衆議院

メインへスキップ



第22号 平成16年6月3日(木曜日)

会議録本文へ
平成十六年六月三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      小西  理君    自見庄三郎君

      鈴木 恒夫君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    赤松 広隆君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      黄川田 徹君    須藤  浩君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      武正 公一君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      馬淵 澄夫君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室長)

   (内閣官房地域再生推進室長)

   (内閣府構造改革特区・地域再生担当室長)     滑川 雅士君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            武智 健二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     小川 秀樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  亀井 久興君     鈴木 恒夫君

  高井 美穂君     武正 公一君

  中村 哲治君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 恒夫君     亀井 久興君

  武正 公一君     高井 美穂君

  馬淵 澄夫君     中村 哲治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室長、地域再生推進室長、内閣府構造改革特区・地域再生担当室長滑川雅士君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、情報通信政策局長武智健二君、総合通信基盤局長有冨寛一郎君、郵政行政局長清水英雄君、消防庁長官林省吾君、次長東尾正君、経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君、国土交通省大臣官房審議官増田優一君及び道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西田猛君。

西田委員 自民党の西田猛でございます。おはようございます。

 きょうは、麻生大臣を初め、皆様方、早朝からお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 ところで、六月一日は電波の日でございました。電波というのは、私たち人間にとって必要な、そして国民生活にとって重要な、そして有限の資源でございまして、この電波を有効に利用していかなければなりません。

 そういうようなことを考えておりましたところ、先般、私、ちょっと気になる記事に接しまして、そのことについてきょうはお話を申し上げたいなと思うのです。山形テレビというテレビの社長さんが、山形テレビが放送いたしました自民党山形県連の広報番組の放送で遺憾の意を表明したという記事でございました。

 これはどういうことなのかということを私自身ちょっと調べてみました。これは総務省の方に確認をいたしたいのですけれども、このような事実関係でございましょうか。

 山形テレビは、昨年、平成十五年の十一月の末、総選挙も終わった後に、自民党の山形県連の意向を受けたある広告代理店の広報企画の持ち込みを受けて、そして、山形テレビの話によれば、放送法第三条の二第一項第二号の、政治的に公平であることを担保するため、他の党であるところの、それは山形県選出の国会議員を有している民主党と公明党にも、それぞれ、平成十五年の十二月二十五日と平成十六年の一月六日に同様の広報企画をなさいませんかということを持ちかけた上で、そして、自民党の広報番組を平成十六年の三月二十日、それから三カ月の後に放映をしたという事実であると私は承知しておりまして、その山形テレビからの広報企画の持ちかけに対して、少なくとも民主党からは番組放送を行いたい旨の回答はなかったというふうに聞いておりますが、総務省の方でこのような事実は把握しておられますでしょうか。

武智政府参考人 ただいま先生が御指摘されたところでおおむねそのとおりだというふうに思いますが、山形テレビから報告されたところにのっとって申し上げますと、この番組は、自民党山形県連と地元の広告代理店が、県連の活動報告広報番組として企画・制作し山形テレビに持ち込んだ、いわゆるこれを持ち込み番組というわけでありますけれども、この持ち込み番組でありまして、三月二十日に放映をされたということでございます。

 そして、その過程におきまして、政治的公平の配慮ということで、機会均等に配慮するという観点から、自民党山形県連広報番組の話があった時点で、山形県選出の国会議員を抱える民主党、公明党にも同様の広報番組の企画提案をしておりますが、民主党、公明党両党に対する山形テレビのプロモートは継続中であって、企画は成立をしていない状況であるということでございます。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

西田委員 このことで、なぜその山形テレビの社長さんが遺憾の意を表明されたのかなというふうに私は疑問に思うのです。

 この問題で私が想起いたしますのは、かなり有名な話になりましたが、これまた昨年の十一月四日といえば総選挙のわずか五日前ですけれども、テレビ朝日が二〇〇三年の十一月四日にニュースステーションという報道番組で、これはレギュラーの報道番組ですけれども、その中で、いわゆる菅民主党政権ができたときの閣僚名簿なるものを発表して、約三十分にわたってそのことだけを報道として特集をしたという事実がありました。これは、去年の私たちが行いました選挙のわずか五日前でございます。それが十一月四日。

 そして、それを受けて、翌十一月五日に久間自民党幹事長代理名で抗議をいたしまして、そして、総選挙投票日三日前の十一月六日にテレビ朝日の方から、では自民党の方でも何か番組はいかがでしょうかというふうな打診があったのでございます。これは私どもが承知しておる事実でございまして、間違いはございません。

 それで、この二つの問題を、比較をするということではなくて、あわせて考えましたところ、例えば、山形テレビの場合には、これは自民党が制作をして、しかも自民党の広報特別番組であるということを番組の最初に、また中ほども、そして終わりにも明示をした、そういう番組を流した。しかも、その流した三カ月も前に、他の党にも政治的な公平性担保のために打診をしているということの事実があります。しかも、この山形テレビの放送枠は自由民主党山形県連が買ったものであるということでございます。

 他方、テレビ朝日の場合には、これはふだんと同じレギュラーの報道番組の中で、一党のことだけを放送し、しかも、事前にほかの党に同様の機会を与えるということもなかったということなのでありますけれども、これは、今総務省の方からも事実の確認がございました。

 さてこれを、放送法の第三条の二第一項第二号に言う政治的に公平であらなければいけない、これは放送事業者に求められていることなんですけれども、こういう観点から見ましたときに、この山形テレビとテレビ朝日の政治的な公平性を担保しようとする姿勢には大きな隔たりがあると私は考えるのですけれども、麻生大臣はいかがお考えになられますでしょうか。

麻生国務大臣 いわゆる持ち込み番組と報道番組というものについては違いがあるのはもう御指摘のとおりであります。片方は、制作してちゃんと金を払って持ち込んだという話でしょうし、番組を買ったという話ですし、片方は、報道でありますから、こちらに関係なくという点において違いがあるということにつきましては、これはもう西田先生御指摘のとおりだと思います。

 ただ、これは放送番組ということになってきますと、この内容についての責任につきましては、両方とも放送事業者が放送したという点については、基本的には異なるものではないということになります。放送法からいきますと、つくった人がだれであろうと放送したのは放送事業者ということになりますので、その点については異なるものではない、基本的にはそういう形になろうと存じます。

西田委員 放送ということは非常に重要なことでございます。限られた資源である電波を用いながら、私たち大衆に同時に同じ情報を流すわけですから、しかもその影響力たるや大変大きなものがあるということで、放送法でも、政治的な公平性、それから事実を曲げないというようなこともすべて規定されていることでございます。

 これらのことからさらに、放送と政治的公平性、あるいは事実ということをめぐる問題がいろいろと想起されるのですけれども、このような事案がございました。

 今までに、放送法に言う政治的公平を害するとして問題にされた事案、そして、これに対して行政庁の方で措置をとった例があるのかなということをこれまた調べてみましたら、一つございまして、これもかなり有名な問題になりました。平成五年の、これまたテレビ朝日なんですけれども、いわゆる椿元報道局長問題と言われるものがございました。

 これは、椿元報道局長が、同じくテレビ朝日が放送いたしました番組に対して、このように御本人が発言されたわけです。政治的に公平であることに違反する放送を行ったと疑われる発言を御自身がなさったので、その結果、社会的に大きな問題となり、放送に対する国民の信頼を著しく損なうような事態に至ったことにかんがみて、平成六年の九月二日には当時の郵政大臣名で文書による厳重注意が行われていると私は承知をしておりますけれども、総務省、この事実は間違いございませんでしょうか。

武智政府参考人 いわゆる椿問題についての事実関係でございますけれども、当時の郵政省といたしましては、テレビ朝日がみずから行った調査、そして国会における証人喚問等の審議結果などを踏まえまして、最終的には、テレビ朝日の報道には、椿発言にあったような、政治的に公平であることに反する事実関係はなかったという判断をしております。

 若干敷衍をいたしますと、内容は二点ございまして、一つには、椿元報道局長の発言によって政治的公平を侵すような指示ないし示唆はあったかなかったかということでございますが、これについてはなかった、そしてまた、現実に報道番組が偏ったものであったかという事実関係でございますが、これも、時間等の調査をいたしました結果、放送番組全体としての偏りはなかったという判断をいたしまして、政治的に公平であることに反する事実関係はなかった。しかしながら、このような発言を行った役職員の人事管理等を含む経営管理の面で問題があったという理由で、平成六年九月二日に大臣名で文書による厳重注意というものを行ったということでございます。

西田委員 今局長から御説明がありましたように、テレビ朝日が行った報道の内容について行政庁が云々したということよりも、そのことについて当の放送事業者の当事者が行った発言が社会的に大きな問題となり、放送に対する国民の信頼を著しく損なうような事態に至ったことにかんがみ、当時の郵政大臣名で文書による厳重注意を行ったんだということを今局長も言われましたし、これは、平成十六年一月二十日付の、総務省情報通信政策局長から公印をついた文書で、我が党の、自由民主党幹事長安倍晋三殿あてで来ている質問書に対する回答の中でもそのことがしっかりと述べられているのでございます。

 このような事実があるということを踏まえた上で、今のテレビ朝日の放送のいわゆる椿元報道局長問題と、さらに、つい最近の事案として想起いたしますのは、二〇〇三年九月、昨年の九月ごろですけれども、我々自由民主党の総裁選挙の真っ最中に、これまたテレビ朝日がTVタックルという番組で、我が党の藤井孝男議員が、自由民主党の総裁選挙に出馬しておられましたけれども、当時の衆議院の予算委員会で、野党議員の北朝鮮による日本人拉致問題の質問に対して、あたかも藤井孝男議員がやじを飛ばしているかのように、あろうことか、全く関係のない映像をつなぎ合わせて、捏造した映像を報道として放送したという事実がございました。

 このことが政治的に公平性を欠いていたのか、いなかったのかということは大きな問題ですけれども、さらに、これについて、この問題プラス菅内閣閣僚名簿とされる問題について、放送事業者であるところの当事者のテレビ朝日広瀬道貞社長は、二〇〇四年二月の定例社長記者会見でこのように御本人から述べておられるわけです。

 いわく、当社はこれまで社内で調査を行ってきたが、その結果、TVタックルでは誤った編集が行われたことが確認され、ニュースステーションについては配慮に欠けた構成で反省すべき点があると判断し、二月十九日付で社内処分を行ったという発言を当の放送事業者であるテレビ朝日の広瀬道貞社長がみずから行っているのでございますけれども、この事実について総務省は把握しておられますでしょうか。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

武智政府参考人 事実関係について申し上げますと、ことしの二月十九日に、テレビ朝日の広瀬社長が系列社長会のあいさつにおきまして、TVタックルでは誤った編集が行われたこと、また、ニュースステーションについても配慮に欠けた構成があり、反省すべき点があった旨発言し、また、再発防止の取り組みや常務取締役編成制作局長、常務取締役報道局長等関係者の処分を発表したということについて、総務省としては承知をしております。

 このことにつきましては、テレビ朝日から総務省の担当課にも報告がなされておりますし、また、テレビ朝日が、ただいま申し上げました二月十九日の系列社長会あいさつの後、そして二月二十四日の定例社長会見において報道発表等も行っているところから承知をしているということでございます。

西田委員 私がきょうこの一連のことをお話し申し上げましたのは、放送というのは重要なことですし、しかも、憲法を持ち出すまでもなく、言論の自由などは保障されているのでございます。また、私たち国民の知る権利を満たしてくれるものでもありますから、この山形テレビの例においても、安易に、放送したことを遺憾に思うとか、そういうことを放送事業者みずからはするべきではないと私は思います、自信を持って報道したことについては。しかし、事実を曲げたことあるいは編集に誤りがあったことなどについては、これは正確にかつ正当に、やはり謝罪なり、間違いを認めていただかないと、我々国民にも大きな害を及ぼします。

 私はアメリカでの生活も長いんですけれども、アメリカの放送事業者などはこのようにしていますね。これは報道だと。報道は報道。しかし、自分たちは意見を持っている。自分たちは、例えば民主党支持だ、あるいは自分たちは共和党支持だ、私たちは第三勢力支持だ。したがって、こういう意見を持っているということをはっきり言いますね。ですから、放送事業者は、報道と意見の表明ということをしっかり分けているということがございます。

 さて、この今のいろいろな問題を見ておりますと、私は、椿問題においては、椿氏自身がみずから行った発言で、大臣名で文書による厳重注意が行われたのですが、今回も、広瀬道貞社長みずからがみずからの非を認める発言を公の場でしておられるということからかんがみますと、これは、藤井孝男議員問題などは今BRCにかかっておりまして、聞くところによると、あす金曜日にその裁定が出るということでございます。公平かつ公正な裁定が出ることをつとに望む次第でございますけれども、そういうことを考え合わせますと、今回のいろいろな案件についても、放送当事者の責任者の方自身が行った発言は、放送に対する国民の信頼を著しく損なうような事態に至るという構図において、かつてのテレビ朝日椿元報道局長問題と同じ構成要件に当たり得るものではないかと私は考えるのです。

 リーガルマインドを持っている者としてはそのように考えられるのですけれども、もしも処分を行うとすれば、大臣名で行うことになられる麻生総務大臣の御所見、いかがでございましょうか。

麻生国務大臣 このテレビ朝日の社内処分の内容、それから社長発言ということのほか、放送と人権等権利に関する委員会、BRCにおいて今審理されております結果も含めまして、この点につきましては、いろいろそれぞれ発言をしておられますので、これはきちんと整理をしてみないといかぬところだと思いますので、整理をきちんとさせました上で、判断させていただきたいと存じます。

西田委員 そのようにお考えになっておられると思います。

 いずれにいたしましても、私、今申し上げましたのは、放送した内容がどうだったということを言っているのではなくて、放送事業者の方がみずからその非違を認めておられるという発言が、やはり私たちにとっては、社会的な混乱なり、いろいろな信頼を著しく損なうような事態に至っているのではないかなということの指摘でございまして、放送事業者の方には、つとに、私たちの知る権利を満たしていただくという重要な役割をお持ちなわけでございますから、厳正な態度で臨んでいただきたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

佐田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 本日は、今、同僚議員から、政治の公平性と報道の関係について議論がありまして、この後またあるようでありますが、ちょっと私は、その間、違うテーマで、インターネット上の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 先日の長崎の佐世保の小学校の女児殺害事件も、どうも発端はインターネット上のチャットの書き込みをめぐっての事件だというふうに報道されておりまして、心を痛めているわけであります。インターネット上で名誉毀損あるいはプライバシー侵害などが発生した際、サイト運営者がどう対処すべきかということであります。

 その点を定めたプロバイダー責任制限法、長い法律ですが、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、一昨年、十四年の五月に施行されている法律でありますけれども、この法律ができるまでは、やはりネット上での名誉毀損、人権侵害といいますか、そうしたケースが出た場合に、被害者がプロバイダー等に訴える、そうすると、プロバイダーの皆さんは、やはり会員情報というのは電気通信事業法に基づく守秘義務があるということで簡単に開示できない、あるいは、その問題部分を、書き込みを消すというようなことにいたしますと、これはまた、それで損害賠償を求められる可能性もあるし、放置しておきますと、いよいよ被害者から訴えられる、こういうことで、非常に板挟みになって苦しむというケースが多かったわけであります。そういう意味で、この法律はサイト運営者がどう対処すべきかということを定めた法律だというふうに理解しております。

 具体的には、そうした問題事例が起きた場合に、その問題の箇所について削除するとかしないとか、そうした場合に、一定の条件のもとに免責をする。あるいは、特定電気通信によって権利を侵害された被害者に対しては、権利の侵害が明白かつ改善の必要性があると認められる場合には、発信者情報の開示請求権を認める。プロバイダーは、開示しないことによって被害者に生じた損害については故意、重過失がない限り賠償責任を負わない。いわゆる先ほど申し上げた、電気通信上の秘密を守るという観点と、それから人権を守る、このバランスをとった法律ではないかというふうに私は思っているわけであります。

 法律施行から二年ぐらいたちました。ただ、けさも、私、インターネットを見ておりまして、相変わらず掲示板等には随分ひどい書き込みがなされている。特に、匿名というインターネット上の特徴があるわけで、ますますエスカレートしているように思っているわけであります。

 きょうも眺めていましたら、医療過誤に関する激しい書き込み。最近は、これは警察が処理しているようですが、中国大使館を爆破するぞというような書き込みがあったり、ネット上の秩序維持ということを目的とした法律であったかもしれませんが、なかなか簡単なことではないなと思っております。

 そうしたネット上の秩序維持に本当にこの法律が役立っているのかどうか、相当改善されているのか、最初に総務省の認識を、これは田端副大臣に伺いたいと思います。

田端副大臣 御指摘のように、平成十四年五月のプロバイダー責任制限法の施行によって、それ以前は、確かに、権利を侵害する書き込みが行われた場合の削除等に関して明確な判断がなかったわけでありますが、そういう意味では一つの基準ができたと思っております。

 一つは、プロバイダー等がその削除するしないの行動の一つの基準が明確になったということであり、また、匿名の書き込みを行った者に関しての、被害者の請求によって、発信者の情報の開示が可能となった。こういった意味で、これまでも本法を踏まえた多くの判例も出ているところでありまして、着実に運用がなされている、そういう判断をしております。

 そういう状況から考えてみますと、プロバイダー責任制限法は、ネット上の秩序維持に相当役立っているものという認識をしております。

 しかし、御指摘のように、確かに、昨日でしたか、佐世保の事件でも、明確に、個人に対する誹謗中傷ということが一つの大きな原因にもなっているようでもありまして、今後とも、プロバイダー等における自主的な取り組みを促すということが必要であり、また、このプロバイダー責任制限法の周知、活用をもっと広げていくということも大事だ、こういう認識であります。

 そういう意味では、まだまだ課題もたくさんあるなということを実感しているところでありますけれども、規制ということについては、なかなか難しい問題もあり、慎重を要するなというのが正直な実感でございます。

桝屋委員 副大臣は、これから私が議論しようと思う先のことまで、大分推察をしてお答えでございましたが、私も、確かに一定の役割は果たしているというふうには思っているのです。

 今、副大臣からも御紹介があった、裁判事例も大分積み上がってきた。昨日も資料をいただきましたけれども、最近でも、平成十四年以降、2ちゃんねるやヤフー、ソネットなどなど、さまざまな事例があります。削除義務ありというような判決も出ておりますし、そこは役割を果たしている、これを積み上げていかなきゃならぬなという認識は私も持っております。

 ただ、これは単に自主努力だけで本当にいいのかということを、ちょっと今から二点申し上げたいと思うのです。

 一つは、確かに、施行後間もない状況で、裁判事例を積み上げていかなきゃならぬとは思っておりますが、やはり、この世界、どんどん新しいものが出るわけでありまして、例えば、経由プロバイダーの問題であったり、あるいは、ピア・ツー・ピアというコンピューター同士の接続形態、WinMXのようなソフトを使ったコンピューターの接続をやる、それで、自動的に検索をして情報を集めてくるというようなことになりますと、まさに、一対一であったものが一対多数というような形に、どんどんソフトが開発されてくる。

 あるいは、電子メールなんかも今はまだ事例はありませんが、これから、私は、電子メールも、単に一対一だけではなくて、大きな名簿に一瞬にして送れるようなソフトというのは幾らでもあるわけで、そういう意味では、一対多数、こういう状況になってくると、多くの人に情報を届けることができる。その中で、やはり人権侵害というものが起きてきた場合の取り扱いというようなことがあるのではないか。

 やはり、法律施行間もない状況ですが、既に幾つかの問題が出ているんじゃないかと私は思っておりますが、総務省の見解を伺いたいと思います。

有冨政府参考人 今先生御指摘のように、技術革新によっていろいろなパターンが出てくるということは十分認識しております。したがって、そのパターンがいわゆるプロバイダー責任法の対象になるかどうかというのも大きな論点になろうかというふうに思います。

 今御指摘ありました経由プロバイダーにつきましては、これはこのプロバイダー責任法の適用を認めるというような高裁の判決あるいは地方裁レベルの判決も出ておりますし、ピア・ツー・ピアという電子ファイル送信についても、これはこのプロバイダー責任法の適用を認めるというような地裁の判決も出ております。

 ただ、先生今御指摘のように、電子メールのような一対一の場合は、これは今の法律上では対象にならないということで、これは通信の秘密という観点でそうなっておるわけであります。ただ、これからこういう技術を使って一対N、一対多数のやり方で誹謗中傷する等々の権利侵害というのは、これは十分あり得る話だろうというふうに思っております。

 したがって、そういったことが、今まだ具体的な問題になっておりませんけれども、今後社会問題になり得るというふうに十分認識しておりますので、その動向については注視をしていきたい、このように思っておるところでございます。

桝屋委員 それからもう一点が、いわゆる被害に遭った方々の話を伺いますと、私も紛争処理に当たっておられる弁護士さんと議論しているんですが、このプロバイダー責任制限法、プロバイダーというのはいわゆる中立の立場でありまして、被害者とそれから発信者の間にいる立場になるわけでありますが、被害者からしますと、やはりみずからの人権を侵害するような発信者に対して争いを起こしたい、こう思ったときに、どうも靴の上から足をかくような作業になるわけであります。

 つまり、まずはこの法律に基づいて発信者情報の開示を求める訴訟を起こす。場合によっては、さっきの経由プロバイダーじゃありませんけれども、次から次にそれを探していかなきゃならぬ。しかる後に、相手が特定されて初めて民事上の損害賠償の争いを起こし得るということですから、まさに二重の作業、負担が求められる。

 これが、相手を特定せずに訴訟へ参加させることができればいいわけですが、なかなか民事はそうなっていないということからいたしますと、まさにネット上の被害に対して、これは政治家なんかも随分経験が、私もひどい経験をしたことがありますけれども、やはり二重の負担になっているんじゃないか、こういう認識もあろうかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 先生今御指摘のとおり、我が国の民事訴訟制度、これを見ますと、匿名の相手方を被告とするいわゆる仮名訴訟、匿名訴訟、こういった手続が認められておりません。したがって、匿名の相手方に損害賠償請求を行うという場合には、被害者がまず発信者を特定するために発信者情報の開示を求める訴訟を提起することが必要というのが今の仕組みでございます。

 私どもも、これは改善を図るべきではないかという先生の御指摘については同じような気持ちを持っておりますが、現在の民事訴訟法の制度のあり方からいうと、今の時点で申し上げる限りはやむを得ないのではないかというふうに思っております。

桝屋委員 そういう今のような二点を考えますと、やはり、単に人権被害という点だけ考えてみても、結局、書いた方が得だ。言われた方は言われっ放し。訴訟事例も、結構あるという先ほどの副大臣のお話でありますが、私はもっともっと出てしかるべきじゃないかと思うんです。やはり今のようなもどかしさを考えると、もうこれは下手に争うより放置した方がいいというようなことになっているケースが多いんじゃないか、こう思うんですね。

 そこで、最後に二点、確認ですが、一つは、総務省の電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会、堀部先生を中心に懇談会をされていると思いますが、そこでやはりこのプロバイダー責任制限法のあり方についても議論されているというふうに伺っております。その議論等について、ちょっと紹介をいただきたいと思います。

有冨政府参考人 総務省では、今先生御指摘のとおり、昨年の二月に電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というものを発足していただきまして、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの改定、あるいは、個人情報保護法を受けまして、個別法の要否について検討を行ってもらっております。

 今御指摘のような個人情報の取り扱いにつきましては、発信者情報というものをどう扱うのか、あるいは通信の秘密という観点でどういうふうに位置づければいいのか、こういう点は絶えず裏表の関係で議論をされておりまして、目的がプロバイダー責任法というものではございませんので、多少趣は違いますけれども、裏表の認識は十分持ってもらって議論をしてもらっております。

桝屋委員 確かに、この法律、生まれたばかりの法律でありますが、全部法律で、あるいは裁判でということよりも、場合によっては裁判外で紛争処理ができる仕組み、あるいはログの正確性の保障などの問題、それからさっき言った経由プロバイダーの問題、これは判例が大体その対象になるという方向を認めているように私は理解をしております。

 いずれにしても、多くのまだ課題があるだろう。そして、問題は、やはり紛争処理がきちっと行われるということが大事でありまして、過大な負担をかけずに被害者救済が行われる、そして通信の秘密の保護も保たれる、こういうふうにバランスをとりながら制度を成長させていかなければならない、こういうふうに私は思っております。

 こういうのはなかなか役所というのは動けないわけでありまして、たまたま個人情報保護法が成立しまして、来年の本格施行を前に基本方針が発表されて、重要な三分野について、特に電気通信の分野はその一つでありますが、特段に個別法のあり方などを検討していこう、こういう動きがあります。その中の一つの問題として、私は、この問題もぜひ取り組んでいただきたいな、こう思っているわけでありますが、その点、大臣の御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今桝屋先生御指摘の、プロバイダー責任制限法はできて二年ぐらいのところなんだと思いますが、書き込みの削除等々を、これまでの判例を見ましても、ジャーナリスト対2ちゃんねるとか、エステサロン対ソフトバンクとか、実にずらっとここに出てきております。そういった意味では、お話があっておりましたけれども、それなりの成果が上がってきたということは確かだと私も思っております。

 また他方、個人情報保護法のあり方につきましては、電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というところで議論をしていただいているところなんで、今後、まだ、通信の秘密とか発信者に関する問題等についていろいろ取り上げていただいているところで、これも今議論が始まっているところなんです。

 プロバイダー責任制限法にかかわる問題点、今言われた問題点につきましては十分認識しておるところですけれども、個人情報保護法のあり方と一緒にするとちょっと話が込み入りますので、これは区別してきちんと考えないかぬと思っております。ごちゃごちゃになると何だか話があらぬ方向にいきかねぬと思っておりますので、個人情報の保護は保護としてきちんと切り離してやっていく方が整理の仕方としてはよろしいのではないかと思っております。

桝屋委員 大臣、切り離してという大臣の言われる意味もわかります。ただし、今の判例の中でも、情報を開示するかどうか、あるいは通信がこの法律の対象になるのか、そういう議論はありますけれども、明確にプライバシー侵害等がこのプロバイダー責任制限法の中で、法律で争われた事例はまだないと私は思っております。しかし、この法律の一つの要素として、やはり被害者の人権を守る、ネット上で守っていくという観点もあるわけでありますから、そういう意味では個人情報保護法と理念的に通じるところはある。

 それと同時に、物すごいスピードで進んでおりますから、これは、どっちかというと総務省、旧郵政は、やはり自由な世界に置きたいというベクトルだと思うんです。私もそれは理解できなくはないのであります。しかし、やはりその実態の厳しさというものを認識の上、いいチャンスでありますから、私は、先ほどの懇談会でも入り口部分では議論があったというふうに伺っておりますが、ぜひともこの一年の作業の中でこうしたものを取り上げていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 きょうは一般質疑ということで時間をいただきましたが、四月十三日、本委員会で我が党の山花委員が取り上げました山形テレビの自民党山形県連の制作番組、広報番組ですね、この件について質疑をさせていただきたいと思います。

 四月十三日、山花委員が総務大臣に、これは放送法上好ましくないのではないかということでお聞きをいたしまして、そのときに総務大臣の見解、今そろそろ二カ月になるわけでございます。その間、山形テレビからも、当委員会の理事会に事のてんまつあるいは番組審議会の意見等提出をされているわけでございますが、あのときの総務大臣の見解とすれば、次のように述べておられます。

 政党作成の広報番組は直接禁止する規定はない、誹謗中傷がないとそれを放映しちゃいかぬという規則はない、そこで、公平性ということになるものだから、どうですかと行ったというのは、要は民主党や公明党にも聞いたんですよと。基本的に放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だと思いますけれども、基本的には、放送法というものがある以上、公平性を欠かないように配慮することは極めて大事なところだと思いますと。

 これで山花委員は、やはりそれはおかしい、お金を払って持ち込めばいいという話はおかしいんじゃないか、これはまた理事会で御協議をということを言っておるんですけれども、二カ月たちまして、総務大臣、この自民党山形県連の広報番組、これが放送されたことについて、放送法上問題があるのではないかということについての御見解を改めてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、放送の自主自律の仕組みとか政治的公平の遵守の必要性についてあのとき述べたと記憶します。四月十三日の意見で、委員会での答弁は、我が国放送法は、憲法の表現の自由の保障規定を受けて、放送事業者の自律的な取り組みを通じて放送番組の適正を図る仕組みとなっているというように答弁をしていると思うんですね、議事録を見ていただければそうなっていると思うんです。

 そして、政治的公平というものが放送法で定める極めて重要な番組制作の上の基準の一つということになっていますから、そういった意味では、放送事業者がその法律を遵守すべきことは当然のことだという趣旨を申し上げたものでありまして、現時点において変わったかと言われれば、その考えには変わりはございません。

武正委員 だから、個別具体的にこの自民党山形県連が広報番組を八十五分間流したこと、山形テレビの行為、これが放送法に抵触するおそれあり、こういったことで私どもは問題視しているんですが、この個別具体的な自民党山形県連の広報番組を放送したことについて、これについては大臣としてどのようにお考えになられますか。

麻生国務大臣 これは三条の二の第一項第二号の政治的に公平であることということで、基本的には、不偏不党の立場から、政治的に考えても偏ることなく、放送番組全体としてのバランスがとれたものであるようにしておかないかぬということだと思っておりますので、政治的に公平であるとの判断は、一つの番組ではなくて、その当該放送事業者の番組全体を見て判断をする必要があるというぐあいに考えております。

 したがいまして、これを踏まえまして、総務省としては山形テレビから事実関係というものを、山形テレビとしての考え方を伺っている最中でありますので、現段階でどうかと言われれば、総務省としてまだ最終判断をするには至っていないということだと存じます。

武正委員 最終判断といったって、もう放送されていますし、この間、四月十三日に大臣に意見も聞いていますし、山形テレビからもちゃんと報告がある。

 手元の資料を御用意させていただきましたが、「写」と書いてあるのと「番組審議会議事録」というのは、それぞれ当委員会の理事会に提出された資料でございます。それから、私が総務省さんにお願いをして、総務省情報通信政策局、六月一日付ということで、「山形テレビに対する総務省の対応経緯」、これが一番上に載っておる資料。こういった形で、総務省としてはもうやりとりを頻繁に山形テレビとしてまいっているわけなんですね。

 この時点でまだ最終結論が出ていないということを言われましたけれども、結論じゃなくて、大臣としてどのようにお考えなのか。三月二十日に山形テレビが自民党山形県連特別番組を流したことについて、今政治的公平性ということを言われましたけれども、政治的公平性ということであれば、つまり、民主党や公明党に対して投げかけをしたけれども、その意思確認をしないまま放送したこと。しかも、その時期が三月二十日ぎりぎりであったがために、今さら民主党、公明党、やりますよ、やりたいですよと言っても、もう三カ月以内、つまり選挙告示の三カ月以内ルールにのっとって放送できない。こういったところは、では政治的公平性を欠いていたというふうに認識をされているんですか、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、初めてのケースでもありますので、慎重に審議をしておると御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

武正委員 いや、審議をしているんじゃなくて、私は総務大臣の見解を聞いているんです。総務大臣の見解をお答えいただきたいと思います。つまり、では、審議中であるからいいも悪いも言えませんというふうなお答えなんでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、自分の個人的見解で事が決められますかね、この種の話。私の個人的見解を聞いて何の参考にされるのかよくわからぬのですけれども、私の個人的見解を言うことによって判断がゆがんだ方向に行くのも控えておかないかぬところだと思います。個人的見解を聞いて何の参考にされるのかよくわかりませんけれども、この話で私の個人的見解をと言われても余り意味がよくわからぬのですが。

武正委員 私は個人的見解なんか聞いていないんですよ。総務大臣としてどのように御見解があるのかをお聞きしているんです。もう三月二十日に放送されて、当委員会で四月十三日に取り上げて、あのときにちゃんと答えておられるんです。ですから、個別具体的に御見解を総務大臣としてお答えいただきたい。

麻生国務大臣 最初にお答え申し上げましたとおりに、この事件に関しましては、知り得る限り初めての例でもあります。こういう例はほかにありませんので、放送番組の放送の自由とか、そういったことに直接かかわりある問題でもあることから、これは、総務大臣、行政を預かる者としては慎重に判断を行っていくということだと存じます。

武正委員 冒頭挙げましたように、四月十三日にこのように総務大臣は山花委員に答えているわけですよ。もう一回言いますよ。

 つまり、政党作成の広報番組を直接禁止する規定はない、誹謗中傷がないとそれを放映しちゃいかぬという規則はない、そこで、公平性ということになるものだから、要は民主党や公明党にどうですかと聞きに行ったと。基本的に放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だと思います、けれども、基本的に、放送法というものがある以上、公平性を欠かないように配慮することは極めて大事なところだと思いますと。

 ですから、このときのこの御答弁と今もお変わりありませんかと聞いているんですが、いかがでしょうか。このように御発言されているんですが。

麻生国務大臣 先ほども、その点につきましては一番最初にお答え申し上げたと思いますが、山形テレビとしてとった措置が番組全体として政治的公平を確保する上で十分なものだったかどうかということを中心に今後検討していくというふうにお答えを申し上げて、審議を受けて、私ども役所としては、それを慎重に審議しておるというように御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

武正委員 では、この四月十三日の御答弁はそのままということで承ります。

 この答弁でいきますと、さっきも言いましたように、民主党、公明党には投げたんだけれども、その返事が来る前に、要は、返事も聞かずに自民党の広報番組だけ流した。これについての公平性は問題があるけれども、基本的には放送事業者が自己責任において判断すべき種類の話だというふうに答えておられますが、では、その認識も今も変わらないということでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、番組をつくるに当たりまして、向こうから持ち込まれた話に対して、他党に関しても一応それを伺ったという点においては、公平を期そうと努力した点は確かだと思います。しかし、結果が出てくる前に放送したのは軽率だったのではないかという点はいろいろ御意見が出てくるところだと思っております。

武正委員 この間の委員会でも山花委員が聞いているように、百七十万円の帯のお金と、それから、番組を制作する費用はもっとその何倍にもなるだろうということなんです。つまり、政党にとってはお金がなければそうした番組はつくれないわけなんですね。

 ですから、自民党さんはそのお金を持って番組をつくって持ち込んだわけですけれども、では、民主党や公明党の事前にちゃんと返事をとっていれば流していいのかというと、民主党や公明党、公明党さんはわかりませんが、民主党がそれだけのお金をこの番組に充てることはなかなか財政上できないというふうになった場合、それでも、公平性から一応聞いてだめだという返事があったから自民党だけの広報番組を流しました、もしこういうケースだったら、それは自主性ということで認められるというふうにお考えですか。

田端副大臣 御指摘の点は、政党広報番組の放送について財政的基盤の程度によって政党間に格差が生じるものではないかというふうに理解をしておりますが、放送事業者が放送法に基づいて番組の編集を行う際には、政治的公平を確保するということが求められるということはそのとおりだと思います。

 しかし、御指摘の点につきましては、放送事業者が自主的判断に基づいて番組の編集を行う際に考慮する要素の一つであった、こういうふうに認識しております。

武正委員 考慮する一つであったというのはちょっとよくわからないんですが。私がさっき聞いたのは、では、民主党、公明党が、やはりお金が払えないし、公明党さんはわかりませんよ、民主党から、払えません、だからこれにはちょっと乗れませんという返事が来ても、その自民党の広報番組を流すということが行われた場合は、これは問題がないというふうにお考えでしょうか。

田端副大臣 先ほども申し上げましたとおり、これは放送事業者の自主的判断に基づく問題でありまして、そういう意味では、私たちとしては、そういうことも考慮する判断の一つとしてその要素にあるんだろう、こういうふうに認識しております。

武正委員 よくわからないんですよ。だから、民主党が断って、それでも自民党の広報番組を流すということは問題がないというふうにお考えですかと聞いているんです。これは副大臣、お答えください。私は政治家のみにお答えをいただきたいと思います。

田端副大臣 何回も繰り返すようですが、事の経緯はいろいろあったかと思いますし、私も公明党の人間でありますから、御趣旨、おっしゃっている意味はわかります。しかし、放送事業者の方での自主的な判断があるわけでありまして、それをこちらの方、例えば公明党の側として、今私の立場としてどうだということは言えない、こういうふうに思います。

武正委員 いやいや、だから総務省としての御見解を伺っているんですよ、総務省としての。総務大臣、いかがですか。

武智政府参考人 法律の仕組みと事実関係についてですので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど来、大臣並びに副大臣から放送事業者の自主性ということを言われておりますが、もう既に御案内のところだと思いますが、放送法というものは、憲法二十一条の表現の自由を受けまして、放送法三条において編集の自由が規定をされ、編集基準をみずから定め、それにのっとって放送をするという仕組みから考えれば、まず一義的には、放送事業者が物を判断するべきであろうということを申し述べているということであります。

 それから、ただいま、お金があった、ない、そして民主党は断る、断らないという話がありましたが、この報告書について申し上げれば、山形テレビにおきましては、機会均等の配慮という観点から、民主党、公明党にも企画提案をしたということでございますが、それに対して、公明党並びに民主党からはその企画提案を受けるという話が来ていないわけでございます。そのことに関しましても、結果的に平等を図れなかったことについては配慮が足りなかった、そういう言い方をしているということであろうかと思います。

武正委員 いや、山形テレビの話じゃないんですよ。総務省として聞いているんです。私は、大臣、副大臣にお答えをいただきたいということで事前に通告をしておりますので、総務省としての御見解をお答えいただきたい。

 すなわち、では、民主党から断りの返事があったのならば、それはもう広報番組として流していいというのが総務省の御見解かどうか。大臣、副大臣、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 内容にもよるんじゃないでしょうかね、基本的には。金がないからできない。本当に金がないんですか。いや、効果がないと思っておられるから流されない。いや、こっちは効果があると。では、おれのところはどうかなというところはこれは各党いろいろなんだと思います。

 その内容が他党に対する誹謗中傷というような番組の内容だったら、それは金を払ってもどうかなと。いろいろな判断をされるのは、一義的には放送事業者がされるところだろうと思いますし、放送事業者にとりましては、それによって利益を得られるということになるんだと思うんですね。その利益を得られることに関して、それを一方的にとめる、内容はといえば、極めて公平だったといったときの判断というのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。

 私は、そこのところは、ちょっと仮定の問題に関してお答えするのはいかがなものかと思ってはおります。

武正委員 放送法で政治的公平ということが言われているわけですね。その放送法の遵守を監督する官庁が総務省でありますし、何といっても電波法というのは、五年で電波の更新というものは、総務大臣が、いや、これは更新しないと言ったらもう更新できない、大変強い権限を総務大臣は放送局に対して有しているわけですね。

 その総務大臣から、今、そういった御見解で、要は放送局の自主的な判断だ、内容が問題なければ流してもいいじゃないか、金がないなんというのはどうなんだ、効果がないと思っているからじゃないかというふうなお話ですけれども、お金があればこういう番組がつくれて、そして流せるのであれば、私は、やはり政治的公平性、不偏不党というものが欠けてくるおそれが多分にあるというふうに思うから問題にしているわけでございます。

 そこで、放送法五十二条にもこのような規定があります。これはいわゆる選挙を目的としたところなんですけれども、候補者放送、「一般放送事業者がその設備により又は他の放送事業者の設備を通じ、公選による公職の候補者に政見放送その他選挙運動に関する放送をさせた場合において、その選挙における他の候補者の請求があつたときは、料金を徴収するとしないとにかかわらず、同等の条件で放送をさせなければならない。」つまり、お金を払わなくても、いわゆる候補者放送については要求があれば流さなきゃいけない。これは政治的公平性をやはり放送が担保する、こういったところからこの五十二条もあるわけなんです。

 そういった点もかんがみますと、いろいろその過程で非常に政治的公平性を欠くやり方があったというふうに百歩譲ったとしても、やはりお金を出せばこうした政党の放送番組がつくれて、そしてそれを流せる。しかも、広報番組と見まがうというんですかね、最初に広報番組というのがぽっと映って、一番最後に広報委員長がその旨を説明する、あとはもう本当に山形テレビの自主制作の番組ではないかというふうに疑うような、そういった内容でもあるわけですよね。

 総務省としての御見解を、仮定の質問ではありません、現実に起こった、今起きていることでありますので、今の私の質問、お金があれば、政党として番組をつくってそれを流すことは構わないという御見解でしょうか。この山形テレビに関してお答えいただきたいと思います。

田端副大臣 委員御指摘のこの第五十二条は、おっしゃる意味もよくわかりますが、しかし、これはよく読んでみますと、選挙期間中における放送のあり方、こういうことでありまして、ここにも、選挙運動に関する放送をさせた場合、その選挙における候補者の請求等、こういう表現、あるいは候補者の政見放送その他選挙運動に関する放送、こういうことで述べられておりますので、同等の条件で放送、あるいは金銭的に同等の負担という意味では、これは選挙の期間中ということで限定されている規定だという認識でございますが、おっしゃる趣旨はよくわかっております。

 先ほどから申し上げているように、それは昨年……(発言する者あり)これは、そういう意味では、放送事業者の自主的な判断というものが第一義的に考えられるということを何回も申し上げているとおりでございます。

武正委員 お手元のこの山形テレビの報告の書類の四ページに「政治的公平に関しまして慎重さと配慮に欠けておりました。」という報告があるんです。

 この政治的公平というのは、先ほど来話があるように、民主党、公明党に投げたけれども、その返事を待たないまま放送したということなどを含めた、この上に書いてある一、二、三といったことであって、これがちゃんと整っていれば、山形テレビとして自主的な判断として行うことは一向に構わないという御判断でしょうか。先ほど来、放送事業者の自主的判断、自主的判断と言われておりますが、そのように理解してよろしいんですか。

田端副大臣 この報告書は、放送した後の結果として、公明党あるいは民主党が放送する見通しのないまま放送したことに対して、自民党のみ放送したことに対して、山形テレビとしては不適切な放送対応をしたということで、慎重さと配慮に欠けていたというのが山形テレビの趣旨である、こういうふうに判断しております。

武正委員 順序を変えてここでちょっとお聞きをしたいんですが、山形テレビ、山形テレビと、自主的な判断だというので、お手元にこの山形テレビの番組審議会の議事録が配付をされております。

 いわゆる番組審議会というものは、放送法に、やはり公平公正な放送、公共の福祉に反しない等、そういった意味で、各局に番組審議会という第三者機関、チェックですね、放送法第三条の四、「放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)を置くものとする。」ということでございますが、この議事録をちょっと私も拝見させていただきました。

 また、お手元には審議会の委員の名簿も同じく配付をしておりますので、これを突き合わせながらぜひ御参照をいただきたいと思います。

 そうしますと、まず、最初は何か報道ステーションの方のいろいろやりとりがありまして、十七ページから山形県連特別番組の「三宅久之のどうなる山形!」の議論に移っていくわけでございます。

 冒頭、専務から報告がありまして、そして議論が始まる、意見交換が始まるということで、十九ページ。まず阿部委員、地元のホテル経営者でございますが、一番最後、「勉強になる番組であったと感じます。」もちろんその前には、最後に自民党の広報委員長がコメントされる、それを見ない限り、一時間半の番組ですから、一体これは何だろう、もしかしたらいたのかなという気がしますということは言っておられますが、勉強になるということで、阿部さんは丸と評価をされている。

 酒井さん、地元の博物館の学芸員です。これも、二十ページでありますが、上から五行目、「非常に身近なものが分かりやすく見ることができた番組だったと思います。」

 続いて岡崎委員、岡崎さんは地元のやはりホテル経営者、JCの理事長でもあります。一行目ですね、岡崎委員、「全体的にみれば、すごくいい内容の番組だったと私は思っています。」これはもう二重丸の評価。

 続いて杉山委員、地元JAの本部長さんですが、この方は二十一ページの下から三行目、「山形テレビが自民党の今のコマーシャルをやったという英断は評価できると私自身は思います。」二十二ページ上から八行目、「よくぞ山形テレビが風穴をあけてくれた、という部分も、ある意味で評価できるのではないか」、この方も二重丸の評価であります。

 続いて寒河江委員、山形新聞社の方ですね。「公平、中立を欠いたと、不適切な放送となってしまったということを、社側として認識されているということ、私はこれで十分じゃないかというふうな気がいたします。」というようなことで、二重丸か丸かどちらか。

 二十三ページ、斉藤委員、朝日新聞の方ですね。この方が、二十四ページ上から七行目、「社内考査をして問題ないという判断だったとすると、やはりその当時の判断はどこか問題があったんじゃないかと言わざるを得ないですね。」この方はやはりバツというふうに言っております。

 そして二十五ページ、委員長さんの発言、上から九行目、「やはり、私も一言で言えば、山形テレビさんは今回の放送のことを考えると軽率であったというそしりは免れないだろうと思います。」

 やっと斉藤さんと委員長が問題ありというふうに言っているんですが、先ほどの杉山委員は、二十六ページ、ちょうど真ん中辺ですが、「時代的に早すぎたのかなと。ただ、あと二、三年したら、もっと自由にこういうものが意見として出てくる場面もあるだろう、」こういったことを言っているわけなんですね。

 この番組審議会、機関が、適正な放送を担保するためにチェック機関としてあるわけなんですが、この山形テレビの番組審議会の委員の方々の御発言、今御紹介をさせていただきましたが、大臣、これを聞かれてどのように思われますか。

麻生国務大臣 番組審議会というのは、いわゆる番組編集の自由というものを考えて、放送事業者が番組を制作する方以外の方の評価をいろいろ聞くためにつくっておられるものでしょう、私よく知らないけれども、多分そうだと思うんです。

 その審議会において自由濶達な意見がなされたということが外部に出されたということもいいことだと思いますが、その審議会の個々の委員の発言についてどう思うかというのを行政府の立場でコメントする立場にはないと思います。

武正委員 先ほども触れたように、放送法の三条の四でこういった審議機関が置かれている、その審議機関としての持つ意味の重さ、私はこのことを今総務大臣に申し上げたかったのであります。

 さて、もう一度質問をちょっと当初のものに戻しますけれども、民主党、公明党には提案をして、共産党、社民党さんになぜオファーをしなかったのかということについて、先ほどの山形テレビの報告書には、ちょうど五ページに出ておりますが、「この時点で共産党と社民党に県選出の国会議員がいなかったためです。」というふうに言っているんですね。

 それで、この番組には県議会議員さんもたくさん出てこられるので、山形県の県議会の構成を、これは副大臣、お答えいただいてもよろしいでしょうか。山形県議会の議会の会派の構成についてお答えをいただけますか。

田端副大臣 県会四十六名で、現会派、自民党二十七名、二十一世紀の会十五名、公明党一人、共産党一人、無所属一人。四十五名、欠員は一になるのかな。その二十一世紀の会の内訳が、社民党四、それから民主党一、無所属十、こういうふうになっております。

武正委員 今のお答えで、民主党と公明党が一、一というお話でございます。

 それでは、先ほどの山形テレビの報告書、三ページの下から五行目をごらんいただきたいと思うんですけれども、「当社で番組考査を担当する編成業務部内で、二月中旬に構成台本を考査いたしました。民主党と公明党にもプロモートしている段階であり、この構成案が基本になるとの認識でチェックを行いました。その結果、内容に特に問題は認められませんでした。」

 つまり、構成案というのは、この山形テレビの内容は、すなわち国会議員さんと県会議員さん、かなりイコールに近い形で番組として構成をされております。

 ところが、先ほど触れたように、山形県議会では、自民党が二十七ですけれども、民主、公明は一、一と議席が一人ずつしかないわけなんですね。そうすると、この二月時点で、この構成案でもういくんだ、民主党、公明党にもこれでいくんだというわけなんですけれども、どう見ても、県議会のその議席数の配分からいったら、やはり今回の提案というものは自民党ありきの提案であったのではないのかというふうに疑うところが大のこの山形テレビの三ページの記載なんです。この点、副大臣、私の考え方はいかがでしょうか。

田端副大臣 これはどういうふうに判断されているかわかりませんが、県会でいけば、確かに一、一ということであります。

 しかし、山形県出身の国会議員ということになれば、私ども公明党の方にも一人参議院議員がいるものですから、そういう意味では、山形選出国会議員のいる政党という考え方でやられたのかなというふうに私は実感として感じております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

武正委員 先ほどの「写」という、山形テレビの出されている番組で山形県連特別番組の番組概要が、これが二月中旬にもう決まっていたわけですね。タイトル、オープニング、最初は国会議員座談会第一部、県民各層インタビュー、それから国会議員座談会第二部、そして自民党県議会議員の活動というふうに移ってくるわけなんですけれども、そういったことでいきますと、やはり民主、公明の県議会議員が一名という中で同じような構成が果たしてできるかなというと、甚だ疑問でございます。

 そういった意味から申しますと、社民、共産の国会議員がいないから聞かなかったというのも、やはりこの論拠も崩れてくると言わざるを得ないのであります。やはり山形テレビからすると、念頭に自民党というものが、一党の広報番組作成というものがあってのさまざまな放送に至るまでの過程だというふうに断ぜざるを得ません。

 そういった意味で、山形テレビから報告書が出ておりますが、総務省からのお答えは、山形テレビはこうだろう、ああだろうということでありますので、私は、改めて本委員会に山形テレビの参考人としての質疑を行うことを委員長にお願いしたいと思います。

左藤委員長代理 理事会で協議します。

武正委員 続きまして、お手元の方にやはり資料として用意をしたのが、山形テレビ、山形放送、そして山形新聞社の役員あるいは資本関係ということで、ちょっと表をつくってみました。「山形テレビに対する総務省の対応経緯」というものが一番上についているホッチキスどめの三枚目をごらんいただきたいと思います。

 山形テレビの第三十五期の主要株主、そして山形放送の二〇〇二年度の主要株主、そして役員ということでありますが、こうやって見ていただくと、マスメディアの集中排除ということで、資本は、一〇%を超える資本を複数のテレビ局、同じ県域の中で有してはならない、これがマスメディア集中排除であります。つまり、複数のテレビ局に影響を与えるような形が行われると、報道というものの公平性を欠くということなんです。

 こうやって見ていただくと、山形新聞社がそれぞれ両方の会社の八・一%、九・七%、ぎりぎり一〇%を下回るということで持ってはおりますが、相馬健一さんが山形新聞社の社長であり、堀田稔さんは前山形新聞社の専務であり、そしてヤマコーという地元の会社の取締役を相馬健一さんもされている。そして三島という会社が、地元の会社なんでしょうか、山形新聞社の第二位の株主でもあるということ。つまり、私が言いたいのは、山形新聞社と山形テレビと山形放送が非常に緊密な関係にあるということでございます。

 こういった関係がマスメディア集中排除の対象になるのかならないのか、私は、極めてなるおそれがあるのではないかというふうに考えますが、この点、総務省としての御見解をお聞かせいただきます。

田端副大臣 御指摘の点は、山形テレビ、山形放送並びに山形新聞の資本関係あるいは役員の兼務ということかと思います。

 私は、マスメディア集中排除原則に抵触するものではない、特段の問題はないというふうに思います。

 それは、今先生御指摘のように、山形新聞、山形放送九・七%、それから、山形新聞、山形テレビ八・一%という意味では、一〇%を切っているわけでありまして、マスメディア集中排除原則の出資比率というのは、放送対象地域が重複する場合、十分の一を超えてはならないという原則があるわけでありますが、そういう意味では、一〇%以下であるということ。

 それから、役員の兼務でありますが、山形新聞の相馬社長が山形放送の非常勤の取締役会長である。それから、山形テレビの非常勤の取締役を兼務している。非常勤という意味において、おっしゃる趣旨には当てはまらないのではないか、こういうふうに判断します。

武正委員 なかなか力強い答弁には至っていないというふうに思うんですね。

 本当に山形新聞を真ん中にして、山形放送と山形テレビ、そして地元の三島、ヤマコーという会社も含めて密接な関係にあることは、これを見ていただければ委員の皆さんもおわかりいただけるところだというふうに思います。私は、極めて、マスメディア集中排除の、一〇%以上の資本を有する、そしてまた役員が兼務をしているおそれありというふうに指摘せざるを得ません。

 昨年改正、そしてことしから施行されるようになりますマスメディア集中排除原則を同じホッチキスどめの一番後ろに二枚つけておりますが、もともとマスメディア集中排除原則を変える理由は、地上波のデジタル化に対応して、地方のテレビ局がお金がないから何とかしてくれ、そういった中で出てきた話と伺っております。

 こういった地方の一山形テレビ、山形放送、山形新聞ということの現状でありますが、私は、このマスメディア集中排除の出資比率規制、役員規制などを緩和する今回のこの決定、電監審からの決定でありますが、これは慎重に慎重を期す必要があるのではないか、そういったことを投げかけた今回の山形テレビの案件ではないかと考えるんです。

 マスメディア集中排除原則の見直し、これについて、放送の公平公正さ、あるいは不偏不党、適正な放送、これを担保するためにも、私は集中排除原則の見直しについての実行に当たっては慎重に慎重を期す必要があると思いますが、この点、いかがでしょうか。

左藤委員長代理 時間がありませんので、短目にお願いします。

麻生国務大臣 知っておられる上で聞いておられるんだと思いますが、今回の改正、今山形を例に引かれましたけれども、山形新聞、山形放送、山形テレビは、これは同一地域内ということになっておると思いますので、今回の改正の対象外だと存じます。

武正委員 もうこれで終わりますが、日本放送協会「放送五十年史」に、三百七ページ、これは放送局開設の根本基準をめぐる聴聞ということで、昭和二十五年の記載がございます。

 ここに、放送局の開設の根本基準というものの取り扱い、大変これは総務省にいろいろな権限を与えている省令でございます。放送法に余り、どういった放送局が開設にふさわしいかふさわしくないか、これは三つしか、三条しかないということでありますが、その大部分がこの根本基準にある。そういった意味では、この記載、その他の問題、例えば、番組の不偏不党、宗教上の機会均等、公共の福祉に適合する度合い、新聞社の放送事業兼営などといった本質的な問題については、一向に議論が深められないままに日程を終わってしまった、これが昭和二十五年当時でございます。

 私は、その放送局の開設の根本基準、そして今回のように、総務大臣が放送局の自主的な判断などと言ってはいるものの、実際の許認可権は絶大な権限を総務大臣が有している、こういった現状にかんがみて、やはり民主党が提出しているように、電監審を強めて、通信・放送委員会、三条委員会というふうにすべきだということを重ねて申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

佐田委員長 短目にお願いします。

麻生国務大臣 昭和二十五年当時は吉田内閣ですからね。これは占領中でもありましたし、事情も大分違うと思います。

 今回は、いかにも一方的にやられたような意見を言われると、事実と違うと思いますので、ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会の提言、放送政策研究会の報告を踏まえた上で、三度にわたるパブリックコメントを募集し、電波監理審議会へ諮問、意見聴取という手続を行っておりますので、昭和二十五年当時とは全然状況が違うと思います。

武正委員 あえて申しますが、昭和二十五年当時と違うのは、電波監理審議会の総務大臣への勧告権というものをなくしてしまったということが違っております。八条委員会として形骸化をどんどんさせた、それがこの間の五十年であります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 冒頭、総務大臣、前回この問題を取り上げさせていただきましたときの私自身のスタンスとしては、最後に御答弁、所感をいただきましたけれども、放送事業者が放送した内容について、公権力の側がその中身の当否について意見を言ったり、あるいは場合によっては行政処分というのは本来はあるべきことではないと思いますし、また、当時私は、御党の関係で申しますと、別の報道番組に対してとられた対応についてはいかがかということも申し上げさせていただきました。

 ただ、今回のケースについて、役所側の対応としては私自身ちょっと疑問があるところもあり、また、今回出されております報告書についてもいかがなものかなと思うところがございます。本来であれば、こういった委員会の場は政治家同士の討論ということで持たれていると思いますが、事実関係等、少し確認を事務方たる役所の方とさせていただいた上でまた所感などをお聞かせいただきたいと思いますので、議論等を聞いていていただきたいと思います。

 ところで、この問題、おさらいをいたしますと、三月二十日に自民党県連特別番組というものが放送をされまして、これが三月三十日に新聞報道がございました。そして、総務委員会におきましては、私が四月十三日に取り上げて今日に至っているわけであります。

 本来であれば、そのときは、当事者である山形テレビの関係者の方から話が聞けないかということで理事会などで諮っていただいたんですけれども、今日に至るまでその合意というものはできていないようでありますので、まず、武智情報通信政策局長に、この報告書の中身あるいはその経緯などについて質問させていただきたいと思います。

 もう既に報告がありましたけれども、この報告書については、四月十五日に総務委員会の理事懇で、総務省経由で山形テレビから文書で中間報告を求めることが決定され、総務省にその対応の要請があって、四月十六日に総務省の担当課が山形テレビ役員を招致して理事懇からの要請内容を伝え、また報告書には、これまで総務省へ報告されている内容や国会で質疑された内容を含めるよう要請した、こういうことになっているようですけれども、まず、大前提として、その経過については間違いありませんね。

武智政府参考人 先生の御指摘、おおむねそのとおりでありますが、再度、整理のために繰り返しますと、御指摘のありました報告書は、四月十五日の衆議院総務委員会の理事懇談会において求められたものでございまして、これに応じまして、総務省から山形テレビに対して提出を依頼し、五月七日付で山形テレビ社長から総務省情報通信政策局長、私あてに提出をされ、これを総務省経由で五月十一日に衆議院総務委員長あてに提出させていただいたものであります。

 また、報告書の中身は、当時の時点において、国会において指摘を受けていた事項、それから問題とされている事案についてその事実関係、それらに対する認識等について、山形テレビが調査をしてまとめたものというものであります。

山花委員 その上でなんですけれども、つまり、これは総務省を通じて衆議院の総務委員会の理事懇談会の方に提出をされたということですので、ここに書かれている中身については御承知されているものと考えます。

 ところで、私もこれを読ませていただきましたけれども、とても不思議なことがたくさん書かれている報告書でありまして、恐らく当事者に聞かないとわからないことも、というか、そういうことだらけなのかもしれませんし、とても了解不能な部分もたくさんあるわけです。

 これは総務省として、当然中身はごらんになったと思いますけれども、内容について、役所としては、今の御発言ですと、こういう山形テレビの方からの報告があったという形で承知しているというような表現だったと思いますけれども、形式のことではなくて内容について、これでいい、つまり、山形テレビが主張していることで了解できるという認識なんでしょうか。そしてまた、これで十分である、このように考えているんでしょうか。その辺のところを、どういうスタンスなのかをお聞かせいただきたいと思います。

武智政府参考人 お答えをいたします。

 まだ総務省といたしましては、この報告書に対しては、山形テレビがまとめたものという認識でございまして、内容的にすべて了解をしたというものではございません。

 したがいまして、現在、この提出されました報告書をもとに内容を精査し、山形テレビから事実関係の補足や、例えば、政治的公平に違反しないと判断したそういった背景、理由などについて詳細を伺っている、そういう段階でございます。

山花委員 まだ意見を聞いているということですが、つまりは、この内容について必ずしも十分でない、あるいは不明な点があるという認識をお持ちのことなのだと思います。

 しかし、五月七日にこうやって報告書が出されてからまだ一カ月はたっていませんが、それにしても随分日がたっているわけでありまして、一体どういう話をお聞きになっているのか、そのあたりについて少し確認をしたいと思います。

 ところで、先ほど武正委員からも同様の質問がありましたけれども、改めてこの内容についてお聞きをしたいと思います。しかし、聞くといっても、山形テレビがどういう主張をされていますか、こういう話になってしまうわけであります。しかし、当事者が参考人としておいでいただいていないので、いたし方ありません。

 この「自民党山形県連特別番組を放送するに至った経緯等の報告について」という報告の中に大変不思議なことが書かれております。

 「政治的公平性からも県選出の国会議員がいる民主党と公明党にも同様の広報番組の企画提案をすべきであるという結論に達しました。」「県選出の国会議員がいる民主党と公明党」と書いておりますけれども、先ほど何か副大臣からも御発言があったやに記憶をいたしておりますが、これはどなた様のことを指されて県選出の国会議員と山形テレビは言っているんでしょうか。

武智政府参考人 山形テレビが考えているところを述べますと、山形県選出の国会議員といたしましては、民主党は鹿野道彦議員及び近藤洋介議員、公明党は渡辺孝男議員ということであります。

山花委員 非常に不思議なお話でありまして、我が党のことを申して、同僚の仲間のことを悪く言うつもりは全くありませんけれども、小選挙区で通ってきたかというとそういうわけではありませんで、確かに立候補はいたしておりますが、選出については東北ブロックということになろうかと思います。また、個人的には全く恨みもつらみもありませんけれども、公明党の渡辺議員については完全な東北ブロックの選出であると認識をいたしているんですけれども、それは間違いないですよね。

 つまり、山形テレビがどう主張しているかという話ではありません。事実関係として、山形県の選出の、つまりは選挙区選出の議員であるかと言われれば法的には違いますよねということですけれども、いかがでしょうか。

武智政府参考人 ただいま御質問のあった点に答えれば、確かに鹿野議員、近藤洋介議員は選挙区選出の議員ではございません。

 なお、山形テレビの考えを聞いているのではないというお話でありますが、私どもが聴取している事情について若干付言をさせていただきますと、この鹿野道彦議員、近藤洋介議員のお二人は山形県の選挙区から出馬をし、そして落選をされたわけでありますけれども、東北ブロックの比例区で当選をしたということでありまして、そういう観点から県選出の議員と山形テレビとしては位置づけたということであります。この基準が妥当かどうかについてはいろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、一つの考え方ということで私どもは伺っているところでございます。

山花委員 公明党の議員に関してはいかがでしょうか。

武智政府参考人 申しわけございません、漏らしました。

 公明党につきましては渡辺孝男議員ということでございますが、これも山形テレビの一つの考え方ということでございますが、自宅が米沢市にございまして、昨年十二月まで公明党の山形県本部長を務め、現在も県本部顧問についていらっしゃいまして、長く山形県を拠点に活動しているということから県選出の議員と位置づけたという主張をしておりまして、先ほどと同じでございますけれども、これも一つの考え方ということで私どもは承っているわけであります。

山花委員 一つの考え方というふうにおっしゃっていますけれども、特に自宅がどうかとかいうことはともかくとして、少なくともこれは公式に出されている文書なわけですよね、つまり総務省を経由してハウスの、衆議院の理事懇談会という場所に。別に法律的な文書ではないでしょうから、多少の日常用語とのそごがあるにしても、県選出の国会議員という表現がとられており、かつ、そのことを一つの理由として、社民党さん、共産党さん、ほかのところには声をかけませんでしたという、それを一つの政治的公平性を担保することの理由としているわけでありますから。

 ちょっとほかの質問もしますので、今お答えいただかなくて結構です。一つの考え方かなとおっしゃっていますけれども、放送法を実施していく上で、本当にそういう考え方でいいのか悪いのかという判断は当然あり得る。違法か適法かというまでではなくても、妥当か妥当でないかというレベルの話は、当然判断として、役所としてあり得ることだと思います。

 まだたくさんあるので、ちょっと先に進みます。この報告書ですと、つまり、国会議員を抱えているのでという言い方なんですけれども、武正委員からも指摘がございました。これはあくまでも政党の活動を紹介しようという番組だというふうに書かれておりますし、また実際に番組を私も九十分弱、八十七分程度のものだったと思います、すべて拝見をいたしましたが、約三十分ぐらいの時間、三十分弱です、三十分はとっていませんけれども、県会の議員の活躍ということを随分と中身として放映されておりました。

 先ほど、国会議員を抱えている政党だけに企画提案したという報告を受けているという話ですけれども、なぜ、そういった事情があるにもかかわらず、つまりは、県会でいえば民主党より社民党さんの方が会派が多いわけでありまして、社民党には提案をしていない。この点について、山形テレビの方はどういった説明をしているんでしょうか。

武智政府参考人 報告書にも書いてあるわけでありますが、山形テレビとしては、当該番組はあくまで国会議員の活動を中心とした番組であるという理由で、国会議員を有する政党に限定してプロモートしたというふうに言っております。

 しかしながら、確かに山花先生おっしゃるとおり、報告書に添付されております番組概要を見れば、あれには実は時間は書いていないわけなんですけれども、時間に直しますと約三分の一が県議会の活動等に当てられているわけでございます。

 その点につきまして、総務省としてもそういう事実を踏まえまして、山形テレビに、なぜ報告書に書いてあるような主張で問題ないと判断したのかということを、実は我々としても質問を投げているところでございます。それに対して、あくまでも国会議員の活動を中心とした番組であるという回答が現時点で返ってきているのみであるというふうに御理解をいただければと思います。

山花委員 理解はできませんけれども、まだほかにも理解できないことがたくさんあるということを少し指摘したいので、先に進みます。

 この報告書の五ページなんですけれども、「放送にあたり、民主党及び公明党に打診した事実関係」というところで、「平成十五年十二月二十五日、民主党山形県総支部連合会に、同様の広報番組の企画提案を行いました。」とございますが、このときに企画書のようなものは持っていっているんでしょうか。あるいは公明党の方にも同様の企画書を持っていっているのか。あるいは、当初、自民党山形県連の方にはどうだったのか、そのペーパーがあったのかなかったのか、この点についてはどういうふうに説明を受けておりますでしょうか。

武智政府参考人 企画書の有無につきましては、先生からお尋ねがあるということでございましたので、山形テレビに確認をさせていただきました。

 回答によれば、企画書を持参したということでございますが、総務省としては、今の段階でその企画書の内容というものまでは承知をしていないところでございます。

山花委員 ただ、この企画書の話も、きのう通告をしたときにこれから調べますという話だったんですけれども、どの程度の中身だったのかということはきっちりと話を聞いていただきたいと思います。

 その上で、「民主党と公明党につきましては、ともにプロモートを継続中であると理解しておりますが、」こういう話です。ただ、私ども、民主党の山形県連の事務局長、実際に受けた事務局長から話を聴取いたしますと、確かに、十二月二十五日は、極めて抽象的なといいましょうか、ペーパーを持ってきたけれどもいかがですかという程度の話で、これから、詰めた話はまた改めてという感じで帰っていってそのままになっている。果たして、これでプロモートと言えるのかどうか。しかも、それを継続中であるというふうに言っているようであります。

 別に、ぜひ今から流してくれというつもりは全くありませんが、ただ、まず認識の問題として、山形テレビは依然としてプロモートを継続中であるというふうにまだ言っているんでしょう。

武智政府参考人 前回の山花先生への御回答においても私はお答えしまして、そのときにもまだ事情聴取の途中であるという前提でお聞きをいただきたいということでありますが、きょうもそういうことでありますけれども、現段階で山形テレビが言っている内容を申し上げれば、現在プロモート中かどうかということについてですが、国会等から厳しい御指摘があったわけでありますので、これを重く受けとめまして、今後の放送実施については困難であり、政治的公平が明確に確認されない限り、今後、いかなる政党からの求めがあっても、同様の番組は放送しない方針であるということを言っております。

山花委員 そうであるとすると、政治的公平という意味では、機会の公平という面と結果の公平という面があると思います。

 つまりは、機会の公平ということでいえば、各党各会派、時間配分についてはいろいろな考え方があり得ると思います。議席数でドントにするのか、いやいや、さすがにそうすると大きな政党と小さな政党でそうならなくなってしまうのでどうしようかという、その部分はあるかもしれません。ただ、呼びかけだけは行って、結構ですと拒否されたのであれば、結果として公平でなかったとしても、それは機会を与えたということになるんだと思います。

 今回、このケースで既にプロモートはしないという話になりますと、結果的にはもう公平性が図られていないことは明らかだと私は思いますので、機会の、チャンスの公平というところが非常に問題になるのではないか、このように考えます。

 その上で、一つ一つ了解不能なことが出てくるこの報告書なんですけれども、今、少し議論をさせていただいた、つまり国会議員が県選出であるかどうか、あるいは県議会にも議員がいるではないかということは、多少評価の面も入ってくる問題かもしれません。ただ、この報告書は明らかに事実と異なることが平気で書かれているわけです。

 「テレビ朝日に、放送することの相談等に行ったか否かの事実関係」ということで、「十二月三日、当社営業局長村田秀範と東京支社次長近江俊明がテレビ朝日番組審査部で、一般論として政党広報番組について参考意見を聞きました。」こう書いてあります。

 これは私が把握している事実と違うんですけれども、この点については、総務省として何かこの報告とは違う事実は聞いていませんか。

武智政府参考人 この報告書以外の事実は聞いておりません。

山花委員 これは、事実と異なるということは指摘をさせていただきたいと思います。

 つまりは、この報告書、先ほど申し上げましたけれども、あくまでオフィシャルなものとして出てきているわけでありまして、もし事実と異なることが書いてあるとすると、ほかのところも評価を含めて信用できないことが多々書いてあるんですけれども、しかし、テレビ朝日番組審査部に持っていきました、テレビ朝日からはこういう否定的な見解が示されましたという報告を受けて、役所としてテレ朝にはこれは何も聞いていないんですか。

武智政府参考人 山形テレビから現在私どもが受けている説明は、先ほど山花先生が御指摘をされたその説明ということでございます。

 そのことに対する確認ということでございますけれども、これは、実は、四月二十七日に行われましたテレビ朝日の広瀬社長の記者会見の中で、同社長が、昨年末に山形テレビの担当者が我々の番組審査室の担当者に一般論として問い合わせをしてきたときには、放送法の公平原則からいえばとても無理だとお返事をしたということを言っておりますので、あえてその事実関係については伺っていないわけであります。

 ただ、さらにテレビ朝日に確認する必要があるのかどうかという話になりますけれども、実は、この詳細につきましても、現在のところ、山形テレビが私どもに対して行っている説明は報告書に書いてある範囲を出ていないわけであります。

 したがいまして、極めて抽象的な段階にとどまっておりますので、この段階で、このテレビ朝日の広瀬社長の会見以上の、さらに問いかけ、確認する段階ではないというふうに私どもは考えているということであります。

山花委員 一般論としてという言い方でありますけれども、そもそも、例えば抽象的に、山形テレビがテレビ朝日の番組審査部というところに、これこれこういう番組を放送したいのだが、政党の広報番組をCMなしで八十五分間流し続けることについて何か問題があるかという問いかけをしたのか。あるいは、実際の番組の内容について、例えばこういったものであると内容についてもしっかりと示した上で番組審査部が答えたのか。それは、でも、お仕事柄、テレビ局の番組審査部が中身も見ないで答えるかどうかなんということはわかるんじゃないですか。それについて何か疑問を持たれないんですか。

武智政府参考人 山花先生の御指摘は、ある意味では大変もっともな指摘だと考えております。

 これが実は前回の山花先生の回答でも私は申し上げたんですけれども、放送法というのは、繰り返しになりますけれども、放送事業者の自主性というのを非常に重く書いている法律であります。したがいまして、役所が調査できる範囲というのは限られておりまして、本件においては、任意の調査というところに実は限界があるわけでございます。

 私どもといたしましても、テレビ朝日について確認したのかというのは前回の質問にもあったと思われますので、例えば、具体的にだれがどういう物の言い方でということは当然整理をしなければならないものだというふうに思って、それについては山形テレビに対しても聞いてはおりますけれども、残念ながら、現時点ではこの報告書の範囲を超える回答はいただけてないというふうに御理解をいただければというふうに思います。

山花委員 ちょっと待ってくださいよ。要するに、放送法というのがあって、中身についてどうするかという取り扱いが大変難しいという話は私も否定してないですよ。だから、ちゃんと番組の中身を見たのかとか、どの部分がけしからぬなんという話は一言もやってないじゃないですか。

 その上で、今申し上げているのは、役所としてビデオを見たのかなんという話をしているのではなくて、番組審査部というところがどういう形で審査をした結果、参考意見としてやめた方がいいよという話をしたのか。それは単に、例えば、山形テレビからこれこれこんな話があるんだけれどもどうだろうかという電話の問い合わせにすぎなかったのか。あるいは、中で、番組審査部というところが番組内容もしっかり見た上で、これはだめだという判断をしたのか。それは、別に放送法の公平性があるからどうだという話ではないじゃないですか。

 つまり、役所として、こういう報告書が出てきていて、テレビ朝日からはこういう答えがありましたというわけですから、何か社長が記者会見で言ったからどうかとかいうんじゃなくて、ちゃんと裏づけがある話なのかどうか、番組審査部に問い合わせるぐらいのことをしたって別に、何か問題あるんですか、ないじゃないですか。

武智政府参考人 私どもといたしましては、この問題は山形テレビの放送番組についての問題でありますので、まず山形テレビに対しましてどういう事実関係があったかということを確認するのが先決であり、さらに、それの疎明が措信できないものである、そういうふうに考えるときは、例えば第三者であるテレビ朝日にも確認を求めるという場面もあろうかと思いますが、まだ現段階で山形テレビ自体から具体的な話がないという段階においてテレビ朝日まで話を広げるのは早いのかな、そういう意味であります。

山花委員 いや、しかし、先ほど申し上げたとおり、もう随分と日がたっているわけでありまして、しかも、この報告書が出たのは五月七日かもしれませんけれども、その前から、委員会あるいは報道などでも、テレ朝が断ったということは既に出ている話であります。

 これはちょっと驚くべき話なんですけれども、これは、まだずっと山形テレビから話を聞き続けていて、ここに書かれている、例えばテレ朝がどういう対応をとったのかとかそういうことについては、そういう機ではない、機が熟していないという御答弁のように聞こえましたけれども、相当日がたっているじゃないですか。

 その上で、法律の枠組みからいっても、おっしゃるとおり、民間事業者の、つまりは、基本的には社内の努力であるとか自主規制であるとかそういう話ですよということなんであって、別に、ネット局であるテレビ朝日の番組審査部がどうしたかというのは、それは問い合わせるのがまだ早過ぎるという話はとても納得できる話ではないんですけれども、じゃ、一体どれぐらいの話を聞けばテレ朝に聞こう、こういう話になるんでしょうか。

武智政府参考人 これからの話にどれくらいという答えは大変難しいわけでありますが、例えば一般論でという話では、確かに納得できないというのはよくわかりますので、具体的にどういう、例えばペーパーを持っていったのか口頭で話したのか、時間もそうですし、相手がだれだったのかということもありましょうし、相手に照会をして確認がとれるだけの事実が整理されれば、確認をするということもあり得ようかというふうに思っております。

山花委員 いやしかし、今まで……(発言する者あり)今場内からも発言がありましたけれども、理事会で随分とやっていただいていたはずですよ、このことは。

 そして、このことについては、対応経緯というペーパーをいただいておりますけれども、今回出てきたのが、これは中間報告だという位置づけですよね。四月十五日、「総務省経由で山形テレビから文書で中間報告を求めることが決定され、総務省へ対応要請あり。」

 そこで、少し視点を変えましょう。今申し上げましたように、この報告書についても、内容については随分不思議なことが書かれている。とても了解できる内容のものではないわけですけれども、ただ、これはあくまでも衆議院の総務委員会の理事会に向けて、総務省を経由はしたかもしれませんけれども、ハウスの方、院の方に向けて出されたものですよね。

 総務省として何かペーパーを出していただいたりとか、そういう調査というのはすべきと考えますが、その点は、全くそういうことはしていないんでしょうか。

武智政府参考人 申しわけございませんが、ただいまのペーパーを出したりというのは、どこに対してということでございましょうか。(山花委員「総務省に対して」と呼ぶ)総務省に対して。申しわけございません。だれからだれに対して……(山花委員「じゃ、もう一回」と呼ぶ)お願いいたします。

山花委員 つまり、今回の、「自民党山形県連特別番組を放送するに至った経緯等の報告について」とありますけれども、表紙の紙は「総務省情報通信政策局長武智健二殿」になっていますが、これは「衆議院総務委員会理事懇談会の求めに応じ同懇談会へ提出するために要請のあった」ということでありまして、形式的には武智殿あてになっていますけれども、実質としては、これは理事懇談会にあててつくったものですよという、社長の印も押してありますペーパーなわけです。

 言ってみれば、これは議会側が求めて、ルートは総務省を経由したかもしれませんけれども、山形テレビに提出をいただいたものである、こういう位置づけになるはずであって、本来、放送法などを所管する総務省として、例えば、山形テレビに対して、何か書面を提出せよ、あるいは文書で説明をせよ、そういうことはやられていないと。つまりは、理事会で文句を言われるのでしようがないからやっている、そういうスタンスなのか。あるいは、今回のことについては、役所としても、放送法上問題意識を持って、何かこれではまずいのではないかという認識で取り組まれておられるのか、そこの点、確認をさせてください。

武智政府参考人 これは放送番組の問題でございますので、もちろん当総務委員会においても所掌されることだとは思いますけれども、私ども総務省にとっても所掌する問題でありますので、自分自身の問題として当然のことながら取り組んでいるわけでございます。

 それで、この総務委員長あてに提出をされた報告書以降の問題ということなんですけれども、私ども、山形テレビの担当者、それから当方の、総務省側の担当者の間で、この報告書のまだ不備な点、我々としてもよく理解できない点については、例えば電話、または、最近はメールという手段もございますので、いろいろやりとりをしております。

 そこで一定の整理ができた段階では、何らかの紙に、ある意味で言うと、既にございます報告書をブラッシュアップしたものということになるんだと思いますけれども、そういったものを出す時点というのは当然あろうかと思っておりますけれども、まだいろいろ途中の作業中でありますので、まだペーパーなりにまとめる段階に至っていないということでございます。逐一、例えばペーパーのやりとりで、公文書でということまでは、煩瑣だと思われますので、やっておらないということであります。

山花委員 随分とのんびりとやられているという答弁なんだと思います。

 もう時間がなくなってまいりましたので、まとめたいと思うのですが、つまりは、こうやっていろいろ直接やりとりをされている当局側から話を聞いても、どうも靴の上からかゆいところをかいているようなところがあります。しかも、今回は本当に、この報告書というのは、普通の感覚がある人が読んだらとても了解できないような形で書かれていたりとか、一部事実関係については疑念がある部分があるわけであります。

 改めて、やはりこれは直接当事者たる山形テレビの関係者の方にお越しいただく必要があると思います。委員長、理事会で協議をしていただきたいと思います。

佐田委員長 その件につきましては、先ほども申し上げましたとおり、理事会で協議をさせていただきます。

山花委員 その上で、時間がなくなりましたので、最後、大臣、今いろいろやりとりを聞いていただいたと思います。もちろん立場の違いはあるかもしれませんけれども、ただ、非常にペースがスローペースであることは否めないのではないかと思います。電話で聞いているとか、メールのやりとりもあるとか、一々文書ですると大変だとか言われていますけれども、何日付の証拠を出せとか、そのときにあった録音テープでもないかとか、そんな難しいことを言っているわけではなくて、ここに書かれていることについて、少なくとも、私どもが指摘を今日しなくても、何か問題があるという意識でいろいろ聞いたりされているわけじゃないですか。

 したがって、本件のような、政党のつくった広報番組を放送する。今回、この放映料は百八十万と聞いております。ただ、最初、物すごく安いなと思ったのですけれども、実は、山形テレビのその時間の枠でいうと、定価ぐらいの額だということなんですね。私がなぜ勘違いしたかというと、それをCMで買い取ったら、つまりはコマーシャルスポットとしてやったら、やはり百八十万ぐらいでおさまるかどうかという話でありまして、つまりは、CMなんかで高いお金を出すよりも、よほど安いお金でこういうことができる。ほかもやろうなんという話になっていったら、それこそお金のあるところがどんどん宣伝ができる。

 事実上、ほかでそういう現象が起こるということは否定はしませんよ。ただ、少なくとも、政治的公平性がうたわれている、その放送法の枠に入っている世界でこういう現象が起こるということ、これについては、私は好ましくないと考えておりますけれども、総務省としてどのように考えておられるのか、また、今後どういう対応をされるつもりなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 私どもの感じで、知り得る限りで、本件、この山形テレビみたいな例というのは、過去に例がないということは確かだと思うのですね。

 大体、役所というところは、過去に例がないという話に関しては極めて時間がかかる。ただでさえ時間がかかるのに、さらに時間がかかるのが大体常識みたいにかかりますので、非常に時間がかかるんだと思っております。

 ましてや、表現の自由という話や放送の自由という話になると、捜査権やら何やらがないわけですから、一応、おいというわけにはいかないわけですから、そういった意味では、かなり時間がかかるのはある程度やむを得ぬところかなというのが私のところです。

 しかし、いずれにしても、政党が作成した番組というのは、基本的には、番組の編成上から考えたって、どう考えたって、他党の誹謗中傷をするなら話のほかですが、少なくともその放送だけ聞いていれば、その党のことしか言わぬわけですから。そうすると、これは、その番組一つだけ見ていれば、政治的立場に立ったという指摘を受けてもやむを得ないということが問題なところなんだと思うのですね、私どもから見ますと。

 したがって、行政としては、これは番組の構成上、編成上、少なくとも政治的公平さを欠いているのではないかというところであって、放送法では、これは第三条の二で政治的公平であることという話になっているんですが、先ほど、他の候補者の請求があったときには、料金を徴収するしないとにかかわらずと、これは候補者放送の話ですから。混同しておられますけれども、先ほど。あなたじゃないよ。候補者の場合は、これは選挙期間中の話ですから。だから、そういった意味では少し事情が違うんだとは思いますよ。

 思いますけれども、私どもとしては、こういったものをつくると、今言われたような懸念が、アメリカ的になるから、アメリカの場合はそうなっていますから、そういったようなことになる懸念が出てくるというところが山花先生の御指摘の点だと思います。その点は、私どもとしては、これはかなり慎重にやらないかぬところだと思っておりますので、この種の話につきましては慎重にならざるを得ないというところが正直なところです。

 政党助成金はそのために出されているではないかという御意見も、いろいろあることも確かです。だけれども、そういったものを何に使うかということに関して、これに使って何が悪いかと言われると、これまた難しいところでもありまして、私どもとしては、この種の話は、今すぐ、方向としてこれで一つ風穴があいたからどうのこうのという種類の話だとは思っておらず、少なくとも、今後とも、この辺の対応につきましては、この公平性のところの確保というのは大事にしていかなきゃならない点だと思っております。

山花委員 いや、麻生さんは今総務大臣なんですから、役所はどうしても先例がないから時間がかかるという話もわからないでもないですけれども、ぜひ、もっと早くやれというような、つまりは、しっかりやれというような指示を出していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

佐田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十七分開議

佐田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。寺田学君。

寺田(学)委員 こんにちは。民主党の寺田学と申します。

 三カ月前に初質問に立ってから、ちょうどきょうで五回目になるんですけれども、最初のころ、麻生大臣から純粋だねというお言葉をいただいたんですが、きょうの質問内容を見るに、非常にひねくれてきたなと自分自身反省しております。そういう部分はありますけれども、よろしくおつき合い願いたいと思います。

 まず、総務大臣ということでもありますけれども、国務大臣ということでもあるということで、今回ちょっと、国の財政状況についてどのような認識を持たれているかということを最初にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 国の財政状況、極めて厳しい状況にあると思います。会社でいえば売り上げより借金が多いということですから、その意味では、国家財政としては極めて厳しい状況にあるという認識をいたしております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

寺田(学)委員 非常に淡泊なお答えで、正直残念なんですが。

 本当に、私も政治を目指すに当たり、これから三十年、四十年と自分は生きていきますし、ましてや、これから自分も子供というものを授かって次代にこの国というものを引き継いでいくときに、今の国の借金というものが本当に大きなもので、今、非常に危機的な状態であるなということは痛感しておるところです。

 前回の質問のときにも述べさせていただいたんですけれども、地方のことを考えるに当たり、地方のことだけということを考えるのではなくて、国政の状況、国政というか、国の財政状況、何百兆という借金が膨らんで、先進国の中では恥ずべきような状態になっている。本当に国自体も首が回らない。その上で地方をどうやってやっていくんだということを考えていかなければなと思っております。

 では、今度は逆に、地方の今の財政状況、行革の必要性はあると再度おっしゃられているわけですけれども、どのようにお考えになっているか、確認の意味を込めてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今、最初の御質問と同じように、五百四十八兆が国のいわゆる累積の国債、地方が二百四兆、合計約二百五十兆ということになろうと思いますが、地方にとりましても、この二百四兆というのは極めて大きいのはもう非常にはっきりしております。交付税、五十三兆、いろいろ分けましても、少なくとも、地方にとりましても、やはり地方税四十兆の収入に対して二百四兆の借入金総額というのは極めて大きいのであって、国と同様極めて厳しい状況の中にあります。

 これは金利等々が今の状況であるからまだまだそんな危機感がないのかもしれませんけれども、この金利が今のような低水準で永久に続くはずはありませんから、そういった意味では極めて厳しい状況にあると思っております。

寺田(学)委員 地方分権というか、地方のことを論ずるに当たっては、よく総務省対財務省、何かそういうような対立軸でやられて、去年とかことしとかの改革の中では、国の財政状況を直すために地方は利用されているんだという声が上がる、そのこと自体事実かもしれないんですけれども、やはりそこは分けて考えられない部分があるのではないか。財務省の言い分もあるでしょうし、総務省の方の地方の声を聞いた言い分もあるでしょうし。

 しかし、そこの部分は、大臣ですので、国務大臣という顔も持たれているということで、バランスをとってあるべき姿を決定していくというのが大臣の仕事ではないか。私が言うことでもないかもしれないですけれども、本当にそう思っています。

 そういう意味を込めて、今回麻生さんが出された麻生プランというものを非常に興味深く拝見させていただきました。報道にもあるとおり、きょうですか、あしたですか、閣議の方で具体的に、先行的な税源移譲という形になるか、明記されるかどうかは別として、三兆円というものを税源移譲するということを書かれるのではないかということを報道されています。

 財務省の方にもそれなりの言い分があるでしょうけれども、結果的に税源移譲を行うという結論があることですので、そこら辺は、先にやるということは戦術的にも、まあ、これから補助金、どれを削るんだという大変厳しい議論があると思うんですけれども、私は、一つ大きな前進ではないかなと、そういう面では一つは評価しているところではあります。

 しかし、もう一点なんですけれども、平成十七年度は、地域再生等を図るため、地方税、地方交付税等の一般財源総額を前年度と同程度の水準にという言葉も入られています。まず、これを提言された御趣旨というものを御説明いただければと思います。

麻生国務大臣 寺田先生、昨年末の、簡単に言えば、十八年度末までに四兆円の補助金のカット等々いろいろ出たところだったんですが、一兆円の補助金は切られた、税源の移譲は四千億だった、加えて交付税は一二%切られたという状況でありますから、地方を預かっておられる三千の市町村長にしてみれば、一兆補助金を返したら四千しか返ってこなかった、おまけに交付税一二%切られた。これはおまえ話が違うじゃないか、三位一体どころの騒ぎではないという話が、やはり地方の不満として、ことし前半よく、多分秋田でも同じような話を聞かれたんだと思いますけれども、そういうことになっております。

 したがいまして、同じような状況で、ことしの十二月またやられるんじゃないかというような状況というのは、地方を預かっておられます経営責任者であります首長さんにとりましては非常に不安、心配ということになろうと思いますので、同じ補助金を出すにしても、従来のように、いわゆる中央官庁がこの補助金を切りますとかあの補助金を切りますとか言っても、地方の方の声が、それは実態がと言われると、なかなか難しい。

 したがって、地方で考えろといっても、いや、うちが出したらまたそっちはそれより、三兆渡したら一兆しかくれないじゃないかとか、いろいろな猜疑心が出るというのは非常に双方不信感になりますので、そういった意味では、三兆は必ず出す、そのかわり補助金の削減についてもみんなで三兆考えろと。

 三千の団体でみんなで考えて、それでまとめてこれでという話をしてもらわないと、幾らいい案といっても、やはり減らされる話はみんなが賛成するという案は絶対出てきませんから、そういった意味では、みんなでやるにしても、みんなでまとまってこれでという話が出たときに、三兆確実に来るという保証がない限りは、皆、信頼感がかなり薄れておりますので、そこをきちんとするためにも三兆円渡すということが確実。

 ただし、それに見合った分はちゃんとこちらも出します、こちらもというのは、三千の市町村側も出しますという、双方の合意の上でならないと少なくとも前に進まない。三位一体どころか三すくみみたいな状態がずっと続くというのはよろしいことではないと思いましたので、先ほど申し上げたような形でさせていただいたということです。

 一般財源の総額というのも同じように、そんなに去年みたいに一二%ばっさりなんというようなことではないということを、ある程度きちんとした数字を出しておきませんと、双方で不信感のままでいくというのでは前に進まないということは思いましたので、あのような形で決着をさせていただこうと思っております。

寺田(学)委員 地方の不信感というもの、いろいろあると思うんですが、こんなに減らされるのかと、その量的な部分での不信感というよりも、どれぐらい減らされるんだ、そういう部分の不透明感に対する不信感というのは強いと思うんですよね。

 ちょっとそこら辺、話がずれてくるかもしれないんですけれども、最近の地方分権というか三位一体改革もそうなんですが、どちらかというと質の論議に集中してしまって、量というもの、具体的に申しますと、補助金というもので縛りつけるのはよくないという質の論議があって、けれども、先ほど冒頭の方に、国と地方どちらも厳しいよと言われているとおり、財政の額的なものも非常に厳しい、両方とも厳しい問題だと思うんですよね。そこをどう削っていくかということは、どういうものであろうとも必要になってくる。

 私も地方から出ていますし、親がああいう仕事をしているもので厳しくは言えないんですけれども、国もまだまだじゃぶじゃぶカットしなきゃいけないところがあるんですが、それにも増して地方もある。増してという言い方はいいかどうかわかりませんけれども、やはり削る部分は削らなきゃいけない、圧力という言い方はよくないですけれども、そういう意識は必ず持っていかなきゃいけないのではないかなと思っているんです。

 ですので、これぐらい減らしますよというめどさえ立てば、それに対してどう切り詰めていくかというのが首長のセンスであり、それが能力がないのであれば民主主義によって交代するという形になっていくのではないかなと思うんですね。

 そういうことを考えると、今回、麻生大臣が、いろいろなお考えがあったと思うんですけれども、一般財源総額というものを前年度程度にするということを言ったのは、今までやってきた流れというものを大きく打ち破るのではないかなというか、せっかく進んできていたのを、恐怖感ということにはならないと思うんですが、いや、減らさなきゃ、減らさなきゃというものを、一つ財源が去年と一緒だということが先行的に決まってしまうがゆえに、まず今回一休みしようみたいな気持ちになるのではないか。そこは正直なところ、危惧しているところだと思うんです。

 そういう意味を含めて、繰り返しになりますけれども、なぜにこんなに一般財源を去年と同額にするということをされたのでしょうか。

麻生国務大臣 寺田先生、基本的には、いわゆる行政改革、スリム化してもらうということは、これはもう大前提です。事実、寺田さん、結構進みまして、昔と違って、例えばよく言われたラスパイレス指数なんという、一つの単純計算ではありますけれども、これは今、全国平均が一〇〇・一というところまで来ました。昔は一〇五ぐらい、国家公務員より地方の方が高いというのが一〇五とよく言われた数字です。これはよく言われる数字なんです。

 ただ、こういう内容を見ましても、実は地方の方が結構国に比べて努力しているという評価になってもおかしくないところがあるのではないか。

 三千もありますので、いろいろ上下差はあるんですが、例えば給与の計算を、少なくとも中央官庁の中でアウトソーシングしている省は一つもありません。しかし、例えば静岡県、たしか大阪もそうだと思いましたが、給与計算はすべてアウトソーシング、もう渡しちゃった。給与計算だけしてもらって返してもらうという形になって、単純なところはすべてアウトソーシングでいいじゃないかといってごとっと下げてみたり、いろいろな形でやっております。

 例えば、私の地元、地元だったというのが正確だと思いますが、北九州市などというところも、小倉城というのが役所のすぐ隣にあるんですが、そこの清掃はすぐ近くのデパートに全部委託して、デパートが全部清掃、これによって、何千万だか忘れましたけれども、経費を一挙に削減等々、例はほかにもあります。

 そういった努力をしておるんですが、努力した結果、下げたら交付税がその分だけ減らされたんじゃ、何のために努力しているかわからぬということになります。だから、努力しなくても同じ、しても同じだったら、もう楽な方へ行こうということになりますので、私どもは今からいろいろ考えますけれども、努力して下げたら、その分、全額とは言わないけれども、少しは、努力した分に見合うものの分はやるようにしないと努力しない、私は基本的にそう思っています。

 ある程度、やった分だけ、努力に見合ったものは差し上げますよというところが大事なのではないのかというところが、申し上げております、交付税の算定に行革努力が報われる要素を導入したいというところを書いておりますのが、その内容であります。

寺田(学)委員 本当に行革努力というものを促す、そういうようなやり方はさまざまあると思うんですけれども、やはり目の前に迫っている現実というものをしっかりと認識してもらうということ。

 私も、正直なところ、地方にはいろいろな施しをしていただきたいなという気持ちはあるんですが、やはり、秋田県人でありますけれども日本国民でもありますので、一方のことだけを考えてということはできないなという気持ちを持っておるんですね。

 ちょうど三カ月前、交付税の法案に対してさまざま、民主党の方もかなりのバッターが立ってやったんですけれども、そのときに一斉に言ったのは、こんなに減らしてひどいじゃないかということをさんざん言ったと思うんですよね。そういうことに対して大体大臣は何をおっしゃられるかというと、いやこれは毎年のペースだよ、そんなにびっくりされているけれども、これはちゃんと告知してきたし、毎年減らされているんだというような話をされて、一種、言いくるめられたんだろうなと思うんです。

 しかし、言い方は悪いですけれども、この時期になって、いや、ちょっと減らし過ぎましたねという気持ちを持たれているのかなぜか知らないですけれども、いきなり地方に優しい顔をするということは、過去の下げてきたペースがちょっと速過ぎたという御反省に立たれているのか、それとも、これから一カ月後にいろいろな政治的イベントもありますので……(発言する者あり)選挙前という具体的な言葉も出ましたけれども、そういうことも考えられているのか。まあ麻生大臣だからそういうことはないだろうなと思っているんですけれども。

 正直なところ、三カ月前の答弁をずっと読んでいますと、いや失敗はしていない、減らし過ぎたというわけじゃないんだということをおっしゃられているのに、今になっていきなりやわらかい顔をするというのは理解できない部分があるんですよね。計画を見誤られたのか、それとも何かしらほかの意図があるのか、どちらでしょう。

麻生国務大臣 国会議員で選挙を考えぬ者はおりませんので、全然考えませんでしたなんて、そんな調子いいことを言うつもりはありません。

 ただ、寺田先生、基本的には、あの一二%がなかったら、こんなに厳しいという情勢を三千の団体が思ったか、いや僕は思わなかったと思いますね。少なくとも一県当たり二百五十億円ぐらいの基金を取り崩していますから、人口五百万というような大きな県でもみんなかなりの額を基金を取り崩したりして、これは大変やという意識になったというのは、私は、あの一二%の効果は、これは真剣に考えないかぬという気にならせた点は、私どもの予想以上の反響でしたけれども、正直申し上げてこれぐらいやらぬと、まあ、また何とかなるんじゃないかという話で思われたらとてもじゃないという感じがありましたので。

 その意味では、私どもは、あの結果、みんな考えていただいて、結果として今、三兆円の補助金の削減はそっちで考えるんですよ、みんなで考えてもらわないと、自分たちの話なんですからということを申し上げていって初めて、きのうおとといあたりから各県知事さんは早急に横の連絡をとられて、いろいろあれこれみんなやっておられます。

 これは県と市町村でまた少し違いますので、そういったところも含めて真剣に考えていただけるようになったという意味においては、私は、あの一二%というのは、厳しかったとは思いますけれども、私どものねらっていたところは、それなりの意識を持っていただいたという効果は大きかったと思っております。

寺田(学)委員 そういう危機意識を持ってもらったという言葉じゃないぐらい、悲鳴を上げられている方はいると思うんです。前の総務大臣だった片山さんが、参院の予算委員会とかでも、あれは減らし過ぎたんじゃというようなことを言っている。ショック療法みたいなお話をされているんです。

 先ほどの質問になるんですけれども、じゃ、今回の削減額というのは妥当であったということなんでしょうか。

麻生国務大臣 今回のというのは一二%の話ですか。(寺田(学)委員「一二%」と呼ぶ)私は、県、市、町、村、これはいろいろ格差がありますので、ここには厳しかった、ここはもっとやれたという、一つ一つ洗えばいろいろ出てくるとは思いますけれども、私、全体として、みんながその気になって、おおっという気になって真剣に考えていただけるという点におきましては、妥当だったと思っております。

寺田(学)委員 妥当であったと。それぐらいの規模でやって意識を高めてということで、それなりのペースでこれからこういくんだよということで流れができていればわかるんですけれども、いきなりここでまた、じゃちょっとということで、同程度にというようなことまで言われている。そこは何かしら緩め過ぎじゃないか。

 私もこういうことを言うとかなり語弊があるんですけれども、それはそれで一つ厳しい御判断というものを持たれて、先ほど最初に申し上げられたとおり、地方、国とも非常に厳しい財政状態なんだ、そういう部分の認識があるのであれば、いきなりここで同程度にというよりは、ある程度昨年までのトレンド、減らし過ぎではないというようなお考えであれば続けられていくのが当然ではないかなと思うんですけれども、いかがでしょう。

麻生国務大臣 三年間で四兆円ということになっておりましたので、その意味では、一二%を、まあ四%で三回というのも一つの方法だとは思いますけれども、その意識と最初にどんと来る意識とでは、大分与える意識が違うと思っております。

 私どもとしては、一二%というのは、いろいろ御意見は場所によっては差がございますので、もっとのところもありますので、平均でそう申し上げているだけですけれども、もっと減らされたところにとっては、いろいろ御不満もあったのはよく承知しておるところです。

 流れとして、そういった結果、意識を持っていただきましたので、今いろいろな形に御相談を申し上げても、これでちょっと考えるという意識になっていただいておりますので、随分、きのうおとといあたりぐらいからいろいろそれに合わせて反応が出てきて、おれたちが考えるということに関しましては、前のときはもう全くでしたけれども、今回は、間違いなく自分で、その保証があるならきちんとやろうという対応になってきていただいております。

 その意味では、一二%というのは、あのころはショック療法的な部分もかなりあったとは思いますけれども、私、三年間という流れで見た場合においては正しかったと思っております。

寺田(学)委員 経営をなさっていたということなので、今回、十七年度は同程度になるだろうということで、ショック療法からある程度緩和された状態になっている、では、その緩和された状態の中でどのように行政をスリムにしていくかということは、その次がどれぐらいになるかということも気になさるのが当然の経営判断だと思うんですよね。だとすれば、十八年度というのはどのような形になるんでしょうか。

麻生国務大臣 今、目先、十八年度までという形で、三年間に四兆という形で事は進んでおりますので、十八年度以降についてどうなるかというのは、寺田先生、これは景気によりまして、地方税の収入、国税の収入というのがどうなるかというのがちょっとよくまだ見えてこない。指標の上でいきますと、えらく景気がよくなっていることになっていますけれども、地方税がそれだけ上がるかどうかわからぬ、私自身は率直にそう思っております。これまでの累積の赤を返している部分がありますので。

 その意味では、今に至るも、金利がゼロでも企業が金を借りない。少なくとも、金利ゼロで、借入金返済の方が借入金を新たに起こすより多いという状況は、これは明らかに、金利がゼロで借入金が起きないという前提で経済学の本が書かれたことはありません。それぐらい初めての状態が起きております。その状況から、今、企業が借入金を起こしてまで設備投資をするか、それともキャッシュフローの中だけでやるか。私、これは企業の経営者として意見の分かれるところだと思っております。

 特に、地方におきましては、いまだ借入金の返済が、過去五、六年二十兆ずつぐらい返したものが、去年は三十二兆ぐらい借入金の返済の方が多いという状況は、明らかに前より借入金の返済の額がふえておりますのは、利益が出た分だけ借入金の返済に充てている状況というのは、まだまだ景気がきちんとした正常な状況に戻っているとは言いがたいと思っております。

 もうあとしばらく見た上でないと、今の状況でそれから先をどうするということを申し上げる段階にはないと思いますが、どうでしょう、今私の担当ではないので、人様の役所のことまで言うのはいかがなものかと存じますが、少なくとも、今みんな実質で話をされますけれども、世の中は皆名目で動いておりますので、名目成長がある程度、二%台ぐらいに乗ってしばらく続くということが出てきて初めてみんなということになった段階でどうなるかというところまでいかないと、何となくよくなったからといってまたブレーキを踏むようなところはどうかなという感じがいたしております。

 十八年度以降につきましては、これは景気判断とかなり深い関係がありますので、今の状況が続けばいろいろな形で増収ということが考えられますので、その段階で考えるべきだとは思います。

 ただ、基本的には行財政改革というのは不断の努力をしていかないといかぬところだと思っております。今後とも行政改革というのは、ITだ、ICTだ、いろいろなものが進むことによってかなり合理化できる部分というのは出てまいりますので、そういったものを含めて、行財政改革には不断の努力が要るものだと思っております。

寺田(学)委員 本当に、行財政改革というのは常に不断の努力というか不断の決意ということが必要である。おっしゃられたとおり、私も、常に意識して取り組まなきゃいけないのではないかなと。もちろん、ゴールというのがどこにあるのかというのは非常に判断しにくいとは思うんですけれども、それでも年々続けていく。そういう面に関して、それは国でも地方でも同じことであるなということで、最初、国の財政状況に対してどう思われているのかと聞いたという部分があるんです。

 私も、この総務委員会で言うのもなんなんですけれども、やはり減らす部分は減らしていかなきゃいけないのではないかな、そのために、何かしら優しい顔をし過ぎるのはよくないのではないかなという部分もあるんですよね。

 昨年、今回、地域再生債ということも一つあって、足りないのであればこれを使ってちょうだい、これを一つのバッファーにやってちょうだいというようなことだったんでしょうけれども、当初総務省の方では八千億程度の予算規模を考えていたけれども、話によると超えそうだということ。その点をとってみても、総務省、これからどうなるのであろうか、地方がどのような体力で、どれぐらい減らせばどうかということを判断し誤っているのではないか。

 本来、地域再生債というものは使わないでおくことが当然のことであって、それを使ってまでも何とかして、しかも、そこの中にまた結局のところ、元本を返すときに交付金の措置がある程度あるということは、国の方の財政の立て直しにもまた大きくかかわってくる。

 何度も聞くようですけれども、国務大臣でもあられるということもあるんでしょうから、余り地方ばかりに、こういうことを言うと本当に首長さんに怒られるのは承知で言うのです、行き過ぎた部分を少し直したいという気持ちも込めてちょっと厳しく言うのですけれども、正直なところ、そういうところ、甘い認識を持たれ過ぎているのではないかなという気持ちを持つんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、各三千の首長さん方の能力、意識の差というのはすごく大きいと思います。こんなことを言うといつも若泉先生にしかられるところですけれども、私どもに言わせると、そういった意識を持ってえらくやっていられる方もいらっしゃいますし、そうじゃないところもあります。事実、地方公務員の給与というものは国家公務員に準じるというルールになっておるんですけれども、それを下回っておられる県市町村というのは今千百幾つあると思います。そういった意味では、私どもの方から見ましても、意識の極めて高いところ等、いろいろあります。

 私どもは、今おっしゃった点は非常に大事なところなので、甘い口をきくつもりも全くありません。ただ、私どもとしては、本当に意識を持ってもらうためにはということでああいうお願いをさせていただきましたけれども、そういったことにびっくりしちゃって全然対応ができないというところもありましたけれども、再生債が借りられるにもかかわらず、借りるのを拒否、要らない、先になったら返さないかぬからこんなものを借りずに頑張ると言われた市もありますし、いろいろな形で地域によって随分差があると思っております。

 したがいまして、今おっしゃった点は非常に大事なところなので、個別に当たるときにはその点は十分に配慮して対応するべきものだと思っております。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

寺田(学)委員 私も先ほどから本当に地方の敵みたいな発言ばかりしているんですけれども、今回、五月二十五日、全国知事会で出された平成十七年度における三位一体改革に関する提言というものを拝見したときに、本当に麻生プランと酷似しているな、考えられていることは一緒なんだな、言いかえれば、麻生さんがよく地方のことを聞いていただいているんだなということを思うんです。

 ただ、一点だけ、十七年度の所要一般財源総額については、十六年度の大幅な削減前の水準を確保するということまで言われているんですよね。正直、この点、私はこれこそまさに行き過ぎではないかなという部分はあるんです。

 麻生大臣、前回もショック療法だということを言われていて、一つ意味はあった、妥当性はあるということをおっしゃられているんですけれども、では、この知事会の提言というものはどのようにお考えになりますか。

麻生国務大臣 市議会と県議会とは、同じ交付税にいたしましても補助金にいたしましても、内容が、市町村と県、また財政指数の高いところと低いところと随分差があると思います。そういった厳しい市町村の中にあって、町村合併をする目安の立ったところと立っていないところとこれまたいろいろ違うとは思いますけれども、少なくとも今一応向こう三年間の間はこういうアイデアでいくという事実をある程度きっちり持っておかないと、何となく不安で、またやったらまたやるんじゃないかという感じがあって、私はそこのところはある程度、自分のところのこれは確保できた上でどうするという話にしないと、きちんと計画を立てにくいという部分もあろうと思っております。

 市の声を聞き過ぎだと言われれば聞き過ぎなのかもしれませんけれども、ただ、またぞろ同じように来年も一二、再来年も一二%ずつ減らされるという前提で成り立つということはちょっとなかなか難しいと思うんですね、よほど景気でもよくならない限り。

 そういった意味では、ある程度のものをきちんとした上で、それで考えてくださいと言って、その上できちんとしていくというようなことをやらないと、今まで、これだけ補助金がありますよ、お好きなものをどうぞというような感じと違って、本当に必要なものじゃなきゃだめですよという話は、これはかなりの意識改革が要るところだと思っております。

 そういった意味では、ある程度のものをきちんとしておいてやらないとなかなかそこらのところは不安で不安でしようがないというのが、普通よく言われる、市町村の財政指数の小さなところほどそういう意識がある、私どもの感じではそういう感じですので、このような言い方をさせていただきます。

 ただ、これは私の希望を申し上げておるだけであって、これが実際こうなるかどうかは十二月にかけての予算ということになろうと思います。

寺田(学)委員 時間も終わりましたので、国務大臣であるということもお忘れなく、本当に地方の声を聞くことは非常に大事だと思います。私も、親が知事をやっているのにこういうことばかり言っているのは後で怒られそうなんですけれども、だからこそ言いたい。本当に総合的に考えてもらわないと、自分の将来というか子供たちの将来もないなと思っていますので、そこら辺はバランスをとってやっていただければと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 私も、国政第一年目、いよいよきょうが通常国会最後の質問ということで、気合いを入れていきたいと思います。よろしくお願いします。

 冒頭、ちょっと恐縮ですが、事前通告していない件で一点、おとといの長崎の件がございまして、きのう、けさの報道にも出ておりましたので、長崎の痛ましい事件の件で大臣の御意見を伺いたいというふうに思うんです。

 このケース、もちろん、本当にショッキングな事件だったと思います。小学校の中でというのも初めてだそうですし、小学生が小学生を、しかも女のお子さんがというようなこと。恐らく、多くの同じぐらいの子供さんを持っている親御さんからすると、自分の子供も被害者になるのじゃないかというおそれと、ひょっとしたら自分の子供も加害者になる可能性もあるのじゃないかという両面で、何か震えてしまうような話じゃないかなというふうに思うんです。

 きょう午前中、山形テレビの話があったんですけれども、ちょっと報道のことに関して思うんですが、これはいつものことかもしれませんが、今回犠牲になられた方のお父さんが毎日新聞の方で、ある質問に対してのコメントで、難しい質問ですね、ただ、私が同じ立場だったら同じような質問をしていたでしょうねというような言葉があったんですね。皮肉まじりというか、恐らく、彼の心情を察するに、日ごろ報道、マスコミの立場からいろいろなことを聞く側にいたけれども、自分がそういう悲しい立場に置かれて、マイクを向けられる側になって初めてそういう方の気持ちがわかったというようなことが言外に入っているんじゃないかな、私はそういうふうに読み取ったんです。

 今回も、加害者に対しては、年齢が非常に低いということもあって、一切すべてベールに包まれた状況の中で、被害者側に対しては、その犠牲になられた方のお父さん、奥様も亡くなられている方に対していろいろ根掘り葉掘り質問をして、プライバシーというか、どこかの新聞でも、実際の被害に遭ったことに加えて第二の犠牲というか、いろいろ聞かれること自体も苦しみを味わわせているんじゃないかというふうに思われるんですね。

 きょうの毎日新聞、まさしく彼がお勤めの毎日新聞でもそういうようなトーンで書かれておりますけれども、そういう報道の、被害者側とそれから加害者側に対する姿勢が余りにもコントラストがあるんですが、今回だけじゃない問題だと思いますが、その辺の現状に関して、総務大臣の御意見、どういうふうにお感じになられるかというのをちょっと一言いただきたいんです。

麻生国務大臣 これはすごく難しい話なんだと存じます。昔、議員立法で少年法というのをやらせていただいたことがあるんですが、そのときに、今と同じ状況で、被害者の話は全部出るけれども、加害者はある一定の年に達していないからということで全く出ないのは不公平ではないかという御意見というのは、当時も新聞にいろいろありました。

 また、同じように、加害者の方の家庭環境がどうのこうのという話でしようがないじゃないかという御意見もいろいろ出たのも確かですが、しかし、同じような家庭環境にあってもまともに育っている人が九十何%いらっしゃるわけですから、そういう特殊な例一つだけ見て、これは社会が悪いとか、家庭が悪いとか言われても、それは同じような状況で、もっと劣悪な状況でもまともにやっている子がいるということもまた事実です。

 そういった意味では公平さを欠いておるという御意見もあったので、あのときは議員立法でありましたこともあって、法務委員会でいろいろ、今おっしゃったような御意見をいっぱいいただいたところではあるんです。

 私も、今回の件に関しては、事実関係を詳細に詳しく把握しているわけではありませんので、何となく痛ましい話だなという、しかも仲がよかった二人で、2ちゃんねるだか何か知りません、チャットでやっていたんだか知りませんが、何かいろいろやっていた関係が突如と出たんだという話だったので、なおさらちょっと嫌な話だなという感じが正直あったことは事実です。

 ただ、いろいろな意味で、これはプライバシーの話になるので、何となく痛ましい人の方ばかりいって、さらにあおっていくような聞かれ方をするのはちょっとどうかなと思って、いつも海外のニュースなんかはその点は結構抑えてある程度やっているのに比べて、我が方はその点が、ちょっとそこまでかねと言いたくなるような感じ。おもしろくないのに、お気持ちはなんて聞かれて、それはまともに答える人はおらぬと思うような質問をばあっと何人も何人もするというのを見ていると、ちょっとどうかねというのは正直な実感であります。

 傍ら、加害者のは全く人権侵害等々で出てこないということになっておりますというと、どうかなという感じがしないでもありませんけれども、いずれも、この種のある程度の常識というものがもう少し働かなきゃいかぬところだと思っておりますので、これを法的にどうのこうのという今の話でいきますと、そう簡単な話ではないんですが、少々報道としては被害者に偏り過ぎておりゃせぬかなという感じは、率直な実感です。

田嶋(要)委員 私も同じように思っておりますので、お伺いできて安心をいたしました。ありがとうございます。

 その公平性ということよりも、私も、余りにも被害者が本当に何とも言えないお気の毒な状況なのに、何であんなふうにしなきゃいけないのかなという、今のマスコミのやり方は非常に私には不思議というか、ちょっと行き過ぎじゃないかなというふうに思っております。

 本題に入りたいと思うんですが、分権改革全般、ことし第一年目とりあえず過ぎまして、これから残す二年で、先ほどの税源移譲の話とかで三兆円ということでございます。先日、首相とのやりとりで、まさに麻生プランに関係するんですが、税源の大胆な地方への移譲ということで麻生さんが直談判をされたというようなことが報道の記事にも載っておりました。

 そういったかいがあってというか、二年間で三兆円ということがはっきり税源移譲の明記をするという指示が総理から出たそうですけれども、まず、これからの二年間の地方分権という改革を見据えて、今回のその御自分のアクションとその結果をどのように評価されているか。

麻生国務大臣 自分で自分を評価するのはなかなか難しいところなんですが、総理の決断は高く評価されてしかるべきだと思います。

 あのまま行きますと、昨年と同じように十二月の年末までずうっと決まらないで、今から半年以上ごちゃごちゃする状況が続くというのでは、地方の方は安心して財政計画やら予算やらなかなか難しいところだと思いますので、最初にきちんとしたものが二年間で渡るというのであれば、その二年間にわたって三兆円のものをきちんと対応できるという計画が立てられるということになります。

 その意味では、昨年の末は、多分、だまされたとは言いませんけれども、まあ、一兆出したら四千しか返ってこなかったという話ですから、非常にそういった不信感が出た部分は、今回のもので地方との関係におきましては信頼関係がつながった、再構築できたというような感じが出てくると思っております。

 地方財政計画、先ほど寺田先生の御質問にあっておりましたけれども、こういった地方財政とか地方の行政改革というのを推進していくに当たって、やはり先立つものがないとなかなか改革したくてもできないというところがいっぱいあります。そういった意味では、今回の、先にきちんとしておく、しかし出せなかったらその分は、三兆は来ないわけですから、三兆に見合う分だけちゃんときちんとしないといかぬということを言っておりますので、その意味では、受けた地方は、今まではわんわんわんわん、来ないと思っていたものが先に来ることが確実になりましたら、これは今回は地方の三千百の団体が自分で必死に考えなきゃいかぬ。

 昨年末は、八・九兆とか、市長会は五・九兆、何かいろいろなことを言っておられましたが、その中から選んで三兆出せばいいんだということになるんでしょうけれども、さあ、いざやるとなると、これは調整やら何やら、地方の団体としてはいろいろ荷をしょった形になりますので、御自分たちできちんと調整された上で出されないといかぬという意味では、私は、意識改革としては大きなものになったと思っております。

 その意味では、総理の決断というのは正しい、高く評価されてしかるべきだと思っております。

田嶋(要)委員 その三兆円の話、税源移譲に対して補助金削減の話が一方で財務大臣の方から発言がございました。税源の移譲が三兆円であるならば、補助金の削減はそれ以上行わないと地方財政のスリム化は進まないというようなコメントが財務大臣の方から出ておりますけれども、この点に関しましてはいかがですか。

麻生国務大臣 これは、基本的には、四年間でいきますと去年の分も計算していただかなきゃいけませんので、その意味でいきますと、実質四・五兆円ぐらい出たことになります、私どもとしては。三兆出して、去年の分がありますので。去年約一兆少々いっておりますので、今数字はここに持っておりませんが、トータルで約四・五兆円の改革を行うことになります。その意味では、ただ、三兆で三兆というわけではございません。

 細目を今説明させます。

瀧野政府参考人 御説明させていただきます。

 今回、税源移譲三兆ということが明記される方向となったわけでございますが、一方、今回の三位一体の改革におきましては、三年間で国庫補助金四兆円の改革をする、こういうことがございます。また、十五年度には、先行的に芽出しということでございましたけれども、五千億程度の見直しもしていく、こういうような経緯があるわけでございます。

 そういう意味では、今大臣が申し上げましたとおり、今後、三兆円の補助金の改革をすることに対して税源移譲三兆円ということではなくて、全体の改革の中で補助金の改革を、十六年度以降でございますと四兆円を目途に、こういうことになっているわけでございますけれども、そういう全体の枠組みの中にこの税源移譲三兆円をしていくという対応関係にあるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 補助金の改革を進めていくというのは、もちろん大きな目的というのは地方への分権ということで、自立した地方ということで、中央に依存する今までのあり方を変えていこうというのが大きな主眼だと思うんですけれども、同時に、行革に対するインパクトももちろんあるというふうに思っております。

 これからの一年、あるいはこれからの三年間で三兆円という規模の税源移譲をして、それを上回る補助金改革をしていくと、どのぐらいの、数字は難しいかもしれませんけれども、どういった行政改革の効果があらわれてくるというふうにお考えか。

瀧野政府参考人 補助金のいろいろな関連事務につきまして、今後、補助金の改革によりまして改革されていくということは当然想定されるわけでございまして、具体的には、いろいろな予算要求とか、あるいは資料の作成とか旅費とか、それから申請したり振り込みしたり、いろいろなことが考えられることでございます。

 それがどのぐらいの額になるかということにつきましては、なかなか把握が難しいわけでございますけれども、少なくとも、補助金業務に専ら対応しているような方々、そういった方々につきましては、今後、いろいろな行政サービスの分野が地方団体でも広がってきているわけでございますので、そういった方に振りかえていくというようなことが当然できるようになってくるという面で、非常に大きな行政改革効果が見込まれるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 数字はちょっと難しいということで聞いておりましたけれども。そういった今まで補助金の事務をずっと専らやっていたような方々が、本当にこれからの地方分権改革の中で、ある意味では人間回復というか、もう少し人間らしいというか、創意工夫の発揮できる仕事で力を発揮していただけるような改革にぜひしていかなければいけないというふうに私も思っております。

 テレビで長野県の田中知事が何度か言われていた話ですけれども、県庁の職員で、県庁の建物の中でずっとお仕事されていた方々に、あるとき彼の発案で、現場に行って、田舎の現場で仕事をしてもらうような取り組みをした、二年間とかいて、そしてアンケートをとってみた、そうすると、そういう形でビルから飛び出して現場の仕事をやってきた県庁の職員の八割が、もっとそこに残りたいという回答をしているということからもわかるように、建物の中で書類に埋もれて仕事をするというスタイルよりも、やはり本当に現場の仕事の方がそういった方々にもやりがいがあるということを、どの程度事実に即した御報告かわかりませんけれども、若干誇張があるのかもしれませんが、やはり一つの例としては成功事例として言っていいのかなというふうに思うのです。

 ぜひ、そういった少しでも現場に近いところで、補助金行政、事務をやられていた方の新しい力というものを生かしていただきたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 これは田嶋先生、全国知事会の資料なので、正確かどうかは知りませんが、国と地方の改革の中において、都道府県の職員が、いわゆる補助金申請事務や会計検査のため全国ベースで使っている時間は、年間延べ五百三十万時間。どうやって計算したんだか、ちょっとこれは知事会に聞いてください。職員数約二千七百人分の労働時間に相当して、人件費、旅費等の経費は年間約百二十五億円。これは知事会の方で出された資料であります。もう少しあるんじゃないかなというような、粗勘ではそう思いますけれども。そういった意味では、今言われたように、現場に出るというのはすごく大事なことだと思います。

 現実問題として、ある建設省のOBで市長さんに出られた方が、現場に行ってみて、自分たちの同期で地元で市の職員になっておられる人にたまたま、高校時代一緒で、自分はできたから東京へ来てというのがいるわけですね。それが、片方は技術屋なんですが、その人の話で、現場に行って、少なくとも中央官庁で二十年いて書類に埋もれたら頭はさびた、現場にいるやつは、都市計画局の話なんですが、フィールドを持っている、フィールドを持って仕事をしている分だけそっちの方がはるかにさえておる、これはどう考えてもおれたちの方がちょっとどうかなという感じがしたといって、当選をされて三年ぐらいされたときでしたか、来られて、話をされたのが非常に印象的だったのです。

 私は、そういうものだろうなという感じが正直しないでもありません。やはり何となく視野狭窄症みたいな、こういうことになってきている面もあろうと思います。職場を入れかえるとか場所が違うとかいうのは、いろいろな意味で視野も非常に広くなりますし、私ども総務省という役所は、四つぐらいのところを今一緒にして、人事交流なんというのはこの三年間でかなりの勢いで、郵政省が自治に行ったり自治が業界に行ったり、いろいろしておりますので、それは最初はえらく大変みたいですけれども、それなりにいろいろ地域で新しい知識、経験、視野が広まっておるというのもまた事実だと思います。

 私どもといたしましては、今言われましたように、そういったことは、同じことばかりずっとやっているというのはそれなりのものもありましょうけれども、結構機械で置きかえられるものもあるかもしれませんし、また、現場に出るというのは、新しい角度から物を見るという意味においてもすごく大事なことだと思っております。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 地方分権とか行政改革ということもありますけれども、私は、やはり根本にあるのは人間性の回復だと思います。地方分権をする、生活者に近いところで行政が活動すれば、行政に携わる人々のやりがい、生きがいというものも絶対にふえてくるというふうに私は思っております。

 次の質問ですが、補助金改革に関係しまして、五月二十八日の読売新聞に、「整理・統合、成果主義」といって、地域再生本部というところの補助金改革に関する記事が出ておったんですが、これに関して一つお伺いをしたいと思います。

 この中身は私はよく理解できないんですけれども、何か、もともとある補助金を効率よいものにして、余ったお金をまた別の名目の補助金にするという感じに読めるんですけれども、これは一体、三位一体の地方分権改革、麻生大臣のもとで動いている動きとどういうふうな整合性があるんでしょうか。

山口副大臣 私の方からもお答えをさせていただきます。

 今、先生御指摘の地域再生本部で決定をされました補助金改革、確かにこれは、これまでの補助金とは違った、例えば地方の自由度とか裁量度というのは高まってくるんだろうというふうには思っております。

 ただ、実際問題として、地方からもいろいろな声が上がってきております。これは、結局は、地域再生の名のもとに、補助金の生き残りの手段じゃないですかというふうなお話も実は出てきておりまして、確かに、これによって、いわゆる我々が三位一体の中で考えております地方の自主財源等がふえていくというふうな話ではないんじゃないかなというふうな感じも持っております。

 ですから、基本的には、私どもとしては、地域再生に当たっては、三位一体の改革を基本に進めるというふうなことであろうと思っております。

田嶋(要)委員 この内閣府のメンバーの方々というのは、いろいろな出向元がある方々ですね。だから、いわゆる寄り合い所帯。そういうところというのは、想像するに、何か旗を揚げないと仕事をやっていないんじゃないかと思われちゃうのもあって、とにかく何か始めろというふうに上の方から言われちゃって、これはもう大体、立ち上げると、本来の大きな流れに対してはどうなのかなという。

 私が大組織にいたときの経験を考えても、いろいろな取締役がやはり自分が本部長として何かやりたがるわけですね。そうすると、あっちの本部長の悪口をお互いに言っているというのは常にそうなんですよ。だから、多分国の行政の中でも、いろいろなところがおれが中心だみたいな感じで、そういう動きがあると、本当にもっと今この国で何をしなきゃいけないのかということを考えているときにはよくないんじゃないか。

 そもそも、まだ補助金改革の一年目にこういう補助金を別の名前の補助金に切りかえるなんというのは、何か一見聞こえはよさそうですけれども、本来、このタイミングでこんな旗上げをしない方がいいんじゃないかなというふうに私は思うのですけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 田嶋先生、御指摘の懸念は十分に考えられると思っております。

 たしかNTTにいらしたと思いますので、大組織でもありますので、似たような傾向というのはどこでもあるんだとは思います。自分の仕事がなくなるというのをなくさないようにするためにとか、自分の権限が減らないようにするためにとかいう話はいつの時代でもどこでも起きる話なので、少なくとも、そういったことで今おっしゃるような懸念がないように、これは私どもの方としてよく見ておかないかぬところなのであって、それはちょっと流れが違うんじゃないかということは、もしそういうことが現実の問題になってきた場合には、きちんとした対応をせねばならぬところだと思います。

田嶋(要)委員 ただ、これは本部長が総理ですよね。それで麻生大臣もメンバーでいらっしゃるということだと、何か発言がぶれるということはないんですか。向こうのメンバーで言っているときにはどういう、これを進めていかなければいけない立場ですよね。

麻生国務大臣 よくある話ではありますけれども、そのときはその場で発言する以外にほかに方法がありません。それは違うということをその場で、平場で言えるか言えないかというのが一番大事なところだと思っておりますので、出てきた原案に関しましては、総務省としては、流れとしては違うと。これは現実問題として、出てきた具体的な面に対してきちんと対応していくというのが必要だと思っております。

田嶋(要)委員 では、やはり原点に返って、あくまでも補助金というのはできる限り一般財源化していくということで、もともとある補助金を名前を変えて別の補助金ということでなるべく残そうなんというようなことは国としてゆめゆめ考えない、そういうことでよろしいですか。

麻生国務大臣 基本的には今おっしゃるとおりだと思っております。

 向こう三年間だけとか、いろいろ現場によってこんな違ったりするところが出ますので、いろいろ考えないかぬというのは幾つか出てくるかもしれませんけれども、基本としては今おっしゃった線だと思っております。

田嶋(要)委員 次の質問に移りたいと思いますが、義務教育費の国庫負担金の話をちょっとお伺いしたいと思います。

 最近の新聞でも、これは額が二・五兆円とか六兆円とか非常に大きいのでよく取り上げられるのでしょうが、ことしの通常国会で通った部分としては退職手当と児童手当という部分が入っておるわけですが、まず一つ振り返って、この退職手当、児童手当のようなものは一般財源化したけれども、片方で厚生労働省の保護費負担金等の補助率、負担割合の引き下げというのは先送りをされた。いろいろな省庁のさまざまな検討の中でこういうふうに明暗を分けた、その分けた根拠というのはどういうところにあるんでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、生活保護に関しましては、これはある程度憲法できちんと規定されている分でありまして、十対七とか十対七・五とか、例の比率の話になりますが、少なくとも地方において自由裁量は全く許されない部分の、いわゆる行政分野の仕事であります。

 加えて、地方団体も、これだけはだめ、一切とてもそんなことはできませんよ、法律で書かれたとおりやっているのを、いきなり割だけ減らして残りの分だけおまえ払えみたいな話はとても受けられるところではないというところだと思いましたので、私もそれはそのとおりだと思っておりましたので、生活保護の負担金については平成十六年度の予算では見送ることにしたんです。

 義務教の国庫負担金につきましては、これはいろいろその当時も御意見があったんですが、義務教育という部分の話と退職手当の話とは基本的には少し違うのではないか等々の御意見があって、退職手当にかかわる部分を暫定的に一般財源化するということにしたんです。

 なぜ暫定的かというと、今後これで、この額だといって一たん決めますと、少なくとも、今から団塊の世代がずっと退職年齢に達していきますので一挙に膨れ上がってくることが予想されますので、そのときになったときに、十六年度の決まりどおりでずっと一定化されるということは非常に地方にとりましては負担がふえることになります。その意味では、そこはある程度一定化するまでの間につきましては、暫時その間は、今の退職手当の分については税源移譲予定特例交付金という名前にしたという経緯です。

田嶋(要)委員 では、これからの二・五兆円が一番肝心なところだと思いますけれども、文科省は大変反対をしておるということですが、義務教育、特に財源面での国の責任ということに関しましては、総務大臣はどのようなお考えをお持ちかということを真っ正面からお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは基本的には、何となく義務教育の話を金の話から入ってくるというのは余り品がよくないと思うんですね、私は。

 基本的に、そもそも義務教育とはという話をしていただかぬといかぬところなのであって、そもそも義務教育の話を財政諮問会議などというところでやるのが適当かというと、私はこれはちょっと問題なのではないかというのが、私が財政諮問会議で発言している話の内容です。

 そういった意味では、必要な財源を適切に保障するということは絶対必要なものだと思います。義務教育というのは一応決められておりますので、そのものにつきましてはきちんと対応しないと、ただただ一般財源化したとした場合には、その一般財源を別のものに流用されたらとてもじゃないということになろうかと思いますので、きちんとした条項を、クローズをつけておかないかぬということなんだと思っております。少なくとも、国と地方がそれぞれ責任を持たないかぬ部分なんだと思います。

 ただ、田嶋先生もお気づきだと思いますけれども、これは昔、世に不学の人なからしめんと欲すに始まります義務教育ができましたあの時代とは、子供を学校に行かせないのが問題だった時代と、今は、学校プラス塾までやらないかぬといって、ちょっとおまえ行かせ過ぎじゃないかという御批判も出てくるほどわあわあ行く時代とは背景が全然違ってきておるというのも、これはどなたもおっしゃる話でもあります。

 したがいまして、ここのところは、義務教育というものは、読み書き計算、英会話が少々ぐらいできたら、それ以上、積分から微分から何からかにまで全部義務教育か、今は微分積分なんて言わないのか、数学3とか2とか、そういった話なんだと思いますが、それも義務教育かと言われると、いろいろ御説の分かれるところなんです、これは教育界の間でも。

 だから、そういった意味では、そもそも義務教育はどの程度までが義務なのかという点を見きわめませんと、長くやれば長くやっただけ必ずよくなるというわけでもないことは多くの学者の先生方のおっしゃるとおりでもありますので、義務教育をきちんとやるということはもうはっきりしておりますけれども、その内容につきましては、もう一回この機会に考え直すべき時期に来ておるのではないかという感じはいたします。

田嶋(要)委員 二・五兆円というのは額が多いので新聞にもよく書かれておりますけれども、総務省としては、この削減をこれからの補助金のほかの項目に比較して優先的にというか、特に重要視して今後の三兆円の中での二・五兆円ということを見ておられるのでしょうか。

麻生国務大臣 全くありません。

田嶋(要)委員 そうしますと、今後の三兆円の削減を考えるときの、削減あるいは廃止の基準ですね。どういう基準でやるのか。

 小泉総理は、地方からこういうものは要らないということをちゃんと言ってもらえというようなことを言われているようなんですけれども、地財法の中では十条と十六条というふうにちゃんと区別がございますね。だから、補助金と負担金というのは性格が違うものだという中で、今後どういう基準でこの三兆円というのを考えていったらいいんでしょうか。

 文部省は大反対しているこの二・五兆円ですけれども、やはり額が多いんで、うがった見方をすれば、三兆円の中で二・五兆円決まっちゃえば非常に楽だというような考えがあって、ほかの役所も、文部省さえ泣いてくれればあとはみんな自分の補助金行政しっかり守れるというような、省益の考えに走る可能性があるんじゃないかなというふうに思っておるんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 ほかの役所から見れば、今おっしゃるようなことになっておると思います。したがって、各市町村やら知事さんあたりに、おまえ、おれのところの補助金だけへずるのに賛成なんかするんじゃないぞと多分言っているはずですよ、それが普通ですから。

 しかし、これは前回、御記憶かと思いますが、たしか知事会は八・九兆円、民主党は十八兆円だったっけな、補助金削減の案を出されましたでしょう。勇ましいなと思って、あの中の内容を洗って見せていただいて、その中で三兆円選んでいただくというのも一つの方法だと思うんです。

 私どもは、少なくとも知事会は八・九兆円、市長会が五・九兆円と出されたと記憶していますので、その中でもう一回、これは本当にそうなったわけですから、そのとおり御自分たちで選んでいただく。しかも、知事会と市長会、町村会とは意見が違いますので、その中でどれをどうするというのは、これは御自分たちで選ぶということが大事なんであって、こっちが決めて押しつけるのではないというところが一番のみそだと思っております。

 その内容をよく見た上で決めるところでありますので、義務教育に、簡単に単純にぱっとそっちへ行っちゃうのか、社会保障費の関係でいろいろな事務費やら何やらいっぱいありますので、そこらの中をきちんと集めてどうかされるのか。これはいろいろ考え方だと思いますので、これは今から各市町村長方、知事さん方と話を詰めさせていただかないかぬところだと思っております。

田嶋(要)委員 ぜひ、そのような方向で残る三兆円、さらにそれ以上進めていただきたいと思います。

 冒頭申し上げたような悲しい事件などを見るにつけても、やはり教育というものに関して今後ますます日本は頑張っていかなきゃいけない。

 私がちょっと調べた統計でも、先進国の中でやはり、いろいろな数字があるかもしれませんけれども、なるべく同じ比較をすれば、日本は先進国の中でEUの平均を下回っているぐらいのお金しか使っていないということがございますし、二〇〇〇年と九五年の比較ですけれども、唯一、五年前よりも教育に対してのお金の使い方が減った国ですね。

 だから、そういう意味では非常に残念だな。小泉さんは余り教育に御関心ないという話もちらりと聞きますけれども、やはり今一番懸念されるのは、結局は、長い目で見ると、日本の学校の、家庭の、そして町の全体の教育力じゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども、消防法の関係で、終わってしまった、法案が通ってしまった後なんですけれども、これをなぜきょう質問したいか。

 地方分権とか、非常にスケールの大きい、道州制とかそんなような話がこの総務委員会なんですが、そういう中で、この消防法というのは非常にある意味では淡々と通っていったということで、私も質問はしませんでした。ちょっとその後でふと気になったのがありまして、住宅に義務化されるという話ですね、報知機の。あれ、私は聞き間違えたかなと思って、まさか全戸じゃないなとかと思ったら、全戸になるんですね。(麻生国務大臣「新築だろう」と呼ぶ)いや、新築だけじゃないですよ。

 だから、ちょっと私はどきっとしたんですけれども、今そういうふうにおっしゃるということは、余り既存住宅は関係ないというふうにお思いだったのかななんて思うんですが、これは全戸義務ですね。若干タイミングの問題とかはありますけれども、基本的には、今回の法律ですべての家につけなきゃいけない。一個か三個か知りませんけれども、三個ぐらいつけると二万円ぐらいかかるらしいんですね。

 ということは、大分昔に私がやったNHKの地上波の、テレビをみんな買いかえなきゃいけない話と一緒ですよ。もうみんなしなきゃいけないんですよ、一応。年金と同じで、これは義務なんですよ。だから、年金と同じ、どのぐらい本当に義務を守るかどうかわかりませんけれども、建前はこれは義務ということで法案を通しているわけですね。

 これは、ちょっと見てみるといろいろ不思議だなと思うことが多いんです。例えば内閣府の世論調査というのを一つの根拠にされているんですけれども、それは、こういうものを義務化された方がいいですかと聞けば、やはり人命にかかわることだから大半の人はそうですねというふうに答えるわけなんですが、コスト負担をだれがするかということは聞かずにそういうアンケートをとっている。

 だから私、きょうの問題意識は、この法案は通過していますし、この法案どうのこうのということよりも、一般論として、地上波のときもそうでしたね、よくアンケートの結果はこうでしたと言うんですけれども、そのアンケートが結構くせ者でないかなと私は思うんですよ。聞き方がおかしい。これは、コスト負担をだれが、国がただでくれるんでしょうということならみんな義務化したって構わないと思うんですね。実際に、そういうところに関しては聞かずに、六七%の方がつけた方がいいというふうに言っていますというのを根拠にして今回こういう法案を通したいというような趣旨説明だったと思うんですね。だから、ここは私は非常に不思議だな。

 それから、アメリカとイギリスの例を引いているんですけれども、アメリカとイギリス、確かに数字的には下がってきていますが、現時点で同じ一億人の人口当たりで見ると、日本は既にアメリカとイギリスと同レベルにあるんですね。そうすると、これから、今十七年ぶりに千人の死者が出たということでこれを全戸に義務化するんですけれども、これは全戸に義務化して、アメリカで七〇年代から起きたように激減が期待できるのか。

 その辺に関して、説得力ないけれども、何となくアンケートとよその国の、いつもの二つセットで、これが根拠ですみたいにしてやられたような印象を受けるんですけれども、その点に関して、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、御指摘をいただきました世論調査でありますけれども、確かに内閣府におきまして、昨年の五月から六月にかけまして、消防・救急に関する世論調査をやっていただきました。

 その中での質問事項に対する回答でございましたが、その質問は、ちょっと持ってこなかったですが、確かに負担のことについては触れておりません。しかしながら、焼死者数を減少させるために、法律によって警報器の設置を義務づけることについていかがと考えられますか、こういう設問でありまして、法律等により、また、義務づけることについてという点についてはっきりお伺いをいたしましたところ、回答者の六六・九%が「賛成」あるいは「どちらかといえば賛成」という回答をなさっておられます。

 これは、火災による死者数の増加に対して危機感を持っておられること、そしてまた、その死者数を減少させるためには警報器の設置が効果的であるということに対しての理解を示されたものではないかと思っております。そういうような世論調査の結果も踏まえまして、今回法律を提出させていただき、御審議をいただいたわけでございます。

 しかしながら、御指摘のように、負担の点については、今後普及を図ってまいります際に大変重要な課題であると思っておりますので、今後設置をしていただきます場合は、その負担が少なくなるような方法についても具体的にいろいろ考えていかなければならない、こういうふうに思っております。

田嶋(要)委員 ちょっと時間がないので、最後に一つだけ。政策優先度、それからその政策を行う妥当な行政主体ということに関してお伺いしたいんです。

 十七年ぶりに千人が亡くなった。人口一億二千万ですよ。割り算すると十二万人の町に一人亡くなるということですね。もちろん人命はとうといですから、亡くならないのにこしたことないですけれども、例えば自殺者数が三万人超えている、交通事故の数が九千人か一万人、そういった中で、何で千人のこの政策が突然全国民義務みたいになるのかなというのは私にとっては非常に不思議だし、恐らく麻生さんも勘違いされていたのでそのように思われるのかなと思うんです。

 政策優先度という観点からすると、縦割りの行政からすれば、消防庁から見れば極めて重要なことかもしれないけれども、一般財源でそこに予算がつくんだったらいいですよ、予算なんかつきっこないものだから、全国民に義務、アメリカとイギリスでやっているから日本もやっちゃえということで何かやるような感じがするんですね。これは、普通に全体の優先度を考えたらこういう結論にはならない。どうやったら三万人の自殺者を二万人に減らすことができるか、そういう発想の方が最初に出てくるんじゃないかなと私は思うんですね。

 それからもう一つ、行政主体ということに関して、東京都が、国がやる直前に条例をことし三月に通していますね。だから、これは東京都がやったんですね。そうすると、うがった見方をすると、ああ、おもしろいことやっている、やはりこのタイミングでいって国もやろうと。

 だけれども、考えてみたら、都が先行してやっているということは、これは地方にできるというまさしく典型例ですよね。地方にできることを何で二重に国がもう一回やらなきゃいけないのかというのは、私にとっては大きな疑問です。都が率先してやった。都は一年間に百人亡くなっている、ということは、千人のうちの十分の一はもう都だけの施策で対応ができるわけですよ。

佐藤(勉)委員長代理 時間が参りましたので、結論をお願いします。

田嶋(要)委員 最後に一言だけ、この二つに関して大臣から御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 数は千人でも結構悲惨な話ではありますし、やはり火事というのは、これは田嶋さん、自分一人が死ぬのとわけが違って、周りに与えます、類焼する、焼け出される等々の悲惨な話やら、被害というのはかなり単純に比較はできないんじゃないのかなと思っております。それが高齢者によって何となく、ちょっと火を消し忘れた等々によって焼け死ぬというところも、それは御自分の話かもしれませんけれども、隣にいる人のことを考えますと、これは結構優先順位が高いんじゃないですかね。私はそんな感じがします、感じ方が違うのかもしれませんけれども。

 私どもから見ますと、火災で亡くなる高齢者が若い人がいないために逃げおくれるという話に始まって、類焼の話やら何やらというのは、昔から火事というのは出したら極めて罰は重たい国ではありましたけれども、これは非常に優先順位は高いんじゃないかなというのが私の実感です。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。後半は聞けなかったけれども。

佐藤(勉)委員長代理 次に、若泉征三君。

若泉委員 民主党の若泉でございます。よろしくお願いいたします。

 もとより、私は、憲法の改正と地方分権の確立、社会保障制度の確立がこれからなすべき日本の大きな課題である、このように思っております。そういう中での三位一体改革が進んだわけでございますが、そもそも三位一体といいますのは、宗教的な背後がありまして、ありがたいものだなと思ったら、そんなにありがたくなかったと思います。福井県にも、御案内のように、原子力発電所が十五基ございまして、その二基に「もんじゅ」「ふげん」という名前があるんです。手を合わせて、ありがたいなと思うような、まだ安全性の確立からいったらそういうことは言えない、そう思います。

 そういう中で、私は、四月二十二日のこの総務委員会におきまして、総務大臣へのいろいろな御質問の中に、御答弁が、平成十七年度には所得税の税源移譲を三兆円しますよと。私は驚きまして、それに対して何の答えもできなかったんです、全く聞いていなかったもので。四月二十二日でございます。今回、きょうの新聞なんかも見ておりますと、おおむね三兆円規模を目指すということで、国から地方への税源移譲が新聞に出ておりました。私は大したものだ、すばらしいなと思います。

 その中で、特に総務大臣のおっしゃっております御発言の中に、地方との信頼関係がなければ改革は進まないと。格好いいな、こう思いましたね。小泉首相も、年金法案は国民との信頼関係がなければ改正できない、こういうお言葉を出されますとすんなり物事が進むんですが、私は、総務大臣の今回のこの御発言と同時に、この三兆円の税源移譲を決断されましたことは、総務大臣じゃなくて総理大臣の御姿勢である、このように高く評価いたします。

 評価ばかりしていられないわけでございますが、実は、全国の知事会におきましては、八兆九千億円の補助金削減と、それから八兆円の税源移譲を求めているわけでございます。

 そういう中におきまして、役人の方はモラルハザードという言葉をよくお使いになって、私もよくお聞きしたことがあります。これは、甘えていたんじゃなくて甘やかしてきたんです。甘やかされれば甘えるのは当たり前でございますから。そういう中で、それぞれの市町村、自治体がどんどんお金を使ってきた。そこへもってきて、ぼんと急激な、後ほど細かいことは事務方の方にお聞きしますけれども、このような削減がなされた。

 今後、総務大臣は、この全国知事会の求めておられます要望に対して、三兆円税源移譲は決まりましたが、さらなる税源移譲ということに関しましてどのようにお考えになっていらっしゃいますか、所見をお聞きしたい、このように思います。

麻生国務大臣 税源移譲の中身につきましては、これは今から、いわゆる基幹税でないとだめということを申し上げて、国税から地方税に移る、今よく言われる七対三とか、いろいろな表現がありますけれども、今回、所得税を地方住民税に移すという話を申し上げております。あの当時三兆円と申し上げた背景は、地方税は五%、一〇%、一三%といろいろ段階がございますので、それを一律一〇%にさせていただければ約三兆ということになりますので、それを基幹税として国税から地方税に移す、一番わかりやすい例としてはそれと思います。

 基幹税というと消費税等々いろいろほかにもありますけれども、今四対一のところをいろいろ比率を変えていく話はまた別に出てくるとは思いますが、将来の税のあり方としては、やはり国税と地方税が今七対三が五対五、一対一、いろいろな表現がありましょうが、そういった形になっていくぐらいのところが目的とすべきところではないか。今まだ三兆円のところまでしか来ておりませんけれども、少なくともそういった形で、将来一対一ぐらいのところまで行くというところが目標とすべきところではないかと思っております。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

若泉委員 今おっしゃったわけでございますが、私は、政治家というのは、いつも自分で迷いながら思っていましたが、やはり絶えず国民に対して夢と理想を求め合って、そこに活力を与える、そういうことでございます。

 この前も、今回の三兆円の税源移譲につきまして、地方歳出のスリム化の方が先決だという発言がありましたけれども、これは私はおかしいなと思っているんです。いわゆるこういった一つの指針を示されることによって、自然に、それぞれの各省庁がそれをみずから考え、研究し、歳出に対する甘えがないかどうかというものをチェックするようになりますし、また、受け入れる都道府県、市町村もしっかりしなきゃいかぬという一つの自分たちに対して自覚というものを持つようになると思うんです。

 そういう意味におきましては、いわゆる地方歳出のスリム化の方が先決だというような考え方はおかしいと思います。今回はどうにか落ちついてよかったと思いますが、私は、総務大臣のそのお考えで、さらに今後の全国知事会の要望におこたえいただきたい、このように思っております。

 財政局長はよく福井のことを御存じだと思いますので、後ほど御質問申し上げますが、平成十六年度の結果を見る限り、地方分権の理念とかけ離れた、国の財政赤字を地方に転嫁する改革内容であり、一兆円の国庫補助負担金が廃止、縮減されましたが、税源移譲等が施行されましたのは、御案内のとおり四千五百七億円という半分までも達しなかった。そしてまた、公共事業関係補助金につきましては、財源が建設国債であるので税源の移譲の対象とならず、事業量の削減のみということになりまして、どちらかといいますと切られ損であった、このように思います。

 今私が一つずつ申し上げますのは、三兆円の税源移譲は決まりましたが、平成十六年度の、今回非常に都道府県、市町村が苦しんでおりますので、そのことについて申し上げているわけでございますが、それに対して、後ほど、どういう手当てをされるのか、またされる気持ちはないのかどうかお聞きしたいので申し上げております。

 地方交付税につきましても、臨時財源対策債を含みます地方交付税の総額が、二・九兆円、一二%の減と急激な削減が行われ、予算編成に地方公共団体は大きな支障が生じました。

 ここで、福井県の場合を申し上げますと、福井県は二百二十五億円、一二・六%の削減であります。市町村分で九十一億円、一〇・五%。これは財政局長はよく御存じですから、大体規模をごらんになっていますと、ああ、苦しいだろうな、こういうふうにお思いになると思いますね。福井県の介護給付予算が大体五十六億円でございます。介護給付予算に比較いたしますと、それの四年分に相当する交付税の削減ということであります。

 また、平成十六年度の三位一体改革が地方に与えた影響を申し上げます。福井県の場合を申し上げます。

 地方全体の収支といたしましては約三・三兆円の減で赤字でございますが、福井県の県分の収支といたしましては二百二十五億円の減で赤字、福井県の市町村分の収支は九十八億円の減で赤字であります。

 これに対して、地方公共団体は、全国知事会が調査いたしましたところ、財政調整、減債両基金を取り崩しまして普通会計に取り入れた総額が八千百六十一億円、前年度より六六・六%も増加したわけであります。そして、財調の年度末の残高は、前年度に比べまして千五百四十七億円減の二千六百十八億円に減少しまして、災害などの緊急対応分を考えますと底をつきかけたような状態であります。特に、職員の給与等につきましては、昇給の延伸や本給、また手当などのカットを実施し、平成十四年度中における抑制影響額といいますのは八百億円強になっているという事実でございます。

 地方は、今回のような大幅な削減には行政努力で対応できる規模ではなく、地方公共団体の財源は破綻状態に陥っている、行政サービス水準の引き下げとか住民の生活にも非常に大きな影響を与えております。

 十六年度分のこういった地方の苦しい財政状況、そういったものに対して、または都道府県、市町村が非常に苦しむ中でも大変な努力をしている、それに対して、政府としては、どういうようなお考えで手当てをされるのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。

瀧野政府参考人 十六年度の地方財政に対しまして、特に福井県の例をお示しになられて実情を訴えられたわけでございます。御指摘ありましたように、私も福井県に奉職したことがございまして、市町村の状況もよく存じ上げております。

 十六年度の地方に対します財源につきましては、今御指摘ございましたとおり、特に交付税につきまして、交付税代替の臨時財政対策債を含めまして二兆九千億円余の減、こういうことになったわけでございます。

 しかし、これは地方財政計画上、地方単独事業につきまして一定の額を見込んではおるわけでございますけれども、なかなか地方団体の予算が地方財政計画に届かないというようなこともございまして、計画規模を見直すということをいたした結果が非常に大きな要因になっておるわけでございまして、我々といたしましては、国として、地方団体にやっていただきたい行政水準につきましては、地方財政計画の策定を通じまして、必要な財源は、最低限度のものは確保しているという立場でございます。

 しかしながら、それぞれの地方公共団体におきましては、オール・ジャパンでは財源が措置されましても、全体とはまた違いまして、それぞれの団体におきましては非常に苦しいところもあるということは事実でございます。

 そういったことに対しまして、地域再生事業債というものを八千億程度枠を用意し、仮にそれが不足であれば、そこの枠を弾力的に考えていくとか、あるいは、財政健全化に向けましていろいろな努力をした場合に、健全化債というものを従来から発行していただけるようになっておるのでございますけれども、そういった健全化債の充当先につきましていろいろな弾力化措置をとり、従来、起債が充当できなかったところにも起債を入れていくというようなことで、十六年度予算の編成をお願いしたわけでございます。

 もちろん、今御指摘がございましたように、それぞれの団体、基金の取り崩しでありますとか、行政改革等に切り込んでいかざるを得ないということになったと思いますけれども、それにつきましては、国、地方、非常に厳しい財政状況でありますので、一定程度はスリム化は必要であろうかというふうに考えておりますが、我々といたしましては、地方公共団体の必要な財源についてはできるだけ確保していきたい。

 その中で、十六年度予算編成が終わった段階で、さらに実情をよく把握しようということで、我々職員、地方に散りまして、財政運営に携わっている皆様方のお話を十分また聞いて、さらにそれを十七年度に生かしていこうというふうに今努力しているところでございます。

若泉委員 次に、先ほど国のスリム化のことを言われましたが、その必要性として、私もちょっと感ずることがございますので、このあたりを総務大臣にお聞きしたいと思います。

 平成十六年度の国の歳入歳出予算は大幅削減になりまして、地方交付税を除きますと約二%増加になっています。国自身のスリム化はほとんど行われていないということが言えるわけですが、これは、総務大臣の諮問機関でもあります地方財政審議会の調査におきましては、平成七年度を一〇〇とした場合、平成十六年度の歳出総額は、国で一〇八・一、そして地方で八五・六。国の歳出の削減が進んでいないんじゃないか。

 その中で、私もこれは数字を調べてみまして驚いたんですが、国の地方部局におきまして、職員数で国家公務員全体の六割強の二十二万人なんですね。予算の執行額も十三兆円に及んでおります。四十七都道府県の一般行政職員数を調べますと二十八万人であります。国の出先機関が二十二万人で、そして都道府県の職員数二十八万人と比較しても、地方のできる不要な業務を行っている。国の出先機関を将来にわたりまして廃止し、権限、財源そして人員をセットにしまして地方に移管すべきである、このように私は思います。

 これは、どうしましても、行政におきまして、歳出につきまして非常に大きなウエートを占めるのはやはり人件費である。そういうことからも、相当思い切った方針を出されまして施行されませんと、なかなかこれは難しい問題だ。総務大臣の御所見をお聞きしたい、このように思います。

麻生国務大臣 今、過去の例を引かれて、国と地方の歳出総額ということで言われましたけれども、確かに平成十五、十六を比較いたしますと、一〇七・七が一〇八にふえておるというのは事実であります。ただ、その前の前の年は、平成十二年に比べますと一一七から一〇八まで減っておるということは、一応国の方もそれなりに努力を、ずっと上がっているわけではないという点が一点であります。

 それから、地方支分局の話につきましてはおっしゃるとおりでありまして、これは今の時代に果たしてこの数が必要かというのでよく経済財政諮問会議で出るところは、農政関係の統計情報局の部分で約五千人が地方にいるのが、果たして五千人も要るかという話は統計の話の中でよく出るところでもありますので、社会保険庁を含めて、この種の話は今後見直さないかぬという話になっております。

 地方支分局につきましては、ブロックの統合等々は結構合理化してきているところで、陸運局というのと海運局というのは、これは九局、九局ありましたのは、地方運輸局で一つということで、例の運輸省と一緒に国土交通省となりましたときに一緒にしておりましたり、また、いわゆる地方建設局、港湾建設局等々十三局ありましたものは、地方整備局ということで一本にして八局とか、営林署、二百二十九カ所ありましたのは九十八カ所等々、本省の統廃合、合併等々もあったせいも確かにありますけれども、従来どおりやるのはいかがなものかというのはほかにも数え上げればいっぱいあります。

 労災と保険と年金と一緒にとりに来たら、今は厚生労働省で一緒になっているんだから一緒にやった方が早いじゃないかとかいう話は幾つでもあるところでもあります。今後とも、こういったような話は、抜本的に定員を合理化するという点につきましては、私どもとしては、そのあり方自体が変わってきておりますので、機械化される部分というのは随分ありますし、行政手続はすべてオンラインでできるような時代に合わせて、削減できるところ、合理化できるところはあろうと思いますので、民間委託等を含めまして、そういったものは積極的に進めていきたいと思っております。

 何となく地方の方がおくれていて中央の方が進んでいるという面も確かにありますけれども、地方の方が先に進んでいる部分も、地方によって、また首長さんの意識の高いところは、地方自治法の改正に伴いましてやっていいことに、役人じゃなくても管理は民間委託すればいいという法律に変えてしまっておりますので、それに合わせてさっさと変えておられるところは幾つもあります。そういったところは私どもも大いに参考にさせていただいて、これはさらに努力をしていかねばならぬものだと思っております。

若泉委員 ただいまおっしゃいましたように、職員の数だけでの比較じゃなくて、役所によりましては、大きな建物の三十人ぐらい入る中に職員が二人しかいないところはたくさんあります。これは、地方の庁舎に対して合同庁舎にして一つにまとめろという指示がありながら、国の方は大きな施設の中に一人や二人が、テレビを見て、一日じゅう何をしているのかというような職員もおりますので、早い時期に私はこういったものは改革されるべきじゃないか、このように思っております。

 次に、時間の都合もありますので、道路の整備に対しましてお聞きしたい、こういうふうに思っております。

 補助事業の削減ということでいろいろな行政改革が行われておるわけでございますが、私の持論でございますけれども、日本の道路関係の地図を見ますと、縦断道路は大分整備されてきておりますが、日本海側と太平洋側を比較しますと、やはり太平洋側の方がよく整備されている。そしてもう一つは、横断道路、これからは日本海側から、または太平洋側からそれぞれの横断道路というものが私は必要だと思いますが、そういったことをどのような形でやっておられるか、計画されておるか、また、それは充足されているかどうか。

 どうも道路地図を見ますと、大臣の出られたところとか総理大臣が出られたところとか、そういうところはやはり非常に密度の高い道路網が整備されている、こういうふうに思いますけれども、それを言いますと、ある方はこう言うんです。それは人口の多い都市だからそうなんだ。そうじゃないんです。

 いわゆる日本海側の地方の方へ行きますと、非常にいいところは幾らでもあるんですが、そこに道路をつくるだけで、観光産業とか利便性とか、そういう意味で採算性は十分に合うような、または生活者に対する非常に利便性の高い形になりますから、必ずしも今の道路が都市とかそういうところにあるのが、ある意味では一極集中化する大きな原因にもなっている、そう思いますと、やはり国家的な見地でこういったプロジェクトを立てまして道路網の整備というものを考える必要がある、私はこのように思っております。

 そこで、きょうは道路局長さんも忙しいところお見えになっておりますが、現状の横断道路というものは日本国の全体に充足されているのかどうか、また現況はどうか、このようなことにつきまして御質問申し上げたいと思います。

佐藤政府参考人 大変恐縮でございます。数量的なデータをとりあえずちょっと持ってこなかったので、定性的になりますが、先生のただいまの、縦貫方向は大体できたではないか、しかしながら日本を横断する方向の路線はまだ不十分じゃないか、こういう御指摘に対してお答え申し上げたいと思います。

 御指摘のように、例えば北海道の札幌から、青函を通ってではございますが、ずっと日本を縦貫するような道路、これが、札幌からは国縫までで、一部分函館まではまだ残っている部分があります。これは整備している最中でございますが、そういう意味では、青森から鹿児島まで一応日本を縦貫する自動車道は完成を見ているわけでございます。

 東北縦貫から東名、名神、さらに中国、山陽道を通って九州縦貫、こういう形でできてきておるわけでありまして、全体で申し上げますと、高速自動車国道の計画は一万一千五百二十キロでございますが、現在供用中のもの、これがおおむね七千三百キロ、こういうふうに考えていただいて結構だと思います。そういう意味では、六割を超えた、こういう状況であります。

 この中で、横断方向、こういう御議論で申し上げますと、実は御指摘のように、まだまだこれからという部分がかなり残っておりまして、東北の横断自動車道の中の、例えば花巻から釜石に行く路線であるとか、相馬―福島―山形、こういうような路線であるとか、あるいはまた、日本の真ん中を横断する自動車道、そういう意味では、東海北陸自動車道なんかも、今まさに富山、岐阜県境の飛騨トンネルが最盛期ではございますが、近々完成、こういう形にはまだなっていない。

 こういう状況の中で、横断方向の路線で申し上げれば、残念ながら五割をようやく超えた程度、こういう感じでございまして、縦貫方向がかなり進んできて大体八割を超えているという状況に比べて、そういう意味では、横断方向がまだまだという状態であることは確かでございます。

若泉委員 日本の狭い国土におきまして、国土の利用計画ということを考えますと、もっともっと今後横断道路の必要性というのは出てくるであろう、このように思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 特に基幹道路に関しましては、道路の幅員だとかそういったものは、設計に関しましてはある程度全国的なレベルでの規格でもよいかと思いますが、市町村道につきましては、今まで、大分前よりは緩やかになったとはいえ、やはり、国の画一的な一つの規格、基準に基づいて道路整備が行われている。例えば四メーターの道路でも、今回一・五車線というふうになりましたが、四メーターの道路を十二メーターにしなきゃいかぬとか、そういう強い国からの画一的な基準によって押しつけられるような一つの設計というものが、ある意味では国も大きな負担にもなりますし、地方におきましても大きな負担になってくるわけですね。

 そういう意味では、今少し緩やかになっていますが、これは地方分権すれば変わることなんですが、地方分権が確立する前までは、やはり三つか四つぐらい道路の一つの規格をメニューをふやしまして、その地域の住民のニーズにこたえるような道路に私はしていくべきじゃないか、このように思っていますが、その点はどのようにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 地域の特色に応じたいろいろな規格、あるいはまた事業の進め方があっていいんじゃないか、こういう御指摘かと思います。

 そういう意味では、日本の道路の標準そのものは道路構造令ということで決めさせていただいておりますが、しかしながら、この中でも実は、どうしても守らなければいけないという部分はかなり本質的な部分だけでございまして、例えば市道なんかを整備するときに、この構造令を適用してどういう整備をするかという点については、バリエーションを大変たくさん用意はしてございます。

 例えば、二車線であるとしても、歩行者が少なければ無理して歩道は要らない。あるいはまた、歩道の幅であっても、これはたくさん通る場合にはたくさん通る人たちに十分な幅、歩行者も自転車もというならそういうふうにしてくださいと。しかしながら、場合によっては、歩行者が少なければそれも要りませんよという形で、運用の面では極めてバリエーションがあって、地域のそれぞれの特色に応じてやっていただける、こういう形で運用させていただいているわけでございます。

 ややもすると、補助事業との関係で、先生御指摘の、市道であるのに幅が十二メーターでなければ補助しないとか、そんなふうな御批判が近年まであったのも事実であります。

 これは、全体としてそうしているということではなくて、重要な事業として、十二メーターぐらい、両側に歩道が要るんじゃないですかというようなことを、やりとりの中で、そういう場合に、ではどうしても十二メーターでなきゃいけないのかというような誤解が広がっていたということも事実だと思いまして、実は私ども、先生御指摘のように、それぞれの地域の状況に応じて、何も必ず二車線なくても一・五車線、片側一車線と二車線の部分もある、だけれども事故もなく円滑に何とか使い得る、そういう整備でもいいではないか。まさしく昨年来そういう通達も出し、また、歩道についても、無理やりとらなくていいんですよということを改めて念押ししている。

 こういう状態でございますので、定着してまいりますと、お互いにその辺の誤解も解けて、先生御指摘のように、効率的な整備ということが地方、国を挙げてやっていけるということになろうかと期待しておるところでございます。

若泉委員 局長が今お答えになりました、そういったものがいわゆる歳出の削減になっていくんですね。ですから、先ほどの話じゃないですけれども、三兆円をぽんとお決めになった、そしてその指針に基づいて、各省庁が何とかして少なくするというような、そういうむだのない形をやっていく、これが一番大切なことだ、このように思っています。ありがとうございます。

 新規事業を採択する前に、私は、継続事業を優先すべきだと。私がこれから申し上げますのは、これはお答えいただかなくても結構でございますが、実は私は、町長をやっておりますときに、山田市野々線という道路を整備しました。これは、町道でございましたので、まちづくり市町村道モデル事業の一つの交付税対象にしました道路で、五〇%町負担、五〇%建設省関係のまちづくり市町村道モデル事業からいただいてやってきたんです。そうしたら、県道に昇格しました。県道に昇格しましたら、あと国の段階になったら、これはもうここでストップだととまってしまって、これ以上先は工事はできないと言われるんです。では、なぜ最初から国費を使ってそこまでやったのか。山田市野々線というんです。これは、今立町なんですけれども、今もおっしゃいましたように、非常に指導力のある局長さんでいらっしゃいますから、このことはぜひおっしゃっていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、継続事業をやはり優先すべきという意味で、私ども福井県におきましても、福井から飛騨を経まして長野の松本に至ります中部縦貫道、これはもうよく御存じだと思いますが、それから、敦賀から若狭湾に沿いまして舞鶴を経て大阪に至ります近畿自動車道敦賀線、いずれにしましても早期な整備が必要でありますね。

 その中で、中部縦貫自動車道につきましては、昨年とほぼ同じで五十七億円の予算がつきました。この予算につきまして、まだまだ完成するまでには時間がかかるわけですが、現在の整備の進捗状況と今後の見通し、加えて、整備に当たっての費用負担がどのようになっているのか、御答弁いただければありがたいと思います。

佐藤政府参考人 二点についてお答え申し上げたいと思います。

 最初の、町道から県道に格上げになって補助事業が中断した、こういう件につきましては、これは恐らく県と町との話し合いの結果であろうかと思っております。補助する側といいますか、国の受け取り方としては、町道から県道に上がって引き続き事業を急ぐんですという申し出が県からあれば、そのとおりにやっているというのが実態でございますので、そういう意味では、私も調べてはみますが、県と町で相談した結果、少しおくれても、こういうことかとは思います。また後ほど御報告申し上げたいと思います。

 それから、中部縦貫自動車道でございますが、これにつきましては、まず一つ申し上げますと、全体が松本から福井に至ります百六十キロの高規格の幹線道路でありますが、福井県下につきましては、岐阜県との県境にある油坂峠道路、これは全体の道路の延長としては十一キロでございますが、福井県が一・四キロでございます。これを既に供用している、こういう状態でございます。

 そして、ここの油坂から福井市まで、市名で言えば大野市から福井市、これを永平寺大野道路ということで、二十六キロでございますが、事業を進めてきているわけであります。平成二年度以来でございまして、これまでに松岡町から永平寺町に至る越坂トンネルを含みます一・八キロは既に供用をしている、こういう状態でございます。

 二十六キロで、総事業費、とりあえず全体事業費というよりは暫定事業費で、非常に工夫しながらつなぐ、こういうことを前提に考えますと大体九百八十億円ぐらい現状ではかかるであろうな、こんなふうに見込んでいるところであります。

 十六年度につきましては、福井北ジャンクションから大野インターチェンジにかけて、それぞれ設計協議と用地買収等、改良、橋梁工事を推進しています。このうち、福井北から大野の間の上志比インターから勝山インター、これが延長八キロございますが、ここを優先整備区間ということで、平成十九年度供用を目標にして頑張っているところであります。

 残る大野から油坂峠につきましては、基本計画に平成九年に位置づけて、概略ルートの検討であるとか、環境調査等を推進しているところでございます。

 先生先ほど御指摘の平成十六年度五十七億円という中で、負担はどういうことになっておるか、こういうことでございますが、まず基本的に、高規格幹線道路でございますので直轄国道でございますが、これは十分の七が国の負担、十分の三が県の負担、こうなっているわけであります。

 しかしながら、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例、これがございまして切り上げになっております。おおむねで申し上げますと、本来国が七割負担が八割負担、こういう形でやらせていただいているということでございますので、五十七億円で申し上げれば、四十五億円が国費で十二億円が町費、これは全体としても、この九百八十億円の二十六キロの事業に対してはこういう進め方をしていくということを予定しているところでございます。

若泉委員 今局長の方から御説明がございました。

 先ほどもおっしゃいましたように、縦の線と横の線を結ぶ意味で、アクセスの面で非常に重要な路線でございますので、九百八十億円もかかるところ、それぐらいの予算ということになるとなかなか前の方へ進まないわけでございますが、継続事業を優先していただきたい。いわゆる政治路線で、ある政治家によって、力のある政治家というのは何が力があるのかわかりませんが、それによって予算を、新規路線を決める前に、継続路線の整備を早く進めることが大切であるのと同時に、横断します道路をやはりふやすということでも、白鳥まで行くその道路でございますが、こういったことに対する整備も、局長さんの御指導の中でぜひともそのように進めていただきたい、私はこのように思います。ありがとうございます。

 私は、これは総務省の方、総務大臣にもお聞きしたいと思いますが、特に今近畿自動車道の敦賀線におきましては、本路線は、多くの原子力発電所が既に立地されておりまして、また計画されております若狭湾に沿って、万が一の事態を想定した避難対策とか救護活動等が迅速に行える体制を整えることが必要な地域であると思います。そこで、一般の地域と異なった体制を整えているものと考えていますが、緊急事態を想定した消防防災体制についてどのように考えておられるかということでございます。

 それで、この原子力発電所につきましては、非常に危険だと、安全性の確立を私はずっともう二十年近く呼びかけてきたんです。

 なぜかといいますと、この地域は、十五基の原子力発電所のある下は全部火山活動地域なんですね。そして、建設に対しますマグニチュードというのは大体六・五を想定されております。最初の八基は五・八か六ぐらいだと思います。後の方の建設はたしかマグニチュードは六・五と。六・五なんといいますと、阪神大震災はマグニチュード七・五でございますから、地震が起きたら大変な事故が起きるだろう、こんなことはよく問題になっていることでありますけれども。

 そういうことを踏まえまして、私は町で沃素剤を買いました。沃素剤を飲みますと、いっぱいになって、そして白血病を防ぐ。これだけでは、何か事故が起きたときに、また、放射能が漏れましたときにはとてもとても対応できないわけでありますが、少なくとも我々にできることということで、そういった対応も立ててきたわけでありますが、それぐらい大変なところであります。

 道路は、今のところ、整備はされておりますが、まだまだ渋滞しますと二時間、三時間とかかるような状況であります。もし何か事故が起きたときに、逃げるのがいいのか、その中にとどまって放射能をよく受けて被曝した方がいいのか、そんなことを考えましたら、当然それは被曝しない方がいいということになるわけでございますが、そういったことの対応も含めまして、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。消防庁の方もいらっしゃいますが、それと同時に、総務大臣にもぜひとも御答弁をいただきたい、このように思っています。

麻生国務大臣 細目を次長の方から説明させますけれども、この間の国民保護法の中でも、これは非常に大きな話題になったNBC対応のNの部分なんだと思います。

 この部分に関しましては、御存じのように、Cだった場合は防毒マスクを支給する等々でよろしいんだと思いますが、ガスも気管支系のもあればびらん性のもいろいろありますので、防災服も要るということになったり、いろいろその対応につきましては、金のかかる話でもありますと同時に、これは訓練の必要もあります。

 大体どういう状況になっておるかというのをいち早く地域住民に知らせて、避難誘導もしくは自宅待機を指示するというところは非常に大事なところでもありますので、これにつきましては、福井の原子力防災訓練等々、いろいろな細目を次長の方から説明させます。

東尾政府参考人 補足してお答え申し上げます。

 福井県におきましては、地域防災計画におきまして、他県に比べますと厳し目の原子力対策を講じておりまして、ただいま先生御指摘の屋内への退避のレベルを第一レベルにするなど非常に厳格に運用していただいております。また、定期的に原子力防災訓練を行っていただいておりまして、去年は敦賀の日本原電で行われたところでございます。

 御指摘の道路の状況でございますけれども、これも先生御案内かと思いますが、平成九年六月に制定されました国の防災基本計画の原子力災害対策編におきましても、国や地方公共団体などは、いざ問題になったときでございますけれども、緊急時の道路交通管理体制の整備に努めて、緊急時輸送活動を円滑に実施できるようにすることというふうに明定されております。

 私どもといたしましては、そのことに意を用いまして、今後、地元に対してさらに働きかけをしてまいりたい、このように思っております。

若泉委員 時間がありませんので、道路関係につきましてはこれで質問を終わらせていただきたいと思います。御苦労さまでございました。ありがとうございました。

 次に、地方への大型店の進出に対しましてちょっと御質問申し上げたいと思いますが、大型店といいますと、私どもは二人ほど関係する人が、私自身にもありますし我が党にもおりますが、ここ数年、郊外に大型店が次々に乱立し、商店街で買い物をする人が減りまして、全国の商店街が御存じのようにシャッター通りになっている、私どもの福井県も六時か七時ぐらいになるともう真っ暗になって、福井市の駅前はみんな閉まってしまう、そのような状態であります。

 商店街で買い物ができなくなってきておりますので、車を運転できないお年寄りの方は遠くにある郊外の大型店まで非常に苦労して出かけなければならない。本当に、それこそリュックをしょって、バスに何回も乗って、電車に乗って、一日仕事として買い物に行かなきゃいかぬ、そういう状況になっております。このままでは、これは総務省に関係あります地域のコミュニティーがだんだん崩壊してしまうんじゃないか、このようなことが考えられます。いわゆる伝統や文化といったものも失われてしまう。

 特に、商店街なんかのところは、シャッターは閉まっていますけれども、あれは商店街なんかで子供たちがよく遊ぶんですね。そうしますと、意外とそこの商店の店主とか店員なんかとのいろいろなコミュニケーションがありまして、子供たちがそこであらゆることを学んでいく一つの教育の場にもなっているのが事実なんです。ですから、青少年のいろいろな問題とか不良化とかそういうものがございますが、結構、健全育成には商店街を活性化するということも一理あると思うんですね。そういう意味でも私は大事だと思う。

 また、せっかく中心市街地にスーパーがあっても郊外の大型店との競争に敗れると撤退してしまう、そういうことが多いわけですが、長い間商店街でやってきた地元の小さな店は、こういった大型店の動きに翻弄されまして、極めて苦しい状況にあると思います。しかし、地元の町のことを真剣に考えるのはこういった小さな店であり、もうからなければ撤退するという方針の大型店が町のあり方に大きな悪影響を与えるのは非常に問題である、このように思っております。

 そういう中で、小さいお店のお客を奪うような大型店の立地を直接禁止することは、自由主義経済でございますから非常に難しいとは思いますが、一たん立地した大型店が、地元への影響を考えず、企業の都合で撤退するのは非常に私は問題である、このように思っています。規制というのは非常に難しいわけでございますが、何らかの対策を講じるべきじゃないか、このように思いますので、担当省の方、お願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたとおり、大規模な小売店舗が撤退をいたしますと、お客さんになっておりました消費者の方々に非常に不便が生ずるわけでございますし、御指摘ございましたように、周辺の商店街全体に不測の影響を生ずるということは重々認識をしております。

 こういった大規模小売店舗の撤退ということでございますけれども、こういうことが生ずる背景には、小売業全体を取り巻く環境の変化というものがあるわけでございまして、消費者ニーズや嗜好が非常に多様化して、目まぐるしく変化する、これに各小売業者が的確、機敏に対応するということで、いろいろな業態が出てきて、業態間の競争も激しくなる。それから、地域内ではない、広域的な商業集積間の競争という面も強まっておるわけでございます。

 したがって、個々の大規模小売店舗の撤退ということも、基本的には各企業の経営判断上やむを得ざるものということで、判断をしてなされるということだと考えざるを得ないところがあるわけでございます。

 こういった企業の経営判断が、社会的責任を十分踏まえてなされるべきことということは当然なわけでございますが、これを政府の規制とか指導で抑えたり覆したりするということはなかなか困難があって難しい、無理があるというふうに考えておるわけでございます。

若泉委員 それはよくわかっているんです。規制が非常に難しいというのはわかっているんですが、このままでいきますと、例えば大型店が撤退した後の空き店舗につきましても、これを放置しますと商店街全体に与える影響が非常に大きいということと、空き店舗を埋めるための対策というものは必要だと思うんです。

 いずれにいたしましても、供給と需要のバランスという形の中で、いわゆる流通機構で、小売店が、今もう問屋がだんだんなくなってきたから困るんだ、直接生産者の方へ買いに行かなきゃいかぬとか、非常にいろいろなものが発生しております。そういう問題が起きております。これをこのままにしておきますと、将来、いろいろな地域のコミュニケーションという意味でも非常にまずい結果になってくるんじゃないか、そして、生活者が大変困難になるんじゃないか、このように思いますので、これは、今のお答えは役所的なお答えでございますけれども、それに限らず、何か手だてがあればやはり十分に考えていただきたい、また対策を講じていただきたい、このように思っております。

 以上の危機的な状況の中におきまして、中心市街地活性化について地方公共団体はもっと関心を持つべきであると考えます。地方公共団体についての責任大臣でもある総務大臣であられると思いますが、いわゆる中心市街地活性化の一翼も担うという意味で、ぜひともお願いをしたいと思います。

 もともとセメント会社の社長、今でもそうかもしれませんが、社長さんでもあられますし、日本青年会議所の会頭として、私は、非常に有名になられたこともよく存じ上げております。経営的な考え方そしてまた見地から、これは何とか解決しなければ、都会は大丈夫かもしれませんが、特に地方の商店街、または地方のちょっと離れました郡部とかそういうところにおいては非常に将来大きなマイナス要因になると思いますし、さらに一極集中が進んで、日本全国に人口が分散するような形にならないんじゃないか、このように思っていますので、そういったことについてお考えをたださせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたい、このように思っています。

麻生国務大臣 若泉先生、多分これは今日本で一番難しい問題と断言できるほど、地方の経済という面から見たら最も難しい問題なんだと私自身は思っております。

 それを助長しております大きな理由は、少子高齢化という問題が非常にその背景にあって、地方で、先生のところはどうか知りませんけれども、大体、高齢化率二〇%いっているところというのは幾つもあります。そういうところの方々は、基本的には車で郊外へ行くということはできないという前提で考えたときに、たしか新潟の長岡だったかな、新しく始めていたと思いますし、いろいろなところでほかにも例があります。山形市の正面のところもそうしましたけれども、市と組んで。

 いわゆる商店街というものは、簡単に言えば、あきんどがサラリーマンになったわけです。言っている意味おわかりと思いますが、商店街の上に住んでいませんから。みんな郊外から通っているんだから。だから、サラリーマンと変わらぬでしょうが。昔は商店街の上に住んでいたから、お店が八時でも九時でもあいていたんですよ。ところが、今はみんな閉まっている。上に住んでいないから。サラリーマンと同じことになっておるという実態になって、勤めている共稼ぎが地元に帰ってきて、地元で買おうとしてももう豆腐はないというから、勤めている先のスーパーで買って、電車で持って帰ってくるという生活実態になっていましょう。

 そういうことを考えたときに、いわゆる商店街の二階に住んでいないんだったら、その二階以上の空中権を売れ、十階までビルを建てさせろ、そこを全部老人ホームにしてくれと。そして、そこの老人には、基本的には、下の一階までおりてきたりすれば、毎日そこで買い物するということによって人通りが起きる。基本的には、夜中人通りが多いというのがいい町です、盛り場じゃなくて。

 そういった意味では、こういったものをやろうとしているというのは、商店街というものは世界じゅうどこでもあるとお思いでしょうが、そうはないのであって、フランスのリヨンは、日本に来て商店街をそのまま模倣して、リヨンに持って帰ってああいう町づくりをしたんです。いろいろな例がありますので、私どもは、この高齢化の対策というのを考えないのはおかしいと思っています。

 商店街で、はやっているところもある。例えば、佐世保の商店街、東京でいえば巣鴨の商店街。これは、いずれも高齢者に的を絞っておる。そういうところで共通点は、間違いなく対象者の高齢者にとって欲しいものを売っておる、かつ、二階、三階と上に伸びていかないで、ずっと延々と横に広がっているというのがこの二つの町における共通点だと思いますが、そういった意味では、都心に人が住まなくなっているというのは明らかにおかしいんです。

 そういった意味では、町中に人が住まなくなっているというんじゃなくて、その町中に人が住めるようにするということになった場合、車の駐車場というけれども、車の駐車どころか、車が運転できない人の数が二割。

 しかも、その人たちは持っておるわけですから。ここが大事なところです。一千四百兆のうち七百兆以上は高齢者の七十歳以上の方がほとんど持っておられるという数字の実績からいったら、その人たちが買いたいものを売っているか、その人たちが買いやすい状況になっているかという点を考えていった場合に、僕は、これはもう何回も商店街等をやってきて、多分商店街の票は一票も入らなかったと自分でそう思っているぐらい、商人は堕落したんだと言い切って、ここまで当選させてもらいましたけれども、少なくとも僕は基本的にそういった話を言い続けてきたんです。

 地方でも、長岡、佐世保、山形、幾つかそういったところで、町の真ん中に、いわゆる老人ホームは田舎にあった、山村にあった分を中心部に移して、その中に老人用のクリニックを市がつくったりなんかするような努力というのは、これは出店をとめたらとかいうような話とは全然違って、全然別の町づくりの発想が出てこないとこれからの少子高齢化の時代には難しいと思いますので、もし時間がおありでしたら、巣鴨のとげ抜き地蔵に、あそこの商店街に一回行かれることをお勧めします。

 おばあさんの竹下通りというんですが、全国からおじいさん、おばあさんが、私この間行ったときは新潟からバスが来ていました。ぶわっとおりてくるおじいさん、おばあさんのすさまじさというのは、山手線巣鴨駅から歩いて数百メーターのところにありますけれども、これなんかは一つの例だと思いますが、明らかに活況を呈しております。それをそっくりそのままデパートに移しましたのが京王デパート新宿店。新宿のデパートは、間違いなく今でも小売店の中で唯一、増収増益という百貨店はこれだけだと思います。

 そういった意味で、いろいろ時代に合わせて努力をしておられるところはそれなりのあれがありますので、いかにもお先真っ暗な話だけではないという点だけは御理解をいただいて、いろいろ参考にしていただければと存じます。

若泉委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、大臣がおっしゃいましたように、早速見学に行ってきます。今後とも、そういったいろいろな提案があればまた御指導いただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 私、きょう最初に、今ちょうど若泉委員からの質問もありました、住民の暮らしや地域経済、町づくりにも大きな影響を与える大型店問題について質問させていただきます。

 今、全国で商店街の衰退、中心市街地の空洞化が進むと同時に、大型店の出店ラッシュが全国的に起きております。

 一つの具体例として、茨城県水戸市の周辺の現状についてお話をしようと思うんですが、ちょうど水戸市の駅を中心にした半径十五キロ圏内に、今後数年間で五つの新しい大型の商業施設の新設、増築が行われようとしております。

 今、郊外に県庁が移転しました。その近くの方に、水戸メガモールという、売り場面積が七万八千平米、極めて広い売り場面積で、想定の年間売り上げが三百億円、こういう施設が建設予定をされている。それから、水戸駅から二駅上野駅寄りに行った内原駅という隣町ですけれども、ここにも、売り場面積が五万平米で年商二百七十億円という商業施設ができる計画があります。それから、逆に、反対方向に行ったひたちなか市、水戸市の駅から十キロほどの郊外に大きなホームセンターがありました。これが二万八千平米の売り場面積を増床して、倍以上の五万八千平米にする、こういう計画もあります。

 それ以外に、水戸駅の隣の赤塚駅にも二つの大型スーパーが進出をする計画ですとか、水戸駅そのものについても南口に大型の商業施設をつくる、こういう現状で、足し上げても十五万平米以上の新しい売り場面積が今後数年間でできるような計画になっている。

 もともと、商いの都、商都と言われた水戸の中心商店街の年商が三百億円ぐらいだと言われていますから、それを大きく上回るような計画になっております。もともと中心市街地については今全国でもTMOが進められておりまして、市が認定をした構想をつくられて、取り組みも行われているところであります。

 現地では、特に水戸メガモールの出店計画に対し、水戸市の中心商店街がこぞって反対をしておられまして、水戸市商店会連合会がポスターまでつくりまして、「反対 水戸メガモールが完成したらこのまちから商店街がなくなります」、こういうステッカーが町じゅうの商店に張られております。この間、一万五千人の反対署名も集めたわけですが、そういう中で、市議会にも特別委員会をつくって議論もしているそうであります。これは全国共通している一つの事例だと思っております。

 もともと、一九九八年に商業調整を行う大店法が廃止をされて、いわゆる町づくり三法ができました。大型店の出店の可否は都市計画法に基づくゾーニングで決めて、大型店出店に当たっては大店立地法で、騒音ですとか駐車場の整備など、周辺の生活環境を保持するための調整を行い、空洞化した中心市街地の支援策としては中心市街地活性化法などを使う、こういう町づくり三法ですが、これがうまく機能していないという声が全国各地から上がっています。

 宮城の仙台の商工会議所に置かれております仙台商業政策協議会がまとめた町づくり条例制定に向けての提言では、本来町づくりの根幹となるべき現行大店立地法等の町づくり三法による法制度が十分機能していないと指摘をしております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、この中心市街地活性化対策を含む町づくり三法というのが当初の想定どおり機能していないのじゃないか、このように私は思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは塩川先生、今言われたとおり、既存の商店街で最初から賛成したところはありません。ただ、それができたおかげで都会のものが間違いなく安く早く、しかも選択肢が極めて広がったとして住民は歓迎したという背景があるから、そういったものが通っていったんだと思っております。

 それに対応するようなことを少なくとも三法としてはいろいろ応援をしたところではありますけれども、今言われたように、いわゆる競争という原点に立てば、そういったものが入ってきたことによって、その地域には明らかに新住民が一挙にふえております。そして、その人たちの固定資産税等々もふえたりなんかしておりますので、これは中心商店街だけを見れば今おっしゃったとおりになっておりますけれども、プラスの面もあるというところが難しいところなんです。

 したがいまして、私どもは、では商店街はお店を何時まであけておられるんですかというと六時、新しいお店の方は八時まであいておるということになりますと、それはなかなか難しいということになろうと思いますので、私どもは、それはいかにうまく組むかということだと思います。

 例えば東京でいえば、中央線の吉祥寺の駅に行かれた、吉祥寺というところを御存じかどうか知りませんけれども、吉祥寺に行くと、あの駅をおりたところは商店街がそのまま栄えておる。こっちとこっちにデパートをそれぞれつくらせ、こっちとこっちにスーパーをつくらせ、あれはみんな町じゅう協力して、一緒にしない、わざと離してその間を商店街が通るようにしたという知恵は、あれはみんなで考えた知恵です。

 そういった知恵を商店街でやっていますかというと、私に言わせると、少なくとも私の住んでいる町では全くそういう対応はしませんでした。結果として商店街が寂れていっておりますので、おれが二十年前に言ったときは、おまえ、みんな反対したじゃないかと。言い続けて、気がつくのが遅過ぎただけだと開き直るものですから、票は全然ふえぬのですけれども。

 私は基本的に申し上げていることなんであって、これは、競争のところの部分と、その人たち、お客の対象としない人たちをいかに中心市街地に呼び込むかという全然別の発想でやらぬと、政府がある程度お金をつけてどうのこうのというような形で商売ができるというのは、駐車場ができるところぐらいまでが精いっぱいで、それ以上いろいろな法律で援助してもなかなか難しいであろうなというのは、最初からある程度、私どもから、地元で商売していた側から言わせていただくとそんな感じがいたします。

 うまくいっているところも確かにあります。ありますけれども、今言われたような例が多いということも事実です。

塩川委員 今大臣が紹介された吉祥寺の例というのは、二核一モールと言われるような、両わきに大きな商業施設を設けて間をつないでいく、こういう例というのは全国でも取り組みがあって、例えば群馬の沼田市でもこの二核一モールでやっているんですよ。そうしますと、郊外に大型店が出たためにこの核となる大型店舗が中心市街地から撤退をしてしまった、その辺になかなか難しさが現実にはあるわけですね。

 そういう中で、例えば福島県などでも県北の方に大型の商業施設が出てくる、これについて、地元の町は賛成なんだけれども、周辺の町が反対、なかなかまとまらない。そういう点でも、今、福島県として広域まちづくり検討会というのをつくって提言をまとめたそうであります。

 そういう中を見ましても、要するに、都市と農村の均衡ある発展という本来の町づくり、都市計画というのを本当に生かしていく上でも、もっと機能させるべき中身があるんじゃないか。そういう立場で、福島県のこの提言では、大型店の郊外立地は、ゾーニングの手法を活用して対処するのが基本であるが、現状では対応に限界があるため、立地調整のための新たな仕組みについて検討する必要がある、こういうことを県として考え始めているという段階なんですね。

 そこで、国土交通省に伺いますが、この町づくり三法の一つであるゾーニングを進める都市計画法についてですが、この都市計画法に基づいて大型店出店を実際に規制したような、そういう事例というのはあるんでしょうか。お答えください。

増田政府参考人 お答えいたします。

 大規模小売店舗のゾーニングによります立地規制につきましては、町づくり三法の一環といたしまして、平成十年の都市計画法の改正によりまして、用途地域内で自由に用途制限が可能になるように、従来ありました特別用途地区の類型の限定を廃止したという改正を行いました。さらにまた、平成十二年にも都市計画法の改正を行いまして、用途地域以外の地域につきましても用途制限ができますように、特定用途制限地域という制度を創設いたしました。これらはいずれも、市町村の判断によりまして大規模小売店舗などの立地規制が可能になるというような制度を導入したところでございます。

 このうち、特別用途地区の都市計画につきましては、これまで定めた例は全国に十六都市ございます。うち、愛知県の豊田市におきましては、まさに幹線道路沿道において大規模店舗を規制することを念頭にこの特別用途地区を指定したということでございます。

 それから次に、特定用途制限地域を都市計画に定めた例でございますけれども、これもこれまでに全国に十二都市ございます。このうち、熊本県の荒尾市などにおきましては、これも大規模小売店舗等の立地を実質上規制するという内容の制限地域を定めたということでございます。

塩川委員 全国数百の、いろいろな問題が起こっている中で、実際に町づくり三法に沿う事例というのは豊田市の話なんですよね。豊田市の話を聞きましても、駅の中心の商業施設、これを機能させようということで、その中心市街地に隣接する国道沿いについて用途制限地区にしようというところですから、もっと離れたところの五キロとか十キロとかの大型店まで規制するような中身じゃないですから、実際には、本当の意味で機能しているのか、こういうことが今問われているんだろうと思います。

 全国でも、大店法の廃止が失政だったということを、この前、経済産業委員会で福島県の商工会議所の会頭さんがおっしゃっておられたり、水戸市の商店会の役員の方とお話をしても、大店立地法は機能していないという声がやはり現場に出ているのが実際だと思うんです。

 そこで、ことしは大店立地法に基づくガイドライン、立地指針の見直しの年であります。

 水戸市のメガモール計画の場合に、来客者の駐車場、これを四千台確保すると事業者の方から出ているんですね。それに対して、従業員の駐車場の確保について何の説明もなかったというんですよ。七万八千平米という大きな売り場面積を持つことですから従業員が当然必要なわけで、水戸市の問い合わせに対して、事業者は、口頭の回答ということで、従業員駐車場、一千三百台必要だ、四・一ヘクタールの面積が必要だと。しかし、これは事前の事業計画の説明には出てこない話なんですよね。

 ですから、私は、従業員の駐車場自体が地域の道路など生活環境に大きな影響を及ぼすのに、このことについて立地指針には定めがないわけです。ですから、この従業員専用駐車場の確保についても立地指針にきちんと規定を設けるべきじゃないか、このことを思いますが、この点いかがでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、現行の指針におきまして、駐車場の容量の点につきましては、基本的には、予想される来客の自動車台数を基本として必要な駐車能力を確保する、こういうことにはなっておりますけれども、その上で、来客のための駐車場を従業員の通勤用の車などについて共有している場合については指針の中で明記をしておりまして、そのまま読み上げるのは省略いたしますけれども、来客のための駐車場を従業員の通勤用の車と共有する場合においては、ピーク時の業務状況等を勘案して必要な駐車台数を追加する、そういうようなことが規定をされております。

 専用の駐車場の点については明記されておらないわけですけれども、こういう規定からいって、通勤用の車について設置者の責任において別途手当てすべきが当然であるということで規定をしていないわけですけれども、今回指針の見直しの中で、いろいろ関係者の意見をお聞きしながら、明確化することが必要かどうか検討していきたいというふうに考えております。

塩川委員 立地指針の見直しについては、運用者の都道府県、政令市には事前に意見を聞いているそうなんですね。ことしの夏から審議会を立ち上げて議論するそうですけれども、現場で苦労しているのは市町村の皆さんなんですよ。市町村の皆さんの意見を聞いているのかということなんですよね。水戸市の担当者の方に聞いたら、問い合わせはありません、県の方からもありませんということでは、これは本当の意味でいい改定ができるのかと思いますので、市町村からもきちんと夏の審議会前に意見を聞くべきだと思いますが、その点はいかがですか。

小川政府参考人 指針の見直しでございますけれども、平成十六年度中、今年度中を目途とする見直しに向けて調査を早急に行う、規制改革計画でもそういうことになっておりまして、調査を始めているわけでございます。

 そういう中で、御指摘ありましたように、法律の運用主体であります都道府県、政令都市に、今の指針についてどういうふうに見直すべきかという点のアンケート調査を行っておりますけれども、その中では特に、実際に大規模店舗が立地しております市町村などの関係者の御意見をできる限り幅広く収集して回答してほしいという点をお願いしておりまして、現に、多数の都道府県から、具体的な市町村の御意見を伴って回答が上がってきておるところでございます。

 とはいえ、今後も追加的な御意見等々あると思いますので、引き続きそういった追加的な御意見についてはお伺いして、きちっとそれを反映させて指針の見直しを進めていきたいというふうに考えております。

塩川委員 水戸市は聞かれていないと言うんですから、では、ぜひ水戸市さんにだけでも聞いてもらうような、改めて夏前にそういうことはぜひやってもらいたい、このことをお願いします。

 それで、大臣に一言この問題でお伺いしたいんですが、今、県とか市町村がいろいろな取り組みを始めているわけですよ。先ほども紹介しました福島県の話でも、広域まちづくり検討会の提言というのは、町づくりや中心市街地の空洞化対策などに重大な影響を及ぼす大規模店については県が広域的に調整する、そういう仕組みをつくることを県に求めているんですね。つまり、一つの町だけではらちがあかないようなことがあるじゃないか、こういうような非常に積極的な取り組みだと思っているんです。

 住民の声を反映した地方自治体独自のこういう積極的な取り組みについて、ぜひ大臣から励ましの言葉をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 佐藤栄佐久を励ましてやってと。佐藤栄佐久というのは知事の名前です。名前だけえらい立派なやつなんですけれども、昔から知っていますのであれなんですが、励まさなくても元気なやつです。

 間違いなく、今のは、取り組みとして県全体で調整しないといかがなものかという指摘は正しいと思います。

塩川委員 今いろいろな、商店の方だけじゃなくて、市民と一緒に取り組むような運動が全国で広がっているわけです。私たちも今回、商店街、大型店問題の党としての政策提言も出しましたけれども、やはり商店街などが市民を巻き込んで魅力ある町づくりをつくっていくという振興策というのは大いにやるべきだ。それとあわせて、郊外型の大型店を規制するようなルールというのもふさわしく設けるべきだ。その点で、我々は、大店立地法の抜本改正というのを強く求めているものであります。

 この点、最後にこの問題では申し上げて、ことし二月の委員会でも質問しました郵政公社の越谷郵便局の件について、幾つか事実関係についてお伺いをします。

 ことし二月に、越谷郵便局においてトヨタ方式を導入する、その問題がいろいろなふぐあいを生じているということを紹介しました。サービス向上を図るといううたい文句が、実際には、残業時間が大きくふえて、三六協定も見直さざるを得ないような事態になるとか、サービス残業もあると職場の労働組合で指摘をされるような事態があり、一方で、正月の年賀状の配達がおくれるようなサービスの低下も見られたわけです。現状も変わっていないというのが職員の方の声で、午前中の配達の帰りが午後になったり、午後の配達も六時以降になるような、こういう現状というのが続いているということです。

 そういう中で、この越谷郵便局で集配業務に携わる職員の方が亡くなるという痛ましいことが起こりました。こういうトヨタ方式でのあり方がどうなのかが問われている重大なときに、この問題について具体的に事実関係を明らかにしていただきたいと思っています。この職員の方が亡くなったことについての事実関係について、簡単で結構ですけれども、お話しください。

清水政府参考人 郵政公社の方に確認いたしましたところ、まことに残念なことでございますけれども、越谷郵便局、そこの第二集配営業課の職員の方一名、三十六歳の方なんですが、この方が、本年五月十八日に自宅で倒れられて、搬送先の病院で入院しておりましたところ、五月三十日に死亡したと聞いております。

塩川委員 死因は脳梗塞だそうですけれども、三十六歳ということで、突然の在職死に家族の方の悲しみは察するに余りあります。

 職場の人員というのが定員割れをしていたというふうに聞いております。今お話があったように、集配営業課が第一から第三まであって、この方が第二営業課ということですから、この第二営業課の計画人員と実際の人員について、常勤職員と短時間職員がそれぞれ何人になっているのか、教えていただけますか。

清水政府参考人 今先生御指摘がございました越谷郵便局の第二集配営業課なんですが、平成十五年の四月一日、その時点での常勤職員の計画人員は四十一名でございました。これが、十六年の五月三十一日の数字をということでしたので、この数字は四十名ということで、一名減になっております。

 計画人員に対して実際に配置されているのが現在員という形になりますが、これにつきましては、四月一日、四十一名の計画人員に対して四十一名の現在員でございました。五月三十一日は三十九名ということで、二名減になっております。

 それからもう一つ、実質上四時間勤務という形になります短時間制職員というのがございますが、この短時間制職員は、十五年の四月一日現在は六名という計画人員でございまして、十六年の五月三十一日では、同様に六名という計画人員になってございます。ただし、現実の現在員につきましては、平成十五年の四月一日現在で四名だったものが、平成十六年の五月三十一日現在は一名増の五名という形になっております。

 なお、非常勤の在籍もございます。

塩川委員 第二集配営業課の非常勤職員の人数ですけれども、昨年四月と現在の人員について紹介していただけますか。

清水政府参考人 非常勤職員につきまして、第二集配営業課のみの数字で申し上げますと、平成十五年の四月一日現在、この場合には計画人員がございませんので在籍者数になりますが、在籍者数で四十八名、平成十六年の五月三十一日現在では六人減という形で、四十二名というものになっております。

塩川委員 仕事量が減っているならまだしも、ふえている中で大幅に人員が減っているのが現状であります。

 第二集配営業課の亡くなった職員の方がいた四つあるうちの一つの班、その班でも、四人いた非常勤職員が、お正月を過ぎたところで二人に減ってしまった。また、その班では常勤職員が三月に一人転勤をし、他の班では人事異動で一人減り、二人減っているという事実があると承知していますが、その点はいかがですか。

清水政府参考人 現在数は、先ほど御説明したような形での実質上減員という形になっております。非常勤職員についても同様でございますが、本務者の関係、いわゆる常勤の方を含めて考えますと、これは内務の職員の場合と外務の職員に分けて考えられるんですが、実際上、計画人員については、本務者にかえて非常勤職員を活用するというやり方の効率化方式をとりまして、集配営業課内部で本務者を一名ずつ三課で計三名減員して、内務についてはJPS実施の改善要員としまして二名増配置した。この結果、トータルで本務者が一名減という形には、三課で合わせてはなっているところでございます。

 それから、非常勤職員の方も、先ほど述べましたような減になっておりますけれども、これは三課の中での業務の見直しですとか、本人都合ですとか、そういう退職により雇用者総数が減ったものがございまして、現在でも補充しているところとも聞いておりますが、現在の実数ではそのような数値になっております。

 なお、越谷郵便局全体では、郵便物数については、若干の減、二・三%程度減というような話も聞いているところでございます。

塩川委員 昨年末はそれ以前よりもふえたという話もありました。トヨタ方式が本当にむだ、むら、無理をなくしているのかという検証が求められているときに職員が亡くなったという点でも、効率化の名のもとに人手を減らすようなことが行われているのであれば極めて重大で、郵政公社の決算についての委員会での議論の機会もあるそうですから、大いにこの点についても引き続きただしていきたいと思っております。

 最後に、残りの時間で、山形テレビについて何問か伺います。

 山形テレビが出してきた報告書を見ましても、幾つか不明の点というのを感じております。そこでお聞きしますが、共産党と社民党が入っていないという問題について、山形県選出の国会議員がいなかったからだということなんですが、この県選出という基準は何なのかということについて、どのようなことを聞いておられるのか、お答えください。

武智政府参考人 山形テレビから伺っているところによりますと、民主党につきましては、山形県選挙区から出馬をして、東北ブロック比例区で当選をいたしました鹿野道彦議員と近藤洋介議員の両名を県選出の議員というふうに位置づけているということであります。

 また、公明党につきましては、参議院比例区選出の渡辺孝男議員がこれに当たるわけでありますが、当該議員は自宅を米沢市に有しており、昨年十二月まで公明党山形県本部長を務め、現在も県本部顧問につき、長く山形県を拠点に活動していることから、県選出議員と位置づけたというふうに聞いておるところでございます。

塩川委員 私は、県選出という場合には、県民が選挙で選んだというふうに思うんですよね。それが県選出の国会議員という基準じゃないかなと思うんです。

 今のお話を聞きますと、例えば公明党の場合なんかは県本部の役員だった。ということは、公明党の党内の選挙で選ばれると県選出の国会議員というのかな。そもそも住んでいるということであれば、それは県選出の国会議員じゃなくて県在住の国会議員なんですよ。ほかにも山形に住んでいるような国会議員がいたら、その人も県選出の国会議員になるのか。この点について確認されましたか。

武智政府参考人 県選出という言葉の定義だと思われますが、けさの議論でも一部あったかと思いますが、報告書において県選出という意味をどういう意味で使ったかということであります。いろいろなお考えがあるんだと思いますが、一つの考えであろうかというふうに私どもは考えておるところであります。

塩川委員 いや、ですから、県選出じゃなくて県在住じゃないのかと率直に思うんですよ。この点は確認されていないんですか。

武智政府参考人 先生のようなお考えで県在住という表現も私はこれに当たると思いますが、県選出がいいのか、県在住がいいのかということについてお答えすれば、そのような確認は山形テレビに対していたしておりません。

塩川委員 もともと県会議員は我々もいるわけで、県会議員も出た山形県の状況についてのそういう広報番組に、声もかけないということ自身が問われるんだと思うんです。

 そういう意味でも、私、今度の報告書というのは極めて不十分だと。今言った問題についてもきちんと書かれていない。その点について総務省として確認もしていない。私、そういう点で、今回の山形テレビというのは、国民に対して、視聴者に対してふさわしい説明責任を果たしていないんじゃないかと率直に思うんですが、大臣、山形テレビは説明責任を果たしていると言えるのか、お聞きします。

麻生国務大臣 見解の相違だといえば見解の相違ですけれども、少なくともそこの県の本部長を務めていれば県の代表なんじゃないんですかね、普通は。私だとそういうぐあいに考えるので。私の県にも、住んでおられませんけれども、元愛媛県出身の方やら何やら皆福岡県連所属の国会議員はいらっしゃいますので、県連に所属しておられるとやはりその県の代表ということに、うちはそう考えておりますので、山形テレビがそう思ったとしても、私の考え方とそうは違わぬな、正直なところ、それが私の実感なんです。

 共産党ではどういう基準なんだか知らないけれども、少なくともその党で、うちの代表はという人がおられたら、その人はその県連所属ということに私どもの党でもなっておりますし、普通はそういうぐあいになっておられるんだと思いますので、山形テレビが極端なことになるかなというのが率直な実感です。

塩川委員 納得がいかないわけで、山形テレビについてのふさわしい説明責任をきちんと果たすべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。

佐田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.