下請がずっと連なる。そうしますと、一番下請の作業者が大変安い労賃で大変厳しい労働環境にある。結局は使い捨てのような状態で、人材が育たないんじゃないかということも指摘をしたんです。
 やはり入札制度で中小企業の参入が困難というプロジェクト研究会の御指摘もあり、そしてまた、政府調達制度の見直しでは、競争入札、そしてJV等、また中小企業者からの調達促進といったことで、やはり幅広く企業が参入できるような仕組みをつくらないと、結局人材も育たないというふうに思うんですが、プロジェクト研究会の御指摘とあわせて御所見をお伺いします。
 どうぞ副大臣、お引き取りいただいて結構です。
片山国務大臣 今、各省庁、いっぱい研究会や調査会をつくっていまして、いろいろなことをいろいろな研究会が言っているんですよ。ただ、いいものは大いに参考にすればいいんで、その今の何とかという研究会、この御指摘もこれから十分な参考にさせていただきたい、私はこういうふうに思っております。
 それから、その後の方の質問、中小企業やジョイントベンチャーを使え、これはそのとおりですね。だから、この辺は競争資格については柔軟に対応する、ジョイントベンチャーもそういうことで考えていく、そういうことの中で人材を育ててもらうということを大いに考えたいと思っております。
 それから、今の政務官の後半の部分もあのとおりで、責任者を決めまして、政府の中に情報化統括責任者、CIOというのを決めまして、この会議をやりましてそこの徹底を図っておりますから、今後は直っていくと思います。今までもふなれなところや少し受注者側がうまくいったり、いろいろなことがあったと思いますよ。しかし、やはり試行錯誤は試行錯誤として、国民の目から見て納得できるようなそういう仕組み、体制をしっかり整えていきたいと思います。
武正委員 総務大臣から、あくまでも国民の視点ということが出ておりますので、この電子政府、電子自治体化はあくまでもユーザーサイド、国民サイドでいかなければ、先ほどの住基ネットもそうなんですけれども、IT化に対する不安が国民にあったら電子政府、電子自治体もうまくいきませんし、IT化をこれから経済活性化に役立てようという見直しだってうまくいかない。あくまでもコンシューマーサイドということでお願いをしたいと思います。
 総務省の電波有効利用政策研究会の最終報告が出たので、これをお聞きしたかったんですが、ちょっと時間の関係で、これは私の方から御紹介させていただきます。
 この中では、やはり電波の再配置について、十年の見直しをこれは三年程度に縮められないかというような指摘、そのときには、新規参入者から過分な負担を求めようよというようなこと、あるいはまた、これから技術の進歩によって情報家電等あるいは無線LAN等出てくるんですが、ここにはさらに通常の電波利用料以上の負担を求める。これは私は、またIT化技術の進歩にとって逆に阻む材料になっちゃうんじゃないかなというふうに思うんですが、こういった報告を含めまして、この電波利用料については、過日、いわゆるアナ・アナ変換の費用負担も考えて、放送局の電波利用料を五十億から七十五億円ぐらいに引き上げなければならないなという総務省サイドの記事が出ました。
 今、NHKさん二億、民放三億弱、合計約五億弱ということなんですけれども、これを十倍から十五倍にということが新聞にぼんと出ました。そうしましたら、きのうの夕刊に、総務省案、与党サイドが了承というのがぼんと出まして、三十五億ということで、ああ、五十億、七十五億が三十五億に減額されたんだなと。ここでどんなやりとりがあったんだということをちょっとお聞きしたいと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 電波利用料につきましては、これもうちの研究会でございますけれども、今十年オーダーで見ているものを三年ぐらいで、これは私はその方が正しいと思いますので、この研究会の報告を受けて十分な検討をいたしたい、こう思っております。
 それから、こういうことなんですよ、今電波利用料は武正委員御承知のように五百億ですよ。それで、今の放送事業者が納めているのは五億なんです。五億弱なんですよ。一%なんです。幾ら何でもバランスを欠くではないかというところがございまして、内々に放送事業者の皆さんにも御検討賜っておりまして、そういう過程でいろいろな案が出たわけでございますが、これからオープンな手続で意見を聞いてしっかりと決めていきたいと思います。
 新聞が報道しているのは確定じゃございません。いろいろな案の一つとして、有力な案として、それが表に出ている、こういうことでございますので、関係者の合意を得ながら十分な結論を得ていきたいと思っております。
武正委員 時間が参りましたが、最後、要は、放送事業者にすれば、当初五十億、七十五億と言われたのが何とか三十五億なのかな。ある面、政府によって額もかげんされる。これはやはり放送の独立性にとっても私は問題があろうかというふうに思うのですね。ですから、要は、電波利用料、電波のいわゆる配分というような形が、技術的には新しい技術の進歩によって、免許制はもう要らないんじゃないかというような指摘もあるんですね。この技術の進歩、これはFCCもこの間そういった勧告を出しております。
 ですから、私は、総務省さんが、電波利用料このぐらいというような、言ってしまえばさじかげんというか、こういうように言うと、大臣怒るんですが、それが働く余地はやはりあっちゃいけないと思うんです。第三者の中立的な判断で電波利用料が決められる。今までのような免許制ではなくて、電波はならしますと九割使っていないんですから、これをもっと有効に使う、最終報告書よりもっと余地があると思うのですが、最後、電波利用料を決めるについて、適正、中立、公平な評価、判断を持ってやるべし、これから通常国会に向けての御決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。
片山国務大臣 電波利用料は法律で決まるんですよ。国会で決めていただくんです。だから、その前の過程で、国会に出させていただく前に、今言いましたように、公平でオープンな議論を通じて、国民の皆さんの前に透明にしまして、そこで議論したものを国会に出させていただいて、国会の皆様に決めていただこう、電波利用料につきましては、あるいは電波につきましては、委員の言われたことも念頭に置きながら今後十分検討してまいります。
武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
林(幹)委員長代理 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良です。
 いわゆるワン切りが社会問題化し始めましたのは、昨年の十一月ごろからだったと思います。私も総務副大臣に在任しておりましたときに、この問題に対する対策を検討してほしいということをお願いしたことを記憶しているんですけれども、今回こうした形で法案が提出されたことは、大きな前進があったと思います。
 それで、改めて確認をしたいんですけれども、いわゆるワン切りをこの法律ではどのように定義したのか、立法の趣旨、それから実際の今の被害の実態についてどのように認識をしているのか、そこからお聞きしたいと思います。
鍋倉政府参考人 ワン切りの今度の法案の、要するに処罰規定が適用される定義でございますけれども、一つは営利事業者が、ワン切りをする目的を有して、ワン切り機能を有する装置を用いて、実際に符号を送信すること、この四つの要件が必要とされております。
 このワン切り法案を提出させていただきました背景でございますが、今、先生が御指摘のように、昨年の十一月ごろから社会問題化したものでございます。この迷惑といいますのは、一つは昼夜を問わずに着信音が鳴るということで、生活が邪魔をされるということがございますし、それから着信履歴にコールバックすると、先ほどから議論になっております出会い系ですとかアダルト番組などの有料の音声サービスに接続される、後日高額な料金を請求されるという被害が相当多く総務省にも寄せられておりました。
 本年七月に、これも先生御承知のとおり、二度にわたりまして、大阪圏内でワン切りを原因としまして電話のネットワークがふくそうしました。最終的には約五百万の電話の回線が四時間以上つながりにくくなったという事態が発生したわけでございます。
 これらを契機としまして、ネットワークの安全性等を確保するために、ワン切りに早急に対応すべきという各方面の御意見も出されましたし、私どもも検討いたしまして、この法案を提出させていただいたというものでございます。
遠藤(和)委員 いわゆるデパートなんかが自分の顧客の名簿の電話番号が生きているかどうかを確認する、そのために連続して電話をかける、こういうものはワン切り法案の対象にはならない、このように理解してよろしゅうございますか。
鍋倉政府参考人 それは対象になりません。
遠藤(和)委員 それから、ワン切りの実態、今いろいろなお話があったわけですけれども、既に有罪が確定した判例があると思いますけれども、これはどのように承知していますか。
鍋倉政府参考人 先生御指摘の判決は、ことしの十月十八日の東京地裁のものだと思います。
 詳細は私ども、承知しておりませんが、報道等で把握をした内容でございますけれども、それは、被告人三人がことしの二月から三月にかけまして、不特定多数の携帯電話端末にワン切りを行って、被告の自宅に設置した電話回線と録音再生機を接続して、折り返し電話をかけてきた相手にわいせつな音声を聞かせて、その聞いた人たちに対して一分について百円の料金を請求する等の行為を行った、そうすることによりまして約三千万円の利益を得たということでございます。
 判決は、この行為がわいせつ物陳列罪、刑法第百七十五条でございますが、これに該当するということで、被告人のうち二人は懲役一年、執行猶予三年でございますが、もう一人が懲役十カ月、執行猶予三年が言い渡されたというものでございます。
 なお、私ども、この事例のほかにワン切り業者に対する判決が出されたということは承知をいたしておりません。
遠藤(和)委員 この法律は、要するにワン切り行為そのものを直罰する形になっていますから、それが悪用されたかどうかということは、今度は法律の適用とは関係なくなる。要するに、ワン切りをしたこと自体を処罰するという法律になっているわけですから、今の判例は法律がないときの、違う法律によって刑を確定しているわけですけれども、この法律をつくることによってやはりワン切り行為を根絶できる、このように考えているんでしょうか。
鍋倉政府参考人 先生おっしゃいますように、この判決はワン切り法とは関係なく刑法での処罰ということでございますが、今回提出させていただきました法律では、いわゆるワン切り行為そのもの、やったことを処罰するということでございますので、私ども、根っこからワン切りを絶つことができるのではないかと思っております。
 それ以外に、先ほど副大臣からの御答弁もありましたけれども、さまざまな、それ以外の、例えば、受信のブロックですとか、あるいはNTT東西の約款によりましてワン切り業者に対する契約の解除ですとか使用の中止、そういった約款の改正も行われておりますし、こういったものを合わせて根絶できるのではないかなというふうに考えております。
遠藤(和)委員 いわゆるワン切り行為そのものを直罰するという法律は、世界的に見ても、今回、日本でつくる法律が最初の法律だと聞いていますが、外国ではこういう事例に対してどういう法律で対処をしているんでしょうか。
鍋倉政府参考人 諸外国では、先生今おっしゃいましたように、ワン切りを対象にした法規制が行われている例は見当たりません。
 これは、諸外国に比べまして私ども日本が携帯が普及しておりますし、着信履歴に対して折り返し電話してしまうような国民性があるのか、そういったものを悪用して、ワン切り行為が社会的な問題になっているというのは日本だけというふうに認識をいたしております。
 ただ、似たような例としまして、諸外国では、自動ダイヤル装置を用いて、機械の音声、自動音声を聞かせるテレマーケティングに対する規制というのが行われているというふうに承知をいたしております。
遠藤(和)委員 日本人は案外無防備なんですね。ですから、全く知らない人から電話があっても、着信履歴が残っていれば、自分に用事のある人ではないのかなと思って電話をする、こういうふうな習慣がある。それに対する悪用、それを逆手にとった商売をしている、こういう話だと思うんですね。
 しかも、ワン切りですから通信料金を払わなくていいわけでしょう。そういうところで、大量に同時に着信履歴を残させて、恐らくそれに対して日本人なら返事があるだろうということを悪用している。これは本当に、そうした商売が横行するというのは残念なことだ、このように思うのですね。
 一方、外国の場合は、自動ダイヤルでいろいろな録音した情報を自動的に流すということを取り締まることができるようにしている、こういうことのようですけれども、日本では、ワン切りではなくて、迷惑メールじゃありませんけれども、迷惑電話というのでしょうか、一方的に情報を流して聞かせるというふうなものは今はないんでしょうか。自動ダイヤルそのものを禁止する法律の必要性は今のところ感じていらっしゃらない、このように認識しているんですか。
鍋倉政府参考人 御指摘のような、外国で社会問題化しました自動ダイヤル装置を用いて、自動音声、機械音声なんですが、これでテレマーケティングをするというようなことが、日本では例がなくはございませんけれども、普及をして、それによって迷惑をかけ、迷惑メールですとかあるいは今回のワン切りといった社会問題になるほどの苦情等は、まだないのではないかなというふうに考えております。
遠藤(和)委員 最後に片山大臣に確認したいのですけれども、電気通信のメディアが本当に、日進月歩じゃなくて秒進分歩ですか、あるいはドッグイヤーだとかあるいはマウスイヤーだとかいうふうに急速に利便性が向上する、これは消費者にとっては大変ありがたいことなんですけれども、一方で、それを悪用して金もうけの手段にする、こういうことが起こってくるわけですね。その都度法律をつくらなければならない。
 さきに迷惑メールの防止の法律をつくりまして、今回はまたこのワン切りに対する規制をする法律をつくる。これは何か、イタチごっこと言ったら悪いのですけれども、残念なことなんですけれども、こうした日本の風潮についてどのように認識をされているのか。法律をつくるということも大事なんですけれども、もっと大事なものを、ただ日本の精神風土といいますか、商習慣と申しますか、そういうものがちょっとおかしくなっているんじゃないかなという認識を私は持っているんですけれども、そうした御見解はどのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 遠藤委員の言われるとおり、本当に一つやればまた次が出てくる。いろいろな知恵がある人がおるんですね、世の中には。いい方にその知恵を使えばいいんですが、どうも悪い方に使っているような向きがありまして、今遠藤委員が言われましたように、私も、昔の日本人がすべてよかったわけじゃないんですが、どうも日本人が大分、戦後五十何年で変わってきたな、こういうふうに思っております。
 やはり国を愛したり、地域社会を愛したり、公共ということをとうとんだり、お互い助け合ったり、そういうことが割合に少なくなってきた。自分だけよければいい、自分の周りさえよければいいという、ミーイズムというんでしょうか、そういうことがかなりはびこってきた。
 昔は公が優先し過ぎて滅私奉公でございましたけれども、今は滅公奉私で、何かそういうふうに変わってきたな、こう思いますので、日本人の構造改革というんでしょうか、意識改革、こういうことを二十一世紀はしていく必要があるんじゃなかろうか。それはやはり政治の責任でもあり、あるいは教育やマスメディア、みんなの責任だと私は思いますけれども、そういう感じを強く持っております。
 ただ、このメディアの方は、多様な電気通信メディアが発展、普及して、その結果いろいろな問題が起これば、それには政治としては迅速的確に対応せざるを得ないわけでございます。迷惑メールに次いでこのワン切りにつきましてもこういう法案をお願いいたしておりますけれども、今後、今遠藤委員の言われましたようなことをしっかり受けとめて頑張ってまいりたいと思っております。
遠藤(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
林(幹)委員長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問していきたいと思います。
 まずもって、小泉総理を本部長といたしますIT戦略本部でありますが、e―Japan戦略の抜本的な見直しに着手するようであります。ITがハード面、設備面でかなり普及しても、企業の生産性の向上に必ずしもつながっていない反省を踏まえまして、戦略の軸足を情報技術基盤整備からITの利用拡大に移すとのことであります。そのため、政府は去る十一月七日、IT戦略本部会議を開きまして、IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会の設置を決め、具体的な検討に入ることになりました。
 ちょうど二年前の十一月、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法の衆議院の本会議での採決の際、反対討論ということで、私は政府案には幾つか重要な問題があることを指摘いたしました。そのうちの第一点は、IT戦略を進める中で、我が国が世界に大きくおくれをとっている現状をどう改革するのかの目的意識が不足しているということであります。第二点は、国と地方の役割分担、官と民との役割分担につきまして明確な戦略がないことであり、規制改革が不徹底なままでは光ファイバーなどのITの公共投資ばかりがいたずらにふえる懸念があることも指摘いたしました。基本法でありながら三年後の見直し規定を入れたのはその法案に対する自信のなさでありまして、三年どころか施行後二年もたたないのにこのように大幅見直しをせざるを得ない現状は、まさに私の指摘した以前の話であります。
 そこで、このe―Japan戦略五カ年計画にかわる新たなIT戦略目標を来年の五月、六月までにつくる方針ということを先ほど大臣述べられたみたいでありますけれども、この今回の見直しは、インフラ整備重点からソフト面の利用度拡大にシフトするということだと思っております。この程度の推移は二年前から十分読めたことではないかと思っておりますけれども、当時私が指摘いたしましたように、戦略策定上の目的意識、これがしっかりしていなかった、これだと思っておりますが、IT戦略副本部長の総務大臣でありますので、その見解を最初にお伺いいたしたいと思います。
片山国務大臣 先ほどの御質問にもお答え申し上げましたが、e―Japan戦略につきましては、私は、順調に成果を上げてきている。二〇〇五年までに世界最先端のIT国家にする、こういうことで、インフラの整備やEコマースやEガバメントやあるいはEラーニングやいろいろなことをやってきておりますが、私は、それなりに大きな成果を上げてきた。
 今委員、大きくおくれていると言いましたけれども、大きくおくれているとは我々は思っておりませんし、特に携帯電話、モバイルや情報家電では世界のトップです。だから、今後ともブロードバンド化について強力に推進してまいりたい。
 計画は変えない方がいいわけじゃないんですよ、変えた方がいいんです、今は、こういうのは。だから、私は、固定的な計画をつくってそれを死に物狂いで守るよりも、状況の変化に応じて柔軟に直していくという方がずっといい、こういうふうに思いますし、e―Japan戦略につきましては、委員も言われましたけれども、とにかくハードの整備よりもソフトをこれから重視していったらどうか。先ほども言いましたコンテンツ、アプリケーションですね。だから、そういう視点を入れていく。それから、やはり景気がこういう状況ですから、産業再生や国際競争力強化の視点も入れていく。それから、日本の一番強いものを伸ばしていく、それで世界を引っ張っていく。
 これは先ほども言いましたが、ユビキタス時代になる、そうなると情報家電がパソコンになるわけですから、そういうことを進める。それから、今の携帯電話も、今第三世代ですけれども、いずれにせよ第四世代にしていく。そういうことを我が国が先頭に立って世界の中でいろいろ推進していく、こういうことでございますし、さらに、デジタルデバイドをなくすという観点では、障害者の方や高齢者の方が利用できるような仕組みを本気で考えていく。これはシステムもありますし機器の開発もありますけれども、こういうこと。あるいはセキュリティー、プライバシー保護の問題、こういうことについて、そういう視点を十分含んだ見直しをやるべきではなかろうか、これがIT戦略本部で皆さんの御意見ですから、我々も全くそれは同感でございまして、ぜひそういう意味で、急激な状況変化に対応する新たなIT戦略、日本型の新IT社会国家を建設する、こういうことで検討してまいりたい。日本発の新IT社会の構築を目指す、こういうことを今言っているわけでございます。
黄川田委員 先ほど武正委員からもお話がありましたけれども、どうしても国民にはその実態が見えてこないといいますか、政府は、国民の目線といいますか、その中でどんなメリットがあるのかということをやはり基本的に、具体的に示すべきだと思っております、行政同士の電子政府ではありませんので。
 私の理解しておるところによれば、二〇〇五年までにIT国家世界最先端というのは大変難しいことではないかと思っております。例えば、国連公共経済行政局とアメリカ行政学会により、加盟百九十カ国を対象といたしました電子政府に関する報告書がことし五月に発表されております。これによりますと、日本の電子政府化の達成度は世界の第二十六位ということでありまして、これであと三年で世界に冠たるIT国家を目指すのはこれまた困難じゃないかと思っております。
 そしてまた、政府は、IT技術の進歩あるいはIT関連産業の振興によって本当にこの大変な景気を下支えし、景気回復の足がかりにするとずっと表明してきております。しかしながら、アメリカのIT不況の影響もこれはあるのでしょうけれども、e―Japan戦略とは逆に、我が国のIT関連産業が景気の足をややもすれば引いておるのではないかと言われるような実態であります。
 そしてまた、全国の約三千三百の地方自治体間を接続する総合行政ネットワーク、LGWANといいますか、これはことし三月までに全都道府県と政令指定都市を接続いたしました。平成十五年度末までに全市町村の接続を目指すとしておるところでありますけれども、初期負担が重いということで大変だなと思っている自治体が多いと聞いております。
 そこで、国を挙げてIT改革を叫んでいるにもかかわらず、逆に世界の水準に依然としておくれをとっておりますけれども、今後電子政府の実現に向けてどう取り組んでいくのか、基本的なところをお伺いいたします。
 そしてまた、後段でありますけれども、地方公共団体の電子化を促進すべく、この総合行政ネットワークなどの整備は今のところ県レベルまででありまして、市町村のおくれが目立つところでありますけれども、その理由もあわせてお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 LGWANの方は事務方の方から答えさせていただきますが、電子政府の取り組みでございますけれども、これはe―Japan戦略の最大の課題の一つですね、電子政府、電子自治体の実現。
 そして、これは何度も言いますように、十四年度と十五年度で行政手続のすべてをオンライン化したい。もちろん紙でやりたい人は紙でやれるんですよ。オンライン化を希望する、電子手法でやりたい人には電子手法でやれるような道を開く、こういうことでございまして、それで、我々が一番考えているのは、国民の皆さんが、地方自治体や国に、中央政府に対する手続をまず優先する。これはほぼ一〇〇%この二カ年でやろう、こう思っておりまして、そのためにもオンライン化三法を今御審議をお願いしているわけでありますが、申請、届け出については、そういう行政手続については、二カ年ですべてオンライン化する、国民ですよ。それから行政機関相互、国と地方、あるいは国相互の行政機関についてもできるだけやろうと。それで、こっちの方は恐らく七割五分か八割ぐらいに私は二カ年度ではなるんじゃないかと思いますけれども、いずれにせよ、行政機関の方も全部オンライン化していく、こういうことでございます。
 まず、申請、届け出の話を今申し上げましたが、その次は電子調達ですよ。調達もせんだってから私どもの総務省が中央の役所の中では先頭切って始めました。来年中には全部の省庁が電子調達を始める、電子入札は直轄事業等については国土交通省が始めておりますけれども、これも早急に国、地方挙げて電子入札に移行していこう、こういう計画でございまして、その後が今納税の関係で、電子申告、電子納税、そして一部は今電子投票も選挙の方では始まりまして、来年の統一地方選挙でも何カ所かは電子投票をやっていただけると思っておりますが、同時に、インターネット等を利用した選挙運動をどこまで認めるかについて、今いろいろな検討をいたしているわけでありまして、全般としては計画的に電子政府、電子自治体を推進してまいろう、こう考えております。
大野政府参考人 総合行政ネットワークのお話がございましたけれども、御指摘のように、都道府県そして政令市につきましては、昨年の十月に接続がされまして、運用しておりますが、この四月に霞が関WAN、これは各省のLANをワイドエリアでネットで結んだものでございますけれども、この霞が関WANと、御指摘の総合行政ネットワーク、LGWANとが四月からつながれております。
 そこで、本来の目的はLGWANは行政相互の情報交換あるいは文書交換ということから構想されたわけでございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、ことし、来年度中に電子的な申請、届け出、これをほぼ一〇〇%オンラインでできるようにしようと。こうなりますと、霞が関WANとLGWANの間にさまざまな申請文書なり届け出文書が流れていくということにもなるわけでございまして、私どもは、そういう意味では、来年度中にぜひ市町村まで含めて接続をしていただきたいということで、いろいろお願いをしておりまして、予算措置につきましても特交で接続機器については対応するということでございますが、できますならば、これはやはり接続を平準化してやっていただきませんとシステムのチェックができないものですから、今から接続に向けて強力にお願いをしているところでございます。
黄川田委員 御案内のとおり、自治体の財政、厳しいわけでありまして、あらゆるものを交付税で面倒見るというような話もありますけれども、大変な状況であります。
 そしてまた、市町村にとってはこの接続のメリットが限られているんじゃないかというふうに思っておるところもありますので、今後、いろいろな検討をしていただきたいと思っております。
 それでは、次に、既に整備された基盤の利用状況についてお尋ねしたいと思っております。
 e―Japan重点計画二〇〇二によりますと、国土交通省やあるいは農林水産省など国が保有する幹線光ファイバー等を民間に開放しまして、ネットワークインフラの形成推進を図ることとしております。
 また、学校でのIT教育体制をどの程度強化できたかを見てみますと、小中高等学校のインターネット接続率はほぼ一〇〇%に達しておりますけれども、教室単位の整備と教員の活用能力の向上はまだまだのようであります。
 文部科学省の平成十三年度における公立学校の情報教育の実態調査によりますと、小中高等学校教員のコンピューター活用の実態に関して、コンピューターを操作できる教員数の割合は一応八四・九%に達しておりますけれども、コンピューターで実際に生徒を指導できる教員数の割合は四七・四%と、全教職員数の半数にも至っていないというのが現状であります。
 そこで、以上の実態を踏まえまして、教職員の指導能力の向上に時間がかかっているのは、その原因は何でしょうか。そしてまた、今後どのように改善していこうとなさっておるのか、文部科学大臣はIT戦略本部のメンバーでもありますので、担当政務官の御見解をお尋ねいたします。
池坊大臣政務官 IT教育を充実させるためには、今おっしゃいましたような教員のIT活用の指導力の向上が重要な課題だというふうに思っております。
 決してこれは遅いということではございませんで、私ども、全国に小中高等学校、約九十万人の教員がございます。そして、その中には、二十代、三十代ばかりではなく、ITに今まで余り縁がなかった人たちもおりますから、きめ細やかな研修を重ねながら指導力の向上に資していきたいというふうに考えておりまして、私どもは計画的に研修をするようにいたしております。
 平成十一年度から十三年度の三カ年計画で、e―Japan重点計画に基づいて、今年度中に全教員がコンピューターを操作でき、その半数はコンピューターを用いて子供たちを指導できるようにするということでございまして、それが今の御指摘のようでございます。そしてまた、本年度から平成十七年度、つまり二〇〇五年まででございますe―Japan重点計画、それにのっとりまして、すべての教員がコンピューターを活用して今度は指導できるようにするというふうに目標を掲げております。
 このような目標に向けまして、国としては、都道府県レベルのリーダー養成を目的とした研修を実施し、また都道府県とか学校の各段階においても教員研修を体系的に実施しているところでございまして、平成十三年度現在ではコンピューターを用いて指導できる教員の割合が四七・四%というのは、これは目標を達成できたのではないか、つまり計画どおりだということでございます。
 本年度からは、平成十七年度までおおむねすべての公立学校教員がコンピューターを活用して指導できるようにするため、国、都道府県、各学校における研修において、各教科でのコンピューターやインターネットを活用した授業の実践に重点化した研修を今実施している段階でございます。
 また、本年三月に設置いたしました初等中等教育におけるIT活用の推進に関する検討会議では、本年八月にIT活用指導力の向上のための方策について報告を受けました。これを踏まえまして、私どもは、Eラーニング方式の自学研修システムの開発や、教科を同じくする教員の教育情報の共有化を促進するためのモデル事業などをいたしております。
 今度は、来年度は四億の予算も計上いたしておりますし、計画どおり私どもは進んでいるというふうに思っております。
黄川田委員 お話を伺いますと、一生懸命やっている、計画どおりに進んでいるということでありますけれども、ちょっと重ねて伺いますけれども、都道府県別では教員の活用能力の向上の進みぐあいに若干の差異があるようであります。進んでいる県、ちょっとおくれているかなという県がありますけれども、その取り組みのおくれていると思われる県等に対しては、特別の指導強化等々はなさっておるわけなんでしょうか。
池坊大臣政務官 平成十七年度までにはすべての教員がきちんと指導できるようにというふうに目標を掲げておりますので、もちろん、おくれておりますところでも十七年度にはそれができるようにというふうに指導してまいります。
黄川田委員 コンピューターを操作できるのと、そして授業に生かせるというのはまた別なようであります。インターネットの接続率、あるいはまた指導者の定員が増加しているというような、表面的な数字の指標といいますか、ここまでできたというだけではどうも不十分だと思われております。現場で施策が生かされるように、さらなる人材の育成をよろしくお願いいたします。
 それでは、残り時間がなくなってまいりました。世界最先端のIT国家を実現していくためには、これまでに指摘した、電子政府あるいは電子自治体の実現、教育現場におけるインターネット、パソコンの活用など、広く国民がITを積極的に活用できるよう推進していくことが不可欠だ、そしてまた、この利用促進という視点からは、高齢者やあるいはまた障害者を含めたあらゆる国民がITを活用することができるように、メディアリテラシーを高め、国民のIT活用能力の向上を図ることも重要であると思っております。
 そこで、ITを活用できる環境を整備していくことが大事だということの中で、今回のワン切り関連の有線電気通信法改正案、利用環境整備という観点からも提案されたものと私は理解しております。そこで、同法案の質疑に入ることといたしたいと思います。
 まず、このワン切りについては、パソコン等を利用して、相手方が電話に出る前に電話を切るという行為を繰り返し行い、大量の発信を行うものであると承知しております。こうした発信が行われますと、電気通信ネットワークに過度の負担がかかり、そしてネットワークが混雑して電話がつながりにくくなる状況を発生させるおそれがある。そしてまた、携帯電話の利用者にとってみれば、見知らぬ相手から昼夜を問わず電話を鳴らされて、平穏な生活を妨害されるという問題もありまして、この問題に適切に対応していくことが大事だということで、この法案、私も必要だと思っております。
 このワン切りの実態について見ますと、主に携帯電話の利用者が受信し、迷惑をこうむることが多いところでありますけれども、まず今回の法案は、有線電気通信法の改正案とされているところであります。有線ではなく、無線の電波を使う携帯電話に対するワン切りについてでありますが、法律の基本的なところを私存じていないものですから、有線電気通信法の改正ということでワン切りに適切な適用ができるのか、改めて総務省にお伺いいたしたいと思います。
林(幹)委員長代理 ちょっと待ってください。池坊政務官はまだ必要ですか。
黄川田委員 終わりましたので、どうぞ。
加藤副大臣 先生御指摘のとおり、ワン切りの被害を受けているのは主として携帯電話利用者でありますが、ワン切りの送信が携帯電話などの無線を用いた通信ネットワークを経由して行われる場合であっても、基地局や、また交換機、これは御承知のように有線でつながっております。こうした有線部分を構成する設備は、有線電気通信設備として、有線電気通信法の対象となります。
 また、実際にワン切りが原因でふくそうが起こる部分としても、交換機等の有線電気通信設備の部分であるということからして、携帯電話へのワン切りの場合でも、有線電気通信法を適用してその送信者を処罰することが可能であり、また必要であると思っております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 時間が残り少なくなってまいりましたので、通告の順序をちょっと変えまして質問したいと思います。
 このワン切り問題でありますけれども、これはいわば、大臣も先ほどお話しされましたけれども、IT社会の影の部分としてあらわれてきた問題の一つであると思っております。IT社会が健全に発展していくためには、その影の部分の一つとして、電気通信の不適正な利用による被害を防止するための制度を整備するなど、適切に対応していくことが必要であります。
 これまでも、昨年の臨時国会においてはプロバイダーの責任のあり方に関する法律、これが成立しました。そしてまた、本年の通常国会においては迷惑メールに関する法律が制定されました。そして、今国会では本法案が提出され、ワン切りに対応するための規制を設けることとしております。
 そこで、電気通信の不適正な利用への対応について、先ほど遠藤委員からも質問がありましたけれども、総務省として基本的にどのような方針で取り組んでいくのか、お伺いいたしたいと思います。
片山国務大臣 事は通信の世界ですから、表現の自由や通信の秘密や、いろいろな国民の基本的人権に関するようなことがありますから、慎重にしなければなりませんが、いろいろなメディアの発達に応じて、悪い方の利用の方もいろいろなことを思いつかれて、それが社会問題になる、国民の皆さんが迷惑される、こういうことになると、やはりこれは迅速的確に対応していかなければなりませんので、委員も言われましたが、不正アクセス法、プロバイダーの責任についてのあり方を示す法律、それから迷惑メール法、それから今回のワン切り、このようになったわけでございまして、我々はこういう事態は必ずしも望ましいとは思いませんけれども、しかし、これから電気通信、放送等を含めまして、こういうメディアの世界は秒進分歩で変わっていく、それに国民の皆さんの信頼を得て、IT社会になじんでいただくためには、やはりこういう法規制は必要最小限度やむを得ない、こう思っておりまして、事態によって、今後とも同様な対応をさせていただきたいと思っております。
黄川田委員 最後であります。
 最近起こっている迷惑電話の問題は、今回の法案の対象としているワン切りもそうでありますけれども、主として携帯電話に関するものが多いようであります。この背景には、携帯電話の普及が著しいこともあると思われます。携帯電話に関して問題となっている迷惑通信としては、事前の同意を得ないで送りつけられている迷惑メールでありますか、これがありまして、これも受信者にとっては大変な迷惑行為となっていると考えます。
 そこで、迷惑メールに関しては、本年七月に特定電子メールの送信の適正化等に関する法律が施行されましたが、この法律の施行状況について最後にお尋ねしたいと思います。
鍋倉政府参考人 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律でございますけれども、本年の七月一日に施行されております。法律が施行されて四カ月でございますけれども、まだ四カ月しかたっておりませんので、正確に評価するというのはなかなか困難な面もあるわけでございますけれども、本法律の施行後に、本法律に規定する表示義務それから電気通信事業者の提供するフィルタリングサービス等が相まって、実際に受信者に届く迷惑メールの数は減少するなど、相当効果を上げているというふうに考えております。例えば、これはある一つの携帯電話事業会社の調査でございますけれども、最近では携帯電話に着信する迷惑メールの数が約六〇%減少したということでございます。
 また、この法律の中で、指定法人に寄せられます受信者からのいろいろな情報提供に基づきまして、私ども総務省において法律違反のメールの送信者に対して警告メールを送信しておりまして、これも一定の効果を上げているというふうに認識をしております。
 しかし、最近、表示義務に違反してフィルタリングをかいくぐって送信する者が見られますので、こうした送信者に対して法律により厳正に対処したいというふうに考えておりまして、これにつきましては関係機関と連携を図りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
黄川田委員 法律が後追いにならないように、積極的にかかわって頑張っていただきますようお願い申し上げまして、時間でありますので終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 今回のワン切り法提案の理由というのが、先ほど来いろいろ話題になっておりますとおり、ことしの七月に発生しました、あのNTT西日本管内のワン切りを原因とするところの五百万回線にも上る電話利用の障害というのが提案の一つの大きな理由だろうと思います。なぜこうした事態に至ったのか、その原因と教訓について、私、考えてみたいと思います。
 そこで、まず、このワン切りの苦情相談、こういうものが携帯電話事業者に寄せられた件数の問題ですけれども、いつごろが一番多かったんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 ワン切りが発生しましたのは昨年の十一月ごろからというふうに承知しておりますけれども、相談件数、苦情が一番多かったのは、その次の月の十二月でございます。
矢島委員 そこで、件数の問題でもうちょっと詳しく教えてもらいたいんですが、大体十一月ごろから始まって十二月がピークということですが、十一月からことしの三月までの五カ月間と、それからことしの四月から八月までの五カ月間の件数の合計、それぞれお答えいただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 昨年十一月からことしの三月までの五カ月間の携帯電話事業者に寄せられました苦情相談の件数は十万四千件でございます。
 それから、ことしの四月から八月までの五カ月間の合計は約四万件でございます。
矢島委員 私、なぜこういうことをお聞きしているかといいますと、この問題についての対応が適切であったかどうかという点も含めて考えていくことが必要かと思ってお聞きしております。
 今お答えがありましたように、去年の十一月ごろからふえ始めて十二月がピークで、そして前半、つまりことしの三月までに十万四千件もあった、その後、四月から八月までの同じ五カ月では四万件だった、こういう状況がわかったわけですが、さて、総務省やあるいは携帯事業者は、このワン切り問題についてどういう対応をとったか、この点についてお答えいただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 私ども、このワン切り問題が発生しまして、本年二月にはホームページ上で、皆さん方に、見覚えのない着信履歴にはかけ直さないでください、それから、かけ直してしまいましたものにつきましても、業者から連絡が来た場合には氏名や住所を絶対に教えないでくださいというような注意事項を掲載しておりますし、同じようなものは、周知用のパンフレットを発行しまして注意喚起を呼びかけております。
 それから、事業者でございますけれども、これは、先ほどお話のありました、西日本でワン切りを原因としますネットワークのふくそうがございました。その七月、それを踏まえまして、ワン切り事業者に対して、ネットワーク事業者は、契約を解除することまでも含めて、使用中止ですとかそういったことが即座にできるような契約約款の改正ということを私どもに申請をしましたので、私どもも速やかに認可をしているところでございます。
矢島委員 総務省やあるいは電気通信事業者がそれぞれ対応、政府広報あるいはホームページ等々を利用して、また、東西のNTTは契約約款の変更というようなことも行ったようですが、ただ、問題は、私、今後の教訓として指摘しておきたいのは、もう十一月ごろからどんどんふえていたんですね。しかし、実際には、七月に五百万回線ですか、こういう電話利用の障害が起きた、それ以降に大体本格的な対応策を考え、そして今日この法案が提出されている、こういう経過にあるわけなんですね。つまり、それは起きたからすぐ対応できるという状況じゃないかもしれないけれども、私自身から考えれば、もっと早く対応できたんじゃないか、こういう気がするわけです。
 というのは、ワン切りにしても、コールバックすれば、これは携帯事業者の通話料収入がふえる、有料サービスをやれば、ダイヤルQ2でNTTももうけになるということで、ある程度の量だったら、つまり、こんな五百万回線もの障害が起きなければ、一定度そういう業者にとってはもうけ口だった、NTTにとっても決して悪い問題じゃなかった、ある程度の量ならば。そういうことが言えるんじゃないか。つまり、NTTも携帯事業者も、一定度の量だったら都合がいい、自分の方のもうけになる、こういうこともあるわけですから、そういう考え方もあったでしょう。ところが、五百万回線にも上る通話障害が起きた。そこで、総務省もNTTも、あるいは携帯事業者も本格的な対応をしなければならなかった。しかし、この対応も、消費者対策というのが根本にあるわけじゃないんですよね。
 というのは、今回の法改正もそうですけれども、有線電気通信法によるインフラ障害への対応だと。ですから、その結果として、もちろん消費者対策ということになるわけですけれども、根本はインフラの障害への対応というところにある。ですから、もっともっと私はこういう問題について、ワン切り問題もそうですけれども、消費者保護という観点、こういうことがより一層重視されなければならないだろうと思うんです。大臣、このことについての認識をお伺いいたします。
片山国務大臣 言われるとおり、消費者、ユーザー、国民の皆さんの視点というのが必要だと思います。我々も、そういう視点から今回の法改正に踏み切ったわけでありまして、やはり電気通信のネットワークやこの事業に対して国民の皆さんに安心してもらう、信頼してもらう、こういうことが必要ですから、もう大分被害が減っているからいいじゃないかというわけにはいかない。
 それから、電気通信事業者の方も、やはり約款やその他でやるのは、ブロックでやるのは限界があると言うんですね。やはり、きちっとした罰則をかけてもらうことがこういうことの再発を防いでいくので、物すごく今後起こってくることに対して。そういう要望もありまして、もう少し時期を早くという御指摘はあるのかもしれませんが、今回の法案を出させていただいた次第であります。
矢島委員 迷惑メールもワン切りも、消費者の苦情が発端で、通信インフラへの障害というところまで発展してきた、その時点で対応を行うという経過であることは確かだと思います。通信インフラに障害がなければ、果たして消費者の苦情はどうなったんだろうかという心配があるわけです。
 というのは、今度、IP電話、この問題が出てきておりますね。迷惑通信への対応の在り方に関する研究会、ことしの十月に報告が出されておりますが、この中にも、ワン切りではなく、IP電話によって迷惑メール型の電話が可能になる、だから、より一層、消費者の苦情と通信インフラへの障害発生の関連性もますます強まる、こう書いてあります。欧米では、機械的な勧誘電話自体が広く規制の対象になっている、狭い通信インフラ対策だけでなく、消費者保護、プライバシー保護の角度から考えなければならない、これが対応の在り方に関する研究会の報告内容であります。
 私も、勧誘のこういう電話やメールの規制を本格的に検討すべきだということを申し上げて、時間の関係で次の質問に入りたいと思います。
 高度情報化社会における消費者の被害、これをどう防止したりあるいは対策を立てるか、こういう問題で、パソコン、インターネットの不正アクセスの被害あるいはウイルスによる被害、これで質問をしたいと思います。
 まず、大臣の現状の認識についてお尋ねするんですが、実は、週刊文春が十一月に二回にわたって特集を組んでおります。
 その中で、ネットワーク管理ソフト、エアロピークあるいはビジル、これを使えば、現行法のもとでも、工場出荷当時、無線LANシステム、オンセットで出荷されてくるケースでは、消費者個人が気づかずに不正アクセスやウイルス被害を受ける、こういう内容を含めて、週刊文春が特集を組んでおります。
 いずれにしろ、パソコン、インターネットをめぐる不正アクセスあるいはウイルス被害、これが非常に社会問題になっているわけですが、大臣は、e―Japan計画推進のための担当大臣ですが、現状をどのように認識しておられるか、承りたいと思います。
片山国務大臣 今、矢島委員御指摘のように、インターネットを初めとします情報通信ネットワークは、今や、国民の個人あるいは企業、法人、団体等のすべての経済社会活動の基盤になりつつあります。
 それから、何度もこの委員会でも御議論いただいておりますように、電子申請、届け出から始めて、電子政府、電子自治体の実現をいたしたい、こう思っておりますし、公的認証がしっかりしてくる、あるいはその他の認証システムができれば、私は、Eコマースなんというのは飛躍的にこれから増大してくるんではなかろうか、こういうことになっておりまして、そういう意味では、情報通信ネットワークの安全性、信頼性の確保は最重要の課題だ、こう思っております。
 特に、セキュリティー対策、プライバシー保護の対策、これについては、IT戦略本部でもそういう認識を持っておりまして、そのために、先ほど言いましたCIOの会議をつくりまして、各省庁がそれぞれの責任分野で十分な対応をとっていく、今後とも、万全のセキュリティー対策をとってまいりたい、こう思っております。
矢島委員 そこで、具体的な問題でお聞きしたいんです。というのは、今後とも、ぜひそういう方向で、万全を期す方向で研究、検討していただきたいんですが、実は、私のところへ、神戸にお住まいの地震を研究をしている研究者の方から手紙が届きまして、この研究者が研究した論文というのが破壊されたんですよ。こんな内容です。
 この方は、インストール済みのパソコンを買ったんです。ウィンドウズシステムプログラム、この中にアドミンというプログラム、これは全部入っておると思いますが、このプログラムのネットワーク管理システムが工場出荷時に外部接続オンにセットをされていたんですね。これは全部オンになっていると思うんです。オンになっていますと、外部の人がある種のプログラムを使いますと、このパソコンに侵入してくることができるんですね。それで、侵入されたんです。アドレス帳の管理、パスワード編集、アクセスコントロールなどを次々とやられまして、作成中の論文が破壊されちゃったんですよ。こういう被害をこうむったので、この方は警察に訴えたんです。そうしましたら、警察の見解は、不正アクセス禁止法は成り済まし行為の規制が対象であり、あなたの場合は、第三者があなたに成り済ましてパソコンに侵入したのではなく、第三者がインターネット交信を試みただけだから、不正アクセス禁止法の対象外だ、このように言われたというんです。
 この方の場合、貴重な地震学に関する研究論文が破壊されて重大な被害をこうむってしまったわけですが、現行法制度の中では、被害補償だとかあるいは防止対策というものがない、何とか法的対策を立てるべきではないか、こういう御意見なんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
稲村政府参考人 御案内のとおり、不正アクセス行為につきましては、平成十二年二月施行の不正アクセス行為の禁止等に関する法律によりまして、これを禁止して、違反した者への罰則を設けておるところでございます。パスワードを盗むとかセキュリティーホールに対して攻撃を加えるということでございますが、これに加えまして、総務省としましては、やはり利用者の側でどうしたらセキュリティーを守れるか、こういうことでの対策の実施を促進するということで、施策を講じております。
 もちろん、不正アクセスを防止する上で、ファイアウオールを導入したいという者に対して税制優遇措置を実施もしておりますが、やはり、使用する、使っておる私たちの側で、情報セキュリティーの必要性、例えば、アンチウイルスのソフトをどうインストールするかとか、そういうことをきめ細かくやらなければいかぬということでございますので、近々、本年度中には、こうした普及啓発活動、ワクチンソフトをインストールしても更新をどうすればいいかとか、こういうことにつきましてのホームページを開設すべく、準備を鋭意進めておるところでございます。
 そういうことで、今後とも、利用者における情報セキュリティー対策の実施の促進に向けて検討をしてまいりたいと考えております。
矢島委員 今お答えいただいたことはわかるんですよ。利用者の方、つまりパソコンを使っている方が注意すべきだ、これは第一義的にはあると思うんですよ。
 しかし、私も、アドミンというこのプログラムについて聞いてみたんです。実は、日本マイクロソフトの技術担当者ですけれども、こう言うんです。今言われたように、利用者の方が相当の知識がないとなかなかこれは防げないんですよ。そういうふうにできているんですね。私も不思議に思いました。
 このアドミンというプログラムは、ウィンドウズの基幹プログラムであり、すべてのウィンドウズに組み込まれているプログラムです、このアドミンプログラムのウィンドウズシステムにおける機能は、アメリカ・マイクロソフト社の社長に成りかわり、管理者としてウィンドウズのすべてのプログラムを動かす機能を与えられているプログラムです、このプログラムはウィンドウズのセキュリティーホールの一つにされております、XP以降のウィンドウズには外部からの侵入拒否プログラムを組み込んでいますと。しかし、今出回っているのはほとんどXP以前のものですから、これには修正プログラムのダウンロード提供で対応しているとしていますけれども、セキュリティーホールが問題になった以降、当社としても誠実に対応しているつもりだと言うんですが、このアドミンプログラムというのは、ウィンドウズの基幹プログラムであるために、非公開になっているんですね。つまり、各社、アプリケーションプログラムについて、ほかは内容を公開しているけれども、このアドミンについてはすべて非公開になっている。
 こういう話なんですが、消費者は、こういうマイクロソフト社の非公開のプログラムを買って使用するわけですが、その内容については非公開ですから、ブラックボックスの中にあるんです。相当、幾ら賢い消費者でも、消費者がこういうセキュリティーについての責任を負いながらやっていくんだといっても、これはなかなか防止できる問題じゃないんですね。つまり、民法上の瑕疵担保責任だとかあるいは製造物責任法、いろいろありますが、どうしてもこれは、インターネットをめぐるこういう被害、どう防いで、どう消費者保護をするか、こういう問題では、新たな事態が次々と発生してくるわけですから、ぜひ、その都度、直ちに対策を研究すべきだと思うんです。
 そこで、私、こういう問題をすぐに研究してやっていく必要があるんじゃないかというので提起するわけですが、企業のソフト、ハードの製造、販売活動に、不正アクセス防止上の欠陥やあるいはウイルス妨害防止上の欠陥があったというときには、消費者は製造責任やあるいは販売責任を問うことができるような、そういうことを研究すべきだということや、それから、消費者が不正にアクセスされる、あるいはウイルスを送り込まれる、こういうことを防ぐところのセキュリティーシステムを企業の責任で確立すべきだ、装備すべきだ。それから、無線通信の暗号化、こういう技術的なセキュリティーを高めていく、こういうことも企業に求めていくべきじゃないだろうか。
 こういう対策というのが非常に必要になってくるんじゃないかと思うんですが、御感想がありましたら、ひとつ。
遠藤委員長 稲村政策統括官、もうちょっと大きな声で答弁してください。
稲村政府参考人 お答え申し上げます。
 オープンソースのお話とクローズドな意味でのソフトのお話がございましたが、これにつきましては、セキュアなOSをどうするか、オープンなソースのもの、そうでないもの、そのメリット、デメリットを研究調査しようということで、今予算の要求も進めております。
 それから、現状では、被害者を救済する方策につきましては、当事者間のお話し合いにより解決するということが基本で、特段の救済制度はございません。
 そういう中で、そういったセキュアなOSをどうするかという研究ですとか、そもそもハッカーの攻撃があった場合に、どうしたら、撃退というのは言葉が強いのでございますが、そういった研究とか、また、個人とかそういったコンピューターだけじゃなくて、重要なインフラをどう守るかとか、そういったことで今勉強を続けているところでございます。
 研究開発等につきましても、引き続き拡充を図っていきたいと考えております。
矢島委員 稲村さんの言っていることはわからなくはないんですが、しかし、やはり、前からここに出てきていますように、被害が起きてから対応しよう、後追いといいますか、それもすぐに手がつかないというようなことのないように、今後ぜひ積極的な形で研究、対策を進めてもらいたいと思います。
 最後になりますが、電気通信事業者の問題で厚労省においでいただいているので、お聞きしたいと思います。
 まず一つは、NTTの労働者が、転勤、ずっと五十歳定年ということでやっています。そこで、私がきょう聞きたいのは、育児及び介護、この問題と転勤との関係です。
 そこで、全国で、育児、介護の両立、こういうものができないということでの訴えというのはどれぐらいあるでしょうか。
渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の育児・介護休業法の関係の規定は、御案内のとおり、昨年、平成十三年十一月に改正法が成立いたしまして、本年四月から実施されている、こういう関係でございます。
 平成十三年度中に私どもの各県の労働局雇用均等室が受けた相談件数は、改正法成立当初ということもございまして、事業主等からの御相談も含めまして、育児に関するものは平成十三年度中ということで二千三百五十件、介護に関するものが一千六百七十七件、こういうこととなっております。
矢島委員 法律が施行されてからのことで十三年度、十四年度についてはまだこれからだろうと思います。また、NTTの労働者でどうかということについても、あるいはまだ統計がとられてないかもしれません。
 そこで、私が把握している範囲で現状をちょっとお話ししますと、北海道、群馬、長野あるいは高知だとか愛媛だとか福岡、三重、富山、愛知、それぞれの県でそれぞれ、介護や育児の問題に、二十六条に関係なく飛ばされている、こういうような事態があるんです。
 例えば、福岡では、母親が要介護二級なのに名古屋へ飛ばされた、これは到底通うわけにいきませんから、もちろん単身赴任で行かなきゃならない。それから、富山の支店に勤めていた労働者は、七十七歳の要介護五級の母親がいるにもかかわらず、これまた名古屋に転勤させられた。そのほかにもたくさんありますが、時間の関係で一つだけ例を挙げたいと思います。
 愛知の方です。兵道さんという方です。この方は七十四歳で身体障害者手帳を持つお母さんと同居しています。ことし一月に、奥さんも右足を手術されて歩行が困難になった。お子さん方は、高校一年、中学二年、それから保育園の年長組、この三人のお子さんがいます。
 この兵道さんに対して、十月三十一日の内示で十一月一日に東京への配転、これが発令された。十一月八日赴任した。わずか一週間で動いたわけです。それで、十一月八日には医者から、お母さんが介護が必要だという診断書も出されている。
 そこで、兵道さんは、十一月一日に愛知の労働局に要請に行ったんです。愛知労働局の担当者は、十一月六日にNTT名古屋支店に出向いて、育児・介護休業法の第二十六条の説明を行ったということは聞いております。しかし、その結果どうなったか、あるいはNTTとしてはこういう配慮を行ったというようなことは聞いておりません。
 そこで、説明に行ったときにどういうNTTの話だったか、どういう配慮をNTTは行ったか、この点についてお答えいただきたいと思います。
渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 議員が今お示しされました兵道氏の件ということでございますが、率直に申し上げまして、現時点、ここで、その具体的な事案の詳細について踏まえた上で確たることを申し上げるということは、ちょっと差し控えさせていただきたい。事実関係でございますので、必要に応じ労働局にさらに詳しく聞いてみなければいけない面があると思います。
 ただ、私ども労働局の雇用均等室におきましては、労働者の方から育児・介護休業法に関する御相談がありましたら、先生御指摘のように、法律の五十六条を背景といたしまして、事業主から事情を聴取いたします。また、必要に応じ助言、指導等を行う、これが一つのパターンとなっておりますので、そのようにさせていただいております。また、その結果につきましても、当該労働者からの御要請に応じまして説明をしているというふうに私どもは認識しております。
 ただ、御本人との間のやりとりについて、どのようなお互いの理解であったのかという点につきましては、ちょっと私、この場で断定的なことを申し上げることはできない性質のものだと思いますので、ここまでで、ちょっと御報告は控えさせていただきたいと思っております。
矢島委員 今すぐここでというわけにいかない、質問通告はしておりますけれども、調査しなきゃならないでしょうから、わかりましたら、ひとつ私のところへ、NTTの配慮はこういうことだった、話はこうだったということをお知らせいただきたいと思います。
 そこで、育児・介護休業法というのは、職業生活と家庭生活の両立に寄与する、こういうことを通じて福祉の増進、経済及び社会の発展に資する、こういう目的になっております。
 ところが、NTTのいろいろな、兵道さんだけじゃなくて、次々とこういう事態が起きているんですね。介護を要するようなことであってもどんどん飛ばすというような、とんでもない配転が行われているんですよ。
 ということは、このままこんなことを放置しておいたら、育児休業法というのはまさに有名無実になっちゃう。そんなものになっていいのか。そもそもこの法律ができた精神、こういうものがなおざりにされているんじゃないか。
 時間が来ましたので、最後に大臣、こういう状況が実際に起こっております。少ない回数ですけれども私と局長とのやりとりの中のことを聞いていただいて、何か感想がありましたらお述べいただきたい。
片山国務大臣 この改正育児・介護休暇法ですか、これについては、私も詳しくはありませんが一応存じておりまして、NTTはそういうことも参酌しながら転勤等を考えている、こういうように思います。
 個別の話は、今のやりとりを聞いておりましても、やはり基本的には労使の問題で、場合によっては、厚生労働省の答弁にありましたように、都道府県にある労働局ですか、そこに御相談いただいて適切な御処理をお願いいたしたいと思っております。
矢島委員 なかなか適切になっていなくて困っているところですから、ひとつよろしくお願いします。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。
 議題となっております有線電気通信法の一部を改正する法律案並びに関連します幾つかの課題について質問したいと思います。
 本年八月の東西NTTの契約約款の改正、そして認可以降、いわゆるワン切りは大幅に減ったと聞いております。
 そこで聞きたいんですが、そうした現象は何に由来していると見ておられるか。八月二日に認可された東西NTTの契約約款の変更や携帯電話会社の課金制度の導入化か、それともこの法改正の動きか。どちらが主として業者を牽制したと見るか、これが第一点であります。
 第二点は、この種の迷惑行為は、技術の進歩と歩調を合わせるかのように生まれては消え、生まれては消え、こういうことを繰り返して、そのたびにより巧妙化していくことにあります。その場合、大抵、法の規制とはイタチごっこがいいところでありまして、今後技術がさらに発達し、例えば、現在のDVDによる画像よりも鮮明な画像を表示し得るようなモニターつきの電話が開発され、いわゆるアダルト情報などが符号ではなく画像ないし映像で同意なく送られてくる場合どうなるのか。本案では符号のみとなっておりますが、これでは対応できなくなるのではないか、そういう懸念を持つわけでありますが、以上二点について、大臣の見解を伺います。
加藤副大臣 まず最初のお尋ねでありますが、委員御指摘のいろいろな原因があった、そのことによって減少してきたと思うわけでありますが、どっちがというんではなくて、まさに国民利用者のワン切りへの対応の方法が周知されたことや、また、お話がありました携帯電話事業者が自主的に取り組んだ、またさらに、政府においてワン切りに対する法規制の検討を開始したということが全部相まって減ってきたのではないのかなという気がいたします。しかし、これは確かに減少しておりますが、八月に一たん増加に転ずる状況もあり、まだ予断を許さないような状況であります。
 したがいまして、この電気通信ネットワークのふくそうというのは、一たん起これば経済活動や市民生活にはかり知れない影響を与えることになるものでありますので、ふくそうを引き起こす危険性をはらんでいるワン切りを野放しにするわけにはまいりません。いつ行われるか予期できない状況を放置しておくことは、まさに電気通信の安全性及びこれに対する国民の信頼を揺るがしかねないものでありますから、これらを処罰対象とすることによって当該行為を防止する必要があるということであります。
 また、二点目であります。この法律におきましては、ワン切りを行う者がワン切りの目的をもって特殊な装置を用いて電話をかけて符号を送信する、こういう行為を処罰対象としておりまして、お話がありました符号ではなくて画像だけを送りつけてくるような行為というのは、この法律の対象外になってしまいます。現状ではそういったことが行われていないわけでありますが、今後、技術の進展により新たな問題が生じてきた場合には、適時適切に対応していきたいと思っております。
重野委員 アメリカの自動電話ダイヤリングシステムによるテレマーケティングは、あらかじめ録音した勧誘メッセージを聞かせる形態のものであると聞いています。そうだとすれば、今回の法改正は、通話を行うことを目的とせずということが前提となっていますが、通信機器や手段の飛躍的発達は今回の法改正の根幹を実態的に死文化させる、そういう懸念を持つんではないか、持たざるを得ない。
 法改正する以上、アメリカにおける実態を十分踏まえた上での対応措置を考慮することも必要ではないのか。まして、今後IP電話の普及による低料金化が予想されることを考えれば、通話を行うことを目的とせずという改正条件の限界というものを感じざるを得ないんでありますが、その点についてはどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
片山国務大臣 重野委員の御懸念は、私もよくわかるんです。
 ただ、先ほども言いましたが、やはり通信の自由という基本的な人権にかかわる問題でありまして、問題が起こりそうだからというようなことでそこまで規制できるかどうか、事は慎重でなければならない、こう思いますので、今、利用のあり方については、ひとまずは送信者の自由にゆだねて、迷惑通信などにより受信者側に不都合が生じて、何らかの対応をとるべきだという社会的な要請がかなり熟した形で出た場合に、やはり規制その他対応をとっていくということが適切ではなかろうかと。あらかじめ一般的にいろいろなものを想定してやることはいかがかな、こういうふうに思っておりますが、結局、国民の皆さんの納得を得られるかどうかですね。
 今回は、いろいろ考えまして、通話の目的を有しているものは省こう、通話を行うことを目的とせずにやるものを対象にしよう、こういうふうに考えたわけでございまして、ぜひその辺は御理解を賜りたいと思います。
重野委員 それでは、ワン切り問題については以上にしまして、次に、今後、本委員会における極めて大きな課題になると思うんですが、公務員制度改革の問題についても触れておきたいと思います。
 まず、郵政公社問題について聞きますが、この公社の職員は、これまでの公務員とは違って、営業原理に基づく人材育成がこれまで以上に求められると思います。その身分が国家公務員とされる以上、今後も、全体の奉仕者としての意識を高めるための研修や倫理観を高めるための研修も実施していく必要があると考えます。その際、政治的中立性等の観点から人事院との協力というものも当然必要になってくると思うんですが、その点について郵政事業庁長官の見解をお聞かせください。
有冨政府参考人 今、先生御指摘のように、公社化になりましても職員は国家公務員としての身分を有します。したがいまして、当然求められる国家公務員としての倫理観の保持の重要性につきましては、基本的には現在とは変わらない、このように認識をしております。
 したがいまして、公社移行後も、訓練、研修のカリキュラムを充実するとともに、新規採用時等の効果的なタイミングで、職員一人一人が、国家公務員法の第九十六条にあります、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念すべしという服務の根本基準、こういったものについて強く自覚するよう、人事院とも連携を図りながら繰り返し指導徹底を行ってまいりたい、このように思っております。
重野委員 次に、特定郵便局長さんと同じように、一般行政職にも中途採用者がふえている状況にあると承知をしています。人事院としてもこれに対する新しい研修の実施を考えているということでありますが、これを含めて、公務員の倫理観あるいは中立公正のための研修にどのように取り組もうとしているのか、人事院の見解をお聞かせください。
中島政府特別補佐人 郵政の関係で選挙違反が出た直後でしたか、重野先生を初め多くの先生方から、全体の奉仕者性というんですか、政治的行為の制限の重要性というんですか、そういうところをしっかり研修しなきゃだめじゃないかという話がございました。また、参議院においても同様、そういう御提言をいただいております。
 そこで、私たちは、そういう御提言を踏まえまして、倫理研修については倫理研修についてのプログラムを開発する、あるいはまた、全体の奉仕者性、政治的行為の制限の重要性、そういうものにつきましても体系的にひとつ研修をやっていこうということで、現在研修を行っております。
 特に中途採用の方は、今まで違った勤務環境で勤めておられたわけですから、得意先のお金で酒を飲むとかゴルフをするということについて何の罪悪感もございませんし、政治的にも自由に行動された。そういう方が公務の世界に入ってこられるわけですから、中途採用の方はひとつ私たちの方で一括して研修をしていこう、中央で集めることができる人たちは集める、ブロック単位で集めることが適当な場合にはブロック単位で集めるということを考えまして、中途採用の方については、できるだけ早く公務の世界の服務というものを十分習得していただくような研修というものを充実していくということを考えております。
重野委員 先般、行革推進事務局が関係労働組合に提示をした「新たな人事制度の設計の考え方について」という文書がございます。それによると、勤務条件に関して三つに分類をしています。一つは、給与、勤務時間に関することのみ人事院が引き続き決定し、それ以外の能力評価や実績評価の基準なり手続に関すること、職務分類の基準など効率的人事配置に関することはこれまでの人事院から内閣が決定するように改める、このようにしております。
 この整理については私、非常に問題があると思うのであります。これらはいずれも勤務条件に関する事項でありまして、労働法学者等々の意見も聞いてみますと、民間労働者であれば当然労使交渉事項であるという点から見ても、この「新たな人事制度の設計の考え方について」という中に盛られている内容について、これらの事項が勤務条件に当たるか否か、この点について改めて人事院総裁の見解を聞いておきたいと思います。
中島政府特別補佐人 今回示されました案というのは、能力等級制度というものを導入しよう、そしてこれを任用とか給与とか評価の基礎とする、そういう考え方でございますので、職員の能力等級の決定そのものが基本給というものにかかわってまいりますので、今先生がおっしゃいますように、能力等級制度を構成する個々の事項、例えて言いますと、能力等級の等級構成とか能力の評価基準、評価の手続あるいはまた昇格とか降格の基準、能力等級別の人員枠、そういうものが勤務条件だということはこの道の専門家の意見の一致するところでございますので、それは、今先生がおっしゃいましたように、勤務条件だという前提で改革を進めていく必要があるだろうというふうに思います。
重野委員 私も指摘をいたしましたけれども、これらの事項は間違いなく勤務条件だと考えます。したがって、本来、労使交渉の対象たるべき事項である。にもかかわらず、労働基本権を制約しておきながら、代償措置である人事院の関与を外して、一方的に使用者側である内閣が決めることを可能にする、そういう仕組みにすることは憲法上も問題になることではないのか、こういうふうに私は考えますが、この点、根本副大臣並びに人事院総裁の見解を聞かせてください。
根本副大臣 重野委員の御質問にお答えしたいと思います。
 「新たな人事制度の設計の考え方について」、委員がおっしゃられたように、たたき台について説明をしております。
 まず、趣旨から申し上げたいと思いますが、今回の我々の考え方は、やはり人事制度の設計、運営については、内閣主導の理念のもとで、内閣がみずから責任を持って行うことができる仕組みとしよう、実はこの点からスタートをしております。したがいまして、具体的な全体の人事管理制度を含めて、いろいろな目的があるだろう、例えば行政の機動性、効率性の確保など国民への適切な行政サービスの提供、あるいは職員の労働基本権制約に関する適切な代償措置の確保、いわゆる人事制度が実現すべきいろいろな複数の目的を見きわめて、具体的な下位規範も整理をしていこう、実はこういう考え方に基づきまして整理をさせていただきました。
 委員御指摘の点でありますが、昨年末に閣議決定されました公務員制度改革大綱では、公務の安定的、継続的な運営の確保の観点、国民生活へ与える影響の観点などを総合的に勘案いたしまして、公務員の労働基本権の制約については、今後も、これにかわる相応の措置、代償措置を確保しながら現行の制約を維持しよう、こういうことで考えております。
 御指摘の憲法との関係がありましたが、労働基本権制約の代償機能についての考え方の基本とされる全農林警職法事件判決におきましては、勤務条件が法律で定められていること、勤務条件について人事院の国会及び内閣に対する勧告または報告が義務づけられていること、人事院に対して職員の行政措置要求及び不服審査請求の道が開かれていること、これが代償措置として明記されております。
 今般の公務員制度改革におきましても、これらの措置を引き続き維持することとしておりまして、今後の法案策定作業の中で、これまで法律が人事院規則にゆだねていたもののうち、人事院の適切な関与を維持しつつ法律が政令にゆだねることとする事項もあると考えておりますが、このことによって憲法上の問題が生じるということは、私はないと考えております。
 今もお話が出ておりましたが、議論のたたき台におきましては、勤務条件に関する事項は法律で定める、これを基本としておりますが、具体的な内容の決定を法律で下位規範にゆだねる場合には、これまでどおり人事院規則にゆだねるもののほか、政令にゆだねることとするものについては、勤務条件に与える影響の度合いに応じて、政令制定に際しての協議など人事院の適切な関与を定めておりまして、こういう整理をさせていただいております。
 いずれにいたしましても、この議論のたたき台は、具体的な内容の決定を法律で下位規範にゆだねる場合に、いかなる下位規範にゆだねることが適切であるかの考え方を示したものでありまして、絶対的な基準、類型を示したものではなくて、個別の事項につきましては、今後、職員団体、関係機関との議論を行い、これを踏まえて法制化作業の中でさらに整理をしてまいりたい、こう考えております。
中島政府特別補佐人 内閣主導の行政を進めていく、政治を進めていくというお考えと、そのもとにおいて機動的、弾力的な対応をしていこうというお考えもよくわかりますし、非常に大切なことだと思います。
 そのことを実現するシステムをどのようにつくるかというときに、民主的な公務員制度の根幹である中立公正性の確保と、もう一つは、労働基本権が制約されておりますから、代償機能というものをどのように大切にしていくかというこの二つが明確にされなきゃならない。そこを少し個別に、どのような考えでどのように変えていくのかというところをこれから議論していかなきゃならないというふうに思います。
 今、副大臣が相応の措置というふうにお話しになりましたけれども、その相応の措置の内容というものをそれぞれ具体的に、そして、それぞれその理由というものを検討していって結論を出すべき問題だというふうに思います。
 ただ、戦後五十年間かかりまして、勤務条件に関する事項を法律で定める場合には、人事院の意見の申し出というものをもとに法律案がつくられる。そして、その法律案ですべて勤務条件が決まるものではございませんから、さらに下位規範にゆだねなきゃならないんですけれども、下位規範にゆだねるときに政令にゆだねるということになりますと、この場合の政府というのは使用者としての政府ですから、使用者が自分が使っている労働者の労働条件というものを一方的に定めるということは許されないだろうというふうに思います。そこで現在、人事院規則で決めるという体系がつくられておる。それが長期間定着しているわけでございますので、それを変えるということの理由は成り立つのか、成り立たないのかというところの議論を精密に行ってみる必要があるだろうというふうに思います。
 そこらがまだ十分議論が行われていないこれからの問題だという気がいたしますので、余り憲法とのかかわりの議論が、難しい議論をしなくても済むように制度が整備される必要があるだろうというふうに思います。
重野委員 今、総裁も申しましたように、今後、この問題について、当該団体、さらには政府、人事院、それぞれがよりよい、お互いが可能な限り納得し得るような制度をつくっていくという立場に立って大いにやりとりを進めてもらいたい。要望しておきたいと思います。
 このたたき台には、労働基本権の制約問題と同時に、公務員人事管理の中立公正性の確保の観点からも問題があると指摘せざるを得ません。つまり、このたたき台によりますと、政治的行為の制限だけが人事院規則にゆだねられ、それ以外は政令で決められるということになっています。
 それで、まず、この政治的行為の制限を人事院規則とするという理由は一体那辺にありや、根本副大臣の見解を聞かせてください。
根本副大臣 今回の公務員制度改革におきましては、基本的な考え方としては、先ほど私が申し上げましたとおり、国民に対して行政運営について責任を有する内閣が、人事制度の設計、運営についても主体的に責任を持ってこれを行う仕組みに転換したい、こういうことで考えております。
 このような考え方に即して、例えば試験制度など、中立性、公正性の確保にも関係するが、これは適切な行政運営の確保にも関係する、要は二つの観点がありますけれども、こういうものを下位規範に具体的な内容の決定をゆだねる場合には、政令か人事院規則かといったいかなる下位規範にゆだねることが適切であるか、これを整理した結果、基本的には法律の委任に基づく政令で定めることが適当としたものであります。
 現在の国家公務員法等公務員制度関係の法律は、人事行政の中立性、公正性を確保するため、下位規範にゆだねる場合、ほとんどの事項について人事院規則にゆだねております。これにつきましては、率直に申し上げまして、私は人事制度に関する内閣の責任をあいまいなものとし、また内閣の行政運営に資する人事制度の実現を妨げている側面もあった、こう考えております。
 もちろん、あの憲法十五条が「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と定めておりますから、実は内閣が全体の奉仕者性を確保するためには、国家公務員の中立性、公正性を確保するべきことは当然であります。ただ、人事院がこれまでのように広範に規則制定を行うという形ではなくて、一方的に内閣が決めるということではなくて、人事院の適切な関与の形で中立性、公正性の確保のための機能を果たしていただくことに変わりはありません、人事院の関与。
 ただし、御指摘の国家公務員法百二条における政治的行為の制限に係る人事院規則、これは禁止される政治的行為がどのような内容であるかを規定するものであって、私が例えばで申し上げました採用試験制度などと異なって、内閣が行政運営に責任を有する観点から主体的に設計、運営すべき性格のものではありませんので、現行の仕組みをあえて見直す必要はないという考え方を議論のたたき台の中で示したものでございます。
重野委員 なかなか納得しがたいんでありますが、要するに、公務員の中立性、公正性を確保せんとするがために人事院規則で定めているんだというふうに考えられるんですね。であれば、それは政治的行為の制限のみに限られるものではなくて、採用試験や再就職の承認基準も中立公正性に深くかかわっているはずであります。両者は、ともに公務員の基本的人権の観点からも制限を行っているため人事院規則で定められている、これが公務員の中立性、公正性確保の基本的考え方ではないかと推測をするわけでございます。
 そうした観点に立ちますと、政治的行為の制限だけは人事院規則とし、それ以外は政令とする行革推進事務局の方針は、私はどう見ても整合性がないと言わなければならないわけでございます。私は、原点に立ち返って考えれば、政治的行為の制限や天下りの承認基準は本来法律で規定するべきものだとこれまでずっと考えてきました。
 これについては、七月一日参議院の行政監視委員会において、我が党の又市議員も同様なことを主張したところでございますけれども、そうした意味で、今後、整合性ある法制度として、中立公正性に関する基準をどこで書くかということは極めて重要な法制課題であると思うのであります。
 この点について、内閣法制局において十分に問題の所在をしんしゃくされて、誤りのないような対処をされることを強く要請しておきたいところでございますが、内閣法制局の考えがあれば出していただきたいと思います。
秋山政府特別補佐人 公務員制度改革大綱に基づきます具体的な改革内容の立法化作業は、現在、お尋ねの点も含め、関係当局間で検討されている問題でございます。
 法制局の立場で、一般論としてこの考え方を申し上げますと、公務員の中立性、公正性の確保に関し、公正で客観的な基準に基づくルールが整備されていなければならないということは当然でありますが、内閣は、国会の信任のもとに、国会に対して責任を負いながら行政権を行使する立場にあるものでございますので、このようなルールの一部を政令で定めてはならないということには直ちにはならない。言いかえますと、どのような要件でどのような形式の下位規範に委任することが適切で合理的かということは、具体的な個別の事項に即して立法政策上の判断にゆだねられているものと考えます。
 ただ、このような考え方に基づき政令委任をする場合におきましても、例えば憲法第十五条、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というような規定もございますし、人事院が果たす役割を十分勘案しながら、その委任の仕組みが適切なものかどうかについて改めて個別具体的に検討されるべきものと考えます。
 内閣法制局としましても、以上申し上げましたような考えに従いまして公務員制度改革についての法律案の審査に当たってまいる所存でございます。
重野委員 以上で終わります。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 有線電気通信法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十三分散会


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