衆議院

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第15号 平成15年5月27日(火曜日)

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平成十五年五月二十七日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      川崎 二郎君    後藤田正純君
      左藤  章君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    平林 鴻三君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      斉藤 鉄夫君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    金子善次郎君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     後藤田正純君
  久保 哲司君     斉藤 鉄夫君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     佐田玄一郎君
  斉藤 鉄夫君     久保 哲司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長畠中誠二郎君、消防庁長官石井隆一君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、国土交通省河川局長鈴木藤一郎君及び国土交通省道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。
安住委員 おはようございます。
 地方自治法の質疑に入る前に、きのう私の地元で大きな地震がありまして、震度六弱ですか、私は東京におりましたから、全然わからないというか、それほど大きかったとは、もう驚いたんですが、なかなか電話が通じなかったんですが、三、四十分後ぐらいに、何とか家族等々を含めて元気だということでございました。
 大きな被害が今のところ、人的被害を含めて、地震の震度の割にはなかったということでございますが、きょうは冒頭、大変お忙しい中、消防庁長官においでをいただきましたので、今回の地震の被害の概要と消防庁の対応について御報告をいただければと思います。よろしくお願いします。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 昨日十八時二十四分ごろ、宮城県沖で地震が発生いたしまして、岩手県の一部それから宮城県の一部で震度六弱を記録したということがありましたので、直ちに消防庁としては、私を本部長とする災害対策本部を庁内に設置いたしました。また、消防庁次長は、緊急参集チームの一員でございますので、官邸に直ちに直行いたしております。
 地震発生後直ちに、宮城県庁それから岩手県庁を初め、震度四以上を記録した県と連絡を取り合いまして、震度六弱、五強を記録した市町村を管内とする消防本部を中心に、電話で被害状況を確認いたしております。それから、地元の仙台消防局のヘリコプター及び仙台市の高所監視カメラによります映像情報を消防庁に送信していただきますとともに、官邸の危機管理センターにこれを転送いたしております。
 それから、周辺県の緊急消防援助隊、それから消防防災ヘリにつきましては、今回は結局、地元からも要請がございませんでしたので、出動には至りませんでしたけれども、一応そういう場合に備えての準備を、関係県なり消防本部と連絡調整しまして、いつでも出られるようにスタンバイをした、こういう状況になっております。
安住委員 きょうは三位一体の話をしますが、災害も、自治体と消防と自衛隊の三位一体でしっかりやっていかないといけない。国の方はだらしないんですけれども、そちらの方は、ぜひ頑張っていただきたいと思います。それでは、長官、結構でございます。ありがとうございました。
 さて、話を地方自治法の方に移したいと思います。
 何から話して何から言えばいいのか本当に私もわからないぐらい、いろいろなことがありますが、ただ、一つ最初に申し上げておきますけれども、地方自治体の改革や財源の移譲というのは、政治家の最もやらないといけない仕事ですね。私はそう思いますよ。少なくとも、政権をとっている政党や政治家が中心になってまずやって、我々野党としてもそれに対案を出す。極端な話をすると、そのために政党や政治家というのはあるんじゃないかと。
 ところが、どうでしょうか。小泉内閣とか今の与党というのはおもしろいですね。もう全部、商売人と言ったら大変失礼ですが、経済界の人とか大学の教授とか、そういう人が地方財政の改革とか財源の問題について口を挟んで、自民党や与党の政治家の発言というのは、もう外野の観客席ですね。極端なことを言うと、何か私的諮問会議が最大の権力者じゃないかと。そこでもめているなどということ自体も、これは国会に対しても大変失礼な話で、そんなものは全く法的拘束力を持ち得ないと私は思いますけれども。総理がやらせているわけですね、私的諮問機関というのは。こういう会議の進め方というのは、ちょっと、アブノーマルとは言いたくありませんけれども、通常の政治家の仕事を放棄しているんじゃないですか、与党は。大臣、いかがですか。まず、これについてお伺いします。
片山国務大臣 最終的には政府・与党が責任を持つんですけれども、その前のいろいろな案は広く各界各層の意見を入れてと、こういうことなので、まだまだ初めの初めの段階ですよ。これからだんだん本番になってまいりまして、最終的にはそれは政府・与党が一体として責任を持って決める、こういうことでございまして、今各党においても、特に自民党等与党ではいろいろな部会単位で議論が始まっておりますので、そういうことを並行していただければいい結論になるのではなかろうかと。ひとつ民主党の方もよろしくお願いいたしたいと思います。
安住委員 私は、これこそ上意下達でやらないと絶対だめだと思うんですね。それは、いろいろな人の意見を、それぞれの立場のことは紹介しますけれども、この話は、地方自治体というか行政のシステムをどう変えるかということですから、結局、政治の話なんですよ。そんな財界の人間が一言口を挟むような話でなくて、政治が決めればいいことで、それこそ解散総選挙の大変な争点になるような話ですよ。
 ですから、いろいろな各界各層の話を聞くということは、要するに、今の政権や与党はそういう定見を持ち得ていないという証明でもあるんですね。自分たちはこうやるんだというのがなかったら、進むわけがないじゃないですか。まして、大変失礼ですけれども、余り年老いた人をいじめたくありませんけれども、何か、財務大臣か何かという人は役所の腹話術の人形みたいですね。大臣、そう思いませんか、いかがですか。
片山国務大臣 なかなか、財務大臣は腹話術の人形じゃないから困っておるんじゃないですか、役所は。ときどき今も、あれはすり合わせて言ったんでしょうか、すり合わせずに言ったんでしょうかという質問が記者会見等でございましたので、私は、よくわかりませんと、それは本人に聞いてもらわなきゃ。
 しかし、大臣、政治家が全部役所の振りつけどおりに腹話術師のような人形になるんなら、もう政治家なんか要らないんですから、大臣も要らないんですから。私は、それは基本的なことは役所といろいろ調整しますけれども、最終的な判断はできるだけ自分で、国会の議論を参考に、させていただくようにしております。
安住委員 私は、個人的には片山さんのことは大変信頼していますから、片山さんはいいんですけれども、最大の問題は、総理大臣が多分腹話術の人形になっているんじゃないかと思うんですね。どうしたいか、よくわからないわけですよ。
 今からいろいろな話をしていきますが、まず事実関係から検証しますね。大体、この話を総務委員会でやるのは初めてですからね。おかしいでしょう。目下の最大の政治課題であるこの話を、ここは初めてですよ。それも、私、実のことを言うと、これは法案と違う話をしているんですからね。私は、そういうやり方が多分政治の空洞化を招いていると思うんですよ。
 いいですか、もともとこの話の初めは、うそっぱち発言から始まったんですよ、四月一日、財政諮問会議ですか。税源移譲を突破口に各論でやっていけと総理は言ったと竹中大臣は記者会見で堂々と言ったわけですね。ところが、それに対して、そんなことは言っていない、そんなことは全く言っていないんだ、竹中の言っていることはうそっぱちだと。
 これは、総務大臣、現場に居合わせたわけですから、総理は言ったんですか、言わなかったんですか、いかがですか。
片山国務大臣 この三位一体の議論は、私が去年の五月に、いわゆる片山プランと言っていただいておりますが、それを提案してから始まっているんです。ずうっと始まっているんです。
 それで、ことしの六月というとすぐ六月ですけれども、六月中に三位一体の改革案をまとめよう、こういうことでございまして、そういう審議の中で、四月一日ですか、日にちは忘れましたけれども、いろいろな議論をした中で、総理が、税源移譲からやるというのもあるなと、こういうことを言われたんですよ。
 私と塩川さんが一致しているのは、国庫補助金の整理合理化から入る方が入りやすい。私は、税からやるというのもいいんだけれども、これはなかなかいろいろな制約がありますよ、例えば政府の税調がある、与党の税調がある、自民党にも税調がある、そういうところのいろいろな議論もあるので、まともに税から入るよりは、国庫補助負担金から入りながら全体を一括してやるという方がいいんじゃないですか、しかし、総理が税源移譲からと言うのは、それは一つの御意見ですよと、こう言ったんですよ。
 塩川さんはそのときに、この間のテレビか記者会見でも言っておりましたが、事務配分、権限移譲もやって、それとあわせてやるべきではないかと、そういうことを言ったんですね。だからそれは、私は、もう権限移譲は地方分権一括推進法でとりあえずはやっているので、それについて税財源の移譲がおくれているから地方が不満を持っているので、この際それをしっかりと仕切らないとだめだ、その次の権限移譲でさらに税源移譲をするのは賛成だけれども、これからもう一度権限移譲をやって、それを待ってと言っているとやらないのと一緒になりますよと、こういうことを言って、最終的にはそういう趣旨のことを竹中さんが記者会見で言ったんですけれども、塩川さんのその発言を紹介しなかったんですね。紹介しなかった。税源移譲のところだけがクローズアップされたから、権限移譲とあわせてというところを竹中さんが言及しなかったから、そこをかっとなられたんじゃないでしょうかね。それで、それはすぐ本人は納得しましたからね。だから私は、ひとり相撲だと、こう言ったんですよ。
安住委員 その次の日に財務大臣がわざわざ官邸まで行って発言の修正を求めている。一言で言うと、みっともない話ですね。本当にみっともない話です。
 大体、小泉さんはこのことに対して関心がないんじゃないですか。どうでもいいと思っているんじゃないかと私は本当に思うんですよ。何か指示を受けたことあるんですか、小泉さんから。
片山国務大臣 いやいや、小泉さんは小泉さんなりに大変な関心を持っていますよ。もう、何か言うと三位一体ですから、最近は。だから、この間は、国庫補助負担金の整理合理化で十一項目について検討するように、あれは四月何日の閣議ですか、各大臣に指示しましたよ、閣議の席で。そこで、私と塩川さんと竹中さんにはリーダーシップを発揮して取りまとめに尽力してほしいと、こういうことも言われまして、各大臣にそれぞれ指示しましたので、その意味では、しっかりした認識を持ってやられていると思います。
安住委員 そうとは思えないんですね、私は。
 やはり、私思うんですけれども、なかなかこれは大変なことは大変なんですよ、多分。日本の行政のすべてにかかわりますものね。三位一体ではなくて、今は三すくみ態勢だと逆に私は思うんです。やはり財務省から見れば、個々にはやりますけれども、税源の移譲なんてとんでもないですよ、それは。今の財政難の中で税源を移譲して、ではその穴はどうするんだ、国債でまた埋めていくしかないという、これは財政当局からいったら、そういう議論に絶対になるわけですね。
 ところが、今度は、総務省から見たらどうかといったら、交付税改革といいますけれども、交付税の一律削減というのは、地方自治体の財政事情に本当に直結しますものね。それはなかなかそう簡単ではない。ましてや補助金となりましたら、大変失礼ですけれども、自民党の政権そのものの命脈が尽きる可能性がある、役所の天下りもなくなる。言ってみれば、中央集権そのものを、皆さんの思っている政治を変えることになるから、これは簡単にできない。
 つまり、三位一体じゃなくて、三すくみ状態で、決断ができない状態なんでしょう。総務大臣、いかがですか。
片山国務大臣 難しいからやるんですよ。難しいからやるのが改革なんですよね。
 それで、今なるほど財務省は、こんなに財源がなくて赤字国債を三十五兆も六兆も出してと、こういうことなんですが、国税で取ったものを補助金で一方で流しているんですよ、十二兆も三兆も。国税で取っておいて補助金で出しているんだから、この二重の手間をやめちゃったらいいんですよ。国税のものを地方税に振りかえれば、地方へそのまま入るんだから、これは行革になるし、地方も自主性を担保できるし、我々はこういうことを言っているんです。
 それから、交付税は、御承知のように今十八兆配っておりますが、全く御承知だと思いますけれども、法定分は十兆なんですよ。残りはやりくりで八兆なんです。それでも足りなくて、交付税特会の借り入れができませんので、六兆円赤字地方債を出しているんですよ。これで交付税を削ったらどうなりますか、もう田舎の首長さん、皆ばたばたいっちゃう、いや本当に。だから、そこのところをしっかり土台を築かないと交付税の削減はなかなかできにくい、こう言っているんです。
 それは、国の補助金、負担金は、もうこれもよく御承知のように、いろいろあるので、全部をやめろなんて言っていないんですよ。不要不急なり、状況が少し変わったものについては削るべきだ、それからもう一つは、野党の御提案でもございますけれども、一括交付金方式に、できるだけ地方の自主性を尊重したようなやり方があるではないか、こういうことを言っておりまして、それぞれ抵抗は大変あると私も思います。ありますけれども、やらないと、いつまでたっても今の状況がずっと続いていくということになるので、そういうことで対応してまいろうと思っています。
安住委員 私どもも、そういうのをやるために政党というのはあるわけで、ただ利益配分するのを、徒党を組んで分け前をもらうために政党というのはあるわけじゃないんですよ。しかし、今どうでしょうか。
 私、片山大臣は大変すばらしい政治家だと思うんですね。四月の二十五日に御自身が所属の橋本派に行きまして、補助金改革は大変だ、各業界団体に政治家ががんじがらめになって頼まれているから、それを削ると言っただけでひどいものだ、この体質だととてもできないと言われて、橋本龍太郎さんが怒ったと書いてあるんですね、それを取り消せと。ここで、はい取り消しますと言うところが片山大臣のだめなところで、取り消さなければ、全く真実を言っているんじゃないかと私は思うんですね。今もそれは本音でしょう。いかがですか。
片山国務大臣 あれは、我々のグループの昼食会におくれて行きましたら、そういう話がずっと出ておったんです。それで、いろいろやって、おまえも何か言えというものですから、この改革は地方のためにやるんです、地方にプラスにならないような改革は、それはもう断固阻止します、ただ、国の補助金、負担金は、これはやるのは大変です、各省庁が恐らく反対でしょうし、与党の各部会も反対されるでしょうし、それにいろいろな関係団体も、それにぶら下がってと言ったのか、それと一緒になってと言った。そしたら橋本会長が、橋本元総理が、私は団体に頼まれて言っているんじゃない、虎さん、そういう言い方は失礼じゃないか、取り消してと、こう言うから、いや、だから橋本さんのことを言っているわけじゃない、それでは、そういう意味では取り消しますと、こう言っただけであります。
安住委員 私は、今補助金の問題から入ったので、後で税源の移譲と交付税のこともやりますが、この問題は、実は政治の体質の問題ということでは、私も片山さんと同じなんです。ただ、違うのは、それを否定しているから私は民主党にいるんです。あなたは、批判していながら、業界の団体ばかり、役所のOBが政治家になって、国会議員をやって用心棒みたいにいる自民党にいるということ自体おかしいんじゃないですか。
 特にあなたの所属している参議院というのは、今や役所の出身者が国会議員になって業界団体の守り神みたいになっているじゃないですか。いわば、その集合体みたいに自民党がなっているということをわかっていながらこういう発言をなさっていれば、私、大したものだと思いますけれども、これを直さなければ、いや、これを直すということは、なくなるということが地方分権ということなんじゃないかと、突き詰めていくと私はそう思うんですよ。いかがですか。
片山国務大臣 参議院がもともとできるときが、都道府県から選出される議員は地域代表、それからそれぞれの職益代表というのがあってもいい、こういうことですから、私は、正当に地域や職益の代表として行動されるのは一つも構わないと思う。ただ、国益と個別の地域なり職益の利害がぶつかるときにどういう対応をするかですね。両方立つのが一番いいんです、両方立つのが一番いい。そういうことの調整役として職益代表議員、地域代表議員がおっても一つもおかしくない、こういうふうに私は思います。
 そこの調整をやるために議員は選ばれているんですから、だから、それはそれぞれの議員さん、知識、経験、能力のある方がみんな出てきているんですから、個人として十分考えられていろいろなことをおやりになっておりますから、一概に、今安住委員が言われる用心棒だとか言いなりだとか、そういうことは少なくとも私はないと。
 まあ私は地域の方ですけれども、そういうふうに自分では努力しております。
安住委員 いやいや、私が言っているのは、この補助金改革ですよ、大臣。
 では、補助金、自分の出身の役所を削ってくれと言う政治家がいますか、いないんじゃないですか。補助金守れ守れでしょう。その体質を抑え切れなければ、総理もリーダーシップがなければあなたもリーダーシップがないということですよ。
 大臣をおやめになったら多分参議院の大幹部になられるといううわさを私も聞いていますからね、片山さん。あなた、率先してそういうことをやらなきゃいかぬのじゃないですか。いかがですか。私はそういうことを聞いているんですよ。
片山国務大臣 いや、それは、補助金も必要なものもあるんです。ただ、今言いましたように、補助金全部が昔のままの仕組みでいいのかどうかというのは議論があるので、だから、不要不急になったものや状況に合わなくなったものはぜひやめてほしい、必要なものはまた後からつくればいいんだし。それから、やり方も、できるだけ地方の自主性を尊重するようなやり方があるでしょう。こういうことを言っているので、それは大方の人の納得をいただいていると私は思っております。
安住委員 いいですか。こんなことは片山大臣には本当に釈迦に説法です。岡山初め地方へ行って、もうよく知っている方だ。見てください。地方は何を要求しているんですか。自由にお金を使わせてくれと言っているんじゃないですか。ひもつきの補助金は要らないと言っているんですよ。そうでしょう。
 道路財源を見てください。それは国交省に言われるから維持しろなんて紙には書きますけれども、そうじゃないでしょう、現実には。もっと自分たちが政策選択をして、使えるところに使わせてほしいと言っているんですよ。邪魔しているのはだれだと言っているんですよ、私は。あなた方じゃないですか。私じゃないというんだったら、そうやると言ってくださいよ、ちゃんと。法律でちゃんとそれをやらなきゃだめですよ。
 どうですか。国土交通省の、建設省上がりの国会議員は何をやっているんですか。道路財源の維持を言っているんでしょう。こんなに世の中景気が悪くて、あなた、どこにも金が足りないときに、何で道路予算だけ十兆円、毎年シェアが変わらないんですか。それがまさに大きな問題じゃないですか。大臣、いかがなんですか。口じゃないですよ、私は行動しろと言っているんですよ。
片山国務大臣 道路特定財源は道路に使うという約束で負担をしていただいておるわけでありますから道路で使わざるを得ない、今の制度としては。ただ、道路の使う範囲を、いろいろ解釈を拡大して関連するものまで広げていっておりますし、地方には例の道路交付金という形で七千億出しておりますし、それは相当中身は改善してきておりまして、道路特定財源を本当に解決するには、特定財源という仕組みをどう考えていくかということが必要だろう、私はこう思っております。
 御承知のように、重量税については、市町村道の補助金をやめるかわりに高速道路に直轄方式を入れるので、直轄方式の、四分の一、もっとですよ、都道府県にそれを配分するということに重量税を直しましたよね、この前の改正で。そういうふうに徐々に改善はいたしておりますが、基本的には特定財源方式というものをどう考えていくか。
 それから、負担される方の納得が要るわけですよ、道路のために出しているわけですから、御承知のように。揮発油税を初めとして、軽油引取税もそうですけれども。だから、そこのところの仕組みをどうするかという議論だろうと思っております。
安住委員 国民は、やはり本能的に感じているんですよ。既得権を守る役人とその政治家を本能的に感じているんですよ。だから、知事選挙だって何だって、無党派だ何だって出てくるんですよね、多分。私はそうだと思うんですよ。やはりフェアでないと思われたら、それは政治家はなかなか大変なんですよ。
 そこで、私は、まず税源の移譲と、交付税の問題についてちょっとだけ触れます。補助金の問題というのは道路だけではありません。申しわけないですけれども、今度出てくるであろう地方独立行政法人の運用についても、もう文部省あたりでさえも既得権を守ろうと思って必死ですよ。小中学校なんて、本当はもう独立行政法人で思い切ってやって、いい学校を民間の人がつくっていってもいいぐらいの時代なんです。地方は、やらせてくれと言っているんですから。失敗したら責任とるとまで言っているのに、やらせないのは国ですからね、言っておきますけれども。
 そこで、では、ちょっと税源の話に行く前に一つだけ言いますけれども、地方自治法の今度の改正ですよ、大臣。私、自分のメールに書いたんですけれども、部局の数をどうするかぐらいは、やはり地方が決めればいいんですよ、本当に。今までそういうことを国が決めていたこと自体おかしな話で、今回ようやく改正になるわけです。
 しかし、何で届け出が必要なんですか。届け出も要らないんじゃないですか。つまり、私が思うには、総務省は、地方分権だ、地方自立だなんて言っている口の乾かぬ先から届け出を義務づけているというのはどういうことですか、これ。もう自由にさせてあげればいいんですよ、部局の数ぐらい。それは、部局の数を規制するということは、沖縄から北海道まで届け出させるということ自体でも、私はやはり不信感があるのかなと。そういう小出しのやり方で、今やはりそのスピード感のなさで、私は、多分総務省もそういうことからいったら失格だと思うんです。いかがですか。
片山国務大臣 かつて、大変地方財政が厳しい時代がありまして、また局部が各府県でばらばらで、ずうたいに比べてたくさん局や部を持っているところ等がございましたので、御承知のように、地方自治法の中に、人口規模に応じて局部を法定したんですね。それで、それを超える場合には、自治省でしょうか、自治大臣に協議してほしいと。許可じゃなくて協議だったんです。
 それをやってまいりましたが、こういう時代ですから、もう一切廃止しようと。しかし、自由にしてもらうんですけれども、やはり、よその県やなんかのいろいろな、これはバランスもありますし、当方としても情報を正確に知っておく必要があるものですから、届け出だけはしてほしい。決めるのは、もう都道府県で決めてもらうんですよ。届け出だけはしてほしい。それは、情報提供の意味もあるし、もし我々から見てぐあいが悪いときには、場合によっては御意見を申し上げるということの基礎的なデータにもさせていただこう、こういうことでございます。
 そういうことがいいんではないかというのは、これまたおしかりを受けますけれども、総合規制改革会議その他の、ぜひそういう連絡体制だけは要るんではないかと、こういう御意見もございましたので、こういうことにさせていただいたわけであります。
安住委員 そこが多分、民主党なんかと皆さんの違いなんですね。
 私は、そんな部局の数どころか、もっと思い切ったことをやらないといけない時代だと思いますよ。地方自治法の改正をもしやるんだったらと、大臣、鳥取の片山知事が、この間みずからのホームページか何かで、私は見ておもしろいなと思ったんですが、こう言っているんです。地方の民主主義のありようも自由に決めさせてくれと。
 町会議員や市町村会議員制度なんというのが、住民の意思と意思疎通をうまく図れないような、そういうこともあるんで、代議制度のありようや、それから市議会の、例えば、何といいますか、夜、無給の議会を開くとか、市民会議的な運営、つまり、地方のデモクラシーは地方で決めるようにしたらどうだ、それさえも本当は自由にしてももういい時代じゃないか、私はそう思うんですよ。しかし、部局の数の届け出も義務づけているような役所に、口で地方地方と言うけれども、本音は、そういうことを全くやらせるつもりはないでしょう。大臣、いかがですか。
片山国務大臣 これは憲法の大議論がありますね。県によって中の仕組みを自由にするというのは、これは憲法との議論ですね。憲法が認めればいいです、日本を連邦制にするんなら。一つの考えですよ。連邦制にするんなら、そこまで授権するんなら。今の憲法は、地方自治の本旨に基づいて法律で決めると。その法律が地方自治法なんですね、基本法、一般法が。
 そういうことでございまして、その鳥取の知事さんの御意見は御意見として承りますけれども、憲法論を含めて根っこの議論をやっていただく。それはまさに国会でございますので、大いに御議論賜りたいと思います。
安住委員 しかし、もう既に、地方では現実にはいろいろなことがありますよ。石原都知事は銀行をつくると言っているんですよ、総務大臣。これは、現行法の中ではいいんですか。認められますか。いかがですか。
片山国務大臣 私どもの方は、地方自治法を初めとする地方自治関連法では、銀行をやることは禁じておりません。あとは銀行法その他の手続に、関係の法令の手続に従えば可能です。だから、それだけのニーズがあって、都議会が承認して、都民の支持があるんなら私は個人的にはおもしろいではないか、こういうことを記者会見で申し上げました。ただ、既存の金融機関、特に公的金融機関との役割分担だとかいろいろなことの調整はやっていただく必要があるんではないか、こういうふうに思っております。
 それから、よその団体はまねちゃいけません。東京都ならこれだけの需要や必要性は私はあると思いますし、資金力もありますから、信用力も。どこでもやり出すと、それは、究極は税金で補てんするようなことになるのはもう絶対困ると思っております。
安住委員 それは、まさか、片山大臣たる者が支持率が高くて人気のある石原都知事にこびているわけじゃないでしょうね、今の発言は。東京だけが別だ、皆さんの田舎ではさせない、そう聞こえますよ。
 これは本当にいいんでしょうか。つまり、行政はどこまでやるのかという議論をしたときに、そう簡単にそんなことが言えるんでしょうか。一方では、羽交い締めにして、地方で、はしの上げ下げまで規制しているくせに、一方で、力のある自治体が何をやるにしたって、どうぞ御自由にしてくださいと。国としての一貫性がないじゃないですか、もともと。強いところにこびているんでしょう。そういう体制、よくないですよ。
片山国務大臣 私は、石原さんの銀行税は厳しく批判した一人ですよ。それから、この前の固定資産税、都市計画税の一律減免も厳しく批判した方ですよ。
 今回、東京都にこれだけの需要があって、都議会が支持し、都民が支持するんなら、あとは中身なんですね、中身。どういう都の銀行をおつくりになるのか。それは、私は、検討して、いいものをつくるんなら、地方団体がそういうことをやっちゃいかぬということになっていないんですから、やはり、地域のためにどうしても必要で、みんながそれに賛成するなら、そういう余地があってもいいと思いますけれども。
 ただ、どこでもというのは、今言いましたように、信用力や資金力や、それから、あとのいろいろな関係がありますから、そういうところは慎重に御検討賜る。それでもやりたいというなら、それをとめるあれはないんですね。
安住委員 まさに今大きなたがを外せば、多分、地方はそれぞれに、私が今言ったのは、東京だってそういう考えを持っていると。本当のプロの銀行屋が二十兆円も不良債権を今抱えているんですよね、全部の大手銀行が。そんなときに役人が出てきて銀行をやって利益が上がるとは、とても私は思えません、私個人としては。本当にそんなうまい話、世の中にあるのかなと。世間受けしたり世論受けすることはあるかもしれませんけれども、本当に行政機関が、世界のどこの例を見たって、金融業をやって、うまくいくわけはないんです。そこに政治的な意思を挟まないでやるというんだったら、まさに、それこそ行政がやる話じゃないですから。民間がやる話ですよ。だけれども、そこまでやはり閉塞感があるからああいう発言をしているんだろうなと私は思うんですよ。
 地方は、ただ金くれ金くれと言っているわけではないと私は思うんですよ。塩川さんは、ただ金くれといって地方は行革やらないと言っているんですよ。おっしゃるとおりですか。大臣、あなたもそういう認識なんですか。
片山国務大臣 よくそういうことが経済財政諮問会議で、またおしかりを受けるかもしれませんが、民間側の委員あるいは塩川さんとか話があるんですが、私は地方によると言っているんです。地方では国より進んだ行革をやっているところ、いっぱいありますよ。ただしかし、割にその行革の努力が少ないところも正直言ってあるんで、だから、それは、これから国と地方が一体となってやはり行革の努力をしていく、こういうことでございます。
 しかし、地方自治というのは、基本的には、自己決定、自己責任、そういうことで、東京都がこういう選択をして都議会が認めるとすれば、その結果仮にうまくいかなくても、それは自己責任なんですね。そういうことが地方自治の基本じゃないか、私はこう思っております。
安住委員 六月三日までに提出だった修正案、何か、きのうの結論は、ちょっと私は正確には聞いていませんけれども、文言が決まらずに、また先送りされているようですね。
 つまり、これは水口さんが言っている話の方向で行くんでしょうかね。それとも、神野教授なんかが言っているように、税源の移譲というのは、要するに増税のプロセスの中でやっていく話であって、いわば先送りするんだと。こういう中身に本当になった場合、それを尊重しますか、されませんか。いかがですか。
片山国務大臣 三位一体の改革というのは、去年の二〇〇二の骨太方針で決めているんですよ。年末の閣議了解でも確認しているんですよ。そこで三位一体の中の一つだけやらずに二つだけやる、これは閣議決定なり骨太方針違反なんですよ。そんなことは三位一体にならないんですよ。三つ一緒にやるから三位一体なんで。だから、恐らく、もとの水口さんという小委員長の案というのは、そういう意味では不適切だ、私はこう思っておりますので。
 これが最終的にどういう形でまとまるか知りませんが、しょせん一つの諮問機関ですから。最終的には政府・与党が決めるんですよ。
安住委員 委員のやっていることは徒労に終わるということになるんだと思います。しかし私は、それは委嘱している人にも失礼な話であると思うんですよ。私的諮問機関を設けた総理の責任というのは、政治責任があるんじゃないですか。いかがですか。
片山国務大臣 今の諮問会議というのは、政令で根拠があるんですね。そういう意味で、諮問機関ですから、意見はできるだけ尊重せないけません。しかし、言うとおりになる必要はないんですね。それじゃ諮問機関じゃなくなる。議会制民主主義というのは、特に国は国会で物を決めるんです、国会が意思決定機関ですから。だから、そういう意味では、諮問機関としていろいろな貴重な御意見、御提言をいただいて、それを最終的に決めるのは私たち政治の責任、国会だ、こう思っております。
 いろいろな意見があってもいいんですよ。そのために諮問機関があるんで、金太郎あめみたいに同じ意見を出すんなら、そんなたくさんつくる必要はないんです。いろいろなところがいろいろなことを言う中で、どれをとるかが政治の責任ではないか。ちょっと口幅ったい言い方でございますが、そう思っております。
安住委員 口幅ったく率直に言っていただきまして本当に大した大臣だと思いますが、私が言いたいのは、大体、私的諮問機関なんてやめればいいと思っているんですよ。与党の責任で、自民党の部会でかんかんがくがくやるんだったら我々大賛成ですね。大歓迎ですよ。ところが、自民党は、もうずっとおとなしくしているわけです。まるで、レストランに入りましていい料理を持ってこいとだけしか言わない政党なんじゃないかと思うんですね。我々が政権をとったら、やはり食材から何から自分たちで決めると言っているんですよ。そこが全然違うんですよね。
 そこで、税源の移譲の話は、国税五税の法定率をどうこうするという小さな次元の話でどうも終わりそうな可能性も出てきたなと思うんですね。どうも非公式には、片山さんと塩川さんで話をして、酒の税率を少しいじって、何かそんなこともきょう出ていましたね。それで五兆か三兆ぐらい適当に捻出して地方にやって終わりということですか。いかがですか。
片山国務大臣 いや、五兆か三兆って、大きいんですよ、それは。私も五兆五千億の提案ですからね、国税、地方税の移譲は。だから、財務大臣が、日曜日ですか、何かで言われた、酒、たばこ、揮発油と言われたようですが、まあこれは、これからの具体の税目を出された、あるいは税源移譲に言及したということは、私は一定の前進だと思います、財務大臣として。私の方は、地域に偏在性がなくて安定した税がいいということで、所得税と消費税を言っています。塩川さんは、事務方とすり合わせたかどうか知りませんが、酒やたばこやあるいは揮発油税を言っておられる。
 そういうことで、これから六月中にどういう方向で調整していくか、こういうことになるんではないかと思います。
安住委員 地方共同税という話も頻繁に出てきていますけれども、これについてはいかがですか。
片山国務大臣 これは、中身がさっぱりわからないんですよ。こういう税は今までないんです、地方に。何かよくわからぬので、しかも、あの手続をちょっと見てみますと、わけわからぬですな、あれ、言っちゃいけませんが。
 そこで、私どもが聞いておりますのは、あの会議の中でもいろいろな意見が出て、御提案者も説明できずに、これはもう少し先送りというか、それこそ検討ということになったように聞いておりますが。
安住委員 さて、そこで、もう一方、今度は、これは総務省に非常に関係がありますけれども、地方財政の体質の改善というのは、やらないとやはりまずいんだと思うんですよ、そうは言ったって。それこそ、そこをやらなければ、地方は本当に金くれ金くればかりですからね。
 そこで、財務体質を見ますと、地財計画を見ても、この二年度だけでも、百九十兆が百九十九兆。これは借入残高ですよ。つまり、この不景気の中で構造改革なんかをやるのは本当に大変だと思うんですね。しかし、その中で、なかなか予算を削れない。削れないから、どうしたって税収不足分を穴埋めしていくから、こうやってどんどんどんどん借金が膨らんで悪い体質になっているということになりますね。しかし、これに何とかメスを入れないと、ある意味では、やはりほかから批判されると思うんですね。
 具体的に、どうなさるおつもりでございますか。
片山国務大臣 まさに言われるとおりで、今まではやや護送船団方式なんですね。だから、小さいところでも、努力は少なくても、最終的には交付税で補てんしているんです。税を一生懸命ふやす努力を仮にしないところがあってもですよ。
 そこで、そういうことについて、これも諮問会議その他で、今の地方財政の仕組みが、特に交付税制度が地方団体のモラルハザードを起こしていると、こういうことが言われているんですけれども、私は、それは必ずしも正しくないと思っているんです。正しくないと思っておりますが、やはり、より効率化、簡素化の、そういう意味での行財政改革を地方もしていく必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
 百九十九兆で、約二百兆ですよね。国の方は五百兆ですけれどもね。それに比べたら少ないなんと言ってあれするつもりはもちろんありませんけれども、私は、今後とも、こういう三位一体の改革にあわせて、地方財政の効率化、簡素化の努力をしていく必要があると。そこは、委員の言われることは十分理解できると思います。
安住委員 私は、こうなってくると、人件費ですらもう聖域ではないんだと思いますね。それに、本当に地域の特性に応じた、例えば給与とかという話になってきますと、それは、沖縄と東京は同じである必要はないと思いますよ。それは、納税者がちゃんと地方の政治に関与して決めればいいことであって、国が心配しなくたって、私はもうやっていける時代だと思うんです。今やこれをきちっとやることが、明治以来の本当に大改革につながると私は思うんですね。
 それは、霞が関の解体につながっていくからこそ、そう簡単ではないというふうに思いますけれども、しかし、霞が関で総務省が音頭をとってそのことを一生懸命やらなかったら、どこの役所がやるんですか。ねえ、大臣、そういうことじゃないんですか。
 ところが、残念ながら、総理がどうも余り総務省の言うことを聞いていないなというか、総務省のことを総理は嫌いなんじゃないでしょうか。いかがですか。
片山国務大臣 いや、そんなことはないと思いますが、時々冗談のように、かつての自治省は中央集権省だと言うから、それは自治省にもそういうところもありますよ、しかし、よその省よりはずっと地方自治に理解があって頑張ってきているんですよということを私はいつも申し上げているので、それは大分考えておられたんじゃないかと思いますけれども。
 この、国から地方へというのは、官から民へとあわせて小泉構造改革の柱ですから。官から民へ、国から地方へ。だから、そういう意味では、この三位一体改革をやって地方の税財政基盤を強化して、自己決定、自己責任でいろいろやる、こういう仕組みをつくっていく、こういうことが私は正しいんではなかろうか、こういうふうに思っておりまして、今後とも、総務省は総務省として努力いたしたいと思います。
安住委員 残念ながらもう時間ですが、私は全く当てにしておりません。やはり自民党の政治体質の問題にどうしたって行き着くんですね。それは自民党があしたからやろうと言えば、すぐできるんですよ。しかし、霞が関と一緒になって、なかなかできない。
 ですから、政治に携わっている政治家個々人の意識の問題、それから、霞が関に洗脳されない、そういう政治家がやはりリーダーシップをとらないと私はだめだと思うんですが、残念ながら御用聞きみたいにやっている人も随分おるような気がして、それが改革を阻んでいるような気がするんですね。
 最後に、そのことについて、片山総務大臣にそうだと言ってもらえば、質問を終わりますので。
片山国務大臣 しかし、私は、昔に比べると相当今いろいろなことが政治主導になったと思いますね。国会のやりとりでも、大臣、副大臣、政務官が中心になりましたし、それから各省の意思決定でも、昔とは大分変わってきたなと、こう思っております。
 やはり、政治家がといいますか議員さんが、個々にどういう判断をされ行動をされるかで国の方向が決まるわけでございますから、そういう意味では、ぜひ私もその一員として頑張ろうと思っておりますし、それがもっともっとそういうことになることを期待いたしております。
安住委員 地方自治法の改正案については、不満ですけれども、とりあえず賛成をすることだけ表明しまして、私の質問を終わります。
遠藤委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 私は、今回の地方自治法改正案の中身にできるだけ忠実に質問をしたい、こういうふうに思います。
 今回の地方自治法改正は、公の施設の管理について、民間委託業者を指定いたしまして、そこに利用料金制も含めた管理の代行をできるようにしよう、こういうことでございまして、この今回の改正によって、地方にとってのメリットもかなり生まれてくるんではないかと私は思っております。
 ある面で、民間手法といいますか、民間の持つノウハウ、知恵が、より一層質の高い住民サービスの提供に資する、そして、それが地域の一層の振興、活性化につながる、こういうことになれば、それがまた各方面に波及効果を生むわけでありまして、そういった意味でも、一層の行政コストの縮減等のこういったメリットを考えれば、今回の法改正は極めて意義のあるものであるというふうに思っております。
 ということは、逆に言えば、従来型の制度は、かなり硬直化し、公の施設といえども、これは利潤を生むことが目的ではないわけであって、現状の厳しい地方財政の中での運営、これが一つの壁にぶつかった、こういう裏返しでもあろうかと思います。
 今回の改正について私も、いろいろと地方議員の皆さん、地方自治体の方と意見交換もしてきたわけでありますが、押しなべて、今回のいわば公共サービスに対する民間委託といいますか、この流れについては、賛同の声が大半でありました。しかし、その一方で、今回の改正について幾つかの懸念も存在をいたしますので、この点、質問をしていきたいと思っております。
 そこで、一点目ですが、今回の民間管理代行を可能にする制度。当然、公の施設については、いろいろあるわけですね。公民館や体育施設、あるいは、理論的には、自治体が管理をする河川や道路、学校施設あるいは社会福祉施設、こういったものも含むと思いますが、このいわゆる公物管理法、こういった他の法律との関係性、これがまた一つの壁として存在をしているのではないか。
 したがって、公物管理法というものが、せっかく公の施設の民間開放といいますか委託の門戸を広げようとしているのに、一方で、そういった壁が立ちはだかって十分な民間管理代行ができないんではないか、こういう危惧もあるわけでありまして、この点、そういった整理をどのようにしているのか、今回の改正を受けて自治体はどこまでこの民間管理代行をさせることができるのか、この辺についての総務省の御見解をまずお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
片山国務大臣 今回の改正は、幾つかの自治体から、ぜひ公の施設も、第三セクターまで広げているんですけれども、そうでなくて、純粋民間と言うのはおかしいんですが、民間にも広げてくれないか、こういうことで今回改正をさせていただいて、公の施設のこういう管理委託の一般的なあり方を法律で書かせていただいたので、個別の施設については、個別法があればそれが優先するんですね。だから、例えば道路や河川や今お話のありました学校なんというのは、それぞれの法律がありますから、これは地方公共団体でなきゃできない、こういうことになっていますね。
 しかし、私は、物によっては、個別法を緩めて、ケースによっては管理委託をするということがあってもいいんではなかろうか、こういうふうに思っておりますが、恐らく多いのは、公民館だとか都市公園だとか、そういう文化施設やスポーツ施設が割に中心になるんではなかろうか、こういうふうに考えております。
山名委員 個別法の持つ優先的な存在というもの、これがやはり立ちはだかるわけでありまして、今おっしゃったようなものから始めると。いずれ、その個別法についても何らかの形で改正を含めた検討はなされるべきであろうかと私も思うんです。
 きょう、国土交通省に来ていただいていますが、先ほど大臣からも出ましたいわゆる河川や道路、こういったものについて、今回のそういう公の施設の民間開放、これの法改正に伴って、やはりもう少し踏み込んだ、法改正を含めた検討がなされるべきではないか。国土交通省のみならず、文部科学省の施設や厚生労働省の施設やいろいろあるわけですが、道路、河川に限って、きょうは、そういった将来への方向性について伺っておきたいと思います。
佐藤政府参考人 まず、先生、道路についてお答え申し上げたいと思います。
 道路管理について、包括的に民間にゆだねる、こういう形にはなっておりませんのは、結局のところは、道路の所有であるとかあるいは敷地の管理であるとか、国民や住民の共有の財産としてきっちりとした管理が必要であろうというところでまず一点押さえている、こういうことではあります。
 しかしながら、実態行為として、例えば道路をつくる段階で、調査、設計あるいは測量であるとか、さらに、新設、改築、修繕なんかの工事であるとか、あるいは道路の管理のパトロールみたいな問題であるとか清掃業務であるとか、民間に委託できるものはできるだけ民間に委託してきている、これが実態でございます。
 さらに、道路の場合には、住民の皆様のいろいろなお声を伺いながら管理もしていく、こういう必要もあるものですから、道の相談室というようなことで、できるだけ多くの御意見をいただくような、そんな仕組みも今全国に張りめぐらせているところではあります。
 先生御指摘のように、そうした実態行為として、民間に委託できるものはできるだけ広げていこうということで、市町村段階でもかなりそうした動きが強まってきておりますので、そうした方向を強めて効率的な管理をしてまいりたいと思っております。
鈴木政府参考人 河川管理における民間管理についてのお尋ねでございます。
 河川につきましても、治水、利水、環境という観点から、管理については国民に幅広い影響を及ぼすものである、とりわけ治水という点について考えていただきますと、国民の生命財産にかかわる問題ということで、この管理について、民間委託ということについては基本的には考えていないわけでございますが、実際には、従来から民間による管理が可能なものについてはできる限り民間にゆだねるということをやってきております。
 例えば、具体的には、ダムや堤防等の河川工事の調査、設計、工事、その施工から維持、修繕に至るまで民間への業務の委託等を行っておりますし、さらに、特に地域の特色にあふれたきめ細かな水辺環境の保全、こういったことを進めるという観点からは、地域住民や市民団体による河川の清掃や草刈り等の維持管理活動、こういったことが大変大事でございまして、そういったことを積極的に支援してきているところでございます。
 今後とも、民間による管理を通じて、効率的かつ国民の多様なニーズも踏まえた河川管理を推進してまいりたいと考えております。
山名委員 現行の中で民間に任せられるものは業務としてかなり委託をしているということでありますが、それで決して十分ではないと思いますし、やはり、一層の効率化、効果を考えたときに、それぞれの道路、河川等についても、今後民間に何がゆだねられるのか、さらに私は検討をお願いしたいと思います。
 そこで、今回の法律改正は、特に指定管理者の指定手続等については、どこまでも地方公共団体の自主性にゆだねる、条例で定めてそれはやってください、こういうことであります。
 ただ、現実的には、自治体によりましては、指定の手続あるいは指定基準、こういったものについてはある程度のものを出していただいた方がいいんではないか。さっき大臣も、これからの時代は当然各地方自治体の自主決定、自己責任、こういうことが大事だとおっしゃいました。本当に、私もそのとおりだと思います。しかし、今回、従来からの制度を大きく変更するに当たって、現場での混乱なり、地方へ行けば、田舎へ行けば行くほど、それだけの検討をする能力といいますか人材もそんなに十分ではないわけでありますから、そういった面で、ある程度のガイドライン的な指針、こういったものも必要ではないかと私は基本的に思うんですね。
 例えば、この指定に際して、果たして、民間参入してもらうときの事業遂行能力というもの、これをどこで評価を、どういった部分で一つの線引きをするのか。行政側の負担のあり方、あるいは事業計画等が適正なものであるかどうかというチェックの問題、あるいは施設の管理水準、どういったところまでの管理水準が最低必要なのか、そういう総合的な評価というものがあって初めて指定の業者というものは決定するわけであります。
 ただ、そういった最低の基準というか指針というか、こういったものをもう一歩明らかにしてあげた方が私は適切ではないかなというふうに思っております。何から何までガイドラインで抑えつけるという意味ではありませんが、もう少し使い勝手のいいような、法制度のあり方として考えたときに、もう一歩踏み込んだそういった助言、アドバイスを含めた指針というもの、この必要性を私は感じておりますが、いかがでしょうか。
若松副大臣 今委員の問題提起でございますけれども、今までは、どちらかというと通達行政というか、その結果、指示待ち症候群的なものがございました。それを、地方分権という大きな流れの中で、今委員がお話しされたような自主性、これを大事にしていこうという大きな流れ、その中で、今回は地方公共団体の責任で条例でやっていただこう、これが大きな考え方でございます。
 その考え方に立ちまして、私どもとしての一つの期待でございますけれども、複数の候補から管理に関する計画を提出させ、それを比較して、結果として、費用対効果を勘案して最も適切な管理をしていただく、こういうことを期待しているところでありますけれども、今委員御指摘の点は、これは先ほど言いましたように、基本的には自主的な創意工夫、そういうことを期待しながらも、必要があればやはり総務省としても適切に助言はしていかなければならない、そういう考え方は持っておりますので、ベストミックスでこちらは対応していきたいと考えております。
山名委員 その点、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、管理運営のいわば民営化ということであって、このことが住民サービスの低下、企業というのは利潤を追求するところでありますから、当然、そういった意味からの逆のサービス偏向、こういう事態が生じないかということを危惧する声もあります。
 特に、参入した民間事業者がいわゆる破綻を起こした、こういう破綻の際に発生する負債、これはどうなるのか。破綻が、結局は施設の使用不可に、施設が使用できない、こういう事態につながることも予想されますし、その場合の事業承継はどこが行うのか、また行政に戻ってしまうのか。いわば、民間事業者の失敗というのはだれが負担をするのかという問題であります。
 その意味で、この指定管理者の経営状態等の把握、今回の法改正の中に、年に一度そういったきちっとした報告を受けるんだというふうな規定もございますが、果たして年に一回ぐらいのチェックで十分そういったものの懸念が払拭されるのか、私は非常に心配をいたしておりますが、この点についての御見解をお聞かせください。
若松副大臣 いわゆる民間事業者への業務の委託というのは、当然、リスクの新たな発生、こういった面がございます。ですから、今回の改正に当たってやはり大変注意を払ったのが、公の施設の管理を民間にゆだねた場合、その適切な管理が損なわれないように制度化を図ったところでございます。
 その中身として、大きく四点ございまして、指定管理者が行う管理の基準をあらかじめ条例で定める、二点目が、指定管理者の指定は期間を限定して行う、三点目が、毎年度終了後に地方公共団体への事業報告書の提出を義務づけている、四点目が、地方公共団体の指示に従わない場合その他管理の継続が不適当である場合に、その指定を取り消すことができる、こういったいわゆる安全弁を設けているところでございます。
 また、地方公共団体の長につきましては、公の施設の管理の適正化のために、指定管理者に対しまして随時管理業務または経理状況に関する報告を求めることができまして、必要に応じて実地調査または指示をすることができる、こういう制度になっております。
 加えまして、御存じのように、監査委員、包括外部監査人、個別外部監査人、こういった制度も現在は整っておりまして、出納その他の事務の執行で管理業務に関する監査が極めて向上している、こういった事実もございます。
 それでも万が一指定管理者が指定期間中に事業破綻した、こういった場合には、当該民間事業者が負った負債を地方公共団体が当然に引き継ぐものでなければならないわけでありますが、設置者である地方公共団体としましては、住民による公の施設の利用に支障が生じないように、直ちにその指定を取り消して直接管理を行う、こういった必要な措置が講じられることは当然でございます。
 そういうことでありますので、地方公共団体におきましては、そのような事態を未然に防ぐための今申し上げました年一回の事業報告書のチェック、こういった継続的な民間事業者のチェック体制を維持しながら、今言った公の施設の管理に支障が生じないようなこういった制度を設けているところでございまして、その制度運用を期待しているところでございます。
山名委員 もう一つの懸念というか心配は、指定管理者の指定手続いかんによりましては、今回のこの制度は、いわゆる競争原理というものをある面で導入できる。これはコスト削減、そして一層のサービス向上、こういういいチャンスであるわけです。
 ところが、それは、ある面では、特定企業の独占的な指定といいますか、ここに結びつきやすい。そういう意味での、行政それから地方議会それから業者、こういった新たな癒着という部分でサービス低下が惹起されるという懸念。
 逆に今度は、都市部になると思いますが、大手企業の競争が激し過ぎまして、地元地域で、例えば今シルバー人材センターなんかを活用した委託業務がされておりますが、そのことによって多くの人材が切って捨てられる、新たな雇用不安だとか解雇問題、こういったことにつながるんじゃないか、こういう懸念。
 この二つをあわせて、ひとつその御見解についてお伺いをしたい。
 それから、もう一点、済みません、もう時間がありませんのでつけ加えまして、自治体にとっては、各施設ごとの個別条例、これが今あるわけでして、これが今回の法改正で、一つ一つ条例改正など大変な作業になるわけです。したがって、そういう意味では、私は、関係施設の条例一括改正、こういう手続ができるような、こういったこともあわせて考えていただいた方がいいんではないか。
 以上のことを質問させていただきたいと思います。
若松副大臣 先ほどちょっと私の舌足らずの説明がございまして、ちょっと明確にさせていただきたいんですが、万が一指定管理者が指定期間中に事業破綻した場合、その民間事業者が負った負債を地方公共団体が当然に引き継ぐものではない。ちょっと発音が悪かったので、これは明確にさせていただきたいんですが。
 それで、お尋ねの、いわゆる指定管理者の指定でございますが、これは地方自治法上の契約には該当しないために、いわゆる入札の対象とはなりません。
 しかしながら、この指定管理者による管理でございますが、あくまでも公の施設の設置の目的を効果的に達成するもの、そういうことでありますので、当然コスト高は避けなければいけないということでありますが、あわせて、自治体の、いわゆる地域の事情等も考慮して、やはり一番ベストな方法を当然選ぶべきだ、そういった考え方から、私どもとしては、あくまでもこの選定の手続は条例で定めていただいて、しっかりと議会の議決もいただいて、その手続を進めていただく、そのように理解しております。
 そして、次に、その改正方法についてのお尋ねでございますけれども、今委員の御指摘のとおり、公の施設の設置及び管理につきましては、まさに施設ごとに個別の条例により規定されているのが一般的でありますが、今回の改正法附則第二条によりまして、現在管理を委託している公の施設につきましては、法施行後三年以内に条例の改正を必要としている、こういったことでございまして、その方法としても、自治体の判断によりまして、改正の必要な条例の一括改正を行うことも一般には可能である、このように私どもは解しております。
 いずれにしても、この法の運用に当たりましては、必要があれば総務省としても適切な助言をしていきたいと考えております。
山名委員 時間が参りました。終わります。
 ありがとうございました。
佐藤(勉)委員長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 まずもって、昨日の宮城県沖を震源といたします地震に際して被害を受けられた方々には、心からお見舞い申し上げる次第であります。
 さて、この地方自治法の改正の質疑に入る前に、先ほど安住委員さんからもいろいろ質疑がありましたけれども、私からも重ねて、目下議論が紛糾しております三位一体改革について、私なりに質問していきたいと思っております。
 政府は、地方への税源移譲、国庫補助負担金の見直し、そして交付税の見直しを三位一体といたしまして、六月までにこれをまとめるとしておるところであります。しかしながら、最近の報道を見ますと、やや話がおかしな方向に向かっているんではないかと私は危惧しておるところであります。
 特に、先般、地方分権改革推進会議で出された小委員長試案、そして昨日、小委員長試案をベースに出された三位一体改革の意見案によりますと、地方でできることは地方で、自主自立の地域社会から成る分権型システムの構築を目指すなどとしながら、具体的な中身になりますと、税源移譲は増税する時期まで先送りとされているようであります。以前より、片山大臣でありますけれども、片山プランとして税源移譲の具体的な案が出されておるところでありますが、そういった記述は一切見られておりません。三位一体改革の一番重要な部分が欠けることになるわけで、これでは地方団体から到底納得できないとの声が上がってくるのは当然だと思っております。
 最初に、分権会議の意見案においてこの税源移譲を先送りしていることについて、大臣はどのように考えておるか、その見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 先ほどもお答えしましたけれども、昨年の骨太方針あるいは年末の閣議決定・了解、いずれも三位一体でやるんですね。その三位一体の中で、国と地方の税源の配分の見直し、税源移譲というのがメーンなんですよ。それをやるために、あわせて国の補助金、負担金の整理合理化や地方交付税の見直しもやろうと。そのメーンがなくて、わき役だけ二つやるなんということは、もともと改革の趣旨に反するんですよ。
 先ほども言いましたが、そういうことを決めているんですから、分権改革会議がそういう試案を出すのはおかしいわけでありまして、そこで委員等からもそういう指摘があり、関係者の反発もありまして、修正案がきのうですか、小委員会に出たようですが、この修正案がもっとよくわからない。修正案というのはよくするために出すんですけれども、よくなったか悪くなったかよくわからない。
 そういうことでございまして、引き続きこれは、小委員会か全体会議か知りませんが、次の会議でも議論をされると聞いておりまして、我々は、今言いましたように骨太方針や閣議決定・了解の線で、三つを一緒にして、しかも中心は税源移譲だ、こういうことでまとめていただこう、こういうふうに思っております。
黄川田委員 大臣も修正案がよくわからないと言うぐらいですから、私なんか、とてもとてもわからないというふうな感じでおります。
 いずれ、全国知事会あるいはまた地方六団体でありますけれども、この地方分権改革推進会議の意見書の原案撤回を求めておりますし、そしてまた、国と地方の役割分担に応じた税源移譲などによる地方税財源の充実強化、この三位一体の改革の基軸、これをしっかりすべきだということでありますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。
 そしてまた、昨日の意見案ではまだ検討中となっている部分もあるようでありますけれども、この試案によりますと、税源移譲を先送りするばかりか、地方の共有財源たる地方交付税を地方共同税と財政調整交付金とに解体した上で、財源保障機能を廃止し、財政調整交付金は段階的に定率で削減することとしておるようであります。これには私も、驚きを通り越して怒りを感じておるところであります。これは、要するに、国の財政再建のために地方を犠牲にするということにほかならない。そしてまた、地方分権という視点も全然ないというわけではないでしょうか。
 介護保険あるいは景気対策、そしてまた最近ではSARSなどのそういう対策まで、国から要請される仕事はどんどんふえております。また一方で、地方が使えるお金はどんどん削る、税源は移譲しないでは、地方がやっていけるわけがありません。地方は今、大変重大な経済危機に直面しております。そしてまた、住民も、日々不安の中で何とかしのいでいるというのが現状であります。私の地元岩手でも、この分権会議の案を聞きまして、地方はこれからどうなるんだということで、会館の方に大勢首長が押し寄せておるところであります。
 そこで、地方分権会議における、地方交付税を解体し大幅に削減しようとするこの案でありますけれども、これは、総務大臣、どうお考えになりますか。
片山国務大臣 今黄川田さんも言われましたように、国の財政が困っているから地方に出す金を減らそうなんというのは、それはどこかの審議会が言うのはいいけれども、地方分権改革推進会議は地方分権を進めるための会議ですから、地方の税財政基盤を強化するための会議が、その会議の趣旨に反することを言うのは大変困るんじゃなかろうか、こういうふうに私は思っております。
 それは、頭の体操として、今の地方交付税を地方共同税と財政調整交付金にばらすというのはあるかもしれぬけれども、これは、今までの地方交付税の歴史なり法的な位置づけからいうと、まことに成り立たないんですよ。地方共同税そのものがわからない。
 そういうことでございまして、何か会議の方でもこれはペンディングにしてということのようでございますし、交付税についても、もう少し中長期的な検討だとかなんとか言っているようでございまして、どういうふうにまとまるのか。会議の中でも相当な異論が出ている、こういうふうに聞いております。私も、異論の方に賛成であります。
黄川田委員 地方共同税は保留というような形ですか、そういうふうになっておりますけれども。
 そしてまた、分権会議の意見案では、課税自主権の問題にも触れておるわけであります。税源移譲を先送りしつつ、地方がまず課税自主権を活用すればいいのではないかというのであります。そんなことが果たして現実に可能なのか。
 先ほども申し上げましたとおり、今、大都市とは違って、地方は大変な経済状況であります。今、増税するような経済状態にあるとはとても思えないわけであります。そもそも小泉内閣の三位一体改革は、増税を念頭に置いた改革ではなかったはずであります。そしてまた、私の地元も過疎、辺地の市町村が多いわけでありますけれども、仮に増税しようとしたとしても、そのような税源はどこにもないわけであります。税源の乏しい地方では全く成り立たない議論ではないかと私は思っております。
 そこで、この課税自主権の問題について、税源移譲の前に地方がまず課税自主権を活用すべきであるとの意見がありますけれども、これについて大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今も課税自主権ということで、標準税率を超えて超過課税をやるとか、あるいは法律で決まった以外の法定外普通税・目的税をつくるということは行われているんですよ。しかし、主要な税目は全部国と地方が押さえているんですよ、法律で、国税と地方税。残り物をやるんですから、正直言うと、もういいものはないんです。
 この超過課税や法定外税で、実際には地方税収の一・四%だという。一・四%ですよ。だから、課税自主権を活用しろといっても、それはもう限度があるので。重立った税目は全部そうでしょう。今は租税法定主義ですから、税金はできるだけ法律でと、こういうことでございまして、課税自主権を活用して拡充していくことは我々も賛成ですけれども、しかし、それには限度がある。やはり税源移譲なんです。そういうふうに考えております。
黄川田委員 いずれ、この課税自主権は必要なわけでありますけれども、その税目がなかなか見つからないし、安定した税収を確保できないというのが現実だと思っております。
 そしてまた、先ほど安住さんからもお話がありましたけれども、塩川財務大臣でありますけれども、先般、国から地方への権限移譲が進むことを条件に、たばこ税、酒税などの税源移譲を検討する、そういう考え方を示したわけであります。財務省の方で、財務大臣が具体的な税目を挙げて地方への移譲に触れたのは初めてではないかと思っております。しかしながら、所得税や法人税など基幹的な税源の移譲は考えていないということも示唆したわけであります。そしてまた、権限の移譲の進み方次第では来年度から税源移譲も検討しますよという考え方のようでありますけれども、これに対する総務大臣の見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 先ほども言いましたが、税源移譲に言及する、税目を具体的に挙げる、私は、それは一定の前進だ、今までは全く受け付けなかったんですから、そういう意味では前進だ、こう思っておりますが、あれで十分かどうか、これからいろいろな角度で議論しなきゃいけません。
 私の方は、先ほども申し上げましたが、地域に偏在性がなくて安定的な税として、所得税を個人住民税に移譲してもらう、それから消費税の配分を変える、こういうことを言っておりまして、そういうことについては今後十分に意見の調整をする、こういうことだろうと思いますし、財務大臣が言われたのが財務当局の考えかどうか、なお検証する必要があると思っております。
黄川田委員 一連の質問で、総務大臣、しっかりやっていただきたいと思っておりますけれども、いずれ、分権会議の考え方には私は本当に違和感を覚えておりますし、単純に、地方の自立をにしきの御旗に上げておって、国の財政だけを考えて地方を切り捨てるというような考え方には、断固私は反対するものであります。
 そしてまた、内閣に、国庫補助負担金の廃止縮減に向けた事務次官を中心とした検討の場をつくっておるわけでありますけれども、三位一体の入り口としてこの国庫補助負担金の見直しに取り組むことは、これは本当に正しい方向だと思っております。
 そこで、二十六日には官邸で各省の事務次官による具体案づくりの二回目の協議をしたけれども、ほとんどが補助金見直しゼロ回答ということであります。大臣は経済財政諮問会議のメンバーでもありますので、誤った方向に導かないようにぜひとも尽力を賜りたいわけでありますけれども、大臣の決意をお願いいたしたいと思います。
片山国務大臣 私の決意というより、そういうことをやろうといって決めているんですから、骨太方針その他で。だから、それはそれでやるということですが、こういうものは、締め切りをかけないとなかなか議論が熟してこないんですよね。
 それから、今のように三位一体でやっているときに、後の手当てが定かでなくて補助金だけ削るというのは各省抵抗ありますよね、仕事は必要だ、この仕事は必要だから補助金出してよと。ただ、補助金はどうぞ削ってください、しかし後の財源の手当てはこれからですというのなら、それはその仕事をやれないということになっちゃうから、各省庁だって、それは結構ですと言うわけにはなかなかいかないので、全体の三位一体の状況を見ながら各省も検討してもらえるんじゃなかろうか、私はこう思っております。
黄川田委員 また一方、最近公表されました地方制度調査会の地方税財政改革のあり方についての意見によりますと、三位一体同時並行で進めることを基本に据えておると。同意見書では、税源移譲の進め方について、個人住民税や地方消費税を中心に、現在六対四の国税と地方税の割合を一対一にする方向で配分を見直すということを明記しております。
 地制調と分権会議の意見の相違がここまで明白になったことで、この六月から本格化する経済財政諮問会議での検討作業は難航すると想定されるわけでありますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
片山国務大臣 地方制度調査会の方はもう意見がまとまりましたから、これはこれで決まったんですが、改革会議の方はまだこれからなんですよ。今調整中、集約中でございますので、どういう結果が出るかわかりませんが。地方制度調査会と地方分権改革会議は会が違うんですから、諮問機関として。別の意見が出てもそれはやむを得ない。しかし、それは、最終的には政治が調整する、こういうことでなければおかしいと思います。
 私は、地方制度調査会の意見は、与野党の国会議員さんも入られて、十分議論の上の結論でございまして、妥当なものだ、こういうふうに考えております。
黄川田委員 それでは、本題の地方自治法の改正の質疑にいたしたいと思います。
 先ほども安住委員さんにお答えになったわけでありますけれども、私からも確認の意味で重ねてお尋ねいたしたいと思います。
 まず、都道府県の部局数の法定制度の廃止関係についてであります。
 この改正案の第百五十八条第三項では、地方公共団体の長は、条例を制定、改廃したときは、都道府県にあっては総務大臣、そしてまた市町村にあっては都道府県知事に届けなければならないとしております。
 そこで、なぜ事後に届け出を必要とするのか。そしてまた、地方分権を推進する観点からは、むしろこの事後届け出自体も廃止すべきではないのか。そしてまた、国と都道府県、都道府県と市町村という上意下達の風潮が清算し切れていないのではないのか。そしてまた、地方に自主自立を求めるのであれば、やはり事後届け出も必要ないと私も思っておるわけなのでありますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。副大臣、お願いいたします。
若松副大臣 まず、地方自治の本旨の重要な要素でございます団体自治の観点から、地方公共団体の自主組織権を尊重するということは大変重要でございまして、局部の法定制度の廃止は、この観点に立っておるところでございます。
 一方、地方行革の推進の観点からは、地方公共団体の内部組織の編成に当たりましては、当該団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的になるものとされることが十分に配慮されなければいけない、こういう流れになっておりまして、法の第百五十八条第三項の届け出につきましては、まさにお尋ねの点でございますが、地方行革の推進の観点から、総務大臣または都道府県知事が所要の情報を収集して、必要に応じて地方公共団体に提供するとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化の観点から適切な助言をさせていただく。これは、例えば地方自治法第二百五十二条の十七の五、こういった規定がございますけれども、そのための、あくまでも、いわゆる契機である。情報をいただければ、その適切な助言ということで、決して発想を縛るものではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
黄川田委員 それでは、法案の改正のうち、次に、公の施設の管理に関する委託制度についてお尋ねしたいと思います。
 現在、地方公共団体では、さまざまな文化施設や、あるいはまたスポーツ施設などの公の施設を設けておるわけであります。これらは住民に広く利用されまして、そしてまた地域住民の生活になくてはならないものともなっております。
 しかし、実際に地域住民の声を聞いてみますと、申し込みや利用ができる時間に制約があるとか、窓口での対応が役所的であるとか、あるいはまた利用者から見たきめ細かなサービスになっていないとか、さまざま不満も耳にするわけであります。また、せっかく立派な施設をつくったのに十分使われていないとかの批判も、これまた耳にすることがあります。
 そこで、初めに、今回、法改正に関しまして、公の施設の管理のあり方を見直すこととした理由について、総務省にお尋ねいたしたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 今回の改正の趣旨についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、公の施設というものは、住民に対してひとしくサービスを提供することを目的として設置されるものでございますので、その適正な管理を確保することが不可欠でございます。そのために、現行法は、管理の委託先について、公共団体、公共的団体、それから政令で定める出資法人に限っているところでございます。
 しかしながら、近年、一つは、住民のニーズが多様化いたしまして、それに効果的、効率的に対応するためには、民間の事業者のノウハウを広く活用することが有効であるというふうに考えられたところでございます。また、二つ目は、公的主体以外の民間主体においても十分なサービスの提供能力が認められるものが増加しているということでございます。
 また、各地方公共団体からも、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、いろいろ要望が多いということでございますので、公の施設の管理を一般の株式会社を含めた民間事業者に行わせることができるようにして、より効果的、効率的な運営にしようということで今回の改正をお諮りしているところでございます。
黄川田委員 では、残り時間も少ないので、あと一問だけ質問させていただきたいと思います。
 お話しのとおり、これまで地方自治法では、公の施設の管理は、公共団体、公共的団体、あるいはまた一定要件を満たす出資法人に限って委託されてきたということでありますけれども、この制度のもとに、地方公共団体では、外郭団体として文化振興事業団であるとかスポーツ振興公社といった第三セクターをつくり、公の施設の管理を委託する方法が広く行われてきたと思っております。
 しかしながら、行政が直接に管理を行うのに比べまして民間の観点を取り入れることができるとはいっても、やはりまだ第三セクターでは役所仕事的な部分が残っておるのではないかとの懸念もありますし、そしてまた、こういった外郭団体が地方の天下りの受け皿になっているとの批判も聞こえるわけであります。
 そこで、最後の質問でありますけれども、今回の改正は、行政改革、規制緩和の大きな流れの中に位置づけられるものと思っておりますが、今回の改正によりまして、住民と地方公共団体にとり、それぞれ具体的にどのようなメリットがあるのか、総務省にお尋ねをいたしたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 住民と地方公共団体にとってどのようなメリットがあるかという御質問でございますが、まず地方公共団体について申し上げますと、指定管理者の指定に際しまして、普通は、複数の候補の中から、最も施設の稼働率の向上が見込まれるものとか利用料収入の増加が見込まれるもの、それから経費の縮減が図られるような管理が実施されるものを選択することが可能になるということで、地方公共団体にとっては、財政負担の軽減とか利用料金の引き下げなども期待できるところでございます。
 また、住民にとりましては、今申し上げましたとおり、利用料金の引き下げが期待できるほか、民間経営者の発想が取り入れられることで、より多様で満足度の高いサービスの提供を受けることができるというふうに考えているところでございます。
黄川田委員 今回の改正が、住民サービスの向上と、そしてまた地方行革の推進につながるよう適切に運営をされることを望みまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
佐藤(勉)委員長代理 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 先ほど来議論されております地方分権改革の問題について、当委員会の最重要課題の一つだと考えますので、委員長にお願いですが、一般質疑ないしは集中審議をこの国会中にぜひしっかり時間をとってやっていただきたいと要望しておきたいと思います。
佐藤(勉)委員長代理 はい。理事会で協議をいたします。
春名委員 法案についての審議を行います。
 部局の法定廃止については、遅きに失したぐらいであって、当然だと考えます。もう一つの指定管理者制度は問題が大きい。この点に絞って議論をしていきたいと思います。
 今度の法改正で指定管理者制度が導入をされて、委託の対象が、公共性を持たない、営利を目的とする民間法人にまで拡大をされます。純粋な民間団体が対象にしているのがあくまでも公の施設である、これを管理すると。
 率直にお聞きをしますが、このもとで、その公の施設というのは公共性があるから公の施設なのであって、この公共性がいかに担保されるのか、これが最大の問題だろうと思います。この点について認識をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。
若松副大臣 御存じのように、小泉内閣は、国から地方へ、さらに官から民へということで、世界的にもこのアウトソーシングというのがやはり潮流になっていると理解しております。
 そういった観点からこのような指定管理者制度を導入させていただいたわけでありますが、やはり大事なのは、住民に対してしっかりといわゆる効率的な行政のサービスを提供し続ける、これが大事でありますので、この法律で義務づけているところでございます。
 あわせて、条例によるそれぞれの地域の対応等も含めた議会の議決という手続もとっておりまして、管理の基準は当然、条例で定めていただきますし、指定管理者につきましては、毎年度終了後、事業報告書を提出する、このような義務づけもさせておりますし、いずれにしても、一定の場合には地方公共団体からその指定管理者に対して必要な指示をする、かつ、指示に従わないときは指定の取り消しまたは業務の停止、こういった制度も幾重にも担保しているところでございます。
 ただ、御理解いただきたいのは、いわゆる保有と運用というのが一体であるのがベストかどうかという大きな問題提起がこの法律の改正にあろうかと思います。保有は地方公共団体にしても、運用面でもし効率化が図れるのであれば、今言った指定管理者制度の活用はやはり大きな流れではないかと理解しております。
春名委員 委員長にお願いですが、私は副大臣を呼んでいないんですよね、大臣に答弁をしていただくと。
佐藤(勉)委員長代理 はい。
春名委員 自治行政局長も、私は質問をしていませんので、そのルールを守ってください、私の。きのうそのことははっきり言ってありますので、その点、明確にしておいていただきたい。
 さて、今お話が出た点を議論していきたいと思いますが、今までは、曲がりなりにも自治体が出資をする第三セクターまでを委託対象にしたわけです。つまり、自治体の関与を直接保証するという仕掛けを、九一年の改正でもそのことは残したわけです。
 その理由は、地方自治法の二百四十四条の一項で、「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設ける」。その「公の施設」は、住民の福祉を増進するために、住民の利用に供することを目的とする施設であると。「住民の福祉を増進する目的」というのは、広く住民の生活に不可欠の便益を直接提供するものであると解されると、地方自治法のコンメンタールなどではこういう解説が広くされているわけです。
 だから、住民の生活に不可欠の便益を直接提供するものである、公の施設は。ですから第三セクターまでで、自治体が出資する、そういう直接の関与を残すというのが今までの皆さんの考え方だったと思うし、公の施設であれば私はそれが当然だろうと思うんです。
 今度こういう形で全く純粋の民間の法人がこの管理委託を引き受けるということになって、住民生活に不可欠の便益を直接提供するというこの「公の施設」の責務が本当に果たせるのかどうか、自治体は住民にその点で責任が持てるのかどうか、このあたりがやはり大きな問題だろうと思うので、その点、重ねてお聞かせいただきたい。大臣にお願いします。
片山国務大臣 最初は公だけというのを、第三セクターまで緩めたんですよ。しかしこれは、わざわざそのために第三セクターをつくったりするんですよね。そういうケースがあるんですよ、公の施設の管理委託をするために。そこで、民間にやらせてどこが悪いんだろうと。
 ただ、今委員が心配のような点もありますから、法律上、平等に利用しなければならないとか、差別的取り扱いはいかぬということを法律で書いて、しかも、選定の手続もあるいは管理の基準も条例で決めて、どこにやらせるかは議会の議決を経て、事後報告もとって、いろいろなコントロール権もチェック権も残してやっているんですよ。その団体の住民の代表である議会がそれだけ関与して物を決めていって、それが地方自治ですよ。うちはこうやりたいと。やりたくなきゃ別にいいですよ、民間に委託せぬでもいいんだから。どうしてもうちは民間にやらせた方がプラスが多いとその団体が自分で選ぶんなら、やらせてどこが悪いのかな、そういうことですよ。
 また、その方が料金が安くなったり、おもしろい多様なサービスが提供できたり仮にするとすればそれはいいので、それぞれの団体の選択の幅を拡大したわけでありまして、しかもこれは、あっちこっちから私個人がかなり要望されたんですよ。だからそれは、今、官から民へという時代でありますし、団体の皆さんの言われることもわかりますと、そういうことでこういう改正案を出させていただきましたので、ぜひ春名委員も御理解を賜りたいと思います。
春名委員 住民のサービスの向上のためにこういう制度も設けるんだということを前提の認識として持つ必要があると私は思うんですね。先ほどの御説明の中でも、とにかく財政が大変なので、公が管理をすれば効率的でないので、そこを解決するかのような認識が非常に強いんですけれども、公の施設ですから、住民のサービスを維持し、福祉の増進を図るというところに最大の設置の目的があるのであって、その角度から見たときに、いわゆる民間と比べて効率性がない場合も出てくる可能性があるわけですよね。
 しかし、問題は、住民サービスが向上するというのが最大の目的であり、地方自治法の精神であると思うんですね。そういうものに資するということが基準である、この指定管理者制度を導入する際ですね。この点はいかがですか。
片山国務大臣 住民のサービスの向上もいろいろな意味があるんですよ。例えば、むだがなくなって安上がりになるということも、その余ったというのはおかしいんですが、出たお金はほかのものに回せるんですから、効率化というのも住民サービスなんですよ。
 ただしかし、我々は効率化のためにやるんじゃないんですよ。それは、広い意味での住民の福祉増進というんですかね、サービス向上というんでしょうか、効率化を含めて。そういうことのためにやるので、それは、春名委員、それぞれの団体に選ばせた方がいいですよ。だから、いろいろな選択のあれを与えて、民間にやらせたくないところは第三セクターか公でやってもらえばいいんですよ。
 そういうことでございますので、そこは、全部これでやれなんと言うつもりは全くないんですよ。制度として、そういう要望があるので選択肢を一つ加えた、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
春名委員 その角度から少しお聞きしますが、九一年に、今お話が出た出資法人、第三セクターに公の施設を管理委託できるという仕組みを導入しましたね。九一年から今十二年たっていまして、このことによって住民サービスがどのように向上したのか具体的に説明していただけますか。
片山国務大臣 具体的なことは、自治行政局長が詳しゅうございますので、自治行政局長に答弁させます。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 具体的にメリットの例ということでございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 自治法の規定によって利用料金制を導入している公の施設を管理委託している団体は、合計で、これはちょっと古い数字ですが、十一年四月一日現在ですが、百十五団体ございます。利用料金制を導入している団体が百十五団体ございます。そのうち、いわゆる第三セクターに管理を委託して、この第三セクターが利用料金制をとっているのが五十四団体ということで、約半分が第三セクターを活用しているということでございます。
 このような利用料金制をとっている公の施設では、例えば、利用料金制をとらないと、やはり何か行事をするときには費用がかかりますので、そのための補正予算等の措置を待つことになりますが、利用料金制をとっていますと、そのような補正予算等の措置を待つことなく企画展を弾力的に開催することができるなど、民間の発想を取り入れつつ、地方公共団体の直営では限界のある多様なサービスが提供されているというふうに承知しております。
 今回の改正におきましても、これまでの経験を踏まえつつ、民間事業者の一層の活用を図る見地から、指定管理者制度の導入を図るものでございます。
春名委員 利用料金制をとっていると柔軟になって、それで取り組みがうまくいっているという、その程度の話かなと今聞いたわけです。
 問題は、公共性の保持ということについて、この法案、改正案も含めてどう担保しているかということについて具体的に伺っていきたいと思うんですね。
 この条文で、公の施設の最終的な管理権限は自治体に担保されているのかどうか。この点、お聞かせいただきたい。
片山国務大臣 代行させるんですね、指定管理者に。そういう意味では担保されている。担保というか、留保されていると言ってもいいんじゃないでしょうかね。
春名委員 留保されているというお話ですけれども、今回の改正で、特に公権力の行使にかかわる権限の移譲があるのかどうか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 法律の解釈でございますので私の方からお答えしますが、公権力の行使を認めているのかどうかということでございますが、今回の改正では、使用の許可につきましては、定型的で権力性が薄い行政処分であるというようなことから、条例の定めるところによって行わせることができるというふうにしているものでございます。
 その際、適正な管理を確保するために、改正法の二百四十四条の規定によりまして、正当な理由のない利用拒否とか不平等な取り扱いを直接この指定管理者に対しても禁ずるという改正をしておるところでございまして、また、使用許可の基準なども、指定管理者が行う管理の基準をあらかじめ条例で定めるというふうにしているところでございます。
春名委員 今、使用許可という権限の行使は管理受託者にできるというお話ですが、それ以外にはないと考えてよろしいですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 我々が今考えているのは、私が今御説明しましたような使用の許可が主たる権限の行使になるんじゃないかというふうに考えております。
 それ以外ということになりますと、ちょっと今のところ頭に浮かびませんが、例えば公物警察権とか強制徴収権、これも公権力の行使ですが、これは地方公共団体の長に一身専属的に帰属する権限というふうに解されておりますので、これらにつきましては指定管理者に代行させることはできないんじゃないかというふうに考えております。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、荒井(広)委員長代理着席〕
春名委員 今お話が出た、公物警察権は委託できない、それから使用料の強制徴収も委託できないというお話でしたが、それ以外にも管理ということではたくさんありまして、これはどうですか。許可の取り消し、使用の中止、施設の退去命令、施設設備の点検、過料の賦課、不服申し立てに対する決定、こういうものは引き続き地方自治体に保有されているというふうに考えてよろしいですか。
畠中政府参考人 先ほど御説明しましたように、使用の許可は指定管理者に代行させることができるというふうにお答えしましたので、使用の許可の範疇に属するといいますか、その範疇に属する許可の取り消しなんかも指定管理者ができるようになるというふうに考えております。
春名委員 許可の取り消しと許可を与えるということだけだというふうに認識していいですね。いいですね、それで。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 許可の範囲内に入るものにつきましては指定管理者が代行することができるということでございます。
春名委員 今これを詳しく聞いておりますのは、先ほどの山名委員の質問もあったんですけれども、例えば、やはりリスクが出てくるわけですよね。破綻をしますね、委託した管理者が。その際に、その負債をだれがかぶるのかということが具体的な問題になってくるわけです。どう解決するのか。住民の負担は絶対ない、この制度がある以上、大丈夫ですというふうにはっきり言えるのかどうか。そういう点が具体的に権限との関係、権力との関係で出てきますので、破綻した際の負債についてはだれがかぶるのか、どう解決するのか、住民負担は絶対ないのか、その法的根拠はどういうものか、このあたりを明確にしていただきたいのです。
若松副大臣 よろしいですか。――先ほど山名質問に私が答えさせていただきましたので、春名委員の許可をいただいて答弁させていただきます。
 今の御懸念につきましては、例えば第二百四十四条の二の十一項とか、そういったところに規定しているわけでありますが、いずれにしても、あくまでも、民間事業者に委託する場合には、行政から民間に対しお金を払うわけなんですね。そのお金を払う先の会社がつぶれた場合にはどうなるかという話なんですが、大事なのは、行政にとっては、その施設の、いわゆる行政サービスの提供を継続することが大事なんですね。そこにいかに行政がしっかり関与していくか。
 そういった観点から、この法は、そういった破綻した民間事業者については直ちに指定を取り消して、そして直接、行政がしっかり管理を行うよう必要な措置をしなければいけない、このような法律体系になっておりますので、私は、そういった意味から、委員の御懸念の指摘には大丈夫ではないか、そのように理解しております。
春名委員 今の説明、ちょっとよくわからなくて、済みません。要するに、サービスの提供が大前提で、必要なので、継続させるためには破綻処理を税金を投入してもあり得るという認識なのか、そうではないのか。
 それから、監査についてですけれども、自治体の監査は、当然、指定管理者に及ぶのかどうか。この二点、明確にしてください。
若松副大臣 先ほど申し上げました、まず、事業破綻した場合の民間事業者が負った負債、これはあくまでも民間事業の負債ですから、いわゆる一般常識的にもそこまで行政は負う責任はない、これは御理解いただきたいと思います。
 あわせて、では、その民間事業者に対する監査、これは、あくまでも、御存じの、例えば監査委員の範囲をどこまでいうのか、これは極めて監査委員のいわゆる能力なり、また関心度によっても大分違いますし、いずれにしても、それは当然、監査のある意味では対象になり得るものでございます。
 さらに、包括外部監査も、いわゆる委託先というんですか民間事業者、そういったところを特定してやろうと、そういうような監査になれば、おのずとしっかりとしたチェックが担保される、そのように理解しております。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
春名委員 次に、個別法との関係を聞いておきます。
 今回の制度導入の対象になる公の施設で、その施設にかかわる個別の法律が既に存在しているものが少なくなくあります。公立図書館を律する図書館法、公民館を律する社会教育法、上下水道、地下鉄、バスなどの公営企業には公営企業法、これらがあります。
 先ほどの答弁でもありましたが、今回の地方自治法の改正があっても、こうした施設を律している個別法の規定が当然優先されるというふうに認識しますが、それでよろしいですね。
片山国務大臣 それは一般法と特別法、個別法の関係で、個別法の方が優先されます。
春名委員 公民館について具体的にお聞きしておきます。
 公民館は社会教育法に規定をされております。二十条で、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図る、そして、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする、こういうふうになっています。そのため、二十三条で、専ら営利を目的として事業を行って、特定の営利事務に公民館の名称を利用させて、その他営利事業を援助することはかたく禁止をされております。
 ところが、私、こういう記事を、読売新聞に、今度の改正をやれば公民館で学習塾ができるなんという記事が出ているんですね。公民館で学習塾をやるというようなことを見込んでいる自治体があるのかどうかは知りませんが、そういう要請を受けての法改正なのでしょうか。そうであるとすれば、社会教育法で言う目的と営利事業禁止という規定にこれは反することにならざるを得ないと思うんですが、そういうことはあり得ないというふうに認識していいでしょうか。これは、文部科学省にも来ていただいていますが、どちらでも。どちらでもいいですよ。文部科学省。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 公民館の目的並びに二十三条の規定、これは今委員が御指摘になったようなとおりでございまして、今回の地方自治法の改正によりまして指定管理者制度が導入されることに伴い、新たに出資法人以外の民間事業者を含む指定管理者に対しまして管理の代行を行わせることができるようになる、こういうふうに承知をいたしておるわけでありますけれども、現在同様、公民館の目的あるいは公民館の運営方針ということが守られる、変わらないということは当然のことでございます。
 先ほど来、大臣、副大臣からも御答弁ございますように、新しい指定管理者制度におきましては、条例によりまして、業務の具体的範囲でありますとか、使用制限の要件といった管理の基準を定めるとともに、指定管理者の指定に際しましては議会の議決を得る、あるいは地方公共団体の指示に従わないときには指定の取り消しを行うことができる、こういったいろいろな仕組みが整えられているわけでありまして、私どもも、制度上におきましても社会教育法の規定の趣旨が引き続き担保されていく、こういうふうに考えております。
 個別の事例につきましては承知をいたしておりません。
春名委員 それから、公立図書館についても一点聞いておきたいと思います。
 図書館法二章に公立図書館が規定されております。十七条では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」とあります。この趣旨について述べていただきたいのと、今回の指定管理者制度が導入されても、当然ですけれども、この規定は変わるものではないということを確認しておきたいと思います。文部科学省。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 図書館は、図書館法によりまして、図書等の資料を収集、整理、保存をして、一般公衆の利用に供し、その教養等に資することを目的とした施設でございまして、委員御指摘になりましたような、こういった目的にかんがみまして、特に図書館法十七条で、入館料等に係る無償規定が設けられているところでございます。
 今回の指定管理者制度の導入に伴いまして、先ほど来申し上げておりますように、図書館としての目的、性格が変わるものではございませんし、また、先ほど来の仕組みの中に、そういった制度上におきましても図書館法の規定の趣旨が引き続き担保できるのではないだろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
春名委員 時間が参りました。最後に一言申し上げて終わります。
 今、学校給食とか保育所などの民間委託がかなり進んでいまして、その中で、住民の間から、やはり安全の問題、安心の問題、非常に大きな問題になっています。それから、自治体の責任があいまいになっている問題、住民のチェックが入らなくなると、各地で非常に大きな問題が起こっているわけです。
 今回の指定管理者制度は、その流れを促進していくものにならざるを得ないと私は思うんですね。公の施設ですから、営利本位の民間法人をわざわざ参入させることには私は賛成できないなということを改めて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。
 私は、指定管理者制度に限って質問したいと思います。
 地方自治法百四十九条七号によりますと、地方公共団体の長は、「公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。」とされ、二百四十四条の二の三項では、公の施設の設置の目的を効果的に達成する必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、その管理を出資法人または公共団体もしくは公共的団体に委託することができる、このようになっております。
 この規定があるにもかかわらず、今回、指定管理者、つまり、民間事業者、団体にも契約によって管理を拡大することができる、こういうことになるわけですけれども、その積極的な理由は何か。これがまず第一点であります。
 それから、二〇〇二年の七月二十三日の総合規制改革会議の中間とりまとめによりますと、公の施設の管理に関する現行規定は、地方公共団体及び地方公共団体出資の法人等に限定するものではなく、広く民間へ委託することを許容していると述べている。さらに、同年十二月十二日の第二次答申によりますと、この公の施設の管理について、料金決定と収受は委託できないとしつつ、それ以外については広く民間へ委託することは可能であることを直ちに地方公共団体に周知徹底すべきである、こういうまとめをしているわけであります。これに対しまして、同年十月三十日の地方分権改革推進会議による「事務・事業の在り方に関する意見」は、この問題については、受託者の範囲を民間事業者まで拡大すると述べているにすぎません。
 いずれにいたしましても、内閣の諮問機関である総合規制改革会議が、現行地方自治法二百四十四条の解釈について誤解があるから周知徹底せよ、つまり、これまでの解釈は事実上誤りである、こういう答申をしているわけでありまして、これは極めて異常なことだと私は受けとめるわけであります。このような法解釈は、これまでのいろいろな解釈の中にも全く見られなかったことと認識をしております。例えば、自治省の事務次官を務めました松本さんの「逐条地方自治法」を読んでみますと、このような解釈は片りんすら見られません。
 地方自治法の所管大臣として、この総合規制改革会議の解釈をどのように受けとめ、またそれをお認めになっておるのか、これが二点。
 さらに、もし総合規制改革会議の中間とりまとめや二次答申の解釈がまかり通るとするならば、公の施設の管理に関する今回の改正は、私は基本的には必要ないのではないか。これでは、今回の法改正は指定管理者に金を注ぎ込むことが目的と言われても仕方がない。私は、地方自治法をそういうふうな形で扱われる法律にしてはならぬというふうに思うんですが、まず、以上三点について大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 今回は、民間事業者や団体にも契約じゃなくて指定行為によって管理を委託する、こういうことでございまして、これは、いろいろな多様化する住民ニーズに効果的、効率的に対応するためには、民間の事業者の持っておるノウハウを利用することもいいのではないか、その方がおもしろく、しかも、場合によっては安上がりにできるというようなことも考えられるので、先ほども言いましたが、団体によってそうしたいというところにはそれを認めてやる仕組みをつくったというのが今回の改正でございます。
 それから、総合規制改革会議のこの文章は、よくわからぬところがありますけれども、こういうことなんですね。今委託は、例えば清掃や警備、給食だとか、事実行為の委託は契約でやっているんですよ、管理行為じゃなくて。例えば清掃をやるとか、ガードマンで警備をやるとか、給食をやるとか、これは事実行為ですからね。それは民間に契約で外注している。これは事実行為ですからやってもいいので、私は、そういうことをもっとやれという趣旨のことを言っているんじゃないかと。
 こういう指定管理行為みたいなことについては、やはり法律の根拠は要るわけですから。今回は、そういう事実行為でない外部委託もできる、こういう制度に道を開くわけでございまして、ここのところはちょっとこの文章が私はよくわからないんですよ。そういうことでございまして、ぜひそういうふうに御理解いただきたい。
 三点目は、重野委員、大体今の答弁で入っていますか、三点目も。
遠藤委員長 おおむね入っています。
片山国務大臣 以上であります。
重野委員 それでは聞きますが、公の施設について、普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものまたは公共団体もしくは公共的団体に委託している、そういうものが一体どれだけあるのか、都道府県あるいは市町村別に示していただきたい。それから、そのうち利用料金を徴収しているものがどれだけあるのか、その実態を示していただきたい。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 委託の実態、それから利用料金を徴収しているものがどれだけあるかという御質問でございますが、私ども、これは毎年というわけではございませんで、四年に一回ぐらい、公の施設も含めて、その他の施設も含めて、運営事務の外部委託につきまして実態を調査しているところでございます。
 十四年十二月現在の都道府県、政令指定都市の状況について御説明いたしますと、先ほども申しましたように、管理委託に限ったものではございませんが、調査の結果では、まず都道府県におきましては、養護老人ホーム、体育館、陸上競技場などで、九割以上で運営事務の委託を実施しております。また、政令指定都市におきましても、体育館とか市民会館、それから公民館などで、九割以上で運営事務の委託を実施しているということが調査の結果、判明しております。
 次に、利用料金制につきましては、これは十一年の四月一日現在で、ちょっと古い数字でございますが、都道府県におきましては、三十一都道府県、百三十一の施設、それから市町村におきましては、八百五十三市町村、三千二百七の施設でこの利用料金制が採用されておるところでございます。
重野委員 今の説明によりますと、九割強がもう既に委託されているという実態があるわけですね。
 そうなると、先ほど私が申し上げましたように、なおさら、今新たにこういう制度をつくるその目的と申しますか、それは那辺にありや、こういうふうにやはり聞かなきゃなりませんね。今そうではないという状態であればいざ知らず、現に私も、私の地元の自治体、実態はそうだというふうに受けとめていますし、それをさらにそういうふうに変えなきゃならぬという積極的理由というのが、住民の側から見て積極的理由というのがどこにあるんですか。
畠中政府参考人 ちょっと私の御説明が舌足らずで、誤解を生じたらおわび申し上げますが、私が今御説明いたしましたのは、九割と申し上げましたのは、業務の委託も含めた数字でございますので、九割が管理委託、すべて管理委託しているという意味ではございません。
 それから、この管理委託につきましては、大臣も先ほど御答弁をしましたように、第三セクターまでに限られておりますので、今回民間事業者にも対象を広げるということで、先ほど大臣もお答えしたようなメリットが生ずるということが期待されるというふうに考えております。
重野委員 確認しますけれども、今は各県、市町村ともに、例えば運動公園の場合にはそういう協会みたいなのをつくって、そこに年間何がしかの補助金を出して、そして運営を委託している、こういう形ですよね。
 そうすると、今あなた方が提案しているこの形は、もうこの委託者、いわゆる法人に、法人というか管理者に、指定管理者に全部、例えばある運動競技場、サッカー場とか、それを委託した場合には、自治体は一切金を出さない、これは全部いわゆる委託を受けたその業者に任せる、こういう形になるんですか。一切自治体はその運営面において、財政面においても関与しない、関係ない、こういう形になるんですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 個々の施設によって異なってくると思われます。例えば、施設によって、利用料金では当然ペイしないというところもあろうかと思いますので、そういうところは、委託する場合に委託料というものが地方団体から受託先に支払われるということになろうかと思います。また、利用料金制をとって、利用料金でペイするというようなところは、その委託料というのも支払う必要がないというところもあろうかというふうに考えます。
 個々の施設によってそこは違ってくるということで、全く団体が支払わない、委託先に何も支払わないということにはならないというふうに考えております。
重野委員 そうすると、同じ自治体が運営しているいろいろな施設によって、ある施設は公費は一切支出しません、ある施設は公費を負担する、こういう形になるんですね。それを積極的に説得する理由はありますか。何ゆえにそういう形になるのか。そうすると、ある公的施設の本来の目的、何ゆえにそこにそういう施設を置いておるのかという本来の目的論に立ち返った議論に発展するんじゃないですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先ほど施設によって異なってくると申し上げましたが、施設によりまして、民間の事業者に委託し、その民間事業者の経営のノウハウを活用することによって収支相整うというような施設もあろうかというふうに考えておりますので、そういう施設につきましては、この管理の代行制度を利用していただいて、地方公共団体がより少ない経費で住民の福祉の増進を図ることができるようになるものもありますし、また、施設によりましては全然利用料金も取れない、また取ることが不適当だというところもありますので、そういうところにつきましては、先ほど申し上げましたように、委託料ということで支払って、そのコストを賄うということになろうかというふうに考えております。
重野委員 原則的な話になりますけれども、そういう民営化というか、経営を民間に任せる、指定管理者にその施設の運営を任せることの方がメリットがあるという、概略的に、通念的にメリットがあるという、そのメリットとは何ですか。
畠中政府参考人 メリットについてのお尋ねでございますが、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、住民にとりましては、利用料金の引き下げが期待できるということのほか、民間経営者の発想が取り入れられますので、例えば、より多様で満足度の高いサービスの提供を受けることができるということが考えられます。例えば、体育館、プールを民間のフィットネス事業者に管理させることによって、より満足度の高いトレーニングプログラムなどが提供されるということが考えられるんじゃないかというふうに想定されます。
 一方、地方公共団体にとりましても、複数の候補の中から最も施設の稼働率の高いものや、利用料収入の増加を見込めるもの、また経費の縮減が図られるような管理が実施されるものを選択することによりまして、財政負担の軽減とか利用料金の引き下げなんかも期待できるというふうに考えております。
重野委員 まず利用料金が下がるということを最初に言うわけですけれども、民間に任せれば利用料金が下がるというのが固定観念みたいな言い方がされています。例えば、最初は、それまでよりか安い価格で設定します。しかし、だんだんなれてくることによって、気がついたら以前の方が利用料金が安かったということだってこれは間々あることだと思うんですよ。だから僕は、観念的に、これをやったら利用料金が下がるんだということを断定的に言うというのはいかがなものかと思いますけれども、その点どうですか。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
畠中政府参考人 私、決して、断定的に必ず利用料金が下がるんだということを申し上げたつもりはございませんで、私が申し上げた趣旨は、民間経営者のノウハウを活用することによって、より質の高いサービスが提供される、それによって利用者の増加が見込まれて、たくさん来るようになる、役所がやっているときよりかたくさんの利用者が見込まれる、それによって利用料金が低廉化するということが大いに期待できるんじゃなかろうかということを申し上げたつもりでございます。
重野委員 それではちょっと視点を変えまして、先ほども総務大臣も確認されておりましたけれども、いわゆる道路、都市公園、学校、公共下水道、公民館、このように指定管理者にそういう使用料だとか管理をさせることができない仕組みが一方にあります。したがって、そういう仕組みの中で、今回の改正目的の、今説明がありましたけれども、料金決定とその収受が指定管理者によって自由に行うことができるという趣旨に対して、今申し上げましたように、常にこういうところには入ることができないわけですね、今私が列挙しましたけれども。
 そうすると、そういう制度的枠組みがある中で、いわゆる決まる指定管理者がどれほど参入できるキャパシティーといいますか範囲はあるのかという点、その見通しについてどのように考えておられますか。
若松副大臣 この法律が施行されますと指定管理者制度の活用が期待されるところが、今申し上げました、いわゆる都市公園法があるわけでありますが、都市公園、さらには社会教育法ですか、公民館、特に、地方自治体におきましては公民館が大変多いんですね。
 これに対して、実は私どもの選挙区では、北本市が公民館特区というのを申請しまして、いわゆるこれは指定管理者ではなくて、住民の皆様にやっていただく、実はこの方がお金がかからないんですね。こういうような発想をやはりもっともっと活用していただくという観点からの法律の改正というのもぜひ議論していただきたい。
 そういうふうに考えますと、指定管理者制度の活用だけではなくて、もっともっと住民を活用するという、私はもっと広い意味のこの法律改正の活用というものを検討していただきたいと考えております。
重野委員 いや、それもそうだと思いますが、そこで、聞いたのは、この法律をつくっていく過程の中で、これをつくった場合に大体どれくらいの地域あるいは施設に、いうところの指定管理者が参入してくるのかな、そういう想定というのか目算というのか、そんなものも当然議論の中で出ていると思うんですね。そこら辺はどのように見ているんですか。
畠中政府参考人 若松副大臣が今お答えになりましたが、ちょっと補足的に御説明申し上げますと、先ほど先生から、道路、都市公園、学校、公共下水道、公民館等々はできないんじゃないかという御指摘がございましたけれども、道路とか学校、公共下水道については、先生の御指摘のとおり、個々の法律で管理主体を地方公共団体に限っておりますので、この指定管理者に管理させることはできませんが、都市公園それから公民館につきましては、その活用が可能ということと承知しております。
 それから、どのくらい見込めるのかという御質問でございますが、ちょっと定量的に把握したものがございませんが、先ほど副大臣も御答弁申し上げましたように、特区制度に関しまして、かなりの地方公共団体から、第三セクター以外の民間の事業者にもその対象を拡大してほしいという要望が多うございまして、これは図書館とか学校とか等よりも要望としては含んでおりました。公園等もございました。
 それで、大臣の御指摘もございまして、個々の自治体ごとにでこぼこがあってはいかぬということで、今回この地方自治法の改正をお諮りしている一つの契機ということで、かなりの団体、ちょっと幾つの団体か、資料がございますが、かなり多くの団体から特区制度に関してそういう御要望が出ていることは事実でございます。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
若松副大臣 委員の今の御質問は、恐らく定量的にどのくらいあるのかという答弁を期待されているのだと思いますので、そういった観点から、この指定管理者制度が利用できる大所として、例えば保育所がございますね。これは平成十二年度ですが、全国二万三千六百五カ所ございます。さらには老人ホームですね、これにつきましても、やはり十二年度六千八百三十五カ所ございます。それと公立文化施設、これにつきましては、例えば県民会館、市民会館等なんですが、これが全国三千三十九施設、図書館ですと二千六百二十施設、さらには博物館は六百四十四施設、このほかにも公立体育館等ございまして、かなりの利用が見込まれると考えております。
重野委員 もう時間が来ました。まだまだたくさん用意しておったんですけれども、通告していてそこまで行かずに大変申しわけなく思います。
 いずれにいたしましても、私は、自治体と自治体住民がどう向き合うか、その自治体住民に対するサービスというのは、これはもう自治体の本務であります。その部分が結果として何か遠いところに行ってしまう、こういうことについては非常に強い懸念を持っております。そういう点を強調しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 最初に、東京都の石原知事によります新銀行構想につきまして質問をしたいと思います。
 先週の二十三日でございますけれども、構想が発表されました。これは、今の中小企業を取り巻く金融情勢、そうした観点から、私は、今の流れの中で出てきている、都立として都がやることが最高のやり方かどうかはともかくといたしまして、いわゆる中小企業を取り巻く状況の中で一つの望まれる方向性が出ているんではないかと。まだ詳しい中身は発表されておりませんので、今後に待つところ大でありますけれども。
 一方におきまして、きょうの質疑でも出ておりましたけれども、官による民業圧迫のおそれとか、いろいろなとらえ方もあるわけでございますが、地方公共団体がこうした分野に乗り出す、政府系の金融機関もあるわけでございますけれども、その点につきまして大臣の基本的な認識をお伺いしておきたいと思います。
片山国務大臣 石原知事さんのお考えを正確に聞いたわけでもありませんし、どうとかということを私も詳細に知っているわけではありませんけれども、今の金融の中で中小企業金融等についてはなお不備がある、無担保融資みたいなものを新しい信用力を創出して手当てすべきではないか、こういうお考えで、東京都が中心になって出資する銀行をつくろうと。
 ただ、地方自治法その他の法律で、それはできないということは一切書いておりませんので、あとは、先ほども申し上げましたが、銀行法を初めとする関係法令に基づいて所要の手続をとって、所管官庁においてこれは適切な審査、対応をして、結論が出るものだと。
 十六年度中につくろう、こういうことのようですね。十六年度中というとまだ二年近くあるわけでございますけれども。だから、それはそれで、都知事さんが発想されて、都議会もそれを承認し、都民の皆さんもそれを支持するんなら、私はそれは一向構わないんではないかと。
 ただ、こういうことは初めてですからね。だから、それは初めてとしてはやはりそれなりの対応が要る。民間の金融機関や既存の政府系金融機関との役割分担や、費用対効果や、うまくいかないときには税金を取ることになると困るわけでありますから、そういうことについて十分な検討をしていただく、都民の皆さんにも情報を提供していただく、その上でしっかりした意味のある銀行をつくるというなら、それはまさに地方自治の一つのあり方ではないか、こういうふうに思っているわけであります。
金子(善)委員 細部については、大臣も言われましたように、今後を待たれるところでありますけれども。
 きょうの質疑の中で、東京都は別格であるような大臣の発言もちょっとあったわけでございますけれども、恐らくこの動きは全国的な動きに拡大する可能性もないとは言えない。そういう意味で、総務省といたしましても、この明確な判断というものを準備された方がいいんではないか、このように思います。
 次に移らせていただきたいと思います。
 今度の法改正でございますけれども、地方公共団体の組織、それから公の施設の管理に関するいわゆる規制緩和の法律内容でございますから、これは非常に結構なことだというふうに思います。
 そうした中で、特に都道府県のいわゆる法的規制が廃止されるということでございますけれども、総務省といたしまして、地方公共団体の組織がどうあるべきかは、それぞれのところの団体の特性と申しますか、地域の実情を考えてつくればいいわけでございますけれども、基本的には、最小の経費で最大の効果を上げるということであろうと思います。
 そこで、総務省としても、これまでは規制を行ってきたわけでございますから、規制を廃止するというそこの目的とするところはわかっておりますけれども、何らかの総務省としての考え方もあるんではないかと思います。
 そんなところで、都道府県の組織のあり方ということで、どういうような姿というものを期待しているのかという観点で御答弁をお願いしたいと思います。
吉田大臣政務官 お答えをいたします。
 自治の自主性をそして独立をもっと徴していこう、こうしたことから都道府県の局部の法定制度の廃止、こういうことであります。委員御心配いただいております地方行革、この観点から何もかも規制を緩和してしまって大丈夫なのか、こうした意味もおありの上でと私は今感じているわけです。
 今の社会情勢からかんがみまして、経済状況も見て、それぞれの自治体の長あるいは議会、少しでも住民の利得になるように、幸せになるようにということで運営されるわけでありますので、その点については心配ないかな、こう思いますけれども、ただ、最小のコストで最大の効果を上げると今委員おっしゃったとおり、そのことをしっかりと守っていきたいという意味で、今般の改正で、当該地方団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならないという、地方自治法第百五十八条第二項で規定したのもそれらのことから、このようになっております。
 そして、総務省としては、各都道府県が今回の法律改正の趣旨を十分に御理解いただいて、そして、地方行革の観点を十分に踏まえて、多様な行政需要に的確かつ機動的に対処できる行政組織を編成されるようにということで期待をしていきたい、このように考えております。
金子(善)委員 また、ただいまの御答弁に関連してでございますが、先般、地方制度調査会が中間報告を出しております。その中で市町村合併の進め方について論じておりますけれども、今、総務省を中心に全国の市町村の合併問題ということで推進を図っている、そういう状況にあるわけでございますけれども、そういう中で、中間団体としての都道府県の存在意義というものがかなり変わってくる可能性があるというふうに思われるわけであります。
 そういう中で、この今の組織の問題とあわせて、これからどのような方向に都道府県行政というものが位置づけられるというふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
若松副大臣 私、総務省の市町村合併推進本部の本部長を仰せつかっておりますので、答弁させていただきますが、四月三十日の地方制度調査会の中間報告でございますが、これは、市町村のいわゆるあり方、基礎的自治体という観点からすれば、かなり議論は煮詰まってきているのかなと思っております。
 あわせて、都道府県さらには大都市、これはこれからさらに議論が必要になろうかと思っておりますが、総務省といたしましては、そういった地方制度調査会等の議論も踏まえて今後の対応というものを検討しなければいけないわけでありますけれども、いずれにしても、基礎的自治体というものが、いわゆる市町村ですね、これがしっかりしてくればやはり都道府県という機能は当然と変わってくる。
 そこで、その都道府県がどうあるべきかということでありますけれども、やはり都道府県そのものが自立して、かつ広域的地方公共団体としての責務をより積極的に果たす、やはりこういった観点から今後どうすべきかという議論が必要ではないかと考えております。
金子(善)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
桝屋委員 委員長、緊急発言。
遠藤委員長 ただいま桝屋敬悟君から発言を求められました。これを許します。桝屋敬悟君。
桝屋委員 委員長のお許しをいただきまして、そして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、そして社会民主党・市民連合及び保守新党の皆様、各会派の御賛同をいただきまして、緊急に発言をさせていただきたいと思います。
 本日の議論でもございましたけれども、三位一体改革の望ましい姿、それから具体的工程を含む改革案づくりについてであります。
 今日までの経緯を見ておりますと、特に分権会議の議論を聞いておりますと、我々こうした政治の舞台の声、そして何よりも地方団体の声が全く無視をされている、甚だ遺憾であると言わざるを得ません。
 今の議論を見ておりますと、何のために市町村合併を今まで取り組んできたのか、このように考えざるを得ないわけであります。また、そうした声が全国三千二百の市町村の現場にあるいは都道府県の現場に満ちあふれているわけであります。
 地方団体の財政状況等を踏まえるならば、あくまでも改革は、税源移譲を伴う三位一体の改革でなければならない。この基本的な方向をもって、そして、こうした私たちの議論、政治の重みをしっかりと大臣も感じていただきまして、今後の取り組みをお願いしたい。六月二十三日に向けてこれから議論が進んでいくわけでありますが、この委員会の今後における議論を十分尊重してやってもらいたい。
 以上、片山大臣に強く申し入れたいと思いますが、大臣の発言を求めたいと思います。(拍手)
片山国務大臣 大変結構な緊急発言をいただきまして、ありがとうございました。
 委員の御発言の趣旨を十二分に尊重して、今後とも適切に対応してまいります。(拍手)
桝屋委員 これからこの委員会でもこの問題は避けて通れない課題でありますから、委員諸氏の御協力のもと、一致団結して取り組みを進めたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
遠藤委員長 片山総務大臣におかれましては、ただいまの桝屋敬悟委員の発言を委員会の意思として重く受けとめていただきたいと委員長からも御要望しておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 現行制度のもとでは、住民の福祉を増進する目的で自治体が設置する公の施設の管理委託の対象は、公の施設を設置した当該自治体以外の自治体か、利潤追求を主たる目的としない公共的団体、あるいは当該自治体が出資している法人で政令で定めるものと、いずれも公共性を持つ団体に限定されています。
 法案は、この管理委託の対象を、民間のノウハウの活用を図ることを理由に、公共性を持たない、営利を目的とする民間法人にまで拡大するものであります。
 民間が管理することで単なる施設管理以上の施設の活用が期待されるとしていますが、地域住民にサービスを提供するということは自治体本来の任務であり、それを民間法人にゆだねるということは自治体の責任放棄と言うべきものであります。
 民間委託については、住民がサービスを受ける時間帯そのものの拡大はあるものの、サービスの質の後退や委託業者の情報管理の不徹底によるトラブル等が発生しており、公共性が担保されない、営利を追求する民間法人への対象拡大は、一層この傾向を強めることになりかねないことを指摘して、討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、来る二十九日木曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会


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