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第10号 平成15年4月3日(木曜日)

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平成十五年四月三日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    左藤  章君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    福井  照君
     吉田六左エ門君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    松崎 公昭君
      三井 辨雄君    山田 敏雅君
      久保 哲司君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    金子善次郎君
      佐藤 敬夫君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   参考人
   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君
   参考人
   (日本郵政公社副総裁)  高橋 俊裕君
   参考人
   (日本郵政公社副総裁)  團  宏明君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十七日
 辞任
  山元  勉君
同日
            補欠選任
             佐藤 敬夫君
四月三日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     福井  照君
  荒井  聰君     三井 辨雄君
同日
 辞任         補欠選任
  福井  照君     上川 陽子君
  三井 辨雄君     荒井  聰君
    ―――――――――――――
四月一日
 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
同日
 住民基本台帳ネットワークシステムの中止に関する請願(五十嵐文彦君紹介)(第一二二五号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第一二二六号)
 同(大出彰君紹介)(第一二二七号)
 同(海江田万里君紹介)(第一二二八号)
 同(金田誠一君紹介)(第一二二九号)
 同(川田悦子君紹介)(第一二三〇号)
 同(河村たかし君紹介)(第一二三一号)
 同(菅直人君紹介)(第一二三二号)
 同(北川れん子君紹介)(第一二三三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一二三四号)
 同(重野安正君紹介)(第一二三五号)
 同(城島正光君紹介)(第一二三六号)
 同(末松義規君紹介)(第一二三七号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一二三八号)
 同(達増拓也君紹介)(第一二三九号)
 同(土井たか子君紹介)(第一二四〇号)
 同(野田佳彦君紹介)(第一二四一号)
 同(春名直章君紹介)(第一二四二号)
 同(平野博文君紹介)(第一二四三号)
 同(藤村修君紹介)(第一二四四号)
 同(保坂展人君紹介)(第一二四五号)
 同(細野豪志君紹介)(第一二四六号)
 同(前原誠司君紹介)(第一二四七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一二四八号)
 同(山内功君紹介)(第一二四九号)
 同(山田敏雅君紹介)(第一二五〇号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一二五一号)
 同(山元勉君紹介)(第一二五二号)
 同(横光克彦君紹介)(第一二五三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一二五四号)
 同(中村哲治君紹介)(第一二八一号)
 同(春名直章君紹介)(第一二八二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
 郵政事業に関する件


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 郵政事業に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君、日本郵政公社副総裁高橋俊裕君及び日本郵政公社副総裁團宏明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、生田日本郵政公社総裁、高橋日本郵政公社副総裁及び團日本郵政公社副総裁から発言を求められておりますので、順次これを許します。日本郵政公社総裁生田正治君。
生田参考人 おはようございます。御紹介いただきました郵政公社三日目の生田でございます。よろしくお願いしたいと思います。
 本日、この席に、副総裁その他幹部ともども発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 おかげさまで四月一日にスタートしたわけでございますが、それまでに至る期間、遠藤総務委員長初め先生方の大変な御苦労、御貢献、御努力に対しまして、まず厚く御礼申し上げたいと思います。
 私自身予想もしていなかったこういうような御大役をいただきまして、まさに四月一日を迎えまして身が引き締まっている、こういう状態でございます。
 いろいろな方とお話しし、また地方も回りまして、百三十二年間培われてきた郵政事業の信頼、全国の皆様からいただいている信頼の重み、深さ、大切さというものを身にしみて今感じているところでございます。
 おとといの発足式にも、前島密大先輩の御令孫の精三郎様の御出席もいただきまして、まさにこの信頼、伝統を、さらに付加価値をつけながら次代にどうつないでいくのか、この責任の重さを痛感しているところでございます。
 まず第一に、公社でございますから、公社としての公益性というものは、いろいろな議論の前提として十分わきまえていくつもりで幹部一同おります。具体的に申し上げれば、郵政三事業のユニバーサルサービスというのももちろんその原点でございましょうし、郵便局ネットワークの水準の維持という国会の御意思とか、あるいはワンストップサービスなど郵便局ネットワークの有効活用というふうな諸点であろうと思います。
 こういうものをすべて前提としていろいろなことを考えていくということなので、都度繰り返しませんけれども、そういう前提で我々はスタートしておるということをまず冒頭に申し上げたいと思います。
 公社の経営そのものは、設立委員会の審議を経まして中期経営計画ができまして、それで、総務大臣の御許可をいただいて、御認可というんでしょうか、いただきまして、今国会にお届けしているところだろうと理解しております。
 この計画は、四年間まとめての計画でございますので、四年計画になっておりますが、その初年度の平成十五年度は一兆一千億の利益といいますか積立金を出す、こういうことに一応なっているわけでございますが、その中身を見ますと、ほとんどが現金利下における期待し得る運用益でございまして、郵便の方は多少の赤字、こういう格好になっております。
 ちなみに、この三月期は、平成十四年度は四百億弱の郵便部分は赤字ということで、郵便の部分だけですけれども、四千億ぐらいの債務超過の状態で終わっているというようなことなので、私は、郵政三事業、なかんずく、ほとんど実業である郵便の部分というのは非常に厳しい経営環境であるなというふうに考えておりますが、中期経営計画では、この郵便部門も第二年度に黒字にいたしまして、四年間まとめて五百億の利益を出すということにしております。楽観は許されない、よほどの努力が要る、こう認識しております。
 また、郵貯、簡保の方も、運用につきましては金利動向次第で大きく左右されますので、何とか安全な運用を考えるのが至上命令である、かように考えております。
 いずれにしましても、役職員一同が同じ目標、ビジョンを持ちまして、行動憲章というものも持って、みずからを律しながら、そういったものを共有しながら、よい公社をつくるために頑張らなきゃならない。そのために、公社理念、行動憲章、これは民間の主要な企業はおよそつくっておるんですが、そういうものをつくりまして、環境基本宣言というものとともに、三月の中旬に既に発表いたしました。こういうものを背景にいたしまして、共有しながら、当面の経営ビジョンというものを示しました。
 その一つは、まず真っ先に、これはもう繰り返しいろいろなメディアで申し上げていることでございますが、公社の最大目標とするべきことは、お客様の立場に立った、お客様の視点から見た、より魅力的な、より質の高い、いいサービスを提供申し上げる。公社になってそれがよくなるということで、これは私どものキャッチフレーズにしました「真っ向サービス」ということで、これを表現させていただいております。「真っ向サービス」というのをキャッチフレーズにいたしました。
 ビジョンの二番目は、民間的な手法というと何か難しく聞こえるんですけれども、要するに会社経営と同じようなやり方で、三部門おのおの独立採算的に健全性を整備していく、なかんずく郵便の部門をそうしていく、まとめて公社を財務的にも健全に持っていくというのが二番目だと思います。
 それから三番目に、その結果といいますか、それと同時に、私は三番目に申し上げますが、非常に私自身が力点を置いているのは、公社に働く職員がきちんと明るい将来展望を持ち得て、伸び伸びと働きがいを感じながら働いてくれる公社にしなきゃいけない、こう思っております。
 昨年九月に入ってみてちょっと感じたのは、多少皆さん、将来に対しての不安感もないわけじゃないので、そういうことじゃいけないので、自信を持った公社に、働く人たちが自信が持てる公社にしていきたい、このように考えておりまして、こういった三つをビジョンといたしまして、これから努力をしていきたいと思います。
 最後に、私の若干の感想でございますが、昨年の九月来、予定者といたしまして、全国の郵便局、たくさん回ってみました。全部足すと、さっきも勘定していたんですけれども、多分五十近いんだと思うんですが、北陸から始まりまして、東北とか、中京地域とか、一部九州、四国も回ってきましたし、この間は沖縄に行ってまいりましたし、回っていない地域の方がもう数少なくなってきたんですが。それも山奥、僻地に入っていきまして、そこの郵便局の方たちや住民の方たちに集まっていただきまして、いろいろな対話をしてまいりました。
 そういった中で、いかに郵便事業というものが地域社会の生活インフラの核的な存在といいますか、そればかりが核じゃないんですけれども、幾つかある核の一つになっている、お役に立っているというふうなことを肌に感じていますし、非常に頼りにされている、平たい言葉で言えば、頼りにされているということも実感しております。
 それから、世代を問わず、郵政事業で働いている職員たちが非常に、いい公社をつくっていこうということで、そういう意味での改革の気持ちに燃えている。何となく、例えば民と競合するところでは大体余りうまくいっていないわけで、何とかしないと大変だなという気持ちを皆さん共有していまして、いい公社をつくろうということに、改革していくことに対して前向きの既に意識改革がどんどん始まっている、その流れの中に私が入っていったというふうな印象を受けております。
 こういうことであれば、そういう気分はますます高まってきておりますし、明るい将来展望の持てる公社づくりというものはできるだろうというふうな、だんだんそういう感じを深めておりまして、それをやるために役職員一同、一致しまして努力をしていきたい、かように思っております。
 スタートしたばかりでございますので、これからでございます。努力をしてまいりますので、ぜひ先生方の御指導と御支援を賜りたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
遠藤委員長 次に、日本郵政公社副総裁高橋俊裕君。
高橋参考人 四月一日に郵政公社副総裁に就任しました高橋俊裕でございます。
 公社に期待されていることをできるだけ多く具現化していくのが私の責務だと思っております。團副総裁と力を合わせまして生田総裁を支えていく所存でございますので、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
遠藤委員長 次に、日本郵政公社副総裁團宏明君。
團参考人 四月一日から日本郵政公社副総裁になっております團でございます。
 生田総裁のもとで、高橋副総裁とともに、いい公社をつくっていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入るわけですが、委員諸先生方に申し上げますが、本会議を午後予定いたしておりますので、時間等の配分については格段の御配慮のほどをお願い申し上げます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林幹雄君。
林(幹)委員 自民党の林幹雄でございます。
 長いこと質問の席に立っていませんので浦島太郎になっておりますが、与えられた時間で、きょうは、公社のトップ、総裁、副総裁からごく基本的なお考えをお伺いできればというふうに思います。
 去る四月一日、日本郵政公社が発足、スタートをいたしました。この公社化は、郵政事業にとりまして、明治四年の創業以来、実に百三十年ぶりの改革というふうになっているわけでありまして、どんなふうに変わったかというのはもう皆さん御案内のとおりでありますけれども、私は、制度、事業運営面では二点かなと。
 その一つは、やはり、国の会計制度から、企業会計原則を取り入れたというのが一点。もう一点は、中期経営目標並びに経営計画を策定して、これに対して業績の評価をするという手法になった、つまり、予算による事前管理から決算による事後評価というふうになったわけでありますし、決算を重視するいわゆる民間企業の経営手法を導入したというのが大きく変わった点なんだろうというふうに思います。
 しかし、やはりここでもう一点大きく変えなければならない点があるんだろう。それは、やはり職員の意識というか感覚を変える必要があるし、また、それが大変重要なテーマじゃないかなというふうに思います。
 今までは、国の機関として、公務員として、サービスをしてやるとかやってあげるというような、そんな感覚というかイメージだったと思うんですけれども、これからは、お客様が何を求めているのかというようなニーズをとらえてこれにこたえていくというような感覚が大事なんだろう。
 例えばコンビニでは、お客様の時間帯をチェックしたり、あるいは年代層をとらえたり性別をとらえたり、また職業をとらえたりということをして、そして何を求めているのかというものを、そのニーズをとらえてそれに応じて商品を出してくる、あるいはまた新しいものを開発していくというようなことを常々やっているわけでございまして、私はやはり、制度そのものよりも、ここは職員の感覚、意識、それこそやる気をいかに持たせるかが大変重要なところだろうというふうに思うわけでありまして、総裁はその辺はどうお考えか。
 と同時に、やはり、いつも総裁は、郵便局のサービスが変わったな、よくなったなと言われるような公社にするのが使命だ、こういうふうにおっしゃっておりますが、まさしくそうだと思いますけれども、しからば二十八万人のトップとしてどういうふうに取り組むのか、またどういうふうに変えていこうとするのか、経営方針といいますか生田ビジョンをお伺いしたいと存じます。
 せっかくの機会ですので、もう一点。
 小泉総理はこの郵政事業に対しては民営化論者でありまして、その小泉総理のもとで総裁になった生田総裁でありますが、この郵政事業の民営化に対してのお考えもあわせてお伺いしたいと存じます。
生田参考人 お答えさせていただきます。
 公社化によりましてどういうふうに変わっていくのかという、まず第一番目の御質問だと思います。
 公社化の趣旨といいますか、役割は変わらない。さっき申し上げましたように、公社としての公益性を維持していくという役割は変わらないわけでありますが、制度的には、もう先生が既におっしゃったように、これは公社法の要件どおりとすれば、独立採算制で考えろとか、自律的かつ弾力的な経営をしろとか、その基準として企業会計原則を入れろというふうなこと、中期経営計画の考え方、こういうふうに制度は随分変わっています。
 それで、これは先ほども申し上げましたように、民間的手法というと何か特別な手法があるような感じがいたしますけれども、要するに事業をやるわけですから、私は郵政三事業というのはサービス業だと思っていますが、事業をやるわけですから、それを企業経営のようにやれということで、私どもそういう世界で育ってきた人間から見ますと、今までやってきたことで、それほど難しいことではない。
 ただ、民間だから全部いいとは限らないわけで、民間企業の中にも、優良企業もあれば、多くのところは非常に難しくなった企業もあるのは先生方御存じのとおりなんで、どうせやるなら、今までの経験を生かしまして、できるだけエクセレントカンパニー、いい企業体、事業体になるように努力をさせていただきたいと思います。
 二番目に先生のおっしゃった、そういうことも重要だけれども、意識の改革はうまくいくのかという点があったと思うんですが、これは私は、まさにそれが原点だと考えたわけであります。
 したがいまして、昨年来、私は商船三井の方に座っていたわけですけれども、三月末まで座っていたわけですが、今、Eメールという便利な武器がございますので、これを利用いたしまして、十月三日それから十一月、十二月には二回、一月、多くの職員の方たちにEメールで呼びかけまして、そのうちの後半の命題は「意識と文化の改革」という表題で私が出しまして、それに実は物すごく多くの返事をもらったんです。全部足すと百何十通になると思います。
 これは、もうそれこそ津々浦々から来るわけなんですが、それを読んでいますと、もう私が入り始めていた九月の入り口から、中央の諸兄も含め、女性の場合は諸姉というんですか、地方の郵便局の方たち、特定郵便局の方たちも含めて、先ほど申し上げましたように、何か変えていかないかぬ、せっかくのチャンスだから、本当にお客さんに評価していただくように、いいように変わっていこうという機運が非常に満ちているというのを私は実感いたしました。
 したがって、受け取った手紙は、実は私は、スタート時における私個人の宝として、今束ねまして公社に持っていって引き出しに入れているんですが、そういうふうに職員自身が意識改革に非常に燃えてきております。
 その意識は、何をどう変えるのかというのは、これも先生既におっしゃったように、すべて顧客の立場に立って、物を考え、商品を考え、サービスを考えるということに尽きると思います。往々にして、サプライサイドといいますか、商品、サービスの供給側の論理で物を考えて、いいものさえつくれば後は使ってくれるのが当然だろう、使ってくれない方が悪い的な考えになっては困るわけなんで、郵政事業の場合は、幸い、もともと顧客志向でやっておりました、見ましたら。だけれども、まだまだ改善の余地があると私は見ましたので、その辺の意識の改革を今深めている最中というところであります。
 それで、次に文化の方なんですが、これは、私が今努力していますのはというか、これも既にそういう方向に、何分、郵政三事業というのは、もともと事業をやっていますから、他の省庁と違って、事業マインドは初めからあります。したがって、相当いい水準には来ていたんですが、さらにそれを今もっと改善できるだろうということでやっているのは、いわゆる行政間における縦割り行政というのがありますね、省庁間の。それのミニ版で、いろいろな省の中には省内の縦割り行政があるわけですね。そういったものが、それに近いものがまだあるとすれば、今まででありましたら事業庁、今後は公社の中のミニ縦割り行政を排する、極力横の連携をよくして相乗効果を出す。
 もう一つは、どうしても役所の考え方というのは一般的に上意下達で、上から指示が出て下がそれで動くというふうになりがちなんですけれども、それにこだわらず、下からどんどん意見を出す。それで、これは書いたものでも要請しているんですが、意思決定というのは、上位者が意思決定すべきタイミングが来たら勇猛果敢に責任を持って出す、その寸前までは職位無関係に徹底的に議論せよというのを出しております。そういった、みんなが伸び伸びと自由に、悪い意味の自由じゃないんですが、自由な濶達な議論ができるような文化をつくっていきたい。
 それから、郵便局との関係、これも中央から郵便局にだけいろいろな情報や指示が出たり、リポートを求めるだけじゃなくて、逆流で、郵便局からもどんどん意見を出してもらうというふうなことを今一生懸命システムづくりとしてやっております。それから、中央から出ていくのも、いろいろな部局からたくさん出ちゃって受け取る方は一人という弊を排するために、それを支社で一応受けとめましてスクリーニングをかけて、郵便局が困らないようにするというふうな文化をつくっていくということであります。
 最後に一言だけ加えますと、この三月末にかけまして、谷垣君という四十歳強の若手が、スタートアップ委員会というので若手を糾合しまして、東京だけじゃない、全国版で、何を改善すべきかと大いに努力してくれました。それから、長谷川君という四十歳の男が、これは、郵便局BPRというのは、ビジネス・プロセシング・リエンジニアリングという意味を当てはめたらしいんですが、要するに、日本語で言いますと郵便局活性化プロジェクトチームをつくっておりまして、これがそういった郵便局の活性化についての大きな成果を残してくれました。
 私は、今、公社内で提言しているといいますか頼んでいるのは、その二つを合併させまして、今後もそういういろいろな組織の垣根を越えた、かつ世代を超えた、何でも言える組織をつくろうということで、さらに文化の革新に努力していきたいと思います。
 最後が民営化のお話だったと思いますが、小泉総理がそうおっしゃっているのは、もちろんメディアを通じて知っております。メディアを通じて知っておりますが、私自身は、今度は事業のトップを命ぜられたわけですから、それもまだスタートして三日目であります。いかにいい立派な公社をつくっていくかということが頭の全面積を今占めておりますし、そういった論議というのは内部でやるべき問題ではないと私は理解しております。
 したがいまして、そういう論議、それはいろいろな御意見が皆さんあると思います。それはもっと広い場で深く、特に政治の場で今後御論議いただくのならいただければいいということで、私は公社の経営に専念するつもりでおります。
 以上でございます。
林(幹)委員 生田総裁からエキスがほとばしったわけでありまして、持ち時間があと三分ほどになってしまいまして、いろいろ聞こうと思ったんですが、それでは、とりあえず郵便事業についてお尋ねをしたいと思います。
 総裁も、厳しい経営環境にあるというふうなお話をしていました。私もまさにそういう認識の中にあるわけでありまして、簡単に言うと、一般信書便事業に関しては、幸いかな、当面は民間参入者はありませんけれども、それ以外には、いいとこ取りといいますか、都市部における競争が激化してきているわけであります。一方、公社の郵便業務にはユニバーサルサービスの提供義務がつけられておりまして、全国津々浦々の二万四千七百の郵便局ネットワークを維持しなければならないというような中で、この中期経営目標の四年間、積立金五百億円以上というのが果たして達成できるのかどうか。
 その辺、お考えをお聞きしたいのと、この際、副総裁の高橋さんに、「トヨタ生産方式の導入により」云々というのがありますけれども、郵便事業にどのように活用していくのかを、あわせてお尋ねをしたいと思います。
高橋参考人 それでは、お答えさせていただきます。
 郵便事業は、確かにITの影響とか、各企業の郵便費の削減等によりまして、大変競争が激化して苦戦しております。中期計画では、二年目より黒字化ということでありますが、伸びている市場、例えばダイレクトメールだとかあるいは小口の貨物といったところでは大変伸びておりまして、この辺を私たちはどうやってこれから吸収していくのかということによってこれをカバーしていこうというふうに思っています。
 一つには、そういった意味で、お客さんのニーズに対応した商品、サービスを開発するということでありますし、一方で、私どもとしては営業という努力を余りしてきませんでした。そういった意味では、大口法人を中心として営業体制を強化したい、また民間企業とのいろいろな提携を含めまして、これを活用することによって我々の仕事量をふやしたいというのがまず第一点であります。
 二つ目は、費用の削減ということでありまして、仕事のやり方を見直すことによっての生産性の向上、あるいは郵便物処理の機械化の推進、非常勤職員の活用、さらには競争契約の拡大などによりまして調達コストの削減、こういうことで何とか目標を達成したいというふうに思っております。
 二つ目のトヨタ生産方式についてでありますが、現在、埼玉県の越谷郵便局においていろいろと調査研究をしているところであります。これは、私が郵政公社へ来るということとは関係なく、郵政事業庁の時代から、いろいろと新しい民間のすぐれた業務改善手法を取り入れようということで進めていたものでございまして、本年の一月から来年の三月末までいろいろとやっていただくということになっております。
 一言で申し上げますと、トヨタ生産方式は、作業の工程の中での三ムダラリ、我々はこう申しておりますが、むだ、むら、無理、この三つのムをなくすということによって、より楽に、より簡単に作業ができる仕組みをつくって生産性を向上するというものでありまして、このむだ、むら、無理というのを発見するのは、基本的には職場で働いている人たちが行うことであります。その着眼点を我々の方から今いろいろと皆さんのところで指導してもらっている、こういうことであります。
 この郵便事業への応用でありますけれども、一つは、いろいろな作業の標準化といいますか平準化を図るということでありますし、やはりいろいろな仕事に標準作業、こういったことを導入していきたい。さらには、曜日だとかあるいは月別にいろいろなロット作業みたいなのが残るわけですが、これを何とか平準化していこうということであります。
 これは一つの郵便局内にとどまる話ではありませんで、これに基づきまして、集荷の体制、あるいは郵便局間の輸送の体制、さらには配達というところまでいろいろと関連をしてまいります。それによって配達のスピードを上げるなど、商品の向上、サービスの向上に努めてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
林(幹)委員 終わります。
遠藤委員長 次に、安住淳君。
安住委員 民主党の安住でございます。
 きょうは、ようこそ総裁、国会においでいただきまして、これから折々おいでいただくことになると思いますので、どうぞよろしく。
 それはなぜかといいますと、総裁、確かに民間的な手法でスタートしたわけですね。しかし、見方によっては、非常に都合のいい組織でもあるんですよ。なぜか。身分は国家公務員のままであったり、つまり、これはいいとこ取りばかりされていたのでは困るわけで、国会の関与は、今までと違って、もう郵政省時代みたいに国会に来てああだこうだ言われなくて済むと思ったら大間違いです。これはかなり厳しく我々は監視をしようと思います。
 これは委員長に、冒頭ですからあえてお願いしますが、日銀の総裁を含めて参考人として招いておりますが、郵政公社は、国家公務員としての身分を付与している以上は、常時我々の要求に応じて、総裁並びに幹部は委員会に必ず出席するよう改めてここでお願いを申し上げておきますので、委員長、よろしくお願いをいたします。
遠藤委員長 国会の持つ特質をよく踏まえてやりたいと思います。
安住委員 生田総裁におかれましては、商船三井の会長として、長い間大変な実績をお占めになって、また、私もいただきましたけれども、日経新聞の「あすへの話題」を読むと、とにかく世界のいろいろなところに行かれて、人生経験も豊富でございますし、新しい公社としてその手腕の発揮されることを私どもも本当にお祈りを申し上げたいと思います。
 ただ、一つだけ申し上げますと、どうぞひとつ答弁は簡潔にしていただきまして、国会というのは時間との戦いでございまして、おっしゃりたいことはよくわかるのですけれども、聞かれたことにぜひ答えていただく。これからだんだんなれてくると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 さて、まず申し上げたいことは、総裁、なぜ郵政公社がスタートしたかということですね。そして、だれがこれをやったか。
 これは、確かに小泉首相は、自分がいかにも郵政公社の民営化をやったような口ぶりでマスコミに言うわけですね。それしか難しいことを知らないといえば知らないんでしょうけれども、しかし、実は違うんですね。これは橋本内閣のときに、当時の自社さを含めて決めたことがこの公社化のスタートなんです。つまり、小泉さんが言っている郵政事業の民営化なんというのは、実は何も今のところは、国会的には進んでないんですよ。
 総裁がおっしゃったように、我々は直接お話しする機会はあったわけですけれども、マスコミを通じて主張していることはよくわかるんですよ、何を言わんとしているか。しかし、これは現実には、この公社化というのは橋本さんが総理大臣のときにやったこと、それを去年国会で通しただけの話で、あの人は何にも関係ないんですよ。自分の成果のようにうたっていますけれども、違いますね。ただ、一つだけ成果があるとすれば、あなたを総裁に選んだことなんです。任命権者としてやったことはそうなんです。
 そこで、冒頭質問させていただきますが、総理から、総裁を引き受けるに当たって何かお願いされたことや、今後の方向性について総理の方から何か指示があったということはあるんでしょうか、ないんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
生田参考人 しきたりをよく知らないものですから、時間に気をつけてやります。
 さっきおっしゃった、橋本内閣のときにできたというのは私も新聞で知っておりますが、それ以外の詳しいいきさつ、大変率直に申し上げますと、例えば一年前、ここにこうやって立つなどということは全く夢想もしておりませんでしたので、詳しくはいきさつは存じません。ただ、橋本内閣のときに決まったということは知っております。
 あと、先生の御質問の、話のときに何か依頼があったかという点についてお答えします。
 それで、今、お話の中で任命権者の総理がとおっしゃったけれども、任命権者は片山総務大臣なので。最後に私にどうしてもとおっしゃったのは片山大臣、総理ともども、特に片山大臣から、我が省でもそう言っているんだから何とかしろというふうなお話を承りまして決断したということだけ、ちょっと訂正させていただきます。
 それから、何を頼まれたかというのは、民間的手法で、魅力のある、いい、もっと健全な公社をつくってください、これが御要請で、それ以外に何か込み入った話なんというのは全くありませんし、もしあったとしたら、それだけでも私はより一層強く御辞退していただろうと思います。
安住委員 これはもう、ここにいる与野党の委員というのは郵政問題については本当に専門的な方が多くて、去年も嫌というほどこの委員会ではやりました。そこにいらっしゃる方では、團さんはそれはよく知っているわけでありますけれども。
 つまり、この公社の問題というのは非常に厄介なんです。それは何が厄介かというと、生田総裁の書いた「あすへの話題」で言うと、グッドガバナンスというのをあなたはお書きになったことがあるわけですよ。それは何かというと、企業と経営者、それを国家と納税者に当てはめたことを例えで総裁は書いていらっしゃるわけですね。それからいうと、透明性や、この公社が国家の中に占める位置づけというものをやはりよくわかった上でこれからどうするかというのをやっていかないといけないですね。そのときに実は、私と小泉総理も、考え方が軌を一にするわけでは全くないんですね。
 そこはなぜかというと、政治の世界ですから、非合理なものが存在し得るということです。それが多分ユニバーサルサービスという言葉にも伝わってきていると思うのです。ですから、単に合理化してやればそれでいいかというとそうでないんですが、しかし、少なくとも今自民党の総理大臣をやっている方は何を自分で主張しているかというと、まず財投改革があるわけですね。財投改革のために蛇口論というのがありまして、やはりこれで郵政の総額を減らさないといけない、それがまず彼の頭の中で非常に大きいんですね。
 郵政事業については、一言で言えば、民間でできることはどんどん民間でやらせろと言っているんです。ここでの答弁も、実は非常にあの人は乱暴な答弁を随分しまして、支持率が高かったからよかったんですけれども、これからああいうことをやったら大変なことになるんじゃないかと思うぐらい非常にアバウトで乱暴で、質疑になってないんですね。
 はっきり申し上げて、ですから、公社をどっちの方向に持っていくのかということを私は非常に危惧をしております。現に公社がスタートしましたが、しかし一方で、総理の私的懇談会、田中直毅さんなんかが主宰しているところでは、経営方針とは別に、評論家的な立場といいますか、そういうところでいろいろなことを言っている。多分それは総理の考えに沿って言っているんでしょうけれども、そういうことに邪魔されないで公社というのがうまくいくには、さてこれはどうしたらいいのかということになるわけですね。
 私は、さっき総裁が言ったことで少し安心をしたのは、やはり全国津々浦々お歩きになって実態というものをよく私もわかったというお話をなさいました。ですから、そこは安心だと思います。しかし、私はやはり不安なのは、今の現状を維持するために生田さんが総裁になったとは思わないんですね。これからこの公社をどっちの方向に総裁は持っていこうと思っていらっしゃるのか、これをぜひ聞かせていただきたいのです。
 また、もう一つ言っておきますけれども、後ろにいる事務当局が用意する答弁は見ないでひとつ、こういう自由なときは、総裁、法案の審議のときはいいんですが、答弁は見ない方がいいですから。だれにもそう言って、落とし穴はつくりませんから、政治家以外には。ぜひ自由にひとつ御発言をいただきたいと思います。
生田参考人 さっきからほとんど見ておりませんので、御了解いただきたいと思います。
 御質問は最後のところだけですか。(安住委員「最後だけでいいです」と呼ぶ)ガバナンスはいいんですね。(安住委員「あとは主張ですから、私の」と呼ぶ)わかりました。
 では、どっちへ持っていくかということについてお答えしますけれども、それは、今私は、どっちへ持っていくかなんということを考える余裕が実は頭の中でありません。
 さっきも申し上げたように、今スタートしたところでございまして、私もやっと部屋へ入りましたけれども、ほとんど、あっちこっちごあいさつ回り等で出かけておりまして、瞬時座っているだけであります。
 私の頭の中にあるのは、先ほどから林先生にお答えしたところで、ちょっと長くなりましたけれども、あそこで一応体系的にお話ししたと思うのですが、よい公社をつくっていく、それは一に、お客様、全国のお客様から、やはり公社になってよくなったと褒めていただけるような郵便局といいますか、郵政事業に持っていく、これが第一であります。顧客の視点、「真っ向サービス」であります。
 それから二番目に、郵便が赤字体質というのは、これはやはり悪いと思いますね。ビジネスの世界で赤字を出すというのは、言葉が悪いですけれども、やはり悪になるんですね。それが積もり積もると企業が市場から撤退しなければならないということになるので、やはりこれは黒字化していくというのは、私は真っ当にやらせていただく。これは大変な使命だと思って、高橋副総裁以下、大変苦労してくれるだろうと確信しています。
 三番目に、郵貯、簡保も楽観を許さないんです。郵貯で二百四十兆弱、簡保で百二十兆強ありますけれども、利益が出てくるのです。簡保の方は、これは利益を出す仕組みじゃないですから利益を出しません。利益のほとんどは郵貯の運用益から出てくるわけですが、四年間の三兆九千五百億の利益のうちの三兆九千億が何とその運用益です。これはほとんどが金利に連動にかなりなってくるので、それをいかに防ぐかということなので、こういったことも踏まえまして、いかに健全な公社をつくるかということで、その先どうするかというのは、それこそ、先ほど申し上げたように、より広く国民的な論議を必要であれば起こしていただいて、政治で考えていただきたい、こう思っています。
安住委員 公社の総裁としての立場からいうとそうだと思いますが、一つ、では視点を変えて、我が国の金融市場の中に占めるいわゆる郵貯というのは二百三十五兆ですね。東京三菱、みずほ、UFJ、三井住友、全部足しても二百十七兆ですよ、総裁。見ようによっては、これは社会主義国家と思う人だっているかもしれません。
 確かに、今の小泉総理の言っていることで我が党が考え方を一つにするのは、やはり財投問題です。これは郵便事業とは全く関係ない話でありますが、財投問題というのはしかし非常に厄介な、公務員制度全体の問題や、官と民との関係を考えると、本当に肥大化して、どうしようもないぐらい、国民から見たときには、もう不正と欺瞞の巣じゃないかと思われるようなところに本当にこのお金は行っているというふうに思われていると思うんです。
 そこで、総裁、二百三十五兆というのは、我が国の金融市場におけるシェアとしては、これはいかがなものなんでしょうか。やはりそこは少し考えていかないと、総裁としてはそれはもう適正だと言うかもしれませんけれども、しかし、我が国の金融市場や今の経済状況を考えたときに、これが適正かどうかというのは大いに議論のあるところだと私は思うんですね。
 そういう意味では、今そのことについてもし思いが至らないとなれば、これは私は総裁としていかがなものかと思うんですね。どうぞひとつこれについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
生田参考人 まず、額ですけれども、集まっている二百四十兆弱、正確には二百三十五兆、巨額だというのは私もそう思います。巨額だと思います。今証券市場、東京一部、二部の企業を全部まとめた価値というのは約二百四十兆ですから、証券市場の企業価値総合計とほぼ同じですから、巨額であることは私も全く同感であります。
 ただし、忘れてならないのは、過去の歴史的な使命と役割分担、その役割分担の多くの部分がまだ残っていることじゃないかなと思います。その歴史的使命というのは、原点に戻ると、民間の金融機関、これは生命保険も含めていいと思います、それと郵政事業がやった郵貯、簡保というのはやはり役割が相当違っていた。
 民間の方は、もちろん効率性、資本の論理でいきますから、できるだけ大口で、法人であり、お客が集中していて、それを端的にあらわすと都市型ということになるわけだし、そこから漏れてくるのがやはり津々浦々の地方の方だろうと思うんです。
 郵政のその二事業がやったのは、どっちかというと、小口で、個人で、ぱらぱらとしか人が住んでいらっしゃらないところに、貯蓄の思想を覚えていただき、保険の概念も覚えていただくというふうな役割をやってきたわけで、原点を見ると、一千万円という額の仕切りもありますし、いろいろな制約があるのと同時に、一つ一つを見ると小さいんだけれども、集まっちゃった額が大きいというのは、先生御指摘のとおりだろうと思います。
 それを将来どうするのか、これは大きな問題だと思いますが、我が国が二〇一〇年あるいは一一、二年にかけてプライマリーバランスを回復していかれる、あるいは地方分権による地方の確立をおやりになる、市町村合併等も促進されるという過程の中で、やはりマネーサプライ源としてお役に立たなきゃならない面もあるんじゃないのかなという気もしておりますし、その辺は率直に逆に教えていただいて、どういう役割分担をしていけばいいのかということに、我々として、自律的、独立採算的とは言われていますけれども、でき得る限りの努力はしていくべきだろうと思います。
 それから、最後に一つ、そうやっていろいろな方からの小口の集まってきたお金を、今のように、中央、地方の政府に主としてほとんど行ってしまうということだけじゃなくて、できれば、同じように小口で、お客様の御自身のリスクを持っていただきながら、そのパイプが例えば証券市場とか、例えば資本市場とか金融市場に流れていくような仕組みができたら、これは経済の活性化にも私は個人的には役立つんだと思っています。
 だけれども、これには、聞きますと、法的な制約とかいろいろあるようでございますから、直ちに実現できるわけじゃないとは思いますが、そういった集まってきたお金が、やはり全国じゅうのお客様に利便性を差し上げるというのは維持すべきだろうと思うんだけれども、そうやって集まったお金が市場にも流れて経済の活性化に結びつくようなことをこれから私も考えたいし、先生方にもぜひ考えていただければありがたいと思っております。
安住委員 我が党ではずっとこの問題については実は提案をしておりまして、やはり預金限度額を引き下げたらどうだろうか、一千万をどこまで下げるかはわかりませんけれども、やはりある程度市中にお金を回す。郵便貯金の必要性というのは、おっしゃるとおりなんです。大手の企業や何かに預けてもらいたいんじゃなくて、本当に一般個人の方々が預金をするためのやはり大事なツールだと思いますが、しかし、我が国全体の経済を考えたときや財投問題を考えたときに、上限枠の引き下げというのは一つやはり考えざるを得ない時点というのはあるような気がしますね。
 ですから、そのことはぜひ組織の中でも、これは組織の中でやるといっても難しいんですね、政治の課題として、それを七百万や何かにする。また、もう一つ考え方としては、逆に言えば、国債を預金の中に組み入れるというやり方もあるでしょうし、パブリック性を重視していく公社であり続けるということであれば、やはりそういう商品というものを検討する余地があるんではないかと思うんですが、いかがでございますか。
生田参考人 率直にお答えしますけれども、先生のようなお考えも十分あり得るとは思うんですよ。特に、先ほど申し上げましたように、中央、地方の政府の資金の需要というものがもしぐっと細くなってきた場合には、本当の意味の自主運用という部分が随分ふえてくるんですね。そうすると、これを今のマーケットで本当に自主運用すると、それはかなり、せっかくそうやって全国のお客様から貴重なお金をお預かりしたのが、ある程度大きなリスクにさらされる可能性も出てくる。十分なファンドマネジャーのシステムも持っていない、大変だなという感じもありますから、そういう論は成り立つとは思います。
 ただ、問題はタイミングだと思いますね。今ペイオフの問題、延びておりますけれども、問題がありますね。やはり、民間の金融機関の皆様、それから生命保険業界の皆様が、二十一世紀型の日本における金融業界、生命保険業界のあり方について今非常に苦労されておられる。その他にもいろいろな困難を抱えられて、それの克服に努力していらっしゃる過程において、やはり私は、今郵政事業が持っている金融システムというのが国民の皆様に、額は非常に限られていますけれども、安心感を差し上げる一つの礎になっているんじゃないか、かように思っておりますので、少なくとも今はちょっとさわらない方がいいんじゃないのかな、かように考えております。
安住委員 いわゆる法人税に当たる国庫納付金は当面免除ということでスタートするわけです。しかし、見方によっては、公平とフェアということからすると、こういう措置が逸脱するんじゃないかという議論もこれまでこの国会の中ではありました。しかし、公社というのは、完全な民営をしたわけではなくて、いわゆるパブリック性の非常に強い位置づけで、そして基礎体力をまずつけてもらうためにこういう措置をとったわけですね。財務面では本当に大変だとは思いますけれども、しかし、この減免措置がいつまでも続くわけではないし、それを許すということは多分私は国民の中にはないと思うんです。
 ですから、猶予期間を得た中で、やはり限られた期間にどれだけ財務体質を強くして、また一方で、非常に矛盾しますが、公共性を維持しながら民間と対峙していくという、二律背反のものを背負いながら公社はやっていかなければならないというふうに私も思っております。
 どうぞひとつ、御健闘をお祈り申し上げますとともに、国会に折々おいでをいただきまして、そのうち答弁もなれてきますから。ひとりで総裁でいますと、総裁より偉い人は郵政の方にはいません、しかし国会に来るともまれますので、たまにはそういう経験も必要だと思いますので、ぜひおいでをいただきまして、率直にいろいろ意見を言っていただきますようお願いを申し上げまして、私の方からの質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 まだ就任間際で、厳しい質問等が出てきて、まことに大変だと思いますけれども、それだけ期待が多いということをぜひ認識をしていただきたいと思います。
 私は、四年前に、平成十一年ですけれども、小泉さんと郵政民営化研究会というのを、まだ総理になる前ですが、やっておりました。そのとき、民主党の議員が八割おりました。私はそういう意味では民営化論者であるということをまず最初にお伝えしておこうと。
 この委員会には、きょうは野中先生はいらしておりませんけれども、荒井先生という、大変すばらしい郵政族の広報担当部長がいらっしゃいますので、いろいろ話しづらい点があるかもしれません。
 先ほどの安住さんのお話のように、やはり、これだけの日本の最高の巨大な企業のトップであるということと、それから、この郵政事業の改革というのが、国民経済的にも、また政治まで入るかもしれませんけれども、日本の経済構造の大きなポイントに来ている、そういう中での大変重要な位置を占めた責任者であるというところで、御自身の考え、まだまだ確かになれていない、背景には二十八万人の方がいらっしゃるということで、当然慎重な発言となることがあると私は思います。
 私は、だからこそ総理は生田さんを選んだのではないかというふうに思っておりますので、ある意味では、大胆に御自身のお考えを述べることによって、多くの矛盾を抱え、そしてまた解決をしなければならないこの郵政改革を牽引していただきたい。そういう意味で、余り官僚の皆さんやら二十八万人を意識しないで、やはり一億二千万の国民を意識した上で御発言なりお考えをお願いしたいな、そんなふうに思います。
 先ほども安住さんからありましたけれども、あなたは総務省の役人さんの人事リストの中には載っかっていなかったそうでありまして、一カ月にわたって小泉総理みずから口説いたというふうに漏れ伝わっております。小泉さんがあなたを選んだ理由は何だったか、何を期待して生田さんをお選びになったとあなたはお思いでしょうか。
生田参考人 時々手を挙げるのを忘れますので、お許しいただきたいと思います。
 それは私、ちょっと、率直に申し上げてわからないんですね。たしか、初めに可能性をお聞きになったのは小泉総理でいらっしゃったけれども、先ほどお話ししたように、最後どうしてもというときには、むしろ片山さんが御一緒ですけれども、片山大臣がいろいろお話しになったということなので私はわかりませんが、福田官房長官もいらっしゃったのかな。同じ質問を私したんです。何で私になるんですかというのは、実は私も質問をしたんです。
 そうしたら、お答えは、総理ではなかったと思いますが、内閣府にはいろいろな情報が全部集まっているので、そういうものを見た上であなたに頼むことになったんだとおっしゃった方がお一人と、これも総理じゃございませんでしたけれども、同じ趣旨だったと思うんですが、風評被害と思ってくださいというお話もありました。
 実は私は、小泉総理とは、総理になられてから、経済団体の幹部との夜の会合、飯を食いながら意見交換するのが何回かあったんですけれども、そこで御一緒したことはあるんですけれども、総理におなりになる前は全然お目にかかっていない。それは、大きな大会で、壇上で拝見したことはありますけれども、お会いしたこともないし、個人的には全く接点のない方でございましたので、私自身が実は非常に疑問に思った点であります。
松崎委員 それは、先ほど風評被害とありましたけれども、生田さんが、経済委員会ですか、同友会の中の政策委員会の委員長をされて、さまざまな提言をされておりますね。
 もちろん、その背景は民営化であるということと、先ほど来お話しになっております、金融をゆがめている巨大な官業の金融部門を何とかしなければこの日本の国の経済は何ともならぬということ、これはもう明らかなんですね。それと、国際社会での活動もそうでしょうし、生田さんがいろいろ業界で、外航海運業界というのは大変競争の激しい、コスト意識の激しい、国際化した、そういうところでの経営手腕と、両方だと思うんですね。
 やはり少し過重に思っているかもしれませんけれども、同友会活動の中でのさまざまな活動、そしてまた、特に郵政改革についての提言ですね、同友会の。田村さん、郵政改革委員長さんは、もうまさにずばりと言っておりますよね、国民経済全体の整合性から運用の問題を厳しく指摘して、最後は、これはもう廃止するしかないと、郵貯、簡保は。そこまでおっしゃっていますね。
 そういう経済同友会をバックにした生田さんの考え方、また、おやりになってきた政策委員会の委員長、そういう背景で、もうこの人以外にいないということで指名されたなと私はかわって言うわけでありますけれども、そういう中で改革、そして民営化という問題を語らなければいけないわけです。先ほどからの答弁ですと、なったばかりで、まずこの公社全体を軌道に乗せていくんだ、それはよくわかりますけれども、私は、それこそ先ほどの橋本内閣以来の日本の改革で最も、この郵政事業の改革が全部集約されているんですね、このすべての改革の中に。
 ですから、そこでいきますと、私は、トップとしては、今なかなか、民営化の問題は政治の問題だと言うかもしれませんけれども、この辺でやはりトップとしては、将来どうあるべきだ、民営化に関してはどう思うんだ、その辺は言っていただきたいなと思います。
 さて、なかなかそれが言えないとなれば、それでは、小泉さんを支持しているという表明も生田さんはかつてあったと思いますけれども、今の小泉改革の現状はどんなふうに評価されていますか。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
生田参考人 まず、前段に簡単に触れますと、日本経済団体連合会というのは、各業界の集まり、鉄鋼連盟とか、日本の船会社の連合体、それの連合体で、組織としての意見を出すんです。同友会というのは、全部個人の資格で参画しておりまして、自分の業界とか会社の利害を離れて、思ったことを何でもしゃべり合って、意見をできれば集約するということです。
 いろいろ、多分三十ぐらい委員会がありまして、私は経済政策委員会といってマクロの方をやっていまして、今おっしゃった田村さんというのは郵政絡みのところの委員会の委員長をやっておられた方で、大体、個人的な立場で皆さん御発言になって、自分の委員会の中のおよそ過半数の意見でレポートを書くんですよ。だから全部、同友会から出てきている意見を一枚岩で同友会が支持しているというたぐいのものではないということを、ちょっと事実問題としてお話ししておきたいと思います。
 それから、二番目の問題。将来どう考えているのか。
 これは、やはり事業を預かったときの心境といいますか、覚悟といいますか、これは少し距離を置いて論評するときとは全く違うということは、これはぜひ御理解いただきたいと思います。私も、経済界にあって、マクロから全般を見ながら、自分の考えを言うあるいは人の考えを聞くときの立場と、やはり二十八万を超える人たち、家族を含めて物すごくなりますね、そういう人たちを率いて、大変お国にとっても重要な事業を預かったとなったときの経営に対する考え方というのは全く変わります。
 だから、私は、先ほど申し上げたように、別に隠しているわけではなくて、本当にこの公社を立派な公社にせないかぬ、こう思っておりますし、よく表現をしておりますのは、公社を四年かけて、お国の立場から見てもよくなったと言ってもらわないかぬと。
 それは、今みたいな、郵便も赤字体質じゃ困るわけです。黒字体質にして、できれば国庫納付をしたいわけです。そうやってお国のためにも役立ちたい。それから、まずそれよりも先に、全国のお客様方に、公社になってよくなったと言ってもらいたい。そういう公社にしたい。三番目に、職員にも働きがいある、将来展望も持てる立派な公社になってもらいたい、こう思う。
 これは民間で言う、最近、交渉事をすると、相手もこっちもよくなるという意味で、ウイン、ウインというんですけれども、この場合は、全国のお客様と、国と、公社のそのものの事業と職員と、ウイン、ウイン、ウインでみんながよくなるような格好にしていきたい。それを今念じておりまして、それをもっと広い場で先生方がお眺めになって、将来どうしたいかというのは、申しわけございませんが、今私の頭ではちょっとそこまでは余裕がございませんので、お考えいただければありがたいと思います。
 ただし、ウイン、ウイン、ウインはねらっていきたいと思っております。
松崎委員 小泉改革のことをどう評価されているか。
生田参考人 小泉総理が就任されたときにおっしゃっていた、やはり日本国、構造改革していかないかぬ。イギリスではサッチャー政権がやった、アメリカではレーガン政権がやった、多少おくれているけれども日本もやらないかぬ。ああいう理念は、例えば、日本経済団体連合会も支持しているし、同友会も支持しておりますし、私も同友会員の一員としてこれは支持してまいりました。
 それで、今どうなっているのか。それはその方向に、かなり方向はいっていると思います。ただ、非常に大きな困難が今起こっていて、デフレの問題もそうでしょうし、今の国際紛争といいますか戦争もそうでしょうし、大変難しい問題が複合的に出てきて、大変、総理初め先生方、皆さん苦労していらっしゃるなというのは、拝見して心配はしております。
 ただし、評価については、これは余りにも僣越でございますから、控えさせていただきたいと思います。
松崎委員 経営者になって、プロの経営者でしょうから、その組織なりをしっかり利益が出るようにする、これはプロとして当然なんですけれども、やはり今度の公社の総裁としては、もちろんそれは、二十八万人のトップとしては正しいんですけれども、やはりこれは、今までがずっと国の機関であったところが、民営化の方向性の中で、初めて公社という新しい形式になってくる。非常に、反対の側面は、政治的ないろいろな意味がある場面なんですね。
 だから、私は、おとといのきょうですから、余り言うのも失礼かもしれませんけれども、もう少し、トップとしてのあれはわかりますよ、だから、いろいろな方式を、トヨタさんの方式をとったり、いろいろなコンビニエンスを取り入れたり、新しく意識改革をさせよう、そして効率化させよう、それはよくわかるんですよ。だけれども、もう一つの頭では、やはり総裁という、先ほどから言っておりますように、御存じのとおり、日本の国民経済あるいは経済システム全体の中の物すごい比重を占めたところのトップなんだということなんですね。
 そういう意味では、私は、ある程度政治的な、政治家じゃありませんけれども、政治的な視点を持った総裁としてやはり御自分の御意見を持っていただきたい。持ってというと失礼ですけれども、発揮していただきたい、そんなふうに私は思っております。
 今のままいきますと、なぜそれを言うかというと、やはり郵貯、簡保と、この三百六十兆も含めてですけれども、あるいは公務員制度の問題もありますね、このままいって、手腕のある生田さんがやられてすばらしい公社になった、もうこのままでいっちまえ、そういう可能性があるんですよ。
 これは、ほとんど郵政族の方はそう思っているし、総務省のかなりの官僚の方々は、むしろJR型じゃなくてNTT型とか、やはり完全な民営化よりも今の公社程度で、巨大企業で、巨大産業で、それをねらっている人もいるんですよ。
 だから、今からトップとして、その将来展望、どういうふうにいくか、どこを目指すべきかということを、やはり、まあ言えないまでも、にじませていただきたいというのが私の考えでございまして、よろしくお願いを……(発言する者あり)法律の話じゃありませんから、ぜひトップとしての、また、小泉さんが指名をしたという意味をわかっていただきたいと思うんですけれども、その辺どうでしょうか。今のままいくと、ひょっとしたら非常にすばらしい経営になる可能性は十分ありますよね。そのままいっちゃってよろしいのでしょうか。
生田参考人 そこにいく過程というのはないかもわからないし、もし持っていけるとしても、それは物すごく難しい問題であろうと思います。
 何遍も申し上げておりますけれども、郵便の部分というのは黒字に変えるだけでも大変ですし、それから、郵貯、簡保のところも、先ほどから申し上げているように、非常に個人の皆様方に対する役割分担をしておりますし、中央、地方政府に対するお金の供給源というふうな役割もやはりこれは否定できないと思うので、難しい面があると思います。
 だけれども、さっきも申し上げましたように、国から見てもよくなった、財政面でプラスが出てきた、お客様から喜んでいただける、職員もいろいろな意味でいい職場になったという形をつくる、これが私の本当に今のところ描いている絵でございまして、まず二年や三年走らせてみていただいて、そのプロセスで皆さんがどう見ていただくか、御議論をいただければありがたいと思います。
 私自身としては、市場に対するインパクトも非常に大きいですし、余り軽々にいろいろなことは言うべきでもないと考えております。
松崎委員 荒井先生から、よしというお話がございました。やはり大変その辺でしっかりチェックされていますので、遠慮なく言ってください。
 それから、総裁は、四年後には、民営化を含むいかなる政策決定にも対応できるような健全化を進めるとおっしゃっていますけれども、この四年後のいかなる政策決定というのは、民営化も含めたことを言っていらっしゃるのでしょうか。
生田参考人 それは、いつか忘れたのですけれども、去年の秋ぐらいだったと思うのですけれども、今と同じ局面でございまして、プレスの何人かに囲まれて、民営化、民営化と、幾らさっきと同じようなお話をしても、だけれども何か考えているでしょう、公社化の後はとおっしゃるので、今のウイン、ウイン、ウインの話をしたんですよ。そうしたら、それはウイン、ウイン、ウインなら、その後どうするか皆さんが考えてくださったらいいんだけれども、そのときには民営化も入りますねと言うから、それはもうあらゆる選択肢を入れて考えていただいて、よりよくなるんなら、そのウイン、ウイン、ウインの幅がもっと広がるなら、あらゆる選択肢を含めて広く国民的に論議していただいたらどうでしょうと、こう申し上げたらそういう記事になりましたので、そのように御理解いただきたいと思います。
松崎委員 それから、事業の健全化をおっしゃっていますけれども、四兆円の四年間の利益を目標としているということなんですけれども、健全化というのはそのことを言っていらっしゃるんでしょうか。数字的に言えば、目標は。
生田参考人 数値的には、それしか数値はありませんから、それが数値になりますけれども、それは健全化の一端でありまして、ビジョンを三つ掲げました。
 一つは、お客様からより一層評価していただける公社をつくること、それが実現しなければやはり健全化にならないと思うし、それから、働いてもらっている職員一同が将来展望をそれなりに持ってもらって、働きがいを感じてもらって伸び伸びと働ける職場ができていなかったら健全化になっていかないので、やはり三点セットで私は今日まで考えてそのようにリードしてきていますし、今後もそういうふうにリードをしていきたいと考えております。
松崎委員 何が言いたいかといいますと、余り四兆円にこだわり過ぎますと、もちろん今おっしゃったように、全体の国民からの受けとめ方とかサービスとかありますけれども、数字的には、これ四兆円と数字が出ちゃいますと結構大変なんですね、経営者ですからよくおわかりだと思いますけれども。
 ただ、私は、これはいわゆる民間の企業のように目標を設定して、それに対してどう評価されるかというだけじゃなくて、この場合は、もう全然体質が違うところがこれから公社化になっていくわけですから、目標を掲げるのはいいんですけれども、余りこれにこだわると、できないから生田さんだめじゃないかみたいな話になりますから、私は応援としてお話ししているんですよ、それは余りこだわらない方がいいんじゃないかなと。そういうことで私は今話題にしたんですけれども。
 さて、高橋さんも見えていますけれども、今トヨタ方式でいろいろやっていらっしゃいます。先ほども三ム、三つのむだをなくすというようなお話ありましたけれども、こういうものがいきますと、ある新聞等は、私ちょっときょうは見ていませんけれども、人事でありますとか給与、評価、そういったものを民間的な方式でやるということで、その部分だけを、表を見ていますと非常にすばらしいと思うし、正しいと思うんですよ。ただ、そこに公社の矛盾点が露呈してくるのではないかというふうに思っています。
 まず、国家公務員であるということによって、その辺に、民間方式を追求していった場合に、どう考えてもこれはぶち当たる話ではないかと思うんです。公務員制度、今中央でも公務員制度そのものも大きく変えようとしておりますけれども、基本的には変わっていないわけで、この公務員というあり方のまま、トヨタさんを含めて民間手法を取り入れていった場合に必ずぶち当たるんじゃないかと思うんですね、いろいろな矛盾点に。その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
生田参考人 国の公社で、働く職員が公務員で民間的手法というのは、確かに今まで余りない格好ですから、ニューチャレンジ、新しいチャレンジだろうと思います。先生おっしゃるように、ひょっとしたら将来、もう少し改善した方がいいのかなというのが出ることがあるかもわからない。それは否定できないと思いますね、将来の問題として。
 ただし、私は、やりようでやれるんじゃないかなと。まず意識の問題で、それこそもう津々浦々の郵便局の人たちも、現に越谷で去年の十二月から来年の三月まで、トヨタさんのチームに生産性向上、プロセシングの改善の訓練を受けている人たち、それを見た人みんな感銘を受けて、本当に改革して生産性を上げようというのは物すごい勢いです。だから、意識において、僕は、公務員だからという差は余りないと思う。
 それから、成果主義は、これは組合の要求自身に、やった者が報いられるようなシステムに変えてくださいというのが全逓さんも全郵政さんも両方出ていまして、そういう意識が組合にもある。これは、最もよくやって厚く処遇される人、それは職位であったりボーナスや給与で変わってくるんですけれども、一番されない人と比較しますと、可能性としては二割以上の差が開くような格好になっておりまして、今組合と話し中でまだ結論ではありませんけれども、それを受け入れる雰囲気は今十分にあると私は見ているんです。
 だから、先生の御懸念はわかるんだけれども、当面余り矛盾を感じずにやれる、ひょっとしたらずっとやれるかもわからないというのが私の今の感じでございます。
松崎委員 民間と公の違いというのは、原資の違いだと思うんですね。つまり、自分で稼いで給料を払う、利益を出す。これは、私も小さい会社の経営者ですからよくわかるんですけれども、自分の歩みをとめたら収入がなくなりますから給料も払えなくなる。ところが、公務員の皆さんは、座っていても税金は入ってくるんですね。その辺の基本が違うんです。
 そこへいくと郵政は、先ほど総裁おっしゃったように、かなり民営に近い形で努力をしてきた。そういう意味では、私は、今御答弁のありましたように、同じ公務員の中でも若干違うんじゃないかなと、それは非常に期待をしております。だから、そういう意味では、この辺の公務員制度との問題、これは中央での公務員制度そのものも、成果主義だとか給料の出し方をどうするかとか、また検討しておりますけれども、ぜひ新しい形でつくり上げていただきたい、そんなふうに思います。
 もう一つ、トヨタさんの名前ばかり出して申しわけないですけれども、やはりトヨタさんを代表的に、民間化というか、民間のいいところを取り入れるという意味でトヨタ方式と言っていますけれども、こういうやり方でいった場合に一番問題になるのが、一万九千あります特定郵便局ですね。
 特定郵便局も、総裁、回られたようでありますけれども、この制度自体は、人的な問題、成果主義も含めて、今回余り触れられていないと思うんですね、公社法の中にも。これはまた触れると、地雷があるみたいな、政治につながっていますから非常に難しいんですけれども、この特定郵便局制度というのはいろいろな意味で、人事の評価の問題を含めて、また郵便局制度そのものを見て大変厳しい点があると思うんですけれども、民間のトヨタ方式を追求していくとその辺にまたぶち当たるのが、公務員制度のもう一つ、特定郵便局制度ではないかと思うんです。
 その辺の御感想で結構ですよ、まだそれほど詳しくは検討していないでしょうから。ぶち当たってしまう予感がするんですけれども、どうでしょうか。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
生田参考人 私も、先ほど触れましたように、あちこち回りまして、特定郵便局の方に随分会いました。それから、先月でしたか、特定郵便局長の全国大会にもお招きいただきまして、一時間ぐらいお話しさせていただいて、いろいろな方にお目にかかった。
 まず一番目に、法的なフレームワークというか要件で、現行の郵便局の水準、機能を維持するというのがありますよね。それから、ユニバーサルサービスも維持するということから見れば、おおよそ今の水準で特定郵便局も働いてもらわないと逆に困る。だから、何か直ちに効率を見て合理化するのではないかという危惧があちこちで出まして、特定郵便局の全国大会でもあったんですけれども、そんなことは法的にもあり得ないし、それから、現にユニバーサルサービス、それから、地域に溶け込んだ仕事をするという意味においては、特定郵便局は、看板は物すごく役に立っているので、その辺は公社の公益性で十分尊重していかなきゃならないと思っております。
 問題は、採用が厳正に行われているのかどうかという点で、これは私も気になったので、どうなのかということを内部的にも聞いてみたんですが、試験問題なども見てみましたけれども、私が受けても難しそうなことがたくさんありまして、それを見て、厳正にやっておるということなので、当面問題はないし、維持しておかなければならない。
 問題は、私は、郵便局ネットワークを負の資産と考えないでプラスの営業資産と考えて、それの活用法を今後大いに考えたいと思っておりますので、一部法律の改正等でまた御協力いただくことが必要かもわからないので、よろしくお願いしたいと思います。
松崎委員 特定郵便局長さんの問題は、去年、おととしと、この委員会でもさんざんあったんですね。全く違う側面としての、政治の問題等を含めてありました。やはりこれは、これからしっかりと見詰めていただかなければいけない問題だろうと思いますので、かなりの問題点を含んだ構造的な問題だということを御指摘しておきます。
 さて、私、前から関心があったのは、コーポレートガバナンスの問題をかなり宮内さんとやっていらっしゃいますよね。これはもちろん民間の経営の問題だと思いますけれども、一度聞いてみたいなと思っていたものですから、これを直接今公社にどうこうはできませんが、いずれ、経営という問題では一緒でありますから、この辺の問題をどのように、いずれの話で結構でありますけれども、取り入れていくというか、考え方の基本を公社の中に取り入れていくのか。ぜひお願いします。
生田参考人 コーポレートガバナンスというのは、学問じゃなくて、会社でいうと、企業価値を市場で評価してもらうために、商業的に入れた方がいいということで入れるので、その意味では私も大分勉強いたしました。
 アメリカに上場している会社は、アメリカ流でやっていますからこれは論外で、まさにアメリカ流でやっている。入れていない日本の企業を上中下ぐらいに分けますと、僣越ですけれども、そのガバナンスの入れ方、今回公社が入れている内容というものは上の中ぐらいだと思います。
 これは官の組織ですからもろには比較できませんけれども、その理由は、ガバナンスというのは、民間でいえば、株主のかわりに、企業がきちんと公正に企業経営をしているかどうか、それで、経営目標等に対して経営陣は適正、的確に働いているかどうかをチェックして、うまくいっていなかったら首を切るというのがガバナンスなんですね。それを公社にはめますと、株主は国家ですね、国家の後ろには納税者がいらっしゃる、この方たちが私は株主だというふうに考えるべきだと思います。
 だから、その意味では、株主総会がないかわりに今ここに呼ばれているというのが私の認識でございまして、あと、民間でいうステークホルダーの、取引先はまたお客様で、全国の皆様になるんですが、お客様。それから、いろいろな取引先、地域社会、それから職員、職員の利益、そういったものを考えながらバランスよくやる。
 その意味では、五人の、民間でいえば社外取締役、社外理事が入っておりまして、三人は、IBMの北城さん、本田の宗国さん、それから慶応の池尾教授が入っていますし、内側にも、日銀から山下さんと、本保さんという国土交通省の方が入っていまして、監視の目は十分きいておりますので、かなり御安心いただいていいんじゃないかな、客観的に見ていただいて。情報開示はどんどんやっていくつもりでおります。透明性を増すつもりでありますので、努力させていただきたいと思います。
松崎委員 なかなか、そのとおりいきますと、恐らく、先ほども幾つかお話ししたように、いろいろなところでぶつかっていくでしょうから、そこがまさに総裁のガバナンスだと思います。
 それはこれからしっかりと見詰めさせていただきますけれども、もう一つお聞きしたかったのは、IT時代になっておりまして通信を、これは郵政、郵便を含めて、通信を取り巻く環境が本当に変わっているわけですね。こういう時代でのこれからの、特に郵便事業の転換というか、それはどんなふうに総裁としてお考えでしょうか。
生田参考人 まだど素人でございますので、先生に満足いただける御返事ができるかどうかわかりませんが、ITの進化で郵便物、特に信書の部類が減るというのは、これは世界的傾向で、アメリカが真っ先に減っておりまして、日本も頭を打って、信書のところは多少減少しているというのは事実であります。
 だけれども、必ずしも信書あるいはいろいろな請求書、案内等がITで全部終わっちゃうというわけではないので、限度はあるだろうと思うと同時に、逆に、ITが進むことによって新しいマーケットが開けるといいますか、ITを使うことによって、例えば通信販売みたいなのがどんどんふえまして、結局は、ゆうパックみたいなのがふえるという、逆にふえる部分もあるんですね。その相殺、それを差し引くとやはり多少減少ということになるんだと思いますが、私は大体楽観主義者なんですけれども、五・八%、実は郵便なんかの、ゆうパックの部分だけで見ますと、マーケットシェアは五・八%しかないんですよね。
 だから、これは市場の伸びはまだまだ伸びるわけですから、市場の伸びを利用しながら量的にもふやすし、五・八ということはないだろう、もうちょっとはとったらどうかなというようなことで、ITによる影響というものは、少なくとも当面、余りマイナスのファクターとしない。できたら水準を維持する、少なくとも維持することで努力をさせていただきたいと思います。よく勉強いたします。
松崎委員 今までのお話を聞いておりますと、かなり有能な経営者で、そして、特別な国家管理をしていた郵政事業を思い切って国民の側に、サービスを尊重しながら体質改善をしていく。そしていろいろな分野に、多分海外戦略もお持ちだと思いますから、そうなっていくと、まさに、読売新聞じゃないですけれども、巨人がこん棒を持ったまま鎖から解き放たれたようななんという表現を、おとといですか、していましたけれども、まさにこうなると思うんですよね。あなたが一生懸命やればやるほど、国家公務員であり、金融の問題も抱えたままでいたらこれは大変なことになりますし、大変な世界一の企業になってしまうんじゃないかと思うんですね。
 ですから、私は、一番大事なのはトップの理念、経営哲学だろうと思います。まして、四年で四兆円の目標を持っておりますけれども、私は、やはりあなたを選んだというのは、通常ですと、多分こういうシステムでいったら郵政省の事務次官さんとかそういう方がトップに立つのが普通なんですね、今まででいきますと。ところが、生田さんを選んだというところに意味があるということを先ほどから言っておりまして、そこはやはり民営化論者の生田さんだということで、この辺をしっかり持っていないと、小泉政権、四年続きませんよ、これから。国のトップがかわったとき、国のトップが、まあ橋本さんが火種をつけたと先ほどありました、それは確かでしょう、これは国の流れですから。しかし、小泉さんが一定程度、背中を押したことは確かなんですね。
 そうすると、政権がかわった場合にがらっと変わる。民主党が政権をとりましたら大丈夫だと思いますけれども、そういうことを含めて、やはり政権交代だってあるんです。そのときがたがたしちゃったら困るんですね。だから、そのトップの経営理念なり将来性とか将来展望というのをしっかり持ってほしいということなんですが、最後、一言お願いできますか。
遠藤委員長 簡潔に。生田総裁。
生田参考人 巨人は、巨人学的に言ったと思いますが、必ずしも強くないわけで、さっきも申し上げたように、宅配の部分などは五・八しかないというようなことでございますので、先生の御趣旨は十分体しながら、私自身が責任を持って、不公正に民業圧迫にならないように努力をしていきたいというのがまず一点であります。
 それから第二点の御質問の、政権がいつかわるかわからない、どうするんだと。
 私は、政治向きのことは全くわかりませんし、発言すべきことでもないというふうに思っておりますが、それは、かわることも一つの可能性としては当然あるんだと思います。
 ただ、私の心境を申し上げますと、お引き受けせざるを得ない、お引き受けしようと思った瞬間から、これは、お引き受けしたのは郵政三事業をお引き受けしたので、この公社を立派にうまく、さっき申し上げたウイン、ウイン、ウインに持っていくのが私の使命であって、その後政治が、どういうふうに政権がかわっていくかというのは、そういうことがあってもそれはやむを得ないことであって、よしんば、今先生がおっしゃった、先生が政権をおとりになっても、今申し上げていることは多分変わらない。私は、郵政事業を考えながら経営をやらせていただきたい、こう思っておりますので、ひとつよろしく御指導いただきたいと思います。
遠藤委員長 次に、大出彰君。
大出委員 民主党の大出彰でございます。
 御就任、御苦労さまでございます。
 四十分のはずだったんですが三十分でございますので、はしょりながら質問をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 冒頭、うちの党の委員の方から小泉改革の話など出ておりますので、私は神奈川なものですから、地元では、小泉さん就任のときから一番厳しい態度をとっている議員というふうに言われておりまして、なぜかといいますと、私は小泉さんの経済政策はよろしくないと思ったんですね。というのは、フリードマンの新古典派で、サプライサイドの経済政策なんですね。これをとると冷酷なんですね、非常に。冷酷になってしまうから、これはよくないんではないかという思いがあったものですから、だからこそレーガン、サッチャーではなくて、雇用ということを掲げてブレアが出てきたんだというふうに思っているんです。
 そして、当然、構造改革をしていかなきゃいけないんですが、いわゆる軽工業から重化学工業に変わる、第一次産業から産業革命があって変わっていく、あるいは第二回目の産業革命がある、今はITの時代で、新たに産業構造が変わってくる時代、すべての産業構造のもとにITが出てくるという、新しいものが出てきているわけなので、その時代には、二十一世紀、先の話を見たときに、知識情報型社会といいますか、知識情報社会ということで、むしろ人間が重要なんであって、人間に投資をするんだ、人間が資源なんだということが基本に来なければいけないんだろうと思うんですね。
 それで、当然産業構造が変わるし、構造を合わせなきゃならないし、財政構造であれば分権をしていかなければいけない、こう考えていって、そういう社会を目指すべきだと。そうすれば、これはケインズ経済学が行き詰まっているわけなんですが、間違っていたわけではなくて、その先の新しい社会福祉国家ができるだろう、こんなことを実は思っているものですから、小泉改革に反対してきたんですね。
 そんなところで、この新しい公社には、経済効率性のみでとらえないで、どうか公益性、社会政策的な面を担うというところに重点を置いていただきたいなというのを、はしょりながら言いますので、まず申し上げて、公社のあり方についての質問をまず最初にさせていただきます。
 今まで郵便事業というのは、全国ネットワークを維持し、ユニバーサルのサービスを提供して、国民生活の安心、安全のインフラとしての役割が一つあるとともに、地域コミュニティーの拠点としての役割を持ってきたんですね。引き続きそういう役割を持っていただくとともに、拡充をしていただきながら、長期に安定した経営を確保していただきたいと思っているわけですが、確保できるんでしょうかという決意のほどをお聞きしたいと思います。
生田参考人 公益性重視の点は、きょうも冒頭、私、ごあいさつさせていただいたときに、それが前提になりますと明言いたしておりますので、やらせていただきたい。それは法的要請というだけじゃなくて、けさも言いましたが、私自身があちこち回ってみてその重要性もよくわかっておりますので、十分にやりたいと思っております。
 それから、二番目は、何でしたかね、公益性と、ヒューマン、人間ですね。入ってみて感じているのは、物すごく優秀な人たちが多いんですよ。これを生かさない手はないと僕は思います。したがいまして、普通の、通常の人事部による通常の人事ではなくて、もちろんそれはやるんですけれども、加えて今度は、最近横文字で、みんな各社、使うところは使っているんですけれども、ヒューマン・リソーシズ委員会というのをつくったんです。人材委員会ですね。
 入れている会社はちらほらありますが、大体、ヒューマン・リソーシズという言葉を使っているんですが、人材委員会というのをつくりまして、ここでは、どうやって持っている人材を見つけ出し、開発し、やっていくかというふうなことで、研修制度なども含めまして、海外も含め、取り進めるということでおりますし、外からの人材の導入も考えていくというようなことで、十二分に配慮をしていきたいと思います。私が重点志向している側面の一つであります。
大出委員 おととしですか、伊藤忠治先生にお供をしまして、中国の青島のハイアールという会社に行ってきたんですね。あそこは、評価主義をやりながら、労使ともにといいますか、職場の従業員の方が生き生きと働いておられるんですね。それと同じように、私も、郵便職員さんの現場を、フレッシュスタートということで今回スタートを切られた現場を見たときに、確かに新しいものをつくり出そうという意欲に燃えているのを見まして、ちょうどハイアールの会社を訪問したときと同じようなことを実は思ったわけなんです。
 そういう意味で、労使ともに一つの目的で頑張れるという姿勢があれば新しい改革になるんだろうと思っておりまして、そういう意味で、非常に重要なのは、労使とより議論を深めながら高いサービスを提供することが公社の使命なわけですが、労使との協議のあり方について、現状の考え方をお伺いしたいと思います。
生田参考人 先生御指摘のとおりだと思います。公社としての人材育成と同時に、労使関係をうまくやらないといけない。この点に関しては、私非常に勇気づけられているのは、大きな組合が二つ、全逓と全郵政と政策提言を出しておられますけれども、その中の一つは、郵政維新というキャッチフレーズをつけられて、もう一つも同じようなことを言っています。どうやって客にやはりもっと評価されるいい公社に改革していこうか、とにかく商品の見直しも含め、サービスの付加価値アップも含め、どうやってやったらいいのか、それで、ちゃんとやった人間は評価してくれるように評価主義を入れて、激励してくれというふうな趣旨で、ずっと両方ともほとんど同じようにつづられております。
 現にこの三月末まで、労使懇談を密に詰めてきてくれたようですし、今後さらにそれを発展させながら、経営の内容もよくわかってもらい、いろいろな問題についてはよく話し合って、理解の上で取り進める。組合の委員長も、相互理解ができれば、できる面はもちろんできるだけ協力する、目的は一つ、いい公社をつくることで同じですから努力したいと言ってくれていますので、私自身よく努力していきたいと思います。
大出委員 今、公務員制度改革などが進んでおりまして、その中で必ず出てくるのが、話し合ってくれ、話し合ってくれというのがありますので、やはり本当の意味で誠実に対応しながらやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 そして、もう一つでございますが、公社が利益を生み出すわけですが、それは、一つには国民の利用者のためでありますし、二つ目には公社の経営体質の強化、三つ目にはそこで働いている人への還元と考えているんですが、どのようなお考えなのかお伺いしたいんですが。
生田参考人 私が掲げております三つのビジョンと結局同じだと思うんですね。お客様の視点に立ってすべて考えて、少しでもお客様に評価していただけるようにということと、事業部制をとりますけれども、おのおの健全で、まとめて健全な公社をということと、職員に将来展望のある、働きがいのある職場をつくろうと、ほぼ趣旨において一致していると認識しておりますし、そういうふうに努力をさせていただきたいと思います。
大出委員 次に、郵便貯金の方に先に参りたいと思います。
 公社になっても郵便貯金は存続していくわけですが、民間金融機関にない郵便貯金の存在意義をどのようにお考えなのか。(生田参考人「ちょっと最後が聞こえなかったんですが」と呼ぶ)どのように考えられておられるのか。要するに、郵便貯金について、民間金融機関にない郵便貯金の存在意義についてどのようにお考えなのかということです。
生田参考人 今この時点で郵便貯金制度をつくるかという命題がもし出たとしたら、多分いろいろな議論があったと思うんですが、やはり歴史的な意義と役割をまず考えなきゃならないのかなと。簡単に言いますが、やはり、歴史的には、そういう貯蓄の知識に疎かった全国の皆様にそういう意識を持ってもらってやってきた。小口で個人で、過疎なところでもそういうファシリティーを提供申し上げるという歴史的な意義があった。
 今はどうか。今は、私もずっと見て回りましたが、全部が全部じゃありませんよ、だけれども、やはり地方へ行けば行くほど少額で、いわば財布がわりで、非常に皆さんが頼ってそれを使っていらっしゃる。地方へ行くほどお年寄りが多いですよね。よく言っておられましたけれども、銀行の方が来て、二十分車を飛ばせばこっちに支店があるんだからとおっしゃるけれども、どうやって車を飛ばすんでしょうというようなことをおっしゃっていました。したがって、今でもその役割は果たしつつある、果たしているというふうに考えております。
大出委員 これについては質問通告的なことが間に合わなかったものですから、考え方などを述べますので、イエスかノーかでも構いませんので、お答えをいただきたいと思うのですね。
 今のは、どちらかというと、確実な貯蓄手段としての郵貯というんでしょうかね、郵貯にはいろいろな意義があるだろうと思いますし、それと、これから未来を考えたときに、金融の自由化ということを考えますと、いろいろな新たな意義も出てくるだろうと思うのですね。
 それで、るる考え方を申しますので、どんな御所見かをお伺いしたいと思います。
 一つは、郵便貯金の意義としまして、ユニバーサルサービスを提供する、要するに、あまねく公平にというユニバーサルサービスを提供する提供者としての郵便貯金の意義というのがあると思うのですね。
 これはどういうことかといいますと、金融が自由化されますと、いわゆるデータベースマーケティングといいますか、セグメントといいますか、今、この人はどのようなことを考えているのか、どんな商品を必要とするのかというような、顧客を選別したりすることになってくるわけですね。そうなってきますと、プライベートバンキングのようなものが、大口には大口だけに特化するような銀行が出てくる。
 そうなってきたときに、よく言われるのですが、銀行預金口座も持てなくなってしまう、弱小のといいますか小口の利用者が出てきてしまって、これをよく金融排除と申しますね、そういうことが起きたときに、今度は逆に、最低限の基礎的な金融サービスは最低限認めようということになってきますと、だれでも全国同じ条件で金融取引を行うという役割が重要になってくると思うのですね。
 そういう意味で、ライフラインバンキングともいいますか、そういった役目というのが、将来、ユニバーサルサービスの提供者としての郵便貯金には必要になってくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
生田参考人 何分素人ですから、先生のおっしゃっているのが一〇〇%きちっと理解できるわけではないんですが、大変正直で申しわけないんですけれども、私なりに伺っていて、非常にいい御意見をおっしゃっているように思いますので、それも踏まえながら今後勉強させていただきたいと思います。
 もう少し専門的なあれが必要であれば、團さんがいますから、もう少し的確な返事ができるかもわかりません。
大出委員 では、團さん、お願いします。
團参考人 お答えいたします。
 金融の自由化が進んでまいりまして、特に小口だけのものを扱っておりますので金額的には全体的には多くなっておりますが、現在の状況を見ておりますと、特に委員おっしゃいましたように、例えば過疎地におきましては、銀行等の店舗は二五・七%しかない、郵便局は七四・三%である、こういうことでございますし、また、大手行につきましては、もう二、三割店舗を閉鎖する、それから口座維持手数料を取るとか、そういうふうなことで、これは銀行間の競争も激しくなってきまして当然のことと思いますが、収益性を重視すればそういうことになってまいります。
 郵貯も収益性も大事でございますけれども、こういう法律の仕組み、ミッションからしましてユニバーサルなサービスを提供していく、こういう役割はやはり重要になっているんじゃないのかなというふうに考えております。
大出委員 今のがユニバーサルサービス的な意味の郵貯の意義ということなんですが、先ほど総裁の方からお話があったのが、いわゆる基礎的な金融サービスといいますか、簡易で確実な貯蓄手段あるいは生活保障手段といいますか、それの提供者としての郵貯の意義というのがあると思うんですね。
 これも、金融が自由化されていきますと、確かに利用者からすれば幅は広がってくるわけですが、しかしながら、市場メカニズムの中ではどうしても自己責任の原則がございます。たとえ金融機関がディスクロージャーをするとしても、個々の利用者というのは、一つは、十分な時間をかけられなかったりあるいはお金がなかったりしますから、金融機関に対する高度な専門的な情報を得られない、情報弱者といいますか、そういうことがどうしても起きてくるんですね。一方では、先ほど山間辺地の話をなさいましたけれども、行きたくても遠過ぎて、時間も費用もかかって、コストがかえってかかってしまうから、そんな、難しくてハイリターンの商品は要らないよという方もおられるんですね。
 そういう意味で、どうしてもその部分について、簡易で確実な貯蓄手段としての郵貯の意義というのは、金融が自由化すればするほど残っていくんだろう。そういう意味で、私は一番最初に社会政策的なということを申し上げたんですが、これはお答えいただけますか。どう思いますか。
生田参考人 おっしゃられたこと、私とほぼ同じ考え方だと思いますので、よく踏まえながらやっていきたいと思います。
大出委員 質問通告なしで話しているので大変答えにくいと思いますが、イエスかノーでも結構でございますので。
 そして、この郵便貯金のまた新しい意義といたしまして、オープンネットワークを提供していますよね。オープンネットワークの提供者としての郵便貯金の意義というのがあると思うんですね。ラインにつないで、つまり、どういうことかというと、二万四千七百以上の局がネットワークを張られているわけですから。
 そして、その郵便局のネットワークを活用しまして、まず民間の金融機関の商品を流す、つまりは媒体となるといいますか、要するに、そういうような利用の仕方が進むんだと思うんですね。ATMと一緒になったりしているのと同じように、もう少し進んで、どこかの金融商品を売るとかいうことが郵便局のネットワークに乗っかるということが起こるわけなんですね。
 そこで問題なのは、郵便局というのは大変信頼があるものですから、郵便局で扱っているのはすべて安全で確実だというふうに利用者が誤解をすることがあるんですね。そのときにやはり消費者保護という観点が必要になってまいりまして、民間の金融機関の商品を扱ったとすれば、十分なリスクについての説明責任が出てくると思うんです。確保しなきゃならないと思うんですね。
 日本の法律には、いわゆる適合性の原則というのを消費者保護のところで適用していないんですね。適合性の原則というのは、いわゆる顧客の知識や経験や資産状況に応じた販売を義務づける原則ですね。法律で義務づけたりするんですね。例えば、財産が少ない方に多額のものを押しつけちゃったらいけないというような意味ですね。
 そういった意味で、その適合性の原則を考慮して十分なリスクを説明するような責任が生じてくるのではないか。その点についていかが考えているでしょうか。
團参考人 委員おっしゃっているとおりでございまして、まず、はしりとして、日本版四〇一kの確定拠出型年金というのの取り扱いを始めております。これが初めて、郵便局が直接提供するわけじゃございませんけれども、リスク商品を紹介するということで始めているものでございます。
 これは、郵便局のものは必ず安心だということでやってまいりましたけれども、そういうリスク商品を扱う中でやはりコンプライアンス、今先生がおっしゃった説明責任というのがございますので、まだ小規模でございまして、各県一カ所でやっておりますけれども、そういうことを皮切りにいろいろ勉強し、また、このコンプライアンスの時代でございますので、間違いないようにやっていきたいというふうに考えているところでございます。
大出委員 将来の課題としてだんだんそういうのが出てくるだろうと思いますので、すぐではないでしょうけれども、必要ではないかと思っているところでございます。
 もう一つ、郵便貯金の意義としまして、消費者を支援する立場としての意義といいますか、そういうのがあるのではないかと実は思うんですね。というのは、これも先ほどの金融自由化との絡みでございますが、民間の金融機関が、データベースマーケティングによって、プライベートなバンキングなどによって、大口預金者は重視するけれども、差別化をするわけですね。差別化をして大口預金者だけに特化したようなコンサルティングサービスをする、小口にはしないということが起こるわけですね。
 こういったときに、郵貯が、十分なコンサルティングサービスを受けられない利用者に対して金融リテラシーを補完して、その利用者のライフサイクル全般にわたる総合的な金融コンサルティングサービスといいますか、そういったものを提供することが逆に将来求められてくるのではないか。その点についてはいかがでしょうか。
團参考人 これも委員の御説のとおりだと思っております。
 郵便局におきましては、特に、先ほどおっしゃいました情報の余り入らない方、お忙しいということもありますし、小口の方になかなか情報が入らない、こういう方の多くの方が利用されております。したがいまして、郵貯にしましても簡保にしましても、いろいろな商品をお勧めするときには、一方的に、単に量だけ多ければいいということじゃなくて、本当にそのお客様の生活にどう役に立つのかを考えてやらなくちゃいけないということで、単なる量的拡大ではなくて、やはりお客様の志向に立ったセールスを進めるというふうなことで、ことし営業方針等も考えているところでございます。
 そうなりますと、全体的な金融知識、ほかの、郵便局で提供していない金融についてもやはり十分知っておく必要があるということで、いろいろな勉強を個々人も進めておりますし、局としても進めていきたい。そういう面では、単にこちらの都合で郵貯や簡保を売りつけるということではなくて、やはりお客様の立場に立ったセールスをしていくという面では先生がおっしゃったような研さんがより必要ではないかというふうに考えております。
大出委員 もう一つ郵便貯金の意義として、ナローバンク的といいますかコアバンク的といいますか、貯蓄、送金決済だけに限るとかいう意味ですね、仲介はやらないということですが、それはどうしてかというと安全確実ということを考えるからですが、そういった意味で、運用面の話なんですが、ナローバンク的な、安全確実な資金運用者としての意義というのが郵便貯金にあるんじゃないかと思うんですね。
 というのは、同じように、金融自由化で小口の個人が差別化されて排除をされていったりするんですが、民間にもいろいろ、商品的にリスクが高いんだけれどもハイリターンの商品があったりしますが、しかしながら、同じように、限られた限度ではありますけれども、小口利用者から、多少リスクがあるけれども金融商品を企画してくれ、郵政公社が企画してくれ、あるいは販売してくれというのが求められると思うんですね。そうであったとしても、それは当然、安全確実という資産運用の範囲内での話でございますね。
 これは、よくALM管理という、資産と負債の総合管理というのを図りながら小口個人のリスク許容範囲、許される範囲内での資金運用といいますか、そういったものを図る必要が要請によって出てくるのではないかと思うんですね。この点についてはいかがでしょうか。
團参考人 郵貯の運用という面で申しますと、これも法律で決まっておりますように、安全確実な運用をしていくということでございまして、法律でも運用対象を元本保証のあるものということで、基本的にそうなっておりますし、もともとそういうポートフォリオをたくさん組んでおります。
 それから、今委員がおっしゃっているように、ALMというのは一番大事でございまして、期間に対応して、預かるお金に対応した運用をやっていくということで、これは一番大事であると思っております。そういうリスク管理体制をしっかりしていきたいというのが一番大事なところだというふうに思っております。
 また、国債等の運用が多いわけでございますけれども、これにつきましても、毎日売買するとかいうことではなくて、満期までは保有していくということになりますと非常に安定的な運用になってまいりますので、そういうものを基本にして今後ともやってまいりたいというふうに考えております。
大出委員 今、郵貯の新しいというか、これから先の意義などについての考え方、そして御答弁をいただいてきたわけですが、やはり国民は確実であるということを求める方が多いわけでございますので、その分の機能、先ほど申し上げた社会政策的な意味の機能を重視しながら頑張っていただきたいと思っておるところでございます。
 続きまして、郵便貯金は、よく言われます、やはり先ほども質問に出ていましたが、民業圧迫という話等出てまいりますが、リテールの部分でのシェアというのはどのくらいあるのか。そして、運用サービス提供面などで民業と競合して民間圧迫となるようなことはないのかという点についてお伺いしたいのです。
團参考人 現状の数字でございますけれども、ちょうど終わりました平成十四年度末の残高でございますが、郵便貯金は、一年前と比べまして約六兆円減少しまして、二百三十三兆円となっております。最近減少傾向ということは、高金利の集中満期が終わりましたのでかなり減少しているという傾向でございまして、今後四年間もこういう減少の傾向は続くのではないか。しかし、それが経営に与える影響は悪いものではないというふうに考えております。
 この間、民間金融機関、銀行の預金がふえておりまして、この数年で四、五十兆ふえておるのではないかというふうに思います。そういうのが傾向でございます。
 ただ、千四百兆と言われております家計金融資産の中におきます郵便貯金のシェアというものは、二割弱ということで、余り変わっていないというのが現状でございます。
 それから、運用面につきましては、これも先ほどの説明とも関連しますが、運用対象が法律で限定列挙されておりますし、それから、先ほども申しましたように、バイ・アンド・ホールドというふうに、非常にローリスク・ローリターンの運用を基本としておりまして、かなり一般の金融機関とは違ったビヘービアになっているのではないかというふうに考えております。
大出委員 今度は簡易保険の点なんですが、どうも簡易保険を比べるときに、肥大化の話をするときに、総資産との関係で物をおっしゃるのですね。総資産、こんなに多いじゃないかと言うのですが、保有保険金額でいうとどのようなことなのかということ。
 それから、民間生保との保険料率引き上げ競争をしてきたと思われるのですが、実際に先行した例が、ないと思っているのですが、あるかどうか。先行した例があれば、その経緯について最後にお願いします。
遠藤委員長 簡明に。團副総裁。
團参考人 保険金ベースにおける簡保のシェアでございますが、約一〇%程度というふうに見ておりまして、このシェアは余り変わっていないと考えております。
 それから、保険料率の引き上げの経緯でございますが、昭和四十九年には簡保が先行して引き上げたことがございますけれども、昭和五十六年四月、昭和六十年四月については民保が先行して上げておりまして、必ずしも簡保が引き上げをリードしてきたということにはなっていないというふうに認識しております。
大出委員 終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 本日は、生田総裁、それから高橋、團副総裁、本当に御苦労さまでございます。
 総裁、今お手洗いのようでございますが、初めての席でリズムをとるのも大変だろうと思っております。できれば総裁に話をしたかったのでありますが、後でまた議事録でも見ていただきましょう。
 私は、四月一日からいよいよ新しい公社が始まるということで、三十一日の日に地元の郵便局をずっと回ってまいりました。先ほど総裁があいさつされたような、そんな決意が全国二万四千の郵便局、局員お一人お一人にみなぎっているなということを感じてまいりました。近くの郵便局、ポストをみんなできれいにしたり、あるいは「真っ向サービス」ということで、あのキャッチフレーズは、今までも取り組んできた郵便局の心根だ、心意気だ、このようにおっしゃっておられましたけれども、そんな新しい公社スタートに向けての皆さん方の意欲をまざまざと見せつけていただきました。
 これから、百日委員会ということで――総裁、帰ってこられましたけれども、総裁、御苦労さまです。私は、百日委員会の取り組みは極めて大事だろうと思っております。やはり、大きな組織を方向転換するというか、新しい運動を起こすということは、私は、まさに三カ月が勝負だろう、こう思っておりまして、総裁の思いが今全局員に伝わっているということで、これは百日委員会という取り組みにも大きな期待を持っている一人であります。
 きょうはもう短時間で、二点だけお聞きしたいと思っておりますが、その前に私の感想を言いますと、キャッチフレーズはいいんですが、新しいユニホーム、ダサいですね、あれは。これは多分、官のお考えになったことだろうと。官のメリット、デメリット、両方ありますが、私は、ぜひ総裁には、デメリットを排してメリットをしっかり生かしてもらいたいと思っております。これは質問はいたしませんが、赤いバイクでステータスはあるからいいかなと思っておりますが、あの紺色ですね、安定感を与えるという、だれも考えそうなことだなと、こう思ったわけであります。特に郵便事業でこれから競争激しい中でありますから、また御検討もいただきたいと思います。
 総裁に最初にお聞きしたいのは、きょうの総裁の答弁を聞いて大分安心いたしましたけれども、総裁からは、四年の中期計画、できればその目標を二年ぐらいでもう達成したいという意欲がどんどん伝わってくるわけでありますが、やはり総裁が生きてこられた民間企業の世界、下手をすると、コスト主義といいますか、成果主義といいますか、それオンリーになるのではないかという危惧もあるわけであります。
 やはり、きょうも議論がありましたが、ユニバーサルサービスをやってきました官としての役割、国営公社としての役割もあるわけでありまして、官のよさというところもあるわけで、この官のよさ、メリットを生かし、そして民の発想でもって、この二つをどう調和するかというのは極めて難しいが、その二つの調和をまずはこの第一期の中期計画の中で総裁の力で軌道に乗せていただきたい、こう私は思っているわけでありますが、その辺の御決意を一言だけお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
生田参考人 まず、意識と文化を変えていくということを昨年の十月からEメールを使いましてやり始めたというのをお話ししたとおりでございまして、今、物すごくいい方向に、みんなでいい公社をつくろうというふうに流れてきております。
 公社ですから、公益性重視というのは当然の前提であるというのは、朝、冒頭に申し上げたとおりでございまして、その意味では、法的要件であるのみならず、私自身も非常に重要だと思ったユニバーサルサービス、地域への貢献というのは、当然やってまいります。
 それから、一つ申し上げれば、経営というものは別に数値だけ求めるわけじゃなくて、社会に対する役割というのは、これは民間企業でも考えるわけでございます。したがって、数値的に成果を求めるだけじゃなくて、社会に対する役割、これは法的な要件を超えて我々はいろいろ考えていきたいし、市町村合併等が行われれば、付加的なことも必要があればお引き受けしていくという、コストの面で多少また地方自治体なんかと御相談する必要が出てくることはあろうと思いますけれども、役割そのものはだれかがやらなきゃならないわけですから、そういうことも踏まえていきたいと思っております。
 それから、最後に一言つけ加えますと、成果主義で職員を評価いたしますが、これは、数値目標に対する評価だけじゃなくて、実績評価にプラス職務行動成果というのがありまして、このチェックポイントには、地域に対する貢献とか、それから介護等、お年をとられた方への貢献度の問題とか、いろいろなそういう数値化できない社会性の項目をたくさん入れておりますので、そういう点は先生御指摘のとおり十分踏まえまして、本当の意味でいい公社をつくりたいと思っております。
桝屋委員 今のお話を承りまして大分安心したところもあるんですが、もう一点、確認の意味でお聞きしたいのは、総裁、全国をずっと回られたようでありますが、私は、ユニバーサルサービスとして一つ感じておりますのは、盲人用の点字等の郵便物、政策料金減免制度、特に三種、四種の今まで果たしてきたこの社会的役割というもの、この委員会でも随分議論しましたけれども、総裁、点字の郵便物、どんな機能をしているかというのは見ていただけましたか、現場で。見ていただいたのか、その社会的役割というものをどのように感じておられるのか、一言でお答えいただきたいと思います。
生田参考人 何度も申し上げますが、公益性は十二分に発揮していくということですし、今、三種、四種をおっしゃったんだと思いますが、それが、社会性、社会に対する貢献、それから弱者救済といいますか、そういった精神で盛られておるわけでございますから、法的要件でもありますし、当然、持続してまいります。
桝屋委員 恐らく見ていただいたんだろうと思いますが、その郵便物が、点字物が動いて、点字図書館や盲人の方々がどういうふうにそれを利用されているのかということも、またじっくり話を聞いていただきたい。お願いをしておきたいと思います。
 しつこく申し上げますのは、特に郵便事業の採算性といいますか、赤字体質から黒字体質へ何とかしたいというその思いが先ほどからひしひしと伝わってくるものですから。やはり僕は、この点字郵便物というのは、本当に、社会の助け合いといいますか、ほかの郵便の料金でまさにそこを補完しているわけでありますから、その辺の役割というものをぜひとも我々も注目していきたい、このように思っておりますので、また、ぜひそういう現場も見ていただきたいなと、できれば御案内を申し上げたいと思いますので。
 最後になりますけれども、まずは、第一期、公社が見事な成績を上げていただきますように私はお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 きょうは、ありがとうございました。
林(幹)委員長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 まずもって、日本郵政公社、正式にスタートいたしまして、そして新しい事業体制ということで、その運営、大変お忙しい中だと思いますけれども、生田総裁初め幹部の皆様方にお越しいただきまして、私からも心から感謝を申し上げます。お疲れさまです。
 それからまた、これまでの質疑で重複する質問があるかもしれませんけれども、通告に従い順次質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 郵政公社でありますけれども、これは、郵政事業が始まって以来百三十二年でありますか、それ以来の大改革であると私は思っております。公社化に当たっての大きな変化の一つは、何といいましても、経営トップに民間人の方々が登用をされたこと、そう思っております。
 生田総裁は、これまでのお話のとおり、商船三井の経営者としてさまざまな経営改革を進められた、そしてまた大きな功績を上げられた、そしてまた経済同友会の副代表幹事として財界活動にも活躍された、そうお聞きしております。
 そこで、最初に、総裁予定者の指名を受ける前に、官業である郵政三事業について外からどのように見ておられたか、お尋ねいたしたいと思います。
生田参考人 前の先生の御質問で同友会の性格についてお話し申し上げましたけれども、これは個人の資格で参加している団体ということで、多分三十ぐらいと思いますが委員会が置かれておりまして、私が担当していたのが経済政策委員会というところでございまして、そこでは郵政というものに仕切って物を考えるというのではなくて、マクロから見て日本はどういうふうにしていったらいいのかなと、こういうふうな議論をする委員会でございました。
 その中では、まず、先ほどもお話し申し上げたように、日本の構造改革というのはやはり必要だなというふうに考えておりましたし、全般にかぶせて申し上げれば、民でもできる仕事で、もし民がやった方がよりよくできる部分があるなら、それは民に任せていったらどうなんだろうというふうな意見で当時はございました。
 また、指名を受けた九月以降は、先ほどから言っているように、事業の担当者として、また別の考え方を持っております。
黄川田委員 公社といえば、鉄道あるいは電話など、こういう公社事業がありましたけれども、民でできる中で、可能性があれば一生懸命やるという総裁の話でありますので、それはそれでいいわけでありますけれども、いずれ、国営事業として営まれてきた郵政事業の経営、これに具体的にどのような民間経営の手法を取り入れていくつもりなのか、あらましで結構でありますので、お尋ねいたします。
生田参考人 民間的手法というのは、決して難しい方法じゃなくて、普通の会社の経営、ただし、会社にもいい会社と悪い会社といっぱいありますから、エクセレントカンパニー、立派に生きていっている会社の経営の手法を入れていきたいということでありまして、まず、公社の理念を出し、行動憲章を決めて、みんなの向かうべき方向とやるべき行動の基準を示しまして、その上でビジョンを示して、お客様に評価される立派な公社をつくっていこう、それから、三事業もおのおの健全にして、まとめて公社全体も健全にしよう、それから、職員に将来展望を持ってもらって働きがいのある職場をつくろうというふうなことを掲げながら、委員会もつくって、その方向に一緒に走ろう、こういうことでございます。
黄川田委員 いわゆるお役所仕事から離れていくということであると思っておりますが、そのためにも、公社経営に民間的手法を取り入れるに当たっては、やはり職員の意識改革ですか、これが最も大事だと私も思っておるわけであります。
 これに関して、法案の質疑のときも私もたびたび質問した経緯があるわけでありますが、ごあいさつの中で生田総裁も、さまざま具体的に、いろいろな郵便局を視察された、そしてその中で職員の意識が高まっている、そういうお話をされたわけでありますけれども、いずれ、国営意識からの脱却、これが一番大事だと私も思っております。そしてまた、全国に二万四千七百余の郵便局を通じて提供される郵政事業でありますけれども、これは、まさに人が支えている事業だと思っております。
 それで、公社経営に当たって、現場でのやる気を引き出す、これが一番大事だと思っておりますけれども、能力あるいは実績主義に基づく人事制度の導入を検討されておるとも聞いております。そこで、この職員の評価制度でありますが、公平性あるいは納得性あるいは透明性の高い制度とすべきと私は考えるわけでありますけれども、この検討状況はどのようになっておるでしょうか。
生田参考人 まず、意識改革が重要であるというのは、もうおっしゃるとおりで、これは原点だと思います。意識が変われば、ほかのことは大体具体案が出てくる、ついては文化も変えていく、このように努力しております。
 成果主義でありますけれども、先生御指摘のように、公正さ、透明性、厳正さ、これはもう最重要でございまして、その辺を過つと逆に弊害すら出始めますので、その辺は十二分にやります。その方法については、既にもう成案を一応得ておりまして、組合等関係者と目下打ち合わせ中ということで、大体趣旨はみんな賛成ですから、近く成案になると思います。
 時間がございませんから、その中身は具体的には申し上げませんが、一つは、数値化できる業績だけじゃなくて、それは半分でございまして、残りの半分は、先ほどから申し上げておりますように、地域社会への貢献とかいろいろな公益性の仕事に対してどういう認識を持ってやっているかというふうな、いわばソフトの分ですね、こういう面も十二分に評価していく、こういう考え方で取り進め中であります。
黄川田委員 労使等の間に風通しがよいように、そしてまた一丸となって働けるように、そういう仕組みをお願いいたします。
 それでは、公社の経営についてでありますけれども、この公社が四年を一期とする中期経営目標と中期経営計画を定めまして、過日、総務大臣から認可を受けたと承知しております。そこで、平成十五年からの四年間はこれらの目標及び計画に沿って取り組んでいくということで、前倒し二年間で頑張るという話でありますけれども、その中で、やはり中期経営目標を確実に達成していくためには、二年間の前に、この初年度でありますか、これが最も大事になると思います。
 そこで、各年度の経営計画は総務大臣への届け出事項となっておりますけれども、初年度の計画である平成十五年度経営計画の中で、特に重要と思われる点、ポイントがありましたら、お尋ねいたしたいと思います。
生田参考人 前倒し二年にしているのは、改革というものはできるだけ短期に凝縮してやった方が、結局は総面積における痛みは少ない、プラスの効果は大きくなるという観念でやっておるのが一点と、効果というのはおくれて出てくるものですから、四年間の効果を本当に計画どおり出そうと思ったら、初めの二年間ぐらいでできる改革はやっておかないと、その改革の効果が出てこない。それだけやっておいて、前倒しして改革を進めて初めて四年の中期経営計画が達成できる、こういう考えでやっております。
 それで、十五年度どうするかというのは、今、具体案を検討中でございまして、五月末ぐらいまでにまとめるつもりでおるのでありますが、私の頭の中にあるのは、数値とか、何かそういう技術論ではなくて、実際上、経営の手法が変わった、意識も変えなきゃならない、民間的な経営の方式、委員会制度、そういったものがうまく機能するかどうか、これが十五年度の実績にかかっていると思いますので、その辺の新しいシステム、それに伴う文化づくりというのを、意識も当然ですが、最重要点に考えていきたいと考えております。
黄川田委員 これまで、公社の経営の民間的手法の導入、あるいはまた効率的な経営でありますか、こういう取り組みについて伺ってまいりましたけれども、昨年の法案の審議の中では、修正案では、「郵便局をあまねく全国に設置し」、そしてまた附帯決議では、「郵便局ネットワークが現在と同水準に維持されるよう努める」など、ユニバーサルサービスの確保が求められるということでありました。
 しかしながら、効率性の追求から、郵便局を削減したり、あるいはまた人員の削減を行うなど、郵便局ネットワークの維持やユニバーサルサービスの確保が脅かされるのではないかという懸念もまた生じるわけでありますけれども、総裁の見解はいかがでしょうか。
生田参考人 民間人が来たから、合理性追求だけで、ひょっとしたら、採算が合わないのをばたばた整理するんじゃないかなとあちこちで御質問があるんですけれども、そんなに経営者というのは単純じゃございませんで、中長期にいいことを考えてまいります。
 ましてや、法律的な要件でユニバーサルサービスは求められているわけでありますし、各地を回ってきた私の体感からも重要だと考えておりますし、今後進む、二〇〇五年の三月にかけて行われる市町村合併の結果としては、もっともっとお役目をやらなきゃならないんじゃないのかなとすら考えております。
 無論、そういった行政の変化、経済の進化に伴うアップ・アンド・ダウンの調整はある程度必要かと思いますが、フレームワークとしては、今の水準は当然維持すべきだと思います。
 ただ、一言加えれば、そういう公益性をやるためにどのぐらいのコストがかかっているのかというのは、これは三事業部を独立採算的に見るわけですから、コストは一応きちんと計算して、公益、お役に立った、これは喜んでやるんだけれども、コストはこのぐらいかかっているんだなというのは経営のデータとして十分に把握しておきたいと思っておりますし、これは必要があれば開示していこう、こう考えております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 今総裁からお話ありましたけれども、今、総務省の政策の一番大きな柱で、全国三千二百余の市町村の合併ということで動いておるわけなんでありますけれども、合併に関連して、中山間地、過疎とか辺地、こういうところではこれまでの行政を維持しにくくなっている。そういう中で、全国二万四千七百余ですか、張りめぐらした郵便局の役割がまた大きなものになるのではないかということで、例えば市町村の住民票の写しの交付であるとか、昨年は法案も出たわけなんでありますけれども、この市町村との連携の部分で、あるいはまた地域における、いわゆる郵政三事業だけでない部分の中で郵便局が果たせるような役割とか、もし、そういうもので意見とか感想がありましたら、これは通告してないですけれども、よろしくお願いします。
生田参考人 私も全く同じ問題意識を持っておりまして、市町村合併で、いろいろ、これは行政として、例えば支所が撤収するとか、合理化が行われていくんだろうと思います。
 ただ、これは郵政事業を超える考えで、これは先生方に考えていただかなきゃならないんだけれども、あちこち住んでいらっしゃる皆さん方の利便性はやはり守ってさしあげるべきだろうと思いますね。だれがそれを分担していくのか。それが、国家的ないしは中央行政の御要請で郵政のネットワークを使ってやってくれというのなら、それはもうでき得る範囲で私は御協力申し上げるべきであろうと思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、コストはやはり一応きちっと計算して把握しておくと同時に、例えば、村役場の支所がなくなるのであれば、そこは店費も人件費もなくなるわけですから、住民票を出すのに、紙代の百何十円かだけ取れということじゃなくて、もう少しその店費的なものの分担をリーズナブルな範囲でしていただいたらどうかなという希望は持っています。
 そういう意味も含めまして、今度、公社内に、地方、環境、ネットワーク担当部門というのをつくりまして、それの担当理事に、特に自治省の現役のばりばりの方に来ていただきまして、担当理事になってもらって、行政ともいろいろな御相談をさせていただきたい、こう考えております。
黄川田委員 これまでは、市町村との関係などというと、地方債を発行しまして、その引き受けとして簡保資金、その還元融資だというような形のつながりでありましたけれども、そういう具体的な部分をどんどん進めていただきたいと思っております。
 それで、残り時間も少なくなってまいりましたので、具体的に郵便事業についてお尋ねいたしたいと思います。
 四月一日から日本郵政公社、発足したわけなんでありますけれども、特に郵便事業については、平成十四年度の補正予算において三百七十九億円の赤字となっております。国民へのサービスの提供や、あるいはまた先ほどのユニバーサルサービス等の提供を確保するために、今まで以上の経営努力が余儀なくされると思っております。
 そういう中で、平成十五年度からは信書便事業への民間参入が認められておりまして、民間業者が、メール便の強化など、あるいはまた郵政公社をターゲットとした対抗策をいろいろ打ち出してくると思うわけであります。
 そこで、公社は、赤字の郵便事業の立て直しをどう進めていくのか、そしてまた、これに対する今後の具体的なサービス改善、そういうビジョンがあるのか、あわせてお尋ねいたします。
生田参考人 大分頭を使わなきゃいけないなと思っている部門であることは事実でございまして、この三月期が三百八十億円の赤で、初年度、十五年度も二十六億ぐらいのまだ赤しか見込めないんですね。二年度から黒にする。大変努力を要すると思います。
 努力の一つは収益の確保でございまして、今まで以上にお客様のニーズに合ったサービスや商品を考えていく。言っていると時間がありませんけれども、既にいろいろと商品を発表しているのは御存じのとおり。それから、今まで余り力が入っていなかった大口のお客様にも積極的に営業体制を組んでいくということで、言われるところのBツーBとかBツーCというものでございますね、それから民間企業等との提携なども必要に応じてやってサービスの質を上げていく、こういう面があります。
 もう一つは費用の削減でありまして、その主体となるのが生産性の向上。今トヨタさんに教えてもらっている、越谷での、だれも痛みがない、ないと言ったら語弊がありますが、苦痛は伴わない、単にシステムを組みかえるだけで生産性が上がって逆にゆとりが出る、人間性の尊重とゆとりを持つということが根本理念で、今訓練をしていただいているわけですが、そういうことを通じて結果として生産性を上げていくというふうなことでありますし、郵便物処理の機械化の推進をするとか、その他契約等の見直し等で費用の方も下げていくということもやりたいというふうに考えております。
 小包の分野については、今五・八%しかシェアがございませんので、全体のマーケットの伸びを利用しながら、もう少しシェアを拡大することも、民業を圧迫しない程度にもう少しやったらどうかな、こんなことも織りまぜて努力をしてまいりたいと思っております。
黄川田委員 具体的に、重要商品であります小包郵便ですか、郵便小包、ゆうパックでありますけれども、これも厳しいと思うわけであります。競合他社との、ゆうパックのシェア、これはどうなっておりますでしょうか。そしてまた、このシェアの回復とともに収支の改善が重要な課題と思いますけれども、具体的な対応策があるのでしょうか。お尋ねいたします。
高橋参考人 先ほど総裁の方から申し上げましたように、ゆうパックのシェアというのは五・八%しかありません。これを回復させるというのが一つの大きな目標でありまして、今は、翌日配達地域、これが民間と比べますと負けておりますので、これをカバーしたい、拡大したい。さらには、集荷、お客様から荷物をとる体制、これを強化したい。これは営業力を強化したいということでもあります。さらに、郵便物の発送の準備から発注まで一括してアウトソーシングをしたいという、こういう企業のニーズがございますので、それもノウハウのある企業などと連携を深めましてトータルサービスを実施したいということであります。
 なお、ゆうパックの特別料金というのを、昨年五月に、十キログラムまで一律、ゆうパック特別料金として新設いたしましたが、おかげさまで、ゆうパックの取扱物数が、二・五%、わずかでありますが昨年に対してふえてきています。さらには、これから発表します新商品を順次投入してカバーしていきたいというふうに思っております。
黄川田委員 また、郵便事業についてでありますけれども、コンビニエンスストアのローソンや、あるいはまた三井倉庫と提携という話も耳にしておりますけれども、民間事業者との連携の拡大について今後どのような展開を図ろうとしているか、この辺、もしお話できたらお願いいたします。
高橋参考人 民間事業者との相互補完といいますか、お客様の利便性向上ということで、これから関係を積極的に構築していきたいと思っております。
 現状は、今お話がございましたように、民間の運送事業者十六社並びに倉庫業者二社と連携をしておりまして、ローソンとも昨年の十二月から提携をいたしました。
 現時点では、数社からいろいろと協力関係を結びたいということでの申し出を受けておりまして、前向きに検討していきたいというふうに考えております。
黄川田委員 あと、副総裁、続けてなんでありますけれども、先ほど来、トヨタ生産方式といいますか、そういう形でいろいろ具体を導入して何とか立て直したいという話もありますけれども、重ねてお尋ねいたしますけれども、また重複するところもありますけれども、具体的に、この郵便事業のどのような箇所にそういう方式を導入して、それを導入すると、労働強化とかさまざま、そういうことにもつながるとかあるわけでありますけれども、しかしながら効率性も追求しなきゃいけないということで、労使ともに元気が出るような仕組みなのかどうか、具体があればお尋ねいたしたいと思います。
高橋参考人 トヨタ生産方式の考え方ですけれども、現在導入しておりますのは、作業工程内の無理、むら、むだを排除するということでございまして、働く職員、現場の人々の創意工夫で、作業がより楽に、より簡単にできるように仕組みをつくっていくということに基本があります。そういうことで生産性を向上しようということでありますので、基本的には、働く人々の立場を尊重しながら改善を進めていくという形になります。
 具体的にどういうところにということでありますが、作業という面でいいますと、作業の平準化、コンスタントに仕事をこなしていくという仕組みをつくる、あるいはそれぞれの仕事別に、標準的な作業とか標準的な作業を終わらせる時間だとか、こういったものをつくっていく、あるいは、一日当たりあるいは月別にいろいろな需要の変動、業務量の変動がありますが、これに対してシフト体制をきちんと合わせる、こういうことをやっていきたいということでありまして、現時点で研究しているのは郵便局内の作業が中心でございますが、その成果はロジスティックス、我々が扱います物流全般に大きく今後関係してくるものというふうに思っています。
 そういう意味で、議員の今御質問ありました労働強化ということには、私はつながらないというふうに思っておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。
黄川田委員 残り時間も少なくなってまいりましたので、郵貯あるいは簡保の資金の運用についてちょっとお尋ねいたします。
 この運用に当たっては、安全、確実性を重視していくことになると思っておりますけれども、生田総裁の基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思います。
生田参考人 お預かりする資金、まとめると巨額ですけれども、原点に戻ると、本当に小口で、一千万円までの限度もありますし、貴重な皆様の財産だと思っております。
 したがって、それの運用につきましては、極力安全に、リスクを伴わないように、いわゆるバイ・アンド・ホールドということで、債券等を中心に、リスクの最低限を、ミニマイズを考えながら慎重にやらせていただきたいと考えております。
黄川田委員 公社化による効率性の追求、あるいはまた、今さまざまお聞きしましたけれども、一生懸命やればやるだけ民業圧迫の批判が出てくるとか、そしてまた郵貯、簡保の運用、こういう御時世の中でいかにしたら国民に還元できるのか、さまざまな課題が多いと思います。それから、ユニバーサルサービスも含めて、この二万四千七百余の郵便局のネットワークをどうするか、いろいろあると思いますけれども、小泉総理は公社化は一里塚と言っておりますので、公社化によってそれを、しっかりと土台をつくって次のステップに行けるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 きょうは、三人の幹部の皆さん、本当に御苦労さまでございます。
 まず最初に、基本的な問題なので少し重複いたしますが、お答えいただいて、具体的な問題に移らせていただきたいと思います。
 基本的な問題というのは、結局、郵貯、簡保の廃止を提言してきた経済同友会という組織の中の一人として生田総裁は務められてきたわけですけれども、私たち、この郵政民営化論については、サービスの向上というよりも、むしろ、この郵貯がなくならないとと、大銀行が競争相手としてこれをなくしていこうじゃないかというところにあるというような考え方から、反対してまいりました。また、郵政公社がその一里塚として位置づけられているということにも反対してまいりました。
 今度、生田総裁、郵政事業のサービス向上ということで熱心に取り組まれている、こういうように印象を持っておりますけれども、さて、郵貯や簡保の廃止が望ましいということでは、この郵政事業のサービス向上に力が入らないんじゃないか、率直に言ってそういう心配があるんですが、その点についてどういうお考えか。
生田参考人 何度も申しますが、経済同友会に三十幾つかの委員会がございまして、そのおのおのが、その委員会の中の大勢の意見で提言をいっぱい出しているのは承知しております。私がその全体のまとめの、幹部の、副代表の一員であったことも事実であります。否定いたしません。
 ところで、こちらに入りまして、昨年の九月からずっと勉強を重ね、現場を見ての私の感想といいますか、意見を今申し上げますと、民間の金融機関、生保は、先ほど言いましたように、対象が大口であり、法人であり、集中型の方が効率がいいですから、地域的にいえば都市集中型になるという傾向がある。これはもう資本の論理で、当然だと思います。それをカバーしてきたのが郵貯、簡保だなというのが私の感じでございます。
 それを抽象的に言うと、大口に対して小口であり、法人に対して全部個人であり、零細であり、それで、集中に対して、どっちかといったら分散型。それを比喩的に言うと、都市型じゃなくて、どっちかといったら地方型。こういう歴史的な背景とそれの積み重ねが今日で、今でも全部小口で個人なんだけれども、集めた額が大きいから大変だというのが皆様の御認識であろうと思いますし、私もそういうふうな感じがしております。
 それでも、その役割はやはり変わっていない。ただ、せめぎ合いのところがふえてきていることは事実ですから、これはいずれ何かの整理を要するのかもわからないけれども、役割は変わっていないんだから、これは大切に維持していくべきであろうと思います。
 いずれにしましても、例えば民間対公社という議論の中で、どっちがどっちを押しているかという議論の前に、私は、重要なのは、各地に住んでいらっしゃる利用者、お客の利便性が増すのか減るのか維持されるのか、そういう点を、少なくとも維持されることを前提にきちっと議論をしないと主客不在の議論になってしまうなという感じを持っています。
矢島委員 日経ビジネスの先月の十七日号ですか、総裁がインタビューを受けていらっしゃいます。そして、その中で、企業会計原則を導入するなどして三事業の健全化とともにユニバーサルサービスで社会的な公共性を追求します、これは両立し得るものだろうと思っていますとお答えになった。
 そこで、実は昨年、日本郵政公社法を審議する中で大きな問題となった一つとして、先ほど出されましたけれども、このユニバーサルサービスの問題です。特に、第三種・第四種郵便の問題が、公社化研究会が出した報告の中で、この第三種、第四種という種別をなくしちゃおうという報告になっていた。これが大問題になって、審議過程においていろいろと論議されたわけであります。
 法案の時点では、第三種、第四種という種別は残りました。しかし、第四種郵便の点字郵便物の無料規定は削除される。これもいろいろ問題になって、片山総務大臣に私も質問していったわけですが、無料でなければ認可しないと答弁されたわけです。
 そこで、総裁の決意とお約束をひとつお願いしたいのは、第三種・第四種郵便のサービスは後退させないという点について、お考えをお聞かせいただきたい。
生田参考人 この三種、四種の問題、こういう立場になるまでは余り認識もなかったのですが、こういう立場になってから勉強もさせていただきまして、今の考えは、三種、四種というのは、学術、文化の振興であったり、教育であったり、社会福祉であったり、それから不自由な方の救済というふうなことで、そういう社会的な意味では大変重要な部分であるな、それが優遇措置をとられているのは、それはそれなりの意味があるというふうに私は思っております。
 そこで、現実問題としては、それは今法的要件になっているわけでありますし、公社である以上、公社は公益性を尊重しなければなりませんから、それは維持していくべきものだと考えております。
矢島委員 ぜひそういう方向を貫いていただきたいと思いますが、この郵便事業のサービス向上についてもう一つ注文を出しておきたいと思います。
 今取り上げました日経ビジネスのインタビュー、そのタイトルを見ますと「黒字確保はムダ取りで」、こういうタイトルをこの日経ビジネスはつけたわけですけれども、合理化等で事業の非効率、むだをなくしていく、これは当然のことですけれども、サービス低下を招くようなことはないという方向で、今までいろいろ御答弁いただいてまいりました。
 そこで、私が注文したいのは、郵便の確実な配達という点での指標を明瞭にしていただきたい。
 中身を申しますと、結局、今まで私、郵政省時代から、あるいは郵政事業庁になってからも、この問題をいろいろと取り上げてまいりました。いろいろ資料をそれぞれ要求するんですが、なかなかきちんとした資料が出されてこなかった。
 つまり、郵便物の不着とか、誤配とか、遅延とか、いろいろな苦情があるわけです。その苦情件数というのは、郵政監察局が把握した申告受け付け数というので出ております。九一年度が八万件、九六年度が十万件、二〇〇一年度になりますと十七万件、どんどんどんどんふえているんです。ただし、これは苦情申告なんです。実情はどうなのかという点はわからないんです。そういう遅配があったけれども苦情は言わなかった、こういう人もあるでしょう。誤配があったけれども苦情を言わなかったというような件もあるでしょう。そういう関係からなかなか実情がわからないという点もあるんです。二〇〇一年度は全体で約三十八万件あるんですが、そのうち最も多いのが誤配に対する苦情でした。これは二十一万件です。
 郵政事業というのは、二百六十七億通と言われている郵便事業、この数字は日本の郵便の優秀さを示している数字だろうと思います。そこで誤配などが増加していくという傾向を非常に私も心配するんですが、同時に、公社になって非常にサービスが向上しているということが、国民が、利用者がわかる指標、こういうものをぜひディスクローズしていただきたい。サービス向上に努めていただくという意味からもお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
生田参考人 トヨタさんの力をかりて生産性を上げるというのは、先ほどほかの先生にお答えしたように、ゆとりを逆につくるということで、無理、むだを省いていくわけですから、その生産性向上が遅配、誤配をさらにふやす要因になるというのは逆というふうに、私はそうしたいと思いますし、そうなるんではないかとまず期待しております。
 数がよくわからないというのは、誤配の問題については、申告の数とか、あるいは監査の方が一生懸命追跡しているようですけれども、何分数が多いので、なかなか正確な数字をきちっと出すのは困難があるのかなという面もあるようでございます。それから、遅配の方は、大体、指定日といいますか予定されているのに九八%以上達成しているようで、絶対九七は切るなということで内部的に努力しているようでございます。
 これはサンプル調査でやっているようなんで、サンプル調査の内容でよければこれは多分開示できるんじゃないのかなと思いますが、ちょっとその辺の技術的な問題になりますと私もまだ明るくないものでございますから、先生の御意向を体しながら検討させていただきたいと思います。
矢島委員 やはり、国民が公社になってサービスがよくなったなと実感できるような方向で御検討いただければと思います。
 その次に、健全な経営ということを総裁は強調されております。そこで、健全な経営という問題で、郵政事業には避けて通れない二つの大きな問題があると思うんです。これは、私、ずっと今までそれぞれ問題として提起してきたものです。その一つがファミリー企業、天下り、この問題と、それから特定郵便局の問題、この二つの問題があると思うんです。
 やはり三月十七日の日経ビジネスのインタビューの中で、総裁は、「郵政事業には、必ずしも効率的でないファミリー企業の存在が指摘されています。こうした企業との関係も改革の対象になりますか。」こういう質問があったんですが、それに対して、「問題点があることはきちんと認識しながら、徐々にあるべき姿に持っていきたいと考えています。」こういうお答えをされております。
 ファミリー企業についてどのような問題点があると認識されているかという点について、お答えいただきたいと思います。
生田参考人 ちょっとそのインタビューははしょっておりまして、そういう質問が出たので、もしそういう事実があるとすれば、それをきちんと認識して対応を考えていく必要があると思いますと答えたのです。そういう答え方をしました。
 私は、もし今そういうことがあるのであれば、まだ十分私自身納得するような勉強をしておりませんけれども、あるのであれば、それは一挙にいかないかもわからないけれども、原則をきちんとして、それを是正していく努力はすべきであろうと考えております。
矢島委員 そのインタビューに答えて、つき合っている企業も努力しないと納入する品物が割高になる、こういうこともお答えになっていらっしゃいます。私たちも、天下りを受け入れるところのファミリー企業が、天下りを受け入れるための原資をこういう割高な物の販売から得られるのでは大変だ、こういう観点から問題を今まで追及してまいりました。
 そこで、私、一つ具体的な問題を指摘し、参考にしていただければと。このことで御答弁をすぐにいただくというわけではありません。
 それは、郵便貯金事業で郵政公社が全国に約二万六千のATMを持つことになると思うんです。このATMの保守管理が必要になるわけですが、この保守管理が独占状況になっているということなんです。
 日本オンライン整備という会社があるんですが、ここが独占しているので、数年前、二つに、ぱるオンラインという会社と日本オンライン整備とに分かれたんです。二つになったから幾らか競争がというかと思うとそうじゃなくて、東日本の方は日本オンライン整備、西日本はぱるオンラインが独占しているわけです。一般競争入札になっているけれども、実際、以前郵政事業庁からいただいた資料を見ると、入札に参加した事業者は一社だけ、こうなっている。つまり、形だけの競争入札になっておるんではないかと思うわけです。しかも、調べてみますと、この日本オンライン整備あるいはぱるオンラインには、八九年から二〇〇一年まで、少なくとも四百人もの郵政官僚それから職員が天下っております。
 ですから、ぜひ、こういうことの改革というのは、国民の納得のいく透明な関係という点からも必要だろうと思いますので、その点について何か御意見がございましたら、お願いいたします。
生田参考人 まず天下りのところなんですが、まず、よく勉強したいと思います。ただ、民間会社の場合も、やはり一定年度までは、生活権がありますから、生活できるようにしているわけなんで、その辺との折り合いを一体どういうふうに考えたらいいのかというのは、これからかなり悩まないかぬなという非常に率直な心境で今おります。
 それから、調達の方ですが、これは公社になったので、原則としまして競争入札という原則は、これはもう確認しております。それは一挙に全部というわけにはいかないと思います。これは、現実との調整、調和を考えながらやる必要があると思いますから多少時間がかかるかわかりませんが、原則は、初めから競争入札ということでやることにいたしまして、それへの改善へのアプローチをする。それで、調達委員会というのをつくりまして、一定水準以上の調達については全部そこでスクリーンにかけて、きちっと公正さを保つと同時に透明度を持たすという、ガバナンスのこれは原点に触れる問題の一つですから、努力するつもりでおります。
矢島委員 私も、天下り全部だめだということで言ったわけじゃないです。天下りとファミリー企業やその他の癒着の問題が問題だ。そこへメスを入れていただきたい。
 次に、特定郵便局の問題についてお伺いしたいと思います。
 実は私たち、郵便局のネットワークを維持していく、あるいはこれを拡充していく、これは非常に郵便事業にとって重要な要素だと考えております。ただ、現在の特定郵便局の経営のあり方には大きな問題があるという点を今までも指摘してまいりました。
 この問題では、生田総裁は、日経新聞だったと思いますが、九月のインタビューで、法令遵守、コンプライアンスというものも重視する、郵政職員が選挙運動にかかわる際にはルールをきちんと守ってもらう、ただ、特定郵便局制度の廃止や見直しについては、まだ勉強不足なのでコメントできないと答えられています。
 このインタビューが昨年の九月だったと思いますので、その後何かこの特定郵便局の経営の改革という問題でお考えになったことがあるかどうか、その点をお話しいただければと思います。
生田参考人 まず前段の、特に選挙というかそういうことに特定したわけじゃなくて、二万四千七百カ所で大きなお金を預かっているわけですから、金銭の取り扱いも含めまして、法的、道義的な責任といいますか、コンプライアンス、遵守をしていくというのは、これはもう絶対に必要なことなんで、それは行動憲章にもうたっておりますし、ガバナンス・コンプライアンス委員会というのをつくりまして、全公社的にそういうものを監視していくというつもりでおります。その意味では、その中に、今先生おっしゃった、広い意味では選挙の問題も入ってきて、すべてについて法的、道義的にきちんとしていくということはやります。
 二番目の、特定郵便局の問題については、大ざっぱに把握していけば、もう何回も申し上げているように、大変地域的には立派な仕事をしておりますし、役割分担としては立派だと思います。それは、現行の水準を維持しながら、今後の地方の市町村合併等の動き等も見ながら、多少の調整は必要でしょうけれども、現行水準を維持しながら物を考えていきたいと思っております。
矢島委員 高祖事件などはもう絶対あってはならない事件ですから、そういう部分は二度と再び起こさないという点での経営をひとつお願いしたいと思っております。
 実は、この特定郵便局の問題で大変異常だと思っているのは、それだけではないんです。それは、事業経営の根幹である人事権の問題なんです。
 いわゆる特定郵便局長会というものがあって、そしてそこに、特推連と呼ばれていますが、特定郵便局長業務推進連絡会、いわゆる公的な組織と私的な組織があるんですが、これが表裏一体の関係にある、役員人事の問題からすべて。そこで自民党のいわゆる集票マシンになったような、あの高祖事件のようなことが起こるのも、この二つの組織が表裏一体、どちらとも区別がつかないような形で役員が就任し、経営を行っているということ。
 しかも、調べてみますと、先に特定郵便局長会の方の役員人事が決まっていって、その後特推連の方の役員人事という順序に毎年毎年なっているんです。ですから、あらかじめ特定郵便局長会で決めた役員人事がそのまま平行移動するような形でいわゆる特推連の方の役員人事が決まっていく、こういう状況にあるわけです。
 全国一万九千ある特定郵便局、視察に行かれたそうでございますが、大変一生懸命やっていらっしゃるところ、あるいは地域の信頼を得ている特定郵便局、私もそのとおりだと思います。しかし、こういう任意団体である特定郵便局長会の役員が、業務組織であるところの特推連、この役員となるという仕組みになっているという点は、事業経営の根幹である人事権が外部団体によって掌握されているんじゃないかと思わざるを得ないような事態が進んでいるわけです。こういう点も、ひとつ国民が納得するような改革をぜひお願いしたいと思うんです。
生田参考人 まだ十分勉強が進んでおりませんので、先生の御指摘の点、私本人、まだ十分理解できないんですが、聞くところによると、逆に、特推連の方が先に決まって、後でそれとかなり重複した方が特定郵便局長会の方でもまた選任されるようにちょっと聞いたんですが……(矢島委員「その逆」と呼ぶ)逆ですか。
 いずれにしましても、その選び方、かなりの方がダブっているということは事実のようですが、どうなっているのか、勉強させていただきたいと思います。
矢島委員 この特定郵便局長会の問題でもう一つ指摘し、そしてぜひ改革をお願いしたいと思う点を述べたいと思います。
 役員に対して役員用の特別な経費が認められていて、これは今まで渡切費ということだったんです。この渡切費の問題の中身というのが極めて不明朗であるという点を指摘し、不正な流用まで行われてきた点を東北地方の組織ぐるみの流用で私たちは明らかにしてまいりました。
 しかし、その後、この問題を契機に、東北地方だけではなくて、全国的な渡切費の調査、こういう中で、水増しだとかあるいは架空領収書だとか、不正経理の実態が次々と明るみに出ました。その中で、あってはならない政治家のパーティー券の購入だとかあるいは飲み食いにまで流用されているという事態が浮き彫りになったわけです。
 この渡切費という形態での配分は廃止されました。さすがにこのままでは国民も納得できないという点から廃止されたわけです。特別な経費が配分されているということは前と変わらないわけでありまして、人事権を掌握しちゃっている状況の中で、これらの経費が本当に適正に効果的に使われるんだろうか。ぜひ、小手先の改革ではなくて抜本的な改革がこの点では求められる、こう私たちは考えるんですが、いかがでしょうか。
生田参考人 渡切費というのは、先生御指摘のとおり、もうなくなった。過去の分についても、問題になった後は、民間でいえばバウチャーをつけると言うわけですけれども、請求書、領収書をつけてきちっと管理する、それで会計検査院の監査に耐え得るようにしておくということに切りかわって、それが今続行されているようでありますが。
 公社になった後は、まず渡切費そのものがなくなる、それから管理の状態につきましても、今まで以上にきちっと、踏襲するのみならず、先生御指摘のようにきちっとやっていきたいし、それを見るための監察機能というのもやや独立的につくりましたし、また委員会としてのガバナンス・コンプライアンス委員会がそれを監視するということで注意してまいりたいと考えております。
矢島委員 郵便事業をまともに事業として進めていく上で、天下り、ファミリー企業、あるいは任意団体の影響を遮断できなかった特定郵便局の問題、この辺の改革は避けて通れないと私は思います。
 郵政公社化の中で、郵政事業の抜本的な改革、こういうことになれば、この二つの大きな問題の改革をやらなきゃならなかったわけですが、公社法の論議の中では、この問題は素通りされてしまいました。そういう意味では、あしき遺産を相続して郵政公社は発足していると言わなければなりません。
 その中で、生田総裁は、これまでのしがらみとは距離のあるところから就任されました。事業の健全化を唱えられております。この二大問題への切り込みというものを私たちは大きく期待するわけであります。郵政事業の健全な発展に向けて、国民利用者とともに、これからの郵政事業の経営、こういうものを私たちも注意深く見守っていきたいと思います。ぜひひとつ頑張っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 生田総裁、高橋副総裁、團副総裁におかれましては、郵政公社の初代総裁、副総裁であります。今後の郵政公社のレールを敷くわけでありまして、その任務はまことに大なるものがありますが、ひとつ国民の視点に立って、いいレールを敷いていただきたい、まず、そのことを冒頭にお願いしておきたいと思います。
 そこで、もう多くの方々から質問がありましたけれども、まず総裁、今後の経営に対する総裁の所信を改めて聞いておきたいと思います。
生田参考人 簡潔に言うと、公社を取り巻く方たち、それは、まずお客様、それから政治もそうです、それから公社の中の人たち、全員から公社になって本当によくなったと言っていただけるような公社づくりをしたい。そのためには、経営理念もはっきりするし、行動憲章も出すし、それをベースにして経営ビジョンも示し、経営戦略も出しながら経営をリードしていきたい、かように考えております。
重野委員 それでは、具体的な内容について聞いていきたいと思います。
 総裁は、この総裁に就任されるまで経済同友会の副代表をされておりました。経済同友会のこの問題に対する立場というか見解は、公社化批判の立場にあったと承知をしております。その経済同友会の副代表、そして今日、郵政公社の総裁、この点について論理的一貫性を欠いておるんじゃないか、そこら辺はどう整理されたのか、この点について聞いておきたい。
生田参考人 何度か申し上げましたけれども、経済同友会というのは個人の集合体でございまして、委員会も三十以上ありまして、その中には強く先生がおっしゃったような論を張った委員会もございます。私も、たしか十人ぐらいいる副代表のうちの一人でございます。その事実は全く否定も何もしませんし、私も、大ざっぱに言えば、先ほども触れましたように、何も郵政と限ったことじゃなくて、民でもできる仕事で民がやった方がベターになるものは民がやった方がいいんじゃないのかな、それは私もそう考えておりました。
 それは横に置きまして、論理的一貫性がないと言われると、私も、率直に申し上げると、ちょっと当惑するわけでございます。
 私が御要請を受けたのは、立派な公社をつくってくれ、民間的な手法で、会社経営的に立派な公社をつくってくれということで、私は、もう私の能力をはるかに超えたことだと思ったので、とてもその任にあらずということで何度も申し上げたんですが、結果としてお引き受けするようになったということで、私自身が何か考えていて、それを実現するために、論理的な帰結を求めるために志願してきたということではないので、そこはちょっと分けて考えていただいた方がいいんじゃないのかなと思います。
 私は、御要請はいい公社をつくってくれですから、それに徹して努力をさせていただきたいと考えております。
重野委員 小泉総理の、郵政民営化の第一歩として公社の準備を進めるという発言がかつてございました。したがって、公社化をもって小泉総理の言う郵政民営化の第一歩という、そのことは終わりではない、このように強調されておるんですが、この問題についての総裁の認識、そして役割というのは那辺にありや、このように聞いておきたいと思うんですが。
生田参考人 先生おっしゃったように、小泉総理がそういうお考えを持っていらっしゃるのは、私も新聞で読んだりテレビで見たりしております。先生方、皆さんおのおの、いろいろな理念、お考えをお持ちだろうと思います。
 私自身は、何度も申し上げているように、御要請を受けたことは、立派な公社をつくることでございますから、それもまだスタートして三日目でございます、第一歩も何もない、役職員みんな一致しまして、とにかく立派な公社をつくるぞという気持ちだけで今はいっぱいでございます。
重野委員 一日にスタートしました日本郵政公社、全国に二万四千七百七十三という拠点を有しているわけでございます。普通局千三百八、特定局一万八千九百三十四、簡易局四千五百三十一。この法律を審議する過程の中で、この二万四千七百七十三という局は存置すべきであるという議論の経過もあり、附帯決議等々もあったということについては、総裁、十分承知していると思います。
 したがって、この二万四千七百七十三という拠点を、公社のまさしく最前線でありますが、それは過去の経緯も踏まえて維持をしていく、その点については改めて確認しておきたいと思います。
生田参考人 これも何度も申し上げましたけれども、まず、今、ユニバーサルサービスは法的要件ですし、郵便局を現行水準に保てというのは国会の御意思だということも十分承知しております。
 問題は、その数を物すごい負担と考えるのか、ひょっとしたら大変な潜在的な営業資産と考えるのかでかなり僕は分かれてくると思っているんです。私は後者をとりたいと思っております、それが全部が全部そういくかどうかわかりませんけれども。すべてのコストも見ながら、コストもはじきながら、だけれども、何とかそれを生かせる方法はあるんじゃないのかという発想をして、できることは郵便局でも現に始まっていますよね。一部分で郵便グッズを売るとか、本当に一つ、二つですけれども、病院のそばでは花を売るとかというようなことが始まっていますね。
 これはさきの先生ので申し上げましたけれども、ひょっとしたら、投資信託とかそういう小口のものをお客様御自身のリスクで買っていただく窓口に、自分が売るんじゃなくて、どなたかそういう専門の民間がやっていらっしゃる商品を仲介して売ってさしあげるというような機能もやったらどうなのかなと。そうすると、お金は、財政資金だけじゃなくて、市場にお金が流れていくわけですから、それがひょっとすると日本の経済再生のお役に立つことかもわからない。
 だけれども、今のところは、それにはいろいろな難しい問題があって、また国会のいろいろな御承認もいただかなきゃならないとか、いろいろあるようでございますから、その辺をまとめて、できるだけプラスの資産となるような視点から物事を考えながら、必要があれば先生方にもお願いするということで考えていきたいと思っております。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
重野委員 先般新聞で見たのでありますが、十月三日、新聞のインタビューを受けられておりますけれども、その中で総裁は、各郵便局ごとの採算性を見るんだ、こういうふうな発言をされております。一方においては、今日まで、この郵政公社の議論の中でその中心的な柱になったのはユニバーサルサービスの問題であったと思います、これは明確に公社法の中で定められているわけでありますが。
 さて、そのとき、各郵便局ごとの採算性を見るということとユニバーサルサービスというこの二つが両立するのかな、そういうことが起こってくるのではないかな、こういう懸念を持つわけですね。
 私は、九州は大分県の、しかも二区という山ばかりの地域が選挙区であります。そういう大分県を受け持っておる、大分県の各郵便局に働いている局員さん方は、過去、非常に先駆的な挑戦をしてきましたね。
 例えば、ふれあい郵便というのは今もう全国的に広がっていると思うのでありますが、つまり、私どもの地方は非常に高齢化率の高い地域でありまして、子供さんやお孫さんはみんな町に出ていって、田舎にお年寄りが取り残される、そういうイメージですよね。郵便を配達しながら、そういうお年寄りの、寂しいお年寄りのちょっとだけ話し相手になってあげるという話だとか、あるいは点字図書館というのがありまして、目の不自由な方々にとってはもう大変貴重な点字図書でありますが、その点字図書を郵政の仕事の中で取り入れてサービスをするだとか、あるいはテープですね、本を読んでそれをテープにする、そして聞いてもらう、そういうふうなものを行政とタイアップしてサービスするとか、そういうふうな、直接郵便局の収益にはそうつながらない、ある意味ではサービスといいますか、郵便局が持っている本来的なネットワークを利用して、そしてそういう面での貢献をしていく、そういう面があるんですね。地方に行けば地方に行くほどそうだと思うんです。
 それは、直接郵便局の経営のプラスに作用するものでない部分がたくさんある、そういうふうな郵便局の持ついわゆる付加価値というものをどう生かしていくか、そういう視点もこの間大事だということを主張してきたし、郵政の側もそこら辺は積極的に評価をしてきたという経過がありますが、いよいよ公社という、いわゆる経営にプラスになるかマイナスになるかということが厳しく問われる状況の中で、しかし、そのことは私は忘れてはならぬ部分だろうと思うし、そこについて、総裁、どのように受けとめて、どういう評価をされるか、それをお聞かせいただきたい。
生田参考人 今先生がおっしゃった風景を私も各地で見てきました。一番初めに富山県の細入特定郵便局に行って、たしか村杉さんといったかな、局長さん、一緒に朝、声かけも回ってみましたけれども、もう一生懸命やっている。なぜかおひとり暮らしの御老人というのはおばあさんばかりで、おじいさんの家は一軒もありませんでしたけれども、全部おばあさん一人で住んでおられて、非常に温かい交流といいますか、声をかけて、本当に確認して歩いていらっしゃる。それから、別子、四国の山奥の、昔の別子銅山ですね。近所に余り住んでいらっしゃらないんだけれども、特定郵便局があって、本当に郵政事業を超える仕事をしておられまして、近所の方に物すごく感謝されて、新居浜から単身赴任をされているんだけれども、毎晩晩飯に呼ばれるんで晩飯の心配がないとおっしゃっていましたけれども、それほど愛されているんですね。それはよくわかっています。それがユニバーサルサービスだし、私は、重要であろうと。社会のためには役立たないかぬというのは、繰り返し申し上げたとおりであります。
 ただ、それと、何でもどんぶり勘定でいいよというのとは別問題なんです。やはり、きちっと公社を経営しろと言われれば、これは三事業を独立採算的に見ていくのが必要なわけでありますから、そうすると、各郵便局までさかのぼってコストをつかまないと、まあこれはユニバーサルだからいいんだよというのでは経営にならない。したがって、郵便局ごとの採算も見ます。
 だから、やめるんじゃないんですよ。コストを見ておく。当然のこととして果たしている公益性のためのコストは幾らかけているのかというのを見ておけばいいわけです。それはきちっと経営として見ておく。そういう趣旨で申し上げているわけなんで、もうあちこちで、そういう御心配がないようにと趣旨は説明して回っているつもりでおります。
重野委員 もう少し踏み込んで聞いておきたいんですが。
 もちろん経営計画が立てられるんだろうと思いますし、問題は、その経営計画が仮に達成できなかったというケースも出てくると思いますね。そこで、もっと踏み込んでいって、そういう郵便局ごとの採算性というものも見ていくようになるのかな、こういうふうに想定するんですが、そうすると、まず一期四年後に、そういう結果として、Aという特定局がある、このAという特定局が普通局になり、あるいは、極端に言うと、普通局であったものが特定局になる、そういう異動が、同じ領域内の中での地域的な異動も含めて、そういうふうなことが、つまり四年後に、そういう四年間の評価に立っての再配置、そういうふうなところまでいくのかどうか。現段階、そういうふうな点についてはいかように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
生田参考人 各郵便局に今まであったみたいな、必ずやるターゲットといいますかノルマとか、そんな形での追い上げはやりません。ただし、努力してもらう目標ぐらいは出すかもわかりませんけれどもね。そういう責め方はしない。したがって、ノルマに対していいの悪いのという評価にはなりません。
 それで、成果評価も、先ほどから申し上げているように、単なる業績評価だけじゃなくて、職務態度、規律に対する評価が大きく入ってくるわけですから、それは、社会に対する貢献度であったり、周辺の御老人に対する心配りであったり、そういうところからも評価がどんどん出てくるわけですから、そんな単純な結果は出てこないとまず申し上げたいと思います。
 それから、四年後にどうなるのかというと、四年後、ちょっと私も予測できませんけれども、今から何か腹に考えていて、四年したらこうやってやろうなどというアイデアがあるのかと言われれば、それは全くありません。ゼロであります。
 ただ、世の中は進化しますから、四年たって、万人が喜ぶことであれば改革もまた必要になるというのは、私は、もし万人が喜ぶのなら、やるべきだと思います。ただ、今、それが何かと言われたら、そんなものはないし、そうなるのかも予測はつきませんけれども、余り固定概念的に四年後も全く変えませんということは、私はちょっと申し上げる方が間違いだろうと思うので、それは、これからの仕上がりと、周辺の方がどう考えてくださるのか、お客様がどう思うのか、先生方がどう考えるのかというようなことも考えながら、必要でそれが適切であれば、手直しをしていく点も出てくるだろうと思います。
重野委員 私がくどいように聞きたいのは、新しい体制になった、郵政公社になった、そして経営という面が殊さら強調されるという状態の中で、最前線で雨の日も風の日も頑張っておられる職員さん方を、気持ちの上で非常に萎縮をさせて、もう余計なことはせぬ方がいいというような気持ちに追い込んではいけない。そこは私は、やはり、さらに一層地域に密着をし、地域とともにあるという、そういう郵政に向けて頑張れという雰囲気をつくってもらいたい、つくるべきだという観点で、そのことを、くどいようですが申し上げたところでございます。
 それから、今度の法律で、一般の信書を扱う業者、一定の条件をクリアすれば参入できるということになったわけであります。一般的には、それは民間排除の論理ではないかというふうな批判もあることも承知をしておりますが、例えば、信書便の差出箱、つまりポストですね、ああいうふうな条件を設定したのはなぜかという点について、この際、いよいよスタートしたわけですから、もう一度確認をしておきたい。その点について、ひとつ総裁の見解をお聞かせください。
生田参考人 あれが民間参入を大きく制約しているのかどうか私には判断がつきませんけれども、一定のバーを設けていただいたというのは、それはやはり公正なんじゃないのかな。
 なぜならば、先ほどからお話し合いさせていただいているように、公社の方は公益性を重んじますから、ユニバーサルサービス、郵便局のおおよその水準の維持ということもありますし、先生がまさに御指摘になったように、実は、郵政事業と関係ない、それを超えた社会的な仕事を、朝の声かけなんかもそうだと思いますよ、ひまわりなんかも、そういうこともやっているわけですから、多少バーをつくっていただいて、その範囲でやるかわりに、そういう社会的な公益性を発揮しなさいよと。それは、僕は正しい御判断をいただいたんだと思っております。
 それが、十万本が多いのか少ないかは、ちょっと私には判断がつきませんが、いずれにしても、その中においてもまだ郵便の部分は赤字の体質、こういう状況でございますので、何とか、今いただいているフレームワークの中で、まず黒字にできるようなところまで持っていくのが先決であろうかな、こういうふうな考えでおります。
重野委員 次に、公社としてスタートしたわけでありますが、その公社という中において、先ほど来散発的に民営的な手法という話をちらちら耳にするのでありますが、一体どういうふうな民間的な手法、そういう日本郵政公社という一つの枠の中においてとり得る、あるいは想定される民間的手法というのは一体どういうものがあるんだろうか、こういう思いを持つわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
生田参考人 できるだけ違う言い方から入っていくとすると、与えられている経営資源、それは大きく、人材であり、お預かりしているお金であり、物であり、情報であり、こういったものを一番いい形に組み合わせて価値をつくっていく、少なくとも損はしないということをやっていくのが民間のというか普通の会社の考え方で、それに失敗した会社はかなり市場から撤収したし、今激しい淘汰が行われていますが、残ったところが栄えていくというのが今の形ですね。そういうふうな基本的な考え方のベースで、さあ公社をやっていこうと。
 それで、繰り返し申し上げていることですが、まず理念、公社としての公益性も十分持った理念というものがはっきりし、それから、その理念のもとにみんなが活躍するわけですから、余り違う行動基準が出ても困るわけなので、いわばモラール上のことですね、行動憲章もつくり、その上できちっと経営ビジョンを示す。それは、お客様からより一層喜んでいただく公社にする。二番、三事業をおのおの独立採算的に健全化して、公社をまとめて健全化を回復する。三、職員に将来展望を持ってもらって働きがいのある公社にする。この三つのビジョンをやる。あとは、経営戦略として委員会制度とかいろいろなことをやっているわけです。
 そういうことによって、原点に戻りますが、与えられた人、物、金、情報、こういった経営資源をできるだけ有効に活用して、社会にまとめて貢献していきたい、こう考えている次第であります。
重野委員 それでは次に、この郵政公社をつくる過程において郵政公社設立会議というのがあったわけですね。その設立会議のトップという役割を果たした奥田日経連会長が、大臣認可を得た後、今度は社外理事になっていたんですが、それを辞退した、こういうふうに報じられておりますし、事実、辞退されているんですけれども、私は、責任を持ってつくった中期計画を、それがどういうふうな形で達成されたのかということを見届けるまでは、その計画をつくった責任者である人はやめるべきでない、だから社外理事というポストについておったんではないかと思うんですが。
 これはちょっと、私はやはり、奥田さんには大変申しわけないんですが、これは無責任だ、そういうふうに私は申したいんですね。この点について、経過等について、総裁、どのように受けとめておられますか。
生田参考人 奥田さんが一たん予定していていただいて、二週間ほど前に本田の宗国さんに御交代いただいた、この責任は私にあるわけでございまして、奥田さんには全く責任がないわけなので、責めを受けるとすれば私であり、おわびするのは私であります。
 その理由は、実は公社法五十二条に、政治団体とか政治資金を集めるところの責任者は、ちょっと私は法律用語に弱いものですから趣旨で言っているんですけれども、公社の役員になれないという項目があるんですよ。それに実は気がついていませんで、まさに先生がおっしゃったような視点で、せっかくつくったんだからやってくださいよと言ったら、いいよ、やってあげるよというふうなことで社外理事になっていただいたんですが、ちょっと気づくのが遅くて大変申しわけなかったんですが、二週間ほど前に、法律に照らすとこれは違法になるということがわかりましたので、任命権者は私になっておりますので、総務大臣の御了承もいただいて、率直に奥田さんに私がおわびしました。おわびして、辞任していただいて、そのかわりに宗国さんになっていただいたというのが偽らざる経緯でございます。
 それから、奥田さんが残らないのは無責任というのは、それはまた違うわけでございまして、公社法上は、設立委員は設立のための会議を開いて中期経営計画をつくるまでの責任でございまして、その後まで法的に責任をとれというのは全く書いていないわけでございますから、責任は全うされたというふうに御理解いただいた方がいいと思いますし、座長というのは、たまたま司会役的に座長をやっていただきましたが、あの会議の全部に対して責任をとるという法的な位置づけじゃないものですから、その辺もひとつ御理解いただければありがたいなと思います。
 責めは私が負います。済みませんでした。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
重野委員 まだまだ用意しておりましたけれども、時間が来ましたので以上で終わりますが、今後ともひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 終わります。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 時間が十分間ということで予定されておりますけれども……
遠藤委員長 御協力願います。
金子(善)委員 はい。できるだけ短くいきたいと思います。
 三点に絞りまして御質問をしたいと思います。
 百三十年に及ぶ郵政事業が直営から公社になったということでございますから、その意味では大改革ということだろうというふうに思います。
 ずっと質疑を聞いていたわけでございますが、この郵政公社の中期経営目標それから中期経営計画というものが最近は認可をされているわけでございまして、これを読みますと、大体郵政公社というものが、どういう考え方で、どういう仕事をやっていくのかというようなことは粗筋わかるわけでございます。また、先ほど来からの総裁の御答弁をお聞きしましても、新たな気持ちで国民に奉仕すると申しますか、そういう観点から公益性というものも十分考えながらやっていきたいんだというようなお話もございました。
 ただ、私もこれをずっと何回か読ませていただいたわけですが、この中で、いわゆる直営から公社に変わったポイント、何か、その精神がどこにあらわれているのか、いまいちわからない点があるような気がしたわけでございますが、その辺につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
生田参考人 理念的あるいは考え方としてはあちこちに出ておりまして、余り繰り返す必要はないと思うし、十分出ていると思うんですよ。要は、それを具体化していって、目で見ていただき、肌で感じていただいたときに初めて、ああ、そうかというふうなことになるんだろうと思っておりますが、それはぽつぽつあらわれてきているわけですね。
 例えば郵便なんかの面におきましたら、翌日配達の地域をふやすといいますか、例えば信書であれば五百キロから六百キロにするとか、それから夜間の配達時間を夜の九時まで延長しますとか、通称プリクラ切手と言われていますが、写真つきの切手を出すとか、それから郵便のポストなどにしましてもローソンと提携しましたよね、そういうこともやっておりますし、いろいろと新しいものをどんどん出していっていますし、職員みんなが今一生懸命勉強していますから、今後ますます出していくことになると思います。ぜひ御期待に沿えるように、努力をして、皆様に目で見ていただけるようにしていこうと思いますので、多少お時間をいただきたいと思います。
金子(善)委員 国民の期待も大きいことでございますので、ぜひとも頑張っていただければというふうに御期待申し上げたいと思います。
 二番目でございますけれども、逆に、公社の経営が非常にうまくいったという場合に、これは逆な意味での民業圧迫というところまで行ってしまわないかというようなことも懸念されるというような意見もあるわけでございますが、このあたりについて御感想をお聞かせ願いたいと思います。
生田参考人 民業圧迫の可能性論は、実は設立会議でもありました。書いたらどうかという御意見もあったんですけれども、法律の中で民業圧迫という文言は実は出てこないわけでありますし、何が民業圧迫かという定義がないので、単に今度の設立委員会のつくる中計にだけ出てくるとこれはむしろ不公正だと思うので、それは入れないことになりました。だけれども、書いてなくても、きちっとわきまえてやっていくつもりでおります。
 公益性を十分発揮しながらやりますし、店舗の数を見ましても、金融機関でいえば、過疎地に行きますと、金融機関全部まとめても三〇%ぐらいなのに対して郵便局だけで七〇%ぐらいを占めるということでありますし、生命保険でも、もっと数字は極端になって、民間の生保全部入れて一〇%の店舗に対して郵便局が九〇%とか、いろいろ公益性の、現にやっていることがいっぱいあるわけです。私は、中期経営計画の中に民業圧迫はするなというのを入れないでおいていただいたその裏側といたしまして、責任者として不当に民業圧迫しないように私自身十分注意してやっていきたい、こう考えております。
金子(善)委員 最後の質問でございますが、質問というよりは要望ということにかえていきたいと思います。
 この四年間でこれから約四兆円の黒字を出していくというような計画になっているわけでございますが、なかなか大変な数字ではないだろうかというふうに思います。そういうことで御努力をいただくということでございますが、あくまでも、公社化されたということは、やはり民間手法と申しますか、基本的な経営手法、どうやって黒字体質へ持っていくかということ等がこの公社が一番問われているポイントではないかというふうにも考えられるわけでございます。そんなことで、最後に総裁の決意を一言述べていただければと思います。
生田参考人 正直申し上げまして、本当に覚悟が決まるのは、八月末の内定ではございましたが、二カ月ぐらいやはり苦しみました。だけれども、二カ月ぐらいたって、とにかく最善を尽くす以外にない、私に残ったエネルギーを全部出すつもりで、公社のために、ひいては社会のために、お国などという大げさな言葉は使いたくないんですけれども、いい公社にせないかぬと。それで、本当に、取り巻いてくださっている皆さん、お客様、そして内側の職員に後で喜んでもらえるような公社にすることに最善を尽くす、それに尽きる心境でおります。
 ありがとうございました。(拍手)
金子(善)委員 終わります。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、内閣提出、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、民間における退職金の支給の実情にかんがみ、長期勤続者に対する退職手当の支給水準を引き下げるほか、定年前早期退職者に対する退職手当に係る特例措置を見直すとともに、独立行政法人等役員として在職した後引き続いて再び職員となった者に対する退職手当に係る特例を設けるため、国家公務員退職手当法等について所要の改正を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、長期勤続者に対する退職手当について、国家公務員退職手当法本則の規定により計算した額に乗ずる調整率を百分の百十から百分の百四に引き下げることとしております。
 第二に、定年前早期退職者に対する退職手当に係る特例措置について、退職の日における俸給月額が一般職給与法の指定職俸給表九号俸相当額以上である者を特例措置の対象から除くとともに、定年と退職年齢との差一年当たりの俸給月額の割り増し率を俸給月額に応じて百分の二を超えない範囲内で政令で定める割合とすることとしております。
 第三に、任命権者の要請に応じ、引き続いて独立行政法人等で政令で定めるものの役員となるため退職をした場合には、退職手当を支給しないこととし、独立行政法人等役員として在職した後引き続いて再び職員となった場合には、在職期間の通算を行うこと等所要の規定を整備することとしております。
 このほか、附則において、この法律の施行期日及び経過措置等について規定することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十六分散会


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