衆議院

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第10号 平成16年3月23日(火曜日)

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平成十六年三月二十三日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    平沢 勝栄君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    稲見 哲男君

      大出  彰君    岡島 一正君

      川端 達夫君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      橋本 清仁君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  森口 泰孝君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            武智 健二君

   参考人 

   (日本放送協会会長)   海老沢勝二君

   参考人         

   (日本放送協会専務理事・技師長)         吉野 武彦君

   参考人         

   (日本放送協会専務理事) 関根 昭義君

   参考人         

   (日本放送協会理事)   安岡 裕幸君

   参考人         

   (日本放送協会理事)   宮下 宣裕君

   参考人

   (日本放送協会理事)   和崎 信哉君

   参考人         

   (日本放送協会理事)   野島 直樹君

   参考人         

   (日本放送協会理事)   中山 壮介君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     橋本 清仁君

  山花 郁夫君     岡島 一正君

同日

 辞任         補欠選任

  岡島 一正君     山花 郁夫君

  橋本 清仁君     黄川田 徹君



    ―――――――――――――

三月二十三日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出第一〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官森口泰孝君及び総務省情報通信政策局長武智健二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井美穂君。

高井委員 おはようございます。民主党の高井美穂と申します。

 本日は、トップバッターを切って質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は昭和四十六年の生まれで、徳島県の三好郡という小さな山合いの町に生まれまして、その当時はNHKの総合と教育と四国放送という三局しか映らなかったもので、私にとってテレビというのは、そんなにずっとべったりの身近なものではなかったんですけれども、やはりここ数年、テレビの影響というのはすごく日本国全体にとって大きくなってきて、公共放送であるNHKの方の立場というか重要性はますます増しているというふうに考えています。

 昨年も、視聴率をめぐって、日本テレビ社員が起こした事件に象徴的なように、視聴率至上主義のテレビ文化はいろいろの弊害を生んでいると思います。

 その中で、NHKの歴代の会長の中でも、海老沢会長は特に視聴率を重視しておられるというふうにいろいろな御発言の中でお聞きしておりますけれども、公共放送でありますNHKにとりまして、視聴率をどのようにとらえておられるのか。また、公共放送なのだから、ある意味で視聴率を気にせずに、硬派で、ばしっと内容勝負でいっていただければ、そういう行き方もあると思うんですけれども、海老沢会長はいかが思っておられるでしょうか。お願いいたします。

海老沢参考人 お答えいたします。

 私どもNHKは、公共放送といたしまして、公正で信頼されるニュースを初め、視聴者の心を豊かにするような質のいい番組を提供するのが使命だと思っております。いたずらに視聴率至上主義にとらわれないで、教育、教養番組、あるいは日本の伝統文化を紹介するような番組、あるいは福祉番組等は、視聴率よりは質を図っていかなければならないだろう、常日ごろそういう指導をしているところでございます。

 ただ、ドラマなり音楽番組なり、いわゆる娯楽番組につきましては、できるだけ多くの視聴者に見てもらいたい、あるいは視聴者に我々は感動を与えたい、そういうことで番組をつくっております。そういう面で、我々、視聴者を大事にする立場からは、娯楽番組につきましてはできるだけ多くの方に見てもらいたい、そういう姿勢でやっております。

 ただ、今問題になっておりますような視聴率第一主義、つまり大衆に迎合するようなものでなくて、あくまでも我々は、視聴者の生活に役立ち、心を豊かにするような質のいい番組をつくるのが使命と思っております。今後とも、その方針にはいささかも変わりございません。

高井委員 ありがとうございました。

 公共放送とはいえ、やはり見る方が楽しんでいただける放送を提供するというのはすごく理解をできます。ただ、本当に視聴率だけを追いかけていくと、私は、例えば言論の府である国会中継なんというのは視聴率が低いというふうにお聞きしているんですけれども、ぜひとも、公共放送であるがゆえに、やはりずっと放送を続けていただきたいと思っておりますし、また、「日曜討論」のような硬派な番組もできたらずっと続けていただきたいなというふうに思っています。

 日本テレビ事件を受けまして、昨年暮れですか、放送倫理・番組向上機構、BPOが見解を出しておられる中に、「過大な視聴率依存を改めるためには、番組の質を測定する視聴質調査も併用して総合的に評価すべきである。」というふうにした上で、「NHKと民放各社がこれまで個別に進めてきた視聴質研究を発展させながら、放送界全体としての新たな番組評価基準づくりに向けた対策機関の設置が必要」だというふうに提言しているというふうに聞いております。

 視聴質という考え方自体は一九八〇年代から言われてきたもので、決して新しいものではないというふうに認識しておりますけれども、視聴質についてはどのようにとらえておられるのか。また、民放と違って、本来的には視聴率にとらわれない番組づくりができるNHKとして、このBPOが提言した新たな番組基準づくりについてどのように取り組んでおられるのか、教えていただきたいというふうに思います。

関根参考人 今お尋ねの視聴質というものにつきまして、NHKが今の時点で明確な基準とか判断の根拠といったものを持ち合わせているわけではありません。

 ただしかし、我々としましては、昭和五十九年から、NHKの番組について視聴者が一体どういう見方をされているのか、どういう評価をされているのか、さまざまな試みをしてきています。とりわけ、平成十三年度から、番組の質的評価のための指標を開発していくための試みとしまして、今、年に二回、番組総合調査という呼び方でやっていますけれども、俗称、我々は満足度調査という言い方をしていますけれども、これを実施しています。

 この調査というのは、首都圏の十六歳以上のおよそ二千三百人を対象にしまして、NHKと民放の夜の番組でありますけれども、大体百五十分程度抽出しまして、どの程度こういった番組を見ているのか、要するに視聴頻度とか、番組を見て満足したのかどうか、さらに、この番組についてはどういった理由で見ているのか、つまり、番組を見て役に立つとか感激したとか元気をもらったとか、そういった項目について今調査をやっているところであります。

 こういった調査に加えまして、平成十六年度からは、これまで年二回やってきました個人視聴率調査というものを今回からは五回にふやします。五回にふやすだけでなくて、四十七都道府県で、補完的な調査としまして、視聴者の意向調査といったものをやろうかと考えています。つまり、NHKの番組について、どういった評価をしているのか、さらに、どういった要望があるのか、できるだけ多角的に視聴者の意向をまとめてみたいということも考えています。

 さらに、我々は、全国に千二百人の番組モニターというのがいます。こういった方々について、項目としましては十二項目ほどあるんですけれども、個別の番組についてさまざまな意見をちょうだいして、それを番組づくりに生かしていくという手法を取り入れているところでございます。

高井委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、今後も質のよい番組提供のために、お願いをしていきたいというふうに思います。

 次に、地上波デジタル放送のことについて少しお伺いしたいと思います。

 地上波デジタル放送、一部はもう開始されているようでございますけれども、私どもにとりまして大変高画質で高機能な電波ということで、私の方でも放送があることを大変楽しみにしております。

 いわゆるアナ・アナ変換への対応も順調に進んでいるというふうにお聞きしているんですが、一部で、また別に聞いたところによりますと、現在の放送、アナ・アナ変換がまだ対応していないような御家庭では、地上波デジタルの電波の影響で混信が起こったり、一部マンション等の共聴施設では混信が起こったりする可能性があるという、また、起こっているという事例が報告されているようなんですけれども、今後、この地上波デジタル放送エリアが広がっていくに当たってこのような事例が広範に出てくる可能性もあるというふうに懸念をしているところであります。

 このような混信を防ぐための費用負担のあり方について、国と放送事業者の間で協議するというふうにはお聞きしているんですけれども、この点につきまして、NHKの皆さん、また総務省の方のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕

和崎参考人 今、アナログ放送の受信障害についてのお問い合わせでございますけれども、いわゆる地上デジタル放送の開始に伴いまして、現在のアナログ放送をごらんになっている方の受信機の設置状況、あるいはデジタル電波の送信状態によって、いわゆるデジタル電波がアナログの受信に影響を与えるという共聴飛び込み障害といった受信障害が実際に起こっております。

 昨年の十二月から東名阪で地上デジタル放送を開始いたしましたけれども、まだアナ変対策が十分に行われていないために、送信電力を今抑制しております。そんな関係で、現時点での受信障害は大変小規模なものだと理解しております。具体的には、東名阪で約二百件程度の受信障害が発生して、これについては、共聴施設のフィルターを取りかえるといったような対策を行っております。

 いわゆるアナログからデジタルへの移行というのは国の施策でございますので、こうしたことによって起こる受信障害については、基本的には、NHKも民放も、国がその対策を行うべきだと考えております。

 こうした中で、今後送信出力を上げていくことによってさらに受信障害はふえるかとも思っておりますけれども、さらに、東名阪以外の地域での受信障害については、今、全国地上デジタル放送推進協議会において調査を行っておりまして、四月中には全体的な規模等の概算が出るのではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、この受信障害の対策は国が行うべきものと考えておりますが、今後、この協議会において協議をしていく、こういう構図になっております。

武智政府参考人 ただいまNHKの方からもお答えがあったわけでありますが、総務省としての考えを御説明したいと思います。

 先生から御指摘のあった混信に該当すると思われるものは、総務省で設置をしております相談センターの方にもこれまでお問い合わせをいただいているところであります。したがいまして、地上デジタル放送が開始されますと一部の施設で御指摘のような混信が生じる可能性があるというふうに認識をしておりまして、先ほども若干御説明がありましたが、現在、こうした混信の全国的な発生規模がどのようなものになるかということにつきまして、放送事業者と協力をしながら調査を進めているところでございます。

 総務省といたしましては、これまでも、共聴施設における混信について相談センターに御相談があった場合には、対応方法についてアドバイスを行うとともに、放送事業者に対して情報提供を実施しておりまして、先ほどNHKから答弁がありましたように、放送事業者において現在適切に対応をしていただいているところであります。

 したがいまして、今後は、先ほど申し上げました調査の結果も踏まえまして、視聴者に混乱を生ぜしめないよう、放送事業者と協力しながら、御指摘の費用負担の問題も含めて的確に対応していきたいと考えているところであります。

高井委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、今後も対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、時間が少しですけれども、一つだけ御意見を伺って終わりにしたいと思います。

 NHKの個人視聴率調査で、調査が始まって以来初めてテレビの視聴時間が四時間を超えたというふうに聞いています。放送人としてこのようなことにどのような御感想をお持ちになるのか、お伺いしたいと思っています。

 実は、私も一歳八カ月になる子供がおりまして、この間の新聞で大変懸念するような、余りテレビを長く見続ける子供は言葉の発達がおくれるというようなデータが出ていたようで、私も大変衝撃を受けまして、いろいろと、NHKというよりもテレビとのつき合いを、多分私自身も、また放送界としても、うまく誘導するといいますか、いいつき合い方を今後していかなくてはいけないんじゃないか、このような懸念を持ちました。

 放送人であるNHKの会長としての御意見を最後に伺って、終わりにしたいと思います。お願いします。

海老沢参考人 お答えいたします。

 視聴率調査といいますか視聴時間の調査は、NHKは毎年、年に二回行っております。去年の十一月のデータによりますと、一日平均で、初めて四時間五分というこれまでで最も長い時間。二十年前、一九八五年ごろは一番少なくて三時間十分台まで下がりましたけれども、その後だんだんと視聴時間がふえまして、十年ほど前から三時間四十分から三時間五十分の間を行ったり来たりしておりました。今回初めて四時間を超えるという数字になりました。

 アメリカ等では、二〇〇二年の調査によりますと、アメリカは、平均ではなくて、十八歳以上の成人といいますかアダルトの場合に、四時間三十七分という非常に高い数字が出ておりますし、十七歳以下では三時間七分という数字、そして、家庭の主婦は子供たちより二時間多い五時間七分という数字が出ております。それほど世界各国とも視聴する時間が長くなっている傾向を示しているようでございます。

 それにはいろいろな理由があると思います。週休二日制が定着してきたこととか、あるいは、アメリカでの同時多発テロ事件とか、イラク戦争とか、日本国内でもオウム真理教事件とか、いろいろな事件があったためにそういう方向に向かってきたとか、いろいろ説明がありますが、いずれにしても、こういう多メディア多チャンネル時代、つまり、インターネットなり情報端末機器がこれだけ出てきている中で、テレビの視聴時間が下がらない、さらに上がる傾向ということは、我々にとっても非常に意外なことであります。

 ただ、いずれにしても、テレビの影響は非常に大きいということで、我々も、やはり心していい番組をつくらなければならないということを今改めて感じているところでございます。それと同時に、やはり子供に対するテレビの影響が大きいわけですから、そういう面で今、子供を対象にしたテレビの影響というものを調査し、これからそれを参考にしていきたいと思っております。

高井委員 ありがとうございました。質問を終わります。

野田(聖)委員長代理 次に、田嶋要さん。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要です。

 私も、地上デジタルサービスに関する質問をさせていただきます。

 まず冒頭、この地上デジタルサービス、昨年十二月から始まったということでございますが、これは国策事業であるというふうに聞いておりますが、この国策事業ということはどういう意味かということを、まず冒頭、総務大臣の方からお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、デジタルになりますと、従来と違って放送がいわゆる双方向になってみたり、また、画面がデジタルのハイビジョンになりますと人の顔色が見える等々は、医療なんかの場合におきましても著しく影響が大きい。

 例えば、救急患者等々の顔色をデジタル放送で病院に送って、病院でその患者の顔を見て病状を判断でき得るというところまでいきますと、救急患者につきまして適切な薬等々を搬送中に打てるなどなど、いろいろな意味で影響が極めて大きいと存じますので、こういったICTの、いわゆる技術の発展に伴ってこれに国全体として取り組んでいくべき、それが結果として国の、いわゆる医療費等々の歳出減にもつながるでしょうし、いろいろな意味で、非常に大きな点から考えて国策に値するということだと存じます。

    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋(要)委員 ということは、すなわち、それぞれの放送事業者等にとっては、やらないという選択はなくて、もうとにかく先般決まった一一年の七月を目途に切りかえていくということで、ノーチョイス、選択肢なしというふうに考えてよろしいですか。

麻生国務大臣 そのようにお考えいただいて結構です。

田嶋(要)委員 この一一年七月という目標に関しては、これは絶対に動かさないというようなお考えですか。

麻生国務大臣 これは、テレビのときにも難視聴地域やらいろいろ山間部において出たり、高いビルがあったりしてなかなか難しいという点、これはある程度考えておかねばならぬところだとは思っておりますけれども、基本的には一一年という目標で進んでおります。

田嶋(要)委員 来年度のNHKの予算を見てみましても、このデジタル関係の設備投資というのは大変大きな割合を占めておるわけで、言ってみれば、テレビ会社等にとりましてこれから最も大きな事業リスクを抱える部分がこのアナログからデジタルへの移行ではないのかなというふうに考えておりますが、経営判断をさせることなくこれを国策として国が行っていくということであれば、この事業リスクをどのように国としてシェアしていく、分担していくかということが出てくると思いますが、その点に関しましては、今までどのようなことをやってきたか、あるいは、これからどのようなお考えですか。よろしくお願いします。

田端副大臣 お答えいたします。

 おっしゃるように、確かに、放送事業者に対する財政的、資金的な問題というのは大変大きいものがあろう、こういうふうに認識しております。

 総務省としてはこれまで、デジタル化投資ということで、設備投資の負担を軽減させるという意味で、税制支援措置あるいは金融支援措置等いろいろな形で行ってきたところであります。例えば、法人税の特別償却とか固定資産税の減免とか、無利子、低利融資とか、あるいは債務保証等々、そういった資金面でのこともあります。

 また、今月中にはさらに、特に、例えば地方局の場合は資金力が大変弱いという意味でいろいろな問題があろうかと思いますが、地方局における放送局の相互の合併とか、あるいは大幅な資本出資を認めるとか、こういったことも、マスメディア集中排除を緩和するということで、新たな制度を今実施することに方向として決まっております。

 いずれにいたしましても、そういう意味では、民間の事業が円滑にデジタル化に向かって進むように公的な支援のあり方について今後も考えていかなきゃならない、こう考えております。

田嶋(要)委員 デジタル波の特性を考えてみましても、直進性が非常に強いとか、これからなかなか思ったように見られない地域がいろいろ出てくるかと思います。

 NHKの来年度の設備投資額を見てみましても、その中に占める国からの補助というか支援という金額が三十八億円程度ですか、アナ・アナ変換に関連する補助金のようなものが入っているわけですけれども、これをもっと国の支援を大きくしていかないと、やはりNHKあるいはそれ以外の事業者にとってもこのデジタル化投資というのは非常に負担がきつくなってくるのではないかというふうに考えておりますが、その点はいかがでしょうか。

田端副大臣 今も申し上げましたように、確かに、放送事業者に対する支援というのはいろいろな形で考えなければならないと思っております。地上デジタル放送施設の整備に対する支援スキームというものが既に平成十一年十一月に施行されておりまして、この認定事業者だけでも今百十七社が認定されておりまして、そういう形で、今いろいろな形で、地方税あるいは国税等を含めて支援をしているところでございます。

 また、先ほど申し上げましたが、地方のテレビ局については、今まで現行では、隣接地域間の連携というのは資本が五分の一以上はだめだということになっておりましたが、今回三分の一まで認める、そういうことにもなっておりますし、そしてまた、隣接する地域の場合においては、例えば子会社化とかあるいは合併とか、こういうことも緩和していこう、今こういう方向で、今月中にはその方向が取りまとめられるということになっております。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 事業リスクというときに、もう一面は情報公開、つまり、デジタル化に関連する情報がどのぐらい消費者、世の中に周知をされているかということが密接な関係があるというふうに私は考えます。

 総務省のホームページを見てみたんですが、確かに、地上デジタルテレビ放送に関しまして、パーフェクトガイドというようなものを用意して説明をいたしております。要するに、デジタル化がいついつから始まります、デジタル化をするとこれだけいいことがいろいろとございますというようなことが書いてあるんですが、私が懸念するのは、最も重要だと考えられる一つは、今のテレビが使えなくなるということだと思います。私は少なくともそれを知りませんでしたし、周りに聞いてみたところ、だれ一人としてそれを知っている者はいませんでした。

 先日いただいた総務省からの資料では、地上波デジタルテレビ放送に関する認知度調査で、極めて最近の調査で、アナログ放送が終了することについて約半数が認知をしている、ことしの三月時点で、半数が認知をしているというふうに報告をされておりますが、本当かなというふうな思いが私はあります。

 アナログ放送が終了するということと今のテレビが使えなくなるということは、必ずしも世の中の人は一致をして考えていないのではないのかな。確かにデジタルサービスが始まる、それは大変結構なことですが、白黒からカラーテレビに変わったり、あるいは衛星テレビが始まったり、そういうようなことと同じように、また一つメニューが加わったのではないかというふうに世の中の人は一般的には受けとめているのではないのかな、そのように考えます。

 こういった状況を考えますと、二〇一一年の七月に、例えば年金暮らしをしているひとり暮らしのお年寄り、年金は毎年どんどん下がっていき、そしてその人にとっての大きな出費は住宅費、賃貸だ、そういった中で唯一の楽しみがテレビを見ること、恐らくそういった生活スタイルの高齢者というのはこれからますますふえてくると思います。そういった人々にとって、ある日突然、自分が十五年前に買ったテレビがただの無用の長物になる、そういうことを知らされて途方に暮れてしまうということがこれから起きるのではないのかなというふうに思っております。

 情報公開という点に関しまして、総務省は今どのようにお考えか。私は、全く情報公開が足りない。特にまずい点、つまり、デジタルテレビが始まるとこんないいことがありますよ、それはいっぱい書いています。ところが、ホームページの中で、使えなくなりますよという点に関しては、一切ではないですが、十分述べていないという懸念があります。その点に関して、どのようにお考えかを総務大臣の方から伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘の点につきましては、これは総務省だけでやれる話ではありませんので、基本的には、今、例えば販売店、メーカー、放送事業者、自治体等々いろいろなところで地上デジタル推進全国会議というのを取り組ませていただいて、いわゆる周知広報のプランというのをいろいろ実行させていただいておりますし、事実、ビックカメラ等々に行っていただくと、そこには、このテレビは二〇一一年からチューナーがなければ使えませんと書いて売ってあります。

 そういった意味では、それを読んでいないと言われたらちょっと困っちゃうんですけれども、先生は名古屋生まれでどこが出身地か知らぬけれども、私のおります人口八万の町の電器屋さんにもそうちゃんと書いてありましたので、一応そういうことにはなっておるな、そう私自身は思っております。

 ただ、まだ完璧ではないと言われれば、今の調査によりましても、地上デジタル放送が開始されておるということを四人に三人は認知、二〇一一年にアナログ放送が終了することについては約半数が認知というのが、総務省の資料でもあります。

 ただ、アナログ放送の今のテレビは使えなくなるというのは、今のままでは使えなくなるのであって、チューナーをつければ見えることにもなりますので、それが丸々廃棄物になるかのごとき話は少し違うのではないかと思います。

 いずれにしても、周知をさらに徹底するために、より一層、広報というか、そういった意味での努力は今後とも必要だと存じます。

武智政府参考人 先生御指摘の点で一点、事実関係について御説明をさせていただきたいと思います。

 先ほど御指摘の際に、アナログ放送が二〇一一年に終了することは知っていてもチューナーについてはどうかというお尋ねがありましたが、私どもがいたしました調査、先ほど先生が引用された調査でございますが、御指摘のとおり、五一・九%の方が二〇一一年にアナログ放送が終了するということを知っていらっしゃる、同時に、視聴するには専用の受信機またはチューナーが必要であるということにつきましても、八三・〇%の方が認知という結果が出ております。

田嶋(要)委員 先ほどの総務省のホームページでございますけれども、その中にQアンドAというのがございまして、今のテレビは使えますか、買いかえる必要があるのですかと。確かに、総務大臣がおっしゃるとおり、こういう説明がありました。基本的には、現在御使用中の地上アナログテレビでも、デジタルテレビ放送を変換して受信するチューナーを使用することにより、デジタル放送を視聴することが可能ですと。

 私は、こういう説明は紛らわしいと思うんですね。これは、基本的には使えないというふうに言うべきだと思うんですよ、何もしなければ見られないんですから。だから、二〇一一年以後、ただの箱になってしまうんですか、答えはイエスだと私は思います。ただし、お金をかけてチューナーを買えば見られますよという、そっちが後に来なきゃおかしいと私は思う。これは世の中の人は混乱をすると思うんですね。

 それで、チューナーというのは幾らかかるか。今大体六万円前後というふうに聞いておりますが、十五年前に二万円で買ったテレビを細々と見ている方は大勢いらっしゃると思います。テレビはなかなか壊れません。そういった中で、このチューナーを買うために五万円の設備投資を一人一人日本じゅうの方に負わせる、そういうことが妥当でしょうか。大臣、御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 安いにこしたことはないと思います。今から二〇一一年までの間に随分たくさん物が出れば、相対的にこの種の製品は値段は安くなると思いますので、今と同じように六万円の状態がそのまま続くとはとても考えられませんけれども、いずれにいたしましても、そういったものはなるべく安くという方向は、努力をせねばならぬところだと思っております。

田嶋(要)委員 普通は、過去にいろいろと新しいサービスが出てきたときに、そのチューナー等の値段が、大量生産の効果で価格が下がってくるというのはよくあることでございます。私もそのように考えます。

 しかし、今回のデジタル化に関しては、メーカー側あるいは量販店にはデジタルテレビを売っていきたいというインセンティブが働いているわけですね。それで、デジタル化のRアンドD、設備投資、研究開発に膨大なお金を投資してきたメーカーも、そっちを売っていってほしいということになりますと、チューナーを余り宣伝したくないというインセンティブが働くと思うわけですね。

 だから、私も試しに量販店に電話をしてみましたけれども、彼らの口からは決してそういうような営業はいたしません。私からいろいろ根掘り葉掘り聞くと、嫌々ながら、チューナーを買っていただいても、チューナーも置いていますよという、そんなような程度の営業、そういった姿勢でしか売らないと思うんですね。そうすると、このチューナーに関しては、今おっしゃられたような大きな価格の値下がりというのは起きてこない。

 いずれにしても、仮に二万円ぐらいまで下がってきたとしても、十五年前、二十年前に数万円で買ったテレビのためにそれをわざわざ買わなければいけない、これは個人にとって非常に負担ではないかと思います。年金で暮らして家賃を払って、あとはテレビだけ。テレビのいいところというのは、昔一回買ったら、まあNHKの受信料を除いては、その後ずっとお金をかけずに楽しめる。そういった唯一の楽しみが、この二〇一一年の七月二十四日に突然奪われてしまう。これは私はある意味では非常に乱暴なやり方じゃないかと。

 国策だとおっしゃいますけれども、もう少しきっちりと情報公開をして、なおかつ、消費者に対して負担を軽減できるようなどういった策があるのか、それを検討する必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

田端副大臣 おっしゃるように、確かに、国民一人一人にとって経済的な負担はあろうかと思います。同時にまた、御指摘のように、周知徹底ということは、まだまだこれからしていかなきゃならない点もたくさんあろうかと思います。

 例えば、今テレビの買いかえというのは、通常、平均的に八年と言われております。そうしますと、二〇〇三年からデジタルが始まったわけですから、ちょうど八年ということになれば二〇一一年ということで、それなりに一つの寿命といいますか、買いかえの自然な流れができるのではないかな、こういう感じがするわけでありまして、その間、値段は安ければ安いほどいいわけで、これからどんどんと低廉化していくであろうし、また生産台数もふえていくだろう、こういうふうに思います。

 そういう意味では、できるだけ安くなるように私たちも考えておるところでございますが、おっしゃるように、何らかのことを考えなきゃならないということは、将来においてそういう検討もする必要があるかもわからない、こういうふうに考えております。

田嶋(要)委員 時間になりましたので、最後に一言だけ。

 いろいろと国策で仕掛けをつくっても、こういったことに関しては、もし将来的にいろいろ問題が起きてきたときに、お客様、消費者はだれに文句を言うか。これは総務省じゃないと思うんですね。やはりNHKのような放送会社に文句が殺到すると思います。そういったところをよくよく考えていただいて、将来苦情が起きたときにどうなるか、あるいはひょっとしたら、とんでもないといって訴訟に発展する可能性だってなくはないと思いますね。そういったリスクを総務省の方としては十分に考えて今回のデジタル化ということを進めていただければ、そのように考えております。

 私の質問を終わります。

佐田委員長 次に、寺田学君。

寺田委員 おはようございます。民主党の寺田学と申します。

 私、数年前まではしがない大学生をやっておりまして、貧乏きわまりなく、ワンルームに住んでおりまして、そのとき、NHKの受信料を取りに来る方は本当に疫病神のように追っ払うことだけを考えておりました。しかし、こういう立場になりまして、正当に受信料を払うようになりますと、それはそれで、一つ納税者意識に似たようなコスト感覚というものを持つようにはなりました。そういう観点を持ちまして、質問させていただければと思います。

 まず、本当に一般的なというか、一つ大きな幹の部分の話をお聞かせ願いたいと思うんです。

 そもそも、このNHKというもの、公共放送というもの、まあ国営放送だと誤解されている方もおるんですけれども、このNHKの使命というか、平たく言えば、知る権利にこたえるであるとか報道としての使命とか、そういうこともあると思いますが、公共放送としての使命、そして、放送法である程度立場が守られているというか、一つ形づくられて、そして受信料を払うのを義務づけられている、そういうような環境で報道を行う上での行動規範というもの、公平公正ということになるかもしれませんが、そういうことについてどのようにお考えか、確認の意味を込めてお伺いしたいと思います。

海老沢参考人 お答えいたします。

 私どもNHK、公共放送の使命、役割、いろいろございます。

 一つは、やはりいつの時代でも、公平で信頼されるニュースを迅速に的確にわかりやすく報道すること、そしてまた、豊かでよい番組を一本でも多く制作し、放送するということ。

 特に今、国際化が進んできております。そういう中で、日本だけでなくて、世界どこででも日本の現状がわかるような、いわゆるラジオ、テレビによる国際放送をさらに充実しなきゃならないということ。そしてまた、日本国内も、山あり谷あり離島ありで、非常に地形が複雑でありますので、難視聴地域を解消するといいますか、全国あまねくNHKの電波がひとしく行き渡るように、受信施設を整備するというようなこと。

 それと同時に、今、多メディア多チャンネル、いろいろな新しい伝送路が発達してまいりました。放送と通信の融合時代ということになりまして、いろいろな情報が出てきている中で、我々は、いつの時代でも変わらない姿勢で、民主主義の健全な発展に資するようなこと、つまり、国会中継をきちっとやりながら日本の民主主義の健全な発展のために尽くすということ。

 あるいは、日本は、地震、台風、津波とか、いろいろな自然災害が多いわけでありますから、そういう自然災害あるいは緊急事態に当たって、国民の生命財産を放送として守るための緊急報道体制を強化するというようなこと。あるいは、視聴者・国民の心を豊かにするような、いわゆるドラマ類、音楽番組、質のいいものをさらに強化していく、いろいろな使命があります。

 ただ、今、こういう時代になりますと、プラス面のほかに、マイナス面といいますか、負の面が最近出てきております。つまり、人を誹謗するような、あるいは人権を侵害するような、プライバシーを侵すような情報がいろいろなところではんらんしてくる。そういうものに対して、我々は、常にきちっとした姿勢で、国民の心を豊かにするようないいものをつくるようにさらに努力しなければならないということも、最近改めて感じるところであります。

 それと同時に、今、放送技術の発展が目覚ましいものがあります。そういう面で、私どもNHKは、世界に誇る技術研究所を持っております。ハイビジョンの開発、放送衛星の打ち上げも、NHKが世界に先立って開発したものであります。そういう放送技術の研究開発を一層進めること。また、放送文化のためのいろいろな資料なり、そういうものを収集し、また、NHKアーカイブスがありますけれども、そういう貴重な映像の文化財を保存し、これを活用する。

 いろいろな点がありますが、いずれにしても、いつの時代になっても我々公共放送の使命、役割は変わらない、そういう方針のもとに今後もいい番組をつくっていきたいと思っております。

寺田委員 視聴者が求める情報を、わかりやすく、そして公平に公正に伝えるという部分が要約された部分だと思います。

 そういうことを踏まえますと、数日前、イラク戦争が開戦しちょうど一年がたった、そういうような報道がされました。このイラク戦争というもの、自衛隊派遣に絡みまして本当に国論を二分するような大きな関心事になっている、そして、自衛隊がイラクに出向き、そこでどのような活動をしているかということは本当に視聴者が求めるところ、そこの部分を、先ほどおっしゃられたとおり、わかりやすく、全国あまねく視聴者の方にお伝えするということが使命であると判断させていただきます。

 そういう部分に絡みまして、イラク報道に関して、予算ということも今回ありますので、どれほどの規模の額が使われたのか、そして、来年度どのような額を使うことを想定されておるのか、教えていただければと思います。

関根参考人 お答えします。

 御案内のように、NHKの財源のおよそ九七%、これは視聴者の皆さん、国民の皆さんからちょうだいしている受信料であります。もとより、徹底してむだを省くと同時に、そのお金も効率、効果的な使い方をしなきゃいかぬというので、NHKの内部だけでなくて、外部からもいろいろな検査を受けて、できるだけ公正なお金の使い方に努めているところであります。

 お尋ねのイラク情勢等に関する経費でありますけれども、イラク戦争が始まる前から一年余りの期間の経費でありますけれども、直接経費でおよそ二十億円弱ぐらい使っています。

 個別で申し上げますと、一つは、今の時点で、私どもは、バグダッド、それと自衛隊が復興支援活動をやっていますサマワ、それと隣国のクウェートに取材拠点を置いています。こういったところでの維持経費があります。さらに、現地から伝えてくるためには衛星回線を使わなければいけませんので、衛星回線料。さらに、何といっても、取材する者の安全確保というのは大事でありますから、これは外国の警備会社を雇い入れて、今、安全の確保に努めているところであります。

 その一方で、イラク戦争当時は、合わせて三十九の国と地域の八十二の放送機関などの映像を使いまして、できるだけ多角的、客観的な報道をやってきたつもりであります。これは現地語を使っていますので、そのための翻訳経費といったものも、これは国内制作費という中に含んでいますけれども、そういったものも含まれていて、大体これまで二十億円弱ぐらい使っているところであります。

 これからどれくらいといいましても、これは情勢が大きく変わるので、この場で具体的にどれぐらいとお答えすることはできません。

 以上です。

寺田委員 今まで二十億程度イラク報道に使われてきた、そして、今後それにプラスアルファして数億円程度を使われることを御想像されている、最低限でもされている、本当に莫大な額だと思います。先ほどおっしゃられたとおり、その中の九十数%が受信料で賄われているということを考えますと、先ほどおっしゃっていただいた、視聴者の方が求める情報をいかに伝えていくかというものは本当に大きくなってくるのではないかなと思います。

 そういうことがありました反面、防衛庁の方からは、イラク報道に関して自粛するようにという勧告もされた、勧告という言い方が適当かわかりませんが、そのような申し出があった。ある種、この部分、視聴者が求める情報という部分と、そして政府が言うような自粛、そういう部分のバランスのとり方というのは非常に難しい問題だと思います。

 しかし、先ほどおっしゃったとおり、今までで二十億、これからも数億円、そしてNHKの使命というものが視聴者が求める情報を公正に公平にわかりやすく伝えるというものであれば、このような防衛庁の申し出というものに対してどのように対処し、これからのイラク報道に関して、どのようなものは報道し、どのようなものは報道しないという、そのような基準というものをNHKの皆さんはお持ちになっているのかという部分をお聞かせ願いたいと思います。

関根参考人 お答えします。

 防衛庁側と取材者側の間で一種の取材ルールを確立したというのは、これは一義的には、御案内のように、取材する側、そして復興支援活動に当たる自衛隊員の安全を確保する、いわゆる有事の際の極めて限定されたルールを確立しているということであります。

 私どもの、現在サマワに派遣している現地からの話ですと、これまでのところ、取材上大きな支障というのですか制約、そういったものは余りないという話が来ています。

 そういう中で、私どもとしては、できるだけ独自の情報、そういったものを出すべくいろいろな形で努力しているつもりではありますけれども、少なくとも今の時点では、報道の公平、客観性、そういったものは確保することができているんではないかと私ども自身は受けとめています。

 それと、これから情勢がどう変わるかわかりませんけれども、国民の皆様が知りたいと思う情報、そういったものについてもできるだけ、最大限の努力をしてお伝えしていくということに努めていくつもりであります。

 以上です。

寺田委員 今御答弁いただいたとおり、おおむね今回の防衛庁の申し出というものは、報道するに当たって支障はない、本当に限定的なものであるという御答弁をいただいたと解釈いたします。

 そういうことも含めまして、イラク問題、まだまだ世論を二分するような形で報道されているというか議論されている状態において、現地の生の声、生の映像というものは私たちにとって本当に有意義なものであるというか、その議論を深めるためには非常に重要なものであるという観点からも、二十億円以上使われているというのであれば、二十億というのが適正かどうかはまた別として、本当に、その費用対効果の部分を含めまして、しっかりと報道していただきたいと思っております。

 一点だけ、ちょっと話はかわりますが、今回、NHKのあり方、受信料というものがある程度義務づけられている、資金力が確固たるものとしてある状態、そしてまた視聴者というものを多数に抱えている、全国において全員が見られるような環境にある、そういうような環境において、民間との競合というものも問題になってきていると思います。

 今、県域放送という話がNHKの方からも、たしか茨城からだと思うんですけれども、始まると。そもそも、民放の方では、県域放送をNHKが始めるというのは、強大な資金力を持ったNHKがそういう部分に入ってくると本当に民業を圧迫するんではないかという懸念の声も出ている、そういう問題でもあると思います。

 そういうことを含めまして、今回、なぜ県域放送というものを始めるのか。それが今回、茨城ということで、海老沢会長の御出身のところだとは思うんですけれども、なぜ茨城で始めるのか。そして、今後、県域放送を茨城以外にも進めていくのか。そして、進めていくのであれば、それはどういう基準で、ここで県域放送をNHKがやっていくという形で進めていくのは、そういうような行動の規範というかしるべみたいなものがあったら御教示いただきたいと思います。

海老沢参考人 お答えいたします。

 これまで日本の放送は、いわゆるアナログ放送でやっておりました。その時代は、一都六県、首都圏は、東京の東京タワーから電波を出しておりました関係で、県域放送というのはテレビに限ってはありませんでした。そうしますと、三千六百万人が住んでいるこの関東一円は、ほかの県に比べて地域情報が非常に少なくなるわけですね。

 そういう面で、私、前にもここで答弁したんですけれども、有権者の一票の重みということもありますけれども、放送においては視聴者の情報の格差が非常に大きい。つまり、ある面では憲法違反ではないかと言われるほど県域向けの放送がないということは、非常にこれはいかがなものかという問題を指摘してまいりました。今度、デジタル放送になりますれば、周波数の確保ができますので、県域放送がしやすくなったということであります。

 そういう中で、茨城県は日本で民間放送がない唯一の県であります。そういう面で、このデジタルという新しい時代に向けてそういう周波数が確保できるという意味で、県民の強い要望があったために、私ども、総務省とも話し合い、ことしの十月一日から県域放送を始めることになったわけであります。

 そして、そのほかの関東五県につきましては、関東知事会あるいは関東地方の県議会議長会から、私ども、総務省に対して、できるだけ早くそれぞれの県で県域放送をお願いしたいという陳情を受けております。

 そういう中で一部民放さんの方から反対の声が上がっておりますが、我々、県域放送のメリット、そして民放との共存共栄体制は維持できるということで、いろいろ話し合いを今進めているところであります。

 いずれにしても、これは県民の要望次第ということで、県民の強い要望があれば、私どもは、これから総務省ともいろいろ協議しながら視聴者の要望にこたえていきたい、そう思っております。

寺田委員 ある種、県域放送がなかったという部分、それと強い県民の要望があった、そういうような条件のもと、これからもNHKさんが県域放送を進められていくという答弁であるというふうに解釈いたしました。

 その県民の強い要望という部分、非常に抽象的で、どういう基準があれば強い要望なのか、ある種かなり恣意的な判断が下されるんではないかなということを思うと、民間業者が言うような、NHKは本当に資金力が豊かであるし、視聴率さえ気にしなくてもいいような背景がある、そういうような環境の違いがある上で、同じような土俵に立たれると非常に厳しいという批判は一理あるんではないかなと思っております。

 そういう部分も改めて勘案していただいた上で、冒頭に述べていただいたとおり、情報を本当に視聴者の皆さんに伝える、そしてそれは公正公平である、その公正公平という部分は民間業者との関係性という部分でも適用される概念ではないかなと思いますので、そういうことをもう一度しっかりと認識された上で、今後もNHKの運営というものを行っていただきたいと思います。

 以上です。

佐田委員長 委員長から申し上げます。

 これからの質疑者の皆さん方に申し上げるわけでありますけれども、時間が相当既にオーバーしておりますので、そしてまた、きょうは人数も非常に多いものですから、ぜひ質疑者の皆さん方には持ち時間を守っていただきたい、こういうふうに思います。

 また、答弁者の皆さん方にも簡潔明瞭にお願いしたい、こういうふうに思っております。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 NHK予算に関連して、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来ずっと、デジタル化に関連する質疑がございました。二〇一一年にデジタル放送に全国が飛び込む、まさに多機能そして高画質の放送がいよいよ現実のものになるということで、本当の意味でのICT社会がいよいよこの日本にも到来するのかということで期待をしておるわけでございます。

 しかし、国民の皆さんの意識、認識というものは、デジタル放送といったものはどんなものなのか、そしてそれが自分の生活にどういう影響を与えるのか、どんなふうに暮らしが変わるのか、この具体的な像はまだまだ描けていない、こういうふうに思うんです。

 今、デジタル化に向けてさまざまな場面でPRが行われております。NHKのスポットなどでも行われておりますし、あるいは販売店などでもポスターなどを目にするわけでございますけれども、ややもするとこれは事業者やメーカーの方が、あるいは販売店の方が主導しているものだと受け取られかねないのではないか。

 このデジタル化というものはまさに国の国策であるというようなお話がございました。どうも総務省の積極的なPRの姿勢というものが見えないわけでございますけれども、この点に関連してどういうふうに認識しておられるのか。そしてまた、今後さらに総務省の方で、具体的な将来像、テレビはどうなるのか、あるいは周辺機器が必要なのかどうかということを含めましても、周知広報が必要だというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺います。

麻生国務大臣 先ほど、田嶋さんの質問にも同様の趣旨の御質問があったと記憶をします。基本的には、今言われましたように、この問題は、デジタルというこれまでの放送というより通信に近いような、双方向で話ができるというメリットというのは非常に大きい。また、非常にきれいに見えるというのも二つ目として大きいと思っておりますけれども、そういったメリットの話ばかりが出てきて、二〇一一年になったら今あるアナログは使えなくなるという点に関しては、メーカーのペースに乗っておりはせぬかというのが田嶋先生の言い分、多分、先生の言い分もほぼ同じなんだと思います。

 今言われた点は、メーカー側の立場に立てば、新しい機械を売りたい、チューナーよりはそっちの方がもうかると思いますから、そっちの方に行くのはわからぬではありませんけれども、利用者、使用者、消費者の立場に立ちますと、今御指摘の点というのは基本的には正しいと思います。

 この問題については、二〇一一年になりますと、今あるアナログ放送は少なくとも中止になって、そして、デジタルになります分につきましては今のテレビはチューナーをつけなければだめなんですという点が少し広報が抜けておるのではないかという御指摘なんだと存じます。

 私どもといたしましては、一応、過日、調査をすると、二〇〇三年東名阪で開始は、全国で七六・五%の認知度、三大都市圏においても八〇%ということになっておりますし、また、二〇一一年アナログ放送の終了ということを知っておるというのは、三大都市圏では五八%、全国では五一・九%ということになって、前回やりました調査は三三%にしかなっておりませんので、それに比べたら認知度は少なくとも二〇%近くは上がっておるということだと思います。

 今後とも、その点の周知徹底、広報ということには努めていきたいと存じます。

西村(智)委員 それで、デジタル化と申しますと、さまざまな利用形態が可能になるということでございますけれども、今回発表になりましたNHKビジョン、こちらの方を拝見しておりまして、いわゆる携帯端末、放送のデジタル化に伴って携帯の端末で動画が受信可能になる。文章を読んでおりましたら、もうきょうあすにでも開発が可能だ、実現可能だというように受けとらせていただいたんですけれども、この費用のあり方について、多少両にらみの記述がございました。

 まずお伺いをしたいのは、デジタル化に伴って携帯端末での動画受信などが可能になるということなんですけれども、それが実現した場合に、そのサービスの具体的なイメージをお伺いしたいと思います。

 続きまして伺いたいのは、その経費負担のあり方なんですけれども、このビジョンの方に実は両方書いてあるんです。一つには、携帯端末などは、それを持っている方々、いわゆる特定の方々しか利用ができないものなので、その受益者たる使用者が経費を負担すべきであるという考え方。もう一つは、とはいいながら、これはやはりNHKがこれまで原則としてきた受信料によって運営をしていくのがよろしいんであるという考え方。二つ出ておったんですけれども、このあたりについての検討状況、今後どういうふうにこの議論を発展させていくのか、お伺いをいたします。

    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕

海老沢参考人 お答えいたします。

 デジタル技術の利用範囲は、いろいろな面で広がってきております。特に、インターネットとの親和性がよくなる、そのために、我々の放送がインターネットといろいろな形で連携ができる。そのために、デジタル放送の単位、十三セグメントという単位がありますけれども、その一セグメントの中で携帯電話に向けての新しい放送ができる。それをニュースチャンネルにするのか、また、緊急報道体制に向けてのそういうものにするのか、いろいろな方法があると思います。私どもも、そういう新しい携帯端末に向けての内容をどういうふうにしたら一番視聴者のためになるか、今一生懸命検討しているところであります。

 それをNHKの受信料でやった方がいいのか、また、その普及の状況によりますけれども、特定の人だけしか見ないような状況では、それを利用する者に負担してもらうとか、いろいろな考えがありますので、その辺をこれからさらに勉強していきたいと思っております。

 そのほか、サーバー型の放送も今開発が進められておりますし、あと一年半から二年、三年の間にはこれが実用化できるというふうに我々も伺っております。そういうサーバー型放送についても、いろいろNHKも具体的なシミュレーションといいますか、やり方を考えておりますが、その辺をもう少しこれから関係方面とも協議しながら、どういう方法が最もいいか、検討をこれからさらに進めていきたいと思っております。

西村(智)委員 どちらの方に集約をされるのか、まだ現段階では未定ということだと思いますけれども、NHKの持っている公共性、こういったものをしっかりと原則として、それにかなう方針をぜひとも出していただきたいものだというふうに希望を申し上げておきます。

 引き続きまして、時間が短くなりましたので、少しはしょらせていただきます。

 イラクについての報道、先ほど寺田委員の方からも御質問がありましたけれども、やはりこの問題については視聴者の関心が極めて高い。先ほど、テレビの視聴時間が伸びていることには、例えばイラクなどの重大な事件が起こってきていることが背景にあるのではないかというような御趣旨の発言があったかというふうに思いますけれども、やはり、私たち国民が事実を知るために、客観的な報道あるいは多角的な報道というものは確保していただきたいというふうに強く要望をしているところでございます。

 ただ、これについては、例えば、防衛庁の方から取材を自粛してくださいという要請がありましたり、あるいは逆に、報道サイドの方から取材についてのルールをきっちりと確立しましょうというような申し入れを行ったりしてきた経過を経て、ことしの三月、新聞協会とそして民放連との間で申し合わせ事項が確認をされた。それに引き続いて、防衛庁を加えた三者の間でさまざまな具体的な事柄についての確認事項が取り決めをされたということなんでございます。

 その三者の確認事項の前提となっております新聞協会と民放連との間の申し合わせ、そこにこのような項目がございました。「表現、報道の自由の尊重」「憲法の認める表現の自由に属する報道の自由、報道のための取材の自由について、政府は最大限尊重する。」これが二番目です。四点目には、「自衛隊部隊の円滑な任務遂行」「現地の自衛隊部隊の円滑な任務遂行に支障を与えないよう留意する。」こういうふうに含まれている、二つの項目がある。

 こういう協定が存在している中で、NHKとしていかに独自の取材を行っていくのか、報道の客観性あるいは公平性を確保していくための取り組みというのはどのように行われるのか、そこを伺いたいと思っています。

 また、特に四点目の項目なんですけれども、「現地の自衛隊部隊の円滑な任務遂行に支障を与えないよう留意する。」というような項目が含まれている中で、この協定によって、例えば報道の公平性、客観性、これがゆがめられるおそれがないのかどうか懸念をいたしておりますけれども、そのあたりについてのNHKのお考えを伺います。

関根参考人 先ほど申し上げましたけれども、これはあくまでも、有事というんですか、かなり限定された中での取材ルールを決めたものであります。

 もとより、我々取材する側の安全性の確保、そして復興支援活動に当たる自衛隊員等に対する配慮、そういったものの中での、極めて限定された中でのルールでありまして、そういう中でも、例えば自衛隊の支援活動について政府には説明責任があるとか、また、政府は報道の自由を最大限尊重する、そういったことも明確に打ち出しているわけですから、それは現地での運用というんですか、そういった中である程度解決していく以外にないんじゃないかという受けとめ方を私どもはしています。

 先ほど申し上げましたけれども、今そういう中でも、復興支援活動に当たっているサマワでの取材等で大きな支障が生じているとか取材に制約を受けているというところは、まだ私どもには届いていません。

 また一方で、イラク情勢ということに目を通しますと、私どもは、海外のいろいろな放送機関、四十七の国と地域、七十三の放送機関と取材協定を結んでいますので、そういった海外のニュースなんかも織り込みながら、イラク情勢等については、公平性、客観性の確保に当たっていきたいというふうに考えています。

西村(智)委員 最後に、今国会で議論を予定されておりますいわゆる国民保護法案について、若干NHKのお考えを伺いたいと思っています。

 日本が武力攻撃を受けたり大規模なテロが発生した場合に、住民の避難それから被災者の救援活動について盛り込んだこの国民保護法案なわけでございますけれども、この中で、NHKがいわゆる指定公共団体として位置づけられることになります。

 NHKを含め各社が独自の判断に沿って報道するということを私たち国民は期待をしておるわけでございますけれども、いわゆる有事の際に、NHKがこの指定公共団体に指定をされることによって、NHKが独自の判断で国民に必要な情報を提供することができるのかどうか、そのことにこの法案によって支障が生じないのかどうか。これは法案が成立するという仮定の話でございますけれども、現時点でのNHKの認識を伺いたいと思っています。

 また、万が一有事が起こった場合に取材の制限も予想されるわけでございますけれども、公平公正な報道をどのように確保していくおつもりか、伺います。

海老沢参考人 今、法案が提出されて、国会でこれから論議されようとしております。

 今、自然災害等につきましては、災害対策基本法の中で私どもNHKも指定公共機関として指定されております。今度の法案でも多分NHKは指定公共機関として指定されるものと私ども思っております。

 私どもは、そういう指定公共機関になろうがなるまいが、やはり国民の生命財産を放送を通じて守っていくのが我々の最大の使命でありますので、どういう事態になっても、我々は常に視聴者・国民の立場に立って、適正な、的確な報道をするのが我々の役目であります。

 今度の法案の中でも、国なりあるいは都道府県から警報または避難の指示及び緊急の通報、この三つが義務づけられておると思います。そういう中で、それを我々はきちっと報道しながら、またいろいろな周辺の取材をしながら、できるだけ迅速に、わかりやすく、公平に伝えていく、この方針にはいささかも変わりありません。

 そういう法律ができても我々の取材が制限されるようなことはないと私は思っておりますし、我々もまた報道の自由、言論の自由を守るという大きな使命を持っておるわけでありますから、いずれにしても、視聴者・国民がやはり安全で生命が確保されるような、そういう報道にいつの時代でも心がけていくのが我々の使命であろうと思っております。

 有事もいろいろな有事がありますので、そういう判断はなかなか難しいわけでありますが、いずれにしても、基本的には我々、報道機関としてきちっとした対応をしていきたいと思っております。

麻生国務大臣 今の点で補足しますけれども、西村先生、非常時ですから、少なくともその日の自衛隊の行動、携行する武器、人数等々があらかじめテロリストに抜けるということは、待ち伏せ等々の被害を招くということは断固避けねばならぬのは当然のことだと思いますので、ある程度制限されるのはやむを得ぬところだと思います。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

野田(聖)委員長代理 次に、稲見哲男さん。

稲見委員 民主党の稲見哲男です。委員長に協力をして、質問は短くいたします。

 まず、受信料収納の現状を確認しておきたいと思います。

 受信料収入の伸び率は〇・三%で過去最低、契約率は世帯で八二%ということでございますけれども、未収金の件数、金額、そして未収率、これをお聞かせ願いたいと思います。

 また、一般の会社では、売り掛け債権があってもどうしても回収見込みがつかない、こういうものについては経理上では損金処理をいたします。役所では不納欠損というわけですが、NHKではどうしているのか。その処理の年限と金額、収入における率についてお聞かせ願いたいと思います。

和崎参考人 御質問にお答えいたします。

 いわゆる受信料制度というものを基盤としています公共放送にとりましては、受信料の公平負担、この徹底というのが最も重要な経営課題となっておりまして、受信料を払っていただけない未収の方々に対しても、いわゆる効果的な文書とかあるいは電話での対応を行うとともに、早朝とか夜間を含めて訪問対策を徹底して、収納に全力で取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、先生が今御指摘のように、契約があるにもかかわらず、面接が困難であるとか、どうしても払っていただけない受信者の方がおいででございます。この件数につきましては、平成十四年度の決算において百十三万件となっております。受信料債権全体に占める回収不能額は二百三十一億円でございます。率にして三・四七%に当たります。

 こうした経理処理といたしましては、いわゆる放送法施行規則にのっとりまして、損益計算書に未収受信料欠損償却費として計上し、国会に報告をしている、こういう構図になってございます。

稲見委員 今、収納率についてまずお聞きをしたのは、受信料収入に依存し過ぎているのではないか、こういうふうに私は考えております。この収入の確保、さらに取り組むとしても、現状では厳しい。

 そこで注目をされるのが副次収入なわけですけれども、事業収入に対しておおむね一%強、平成十六年度の予算で七十七億二千万円、一・一四%というふうになっております。受信料の軽減であるとかあるいは番組制作費の充実ということからも、この副次収入は重要な課題、こういうふうに認識をいたしております。今後、どのような施策を展開していくつもりなのか。

 私は、NHKが収入をふやしていくヒントは技術革新にある、こういうふうに思っております。技術革新の成果によって、先ほど携帯端末の問題も出ましたけれども、さまざまな伝達路が発達をしてきております。新しいサービスが次々に現実のものになってきている。過去のニュースや、見過ごしたNHKの「NHKスペシャル」「プロジェクトX」、これらの番組を、再放送を待つことなく、また、川口のアーカイブスや地方の放送局に出かけることもなく、自宅からパソコンやテレビで検索をし、見たいと思ったときに見られるようになったら、これは視聴者にとって非常にすばらしいことであり、ニーズは大きい、こういうふうに私は考えております。

 NHKが本年一月に発表したNHKビジョンの中でも、放送が通信と連携する新しいサービスの可能性を追求することが欠かせません、こういうふうに述べられているわけでございますけれども、こうした夢の実現に近づこうというふうなことだと考えております。

 そこで、まず聞きたいのは、新サービス実現に向けて、何が課題で、超えるべきハードルは何なのか、説明をお願いしたいと思います。

 そして、これにかかわって、著作権処理が大きな課題の一つだというふうに考えておりますけれども、知的財産戦略本部のもとに設置をされましたコンテンツ専門調査会、ここにおける検討課題や検討状況についてお教えいただきたいと思います。

森口政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣の知的財産戦略本部におきましては、コンテンツ専門調査会というものを開催してございまして、そこでコンテンツビジネスの振興政策について検討を行っており、現在、最終的な取りまとめの作業中でございます。

 その中で、今後集中的に取り組むべき十の改革項目というのを挙げてございます。その中で、ブロードバンドなどによる事業展開の推進、これが一つの改革として位置づけられております。その中で、過去のこうした番組の二次利用というものも重要な課題というふうにしているところでございます。

 それで、各省の具体的な取り組みでございますけれども、総務省におきまして、著作物等の利用許諾をオンラインで円滑に行える仕組みにつきまして、NHK等の放送事業者あるいは権利者団体の参加のもとに実証実験というのを行っております。また、文化庁におきましては、やはりNHKなどの放送事業者やコンテンツに関連する権利者から成る検討会を設けまして、検討しているところでございます。

 特にブロードバンドを利用した放送番組の二次利用についての問題でございますが、これがなかなか進んでおらないという原因について、これは、著作権の問題というよりはむしろ技術的な問題として、一つは映像配信の回線速度の安定性の問題、あるいは、現段階ではまだまだ放送番組の視聴に対するニーズが十分でない問題、あるいは、経済的な面での関係権利者への利益還元が必ずしも十分でない、そういった問題があるというところを検討しているところでございます。

 いずれにしましても、政府といたしましては、多くのすぐれた過去の放送番組がパソコンなどによって気軽に国民一般が視聴できるということは非常に重要だと考えておりまして、関係府省における検討、調査、技術開発などの進展を促してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕

野島参考人 御指摘のとおり、放送と通信が連携いたしますと新しいサービスがいろいろ出てまいりますので、NHKとしては、公共放送として、やはりそういうところに公正で正確な情報を提供するということがデジタル時代の新しい役割になってきているということで、これについては積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 ただ、御指摘のように著作権の問題もございますが、まず、光ファイバーなどが各家庭まで行き渡って、そういう新しいサービスを確実に提供できる、そういうインフラ面の整備が必要だろうと思います。

 それから、著作権の問題につきましては、これは、放送とは違う通信で番組を送るということになりますと、新たな著作権の処理の問題が出てまいりますので、そのルールをどうするか、あるいは技術的にそれをどうするかという問題があろうかと思います。

 それから、とりわけNHKにつきましては、総務省のインターネットのガイドラインというのがございまして、その規模ですとか態様、範囲というものが限定されておりますので、そういう新しいサービスをやった場合に、インターネット利用計画の中でそれができるのかどうかという検討が必要になろうかと思います。

 それから、NHKが他の事業者に番組を提供してそれをブロードバンドで提供するということならばいいんですが、直接にそれをNHKがやろうといたしますると、サーバーなどの送信設備の費用がかかります。それから、先ほど申し上げました著作権の処理の費用等もかかりまして、これをどのように経費負担をしていくのかという問題もございます。

 そういう問題がいろいろございますけれども、ただ、NHKといたしましては、新しいデジタル時代においてサービスの高度化あるいは多様化を進めることが、デジタル時代の公共放送に求められている責務だろうというふうに考えております。

稲見委員 コンテンツ専門調査会の報告がほぼまとまりつつある、こういうふうなことでありますので、そのことも待って、また各省庁で、今示されております超えるべきハードル、ぜひ積極的に超えていただきたいと思っております。

 それから、問題は、費用をだれがどういう形で負担するのかという点だというふうに思います。

 私は、新しいサービスについては、従来の受信料とは別に、例えば利用する人に利用料という形で負担をしてもらうということもあってしかるべきではないか、こういうふうに考えております。ニュースなどの放送映像というのは、NHKの財産でもあるわけですが、NHKを支えてきた国民全体の財産だ、こういうふうに考えるならば、広く公開、流通をさせるべきでありまして、先ほどのアーカイブスの関係でいいますと、放送局に行く手間、交通費を考えれば、会員登録による有料提供についても、他の業務でも今たくさん出てきておりますし、現在なら理解を得られるのではないかというふうに思っております。

 この点について、もう一度、NHKの方のお考えをお聞きしたいと思います。

海老沢参考人 私どもの新しい放送サービスのあり方、これは、こういうインターネットなり情報端末の発達によって新たに出てきた問題であります。

 私ども、これについては、有料にすべきか無料にすべきか、いろいろな意見がありますし、また、我々の公共放送の使命としての問題もありますので、この点につきましては、これから具体的に、どういう方法が最も視聴者・国民に納得が得られるのか、その辺をさらに検討しながら、総合的に判断していきたいと思っております。

稲見委員 先ほどもありましたが、このビジョンの中でも、既にインターネット加入者が七千万、そして高速のブロードバンドの加入者が千三百万件、こういうことですから、どんどん急速にニーズが変わってきているというふうに思っております。

 そういう意味では、このビジョンの中では非常に遠慮がちに書かれているわけでありますけれども、NHK、他のメディア、総務省、内閣官房あるいはその他の省庁とも関連があると思います。積極的な検討を進めて、先ほど御回答がありましたBツーBだけではなくてBツーCについて、国民のニーズと期待にこたえてもらいたい、こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。

佐田委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 民主党の岡島一正でございます。

 きょうは、先ほどからの質問の中で、NHKビジョンの中からの質問が多いようでありますが、私も、三年前にNHKを退職するまでは、NHKビジョンがよく出ていましたけれども、あのころはなぜか、仕事が忙しかったこともありまして、余り詳しくは、日常的に読むということはありませんでしたが、やめてみますと、あれを読まないとわからないということで、必死に読ませていただきました。

 NHKビジョンをいろいろ見させていただきますと、NHKビジョンの中で特徴的なことは、放送のデジタル化が進むことによって、いわゆる放送と通信といったものの融合が技術的に進むという中では、そういった放送と通信の融合した中での新しい放送サービス、あるいは、言いかえれば放送通信サービスとなるかもしれませんが、そういったものに挑戦するという視点が書かれておるというふうに私は思っています。

 放送と通信というのは、私も、インターネットが入り出したころというのは、特派員をしていたころだと思いますけれども、これは便利かなと思いつつも、当初は、情報が思ったほどなかったり、あと、情報の裏といいますか、クレジット、信頼性がどこにあるのか全くつかみようがないとかありまして、これはテレビとは全く本質的に違うというふうに見ておりました。

 特に、テレビというのは、機械的な意味もありますが、テレビのニュースというのは、ほかの情報番組も含めて、取材する取材者というのがいて、その取材者が地べたをはいつくばってとった情報で社会情勢を見きわめつつ提供していく、そういった情報が、テレビの前に座りさえすれば正しい情報、あるいは正しくないこともあるかもしれませんが、いずれにしても必要な情報が流されるということだと思います。それが、視聴者にとって必要な情報をとれるという利便性もあるわけです。そこにいれば今の動きがわかる。

 一方で、インターネットの方は、先ほど申し上げましたが、情報がもうありとあらゆるところから入手できる。古い情報もかなり入手できる。ただ、インターネットはパソコンさえあればどこでも見られるというものの、一方では、インターネットの情報というもののクレジット、情報の信頼性はどこにあるのかということに関してはテレビに及ばない部分もある。特に日本の社会情勢などを踏まえたニュース、情報がどれほどのものかということについては、非常に見きわめも難しい。自己責任に負うところが大きい。さまざまあります。

 いずれにしても、テレビとインターネット、そこにいれば見られる、信頼ある情報がとれるテレビ、また、インターネットはどこでも情報がとれる、そういった融合が進んでいるということになりますと、お互いの長所を取り込んでいけば、新しい意味での、もう既にインターネットの世界ではインターネット放送局という言葉もあって、そういった名前で運用しているところもあります。

 インターネットとテレビといったものの融合の中での新しいものを考えれば、テレビが持ち得ているけれども実現していないものでいえば、先ほどの質問にもあったようですが、いわばサーバー型の放送といいますか、歴史的な記録などを踏まえた過去の放送を含めて、過去というのは、今を過ぎたものは全部過去ですから、そういったサーバー型放送の可能性について、それこそがインターネット放送との融合だと私は思うわけです。

 その実現の可能性について、これは技術的なものや資金的なものや法律的なもの、それぞれ課題があるかとは思いますが、技術的なものを踏まえて、サーバー型放送が実現できればインターネットの利便性とテレビの信頼性を踏まえた放送が可能になる、これについてのNHK側の実現の見通し、また課題の克服などについてお伺いしたいと思います。

吉野参考人 お答えいたします。

 サーバー型放送というのは、今御指摘がありましたように、受信機の中にサーバーと言われる大容量の蓄積装置を備えまして、一回この蓄積装置に番組を蓄えた上で利用する放送システムであります。

 サーバー型放送では、番組そのものに加えまして、番組名でありますとか取材地あるいは出演者といったいわゆるメタデータ、そういったデータを同時に放送いたします。そして、視聴者は、そのデータを利用いたしまして、見たい番組とかあるいは気に入った場面をその中から探し出して好きなときに見られるようにする、そういったシステムでございます。

 また、このサーバー型の受信機では、ブロードバンドに接続可能なようなネットワーク設備も備えておりますので、ブロードバンドとの一体の運用ということも可能になります。

 現在、NHKなどの放送事業者、それから受信機メーカーあるいは通信事業者などで研究の場を設けまして、受信機の標準的な仕様などの技術的な課題や新しい権利保護のルールなどについて検討を重ねております。

 このうち、技術的な課題については、ことしじゅうに一定の結論が出る予定であります。したがいまして、サーバー型の受信機の実用化の時期でありますけれども、これは現在まだ決まっておりませんけれども、技術的には平成十七年から十八年度ごろには可能になる、そういうふうに考えております。

 一方、このサーバー型放送というのは録画を前提とした放送であることから、新しい権利保護のルールについては今後とも関係者と検討して進めていくことが必要になります。こうした観点から、NHKの放送技術研究所では、サーバー型放送で必要とする著作権管理や顧客管理ができる高度なCASシステム、いわゆるコンディショナル・アクセス・システムでありますけれども、こういったものの開発を進めております。

 NHKでは、サーバー型放送において、どのような番組を対象としてどれほどのメタデータを付与したらいいのか、あるいはメタデータを作成する労力とか経費は一体どのくらいかかるのかなど、サービスのあり方についてはさまざまな観点から検討を行い、実施の可能性を今探っているところであります。

 NHKのビジョンで示したように、新しいサービスに関しては、視聴者のニーズとか公共放送にふさわしいサービスの内容のあり方、あるいは機器の普及とかサービス実施の経費とか財源のあり方など、さまざまな課題があります。多角的な観点から積極的に検討を行っていきたい、こういうふうに考えております。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

岡島委員 技術的なことに関してはかなり可能性はあるし、可能だろうと思います。

 放送と通信のもう一つの違いは、それを管轄する法律が違うというふうに思います。放送の場合は放送法、特にNHKの場合は放送法というものの枠の中で自由な報道をどれだけできるかということに挑戦しているわけですが、それに加えてインターネットなどは電気通信事業法というのがありますが、そういう法律の観点などを踏まえて、このサーバー型放送の課題などについてどのようにお考えでしょうか。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

和崎参考人 今、先生、新しいサーバー型放送というような中でどうしたサービスを行っていくかということの、二つの法律の観点からの御指摘だと思うんですけれども、できるだけ新しい技術を生かしたサービスを行っていくということがまず前提かと思いますし、NHKとしては、やはり放送というものに立脚した上でのサービスを行っていきたいというぐあいに現時点では考えております。

 ただ、その上で、より視聴者に魅力的なサービスを行うためには、放送法で規定されている部分、あるいは今先生御指摘の電気通信事業法で規定されている部分の新しい整合といいますか、制度の上での融合といったようなことも我々は必要になってこようかと思っていますが、現時点では、あくまでも放送法にのっとった上での延長線上の中で我々は考えているというところでございます。

岡島委員 法律については、今後、新しい時代の放送のあり方、既にインターネット放送局という言葉もあるような時代においての新しい法律のあり方などについては、またいずれ私どもも勉強して御質問を総務省などにもしていきたいと思っています。

 次に、ビジョンの中には携帯端末の話も出てきます、携帯端末による放送が可能だと。この時期については先ほどの質問にもありましたけれども、私は、携帯端末の放送というのは非常に重要だと思っています。

 地下鉄サリン事件が起きたときに私はたまたま、あのころはアジアのニュースのデスクでしたから、出勤途中に救急車がわんわんわんわん走っていました。私も何かわからずに、デスク席に電話しましても電話が通じませんでした。ああいった場合に、携帯電話で、テロが起きたというような緊急情報を流す。

 あるいは、NHKは、私が沖縄にいたころに緊急警戒放送というのがありました。津波が来ると、切れているテレビは自動的について、津波が来る、危険だというのを知らせるという放送がありました。ただ、緊急警戒放送というのは、日中テレビがあるところに座っている人は仕事をしていない人ですから、海で働く人たちなどには余り意味がなかったということもあったのかどうか、思ったほどの普及はなかったと私の記憶ではあります。

 しかし、もし、緊急事態についての警戒放送を携帯端末に流す技術、そういったものができれば、私は、神奈川西部地震だとか房総沖地震、東海地震、あるいは今言われるテロ、そういった緊急事態に公共放送が危険な情報を流す、それを携帯端末がすることができれば、これは先ほど大臣がいろいろおっしゃっておった国策にまさにかなうものだ、また時代のニーズにも応じていると思いますが、それについて会長はいかがでしょうか。

海老沢参考人 私どもは、いろいろな情報を集めておりますし、そして、特に自然災害あるいは有事の場合にいち早く国民に知らせるのが使命でございます。そういう面で、今、新しい携帯端末なり、いろいろな端末が出てきております、そういう伝送路にいつでも対応できるように、いつでも放送できるようにするのが我々の使命であろうと思っております。

 そういう面で、私は、たびたびこういう席で、公共放送の使命として、どんな伝送路でもNHKのそういう災害あるいは緊急の報道ができるようにさせてもらいたいと言っているわけであります。そういう面で、今御指摘のように、新しい携帯端末にそういう情報が流せるように努力していきたいと思っております。

岡島委員 これは本当にぜひ私は実現すべきものだというふうに考えております。それによって多くの人の命が実際救われるということが私の取材体験の中にもあります。情報がなければ幾ら銃があっても人の命は守れないというようなことも、私は戦争取材で経験しました。国内においては、少なくとも情報を出せるという携帯電話の体制を構築すべきだと私は思っています。

 次に、ビジョンの中に、地上デジタルによって県域ローカル放送が始まる、十月から茨城なども始まるということになっているそうです。千葉の方の、私は選出の議員ですけれども、千葉テレビというのもあります、昭和四十六年にできました。先日、千葉テレビの社長とか仲間と話もしてまいりましたけれども、県域ローカル放送は、ある意味で、NHKがそういった細かい情報を県域単位で放送することを望むニーズがあるのは、私もいたころは感じました。

 また一方で、県域で既に放送している民放の県域ローカルUHF局からすれば、もしNHKがそこに参入してくれば、今後、自分たちの経営が危うくなる、あるいは、放送の情報量なども含めてなかなか対抗しがたいというような懸念もあるようです。

 そういった意味で、関東県域でのローカル放送についてのNHKのお考えを会長にお伺いします。

海老沢参考人 NHKが関東地方の県域放送に乗り出すことについて、いろいろ民放さんの方から一部そういう懸念の声を聞くことは、我々も承知しております。

 どこの県でも、関東以外はすべてNHKと民放の県域放送が両立しているわけですね。共存体制をしておるわけであります。お互いに競争的な立場で切磋琢磨しながらニュースを出し、番組を出しているわけであります。そういう面で、お互いに切磋琢磨しながら発展してきているのがこの五十年来の歴史であります。

 そういう中で、関東だけが違うという論理は成り立たないわけで、私は、お互いに競争しながら、切磋琢磨しながら、それぞれの立場をわきまえながら放送をすれば共存共栄できるものと確信しております。

 そういう面で、あくまでも視聴者の立場に立って、いい放送、質のいい豊かな番組を提供していけば、私は、民放さんもNHKも一緒に両方両立できるだろう、そう思っております。

岡島委員 最後に一つだけ質問させてください。

 私は特派員をずっとやっていましたから、世界に行くと、時差があります。そういった意味では、今のイラクと日本もそうです。情報は二十四時間世界を飛び回っているわけです。日本国内もさまざまな、民間の商店なども含めて、二十四時間営業というのが広まっている。社会は二十四時間によって動いているというふうに感じられます。実態です。

 そういった意味では、ニュース情報も、二十四時間チャンネルを設けていつでも対応できる、ニーズに対応できる、そういう体制が必要かと思いますが、この二十四時間チャンネル放送についていかがお考えか、会長のお考えをお伺いします。

佐田委員長 持ち時間が過ぎておりますので、簡略にお願いします。

海老沢参考人 御承知のように、通信、放送の技術の革新が進み、そしてまた、各国による規制緩和等によって、今、世界どこでも国境を越えるテレビ時代になりました。いつ、どこで、何が起こっても、瞬時にして、即座にして情報が世界に伝わる時代であります。

 そういう中で、今、世界の十五の国・地域、二十四の放送機関が二十四時間ニュースを放送しております。そういう中で、日本だけがそういうチャンネルがないという方が異常でありまして、私どもは、こういう国際化時代、情報時代に向けて、世界に向けて、また日本国内に向けて二十四時間放送を、ニュースチャンネルを設けて視聴者のニーズにこたえていきたい、そう思っております。

岡島委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 きょうは、最初に、「のど自慢」だとかあるいはNHKの民謡番組、そういったものの質問をしようかと思います。

 私のところは神奈川県横浜市でございます。横浜駅があったり、港町、港があったり、あるいはランドマークがあるという、現代的な部分がある地域でございます。しかし一方で、大変下町の要素を持ったところがございまして、私の住んでいるところでは、落語家の歌丸さんが住んでおられたりとか、三吉演芸場とか、大衆演芸をやる浜の玉三郎とかいうのがおられたり、そういうところなのでございます。

 大変演芸の方が盛んであるということで、民謡も大分盛んなんですね。その民謡の愛好家の方々から、最近「のど自慢」においてどうも民謡がほとんど聞けないではないか、余り出てこないではないか、こういうお尋ねがございましたので、まず、「のど自慢」で民謡が少ないのではないかという点について、実情はどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

関根参考人 御案内のように、「NHKのど自慢」というのは、昭和二十一年の一月から、ラジオ放送第二で始まりました「のど自慢素人音楽会」というものでスタートしまして、二十八年のテレビ放送開始に受け継がれて、およそ五十八年の歴史を持つ人気番組であります。

 この「のど自慢」で民謡を何回ぐらいやっているのかというお尋ねでありますけれども、今月二十一日までの、平成十五年度でありますけれども、四十七回「のど自慢」を放送しています。その中で民謡が歌われたというのは九回で、いずれも一曲であります。どうしてこんなに少ないのかといいますと、一言で言えば、民謡を歌われる方が非常に少なくなってきているということであります。

 「NHKのど自慢」では各地で予選会というのがやられているのですけれども、大体八百組から一千組ぐらいの申し込みがあります。そういう中で、「のど自慢」に出場される方で民謡を歌われる方が非常に少なくなってきていまして、ほとんどが十組以下ということであります。しかも、地域的なばらつきがありまして、例えば北海道とか東北、こういったところはまだ民謡が盛んなので、ああいったところで「のど自慢」を開きますと民謡を歌われる方が多いというのが現状であります。

大出委員 歌う方が少なくなったというのは、予選の方で多分少ないという意味なんでしょうということでございます。

 「のど自慢」のほかにラジオやテレビで民謡番組が当然あるわけなんですが、どんなのがあるかということと、それから、出演者がどうも固定しているのではないかというような御意見があったりするんですね。地方で収録するときは、いろいろな角度でといいますか、いろいろな程度での有名人がおられるわけですが、その中で、地方に行った場合には地方の方を使った方がいいのではないかとか、こういった御意見が出演者の方についてあるんですが、どのような実情でしょうか。

関根参考人 この「のど自慢」に出場される方で歌われる民謡の曲目でありますけれども、必ずしも開催地の民謡を歌うとは限りません。したがいまして、出場者の歌に合わせて即座に対応できるような伴奏者を選んでいるというのが実情であります。

 当然、その伴奏の選定に当たりましては、民謡について広い知識と腕、技量ですね、こういった方を基準に置いて選んでいるわけでありますけれども、できるだけ開催地から近いところの伴奏者を選ぶということで、各ブロックごとに、例えば北海道・東北、関東・甲信越、こういったところでやるときには大体その地域に近いところの伴奏者を選んでいるというのが実情であります。

大出委員 今は出演者の方をお聞きしたところ、演奏者の方もお答えをいただいたんですが、出演者には何か、有名な民謡歌手になっている方だとか、あるいは地元で有名な方とか、そういう方々も出るんだ、地方で有名な方あるいは中央で有名な方も含めて、バランスよくというようなことを聞いたことがございますが、そういう意味でしょうかというのが一つ。

 それから、演奏者の方は後でと申し上げたんですが答えられてしまいましたが、実は、民謡をやっている方々というのはそれぞれが会主になられて、その傘下に何人かの方々がいて、会主が集まって例えばその中でいえば民謡の団体をつくっている、それが各県にあるんだと思いますね。それぞれ皆さんが、そういう意味で切磋琢磨しながら腕を磨いているわけでございますが。

 そういう意味で、どうもNHKの「のど自慢」等を見ていると、演奏者が固定的ではないか、地方に行ったら私たちみたいなのがいるのだから使っていただけないだろうか、こういう要請で二番目の質問をしようと思ったんですが、どうも、その近いところで伴奏者が伴奏をするということでございます。

 私はやはり、それぞれの地域で団体をつくっておりまして切磋琢磨しておりますので、その方々がNHKの、歌を歌っている方の後ろで伴奏をなさるとなれば、これはもう皆さん、地元の方々も含めて励みになると思うんですね。そうすると、ますますまた民謡の方が発展をしていくのではないかと思うのです。

 おっしゃったことはわかりますが、日本全体の民謡が少し衰退をしておりますので、衰退なんと言ったら怒られますね、不景気とともに少なくなっている面もございますので、そういう意味の御協力をいただけないか、そんな意味でございましたのですが、もう一回お答えいただけますか。

関根参考人 私ども、今、テレビ、ラジオで定期的にやっているものとしましては、これはFM放送で日曜の朝、午前十一時から「日本の民謡」というものを定時でやっています。そのほかにも、不定期というんですか、テレビでは「それいけ!民謡うた祭り」とか、ラジオ第一では「民謡をたずねて」といったものをやっていますけれども、こういった民謡番組に出ていらっしゃる方の演奏者につきましては、できるだけ地元の演奏者を選んでいきたいという希望を持って行きますけれども、これもなかなか実情にそぐわないことがあります。

 ただ、例えば「民謡をたずねて」というのは、これは公開番組というので、今、全国で大体十六カ所ぐらい予定していますけれども、こういったところでやるときにはできるだけ地元の方に優先的に出ていただくということで対処しているところであります。

大出委員 全国的な民謡の振興のためにもひとつよろしくお願いしたいと申し上げておきます。

 そして、二番目の質問でございますが、これはちょっと通告しておりません。ひとつ会長に、別に大変な話ではございません。

 特別養護老人ホームに行きますと、ケアワーカーの方がございますね。いろいろな職員の方がおられるわけですね。それに対して、デイサービスを御利用になる、言い方が悪いのかな、おじいさん、おばあさん、あるいは要保護をされている方々。

 それで、ケアワーカーの方々はお孫さんぐらいのお年ですね。要保護者の方々はどんなテレビを、どんな番組を見たがっているかとお孫さんみたいな方々に、働いている方に聞いたわけですね。それと同時に、現にデイサービスを利用している人を連れてくるお母様あるいはおばあ様に聞いたりしたんですね。そのときに、どんなテレビ番組だというふうに答えたと思いますか。どうでしょうか。推測でどうぞ。

海老沢参考人 なかなか難しい質問でありますが、私ども、時間帯によって相当違ってくると思います。

 夜の時間は、もう先生御案内のように、一家団らんといいますか、一家が皆集まって楽しく見られるような番組を中心にやっておりますし、今、総合テレビでは午後の時間はできるだけ生放送ということで、全国各地、皆さんお元気ですかというようなタイトルで、日本列島北から南まで、いろいろなところから中継をしながら、またニュースを伝えながら放送をしているわけであります。また、午前中は「生活ほっとモーニング」ということで、時の話題、あるいは料理とかいろいろな問題、家庭の趣味の問題、いろいろ多様な番組をやっておりますので、すべての方々をその時間帯に縛りつけるということはなかなか難しいわけであります。

 そういう面で、夜の時間に再放をして、それを録画してもらってまた見てもらうとか、あるいは、教育テレビでそういう福祉の番組とか高齢者向けの番組をやるとか、いろいろ工夫しながら放送しております。

 ですから、若い人たちが見たいものは何かといいますと、なかなかちょっと今答弁できない、苦しいところであります。

大出委員 実は、ケアワーカーの方々に、おじいさん、おばあさんはどんなテレビを見たいと思っていますかというふうに聞いたら、若者は、おじいちゃん、おばあちゃんたちは時代劇だよ、大河ドラマだよ、こう答えたんですよ。ところが、御当人たちに聞くと何と言うかというと、必ずしも時代劇と答えていないんですね。何と答えているかというと、ニュース番組だというんですよ。ニュース番組なんですね。お孫さんぐらいの年齢の方々が当然お年寄りを考えながら善意に言っていることでございますが、意外と現代の情報をとりたいと思っておられるんですね。そして、別のところで聞いたときには、おじいさんたちは何と言ったかというと温泉、グルメ番組だ、こういうふうに答えている。

 ですが、ニュース番組が見たいということが非常に重要なことでございまして、実は何を質問しようかというと、民間の方では、二十四時間放送というものについて、民業圧迫である、あるいはNHKの肥大化である、あるいは二元体制を崩壊させるんだというような、私の方の同僚なんかも、宮城放送にいたりする者がそういうふうに言っているわけですが、私はそうではないというふうに言って、やはり、何で早く二十四時間放送をしなかったんだろうか、こんなことを言っているわけでございます。時間的に最後になりますが、どのようにお考えでしょうか。

海老沢参考人 私ども、二十四時間のニュース放送をしたいということを希望しておるわけであります。実現したいと思っておるわけでございますけれども、御承知のように、これは民業圧迫とか、あるいは民間放送をどうこうというのではなくて、私どもは、二十四時間ニュースによって受信料を値上げするとか、あるいはまた新しいチャンネルを欲しいとかいうのではなくて、今の難視対策を中心にしているBSの三波の中で工夫しながら一チャンネルを、今でもニュースを中心にやっていますけれども、これにスポーツなりいろいろ入りますが、これを文字どおり二十四時間ニュース放送したい、一チャンネルをそうしたい、そして、スポーツを第二なりあるいはデジタルの方に持っていってバランスをとっていきたい、全体として難視解消も含めた衛星放送にしていきたいということを希望しておるわけであって、民放さんの場合は今四社がCSで有料放送でやっておりますし、また、新聞、あるいは外国のBBCなりあるいはCNN、合わせて日本のCSでは十チャンネルが二十四時間ニュースをやっております。それは全く有料で、別なメディアでやっておるわけであって、そういう面で、それを圧迫するというふうにならないだろうと私は思っております。

 そういう面で、こういう時代的な背景、世界の変化というものを見れば、当然、そろそろ二十四時間ニュースチャンネルをやる時代だろう、そういうふうに思っております。

大出委員 時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 毎回言うのは私嫌なんですけれども、きょうも自民党の出席者の数が少ない、そして、やっとのことで、公明党の皆さんと私たち野党の出席で定足数が足りているという状況でありますから、また委員長、御指導をよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、NHKの受信料の問題であります。受信料の公平負担についてお尋ねをいたします。

 単身世帯の未加入率が非常に高いというか、加入率が低いということですね。単身世帯では六一・四%、二人世帯以上の世帯では八八・六%加入しているのですから、世帯の全体の契約率を押し下げているという状態であります。恐らく、単身世帯には大学生というような人たちが多い。

 また、私ごとですけれども、私は昨年結婚いたしまして、実家の方から新しく新居に移ってまいりました。こういった世代に対する働きかけが本当に少ないんじゃないか、そういうことが実感としてあります。

 と申しますのは、新居に移ってからこの春まで、具体的に訪問されたという記憶はありません。また、選挙が終わって、十六年ぶりにテレビを買いかえようということで、デジタルテレビが今売られていますから、普通のテレビが安くなっておりますので、普通のテレビと、あと、話題のDVD、ハードディスクレコーダーを購入しました。しかし、そのときにも、店員の方、取りつけに来られた方、そういった方に、NHKの受信料はどうなっていますか、契約書はここにありますよというようなことは言われたことはありませんし、箱の中にも入っていない。

 こういったことでは、いわゆる単身者や新婚などの若い世帯、そういった人たちと受信契約をする、そういったことにつながっていないんじゃないか、その対策がとれていないんじゃないか、本当にそう思ったわけでございます。

 そこで、いわゆる若者世帯についての取り組みを伺います。

 賃貸の仲介業者や電器店に受信契約の代理店をしてもらう、そういった取り組みをするべきなんじゃないかと思います。海老沢会長、いらっしゃいますか。

中山参考人 お答えいたします。

 電器店とか、それからいわゆる量販店、ここの方々に業務委託をしまして、そして受信契約をお願いするということ、これは受信契約を向上させるという点で、御指摘のように大変重要な点だというふうに思っております。

 それで、十四年度においては、約一万三千店の全国の電器店の方々に御協力をいただきまして、受信契約は五万三千件を取り次ぎしていただいて、これからさらにふやしていきたいというふうに思っております。

中村(哲)委員 それでは、ハードのテレビやDVDレコーダー、そういったものに受信契約書を入れるなどの取り組みはしているんでしょうか。

中山参考人 受信機に受信契約の申込書を入れるということは、BSの受信機について現在行っております。これは平成四年から、BSのアンテナそれからチューナーも対象にして実施をしております。現在は、国内すべての電機メーカーの受信機に契約書の同こんを実施させていただいております。十四年度の契約取次実績は六万六千件という数字になっております。

中村(哲)委員 つまり、取り組みをしているけれども、漏れる人が多いということなんですよね。

 ことしの契約収納関係経費総額は八百十八億円、受信料収入が六千五百五十億円、営業経費率は一二・五%、去年から〇・一%また下がっているんですけれども、確かに、営業経費率を落としていくことは重要だと思います。しかし、毎年毎年、経費を削減していく、その中で、果たして本当にあるべき契約、とれるべき契約が本当にとれているのかどうか、そこに対する検証も必要だと思うんですね。もっといろいろな形で受信契約をふやす取り組みをしていかないといけないと思います。

 関連なんですけれども、若者世帯、インターネットを利用している人もたくさんいらっしゃいます。そういったときに、決済手段としてよくとられているのはクレジットカードです。クレジットカードについては御回答もいただいているんですけれども、十七年度から十八年度中に取り組みをするということも回答いただいているんですけれども、改めて御回答をお願いいたします。

中山参考人 クレジットカードの決済ですけれども、時代の変化に伴って、大変有効な決済手段になるということは御指摘のとおりで、一部やはりセキュリティーの配慮とか、それからシステムの改善等々もありまして、十七年度から十八年度中を目指して導入をさせていただきたい、また、十六年度中に一部ですけれども試行も実施してみたいというふうに思っております。

中村(哲)委員 そういった若者対策に取り組んでいかれるということで、それはお願いいたします。

 関連してなんですけれども、今、国民年金保険料のCMに出演していたタレントが国民年金保険料を払っていなかったという問題がクローズアップされています。同じようなことがNHKの受信料でもないのかな、そういうことを思いましたので、少しお聞きしたいと思います。

 つまり、若者世代向けの番組として、紅白歌合戦などでも若い世代の出演者がたくさん出演するようになってきました。そういった方たちに対して、受信料をきちんと払っているかどうか、その確認は、NHK、されているでしょうか。

中山参考人 お答えいたします。

 現在は確認をしておりません。

 あくまで、受信契約収納ということは、営業活動を通じてきちっと成績を残していく、それから、放送は、公平公正、NHKらしい番組をきちっとつくっていくということが基本になるわけですけれども、また、個人情報の観点からも、営業と放送の情報を相互に活用し合うということは若干の課題は残っているというふうに認識をしております。

 御指摘の点は慎重に検討する課題だというふうに思っておりますけれども、現在のところはまだ確認をしていないというのが実態でございます。

中村(哲)委員 そんな認識だからだめなんですよ。何も個人情報を利用して指摘しろと言っているわけじゃないじゃないですか。出演者に対して、あなたはきちんと受信料を払っていますかと確認するというのは、個人情報と関係ないじゃないですか。営業情報を放送に利用する、そうすべきだと言っているわけじゃないでしょう。そういったことで自分の仕事をしていない理由をつけないでくださいよ。単身世帯、新婚世帯、そういった若者世代をきちんと契約に取り込まないといけないんでしょう。だったら、そういう世代のリーダーになるような、またアピール力の強いような人たちにきちんと促して入ってもらう、その取り組みをすることは非常に重要じゃないですか。そんなことでどうするんですか。会長、いかがお考えでしょうか。

海老沢参考人 私ども、受信料の公平負担ということで、いろいろな働きかけをしておりますが、個人個人に対しての、きめ細かいといいますか、そういう対応が不十分だということ、これは今後大いに反省をしながらやっていかなければならぬと思います。

 そういう面で、「のど自慢」なりいろいろな催し物をNHKやっておりますが、その際に、担当のディレクターの方から、この番組は受信料で制作されております、ぜひ受信料をお払いくださいという呼びかけは毎回しております。出演者の方もそれは十分認識していると思いますが、まだ確認はきちっとはしていない、その点、これからいろいろ検討していきたいと思っています。

中村(哲)委員 確認をしていただける、検討をされるということですので、よろしくお願いいたします。

 関連質問として、インターネットと放送の融合についてお尋ねをさせていただきます。

 若者世代の契約に取り組んでいるということを考えると、若者世代はよくインターネットを使っている、そのことについても、配慮をする、考えていかないといけないと思います。

 今、受信料の使い方について、インターネットの費用はテレビの受信料で賄っているというふうになっていると思いますけれども、その根拠は何でしょうか。

野島参考人 先生のお尋ねは、NHKが今インターネットを利用して、番組の二次利用ですとか、番組関連情報の提供をしている、それに関連してのことかと思うんですが、これらは、視聴者の方が見逃した番組を後で見ていただく、あるいは番組をよく理解していただくための情報を提供するということでございますので、放送のいわば補完ということでございます。

 放送法に規定されております附帯業務というものに当たるものと理解しておりまして、総務省のNHKのインターネット利用についてのガイドラインでも、そのような位置づけで、範囲ですとか、規模だとか、態様について規定されているところでございます。

 したがいまして、これについては受信料でやっているということでございまして、平成十六年度は、それについての費用を七億五千万計上しております。

中村(哲)委員 つまり、インターネットを利用している人は、テレビの受像機を持っているだろう、だから、受信料でインターネットも提供しよう、そういう趣旨だと思います。

 私は、そうすれば、もう少し進めて、受信料を払っている人にはID番号を発行して、例えばインターネットの、総務省の言っているガイドラインで定められております一週間に限っては再放送をインターネットで通信で見ることができる、そういった仕組みも考えたらいいんではないか。そうすれば、受信料も払おうかな、払ったらID番号を発行してもらって見逃した番組も見られるんじゃないかな、そう思う人もふえると思うんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。

中山参考人 若者の契約率を上げる、それから収納率を上げる、これはもう御指摘のように、私どもの大変な課題の一つであります。

 インターネットを活用して、今御質問にありました、ある種インセンティブを設けて若者の方たちの受信契約の率を高めたらどうかという御指摘ですが、先ほどから、新しい技術、デジタル技術の活用のところで御説明も申し上げておりますけれども、受信契約者を特定する認証技術の確立、それからコンテンツの保護、そのほかまだ課題が残っております。将来の課題としては、そういう点も取り上げていくという課題の一つだというふうに思っておりますけれども、現時点ではまだ若干の課題が残っているというふうに思っております。

 それから、営業活動でインターネットを活用しているのは、平成十二年七月からインターネット営業センターというものをNHKのホームページに設けておりまして、そこから、受信契約とか住所変更とか、それから衛星契約変更とか、いろいろなことをやっておりまして、こういう点はこれからも進めていきたいというふうに思っております。

中村(哲)委員 時間がないんですから、端的に答えてください。もう時間がなくなりました。

 最後に、関連会社についての質問をさせていただきます。関連会社については、二年前に我が党の永田委員も質問をさせていただきましたけれども、天下りがあるんじゃないかという問題が聞かれております。しかし、私は、より進んで、余剰金の問題についてお聞きをさせていただきたいんですね。

 例えば、NHKエンタープライズの余剰金は今七十四億円ほどある。余剰金がこれだけあるけれども、配当をしていないらしいんですよ、関連会社が。今、地上波デジタルで、投資的経費が非常に必要な時代ですから、こういったところから配当をもらって、経営状態を改善するということの取り組みをすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

佐田委員長 持ち時間が過ぎておりますから、簡略にお願いします。

安岡参考人 今、エンプラの状況でございますけれども、先生言われたように、七十四億の剰余がございます。エンプラの今の売り上げは三百五十七億ということでございまして、売り上げの剰余金が二〇%出るということで、事業の健全性から見ればおおむね妥当なことじゃないかなというふうに思っています。

 なお、配当につきましては、今後いろいろ研究をしてまいりたいというふうに思っています。

中村(哲)委員 もっと端的に答えてくれますようお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い順次質問していきたいと思います。それから、これまでの質疑と重複するところがあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。

 思い起こせば、昨年の当総務委員会のNHK予算審議の後に、米国のイラク攻撃が開始されました。あれから一年、戦争も終わりまして、復興支援活動も行う、自衛隊のイラク派遣も始まるなど、本当に日本を取り巻く環境、状況は一変したと思っております。

 NHKにおかれましても、去年の十二月からは、東京、名古屋、そして大阪で、地上デジタル放送を始めるなど、本格的なデジタル時代を迎えまして、NHKに対する期待は高まっておると思っております。こうした声にこたえて、新しい時代に向けた質の高い番組や、そしてまたニュースを放送していくことがNHKの使命かな、こう思っております。

 そこで、まず最初に、NHKの緊急災害放送についてお尋ねいたしたいと思っておりますけれども、海老沢会長、地震の体験はあるでしょうが、津波の体験はあるでしょうか。

海老沢参考人 津波の体験は直接はありませんが、私、昭和三十二年に入局し、福岡で諫早の大水害を経験いたしましたし、延べ九年間九州で仕事をさせていただきました。台風なり、地震なり、集中豪雨なり、いろいろな経験をいたしました。また、この東京の仕事でも災害報道を中心に、私は、政治部記者ですから意外に感じるかもしれませんが、政治部以外の場合はほとんど、災害とか選挙報道とか、そういう緊急事態の対応の責任者をやってきたものであります。

 そういう面で、災害報道については、NHKの中でもいろいろな経験をさせていただき、また、関心を持っているということでございます。

黄川田委員 海老沢会長さんからお話がありましたけれども、やはり公共放送として、NHKの柱の一つですか、災害報道があると私は思っております。とりわけ、地震、津波などの緊急報道のさらなる充実、これが求められると思っております。

 私は、地元は東北の三陸海岸なんでありまして、明治二十九年と昭和八年に三陸沖の地震津波、そしてまた、昭和三十五年には南米チリからの津波、そして大きな被害をこうむったわけでありますけれども、また、去年は東北でも地震が多かったわけでありまして、五月の二十六日の宮城県沖と、七月二十六日の宮城県北部の二度の地震に遭いました。さらには、九月の二十六日には十勝沖の地震がありまして、これは三陸沿岸に津波の被害をもたらしました。カキとかホタテの養殖いかだに大きな被害があったわけであります。

 被害を最小限にとどめるためには、地域を基盤とする放送局が、災害時だけではなくて日常活動においても、防災意識の向上に役立つ、そういう番組やニュースを取り上げることが重要だと思っております。

 そこで、この災害対策に関してでありますけれども、地域の防災組織や県や市町村に対して、NHKの各地方放送局でありますけれども、どのような協力関係にあるのか、そしてまた、地域の防災意識向上に役立つためのニュースあるいは番組はどんなものを放送しているのか、お尋ねいたします。

海老沢参考人 私ども、災害対策基本法の中で指定公共機関として位置づけられております。そういう面で私も中央防災会議の一員になっておりますし、五十三の地方放送局の局長は、各県の防災会議の委員として、防災に関するいろいろな事項についての協議、打ち合わせ等に参加しております。私ども、やはり各地方自治体との連携協力関係を強化しなければいい仕事ができませんので、そういう面で各都道府県、各市町村とのそういう連絡協力体制は密にしているところでございます。

 特に、阪神・淡路大震災の経験でありましたように、ヘリコプターの活用が最も大事だということで、今、四十七都道府県のうち十三の自治体と協力協定を結んで、各県の防災ヘリからの映像はNHKにも直ちに入るようになっておりますし、また、監視カメラといいますかロボットカメラ、これを全国四百四十二カ所に配置しております。特に津波の警報というのは非常に大事でありますから、そういう津波関係だけでも今百七十七カ所に置いてあります。特に岩手県、今先生お話しのように、三陸沖では三つの大きな地震津波があったわけでありますから、そういう面で大船渡、宮古、釜石の三カ所にはそういう監視カメラも置いてあります。

 それと同時に、今、各河川等にも、国土交通省との連携を深めながら、河川情報も直ちに生の映像で入るようになっておりますし、そういう面ではこれまでになくそういう連絡の体制は緊密になりつつあります。

 私どもも、今全国九カ所の基地に十一のヘリを常駐させて、いつでも対応できるようにしておりますし、また、災害対策というのは実地訓練をきちっとしませんと、畳の上の水練ではできませんので、いろいろな面で実地訓練をしながら、また放送を通じて防災意識を高める、あるいは九月一日の防災の日、一月十七日の阪神・淡路大震災の日については、いろいろな防災訓練なり防災関係の番組を放送して、いつでも国民の防災意識が発揮できるようなことをしているところでございます。

黄川田委員 海老沢会長から懇切丁寧な答弁でありましたので、早く進まないと全部質問できないと思いますので、では、ちょっと飛びます。

 地上デジタル放送に関連してお尋ねいたしたいと思います。

 これまでさまざま質疑されたと思うわけでありますけれども、この地上デジタル放送の実施状況と普及状況、アナ・アナ変換対策など、地上デジタル放送を進めるためにどのような問題点あるいは課題があるかについて、NHKにお尋ねいたしたいと思います。

和崎参考人 お答えいたします。

 昨年十二月一日にスタートいたしました地上デジタル放送では、いわゆるハイビジョンを中心にいたしまして、データ放送とか電子番組ガイドといったデジタルの特性を生かした放送を中心にサービスが行われておりまして、東名阪でNHKのデジタル総合テレビの視聴可能世帯は一千二百万世帯になっておりまして、全体としては順調な滑り出しであると考えております。

 また、総合テレビの放送の中身でございますが、朝五時から二十四時までの間に九〇%以上もハイビジョン制作の番組で放送するというような状況になってございます。

 一方、受信機の普及等の状況につきましては、社団法人の電子情報技術産業協会、いわゆるJEITAの発表によりますと、二月末時点で三波共用受信機が六十一万台を超えたということで、これについても順調な滑り出しかなと思っていますけれども、この原因は二つあろうかと思っています。

 一つは、消費者の皆様が、これからデジタルの状況がどうなってもこの三波共用受信機が安心テレビという側面、それからもう一つは、いわゆるプラズマディスプレーであるとか液晶テレビといった、箱から板へという移行が並行して行われているところが大きいかと思っています。

 今後の課題は、一点挙げるとすれば、いわゆるアナ変対策が順調にこれまでどおり進めるということと、あわせて、デジタル電波を出したときの受信障害対策を確実に円滑にやっていくこと、このように理解をしております。

黄川田委員 NHKは、順調だ、財政的にも大丈夫だという話でありますけれども、一方、私の地元岩手には、民放四局あります。郵政省指導のもとに、民放、さまざま展開してきたと思うのでありますけれども、経済状況が厳しい中で大変であります。

 そして、この地元の民放四社のデジタル化の投資でありますけれども、一社当たり平均五十五億円と想定されております。五十五億円投資しても、岩手は四国四県に匹敵する県、そして山がちであるということの中で、デジタル放送の親局でのカバー率は、岩手県総世帯数の五三%しかカバーできない、これが実態であります。そして、親局、大規模中継局及び重要局を合わせても八三・四%のカバー率であります。この八三・四%から一%、二%伸ばしていくというのは大変な投資になるわけであります。山間部が占めている岩手の特徴から、これから多数の中継局を設置しなきゃいけないということで、私も盛岡の放送局、NHKに行きました。民放との相互協力でもって、できるだけ中継局の建設は一緒になって低廉化の方向で進めようという話のようであります。

 そこで、総務省に見解を求めるわけでありますけれども、この放送の公共性を踏まえ、地域間格差のない視聴及び地域に密着した信頼される放送局の役割を果たすためにも、地上デジタル放送設備にかかわる公的支援、これが必要と考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。

武智政府参考人 御指摘のように、ローカル局につきましても、円滑にこれをデジタル放送へ移行させることは大変重要な課題であります。

 また一方、この投資負担がローカル局の問題になっていることも承知をしているところでございまして、総務省といたしましては、デジタル化投資に係る設備投資の負担を軽減するため、税制支援措置、金融支援措置等々の支援措置を行うとともに、また、マスメディア集中排除原則の緩和ということで、例えば合併や大幅な資本出資を認めるなどの措置ができるようにしておるところでございます。

 御指摘のあったように、今後、さまざまな地域的な事情によりまして、民間投資によりましては整備が進みにくいところもあろうかと考えられますので、これについて、必要に応じまして公的支援のあり方についても検討してまいりたいと考えております。

黄川田委員 地方の民放も時間をかけて中継局を整備したわけでありまして、短期間の間に投資というのは本当に大きな負担になるわけであります。ユニバーサルサービスの観点からも、地上デジタル放送の開始に伴い、都市と中山間地のデジタルデバイドの解消、これは急務であると思っております。それから放送分野のほか、携帯電話等の移動体通信の難聴対策、これも地方にあっては急務であります。そしてまた、地方分権改革において都市と地方の格差是正、これも喫緊の課題と思っております。

 デジタル化は私は国策だと思っておりますので、引き続き、公的支援について国の支援をよろしくお願い申し上げまして、これは要望でありますけれども、質問を終わります。

佐田委員長 次に、若泉征三君。

若泉委員 民主党の若泉でございます。

 日本放送協会の担う役割としてこういったことをやっていただきたいというようなことをNHKさんと、そして総務大臣さんに御質問申し上げたいと思います。

 美しい自然と国土、またすばらしい文化と歴史、また立派な人材、これを守っていくのは、ある意味ではNHKさんのいわゆる大きな役割である、このように思っております。そういう意味では、非常に公共性の高い、国民の信頼するテレビである、また放送局である、このように国民は思っております。

 そういう中におきまして、常々いろいろな番組を見ておりますときに、一般の国民は、何か災害が起きたとか、何かすばらしいことが起きるとか、またイラクの問題も出るとかということになりますと、すぐチャンネルをNHKに回す、私自身もそういうことをやります。

 そういう中におきまして、最近、農水省は、いろいろな日本の農業のあり方につきまして、さらに規模拡大をして大規模の農業をやる、専業の農家を支援し、兼業農家には余り支援しない、そして生産性を高めて担い手育成をするんだというような方針を打ち出しております。しかし、机上でいろいろな企画を立てても、なかなかそれは難しい問題なんです。食糧の自給率を、現在の三〇%から五〇%までに引き上げていきたいというのが私の理念でございます。

 こういうことを思っているときに、この前、実は三月十六日に、NHKの「ひるどき日本列島」というのを本会議の直前にちょうど見ておりました。本会議にはちゃんと出させていただきました。見ていましたところ、すごいな、すばらしいな、カラフルな茶髪の青年とそして少年が、これは福岡市の西区でございますが、イチゴ畑で本当に愉快にやっているんです。この内容をお聞きしておりますと、百五十人の研修生が既に巣立っている、その百五十人の青少年の研修生はすべて農業に携わるか、または農業関係に携わっている、すばらしいことだと思うんです。

 これを見ておりますと、この農家はその研修生に自己主張ができるような、いわゆるプレゼンス能力と申しましょうか、そういうものを徹底して指導している。例えば、花嫁さんをもらうのにどうしてもらったらいいかというような教育。そして、イチゴ畑を舞台にして歌を教えている、またはダンスが始まる。この世の中で我々の農業生活がまさに理想社会であるそういうような意識の中で青少年が農業に携わっている。

 私は、地方のこのすばらしい現場をそのまま全国に訴える、そして放送する、これがこれからの日本の農家に対して大きな夢と理想とそしてやる気を起こさせる、農水省の机上だけの企画立案ではこういうことはできない、そういう意味で、きょうは評価をしたいと思うんです。

 会長さん、今後もこういったものを、地方は地方のメディアとして、地方のものとして扱うんじゃなくて、こういった農業の将来の担い手育成のためにも大きな貢献をされるという意味ではすばらしいと思いますが、さらにこういったものを全国的に進めてほしいと思いますが、いかがでございましょうか。お聞きしたいと思います。

海老沢参考人 先生御指摘のように、食料問題は今、世界共通の大きな課題になっております。BSEや鳥インフルエンザ等いわゆる感染症がはやり、改めて、食の安心、安全、安定供給が問題になっております。

 そういう中で、私ども、もっと食料問題、農業問題、漁業問題を根本的に考えなければいかぬということで、四年前にNHKの中に食料プロジェクトをつくって、いろいろな世界的な食料問題を取り上げております。その一環が、先ほど先生がおっしゃられましたように、後継者育成の問題であります。

 それと同時に、今全国的に、「ふるさとの食 にっぽんの食」ということで各都道府県ごとにいろいろな催しを展開し、去年もことしも三百五十万から三百六十万の人に参加していただきました。この前、雨が降りましたけれども、土日でも、二日間で、NHKホールの周辺で「ふるさとの食 にっぽんの食 全国フェスティバル」をやったところ七万人の方が押し寄せてくる、そういう面で食料に対する認識をひとつ改めてもらいたいということで、いろいろな催し物をやっております。

 それと同時に、今、日本農業賞というものを、昭和四十六年から全中と都道府県中央会と一緒になってやっておりますが、これも、単なる農業賞の表彰じゃなくて、各農家がどういう創意工夫をして、日本の農業の振興のためやっているかということを詳しく映像でも放送しております。

 そういう面で、食料問題というものは、環境なりあるいは家族の問題、いろいろな面に関連するものでありますから、農は国のもとと言われているように、我々も、今後とも食料、農業問題については積極的に取り上げていきたいと思っております。

若泉委員 ありがとうございます。そのように推進していただきたいと思います。

 時間がございませんので、次は総務大臣にぜひともお聞きしたいと思います。これは放送法第三条に違反にならない程度にお答えいただければと、当然だと思いますが。

 実は私は、この二日ぐらいの休日に六カ所のミニ集会をやってまいりました。その六カ所のミニ集会で出てくる話は、今、年金の問題とかまたは合併の問題が出てくるわけでございますが、いわゆる市町村合併についての話が出ました。そこで言われることはどういうことかといいますと、いわゆる現状の市町村合併というのは、法定協議会そしてまたは合併の調印式まで、すべて行政サイドで決定されてから、私たちのところに合併をするよと言ってくる。このことで、何のために合併をするか、合併のためのメリット・デメリットは一体何であるか、そういうことをほとんど知らないうちに行政主導型で決められていく。事実、そういったところが、後に結局破綻になったりうまくいっていない。

 私は、市町村合併を推進するという意味で非常に大事なのは、やはり住民から、住民自治から盛り上がってくる合併の推進ということが大事だと思うんですね。

 あるところでは、私も存じ上げておりますが、住民のそれぞれの集落から合併推進委員を選びまして、そして各団体長さんとか区長さんとか、そういう方々とよく話し合って、単なる合併だけの話じゃなくて、これからの町づくりはどうなるのか、これからの合併後の地域づくりはどうなるのか、または私たちのコミュニケーションが破壊しないだろうか、こういったことをよく話し合ってから法定協議会がつくられて、さらにはそこで議会の議論が行われて、そして議決して調印式にいく、実際そういう市町村もあるんです。

 私は、合併とは一体何だかわからないというような基本的なところからそういうものを改善するためには、やはり日本放送協会の力、役割というのは非常に大きいと思うんです。といいますのは、やはりそういったモデルケースになるような市町村を特集としてNHKの番組として取り扱っていただけないか。当然、総務省の皆さんの御協力がなくてはできないと思いますので、法律に触れない程度に何とかこういったことを放送していただくことによりまして、今も非常に滞っております日本の市町村の合併の推進を行うためにも、また将来の住民の自治意識を高めるためにもやっていただけないか、このように思いますので、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 若泉先生、最初にお断りになったように、これはいわゆる一般論としてしか返事ができないところですから、あらかじめお断りをしておきますけれども、基本的には、今何が行われているかというのが、それを担当している議員とか、町役場の役人以外に広く知られるというのはすごく大事だと思います。

 一つの例として、全国六百五十ぐらいある市の中で、びりから二番目に小さい山田という市がありますけれども、ここは、CATVが引いてあって、二市八町で合併をしようとしているその議会、百何十人いる議員さんが出て、代表を何十人と決めているんですが、そこのあれを三時間ぶっ通しでCATVで流すわけです、週一回。一番理解が進んだのはこの市ですね。

 これは、非常にはっきりしているという事例を知っているせいもありますけれども、今言われたような形で、市町村合併について的確な報道が行われるというのは、これは促進には非常にいい方法だと思っております。そういった意味では、これは放送をされる側がみずから選んで、こういったところはどうだということを、的確に、冷静な判断のもとに報道していただくのは大変結構なことだと思っております。

若泉委員 私も山田町のことは存じ上げております。ぜひそのような形で、合併の推進が住民意識から盛り上がるように、日本放送協会としても御尽力をいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、NHKのイラク戦争報道に関して質問をいたします。

 イラク戦争開始から一年がたちました。戦争開始の大義とされた大量破壊兵器は見つからずに、逆に、アメリカの調査チームの責任者がそもそも存在しなかったと発言をし、ブッシュ大統領自身もインタビューの中でそのとおりだと認めざるを得なくなっております。スペインでも、ポーランドでも、当然我が国でも、この戦争の大義に疑問を示す声が大きく広がっております。

 今こそイラク戦争そのものの検証を求められているときであり、このことは同時に、この戦争をどう報道したかも検証が求められていることを意味していると思います。

 放送、報道内容を検証するにはその基準が要ります。その基準の一つとなり得るのは、戦争報道の指針、ガイドラインであります。また、こうしたガイドラインは、放送局が戦争をどう報道するのか、また、放送局の放送、報道姿勢を公に明らかにする機会ともなります。イギリスのBBCは、イラク戦争に先立つ二〇〇三年三月に、戦争報道のガイドラインを改定し発表しました。日本の放送局でも、TBSは、やはり二〇〇三年三月に戦争報道に当たってというガイドラインを公表しております。

 NHKも戦争報道の指針をつくったと聞きます。それはいつのことで、どのような内容のものか、お聞きいたします。

関根参考人 お答えします。

 御指摘の放送ガイドラインでありますけれども、これは平成九年二月に最初に発行いたしました。それで、取材のあり方等も含めまして、いろいろな状況の変化がありますので、毎年これを見直しする作業を進めています。

 ちょうどイラク戦争があったときに、このときには軍に同行するという私どもとしてはこれまで余り経験のなかったことを経験したということ等もありまして、これまでは包括的な形で有事の際の取材のあり方等を決めていたんですけれども、項目を立てまして、戦争報道のやり方等、そういったものについて去年の九月にまとめたということであります。

 ただ、問題は、この放送ガイドラインの性格でありますけれども、我々は放送法に沿って自主的に決めている番組基準というものはありますけれども、こういったものとは異なりまして、いわば内部文書の性格を持たせているのがこのガイドラインであります。

 したがいまして、大体、そのガイドラインの骨子というものについては公表はしているんですけれども、全文については公表していません。

塩川委員 お手元に配付した資料が、NHKが公表した戦争報道のガイドラインの要旨であります。

 ガイドラインは、最初の「基本的姿勢」で「公正・客観的な報道姿勢を基本とする。」と述べております。公表して国民の声を受けとめることが公正、客観的な報道姿勢を貫く力ではないか、このように思います。

 要旨だけを発表するというのも納得できないところでありますが、先ほど、項目を立てて戦争報道のあり方を明らかにしたと言いました。今回、この要旨では六項目発表していますが、記者会見の際に九項目あると述べておるわけです。残りの三項目は何なのか。六項目は要旨を公表して、三項目は要旨を公表しなかった理由は何なのか、その点をお聞きしたいと思います。

関根参考人 この配付された資料に基づいて御説明いたします。

 基本的姿勢、取材体制、軍同行取材、情報の出所の明示、安全管理、映像の扱い、ほかにあるのは、事実の検証というのがあります。これは、一方は戦争を有利に進めるために意図的に情報を流す場合があるので、できるだけ多角的な角度から情報を収集して報道しなさいという内容であります。それと、報道用語。要するに、報道は客観的でなければいけませんので、用語についても十分に注意をする、そういった内容であります。さらに、表現の方法。要するに、表現については事実に基づいてやらなければいけない、表現を誇張してやってはいけないという趣旨であります。

 別にこれを隠しているわけでも何でもなくて、極めてだれでもがわかるような一般的なものでありますので、あえてその中には入れなかったということであります。他意はありません。

塩川委員 今、事実の検証と報道用語、二つありました。

 もう一つあると思うんですけれども、私がお聞きしたところでは、これは広く当然のことながら、NHKの関係者に配付をして、この趣旨を徹底し深めていこうという趣旨でありましたから、私も関係者の方から拝見いたしました。もう一つ、放送時の公平性の確保という項目が挙げられていると思います。

 専門家のコメントを求めたり、スタジオで解説してもらったりする場合には、NHKとしての公平さ、信頼性を損なうことのないように格別の注意をする、また、出演者の人選が一方の考え方に偏らないよう配慮する。今お話のありました事実の検証や報道用語とあわせて、当然のことが書かれているわけであります。

 そこで、BBCやTBSはガイドラインを公表しているわけですが、例えば、BBCのガイドラインというのはなぜ公表するのか、明らかにするのかといえば、視聴者への説明責任、アカウンタビリティー、この立場からまとめられている、このように述べております。

 NHKも、全国民を基盤とする公共放送として、やはり国民の前に戦争報道のガイドラインを公表し、視聴者への説明責任を果たす必要があるんじゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

関根参考人 まず、御指摘の公平性の確保でありますけれども、これは確かに項目としてはありますけれども、このところは、第一番目の報道の基本的な姿勢、そこに大体包含されているということで先ほど申し上げませんでした。

 それと、BBCの件について御指摘がありました。このBBCのガイドラインを斜め読みしました。これを読む限りは、例えば、軍の作戦上の問題とか兵士の家族、そういったものに配慮してある一定期間報道を差し控えるという趣旨の項目がありますけれども、私どもの戦争報道に対する姿勢というのは、少なくともそういったものはありません。

 とにかく入手した情報というのは、もちろん編集判断でどういったものを出すかは考えますけれども、別に隠すことなくそれを国民の前に公表するというのが建前でありますから、BBCのこういったガイドラインと、少なくとも、私どもが掲げている放送ガイドラインの項目の戦争報道に対する基本的な考え方から始まります姿勢、これはおのずと違うんじゃないかというふうに理解しています。

 したがいまして、私どもの放送ガイドラインの中身を全部出して国民的な議論を巻き起こすというような内容ではないというふうに考えています。

塩川委員 NHKが発行しております研究雑誌で「放送研究と調査」というのがございます。その十月号に、戦争報道ガイドラインの一考察というNHKのスタッフの方が書かれた論文が取り上げてありました。

 そこでは、BBCの指針は、BBCとして戦争をどのような方針のもとで報道するかを視聴者に説明する義務があるとの認識でまとめられ、かつ発表されている点にも我々は留意すべきだろう、戦場における取材の安全をいかに確保するかという安全確保の指針をまとめることの重要性は論をまたないが、それにとどまることなく、戦争をいかに伝えるかという戦争報道の指針は、世界平和の理想の実現に寄与するという不変のNHKの番組基準の基本原則を想起しながら検討、整備されるべきではないだろうかと指摘をしております。

 私は、こういうNHK内部の職員の声こそ生かされるべきだ、このように思います。

 そこで、配付資料の二枚目に、研究者や市民、放送労働者の方でつくる放送を語る会の方がまとめたイラク戦争のテレビ報道の比較を紹介してあります。戦争開始の三月二十日から四月十四日までのうち、収集できたビデオのある十二日間で、NHKのニュース10とTBSのNEWS23、テレビ朝日のニュースステーションの比較を行っております。その「伝えた情報の分類と量的比較」ですけれども、これは、上の欄が秒数、下の欄がその番組でイラク戦争報道にかかわったうちのそれぞれの項目の割合が示されております。

 その一番の戦況解説ですが、ニュース10では全体の放送時間の一七・六%、これに対して、NEWS23が一二・四%、ニュースステーションが一五・一%を占め、三つの番組の中ではNHKの番組が最も多かったわけであります。

 この戦況解説の中心を担ったのがある軍事評論家の方ですが、この方は、例えば、米軍の戦車隊の進撃が早く、補給が間に合うか心配だ、こういう発言をテレビの中でもしております。率直に言って、米軍側の立場からバグダッド攻略がスムーズに進展することが望ましいとの立場での解説が行われたのではないか、こういう疑念も浮かぶわけであります。

 私は、こうした戦況解説は、放送時の公平性の確保というガイドラインの立場から見ても問題はなかったのかどうか検証が必要なんじゃないか、このことを思うんですが、その点はいかがでしょうか。

関根参考人 個別の番組等につきましては、またこれはいずれいろいろな局面で検証する必要があるんじゃないかと思いますけれども、少なくとも私どもとしましては、イラク報道に関するNHKも含めた報道の仕方についての検証番組、その一方で、イラク戦争そのものについての検証番組といったものを幾つかこれまでやってきています。

 具体的に申し上げますと、私どもは、去年の九月、衛星第一放送というところの「世界潮流」、これは百十分の番組であります。この中で、「メディアはどこに向かうのか イラク戦争とジャーナリズム」という検証番組を放送しています。この番組の中身でありますけれども、これは、NHKのアメリカ総局長、それとABC、BBC、それとカタールのアルジャジーラ、こういったところの関係者を招きまして、NHKを含めました各国のテレビのイラク戦争報道、こういったものを検証いたしました。

 それと、今月の十五日であります、NHKが主催しまして、イラク戦争報道への取り組みの検証と戦争報道の課題、これのシンポジウムを開きました。出席者は、先ほど申し上げたとおり、NHKとABC、BBC、アルジャジーラ、それに大学の先生も加わっていただきました。

 こういったシンポジウムの中で、公正中立を保った報道を行うための方法、またその一面での難しさ、そういったものについて討論していただきました。この番組につきましては、来月の三日でありますが、教育テレビの「土曜フォーラム」という七十分の枠で放送したいというふうに考えています。

 そのほか、私どもの放送文化研究所というところで「放送研究と調査」という雑誌を出していますので、そこにもフォーラムの中身については紹介するつもりであります。

 一方、イラク戦争そのものの検証でありますけれども、これは、「クローズアップ現代」という番組を初め、私どもの解説員で何人かの専門家を集めまして、「あすを読む」という番組がありますけれども、この枠を広げまして、全体的なイラク戦争そのものが一体どういうものであったのかという検証もやってきました。

 いろいろな番組で、報道の内容そのもの、それとイラク戦争の検証、そういったものをやってきたつもりであります。

塩川委員 ぜひ、その検証番組、シンポジウムも含めて注視をしていきたいと思っております。

 お配りしました二枚目の資料の方にも、「伝えた情報の分類と量的比較」によれば、ニュース10では、戦況解説が全体の放送時間の一七・六%、次が十六番の戦争の性格や背景に関する企画などが一〇・九%になっています。これがNEWS23とニュースステーションでは逆転をしております。そういう点でも、NHKのニュース10では戦況解説が量的には番組の中心となっておりました。

 戦争開始の昨年三月二十日のNHKの番組での戦況解説では、地上のイラクの模型の上に軍事作戦の目的というタイトルフリップが載って、そのフリップには大量破壊兵器の無力化と書かれており、軍事評論家の方が、大量破壊兵器、特に生物化学兵器、これが使われると大変なことになると解説をしております。大量破壊兵器や生物化学兵器があることが自明の前提のような解説が行われていたわけです。

 この断定の根拠は何なのか、それこそ戦争の根本問題であり、アメリカの実際の情報操作とも言えるような問題点だと言えると思います。こういった戦況解説を行ったのはなぜなのかということが大いに問われております。NHK自身のガイドラインの公開と、改めての検証をより深めてもらいたい、その点を強く求めておくものであります。

 海老沢会長、一言、いかがでしょうか。

海老沢参考人 日本は平和憲法を持っておりますし、戦争を否定している国家であります。そういう面で、我々は、戦争がないということを前提に仕事をしてまいりましたけれども、イラク戦争という世界の政治経済、文化等に及ぼす影響は大きいものでありますので、私どもも、今、現地に八人の職員を送って、体を張ってイラクの情勢を報道しておるわけであります。

 そういう面で、この戦争につきましては、それぞれの国の立場、見方、いろいろなかかわりがあります。我々は、できるだけそういう世界の動向を多角的に報道して視聴者の判断に寄与しようということで、今、職員の安全を確保しながら、イラク戦争の報道をできるだけ多角的にさらに続けていきたいと思っております。

塩川委員 先ほども紹介されましたNHKの放送研究所の年報でも、世界のテレビはイラク戦争をどう伝えたかと報道しています。

 そこで、上智大学の藤田教授が、ニュースの報道には、事象の背景にある複雑な事情への理解や、将来を見通す洞察力が不可欠だ、表面的な事実を羅列することが客観報道だと考えるのは間違いだと、やはり検証番組についての総括ということを強調しています。こういう立場での取り組みをお願いしたい。

 今、報道内容について、国民の皆さんから厳しい批判の声が上げられています。

 きょうは取り上げる機会がありませんでしたけれども、日常的に視聴者の方と接しているのが受信料を徴収しておられる受信料徴収労働者の方であります。こういった方々の役割は大変大きいわけで、彼らの地位向上、待遇改善を求める立場で、休業補償の問題などについても、改めてこの点の改善方をお願いもしたい、研究もしていただきたい、このことを求めて質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。

 きょうは、海老沢会長、またNHKの役員の皆様、御苦労さまでございます。質問をさせていただきます。

 BSデジタルに続きまして、地上波によるデジタル放送も昨年末から三大都市圏でスタートしたわけでございます。本格的なデジタルテレビ時代がスタートしたわけでございます。

 そんな中で、NHKが十六年から十八年度にかけてのNHKビジョンなるものを発表されました。その中で、二十四時間ニュースチャンネルということを積極的に検討すると意欲を表明されております。

 衛星放送を使って二十四時間ニュースチャンネルをという構想は、一視聴者の感覚からしても悪くないな、このように思いますし、多くの視聴者からも、そういった形でいつでもニュースが見られるということでは利便性の向上につながるわけで、歓迎されるのではなかろうかと思っております。

 これまでの質疑で海老沢会長も、世界に向けた情報発信を充実するためにもニュース専門チャンネルの必要性というものを説明されておりました。国内外に向けて情報を的確に発信していくことは理解できるわけでございます。まずお聞きしたいのは、そのことが経営的にどこまでの戦略と目標を持ったものであるかということを確認しておきたいと思うんですね。

 聞くところによれば、衛星放送は千五百万以上の普及メディアになったようでございますが、この衛星放送の普及にどこまで寄与するものと考えておられるのか、そしてまた、そのことが受信料収入にどう結びつくと計算されておられるのか、こういったことを含めた戦略と目標についてお聞かせいただければと思います。

海老沢参考人 BS放送は、おかげさまで、今千七百万近くまで普及し、そのうち千二百万世帯の方々から受信料をいただいているというふうに数字的には上がっております。

 私ども、二十四時間、BS1による放送を実現するためにどれだけの経費がかかるのか、またどういうメリットがあるのか、いろいろ分析しております。

 御承知のように、私どもは今、国内を初め世界にも特派員を送り、また世界のいろいろな国の放送機関から情報を集めております。それによってこれだけのニュースを出しておるわけでありますが、それを総合的に編集するといいますか、我々の価値判断をつけて、できるだけ多角的な、そして客観的な報道をするための収集をする、それを放送していく、そのために、経費的には今までとほとんど変わらないだろうと私は思っております。ただ、一部設備が老朽化しておりますので、その設備の更新をすればできるような状態であります。

 情報収集の金は、今までの中でそれを編集する方法でありますので、新たな取材費がかかる、また新しい経営をしなければならぬというような問題ではありません。要するに、創意工夫の中によって放送ができるというふうに見ております。

 それと同時に、今こういう国際化の時代の中で、いつでもニュースが見られる、そういう要望が強いわけでありますから、そういうチャンネルができますと、視聴者の方もいつでもチャンネルを回し、いつでもまた自宅へ帰ってきて見ることができるということで、私は、BSの普及にさらに加速度がつくのではなかろうか、そういう面で受信料収入にも役立っていくだろう、そう思っております。

横光委員 実際にこのニュースチャンネルを実施するためにはいろいろな課題があると思うんですね。私は、これは二十四時間ニュースで埋めるということになりますと、これまで以上の膨大な取材体制あるいは制作、編成、いわゆる人、物、金、これが膨大にかかるんじゃないかという思いは持っていたんですが、今、会長の話で、これまでの情報収集の力で十分対応できるということでございます。それは、プロフェッショナルのお考えですから、そちらの方が正しいんでしょう。そういった局内の課題もございます。

 そしてもう一つ、民放連が非常に今度の二十四時間ニュースチャンネルに対しては批判的なんですね。このことについては、これから説得あるいは対応していかなければならないわけですが、どのようにお考えか、お聞かせください。

海老沢参考人 私は、衛星による二十四時間ニュースチャンネルというのは、民放さんの業務を圧迫するとか民放の権益を侵すとかということにはつながらないだろうと見ております。

 それは、やはり日本の放送体制というのは、受信料を主な財源とするNHKと、CMを主な収入源とする民放との二元体制でありますし、これまでも五十年間、競争しながら共存共栄を図ってきているわけでありまして、民放さんもCSを使っての放送をしていくわけで、我々は今のBS放送の中でのやりくりでやっていくわけでありますので、そういう面で競合はしないと思っております。

横光委員 民放事業者の御心配は、これまでの放送体制の二元性、いわゆる表現とか言論とかそういった多元性、あるいは番組の多様性、こういったものによって、すぐれたこの放送体制がこれまであるじゃないか、それが今回のようなことをするとちょっと偏ってしまうんじゃないかという非常に危惧の念をお持ちなので、そのあたりは本当にお互いにしっかりと話し合っていっていただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 もう一つの課題でございますが、いわゆる放送普及基本計画でございます。このことについて、総務省にお尋ねをいたしたいと思います。

 放送法の第二条には、「総務大臣は、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする。」このように書かれております。

 この条文に沿って、今の衛星放送の編成については、放送普及基本計画に基づいて一定の基準を満たすことが求められているわけでございますが、NHKの現在の衛星放送第一、第二、これには一定の基準を満たすこと、つまり、具体的な条件として、総合放送あるいは難視解消ということが盛り込まれております。

 しかし、二十四時間専門チャンネルを一つつくるとなりますと、この一定の基準を変えざるを得ません。そうなりますと、総務省の判断でこういったことは簡単に、簡単にと言っては語弊がございますが、いつでも変更することができるものなのでしょうか、お聞かせください。

武智政府参考人 ただいま先生御指摘のように、現在の衛星放送につきましては、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画において定められているところでございます。

 そこで、いわゆる二十四時間ニュースチャンネルについてどうかということでございますが、まだ検討段階でございますので、私どもとしては、放送普及基本計画を直すかどうかということについて確たることを言える状況にはないわけでございますが、今後NHKから御説明を徴した上で、必要なものなのかどうかということを判断してまいりたいと考えております。

横光委員 今はまだ検討中だそうですが、NHKの説明を聞いてから、これから始めるというんですが、ちょっとお聞きします。

 この放送普及基本計画を、二十四時間ニュースチャンネルという要請を受けた場合は変更せざるを得ないという意識はお持ちなんですね。

武智政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、これから御説明を伺う段階であるわけでございますけれども、その御説明を伺いまして具体的内容を整理した上でということではございますけれども、その説明の内容が、現在の放送普及基本計画に掲げております「難視聴解消を目的とする放送」という概念に当てはまるかとか、それから「衛星系による放送の普及に資するためその特性を生かして行う総合放送」と書いてあるわけでございますから、そこに当てはまるかどうかということを具体的に検証する必要があるという意味でございます。

横光委員 ちょうど今大相撲の春場所が行われておりますが、要するにこれは行司裁きだと思うんですね。要するに、NHKは要請しているんですから、もうビジョンで。民放はこのことに対して激しく反発をしている、民業の圧迫になるんじゃないか、いろいろな意見がある。あるいは、難視の問題。それぞれの問題解消ができるかとか、いろいろな課題がございます。そういった検討をして、今いわば物言いがついているような状況だと思うんです。でも、これはいつまでも物言いをずっと続けるわけじゃない。いずれこれを検討して、そしてそれぞれの意見を聞いて、そして行司で軍配をどちらかに裁かないかぬわけですね。非常にそういう点では、のんびりとはしておれないと思うんです。そういった今状況であろうと思いますので、それぞれの関係者の意見をしっかり聞きながら、しっかりと行司、軍配裁きをしていただきたい、それも早急に、このように思います。

 新たに、料金を追加することなく、現在の受信料のまま、この公共放送、NHKのサービスを充実する、そしてまたその存在感を高めていく、このことは、私、冒頭申し上げましたとおり、結構なことだと思っております。

 ただし、先ほど言いましたさまざまな課題と言われるものはきれいに解決した上で新たな事業展開に取り組むこと、これがやはりNHKの評価をより高めることにつながると私は思っております。

 さまざまな意見に耳を傾けながら大NHK丸の経営のかじ取りをするということは大変なことだと正直思っておりますが、それはやはりNHKに期待するものが大きいからこその私はかじ取りであり手続であるという姿勢を示していただきたいと思うんですが、会長いかがでしょうか。

海老沢参考人 私どもNHKは、もう先生御案内のように、視聴者・国民との信頼関係で成り立っておるわけであります。そういう面で、視聴者・国民の意向というものを十分配慮しながら、各方面の意見も聞きながら、総合的に判断していきたいと思っています。

横光委員 次に、ちょっと別なことをお聞きしたいんですが、週刊文春に対する出版禁止の仮処分命令について、今これがさらに、異議を唱えたのも却下されて高裁という形になろうとしております。

 このことにつきましては、言論統制であるとかあるいはプライバシーの侵害であるとかそれぞれ意見があるわけでございますが、今回のような事例は過去に余り多くないものですから、こういった今回のプロセスが今後の先例となる可能性もあり、よく考えてみますと、これは実に重い意味合いを持っていると思うんですね、今回のこのケースは。

 放送界をいわば代表する立場であるNHKの会長といたしましては、今回のケースについては、どのような感慨、位置づけをされておられるか、お聞かせください。

海老沢参考人 この問題は、申すまでもなく、報道の自由、表現の自由と人権の問題、いわゆるプライバシーの侵害とのかかわり、このバランスをどうとっていくかという、非常に我々にとっても最重大事として受けとめております。

 私どもはやはり、報道の自由、表現の自由を守りながら、それと同時に、私ども、国内番組基準の冒頭に、「人権を守り、人格を尊重する。」ということをうたっております。そういう面で、報道の自由を守ると同時にまた、名誉毀損をしたりあるいはプライバシーを侵害したりしないで、やはりきちんとした公共放送として人権を守っていくんだというその姿勢を堅持していきたいと思っております。

 この問題は、いろいろな面で我々もこれからさらに議論を深めなければならない課題だと思っております。いずれにしても、憲法で認められた表現の自由、これを大事にしながら、それと同時にまた我々、視聴者の信頼にこたえるためにも、プライバシーの保護、人権の擁護にはさらにいろいろな面で配慮を加えていきたいと思っております。

横光委員 もう質問の時間が来ましたが、ちょっと最後に意見を申し上げさせていただきたいんですが、ことしの一月四日に総合放送で、ゴールデンタイム、七時二十分から八時五十分に、正月時代劇「大友宗麟 心の王国を求めて」というのが放送されました。大友宗麟といっても、キリシタン大名ということで、そんなに圧倒的な有名人じゃないんですが、九州あるいは大分県にとりまして、豊後の大分県にとりましては、大変な傑物、偉人なわけですね。松平健さん主演でこれをやったんですが、何とこれが、全国的には一一、二%、九州北部では一八%、でも大分県では、豊後の国、地元では三〇%を超えた。大変な視聴率をとったんですね。要するに、地元の人にとっての偉人が全国に発信されたということで、今皆さん非常に誇りに思っている。これは全国それぞれの地域の偉人、傑物をこれから全国的にドラマという形でつくっていただけば、非常にわかりやすいなという気がいたしております。

 また、NHKといえばどうしても、何といっても紅白と大河だと私は思うんですが、この二つともちょっと苦戦を強いられているということを聞いております。現在の「新選組!」、実は私、昔、民放でございましたが、「燃えよ剣」という番組で山南敬助をやったことがありますので、非常にこの「新選組!」は興味を持って毎週、見られないときはビデオを撮って見ておるんです。これからいよいよ浪士隊が結成されて、京に上り、新撰組として活躍、そして悲惨な結末を迎えるわけでございますが、これからの「新選組!」に大いなる期待を寄せて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、野田聖子君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松野頼久君。

松野(頼)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨の御説明を申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 放送が社会に及ぼす影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党と表現の自由をより一層確保するとともに、視聴者の意向に十分留意しつつ、公正な報道と青少年の健全育成に配慮した豊かな情操を養う放送番組等の提供に努めること。

 二 協会は、視聴者の十分な理解を得るため、事業全般を不断に見直し、最大限の合理化に努めるとともに、子会社等を含め、情報公開を一層徹底すること。また、協会の経営基盤が受信料であることにかんがみ、受信料の公平負担の観点から、未契約世帯等の解消について抜本的に検討するとともに、衛星契約を含む受信契約の確実な締結と受信料の収納を一層徹底すること。

 三 地上デジタルテレビジョン放送については、視聴者に対しなお一層の周知・徹底を図るほか、デジタル技術の特性を生かした放送や地域放送の充実を図り、その普及促進に努めること。また、アナログ周波数の変更対策については、視聴者の理解と協力の下、着実に実施すること。

 四 視聴覚障害者や高齢者に対する情報提供の重要性にかんがみ、字幕放送、解説放送等の更なる拡充と番組内容の充実を図ること。

 五 協会は、災害時等の緊急報道体制の充実を図り、国民生活に不可欠な情報の迅速な提供に努めること。また、地域放送については、地域の要望等を踏まえ、放送番組の充実・強化を図ること。

 六 協会は、国際放送について、我が国の実情を的確に海外に伝えるとともに、海外在留日本人をはじめとする視聴者の期待にこたえるため、番組内容の充実に努めること。

 七 協会は、公共放送の立場を認識しつつ、民間放送との共存共栄を図ることに配慮すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

佐田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、麻生総務大臣及び日本放送協会会長海老沢勝二君から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

佐田委員長 日本放送協会会長海老沢勝二君。

海老沢参考人 日本放送協会の平成十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいろいろいただきました御意見並びに総務大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。

 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを踏まえて、執行に万全を期したいと考えている次第でございます。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

佐田委員長 この際、御報告いたします。

 去る十六日、議長より本委員会に送付されました、議員鈴木克昌君外四十名からの官製資格ビジネスに関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、予備的調査を命ずることといたしましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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