衆議院

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第14号 平成16年4月20日(火曜日)

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平成十六年四月二十日(火曜日)

    午後二時四十五分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 松崎 公昭君 理事 松野 頼久君

   理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小泉 龍司君

      小西  理君    田中 英夫君

      谷  公一君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    渡辺 具能君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      川端 達夫君    須藤  浩君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    中村 哲治君

      西村智奈美君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     渡辺 具能君

  谷本 龍哉君     小泉 龍司君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     谷本 龍哉君

  渡辺 具能君     自見庄三郎君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

四月二十日

 シベリア抑留・未払い賃金問題の早期解決に関する請願(水島広子君紹介)(第一七一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出第一〇九号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、警察庁刑事局長栗本英雄君、総務省大臣官房総括審議官大野慎一君、自治行政局長畠中誠二郎君、自治財政局長瀧野欣彌君及び自治税務局長板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩崎忠夫君。

岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。

 合併関係法律についてお尋ねをいたしたいと思います。

 今、全国的に市町村合併の動きが急であります。合併に向けての法定協議会は五百を超え、協議会構成市町村数は二千に達しようといたしております。このことは、現行の合併特例法が期待以上の成果を上げているということでもありますが、それ以上に、関係者の尽力が大きかったことも否めません。ここに関係者の御努力を多といたしたいと思います。

 さて、今回の市町村合併は、あくまでも自主的な合併として進められております。当然のことながら、合併後の姿もまちまちであります。しかしながら、合併がある程度進んだ現段階において、今後の市町村のあるべき姿について、大臣のお考えを承っておきたいと思います。

 また、市町村の合併につきましては、これまで市町村の大小を問わず促進されてきたと思いますが、その結果、どの市町村も合併をしなければならないと不安に駆られているというのが実態であります。そろそろ市町村が安心して行政にいそしむことができるよう、市町村合併促進の具体的な目標を示されてしかるべきものと思われますが、今後合併が望まれる市町村の姿はどういうようなものなのか、それは指針の中で明らかにされるのか、麻生総務大臣にお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、市町村合併、平成の大合併と言われて、おかげさまで、今、全国三千余の市町村が、総務大臣のサインをしたところまでで三千を切って、二千九百台まで事は進んでおります。さらに進むものと思って、岩崎先生同様、関係市町村長はもちろんのことですけれども、いろいろな故事来歴、いわく因縁があったにもかかわらず、この種の、時代を見据えての合併促進に御協力をいただいた関係者の方々に感謝と敬意を表する次第です。

 どういうようなものがいいのかという御質問なんだと思いますが、基本的には、明治この方ずっと中央集権でやってきたこの国の主体が、今、地域主権に新しく大きくかじを切ろうとしております。地域主権、地方分権ということは、地方間同士の、これはいい意味で競争が起きるということを意味します。そういう意味では、地方が自主性を持ったものでなければなりませんので、やはりそれはそれなりにある程度のボリュームがないと、とても小さなところだけではなかなか難しいという感じがいたします。ICT、いわゆる情報科学技術の進歩によって、随分といろいろなものが早くなり、効率もよくなってきてはおるものの、ある程度の規模は要るだろうと思います。

 そういった意味では、地方が自主的にやれるような範囲をもってある程度自前でできるようにしていくというためには、地方税の問題を含めまして、抱えております解決しなきゃならぬ問題はいっぱいあろうとは思いますけれども、基本的には、地域が特色ある地域として自分らできちんと独立ができて、何々さんのまねじゃなくて、自分は自分として独立できるようなものにしていくのが望ましいと思っております。これは、どういうのがいいかと言われれば、漠としたお答えになりましょうけれども、そういうことになろうと思っております。

 また、今の二つ目の質問の、合併後の基本指針について明らかにされるのかという御質問ですけれども、明らかにしていきたいと思っております。

 二十七次の答申を見ましても、都道府県が策定する構想の中にあっては三種類、生活圏を踏まえた合併、それと、いわゆる指定都市、政令指定都市を含めまして、指定都市を含めた意味での合併、そしてもう一つは、小規模な市町村に係る合併等々、大まかに三つ書いてあると思います。

 規模がそれぞれ皆違いますので、何とも一概には言えないところだとは思いますけれども、こういった状況をよく見きわめないと、今これと言えるほどの段階ではないということはもう御存じのとおりですので、二十七次の答申を踏まえまして、今、二十八次を新たにまたお願いもしておりますけれども、そういうのを踏まえてきちんとしたものを策定してまいりたいと思っております。

岩崎委員 麻生大臣のお考え、しかと賜りました。今後とも、市町村合併促進に適切なる御指導を引き続きお願い申し上げたいと思います。

 次に、地域自治区の創設についてお尋ねをいたします。

 市町村合併等、市町村の規模が大きくなればなるほど、行政当局と住民との距離は拡大していきます。一方、市町村は、身近な地域の意向を行政に的確に反映していくことが求められております。

 既に四半世紀前、昭和五十四年の第十七次地方制度調査会の答申におきましても、「自治機能を強化するため、近隣段階における住民の参加を促進し、生活環境の改善等の住民の身近な問題に適切に対処するための方策を検討する必要がある。」といたしまして、アメリカの近隣協議会、ネーバーフッドガバメントのような、市町村行政に対する地域地区の意向反映の仕組みの検討を求めていたところであります。

 こうした市町村の地域地区における自治機能につきましては、アメリカの近隣協議会のほか、イギリスのパリッシュ、西ドイツにおける市町村の区など、これまで各国でもさまざまな試みがなされておるところであります。

 今回の地方自治法改正で、市町村は、一般的に、条例でその区域を分けて地域自治区を設けることができることとされました。私は、今回、地域自治区の法制化に踏み切られたことは、住民自治の観点からも大英断であると高く評価するものでございますが、その設置のあり方については、今後さらに改善を加えていく必要があると考えます。

 そこで、次の五点を指摘し、お考えをお伺いしたいと思います。

 第一に、このような地域自治区の設置は、これまでも、条例で置こうとすれば置けたものでありますが、これまでの設置の例はあるのか。欧米の地域地区はニーズと実態があって設けられたものでありますが、我が国にそうした実態があるのかどうか。今回、制度を導入した理由について、まずお伺いしたいと思います。

 第二に、地域協議会の必要性からいたしますれば、一定規模を超える都市についてだけ地域協議会の設置を認めるとすれば足りるのではないか。

 第三に、地域自治区のニーズは、同一市町村内でも地区によりまちまちでありますので、ニーズの高い地区についてだけ置くことができるとすれば足りるのではないか。

 第四に、過度に行政の複雑化、経費増をもたらさないためにも、地域自治区に事務所の設置を義務づける必要はないのではないか。

 第五として、諸外国の地域地区の協議会組織のメンバーは、ほとんどすべて選挙で選ばれているようでありますが、今回の地域協議会メンバーが市町村長の選任ということでありますれば、今回の改正による地域協議会は、地域における住民協議組織としては必ずしも十分なものではありません。結局それは、各地域においては市町村の諮問機関のようなものであると理解してよいか。

 それぞれお伺いいたします。簡潔にお答え願います。

麻生国務大臣 現行法でもできるではないか、まことにそのとおりであります。現実問題として、現行法でも、今御指摘の点のあっております地域審議会と支所、出張所とを併設する市町村は二十一市町ございます。

 細目につきましては、大野の方から答弁させます。

大野政府参考人 今の御質問につきまして、簡潔に数点、御説明をいたしたいと思います。

 まず、幾つかの自治体ではいろいろな工夫があるわけでございますが、私ども、条例でこれを設置したという例は承知はいたしておりません。ただ、現行の合併特例法で地域審議会というのがありまして、これを各旧来の市町村体に置いて、似たようなことをさせているという例はございます。

 それから、御指摘の中で、一定規模を超えた都市だけでもいいのではないか、こういう御指摘でございますが、この趣旨が、先ほど岩崎先生の御指摘もございましたように、住民の自治を強化する、こういう側面から設けようとするものでございますので、人口規模等に関係なしに、市町村が普遍的にできるようにいたしたいと思っております。

 それから、そうはいっても自治区のニーズはさまざまではないか、こういう御指摘でございます。法制上は、市町村の中で全域にわたって地域自治区をつくることを想定はしておりますものの、御指摘のように、やはり熟度が高いところからつくっていくということも当然あり得るものというふうに思っております。

 それから、いたずらに経費増をもたらすような事務所の設置の義務づけはいかがなものか、まことに適切な御指摘でございますので、私どもは、例えば、現在でも支所とか出張所等ございますので、そういったものを活用していただくことをむしろ想定いたしております。新たに何か、むだに事務所をつくるということを奨励するものではないわけでございます。

 それからもう一点、地域協議会のことでございます。メンバーが公選によるものではないということもあるわけでございますが、これはさまざまな工夫で、公募によりますとか、あるいはNPOの方を選ぶとか、市町村長さんに工夫をしていただくわけでございますが、このメンバーが、単なる諮問に応ずるのみではなくて、さまざまな形で意見を具申できるということにもなっておりますので、従来の諮問機関とはかなり性格は違ったものになるということを期待いたしております。

岩崎委員 ただいまの答弁では、今後、いろいろ工夫があり得る、こういうことでありました。今後とも適切な指導をお願いしたいと思います。

 私は、日本の市町村のように余りにも多くの法定事務を執行し、それゆえに大きな財政規模を持った団体におきましては、受益と負担が直接にリンクするような生き生きとした地方自治の姿を想定することはなかなか困難ではないか、それゆえ、もっと住民の身近なところに、受益と負担とがリンクした民主主義の学校ともいうべきものがつくれないか構想してまいりました。今回の地域自治区はいまだ十分なものではありませんけれども、それにしても、今回の地域自治区が、将来そうした方向に向かう第一歩になることを期待いたしたいと思います。そのためにも、地域協議会が、一般住民が容易に参加できる住民協議組織のような運営ができたらよいと思いますが、ぜひともそうした検討をお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 市町村の合併の特例等に関する法律案におきましては、市町村の合併に際して、合併関係市町村の区域による地域自治区を設けることができるとされております。そして、当該区域における事務を効果的に処理するため、特に必要があると認めるときは、特別職の区長を置くことができるとされております。

 それで、具体的にどのような場合に、特別職の区長まで置く必要があるのか。そもそも、地域自治区に、地域協議会のほかに特別職の区長までどうして要るのか。事務を処理する必要がある場合には、地域協議会において処理させれば足りるのではないかと思われますが、御見解をお伺いしたいと思います。

大野政府参考人 今、岩崎先生御指摘のように、合併をする場合の特例ということで地域自治区の特例があるわけでございますが、これは、あえて申しますと、合併の障害事項を取り除くために一定の地域のまとまりをしばらくつくり続けていきたい、こういう市町村があるものですから、そのための手当てとして、合併時に限ってのいわば障害除去のための方策ということでございまして、旧来の町村単位に事務所を所管する者として特別職の区長を置くことができるというふうにしているわけでございます。これも、それぞれの地域で、こういった形を選んだ方がいわばソフトランディング的に合併が進むというような場合に限って設けられるものだろうと思っております。

 いずれにしても、関係市町村がいろいろ合併協議をする中で、一つの選択肢というふうに考えていただければありがたいと思っております。

 なお、この地域協議会でございますけれども、この関係者は、先ほど申し上げましたように、事務処理の補助機関という立場の方ではないわけでございますので、別途、本来の地域自治区でありますれば事務所長さんというものがいるわけでございますし、特例の場合であれば特別職の区長を置くということにいたしたいと思っております。

岩崎委員 次に、合併特例区についてお尋ねをいたします。

 市町村の合併の特例等に関する法律案及び市町村合併特例法の一部改正案におきましては、一歩さらに進めまして、合併後の一定期間、合併関係市町村の区域に特別地方公共団体である合併特例区を設けることができることとされました。

 これまで、市町村合併については、早期に合併市町村の一体性の確保を図ることが合併市町村の最大の課題でありました。今回の合併特例区は、一面、市町村の中に市町村をつくるというものであります。過渡的なものとはいえ、なぜそこまでする必要があるのか、合併市町村の早期の一体性確保の要請とはどのように調和するのか、お伺いをしたいと思います。

大野政府参考人 これも合併協議の中でさまざまな議論が出てまいるわけですが、その場合に、合併をしたくない、こういう理由の中に一番強く出てまいりますのは、従来の町村単位でやっていたことがどうしても大きくなるとできにくい、自分のところは寂れるのではないか、こういう御懸念が大変強く出されておりまして、これが合併の最大の障害になるというふうに言ってもいいわけでございます。これを何とか、場合によっては数カ年の中で従来の単位である程度やっていたことを引き続いてできるという道を開きますれば、合併に至ることが可能になるという声もあるものですから設けたわけでございます。

 あくまでも、御指摘のような点がございますので、これは時限の五年以内で、合併協議の中で法人格を持つ合併特例区を設けるようにいたしたい、こういうことでございます。

岩崎委員 合併特例法の一部改正案におきましては、平成十一年七月にさかのぼって、市町村合併を行った市町村においては一定期間合併特例区を設けることができるという特例が規定されました。

 十年の限時法の期限が残り一年を切った時点で新たな特例を追加するというのは異例なことだと思いますが、さらに、既に合併が済んでしまった市町村についてまで特例を認めようとするのもこれまた異例であります。あえてこの段階でそうした措置を講じようとした理由は何か、お伺いをしたいと思います。

大野政府参考人 おっしゃるようなお考えもこの法案をつくります際にいろいろお聞きをいたしたわけでございますが、まず、私どもの今のスタンスは、現行の合併特例法が今まだ期限があるわけでございますので、その間にできるだけ合併を進めたい、こういうことが一点ございます。そこで、今やっている合併協議会の中でこの合併特例区をつくりたいということもあるわけでございますから、その場合にはつくれるようにしたいというのが一点でございます。

 一方、この合併特例区のいわば前身的なものは地域審議会ということになるわけでございますが、地域審議会ができましたのが、今先生御指摘のように、平成十一年の七月十六日の法施行でございまして、そうであるならば、現行の地域審議会制度を拡充したものという色彩もございますので、そこまではさかのぼることにいたしたい、このように考えた次第でございます。

岩崎委員 次に、合併特例区の運用の指導についてお尋ねしたいと思います。

 合併特例区は、法人格を有し、合併特例区協議会のほか、特別職の区長が置かれます。また、合併特例区の予算、職員、財産を持つことになります。大都市であります指定都市の行政区でありましても、膨大な事務を処理しておりますが、法人格はなく、したがって、議会や特別職の区長や予算、職員を有しておりません。議会も置かない団体になぜ法人格が要るのでございましょうか。また、法人格を持つ特別地方団体である合併特例区であって、なお、ともに市町村長任命による区長と合併特例区協議会というのは、制度論としてもいかにも変則的なものであります。

 私は、今回の改正が市町村合併促進のため過渡的に必要とされるものであると理解をいたしましても、合併自体、地方行革の推進に資するものでなければならないことを考えますれば、法律の規定は余りにも重い陣立てではないかと思われます。また、合併特例区も地方自治組織の一つと考えれば、組織は一律に規定するのではなく、もう少し弾力的かつ簡素なものとする必要があろうかと思います。

 そこで、今回の改正が地方行革の推進に反しないようどのように運用を指導していくのか、麻生総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 新しいのに当たって陣立てが、少々構えが大き過ぎないかという御指摘なんだと思います。

 新しい、いわゆる特別地方公共団体というものをつくるということでもありますので、設置手続やらその機能等々いろいろございますけれども、そういったものの制度設計をするに当たっては、これは極めて小さな、権限は限ったものにしておかないかぬのは当然のことだと思っています。

 例えば、課税権とか地方債の発行は絶対だめですよとか、また、職員は市町村合併をするときに当たってその職員と兼務するとか、別じゃないですよ、兼務するんですよとか、いろいろな形でやっておりますし、合併特例区協議会のいわゆる構成員というのは原則は報酬なし、無報酬ということでしていただかぬと、そのまた給料なんという話もだめですというお話を申し上げております。

 基本的には、新しくなって、これまで各地域、いろいろ方言が違ったり、江戸時代の藩が違ったりするところで合併するとなかなか話が込み入っておりますのは、全国どこでも、歴史のある県ほどそういったところが多いような感じもいたしますので、スムーズにいくための一種の手口といっては聞こえが悪いですが、そういったものも置いておかないと、おれの出身の町村名がなくなるとか、いろいろな話やら何やらいっぱいございますので、旧市町村を一つの単位としてある程度きちんと暫時置いておくということも必要なことだと思います。

 そういった意味で、地域の審議会を設置して、そして合併にかかわる地域事務というようなものが自主的にある程度、おれたちの町のことはおれたちで一応ということやら何やらを可能にするようにしておりますので、いろいろな意味で、合併特例区というのを選択される場合には、組織の統廃合というのは当然、ここはやめてもいいとか、あっちはもう過疎地に完全になったからやめてもいいとか、私のところも似たようなのが幾つかありますけれども、そういったのを含めてやっていくことになるんです。

 何となくその地域におられる方々の人柄にもよったり、その地域の特性にもよるんですけれども、基本的にはおっしゃるように、こういったものは簡素な組織になるように、妙にどんどん大きくならないようなことに基本的に総務省としては助言をしてまいるというか、指導をしてまいりたいと思っております。

岩崎委員 どうもありがとうございました。

 やはり合併に当たりましては、なかなか人知れずいろいろな苦労があるわけで、その中の一つ、合併を進めるために合併特例区が必要である、こういうことであります。私も基本的には理解するものでありますが、こういう折でもありますからできるだけ、大臣のおっしゃるように、簡素で効率的な、そうした身軽な組織として、合併特例区も運用していただけたらありがたいと思う次第であります。

 次に、合併市町村におきます地方行革の推進についてお尋ねをいたします。

 平成十六年度地方財政対策において、投資的経費の地方単独事業費について、地方財政計画額と決算額の乖離を一部埋めるための規模是正の措置が講じられ、これによる交付税の減額によって地方団体が予算を組めないという事態が生じました。その一因として、地方団体の地方行革への取り組みがおくれていたということがあります。

 今回の合併特例法のもとで、恐らく、想定を大幅に上回る合併が行われることになります。これだけ合併市町村がふえますと、問題は、手厚い合併優遇措置を受けます合併市町村が市町村全体のかなりを占めることになります。合併市町村における、結果として生ずるおそれがあります行財政の緩みが世の批判を受けることにならないかどうか懸念されるところであります。一方で、合併を選択しなかった市町村は、厳しい行革努力が迫られております。

 地方行財政全体にとって、これからは厳しい行政改革の努力が求められておりますが、そのためには、合併市町村における地方行革が今後どのように進められていくのかが、地方行革全体のかぎを握ることになると思います。

 そこで、今後、合併市町村におきます地方行革をどのように進めていこうとされておるのか、麻生総務大臣のお考えと決意のほどを承りたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろな思いを断ち切られて合併をされた以上、しかるべく行財政効果が上がってこないと意味がないのではないかということなんだと思いますが、これはまことにごもっともな御指摘で、合併をされたとしても、簡単に言えば、行政の職員は全然減らないじゃないかとか、どれだけ経費が安くなるんだとかいう御指摘は当然のことだと思いますので、これを市町村合併の建設計画で策定せないかぬところです。

 例があった方がわかりやすいと思うんですが、西東京市というところができました。これは田無と保谷だったかな、合併をしたと思います。両市合併して、少なくとも議員定数は四十八人から三十人に減り、約十年計画でそれぞれ計画を策定しておられますが、その十年間に、経費削減等々約百八十九億円を見込んでおられる。

 また、ほかにも、人口五万ぐらいのところで篠山市というところがありますけれども、これも同じく、五年間でこっちは約二十六億九千万減ることになっておりまして、議員定数もこちらは五十七人が二十六人という形で、いろいろな形で努力をしておられるところも既に、私どもがしろと言ったのではなくて自主的にやられているところでそういうところがいっぱいありますので、事業内容の見直しとかいろいろな意味で努力をしていかれると思っております。

 やはり、規模がある程度大きくなりますと、その事業を民間に委託しておられるという部分はかなり積極的に、地方自治法も改正になっておりますのでできるようになったというのも一つ大きな要素として挙げられると思います。規模が大きくなったおかげできちんとそういった対応ができるようになっておりますし、職員の採用に当たりましても、合併するという前提であった場合は、ちょっと待ってください、おたくでは足りないかもしれないけれども、ほかの町は余っているんだ、こっちの町をとか、いろいろそういうようなことを全体で考えられるようになりつつある。

 かかってそこの首長さん方の意識の問題だと思いますけれども、そういった形で、少しずつではありますけれども確実にそういった方向に動きつつあると思います。私どももできるだけ、こういう例があります、おたくの県ではありませんけれどもお隣の県ではこんなこともしておられます等々、いろいろ具体例を示して、こういったものが簡素化、合理化されるような方向で指導をしてまいりたい、助言をしてまいりたいと思っております。

岩崎委員 どうもありがとうございました。

 合併に当たっても、合併が地方行革のためにもプラスのような形でなされますように、今後ともよろしく御指導をお願いしたいと思います。

 そこで、債務超過の市町村の第三セクターの指導についてお伺いをいたしたいと思います。

 市町村合併の一つの障害となっておりますのが、合併しようとする市町村相互の財政状況について不信があることであります。とりわけ、市町村の第三セクターの経営状況によっては、将来、合併市町村に予期せぬ大きな負担がかかってきかねないおそれがあります。合併に当たっては関係市町村の第三セクターの財政状況の公開が必要だと思われますが、どのように指導されているのか。

 また、そもそも、債務超過の市町村、第三セクターで負債額がとりわけ大きいものについての指導はどうなっているのか、瀧野自治財政局長にお伺いしたいと思います。

瀧野政府参考人 三セクに対します指導についてお答えいたします。

 第三セクターの経営状況につきましては全体として引き続き厳しい状況にあるわけでございますが、特に一部の第三セクターにおきましては、赤字の累積などによりまして経営が深刻化しているものが見受けられるわけでございます。

 これらの三セクにつきましては、当然、一層の経営努力が求められるわけでございますけれども、あわせてその経営状況につきまして積極的かつわかりやすい形で情報公開に努める必要がありまして、特に市町村合併を行う場合についてはこうした情報公開が重要であるというふうに認識しておるわけでございます。

 そのため、昨年の十二月に、当方の三セクに関する指針というのがございますけれども、これを改定いたしまして、地方自治法に基づいて議会への報告義務のない三セクの経営状況についても必要に応じて適宜議会に説明すること等地方団体に要請をしておるところでございますし、また、特に債務超過額の大きな三セクにつきましては、地方団体に対して個別に注意を喚起しておるところでございます。

 さらに、本日ちょうど全国の財政・地方課長会議を開催しておりますので、重ねてこの趣旨を要請しておるところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、あらゆる機会を通じましてこういった趣旨の徹底を図っていきたいというふうに考えています。

岩崎委員 どうもありがとうございました。これで質問を終えたいと思います。

佐田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。合併関連三法案の質疑を行わせていただきます。

 本日は野党の皆さんも全員御出席で、何よりだというふうに思っております。新しい合併特例法をつくるという、新しい仕掛けをつくる、全国の市町村にとりましては極めて重要な法案でありますので、しっかり議論をしていきたいというふうに思っております。

 大臣、冒頭に、合併でありますが、やはりえらい大変です。私は合併が、我が党も理想的な基礎自治体構想を打ち出しまして、与党の中でも全国一千の市町村ということで取り組んでまいりましたけれども、いやいや、実際にやってみると、これほど骨の折れる大変な仕事はないな、こう感じております。

 最近も、私、地元の山口県で公明党の県代表をやっているわけでありますが、県代表としてさまざまな首長選挙やいろいろ取り組んでまいりまして、すべからく合併、広域合併推進という観点で選挙戦も取り組むようにしてまいりました。

 もともと我が党は余り首長選挙にはコミットしないのでありますが、やはり今は合併が問われている、ここは我が党としても政策判断をしなきゃならぬと思って懸命にやってきたんですが、残念ながら皆負けるんですね、選挙。合併を争点にした選挙は、私ども公明党が推薦した候補も、私の経験では全部負けておりまして、本当に簡単ではないということを、まあ多少落ちついたから私笑って言えるんですが、本当に、市民、住民の方に理解をいただくというのは大変な作業だなということを感じております。それは恐らく大臣とても同じでありましょう。あるいは総務省のそれぞれの担当の皆さんも、同じ苦労をしながら取り組まれているのではないか。

 そんな中で、今までの合併特例法、十七年三月三十一日でいよいよ期限を迎える、こういうことでありまして、新たな仕掛けをこれから審議するわけであります。どうでしょうか。我々が千自治体を目指す、こう言っておりましたら、ある方から、名前は言いませんが、総務省の担当の方から、いやいや、それもいよいよ見えてきましたよ、千台の数になるのではないでしょうか、こういうすばらしい夢のある話を一時期は聞いたこともあるんですが、どうも最近は大分そのトーンが落ちてきておりまして、二千を切るかどうか、こういう話を聞いておりまして、随分言い方も変わるものだな、こう思っているんです。それだけに困難だということだろうと思います。

 まずは、現行法あるいは現行法の経過措置によりまして、最終的にどの程度の市町村合併、今三千を超えている市町村数がどのぐらいになるのか、この現行の制度でどこまでいくのかということをお示しいただきたいと思います。

麻生国務大臣 山口県初め歴史のあります県、総じてそういうところの方がなかなか難しい。おまけに人間関係もありますので。あの町長とだけは一緒になりたくないとか、実にいろいろ。私の選挙区でも、御多分に漏れず結構話は込み入っております。

 現状といたしまして、今、表向き正式にスタートいたしておりますのは三千百になっておりますが、私のところで総務大臣としてサインをいたしましたのは、先日、三千を切って二千九百八十幾つまで下がってきております。

 現行法だけでいきますと、今の何とか協議会が全部成功したといたしますと、一千七百台ぐらいになるというのがもともとの話だったと記憶いたしますけれども、自分のところで見ましても、十市町村が一緒になるはずだったものが三対三対四になったり、いろいろいたしておりますので、なかなか簡単にはいかぬなと思っております。

 どれぐらいまでいくかと言われたら、ちょっと正直、千台までいく、二千を切るというところまで現行法でいくかといえば、なかなか難しいかなというのが率直な実感であります。

 幾つか事が順調に進んだり、予定以上に早く進んだりしているところも確かに散見できるところではございますけれども、では、今のままで二千を切るかと言われれば、正直なところ自信があるところではございません。

桝屋委員 ありがとうございます。

 それでも、私どもが目指している千という数字が簡単に出る数字ではないと思っておりますし、今大臣がおっしゃった二千を切るというのが、見通せるかどうか、こういうお話であります。

 しかし、今、三千百の市町村が二千を切るということは、これはやはり最初の段階としてはある意味では大きな成果だ、こう考えるわけであります。新しい仕掛けの中でどれぐらいが見通せるか、これからの取り組みにかかっている、こういうふうに感じるわけであります。

 そこで、例の市町村合併推進体制整備費補助金でありますが、なかなか合併の流れができないということで、国会においても随分いろいろな議論があって、合併補助金が制度化された、こう私は思っております。今大臣がおっしゃった三千百が二千を切るかどうか、これを考えただけでも、この合併補助金、実は大変な数字になるのではないか、こう思っております。

 十五年度の補正予算でも、私も与党の一員として随分悩んだわけでありますが、合併補助金については七十億円の補正をされた。よく補正予算の俎上に上がったな、こう私は思っておるんですが、そこは総務省の御努力もあり、なおかつ、やはりこの時期における合併補助金の役割の大きさということについて財政当局も理解をしていただいたんだろうと思います。

 これから、十六年度の予算が八十五億九千万、どうはじいてみても、これもまた足らなくなるのではないか、こう思っておりまして、この辺の心配は大丈夫なのかどうなのか。これはちょっと事務方に伺ってみたいと思います。

大野政府参考人 今のこの合併推進体制整備費補助金、桝屋先生初め与党の先生方に大変お世話になりまして、おかげさまで、十五年度につきましては補正の対応があったということでございます。

 そこで、十六年度でございますけれども、現在のところ、三十億円強を予算計上いたしておるわけでございますけれども、当然のことながら、この数字では足らなくなるということはもう目に見えた話でございますので、今後の合併の推進状況を十分踏まえまして、私どもなりにきちんと対応していかなければならない、このように思っているところでございます。

桝屋委員 御案内のとおり、この合併推進体制整備費補助金、これは、合併準備の補助金と合併市町村の補助金、三年間で六千万から三億円ぐらいを交付しよう、こういうものであります。

 これは、あの時期、この制度ができたときに私も一瞬首をちょっとかしげたのであります。この時代に、いかに合併がなかなか進まないとはいえ、こういう補助金をつくるということがいいのかどうなのか。しかし、結果的に制度化されて、これを目指して、これを奇貨として、ぜひ取り組もう、こういうことが大きな動きになったのも確かであります。

 ただ、これから先、一つは新しい仕掛けの中でこの制度がどうなるのかという問題もあるでしょうし、とりあえずは現行制度で、三年ですから、十七年三月三十一日以降もしばらくこの予算の執行が続くわけで、ここは本当によくよく考えなきゃいかぬなというふうに思うんです。それで、正直言って、補助金でありますから、余り銘柄としてきれいでないなということも私は率直に思うんです。

 ただ、先ほどの同僚委員の議論じゃありませんが、変に緩みになってはいかぬというような話も、財政規律を失ってはいかぬという話もありましたけれども、しかし、そうはいっても、現場の市町村からしますと、ここをやはり想定して、織り込んだ上で合併の新市の計画を策定されて取り組んで、少なくとも現行制度ではそういう市町村があるわけでありますから、そこは予算の範囲内でといって、予算が足りない、執行できないということではまた信頼を失う。なかなか難しい問題があるなと思います。

 ひとり言を言っておりますが、ぜひここの検討は、十分現場の意見も聞いていただいて、賢明な御判断をお願いしておきたいなというふうに思っておるところであります。

 それで、二つ目のポイントですが、これも先ほど同僚議員がおっしゃったわけでありますが、三位一体改革と市町村合併であります。

 先ほど、私、現場で苦しんでいるということを申し上げましたけれども、現場に行きますと、十年の新市の建設計画というのは、幾ら話しても市民にはなかなか理解されないんですね。それは本当に苦労しました、私の説明が悪いところもあるんでしょうが。

 そういう意味では、今現場で一番大きいのは、三位一体改革で国庫補助負担金が削減をされる、あるいは、交付税がことしあたり一二パーという数字が出たりして、今年度は何とか予算が組めたようでありますけれども、来年度予算をどうするんだ、こういう議論がある中で、いやいや、どうせ合併していろいろ整理をしたとしても、やっぱり同じことだ、財政は、結局、国は思い切って切り込んでくる、我々が市町村の地方行革を考えて計画を立てて今からそれに基づいて歳出削減もやっていこうと思っていたやさきに、国は目いっぱい切り込みを入れてきた、想定外の切り込みを入れてきたということで、すべて改革の流れをもう一回つくり直さなきゃならぬみたいなことが現場で今議論されているわけであります。

 そう考えると、今回の三位一体、特に地方交付税のあの切り込みはいささか大き過ぎたのではないか、こういう議論もあるわけでありまして、そこは、まさに合併をしてもしなくても同じだというところまでいっている、そういう声があるわけです。

 こういう声に対して、大臣としてどうお答えをされるのか、伺ってみたいと思います。

麻生国務大臣 今、桝屋先生の御指摘は、現場を預かっておられる首長さん、特に財政規模の小さい市町村長こそ非常にそういうのを肌身に感じるところだろうと私も想像いたしております。

 事実、今回の三位一体でも、よしと言われる方々は人口五万人以上の市町村長の方、まあ村はありませんけれども、市町長の方々は総じて今回はよしとしておられるんです。人口五万以下のところでは、総じてよくないと言われることになります。

 人口数でいきますと、全人口の約七一%は人口五万以上の都市に住んでおられる、残り三〇%が人口五万以下なんですが、首長の数からいきますと、五万人以下が八五%ということになりますので、八割五分が反対ということになろうかと思います。先生のところに限らず、私のところにも、四市十六町ありますけれども、小さいところほど非常にあれが大きいというのは事実であろうと思っております。

 ただ、基本的に、今後とも、合併をしてある程度財政基盤をきちんとしたものにしていかない限りは、いわゆる地域主権とか地方分権といったときに、やはりある程度独立したものにしていくためには財政基盤をしっかりしておかないかぬというのは、これは絶対条件だろうと思います。そういった意味では、ある程度の規模というものがどうしても必要であろうというのが大前提。

 傍ら、こっち側には、いわゆる地方財政としては累積二百四兆円の赤字を抱えておりますので、こちらの部分、交付税だけでも五十四兆円ぐらいの赤字になります。そういったものを何らかの形で解消せないかぬというこの量の話と、よく言う質の話と、二つ今なっておりますので、今回、三位一体はいいけれどもやり方としてはいかがかという御意見が出てくるところだと思います。私ども、それを理解できないところではありません。

 したがいまして、そこのところをうまくやっていくために、次の概算までの間にきちんとした方針というものをもう一回出さないかぬと思っております。今回のいろいろな各町村方の御意見を踏まえた上でさせていただきたいし、また、こっちでじっと待っていれば来るという話でもありませんので、この四月、予算が通りました以降、何回かに分けて全国市町長会等々にお願いをさせていただいて、ブロックごとにいろいろ意見を、こちらの方から出向いて話を聞かせていただくという機会を設営いたしまして、もう何回かやっております。

 そういったものを参考にさせていただきながら、次回の概算のときまでに、今回のような何となくいきなりばっさりというようなイメージにならないような努力をしていく必要があろうかと思って、今後ともその方向で指導してまいりたいと存じます。

    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕

桝屋委員 ぜひよろしくお願いします。

 今大臣がおっしゃった五万以下の市町村、そここそが、我々が目指す合併、基礎的自治体としての住民サービスを十分提供できるだけの規模をつくらなきゃならぬ、まさにそこのターゲットがその部分であります。それだけに、しかし今、大臣も御理解されているように、なかなか困難な問題を抱えている、こういうことだろうと思うんです。

 続いて、合併の障害を除去する特例措置なんですが、大臣、これも悩んでいます。

 大体、新しい制度も現行制度を持ち込むようでありますが、一番私がこたえておりますのは在任特例。山口県の周南市というところでは、在任特例をめぐって今まさに住民から議会解散の署名が起きまして、この署名が十分集まりまして、六分の一だったかな、それが集まりまして、今後、五月十六日には住民投票が行われる、こういうことであります。最大の要因は、在任特例で二年残して七十七名の多きにわたる議員が頑張っていて、その歳費をめぐっての議論がスタートでありましたけれども、しかし、そこは、本当に市民に正しい議論ができないまま、今日まさに住民投票まで進んでいるわけであります。

 随分これも悩みました。その姿を周りで見ながら、最近の声は、やはりあの在任特例というのはよくないねと。それは、昔、平成七年までは一年でしたけれども、これを二年に延長した。二年間というのは、フルに一年間、予算執行もして一年間議会活動をやるという意味で、その一年間継続してなお従前の議員が議会活動をするという形は、私は十分理解できているつもりだったんですが、今の市民の声、住民の声は、歳費の問題も絡んで、長過ぎる、多過ぎる、こういう声になっております。したがって、周辺の市町村では、もう在任特例はやめようというようなことになっているわけであります。

 しかし、これはやはり、国の制度で決めるかどうかという、二年ですから、アッパーとして二年間は認めて、その範囲の中でその議会が判断をすればいい、こういうことだろうと思うんですが、これは議論するときに、現場ではなかなか困難性がある。したがって、国の制度として一年に、もうもとへ戻してもらいたい、こういう声も時々聞くんですね。

 そういうことがあったり、あるいは、今回のまさに合併特例区がそうでありますけれども、十年とか五年とかという議論がありました。これも、下手をすると、なお今までの首長さんが、従前、今までどおりしばらくその場にいたいのか、そのためにどれだけ税金が使われるのか、こういう議論になるわけでありまして、この辺の兼ね合い、バランスをどうするかというのは本当に、私自身が身につまされて悩んでいる話なんでありますが、この辺のお考えを、大臣の御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 桝屋先生、先生の隣のところに北九州市というのがあるんですが、ここは昭和三十八年に合併したんです。五市が合併いたしまして、小倉、門司、若松、八幡、戸畑、これが全部昭和の大合併として政令都市になったときに、まさにその在任特例、各市で選挙のあれが違ったものですから、二年間の在任期間を置いて実はうまくいったという前例が、多分その二年というのは、あのとき二年だったので。当時、結構騒ぎでしたけれども、結果としてはそこそこうまくいった例だと思っています。

 ただ、これは基本的には任意であります。二年をマックス、最長にしておりますので、それをどうするかは任意で決められることになっております。

 この任期につきましては、正直申し上げて、人数がそこはまだ少ない方かもしれぬが、私のところは百五十七を三十四にするという話ですから、これはもうすごい騒ぎに今なっておるというところもありまして、もうがちゃがちゃ毎日かしましくやっておるというのが現状のところもあります。これは全国、ほかにもいろいろあると存じますけれども、これにつきまして、強制的にするというような筋の話ではないのではないかと思っておりますので、任意という点だけはぜひ御理解しておいていただければと思います。

 細目は大野の方から説明させます。

大野政府参考人 今、大臣の答弁にございましたように、いろいろな経緯があってこの制度ができているわけでございますけれども、実は平成七年の前は特例は一年であった、先生御指摘のとおりですね。そこで、平成七年のときに二年に長くしたわけでございます。

 もともとは、むしろ住民の方から、在任特例がないと、自分のところの議員さんが減ってしまって地域の意見を反映できなくなるのではないか、こういう不安から、障害除去のための合併のための対応策として出てきたものであるわけです。

 やはり、住民の意識が今変わってきているんじゃないかという感じが率直に言って私はあるように思います。やはり、合併の経過などを今相当情報公開しておりますけれども、住民が議員の任期の問題、あるいはそれを踏まえた議員の報酬の問題、こういった問題について知れば知るほど、本当にそのままでいいのだろうか、こういうお考えを持つ住民の方々がふえてきている。

 そうした中ではありますものの、先生今御指摘もございましたけれども、制度としては、合併の障害除去ということもありますので、これは従来どおり二年とさせていただくわけでございますが、現実に、各地で在任特例を使わないという新設の市も出てきているということなどを含めまして、私どもも十分に情報提供してまいりますけれども、最後は、これはやはり地方自治ということからいいますれば、住民の意向を踏まえて地域で十分考えていただくという制度設計にいたしたいと思っております。

桝屋委員 これは結論があるわけじゃありませんが、大臣のお答えも、今の大野さんのお答えも、よく理解できるんです。

 問題は、地元で自分たちが判断をすればいいんですが、ただ、今大野さんがおっしゃったように、住民の意識が変わってきているというのは確かでありまして、先ほどの北九州の合併のときと今とでは、やはりえらい住民の意識が、特に税金のむだ遣いということに関しては大変に厳しい声になっておる。

 今周南の事例を出しましたけれども、周南の今の議員の立場になると、私、本当にかわいそうだなと思うのは、議会が決めたんじゃないんですね。法定協の中で、民意が、市民が、ぜひ在任特例で二年やってもらいたい、こういう声で七十七人が二年間頑張ろうと思ったら、途中から、とんでもない、何で七十七人もいるんだ、こういう声になって、おまえたちやめろと言われているわけで、もう御自分でおやめになった方もあります。

 ここの変化というのはえらいことでありまして、私は、切実な話だな、こう感じております。そういうこともよくわかった上で、そういう事例をしっかり周知しながら新しい合併の枠組みも進めていかなきゃいかぬな、こう思っています。

 もう一点、中核市要件なんですけれども、合併作業を進めている中で、この合併の目標を、中核市になろう、こうやって目標を掲げて頑張っているところがあるわけであります。ところが、なかなか人口がふえている地域でないものですから、今後国調あたりで人口が減るかもしれない。そうすると、中核市要件のこの三十万の要件がなかなか不安があるな、何とかいけばいいんでありますけれども、そんな声も聞いたりしております。

 具体的には、函館の事例であったり、私の地元でもそういう事例があるわけでありますが、せっかく中核市を目指して近隣市と町村が旗を立てて頑張っている。結果的に、この要件に幾ばくか該当しないがために中核市になれないということがあるのもちょっとかわいそうだ。多くの三十万市民が今それを目標に頑張っているわけでありますが、こういう取り扱いというのは何か御検討があるのかどうか、お考えを事務方から伺いたいと思います。

大野政府参考人 これは先生もよく御承知のことでございまして、法律にその根拠が、中核市の要件があるわけでございますが、人口につきましても法律に明定されております。

 基本的には、いずれにしても、その合併後の新しい市が、新設合併、編入合併、結構でございますけれども、合併後の新しい市から中核市の指定の申し出がなされるということになるわけでございますが、その時点における最近の国勢調査の結果による人口に基づいて判断をするということになっているわけでございます。

 そこで、その時点におけるということは、合併のスケジュールにも関係してまいるわけでございまして、この合併のスケジュールを踏まえつつ、関係の自治体の御意見をよくお聞かせいただきまして、また大臣の方とも十分に相談してまいりたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今の御答弁の中で、合併のその指定の申し出の時点で判断をする、こういうことでございますので、そういう意味では、合併の流れといいますかスピードもまた大事だなということを改めて感じさせていただきました。

 とりあえず、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕

佐田委員長 次に、松崎公昭君。

松崎(公)委員 民主党の松崎公昭でございます。

 今国会は大変年金問題等で大揺れをしております。国民が極めて関心の高いというところで、過日も、我々の党といたしましては、さまざまな理由で本会議を欠席したという経過もあります。

 冒頭にちょっとお聞きをいたしますが、その四月の十六日の佐田委員長の本会議におきましての委員長報告、この文言が、議事録を拝見しますと、ちょっと我々が一任した委員長報告とは違っているんじゃないか、そういう指摘が出ておりますが、とりあえず委員長の御意見を伺わせていただきたい。

佐田委員長 先般の本会議の件でありますけれども、本来は、本会議でありますから議運委員会において議論をされるべきものでありますけれども、あえて御質問がありましたので答えさせていただきますけれども、衆議院規則におきましては、委員会における審査の経過及び結果につきましては自己の意見を加えてはならないとなっております。これは百十五条でありますけれども、その点につきまして、審査の経過及び結果、私の発言が審査の経過及び結果に含まれるかどうかについての誤解がありましたことを遺憾に感ずるところでございます。

松崎(公)委員 与野党ともに、ある意味では激突をしておりました時期でありますので、私も、今の委員長の御発言でよしといたします。これは、あとは議運の方でなされる問題だろうと思いますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思っております。

 それでは、ちょっと本題の質問に入る前に、幾つか確認をさせていただかなければなりません。

 まず、最近、年金問題が盛んに言われております。きょう御出席の麻生大臣、大臣は年金に加入をされておりますか。

麻生国務大臣 松崎先生御存じのように、私の場合は実業界からこの世界に来ましたので、あえて言う必要もないと思いますが、ただ、厚生労働委員会の理事会において、本件につきまして議論がなされるとのことでありますので、それを待っての答弁ということになろうと存じます。

松崎(公)委員 ちょっとよくわからないんですが、入っておられるか、おられないかということです。

麻生国務大臣 現状はもう六十歳を超えましたので、あれは六十歳までということになっておりますので、現状は六十歳を過ぎておりますので。

松崎(公)委員 大変お若く見えますものですから、まだお払いになっているか、そう思っておりました。ということは、年金をもういただいているということですか。

麻生国務大臣 年金の支給は六十五歳からということになりますので、ちょうど年齢は六十と六十五の間と御想像いただければと存じます。

松崎(公)委員 では、松本政務官、それから小西政務官、いかがでしょうか。年金にお入りですか。

松本大臣政務官 この案件につきましては、今厚生労働委員会理事会においてこの件の協議がなされているとお伺いをしているところでございまして、御答弁は控えさせていただきたいと存じます。

小西大臣政務官 大臣また松本政務官と同趣旨で、差し控えさせていただきたいと思います。恐れ入ります。

松崎(公)委員 ちょっと厚生委員会の内容は私はよく承っておりませんけれども、御自分が入っているかどうかを答えるのに、公人としてこの場でしっかり聞いているのです、まあ委員会が違うといえばそうかもしれませんけれども。それに答えられないというのは、統一見解で、皆さん同じようなお答えのようですけれども、何かガードしなければならない理由があるんですね。どうですか。

麻生国務大臣 二人おりますので、右代表して答弁させていただこうと存じますが、基本的には、この問題につきましては今厚生労働委員会の理事会でいろいろ審議がされている最中と伺って、この問題についての答弁につきましては、今言われた統一見解というのであれば、統一した答弁ということに御理解いただければと存じます。

松崎(公)委員 これ以上やってもいたし方ありません。

 では、まとめて、民主党も調査をしておりますけれども、自民党さんの方も、全員が一応点検されて国民に公表すべきではないかと思います。

 続きまして、麻生大臣は日歯連から献金をいただいておりますか、日本歯科医師連盟。

麻生国務大臣 私が代表を務めております政治団体は、後援会と、自由民主党福岡県第八選挙区支部になろうかと存じますが、過去三年間の資料ということになっておりますので、平成十二年から十四年度分の収支報告書の記載を確認いたしました範囲では、日本歯科医師連盟から寄附を受けた旨の記載はございません。

 パーティー券ということもあろうかと思いまして、パーティー券につきましては、平成十四年に日本歯科医師連盟から百万円の収入があった旨の記載があっております。

 以上です。

松崎(公)委員 ここに週刊朝日の三月五日の記事では、九九年から二〇〇二年、四年間のうちで、確かに麻生さんは百万円ということになっておりますが、これは会費ということになっておりますけれども、これは適切に処理をされておりますか。

麻生国務大臣 適切というのは適法という意味だと存じますが、適法に処理をされております。

松崎(公)委員 そのほか、政務官の皆さんはいかがでしょうか、日歯連からそれぞれいただいておりますか。

松本大臣政務官 通告なしで突然の御質問で、ちょっと調査をしておりませんで、確認が今できませんですが、私の記憶するところでは、日本歯科医師連盟からの寄附をちょうだいしているということはないと記憶しております。

小西大臣政務官 日本歯科医師連盟からの寄附はちょうだいいたしておりません。

松崎(公)委員 はい。いただいていないということであれば結構なんでありますが、今、毎日のようにこの日歯連の記事が出ております。この問題が今回の年金がストップした原因にもなっているわけでありますので、八十三人、この週刊誌では自民党の皆さんがいただいている。これは別に全部が不適切とは言っておりません。しかし、今回の疑惑の問題のところに、献金と絡んだ政策に影響を与えたということがあるわけでありますので、今後とも気をつけていただかなければならない、そのように思っております。

 もう一つ、申しわけございません、きょうは選挙関係の話がございます。安倍さんの話であります。

 安倍幹事長が、こういう中西京都大学の教授の名前を使って選挙運動をしたということであります。これは選挙はがきですね。公選の選挙はがきを支持者の地域にまいたということであります。これは、今は独法かもしれませんけれども、当時は国家公務員、京都大学の教授であります。この件に関しまして人事院にお伺いをさせていただきたい。

 これは特定の候補の公選はがきで推薦人になっているわけですね。これは国家公務員法の政治的行為の制限、人事院規則の政治的行為、一四―七でしょうか、そういったところに抵触するのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。

関戸政府参考人 御説明いたします。

 国家公務員については、御承知のとおり、国家公務員法第百二条第一項によりまして、政党または政治的目的のために、選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならないということに規定されております。

 どのような行為が具体的に禁止されるかということにつきましては、今おっしゃいました人事院規則一四―七に具体的に定めているところでございまして、その定め方というのは、第五項で政治的目的というもの、それから第六項で政治的行為というものを限定的に列挙しておりまして、政治的目的をもってなされる政治的行為を禁止するという形になっております。

 御指摘の事例でございますけれども、事実関係を私どもは承知していないため、明確なことは申し上げられませんけれども、このようなケースについて、一般論として考えられるということで申し上げますと、人事院規則の中で規定しております、まず政治的目的としては、公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持しまたはこれに反対するという政治的目的のためになされたものであるかどうか、また、政治的行為としては、そういった政治的目的のために職名、職権またはその他の公私の影響力を利用する行為であったかどうか、あるいは、選挙の投票において、投票するようにまたはしないように勧誘運動をするという政治的行為に該当するかどうかといった判断が必要であると思料されるところでございます。

 いずれにせよ、こういう判断、職員の行為がこのような政治的行為の制限に抵触するかどうかということにつきましては、責任ある当局において個々の具体的事実をきちんと認定した上で判断されるものと考えているところでございます。

松崎(公)委員 今おっしゃったとおりですね。特定の候補者を、安倍晋三さんを、「比例代表も自民党へ」ということで、これは公選のはがきですから、選挙に一票入れてくださいという、まさに特定の候補者を支持しているということ。そして、中西輝政さんは「京都大学教授・評論家」、こういう肩書がちゃんと書かれていますね。これは何部出されたか、ちょっとまだ調べてはおりませんけれども、これは政治的目的をもってやっているんですね。

 ですから、これは朝日新聞の報道ですから、我々、これは今、証拠づけをしようということでやっておりますけれども、これを、総務省さん、御本人が知らないということもあるのかもしれません、よくあることですね、よくあっちゃ本当はいけないんですけれども、公務員の名前を無断で使用した場合、候補者、安倍さんは、公選法二百三十五条により、虚偽事実公表罪に抵触するんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

小西大臣政務官 公職選挙法の二百三十五条の一では、おっしゃいましたように、当選を得または得させる目的をもって公職の候補者もしくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業もしくは経歴、そのほか、政党その他の団体の推薦もしくは支持に関し虚偽の事実を公にした者は、二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処するという規定がございます。

 しかしながら、総務省といたしましては、個別の案件につきまして、それぞれ判断する立場にはございませんので、この事実のみ、法文のみお答えをさせていただきたいというふうに思っております。

松崎(公)委員 もちろん、警察等が立証しなければ、あるいは告発を受けなければ進まないかもしれません。

 しかし、武蔵村山市の前の市長さんが落ちてしまったんですね、三期目。この方が、やはり石原都知事、それから都議会の議長さん、横浜の中田市長さん、こういう名前を十二名も使って、選挙公報に無断使用して、虚偽事実の公表ということで、公選法違反で十一月の十一日に、去年ですか、逮捕されています。

 ですから、私は、これがもし立件されてまいりますと、御本人が承知していれば当然中西さんにも累が及ぶということでありますが、承知していない場合はこれは安倍さんの方にいくということになりますが、承知していた場合、多分、有名な方でありますからいろいろな関係があるんでしょう、今度は公務員の地位の利用で公選法百三十六条の二の一に抵触するんじゃないか、そしてまた、利用させた者も共同正犯になるということですが、この見解はいかがでしょう、総務省。

小西大臣政務官 御指摘のとおり、公職選挙法百三十六条の二の第一項では、公務員はその地位を利用して選挙運動をすることができないとされております。

 あくまで一般論として申し上げますけれども、地位を利用して、これの解釈につきましては、公務員等の地位にあるために特に選挙運動を効果的に行い得るような影響力または便益を利用するという意味で、職務上の地位と選挙運動等の行為が強く結びついている場合をいうものと解されております。また、単に推薦状等に肩書を通常の方法で記載しただけでは地位利用には当たらないというように解されております。

 個別の案件につきまして我々申すべき立場にないのは、先ほど申し上げましたとおりでございます。

松崎(公)委員 これは実際にどうであったかを調べませんといけないと思いますが、職務上というのは、大学教授よりも、この方はよく日曜のテレビでも出てきます、政治評論家として有名でありますから、これはある意味では職務上ということになります。もちろんそれは評論家だけであればひっかからないんでしょうが、京都大学の教授ということで両方でありますので、これはやはり、もし調査、捜査が進めば大きな問題になるのではないか。

 警察はこの件を把握しておりますか。

栗本政府参考人 ただいまの御指摘の件につきまして、報道がなされていることは承知しております。ただいまこの委員会で委員から御質問があったということは、この場で承知をいたしました。ただ、それにつきまして、警察としてどうこうということについては差し控えたいと思っております。

松崎(公)委員 これは捜査対象になるということは、告発でありますとか、あるいは、これだけの証拠品があるわけですから、これは実際に郵便で動いているものではありません、普通はここに選管の判こが押してありますから、そういうものがあったりすれば、これはやはり告発しないとなかなか捜査は進まないということですか。

栗本政府参考人 今委員の御指摘の問題は、私ども、捜査の端緒ということにかかわることだろうと思います。

 私どもは、警察の捜査機関としての立場において、それぞれの都道府県警察においていろいろ捜査を行うわけでありますが、具体的にどういうぐあいに捜査を行っているのか、こういうことについては本来答弁を差し控えるべきものだろうと思いますし、また、御指摘の告発云々、これは刑訴法にも定めがあるところでありますから、そのようなものがなされると仮に一般的に仮定すれば、法令にのっとった適切な対応がなされるものと承知しております。

松崎(公)委員 どちらにいたしましても、我々も選挙をやっておるわけですから、こういうことは疑惑のないような形にしなければいけないと思います。

 それでは、本題の市町村合併の法律の審議の方に入らせていただきます。

 旧合併法で、財政的なニンジンといいましょうか、そういったものをやりながら合併をどんどん促進させようということでありました。もちろん合併は、いろいろな見方があります。地方分権というものをしっかり進めるための一つの方策として、幾つかの中の一つとして合併という形も受け皿としては必要だろう。しかし、最近の動きは、小さくても自立するよ、そういう自治体もたくさん出てきています。ですから、一概に合併を、今までの法律のようにニンジンをぶら下げて無理やりやらせるというところにかなり問題があったんじゃないか、そう私は思います。

 ところが、今まで、財源を与えながら、いろいろな意味で財政のえさをつくりながらやってきたんですけれども、なかなか進まない。そこで、今回新しい法律で、知事にかなりの権限を与えていくということになったようであります。

 これが、同じ知事の中でも、戸惑いをしている方が随分います。本来は地方の市町村と都道府県は対等の関係ではないか、それが何でこんなに知事が責任を持って、あるいは背中を押す作業をするんだということで相当戸惑いもあるし、おかしいじゃないかという意見もあるんですが、この知事の権限強化ということに対してどのように認識されておりますか。

大野政府参考人 これは、松崎先生も地方制度調査会の委員でもあられましたものですから、そのいろいろな議論につきましては十分御承知かと思いますが、今回の新しい法案の中で都道府県の役割を明確にするということにいたしたわけでございます。

 これは従来も、指針に基づきまして合併パターン等を都道府県の知事におつくりいただいていたわけでございますが、これを法律の中にきちんと書き込むというふうにいたしまして、それによります法的な効果というものをきちんと担保するということにしたわけでございます。

 基本はあくまでも、自主的な合併を進めるために、都道府県がいわば広域的な地方団体として地域のありようを十分に考えていただく、こういう趣旨から新法の中に規定をしたわけでございまして、当然のことながら、法制面で強制をするとか、そういった権限を都道府県に与えているわけではないわけでございます。

松崎(公)委員 そう言うんですよね。そうはおっしゃるけれども、勧告、それから住民投票、それも後押しする。それから知事のあっせん、調停。随分これは、私は、言葉では優しく聞こえますけれども、かなり知事が合併を促進させる、そういうふうに感じております。

 特に、小さいところは地制調でも随分議論がありました。小さい自治体、これは知事がどうこうよりも、大臣が基本指針を出して、そして小規模自治体を、つぶしていくという表現はよくないんですけれども、縮小させていく。中には、都道府県が肩がわりをしていく方式も入ってくる。こういうことになりますと、特に、小さい、一万人未満の町村というのはかなりこれから厳しくなっていくのかな、そう私は思います。

 ですから、その最も中心になる基本指針、これはどういうものを、特に小規模自治体を意識してやられていくと思うんですけれども、この辺は余り役人さんからはお答えをいただきたくないものですから、大臣、お願いします。

麻生国務大臣 いわゆる、昨年の十一月でしたか、第二十七次地方制度調査会の答申、御存じのとおりのあれですけれども、これを踏まえて、小規模な市町村として人口おおむね一万未満を目安とすることなどを記述するというようなことが出ていましたので、基本的には、アバウト一万というところの話は書こうと思っております。

 その背景は、もう松崎先生よく御存じのように、人口五千以下のところの行政経費というのは大体一人頭百三万円ぐらいかかるというのが現状であります。他方、それを超えていきますと、大幅に下がって、四十八万、五十万ぐらいのところまで地方行政経費というのは下がることにもなりますので、その意味では、人口一万というのはおおよそ一つの目安だろうと思っております。

 ただ、御存じのように、離島やら何やら、条件としてはちょっと合併しようにもしようがないというところで、だれも合併したくてもされないとか、壱岐ぐらい大きければまた話は別ですし、佐渡も一つになりましたけれども、そういうのじゃない、もっと小さな村というのは、島に、私の福岡県にも幾つかあります。

 そういったところやら何やらの地理的条件とか人口密度とか諸条件があろうと思いますので、そういった現行合併法のもとでも、いろいろ合併を行った経緯、どうしてあんなにできているか、県によっても、昔の合併で結構進んだ県とそうでなかった県と、いろいろ地域によっても差があることなどもありますので、そういったことなども十分に配慮した上でやっていかねばならぬものだとは思っております。

松崎(公)委員 大臣の言っていらっしゃることは、やはり今までの制度が続くという前提があると思うんですね。ですから、経費の問題も、百三万云々とか。

 私は、この前市町村サミットに行ってみたり、いわゆる改革派という首長さんたちにもよくお会いしています。あるいは、私の知る限りの情報をとっていますけれども、自治体がかなり、全部とは言いませんけれども、自立していこう、今までの制度にこだわっていたんではもうだめだから。だから、今言った百三万とか云々とか、それは今までの一つのベースとしてこれだけ経費がかかる。

 そうじゃないですね。矢祭町みたいに七千人でも、もう自立していくというところがたくさん出てきているんですね。それは、合併できないということもあるかもしれませんけれども。合併途中までいったけれども、やめて自立するというところもたくさん出ている。それでは、自分たちでやれることはやりましょう、役人を、町役場の職員を使わなくても自分たちでやっていこう、そういう意見が相当出ていますね。特区の中にもたくさんいろいろな提案が出たと思うんですね。

 だから、時代が変わっていますから、そういう中でいくと、基本指針は今の制度でいけば出さざるを得ないのでしょうが、余りこれはがちがちでやらない方がいい。もっと、すべて自立する自治体、自立する国民、自立する町村民、そういう発想をベースに置きながらこれからの制度をつくっていく。そして、それは、なるべく国は緩やかにして、地域に自由に任せていく。今回の法案の中にも、市議会の回数を自由化する、条例で数を決めろと書いてありますけれども、例えば十二回やれば毎月やるところも出るかもしれない、年間やるというのはなかなかないかもしれませんけれども。

 そういうことで、もう既に今の法律の中でも、非常に自由化したり、自立を目指す動きを皆さんもつくってきているわけですから、であれば、余りがちがちにやらない方がいい。私は、一万人以下だってやれるところはやるし、四十万、五十万があってもいいし、そういうふうに考えておりますので、基本指針のその一万人未満、一万というのを出していいものかどうか、どうも疑問に思っております。もっとそれぞれが自立する、できる規模でやるべきだというような方がこれからの時代にはよろしいんじゃないか。

 先ほどの過疎の離島。いわゆる条件不利地域振興五法というのがあるんですね。その中に、そこの対象者が一万未満の町村の八五%というんですね。これは、あれですか、都道府県に仕事を取り上げたり、あるいは無理やり合併させるという知事の勧告なんかをやってやろうというふうに思っていらっしゃるんですか。この八五%の過疎、離島。

麻生国務大臣 八五%の話というのは、先ほどの三位一体の話に関して、人口五万人以下の町が、町村の数でいきますと、全国今三千百の約八五%という話でありまして、今の話と直接関係するわけではありません。八五%という数字は、人口五万人以下の町村数が三千百のうちの八五%というぐあいに御理解いただければと思いますので、今のその話と直接関係しているわけではありません。

 今、合併の話でありますけれども、基本的には、今おっしゃったような流れが出てくるのは、僕は、松崎先生、物すごくいいことだと思うております。

 小さな町で、おれのところはもう町長は無給とか、町会議員は三人で、持ち回りで町長を一年交替とか、いろいろな話をしておられるところは幾つもありますので、私は、それはそれなりに決して間違っていないと思います。収入役も置かなくていいというようなルールにもなっておりますので、シティーマネージャーが一人いて、こういったようなパソコンやら何やらを駆使してやれば、給与計算やら何やらは物すごく早くなったはずですので、そういった意味では、会社用語で、固定経費を大幅に減らしてやることができるようになるということは間違いないと思います。

 うちはだれとも合併されないからでは寂しいので、いや、おれは自主的に、たかだか何千人だけれども、断固これでいくという町が出てきて、それでいわゆる独立経営というのがきちんとできるのであれば、私は、それはそれなりの見識だと思いますので、強制するつもりはありません。

松崎(公)委員 それは大変結構な話でございまして、やはり政治家たる麻生大臣の識見だなと、非常に私は歓迎をしております。

 三万人特例というのが、今回、政府提案で入っていないんですね。今まで四万、三万と、二回ほど、市は五万の今の取り決めであります。しかし、いろいろな事情で今までこれは自民党さんが中心にやられてきました。我々も賛成してきました。合併を三万でも認めて、市にしましょうと。今言ったように、我が党も千という数字は出しておりますけれども、これも恐らく変わるかもしれません。そういうことでいくと、さっき言った小さいところも自立ということになれば、三万人特例というのは、非常に使いやすい、合併をいい意味で促進することにもなる。

 ところが、総務省はそういう内容を、政府の与党主導型で二回にわたって改正をしていたにもかかわらず、今回また外して、また与党なり国会の意思でやるんならどうぞおやりくださいという態度なんですね。これは政治主導になりかかっているこの日本の国会が、与党の意思を全く無視しながら、また同じ五万でこの法律をつくっている。改正案で三万が入っているんですよ。それを、今度切れるわけだから、それは五万のままで、またおやりになりたければどうぞ国会の意思でということなんですね。

 私、これは二重の意味で、三万特例は必要だなということに対しての意見と、それから、政治主導が全然されていませんよ、皆さんしっかりしてください、自民党さん、そう言いたいんですよね。どうでしょう。

麻生国務大臣 ちょっと、見解の、もともとの哲学のスタートが違っているんだと思いますが、過去二回やっておりますのは、いずれも議員立法だったというのはもう御存じのとおりなんで、その経緯があるのが一つであります。

 したがって、三万というのは決して私も間違っていないとは思っておるんですが、三月九日にこの法案は提出されておるんだと思いますが、全国町村会の方から三万人の特例をもう一回出せというのが四月以降に出てきた、もう御存じのとおりであります。

 そういった意味では、三月に法案を出したときには、従来いずれも議員立法によって出されたという経緯がありますので、そして、事実、総務省といたしましては、三万人でも決して、私も松崎先生と同様に三万のようなものはよろしいんではないかと思っておる者の一人ですけれども、ただ、町村会から、修正というか要望というのが出てきましたのが四月以降だったこともこれありというところが、少しそこのところはタイミングがずれたという点もあろうかと思います。

 いずれも、過去二回とも議員立法だったというのが今回書かなかった理由というように御理解をいただければと存じます。

松崎(公)委員 与党の皆さん、政治の主導ということを言いたいんですけれども、どうもそれを聞きますと、町村会やらそれぞれの議員さんの地域事情の要望を受けて政策を変更したというふうに解釈せざるを得ないですね。

 私は、三万というのは、今言ったように、小さくても、まあ余りたくさんあり過ぎても確かに問題なんで、そこは背中を押すためには合併をさせる。しかし、三万ぐらいでも、何とかまとまるところは、五万では無理だから三万でいいじゃないかとこれは与党が政策的に判断したのかな、そう私は思っていました。我々が賛成したのは、三年前もそういうつもりでありました。

 であれば、与党の意思を受けて法律をつくるのが役人だろう。ただ、日本の場合は、残念ながらそうじゃないということがはっきりしているんですけれども。常に役人さんが中心で、後ろからくっついていく形の政治だ。それを転換しようというので、今回、さまざまな改革をして内閣府の力をつけるとかやったわけですね。

 だから、そういう意味で、政治論を言っているんですけれども、私どもは、合併をして少しでもやりやすい町をつくるには、小さいところを支援するのは、もう最初から三万を入れた方がいいんじゃないか、そういうことを言ったわけでありまして、与党の方でお出しになるということであれば、我々は賛成していきたい、そのように思っております。

 さて、この合併法、一般の方からは大変わかりづらいですね。一文字「等」がついただけで新法で、旧法と。そしてまた、自治法の改正で、特に、地域自治区というのが非常にわかりづらいですね。三つにもかかわりを持っております。

 この地域自治区は、地制調の中でも、地域自治組織という形で出てきました。私は、今のコミュニティーというか町づくりを見ておりましても、常に住民と法の力とがぶつかり合う。つまり、私どもの町でこの前あった話では、駅前のスーパーが倒産して、その後、葬祭場が買ってしまった。法的に問題ないからということで、市はどんどんおろしていった。そして、気がついたら、駅前の真ん前ですから、小さい私鉄の駅ですから、小さい広場の真ん前に葬祭場ができちゃった。後から反対運動をしてもとても間に合わない。そういうようなことがよくあるんですね、迷惑施設ということも含めて。あるいは景観の問題もそうです。

 そういう場合に、地域で一定の取り決めをして、法の施行にいく前に、その地域の意見を聞いて、何とか、時には歯どめをするし、時には住民の意見を聞きながらよりいいものをつくる、そんなシステムを、私はイギリスのパリッシュなんかのことを意識しながら、この地域自治組織というのを地制調の中ではイメージしていたんですね。

 今回、地域自治区というのが、どうもそのようなものができてきたんだろうとは思っているんですが、大変わかりづらいですね。合併特例区は、どっちかというと合併される方がなかなか難しいので、ある意味ではそれをなだめるために、名前を使っていいよとか首長が指名して区長をつくるとかいろいろやっていますけれども、そこにまた、地域自治区も置けるとか、あるいは、五年たった後に合併特例区が切れた後は地域自治区にも変えられる。特例区の方は、法的なものがあって財産も持てる。しかし、地域自治区はそうじゃない。これは勉強していてもなかなかわかりづらい。

 ちょっとここをよく整理して、地域自治区の思想というか、どういうものをイメージして地域自治区をこの中に入れたのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、先生のところも、柏ですから、急激にぶわっと広がっていったところだと思います。人口急増地帯ですね。柏、松戸、流山、沿線のところは皆同じようなところだと思います。基本的には、そういった急激にふえた方々にとりましては、もともとそこに地域の意識を持って住んでいた人と、千葉都民とか新住民とかいろいろな表現があるんでしょうけれども、どうしても新しい人の方が多くて、地域の自治行政に関して、およそ、まあ寝るだけとか、簡単に言えば無関心。

 そういったような中にあって、町の行政は、そういう人の声が全然聞こえてこないと今葬祭場の話があったようなことになる、これは話が、最初の言われた趣旨とは全然違ったことになるのでいかぬというので、一つやはり地域の声がちゃんと聞こえるようなものをつくっておかぬと、新しい人たち、自治会とか町内会の引き受け手が全くいません、みんなサラリーマンですから無理ですよとかいう話になると、地域のコミュニティーの崩壊ということにもなろうかと思います。そういった意味では、今言われたような形できちんとしたところをつくっておきたいと思っております。まず大前提はそういうことです。

 そのときに、合併のときの特例という形にして、自分の町名、村名、そういったものがなくなるのはとても辛抱できぬ、だからこれだけは残せという御意見というのは実はいっぱいありましたので、そういった意味では、名前を残せる。

 しかし、名前を残したはいいけれども、そこでまた選挙でもやられて区長が出たりなんかすると、そんな大きな町ならともかくも、そういったことではないようでもありますので、そういったところでは、区長が置けて、ただし、その区長さんは、右代表して市長なり市議会にこれはこの地域自治体の声ですと言えるような組織を一つつくっておかぬといかぬのではないかということで、区長さんを置けるというように両方ともしております。今は置けませんので、置けるようにしておる。地名はそのまま使えます。

 それで、五年以内とその他と分けた理由というのは、いわゆる合併特例区の方につきましては、これはもう御存じのように、まあ特例といえば特例なんですけれども、そういった形で制度をつくるに当たりまして、各市町村が従来独自に処理をしてきておりました分で、そういったものを今後やっていくに当たりましては、当分の間、旧市町村にかわってその地域の問題を主体的に片づけるのは、その地域のことをよくわかった人に任せた方が適当ではないかということで、名称を残すということなど、すんなりうまくいくように、静かに時間をかけて、四、五年かけて、ソフトランディングということなんだと思っております。

 そういった意味で、両制度とも住民自治の拡充というところなんだと思うんですが、合併特例区というのも、基本的には合併の円滑な推進ということをやっておりますので、そういった意味では、ある程度時間をかければ、そこそこうまくいくところとうまくいかないところと、多分私は結構出てくるであろうとは思っておるんです。

 いずれにいたしましても、そういった市町村の協議で定める期間というものを置いて、五年以上たってもどうしても必要だというようなところも地域自治区としては起きてくるかなという感じが正直なところです。

 だけれども、すんなりうまくいって、そこそこ地域とうまく溶け合って新住民と旧住民がそれぞれ皆折り合いがうまくいったところといかないところといろいろ出てくるんだと思います。

 いずれにいたしましても、本来の目的はソフトランディングというのが基本的な姿勢でありまして、それに関しましては、なるべく地域住民の声というものを、特に、旧住民が無視されるという形は非常に町の中がぐあい悪くなりますので、そういった意味では、新住民と旧住民がうまくいくための方法として、名前なんか何でもいいよというような形ではちょっとないんじゃないかなという感じがいたしますので、昔からおられた方々の意識もある程度くみ上げてできるようにというのが本来の趣旨というように御理解いただければと存じます。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

松崎(公)委員 それでは、きょうは、この後十名ぐらい民主党の若手が次々に出てまいりますので、そちらに合併法の方は譲りまして、最後に、私どもの党が、今回の三位一体、さんざんな評価が出ておりますが、お手元に資料を出しました。こういうものがあります。これは我が党が三月に約一週間ぐらいで回収したんです。三千二百の自治体に、三位一体の改革でどのような現状だということで、お手元に行っておりますからごらんいただければと思いますが、さんざんな評価と皆さんの声が聞こえてまいりました。

 この「容認する」、「泣いている」、「怒っている」というのは、我々が、アンケートの中で各自治体が悲鳴のようないろいろな感想を書きましたので、それをかなり主観的にやったものですから、怒っちゃっているのが千三百三十、泣いているのが二百四、容認が三十八ということであります。こういうデータが出てまいりました。

 総務省の方にも、実態はどうなんだと。つまり基金の取り崩しで。ほとんどの自治体が、約八割でしょうか、八〇%、千四百三十七団体。我々のこの数は千八百六十でありますから、五七という、三千二百のうちのかなりの数ですね。総務省は、そこまでまだいっていないと思います。今、集計中かもしれません。我々、これは緊急にやりまして、こう出てきた。

 そして、八〇%、千四百三十七団体が財源の補てんを財政調整基金でやった。我々のデータは五千二百四十二億円なんですね。そこにも出ておると思いますが。これはどのくらいになるかはちょっと全体がつかめませんのでわかりませんが、総務省はこれをつかんでおりますか。基金で今回の三位一体の厳しい締めつけを逃れたというのが重立った意見でありますけれども、総務省のデータはいかがになっていますか。

麻生国務大臣 財政調整基金の取り崩しの総額というものは、前年度に比べて一一%の増で、約八千億円と理解をいたしております。

松崎(公)委員 それは都道府県じゃないんですか。都道府県のデータは総務省持っていますね。八千百八十二億ですね。これは十五年度末現在で一兆七千億ですか、半分取り崩したということでありまして、都道府県も大変な思いをして基金割れしています。

 それから、このデータで特色なのは、総務省がねらった地方再生事業債、財政健全化債、これは我々のデータでは二〇%、三百五十八団体しか使っていなんですね。これから使うんだという総務省の意見はありますけれども。当初、自民党の皆さんがこれは大変だということで地方再生事業債をつくりましたよね。ところが、意外と使っていない。もうこれ以上借金したくないという意思だと思うんですけれども。そういう現状はどのようにお感じになりますか。

麻生国務大臣 先ほどの答弁をいたしました分、八千億につきましては、おっしゃるとおり都道府県の分であって、市町村につきましてはまだつかみ切っておりません。

 もう一点の御質問については、これは借金をやはりしたくないというのは私は基本的に正しい方向だと思いますし、いろいろその上で苦労しておられるので、安易に金を借りるよりはここはということで、財政健全化債、再生債等々を使うのを極めて慎んでおられる、控えておられるという数字のあらわれだと思っております。私どもとしては、そういった事情につきましては、私どもが思っているよりわっとふえてきたことではない、思ったよりは来なかったというように理解をいたしております。

松崎(公)委員 時間でございますので、残念ながらでございますが、このデータも、またうちの党の皆さんがお使いいただきながら、一つの目安として、何せ自治体は、大変な思い、交付税制度を維持できない、もう壊れますよというのが、市町村サミット、百三十の市町村長が集まって、九四%の方が、もう今のままではだめだ、交付税だめ、そう言っております。

 今後の、十七年、十八年の補助金削減も三兆円をねらっておりますけれども、これはもう大変なことでありまして、予算が組めるかどうか。今回も、組めるかどうかということで、もう何とか切り抜けた市町村でありますので、これをよほど慎重にやっていきませんと三位一体改革は私は成功しないと思っております。

 終わります。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

佐田委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 松崎委員に引き続きまして、質問をさせていただきます。松崎委員も質問しておられましたけれども、地域自治区について質問をさせていただきます。

 地域自治区とはどういうものですか、趣旨について教えてくださいと総務省にお聞きしたところ、このような回答がありました。

  地域自治区とは、地域の住民の意見を行政に反映させるとともに行政と住民との連携の強化を目的として、市町村の判断により設けられる区域であり、その区域の住民のうちから選任された者によって構成される地域協議会及び市町村の事務を分掌させるための事務所を置くもの。

  このような制度を創設するのは、市町村の規模が拡大しつつある中で住民自治を充実するためには、市町村を一定の区域に分かち、その区域を単位として、住民に身近な事務の処理を、住民の意見を十分に反映させ、かつ、行政と住民が相互に連携して行うことが求められているからである。

  地域協議会は、住民に基盤を置く機関として、住民及び地域に根ざした諸団体等の主体的な参加を求めつつ、多様な意見の調整を行い、協働活動の要となるものであり、地域自治区の核となるものである。

これが、総務省が私に渡してくれました地域自治区の趣旨であります。

 私は、この地域自治区の説明を聞きまして、何でこんなものが法律で必要なのかなと。正直、これを自治体の長がやろうと思ったら、自治法を改正しないとできないものなのか、条例でできるんじゃないか、そのように考えたわけでございますが、地域自治区の制度は、自治法改正をしなければできないものなのでしょうか。その点についてお聞きいたします。

麻生国務大臣 御指摘のように、条例で不可能なわけではありません。はっきりしております。条例で決してできないわけではありません。ただし、きちんとして、法律にした方が使いやすいという考えで今回のような法改正をお願いしておるというように御理解いただければと存じます。

中村(哲)委員 その使いやすいというのはどういう意味なのかということなんですよね。

 私たちが懸念しているのは、これは、いいように使われればいいんですけれども、悪用される可能性があるんではないか、そういったことも危惧しているんです。

 麻生大臣の選挙区はどうかわかりませんけれども、私の選挙区なども、御多分に漏れず、自民党が非常に強い選挙区でありまして、地域に行けば行くほどその傾向は強い。特に、地域の市町村の首長さんが、自民党、衆議院議員の候補の後援会長をされているケースもたくさんあるわけです。それは全国的にそういうケースがあると思います。

 今回の法案で懸念することはないという御答弁になると思いますけれども、私の選挙区以外の議員、それもかなり都市部の議員から、首長経験者の意見を聞いたんですけれども、その首長なんかが言っていたのは、こんなことは首長が本気になればできる、逆にこんなことは悪用される危険があると。

 どうも話を聞いていて、結論としては、地域自治区の長も市町村長が選任するわけです。そして、地域協議会のメンバー、構成員も、長が選任するわけです。結局、その地域を代表する人たちを首長自身が選んでいけることになりますよね。そうすると、例えば、市町村長の後援会に入っていないような人たちは実質的に選ばない、そういったことが可能になるんじゃないか。もちろん総務省の意見はそうじゃないんですよ。それはわかっているんです。しかし、そういった懸念が起こる余地がないのかどうか、そこを具体的に検討していきたいと思うんです。

 そこで、そんな抽象論で話をしていてもわかりませんので、まず、そのメンバーの選任についてでございます。

 地方自治法の一部を改正する法律案の中で、地域自治区の規定があります。第二百二条の五、「地域自治区に、地域協議会を置く。」と書いてあります。その三項の規定、読みます。「市町村長は、前項の規定による地域協議会の構成員の選任に当たつては、地域協議会の構成員の構成が、地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。」つまり、配慮規定なんですよね。

 配慮規定なんですが、この配慮がちゃんとされているかどうかということについては、私が条文を読む限り、担保されていないんじゃないか。つまり、これが恣意的に流れないような、配慮規定を担保するような、そういった規定が別のところになければならないと思うんですけれども、それが盛り込まれていないんじゃないかと思うんです。その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 言いなりにならざるを得ないような状況も出てくるのではないかという御懸念の部分でございますが、この地域自治区につきましては、住民の意見を行政運営に的確に反映させるということでありまして、そのために市町村の内部組織として置かれるものという位置づけであります。公選された市町村長さんあるいは議会というものが現実にはあるわけでございまして、それとの関係を考えますと、地域協議会の構成員や合併に際しましての地域自治区の区長については、その首長さん、市町村長の選任によるということの方がふさわしいだろうということの判断がなされております。

 また、地域協議会の構成につきましては、区域内の住民の多様な意見が反映されるものとなるように、市町村長に配慮義務を厳重に課しているところでありまして、また、地域自治区の区長については、地域の行政の運営に関しすぐれた識見を有する者のうちから市町村長が選任するということになっているところでありまして、このような観点から、各市町村において適切な運用がなされるものと考えているところでございます。

中村(哲)委員 松本政務官のおっしゃったことは、私、そのままお聞きさせていただいたんですね。配慮規定はあるんですよ。それをわざわざ条文を引用してお聞きさせていただいたわけです。それは認識しているんですよ。だけれども、これは配慮義務にすぎないから、もしこれが破られるような場合、ほかでどういうもので担保されているんですか、そういう規定がないんじゃないですか、そういうことをお聞きしたわけです。にもかかわらず、松本政務官は、いや、そういう規定があるから大丈夫だと認識しています、そういう御答弁だったわけです。

 もう一度お聞きするんですけれども、配慮義務があるから配慮してもらえると思いますということじゃなくて、配慮義務、配慮規定はあるんだけれども、これは破られる可能性があるんじゃないですか、それを担保するものがあるんですかということをお聞きしているわけです。

松本大臣政務官 地域協議会は、住民に基盤を置く機関として、住民及び地域に根差した諸団体等の主体的な参加を求めつつ、多様な意見の調整を行って、協働活動のかなめとなるもので、地域自治区の核となるものであることはもう御承知のとおりであります。

 このため、地域協議会の構成が任命権者である市町村の恣意によることがないよう、地域を基盤とした多様な主体の意見が適切に反映されるものとなるよう配慮義務を課すということの御説明をさせていただいたところでありますが、この地域協議会の構成員の選任に当たりましては、当該地域に生活する住民個人はもとより、自治会、町内会、PTA、各種団体等、地域を基盤とする多様な団体から推薦を受けた者や、公募により応募してきた者の中から任ずることが要請されるというふうに考えております。

中村(哲)委員 まさに政務官の今の御説明を、私、事前に受けております。そういったケースが望ましいケースなんですよね。それは私も理解しているんです。そういった望ましいケースでないような形で選ばれる場合があるんじゃないか。それに対しては、どのような形でそれを検証していけるのかということに関して、非常に難しいんじゃないかと私は懸念しているわけです。

 麻生総務大臣が先ほどおっしゃいましたように、この制度自体は、今の現行法でも実行することが可能なんです。首長が意識があって地域協議会をつくる、そしてその中も、いろいろ地域で活動されているPTAとかボランティア団体とか非営利法人の人たちとか、広い意味でのNPOとか、そういう人たちから選んでくる地域協議会をつくる、そういうこともできるんですよね。地域を一つ支庁みたいな形でつくって、そこの長も自分たちで選ぶ、自分たちの職員からそこの長にすることも、今の自治法の枠内でもそれは可能なんですよ。条例もつくってやることができる。

 わざわざこういった制度をつくるわけですから、そういった先進的なケースをねじ曲げられないような、恣意的な運用をさせないような仕組みが必要なわけですよね。それなしにこういう制度だけつくってしまうと、逆に、私が先ほど申しましたような悪用の危険性が生じるのではないですか。むしろ、先進的な自治体では、もうこんなことつくらなくてもできるわけですから、現行法でもできるし、やっているわけですから、そこについてどういうふうな担保をするんですか。

 この委員会で政務官が御答弁をされても、それをきちんと自治体の長が読んで、松本政務官がおっしゃったからこれを守ろうということになればいいですけれども、必ずしもそうはならないと思うんです。どういった行政指導をするのか。例えば県がチェックをするのか。でも、それはそれでまた、自治という面からすると、私はすべきじゃないと思うんですよね。

 そうすると、この地域自治区という制度をつくった積極的な意味というのはどこら辺にあるのかな、そういうふうな形になってくるんですよ。だからお聞きしているわけでございますが、私の理解としては、つくったけれども実効的な意味というのはそれほどないのかな、制度をつくることに意味があるのかなというぐらいでしか受け取っていないんですけれども、それを超えた積極的な意味というのがもしありましたら、松本政務官、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 中村先生が最初に言われたように、善意の人たちばかりじゃないという話は、法律をつくるときには、善意の第三者のみを当てにして法律なんかつくったらろくなものにならぬというのは、これは法律に携わった方ならだれでもということだと存じます。書いてないことなら何をやってもいいというぐあいに考える方も世の中には多いわけですから、そういった意味では、今言われた点は確かに考えておかないかぬところですが、それに対して介入するというのは問題だよというのも、私も全くそうだと思いますね。これをやったら官主導のきわみですから、それはいかぬ。

 そうすると、やはり落ちつく先は、住民の良識とか住民の自治とか、多分そういうところになるんだと思っております。だから、担保はあるかと言われれば、それは住民の自治と意識、民度なんという表現はいかがなものかと思いますけれども。

 ただ、先生、一つだけ。町長さん、首長さんが後援会の会長をしておられるなんというところは、福岡県で一件もありませんからね。神奈川県でも一件もありませんよ。ないところは世の中にはいっぱいあるんです。だから、ないからおたくは民度が低いなんて言っているんじゃないからね、それは間違えぬでくださいね。すぐそういったふうに揚げ足をとられたらかなわぬから、お断りしておきます。

 例えば、富山県とか熊本もありますよ、確かに。全国よく回りますので、結構その種のことに詳しい方だと思いますけれども、首長さんが後援会長をしておられる、支部長をしておられる、後援会会長、自民党の支部長、首長さん、三つ全部やっているなんというところは、九州じゃもう熊本ぐらいですね。あとはないです。福岡にはない。

 そういった意味では、これは地域によってすごく差があるとは思います。だから、奈良の話を伺って、大体言っておられる意味はわかります。何となくそうかなと思ったので、ちょっとそこのところは、恣意的にやられる可能性がゼロ、絶対ないと言うつもりは私も全くありません。

 ただ、そういったところは、ちょっと待ってくれという話がそれこそ民意として出てくるということにならなおかしいんだというような、ここは、僕は結構、住民の意識というのにはかなりパーセンテージが大きい方なものですから、おまえはちょっと甘過ぎると言われればそうなのかもしれませんけれども、これはやってみた上で、そういうところが幾つも出過ぎた場合は、それはそれなりにまた考えないかぬことになるのかもしれません。

 私は、基本的には、やはり一番の本来の目的は、今言ったような選挙に使うとかいうような話じゃなくて、何となく、先ほどの松崎さんの話じゃないけれども、流山とか柏とか松戸というところは、昔は、私ども子供のときはこんなところだったのが、いきなりぶわっと膨れ上がったところで、多分、意識としては旧住民の意識は全く無視された行政、だって新住民の方が圧倒的に、七割以上の人口ですから、全く旧住民は無視されるということは、もうあちこちでよく聞かされた話でもありまして、まともな方々の意見を吸収するというのが本来の目的であるという点だけは御理解いただければと存じます。

中村(哲)委員 私も大臣の問題意識と全く一緒だと自分自身は考えているんですね。住民自治なり住民の意思が一番重要である、そのための制度をつくらないといけないと思うんですよ。

 私が最初から申し上げているのは、住民意識が高いのであれば、もう、こういった制度を自分たちで条例をつくってやっちゃえるわけですよ。逆に、こういった制度をつくると、そこまで、自分たちでつくれるようなところまで意識が高まっていないにもかかわらず、こういった制度を形だけつくっちゃって、実際の運用が伴わなくて形骸化してしまう可能性が出てくるんじゃないか、それだったら、法律でこういうことはつくらない方がいいんじゃないか、そういった問題意識なんですよ。

 都市化が進んでいるという話がありましたけれども、例えば私の住んでいるところでは、逆に、奈良府民という言葉があるんですね、奈良府民。千葉都民と同じように、奈良府民という言葉があるんですよ、大阪から奈良に移ってこられて。

 そこで、逆に、首長さん初め、ほとんど政治的な権力を握っていらっしゃるのは旧住民出身の方であって、新住民が圧倒的多数にもかかわらず、その意見が反映されない、そういう自治体もあるわけなんですよ。だから、逆のこともあるわけなんです。そういったことを考えると、政府としてこういうものをつくっちゃうということの危険性は、また別にあるんですよね。そこは大臣に御認識いただきたいと思います。

 また少し細かい話に入りますけれども、そういった認識であると、この二百二条の五の第五項の規定も少し問題だと思うんです。第五項はこうなっています。「第二百三条第一項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととすることができる。」と書いてあります。協議会の構成員に報酬を支給しないとすることができると書いてあります。これは、普通に読むと、報酬は支払うべきものだ、だけれども、例外的に報酬を支払わなくていいよという話なんですよ。

 これは、事前の説明では、原則は、こんなの無報酬なんですよ、地域のPTAの代表とかボランティアの代表で来てもらうんだから、無報酬でやってもらうんですよと言っているんですけれども、法律には「支給しないこととすることができる。」ということで、この条文をそのまま読むと、原則支給なんですよ。「支給しないこととすることができる。」ということなんです。

 ここは、逆に言うと、もう無報酬なんですから、はっきり無報酬と書いたらいいんですよ。第二百三条一項の規定、これは、協議会とか審議会とかいろいろなものに関しては基本的に報酬を支払わないといけませんよと書いてあるわけですから、ここはまあいいと思うんです。この後、第二百三条第一項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととする、そういうふうな条文にしておけば全然問題ないわけですよ。

 しかし、今のこの条文の形じゃ、悪用されちゃう可能性があるわけですよ。ここがまさに問題である、私はそういうふうに思うんですが、この点に関してはどのように御理解されているでしょうか。

麻生国務大臣 今ゆっくり読んだところなんですが、これは確かに、典型的な役人の持って回ったような、何かよくわからぬような言い方になっているんじゃないか、払うなと書いてあった方がわかりやすいというところなんだと、私もそれは、役人出身じゃないせいもあって、わかりにくいなと思いながら、今きちんと読みました。

 ただ、これは、払うなと書くと何かまた決めつけになっちゃうんで、本来は払わなくていいということになるんだと思っていますので、私ども総務省としては、本来無報酬、基本的にはそう思っております。これは報酬は支給すべきではないものと認識をいたしておるというのが総務省としての立場です。

 ただ、払っちゃいかぬとも書けぬものですから、何となく、今そのような表現になったと理解していただいた方がよろしい。払うなというのも、ちょっといかがなものかなという感じがしないでもないかなというところです。

中村(哲)委員 払うなと何で書けないのかということなんですよ。払ってもいいとお考えなのかどうか。

 では、特殊なケースとして、払うケースが考えられるのか。そこはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは非常勤ですね、基本的には。多分常勤にはならぬと思います。非常勤の職員みたいな形になるんだと思いますので、これはあくまでも、ある程度、地域住民として自発的な協働活動、そういったところの一環として考えないかぬところなんだと思います。

 そういった意味では、えらく専門性というか知識が要求される審議会の委員とか専門職員とかいうのと少し役割が異なります。町の世話役としていろいろな住民の意見を吸い上げるということになっておりますので、報酬のところにつきましては、大体、地元のかなり御年配の方で、奈良府民じゃない、奈良県民の方々が多分主たるものになるんだと思いますので、そういったところで、支給しないというのを前提にして基本的には考えたということだと思います。

 ただ、払っちゃだめよとも書けないし、一応働いてもらうわけですから、そこはちょっと、こういうような表現になっておる。ただ、認識としては無給、基本的にそう考えております。

中村(哲)委員 麻生大臣のおっしゃることは、私も重々わかっているんですよ。政府の方は、法案提出では光の部分を見ているわけですよ。野党としては、同じ問題意識なんだけれども、逆の方、影の部分はないのかなと思って話をしているわけです。

 そして、この条文を根拠に報酬が支払われるとどういうことになるか。最初の方に私が述べたようなことにつながる可能性があるわけですよ。公金を使って、そして選任手続も、全く恣意的じゃないけれども、暗黙のうちにそういう人がなるというのが決まって、あの首長のおかげで私はちょっと小遣い銭をもらえたな、そういう形になったら、あの首長の言うことは、まあまあ、言うことに従おうじゃないか、そういうふうな形になりかねないんじゃないですかというようなことを影の部分として申しておるわけです。そこに対する懸念がないのかどうかということを私はお伺いさせていただいているところなんですね。

 松野さんの時間を少しいただきまして、少し質問を続けさせていただきたいと思います。

 そういったことも考えると、もう少し地域協議会というものが、私はこれは制度として法制化する必要はなかったと思いますけれども、するとしても、もっともっと自由度を与えてもよかったんじゃないか。例えば地域自治区の長を公選も可能とするように、そういったことをする地方自治体は条例で決められるようにする、そういったことも可能だったんじゃないか。どっちかを選ぶのも自治体に選ばせましょうと。何で公選は絶対だめというふうにしちゃったのか、そこも疑問なんですね。

 そこまで地域の自主性、住民自治、住民の意思ということであるのならば、自治体の議会に、この地域の地域自治区に関しては代表者は公選で選んでもいいんじゃないか、そういうふうに議会が認めればそれも可能とする、そういった制度もできたかと思うんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは、おっしゃるように、何となくニンジンをぶら下げるような話になり得るという話なんだと思いますので、新住民が七、旧住民が三、その三の方が暇な人も多いし、これをつかまえて何となくという話は、大体奈良県の雰囲気はわかるんですけれども。

 これは、言われることは絶対否定しません。それはそういうこともあり得るだろうということは、その地域によって、私もある町のことを想像しながら、そういえば、あそこだったらあり得るなと思わないでもない町が私のところにもないわけじゃないから、わからぬわけじゃないんです。

 ただ、基本的には、中村先生、今言われたように、これを選挙で選ぶという案は、実は去年これをやるときには、大臣になりました後だったと記憶しますが、一応やって、町村長にこのアイデアを持ち出したんですよ。ところが、それは屋上屋だとか、その協議会の議員の方がまた偉くなったりと、話が込み入るからとにかく勘弁してくれという話が圧倒的に多かったというのが、今の案が出てきた背景なんです、正直なところを言うと。

 ただ、今言われたように、そういった危険性がゼロかと言われれば、私は十分にあり得る話だとは思いますので、そこのところはやはり指導していかなきゃいかぬというところは今後考えていかなきゃいかぬところだろうと。妙な金が払われたら、ちょっと待てということを言わないかぬことになる。それは本来の趣旨とは少し反するんじゃないですかということを役所としては言わないかぬことになる可能性はあると思います。

中村(哲)委員 質問にまぜて答えていただいて。分けて整理いたしますと、大臣としては、この二百二条の五第五項の規定というのは、やはり、大臣の言葉としては、問題とは言わないけれども、乱用の危険性がないように見ていく、そういうことをおっしゃりたかったということだと思います。

 首長が認めて議会にかけて、条例で地域自治区の長を選挙で選べるようにしようということにする制度を設けてはどうか、そういう私の意見に対しては、いや、なかなかそれは、今までの市町村長の話を聞いていると理解が得られない、そういう話ということで理解させていただいてよろしいですね。

麻生国務大臣 そのとおりです。

中村(哲)委員 それでも、あえて自分の市町村はそういうふうにするという議会が出てきた場合に、そういった余地も残しておいたらよかったんじゃないかというふうに私は思うわけですよ。大臣がおっしゃるような、住民自治とか住民の意思にのっとった制度にするためであるのならば、その方が論理的な帰結としては正しいんじゃないか、そういうふうなことを思っていたのでお聞きしたということでございます。そこは理解していただけますね。

 つまり、こういった制度をいろいろ見てわかるように、この地域自治区という制度は、必ずしも、大臣がおっしゃったように、住民意識の高まりとか住民自治のためというふうにおっしゃいますけれども、本当に住民意識が高かったり、住民自治を考えれば、これをわざわざつくる必要はないんじゃないか。むしろこういう制度をつくることによって一定の枠にはめちゃうことになっちゃって、住民意識の高まりというのを阻害している結果になっちゃいませんか、論理的にはそうなっちゃいませんかということをお聞きしているわけです。

麻生国務大臣 中村先生おっしゃるように、そういったこともあり得るじゃないかと言われれば、その点を否定するわけではありません。

 ただ、地域協議会ができることによって、逆に、初めて、何じゃこれということになって住民意識が出てくる面も否定できないと思いますので、それはちょっと地域によってまた差があるんだとは思いますけれども、今言われたところも十分に考えた上で執行していかないかぬところかなと思います。

中村(哲)委員 大臣としては、こういう制度があった方がきっかけとして自治が深まるんじゃないか、そういう御意見だったと思います。

 その方向をずっと考えていくと、将来的にこれは、交付税の算定のときの基準財政需要額のところに含まれてくる可能性があるんじゃないかな、私は、この制度を聞いたときに、一番最初にそう思ったんですよね。基準財政需要額の算定のところの基準に、地域自治区を一定の割合のところはつくっているだろう、それにはこれだけコストがかかるだろう、そういったことで基準財政需要額を積み増しされて交付税をふやしていくというようなねらいがひょっとしたらあるのかな、そういうふうに思ったんですが、その点はいかがでしょうか。

松本大臣政務官 地域自治区は市町村の判断で任意に置かれるものでありまして、現時点で特段の財政措置は考えておりません。

中村(哲)委員 特段の財政措置は考えていらっしゃらないということですから、もうその言葉は議事録に残りましたから、将来、この制度を利用して、財政的なことが変更のないようにしていただきたいと思います。

 さらに質問しますが、地域自治区について、合併において特例を定める、そういう規定がありますよね。合併において地域自治区の特例を認める、そういった規定も今回の法案の中には含まれています。

 首長経験者の同僚議員と話をしていますと、困るのは、合併して何十年とたつのに、うちは旧A村だ、うちは旧B村だという話になる、A村のところに建物を建てたら、不公平だ、うちのB村のところにも建ててくれ、そういう話が出てくる、そういうお話があるわけです。二十一世紀の合併は、こういった問題はないようにしていかなくちゃなりません。ある程度名前等を残す必要は、コミュニティーですからあるのかもしれませんけれども、住民意識として、旧何々村の出身だとか、そういうこともやはり解いていくことも必要なわけですよね。

 私は、地域自治区の合併における特例に関して、ここも懸念があるわけなんです。地域自治区の特例の期限というのは、協議で決まるということなんですよね。ということは、法律上は、五十年でも百年でもいいわけじゃないですか。無期限ということも可能になってくるのか、それはそこまで勉強していないのでわかりませんけれども、五十年、百年でもいいことになってしまう。

 それが終わっても、今度は地域自治区ということで、普通の地域自治区の方になったら、結局、考えていくと、ずっとその村意識が温存されるような、そういった実態になってしまう可能性もあるんじゃないか。だから、私は、もう単純に地域自治区という制度はなくした方が、かえって自治体にとっては自治の範囲が広くなるんじゃないかという考え方なんです。

 そういったことを考えれば、やはり特例措置というのも、将来的に村意識を温存する結果になってしまうんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

松本大臣政務官 合併に際して設けられる地域自治区は、旧市町村のまとまりを維持したいものの、法人格を有する合併特例区を設置することまでは望まないというニーズに対応するために設けられている制度であります。

 一方、この地域自治区が永続的に存在したのでは、結果的に合併市町村の一体性の確立に妨げになることから、その設置期間については、合併関係市町村の議会の議決を経た協議により定めることとしております。また、その期間の変更につきましても、合併後の市町村の条例によらなければならないものとされているところであります。

 合併に係る地域自治区の設置期間については、法人格を有するなど独立性が比較的強い合併特例区の設置期間が五年を上限とされていることを踏まえ、合併市町村の一体性の円滑な確立を考慮しつつ、各市町村において適切に判断して設定をすべきものと考えさせていただいております。

中村(哲)委員 私は、合併特例区が五年以下ということはまだ許容できると思うんですね。ある意味、合併に踏み切るときにちょっとちゅうちょしている、そういうのは特例区をつくって五年の間に村意識を解消していくような、また合併した市町村の一体性を確保していくような運動をしていきましょうと。私は、合併特例区に関しては、まだ五年以下ということも認められるなというのがあるんですよ。

 しかし、地域自治区の合併における特例については、期限が、五年じゃなくて、十年にも二十年にも三十年にもできる。その後はまた普通の地域自治区に移行することもできますよね、制度上。そういった形になると、合併したときの意識がずっと続いていく、村意識がずっと続いていく、そういったことになりかねないんじゃないかな、だから、合併特例区よりも結構罪が重い特例なんじゃないかなと私は思うんですね。それだったら、合併をそもそもしなければいいわけですから。合併をして大きな自治体になって一緒にやっていこう、そういった気持ちをそいでしまう結果になってしまうんじゃないかということで、ここは問題なんじゃないかなと思うんですよ。

 私は、逆に、地域自治区の設定が旧市町村と地域を同一にできないようにする、そういったことの方が合併の効果がある。つまり、地域自治区で複数の、A村、B村、C村がX市になったとするときに、AとかBとかの単位じゃなくて、違うところで切る。例えばB村の真ん中で切るとか、そういうふうにする方が特例としては意味があるんじゃないか。もっともっと合理的な、経済圏で分けるとか、今日的な課題で分けるとか、川を挟んでいて町村が分かれている場合には川をまたいで一つの地域として考えるとか、いろいろなやり方があると思うんです。

 逆に、今回の法案で決められているのとは違ったやり方をした方が、かえって合併の効果とした上での特例という意味では、意味があるんじゃないかなと私は思うんですが、その点、いかがお考えでしょうか。

山口副大臣 私の方からもお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど来中村先生のお話しのとおり、ある意味で、もろ刃のやいば的なものがあるんだろうと思います。しかし、お話しの合併特例区の場合は、いわゆる合併への入り口みたいな役割が非常に大きい。そして、その後いわゆる違う方に移る場合に関しては、今先生御指摘のように、旧町村等々の枠組みにこだわらずに、まさに住民の皆さん方のいろいろな意見をしっかり聞こう、これを活用しようということで、それはもう旧来の町村の枠組みにこだわらずにやっていただいていいんじゃないかなと思っております。

 さっきもろ刃のやいばと申し上げましたが、そういった弊害というのも確かにあろうかと思います。私のすぐ隣町も、実は旧町村で町長さんの出し合いをするわけですね。あいつはあそこだから絶対許さぬみたいなことをずっとやってきたんですが、私どもも若干協力をさせていただいて双方仲よくみたいなことができたわけなんです。そこら辺はやはりお互いの努力だろうし、もう一つは、フランスの地方自治体を考えてみても、本当に住民のためにいいコミューンというんですか範囲というのは、ではどこまでなんだろうというふうな議論も実は一方においてあるんだろうと思います。

 ですから、そういったもろもろの思いの中でこのような形にさせていただいたということでございます。

中村(哲)委員 説明として余り私はわかっていないんですけれども、地域自治区というのは、今指摘させていただいたように、さまざま弊害がある可能性があるわけですよね。私も、市長さんに、この町は自民党ですからということで言われたこともありまして、自治体の行事には私は呼んでもらえないとか、そういうことも経験しているんです。

 こういった制度じゃなくて、それでは中村さんなら何を、代替案としてどんなことを考えるんだと聞かれるかもしれません。私が用意しているのは、非営利法人をもっともっと活用していこう、そういった考え方ができるんじゃないかということなんです。

 今、政府・与党でも検討されておりますけれども、公益法人やNPOなど、そういった非営利法人セクターの法人制度を抜本的に改革するという流れがあります。今一定の方向が見えているのは、準則主義で設立するようにしよう。つまり、登記をすれば非営利法人をつくれるようにしよう、そういった形の流れが政府でも検討されているというふうにお聞きをしています。

 私も、そこはいいと思うんですよね。非営利法人を登記で設立できるようにして、そういった非営利で地域の利益を担っていく、公共の活動を担っていくという団体をどんどんつくれるようにしていく。そして、その活動をしている団体の長とかそういう人たちをまた地域で集めて協議会をつくる。そういった運営をすることで、このような地域協議会みたいなものにかわるものができるんじゃないか。

 そのためには、逆に今度は、非営利法人法を抜本的に改革しないといけないですし、非営利法人に対して地域の人が寄附をする、それに対しては税制の控除、所得税の控除とかも認めないといけない、また今度は住民税の控除もできるようにする、そういう仕組みもつくる必要があると思うんです。

 逆に、こういったもので考えれば、地域ごとに幾つもそういうふうな、もし地域の中で対立があった場合に、非営利法人を複数つくることもできますし、また、これだけITが進んでいますから、合併して大きくなったところであっても、ブロードバンドで結びついていますから、距離を超えて、この範囲内で一つのテーマごとに、例えば介護なり、また公共移送でもいいですよ、例えば移動するときに困るからみんなで助け合いをしようとか、そういうのも、地域に固まらずに、大きくなった合併したその自治体の中でテーマごとに非営利法人をつくってコミュニティーを維持する、そういったことも可能になるわけです。

 だから、住民自治ということを考えれば、こういった非営利法人を活用するということが代替案として考えられるんじゃないかと私は思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 一つのアイデアとしては決して間違っていないと思いますが、基本的には、旧自治体の名前とか、そういった思い出やら何やらという、ちょっと大きな地域で、自分のもといた村、町、そういった名前が消える等々、その種の話からこれはスタートしていますので、今のNPOの話というのは、基本的には機能的な話であって、地域の代表というよりは機能別にということで、少し違うような気がします。

 今言われた中で、一つ難しいのは、学校法人も似たような例が幾つもありました。自民党の本部の前に永田町小学校というのがあるんですが、昔は有名な小学校だったんですが、今はありません。そのときの政務次官、永田町小学校OBの方から、おまえ何考えているんだといってめちゃめちゃやられましたけれども、結果的には一つにするふうになったんですが、名前だけは絶対残せとか、看板だけは外すなとか、それはもう大変なものです。やはりOBの方々の思いというのは多分そういうことになります。泰明小学校なんて銀座の真っただ中に小学校がまだ残っていると思いますけれども、それはいろいろな思いで多分残るんだと思うんですね。

 そういった意味では、この種の話というのはかなり感情論という情感の話が入ってきますので、理屈じゃなかなか割り切れぬというところは、中村先生、最も難しいところだと思います。その点をちょっと頭に入れておいていただきたいのが一点。

 もう一点は、NPOのお話をいただきましたが、税制やら何やらという話は、これも同じような話になろうかと思います。NPOに寄附してあげます、その監査法人がよっぽどうまくやらないと、バックマージンちょうだい、余りおもしろい話じゃありませんけれども、その話が実は幾つもあったから、NPOとかあの種の非営利法人というような話になかなか大蔵省がゴーを出さないというのがこれまでの経緯、最近は随分変わってきたとは思っていますけれども、そこらのところもありますので、今のところは一概になかなか言えないところだと思います。

 ただ、今、こういったものができ上がるのと、地域協議会というものと別にNPOがあったっておかしくはないのであって、そういったところは、こういったものをつくったといって、その地域において、これに対してもっといろいろな形で支援をという話は僕は十分に成り立つ話だと思います。今、あちらこちらで結構高齢者の方々のタクシーがわりを随分安くしておられて、これがタクシー業法違反かという話というのは結構実はありまして、それを特区にするしないというのがありましたので、もうよく御存じのとおりです。

中村(哲)委員 おっしゃるとおりなんですが、名前のことと機能のことはやはり分けて考える必要が私はあるんじゃないかと思うんです。住所の名前のことであれば、住居表示に関する法律、昭和三十七年法律第百十九号、これを変えればいいわけでして、市町村の判断でできるようにするとか、いろいろやり方はあると思うんですよ。それと地域自治区は必ずしもリンクしないんじゃないか、論理的には帰結しない、それはそうだと思うんです。

 機能に関しては、先ほど申しましたように、非営利法人制度を改革することでできる。大臣おっしゃったように、税制の問題とか、またバックマージン等の悪用、これも悪用の危険があるんじゃないか、そういうところで制度をきちんとしないといけないんですが、そういうことをやるということで可能なんじゃないか。そのことで、私が思うには、住民自治も住民の意思の向上というのも図ることができるんじゃないか、そのように考えるところでございます。

 もう時間も大分松野さんからいただきましたので、きょうのところは質問はこれぐらいにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

佐藤(勉)委員長代理 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。大臣、またよろしくお願いをいたします。

 冒頭に、前回の地方税法改正で、固定資産税の建物の評価、これは地方自治体の市町村税の五二%を占める大きな部分でありますから、ここから入りたいというふうに思っております。といいますのは、大臣が思い切った答弁をしていただきました。建物の固定資産税は変えますというふうにはっきり言っていただきましたので、これは千載一遇のチャンスかなと思いまして、きょうはちょっと冒頭伺いたいと思います。

 その大臣の発言に対して、総務省としてはどのような対応をとられたのか、伺いたいと思います。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

板倉政府参考人 家屋の評価方法の簡素合理化についての御質問かと思います。

 前回の地方税法の審議の中で、いろいろとこの件に関しまして御議論があったことは十分承知をいたしております。

 既に平成十五年度の評価がえにおきまして評価基準を改正いたしまして、専門的かつ細分化し過ぎてわかりにくいという指摘がございました木造家屋の基準表につきましては、全体の項目数が約五百三十項目ございましたところを、七割を減らして百六十項目と三分の一以下にするなど、簡素合理化の視点から見直しをいたしたところでございます。

 次の十八年度の評価がえに向けまして、大臣の方からもさらに簡素化を進めるようにという御指示もいただいておりますので、私どもといたしましては、市町村におきますこういう評点項目の使用の実態なども十分踏まえながら、より簡素で適正な評価方法についてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

松野(頼)委員 ちょっとお配りした資料を見ていただきたいと思うんですが、これは実際にビルのオーナーさんが、固定資産税の評価額と、自分のところで不動産鑑定士さんに出した鑑定評価の表でございます。これを見ていただくように、実際に今の評点法による、評点方式の評価額の算出方法ですと、こんなに現実に違ってきているんですよ。

 こうやってこの間大臣がせっかく前向きな答弁をしていただいたわけですから、納税者にとっては、毎年評価がえができるわけですから、一年一年、もっと言いますと一日一日、たくさんビルを持っていらっしゃる方、たくさん資産を持っていらっしゃる方にとっては、非常に重い問題なんです。ですから、この間の大臣の答弁を受けて、具体的に総務省としていつまでにどういう対応をとるのか。

 私は、本来、あの答弁を受けて、もうある程度きょうのこの委員会にはこういうふうな形にしますというたたき台が出てくるのかなというふうに思っていましたけれども、その辺いかがでしょうか。

板倉政府参考人 先日の御議論は、評価方法の一層の簡素化ということだったと思います。そういうことで、私どもといたしましては、次の評価がえであります十八年度に向けて検討を開始している、こういうことでございます。

 一方、今おっしゃっております鑑定評価額、お配りになった資料と固定資産の評価額とこれだけ差があるじゃないかという御指摘かと思いますけれども、鑑定評価につきましては、これはいろいろな見方があろうかと思います。この鑑定と固定資産の評価がこれだけ離れているからこれが実態ではないかとおっしゃいましても、これは一つの鑑定の見方であろうかというふうに私どもは承知をしております。

 できるだけ納税者の皆さんの納得を十分得られなきゃいけないではないかという議論については、私どもも十分それはそういうことだというふうに思いますので、今後とも、できるだけ納得の得られるような形に、そういう評価にしていかなきゃいけないという意味で、これからもいろいろと研究はしていきたいというふうに思っておりますけれども、鑑定評価の額と固定資産の評価額との差があるので、この固定の評価がおかしいのではないかという議論については、なかなか私どもも直ちにそうだというふうには申し上げられないと思います。

松野(頼)委員 大臣、今の話を伺ってどうでしょうか。これは全く大臣の答弁と役所が違うことをおっしゃっているわけですよ。どうでしょうか。

麻生国務大臣 それは基本的に、松野先生、おたくも資産を持っているから、毎年やらされているからわかるんだと思いますけれども、これを見たらわかりますけれども、私もよくこういうのを見るからわからぬじゃないんですが、これは中古の建築物ですよね。中古の建築物というのは、大体、評価額というのは、こっちは民間でやった方だと思いますけれども、これが別の民間の鑑定士だとまた全然別のものが出てくるんですよ、高くなったり安くなったり。これはかなり人によって差が出るものですから、そういった意味では、中古の家屋の鑑定というのは物すごく難しいという点はまず大前提として一つ。

 それから二つ目は、私の方が約束したのは、この前、かわらを例に引いたと思うんですが、かわらは、特上、特、上、中、並といって、僕は中は並より上だと初めてこれを見てわかったんですけれども、それぐらい全部違うんですね。これは十三あるというわけです。ふざけておるではないか、簡素化せいといって、結果的に十三が三つ、上中下というのはよくないそうですから、下じゃなくて並にせいということになって並になったんですが、上中並に三つにしたという、簡素化したという話と評価額の話とはちょっと基本的には違います。私は簡素化まではお約束をしたところなので、評価の仕方の方法というのはまた別な話と御理解ください。

松野(頼)委員 いずれにしましても、これで余り時間をとるわけにいきませんので。

 ただ、例えば、大臣がああやって答弁をされたので、簡素化をして、それで次の評価がえにこういう方向で臨むようにしましたという答弁があってしかるべきなんじゃないかと思いますし、大臣がおっしゃったように、建物の評価というのは非常に難しいんですよ。それを国が何段階も、上、中、並、普通みたいなことでやっているからこうやって乖離が出るわけであって、それならば、例えば国税でやっていますように、買ったときの取得価格から残存を引いていけば、それはだれが見ても明白なわけですよ。価格は国が決めるんだといいながら、塩化ビニールだったら幾らで、木製だったら幾らでと、こういうことをやっているからどんどん乖離が起こるわけです。

 それを変えませんかという話の一端でありますので、平成十八年とおっしゃっていますが、今、毎年、一年に一回、評価がえの見直しはできるようになりましたので、納税者にとりましてはこの二年間というのは大きな時間でありますから、どうか大臣を含めて役所で真剣な問題として取り扱っていただきたい。経済界等からも多分多数の要望が毎年出ていると思いますので、どうかその辺をしっかり前向きにしていただきたいと思います。

 それでは、もう時間が随分なくなってまいりましたが、また僕は改めて別の日にやらせていただきますので、今回のこの合併について伺います。

 今回の新法及び合併の話を聞いていますと、私は非常に思いますのは、憲法九十二条との関係というのが大きく影響しているのかなというふうに思うんです。「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」というのが憲法九十二条でございます。

 政府の内閣法制局の答弁だと、この本旨というのは、あくまで地方公共団体の運営は原則として住民自身の責任においてみずからの手で行うとする住民自治の原則と、それから、国から独立した地方公共団体の存在を認め、これに地方の行政を自主的に処理させるという団体自治の原則と、ともに実現をするという地方自治の原則を照らし合わせたものであります、これが多分、自治の考え方の一番ベースになっている部分だと思うんですね。

 しかしながら、今、三千幾つという町村を千に定めたいという目標を定められておりますよね。そこの乖離というものが、すべての文言に、自主的、自主的としつこいぐらい書いてある、しかしある程度まとめていきたいという、ここの非常にアンバランスな形が合併の形をおかしくしているんではないかというふうに私は思います。

 ちょうど行革大綱でも与党の行財政改革協議会においても自治体の数を千にするというふうにおっしゃって、総務大臣も千にするということを答弁されていますが、大体このめどと、千になった場合の規模、面積等のイメージ、これを教えていただけますでしょうか。大体、どれぐらいにまとまったらいいなと。

麻生国務大臣 今、私がサインしたところまででやっと三千を切った、二千九百八十九だか幾つになっていると思います。今、実際にスタートしておりますのが、三千百が現状だと思っております。

 今ありますいわゆる協議会というものが全部まとまったとした段階で約一千七百ぐらいになると思われますが、とてもじゃないが、全部が全部まとまるというのはちょっと考えにくい。

 自分の地元でも、十町村が三、三、四ぐらいになりそうな気配とか、あちこちいろいろな話を伺いますと、なかなか難しいかなと思っておりますので、私どもの感じでは、今三千を切ったところですから、二千を切ったらもう大したものだというような感じが正直しないでもないぐらいなところなんです。

 先ほどどなたか御質問があっておりましたように、住民の意識というのはこのところかなり変わってきたことは確かであります。一年延長というのをお願いしたのも、おお、これならという意識になられた方で、慌てて今やろうとしているようなところが幾つかありますものですから、そういった意味で、私どもとしては、二千を切るぐらいいけばちょっとしたものじゃないかな、たった今で聞かれれば、そんな感じです。

松野(頼)委員 多分、これから総務大臣が基本指針をつくられ、それをもとに各都道府県が構想をまとめ、そしてその構想のもとに合併協議会をつくることを勧告する、こういう流れで今回の新法の合併の流れをつくられていくと思うんですが、この構想はどのようなものをおつくりになるのか、そしてその策定の時期というのは大体いつごろなのか。

 といいますのは、自治体がそろそろプランを練らなければいけないということで焦っておりますので、ある程度のタイムスケジュールを明示してもらいたいという声がございますので、そこのところもお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 この基本指針につきましては、大まかに言って、自主的な地方の合併の推進に関する基本的な事項というのと、都道府県が策定する自主的な市町村合併の推進に関する構想というものの基準をある程度記載することをしていかないかぬと思っておるんですが、有効期限が平成十七年の四月から五年間ということを踏まえますと、やはり平成十七年度ということになりますと、早期にやらぬと、今おっしゃるように、とても間に合わぬということになろうと思いますので、平成十七年三月三十一日まで、平成十六年度末までの進捗状況等々を勘案したところで、基本指針は、平成十七年度早々というところまでにはつくり上げないかぬものだと思っております。

 おっしゃるとおり、地方にとりましてはその指針というのが非常に大事なところだろうと思いますので、心して早目につくり上げたいと思っております。

松野(頼)委員 この指針をつくるときに、地方公共団体の声を聞くつもりはありますでしょうか。

麻生国務大臣 当然、拝聴させていただかねばならぬと思っております。

松野(頼)委員 今回の新法の五十八条に、この基本指針について、自主的な市町村合併を推進するための基本指針とあるんですね。ここの自主的という文言と、総務大臣が基本指針を示して勧告をするという方向の、その自主的という意味のところが、きっともがかれて一番苦しいところなんじゃないかと思うんです。

 要は、強制ではありませんよ、でもこうしてほしいよというところが一番苦しいところだと思うんですが、どのぐらいの強制力があるのか。例えば、基本指針を示しました、では、都道府県に構想をつくってくださいと言ったときに、嫌ですと言われたときはどのような対処をされるのか。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 まず、基本指針でありますけれども、確かにお話のとおり、若干いろいろな思いはあるわけなんですけれども、もう松野先生も御案内のとおり、現行法におきましても、実は平成十一年に指針を策定させていただいたようなことがあります。

 今回、基本指針に基づいて都道府県が構想を策定というふうなことでありますけれども、市町村側からすれば、これはあくまで自主的判断であって、まさに市町村の判断というふうなことに相なります。

 今もう一点お尋ねの、都道府県が、大臣が定めた基本指針に基づいて構想を定めるというふうなことに相なっておりますけれども、これは実はあくまで自治事務でありますので、強制をすることはないというふうなことでございます。

松野(頼)委員 そういたしますと、例えば、うちの県はもう合併はこれで終わりだといって、構想は定めませんということもあり得るわけですね。

山口副大臣 当然そういうことはあり得るわけでありますけれども、やはり構想を策定していただくように粘り強くお願いをするしかないんだろうと思っております。

松野(頼)委員 そして今度は、自治体が構想をまとめた、要は都道府県がまとめた構想に基づいて、審議会等の意見を聞きながら、知事が当該合併市町村に対して協議会をつくりなさいということを勧告できるというのがもう一つの流れだと思いますが、この拘束力はどのぐらいのものなのか、ぜひ伺いたいと思います。

山口副大臣 もうこれも松野先生おわかりの上でお伺いをしていただいておるんだろうと思うんですが、合併協議会、これを推進していただくために必要な措置として、合併協議の開始とか、あるいは合併協議の、もうとまってしまったという場合が往々にしてあるわけですので、そこら辺の再開を求めるというふうなことが考えられるわけでありますけれども、都道府県知事としては、勧告を受けた市町村から、勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることができるというふうなことに実はしておりまして、そこら辺にかなり私どもも期待をしておるようなところでございます。

松野(頼)委員 といいますのは、なぜこれを聞くかというと、ちょうど私の地元でも、政令指定都市を目指して地域の町と合併をしたいということで、結果的に地域の町に全部否決をされまして今とんざしている状況なわけです。

 ですから、この新法が通って、知事なりの勧告の影響力というのは、多分どこの自治体でも、合併が暗礁に乗り上げているところは、ここは非常に興味があるところではないかと私は思うんですね。全く関係ありませんと言われる可能性があるのか、それとも、勧告が出ることによって、拘束力はないけれども、一回座礁していたものが起き上がるのか、僕はこれは随分大きな影響が出てくると思います。

 ですから、どうかここのところはしっかりと各関係の自治体にも伝えていただいて、前向きに合併が進むような形というものをぜひ練っていただきたい。今のように、いや、わからないんですよとか、自治体の判断なんですよというような説明ですと、せっかく今回新法をつくって、もう一回起こそうという努力が出てきている、これがむだになってしまいますので、どうかそこのところはしっかりとお願いを申し上げたいと思います。

 あともう一つ、ちょっと飛びますけれども、ちょっと気になるところがあります。大体合併が進んでいって、最終的に、合併をしなかった非常に小規模な市町村が残った場合、といいますのは、西尾私案では、非常に強制的な話が出ていまして、小規模市町村というのを定めて、事務配分特例方式、こういうものをつくろうとしているんですね。また、地制調の最終答申では、特例的団体制度というのをつくって、さっき中村議員が言っていた地域協議会みたいなものとはちょっと違うんですけれども、議員の報酬をなくしてみたりとか、行政サービスは窓口サービスしかさせないとかいうような答申が今あるんです。

 これに対して、合併の後の形として残った小規模自治体を総務省としてどのように対応していくのか。もしかしたら法律の中に明記をして、小規模の自治体の、まず一万人というものを明記するという話もありますので、合併後残った小規模自治体への今後の対応について一言伺いたいと思います。多分これが最後になると思います。

山口副大臣 先生、ごもっともなお話でございまして、実はこの私案が出たとき、私、副大臣でございませんでしたので、これは何だというふうなお話を申し上げたことがあるんですが、今もうお話がございましたので中身については申し上げませんけれども、「特例的団体の制度の導入についても引き続き検討する必要がある。」というふうな地制調の答申でございます。総務省としても、この答申を踏まえて、引き続いて検討していくというふうなことに相なろうかと思います。

松野(頼)委員 もう一問聞けそうなので。

 同じ西尾私案では、合併により解消すべき市町村の人口規模を法律上明記すべきと、これもまた厳しい内容で出ているんですが、これについても、今後どういう対応をされるか、一言お答えください。

麻生国務大臣 一万人のことを言っておられるというように理解をしておりますけれども、基本的には一万人と書かせていただこうと思っております。

 ただ、先ほど松崎先生だったかの答弁のときに申し上げましたけれども、この状況というのを見ますと、例えば島なんか、とてもじゃないけれどもそんなところにならない村というのが、名前を言うとぐあいが悪いけれども、幾つかあるわけです。そういったところは合併はちょっとしてくれるところもないし、する対象もありませんし、そういったところも、現実問題としては、日本の中においては、まあ各県とは言いませんけれども、いろいろあります。佐渡みたいに大きなのを全部まとめて佐渡市にしたというようなところもありますし、淡路なんかもそうですよ、三市になりましたけれども、そういったところもございますが、できないところもある程度考えておかないかぬと私は思います。

 それは、合併してもなおかつ差がつくところ等々は、やはり交付税の措置が必要とずっと申し上げておりますのはそういったところで、どうしてもできないところというのは必ず残るだろうと思っておりますので、それについての対策というのは今後とも検討しておかねばならぬところだと思っております。

松野(頼)委員 ありがとうございました。終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。

 まず、合併の総論についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。

 地方制度調査会、ここでは今回の平成の大合併の位置づけを、財政事情の悪化、また少子高齢化の進行といった市町村を取り巻く環境の変化を踏まえて、「地方分権の担い手にふさわしい行財政基盤を有することができる基礎的自治体を形成するために、自治体を再編成するもの」、このように位置づけております。小学校事務処理のための明治の大合併、そして中学校事務処理のための昭和の大合併に引き続いて言えば、地方分権の担い手たるための平成の大合併ということになろうかと思います。

 しかし、今回の大合併は、自治体を、国の内政体制の末端を担う一定の事務事業の遂行機関、あるいは行政サービス提供の経営主体としての側面ばかりが何か強調されているような気がして、肝心かなめの、住民が主権者であり自治の主体である、こういった認識が非常に希薄なような感じがするわけでございます。私、この平成の大合併は、市町村の自治事務のあるべきサービス像を国が一律に決めるという大前提があって、だからそれができる行政能力を自治体は備えていなければならないと考えると、町村ではなくて市規模の基礎的自治体、これをつくろうとしているかのような気がしてならないわけでございます。

 しかし、地方分権の担い手ということになっておりますし、分権というのであれば、やはりあくまでも地域住民が主体になった住民自治の創造、地域の選択、あるいは自己決定権、こういったものが保障されるべきであり、何が何でも合併ありきということになりますと自己矛盾に陥ってしまうんじゃないかという気がいたしております。

 国から期待される役割だけを果たしていればよしとする行政、自治体としてのあり方からいかに脱皮していくのか、このことこそが分権自治として問われているんじゃないかという思いを持っておりますが、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 横光先生、基本的には全くおっしゃるとおりだと思います。私どもの世代というと、同じ世代にしてはいかぬのかもしれませんけれども、やはり何となく、東京と同じというのが大事な目標だったと思うんですね。だから、わけのわからぬ、銀座なんかないのに、別府銀座とか新潟銀座というのが随分地方に行くとありましたけれども、今はなくなりました。

 また、何でもかんでも同じというようなもので、新幹線の駅を見たら、大体大阪までの新幹線の駅は外から見たんじゃどこの駅か全然わからぬ、みんなこういうのになって、あのころは、安い、便利、早い、軽い、いろいろな条件だったと思うんですが、今になりますと特色ある地域ということになってきて、随分昔と価値観が変わってきたと思っております。

 また、先ほど桝屋先生だったかの御質問の中にもあっておりましたが、地域に住んでおられる方の意識も昔とは随分変わって、町の話とか行政とか政治の話はだれかがやっておいてくれるという話から、何となくおれたちがやっているという意識が、昔に比べたらもうはるかに高くなった。特に若い人の方に高くなってきたというのが正直な、私の周りを見ていますと、昔に比べて、かなりそういう意識が出てきておると思います。

 特色ある地方の発展というようなことになってきて、小さくても、別に都会化されていなくても、工場が来ていなくても、おれのところはどう考えたって、ほかのところに比べてこれがいいとかあれがいいとかいうような話が言えるようになってきて、私どものふるさと再生事業やら何やら、ふるさと大賞の表彰をさせていただいた中でも、へえというようなものが実に小さな町村で非常にプライドを持ってやっておられる。その金はだれが出しているんですかというと、実はボランティアで寄附を集めたり、結構いろいろな形でやっておられる。そういったのが出てきたというのは、昔じゃ考えられぬですよ。

 そういったものが出てくるようになったのはいいことだと思っております。私どもは、基本的にそういった方向をむしろ進める。そのためには、ある程度、基礎的な体力のあった方がやりやすいことははっきりしております。そういった意味では、ただただ大きくすればいいというのじゃだめなので、ある程度基礎的なものは要りますが、それ以上のものは、やはり首長さんの意識とか住民の意識とかいうものもある程度あろうとは思います。

 そこらのところを勘案して、特色ある地域があって、先生のところの湯布院なんか最たるものじゃないですか、ああいったところは昔は考えられませんものね。だから、そういった地方になってくるということはいいことだ、私どもはそう思っております。

横光委員 今、大臣がおっしゃられた基礎的自治体。答申では、新しい基礎的自治体は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等の機能の維持、さらには都市と農山漁村の共生、これを目指すとされておるんですね。

 これは町村の意見も恐らく反映したんだと思います、こういったごもっともなことが目指されているわけでございますから。しかし、果たして合併がこういった機能を維持することの唯一の方策なのかということもまた一方あるわけです。あるいは、合併によって、かえってこれらの機能が低下することさえ懸念されることも起こり得る。

 そういうことはあり得ないのか、どのようにお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。

大野政府参考人 今、横光先生が引用されましたけれども、地制調の答申の中にも、むしろ合併というのが、都市と農山村とが共生するような、そういった自治体経営の再編成につながるのではないかという御指摘もあるわけでございまして、私どもは、これは大変大事なことだと思っております。

 市町村合併というものがいろいろな効果をもたらすということの中に、今のように、都市は都市で発展をしていく、そして農山村あるいは中山間地域は過疎化する、こういった状態のままでいいわけではないわけでありまして、これをどのように国土の再編成につなげていくかという観点に立てば、合併も一つの方策であることは間違いないというふうに思っております。

 現実に、私どもも過疎の町村長さん方のお話を聞きますと、これだけ人口がどんどん減ってまいりますと、それこそ森林の保全などもできない、そういった作業に従事する住民自体がもういなくなってきているんだ、こういう悲鳴に近い声も聞くわけでありまして、合併によってすべて解決できるわけではありませんけれども、大変重要な効果ではないかと思っております。

横光委員 都市と農山漁村の共生の必要性も今言われました。地方の食糧あるいは水あるいはエネルギー、こういったものが地方から都市へ送られております。これを受けて都市は、商工業を中心としてこれに付加価値を加えて、地方へ還元をしている、そういった意味での共存というものは今は成り立っていると思うんですね、ある意味で。それをこれからさらに維持していかなければならない。

 その中で大事なことは、今言われました地方の過疎の問題なんですね。過疎、少子高齢化の問題。これは日本社会全体の問題ですが、とりわけ地方での過疎のスピード化、これは非常に激しいんですね。そうしますと、過疎が加速されますと、中山間地域での地域全体の活力は当然のように低下してしまいます。それと同時に、いわゆる税収減ということに拍車をかけてしまいます。その一方で高齢化ということで、医療あるいは介護の負担が増大するという現実がある。

 私は、非常にこういった面では、両方がどんどん開いていくんじゃないかという心配をしておるんですね。こういった地方の実態を考えれば、先ほど松野議員の質問にもございましたように、小規模自治体はもう残っていけない、あるいは何とかして合併せざるを得ないということを、どうしても地方の実態からすると考えてしまう。やむを得ないと私は思うんです。ある意味では、村や町が生き残るための苦渋の決断だと思うんです、合併は。

 であるならば、苦渋の決断をしたのであるならば、そのことによって村や町が生き残ることができるのか、はたまた、少子高齢化のスピードを少しでも緩めることができるのかということにならなければ、私は、ある意味では小規模自治体の合併する意味は薄れていくという気がするんですね。

 しかし、人口の少ない自治体が過疎化の進む近隣の町村同士で合併したとしても、新しい自治体の人口は旧自治体の合計になりますから、一時的には増大することにはなりますが、それはそのときのことだけであり、中長期的には、どうしても新しい自治体の人口も減少していく例がほとんどなんです、これまで。

 また、では都市部と一緒になったらどうかといいますと、その場合は、過疎地域はどうしても新しい自治体の周辺に位置することになって、むしろ過疎化が従来より進んでしまうということも起きております。

 おまけに、合併すれば住民と自治体の距離がこれまで以上に確実に広がることは目に見えておりますね。つまり、それまで過疎地を支えて高齢化に対処してきた住民と行政の協調関係が薄まってしまう。薄まるどころか、失われることにもなりかねないということも考えられるわけです。

 御案内のように、日本の全体の人口が減少傾向にあるわけですから、たとえ合併したとしても、一時的に規模拡大が実現しても、新自治体の人口の長期的な低下は免れないと私は思うんです。ですから、規模を保つには、それこそ何回も何回も合併を繰り返して大きくなるしかない、あるいは規模を維持するしかない。そういったことになりかねないんじゃないか。

 過疎、高齢化の問題は、合併の、一番大きな目的ではありませんが、要するに、一つの方策ということを今言われましたし、そういった意味では、この合併が、過疎あるいは高齢化のほんの一時しのぎにはなっても、将来にわたる抜本的な解決策ではあり得ないという気がいたしておるんですが、その点はいかがでしょうか。

    〔委員長退席、滝委員長代理着席〕

大野政府参考人 今、横光先生の御指摘にもあったんですけれども、実は合併をするということは同じであっても、まさに関係する市町村の事情はばらばらなんですね。

 そういうことがございますので、合併をする上で、できるだけ身近なところでサービスが従来どおり提供できるようにならないものか、こういったことを特に強く望まれる自治体の場合は、例えば、合併特例区という新しい制度を設けることもできますし、あるいは、地域自治区の、合併時における特例を使って特別職の区長さんを置くこともできる。

 こういった形で、過疎であったり高齢化がどんどん進んでいって、ただでさえまとまりがつきにくい自治体、これが大きなところと一緒になれば、御指摘のように、寂れる一方ではないか、こういう懸念があるものですから、それに対する対応策もいろいろなメニューの中で選ぶことができるようにしようというのが今回の合併新法でございます。あるいは、現行法でも、改正しますので、それを使えるというふうにしております。

 よく言われることですけれども、幸せなところはみんな似たように幸せなんですけれども、難しいところはそれぞれ表情が違うということでありまして、合併をするに至った事情がすべて違いますので、せめていろいろな選択肢を制度的に用意いたしまして、それぞれの自治体の事情によって選んでいただくようにしたいというのが今回の法律の趣旨でございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

横光委員 過疎、高齢化地域、小規模自治体がこれ以上進まないための特例があるんだということでございますが、私はそれを十分に生かしていただきたい。

 最初に申し上げました国土の保全や水源の涵養や自然環境保全等の機能の維持、これは非常に大事なわけですから、その機能の維持がこれからも継続できるような、合併したとしてもこういった機能がなくなってしまったら大変な状況になるということで、質問をさせていただきました。

 そういった地方の、ある意味では特色、機能の発揮、こういったものを生かすためには、合併するとしたときのこれからの自分たちの町をどうしていくのか、いわゆる市町村建設計画、これが非常に重要になってくると思うんです。

 総務省の合併マニュアルでも、

  合併協議のもっとも重要なテーマは「新しいまちづくり」のためのプランづくりであり、総合計画や他のプラン作成に住民代表が参加しているのが通例であるように、住民参加があってしかるべきです。また、議会議員が民意を反映しているのはその通りですが、一方では合併は市町村長・議会議員とも自分の身分に関わる問題であり、これとは直接縁のない住民の公平な視点がやはり必要です。

このように総務省の合併マニュアル、手引には載っております。

 まさにこれもごもっともな話で、やはり市町村長あるいは議会議員は、自分の身分にかかわることですから、思い切って自分の思いを言えない部分がある。そして、何よりも、住民参加があってしかるべきだ、そして住民の公平な視点が必要だ、こういうふうに合併マニュアルでうたわれているわけでございます。

 ところが、現実はどうか。このとおり建設計画が各合併協議会等でつくられていけば申し分ないと思うんです。ところが、現実は、合併後の青写真であります市町村建設計画、これをめぐっても外注が相次いでおるんです。

 つまり、シンクタンクの受注競争が非常に激しくなっておる。ほとんど、手なれたコンサル業者への丸投げが多くて、うちはこういう村だから、海に面している、あるいは山に面している、だからこういう町づくり、村づくり、地域づくりをしたい、そういった地域の経験とか知恵を結集して苦労を重ねてまとめ上げたプランが本来の建設計画だと私は思うんですが、そういった形跡が余り読み取れずに、住民不在どころか行政も不在のような形で、合併ビジネスが大繁盛というような現実もある。

 この実態をどのようにとらえておられますか。

滝委員長代理 時間が来ておりますから、簡潔にお願いいたします。

大野政府参考人 一部の自治体で、ある部分について逆行しているということはあるようでございますけれども、いずれにしても、今先生御指摘のように、みずからの地域にかかわることでございますので、まさに住民の意向を踏まえながらおつくりいただくということで、ぜひ進めていただきたいと思います。

横光委員 終わります。

滝委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 自治体が合併するかしないか、これを決めるのは、そこに住んでいる住民の意思と、その上に立って判断する自治体議会と首長、すなわち、住民自治と団体自治にゆだねられなければならないものだというふうに私は考えております。そうした合併に関して、国や都道府県の関与を新たにつくるということは、地方自治の拡充、地方分権に逆行するものだ、こういう立場から、きょうは質問をしていきたいと思います。

 合併新法の第五十九条に、都道府県は、市町村の合併の推進に関する構想を定めるものとするということが書かれてありますが、この構想を定める事務というのは、法定受託事務なのか自治事務なのか、これを政府参考人に伺っておきます。

大野政府参考人 これは自治事務でございます。

吉井委員 この事務の性格からすれば、法定受託事務とするのがふさわしいのではないかというふうに考えられます。地方制度調査会の議論でも、法文化する場合は法定受託事務になるとの議論がありましたが、法定受託事務じゃなくてなぜ自治事務にしたのか、その理由を説明してもらいたいと思います。

大野政府参考人 今御指摘のように、二十七次の地制調でもさまざまな議論が行われたことは事実でございますけれども、今回の法律におきます都道府県のさまざまな事務につきましては、例えば合併そのものを勧告するというふうな規定はないわけでございまして、全体的に見まして、これまでのさまざまな事務につきまして、自治事務であったものを同様に規定しているという面もございますので、自治事務としているわけでございます。

吉井委員 地方自治法第二百五十二条の二、協議会一般に対する勧告ですが、合併協議会がその協議会の一種としても、構想の策定があって勧告があるわけですね。勧告が構想策定の前にあるわけではありませんね。ですから、事務手続の流れを逆流させて、後に来る勧告が自治事務だから構想の策定まで自治事務にする、この扱いはおかしいと思うんですが、どうですか。

大野政府参考人 繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、先ほど先生の御指摘にもございましたように、法定受託事務というのはできるだけ少ない方がいいというふうな観点もございますし、この事務自体が都道府県の役割を明確にするという性格のものでございますので、自治事務にしているわけでございます。

吉井委員 政府がなるべく法定受託事務は少なくする、そういう方針に立っているということはもちろん知っているわけです。

 少しこれまでの流れを私も見てみますと、昨年九月の第三十回地方制度調査会専門小委員会で、貝原委員の発言で、都道府県の方が、市町村のあり方について基本構想をつくるとか勧告するというのは、どういう事務になるんでしょうかと。これに答えて西尾副会長は、それは法定受託事務になっていくのではないかという話ですね。この基本構想を策定する事務が法定受託事務になるということが既成事実化されてはまずいというふうにお考えになったのか、自治省事務次官経験者の小委員長が事務局に促して、どうですか、これは事務局、一言あるんじゃないですか、こういうお話で、事務局の方は、総務省行政体制室長は、ありませんと、西尾発言に異議は唱えてないんですね。

 三十四回の専門小委員会で今村委員が、都道府県知事が新たな構想をつくる、そして、その構想に基づいて、合併協議会の設置や合併に関する勧告等を行うということについて、これらに関することを質問すると、総務省総括審議官の方のお答えというのは、まず、勧告の法的な性格いかんということでございました、現在、地方自治法八条の二という規定がございます、計画をつくって関係市町村に知事が合併について勧告することができる規定がございますが、これは、今のところ、整理は、先生御案内のように、法定受託事務としての整理であります、したがいまして、今回の私どもの合併に関する勧告は、これと同じ性格のもの、法文化するとなれば法定受託事務として整理することになる、こういうやりとりがありました。

 ですから、この流れからすると、構想の策定とそれに基づく合併の推進に係る知事の勧告については法定受託事務に振り分けられる、これが自然な流れになっていくんじゃないかと思うんですね。地方制度調査会の議論の流れからは、これらの事務を自治事務にするという考え方というのは、こういう結果が出てくるというのはちょっと考えられない話なんですが、法案化する過程でどういう議論があったのか、法定受託事務でなく自治事務になった理由をもう少しわかりやすく説明してもらいたいと思います。

    〔滝委員長代理退席、委員長着席〕

大野政府参考人 今、地制調の議論を御紹介いただきましたけれども、その中でも法定受託事務として整理される可能性がある場合の前提といたしまして、合併に関する勧告というふうな表現があったかと思いますけれども、それは、現行の地方自治法の中でも、計画を策定し、合併を勧告するという事務につきましては法定受託事務であるという話を踏まえて答弁をしたわけでございます。

 繰り返しになりますが、私どもの今回の新法での、例えば合併協議会設置の勧告でありますとか、あるいは合併協議の推進の勧告でありますとか、こういったものは合併そのものの勧告ではない、ここは一番基本的な違いでありまして、そういったものである以上は、現在の合併協議会設置の勧告も自治事務と整理しているわけでございますので、同じように整理をさせていただいたわけでございまして、その点につきましては十分法制的な検討をした上でのことでございます。

吉井委員 現行地方自治法第八条の二、市町村の適正規模の勧告という規定がありますが、この知事の勧告というのは法定受託事務だと思うんですが、確認しておきます。

大野政府参考人 御指摘のとおり、この事務は法定受託事務として整理をいたしております。

吉井委員 それでは、これを法定受託事務にしているその理由は何ですか。

大野政府参考人 これは既に御案内かと思いますが、平成十年に地方分権推進計画というものを閣議決定いたしております。平成十年の五月二十九日でございます。

 そこで、法定受託事務とする、振り分けをするときのメルクマール、一つの指標といいますか、そういったものでございますが、そのメルクマールの一に国家の統治の基本に密接な関連を有する事務というのが挙がっていることは御案内のとおりかと思います。そこで、そのメルクマール一に該当するものとして、今御指摘の、市町村の廃置分合などの計画策定あるいは決定があるというふうにされているところでございます。

吉井委員 地方分権一括法で機関委任事務制度が廃止され、機関委任事務などが法定受託事務、自治事務に分類されたわけですね。それに先だって、九八年五月二十九日に閣議決定されたのが地方分権推進計画で、今おっしゃったように、メルクマール、八つのことを挙げて、その最初のメルクマール、国家の統治の基本に密接な関係を有する事務に自治法第八条の二の事務が該当することから法定受託事務に分類したということです。

 今の御答弁は、この八つのメルクマールの最初のことに該当するから法定受託事務に分類されているんだということのように思いますが、そういうふうに聞き取ったからそのとおりだと思うんですが、念のために確認しておきます。そうですね。

大野政府参考人 そのとおりでございます。

吉井委員 この第八条の二ですが、市町村の廃置分合というのは市町村合併のことで、その廃置分合に関連して計画をつくり、それに基づいて勧告をするというのが法定受託事務ということであれば、地方制度調査会での議論のように、知事が合併の構想を策定して、それに基づいて勧告をするということ、これは法定受託事務ということになっていくんじゃないですか。

大野政府参考人 今お話がございましたように、自治法の八条の二の廃置分合計画というのは、合併そのものの勧告を行うために策定をされるというところがありまして、これは、国、地方公共団体、いずれも一つの統治構造の中の一連のものだという考え方から、合併そのものを勧告するということになればそういう位置づけにしようという整理であったと思います。

 今、私どもが新法でお願いをいたしております総務大臣の定めます指針に基づく都道府県の構想、これは、幾つかの自治体を構想対象市町村として選定をいたしました上で、合併を進める構想の中の一つの方向づけとして、いわばパターンを示すような形で特定の組み合わせというものを提示するということになるわけでありまして、実際の合併そのものはあくまでも市町村が自主的に進めるということでありますので、これは全く性格が違うというふうに思います。

 したがいまして、その意味では、法定受託事務にとてもなり得ない性格のものであるというふうに考えております。

吉井委員 要するに、直接合併を勧告しているのでなく協議会の設置を勧告しているからだということですが、少し技術的な話はおいておいて、ここで大臣に伺っておきたいんです。

 自治法第八条の二の事務が法定受託事務とされているのは、勧告が合併を直接言っているかどうかということではなくて、市町村の廃置分合、すなわち市町村合併が国家の統治の基本に密接な関連を有する事務に該当するからだと。ですから、事務の手続じゃなくて事務の性格に着目して分類しているということになると思うんですね。

 そうであるなら、少なくともこの知事による市町村合併の構想の策定という事務は、これは法定受託事務ということになるんじゃありませんか。

大野政府参考人 法制的な御質問なものですから、もう一度私の方から改めて、同じ答えになるかもしれませんが、お答えをいたしたいと思います。

 自治法の八条の二、今御指摘ございましたように、これは廃置分合計画、この場合は今合併ということを言っているわけですが、合併の計画の策定、それから市町村の適正規模、すなわち合併についての勧告、こういうことがあるわけでありますが、これは、国家の統治の基本に密接な関連を有する事務だ、そういうメルクマールに該当するということでありますので、自治法上は法定受託事務と位置づけたということがまず一点ございます。

 それから、再度の議論になるわけでございますけれども、合併新法に基づく都道府県の構想策定事務、これは、あくまでも都道府県が、広域的な自治体として地域の将来について一定の役割を果たすという観点から、構想の対象の市町村を選びまして、そこで合併についての構想をつくるということでございます。

 その上で、次に、その構想はどういう法的効果を持つかということになるわけでありますけれども、知事が、この構想をつくった上で、必要に応じて実際の市町村の合併協議会の設置を勧告する、こういうふうな構成になるわけであります。極めて市町村の自主性を重んじた構想の策定あるいは協議会の設置の勧告、こういうふうになるわけでありますので、性格的には、今申し上げました国家の統治に関することという意味での法定受託事務とは全く違うわけでありますから、そこで自治事務というふうに整理をしたということになるわけでございます。

麻生国務大臣 吉井先生、ここは強制力を持って代執行できるというようなものの種類の話じゃないと思うんですね。基本的には、今言われた地方自治法の第八条の二というのでいくと、これは合併そのものの勧告ということに読めると思うんですが、今回の構想というのは、基本的には協議会を推進することを言っております。

 これは、法定受託事務にしたいように聞こえるんですが、法定受託事務にするということは、先ほど、やらないといった県があったらどうなるという、松野先生だったかの御指摘がありましたが、やらないといったときには代執行ができるということになりますので、うちは共産主義をやっているんじゃないから、なかなかそんなわけにはいかぬと思うんですね。やはり、そこはある程度地方自治の方を考えていただかぬとできぬと思いますので、これは、法定受託事務と考えるとちょっと話が強制権を用いるようなにおいが出てきますので、それはいかがなものかというのが率直な実感です。

吉井委員 形は市町村の自主的なもの、しかし法律では、実質的に合併を促進するとか誘導するとか、強制的な内容を持ってくるとなると、それは自主的なものではなくなってくるんですね。合併するにしてもしないにしても、これは、あくまでもそれぞれの地方の住民の意思、それに基づく議会や首長を中心とした住民自治と団体自治の上に立って、もともときちんと一定の方向が生み出されるものであって、それに対してさまざまな国の関与というものは、私はそういう官僚独裁の国家になっちゃいけないと思っています。共産主義云々か何か、ちょっと聞こえましたけれども、もともと旧ソ連社会というのは、あれは共産主義にも社会主義にも全然縁のない社会ですから、官僚独裁の社会というのは私はだめだと思うんです。

 要するに、自主的という言葉を入れれば自治事務になるというものでもないと思うんですね。現行地方自治法の第八条の二の事務が法定受託事務で、合併新法五十九条の事務がなぜ自治事務なのか。五十九条の事務を自治事務と言うのならば、私は、逆に、自治法第八条の二は自治事務の方に変更するというふうにするべきものだと考えているんですよ。地方自治は拡充という立場に立って進めていくべきものだと考えているんです。この点、大臣、どうですか。

麻生国務大臣 これは法解釈の話だと思いますので、私よりは審議官の方が正確だと思いますが、今言われた八条の二は、廃置分合計画の策定及び市町村の適正規模というものの勧告ということになっていると思いますが、平成十年の五月に閣議決定された地方分権推進計画におきます国家の統治の基本に密接な関連を有する事務とされたということから、地方自治法で法定受託事務とされているというぐあいに理解をしておりますので、これは法律文章を読めばそういうことになります。

 こちらは協議会をつくるように勧告しておるという話と、合併を勧告するのと、少し違うという理解です。

吉井委員 さらにその辺はおいおい入っていきますが、私は、市町村合併の事務を法定受託事務にせよと言っているんじゃないんですよ。市町村合併に関係する事務というのは、市町村合併というのはそこに住む住民が自主的に決めるものだ、その意味では、国や都道府県の関与を排した市町村の自治事務にきちんとするべきだ。

 法案はそういうふうになっていないので、そこで引き続いて聞いていきたいと思いますが、合併新法の五十八条には、合併を促進するために総務大臣が基本指針を定めるとあります。その基本指針には、合併の推進に関する基本的な事項、構想を定めるに当たりよるべき基準というのを定めるものとあります。

 このよるべき基準というものは一体どういう性格のものか。これは政府参考人の方で結構ですが、聞いておきます。

大野政府参考人 今、よるべき基準の話がございましたが、基本指針に、よるべき基準というものが記載されるという法文になっているわけでございます。

 そこで、先ほど来議論がございました自治事務という位置づけを私どもは構想についてはしているわけでございますけれども、自治事務におきましても一定の必要な基準というものは存在するということでございまして、この基本指針というのは、都道府県の知事が構想を策定する場合の基準として位置づけられる、こういう性格のものでございます。

吉井委員 よるべき基準という言葉は、九八年五月に閣議決定された地方分権推進計画の中で使われている言葉ですね。その言葉は処理基準と呼びかえられていますが、自治法第二百四十五条の九に処理基準の規定が書き込まれることになるんですが、それは法定受託事務に関してのもの、自治事務にはこうした基準は原則つくれない、それが地方分権推進委員会の議論や、それを受けての地方分権推進計画の考え方であったと思うんですが、これはどうなんですか。

大野政府参考人 今先生御指摘のございました平成十年に閣議決定いたしました地方分権推進計画でございますが、そこで、関与のあり方につきまして記述があるわけでございますが、「自治事務に係る基準」という項目がございます。

 そこでは、「法令に基づいて処理される自治事務に係る基準のうち必要なものは、」これは通達ではだめなんでして、「通達によらず、法律又はこれに基づく政令に定める。」このような記述があるわけでございます。

吉井委員 そうなんですよ。今回のような、よるべき基準などという表現は法定受託事務そのものであって、こういう手法で自治事務に対する基準を定めることが一般的にできることになるなら、当然、そのことが法定受託事務の処理基準と同じように問題になって地方分権推進計画の中に書かれていたはずですし、書かれていないのは、そういう場合もあるが、それは極めてまれであって、そうした場合には、地方自治の本旨、これを損なわない範囲で法律や政令で具体的な内容を明記する、こういうことになっていたと思うんですね。それが、今おっしゃった、「通達によらず、法律又はこれに基づく政令に定める。」という表現になっていると思うんです。

 ですから、原則否定されている自治事務の基準について、地方分権を所管する総務省は、法律でできないわけではないなどという理由で、また、他省庁の所管法律に例があるからといって、つくっていいのかということが問われてくると思うんです。それをやっていったら、例外がどんどんどんどんできていくということになるんじゃないですか。

大野政府参考人 私どもといたしましては、地方分権推進計画での決定事項を十分踏まえまして、当然のことながら、この構想策定事務は自治事務でありますけれども、処理基準を定めることも法律上認められているわけでありますので、必要な限りにおいて今回の新法に規定をさせていただいたということでございます。

吉井委員 現行の法律でも自治事務に対する指針や方針を国が示す規定はあります。しかし、基本的な指針とか基本構想とか基本方向、基本的事項、こういうのはあるんですが、よるべき基準などという表現はないんですね。現行の法律の自治事務に対する基準と今回のよるべき基準というものとの間に、何か内容に違いはあるんですか。

大野政府参考人 よるべき基準、このような規定ぶりがあります法律も幾つかあるわけでございますが、その場合の法律のよるべき基準というものは、今回の私どもの、都道府県のつくる構想と違いまして、都道府県の事務に対する基準ではないということは間違いないわけでございます。

 一方、国の定める基本指針などに基づきまして、都道府県が自治事務である計画策定、例えば水質の保全計画でありますとか、あるいは湖沼の水質保全計画、農振地域の基本方針の作成でありますとか、そういったさまざまな自治事務である計画を策定する場合に、国が基本指針を定めるという例はたくさんあるわけでございますけれども、今回、私どもは、そういった例も勘案いたしまして、あくまでも自治事務である構想の基準であるということを明確にするために、よるべき基準、こういう表現が、規定ぶりがいいだろう、このように考えて、よるべき基準という規定にいたしたわけでございます。

吉井委員 そうすると、ちょっとそこのところがわかりづらいんだけれども、自治事務に対する基準と今回のこのよるべき基準というのは、規定ぶり、書きぶりの話であって、内容に違いはない、こういうことで理解しておいたらいいんですか。

大野政府参考人 御指摘のとおりでございます。

吉井委員 地方分権推進委員会の議論、それから地方分権推進計画の考え方を尊重するなら、自治事務については法定受託事務の処理基準に当たるものは原則つくれない、基準を定めるなら、その具体的な内容を法律や政令に明記しなければならない、そういうことだと思うんですが、こういう手法で地方分権を担当する例外とされた自治事務に対する基準を定めることができるということになれば、地方分権一括法の中で、自治法にわざわざ関与の基本原則などを書き込んで、国や都道府県の関与を縮小する改正をなぜやったのかということになると思うんですね。

 今回のような条文の規定というのは、地方分権推進計画のときには想定外のことであったんじゃないか、このことを最後の質問として、続きはまた次回にしたいと思います。

大野政府参考人 同じことを何度も答弁させていただいて恐縮でございますが、この問題の整理の基本は、繰り返しになりますが、平成十年の五月に閣議決定をいたしました地方分権推進計画でございます。先ほどちょっと読み上げさせていただきましたけれども、「法律又はこれに基づく政令」ということで自治事務に係る基準を定めることができるわけでございますが、さらに括弧書きがありまして、それは先ほど飛ばしたわけでございますが、当然のことなんですが、法律あるいは政令の委任に基づく省令または告示を含む、こうなっているわけでございまして、私どもの指針もそれに当たるということでございます。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

佐田委員長 次回は、来る二十二日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十八分散会


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