衆議院

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第21号 平成16年6月1日(火曜日)

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平成十六年六月一日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      小西  理君    自見庄三郎君

      鈴木 恒夫君    田中 英夫君

      谷本 龍哉君    中西 一善君

      西田  猛君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    稲見 哲男君

      大出  彰君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中根 康浩君    中村 哲治君

      西村智奈美君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   総務副大臣        山口 俊一君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進事務局長)         堀江 正弘君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           佐久間健一君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  亀井 久興君     鈴木 恒夫君

  谷  公一君     中西 一善君

  赤松 広隆君     中根 康浩君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 恒夫君     亀井 久興君

  中西 一善君     谷  公一君

  中根 康浩君     赤松 広隆君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二三号)(参議院送付)

 行政機関の職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律案及び行政機関の職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官春田謙君、行政改革推進事務局長堀江正弘君、人事院事務総局総括審議官佐久間健一君、事務総局職員福祉局長関戸秀明君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長松田隆利君及び自治行政局公務員部長須田和博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河合正智君。

河合委員 公明党の河合正智でございます。

 最初に、麻生大臣が三十一日、このように指示されたと報道されております。そのことにつきましては、地域の民間企業より給与水準が高いと批判を受けている地方公務員の給与に地域差を反映する仕組みを総務省に指示した。この報道につきまして、大臣から、この指示の内容につきましてお伺いさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 その新聞は私もけさ見たんですが、昨日三十一日と書いてありましたけれども、まずそこは違います。もっとずっと前ですので、その新聞のニュースのとり方が遅いという点が感じたところでした。

 基本的には、先生御指摘のとおりに、これは、先週出されました骨太方針二〇〇四の中に、総理とか民間委員からいろいろ御指摘ありまして、文章でいきますと、「地方公務員の給与について、その適正化を強力に推進するとともに、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとしてその在り方を見直す。国はそのための参考となる指標を整備する。」と記述に盛り込まれております。

 これを受けまして、給与とか手当の適正化等々につきましては、自治体で判断ができるものにつきましては、今後、準備ができ次第、関係者との間で話を詰めまして、速やかに実現ができるように努めたいと思っております。

 さらに、地域の民間給与との差を、よりよく、正常に把握する必要があります。御存じのように、百人以上の会社とか、支店だった場合は五十人以上とか、いろいろ書いてあるんですけれども、人口三万とか五万の町で、現業部門を除いて百人の会社なんというのはそんなにめったにございませんし、例えば生命保険会社といったって、現地雇いの人以外の本社から来ている人が五十人もいるのは、よほど大きな町というか市でなければなりませんので、そういったことを考えますと、多面的にいろいろ検討してみないといかぬところもいっぱいあると思います。

 ただ、何となく、今までと同じように公務員に準じることになっておりますので、そのとおりやっているけれども、こういうことになってきたという面は、私も人口八万ぐらいの町におりますが、そこから見ましても、言っている意味はわからぬことはないという感じがしております。

 これは相手のある、組合との話でもあります。そういったこともよくよく考えないで一方的にすぽんとやるというのは甚だ危険だと思っていますので、今すぐばたばた立ち上げるというのではなくて、少なくとも、有識者やら何やら入れたところできちんと研究会を立ち上げる必要があると思います。順次できるところから具体的な話を進めていけという話で、研究会を立ち上げるように指示を二週間ぐらい前にさせていただいたと思います。

河合委員 全く別件についてお伺いさせていただきたいと思います。

 総理が、拉致された方の御家族五人を帰国させられました。このことにつきまして、国民は大変な深い関心を持っているところでございます。蓮池さんは、「冬のソナタ」をお子さんに見せていらっしゃるそうです。それから、曽我ひとみさんは、同級生の皆さんに「涙そうそう」を歌ったと報じられております。「一番星に祈る」というあの歌詞でございますが、私も、そのことをお聞きしまして、もう胸がつぶされそうな思いでございます。

 政治は権力、経済は利害、外交は時として残酷でございます。しかし、文化は魂に触れる。そういう、政治、経済、外交のはざまで絶えず漂流して翻弄されるのはピープル、人間一人一人、その人たちの魂を支えているもの、これは私は文化だと思います。

 文化芸術振興基本法というのを議員立法いたしまして、全衆議院議員の御賛同を得まして、私もその議員立法の提案者の一人でございますけれども、その観点から、この法案につきましてお伺いさせていただきます。

 公共的な文化芸術施設、これは建設されました。ハードの面は充実しましたけれども、ソフトの面、例えばアートマネジメントとかアートディレクターといった人材が十分確保されていないのではないか、こういう声がございます。

 鳥取県では、文化芸術デザイナーをコーディネーターとして全国公募しました。ここで、柴田英杞さんは、就任のあいさつでこのように述べていらっしゃいます。

 地域から発信される個性ある文化価値こそ、今最も日本に必要とされる活力であり、それが牽引となって新しい市民社会へと生まれ変わっていくことを確信しています。地域には、特色ある固有の文化芸術の力があります。それはとてもたくましい力であり、美しい力であると認識しています。その力の源泉となるのは、その町に生きる人です。文化芸術は、人間力を豊かにする力そのものではないでしょうか。

 こうあいさつされておりますが、私も全く同感でございます。

 そこで、各地方公共団体にあります文化会館の運営等につきましては、さまざまな問題を抱えておりますけれども、このような問題に対応する一つの方法として、例えば、柴田英杞さんがおっしゃっているように、文化芸術に携わる方々を短時間勤務職員として任用することは、この法案上、可能かどうか。また、現在、学校などでは、教育の一環として、文化芸術に携わる方々を週一回程度学校に招き、子供たちに文化芸術について直接触れさせる機会を設ける活動を行っておりますけれども、このような方々を任期付短時間勤務職員として任用することは可能かどうか。

 大臣は、クレー射撃はもとより、文化芸術にも深い造詣がおありであることを伺っておりますので、ぜひ、その立場からお答えいただきたいと存じます。

麻生国務大臣 河合先生、文化は文明と違ってその地域に非常に根深く入るもので、文明の方が浸透しやすいけれども文化はなかなか浸透しにくいというのは常識的なところなんだと思います。

 特に、日本の場合のように、島国としてかなり長期間にわたり、大化の改新以後ぐらいでしょうけれども、一千四百数十年にわたって、間違いなく、確立した一つの国で一つの文化圏を有しているという世界で希有の例を持っておる国だと思っておりますので、そういう国の中にあって、グローバライゼーションとか普遍的な社会とか国際社会とかいろいろ言われても、その国に従来からありますものはきちんと伝承されていってしかるべき。

 また、ヨーロッパの国々も、通貨も同じようになり、言葉も皆似たような、いわゆるラテン語系列の言葉でしゃべる、一部今度スラブが入ってきましたけれども、いずれもそういった似たようなものの中にあって、ではポルトガルとは何か、オランダとは何かと言われたときに、おれの国は隣のポーランド、ドイツとは違うのだ、おれのところはスペインとは全く違うのだということを言うのはやはり文化しか残っておらぬと思います。やはりドイツに行ったらパンは丸くなり、フランスに行ったらパンは長くなる。国境に一歩入ったらほかのパンは絶対にありませんから。

 それは一つの文化として大事にされるべきものなんであって、日本としても同様に、その種のことを家庭がきちんと仕切らなくなれば、それは学校でやるとか、市でやるとか、町でやるというのは大事な考え方の一つだと思います。

 今の任期付の話につきまして、それを文化の面で応用でき得るかといえば、それはその町の首長さんの権限の中において、私どもとしては、いわゆる任期付文化指導何とかとか、もう少しあか抜けた名前があるんでしょうけれども、そういったものでできると存じます。

河合委員 大臣から非常に力強い答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。

 それでは、先ほどの大臣の最初の答弁にもかかわることでございますけれども、次の質問に移らせていただきます。

 市町村合併をしました場合に、首長さんそれから議会の議員の数は減りますけれども、合併後の職員の数がどうなるのか、この点につきまして公務員部長から答弁を願います。

須田政府参考人 ただいま御指摘の職員数につきましても、合併によりまして、組織の簡素合理化や公共施設の効率的な配置を進めることなどによりまして、より少ない職員数で行政サービスの維持向上を図っていくことが可能となるものと承知しております。

 しかしながら、具体的な合併による地方公務員数の減少につきましては、新しい市町村の町づくりをどのように進めるかということにもかかわっておりますので、確定的に申し上げることはちょっと難しいと考えております。

河合委員 そこのところが、住民にとっては非常に関心もあり、しかし逆に、行政サービスが低下することを非常に住民の皆さんは恐れていることでございます。

 したがいまして、住民への行政サービスを低下させないで合併の目的を達成するためにも、今回提案されております任期付職員が活用されるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。山口副大臣、お願いいたします。

山口副大臣 河合先生御指摘のとおり、合併が進んでいく中で、やはり住民の皆さん方が、これによって行政サービスが低下をするんじゃないかというふうな御心配が多々あるのはもうお話しのとおりでございます。

 そういった中で、この任期付採用制度を御活用いただくというのも大変いいのではないかなと実は思っておりまして、例えば、合併をして類似の公共施設が複数存在をするとなった場合に、やはりある時点をもって一方を廃止するというふうなことに恐らくなるんだろうと思いますね。その廃止までの間の管理とか運営業務にこの任期付職員を充てるということなどが考えられるのではないかなと思っております。

 ともあれ、それぞれの行政のニーズに応じて、この任期付職員の効果的な活用を図っていただくということによって、合併をする市町村を含めて、効率的な行政運営が図られるのではないかというふうに考えております。

河合委員 効率的な行政運営という点では、確かに副大臣おっしゃるとおりでございますけれども、この任期付職員及び任期付短時間勤務職員の方々の給与につきましてはどのように処遇されるお考えでしょうか。

須田政府参考人 お尋ねの任期付職員の給与の関係でございますけれども、これは通常の常勤職員と同様に、職務と責任に応じ、また、国や他の地方公共団体の職員あるいは民間事業者の給与などの事情を考慮しまして、各地方公共団体において条例により適切に定められるべきものと考えております。

 ただし、任期付職員でございますけれども、一定の任期のもと、特定の職務につくことを前提として採用されておりますので、その点で、おのずと通常の常勤の職員とは給与水準に差が出てくるものではないかと思っております。また、同じく任期付でございますけれども、短時間勤務職員の給料につきましては、同種の業務に従事しますフルタイムの任期付職員の方の給料月額、これをもとにしまして、勤務時間数に応じて定めることが適当と考えております。

 さらに、よく議論になります手当の関係でございますが、この点、任期付短時間勤務職員の手当でございますけれども、この場合、基本的には、給与に依拠して生活することを前提としております常勤職員の方と同一に論ずることは適当ではないと思っておりまして、例えば夜間勤務手当や休日勤務手当など、職務に直接関連するような手当につきましては支給することができると考えておりますが、職員の生活面に着目した手当などにつきましては支給することは適当ではないと考えております。

河合委員 民間企業では人件費の効率化に向けまして大変な努力をしておりますが、さまざまな問題をはらんでおります。この任期付職員及び任期付短時間勤務職員につきまして、社会保障の面、年金とか健康保険につきましてはどういう処遇になりましょうか、お伺いさせていただきます。

須田政府参考人 お尋ねの年金あるいは健康保険の関係でございますけれども、まず、常勤の任期付職員でございますが、この方々には、一般の地方公務員と同様に、地方公務員共済法が適用されることになります。他方、任期付短時間勤務職員の方の場合ですが、一般的には、その勤務形態に応じまして、厚生年金法及び健康保険法、あるいは国民年金法及び国民健康保険法が適用されることとなると承知しております。

河合委員 以上をもちまして私の持ち時間の質問を終わりますけれども、本日は、大臣から、文化と文明論についてまで御言及をいただきました。

 今、二十一世紀に直面しておりますのは、例えばイラク、国際テロリズム、これは政治の世界を超えた文明間対話がなされなければならない根本的な命題を抱えております。あわせて、この分野でも大臣の御活躍を将来期待いたしまして、私の質問を終わります。

佐田委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、地方公務員法と任期付職員の採用について、この問題からお聞きをしてまいります。

 まず、人事委員会、公平委員会の機能を強化したいというこの法案の中身でございますが、私が考えますところ、苦情処理だとか競争試験、競争試験といいますのは公平委員会の事務として付加されるという面が多いわけですが、これらの事務が今後自治体において拡大をするということが予想される、そういうことだろうと思うんです。ただ量的に拡大するだけではなくて、専門的な、人事行政機関としてのつまり質的強化、これが図られなければならない、そのように変わっていかざるを得ないというか変わっていくべきである、このように理解をしてよろしいかというのが一点。

 二点目は、苦情処理の場合は、その処理過程がとりわけ、何が出てくるかわかりませんが、非常にこれは御苦労なさる、私はそう思うんです。したがって、事務量の増加とともに人事配置の配慮についても十分対応を考えなきゃいかぬ、配慮が必要だろう、このように思うんですが、質問と、今の私の一定の意見に対してお答えをいただきたいと思います。

山口副大臣 最初の人事委員会の権限といいますか、機能、役割等々の御指摘については、私もそのとおりであろうと考えております。

 もう御承知と思いますけれども、今回の改正というのは、人事委員会及び公平委員会の所掌事務として、職員の苦情処理を追加させていただきました。また、市町村の判断によって、公平委員会に競争試験等の事務を行わせることができるというふうなことにさせていただきました。

 この所掌事務の追加に伴う体制の整備でありますけれども、まずは、基本的には、行政組織の簡素合理化等々とあわせてやっていただくべきものだろうと思っております。ですから、必然的に新たに人員が必要になるというふうなものではないのではないかと思っております。

 しかし、今回競争試験等を実施するようにいたしました特に公平委員会につきましては、事務局の設置だとか、あるいは必要に応じて事務処理体制の強化ができるというふうにしておりますけれども、人員配置等につきましては、あくまで各自治体が、みずからの規模とか行政能力に応じて考えた上で適切に御判断をしていただきたい。要するに、自治体の中でしっかりやりくりをしていただきたい。ただ、住民の皆さん方から御批判を受けることがないように、しっかりやっていただきたいというふうなことでございます。

伊藤(忠)委員 次の質問に移りますが、任期付の短時間職員の問題ですけれども、こういう制度を導入するということは、主に部分休業者の補充要員として充てる、そのことを主に考えられているのかどうか。この点について質問いたします。

山口副大臣 主にといいますか、今回新たに導入をいたします任期付短時間勤務職員というのは、一つには、一定の期間に限って必要とされる業務、そしてまた二つ目には、直接的な住民サービスを拡充させるための業務、さらには、今御指摘いただきました、部分休業を取得した職員の代替職員としても採用できるというふうなことにいたしております。

 ですから、具体的には、育児のための部分休業とか介護休暇をとる職員がおいでる場合には、その職員の業務を任期付短時間勤務職員が代替をするというふうなことで、育児のための部分休業とかあるいは介護休暇等がとりやすくなるといいますか、むしろ取得の支援にもつながるのではないかなと実は考えております。

 また、今回提案させていただいております中に高齢者部分休業というふうなものがありますが、それを取得する職員の業務を代替するという場合についても、これはある意味でワークシェアリング的なものも実は視野に入れさせていただいておるところでございます。

 こうしたことで、多様な目的のために活用し得るものというふうに考えておりまして、各地方公共団体におかれましても、その必要に応じて積極的にこの制度を御利用いただいたらというふうなことでございます。

伊藤(忠)委員 関連して質問しますが、これは任期付なんですね。任期付でない短時間職員というものも導入してほしいという声が上がっているわけですね。だから、今回は任期付でやられるわけですが、任期付採用でもって今問題になっているところはカバーができる、このように理解をしたいと思うんですが、そうでございますか。

 でないと、さらにこれからもっと臨機応変に、勤務の状態が変わっていけば、そういう短時間職員も組み合わせてやっていくと非常にスムーズに職場は流れるというような将来のことも考えれば、なるほど任期付でない職員採用の声が起こるのもむべなるかなと私は思いますから、その辺の絡みはどうなんですか。

山口副大臣 今の先生の御指摘のとおりであろうというように私も実は思っております。今後とも、民間の状況とか、さらには、これは公務員制度の検討も実は今進んでおりまして、そうした状況を見ながら慎重に検討していきたいと思っておりますが、先生の御指摘のとおりであると思っております。

伊藤(忠)委員 次に、定員法について質問をいたします。

 まず一点、定員改定というのは毎年度行われるのか、それとも、そうではなくて、組織改編等大きな変動があったときに定員法は改定をするのか。この点について質問いたします。

山口副大臣 この総定員法というのは、定員の総数の最高限度というのを法定する、法定をすることによって行政機関の膨張を抑制するために実はやっておるわけでございますので、これは毎年改正を行うというものではございません。

 これは昭和四十四年に制定されたわけでありますが、これまで何回か改正がございましたけれども、一つに、地方事務官を廃止して行政機関の職員とした場合、これが昭和六十年と平成十二年でありました。さらには、省庁再編、これはもう先生御存じの大改革であったわけでありますが、これが平成十三年。そのときに改正を行っておるわけでありまして、ある意味で行政のあり方に大きな変化があった場合に改正をしておるというふうなことでございます。

 ちなみに、今回も、実は二十万以上の乖離が出てきておりますのでお願いをしたようなところでございます。

伊藤(忠)委員 定員のあり方について伺いますが、定員というものは、作業量に見合って適正に配置をされるべきものだと思います。定員と要員というのはイコールではありません。どういう中身かといいますと、定員プラス要員、これは現在員、この現在員が作業量にマッチしている、それが実態を反映した本来の定員だと思うんですが、そういう考え方ではいけないのかいいのか、どちらなんでしょう。

山口副大臣 先ほども申し上げましたように、総定員法というものは、行政機関の膨張を抑制するため、同時に、国として恒常的に行う業務に従事をする常勤の職員、これを定数管理の対象というふうにいたしておりまして、具体的な定数というのは毎年度厳正に審査、査定をさせていただきまして、お話しの、一つには業務量、そしてもう一つは行政需要に応じて定めておるところでございます。

 非常勤職員につきましては、これは統計調査職員とか審議会の委員さんだとかあるいは顧問とかいろいろな職種があるわけなんですけれども、例えば事務補助職員について見ますと、常時勤務を要しない臨時的業務などに従事をする者であって、定数内職員とこの非常勤職員とはその行う業務の性格が違うというふうに私ども理解をさせていただいておるところでございます。

伊藤(忠)委員 言われる意味はよくわかります。

 そうすると、こういうことですか。定員というのは、言うならば正規の作業量、これがイコールなんだ。だから、私は要員という表現をしましたけれども、これは臨時職員だとか、あるいは行政の需要によって、必要性によって審議会の委員さんだとかというのがもちろん入るかもわからないけれども、それは定員じゃない。それは定員としてはカウントしない。定員というのは常態に、言うならば恒常的に必要な本来業務に携わる人間が定員なんだ、定員の構成になるんだ、こういう理解でよろしゅうございますか。

山口副大臣 先ほどもお話をいたしましたけれども、非常勤職員といいますか、先生のお言葉をおかりしますと要員ですか、これに関してはいろいろな職種がありますけれども、御指摘いただきましたように、常時勤務を要しない臨時的業務とかあるいは変動的な業務に対応するために、各府省が予算の範囲内で業務の実情に応じてその都度採用して、必要な期間だけ雇用するものであるというふうなことでありますので、これもお話しいただきましたように、国として恒常的に行う業務に従事をする常勤の職員である定員内職員とは行う業務の性格が異なると理解をいたしておるところであります。

伊藤(忠)委員 そうすると、呼び方はちょっと俗人的過ぎますが、非常勤、パートという人もいますね。こういう人たちは定員に入らないわけですね。定員は人件費で組むけれども、この非常勤、パートの人は人件費で組んでいるんですか、組んでいないんですか。その辺はどうです。

山口副大臣 お話しのとおりでございまして、物件費という形の中で処理をさせていただいております。

伊藤(忠)委員 この非常勤、パートの皆さんを何名雇うかというのは、作業量に見合った適正配置には必ずしもなっていないわけですからと理解していいんですか。

山口副大臣 作業量とか行政需要に見合って、各府省がそれぞれ判断をして配置をするということであろうと思います。

伊藤(忠)委員 非常勤だとかパートというのは結構いると思うんですよ。今ここで全国的に何名いるのか、中央省庁に限ってでも明らかにしてくれと言ったら、すぐに数字は出ない、出るか出ないかわかりませんけれども、それぐらいおみえになると思いますよ。

 県庁だとか市町村へ行きますと、お茶くみに走るとかコピー焼いているとかという人たちがいるじゃないですか。あの人たちは物件費なんですね、今答弁ありましたように。人件費じゃないんですよ、物件費なんです。物件費というのはどういうことかというと、机を買う予算、いすを買う予算と一緒なんですね。物件費というのはそういう私は理解をしているんですが、多分そのたぐいだと思いますよ。そういう予算でもって人を雇っているわけですね。

 言うならば官公庁でしょう、行政府なんですよ、行政府の雇用形態としては、あるいは予算費目としては、そういうふうなことで長年運用をやってきて広がっているんですが、これは正常な状態だと思われますか。それともこれは改革すべきだと思われますか。どちらなんでしょう。

山口副大臣 物件費ということでありますけれども、机とか鉛筆とかいうふうな意味だけじゃなくて、さまざまな、いわゆる行政上必要になった経費という意味でおとらえをいただきたいと思います。

 ただ、今県庁のお話もありましたけれども、実は私も県会議員をしておりまして、もう先生御存じの二十二条職員というものですね。これは、実際はほとんど正規の職員の方々と同じような時間をしておる。一日の勤務時間もほとんど同じだ。ただ、そういった二十二条という枠内の中で運用されておるわけでありますけれども、必ずしもこれがあるべき姿なのかと言われますと、若干問題もあるのかなというふうな思いも実はいたしておりまして、そこら辺も、先生の御指摘もございますし、私の思いもございますので、いろいろと勉強もさせていただきたいと思っております。

伊藤(忠)委員 意外とこれはメスの入っていない部分だと私は思っているわけです。

 例えば、中央省庁もさまざまでございまして、ある試験所がございまして、私の身近な例なんですが、そこの所長さん付の秘書役をしていた女性がいるんですが、その女性は物件費だったんですよ。人件費じゃないものですから、正規の公務員じゃないんですね。ところが、本人は秘書役という、非常にやる気を出して、その所長さんの部屋へ入っていきますと、まさしく秘書の役割を果たしていたわけですね。

 ところが、独立行政法人にどんとなったら、あすから来なくてよろしいと首になったわけですよ。本人わからぬわけですね、そういうことは。正規の職員だときちっとその辺の人事任用がはっきりしていますから本人もわかっていたんですが、その方はそういうことが全然ぷっつんになっているものですから、あすから来なくてよろしいとなって、本人はどうしようかしらというんで、別の職場を探したそうですがね。そういうケースが出るんです。

 ですから、これはある意味では雇用不安じゃないですか。団体交渉権はない、こういうふうに言いますと、いやいや団体交渉権は認めているんだと言うけれども、そうじゃない。団体協約締結権がないものですから、何も証文がないんです。

 そうすると、そういう人たちの雇用というのは非常に不安定になるというのは、一つの例ですが、これは全国で見れば相当やはり似たようなケースというのは出ているように思いますから、今御答弁いただいたように、この辺は政府としてもちょっと腰を入れて検討される必要があるんじゃないでしょうか。

 つまり、安全弁に使うというような、これはよくやっていますよ、もう戦後からずっと続いてきているわけです。あなた、どこ行っているのというと、県庁へ行っていますと。県庁で何しているのかといったら、お茶くんでいると。七年間もお茶くんでいるわけです、ずっと。これじゃ本当に人材活用、働きがいのある職場になるのかというのはだれが考えたって疑問ですから、これは本腰を入れてやはりメスを入れるところに来ているんじゃないか、私はこのことを強く要望いたします。

 関連して申し上げますが、定員の削減要因としてIT化がふえたからという理由が結構資料に多く出ていますね。削減する場合は、ヤマカンでやるんじゃなくて、定員の算出根拠というのがあるのかどうか。これだけの作業量が減れば何人分の人が減る、これだけの作業量がふえれば何人分の人がふえるという算出基準というものをお持ちなのかどうか、この点はどうでしょう。手短にどうぞ。

山口副大臣 前段の先生の御指摘、私も実はもっともだと思っておる面があります。というのも、私の家内も県庁の臨時をしておりましたので、そこら辺の事情は極めてよくわかっておりまして、先ほど申し上げましたように、公務員制度改革のお話もありますし、いろいろな場面でしっかりとまた検討させていただきたいと思っております。

 さらにもう一つの、IT化などによる増減の要因の根拠はあるのかというふうなお話でありますけれども、これはもう先生も御案内と思うんですが、定員というのは、行政需要の消長とか業務量の増減に応じて定めるというふうなことになっておりまして、まず削減については、事務とか事業の整理合理化あるいは効率化等を計画的に行うために、従来から定員削減計画というのがありますが、これを策定して、これを着実に実行すると同時に、IT化とかアウトソーシングの推進等による業務量の減少等に応じてさらなる削減というふうなことを行っておるわけであります。

 特にIT化というふうなことに関して申し上げますと、私どもも当初は、これはある意味で物すごい行政改革になるし、業務の見直しになっていく、本当はこれはバックオフィスの問題なんだろうというふうなことでやっておりますけれども、これも御案内と思いますが、では入れたからすぐにこうなるというふうな話ではなくて、徐々に業務の見直し等に応じて、これだけだろう、業務量がこうなった、こうなったというふうなことに相なっていくものだろうと思っております。

 さらに、増員につきましては、これも時代の状況等々で、例えば警察官の増員だとか、あるいは税関の職員の増員とか刑務官の増員等々、いろいろな議論がありましたけれども、これも各府省からの要求を厳正に審査をさせていただいて、先ほど来申し上げております行政需要とか業務量の増大に応じて、本当に必要な部門には適正に配置をしていくというふうなことであろうと思います。

伊藤(忠)委員 総定員の管理をされている立場からすると、そういう表現にならざるを得ないと思うんですけれども、結局は、実績主義、積み上げ方式で来たものですから、それを何か算出基準なんというような科学的な一つの物差しをつくって当てはめるということはなかなかできないというのが現状じゃないんでしょうか。

 それを当てはめるといったら、算出基準をどういうところに置くのか、政治的な要素をどのようにするのか、大変なことになりますよね。だから、結局それは仕切らないというのがこの公務部門の、こういう言葉で言った方が語弊がないと思いますが、官公庁のそういう定員のまあまあ妥当な線かということで来ているんじゃないんですか。そこのところは、民間でいえば工場の生産管理をどうするかとか、そういう部門だったらこれは話はまた別なんですが、事務部門が特に中心になるものですから、まあそういうことで来たなということなんですよね。私はそうだと思うんですよ。

 ただ、さはさりながら、やはりちょっとここのところは緩いな、ここのところはきついなというのは全体を管理されておればわかりますから、そこのところは厳しく切り込んでいくという姿勢がありませんと、各省庁にしてみれば、おれのところの省庁の中ではこういう配置率を金科玉条に守っていけば、その分だけ楽ですから、ということで今後も続いていくというのはいかがなものか。そこのところはきちっともう少し厳しくやっていくということにしないと、抽象的な言葉一言で定員管理が厳しくったってなかなか行き届かないような話ですから、私は、そういう考え方で総務省としてはその点の総定員管理をやっていただきたい、こう思うんです。

 これは、生産工程とか、そういう工場なんかだったら話は別ですよ。これはちゃんと基準があるんです、民間は。厳しい基準がありますから、工程が変わればこの分だけは言うならば科学的な数字の基準でとんとんとみんなはねていくんですが、それがなかなかできない悩みもまたあります。その辺私はある一定の幅はよくわかるので、そのような考え方でひとつこれからは対応いただきたいと思うんですが、どうでしょう。

山口副大臣 伊藤先生の方から、大変御理解のある御指摘といいますか、お話をいただきました。

 確かにおっしゃるとおり、いわゆる積み上げというふうなことであるわけですが、こういうふうな言い方にしかなりませんけれども、具体的には、毎年度、各府省から、定数の削減計画というのがありますが、これによって、定員削減だとか、あるいは先ほど申し上げました新規行政需要に基づいた増員についてのさまざまな要求が出てまいります。私ども総務省におきまして、これを厳正に審査させていただいて、政令で各府省別の定員を決定させていただいておるというふうなことでありますが、せっかく御指摘賜りましたので、しっかり行政需要とか業務量に基づいて各府省の定員というのをこれまで以上に厳正に審査をして、その積み上げによって全体の定数を決めるようにしてまいりたいと思っております。

伊藤(忠)委員 それを厳しくやればやるほどアンバラが明らかになりまして、全体で統一できるなというところで線を引くような総定員の管理になれば、特に施策の変更によってある省庁では人が余った、余った人間は、これは雇用を守らないけませんから、では配職転という格好にならざるを得ないと思うんです。そういうことは当然起こりますし、雇用不安をなくすという立場になれば、当然OJTを前提にした配職転ということがきちっとそれこそやられなければいけないと思うんです。

 配職転のケースというのはどうしてもこれから出ると私は見ますが、そういう考え方はどうも先走り過ぎなのか、それとも、いやいや、出さなくてもきちっとそれは御安心くださいとやっていけるのかどうか、その辺はどうなんですか、どういう御判断ですか。

山口副大臣 先生にいろいろ御心配いただいておりますけれども、本人の意思に反する免職等を行わないというふうなことにするためにも、実は配置転換というのは大変大事な話になってこようかと思います。これをぜひとも今後とも積極的に活用しながらやらせていただきたいと思っておりますが、ただ、その際、しっかりと、その職員の方が新たなセクションで自信を持ってちゃんとした仕事ができるようにするためにも、やはり研修等も実施をしていかなきゃいけないだろうというふうに考えております。

 私どもとしても、今お話がございましたように、しっかりとこれを積極的に活用してまいりたいし、そのための方策を検討してまいりたいと思っております。

伊藤(忠)委員 その点は強く要望しておきたいと思うんです。つまり、何でかといいますと、本人は、ある職種についた、一生懸命一人前になった、ところがそういう変更があって自分はこちらへ移ることになった、それは雇用不安だけでなくて働きがいそのものがなくなるということは大変な問題ですから、やる気を起こさせるようなOJTでなければいけないし、そのような職場の言うならば配置がえの際には十分配慮をいただきたい、このことを私は強く要望申し上げたいと思うんです。

 次に移ります。

 定員法と社会保険庁の関係についてお聞きします。

 平成十二年の四月に、私もこれは議論に参加をさせていただいたんですが、当時でも、与野党を含め自治体の関係者の皆さんからは、地方事務官制度の廃止については相当抵抗がありました。でも、これをやってのけたんですね。その結果、定員は一万八千四百九十三人ふえました、中央が。

 今改めて申し上げるわけですが、そのことによって、地方の社保事務所は、窓口ですね、以前は三千二百カ所あったんですが、その窓口が現在では三百カ所に減ってしまったわけです、中央直轄ですから。その結果、対住民のサービスは当然悪化していますし、自治体は広報活動でもかなり自分たちのお金を使って、財政援助もして広報活動をしっかりやっていたわけです。だから未納者も少なかった。当時は二〇%ですよ。今は四〇%あたりじゃないですか。

 そうなるから絶対反対と私たち言ったんです。必ずそうなるから、なぜしゃにむに中央へ国一元化で持っていくんですか、こう言いましたときには、これは法定受託事務の範囲を超えているから上へ引き揚げるんだ、こういう理屈が当時は中心なものでした。心配したことが的中したと思うんです。これはおかしい、なぜこういうことにこだわるのかというんです。

 中央にしてみれば、人数ふえるからな、やれという気分だと思うんです。でも、地方にしてみれば、好きか嫌いか話は別です、やはりそういう社会保険事務をやっていて、個々人、家庭にまでビラを配って広報活動をやって、あなたはこうだから入っておきなさいよ、今入っておけば決して損をしないからというような、極端に言えば戸別訪問や、言うならばフェース・ツー・フェースでやってきて、やっとその程度にとどめていたわけですよね。これがもろに崩れた。

 私は思うんですが、小泉改革の金看板である、中央から地方と言われます、官から民と言われるんですが、この基本方針を小泉さん守るんだったら、現在のやり方というのは全く逆行しているんじゃないのか、私はこう思うんです。定員を減らすというふうにこの総定員管理で言われておりますが、その政府方針からしてもおかしいんじゃないかと私は思うんです。

 言うまでもなく、年金に対する国民の不信というのは極限状態ですし、国民年金の納付手続問題というのは所管の委員会審議にこれからゆだねるとしましても、とにかく職員の身分移換と窓口サービス、ネットワークシステム、この問題については、これは真剣に考えていただきたいと思います。言うならば、この場ではっきり方向性については明言いただきたいと私は思っているんです。

 地方分権一括法で、附則にはこう書いてあります。二百五十二条、読み上げるまでもありませんが、それを踏まえて、とにかく現行制度については一日も早くこれはもとに戻すということを確約いただきたい、こう思うんですが、厚生労働省、お見えでしょうか。

森副大臣 地方分権一括法の附則の趣旨を踏まえて、地方自治体が国民年金の事務を実行できるように措置すべきではないかという御質問だと思います。

 お言葉でございますけれども、国民年金事務を含む社会保険事業は、一定の地域や職域に限りませんで、全国さまざまな形態の事業所や被保険者を対象として、国民皆保険、皆年金体制を担保する最後のよりどころとして、国が保険者となりまして最終的な経営責任を負って運営をされているものでございます。

 お話にありました地方分権推進委員会でさまざまな御議論を経て、第三次勧告、平成九年九月二日に発せられたものでございますけれども、これにおいて、国と地方の業務を厳密に切り分けた上で、国民年金の事務については原則として国が直接行うものとして、適用などの業務のみを法定受託事務として地方自治体が行うことと整理をされたところでございます。それを踏まえまして、平成十二年に地方事務官を引き揚げて、また平成十四年から、届け出の窓口などのごく一部の法定受託事務を残して、国の方に徴収事務などを引き揚げたわけでございます。

 結果として、伊藤先生が御指摘のように、若干窓口が心理的にも距離的にも遠くなっちゃったというようなことで、それも確かに一因とはなっていると思いますけれども、現状では若干、市町村がやっていたころに比べて徴収率が低下をしているわけでございます。しかしながら、国に引き揚げたということも一つの理由だということは認めざるを得ませんけれども、それ以外にも、免除率の見直しを行ったりさまざまな原因があるわけでございまして、いずれにしても、平成十四年から始めたばかりの体制で、今鋭意、徴収率を上げますように体制を整えているところでございます。

 とにかく今八〇%の徴収率を目指して頑張っているところでございまして、もちろんその実施に当たっては、口座振替の促進、あるいは保険料納付を呼びかける広報、あるいは集合徴収の実施などにつきまして市町村の御協力も得なきゃなりませんけれども、そういったことを含めて、今もう全知全能を結集して徴収率を上げるためにさまざまな努力をしているところでございます。

 しかも、まだ始めて二年でもって……(伊藤(忠)委員「わかりました。簡単にやってください」と呼ぶ)はい。これからさらにいろいろな施策を講じまして、何とか徴収率を上げたいというふうに考えておりまして、この時点で、長い長いさまざまな御議論を経た地方分権推進委員会の勧告に従った方向を変えて、また市町村に戻すということは困難であるというのが私どもの考え方でございます。

伊藤(忠)委員 簡潔に答えてください。言われているのは、大体ポイントは三つぐらいしかないんですから。あとは言葉のあやですよ。結局できないということでしょう。

 そうすると、聞きますが、この一九九九年七月八日の、百四十五国会ですか、私が申し上げました一括法の附則第二百五十二条、これはもう無視するということですか。これを踏まえて検討をする気もないということですか。

 つまり、なぜ私が言いたいかというと、あの社保庁のシステムは単純明快なんですよ。社保庁の皆さんが扱っている政策というか中心部分、ヘッドの部分はほとんど変わっていないんです。あとはシステムにつながっているだけじゃないですか。だから、そのシステムのネットワークの部分だけを吸い上げていったわけですよ。仕事の中身はほとんど変わっていないんです、中央のやる仕事と末端の窓口にかかわる仕事と、変わっていませんからね。これがごちゃまぜになって、お互い構造的に入り組んで、全く中の組織がそれこそ構造的に改編されておるならばちょっと時間がかかるかもわかりませんが、そうではありません。幾らでもできるんです。非常に簡単なんです。簡単なシステムなんですよ。

 だから、あのとき言ったのは、何が欲しいんですかと言ったら、それは下から上へ身分を吸い上げるというので、身分を吸い上げられたから、ネットワークも全部保険庁の管轄になってしまったわけですよ。その結果、こういう問題点が出てきたわけで、未納率だって、あなた、倍になっているじゃないですか。それはそうですよ。三千二百もあった窓口が三百に減ったらどうなるか、だれが考えたってわかるじゃないですか。

 あの当時僕らが、必ずそうなるよ、だからこれは持っていくのはやめなさいと言ったんですが、分権一括法がどうのこうのという話でああなったんですよ。それはお役人さんの、言うならば縄張りみたいなものだ。だから、本当に年金の受給者、被保険者の立場に立ってやるんだったら、あれはやらない方がよかったんですよ。そういう反省を僕たちも持っているわけです、逆に。反対はしましたけれども、法案が通ったということに対して私は責任を持っているわけだ。

 だから、そういう実態に着目をして、これはやはりもう一遍もとに戻す、そのことについて検討するということについて、少なくともそういう観点に立たれるのかどうかですよ。立たないというんだったらこれは話にならぬ。そんな考え方で年金の問題をやられているんだったら、厚生労働省は、それはなかなか話はうまいこといかぬはずや。総務省やったらすっすっといきますよ。どうですか。

森副大臣 先ほどやや説明が長くなりましたけれども、既にその中でお答えしておりますとおり、まず、平成十四年から国が責任を持って徴収事務を行う体制になったわけでございまして、システムができているといっても、やはり今移行期であって、この体制が整うのにもうちょっと時間がかかるということは御理解を賜りたいと思います。

 いずれにしても、八〇%の徴収率を目指して、今市町村にも協力を仰ぎながら鋭意体制を整備しているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。

伊藤(忠)委員 次に移ります、時間がないので。

 それならそれで、何で民間の社長を持っていくんですか。民間の人間を社会保険庁の長官にするんでしょう。そのように坂口さん言っているじゃないですか。それなら、独立行政法人経由で株式会社にしたらどうですか。もっとサービスはよくなりますよ。今のままでいかなくてもいいんだ。そこまで公言されているじゃないですか。

 だから、僕らは無理言っていないんですよ。そういう状況の中で、ではどう検討するかということを示されてはどうですかと言っているんですから、あなた、何も基本的にぶつかっておる話じゃないんですよ、これは。坂口さんは言っているじゃないですか、民間から長官を持ってくると。民間から長官を持ってくるんだったら、社員にしたらどうですか。そこまで一挙にいかぬなら、独立行政法人にでも移管したらどうですか。サービスはもっとよくなりますよ。幾らでもやり方はあるんです。ところが、そこまで一挙に僕らは言いませんが、余りにも頭がかたいんじゃないかということを言いたいわけです。

 だから、国民の立場に立って、もう一遍この社会保険庁のシステムのあり方については考えられてはどうかと言っているわけですから、そんなきれいな文句で言われたって、それはそらぞらしいと言わざるを得ない。もういいです。結構です。もう結構ですからね。検討することについてと言っても、なかなかうんと言われぬような雰囲気ですから。とにかく私たちはそれで下がりませんので、お願いしたいと思いますよ。

 次に、ILOと労働基本権の問題について、総務大臣に真正面からひとつ私は答弁をいただきたいと思っております。二十分まで、二十分間でどれだけできるのか問題ですけれども、一点お聞きしたいのは、これは内閣府でしたか、官房の行革担当の方がお見えなので、ちょっと聞かせていただきます。

 ILOが日本に勧告を出しているでしょう。これは二年続いて出ていますよね。そのことについて、言うならば公務員に対して労働三権、とりわけ団結権はある、団体交渉権というのは話し合いだけで労働協約締結権は実際認められていない、そういうふうなILO八十七号条約に照らして問題があるという勧告が出ていますけれども、政府が言われておるのは、代償措置を講じております、これは国内問題であって外国からとやかく言われる問題でもない、そういう表現はしていませんが、まあうまくいっておりますと。このように抗弁をされているんですが、そのような考え方に変わりありませんか。

佐藤(剛)副大臣 伊藤忠治先生とは、労働委員会のともに理事としまして御行動賜りました。久しぶりでございます。

 ただいまの御質問でございますけれども、先生御存じのように、ILOとの問題について、現在、幅広くいろいろな関係者の意見を聞いて、特に能力主義を入れていくという場合に、人事院の代償措置、そういう必要性ということは変わっておりません。そういう立場でやっていくわけでございまして、現在、人事制度における人事院の役割、そしてそれを具体的に作業の中で検討いたしているところでございまして、こういう考え方を含めまして、幅広い方々の御意見を踏まえて適切に処理してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

伊藤(忠)委員 こういうのを馬の唇といいますね。御存じですか。馬の唇というのはなかなか合わぬわけです。もうわかりました。時間がないので私も焦っていて、合わすまでいったら時間が倍かかりますからね。

 結局、代償措置として機能しているということだと思うので、これから公務員制度については議論をして検討していこう、こういうことだと思うんです。

 では、ちょっとかえますけれども、人事院に先に聞かせてください。

 人事院さんにお聞きしますけれども、単刀直入に言いますが、今、片山委員会が発足していますよね。そこで評価制度が議論されていますよね。さまざまな議論がこれからもされていくと思うんですが、人事院は法定主義のもとに仕事がいろいろあるじゃないですか。勤務条件が細かく決まっていますよね。そういう人事院の業務が、片山委員会の言うならば評価制度がどんどん具体化されていくことによって、競合する部分が出るんでしょうか、出ないんでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 今、官房の行革事務局で検討されている公務員制度改革の結論はまだはっきり見えてきておりませんので、私ども、ちょっと判断いたしかねる部分がございます。

 ただ、従前とは異なりまして、私どもの意見も十分聞いていただける環境は整っておりますので、私どもの意見も十分聞いていただきながら、決して人事院の業務と競合するというようなことがないように、いい公務員制度をつくっていきたいというふうに思っております。

伊藤(忠)委員 所管の副大臣にちょっとお伺いします。

 評価制度に着目して、今、公務員制度、特に片山委員会を中心にやられていますね。この評価制度というのは、私も読ませていただきましたが、こういう目的のためにやられるわけですね。三点ございまして、一つは、国民から負託された仕事に対して、ふさわしい能力を有する者を任用し、仕事に見合った働きに対して適正な処遇を行う、こうなっているわけですね。

 これはまさしくそうだと思いますよ。能力評価、実績評価なんですね。これをやるというわけでしょう。これが主たる問題でしょう。天下りの話もありますよ。だから、こういう考え方で評価制度についてこれから議論をし、結論を出していかれるということについて、そう理解していいのかどうか。端的に、イエスかノーか。

佐藤(剛)副大臣 伊藤先生、片山メモまでお引きになりまして公務員制度改革の問題をおっしゃって、今、三点、国民から負託された仕事、ポストについてやる、ふさわしい能力を有する者を任用する、それから仕事に見合った働きに対して適正な処遇を行う。おっしゃられたとおり、この三つを中心にいたしまして、公務員の人事管理の基本ということを確認の上、評価制度というものをどのような形で整備するか。そしてまた、能力や実績の評価結果を基礎といたしまして公務員の任用、育成を行う。こういう形で、めり張りのある給与等の枠組み、そういうようなことを今構築中でございます。

伊藤(忠)委員 今おっしゃったとおりなんですよね。そうすると、それをやればやるほど、最終的にはこれは任用とか給与に反映されなきゃいかぬわけですよ。それに反映されぬような能力評価だとか実績評価なんてあり得ないわけですよ。

 そうすると、人事院がやられております勤務条件がありますよね。職種職階等級制がありますよね。級別定数までちゃんと決めておって、その基準に従って、各省庁は、この人は審議官になられた、なったらこのあたりだなというのでポストを決めるだけじゃないですか。基準は人事院が決めているわけですよ。

 こういうふうな基準をやっている人事院の仕事をこちらがとっていくのか。あとは人事院に任せてどうぞよろしくと、能力評価制度を結論を出したら、人事院さんにそっくりそれを投げまして、人事院さんがそれに基づいて基準をつくってくださいと言われるのか。私はそう考えていないんですが、各省庁が評価制度を生かして人事、任用権を握る、むしろそちらの方に重点があるような感じで受け取っておるんですが、どちらでしょう。時間がありませんから、簡単に答えてください。

佐藤(剛)副大臣 御承知のように、国家公務員法で決められている能力問題でございますね。

 これにつきまして、今先生おっしゃられた人事院の方の代償機能というんですか……(伊藤(忠)委員「そんなのわかっている」と呼ぶ)もう専門家の専門家でいらっしゃいますから十分あれなんですが。どういうふうに言ったらいいですかね、各省庁がみんな持っていますね。それについて、しっかりしろ、人事管理をしっかりやってくれ、こういうようなことになっていく。

 私は、英語で言いますと、コンペンセーションじゃなくてサブスティチュートのような形になり、あるいは、労働基本権の制約に係る人事院の代償機能というのは、御承知のように、行政措置要求の処理とかあるいは不利益処分の審査とか、あるいは給与等の勤務条件についての情勢適応の原則に基づく国会及び内閣に対する勧告または報告とかありますね。そういうようなことで進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

伊藤(忠)委員 まさしく馬の唇なんですが。

 結局、人事任用に生かすということにしても、やはり人事院が基準をつくったものでやっていっているのが現在のルールなんですよ。ところが、評価制度というのは、ないものを入れるわけですから、それは従来の人事院との連係プレーで従来のシステムでやっていくのか。省庁の大臣が権限を握りましてやっていくということになりますと、人事院の仕事が形骸化するわけですよ。そこのところを一番つじつまが通らないなと私は心配をしているわけです。

 中国は、一党独裁の共産党政権なんですよ。ところが、私はあるところへ行きましたら、評価制度が導入されていまして、廊下にずっと張ってあります。それは日本では一般化していないんです。日本は評価する場合には上が下を評価するじゃないですか。ところが、そこは下が上も同時に評価しておるわけですよ。一覧表で張られたら大変なことですよね。これはもう情報公開もいいところなんです。その結果が給与にはね返ってこそ真の評価制度だと私は思うんです。

 ですから、評価制度というのは、これはどこでも一般的にこれからはやられる制度かなと私は思っているわけですが、外のことはともかくとして、これは一遍総務大臣にお聞きしたいんです。結局、それは給与にはね返る、人事任用にはね返るというふうになって初めて評価制度というのは生きるんだろうと思うんです。

 そうすると、それは、そこに働く職員、代表する組合の協力がなければこんなセンシティブなことはできませんよ。職員の協力、組合の協力のないところにこういう制度というのは絶対導入はできないと私は思っています。紛糾するだけ、もめるだけですから。そういう労使の言うならば信頼関係というのが前提にならないと、円満にこういうものはやっていけないんだろうと私は思っているんです。私の経験則からそう思います。

 そうすると、団体交渉権はあるけれども協約締結権はないだとか、話し合いだとかという極めて日本的な制度、外国人が聞いてもなかなか理解できないような日本的な制度でやっていくことには限界が来ている。扱う課題が、今言ったようなことでさまざまこれは深まってまいりますから、限界が来ている、私はこのように思うんです。

 そのように考えますが、マンパワーを引き出していく立場からもぜひともこれは、初めは限られた問題の、団体交渉、協約締結権ということから出発してもいいんですが、必ずそういう部分というのは必要性が出てくるであろう、このように考えるんですが、総務大臣、どうですか。これは肝心なところです。

麻生国務大臣 佐藤副大臣よりは明快に答えないかぬと思うておるんですが、なかなかこの話は、お互いさま組合をやってきましたのでようおわかりのところだと思います。

 この話は、基本的に、もう長い間かかった話でもあるんですが、役人の世界で能力給が果たして入れられるかという話ですよ。上の人間はしょっちゅう入れかわるんですから。そこに行ってずっと見ていればいいですよ。トヨタの何々工場にはずっと上の者がいて、こいつはどれぐらいというふうに見ていればいいけれども、中級職以下はそこにずっといて、上にいる者は一年か二年でぱらぱらかわられて、それがいきなり能力があるかないかどうやってわかるんですかという問題を突きつけられて、答え切った人は一人もいません、今まで。これは連合の方とも何回も話したことがありますので、能力給というのはなかなか難しい問題なんだと私は基本的にそう思っています。

 それからいきますと、今までは、日本的慣習で、あうんの呼吸というとちょっと、団体交渉とか言いませんけれども、一応話をしてきてここまでして、それで最終的にそこを人事院でまとめていただいてきたというところで、少なくともこの何十年間にわたって強烈なストライキやら争議というものがなく、ここまで日本というのはうまくやってきた。外国で通用する通用しないというのは別に、日本の話であって、外国にどうのこうの言われる必要もない問題だとは思いますけれども、お互いさま立場がありますので、その立場を両方主張し合ったところでそこそこのところで、人事院で、双方、中労委含めいろいろなところでこれまで解決してきたんだと思います。

 これは今から、この間連合と話を開始したばかりではありますけれども、問題は簡単に答えがすっと出せるような話ではありません。少なくとも信頼関係がない上にこんなものが絶対成り立つわけがありませんから、そういった意味では、丁寧な話し合いを何回も積み重ねて、これが言うならという話までいかないと、とてもじゃないけれども前には進まぬと思いますので、法律で決まったからこれなんというんじゃなかなか難しいだろうなというのが自分なりの、いわゆる官公労という方々と何回かやらせていただいた感想であります。

 したがって、佐藤先生よりちょっとは明確かもしれませんけれども、ではどれぐらい明確に理解されたかというと、難しいというところだけはお互いさまよくわかっておるところで話をしておられますので、私どもも、今申し上げましたように交渉を開始したばかりなところでありますので、まだ何とも今の段階で、こうともああとも申し上げる段階にございません。

伊藤(忠)委員 今大臣の言われたことは、結局、労使の信頼関係のもとに話をこれから続けていく、能力給の話は、一定の構想なり方針が決まれば人事院で具体化されて、人事院の基準としてそれは扱っていった方がいいのかな、こんなふうに今のところ感想としても思われている、こんなふうに受け取ってよろしいですか。これだったら整理ができるので。いいとこ取りでいこうというふうに思われている部分もあるものですから、どうしたって、あれはおかしいじゃないかどうのこうのという話が出るんですが、どうですか。

麻生国務大臣 昔、政調会長のときですと明快なお答えができる立場なんですけれども、ちょっと今この立場になりますと、他省庁との関係もありますので、伊藤先生これですよとなかなか申し上げる立場にはないんですが。

 少なくとも、能力給というのをどういう基準で考えられているのかがよくわからぬところでもありますので、営業なら売上高に比べてどうのというような話もできないわけではありませんし、生産高に応じるということも可能ではありますけれども、役所の世界の中で能力給と言われて、振り分けられたところで能力給と言われても、なかなかこれは基準づくりは難しいだろう。そういうことを長いことやっていた立場から言わせると、なかなか難しいと思います。

 同じ職場に上下ずっと十年もいれば大体ということもできますでしょうけれども、そこのところはなかなか難しいので、人事院というものを私どもは有効に活用すべきものだ、私は基本的にそう思っております。

伊藤(忠)委員 いずれにしましても、第一回の政労会談をやられまして、これから第二回の会談に向けて今準備が進められております。一方で、やはりILO総会が近づいておりまして、それも横目に意識しながらという政治的な要素も当然加わっていると思いますので、総務大臣は構成員の中心メンバーでもございまして、ひとつ大いに御活躍をいただきますように、交渉権の問題が前進しますように御活躍をいただきたいと思います。

 このことを最後に希望を申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思いますけれども、ちょっと前後する項目があるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

 先般、決算の分科会では、国のあり方、そしてまた地方のあり方、すなわち国と地方の役割分担、これにつきまして麻生大臣と質疑させていただきました。そしてまた、国と地方の役割の関係で、一例として、この間さまざま議論されておる年金問題についても触れさせていただきました。

 ただいま伊藤委員がお話しされたとおりなんであります。地方分権一括法の前には、国民年金の徴収は市町村の事務ということで、厚生労働の副大臣から聞きたいと思いましたけれども、通告していないものでお帰りになりましたけれども、市町村の事務のときは、首長の名前で納入通知書が行っていたわけなんですね。市民、町民、村民からすれば、身近な納付のものだということ。あるいはまた、財政が必ずしも豊かでない町や村であっても、やはり身近な保険料として、例えば納税貯蓄組合など、そういうものの力があって徴収率が高まっておりまして、むしろ町や村の方が九五とか九七とか。

 そんな八割とかを目標なんていって、伊藤先生が言っておる、三千二百というのが市町村の窓口だと思うんですが、それが十分の一になるということ。そしてまた、さらにお金をかけて滞納をなくしていくというようなことなんでしょうけれども、本当に私は多勢に無勢だと思っております。地方事務官という方々が国家公務員になりましたけれども、その嘆きが私は聞こえてくるようであります。

 また一方、首長からすれば、難儀な仕事が国に行ってよかったと思っているかもしれませんけれども、それでもやはり必要なことは、国民の目線で仕事をやっているんだというその部分だと思います。こういう委員会あるいはまた本会議で法律を我々はつくりますけれども、何度も言いますけれども、現場でその法律が本当に生かされているのか、そこが一番大事だと思っております。そういうことがありまして、この地方分権改革、もっともっと吟味していかなきゃいけないと思っております。

 そしてまた、政府の三位一体改革、このままではまやかしでありまして、二〇〇四年、本年度は補助金削減に見合う税源移譲もなされずに、私からすれば、自治体いじめの何物でもないと思っております。

 それに対して、麻生大臣も、まず最初に三兆円の税源移譲ありきだということで提言されまして、その提言された後に、二十五日、地方六団体が武道館に七千人以上集まったというのは、これは始まって以来じゃないですか。地方財政危機突破総決起大会であります。税源移譲を最優先で実現するよう、まあ、そういう声が聞こえたかどうかわかりませんけれども、二十八日、経済財政諮問会議で、総理も、三兆円をめどに税源移譲すると打ち出してはどうか、こういうふうな話になっておるわけであります。

 私は、国と地方の組織のあり方でありますけれども、行革も進めていかなきゃならない、そしてまた国の予算も潤沢に使えるというような状況ではないということ、やはり中央政府の簡素合理化、国は外交であるとか安全保障であるとか基礎的な経済対策であるとか、そういう部分、効率的な小さい政府にする必要があると思います。そしてまた、逆に、国土交通省であるとか厚生労働省であるとか農林水産省であるとか、その部分の八割、九割は本来地方の仕事でやっていけるんじゃないのか、そういう気もするわけであります。

 いずれ、それらを踏まえて、中央政府から都道府県へ、あるいはまた都道府県から市町村へと人材をシフトするなど、真の三位一体改革と並行しまして、人材の活用策を図るべきではないかと思っております。今までも細々とした、さまざまな出向とかはあったんでしょうけれども、これからは転籍も含むような形で人材シフト、こういうものを図っていかなきゃならないと思っておるわけであります。

 三位一体改革に倣いまして、人材も含めたいわゆる四位一体改革、こういうものも進めていく必要があると思うのでありますけれども、大臣の所感はどうでしょうか。

麻生国務大臣 黄川田先生、市の職員等々やっておられますので御存じと存じますが、私の感じでは、地方の公務員の質というのはこのところかなり昔に比べたら向上したと思っていますよ、私自身は。例えば、学歴も県庁の職員の方が、学卒の数は国家公務員より多いというのが現実でありますから、学歴がよければいいということでないことはもちろんのことですけれども、少なくともかなり質は向上しておると思っています。

 あの介護保険なんというものがたかが三年ぐらいであれだけスムーズに入れたというのは、やはり地方の職員のレベルが上がっていなければとてもあんなことはできなかったろうと思っていますし、この辺でいえば、千代田区なんかは、たばこ条例をつくったのもあれはたしか千代田区がつくった。ああいったものを含めてどんどんやってきていますので、いろいろな形で地方の職員でできるレベルは上がっております。

 そのレベルがかなり上がっているというまず認識を持った上で、かつ、県の方たちが今度は市に対してどれだけ権限を移譲できていくかというのはまた次の問題なんだと思います。国から地方、地方の中でまた県から市町村へというところにいったときに、合併やら何やらで、その市の職員の数がふえてきてある程度有効に人数が動かせるところとそうじゃないところ、やはり取り残されるところが出てまいりますので、その取り残されたところが、黄川田先生、私どもに言わせると、どこからも人が来なくて、いわゆる人材としてはかなり難しい、人数が来ないというところに関しては、少なくとも小規模な町村に対してはある程度の人材を県から派遣、それは転籍するかどうか、いろいろな技術的な話は別にして、考えられます。

 今まずは、合併することによってかなり職員間の、他の市町村と一緒になるわけですから、お互いに切磋琢磨するということが最初に期待できるところだなとは思いますけれども、四位一体のお話もありましたように、いろいろな意味で人材を有効に活用するというのはとても大事な点だと思います。

 市町村合併等々は、特にそういった意味では、お互いついこの間まで隣の町だった人が一緒に隣の席になりますというのは、これはかなりテンションが高くなることは、私ども今三省庁一緒に合併した総務省におりますので、テンションはかなり高いところにおりますので、特にそういった意味では、お互いさま意識しないでも進むところはありますし、何となくうまいぐあいな、融合しつつもお互いにある程度緊張感があるというのは、それはそれなりの効果があるところだと思います。

 いずれにいたしましても、地方の市町村というのは、結構、私どももいろいろなコンピューターの部分を見ましても、こんなのがいるのかというようなところは何人もいますので、そういった意味では、人材はうまく、そういうのが二人も三人もいるところは、ちょっとおまえ、こっち貸してくれというようなことが言えると非常に効率がよくなるかなとは思いつつ、今おっしゃったように、人材も含めてということは確かだと思っております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

黄川田委員 改革知事ということで、私の地元の岩手の知事もさまざま国の方に提言しておりますけれども、いずれ国から地方へ税源あるいは仕事、そしてまた人材まで移れば、今の霞が関の組織これ自体がそのまま残るとは思えませんし、大胆なこれまた改革も進めなきゃいけないんじゃないかと思っていますし、また、受け皿の地方自治体もしっかりしていかなきゃいけないということだと思っております。

 次に移ります。私も四位一体改革というような話をしましたから、それに公務員制度改革も密接に関係すると思いますのでお聞きするわけなのでありますけれども、伊藤先生が核心のところをもう話されましたので、私は、二問通告しておりましたけれども、後段の方をちょっと聞いてみたいと思っております。

 まず、私もこの公務員制度改革については何度か質問をさせていただきまして、そして、公務員制度改革についてはやはり労働組合との協議が不可欠ではないのかということを質問させていただきましたし、そしてまた総理からも、関係者と十分協議しながら進めていきたい、こういうふうな答弁もいただきました。最近の新聞報道を見ますと、五月十三日に政労協議がとり行われたと思っております。そしてまた、これも総理の答弁に沿うものだと思っております。

 そこで、評価制度なんというのは、やはり民間にあっても、組合との交渉を徹底的にやって、お互い納得して、そして導入し、大きな成果を上げているということがもう現実に出ておるわけでありますので、改めてお聞きするわけなんでありますけれども、能力基準や評価基準については職員団体との十分な協議を経る必要がある、なおかつ、導入された場合、各省でそれぞれ職域の事情に即した手続やあるいはまた基準などもつくることがあると思いますけれども、当然その際にも職員団体との交渉、協議が必要になると思いますが、この点について、政府の考え方をお尋ねいたしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御議論がございましたように、評価制度というものは、新しい人事行政制度を今検討しておりますその中でも重要な柱の一つであろうかと考えております。

 また、その評価制度は、公正で、評価される職員の方々にも納得いける、そういったようなものでなければいけないと考えておりまして、私どもも、昨年来、職員団体の方々とも繰り返しいろいろな議論を重ねてきております。麻生大臣の御答弁ございましたけれども、やはり大きな改革をやろうとするときには信頼関係が重要である、その信頼関係の基礎の上に立っていろいろな議論を、時にはざっくばらんに、時には突っ込んだ話をということでやらせていただいております。

 そういうわけでありますけれども、評価制度の具体的な内容というのはまだ詰まっておりません、正直申しまして。むしろ、これからというところでございます。ハイレベルでの先ほどの政労協議も五月十三日に始まりましたけれども、事務レベルといいますか実務者といいますか、そういうレベルでの検討も、詳細につきましてはこれからという段階でございまして、新しい人事制度の中で、先ほど言いましたように、職員の方々にも納得していただけるような評価制度をつくるべく、議論、検討を進めていきたい、こう思っております。

 その過程では、当然、職員団体の方々、また、先ほど人事院のことも話題になりましたけれども、この分野での専門家であります人事院や人事局等々の知恵もかりながら、また、我々制度官庁間で繰り返し議論もしておりますけれども、そういった形で知恵をかりながら、幅広く議論をして、具体的に実行できるもの、納得のいくものにしていきたいと思います。そういう過程の中で、各制度官庁あるいは各省の役割、その評価制度を実行する過程でそれぞれがどのようにかんでくるかということも議論をしていきたいということでございます。

 今の段階はそういう状態でございます。御理解いただきたいと思います。

黄川田委員 ぜひとも職員団体の理解、そしてまた人事院の知恵をおかりして、立派なもの、しっかりしたものをつくっていただきたいと思います。

 それでは、法案の中身に入っていきたいと思います。公平委員会等についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 地方自治制度の根幹に、権力の集中を排除しまして行政運営の公正を期するとともに、行政の民主化を確保すべく、合議制の委員会が構成されております。地方自治法の第百三十八条及び第百八十条で、都道府県に設置されるものとして、人事委員会、教育委員会、監査委員など九種類があります。そしてまた、市町村に設置される委員会として、人事委員会または公平委員会、教育委員会、監査委員、農業委員会など六種類があります。

 しかしながら、女性委員の任用、最近増加しているものの、どうも多くの委員会においては、いまだに地方の名士であるとか、あるいはまた地方行政の幹部の方が天下りみたいな形の中でそこにおるとか、そしてまた委員会自体がマンネリ化していないか、そういう部分も危惧するし、所期の目的が、この五十年、六十年設置された中でどうなっているのか、心配しているところであります。

 これらさまざまの行政委員会と言われるんですか、そういう組織の現状、今、機能を十二分に発揮しておるのか、それぞれ委員会ありますけれども、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 行政委員会、人事委員会やいろいろ委員会というのはございます。一般的に申し上げて、行政委員会制度というものは、簡単に言えば、市長なら市長さんにやたら権限が集中し過ぎてというようなことを、権力の集中をある程度排除しておく必要があるということから、敗戦直後のいわゆる新憲法下にこれが導入されたという経緯はもう御存じのとおり。組織や権限というのはそれぞれの個別の委員会に法律で定められておりますのは御存じのとおりです。

 こういった中で、教育委員会、人事委員会、いろいろございますけれども、そういったものに対して、こんなところまで公平委員会、教育委員会、何とか委員会を置かねばいかぬのかという御疑問というのは、小さな首長さんからは昔からよく出されたところではあります。

 ただ、そういった中で、今それが全然動いていないかとかいるかとかいう評価を今この場でしろと言われても、ちょっとこれはなかなか。全体の話として、一応、組織として権力の集中をとめておくという点においてはそれなりの効果があった。では、それが本当に置いておかなきゃならぬほど効果が上がっておるかと言われると、質問されれば、そういうのは一定の役割は果たしてきておるのではないかとしか言いようがないということだと思っております。

黄川田委員 大臣の答弁も窮しておるようですからあれですが。

 先般は農業委員会の一部改正が農林水産常任委員会で衆参通りましたけれども、農業委員会の方も、農業政策、さまざま問題はありますけれども、そういう中でどういう位置づけがいいのか。あるいはまた教育委員会も、教育は学校の先生だけに任せていいのかとか、最近は民間の方々が公募で公立学校の校長先生になるとか、そしてまた教育行政も、委員会のそういう狭い中でやっていいのかとか、我々地方から来た者にとっては中央集権の最たるものじゃないか、文部科学省みたいな。ここは文部科学じゃないからこのぐらい言ってもいいと思うんですが、そういうふうな気持ちがするわけなんであります。

 地方自治制度として大きな流れがありますし、その動きに対処していかなきゃならないという中でありますので、やはり根本からメスを入れる部分はしっかりとメスを入れなきゃいけないんじゃないかと思っております。

 公平委員会なんでありますけれども、私の町は二万五千の町でありまして、公平委員会は事務委託であります。年間事務委託料が三万五千円でありまして、過去五年間、措置要求なりあるいはまたさまざまなことが何もなくて、三万五千円で毎年済んでいるわけなんでありますけれども、全国の公平委員会の設置といいますか、どうなっているんですかね、単独設置であるとか共同設置であるとか委託であるとか。

 そしてまた、あわせて、人事専門機関として、具体的な機能といいますか、措置要求がどのぐらいあるかとか、あるいはまた不服申し立てがどのぐらいあるのか。統計数字、三千二百の市町村全部くまなく歩くわけにはいかないでしょうから、わかる範囲で結構ですので、よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 今回の改正につきまして、いわゆる人事委員会につきましては、県並びに政令都市等々の大都市において人事委員会、そして公平委員会につきましては、今、黄川田先生言われましたように、不服審査等々のものが、地方の小さな団体で主に職員の苦情処理等々を追加したというところだと思います。また、市町村の判断で公平委員会において試験等々の事務が行われるようにすることにしておるんですが、今御質問のありました中で、全国の公平委員会の設置の数等々につきましては、公務員部長の方から答弁させます。

須田政府参考人 お尋ねの公平委員会の設置状況でございますが、御案内のように、法律は、「市、町、村及び地方公共団体の組合は、条例で公平委員会を置くもの」とされておりまして、その規模や行政能力に応じまして、単独設置、共同設置、一部事務組合方式により設置され、または他の地方公共団体の人事委員会に委託してその事務が処理されているところでございます。

 その具体的な数でございますが、平成十四年四月一日現在におきまして、単独設置が千二百六十五、そのうち市が四百二十六、町村が四百二十一となってございます。また、共同設置につきましては全体として二百三十四、また、一部事務組合方式による設置は二十八となっております。

 なお、他の地方公共団体の人事委員会に事務を委託している数は二千四百八十団体となっております。

 それから、もう一点御指摘のございました現在の機能の点でございますけれども、現在の公平委員会の機能がどのようなことかという御質問かと理解させていただきましたけれども、公平委員会、御案内のように、人事行政の適正を確保するという意味では人事委員会と同様でございますけれども、規模の小さい地方公共団体に置かれるということを前提としているため、人事委員会と比較するとどうしてもその権限は限定されたものになっております。

 また、ただいま数を申し上げましたけれども、規模の小さな自治体であるがゆえに、単独設置以外の方法で事務を処理しているところも多数ございます。

 しかしながら、これらの公平委員会におきましても、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置要求、あるいは職員に対する不利益処分についての不服申し立てという、人事行政の中でも大変重要かつ専門的な事務を処理しているものでございまして、また設置方式につきましても、こうした点を勘案しながら、効率的かつ適正に行われるよう工夫されているものと承知しておりますので、そういった意味では、公平委員会、法が期待するような役割を十分果たしているのではないかと思っております。

黄川田委員 公平委員会ということで、組織を単独で設置して行政事務を行うというのが、この財政厳しい中でなかなか大変なところもあるかと思っております、正直。そしてまた、権限は与えられます。例えば、試験、選考の部分もやって、事務局も置ける。事務局を置けば、兼務の職員じゃなくてそれ相応の職員を置かなきゃいけないであるとか、さまざま出ると思いますし、そしてまた、一番大事なところは当局と職員との関係の人事の部分だということで、なかなか住民に見えないところがあるということ。

 そういう中で、人事委員会、公平委員会、さまざまなやっている仕事を県民あるいはまた市町村民にしっかりと明らかにするんだ、情報公開の時代だ、そういうことも必要だと思います。ただ、その中には、公開されるそれぞれの職員もおりますので、そういう時代ということをしっかりと共有しなきゃいけないということもあると思います。

 それで、時間も残り五分でありますので、ちょっと人材育成、研修についてお尋ねいたしたいと思います。

 その前に、公務員、ほとんどの方が公務の仕事にしっかりとついているということでありますけれども、新聞報道等で、地方公務員の不祥事、さまざま目にするわけであります。そしてまた、きょうの新聞を見ますと、国家公務員の方も、二〇〇三年の国家公務員法に基づく懲戒処分、「国家公務員懲戒九年連続増」、九年間、懲戒を受けた者がふえているというような形でありますけれども、この地方公務員の不祥事、懲戒処分を受けた数について、最近の動向はどうなっておるでしょうか。

 そしてまた、もちろんこの不祥事が人材育成、研修の中ですぐさま解消できるとは思っておりませんけれども、やはり立派な人材、公務員を育てるということの中で、この人材育成計画の中で、そういう不祥事が起こらないためにどんな形で反映させていくのか、お聞きしたいと思います。

小西大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成十四年度におきまして懲戒処分を受けた地方公務員の数は六千二百八十三名、全体でいいますと〇・五%ぐらいに当たるかと思います。処分の基準も厳しくなってきていることもありまして、御承知のように増加傾向にあります。

 この内訳を申し上げますと、いわゆる職務中に要らぬことをしたりサボったりする一般服務関係が三九・一%、交通違反などの道交法違反二九・七%、暴行、傷害等の刑法違反、刑事犯、一般非行関係で一二・七%、収賄等三・四%、残り、若干、給与等の詐取等がございます。

 では、どのように対処していくかということでございますけれども、地方公共団体が行う研修の中に、その基本方針として、これからの時代に求められる職員像として、公務員の倫理またあり方というものをしっかり示していく、こういうことを考えております。

黄川田委員 研修でもってすぐさま解決する問題じゃないことはよくわかっておりますが、ふえてきたのも、むしろ情報が公開されるような時代になった、やはり国民に、公務員としてしっかりやってもらわなきゃいけないので、不祥事は不祥事としてはっきりとみんなに公開するんだ、多分そういう流れの中だと思いますけれども、関連して研修の話なんであります。

 人事委員会から首長の方にしっかりと研修の基本計画を策定せいというふうな形の法案なんでしょうけれども、現実、この財政状況が厳しい中で、どんな形で研修に予算措置がされておるかというと、これまた疑問が残るところなんであります。

 もちろん、人づくりは最も大事だということで首長のリーダーシップでもってしっかりした市町村あるいは県もあるんでしょうけれども、どうも実態を見ますと、例えば自治大学校がありますか、そしてまた、東北であれば東北自治研修所、都道府県ごとに自治研修所があるでしょう。そしてまた、市町村との連携ということで密なる研修があったはずなんでありますけれども、県自体がちょっと難儀だなということで町村会におろしてくるとか、それから市町村も、一番切りやすいんですよね、財政当局は。本当は一番大事なはずなのに。

 そういう形の中で、二カ月研修はちょっと長いな、代替職員の確保も大変だしと、そういう形で今度の時限つきとか何か出ているのかもしれませんけれども、いずれ財政状況が厳しい中にあるというようなところがすごく感じられるわけなんであります。

 総務省の方からも、勇退した方あるいはまた現職で、千葉の方にあります市町村研修所、あるいはまた、滋賀の方にも国際関係であるとか文化関係をやるそういう研修所もありますよね。ああいうところには、一週間であるとか二週間とかみんなで泊まってと、全国から集まってくる。全国から集まって意見交換できるのはそういうところなんですよ、市町村職員にとっては。そういうところが最も充実しなきゃいけないところなんですが、どうも財政的に厳しいところがあるようであります。

 麻生大臣にはぜひとも、財務大臣を本当にノックアウトするぐらいの気持ちで一生懸命頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

左藤委員長代理 次に、須藤浩君。

須藤委員 民主党の須藤浩でございます。

 地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部改正ということで、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 地方公務員であろうと国家公務員であろうと、公務員という意味では、地域住民あるいは国民のためにサービスを提供するということでは、本質的には、公務員の考え方、あるいはもっと言いますと生き方みたいなものは私は同じであるというふうに思っているわけですけれども、特に地方分権時代の中でいかに地方自治を進展させるかということに関しては、そこに集まっている地域の住民の方はもちろんですけれども、直接的に仕事に携わる地方公務員の方々の資質をどれだけ発揮できるか、高められるかということにまずかかっているんだろう。そして、そういったものを高める、あるいは力を発揮していただくためには、そこで采配を振るう首長、地方自治体の長のいわゆるリーダーシップや力量、資質というものが大きく私は関係をしているのではないかというふうに思うわけです。

 そして、現在の地方自治の方を眺めてみますと、そういう意味で、強力なリーダーシップを持った首長のいる自治体と、そうではないといいますか、それ以外のところを比べてみますと、これはかなり歴然とその差が出てきているというふうに思います。それは、置かれた環境、つまり自然環境であるとか財政力の問題であるとか、そういった条件が大きく影響はすると思いますけれども、それ以上に、地域の公務に従事する心構えといいますか気力というか、そういうメンタルな部分でもかなり大きく差が出てきているというふうに思います。

 その意味では、一生懸命やっている自治体はそれなりの成果を得ていますから、これはこれで私はすばらしいことだと思うんですけれども、逆にそうではない自治体もこれまた現実にはかなりあるわけでありまして、今日まで、特に十年、二十年ぐらいのスパンで見ますと、停滞をしてなかなか一皮むけない、脱皮できない、あるいは時代の状況に即して自治体自体が活性化をしてこないというところもかなりある。

 そういうことを鳥瞰図的に見まして、地方におきます公務員制度を含めて、自治体の経営というものを含めてさまざまな問題点を抱えているんだと思いますけれども、総務省としては、こういった地方行政等にかかわる問題がどういうところにあるか、問題点が何であるかというようなことをどう考えておられるか、まず最初にお伺いをしたい、このように思います。

麻生国務大臣 須藤先生、一番難しいというか、褒めれば格調の高い質問なんだと思うんですが、基本的には昔とすごく違ってきたものが幾つかあるんだと思います。やはり直接的には、いわゆる地方分権一括法というあの法律が平成十二年の四月にできました以降と以前とでは、地方公務員に与えられております権限等々がかなり大きく違ってきておるという意識に立って、与えられた権限のもとに、どれだけやり切らなきゃならぬかという自覚があるかないかというのは物すごく大きい、私自身はそう思っております。

 それから、世の中が、明治以来の近代工業化社会が終わって、脱工業化社会と言われるような時代になって、その時代に合わせて国民の意識も、この十二、三年の間、多分一九九〇年代以降、大きく変わったんだと思います。価値観も当然いろいろ変わってきましたので、それに合わせて、地方公共団体に対する住民の要求内容も変わったというところも、地方公務員としては、職務を遂行するに当たっては絶対忘れちゃいかぬ大事なところだと思っております。

 同様に、先ほどの御質問にもありましたように、民間の間で年功序列の賃金制度というものが大きく崩れてきた、大きく変化してきたという中にあって、雇用のシステムも随分変わったと思いますので、そういった時代に合わせて地方公務員の中でもどういうようなことが考えられるか。実際、能力評価制度等々、なかなか難しいというような話が伊藤先生の方からあっておりましたけれども、こういったものを含めて、抱えております問題が、えらくこの十数年間に今までとは変わったという点が理解されていないと、これはなかなか難しいのだと思っております。

 そこで、今回さらに、地方主権の時代であって、明治四年以来、廃藩置県によります中央集権でやってきた制度でこれまで日本は成功したんですが、どうやら地域主権という時代になってやってもらうということになりますと、今言われましたように、町なり市なりという行政体を預かっている長、すなわち市長、町長という首長は、少なくとも会社を一個預かっているような経営をやっているというある程度の感性、感覚がないと。

 地域の時代というのは地方同士が競争する時代ですから、四街道と千葉市が競争する、いろいろな意味でこっちの方がいい、そっちに進出するんだったらうちの方に進出した方がいいですよ、そのかわり、うちの方はこれだけ優遇しますよということによって仮にそれが成功して、そこに人が引き込めることになりますと、それによって一挙に雇用がふえる、また固定資産税も入る、住民が住むことによってその地域の消費が活性化される等々、これは三重県でやった例等々、ほかにも全国いろいろ例があります。

 そういった意味では、地方を預かる首長さんの意識も、何となく悪いことをしなくて、みんなでにこにこしていれば務まるような首長の時代ではなくなった、私自身はそういうような感じがしております。

 いろいろな意味で、先ほど三番目に申し上げた、要求される内容も変わったというのは、何となく任せておけばいいというのじゃなくて、透明性も確保しなきゃならぬ、英語で言ういわゆるアカウンタビリティーというものも出さないかぬとか、今までとはかなり違ったものを要求されるようになっているという意識が地方公務員の方にないと、なかなか難しいということになってきたと思っております。

 地方公務員の職務姿勢等々を含めて、今までとは非常に変わってきているという認識を持たないと、地方公務員として何となくお役人というのじゃ、とてもじゃないという時代になっておると私自身は思っておりますので、そういった透明性、公開制、情報公開ということの意識がありさえすれば、いわゆる倫理観の面におきましても、何となく隠ぺいしてそのまま糊塗して逃げ切っちゃうというようなことではなくて、むしろ、こういったことでもちゃんと公開して見せた方がより信頼性がふえるという感じになっているのではないかと思います。

 先ほどの質問の最初に言われました、今後の地方公務員のあり方という御質問でしたけれども、一言でちょっとなかなか答えにくいので幾つか例を引きましたけれども、そういう意識改革が必要なんだと存じます。

須藤委員 さまざまな問題を、地方自治といいますか地方公共団体も抱えていると思うんですけれども、公務という職制、あるいは公務員という人たちが抱える性質というんですか体質というんでしょうか、こういったものは、基本的に公務員制度という枠の中で担保をされていると思うんですね。

 それで、今挙げました現在のさまざまな問題といいますか、こういったことが公務員制度の中で、じゃ、その問題点が出てくるような理由として何が起因しているのか、制度に全く関係なく今言われたようなことが存在しているのかどうか、あるいは、制度のどこを直したらそういったところが直ってくるのかというようなことについてはいかがでしょうか、制度的な観点から見た場合。

麻生国務大臣 制度面の話だと思いますので、公務員部長の方から正確に答えさせます。

須田政府参考人 具体的な問題点という中でその辺をどのように対応するかというお尋ねかと存じます。

 まず、職員の資質、能力を時代に合った形でどのように向上させるかという点が一つの課題と思っております。この点につきましては、基本的には、現在、公務員制度改革大綱におきまして、能力等級制度などの新たな人事制度を導入するというふうな方向で検討しておりますし、こういうふうな形で、より効果的な評価制度を導入するなどすることによりまして、職員の資質、能力というのを時代に合った形で向上させる、こういうことができるのではないかということが一つあろうかと思います。

 また、アカウンタビリティーという点に関しましては、今回の中でも設けておりますけれども、人事行政運営につきましての公表等、全体の透明性を確保するようなオープンな形で進めることが適当なのかと思っております。特に人事行政、公務員制度というのが、もともと地方自治というものを内面から支えるものと言われておりますけれども、内面から支えると言われているだけに外からは見にくくなっているということもございますので、そういった点では、十分にこの透明性の確保ということが必要なのかなと思っております。

 それから、大臣のお答えにもありました三つ目の勤務形態とか就業構造とか、そういった点もいろいろ変わってきてございますけれども、そういった点につきましては今回の法案の中にも入れさせていただいておりますけれども、全体として、多様な任用、勤務形態、こういったものが選択肢として制度化できるようにすることによって、新しい時代に合った形での任用、勤務形態、あるいはそういったものを踏まえました公務員の方々の活動というものが期待できるのではないかと思っております。

須藤委員 多分、民間のいわゆる経営手法ですか、こういったものを公務の世界に、ストレートといいますか、多少工夫をしてもし導入したとしたら、現在の抱えている公務員の閉塞性みたいなものが果たして打破されるかどうかということについて、大臣は民間も経験されていますから、率直なところ、どうお感じになりますでしょうか。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 これは須藤先生、一般論としての話なんで個人によってかなり違うとは思いますが、常識的に言えば、コスト意識が出てくるというのが一番肝心なところで、歳出というのといわゆる企業の利益を考えるということになりますと、役所の歳出について非常に厳しくなるというところは大ですし、費用対効果という意識が出てくる。有効に作動する部分はどこかと言われれば、そういうところが有効に作動し得るはずです。

 ただ、それもかなり個人によったり、また、そこにいる長の方々が一生懸命やった人を評価するかしないかという点に関しましては、上司の指導にかかってくるところが多いと思いますので、一般的に申し上げられるというところは今申し上げたところだと存じます。

須藤委員 多分、これはシミュレーションでしかないのでよくわからないんですが、今言われたように、経営手法、経営感覚でコスト意識を持つ。例えば公営企業であるとかそういうところは別として、純粋な公務部門に関しては、そこで利益を追求するわけではありませんから、利益追求、コスト意識を持てと言って果たして実感として持てるかどうかだと思うんですが、少なくとも、自己の認識といいますか考え方をしっかり持って、いわゆる住民税、税金で賄われているということを考えれば、一円たりともむだ遣いをしないというしっかりした考えがあれば、それはある意味でコスト意識につながるのではないかと私も思うんです。

 そういう意味で、公務制度というのは本当は何なのかということを私も常々考えているわけですね。市町村であれば、地域住民のいわゆる住民サービスに対して行政が存在をしている。それで、民間でできる部分は当然民間でやるんですけれども、その線引きによっていろいろ違うんでしょうけれども、諸証明であるとか公務が絶対に行わなければならないこと、例えば、採算部門としては合わないけれども公務で行わなければならない福祉であるとか、そういったもの、さまざまあると思います。

 それをするために現在の公務員制度がつくられているとしたら、代替のきくものはどんどん代替させていけばいいんですが、最後にどうしても公共性、公務性というのが残って、これを乗り越えることはできないという話になるわけですね。そうすると、住民サービスをきちっとして、経営感覚、手法を取り入れて、それで、うちの市の、町の公務員の皆さんは本当にすばらしいよ、民間に行っても十分通用するよという人材が豊富にいるというような地方公共団体の姿を描くにはどうしたらいいかということを私も常々考えているんですが、いまだに答えが出てこないんです。

 私も地方公務員を経験しているんですけれども、朝八時十五分から始まって夕方五時に終わる。そして、特別な仕事がなければ大体五時で帰るんですが、夏ですと、五時というと本当にまだ真っ光りで、こんな時間に果たして帰っていいのかどうかということを非常に自問自答しました。多分、民間の同級生は、夜中の八時、九時、十時まで毎日働いてやっているのに、どうして公務の世界だけ五時で帰っていいのかなというようなことを非常に感じまして、仕事がなければ、あえてそこで税金、人件費を使う必要がないわけですからそれはそれなりにいいんでしょうけれども、これが公務なのかということを本当に考えたんですね。

 もう一つ感じたのは、地方公共団体、地方自治において、一人一人の職員が地域の住民サービスに関しては決定的な要素である。つまり、企業でいえば、企業マンがしっかりとした顔を持って営業をしていなければその企業のイメージは悪くなるし、それから、商品を売るにしても信頼感が得られないためになかなか広がっていかない。

 公務の地方公共団体の場合は営業活動ではありませんけれども、住民サービスをする一人一人の公務員が住民からの信頼をしっかりと得て、そして税金をコスト意識を持って使っているんですよという信頼関係が生まれるような仕事をしない限り、いつまでたっても公務員はというような言い方をされてしまう。非常に大きな問題だと思って、一人一人の心構えと行動というものが、地方自治、地方行政においてはこれほど大切なものはないなというほど私は感じました。

 そして、他方、国会の方に来てみますと、本質的には、公務の仕事の特質、体質的なものはかなり似通っている、あるいは同質と言ってもいいと思うんですけれども、している現場やその仕事の中身は多少違っても、基本的には同じなのかな。国の場合は、直接国民に接している部分は少ないですから、そういう意味では監視の目が届かないかもしれませんけれども、一歩誤れば、国を危険に導いてしまう、さらしてしまうという意味では、またはるかに大きな権限、責任、重責の立場にあるということを考えて、どちらにしても、これは本当に大切な仕事であるというふうに感じているわけです。

 ところが、よく公務員というと、無責任主義であるとか効率性が悪いとか、あるいは目的意識が余りないとか、さまざまなことが言われるわけですね。そういったものがもし制度からきているのであれば、やはりこれは制度を改正しない限り直らないだろうというふうに思うわけです。その意味で、第一点目に、制度的に問題点があるならばそれはどこか、またそれをどう改正したらいいのかということをお聞きしたわけです。

 恐らく、ここ何十年、同じようなことをやっているんでしょうけれども、なかなか、それを改善といいますか、いい方向にどんどん持っていくという状況にはまだ来てないと思うんですね。その具体例というわけじゃないんですが、例えば、これは少し前の話になるかもしれませんけれども、窓口に行って五時を過ぎたらもう仕事を受け付けてもらえなかったとか、あるいは、お昼に行ったら昼食の時間だから窓口で受け付けてもらえなくて一時間待たされたとか、そういう話は幾らでもある話であって、また、逆に言うと、そういう話はまだどこかでいろいろ似たようなことが行われている。

 こうなってきますと、制度そのものの変更というよりも、やはりそこで働いている人の意識であるとか、それを統括する任命権者のリーダーシップというか考え方が物を言ってくるのであって、これは別に制度によらなくても立て直すことは十分可能だと思うんですが、現実的にはそれがなかなか直ってこない。全国レベルでいいますと、本当に意識のある首長がいるところはどんどん変わっていることも事実です。でも、それはまだまだそれほど多くないんじゃないかというような気もしていますが、この点に関しては、大臣、どうお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘の点は、いろいろ思い当たるところもいっぱいおありの上で言っておられるんだと思います。

 窓口等々につきましては、御存じのように、意識もありましょうが、いわゆるシングルウインドー、ワンストップサービスというものが、少なくともインターネット、オンラインということになりましたものですから、例えば物を輸入するときに、港に入ってそれをおかに揚げて搬出するまでの間に、大体六つや七つの役所に全部同じような書類が行く、全部役人がいた、それが二〇〇五年から、一つの窓口で入れれば六つの役所に、関係省庁には全部オンラインで行く。これがシステムとしてでき上がるということになります。その意味からいきますと、手を抜くも何もそのままぱっと行ってしまいますので、そこらのところは大幅に改善はされる、これは技術的な話からいくとそういうことになろうと存じます。

 いずれにいたしましても、今言われたように、仕事をたくさんこなしたからといって、それで給料が上がるかというと、民間の方だと上がるということになるんですが、役所の場合は、それはさようなシステムにはなりませんから、なかなか労働意欲というモチベーションですかインセンティブ、ニンジンをぶら下げられる、それがないものですから、どっちみち同じなら丁寧に、ゆっくり、きちんと、いろいろな理屈はいっぱいつきますので、そうすると効率はがたり落ちるということになります。

 そこらのところは制度上としてはどうしても避けて通れない部分もあろうと思います。では給料でつれるかという話になりますと、それは制度的にはなかなか難しいのではないかというのはもうおわかりのとおりなので、その点でいきますと、これをシステムとして、給与以外のもので何かやるようなことができるかというと、これは多分できない。

 皆同じようなことを思いつかれたんだと思いますけれども、いまだかつてそれができてこなかったというのは、能力給やら何やら、いろいろ人事院のお話もあっておりましたし伊藤先生の御質問にもありましたけれども、そう簡単にここは採用して労働意欲につなげるというようなシステムにはなかなかできない。

 そうすると、何となく人間としては、やらなくてもいいならこの程度かということになって、おっしゃるような、効率が下がってくるというような話なんだと思いますので、いろいろな意味で、やはり最終的には、僕は、その直属におります長という人たちがどう指導するかというところと、それにこたえようとする意欲をどう仕事をしている人に与えるかというこの二点に尽きるんだと思います。

 志高く入っても、朱に染まれば何とやらで、だんだんそうじゃなくなってきて、ぜひ、須藤先生の場合も、当選して二回ぐらいで頑張っておられるところだと思いますけれども、五回、六回、重ねるようになっても同じような意欲を持ち続けていただけることを心から期待しています。

須藤委員 今大臣が勤務評定のことに触れましたので、法案の中身のところを少し伺いたいと思うんです。

 人事委員会あるいは公平委員会の業務状況の公表について、あるいは、地方公共団体の長による勤務成績の状況を住民に公表するという点に関してなんですが、これは義務化をされるということで、制度改正ですよね。透明性を非常に高くすることによって、場合によってはダイナマイトというか時限爆弾のような勢いがあると私は考えているんですが、これはどの程度まで公表の中身を義務化しようという考えなのか、お伺いしたいと思います。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に公表の中身でございますけれども、人事行政の運営状況全般ということを考えておりますので、全体としまして、例えば人事委員会、公平委員会が行っております措置要求あるいは不利益処分の不服申し立てなどに関しましては、係属している件数、処理件数、あるいは、今度は人事委員会、今回の改正によりまして公平委員会もできるようになりますけれども、競争試験等に関する場合ですと受験者数とか合格者数等の状況、あるいは、これまでずっと人事委員会が行っている機能でございますけれども、給与に関する報告、勧告、こういったものを公表することを想定しております。

 具体的に、例えば競争試験の状況あるいは勤務成績の状況等を公表するというふうなことまで念頭に置いておりますけれども、それがどこまで具体化したものになるかという点につきましては、例えば勤務成績の評定について考えてみた場合、評価制度としての人事評価の基準、自治体におきましてこれをどんなものに設けているか、あるいは、そうした基準に基づきました評価結果の概要として一覧的なものとしてどうなっているか、こういったものを念頭に置いているものでございます。

 ただ、いずれにしましても、このあたりの中身のところでどのようなものを公表するかということにつきましては、地方公共団体における条例におきまして詳細を定めていただくことになっております。

須藤委員 職員の採用であるとか給与体系であるとか、その辺のことに関しては、現在、地方自治体の中でも公報を通じてかなり詳しく公表されているわけですよね。ですから、この制度を導入してその辺を目的とするのであればほとんど意味がないと私は思うんです。制度的に義務化という意味ではそれなりのことはあるんでしょうが。

 平たく言えば、人が採用されたときに、例えば公務員試験を受けるわけですから、公務員の試験を受けたときの点数が、大学受験ではありませんが、名前と点数が一覧表で並ぶとか、あるいは人事考課にしても、勤勉手当をつけるということは当然そこで人事考課をしているわけですから、そういったものがうちの市ではこうですよみたいなぐらいまで踏み込んでいかないと、この制度改正の持つ意味というものがなかなか実現されないのではないかと私は率直に感じるんですけれども、いかがでしょうか。

須田政府参考人 御指摘のように、今回の公表の中におきましては、例えば、採用試験におけるだれだれさんの得点が何点だったとか、あるいは勤務成績の評定の中でだれだれさんの評定は何のランクになったとかというような、そういった形での個々の職員の方に直接かかわるような内容等については公表することを考えておりません。

 先ほど申し上げたような形での全体の仕組みあるいはその結果等は専ら公表の対象にしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、もともと人事行政というのが非常に、人事ということにかかわることもありまして、外から見てわかりにくいということがある。それを少しでもわかりやすくする。現実に、自治体における人事行政がどのような形で運営されているのかということを、まず住民の皆さん方にとってわかりやすく理解していただくということが何よりも今の時点で重要かと思いまして、このような形での公表というものを考えているものでございます。

須藤委員 質問の時間がもう終わりましたけれども、いずれにしても、制度をつくるときに、かなり制度目的が実現されるような方向での運用といいますか特例をこの場合はどんどんしていただいた方が私は効果が上がると思います。その辺が下手をすると絵にかいたもちで、まさに公務員制度というか公務のつくった仕組みなんだと、逆にまた、何の目的のためにやったのかということが言われないような意味での改正というものを私はしていただきたい、このように思います。

 終わります。

佐田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に政府参考人の方に幾つか伺ってから、大臣にも質問するようにしたいと思います。

 まず、地方公務員法の改正について伺いますが、人事委員会、公平委員会の委員というのは兼職禁止が原則ですが、部分的に解除するのはなぜなのかということです。一般的には、委員の職務執行の公平性を確保するためとされてきました。ですから、改正案によってこの公平性の担保というのは保障されるのかどうか、これを最初に伺います。

須田政府参考人 現行法で定められております兼職の禁止を緩和する趣旨、あるいはその前提としてのそもそもの兼職を禁止している趣旨についてのお尋ねと承りましたが、人事委員会及び公平委員会は、基本的に準司法的な権限を持っておりますので、非常に中立的かつ公正に運営されなければいけないということがございます。そのため、公選職や任命権者、職員などの利害関係者のいずれにも偏ることのないよう、地方公共団体の他の職との兼職を現行法で禁止しているところでございます。

 しかしながら、今回、その点、若干緩和した点でございますけれども、地方公務員といいましてもさまざまな方がいらっしゃいますけれども、その中で、いわゆる審議会のように、通常非常勤というような形で勤務していただきまして、しかもその仕事の内容が非常に限定的であるような方、こういうふうな方は、大体その地域におきましても非常に有識者で、人格も高潔であられるという方が多いわけでございますので、そうであれば、このような方については、公平委員会の委員になっていただいても、そもそもの兼職の禁止という趣旨に反することはないばかりか、かえって公平委員会の機能を充実することにつながるのではないかと考えた次第でございます。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

吉井委員 人事委員会を設置しなければならない規模の都道府県、政令市などが、委員の人選難であるとか選任に苦労しているという話はまず聞きませんね。それで、人事委員会の委員の兼職禁止の緩和というのは、現状では必要ないわけです。

 人事委員会と公平委員会では権限も異なってきますが、人事委員会の委員は常勤または非常勤、公平委員会の委員は非常勤と、委員の勤務状況にも違いを設けています。ですから、兼職禁止の規定に違いを設けても、そういう考え方もあり得るわけなんですね。なぜ一律に緩和するのかということがあります。仮に緩和するとすれば、それは公平委員会に限定するということもできるんじゃないかと思うんですが、それを一律にやっているわけですね。なぜですか。

須田政府参考人 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、このような形での兼職の緩和は、禁止している趣旨に反することにならない、あるいは、もともと禁止していた趣旨を損なうことのないような、そういうふうな事案だということなものですから、公平委員会につきましても人事委員会につきましても同様な取り扱いとしているところでございます。

吉井委員 今のお話では、兼職禁止の原則を外す理由にはならないと思います。

 次に、委員会の定足数の特例について質問しますが、人事委員会、公平委員会、三人の委員のうち、今、当然三人の合議制ということですが、三人で会議しますと、その案件について意見が異なったとき、多数決によって可決となることもあるわけですね。これは、二人出席で開きますと、二人の意見が異なったときには否決となるわけですね。同じ案件であっても、二人出席の会議と三人の出席の会議で可否に違いが生じてくるという問題が生まれてきます。こういう問題をどういうふうに解決するのか伺っておきます。

須田政府参考人 御指摘のとおり、今回の法案の中では、原則、もともと三人の全員出席であったという規定につきまして、一定の限られた場合でございますけれども、二人でも開催できるということにしているところでございます。

 これは基本的に、三人の委員の方のどなたか一人が、事故や急病、こういったことによりまして委員会に出席することができない、その結果、公務の運営とか、あるいは、もともと公平委員会が果たしている不利益処分に対する不服申し立ての審理とか、非常に職員の方々の権利にもかかわるような問題につきまして、時期を失することにより結果的に権利保護に障害が生じてしまう、こういった非常に限られた場合を想定しているところでございます。

 したがいまして、お尋ねのように、現実に可否同数ということはあり得るわけで、これは形式的に言えば、可否同数の場合は、従来の例からいいますと、過半数に達しませんので否決ということになるわけですけれども、しかし、申し上げましたように、そもそもこの特例が公務の運営とか職員の利益の保護に著しい支障が生じることのないようにということで定めているものですから、現実には、こうした特例による開催の中で議事が可否同数となるようなことは通常は想定していないところでございます。

 いずれにしましても、こうした今回の特例が持っている意義につきまして、地方においては十分に踏まえて対応していただきたいと思っております。

吉井委員 昨日も少し伺ったんですが、瀕死の重傷といいますか、よほど特殊な場合は別として、骨折して三週間病院におられても、必ずしも役所の中で開かなきゃいけないとなっているわけではありませんから、特別の場合を除けば、病室まで出かけていって、病室の近くに場所とって三人できちんと会議をすることは可能なわけですね。

 会議を開かないと公務運営に、あるいは職員の福祉に支障を生ずると認められる十分な理由というわけですが、その十分な理由というのはだれが判断するのかということと、委員の一人が他の審議会の委員を兼務の場合、その審議会と人事委員会、公平委員会の日程がぶつかった場合、それでも審議会に出席する委員を除いて開会できるのかどうかということ、この二点について伺っておきます。

須田政府参考人 具体的にどのような事案のときに開催できる、開催できないというふうなこと、この点につきましては、そこまで細かい形でケースごとに整理しているものがあるわけではございませんけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、やはりこの点につきましては、先ほどの、公務の運営を確保し、職員の方の権利を保護する、そういうふうな目的のためにどうしてもというやむを得ない事情があるとき、そういうふうな判断のもとで行っていただくものでありますので、その点を十分踏まえた上で各地域において対処していただきたいと思っております。

吉井委員 その場合は、従来からもいろいろな工夫によって解決することができたものであると思います。

 ここで大臣に一つ伺っておきたいと思うんですが、人事委員会は、県、政令市などに置くわけですが、人事委員会、公平委員会の権限に相異があります。地方公務員法で人口十五万人以上の市には人事委員会または公平委員会を設置ということですが、人口十五万人以上の市は百三十九市で、人事委員会設置市は熊本市と和歌山市の二市です。かつて自治省公務員部長がその機能を十分果たせられるかは甚だ疑問としていた共同設置の公平委員会も、九百六十三あります。

 こういう現実を見れば、兼職禁止の見直しだとか定足数の見直しとか、現状を追認する形で、人選難だとか財政難を理由にこの委員会の持っている独立性とか公平性を支えてきた仕組みが変えられていくということは、これは人事委員会、公平委員会の実質的な権限や機能の低下につながっていくということが非常にやはり問題になってくるところだと思うんです。

 一昨年十一月、昨年六月の二度にわたって、ILO結社の自由委員会は、日本政府に対して、公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきと勧告し、政府は人事委員会制度は労働基本権制約の代償措置と言うが、ILO結社の自由委員会はそういう考え方を見直すということを今言っているわけです。

 ですから、そういう労働基本権制約の代償措置としてある現在の人事院制度、仕組みは仕組みとしてあるんですが、そういうときに、人事委員会や公平委員会を、だから逆に、言ってみれば充実強化することならまだ話はわかるんですが、財政難を理由にして、おくれた現状を追認し、それに合わせる形で法律の改正を行うということは、その考えはやはりとらない方が至当じゃないかと思うんですが、この点は大臣に伺っておきたいと思います。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 今御指摘になった点につきましては、これは特例というか、限定的な特例の部分、場合のみを限定しておりますので、御懸念のような点はない、私は基本的にそう思っております。

 人事委員会というのは、御存じのように、今言われましたような趣旨に基づいて、基本的に双方の言い分をきちんとということでこのようなものがつくられておりますので、本来そのような趣旨に基づいてつくられたものであって、そういったものの本質が変わるということはございません。

吉井委員 本来、労働基本権制約の代償措置というものですから、だから、本当は、この中身の充実強化を考えるんだったらまだ話はわかるんですけれども、財政難、人選難で後退させるというのは、これはやはり私は、そういう考えは至当じゃないというふうに思います。

 次に、また政府参考人に少し伺っておきますが、任期付職員採用の問題です。

 第四条第一項で、一定の期間内に終了することが見込まれる業務、一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務ということで任期付職員を採用することができるというふうにしておりますが、もともと、これまで任期付採用というのは、高度専門的知識経験、識見を有する職種で、その分野の職員養成に時間がかかる場合、それまでの期間ということだったんですが、今度、それをがらりと中身を変えるわけですね。

 一定の期間内というわけですが、どの程度の期間をいうのかというのが一点。それから二つ目に、一年のうちの数カ月間業務量の増加があり、それを例年繰り返している、こういう場合の一年のうちの数カ月をこの条文の一定期間内と読めるのかどうか。この二点を伺います。

須田政府参考人 お尋ねの一定の期間でございますけれども、五年ということで考えているところでございます。また、一年の中の数カ月という場合でありましても、この一定の期間ということで読めると考えております。

吉井委員 読めるという見方にすると、任期付採用が無限に自治体職場に拡大することになっていって、これは本当に大変な問題だというふうに言わなきゃならぬと思います。

 この任期付職員採用を想定している部門があるのかどうか。福祉関係、福祉関係を除く一般行政部門など、想定している部門があれば、具体的に聞かせていただきたいと思うんです。

須田政府参考人 任期付採用の活用が想定されるケースというのは、さまざまなケースが考えられると思っておりますけれども、具体的な職種とかそういった意味で、この部分とかこの職種というような形で、何か特定の職種を想定しているとかということはございません。

吉井委員 これまでの任期付採用というのは、高度専門的知識経験、識見を有するとか、その人を養成するまでの一定期間というふうに、きちんとした、大体どういう内容のものというのがわかるものだったんですね。それを全部広く取っ払ってしまっている。具体的にどの部門ということが明らかにできないというのは、私は、これは大変な問題だと思うんです。

 第五条の任期付短時間勤務職員に関連して、これも聞いておきたいんですが、「前条第一項各号に掲げる業務」というのは、先ほどの四条第一項の二つの業務と同じように、一定の期間内という解釈は第五条の短時間勤務職員にも該当する、こういうふうに考えていいですか。

須田政府参考人 そのとおりでございます。

吉井委員 任期付短時間職員には別の採用の方法もありますが、それが第五条第二項の採用で、参議院で公務員部長は「短時間勤務職員は一定の期間における特定の業務を想定したものとして構築し、その上で任期を定めて採用する制度とした」という答弁でした。この特定の業務というのは、具体的にどんな業務を指しているんですか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 そこで申し上げました特定というのは、何か具体的な業務が今ここにあるとかそういうことではなくて、各自治体におきまして、任期付のこのような方々を採用する際に、その任命権者としましては一定の業務を念頭に置いて採用するものですよ、そういうふうな趣旨で申し上げたものでございます。

吉井委員 三十年ほど前になりますか、大阪の衛星都市なんかの自治体で、昼休み窓口の開設だとか保育所の時間延長とか、それは全体の奉仕者、公務労働のあるべき姿は何かという議論の中から、労働組合から提起があって労使間で話し合って、そして職員の休み時間を少しずらしたりとか、いろいろ工夫しながら住民サービスにこたえていくということで始まっているわけですね。

 ですから、職員数をきちんと常勤職員を確保して、そしてさまざまな形で、任期付の職員でなくても、任期の定めのないきちんとした形での職員として配置することによって、住民サービスがちゃんとやれるわけなんです。また、本来、それは公務に当たる人たちの継続性とか、人材の育成とか、安定性とか、公平性とか、そういうものにきちっとこたえた形でできるわけですね。

 それを、何かこの任期付が、何にそれを適用するかさっぱりまだめどはないが、とりあえず穴をあけてしまおうと。私は、そのやり方というのは随分問題があるということを言わなきゃならぬと思うんです。

 住民サービスの提供業務に従事させるということが公務の能率的運営を確保するために必要である、それで短時間勤務職員を任期を定めて採用することができるという説明等も伺っておりますが、この公務の能率的運営というのはどのようなことを意味しているのか。任期付短時間職員の採用によって、実は住民サービスが低下することにはならないのかという問題が逆に生まれてきます。サービス低下を招かない、そういう立場できちっと総務省としては指導していくんだという考えに立ってこれを言っておられるのか、伺っておきます。

須田政府参考人 今回導入を想定しております任期付職員でございますけれども、これはフルタイムの常勤職員の場合でも、あるいは短時間勤務の職員の場合におきましても、どちらも基本的には、ある期間の中において一定の期間だけ業務量がふえてしまうとか、あるいは一日とか一週間とかそういう中で一定の時間帯だけ業務量がふえるとか、そういうふうなことを想定しているのが基本でございます。全体としましては、公務の継続性、安定性ということがございますので、公務というのは基本的には任期のない常勤職員で運営するということを基本的に考えているところでございます。

 お尋ねの具体的な短時間勤務職員とサービスとの関係でございますけれども、この短時間勤務職員につきましては、自治体におきましてサービスを、例えば、従来の図書館の開館時間を延長しようとか、あるいは一定の時間帯におきまして受付の窓口のカウンターの数をふやそうとか、そういった意味で、サービスの向上、拡充のためにこのような形での短時間勤務職員の方を採用しようというものでございますので、基本的にはサービスの向上につながるものと考えております。

吉井委員 やはり公務労働の持っている特性からして、従来はきちんと職員の方が採用されて、そして時間をうまく配分するとか、それをやってきたわけですね。今おっしゃったように、一時的に業務量がふえる、例えば固定資産税の、今だったら随分変わったと思いますが、納付の通知書のあて名書きをするとか、かつてですとアルバイトを雇って一時的にはそれを解決するとか、従来からそれをやっているわけであって、ですから、基本はやはり公務員労働者の充足によってきちんと解決をするということが行われる必要があると思うんです。

 住民サービスの提供の水準は引き下げないということを一方で言って、そのもとで公務の能率的運営と言う、これは何を意味してくるのかということが次に問われてくると思うんですが、提供されるサービスの質と時間は変わらない、それで能率的というのは、結局、どれだけそのサービス提供に要する経費に差があるかと、経費の問題になってきて、それは職員採用経費の多寡が能率的かどうかの判断基準になってくる。

 ですから、任期付短時間勤務職員は、職務も給与も任期の定めのない常勤職員と同じなんだけれども、時間当たりの給与額では水準は必然的に低くならざるを得ない、こういうことになってくると思うんですが、この点、政府参考人に伺っておきたいと思います。

須田政府参考人 お尋ねの趣旨が、任期付のフルタイムの職員の方と任期付の短時間勤務の職員の方との給与の比較というふうなことでございましたらば、任期付の短時間勤務職員の方の給与というのは、フルタイムの職員の方の給料月額、これを勤務時間数で案分した形で支払うことになりますので、そういった意味では、その部分だけ給料が下がるということは先ほど申し上げたような点でございます。

吉井委員 条文の規定ぶりからしますと、単位時間当たりの給与というのは、任期付短時間勤務職員は常勤職員よりも低くなります。任期付の常勤職員も常勤職員の給与より低い水準で採用されることになります。ですから、これは公務員部長の答弁にも、おのずとその給与水準に違いが出てくるものと考えておりますというのはこれまでからありますが、任期付職員の採用ということは、常勤職員にかえて低賃金の有期雇用という不安定雇用の職員を充てることに道を開くもので、これは結局は、住民サービスの低下はないと言うけれども、長期的にはサービス低下につながっていくものだということを言わざるを得ないと思います。

 時間が大分たってまいりました。あと五分ほどですか。

 次に、行政管理局長が参議院の方で、事務事業の必要性、そしてその業務量というものを精査いたしまして、真に必要な分野には適切に定員を措置していくということで、毎年度検証を行いながら定員管理を行っているところでございますという答弁がありました。それは定員管理についての考え方なんですが。

 ところで、人事院の方で、健康安全福祉年報というのを出しておられます。二〇〇一年度版によりますと、国家公務員の長期病休者の傷病別順位の一位が精神、行動の障害二九・〇%。五年前の九六年の調査では一四・九%で第二位、さらに五年前の九一年の調査では一一・四%で第四位だったんですが、この精神、行動の障害に分類される人の割合が調査のたびにふえてきています。

 人事院はこの原因をどのように理解していらっしゃるか。定員削減による、最近は民間もそうですけれども、公務職場でも長時間過密労働の影響、かなり深夜に及ぶまで公務員の皆さんの部屋は電気が明々ついてということを見かけますが、この原因として、定員削減による長時間過密労働の影響を排除できるのかどうか、これを伺いたいと思います。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、私どもの行っております長期病休者の実態調査、これは五年ごとに行っておりますけれども、一カ月以上の長期病休者について、傷病別の状態を見ますと、平成三年度九百十四人、精神及び行動の障害によるものが平成三年度九百十四人、平成八年度千五十人、平成十三年度千九百十二人、大幅に増加しております。

 この原因でございますけれども、このような心の健康の問題につきましては、国家公務員のみの問題ということではございませんで、一般的に見られる問題であろうかと思っております。

 その原因については、私ども、明確なところはわかりませんけれども、専門家の方々にお聞きしたりしますと、高度情報化などが急速に進展する一方で、価値観の多様化等によりまして人間関係というものも複雑化して、また希薄化しているという面がございます。それから、公務においてもそうでございますが、行政ニーズというのが多様化などしておりまして、業務が複雑多様化、業務の質の変化というものも見られるということでございます。さらに、心の健康の問題というと、家庭内のいろいろな問題というものもございます。

 そういう種々の要因が重なり合って生じてきたものということでございまして、その原因を何かに特定して明確にするということは難しいのではないかと思っています。

吉井委員 大臣も今お聞きいただいたように、原因は今後いろいろ究明するにしても、実際に精神、行動の障害に分類される人たちの割合が非常にふえてきているのですね。これは長期療養者のうち、二十歳代で三六・六%、三十歳代三七・六%、四十歳代三二・九%と、これらの世代で比率が高い。その上に、同様の疾病で長期療養している職員の八割をこれらの年代の人が占めているのです。実は、将来の公務職場を担うことが期待される年代、中心的な役割が期待される年代で、これだけの職員が心の病で休まざるを得ないということ自体、これは公務にとっても大きな損失だと思うのです。

 やはり公務労働については、継続性、安定性、中立公正とか、そして人材養成とか、将来の大事な公務を担ってもらう人たちをどう育てていくかということが大事なときですから、目先の財政的な効率ばかりがどうも強調されて、公務員の削減が政府の至上命題のように言われたりしておりますが、その陰で職員が仕事につけない期間が長期化すると、この事態が現に進行しているのですが、非常に非能率なことになりますね。能率が悪いということになってきますし、こうした実態を踏まえて、職員の健康管理、超過勤務の実態を考慮した定員管理をやはり行っていかなきゃいけないと思うのです。

 各府省がそうしたことを考慮して定員の要求を行うことは当然として、そのような労働条件の改善の要素を見込んだ増員要求を総務省は認めるべきだと思いますし、また、これは健康管理という面で全面的に力を尽くさなければ、人はいるんだけれども、現実に働く人は病で倒れたりして減ってしまったら、本当に全体の能率も落ちるわけです。私は、こういう点では、将来の公務労働のあり方を見通しても、総務省としてきちっとした考え方を持って取り組む必要があると思うのです。

 最後に、この点についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、人数を減らしたら、その分だけ病人がふえて、結果としてさらにということになったら問題だという御指摘はよくわかりますので、そういうことにならないように頑張ります。

吉井委員 時間が参りました。終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。

 問題点が集約されておりまして、ダブる質問が多かろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。念には念を押して質問させていただきます。

 まず、先ほども出ましたが、人事委員会、公平委員会、先ほど質疑の中で、本質的には変わらないんだ、心配はないんだという御説明でございましたが、ちょっと心配でございますので、質問をさせていただきます。

 この人事委員会または公平委員会の会議の開会要件、これが全員の出席という厳しいものとなったのは、立法過程における国会においての修正によってそうなったんだということを考える必要があると思うのですよ。地方公務員法制定時の政府原案においては、委員二人以上の出席によって会議を開き得るとされておりました。これが、参議院において、人事委員会及び公平委員会は人事に関する重要事項を審議するものであるので、三人の定員であるのならば、全員が会合に出席して取り運ぶことが最も適正、妥当であるとして、全員の出席に改められたことは御承知のことと思います。

 定足数の特例は、地方公務員法制定時、今私が申し上げましたこの制定時の政府原案と同様の意味を有する内容となっておりますし、制定時より既に五十年余が経過したわけですが、確かに自治体を取り巻く環境は大きく変化しておりますよ。しかし、労働基本権の制約などのもとで人事行政運営における第三者機関が果たすべき役割というのは、私は、五十年経過しても、より強化されるべきことはあっても、軽減される状況にはないと思うのですね。

 それがなぜ、今回、いわゆるこのような自治体における第三者機関の設置の意義という関係で、定足数の特例を措置することになったのか、ちょっと理由を明確に御説明いただきたいと思うんです。

小西大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、人事行政に関する重要事項を審議するということで、三名全員の出席が要件とされてきたところでございます。

 しかしながら、現実を見てみますと、事故や急病やら、先ほど御質問ありましたように、病院で集まって急遽やるとか、それもかなわないというような場合も現実には発生をしてきているところでありまして、我々もそのような話を聞いております。

 そういう中で、その場で決めなければ、どうしても待てない、特に採用でありますとか業務の運営上待てないもの、また公務員の身分上の地位とか、不安定にほうっておけないようなケースが出てまいります。あくまでこういうところに限定して、待てるものは待ってもらって三人そろってやるのが原則でありまして、例外的な運用として、今回、こういう形を現実に即して定めさせていただいたところでございます。

横光委員 確かに、現実ではそういうことは起こり得るでしょう。しかし、言われたいろいろな事案、こういった事務は、労働基本権の制約に対する代償措置として付与されているものでございますので、厳格な対応がどうしても求められるんですね。

 ですから、合議体としての実質が問われる特例開催でございますので、これらの重要な事務が処理されることは、厳格性という意味から、私は、いいかげんな形で二名になるというようなことがないように。それは実際ないでしょう、いわゆる急病とか事故とかというときは私はやむを得ないと思っていますよ。しかし、これは厳格性を求めないと、安易に理由をつくって、結局、年がら年じゅう二名ということだってあり得ないわけでもないので、私はそういった規制と措置が必要だと思うわけですよ。

 そこで、人事委員会または公平委員会の議事は出席委員の過半数で決するということについて、三人全員の出席の場合には、これは可否が決定されますね。ところが、特例開催の場合、可否同数により、決定できない場合が起こり得る。この人事委員会及び公平委員会の設置の意義、そしてまた付与されている事務、権限の重要性を考えると、議事の決定については、その二名の委員の一致を必要とすべきだと考えておりますが、この点はいかがですか。

小西大臣政務官 委員御指摘のとおり、基本的には、緊急で決せなきゃいけないものについては、二名の意見が合意する、これが大前提であると思います。もし、そうでない場合は、これは待つべきものというように考えております。

横光委員 よくわかりました。

 つまり、二名しか参加できない場合も確かにあります。そうした場合は、今言われたように、二名の意見が一致した場合以外は、例えば一対一の場合に、これは過半数でないわけでございますので、可否同数の場合には、過半数に達していないものとして否決することはないというような、今、お話でございました。

 そして、そういった可否同数の議事が生じた場合は、三人全員の委員が出席するまで、直近の委員会において再度の採決を行うというような、いわゆる保留をするというようなお話でございましたが、それでよろしいんですね。

小西大臣政務官 基本的には否決を前提にするということでございます。

横光委員 だから、二人の場合、意見が一対一の場合、過半数でないので否決するというようなことはあり得ないんですね。次の回に。

小西大臣政務官 想定されるケース、我々が考えておりますのは委員の場合と逆でございまして、これは二人がそろわない場合は否決、いわゆる採用であれば、その結論は待つということになります。

横光委員 わかりました。要するに、待って、次の三人の委員が集まるときまで保留するということですね。

 では、その次にちょっと質問させていただきますが、公労使が参加しております地方公務員制度調査研究会というものがございます。ここで、九九年の報告で、臨時職員や非常勤職員の任用や処遇の実態と制度の間には乖離がある、そして、地方公務員の非常勤職員の任用根拠の位置づけ等の検討をすべきだ、こういった指摘があったわけでございますが、これは、いかなる現状と背景においてどのような制度改革を求めたものか、明らかにしていただきたいと思います。

須田政府参考人 御指摘の地方公務員制度調査研究会の報告でございますけれども、この報告は、臨時・非常勤職員の現状につきまして、同様の事務に携わる職員であっても地方公共団体によって任用根拠が異なる場合があるほか、必ずしも任用根拠が明確でない場合があると指摘してございます。

 また、この現状に対する制度改革の方向性としまして、同報告では、その任用の実態も踏まえつつ、任用の根拠及び方法、服務など常勤職員に係る制度の特例となるべき事項について、国家公務員の非常勤職員の状況などを踏まえながら、制度上の位置づけを検討する必要があると一定の方向性を示していただいたところでございます。

 今回の任期付短時間勤務職員の導入は、こうした研究会の御指摘を踏まえまして、その後さらに詳細な検討を行った結果、提案しているものでございます。

横光委員 今、国家公務員の非常勤職員の状況等を踏まえながら、制度上の位置づけを検討する必要があるということでございます。

 例えば給与のことでは、国家公務員の非常勤職員については給与ということになっておる。常勤の職員の給与との均衡を考慮して、予算の範囲内で支給することになっていますね、国家公務員の非常勤職員。

 ところが、地方公務員の非常勤職員の給与については、これは給与ではなくて、報酬、そして費用弁済とされております。つまり、給与のように諸手当を含む生活要素が含まれるというものではなくて、地方公務員の非常勤職員の給与は報酬という形で、いわゆる単品、仕事の対価ということによって支払われるというようなことになっておるんです。

 今後、国家公務員の非常勤職員の給与実態にも留意しつつ、地方公務員の非常勤職員の給与等のあり方についてできるだけ早急に検討を進める必要があるとしているわけでしょう。そのことについてはいかがですか。

須田政府参考人 御指摘のように、地方公務員の臨時・非常勤職員制度につきましては、国家公務員の非常勤職員制度とは幾つかの点において異なっておりますし、その点、例えば、ただいま御指摘いただきました給与の点につきましてもそのとおりだと思っております。

 ただ、この点につきましては、国の場合は国家公務員法及び人事院規則によりまして一律に規定されているのに対しまして、地方公務員の場合は、地方自治の観点から、職員の勤務条件につきましては各地方公共団体の条例により定めることを原則とし、法律では基本的な考え方を示すものとなっていることが一つの理由と理解しておるところでございます。

 もちろん、地方公務員制度も、同じ公務に従事する職員を対象にするという意味では国家公務員制度に準ずるべきものとは考えておりますけれども、このような根拠法の基本的な性格の違いもございますし、今後とも、地方自治の本旨を踏まえつつ、国家公務員制度との均衡について配慮してまいりたいと思っております。

横光委員 やはり国家公務員に準ずるということになっておりますし、未検討のまま現在まで推移しているわけですので、御努力をお願いしたいと思うんです。

 私、地方公務員の一般職の非常勤職員制度、これがそもそも法制度上確立したものになっていない、このことを申し上げたいわけでございます。

 国における非常勤職員については、限界事例まで取り込む形で定義することは技術的に難しい、そこで、最終的には個別的な判断を必要とすることから、国家公務員法上、定義規定を置いていないわけですよね。また、国家公務員か否かの判断が困難な場合には人事院が個別に決定することにより対処しております。

 ところが、地方公務員の一般職非常勤職員につきましては、行政実例により、地公法十七条を任用根拠とした事例が挙げられておる。しかし、この行政実例に対しては、地公法十七条はそもそも一般職常勤職員の任命の方法について規定したものであって、非常勤職員のことを規定したものじゃないわけですね。これを行政実例で使っている。また、国家公務員制度との異同、いわゆる給与や報酬ですね、こういったものは考慮されておりません、先ほど言いましたように。また、何をもって非常勤なのかについて、地公法あるいは制度に明確な概念が存在しておりません。

 地方公務員の一般職非常勤職員制度が法制度上確立されたものとなっていないという思いを持っておるんですが、いかがですか。

須田政府参考人 御指摘のように、地方公務員の臨時・非常勤職員につきましては、幾つかの任用根拠がございます。

 しかしながら、これらの規定は、それぞれの規定の趣旨、目的を有しているものでございますので、また、地方公務員という特殊性を反映させたものでもございますので、任用根拠が複数になっているというようなことをもちまして法制度上確立されたものとなっていないとまでは言えないのではないだろうかと思っております。

横光委員 常勤職員と同様に労働基本権が制約される一般職の非常勤職員は、代償措置として給与勧告制度さえ適用されていないんですよ。実質的には、一般職非常勤職員の賃金は使用者が一方的に決定できる仕組みとなっておる。つまり、谷間に置かれておるんですよ。制度上ないし事実上、代償措置制度の適用外にあるわけです。

 今、制度上ちゃんと、それは適用外にないとおっしゃいましたが、全くこれは労使交渉あるいは人事委員会のどちらにも外に置かれているわけですね。ですから、賃金は使用者が一方的に決定できる仕組みになっているがために、言葉が悪いんですが、使い勝手がいい、あるいはいつでも解雇できる、そういうことによって一般職非常勤職員は非常にふえている。ふえているけれども、権利や保障は何もないままふえている。それが実態なんじゃないんですか。

 ですから、不利な立場、谷間に置かれているということを私は今申し上げている。ですから、法制度がやはりある程度ちゃんと確立されたところに置くべきだということを申し上げているんですが、これは、こういった矛盾が現実にあるわけですから、できるだけ早期の対応をとこの地方公務員制度調査研究会も報告しておるんですから、この問題に対して早急な対応を図る必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。

須田政府参考人 今回御審議いただいております任期付職員の採用の拡大、従来の専門知識要件を除きました拡大、あるいは今回新たに導入することとしております任期付短時間勤務職員制度の導入、これらは、こうした研究会の御指摘を踏まえまして、一つの解決の方向として提案させていただいているものでございます。

横光委員 私が言っていることと全然違うんですね。この公務員制度調査研究会が報告していることを踏まえていると言うけれども、全然踏まえていない、そのことを申し上げて終わります。

佐田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております二法案に対する反対討論を行います。

 まず、地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。

 人事委員会、公平委員会の委員の兼職禁止の見直しは、職員の任命権者から独立した立場でその職務の遂行が求められている人事委員会及び公平委員会の独立性を侵害するおそれが大きいものとして、また、委員二人による会議開催は、合議を経てより正確な事実認定や適正な法的判断をするための制度そのものの趣旨に反するもので、いずれも、人事委員会、公平委員会の機能を損なうものであり、容認できません。

 また、任期付職員の採用の範囲の拡大は、民間の有期雇用の拡大の動きと連動したものですが、中立公平、継続性と安定性が求められる公務の職場に不安定雇用を持ち込むものであります。

 本来、常勤職員で行うべき住民サービスの提供を任期付短時間職員でもできるようにしていますが、住民サービスの提供は、研修や長期にわたる勤務の中で培われた職員の能力があってこそ提供されるものであります。そうした保障のない任期付職員によるサービスの提供では、個々の職員の努力があったとしても、長期的には住民に対するサービスの後退は免れません。

 行政機関の職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案についてですが、これは、大学、病院、研究機関など国立機関の独立法人化による定員の大幅削減にあわせて、定員の最高限度を引き下げるものであります。独法化そのものが、国民の生活部門に直結する公共サービスの提供という国の責任を放棄し、公務の民営化を進めるものであり、そうした独法化の結果を内容とする法案は容認できません。

 現在、独法化に当たって、賃金職員の解雇や賃金の引き下げが押しつけられようとしていますが、不安定な労働条件のもとで長年正規の職員同様に重要な役割を担ってきた賃金職員の役割を正当に評価し、それにふさわしい処遇をこそするべきであります。解雇や賃金の引き下げの強要はすべきではないということを指摘して、討論を終わります。

佐田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、行政機関の職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、本案に対し、左藤章君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。左藤章君。

左藤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    行政機関の職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、職員の定員管理を行うに当たっては、次の事項について配慮すべきである。

 一 複雑高度化する行政課題に柔軟かつ的確に対応するため、行政需要の変化やIT・電子政府の進展等に応じた政府部内全体の定員配置の適正化に万全を期すこと。

 二 厳しい財政状況の下、一層の行政組織及び定員の減量・効率化を推進するに当たっても、新たな行政需要の変化に対応し、行政サービスを向上させるため、真に必要な部門には適切な組織及び定員を措置すること。

 三 定員配置の適正化を推進するに当たり、省庁を越える配置転換等の活用が必要な場合は研修、訓練等を適切に実施することとし、本人の意に反する免職を行わないよう努めるなど、人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護についても十分に配慮すること。

 四 社会保険料徴収業務等地方でも対応可能な業務については、地方の行政機関に移すことを検討するよう努めること。

 五 行政組織及び定員の減量・効率化を進めるためには、同時に公務員制度の充実が必要であることにかんがみ、公務員制度改革においては、公務員の労働基本権の在り方についても職員団体と十分議論するよう努めること。

 六 行政機関の膨張を抑制することが本法の目的であることにかんがみ、役職員が公務員の身分を有する独立行政法人及び日本郵政公社についても役職員の数の抑制に努めるとともに、効率的運営の検証を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐田委員長 次回は、来る三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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