衆議院

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第18号 平成16年5月20日(木曜日)

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平成十六年五月二十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      大前 繁雄君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    亀井 久興君

      小西  理君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    稲見 哲男君

      大出  彰君    川端 達夫君

      黄川田 徹君    須藤  浩君

      園田 康博君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若井 康彦君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   財務大臣政務官      七条  明君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)   須田 和博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)   渡辺 芳樹君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     大前 繁雄君

  若泉 征三君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     自見庄三郎君

  園田 康博君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  若井 康彦君     若泉 征三君

    ―――――――――――――

五月十七日

 シベリア抑留・未払い賃金問題の早期解決に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第二三〇四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一一号)

 消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長須田和博君及び厚生労働省大臣官房審議官渡辺芳樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。この地共済に関する質疑、トップを切らせていただくことになりました民主党の西村智奈美です。

 年金制度法案の本体の方は衆議院で成立をいたしました。今参議院の方に論戦の場が移っておりまして、私たちもその経緯を注意深く見守っているところであります。

 年金制度を私も勉強してまいりまして、非常に複雑でわかりにくい制度になっていること、このことを改めてつくづくと感じました。そもそも、スタートしたときの考え方、そして改正のたびにつけ加えられてきた考え方、これが本当にモザイクのように入り乱れて、若い人たちはどこをどう切り取って見ていったらいいのかわからないという状況にあります。

 年金制度に対する不信、不公平感、これはもうピークに達しておりますので、一日も早く抜本的な改革をしっかりと行って、国民の皆さんから安心していただけるような制度に再編成をしていかなければいけない、そういう立場できょうの地共済の質問もさせていただきたいと思っております。

 まず、一元化に関連してお伺いをしたいと思っております。

 今回の法案、幾つかポイントが出されておりますけれども、まずその重要な柱の一つは、言うなれば地共済と国共済との一元化だというふうに説明がされているわけでございます。この点については私も賛成の立場でおります。

 昭和五十九年、このときの閣議決定では、公的年金制度全体の一元化を平成七年を目途に完了させるというふうにあります。これは、前後の文脈からいいまして、被用者年金のことを言っているんだと思いますけれども、その後の平成十三年の閣議決定では、「被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために」ということで、共済年金の一元化について言及をされております。

 こういった中で言われております公的年金制度の一元化、これと今回の改正において言われております財政単位の一元化、この二つがどういうふうに結びついているのか。今回この財政単位の一元化を行う意義は何かということについてお伺いをいたします。

須田政府参考人 御質問の趣旨でございますけれども、今回の共済の一元化と公的年金全体の一元化との違いということでございましょうか。それとも、両共済の一元化の仕組みについてでございましょうか。恐縮でございます。(西村(智)委員「前者です」と呼ぶ)前者でございますか。

 今回の地共済と国共済との財政単位の一元化につきましては、御指摘の平成十三年三月の閣議決定におきまして、被用者年金制度の一元化ということがございますので、これを受けた内容となっております。

 また、一般的に言われております公的年金制度の一元化につきましては、平成十三年の閣議決定におきましては、「被用者年金制度が成熟化していく二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」ということになっておりますが、今回の両共済の年金制度の一元化は、あくまで閣議決定におきます「両制度の財政単位の一元化を図る。このため、速やかに具体的な枠組みについて検討を進め、次期財政再計算はこの財政単位の一元化を前提として実施する。」という考え方に基づくものでございます。

西村(智)委員 財政単位の一元化が行われるということでありますけれども、国共済と地共済、制度上も公務員ということで非常によく似ている、こういうふうに見受けられるわけであります。この際、制度や組織として一元化するということはお考えになっていらっしゃいますか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案における地共済と国共済の一元化は、ただいま申し上げましたように平成十三年の閣議決定に基づくものでございますけれども、これは、両共済の組織、制度としては独立にしたままで、両制度間で財政調整を行いつつ、最終的に保険料を一本にするということにしているものでございます。

 この理由でございますけれども、両共済とも、年金事業とあわせまして、医療保険及び福祉事業を一体的に運営しております。また、年金事業につきましても、それぞれの制度の成り立ちや特色、あるいは、これまでそれぞれの制度において自助努力による運営がなされた経緯などがございますので、こうしたことを踏まえまして、両制度の組織に新たな変更を加えないで財政調整をする方法が適当かつ現実的であることという判断によるものと考えております。

西村(智)委員 私は、一元化は国共済と地共済の間でできないのかということもあわせて聞いたつもりでございます。今の御答弁ですと、そのことについてのお答えはいただけなかったというふうに思うのですけれども、一元化についてもう一度お考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。

須田政府参考人 恐縮でございます。両共済の一元化と公的年金全体の一元化の違いということ……(西村(智)委員「いえ、二つ目に聞いたのは、国共済と地共済の一元化はできないのかと聞いているんです」と呼ぶ)はい。

 国共済と地共済という別個の共済制度でございますけれども、その別個の共済制度の制度あるいは共済組合という組織がございますけれども、その別個の組織あるいは制度はひとまずそのままとしておきまして、それぞれの制度の財政単位といいますか、年金の給付の計算をする単位を一つにまとめていこうというものがここで申し上げております財政単位の一元化でございます。よろしゅうございましょうか。

西村(智)委員 国共済と地共済の一元化はどうなんですかというふうにお伺いをしたつもりなんです、二点目につきましては。そのことについては、もう一度、重ねて財政単位の一元化の中身を御説明いただいただけでした。これ以上やっていても時間が過ぎていくばかりだと思いますので、先に進みたいと思います。

 今の御答弁は、別個で存在していくことが現実的であるというような御答弁であったかというふうに思います。では、これは別個で存在していて共済制度そのものを本当に将来維持することができるのかどうか、このことについての見通しはどうでしょうか。

 地方公務員共済は、共済年金の中でも比較的財政状況がよいというふうに伺っておりますけれども、公務員人口そのものもここのところ微減傾向だというふうに思います。今後も制度そのものが維持できるということについて楽観できる状況なのかどうか、そして、あわせて、職員の減少ということについて、市町村合併がこれからもっともっと進んでいくと思いますけれども、そういったことなどは考慮に入れられているのかどうか、この点についてお伺いいたします。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の両共済の財政単位の一元化でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、両方の財政単位をまとめることによりましてより安定的な運営を可能とするということを基本としているものでございます。従前以上に安定的な運営を可能とするものでございますが、そうした財政単位を行う中で、基本的には、サステーナブルな、維持可能な制度ということを念頭に置いているわけでございます。

 今後の見通しといたしましては、現在、この財政再計算をきちっとするというのを本年十月に想定しておりまして、この十月の段階で共済組合連合会が財政再計算をすることとなっておりますので、確定的なことを申し上げることはできませんけれども、基本的には、給付水準を厚生年金の給付水準と同じくしております。

 また、両共済におきましては、これまでの経緯もありまして、一定の積立金というのがございます。したがいまして、現在の推定的なものでございますけれども、厚生年金の加入者よりも共済年金の加入者の減少傾向がより早かったとしても、将来的にも安定的な運営が可能と見込んでいるところでございます。

西村(智)委員 大臣にお伺いをしたいと思っておりますけれども、これから、小泉首相がおっしゃっておられますとおり、年金制度の一元化については議論が進んでいくというふうに私は期待をしております。そこで、先日サインをされました三党合意を受けて、この一元化の問題についてお伺いをしたいと思っております。

 民主党は、多様な働き方、そして、世代間の不公平感をなくす、持続可能な制度をつくる、こういった考え方から、職業による格差をなくすことを中心といたしまして、全国民共通のいわゆる一元化された年金制度を提案してまいりました。このことについては、もう最初から最後まで、昨年十一月の総選挙のときのマニフェストからきょう現在も、そしてこれから参議院での審議の中でも変わっていくことはないというふうに思っておりますけれども、大臣は、この三党合意を受けまして、どういう考え方で一元化を進めていくつもりでしょうか。あるいは、どういうふうに進んでいくことが望ましいというふうにお考えですか。お聞かせください。

麻生国務大臣 西村先生の御質問の最初のところと後の部分と、二つあるんだと思うのです。

 先ほど答弁がありましたように、平成十三年三月十六日の閣議決定で、国家公務員共済及び地方公務員共済は、財政単位の一元化を前提として実施するとされております。それに基づいて、今回、地共と国家公務員共済と一緒にする話をしているんですが、その第二のところに、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、検討を急ぐというのが上がってきているところなんです。

 今回の五月六日の三党合意のときは、国民年金を含む一元化問題が検討の対象となっているということは私ども承知をしておりますが、私ども総務省としては、御存じのように、国家公務員共済の保険料率は一四・三八%、地方公務員は一三・〇三%、差額は一・三五%あるという現実が今もうそこにありますから、そういったものでいきますと、地方公務員と国家公務員とは率が違っておるというのが一つ、これは、一元化するためにはこれを平準化しなきゃいかぬというのをいきなりあしたからというわけにいきませんから、時間をかけて、一応五年をめどにして、まずこの財政単位の一元化を図っているというのが今回お願いをしている第一点なんです。

 それで、公的年金の全体の一元化につきましては、これは三党合意も得て、やっていかないかぬところですが、今回のNHKの世論調査を見ても、とにかくわかりにくいというのに対する不満が八三%か四%かだったと記憶しますが、そういうものを仮に一元化しようとしますと、これは、一番多分問題なのは、自営業という方々の所得が幾らかというのが捕捉できるかというところが一番問題。

 それから、働き方もいろいろあるので、勤めてやめて、また勤めてというようなことになっていったときに、そこがきちんと追えるか、きちんとフォローできるかといいますと、各会社がきちんとしていただいているかどうかも、また本人がそれだけちゃんと申告しているかどうかもということになりますと、これは多分、個人一人当たりの背番号制か何かを個人個人で持たせないと、なかなか全体をきっちり捕捉することは不可能ということになろうと思います。

 傍ら、サラリーマンのはきちんと取られていて、きちんと取られている方がいきなり一緒にされて、足りていない分も払えと言われたら、それはきちんと払っている方は、何でおれたちがそれを払わないかぬのかということになります。

 そういったいろいろな難しい問題がありますので、これは三党いろいろ御検討をいただいて、私も一元化するのにこしたことはないと正直思いますけれども、いきなり、払っていた人と払っていない人とみんな一緒と言われたら、それはなかなか難しいので、どこか一定の区切りにおいて、ここからは一緒にします、これから上は違うとか、いろいろなことを考えないと、なかなか御納得をいただけるところにもならぬ。

 また、個人の年金ということになりますと、その部分につきましては、プライバシーのどうたらという話がまた出てくると、これは、総背番号制という名前もいただけませんけれども、そういったようなきちんとした個人にしないと、この種の話は全体で捕捉する、公平を得て納得を得るというのはなかなか難しいんじゃないかな、そこが一番問題かなというのが、大臣個人としてどうかと聞かれれば、その点だと存じます。

西村(智)委員 なかなか難しいのではないか、それは私たちも全く同感です。一朝一夕にできるというふうには思いません。

 だけれども、このままほっておいていいのかどうかと聞かれれば、やはりそうではないだろうというふうに思うのです。一定の経過期間、措置期間を経てしっかりとした共通の年金制度をつくっていくということについては、これからも私たちは積極的にいろいろな提案をさせていただきながらやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次なんですけれども、今度は法案の中身についてお伺いをしたいというふうに思います。

 厚生年金の制度に準じて今回の地共済の改正が行われる、同様の改正を行うというふうに書かれている部分がありますけれども、そもそも、条件が一致していない、異なる厚生年金とどういうふうに合わせていくのかということについて、いささかお伺いをしたいことがございます。

 まずお聞かせいただきたいのが、厚生年金と同様の改正を行った点はどこでしょうか。そしてまた、その理由をお聞かせください。同時に、厚生年金と異なる改正を行った部分、それはどこかということと、その理由をお聞かせいただきたい。つまり、共済年金を今回も厚生年金に準じて改正した理由は何かということなんですけれども、お聞かせください。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、地共済年金の給付面につきまして、現在厚生年金と同様の仕組みであるものにつきましては厚生年金と同様の改正を行うこととしております。これは、地共済年金の給付の設計、給付の仕組みでございますけれども、これは昭和六十年の年金制度改正以降、基本的には厚生年金と同じ内容としていることによるものでございます。

 一方、負担の面、すなわち保険料率でございますけれども、この点につきましては、厚生年金がいわゆる保険料水準固定方式を採用するのに対しまして、地共済年金では、給付水準について厚生年金と同様の調整を行った上で財政計算を行い、保険料率を決定することとしてございます。この理由でございますけれども、地共済年金は財政状況や成熟度が厚生年金と異なるものでございますから、保険料水準を厚生年金と同様にすることは困難と考えております。

 また、このほかの点でございますけれども、厚生年金の改正とは異なっている、今回の法律の中での非常に大きな点でございますけれども、一つは、地共済と国共済の先ほどの財政単位の一元化という点がございます。これは国共済と同様に行っているものでございます。また、さらに、地共済独自の大きな柱としましては、市町村の共済組合の長期給付事業の一元的処理という内容を盛り込んでいるものでございます。

西村(智)委員 お伺いしたかったんです。厚生年金が保険料水準固定方式をとっているけれども、共済年金の方はそういう方式はとらない。そういうふうにした理由は何かというと、成熟度が違うというようなお話であったかというふうに思うんですけれども、それはすっと受け入れられる理由なのかどうか、果たして妥当な理由と言えるのかどうかということについては疑問があることをちょっと一言つけ加えておきたいというふうに思います。成熟度が違うということで、厚生年金と異なる改正を行った点があるという説明にはいささか納得できないものがございます。

 それで、共済年金の議論のときに、やはり厚生年金と同様に、債務超過がどうなっているのかということについてはぜひとも知っておきたいというふうに思うのです。地共済の債務超過は全体でどのくらいの数字になっているんでしょうか。お示しをください。

須田政府参考人 お尋ねの債務超過という点でございますけれども、これは平成十一年の財政再計算結果に基づきます給付債務と財源構成におきまして、過去期間に対応した給付現価のうちどれだけ将来の保険料でやるか、あるいは将来期間に対応した給付現価のうちどれだけ将来の保険料によって対応するか、そういうふうな趣旨のものを整理したものはございます。

 その結果によりますと、まず、過去期間に対応いたしました給付現価のうち将来の保険料の引き上げによって賄う分が六十八兆七千億円、また将来期間に対応した給付現価のうち将来の保険料の引き上げによって賄う分が六兆九千億円となっているところでございます。

 ただ、この数字でございますけれども、御案内のように、現在の制度が基本的には世代間扶養というのを基本的な考え方として運営しておりますので、そういうふうな制度をあえて積み立て方式の考え方で算出したものでございますから、これをもちまして、例えば年金制度上の積み立て不足、そういうことを時々言われる方がございますけれども、そういった趣旨のこととはまた違いますし、また、いわゆる企業会計における債務超過とも若干意味合いが異なるというものでございます。

西村(智)委員 きのうも私、今御説明をいただいたような数字の書かれております資料を実は持ってきていただいておりました。この「地共済の給付現価と財源構成」という資料ですけれども、これは総務省の方でおつくりになった資料ですか。確認します。

須田政府参考人 総務省の方でつくりました資料です。

西村(智)委員 先ほど、これは債務超過と言える性質のものではない、あるいは積立金不足というふうな性質のものではないというふうにおっしゃいました。

 ここに、いわゆる私たちが一般的に債務超過と呼んでおります分、過去期間に対応した給付現価の中でどうしても足りない部分が出てくる、将来期間に対応した部分についても六・九兆円、全体で見ると、比率としては低いですけれども、そういう部分が出てくる、これは将来の保険料率の引き上げにより賄う分だ、こういうふうに表現をされておりました。

 これを私見ましたときに、そちらで持っておられる政策的な意図を示すものであって、客観的な認識を妨げる、そういう表現ではないかというふうに思いました。本当に価値中立的に表現するのであれば、財源手当てのない債務額であるというふうに表現するべきではなかったかと思いますけれども、なぜこのような表現にしたのでしょうか、お聞かせください。

須田政府参考人 今回のこの資料につきましては、もともと前回の財政再計算の結果を厚生年金あるいはその他の共済年金等がその財政状況を把握するためということでこのような形で作成したものでございますけれども、その段階では私どもまだ十分な計算ができていなかったものを、後ほど厚生年金あるいは他の共済年金と平仄をそろえるような形で、その段階で出ておりました厚生年金の資料のつくり方をもとにしまして、それに合わせて作成したものでございます。

西村(智)委員 計算の数字がどうのこうのということではなくて、やはりこの部分の表現についても、厚生年金と同様の給付現価及び財源構成の資料に倣ってつくったものであるというふうに理解をいたしますけれども、これは保険料の引き上げですよね、将来の保険料率の引き上げにより賄う分ということでありますから、これは何かというと、保険料の引き上げにつながっていくわけでございます。

 こういう簡単な図で、数字のことを言っているのではありません。厚生年金が保険料率を引き上げるということに倣って地共済の方も保険料率を引き上げ、そしてこの部分を賄うのだというふうにこの資料では説明をされている。簡単なこんな図で、しかもこういう短い審議時間の中でこのことを提案し、通そうということについてはどういうふうにお考えですか。

須田政府参考人 現在の地共済年金の制度でございますけれども、基本的には、現在は段階的に保険料を上げていく、世代間の扶養を前提としまして、保険料は成熟に合わせまして段階的に上げるというような考え方をとっております。したがいまして、どうしても過去の期間に対応しますと、積立金は必ずしも一〇〇%というものではないということで全体の制度をつくっているものでございます。

 そういった意味で、どうしても積立金では足りない部分というのがありますから、それは将来段階的に上げる中で、それを徐々に埋めていくといいましょうか、その原資を確保していくというのが基本的な制度の仕組みになっておりますので、そういうことを前提にしまして、今の状況をわかりやすく説明するということで作成したものでございます。

西村(智)委員 社会保険料の引き上げということについて、どうも税の引き上げと比べると議論は薄いのではないかということを、私、この間ずっと思っております。社会保険料の引き上げのときには、税の引き上げよりも国民の反対の声は生じにくいのではないか、そういう意図もあるんではないか、疑い深い方ですからそういうふうに思ってしまうわけでありますけれども、実際には、国税総額と社会保険料全体で比べますと、社会保険料の方が二〇〇三年度の当初予算で五十五・六兆円、これは国税総額の四十三・九兆円を上回っております。こういう状況の中で、その社会保険料を構成している最大のものは年金保険料である、このことについてもっと真剣に考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに考えています。

 どうも今回の年金法案は、国民の皆さんから理解も得られていないし、納得も得られていないようであります。五月の十七日、各マスコミの世論調査を見ますと、年金法案を今国会で成立させるべきではないと答えている方々が六割から七割に上る、こういう数字でございました。今回の改正を提案している総務省の方では、こういった国民の声をどういうふうに受けとめているのか、それを聞かせていただきたいと思います。

須田政府参考人 私ども行政に携わる者としまして、日ごろ国民の皆様方がどのようなお気持ちでいるかということにつきましては、十分な注意、関心を払っているつもりでございます。

 ただ、今回の御審議いただいておりますこの法案につきましては、やはり全体の年金制度改革の中で、厚生年金などとしっかり歩調を合わせたものとして共済年金につきましても必要な見直しをしていきませんと、将来の共済年金の安定的な運営ということがやはり難しくなるんではないかということもございますので、そういった意味で、こういうふうな形での改正案を御審議いただいているものでございます。

西村(智)委員 多少勘案しなければいけないなと思うのは、総務省の方には国庫負担を決めるという直接的な権限はございませんから、こちらの方での専管事項ということになりますと、給付と負担のあり方を見直す、給付の抑制と保険料の引き上げしかないのではないか、そういう状況の中でこのような法律の提案にならざるを得ないのかということについては、多少思いをめぐらす必要があるのかというふうに思います。

 しかし、そういう省庁の枠にとらわれ続けている中でつくられた年金制度、働き方が本当に多様になった今の時代にもう合わなくなっている。はっきり申し上げて時代おくれだと思います。省庁の枠を超えて再編成をする必要があるというふうにはお考えになりませんか。

須田政府参考人 働き方が多様になったというような御指摘につきましては、私どもも、例えば地方公務員におきましてもだんだん多様な働き方がふえてきておりますし、また、そういうふうな形に対応したような制度というのを少しずつでも導入したいということで取り組んできているところでございます。

 ただ、もう一つ御指摘のありました省庁全体を超えたということになりますと、今回の共済法の改正におきましては、まず閣議決定で、指摘されております両共済、これは同じ公務員という共通の職務ということに着目して考えられているものと理解しておりますけれども、そうしたものから着実に実施するのが適当なのではないかと考えております。

西村(智)委員 年金制度の将来についてどの程度真剣に考えているか、その度合いが十分ではないということが今の御答弁からうかがい知ることができました。

 私はやはり、この過去債務と言われる部分、財源手当てのないこの不足部分についてはどういうふうに手当てをするかということについて、基本に立ち返って議論をする必要があるのだというふうに思います。保険料の引き上げなどという数字合わせのことだけでは、年金に対する国民の信頼は回復できない。年金制度を再編成する責務が私は政府・与党にあると思います。そのことを一言つけ加えまして、時間がありませんので質問を続けます。

 厚生年金ではポイント制を導入することとしておりますね、年金個人情報通知というんでしょうか。共済年金ではどのようになっておりますか。見たところ、文言が見えないのですけれども、地共済で導入をしないというふうに決めた、導入しないということになっているとすれば、そのようになった理由は何でしょうか、聞かせてください。

須田政府参考人 ポイント制の関係でございますけれども、確かに、御指摘のように、国民年金及び厚生年金におきましては、年金制度への理解を深めるための仕組みとしていわゆるポイント制の導入を予定していると承知しております。

 しかしながら、共済年金におきましては、まず、職種等の区分に応じた七十八の共済組合で具体的な事務処理を行っておりまして、比較的きめ細かく組合員の方からの相談への対応とか情報提供を行える体制となっているというのが一つございます。

 また、もう一つ、地共済の組合員の給料体系でございますが、基本的には地方公務員の給料が国公準拠となっておりますし、また、常勤職員を原則として対象としているということもありますので、雇用形態も基本的には組合員の方全体が非常に類似したものとなっております。したがいまして、保険料の納付実績などにつきましても、同年代では大きく変わることはないということもございます。

 こういったことから、保険料納付実績や年金額の見込みなどの情報提供を行った上で、さらに点数化した表示を通知するということは、地共済年金に関しましては必ずしも必須なものではないのではないかということを考えたところでございます。

 なお、年金制度に対する理解と信頼を高める必要性につきましては我々も重々承知しているところでございますので、被保険者の方に対する年金の情報提供につきましては、その内容や提供方法などの一層の充実が図られるよう、関係の共済組合に対しましてその周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 私は、厚生年金でポイント制が導入されるということを伺ったときに、果たしてそれは効果をもたらすだろうかということを逆に心配した方なんです。

 非常にコストがかかる、時間もかかる。だけれども、実際にそのことによって本当に国民にわかりやすい年金情報の提供になるのかどうか。これはいまだに実は判然としておりません。技術的な問題があること、あるいは、平均年金ポイントは毎年一・〇だそうでありますけれども、その一・〇という数字を毎回毎回受け取ることのできる人は極めて少数だろう、圧倒的な多数は恐らく一・〇以下なんだろうというふうに思うのです。そういうものを受け取った人が本当に年金制度を信頼しようと思うか、将来の給付がこれで安心だというふうに思うかどうか、そのことには決してつながっていかないというふうに考えているんですね。

 ですから、むしろ私は、これはもう問題が非常に多いので、導入は安易にすべきではないというふうに思っております。

 済みません、最後、どうしてもお伺いをしたいことがあります。雑駁で結構ですけれども、厚生労働省の方からお聞かせをいただきたいと思うのです。

 社会保障全体の中での年金制度のあり方、これはやはりきちんと検討すべきときではないか。私たちの世代は、そろそろ親が年金受給世代に入りまして、これから体がだんだんきかなくなり、八十以上になると恐らく多くの方々で痴呆があらわれるということになってまいりますから、そのときにどこまで個人で面倒を見るべきなのか、そういうことについては非常に見えにくいところであります。

 私たちが最も心配なのは、家族が倒れたときに子供がどこまで面倒を見なければいけないのか、そのことをぜひとも明確に示していただきたいと思うのです。ですから、こうした年金制度の設計に当たりましては、医療と介護とそして税制のあり方を含めて、総合的な検討が必要だというふうに思います。そういう指摘も恐らく各所でなされているというふうに思いますけれども、厚生労働省のお考えをお伺いします。

佐田委員長 簡潔にお願いします。

渡辺政府参考人 大変大きな御質問でございましたので、足らざるところあるかとは思いますけれども、御承知のように、社会保障全体を見る中で、例えば二〇〇四年度、八十六兆円の給付費のうち、約五割、四十六兆円が年金ということでございまして、社会保障制度の大宗を占めている大きな屋台骨であると考えております。

 こうした年金制度が世代間扶養の考え方によって行われており、今簡単に白地に絵をかくような議論がなかなかできない、四十兆円以上の給付を出している、こういう世界であるということを踏まえ、また、今世代間のお話がございましたけれども、長男、長女時代と言われる昨今において、お二人のカップルに四人の親御さんがいらっしゃる中で、公的年金制度というものが果たすべき基本的な役割というものを大切にしていかなければいけないという点と、国民経済との調和、支える側は本当に支え切れるかということを十分考えていかなければならないと思います。

 また社会保障制度、先ほどの五割のそのほかは医療あるいは介護を中心とした福祉、こういうことになるわけでございますが、高齢期における医療や介護というものは、年金収入というものをきちっと前提とした高齢者自身による御負担ということも基礎に入っているものでございますので、全体に連関した、一体的な見直しというものをしていくというのが基本的な姿勢であろうかと思っております。今般衆議院で修正されました点も、その点の御指摘があると思います。

 来年に予定された介護、それからその先の医療改革におきましても、さまざまな議論がありますが、その大前提として、今般の年金改革というものが先送りのできない課題であるということで、一日も早い成立を望んでおるところでございます。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 稲見哲男です。憲法調査会の質疑とかけ持ちで恐縮でございます。

 この質疑に参加をするにつきまして、少し戸惑いがございます。といいますのは、私自身が地共済の受給権が発生をしているということ、一方で、民主党は年金の一元化ということで対案を出しまして、四月の二十八日の厚生労働委員会のあの強行採決に私も抗議で参加をしておりました。

 今の地共済とは少し性格が違うかもしれませんけれども、厚生年金法、私は、十四年間連続値上げの法案であり、しかもそれで安定はしないというふうに思っております。厚生年金の加入者数あるいは運用利息、予定出生率、平均余命、このいずれかの数字が違ってくれば、今の法案でも財政は安定をしないということでございますし、そういう意味では、特にこの値上げによって厚生年金の加入者数に非常に空洞化が生じるんではないか、こういうふうに思っております。

 そういう意味では、やはりこの現在の政府案については一たん廃案にして、国民の皆さんと一緒に与野党ともに十分な議論をして、年金制度の抜本改革、これを実現すべきではないか、こういうふうに思っております。

 そういう意味で、具体的な質疑に入る前に、これは通告をしていないので恐縮ですが、一つだけお聞きをしたいと思います。

 幾つかの仮定があるんですが、例えばこの地方公務員共済組合法が総務委員会、衆議院で可決をされる、同じように国共済なり私学共済も参議院に行く。しかし、厚生年金法を中心にした関連法案が廃案になったときに、この地方公務員共済組合法の改正案というのはどうなるのか。

 例えば、少し見ますと、給付については厚生年金法と準じているということでございます。今回の法案でも、第三の育児休業手当の問題、第五の国家公務員共済年金制度との一元化の問題、あるいは第六の市町村の共済組合の長期給付事業の一元的処理の問題、これはこの法案独自の問題でございますが、本体のところが廃案になった場合にこの法案自身はどうなるのか。このことについて、まず公務員部長にお伺いをしたいと思います。

須田政府参考人 厚生年金の方の改正がなかったという場合に、私どもの今回の改正案の中では厚生年金法を引用している規定がたくさんございますので、そちらの方の関係で、やはりいろいろな形での問題が出てくるだろうと思っております。

 それからもう一つ、切り離してというようなことなんですけれども、これはちょっと今まで余り考えてもいなかったものですから、特に財政単位の一元化ということになりますと、ある程度将来の全体のを見越しながらあわせて検討してきたこともございますので、余り想定していたことはございません。

麻生国務大臣 通告のない御質問でしたので、ちょっと公務員部長に押しつけるのもいかがなものかと思いますので、考え方を言わせていただければ、基本的には、私どももこれはぜひあくまでも成立をさせていただきたいというお願いで、関連してくるところが余りにも多いものですから、地方公務員共済につきましては、これはいろいろこれまでも指摘があるところでもありますし、今いろいろな意味で、守秘義務を含め、負担を負っているところもいっぱいあります。何となく公務員共済の方がよくてほかのところが給付が悪いみたいな話をしているのも、それもちょっと違うんじゃないかなという感じもいろいろありました。

 ですから、私どもとしては、この際、この地方公務員共済につきましてはぜひとも通していただいて、いろいろな意味で、先ほど西村さんからの御質問にもお答えをいたしましたように、時代とともにいろいろな問題が起きてきております。年金の一元化の話を含めて、こっちが人口が減ってきた、物価は下がった、いろいろな例も出てきております。夫婦で四十年間勤めてというのがスタンダードになっているけれども、それもおかしいじゃないか等々、いろいろこれまでも厚労委員会で話のあっておるところで、確かに四十年間夫婦二人ずっとという方が減っているんじゃないかなと思うぐらい例がいっぱいありますので、この種の話はちょっと、真剣にいろいろな例を突き合わせてみないとわからぬ時代になってきているんです。

 ではどれがスタンダードで決め手かという話まで戻っていかないとなかなか、すべてに関係してくるところなので、今言われたように、これがもしだめになった場合はこっちもというようなところは、だめにならない前提で私どもも考えておりますので、ぜひこのためにも通していただければと思っております。

稲見委員 通告していなかったので、遠慮して公務員部長にしただけの話です。

 ただ、公務員部長の方から、この地共済独自のところについて分けてということは考えておられないということですから、そうしますと、厚生年金法が廃案になれば地共済法についても参議院で廃案にならざるを得ない、こういうことだというふうに思っております。それを前提として具体的な質問をさせていただきます。

 今も少し、本体の給付のところで厚生年金法と準じておるというふうなことがございました。いわゆる基礎年金ができた八五年の改革において、被用者年金制度については給付の支給率水準が平準化をされた、それ以降、この共済年金制度については、実質的に厚生年金における取り扱いと同様の措置が図られてきたということでございます。

 一方、厚生年金の改革については、この間、社会保障審議会年金部会において、相当長時間の、関係者を含めた議論が行われてきたというふうに承知をいたしておりますけれども、この地共済の改正案において、この見直し、当事者の意見反映はどのようにされてきたのか、その点、まず明らかにしていただきたいと思います。

須田政府参考人 総務省におきましては、今回の地共済の法案の改正の内容を検討するに当たりまして、地方公務員共済年金制度に関する懇談会を平成十五年五月から開催いたしました。この懇談会は、学識経験者、職員団体関係者、共済関係者などにより構成されるものでございまして、地共済年金制度における給付と負担のあり方など、地共済年金制度の改正に関して必要な事項を幅広く検討、御議論いただいたところでございます。

 今回の改正案は、この懇談会における議論も踏まえた上で作成したものでございますので、当事者でございます地方公務員共済関係者などの意見は反映したものとなっていると考えております。

稲見委員 職員団体や共済関係者を含めた懇談会が十分なされたというふうな御答弁だったわけですが、実は、中央省庁の統合といいますか再編前は、厚生年金を含めて全体の給付のあり方などを決めていく厚生省の年金審議会というのがあった、そして、そこには地方公務員共済組合連合会の理事長が参加をしておったという状況がございます。しかしながら、省庁再編後、社会保障審議会の年金部会、こういうふうになりまして、そこには、今、地方公務員共済年金制度に関する懇談会でおっしゃったような当事者は、この本体の部会のところには参加をしておりません。地方三団体よりの委員が参加をしている、こういうふうなことでございます。

 公務員の共済組合につきましては、労使対等参加原則のもとに、具体的には、共済組合法等からの委任に基づく運営審議会あるいは組合会において、定款、制度運営が図られておる、こういうふうに認識をいたしております。例えば保険料の決定についても、連合会の定款により特定され、決定は労使対等のもとに構成されている運営審議会にゆだねられている。積立金の運用が厚生年金の議論で相当議論になりましたけれども、これについても運営審議会または組合会による日常的なチェックが行われているというふうな状況がございます。

 しかしながら、加入者や受給者において極めて重大な問題である制度改革ということになりますと、当事者の意見反映の機会、機能が決して十分とは言えないんじゃないか。先ほど申し上げました審議会の改編によるところでございます。

 この点について、地方公務員共済組合の当事者が本体の改正議論に参加をできるような審議会等の見直しについて措置をする考え方がないのか、これは、ここに御出席いただいております厚生労働省の方からお伺いをしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 少し過去の事実関係を含めて御説明させていただきたいと思いますが、かつては委員であったという、地方公務員共済の関係の理事長のお話がございましたけれども、かつての年金審議会当時から、必ずしも共済関係の方々が常に委員として任命されていたわけではないというふうに承知しております。御参画いただいている場合にありましても、そういう時期はございますが、学識経験者として入っていただいているという理解をしております。

 振り返りますと、昭和六十年、これは基礎年金ができる際の大きな改正がございましたが、その当時、年金審議会の発足当初でございますが、地方公務員共済の関係の方々は学識経験者としてでもそのときは入ってはいらっしゃいませんでした。その後変化があるわけでございますけれども、御指摘の中央省庁再編前の前回改正時におきましても、確かに地共済の理事長の御参画をいただいておりましたが、ほかにも共済がございます、国共済あるいは私学共済の関係者は委員としての任命はされていない状態で審議会が働いていたという経緯でございます。

 それから、公的年金制度の一元化関連で関係閣僚会議のもとに懇談会がございますが、そこは、先生御承知のように、共済関係者の御参画をいただいて今日まで来ているということでございます。

 なお、今回の年金制度改革におきましては、御指摘のように、中央省庁再編の際に、審議会の位置づけ、あり方というものがかなり変化しております。御指摘の年金部会におきましては、従来の年金審議会のように、諮問、答申を行い、政策的にとり得る方策として一つの結論を決めようという性格の審議会ではなく、むしろ、有識者の方々にさまざまな方法で幅広く御意見を伺うという考え方の一つとして、貴重な御意見を承っておるというところでございます。

 なお、審議会の運営は、資料、議事ともに完全公開で行っておりまして、共済関係者の皆様も常にその状況がごらんいただける、そういう中で運営をしておりますし、また、並行して、総務省の方とも十分協議しながら進めるというふうなことで、今回の改革案を取りまとめております。

 審議会、部会のあり方ということにつきましては、先ほど申しましたように、大きく制度的な位置づけも変化しているということもございまして、こうした有識者による意見の御開陳の場として、さらに有効に機能するよう努力してまいりたいというふうに思っております。

稲見委員 確かに、審議会だけではなしに、この地方公務員共済についても、以前は地方公務員共済組合審議会、先ほど言いましたように、法諮問型の審議会があったものが今は地方財政審議会の中の部会というふうなことになっております。社会保障審議会そのものが厚生省おっしゃったように意見開陳の場ということで、私は、今回のあの部会のさまざまな議論も十分今回の年金改正に反映をしていないんじゃないかなというふうな気持ちがいたしておりますが、とりわけ、この地方公務員共済を所管しておられます総務省の方、今の厚生労働省の御回答を受けて、コメントがあればお聞かせ願いたいと思います。

須田政府参考人 先ほどもお答えしたことでございますけれども、総務省におきましては、今回の法案の改正内容を検討するに当たりまして、審議会ではございませんけれども、それにかわるようなものとして懇談会を設けて、関係者の意見を十分聞きながら法案を作成しているところでございますし、また、ただいま厚生省の方からのお話にありましたように、日ごろ厚生省さんの方からの情報をいただくとか、あるいはこちら側の意見を厚生省にお伝えするとか、そういうふうな連携は十分やってきておりますので、改めて審議会等の見直しをするという必要があるとは考えてございません。

稲見委員 入り口だけで議論をするわけにいきませんので、ちょっと具体的な質問に入っていきたいと思います。

 年金というもの、それから特に公務員共済というものについて、少し私の認識を申し上げます。

 社会保険というシステムの出発は、急激な産業化、工業化を遂げつつありました十九世紀後半のドイツだというふうにお聞きをいたしております。疾病保険それから労働災害保険と並んで、一八八九年に障害・老齢保険というのが、年金に当たるわけですが、創設をされた、こういうふうなことでございます。

 日本においても、当初、ドイツ型の社会保険システム、いわば職域を中心にして所得比例的な給付構造をとり、保険料を主財源とする社会保障システムとして出発をし、次第に、今もありましたように普遍的な方向に移行をしてきたわけでございますが、まだ、例えば医療保険制度、大企業における健保組合、あるいは共済組合短期給付事業の存在、こういうものがあり、職域中心主義というものが色濃く残っているのではないかというふうに思っております。

 制度発足の経緯、そして日本の公務員共済年金の沿革を照応いたしますと、そもそも恩給制度、賃金の退職後の後払いというものから始まっておりまして、勤務条件的な性格をも有することは論じる必要はない、こういうふうに考えております。その意味では、公務員の勤務条件の決定システム、労働基本権の適用関係と密接な関係を持つ問題である、こういうふうに私は考えます。

 あわせて、先ほど前段で申し上げましたように、労働組合による相互扶助、共助として実施をされてきた共済活動、これが社会化をし、強制化をされたという形が現在の制度でございますから、もともと組合員の自治に基づき運営をされていたもの、労使関係あるいは労働関係のもとにおいてそれぞれに決定をされている労働条件を補完する性格をも有するものではないか、こういうふうに思っております。

 公務員の共済そのものについて、今申し上げましたような私の認識について、政府側の御認識をお答えいただきたいと思います。

須田政府参考人 地方公務員共済年金制度でございますけれども、この制度は、国民年金や厚生年金と同様に社会保障制度の一環ということがまずございますが、同時に、公務員制度の一環といたしまして、地方公務員など及びその遺族の方の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務の能率的運営に資することを目的とするものでございます。

 したがいまして、例えば、お尋ねの労働基本権の制約を含めまして、地方公務員にさまざまな身分上の制約が課されていることなどを踏まえまして職域年金部分が設けられているなどの特徴を有しているものと理解しております。

稲見委員 私申し上げましたように、勤務条件の決定システムというふうなこととかかわる、特に公務員の制約をされた状況のもとでというふうなお答えでした。

 しからば、労働権という観点からは、この被用者年金制度において少なくとも、これは民間も含めて、国際的な基準が存在をしているのではないかというふうに考えております。例えばILOにおける考え方がどのようになっているのか、これは厚生労働省の方にお伺いをしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 ILOの各種条約の中でも、お尋ねの年金制度にかかわるものはございます。

 ポイントだけ申し上げますと、ILO百二号条約、一九七六年に我が国は批准しておりますが、ここでは、老齢年金において確保されるべき給付水準というものが示されております。具体的には、保険料を三十年拠出した場合において従前所得の四〇%の給付を確保すること、こういうような記述がございます。

 なお、その後、百二十八号条約というものもあり、類似の部分で四五%という規定のあるものもございますが、これは我が国においてはまだ批准がされておりません。

 批准しておりますILO百二号条約につきましては、定期的に我が国の報告を年次報告という形で出させていただいております。直近では二〇〇一年に出させていただいておりますが、その時点におきましても先ほど申し述べました数字でございますので、我が国の年金制度の給付水準、ILOが指し示しているところでは、かなりそれを上回っているというような状況にあるというふうに思っております。

稲見委員 国際基準で過去の平均賃金の四〇%というふうなことでございますが、この年次報告で、例えば二〇〇一年に報告をされた数字がどうなっているのか。特に、日本には一時金という制度が公務員も含めてございますので、一時金を含む平均賃金というふうなことで考えました場合に、この四〇%という数字がどういうふうに変化をするのか、その点についてもわかればお聞かせ願いたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどちょっと触れるだけで終わってしまいましたが、二〇〇一年の我が国の年次報告におきまして、この条約で示された前提条件による、と申しましても、必ずしも詳しくは示されていない部分もありますし、今ちょっと手元にその詳細の文書を持っておりませんが、その前提条件による報告とされているもので申し上げますと、我が国の老齢給付の水準は五四・六%であるという報告をILOに提出させていただいております。

稲見委員 御質問しました、一時金を含めたということで理解をしていいんですか。

渡辺政府参考人 恐れ入ります。

 その当時の報告書の基礎となっておりますところの給与の方の数字でございますが、三十万二千三百五十四円という数字でございますが、これはいわゆる平均標準報酬ということでやっております。当時はまだ、年金制度、健康保険制度通じて、総報酬制が導入される前でございますので。

 次回の報告は数年先になると思いますけれども、今は総報酬制の時代に入ってまいりましたので、これから見ていく場合には、私どもも、平均的な標準報酬というときには一時金、賞与、こういったものも広い意味で入ってくる、そういう報酬制度のもとでの社会保険でとらえられるものを参酌しながら、その時点で、将来のことでございますので、どういう前提条件を置けという話になるかはまだ私ども承知しておりませんけれども、我が国が総報酬制になっているという前提での作業になるのではないかと予想をしております。

稲見委員 それでは、もう一つ進めまして、諸外国における公務員の年金制度について、例えば民間とどういうふうに相違をしているのか、あるいは同一なのか、こういうことを中心に、どのような内容になっているかということを明らかにしていただきたいと思います。

 先ほども年金の発祥がドイツあるいはイギリスの産業革命というようなことですから、欧米、北欧ということで、例えばイギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、そして民主党も非常に興味を持っておりますスウェーデン、このあたりでどうかということを、わかりましたらお聞かせ願いたいと思います。

須田政府参考人 お尋ねの諸外国の地方公務員の年金制度でございますけれども、まずイギリスにおきましては、一階部分として全国民共通の基礎年金制度がございまして、その上で、二階部分として国家公務員年金、または地方公務員の場合ですと地方公務員年金に加入することになります。

 御指摘のように、ドイツやフランスではかなり共通した仕組みになっておりますが、いわゆる職域年金を中心として、職域年金はいわゆる縦割りになっておりますので。さらに、ドイツ、フランスでは公務員も、官吏としての公務員と非官吏としての公務員、二つに分けているということがございます。そうしたことから、これら両国におきましては、官吏につきましては基本的に官吏恩給制度、そして、非官吏につきましては一般被用者と同様の職員年金制度に加入することとなっております。

 アメリカでございますけれども、連邦制ということでちょっと特殊な事情があるかとは思いますけれども、州地方政府職員につきましては、団体単位で一般被用者と同様の制度に任意加入し、そうした場合に、二階部分としまして地方公務員の職域年金部分に加入するという形になっておると承知しております。

 また、スウェーデンにつきましては、基本的には全国民共通の国民老齢年金に加入することとなっていると承知しております。

 したがいまして、スウェーデンを除きますこれらの国々におきましては、公務員年金制度が民間事業者の方とすべて一本化されているという国は見当たらず、イギリスのように、共通な一階部分がある場合であっても、基本的に、公務員制度の性格を踏まえまして別個の制度になっているものと認識しております。

 なお、全国民共通の国民老齢年金が設けられているスウェーデンでございますけれども、この場合でも、さらにその上積みというか上乗せのような形のものとしまして、準公的年金の位置づけで職域別の協約年金の制度があると承知しております。

稲見委員 それぞれ、公務員の労働基本権の問題がヨーロッパとは相当差異があるにもかかわらず、年金制度についてはほぼ公務員独自の年金制度があるということだと思います。スウェーデン方式、民主党の対案は所得比例年金とそれから生活最低保障年金、こういうふうに考えておりますけれども、そこでも準公的な年金があるというのは私自身認識としては初めてお聞きをいたしました。

 それで、先ほど麻生大臣も少しお触れになりましたけれども、日本の公務員年金の場合、厚生年金には措置をされていないいわゆる職域相当部分、こういうものがございまして、麻生大臣も、これが批判的に指摘をされている場合があるというふうにおっしゃっておられました。

 この点について、職域相当部分をどのように認識しておられるのか。私、民間のことは余り詳しくないわけですが、厚生年金においては企業年金あるいは確定拠出年金というふうな別個の制度が存在をしているというふうにお聞きをするわけですけれども、これらとの関連性を含めてお答えをいただきたいと思います。

須田政府参考人 地方公務員共済年金は、基本的には公務員制度の一環としての性格を有しているということは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、その職域年金部分につきましても、地方公務員にさまざまな身分上の制約が課されていることなどを踏まえまして、公務の能率的運営に資するという観点から設けられたものと理解しております。

 したがいまして、いろいろ御指摘があるということにつきましては承知しておりますけれども、地方公務員共済年金の職域年金部分の存在をもちまして共済年金と厚生年金の優劣を論ずるということは必ずしも適当ではないのではないかと考えております。

 なお、民間におきます企業年金との関係でございますが、この職域年金部分は、民間におきまして企業年金が相当普及していることも考慮して創設されたものでございます。ただ、その水準ということに関して見ますと、企業年金の水準あるいは態様がさまざまであることもございまして、具体的な職域年金部分の水準につきまして、企業年金との比較により決定するという方法をとっているわけではございません。

稲見委員 年金の一元化ということを考えていく場合、非常にここが、いろいろ議論を深めていかなければならない問題が残るというふうに、私も民主党の国会議員ですから意識をいたしております。

 次に、一元化に少しかかわるわけですが、過去の公的年金制度の一元化というふうに考えますと、民営化、株式会社化されたということでのJRあるいはJT、またNTTというふうな旧公共企業体の共済から厚生年金への統合というふうな問題がございますし、直近では、農林漁業団体職員共済組合の厚生年金への統合といいますか、復帰といいますか、そういうものがございました。

 被用者年金制度にかかわる関係者が参加をした公的年金制度の一元化に関する懇談会というところで検討が行われてきたということでございましょうが、そこで、これらの経過を踏まえまして、加入者や受給者にとって一元化が極めて重大な問題であるというふうなことを考えますと、当事者の参加、意見反映が不可欠であるのではないか、こういうふうに考えております。その点、政府の認識を明らかにしていただきたいと思います。

山口副大臣 先ほども若干御議論いただいておりましたが、今先生も御指摘のとおり、旧国鉄の場合も農林年金の場合も、当然、関係者の皆さん方が入って御議論いただいてきたわけでございます。

 この公的年金制度の一元化の問題というのは、加入者、受給者にも大変大きな影響を及ぼす重大な問題でございますので、そのあり方の検討につきましては、各制度の関係者も当然のことであろうと思っておりますが、同時に、各界各層あるいは各党間における議論を踏まえて適切に検討されていかなければならないと思っております。

稲見委員 それでは、今までの質疑を踏まえまして、麻生総務大臣に御見解なりをお聞きしたいと思います。

 公務員共済年金制度につきましては、今までの私の質疑の中で、一つには、労働基本権が制約をされるとともに、さまざまな服務上の義務が課せられているなど、公務員制度の一環として措置をされているものであること。二つには、共済年金の職域相当部分については、給付構造上、民間の企業年金に対応するものであること。三つに、公務員の共済年金制度につきましては、国共済、地共済の財政単位の一元化がなりますと、将来においても安定的な財政、制度運営が図られるというものであること。四つに、共済組合制度は、年金、健康保険、福祉の一体的な事業運営が行われているということ。それから最後に、公的年金制度の一元化については、関係者による議論、検討に基づいて対応されるべきものであること。このような認識を申し上げ、また質疑を行ってまいりました。政府からの御答弁をいただきました。

 そこで、ここまでの質疑を通じて、改めて公務員共済年金制度の意義、そしてあり方について、総務大臣からの御認識をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、稲見先生おっしゃいましたように、一から五ございましたけれども、基本的に認識はほぼ同じであります。

 守秘義務に始まり、公務員というのは服務上のいろいろな規定、規制がありますので、公務に安心して専念ができるというのは非常に大事なところでありますし、その意味では、医療保険とか福祉とかいろいろございますけれども、そういったものを含めまして、自治労、労働組合も含めまして、関係者一同が一体的に運営がなされているということでもありますので、公務員制度の一環として極めて重要な制度なんだと、私どもとしても同じように認識いたしております。

 その上で、国共済、国家公務員共済との一元化の話につきましては、おっしゃるように、財政単位の一元化というのを今回盛り込んでおりますけれども、それによりまして、今回の成果というものが一緒になることによってより確実なものになる、私どもそう思って出しております。

 もう一つの、国民年金等を含む公的年金全体の一元化に関してのお話は、これは平成十三年の閣議決定というのを踏まえまして出てくるんですが、そのときでも、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め検討するとその当時に書いております。この点につきましては、今回の三党合意の中におきましても、衆議院と参議院のそれぞれの厚生労働委員会に年金の一元化問題を含む社会保障制度全般のあり方に関する小委員会を設置すると三党合意になされておりますし、また、与野党により、平成十六年度から年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しのための協議会を設置し検討するということに三党合意でもなされておるところでもあります。

 私どもとしては、この議論をよく拝聴させていただいて適切に対応していかねばならぬものと思っておりますが、基本的に言えば、今一から五に言われましたとおり、この地方共済年金というのは、公務員のいわゆる福祉とかいうものを含めまして、安心して働けるものに極めて大きな影響力があるものだと思っておりますので、大事にしておかねばならぬ問題だと理解をいたしております。

稲見委員 時間が参りましたので、質疑を終わります。

 ただ、今、年金制度全体に対する国民の不信感というのは頂点に達しているということから思いますと、この委員会での議論にとどまらず、やはり全体として、年金制度抜本改革に向けての与野党ともに努力が必要だ。そういう意味では、やはり現在の年金改革法案については一たん廃案にして、もう一度一から議論をすべきだということについては私の気持ちは変わらないということを最後に申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 民主党の高井です。引き続いて年金に関する質疑なので、どうぞよろしくお願いします。

 年金の問題は総務省にとりましては本業ではないと思いますし、省の方にきのうも来ていただいて、いろいろなヒアリングをする中で、この部分は年金の本体のことだから厚生省の方に聞いてほしいという、制度にかかわる部分はそういう回答が多うございました。なので、制度の改変に関して余り細かいことをお聞きしても、なかなか回答は得られないだろう、厚生省の方に聞いてくれという回答になるかと思いますので、むしろ、年金という問題の本質にかかわる問題、厚生省、総務省、それをまたがる部分はそれこそ政治家でないと答えられない部分がたくさんあると思いますので、ぜひとも、大臣初め副大臣、政治家の方々に前向きな回答をいただけたらと思いまして、きょうは質問に立たせていただきます。

 まず、率直に、今でもまだマスコミ等をにぎわしております年金未納問題について、どう思われますかということをお聞きしたいと思っています。つまり、いろいろな意見がございます。制度に問題がある、個人に問題がある、社会保険庁の事務手続が悪い、例えば市町村の手続が悪い、いろいろな御意見があると思いますが、大臣、副大臣はどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 国民年金の未納、未加入、二つ区別して言わぬと問題になると思いますが、未納と未加入の問題につきましては、これは年金制度に対する信頼というものを根幹から揺るがす大事なところでもありますので、これは非常に大きな問題でもあります。

 やはりわかりやすいというところはすごく大事なところで、これは、もともとできた生い立ち、いきさつ、いろいろその背景が全く違っておるところもありますので、そういった意味では、わかりやすいということを希望するというのがNHKは八四%だったかな、何かそういう数字も上がっておりましたので、最大の関心事は、納めやすい、わかりやすいというような状況につくっておくというのが一番肝要だ、私どもはそう思っております。

 払わないと思って払わなかったのじゃなくて、わからなかったからとか払ったつもりとかいうような、とにかく非常に複雑になっておるというところは、これは改正をされるべき余地があると思っております。

高井委員 副大臣はいかがお考えになりますでしょうか。御意見ありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

山口副大臣 今大臣の方からお話があったようなことなんだろうと思いますが、いろいろな理由が皆さん方おありになるわけなんです。

 実は私も、政務次官のときに、ある方が共済になるんだよというふうなお話がありまして、当時役場ですから、役場へ行って聞きますと、わからないというふうな話がありました。下手をしますと私もそういったことになっておった可能性はあるわけなんですが、ただ、余分に払っておいても後で返ってくるだろうということでお支払いをして、セーフだったというふうなことがあるわけです。

 先般も実は、社会保険庁のあり方も若干問題があるんじゃないかというふうなことで、総務省として行政評価を入れさせていただくというふうなことも今進めさせていただいておりますが、ともかくいろいろな理由があってこういうことになったんだろうと思うんです。

 いずれにしても、ただ、国民の皆さん方に大変な不信感、あるいはあきれ返ったといいますか、そういったことを引き起こしたということは事実でありますので、やはりそこら辺を踏まえて、しっかりと直すべきは直していく、反省すべきは反省をするということをやっていく必要があるんだろうと思っております。

高井委員 真摯で前向きな御答弁、ありがとうございました。

 実は私も、この間、共済にかかわる、年金にかかわる制度の勉強をするに当たって、非常にわかりにくい、ばらばらに本当になっていて。私自身も、厚生年金、国民年金三号被保険者、そして国民年金というふうに、ずっといろいろな職を変わる中で経過もあったりして、本当にわかりにくいな、早く一元化にならないかなと思いながら、いろいろな手続等をいたしました。

 今、思い違いや手続ミスの部分も多いだろうと思います。ただ、今回の未納、未加入問題は、やはりまじめに反省しなければならない問題だと思いますし、お聞きしたところによりますと、まだ与党内には、未納などは問題ないという発言をなさる方もいたり、公表する必要もないんだというふうなお考えの人もいるようですけれども、国政を負託されて、年金制度をつくって審議する側の人間として、やはりその感覚はおかしいと私は思っています。

 厳密に言うと、八六年以降、議員で入ってなければ法律違反ということですし、民間人であれば免除申請をしてなければ法律違反である、そういうことになるので、批判には当たらないとかいうお話はやはりおかしいだろうと私も思っています。

 そこで、もう一つ進みたいのは、制度に、またその制度を扱う省の側にやはり問題があるというのは、ある意味で明らかだろうというふうに思います。だからこそ、今、参議院に年金の法案が送られておりますけれども、本当にこの案でいいのか。

 私は、この年金制度の問題というのは、やはり本質的な問題点が二つあるだろうというふうに思っています。一つは、やはり制度自身が信頼できるものであるかどうか、保険料を払ったらちゃんと返ってくるのか、これに答えなければいけない。それから、これから払わなくてはいけない給付のうち、保険料収入では賄えない部分、債務超過の部分が、今、厚生年金で約四百五十兆、国共済、地共済合わせて約九十四兆というふうにお聞きしています。このいわゆる過去債務部分をどうするかという部分。この二つの本質的な部分をやはり議論して制度の組み立てをしなければいけないんじゃないかというふうに思っています。

 この二つの疑問に答えるような年金制度をつくるために、早くこの未納問題にけりをつけて、本当に信頼できる年金制度につくり直すことが必要であるというふうに考えておりますが、先ほど大臣も副大臣も御答弁ありましたけれども、本当に今の制度で信頼できるものであるとお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。むしろ大臣はこれから受け取る側に近いかもしれませんけれども、子供たち、孫たちのためにも、この制度で本当に信頼できるのか、政治家としての御意見をお聞かせ願いたいと思います。

麻生国務大臣 予定にない質問ですので。御質問の意味としては、この制度が信頼できるかと言われれば、今の制度に比べまして、少なくとも、できました昔は勤労者八人に対して受給者が一人という前提と、今は四人で一人、将来は二人で一人という状況のときに、四倍の比率になって昔どおりでいけるはずがないというのは、だれが考えたって当たり前の話だと思っております。したがいまして、何らかの形でそれを変えねばならぬということになろうと存じます。その意味では、今のに比べればよくなるということになろうと思っております。

 ただ、じゃ、これで完璧かと言われれば、合計特殊出生率が確かかといえば、それはなかなか難しいところだろうと存じますし、平均余命が薬が発達してさらに延びるということになるとまた変わりましょうし、また、物価はこのところずっとマイナスでデフレになっておりますけれども、これがずっと続く保証もございませんし、いろいろな意味で不確定な要素というものがかなり多い部分でありますので、完璧かと言われたら、完璧というのは神様以外とても言える話ではない、私自身はそう思っております。したがって、私どもも現行制度よりはよくなると思っております。

 ただ、先ほどどなたかの御質問にもありましたように、この問題に関しましては、一元化の問題を含めて、三号被保険者を含め、いろいろあります。三号被保険者のだんながかわるたびに切りかえていかないかぬということになろうと思いますが、離婚の翌日に仮に届けに行ったとして、翌日の夕方行きます、大抵、普通の人は翌日回しということになろうと思います。一日おくれることになりますが、それでもこの制度では一カ月未納という制度になっておりますから、一日も一カ月も同じ扱いということになると、昔はよかったのかもしれませんが、今はこの種の話になると、一日が一カ月扱いになるのはちょっとどうかなと、いろいろな細かいことが幾つもあろうと思います。

 私、三党合意というのができましたので、三党の中で協議会やら審議会やらがつくられるというふうに伺っておりますし、衆議院、参議院の中でも小委員会をつくられると伺っておりますので、そういったところでは、役人の発想じゃない、こういったのが現実だろうと。役人は基本的には共済年金しかやっておりませんから、そういった意味では、現実としてはなかなかわかりにくいところもいっぱいあろうと思いますので、それこそ議員として、しかるべき現実、現場の話をされ、それを含めたいろいろな形での修正というものが出されてもちっともおかしくないんであって、その方がより現実的になるのではないかというのが私どもの実感であります。

高井委員 まさに私も同じような問題意識を持っていまして、さっき大臣が言われた人口の問題、労働力人口が減っていく問題、被保険者数が減っていく問題等、このままの見通しで本当に大丈夫なのかという心配はまさに持っています。

 ただ、本会議でもいろいろ首相もおっしゃいましたし坂口大臣もおっしゃいましたけれども、百年の安心ができる制度だ、抜本改革だというお言葉を聞きました。でも、今の麻生大臣のお話からすると、いや、そうでもないなんという感じがしましたし、むしろそういう認識でおられるんじゃないかなというふうに今の御答弁を聞きました。

 これは大臣、ひとつ働きかけて、参議院の方で一回廃案にしまして、もう一回考え直しませんか。いかがですか。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

麻生国務大臣 これは私が提出している法案ではありませんので、なかなか御期待にこたえることはできないと思いますけれども、しかし、結果として、よりよい結果を生まないといけません。こんなのは単なる手段ですから。結果は国民が安心してというようなものをつくり上げるという不断の努力というのは今後とも必要だと思っております。

高井委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 この未納、未加入問題に一つけりをつけるためにも、きょうの新聞でも、年金追納ができるような制度をつくる、延滞料はつけて、保険料支払いをおくらせるほど負担が増す仕組みにして、ミスやいろいろな理由からたまたま入ってなかった人が追納できるような仕組みをつくろうというふうな案が、厚生労働省からも、自民党、公明党の話の中でも出たというニュースをお聞きしています。

 本当にこれは、前向きにこの未納問題に早くけりをつけて真剣に年金制度を議論する中で大事なことだと思っていまして、与党の中からもこういうお話が出たことは大変にいいというふうに私も考えています。

 だからこそ、この追納ができるとなれば皆さんも御自身の加入歴等を調べるでしょうし、いっそのこと、もう本当に未納問題、未加入問題にけりをつけるためにも、与党の皆さんもぱっと八六年以降の加入状況を公表して、追納するものは追納するというこの法案を一緒に本当に出したいと思いますが、また、そのような働きかけをしていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 次々に予定外の質問が出てくるので、こういうのに答えていると、常にあらかじめ質問を出さなければいけないというルールが無視されて、こっちにおられる理事の方々がおまえあのとき答えたじゃないかと延々と覚えている可能性がありますので、特別にという前提でお答えをさせていただきますが、基本的には、今言われましたように、私も、二年前までしかわからぬとかいうような話ではなくて、少なくとも六十一年までの話はきっちりつけておくというのは、それは正しいと思っております。その方がこの際すっきりしますから。何となく、私のように三十年払っても文句を言われたり、いろいろ今回の場合は人によってすごく差がある。

 言いたいことはいっぱいありますけれども、なかなか言いにくいところもまた正直なところなんですが、いずれにいたしましても、今回の場合、未加入と未納が一緒になったり、いろいろごちゃごちゃしていますが、少なくとも、六十年以前に未加入だった人はその分だけ取り分が少ないんだから別にそれは何ということはない話なんで、それは強制じゃなかったわけですから。

 だから、強制になりました六十一年以降の分についてはきっちり決着をつけ、それは議運で出たのかな、どこで出たんだか知りませんけれども、私ちょっと新聞は見ても読まないことにしていますので、内容をよく知らぬので大変恐縮ですけれども、今の案としては、一つの考え方として考えられるんじゃないかなとは存じますけれども、これから先の話は厚生労働委員会等々でなさるんだと思いますので、これ以上いかがなものかと思います。

高井委員 大臣、私は新人議員で、ルールというものを余りよくわかっていない部分もあります。ただ、質問取りに来て、質問を通告する、それ以外の質問をしちゃいけないなんというルールもないと思いますし、政治家としての御意見を伺っているので、正しい答えを聞いているんじゃないんですよ、御意見をお聞きしたい。これから前向きに制度をしていく中で、こうしてはどうですかと提案しながらお聞きしているんで、通告していないから答えられないという御意見をいただくならば、それは委員会での質疑がむしろ進まない、大臣らしくないというふうに思います。

麻生国務大臣 ルールはルールとして守っていただかないかぬところなんですが、その種の個人的見解を述べますと、おまえ、あのとき大臣としてこう言ったではないかと議事録だけが残るわけで、そうすると、何年かして中村さんあたりが出てきて、おまえ、こう言ったじゃないかと。大体社会党時代よくあった手口だったんですけれども、最近は、民主党になられてそういうことはなくなってきたのではないかと期待をしております。

高井委員 それでしたら、大臣のお答えできることは官僚の皆さんがつくった原稿を読むことしかできないというようなことであれば、質問として進んでいかないし、政治家として、いい制度をつくるために一緒にやっていこうじゃありませんか。ぜひとも議論をお願いいたします。

 さらに、では前向きな議論の方に進みたいと思っていますが、今回の未納問題のまたもう一つの面に、現行制度においては、国民年金の未納、未加入は結果的には個人の給付に減額となってはね返ってくるわけですし、つまり、それは共済年金や厚生年金の方にもそういうふうになるでしょうし、そのこと自体に大きな問題が存在する。

 一方で、制度としては賦課方式という財政運営方式をとっていることなので、被保険者がその分を、払っていない人の分を穴埋めしているという形になっておりますよね。特に国共済、地共済や厚生年金の加入者の方は、給与天引きであったりして納付率が高く、結果的には国民年金の未納、未加入がやはりちゃんと払っている人の方に、国共済、地共済等も含めて、しわ寄せが来るというふうに思っています。つまり、既にもう所得税を上回るぐらいの高い負担を加入者がしているわけですから、このような財政システムで本当にこれから先々成り行くのか。

 ちょうどきのうの新聞にも、国民年金の未納率は過去最高になっている、どんどんまだふえていく傾向にあると。一つその原因にも、やはりリストラや倒産や、国民年金を払いたくても払えないという人の声もあるだろうと思うんですね。だからこそ、制度を見直してちゃんとつくり直した方がいいんじゃないかというふうな議論が出てきているわけだと思うんです。

 そこでお聞きしたいのは、二〇〇〇年の国民年金法改正時に、附則二条で、給付水準及び財政方式を含めたあり方を幅広く検討し、二〇〇四年までに、安定した財源を確保し、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるということが書いてあります。このことは今国会の国民年金法本則においても、二〇〇四年から引き上げに着手し、二〇〇九年までに完了するというふうになっています。厚生労働省の側としても、二〇〇三年の十一月十七日に発表された案において、二〇〇四年度に完全に引き上げることが望ましいというふうにしたにもかかわらず、結果的にその約束は果たされず、先送り、五年間徐々に上げていこうということになりました。

 この附則が求めた幅広い検討の結果を、ある意味で政治の側が無視したというかほごにしたということになると思うんですが、これは本当にこのように許されてよいとお考えになりますか。これは通告してあるんで大丈夫だと思うんですが。

山口副大臣 通告をいただいておりますので、きちんとお答えをいたしたいと思います。

 確かに、御指摘のとおり、平成十二年の国民年金法改正、このときの附則に、「基礎年金については、給付水準及び財政方式を含めて」「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」というふうになっております。これはもう御指摘のとおりであります。

 これは、やはり当時の政治的な意思の表明ということで設けられたんだろうと思っておりますけれども、実は今般の改正で、平成十六年から年金課税の見直し、あるいは増収、大体約千六百億ぐらいを基礎年金の方に充当しながら、二〇〇五年、二〇〇六年、ある程度適切な水準に上げて、二〇〇七年度を目途に消費税を含む抜本的税制改正をやる、そして二〇〇九年度までに二分の一への引き上げを完了するというふうなことになっております。

 これもさまざまな状況があったというのはもう高井先生御案内のとおりでありますが、しかし、結果として、そういうふうな結論を得たということなんだろうなというふうなことでございます。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

高井委員 特に被用者年金の加入者側から見ると、やはりこの国民年金における未納、未加入に係る負担まで押しつけられているというような意識もあろうかと思います。これを放置したままで、未納、未加入をちゃんと徴収しないまま負担の軽減や抑制を先に送るような措置は、やはり加入者に説明しがたいと思うんですね、納得しがたいと。

 これがやはり公的年金に対する不信と不安をある意味で深刻化させるものとなると思うので、ぜひとも前向きに早く、国庫負担二分の一に上げるということを決めたならば進めていただきたいと思いますが、回答をいただけますか。

麻生国務大臣 今お話がありましたように、国民年金の未納、未加入の話に関しまして、厚生年金や共済年金の負担割合が押されてこっちにふえてきておるというのは、もう御指摘のとおりで、これは一千億とかいろいろ表現が言われているところでもあります。

 この問題につきましては、これは制度上というより運営上の問題もあるところでもあろうと思いますので、所管の厚生労働省というか社会保険庁というか、そこに対しましては、今後の取り組みについて解決が図られるべき問題だと私どもとしても思っておりますし、地共済としても、国民年金のPR等々は今後ともやっていかないかぬものだと思っております。

 他方で、基礎年金に対する公的負担の引き上げにつきましては、今般、いろいろ議論が行われて、二分の一への段階的引き上げという最終的結論に達したというもので理解をしております。五年前の改革で二〇〇四年だったと思いますので、それがさらに五年延びたみたいな形になっておるんだと思いますけれども、現段階におきましては、一つの到達点かなとは思っております。

 この点に関しましても、年金の収納率が上がるとか、平成十四年からどんどん下がっておる部分等々、いろいろ考えられてしかるべき問題もあろうかと思いますので、昨日も、経済財政諮問会議でもいろいろその点に関して社会保険庁に意見が集中しておりました。

 いずれにいたしましても、そういった問題を含めまして、約束事でもありますので、その方向で進めてまいるように努力をしていかねばならぬものだと思っております。

高井委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いします。

 一つ、先ほど先の見通しというお話が大臣の口からもございましたので、地共済としまして、これからの見通しといいますか、被保険者が減っていく中で保険料をいずれ上げていく方向になるんでしょうけれども、見通しの推計、また保険料が上がっていくだろうと思われるその上がり方のぐあいとか、やはりこれから組合員の皆さんに通知をしていかなければならないというふうに思います。

 先ほど西村議員の質問でもあったと思いますが、どのような形で通知をしたり、見通しを持っておられるのか、簡単にお答え願いたいと思うんです。

須田政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたけれども、地方公務員共済法の改正に関しましては、ポイント制というものは導入することは考えてございませんけれども、自分がどのような状況に置かれているかということに関しての情報というのが組合員の方にとっては非常に重要だということにつきましては重々承知しておりますので、こうした観点から、必要な情報につきましては早目に十分周知していきたいと思っております。

高井委員 やはり、保険料率がどれぐらい上がっていくのかということが一番組合員の皆さんにも心配なことであろうと思います。

 運用の件に関しましても、地共済の方は安定した運用をなさっているということで総務省の方からもお聞きしたんですけれども、そのような認識でよろしいでしょうか。

須田政府参考人 私どもも、御指摘のような形で、地共済年金につきましては、一定の保険料をこれからの財政再計算において決定いたしますけれども、そうした財政再計算におきましては、全体が安定的に長期的に運営できるということで考えておりますので、御指摘のとおりだと思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 では、ちょっと別の質問に移りたいと思いますが、多様な働き方に対応した制度の導入という目的は、地共済ももちろん例外ではないというふうに思っています。現在は常勤職員に限定した適用関係を構成しているというふうに聞いておりますが、まず、その適用の要件をお聞きしたいと思います。

須田政府参考人 現在の地共済法の適用範囲でございますけれども、これは地方公務員を基本的に対象としておりますが、この地方公務員というのは基本的にはかなり長期的かつ継続的な任用を前提としておりますものですから、原則常勤を対象としておりまして、非常勤の方などでも、常勤の方と同じように、例えば一年を超えて働いているような方、こういう方もあわせて対象としているものでございます。

高井委員 今の現状からすると、データによると、正規雇用よりもパート雇用、臨時雇用の方がどんどんふえている。現実的に今、民間の話なんですけれども、一般的に社会の中でフリーターもどんどんふえている状況の中で、やはり年金制度を正規職員のみにするということが現実の社会の中で合わなくなってきているというふうに思うんですね。

 だからこそ、働き方にかかわらず、広く社会保障、社会保険制度を適用すべきという社会的な要請があるというお言葉も何かの会議の中にもございましたし、現実的には、公務従事常勤職員限定主義として構成されている現行の概念が、むしろ特例的な任用制度の整備により形骸化しているという現状があるというふうにも思います。

 支え手の拡大という意味からも、ぜひとも共済組合制度の適用要件の見直しや拡充が必要であるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

須田政府参考人 地共済法の適用範囲でございますけれども、この点につきましては、基本的には、先ほど申し上げましたような形で、かなり長期的、継続的な任用というものを中心として全体として考えているところでございます。

 ただ、地共済法の適用を受けないような臨時あるいは非常勤職員の方でありましても、基本的には厚生年金法とか健康保険法の法律の対象になりますので、こうした厚生年金や健康保険の適用要件を満たせば、そちらの方で、それぞれの制度の被保険者となりまして、同種の民間労働者と同じような待遇が確保されるというものと考えております。

高井委員 適用要件の原則というのはよくわかるんですが、だから、その原則を超えてこれから拡大していかなければいけないんじゃないかというような意味で申し上げたわけなんですけれども、本当のところを言うと、これは政治判断として、これから正規職員以外にも拡大していく方向でやっていくのかどうか、むしろ政治家の方にお聞きしたいというふうに思います。

山口副大臣 先ほど来部長がお答えをしましたように、原則というのは、やはり公務員という特殊な仕事というんですか立場というので、極力長期安定的にやっていただきたいというふうなことがあるわけなんですが、しかし、確かに先生御指摘のとおり、さまざまな社会的状況の変化というか、例えば、さまざまな地方行革の中で、アウトソーシングをしてみたり、いろいろなことを皆さん方考えておられるわけでありますので、そういった状況も見ながら今後検討もしてみたいというふうに思っております。

高井委員 今回の年金の改正では、女性と年金の問題も、ある意味でちゃんとした形で解決するような法案ではございませんでした。離婚した場合も分割して払われるというふうなことが書き込まれておりますし、地共済としても、女性と年金の問題、臨時雇用者に適用するかの問題というのも本体の法案に即した形で改正されているというふうに考えています。

 ただ、私は、これから政治家として、本当に少子化という問題、人口減少という問題に生涯かけて取り組んでいきたいと思いますし、まだこれから子供を産みたいと思っている人間としても、やはり働きながら子供を産める状況、例えば、臨時であってもある意味で安定した保険適用や年金適用が受けられるというふうな制度の整備をぜひともしていただきたい、そういう思いがございます。このたび、三歳まで、育児休業のときに関しては減額をしないというふうな形で書き込まれていますけれども、ぜひとも、これからももっともっとこの分野において前向きに進めていただきたいなというふうに思っています。

 そろそろもうちょっとで時間が来ますので、最後に一つ、全然別のことなんですが、質問をしたいというふうに考えています。

 大臣が未納の時期を発表されたときに、以前には厚生年金に加入しておられたですよね、大臣になられてから、厚生年金から変わったから国民年金に未加入だったということなんですけれども、そもそもなぜ厚生年金か。

 政治家で、小泉首相もそうだったようですが、厚生年金に入っていた。不動産会社でしたか、小泉首相は入っておられた。社員だったにもかかわらず、つまりは、勤務実態がないにもかかわらず会社に所属し、厚生年金に入っていたというのは、ある意味でおかしいのではないかというふうに思うんですが、また、経営者としては、勤務実態がなくても別に会社に所属というのはおかしくないだろうというふうに思います。

 そこで、なぜ大臣は厚生年金に入っておられたのか、教えていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 長いこと家業をやっておりましたので、代表権を持っております会社の社長というのはそんな簡単にちょろちょろかわる話でもありませんし、また法律違反でもありませんし、そういった意味では、私どもとしては、全体のグループの中での厚生年金というのに入っておったということであります。

高井委員 実際に、政治家でありながら会社も経営されている方というのはたくさんおられるだろうと思いますが、それが本当に兼業していいのか。特に、私企業の場合は、企業というのはやはり利益を追求するものですので、もちろん我が田に水を引くようなことは大臣はなさらないだろうとは思っていますが、いろいろなそういう問題も生じる可能性もありますし、また、むしろ厚生年金ではなくて、例えば政治家はみんな国共済に入るとか、そういうふうに制度を変えた方がすっとわかりやすいんじゃないかというふうに思います。

 国民年金がどんどん空洞化する中で、やはり厚生年金の方が給付率がいいとか、半分企業が負担する、そういう理由から厚生年金に入られているというのではないですよね。

麻生国務大臣 まず最初の国家公務員共済の方がいいんじゃないかという御意見ですけれども、全員永久に落ちないという保証がよほどおありにならない限りは、落ちられたらどうされるんですかということを考えぬといかぬと思うんですね。落ちない人ならいいですよ。落選しないという人ならいい。落選したらまたということになりますと話が込み入りますから。国家公務員共済に入ったらどうかというのは、入られる側の国家公務員の方にしてみれば、ずっと国会議員やっているという保証もない人に入られたって迷惑ですよということに、またぶつぶつ切れることにもなりかねぬと思いますので、国民年金の方がまだ国家公務員共済よりはよろしいのではないかというのが一点。

 それから、国会議員というのは特別職国家公務員ということになっておりますが、これは行政職じゃありませんから。立法院におりますので、その意味では基本的に違うのではないかという感じがいたしております。

 いずれにしても、厚生年金とか国民年金とか共済年金ではどれが一番率がいいなどというのは余り私の詳しいところではありませんし、正直言って、私自身余り関心もなかったところですので、その手のことはよくわかりませんけれども、基本的にはこの種の話というのは、少なくともわかりにくいというところと、保険の方は共済年金に入るけれども年金の方は違うんだということも、ちょっと正直、保険が来れば年金も一緒のものかと思っておったのがそもそもの私の間違いを犯したところでもありますので、そういった意味では、それぞれお考えがあろうかと思いますので、いろいろな御議論をいただければよろしいのではないかと存じます。

高井委員 最初の議論に戻るかもしれませんが、本当にこの制度はわかりにくい。

 国共済に入っていて落ちられたら困るというお話もありましたけれども、民間の会社の方は、例えば、自分の所属していた会社がつぶれたりとかすればもういや応なしに厚生年金でなくなってしまう、リストラに遭ってしまったらいや応なく脱退しなくてはいけない。だからこそ地共済、国共済、また公務員に対するバッシングが起きているんじゃないかというふうに思います。というのは、失業がない、長期働ける。かなりマスコミとしておもしろおかしく取り上げられている部分が多々あると思うんですけれども、やはり、特に公務員は特別だということで、皆さんからねたみを受けている部分も多いだろうというふうに思います。

 だからこそ、このわかりにくい制度をやめて一元化して、みんなが掛けた分だけ払える、本当に制度が長もちする、信頼できるものにしようじゃないかという議論が多分この間の三党合意であったんでしょうし、これから年金の小委員会等で議論されていく方向であろうというふうに思っています。

 今までそんなに関心がなくて調べていないというふうに大臣はおっしゃいましたけれども、年金の問題は働く者にとって、また職を失った者にとっても本当に大事な大事なセーフティーネットでありますから、ぜひとも関心を持ってお考えいただきたいと思います。そのことだけ最後にお願いをして、質問を終わらせていただきます。

佐田委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 もう毎回毎回私はこういうことを言うのは嫌なんですけれども、自民党の議員の出席率が非常に悪過ぎると思います。私たち野党の出席でやっと定足数が足りている。こんなことが許されていいんでしょうか。いや、もちろん与党と言っていませんよ。僕は自民党と言っているわけで、公明党の皆さんはちゃんとフルメンバーでいらっしゃるわけです。だから、連立与党であるのならば、こういった公明党の皆さんの真摯な姿勢も見習って、ちゃんと出席をしてください。筆頭理事もさっきいらっしゃいませんでしたけれども、今はいらっしゃいますから御指導をよろしくお願いいたします。

 それでは、私は、本日、質問通告に従いまして、第一にみなし掛金建て方式の可否、第二に一元化、第三にマクロ経済スライド、第四に職域加算、第五にモデル年金、第六にその他、六項目の質問をさせていただきたいと思います。時間の都合で項目の前後を入れかえることがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 まず、みなし掛金建て方式の可否について伺います。

 私たちの世代のように親が既に年金を受け取っているような世代、そういう世代にとっては、スウェーデンでなされているような、賦課方式でかつ掛金建てという、いわゆるみなし掛金建ての方式がいいと考えますが、総務大臣のお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 公的年金制度のあり方というのは、これはもう先生御存じのように、先進国の中でも実にさまざまでありまして、そういった意味では、スウェーデンの話が今出されておりますのと民主党案と、類似したところがあるのはよく存じております。

 これは、社会的な状況とか、高齢化率が違ってみたり、社会保障制度というものに対する位置づけが高負担、高賦課ということにもなろうかと思いますので、直ちに採用するというのはいかがなものかと思いますが、いずれにいたしましても、この年金のあり方につきましては、今、できた当時とは合計特殊出生率も変わりましたし、平均余命もかなり変わったし、相続税の話にしても、昔は六十歳ぐらいで受け取る方が三十代だったんですけれども、今は受け取る方が六十歳なんというので、もう退職しちゃった後にいきなり受け取ってどうやって払うんだという話もあります。いろいろな意味で考えないかぬことが実はいっぱいあると思いますので、この種の問題については総合的に検討されてしかるべき問題だと思っております。

中村(哲)委員 総合的に考えていかなくちゃいけない問題なんですが、我が国の今の人口構成の状況、またこれからの変動を考えないといけないと思うんですね。

 私は一九七一年生まれでして、いわゆる団塊の世代ジュニアに当たります。つまり私たちの世代というのは、この国始まって以来、団塊の世代という親の世代を社会保障で支えていく側なんですね。さらに言えば、私たちの子供の世代が団塊の世代のジュニアの世代というふうに、また団塊ができるのかといったら、それは現実的にあり得ない。

 私の妻の母は、私の妻の年でもう三人の子供を産み終わっていたと言っています。しかし、私の妻は今子供はいません。私自身のきょうだいは、上に二人いますけれども、二人とも子供は一人ずつです。そういった意味で、私たちの世代の実感としては、自分たちの子供の世代が多子になるというのはなかなか考えられないんです(発言する者あり)いや、頑張れという不規則発言もありましたけれどもね。

 私たち地方から出ている人間にとったら、地方にもう同級生はほとんど残っていないんですよね。高学歴で頑張った人間ほど東京に出ていく。東京周辺では、私も官僚の皆さんと事前にお話しさせていただいていてお互い愚痴をこぼしていたんですけれども、大きな家に住めないじゃないですか。こういう社会が豊かになって個室化しているときには、四LDKぐらいないと二人目、三人目とか持てない。そういった中で頑張れと言われても、なかなか難しい。

 また、女性の社会進出が進んでいる中で、職業を続けながら子供を育てるのはめちゃくちゃ大変なことです。私の姉も医者をやっていますけれども、正直、両親の支えがなかったら子供なんか育てていけません。

 官僚の皆さんなんか大変だと思いますよ。全国から優秀な人たちが東京に集まってきていて、自分の親には面倒を見てもらえない。その中で相手を見つけようと思っても、なかなか相手が見つからない。そういった若い世代に特有の問題というのがあるわけですよね。そういった問題に向かい合っていかないといけないんですよ。

 そういったときに、私は、私たちの世代、団塊の世代ジュニアというのは、非常に大きな責任があると思っているんです。私たちの世代以降の世代は、常に自分たちより多くの人たちを養っていかなくちゃいけない世代に確実になるんです。私たちでこぶは終わりで、これから人口はずっと下がっていくだろう、実感としてわかっている世代ですから、社会保障のあり方というのは、特に年金のあり方というのは、私たちの世代できちんと議論をしていかないといけない、私たちの世代の議員がきちんと国会で議論をしていかないといけない、そういう思いでいるわけです。実は、高井委員とも私は同い年なんですね。だから、そういった認識で皆さんに答えていただきたいし、議論をしていただきたいと思うんです。

 私たちの世代の実感として、みなし掛金建ての方式がなぜいいのかということになると、給付と負担の関係がはっきりするんですね。毎年毎年払った分の保険料、それのみなし保険料資産というのを計算するわけです。そして、そのみなし保険料資産の計算というのはみなし運用利回りというのを設定してやるわけですね。毎年毎年そのみなし運用利回りは何%にするのか、それもきちんとルールを決めていけば、ああ自分たちが払ったものがこういう形で運用されたことになっている、そうすると、自分が六十五なり七十五になったときに、今自分が持っているみなし保険料資産というのはこれだけあるから、それでは平均余命があとこれだけあるから一年間の年金はこれだけだと、給付と負担の関係が非常にはっきりするんです。

 私は、何も積み立て方式でやれと言っているわけじゃないんですよ。賦課方式でやることに非常に意味があると思っているんです。二重の負担の問題を考えれば、積み立て方式というのは私もあり得ないということも十分理解しながら、このみなし掛金建てという方式を今御提案させていただいているわけでございます。

 だから、これから総合的に考えるという今の大臣の答弁ありましたけれども、積極的に、今この国の置かれている状況、これから人口が減っていいく状況、若者は無業化が進んでいます。そういった中で、どういった方式であれば安心して若者が払っていこう、前の世代をきちんと支えていこうと思えるかどうかなんです。受け取る側の皆さんはどんな方式だっていいんですよ。しかし、私たちの世代がもうみんな払わないと言って払わなければ、賦課方式でやっていけないわけですから。だから、若い世代が納得できる方式をみんなで考えないといけないんです。その点を伺いたいんです。

 諸外国の例、諸外国の状況、いろいろあるでしょう。でも、日本の固有の今の状況、それを踏まえて大臣に御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、私の話、総務省の話かと言われたら、ちょっと違うんじゃないかと思うんですね。したがって、厚生省の領分だと思いますのでうかつなことは言えぬと思って、詳しいことは厚生省からも来ていますので聞いていただいたらいいんだと思うんです。

 今のはみなしの話ですよね、ずっと掛金が上がっていく、この上の部分だけをやるという話なんだと思うので。これはスウェーデンと同じものなんですが。その一番のもとのところの保険料の拠出額とみなしの運用益というところの話で、私、制度としては決して悪くないと思いますよ、はっきり言いますけれども。

 ただ、段階的に保険料を引き上げていく今の状況じゃなくて、ある程度の保険料水準に到達してからでないと、その段階で検討しないと、今上げていく段階でどうかなと。これは人様の領分のことなので、余り詳しくないのに偉そうなことを言うわけにはいかぬけれども、今、少しずつ少しずつ上がっていく段階でうまくいくかねというちょっと正直な感じが私はしますが、詳しくは厚生省の方にお願いします。

竹本大臣政務官 大臣のお答えになったとおりなんですが、厚生労働省として少し補足をさせていただきたいと思います。

 先生おっしゃるとおり、スウェーデンのやり方は賦課方式、世代間扶養を概念上前提としまして、そして拠出した額の保険料、これを賃金上昇率に合わせて運用している、そういう前提に立っておるわけです。そういう意味ではわかりやすいわけでありまして、自分のお金がどのぐらいになっているか、確かにわかりやすいんです。

 では、いいじゃないか、日本でそれを採用したらどうかというお話でございますが、問題が幾つかあります。一つは、今麻生大臣言っておられましたけれども、今我が国の保険料は段階的に引き上げていこうとしております。今一三・五八、これを一八・三〇まで段階的に上げていくわけであります。今の時点でこの保険料率のまま導入いたしますと、給付水準が大幅に低下する可能性がある、これが一つ。それからもう一つは、実は所得再分配機能が公的年金制度にあるわけであります。厚生年金あるいは共済年金、こういうのがあるわけでございますが、今のやり方ですと、この所得再配分がうまく機能しない可能性がある。

 こういった意味で、即採用というのはなかなか難しいですが、なおいろいろ総合的な見地から検討はしていかなきゃならないものだと思っております。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

中村(哲)委員 官僚がつくられた作文をそのままお読みになっているような気がいたします。これからどういうふうな方向に政治家として持っていきたいのかというような、魂を込めたお話をいただきたいんですね。

 きょう、総務省が提出している資料、「地共済の給付現価と財源構成」、そういうペーパーを皆さんにお配りさせていただいていますけれども、先ほど公務員部長が西村智奈美委員の答弁でもしておりましたように、この部分というのは必ずしも今実際に穴があいているというわけではないんですけれども、積み立て方式でしたときにこういうふうな穴があいている計算になる、そういうふうな図であります。

 実際これだけ、六十八・七兆円分、地共済の方でも積み立て方式だと穴があいているわけですよ。だから、それを急に埋めないといけないということで今保険料率をずっと上げていっているわけですよね。まさに若い世代、将来の世代が、残した負担を埋めていかないといけない、そういう状況にあるわけです。そういう状況にある中だからこそ、負担と給付をはっきりさせるような方式、みなし掛金建てという方式を導入しないといけないんじゃないですかということを言っているわけです。

 このみなし掛金建て方式というのは、必ずしも今回の民主党案に限らないんですよ。私、民主党案を外して今議論させていただいています。地共済のこのスキーム等を仮にとるとしても、みなし掛金建てという方式を地共済で導入すればいいんじゃないか、私はそういうふうに主張させていただいているわけでございます。だから、そういうふうに皆さんには問題意識を持っていただいて、これからも御答弁に当たっていただきたいと思います。

 時間もありませんので、第二の項目に移ります。一元化についてです。

 まず、地共済と国共済との一元化の前に、政治家と地共済との関係について少し議論をさせていただきたいと思います。

 地方公務員共済年金、地共済には、市町村長や知事などの特別職も被保険者になると聞いております。それであるのならば、国共済と地共済の一元化の前に、同じ特別職である地方議員も入れるようにすべきじゃないか。つまり、地方議員互助年金との一元化を考えるべきでないかと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 一つの御意見だと思いますが、あくまでもこれは互助年金というぐあいに考えられた方がよろしい。議員の場合ですよ。議員の場合、互助年金と考えられた方がよろしいんだと思います。

 これは、地方議員でいる在職年数がいわゆる他の被用者年金制度の期間と通算されないというところ、十二年したらやめちゃうとか、片方は三十年いるとかいうことになりますので、そういった意味とか、また重複の適用が認められていることなんかいろいろありますので、公的年金制度とは、御存じのように地方共済の場合は重複はできませんので、そういった意味ではかなりな部分違っているという感じがします。根本的なところが違っていますので、直ちに一元化というわけにはなかなかいかぬのじゃないかなというのが率直なところです。

 いずれにいたしましても、この議員の話というのは、地方議員のところの問題はやはり互助年金というところが一番の違いかなという感じがいたします。

中村(哲)委員 互助年金という考え方であっても、ある意味、地共済自身が互助年金の意味合いもあるわけじゃないですか、公的年金なんですけれども。だって、公務員だけで年金制度を完結させるわけですから。だから、程度の差は違いがあるかもしれませんけれども、すべてそういうふうにやっているわけではないんですよ。そこは認識していただきたいと思います。

 第二の質問に移りますが、国共済の質疑の際、中塚委員の質疑の議事録を見ると、答弁では、三党合意もあって、民間出身の大臣も国共済の被保険者となれるように政令を改正する、そういうふうに触れられておりました。しかし、当たり前のことかもしれませんけれども、国会議員出身の大臣については触れられていません。何で国会議員だけ特別なのか。

 大臣も未納の期間がおありになりましたけれども、民間出身の大臣はよくて国会議員出身の大臣はだめだということに私はならないと思うんですよ。まさに大臣もそういう制度があったら未納期間はなかったわけですから、そういった意味で、国会議員出身の大臣、副大臣、政務官も国共済、年金に入れるように私は法律を改正すべきだと思うんですけれども、それについていかがでしょうか。これは財務省にお伺いいたします。

七条大臣政務官 国共済の方につきましては私どもの方の所管でございますから、財務省としてお答えをさせていただきます。

 確かに、今先生が言われましたように、三党合意の中で、民間の大臣について国共済の年金制度に加入をする、これは一つの考え方として非常に前向きで、そうでなければならないと思っておる一人であります。当然、兼業禁止になるという、いわゆる大臣規範の中に書いてあることを含めますと、企業年金に入っておられた民間の方々がそれをおりて一段階だけの国民年金だけで、こういうことになれば不合理が起こってくることも出てまいりますから、これはこの国会中に何とか政令改正をしていく方向だと思っております。

 ただ、それが次の段階に入ったときにどうなるか。私たちのような国会議員あるいは大臣も含めて、国会議員がこれと同じようなことをしていくということになってきたときには、先ほど来から問題が出てきております国会議員の互助年金をどうするのか。この互助年金という問題について、これに賛成か反対かということについては国会内の御論議をいただかなければならないということでありますし、当然、私はそこでコメントすることができませんが、もしこの互助年金がないという場合とあるという場合では答えが変わってくるのではないか。

 そういうふうなことを含めますと、今の制度のままでは引き続きこういう取り扱いを行うことが適正であると私たちは考えております。

中村(哲)委員 だから私は、この際、国会議員互助年金も廃止して、国共済に国会議員も入れるようにすべきじゃないかと考えております。

 今、御存じのように、国会議員の互助年金は在職期間十年以下の人たちは支給されません。一時金として八割返ってくるだけです。退職金の規定もあるのに退職金ももらえない。そして、掛金は八割返ってくるだけということになります。さらに言えば、三年未満の在職期間の方たちは掛金も返ってこない。退職金もないし、掛金も返ってこない。国会法で定められている退職金をもらえない上にです。そういうことを考えれば、国会議員も国共済に入れる方が妥当なんじゃないか、私はそのように考えます。

 政治家の判断、政治家の議論として、麻生大臣に、この件についてどのようにお考えになっているのか私は答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは中村先生、吉田内閣のときに、国会法で、議員はとにかく退職金は受けることができるということになっておるんですよ、昭和二十二、三年にできた法律だと思いますけれども。ところが、御存じのように退職金はない。そこで、昭和三十三年に国会議員互助年金法というのが議員立法で成立したという経緯なんです。

 それによって今日いろいろな条件がずっと出てきたというのが経緯でもありますので、総務委員会、総務省所管として、単なる互助年金の支給関係事務だけやっておる私らにとって、おまえ、もともとからどうにかしろと言われても、ちょっとそれはなかなか、これは議員立法でもありますので、国会で討論していただくより手がないんだ、私はそう思います。

中村(哲)委員 我が国は議院内閣制をとっております。だから、私が麻生大臣に伺っているのは、総務大臣としてだけで伺っているわけじゃないんですよ。やはり国務大臣として、閣僚、キャビネットの一員として、本当に我が国の最高意思決定に当たられているお一人としてお聞きしているわけです。もちろん、与党自民党の中でも非常に大きな力を持っている政治家ということも認識させていただいているところでございます。政策決定にずっと主要なところでかかわられてきた、そういった政治家として麻生大臣に伺っているわけです。

 議院内閣制における議会の質疑というのは、そういう意味があるんですよね。皆さんは都合のいいときだけ、いや、私は総務省の大臣なので所管のことしか答えませんとおっしゃいますけれども、それだったら、何で政府と与党の事前審査もあるのか、そういう話になってくるわけです。

 まさに、そういった意味で、議院内閣制、そして日本の政治風土を考えれば、麻生大臣というのは非常に力を持っていらっしゃるわけですよ。だから、こういったことで議論をさせていただきたいし、これから仮に総務大臣を離れられて次は総理になられるかもしれません、そういったときにお考えになっていただきたいということでございます。だから、そこをやはり大臣としては、いや、おれは政治家だからこう答えてやろう、そういう意気込みで答えていただきたいと私は思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 この種の話に乗せられてひっかかっていった人が、子供のときから政治の世界をかいま見てきましたので、難しい質問にはなかなか簡単には答えられないところなんですが。

 議院内閣制というのはもう中村先生おっしゃるとおりなんですが、御存じのように、先ほど高井先生だったか、議論しましょうと言うけれども、ここは議論はできない。ここは質問しかできない。それに対して答えなきゃいけない。私の方から、高井先生、じゃ伺いますけれどもと言わないとこれは議論になりませんが、それは認めてもらえないわけですから。何か党首討論なんて書いているけれども、英語ではあれはクエスチョンタイム。おかしいでしょうが。ディベートタイムと言ってもらわないと、英語ができないんじゃないかと。青森県出身の人が決めたからああなったのかなといってこの間からかったら、ほかの青森の英語のできる人からえらい勢いで怒られましたけれども。

 基本的には、私どもとしては、議院内閣制としていろいろするというのは、中村さん、正しいですよ、した方がいい。ただ、それをすると、ほかの役所のところになってくると、これはなかなか難しいから一杯酒を飲みながらすると言うと、またかなり不謹慎な意味にとられてもかなわぬし、率直なところ、いろいろな話をさせていただいた方がいいなというのは私どもも思いますけれども、なかなかそこが規約があって難しいというところだと存じます。

中村(哲)委員 端的に意気込みだけ聞かせていただければ結構だったんですけれども、大臣も問題点を認識なさったということで、検討していただきたいと思います。

 それで、国共済との一元化について伺います。

 私は、時間の都合もあって、この制度について組合員との関係も聞きたかったんですが、それは聞きません。地共済の組合員にこの制度の必要性を言ってもなかなか伝わらないと思うんですね。

 これは、財務省が出していただいた資料を皆さんに配らせていただいております。「平均保険料率」、そういうふうな表ですけれども、見てもらったらわかりますけれども、地共済の組合員は、一三・〇三%で済んだのが一三・三三%になるわけですね。国共済の人たちは、一四・三八%が一三・三三%に引き下げられるわけです。地共済の組合員の方が多いから、少ない国共済の人たちと比べたら、〇・三%上げたら国共済の人たちは一・〇五%引き下げることができる、そういうことになっているわけなんですけれども、何で自分たちがこんな負担を背負わなくちゃいけないのかと。

 恐らく旧自治省、総務省の人たちが地方に出向されたときに、国家公務員だけいい目しているじゃないかと、多分、総務省出身の地方に派遣された、出向された人たちは、部下からか上司からかわかりませんけれども、結構ねちねちと嫌みを言われるんじゃないかな。もちろん、そのときは出向された方も地方公務員になっていらっしゃるから、そんな話は出てこないのかもしれませんけれども。まあ余談になりましたが、組合員にはなかなかこの必要性は理解されないと思います。そこは余り議論しても仕方がないのでしませんが。

 それと、もう一つ問題になってくるのが地方自治体の財政に与える問題です。

 つまり、地方自治体は、大臣の目から見てわずかかもしれませんが、こうやって保険料が上がるわけですよね。そうすると、上がった分だけ、使用者側の責任として、保険料折半ですから、支払う保険料が上がるわけです、ふえるわけです。そうすると、必然的に地方公共団体の財政に与える影響というのは大きくなるわけです。ここの財源措置がとられているのか、総務大臣と財務省に伺います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、先ほど来中村先生御指摘のとおり、地共済の方がいいんですね。ただ、年金の一元化の場合は、旧国鉄の場合もそうだったんですけれども、常にそういう問題をはらんでおります。

 しかし、地共済の場合も、町村合併等々によってどうしても人数が減っていくだろうというふうなさまざまな流れの中で、やはりここはひとつしっかりしたものをつくろうということで私は御理解をいただいておると思うんですが、確かに、今お話しのとおり折半ですから、当然地方財政に影響を及ぼすというふうなこともございますので、そこら辺は地方財政計画の中でしっかり見させていただいて、交付税措置ということでやらせていただきます。

中村(哲)委員 つまり、交付税で面倒を見る、そういうお話だと思います。

 財務省、御答弁いただかなかったので、そういうことだと思うんですけれども、答弁されますか。

七条大臣政務官 同じ答弁になってしまうかもしれませんけれども、当然、一元化をしていくということで、今、国家公務員といわゆる地方公務員の場合は多少負担率が違います。ですから、地方の方が一緒に合わせてくると高くなるということは先生さっき言われたとおりでございますが、当然、これらは地財計画の中でやらなければならない。その地財計画の中で運営するというのは、国家から充てていく資本の中でも含めて考えなければならないということでございますから、同じ答弁になりますが、よろしゅうございますか。

中村(哲)委員 納得いたしました。決して地方いじめにならないように配慮していただきたいと思います。

 時間の都合で、第三項目の前に第四項目、職域加算部分について伺います。

 先日の財務金融委員会の質疑、平成十六年五月十四日の中塚委員の質問に対する財務大臣の答弁がありました。同じことは地共済にも言えます。職域加算部分は、厚生年金に置きかえて考えれば、三階建て部分の厚生年金基金に相当する部分だと概念的には考えられます。

 そうしたときに、財務金融委員会でも触れられていた点ですけれども、一三・〇三のうちの職域加算部分の保険料に相当する部分の半分は税金なわけですよね。そこの根拠は何なのかというところについては、財金では時間切れで聞けていなかったわけです。ここがまさに今週刊誌で公務員の職域加算部分がおかしいんじゃないかと言われている根拠にもなり得る部分だと思うんですね。

 私も事前に官僚の皆さんとお話しさせていただいて、いや、職域加算部分についてはいろいろありまして、ちゃんと私たちは保険料を払っているんですよ、その部分でやっていることですから、責められることはないと思うんですけれどもという話はあったんです。私もそのとおりかなと思ったんですけれども、よく考えてみれば、職域加算部分の保険料の半分は使用者が負担する税金になっているわけですから、ここについてはやはりはっきりした理由が必要だと思うんです。大臣、いかがでしょうか。

山口副大臣 この件につきましては、先ほど稲見先生の御質問にも若干そういった御趣旨のお話があったわけなんですが、この職域部分というのは、実は、公的年金制度という考え方と、もう一つ公務員制度の一環として私どもとらえております。

 特に公務員というのは、もう御案内のとおり、さまざまに制限があります。あるいは、退職してからも一生つきまとう守秘義務等々、これはいろいろあるわけですので、やはり労働基本権との絡み等々も考えてこうした制度を共済年金の中に設けさせていただいておりますけれども、当然、公的年金制度の一部なので労使折半というふうなことで、国の方も半分、地方公共団体につきましても、もうこれもお話のとおり、地方公共団体の事業主というふうな性格に基づいて負担をしておるということであります。

中村(哲)委員 つまり、職域加算部分の半分は税金だ、これは公務員制度の特殊性だということなんですよね。だから、公務員制度改革が今なされていますけれども、そことの並びで議論していかないといけない、そういうことで確認をさせていただきたいと思いますけれども、まさに国民の目から見て公務員が特権階級になっている、そういうことにたえられるような公務員制度改革をこれから政治家同士でやっていかないといけない、議論をしていかないといけない、そういうことなんです。

 関連して、それでは次に、在職期間二十年を境にして、職域部分が半額か全額かと分かれるわけですよね。これもなかなか筋が通っていないんじゃないか、意味がわからないんじゃないかと私は思っているんですが、なぜ二十年までの人だったら半額しかもらえなくて、二十年以上の人だったら全額もらえるんですか。そこの合理的な理由は何なんでしょうか。

山口副大臣 地共済の制度というのは、先ほども申し上げましたけれども、公務員制度の一環として、まさに公共的利益のために行政を公正かつ能率的に、そうした職責を有しておりますので、長期間さまざまな服務上の制約のもとで勤務をする公務員の退職後の所得を保障する、安心をして公務を遂行してもらうということでやっておるわけなんです。

 今御指摘の職域年金相当部分につきましても、このような公務員制度の一環というふうなことで設けられた趣旨から、これも先ほど若干御議論がありましたけれども、実は長期間勤務をして退職をした者を中心に考えさせていただいております。結果として、組合員の期間が二十年以上である者と二十年未満である者については給付の差をつけさせていただいておるというふうなことでございます。

中村(哲)委員 その差が合理的な範囲内なのかどうかということなんです。それをもっと考えないといけない。

 それから、今おっしゃったような理由であるならば、公務員をやめて民間企業に勤めることは許されませんよ、その理由だったら。しかし、現実的には民間企業に勤めているし、そして民間の公益法人にも勤めているじゃないですか。そっちは許されて、理屈が合わないじゃないですか。それは公務員制度の制度改革のときに議論するんです、全部そういうふうに逃げていますけれども、つじつまが合わないんですよ。

 そこに対してどういうふうにこれから政治家は考えていくのか。これは官僚に任せていたら丸め込まれますよ、大臣、また政務官。そういった議論をぜひ与党内でしていただきたいんです。そして、あるべき公務員制度改革というのはどういうものなのか、もう一度しっかり議論していただきたい、私はそのように思います。

 戻りまして、第三項目のマクロ経済スライドについて伺います。

 私も、なぜ厚生年金と同じスライド方式をとるのかな、地共済では地共済の独自のスライド方式をしてもいいじゃないか、そのように事前に事務方とお話しさせていただきました。そうすると、いや、これは厚生年金と給付水準を合わせるために仕方がないんです、だから一緒にさせていただくんですと。私としてはわかったようなわからぬような、そういうお答えでした。

 マクロ経済スライドは何が問題かというと、過去賃金の読みかえ率は今まで手取り賃金の上昇率だけだったわけです。そこに、調整期間、特例期間に限って人口要因変化率を加えるということなんです。人口要因変化率というのは何かというと、公的年金全体の加入者数の減少率、これが二〇二五年ごろまでの平均が〇・六%程度と言われています。そして平均余命の伸び率、これが二〇二五年ごろまでの長期予想で〇・三%程度だと言われています。つまり、この二〇二五年ぐらいまでは、合わせて〇・九%分、過去賃金の読みかえ率が自動的に下げられてしまうわけです。

 そしてまた、これがなぜマクロ経済スライドという名前で呼ばれているのか。経済状況と一切関係がないんです。人口要因にすぎないわけです。私は、本当にこれは羊頭狗肉だと思いますよ。こういったマクロ経済スライドという名前をつけたら、経済状況に合わせて変わっていくんだろうな、みんなそういうふうにだまされちゃいますよ。これは羊頭狗肉、私はそういうように思います。

 時間がないので本質的な話を聞きますけれども、このスライドの特例期間、調整期間、二十年程度と見込んでいるというふうに聞いていますけれども、何で二十年なのか。スライドするにしても、もうちょっとロングスパンにとってもいいんじゃないか。そうすると〇・九%というような激変のそんな利息じゃなくても済むわけですよ。なぜ二十年と見込んでいるのか。これは結局、過去債務の急激な清算にすぎないのではないか。

 総務大臣に伺います。

竹本大臣政務官 厚生労働省の方からお答えさせていただきます。

 今、マクロ経済スライドという言葉が適切でないというお話でございますけれども、我々は今回の改正案において基礎年金の国庫負担の割合の引き上げの道筋を明らかにするわけでございますが、保険料負担の上限を明確に示すことによって、現役世代の負担が過重にならないようにまず配慮いたしました。

 もう一つは、既に年金を受給している人も含めて、年金を支える力の変化、今おっしゃっていた人口の減少ということでございますけれども、そういったことも含めた調整をしなきゃいけないということでありまして、最終的に段階的な保険料水準の引き上げや給付水準の調整というのはソフトランディングをさせないと、特定の世代に偏ってはならないということで、全体で調整する、そういう精神でやっておりますので、その名称としてマクロ経済スライドと。適切でないと言われればそうかもしれませんけれども、一応そういうことを慣例的にも使ってきておるということであります。

麻生国務大臣 今、中村先生御指摘のあったように、この数字を見ていますと、約二十年後の平成三十五年に終了する見通しというのが、調整期間の終了年次というのに……(中村(哲)委員「二〇三五年ですか、三十年後ですか」と呼ぶ)約二十年後の、三十年か、ごめんなさい、に終了する見通しになっているということは、私もそれは承知しています。一応、このスライドのあれでいくとね。

 ただ、私に言わせると、これは厚生年金の財政の再計算をやっている、単純計算しただけの話ですから、それからいくと、社会の経済情勢やら何からまた変わって、さらに出生率が落ちたり平均余命が伸びたりすると、これは変更し得るとか変わり得るという可能性があり得るものだと思っております。

 それから、スライド調整期間中の受給者というものは、その後の時代、その後の時代ということは中村さんよりもっと後になるのかな、後の時代の受給者の人に比べて給付水準が高いというようなことで、特に不利益をこうむるというようなわけではない。ここのところは大事なところで、こっちはよくてこっちは悪くなったというんじゃいかがなものかという感じがしたので、私もその点は聞いてみたんですけれども、それはないということになっておるように思っております。

 ただ、名前については、最初これを見たとき、何じゃらほいと正直私も思いました。

中村(哲)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、大臣でさえ調整期間が二十年なのか三十年なのかはっきり御認識できていないという状況でもありましたし、それから、二〇〇二年の十二月に厚生労働省が年金改正のたたき台を発表したときには、これは〇・三%程度というふうに考えていたわけですよね。そのときに、まさに賃金支払い総額の伸び率に着目して、〇・三%という数字をたたき出してきたわけです。だから、そのときだったらマクロ経済スライドという名前は適切だったんですよ。それを、今回、どういう理屈かわからないけれども、人口要因の方にすりかえられてしまって、〇・九%になったんです。毎年毎年〇・九%下げられるんですよ。非常に大きな利息の変更なんですよ。

 このことを最後に指摘しまして、本当にここで議論することはたくさんあるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤(勉)委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、年金の給付と負担の見直しの問題についてお聞きいたします。

 今回の法案は、これは年金の給付と負担の見直しについて、厚生年金制度と同様、同程度に見直すと総務省の説明で行われております。

 保険料について、厚生年金では、この十月から毎年〇・三五四%ずつ十四年間保険料を引き上げて、二〇一七年には一八・三%まで引き上げて上限とし、以降その水準で固定するということを法律で明記しております。

 それでは、地方公務員共済の場合はどうなるのか。この掛金の水準について、総務省の説明では、厚生年金と同程度の水準で推移とありますけれども、この地共済の場合、最終的には何%になると想定しているのか。この点、お答えください。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の地共済の保険料率でございますけれども、これにつきましては、一元化を行う国共済と調整しつつ、保険者である地共済連合会において本年十月までに行われる財政再計算に基づきまして数理的に算定されることになっておりますので、現在の段階で確定的なことを申し上げることはちょっとできないという状況でございます。

 ただ、一定の前提を置きまして、暫定的に試算を行いますと、地共済の保険料率を毎年〇・三五四%ずつ引き上げていくとした場合でございますけれども、この場合の最終保険料率は二〇%程度になるのではないかと見込まれるところでございます。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 現在の一三・〇三が二〇%程度ということですから、掛金の負担増が極めて大きいということが見てとれると思います。

 それから、給付水準についてですけれども、厚生年金の場合は、政府は、年金給付について現役世代の収入の五〇%を保証すると説明をしてきましたが、これはごく限られた厚生年金のモデル世帯だけだった。四十年間夫が勤めて、四十年間妻が専業主婦、こういう世帯そのものも全世帯のごく一部ということも議論になりました。しかも、そうしたモデル世帯ですら、年金受給が始まる時点だけで、その後は五〇%を下回る、年を重ねるに従って下がっていく、五〇%を切ってしまうということも、この間の審議の中で明らかになりました。

 地方公務員の場合はどうなるのか。総務省では、厚生年金の給付水準について同様だという説明をしておりますけれども、現在、六十五歳のモデル世帯、それからあと四十五歳のモデル世帯において、現役世代の収入に対する給付の割合が受給開始時点で何%になるのか。この点をお答えください。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 地共済年金のいわゆる所得代替率でございますが、これにつきましても正確な試算を行っているわけではございませんが、仮に、厚生年金のモデル年金の条件をもとに粗い試算という形でしてみますと、ちょっと時間の関係もありましたものですから、現在四十五歳の者だけしかできておりませんけれども、現在四十五歳の者が六十五歳時点で受給する所得代替率は四七・五%、これが七十五歳時点では四二・六%、八十五歳時点では三八・二%となるであろうと見込まれるところでございます。

塩川委員 既裁定部分については、これは数字で出るんだと思うのですけれども、私が聞いている数字では五六・一%と承知しています。それでよろしいですか。

須田政府参考人 五六・一%、地共済の関係で、いわゆる厚生年金の試算と同様な形でのモデル世帯を算定した場合でございますけれども、その数字が五六・一%でございます。

塩川委員 厚生年金の場合は、モデル世帯の場合に、二〇二五年で六十五歳になる方も辛うじて五〇・二%という数字で、五〇%を保証するという建前で、多くの国民の皆さんは政府の説明でずっと五〇%がキープされると思っていたのが、実際には割り込むということがこの間明らかになったわけですね。地共済の場合でいえば、モデル世帯で想定をした場合においても、厚生年金で五〇・二%で想定していたものが、実際には今答弁にあったように四七・五%ですから、そういう意味でも、五〇%を保証するという前提そのものが、この地共済の場合では損なわれているということが言えるわけです。

 あわせて、既裁定の六十五歳の場合のモデル世帯で二十年後の割合はどのぐらいになるのかも、ちょっと確認の意味で教えていただけますか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの五六・一%に対応した数字が、二〇二五年度における所得代替率につきまして試算してみますと、四七・五%になっております。

塩川委員 四七・五%、数字がダブっているのであれでしょうけれども、今四十五歳の方が二十年後に四七・五というのはモデル世帯の話じゃなくて、今四十五歳の方が六十五歳でもらった時点に四七・五%という数字と、あと、六十五歳の方が二十年後にもらうという数字が四七・五で重なっているということだと思うんですけれども、それでよろしいですか。

須田政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 整理しますと、要するに五〇%を確保しますということで、それと同様の見直しを地共済でやろうといっていた場合に、実際にはその五割も確保されていない。もちろん、今六十五歳の方が八十五歳になるときにおいても五割を当然割り込んでいくわけですし、四十五歳の方が二〇二五年の時点でもらい始めるようなときにおいても、実際にはその時点でもう既に五割を割り込んでいるというのが、地共済における、粗い算定とは言いましたけれども、政府としての見通しとして出している数字だということがわかりました。

 その上で、これも厚生年金の際で議論されましたけれども、モデル世帯以外の場合、そもそも五割に届かないじゃないかということを言っていたわけですね。その場合、地共済、数字を出すとどうなるのか。

 そこで、お答えいただきたいんですが、四十年間の夫婦共働きの世帯、四十年間の男子単身の世帯、四十年間女子単身の世帯のそれぞれについて、受給開始時点と受給開始二十年後の割合、所得代替率が何%になるのかをお答えください。

須田政府参考人 厚生年金の試算と同様の前提を置いた上で、地共済における、平成十六年における所得代替率を御指摘の幾つかのモデルにつきまして試算してみますと、まず、四十年間共働きの場合でございますけれども、夫、妻ともに地方公務員として四十年間共働きの世帯として計算しておりますけれども、これが四三・九%でございます。それから、四十年間地方公務員である男子単身世帯の場合が四三・四%。また、四十年間地方公務員である女子単身世帯の場合が四四・四%でございます。

 また同様に、これを二十年後の平成三十七年、二〇二五年度における所得代替率を試算してみますと、夫、妻ともに地方公務員として四十年間共働きの世帯の場合三七・二%、四十年間地方公務員である男子単身世帯の場合三六・八%、四十年間地方公務員である女子単身世帯の場合三七・六%となると見込まれます。

塩川委員 一連の年金法案の中で、もともとのベースとなっている厚生年金をとってみても、五〇%の給付水準を確保するというのが六十五歳のその一点だけだったということも審議の中で浮き彫りになったわけですけれども、地共済の場合で同様な試算をすると、それすら割り込んでしまうということであるわけですね。

 そこで、今の数字をお聞きになって、大臣に率直にお伺いしたいんですが、地共済の給付の水準については厚生年金と同程度の水準、こういう説明を総務省は行ってまいりました。では、厚生年金はどうかといえば、現役世代の収入の五割を保証すると説明してきたわけですけれども、実際に地共済に当てはめてみれば、五〇%割れを起こすことが明らかになったわけですけれども、大臣はこういう事実というのを、この法案を国会に提出する時点でもう既に御存じだったのでしょうか。

麻生国務大臣 お尋ねのように、所得代替率というものに関しましては、これはいわゆる世帯の類型によって違いますし、今三七%というと、えらくそこだけ低いように感じますが、それは、基礎年金は一人分でしょう。独身者と夫婦者では基礎年金が違いますから。

 それから、最終の給与が高ければ高い人ほど、もらう額、率は低くなりますので、これは最後に高い人も低い人も皆一律五割というわけではありません。そういった意味では、厚生年金でも地共済の年金でも五〇%を切るということは、最初からそうだろうと思っておりました。

 したがいまして、今の御質問で、最初から知っておったかといえば、知っておりましたという答えになります。

塩川委員 いや、坂口大臣は知らなかったという話だったんですよね。これは朝日新聞が試算を要請して厚生労働省が資料を出して、それで厚生年金はどうだというのが四月の末、連休前ぐらいで報道されました。それを踏まえて連休後に厚生労働委員会の審議も行われまして、坂口大臣は新聞を拝見して初めて知ったという話でしたから、私はそういう点でも、本当の意味で、この法案について十分な理解が、国民に対して説明が行われたのかどうかということが疑わしいのが実態だと思います。

 これまでの国民への説明が、率直、間違っていたんじゃないか。私は、厚生年金もそうだと思いますけれども、並びで行われている地共済年金についてもそういうふうに率直に思うんですが、大臣はいかがですか。

麻生国務大臣 これに関して関心の深い方であれば一応調べておられると思いますが、少なくとも、最終の給与が高い人も低い人も一律五割というようなことは、それはなかなか考えられぬのじゃないかと普通は考えるんじゃないんでしょうか。一億円の人も五百万円の人も皆同じ五割ですか、五千万というのはそれはちょっとおかしいでしょうとか、普通はそう考えられると思いますので、私の方は最初から、世帯やらまた家族構成、基礎年金を二人払っているか一人払っているかとかで違いますので、そういった意味では違うだろうなと思っておりました。

 ただ、今のように、三七・二%とか四%、そういう端数の数字までわかっていたわけではありませんが、同じなことはないだろうと最初から思っておりました。

塩川委員 与党の合意でも政府の法案の説明においても、標準モデル世帯については、現役世代の収入の五〇%を保証しますと。でも、これが損なわれたというのがこの間の審議で明らかになったことなんじゃないですか。事前に国民に説明していた、選挙の際でもそういうことを訴えておられた党がありましたけれども、そういう意味でも、こういうのが損なわれた、事実と違っていたんだ、そういうふうには思いませんか。

麻生国務大臣 私にお聞きになるより厚生大臣にお聞きになる方が正しい質問の対象者だと思いますけれども、これは、総務省の管轄の話の地方共済年金に限って聞いておられると理解してよろしいんですか。(塩川委員「地共済についても厚生年金と同程度の水準というのは総務省の説明ですので、その立場で総務大臣に」と呼ぶ)地方共済についてですね。

 地方共済につきまして説明不足ということを言われれば、どれくらいの理解が地方公務員の間に広まっているかについては、ちょっと調査がありませんので、正しくこれがこういう数字ですということを申し上げるほど詳細に調べているわけではありません。

 ただ、年金のこの標準家庭というのを見たときに、標準家庭の設定が、二十幾つで結婚して四十年間も夫婦一緒でずっとというのはきょうびなかなか少ないだろうな、私は、現場を見れば何となく、そういう標準家庭の基準は少し今の時代とは違っておりはせぬかなとか、いろいろなことを思っておりましたので、そういった意味では、自分のところと当てはめてみて五〇にはならないと思っておられる方が多いのではないか、常識的な範疇としてそう思っております。

 ただ、それは、公務員について皆そうなっているかと言われれば、忙しい中でそういった範疇のところまで回っていないところもあろうかと思いますので、その点に関して少しPRが不足しておるのではないかと言われれば、その点はあろうかとも思います。

塩川委員 こういう数字を、試算をそもそも持っているのかというのに対して、持っていなかったと。私は五十五歳についても将来どうなるのかというのを頼んだのですが、それについても出てこないというのは、今までこういう計算そのものをやっていなかったわけですよ。地方公務員の年金は将来どうなるのかについて、これは総務省として、提出者としてふさわしい説明を行われてこなかった。その上でやはり、そもそもの厚生年金の法案で議論されてきたように、もともとの法案、厚生年金における年金の給付について、標準モデル世帯で五〇%確保、それと同程度の水準という地共済についても、私はそういう意味での約束は破られているというふうに率直に思います。

 また、国民年金の保険料について言えば、保険料の上限を固定するというのも、実際には違ってもっとさらに上がっていくということなんかも厚生労働委員会の議論で明らかになってきていることですから、私は、そういう意味でも、今度の法案というのはそろってもう一回出し直しをしてもらう、七割の国民の方から、おかしい、改めて出し直すべきだという声があるわけですから、改めてこの撤回をぜひ求めたいと思います。

 その上で、二つ目に、介護休業給付金の問題で質問をいたします。

 育児休業の取得期間や給付期間が延長されるというのは、当然のことであります。そこで、休業給付金の上限が雇用保険で定める額に引き下げられることになりました。この上限の金額というのは地方公務員の一般行政職の給与水準では何歳ぐらいに当たるものか、頭打ちの金額というのは何歳ぐらいに当たるのか、その点をお聞かせください。

須田政府参考人 今回の地共済法の改正で設けられました介護休業手当金の上限額に相当する給料月額でございますけれども、これは、一定の基準で試算しますと約三十八万九千円という額になります。

 この上限額に相当する給料月額を支給されている年齢でございますけれども、平成十四年四月一日現在の給与実態調査における全地方公共団体の一般行政職職員では、大体四十四歳から四十七歳に相当すると考えております。

塩川委員 その結果、この間、介護休業給付金を受ける人のどのぐらいがそういう年齢で上限にひっかかってくるのか。それはわかりますか。

須田政府参考人 介護休業手当金でございますけれども、これは同一の方が同一年度内に複数回取得することが可能であるという制度になっておりますので、その受給件数という形では把握しておりますが、受給者数という形では把握してございません。恐縮でございます。

 ただ、その受給件数の方でございますけれども、これは、平成十四年度において介護休業手当金を支給した件数としましては、七千七百三十二件。ここまでは私どもも把握しているのでございますけれども、これらの件数の中の年齢構成別内訳というのは、恐縮でございますが、現時点では把握してございません。

塩川委員 実態把握もなしの改定というのは問題だと思います。

 四十代以上の方が実際に上限にひっかかってくるわけですけれども、労働省の二〇〇〇年の調査を見ましても、仕事と介護を両立させるために必要なことの第一位が休業中の経済的支援の増額であります。そういう意味でも全体の引き上げこそ本来は必要なときに、それと逆行するようなやり方が今問われていると思います。

 総務省の資料によれば、平成十年度に介護休暇をとった方が三千六百六人、平成十四年度では四千三百八十二人と年々増加をしているわけですね。だれのために介護休暇をとるのかといえば、その多くがやはり老親、親の介護ということがあるわけで、平成十四年度の資料に基づいても、自分の父母の介護というのが全体の四五・三%、配偶者の父母の介護というのが七・八%で、自分と配偶者の親の介護というのが五三・一%と過半数を占めるわけであります。父母の介護のために休暇をとった方というのは、年齢から考えても、実際にこういう上限にひっかかるようなそういう年になってくるんじゃないかなと思うわけですね。

 その点について、実態はどうかというのがわからないというのは、いかがなものか。その点がやはり問われてくるんだと思うのです。高齢化が進めばその割合はさらに増加をするわけで、実際、平成十年度の資料では父母の介護という方が四七・六%でしたから、平成十四年度の五三・一%と比べても、この四年間で五ポイント以上と急速に増加をしているわけです。

 そういう意味でも、一定の制限をかけるような新たな制度を導入しようという場合に、実態がどうなっているかという調査も行わないでこういうのを出すのは、どうなのか。影響調査をきちっとしかるべくやっておいた上で出すべきものじゃないのか。この点をお聞きしたいんですが、いかがでしょうか。

須田政府参考人 今回この上限を下げましたのは、基本的には、これは民間でも雇用保険制度の中でこのような制度をつくっておりますけれども、これまでどちらかというと、この共済制度との比較におきまして、共済制度の方が上限が高くなっているということから、官民のバランスが不適切なのではないかというふうな御指摘もあったりしたこともありまして、今般、共済の上限を雇用保険のそれに合わせることとしたものでございます。

塩川委員 調査もしていないというところで議論をそもそもできるのかというところを私は聞いたんですけれども、お答えがありませんでした。

 実際、介護をこれから考える方、差し迫ってくる方がふえてくる、そういう時代を迎えるわけですから、こういう雇用保険の並びでこっちの方も悪くするんだというんじゃなくて、全体を底上げすることこそ本来やるべきだ、日額の上限を雇用保険法の水準に合わせて改悪をするということじゃなくて、全体の水準を引き上げることにこそ努力すべきだと率直に思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

須田政府参考人 この休業手当の趣旨でございますけれども、やはりそれぞれやむを得ないような事情といいますか、そういうことがありましたときに、そういう方の介護を支援するということでもともと設けられているわけでございます。

 ただ、他方で、この財源としましては、組合員の方の保険料を財源としているものですから、働いていない方のための手当というのを、では無制限に高くできるかということもございまして、そういうふうな兼ね合いとか、あるいは民間ではどうなっているかとか、そういうことを総合的に考慮して決めたものでございます。

塩川委員 民間でも大変な努力が始まっているところだと思うんです。厚生労働省もファミリー・フレンドリー企業というのを認定する形で奨励しているというのがこの間も紹介されていますけれども、例えば労働局長賞をもらったという東京都の小田急百貨店などにおいては、介護休業制度についても介護補助金として基準賃金日額の六〇%を支給する、こういう積極的な取り組みなんかも行われているわけですね。

 そういう意味でも、全体を引き上げるような方向で働きかけていくということが重要だ、育児にしろ、介護にしろ、仕事と両立できる環境をつくることが社会の持続的発展につながるんだ、この点、改めて指摘をしておきたいと思います。

 次に、財政単位の一元化問題で若干お聞きしたいと思います。

 地共済と国共済の財政単位の一元化が図られるわけで、この点で、全体を一つにする一元化ではなくて、現行制度を残しての、両制度間での財政調整をする一本化という手法をとった、その理由というのはどこにあるのか、その点をお聞きしたいと思います。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案におきます地共済と国共済の一元化でございますけれども、これは、平成十三年の閣議決定におきまして、こうした二つの制度の財政単位の一元化を図ることとされているということに従うものでございまして、その意味で、両共済の組織、制度等は残したまま、財政調整を行いつつ、最終的に両共済の掛金、保険料率を一本化することにしているところでございます。

 この理由でございますけれども、まず、共済につきましては、年金事業のほかに医療保険及び福祉事業を、先ほど申し上げましたが公務員制度の一環ということもありますから、これら全体を一体的に運営しているということがございます。

 また、年金事業につきましても、両共済、それぞれの制度の成り立ちや特色、あるいは、これまで自助努力によって運営をなされてきておりますけれども、そうした結果あるいは経緯というものがございますので、こうしたことを考えた場合、今回、両制度の組織に新たな変更を加えないで財政調整をする方法が適切かつ現実的であるというふうに考えたところでございます。

塩川委員 この一元化において、将来はどうなるのか、二つの共済制度のすり合わせというのをどういうふうにするつもりなのか、その点、お聞きしたいんです。

 例えば、積立金の積み立て度合いをならしていくというようなことはどうか、また、積立金の運用先についても地共済と国共済で違いますけれども、それについてはどういうふうに考えているのか、その点をお聞きします。

須田政府参考人 今回の具体的な一元化でございますけれども、両方の共済制度、おのずと財政状況が違います。また、現在の保険料率も違うということがございます。

 今後の進め方としましては、まず、両制度の年金給付費用と保険料収入とのバランスがそれぞれ違いますので、その格差を調整するための費用負担平準化のための財政調整というのを行い、さらに、そういうことを行った上で、基金等それぞれ持っていることがありますので、結果的に、いろいろな意味で、両共済の方の収支が片方は黒字であったり片方が赤字であったりということがございますので、その点を調整するための、年金給付に支障を来さないための財政調整と申しておりますけれども、こういった財政調整、この二つを行うことによって全体の財政単位の一元化を図ることとしているところでございます。

 この二つの財政調整でございますけれども、これは、基本的には、両共済がこれまで積み立ててきましたそれぞれの年金積立金額そのものとは直接関係ないものですから、これとは別に算定しているために、御指摘のような形で、年金積立金額の差を一本化するとかあるいは積み立て度合いを一つにするというものではないと考えております。

塩川委員 それぞれの共済の自主性を尊重する、保障するような対応を求めて、質問を終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 質問をいたします。

 政府・与党がまとめられた、そしてまた衆議院を通過いたしました年金制度改革法案、我々は改悪法案と呼んでおるんですが、この法案について、直近の各種世論調査等の結果によりますと、評価をしないとする国民の声が非常に多いんですね。共同通信の調査では、見送りをすべき六七%、毎日新聞、反対するという回答が六二%、朝日新聞、成立させるべきではない七〇%。

 これほど多くの国民がこの法案に対して批判的である中、一日も早く成立をという声、先ほどから言われておりますが、この国民の声をどのように受けとめておられるか、まず大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 問題点は多々あろうかとは存じますけれども、基本的には、今の制度、今回お願いをしております制度、それぞれ違いはあろうとは思いますけれども、現状のままでいいと思っておられる方はおられませんので、私どもとしては、この案がすべて完璧、完全無欠とはとても申し上げられないと先ほど御答弁申し上げたとおりですが、現行のものよりは間違いなくよくなるものだと思ってお願いをさせていただいております。

横光委員 現状のままでよいと思われている国民も少ないと思います。しかし、この法案はさらによくないという声が、この七〇%近い数字にあらわれている、こういうことだと思います。

 ですから、やはり国民の声を無視してまで、あるいはこの法案は、これからの国民生活、現在の生活、さらに将来の生活、すべての生活にかかわる年金の問題でございます。そういった年金の問題の、七〇%に近い人たちがこれはよくないぞと言っている法案を国民に押しつけようとしているわけです。そういうふうに私は今、御答弁で受けとめました。

 そもそもこの法案づくりの段階ですが、厚生年金の労働者、使用者、それぞれ幅広い皆さんが参加しております社会保障審議会、ここの年金部会において非常に長期にわたって真剣に論議されてきたわけですね。

 そして、その取りまとめの中で今回の改革における重要な課題とされてきましたのが、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げ、そして短時間労働者への厚生年金の適用拡大、これを実現すべき、行うべき、こういうふうにまとまったわけです。特にこの二分の一への引き上げにつきましては、平成十二年改正法附則に規定されておりますので、国会が国民に約束した事項である、年金に対する国民の信頼を確保していくために実現すべきものである、こういうふうにこの年金部会ではまとめられたわけですね。

 であるにもかかわらず、実現すべきとなっておりますが、何ら実現されておりません。つまり、具体的に法案において何ら措置されていないわけですね。これらの意見とは異なる内容になっている。年金部会の審議が出した答えと全然違う形の法案になっている。つまり、この年金部会の皆様方の声を聞きますと、何のためにこんなに論議をしてきたのか、全く意味がなかったではないかという声もあるわけです。

 その意味では、今回この年金部会の声は反映されなかった、そして、むしろそれは政府・与党によってないがしろにされた、ねじ曲げられた、このように私は思っているわけですが、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 厚生労働省においては、当然のことながら、年金部会等々の意見を十分に踏まえて国民年金及び厚生年金保険法の改正を取りまとめたものだと承知をしております。あの改正案というのは随所にその意見が反映をされておるところだと認識しておりますので、年金部会の意見をないがしろにして無視したとかいうような御指摘は当たらぬ、私は基本的にはそう思っております。

 ただ、先ほどから何回も御答弁申し上げておりますとおりに、年金につきましてはさまざまな御意見があることはもう確かでありますので、今回の改正案というものは、現段階では一つの改正案として、一つの到達点だとは思っております。

 年金部会の主な御意見の中で、二分の一への引き上げにつきましては、これは本則上に措置した上で、附則において、平成十六年度から着手、平成二十一年度までに完了するとし、それから短時間労働者への厚生年金の適用拡大、先ほど何人かの御質問があっておりましたけれども、これも、改正法の附則におきまして、五年後をめどに検討の結果に基づき必要な措置を講ずるものと規定するというふうにされておりますので、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、それなりに意見を取り上げたと思っております。

横光委員 そのようなお答えですが、いわゆる年金部会の最大の重要課題として挙げたのがさっきの二つなんですね。これが結局この法案には盛り込まれていない。措置されていない。

 いわゆる審議会というのは各省庁にございますよ。そして、尊重するということになっていますよね。総務省でもいろいろな審議会がございます。この年金には関係ない地方財政審議会等もございますし、大臣はそういった審議会の答申は尊重されてきたわけでしょう。

 ところが、今回の年金部会のこの長い間の論議、これも偏った人たちが集まっていないんですよ、それぞれ幅広い人たちが集まった中でまとまった、先ほど言った二分の一への引き上げ、あるいは短時間労働者への適用拡大、これらが何ら反映されていないということは、大臣が今言われたようにいろいろと反映されているということは全く当たっていない、私はそのように思っております。まず、このように、法案づくりのときから私はおかしいことが始まっているんじゃないか。

 そして次は、この法案の審議の状況です。

 関係者、当事者による検討が先ほど言いましたようになかなか反映されていない上に、さらに、厚生労働委員会における審議、わずか九日間、三十六時間程度の審議で一方的に打ち切っているわけです。与党の皆様方は百年の安心と言っている大変重要な法案ですよ。それを、わずかこれらの短期間で審議を打ち切っている。このことも、民意が反映したものとなっていないという思いがするわけです。

 とりわけ委員会のあり方、私は、佐田委員長は公平公正なおさばきをされていると思いますが、さきの厚労委員会のさばき方はどうですか。大臣、わかりますか。やはり、委員長というのはあくまでも中立的立場ですよね。その方が、結果的には、みずからが義務を果たしていない法律案を強行的に採決してさばいた。このことが委員会のありようそのものに大きな問題を提起した、私はこのように思っております。

 このいびつな委員会のあり方について、大臣はどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 厚生労働委員会の審議の適否につきまして、ちょっと発言をする立場にありませんし、感想を述べても余り意味がありませんので。

横光委員 政府の一員であるならば、すべての国会の委員会のあり方というのはやはりしっかりとそれなりに把握しておくべきであろうと思っております。

 私は思うんですね。要するに、与党の皆様方も、今回の法案、これはよくないぞ、これだけ国民が反発しているのを強行、これからまた参議院が残っていますが、やっていくのはよくないぞ、恐らく心中ではそう思っておられると思います。ですから、ここは心を無にして、やはり国民の声に耳を傾けていくべきだということを申し上げておきます。

 また、今回のこの公的年金制度改革における政府としての基本的な認識、その認識は、今後日本経済が回復し、安定的な成長が持続していく、そのもとで、負担増を求めても現役世代の生活水準は毎年少しずつ上昇していくということを前提としております。確かに将来のことを予測することは非常に難しいことではございますが、それにしても、今回の政府のこの前提、私は、これは余りにも現実的には無理があるんじゃないかという気がしてなりません。

 地方公務員共済年金につきましても、このような前提のもとで示されております厚生年金における賃金上昇率あるいは物価上昇率、運用利回り、こういった経済予測について、どのような考え方によって今後の制度運営を図る所存なのか、明らかにしていただきたいと思います。

須田政府参考人 お尋ねの経済予測でございますけれども、具体的に地共済年金の保険料を決定するための財政再計算は本年十月に実施することとしてございまして、現在、そのための基礎データの把握やシステムの見直しなどの準備を行っているところでございます。

 したがいまして、現時点で、この財政再計算に用いるこうした経済前提が具体的にどういうふうなものになるかということを確定的なことは申し上げられませんけれども、基本的には、今回の改正法案が厚生年金などの改正法案に準拠していることもありますので、厚生年金等の経済前提を参考に今後決めていくことになろうかと思っております。

 ただ、今後の社会経済状況の変化によりまして経済前提に変更が生じた場合につきましては、五年ごとに行われる財政再計算におきまして、改めて、その時点における経済見通しに基づき所要の措置が講じられるものと考えております。

横光委員 今、厚生年金制度の形を参考にして、そしてまた準じていくというお答えでございますが、今回の厚生年金における給付と負担にかかわる数理について、二〇〇九年度以降の賃金上昇率は名目で年率二・一%と想定しておりますね。年金保険料を引き上げても毎年一・九%ずつ手取り賃金が上昇することを前提としております。また、物価上昇率は年間で一%と見込んでいるわけですから、差し引き、実質的な賃金水準、可処分所得は毎年〇・九%ずつ上昇していく、このように想定しているわけです。

 しかし、幾ら長期に及ぶ経済前提あるいは見通しであるとしても、このような予測で現実が推移していくと本当に思っておられるのか、到底私は考えられないと思うんですね。それはなぜかといえば、最近の経済動向を考慮すれば、だれもが疑問を呈するところであろうと思います。そのことに対する説得力のある説明は何ら果たされておりませんし、結果的に、政府案を構成する、政府案をつくっていくために、円滑な合意形成を図るためのものにすぎなかった、こう言わざるを得ないわけでございます。

 これらの見込みに対して、賃金水準や物価が下降するような事態がさらに深刻化していった場合、政府はその根底が覆ることになります。これは大変な問題でございますし、五年たって再計算するということを今言われましたが、そんなことでこの大きな構想が崩れていく、大変な政治責任になると私は思うんですが、本当に実現可能と思っておられるのか、大臣にお聞きいたしたいと思います。

麻生国務大臣 少なくとも、昨年の経済成長率は名目でプラスということを予想された方は日本じゅうでゼロです。しかし、現実問題としては〇・七%プラスに平成十五年度なりました。もう公表されましたので御存じのとおりだと思いますが、少なくともマイナスに絶対なるという民間予想も外れましたし、政府予測を大きく上回っております。

 したがって、経済の先というのはなかなかわかりませんし、それによって経済、物価の上昇率もさらにわからぬところだと思いますので、自信があるかないかと言われれば、自信があるから出したということだと存じますが、もしそういったことになった場合のことを考えて財政再計算というのが五年ごとになされるものだと思っております。

横光委員 仮に百歩譲って政府案のとおり経済動向が推移したとしても、これから、来年はどうですか、介護保険の値上げがある。その次には医療保険の値上げが恐らく想定されておる。いわゆる実質的な賃金水準の伸び率は毎年〇・九%と言われておりますが、これは確実に下回ることになると思いますよ。

 さらに、保険料の引き上げはさまざまなところに悪い波及効果をもたらす。例えば、保険料の値上げでの事業主負担の増加によります雇用に対する影響が全く考慮をされていないことも、私は重大な問題だと思うんですね。企業における社会保険料負担を回避する動きが現在でも顕著になっております。さらにこれはリストラに進むでありましょうし、あるいは適用外の非典型労働者への労働力の転換に移ろうとするでしょうし、さらには賃金水準の低下など、こういったものに移っていく非常に厳しい状況が想定されるわけですね。

 となりますと、結果として厚生年金の空洞化が一段と深刻なものになる。これは、ひいてはさらに国民年金加入者がふえるわけでございますが、国民年金の空洞化にもつながる。いわゆる四〇%の空洞化が、さらにこれから五〇%にもなりかねない。五〇%空洞化といったらもう制度が成り立ちませんから、基礎年金の部分。制度が空洞化して、制度そのものが、維持するためにという法案と訴えておりますが、維持できなくなる法案になるんじゃないか、非常にそういう危惧をしている。

 このことは、自治体、そして地方公務員を対象とする地共済年金においても例外とはならないと思うんですね。同じ質問になりますので同じ答弁になろうかと思いますが、それほどに私は、この法案は厳しい法案になっていくだろうということです。

 さらに、この保険料の引き上げは、ただただ年金関係だけでなくて、これからの自治体の運営にも大変な大きな影響を及ぼすだろう。つまり、保険料の引き上げによって、個人の社会保険料控除あるいは法人の損金算入、これが増加します。となりますと、所得税、住民税、法人税の課税ベースは縮小します。つまり、税収減へと発展するものになりますよね。年金財政がこの法案で仮に豊かになったとしても、逆に、間違いなく地方財政には悪影響が出てくる。これによる自治体財政への影響はどのようになるのか。

 そしてまた、公的年金制度における保険料の引き上げは、深刻化している、今でも大変な厳しい地方自治体財政に対して歳入の落ち込みといった非常に重大な影響を及ぼすことになると考えておりますが、政府案に基づくこの公的年金制度改革、年金問題と別に地方自治に重大な影響を及ぼすものと思っておりますが、このことについて、大臣はどのような危惧をされておりますか。

山口副大臣 今回の年金制度改革による年金保険料の値上げと税収、そして地方財政がどうだというふうなお話でございますが、やはり保険料の引き上げと税収との関係につきましては、将来の経済情勢とかあるいは税制改正、これも今検討中でありますけれども、そういったことの方が、年金保険料以外の不確定要素による影響という方がむしろ大きいんじゃないかなというふうな感じがいたしております。

 同時に、年金給付が確保されて、ある意味でこの年金制度というのは若干信頼に足るんじゃないかなというふうな安心感が生まれた場合には、またこれはいい面が出てくるんではないかと思っております。

 ちなみに、地共済で、いわゆる保険料負担で地方財政に負担がかかるという部分に関しましては、交付税でしっかり措置をさせていただきたいと思っております。

横光委員 この制度改正で安心感が生まれればよくなるんじゃないかというお答えがございましたが、安心感があれば何で国民の七〇%も心配をするんですか。そうでしょう。安心感なんか持たれないんですよ。ですから、不安なんだ。

 国民は今回の法案に反対している理由として、保険料が上がるから、給付が下がるから、それが大きな理由じゃないんですよ。もう上がってもいい、給付が下がってもいい、やむを得ない、でも安心感のある制度ならというところなんですよ。ところが、安心感があるところがないものだから国民は不安になっている。ですから、少々の負担増あるいは給付減、これはもうやむを得ないとみんな認識しておるんですよ。でも、それだけじゃないかというのが今回の国民の声なんですね。

 そういった意味で、安心が生まれるというのはなかなか考えられない。地方交付税で措置すると申しておりますが、この保険料の引き上げは、私は、年金の問題だけではなくて、本当に地方自治にも大変な影響を及ぼすということを申し上げまして、質問を終わります。

佐田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、マスコミの世論調査でも、国民多数が年金法案の成立反対、見送りの態度を表明する中で、この国民の声を無視する形で採決をしようとしているからであります。

 十七日の朝日、毎日、東京の各紙は、一斉に年金法案に対する世論調査の結果を発表していますが、いずれの調査でも、年金法案を今国会で成立させるべきでないと答えた人が六割から七割を占め、成立させるべきだと答えた人を大きく上回っています。また、保険料は上限を固定、給付は五〇%を確保という政府の説明もこの間の審議の中で破綻し、実態は百年安心どころか百年不安心という状況が明らかになっています。この国民の声にこたえて、年金法案は潔く撤回、出し直しをすべきであります。

 第二は、法案が掛金の連続引き上げと給付額の自動的引き下げを内容とする年金制度改悪の関連法案の一つであるからであります。

 法案は、給付額を自動的に引き下げるマクロ経済スライドの導入や、本来ならば今年度に実施しなければならない基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げの先送りなど、主要な改正内容は国民年金法等の一部を改正する法律案に準じたものになっています。掛金も、厚生年金の保険料の引き上げに準じて引き上げられていきます。問題は、保険料は上限を固定、給付は五〇%を確保という政府の説明が、実際には、国民年金の保険料は上限なしに引き上げられる、給付水準は現役世代の収入の四割台、三割台に引き下げられることが明らかになりました。掛金の連続引き上げ、年金額の大幅な引き下げは到底認められません。

 第三は、物価の下落を理由にした障害共済年金や遺族共済年金の最低保障額等の引き下げの問題です。

 物価スライドの措置とはいえ、これらの年金受給者の多くは、障害者あるいはその遺族など、年金受給者の中でも弱者と言われる人たちであります。そうした人の年金額の引き下げは容認できるものではありません。

 年金法案を今国会で成立させるべきでないという多くの国民の声にこたえて、法案は撤回し、出し直すべきだということを指摘し、反対討論を終わります。(拍手)

佐田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより採決に入ります。

 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

佐田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 事業所における重大な火災事例に対処するため、指定可燃物等を貯蔵し、または取り扱う場所の位置及び構造等の基準を市町村条例で定めることとするとともに、石油コンビナート等特別防災区域の事業者による広域共同防災組織の設置、防災業務の運営に関する改善命令の導入等に係る規定を整備する必要があります。また、最近における住宅火災による死者数の増加にかんがみ、住宅の用途に供される防火対象物の関係者が市町村条例で定める基準に従い住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならないものとする等所要の規定を整備する必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品に係る火災予防対策の充実強化の観点から、従来の貯蔵及び取り扱いの技術上の基準に加えて、貯蔵し、または取り扱う場所の位置及び構造等の技術上の基準について、市町村条例で定めることといたしております。

 第二に、石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所に係る防災体制の整備の観点から、特定事業者が共同で広域共同防災組織を設置し、自衛防災組織の業務のうち政令で定めるものを行わせることができるものといたしております。また、防災業務の適正化及び責任の明確化の観点から、特定事業者による防災業務の実施状況に係る定期報告制度を導入するほか、市町村長等による防災業務の運営に関する改善命令等を規定することといたしております。

 第三に、住宅の用途に供される防火対象物の関係者は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める基準に従って、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならないこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

佐田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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