衆議院

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第9号 平成14年12月3日(火曜日)

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平成十四年十二月三日(火曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      渡辺 博道君    赤松 広隆君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  壷井 俊博君
   政府参考人
   (内閣法制局総務主幹)  横畠 裕介君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   稲村 公望君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   大野 慎一君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      上杉 秋則君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月三日
 辞任         補欠選任
  滝   実君     渡辺 博道君
  赤松 広隆君     大出  彰君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     滝   実君
  大出  彰君     赤松 広隆君
    ―――――――――――――
十二月三日
 国民のスポーツ機会を確保するための民間スポーツ施設に係る固定資産税の軽減に関する請願(玉置一弥君紹介)(第五一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇二号)(参議院送付)
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇三号)(参議院送付)
 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 第百五十四回国会、内閣提出、参議院送付、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省政策統括官稲村公望君、総務省政策統括官大野慎一君、内閣官房内閣参事官壷井俊博君、内閣法制局総務主幹横畠裕介君及び公正取引委員会事務総局経済取引局長上杉秋則君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。
谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。いわゆる行政手続オンライン化関係三法案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 では、まず最初に片山総務大臣にお伺いしたいと思います。
 二〇〇一年の一月に発表されましたe―Japan戦略におきまして、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となる、こういう大きな目標が掲げられました。既に二年が過ぎました。半ばに差しかかろうとしておりますが、この間、インターネットの普及率で見れば、一九九九年の十二月の二一・四%から二年後の二〇〇一年十二月には四四・〇%と倍増しているわけでございますけれども、同時に、世界各国が同じようにこのことを最優先課題として進めている関係もありまして、国別の順位で見れば、この普及率は十三位から十六位へと実は後退をしております。こういう状況の中で、さらなる政府による一層のIT国家化への加速が必要であると私は思います。
 その中で、この電子政府、電子自治体の推進というのは大きな重点政策の一つになると思いますが、このような状況の中で、どのようにしてさらに我が国のIT化を進めていかれるのか、その所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 今、谷本委員が言われましたように、e―Japan戦略を去年の一月に決めました。アクションプランもそれに基づいてつくりました。また、二〇〇二年のプログラムというのも別につくっておりますが、そういう世界最先端のIT国家を目指す重点課題の一つが電子政府、電子自治体の実現でございまして、このために、アクションプランの方では、届け出、申請等の行政手続については十五年度中にすべて電子化する、引き続いて電子調達あるいは電子入札、さらには電子申告、電子納税等に進んでいく、こういうアクションプランをつくっておりまして、その最初にやります行政手続のオンライン化、電子化がこの三法に基づく、こういうことでございます。
 この電子化をやる際に、あわせて行政すべての事務の見直しをやり、業務改革をやり、行政の簡素効率化もあわせて図ろう、こういたしておりまして、現在、そのために、各省はそれぞれその所管についていろいろな努力をしているところでございます。
谷本委員 ありがとうございます。よくわかりました。日本の場合には、IT化というのは非常におくれておりますので、さらなる加速策をお願いしたいと思います。
 続きまして、二問目に移らせていただきますが、大野政策統括官に質問いたしたいと思います。
 今回、この中で入っております電子認証システムについてお伺いをしたいと思うんですが、この電子認証システム、本人の確認をする。今までの対面から、インターネットを通した、相手がわからない状態での手続あるいは取引というものを行う場合に、本人であるかどうか、成り済ましや改ざんがないかどうか、これは非常に重要なポイントになってくると思います。もちろん、行政手続のみならず、一般の、民間のこういうシステムの中でも電子認証のシステムというのは非常に重要なものになると思いますが、私の知るところでは、民間、公共を含めまして、このシステム、日本独自のシステムというよりも、海外の、アメリカであったりあるいはアイルランドのシステムというものが大半を占めているというふうに認識をしております。
 そういう中で、今回、地方自治体がこのシステムを導入する。聞くところによると、それぞれの認証システムを持った会社がいろいろなアプローチを地方にしているといううわさも伺います。そのような流れの中で、もし万が一、地方公共団体がそれぞれに別々のシステムを導入するようなことがあった場合には、互換性の問題等がまた起こり、そこに効率化が損なわれるという問題が出てくると思います。
 このような電子認証システムの導入に関しまして、別々のシステムが入らないような方策をどのようにとられているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
大野政府参考人 ただいま議員お尋ねの、いわゆる公的個人認証システムでございますが、おっしゃるように、もともとこのシステムは、インターネット社会におけるセキュリティー対策という観点から構築されてきた仕組みでございまして、全国どこに住んでいる方々に対しましても、セキュリティー面でオンライン申請に使えるシステムをつくるということでございます。
 この場合の電子署名に関係いたします暗号技術を使った公開かぎとか秘密かぎあるいは電子証明書の発行事務などにつきまして、御指摘のように、これはばらばらでは困るわけでございまして、技術的な基準などを含めまして、法案を通していただいた後の政省令などできちんと統一的なシステムをつくってまいりたい、このように思っておるところでございます。
谷本委員 わかりました。このシステム、電子認証という部分が、電子政府、電子自治体では非常に重要になると思いますので、その辺、間違いのないように、しっかりと対策を講じていただきたいというふうに思います。
 それでは、最後の質問、三問目に行かせていただきます。十分という非常に短い時間ですので、最後の質問になります。
 先ほど片山総務大臣の方からも、IT国家をつくる、電子政府、電子自治体をつくっていく、その中では、単に文書をインターネットの上に載せるというだけではなくて、同時にそれぞれの業務、そういったものを効率化、簡素化していくことが大事だというお話をいただいたと思います。
 それに関連をいたしまして、実はことしの八月に自民党のe―Japan重点計画特命委員会でも話題になったことなんですけれども、法律改正案、これの公式文書の中で、これは法律ではなくて慣例で使われているんですが、改め文という方式が今使われております。これは、何々を何々に改め、何々を何々に改めと、改正部分だけをずっと羅列する文書でありますが、私のように、まだまだ一年生議員で、すべての法律を、その条文をすべてはっきりと暗記していない者がこれを見ますと、何をどういうふうに変えているのか、何がどの改正点なのか、そういうことが全くわからない文書であるというふうに私は思います。同時に、改正法案につきましては、参考資料の新旧対照表というのもついています。これは見れば一目瞭然ではっきりとよくわかるので、私としては、こちらをよく参考にしながら見ております。
 こういった状態の中で、そういう行政の作業を簡素化するという話の中で、この改め文というものが、改正手続の中で果たしてこういうやり方でいいのかどうかということをぜひ一度考えていただきたい。こういう方式を使っているのは、実は日本だけでございます。アメリカにおきましては、議員立法が多いという状況の違いもありますけれども、アメリカでは逆に、こういう書き方は禁止をされております。この改め文を見てわかる国民は、恐らくほとんどだれもいないと思います。専門家、官僚の方々でなければわからない文書じゃないかというふうに思います。
 これにつきまして、十一月から政府の情報化統括責任者の連絡会議というのが始まったようでございますけれども、この中でしっかりとした議論をしていただきたいと思っているところでありますが、この改め文の使用に関しまして、内閣法制局の方の見解を伺いたいと思います。
横畠政府参考人 お答えいたします。
 内閣法制局におきましては、法令の正確性はもとより、これが国民にとってわかりやすいものとなるよう平素から意を用いているところでございます。また、法令案の作成事務の簡素合理化につきましても努力をしているところでございます。御指摘のいわゆる改め文と言われる逐語的改正方式は、改正点が明確であり、かつ簡素に表現できるというメリットがあることから、それなりの改善、工夫の努力を経て、我が国における法改正の方法として定着しているものと考えております。
 一方、新旧対照表は、現在、改正内容の理解を助けるための参考資料として作成しているものでございますが、逐語的改正方式をやめて、これを改正法案の本体とすることにつきましては、まず、一般的に新旧対照表は改め文よりも相当に大部となるということが避けられず、その全体について正確性を期すための事務にこれまで以上に多大の時間と労力を要すると考えられるということが一つございます。また、条項の移動など、新旧対照表ではその改正の内容が十分に表現できないということもあると考えられます。このようなことから、実際上困難があるものと考えております。
 ちなみに一例を申し上げますと、平成十一年でございますが、中央省庁等改革関係法施行法という法律がございました。改め文による法案本体は全体で九百四十ページという大部のものでございましたけれども、その新旧対照表は、縮小印刷をさせていただきまして、四千七百六十五ページに達しております。これを改め文と同じ一ページ当たりの文字数で換算いたしますと、二万一千三百五ページということになりまして、実に改め文の二十二倍を超える膨大な量となってしまう、こういう現実がございます。
谷本委員 時間が終わりましたので、これで終わろうと思いますが、こういう部分についても、しっかりとさらなる議論を続けていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
遠藤委員長 次に、島聡君。
島委員 改めて、せっかく紹介を受けましたので、ネクストの総務大臣ということです。
 きょうのこの電子政府三法案というのにつきましては、我が党としては、極めて重要な法案として位置づけています。できるなら、本当に徹底した慎重審議をすべきであるという大方針で私たちは臨んでおります。
 大きなものは、いわゆる住民基本台帳の適用をするのが今回拡大されていく、こういう問題について、個人情報保護法とかそういうものがまだきちんと明らかになっていない段階で、これを審議してどんどん進めていくというのはおかしいじゃないか、そういう認識を私たちはまず持っているわけです。電子政府自体に関しては、当然、民主党も進めていくべきであるとは思います。ただ、その前提における個人情報の保護及びプライバシー、一体どうするのか、そういう観点からまず聞いておかなくちゃいけないことがある。
 片山総務大臣、前回の私の質問で、住基と個人情報保護法の関係はいろいろ前の国会でも議論いただいた、法律的には、やはり内閣として、個人情報保護法を出している、あとは国会で御審議の上、成立をさせていただきたいと。要するに国会に出しておればそれでいいんだ、そういう答弁を大臣もされました。内閣法制局も同じ見解だと言われました。
 今、個人情報保護法は、私どもじゃなくて内閣委員会でありますけれども、内閣委員会でいろいろな議論がある。どうなるかわからないけれども、廃案になるかもしれないという話もあるんですよ。(発言する者あり)もちろんまだわからない。それだから聞くんだ。わからないから聞くんです。
 廃案になったら、この廃案になるような法律を閣法として出しても、それは責任を通したと言えるんですか、大臣。
片山国務大臣 この問題は何度も当委員会でも御議論賜っておりますけれども、個人情報保護法というのは全体の法律なんです、官民を通じる。それの特別法が行政機関個人情報保護法なんです。これはいずれも今、内閣委員会で継続審査ですね。その特別法が住民基本台帳の改正法案なんですよ。だから法的には、個人情報保護法や行政機関個人情報保護法がなければ住民基本台帳ネットワークの個人情報保護ができないなんということは一切ない。一番きつくしているのが住民基本台帳法の改正案なんです。その次が行政機関全般、それから全部なんです。
 ただ、釈迦に説法ですけれども、国会の審議の過程で、漠然とした不安があるから官民を通じ広い大きなものがあった方がいいんじゃなかろうかという御議論があって、個人情報保護法をそれじゃやろう、こういうことになりまして、そこで議員修正で附則の中の一項に、政府は所要の措置をとると。あれは議員修正なんですよ。そこで、政府は所要の措置をとるということは、内容を固めて国会に出させていただいて、御審議をいただくところまでが政府の権限と責任なんですね。あと、それを通していただくというのは国会の方でお決めになることなんです。そこで、法律的に言えばそこで政府は所要の措置をとったということになりますと。これは我々もそういう解釈ですし、内閣法制局も同じです、こういうことを申し上げたんです。
 ただ、政治的に言えば、やはり出したものは通す最大の努力をする、こういうことでございまして、まだこの臨時国会もあと少し会期がありますから、我々としてはぜひ個人情報保護法や行政機関個人情報保護法を通していただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
島委員 今聞いたのは、廃案になっても、廃案になるような事態になっても、今おっしゃった答弁は変わらないんですかということを聞いたんです、そうなったらということ。
片山国務大臣 廃案になるかどうかは国会でお決めになることでございまして、行政府の私がとやかく言うことではない、こういうふうに思います。
島委員 大体、それでは仮定の質問には答えられません、そういう話なんだと思うんだけれども、今の論理、つまり、内閣が提出すればそれで済むというのは、廃案になるような法律、そういうのを出してもそれは通用すると思われるんですか、そういうことを聞いているんです。
片山国務大臣 内閣は最善の法案を出させていただいたわけでございまして、その法案の御判断は立法府である国会においてなされるべきものだと思っております。
島委員 今聞いているのは、また同じような議論になるかもしれませんけれども、もう一回聞きますね。国対委員長もずっとやっておられたんだから、参議院で。片山国対、何年でしたか、最長だといってホームページに書いてあったんだから、そういう国対委員長に聞くんだけれども、廃案になるということは、どこか欠陥があるから廃案になるんじゃないですか。
片山国務大臣 いや、それはまさに立法府の御判断なんですが、欠陥があるから廃案ということじゃないでしょう。与野党の国会運営上のいろいろな話し合い、あるいは内容についての合意がなかなかできない、こういうことじゃないんでしょうか。
 ただ、政府としては、やはり個人情報保護法や行政機関個人情報保護法についてはぜひ通していただきたい、この国会でお願いいたしたい、こういう立場でございます。
島委員 物すごく何回でもやりとりで恐縮ですが、今おっしゃった、廃案になるというのは、それは廃案になるような法律を出した省庁が悪いんじゃないんですか、どうですか。
片山国務大臣 先ほども御答弁しましたように、政府としては最善のものを出させていただいて、国会で御審議をいただく、こういうことでございますが、与野党のお立場やお考え、いろいろなことがあるんでしょう。いずれにせよ、私は、しかし近々には通していただける、こういうふうに思っております。
島委員 政府としては最善という、その政府とはだれのことですか。
片山国務大臣 行政府の行を取って政府と言うんですよ。内閣のことなんですね。だから、内閣としては最善だと考えて出したわけであります。
島委員 だから、内閣の構成員は大臣も入りますからね、憲法上。それが通らない。これは非常に矛盾しているんですよ。内閣の構成員である大臣も最善だと思うものを出しても、出なかった。それで、それは通っていない。通っていなくて、廃案になるかもしれない。でも、それはそれとして、こっちはこっちでいいんだ、そういう話ですか、これは。
片山国務大臣 我が国は三権分立ですから、内閣というか行政府は法案をつくって、内閣提出ということで出させていただく。それを立法府である国会で、国会の権限でどうするか。これは料理をしていただいて、通したり、そうでなかったり、いろいろなことになるわけでございまして、その決定にはまた行政府は従うと。三権分立ですから、内閣が法律をつくるとかそういう権限は全くないわけでございまして、内閣が精いっぱいの所要の措置やいい法案をつくって、国会に出させていただいて御審議をお願いする。そのために十分内閣として説明責任を果たして、それが成立するように最善の努力を払うということじゃないでしょうか。
島委員 憲法調査会の議論になっていくと思います。その内閣の、今三権分立と片山大臣がおっしゃったのは、三権を完全にようかんのように三つに分けていくという話で、議院内閣制をどうとらえるか、そういう判断にもつながってくると思います。議院内閣制を、いわゆる議院内閣制において内閣と政府が一体であるというふうにとらえるならその議論は成り立ちませんので、そういう主張を私はしているわけであります。だから、これはまた非常に大きな問題があって、これからも次々と我が同僚議員が言っていくと思いますので、こういう状況ではおかしいなと思っております。
 今、行政機関個人情報保護法、当然それを通していただくということが前提であるとおっしゃっていますが、通らないかもしれない。通らないのに、今、行政機関、一切そういう個人情報が漏れるようなことがない等々おっしゃったわけでありますが、今回の法案というのは、いろいろな、いわゆるオンライン申請の希望者に対する電子証明書もありますし、それから書面による申請、届け出の捺印に相当する電子署名というのがあるわけです。
 参議院の審議で、我が党と連携している無所属の会の高橋議員が映画「インターネット」の話をされたと思います。この映画「インターネット」というのはどういうものかというと、アメリカの映画なんですけれども、自分のIDカードが何者かに、ハッカーにアクセスされて改ざんされてしまう、そういう話であります。
 それで、重要なことは、そういうことがあった場合に、まず一つは、例えば片山総務大臣のその一つのカード、あるいは電子認証証明書、電子認証カード、そういうものがある。おかしいと思ったらおかしいということをするために開示請求、そしてその開示請求をして、おかしかったらそれを直せということを言えなくちゃならない。現在の行政機関個人情報保護法ではそれはできませんよね。大臣、どうですか。
片山国務大臣 カードの話はまた別なんです。アメリカのICカードは別なんですよ、日本は今カードの仕組みをとっておりませんから。
 ただ、来年の八月からは、市町村が、市町村の住民の皆さんが市町村に自分の住民基本台帳カードをつくってくれという請求があったら、それはカードを交付しなさいと。その場合に、四情報を載せるんですけれども、ただ、それぞれの市町村で、それを例えば公共施設の予約に使おうとか、あるいは一種の身分証明書に使おうとか、介護保険や国民健康保険に使おうとかということなら、条例で決めていただければ使えますよ、こういうことでございまして、アメリカのような、国がちゃんと法定をしたようないわゆる身分証明のICカードではないんです。
 そういうことを考えておりまして、ちょっと参議院の質問のときにも申し上げましたが、日本とは全然事情が違うんですよ。日本の今の住基ネットワークは、もう釈迦に説法ですけれども、四情報についてだけですよ。これを行政機関の本人確認に使わせるということですよ。行政機関、共済年金でいうと共済年金を払うところが本人確認のために、それだけなんですよ、今。
島委員 これも釈迦に説法だと思いますが、あえて。
 今言ったことはこういうことです。行政機関個人情報保護法で、間違っていると思って、自己情報を開示請求する。現在の行政機関個人情報保護法では、個人情報ファイル簿に記載されていることが条件である、そういうことですよね。教育情報、医療情報、刑事事件関係情報についてはこの開示請求の対象外、そうなっています。それで、開示請求がオーケーでも、自己情報に誤りを発見した場合にその訂正または削除を請求する権利を認めるべきであるが、本法の規定はあくまでも訂正の申し出を認めているのにすぎないんだと。
 ということは、今、要するに行政に関する個人情報保護法がきちんと、もちろん最善の努力をすることはわかりました、国会でやるので一生懸命最善の努力を政府としてされることはわかった。でも通らなかったら、開示請求があっても、自己情報に誤り、これは間違っていると言っても、削除やそういう権利は、訂正の申し出を認めているだけなんですよ、今は。こういう状況で何で、もし仮にそのときにまた通っていなかったら、これで動かすことは危険だと思いませんか、片山大臣。
片山国務大臣 今は訂正はできるんですね。(島委員「請求はできる」と呼ぶ)訂正の請求はあるんですが、今の行政機関個人情報保護法には、委員が言われるような開示請求権というのは規定されておりませんので、今回の改正法案でそれを入れているわけであります。
島委員 ですから、そうすると、国会を通すために最善を尽くすことはわかりましたが、そういうときに、また通っていなかった場合に、それでもなおかつこういうものを稼働するのは危険だと思いませんか、そういう質問です。
片山国務大臣 今回の私どもが出した三法案は、今申請や届け出は紙でしかやれないんですよ、もう御承知のとおりですね。それを電子情報でも結構です、インターネットでオンラインにして届け出をすることも結構ですよ、これだけの法案でございまして、だからそれが、今委員が言われたように、それと結びついてできないなんということはないので、手続の電子化を我々は言っているわけでございます。
島委員 釈迦に説法だと思って言うんですけれども、だって電子署名というのがあるわけでしょう。そうすると、電子署名の、それを改ざんすることも可能かもしれませんよ、もちろんそういうことは全部やっているという話をするんでしょうけれども。それがおかしいとか、そういうことをきちんと言えないような状況では危険じゃないですかという話をしているわけです。
 若松さんが一生懸命待っていますから聞きますが、今回の個人認証法、今、いわゆる電子証明書や電子署名、普通、キャッシュカードでも、銀行でもみんな使っています。自分を認証するし、やっています。だけれども、今回の場合と何が一番違うか。銀行のキャッシュカードなんというのはクローズなんです。ところが、インターネットを使った瞬間に、これは非常にオープンになる。そうすると、いろいろなことがあったとしても、それを盗み見たり、いわゆるパスワードとかID番号の情報なんというのを盗むのは簡単なんだから、暗号化したりしてもそういうこともできるかもしれない。セキュリティーの問題に対してどういうふうに考えているのか、若松副大臣、お願いします。
若松副大臣 まず、島委員、私も島委員のホームページのリピーターでございまして、私のホームページにもちゃんとリンクをさせていただいております。そういう先駆的な、大変専門家の御質問でございますので、ちょっと丁寧に、かつ正確にやらせていただきたいと思います。
 まず、今委員御指摘のパスワード等を用いて本人の認証を行う場合ですけれども、まさにそういう危惧というんでしょうか、第三者にパスワードを知られてしまって本人に成り済ましとか、また通信途中で盗み見られるなど、危険性があるところはいろいろな角度から指摘されております。
 しかし、今回私どもが予定しております公的個人認証サービス、これにつきましては、電子署名に用いる秘密かぎを外部から読み取られることがないようにICカードの中に格納いたしまして、この秘密かぎを、まさにパソコンとかコンピューター等のハードに入らない、そういうICカードの中に格納するという形での処理をしておりまして、結果的にインターネットに流れないというふうに仕組みをしております。そういう意味で、安全性には十分な対応を講じていると理解しております。
島委員 一回生議員のときに宿舎も隣同士だった若松副大臣でございますので、リンクも張ってくださったということは感謝いたしております。
 本当にこれは技術との追いかけっこなんですけれども、いろいろな意味で、もちろん成り済ましとか、それから途中ではハッカーというのはたくさんあると思います。ただ、現実としては、インターネットに、いろいろなネットワークに情報を流すと、その瞬間、流した瞬間に危険性が増すということは事実なんですよ。だから、できる限りそれは流さない方がいいんです。専門家であればあるほど思うんです。専門家で議論すると、私よりも物すごい専門家と話をすると、自分のコンピューターというのは絶対にネットワークを組まないというんです、どういうふうにでもできるから。
 それで、電子証明書の発行の話を聞きます。
 改めて確認の意味でお話を申し上げますが、いわゆる電子証明書の発行手続というのは、ICカードを持っていって、市役所、町村役場に出向いて申し込むわけですね。市町村は対面で、例えば荒井先生だったら、この人は荒井先生だということを市町村はそうやって本人を確認する、その場で本人がコンピューターで電子署名を作成する。電子署名の技術というのは、最新の技術だ、今おっしゃった公開かぎ暗号方式を採用する。その上で市町村は、住所、氏名、生年月日、性別等、電子署名の情報を総合行政ネットワークを通じて都道府県に送信する。都道府県知事は内容を確認して電子証明書を発行する。
 今そこで本人確認しているんです。今申し上げたのは、そういう情報を流すのは少ない方がいいんです、いろいろなことをやっても、結果、技術というのは追いかけっこですから。都道府県知事は内容を確認して電子証明書を発行して、市町村を経由して申請者に交付する、これでいいと思うんですけれども、これでよろしいですよね。そういうことは何で一々これは都道府県に出すのか、別に市町村でやってもいいんじゃないか、その方が危険性は増すんじゃないか、そういうふうに思うんですが、いかがですか。
若松副大臣 恐らく御質問は二点あろうかと思うんです。
 まず、都道府県と市町村間のいわゆる通信のやりとりの安全性についてのお尋ねでございますが、これについては、電子証明書の発行申請を受け付ける市町村の窓口のパソコンと証明書を発行する都道府県のコンピューターとの間は、今おっしゃったように、総合行政ネットワークを用いて通信を行うことを私ども予定しておりまして、その総合行政ネットワークシステムにおきましては、ファイアウオール等による不正侵入防止措置の講じられた専用回線を活用しておりますし、また、ICカードを用いた操作者のアクセス限定等、さまざまなセキュリティー対策を講じております。
 そして、二点目の御質問であります、都道府県が電子証明書の発行業務を行う、なぜそれをやるかという理由でございますが、まず、証明書発行業務につきましては、電子証明書の発行の時点並びに当該証明書の有効性確認の実施の時点において、公開かぎ証明書と本人との関係に係る証明を行う必要があるということで、信頼性の高い失効情報を効率的に作成できるとともに、運営経費等の経済性や均質で信頼性の高いサービスを全国的に確保できる、こういった観点から都道府県が行うことが適当と考えております。
 結局、この発行業務につきましては、証明書発行措置等の特別の機器が当然必要になるわけでありまして、これらの機器につきましては、発行機関の数に応じて必要な数量が増加するものということで、したがいまして、発行経費をできるだけ抑えるためには都道府県知事が行うことが効果的ではないか、そのように至った次第でございます。
 さらに、発行した電子証明書の失効管理につきましては、住民基本台帳ネットワークシステムからの情報提供がこれは当然必要不可欠でありまして、住民基本台帳法におきまして情報提供ができるのは都道府県知事に限られている、こういう、まさに情報提供を円滑に行うために、都道府県知事がこの業務を行うのが適切である、このような判断のもとに現制度のシステムになった次第でございます。
島委員 予習の成果が十分あらわれていたというふうに思うんですが、今度、申請についてお聞きします。
 私たちの主張は、今言ったように、できるだけ、住基もそうなんだけれども、一カ所にまとめてしまうとハッカーが入ったときにすごい被害が多い、だから、都道府県知事全体でやるというんじゃなくて、例えば市町村ごとにした方がいい、その方が安全性が高いということなんです。
 申請をした場合にも、こういうふうになりますよね。申請を受信する、行政機関は電子証明書の公開かぎで暗号を解除して、申請内容全体は復元する。電子証明書の発行都道府県に対して、住所、氏名をまた確認するというんです。そのときにまた住基ネットを使って都道府県に確認するというんですが、別にそんな、都道府県に確認しなくたって、市町村で確認すればその方がいいんじゃないですか、若松さん、どうですか。
若松副大臣 委員の御質問は、要は住基ネットを使わなくても確認ができる、そういう御指摘だと思うんですが、公的個人認証サービス、これにつきましては、全国の都道府県または市町村、さらには国の各省庁で共通して利用できる信頼性の高い電子証明書、これが何としても必要でありまして、それを全国どこに住んでいる人にも安い費用で提供するという、まさにこれが大前提にあるわけでございます。そういった意味からの全国共通の本人確認が可能となるシステムのために住基ネットを利用することが不可欠だ、こういうふうに私どもは考えております。
 この住基ネットを利用するメリットをちょっと確認させていただきたいんですが、大きく四点ございまして、まず経済性の観点からは、住基ネットを活用することによりまして、別に全国的なシステムを構築し新たな投資を行う必要がない。
 二点目の個人情報保護の観点でございますが、住民基本台帳ネットワークから異動等の失効情報の提供を受けることによりまして、公的個人認証サービスのシステム側で住所異動等による個人情報の収集を行わないで的確な失効情報を作成することが可能になっている。
 三つ目のメリットですが、信頼性の観点という点から、住基ネットからの異動等失効情報の提供の場合に、自動的に失効リストが作成され、迅速かつ正確な電子証明書の失効情報の作成が可能になる。
 最後の四つ目のメリットですが、利用者負担の軽減という観点から、この電子証明書記載事項の変更がある場合にでも利用者が改めて申告する必要がない、そういう意味で利用者の負担が軽減される。以上のメリットがありますので、やはり住基ネットの活用は必要であるというふうに理解しております。
島委員 今言われたように、私どもは、これは住基ネットを活用しなくてもできるんではないか、そういうことで主張をしています。今の若松副大臣の議事録を精査しまして、恐らく、次回の議論のときには、私より、私、これはもうIT世代の古い世代に入りまして、うちの方はもう新世代が続々と出ていますので、その新世代がもっとより具体的に、より専門的な質問で迫りますので、ぜひともそれに対してきちんとした説明責任を果たしていただきたい。さっき片山大臣も説明責任を果たすのは重要だと言ったんだから、それをきちんとやっていただくようにしていただきます。
 それで、次に、時間があっという間に来てしまって、きょうは文部科学大臣政務官に来ていただいておりますが、電子政府をつくる、一体それはどういうことがプラスになるんですかということを事前に聞きました。もちろん、今おっしゃった行政改革、業務の効率化というのもあります。それと同時に、今回の法案じゃなくて、一般的な電子政府に関しては、例えばいわゆる行政情報が自由に取り入れることができる、そういう話になったわけであります。
 電子政府の効用で、入手した資料の加工や編集が容易になっていろいろなことができるということがあるわけでありますが、日本の著作権の法律の問題が出てきます。著作権保護が免除されるのは、法令、規則、判決のみとされているというのが著作権法十三条、もちろん白書の資料なんかはいいという話でありますが、これだけですと一体どこまで、事前に聞いたらほとんどの政府資料が著作権保護じゃなくて大丈夫ですと言うんだけれども、これはほとんどで、ではどこが違うんですかと言ったら、よくきちんと説明できなかったんですよね。一体どういうものだったら自由に使えて、どういうものだったらだめなんですか。
池坊大臣政務官 今、島委員の御指摘のように、著作権法十三条によりますと、憲法その他の法令、国もしくは地方公共団体の機関等が発する告示、訓令、通達、裁判所の判決、決定、命令等については著作権がなく、これらについては自由に利用することができます。
 他方、政府が公表いたしますいわゆる白書とか統計資料、報告書を含めその他の著作物については、著作権がございます。著作権法による保護の対象となります。
 ただし、著作権法による保護の対象となる著作物についても、一定の特別な場合には、著作権者に許諾を得ることなく著作物を利用できることとする例外規定が設けられております。例えば、白書などは国や地方公共団体の機関等が一般に周知させることを目的として作成されております。その著作の名義のもとに公表する広報資料、調査統計資料、報告書については、著作権法第三十二条の二項によって例外規定が設けられております。説明の材料として新聞、雑誌その他の刊行物に、著作権者の許諾を得ずに掲載できることとされております。また、言うまでもなく、ただいま申し上げましたような例外規定に該当しないような著作物の利用、例えば政府の出版物、白書などを無断でコピーして他に販売するような行為というのは、自由に行うことはできません。
 また、政府以外のものとしては、引用して利用する場合、学校等の授業において利用する場合、報道目的で利用する場合、福祉目的で利用する場合などは、政府の著作物を有するものを含め、著作物一般について、例外規定により著作者の許諾を得ることなく利用できるというふうにされております。
島委員 アメリカ著作権法百五条というのは、本法における著作権、つまり著作権の保護は合衆国政府のあらゆる著作物に対して適用されないとなっています。要するに、公務員がつくったものというのは、一回給料を払っているんだからどれだけ使ってもいい、そういう話なんです。今後、電子政府になったらそういうことも十分検討していく必要があると思いますので、それだけ申し上げます。時間の関係で次に行きます。
 電子政府になった、随分たくさんの投資をするんでしょう、いろいろな意味で。聞いてみると、二十四時間届け出ができるようになる。大臣、お聞きしますけれども、二十四時間届け出ることができるようになるそうですが、カードリーダーというのを買うのだそうです、一個六千円か七千円。それを買って、大臣、どんなものを届け出されますか、二十四時間で。
若松副大臣 済みません、極めて現場的な話ですので。
 そのリーダー自体が恐らく市販価格で五千円程度、そういうふうに理解されておりまして、このリーダーも、今後、金融機関等のICカードの普及に合わせて、当然価格の低下もありますし、さらにパソコンそのものに基本装備されていくということで、かなり利用しやすくなるということで、結局、二十四時間、このカードがあることによって、セキュリティーも保たれながら、どこでも、いつでも、まさに行政サービスを受けられる、これがやはり何といってもメリットであり、五千円を超える、国民のメリットは大きいものではないか、私はそのように考えております。
島委員 では、若松さん、お聞きしますけれども、それで一体何をやられますか。何が言いたいかというと、大変な投資をして電子政府をつくって、国民に対してどれだけメリットがあるかということを明快にしたいのです。
 二十四時間の届け出ができる。今、例えば自治体の自治及び法定受託事務、幾つかありますけれども、アクションプランでは五千ぐらいそれをやるというんですよ。だけれども、五千の手続をそういうふうに電子化するというんだけれども、上位五十手続で九七%なんです。上位五十手続、手続件数が多い手続から足すとほぼ九七%になるんです。
 ちなみに、上位十手続で七九%、二十手続で八八%、上位三十手続で九三%、それで上位五十手続で九七%です。それを、大変な労力と大変な資金をかけて。だから、何をやりますかと聞いたのです。
若松副大臣 私は仕事が公認会計士、税理士でありまして、何といってもやはり電子納税ですね。税務署に行きますとどうしても列で時間がとられる、そういうことで、自宅で何時でも申告ができれば、かなり国民に利便性を感じていただけるのでないか。それだけではなくて、当然、パスポートですね、パスポートの交付請求とか、さらには、御存じのように健康保険、厚生年金の資格取得、喪失、こういった届け出も一々本人確認が必要になる。それが、わざわざ本人がしなくても行政がやってくれる、これは私は大きなメリットがあるのではないかと理解しております。
島委員 一番、手続件数が多いのは住民票の写しの交付の請求ですよ。あと、戸籍抄本、四位が転入届、転出届。二十四時間といったって、国民はそんな毎回、何回も何回も転入、転出しませんからね。だから、電子政府というのは第二の公共事業で、ともかく、何かどんどんお金を使うんだというような意見があるんですよ。それについては私ども、今後徹底して審議していきますけれども、大臣、大臣からして、これは本当に国民に対して今そんなにメリットあるんですか。
片山国務大臣 今言われた住民票は八千五百万部ですよ、出ているのが。戸籍謄本・抄本が三千五百万。それから今の、年金だ何だ。それから、これからやるとすればパスポートなんかそうですよね。電子申告・納税、パスポート、それから登記あるいは車の関係だとか、それは、今までは一々役所に行って手続をとって添付書類をつけてとやるものが、これから職場やあるいは自分の家からインターネットのオンラインでやれるようになる。好きな人は今までどおり紙で持っていけばいいのですよ。それは大変な便益ですよ。それから、電子入札というのを今あちこちでやっていますけれども、国土交通省も直轄事業をやりますけれども、これによってまたいろいろな総合的なメリットもあるわけです。
 それは最初は小さく出て、だんだんこういうものが皆さんの合意を得ながら利用していくんで、私は、これは、e―Japan戦略にもはっきり書いておりますように、国民の皆さんの便益の向上、サービスの向上になるし、この機会に行政改革ができる、業務改革ができて、簡素効率化になるし、さらにそれを我々は、できれば地方においてもIT産業を根づかせる一つの契機にしたい、こう考えておりまして、その効果は、それは島委員はおわかりになりながら言っていると思いますけれども、私は極めて大きいものがあると思っております。
島委員 国民の便益がまだないと私は思っているんです、実は。私は、電子政府、今おっしゃったように、いろいろな効果があると思います。最終的には行政改革を進めるだろうし、ひょっとしたら国の形を変えていくかもしれない、そういうふうに思っています。さらには、今おっしゃったように、各地方におけるITの振興にも役立つかもしれないと思っています。だけれども、恐れているのは、今のままだと、法律をつくったけれどもなかなか皆さん使わないような気がする。今、八千五百万件と言われたけれども、国民一人にしたら一年に一回やるかやらないかです。それから、戸籍抄本三千五百二十一万、四人に一人ですよ。そのために五千円、六千円のカードリーダーを買う、そうかなと私は思うわけですね。
 ですから、例えば、イギリスなんかでやるときには、これを進めるときにインセンティブなんというのもつくっています。イギリスは、二〇〇二年までに政府の取引の二五%を電子化することを目標にしています。それで、今電子納税をおっしゃったけれども、電子納税をやった場合に、個人向け、インターネットを通じて自己申告したら十ポンドのキャッシュバックを行うとか、そういうことをやっております。
 これから進めようと思ったら、そういうインセンティブということも考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか、片山大臣。
片山国務大臣 今も手数料というのがありますよね、いろいろな役所にやってもらったら。手数料というのは実費に対する補てんなんですね。そういうことで、IT化、オンライン化によって相当手数が省けて実費が下がるようなら、それは考えなきゃいけませんね。だから、どういうインセンティブが今の段階でいいか、国民の納得が得られるか、それについては検討いたします。イギリスの例も一つの例でしょうけれども、我が国は我が国のやり方として検討はさせていただきます。
島委員 私どもの主張というのは、民主党の主張というのは、あくまで、今申し上げたように、電子政府、IT化ということに対しては必要であるというふうに考えております。ただ、個人情報の保護、プライバシーの保護というのはすごく重要だということを主張しました。そして、同様に、いわゆる第二の公共事業のようになってはいけない、そういうのが私どもの主張であります。
 先ほど申しましたように、私ももう既に、ITの時代というのは本当にラットイヤーでございますので、旧世代に入りましたから、これから次から次へと新しい、新世代のより詳しい人がいきますので、きょうのことを徹底して精査して、本当にプライバシーが保護できるのかということを追及して、そのために頑張っていきますから、それを宣言して私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。旧々世代が出てきまして、島さん、やりにくくなりまして、大変困っております。私の後の武正さんは新世代です。
 ですから、私は、はっきり言いまして、ITとかパソコンは苦手でございますけれども、きょう質問に立たせていただいておりますのは、毎回、住基法の問題を何度かやらせていただいております。考え方とか文明の進み方、情報化も入っておりますけれども、それに対してむしろ個人のあり方、あるいは哲学論争みたいになっちゃうかもしれませんけれども、そういう視点からこの法案を通じて、特に全国的に問題になっております住基ネット、私は、恐らく総務省、旧自治省も、法律ができて地方が反乱を起こすということは余りなかったのではないかと。
 ですから、やはりそれだけ、逆に言えばわかりづらいのかもしれませんし、危険もみんな感じている。特に、横浜の中田さんやら杉並の山田さん、非常に先端的な行政の長として、政治もわかっている、そして現場の市民、国民の気持ちもわかっている、そういう方々が象徴的に反対をされ、つながないということが出てきているわけでありますね。この八月五日の前あたりはマスコミも、今まで余り報道していなかった。急遽七月、六月ぐらいから慌てて、また、識者も反対運動に立ったり始めました。もう遅かったんですね。
 しかし、その後始まっても、五つの町、福島の矢祭ですか、それから杉並、国分寺、横浜、中野、そういうしっかりとした行政も反対をする。それから、一週間後に参加した町もあったり、あるいはささやかな抵抗として一時間おくらせてみたり、私の選挙区であります我孫子市は、情報漏れのおそれがあると判断したらすぐに切断するんだ、そんな意見もあります。こういったものも、つい最近ありました防衛庁の違法リストの漏えいだとか、情報に対しての問題点がたくさん出てきたということも加味されているかもしれないわけであります。
 それで、日弁連も随分反対をしておりますね。いろいろなアンケートをとったりして、各自治体でも非常に不安が拡大している。そういう中で、私は、少しの自治体ですけれども、このシステムに不参加、不接続をした自治体の判断はある意味では非常に賢明であり警告であったと思いますが、この地方の反乱というものをどのように理解されておりますか。
片山国務大臣 私は反乱とは少しも思っておりません。理解がもう少しいただけないのかなと。一億二千何百万は全部ネットに入っていただいてやっているんですよ。それで、不安、不安と言われますけれども、四情報ですから、しかもこれは、行政機関の手続の、本人確認のためだけに使っているんですから、だから、大変おどろおどろしいものだというイメージを持たれたのは、やはり我々の説明が不十分だったと思います。
 マスコミのことを言われましたけれども、松崎委員、少し調べてみてください。そういうふうに住基ネットを殊さら特別のもののような書き方をしているマスコミは、極めて例外でございます。名前を言うと、よろしゅうございますけれども、よく見ていただければ大変わかります。すべてのマスメディアやマスコミがやっているわけではない、極めて特定のところがかなり集中的にやっていただいたことは事実ですけれども。
 我々はこの四情報で、防衛庁のリストの問題とまた違うんですよ。基本的な本人確認の四情報で、行政機関の確認にだけ使う、それ以外一切使わせないわけでございまして、その辺は我々の努力不足で、説明不足で、ちゃんとわかっていただけない、こういうことでございますので、今一生懸命努力をいたしております。
 御承知のように、今あれしておりますのは四団体ですから。横浜市は、中田市長が私のところに参りまして、私のところは全員参加です、ただ段階的に参加させてほしい、こういうお話でございましたので、私は、段階的参加というのはないんだ、ないけれども、市長さんの今まで言われたことや立場もあるので、とりあえず二百何十万については、これは手続が、事務処理が相当かかりますから、その処理をしながら、引き続いて残りもぜひ早急なあれをお願いします、こういうふうに申し上げたわけでございます。
松崎委員 ちょっと手元にありませんが、毎日新聞の社説にも七月にちゃんと書いてありましたね。ですから、今の大臣の発言はかなり微妙な発言だと思いますね。マスコミ、特定のものだということですけれども、れっきとした新聞が、私もたくさん持っておりますけれども、マスコミもそうじゃないんですね。
 四情報、四情報ということで国民を説得しようとしておりますけれども、それにつながっていくシステムがいろいろ危険があるんじゃないかということが、みんな心配しているもとなんです。四情報のシステムそのものを言っているのじゃない。そこから派生していく、生き物でありますから、先ほど大臣もおっしゃったように、どんどん広げていくということになりますと、もちろん各自治体で条例もつくっていろいろなものにもつながっていく、それから、ネットとしていろいろな申請をしながら行き交うわけでありますから、そのときに侵入されることも非常にあるんじゃないか。
 これは、専門家の方々が随分言っていますね。皆さんの方の委員会に入っていらっしゃる伊藤さんもそうでしたね。集中化の危険性という、これは、電子政府あるいは電子自治体、私もこれからの発展していく社会の中で必要だと思いますよ。しかし、そのシステムがすべて善であるというふうに考えますと、それがにしきの御旗になってしまいますと大変危険があるということを我々はいつも言っているわけですね。そこに落とし穴があるんで、大臣の言うように、これだけの心配をする人たちが、四情報、四情報で皆さんが自治体を説得できるんであれば、私はこんなに、四団体と言っていますけれども、横浜も、中田さん、なかなか巧妙ですから、段階的とかいう言い方をしていますけれども、本音は、これは何とかつぶさなきゃいかぬということで始めているわけですね。
 この横浜で出しているビラも、「平成十五年八月以降」、こう書いてあるんですよね。八月以降まで、非通知の申し出をした場合に交付できない、こう全部書いてある。おっしゃるとおりに、では横浜の中田さんが、安全性の確保を確認したらつなぎますよと言っていますよね。でも、このビラでは、十五年八月以降も、申し出をした場合には交付できない、こう書いてある。だから、多分その時点でも安全性の確認はできそうもないなということを市長は想定してビラをまいているんですね。ですから、皆さんの上手を行くのが中田市長かもしれません。
 この安全性の確保の確認というのは、ここで横浜の市長、口頭だそうですけれども、いろいろ言っていますよね。責任の所在が不明確である、不測の事態に対する自治体の調査請求権がない、接続記録の開示請求の仕組みがない、職員の不正使用に対する罰則規定がない、住基ネットの将来像が明確でない、そして、安全性の確保を確認したらいいですよと。
 こういったこと、できますか。それから安全性の確保というのは、どういうところを中田市長が納得すると思いますか。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
片山国務大臣 もっと細かい説明は副大臣なりあるいは局長に話していただきますが、今、四情報だと。我々は四情報をふやそうなんて全く考えていないんです。四情報の利用をするところを、利用する事務をふやそうと考えているんです。四情報を六情報にする、八情報にすることは考えておりません。四情報のままです。ただ、四情報で本人確認をする事務の対象をふやそう、こう考えております。
 それから、今、本人確認のために使うんですが、おまえら、もっとふやすんじゃないか、つなげていくんじゃないかと。それは、仮にそれを広げる場合には、法律で、国会の御承認を得てやる、もう何度も申し上げております。別表にちゃんと、どういう行政機関がこの事務にだけ使えるということを法律で書いているわけですから、法律改正しなければ、拡大するなんということは簡単にできません。それはぜひ御理解賜りたいと思います。
 また、我々は、このシステムがすべて善人が善意でやっているなんて思わない、あらゆるシステムが。それは善意でない人もおるし、やり方もいろいろなことがあるかもしれませんので、我々としては、今考えられる最善の技術的なセキュリティー、あるいは運用面でのセキュリティー、あるいは法制的なセキュリティーをとっているわけです。行政機関の本人確認以外一切使わせないんですから、民間利用を禁じているんですから、だから、仮に四情報をだれかが取得しても、使えないんです、使うと罰せられるんですから。そういう厳重な仕組みをとっておりまして、名寄せなんかもマッチングも一切させない、こういうことでございまして、そこは極めて限定的に我々は考えております。この考え方は引き続いて持ち続けてまいりたい、こう思っております。
 ただ、本人確認の事務を、今度は電子政府、電子自治体にするものですから、申請の本体はインターネットで、オンラインで結構です、添付書類だけはちゃんと役場に行ってもらってきてくっつけて持ってこいよ、これでは申請の本体が死んでしまいますから、本体の申請もオンラインにするんなら、それについての本人確認の添付書類も、住民票や戸籍謄本や抄本も、これは住基ネットの照会の対象にしよう、それだけの話なんです。
 本体をオンライン化するから添付書類の方もオンライン化して、その事務を、百七十一ですか、何かふやさせていただこう。これは地方団体の要望でもありますし、各関係の機関の要望でもございますので、我々としては、ある程度整理して選んで、これを今回の三法案の中で、住基照会の本人確認情報についてはその対象を拡大させていただこう、こういうふうに考えておるわけでありまして、情報を拡大するとか使い方を拡大するとか、一切考えておりませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 中田市長が私に言ったのは、本人確認の場合の、どこの機関がどういう本人確認をしたかというのをアクセスログというんですね、これについての公開、公表はどうでしょうかと言うから、私は、それは一つ技術的な問題とお金の問題があります、それがクリアできれば、私個人は前向きに扱うべきだと考えておりますと。ほかのことについては、私には特に御注文はございませんでした。
 あるいは口頭なり、ほかの形で言われたのかもしれませんので、その関係については副大臣なり局長なりから答弁いたします。
芳山政府参考人 横浜市と総務大臣との会談の中で、市長の方からは、横浜市としては、全員参加であるけれども段階別に参加をしたいということでございまして、今大臣からお話がありましたように、その場では具体的な御要望があったわけではありませんけれども、議会の御答弁の中で五つくらいのことを言われております。我々も、早急に住民基本台帳ネットワークに参加をしていただきたい、違法状態を解消していただきたいということで、今後、鋭意精力的に話し合いをしてまいりたい、また、御要請についても御議論していきたいと思っています。
 市議会の本会議で御答弁した中で、一つは、国の責任問題がしっかり言われていないということでございますが、これも都度都度我々申し上げておりますけれども、住民基本台帳ネットワークそのものが市町村のみの責任に帰するものではない、市町村のサーバー、県のサーバー、また全国のサーバー、そしてまた総務大臣としての指定情報処理機関への監督責任というのをそれぞれ相対的に、立場に応じて負っておるんだということで、市町村のみの責任ではないということを都度都度これも会議の場等で申し上げておるわけでございます。
 またもう一つ、将来像が明確でないということもありますけれども、これは我々は、今大臣からお話がありましたように、住基の利用についてはこれまで各地方団体、全国三団体の意見を聞きながらやっておりまして、また、もちろん国会において御論議をいただくということでございまして、そういうことで対応してまいりたいと思っています。
 そのほか、アクセスログの関係、これは確かに各団体からもまた御要請がございまして、調査ネットワーク研究会でもって具体的に提案をし、また各県で構成する検討部会でただいま早急に検討を進めておるところでございます。
 なお、自治体における不測事態に対する調査請求が国に対して直接できないのではないかということが言われておりますが、これも法律の仕組みが、都道府県が指定情報処理機関に事務を委任するということになっておりまして、都道府県が国なりそういう機関に対する権限を持つという仕組みになっておりますが、市町村がどう絡むかについては、我々も実際の運用として今後検討してまいりたいと思っております。
 また、不正使用の問題についての罰則の問題、これも都度都度言われますけれども、今、守秘義務についての刑罰措置はございますが、不正目的という、構成要件が非常に不明確であるものについての具体的な措置は現在ありません。また、不正使用なり盗用についての刑法の特別法としての規定というのは、現行法でもなかなか難しい面もございまして、我々は今、守秘義務違反に対する罰則、守秘義務違反に対する懲戒ということで対応しておるということが現状でございます。
 こういうことでございますが、いずれにせよ、横浜市等々、参加をしていただけない団体については、早急にいろいろお話をしやっておる、県を通じてもやっておるというような状況でございます。
松崎委員 そうしますと、さっきの大臣のお話は住基ネットのシステムの話でありましたけれども、私は、今のお話を聞いていても、横浜の市長さんが安全性の確保を確認というのはなかなか難しいのかな、アクセスログだけではどうも納得しないんじゃないかな、そんな思いがしております。
 こういうことが今象徴的に、大臣は横浜はつないでいないんじゃないんだと言いますけれども、実際に三百四十五万人はまだつないでいないわけですから、それはやはり五団体であることは確かなんですね。日弁連の千四百九十の自治体への七月のアンケートも、どうも住基ネットの費用対効果は不合理でどちらとも言えないというのが半分以上あるんですね。ですから、まだまだ不徹底。
 つまり、私どもみたいに、私はITは弱い方なんですけれども、国会でいろいろやりながらでも、相変わらず、不正にアクセスされるんじゃないか、それから住基ネットのシステムが全国版でできて、そこにいろいろつなぐことができて、そこへまた侵入されるんじゃないかということで今も大変な反対運動があるということですから、私は出だしからやはり間違えていたんじゃないかと。
 つまり、四情報、転入転出だ、そればかり言っているから今になって非常に誤解を招く。むしろ、これからの時代の電子政府だとか電子自治体だとか、こういう電子的なものを使ってどういう社会ができるかということを提示して、それによって危険性はこういうところがありますよ。これはもうヨーロッパなんかやっていますね。個人の情報はしっかりこうしますよ。あるいは、皆さんどうでしょうか、国民の皆さん、本当にこれでよろしいですか。そして合意が形成されてからやらなきゃいけないのに、先ほどの島さんじゃありませんけれども、代替の公共事業かどうかわかりませんけれども、そんなような、どの業界かわかりませんが、少しそれが急ぎ過ぎた。私はそんなふうに思っていますので、進んではいますが、まだ来年の八月になりませんと入転出だとかそれができないわけですから、余り今使われていないと思うんですね。この間にやはりもう一度徹底的に国民に議論をしていただいて、そして、本当にこれでいい、しかし、私は便利さはいいけれども自分は入りたくないから選択しますよ、そういう形もとれると思うのです。
 まず国民に対して、皆さんは、もう進んじゃったんだから、法律ができて動いているんだからいいんだ、それはお役人の発想でありまして、これだけ反対がいまだに起こっている、不安が募っているということを、やはり国民の側に立ったらしっかりとそこはもう一度、とめろとは言いませんよ、とめろとは言いませんけれども、もう少ししっかりと説明をして国民の意見を聞いていく。そしてまた、選択もあり得るというようなことも含めて御検討されてはどうでしょうか。
片山国務大臣 いや、これだけの反対と言われますけれども、参加はみんなしたいと言うのですよ。ただ、今、国分寺市と杉並区と中野区と矢祭町は、個人情報保護についての手当てができれば入るのでそれまではちょっと待ってくれと言っているんですね。横浜は、もう段階的に二百七十万か何かは入ります、ただ、今それは我々として事務処理をどうするか検討中で、残りについてもできるだけ早く入ります、こういうことでございます。
 それは、八月五日の稼働から機械のトラブルや何かはありましたよ、職員のミスだとか。しかし、不正アクセスだとか、そういうことの本質的なものは何にもないんですよ、何にもないんです。それは、私は、不安や何かの方がちょっと大げさに言われたり、先行しているんじゃなかろうか、こう思いますが、そこで、松崎委員の言われるように、こういうIT革命を進める、行政面で進める、この将来像はどうかということはもっと国民にわかりやすく説明をする必要はあると思いますね。
 そこで、今、費用対効果でいって住基ネットだけじゃ物すごく費用がかかり過ぎじゃないかと。ただ、これがITの行政部門の、その他もそうですけれども、基礎になるんですよ。公的な個人認証サービスというのは、この住基ネットで欠格情報を提供することによって電子証明書が出るんです、公的個人認証ができるんです。それから電子政府、電子自治体は、今言いましたように、いろいろな手続や行政とのかかわり合いをインターネット上でやるわけですから、それについては、住基ネットが本人確認ということのための基礎になるんですね。
 だから、なるほど、転入転出だけならそれはびっくりするような効果じゃありません、便利にはなりますけれども。しかし、基本的には、社会や経済や政治、行政の仕組みがIT化していく中で、この住基ネットが本人確認の公の基礎になる、我々はこう考えていますから、そこはぜひ国民の皆さんによくわかっていただくような努力を今後もしていきたい、こう思います。
 それから、今の三団体ですか四団体ですか、これについてもそれぞれのお考え、横浜市はもう入るということですから四団体ですね。よその都道府県、市町村は全部入っているんですよ。皆さん、それについては何のあれもありません。むしろ、今の四団体か何団体かについて、早う説得して入れてくれ、そういう宙ぶらりんで違法な状況を放置する方がおかしいのではないかと言われています。だから、それはやはり話し合いでやりたい、こういうふうに私は言っておりまして、今後ともその努力は続けてまいります。
松崎委員 ですから、最初のこの住基を、私も最初からかかわっていますけれども、最初に、入転出に便利だ、どこへ行ってもとれます、そればかり言っていたじゃないですか。これは大間違いなんです。それが国民をまずまやかしたんですね。
 だから、やはりそうじゃなくて、今は皆さん、方針転換されましたね、電子政府だとか電子自治体、便利だ、合理的だ、非常にサービスが向上する。だけれども、考えてみたら、それは税金を払っているのは我々ですよ、行政が効率よくなるのはいいことですが、むしろ行政側が先にやることがいっぱいある。公務員の皆さんがもっとむだなく働くとか、あるいは高給過ぎる給与をやめるとか、天下りをやめるとか、幾らでもあるじゃないですか、国民が納得する行政のスリム化だとか効率化なんというのは。まずそれでしっかりやってからにしなさいというのが我々の言い方なんですね。
 つまり、電子政府は結構だけれども、それに落とし穴、非常に技術的にも問題があり過ぎるよ、ましてICチップまで使ってやるという、世界にまれなるカードを来年からつくろうということですね。これは韓国みたいに番号化が進んだ国でさえやめたという、危な過ぎるということで、これは安全保障上でしょう。そういう問題を平気でやっていっちゃって、後でこの国はどうにか、よその国からは侵入されるわ、いろいろな情報は漏れるわ、そういう国になっちゃうんじゃないかという心配を私は非常にしております。
 そして、山田区長も非常にいいことを言っていますね。やはりはっきり言っていますよ。ハッカーの技術を国家が完全に凌駕できると考えるのは幻想と思った方が現実的だ、自治体でしか住民票がとれない程度は、自由と民主主義を守り国民の安全を確保するためには最小限必要なコストととらえるべきではないかと。私は、山田さんも本当にしっかりやっていらっしゃる。
 十月に山田区長も要望を出していますね。先ほど大臣は、ほかのところはみんな入っているじゃないかと。それは、よくわからないんですよ。それは、今までのとおりお上の言うこと、中央集権の自治省、総務省が言ったこと、これは下手にやったら起債カットされたり許可されないとか、いろいろなあれがありますよ。そういうことがあるから、自治体はそう考えずに、お上はちゃんとしたことを言ってくれるだろうという前提のもとにやっている。
 だから私は、全部が入ったからみんなが賛成しているとは思っていません。これだけのデータがあるじゃないですか、いろいろなアンケートなんか。山田さんの先ほどの、ここは選択制をすべきだということを言っていますね。これに対しては恐らく、絶対だめだと言うかもしれません。しかし、これで十分、入りたい人は入る、そしてそれを使っていきたい人は使う、しかし自分の個人情報をしっかり守っていきたいという人はやりたくない、私はそれを是とするべきであろうと思っています。
 さて、その個人情報の問題ですけれども、これはもう何度も大臣も言っています。さっき島さんもやっていました。私も前回もやっていますので余り言いたくないんですけれども、私はやはり何度も言います、小渕さんがお見えになって附帯までつけたということ、これは重いと思うんですよ。
 大臣は、たしかこの前の私への答弁でも、これは法的に法律違反になるからやるんだと。つまり、第一項でたしか三年以内にやるということでありましたね。ただ、第二項には、やはり今話題になっている所要の措置というのが入って、やらなきゃならない、「個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずる」、こういうふうに言っているわけですね。
 それで、福田官房長官は、所要の措置は、提出したからいいんだ、そういう言い方をしておりますが、先ほどの話じゃありませんが、議院内閣制という点で、政府と議会、与党との関係で、政府が出した、そしてそれは通らなくてもいいんだと。私はどうもよくわかりません。議院内閣制における政府と与党の責任というのはお互いに持っているんじゃないか、大統領制と違うわけですから。
 ですから、この所要の措置ですね。だから、第一項が、三年後に、八月五日にやらなければ法律違反だというならば、第二項のこの所要の措置が万全ではないわけですから、これもやはり実行しないと、つまり、個人情報保護法をしっかりつくらないと法律違反になるんじゃないんでしょうか。
片山国務大臣 地方はわからずに賛成して加わっている、ちょっとそういうお言葉がありましたが、むしろ、その反対の方がそうじゃないかという気が私はしているんですよ。危なくないからなんですよ。八月からこれで三カ月幾らでしょう。八、九、十、四カ月たっているんですよね。それで今、そういう意味での不正アクセスもハッカーの侵入も何にもないんですね。順調なんですよ。それは、若干のトラブルはありましたよ。一億二千何百万のシステムですから、機械の故障だとか扱う人の不手際だとかいうのは、それは私はあって当たり前だと言っているんです、これだけの大きなあれですから。それ以外の本質的な問題は何にもないし、それから、そのための手当ても仕組みも今つくっておりますから、今後ともぜひそういうことでやっていきたい、こう思っております。
 そこで、また同じ議論になるんですが、例の住基法改正案の附則の第一項は、いついつからこれは施行する、こう書いていますから、施行しなかったら、やらなかったらこれは法律違反になります。二項の方は、これは、政府は所要の措置をとる、こう書いております。だから、政府としてできる権限の範囲で所要の措置をとった。しかし不幸にして、その結果、法律がまだ通っていない、こういう状況です。
 そこで、議院内閣制だからというわけですが、議院内閣制というのは、三権の分立そのものを侵すんじゃないんですよ。国会の議員さんが、与党が全部行政府のトップその他を占める、全部じゃありませんね、憲法上は半分までですけれども、トップを占めるということでございまして、そこで憲法は、国権の最高機関は国会だと書いているんですよ。だから、一番国会が三権の中で強いんですね、議院内閣制の場合には。そういうことなので、それじゃ、立法府と行政府の権限がまずるのか、一緒になるのか。そんなことはありません。法律上はもう全く、画然と分かれている。
 問題は、政府・与党は政治的な一体感ですから、そこで、法律的には、所要の措置をとるということは法律を提出するまでで、あとは国会の責任だ、私はこう思いますから、所要の措置をとるということについての法律違反はないというのが私どもや内閣法制局の見解ですけれども、政治的には、議院内閣制だから、政治的な責任はある、だからできるだけ早く通したい、こういうふうに言っているんです。
 法律上は法律違反でない。一項で、施行しなかったら法律違反だ。二項の所要の措置については、これは法律違反でない、法律的には。ただ、政治的には、議院内閣制というのは政府・与党一体ですから、これをなるべく速やかに通す責任がある、こういうふうに思っております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
松崎委員 ですから、政治的な内容を含んでいるから、特別に小渕総理大臣がこの委員会に出てきてやったんですよね。この重みというのを、法律的にはそうじゃないからいいんだといったって、それはそれだけ重い。総理が出てきてそうしますと担保しているわけですよ。それをやっていないから、だから国民がみんな不安になっちゃうんですよね。それはちょっと、大臣、立場上いろいろ言わなきゃならぬでしょうけれども。
 ところで、若松さん、あのとき、あなたもたしかあの委員会でいらっしゃいましたよね、地行で、小渕さんが来たとき。皆さん、いましたよね。それで、たしか理事か何かやっていました。これは、小渕さんを呼んできてやったのは、やはり公明党さんなんですね。そのとき、そうですよね。それで、これだけの重みを持ったということなんです。桝屋さんもいましたね。だから、公明党さん、今回、すんなり三党協議して終わっちゃったらしいんですけれども、これは公明党さんが責任を持ってやらないといけないんじゃないんでしょうか。
若松副大臣 いわゆる住民基本台帳改正法ですか、このとき私は行政改革特別委員会の理事だと思います。ちょっと記憶が大分、三年前なので、定かではありませんが、いずれにしても、御存じのように公明党も、e―Japanというか、電子政府、電子自治体は積極派でございまして、かつ、個人情報に関する配慮もあったということで、やはり附帯決議というふうになった、経緯はそのとおりでございます。
 しかし、これは大臣も何度も御説明しておりますが、あくまでも、この住基ネット、四情報、それをとりあえずステップにして今後のいわゆる電子政府、電子自治体をどうするか、こういったことであります。私も個人的にはもっと積極派でございまして、それは党内のいろいろな意見もあって、そのような小渕総理に対する要請等もあったかと思いますが、私は、現時点、この住基ネットというのはかなり個人情報保護に対しては配慮されたシステムでありまして、それだからこそ、この四情報をまず着実にやっていこう、今そのような展開ではないかと思っております。
松崎委員 あのとき、たしか富田さんでしたよね、非常に熱心でした。これをきっかけにかどうかわかりませんけれども、与党に入っていったという非常に重要なきっかけだったんですね。
 だから、私は、これは今何か役人さんの書いたのをベースに答えちゃまずいですよ、やはり責任あるんですよ。これは、大臣まで連れてきて、こう大臣が答弁するからあれしたんですよね、賛成しようと。そして与党になった。だから、私は、与党の中に今いらっしゃる公明党さんは、この個人情報保護に関しては、他の党よりもぬきんでて真剣にやるべきだと思うんですよ。それを聞かせてください。どうでしょうか。
若松副大臣 私も、正直言って、この個人情報保護法、行政機関の個人情報も含めて早くこの国会で審議をしていただいて、早く成立を期待している一人でございますし、そのために、私どももいつでも答弁させていただきますので、どうぞ前向きな御協力をよろしくお願い申し上げます。
松崎委員 わかりました。もう時間がないので、三法の方に少し入りたいと思います。
 地方自治情報センターというのは、これは指定認証機関になるんでしょうか。
若松副大臣 地方自治情報センターでございますが、いわゆる指定認証機関につきましては、まず定義というか要件でございますが、職員、設備、認証事務等の実施の方法その他の事項についての認証事務等の実施に関する計画が適切であること、これを要件にしておりまして、これに該当する法人を指定しております。そのために、商法の法人、また民法の法人、いわゆる法人の種類を問うておりませんで、また、複数の法人を指定することも可能となっております。現時点におきましては、具体的に指定を希望する法人については承知していないところでありますが、いずれにしても、この事務というのはやはり自治事務でもございまして、知事がお決めになる、このように私どもは理解しております。
 いずれにしましても、指定認証機関となる法人というのは、運用技術、職員の行為規範及びシステム、設備等につきまして、高いセキュリティー基準を満たしていることが当然必要となっておりまして、今後、申請に基づいて適切に指定を行うことと、私どもはしっかりとやろうと思っております。
松崎委員 なり得るかどうか言ってくれればいいんです。要するに、なり得るということですね。
 となりますと、この地方自治情報センターというのは、内容的にどんどん怪物になるんじゃないか。今、住基ネットの全国センターになっていますし、それからLGWANの運用もしている。それにこれが、公的認証がもし加わりますと、非常に一元管理が強くなるような気がしてしようがないんですけれども、それは私の単なる杞憂でしょうか。
片山国務大臣 地方自治情報センターというのは財団法人ですから、今までのこういう実績がずっとあるものですから財団法人である地方自治情報センターを指定情報処理機関にしたんですけれども、しかし、いろいろな公的なものが集まることになりますと、今のままでいいのかどうか検討の必要があると思います。それに業務量も、まだ何にも決まっていませんから、これから公的認証サービスをどこに中心でやってもらうか決まっておりませんが、仮にそういうことの一つの候補だとすれば、全体のそういう委託する相手について、我々も十分な検討をして、選択肢がほかにないなんということはやめた方がいいと私は個人的に思っております。
松崎委員 その答弁をしっかりと受けとめさせていただきますので、頑張っていただきたいと思います。
 さて、もう一問だけ。LGWAN、総合行政ネットワークは、直接というか、いろいろ間接的に住基ネットも関係するわけですけれども、これが一番行政間のネットワークですね、これにいろいろなものを乗っけていくということです。ところが、今、調べますと、かなり低いんですね。十五年度に一〇〇%になるという予測ですけれども、今も、予定がないとかわからない、アンケートで一六%もあるんですね、十五年度中に一〇〇%ということを言っているんですけれども。それから、現在はまだ二割ぐらいしか、平成十四年度末でも二割ぐらいしかLGWANがつながって、でき上がっていない。
 こんな状態で、私は、皆さんの予定する電子政府行政なんというのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
若松副大臣 何といってもこのLGWAN、いわゆる総合行政ネットワークでありますが、電子自治体推進には不可欠の基盤である、このように理解しております。
 これまでに、まず平成十三年の十月に、すべての都道府県及び政令都市を接続の上、運用を開始しております。二段階目としまして、国の行政機関を結ぶいわゆる霞が関WAN、それとは平成十四年四月に相互接続を完了しております。三段階目ですが、平成十四年の十一月二十九日現在では合計二百九十二団体がLGWANに接続済みでございまして、都道府県四十七、政令都市十二、その他の市町村二百三十三ということで、少ないとおっしゃいますが、御存じのように、電子政府、電子自治体のスピードというのは、先ほど島委員がラットイヤーというお話がありましたが、まさに急速に進んでおりまして、私どもは、平成十五年度中にその他すべての市町村との接続を実現する予定で、今鋭意頑張っているところでございます。
松崎委員 時間ですから、終わりにいたします。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。よろしくお願いいたします。
 「正論」という雑誌の九月号に、財務省理財局国庫課長岸本周平さんが、「電子政府における情報システムの調達問題を解く」ということで書かれております。この中で三点ほど挙げておられる項目でございますが、一、役人レベルの現場の意識は行政の電子化に偏り過ぎている、二、電子政府の使命として、納税者の便益向上という視点が明確になっていない、三、人員と経費の削減を明確な目標にすべき、財務省の理財局国庫課長としての個人的な意見ということで、雑誌「正論」九月号に載っているところでございます。
 この法案の審議に当たりまして、私は、民主党の部門会議で四点ほど提起をいたしました。その法案審査に臨むポイント、既に同僚委員から指摘がございます。IT化推進は積極的に進めよう。しかしながら、個人情報は保護をされなければいけない。また、今の政府、自治体が進める電子政府、電子自治体は、サプライサイドの視点が強過ぎてユーザーサイドの視点に欠けているのではないか。そして四点目は、先ほど第二の公共事業と言われるように、二兆二千億の年間支出、非常にその予算の使われ方に問題が多い。以上四点をもって審議に入りたいと思います。
 まず、一点目でございますが、既に指摘をされておりますが、地方自治体でも五千の手続をオンライン化しようということでございますが、この中には年間数件程度の手続申請もある。果たしてそういったものもコストをかけてでもやる必要があるのか否か。
 あるいはまた、オンライン化を強制することが、先ほどの財務省の岸本さんの指摘にもあるように、役人レベルのといった考えで強制をしているのではないか、果たして納税者の便益向上に本当にこのオンライン化が役立つのか否か。電子申請は利用者のサービス向上のために用意する選択肢の一つであるべき、これは野村総研の石井良一さんという方が書かれているところを引用したものであります。これは、「地方財務」二〇〇二年二月号「電子申請にどう取組むか」という特別企画でございます。
 以上二点について、総務大臣に御所見をお伺いします。
片山国務大臣 今、武正委員の言われるように、年間ほんの少ししかない手続についてはやめたらいいですね、中身を見てみなければいけませんが。そんなものは、できるだけ手続を少なくした方がいいので、そういう意味では、この際、オンライン化の際にすべての事務についてもう一遍見直して、やめればいいものはやめる、統合すべきものは統合する、そういう方向だと思いますね。
 それから、もう一つ、オンライン化というのは選択肢の一つなんですよ。紙でもどうぞということなんです。ただ、御希望ならオンラインの道も開きます、こういうことでございまして、そこで、我々は、オンライン化のときにワンストップサービスをやりたい。港湾だとか自動車関係というのは、手続が物すごいでしょう。港湾なんか、三十ぐらいのいろいろな届け出を出したり、幾つもの役所を回らなければいかぬ。それを、一つの窓口で受け付けたら全部それが関係のところに回っていって処理できるようにする。そういう意味では、まさにユーザーに対するサービスを上げる、便益を増進する、こういうことを我々はしっかりと肝に銘じなきゃいかぬと思います。
 ただ、言われるように、どうしても役所がやると役所の方の効率化や役所の方の便益の方がやや先に来るようなところがありますけれども、基本的には、国民の皆さんに役に立つような電子政府や電子自治体でなきゃいかぬ、こう思っておりますので、今後ともそういう考えでやってまいります。
 ただ、初めて取り組んでいますからね、特に地方自治体の場合には。地方自治体は三千三百ありまして、しっかりしているものからしっかり度が低いものまでありますから、そこでいろいろな、うまい業者の方にうまい話をされたりなんかするという向きはありますけれども、我々としても、やはりすべての自治体のレベルを向上ということも同時に考えておりますから、そういうことの中で、いろいろなそういう便益対費用の問題もクリアしていきたい、こういうふうに考えております。
武正委員 今、大臣の方から、各自治体が選ぶ、あるいはユーザーサイド、選択肢だというような御発言がありましたが、先ほどの同僚委員の質問に対しては、ある面、地方自治体はみんな乗るべきだ、このネットワークに参加すべきであるし、それに参加しないというのはいかがなものかというような趣旨の発言がありました。これは、きょうと、またあさっての質疑の中で、同僚委員に指摘をしてもらいたいなというふうに思っております。あくまでも、地方自治体に強制はしない、地方自治体の自由意思だ、あるいはまたオンラインも、住民票でできるんだということを、やはり選択肢の一つということで担保すべきであって、オンラインが選択肢ただ一つに限られるようないろいろな制度は設計すべきではないというふうに考えております。
 さて、先ほどの自治体の話でいうと、自治体の中でもやはり受け付け体制が整っていないというところが随分あるんですね。今回のこのオンラインについては、あくまでも受け付けシステムでありまして、その後の庁内での処理は自治体がやらなきゃいけないというところがやはり課題になってくるということでありますので、中央政府がやれやれと言ってもなかなか地方自治体がついていけないというのは、市町村ごとにそれぞれ独自の事情があるといったことをやはり配慮していくべきだろう。電子政府、電子自治体、何年度までにやろうということでかけ声をかけてきたe―Japan戦略でありますが、それがなかなか各市町村の実態を伴っていないということはしっかりと認識をすべきだというふうに思います。
 さて、入札の契約額と実際の受注額、これに差額があるということがよく指摘をされます。前回、ワン切り法でも私、指摘をさせていただきました、いわゆる一円入札と言われるような安値入札でございます。これは制度的な問題を抱えているから、このような入札、そして落札、契約、当初の予算額との差が大変多額な額出てきても、それが次々と行われる。これは制度的な欠陥があるんではないかなというふうに私は考えております。
 既に予決令の改正で、これは総務省さんの例でございますが、工事及び製造から工事及び製造その他という予決令の改正によって、安値入札、当初の予定額というか予算額が十分の六以下の場合、契約担当官がこれはちょっと実際仕事ができないんじゃないかなと判断したときは、契約審査委員が調査をすることになっています。
 ただ、その審査委員は、総務省さんの場合、各課ごとに、負担行為担当官ごとに三人ずつ置かれている。同じ課の中に調査をする人、契約審査委員を置いている。同じ課同士で果たして調査がお手盛りにならないか。そもそも、契約担当官が十分の六以下の落札額であってもできるできないを判断する、こういったところもやはりお手盛りになる可能性があると考えるんですが、こうした入札額と当初の予算額の差が出ていることに対して、今の改正を経てどのように対応されているか。
片山国務大臣 武正委員、もし誤解されているといけませんのでちょっと言わせていただきますが、住基ネットは、これは法律上全部入らないとだめなんです、選択の余地はありません。これは行政機関が公の事務をやる場合の本人確認の仕組みで、国のシステムじゃないんです。何度も同じことを言いますけれども、すべての地方団体の、都道府県と市町村の共同のネットワークでございまして、これはもう入ってもらわないと、入ったり入らなかったりしますと本人確認なんということはやれない、オンライン化の申請の添付書類なんというのもばらばらになっちゃう。そういう意味では、こっちは私は選択の余地はない。
 電子自治体、電子政府は、これについてオンライン化をするかしないかは、これは選択してもらえば結構です。ただ、国としては、e―Japan戦略というものを決めまして、行政部門のIT化をやろう、それによって国民の皆さんの便益を増進しまして、行政改革もやり、場合によってはIT産業も地方に根づかせよう、こういうことのためにやってもらった方がいいという姿勢でございますけれども、これは強制したり義務づけたりするものではありません。やりたいところにやってもらう、こういうことでございますので、ぜひそこは御理解賜りたいと思います。
 今の落札と入札との関係その他は、副大臣か局長から御答弁させていただきます。
若松副大臣 まず、契約の適切さが同じ課で行われてちゃんと担保されているのか、こういう御指摘でございますが、総務省本省の場合は、契約審査委員は官房会計課の職員のうち契約実務を直接担当する者以外の者を指定しておりますので、私どもは調査の正確性の担保は図られていると考えているわけでありますが、これは、外部の御意見等がもしございましたら、例えば会計検査院とか、独立性等が担保されているか、そういった御指摘があれば、私どもは検討していきたいと考えております。
 それと、予算額と落札額の差額につきまして、その処理でありますが、地方自治法上、歳出予算の経費の金額というのは、原則として、各契約のそれぞれの、各条項等々含めて相互に流用ができない、このようになっておりますが、各地方公共団体の長の判断によりまして、各目の間もしくは各節の間におきましては相互に流用することが認められている、こういう二つの制度があるわけであります。
 仮に地方公共団体の情報システムの入札におきまして予算額よりも落札額が著しく低くなった場合においても、その差額につきましては、地方自治法施行令及び各地方公共団体の財務規則、こういったものに基づきまして、他の必要な費目に流用されて、それが適正かつ有効に費消されている、こういったことを私どもは認識しているところでございまして、特にこの差額についての処理が問題とされているということは認識しておりません。
武正委員 まず大臣の方の御答弁でございますが、住民基本台帳法の改正、これで全自治体強制加入みたいなことを言われましたけれども、それがやはり、先ほどの附則の問題もあり、問題ありということになっているわけでございます。まずその点を指摘させていただきます。
 そしてまた、先ほど大臣から、e―JapanなりIT化は、あくまでも国民の利便性だと。ただ、それが本当に国民の利便性になっているのか。大臣がいみじくも認められたように、サプライヤーサイドの視点が強過ぎやしないか、あるいは、行政サイドの目標を何としてもクリアしようというところが市町村がついてこられない現状になっているんではないかというふうに考えます。
 また、先ほど行政改革という言葉を使われました。答弁でも随分使われておりますが、私、ここいろいろ、IT政策大綱とか見ているんですが、行政の簡素化、効率化というのは出てきますが、行政改革という言葉はどこかに出ていますか。もし出ているようでしたら、後で御指摘をいただきたいと思います。行政の効率化、簡素化は出ているけれども、それが予算や人員の削減を伴う具体的な行政改革ということは示されていないんではないか。これはまた後で指摘をしたいと思います。
 先ほど副大臣から御答弁がありましたが、であるからこそ、同じ課ではなくて他の課からチェックが必要であろうし、あるいは庁全体のCIO、全体の情報をコントロールするような、全体を見るような方が必要だということを改めて指摘をしたいと思います。
 次に、安値入札のことなんですけれども、公取さん、お見えでございます。公取さんが既に警告を出しているのは、東京都の文書総合管理システム七百五十円、そして法務省の、これもやはり総合的受付・通知システム、これは五百万円、金融庁情報システムということで、三件警告をされております。一万円入札については、これはもうこの間も指摘しましたように、最初は一万円で入札、受注をして、二回目は九億八千万、三回目は六十一億、四回目は月額二億七千万ということで、最初は安値入札で、後でどんどん大きな額が随契等で交わされる、こういったことでございます。霞が関WANも、これも省庁間の文書交換システムは、回を追うごとに安値、安値に行っているということも指摘をされております。
 この安値入札について公取さんは、どのような観点から警告を発し、またこうした安値入札についてどのように考えておられるか、御答弁いただけますか。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 政府調達における極端な安値入札に対する公取の取り組みということでございますが、ただいま御指摘のように、コストを下回る極端な安値受注というものが繰り返されますといろいろ問題が起きるということで、これは独占禁止法上、不公正な取引方法の一つである不当廉売ということで問題になるわけでございます。この点につきまして、昨年の一月に、「官公庁等の情報システム調達における安値受注について」ということで、独禁法上どういう場合に問題になるかについての考え方も示したところでございます。
 また、先生御指摘のように、東京都の七百五十円の問題を初めいろいろな問題が引き続いて起こりましたので、これらについて調査をした上、独禁法上、警告という処分を行っておりますけれども、また、これらが引き続いたこともございまして、関係業界団体に対しまして、独占禁止法上どういう場合に問題となるかについての考え方の周知徹底を要請したところでございます。
 入札制度の改革等が進むことによりましてこういった問題がなくなっていくことを期待しておりますけれども、今後とも引き続き、安値入札というものが発生いたしましたならば、独占禁止法上に基づきまして厳正に対応したいと考えております。
武正委員 この間ワン切り法のときにも指摘したんですが、二年半前、私は逓信委員会で、こうした情報システムが、一次、二次、三次、四次と下請を日本で行っていて、それで、四次下請の方は、本当に時間を切り売りするような形で徹夜徹夜の残業続きといったこの階層型の下請構造を指摘しました。建設業法では一括丸投げ禁止というのがあるんですが、この情報システムは一括丸投げ下請オーケーということがやはり問題だなというふうに考えるんです。
 今は二年半たってどうなったかというと、この下請が海外に行っている。しかも、中国にかなりの下請が出されているというのが実態だそうです。先ほど指摘したこの一万円入札も、これは上海未来軟件有限公司というところ、開発要員七十名、一万円落札の案件を徹夜で完遂という記事が出ております。あるいは、ヨミウリ・ウイークリー十二月十五日号、今週号でありますが、急増中国人SEはIT業界の救世主か黒船かということがやはり躍っております。ITで年間二兆二千億も日本は金を使っている、そして総務省も、あるいはe―Japan戦略でもIT人材の育成といいながら、実はその二兆二千億のお金が海外のIT産業や海外のIT人材の育成のために使われている。これが今の下請構造の実態なんですよ。
 これは、その入札制度、受注制度をやはり見直していかなかったら、大手、NTT、富士通、日立、NEC、政府発注情報システムの六割を受注している。既に今回、政府調達府省連絡会議で、競争入札、JV、中小企業受注と出ております。総務省さんもそれを御検討されているようでありますが、これについても、改革案を骨抜きにされるだろうというような指摘もある。本気でこの二兆二千億が、JVや中小企業、競争入札をしっかりやることで、日本のIT産業、そして日本のIT人材育成につながらなければ、このe―Japan戦略は、あるいは総務省さんのこのIT重点施策ですか、これも絵にかいたもちになってしまうと考えるんですが、総務大臣、御所見を伺います。総務大臣、お願いします。
遠藤委員長 総務省大野政策統括官。指名していますから。
武正委員 いや、政治家で御答弁をお願いします。これだけ私も力を込めて言っているので、お願いいたします、総務大臣。
片山国務大臣 お答えします。
 行政の改革と行政の簡素効率化は同じことなんですよ。行政改革の方が広いんですけれども、感じが。行政改革は何のためにあるか、まさに行政の簡素効率化なんですよ、大きな目的の一つは。だから、それはいわゆる行政改革というもっと広い概念で使っておりますから、普通、こういう場合には行政の簡素効率化といいますけれども、これはその中に含まれているとぜひ御理解を賜りたい、こういうように思います。
 それから、今、大手が約六割もとって、実際には全部下請、孫請で、しかもそれが外国に行っているのではないか、こういう御指摘がございました。
 そういう御意見等もあるものですから、情報システムに係る政府調達府省連絡会議というものを、ことしの三月につくりまして、競争入札参加資格については、今までが厳重過ぎたのでこれをもう少し柔軟な運用にしよう、また、ジョイントベンチャー等の企業共同体への競争参加資格を付与しよう、余り固定的に考えずにやろうと。基本的にはそういうことの中で我が国のIT技術者の人材育成を図っていく、こういうことでございまして、一遍にかじは大きく変わらないかもしれませんけれども、徐々に、まさに武正委員言われたような方向で我々もやり方を変えてまいりたい、こういうふうに思っております。
武正委員 ぜひ速やかに制度変更を、この政府調達制度、まず総務省が率先してお取り組みをいただきたいと思います。既に二〇〇一年一月に導入した官公庁の新統一基準というのがありまして、システム調達案件が五項目で合計点数で、これが実際今運用されておりまして、これで大手企業の寡占化が一層進むような仕組みを導入している経緯があるんですね。ですから、総務省が率先してのお取り組みをお願いしたいと思います。
 さて、会計検査院さん、お見えでございます。今回の会計検査院の平成十三年度の指摘ということで、テレビ会議、IT講習会ということで指摘をされていますが、この会計検査院の報告書に盛られていないことも含めまして、またこのIT予算の使われ方をどのように考えているか、御答弁いただけますでしょうか。
円谷会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 先週の金曜日、十一月二十九日に、平成十三年度の決算検査報告を内閣へ提出いたしました。その中に、今御指摘の総務省関係の事業に係る掲記事項二件が含まれております。
 その概要を御説明いたしますと、まず、電気通信格差是正事業等の実施に当たりまして、事業の審査及び実施体制を整備し、補助事業の適切な実施及び事業効果の発現を図るよう改善させたものについてでございますけれども、総務省では、IT関連施策としての電気通信格差是正事業等を行う都道府県等に対しまして、毎年度多額の補助金を交付しております。
 今回、八年度から十三年度までに実施されました約三千の事業のうち、十八道府県において実施されました五百四十九の事業を検査いたしましたところ、一番としまして、ハードウエアの整備を行う事業でありますのに、補助対象となる範囲が明確に定められていなかったため、ソフトウエアの経費を含めていたりしたものが十三事業。また、事業効果の発現について検査いたしましたところ、施設予約システムにおきまして、運動施設の空き状況は確認できるものの、システム上で予約ができないといったことで、補助事業を完了しまして一年以上経過しましてもなおシステムの主要な機能が稼働していなかったものが三十二事業。それから、補助事業で整備したテレビ会議システムの利用状況が週平均で一回以下と非常に低調な状況になっていたものが二十四事業ございました。
 これらの事態に係る国庫補助金額は約二億七千万円に上っております。
 本院の指摘に基づきまして、総務省では、補助事業の適切な実施を確保し、また事業効果が速やかに発現されるよう、補助事業の申請及び内容の審査が適切に行える体制を整備しますとともに、事業主体に対しまして実施体制の整備を図ることを周知徹底するなどの処置を講じましたので、改善処置済み事項として掲記したものであります。
 次に、情報通信技術講習推進特例交付金事業の実施状況についてであります。
 総務省では、IT基礎技能の早期の普及を図るため、全国で約五百五十万人にIT講習を受講させることを目標といたしまして、約五百四十五億円の情報通信技術講習推進特例交付金を平成十二年度の補正予算によりまして、緊急に都道府県に交付いたしております。今回、十六道府県の三百八十事業主体につきまして検査いたしましたところ、事業の必要性等地域の実情に配意した事業計画となっていない市町村が多数見受けられました。また、開設した約八万余の講座の中には、受講者数が募集定員の二分の一以下のまま開設されたものが約一万、中には五人以下のものが五千近くあるなど、効率的となっていないものなどが見受けられました。
 今後も、国におきましては、IT革命に対応するための施策を講ずることが求められておりまして、この種の交付金を交付する場合には、適切な指導を行うことにより、交付金の趣旨に沿った効率的な事業に努めることが望まれますことから、特定検査対象に関する検査状況として掲記したものであります。
 検査の概要は以上のとおりでございますが、IT予算の使われ方についての認識という御質問、検査報告に掲記したもの以外ということでございますけれども、会計検査院といたしましては、IT基本法の成立、e―Japan戦略の決定等を受けまして、IT関連施策の予算額が近年急増しておりますことから、重要な検査対象の一つとして取り組んできております。
 その検査の結果につきましては、これまでの検査報告におきましても幾つかの事態を掲記しておるところでありますが、こういった問題が発生しております背景としましては、予算や事業の急激な増加に市町村などの事業主体の実施体制の整備が伴っていないということや、あるいは住民のニーズが十分反映されていないといったことなどもあろうかと思っております。
 したがいまして、検査院といたしましては、今後も、幅広い観点からIT関連施策の検査に取り組みまして、今後の事業の推進に資するよう、単に問題点を指摘するというだけではなく、その背景や発生原因等にまで踏み込みまして、事業の推進に寄与するような検査を実施してまいりたいということを考えております。
 以上であります。
武正委員 会計検査院さんにも、ぜひ、さらに特段のお取り組みをお願いしたいと思います。貴重な税金が一円でも有効に使われる、これが本来の趣旨でございますし、何よりも国民の利便性向上といった観点からのIT化でございます。
 さて、先ほど、行政改革も入っているよということで御答弁いただきましたので、行政改革については先に移らせていただきます。
 この住基法の三十条四十三、これは副大臣にお答えをいただくんでしょうか、「市町村長等」という、この「等」に国や都道府県知事が含まれているかどうか。含まれているとすれば、国や都道府県知事がデータベースをつくることができてしまうというふうに考えるわけなんですが、これについて御答弁をお願いいたします。
若松副大臣 住民基本台帳法第三十条の四十三におきます「市町村長等」、これにつきましては、法の別表に定める国の機関、都道府県知事等が含まれておりまして、これらの機関は、市町村長と同じように、住民票コードの告知要求が禁止されていないところとなっております。
 一方、これらの法別表に定めます国の機関、都道府県知事等につきましては、住民基本台帳法第三十条の四十二におきまして、住民基本台帳法の定めるところにより本人確認情報の提供がある場合に限って、住民票コードの告知要求ができるとされているところとなっております。
 これらの法別表に定めます国の機関、都道府県知事等につきましては、法定された利用事務以外の目的には、住民票コードを初めとする本人確認情報の利用が禁止されており、これは法の第三十条の三十、第三十条の三十四に記載されておりまして、それとともに、関係職員に守秘義務を課しまして、違反者には通常より重い罰則、これが法第三十条の三十五、第四十二条となっておりまして、個人情報保護措置がしっかり講じられていると認識しております。
 したがいまして、第三十条の四十三の「市町村長等」に国や都道府県が含まれていたとしても、そのことによって、国や都道府県から情報が漏れるとの懸念は、私ども、持っておりません。
武正委員 住基ネットに関する訴訟が起きた場合、訴えるのは市町村のみであるかどうかということ、これもお聞きをしたかったんですが、事前に、市町村以外にも、実際、今係争中であるということもお答えいただいておりますので、次に移らせていただきます。
 今、副大臣から、本人確認情報が都道府県や国に提供された場合、国や都道府県知事はそれをデータベース化というんでしょうか、それについて、「市町村長等」というのにはこれが含まれるというようなお答えがあったわけでございますが、私は、やはり、それによって国や都道府県がデータベース化を進めることによって、本来の目的ではないデータベース化ということが起きる危険性がある、あるいはまた、そこから情報が漏れる危険性があるということを危惧するわけでございます。やはりここは、本人確認情報が都道府県に提供されるという仕組みがあるのは問題だなというふうに思っておりまして、先ほど同僚委員が提起をしているように、電子証明書の発行は、何も都道府県にすることはない、市町村が本人確認情報とともに電子証明書の発行もすればいいというふうに考えるゆえんでございます。
 まず先にお聞きをしたいのは、この住基ネットワークを使わずにほかのネットワークを使って公的個人認証サービスが実現できるんではないかというふうに考えるんですが、これは総務大臣、御所見はいかがでしょうか。
片山国務大臣 それはできないことはないですけれども、同じことをもう一遍やることになるんです。それだけの話なんです。そんなむだなことをする必要はない。しかも、市町村、都道府県という最も信用できる公的な団体の共同のネットワークですから、別にもう一つ、何でつくる必要があるか、こういう議論ですよ。
武正委員 先ほどからお話が出ておりますが、LGWANということで、既に総合行政ネットワークというような仕組みもあるわけですね。総務省さんがつくられた資料では、そのLGWANが黒い輪っかになっておりまして、そこに、ややダブりながら斜めに、住民基本ネットワークというものが点線で書かれているんですね。これがどういうことを意味するのか、いささか疑問でございますが、私は、この住基ネットワークの回線を使わずとも個人認証ができるというふうに考えるわけでございます。
 さて、加えて、先ほど触れました、市町村が電子証明書の発行を行えばいいのではないか、あるいは失効情報の管理もというふうに考えるわけですが、これは、平成十四年一月十一日、総務省さんによるパブリックコメントの募集、それによって集まった中にも、この電子証明書の発行は市町村でやるべきだというような意見も出ておるんですけれども、この点、御答弁をお願いいたします。これは副大臣、お願いできますか。先ほども大臣、副大臣にお答えいただいたと――よろしくお願いします。
若松副大臣 御存じのように、自治体、三千二百あるわけであります。あくまでも、それがそれぞれのシステムを構築して、そしてこの四情報というところを効率的にいかに使うかという、結果的にはその議論になろうかと思います。
 そういった観点から、かつ、これから公開かぎ、秘密かぎ等のいわゆる個人認証サービスをどう持っていくか、それを三千二百の自治体がそれぞれインフラとしてしっかり持っていく方がいいのかどうか、私どもは、いろいろと検討した結果、やはり都道府県四十七がそれぞれの責任でやっていただいた方が効果的ではないか、そういった判断で、現在のシステムになった次第でございます。
武正委員 市町村でやれない理由というのは、どういったところにあるんでしょうか。
若松副大臣 御存じのように、自治体には、まさに三百数十万人という横浜もございますし、または千人を超えている自治体もございます。そういう意味で、この電子自治体という、レベルというか、専門家を擁しているという観点からすれば、当然、差がございます。そういったところも含めまして、やはり都道府県がそういう技術的にも、また人材的にも不十分なところをしっかりフォローアップするという観点から、都道府県が関与して、そして、かつ効果的な全国ネットワークをつくった、私は、これは非常に精度の高いシステムではないかと考えております。
武正委員 先ほど同僚委員も指摘したように、情報というのは、行ったり来たり、もともと、ユーザーというか国民の方々と一番接している基礎自治体、市町村を基本にこのシステムは構築されているというふうに私は認識しております。いろいろな本人確認も、厳正に対応するためにも、やはり市町村なんだということを説明で書かれております。
 今、そのように情報を県に上げて、そしてそこから電子証明書をやる、こういったやりとりの中で、それが漏れたり改ざんされたりする危険があるというふうに考えるので、今の、都道府県がフォローアップできる、一体そのフォローアップというのはどういうことなんでしょうか。私は、かえって危険だというふうに思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。
若松副大臣 私は、フォローアップというよりも、やはり三千二百の各自治体がこの住基ネットを活用するに当たって、都道府県がいろいろな意味で、補完的というんでしょうか、そういった形をすれば、やはり三千二百の自治体、安心して、かつ信頼性の高い住基ネットができる、そういった観点から申し上げた次第でございます。
 いずれにしても、都道府県を介在させないで直接市町村がやった方がいいんじゃないかと再三委員が御指摘でございますが、これも何度も申し上げるわけでありますが、公開かぎ証明書とかまた本人との関係に至る証明、こういった手続を、信頼性の高い失効情報を効果的に作成するには、運営経費の経済性とか均質で信頼性の高いサービスを維持するとか、そういったことを総合的に勘案いたしますと、やはり全国的に確保できる都道府県、これが行っていただくことが適当ではないか。これは私ども、何度もいろいろと検討した結果の結論でございます。
武正委員 信頼性を確保するために都道府県を介在させるということは、市町村がそれを行うと信頼性に欠けるということでございますか。
若松副大臣 私はそういった意味では言っておりませんで、いずれにしても、あくまでも住基ネットというのは全国民が入っていただいて初めていろいろとメリットが出てくる制度でありまして、そういった観点から、各自治体をしっかりといわゆる補完というかサポートというか、そういった趣旨からも、都道府県にも私どもはこの住基ネットのいわゆる自治事務としての参加者としていただいたわけでありまして、今の都道府県、そして市町村という関係を持っていただくという制度が、何度も繰り返しますが、やはり経済性や信頼性の高いサービスを維持できる制度と私は理解しております。
武正委員 私は、やはり市町村に基本を置く日本であるべきだ、地方分権も、最終報告、まだまだ手ぬるいなというふうに思うんです。
 今、コスト、コストというお話もありました。それぞれの自治体が、また指定認証機関に委託できるわけですよね。ですから、私は、今は都道府県が委託することになっているんですが、市町村が、いや、おれのところはちょっと難しいなと思えば委託できるのであれば、それは、今副大臣が言われたようなことは懸念になると思うんですが、これはどうでしょうか。
若松副大臣 例えば、では、どこに委託をすべきかというのも、やはりある程度専門性がないと、万が一、いわゆる信頼性が乏しい、ある意味でかなり零細なところに行ってしまう、そういったことがないように、そのためにも、私どもは何度も、総務省としては市町村合併も推進して、いわゆる基礎的自治体の強化、さらに行財政基盤の強化という観点からも言っておりまして、そういった複眼的にぜひ見ていただいて、かつ、先ほど言いましたように、本当に規模の小さい、小規模の市町村に対して、やはりしっかりと、都道府県の関与というのは大変重要なことだと考えております。
武正委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、今言われたように、指定認証機関については、この法律では大変細かに、基準というか行わせることができる中身も書いております。今、指定認証機関の信頼性というお話が副大臣から出ましたが、指定認証機関こそ、信頼性の高い、決してそういった情報が漏れることのないものをということでこの法律で書いておられるというふうに認識をしておりますので、今の御答弁は大変解せないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 やっとこの委員会でオンライン化三法案の審議が始まったわけであります。先ほど同僚の委員から我が党の名前まで出していただいて、私は大変思いも新たに質疑に立たせていただいているわけであります。言われた方がいないのは若干寂しいのでありますが、議論をさせていただこう、どこかで聞いておられるかもしれません。
 先ほどから民主党の皆さん方の議論を聞いておりながら、いろいろな思いを持ったわけであります。今の武正委員の議論はちょっと私も理解できないところがありましたが、しかし、大体民主党の皆さんも、基本的には、まずは大前提としてこの二十一世紀のIT社会の中で個人の情報を守るという仕組みは何とか考えなきゃいかぬ、それをおまえたちは忘れているんじゃないか、こうおっしゃっているんだろうな。それは全く同感でありまして、今、別の委員会で議論しているわけでありますから、ぜひ熱心な議論をそちらはそちらでやりたいな、こういう思いがあります。
 とともに、もう一つは、電子政府、電子自治体というのは、行政改革と表現するのかどうかは別にしても、行政の簡素効率化という観点でも結構ですが、やはり電子政府、電子自治体というのはぜひ進めなければならないということは一定の方向性なのかなというふうに、議論を聞きながら感じさせていただきました。
 そこで、最初に大臣にお伺いしたいと思うんですが、大臣も、随分この法案は審議まで時間がかかったわけでありまして、満を持して、いっぱい言いたいことがあるような感じがいたしますが、まさに先ほどの議論、電子政府、電子自治体構想によって行政の簡素効率化を進める、あるいは行政改革を進めるというのは、私も行革を担当している一人として、ぜひともこれは進めなきゃならぬ、こう思っているわけであります。
 そういう意味では、e―Japan重点計画の話も出ましたが、今回のオンライン関連三法案、果たしてどういう役割を持つのか、ぜひとも最初に大臣からお話をいただきたいと思います。
片山国務大臣 何度もこれは申し上げておりますが、e―Japan戦略、さらにはそれに基づくアクションプラン、さらにITの二〇〇二プログラム等で、電子政府、電子自治体はできるだけ早期の実現を図ろう、こういうことになっておりまして、IT戦略本部だとかその他のいろいろな会議でも、やはり強い要望は、手続をもう少し簡素化してくれ、早くやってくれ、それからできるだけ添付書類は少なくしてくれ、こういう要請が個人も法人も物すごく強いですね。それはそれでやらなきゃいけませんが、一遍にそれを解決するにはやはりオンライン化、IT化ではないか、私はこういうふうに思っております。
 そういう意味では、まず、国民の皆さんが一番手間がかかっている、お金もかかっている、労力もかかっております申請、届け出等について、来年度中にすべてオンラインができるようにしよう。それを一つの突破口にしまして、あとは、電子調達は我が総務省で始めまして、来年度は全部の省庁がやってくれると思いますけれども、電子調達、電子入札、あるいは先ほどお話がありました電子申告、電子納税、あるいは電子投票というのは、これはちょっと種類が違いますけれども、そういうことを含めて、このITの便益をできるだけ国民の皆さんのあらゆる面に行き渡らせて、そういう意味では、大変サービスがよくなった、こういうふうに実感していただく必要があるのではなかろうか。そのためにこの三法は必要不可欠の法案だ。
 やっと御審議をいただきまして、これだけ議論が深まってまいりましたことを大変喜んでおる次第でございます。
桝屋委員 大臣のおっしゃるとおりだろうと思っておりますが、大臣にお願いをしておきたいと思うんです。
 私、大臣の答弁は、今、我が小泉内閣では一番安心して聞ける答弁だなと思っているんですが、大臣、どうぞこの分野だけは余り安心しないように。
 といいますのは、一度大臣とも議論したことがあると思いますが、大臣が胸を張って、絶対に大丈夫だ、個人の情報は漏れない。例えば、住基ネットにしてもあるいは行政手続のオンラインにしても、絶対に大丈夫だと余り胸を張って言いますと、大体ITというのは、漏れて当たり前ということは言いませんが、漏れて弱さがわかるわけでありまして、どうしても人為的につくったシステムはどこかにやはり欠陥があるわけであります。諸外国でも、ハッカーでやられて初めてその弱さがわかって、その上にまたハッカー対策をやる、これでどんどんセキュリティーは強まっていくわけでありまして――委員、また帰られましたね。話をしたかったんですが、余り聞いてもらえません。
 そういう意味では、大臣、やはりITの部分については不断に努力をし続ける、セキュリティーの努力をし続けますよという姿勢はぜひ醸し出していただきたいなというお願いです。
 もう一点は、先ほどから出ていましたけれども、やはり今回のオンラインがそうでありますが、全国の三千二百の市町村がついてこられるかどうかということは、後でちょっと議論いたしますが、これは大きなテーマでありまして、やはりかなり現場は悩んでいますということはぜひお願いをして、内容に入りたいと思います。
 最初は、関係法律の整備法案でございますが、私ども公明党も、先ほどから民主党の皆さんからも名前を出されましたけれども、一つは、やはりことしの八月五日は大変大きな時の経過だ、大変に党としても悩みながら八月五日を迎えたわけであります。そして、八月五日から今日まで、住基ネットが稼働を開始して、私は、私の言葉で言いますと、来年の八月が、一年後がまさに本格稼働だと。例えば、住民票の写しの全国どこでも交付であるとか、あるいは引っ越しの場合の事務手順が簡略化されるとか、あるいは住基カードの問題、私は住基カードによって随分いろいろなサービスが仕込めると思っておりますが、こうしたものは今まさに準備中でありまして、私は、来年の八月がまさに本番ではないかな、本格稼働ではないかな、その準備が今日続いているというふうに思っております。
 そこで、二つお聞きしたいんですが、一つは、八月五日から今日まで、ハッカーでやられたり、あるいは情報の漏えいとか、大変な大きな問題があったかどうか。
 もう一点は、百七十一の事務を追加いたしますが、それがこれからどういうふうに流れていくのか、事務の手順。私は相当準備をしなきゃいかぬのではないかと思っております。不動産の登録であるとか、あるいは一般旅券、パスポートの発給事務、自動車登録等、新たな利用目的に追加されるわけでありますが、それがいつごろから始まるのか、どういう準備があるのか、その辺もちょっと説明をいただきたい。以上の二点について事務方からお聞きします。
芳山政府参考人 一点目の稼働後の不正アクセス等でございますけれども、これは一切ございません。
 また、二点目でございますけれども、今後の稼働なり進捗の状況についてのお尋ねでございます。
 一つは、来年の第二次稼働に向けての準備でございますが、住民票の写しの広域交付、転入転出の特例処理、また住民基本台帳のカードの交付ということでございますけれども、これは現在政省令及びシステムの整備を検討中でございまして、各地方公共団体の御意見を聞くこと、またシステム調査委員会の御意見も聞きながら作業を進めております。
 また、今回法律案で追加をしている整備法案に基づく利用追加の事務でございますけれども、パスポートの交付でありますとか、厚生年金、国民年金の裁定、自動車の登録等の住民票の写しの添付がなくなる、また国民年金、厚生年金の現況届の省略というわけでございます。これらすべてにつきましても、第一次稼働と一緒でございますが、国の機関等がこの本人確認情報を利用する場合には、今後作業として、専用回線の使用ないしはコンピューターにおける通信相手の相互認証、またデータの暗号化のためのサーバーの設置、また指定情報処理機関と当該機関との協定書の締結、またセキュリティー対策なりの研修等を義務づけております。
 そういうことで、これらのシステムの整備なり運用環境が整った段階で、順次本人確認情報が提供可能になるというぐあいに思っておりますし、また、都道府県、市町村も今度の追加において直接本人確認情報を利用するわけでございますけれども、同じように体制の整備なりセキュリティー対策等の準備が整った段階で順次やっていくわけでございます。
 したがいまして、今後、このオンライン整備法案が可決をされ、また施行された後におきましては、これらの対応を順次やってまいりまして、それぞれの行政機関からこの追加事務についての利用がされてくるというぐあいになっていくと思っております。
桝屋委員 八月五日から今日まで、住基ネットが稼働を開始して、不正アクセス等はなかったという話を聞いて一安心でありますが、あったら大変でありまして、先ほどは大臣にあのように申し上げましたけれども、やはりスタート時点であります。ならし運転をやっているこの時期において、例えばマスコミにそうしたことが報道されるようなことがあれば、国民の皆さんの住基ネットに対する信頼を著しく損なうということもあるわけでありまして、今この準備段階における特段の取り組みについてお願いしたい。
 例えば、先般も新聞で、ウイルス定義について定期的に配信をするというものが全くなされていなかったというようなことが報道されました。後から聞けば、大丈夫かなということがわかりましたけれども、あのような報道がされるということ自体が、今のITの時代において、ITの常識から信じられないと、まさに国民の不信を買うことになるわけでありますから、特段の御努力をお願いしたいというふうに思います。
 それで、もう一点は、私は、国民の皆さんにオンライン、住基ネットの説明をするときに随分いろいろな懸念の声を聞かせていただきましたけれども、やはりメリットが十分国民の皆さんにわからなきゃいかぬ、理解をされる必要がある、そこはやはり、このオンライン化法あたり、今回のこの法律が動き出すということが必要なのかな、具体的にイメージとしては見えてこないんじゃないかと。そういう意味では、オンラインの議論もぜひとも早くやりたい、こう思ってきたわけであります。
 今までの住基ネット、あるいはこれからの住基ネットの二百六十四事務になった姿でも結構です、オンライン化されることによって、国民の利便といいますかメリットは一体どこにあるか、どういうふうに国民に言うのかということを端的に御説明いただきたいと思います。
若松副大臣 まず、現在、九十三の事務につきまして住基ネットの活用がなされているわけでありますが、これが二百六十四事務になることによりまして、手続の簡素化に大いに資すると当然考えております。
 また、行政手続のオンライン化に当たりまして、先ほど大臣も、いわゆる輸出入・港湾諸手続、これは三十あるのが、いわゆるシングルウインドー化というんですか、こんな手続の簡素化、合理化が今行われておりまして、ことしの七月に改定されました行政手続オンライン化のアクションプラン二〇〇二年、ここでも明記されております。
 このような行政手続の簡素化とオンライン化によりまして、国民、企業にとっては、自宅または事業所にいながら、インターネットを活用しながら、時間的、地理的制約なく手続が行える。これは抽象的な意味合いでありますが、三点申し上げますと、生活スタイルに合わせて行政サービスが受けられる、いわゆる個人の生活が重視される。二点目が、手続のために行政機関に出向くコスト、時間、労力等の負担が軽減される、まさに、これも先ほど申し上げたところに通ずるわけでありますが、いわゆる時間のロスというものがセーブされる。三つ目といたしましては、これは行政側でありますが、手続の内部事務処理期間の短縮によりまして行政サービスが迅速化される。こういったところから、国民、企業の利便性の向上とあわせて、当然行政もそのメリットを享受してしっかりと行政改革につなげなければいけない。
 いずれにしても、この二百六十四事務がオンライン化等によって活用されることによりまして、電子政府という観点から、いわゆるワンストップサービス、一カ所ですべて終わるというところから、ノンストップサービスという、待たなくていい、二十四時間サービスが受けられる、エニーストップサービス、どこでもできる。ノンストップサービス、これがやはり究極の電子政府、電子自治体のあり方でありまして、いわゆる、もう省庁がない、役所がない。「二〇一〇年宇宙の旅」でございますが、ハルですか、コンピューターが全部やってくれる、これは極論でございますが、いずれにしても、やはりそこまで行政の効率化なり行革が進むという一つの可能性を秘めているわけでありまして、このオンライン化法というのは、ぜひとも成立を私どもは期待しているところでございます。
桝屋委員 今の副大臣の話を聞いておりますと、まさに二十一世紀、役所の姿が変わっていくということだろうと思いますが、簡単な話ではない。今からこの法律を通して順次やっていかなきゃいけません。
 私、市町村に行きますと、よく市町村のホールにコンピューターの端末が置いてあるんですね、どうぞ使ってみてくださいと。あれ、意外と使っている人いないんですね。それで、先ほどから効率の話も出ておりますけれども、やはり我が家から、自分のデスクからアクセスできるということが飛躍的に伸びていく大きな要素かな、私はこう思っております。
 一点だけ違うテーマで確認なんですが、行政書士の皆さんがえらく心配をしておられます。私は、今回オンライン化する上で、電子情報といいますか電磁的記録、この部分について、士法、国家資格について整理する必要がある、いいチャンスだろう、こう思っているんですが、皆さんから、業務の制限が緩和されているけれども大丈夫か、国民の権利が侵されるのではないかという危惧の念も聞こえてくるところであります。私はここはぜひ乗り越えてもらいたいというふうに期待をしているところでありますが、その点だけちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。
芳山政府参考人 今回の改正で行政書士法の一部改正をしまして、その中で、他士業と一緒に電磁的記録の作成を新たな業務独占で入れましたけれども、一方、定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める行政手続について、相当の経験または能力を有する者で総務省令で定める者については作成業務を可能とするという改正を行っております。これは、今回のオンライン化法を契機としまして行政手続の簡素化、効率化が進むという中で、定型的かつ容易に手続を済ませることができるようなオンラインシステムを備えた行政手続が予想されるわけでありまして、そういうような手続を今後総務省令で定めてまいりたいと思いますが、その場合、当該手続を所管する国務大臣の意見を聞きながら、オンライン化の進捗状況を見きわめつつ、当該者の過去の実績または業務能力等を総合的に勘案しながら検討してまいりたいと思っています。
 電磁的記録の作成については、従来どおり行政書士に依頼することも可能でありまして、今回の改正によりまして国民の選択の幅も広がるもの、利便性も向上するものというぐあいに認識をしております。
桝屋委員 ちょっとよくわからない御答弁で、よくよく聞けばわかるような気もしますが、端的に言って国家資格制度の業務はそれほど大きな影響を受けることはないというふうに私は思っておりますが、もう一度だけ、端的に、確認させてください。
芳山政府参考人 我々もそう思っておりまして、手続を総務省令で定める場合におきましては、そこら辺も勘案しながら検討してまいりたいと思っています。
桝屋委員 ありがとうございます。
 それから、あと、公的認証システムでありますが、これもITの世界で成り済ましを防ぐという観点ではぜひとも必要であろうと思います。全国的に低廉な費用でそのシステムを構築するということは、私は必要性は理解しておりますが、電子署名法で民間の認証機関が既に動き出しているというふうに理解をしておりますが、そこと今回用意しようとしている公的認証システム、この役割の違いを簡単に、一言で御説明いただきたい。
大野政府参考人 今御審議いただいております公的な個人認証システムというのは、氏名、住所、性別、年齢、こういったいわゆる基本四情報によります安全な御本人の確認をする、全国どこに住んでいる方に対してもそういうサービスを提供するということでございます。
 既にございます電子署名法によって民間認証事業者が提供しておりますサービスというのは、どちらかといいますと、会社における役職、取締役であるとか部長であるとかという役職とか、それから一定の契約を結ぶような資格がどうか、あるいは場合によったらその方の資産、財産状況、こういったいわゆる属性を行うための証明書ということが中心でございまして、私どもの公的個人認証の電子証明書、これは御本人を確認するということですが、これを使って民間の方がさらなるこの属性の証明に使うというふうなことも法令上できるように今回の法案で考えております。
桝屋委員 公的認証システムと、それから民間の認証システム、そこは今のような役割分担があるということを理解させていただきました。
 それで、先ほど、武正委員ですかの話の中で、個人認証を、市町村か都道府県かという話がありまして、ずっと私そばで聞いておりましていまいちよく理解できなかったんでありますが、事務方から、問題の所在と、なぜ都道府県を絡ませた形になっているのか、もう一度わかりやすく御説明いただきたいと思います。
大野政府参考人 この公的個人認証システムにつきまして、国民の方が電子証明書の発行を御希望される場合には、市役所なり町村役場に行きまして申請をされる、そこで御本人の確認は市町村の職員の方がおやりになる、こういうことですが、そこで、その確認をした上で、先ほどの基本四情報と、それから、御本人がICカードの中に御自分で入れるわけですけれども、いわゆる電子証明書というものは公開かぎを御本人のものと証明するものでございますので、その公開かぎなるものも一緒に都道府県知事の方に送る必要があるということでございまして、都道府県知事が電子証明書を発行するわけですから、都道府県の方に四情報と公開かぎを送る必要がある、そのときにLGWANを使ってまた知事の電子証明書は本人に返ってくる、こういう仕組みになるわけです。
 この場合に、電子証明書の発行権者は知事であるというふうにしていますが、これは、そういたしませんと、全国三千有余の市町村ごとに電子証明書の発行の設備を備えつけなければならない、こういった問題が出て、大変な経費がかかってしまう、スケールメリットということを考えますと、やはりせいぜい四十七ぐらいの知事さんにやっていただくのがいいのではないか、こういうことがございまして、そこの点で市町村と都道府県の役割分担をしているということでございます。
桝屋委員 先ほどの説明とあわせて、今の点については、今回の住基ネットもそうでありますけれども、きょうは時間がないからそこは議論いたしませんが、住基ネット、それから今回の公的認証システムの連携もあるわけでありまして、まさに市町村で全部完結すればいいというお声も理解できなくはありませんけれども、やはり、県、市町村共同の作業としてシステムをつくり上げていくという必要性はあるのではないかというふうに私は理解をしております。
 時間がなくなりましたので、もう一回大臣とお話をしたいと思っておりますが、大臣、八月五日から今日まで住基ネットをやってきまして、きょうも議論が出ましたが、やはりちょっと考えなければいかぬなというところもあるのも、私も正直感じております。特に、市町村の立場からいきますと、共同の作業だとはいいながら、例えば都道府県知事あたりから何かやはり意見を言いたいというのも、これは解せないことではないわけでありまして、それから先ほどのアクセスログの問題もあります。やはり引き続きこれは我々も党内で議論をしていきたい、このように思っております。不断の見直しが必要であろうというふうに思います。
 最後の話になりますが、オンライン化法も恐らくそうだろうと思っておりますけれども、市町村はやはり、ずっと回ってみますと、人と金の問題で大分苦労をしております。人は、私もITは決して詳しい方ではなく、見よう見まねで身につけたわけでありますけれども、それに近い人も結構いらっしゃるということで、やはりIT人材をどうこれから確保するか。大臣からは、だから合併すればいいんだ、こう言われるかもしれませんが、合併はすぐにできる話でもないわけでありまして、この準備段階において市町村の支援ということもしっかりやっていただきたいなと。
 そういう意味で、大臣、今回の十四年度の補正予算の中を見ておりましたら、先ほど大臣からも、地場のIT産業の育成ということもありましたが、eまちづくり交付金、あれはなかなかいいですね。ちょっとわからない人はばらまきというふうに思われるかもしれませんが、私は、市町村にとって勇気と希望を与える事業じゃないか、こう思っているわけでありまして、全部国が決めるんじゃなくて、ああいうものも支援策になるのかなと思っております。どうぞ大臣、市町村がやはり動かなきゃなりませんから、ぜひ支援策をこれからも取り組んでいただきたい。最後に大臣の御決意を伺いたいと思います。
片山国務大臣 桝屋委員言われるように、市町村は三千二百十八ありますから、これは相当のばらつきがあるんですね。私は、やはりこれからは市町村を中心にして権限と財源と人間が集まってもらう、そういう意味では、人材の育成ということが大きなこれからの市町村育成の柱になる、こう思っておりまして、今でもセミナーをやったりEラーニングをやったりいろいろなことをやっておりますけれども、もっと組織的に今回の補正予算の要求を含めてやってまいろう、こう思っております。
 この電子自治体は、やはり私は、何カ市町村で共同化させて、県で一つでもいいし三つでもいいし五つでもいいんですが、またその実際の運営はアウトソーシングで民間にやらせる、こういうことを大きな柱にいたしたい。共同化でシステムの設計をやる、開発をやる、それで、やることは、もちろんセキュリティーやプライバシーは十分保護しながら民間に運営をやらす、それによってIT産業を根づかせよう、こういうふうに思っております。この行政手続オンライン化三法を通していただければ、その施行とあわせてぜひそれを進めてまいりたい、こういうふうに考えております。もう絶対と言いませんので、よろしくお願いします。
桝屋委員 大臣の話を聞けば聞くほどやはり個人情報保護法が必要だなと。これに全力を挙げて取り組みたいという決意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。これまでの質疑でちょっと重複するところもありますけれども、通告に従い、順次質問していきたいと思います。
 さて、今回の行政手続オンライン化関係三法案でありますけれども、これは、森内閣時代に総理を本部長とするIT戦略本部において策定いたしましたe―Japan重点計画において、申請、届け出等の手続のオンライン化に伴う法令の見直しを行うべく立案されたものであると思っております。このe―Japan重点戦略でありますけれども、政府が推進する電子政府あるいは電子自治体の方向性を示したものでありまして、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となることを目標としております。
 先般は、十一月二十一日、有線電気通信法の改正、いわゆる携帯電話のワン切り防止法案の質疑の際にも、私は、IT基本法及びそれに基づく政府のe―Japan戦略には現状をどう改革するかの目的意識が希薄ではないかというようなことをさまざま指摘したところであります。世界最先端のIT国家の実現に当たっては、高速・超高速インターネットを初めといたします情報通信基盤の整備はもちろんでありますけれども、現実には国民や企業が実質的にIT化による恩恵を受けられる、そういうふうにすることがさらに重要であると思っております。
 そこで、最初に総務大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 この行政手続のオンライン化に当たりまして、書面による手続を単にオンライン化するだけではなくて、オンライン化の前に、従来の手続の簡素化あるいは効率化を図ることが私は大事だと思っております。そこで、このような観点で、これまでどのように事前の取り組みが行われてきたのか、そしてまた今後基本的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
片山国務大臣 私も黄川田委員と認識を同じくしておりまして、単にオンライン化する、紙情報プラス電子情報だけではだめで、行政手続の簡素化、合理化、あるいは業務そのものも必要かどうかの見直しを行うことが重要だ、こう思っております。
 このため、現在、各省庁におきましては、受け付け時間の延長、行政手続に添付する書類、一番多いのは住民票の写しでございますけれども、住民票の写しなり登記簿謄抄本等の省略、廃止ができないか、あるいは申請様式の見直し、もっと簡単にできないか等、手続の簡素化について今検討の対象にしているものだけ言いますと、約一万八千件について見直しを行っております。また、申請、届け出の受け付けから審査、決裁、結果の通知、保存まで一連の事務を流れ作業のような電子化でできないか、合理化でできないか、こういうことを現在懸命に取り組んでいるところでございます。
 さらに、本年九月に各府省に情報化統括責任者、CIOというのを置きましたので、その連絡会議におきましてこういうものを一々お互いに情報交換しながら検証していく、こういうことも考えておりまして、この三法を通していただけたら、さらに一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
黄川田委員 私も電子政府、電子自治体の推進の必要性はよくわかるわけでありますけれども、このオンライン化は、国民の立場に立って、そして住民の利便性がどのように改善されるか、これが第一であると思っております。
 あわせてまた、国、地方の行政改革を断行するにはきっかけが必要であります。そして、オンライン化を図るべく行政手続のシステムの改善を図る際には、古い慣習にとらわれることなく、英断を持って、必要とされる事務、それだけを残すような形で進めていただきたいと思っております。
 さて、IT化の特徴でありますけれども、必要な情報が縦だけではなく横にも同時に流通いたしまして、瞬時に情報が共有できることであります。民間企業では、業務のIT化を契機に、トップから末端までの情報流通が瞬時に行える、そういう特徴を生かしながら、ビジネスプロセスを見直し、より効率的な組織への取り組みが進められておるところであります。これまで、複数の機関に関連する手続を行う場合に行政機関の間をたらい回しされるなど、縦割り行政と批判されてきており、行政においてもIT化によって効率的な行政運営が図られるのではないかと思っております。
 そこで、行政手続のオンライン化を契機といたしまして、縦割り行政の弊害を取り除き、効率的な行政を実現するためにどのような取り組みを進めていくのか、またあわせて、今回オンライン化に際し、省庁間の障壁ですか、これを超えて一元化される事例がありましたら、二、三、具体的に示していただきたいと思います。
片山国務大臣 一番国民の目から見て法人、個人通じて便利になったなというのは、ワンストップサービスでしょうね。そこに一カ所行けば、関係するすべての役所の窓口に行かなくても、そこに一つ申請を出せば全部それで終わっちゃう、これが一番効果的だと思います。
 これは、先ほど少し例を出しましたが、輸出入・港湾諸手続のワンストップ化、これは平成十五年度、来年度を目途に行います。輸出入の申告から出入港届あるいは動植物輸入の検査申請、検疫ですね、そういうこと等、大変な手続があるようでございますけれども、これをワンストップにしたい。それから、自動車保有関連手続のワンストップ化、これは平成十七年度を目途にしますが、自動車の検査・登録の申請、車庫証明の申請、自動車税の納付等、これもワンストップサービスといたしたい、こういうふうに考えておりますし、現在、行政手続の総合的な案内を実施する電子政府の総合窓口システムというものを去年から総務省で運用しておりますが、これを将来はワンストップサービスのすべての窓口にできたら、こう考えておりまして、現在、各種の手続がそこでできるようなシステムの検討をいたしているところでございまして、ぜひ、こういうことをやることによって、なるほど便利になったな、こういう実感を国民の皆さんに持ってもらいたい、こう考えております。
黄川田委員 現行の申請あるいは届け出をそのままコピーしたオンライン化では余り役立たないと思っておりますし、各省庁間の縄張りにこだわることなく、もっと国民の目線でこのワンストップサービスを進めていただきたいと思います。
 次に、行政手続のオンライン化に関しては、諸外国においても推進していると思います。また、ヨーロッパの幾つかの国では既に法制化しているとも聞いております。
 そこで、行政手続のオンライン化についての諸外国における法制面の取り組み状況はどうなっているのか、総務省にお尋ねいたします。
若松副大臣 現在、行政手続のオンライン化に関して、諸外国等を参考にしながら積極的にこの法制化についても検討しているところでございます。
 そこで、諸外国の法制面の取り組み状況でございますが、オーストリアにおきましては、行政手続法に、日本でいう行政手続法がございますが、あちらにも行政手続法がございまして、それにオンライン化についての通則的な、いわゆる横断的というんですか通則的な規定を設けている例もございます。フランスにおきましては、いわゆる個人企業法という法律がございまして、企業と行政との間の手続についてオンライン化を可能とする規定を設けている例などがございます。
 いずれにしても、私も二年前にアメリカに行きまして、そして、いわゆるワンストップサービスというか電子政府の推進本部の所長とお会いしました。そこは各省庁から約五十名強の人がおったんですが、その五十名強の組織図をぜひ見せてくださいと言ったら、うちは組織図はありません、縦割りの組織をなくすのが電子政府の目的です、こういうふうに言われまして、なるほどなということでありますので、私はこの電子政府はもっともっと進めなければいけない、そのように認識してこれからも頑張ってまいりたいと思っております。
黄川田委員 諸外国に視察に行っていろいろ勉強なさっている副大臣でありますが、日本は先進国の中で、電子政府、電子自治体、どの程度の位置づけにあるんでしょうか。
若松副大臣 私、全知全能の立場ではございませんが、やはり二年前のときはかなりショックを受けました、アメリカは進んでいると。かつ、行政効率化の具体的な数値化も出ておりまして、七年間で国家公務員、たしか三十数万人削減できたとか、十数兆円規模の行革成果が見られたとかありましたが、今、IT基本法等の法整備化によりまして、霞が関だけではなくて地方自治体も一体となったまさに電子政府、電子自治体、そしてe―Japan計画、これはかなり急速に進んでおりまして、私は平成十五年度、来年ぐらいには世界のトップレベルに行くんではないか、そのように認識しております。
黄川田委員 それでは、先ほど来議論がなっておりますので、私も、個人情報の保護に関連いたしまして、本年八月五日に稼働された住民基本台帳ネットワークシステム、いわゆる住基ネットに関して質問いたしたいと思っております。
 この住基ネットは、住民サービスの向上と行政の効率化を目的とし、各市区町村の住民基本台帳をネットワークしまして、地方公共団体の共同のシステムとして全国共通の本人確認を実現するものと説明されております。今回の行政手続のオンライン化三法案におきましても、電子政府、電子自治体の重要な基盤となるものであります。また一方で、住基ネットの開始前後には、個人情報を取り扱うことへの不安等から稼働を延期すべきではないかなどの議論がされたところであります。
 そこで、住基ネットの稼働後、個人情報の保護やセキュリティーの観点から運用上問題が生じているのか、またあわせて、今後の課題と対応策について大臣の見解を求めておきたいと思います。
芳山政府参考人 稼働後の個人情報保護の支障の状況ということでございますけれども、現時点においては順調に稼働しておりまして、一部これまで障害の発生はありましたけれども、すぐ復旧しておりますし、不正アクセス等については一切報告は受けておらない状況でございます。
 法律面でも技術面でも運用面でも十分な保護措置がとられていると思いますけれども、稼働前後におきまして、若松副大臣を本部長とします緊急対策本部を設置いたしまして、緊急対応をすぐとっていこうということで本部を設置しております。またあわせて、住基ネットワークのあり方、今後の運用についての課題について広く審議してもらう住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会というのを設置しております。またもう一つは、監査ということで、全地方公共団体を対象としましたチェックリストによる点検、また具体的に一部の団体における外部監査を今後実施していこうというぐあいに思っておりまして、そういうようなことで取り組んでおります。
 また、地方団体から要請がございますアクセスログの関係でございます、本人確認情報の提供状況の開示の仕組み、これにつきましては、システム協議会という各都道府県で構成されております協議会でもって早急に結論を得べく鋭意検討を行っております。
 そういうことで、今後ともセキュリティー対策、個人情報保護対策には万全を期してまいりたい、十分な保護措置を講じてまいりたいというぐあいに思っておりまして、努力してまいりたいと思っております。
黄川田委員 お話がありまして、特に問題がないという話でありますけれども、住民基本台帳に基づく本人確認情報の利用事務でありますけれども、これはこれまで九十三事務としていたものを、今回オンライン化に際し新たに百七十一事務も追加して二百六十四事務に拡大することとしております。私は、国政に来てまだ二年と五カ月でありまして、平成十一年六月の地方行政委員会で住基のシステム利用の安易な拡大を図らないとの附帯決議が付されていたということでありますが、これとどうも整合性がないのではないかと思いますが、この点に関して大臣の所見をお尋ねいたしたいと思います。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 安易な拡大は、これは慎まなきゃいけません。しかし、今回は、昨年に決めましたe―Japan戦略に基づいて電子政府、電子自治体をやろう、こういうことでございますので、安易な拡大じゃないんですね。
 電子政府、電子自治体をやるためには、住基ネットの事務を追加しないと、本人確認を。申請だけがオンラインで、添付書類や何かの本人確認だけは昔のままということでは、これは何の電子政府かということになりますので。申請もオンラインでできる、本人確認もオンライン上で確認する、こういうことではずが合うわけでございまして、そこで、政府の考え方も、電子政府、電子自治体をやるためには、今回は、地方が望み国の行政機関もぜひやってくれというものについては精選をして事務の拡充を図ろう、こういうことにいたした次第であります。
黄川田委員 そしてまた、住基ネットは、平成十一年の国会審議を踏まえまして、個人情報保護の観点から専用回線で構築していると伺っております。また一方、地方公共団体の間では総合行政ネットワーク、LGWANですか、これが整備されつつあります。
 そこで、現在は、個人情報保護の観点からは住基ネットをLGWANから独立したものとする方が望ましいと私も当然理解しておりますけれども、将来厳重なセキュリティーシステムが構築されたと仮定いたしまして、総務省は住基ネット、LGWANとこれをどのような関係に位置づける方針であるか、総務省の見解を伺っておきたいと思います。
芳山政府参考人 それぞれ別のシステムとして構築してまいりたいと思っていますが、LGWANにつきましては、地方公共団体を相互に接続する行政専用のネットワークでありまして、その中を電子メールとか電子文書交換等々、また情報共有ということで共同利用を可能とする仕組みとして構築をしていきつつあります。
 他方、住基ネットワークにつきましては、秘密性の高い住民票コードを含めた本人確認情報が保有され、また送受信されるということもありまして、他に漏えいすることを防止するため住基ネットだけの専用回線としております。そういうことでございまして、今後ともLGWANと住基ネットは別の専用回線ということで構築し、運営してまいりたいというぐあいに思っております。
黄川田委員 別々の方式としてということでありますけれども、個人情報の保護を優先するのか、まあ当然優先しなきゃいけませんが、行政の効率化を優先するのか、これは二者択一の問題ではないと思いますけれども、どうもさまざま問題があるのは、やはり根底に、個人情報保護法案の関係だと思います。どうも内閣委員会では、廃案となるのではないか、そういう方針が固まったのじゃないかというふうな形になっておりますけれども、いずれそれなしにはなかなか自治体もきっちりと前に進められない、足踏みとまでは言いませんけれども、やはりそこにひっかかりがあるというふうな現状だと私は思っております。
 それでは、順次具体的に法案の内容について伺っていきたいと思います。
 行政手続をオンライン化した場合でありますけれども、行政機関から国民への通知でありますが、これがどの時点で到達したこととなるのかは、国民の権利にも影響を与えるところであります。
 そこで、既に個別法上の手当てによりましてオンライン化が認められている場合において、行政機関から国民等への通知の到達時期についてはどのように考えられているのか、そしてまた、同様の点について今回の行政手続オンライン化法においてはどのように規定されているのかを総務省にお尋ねいたしたいと思います。
大野政府参考人 既に個別法でオンライン化をしております手続も幾つかあるわけでございますが、その場合の行政機関から国民の方々への処分通知などの到達時期でございますが、二つパターンがございます。
 一つは、いわゆるコンピューター、御本人のお持ちのパソコンでもよろしいわけですが、こうした入出力装置を持ったパソコンのファイルに記録がされたとき、これが到達した時期だと考えている法令もございますし、それから、一たんパソコンなどのファイルに記録されますけれども、プリントアウトしなきゃならない、処分通知を印刷しなきゃならない、こういうふうになる場合に、一定の時間が要るので、それは大した時間じゃないわけですが、そうした時間が経過した後に到達したものと推定する、こういうふうに決めている法令もございます。
 二つのパターンがございますが、今回オンライン法で考えております到達時期につきましては、多くの場合の事務処理が、電子申請、電子届け出にいたしましても、汎用的な受け付けシステムをつくりまして、それでやっていくことになりますので、統一的にした方がよかろうということでございまして、国民の方々へのファイルに、お持ちのコンピューターのファイルに到達した折、その時期をもって手続の到達時期としよう、それも、到達したときに御本人のパソコンに表示ができるような工夫も考えたらどうか、このように思っております。
黄川田委員 それぞれ手当てをしておるようでありますけれども、引き続き運用に当たってはしっかりと対応していただきたいと思っております。
 ところで、インターネットを活用しまして申請、届け出等の行政手続をオンラインで行えることになるのでありますけれども、行政の窓口で申請者本人を対面で確認できないため、本人確認を正確に行えるのかの不安があるわけであります。そしてまた、コンピューターで処理されるデジタル情報というものは第三者が改ざんを加えてもその痕跡が残らないので、その点の不安もあるわけであります。さらに、一たん許可等を受けた場合に、後で状況が変わって許可していませんよなどと言われるようなシステムでは、住民は安心して活用できないわけであります。
 そこで、現行の紙ベースの申請等においても不安が全くないとは言えないわけでありますけれども、対面を伴わないインターネットにおいては、特に本人確認について紙ベース以上の厳格性が求められるのではないかと思っておりますけれども、総務省はどのような対応策を考えておるのでしょうか。
大野政府参考人 今議員御指摘のようなセキュリティー上の問題もございますので、今回提出をしております法案の一つにいわゆる公的個人認証法案というものがあるわけでございます。
 これは、従来の紙ベース、文書、書類等の場合の署名捺印に相当するものを、暗号技術を使いまして、御本人に成り済ましがなされないような工夫をする、しかも改ざんがされたかどうかもチェックできる、そして、場合によれば、自分はそうした申請をしていないというふうな否認の防止にもつながるということで、いわゆる公開かぎ基盤と言っておりますけれども、そうしたシステムを自治体におつくりいただきまして国民の方々に提供しよう、こういうことでございます。
黄川田委員 ただいまの答弁にもありましたけれども、我が国は、諸外国の電子商取引において既に認証システムとして実用化され、そしてまた信頼を得ている公開かぎ暗号方式ですか、これを申請、届け出手続において活用するということでありますけれども、電子署名技術といいますか科学技術の進歩は日進月歩でありますので、当面は公開かぎ暗号方式を採用するとしても、情報通信技術の急速な進歩に柔軟に対応できるように取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、自宅や事業所など、インターネットに接続したパソコンさえあれば、いつでもどこからでもオンラインで申請、届け出等の行政手続を行うことができるということであります。しかしながら、具体的にどうパソコンを使うのか、難しい操作を必要とするのでは、せっかくの仕組みも有効に使われないことになる心配もあります。特に、紙の場合における記名押印にかわる電子署名の仕組みは本当にわかりにくいところがありますので、改めて電子署名を利用したオンラインによる申請、届け出について、住民が具体的にどう操作を行うのか、具体例を示して説明していただきたいと思います。
大野政府参考人 今お話しございました住民の方々が御自宅からパソコンで申請をする、あるいは会社から申請をするということに限らず、例えば、公民館にパソコンを置いてそこからでもできる、場合によっては郵便局あるいは図書館とかからもできる、そういった公共的な施設、そういう情報通信網の整備があり情報端末があるところからできるようにするということも大変大事でございますし、また、この情報端末も、デジタルテレビを使ってリモコンでできるようにするというふうなことも大変大事なことだと思いますが、当面考えております仕組みといいますのは、とりあえずはインターネットにパソコンをつないでそこから申請をするということになるわけでございまして、仮にパスポートというものを考えてみたいと。
 パスポートの場合は、これまで二回窓口に行く必要がございます。一回目は、パスポートの申請書、あと住民票の写しとか幾つかの書類を持って、顔写真も持って行くということでございますけれども、先ほど来大臣が申し上げておりますように、電子申請を国民の方が選ばれる場合は、申請書は電子的にやればいいということでございまして、パソコンの画面に、これはワンストップサービスになれば、例えば総務省の総合窓口にアクセスをすればそこでパスポートの申請に必要な様式はとれるということであります。そのパスポートの申請様式に、例えば御本人の住所、氏名、年齢、性別をお書きになって、あわせてその場合に、パソコンにICカードを読み取る装置が、現在はなきゃいけませんが、そこにICカードを差し込みまして、これが電子署名ということになるわけでして、御本人がいろいろなことをやらなくても申請様式に一定の情報を書き込み、しかも電子署名というところをクリックすれば自動的に電子署名つきの申請がなされる、その途中は暗号化をいたしまして申請書の中身が読まれないようにする、こういうふうな工夫もするわけでございます。
黄川田委員 加えて、電子政府、電子自治体、これが生きるためには、高齢者の方などにも親しんでもらえるような工夫が必要だと思っております。そしてまた一方、情報通信技術の発達によりまして次々と新しいものが登場してきております。例えば、テレビや冷蔵庫などの家電製品を活用しまして、ひとり暮らしの高齢者の方の生活を支援する機能なども開発されていると聞いております。
 そこで、高齢者等が使いやすいものとするために、どのように行政サービスの高度化あるいは多様化を図っていくのか、総務省の見解を求めておきたいと思います。
大野政府参考人 これから、インターネットの場合にIPバージョン6というものが普及をしていくことになるわけでございますが、そうしますといろいろな機器からインターネットにつなげられるというふうになるわけでございますので、今、議員御指摘のように、携帯端末のみならず、いわゆる家電も情報家電にもなる、こういうことになるわけでございまして、あらゆる端末がインターネットに接続できるようになる。もちろん、セキュリティーなりプライバシーには十分気をつけた上でございますが。
 そうなりますと、パソコンだけではないわけでございますが、そういった形での新しい住民サービスの提供のあり方、こういったことを考えていくことがデジタルデバイドの防止には必要でございますので、私どもといたしましては、関係のメーカーなども含めまして、有識者の方々から成ります懇談会をつくりまして、そういった方向について検討を進めたいということでございます。
黄川田委員 今答弁いただきましたけれども、いつでもどこでもだれでもアクセス可能を意味するユビキタスというんですか、これはラテン語ですか、そういうことの中でのコンピューターシステムの活用、総務省、やりたいと公表されたようです。今ちょっと触れたと思うんですけれども、もうちょっとその部分、具体に広げて答弁いただけたらと思います。
大野政府参考人 今、議員御指摘のように、イメージとすればユビキタス社会というものを想定いたしまして、そのために必要な手だては、一つには、今IPバージョン4を使っておるわけですけれども、これがIPバージョン6になりますと多くのIPのアドレスを使えるようになりますので、いろいろなところに、いろいろなものからインターネットに接続できるようになるわけでございます。そうなりますと、一番わかりやすいのは、御自分の自宅にあります、例えばおふろのセンサー、そういうものも考えられるわけでございまして、外出しているときに、帰る間際におふろを温めるようなこともできる。それから、冷蔵庫の中で何か足らなくなったときに、何が足らないか、買い物に行ってそれで選ぶこともできる、こういうふうにも使えるわけでございます。
 これを一種の情報処理のために使うということもできるわけでありまして、例えば、私どもが考えておりますのは、住民サービスといってもいろいろなことがあるわけでございますけれども、高齢者の方々の生活の自立のための支援にこういうものを使っていく。あるいは、コミュニティー活動などでいろいろなコミュニケーションを盛んにするために情報機器をもっと使いやすくしたらどうか。こういったことも含めまして関係の方々と考えておりますのは、一つには、どういったサービスが必要か、そのサービスを提供する場合にどういう端末が必要か、技術開発の動向はどのようにしたらいいのか、こういったことを検討していただこうということでございます。
黄川田委員 そしてまた、行政手続のオンライン化を行う場合には、各自治体において受け付けシステム等を開発する必要があります。さらに、申請、届け出等を受け付けるだけでなく、それらのデータを活用して、業務処理そのものの効率化も図っていかなければならないと思っております。このような場合には、業務に関する知識を有する自治体側と、システムに関する専門家でありますIT企業との間で協力してシステムを開発する必要があるわけであります。しかしながら、各自治体においては、システムの開発やシステム監査等に詳しい専門家の人材育成はなかなか難しい、不安があるわけであります。
 そこで、総務省として、小規模な自治体、そういうところにどんな形で具体策を講じているのか、お尋ねいたしたいと思います。
大野政府参考人 これからは、従来でいいますと、地方公務員の方々にとりまして法制執務に当たるようなものがIT、情報技術あるいは情報セキュリティー技術になるのではないか。多くの職員の方々が絶えずこのITなり情報セキュリティーについて研修を重ねていただくということが必要になってくるわけでございます。
 当面、私どもといたしますれば、Eラーニングという手法がございますので、わざわざ東京なりどこかに集まっていただく必要はないわけでございまして、これを十二月ごろから一月末にかけまして、一万人の方にEラーニング、ウエブ研修をやっていただいたらどうか。一自治体当たりとりあえず三人ぐらいとしますと、三千有余あるわけでございますので、一万人を対象にEラーニングということでウエブ研修をまずやっていただいて、一月の末には集中的なセミナーを三百人から五百人、そういった規模で東京で開催をするということを考えております。十五年度におきましても、今申し上げたような組織的な情報セキュリティー研修というものを体系づけまして、各自治体の職員の方々が絶えず研修に励めるように工夫をしてまいりたい、このように考えております。
黄川田委員 そしてまた、開発されたシステムの運用につきましては、二十四時間の安全な管理を行うためにも外部委託、いわゆるアウトソーシングを行うことにならざるを得ないのではないかと私は思っております。
 そこで、その場合、各自治体にとっては、これらの委託費の支出がふえるだけという結果になりかねないとの危惧もあるわけであります。各自治体においてアウトソーシングを導入することによる費用対効果を総務省はどのように考えておるのか、そしてまた外部委託費にかかわる補助策というものがあるのかどうか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
大野政府参考人 従来から、地方自治体に対しまして、交付税措置でありますとかあるいは地方債措置などを通じまして、電子自治体の推進に必要な事業につきまして財政措置をしているということでございますが、今議員御指摘のように、将来的に見れば、当然行政のコストの削減につながるということでございますので、電子自治体の推進を図るシステムをつくるわけでございます。
 先般、県と市町村とが一緒になりまして電子申請、届け出の汎用受け付け用システムをつくるということを決めた県がございましたけれども、そこでの試算を聞いてみますと、もし仮に個々ばらばらにシステム開発し運営するとなると百億円近くかかる、これが県と全市町村一緒につくるわけでございますが、これによって十数億、つまり十分の一の開発、運営費用で済むというふうな試算が出ておりまして、こういった形でおやりになる場合に、さまざまな財政支援というものを私どもも十分考えていきたい、このように思っております。
黄川田委員 あと、残り時間がありませんので、最後の質問とさせていただきます。
 また、小規模の自治体の職員でありますけれども、一人で幾つもの役割を担っているというのが現状であります。兼務をしておるのであります。そのような職場環境の中で、従来窓口で、対面で話し合いながら申請あるいは届け出事務を行っていたものでありますけれども、今回オンライン化された場合には、システムへの入力作業は一発勝負であるということであります。そこで、役所の職員の意識の改革を図り、個人情報の保護も含めて、個人個人のいろいろな自覚を高めていく必要があると思っております。
 そこで、そのような認識を踏まえまして、外部事業者委託が行われた場合におきまして、小規模の自治体における個人情報の保護のあり方は特に重要な課題であると思いますけれども、これにつきまして、総務省の対策につきましてお尋ねいたしたいと思います。
大野政府参考人 先ほど来大臣が申し上げておりますように、共同でシステムを開発し運営をする、こうなりますと、おのずと地元の民間の情報関連企業にアウトソーシングをするということになるわけでございますが、当然、この場合には、委託先との関係で、住民の方々の個人情報の十分な保護措置が講じられなければならないということでございます。
 自治体におきましては、それぞれ、個人情報保護条例というものによって対応するのが基本でございまして、この個人情報保護条例の中で、場合によりますと、委託を受けた者に対しまして個人情報保護の義務を課すということになる場合に、あわせまして、万全な措置を講ずるよう義務づける、こういう規定を条例の中に書き込むというところなどもあるわけでございます。
 今のところ、条例は全自治体の大体三分の二、条例じゃなくて規定とか規則でやっているものも合わせますと八割になるわけでございますが、私どもとすれば、条例措置が一番適切かと、議会の審議を経ておつくりになるわけでございますので。
 そういった形で、自治体には個人情報保護条例をきちんとおつくりいただきまして、その中で、委託先との関係、個人情報保護につきましてきちんと決めていただくように要請をしてまいりたいと思っております。
黄川田委員 通告した残りがありますけれども、別の機会にいたしたいと思います。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 このオンライン三法は、さまざまな同僚委員の質問にもありますように、八月五日に多くの反対を押し切って稼働し始めた住基ネットシステムを土台にしたものになっております。
 一般的に電子化で便利になることは私も否定しませんけれども、その前提となっている住基ネットシステム自身に国民の危惧と不安が大変広がっているわけですので、とても看過できません。私は、九九年の真剣な議論に加わった、当委員会でも数少ない者の一人でもありますので、そういう気持ちも込めて、きょうは議論してみたいと思います。
 まず、大臣にお伺いしたいんですが、八月五日に稼働するということについては、これをやらないと法律違反になるのでやらせていただくということを繰り返し御答弁されていると思うのです。確かに、八月五日が稼働日ですので、そのまま法律を改正しなかったら違反になるわけです。そうであれば、延期するという一部改正案を政府自身が提出して、それを議決に付すということも、選択肢としてはできたと思うのですね。なぜそうされなかったのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 附則の一項に「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」と。そこで我々は、三年間、地方団体を入れて十分準備をしてきたんですね、もともとオール地方団体の共同のネットワークですから。そういうことで、これはもうスタンバイできている、それでは、本人確認情報ということで国民の皆さんにも便利になるし、これを始めましょう、こういうことでございます。ただ、二項の方に、政府は所要の措置をとる、こういうものがありましたので、去年の三月でございますか、通常国会に法案を出させていただいて御審議をお願いするようにしたわけですけれども、残念ながら通常国会が終わるまでには成立しなかった。これは引き続いて早急に成立に努力する、こういう前提で施行に踏み切らせていただいたわけでございまして、延期をするという選択肢は、あのとき相談しましたけれども、それでいこうということにはならなかったわけであります。
春名委員 もう一つ、同じ中身になるかと思うのですが、先ほどの島委員の質問の中でも、法的には別に問題ないんだとおっしゃって、ただ、政治的には若干問題があるかなというふうに御答弁されているんですが、この政治的には若干問題があるかなと御答弁されている、その中身ですよね。その認識はどういうことでしょうか。
片山国務大臣 それは、所要の措置をとるという国会での修正が二項に入りましたし、小渕総理がこういうものは住基ネット施行の場合の前提だと認識している、こういう国会答弁がありましたので、法律上は私は問題はないと思いますけれども、総理答弁の重さや、あるいは国会での修正や、そういうことを考えまして、政治的にはやはり責任があるのではないかと。法律上はそれで問題はない、政治的にはやはり問題があるのではないか。しかも、議院内閣制、政府・与党一体ということから、そういうふうに御答弁申し上げたわけであります。
春名委員 今おっしゃったことで、私、言いますと、政治的には問題なしとしない、若干問題があるという御認識を持っていらっしゃるということであれば、先ほど最初に御答弁いただいた、政治的な問題もきちっと国民に解決をして進めるという道筋があったわけですね。それは、延期の法案を出すということは、その政治的問題も解決するという非常に正しい選択であるわけですね。なぜそれが大きな認識にならないのか、なぜそういう合意にならなかったのか。政治的な問題はなしとしないという認識があるのであれば、そういう選択肢も当然あってよかったのではないかと私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 あのときに一部のマスメディアや幾つかの団体での御議論は、個人情報保護が万全でない、こういうことだった。我々は、それは住基法のシステムの中で万全な個人情報保護措置を講じておると。個人情報保護法あるいは行政機関個人情報保護法が通った方がいいに決まっていますけれども、仮にそれがおくれても個人情報保護には問題はない、こういう判断を関係の省庁ではいたしたわけであります。
春名委員 九九年、三年前ですね、小渕総理がわざわざ地方行政委員会に出席をされる、そしてさっき引用されている発言をする、こういう経過になったのは、当時国対におられたと思いますので、よく御存じだと思うのですけれども、なぜわざわざ総理が出席をされてああいう発言をされることになったのか、それはどういうふうに御認識されているのですか。
片山国務大臣 それは、国会での御要請もあり、総理自身もそういう御認識を持ち、そこで、皆さんの御質問に答えてああいうことを言われたので、それはそれで私は正しい認識だったと思っております。
春名委員 小渕さん自身の答弁の中にもありますし、先日の内閣委員会での福田官房長官の引用にもあるのですけれども、今大臣もおっしゃっていたのだけれども、住基台帳のシステムそのものは個人情報保護で万全を期している、最高度のものをやっている、しかしなお、国民の間にプライバシー保護に対する国民の不安、懸念があるので、包括的な個人情報保護の措置をとることを前提にしますという答弁を、最高責任者がされたわけですね。当時の野田自治大臣も、この住基台帳システムそのものは万全を期しておりますというふうに繰り返し御答弁されていたのです。
 しかし、今大臣言われたように、国民の間にはまだ不安がある、なお国民の間にプライバシー保護に対する国民の不安、懸念があるので、これを全面的に解決するために包括的な個人情報保護の措置をとらなければならない、それを前提にするという決断をしに、発言しに来られたわけですね。そういう経過があるわけでしょう。
 私は、その当時、議論したときに、住基台帳システムそのものの中にも欠陥があるというのを追及したんです。自己情報コントロール権という立場から見たら、利用が終わったら直ちにそれを消去するという規定が法案に明記されていない、受領者の省庁が結合することについての罰則規定がない、違法な個人情報の利用に対しては国民の側からの中止請求権が要るけれどもそれがない、不服申し立ての手続がない、これは自己情報コントロール権からいえば、今日のそういう到達点からいえば非常に不十分である、このシステム自身も不十分なんだということを言いましたが、それは置いておいて、ただそれは万全だというふうに皆さんがおっしゃっても、万全だけれどもなお国民の間に不安がある、批判があるので、こういう措置をとるべきである、前提にするということで、九九年においでになって決断をされたわけですね。それが歴史でしょう、経過でしょう。
 そこで、総務大臣にお聞きしますが、こうした国民の不安、懸念は当時と比べて払拭されたと御認識されているんでしょうか。
片山国務大臣 我々の説明不足、説明の万全さがやや欠けているところがありまして、完全に不安が払拭されているとは思いませんが、住基が稼働して四カ月、本質的な問題は何にもないですね。そういうことで、国民の皆さんはかなりわかってきてくれたのではなかろうか、こう思っておりますし、個人情報保護法は国会のいろいろな関係でまだ成立しておりませんけれども、私は、恐らく遠からず成立する、こう思っておりまして、そういうことを含めて、国民の不安の解消にはなお努力してまいりたい、こう思っております。
春名委員 完全に払拭はされていないが理解されてきているというお話なんですが、例えば、全国で番号を返上しますというような申し出がどれぐらいあると思いますか。もしわかれば言ってください。
芳山政府参考人 地方団体で住民票コードの通知の受け取りの拒否の住民数がどのくらいかということについて、全体の把握はしておりません。しておりませんが、地方団体の中でそういう動きがあることも知っております。また、私自身も、施行後一週間目に、そういう集まり、私のところに来られまして、我々としては、住民票コードそのものは民間の利用を禁止しておりますし、そういう面で大丈夫であるということを再三私も言いました。
 そういうことで、保護措置は十分講じられておりますけれども、そういう住民も一部あるということは承知しております。
春名委員 私が住んでいる高知市、三十二万高知市民で五千人が返上しております。受け取り拒否です。各地で住基ネット差しとめ訴訟が随分広がっております。名古屋などでは、十一けたの番号を勝手に振ることそのものが嫌だ、嫌だけれども振られてしまうので行政不服審査請求をやろう、数百人の人がそれに参加をする、こんなことになっているんですよね。
 三年前にはこれは想定されなかったかもしれない。しかし、現実にこういう事態が目の当たりにされて始まったときに、本当にこのままいっていいんだろうかという不安や疑問が、率直に言って、今広がっていると認識しなければならないんじゃないかと私は思うんですが、そういう基本的な認識はないのでしょうか。
片山国務大臣 だから、何が不安なのかということの説明を我々はちゃんとしなきゃいかぬと言っているんですよ。絶対とは言いません、絶対とは言いませんが、四情報でございまして、何度も言いますけれども、行政機関が本人確認するためだけの照会なんですよ。ほかには一切使えないんですよ。民間の利用は認めないんですよ。仮に住民票コードが漏れれば、幾らでも変更できるんですよ。それが民間で悪用されるという、悪用しようがないと我々は考えております。これは特定の団体や一部のマスメディアを含めて、不安をやや助長している傾きがあるのではなかろうか、それに対して、我々の方の説明が必ずしも万全でないのかもしれぬ、こういう反省はしておりますけれども、我々としては今後十分な説明をして不安を解消していきたい。
 しかし、不安だ不安だと一方では大げさにあおる向きもあるものですから、その辺は、国民の皆さん完全にそれが解消しているとは言いがたいかもしれないという委員の見方は、全部ではありませんが、当たっているところも幾らかあると思います。
春名委員 今の発言を聞きますと、国民の方が不安がる方が悪いというように聞こえるので、そういうことを言われるから不安が広がるんじゃないですかね。
 要するに、そういう不安があるから包括的な個人情報保護法も万全につくって、その上で国民に信を問おうという話になったんじゃないんですか。それもやらないで、三年間たってそれも実現しないで、廃案になるかもしれないというお話みたいですが、そういう状況の中でそれをごり押しするということをやられるから不安が広がっているんじゃないですか。私、そこの認識を持たないと、もっとひどくなると思いますよ。
 例えば、七月の二十と二十一日の朝日新聞の電話世論調査では、住基ネット稼働を延期する方がよいが七六%、予定どおり進める方がよいが一四%。それから、稼働後の国立市の市民意識調査、これを手に入れて見たんですけれども、十月二十八日から十一月八日の間に千九十四人の人にこの意識調査をやっているんですが、住基ネットに対する不安の有無について、不安三八、大変不安三一、六九%が大変不安であり不安である。このまま参加を継続すべき八%、参加をやめて離脱すべき七六%。市民意識調査、これは始まる前じゃないですよ、始まって二カ月以上、三カ月たってからのことですから、これは全国的にどういうことになっているのか総務省で調査をとってみたらおもしろいと思いますけれども、本当にそういうことでいいのかという声が、声なき声もたくさんあるわけですよね。
 わざわざ行政不服審査請求までやろうというのは勇気が要ることですからね、そういうことはなかなかできないけれども、何でこんなことをやられるんだろうかと思っている人もたくさんいるということを認識をして事に当たらないと、私は、大変ギャップが広がっていっている。そう思いませんか、大臣。そういう認識ないんですか、本当に。
片山国務大臣 一言で言えば、見解の相違みたいなところがありますけれども、具体的にどういう問題がある、どういう不安がある、それで何があったかということの指摘がないと、ただ不安かどうか、よくわからないことは不安だと答える人はかなりおりますよ。
 だから、そういう意味では、我々の方も、あるいはすべての地方団体がもっとしっかりと説明するということが必要なんですよ。どういう問題が起こり、どういうことになって、どういう不安があるか、こういう具体的な御指摘があれば、それについてはしっかりと我々は対応していこう、こう思っておるわけでございまして、不安だ不安だというのは、それはその方、あるいはその団体、あるいはそういう方のお考えですから、承ってはおきますけれども、委員とは認識を異にする、こういうふうに思っております。
春名委員 私は自分の認識が間違っていたら、別にそれは指摘されていただくのはいいんですけれども、国民の間にそういう意識があるということについて、むしろ三年以上前にこの住基ネットの問題が浮上して、稼働される直前になってこういうことがやられるということが知らされる過程の中で、自分の情報についての真剣な検討とか、自己情報コントロール権があるんだというふうに初めて認識したとか、そういう意味では、住基ネットを稼働することでそういう意識が高まったということについて、非常に私はそれは効果的だったなと思いますけれども、やはりそういうギャップが生まれてきている、その大きなあなたの責任というのは、所要の措置を講じる、個人情報保護法もきちっと講じる、漠然とした不安にこたえるということを約束しておきながら、それを見切り発車でやってしまっているというところに一層の不安と不信があるんじゃないですか、そこを今問題にしないとならないんじゃないかと私は思うんですね。
 この中で、住基ネットを利用する国の事務を大きく拡大しようとしていることは本当にいいのかどうかが問われていると思いますよ。
 確認しておきたいと思いますが、総務大臣は参議院で、住所、氏名などは公開だから漏れても大した問題ではないという旨の答弁をされておられます。確かに、氏名、住所、性別、生年月日、四情報については現状では原則公開です。そして、閲覧によって名簿がつくられて、それに基づいてダイレクトメールなどが大量に送られる、こういう事態がずっと広がって、国民の不安が広がって、そのことを受けて、自治体ではその閲覧自身も制限していくというところがふえているのが現状ですね。これはもう共通の認識だと思います。そういう状況なんですね。だから、公開だから漏れても大した問題ではないなんということは、とんでもない話なんですね。
 しかも、住基ネット上では、コードが一体となって送信されるわけです。ここで確認します。住所、氏名などの四情報とコードが一体になったものは公開情報ではない、秘密情報である、これを確認しておきたいと思います。
芳山政府参考人 住民基本台帳法に基づきますと、氏名、生年月日、性別、住所という点につきましては、原則、何人でも閲覧できるということであります。不当な目的以外については何人でも閲覧できる。
 ただ、住民票コード及び変更情報は閲覧制度の対象となっておりません。したがいまして、今御質疑がありました四情報と住民票コードまた変更情報が一体となった本人確認情報につきましては、非公開、秘密と考えております。
春名委員 そのとおりなんですね。非公開情報なわけです。これが提供される機関が今回の法案で二百六十四事務に急激に拡大されるわけですね。
 私は、この点、三月の質問でも総務大臣にただしたんですけれども、これは、まだ個人情報保護法もできていないうちから、利用を安易に拡大しないというふうに決めているときから拡大しようとしておる、おかしいですねと質問したんですよ。そうしたら、大臣、きょうも言っていますけれども、何と言ったかというと、情勢が変わったんですと言ったんですね。つまり、政府がその後、e―Japan戦略を持って、世界最高のIT国家になる、電子政府、電子自治体をつくろうという戦略を持ったから、利用事務拡大は当然なんだというふうに私に言ってのけたわけです。
 問題は、そういうe―Japan戦略を内閣が推進することを決めたときに、総務省や総務大臣がどういう態度をとったかなんですね。小渕総理の発言、それを受けての法案の修正、附帯決議、安易なシステムの拡大を図らない、立法府の意思として明確に確認をされる、こういう一連の流れを総務大臣はよく御存じだったと思うんです。
 e―Japan戦略を決めて、電子自治体でいくから、こういうことは一切水に流してどんどん拡大していこう、まさかそういう態度はとっていないと思うんですが、どういうふうにこのときに責任ある対応をされたんでしょう。
片山国務大臣 事細かに委員に報告するあれがあるとも思いませんが、電子自治体、電子政府は、行政部門の情報化ということは一番国民の便益の増進になるんですよ、これはやりましょうと。しかし、同時に、国会での御議論もあり、総理の御発言もあるので、個人情報保護法は国会にお願いして、国会の権限と責任なんですから、できるだけ早く通していただきましょう、その他のセキュリティー対策、プライバシー対策は万全を期します、こういうふうに私は申し上げて、それがe―Japan戦略の中にそのとおり書かれたわけであります。
春名委員 システムの利用の安易な拡大を図らないという附帯決議については、当時の野田大臣が、「政府といたしましても、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。」と、きちっと述べておられます。
 システム利用の安易な拡大を図らないということを、みずから政府自身が縛りをかけておるわけです。その縛りを、どう責任を果たそうとしたのか。いや、待ってくれ、こういう立法府の意思を尊重しなければならないという立場で本当に頑張ったのかどうか。いや、そんなことはない、法案を出したからもういい、そういう態度をとったのか。非常に大きな問題なんですね、これは。どうですか。
片山国務大臣 安易な拡大じゃないんですよ。安易な拡大ではないです。国の意思として、政府の意思として、電子政府、電子自治体を実現する。
 何度も言いますけれども、本申請の方だけが、申請の方だけがオンライン化して、電子化して、添付書類はちゃんと行ってとって、役所に届けろなんということでは電子政府にならないので、だから、それはそういうことで、安易な拡大じゃない。拡大はするけれども、今言いましたように、個人情報保護の法制については国会へ三月に出したんですから、e―Japanのアクションプランをつくるときに国会に出したわけですから、これは早急な成立を国会にお願いしよう、こういうふうに我々としては考えて、アクションプランにそういうふうに決めたわけであります。
春名委員 それを聞いていて、皆さん、どう思うでしょうかね。
 例えば、e―Japan戦略というのは、個人情報保護法をつくるから政府としては責任を果たすと言っているんだけれども、二百六十四事務にふやそうという方向は、個人情報保護法なんかできるかどうかも全くわからないような時点で出されているわけですね。そして、それを出して、今は廃案になるかどうかというようなところまで来ているような段階でしょう。それはどうでもいいんですけれども、なるかどうかは別の委員会の話なので。そういう中で、大丈夫ですというふうにおっしゃって、システムの利用の安易な拡大にはならないと強弁されればされるほど、国民の気持ちからかけ離れていっていると本当に思わざるを得ないですね。
 では、私は、そういう答弁を聞きますと、もう一つ、非常に不安がよぎることがあるんですよ。といいますのは、大臣は、住基ネットの情報保護については、公務員には守秘義務がかかっている、そして、民間には利用できないようにしてあるから情報の漏えいは起こらない、大丈夫ですということを具体的に言っていらっしゃるんですね。率直にお聞きしますけれども、この民間の利用という問題も、e―Japan戦略と同じように情勢が変われば変わり得る、こうお考えになっているんでしょうか。
片山国務大臣 考えているわけがないではないですか。これは全部法律で縛っているんですよ。法律で決めた行政機関が法律で決めた本人確認のためだけにしか使えないんですよ、この住基ネットは。委員を含める国会で決めていただいたんですよ。だから、それは、もし仮に仕事をふやすとかなんとかということなら、全部法律改正が要るわけでありまして、不安だ不安だと言って、不安をそれだけ声高に言われる方が、私は本当に不安になるね。
春名委員 不安の震源地を考えていただきたいと私は思います。
 もともと、この住基ネットの稼働は、どういう目的で検討が始まったかということを議論しておきたいと思います。私は、旧自治省にあった住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会、この議論がはしりだと思いますけれども、大臣はこの研究会を御存じですね。
芳山政府参考人 これまで、住基ネットワークシステムについては相当前から検討が進んでまいりまして、研究会また懇談会という形を整えまして、法案に至ったというぐあいに承知しています。
春名委員 この研究会の設立の趣旨なんですが、「現在、住民基本台帳の利用については、そのデータの収集や管理方法、プライバシーの観点もあり、都道府県や国が行政目的のために統一的に利用する仕組みとはなっていない。」そこで住民基本台帳の国、都道府県及び市町村における行政目的のための統一的な活用を図り、他の行政分野への利用方法等を検討するとともに、住民基本台帳を基礎にした統一番号について調査研究するものであるというのが設立趣旨であります。
 この研究会が、九六年の三月に、住民基本台帳を基礎としたネットワークシステムを構築すべしという報告書を出します。それを受けて、当時の自治省が改正作業に取りかかります。住基ネットがつくられ、九九年に法案提出、採決ということになったわけです。
 総務省に確認しますが、この研究会の議論で、住民基本台帳を基礎としたネットワークシステム、つまり住民基本台帳番号制度を導入するに当たって、納税者番号制との関係が議論になったと思いますが、どのような議論をされましたか。簡潔にお答えください。
芳山政府参考人 住民基本台帳調査研究会の設置趣旨でございますけれども、住民基本台帳の国、都道府県、市町村における行政目的のための統一的な活用を図り、納税者番号制度を初めとした他の行政分野への利用方法を検討するとともに、住民基本台帳を基礎とした統一番号制度について調査研究を行うというのが趣旨でございました。
 研究会の報告書でございますが、納番とのかかわり合いでございますが、「納税者番号制度への活用」という欄で、政府税制調査会を初め各方面の議論等を踏まえて、将来的には納税者番号制度が導入されることとなる場合においては、このネットワークを活用することが可能となるということが書いてございます。
 ただ、これは先生御指摘のように、そのときに参考人の御意見をお聞きしたと思いますけれども、研究会のこのくだりについては、研究会としては納番については導入は中立であるというようなことを参考人としては発言をされたというぐあいに聞いております。
春名委員 それは私も認識しておりまして、ただ、今局長がお読みになったとおり、将来、納税者番号制度が導入されることになる場合においては、このネットワークシステムを活用することが可能となるという報告書が出ているんですね。
 確認しますが、納番制をもし導入する際には、この住基ネットシステムと住民票コードがそのまま活用できますか。これはシステム上のことです。
芳山政府参考人 一つは、法制度面でございますけれども、現行の住民基本台帳は民間利用を禁止してございますし、住民票コードの告知を要求してはならないというぐあいになっておりますので、利用制限がされておりますので、そのまま納番には利用できない。
 システムについてどうかについては、検討しておりませんし、わかりません。どういうような納番の仕組みになるかというのは、当該省庁で仕組みを考えるということで、どういう仕組みになっているか、検討も今までしたことはありません。
春名委員 そこで、大臣、ちょっと聞いてもらいたいんだけれども、今、番号を告知しない、それから、民間利用は禁止している、おっしゃっているとおりで、この法律はそうなっているので、当然それは今のままでは納番制には利用不可能であるということは言えると思うんですよ。
 そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、先ほど、e―Japan戦略で、情勢の変化があって、電子自治体の方へいくという大きな転換があったので、利用事務を拡大するという御説明をされているわけですね。その点で、納税者番号制度をめぐる情勢というのはどう変わってきているかというのを認識してもらいたいと思いますし、認識を聞きたいと思うんです。
 二〇〇〇年の七月十四日に政府税制調査会の答申が出ています。「わが国税制の現状と課題 二十一世紀に向けた国民の参加と選択」では、納税者番号制度は、国民生活全般に大きな影響を及ぼすものであり、その導入については、国民の理解と協力が必要です、そうだと思います。したがって、制度の意義、さまざまな論点について、今後、国民の間でさらに議論が深まることを期待するとともに、次ですね、「全国一連の番号の整備をはじめとした諸状況の進展を踏まえながら、その導入について検討を進めていく」と。全国一連の番号の整備を初めとした諸状況の進展を踏まえて導入について検討を進める、これが二年前の七月十四日の税調の答申。
 ことしの六月の税調答申はどうでしょうか。「あるべき税制の構築に向けた基本方針」では、「納税者番号制度については、制度の意義やその具体的活用の仕方、プライバシー保護の問題など様々な論点が残されているが、その導入に向け、具体的な成案を得るべく早急に検討を開始する。」と。具体的な成案を得るべく早急に検討を開始するというのがことしの答申なわけですね。今度は、全国一連番号の導入を受けて、住民票コードの導入を受けて、なるべく早く成案を得るように検討を開始するというふうになっているわけですね。二年前とことしの税調の答申は、はっきり転換しているというか変化しているわけですね。
 納税者番号に住民票コードを使うという方向が、私は、これを見る限り、政府内では非常に強まっているのではないか、そういう変化が起こっていると認識しているんですが、総務大臣はそういう御認識ではないのでしょうか。
片山国務大臣 納税者番号制度は、これは税制の方の議論なんですよ。それは、昔からありますよ、総合的な所得把握をやって公平な課税をやるという議論が。そのためには、よその国でやっているそういう納番制度を大いに研究しようということで来ているのですよ。私の方も地方税を所管していますから、そういう税調の御意向というのは、それは私も知らないわけじゃない。しかし、この住基ネットとは制度もシステムも全く違うものですから、これは関係ございません。
 いろいろな番号としては、社会保険庁の社会保険番号もありますし、これは税調でどういうお考えか知りませんけれども、それは、今局長も答弁しましたとおり、法制度としては全く別のものであります。
春名委員 先ほど申し上げた九六年の三月の報告書は、局長が読み上げたように、ネットワークシステムを活用することが可能になるということをはっきり活字で書いているわけね。そして、二〇〇〇年の答申、二〇〇二年の答申、なるべく早く成案を得る、全国一連番号の導入ということを受けて、そういう環境が整えば検討するということを言っているわけですね。
 二〇〇〇年の七月十四日の二年前の税制の答申は、納番制として検討する場合、個人付番方式の比較という表、年金番号と住民票コード、二つの表を出していまして、年金番号と住民票コードで、どちらがメリットがあって、どちらがデメリットがあるかという表まで出しているわけですね。その住民票コードを使う場合には、デメリットとして、現状では民間利用が禁止されているため、納税者と相手との自己証明の場合、それが使えないので、それがデメリットであるというふうに書いてあるわけですね。逆に言えば、このデメリットをなくしたら、これは非常に使いやすいということまで一覧表になっているわけですね、そういう表が。
 ですから、確かにこれは法律で、変えないと民間利用というのはできないわけですし、告知したらいかぬというふうに一応なっていますけれども、大臣がこの間言っておられるのは、やはり情勢が変われば、それまでの国会の審議とか余り関係なく思い切ってやるんだなんというふうに言われるものですから、非常に私は、こういう変化を、思い切って納番制へということにもなりかねないんじゃないかというふうに、この間の姿勢を見ますと思わざるを得ないんですね。
 もう一回確認しておきますが、納番制というのは、取引先の相手側に番号を告知することが前提だと思います。もし、この住基ネットの住民票コードが使われるというふうになれば、相手の取引側にこのコードが知られていく、もし使われるとすれば民間利用ということをしなければならないと、これは仮定の話なんですが、当然そういうことになりますよね。
片山国務大臣 この納税者番号制度をどうするかということは、最終的には国民が判断して選択することですね。まず、納番制度を導入するかどうか、導入した場合にどういう番号を使う、どういうシステムを使う、それは最終的には国民の代表である国会が決めることでございまして、我々としては、住基ネットを、そういう制度でもないし、そういうシステムでもないと今は理解しております。
春名委員 その原理のことをもう一回、局長でも結構です、確認しておきたいのですが、政府税調の納税者番号制度の定義によりますと、納税者番号制度とは、税務行政全般にわたる効率化を図るために、納税者に広く番号を付し、「各種の取引を行う際に取引の相手方に番号を告知すること並びに納税者及び取引の相手方が税務当局に提出すべき各種書類に納税者の番号を記載することを義務付けることによって、納税者に関する課税資料を、その番号に従って集中的に整理し、管理する方式である。」これは八八年の十二月ですけれども、小委員会の報告にこういうふうに載っているわけです。したがって、こういう定義からいきますと、相手の側に、もし、住民票コードを全国統一番号ということで活用することになりますと、民間への利用ということにならざるを得ないというのは、これは、システム上といいますか定義上も当然そうならざるを得ないと思うのですが、それを確認しておきます。
芳山政府参考人 住民票コードをそのまま、今先生御指摘の納税者番号に使うことができないといいますのは、現行の法律で、民間部門について住民票コードの告知を要求してはならない、また、契約の締結の条件として告知の要求なりデータベースの構築をできないというぐあいになっておりまして、住民票コードを納税者番号にできないと思っております。
 したがって、先ほど来、懇談会の意見の概要の御質疑がありますけれども、これについては、プライバシーの保護の問題ないしは国民的議論をどのようにやっていくかというのが大切であると指摘をされていると承知をしております。
春名委員 九六年のときから、このシステムは民間に納税者番号を含めた利用もできるということで、研究もするというふうに出発しているわけですよね。ですから、私はアンチテーゼ的な言い方をしますけれども、そういうことも含めて真剣にやっているというのを、事実を、情報をきちっと正直に全部伝えて、その上で、本当に国民の利便が少し向上するということが、僕は納税者番号制は当然大反対ですけれども、利便が向上するということで賛成、いやそうじゃない、もっときっちりとした個人情報保護ということをやってもらわぬと少々利便があってもだめですということで、国民も本当にそういうことでかんかんがくがく議論もして判断する、やはりそういう努力をもっとやってもらいたいんですよ。
 僕が不安をあおっているみたいなことを言っているんだけれども、皆さんがやっていることが国民にとって非常に不安を広げているということはもう間違いないことなんですね。そのことを認識して対応していただくことを改めて私は要望して、きょうの質問を終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党を代表しまして、ただいま議題となっております電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案を初めとする三法案について、基本的問題に絞って質問したいと思います。
 まず、これら三法案の基本となっているe―Japanについてであります。
 e―Japan戦略に始まり、e―Japan重点計画、e―Japan二〇〇二プログラム、同プログラムの加速・前倒し、そしてe―Japan重点計画二〇〇二と、次から次へと計画が打ち出されておりますが、これを見ますと、戦略と称するものと計画と個別事業とが混然、混ざり合っている。したがって、国民に全体像としてのその細部を理解しろといっても、およそ無理ではないかという感じがいたします。それどころか、コンピューター業界のハード担当者向けとしか思われない。これら一連の戦略から計画の性格について、内閣官房の説明をいただきたい。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
壷井政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、IT革命とは情報通信技術による産業社会構造の変革でありまして、社会経済の構造改革を促して今後の我が国経済の活性化を図り、豊かな国民生活を築く上で必要不可欠なものと認識いたしております。
 我が国では、IT革命の推進のために、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法でございますが、昨年一月に施行されまして、総理を本部長、全閣僚と民間有識者を本部員とするIT戦略本部が内閣に設置されたところでございます。
 IT革命の推進のためには、社会経済の構造改革の方向性と改革の道筋を具体的に描いた国家戦略を構築し、その構想を国民全体で共有することが必要であることから、昨年一月、IT戦略本部においてまずe―Japan戦略が策定され、二〇〇五年までに世界最先端のIT国家となることを目指すという国家目標が掲げられたところでございます。
 また、IT革命の推進に当たっては、政府が率先して諸般の課題に取り組むことが重要であることから、IT基本法に基づき、昨年三月、政府が重点的に実施すべき施策を取りまとめたe―Japan重点計画を策定いたしました。二百二十の施策について、どの府省がいつまでに何を行うのか、具体的な行動計画を定めたところでございます。
 さらに、e―Japan戦略に掲げた目標達成に向け、e―Japan重点計画の中間目標を設定したe―Japan二〇〇二プログラムや、e―Japan重点計画、e―Japan二〇〇二プログラムの加速・前倒しというものを策定いたしまして、政府としての動きを一層加速してきたところでございます。
 本年六月には、以上の取り組みの成果、各種施策の進捗状況等を踏まえ、e―Japan重点計画の改定を実施いたしました。新たに策定されたe―Japan重点計画二〇〇二においては、IT革命の実現に向け、二〇〇五年までに政府が取り組むべき三百十八の具体的施策を明示しているところでございます。
 政府としましては、今後ともe―Japan重点計画二〇〇二に掲げる各種施策の着実な実施に努め、e―Japan戦略が掲げる二〇〇五年までに世界最先端のIT国家となるという国家目標の早期実現に向け、重点的かつ戦略的に取り組んでいくこととしているところでございます。
重野委員 今、説明がされました。率直に聞きますけれども、今説明されたその先に何が見えるんですか。今あなたが説明したその先に、その結果、何がそこに描けるんですか。
壷井政府参考人 お答えいたします。
 その先にというか、我が国でIT革命を進めておるその先にある目標は、すべての国民が情報通信技術を積極的に活用して、その恩恵を最大限に享受できる社会の実現というのを目指しておるわけでございます。
重野委員 それでは、今のはちょっと私の質問に対する答弁になっていませんね。
 今のようなことで戦略とかe―Japan計画だとか大層なことを言っておる、響きませんよ。今のあなたの説明を聞いて、一般の国民がわかりますか。わかりやすい答弁をしてください。もう一回。
壷井政府参考人 済みません。お答えいたします。
 先ほど申しましたように、我が国でIT革命を進めていく上で、全国民で構想を共有するためにつくられたのがe―Japan戦略でございます。その中でうたっておる目標、ゴールは、先ほども申しましたように、すべての国民がITを活用して、その恩恵を最大限に享受できるような社会をつくっていくということでございます。
重野委員 それでは、先に進みますよ。
 今のは、違うときに、またあなたじゃない人に聞きましょう。
 このe―Japanでは、一、超高速ネットワークインフラ整備、二、電子商取引と新たな環境整備、三、電子政府の実現、四、人材育成の強化、これを重点政策に掲げていることは御案内のとおりです。
 そこで、まず聞きますけれども、この四つの重点政策ごとの五カ年の投資費用、今あなたが申し上げましたけれども、五カ年と区切ってそういうものをやろうとする投資費用、これらは一切明らかにされていませんね。一九九七年度から二〇〇二年度までの行政府の投資額が、資料を調べて、間違っていたら訂正していただきたいんですが、郵政事業庁分を除いて十一兆八千二百八十一億円、こういうふうになるようです。これに間違いないかどうか確認をしたい。
 また、こうした投資額による重点事業別進捗率並びに同じく今後の重点事業別投資費用の見通し、内閣官房の説明をいただきたい。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
壷井政府参考人 お答えいたします。
 いわゆるIT関連施策の予算につきまして、実はIT戦略本部においても、平成六年八月に設置された高度情報通信社会推進本部に倣って、取りまとめをずっと行ってきております。先ほど九七年以降という御指摘でございましたが、一応今申しましたように、私どもが取りまとめを行って公表しておる平成七年度以降の当初予算額について百億円単位で申し上げてみたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 平成七年度が約一兆一千二百億でございます。平成八年度が一兆三千億でございます。平成九年度が一兆四千八百億、平成十年度が一兆六千億、平成十一年度も一兆六千億でございます。平成十二年度が一兆六千六百億、平成十三年度が一兆九千二百億、平成十四年度が一兆九千九百九十億でございます。
 第二点としまして、e―Japan戦略に基づく取り組み状況について御説明いたしますと、昨年三月に策定しました重点計画に掲げられた二百二十の施策につきまして、昨年度中に予定されました百三施策全部、すべてを実施いたしております。
 その結果、申し上げますと、一つには低廉な料金で常時接続可能なインターネット利用環境の整備、これが進んでおります。さらに、公立学校へのインターネット接続、これも実現いたしております。また、書面、対面を義務づける法律の改正等、電子商取引にかかわる所要の制度整備もいたしました。電子入札の開始や各府省における汎用受け付けシステムの整備など、着実な成果が得られていると考えております。
 第三に、今後の取り組みに関する予算規模につきましては、平成十五年度予算の概算要求におきましては約一兆七千四百億円を計上しているところでございます。
 e―Japan戦略に掲げる目標達成のために、今後とも必要な予算の確保等に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
重野委員 私が聞いたのは、重点事業別進捗率並びに今後の重点事業別投資費用の見通しです。
壷井政府参考人 お答えいたします。
 まず、部門別の進捗状況につきましては、先ほど申し上げましたような形で集約をさせていただいているところでございます。
 第二に、部門別の予算要求額でございますが、これについて御説明いたしますと、まず、ネットワークの形成の促進につきましては、平成十五年度、二千四百億円の要求額となっております。第二に、人材の育成につきましては千二百億円でございます。電子商取引の促進につきましては約百億円でございます。行政の情報化につきましては約六千五百億円でございます。さらに、公共分野における情報通信技術の活用、これが約三千七百億円でございます。その他、高度情報通信ネットワークの安全性の確保等につきまして三百億円、研究開発の推進が約二千五百億円、このような内訳になります。
 以上でございます。
重野委員 それでは次に行きますが、二〇〇三年度までに全地方公共団体の総合行政ネットワークへの接続の完成を目指すとなっておりますが、これにかかる費用総額は幾らと見込んでおられるか。また、それに対する自治体の負担分、それから交付税措置分、国庫補助及び起債措置分は、どの程度と見込んでおりますか。
大野政府参考人 今御指摘のございました総合行政ネットワーク、いわゆるLGWAN、こう申しておりますが、電子政府、電子自治体の推進のために必要な行政機関同士の情報のやりとりのための基礎的なインフラでもある、こういうこともございまして、ことし、来年度中に市町村まで含めまして接続をいただこうということでございますが、全体のLGWANの構築経費、十三年度から十五年度までの三カ年になるわけでございますが、構築経費につきましては約五十七億円程度というふうに見込んでいます。
 それから、当然、ネットワークでありますので、毎年度の運営経費というものがあるわけでございまして、全国の市町村が接続された暁の運営経費、平成十六年度以降になるわけでございますが、毎年度百二十九億円程度になるのではないか、このように考えております。
 これに要する経費につきましては、地方財政措置を講ずるということにいたしておりまして、十四年度の場合でいいますと、都道府県、市町村を合わせまして全体で八十億円程度の地方財政措置を講じておりまして、国庫補助金とかそういったものを入れてやるものではないわけでございますので、地方財政措置において対応していきたい、今後とも同様な対応にしたいと思っております。
重野委員 それでは次に進みますが、二〇〇三年度までという目標年次がありますが、全国の自治体の電子化状況の進捗度、これは一体何%になっておるんでしょうか。
 聞くところによりますと、二〇〇二年度中に接続を終える自治体は一六・八%、このように聞いておりますが、これで間違いないでしょうか。この数値が間違いないとすれば、あと一年で八〇%以上が駆け込み接続しなければならない、こういうことになるわけです。そんなことが現実に可能なのかどうなのか。要するに、戦略設定が自治体の実態と大きくかけ離れている、そういうことではないんでしょうか。このことからも、オンライン化は見直さざるを得ないのではないかというふうに危惧するわけですが、これについてはどのように考えておられますか。
大野政府参考人 自治体が電子化、電子申請なり届け出をいたします場合に、アクションプランというものをつくっておりまして、国の方は、ことし、来年度で、行政機関と国民との間の届け出等につきましておおむね九八%までオンライン化できるようにしようというふうにしております。
 地方自治体のオンライン化の問題につきましては、法令に根拠がある事務につきまして、実際システム開発するのは自治体でございまして、システム開発の前提となります基本仕様でありますとか、あるいはその場合に必要になる政省令の改正の手当て、こういったものをお示しするのが、ことし、来年度で大体九六%程度、こうなっておりまして、これを踏まえまして自治体では実際にシステムの開発、運営に入る、こういうことでございまして、一部の自治体では既に、都道府県と市町村が一緒になってシステムの開発をやりましょうというふうに決めているところもありますが、そういった状況でございます。
 現在のLGWANの接続状況は、まずは都道府県と政令市、これが昨年の十月にすべて結ばれておりますけれども、市町村まで含めて全部につなげるのは十五年度中で十分間に合う、こういうことでございまして、御指摘のように、十四年度で見ますと、十四年度末では接続率が一三・四%程度と見込んでおりますけれども、残りにつきまして、十五年度中に平準化していただきまして、接続する場合の審査も必要でございます、セキュリティー問題とかありますので。逐次接続をしていただくように予算措置をしていただきまして、審査をしてつけていただく。
 十六年度から電子申請、届け出というものが始まる自治体は多いわけでございますので、何とかそういったものに間に合うように接続をお願いしようということで対応しております。
重野委員 では、間に合うというふうに理解をしてもいいわけですね。
 次に、先ほどもちょっと財政問題に触れましたけれども、維持費について、年間どれほどの費用負担というのが新たにふえるんでしょうか。試算の数値について、ありますれば、お聞かせいただきたいと思います。
大野政府参考人 構築経費の主なものは、接続機器、これを各市町村が購入をしていただきまして接続をしていくということになるわけでございますが、維持費の主なものは、回線の使用料、こういうふうになるわけでございます。
 まずは、接続する場合の経費につきましては特別交付税などの対応で考えておりまして、その上で、都道府県の運営経費につきましては普通交付税で対応するということにいたしておりますし、また、接続をされました市町村、これは個々ばらばらでございますので、これにつきましては特別交付税で対応することにいたしたいと思っております。先ほど申し上げましたように、全自治体が接続をされた上での、平成十六年度以降を想定いたしておりますけれども、百二十九億円程度、このように見込んでおりますので、それに見合う地方財政措置を今後とも対応したい、このように考えております。
重野委員 それでは次に進みますが、電子署名に関する法案内容について、幾つか質問したいと思います。
 まず、秘密保持に関する問題でございますが、二十二条では、都道府県職員の守秘義務を定めるとともに、「都道府県知事から電子証明書の発行に係る電子計算機処理等又は認証業務情報の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、」として、「秘密を漏らしてはならない。」こういうふうになっております。また、二十三条では同様に市町村職員の守秘義務を定めている。二十二条と同様に書かれておりますし、この二十二条、二十三条の規定については十分理解できるわけでありますが、問題は次の二十四条で、同条では、都道府県知事あるいは市町村長の委託を受けて行う「電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに」、ここですね、「みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。」とあります。
 一つは、これを二十二条と二十三条と区別をして設けた理由は一体那辺にあるのかということ。また、この二十四条には殊さら「みだりに」との文言を付したのはいかなる理由によるものか、二十二条、二十三条にはない「みだりに」という文言を付した理由は何か、これについてお伺いいたします。
大野政府参考人 今議員御指摘のように、都道府県なり市町村が認証業務をいたします場合に、いわゆる電子計算機の処理業務というものがあるわけでございまして、これを民間に委託するということがございますので、法案の二十二条あるいは二十三条、それぞれ二項でございますが、都道府県なり市町村の職員と同様の秘密保持義務というものを課しているということでございます。
 その上で、二十四条のお話がございました。これは、先ほど来申し上げておりますような受託をする民間企業の方たちの秘密保持義務に加えまして、刑事法上の秘密に該当しない個人情報全般につきましてもその適切な取り扱いというものを受託者に義務づける、こういう趣旨でございますので別な条文があるわけでございます。その場合に、なぜ「みだりに」という文言があるのかということでございますが、これはほかの法律の規定などにもあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、個人情報の適正取り扱いを義務づけるという趣旨でございまして、実は住民基本台帳法の三十六条などにもこういう言いぶりといいますか、ものを使っておりまして、要は、知り得た事項を正当な権限や理由もなく他に提供することを広く禁止する、こういう考え方で「みだりに」という文言を使っているわけでございます。
重野委員 次に、三十六条に定める基準に適合する場合、総務大臣は指定認証機関を指定することとされ、この指定された指定認証機関に対し、都道府県知事は、三十四条に定める事務を行わせることができるとされています。
 しかし、この指定認証機関に関する法律の規定の仕方は、これは住民基本台帳法三十条の十に定める「指定情報処理機関の指定等」と全く同じなんですね。ということは、法理論上、一面では、一県一機関、あるいは複数の府県で一機関ということも考えられるわけですね。四十七都道府県を網羅した指定認証機関もあり得るということではないかと解するのでありますが、住民基本台帳ネットワークをベースとする電子認証制度である以上、全国一本の指定認証機関となる可能性が極めて高いのではないかと危惧いたしますが、それとも、そうしたことは絶対ないというふうに言明できますか。これは大臣、答弁してください。
片山国務大臣 これはどう考えるかですね。今は住基は指定情報処理機関というので地方自治情報センターにやらせていますけれども、私は、全国を一つという場合もあるし、複数になる場合もあってもいいと思いますが、法律上の条件をきっちり満たして、それだけの能力があるのなら一つでも構わないし、しかし、全国を一つでやるのもどうかなということなら分けるということがあってもいいと思いますし、ぜひこれは、国会での先生方の御議論も参考にしながら、今白紙の状態ですから、今後検討してまいりたいと思っております。
重野委員 次に、この指定認証機関の発行手数料と情報提供手数料について念のため聞いておきたいんですが、三十四条では条例で定めるとされています。複数の府県が一つの指定認証機関に委託する場合どうなるんでしょうかというのが一つ。実態としては、ばらばらではなく統一された手数料となるわけで、この点からも指定認証機関の一本化促進要因となるのではないかという思いがするわけですが、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
 もう一点は、中央政府との関係ですが、本案に定める電子認証事務は都道府県の自治事務、私はそのように思います。となれば、中央の各府省が住民基本台帳ネットワークをベースに府県の電子署名を利用して事務執行を行う場合、当然、その事務の対価としての費用を都道府県あるいは都道府県が委託した指定認証機関に支払うべきと考えます。まず、この点を確認いたします。
 さらに、ここで支払われる手数料のそもそもの源泉は市町村の住民基本台帳事務に由来するものであることを考えれば、中央政府が支払う手数料は、都道府県ないし都道府県が委託する指定認証機関どまりではなくて、市町村にも一定額が還元されてしかるべきではないのかというふうに考えるんですが、以上三点、見解をお聞かせください。
大野政府参考人 議員から三点御質問がございました。
 まず、手数料がばらばらになるかどうかとの関連のお話でございますが、発行手数料、それから最後に御指摘ございました情報提供手数料は、都道府県の条例で定めるというふうになるのが原則かと思います。そうなりますと、手数料は制度上は別々にもなり得るわけでございますが、原則的には、手数料というのは経費を、実費を勘案して決めるということでございますから、仮に複数の都道府県が同じ指定認証機関、これは総務大臣が指定する認証機関でありますけれども、そこに委任をしたという場合には、実費勘案というふうに考えれば、手数料は同じになるのかなというふうにも考えております。
 それから、先ほどの情報提供手数料、署名検証者、行政機関がなるわけでございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、都道府県の条例で定めて支払っていただくというのが筋だと思いますし、行政機関たる国も含めて適切な受益者負担を求めるのが適当だ、こう思うわけでございますが、その場合に、先ほど来申し上げておりますように、原則的には、都道府県の発行手数料、情報提供手数料というものの中で、条例で決めればいいというふうになると思いますが、議員御指摘のように、電子証明書の発行の場合の本人確認、これは窓口で市町村がやっていただくということでもありますので、そこは、手数料の中から市町村に対する交付金とか、そういったものを工夫するということも今後の検討課題ではないか。
 なお、念のため申し上げますが、公的個人認証システムと住基ネットとの関係でございますが、住基ネットからは、この公的個人認証は、失効情報ということで、電子証明書の発行を受けた方が、四情報、いわゆる住所が変わったとか亡くなられたとか、そういう異動があったというその情報をいただくだけでありまして、そこが住基ネットとの関連で、公的個人認証システムがあるということでございます。
重野委員 次に、三十九条の認証業務情報保護委員会の設置についてであります。
 指定認証機関については総務大臣が指定することになっておりますが、そうであればあるほど、認証業務情報の保護の公正を確保し、国民のプライバシーを守る法制度上の装置は重要なはずでございます。そうした観点からすれば、この三十九条の委員会は、指定認証機関の代表者が任命する委員をもって構成する内部機関とするのは余りにも無神経ではないかと思います。ダブルチェックの観点から、都道府県知事の任命する委員から成る第三者機関とするのが妥当ではないかと思うのですが、これについて見解をお聞かせください。
大野政府参考人 議員御指摘のように、法案の三十九条におきまして、「指定認証機関には、認証業務情報保護委員会を置かなければならない。」これは、中立性を有しまして、しかも専門知識のある第三者組織である委員会というものを指定認証機関の中に置くということでございまして、これは指定認証機関が個人情報が含まれます認証業務に関する情報を扱うということにかんがみた措置でございます。
 一方、法案の組み立てからいいますと、指定認証機関にすべての都道府県が認証業務を委任するかどうかは、これは都道府県の判断でございまして、都道府県は委任することもできると、できる規定にしておるわけでございますが、そこで指定認証機関に委任を行わない都道府県も法制度上はあり得るということになるわけでございますが、こうした場合は、現在、都道府県におきましては個人情報保護条例というものを設けておりまして、その中にいわゆる第三者組織であります個人情報保護審議会というものを設けるという県が多いわけでございまして、こういった既存の組織を活用することもあるのかなというふうなことも考えまして、法案の中におきまして、委任を行わない都道府県にも義務づけをするという組み立てはとらなかったところでございます。
重野委員 最後に、e―Japanの最も基本的問題についてお伺いいたします。
 今後五年間で世界一のIT国家とすると言っています。その場合、コンピューターの基本ソフトはどうするのかという点です。我が国は、かつて自己開発したトロンをアメリカの圧力でつぶされ、今ウィンドウズが圧倒的シェアを占めている、これが現実でございます。基本ソフトの選択というのは国家戦略を左右する問題である。言われているリナックスを選択するのか否か、いつまでに明確にするのか、私はこの問題についての時期を明言すべきだというふうに考えておりますが、これについてはいかがお考えでしょうか。
壷井政府参考人 お答え申し上げます。
 電子政府の情報システムの基幹となりますオペレーティングシステム、いわゆるOSにつきましては、海外の政府機関におけるオープンソースOSの導入の動きなどに伴いまして、我が国においても御関心が高まっているところでございますが、オープンソースOS及び非オープンソースOSについては、セキュリティー面とか運用面等につきまして、さまざまな御意見があるところでございます。
 いずれにしましても、電子政府、電子自治体のOSにつきましては、セキュリティー面や運用面等におけるメリット、デメリットの客観的、中立的な評価を踏まえて今後検討されるべき問題と考えておるところでございます。
片山国務大臣 IT戦略本部の事務局はああいうことですが、私どもの方では、来年度予算に調査研究費を要求しまして、OS問題については一定の研究をしよう、こういうふうに思っております。
 大変、委員と同じような認識を私も持っておりまして、ウィンドウズもちょっと、横暴でもないのだけれども、一部開放みたいなことを言っていますけれども、それでいいのかどうか、しっかり研究しようと思っております。
重野委員 いずれにしましても、大変重要な問題であります。多面的、重層的に意見を聞いて、よりよいものに仕上げていただきたい。
 以上で終わります。
遠藤委員長 次に、三村申吾君。
三村委員 無所属の三村でございます。本日のトリを務めさせていただきます。
 さて、今回の質問に当たり、自分が町長をいたしておりました役場の担当課に、このオンライン法への現場の対応は大丈夫か、何か気がついたことがあるかと問い合わせをいたしました。ありがたいものでございます。みんなで話し合ってくれたそうでございます。課長以下、担当課九人の連名でこういうふうにファクスを送ってくれました。
 町や村にはいろいろな新しい法律や仕組みが、霞が関の方から県を通じて、いついつからやってくれとおりてくるわけでございますが、職員たちはよく対応いたします。一生懸命、新しいことでも勉強いたしまして、理解して、無事に期日に合わせてスタートできるように頑張っておるわけでございます。この国の運営がうまくいっているのは、それぞれ現場で、地方の役場の公務員たちが全力で頑張っているからだと私は感謝をいたしております。ちなみに、現場の声の一部をお伝えいたしたいと思います。
 ファクスにこう書いてありました。
 「問題点について」「一 当町に個人情報保護条例はないが、二次稼動においては、特に問題はないと考える。」「二 ICカードの利用については、当町の町民が他市町村で利用する例はあまりないと思われる。又、他市町村民が、当町で住民票の交付要求の例も、あまりないと思われる。」、「必要な対策事項について」「一 職員の守秘義務の徹底」「二 OA室の入退管理の徹底」「三 利用記録簿管理の強化」、「要望事項」として「システム導入経費について、交付税算入となっているが、当町の経費の内、実際どれくらいの額が交付されているのか見えない。今後は、毎年かかる経費を全額交付税算入して欲しい。」そういうファクスの内容でございました。
 というわけで、地方の町や村では、現段階ではそれほど利用されないシステムであり、導入する経費は例によって交付税算入ということに不安はあるようですが、きちんとやりますという気概には満ちていることがおわかりいただけたと思います。
 そこで、なぜ地方では利用の少なそうなことをやるのかというようなことになるのでしょうが、現在、私が思いますに、大きな国家戦略に立ち、先を見据えて、ハード、ソフトとも、システムやノウハウをこつこつといろいろな分野で積み上げていく、いわゆるe―Japanの基盤整備の時期である、そう考えるのでございます。その観点に立って、本日は質問をさせていただきます。
 日本社会をIT化する目的は、社会コストの削減や産業の国際競争力を高めることにより、我が国の繁栄を維持発展させるところにあると考えます。このため、地方公共団体にあっては、地域の発展のためにこのITという新しい道具をいかに使っていくのかを考えていかなければいけない、そのスタートにこの法は当たると自分は感じておるのでございますが、この点に関しまして総務大臣の御見解を伺いたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおり、今直ちに本人確認で添付書類の省略等が小さな町村で物すごい数に上るとは私も思いません。しかし、先ほども言いましたように、そういうことだけじゃなくて、例えば役場が物を買うときの調達や、あるいは建設事業なんかを発注するときの入札だとか、あるいは地方税、国税の申告、納税ですね、そういうことにだんだん使われていくのではなかろうかと思います。
 しかし、何よりも、これで電子マネーといいますか、インターネット上で金のやりとり、契約を結ぶような場合、Eコマースの場合に、公的な個人認証というのは要るんですね。特に税金を納めるときなんか、公的な個人認証をしっかりやるということが必要なものですから、そういう意味では、電子自治体といいますか、このオンラインの法律の効用がだんだん出てくるのではなかろうか、こういうふうに私は思っております。
 そこで、かかるお金は、先ほども政策統括官が言いましたように、全国一律になると普通交付税で、個別の場合には特別交付税でこれは全額算入いたします。そうでなければ小さいところはやれませんから、これはしっかりそうさせていただきたい。
 それから、私は、今のインターネットというのは時間と空間を超越しておりますから、どんなへんぴなところの小さな町村でも、全国どころじゃなく世界じゅうの情報が瞬時にとれるし、また世界じゅうに情報が発信できるわけですね。そういう意味で、使い方だと思うんです。これはやはり地方分権の一つの大きなツールだ、武器だ、私はこういうふうに思っておりまして、これをどうやってうまく活用するかというのが、その村の存在意義を高めて有名にして、恐らく産業やいろいろな活性化につながっていくのではなかろうか、知恵比べだ、こういうふうに思っておりまして、そういう意味では、ぜひ委員のところの町でも頑張っていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。
三村委員 現場はやる気満々でございますし、ここからe―Japan、スタートということでございますから、御支援の形、またいろいろな構想をいろいろな形で示していくことをよろしくお願いする次第でございます。
 さて、次に、ITインフラを活用すれば、大臣からもお話がございましたが、特に地理的制約が解消されるわけでございます。そこで、このITインフラを活用することによって、過疎傾向にある市町村においても住民相互のコミュニティー活動を支援することができますし、さらには都市と農村、農山漁村間における地域間交流の拡大に大いに役立つのではないかと思います。この点の見解を総務省の方からお知らせください。
大野政府参考人 今議員御指摘ございましたように、ITを活用して人々の生活そのものを変えていくというのがIT革命の究極目標だろうというふうに考えられるわけでございますけれども、そうした場合に、特にIT技術というのは、住民の方々同士、もちろん住民と行政との関係、それから私どもが今お願いしております電子申請、届け出にもなるわけでございますが、そうした住民と行政のみならず、住民同士のコミュニケーションを活発にする技術でもあるわけでございます。例えばケーブルテレビを使うとかそういった形でインターネットの情報をやりとりするということもできるわけでありますし、そしてまた、当然のことでございますけれども、都市と農村との情報のやりとりというのもインターネットを使うことによって割安にできるようになってきている、こういうことでございます。
 そこで、かねてから、私ども総務省といたしましては、地域振興ということにIT技術をどのように使えるかということを検討しておりまして、その場合に、できれば民間主導で地域振興のプロジェクトをITを活用してやっていただきたい、こういうことでございます。
 パイロットプロジェクトというふうなものを幾つか考えておりますけれども、例えばベンチャー企業がネットワーク形成する場合に助成するとか、あるいは都市と農山漁村との交流、あるいは市民の方々が持っている知恵、ノウハウというものをデータベースする、こういったものをパイロットプロジェクトで選んでおりまして、この成果を分析しながら、こういった、いわば新しい地域振興のビジネスモデルでありますので、全国にも御紹介申し上げたい、このように思っております。
三村委員 創意工夫する民間や地方自治体の方々に力を与えてくれると信じる次第でございます。
 さて、電子自治体を進めるためには、人間の仕事とコンピューターの仕事を切り分けた上、IT企業のシステムエンジニア等と協力して、さまざまな業務処理に資するシステムの開発やバージョンアップ、これが大事だと思いますし、不正アクセスの防止等セキュリティー対策が大変に重要であると思います。
 これらの作業を各市町村において個々に行うことは、非常に困難を伴うとともに、類似の作業の重複ということが生じると思われますが、この点の解消についての見解をお知らせください。
大野政府参考人 この点につきましては、かねてから片山大臣が提唱をしておられますけれども、個々の自治体がばらばらに業務処理をするということでは、いろいろな面で、もちろん経費の問題もございますし、セキュリティー対策の面もあるということでございますから、できることならば、例えば受け付けシステムは汎用にできるわけでございますので、届け出、申請、いろいろな種類ございますけれども、これも一つのシステムでつくることもできますので、これにつきましては都道府県なり市町村まとまって一緒におやりになる、これをアウトソースすることによって、きちんと二十四時間監視ということも可能なわけでございますから、これからは、セキュリティーに配慮をした電子自治体の推進のためにはやはり共同アウトソーシングというのがいいのではないか、このように考えております。
三村委員 市町村で連合体を組んでアウトソーシングしていく、その考え方には大いに賛同するものでございますし、ぜひそのようにして市町村を楽にしていただければと思う次第でございます。
 続いて、電子政府、電子自治体化に伴い、プライバシーの確保や個人情報の保護への危惧が高まっております。しかし逆に、ITを活用することでプライバシーの保護がより充実する方法があるのではないでしょうか。この点についてお考えをお知らせください。
大野政府参考人 この点は議員御指摘のとおりでございまして、従来、ややもしますと、セキュリティー対策にIT技術を使うという面のみがクローズアップされているわけでございますが、プライバシーを保護するために当然このIT技術というのは活用できるわけでございまして、こういった点をもう少し私どもも研究していくべきだ、このように思っているわけでございます。
 例えば、アクセスを制限する、こういう場合に、当然のことながらICカードを使うとかパスワードを入れる、こういった操作者を限定してしまうということもプライバシーを守る技術でありますし、それから、追跡調査、不審な者がアクセスするということを後から追跡調査する、これはアクセスログにもなるわけですが、こういったコンピューターの使用記録も保存できる。
 それから、もっと言いますと、データベースを構築する場合に、このデータベースを盗み見られないようにするためには暗号化技術を使うというのが非常に適切な方法だというふうにも言われておりまして、データを保存する場合に暗号化をする、しかもそのデータを改ざんされないようにする、ここに暗号化技術、バックアップをとることも可能かと思いますが、こういったIT技術を使ってプライバシーを守るということにつきまして、私どもも十分研究した上でガイドラインをお示ししてまいりたい、このように思っております。
三村委員 暗号化技術のお話をいただいたわけでございますが、まさしくIT、どういう暗号化によって守っていけるかというのが本当に行政の場合においても本命であると思います。総務省におかれましても、この暗号化技術を高めていくための助成等をよろしくお願いしたい次第でございます。
 さて、最後に、民間企業では、企業内LANを活用してみんなで情報を共有し、これまで各人それぞれが固有に持っていたノウハウのオープン化が進んでおります。いわゆるナレッジマネジメントでありますが、行政の分野におきましても庁内のLANを活用してナレッジマネジメント化が可能であると思うのでございます。
 またさらに、全国的に類似の行政サービスにかかわるノウハウを共有化する仕組みを整備することが、大臣がよくおっしゃいます地方の自立、また地方分権の推進に、そしてまた合併協議というものが全国的に進んでいる現在、合併をよりよくするためには町づくりプランというものの作成が大切でございますが、この作成にも役立つという観点から、これらのノウハウを共有化する仕組みを整備することが大変に不可欠であると考えるわけでございますが、総務大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
片山国務大臣 三村委員言われますように、今いわゆる情報の共有、またそれを活用するということが一番大切ですね。今言われたように、恐らく役場の中では庁内LANでしょうね。それから、私どもの方が言っているのは、一つの市町村の中で役場を中心に公共施設を全部つなぐイントラネットということをやっているんです。これをぜひ全市町村にやってもらおうと。そのイントラネットから枝線を出していって、できればそれを各家庭につないでいけたら、ラストワンマイルの負担の問題がありますけれども、そういうことを考えております。
 それから、今度は、市町村、都道府県は、きょうもいろいろ御質問があって御答弁しましたように、LGWANが本格稼働を来年度から始める。これは、霞が関WANと、中央とも全部つながりますから、それがつながってくれば全国のいろいろな情報をそれぞれの市町村が入手できるようになるので、また、それができるようなことを我々としては主導していきたい。いろいろな、こういう仕組みをつくりました、こういうデータがあります、こういうプランでうちは町の活性化をやりました、こういうことができるだけ簡便に入手できるような仕組みをつくることによって、それぞれの地域の自立ができる、活性化ができる。
 いつも私は、これからは自立と個性ある発展と地域間の競争だ、こう言っておりますから、そういうものをこのシステム、ネットワークをつくることによって推し進めてまいりたい、こう思っておりますので、ひとつ御理解、御協力をよろしくお願いいたします。
三村委員 大臣から非常に前向きなお話をいただいたと思います。やる気のある市町村、創意工夫で頑張る市町村、いわば大きな日本国内のLANを用いてそれぞれが町づくりを頑張っていく。
 私の持論は、地域や地方が活性化してくれば、よくなってくればこの国も立ち直っていく、そういう思いでございます。そのために、このe―Japan構想、まさしく今入り口でございます。なかなか利用する人も少ないということであれば、まず自分が最初に行ってICカードをつくるというところから始めて、徐々に地域おこしが国づくりになるという方向でともに頑張りたいと思います。
 質問を終わります。
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十八分散会


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