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第3号 平成15年2月25日(火曜日)

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平成十五年二月二十五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 林  幹雄君
   理事 八代 英太君 理事 安住  淳君
   理事 武正 公一君 理事 桝屋 敬悟君
   理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      蓮実  進君    平林 鴻三君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      牧  義夫君    松崎 公昭君
      山田 敏雅君    山元  勉君
      青山 二三君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    金子善次郎君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   総務大臣政務官      岸  宏一君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (内閣法制局第一部長)  宮崎 礼壹君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          森   清君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            野村  卓君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    團  宏明君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           井口 直樹君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  宮路 和明君     蓮実  進君
  山田 敏雅君     牧  義夫君
  久保 哲司君     青山 二三君
同日
 辞任         補欠選任
  蓮実  進君     宮路 和明君
  牧  義夫君     山田 敏雅君
  青山 二三君     久保 哲司君
    ―――――――――――――
二月二十一日
 一律外形標準課税導入反対に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第三三一号)
 元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関する請願(山口わか子君紹介)(第四一七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 地方自治及び地方税財政に関する件(平成十五年度地方財政計画)
 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官伊藤祐一郎君、総務省自治行政局公務員部長森清君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省郵政企画管理局長野村卓君、郵政事業庁長官團宏明君、消防庁長官石井隆一君、内閣官房内閣審議官春田謙君、内閣法制局第一部長宮崎礼壹君、厚生労働省大臣官房審議官井口直樹君及び国土交通省鉄道局長石川裕己君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
滝委員 大臣所信につきまして自民党を代表いたしまして質問をさせていただきますのを、同僚の各議員の皆さん方に感謝を申し上げたいと存じます。
 時間の制約がありますので、早速、個別の問題から大臣にお尋ねをしたいと思うんです。大臣には三点についてお伺いしたいと思います。まとめて御意見を申し上げますので、まとめて一括してお答えをいただきたいと存じます。
 まず第一点は地方交付税の問題でございますが、今回の改正の中で大きな特徴が二つあるかと思います。
 一つは、都道府県の税収入の基準財政収入額の算定につきまして、今までは市町村が七五%の算入であったものを、そして都道府県が八〇%であったものを今度七五%ということで、市町村と同じような算入率にする、言いかえれば財源留保率を五%引き上げる、こういうことでございます。
 それについてはほとんど異論がないと思うのでございますけれども、その結果として、どうやら基準財政需要額の方を、収入額の方を五%圧縮するものですから、財政需要額の方も多少圧縮する、需要額の圧縮は恐らく一%か二%の圧縮になるかと思いますけれども。そういうことになりますと、基本的に考え方が変わってくる。
 私どもは、収入額の算定で市町村と都道府県に差がありますのは、市町村の方は需要額の把握がなかなか難しい、したがって収入額の算入率も七五%にして少し自由度を高める、こういうふうに聞いておったわけでございますけれども、この段階で都道府県の方も、需要額の把握が難しいというような状況ではないにもかかわらず、収入額算入の関係で五%圧縮する、需要額もそれに対応して圧縮するとなると、今までの考え方が変わってくる。
 変わってくることは結構なのでございますけれども、今のこの時期にそういうふうに変わってまいりますと、どうやら地方交付税もいよいよ財源保障機能から調整機能に足を一歩踏み出したのかな、こういうふうに地方団体は心配をいたしておりますので、そういう心配があるのかないのか、そこのところをはっきりさせていただきたいと思います。
 それから二番目には、交付税特会の規模がこういう時期になりますと減ってまいります。なぜならば、地方財源がないものですから、交付税を全額補てんできない。補てんできない分は、国は特会に一般財源を入れてくれますけれども、地方はできませんものですから、地方の分は臨時財政対策債という格好で、交付税が穴があく。少しだったらいいんですけれども、今回のように五兆八千億もの穴があきますと、当然、特別交付税の額が目減りしてまいります。
 従来、交付税総額が二十兆の時代に、特別交付税は大体一兆二千億ございました。そのうち都道府県と市町村の割り振りは、都道府県が大体二千億、市町村が一兆円の割り振りだったと思うのでございますけれども、そうしますと、この特別交付税が減ってくる分だけ市町村の財政に大きくしわが寄る。数字の上ではそういうことになってまいりますと、何となく市町村がかわいそうだという意見があるのでございますけれども、その辺のところはどういうふうに対処されるのか、それが交付税についての質問でございます。
 二番目には、外形課税の問題でございます。
 この問題は長い歴史があるわけでございますけれども、もともと、ちょうど今から二十年前に、実は、当時の西ドイツですか、ドイツでもってこの問題を、ドイツの連邦大蔵省の調査団が外形課税の提案をいたしました。ドイツでも営業税というのが市町村課税であったわけでございますけれども、二十年前に連邦大蔵省が付加価値税の導入を提案いたしまして、当時のドイツの国民世論は賛成ということでいたのでございますが、最終段階になってまいりますと、これは連邦の中じゃなくて州、十一の州があるわけでございますけれども、州の大蔵大臣の会議でもって決着がつかなかった。なぜかというと、当時、十一州の中でCDUの知事が七人、SPDの知事が四人おりまして、このSPDとCDUの政争があったものですから州の大蔵大臣会議で決着がつかなかったものですから、結局、州の代表でありますところの連邦参議院がこの法案を否決いたしまして、以後、付加価値税は日の目を見なかった、こういう歴史があるわけでございます。
 今回、提案が予定されております外形課税の導入でございますけれども、そういうようなドイツの轍を踏まないためにも、この法案が出たわけでございますから、その段階でもう少し国民に、今度の外形課税の意義なるもの、あるいはその中身について普及宣伝をしていきませんと、なかなか国民の末端に至るまでの理解が得られないおそれがある。ドイツの轍を踏まないための方策をどういうふうにお考えになっているのかをお聞きしたいと思うわけでございます。
 三番目には、市町村合併でございます。
 市町村合併、基本的にはどういうふうに動くかといいますと、今、市町村の合併よりも前に、市町村が基礎的自治体としてどういう権能を果たさなければいけないのか、どういう権能を果たし得るのかという議論がやや足りないんじゃないだろうかなという感じがございます。そんなことですから、例えば小規模町村になると、もうどこかの県の中に吸収した方がいいとか、隣の、周辺の市町村に事務を委託した方がいいとかという議論があるわけでございますけれども、基本的に市町村が基礎的自治体として何をすべきかということの議論が少し足りないんじゃないか。
 総務省におかれましては、そういうことのやはり普及宣伝というか、どういう格好で国民にそういうことについての理解を求めていくかという努力をしていただいた方がよろしいのじゃないだろうかなという感じが実はいたします。
 と申しますのは、例えば今、環境問題としてごみ発電なんというのが出てまいります。今までにない感覚でございますね。今までの市町村は、ごみは邪魔者でございますから燃やしてしまえ、こういう感覚だったわけでございますけれども、こういう環境の時代になってきますと、ごみは有効な熱資源なんですね。したがって、ごみはごみじゃないんです、これは資源として扱わなきゃならぬという感覚になってまいりますと、今の市町村でそれができるかというと、なかなか難しい。
 例えば、最近でございますと、福岡県の大牟田と熊本県にまたがる荒尾のところで、ごみのリサイクル発電センターができました。これのごみの収集人口は何と六十万人です。六十万人の収集人口がないと発電が安定的に、効果的にいかない。こういうことでございますので、大牟田と荒尾を中心とし、要するに福岡県と熊本県の市町村にまたがる地域でもってごみの発電事業が行われようとしている。
 そういうことを考えてまいりますと、今までにない機能を市町村が発揮しませんと、この環境問題の流れの中になかなか乗っていけない、こういうことがあろうかと思うのでございますけれども、そういうことだけではございません。そういうことも含めながら、やはり市町村が、機能が変わってきているということの認識を深めていただきませんと、合併問題がなかなか具体的に現実の問題として上がってこないんじゃなかろうかなという感じがあります。
 以上三点について大臣の詳細な意見をお聞きしたいのでございますけれども、時間がないものですから、ごく簡単に、イエス、ノーぐらいの感覚でひとつ御見解をお示しいただければありがたいと思うんです。
片山国務大臣 三点、今、滝委員からお話ございまして、第一点は、交付税の基準財政収入を、都道府県の標準税収入の算定を今の八〇を七五にする、これについてのお尋ねでございましたが、これは、こういう議論があるんですね。
 とにかく、これからの地方自治は地方団体の自立だ。ところが、今の交付税制度は自立に少しブレーキをかけているんじゃないか。例えば、税をふやそうという努力をして税をふやすと交付税が減る。税が減れば交付税がふえるので。そうなると、自前の税をふやす努力に死に物狂いにならないではないか。税が落ちれば交付税が見るんですから。そこで、そういう意味では、もっと税収確保のインセンティブを与えるような基準財政収入の考え方にしたらどうか、こういう意見があるんですね。
 そこで、なるほどそれも一つの意見だ、こういうことでございまして、市町村が今滝委員お話しのように、なかなか難しい点がありますので、県を、都道府県を今の八〇を七五にしよう、こういうことにしたわけでありますが、それだけ基準財政収入の方を減らしますと、交付税そのものは変えないんですから、基準財政需要を落とさざるを得ないので、基準財政需要の中で地方団体の自由度の高いものを、簡単に言うと単独事業その他ですね、そういうものの需要を落として収入と合わせるようにいたしたわけでありまして、中を詳細に検討してそういう措置をとっておりますから、そこはぜひ御理解を賜りたい。
 これで財源保障機能が減ったということではありませんで、我々はとにかく、税では全体が賄えない、賄えない分を全部交付税で見るわけですから、全部見るのが財源保障なんです。見方が多いところと少ないところがあって、税が多いところは交付税の補てんが小さくなる、税が少ないところは補てんが多くなる、これが調整だ、こういうふうに言っておりまして、財源保障と財源調整、これは一体なので、裏表なので、これは区別できない。財政制度審議会なんかが言っていることには、そういうことで私どもは反論いたしておるわけでございます。
 したがいまして、今度の八〇が七五になったことで余り、交付税そのものは変わりませんので、もちろん収入が多い少ないによっては変わってきますけれども、その点はぜひ地方団体の方に御心配がないようによく説明いたしたい、こういうふうに思っております。
 それから、第二点の特別交付税の話なんですが、なるほど、今までは交付税特会で足りない分を借り入れてきて、これは借金ですけれども、特会に入ってきますと後はキャッシュで全地方団体に配っておりました。ところが、それが、十三年度からやめよう、こういうことになって、十五年度では全廃いたしますけれども、その後、足りない分は、借り入れでなくて、半分は自前で調達する、半分は国の一般会計から入れてもらう、こうなりましたので、その分だけ、特交が、キャッシュでなくなりますから、減ってくることは事実ですが、特別交付税は、御承知のように、釈迦に説法ですけれども、突発的な財政需要や地域的な特別の財政需要を見る、こういうことでございまして、普通交付税で予定していないものが特別交付税なんだけれども、特別交付税の中でもルール的なものは普通交付税に移行もできるんですね。
 そこで、特別交付税が減った場合に、特別交付税の額では対応できなければ普通交付税の方をまた考えるとか、いろいろなことをやっておりまして、特に来年度は、地方交付税と臨時財政対策債と合わせますと約二十四兆円で、プラス五・一%の交付税プラス赤字地方債による一般財源を私どもは確保しておりますので、そういう意味での滝委員が言われるような心配はないもの、こういうふうに考えております。
 それから、三点目の外形標準については若松副大臣に答弁してもらいますけれども、市町村が基礎的な自治体として何をやるか。私は、今の市がやっているようなこと、かなり大きな市がやっているようなことまで全部、普通の市町村にやらせたらどうだろうかと。福祉だとか保健だとか環境だとか都市計画だとか、あるいは地場産業振興だとか教育だとか、そういうこともできるだけ普通の市町村にやらせる。
 そのためには、市町村の行財政の基盤を強化していく。こういうことが合併ということになるわけでございまして、小規模な町村ではやれないんですね。まずそれだけの財政力がない、専門の職員はいません、数も少のうございまして、だから、恐らく必要最小限の仕事しかやれない。それではいけないので、やはり市町村は仕事をするためにあるので、ぜひ、市町村の住民の皆さんの福祉をより向上するとか、地域のより活性化を図るということに市町村がいろいろできるようにする。
 こういうことがどうしても必要だと思いますので、小規模な、例えば三千以下だとかあるいは五千以下だとか、そういう市町村では、人口だけではいけませんけれども、やはり限界があるんで、そこのところはぜひ市町村の皆さんにわかっていただくような努力をいたしたい。今までもPRしてきておりますけれども、必ずしも効果的かどうかというような議論がございますので、ぜひやっていきたい。
 特にごみ発電なんかは、大変新しい仕組みでございますけれども、私もいいことだと思っておりまして、そういうことを含めてぜひやっていただくように努力をしたいと思っております。
若松副大臣 法人事業税への外形標準課税の導入の御質問でございますが、滝委員から、ドイツの大変見識のあるアドバイスもいただきまして、その上でお答えさせていただきますが、今回の改正につきましては、資本金一億円超の法人を対象としておりまして、平成十六年度からの適用は御案内のとおりです。
 これは、御存じのように、応益課税の観点から広く薄く公平に、こういうことで、都道府県の基幹税であります法人事業税収の安定化に寄与しておりまして、御指摘のとおり、単に一部の企業の利益に奉仕するものではないことは当然でございます。
 そういう意味で、今後とも、納税者である法人も含めて、国民の皆様に十分御理解いただけるようにPRを図っていきたいと考えております。
滝委員 詳細な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 次に、少し個別問題に入りますので、これは局長さん方で御答弁いただきたいと思うんです。
 こういう世知辛い世の中になってまいりますと、公務員が恵まれているという感想はみんな、地元の住民の方が持つんですね。そこで、そういうものの一環として、まず、厚生省の年金局長さんと内閣法制局の方にお聞きしたいのでございますけれども、こういう問題があるんですよ。
 同じ年金でも、これは基礎年金を除いて、いわば職域部分になると思うんですけれども、地方議員の退職年金、同じ例えば十八万円とします。ところが、厚生年金の方の老齢厚生年金は、同じ十八万円としますと、例えば議員年金の方は幾ら収入があってもこの十八万円の年金は支給停止にならないんですね、議員年金。ところが、厚生年金の方は、例えば六十五歳になった時期が、去年の四月一日以降に六十五歳になった人は、六十五歳というのはいわば高齢でございますけれども、収入があると、同じ十八万円の老齢厚生年金でも支給が、例えば月額六十二万円ぐらいの給料をもらっていますと全面的に支給停止になるんです。
 これは、いかにも議員、いわば公務員の一環でございますから、公務員が優遇されていて、厚生年金が不利に扱われている、こういうことになる、そういうふうに見られるんですね。もっとも、公務員の共済年金でも同じようなことがあるのでございますけれども、それはどういう理由でそういう差がついているのか。
 実は、去年、議員の年金については法改正したばかりでございますが、そのときの既得権益を守る、既得権は財産権でございますから、憲法上の問題があってなかなかそこのところがうまくできなかったという経緯もあるのではないかと推測しておりますので、まず年金局長、その辺のところ、余りにも厚生年金の方は厳しいんじゃないかということについてどう考えるか。そして内閣法制局の方からは、憲法上の問題で既得権というものは保護されなきゃいかぬのか、その辺のところをお答えいただきたいと思うんです。
井口政府参考人 ただいま厚生年金の関係の支給停止の御質問でございますが、先生おっしゃったとおりでございまして、これは、理由は、六十五歳以降につきましても、引き続き働いている方がおられる場合には一定の賃金がございます、そういう方々につきまして、そのまま満額ということで年金を渡し続けるということに関しましてはなかなか若い世代の理解が得にくくなってきているんではないか、こんなことを背景にいたしまして、十二年の年金改正で改めまして、先生の御指摘のような次第にいたした次第でございます。よろしく御理解をいただければと存じます。
宮崎政府参考人 お尋ねにつきまして、一般的に申し上げますと、これから退職します方が将来受給する年金につきましての制度改正でありますれば、基本的には広い立法政策の問題であって、憲法上の問題は見当たらないと存じます。
 他方、既に退職なさった方でもう既にもらい始めております方の受給権につきましては、これは憲法上の二十九条の財産権というふうに整理されておりますので、それについてそれを削るということになりますと、そこはやはり二十九条の財産権の保障との関係につきまして十分な配慮が必要かと思います。
滝委員 ありがとうございました。
 要するに、既得権は守らないかぬということでございますけれども、そうすると、年金の場合には、三十年間かけてきて、もうそろそろ期待のものがもらえるかなと思ったらホーム寸前でタッチアウト、こういうことですよね。そうすると、それは既得権も何もないんですよね。三十年間かけてきて、楽しみにして、もうもらえると思って当てにしておったらアウトと。いかにもこれは、民間でいえば、刑事法の世界ではこれは詐欺というんですね。そのぐらいのものなんですよね。
 三十年間かけてきて、もう少しでもらえるというところで結局もらえなくてまた先延ばし、こういうことは、私は、国家に対する信頼をえらい損なうということもございますので、やはり年金の場合はよっぽど設計をつくるときに慎重にやっていただきたい、こういうふうに思いますので、意見だけ申し上げて、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、玄葉光一郎君。
玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。
 本日は、事前に申し上げましたとおり、分権の問題、あるいは市町村合併の問題、あるいは放送メディア等々について、私たちのあるいは私の考え方も御紹介申し上げながら質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 その前に、小泉内閣のいわば主要閣僚で、重鎮でもあられる片山大臣にお聞きしたいことがあります。
 小泉構造改革の構造改革という定義を教えていただきたい。
片山国務大臣 大変難しい質問をいただきましたが、それは、今まで既存のやり方、仕組みですね、そういうものをもう一遍根本から見直して変えていこう、こういうことでございまして、基本的には、総理がいつも言っていますように、できるだけ官の仕事を少なくして民へ持っていく、中央がやっているものをできるだけこれは地方に持っていく、そういうことによって全体の仕組みや、今言いましたように、やり方やそういうことを変えていって、簡素で効率化しよう、効果的な行政にしよう、こういうことだと理解しております。
玄葉委員 国から地方に、あるいは官から民に、こういうキャッチフレーズ的な説明でもありますけれども、この定義は私はとても大事だと思いますよ。今の定義で本当にいいのかどうか、内閣として統一された定義なのかどうか、もう一度お聞かせいただきたい。
片山国務大臣 これは、内閣で構造改革とは何かとかについて議論したことは余りないものですから、それはやはり施政方針演説や、その中でいろいろなことを総理が言っていることが内閣の方針として、そこで、例の骨太方針ですね、玄葉委員御承知のような骨太方針の最初のもの、二〇〇二、今回また、ことしのやつをつくるわけでございますけれども、そういうことの中でずっと、改革と展望ということでいろいろ述べておりますから、あれは閣議にかけておりますから、あれが内閣としては統一的な見解である。
 いろいろなことを書いていますから、一言ではなかなか難しいんですが、基本的には、行政がやる、税金でやる、公がやることをもう一遍見直して、できるだけそれを縮小しようということがまずあって、その上で、できるだけ民間にできるものは民間にやらせていく、どうしてもやらなきゃいかぬもので地方にできるものは地方にやらせていく、こういうことが私は基本ではないかと考えております。
玄葉委員 私は、基本中の基本の質問で、ある意味で易しくてある意味で難しくて、でもとても本質的な問いだというふうに思っているんですね。構造改革という定義について小泉内閣として統一された意思があるのかないのか、正直、今の答弁ではよくわからない。議論したことがないと。これは私は大変な問題だと思いますよ。閣議で議論されたことがなくて、しかも定義がなくて、国民の皆さんには構造改革、構造改革、構造改革、マスコミでも構造改革、構造改革と、声高に叫ばれて、まさに最もマスコミに頻繁に使われる政治用語と言っても過言ではないんじゃないかというふうに思うんですが、この構造改革の正確な定義を私はぜひこの委員会できちっと出していただきたいと思います。
片山国務大臣 閣議で構造改革についてだけ議論したことはない、こういうふうに私は申し上げたので、今言いましたように、骨太方針が、これが内閣としての正式な意思決定なんです。この中にはいわゆる構造改革についていろいろな表現で書いておりますけれども、これが内閣の意思で、これは正式に閣議決定しておりますので。
 一言で言うというのはなかなか難しいので、それは、私が一言で言うと、今言ったようなことではないか、官から民へ、中央から地方へと。全体をできるだけ、公がやる、税金でやる、行政でやることのもう一遍点検と見直し、こういうことの中でいろいろなことが、今、道路の民営化論を初めとして出てきている、こういうふうに理解しておりますので、閣議で議論していないからおかしいじゃないかということには私はなかなかならないので、それは、骨太方針の中にきっちりと、これは議論した上で正式な閣議決定をしているわけであります。
玄葉委員 いや、だから、私は、改革が進まないその一つの理由はそこにあるんだと思うんですよね。つまり、構造改革という言葉が頻繁に使われていて、その定義が、主要閣僚である、重鎮である片山大臣も言えない。当然それを聞かされる国民は混乱をするわけですよ、構造改革とは何ぞやと。構造改革なくして成長なしと言うときに、その構造改革なくしての構造改革の意味がよくわからない。
 今の話であれば、国から地方へ、官から民へ、これだけで成長できる体制ができるんだというふうに聞こえるわけであります。あるいは骨太方針だということでありますけれども、例えば金融システムの改革なんかも構造改革の中に入っているのか、あるいは社会保障制度の改革、システム改革なんかも構造改革に入っているのか。官から民へとか、国から地方へという一くくりでは言えない話でありますけれども、何から何まで指すんですか。私、これは大事な問題だと思うので、基本中の基本だけれども本質的な問いですから何回も聞きますよ。
片山国務大臣 私は、構造改革の精神、理念を申し上げたので、具体的には骨太方針の中で、例えば不良債権処理の加速と産業再生、包括的かつ抜本的な税制改革、歳出の主要分野における改革の加速、あるいは規制改革、特区創設、あるいは経済活性化戦略の推進と生活産業の創出等がその中の項目になっております。
玄葉委員 そうすると、経済の構造改革だ、あるいは財政の構造改革だ、あるいは行政改革だ、あるいは金融の改革だ、国と地方の関係の改革だ、すべてひっくるめて構造改革、こういうふうに解釈してよろしいですか。これは、内閣としてそうだというふうに考えていると理解してよろしいですか。
片山国務大臣 予算委員会等での総理との問答でも、金融改革、歳出改革、税制改革、規制改革、この四本を中心にやっていく、同時に、不良債権の処理をやり、デフレ対策というんでしょうかデフレの阻止も考えていく、こういうことを何度も問答でも言っておりますし、骨太方針の中にもそういうことをうたっておりますので、それが私は、構造改革のおおよそのガイドライン、おおよその内容ではないかと思っております。
玄葉委員 とにかく、おおよそとかという言葉を使わずに、これから構造改革とは何ぞやということについて、改めて閣議で議論して定義を出すというぐらいのことをやらないと進まないですよ。
 その上で、国と地方の関係を変えていくということも、これは構造改革の一つなんだというふうに理解をしたいと思います。国から地方へというキャッチフレーズをある意味では掲げたと言ってもいいと思いますけれども、小泉内閣が発足して一年半たった、あるいはもう二年になる。この間に一体何が進んだんだろう、この一年半で。
 国から地方へというのはもう最大のキャッチフレーズだった。だけれども、一年半たって目に見える成果がはっきり言ってない。明らかに私は準備不足だなというふうに思いますね。私、小泉内閣が発足して初めての質問で、準備不足ではないかとこの場で申し上げた記憶があるんですけれども、その懸念が一年半たって深まった、そうだったなというふうに思っていますけれども、一年半で何がどう進んだんですか。
片山国務大臣 御承知の地方分権一括推進法が施行になったのは平成十二年の四月でございまして、あれからいってその具体化が、それは小泉内閣の前からでございますけれども、小泉内閣で、例えば国の関与の縮小だとか、機関委任事務がなくなってこれが自治事務と法定受託事務に変わったとか、いろいろなことが具体化、この一年半、一年十カ月ですか、進んできたということが一つ。
 それから、市町村合併も、自主的な市町村合併の推進が決まったのは平成十二年の十二月ですけれども、それが大きな流れになって具体化をしたのも、私は、この一年十カ月ではなかろうか、こう思っておりますし、そういう中で、税源移譲を念頭に置きながら三位一体の改革をやっていく。国から地方への税源移譲を含む税源配分の見直し、税源配分のあり方を見直していく、あるいは国庫補助負担金の整理合理化をやる、そういうことの絡みで地方交付税も見直していく。
 こういうことで、いろいろ議論を重ねて十五年度予算では一応の芽出しができまして、全体の工程表等については、この夏ぐらいまでに案をつくって、骨太方針、「改革と展望」の終期である十八年度ぐらいまでに何兆円規模での三位一体の改革をやっていこう。
 大きな改革というのは時間がかかりますし、準備が要りますので、一年半、そういう意味での私は実りがあったんではなかろうか、こういうふうに思っております。
玄葉委員 大きな改革は準備が必要だ、まさにそうだから、実は、内閣が発足するときに既に準備がしてあって、発足と同時にきちっと発表する、そのプランを。六月に発表すると、二年たって初めて発表するんです、発表。こんなことで改革が本当に進むのか。キャッチフレーズとして掲げたその具体的な内容を、どこまで具体的になるのか後で聞きますけれども、やっと二年たって発表すると。私は、ある意味では、改革もなし、成長もなしの象徴になっちゃっているようなところもなきにしもあらずというふうに言わざるを得ないなと思っています。三位一体、三位一体というふうに繰り返すだけで、残念ながら具体案が出てこなかったということではないかというふうに思います。
 芽出しといっても何をやったんですか、芽出しというのは。
片山国務大臣 これは、十五年度予算のことを言っているんですけれども、義務教育の国庫負担金の約二千二百億弱、これを削減しまして、それに福祉の関係が二百億弱ぐらいですかね、その二千四百億弱について負担金を削減して、それに見合う財源を、二分の一は地方特例交付金で、二分の一は地方交付税の借り入れで、このうちの地方交付税の方は、そのうちの元利償還の四分の三は国が責任を持って、四分の一は地財計画の中に入れる。こういうことで丸々国が補てんしますが、二千何百億ぐらいで直ちに税源移譲というのはなかなか難しいんですね。だから、そういうことを、芽出しですから、これは十六年度、十七年度、ある程度まとまれば、それは、やはり私が言うように、所得税から住民税に、あるいは消費税の配分の比率を変えていく、こういう税源移譲につなげていこう。それまでの臨時的な措置として、特例交付金や交付税特会の借り入れで財源補てんをしていく、これが一つ。
 もう一つは、御承知のように、自動車重量税の地方の配分の四分の一を三分の一にしまして、九百三、四十億でございますけれども、このうちの半分を市町村に、残りの半分を都道府県にやりまして、都道府県のものは、高速道路を直轄方式でやる場合の都道府県が負担する財源に充てる。それから、市町村の方は、細かい市町村道の国の補助はやめてもらって、そのかわりにその財源補てんを四百何十億でやる、こういうことにいたしたわけでございまして、これも税源移譲だと私は思っておりまして、そういう意味では、芽を出した、芽を。
 芽だけじゃいけませんので、これからもっと大きいものにぜひしていくように、本年の夏ぐらいまでに全体の工程表をつくっていこう、国庫補助負担金の整理合理化と税源移譲と交付税の見直しの、こういうふうに考えているところでございます。
玄葉委員 種まきにもなっていないという感じじゃないかなというふうに思いますね。
 私なんかが、例えば義務教育費の国庫負担金の問題なんかで考えるのは、もう私だけではなくてこれは政党として合意形成していますけれども、例えば義務教育費の国庫負担金というのがある。ある県が、三十人学級にした、あるいは二十五人学級にした。当然その分は、学校の先生がふえる、あるいは必要なわけであります。御存じのとおり、都道府県と国でそれぞれ半分ずつ負担金、学校の先生の給与は出している。三十人学級にした、二十五人学級にした、今の仕組みだと、御存じのとおり、それぞれの都道府県がほかの予算を削って県費で、あるいは都道府県費で、単独予算で給与を補てんする、こういう話ですよね。
 そうじゃなくて、総額を負担して、一人当たりでもいいから総額を負担して、それぞれ都道府県で決めさせようよ、こういう仕組みに変えなかったら私は何にもならないと思っているんですね。
 こんな、何ですか、長期共済給付金ですか、あるいは労働災害給付ですか、これは積立金を交付金に変えただけですよね。何かこれで、それぞれの地方が、それぞれの都道府県が、より教育に関して裁量の余地が大きくふえた、こういうことは何かあるんですか。
片山国務大臣 今それも言えばよかったんですが、その際、そういうふうに一般財源化する過程で文部科学省と話しまして、学級編制の弾力化あるいは教職員配置の自由度を高める、今かなり細かいところまで文部科学省がぎりぎりお決めになっているので、それはある程度都道府県の判断でやれるようにする、こういうことにいたしたわけでございまして、この点は全国知事会等からも大変評価をされている、こういうふうに思っております。
玄葉委員 いやいや、今ぐらいのレベルじゃなくて、私が申し上げたのは、例えば学校教員の給与なんかを、例えば我々は二十五人学級にします、あるいは三十人学級にします、したがって、先生がより必要ですと。総額を保障されていますから、例えば、我が県は一人一人の教員の給与を少し抑制してでも全体の教員をふやしますよとか、我が県はその逆ですよと、私は、それぞれの都道府県に判断してもらったらいいと思うんですよ。
 つまりは、負担金全体をそれぞれ交付金化するといえば、交付金化するということでしょう。そこまでいかないと、都道府県の裁量というのは余り今と変わらぬと思いますよ。
片山国務大臣 給与は、これは玄葉委員御承知のように、都道府県の場合には人事委員会がありまして、これが勧告をするので、国の人事院と似たような勧告制度がございますので、これは国、地方というよりもそちらで決まっていくんですね。ですから、その点はちょっと配慮いただきたいと思いますし、今私が言いましたような、例えば、今四十人学級ですけれども、ある県で、うちは三十八人でいく、こう言ったら、それはもう三十八人でやってもらって結構だと。それから、基本が四十人ですから、四十一人になると教職員が二人になるんですね、配当が。その場合に、その二人をどう使うか、二十人と二十一人に分けるのか、あるいは四十一人学級に二人の先生を入れるのか、そういうことについてはもう都道府県の自主的な判断に任せますというようなことを今細かく検討して決めております。
 そういう意味では、義務教育ですから一遍に都道府県の自由というわけにいきませんけれども、都道府県の自由度をふやしていって、それぞれの都道府県の実情に合ったような学級編制なり教職員配置をしてもらおう、これは、私は大きな前進だ、こういうふうに思っておりますが、給与を上げたり下げたりというようなことまで、それはこれから議論がありますね、いわゆる義務教育の給与に係る国庫負担ですから、その基本でございますので、これはこれで、文部科学省が、教育改革の中で義務教育制度のあり方を議論していく、こう言っておりますから、それを我々は見守りながら、あわせて検討してまいりたいと思っております。
玄葉委員 私は、分権担当大臣が今のような発言では、はっきり言って分権改革は進まないと思いますよ。後で聞いていきますけれども、関連すると思うんですよね、今後の問題に。義務教育費の国庫負担金は、御存じのとおり、かなりの額ですよね。三兆円ぐらいありますでしょう。どうやって補助金とか負担金を地方税化するのかなと考えちゃいますね、後で聞いていきますけれども。
 そこで、三位一体の改革について六月に取りまとめる、こういうことでありますが、一つ一つ聞いていきたいと思いますが、まず一つは、これは片山大臣の考え方でいいですよ。まだそうなんでしょうから、閣議で決まったとか、なかなかそこまでいかないんでしょうから。
 一つは、税源移譲する際に、あるいは三位一体全体の改革というふうに言ってもいいと思いますけれども、国と地方の税収は、これはニュートラルで、税収中立で行うお考えですか。
片山国務大臣 私は、あれは去年の経済財政諮問会議でしたかで片山プランというのを提案しまして、それは、今の六対四の国と地方の税源配分を、何度も申し上げましたが、当面は五対五にする、それは二段階でいくと。
 まず、国庫補助負担金の中で合理化できるもの、整理できるものを整理していって、それに見合う財源を地方税に国税から移していく、こういうわけで、歳出の面ではいわば中立ですよ。しかし、税収の方では、補助金が減った分だけ、国は国税で取ったものを補助金で出しているんですから、負担金で出しているんですから、それは少なくなるわけで、それを私は五兆五千億、こう言ったわけでございまして、そのうち三兆円は所得税から個人住民税にしてほしい、それから、二兆五千億は、今の地方消費税が一パーですから、五パーのうち四対一で分けておりますから、これを三対二にしてもらえればグロスで二兆五千億になりますから、だから、これで当面五兆五千億やってくれと。
 そのために五兆五千億の国庫補助負担金を削減することだ、こういうことで、その案は、地方分権改革推進会議というのがありますから、そこで案を出してもらう、こういうことにいたしたわけでございますけれども、そこで大議論があって、余り明確な案が出てこなかったんですよ。そこで、地方分権改革推進会議の意見は意見としながら、結局、総務省と財務省と内閣官房で案をつくっていこう、こういうことにいたしまして、とりあえず十五年は今の芽出しの案をまとめたわけでございまして、全体は、何度も閣議決定しておりますけれども、ことしの夏までに全体の三位一体改革の中身は決めていく、それを「改革と展望」の期間中にやっていく、こういうふうに考えているわけでございます。
玄葉委員 そうすると、こういうふうに考えていいわけですか、今の話を少し整理すると。国庫負担金とか補助金を五・五兆円廃止もしくは縮減する、その分、所得税から住民税、まあ個人住民税の比例部分の定率化みたいな話かどうかわかりませんけれども、あと地方消費税で、要は五・五兆円分地方税をふやします、で、交付税についてはいろいろ見直していくけれども、総額はさほど変わらぬだろう、大体こういうふうに考えていいんですか。
片山国務大臣 今の五・五兆円をやる上で、私は六対四を五対五にしてくれと。これは全体のあれですね、とりあえず。将来は四対六でも三六対六四でもいいんですけれども、とりあえずは五対五だ。その五対五を二段階でやらざるを得ないだろう。
 一つは国庫補助負担金、これが十三兆円あるんですから、御承知のように。そのうちの五兆五千億について整理合理化できればそれは地方税に振りかえてほしい、こういうことなんですが、交付税は今御承知のように全体の総量が足りなくて、赤字地方債を出しているわけですね。国が赤字国債で一般会計で調達したのを交付税特会に入れているんですから、キャッシュだというけれども赤字国債なんですね、国の方も。地方の方も赤字地方債で、この状況を続けていく中で交付税の見直しは私はできないと言っているんですよ。だから、この状況が解消された段階で交付税の一部をカットして地方税に振りかえる、こういうことはあり得ます、こういうふうに言っているわけでございます。
 現在、よく議論になりますように、不交付団体が百しかないんですよ、三千三百地方団体があって。都道府県では東京都しか不交付団体でないんですね。これを私は税源の配分がおかしいからだと言っているんですよ。大阪府が平成十四年度三千五百億円も普通交付税を取るような、これはやはり税源配分がおかしいので、きっちり税源配分してもらえば不交付団体がふえるし、経済力のあるところは税でやってもらう、経済力のないところは税がわずかですから地方交付税でやる、不交付団体もかなりできる、これが地方の自立性や自主性の強化ではないか。そのためにはやはり税源配分を根本から見直すことがないと。しかし、これはなかなか難しくて、もう何十年もずっと言ってきていまして、なかなかできないんですけれども、ぜひそういう道筋をつけたい、こういうふうに我々としては思っておるわけであります。
玄葉委員 やはり自民党政権じゃできないんだと思うんですよね。率直に言ってそう思うんです。私も県会議員時代は自民党にいたんですけれども、できない構造になっているんだと思うんですよね、正直言って。ですから、ぜひ案を出して一気に実現してほしいんだけれども、なかなか期待できないかなというふうに思っています。
 最大のポイントは、幾つかあると思いますけれども、補助金と負担金、五・五兆円ですけれども、具体的に何をどのくらい削減してそれを地方税に回すんですか。片山大臣の三位一体論、小泉内閣の三位一体論の土俵の上に乗った上であえて申し上げているんですけれども、土俵に乗ったとして、そうなると、最大のポイントは国庫負担金、補助金ですね。何をどのくらい廃止、縮減するんですか。
片山国務大臣 ことしの夏までに固めるというのは、まさにそこなんですね。
 そこで、私の方も案がないわけじゃないんですが、これは各省所管の国庫負担金、補助金について言うわけですから、そこは慎重でなければならないと思いますけれども、私は、奨励的な補助金を、現在あるものの約七割ぐらいカットできるんではないか、奨励的補助金ですね、これで二兆三千億円。それから経常的経費に係る、これは国庫負担金になりますけれども、これを約半分、五割ぐらい半減できるんではないか、これで三・二兆円。合わせて五・五兆円、こうやっております。
 固有名詞についてはこれから夏までに工程表をつくる中で固めていく、こういうことになると思いますが、それぞれいろいろな今までの経緯もありまして、もちろん利害関係にも絡んでおりますから大変難しい作業になると思いますけれども、十分議論してまいりたい、こういうふうに思っております。
玄葉委員 さっきの義務教育費の国庫負担金は、片山大臣の考え方だとすると、ある意味ではこの中に余り含めないのかなという感じがいたしますけれども、その点がどうかということと、公共事業の補助金、負担金についてはどういうふうにお考えになられていますか。
片山国務大臣 義務教育については我々がまさに考えておりますから、当初は文部科学省も五千億という削減案を持ってきたんですよね、それをいろいろな議論の中で今の二千二百億ぐらいにしたわけでございまして、私は、義務教育だから国が負担する、これも一つの考えだと思いますね。しかし、それは二分の一でなければいかぬということもないし、負担の仕方はいろいろあると思いますね。
 あるいは、今の職員の人件費で、国がこうしてくれというのは幾らでもあるわけで、例えば地方の警察官でも消防職員でも、ある程度、基準は国が決めているんですよ。ところが、これは御承知のように、全部一般財源ですよね。高等学校だって、義務教育でないといえば義務教育ではありませんけれども、しかし、九四パーだ、九五パーだという進学率からいうと準義務教育で、これについても全部一般財源ですから。だから、そこのところはいろいろな考え方がある中で、お互い関係者が議論しながら意見をまとめていく、こういう必要があると私は思うので、今の三兆一千億をいつまでも守っていく――今度二千二百億削減いたしますけれども、そういうように考えております。
 公共事業につきましては、これはいろいろ議論があるんですよね。今は直轄事業でも負担金を取られているんですから、せめて直轄事業は国がやってほしいと私は言っているんですよ。建設にもお金を取る、管理にまでお金を取っているんですから。だから、そういうことは見直していくし、今の補助事業も大幅に見直すことによって単独事業に振りかえればいいんですよね。それから、今、二分の一だとかいろいろありますよ、四割だとか三分の一だとか、こういうのを全部見直していったらいいんですよ。
 だから、基本的には、私個人の意見を言えといいますと、直轄事業はこれは国にやってもらわなければいけません。ただ、補助事業というのは大幅に縮減して単独事業化すべきだと思っております。
玄葉委員 私、平成十四年六月に出た骨太方針というのを読みました。そうしたら、こう書いてありました。「福祉、教育、社会資本などを含めた国庫補助負担事業の廃止・縮減について、内閣総理大臣の主導の下、各大臣が責任を持って検討し、年内を目途に結論を出す。」もう年内は終わってしまったんですよね。結局先送りなんですよね。そのとおりですよ。こういうことをやらなければいけないわけですけれども、結局先送りになる。今度は絶対大丈夫ですか、六月までに、少なくとも五・五兆円分は。
片山国務大臣 実は、地方分権改革推進会議が案をつくるということで主体的になっておったんですが、こっちの方がちょっと作業がおくれたんですね。そういうことで具体案がない提案だったんですよ、国庫補助負担金の整理合理化については。
 それで、それを下敷きに年内に、ただ全体は前から平成十五年六月以降ぐらいに、こういうことでございますから、そこは実は先送りではないんですけれども、ただ十五年度予算でもう少し大きい芽出しができたかどうかというところは確かに議論としてはあると思います。
玄葉委員 地方分権推進会議ですか。それは全く言いわけにすぎないと思いますけれども。
 率直に言って、かつて分権推進委員会がいいのを出しているじゃないですか。たたき台、出しているんですよ。私なんか非常にいい案だと思いますよ。この場でも正式に民主党としては、なかなかいいよ、評価するよと、正式に党の考え方として表明をしたはずなんです。
 例えば、我々もこれに近いんですけれども、国道は一号線から五十八号線までが国道だ、三けた国道は地方道だ、例えばですよ。あるいは河川も複数の都道府県にわたる、こういったものに限定しよう、例えばですよ。土地改良、砂防、海岸、治山、これも複数の都道府県にわたるものに限定する。実はいいのが出ているんですよ。こういうものをもとに対応すればいいだけの話じゃないですか。どうしてできないんですか。たたき台、あるじゃないですか。
片山国務大臣 三けた国道は二国ですよね、もともと二級国道。二級国道というのはかなり主要県道から上がりましたからね。それから河川についても、昔は違ったんです、一級河川、二級河川制度があって、そういう意味で、いろいろな議論があると思いますが、しかし、それぞれ所管の省もあり、いろいろな考え方があるので、そういう中で議論をしながらまとめていく、こういうことでございます。
 諸井委員会の、地方分権推進委員会の方ですよ、今はちょっと変わりまして改革推進会議になって、そこでの案がそれほど具体的な案でなかったということも一つあるんですが、いずれにせよ、ことしの夏までの工程表で、できるだけ具体的な案を提示したい、まとめたい、こういうふうに今考えております。
玄葉委員 確かに、諸井委員会のときも大変だったというふうに聞いていますよ。
 大森彌さんという方がこういうことを書いているんですね。なるほどなと思いましたけれども、「分権委員会五次勧告の形成過程とその帰結」という論文の中で、今みたいな案を、もっと大胆な案を出そうとしたんだけれども、自民党の利害関係議員たちから、そんなことは机上の空論だという反発が起きた、それぞれの部会に地方分権推進小委員会が設置されたけれども、その本質は分権化阻止小委員会だった、こういうふうに書いていますよね。だから、残念ながら、これは構造的な問題じゃないかと言わざるを得ないですね。
 何で私が公共事業の分権改革にこだわるかといいますと、これは自民党と民主党の違いだということも確かにありますけれども、最終的に税源移譲を成功させる最大のポイントにもなり得ると思っているからなんですよ。
 つまり、先ほどの話を聞いていますと、五・五兆円分の補助金、負担金を削減しますよ、その分地方税を充実させますよ、交付税がどうなるかはともかくとして、今よりふえるということはないだろう、そういう中で財政調整あるいは財源保障をしていきますよ、こういう考え方ですね。
 さあ、こういう考え方でいったときに、当然ですけれども、税源移譲をしたそのときに、偏在性の少ない税源を移譲したとしてもかなりの地域間格差が出るわけですね。残った交付税でどれだけ財政調整と財源保障ができるかという問題が必ず起きる。ここで大体は壁にぶつかるわけですね。そもそも自民党の場合は、あるいは小泉内閣は、五・五兆円の補助金を削減できるかどうかも全くわからない、はっきり言って全くわからない。地方税を充実させることもできるかどうかも全くわからない。わからないんだけれども、仮にできたとしても、そこでまた壁にぶつかるわけですよ。
 我々はもっと補助金とか負担金の廃止、縮減を深掘りしますから、深掘りできますから、それで地方税を充実させる。地方税を充実させるのは、我々も五・五兆円でもいいです。だけれども、補助金、負担金を深掘りしますから、その分、財政調整の原資に回るわけですね。そこの違いがかなり大きいんですよね。
 だから、深掘りするのには公共事業まで踏み込まないと、公共事業の補助金、負担金は大きいですから、結果として税源移譲もできなくなるんじゃないか、こういう心配をしているわけですよ。小泉内閣のためにもというか、日本のために心配しているわけですけれども、大丈夫ですか。
片山国務大臣 どれだけの地方税になり、どれだけの地方交付税が残るかによりますよね。よりますけれども、それは、国庫補助負担金の整理合理化といいましても、今五兆五千億、これは私の案です。内閣としてまだ決まっておりませんので、これは私の案でございます。それでも七兆以上残るんですよ。その国庫補助負担金の交付の仕方を財政力によって変えるということは私は可能だと思います。不交付団体で財源超過額が多いところには補助負担金の割合をずっと下げていく、スライドしていく、そういうことは今まで全く例がないわけじゃありませんし、そういうことは可能ではないか。
 それから、地方譲与税というのが玄葉委員御承知のようにございますので、これも、今の人口を中心に機械的にやっていますが、これもある程度スライドしていく、こういうことはあるいは可能だと思っております。
玄葉委員 そうすると、残された交付税で、あるいはそういった補助金、負担金のいわば程度のかげんとか譲与税の程度のかげんで、最終的に、それぞれの地域間格差、今よりは格差を広げるけれども大体許容範囲の中におさまるよ、こういう考え方ですか。
片山国務大臣 そういうふうに思っております。税源移譲の泣きどころは、言われるところなんですよ。税源移譲すればするほど経済力のある団体がふえるんですね。言っちゃいけませんが、東京なんかかなりふえることになる。そこで、どうしても新たなる財政調整の仕組みが要るんですね。それは、今も我々も事務的には検討いたしております。
玄葉委員 こればかりやっていると、まだ通告した三分の一ぐらいなので終わりますけれども、結局、最大のポイントは補助金、負担金になると思うんですね。ですから、そこをよく見たいというふうに思いますし、我々ならばそれをもっと深掘りできるし、そもそもできる、この違いが最終的に分権改革を進める上で大きくなるのではないかということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、市町村合併の話でありますけれども、この問題について、私たちと今の政府あるいは自民党との違いというのは、我々は、基本的には市町村合併というのは必要だという認識に立っています。立っていますが、先ほど申し上げたように、あるいは先ほど滝さんからも話が出ていましたけれども、国と都道府県あるいは市町村の役割分担の見直しから入って、今申し上げたような分権改革が本来先に行われなければならない、あるいは同時進行でなければならない。今は、残念ながら合併だけが先行する、こういう状況でありますから、我々の考え方とまずそこが一つ違うということです。
 もう一つは、進め方の点で我々はプロセスを大事にしようというふうに考えています。あくまで自己決定であります。どうも今の進め方を見ると事実上の強制になってくるのではないかという懸念が非常に強いということです。
 三つ目の違いは、これは違いになるかどうかはこれからの答弁で明らかになりますけれども、最終的に合併しようとも、あるいは合併せずとも、基礎自治体それぞれの意思を尊重し、同時に、それぞれが知恵と工夫を出して新たなシステムを開発しようとするものであれば、できるだけ多様な形態を認めていこう、こういう考え方だというふうに申し上げてよいのではないか。私がきょう、民主党を代表してと申し上げていいと思いますけれども、そういう考え方だということであります。
 その上で少しお聞きをしたいと思いますけれども、この委員会でも何回も議論になっていて、いろいろな方が指摘をされておられますが、片山大臣は、例の西尾案というのはいろいろなところから反発がありますけれども、どうして反発を受けるというふうにお考えになっておられるか、同時に、その位置づけについて改めて、手短で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。
片山国務大臣 私も西尾先生はよく存じ上げておりまして、長い間、行政学を中心にいろいろなことをやっていただいている。特に地方制度調査会はもう古い委員さんですよね、今副会長さんで。そこで、会長や小委員長から請われて、合併後の十七年三月以降の基礎的自治体のあり方についての案を出したのです。
 ただ、今までの考え方からいいますと、かなり思い切った案ですね。だから、そこのところでやはりいろいろな意見が出てくる、反発が出てくる、こういうことでございますが、基本的には、一万以下の市町村についてはやはり能力的にかなり難しくなる、いろいろなことをやるには。したがって、限定的にする、あるいは一種の内部団体化する。こういうところ、ここが一番反発を得ているところじゃなかろうか、私はこういうふうに思っております。
玄葉委員 そういうことだと思うんですよね。結局、再編成されなかった、合併しない選択を最終的にした、そういう町村に対して事実上の強制をするような案になっちゃっている。事務配分特例方式であるとか内部団体移行方式とか。恐らく、内部団体というのは基礎自治体とは呼べないんでしょう。呼べないんだと思うんですよね。事実上そういうことを提案することで、結果として強制をする。自分たちで決めてくださいと言いながら、結果として強制する。
 私も、個人的には非常に西尾先生は立派な方だと思いますよ。ただ、この問題では私は全然考え方が違うんですね。プロセスを大事にするというのが我々の考え方だし、自民党の小委員会でもどうもほとんど西尾案に近い案が出ているようでありまして、ここに一つ違いがどうもあるなというふうに思っています。
 一つだけ確認したいんですけれども、プロセスが大事だということを申し上げました。プロセスこそが地方自治の成熟にとって実は大事だという観点からすると、どたばた合併というのはできるだけ避けなきゃいけないというふうに思うんですね。今一生懸命意思形成をしようとしている、合併するにせよしないにせよ、そういう団体がたくさんあります。そういう意味では、私は、今の合併特例法というのはもう少し延長されてしかるべきだというふうに思っていますけれども、その点はいかがですか。
片山国務大臣 特例法の延長問題は何度も当委員会でも御議論賜りましたが、もともとあれは五年の時限法で、しかもかなりな優遇ですね。一国二制度に近いんですよ、ある意味では。
 そういう意味で、もうこれ以上この優遇措置をエンドレスで続けることは私としてはちょっと御勘弁いただきたいな、こう思っておりますが、せんだってもどこかで言いましたように、合併の正式な意思決定をしたのに手続だけおくれて優遇が受けられないというのは、いかにもこれは考え方としては問題ではないか。手続が相当かかるんですね。だから、そういう意味で、合併の意思決定が確認できるようなことなら特例法の優遇措置が適用できるようにするとすれば、これはかなり、かなりというか、これはやり方次第なんですけれども、事実上の延長的な効果がある、こういうふうに思っております。
玄葉委員 関連しますけれども、市となるべき要件の緩和なんかも、私は、これはもう少し延長してもいいんだろうと。人口以外の要件を不要とする、こういう問題も延長したらいいんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
片山国務大臣 これは御承知のように、いずれも四万から三万という、あれは議員立法なんですね。そういうことで成立してまいっておりますが、延長について今委員が言われたような強い意見もありますので、我々としても、合併特例法の延長期限と合わせることもあるいはあるかな、そういうことで今検討いたしております。
玄葉委員 西尾案は、結局、これは私の個人の考え方でありますけれども、私は、最終的に自治体の選択にすればいいんですよ。仮に合併しない町村が出てきた。出てきたときに、その自治体が事務配分の特例方式をみずから採用して、都道府県に一定の事務をお任せするよ、あるいは内部団体になるよということをみずから選択するんだったら私は検討に値するんだろうというふうに思います。これは私の考えですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 我々も今いろいろな検討をいたしておりますし、地方制度調査会でも御議論いただかないけませんが、今の市町村制度は、三百四十万の横浜市から百人の何とか村まで同じ制度なんですね。全部三役を置いて、議会を置いて、委員会を置いて。
 私は、市町村というのは仕事をするためにあるので、役場だけがあったり、市町村長さんや議会だけがあるためにあるんじゃないんですね。仕事をどこまでできるかということで、大きなところはできるだけ仕事をしてもらう、小さいところはその能力に合ったことをやってもらう。
 そういう意味では、私は、今の市町村制度というのをもう一遍見直して、もっと多様な、あるいは委員が言われますような選択を含めて、そういう制度ということを考える必要があるのではなかろうか。
 画一で、大きいものから小さいものまで全部。だから、小さいところは、場合によったら今の議会というものを理事会的なものに直すとか、いろいろな議論があってもいいですね。あるいは、アメリカのシティーマネジャー制度だって。そういうことの検討を少しすべきではなかろうか。日本人は割に画一が好きですけれどもね。
 そういうふうに今考えておりまして、そういう意味では、選択ということをこれからの市町村制度の中に入れるということも検討に値する部分はあると思っております。
玄葉委員 そこは私も考え方は同じで、これは例えばの話ですけれども、五百人の村があって、合併しないという選択をして、でも私たちは議員さんは要らないという選択をしようとした。だけれども、今の地方自治法では認められていないわけですね。そういう場合は、政府として、あるいは議員立法でもいいんですけれども、地方自治法を改正する、こういうふうにして多様な形態を認めていく、こういうことだろうというふうに思いますけれども、いかがですか。
片山国務大臣 多様な形態を市町村制度に持ち込むことについて、今我々は検討したい、こう思っておりますし、役所だけではいかがかと思いますので、地方制度調査会等、あるいは地方分権改革推進会議等含めて御議論も賜りたいし、広く国会でのいろいろな御意見も承れれば大変ありがたい、こういうふうに思っております。
玄葉委員 時間が来て、メディアの話ができなくなりそうなんですが、一つだけメディアの話を聞きたいと思います。
 ただ、先ほどの繰り返しになりますけれども、改めて、分権改革の最大のポイントは補助金、負担金で、我々は深掘りできます。残念ながら、小泉内閣、できそうもないなということがわかったというか、期待はしていますけれどもなかなかできそうもないなという気がするということと、合併の違いは、分権改革を先にやるかやらないか、プロセスを大事にするかしないかということではないかというふうに思います。
 一つだけ、メディアについて聞きたいと思いますけれども、集中排除原則の緩和という議論がなされていますけれども、一体これは大臣としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
片山国務大臣 これも、いろいろな議論があって今の仕組みをとっておりますが、これから地上波のデジタル化ということもやっていかなければなりませんし、そういうことからいうと、私は見直す必要があるのではなかろうか。
 そういうことで、せんだって、学識経験者の方が中心の放送の研究会から御提言をいただきましたので、新聞やテレビに一部載りましたが、あれは役所の考えじゃありませんが、研究会の意見でございますから、あれを参考にさせていただきながら、また利害関係の方々の意見も聞きながら、我々として集中排除原則をどうするのか、そういう結論を出していきたい。今は結論は持っておりません。
玄葉委員 でも、大臣としては見直したい、こういうふうに思っておられるというふうに理解してよろしいわけですね。
 ただ、私、少しだけ心配があるんですね。つまり、情報発信が今東京がほとんどですね。出版あるいは放送メディアもそうでしょう。ほとんど東京なんですよね。このときに、これはBSデジタルの問題もあったでしょう、実際は。だけれども、ローカル局とキー局の関係も出てくるわけですね。ますます東京の情報発信の一極集中が進む可能性が強いんですね。ここへの配慮というのをよく考えないといけないんじゃないかということは、ひとつ申し上げておきたいなというふうに思います。何か御答弁があれば。
片山国務大臣 集中排除原則というのはそういうことですね。特定のところに大変な影響力行使になるということは、今のメディアでも、それは、放送というのはある意味では圧倒的な強みを持っておりますからね。
 私もそういう心配はありますが、しかし、いろいろな観点も、ほかの観点もあるので、そこのところは十分検討しながら、いい結論を出してまいりたいと思っております。
玄葉委員 最後に、政治とお金の問題で予算委員会、集中審議をいたしました。その中で片山大臣が取り上げられたということで、それぞれの委員会でもということであります。それだけ非常に注目をされた事案だったんだなというふうに改めて思いましたけれども。
 まず、長崎県連の不祥事、自民党県連の不祥事、これは何がどのように問題だったというふうに片山大臣はお考えになられますか。
片山国務大臣 長崎県連の問題は、今司直が入りまして捜査中でございますので、全容解明を待たなければなりませんけれども、結果として何人かの方が公選法違反で逮捕されたわけでありまして、公選法を所管している者としては大変遺憾に思っておりますが、いずれにせよ、現在いろいろな捜査、解明中でございますので、その結果を待ちたい、こういうふうに思っております。
玄葉委員 結局、政治資金規正法違反の虚偽記載というのもあるんでしょうけれども、今おっしゃったように、公選法違反だということでございます。個人じゃなくて政党がまさにこの事態に巻き込まれているということでございます。
 この公選法というのは、百九十九条と二百条ですか、特定寄附の禁止というものをうたっています。つまり、選挙の際に寄附を受け取ってはならないよということではないかというふうに思いますけれども、これは、片山大臣、私も実は最近拝見したんですが、どうも全閣僚の中で最も公共事業受注企業からの献金が多い。別にこれだけをもってしてどうだこうだということではないと思いますよ。ただ、平成十三年分というのを見ると、選挙の年だったかなというふうに思ってしまうんですけれども、これはもちろん特定寄附ということではないということですね。
片山国務大臣 予算委員会でも御答弁申し上げましたが、政党支部の政治活動に対する一般的な寄附でございまして、選挙に絡む特定寄附ではございません。
玄葉委員 選挙の年と選挙でない年で献金額がかなり違うということが起きると、確かに少なくとも誤解を与えることは間違いないというふうに思うんですね。特定寄附と一般寄附の線引きってなかなか難しいと思うんですよ。
 私、これはお聞きしたいなと思うんですけれども、選挙の年と選挙じゃない年と、これはそんなに献金額変わらないというふうに理解してよろしいですか、片山大臣の場合は。
片山国務大臣 これも予算委員会で御答弁申し上げましたが、政党の政治活動はやはり選挙のときが一番活発になるんですね。それはどこの党であれ同じだ、私はこういうふうに思っております。
玄葉委員 私は実は調べていなかったんですが、そうなると、かなり違うんだな、選挙のときと選挙じゃないときと。そうすると、やはり疑われる、少なくとも。公選法の所管大臣が疑われるということになると、これはゆゆしき事態だなというふうに言わざるを得ないわけであります。
 そういう意味では、私は、特にあの当時閣僚だったんじゃないかと思いますけれども、やはり誤解をされないように、少なくとも自粛を、全部とは言わないまでも、一定の自粛をするべきだったんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
片山国務大臣 私も全然知らずに、支部の事務局がそういうことをいたしたわけでございまして、玄葉委員の言われることについては十分に承っておきます。
玄葉委員 以上です。どうもありがとうございました。
遠藤委員長 次に、山元勉君。
山元委員 民主党の山元でございます。
 私は、先日の片山大臣の所信の中で、「公務員制度については、公務員制度改革大綱に基づき、国民の立場からの制度の抜本的改革を進めます。」この二行があったんです、そのことについて質問させていただこうというふうに思います。
 片山大臣は、その大綱を決定された主要な閣僚のお一人です。さらに地方公務員について最高の責任をお持ちだというふうに思いますが、そういう責任ある大臣がこうおっしゃっていただくことについて御質問したいというふうに思います。
 おととしの十二月に閣議決定をされて、当該組合の皆さんが、これは大変なことになる、大変な改悪だということで署名運動をされました。公正、公平な公務を進めていくとか、あるいはキャリア制度や天下り制度の問題、あるいは対等、平等な協議の保障、こういうことを求めて署名をされました。何と、今までに余りない、千五十万人の国民の皆さんが署名に賛同をした。そして、そのことは国会に出されましたし、衆参の議長にもこの旨は伝えられました。
 けれども、一向に事が進まないということでILOに提訴をされました。これは御承知だと思います。公務員の組合だけではなしに、連合全体として。そうしたら、世界の主要な、例えば国際自由労連だとか公務労連だとか、民間の組合の組織を含めて六つの団体が共同提訴をしようということになりました。これも余り例のないことです。いわば、国民の皆さん千五十万人の方が賛同する、理解をする、あるいは世界の主要な組合全部が一緒に提訴をしてあげようということになる。これは世界の常識だというふうに思うんですね。
 そういう中で、去年の十一月二十一日に、ILOが報告と勧告を日本政府に出されました。私は、そのことについて、政府は耳を傾けるなと思ったけれども、そうでない。それが言っていることは、極めて大きな間違いを犯している政府の態度だというふうに思いました。
 ですから、私どもは、自由党の皆さん、社民党の皆さん、連合の皆さんと一緒になって、民主党は調査団としてILOに行ってまいりました。私が団長で行ってまいりました。
 そのことについて向こうで聞いてきたこと、確かめてきたことに基づいて御質問したいと思うのですが、私が行って一番ショックを受けたのは、例えば、政府は、厳しい勧告だと。私どもも、画期的な勧告だ、こう思った。けれどもILOは、そんなことありませんよ、別段厳しいものでもない、これまでの日本の案件に対する勧告の積み上げに従って改めて勧告をしたんだと。今まで四十年間、日本問題としてILOは取り組んできた。しかし、よくなるどころか、悪くなる改革大綱が出た。しかけたのは日本政府だというふうに私はそのとき思いました。ILOがずっと続いて、対等な協議をしなさいよ、人勧の保障制度は守りなさいよと言ってきたけれども、守られないで、かえって悪くなるような、人事院を弱化するような、そういう大綱が出てきたことについて勧告をしたんだと。
 私は、日本の今の状況というのは世界の常識から大きく乖離をしているというふうに思います。したがって、これを政府は真摯に受けとめて、そして改革大綱を見直すべきだというふうに思うんです。大臣、どうですか。端的に、無視するのか、これを受けとめるのか、どうなんですか。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
片山国務大臣 公務員制度改革大綱は、山元委員御承知のように、まだ方向を出しているだけですね、能力等級についても、天下りといいますか退職管理についても。それで、もう少し中身が固まるのを待ってILOが意見を言っていただければよかったな、こういうふうに思っております。
 それから、今まで条約上許容できる、こういうふうに言ってこられたことを、それは違反ではないかと。例えば、人事院及び人事院勧告制度というのは、私は、労働基本権制約の代償機能として役割を果たしていると思うんですね。それについての考え方が少し変わっている。
 あるいは、消防職員や監獄職員は、いわば警察と同じような仕事だ、これは条約上許容できると言っておられたんですね。それが、これについても団結権付与を考え直せとか。登録制度についてもそうですね。
 私は、そういうことで、やはり、我々の努力がもちろん足りなかったと思いますけれども、ILOの関係の皆さんに十分理解してもらう必要があるのではなかろうか。公務員制度改革大綱につきましては、中身はこれからですから。まだ能力等級の仕組みもきっちり固まっておりませんで、今一生懸命整理している段階でございますので、いずれにせよ、そういうものが固まればILOにお話をしますし、ぜひわかってもらう努力を重ねてまいりたいと思っております。
山元委員 大臣、ILOというのは百七十五カ国が加盟をしていて、日本は理事国でしょう。この結社の自由委員会には、政労使、政府の代表も使用者側の代表も、そして労働者側の代表も、きちっと理事として入っているところ。そこで全会一致で決められたんです。そこできっちりと、日本の政府が閣議決定をした大綱、これをしっかり検討して、日本の政府の閣議決定というのはそんな軽いものですか。いや、まだまだこれからこれからというようなことを大綱として決めるんですか。ILOできちっと、日本の政府の大綱、閣議決定を尊重して、これは間違っているよという勧告をしたんです、全会一致で。やはりこれでも無視するんですか。これは無視ですよ、それは。
片山国務大臣 ILOあるいはILOの勧告、報告の重要性については私どもも十分認識いたしておりますので、もし仮に誤解があったり理解が幾らか薄いところがあるなら、十分そこはコミュニケーションをしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、ILOの勧告や報告は今後とも尊重してまいりたい、こう思っておりまして、予算委員会でも申し上げましたが、三月中ぐらいには政府の正式な見解をまとめて、ILOにそれをお話をさせていただこう、こう思っております。
山元委員 今度の勧告は消防やあるいは人勧制度についても、後でちょっと申し上げますけれども、言っていますよ。けれども、大綱を見直せというのが勧告。もう一つは、八十七号、九十八号、団結権の侵害をしているから条約違反だ、改めなさい。この二つが主なものですよ。
 ですから、これは説明に行くのではなしに、ILOの皆さんもおっしゃっていました。日本の状況、歴史というのは十分承知をしている。そこで出てきた大綱というのはやはり見直さなければいけないし、八十七号、九十八号は日本も批准しているじゃないですか、団結権については。だから、改めなさいという勧告をしたんだ。だから、今大臣がおっしゃるように、三月に情報提供すると、答弁をほかでもしていらっしゃる。けれども、十一月の二十一日にこういうような、驚くようなという表現を最初に言いましたけれども、そういう勧告が出たのに、三月もの間何にもしないで、大綱に基づき、大綱に基づきということを言い続けていらっしゃる。つい先日も総務省の皆さんにヒアリングをやったら、大綱に基づき、大綱に基づきを繰り返された。私はやはり、これは無視をしているんだ、軽視をしているんだというふうに思うんです。どうですか、これは。
若松副大臣 山元委員の御指摘は、いわゆるILO勧告に早急に回答すべきではないか、そういったお尋ねだと思うんですが、私どもといたしましては、現在、厚生労働省とか各関係省とかなり検討している状況でございまして、あわせて、政府または与党内等でもいろいろな議論をしております。それゆえに、この問題は大変重要でありまして、詳細な検討が本当に慎重に行われなければいけない、そういうふうに理解しているところでございまして、現在、内閣官房から職員団体等に議論の申し入れを行っているところでございます。
 いずれにしても、この勧告に対する答えはしっかりと、適切な時期に政府見解として出さなければいけないということで、そのように考えますと、遅くとも三月中には提出したい、私どもはこのように考えております。
山元委員 しっかりと理解をしてほしいのは、説明は今まで十分向こうも聞いてきたし、状況は知っている、勧告もしてきたと。その上に立って、大綱を見直しなさい、八十七号、九十八号をしっかりと守りなさいということ、これは世界共通の原則なんだと、繰り返して私は聞いてきましたよ。世界の常識なんです。ですから、今回の勧告について、政府は中間報告だ、中間報告だとおっしゃっているけれども、このことについては最終的な結論を出したんだということはしっかりと受けとめなきゃいかぬ、私はそう思いますよ。
 そして、さっき大臣がおっしゃった消防の問題ですが、消防の問題についても話を聞いてきました。この報告の中で、六百三十パラのところで、結社の自由の原則はすべての国に一様かつ一貫して適用されるべきものだという原則があるんだと。そして、わざわざ、消防と監獄職員についてもきちっとすべきだというふうに言っているんです。これは、確かめたら、OECDの加盟国の中で日本だけですよ。ほかにありますか、そういう消防職員の団結権を認めていない国というのは。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
若松副大臣 消防職員の団結権についての各国の状況でございますが、現在、一九九〇年にILO事務局が調査した報告によりますと、調査対象国五十九カ国のうち五十二カ国が回答がございまして、そのうち、消防職員に団結権を認めている国が二十六カ国、一部に認めている国が四カ国、認めていない国が二十二カ国、こういう状況でございます。
山元委員 私が言っているのは、OECDの中でそういうことがどうなっているかということを聞いたんですけれども、基本は、皆さんの身の周りでもそうだと思う、消防職員の皆さん、どういう勤務をしていますか。高いところであろうが、高いところは怖いからやめちゃう、火が燃えている、しゃあないなというふうに言いますか。ガスが出ているからといって逃げ出しますか。夜中やから寝ているんやという理由でやめますか。時間を問わず、高いところや危険なことを問わずに、やはり市民の財産や生命を守ろうということで頑張ってくれというのが消防職員でしょう。けれども、言うことを聞けと。団結権、組合をつくってきちっと交渉をするという権利がない、命を投げ出すことは命じられるけれどもという状況に置いてあるんです。だから、OECDの加盟国の中ではないはずなんです。
 だから、そういう状況というのはILOは十分承知をした上で、監獄の職員と消防職員についても団結権を保障すべきだと言ってきたんです。これはもう真剣になって受けとめてもらわなければいけないというふうに思います。
 それから、人勧の話、人勧制度の問題を大臣はおっしゃった。ILOは今まで、この日本の人勧制度はオーケーだということは一遍も言っていない、逆に、不十分だということを言い続けてきたはずです。どこが変わったんですか。人勧制度について、ILOの評価について今度の勧告でどう変わったんですか。何回か人勧制度を日本は認められてきたということをおっしゃっているけれども、どこですか。
片山国務大臣 消防の話もちょっとございましたが、消防は警察と同じだと我々は考えていまして、一身を犠牲にして国民の生命、身体、財産を守るんですよ。だから、そこで、やはりこの団結権になじまないんじゃないかと。統制のとれた厳正な規律のもとに、積極果敢に火の中水の中に飛び込んでいくわけでございまして。だから、我々は、警察と同じようなものだから、これは今の八十七や九十八の例外にできるんだということで今までILOの理解を得てきた、こういうふうに思っております。
 それから、労働基本権の代償としての人事院勧告制度については、このところ変わったというわけじゃないんですね。ずっとですよ、この制度は機能してまいっておりまして、このところはもう全くの完全実施でございまして、むしろ、今までそれについて条約の許容の範囲だと言われておったと我々は理解しておりましたが、それが今回そうでもない、こういうことなので、あれ、人事院勧告制度変わったのかなと私どもの方が思っておるので、制度は全く変わっていない、やり方も全く変わっていない、むしろ尊重の度合いは前に比べるとずっと高まっている、こういうふうに考えております。
山元委員 消防職員と警察が一緒だ、国民の常識と違いますよ。消防職員の皆さんがピストルを持っていますか、手錠を持っていますか。本当に市民の財産生命を守るということを裸でやっているんです。そういう人たちの権利というのは積極的に認められるべきものなんです。
 それから、人勧制度ですけれども、機能している、機能していると。ILOはちょっともそんなことは考えていない。団結権、労働基本権を制約する場合にはきっちりと第三者機関を置きなさいよ、そして、そこにはきちっと当該者が参加をして、最終的に協議が調うまで話ができることを認めなさいよというのが勧告の中に入っておるわけです。そんなことをやっていますか。やっていないでしょう。
 そして、ずっとというふうにおっしゃった。私は公務員の現場にいました。一九八〇年代、人勧が値切られて値切られて、例えば八二年に勧告が出て、四・五、六%でした。勧告が出て、政府は凍結というのを出した。何ということを言うかといって、二時間のストライキ、私もやりました、責任者でした、処分を受けました、完全実施で。これは一九八三年ですから、今から二十年前ですけれども、そのときにILOへ提訴したんです。こういうことで私たちはひどい目に遭うているという提訴をILOにしたんです。ILOの報告、私は持っていますよ。
 そのときに、一九八三年に勧告が出たんですけれども、「人事院勧告が完全、かつ迅速に実施されること、並びに団体交渉権及びスト権という労働組合権の制約に対する一つの代償措置が当該公務員に保障されることを強く希望する」との報告を採択しているんです。きちっと第三者機関の代償措置を守りなさいということは、きちっと一九八〇年代にやっているんです。
 やはり代償措置をするのであれば、きちっと当該者が参加をして協議ができる、それが本当の第三者機関です。人事院も長いこと努力をしてこられた、それは実感をしています。けれども、やはり人事院は政府の言うことだけは一生懸命聞くけれども、当該労働者の意見は余り聞かなかった。だから、勧告だということについても許容してしまうような人事院であったわけです。
 ですから、片山大臣、人事院勧告制度がずっと続いてきて、認められてきたなんて、とんでもない話。これは認識を改めてもらいたい。恐らく自治省当時からずっと、公務員がどういう要求をして、ストライキをやって、ILOの勧告がどういうふうに出たかというのは知っているはずなんです。役所の皆さんが上げないだけやと思うんです。私はこれでひどい目に遭うているんやから。よろしいですか。
 そういう意味からいっても、政府と労働組合がきちっと交渉をしながら、協議をしながら制度を改正していくということが大事なんだというふうに思うんです。大臣もおっしゃったように、ここではっきりおっしゃっている、国民の立場からのとおっしゃっている。完全にここでは、国民の立場に立って改革を行います。小泉総理もこの間の予算委員会でそう答弁された。けれども、今そうなっていないでしょう。当該者と協議をしていらっしゃいますか。ILOとしっかりと協議をもう始めていらっしゃいますか。していらっしゃらないじゃないですか。
 当事者との協議、ILOとの協議というのを今後どういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
片山国務大臣 せんだって、私どもの方の調査官をILOに派遣いたしまして、ILOの皆さんといろいろ話をしてまいりました。
 それから、公務員制度改革大綱は、これは特命で行政改革担当大臣が今やっておりまして、私は担当大臣に、職員団体の皆さんの意見を十分聞くように、こういうことを言っておりまして、きょう恐らく職員団体の皆さんとお会いになった、こういうふうに思いますし、きのうの夜は官房長官が会っておりますし、私もせんだって、先週お会いいたしましたし、人事院や私どもの方は常時、窓口として、職員団体の皆さんの意見は十分に私を含めて聞いておりますので、今後ともそういう努力は続けてまいりたいと思いますし、ILOにつきましても、見解をまとめた段階で、また関係各省、十分協議をして対応いたしたいと思っております。
山元委員 きのう連合の皆さんが官房長官とお会いになって、きちっとした協議の場をつくるべし、こういう話し合いをされました。けれども、官房長官は、やはりきょうになっても、そのことについてはこれから検討させてほしいと。やります、やらなきゃならぬのやという気はちょっとも出てきてないわけですよ。
 これは国民の立場に立って改革をする、世界に対しても、こういうふうに日本は変わっていきます、人権先進国ですということが言えるようなことをしたら、公務員の皆さんも、わかった、頑張ろう、こうなるんです。今のところやったら、協議をする場を検討させてほしい、これはきのうの時点です。だから、これは、いかにこの勧告というのを重く受けとめていないかということだというふうに思うんです。
 それは、しつこく言いますけれども、国民の立場に立って、きっちりと皆が納得するような、これで公務労働も大丈夫、公務サービスも大丈夫という国民的な合意ができる努力が本当に見えるようにしなきゃならぬときに来ていると思うんです。
 例えば、この大綱が出たときの新聞記事というのは、皆さんも御承知、大きな新聞、全部、「公務員改革も「世界の常識」で」とか、これは毎日新聞、「陰でコソコソ「改革」するな」、東京新聞は「これでは改悪になる」、社説が皆こういうトーンやったわけですよ。だから、そういう国内の世論とILOの勧告と、本当に危機感を持って政府が受けとめる必要がある。そうすれば、私は、労働側の皆さんとの話し合いも人事院との話し合いもきちっと見えるようになってきて、整理がされるというふうに思うんです。ぜひこのことは要請をしておきたいというふうに思います。
 そこで、委員長にお願いしたいんですが、この間の予算委員会で、我が党の平岡議員が、協議をする、協議をする、話し合いをする、誠意を持って話し合いをすると言うけれども、手順だとかスケジュールというのをしっかりと決めていない、いつどこでやるんだ、どういうところまでやるんだという、そういう協議の場を、官房長官は言うている、検討したいと言っているけれども、ばらばらなんだ。片山大臣は、職員の皆さんと話し合いをしたい、こうおっしゃる。協議の場というようなことは今までおっしゃっていなかったんでね。
 ですから、ここのところで、今予算委員会では、手順あるいはスケジュール等について予算委員長預かりになったんです。政府統一見解を出すという。今までこのことについては、坂口労働大臣も石原大臣も片山大臣も小泉総理もおっしゃってきた。全部温度差というのか動きがちょっとずつ違うんです。
 ですから、どういうふうに協議をして、皆さんにわかってもらえるように、わかったということになる、そういう統一見解を、政府としてどうします、協議の場はどうしますということについて統一見解を出してもらいたい。そうしたら、予算委員会、預からしてもらいますということ。
 私はここで、総務委員長にも、ぜひそのことについては政府から出てくるように、今大臣もおっしゃった、話し合いをするんだ、職員の皆さんの声も聞くんだとおっしゃっているんです。ですから、どういうふうに、ずるずるずるずると、三月が来て、五月が来てしまうということにならないような手順を決めるのかということについて、政府見解、統一見解を出すということについて委員長に預かっていただきたいんですが、いかがですか。
遠藤委員長 総務委員長より説明を聴取し、さらに理事会で話題にしてまいりたいと思います。
山元委員 もう余り時間がなくなってしまったんですが、政府の答弁の中で私心配なのは、最終報告が出たら検討しますという答弁が何回か出てくるんです。今度の勧告は中間だから、最終報告が出てきたら検討しますということは坂口労働大臣もおっしゃっている。
 先ほどから繰り返し言っていますけれども、これは、大綱を見直しなさいとか、あるいは八十七号、九十八号条約をきちっと守りなさいというのは最終的な結論である。けれども、中間報告という形がとってある。それは、ILOは、十一月二十一日にこう言うたら、日本の政府はどう変わっていくだろうか、どういう法案をつくるだろうか、法案の素案ができたら見せなさい、こういう期待を込めて中間報告としたんですよね。けれども、それが三月になってもなかなか出てこない状況になっているんだと思います。
 けれども、三月に理事会があるんですね。そうすると、日本の情報提供、説明は三月の理事会には間に合わないで、五月の結社の自由委員会になるでしょう。そのときに、わかった、日本はこれくらいのことかというて最終報告が出てきたときに、文字どおりの最終報告が出たとき、日本政府はどうするんですか。閣議決定をやり直して、法案をつくり直してということになるんですか。それとも、事前にきちっと、ILOがそれでよろしいわと言うまで情報提供、コミュニケーション、大臣がお使いでいらっしゃる、それをするのか。どういう手順、最終勧告が出てきたときに日本の政府はどういうふうに法案をつくり直したり閣議決定をやり直したり、どうなるんですか、そのとき。
 私は、中間報告だ中間報告だといってずるずるいっている今の状況からいって、これは大変厳しい。最終報告というものが出てきても、日本政府は従わないで無視するのか、脱退するのか、そういうところに追い込まれるのではないかというふうな感じがするんですが、大臣、どうですか。
片山国務大臣 中間報告というけれどももう事実上これは最終に近い考え方だ、こういうことも御指摘を受けておりますが、しかし、形式はまだ中間報告でございますので、最終報告が出るまでに、できるだけ我々の立場、考え方もわかってもらうようにいたしますし、我々も、ILOの考え方をできるだけ十分承って、その中でそしゃくをしてまいりたい、こう思っておりますが、いずれにせよ、最終報告が出た段階で、政府としての対応をどうするかは十分相談いたしたい。
 御承知のように、ILOの窓口は厚生労働省でございますし、公務員制度改革大綱そのものの担当は特命で行政改革担当大臣でございまして、制度としては私どもが所管しているという、大変ある意味ではわかりやすいようなわかりにくいようなことになっておりまして、そういう中で十分お互いの連携をとってまいりたい、こういうふうに思っております。
山元委員 時間がなくなってきているんですが、私は、ILOに行ったときに、どうなりますか、日本政府の今の姿勢を見てどうなりますかと言ったら、もし日本政府が世界の常識に反して無視したり、ずるずるずるずると引き延ばしをしたら何回でも勧告します、あるいは調査委員会というのをILOの中につくる、日本問題の調査委員会をつくる、そういうことも一つの選択肢です、こうおっしゃった。繰り返し繰り返して、例えば、国の名前を言うたらあれなんですが、ある国なんかは、十年間言い続けてやっと変わってきた。日本がそうなってほしくないなという思いで帰ってきました。
 ですから、そういう今の、中間報告だといってずるずると、きょう当該者と協議もしない、あるいは最終報告が出たときにはどうしようかというきちっとした見通しも立っていない状況で推移してはならぬというふうに思うんです。これはやはり、大臣もおっしゃったんですかね、五十年来の公務員制度改革ですから、これは大臣が、片山という大臣がいたときにこうなったんやと。それはそうですよ、これはやはり日本の国の形を決めるわけです。日本の公務労働者の労働のあり方とか公務サービスのあり方とか、あるいは、そういう権利の保障というものをどういうふうに考える日本なんだということが世界から今見られているんだということを十分理解をして対処をしていただきたいというふうに思います。
 私は、きょうは三十分ですから、時間がありませんでしたけれども、今までの具体的な問題、先ほどから消防署の問題、人勧等出ましたけれども、天下りの問題も大問題です。このままでいったら日本は腐ってしまうような、そういう感じがいたしますよ。ですから、キャリア制度やそういう問題についても、これからしっかりと協議ができる場をつくっていただく。これはもう片山大臣の責任できちっとしたものを、関係大臣たくさんいらっしゃいますから、ぜひそのことについてお願いをしておきたいと思うんですが、最後にお気持ちを。
片山国務大臣 委員のお気持ちや御要請は十分承りましたので、関係各省と十分な相談をしてまいりたいと思います。
山元委員 終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 この通常国会も、また大臣、ひとつ真摯な議論を重ねたいと思いますが、大臣も大変だなと思いながら聞いておりました。先ほどの玄葉委員からは自民党ではだめだというお話があり、今の山元委員からは大臣頑張れという声もあり、なかなか大臣職というのは大変だなと思います。
 さて、そこで、先ほどの玄葉委員と大臣の議論を私、全く同じ思いで聞いておりました。全く両者は同じ方向で議論されているなと。大臣、これは民主党の皆さんも大変な応援団であるなという感じをしたわけでありまして、三位一体改革、ぜひともなし遂げなきゃならぬな、こんな思いであります。
 ただ、玄葉委員、野党でありながら相当お優しい方だなと思ったわけであります。三位一体改革、芽出しという話がありましたが、我が党内で、十五年度予算、整理しますと、芽出しという言葉を聞きますと、どこに芽があるのか、これは土の外に芽が出ていない芽でありまして、タケノコみたいな、掘らなきゃならない芽じゃないか、こういう議論があるわけであります。そういう意味では、私は、決して芽出しにもなっていないという厳しい評価をしたいと思っております。
 ぜひとも大臣、総理のリーダーシップがこれから求められているというふうに思うわけでありまして、また機会があれば総理にも申し上げたいと思っておりますが、私どもに言わせると、芽出しにもなっていない芽出しを経て、これから六月に向けて改革工程表をおつくりになる、これは大変な難事業だろうと思いますが、大臣の御決意を最初にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 政府の部内でもそれぞれ立場がありますし、なかなか税源移譲には抵抗がある役所はもちろんあるし、補助負担金の整理合理化よりももっと抵抗があるところがございまして、なかなか苦労いたしましたが、しかし、どうにかこの税源移譲のルール的なものは財政当局も理解してくれたんじゃなかろうか、こう思っております。
 即税制改正、税源移譲ということになかなかならないんですね。何兆円オーダーになれば正式な税制の話になりますけれども、今、十五年度の状況を見ていますと、これだけ国税も地方税も落ち込んでいまして、その中で税源移譲、税制改正ということになかなかならないので、とりあえずの暫定措置で地方特例交付金と交付税の増額、こういうことでやりましたので、私は芽出しは芽出しだ、こういうふうに思っております。
 ぜひこの芽出しを、与党の先生方はもとより野党の先生方も含めての応援によって大きな芽にしていきたい、大きな茎に、大木にしていきたい、こう思っておりますので、ぜひひとつ御指導をよろしくお願いいたします。
桝屋委員 では、私どもの党としては、どこに芽があるのか、しっかり掘って、旗でも立てたい、こんな思いであります。
 ただ、今大臣がおっしゃったように、税源移譲にしても、それから補助金にしても負担金にしても、私は三位一体ということが大事であって、先ほど玄葉委員の話の中で、例えば骨太方針の第二弾、昨年じゅうを目途に結論を出すということも、これはある意味では結論が出ていないというふうに言わざるを得ませんし、それから、昨年十二月、にわかにおつくりになった三位一体の口頭の閣議了解の文章も、私は、果たしてこれで国民が理解されるのかという、そこはシビアに見詰めなきゃならぬと。私どもも、小泉改革を支えている一員として決して満足できないものだというふうに思っているわけであります。
 そういう意味では、よくぞあそこで玄葉委員はとめていただいたな、こう思っておりますが、やはり三位一体の手順が大事だということを、これから六月に向けてぜひ頑張ってもらいたいんですが、六月というのは時期も非常に難しい、政府税調もなかなか展望できないわけでありまして、本当にいいものができるかどうか、特に地方団体あるいは国民の立場に立って理解されるものに、先送りせずに、いい工程表ができることを期待する、注視をしたいと思っております。
 先ほど玄葉委員が、まずは補助金だ、負担金の削減だと。私もそのとおりだと思います。そして、その上ですき間が、これはそこから入らないと、税源移譲だって増税するんじゃないかと、多くの国民はこの時代ですから不安を抱くわけでありまして、そういう意味では、補助金、負担金の削減というのは極めて大事、それがスタートだ、そして、すき間ができたところは税源移譲する、当然ながら交付税もそれに伴って削減できる、こういう流れだろうと思うんですね。その辺をしっかり、私は、国民やあるいは地方団体が理解できる手順を、わかりやすい手順を明確にしていただきたい。
 きょう副大臣いらっしゃいますが、ぜひ副大臣も汗をかいていただきたい。お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
若松副大臣 この三位一体の改革の手順に対する御質問でございますが、これは昨年六月二十五日のいわゆる骨太改革第二弾、基本方針二〇〇二に示されたとおりでございまして、私どもは、この国庫補助負担事業の廃止、縮減について、大変重要な課題であり、今一生懸命汗をかいているところでございます。
 そこで、この三位一体の改革案の策定に当たりましては、「改革と展望」の期間中に国庫補助負担金を数兆円規模で削減する、これをどうやっていくかということでありますが、私どもといたしましては、いわゆる芽出しという言葉でありますが、これは大変貴重なスタートではないかと思っております。
 私も実際、副大臣として、昨年以来、四月に私なりの試案としての地方税改革、さらには税源移譲を含めた提案を大臣にさせていただきまして、それが昨年の五月に片山試案として出させていただきまして、国庫補助負担金をいかに削減して税源移譲するかというのは、地方分権を進めるにおいても経なければならない大変大きな課題だと思います。
 一方、特に地方制度調査会の諸井会長でございますが、さきの都道府県議長会においてのお話でございましたが、各省庁からしますと、特に小規模団体につきましては、それぞれの事務を行う能力について大変不安がある、そういった観点から、国庫補助金等をやめるというのは、廃止やら縮減するというのに対して抵抗がある、こういった理由もありまして、それも一理あろうかと思います。
 そういう意味で、先ほどの六月二十五日の骨太二弾におきましても、まさにこの改革の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化が不可欠でありますし、そのための市町村合併は不可欠である、こういった結論にもなっているわけでありまして、そういった観点からの三位一体を、ぜひとも総務省一体となって片山大臣を支えて、この六月には具体化のためのすばらしい案を出していくべく全力を挙げてまいる決意でございます。どうぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
桝屋委員 私どもの党としては、芽をしっかり探して、旗を立てて、副大臣がおっしゃるように応援をしていきたいと思っておりますけれども、六月は、先ほど言いましたように手順ということで、玄葉委員もおっしゃいましたが、国庫補助負担金の削減、これがまず最初にあって、そして、すき間ができたところでその分財源を地方へ振り分ける、交付税もついていく。そして、大臣がおっしゃった税財源の均てん化というあれ、言葉がわかりにくいですね、ぜひともわかるように説明をしていただきたいと思っておりますが、その順番をきちっとこの改革工程表の中でつくっていただきたい。間違えても次は交付税がやられるというようなイメージを全国の市町村に与えるようなことがないように頑張っていただきたいな、こう思っております。
 そこで、もう一つ。昨年、私、十二月、与党の一員として予算をやる中で、例えば、先ほどの片山大臣の説明を聞いていても、一番トーンが下がるところはやはり国庫補助負担金、この削減、これは難しいんだよ、なかなか難しい、至難のわざだと、この説明。まあトーンが落ちるからこそ玄葉さんから自民党じゃできないんだ、こう言われるわけで、自民党であってもやっていただかなきゃならぬわけでありまして、そこはぜひ、まずスタートが国庫補助負担金の削減なんだ。これは、昨年の骨太方針でも、総理主導のもと、各省大臣が責任を持って、こうなっていますが、まあ簡単ではないということはわかるわけでありますが、少なくともこの六月は、そこが最初の山だ。
 そこで、去年の十二月、二千三百億の話もありました。十二月二十四日の口頭閣議了解では五千六百という数字も出ていますが、例えば、厚生労働省やあるいは文部科学省の去年の十二月のあの大騒ぎというのは、補助金が一般財源化されるだけで大変なリアクションがあるわけでして、そこは、玄葉さん帰られましたけれども、民主党の議員の中でも何だこれはという声が出るんですね。与野党を含めて国庫補助負担金の削減となると大変な騒ぎになる。ここをどう説明できるかということだと思います。
 私は、やはり一番国民にわかりやすいのは、国庫補助負担金を削減すればどういう効果があるのか。そこは国の関与が減りますよ、さっきの玄葉さんの話じゃありませんが、地方が責任を持ってやれるようになると。あるいは、私も長い間携わってまいりましたが、国庫補助負担金の配分の事務だけでも大変な事務量がある、これが要らなくなるんですよというようなことは、よく国民に説明をしなきゃならぬだろう。
 そこで、大臣に伺ってみたいんですが、大臣おっしゃるように、五兆五千億、これだけ削減をすれば一体どれぐらい国家公務員の数だって合理化できるのか。頭数じゃありませんよ。私は、事務量としてどのぐらい減るのかというようなこともわかりやすく国民にお示しをされるべきではないか、こんなふうに思っておりまして、我が党内でもその説明、昨年の十二月のあの混乱はぜひ避けなきゃならぬ。そういう意味では、改革工程表をわかりやすくつくるということが大事でありますが、あわせて、五兆円以上の国庫補助負担金を削減すればこういう効果があるんだということは、数量的に、定量的に私は言うべきではないか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 なかなか、桝屋先生、いい御指摘をいただいたんですが、定量的に示すのがまた難しいんですね、補助金によりますし。ただ、例えば、地方団体が申請書をこんなにつくって、手間をかけて持っていって、何日もヒアリングをされて、それから配分を中央でやって、またその結果報告をする、それを検査する、何度も上京する。昔は補助金一つで一課あったんですよね、各省の役所は。
 だから、それだけ補助金が仮に大幅に減るとなりますと、私は、組織定数もかなり見直しが可能になってくると思いますし、地方団体が上京したり、それにかかり切る事務が相当減ると思いますので、一遍シミュレーションか何かを少し検討してみたいと思いますが、今、それじゃ、どのくらいどうなるんだ、こういう資料を持っておりませんが、これから本格的な政策評価も始まりますし、ぜひそういう中でこの補助金削減の、整理合理化の効果をできるだけ定量的につかまえる検討をしてまいりたいと思います。
桝屋委員 一般の国民の方は、今十二兆あるいは十数兆円ありますでしょうか、国庫補助負担金、これを配分するのに、前年度の協議から始まって、内示が出て、そして補助金の交付申請、交付決定、交付、一連の流れがどれほどの事務量なのか。もちろん今ITが入っていますから相当合理化されたとはいえ、もともとそれは補助金、負担金がなくなれば要らない仕事でありますから、なかなか言いにくいことだろうと思いますが、今、先ほど山元委員の方からも公務員制度改革の議論もあったわけでありまして、そこはぜひ一日も早く定量的にお示しをいただきたいな。例えば、五分の一ぐらい減りますよ、昔は一課あった、それが要らなくなるんだというようなことについて、私はそういう情報も発信をしていく必要があるだろう、こう思っております。
 それからもう一点、お願いでありますが、本会議でこの三位一体の改革を聞いておりまして、塩川財務大臣は、これは必要だ、やろう、こうおっしゃっているんでありますが、信用できないというわけじゃありませんけれども、さらっと言われるものですから、今、片山大臣が本当に苦悩を感じながらこの補助金、負担金の削減ということをおっしゃるぐらいの思いがなかなか伝わってこないんです。
 もっと言いますと、国庫補助負担金を削減し、あるいは交付税も削減をして、その分は国の長期債務の財源に充てるんだということではないのというふうに国民やあるいは地方団体は思うわけでありまして、そういう意味でも、改革工程表をしっかりつくりまして、補助金、負担金を削減した分はしっかり税源で移譲するということを、間違えても過去の借金に回らない、貧乏人同士が話していることだからそれは借金返すのが先だというような議論に軽々に行かないように、ぜひともここは頑張ってもらいたい、こう思うわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 経済財政諮問会議でも大分議論いたしておりまして、そういう意味では、塩川大臣もメンバーですから御認識いただいているんではなかろうか。
 特に社会保障制度と三位一体改革を重点的に取り上げよう、経済財政諮問会議でそういうことになっておりますが、確かに、桝屋委員言われたように、こんなに国の財政が窮迫して、これだけたくさんの国債を抱えて、国債を返していかなきゃいかぬのですが、こういうときに地方に税源移譲はという意見は確かにあるんですよ、財政当局には。だから、そこは私は十分な説得をしていかなきゃいかぬと思います。
 なかなか困難ですが、国庫補助負担金の整理合理化は、我々の立場と割に財政当局の立場は似ているんですよね。ただ、後のお金を税源移譲するということにはやはり国の方の財政当局が抵抗があるんでしょうね。ただ、十分そこは協議をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
桝屋委員 六月の工程表策定に向けて、これから、通常国会始まりました、法案の審査等もあります。地方税法や地方交付税の議論の中では、この委員会に財務省当局、担当にも来ていただき、あるいは副大臣や大臣にも来ていただいて、私は今の点はしっかり言っていかなきゃならぬというふうに思っているわけであります。
 最後になりますけれども、やはり六月の改革工程表づくり、私は困難な時期、難しい時期だと思います。この時期にどこまで書き込めるか。我が党としても、与党の一員としてこの改革工程表づくりにぜひとも注目をしていきたいと思いますし、コミットもしていきたい、こんな決意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五分開議
遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問していきたいと思います。本日は、町村会及び町村議会議長会の主催によります町村自治確立総決起大会ですか、これがまた同時進行しておりますので、まず最初に、私も、市町村合併についてお尋ねをいたしたいと思います。
 私は、一年前の本会議で、市町村合併に関しまして、地方自治の本旨にのっとり、合併問題は当該住民の意向にのっとるものの、国としても、市町村合併を進めた上での最終的な地方公共団体のあり方についてしっかりした青写真を策定しておくべきだと指摘しております。
 その後、当委員会において、国、都道府県、そして市町村の三層構造の中で、私は東北に住んでおりますので、青森、岩手、秋田の北東北三県の例を紹介いたしまして、中二階の県レベルの行政機構のあり方議論が次に来る重要な課題だと、これまた指摘したところであります。これに対しまして片山大臣は、地方制度調査会に諮るとともに、省内の研究会で都道府県制度について検討してもらっている、あるいはまた法制的な対応を含めて議論していきたいと答弁していたと記憶しております。
 また、道州制の導入で分権社会を構築すべきとの議論がある一方、住民に密着した行政が合併後の市町村の基礎的自治体で主体的に行われるようになりますと、都道府県はますます中途半端な存在になっていくだろうという有識者の意見も、これまた多いわけであります。
 そこで、最初に、改めて片山大臣に、以上の経緯、経過を踏まえまして、大臣御自身はこの市町村合併後の姿を今どのように描いておるのか、これをまず最初にお尋ねいたしますし、また総務省は、目先の合併に取り組むだけでなくて、この基本問題をこの一年どう検討されてきたか、あわせてお尋ねいたします。
片山国務大臣 今お話しの第二十七次の地方制度調査会で、合併後、合併一区切り後の基礎的自治体のあり方と、大都市のあり方と、それからもう一つは都道府県制度のあり方、これを議論していただくようになっているんですね。まだ都道府県制度まではなかなかいっておりませんけれども、基礎的自治体のところでございますが、いずれにせよ、二十七次の地方制度調査会の大きなテーマにしてもらいたい、こういうふうに考えておりますし、私どもの方の研究会では、これは学者の方が中心なんですが、いろいろ議論していただいておりまして、いずれにせよ、百三十年以上たった今の府県制度、都道府県制度というものをぜひ見直していかなきゃならないのではなかろうかと考えております。
 その場合に、よく言われているのは道州制なんですけれども、昔から言う道州というのも、いろいろな案があるんですよ。今言われているのは、恐らくブロック単位の広域自治体ですね。東北なら東北、あるいは近畿なら近畿、こういうことだろうと思いますが、昔の道州制というのは、国の出先も一緒にして、自治体と国の総合出先の性格を持ったようなことも道州制で議論したことがありますし、それから、一時、府県連合、府県合併、こういうことも議論になりました。
 しかし、府県制度については法制上、今手当てがないんです。都道府県の区域は従前の例によるとだけしか書いていない、地方自治法は。だから、いずれにせよ、府県制度の改革、改変をやるときには法律の手当てが要るものですから、そういうことを含めてこれから大いに議論していって、まあ一遍にいきません、都道府県制度を直すのは。国民的な議論の中で国民的なコンセンサスを固めていく、こういうことになるのではなかろうか、こう思っておりまして、いずれにせよ、あと二年ちょっとで合併特例法が期限切れになりますから、その後も合併は続くんですけれども、我々としては、一区切りとして、あとは府県制度の本格的な検討、研究に入りたい、こう思っております。
黄川田委員 大臣から、これからは都道府県の研究も大事だということで、始めようということなのでありますけれども、お話にもありましたが、大臣、面倒な問題に対しては、地制調の答申を待って考えるとか、たびたび答弁があるわけなんですけれども、後で述べます西尾私案も、地制調あるいはまた総務省のラインに沿っているのではないか、あるいはまた、一方、三位一体の交付税改革についても、補てん機能の廃止等を唱える財政制度等審議会ですか、これがまた財務省を支えているのではないかというふうにも私は思っているんですよ。
 この地制調にしろ、あるいは財政審にしろ、その対立のスタンスといいますか、国民の目にもこれは透けて見えるというか、明らかになっているんじゃないかと思っているわけなんです。そしてまた、反面、本来的に中核となるべき地方分権改革推進会議が、議長あるいはメンバーがかわった段階におきまして、何かうまく機能していないんじゃないかというような気も私はしておるわけなのであります。
 そこで、地方分権改革を円滑に進める上で、さまざまな審議会等のあり方を再検討してみてはどうかと私は思うわけでありますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
片山国務大臣 これは、地方制度調査会は長い歴史がありまして、二十七次ですから。一年ないし二年でやっておりますから、だから、ここでは地方制度の基本的なことはもうずっと検討していただく。
 それで、財政制度審議会は私どもの所掌じゃありませんけれども、これは、旧大蔵省、今の財務省が中心で事務局的な機能を果たしておりまして、国の財政制度について議論する、こういうことでございますから、それぞれ調査会や審議会の設置目的がありますので、見直しても、まあお互いダブるところの調整でしょうね。それから、地方分権改革推進会議というのがまたこれありまして、これは、単なる諮問機関よりももう少し提言ができる機関なんですね。それから、経済財政諮問会議というのがあります。
 そういう意味では、関係が国民の目から見て大変わかりにくいという面は私も確かにあると思いますけれども、それぞれの役割に応じてやっておりますから、お互いの関係を整理すればいいんではなかろうか、私はこういうふうに思っております。
黄川田委員 それでは具体的に、この市町村合併の課題について、二点ほど伺っていきたいと思います。
 第一であります。合併特例法の優遇措置を実質延長するともとられかねない二月八日の大臣の発言であります。
 新聞報道によりますと、合併手続に時間がかかるとの自治体の不満を踏まえ、合併の意思決定がなされている自治体ならば、二〇〇五年三月の期限後に手続が残っていても優遇対象とすることを検討したいとのことであります。そして、どの段階を合併の意思決定とみなすかについては、法定合併協議会の設置を決定しておればよいのか、あるいはまた、他に決定とみなすルールを新たにつくるのかなど、いろいろ問題があると思います。この発言は、既に定められております合併手順を地方から見ますと乱すものではないか、あるいはまた、自治体に不安と動揺を与えるのではないかと私は思っておるわけであります。
 そこで、大臣に重ねて伺います。
 大臣は、特例法の期限延長について、ないということで、私が質問するたびにこう答えておるわけなのでありますけれども、この期限、スケジュール等の方針変更はないのか、改めて伺いますし、そしてまた、今回の発言の真意であります。そこもお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 前から合併を検討している市町村で、もうあと二年ちょっとしかない、手続に大変時間がかかると言うんですね、一年半から二年かかる、だから合併特例法を延長してくれないか、こういう話がありまして、和歌山県でのセミナーの中でもそういう意見が出てまいりまして、記者会見でも出たわけです。
 私も、あと二年しかない、相当合併は今盛り上がっておりまして、法定協議会の数も三百を超えているんじゃないかと思いますし、法定協議会加入の市町村も九百ですよね、合併を検討しているのは千六百から千七百ですから、全市町村の八割以上ですね。そこで、期限は期限で、五年の時限法ですから、十七年の三月で私は特例法は切らなきゃいかぬと思いますけれども、しかし、合併をすると正式に団体の意思で決めたところについて、おまえ、ちょっと手続がおくれたから優遇を一切認めないよと言うのは、ちょっといかにも不公平ではないか、こういう感じがしまして、そのことについては検討してもよろしい、こう言いました。
 ということは、これは延長的効果は確かにあるわけですね、実質的には。十七年の三月までに合併の意思決定をすればいいんですから。手続が残ってあと一年ぐらいかかる、残っても優遇措置をつける。しかし、それは法律そのものの延長じゃございませんで、経過措置として附則か何かで手当てをすることではなかろうか、こう思いますが、私だけの考えではあれでございますので、今総務省の中で事務的に検討してもらっておりますし、また地方制度調査会と言われそうですが、地方制度調査会等で御議論を賜りたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 大臣の発言というのは極めて重いものでありまして、地域の将来像が見えないままでの、どさくさに紛れたといいますか、そういうふうな合併がふえてこないことを望むわけなのでお話ししたわけなのであります。
 第二点であります。既に議論されていることでありますけれども、小規模自治体の切り捨てになるのではないかと思われる西尾私案であります。特例法期限後の再編成のあり方においては、一定の人口規模に満たない市町村に対し、事務配分特例方式やあるいはまた内部団体移行方式を提唱しているところであります。
 しかしながら、自治行政は基本的に民間企業の合併であるとかあるいはまた分割などの組織論とは違いまして、やはり住民一人一人が住んでおるわけでありまして、その生命あるいは財産をしっかり守るといいますか、そういう自治体の本質的な仕事がありまして、利益、効率等ですか、そういうものに偏重した組織再編というものは私はないと思っております。
 そこで、私案が出されたタイミングですが、これを考えますと、私案とはいえ、この私案の論旨は市町村合併への実態をよくわきまえてなく、強圧的な進め方であるととらえる方も間々あるわけなのであります。また一方、地方六団体の意見書やマスコミでも多くの反対意見が述べられております。しかし、今度は総務省の立場としてのやり方なのでありますが、三月に予定されている地制調の中間報告を待つとして、西尾私案に対しては何の意見も表明していない。そして、むしろ現下の市町村合併問題に対する追い風ととらえまして、この私案を、私案と言いながらも省内の公式会議で都道府県に配付しているのではないでしょうか。
 そこで、小規模な基礎的自治体のあり方、特に合併特例法期限後の姿に関し、ここまで踏み込んで律するのは、憲法で保障された地方自治の本旨に反する強引、勝手なやり方であると私は思っております。また、この特例法で手厚く保護された自治体と、そしてまた合併しなかった自治体とにかかわる制度上の格差が本当に大きくて、整合性に欠け、論理的矛盾をまた私は感じるわけであります。これについて大臣の見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 西尾先生は今、地方制度調査会の副会長なんですよ、ずっと長い委員さんで。それで、経過を聞いてみますと、既に御答弁したかもしれませんが、諸井会長や松本小委員長からの要請で、基礎的自治体について議論するためにたたき台をつくってくれ、こう西尾先生が頼まれて、西尾私案という形で出したわけでありまして、地方制度調査会は総理の諮問機関ですから、そこでの副会長がたたき台を出したものについて私どもがいい悪いと言うのは、これはいかがかなと。これは地方制度調査会の中で十分御議論を賜ると。町村会や町村議長会は地方制度調査会のメンバーでもあるんですけれども、そこでいろいろ反論をする、あるいは反論したいということでございますので、私は大いに議論していただきゃいい、こういうふうに思っております。
 それから、西尾先生の案、私もちょっと最初はびっくりいたしましたが、しかし、ああいう考え方はあるなと私は思っております。ただしかし、それがやはり関係の皆さんの同意なり納得が得られないとなかなかあれでございまして、私は、今、町村自治確立総決起大会に行ってまいりましたが、小さいからといって、小さいからということだけをもってそれを切り捨てるようなことは、それはできないと言ったんです。しかし、税金は取れないけれども交付税はそこそこに来るし、最小限の仕事だけしておけばいいし、自分は今の方がずっと安泰だからということでは困りますよと言ったんですよ。地域の将来のことを考えてください、市町村は仕事をするためにあるんですと。住民の福祉の増進や地域活性化のためにあるんでね。
 そういうことを私は考えておりまして、やはり仕事ができれば全部市町村にやってもらいたいと思っているんです。ただ、そこで、市町村のそういう意味での行財政基盤を強化せにゃいかぬ。そこで、もし合併の結果、物すごく強化されたところと強化されないままのところが残ったら、強化されたところには仕事も税財源も与えないけません、仕事ができるんだから。こっちの方は、できないなら、それはそれで我慢してもらわなきゃならぬ。そういう意味では、権能上のあるいは税財源上の差ができても、それは私は、私個人の意見としましては、役所の意見じゃありませんよ、私個人としては、許容しないとしようがないのではなかろうか。
 先ほども言いましたが、多様な制度をつくる、あるいは選択ということも考えながら、その中で、できる市町村と残念ながらできないところはある程度の差がついていくのは仕方がないのかな、こう思っておりますが、これも私だけの意見じゃいけませんので、大いにこれから各方面で議論していただきます。
黄川田委員 大臣からお話しのとおり、私もかつて、高度成長時代に、財政は膨らむものだ、あるいはまた、首長は歳出だけを考えていればいい。そういう時代ではなくなったというのはそのとおりでありますし、そしてまた、地方みずからがせっかく特色のある町づくりということで一生懸命頑張っているのでありますから、その中で、しっかりと地に足のついた、自治体はこうあるべきだ、あるいは将来を見据えてということが大事だと思っておりますので、この基礎的自治体のあり方については今後とも議論していきたいと思っております。
 それからもう一つ、次に、公務員制度改革について、私からも質問させていただきたいと思います。
 この公務員制度改革につきましては、私は、この委員会におきまして、ILOの結社の自由委員会勧告に対する政府の対応、あるいはまた採用試験の問題、さらには公務員の人事管理の中立性の問題などについて、たびたび質問させていただきました。しかしながら、残念ながら、このいずれの問題につきましても、行革事務局ですか、そちらの側から納得のいく答弁をもらっておりません。
 同時に、この今回の改革は、検討手続が民主的ではなく、不透明であることがまずもって大きな問題であると私は思っております。私は、今からでも遅くないので、この際、第三者的な審議会を設置して議論を尽くしまして、さらに、その成果をもとにパブリックコメントを求めるなどオープンな議論をやり直すべきだ、こう思っております。
 今回のこの改革プロセスの不透明性につきましては、午前中にも議論がありましたけれども、ILO勧告においても述べられているところでありまして、いわば国際的にも強い批判を受けております。まずこのことを指摘した上で、本日は、中身の問題として、能力等級制度等を質問していきたいと思っております。
 能力等級制度、この能力給という言葉であります。これは聞こえのよい言葉でありますけれども、これを公務において採用することについては私は慎重な検討が必要だと思っております。
 民間企業の能力等級制は、我が国が経済成長のときに、年功序列を排しまして、能力に応じた処遇によりまして人事管理を活性化させようとする試みだったと私は思っております。しかしながら、現実には能力評価を適正に行えた企業は少なく、多くは年功的運用に陥ってしまったのが実態ではないでしょうか。その結果、逆に人件費が増加してしまったこともあり、デフレ下の現在、民間でもこの能力等級制については見直しが行われつつあり、今では仕事基準にかじが切られつつあるのではないでしょうか。
 なぜ、今になって公務において能力等級を導入することを考えているのか。また、最近の新聞記事を見ますと、能力給見送りとか、あるいはまた能力制先送りなどと報道されております。行革事務局でもいろいろ混乱が生じておるのではないかとも思っております。
 そこで質問でありますけれども、仮に今もこの能力等級制度を考えているのであれば、それは一体どういうものであるのか。そしてまた、どういう哲学でどういう仕組みをつくろうとしているのか。根本副大臣に説明いただきたいと思います。
根本副大臣 委員から、今、どういう哲学でどういう仕組みをつくろうとしているのかという御質問がありましたので、お答えさせていただきます。
 今我々が考えている能力等級制度でありますが、この能力等級制では、一つは官職、具体的にはポストですけれども、官職をその職務の種類と複雑、困難あるいは責任の度に基づいて等級に分類する。こういう分類をするだけではなくて、これとともに、職員について、その職務を遂行する上で現に発揮している能力を適切に評価し、これを活用して能力等級を決定し、官職、いわゆるポストでありますが、官職の求める能力と職員が発揮する能力を常に的確に把握する制度としたいということで考えております。
 要は、能力等級制は、今私が申し上げたような仕組みを導入することによりまして、より徹底した能力主義に基づく職員の人事管理を可能とし、組織全体の適材適所の人事配置による公務能率の向上を目指すものであると考えております。
黄川田委員 副大臣から今お話をいただきましたけれども、今の答弁を聞いて、なかなかわからないわけであります。
 私自身、地方自治体で、市役所で仕事をしておりまして、そういう経験があるわけなのでありますけれども、確かに、今の年功序列的な運用ですか、これは変えていくことは必要だと思っております。
 しかしながら、正直言って、今の話を聞いて、説明を聞いて、能力等級制度に不安を感じるわけであります。とりわけ、現行の仕事基準の職務等級制度をやめて能力等級制度を導入するのであれば、先ほど紹介した民間企業のありさま、あるいはまた私自身の体験に照らしても、やはり客観的な能力基準がつくれるのかどうか、また、それに基づき納得できる公正な評価ができるのであるか、大いに疑問が生じるわけであります。
 また、能力等級制度は人事制度のかなめとなるものでありますから、給与制度あるいは昇進制度、その他もろもろの人事制度と密接に関連するのだと思っております。
 そこで、この能力基準の具体的な内容はどのようなものであるのか、また、この能力等級制度と昇進あるいは給与制度、その他の人事制度との関連性あるいは波及性について、重ねて副大臣にお尋ねいたします。
根本副大臣 まず、能力等級制の考え方でありますが、ただいま私が前段申し上げましたように、官職をその職務の種類と複雑、困難及び責任の度に基づいて能力等級に分類するとともに、官職を分類する基準となる標準的な職務を遂行する上で発揮することが求められる能力を職務遂行能力基準と定め、そして、職員がその職務を遂行する上で現に発揮している能力を適切に評価して、これを活用して能力等級を決定することとしたいと思っております。
 官職と職員をそれぞれ能力等級に位置づけることによって、官職が求める、つまりポストが求める能力だけではなくて、職員が職務を遂行する上で発揮する能力も常に的確に把握していくことによって、職員をその職務を遂行する能力に見合った官職に円滑に任用できる基準を整備することとしております。
 職員の給与につきましては、職務を遂行する能力で位置づけられる能力等級に基づいた給与を支給することで、職員が単に官職についているからということではなくて、官職について現に職務を遂行して発揮された能力を勘案して給与の支給を行う。
 任用、給与との関係は、以上のような考え方であります。
黄川田委員 説明を聞くと、ますます私にとってはわからなくなるといいますか、抽象的な言葉の羅列みたいな形があるわけなのであります。
 私からすれば、この能力基準の具体的内容がまだできていなくて、そしてまた、他の制度との関連をお話しされましたけれども、これをより具体的に示せないという状況なのではないか、こういうふうに私は理解したわけなのであります。
 そこで、法案とともに能力基準のさらなる具体的中身、あるいは給与その他の制度との具体的な関連も示されなければ、どうもその辺、提案されても議論のしようがないんじゃないのか、こういう気がするわけなのであります。
 今、根本副大臣からお話しいただきましたけれども、これまでのやりとりをお聞きしまして、人事院総裁はこの能力等級制度についてどのように考えておられるのか、基本的なところを、見解をお願いいたします。
中島政府特別補佐人 能力等級という言葉は何回も聞きますけれども、その言葉をお使いになる方が実はどういう内容のものをお考えになっておるのかということはよくわかりません。今の根本副大臣のお話を耳を澄ませて聞いておりましたけれども、なかなかそれも理解できないという状況でございます。
 ただ、この際はっきりしておきたいことは、公務員の人事管理、給与管理の中で能力というものを適正に位置づける、このことは非常に重要なことだし、今必要なことだというふうに思います。したがいまして、人事管理、給与管理という仕事に携わっておる人間は、適正に位置づけるということについて恐らく非常に毎日悩んでおる、私たちも同じですけれども、悩んでおる。しかし、この悩みというものを解決して、新しい、みんなが納得し、公正な制度というものをつくっていかなきゃならないというふうに思います。
 そこで、能力等級ということを言うときに二、三考えておかなきゃならない点というのは、申し上げておきますと、一つは、先ほど黄川田先生がお話しになられましたように、民間における今までの経験というものから、能力主義というものを人事管理、給与管理に導入しようとした民間企業が、その能力評価というものの困難性の結果、年功的な運用に陥って、現在、仕事給あるいは役割給というふうに移ってきておるという事実をどういうふうに評価し、どのようにそれを新しい制度の中に取り入れていくかということが非常に重要じゃないかというふうに思います。その結果、この能力主義人事管理というものをもともと提唱なさった旧日経連、そのレポートの中には、能力等級と職務等級というのは結局一致するんだということが書いてありますけれども、そういうことについてどういうふうに考えておられるのかということはぜひとも明らかにしていただきたいなというふうに思います。
 それから第二番目に、公務員の給与というのが年功性を強く持っておる、これを是正しなければならないということはよくわかりますけれども、年功性というものをゼロ否定するのか、あるいは、認めるとしたらどこまで認めるのかということについての見解といいますか、考え方というものが明らかにされる必要があるだろうというふうに思います。
 もう少し申し上げたいこともございますけれども、余り時間がないようでございますので、これ以上申し上げませんけれども、いろいろ議論を重ねていって、いい制度といいますか、能力というものを人事管理、給与管理の中でどのように位置づけていくかという、この適正な位置づけというものについて努力していかなきゃならないというふうに思います。
黄川田委員 民間においても、新しい人事管理というものを導入するときは、労使のきっちりした話し合いであるとか、お互い納得する形が一番必要だと思いますし、公務部門においても、職員団体であるとか、あるいはまた人事院の話も聞きながら、ぜひとももう少し、一致するところといいますか、さまざまな声があるわけなのでありますから、きっちりした形で法案として出されないと、対決法案といいますか、いろいろと意見が出ると思いますので、その点だけは述べておきたいと思います。
 それでは、時間がもう残り二、三分でありますので一点だけ、郵政公社化に際しての質問をさせていただきます。
 御案内のとおり、四月一日から公社化になるわけなのでありますけれども、この郵便事業、大変厳しい中にあります。そこで、地方において郵便のユニバーサルサービス、この提供を維持していくことが難しい、厳しい状況になるのではないかと危惧するわけでありますけれども、これについて大臣の所見をお願いいたします。
 そしてまた、厳しい状況の中で、採算性が乏しいと思われるワンストップサービスなど地域関連施策の見直し、市町村との連携等々これまでやってこられたわけなのでありますけれども、これに支障を来すことになることもこれまた危惧されるわけでありますけれども、あわせて大臣の所見をお尋ねいたします。
加藤副大臣 委員御指摘のとおり、今郵便事業は、IT化の推進とか、また企業の郵便費の節減とか、また競争激化等の事情によりまして、郵便業務収入が減少しておりますが、一方、小型物品市場の拡大とか、いわゆるダイレクトマーケティング等の新たな郵便サービスに対するニーズも広がりつつありますので、そういった新たなニーズに的確に対応して積極的に営業活動を展開していったり、また、いろいろなコスト削減等を図りながらユニバーサルサービスが維持できるようにということで、先般、日本郵政公社設立会議においても、中期経営計画の中におきましてそういったことを盛り込みながら、何とか頑張ってユニバーサルサービスを維持していこうという方針でございます。
 今御指摘のありましたワンストップ行政サービス、これは御承知のように、必要経費というのは地方自治体から支払われるいわゆる事務手数料によって賄うことにしておりますが、現在、収支面では若干支出超過となっておりますけれども、今後、市町村の合併や、また都市部での取り扱い等によりまして、利用が増加されることが期待されるところでありますし、引き続いて、地域貢献施策というのが公社法の第一条にもうたわれておるわけでありますので、取り組んでまいりたいと考えております。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私、きょうは、地上放送のデジタル化の問題、これでただしていきたいと思います。
 まず片山大臣にお尋ねいたしますが、地上放送をこれからアナログ放送からデジタル放送へと移行するわけですが、この移行というのは、やはり国民や利用者に混乱を与えることなく円滑に進めなきゃならない、これが大前提だと私は思うわけなんですが、大臣、どのようにお考えですか。
片山国務大臣 矢島委員の言われるとおりでございまして、できるだけ円滑に、国民の皆さんにも大変なだらかに受け入れていただけるような、そういうデジタル化を考えております。
矢島委員 いよいよことしの十二月から地上デジタル放送が開始される予定です。一昨年のデジタル化のためのアナ・アナ変換にかかわる電波法の審議の中で、私どもは、このことが、いわゆるデジタルテレビを買えと、つまりテレビの買いかえを強制するものじゃないかとか、あるいは、二〇一一年にアナログ電波をとめてしまうわけですけれども、今現在アナログ放送でカバーしているエリアをデジタル放送が一〇〇%カバーできるのか、そういうことをただしながら、非常に問題のある計画だということで反対いたしました。
 その後、自民党の議員の中からも、地上波デジタル計画は凍結せよとか、あるいは地上波デジタル計画は破綻するとか、こういうような論文がいろいろ雑誌にも発表されております。
 私は、地上放送デジタル化計画について、総務省が示している計画あるいは見積もり、こういうものを徹底的に本委員会で検討し、論議していくということは非常に重要であるし、今そのことが求められている、このように思うわけです。
 そこで、大臣が先ほど、この円滑な移行、これが大前提だと、そのとおりだと思います。一昨年のやはりこの総務委員会の審議の中でも、大臣は、二〇一一年までにはデジタル放送のカバー率一〇〇%、つまり、現行のアナログ放送の電波が届くこういうエリアはすべてデジタル放送の電波がカバーする、こういう見通しを述べられたわけですが、この見通しについて現在も変わらないのか、その辺についてのお答えをお願いいたします。
高原政府参考人 今先生おっしゃいました点でございますが、この地上テレビジョン放送については、放送法第二条の二及び先般改正いただきました電波法の改正を受けまして、平成十三年七月に放送普及基本計画というものを改正いたしております。
 そこの中で、アナログ放送からデジタル放送へ全面移行すること、あるいは、平成二十三年、二〇一一年にはアナログ放送を終了すること、それから、今先生がおっしゃいました、デジタル放送においてもアナログ放送と同様に、全国各地域においてあまねく受信できることというふうにしております。
 現在、地上アナログ放送と同等のエリアをデジタル放送でカバーするというこの考え方に変更はございません。
矢島委員 局長でいいですけれども、局長、現在も変わっていない、その見通しの根拠、どこにあるんですか。
高原政府参考人 見通しというのは、今現在、既にアナ・アナ変更事業は始まっておりますし、去年、送信側設備については始まって、受信側もことし始まっております。今のところ順調にいっておりますので、特にこの見通しを変える必要はないと考えております。
矢島委員 民放連が昨年十月に経営研究会というのを行いました。この民放連の研究主事が「地上デジタルテレビの普及推計とキャッシュ・フローシミュレーション」という報告をこの研究会の中で行っています。
 これによりますと、主要中継局までのいわゆる送信設備のデジタル化、これは北海道は九年かかると。独立U局十三年、それから、八九年以降開局ローカル局は七・五年という数字を出しております。
 民放連自身が、二〇一一年までに北海道などはこの主要中継局までのデジタル化すら非常に困難だという試算を出しているわけですけれども、総務省、こういう研究発表についてどのように。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたのは、民放連の研究所の試算だと思います。
 我々といたしましては、この地上デジタル計画を進めるに当たりましては、「地上デジタル放送の今後の進め方について」という、全国地上デジタル放送推進協議会においてまとめました案に基づいて、今後の進め方ということで、参考として免許方針を定め、それをパブリックコメントにかけたわけです。その中で、今のスケジュールも当然入っておるわけですが、それに対して放送事業者から賛成の意見をいただいているところでございますので、今先生がおっしゃったのは、あくまでも一つの研究所の試算だというふうに認識をいたしております。
矢島委員 答弁にありましたように、一つの研究所の研究の中身だと。しかし、これ、完全に無視しているわけではないと思うんですよ。研究者が研究発表したわけですから、総務省としても、いろいろな意見を周りから聞いているわけですから、こういうのも参考にしながら対処しているんだろうと思います。
 もう一つあるんです。これは、NHK放送文化研究所が出しております「放送研究と調査」という雑誌です。二〇〇二年の八月号です。
 これには親局と二番目局のエリアカバー率の全国比較という資料を載せているんですが、それによりますと、関東、中京、近畿のいわゆる三大広域圏、ここではこの親局と二番目局まででエリアを九〇%カバーすることができる、こういう記載がありました。それに対して北海道では五割にも満たない。
 この「放送研究と調査」というのは、北海道の広大なエリア状況について、他の地域が大体十億から三十億程度の送信設備費で済んでいるのに対して、北海道は八十六億円以上の額に達しているという記載があります。さらに、北海道では、百七十ある中継局のうち最後に残る三%をカバーするのに約百の中継局を使っていると。この百の中継局というのは、そもそもが自治体負担で建設したものだとかあるいは国が補助してできたものです。こうした地域をローカル局が独力でデジタル化するのはほとんど絶望的などという表現を使っております。
 民放ローカル局の技術系担当者に意見を聞きましたら、もともと三十年かけてあまねく普及するように地上波は電波を出してきた、それを十年でデジタル化しろというのは幾ら何でもむちゃな話だと思いますよ、こういう話が返ってまいりました。最後の数%のエリア、どう考えてもなかなかデジタル化できるものじゃありません、こういうことも言っておりました。
 そこでお聞きしたいのは、既に二〇一一年までは十年切っています。しかも、この北海道エリアのデジタル放送が始まるのは二〇〇六年ということになります。北海道の民放は、二〇一一年にエリアカバー一〇〇%可能、こういうことを言っているのか。北海道の民放が、二〇一一年までに、現在アナログ放送でカバーしているエリア、これをデジタル放送でカバーする計画、こういうものをつくっていると思うんですが、これをぜひ示していただきたいと思うんです。
高原政府参考人 先生おっしゃいますように、北海道は、今のアナログの放送の場合にもかなり中継局は他の地域に比べてたくさん擁しておることも事実でございますし、デジタル化するに当たっても同じように多くの中継局を擁するであろうというふうに考えております。
 それから、現在は、北海道の放送事業者の方、東名阪以外は、放送事業者においてデジタル化放送に向けて中継局の設置計画を含めた計画の策定に取り組んでおるところでございまして、具体的にそれがどういう状況になっているかというのは、まだ北海道については承知いたしておりませんけれども、いずれにしろ、先ほども申し上げましたように、アナログと同じエリアをカバーしていただくことが必要であろうと考えております。
 そのためにはいろいろな支援措置も用意いたしておりますし、また、この平成十五年度の予算、税制等におきましても、各種税制、金融上の支援措置を拡充いたしておりますし、また、放送事業者においても、デジタル化投資のコスト削減のために、いろいろな、鉄塔の共同建設あるいは放送用機材の共通仕様化といったようなことにもかなり取り組んでいただいてコスト削減を目指しておられるといったようなことでございますが、さらにその状況も注視しながら、総務省としてもこれから必要な措置を含めて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
矢島委員 局長、デジタル放送チャンネル案というものがあるわけですけれども、もちろん、デジタル放送を行うためには、NHKやあるいは民放局の各デジタル化した中継局にデジタル放送チャンネルを割り振る必要があるわけです。
 そこで、北海道のデジタル放送チャンネル案では、現在のアナログ放送エリアをカバーするだけの中継局にデジタルチャンネルが割り振られているのかどうか、それから、デジタル放送のチャンネルが割り振られている送信所がカバーするエリア、これがどれだけの世帯カバー率になっているか、わかったら答えていただきたいんですが。
高原政府参考人 先ほど申し上げましたように、東名阪以外の地域につきましては、アナ・アナ変換作業も含めて、作業の手順を今策定しておる最中でございまして、先生おっしゃる、具体的な周波数あるいはチャンネルプラン等も当然のことながら措置をしていきますけれども、具体的に今どのような状況にあるかというところまで具体化はしておりません。
矢島委員 確かに、東京を初めとする三大広域圏については、もうことしの暮れには始まるわけですから、それぞれチャンネルプランを持ってやっている。そのほか、全国的な状況というのはこれからだということもわかります。しかし、それがないと実際にアナ・アナ変換できませんから、ですから、まずそこの作業というのはどんどん始まっていると思うんですね。
 お願いしたいのは、そういう全国のいわゆるデジタル放送チャンネル案というものについて、でき次第ひとつ資料として出していただくということをお約束いただきたいんですが、いかがですか。
 少し時間の関係で先に、同じことですから繰り返しますのでやめますが、実は日経ニューメディアという新聞で、二〇〇二年三月十八日号ですが、デジタル放送チャンネル案をもとにしてつくった世帯カバー率というのを報道しているんですね、そこでは。
 この日経ニューメディアは何をやったかというと、岡山・香川地区の民放五社とNHK、これを計算して、NHKは八九・七%、西日本放送八七・五%、山陽放送八七・五%、岡山放送八七・五%、以下、瀬戸内海放送もそれからテレビせとうちも同じ八七・五%、こういう数字を出しているんです。これは、もともとはデジタル放送チャンネル案というものを出発して、多分推測しながら推計していったんだろうと思うんです。
 そこで、私が先ほどお願いした、デジタルチャンネル案というものをでき次第出していただくということによって、どれだけの放送エリアをカバーするか、どう割り振られているか、これを検証することができると私は思うんです。そのことを検証するのは国会の一つの責務だと思いますので、ぜひその資料を出していただきたい。
高原政府参考人 先生おっしゃいましたデジタルのチャンネル案及びアナログ周波数変更のチャンネルにつきましては、放送用周波数使用計画というのがございまして、そこに規定しておりますので、そこで規定をして公表するという手はずにしたいということでございます。
矢島委員 昨年の十二月十日、局長は、これは参議院の方ですが、我が党の宮本岳志議員の質問に答えて、これは、いわゆる関東広域圏の親局の送信出力十キロワット、ところが、現在アナ・アナ変換の問題が出てまいりました、そこで、いきなり最大の出力では出せないから段階的にこの出力を拡大していくと。そのとおりだと思うんです。そういう御答弁がありました。
 そこでお聞きしたいのは、三つあるんですが、現在のアナログ放送と同等のエリアをカバーできるとすれば、どれだけの世帯をカバーできるのかというのが一つ。二つ目に、それは現在のすべての中継局を考慮に入れたアナログ放送視聴可能エリアの何%をカバーすることになるかということ。三つ目、フルパワーでは放送できない現在、現時点、つまり、そういう時点で、二〇〇三年十二月、ことしの十二月にはどれくらいの世帯までカバーできると予定しているのか。数値があったら教えていただきたい。
高原政府参考人 現在、アナログテレビ放送における置局は、関東で千五百五十一万世帯カバー、三大都市圏で二千六百八十一万世帯カバーということになっています。
 それで、この地上デジタル化におきまして、最終段階でございますが、これは三大広域圏でございますが、民放で二千二百六十六万世帯、八二・四%、NHKで二千二百七十八万世帯、八二・八%といったような試算をいたしております。
矢島委員 今、三大広域圏全体の数でお答えいただいたと思うんですが、総務省からいただいた資料によりますと、例えば多摩地区のアナ・アナ変換対象世帯というのは約二十一万世帯、こう出ております。それから、宇都宮のアナ・アナ変換で、いわゆる変更対象世帯というのが三十一万世帯。
 単純に考えてみますと、こういうことになるんですかね。まず、多摩地域が変換が終わらなければ、東京とか埼玉、千葉、茨城、神奈川、この一円に届くような出力でデジタル放送はできないのかなと、極めて単純に考えているわけです。それから、宇都宮の三十一万世帯とありますが、これが終わらないと、北関東を含む関東一円に届くような出力でデジタル放送はできないのかなと。
 そこでお聞きしたいのは、それぞれの範囲に届くような出力でデジタル放送の電波が出せるのはいつごろになるんだろうか。それから、それぞれの時点でどれだけの世帯数をカバーできるのか。おわかりになったら教えていただきたい。
高原政府参考人 今先生おっしゃいました多摩地域あるいは宇都宮地域でございますが、NHKと民放で状況は違っております。NHKは、特にこの二十一万世帯あるいは三十一万世帯の体制は必要でございませんが、民放は必要なところがございます。
矢島委員 では、いつの時点で例えば多摩地域をカバーするそういう出力になるのか、それから、宇都宮が終わって、北関東一帯がいつごろにカバーできるような出力になるのか、そのときそうなると世帯数はこれくらいになる。出ていなきゃいいですよ、また後で。――いいですか。
高原政府参考人 当初の出力はどうなるかということと、それからその辺のカバーの割合等でございますが、予備免許をもう少しすると出すわけで、その中で、そのときに確定する。今検討中ということでございます。
矢島委員 ぜひ、予備免許が出た段階でそれらの数値を教えていただきたいと思います。
 それから、もう一つお聞きしたいのは、昨年の十二月に、各放送局、免許申請が出されました。マスコミによりますと、二〇〇三年十二月の開始時点では、港区や千代田区、中央区の一部の十二万世帯、多摩地区等のアナ・アナ変換が終了すれば、二〇〇四年度には東京と千葉西部の約七百万世帯、それから、宇都宮地区などの中継局におけるアナ・アナ変換対策が終了すれば、二〇〇五年には最大出力で千二百万から千三百万世帯をカバーする、こういう報道もありますが、先ほど私が要求しましたような形で、数値を後で出していただければありがたいと思います。
 そこでお聞きしたいのは、関東広域圏で、アナ・アナ変更対策、混信対策も含めて対策世帯は、当初の見積もり何世帯で、現時点の見積もりでは何世帯に変わったか、それをお聞きしたい。
高原政府参考人 関東地域は、当初は七十九万世帯程度であろうと思っておりましたが、これが現在百四十万世帯程度に増加をいたしているところでございます。
矢島委員 約二倍近くにふえているわけです。
 私は、非常に心配しているのは、このアナ・アナ変更が順調にいくかどうかということで関東広域圏のデジタル放送カバーエリアは大幅に影響を受ける。一応、改正電波法では五年以内に行うということが求められているわけですが、実際には、既に当初の予定よりも一年半ぐらいおくれているわけですか。ですから、残る期間は三年半ぐらいしかないわけです。しかも、今答弁いただいたように、対策世帯は約二倍。しかも、屋根へ上ってアンテナの方向を変える、こういう世帯が相当数あると。報道によりますと、二十七万世帯程度あると推定されている。これはまた、作業が非常に大変、手間がかかる問題だと思うのです。
 そういうようなことを考えますと、当初の計画と比べて、対策期間は短くなった、それから対策する世帯は約二倍近くになった。そういう状況の中で、ある専門家は、電波というのは生き物だから、やってみないとどんな事態が発生するかわからないなんということを言っておりましたが、本当にこれで期限内に進むのか、終わるのか。大変な状況だなと私思うのですが、そうは思わないのですか。大変じゃないですか、これは。
高原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、青梅等で今始まっているところも見ましたところ、スムーズにいっているところもございます。三大都市圏で今始まっておりますけれども、アンテナの変更を要しない地域、要するにチャンネルのプリセットだけで済むところもかなりございます。かなり順調にいっている局所もございます。それから、地域的にも三大広域圏とその他地域に分けて今回行うことといたしておりますので、当初予定どおりにきっちりこれは進むというふうに私どもは考えております。
矢島委員 細かいデータ、あるいは私が要求した数字等を出していただいて、私どもも十分その面からの検討をしたいと思います。
 そこで、時間がなくなりましたので、大臣、今までずっとお聞きいただいていたと思います。大臣は、二〇一一年にはもう完全に実施していこうということについて、私がそれは無理だからやめろとか延ばせと言ったって、そうしますと言わないということはもうはっきりわかっています。しかし、私が考えるに、まず、アナ・アナ変換でああいうずさんな計算見積もりをやって、大変な事態を経て、一年半も実施がおくれている。そういう中で、さらに進めていく中でやはり国民の中には、いつまでに私たちはデジタルを見ることができるんだろうかという、いろいろな質問もあるわけですし、疑問もある。
 それから今度は、メーカーの方だって、この間、秋葉原でテレビを買いたいと言ったら、もうそろそろデジタル放送だぞということ。それがあるのかと言ったら、ないと言うんですね。なぜないのかと言ったら、要するに、計画的にどこの地域が何世帯いつまでに電波が届くからということがはっきりすれば、なるほどそれではこれだけの生産をしていこう、この地域にはこれだけのテレビが売れていくだろう、いろいろな計画が立てられるわけですよ。ところが、皆目そういうのはないし、買う方もはっきりしない、売る方もはっきりしないでは、これは、先ほど大臣が言われた円滑な移行ということにならないんじゃないか。最後にそのことについて。
片山国務大臣 いろいろな御意見がありますが、我々は、地上放送のデジタル化は国民に大きなメリットを与えるし、我が国経済にも活性化の一つのよりどころになる、こういうふうに思っておりまして、はっきりと二〇一一年というのを示して、関係者が全部集まって、一生懸命力を合わせるのが適当ではなかろうか、こう思っております。
 ただ、今矢島委員言われましたように、やはり国民の皆さん、それからメーカー、小売、卸、そういう皆さんの御協力もいただかなければなりませんので、私どもの方で懇談会をつくりまして、一月の終わりに国民への周知、広報を徹底するためのアクションプランをそれぞれの分野でつくっていただいて、国民の皆さんのスムーズな御了解のもとにデジタル化を進めていきたいし、特にデジタル受像機の買いかえもしていただきたい、こういうふうに思っておりまして、今後とも懇談会を中心に十分な議論をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
矢島委員 最後に要望です。要望というか、私の意見なんですが。
 今私がずっと言ってきたように、大臣、いろいろな面でまだ困難さが残っているんです。困難さが残っているけれども、ことしの十二月になりますと三大広域圏で始まるわけですよ、いわゆる本放送です。しかし、東京の場合には、そうはいったって、全出力でやるわけにいかないから十キロワット出せない、こういう事態も起こっている。ですから、どんな放送でも試験放送というのがあるんですね。いきなり本放送というのをやる場合、今それになっているのですが。ですから、いわゆるデジタル放送の試験放送という期間があってもいいんじゃないのかなということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。
 さきの総務大臣の所信表明に関連しつつ、国政上の幾つかの問題についてただしたいと思います。
 まず最初に、市町村合併についてでございます。
 補正予算に伴う地方交付税の審議の折、大臣は、私の市町村合併に関する質問に対しまして、二〇〇五年度までに閣議決定で示した千程度とすることは難しい状況にある、率直にそういう答弁をなさいました。問題は、その原因をどのように認識しているかという問題であります。
 一般的に西高東低と表現できるような現実にあるわけですが、地域的にも、またマクロ的にも、合併が政府の思惑どおり進んでいない、この原因は那辺にありや、こういう点を最初にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 千というのを行革大綱に書きましたけれども、これは与党三党が言われた目標でございまして、我々としてもできるだけそれに近づくようにと、こういうことでございますが、今回は自主的な合併でございまして、行革大綱を決めてからの時間もそれほど長くありませんので、私は今、それでは十七年三月の特例法の期限で千になるかというと、これは大変難しいだろう、しかし、できるだけそれに近づける努力はいたします、こういうふうに申し上げているところでございます。ただ、先ほども言いましたが、八割の市町村が合併を真剣に検討していただいておりますし、法定協議会も毎日のようにふえておりますから、私は、相当これからピッチが上がってくるのではなかろうか、こう思っております。
 そういう中で、やはり地域的に見ますと、西日本の方が進度が速うございまして、東日本が少しおくれております。東北や北海道は、やはり面積が大きいですね。それから、冬寒くて雪が降るということもありますし、それから、都道府県の取り組みが幾らかゆっくりしている。こういう総合的な要因ではなかろうかと思っておりますが、このところ東日本でも、やはりだんだん締め切りが近づくものですから、それでは急いでやりましょうかという雰囲気にはなりつつある、私はこういうふうに思っております。
重野委員 大臣の答弁を今までこの問題についてもう何遍も聞いてきましたけれども、決して強制ではありませんということを一番最初に申されるのでありますが、私は、その言葉は大臣に大部分返さないかぬのかなというふうな感じがするんです。
 この合併に絡んで、例えば、地方交付税の配分の点において優遇するであるとか、地方債を厚く考えますよとか、いろいろな意味で呼び水をやっておるわけですね。そのことが結果的に、当の自治体における認識の熟度と申しますか、現に私の出身県においても、当初、県が考えて示したアウトラインとは違った形での組み合わせがかなり出てきているというふうな話があるんですね。
 だから、私はやはり、自治体が真剣に議論をし、その議論の中からあるべき姿を導き出していくという過程が非常に重要だと思うんですが、そのとき、国が考えている優遇措置というものがその熟度を結果的に薄めてしまう、そういう部分も出てくるんではないかというような感じがするんですね。そういう点について大臣の認識をもう一度聞いておきたいと思うんですが。
片山国務大臣 確かに今の特例法は相当な優遇ですね。財政的な面はもちろんありますし、各省の施策もありますし、それから議員さんの処遇その他、あるいは合併前の町村にも目配りをした地域審議会、あるいは基金構想とか、相当な優遇措置だと私は思いますが、あれがあるからそれじゃひとつ乗ろうか、こういう心理は確かにあると思います。しかし、それはやはり一時的な優遇ですから、それぞれの地域社会の将来を考えて、こういうまじめ論も相当あるので、そこは我々が今検討しておりますように、若干、締め切りが結果として延びるようなことも考えておりますから、関係のところでの十分な御議論を賜りたい、こういうふうに思っております。
 本当にこの地域社会の将来はどうあるのが一番いいか、子や孫にどういうものを残していったらいいかということの検討をぜひ私はお願いいたしたいと思っておりまして、きょうも大会ではそういう趣旨のことをちょっと申し上げたところであります。
重野委員 その議論は、私はやはり、非常に根源的な議論であって、今後とも並行して深めていかなければならぬ問題だろう、このように思うわけです。
 同時に、私は、今グローバル化という言葉がよく使われますけれども、そういう地球的な大きなうねりの中で地域社会がどうあるべきなのか、これも非常に根源的な議論になるわけですけれども、そういう基本的な問題というのを今後お互い深めていかなければならぬという点がありますが、それはさておいて、本日は、特に合併の手続問題について、私の思いの一端を述べながら、また議論を深めていきたいというふうに思うわけです。
 さっきも冒頭に申し上げましたように、政府の意図する合併が今、地域的には非常にばらつきがありますけれども、私が思うに、なかなかすんなり合意した上で事が進んでいるとは思えないんですね。その点はなぜそうなのかということが一つ疑問があるということ。
 それから、そういうことを考えるときに、この点を聞いておきたいんですけれども、この市町村合併特例法五条では、合併協議会は市町村建設計画の作成を義務づけられております。そこで、ここで規定するこの市町村建設計画とは、一体、行政上の計画としてはいかなる性格を持つものかという、これは基本的な問題ですが、この点まずただしておきたいと思うんです。
吉田大臣政務官 御質問にお答えを申し上げます。
 市町村建設計画は、御案内のとおり、合併市町村の建設に関する基本的な計画、いわゆるハードなコンストラクションプランということでなくて、合併市町村のマスタープランとして役割を果たすものとしております。そして、市町村の合併に際し、合併関係市町村の住民や議会に対して、合併市町村の将来のビジョン、いわゆる絵を与えて、そして合併の適否の判断材料としていただく、こういったものでございます。
 合併特例法第三条において、市町村建設計画は合併協議会において作成するものとされており、その具体的な項目としては、合併市町村の建設の基本方針、あるいは、合併市町村または合併市町村を包括する都道府県が実施する合併市町村の建設の根幹となるべき事業、三としては公共的施設の統合整備、四としては合併市町村の財政計画に関する事項、これが例示されている、イグザンプルとして挙がっている、こういうことであります。
 なお、合併特例法に基づくさまざまな財政措置を合併市町村が受けるに当たって、市町村建設計画の作成が前提となっている、このこともお知りいただいていると思います。よろしくお願いを申し上げます。
重野委員 今の答弁の内容は私も十分承知をしています。それから先なんですね、それから先を私は求めているんです。つまり、この市町村建設計画をもって住民が判断をする材料だ、今こういうふうに申されました。では、その内容が、この建設計画なるものが、住民をしてその良否というか、わかったと言われるような仕組み、内容になっておるかどうか、こういう点について私は聞いておるんですよ。
 もう一度、そうです、そうなっていますというのであれば、そうなっていますと。しかし、私はそのようにはあの計画、いろいろな現地に調査にも行きましたけれども、異常に難航している。難航しているところに調査に行って、実際に聞いてみると、見てもわからぬ、これが地域住民の私に返った返事なんですね。その点について私は聞いておる。
吉田大臣政務官 地域の実情に応じて、あくまでも、先ほど申し上げました四項目、これは例示したということでありまして、もちろん、その地域で具体的に、広範に精いっぱい議論をしていただくということが大事だと思います。
 さらに、市町村建設計画の重要性や、あるいは合併特例法が計画の作成または変更時における公表を義務づけること、これらにかんがみて、合併協議会の中で十分な議論を経て計画を作成し、これを住民に周知させるように措置をとることが望ましい。
 総務省としても、その作成に当たって留意すべき点などを手引書としてまとめて、合併協議に取り組む市町村に情報提供をさせていただいている、こういうことで、周知徹底には努力をさせていただいております。
重野委員 そういう答弁が返ってくるんだろうかと思っていましたが、確かに総務省が作成しております、あれ、二十ページほどありますね、X市・Y市合併まちづくり計画(例)というのが出されております。これは手引書みたいなものですね。そのマニュアルに従って、合併市町村の状況であるとか、あるいは目標値なりを入れていけば、この市町村建設計画の装いを凝らせるようになっている。
 こういう点で、私は、合併の是非を真剣に考えずに、失礼な言い方かもしれませんけれども、すんなり、余り議論も尽くさずにやっていくところにとっては、これは非常に都合がいい。しかし、いろいろな角度から本気で真剣に議論をする、そういう自治体にとっては、これは本当に受けとめられる内容になっているのかどうなのかという議論が一つ起こってくるわけですね。
 そこで、私は、このマニュアルに従って市町村建設計画を作成する、その上ででき上がる合併なるものが本当に、大臣は常に自主合併ということを申されておりますけれども、その自主合併と言えるのかどうなのかという問題意識が一つあります。あるいは、こうしたマニュアルがなければなかなか進まないという例があるかもしれない。そういう合併とは一体何なのかという疑問。あるいは、マニュアルを提示するということ自体、総務省設置法四条に総務省の所掌事務がずっと、もう何十と並んでおりますけれども、そういう趣旨に本当に適しているものなのかどうなのか、こういう疑問も出てくるわけです。
 以上三点についてお答えください。
若松副大臣 「合併協議会の運営の手引」というのが正式な名称でございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、全国の自治体の八割以上が合併を協議している、さらに五割以上が法定、任意の協議会ということで、このような合併協議の進め方に関する相談が総務省に大変多くなっております。
 そういったことを背景に、市町村が住民とともに、十分、円滑な合併協議を行うために、関係法令とかまた制度、合併した市町村の先進事例を紹介しつつ、このような手引をつくった次第でございまして、これはあくまでも参考にしていただければと、そのように考えているところでございます。
 そして、この手引を参考にしていただくことによりまして、市町村は、先ほど申し上げました大変複雑な関係法令やまた制度等につきまして、当然多大な労力を省くことができまして、結果的に、効率的、効果的な合併協議会を運営することができる、このように期待しているところでございまして、あくまでも各市町村はこの手引によって強制されるものでないということを改めて確認するものでございます。
 そして、この「合併協議会の運営の手引」の取りまとめ及び公表につきましてでございますが、あくまでもこれは、何度も申し上げておりますように、自主的な市町村の合併を推進するための必要な助言、情報の提供その他の措置を講ずる、こういったことでありまして、委員の御指摘のいわゆるいろいろな形態の合併、これについてどう総務省として対応しているかということでございますが、現在、市町村間の各地域割り等を含めまして、すべての質問、御要望等に、我が省として全面的に今協力体制をもって合併推進に取り組んでいるところでございます。
重野委員 そこで、この市町村建設計画の内容について、もう少し詳しく聞いておきたいと思います。
 市町村合併にかかわる二〇〇〇年十二月の閣議決定がございますが、それ以降、市町村建設計画の作成または変更について、総務大臣の報告の受理という行為がありますが、その件数はどれだけあるんでしょうかということが一つ。
 それから、その建設計画の中で、例えば公共施設の統合整備というのがありますが、その統合整備について、具体的にどのような整備内容となっているのか、幾つか例示していただきたい、これが二つ目ですね。
 それから、報告の受理件数は幾らあるか私は知りませんが、そう何百というふうな数には上がっていないのではないかと思うんですが、そこで、大臣が受理した既往の計画並びに今後報告される計画について、本委員会にその内容を出していただきたい、こういう私の要望でありますが、この点について、どのように確認できるでしょうか。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 平成十二年十二月の行政改革大綱の閣議決定以降で、総務大臣が送付を受けた市町村建設計画の件数は三十件に上っております。
 この中で、御指摘の公共的施設の統合整備についてでありますが、合併市町村の庁舎を取り上げまして、その中で、旧市町村の庁舎を新市町村の支所として活用する等々の整備が見られるところであります。また、小中学校や保育所、診療所、コミュニティーセンター、消防庁舎等の統合につきましても取り上げている例が多く見られるところであります。また、一般的な規定ではございますが、市民生活への影響に配慮しつつ、地域の特性やバランス、財政事情を考慮しながら、御指摘の公共的施設の統合整備を進めるという基本的な方針が示されているところも多く見られるところでございます。
 送付を受けました市町村建設計画の取り扱いでございますが、公表資料でございまして、ホームページ等々で閲覧することも可能でございますが、その取り扱いにつきましては委員会でお諮りいただければと考えております。
重野委員 今、ホームページ等々見れば公表していますという内容でもありますので、ぜひ委員長、本委員会に提出していただくようにお取り計らいをお願いしたいと思います。
遠藤委員長 理事間で話しましょう。
重野委員 そこで、その資料が出された時点で改めてまた質問を深めたいと思うんですが、市町村建設計画に関する総務省の公共施設の統合整備に関するマニュアルのくだりについて聞いておきたいんですが、このマニュアルでは、「基本とする。」だとか「あり方を検討する。」などと書いております。この表現はどの程度具体的な記述を求めているんでしょうかというお尋ね。
 それから、よもや、先ほど私もちょっと触れましたけれども、基本的な考え方やあり方を検討すると記せばよいというようなことではないんだろうと思うんですが、その点についてお答えください。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 マニュアルにおきまして、御指摘の「基本とする。」あるいは「あり方を検討する。」という記述が見られるところであります。これは、市町村建設計画の具体的な内容をイメージしてもらいますために、実際に作成されました市町村建設計画をベースに例示したものでございまして、どの程度の具体性が必要かという点につきましては、それぞれの合併協議におきまして、それぞれの地域ごとに判断されるべきものと考えております。
重野委員 私は、この部分というのは、当該自治体に住んでおる住民にとっては最も大きな関心を寄せる部分だと思うんです。合併する場合に、新たに公共施設がどのように整備されるのかということ、あるいは、行政サービスの拠点となっている公共施設が合併でどうなるんだろうかという点、役場はどこに行くんだろうか、小中学校はどうなるんだろう、病院や幼稚園、保育園、公民館はと、そういう公共施設に対する住民の思いというのはもう数限りなくあるわけです。
 私、先般、ある当該地域に入りまして、そこは二市八町で合併をする地域でありますが、行って話を聞いてみますと、どうもそこら辺のイメージが全然わいてこない。まあとにかく、とりあえず合併して、そこから先、話せばいいや、こういうふうな、イメージと言えば語弊がありますけれども、そういう感じなんですね。合併すればここは、この人が市長になるだろうし、あとの今の町長さんや市長さんはみんなもうやめるんだというふうな、冗談とも本音ともわからぬような話がやはりまともに出てくるわけですね。
 そういうふうな状況がありますから、例えば私が行ったところでは、そこが合併すると、その県の県庁所在地の二・六倍の広さになるというわけですね。小学校は五十一校、中学校が二十一校、郵便局は四十五局あるというんです。公立病院が四つある。それから公立の温泉が七つある。こういう物すごい大きな合併なんですね。どうおさまるんかなと本当に私は心配になりました。
 そういうケースがあるという前提に立って、今私が申しましたように、こういう実態の中で、今言うように、いや、それはそちらで考えることですよということで、もうここは一番早く合併するわけですね、この地域は。言うと、熊本のあるところですけれども。本当に私は心配になりました。そういう前提に立って答えてもらわぬと困りますけれども、どうですか。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
吉田大臣政務官 お答えいたします。
 市町村建設計画における公共的施設の統合整備の決め方については、合併協議の時点で明確に方針を決定している例もありますし、また、基本的な方針を掲げて、新市町村となった後も、その方針に即して統合整備を進めることとしているという事例もあります。さまざまなものがあると理解をしています。
 このように、公共的施設の統合整備の項目において、どのような決め方をし、あるいはどの程度の具体性を求めるかについては、まさに合併協議の中で、その地域の実情に応じてどのような内容が望ましいかと判断していただくところに帰着するものと思います。
 マニュアル、すなわち「合併協議会の運営の手引」で国が方向をガイドしたのでありまして、市町村は、あくまでも自主的に、マニュアルを意図しながら進めていただく、これに尽きるものではなかろうか、そのように思います。
重野委員 確認しておきますが、そういう自治体が自主的に計画をつくって、その報告が都道府県知事に受理をされ、そして総務大臣に出てきた。そのときに、今私が申し上げましたような実態を十分受けとめた中で、その報告について、それを全面的にやり変えろとか、そういうふうなことは予定していない、こういうふうに受けとめていいんですか。
吉田大臣政務官 お答えいたします。
 今御質問の、この計画を作成したときは、直ちに総務大臣及び都道府県知事に送付しなければならない、こうしております。総務大臣は、直ちにこれを国の関係行政機関の長に送付する義務があるわけであります。したがって、総務大臣がこれに対して受理、不受理を判断する余地はないのでありまして、国の関係行政機関とともに市町村建設計画の内容を了知するというところにとどまっております。
 しかし、今御質問の、大丈夫なのかという、このことにつきましては、これを作成し、総務大臣及び都道府県知事に送付する、その前段で知事は当該自治体と十分な協議をする、こういうことでございますので、一番近いところの県との関係の中でこれらについては十分協議、調整されるもの、このように考えております。
重野委員 時間が来ましたから終わりますけれども、今のところは非常に重要な問題があります。
 私は、今の答弁を受けとめますが、今後この問題について、総務省は、やはりそういう当該自治体間の協議というものをまず最大限に尊重する、そこから出発する、こういう対応なんだというふうに私は受けとめておきます。
 なお、きょうは、そのほかまだ質問をたくさん用意しておったんですが、公務員制度改革も、きょう来ていただいておるんですが、もう時間も来ましたので、次回に持ち越しということでお許しをいただきたいと思います。
 以上で終わります。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 最初に、韓国の大邱市地下鉄火災に関連いたしまして、我が国の地下鉄に関連しまして、国民に安心を与えるというような観点も含めまして、質問をさせていただきたいというふうに思います。
 初めにでございますけれども、韓国の大邱市で発生いたしました事故で亡くなられた皆様に哀悼の言葉を述べますとともに、御遺族の方々、負傷された方々に心からまずもってお見舞いを申し上げる次第であります。
 事故発生後でございますが、我が国におきましては、国土交通省においては、地下鉄車両あるいは駅の安全基準への適合状況の調査の対応をした、また、消防庁においても、全国に対しまして、一斉点検というようなものを実施するよう通知したと聞いているわけでございます。韓国の状態というものは、この安全基準の状態というものは、我が国と必ずしも一致しない、いろいろな差があるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、こういう一斉点検を求めたということは、問題点もあるかもしれないという、そうした心配もあるというようなことでの行動だと思います。
 いずれにいたしましても、問題点があれば早期に取りまとめて、国民が安心して地下鉄等に乗れるよう、公共輸送機関に乗れるよう努めていく必要があると思いますけれども、この取りまとめはいつごろまでになさるつもりでいらっしゃいますか。
石井政府参考人 お答えを申し上げます。
 消防庁では、火災発生の翌日、十九日に、消防研究所の研究員を二名、韓国に直ちに派遣をいたしまして現地調査を行っております。また、今お話にございましたように、二十日に、国内の地下鉄駅舎及びその他の地下にあります鉄道駅舎につきまして、国土交通省の方と協力しまして、消火設備、警報設備、避難設備の状況についての一斉点検を実施するように、各都道府県を通じまして市町村に通知をしたところでございます。
 この通知におきまして、一斉点検時におきます指摘事項でありますとか、あるいは韓国の事例を踏まえました今後の火災対策上の提案等につきまして、できるだけ早く、できれば今月中に報告するように要請しているところでございます。
 この一斉点検の結果を踏まえまして、また現在、韓国では大邱市の地下鉄火災の原因究明の調査もされておるわけでございますが、こうした結果も踏まえまして、国土交通省と連携をして、今後の地下鉄の防火安全対策の充実に努めていきたい。例えばこの三月一日から全国火災予防運動等も始まります。こういった機会に防火訓練をやりますとか、いろいろなことをやってまいりたいと思っております。
金子(善)委員 ただいまの長官の答弁につきましては、さらに詰めた対応をしていっていただきたい、このように思います。
 我が国におきましても、大惨事に至らない状況ではございましたが、何回かのそうした地下鉄の放火事件等もあったわけでございます。地下鉄ではございませんけれども、過去を考えますと、新宿でのバス放火事件等もございました。犠牲者も出ているわけであります。
 こうした設備等、駅舎あるいは地下鉄の車両というようなことで、日本の場合にはいろいろな安全基準を設けて、なかなか燃えないような材質のものを使っているとか、いろいろ規制をしているというようなことだと思うわけでございますが、人為的な放火あるいは失火と申しますか、必ずしも燃えないものだけだというようなことだけで安全なのかどうかというようなことも、国民サイドから見れば、ああした事故がニュース等々で流れますと非常に心配になってくるわけであります。
 特に、最近におきましては、地下鉄も相当地下深いところを通っているというようなことで不安感があるわけでございます。そうした観点から不燃化に取り組んできているということはよく説明されているわけでございますが、燃えにくいというだけであって燃えないというわけではないと思うんですが、そうした、放火とかそういう人為的な行動に対する対策というようなものは何か具体的には考えられるんでしょうか。その辺、答弁をお願いしたいと思います。
石井政府参考人 お答えを申し上げます。
 地下鉄の車両、駅舎につきましては、今お話に出ましたように、できるだけ不燃化をする、あるいは難燃性の資機材を用いるというふうに万全を期しておるわけですけれども、今おっしゃいましたような、具体的な放火があった場合にどうか。それから、そもそもそういった放火事案を事前にどうやって防ぐかというようなこともございますので、これは国土交通省なりあるいは警察庁なんかとも相談しまして、対策の樹立に努めてまいりたいと考えております。
金子(善)委員 ただいま長官の方からは、いろいろな関係省庁とよく話を、連係プレーでやっていきたいというお話でございましたが、きょう触れる問題ではございませんけれども、犯罪の問題とかいろいろな問題が今、日本国内では起きているわけでございまして、国民が常に求めているのは、安全な世の中でありたいということでございまして、これは政府だけではなくて、やはり民間サイドも含めていろいろな角度からの安全策というものを常に考えるようにしてもらいたいというふうに思うわけであります。
 特に、不幸にして火災が起こったというような場合、初期の行動というものが一番重要になってくるというふうに思います。
 韓国の場合は、不幸にして、もともと不燃化が進んでいなかったというようなことが報道されているわけでございますけれども、同時に、運転手の行動にも問題があったのではないかというような報道もなされているわけであります。また、当然のこととして、それに関連して、いわゆる救助体制というのが、直ちに行動なされたのかどうか。テレビ等を見ていますと、連絡が遅くなったというようなことも言われているわけであります。
 こうした災害が不幸にしてあった場合、あってはならないわけでございますけれども、消防活動体制というものはどういうような地下鉄当局と連携というものをとっているのか、その辺につきまして概要を説明してもらいたいと思います。
石井政府参考人 実際に地下鉄で火災が起こった場合の駅舎の中で、例えば駅の司令室からどのような対応をするかといったような点は後ほど鉄道局長さんからお話があるんじゃないかと思いますが、私の方は、消防サイドでどうするかという点をお答え申し上げたいと思います。
 まず、地下駅には消火器なり、それから屋内消火栓設備、それから、車両にはまた消火器がそれぞれ設置されておりまして、詳しくは国交省の方でお話があると思いますが、当然、駅の職員や乗客がそれらの消火設備を使用して初期消火をまず行うことになっております。
 次に、消防機関の消防活動といたしましては、地下鉄火災の特色として、どうしても多数の逃げおくれた方がいるということが想定されるわけでございまして、乗客の避難誘導あるいは負傷者の救助を行うとともに、車両の火元の消火を主眼とした消火活動を行うということにいたしております。その際、地下鉄関係者に対しまして、火災の関係する路線の運行の停止でありますとか送電の停止等を指示いたしまして、救助に当たりますあるいは消火に当たります消防隊員の安全の確保もあわせて行うことにいたしております。
 特に、地下鉄の施設は密閉された地下空間ということでありますので、火災による煙、熱気がもう非常に充満する。また、煙の流れる方向と逆に、逆方向で消防隊が進入して消火・救助活動を行わなくちゃいけないというように、一般の地上の火災とは違った、大変消防隊が消火・救助活動で大きな制約を受けるという点がございます。
 そこで、排煙高発泡車でありますとか空気充てん車でありますとか、そういった特殊な車両等も用意いたしておりまして、排煙ですとかあるいは空気の送風ですとか、あるいは救急救助隊員が背中に担ぎます空気呼吸器、こういうものも補てんをするというような仕組みをとっております。また、泡放射的なもので消火するとか、そういった仕組みにしておるわけでございます。
 また、当然多数の負傷者が出ることが予想されますので、多数の救急車を出動させまして、地上に避難、救出された方々については、まずその場で救急隊員等が応急手当てを施す、それから負傷の程度に応じまして順次医療機関に搬送する、こういったような体制をとっているところでございます。
金子(善)委員 消防機関独自としてはそうしたいろいろな対応策を考えているということを言われたわけでございますけれども、要は、私が特に主張したいと思いますのは、ただこういうことを準備していますよということだけではなくて、日ごろからどういう連係プレーでいろいろな関係機関が訓練等をやっているのかどうか。いろいろな事故があった場合に、利用客等も右往左往するというようなことが結構出てくるわけでございますけれども、その辺の基本的な、日常的なと申しますか、意識、訓練を通じなければそういうものは出てこないと思うんですが、地下鉄の交通機関と消防機関、あるいはその他の機関があるかもしれませんけれども、こういう訓練とか何かは実際上やっておられるものなんでしょうか。
石井政府参考人 それぞれ、各路線ごとに違うと思いますけれども、鉄道事業者の方と、それから地元の消防機関とで随時やっていると思います。
 今回も、ちょうど三月一日から火災予防運動の時期でもありますし、その一環として、車両につきましてもかねてからやっておりますが、ことしは特に、まさに今の問題のような、韓国の事件がありましたので、しっかり各地で防災訓練をやるように、これは国土交通省さんとも現在相談をして準備をいたしております。
金子(善)委員 ただいま長官の方から、今後もさらに地下鉄の安全に向けて、韓国のああいう不幸な惨事を招くことがないようこれからやっていくんだという決意が述べられたわけでございまして、私もまさにそのとおりだ、そうあってほしいというふうに思います。いろいろこれから細かい点も検討なさるというようなお話でございますので、国民が安心して日常活動できる、そうした体制をぜひ築いていただきたいというふうに思います。
 もう少し触れたかったんですが、時間の関係もございますので、次の点に移らせていただきます。
 まず、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、公務員制度改革に関連いたしまして、国は、大綱に基づきまして制度を変えるんだというようなことで、いろいろ今検討が加えられているわけであります。これはいずれ地方公共団体の職員、つまり地方公務員にもそうした改革を行っていくということを目指しているだろうというふうに思うわけですが、それはそれで間違いございませんか。
片山国務大臣 当然、同じ公務員ですから、例えば能力等級その他、そういうものがきちっとできるのなら、地方公務員も同じような制度にいたしたいと思います。
金子(善)委員 まさに大臣が今言われたわけでございますけれども、この能力給制度、これが恐らく、今度の給与制度等々と申しますか、大きな今度の改正の中身で重点的な項目になってくるというふうに予想がつくわけであります。
 そこで、質問したいわけでございますけれども、今はほとんどなくなっているのかもしれません。過去におきまして、地方公務員の給与についてわたりというようなことで、つまり、役職が上がらないのに給与水準だけが上がるというようなことが一時期非常に大きな問題になったことがあったことは御承知のとおりでございます。私から申し上げるまでもございません。
 ところで、今回の公務員制度改革で導入が検討されています能力等級制度という制度でございますが、これは場合によっては、国において地方と同様のわたりを許すというようなことになりはしないかというようなことを危惧いたしております。制度のつくり方が非常に難しいであろうというふうな観点からそう申し上げているわけでございます。
 今回の国の改革にあわせて、地方公務員にもそういうことをやっていくということがあるわけでございますから、また、わたり的なものが地方公共団体にも広がっていく心配はないのかどうか。これは国家公務員、そして地方公務員両方あわせて御答弁をお願いできればと思います。
春田政府参考人 お答えいたします。
 今、能力等級制度のもとにおきまして、過去、地方公務員の給与の世界でわたりというようなことがあった、そういうようなことが起こらないかという御質問でございました。
 私ども、能力等級制度につきましては、いわゆる官職、ポストでございますけれども、これを能力等級に分類するということで、職務の種類だとか、あるいは複雑、困難、責任という、その仕事の難しさというようなもので能力等級に分類いたしまして、その能力等級との関係で、職員につきましても、その職務を遂行する上で現に発揮している能力というものをきちんと評価いたしまして、これを活用して能力等級というのを職員に決定するという制度を私ども制度化していきたいというように考えております。
 したがいまして、職員の給与につきましても、いわゆる官職につきまして現に職務を遂行して発揮された能力というものを勘案して給与の支給を行うということにしております。したがいまして、職員が上位の能力等級に基づいた給与を支給されるというためには、その等級に分類される官職、そこの官職におきまして職務を遂行するということが必要でございます。
 したがいまして、職務との関係なしに能力等級だけが上がる、それによりまして給与が上がるということはない制度とすることを予定しております。
金子(善)委員 国家公務員についての御答弁でございましたが、地方公務員についても同じようなことをやるとすればそういうことだというような答弁になるのではないかと思いますが、私はそこに懸念を持っているわけでございまして、その点については十分、よほどの検討をした上でこの制度をつくるとすれば固めていかなきゃならないんじゃないかというふうに思います。これは指摘をしておきたいというふうに思います。
 それから、最後の質問でございますけれども、今回のような人事評価制度あるいは給与制度の改革を行うということでございますと、これまでとはかなり違った場面がいわゆる労使関係の中でも生まれてくるというふうに思います。
 そこで、この制度改革をして、それが実際にうまく機能していくためには、職員側、まあ職員団体、あるいは労働組合と申しますか、話し合いを十分に尽くしていく必要があるというふうに思うわけでございます。また、それをしないとなかなかうまく機能していかないのではないかということが危惧をされるわけであります。
 この点につきましてお伺いしておきたい。決意のほどを、どういうふうな労使関係でやっていくかという観点からの答弁をお願いしたいと思います。大臣に。
春田政府参考人 お答えいたします。
 公務員制度改革の関係は私ども内閣の行革推進事務局の方で担当しているものですから、お答えをさせていただきたいと思います。
 現在、公務員制度改革につきましては、大綱に基づきまして、具体化に向けた国家公務員法の改正等の検討を進めているところでございます。今お話がありましたように、職員団体と率直かつ有意義な交渉、協議を行っていくということがこの作業の中で非常に重要であると考えております。
 今お話のありました能力等級制などにつきましても、法制化の論点でございますけれども、こういったものにつきましても、議論を申し入れ、私ども誠意ある対応を行ってまいりたいというように考えております。
金子(善)委員 終わります。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。
 この際、平成十五年度地方財政計画について説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十五年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 平成十五年度においては、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、歳出全般にわたり徹底した見直しを行うことにより歳出総額の計画的な抑制に努める一方、個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方の形成、循環型社会の構築、地球環境問題への対応、少子高齢化対策など当面の重要政策課題に適切に対処し、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。
 また、通常収支における地方財源不足見込み額については、平成十三年度における制度改正を踏まえ、交付税特別会計における借入金を廃止し、国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については一般会計からの加算により、地方負担分については特例地方債の発行により補てんすることにより、地方財政の運営上支障が生じないよう措置するとともに、減税等に伴う影響額についても、所要の財源を確保する措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに、平成十五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十六兆二千百七億円、前年度に比べ一兆三千五百五十九億円、一・五%の減となっております。
 以上が、平成十五年度の地方財政計画の概要であります。
遠藤委員長 以上で説明は終わりました。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、平成十五年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、平成十六年度以降における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例等を改正することとし、あわせて、道府県の基準税率を引き下げる等地方交付税の算定方法を改めるほか、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十五年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、法定加算額、臨時財政対策のための特例加算額、交付税特別会計借入金及び同特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金償還額及び利子支払い額を控除した額十八兆六百九十三億円とすることとしております。
 また、平成十五年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、基準財政収入額の算定方法について、道府県の基準税率を百分の五引き下げるほか、平成十五年度において行われた国の補助金及び負担金の見直しに伴い地方特例交付金の拡充を図ることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三分散会


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