衆議院

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第7号 平成15年3月13日(木曜日)

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平成十五年三月十三日(木曜日)
    午後三時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君
      上川 陽子君    左藤  章君
      佐田玄一郎君    砂田 圭佑君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷田 武彦君    平林 鴻三君
      松野 博一君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    渡辺 博道君
      伊藤 忠治君    大出  彰君
      玄葉光一郎君    中沢 健次君
      楢崎 欣弥君    松崎 公昭君
      三井 辨雄君    山田 敏雅君
      山井 和則君    山元  勉君
      白保 台一君    西  博義君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      赤嶺 政賢君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    金子善次郎君
      山谷えり子君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   大野 慎一君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           新島 良夫君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十三日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     砂田 圭佑君
  佐田玄一郎君     谷田 武彦君
  谷本 龍哉君     松野 博一君
  野中 広務君     渡辺 博道君
  平林 鴻三君     岩崎 忠夫君
  荒井  聰君     三井 辨雄君
  大出  彰君     楢崎 欣弥君
  島   聡君     山井 和則君
  久保 哲司君     白保 台一君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
  金子善次郎君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     平林 鴻三君
  砂田 圭佑君     伊藤信太郎君
  谷田 武彦君     佐田玄一郎君
  松野 博一君     谷本 龍哉君
  渡辺 博道君     野中 広務君
  楢崎 欣弥君     大出  彰君
  三井 辨雄君     荒井  聰君
  山井 和則君     島   聡君
  白保 台一君     西  博義君
  赤嶺 政賢君     春名 直章君
  山谷えり子君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  西  博義君     久保 哲司君
    ―――――――――――――
三月十二日
 恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
同月七日
 法人事業税に対する外形標準課税導入反対に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第四九四号)
 同(春名直章君紹介)(第五一一号)
 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(大森猛君紹介)(第四九五号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第六二九号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第六三〇号)
 一律外形標準課税導入反対に関する請願(玄葉光一郎君紹介)(第五九二号)
 電磁波から身を守るため予防原則に基づいた対策に関する請願(川田悦子君紹介)(第六二七号)
 同(原陽子君紹介)(第六二八号)
同月十三日
 電磁波から身を守るため予防原則に基づいた対策に関する請願(春名直章君紹介)(第七〇六号)
 法人事業税に対する外形標準課税導入反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第七六三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、平成十四年における消費者物価の動向等にかんがみ、普通扶助料に係る寡婦加算の年額について、平成十五年四月分以降、扶養遺族である子を二人以上有する妻にあっては二十六万九千九百円を二十六万七千五百円に、扶養遺族である子を一人有する妻及び扶養遺族である子を有しない六十歳以上の妻にあっては十五万四千二百円を十五万二千八百円に、それぞれ引き下げようとするものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官衞藤英達君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、総務省政策統括官大野慎一君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君及び厚生労働省大臣官房審議官新島良夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。
安住委員 きょうは恩給法でございますが、恩給も大事ですけれども景気も大事なので、少し経済の話をします。
 私は、きょう日経新聞を読んで、朝起きてびっくりしたんですが、「補正論議が本格化」と書いてあったんですね。つまり、来年度予算はまだ参議院の段階でございますが、これは個々個別にどなたがどういう発言をしているかは申し上げませんが、補正予算の話をもう既に、与党、特に自民党の方が出していると。しかし、大変失礼な言い方ですが、性懲りもなくよくやっているなというふうに私は思います。
 現職の閣僚が補正予算が今の時点でやはり必要だというふうに言うとは思いませんけれども、補正予算のこの論議について、まず、片山大臣、どのように思っていらっしゃるか、お話を聞かせていただきたいと思います。
片山国務大臣 今、安住委員みずから言われましたように、まだ来年度の当初予算は参議院で審議中でございまして、そういうことを言うのはいかがかな、私もこう思うんですね、補正予算の。まず当初予算を早く成立させて早く執行するということが一番必要じゃなかろうか、こういうふうに思っておりますし、いろいろな御意見を新聞等で拝見しますけれども、政府内では一切そういう話はございません。
安住委員 私は、あえて申しますと、古い体質と、やはり、現実経済の反省というのがこの十年全くない人たちが多分自民党の幹部におられて、相も変わらず同じ、補正、補正とやっているんだろうなと。それを今から証明しますので、そういう議論をさせていただきたいと思います。
 マスコミも少し責任がありますね。大型補正を組むといかにも景気喚起につながるというような、大型の補正予算を組むと経済が上を向くという考え方に立って記事を書いているところもなきにしもあらずではないでしょうか。
 さて、本日の日経平均は、先ほどの終わり値で七千八百八十八円でございました。マイナス五十四円ということで、七千円台で低迷をしているということでございます。
 さて、この冷え切った株価が映し出す経済を上向きにさせるためには、本当に補正予算は必要でございましょうか。片山大臣、いかがですか。
片山国務大臣 それは、全く関係ないかと言われますと、それは補正の予算の中身によっては幾らか関係あるかもしれませんが、株価というものは、株式市場といいますか市場原理によって動くものでございまして、伝えられるところによると、どうも空売りが多いようですね、外人の皆さんの。こういうことでございまして、今恐らく金融庁を中心に、いろいろなそういう意味でのチェックといいますか、そういうことの検討もされていると思いますし、そういうことの方がずっと有効ではないかと私は思っております。
安住委員 実は、これは総務委員会ですからこれ以上突っ込んだ経済の話は趣旨に反しますが、一言だけ申し上げると、やはり空売りの問題というのは、いろいろな専門家の話を聞いても確かにあるんですね。
 それはどういうことかというと、やはり大手の銀行が増資に走った。一兆円を超す増資を集めて、まあ大本営発表なのか事実かはわかりませんけれども、頼んでいないところからもどんどん増資の額が来て、もう予定をオーバーしましておかげさまですなんという会見をしている。それで、銀行株が逆に投げ売りされているわけですね。これはまさにちんどん屋みたいな話で、それで、含み益が落ちることによって自己資本がどんどんどんどん下がる。何を一体やっているのかと私は思うんです。
 しかし、そういう問題があるにしても、実は私が大変危惧しているのは、そういうテクニカルな問題だけでなくて、やはり我が国経済の実態が非常に悪いということではないでしょうか。それを是正するためにという話で、多分、記者さんが夜回りと称して夜に取材に行くと、相も変わらず、補正、大型を組まないとだめだとか、財政出動をしないと中途半端なことではもうだめだとか、必ずそういう話になるから記事に反映して出てくるんですよ。
 つまり、経済を知らない人間が政権運営をやっているから、与党の幹部をやっているからこうなってということになるんじゃないですか、大臣。いかがですか。
片山国務大臣 記者の方がどういうところを取材源、情報源にして書いているのか私もよくわかりませんが、ただ、実体経済は、少なくとも企業収益だけ見ますと、七割の企業がプラスになっているんですね、前よりは。私は、そこのところが本当に悪いのかどうかというのは、いろいろな見方がある。ただ、収益を出しても、それがいわゆる経済のプラスの方に回っていないというような実態が実はあるんじゃなかろうかと思いますが、私も大変不勉強でございますので、なお十分勉強させていただきます。
安住委員 国債発行額の推移と経済成長率の推移については、総務大臣に資料をお渡ししております。これは、国民経済計算年報等から取り出したものであると同時に、閣議決定資料でございますから、この数字に基づいて質問をさせていただきます。
 この平成六年から平成十五年までの間、村山内閣から小泉内閣まで、すさまじい額の補正をつくって、そして大きな借金を我が国の政府はつくりました。しかし、景気は本当によくなったかというと、全く残念でございますが、よくなっておりません。正直申し上げまして、これは、全く旧体制の古いオールドエコノミーを維持するために、食ったという言い方を私は本当に軽べつを込めて言いますが、多分、この国債を食って当座しのいだ業界や業種のために自民党はこれだけの予算を使ったんじゃないでしょうか。
 平成十年においては、これは小渕内閣のときでございましたが、それまでの方向を転換して、大型補正予算、何と当初の国債発行額が十五兆六千億円にもかかわらず、補正で十九兆円つくりました。翌年の経済成長は確かにマイナスから一・九というプラスに転じました。しかし、そうした効果は長く続くわけがありません。平成十三年度には、またマイナス一・四になった。平成十一年にも七兆円、小渕さんは大型補正をつくっているわけですね。
 これは政策の失敗だったというふうにお認めになりませんか、大臣。
片山国務大臣 政治は結果責任だというところから見ると、いろいろな御見解、御議論が私はあると思いますけれども、そのときそのときで最善の景気対策を考えてのことでございまして、そういう意味では、バブルの崩壊の後の、失われた十年と言いますけれども、この十年の苦闘の跡がこの国債発行額や経済成長率にあらわれているな、こういうように思っております。
安住委員 笑って答弁できているのはまだ与党にいるからだと私は思うんですけれども、これは普通は、大変な国家的犯罪にも近い話でして、つまり、どういうことかというと、景気を底上げするために、いわば戦後五十年続いてきたやり方の集大成を小渕さんという人は多分やったんですよ。公共関連何でも予算をつけて、大変失礼な言い方でございますが、いわばお金を食った。国の予算、国民の貴重な財源を食った。しかし、構造改革は何にも進めてこなかった。
 いい例が、例えば道路関係の予算の配分を見ますと、大臣、これは資料をお渡ししていないから私が説明しますが、一九八二年に公共関連の中に占める道路予算というのが大体二九・七、しかし、これが小渕さんのころどうだったかというと二八・九、つまり、ほとんど予算のシェア率というのを動かしていないわけです。これは、農林の公共なんかは全くそうです。つまり、何のために主計をやっているのかよくわからないぐらい予算を動かさないできた。
 ということは、どういうことかといえば、簡単な話が、役所がいわば事業計画で積み残していた分をこの十九兆で、いっせいのせで、どんと予算をつけて消化をしただけ。これが景気対策なんでしょうかと聞いているんです、大臣。これは景気対策じゃないんじゃないですか。役所が勝手に自分たちの都合で、積み残していた事業をどんどんどんどん消化するために地方にまで赤字をつくって、これをいわば景気対策と称してやってきた。その最たるものが補正予算ということになるのではないでしょうかと私は聞いているんです。いかがですか。
片山国務大臣 シェアは割に変わっていないかもしれませんけれども、その中で、事業そのものはやはり私は変わってきているんじゃないかと思いますね、道路一つ見ましても。
 ただ、やはり、景気をよくするためには財政出動して有効需要をつくり出すことが必要だという、ケインズ理論ですか、そういう考えがあるものですから、減税よりも公共事業なんかの方が一番その効果がある、こういうふうに考えられてきましたから、そういうことで補正予算でいろいろな手当てをしてきた。こういう歴史があると思いますが、本当は予算というのは、年間総合予算を通すように出した方が予算のあり方としては正しいのではないか、しかし、やむを得ずこういうことで大型の補正をやってきた、こういうふうに思っております。
安住委員 私は、やはり歴史的必然というのがあって小泉内閣が生まれたんだなということを、過去のこういう資料を見ると非常に感じるんですね。ですから、結局、ある点で限界点に達して、改革をしないといけないとさすがの自民党も思ったんでしょう。しかし、この二年間で何が変わったかというと、大変残念なことですけれども、予算の配分については、さほどの、指摘するべきほどのことは起きておりません。
 ただ、私が一つ注目するのは特区の問題であります。今回この特区の問題が出てきまして、これは、大臣御存じのように、それぞれの地方自治体が先導となってやっていくわけですね。しかし、非常に抵抗が強い。つまり、抵抗が強いということはどういうことかというと、旧体制のままでいきたいと思っているいろいろな思惑があって、鴻池さんが難渋苦渋をしているというのは私も外から見ていて思っております。
 大臣、どうでしょうか。やはり、景気対策を本当にやるのだったらば、実は、大胆な規制緩和や競争というものを取り入れた新しい手法で予算を組んで、政治の体質なんかを変えていかなきゃいけないんじゃないですか。しかし、それが今できていると思いますか、できていないと思いますか。私はできていないと思うから今こういう質問をさせていただいているんですけれども、いかがでございますか。
片山国務大臣 総理の施政方針演説でも、やはり構造改革、デフレ阻止はやっていく、それには歳出の改革、規制改革、税制改革、金融改革の四つだ、こういうふうに言っておりまして、今安住委員が言われますように、規制改革はお金がかからないわけですから、ある意味では一番勝負が早い。思い切った規制改革、こういうことの中で、今お話しのように、特定のところだけ規制改革の実験をやってみよう、こういうことで特区構想が出てきたと思いますし、各省庁、前向きに検討しまして、我々の方でも認めるべきものは認めていった。
 ただ、全部見てみますと、まじめにしっかり検討しているものだけじゃないんですよ。だから、その中で、まじめに検討しているものについては私はぜひ取り上げなきゃいかぬと思いますけれども、そうでもないものについては直ちにということにはなかなかならないのではないかと個人的には思っております。
安住委員 これだけ国民の財産である大事なお金を百兆以上むだ遣いしている人たちがあなた方の政府でございますから、私は、特区で、規制緩和のことで少々失敗するぐらいだったらとても安くつくと思いますから、ほとんど認めてあげて実験的にやればいいんだと思うんですよ、これは特区ですから。私はそう思います。
 特に、大臣、我々は総務委員会ですから、役所の体質を変えるという点からいいますと、一つ御提案でございますが、やはり、行政部門のエージェンシー化というのをもっと徹底的に進めて効率化を図るときではないでしょうか。
 特区は確かに規制緩和です。しかし、財政上の理由からも実はどんどん民営化した方がいいセクションというのは私はあると思います。イギリスでは、御存じのとおり、刑務所の運営ももう既に民営化をしているわけです。その後いろいろなことがある。しかし、我が国はどうでしょうか。一時もてはやされましたが、基本的にはエージェンシー化は進んでいない。
 私は、極端なことを言いますと、それぞれの県に土木部とか建設部というのがあるかもしれませんが、それはもう、本当にエージェンシー化してやってみたら、実は半額の値段で公共事業を県でやれたということだってあるかもしれないと思うんですよ。それぐらい思い切ったことを指導しないといけないんじゃないですか。そうでないと、私は、我が国は生き残っていけないような気がするんですね。大臣、いかがでございますか、これは提案でございますけれども。
片山国務大臣 今安住委員が言われるような考え方で独立行政法人というのはできたんですね。国の方は今、これを五十九やってさらに追加をやる、こういうことでございますし、地方の方でも、今言われましたような意見がありまして、この国会に地方の独立行政法人化のための法案を出させていただこう、こう思って今鋭意取りまとめを急いでおります。
 地方の大学だとか病院だとかその他のいわゆる公営企業、あるいは試験研究機関あるいは公の施設等も思い切ってエージェンシー化といいますか独法化をしていく、あるいは民間委託ができるようにしていく、こういうことを考えておりまして、今後ともそれは進めてまいりたいと思います。
 特に、公共事業等でPFIが国よりは地方がずっと進んでいるんですよ。だから、このPFIも、もっともっと使いやすい制度にしてこれを進めていったらいいと私は考えております。
安住委員 私が今質問をしている趣旨の底流には、やはり価値観を変えようということがあるんですよ、大臣。
 ちょっと話が変わりますけれども、実は私、きょう、朝ちょっと時間があったものですからテレビでワイドショーを見ていたんですね。驚きましたね。普通、ラーメンというのは、大臣、幾らぐらいのものを食べるんですか。
片山国務大臣 値段でしょうか。(安住委員「値段」と呼ぶ)そうですね、これはいろいろありますね、安いのから高いのまで。(安住委員「普通幾らですか」と呼ぶ)会館の食堂なら安いですけれども、私が食べているのは恐らく六、七百円じゃないでしょうか。
安住委員 やはり、さすがにいいラーメンを食べていらっしゃるんだと思いますけれども。
 実は私、見ていて、おっと思ったんですけれども、皆さん、百八十円のラーメンチェーンが出て、今東京へ展開しているらしいんですよ。別にその会社を褒めているわけじゃなくて、つまり、私は、ああ、これがデフレというものかということをやはり実感しますね。
 その経営者がテレビに出て堂々としゃべっているんですね。何をしゃべっているかというと、六百円のラーメンを食わされて当たり前だと思っている人もおかしいし、六百円でないとラーメンがつくれないと思っている人たちもおかしいんだと言うんですよ。百八十円で十分元が取れるからやってみせるという話なんですね。
 百八十円のラーメンというのはいつの時代かというので、私も調べました。昭和三十三年とか四年の話ですよ。宮路先生、入省したころじゃないですか、役所に。一緒にアメリカでラーメン食べましたけれども。
 私は、これはどういうことをいうかというと、きょう福井総裁が一応予定者になりましたね。自民党の中には、一部にはインフレターゲット論というのがあるんですよ。つまりこれは、今はデフレだからという話ですね。しかし、本当にそうかと私は思いましたね。つまり、世界的な規模で実はデフレというのは進行しているんですよ。中国なんか、もうすごいデフレですから。しかし、中国は経済成長しているんですよ。我が国はデフレで、スパイラルを起こして、負の連鎖で経済が縮小しているんですよ。
 この差は何かということを申し上げると、先ほど大臣がちょっと言ったんですけれども、やはり、デフレで余剰になった資金がどこに回っているかなんですよ。中国では、それが新しいビジネスに回って、また経済の拡大に役立っているんですよ。我が国はどうかというと、そうじゃなくて、どんどんどんどんそれがスパイラルを起こして経済の縮小になっている。こういう価値観をちゃんと持っていないと、我が国だけがデフレで、我が国だけがインフレターゲットを設けて何かやればよくなるかというと、私は、多分それは物すごい悪性インフレを起こす可能性があると思うんです。ですから、今度の日銀の総裁がどういうかじ取りをするかわかりませんけれども、そういう時代で、ラーメン百八十円。
 それから、皆さん九段の宿舎にもし住んでいらっしゃったら気づくかもしれませんけれども、九段の宿舎では、朝、新聞が来ますね、私は必ずチラシを見るんですよ、昔から。最近、木曜日は必ずマンションの新築の売りのチラシなんですよ。しかし、驚きますよ、皆さん。私は、九段には記者時代からもう十五年ぐらい行ったり来たりしますからね。あのころバブルで、九段の宿舎の前の何とかハウスというマンションの最上階は、たしか六億か七億だったんですよ。この間中古で売りに出ていたビラを見たら、二億ちょっとなんですね。
 しかし、これは、デフレでこれだけ世の中が変わって、逆に言えば、チャンスが来ているとも私は思うんですね。このチャンスが来ているという意識が全く政府にないんです。こういうデフレの時代だからどういう行政をやるかというメッセージがないんですよ。だから失敗するんですよ。だから、幹事長のところに夜回りに行って、また山崎さんあたりが大型補正だなんて、あほみたいなことと言ったら大変失礼ですけれども、言っているんですよ。時代がわかっていないんですよ。
 総選挙のたびに補正予算を組んできた歴史があります、確かに。ですから役人も、大型補正を組むと、ああ、これが通ったら解散だなとか、つまり、ニンジンを地方にぶら下げて選挙をやったような時代もあります。しかし、今はそんな時代じゃないんじゃないですかと言っているんです、私は。そういう考え方から抜け出せるかどうかというふうに私は思うんですね。
 大臣、残念ながら、見ていると、そこがやはり欠けていると私は思うんですね。いかがですか。
片山国務大臣 大変難しい御質問をされましたが、なるほど、今のデフレは世界同時デフレですね。だから、一国だけでやるのは限界があるんですね。だから、私は、今安住委員もちょっと言われましたが、デフレと上手につき合う、デフレと上手につき合って経済を活性化するということを本気で考える必要があるんじゃなかろうかと。軽々なるインフレターゲットがいいのかなと私は個人的には前から思っておりまして、日本は高コスト構造の国なんですね、この高コスト構造を直していかなきゃいかぬのですね。
 だから、デフレをどうやってうまく使っていくか、スパイラルは困りますけれども、そういうことのいろいろな検討をすべきではないかと私は思っておりますし、そういう議論は経済財政諮問会議等でもありまして、今後とも政府として、必ずしも私どものところということではありませんけれども、しっかりと対応してまいるべきではないかと考えております。
安住委員 ですから、ここに佐藤理事のように建設関係のプロもいますけれども、もっとダンピングしてどんどんやったって、実はそんなつぶれないんですよ。利益が高く取れるような、多分そういう構図になっているんじゃないの、佐藤委員。私はそう思いますよ。つまり、八百万人か六百万人か知らないですけれども、そうやって建設関連の人が食ってきた時代が終わったんだということなんですよ。やはり、終わったことに気づいて、いち早く予算編成をしていかないといけないと思うんですね。
 そこで、大臣、恩給の話なんですが、もうすぐ時間ですけれども、これはなかなか私も難しいなと思っているんです、本当に。
 というのは、私も、実は私の祖父がやはり硫黄島で戦死をしまして、私の親はやはり相当苦労して、この恩給で大学まで行かせてもらった方です。しかし、もう九十になりまして。この間聞いたら、この支給平均年齢は八十三歳ぐらいですよね。そこで、私は非常に悩ましいと思うのは、物価スライドで下げる、こういうデフレ時代、やはり据え置き、政治的にどうかと言われると、でも、苦労をともにするという点からいうと、やはり下げるというのも一つの大きな選択肢かなとも思うんですよ。ただ、これは非常に難しいですけれどもね。
 だけれども、今回、年金はそうなりました。寡婦加算以外、全体として引き下げなかった理由を教えていただきたいと思います。
片山国務大臣 いろいろな議論がありました。やはり公務員給与だとか年金というものと連動すべきだという意見もありまして、公務員給与は、史上初の本俸の引き下げが一・九五行われる。また、消費者物価はもう三年六カ月下がっているんですから、対前年度比でいいましてもマイナス〇・九%。こういう状況の中で、年金も下がりましたですね、全部でなくて、マイナス〇・九、前年度対比分だけが下がる。
 こういうことで、財政当局は、恩給も下げる、こういうことでございましたが、我々は、これは何度もここで答弁させていただきましたけれども、恩給というのは国家補償的性格がある、しかも、平均年齢八十三歳の方の物心両面におけるよりどころだ、そういうことからいってもこれはぜひ据え置きにしてほしいということで、いろいろ調整をやりまして、最終的には、基本年額については据え置き、ただ、昭和五十一年に公的年金との並びで入りました普通扶助料に係る寡婦加算につきましては、これはどうしても並びだから、こういうことでございますので、これは関係の方々の御了承もいただきながら、マイナス〇・九引き下げることにいたしたわけであります。
安住委員 我が党は、今回のこの恩給に関しては賛成をします。しかし、やはり厳しい時代ですから、理解をいただいて、その部分だけでも引き下げるということはやむを得ないかなと。
 しかし、先ほども国家補償ということが出まして、去年もそういう議論になったんです、ここでは。おととしもそうです。私、去年、おととし、四年間のこの議事録を読みますと、基本的には、やはり年金制度改革とあわせてこの恩給の改革をやらないといけない。特に去年は、委員会で言いっ放しなんですね。大臣も若松さんも、抜本改革の道筋をつけたいと思いますと何回も答弁しているんですよ。でも、道筋、さっぱりついていないですよね、これは。仕事してないですね。大臣、いかがですか、これは。
片山国務大臣 こういうものの道筋は、総務省だけでなかなかつけられないものですから、いろいろなところの調整があるもので、我々としてはそういう認識は持っておるんですけれども、なかなか抜本的な大改革というのは抵抗があるな、こういうふうに思っておりますが、考え方としては、我々がここで答弁させていただいたような考え方を持っておりますので、今後とも努力をしてまいります。
安住委員 アメリカのホワイトハウスに行きますと、デスクがこう三つあって、大体、長官クラスは決裁をするときに三種類用意するんですよ。今やらないといけない決裁、きょうじゅうの決裁、それだけでもこんなに積んであるんですね、私、見たことあるんですけれども。あした以降、どうでもいいものはこっち側に置いているんですよ。この仕分けが一番うまいのはラムズフェルドという今の国防長官だと言われている。
 片山大臣の話を聞くと、あした以降、どうでもいい話ばかりなんですね。だけれども、この話は本当はそれじゃだめなんだと私は思うんですよ。委員長もうなずいていますけれども、そうですね。私はそう思うんですよ。
 そこで、余計な話ですけれども、ここは総務委員会ですけれども、今アメリカはもうイラクと戦争をしようと思っているわけですけれども、我が国が太平洋戦争のときに、この恩給のことを含めて、ことしも一兆でしょう。やはり、大臣、戦争というのはお金がかかりますよ、これは。後のことから何から考えたら、私は、そう簡単に戦争をするなどということは私が為政者であったら言えないですね。五十年も六十年もこうやってずっと引きずって、心の傷もあるんですよ。それからいうと、簡単にアメリカを支持するなどということはとても言えないと思うんですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 それは外務大臣が答えるべきことであるかもしれませんが、今大変な中で努力をしていますね、アメリカやイギリスやいろいろな国が。ただしかし、やはり悪いのはイラクなんですね。そこだけは間違わないようにね。イラクが態度を変える、イラクが全面協力する、そういうことが一番のポイントだと私は思いますけれども、まあ今盛んな努力を外交努力を中心にやっておりますので、ひとつ、そのぐらいの答弁をさせていただきます。
安住委員 私も玄葉委員も外務委員会の筆頭理事が長かったんですけれども、大臣は国務大臣としてアメリカの単独攻撃に賛成ですか。特に、安保理決議がないままに単独の攻撃をするということに関しては賛成ですか。いかがですか。
片山国務大臣 それは、本会議でも予算委員会等でも総理を初め関係大臣が答弁しておりますように、新しい決議があることが望ましいことは当然でございまして、そのための努力ですね、今、安保理を中心に。ぜひ……(安住委員「賛成か反対か」と呼ぶ)それを、この努力の結果を待ちたい、こういうふうに思っております。
安住委員 まあ、総務大臣ですから許してあげます。終わります。
遠藤委員長 次に、宮路和明君。
宮路委員 自民党の宮路和明でございます。
 最初に恩給のことを少しお聞きし、後で硫黄島問題をちょっとお尋ねしたい、こう思っております。
 まず恩給改定でありますけれども、私も党で長い間ずっと恩給の問題に携わってきておるわけでありますが、御案内のとおり、恩給の毎年度の改定、総合勘案方式というもとで、その時々の物価あるいは賃金、とりわけ公務員給与の動向等を配慮して、それを勘案して決定をしてきておるわけであります。
 そういう意味からしますと、今回の改定、先ほど大臣からもお話があったように、物価は連続して下がってきている、そしてまた人事院勧告も、公務員給与も本俸、本体を切り込むというようなことで、改定にとってはかつてない厳しい状況であるということで、我々も、ひょっとしてひょっとすれば引き下げということになりはしないかな、そういう心配も抱きながら、しかし一方では、これは国家補償という性格のものでありますので、そうあってはならじということで、ずっと党としても努力をしてまいったわけでありますけれども、結局、最終的には据え置きということで、去年の予算の段階で決着を見たわけであります。片山総務大臣が席を外されましたが、パワフルな総務大臣を擁しておってよかったな、こういう気持ちを強く抱いたわけであります。
 今後も、デフレ下で引き続き物価も下がる、あるいは賃金の方も下がっていく、そういう傾向は否定できないわけでありまして、したがって、今回の据え置きというのは、言ってみれば画期的なことであったなと、私は地元に帰ってもそういうことを皆さんに説明を申し上げておるわけであります。
 そこで、若松副大臣にお尋ねしますが、今回の恩給改定を振り返っていただいての感想、そして、来年以降の改定も今回と同様の方針で断固臨んでいくんだという決意のほどをひとつ聞かせていただければと、こう思っております。
若松副大臣 済みません、片山大臣は参議院に行かなければいけないので、副大臣の私が答弁させていただきます。
 やはり、何といってもこの恩給の受給者の方々、大変高齢者でおられるということで、かつ、物価はデフレ、こういう状況にどう対処するべきか、いろいろと検討させていただきました。
 しかし、日本の国というのは、これは私個人の考え方かもしれませんが、やはりお年寄りを大切にするという文化、これを非常に大事にしている国ではないかと思っております。そういった諸般の事情も踏まえ、また、特にこの恩給につきましては、大臣も申し上げましたように、国家補償的な性格を有するという特殊性、こういったことにかんがみまして平成十五年度はデフレにもかかわらず据え置きとさせていただいた、こういう状況でございます。
 では、今後どうなるのかというお尋ねでございますが、これも今のところ何とも言えない状況であります。いわゆる公務員の給与の改定、または物価がどうなるか、そういった総合的な状況を勘案しながら結論しなければいけないわけでありますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、やはり国家補償的な性格が非常に強い、かつ、大変我が国にいろいろな形で貢献していただいた方々でもありますし、私どもは、そういった趣旨をしっかりとらえて最大の努力をしていきたい、そのように考えております。
宮路委員 若松副大臣から大変力強いお話をいただきました。ぜひことし、ことしというか、去年の暮れ以上の恩給に対する思い入れを込めてひとつ頑張って受給者の皆さんの期待にこたえていただくよう、強くお願いしておきたいと思います。
 次に、硫黄島問題をちょっとお聞きいたしたいと思います。
 きのう、実は私、硫黄島へ行ってまいったわけでありますが、現地でいろいろなことを思ったわけであります。その中から主なことについて鴨下副大臣の方にお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。
 まず第一は、御遺骨の収集の件なんであります。
 硫黄島、ずっと島をめぐってまいりまして、いろいろと戦いの跡、苛烈な戦いの跡を見てまいったわけでありますけれども、二万余の戦没者が出ているわけでありますが、今なお遺骨の収集が八千二百弱であるということで、今日までにやっと四割に達したということなんですね。あと、残された六割、これを何としても、一日も早く、そしてまた一柱でも多くこちらへ持ち帰る、収集してこちらの方へ持ち帰ってくるということは大変急を要する大きな課題だというふうに思うのです。
 場所が場所だけに、高い地熱の中での、ざんごう内での収集であるとか、あるいはネムの密林が覆っているそういう中での収集であるとか、あるいは現にもう自衛隊の基地用地に供されているその地下の方での収集であるとか、そういった非常に厳しい条件下で収集をしていかなければならない、そういう運命にあるわけでありまして、これはなかなか容易じゃない。それだけに、相当計画的に、また積極的に、防衛庁等との連携もしっかりと保ちながらやっていかないとこれはなかなか進まないというふうに思うのです。
 副大臣として、これにどういうぐあいに取り組んで、英霊の、そしてまた御遺族の皆さんの期待にこたえていくか、まず第一点、そのことをお尋ねしたいと思います。
鴨下副大臣 宮路委員、昨日お帰りになったということで、硫黄島に行かれまして、さまざまな深い思いの中での御質問だろうというふうに思っております。また、委員におかれましては、常日ごろから硫黄島を含みます海外戦没者の慰霊事業につきまして深い御理解をいただいていることにつきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 また、昨日いらしたのは、日米の硫黄島戦没者合同慰霊の顕彰式に御参加なさった、こういうようなことを伺っておりますが、その中でも大変いろいろと深い思いをお持ちになったことと拝察しているところであります。
 今、硫黄島におきまして、戦没者数は委員おっしゃっているように約二万余の方々でありまして、現在まで遺骨収集が四十六回実施されておりまして、八千三百八十三柱の遺骨が我が国の方に、我が国の方にといいますか、送還をされているわけであります。そして、戦後長い年月を経過しまして、関係御遺族の皆さんから、とにかく早期に概了してくれと、こういうような強い御要望があるわけでありまして、平成十一年度から平成十四年度にかけましては、防衛庁を初め関係団体等の協力をいただきまして、事業の規模を拡大して、特に、多分先生ごらんになったんだろうと思いますが、埋没地下ごう等の開口調査及び遺骨収集の推進を図ってきているところでありますけれども、さらに、十五年度以降の遺骨収集の実施につきましては、御遺族等の関係者の意見を踏まえまして、さらに積極的に、今後、一柱でも多くの御遺骨が収集できるように努めてまいりたい、このように考えております。
宮路委員 大変な前向きの答弁をしていただいて、大変ありがたいことだと思います。ぜひ鴨下副大臣のリーダーシップのもとで御遺骨の収集が一層進んでいきますようにお願いしたいと思っております。
 次に、慰霊碑の問題なのであります。
 安住委員のおじいさんも戦没者だというお話を聞きましたが、二万人余の戦没者の中で二千人余りが私の地元鹿児島出身者、私の地元の関係者である、こういうことでありますだけに、私の硫黄島に対する思いもまた深いわけでありまして、そこで慰霊碑も、ぜひ英霊が誇りを持ってあの地で眠れるというようなものであってほしい、こう思うわけであります。
 昭和四十六年に厚生省がつくった慰霊碑を見てまいりましたけれども、まことにみすぼらしい慰霊碑でありまして、別なところに東京都がつくった鎮魂の丘というのがあるのですけれども、これに比べると十分の一ぐらい、甘く見ても十分の一ぐらい、そういう状況であります。花壇もなければ、あるいは石畳ではなくて、東京都なんか立派な石畳を敷いているのですが、砂利であります、砂利。そして、スペースの狭さ。遺族の方々あるいはその他の皆さんが慰霊に伺っても、本当にこれでは寂しい思いがする。まさに絶海の孤島で、寒風吹きすさぶ中で、寒風を受けながら、英霊が本当に泣いているというような、そんな感じを抱かせるような慰霊碑であるわけであります。
 そして、その慰霊碑の周りにある納骨堂や灯籠あるいは手水鉢等々にしましても、これは硫黄島協会の皆さんがみずからの身銭を切って、あるいは寄附を集めて、御寄附をいただいて、その人たちがつくっておるということでありまして、本当に、政府の思いやりと申しますか、それが欠けているなということを私は大変残念に思って帰ってきたわけであります。
 今度、平成十五年度予算三千八百万余りを計上して、二年度にわたって、十五、十六ということでこれを修築する、こういうことであるようでありますが、いずれにしても、これはしっかりとした、ちゃんとしたものをつくってさしあげて、そして誇りを持って眠っていただく、そういうようなものにしなければいけないと思いますし、また遺族の方々もあそこに伺って安心していただく、そういう施設にぜひしていただきたいものだというふうに思うのです。
 したがって、十五、十六とかけてという予定でありますが、ぜひこれは、副大臣も既に硫黄島には行っていただいたというお話も承っているところでありますので、事務的な対応ではなくて、やはり政治的な思い入れも込めて、ぜひ立派な慰霊碑を修築していただきたいということをお願いいたしたいと思います。
 それから、これもあわせてまた後でその決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのでありますが、沖縄と違って、ここは恩給の加算も激戦地加算が適用されていない、そういうことになっております。それだけに、こうした御遺骨の収集にしても、あるいは慰霊碑の修築にしても、一層手厚い対応をしてさしあげなければいかぬ、こう思うわけであります。
 慰霊参拝にいたしましても、沖縄は多くの方々がよくお見えになるわけでありますが、この硫黄島は交通手段、輸送手段のこともこれあり、めったになかなか慰霊に出かけてきてくださる方がいない、こういう状況でありますので、硫黄島の歴史もそのうち寒い風に吹きさらされて風化をしていくんじゃないか、そういうことを心配いたすわけであります。そのためにも、もっともっと慰霊に国民が足を運ぶことができるように、そして、しっかりと後世にわたって硫黄島の歴史が語り継がれていくような、そういうことにぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 この二点につきまして、副大臣の御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
 当初、この答弁は事務局というような声もありましたが、やはり私は、この際、お忙しい中とはいえ、鴨下副大臣、かねてから高潔な志と義に厚いことで有名な鴨下副大臣を英霊がお呼びしているんじゃなかろうかなという思いできょうは来ていただいたわけでありますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
鴨下副大臣 宮路委員から大変重いお言葉をいただいたわけでありますけれども、硫黄島の戦没者の碑の補修につきましては、昭和四十六年の竣工以来、確かに長い年月がたっておりまして、私も数年前に硫黄島に伺いまして、宮路委員と同じ感慨を持って戻った次第でございます。
 そういうこともございまして、先生方の大きなお力とそれから御遺族の皆様からの強い御要望もありまして、平成十五年度そして十六年度の二カ年計画で大規模な補修を行おう、こういうようなことでございます。また、その具体的な補修の内容につきましては、御遺族の皆様からの意見を十分に聞きながら、できるだけよりよい補修をしてまいりたい、このように考えております。
 また、もう一点であります硫黄島への島に渡る手段というのが非常に、地理的にも、それから用途的特殊性、こういうようなことからも、それこそ自衛隊機等に限られている、こういうようなことでございますので、御遺族そして戦友の皆様方からもいろいろな要望をいただいております。宮路委員おっしゃるように、厚生労働省だけではできないことでありますけれども、防衛庁それから関係各省とそれぞれ連絡をとりまして、私も、皆さんの御希望がかなうように積極的に努力をしたい、かように思っております。
宮路委員 力強い御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時一分開議
遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 大分時間があきまして、各委員さん、お疲れのところでありますけれども、私、通告に従って順次質問いたしますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、恩給でありますけれども、その対象者の大部分が、戦争という特殊な勤務に旧軍人として服した方々や、またその遺族でありまして、まさに国家補償としての性格を有するものであります。大臣、御答弁のとおりであります。そしてまた、この受給者の平均年齢は八十二歳を超えておると聞いております。国は、そのとおり、厳しい財政事情ということでありますけれども、命を賭して国に尽くし、今や高齢になられた方々に対し、十二分に恩給として配慮しなければならないと私も思っております。
 そこで、この平成十五年度の恩給の年額につきましては、公務員給与及び物価が下がる中ではありますけれども、予算案では基本的に据え置きとされております。しかしながら、普通扶助料に係る寡婦加算については〇・九%引き下げる、そういう改正案が提示されたところであります。
 そこで、この戦後補償あるいはまた国家補償といった問題意識を踏まえまして、この恩給制度の基本的性格づけについて、ますます高齢化する方々の立場を配慮しつつ、そしてまた今後の我が国の恩給制度のあり方はどうあるべきか、また基本的にどう取り組む所存か、大臣の見解を改めて求めておきたいと思います。
片山国務大臣 恩給制度につきましては、今、黄川田委員お話しのように、我々は、国家補償的性格が大変濃いものだ、それから公務員制度の一環としての意義を持つものだ、こういうふうに考えておりまして、もちろん公的年金等との関係もございますけれども、平均年齢が八十二歳という高齢の方々の物心両面のよりどころ、心の支えになっているということを考えますと、ぜひ、そういう方々の意向、要請を十分体しながら、今後ともこの制度を維持してまいりたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 さて、具体的な恩給事務について、これから一つ一つ聞いておきたいと思います。
 平成九年二月に、申請負担軽減対策の一環として、申請書等の記載事項の簡素化を図るとともに、恩給事務に住基ネットを導入することになりました。御案内のとおり、その後、平成十一年、この住基法改正の折、恩給法に定める事務の取り扱いも可能になりまして、住基ネットによる本人確認情報の提供を受け、そして恩給支給事務に利用することとなっております。
 具体的には、恩給受給者に対する受給権の調査において、住民票の記載事項の市区町村長の証明にかえまして、指定情報処理機関から本人確認情報を年四回、支給期ごとに受け、確認を行うこととしておるところであります。
 そして、この指定情報処理機関が、とりもなおさず、総務省の外郭団体、財団法人地方自治情報センターであります。同センターの職員は約百名、そのうち常勤の役員は四名で、理事長、理事二名、監事から成りまして、特に理事長は、つい先日まで当委員会で答弁に当たっていた方であります。そして、他の三名はいずれも総務省の元審議官クラスであります。また、職員のうち、主要な部長クラスの三名は総務省OBで占められている。まさに、総務省の天下りの指定席ではないかと言われるところであります。
 そこで、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 特殊法人改革が叫ばれながら、実態はその進行が遅く、国民の批判を浴びている中、行政委託型公益法人のあり方も一年前に閣議決定されておったはずであります。かつ、大臣は、総務大臣として、率先して指導性を発揮する立場にあることでもありまして、同センターへの天下りをどう認識してきたのか、そしてまた、この役員は出身省庁の三分の一以内のルールをどう認識しているか、大臣の見解、直接求めておきたいと思います。
若松副大臣 今、この地方自治情報センターのお尋ねでございますが、これは、とりもなおさず、自治体の皆様のいわゆるサポートによって運営されているという性質のものでございます。
 そこで、役員のお尋ねでございますが、公益法人の設立許可及び指導監督基準、これが平成八年九月二十日に閣議決定されておりますが、ここでは、所管する官庁の出身者が占める割合は、理事現在数の三分の一以下、これが基準になっておるわけでありますが、先ほど委員も御指摘のとおり、同センターの役員が、現在、理事九名、監事四名の計十三名中、いわゆる総務省、所管官庁出身者が四名ということで、基本的にこれは三分の一以下になっているということで、私どもとしては、この指導監督基準に従って適正な運用がなされている、このように理解しているところでございます。
黄川田委員 非常勤を含めまして、その部分での四名ということになるわけですか。
 では、あわせて、関連して質問していきたいと思います。
 同センターの平成十五年度予算書によりますと、役員費として約一億二百万円が計上されております。総務省によりますと、これはほぼ常勤役員四名の人件費であるとのことであります。単純に割れば、一人当たり平均二千五百万円の年収となるものであります。現下の厳しい経済情勢で、国民は多くの犠牲を払っております。そしてまた、高額の退職金をもらった上に、第二の職場で長年にわたり二千五百万円もの年収が保障されている実態、大臣はこれをどう認識しておりますか。そしてまた、改善する考えはないのでありますか。どうでしょうか。
若松副大臣 今委員が、いわゆるホームページ等で公開されている役員等給与、役員報酬の金額でございますが、一億二百万円というのは、実は給与だけではなくて、さまざまな手当等も含まれております。実際の常勤役員の平均報酬年額は約一千八百三十万円ということで、二千五百万ではないということをまず御認識いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、先ほどの平成八年の指導監督基準、これによりまして、地方自治情報センターも漏れなく役員報酬のホームページ上の公開がなされておりまして、この指導監督基準に照らしまして、今申し上げたような金額の基準というものは、いわゆる民間の給与水準と比較して不当に高額にはなり過ぎないというところでありますが、私どもとしては、それなりの適当な金額ではないか、そういうふうに理解しております。
黄川田委員 一億二百万円の中には、非常勤の日額報酬であるとか、先ほど若松副大臣、手当等のお話をされましたけれども、多分、退職引当金等も入っておるというふうな形と思っております。
 しかしながら、それらはだれに行くかといいますと、これはすべて役員の方に行くお金でありまして、報酬一千八百万円台だという話でありますけれども、いずれ、それらはすべて最終的には役員の方々に支出されるものだということだけははっきりとしておきたいと思っております。まさに天下り法人というべきものであって、都合のいいように法人の仕事をつくる、あるいはまたそういう形で進めているというふうな形ではないかと思っております。
 現在は、営利企業への天下りだけが制限されているから、このように公益法人に大量の役人が天下りになるんではないかと思っております。
 そしてまた、これまで私もたびたび聞きましたけれども、天下りに対する政府の答弁を聞いておりますと、特殊法人あるいはまた公益法人への天下りについては、退職金の見直しなどの手当てを講じているからいいのだというふうなこともお聞きいたしましたが、なぜ営利企業と同じ枠組みで規制してはいけないのか、そして、なぜそうしないのか、そしてまた、その理由は明らかでないと思っております。
 我々自由党、そして民主党あるいはまた社会民主党が共同で提出しております、特殊法人、公益法人への再就職も規制対象とする天下り禁止、その関連四法案を早く成立する必要があるのではないかということを強く述べておきたいと思っております。
 それから、時間もありませんので、次に恩給支給でありますけれども、これは年四回行われます。それに伴う百三十四万人の支給事務のために、本人確認上、住基ネットを最低年四回は利用することになります。一人一回当たりの利用単価は十円とのことであります。それだけでも、単純に計算すると最低年五千三百六十万円の利用料になると思います。
 そしてまた一方、政府の平成十五年度予算書によりますと、住基ネット利用経費、すなわち同センターへの手数料ですか、それとして六千三百十二万五千円が計上されておるところであります。五千三百六十万、六千三百十二万、その差額はともかくといたしまして、この十円の単価設定、これに疑問があるわけであります。
 そこで、先ほどの役員人件費等も含めまして、同センターの運営をまず優先して考えまして、逆算してこの単価設定がなされておるのではないかと私疑問に思っておるわけでありますけれども、参考に、設定単価の内訳を総務省の方から聞いておきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えをいたします。
 十円の設定単価の内訳あるいは根拠についてのお尋ねでございますが、まず、指定情報処理機関の費用の負担の考え方につきましては、都道府県からの交付金によって賄うことを基本としておりますが、国の機関に対する本人確認情報の提供に要する経費につきましては、先生今御指摘のとおり、国の機関等からの情報提供手数料によって賄うこととしております。
 つまり、住基法の規定によりまして、都道府県知事は、指定情報処理機関の収入として、情報提供手数料を指定情報処理機関の収入として収受させることができるとされておりまして、その額は指定情報処理機関が定め、知事が承認をするということになっております。
 さて、十円の設定単価の根拠でございますが、国の機関等に対する本人確認情報の提供に要する年間の運用経費、これを推計いたしまして、これを本人確認情報の年間の見込み提供件数で割るということによって、情報提供一件当たり十円という数字を算出したわけでございます。つまり、年間運営経費を推計し、提供件数で割るということによって、一件当たり十円という数字を算出したわけでございます。
黄川田委員 総務省から、手続、枠組み、さまざま、年間どのぐらいかかる、そこから割り出したというふうな話でありますけれども、行革推進事務局のガイドラインによりますと、公益法人の役員報酬に対する国の補助金等による助成は既に廃止することとされております。しかしながら、他の公益法人においても見受けられることでありますけれども、今回の例のように、単価設定いかんによっては役員報酬も賄うことも可能である、さまざま、幾らかかるということを決めればそれで単価も設定できるというふうな感じを私受け取っておりますので、その点、なかなか納得できないなというところもあります。
 残り時間が少ないので、引き続きお伺いいたします。
 同センターの総予算でありますけれども、平成十一年度は二十七・一億円、十二年度、五十四・九億円、十三年度、百四十九・三億円、十四年度が二百二十四・一億円、そして平成十五年度は二百十・九億円と、住基ネットを核にした行政手続のオンライン化等のため増大しているわけであります。
 御承知のとおり、公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画でありますが、これが一年前に閣議決定されている。それによりますと、補助金等の五割以上を第三者に分配、交付するものを第三者分配型補助金等と称し、そしてまた別に、補助金等が年間収入の三分の二以上を占める公益法人を補助金依存型公益法人と称しておるわけであります。いずれの場合も、類型により異なりますけれども、さまざま厳しい改善を図ることが求められておるわけであります。
 そしてまた、同センターの平成十五年度予算書を見ますと、一般会計の収入のうち、補助金等は五十七・二億円にも及びますし、そしてまた、一般会計の事業支出のうち、外部委託費が四十・一億円、詳細はわからないのでありますけれども、補助金支出が二十四億円でありまして、合計六十四・一億円にも達するわけであります。
 同センターの性格上、国の補助金、委託等はわずかでありまして、先ほど来言われましたけれども、大部分は地方公共団体からのものでありますけれども、行革推進事務局は、地方分であっても国支出分に準拠して検討すべきとしております。
 そこで質問であります。
 同センターの事業実施形態でありますけれども、地方公共団体からの委託を国に準拠するものとみなしますと、五割ルールや、あるいは三分の二ルールはどこまで遵守されているのでしょうか。そしてまた、事業が大きくなりまして規模が大きくなりますと、この際、同センターの組織体制あるいは業務の実施方法を大幅に改善する必要があると思っておりますけれども、総務省の見解はいかがでしょうか。
若松副大臣 今委員御指摘のように、平成十三年七月に内閣官房から出されました行政委託型公益法人改革の具体化の方針案、そこで今おっしゃった五割基準または三分の二という指摘がございますが、それにつきましては見直しの対象とされている。
 それでは同センターがどうなのかという御指摘であります。地方自治情報センターにつきましては、国からの補助金が二億円ということで、当然この基準は満たしておりまして、この観点からの見直しの対象とはされていないということでございます。
 さらに、御指摘の、補助金の五十七・二億円、これにつきましては、市町村振興協会、ここから交付されている助成金でありまして、地方公共団体からの委託または補助金に該当しないと私どもは認識しておりますが、いずれにしても、今公益法人改革の流れが加速しておりまして、恐らく来月中には大綱なりができるんではないか、そういった議論も含めながら、やはりこれからしっかり対応しなければいけないと思っております。
 いずれにしても、同センターは、電子自治体の流れが非常に加速する中で大変ニーズが強くなっているのも事実でございます。そういうことから、私どもとしては、先ほどの公益法人改革の流れもしっかり見ながら、絶えず組織や業務のあり方、改善、また情報公開の充実等に努めてまいりたいと考えております。
黄川田委員 行政改革推進事務局の厳しいルール、例えば五割ルールで第三者への再委託、これを禁じておりますし、そのためにどうするかというと、外部から職員等を派遣してもらいまして、その人があたかも自分のところで業務処理をしているように見えますけれども、その実態は、その人の派遣元の会社で業務が行われる、実質、外部委託と同じことが行われているのではないかというふうに思われるところもありますので、さまざま多少細かい議論をしてまいりましたが、副大臣がお話しのとおりでありまして、細部をせんさくする気持ちは私の真意ではありませんし、むしろ、地方分権改革のスピードを加速する上で、自治体のIT化の促進あるいはまた住基ネット利用に伴う個人情報の適正な取り扱い等、同センターの役割は本当に重要性を増す、こう思っているわけなのであります。その意味で、同センターの改革を前向きに図ることは喫緊の課題であろうと思っております。
 総務省は、大臣が先ほどもちょっと触れましたけれども、今国会で、地方独立行政法人、この制度を創設するということ、あるいはまた、その運営や監督等の基本事項を定める予定をしているということでもありますので、どうか、公益法人の重要性にかんがみ、その抜本的な改革をよろしくお願い申し上げまして、また指摘申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 恩給法の改正案が出されているわけですが、これを見ますと、普通扶助料に係る寡婦加算に限って〇・九%引き下げる、こういうものになっているわけです。年額にして七億三千万円程度減額となるわけです。現在の厳しい経済情勢のもとで、七十一万三千人の方々に影響を及ぼすわけです。
 そこで、大臣にお聞きします。これらの恩給減額の痛手を受ける方々の暮らし、これをどのようにお考えか。
片山国務大臣 言われますように、この寡婦加算というのは、昭和五十一年に公的年金と横並びで導入されまして、今回、横並びだからということで、関係の方々の御了解を得て、我々もマイナス〇・九%の引き下げを行ったところでございます。
 その引き下げ額は、六十歳以上の妻及び扶養遺族である子を一人有する妻については、年額千四百円下がる、月額で百十七円。また、扶養遺族である子を二人以上有する妻については、年額が二千四百円でございますから、月は二百円。金額が一番少ない実在職年六年未満の普通扶助料の最低保障額の受給額が五十五万四千二百円。こういうことから見ますと、これが生活の安定に大変な支障になるとはまあ考えられないのではなかろうかと思っております。
矢島委員 七十一万三千人の方々に千四百円から二千四百円の減額、決して少額ではないんです。血も涙もない処置じゃないかということを私は考えるわけですが、そのことを指摘しまして、次の質問に移りたいと思います。
 第二次世界大戦の中で、日本とアジアの人々、大変犠牲になりました。あの戦争で指導的な立場に立っていたいわゆる戦犯、こういう人たちにも高額な恩給が今支給されております。
 そこで、この恩給制度の問題に関連いたしまして、私、これからシベリア抑留者の労働賃金未払い問題についてお尋ねしたいわけです。
 敗戦直後、当時のソ連政府によって約六十万人の日本兵が、今の中国東北部あるいは北朝鮮、樺太、そういうところからシベリアに強制連行された。非常に極寒の中、長期に強制労働をさせられたわけです。このため、栄養失調とか寒さ、こういうことで約六万人の兵士が次々と命を奪われる。ついに祖国に再び帰ることができませんでした。
 こういう悲劇を繰り返さないということで、日本国憲法が、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにしよう、こう決意したわけであります。シベリア抑留者の方々への未払い労働賃金に対する補償問題、これを公正に解決するということは、二十一世紀、平和国家として日本が生きていく上で欠かすことのできない課題だと私は思うわけです。
 これらの方々は、もう大変高齢になっていらっしゃいます。この問題の公正な解決を見ることなく眠りにつくことはできない、こう悲痛な訴えをしていらっしゃいます。昨年十一月二十二日に、非常に寒い日でした、寒風の中、この高齢者の元兵士の方々が国会前で、未払い賃金の解決を願って座り込みをいたしました。こういうシベリア抑留者の方々の切実な訴え、これをどうお考えか。紋切り型でなく、政治家としての大臣のお考えをお聞きしたい。
片山国務大臣 今、矢島委員が言われましたように、私は、心情としては矢島委員と同じ考え方ですね。戦争が終わったにもかかわらず連れていかれて、極寒の地で強制労働でしょう。しかも、何万人もの方が亡くなられておる、しかも、その労働の対価を支給されていないというような状況は本当に大変同情すべきものがある、私もこういうふうに考えております。
 ただ、この問題に対しましては、もう十分御承知だとは思いますけれども、二年以上の審議、検討の結果、これも御承知のように、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会報告というのが出ておりまして、それに従って政府はやる、こういうことになっております。それに基づく法律が昭和六十三年に、平和祈念事業特別基金ということでできまして、そこで関係の方々に対する慰藉の念を示す事業を、これは十分御承知のとおりだと思いますけれども、そういう行政上の対応になっているわけでございます。
矢島委員 平和祈念事業特別基金、こういうものを使っての例えば十万円の国債交付や銀杯だとか、あるいは書状、いろいろございました。これはいわゆる強制労働の賃金補償問題の解決とは関係ないんだ、今、不払い賃金についてはどうするのか、どう対応しているのかが重要だろうと私は思うんです。
 これは、ことしの一月二十八日に、小泉首相からの答弁書がこれらの問題について出ているわけですが、「いわゆるシベリア抑留は、人道上問題であるのみならず、当時の国際法に照らしても問題のある行為であったと認識しており、「日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ」とするポツダム宣言第九項に違反したものであった」と思うという小泉首相の答弁が出ております。
 大臣、非常に人道的な問題だと私は思うんです。そのお考えについてはいかがですか。
若松副大臣 念のために、やはり先ほどの五十九年の懇談会の報告のポイント、これをぜひ確認させていただきたいんですが、捕虜の人道的な取り扱い、関係者が国に補償を求める心情は理解にかたくない、また、過酷な抑留も戦争損害の一種に属すると言わざるを得ない、また、何らかの政策的措置、これはもはやこれ以上国において措置すべきものはない、このような結論になりまして、総務省といたしましては、この懇談会の検討の結果、基金法制定時の御審議の経緯に立って、補償ではなくて慰藉の事業を行うという立場で平和祈念事業を実施しているところでございます。
 私も、「人間の條件」とかを見て、やはり大変心痛むものがございます。いずれにしても、こういった流れの中で、総務省としては本事業をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
矢島委員 そこで、大変な人道的問題であり、国際法に照らしても問題があるという認識があるわけですけれども、そういう大きな犠牲に対する補償措置というものが必要だと思うんです。
 シベリアでの強制労働に対する未払い賃金の問題については、主要な責任は当時のソ連政府にあるという、これはもうそのとおりであります。四九年のジュネーブ条約によりますと、こんなふうになっていますね。本来、ソ連側に、未払い賃金額を明示した労働証明書を日本兵に持って帰らせる責任があったんだ。また、同条約によれば、その未払い賃金を日本政府が払う義務があるのに、労働証明書がなかったためにそれが行われていないと。
 全国抑留者補償協議会の方々がロシア政府に働きかけまして、九一年以降になりますけれども、政府命令によって労働証明書の発行が開始されました。そして、三万四千人分以上の労働証明書が日本に送られてまいりました。この上に立って、政府として、この未払い賃金を日本政府が支払うという措置を検討すべきだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 委員が言われるようなことは、国会でも何度も取り上げられましたし、先ほど言いました懇談会でもいろいろな議論をされた。それから、訴訟がありましたね、平成九年の。そこで、最高裁判決においても今言われたようなことが争点になったんですけれども、国に補償の義務はないというのが最高裁の判断であったわけでございまして、総務省として、そういうことであれば今までの方針に従わざるを得ない、こういうふうに考えております。
矢島委員 最高裁の問題が出ました。九七年の三月の最高裁判決だろうと思います。
 これによりますと、旧日本兵の賃金支払いについて、原告の人たちが、南方から復員した兵士の方々には未払い賃金が支払われた、シベリアからの帰還兵には認められないというのは、不平等感、こういうものを持って当然だと。この支払いについて、新たな立法措置を行えば可能になるという見解も同時に最高裁の方は示しております。つまり、新しい何かの法律的な処置をやればできるということです。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、南方から復員した方々に対して、労働証明書を持ち帰った場合にはきちんと賃金が支払われている。ところが、シベリアから復員した兵士に対しては支払われていない。同じ扱いにすべきが当然じゃないかと私は思うんですが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 私も詳しいことはそれほど把握はしていないんですが、イギリス関係の抑留者の方々には支払ったと聞いております。そんな数には多くないんですけれども。そういうことで、そういう観点だけから見れば、同じじゃないじゃないか、平等ではないではないか、こういう議論が私はあるんではないかと思います。
 しかしそれは、今まで答弁させていただいたような事情の中で、日本政府が補償するという、今直ちにですよ、そういうことはなかなか、私どもの方からそうだということは申し上げられないわけでございまして、国権の最高機関である国会において大いに議論していただいて、立法政策として場合によってはと、これは私は、そういう議論があってもおかしくないと考えております。
矢島委員 私、極めて不公平な、南方からの帰還の方々、もちろん個人計算カードを持っていらっしゃる方々には支払われたわけですけれども、その方々と、それからソ連に抑留された方々との不公平さというものを感じます。
 外務省の答弁などもこの問題ではありますので、時間の関係で深くは突っ込みませんけれども、総務大臣に聞きますが、結局、これまでの経過を調べてみますと、シベリアに抑留された方々の労働賃金については未払いとなっているというのは、これは事実である。どこで払うとか何かというのはまだいろいろ問題があるとしても、未払いというのは事実だ。これはだれも否定できないんだろうと思うんです。それから、だれが補償すべきかということの問題の前に、未払いとなっている事実が存在して、その支払いのための労働証明書も発行されるようになった、これもまた事実なんです。
 こういう事実については、大臣、お認めいただけるわけですね。
衞藤政府参考人 委員御指摘の点につきましては、先ほど来から話に出ています平成九年の最高裁でかなり詰まった議論がなされていまして、簡単に御紹介いたしますと、シベリア抑留者に労働賃金を支払うためには、総合的な政策判断の上に立った、まず立法措置がその前提となる。しかし、その補償問題に関しては、一連の戦後補償立法を政府においてもやっておる。特に、抑留に係る給付に一定の立法措置なども講じられた。また、先ほど来、平和祈念の基金法でございますが、基金法において慰藉の措置もなされておる。こういった状況を考えると、かかる立法措置がなされていないことが立法府の裁量の範囲を逸脱したものとは言えないということで、最高裁としては、その措置がなされていないことをとがめ立てはしていないという状況でございます。
 したがいまして、政府といたしましては、基本的に申し上げたいことは、現在動いている流れが、補償という流れではなくて慰藉である、その慰藉の流れの中で動いていることでございますので、総務省といたしましては、この慰藉の事業を徹底していきたい。
 以上でございます。
矢島委員 長々と、私がお聞きしたのは、前の私の聞いたことを今になって答弁してもらって時間を食ってもらっても困るんですが、私は大臣に、未払いがあるということと、それから労働証明書というのが発行された、この事実については御認識いただけるんでしょうねと、このことだけ聞いたんです。
片山国務大臣 今委員が言われた、未払いであると。私もそうだと思います。それから、補償する相手はソ連政府なんですね、これは。それから、労働証明書の話も、委員の言われるとおりだと思います。
矢島委員 以上のような状況の中で、やはり立法措置というのが一つの、大臣も言われたように、今後考えていかなきゃならない、論議していくべき問題だろうということは、先ほど、九七年三月の最高裁の判決の内容をいろいろと総務省の方、述べられましたが、それは、そういう部分もあるんです。しかし、やはり不公平、不平等感というものをシベリアからの帰還の人たちは持っているということについては裁判も認めていますし、そのことを解消するためには立法措置を行うことだ、こういうことをこの最高裁の判決は示しているんだろうと思うんです。
 そこで、やはり私は、このシベリア抑留者の強制労働に対する賃金未払い問題については、補償をきちんとやっていくための立法措置、ここに踏み切るべきだと思うんです。もちろん、先ほど大臣からのお話もありました、いろいろ論議してということがありますが、政府として、ひとつこの問題に真剣に取り組んで立法措置を考えてもらう、こういうことが私は今非常に緊急に求められておると思うんです。
 シベリアに抑留された方々は、この問題の公平な解決、これを見ることなくして眠りにつくことはできない、こういう悲痛な訴えをしていらっしゃる。ですから、これらの方々がまだ丈夫なうちに検討に着手していただく、このことを私は強く求めるんですが、その辺についてのお考え、もう一度お願いいたします。
片山国務大臣 政府としましては、何度もお答えしておりますように、懇談会の報告を尊重する、その指示に従うということで現在の法律をつくって、慰藉でいこう、それをもってこの戦後処理問題は決着した、こういうのが政府の基本的な今までのスタンスなんですね。
 そういうことでございますので、最高裁が言うように、あるいは今矢島委員が言われるように、高度の立法政策の問題だと私も思いますので、国会の中で大いに議論していただくのは私は結構ではなかろうかと思っております。
矢島委員 ぜひ、議論もいたしますけれども、政府自身も考え方を基本的にそういう方向へかじ取りを変えるということを希望して、質問を終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 それでは質問に入りますが、まず、昨年も私同じ質問をしたんですが、つまり、なぜ総務大臣ではなくて人事・恩給局長が裁定庁となっているのかという点について、大臣は次のように答弁をされました。立法政策の問題だと思う、今後は検討の余地はあると思う、あるいは「十分経緯を調べ、状況を見まして、バランスも考えながら、今言いましたように、検討の余地があると私も認識いたしております。」これが片山大臣の答弁でありました。
 しかし、提案されております改正案の中にはその部分というのはございません。あれから一年、行政府ではこの大臣答弁を踏まえてどういう検討をしてきたのか、まずその点をお伺いいたします。
片山国務大臣 確かに私は、一年前になるんでしょうか、その恩給法の審議のときの重野委員からの御指摘に、今言われたような答弁をしたことを記憶しております。
 早速経緯を調べまして、経緯を調べますと、局長というのは恩給だけなんですね。あとは大臣ないしは外局の長官なんですね、社会保険庁の長官だとか。それから、国家公務員の場合には連合会なんですね。そういうことでございまして、ここだけが局長になっている。
 これは、かつて答弁しましたように、経緯からこうなっているわけでありますが、そこで、これをどうするかという議論をいたしましたけれども、今の時点で、これから恩給制度に新たに参入する者はもうないんですね、委員御承知のように。だんだん減っていくと言ったら言葉がちょっとあれでございますけれども、だんだん少なくなる。それから、受給者の方が極めて高齢化しておって、局長が裁定権者だ、こういうことについてもなれておりますし、ここで局長を大臣にして一種の混乱を与えるのもいかがかなと。
 だから、このままでいった方が適当ではないかというのが我々の検討の結果でございまして、まことに、あのとき検討の余地があると確かに申し上げましたが、検討の結果、余地はあったんですけれども、現状の方がベターではなかろうか、こういう結論になったわけでありまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)
重野委員 昨年も言ったんですけれども、自治体においては、本属庁たる都道府県知事が裁定庁となっているではないかと。地方においてそういうふうな形になっている。中央政府では、今大臣が答弁されたような形で、この一年間ずっとまた引き続きずってきたわけですよ。私は、食言とは言いませんが、そうであればそうであるらしく、一年間という時間がありましたので、懇切丁寧な説明をやってしかるべきであった、このように思います。
 それで、いわゆる地方自治体においては、本属庁たる都道府県知事が裁定庁、なぜ政府は、今言うように、局長が裁定庁なのかという点については、どうもそこの納得できない部分があるんですよね。そこら辺、もう一度答弁してください。
片山国務大臣 かつて戦前は知事は官選でございまして、そういうふうな経緯もあって局長と知事が並びで、そういうことに経緯的にはなったと私は聞いておりますけれどもね。
 そこで、今、どういう混乱だというちょっと御指摘もありましたが、今は局長がやっているということについて、私は、ここで大臣にしたら制度そのものが変わったのか、こういう感じを高齢者の方がお持ちになるおそれもあるのではなかろうか、こういうことでございまして、いろいろ検討の結果、裁定権者を今の段階で変えるのはどうかというのが我々の判断でございます。
重野委員 大臣の答弁、大変苦しい答弁に聞こえますね。まだいっぱいあるのできょうはこの程度にしておきますが、今後ともこの問題はただしていきたいと思います。
 そこで、昨年の質問の中で、軍恩議員協議会の開催に関する軍恩新聞の中に、片山総務大臣の特段の御配慮を云々という記事が出ていました、その特段の配慮とは何かということを昨年、質問いたしました。大臣は、低額恩給あるいは遺族加算については特別な配慮をしてもらわないとだめだ、こういうことを強く言いましてと答弁されました。そうすると、この答弁と今回の改正内容を対置して考えますと、いささか皮肉な言い方になりますけれども、特別な配慮とは、遺族加算の引き上げではなく寡婦加算の引き下げによる格差の均衡、そういうものを意味するんだというふうに受け取られるんですが、大臣、どうでしょう。
片山国務大臣 財政当局は、先ほども答弁させていただきましたが、公務員給与も初めて本俸を引き下げる、それからデフレが続いて物価は下がっている、そういうことで、年金は引き下げるんだ、恩給も基本年額を引き下げてほしい、あるいは遺族加算を含めて引き下げを検討しろ、こういう案を持ってきたんですね。
 そこで、大分これは事務方にもやっていただきましたし、我々もやりまして、最終的には大臣折衝で、基本年額は恩給だけは据え置く、こういうことになったわけでございます。その際、寡婦加算については、これは昔から年金並びで来ている、社会保障的性格が強いので、こういうことでございますので、これについても私どもは据え置きを主張いたしましたが、これはそういうルールだ、こういうことでございまして、関係の団体の方々の御了解を得て、これについてはマイナス〇・九%だけ引き下げる、こういうことにいたしたわけであります。
 我々が頑張らなければ、基本年額も年金と同じように引き下げてくれ、基本的にはこういうことだったんですよ。私どもの力が足りずに、寡婦加算についてはルールだということでそういうことになりましたが、年額の据え置きにつきましては、こういう厳しい状況の中では一定の成果であったと思っております。
重野委員 片山大臣がそういうふうに努力したんだという経過は私も認めるわけですね。
 しかし、この点は私はやはり指摘しておかなきゃならぬと思うんですが、厚生年金法による寡婦加算の引き下げは、法律で下げることが決められておる、下げ幅は政令にゆだねる、こうなっておるんです。恩給法の場合は、法律によって引き下げと下げ幅を決める、こういうことになっているわけですね。この点、同じ横並び論に立つといたしましても、事恩給法においては政府の改正意思といいますか、それがより強く働いている、これは間違いないと思うんですね。そういう点の認識、私の認識は間違いないかということを確認したい。
 それからもう一つは、今後、寡婦加算と遺族加算の支給水準、これについてどう考えるかという点です。国民年金、厚生年金において一九七六年に寡婦加算が創設されたのと合わせて恩給法においても寡婦加算が創設された、これは間違いないと思うんですね。その時点の支給水準は両者ともに同額だったんですね。それが、一九八〇年からは寡婦加算が遺族加算を上回り、そして今日に至っている、こういう歴史的な経過がございます。そういう経過を考えると、両者の支給水準というのはやはり均衡すべきものではないのかな、このように思うんですが、この点についてはどうかという点ですね。
 さらに、総務大臣は特段の配慮ということを強調されたわけですけれども、そうした配慮とは逆に、今回の改正のように、寡婦加算の引き下げにより両者の差が縮まってきたわけですよね、そういう方法をとるのか、それとも逆に、遺族加算の引き上げによる均衡を目指すのか、どちらか、考え方としては。
 以上三点、お答えください。
若松副大臣 まず、公的年金と恩給の法的な考え方のお尋ねでございますが、公的年金につきましては、法律によりまして完全自動物価スライド制になっているところでございます。そこで改定率が決まるということで、政令で改定率を定めるわけではない。
 一方、恩給につきましては、これは完全自動物価スライド規定といったものはございません。従来から、法律に具体的な金額を定めることによって年額の改定を行ってきたところでございまして、年金額の改定を法律で定めているという点から見ますと、恩給も公的年金も実質的には同様でありまして、恩給につきまして特に政府の意思の出方に差があるということではないということを御理解いただきたいと思います。
 それと、寡婦加算と遺族加算のお尋ねでございますが、まず、遺族加算というのは、これは大臣のお話がございましたが、昭和五十五年度の予算編成過程におきまして、遺族加算を寡婦加算より低く設定して、その差額を公務扶助料の基本額に組み入れる措置がとられたということで、そこから両者の間に差が生じて現在に至っているということでございます。
 そこで、この遺族加算は、寡婦加算を名目では下回っているわけでありますが、昭和五十五年改善で差額を基本額に組み入れるという制度をとっていることから、その後のベースアップを勘案すれば、寡婦加算を上回る改定が行われてきていると理解しております。
 このような経緯から、遺族加算は寡婦加算と実質的に同等以上の水準を維持しているということになっておりますが、一方、戦没者遺族等の処遇の改善にも配慮するという必要性から、逐年、遺族加算の改善を行ってきたところでございます。
 それから、最後の質問でございますが、いずれにしても、寡婦加算につきましても下げるべきではないというお尋ねでございますが、これは何度も繰り返しますように、恩給制度は、基本的には国家補償的性格を有する制度だということで、かつ公的年金と共通する面もあることから、公的年金とのバランスにも配慮する必要があるということで今まで制度維持をしてきたところでございます。
 一方、寡婦加算につきましては、遺族給付の水準の向上を図るために、昭和五十一年の法改正におきまして、先ほど申し上げましたように、社会保障的観点から、厚生年金等の公的年金制度との横並びで導入されたものでございまして、寡婦加算の額につきましては、制度導入の経緯等から、従来、公的年金の寡婦加算に連動して改定してまいりました。
 なお、寡婦加算につきましては、複数の年金を受けている場合には恩給を最優先とする、一つの年金のみに寡婦加算額を加えるといういわゆる公的年金との制度間調整の仕組みもあることから、公的年金との均衡を考慮して引き下げたということでございます。
 平成十五年度におきましては、公的年金の寡婦加算については、平成十四年の対前年物価変動率によりまして減額改定を行ったわけでございますが、恩給の寡婦加算につきましても、予算編成時における対前年物価変動見込み値でありますマイナス〇・九%の率の改定を行ったところでございます。
重野委員 次に、ちょっと視点の違った質問をしたいんですが、法務省にお伺いいたしますが、現行法令数について調べてみたんですけれども、本年一月三十一日現在で、法律が千七百七十四、政令が千七百五十九。私がちょっと不勉強だったんですが、勅令というのがあるんですね。勅令九十一、閣令十一、府庁省令三千六十九、こういうふうになっておるんですが、その点についてまず、そうかと確認をしたい。それから、総務大臣に聞きますけれども、恩給法の中にいわゆる勅令というのは幾つあるんでしょうか。その二つお伺いします。
寺田政府参考人 現行法律等の数につきましては、おっしゃるとおりでございます。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、私どもで所管しております勅令という名前のつく法形式は一つでございます。
重野委員 私が拾い上げていった拾い上げ方が間違っているのかしれませんが、私は九つあるのかなという認識を持っていました。これは今後詰めていきたいと思うんですが。
 そこで、今、一つという返事でありますが、正直言って、現実に作用しているということについて、私は、ああ、こんなのがあったのかなというのが、率直に言ってそういう感じですよね。
 しかし、調べてみますと、こういう法律があるんですね。日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律というのがある。それによってまた政令が、日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令により、法律をもって規定するものでない勅令についてはその形式のままで政令と同一の効力を有するものとされた、こういうふうになっておるんですね。ところが、調べてみますと、この二十年間の中で、いわゆる勅令が百三十から、先ほど確認しました九十一に減っているわけですよ。
 恩給法においてはただいま一つという話でありますが、いろいろな制約、背景があるのはあるんでしょうが、もうこの勅令というのを見直して、恩給法体系の是正を図ってもいいのではないか、こういうふうな感じがするんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 勅令というのは、戦前、旧憲法時代に、議会でなくて、天皇によって制定された、そういう形式のものですね。ただ、内容について、新しい憲法、今の憲法になっても、内容が適当なものについては、一遍決まったものですからそのまま残す、こういう経過的な手当てがとられたんですね、今委員がお読みになった。
 だから、今、勅令で生きているものも幾つかあるんですけれども、これについてどうするかは、私どもの方の仕事じゃなくて、法務省か法制局かなんかで御議論いただくべきことではないかと考えております。
重野委員 以上で終わりますが、最初に、引き続きと言った問題については、今後とも、大臣、そういう方向でやってもらうように私は言い続けてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 本法案は、物価スライドによる公的年金の引き下げに準じて、普通扶助料に係る寡婦加算を年額千四百円から二千四百円引き下げるものであります。もともと、寡婦加算の額そのものが生活を支援するという点から見ても十分なものとは言えず、それを引き下げることは認められるものではありません。
 また、今回の削減は、サラリーマンの医療費窓口三割負担など社会保障の負担増や給付の削減、配偶者特別控除廃止などの庶民増税による負担増など、合わせて四兆円を超す国民への負担の押しつけの一環であり、個人消費を押し下げ、日本経済に否定的な影響を与えるものであることを指摘して、討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二分散会


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