衆議院

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第4号 平成15年3月3日(月曜日)

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平成十五年三月三日(月曜日)
    午後九時一分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 林  幹雄君
   理事 八代 英太君 理事 山本 公一君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    大出  彰君
      桑原  豊君    玄葉光一郎君
      島   聡君    松崎 公昭君
      山田 敏雅君    山元  勉君
      白保 台一君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    金子善次郎君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          森   清君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     山本 公一君
  中沢 健次君     桑原  豊君
  久保 哲司君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  桑原  豊君     中沢 健次君
  白保 台一君     久保 哲司君
同日
 理事佐藤勉君同日委員辞任につき、その補欠として山本公一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に山本公一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長森清君及び総務省自治財政局長林省吾君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。
安住委員 予算が衆議院の委員会を通過して、恒例のこの地方交付税の質疑ということになりますが、ちょっと国会の中で、大変不正常な状態で本会議の開催等の話があるようでございます。
 私ども野党としましては、かねて皆さんと、与党の皆さんと合意をしておりますように、これはよき慣例として、予算が通過した後きちっと二時間質疑をして、そしてこの地方交付税の採決をしてから本会議というのが約束事でございますから、ぜひその趣旨にのっとって委員会を粛々とやっていただきますよう、まず委員長に御要望を申し上げます。よろしゅうございますか。
遠藤委員長 御趣旨のほどをよく承知しております。
安住委員 それでは、我が党の持ち時間は四十分でございますが、大出議員から了解を得ていますので、私がもしかしたら少し長目にやらせていただくことになるかもしれませんが、御了解をいただきたいと思います。
 さて、片山大臣、ことしに入って初めて質疑をさせてもらいますが、これからお話しすることは、私の認識としてまず話をしますから、それから、大臣にとってそれが、大臣はどういう認識かお答えをいただきたいと思うんです。
 大臣、小泉内閣、いや、その前の森内閣から含めて三回予算案を編成しまして、それで、地方交付税の、地財計画を含めた責任者としてやってこられたわけです。
 私は、今のこの交付税のあり方について、時間がありますから後で細かく質問をしますが、まず、時代の大きな変化や税収不足やいろいろな社会的な変動が多分この十年間一番あったにもかかわらず、大臣が就任してからの三年間、特に小泉内閣になって、構造改革をやると言いながら、結果的には、大変恐縮でございますが、地方財政は悪化をし、そして地方交付税依存度は高まっていますね。
 これ、実は、結果的には、あなたを含めた小泉内閣の失政の結果が出ているんじゃないですか。いかがですか。
片山国務大臣 今、安住委員御承知のように、私も地財計画、地方交付税法の改正等、地財対策をこれで三回やらせていただくわけで、大変光栄に存じておりまして、大変な御指導を終始いただいておりますことにまずお礼を申し上げたい、こういうふうに思います。
 ただ、御承知のように、十三年度から地方交付税の経常収支不足の補てん方法を変えたんですね、もう釈迦に説法ですけれども。それまでは、資金運用部を中心に交付税特会が借り入れをやりまして、借り入れたものをキャッシュで地方団体に配分しておりましたけれども、このやり方には限界があるし、大変責任が不明確になり、不透明になる、こういうことで、三カ年ということで、十三、十四、十五まで、これは宮澤大蔵大臣でございましたけれども、ぎりぎりの、通常収支の不足は折半でやって、御承知のように、国の責任分は、赤字国債になりますけれども、キャッシュを自分で調達してくれて、キャッシュを加算してもらう、地方の方は赤字地方債でやる、こういうことで、ことしで三年目になりました。
 来年度からどうやるか、こういうことでございますが、この間、御承知のように、通常収支の穴はだんだん大きくなりまして、十五年度に至っては十三兆四千億、恒久的減税分まで入れますと十七兆四千億、こういうことでございます。
 これは、一つは、やはり経済の状況の低迷が続いている、こういうわけでございまして、小泉内閣になりましてからも、不良債権の処理を急いで、構造改革を進めて景気回復を図ろう、こういうことでございましたが、御承知のように、一昨年のアメリカの同時多発テロ等がございましてアメリカ経済が低迷してくる、ITバブルの崩壊がある、あるいは世界の同時株安、世界同時デフレ、こういうふうな要因が重なりまして、我々が思ったよりは景気の低迷が続いている。
 こういうわけでございますが、今、総力を挙げてそれからの脱却を考えておりますから、いずれにせよ、我が国経済は立ち直ってくる、そういう中で国も地方も財政が変わってくるであろう、こういうふうに強く期待いたしております。
安住委員 いや、片山大臣、お言葉でございますが、やはりそれは、外的要因はあるにしても、歳出構造の抜本的な見直し等々をやってこなかったツケじゃないですか。
 では、あなたがおっしゃっているように、税収がもしふえ続けたとして、安定したとして、結局、逆に言ったら、公共事業等々の構造的な改革をやらないで来たんですか。そうじゃないでしょう。今問われているのは、時代の認識でいいますと、やはり、時代のニーズに合った地方の予算のつくり方はどうあるべきなのかという議論があるべきだ。しかし、実際はどうでしょうか。そうではありません。後でまた言いますけれども、固定費がもうどうしようもなくかたく膨らんでしまって、地方自治体によっては、もうにっちもさっちもいかないんですよ。大阪なんか見てください、一〇〇超えていますね、一〇三ぐらいになっていますよ、片山さん。
 同時テロで経済が、関係ないですよ、そんなこと。そうではないでしょう、片山さん、百も承知でそんなことをおっしゃっているんだろうけれども。あなた、申しわけありませんけれども、構造改革をやらないで構造改革、構造改革とお題目ばかり唱えている内閣にいて、少しぼけちゃったんじゃないですか。私、そう思いますよ。いかがですか。
片山国務大臣 いや、それは、やはり経済ですよ。経済が財政に直結してくるんですよね。国税がこれだけ、特に十五年度なんか見ますと落ち込みますから、交付税が自動的に落ち込んでくる、地方税も落ち込む、こういうことでございます。
 構造改革はやっていますよ。例えば、公共事業は、十五年度はマイナス三%ですが、十四年度はマイナス一〇%なんですね。十三年度予算は森さんのときでございますから。それから、一般的な経費も相当切り込んできていると私は思いますけれども、ひっくり返るような改革は、財政上の、予算上のことはなかなか難しいものですからこういうことになっております。
 それから、大阪の話がありましたが、地方の財政が硬直化しているのは、一つは、地方は義務経費が多いんですよ、固定経費が。というのは、国が地方の歳出の七割に影響しているんですね。もう御承知のとおりですよ。福祉を初め公共事業でも義務教育でも、全部国が制度を決めて、補助金だとか、いろいろな法令で縛っておりますからね。
 それから、今言いましたように、地方は必ず出さなければならない支出が大変高うございますので、国よりは、そういう意味での柔軟性、弾力性には欠けると思いますけれども、それをもって地方財政改善の努力がないと言うのは、ちょっとお言葉が過ぎるんではなかろうか、こう思っております。(発言する者あり)
遠藤委員長 委員各位に申し上げます。
 常よりかなり私語が多いようですから、それぞれ自粛して、品位のある委員会にしてください。
 安住委員。
安住委員 地財の財源不足について総務省から数字をいただきましたが、大臣、右肩上がりというのは、経済だといいんですが、公債依存度はすさまじい右肩上がりですよ。そうですよね。私が持っている資料でも、昭和五十八年で六・三でしょう。これがもうどんどん上がって、十三年で一六・一、十五年で二〇・二ですよ。
 つまり、どういうことかというと、税収不足は平成二年度ぐらいから大体わかってきているんですよ。それにもかかわらず、やめられない、とめられないでずっと来たんじゃないですか。つまり、構造改革をやらないといけない時期にそれをやらないでずっと来た結果、歳出のところのカットができないままで、歳入のやりくりがつかないから、簡単な話が、交付税に依存してくる割合が高くなってきた。そういう話なんですよ。だから、景気のいい悪いの問題の前に構造的な問題がありますよと言っているんですよ。お認めにならないですか。
片山国務大臣 地方財政が悪いのは、まさに構造的な問題があるんですよ。国と地方の税源配分が偏っているからですよ。地方は金を使っているんですから、もう少し税源配分を変えてもらおうということがあるんですよ。私はそれがあると思いますよ。
 それからもう一つは、やはり、バブルができるとき、バブルが崩壊した後ですね。バブルのときは、まさに今委員言われたように右肩上がりですから、いろいろな仕事をやってもらったんですね。崩壊したら今度は景気対策になりまして、これも大いにやれと。そのためには、借金を中心にやってくれ、交付税で少しお世話もしますよ、こういうことをやってまいりまして、その結果が今日の状況になったと思います。国の財政も大変ですよ、御承知のような状況でございますので。
 いずれにせよ、経済の活性化ということを一つやるということが必要だと私は思います。国、地方を通じる歳出の合理化、効率化もやっていく、こういうことも必要だと思いますし、税源配分も考え直してもらう、こういうことが必要ではなかろうかと思っております。
安住委員 さっき大阪の例を出しましたが、つまり、大臣、これは経常収支比率ですよね。経常収支比率というのは、一言で言えば人件費や公債費だ。言ってみれば、がちがちの、なかなか手をつけられない、黙ってお金が飛んでいくという世界ですね。
 しかし、今こうして見ますと、これも総務省から、調べていただいて、資料を取り寄せました。十年で比較したんですね。平成三年度ですと、全国平均が七一・六なんですよ。ところが、十年たってどうなったかというと、十三年度の経常収支比率は九〇・五ですね、片山大臣。
 これは大変言いたくありませんけれども、一番悪いのは大阪府。一〇三・一ということは、経常収支比率がもう一〇〇パーを超えているわけですから、結局、予算以上に固定費がかかっているということですよね。比較的優秀なのがと言ったらあれですけれども、岐阜県の七八・二、愛媛七八・九、平均で九〇・五。
 それで、大臣、この十年間が大事なんですよ。バブルのちょうどいいときから、終わってこの十年で経常収支比率が一八・九ポイント高くなってしまった。一八・九というのは大変なことです。逆に、あの時点から、例えば仮に七一・六から約一八・九下の方に下がっていったらどうだったかというと、極めて健全な財政状況になっているんですよ。
 これに対して、片山大臣、これを変えていこうとか、これを直していこうという努力が小泉さんからはさっぱり見えないんですよ。見えないどころか、あの人は多分こんなこと知らないんだと思うんですね。少なくとも片山大臣が一番このことはよく知っているわけですが、この内閣では、地方の経常収支比率の見直し等について具体的に何かしたかというと、残念だけれども、やはりできていないんじゃないですかということなんです。いかがですか。
片山国務大臣 経常収支比率というのは、まさに名前のとおりなんですね。経常的な収入と経常的な支出で、経常的収入の方は基本的には税と交付税なんですよ。ただ、例外的に、減収補てん債だとか今の赤字地方債ですね、臨時財政対策債、これは将来交付税が補てんしますから、こういうものを入れておりますけれども、人件費その他、いわゆる経常的支出は全部入るんです。
 これが上がっておりますのは、数字が悪くなっておるのは、もう安住委員よく御承知のように、税と地方交付税が総体的に落ちているからなんですよ。だから今、地方で仕事をやるといったら地方債でなきゃやれないですよね、経常的なものは税と交付税を充てちゃうから。だから、これがまた問題なんで、何度も言いますけれども、私は、やはり税源配分を根本的に見直す必要があるんだと思う。
 そこで私は三位一体の改革と言っているんですよ。国庫補助負担金を整理合理化して、税源移譲をしてもらって、交付税もその中で見直していく。この三位一体改革をやろうということはもう閣議決定しておりますし、小泉総理もよくわかっておりますので、ことしの夏ぐらいまでにどういう三位一体の改革にするか、中身を固めてまいりたい、こういうふうに思っております。
安住委員 そこで、今出た話の延長で言うと、今回、文部科学委員会の方に出ているんですか、義務教育費の国庫負担の問題が出てきたわけですよ。大臣、これは来年以降どうなさいますか。地方交付税は、要するに、今のような枠組みでただ単に義務教育費を地方に振ればいいという話じゃないですよね。これはどうするんですか。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
片山国務大臣 ことしは、御承知のように、二千三百億ほど義務教育の国庫負担金を削りまして、これについては、一つの条件は、文部科学省に、学級編制や教職員配置については都道府県の自主性を認めてくれと、認めましょうと、こういうことでございまして、そこは都道府県には喜ばれているんです。それが一つ。
 それから、二千三百億削ったかわりに、地方特例交付金をその二分の一、残りの二分の一は地方交付税で、補助金を削った分は一般財源で丸々補てんする、こういうことにいたしました。
 それから、それではその残りをどうするんだと。御承知のように三兆一千億ありますから、これについては義務教育制度のあり方を教育改革の中で考えよう、そういう検討をしながら、できるだけこの三位一体の改革の中で一般財源をどこまでどうやるのかということを決めていこう、こういうことにいたしておりまして、我々としても、文部科学省の立場もありますから、よく相談しながら案をつくっていこう、こういうふうに思っております。
 義務教育だから国が必ず二分の一持たにゃいかぬことはないんですよ。私は、義務教育は大変国の根幹的制度であるという認識は持っておりますから、国が基本的なことはいろいろ決めればいいんですよ。しかし、残りは地方に自主性を認めてやる。それで、財源については、別に国庫負担金でなくてもいいんですよ。昔は、大昔は、まあこれも安住委員よく御承知のように、地方交付税の前身だったんですから、昔の義務教育の給与費は。
 そういうことを含めて、どこまで、どれだけ国の負担金にするか。一般財源をどうするのか。全部するのか、あるいは何割にするのか。これは、文部科学省には文部科学省のお考えがありますから、十分調整してまいります。私は、そんなに多くなくてもいいんじゃないかと個人的には思っております。
安住委員 片山さん、三位一体、三位一体と言いますけれども、御自身はどうしたいんですか。どうしたらいいと思っているんですか。政府の中で、片山さんの意見は通るんだから、それは自分で言ったらいいですよ。そうじゃないと議論できないですよ。
片山国務大臣 これは、去年の六月に片山プランというのを経済財政諮問会議へ出しました。当面、今、国が六、地方が四の税源配分を五対五にする、そのためには、第一段階で、第一ステージで国庫補助負担金を削減して、五兆五千億、国税から地方税に移譲する。そのうちの三兆円は、国の所得税を減らして地方の個人住民税をふやす。それで個人住民税をフラットな税率にする。
 それから、もう一つは、今消費税が、御承知のように、国と地方、四対一で分けておりますが、これを三対二にすれば、一%がグロスで二兆五千億ですから、これで二兆五千億になる。そのかわり、国の補助負担金を五兆五千億削る。何を削るか、これはいろいろな議論があるんですが、奨励的補助については、私は七割ぐらい削ってもいいんじゃないか。奨励的補助、国の都合で奨励をしてやってもらう仕事、この補助金は七割ぐらい削ってもいいんじゃないか。
 それから、国庫負担金については、義務教育なんかそうですけれども、公共事業もそうですし、福祉もそうですが、これは内容を精選して、場合によっては、これは四割から五割ぐらいの削減というのはあり得るのではなかろうか、こういうことを言っておりまして、それで、地方交付税が、今、数字としてはこれだけ穴があいておりますから、これが穴があかなくなったら、交付税を減らしてこれを地方税の税源移譲に変えていく。
 こういうことで、全体としては国と地方の比率を五対五にする、こういうことを提案いたしておりますし、この方向で三位一体の改革をまとめたいと考えております。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
安住委員 ああ、委員長、お戻りになってよかったです。もうそのままいなくなるんじゃないかと思っていましたけれども。
 大臣、シャウプ勧告以来、平衡交付金という制度があって、こんなことは、私が大臣に歴史を言うのも変な話ですけれども、それで一律に赤字のところにお金を配っていた。ところが、毎年のようにそれが下回ったわけですよ、歴史を見ると。だから、しようがないから国税の一部を地方に回して、今の形ができましたよね。
 しかし、あえて申しますと、私はこういう見方もしているんですよ。つまり、国税収入の一定割合を自動的に交付したことによって、いわばリンクはできましたよ。しかし、一方、地方は、地方自治体には耳の痛い話ですけれども、安易にお金がもらえる仕組みができちゃったから、申しわけないけれども、事業の拡大の姿勢はいつでもとれましたが、事業を縮小したり、行革をしたり、みずから地方に税金を課して財源について何かの手当てをしていこうという努力をしてこなかったんじゃないですか。これが地方のいわば大きな問題になったんじゃないですか。いかがですか。
片山国務大臣 戦後の、二十年代は地方財政平衡交付金というのがあったんです。これは、全地方団体の歳出を積み上げるんですよ、それから歳入を積み上げるんですよ、その差額を地方財政平衡交付金で補てんするんですよ。こうしますと手間が大変なんですよ。それが毎年度毎年度、単年度の勝負になりますから、出す方も取る方も大くたびれになるんです。
 そこで、これを安定化しようというので、国税三税にリンクしたんですよね。国税三税だったんですよ、もともとは。御承知のとおりですよ。法人税と所得税と酒税がその当時は国税で一番大きかったんですよ。だから、それの二二%から始まったんですよ。それがずっと行きまして、三二%になりまして、それから後、地方財政の穴が膨らんだものですから、例えば消費税を二九・五入れるとか。消費税の二九・五は交付税に入っているんです。それから、たばこを二五%入れるとか、それから法人税は三二を三五・八にするとか。そういう改正をして、国税にリンクさせてきたんですよ。
 ということは、交付税としては大変安定化してきたと私は思いますけれども、今安住委員言われるように、いいときは自動的にそれだけ交付税特会に入ってきますから、そういう意味ではやや安易になったというようなことはありますが、それは一時期だけでございまして、今はずっと足りないんですから、それで地方団体のモラルハザードが起きるというようなことは一つもありません。
 我々は、国税五税のこれだけでも交付税が足りなくて困っているんですね。だから、交付税をもらうよりは、交付税をふやすよりは、まず地方税の充実をやる。不交付団体をふやしていって、経済力のあるところは税でやってもらって、経済力のないところは交付税を入れて、こういうことの方が地方財政としては正しいあり方ではないか、こう思っております。
安住委員 長野県の田中知事が脱ダム宣言、それから石原都知事が銀行税の話を出して、これは非常に話題になりました。しかし、逆に言うと、この程度のことが話題になるぐらい、地方は自分から何かをしようというふうに今までしてこなかったということじゃないですか。
 そして、旧自治省、あえて申しますと、副知事を全部送って、財政課長を送って、逆に言えば、地方にポストをもらうかわりに交付税と取引して、いわば、建設省や農林省は本当に原局の予算がたくさんあって公共事業だ何だと言われますけれども、最大の国のお金は地方交付税ですよ、交付金ですよ。だから、結果として、申しわけないですけれども、自治省のいわば官僚のトップであって総務大臣の片山さんが、公共事業をもらっている会社から一番税金をもらっているのは当たり前になっちゃうんですよ、それは。そういうふうになっちゃうんじゃないですか。
 つまり、地方も自立ができない、国もなかなか地方を自立させようという努力をしてこなかったという、今そういうことが現実にあらわれているわけですよ。これを変えるのが構造改革じゃないんですか、大臣。いかがですか。
片山国務大臣 ポストを交付税でということは、これは間違いですから。少なくとも我が省は、地方団体からぜひ人をよこしてくれという場合にしか出しておりませんので。しかもそれは、ポストも地方の言われるポストにいたしておりまして、当方がこれでなきゃだめだというようなことはいたしておりませんので。
 それから、私のことについてもちょっとお触れになりましたが、これは事実と反しますので、ひとつそこは御理解賜りたいと思いますが。
 やはり、これからの地方自治は、委員言われるように、自立ですよ。だから、自立するための行財政の基盤をどうつくるか。そこで三位一体の改革もやる。市町村合併をやって、基礎的自治体も強くなってもらう。自立。
 それからもう一つは、国から言われたように同じような町づくりや地域発展を考えることはないんですよ。これからは個性ある発展を考えていく。金太郎あめはだめだと。
 それからもう一つは、やはり護送船団ではなくて、競争原理を持ち込んで、地域間で競争してもらう。首長さんや議会が一生懸命努力して、知恵を出して、汗を流すところがどんどん発展していく、そうでないところはそうもいかない、これがいいんですよ。今、悪いところまで全部同じようにしようというから、大変な手間とお金がかかるんですよ。
 これから、私は、自立と個性と地域間競争だ、地方自治にも競争原理を持ち込むべきだ、こう思っておりまして、そのためにも、三位一体の改革や市町村合併あるいは特別地方税の税制改正、また引き続いて御審議をお願いいたしますけれども、ぜひそういうことについての御指導や御支援を賜ればありがたい、こういうふうに思っております。
安住委員 全く大臣は、ああ言えばこう言うで、大変な人ですけれども、私もこの何年間か随分片山さんと質疑をしてきましたが、しかし結果としては、大変残念ですが、言っていることに私は共鳴するところもあるんです、しかし、現実にそれは進んでいないんですよ。
 進んでいない証拠に、三千三百近くある自治体の町村合併を今進めていますね。しかし、町村の方から今どんな意見が出ているか、大臣、御存じですか。少なくとも私が聞いている範囲では、我が党でもいろいろ聴取しているんですよ。何を言うかというと、基礎自治体をつくって財政の力を高めてくださいと。わかりますよ、そんなことはもう市町村はわかっているんですよ。そして、合併しろ合併しろと言う。しかし、現実にそれを推進している母体の県庁は何をやっているんですか。県庁は、県は本当に行革しているでしょうか。県は、町村にそれだけのことを言うだけ自分で身を切っているでしょうか。何にも切っていないんですよ。
 では、県に言わせるとどうか。我々よりも国はどうなんですかという話になるんですよ、大臣。町村にだけ合併を推進しろしろと言ったって、思うように進まないのは、そういうことなんじゃないですか。それにもかかわらず、毎年五%ずつ交付税を減らして、あめとむちのむちの方だけ何となく目立つようなやり方をやっているのは、私はいただけないなというふうに思うんですよ。
 合併は必要です。しかし、同時に、国も県も血を流さないといけないんじゃないですか。いかがですか。
片山国務大臣 交付税を五%ずつ減らしてと言いますが、平成十五年度は、交付税と交付税の見返りの例の臨時財政対策債、赤字地方債ですけれども、これを合わせますと五・一%ふやしているんですよ。約二十四兆幾らになるんです。だから、そういう意味では、地方財政の運営に支障がないように一般財源対策をしております。
 それから、市町村合併を我々はぜひお願いしたいと言っておりますが、これはあくまでも自主的な合併なんですよ。昭和の大合併は、国や県が計画をつくって、計画どおりにやらなかったら勧告をして、最後は住民投票をやって持っていったんですね。今回は、何にも、県には合併のパターンだけつくってもらっておりますが、パターンどおりいっていませんよ。あとは自主的なんですよ。
 ただ、合併特例法をつくって、合併した場合にはこれだけ特別の措置をとりますよ、こういうことを言って地方制度調査会で西尾先生が西尾私案を出されたものだから、あめとむちだという、ちょっとそういうことでの御議論がありますけれども、我々は、あくまでも自主的な合併をやりたいと。
 それは、府県は、安住委員、相当やっていますよ。もう府県も財政的にかなり一時よりはきつくなっておりますから、私は、全国の都道府県を見たときに、かなり行革をやっている。まあ、国もやっていますよね。国よりも都道府県がやっていると。県によるのかもしれませんね。今、国も都道府県も市町村もみんな行革をやっているんですよ。そういういい雰囲気が今できているな、私はこう思っておりますから、今後とも、都道府県や市町村のそういう行革は進めていくように我々としても大いに努力してまいります。
安住委員 片山さん、これは夏に方向が出るようでございますけれども、しかし、では、都道府県のありよう、これはどうなさるんですか。今の都道府県を残して町村合併しろというのは、私はやはり理屈に合わないと思うんですよ。我が党は道州制等の主張をしているわけです。野党の中では、いろいろな意見があるんですが、しかし、多分今の都道府県のままでいいという意見は我々の方にはないんですよ。
 これはやはり、どうするかをちゃんと出さないといけないんじゃないですか。それぞれの部署や部局の数を減らしたり、やっているのはわかりますよ、それは。しかし、そうでないんですよ、町村にとっての合併というのは。やはり、都道府県制度を抜本的に改めるぐらいのことをやらないと町村の合併も生きてこないということになると思うんですけれども、いかがでございますか。
片山国務大臣 我々は、まず基礎的自治体の市町村の再編成だ、こう考えておりまして、とりあえず平成十七年三月末を一区切りにしておりますが、そこで全部終わるとか、行政改革大綱で決めたように、千を踏まえてと言っていますが、なかなか千にはなりません、正直言いまして。だから、その後どうするのかということも考えてまいりますけれども、市町村の再編が終わったら、私どもは、やはり府県制度の見直しだ、こう思っておりまして、二十七次の地方制度調査会でも既に議論を始めてもらっております。
 全国の中では、幾つかのいろいろな動きが出ておりまして、例えば青森、秋田、岩手の三県は、三県合併の研究を始めていますね。それから、中国地方知事会は、中四国の道州制案を知事会としてはほぼ意思決定しているんですよ。それから、九州は九州でいろいろな動きがありますしね。
 私は、明治の初めに廃藩置県以来できた府県制度も、もう百四十年ですよ。これは見直していいと思いますよ。
 できるだけ市町村にできることは市町村にやらせる。そうしますと、県の仕事が少なくなるんですよ。まあ国の仕事をもらえばいいんですけれども。だから、県を大きくして、県をそういう意味では強くして、府県でできることは全部府県に譲って、国はもう身軽に、外交だとか防衛だとか経済政策だとか、そういうことだけやって、できることは全部大きくなった府県でやってもらう。それで、市町村でできることは全部やってもらう。こういうことにするためには、府県制度の改革は不可欠だ、こう思っております。
 ただ、これについては長い歴史がありますから、百四十年に及ぶ。だから、やはり国民的議論を起こして国民的なコンセンサスを形成していかないと、これはそう簡単ではない、こういうふうに思っておりますが、ぜひ二十一世紀中の大きな仕事としてこれは考えていくべきだと思っております。
安住委員 私は、町村合併の方向や、それはそれでいいんです。
 だけれども、大臣、問題は、大臣は評論家じゃないし、我々のような野党の議員じゃないんですよ。あなたは小泉内閣の重要な閣僚の一人ですよ。なぜそれを小泉内閣はやらないんですか。もう三年もたっているんですからね、大臣。ゴーンさん流にやっていたら、もう首ですよ。何もしないでお題目ばかり唱えていたら、そうなっちゃうんですよ。
 ですから、実績とか、いつもそうですよ。西尾さん、西尾さんて、総務省に案がないんですか。何でも審議会ですか。いけないんじゃないですか、そういうやり方は。いかがですか。
片山国務大臣 小泉内閣はまだ一年十カ月ですけれども、それはしかし、一年十カ月だからいいということにはなりません。それはいろいろなことをやらなきゃいけません。
 それから、地方制度調査会だとか地方分権改革推進会議というのがありますけれども、そこではいろいろな案を出してもらいますよ。しかし、最後に決めるのは内閣なんです。そして、総務省のことは総務省が決めるんですよ。だから、責任を持ってやっていくので、我々は、地方制度調査会に全部おんぶにだっこだとか、西尾私案がどうだとか、最後は我々がきっちり決めていって、最終的には国会で決めていただく、こういうふうに思っております。国会は国権の最高機関でございますから、決めるのは国会ですよ。
 それは、我々は責任を持ってやっていきますので、ぜひひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
安住委員 その姿勢は非常にすばらしいと思うんですよ。
 そこで、全く通告にないんですが、それじゃ、今の話の続きで言うと、大臣、道路公団はやはりそういうふうになるんですか。どうですか。道路公団も、やはりそうでしょう。最後は役所が決めて、国が決めるということですよね。猪瀬さんたちのやっていることはやっていることとして、最後はそうなるということですね。
片山国務大臣 これは私の所管外でありますし、私がとやかく言うことじゃありませんけれども、しかし、それは、やはりあの委員会の結論は、基本的には総理が言っているように尊重していく。その上で、その基本的な尊重の上での案をつくって、最終的には国会で決めていただく、こういうことだろうと思っております。
安住委員 そういうのは使い分けと言うんですよね。これがやはり小泉内閣をわかりにくくしているんですよ。
 私も、西尾さんの考え方には疑問が非常にあるんですよ。むしろ、道州制なら道州制、きちっと出して、総務省が総務省の案を出した方が多分わかりやすいんですよ。変にそういうふうな話をして、そしていいとこ取りだけをするやり方は、やはり間違っているんじゃないですか。審議会方式はやめたらいいんじゃないですか。
片山国務大臣 役所だけでは、やはり独善になったりしてはいけませんので、広く意見を聞くというのはいいと思いますけれども、余りそれに依存するとか、いっぱいつくるとかというのは、私は今、役所の皆さんに言っているんですよ、そういうことは、今後はやや慎んだ方がいいのではないかと。いっぱいありますよね、今、研究会、審議会が、私の役所でも。これはある程度要るんですよ。要るんですけれども、いっぱいつくるというのはどうかなと。
 それから、お願いしたら全部そのとおりに、これは基本的には尊重すればいいんですけれども、しかし、決めるのはこっちですからね。そこのところの自主性というか、役所に要るんではないかということを私は皆さんに言っておりまして、ぜひそういうふうにしてまいりたいと考えております。
安住委員 それは、大臣、役所に言うんじゃないですよ。小泉さんに言わないとだめですよ、丸投げばかりして。総理にそういうふうにちゃんと言ってください。約束してくださいよ。
片山国務大臣 必要なら申し上げます。
安住委員 私は、必要だからこうやってこの夜遅くやっているのですよ、質問を。
 さて、きょうは、私どもの党の質問は四十分ですから大体終わるのですが、実は、野党の各党の皆さんの御好意で、あと一時間、ぜひ安住議員、質問してくれということでございまして、了解を得ましたので、引き続き、質問通告は一切今までもしてませんけれども、この先も質問通告をしないで、そのまま質問を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 さて、構造改革、財政構造の転換のおくれということを私さっき言いましたが、やはり大臣、この話、もう少し私も詰めた議論をしたいのです。
 バブル崩壊後、大臣、もう地方自治のことは本当にお詳しいプロでございますから、私も宮城県の地元で見ていても、地方自治体に、税収不足プラス人口の伸び悩みプラス社会構造の変化、こういうことに気づいて歳出構造の削減や構造改革をやろうと思っていた知事はいなかったと私は思うのですけれども、いかがですか。そういうことにいち早く気づいた人はいなかったんじゃないですか。
片山国務大臣 いや、それは安住議員、それぞれの知事さん、いろいろお考えですよ。やはり知事さんというのは、選挙で選ばれてそれなりの人がなるので、今言われたような認識は皆さんお持ちですよ。
 ただしかし、何度も言いますけれども、今の地方財政というのは、一番問題は、国のいろいろなコントロールや影響下にあるんですよね。だから、それを直さにゃいかぬのですよ、七割。例えば、義務教育の先生の数は国が標準法で決めるんでしょう。警察官の定数は国が政令で決めるんです。消防職員は国が基準で決めるんですよね。福祉の関係もいろいろなことを国が必置規制ということでやっておりまして、私は、そういう意味で、地方がもっと自由に予算が組めたり努力ができるような仕組みを考えていくべきだと思っております。
安住委員 今、何か変化がありまして、もう一時間やろうと思ったのですけれども、やらなくてよくなったので、片山さん、この続きはまた後日やらせていただきます。
 委員長、時間ですから我が党の質問時間は終わって、引き続き、予定どおり黄川田委員の質問に移りたいと思います。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問していきたいと思います。
 先ほどは、ずっと安住委員さんから三位一体論を話されましたので、私もまず、この三位一体改革への取り組みについてお尋ねいたしたいと思います。
 いずれ、今後の地方財政のあり方として最も重要なテーマは、国の関与を見直した上での税財源の移譲を実現すること、これが一番大事だと私も認識しております。そのために、昨年五月に大臣は、経済財政諮問会議にいわゆる片山プランを提出されました。そして、税源移譲の実施案として、所得税から住民税に三兆円、そしてまた消費税から地方消費税に二・五兆円、合計五・五兆円程度を国から地方へ移譲を図る、そういう考え方であったと思っております。
 この片山プランの発表がなされますと、小泉総理も今まで以上に地方財政の構造改革に前向きとなり、国庫補助負担金の廃止削減、そして税源の移譲、さらには地方交付税の見直し、いわゆる三位一体改革が第二弾の骨太方針に盛り込まれた、こういうふうに理解しております。
 しかしながら、昨今の動きを見ますと、どうも、国だけの財政の再建といいますか、そういう色が濃くなっているんじゃないか、私はそう思っておるわけなのであります。
 全国知事会もこれに危機感を深めまして、勉強会を開始するなど、さまざまその対応を図っておるわけであります。
 例えば、昨年十月、政府の地方分権改革推進会議は「事務・事業の在り方に関する意見」として最終報告をまとめました。しかしながら、税源の移譲には踏み込めずに、逆に地方の負担転嫁を盛り込んでおるのではないかと私には見えるわけなのであります。そして、地方六団体すべて、一斉に反対、反発しているわけであります。
 そこで、お尋ねいたします。
 大臣、地方分権改革推進会議のこの報告書、率直に言ってどのように感じておられますか。その感想をお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
片山国務大臣 今言われましたように、去年の十月に意見が出たのですよ。それで、私も中を見まして、国の地方への関与の廃止縮減は、これはかなりヒアリングをされて、いい案をつくっていただいたと思っております。
 問題は、今黄川田委員言われましたように、国庫補助負担金の見直しの方ですよ。これが、個別の、この補助金はこうしろというのは書いておりますけれども、それがわずかなんです。それから、その他についても、やはり各省に検討してもらうためには、基本的な指針、考え方を出さにゃいかぬと思うのです。それがはっきりしていない。
 それからもう一つ、補助金をやめた場合の税源移譲がはっきり書いてないんです。私はこれは大変不備だと思いまして、西室さんという人が会長さんですか、あるいは会長代理の水口さん等に、そういうことの御意見は言わせてもらいました。
 国の関与の縮減の方は、私はこれは相当丁寧にやっていただいたと思うのですが、補助金の方が少し不足が、不備がある。そういう点が、特に、明確な税源移譲の提案がないことに地方は大変反発いたしました。御承知のとおりであります。
黄川田委員 いずれ、報告書の副題には、「自主・自立の地域社会をめざして」、こううたっておるわけなのであります。しかしながら、つぶさに見ますと、やはり、分権のための改革というよりは、何か分権の骨抜き改革みたいな形に思えるわけなのであります。大臣お話しのとおり、補助金に関しては本当に小幅といいますか、削減も、具体的な税源移譲を何で盛り込めなかったのかと、こう思うわけなのです。多分、私の憶測でありますけれども、ひたすら自分たちの権限維持、それに努める各省庁の強い抵抗に分権会議も負けてしまったのかなと、そういう感想を私は持っているわけなのであります。
 また、官庁サイドも、言い方は悪いわけでありますけれども、まるでゲリラのような抵抗をしているようにも思われるわけなのであります。
 例えば、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会でありますけれども、ここで交付税の財源保障機能の廃止を建議しておるわけなのであります。私は、これに対しては理解に苦しむところもあります。そうしたことによって国、自治体、日本の全体の行政がうまく機能するのか、本当に私は疑問に思うわけであります。
 そこで、確認しておきたいわけでありますけれども、交付税の財源保障機能、これを廃止すべきという意見に対して、大臣の所見はいかがでしょうか。では、副大臣、お願いします。
若松副大臣 お答えいたします。
 委員は、地方議員も経験されておりますので、地方が大変厳しい財政の中での運営を強いられているというのは、もう十分御理解されていると思います。
 当然、そのために、国といたしましては、法令基準とか国庫補助負担制度、これを通じて、全国的に一定の行政水準を確保するために、いろいろな関与をさせていただいているところでありまして、かつ、現実に、税収の面、また経済力の格差、大きな格差があるからこそ、総務省といたしましては、各地方団体が標準的な行政水準を維持するのに必要な財源保障、これを確保しつつ、かつ地方団体間における財政力格差を調整するいわゆる財源調整、これを仕組みとして地方交付税制度が設けられておりまして、この地方交付税の財源保障機能と財源調整機能は密接不可分の関係、このように理解しております。したがいまして、私どもは、地方交付税による財源調整と財源保障のうち、一方の機能だけを切り離して廃止するという考え方はとっておりません。
 いずれにいたしましても、地域間での財源の偏在がある一方で、国として地方団体に一定の行政水準の確保を要請している中におきましては、地方交付税を通じた財源保障は不可欠でありまして、現在の我が国における国と地方の関係のもとでは地方交付税の財源保障機能を廃止するという議論は現実的ではない、このように考えております。
黄川田委員 私は副大臣と同感でありまして、財源の調整機能、そしてまたこれからの基礎的自治体のあり方、さまざま議論があるわけでありますけれども、やはりこの財源保障機能ともども大事だということを改めて認識しておきたいと思っております。
 さらに、関連してお尋ねいたします。
 先ほども議論があったところと重なるわけでありますけれども、最近、経済財政諮問会議が弱体化して、その基本的なあり方が問われているのではないかと私は思っております。
 そもそも、政府には多くの調査会や審議会がありまして、諮問会議はこれらを超えた基本的な事柄をもっと突っ込んで議論すべきではないかとの指摘もあるわけであります。私も全く同感でありまして、大臣も所信表明で挑戦と創造を掲げておりまして、新しい価値観に対応した国民の意識改革にかかわることなどを、総理自身がリーダーシップを発揮して案件を厳選し、そしてまた時間をかけて深く議論する場であってほしいと私は思っておるわけであります。
 そうした観点からすると、総理の提唱する三位一体改革についても結局議論が深まらなかったのではないか、こういう見方もあるわけなのであります。そこで、政府は今回の予算案で芽出しをしたというふうに主張しておりますけれども、内容を見る限り、言葉だけに終わっておるのではないかと思っておるわけなのであります。
 そこで、私も改めてお尋ねいたしますけれども、今回の義務教育国庫負担金の一般財源化に伴う措置等について、大臣自身これをどう評価されておるのでしょうか。そしてまた、引き続き見直し等をしていくのでしょうか。見直すとした場合、その方向性も含めて、見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 十五年度におきまして、今お話しのように、義務教育国庫負担金の一部の削減を行いました、二千三百億弱。これにつきましては、先ほども申し上げましたが、学級編制や教職員配置において、都道府県の自主性を大幅にふやす、こういうことが一つ。それから、二千三百億弱国庫負担金を削りましたけれども、それと同じ額を地方特例交付金と地方交付税で手当てをする。これは、こういう国庫補助負担金の整理合理化がかなりまとまりますと、何兆円単位に、そこで税源移譲、税制改正をやろう、こういうことで、我々としては、地方特例交付金や特別の地方交付税はそれまでのつなぎだ、こう考えております。
 そこで、義務教育の国庫負担金は三兆円あるんですから三兆一千億、これをどうするんだということですが、これも、先ほど申し上げましたように、教育改革の中で義務教育制度のあり方を位置づけまして、そういうこととの関連で一般財源化をしていこうと。だから、幾ら、どのくらいにするかは、これから議論して、夏までの三位一体の改革表に間に合えば入れていく、こういうことでございまして、もしそうなれば、幾ら、どうするかということの方向を出せば、それについて十八年度までの「改革と展望」の期間の間に実行していく、こういうふうに考えておりまして、義務教育のこの関係が、私は今後の国庫補助負担金の整理合理化と税源移譲の一つのこれがパターンになるんではなかろうかと。そういう意味で、私は、芽出しであり、第一歩だ、こういうふうに思っております。
 同じことを道路で少しやったんですよ。道路で九百三十億円。これは、御承知のように、自動車重量税の地方配分率を四分の一を三分の一にしまして、九百三十億円都道府県と市町村にもやって、そのかわり市町村の補助の細かいものはやめる、都道府県については、高速道路の直轄についての都道府県負担の財源にする、こういうことにいたしたわけであります。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 率直に言って、義務教育費の国庫負担金の見直しに関しては、この程度の見直しでは地方の自主性の強化につながらない、むしろ負担の転嫁ではないか、そういう意見が多いということを改めて指摘しておきたいと思います。
 そこで、また再びこの三位一体改革でありますけれども、大臣は夏ごろまでにと言いますけれども、どうも改革実現に向けてのスピード感が感じられないわけであります。そしてまた、本来、分権のために始めた検討が、国の財政再建や、あるいはまた行革推進の手段にすりかわりはしないかとも私は心配しておるわけなのであります。例えば、分権改革推進会議の中間報告しかりでありまして、また今回の予算でも、国庫補助負担金自体は五千六百億円程度削減されているにもかかわらず、地方に財源措置されたものはその半分程度ではないか、こう思っておるわけであります。
 そこで、再度お伺いいたします。
 この三位一体改革について、その進展が遅いのではないでしょうか。そしてまた、国の財政再建といいますか、そういうふうなものに主としてかかわりを持って、変質しつつあるのではないでしょうか。また、三位一体改革の実現に向けて、大臣の気概なり、重ねてお尋ねいたします。
若松副大臣 昨年五月に片山試案ということで、これは現職の閣僚が数兆円規模のいわゆる税源移譲等の改革を言うのは、大変な私は英断だと思います。ささやかながら私も副大臣、その試案を出させていただきまして、それが原案となってああいう形になったわけでありまして、六月の小泉総理のいわゆる基本方針二〇〇二、こういうことになったわけであります。
 この数兆円規模の税源移譲をどうやっていくのか、ここにつきましては、当然、何かを議論すると必ずその関係者のいわゆる従来の主張があるということで進まないということで、ある意味では大変厳しい中でありましたが、平成十五年度予算編成で先ほど大臣が申されたような芽出しがあったわけであります。
 もうことしの六月ですか、さらに今回のいわゆる税源移譲なり、国庫支出金、負担金なり、また交付税、いわゆる縮小、そういった三位一体はかなり全国に至りましていろいろなところで議論されておりまして、私は、そういう意味では理解は深まっておると思います。
 かつ、これから地方の時代だ、市町村合併も進んでいる、そういうことで、この六月までに、さらに見えるような形で、いずれにしても、この「改革と展望」は平成十八年度までに数兆円規模やっていこうということでありますので、その具体的な内容をぜひとも六月につくるべく総務省一体となって今頑張っているところでございます。
黄川田委員 加えて、この三位一体改革でありますけれども、私は地方から来ていますのでそう思うのかもしれませんが、どうもこの議論自体が首都圏等の大都市の方々を中心に展開されておりまして、地方の現場の声が余り反映されていないのではないかと私は思うわけであります。
 大都市からはしばしば、地方はモラルハザードを起こしている、そういうふうな言われ方をするわけでありますけれども、現場感覚が欠如しているというふうな中で一般的にそうした評価を下すことが妥当なのか、私は疑問に感じております。しかも、その言われ方も、あたかも地方だけがモラルハザードを起こしているかのようなニュアンスで語られるということも、私は本当は耐えられないところなのであります。
 そこで、この三位一体改革に関してでありますけれども、健全な議論を展開するためにも、ひとつ提案を含めてお尋ねするわけでありますけれども、議論の中に、地方行財政改革に意欲を燃やす知事の意見も酌むなど、もっと地方の声、生の声を反映させるような、そういう制度改革、工夫が必要なのではないかと思っておりますけれども、これに対する見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 黄川田委員言われるように、地方団体の意見を十分聞く必要があると思いますね。
 それで、今地方制度調査会というものでいろいろな議論をしておりますが、この中には地方六団体の代表が全部入っておりますから、そこで大いに言っていただく、こういうこともありますし、総務省、私のところにも、知事さんや市町村長さんから、当方はこう考えるという意見を口頭や文書で持ってこられる方もたくさんおられますので、そういうものをきちっと受け取ってまいりたい、こう思っております。
 地方だけがモラルハザードじゃないんですよ、それは。そういう一方的な地方批判については、私どももいろいろな場でそうじゃないということをはっきり言っておりますので、今後ともその点は、そういう方向でやってまいりたいと思っております。
黄川田委員 そもそも、家計とかあるいは企業であれば到底成り立ち得ないような多額の赤字国債を垂れ流している国家財政が、地方財政を批判できるようなモラルある財政運営を行っているのか、そう私は思っておるわけなのであります。いずれ、一方的な悪者扱いをされるのは本当に釈然としないところがありますので、申し述べておきたいと思います。
 残り時間がありませんので、最後に、交付税特別会計についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 交付税特別会計借入金の平成十五年度末の借入金残高は、四十八兆五千億円程度と見込まれております。もちろんこの中には、いわゆる国負担とされているものも含まれております。また、平成十五年度の交付税総額約十八兆七百億円のうち、交付税法の本則に基づく法定五税分とされているものが十兆六千億円程度で、約五五%にすぎないわけであります。さかのぼってみますと、平成七年、八年ごろは八〇%程度であったと考えますと、隔世の感がありまして、巨額の借金との印象を受けるわけであります。
 そこで質問でありますけれども、副大臣ですか、交付税特別会計借入金の償還計画はどうなっているんでしょうか。そしてまた、償還のめどは立っているんでしょうか。あわせてお尋ねいたします。
若松副大臣 交付税特別会計借入金の平成十五年度末として、四十八・五兆円が予定されておりまして、そのうち国負担分に係る残高が十六・七兆円、そして地方負担分に係る残高が三十一・八兆円、こうなっております。
 交付税特別会計借入金の償還に当たりましては、法律に定める償還計画に従いまして、国負担分につきましては、平成三十年までの各年度において一般会計からの加算によりまして返済をする、地方負担分につきましては、平成三十八年度までの各年度におきまして将来の交付税原資の中から償還していく、このように予定しております。
 現在、大変厳しい地方財政の状況下におきましては、まずは、借入金依存から脱却するために、経済社会の構造改革の推進とあわせて経済の活性化も進めて、そして、地方税の、地方一般財源の収入増、これもしっかりやりながら、国、地方を通じる行財政の簡素効率化、これもしっかりあわせて進めながら、収支ギャップを縮小していくことが必要である、このように考えております。
 いずれにしても、この三位一体の改革というのはその中で大変重要な位置づけになりまして、このような議論を通しながら、財政基盤の充実強化をしっかり図っていきたいと考えております。
黄川田委員 地方財政をめぐる環境は本当に厳しいわけであります。でありますから、三位一体の改革、あるいはまた市町村の合併、さらには基礎的自治体のあり方、慎重な対応をお願い申し上げまして、時間でありますので、終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 まず、地方財政計画の定員削減問題から伺いたいと思います。
 片山大臣が、昨年の十一月二十日、経済財政諮問会議に三位一体の改革をお出しになっておられます。その中で、四年間で地方財政計画上人員を四万人以上純減するという計画を発表しています。
 削減の対象は一般職の職員だと認識しておりますが、昨年から既に地方財政計画上で一般職の職員は一万人以上の定員削減が行われてきておりますが、これに上乗せをして削減をしていくという計画でございますか。
片山国務大臣 これは、三位一体の改革の提案じゃなかったんですね。地方全体の、国も歳出改革、地方も歳出改革という中で、地方財政計画の考え方を私は説明いたしたわけであります。
 その中で、地方単独事業、これは決算との乖離も相当ありますし、これを計画的に削減していく。それから、一般行政経費については前年度以下の水準にする。これは国も同じです。
 それから、定数につきましては、警察だとか教育だとかの、国が基準を決めている職員以外の人員、約百八万人おるんです。これについて毎年度、国の定員合理化計画に準じて、大体一%、百八万人の一%ですから一万人ずつ削減していく。国は、御承知のように、独法移行を含めて十年で二五%の削減ですから、だから地方もこうしていこう、こういうことですが、御承知のように、地方公務員、今三百十一万おるんですよね。公営企業等を外しますと二百四十万おるんですよね。
 そこで、そういう特殊なものを除いて、普通の職員百八万を一%、こういうことにいたしたわけでありまして、これは地方財政計画上のグロスでの削減でございまして、そういう中で、それぞれの都道府県や市町村に御工夫を賜ろうと。
 人を減らして、どういう対応をするんだということですが、民間委託だとかITの――いいですか。はい、それでは。
春名委員 先回りしていろいろお話ししたいのかもしれませんが。
 来年度の地方財政計画上の今言われた一般職員の数が、これは警察とか高校事務職員とかを除きますね、来年度の計画でいきますと、百六万六千七百十九人になります。来年度が一万人減るということですから、これから四万人純減していくということですので、少なくとも三万人以上削減するということになりますので、百三万人ぐらいになりますね、大臣。
 この数字というのは、昭和五十年度、一九七五年、今から二十八年前の百二万人という数字に一番近い数になるわけです。昭和五十一年度、七六年が百八万人ですから、今から三年後には三十年前の水準に職員数を引き下げるということになります。
 そこで、今答弁しかかっておられましたが、本当にこれで住民サービスに影響が出ないのか。複雑で多岐にわたり大きな役割を持たされている自治体が、本当にこれで住民サービスに影響が出ないんだろうかということを率直に感じるわけなので、その点、いかがお考えでしょう。
片山国務大臣 今もちょっと言いかけましたけれども、やはり、国もそうですが、地方も少数精鋭になっていただいて、少数といっても百何万ですけれども、特別の職員さんを除いて。そこで、我々は、ぜひ、民間委託できるものは民間委託、それからIT化、特に電子自治体ですからIT化できるものはIT化していただく、そういう中での再配置で、本来行政としてやるようなことを重点的にやっていただく、こういうことを考えております。
 これは、地方財政計画じゃないんですよ。もう既に、都道府県、市町村、幾つもみずからの定数削減計画を持っておりましてやっておりますから、そういう意味では地財計画は後追いで追認したような格好になっておりますけれども、それで行政サービスは落とさないように、そういう努力をそれぞれお願いいたしたい、こう考えております。
春名委員 それで、一つの事例できょうは議論したいと思います、公務員部長にも来ていただいているので。
 財団法人地方公務員安全衛生推進協会というのが地方公務員月報に毎年調査結果を発表していまして、公務員の健康状況、このことについて、どういう状況になっているかという問題なんです。
 例えば、直近のこの平成十三年度の調査結果がありますが、職員十万人当たりの長期病休者率、これは十万人率というふうにいうんだそうですが、この長期病休者率が、男性で千六百九十七・三人、女性で二千四百・一人。四年前とこれを比較すると、男性は千五百七十七・一人から千六百九十七・三人、十万人当たり百二十・二人の増加、女性は二千百八十八・六人から二千四百・一人、同じく十万人当たり二百十一・五人増加ということになっています。
 長期病休者といいますのは、公務災害または通勤災害によるものと認定された者を含め、疾病等により、年次有給休暇、病気休暇及び休職等休業の種類を問わず、休業三十日以上または一カ月以上の療養者をいうというのが長期病休者ということになっていて、いわゆる十万人率が確実にふえている。職員の健康状態が悪い方向に進んでいるというのは間違いないんじゃないかと思うんですが、この点はどういう御認識をされているのか、お聞かせください。
森政府参考人 先生御指摘の地方公務員の健康状況等に関する調査におきまして、御指摘のように、長期病休者の中で、疾病分類別で申しますと、精神及び行動の障害が最も多くなっておるところでございます。
 この要因等につきましては、私どもとしては、次のように考えております。
 他のデータでございますけれども、国家公務員について見ますと、人事院が五年ごとに実施しております国家公務員の長期病休者実態調査を見ますと、精神、行動の障害を理由とする長期病休者が同じように増加傾向にございます。
 また、民間労働者について見ますと、労働省の平成七年から十一年までの研究のデータでございますが、民間労働者の長期病休者のうち、精神及び行動の障害が一六・七%となっておりまして、同じ時期の地方公務員の精神及び行動の障害による長期病休者の割合と同程度になっております。
 また、厚生労働省が五年ごとに実施しております労働者健康状況調査によりますと、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス等を感じる労働者の割合は、昭和五十七年には五〇・六%であったものが、平成九年には六二・八%というふうになっております。
 毎年の長期病休者の疾病分類別割合を見る資料としてまとまったものは地方公務員のものしかございませんけれども、このような種々の資料から見ますと、心の健康問題は、地方公務員のみならず、労働者全体の問題であると考えられます。
 その要因につきましては、厚生労働省、当時の労働省でございますが、平成十二年八月に、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針というものを示しておられますけれども、そこでも述べておりますように、ストレス等を感じる労働者の増加は、経済産業構造が変化する中で、高齢化の急速な進行、労働者の就業意識の変化や働き方の多様化等の変化、業務の質的変化等を背景とした種々の要因が重なって生じてきたものと認識しております。
春名委員 今、大事なことを言われたんですね。要するに、精神及び行動の障害ですね。十万人率がふえているのは、精神及び行動の障害で休む職員がふえていることに比例していると。公務員部長、そうですね。そういうことだと思うんですね。それで、それは民間も同じようにふえているんだという御説明をされたと思うんですが、そのことが精神及び行動の障害、つまりストレスなどのさまざまなそういう圧迫ですね、そういうことによって病気になる方がふえて、それが全体としての十万人率、長期の病休者の数をふやしているということをおっしゃったと思うんですね。
 問題は、その要因が、私は、職員数の減少と無関係ではないんじゃないかというのを、ぜひきょうは認識していただいて、調査もしていただきたいと思っているんです。
 例えば、職員十万人当たりの長期病休者率の推移を見ますと、この間最もふえているのは都道府県、政令指定都市の職員でして、平成九年度の千五百四十一人から、平成十三年度には千七百三十九人と、規模別に見ますと、ここの部分、つまり都道府県と政令指定都市の職員が一番増加をしていて、長期病休者率が高くなっていて、精神及び行動の障害がその中でずっと伸びているという数字が出ているわけです。
 地方公務員の総数は八年連続して減少となっているのですが、団体別に見ますと、都道府県、政令指定都市職員の総数は、その大分前、十一年連続してずっと減少を続けていまして、職員総数が減少に転じるのは平成七年からなんですが、都道府県と政令指定都市の場合は平成四年から職員の総数の減少が始まっていて、ずっと前から職員の数が、都道府県、政令指定都市は一般市などに先駆けて減っているわけですね。
 職員総数が減少に転じるのは平成四年からですけれども、最初は二千人台、次に四千人台から八千人台、平成十年にはついに一万人台に突入をしたわけです。定員削減でいいますと、都道府県、政令指定都市がまさに先行しているという状況になっているのです。そこの部分で長期病休者率が高い。そして、精神及び行動の障害で休む職員が非常に顕著に多いという事態が生まれているわけですね。完全にこれは相関関係になっている。
 ほかの団体と比較しても職員数の減少が激しい都道府県や政令指定都市がこういうストレス性の病気がふえているという結果がはっきり出ていると思うので、そういう御認識を持っていらっしゃるかどうか、私は、そこは非常に大事なところだと思っているので、どういう御認識かをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
森政府参考人 私、先ほど申しましたように、この要因には種々のものがあるということでございますし、また、国家公務員、地方公務員、その他、あるいは民間企業者含めまして、いろいろな要因がございますので、その辺のところは確定的には言えないんではないかというふうに考えております。
春名委員 確定的には言えないと言われるんだが、今、公務員部長、私、調べた数字をきちっと言っていますので、その数字は、都道府県、政令指定都市の職員の減少というのは一般市や町村と比べてもかなり速いスピードで、昔から職員の減少率が高い、数も多い。そこの部分が、長期病休者の数の伸びている、その割合が多い。しかも、その中身は、精神及び行動の障害で休む職員が多いのが原因になっている。そういうふうに、もう数字上も、全部私たち調べましたので、そういう事実があるわけなんですね。
 確かに、職員の減少だけが長期病休者をふやしているというように単純に言うことはできないかもしれません。しかし、そういう事実を見たときに、私は、よく考える問題があるんじゃないかと思うのですね。
 そこで、公務員部長、そして大臣にもお願いですけれども、私、調査をぜひお願いしたいと思うのです。
 その地方公務員の健康状況等の現況調査によれば、確実に長期病休者はふえておりますし、その主要な要因が、精神及び行動の障害で病む職員がふえている。なぜ精神及び行動の障害で休む職員がふえているのか。この要因をつかむことは、職員の健康対策の上でも必要ですし、住民サービスの充実という点でも避けて通ることができませんので、こういう問題提起をきょうしましたので、ぜひ調査もしていただく、検討もしていただくということをお願いしたいと思います。
若松副大臣 先ほどの公務員部長の説明もありましたが、いずれにしても、職員の削減が地方公務員の健康悪化に直接影響するという調査は特に私どもはしていないわけでありますが、ただ、御存じのように、今労働者全体が、いわゆるストレス社会とも言われますように、心の健康問題、これは、地方公務員だけではなくて、ある意味では日本全体の大きな問題、世界じゅうの問題かもしれません。
 そういう意味で、その要因というものはいろいろな多面的な観点から検討しなくちゃいけないんでしょうけれども、いずれにしても、私どもとしては、その検討をするかどうかも含めて議論していきたいと思っております。
春名委員 いや、世界じゅう、日本じゅうの問題だからこそ、きょうこういう問題提起をしているわけですので、その職員の減少という問題とあわせて、ストレス、過密労働によって、超過酷な労働によってこういう事態が起こっているという可能性は否定できないわけですから、今御検討されると言われたと思いますので、ぜひ俎上にのせて検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 続いて、赤字地方債問題について、二、三お聞きをしておきたいと思うんです。
 総務大臣は先日、私の本会議の質問の中で、できれば交付税率の引き上げがいいんだけれども、どうしても足りないものについては赤字地方債を出してもらってというような答弁をされているわけなんですね。
 それで、今度は五兆幾らの大変大きな赤字地方債を発行していくということになっていますので、やはり原理原則、明確に私は聞いておかなければならないと思っております。
 一つは、かつて昭和五十四年、総務省の前身であった自治省のときの大臣は、この地方財政の財政補てんと関連して、赤字地方債の発行は地方交付税法の趣旨からは認められないという立場に立っておりました。三年前から赤字地方債を発行しているわけですけれども、今度の赤字地方債は、総務省の説明によれば、合法的であるということになっているわけです。前回がだめで今回はいいという、この理由と中身を端的に答えてください。
片山国務大臣 今委員が言われました昭和五十四年ですか、あれは、個々の地方団体が自前で借金をしてきて埋める、こういうことは地方交付税法の規定に違反すると。
 今回は、ちゃんとそういう制度をつくって赤字地方債を認めて、どうしても足りないものの半分は国が一般会計で調達して加算する、交付税特会へ。残りの半分は臨時財政対策債という名前の赤字地方債を出して、国がちゃんとそれを認めて、後年度、その元利償還については交付税の基準財政需要額できっちり措置する。いわば交付税の身がわりみたいなことを制度的に担保していますから、それはもう五十四年とは全然違いますよ。
春名委員 そうしますと、こう認識してよろしいですか。今の大臣のお話ですが、赤字地方債で補てんできる条件として、第一に、その元利償還の全額が後の地方交付税の基準財政需要額に算入される、第二に、国と地方折半だというふうにおっしゃいましたが、その上限は財源不足額の半分までである、この二つの条件があって、六条の三の二項、この制度改正と初めて言える、こういう御認識なのか。この二つの条件をクリアしなければならないという認識なのか。この点、お願いします。
片山国務大臣 元利償還について基準財政需要額にきっちり入れる、しかもそれを法律で書く、これが一つの条件ですね。
 それから、半分かどうかは、これは今は半分ですけれども、それは三分の一のこともあるし、あるいは半分を幾らか超えることがあるかもしれませんが、それはいろいろな状況を見て、それなりの合理性がなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
春名委員 そうすると、半分を超えることもあるし三分の一もあるしということになりますと、財源不足の全額を赤字地方債で埋めるということも、それは制度改正の中身としていい、こういうお考えなんですか。
片山国務大臣 理屈だけ言うと、そういうことも、必ずしも全くはしにも棒にもかからない話ではないと思いますが、適当ではないでしょうね。そういう意味では、二分の一というのは一つの考え方かもしれない、こういうふうに思っておりますが、これはそのときの制度選択ですから。
 今の地方交付税法は、かなり幅広いいろいろな選択を認めているんですね。だから、それは総合的な状況の中での選択でありますが、長い間、二分の一折半ルールというのがやや定着しておりますから、これを一つの基準にしていきたいと考えております。
春名委員 委員長、もう終わりますので。
 今の発言、看過できないんですね。本来、国が全部責任を持たなきゃいけないのを地方と折半しているわけですね。しかし、その折半も時と場合によるというような話をされると、一体どこに責任があるのかという事態になりますので、この点は、改めて指摘をして、また議論を深めていきたいと思っております。
 以上で終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 時間が限られておりますから、大臣の答弁、簡単明瞭に、よろしくお願いいたします。
 まず、地方交付税法七条に基づく地方団体の歳入歳出総額の見込み額、地方財政計画の内容の妥当性について聞きたいと思います。
 地方財政計画の二十三ページ、地方交付税の算定基礎は、臨時財政対策債による財源補てんが行われる以前であれば、この算定基礎表一つで当該年度の財源補てんは理解できていたわけです。ところが、二〇〇一年度から臨時財政対策債で財源補てんがなされた、こういうところから本表は非常に意味がないものになってしまったというふうに理解しています。あえて意味があるとすれば、法定上の交付税特会における貸し借りその他の出入りが明示されるだけだ、こういうふうに思うんですね。これで地方財政計画の核ともいうべき算定基礎表本来の意義を果たしているか、そういう疑問を持たざるを得ない。それで、臨時財政対策債が地方財政計画の構造を非常に荒らし始めた、こういうふうな証拠ではないか、こういうふうに指摘をしたいんですが、この問題について大臣の見解をお聞かせください。
林政府参考人 御指摘の地方交付税の算定基礎についてでございますが、平成十二年度までは、確かに、交付税特別会計の借入金によりまして財源不足を補てんしてまいりましたので、この算定基礎の表で財源不足の補てん措置の全体像がおおむね理解できたのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、この方式によりましては、借入金の実態をわかりにくくするとか、あるいは責任を不明確にするというような御指摘がございまして、平成十三年度から今日のような制度改正を行うことといたしましたところは御案内のとおりでございまして、平成十五年度におきましては、借入金を廃止し、国と地方が折半をしながら、二分の一につきましては国の一般会計からの特別加算により、また、二分の一の地方負担分につきましては臨時財政対策債の発行によりまして補てんすることといたしたところは、御案内のとおりでございます。
 この結果、補てん措置のうちの臨時財政対策債に係る部分につきましては、確かに交付税の算定基礎の中には含まれないことになっておりまして、その点は私ども、やむを得ないと考えておるわけでありますが、地方財政計画の策定方針のところでは、全体的にその点を、全体像を明らかにするように努めているところではあります。
 しかしながら、そういう状況下におきましても、この地方交付税の算定基礎は、地方交付税総額の算定過程につきまして、それぞれの根拠に基づきましてその内訳を明らかにしているものでございまして、参考資料として提出させていただくその役割は失われていないものと考えております。
重野委員 二十分という時間ですので、先に行きます。
 そこで、来年度の地方財政対策の前提となります地方の財源不足に対する認識、これについてお聞きしたいんです。
 通常収支分の補てん措置、恒久的減税にかかわる補てん措置、先行減税にかかわる補てん措置、国庫補助負担金の一般財源化に伴う措置、市町村道整備にかかわる国庫補助負担金の見直し等に伴う措置、この五つが来年度の地方財政に及ぼす影響でありますが、これら五つは根本的には政府の政策に帰するというふうに考えますし、また、その中身については、一定の濃淡があるのも事実であります。
 しかし、いずれにいたしましても、今指摘をしましたこの五つの種類の影響のどれを地方財政の財源不足額とカウントするのか、政府の地方財政に対する基本スタンスを左右すると言ってもいいほどに重要な問題だと思います。
 そこで聞きますが、市町村道整備にかかわる国庫補助負担金の見直し等に伴う措置分を除いた四つの措置、これが政府の政策の結果もたらされた財源不足対象分というふうに私は見るべきだと思うのですが、大臣はどのように思っているんですか。
片山国務大臣 今、重野委員五つ言われまして、一つはいいと。市町村道整備に係る国庫補助をやめたものは、これは自動車重量税の四分の一を三分の一にしまして、地方に四百六、七十億行くわけでございますが、これは税源移譲で。
 それで、一番大きいのは通常収支の不足ですね。これにつきましては昔から折半ルールでやっているんですね。何で折半かといいますと、一般財源の配分が、税だけでいいますと六対四なんですよ。ところが、交付税が国から地方に行きますから、交付税が行きますと地方の取り分がちょっと多くなるんです、折半より。そういうことでございまして、通常収支で穴があいたものについては昔から国と地方が折半だ、こういうことで今回も折半にしまして、国は赤字国債によって一般会計から加算を特会にしてもらう、地方は赤字地方債、こういうことにいたしたわけであります。
 それから、恒久的な減税による減収については、これは、恒久的減税は、もうかなり続いているわけですよ。そして、将来税制の抜本改正があるだろう、そのときまでのつなぎという考え方で措置されているんですが、これは御承知のように、四分の三は、たばこ税の移譲、それから法人税の地方交付税率を引き上げたんですね、三五・八に、その引き上げ。それから、不交付団体には地方特例交付金。こういうことで四分の三は税源移譲したんです、特例交付金も税源移譲のつなぎと考えれば。そして、四分の一だけ減税補てん債を出す、こういうことにいたしたわけでございます。それから、地方交付税につきましては、今と同じような折半ルールを適用した。恒久減税。
 それから、今回の先行減税は、これは多年度税収中立でございまして、いずれにせよ十五年度の途中から、例えば配偶者特別控除もなくなるわけですよね来年の一月一日から、多年度税収中立ですから、いずれにせよ、減税した分は将来増税で返ってくる、こういうことでございますので、地方税の減収については減税補てん債で、地方交付税の減収については交付税特会の借り入れでと、こういうことにいたしたわけでございまして、それぞれやり方を変えております。
 そこで、義務教育のものは、義務教育の国庫負担金等については、何度も答弁させていただいておりますが、半分は地方特例交付金で、それから半分は地方交付税の特会借り入れで、そして、その借り入れのうちの四分の三は国が責任を持つ、四分の一だけ地財計画の中でのみ込んでいく、こういうことにいたしたわけでございまして、ほぼこれも国の責任で財源補てんする、こういうことにいたしたわけであります。
 重野委員、ちょっとややこしいですから、もう一覧表にでもしないとなかなかわかりにくいんですが、必要なら一覧表にいたしますので、よろしくお願いします。
重野委員 そこで、今大臣言いました義務教育費の国庫負担金の一部の問題ですが、これは今言った説明どおりなんですね、これは一般財源化されたわけではないわけですね。これは本来、ほっておけば地方財政に穴があくということになるわけです。私は、これはよって来る原因によって補てんの仕方は違いがある、すべて臨財債の対象とする、そういうことはすべきでない、このように思っているんですね。やはり私は、率直に財源不足額の対象と認めるべきだというふうに思います。
 そこで聞きますが、この一般財源化に伴う補てん措置として、従来の恒久的減税に伴う補てん措置としての特例交付金、第一種特例交付金、それに加えて、先ほども大臣の説明がありましたように、第二種の特例交付金なるものが交付されることになった。これはいかなる性格のものなのか。国の負担義務にあるものを一般財源化するというなら、当然それは税で措置すべきものではないかというのが一つ。それから、それがなぜ特例交付金なのか。また、こういう形の措置はいつまで続くのか、これが二つ目。三つ目は、今度国庫補助負担金等が一般財源化されたら、これと同じように特例交付金化するのか。
 わかりますか。私は、この義務教育国庫負担金の一部二千三百四十八億円、これは一般財源化すべきであるという立場に立つわけですから、したがって、そういう立場に立って今一番最後の質問をしたわけです。特例交付金化するのかということと、それとも税源できっちり措置をするのか。その三点について。
片山国務大臣 地方特例交付金というのは、交付税と違いまして、我々は、地方税の代替的な性格を持つ、税源移譲してくれるまでのつなぎだ、丸々国がくれるんですから、こういうものだと考えておりまして、恒久的な減税のときにも特例交付金を、これは不交付団体用につくったわけで、交付団体については別の手当てをしたんですけれども、これが第一種で、今回の義務教育に伴うものは第二種なんです。
 それで、何でそういうことをやるかといいますと、税制改正で税源移譲してもらうには、相当たまらないとだめなんですね。私が税源移譲で経済財政諮問会議で提案しましたのは五兆五千億ですから。所得税から住民税へ三兆円、消費税の一%アップで二兆五千億ですから。だから、二千億だとか何千億程度ではなかなか直ちに、その都度税源移譲で税制改正というのはなかなかいかぬものですから、その間の、ためておくためのつなぎだ、こういうふうに考えておりまして、三位一体の改革の工程表を夏ぐらいまでにまとめますから、その中で、できれば税源移譲をいつごろの時期にどうやるということを書くことによって、特例交付金はその中で発展的に解消していく、こういうふうに考えております。
重野委員 地方財政も、だんだんだんだんもう何か難しくなって、回りくどくなって、そういう形になっている。そのこと自体私は問題だと思うんですが。
 来年度の基準財政需要額算定、これにおいて、本年度まで臨財債に振りかえていた額を一たん戻して算定した上で、改正法附則六条の三で、道府県二万四千八百五十八円、市町村一万七千三百八円控除した額とするとしているが、このような措置を講ずる理由は一体那辺にありやということをお聞きしたいんです。
林政府参考人 臨時財政対策債への振りかえにつきましてお答えを申し上げます。
 これまで、十三年度と十四年度におきましては、基準財政需要額の臨時財政対策債への振りかえに当たりましては、単位費用のうち、包括的な算入をいたしております五費目を選定いたしまして、その単位費用を引き下げることによりまして振りかえを行っていたところでございます。
 ただ、この方法につきましては、五費目分で算定を行うこととなりますために、算定事務が複雑化するとか、あるいは地方団体の皆さん方から見まして、発行可能額を見込む際にも事務負担が少なくないとか、こういう御意見が寄せられておりましたし、また五費目における単位費用の減額プロセスが法律上明示されていないということもありまして、御説明が難しかったという点も見られた等の問題がございました。
 さらに、十五年度の発行額も増額することもございまして、地方団体からも簡素化の意見が出されていることも踏まえまして、いわばマイナスとする、いわゆる控除する単位費用を一つだけに設定をいたしまして、包括的に振りかえることとし、簡素、簡明化を図ることといたしたところでございます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
重野委員 今の説明を聞きますと、自治体に対し、需要額に補正をかけたかのような印象を与えて、計算上も二重手間を与えるから迷惑をかけた、だから今回の措置によって需要算定はより明確になるんですよ、こういうふうに言いたいんだろうと思うんですが。
 私は、そういう問題意識ではなくて、現実は、この臨財債の発行が五兆八千七百億という巨額に上っておるわけですね。本年度までの振りかえ方法では限界に来たんではないか。これだけの巨額の臨財債を同じ方法で振りかえようとすれば、需要額がゼロになる費目も出かねない。これが実態で、そんなことになっちゃ大変だ。そうなれば、需要算定の面からも交付税制度の崩壊が明らかになる。私は、こういう非常な危機感を持っておられるんじゃないか、そのことがこういう手法を編み出した、こういうふうに理解をするんですが、どうですか。
片山国務大臣 重野委員言われるとおりなんですよ。もともと交付税の身がわりですから、特定の費目だけ落としていくというのは無理があったんですよ。
 それは、額が小さいときはいきますよ。しかし、額が大きくなってくるとそれはもう無理になってきますし、おかしくなるんですよ。だって、交付税としての、きちっと需要と収入を出して、そのうちに交付税が足りない分の身がわりですから、まとめて一括でやって差っ引いた方がいいんです。私は、この方がずっと方法としてはいいと思いますけれども、臨時財政対策債がどんどん大きくなることは、できるだけこれから我々も努力して避けていかにゃいかぬ。
 ただ、国も赤字国債三十兆ですから、そういう意味では地方の赤字地方債が五兆八千億というのは決して少なくありませんけれども、そういう状況でございまして、ぜひ景気の回復、デフレの阻止を本気でやって、そうしないと国の財政も地方の財政も私は大変なことになるんじゃないかという認識を持っておりますので、今後ともそういう認識の上に立って努力してまいります。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
重野委員 大臣も率直にお認めになったわけですね。それほど地方財政は深刻だということだと思うんです。本来交付税で措置すべき財源不足額を赤字地方債で振りかえてきたこと、もうそれも行き詰まった、需要算定にそのことがあらわれたというふうに理解をいたします。
 その意味で、再来年の話をしたらちょっと鬼が笑うかもしれませんが、再来年度の地方財政対策を論ずるとき、少なくとも赤字地方債に大きく依存をするやり方はもう通用しないんではないか、今回のこの算定が図らずも示している、大臣、私は、そういうふうに肝に銘ずるべきだと思うんですね。
 そこで、質問の観点を変えまして、会計検査院にお聞きします。
 昨年十一月二十九日の検査院報告において、特別会計と一般会計との関係について全面的な調査報告を行っておりますが、今回、特別会計と一般会計との関係について全面的調査を行った基本的趣旨は何かという点が一つ。
 また、その中で、これはいわゆる国の隠れ借金に該当する部分でありますが、交付税及び譲与税配付金特別会計と一般会計との関係において、平成十三年度末現在で十八兆六千九百三十六億円の繰り延べ額があるんですね。そのことを指摘しておられます。この点について、財政の情報公開の観点からどのように考えておるのか、見解をお聞かせください。
遠藤委員長 会計検査院円谷第五局長。質疑時間が終了していますから、簡潔に。
円谷会計検査院当局者 特別会計の財政規模は一般会計の四倍強に上っておりまして、その財源として一般会計の歳出の六割が充当されているということで、実質的に国の事務事業の大半を執行しておりますので、非常に国民生活には大きなかかわりを持っている。
 しかし、その反面、各特別会計は、その性格や事業内容、会計処理の方法が異なっておりまして、会計間それから勘定間で多額の資金のやりとりがあるなど、財政の仕組みが大変複雑であります。また、一般会計の国債とは別に、特別会計におきましても多額の債務を有するなど、それぞれ抱える問題も非常に多岐にわたっております。このため、財政全体の現状を理解するということがなかなか容易ではないというのが実情であります。
 会計検査院といたしましては、従来から、特別会計の財政運営について関心を持って検査をしてきたところでありますけれども、十四年時の検査におきましては、このような複雑多岐にわたっております制度全般の理解に資することができればということで、十三年度において設置されておりました特別会計三十七すべてについての決算分析を行いまして、その結果を検査報告に掲記したということであります。
 また、お尋ねの繰り延べ額についてでございますけれども、これは、法律の規定に基づきまして、今後一般会計から特会の方に繰り入れることとされている額が今の金額に上っておるということでございますので、これも非常に関心を持って検査院としても見守っておるということで掲記をさせていただいたわけでございます。
重野委員 時間が来ましたので以上で終わりますけれども、今後ともこの問題についてただしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、八代英太君。
八代委員 大変遅くまで、遠藤委員長以下皆さん、御苦労さまでございます。
 しかし、こうしたこの時間もなお汗を流して働いている皆さんのことを思うと、我々も、もう十一時になろうとしておりますが、一生懸命国会で審議する、大変すばらしいことだ、このように思っております。
 そういう中で、地方交付税の問題でございますが、先ほど来お話を伺っておりますと、皆さんは地方財政の危機感を本当に訴えておられまして、私も、大臣は現在の地方財政の危機と地方交付税の将来というものをどのように認識しているかということを伺ってみたいと思っております。
 すなわち、地方財政、平成十五年度、十七兆四千億の赤字だということが出ておりますし、六年で急激に上昇しておりまして、全体では一八・八%となっているということでございます。平成十五年度の地方交付税総額は十八兆円なんですけれども、財源不足は十七兆四千億、これは地方交付税総額とほぼ同額にもなっておりまして、また、個別の団体にあっても地方債の借り入れが大きく、どんどんどんどん膨らむばかりという状況下でございます。
 東京は不交付団体でございますけれども、東京とても大変財政が逼迫しておりまして、石原知事も、もうこんな状況じゃ再選したくない、また二期目にチャレンジしたくないということを言ったとか言わないとかというのも出ておりますし、民主党さんもなかなか、こんな状況じゃ候補を出してもしようがないなというような声も伝わってくるわけでありますが、これは定かではありません。
 そういうことを考えましても、いずれにしましても、これまでにない財政危機であることは間違いございません。間違いない。そういう意味でも、これからの地方財政、特に地方交付税について、片山大臣に、どういう改革をするか、どういう改革をしなければならないかということをこの際しっかりと聞いておきたいと思うんですが、御答弁をいただきたいと思います。
片山国務大臣 そうですね、今、国も地方も通常収支で大きな穴があくというのは、私はかねがね言っておりますように、公のサービス、行政のサービスが負担に比べて過剰なのか、あるいはサービスに比べて国民負担が過少なのか、あるいはどっちなのか。この点について、大いに議論が要ると思うんですね。それが一つ。
 そういう中で、国と地方の関係でいいますと、何度も言いますけれども、地方が六三、四%の仕事をしながら税を四〇%もらっていないので、そこで結局、そういう仕事をさせるための仕組みの一つとして、地方交付税は国から、ことしでいうと、十五年度でいうと十八兆何がしか行く。こういうことでございますが、基本的には、税源配分を見直して、税源移譲を国から地方にやって地方のトータルの税をふやして、そこで、地方には経済力のあるところとないところがありますから、経済力のあるところは税でやっていけるかもしれませんけれども、ないところは税だけでやれませんので、そこには財政調整ということで交付税を与えていく。
 こういうことでございまして、交付税が肥大していくよりも、やはり地方税をちゃんと手当てしてやって、その地方税で必要な行政サービスの提供ができない地方団体には交付税で補てんしてやる、こういうことが私はあるべき姿ではなかろうか、こう思っておりまして、とりあえずは、何度も同じことを言いますけれども、国と地方の税源配分を五対五にしていただく、その中で地方交付税を手当てしていく、こういうことだと考えております。
八代委員 そういう意味におきましても、交付税のあり方等々の、五対五というお話も伺いましたけれども、これも市町村を、この際は、こういう危機のときであればこそ、いろいろな意味で、地方分権の方向に流れていくわけですから、そういう主体性を持たすためにも、今のままの、三千二百幾つですか、地方自治体がそれでいいのか、四十七都道府県それでいいのかという議論もやはり同時並行でやっていくことが大変重要だと思うんですね。
 私は、東京で、今住んでおりますのが北区というところでございますが、ここは三十二万の区民でございます。千代田区は、昼間人口は恐らく百五十万ぐらいは超えるだろうが、実際、夜の人口というのが三万二千人ぐらいなんですね。一番少ないところも東京にございまして、伊豆七島の中に青ケ島というのがあるんですが、ここは二百二人なんですね。二百二人でも自治体は自治体になっているわけです。では、横浜はどうかというと、三百四十三万人もいる。
 こういうふうな全体のバランスを考えましても、地方分権、独自性を発揮するにも、これからは三千二百の市町村も含めながら、やはり統廃合をしっかり国がリーダーシップをとってやっていかなければならないと私は思っているんです。
 北区というところに住んでいますが、北区は、区民であると同時に都民であり、都民であると同時に国民なんですから、国民であるという視点に立って、こういうことはしっかりとリーダーシップを発揮するのが重要だというふうに思うんですね。
 そこで、理想の人口規模というのは、大臣、どんなふうに思っておられるか。あるいは副大臣でも結構でございます。理想というのがなかなか難しいんですが、でも、理想は、千ぐらいなのか、千五百ぐらいなのか、いや、そうじゃない、小選挙区は三百だから三百ぐらいがいい、こういうふうに思うのか、その辺はどんなふうに考えておられますか。
若松副大臣 昨年二月に、私の著書でございますが、「地方公共団体再生工程表」というのを書かせていただいたんですが、いわゆる私見ということでお話しさせていただきます。
 やはり、行政効率ということであれば、二十数万とかそういった規模があるでしょうし、現在の財政状況の厳しい折では、やはりそういったところが大変重要な要素になるんではないかと思います。しかし、過疎地域という話になりますとまた話は別でありまして、広域の地域にどのように行政サービスを提供していけるか、それは別の配慮があるでしょうから、そういった小規模団体の人口規模というのもまた議論しなければいけない。
 いずれにしろ、この二つの議論を、去年の六月でございますが、やはり二〇〇二年の骨太第二弾、ここに、今後、人口三十万人以上という、いわゆる現在の中核市、この制度というのが、これも中核市の、いわゆる首長の皆様との懇談会の中でも、こういった三十万人以上ある方は、私たちも、政令都市ですね、自分はできるという自負を持っている方がほとんどでした。
 ですから、私は、それをミニ政令都市という言い方をしているわけでありますが、これから、そういった三十万人という、これは首都圏とか大都市近郊だと思うんですが、それを基礎的自治体にして、いわゆる自己完結的な行財政基盤をつくる。こういったものとあわせて、過疎地域をどうするか。これは、そうはいってもある程度の規模が必要でしょうから、数万人とか、そういったところでしっかりと介護の事務を行うとか、それも可能な限り広域での事務能力をつける自治体という、こういった構築というものが考えられるのかなと思っております。
八代委員 そういう意味では、介護保険も順調に進んでおりますが、介護保険という制度は、言ってみれば、市町村合併のいわばモデル的なケースだろうと私は思うんですね。ああいう広域的なものがだんだん地域の中で育っていく、あるいはまたITという時代に入っていって、キーボード一発ですべての情報が伝達するような仕組みになっていきますと、余り地域とか人口とかにとらわれない形の市町村合併というのもあるのではないかというように思います。
 副大臣の、いただいた御本も読ませていただきましたけれども、それはそれで理想として、これからぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 地方財政、交付税の財政危機に対する大臣のお考えも伺いました。また、市町村の分権に対する副大臣のお考えもいただいて、非常に実りのある議論でございました。
 以上をもちまして終わらせていただきます。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
武正委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 現在の交付税制度は、余りに複雑、不透明で、受益と負担の関係があいまいであり、地方の国依存の大きな要因になっています。よって、地方交付税を抜本的に改め、簡素、透明で、かつ地方の自立を進める形の制度への転換が必要であります。
 政府も三位一体の改革を叫び、ことしは三位一体の芽出しをして変わったと主張していますが、交付税特別借り入れが続いていたり、後年度一〇〇%交付税措置の赤字地方債を加えれば対前年度比一兆一千六百億円余増等、それは見せかけにすぎません。
 以下、どこが見せかけであるのかを具体的に指摘させていただきます。
 義務教育費国庫負担金のうち、共済費長期給付及び公務災害補償に係る部分を一般財源化するとしていますが、三位一体の改革方針が明確になった上での措置ではなく、政府案は、とりあえず国庫負担を削減するというものにすぎません。平成十六年度以降の地方財源の手当てに至っては、今後の議論にゆだねられています。民主党は、真にひもつきでない教育一括交付金を提案していますが、それに比べ、政府案は、教育改革でも地方分権でもない、見せかけの芽出しと批判せざるを得ません。
 自動車重量税のうち九百三十億円を地方に分配し、高速道路と市町村道整備に半分ずつ使用するということも三位一体改革の芽出しとして高々と掲げられています。しかし、これでは、道路特定財源の一般財源化どころか、余剰分もすべて道路関係に回ることになり、道路族を喜ばせるだけになってしまいます。
 それに比べ、民主党予算案では、約九千億円規模の環境税を創設すると同時に、自動車関連諸税を整理して税収中立とすること、環境税収は新エネルギー開発普及等温暖化防止に有用な分野及び地方の道路整備財源に優先的に配分すること、国、地方における道路特定財源制度を廃止することを提案しており、真の改革に資する内容となっております。
 小泉内閣の地方分権改革が見せかけにすぎないことは本改正案からも明らかであること、民主党の改革案こそが真の改革につながることを最後に指摘し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十五年度地方財政計画について、反対の立場から討論をいたします。
 現在、日本経済は、大不況と財政破綻で破滅の危機に置かれており、それに伴い、地方財政も極めて緊迫した状況に陥っていることはだれの目にも明らかとなっています。しかしながら、小泉政権は、出たとこ勝負とその場しのぎの問題先送りで国民をごまかしているばかりであり、具体的な解決策を何もとっていません。
 例えば、今年度の通常収支の不足は約十三兆五千億円に上っていますが、交付税特別会計借入金を廃止したとはいえ、地方負担分については、結局のところは、臨時財政対策債で補てんするなど、地方債の発行でごまかしているにすぎません。また、国が実施しようとしている恒久的な減税に伴う減収の補てんについても、その大半は減税補てん債などのいわゆる借金で賄うことになります。この結果、地方債依存度は約一七%、交付税特別会計借入金残高は約四十八兆円、地方の借入金残高は平成十五年末見込みで約百九十九兆円という莫大な金額になっています。
 このように、今回の地方財政計画は、数字の上でつじつま合わせを行っているにすぎず、実際は地方経済回復のためのシナリオも全くないと断ぜざるを得ないわけであります。
 以上、述べたように、今回の地方財政計画や改正案には、地方税財源の再配分をどうするか、国と地方の関係をどのように改革するかという具体策や理念もビジョンもない、旧来の自由民主党政治を引きずった無責任なものにすぎないことは明白であります。
 なお、最後に、我々自由党は、地方分権を実現して真の地方自治を確立するために、国と地方の役割分担と行政権限、税財源の再配分等を内容とした地方自治確立基本法案を今国会に提出することを表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、地方交付税法の趣旨に反し、恒常化した財源不足の補てんを地方に押しつけるだけでなく、今年度もその補てんに赤字地方債の発行を強いていることであります。
 第二は、本来国が責任を負うべき共済長期分など義務教育国庫負担金の一部を一般財源化していることです。
 義務教育費国庫補助負担金制度は、かつての義務教育国庫負担金が廃止され、平衡交付金制度に包含されることで都道府県間での教員の待遇、定数の不均衡が甚だしくなったとの苦い教訓から、一九五二年に発足し、補助対象も拡大されてきたものです。今回の共済長期負担金等の廃止、一般財源化は、こうした教訓を無視して、義務教育に対する国の責任放棄を進めるだけでなく、さらに国庫補助負担金廃止の突破口を開こうというものであり、断じて認めるわけにはいきません。
 第三は、先行減税における地方影響額のすべてを地方負担としていることです。
 小渕内閣が行った恒久的減税においても、その地方影響額の一部は地方負担とされましたが、今回の先行減税においては、地方影響額の全額が地方負担とされ、政策減税における国の一層の責任放棄と地方負担が推し進められております。さらに、先行減税の中身は、大企業・資産家減税、その穴埋め財源は将来の庶民増税という全く不当なものであり、二重に認めるわけにはいきません。
 第四は、自治体財政を危機に追いやる地方単独事業の実施を引き続き地方に求める一方、合併促進に向けて人口十万人未満、特に小規模自治体への財源保障を切り縮める段階補正見直しを継続し、自治体への兵糧攻めを行っていることです。
 最後に、今回の改正案は、地方の財源保障制度である地方交付税制度そのものの縮小、解体を視野に入れ、その突破口として国庫補助負担金廃止、一般財源化への端緒を開く重大な改悪を含んでおり、こうした三位一体改革は、憲法が保障する地方自治の発展とは全く相入れないものであるということを厳しく指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につき、反対の討論を行います。
 地方財政の改革について、政府は、補助金、交付税、地方税の三位一体改革を強調しており、来年度の地方財政についても改革の芽出しがなされていると言います。しかし、地方交付税制度並びに地方財政計画を見る限り、改革の芽出しはおろか、制度改悪の花盛りはここにきわまれりと言うべきでありましょう。一般財源比率、地方債依存度も悪化し、地方全体の債務残高も二百兆円の大台に近づき、もはや地方財政の破局は目前となっている今、改革の芽出しなどと言っている余裕はどこにもないはずであります。
 以下、反対理由を申し上げます。
 その一つは、政府の言う三位一体改革が、実は地方財政の抑制と国の責任、負担を自治体へ転嫁するだけにほかならないからであります。
 義務教育費国庫負担金の共済長期負担金等の一般財源化に伴い、地方特例交付金への置きかえと、依然として交付税特会借り入れ方式による措置がとられており、本来の税源移譲は行われないままに終わっています。道路関係でも本格的な道路財源の移譲ではなく、自動車重量譲与税などの一部の手直しにとどまっています。
 その二つは、地方財政の財源不足の補てんのあり方の問題です。
 二〇〇三年度は、いわゆる折半ルールに基づき、本格的な赤字地方債に依存させられることになりました。これによって、財政調整財源である交付税の総額を自治体がみずからの借金で賄う状態はますます深められることになったわけであります。通常収支不足の補てんも、恒久的な減税に伴う減収の補てんも、先行減税に伴う減収の補てんも、国庫補助負担金の見直し等に伴う措置も、皆国の対策が原因となって必要となる補てん措置であり、抜本的な補てんのあり方の改革が求められていると考えます。今日的状況のもとで二〇〇四年度からの国と地方の新ルールがどうなるのか、少なくとも赤字地方債の延長や衣がえといった、財政調整制度の原則にもとる方式はとられるべきではありません。抜本的な税財源の移譲こそ肝要であると考えます。
 その三つは、赤字地方債頼みの財政運営の問題です。
 約五・九兆円にも及ぶ臨時財政対策債の発行は、地方財政計画と交付税の分離をもたらし、地方財政制度の根幹をゆがめるものとなっております。地方債発行の元利償還の一部を将来交付税で措置するからとは言っても、交付税に占める過去の地方債の穴埋めに充当する部分がますますふえているのが実態であり、しかも既往の臨時財政対策債の利払い充当分までも臨時財政対策債で賄うというのは、タコの足食い以外の何物でもありません。
 さらに言えば、臨時財政対策債をもって、基準財政需要額の一部を振りかえたり、もとに戻したりし、来年度は道府県、市町村とももとに戻して計算した中から控除するやり方は、需要額算定面からも財政対策の行き詰まりを示すものであります。
 最後に、地方財政はもう一つの予算ともいうべき性格を有しているにもかかわらず、影響を受ける当事者の自治体の声も聞かず、このような短時間での質疑、採決に至ったことに対し、遺憾の意を表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現下の経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として、法人事業税への外形標準課税の導入、不動産取得税の税率の引き下げ、特別土地保有税の課税停止、新増設に係る事業所税の廃止、平成十五年度の固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、配当所得及び株式等譲渡所得に係る課税方式の見直し等を行うとともに、配偶者控除に上乗せして適用される部分の配偶者特別控除の廃止、地方のたばこ税の税率の引き上げ等所要の措置を一体として講ずる必要があります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 その一は、住民税の改正であります。
 個人住民税につきましては、一定の配当及び株式譲渡所得について、特別徴収方式を実施することにより申告を不要とすることとし、あわせて、配偶者控除に上乗せされて適用される部分の配偶者特別控除を廃止することとしております。
 その二は、事業税の改正であります。
 法人事業税につきましては、平成十五年度に、資本金一億円超の法人を対象として、外形基準の割合を四分の一とする外形標準課税制度を創設し、平成十六年度から適用することにしております。
 その三は、土地税制の改正であります。
 不動産取得税について、平成十五年四月一日から三年間、税率を一律三%に引き下げ、特別土地保有税について、平成十五年度以降新たな課税は行わないこととし、新増設に係る事業所税は平成十五年三月三十一日をもって廃止することとしております。また、固定資産税及び都市計画税について、商業地等、住宅用地ともに現行の負担水準に応じた負担調整措置を継続することとしております。
 その四は、地方のたばこ税の改正であります。
 道府県及び市町村たばこ税の税率をあわせて千本当たり四百十円引き上げることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明四日火曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時十四分散会


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