衆議院

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第11号 平成14年12月12日(木曜日)

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平成十四年十二月十二日(木曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    平林 鴻三君
      宮路 和明君    山口 泰明君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      赤松 広隆君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    鎌田さゆり君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      松本 剛明君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      中林よし子君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   稲村 公望君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局次
   長)           三沢  孝君
   参考人
   (日本放送協会会長)   海老沢勝二君
   参考人
   (日本放送協会専務理事・
   技師長)         吉野 武彦君
   参考人
   (日本放送協会専務理事) 板谷 駿一君
   参考人
   (日本放送協会理事)   山村 裕義君
   参考人
   (日本放送協会理事)   笠井 鉄夫君
   参考人
   (日本放送協会理事)   山田 勝美君
   参考人
   (日本放送協会理事)   安岡 裕幸君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月十二日
 辞任         補欠選任
  野中 広務君     山口 泰明君
  吉野 正芳君     馳   浩君
  中村 哲治君     松本 剛明君
  春名 直章君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     野中 広務君
  松本 剛明君     鎌田さゆり君
  中林よし子君     春名 直章君
同日
 辞任         補欠選任
  鎌田さゆり君     中村 哲治君
    ―――――――――――――
十二月六日
 行政書士法第十九条改正反対に関する請願(川内博史君紹介)(第八四七号)
同月九日
 元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一〇八七号)
 同(安住淳君紹介)(第一二三七号)
 同(黄川田徹君紹介)(第一二三八号)
 同(重野安正君紹介)(第一二三九号)
 同(横光克彦君紹介)(第一二四〇号)
 同(阿部知子君紹介)(第一三四二号)
 同(大島令子君紹介)(第一三四三号)
 同(川田悦子君紹介)(第一三四四号)
 同(佐藤勉君紹介)(第一三四五号)
 同(春名直章君紹介)(第一三四六号)
 同(肥田美代子君紹介)(第一三四七号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一三四八号)
 同(水島広子君紹介)(第一三四九号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一三五〇号)
 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一三三八号)
 同(春名直章君紹介)(第一三三九号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一三四〇号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一三四一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 閉会中審査に関する件
 日本放送協会平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 日本放送協会平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 日本放送協会平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日本放送協会平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省政策統括官稲村公望君及び厚生労働省職業安定局次長三沢孝君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 日本放送協会平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 日本放送協会平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成十一年度及び平成十二年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書について、その概略を御説明申し上げます。
 まず、平成十一年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十二年三月三十一日現在、資産合計は六千四百五十二億三百万円、負債合計は二千五百二十四億三千三百万円、資本合計は三千九百二十七億七千万円となっております。
 資産の内容は、流動資産一千七百三十八億二千九百万円、固定資産四千四百九十億八千五百万円、特定資産二百二十二億八千八百万円であり、負債の内容は、流動負債一千七百七十六億七千六百万円、固定負債七百四十七億五千六百万円となっております。
 また、資本の内容は、資本三千二百十六億八千三百万円、積立金五百五十五億四千九百万円、当期事業収支差金百五十五億三千七百万円となっております。
 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千四百五十億四千二百万円、経常事業支出は六千百七十一億六千二百万円となっており、経常事業収支差金は二百七十八億七千九百万円となります。
 次に、平成十二年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十三年三月三十一日現在、資産合計は六千九百十五億五千九百万円、負債合計は二千七百六十四億五百万円、資本合計は四千百五十一億五千三百万円となっております。
 資産の内容は、流動資産一千八百七十億二千七百万円、固定資産四千七百八十四億四千七百万円、特定資産二百六十億八千五百万円であり、負債の内容は、流動負債一千九百八十二億九千六百万円、固定負債七百八十一億九百万円となっております。
 また、資本の内容は、資本三千三百九十三億七千七百万円、積立金五百三十三億九千三百万円、当期事業収支差金二百二十三億八千三百万円となっております。
 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千五百五十八億五千七百万円、経常事業支出は六千二百九十八億九千九百万円となっており、経常事業収支差金は二百五十九億五千七百万円となります。
 以上について、監事の意見書においては、監査の結果、平成十一年度及び平成十二年度の財務諸表は、いずれも当該年度の日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認められております。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
遠藤委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長海老沢勝二君。
海老沢参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと、六千四百五十二億三百万円でございます。
 一方、これに対する負債総額は二千五百二十四億三千三百万円でございます。
 また、資本総額は三千九百二十七億七千万円でございます。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ六百万円でございます。
 続いて、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は六千四百五十億四千二百万円で、前年度と比較し、百十三億三千万円の増加となりました。
 次に、経常事業支出は六千百七十一億六千二百万円で、前年度と比較し、九十一億八千七百万円の増加となりました。
 以上の結果、経常事業収支差金は二百七十八億七千九百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百五十五億三千七百万円となりました。
 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は九十四億八千二百万円であり、事業収支剰余金は六十億五千五百万円でございます。
 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 次に、受託業務等勘定の経常事業収入は五億円で、経常事業支出は三億九千九百万円となりました。その結果、経常事業収支差金は一億円となり、これに経常事業外収支差金二千二百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は七千八百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 引き続きまして、平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと、六千九百十五億五千九百万円でございます。
 一方、これに対する負債総額は二千七百六十四億五百万円でございます。
 また、資本総額は四千百五十一億五千三百万円でございます。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ三千万円でございます。
 続いて、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は六千五百五十八億五千七百万円で、前年度と比較し、百八億一千四百万円の増加となりました。
 次に、経常事業支出は六千二百九十八億九千九百万円で、前年度と比較し、百二十七億三千七百万円の増加となりました。
 以上の結果、経常事業収支差金は二百五十九億五千七百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二百二十三億八千三百万円となりました。
 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は九十五億九千七百万円、建設積立資産繰り入れは百二億五千六百万円であり、事業収支剰余金は二十五億二千九百万円であります。
 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 次に、受託業務等勘定の経常事業収入は十億九千万円で、経常事業支出は八億七千六百万円となりました。その結果、経常事業収支差金は二億一千四百万円となり、これに経常事業外収支差金四千八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は一億六千五百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
遠藤委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局円谷第五局長。
円谷会計検査院当局者 日本放送協会の平成十一年度及び十二年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
 まず、日本放送協会の平成十一年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成十二年六月九日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十一月二十日内閣に回付いたしました。
 次に、同協会の平成十二年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成十三年六月五日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十一月二十二日内閣に回付いたしました。
 同協会の両年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
遠藤委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。
 公共放送機関としての役割はどういうものがあるかという形でNHKさんに質問をしたいと思います。
 これからの、将来の日本をどういう日本にしていくのかということが、全国民、私たち政治家にとっても大きな目標であります。そこで、中期的、長期的視野に立った問題と短期的視野に立った問題とに分けた場合、私は、中長期的な視野に立った場合は人口問題だと思います。今、少子高齢化を迎えて、一人っ子、一・三三と出生率がかなり減少しております。この人口減少という問題と国づくりという問題、これは相反することになるのかなというふうに私は考えています。
 今、厚生労働省においても年金問題、抜本改革が検討されています。負担と給付、負担するのはだれなのか、やはり将来の子供たちが負担をするわけでありまして、その人口が減少すれば年金問題もかなり苦しくなってくる、給付を下げざるを得ない。そういう問題も、年金一つとっても起こるわけであります。
 そういう意味で、中長期的に人口問題として、子供を産み育てるというところを、NHKの番組を見たら子供がふえちゃった、そのようなくらいになるような番組編成に対する考え方、そして心構えといいますか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
海老沢参考人 ただいま吉野先生から少子化の問題、指摘がございました。私も同じような認識を持っております。
 やはり少子化は、いろいろな形で日本社会のひずみとか、いろいろな問題にかかわってくる問題であります。そういう面で、私どもも、これは重要な国民的な課題として、いろいろな関連の番組を通じて、国民にできるだけわかりやすく、わかってもらおうということで、今いろいろな番組をつくっております。
 その一つが、教育テレビで日曜日の十九時から十九時半まで、「すくすくネットワーク」ということで、子供の育て方について悩んでいる母親、父親向けの番組を放送しておるわけであります。
 それから、これも教育テレビでありますけれども、月曜日から木曜日にかけて、「まいにちスクスク」というような題で、やはり育児の問題について放送をしております。
 それだけでなくて、番組をホームページでもひとつ紹介して、いろいろな方々の意見も賜りながら、お互いに情報交換をしていこうというようなこともしておるところでございます。
 私ども、それと同時に、今少子化に関する企画ニュースの制作を推進しておりますけれども、報道局の中に少子化問題のプロジェクトチームをつくりまして、もう既に朝のニュースの「おはよう日本」とかあるいは「ニュース10」等で定期的にこの問題を取り上げております。
 そして、来年の二月からはNHKスペシャルで、「こども・輝けいのち」というタイトルのもとに六回シリーズで、これは総合テレビでありますけれども、放送を予定して、今番組を制作中でございます。
 そのように、少子化というものは我々大きな課題として認識しておりますので、今後ともできるだけいろいろな機会にこの問題を取り上げて、ともに国民と考えていきたいと思っております。
吉野委員 本当に、NHKを見たならば、いつの間にか子供がふえてしまった、そういうすばらしい企画をこれからも行ってくれることを要望いたします。
 短期的に見ると、いわゆる公共放送機関としての役割の中で、きょうの日経にも東電全原発停止、私どもの福島民報、地元紙ですけれども、きのうの新聞です、やはり東電十七基の原発のうち、全部とまってしまうという報道がされております。
 実は、私は福島県が地元であります。双葉郡といわきを選挙区といたしております。福島第一、第二の双葉郡が私の選挙区ですけれども、特に東京の方々、消費者の方々はやはり電力、電気というものは安定的に欲しい、これは当たり前です。それで、私たち地元としても安定的な供給をしてあげたい、ここの点については全く同じです。安定的な供給をするためには安全の確保、これは当たり前、大前提なんです。その安全の確保が今崩れてしまいました。信頼がなくなってしまいました。
 きのう参議院を通過して、電気事業法改正、原子炉等規制法等の改正で、政府としてはとりあえず再発防止策を決めたわけです、維持基準をつくったわけです。でも、消費者の方々にも、安定供給を望むのであれば、イコールその裏は安全の確保ですので、地元の議論だけでなくて、また国会の議論だけでなくて、例えば、日本国は新品基準がいいのかな、維持基準がいいのかな、国民として議論していないんです。私たちは議論をして維持基準を通過させたわけでありますから維持基準でいいんだということであるんですけれども、国民として、いわゆる消費者として議論をしていない。その辺の議論をしていくのが公共放送機関の大きな役割になるのかなと私は思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
板谷参考人 原子力は、現在国内の総電力量の三分の一を担うような、非常に重要な電力源になっている、しかし、御指摘のように、一たび事故が起こると大きな惨事につながりかねないという、両面あると思います。このように、国民の生活や安全に深くかかわっているものだけに、我々は原子力をめぐるさまざまな今御指摘のあったような問題について、国民がよく知り、その理解が深まるような放送をしていくように努力していきたいと思います。
 そして、安定供給の問題ですが、私どものけさのニュースでも、東京電力が保有する十七基すべての運転がとまるおそれがあって、消費者に節電を求めたというふうなことも伝えておりますので、今後ともこの安定供給の問題、それがどういうふうになっていくかということには注目して、さまざまな形で伝えていきたいと思います。
 そして、今回の東京電力の問題とか平成十一年の茨城県東海村の臨界事故なんか、ああいう問題などもきちんと検証して、原子力発電の防災体制にどんな課題があるかとか、それから被曝医療体制の整備をどう進めていくかとか、いろいろな角度から、先生の御指摘があったようなことも含めて、さまざまな角度から多角的に取り上げていきたい。とにかく多角的に、事実に基づいた客観的、科学的な報道とか番組づくりということをぜひやっていきたいと思っております。
吉野委員 まさにけさのNHKのニュースでも、節電の呼びかけまでは本当にニュースとしてやっております。でも、節電の呼びかけとともに、安全確保のためにはどうすればいいんだという、そこのもっと一歩先まで、やはり公共放送機関としては、国民的議論を巻き起こす。でないと、電気がとまっちゃうと消費者の皆様方がつらい思いをするわけで、結局は自分に返ってくることであります。ですから、この安全という問題を地元だけに任せるのではなくて、消費者自身が自分のこととして原子力の安全というものを常に考えるような形にしていくのは、NHKとしての大きな役割が私はあるのかなと思いますので、ちょっと会長の一言をお願い申し上げます。
海老沢参考人 やはりエネルギー政策といいますか、その中の大きな問題は電力の安定供給だろうと思っております。今原子力発電がすべての電力の三分の一を占めている、そういう現実であります。私ども、これからますます産業を再生化するためにはやはりエネルギーが必要でありますし、その意味での電力、これはやはり大きな関心事であるわけであります。
 そういう面で、原子力の安全対策あるいは安定供給について、今後ともいろいろな面で、多角的に、国民的な議論を巻き起こすような、そういう番組をつくっていきたいと思っております。
吉野委員 ありがとうございます。期待をしております。
 続いて、NHKアーカイブスのインターネットでの利用なんですけれども、実はこの間、私の同僚と狩野探幽展を東京都美術館に行って見てまいりました。見終わってから売店の前を通ったら、「日本の国宝」というビデオテープがかなり、全何巻という形で売っていました。二十五万円もしました。私はお金がないものですから買わなかったんですけれども、同僚はその二十五万円を買いました。
 でも、もしその「日本の国宝」というビデオをNHKアーカイブスのインターネットでの利用によって見ることができれば、私はたまたま東京にいるからいろいろな美術展、博物館を見ることができますけれども、地方にあってはなかなか見ることができない、そういう意味で、特に地方の文化の向上という意味では、アーカイブスのインターネットでの利用というのは本当に大きな役割を占めるのかなというふうに思います。
 ただ、著作権等々の問題でかなり部分的に難しい部分があろうかと思いますけれども、その辺のところを乗り越えて、どこでもNHKの番組、NHKで編集したものは全部インターネットを活用して見ることのできるような、そんな仕組みができれば大変いいなというふうに思っています。いかがでしょうか。
板谷参考人 先生御指摘のように、美術館とか博物館の収蔵品などを自宅でいつでも、本当に好きなときに見られるというようになればいいと思うんです。そういう時代はやがてはやってくるんじゃないかと思います。それから、美術館が所蔵する作品をほかの美術館で、インターネットを使って相互に来館者が見られるようなことがあるというようなことも知っております。
 ただ、こういう個別のケースじゃなくて、組織的に、大規模にやるとなると、まだ解決しなくちゃならない問題がかなりあるんですね。美術品に限らず、放送コンテンツをインターネットとかブロードバンドに流通させるためには、先生の御指摘もありましたが、著作権団体との権利のルールの確立、それをつくっていかなくちゃならない。権利処理には結構お金もかかる、そういう経費の問題もあります。それから、コンテンツ保護の技術といいますか、デジタルコンテンツは複製しても劣化しないものですから、何回でも無断に複製してどんどん流通しちゃう、これについても解決しなくちゃならない、そういう技術の確立が必要だというふうなこともあります。
 こうしたことで、ブロードバンドを活用したコンテンツの提供について、NHK、それから民放各社、回線事業者などが一緒になりまして、今、総務省、経済産業省が行っている各種のコンテンツ流通の実験をやっているところなんです。そういうことをやりながら、問題を一つ一つ解決していくことになると思います。
 ただ、ブロードバンドで流すということじゃなくても、今度、川口では番組公開ライブラリーをつくります。そこには開館当初は二千本ぐらいの番組を保存する予定なんですけれども、大英博物館とかエルミタージュとか、正倉院とか故宮博物館とか、いろいろな美術品の番組もそろっておりますので、お越しいただければ見られる。それから、渋谷の放送センターとか愛宕山の博物館とか砧のNHKの放送技術研究所等でもお越しになれば見られるし、それから、全国の拠点の七局、NHKの中の札幌とか仙台とか七つの放送局でも見られるようにするということで、当面はそういうふうにしてお楽しみいただきたいし、長期的には、いろいろ時代が変化して、先生のおっしゃるようなことが実現するような時代にやがてはなるのではないかというふうに思っております。
吉野委員 ぜひ近い将来、インターネットですべてのものが見ることのできるような仕組みをつくっていただきたいと思います。
 では最後に、地上波テレビがデジタル化されるわけでありまして、今アナ・アナ変換等、国においては当初の見積もりよりも何かお金がいっぱいかかってしまう、そんなことが言われております。NHKにおいても膨大な設備投資がかかるかと思います。幾らぐらいの設備投資をして、そしてその財源はどういう形で手当てをしていくのか、お尋ねをしたいと思います。
海老沢参考人 御承知のように、地上波のデジタル化のためには膨大な設備投資が必要であります。
 私ども、今のところ、各家庭に電波を送り届けるいわゆる送信設備に二千億ぐらいかかるだろうと見ております。それと、それを送り出す送出設備に六百億、合わせて二千六百億の経費を見積もっております。
 当初は、送信設備だけで三千億という試算をいたしました。私、数年前、民放連の札幌大会に出席した際に、お互いに経費の節減を図っていこう、そのためには、民放、NHKが別々に建てていた鉄塔とか、そういう中継所をできるだけ共同建設し、そしてさらにまた研究開発を進めてできるだけ安い設備ができるような体制を組んでいこうと呼びかけました。そして、民放各社ともそういう方向で合意に達し、今共同建設等を進めております。そのために一千億の節減ができたということであります。
 そのほか、番組の制作設備がこれからやはりNHKだけでも千四百億から千五百億かかるというふうに見ております。ただ、これまで私ども、十年間にわたって、スタジオのハイビジョン化あるいはカメラとか中継車のハイビジョン化、そのために千五百億以上の資金をかけてきております。そういう面で、それぞれ年次計画を立てながら今進めておりますけれども、しかし、これから二〇一一年までに二千六百億以上、送信、送出の設備にかかりますので、大変な設備投資になることは言うまでもありません。そのために今、五百六十三億のいわゆる財政安定のための資金を私ども持っております、それをこれから百億ぐらいの予定で取り崩してそれに充てたいと思っております。
 そのほか、国が進めておりますe―Japan戦略、これは日本全国に光ファイバー網を構築して、そしてデジタル放送のネットワークにもどう活用できるか、その辺を今検討しているわけであります。
 私は前々から、日本は山間辺地が非常に多いわけでありますから、全部鉄塔を建てて中継するのは非常に難しいということで、この光ファイバー網をどう活用するか。つまり、新しい技術を私どもNTT等とも協力しながら研究開発を進めておりますけれども、光波長多重という新しい技術が今開発されました。これを使って光ファイバー網を構築すれば、放送事業者、通信事業者あるいは自治体等もそれを活用できる、そういうこともひとつ検討してみてはどうかということを今提案しているところでございます。
吉野委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、武正公一君。
武正委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの武正公一でございます。
 ことし三月に続いてまた、このNHKの今度は決算ということで、平成十一年度、十二年度、二年度の決算を行わせていただきます。
 さて、まず両年度、NHK決算で示されておりますが、この支出のうち、いわゆる情報システム関連の支出は幾らになるのか。また、これは当委員会で私も指摘をしておりますが、政府関連の情報システム支出約二兆円、そのうちの約六割がいわゆる大手四グループが受注をしている、これについては入札制度の見直しを今政府も進めているところでございますが、NHKにあってはその受注企業にいわゆる大手四グループはどの程度を占めるのか、二点お答えをいただけますでしょうか。
笠井参考人 お答えいたします。
 NHKでは、最新のITを積極的に導入いたしましてさまざまなシステムを構築し、業務の効率化を図っているところでございます。
 平成十一年度の情報システム関連経費でございますが、これは保守・運用経費などを含めまして百十五億円ございます。各業務別のシステム経費は、これは参考までに申し上げますと、番組系で三十四億円、報道系で十五億円、営業系で四十八億円、事務系十八億円でございます。また、平成十二年度の情報システム関連経費は、保守・運用経費などを含めまして百二十三億円ございます。各業務別のシステム経費は、番組系三十八億円、報道系十五億円、営業系五十五億円、事務系十五億円でございます。
 御指摘のありました大手四社に対する発注額とその割合でございますが、十一年度は、NECが四十四億円、三八・五%、富士通が十八億円、一五・五%、日立が四億円、三・七%、NTTは取引実績がございません。十二年度は、NECが四十六億円で三七・四%、富士通が十九億円で一五・一%、日立が三億円で二・三%、NTTは、これはNTTコミュニケーションズとそれからNTTコムウェア、この二社で二億円、一・九%でございました。
 NHKにおける調達は、公正な取引により、公共放送の円滑な事業活動に資するとともに、透明性の確保及び経済性に留意いたしまして、効率的な調達に努めているところでございます。
 情報システムの契約に当たりましても、平成四年度以降、一件十万SDR以上の国際調達の対象となる案件につきましては、政府国際調達と同等の手続、これは平成四年一月二十日の日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置でございますが、これを踏まえまして、公正、透明、内外無差別な調達手続をとるということで、コンピューター調達手続きというものをみずから定めまして、平成四年四月からこれに基づいて調達をしているところでございます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
武正委員 今の数字、約六割、やはりNHKさんも同じように約六割は大手四グループということでございました。
 総務大臣お見えでございますが、関係府省連絡会議の事務局も総務省は務めております。情報システムの受注が大手四グループに偏っている点から、ことし三月にガイドラインを設け、総合評価落札方式での除算から加算への採用、あるいはまた競争入札、JV、中小企業受注に各府省挙げて取り組んでおられます。
 過日は、本省と地方支分局のお話を伺いまして、地方自治体への補助金についてはなかなかまだ手がつけられていないといったこともわかったんですが、この総務省所管の特殊法人NHKの情報システムが、約六割、大手四グループの受注という今のお答えでございます。この点については、総務省として、今本省、地方支分局は取り組んでおられるようですが、こうした所管特殊法人についてはどのように把握をされているのか、また指導をされているのか、それから、これからどのように取り組まれるのか、お答えいただけますでしょうか。
片山国務大臣 今武正委員御指摘のガイドラインは、正式には「情報システムに係る政府調達制度の見直しについて」という文書でございまして、これはことしの三月二十九日に政府調達府省連絡会議で了承というか決めたものでございます。ただ、これは国の機関のみを対象としておりまして、特殊法人であるNHKは対象外となっておりますので、これは適用がない。
 ただ、今NHKの理事さんが言われましたように、平成四年一月に政府として日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置というものを決めたわけでありまして、その中に、これもお話ございましたが、無差別待遇、透明性及び自由でかつ開かれた競争機会を確保するための手続をとれ、こういうことになっておりまして、NHKさんではコンピューター調達手続きを平成四年の四月から決めておりまして、それに基づいておやりになっている。
 今把握は我々いたしておりますが、指導と言うけれども、NHKくらいになると、指導しなくてもちゃんと自律、自主でおやりになっておりますから、今後ともこの積極的な取り組みをぜひ期待いたしたいと思っております。
武正委員 昨年十二月の放送政策研究会ですか、ここで第一次報告が出て、そのときに、NHKの随契、約八割、平成十二年で二千百億円のうち千六百六十八億円が随契であると。このときに、第一次報告では、競争原則、よいものを安く、これは当たり前のことですよね。それを改めて指摘しなければならないほど随契の比率が高いことが言われているので、今言われたように、NHKさんに任せていればいいというのは、所管大臣の御答弁としてはやはり納得ができません。
 そこで、関係府省連絡会議の事務局を務めておられるんですから、先ほどは政府機関だけというふうに言われましたが、これは、事務局所管の総務大臣として、ぜひ特殊法人を含め、そしてまた地方自治体への補助金もやはり適正に履行させる。これは二つありますが、まずは特殊法人、NHKさん、これもやはり対象に含める、これは事務局担当大臣としていかがでしょうか。
片山国務大臣 先ほど言いましたように、ガイドラインそのものは国の機関だけやっておりますが、ただ、国の機関だけで、ほかはどうでもいい、こういうことではもちろんないんですね。そこで、平成四年の方の措置で十分やっていただけておると思います。
 今委員御指摘のように、随意契約のお話もありました。私は随意契約が全部悪いとは思わないんですよ。大変特殊のものや、ほかになかなかないものがあれば、随意契約はやむを得ないと思いますけれども、競争的なことがやれるのに随意契約、これは困るわけでございまして、そういう意味では、NHK自身もいろいろお考えだと思いますけれども、我々も状況を把握しながら、もし仮に不適切なこと等があれば、十分指導してまいりたい。
 特殊法人はそれぞれ所管の大臣がおりますから、私の方の行政管理局が国の機関全部の事務局はやっておりますけれども、それぞれ所管の大臣にも不適切なもの等があれば適宜指導していただく、こういうことはやってまいりたいと思いますし、地方自治体については我々の方でいろいろ指導しておりますから、今後とも、武正委員の御趣旨を体して十分指導してまいりたいと思っております。
武正委員 ちょうど十一月の末でございますが、会計検査院さん、きょうお見えでございますが、十三年度決算検査報告が出されております。十一年度、十二年度の会計検査院さんの決算報告にNHKさんがあればそれを引用したんですが、これは既に当委員会でも指摘されておりますように、五十年間にわたって、NHKに関する会計検査院の調査、指摘、一件もないということで、今回初めて、この会計検査院の検査報告にNHKが上がったわけでございます。
 既に新聞等でも、非現用不動産の管理、処分状況について、百八十六件のうち六十五件を抽出調査したところ、総額二億六千五百五十二万円の簿価というか買い取り価額に対して売却見込み額は七十四億七百五十二万円、すぐ売却すべしということで指摘をしているんですが、今回の検査報告のこの項目はどういう観点で選んだのか、これについては簡単にお答えいただけますか。
円谷会計検査院当局者 お答えいたします。
 日本放送協会では、建物の老朽化や事業地の移転などによりまして、事業用として使用されなくなった非現用不動産の処分につきまして、予算政策上これを計画的に進め、安定的な収入の確保に努めることとしております。また、今後のデジタル放送化の進展に応じまして、アナログ放送のテレビ放送所が廃止されるなどいたしまして、非現用不動産が増加することが見込まれております。
 したがいまして、これらの非現用不動産の管理体制が整備されているかどうか、また処分が適切に行われ、収入の確保が図られているかなどの観点から検査をいたしたところでございます。
 検査の結果、協会におきましては、非現用不動産の管理及び処分に当たりましてさまざまな取り組みを行っているところでありますが、「なお一層、売却のための条件整備等の促進に努めることが望まれる。」と、特定検査対象に関する検査状況として検査報告に掲記したということで、直ちに売れということではございませんで、これはNHKのお考えもございますので計画的にやっていただくことですが、その条件整備等をぜひやっていただきたいということで検査報告に掲記したということであります。
武正委員 さらにまた会計検査院さんには、NHKさんへの検査につきましては督励をいただければと思っております。
 というのは、NHKというのは、国会と経営委員会がやはりチェック機関として大事な役割を果たしている。その国会がNHKをチェックする材料がまだまだ不足していると私は思っておりますので、会計検査院さんの役割が重いものがあると考えるからでございます。
 さて、三月の時点で、NHKあるいは民放の放送料、電波利用料、これについて会長にお尋ねをいたしましたところ、いわゆるNHKが二億弱、民放が二億強、高いとも安いとも答えられないというような御答弁でございましたが、過日、九月には、放送料、電波利用料を五十億から七十億ということで、ぼんと新聞に出ました。十一月二十日に、約七倍の三十五億円負担、NHKが十億、民放二十億、こういったことが出てまいりました。総務大臣は、これは来年、法律で出すんだということでしたが、参議院では、局長がこのことをほぼ認める御答弁があったやに伺っております。
 これは指摘だけにとどめておきますが、私は、放送の独立性を堅持するためにも、やはり総務省がこの電波利用料を決める。法律に出して国会で審議するんだと総務大臣言われますが、これはやはりいかがなものかというふうに私は思っております。これは会長から再度御答弁はいただきませんで、指摘にとどめておきますが、やはり放送の独立性を担保するために、放送局が支払う電波利用料は、公平公正な第三者機関が決めてしかるべきというふうに考えておりますので、これは指摘とさせていただきます。
 次に移らせていただきますが、過日、BSデジタル放送推進協会伊藤邦男理事長が、一千日一千万世帯、これを下方修正されました。五百万世帯ということでございまして、これは先ほど申しました放送政策研究会でもかなり議論がされているようでございます。いわゆる地上とBSを一体化、特に民放関係のBSですね、経営が苦しいということも出ておりまして、NHKさんはうまく進めておられるということも議事録要旨からもかなり指摘をされております。その関係から、マスメディア集中排除原則と多様性との兼ね合いといった指摘もかなり出ているところでございますが、このBSデジタル下方修正、これはデジタル放送全体の計画に影響が出るだろう、こういうふうに言われているわけでございますが、これは引き続いての質問とあわせてお答えをいただきたいんですが、会長に全体的にお答えいただきたいと思います。
 第二十四回の民放経営研究会、ここで民放連研究所の木村幹夫さんが、八五%普及は東阪名二〇一二年秋、ローカル二〇一五年秋ということで、二〇一一年アナログ停波は困難な状況と指摘をしています。
 あるいは民放労連も、ちょうど今、総務委員それぞれにアンケートをお配りしておりまして、まず一点目は、NHKと民放で視聴可能地域が違う、これはやはり問題であろう。また二点目、ブースター障害対策ができていないんじゃないか。三番目、停波による不利益が国民に及ぶ、特に高齢者対策ができていない。こういったことをもってアンケート調査も今行っております。
 こういった、先ほど触れましたBSデジタルの下方修正という現実、一千日一千万世帯がうまくいかない、この現状、それを踏まえて、民放連研究所からの、二〇一一年停波は難しいんじゃないか、こういった指摘につきまして、会長としてどのようにお考えになりますでしょうか。
海老沢参考人 BS、衛星放送は私ども、十数年前から世界に先駆けて放送を始めました。これまで千六百万世帯まで普及させてまいりました。そういう中で、BSデジタル放送は私どもNHKと民放六社、合わせて七社が一緒に今放送をしているわけであります。そういう面で、私ども、これを一千日で一千万世帯まで普及させよう、NHK、民放あるいは電機メーカー、流通事業者あるいは行政当局あわせて、そういう目標を掲げました。
 残念ながら、今三百五十万前後まで普及させましたけれども、来年の八月二十七日がちょうど一千日になります、あと八カ月余りですけれども、これを達成するのは非常に難しい状況だという認識を持っております。そういう中で、伊藤理事長が、この前の記者会見等で、あるいはあいさつ等で、非常に今厳しい状況である、当面五百万世帯の普及に全力を挙げるという発言をしていることを私も聞いております。
 私どもも、できるだけ普及させるというのが目的でありますけれども、御案内のように、今、景気が停滞する、非常に景気が悪いという中、そしてまた、メーカーの方の出荷台数も我々が予想したより下回っている、生産がなかなか追いついていないというような状況から、非常に厳しい状況だろうと思ってはおります。
 ただ、もう一つ、地上デジタル放送は、二〇一一年の七月二十四日にアナログからすべてデジタル化へ切りかえる、つまり二〇一一年で放送をとめてしまう、いわゆる停波してしまうということは、この国会で、電波法の一部改正の中で決められた、議決されたものであります。法律になりました。そういう意味で、私どもも、法律を守るという立場から、二〇一一年の七月二十四日までにアナログ放送をすべてデジタル放送に切りかえるように努力するのが我々の使命だろうと今思っているところであります。
 いずれにしても、景気の回復、また、我々が国民の、視聴者のニーズにこたえることができるような質のいい番組を提供する、また、それに相まって、メーカーも、操作がしやすい、そして安い値段の受像機が出回れば、車の両輪としてうまく運んでいくだろうと見ております。これからさらに努力を重ねていきたいと思っております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
武正委員 時間が参りましたので、本当は総務大臣にもと思ったんですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良でございます。
 すぐれたテレビ番組や放送界に貢献した個人に贈られる国際エミー賞の授賞式が、十一月二十五日、ニューヨークで行われました。この賞はいわゆるテレビ界のアカデミー賞と言われるエミー賞の国際版ですけれども、この賞に、NHKの海老沢会長が個人部門の経営者賞を受賞したことを、心からお祝いをしたいと思います。まず、その御感想からお聞きしたいと思います。
海老沢参考人 今、遠藤先生から、受賞についてのお祝いの言葉をいただきました。非常に光栄に存じております。
 この国際エミー賞経営者賞というのは、今回が三十回目でありますけれども、これまで我々の先輩として、二十七年前に、TBSの会長をしておりました今道潤三さんが受賞されました。その後、二十年前に、ソニー会長の盛田昭夫さんが受賞いたし、私が今回二十年ぶり三人目ということになりました。
 この受賞の理由は、NHKが、一九六四年、昭和三十九年の東京オリンピック以来、次の世代の国際的な基準になる、いわゆる当時は高品位テレビと言いました、今我々はハイビジョンと称していますけれども、これの世界的な普及に貢献をしているということ。それから、アジア・太平洋放送連合、ABUと申します。今、アジア太平洋、中近東の五十の国の百の放送機関が加盟しております。これも、もう間もなく四十年たつアジア太平洋の放送の連合体でありますけれども、その会長を私が仰せつかっております。そのABUの組織をまとめ、そしてアジアの放送文化の向上に貢献しているということ。それから、国際エミー賞とか、いろいろ世界的なそういうテレビのコンクールにNHKが非常に協力しているという、三つの理由で、受賞の栄誉に浴したわけであります。
 いずれにしても、私ども、放送を通じて、世界の真の平和と文明間の対話のかけ橋になるような役割をこれからも果たしていきたいと、今決意を新たにしているところでございます。ありがとうございました。
遠藤(和)委員 ハイビジョンの普及が評価されたという側面があるわけですけれども、あれはたしか東京オリンピックのころに開発が始まって、そして現在は、一九九九年でしたか、いわゆるITUで世界の標準規格に認定をされた。こういうことがあってハイビジョンという技術が世界的に評価されたと思うんですけれども、これの将来の見通し、本当にこのハイビジョンという技術が、世界じゅうの新しい、テレビ界の改革といいますか、大きな目玉になっていくものと理解をしているんでしょうか。
海老沢参考人 先生御案内のように、ハイビジョンはデジタル技術を活用したものであります。そういう面で、私ども、ハイビジョンは二十一世紀の世界のテレビの中核になる放送機器というふうに位置づけて、今、世界の各国に対して、自信を持ってこの普及を進めているところでございます。
 その結果、御承知のように、二〇〇〇年のミレニアムサミットといいますか、国連の総会場に、私どもが提供しましたハイビジョンカメラと三百インチのスクリーンによって各首脳の映像が映し出される、そういうことを初め、今、アメリカ議会の上院でも、公式記録はハイビジョンシステムを使って、それを活用しているということ。そして、このハイビジョンにつきましては、アメリカ、ヨーロッパ、私どもも含めてそれぞれが開発競争をしてきましたけれども、日本の私どものハイビジョンの技術はやはり非常にすぐれたものだということで、これも二〇〇〇年に、ITUからスタジオ規格として承認を受けているということであります。
 そして、今、お隣の韓国でも、この前のワールドカップサッカーもハイビジョンで中継をしておりますし、中国も、二〇〇八年の北京オリンピックを目指してこれの実験放送、試験放送を二十前後の都市でやっておりますし、これから、ハイビジョンが、インターネットとともに、放送・通信といいますか、IT、情報通信技術の革命の先導的役割を果たしていくものと、私ども自信を持って、今、この普及に当たっているわけであります。これもやはり大変な設備投資もかかり、また各国のメーカーもこれへ向けて開発競争をしておりますので、私は、今後これが急速に発展していくものと思っているところでございます。
遠藤(和)委員 それから、NHKが創設をしました教育番組の国際コンクールに、日本賞という企画があります。設立以来もう三十七年が過ぎているわけですけれども、ことしも、第二十九回の授賞式が、東京で十一月の六日に行われました。
 ことしは世界の四十九カ国から二百八番組が参加した、こう聞いておるわけですけれども、どんな反響であったのか。そしてまた、このイベントを通して世界にどんなことをメッセージすることができたのか。どのように考えていますか。
海老沢参考人 この日本賞は、教育番組の国際コンクールとして始めた、NHKが世界の放送機関あるいは教育機関に呼びかけて開いて、ことしは二十九回目の授賞式をとり行ったばかりであります。
 教育はどこの国でも国家百年の計といいますか、教育の問題については各国とも非常に関心を持っておりますし、そういう面で、世界共通の課題として教育問題を我々はいろいろな形で取り上げております。
 この日本賞を中心に、おととしから、NHK教育フェアということで、授賞式でなくてそういう教育フェアという形の中で、世界各国の放送機関あるいは教育機関の関係者、先生方を東京に招いて、教育問題についての共通の認識を持とうということで、いろいろなシンポジウムあるいはフォーラムを開いたり、番組の視聴をして意見を交換する、あるいは各国のすぐれた番組を紹介する等々によって、教育問題に対する認識を高めていこう、そういう催し物を今続けているところであります。ことしも、四十九カ国、百二十六の機関から二百八の作品がエントリーされたわけであります。非常に時代を反映した番組がかなり寄せられました。
 もう一方では、やはりインターネットの世界的な普及によりまして、インターネットを使った番組が今子供たちにも喜ばれる時代になりました。そういう意味で、今回初めてインターネットを使ったウエブ部門という部門を設けて、これにもかなりな参加がありました。
 私どもは、やはり教育問題は、環境問題、食料問題と同じように、いろいろな形でこれからも積極的に世界各国に呼びかけてやっていきたいと思っているところであります。いずれにしても、こういう教育番組を通じての相互理解そしてまた信頼関係を強めるために役立っていけばと、今後も継続してやっていきたいと思っております。
遠藤(和)委員 BS放送についてお伺いします。
 アナログ放送をいつまでやるのかということ、時期がまだ明示されていないんですけれども、地上波と合わせて、地上波はたしか二〇一一年の七月二十四日までやるということになっているわけですね、それに合わせて、このBSの方もその時期を考えているのか。一部には、BSの方は早目にアナログはやめてデジタル化した方がいいのではないかという意見もあるようですけれども、私は、NHKの公共放送という役割からいって、やはり地上波の時期と合わせるのがいいのではないかと思っているんですが、どのような見解を持っておりますか。
海老沢参考人 今、BSアナログ放送は千六百万世帯まで普及しております。その中で私ども、今このBSを使ったデジタル放送を民放六社とあわせて放送しているわけであります。できるだけ早くアナログからデジタルに切りかえてもらいたいということで、いろいろな面でPRをし、呼びかけたりしているわけでありますけれども、今私ども試算しますと、二〇〇七年に今のBSの中継器、トラポンがちょうど十年の設計寿命に来ますので、二〇〇七年を一つの目安にしておるわけであります。そういう面で、来年度中にこれの結論を出しませんと、次の衛星を打ち上げる、それの設計あるいは製造に時間がかかるということで、今、総務省の衛星放送の在り方に関する検討会で検討をお願いしているところであります。
 そういう中で、今、このままでいきますと、二〇〇七年の時点で、千六百万世帯のうち最低五百万以上の方々がまだアナログ放送を見ている状態が続くだろうと見ております。私ども、視聴者保護を最優先するという立場から、やはりそういう人たちを保護するということで、二〇〇七年には新しい衛星を打ち上げて、継続して見てもらう。そして、最終的には、電波法の改正によって、地上デジタル放送が、二〇一一年七月二十四日で停波するということになっておりますので、常識的に考えても、この二〇一一年の七月二十四日で衛星放送、BSのアナログ放送もやはり打ち切りといいますか停波ができるように、普及にさらに努力しなきゃならないと私は思っております。
 いずれにしても、私どもは、視聴者保護を優先するために、今そういうことを関係方面にお願いをしているところでございます。
遠藤(和)委員 その地上波放送の方ですけれども、このデジタル化が、その入り口であるアナ・アナ変換で少しもたついているわけですね。そうすると、当初の計画が、二〇〇三年までに三大都市圏とか、あるいは二〇〇六年にその他の地域が始めて、二〇一一年の七月二十四日にアナログは停波する、全面的にデジタルにかえるという計画があるんですけれども、この計画そのものがちょっと難しくなったのではないかという心配もあるわけですけれども、NHKさんとしてはどのような認識をしていますか。
海老沢参考人 私ども、このアナ・アナ変換、いわゆるアナログ周波数の変更対策が非常に手間取ってきたことは事実でございます。日本はアメリカの五十倍も電波が込んでいるというような状態の中で、アナログの周波数の変更というのは大変な国家的事業だろうと思っております。
 そういう中で、いよいよ来年の二月から具体的に一軒一軒担当者が回って変更をするわけであります。そして、できるだけこれの作業をスムーズに着実に進めて、来年、二〇〇三年の十二月から東名阪都市圏で電波を出していきたい、今そういう準備をしております。
 いずれにしても、国会で電波法の改正によって、二〇一一年にぜひ普及をさせるということをうたっておりますから、我々放送事業者としては、法律を守る立場から、二〇一一年にすべてデジタル化にできるようにさらに努力を重ねなきゃならない立場だということを御理解願いたいと思います。
遠藤(和)委員 地上波デジタル放送に関して、民放とNHKが共同でその基盤整備をやるということになっているわけですね。いろいろ中継アンテナとかそういう作業を煮詰めていると思うんですけれども、第二東京タワーの話が巷間いろいろあるんですが、この第二東京タワーというのは、一体、デジタル放送にとっては欠くべからざるものなのか、あった方がいいだろうというものなのか、なくてもいいんじゃないのというものなのか、その位置づけが明確になっていないような気もするんですけれども、NHKとしては、第二東京タワーについてどういうふうな考え方を持っていらっしゃいますか。
海老沢参考人 私ども、民放連ともいろいろな形で、第二タワーといいますか、電波を発信する塔が必要だということでは同じ認識を持っております。できれば六百メートルクラスの鉄塔を建てて関東一円に電波を発信したいということで、いろいろ候補地が、以前はうわさといいますか計画がありましたけれども、いろいろな問題でこれがなかなか実現できないのが現状であります。
 そうした中で、今、台東区の有志が上野公園でどうかというような計画を練っているというふうには仄聞しておりますけれども、まだこれは具体的な話にはなってきておりません。
 今のところ、今の東京タワーのアナログ放送のちょうど下に、デジタル放送の電波を発信するものを共同で今つくっております。当面はそこからとりあえず電波を発信しようということになっております。
 ですから、私どもとしては、できるだけ条件のいいといいますか、航空管制にひっかからないような六百メートルの鉄塔ができるような場所にできればつくりたいということで、今いろいろな調査をしているという段階であります。
遠藤(和)委員 多チャンネル時代になって一体何を放送するのかということになると、コンテンツの充実というか供給ということが必須の課題なんですね。そうすると、やはりNHKが持っている財産というものがすべての放送局で使えるという仕組みもつくる必要があるんじゃないかなと思うんですね。今、横浜に番組放送センターとか、あるいは川口にアーカイブスとか、そういうものをつくったり、つくろうとしている計画もあるんですけれども、もっと大きく、要するにマルチユースができるようなマーケットですね、これを整備する必要があるのではないかと私は思っています。
 ですから、NHKが持っているものについて二次利用権をきちっと整備して、整備が終わったものをきちっとマーケットに出していけば、自然にマーケットが形成されるのではないか、このような考え方を持っているんですけれども、こうした考え方でコンテンツの充実、供給というものに対してNHKが大きな役割を果たしていくということでなければいけないと思うんですが、そこについてはどういうふうな考え方を持っていますか。
板谷参考人 御指摘のように、NHKの保有している映像ソフトを社会に広く還元することは非常に大切なことだというふうに思っています。現在でもさまざまな形で放送事業者へ番組とか素材を提供したり、ケーブルテレビへの番組提供、地域民放への番組提供、それから番組のビデオ化と、いろいろな形で外部への提供を行っています。平成十三年には、ケーブルテレビ事業者に対して八千百十二本、一般事業者に対しても映像素材を一千四百二十九本提供するようなことをやっております。
 ただ、二次利用権を整備するというのは、これは結構大変な仕事でございまして、経費と手間がかかる。次々に制作されるものを次々に権利をクリアしていくというよりも、提供の要請のあったものをやっていくというやり方をとらざるを得ないんですね。それで、さっき申しましたように、そういう権利処理を進めるということ、それからコピーガードの問題などを徐々に、総務省なり経済産業省などの実験に参加しながら解決して、そして、我々としては何ができるのか、こうした課題が整理されていく中で、NHKのコンテンツの社会還元のあり方をもっと考えていくし、積極的に進めることができればというふうに思っております。
遠藤(和)委員 最後に総務大臣に一つだけお願いします。
 今のコンテンツのマーケットの育成についての考えと、もう一つは、政府のe―Japan構想があるんですけれども、これはどうも通信が中心のような気がするのですね。もっと放送、あるいは通信と放送の融合、そうした面から政策強化を図っていただいて、e―Japanの中に放送の未来像、将来像を明確にかいてもらったものを政府部内で詰めてもらう必要があるのではないか、このように思いますけれども、その感想だけ聞いて終わりにしたいと思います。
片山国務大臣 今お話がありましたコンテンツのマーケットを形成するということは大変重要なことだと思います。公正、透明で効率的な取引のマーケットが関係事業者間や権利者間でできる、こういうことが必要だと思いますので、我々も一生懸命それができるようにいろいろな施策をとってまいりたいと思います。
 それから、e―Japan戦略は今見直しの時期なんですよ、間もなく見直そうと。そこで、インフラは相当整備されたんですが、利活用がもう一つなんですね。それからやはり、産業再生、国際競争力強化という観点が要るんではないか。もう一つ、日本が得意なモバイルですね、それから情報家電、携帯や情報家電をうまく生かす。そこで、パソコンだけではなくて、テレビや携帯電話を情報の端末にする、こういうことが必要でございまして、今ユビキタスということをやっているのですね。ユビキタス、どこでも、だれでも、いつでもと。ぜひそういうことの活用ができるIT社会をつくるためにe―Japan戦略を今よりはいいものにしてまいりたい、こう思っております。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。これまでの質疑で重複するところもありますけれども、通告に従いまして、順次質問していきたいと思います。
 さて、ことしは放送と通信の融合が着実に進んだ一年であったと思っております。きょうは、この急速に変貌を遂げつつある放送関連分野の動向を中心にいたしまして質問していきたいと思います。
 まず最初に、NHKの予算と決算の関係についてお聞きしたいと思っております。
 平成十一年度、十二年度の決算を行った結果、収支の差額、民間企業でいうところのもうけあるいは剰余金、すなわち各年度の事業収支差金は、どの程度発生しておるのでしょうか。その場合、必要な充当金あるいは積立金勘定を差し引いて純粋な余剰金が発生しているのであれば、さらなる経営努力を重ねて、例えば受信料を値下げする原資に充てるべきではないのでしょうか、こういうことも考えております。
 そしてまた一方、公務員でありますけれども、先般の人事院勧告に従って、俸給表の引き下げ、つまり賃金の引き下げに踏み切っておるところであります。デフレが進みまして、こういう賃金引き下げが世の中の流れになりつつあります。そういう中で、NHKも賃金の見直しの検討を早急に行うべきではないかと思っておりますけれども、以上三点、この基本課題をNHKの会長にお尋ねいたしたいと思います。
海老沢参考人 私が平成九年に会長に就任して以来五年半たちますけれども、私ども、こういう厳しい経済情勢の中で、受信料の値上げというものは当分できない、そういう判断のもとに、今、業務の見直し、改革と実行、公開と参加という二つの経営理念を掲げてたゆまざる改革に取り組んでいるところであります。平成九年度から十四年度の六年間で七百七十七億の経費の節減をいたしてまいりました。平均年百二十億ぐらいの経費の節減を行って、できるだけ受信料を値上げしない、いわゆる視聴者国民に新たな負担をかけないように今努力をしているところでございます。
 今お尋ねの平成十一年度の決算では、予算に対して六十億円の収支の改善、つまり六十億の黒字を出したということであります。この六十億円を翌年度以降の財政安定のための繰越金として計上しております。そして、平成十二年度の決算では、予算に対して二十五億円の収支改善となりました。この二十五億円も翌年度以降の財政安定のための繰越金としているところでございます。
 今、この繰越金は、十三年度末で五百六十三億円になっております。これを私どもは、これから始めます地上デジタル放送の設備に投資するといいますか、それのために使わせていただくということで、十四年度の予算で百十億を計上しております。今、十五年度の予算を編成しておりますけれども、十五年度も百十億程度、繰越金からデジタル推進のための設備に充てようと考えているところであります。そういう面で、私どもこれから、先ほども答弁しましたように、地上デジタルのためには送信・送出設備を合わせて二千六百億の資金が必要であるわけでありますから、この資金をどう賄うか。繰越金と、同時にまた経費の節減を図りながら、これに充てていきたいと今考えているところでございます。
 それと同時に、私ども、公共放送の使命として、日本は非常に自然災害の多いところであります。地震、津波、台風、集中豪雨、この緊急報道、国民の生命と財産を守るための緊急報道にいろいろな面で整備の強化を図っているところであります。そういうところにさらに資金を投じていかなければならない使命を我々持っているわけであります。そういう面で、私ども、経費を節減しながら、また受信料を値上げしないということで頑張っているところであって、今受信料を値下げする時期ではないし、ますますそういう厳しい財政の中でやりくりしていかなきゃならない現状を御理解願いたいと思っているところであります。
 それから、職員の賃金の見直しを検討したらどうかという御指摘がありました。
 私ども、平成十年度以降、五年連続で人件費の予算は年間千九百九十億円ということで、五年間据え置いてきております。十五年度はこれをさらに削減するつもりでおります。
 特に、毎年これまで二百人前後の人員の削減をしてきているわけであります。そういう中で、こういう最近の経済状況を見ますと、我々もいろいろな面で今見直しを進めておりますけれども、特に管理職の上位層、いわゆる局長級については、数%の幅で基本年俸のカットを実施しております。また、普通の管理職につきましては、平成十一年度以降四年間、基本年俸を据え置いております。それから、一般職につきましては、平成十四年度、今年度はベアをゼロにしているということで、今頑張っているところであります。
 これを同業他社であります在京民放と比較しますと、私どもNHKは年収で二割程度低い水準になっております。また、初任給につきましても、大学卒業で一万円から五万円程度低い水準になっているということも御理解願いたいと思っているところであります。
 それと同時に、やはり私ども、個性豊かで専門性を持った職員を採用していきませんと、質のいい番組が当然できません。そういう面で、やはり一定の給与水準を保ちませんと、人材の育成、人材の確保ができない。そういう中でさらに努力しながら、引き締まった、効率性の高い経営をさらに推進していきたいと思っております。
黄川田委員 お話しのとおり、会長は就任以来、改革と実行ですか、スローガンに掲げまして、経営の改革に取り組んでおるということでございます。しかしながら、このデフレ下の厳しい経営情勢のもとといいますか経済情勢のもと、民間企業も努力しておりますし、また公務員も今厳しい勤務条件に置かれているということであります。そしてまた、電気、ガスとかあるいはまた通信料金等公共料金が値下げの傾向にあるということの中での受信料の長年の据え置き、これに対していぶかるといいますか、そういう人もまるきりないというわけではないのでありますので、一層の経営改善を実行されることを要望しておきたいと思っております。
 それでは次に、地上波テレビのアナログ放送は二〇一一年までに終了することが去年六月の電波法の一部改正で決まったところであります。つまり、二〇一一年には地上放送は全国くまなくデジタル化されるということになると思います。しかし、不況が長期化しておりまして、経済全体が縮小しているという中で、この地上放送のデジタル化に必要な巨額の資金の調達は、放送事業者にとって重い経営課題だと聞いております。
 そこで、改めて私からも伺いますけれども、地上デジタル放送を計画どおり実行していく上で、この問題に関してNHKはどう対処していくつもりなのか、お尋ねいたしたいと思います。
海老沢参考人 放送のデジタル化は、今、世界的に大きな流れになっております。そういう面で、私どもNHKも、放送のデジタル化については世界的にも先導的役割を果たしてきております。
 そういう中で、今、BSデジタル放送を、民放六社と合わせて七社で推進しているわけであります。その後、地上波のデジタル化を推進していこう、そのためにはやはり今のBS、いわゆる衛星デジタル放送を成功させなければ、次に控えております地上波のデジタル化も順調に進まないということで、今この普及に全力を挙げているところであります。
 そして、地上デジタル放送につきましては、これから、アナログの周波数の変更対策を円滑に推進するためにさらに努力を重ねなきゃならないと思っております。その上に立って、二〇一一年までにすべての家庭のアナログ放送をデジタル化するという大変な、非常に国家的事業だろうと認識しております。そのためにはやはり、国民のコンセンサスといいますか合意を得ながら、デジタルのメリットといいますか、いい面を理解してもらう、そういう努力も続けながら、私どもは、法律で決められております二〇一一年を目指して着実に、そして段階的にその政策を推進していきたいと思っているところでございます。
黄川田委員 先ほど来議論があるとおり、この地上放送のデジタル化については問題点が多く、当委員会でも、過去においてもさまざま議論がなされたところであります。アナ・アナ変換等、このデジタル化に要する費用は、当初は約七百三十億円かかるとされていたものが、今ではその三倍の約二千億にも及ぶとされております。また総務省は、財政難の中、不足する原資を電波使用料の大幅な値上げで賄おうとしております。費用の面あるいはスケジュールの面でも多くの問題を抱えているというのが現状だと私は思っております。当委員会は、きょうの中身はNHKの決算でありますが、いずれ通常国会では電波法の改正等出てくると思いますので、これは後でまた議論していきたいと思っております。
 それでは、一昨年十二月にBSデジタル放送が始まりました。現在BSアナログ放送で使っている衛星、BSAT1aの設計寿命は二〇〇七年と承知しております。しかしながら、昨今の報道によりますと、NHKは、BSAT1aの後継として打ち上げる衛星で、地上波アナログ放送に合わせてBSアナログ放送も二〇一一年まで続ける考えのようでありますが、このNHKの方針に対して総務省はどのようにお考えでありますか。また、このBSアナログ放送を二〇一一年まで続ける場合、民放への影響があるのではないかと考えますが、総務省の見解を求めておきたいと思います。
 そしてまた、関連して、総務省の放送政策研究会では、最近、地上波放送のBSデジタル放送への出資規制緩和を検討しているということであります。しかしながら、在京キー局が全国放送できるBS局と一体化しますと、地上波放送ネットと競合し、地方局の切り捨てにつながるのではないか、そういうおそれがあるわけであります。そこで、このBSデジタル放送を今後どう育成していく方針であるのか、総務省の見解をまとめてお願いいたしたいと思います。
高原政府参考人 先生から何点かのお尋ねがございました。
 最初の、BSアナログ放送の終了のあり方でございます。
 これは現在、衛星放送の在り方に関する検討会等で議論を行っているところでございまして、この中で、BSアナログ放送の視聴者への十分な配慮、あるいは放送全体のデジタル化の進展との整合性及びデジタル放送普及への寄与、あるいは各家庭におけるテレビの買いかえ周期の問題、あるいは現行のBSアナログ放送用の衛星の寿命、これが二〇〇七年までとされておりますが、そういうような問題等を全体として勘案いたしましてBSアナログ放送の終了時期を定めるという方向で今議論をしておる最中でございます。
 具体的な終了時期についての最終結論はまだでございますけれども、地上アナログ放送が終了する二〇一一年までにBSアナログ放送も終了すべきという方向で、NHK、民放を含めましておおむね意見集約が図られつつあるというふうに認識をいたしております。次回、十二月二十五日の会合で、この検討会で最終的な取りまとめを行うということになっておりますので、この結論を総務省といたしましてもできるだけ尊重して対応してまいりたいというふうに考えております。
 それから、マスメディア集中排除原則の見直しの問題でございます。
 これについては、地上波における見直しとあわせまして、放送政策研究会において、BSデジタル民放の経営基盤の強化の必要性、あるいは御指摘の地上ローカル局への影響といったようなものも全体として勘案をいたしまして検討を行っているところでございます。近々結論を出すべく努力中でございますが、先生の御指摘も十分踏まえて今検討しているところでございます。
 さらに、普及策でございますが、これに関しましては、本年七月に大臣のもとに設置しておりますブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会におきまして、デジタル放送推進のための行動計画を取りまとめております。この中で、BSデジタル放送を一層普及させるために、コンテンツを含むサービス内容の充実あるいは受信機の低廉化といったようなものについて、放送事業者あるいはメーカー等の関係者が、一層の充実に努めるということで合意をいたしておるところでございます。こういうものを通じまして、さらにBSデジタル放送の育成、普及を図っていきたいというふうに考えております。
黄川田委員 ブロードバンド化が推進しますと放送と通信の融合が図られ、そしてまた、地上放送であれ衛星放送であれ、デジタル化は時代の流れであります。そこで総務省には、NHKとか民放問わず、放送事業者、特に地方の独立弱小事業者を特段指導していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さまざま通告しておりましたけれども、時間が残り少なくなりましたので最後の質問になるかと思います。最後に、災害放送の充実についてお尋ねいたしたいと思います。
 私の地元、岩手県の三陸沿岸は、過去幾度となく大規模な津波災害に見舞われております。古くは明治二十九年の三陸地震津波では、一万八千余のとうとい人命が失われました。また、今から四十二年前の昭和三十五年、いわゆるチリ地震津波に見舞われまして、このときは六十人を超す方々が亡くなられたり、あるいはまた行方不明になったりしたところであります。三陸においては、経験的にほぼ四十年に一度大きな津波災害に遭うということであります。海岸に住む者は一生のうちに一度かあるいは二度経験するだけということでありまして、大災害の恐ろしさというのは常に風化してしまうという状況にあるわけであります。
 そこで、最近のNHKの地震速報を見てみますと、速報が出るまでの時間が大変短くなったと思っておりますし、また揺れを感じた地域の表示がかなりきめ細かくなったと思っております。進歩の跡を感じるわけであります。地震や津波といった自然災害から人命を守るために、NHKは指定公共機関として日夜努力されておると思いますけれども、NHKの最新の取り組み状況と、なおある課題等をお知らせいただきたいと思います。
板谷参考人 お答えします。
 NHKにとっては、国民の生命財産を守る災害報道は最も重要な使命の一つということで、備えを強化しているところです。特に、津波に関する情報というのは、生命にかかわることですから、一刻も早く、一秒でも早く伝えるように努めており、そして津波警報とか大津波警報が発表されたときには、総合テレビとか教育テレビ、衛星など、テレビ、ラジオ全部直ちに中断して放送するということにしております。
 NHKでは、ことし六月に報道局に気象・災害センターというのを設けました。これは、非常災害時にどうすれば一刻も早く正確な情報を伝えられるかということで、NHK全体の体制整備を、いろいろ弱いところがないかというのを見きわめながら、強力に進めるための組織でございます。
 そして、今特にやっておりますのは、ハード面といいますか設備の面では、災害現場から通信衛星を介して中継が可能だというふうな非常に小型な中継車、それからハイビジョン化ということも進めておりますし、ヘリコプター、このハイビジョン化も含めた体制整備というのを行っています。それから、津波監視にはロボットカメラというのが欠かせません。ですから、今そのロボットカメラというのを四百二十一式全国に配備しているんですけれども、そのうち百六十三式というのは各地の沿岸部に配置するというふうなこともやっております。
 それから、大災害が起きたときに、やはり通信手段をどう確保するか。電話が錯綜してつながらないということもございますので、NHKとしては、無線機の整備それから衛星を利用した電話の配備というのも今強力に推し進めているところでございます。
 それから、やはり何よりも日常の訓練というのが大事なものですから、頭でわかっていても体が動けなければ何の意味もないということで、毎日、地震、津波などの速報などの送出に習熟するための訓練も行っていますし、実際に地震を想定して中継車を動かすとかヘリコプターを飛ばすというふうな大規模な訓練も続けているところでございます。
 ちなみに、岩手県沿岸には、NHKの津波監視用のロボットカメラが大船渡と釜石と宮古の三カ所を映すようになっておりますし、盛岡放送局ではことしの十月に、津波に対する、津波情報を出すための大規模な訓練もやったところであります。
 地震・津波対策というのは、今後とも重要な課題として位置づけて、手抜かりなくしっかりやるようにしていきたいというふうに思っております。
黄川田委員 災害の際の住民に対する避難勧告あるいは避難命令というのは、市町村長、首長の責任でやります。最近は、総務大臣に首長たち、地方の市町村長はいじめられているというような気でおるようですので、どうぞNHKは、首長が責任を持っていろいろな勧告、命令ができるようにサポートをしていただきますことをお願い申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。私、受信料の収納の実態についてお尋ねしたいと思います。
 二〇〇〇年度、平成十二年度の収支決算を見ますと、受信料の収入というのが六千二百六十五億円、収入全体の九六%を占めているわけです。この比率は、これまで長年にわたって大体変わっていない状況であります。ということは、NHKにとってこの受信料収入というのは経営の土台、つまり屋台骨そのものであるということだろうと思います。
 そこで、この受信料の収納実態はどうかという点を見てみますと、私、未収金の動向というのが少々気になるんです。というのは、この数年、この未収金が増加傾向となっている。九六年が百七十九億円、九七年が百八十六億円、九八年になりますと百九十四億円、九九年で二百十二億円、二〇〇〇年が二百二十七億円、こういうふうに増加しております。
 そこで、私、受信料収入に占める未収金の比率、これはどうなっているかちょっと調べてみましたら、九七年まではほぼ三%というところで定着しているんです。ところが、九八年が三・一%、九九年になりますと三・三%、二〇〇〇年になりますと三・五%、増加傾向になっているわけですね。この傾向がこれからももし続くというようなことになると、経営の問題に響くのではないかという懸念を持つものなんです。問題は、この傾向に歯どめがかかったかどうかという点なんです。
 そこで、NHKに聞きます。これはこの次ですが、二〇〇一年度、つまり平成十三年度、決算がもう出ていると思いますが、この辺で歯どめがかかっていると言えるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
安岡参考人 ただいま先生お尋ねの受信料の未収金でございますが、十三年度末における貸借対照表に計上しております受信料未収金は三十五億円でございます。これは、十三年度における受信料未収額二百四十六億円から未収受信料の欠損引当金二百十一億円を差し引いたものでございます。ただ、当然のことでございますけれども、この三十五億円についても、本年度鋭意回収に努めたということでございます。
 私どもの方も、受信料の確保がNHKにとっても根幹だということで、鋭意努力をいたしておりまして、契約の増加、収納率の向上のために、具体的には、受信者の在宅時間に合わせた活動を一生懸命やろうじゃないかということでございます。それとか、電話とか文書による勧奨措置も、いろいろ働きやすいようにしていこうというふうに考えております。
 それから、最近の方では、非常に面接が困難な単身用のマンションとかロックマンションもあります。そこの対策もいろいろ強化していこうというふうに思っていますし、インターネットとかフリーダイヤル、これも活用していこうということとか、口座の利用促進を図るというようなことで、いろいろと未収の圧縮に努めるということで鋭意頑張っているところでございます。
矢島委員 安岡理事、ちょっと聞き取れなかったので、もう一度確認だけしますが、平成十三年度の未収金というのは、おおよそ二百四十六億円ということですよね。それでいいんですか。
安岡参考人 この二百四十六億円というのは、当年度の未収金として二百四十六億円という格好でございます。それで、先ほど申し上げました三十五億円は、その二百四十六億円から欠損引当金の二百十一億円を引きまして三十五億について計上しているということで、この三十五億も本年度一生懸命回収に努めている、こういうことでございます。
矢島委員 いずれにいたしましても、この増加傾向ということが非常に気になるわけなんです。
 そこで、いろいろと努力されているとは思うんです。今、実際に、面接できないとか転居をしているとか、いろいろありましたけれども、ただ、当委員会でも海老沢会長は、NHKの経営は受信料によって支えられているということや、受信料収入の重要性、こういうことをたびたび力説されていらっしゃいます。
 私は、この収納業務というのは、いわば営業分野といって差し支えないと思うんですね、どのような経営努力を行ってきたかということについて、さらにお尋ねしたいわけですが、例えて言うならば、NHKにとって視聴者というのは、民間企業でいえばお客様、スポンサーでもあるわけです。ですから、NHK受信料の集金のための労働者、いわゆる集金労働者は、いわば営業マンだと思うんですね。民間企業で売り上げや収益を伸ばそうと思えば、お客様の理解と協力を得ること、このことのために営業マンの質を向上させたり、あるいはやる気を引き出す努力を行って、そういう面を一層伸ばそう、こうしているわけです。
 そこで、NHKでも同じことで、視聴者の理解と協力を得ること、そのためには、この集金労働者の質を向上させやる気を引き出す、そういう努力をしながら、受信契約を伸ばすことやあるいは収納率を高めるということだろうと思うんですけれども、NHKのこの面での営業努力についてお話しいただきたいと思います。
安岡参考人 先生今おっしゃいましたように、私どもの方も、受信料については、これはNHKの財源として九七%を占めているということで、公共放送NHKを支えるものだということでございます。
 それを実際に現場で活動をしていただいているのが、いわゆる地域スタッフの方々ということでございます。地域スタッフの皆さんは、本当に、今大変寒くなっていますけれども、寒いとき、暑いとき、いろいろ現場活動、訪問活動をしていただいているということでございまして、私どもの方もそれをいろいろな格好で支援していくということでやっているところでございます。
 例えば、今、営業システムの携帯端末を順次導入しているところでございます。これは、いろいろなデータが集積されるということでございまして、その辺のところをスタッフの皆さんに活用していただければ、お客様が、いつ、どういう時点に行けば訪問ができるのか、より効率的な観点でのお手伝いをするとか、フリーダイヤルでお客様から自主的にいろいろな転居届なんかの届け出もしていただくということをやろうということにしております。
 スタッフの皆さんについても、本当に御苦労をかけておりますけれども、いろいろな中で一緒になってやっていこうじゃないかということで、いろいろな面で研修等をやりまして、具体的に信頼関係を築きながらやろうということにしておるところでございます。
矢島委員 言うまでもなく、NHKにとって視聴者というのは大事なお客様です。この収納業務を行う集金労働者というのは、結局、受信契約だとかあるいは受信料の収納、こういう集金業務を通じて一人一人のお客様と接していくわけですね。意見を聞いたり、あるいは苦情も受けたり、いわばNHKの窓口がわりの役目、こういうことも果たしている、まさに営業マンだと思うんです。言いかえれば、この集金労働者が、収納業務を通じてNHKの財政基盤を支えてきた、そういう重要な役目を担ってきていると思うんです。
 そこで、集金労働者の処遇の問題についてお尋ねしたいんですが、NHKと委託契約を交わしている委託集金労働者は四千数百名とお聞きしております。これらの労働者に対して、NHKは雇用関係というのを認めないで、法律に定めてある、いわゆる労働三法に基づくところの使用者責任、すなわち雇用保険だとかあるいは厚生年金、労災保険、これらへの加入義務を履行していないと聞いておるわけなんですが、なぜNHKは集金労働者の労働者性を認めないのか、加入義務を果たさないのか、その理由はどこにあるのか、お聞かせいただきたい。
安岡参考人 先生の今のお尋ねでございますけれども、NHKと地域スタッフの関係は、私どもとしては雇用契約ではないということでございます。これは業務委託契約に基づきます委託、受託の関係だということでございます。委託契約は、委任あるいはこれに請負の性格がまじった、いわゆる民法上では無名契約ということでございますけれども、雇用契約とは基本的に性格を異にするということでございます。したがいまして、雇用労働者に適用されます雇用保険、厚生年金、労災保険というのは適用されないということでございます。
 しかしながら、私どもNHKは、地域スタッフの皆さんは大変厳しい中で頑張っていただいているということで、安心して業務に従事いただけますように、独自の給付制度をつくっているということでございます。休業時の補償等いろいろ、社会三法に準じた処遇を可能な限りやっているということでございます。
矢島委員 委託契約を交わしているからといって労働者でないという根拠にはならないわけです。労働の実態に即して判断するということが労働法規の解釈です。委託契約書を取り交わしているからといって、その就労実態が雇用関係であるならば、やはり雇用関係にある労働者である。要は、職務の内容及び服務における支配従属性、こういうことが判断の基準になるわけであります。
 そこで、これまで、司法や行政のそれぞれの各機関が、その決定によって集金労働者の労働者性及び労働組合を認定してきた経過があるわけです。全日本放送受信料労働組合がございますが、三十年余りにわたって、以下に述べるような司法や行政による判断やあるいは命令、こういうものが四つの例によって出てきているわけです。
 その一つは、一九七三年十月八日の仙台高裁判決。NHKと雇用関係にある労働者と解するのが相当である。もちろんこれは、いわゆる地域スタッフの皆さん方の労働組合が高裁に訴えたその判決の内容であります。それから二つ目には、一九九二年十月二十日の東京都の労働委員会の命令であります。労働者に当たると解すべきであり、労働法上の雇用関係を否定することはできない、こういう判断をしているわけです。三つ目に、一九九六年の五月二十九日の中央労働委員会の命令です。これは、都労委の命令と同じ命令を下しました。四つ目に、二〇〇二年十一月十八日の東京地裁の判決です。受託業務遂行に当たって、単なる請負的要素を加味した委任契約の予定するところを超えた指揮監督関係があるというべきであり、本件委託契約は労働契約の性質を有するというべきであるというような、一連の判決や命令が出ております。
 海老沢会長、このことをどのようにお考えか。私自身は、雇用保険法の第七条に基づいて直ちに届け出をすべきだ、このように思うんですが、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
安岡参考人 まず、今までの裁判事例の御紹介をいたしますと、ただいま先生が申されましたように、都労委、中労委、仙台高裁で労組法上の労働者としての適格性を認めるということでございますが、これについては、いわゆる争点となっているその不当労働行為の認定の前提としまして労働者性を判断したものということでございまして、NHKと地域スタッフの関係において、そこの変更を求めるものではないというふうに思っておるところでございます。
 最近の事例でいいますと、NHKの主張というか、労働者性を否定するという立場からの判決といたしまして、広島地裁の判決あるいは盛岡地裁の決定ということでございまして、例えば盛岡の例で申しますと、要するに、労働契約という主張は採用できないという主張で認められているということでございます。
矢島委員 今、広島地裁と盛岡地裁の話が出ましたけれども、私がずっと読み上げた判決もあるわけですが、この広島地裁というのを見ますと、今おっしゃられましたように、集金労働者側が敗訴していますよ。しかし、この裁判の内容というのは、弁護士もつけずに一人で裁判をやったんですよ、労働者が。NHKの方は、多分、弁護士五人ぐらいつけたんじゃないですか。証拠を出せないまま敗訴したと。大体、負けるのが当然の状況の中で行われた裁判だ。それから、盛岡地裁。これは、地位保全の仮処分であって、口頭弁論がなかった裁判なんですよ。つまり、本裁判になっていないんですよ。そういう違いがあるということも、ぜひNHKとしては知るべきだと思います。
 この問題で時間がなくなってしまいますので、厚生労働省に来てもらっていますので、尋ねます。
 三沢次長、NHK労働者から提起されている雇用保険の資格認定申請、八条によるところのいわゆる確認申請、これが立川、横浜、船橋の三つの職安に出されて、今審査を進めていると思うんですが、この審査がどこまで進んでいるか、その進捗状況。それから、結論を出すに当たっては、立川、横浜、船橋、それぞればらばらの結論を出すということはどうなんだろうと思うんですが、これに厚生労働省の本省としてどういうふうにかかわり合いを持っていくのか。その二つについてお答えいただきたい。
三沢政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、NHKの放送受信料を集金されている方々から、平成十三年の八月に、おっしゃいました三つの安定所に対しまして、雇用保険の被保険者であることの確認請求がなされております。
 私ども公共職業安定所では、この請求を受けまして、雇用保険の適用となる労働者に該当するか否かを判断するために、既にこれまで、NHKの各営業センターあるいは個々の請求人に対します聴取等の就労実態の調査を行ってきたところでございます。現在、その調査結果も踏まえまして検討を進めているところでございますけれども、先般、代理人の弁護士の方から各安定所に対しまして、総括意見書を提出したい、こういう申し出があったこともありまして、現在、その申し出を待っているという状況でございます。
 さらに、被保険者であることの確認請求についてでございますけれども、これにつきましては、請求があった安定所長が判断するものでございますけれども、今回のケースにつきましては、集金人の方々から複数の安定所に確認請求が行われているということから、個別の事案により状況が相違すれば別でございますけれども、同種の事案につきまして判断が異なるということは、行政の統一的執行の面から問題がございますので、そのことがないよう、各安定所の対応について十分注意をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
矢島委員 時間になりましたので、大臣に最後お尋ねしようと思いましたが、こういう実態があるということをぜひ認識されて、公共放送としての役割をNHKが果たす、このことが非常に重要だ、国民やあるいは視聴者の理解を得ながら、また、働く人が本当に快適にその職場で働けるような方向、こういうことを考えることが必要だろうということを私申し上げて、質問を終わります。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 当委員会、ことしの最後の質問になろうかと思いますが、ひとつ積極的な答弁を期待したいと思います。
 まず、会長にお伺いいたします。
 まず、経営問題でありますけれども、海老沢会長は、私の在任中は受信料の値上げはしない、このように明言されております。来年七月末が任期と聞いておりますが、その後、海老沢会長が引き続きやるかどうかというのはわかりませんけれども、仮にまた引き続き会長をやるといった場合に、この認識は変わらないかという点が一つ。
 それから二つ目は、アナ・アナ変換とNHKの財政負担の問題であります。
 二〇〇〇年度決算における損益計算書では、経常事業収入六千五百五十八億円に対しまして経常事業支出六千二百九十八億円、差し引き二百五十九億円の収支差、つまり黒字を出しております。もう少し立ち入ってみますと、四百八十三億円の減価償却費が計上されておりますから、したがって、NHKが新規投資に使える資金は、この二百五十九億円と四百八十三億円、合わせて七百四十二億円ということになろうと思います。
 他方、NHKのアナ・アナ変換にかかる費用、送信設備のデジタル化で約三千億円、番組制作費を含めますと、トータル六千億円とも聞いております。経常事業収入の九七%が受信料で賄われているNHKであってみますと、今後のこのアナ・アナ変換に対する費用負担は、決して楽観できるものではないという認識を持つわけであります。
 そこで、今後のNHKの事業にかかわる中期財政見通しを示すことも、受信料で成り立っておるNHKにとっては重要な説明責任ではないか。そうした説明責任が適切になされるならば、NHKの自律性を積極的に確保していくための受信料の今後のあり方について国民の理解を得られるのではないか、このように考えるんですが、以上三点について、会長の見解をお伺いしたい。
海老沢参考人 私、五年半前に会長に就任して以来、受信料の値上げはいたしませんという公約をしてまいりました。おかげさまで、この六年間にわたって、受信料を値上げしないで、健全な均衡財政を保っているということでございます。御承知のように、今、こういう厳しい経済状況の中で、私ども、改革と実行ということで、経費の節減を図りながら、視聴者に新たな負担をかけないように、経営の努力をしている最中でございます。
 私、来年の七月に二期目の任期が切れます。その後は、これは先生御案内のように、経営委員会が次の会長を決めることになっておりますので、私の進退については今何とも申し上げられない状態であることは、もう言うまでもありません。ただ、私ども公共放送NHKというのは、受信料によって支えられ、また視聴者国民の信頼の上に成り立っているわけでありますから、できるだけ経営の健全化、均衡財政を保ちながら、さらに改革を進めて、また質のいい番組をつくっていくことが使命であります。そして、そのためにまた、新たな負担を視聴者にかけることは慎まなきゃならない立場でありますので、今後とも、受信料を値上げしないように、だれがなってもこれは頑張っていかなければならない課題であろうと思っております。
 それから、これから地上波のデジタル化について設備投資が膨大なものになることは言うまでもありません。私ども、民放各社とも鉄塔の共同建設などを進めながら、できるだけコストの削減を図ろうということで、今、試算をし直しますと、送信設備で二千億、そして送出設備では六百億、合わせて二千六百億の資金が必要であります。これは、これまでの試算より一千億減らした数字であります。そのほか、番組制作設備等に千四百億から千五百億かかる。合わせて四千億前後の新たな資金を要することは、たびたび申し上げているところであります。
 これを賄うためには、やはり計画性を持ったものを出さなければいけません。私ども、今、「IT時代におけるNHKビジョン」という三カ年の経営方針を皆様に提示しているわけであります。そのNHKビジョン、来年度、十五年度で三カ年の計画が切れますので、来年度、十五年度中に、また次の三カ年のNHKの経営の方針、こういう計画でこれから三年間業務運営をしていきますという、国民に説明するための作業をこれから進めていきたいと思っております。
 いずれにしても、視聴者あってのNHKでありますので、今後とも、できるだけきちっとした経営計画を示して、御理解を得たいと思っているところであります。
重野委員 それでは、以下、二〇一一年の、アナ・アナ完全実施にかかわる具体的問題について聞いていきたいと思います。
 アナログ波に比べてデジタル波の直進性は極めて高い、このように聞いております。この問題は、アナログ波であっても、かつて新宿西口再開発や現在の六本木再開発でも、問題となったり現になっている。ましてデジタル波となりますと、どこに電波のビル陰問題、つまり難視聴地域が生じるか、予想がつきません。
 そこで、お伺いしますが、この問題は、単にビル周辺何百メートル以内などと規定できる問題ではないわけでありまして、新規立地はもとより、旧立地ビルによる新たな難視聴地域に対し一体だれが補償するのかという問題が出てくると思いますが、この点についての見解をお聞かせいただきたい。
高原政府参考人 先生今お尋ねの、建造物によるテレビの受信障害の原因には、二つございます。第一が、建造物により反射されて、強い反射波が生じることによって起こる反射障害と言われるもの、それから二つ目が、電波が建造物によって遮へいされて生ずる遮へい障害と言われるもの、この二つがございます。今回、地上デジタル放送においては、反射障害に強い伝送方式を採用いたしております。そういうことで、反射障害はアナログ放送の場合に比べて大幅な改善が見込まれるというふうに考えております。
 逆に、遮へい障害でございますが、今先生おっしゃいましたように、デジタルの電波が発射されてみないとなかなか正確には把握できないわけでございますが、デジタル放送局の送信アンテナの設置場所によりましては、現在アナログ放送で障害が生じている地域であってもこの障害が生じなくなる場合もあるし、また、ビル陰によって障害が発生する地域が出てくる可能性も確かにございます。
 このような、ビルに起因して発生する可能性のある受信障害につきましては、現在、予算をとっておりまして、調査研究をいたしております。この発生メカニズムと発生エリアの把握方法、あるいはこの解消方策の検討といったようなものを、今実態調査をやっておる最中でございまして、この調査結果を得まして、今おっしゃいましたような原因とか規模等を分析して、関係者を交えながら、この費用負担をどうすべきかという適切な方策について、これから検討、整理してまいるということにいたしております。
重野委員 次に、集合住宅における共聴設備の更新、またその費用負担の問題についてお伺いいたします。
 現行の集合住宅は、アナログ放送、BS、CSの一部までしか伝送できない状態であります。VHFにしか対応していない古いマンションでは、個々の家庭がデジタル受信チューナーやこれを内蔵したテレビを買っても、同軸ケーブル、信号増幅装置など共聴受信設備を取りかえなければ見ることができないことになるのではないか。これによる影響世帯数は約一千万、共聴設備更新費用はトータルしますと数千億から一兆円、一世帯当たり費用負担は約十万円、こういう試算も出されております。
 しかも、こうした集合住宅における住民の合意形成は決して容易ではありません。現時点でデジタル化に対する認識度というのは、ある資料によりますと、約九%、このようにされております。一定戸数以上の規模で、管理組合もそれなりに機能しているマンションであればいざ知らず、そうでない小規模集合住宅などの場合、取り残される可能性が高い。そうであれば、国は、国民があまねくデジタル放送の恩恵を受けられるように、こうした谷間に取り残される可能性の高い住宅やその居住者に対していかなる対策を講じるつもりか、お聞かせいただきたい。
高原政府参考人 今、先生がおっしゃいましたように、既存の共同受信施設で伝送帯域が対応できないものが確かにあります。そういうものは改修が必要になってまいります。その場合に、二〇一一年まではアナログ放送は視聴できるわけですが、その二〇一一年までの間にこの共同受信施設のデジタル対応というものを、今、関係業界とも連携して進めようということで鋭意やっておる最中でございます。
 小規模施設が取り残されるのではないかというお尋ねでございますが、各家庭、テレビを単体でごらんいただいている家庭もテレビを買いかえていただくということになっておりますので、この共同受信施設のデジタル化についても、個別に受信している世帯との公平性から、基本的には利用者の自助努力ということにお願いすることになろうと思います。
 ただ、そういうものに関しまして、周知、広報、あるいはいろいろな隘路がある場合にどういうふうに支援していくかといったようなこともあわせて、先ほど申し上げましたような調査研究もいたしておりますので、これから鋭意関係業界と一緒に詰めてまいりたいという段階でございます。
重野委員 指摘をしました取り残される部分が出ないように、最大限の努力を要望しておきたいと思います。
 次に、デジタル化は時代の必然、世界の趨勢、これが衛星放送開始時のキャッチフレーズでした。しかし、二〇〇〇年十二月にスタートしましたBSデジタル放送は、一千万台の皮算用もむなしく、現実には、受信機販売台数は、放送開始二年近くを経たにもかかわらず、この八月末現在でいまだ百四十三万台、こういう数字があるわけでございまして、目標には遠く及ばないという実態です。しかも、この間、ソルトレーク冬季オリンピック、日韓ワールドカップが開催されたにもかかわらず、こういう数字なんですね。
 このような普及状況の低迷要因についてどのように認識されておるか、お聞かせください。
加藤副大臣 先生御指摘のように、BSデジタル放送につきましては、平成十二年の十二月から放送開始されて、ちょうど二年たったことしの十一月末でありますが、約三百四十八万世帯が視聴されているところでございます。確かに当初の目的よりはおくれておりますが、この普及ペースでありますけれども、BSのアナログ放送とかカラーテレビとかDVDとか、他のメディアの普及ペースに比べると着実に進んでいるというような状況でございます。
 しかしながら、BSデジタル放送というのは、準基幹的な放送として、また地上波のデジタル化の先駆けとして、放送全体のデジタル化を円滑に推進していく役割も担っておるわけでありますので、なお一層の普及が必要だと考えております。そのためには、放送コンテンツの充実を初めとしたサービスの内容の向上とか、また受信機の低廉化が特に必要と考えているところであります。
重野委員 状況としては決して甘くないというふうな認識を私は持っています。
 この問題に対するいろいろな話があるわけですけれども、ある民放の幹部の発言等々も、ある本を読む中で、非常に困難な、難しい問題だというふうな意見が出されておりますし、現実も、今言いましたように、アナ・アナ変換の停滞、また、アメリカやイギリスにおけるデジタル化にまつわるいろいろな失敗談あるいは無理押しというふうな状況も明らかにされつつある。多大な国費投入と、当然国民負担も必然的に伴うわけでございまして、そういうふうなことを考えるとき、私は、二〇一一年というこのものが結果としてまた延期されるようなことになるんではないかという懸念を持つわけですね。
 したがって、今国が定めております二〇〇六年、そして二〇一一年、こういう計画を、やはりもっと現実に合わせてスローダウンして、着実にやり遂げるというふうな方向に転換していく、そういう余裕を持った対応が求められるんじゃないか、私はこのように思うんですが、これについては、大臣、ひとつ答弁してください。
片山国務大臣 重野委員言われますように、アナ・アナがちょっともたつきましたので、それが少しおくれておりますが、来年の年末からは三大都市圏では地上波デジタルが始まりますね。それから、二〇〇六年にはその他のローカル局で始めていただける、こういうふうに思っておりまして、二〇一一年までまだ相当時間があるではないかという意見と、まあ、そうはいっても九年しかないぞ、こういう意見がありますが、我々としては、電波法の改正で国会の御承認もいただいた二〇一一年の七月二十四日までにデジタルの準備を全部整えて、全面デジタル移行、こう考えております。
 いろいろな問題が起こるかもしれませんし、どういう、状況の突発的な変化があるかもしれませんので、そこは十分見守りながら進めていきます。びっくりするようなことが起これば、そこは大胆かつ柔軟な対応を含めて考えてまいります。
重野委員 あと二項目通告しておりましたけれども、もう時間がなくなりましたので、以上で質問を終わります。
遠藤委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより両件について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、日本放送協会平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。
 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。
 次に、日本放送協会平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。
 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
遠藤委員長 この際、御報告申し上げます。
 今会期中、本委員会に付託になりました請願は二十件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。
 なお、お手元に配付してありますとおり、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、住民基本台帳ネットワークシステムの稼働の一時停止に関する陳情書外十六件、また、意見書は、市町村合併に関する意見書外千六百五十一件であります。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 第百五十一回国会、上田清司君外五名提出、国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案
 第百五十一回国会、上田清司君外五名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案
 第百五十一回国会、上田清司君外五名提出、特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案
 第百五十三回国会、大畠章宏君外二名提出、聴覚障害者の利便の増進に資する字幕番組の提供の促進のための放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案
 第百五十四回国会、岡田克也君外八名提出、特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案
及び
 行政機構及びその運営に関する件
 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件
 地方自治及び地方税財政に関する件
 情報通信及び電波に関する件
 郵政事業に関する件
 消防に関する件
以上各案件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。
 まず、閉会中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十一分散会


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