衆議院

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第1号 平成16年8月4日(水曜日)

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本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小西  理君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    赤松 広隆君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      黄川田 徹君    須藤  浩君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    中村 哲治君

      西村智奈美君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

平成十六年八月四日(水曜日)

    午後一時十分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      大前 繁雄君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    亀井 久興君

      川上 義博君    小西  理君

      自見庄三郎君    柴山 昌彦君

      田中 英夫君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    赤松 広隆君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    藤田 一枝君

      松野 信夫君    山花 郁夫君

      河合 正智君    長沢 広明君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

    …………………………………

   議員           赤松 広隆君

   議員           古川 元久君

   議員           中川 正春君

   議員           山井 和則君

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        山口 俊一君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)   須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)   大谷 泰夫君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     大前 繁雄君

  谷  公一君     川上 義博君

  萩生田光一君     柴山 昌彦君

  西村智奈美君     藤田 一枝君

  若泉 征三君     松野 信夫君

  長沢 広明君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     自見庄三郎君

  川上 義博君     谷  公一君

  柴山 昌彦君     萩生田光一君

  藤田 一枝君     西村智奈美君

  松野 信夫君     岡本 充功君

  古屋 範子君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     若泉 征三君

    ―――――――――――――

七月三十日

 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

八月二日

 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第三号)

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたしますことが二件ございます。

 まず、去る七月一日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出があり、同日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

 次いで、去る六月十六日、本委員会から調査局長に命じました独立行政法人の組織等に関する予備的調査につきまして、昨三日、その報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

     ――――◇―――――

佐田委員長 岡田克也君外十名提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。赤松広隆君。

    ―――――――――――――

 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松(広)議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。

 さきの通常国会で成立した年金改正法に対して、国民は強い疑念を抱き、繰り返し不信感を表明してきました。成立前の世論調査では、おおむね六割が法案に反対し、この民意を踏みにじって衆参両院での強行採決という異例の国会運営を行ったこともあり、成立後の世論調査では、七割から八割の国民が成立を評価しないとしています。

 そして、最も鮮明に国民が年金改正法にノーを突きつけたのが、先月の参議院選挙であります。この選挙で有権者は、どの世論調査を見ても、年金を最大の判断基準としていました。まさに年金選挙と言える選挙であったわけであります。そして、その結果、与党は改選過半数を獲得することができませんでした。自民党は第一党を滑り落ち、議席数、比例区得票数、選挙区得票数いずれでも民主党の後塵を拝したのであります。これが民意であります。国民は、今回の年金改革はだめだということを、民主主義の最も重要な手続である選挙で、これ以上ないくらい明確に表明したのであります。年金改革関連法の廃止は、我が国が民主主義国家である以上、当然のことであります。

 年金改革関連法を廃止する理由はほかにもあります。すなわち、この改正のいわゆる本体法は、既に内容的に欠陥法となっているのであります。それを端的に示しているのが、四十カ所に上る条文ミスです。しかも、官報への正誤表掲載でそれに対応しようというのですから、ずさんにもほどがあります。

 政府は、通常国会の年金審議中からさまざまなまやかしを繰り返してきましたが、成立後最大のまやかしが判明しました。審議中に民主党議員が繰り返し求めてきた出生率が、法案成立後に公表されたのであります。民主主義を支える情報公開や適正手続を怠ったことも極めて問題ですが、年金改革に限って言えば、事後的に公表されたこの数字こそ最大の問題です。政府が全く想定しない一・二九という出生率では、年金改正法の約束する負担上限、給付下限が実現できないのであります。既に年金改正法は破綻しています。

 今回の年金改革は、明らかに破綻しています。そして、参議院選で示された民意は、年金を一から議論し直すことであったのは明らかです。これは与野党の違いを超えた受けとめ方だと考えます。一元化も含めて検討せよと国民は言っているのであります。だからこそ、年金改革関連法の一つとして成立したこの地方公務員等共済組合法も、一たん廃止して一から議論することが必要なのです。

 以下、法律案の概要を申し上げます。

 第一に、さきに申し上げましたように、通常国会で成立した地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止することとしています。

 第二に、基礎年金拠出金に係る負担に要する費用についての地方公共団体の負担の割合を平成二十年度末までに二分の一とするものといたします。

 第三に、改正法に盛り込まれていた事項のうち、特に必要と認められる部分については、改めて地方公務員等共済組合法の改正を行い、実施することとしています。具体的には、在職中の年金支給額の一律二割カット制度の廃止、育児休業等をしている組合員に対する掛金の免除措置の拡充などであります。

 また、本法案と同時に提出した国民年金法等改正法廃止法案の中で、平成十六年度公債特例法の事務費の国庫負担の特例に関連する規定を削除していることにかかわり、地方公務員共済組合においても掛金を事務費に充当しないこととし、関連条文の整理を行っております。

 以上が、法律案の概要であります。

 重ねて申し上げますが、参議院選挙で示された民意は、年金改革を一から議論し直せということでありました。この民意を素直に受けとめれば、今回の一連の改正法廃止法案提出は余りにも当然の行為であり、憲法に規定される国権の最高機関は、民意を代表してこそその権威が保たれるものであることを強く申し上げ、趣旨説明を終わります。

佐田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官鈴木俊彦君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、自治財政局長瀧野欣彌君及び厚生労働省大臣官房審議官大谷泰夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。

谷本委員 自由民主党の谷本龍哉であります。

 質問をさせていただきますが、まず冒頭に、参議院の結果の民意についてのお話がありましたので、それはもっともだと思いますが、同時に、今の日本国のルールの中で、衆議院、参議院ともに連立与党が過半数であるということもまた一つの民意だということを申し上げたいと思います。

 それでは、法案についての質問をしたいと思います。本来、総務委員会ですから地共済法をということですが、関連もありますから、全般について質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと通告をしていないんですけれども、冒頭に、これは感想ですから、法案提出者の感想を聞かせていただきたいんです。

 今回、この法案をせっかく皆さんが提出される。当然、法案提出者としては、しっかりと時間をとって審議をしたい、これが心情だというふうに思います。ですから、会期のことでもいろいろな議論がありました。民主党さんの方から、一カ月以上、つまり八月いっぱいあるいは九月まで、こういう提案があったことも承知をしております。私も、議院運営委員会におりましたので、情報も得ながら状態を見ていたんですけれども、ただ、少し不思議に思ったのは、本当に本気で真剣にこの一カ月以上の会期を望んでいたのかどうか疑問に思う点がありました。そこをちょっと聞きたいんです。

 例えば、これは余り重要なことじゃないですけれども、聞くところでは、多くの民主党の議員の方々も、八月いっぱいの会期といいながら、ほとんど海外出張のいろいろな日程も入れられていた。これはキャンセルすれば済むことだということかもしれませんが、同時に、その会期の議論をしている議運の海外出張も八月にあると聞いています。これも、民主党さんの議員も出るという前提でずっと話が進んでいた。これは瑣末なことかもしれませんけれども、必死でやるというんであれば、その辺をキャンセルして全部空白にして臨んでくる、こういう迫力があってもよかったんではないかというような気がしました。これは小さな点ですけれども。

 それよりも重要なのは、その会期の議論をしっかりとしているときに、この法案提出者の一人でもあります民主党の代表の岡田さんが、では一体どこで何をしていたのか。本来であれば、それだけ重要であれば、この日本にいて先頭になって陣頭指揮をとってしっかりと議論をするのが意気込みだと思います。それをせずに、ましてや、重要だというこの臨時国会の会期を決める初日の本会議にさえ出てこない、そういう状態であった。

 それは違うという声もありますけれども、我々が見ていれば、ああ、日本にいて会期をしっかり確保してこの法案を審議したいという気持ちよりも、海外を回った方がいいんだと党首みずからが思っているというふうに感じられると思うんですね。

 私がもし法案提出者、皆さんの立場であれば、そういうことをするな、すぐ戻ってきて、海外はまた別のときに行けばいい、しっかりとこの臨時国会を戦い抜くための陣頭指揮をとってくれ、こういうふうに思ったと思うんですけれども、その辺はどのように思われますか。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

赤松(広)議員 いろいろと御指摘をいただきました。

 まず、私も多少谷本先生よりは長く国会議員をやっていますので、通例でいいますと会期というのはぎりぎりまでなかなか決まりません。そんな中で、例えば私が議運の筆頭をやったり国対委員長をやっているときも、もし、これがいついつに終わればいついつから海外出張に行こうということを決めておりましても、不測の事態が起こり緊迫した情勢の中では、そんなものはキャンセルなんということは、往々にして当たり前に日常的にあることでございます。

 今回も、私どもは一カ月の要求をもちろんしておりましたし、本気で要求もしておりましたけれども、結果的に多数決等で議運、本会議であのように決まったわけですから、決まったときには、こういう形でいきましょうということで、これはもう与野党合意のもとでやっているわけですから、ぜひその点については御理解をいただきたいということが第一点であります。

 それからもう一つは、党首の問題であります。正直言いまして、これは党内にも若手の皆さん方から意見が一部ありました。これはしかし、事実関係だけ正確に申し上げますと、三十日から国会が開会をされ、本人は、三十日はちょうど飛行機の中、三十一日にもう帰ってきております。そういう中で、しかし、具体的な法案の審議がなかったにしても、開会式等があって、そのときには岡田代表がいなかったのは事実です。

 そのことについては、御本人の方も、そしてまた党も、いろいろ相談をする中で、幹部の中では、ちょうどアメリカの民主党大会をやっておりまして、次期大統領になるかもしれない、あるいは民主党ばかりじゃなくて共和党の主要な方たちとお会いをする。日米関係というのは日本の外交にとって中心ですから、やはりアメリカが、共和党にしろ民主党にしろ、どの方たちが次の政治の担い手になっていくのか、ある意味では世界のトップリーダーになるわけですから、そういう意味で、しっかりとした、日本の政党のトップとしてそういう環境をつくっていきたい。

 どちらを重視するか、どちらをとるかの問題ではありませんけれども、そういう中で、たまたま実質的な審議には影響がないのでということで、一日だけお許しをいただいて代表は失礼をした。それについてのいろいろな御意見があり、御指摘があるのは事実だと思いますので、そのことは私どもからも代表に、今後はそういうことがないような形で、一点でも指摘を受けたり疑惑を持たれるようなことはいけませんから、その辺は今後は襟を正していきたい、このように思っております。

谷本委員 お話、よく伺いました。

 こちらから見てといいますか、あるいは法案提出者の立場でいえば、あのような形ではなくて、本気でこの臨時国会、必死でという姿勢を感じるかどうかという点でいうと、そういうふうにしてあけているというところが、こちらとしては真剣さが感じられなかったという話であります。

 それでは、次は通告をしておりますけれども、法案の構成、中身についての質問であります。

 法律案要綱を見させていただきました。読みまして、これは見ればわかるとおりですが、もとの改正法の切り張りをした法案になっているわけなんです。これはつまらないことですけれども、例えば国民年金法の要綱は縦書き、地方公務員のものも縦書き、国家公務員共済の方は横書き、私立学校教職員は縦書き、もとの改正法が縦、横となっているものですから、そのまま切って張ったような要綱になっているんです。

 もし今回、改正法を全部廃止して、そしてしっかり中身のあるものをつくるんだ、出すんだというのであれば、本気でこれをやるのであれば、私は、こういう切り張りじゃなくて、要は与党案のいいところをとって悪いところは捨てるという形じゃなくて、民主党さん独自の、自分たちの提案もこれ以外にあったはずですから、そういうものを含めて、そして民主党の方々の政策立案能力をしっかり示すような法案を本気で出してこられるのかなと初めは思っていたんですけれども、そこが完全な切り張りになっている。

 このような、こちらから見るとどうも間に合わせに出してきたようなイメージになるんですけれども、その辺はどういうふうに思われますか。

赤松(広)議員 どのように谷本議員が思われるのは自由ですけれども、決してこれはいいかげんでも切り張りでも何でもありません。

 ただ、私どもは、先ほど会期の話もありましたけれども、もし一カ月とか二カ月とか徹底してこの間に年金の議論をしようということであれば、また出し方も多少変わったかもしれませんが、少なくとも今回の年金廃止法案を我が党が出そうという大前提は、いわば選挙の公約として、私どもは、何としてもこの参議院選挙で勝って、そしてさきに通った、もう最悪のこの年金改正法を何としても廃止をまずするんだ、そのことを公約にして戦ってきたわけでございます。

 その意味でいえば、まず廃止をしなければ、次にどういうものをつくるかできないわけですし、これはもともと与野党協議の中でも言っていますけれども、年金制度というのは、やはり一政党が、一政権がつくって、政権交代があるたびにその都度年金制度が変わるなんということはいいわけがありませんから、スウェーデンがよく例に出されますけれども、やはり与野党がしっかり協議をした上で、そして政権がどう変わろうがその年金制度は変わらないということを考えたときに、それは、民主党は民主党で案がありますよ。ちゃんと前回の通常国会でも年金制度抜本改革法案というのを出していますし、衆議院、参議院のときのマニフェストでも、それぞれその中身については示していますから、もちろん我が党は持っています。

 しかし、むしろ今肝心なのは、まず廃止をして、廃止をした上で、自民党、公明党そして我が党、そしてまた共産党や社民党の皆さんにも入っていただいて、やはり全党合意のもとで、みんながそれぞれ譲り合うところはあるかもしれませんけれども、そういう中で、やはり安心と安全の、将来にわたって揺るぎない年金制度をつくっていく。

 そのことが重要で、とりあえず国民の民意は、どういうものをつくってくれよりも、安心して我々が納得できるような年金制度をつくってほしい。その前には、まず、通ってしまったあの年金制度は廃止してほしいというのがこの参議院選挙の民意であったわけでありますから、そこに一点集中をして、私どもはわかりやすい形で今回、廃止法案、関連する法案を出させていただいたということで御理解をいただきたいと思います。

谷本委員 今赤松議員の方から言われました、年金制度は党利党略でやるべきじゃない、やはり将来にわたっての国民の安心ですから、どの党であれ、どこが政権をとっても変わるようなものであってはいけない、これは大いに賛成であります。

 そうでありますから、思い起こしますとあの五月の六日、三党合意をしたわけですね。これを、言葉じり、理屈を言えばいろいろな解釈もできるんだと思いますけれども、政治家としてあの時点でのいろいろな話し合い、そういうものをよく思い起こしてみれば、事実としてあのとき民主党さんは、原案には反対だ、修正部分は賛成だと。そして今後、年金だけじゃなくていろいろな社会保障政策を三党でしっかり議論していこう、そういう三党合意をした上で、与党の賛成で採決をする、これはまあしようがないというような流れだったというふうに思っております。

 そういう流れであるとすれば、これは反対ではあるけれども、しかし、与党側の賛成で通すのはしようがない、そのまま参議院に行けばまたそれを審議するという前提であったと我々は考えております。しかしながら、衆議院を通った後、参議院に行った途端に急に態度を変えられまして、そして徹底的に審議拒否という形になりました。

 こういう流れを外側から見ていますと、中で何があったのか我々にはわかりません。何で突然そういうふうに変わったのか。これを外から見て想像すると、中でだれかが、合意なんかしたら参議院が戦えないじゃないか、こういう文句、どなったんじゃないか、そういうふうな勘ぐりをしたくなる部分でもあるわけです。

 なぜこのときに、衆議院ではそういう三党合意をして採決まで行った、それが突然参議院の方で審議拒否というふうになってしまったのか。その点についてどういう見解を持たれているか、お答えいただきたいと思います。

赤松(広)議員 私どもは、基本的には、三党合意を積極的に進めたいという気持ちは今も変わっておりません。

 ここに三党合意の文書の控えがありますけれども、ただ、よく見ていただきたいと思いますが、この合意の中では、重要な柱として第一の第五のところに、衆議院厚生労働委員会において年金に関する委員会決議を行うということで、これについては具体的な案を当時委員会の筆頭理事等から出して与党側と折衝したわけですが、実質的にこれは合意ができなかったということをもって拒否をされた。そうすると、その大前提がまず崩れてしまったということがあります。

 それからまた、あわせて申し上げれば、二つ目には、一元化というのもこの合意の大きな柱の一つですけれども、一元化の方向に向かって三党合意が進んでいけばいいんですけれども、谷本先生も御存じのとおり、小泉さんは本会議場でもあるいは委員会の場でも、質問を受けて、いや国民年金と厚生年金を一緒にするのは無理だとか難しいとか、いろいろ問題があるとかいうことで、その辺のところは一本化の方向が自民党の中でさえしっかり出てこないという中で、やはりその基本のところがもう崩れてしまっている以上、これはなかなか難しいのではないか。一元化にどう取り組んでいくのか。

 それからもう一つ重要なことは、消費税がいいか悪いかは別として、私どもは、負担と給付の問題を考えるときに、その裏づけとなる財源の問題を通り過ごしていくわけにいきません。財源をどうするのかという話が必ず出てきます。そのときに私どもは、消費税率の引き上げ、あるいは三分の一から二分の一とか、いろいろありますけれども、そういうことを具体的に示して、財源をこうやってやっていこうということを言っているわけですけれども、自民党、これは公明党についてもそうかもしれませんけれども、財源問題をどう考えるのか。

 それがもし消費税でないとすれば、小泉さんは自分の在任中は後の約束も含めて一切それには触れないと言っているわけですから、ということは、これから小泉さんが何年やるか知りませんが、最長例えば三年としたら、三年間は一切そのことを抜きにして財源構成をどうするのかということをしなきゃいけませんけれども、それを出していただけるならいいんですけれども、それも出てこない。

 一本化の問題も出てこない、財源の問題も出てこない、約束の委員会決議はやらない、これでは、今、その三党合意を進めるという前提条件が崩れてしまっているのではないか。ですから谷本先生も、党内に持ち帰っていただいて、早く三党合意が、我々が喜んで出させていただけるような環境づくりにぜひお力添えを賜りたい、このように思っております。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

谷本委員 よく承りました。当然、努力をしてまいりたいというふうに思います。

 今、一元化の話をされておりました。前回の通常国会、民主党さんの方から対案という形で出されました。ただ、よく言われることですけれども、この中を見れば、確かに枠組みは書かれておりますけれども、具体的な中身というのがなかなか数字を含めて書かれていない。プログラム法案あるいは理念法と言われる形だと思います。こういう具体的な形がしっかりとはまだ示されていない中で、今回、この法案において、「公的年金制度の一元化を実施できるようにするために、必要な整備を平成十八年度中に行うものとする。」と期限が書かれております。

 ただ、これは中身がはっきりもしそちらにあるんならいいんですけれども、どういう手順でどういうことをどういうふうに進める、これがはっきりしていないのに期限だけあるというのもなかなか理解しにくい部分がありますので、もし具体的にこの一元化に向けたスケジュールというのがそちらであるのであれば、説明をしていただきたいと思います。

古川(元)議員 先ほど谷本委員は民主党案には中身がないと言われましたけれども、政府・与党案こそ、理念もなければ、抜本改革、百年安心と言いながら、午前中の厚生労働委員会でも御党の長勢筆頭理事がつい口を滑らせて、当面の赤字手当てのためにという話をされておられました。もともとからそういう話であればもっとこの年金議論は建設的な議論になったんだと思いますけれども、そういう意味では、与党の方がきちんとした新しい年金制度の姿を示さなかったというところが、まずそもそものボタンのかけ違いになったと私は思います。

 そういう中で、私どもは新しい年金制度の姿を示させていただきました。具体的な数字がないというふうに言われましたけれども、政府は確かに具体的な数字は出されたかもしれません。しかし、委員御承知のとおり、続々と後から、実はこの数字が間違っていたということが明らかになってきたわけでありますね。幾ら数字が明確になっていても、その数字そのものが違うのであれば何の意味もないわけであります。

 私どもは、政府からそもそも数字がなかなか出てこない、そういうことに対して、数字を出すようにということを要求してまいりました。ようやく委員会の審議の途中、そしてまた我々の資料要求で、ほとんど審議が終わりかけているような段階で出てきました。それをベースに私ども実は今計算をしようとしておりますが、政府から出されました資料は四千ページを超えるコピーでございます。計算のベースになったデータをすべてまたインプットし直さなければいけないという、膨大な時間とコストをかけなければいけない資料でございます。要するにそういうもので、全くこれは不誠実な出し方としか言いようがない。

 ですから私どもは、政府がさきの国会の段階で示していたデータをベースにすれば、さきの国会で示した程度の数字ぐらいしか示せないということを申し上げてきたわけであります。

 そういう中で、今回の三党合意を受けて、私どもは十八年度中ということを言っているわけですね。三党合意の中に、これは自民党も公明党も、十九年三月、十八年度末ということですが、そこまでに結論を得るということが書いてあるわけです。

 そもそも、今言われたように私どもに具体的な姿がないと言うのであれば、そちらには全く影も形もないわけであります。そのところをきちんと示していただく。私どもに、これは十八年度までにやる気はあるんですかと言いましたけれども、与党の方はまだ影も形もなくて、一体ここのところで約束をしたときにどういう意図で約束をしたのか。それこそこの三党合意を誠実に守れと言うのであれば、与党の方がきちんとそういうものを示していただく、そこから始まって初めて、この三党合意を誠実に、お互いに公党同士で議論ができる、そういう環境ができるんじゃないでしょうか。

 ですから、私どもはきちんとそこは示している、早くそちらの方もそういう新しい姿を示していただきたいということをお願いしたいと思います。

谷本委員 与党側の数字が後で違う数字が出てきた、これは私も遺憾だというふうに思いますが、だからといって、民主党法案の中に数字がないということが別に肯定されるわけではありません。実際ないわけで、そこは、そっちが悪いからこっちは悪くないという話にはならないというふうに思います。

 一つ、これは確認なんですけれども、必要な整備を十八年度中というふうになっておりますけれども、必要な整備という表現のところ、具体的にはどこまでを十八年度中というつもりで書かれているのか教えてください。

古川(元)議員 お答えする前に一点申し上げますが、私どもは、具体的な数字、データをきちんと出していただければ、そして、紙で四千ページを超えるもの、わざわざインプットしなきゃいけないようなそういう数字じゃなくて、磁気データで出していただければ、もっと早くきちんと数字を出してやらせていただきたいと思っています。そういう意味では、そういうことを政府に対して与党としても要求していただきたいというふうにお願いをまず申し上げたいと思います。

 そして、私どもが言っております十八年度中ということについては、これは、今回の選挙の結果を踏まえても、国民の皆様は一日も早く年金制度の抜本改革を求めている、そしてまた年金制度に対する不信感は極めて高まっている。そういうことを考えますと、三党合意でも十九年の三月に結論を得てということになっているわけであります。私どもは、この趣旨というものは、それは法案の整備まで含めてこのときまでにやって、そして十九年度から順次スタートしていくというふうに理解をしております。

谷本委員 それは、法案を出すところまでという意味でいいんですか。

古川(元)議員 与党の方は、ただ協議しようというだけなんですか。私どもは、当然この三党合意というものは、そういう法案までまとめて初めて、合意として公党として責任のあるものだと思います。ただ議論だけするということであれば、それはお得意の先送りにほかならないのではないでしょうか。

谷本委員 つまり、法律を通すというところまでここでやるということですね。

 それでは、その一元化した公的年金制度の姿について、法案の中で、最低保障年金、所得等比例年金、こういうものが示されています。ただ、給付と負担がどういう割合でどうなるか、先ほどから数字がちゃんと政府から出ないという話もありますけれども、こういうものをつくるからには、何らかの根拠、何らかの具体的なある程度の数字というのは考えられていると思います。

 この財源について、給付と負担の仕組みについて、この辺は具体的には法案の中にはありませんでしたけれども、どのように考えられていますか。

古川(元)議員 これはさきの国会でもきちんとお示しをさせていただいておりますが、私どもは、その負担については現行の保険料水準というものを維持するということで、給付については、税で賄われる最低保障年金と、そして所得等比例年金、この二つを足してモデル世帯では五〇%が確保できるような設計をしたいということはお示しをしております。

 先ほどから申し上げておりますように、政府から年金計算のベースになった数字が出てきたのは六月後半になってからです。そして、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、紙で四千ページを超えるもので出てきております。こういうものをきちんと磁気データでお示しをしていただければ、そうすれば、私どもは今党内でチームをつくって、この出てきたものを分析して、もう少しきちんとした数字が出せるように努力をしておりますので、ぜひその点について、三党合意を守られる、そして本格的な議論をしたいというのであれば御協力をいただきたいと思います。

谷本委員 わかりました。そういう政府から出る数字等についても、できれば早く野党側にも示せるようになれば、私もまともな議論ができると思います。

 今言われたように、では、まだその数字についてはいろいろ計算をしている、調べている、精査をしている。そういう中で、この年金目的消費税の負担のところで、民主党のホームページの中で、まず、消費税三%程度の負担というのが書かれてありました。通常国会の法案の中には、確かに数字は何%というのは入っておりませんでした。しかしながら、参議院選挙中の新聞広告の中には、この三%というのがQアンドAの形式のところに書かれておりました。

 この消費税三%はどういう統計資料を使って計算をされてこうなったのか、それを教えていただきたいと思います。

古川(元)議員 それは、前国会の前の段階で、限られた中で、政府の方から示された数字を前提にして、私どもは、二〇〇七年からの年金目的消費税導入の時点においては三%、大体これで三十年ぐらいは維持できるだろうというふうに計算をさせていただいたわけでございまして、そのデータになっているベースの数字は政府が提出したデータでございます。

谷本委員 わかりました。ということは、また詳しいいろいろなデータがそれだけたくさん政府から出てきた、今精査をされている、もしかすればそれはもう一度計算をし直していろいろ変わってくるかもしれない、そういうこともあり得ると理解してよろしいですか。

古川(元)議員 このデータが大変に膨大なものでありますから、それだけでそういうことになるかどうかわかりませんが。

 もう一つ、政府が本来とらなければいけないデータで、とっていないものがございます。最低保障年金をベースに議論をしようとすると、これは、今所得を把握されていない所得階層が不透明な人たち、そういう人たちについての所得階層の分布もきちんとしたデータをとっていかなきゃいけないと思っています。私どもは、新しい制度設計、きちんとした最終的な姿を示すに当たっては、だからこそ党派を超えた議論の中で、必要なリサーチも行って、そういう中で決めればいい。

 今見えている数字の中からいえば、これは三%で十分に賄える。しかも、この当初からの三%という数字は、現在の年金財政の状況を見れば、かなりこれは前倒しで早目に財政をよくしよう、そういう発想から出ております。ですから、私は、この二〇〇七年の段階での三%という数字が変わることはないというふうに基本的には考えております。

谷本委員 時間がなくなってまいりましたので、用意していた質問全部はできませんが、今回の法案の中で、廃止する事項と復活させる事項、こういうふうに分けられています。これについてですけれども、すべてではないんですが、全体的に見て、例えば、在職中の年金一部支給制度の改善、育児をする組合員に対する配慮措置の拡充、こういった給付の改善あるいは保険料免除の関係はほとんど残してある。逆に、保険料の引き上げや年金額の調整、こういった負担増や給付減に関する部分はほとんど廃止しているように、ざっと見たところでは見えます。

 こういう部分を、この状況を続ければ、これは年金財政をどちらかといえばさらに悪化させる方向になるのではないかというふうに思いますが、これはどういう基準をもって残すもの、残さないものを決められたのか、説明をお願いします。

古川(元)議員 ざっとでなくてよく見ていただくともう少し御理解いただけるんじゃないかと思いますが、私どもは別に恣意的に選んでいるわけじゃありませんで、今回一たん廃止をした上で復活させることとしたものにつきましては、私どもが考える中でこれは妥当と思われる、そういうものについて、かつ、施行期日が平成十七年の十月一日以前であって、今後行っていく抜本改革の協議の中で対応していく、それにはちょっと対応が難しいというものを中心に拾い上げました。

 今御指摘にあったような負担と給付というのは、まさにこれが実は年金の抜本改革を行うに当たっては非常に大きなポイントになるわけであります。私どもは、保険料をどんどん上げ続けるというのではなくて、そこの部分は基本的に税で、特に年金目的消費税という形で負担してはどうかという形で、負担と給付のあり方というものを根本的に見直そうということで提案をさせていただいているわけであります。その部分については、当然のことでありますけれども、これは一たん廃止をして一から議論する、そういう対象に考えております。

谷本委員 まだ細かい質問はたくさんあったんですが、時間が来ました。

 最後に、私も自民党の中の若い議員として、民主党さんにも知り合いがたくさんいますし、いい人もたくさんいるのはよくわかっておりますし、政策議論を存分にやりたいと思っている方の議員であります。通常国会においてはああいう形でいろいろ、強行採決もあった、そうならないのが一番いいわけでありますけれども。同時に、民主党さんの方も、政権をねらうという政党でいくからには、ああいう形で審議拒否をされるとかバリケードを築くとか、あるいは牛歩をするとか、ああいうことをするのではなくて、やはり存分に政策議論を国会の場でしていく、その中で主張されれば一番いいというふうに考えております。

 そういう議論ができることを心から期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

佐田委員長 次に、山下貴史君。

山下委員 自民党の山下貴史でございます。

 私も、引き続きまして、今議題になっております民主党さんが提案された法案について、あるいはまたその他の委員会にかかっている法案についての質問も入るかと思いますが、提案者である皆さん方にお尋ねをさせていただきたいと思います。ただ、打ち合わせしておりませんので、あるいは重なったとか類似した質問があるかもしれません。それはぜひお許しを賜りたいと思います。

 私がぜひまず最初にお伺いをしたいなと思うのは、今回の法案提出に至った背景ということでございます。

 冒頭、提案理由説明について御報告がありましたが、さきの通常国会が終わって二月たっていないわけでございます。そのさきの国会で長時間かけて議論をして成立をした法案について、二カ月足らずの間にそれを廃止するという目的の法案を出されたということは、私はそう経験が長くはないわけでありますが、これはやはり異常な、あるいは異例な国会対応ではないか、こう思うわけであります。

 さきの通常国会と今回の法案提出の間に、お話がありましたように参議院議員選挙がありました。参議院議員選挙での民主党の躍進ということが恐らくその背景にあって、年金をテーマに選挙を戦われた、こういうことだろうと思うわけであります。

 改めて、今回こうして法案を提出されるに至った民主党の皆様方は、参議院選挙でのいわゆる民意というものをどのように理解をして、考えていらっしゃるか、説明をいただきたいと思います。

赤松(広)議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 山下先生自身が今お話がありましたように、この通常国会が終わって、いわば年金法案、当時も国民の大変関心事でありました。しかも、やはり将来に対する安心と安全ということを考える上で、あの年金では嫌だ、反対だという人たちが当時でさえ六割いた。ところが、強行採決その他、国会運営上の問題もあったんでしょう、参議院選挙のときには、もう七割、八割の人たちがあの年金法案には反対だということになったわけで、いわば、それを端的に示したのがこの間の参議院選挙の結果だったというふうに思います。

 昨日の参議院の本会議では、小泉首相は、あれは負けていないんだ、痛み分けなんだと。みっともないことを言っているなと思いましたけれども、比例で二千百万票と一千六百万票ですから四百三十万票も差がついて、しかも、現実に自民党の議席が減り、民主党の議席が大変ふえたという現実をまだ認めようとしないというところに、私は今の小泉内閣の一番大きな問題があるのではないか。

 やはり結果は結果として真摯に受けとめて、では一体、この結果が出たことを、例えば政府として、内閣として、自民党としてどうしっかり総括していくのかという視点で、他党のことではありますけれども、ぜひ私は真摯に取り組んでいただきたいと思います。

 そういう意味でいえば、国民の期待や関心も年金にあったのは事実ですし、私どもも、選挙を戦う上での一番中心の政策というのは、この最悪の年金法案を廃止します、選挙に勝たせてくださいということで言ってきたわけでありますから、選挙後に、まあ過半数は我が党だけで占めることはできませんけれども、しかし躍進をした中で、その公約を政党としてきちっと守っていく、これはもう当たり前のことでありますから、そのように出させていただいた。

 ただ、トータルでいえば参議院も、非改選も含めればまだ与党が多いんだから、最初から通らないだろう、だけれどもパフォーマンスで出しているんだなんということではありません。私どもは、良識ある与党の皆さん方が、この年金審議の中で、やはりこれは一たん廃止をして、新たな抜本改革のための取り組みをスタートさせようということを理解していただけるのではないかということも考えながら、成立を目指して頑張っているということでございます。

山下委員 確かに躍進をされたわけであります。これは認めます。それから、選挙で示された民意を、与党であれ野党であれ、やはり真摯に受けとめて対応していく、これはもう当然必要なことだろうと思うわけであります。

 ただ、今、赤松議員もおっしゃいましたが、参議院議員、改選された新議席と非改選の議席を合わせた与野党の勢力分野ということでいっても、当然与党は安定多数を維持しております。また、あわせて言えば、衆議院についても、これは選挙があったわけではありませんから、勢力分野に変更がない。ですから、国会全体の与野党の勢力分野に変更がない中で、今回その廃止法案ということが提案をされているわけであります。

 やはり公党である以上、条文をもってきちんと国会に法案を出すということであるからには、当然これは成立を目指す、こういうことだろうと考えます。そうでなければやはり問題だろう、こう思うわけでありますが、今のような勢力状況で、可決されるというか成立の見通し、これはちょっと疑問だと私は思うのであります。

 それで、私がもしそちらに座っているなら、真剣に、会期の問題もありますが、与党の議員に対して多数派工作、賛成してくれと院外、院内で働きかけをやろうかな、こう思うのでありますが、そういうことをやっていらっしゃるのかどうか。やっていらっしゃらないとしたら、これはただ出しただけというか、メンツをセーブするために出した、こう思われても仕方ないのではないかなと思うわけであります。

 そうなると、これは国会の開会といえども、国費を使っての開催、資源のむだ遣いにつながるということにもなります。やはり、そうであれば会期なんかも、成立は目指さないんだということであったなら、通常の臨時国会の会期でよくて、院の構成を定めるといったことだけを中心にやればよかったのではないかという声も出てくると思うのでありますが、今申し上げたように、要するにこれは成立を目指して戦う、こういう意気込みでいられると思うのでありますが、そのことについてちょっとお伺いします。

赤松(広)議員 今申し上げましたように、形式上のといいますか、一応、現在の会派ごとの割り振りだけですべてもう決まってしまうんだということであれば、国会なんかやる必要がないわけです。選挙が終わった時点で、自民党何議席、民主党何議席、与党何議席、野党何議席、では、もう野党は国会なんか出てこずに、与党だけが決めたことが、部会か何かで決まったことがそのまま通っていくということになってしまえばいいわけで、しかし、現実にはそうじゃないでしょう。やはり与党、野党があって、そして少数党からであっても議員立法等をして、その中で、ああ、なるほどというものであれば、与党側の皆さんもそれに賛成する場合だってあり得る。

 かつて、ちょっと違う例かもしれませんけれども、例えば宮澤内閣の不信任決議案が出たときには、もともと議員の数だけでは圧倒的に自民党の数が多いときですから通るわけがない、しかし、現実には不信任案が通って国会解散になったという例もございます。それは、自民党の中からでも、やはりこの際は宮澤さん不信任だと思う人たちが不信任案に賛成をしたからであります。

 また、もう一例を申し上げれば、例えば私自身がかかわった法案でいいますと、祝日法なんという法律が数年前にありまして、これも実は、法案が出て、もう自民党だけで、与党だけでもちろんそれは通るんですけれども、そのときに、カレンダーの印刷屋さんは、六月や七月になって急に来年の祭日はこの日だなんということを変えられたら、印刷したものが全部パアになっちゃう、中小企業はもう首つらなきゃいけないというようなことで、これは野党側からむしろ、その祝日法を、日にちを動かすのはいいけれども、実施についてはもう一年先からやるべきではないかということを話し合いをして、自民党も、ああ、それはなるほどですねということで、与野党合意のもとに実施をもう一年先からにしたということもあります。国会の審議というのはそういうものだと私は思うんです。

 ですから、今回も、参議院の民意の結果ということがありますけれども、ただそれで出したということではなくて、私どもは、一たん年金法案を廃止して、そして真っ白なところからやはりもう一度、議会内の与野党がしっかりと新たな年金制度確立のために話し合いのテーブルに着くということにしないと、ちょっと関係の方がお見えになってあれかもしれませんが、例えば、百年安心プランなんといって百年この年金制度をさわれないなんということになったら、これはもう何ともならないわけですから、百年安心をまず横に置いて、なくしておいてから新しい年金制度をつくる。これは当然のことだと思いますので、今回はとにかく廃止を何としても成立させたいと思っております。ぜひ、山下先生を初め各委員の御賛同をお願い申し上げたいと思います。

山下委員 私もそうでありますけれども、恐らく同僚の与党議員、皆同じ考えじゃないかと思いますのは、今回の選挙結果について、私たちが国民の皆さん方にもうちょっと丁寧に説明をすれば必ず違う結果が出た、こう考えておりまして、この前の法律改正について私は全然間違っていないと思っておるのであります。

 それで、先ほど読み上げられた文書とは別の、法案についている提案理由説明の中に、今回、廃止法案を出す理由として、国民的合意に基づく公的年金制度の一元化等の抜本的改革が必要である、そのために、広く国民に開かれた議論に基づく制度改革の実現に資するために、さきに成立した法案は一回チャラにしなきゃいけない、こういうことが書かれています。

 ただ、先ほど来、赤松委員がおっしゃっていますけれども、前回行われた法律改正というのは、不可逆、要するに、もう歯車は逆に戻せない、そういう法律改正だった、こんなふうにお考えなんでしょうか。私はそうでないと思うんです。

 これは、最善を目指して改正をした、しかしもう全然いじらないものでも何でもない。一元化を目指してやっていくということであれば、今の法律を前提にして、もっといい案で改正案を出していく、もっと大胆に、廃止などという後ろ向きな案でなくて、将来を目指した新しい法案を出すということも可能であった、こう思うわけであります。

 ですから、廃止しないと出直せないんだということを盛んにおっしゃる、その論理的な関係が私には理解できないので、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

赤松(広)議員 一つは、御承知のとおり、この法律の施行日が十月一日あるいは来年の四月一日ということは、まだ間に合う、ある意味でいえば。しかし、十月までに結論を出すには時間が足りないということですから、その意味でいえば、今もう現実にスタートしているわけじゃありませんから、廃止することは間に合うけれども、新たなものをつくるのには十月までのこの期間ではできない。

 だから、一たん廃止をして、その間に具体的に、いつまでも先送りをしているわけじゃなくて、ちゃんと期日を明記してあります。十八年度中にきちっと法律までつくって、これは我が党だけでやるというんじゃなくて与野党合意のもとに、皆さんの納得の上でいいものをつくって、そして十九年の四月一日からそれがスタートできるように頑張ってやろうという中身でありますから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

山下委員 今、御説明があったことはわからないでもないんですけれども、例えば厚生年金などの収支の状況を見てみますと、だれがどういう段階で抜本改革をこれから先やろうとしても、給付と負担の関係の抜本的な見直しということは避けて通れないと私は思います。

 ですから、その部分について、さきの法律改正は手当てはした、さらにいろいろ不満というか問題があるということであれば、それを踏まえてと言うとちょっと立場は違うのかもしれませんけれども、私は、廃止してチャラにしないと検討が進まないんだということは依然として理解ができませんが、それはそれでちょっとおいておきます。

 それで、せっかくの機会ですからぜひお教えいただきたいと思うのでありますけれども、先ほど谷本委員も質問しておられました。国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案の中で、平成十八年度中に一元化のために必要な措置を行う、こういう規定が書かれているわけであります。

 十八年度中にやるというと、時間があるようでそんなにない、こう思うのでありますね。ですから、条文でそういう表記をして、国会に出されてきて成立を目指そうということでありますので、ある程度、そこに至る必要な措置というものはどういうものであるのかというイメージはお持ちだろうと思うわけでありまして、それをちょっとお聞きいたしたいと思います。

古川(元)議員 先ほどの、現行制度を続けたままではやれないのかというところにちょっとつけ加えて御答弁させていただきたいと思います。

 今まで政府・与党がやってきた社会保障の改革を考えますと、よほど財政的に追い詰められた状況にならないと本当の抜本改革はやらないんですね。

 山下委員は御記憶かどうかわかりませんが、医療制度の改革について、実はもともとは、九七年、小泉総理が、当時の厚生大臣でありましたけれども、抜本改革をやるということで手をつけられました、政府・与党が。そのときには、抜本改革はちょっと時間がかかるので当面の赤字対策ということで、サラリーマンの自己負担を一割から二割に引き上げる、そのかわり次は必ず医療保険の抜本改革をやりますと言ったんです。

 ところが、二〇〇〇年が二〇〇二年に先送りになって、二〇〇二年の医療改革、小泉さんは今度は総理になりました。そこでは、また保険の抜本改革は先送りになりまして、当面の赤字の補てんという形で、サラリーマンの自己負担が二割から三割に上がってきたわけであります。こういうことを繰り返して、実は、問題の先送り、抜本改革の先送りが医療保険でもされてきたわけですね。

 年金についても、まさに委員御指摘のとおり、今回の政府・与党がやられたのは当面の赤字対策なんです。これを抜本改革だ、百年安心だと称すものだからおかしくなるんですね。当面の赤字対策だということをまずそもそもきちんと素直に認められて、そこについて議論をしていただきたいということであれば、国会の議論も全然変わったと思います。

 そしてまた、当面の赤字対策で、じゃ、これからちょこちょこと保険料を毎年毎年上げていくということがどれくらいの効果があるのか。実は、これから上げていっても、すぐに年金財政が黒字になるわけじゃありません。当面はまだ赤が続く。

 私ども民主党は、そこについて無責任に考えているわけではなくて、二〇〇七年には年金目的消費税三%を導入する。これは、保険料を数%上げるのよりもよほど大きな財源になるわけであります。そういう点で、きちんと財政的な手当てはしようとしているわけですね。

 ですから、そういう意味では、やはり財政的な面、ここの当面のところだけ手当てをするということで問題を先送りすることなく、逆に厳しい状況に我々自身追い込まれて、そういう中できちんとした議論を出そう。三党合意の十九年の三月までに結論を得るというのも、そういう趣旨で与党の方もサインをされたんじゃないかというふうに私は思っておりました。

 そして、具体的な中身の話を今聞かれましたけれども、この具体的な中身について、基本的に私ども既に民主党の案は示しているわけですね。それに対応するものは与党の方は全くないわけであります。ここまでに私どもはある程度のものは示しているんです。納税者番号制度も導入しましょうとか、社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁をつくりましょうと、そういう新しい制度をスタートさせるためにやるべきことを示しています。一つも与党の方からは示してありません。

 三党合意を尊重しよう、やろうというのであれば、ぜひ一日も早くその部分を示すように党内でも御発言をいただきたいと思います。

山下委員 今お話があったようなことは、私個人としては、民主党の皆さん方も入って共同して、本当にこれでは抜本的な改革に値しないということであれば、議論をどんどん進めていくということはいいことだと思うのであります。必要な時期が来るかもしれません。一元化も含めて検討するということは、これは決して逃げるような課題でないと私は思うのであります。

 ただ、今ちょっとお聞きしたのは、十八年度中に必要な措置をやると条文に書いてある以上、例えば、非常に大問題と言われている国民年金の保険料のシステムと、地共済、国共済の統一というのは、これはもう既に決まっていることだし技術的に難しくありませんが、共済年金と厚生年金の一元化とか、さらに国民年金を本当にどう一元化していくのか、いろいろ課題があると思うわけでありまして、こういうことは一回法案をチャラにしないと検討が進められないということではないと私は思うわけでございます。

 そのことだけはまず申し上げた上で、本当にせっかくですから、さきの国会で民主党の皆さんが、今委員も御説明があった、基本的な考え方を示す法案が出されている、それは私も勉強させていただきました。よくは理解できておりませんけれども、何点かちょっとお伺いをしたいと思うのであります。

 公的年金制度、これは条文によりますと、「すべての国民が加入する単一の制度とする。」、そういう旨が規定されております。これは本当に今のあれと変わらないと思うのでありますが、義務加入なのかどうなのか。

 それから、保険料支払いということも規定されています。所得等に応じて一定の率を掛けて保険料を払うとなっていますが、これは義務で支払われるのかどうなのか。

 そして、最低保障年金について、これも大事な規定だと思うのでありますが、水準が、「高齢者等がその生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額」として規定されておって、所得等比例年金がたくさんもらえる人は最低保障年金の額はそれに応じて減額する、こういうような規定になっておりますし、また、最低保障年金にかかわる財源は全額国庫負担ということがその法案の中には書かれてございました。

 ですから、この関係で何を教えていただきたいかというと、全額国庫負担ということになれば、義務加入ということを前提に考えないと、生活保護法に基づいて生活扶助を受けておられる方との関係をどう理解していくのか、最低保障年金について。

 それからもう一つは、モラルハザードが起きないかなという問題なんです。つまり、基礎的な生活をするだけの額を最低保障年金で保障するということになってしまえば、さっき申し上げたように、掛金、保険料を義務できちんと取るシステムがないと、モラルハザードで、そっちの方は、例えば民間の保険会社に個人が個人年金のような形で資金を運用し、保険料は一切政府に納めず、でも、最低保障年金だけはもらって生活をする、だれもがその制度に加わるインセンティブを持たないというモラルハザードのようなことが、よく考えると容易に想像できるように思うのでありますが、簡単にお答えいただければと思います。

古川(元)議員 私どもは、当然これは義務加入だというふうに考えておりますし、社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁が税と一緒に保険料を徴収するということになっておりますから、そのようなことは起こらないというふうに考えております。

山下委員 もう一つだけちょっとお伺いしておきます。

 最後になると思いますけれども、国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案の中で、附則部分の改正事項として、国会議員互助年金制度の廃止ということが盛り込まれております。

 これは、ちょっと正確な日時は私は失念いたしておりますが、衆議院、参議院、両議長のもとに学識経験者から成る調査検討会のようなものができて、そこでの検討が進められている、こう理解をいたしておりますが、条文で国会議員互助年金制度の廃止ということをはっきりうたわれているということは、今申し上げた学識経験者等の検討会の結論を待たずに民主党の皆さんとしては廃止の方向を打ち出した、こういうことになると思うのであります。

 そうすると、これは国会議員だれしも、先輩の議員も含めて関係する、関心の高い事項でございます。廃止といった場合に、条文で書いてある以上、単純にすぱっとやめてしまうということなのか、経過措置をどんなふうにあらあら考えていらっしゃるのか。その辺の詰めはやはりした上でないと、条文に書くということはちょっと拙速だと思うのであります。多分そういうお考えがあると思うのでありますが、どういうイメージで今後進めていこうと思っておられるのか、説明をいただきたいと思います。

古川(元)議員 まず最初に申し上げますけれども、議長のもとに確かに置かれておりますが、ここに九月の八日、先ほど私、政調会長から連絡をいただきましたが、各党の代表が出て、各党の考え方を議員年金について述べる機会があるそうでございます。そういう意味では、そこまでにしっかりとした議員年金についての考え方をそれぞれの党が決めていくということは大事だと思います。

 私どもとしては、一元化に先立ってこの議員年金を廃止する。九月八日のときには、きちんとそこまでの経過措置等も含めた我が党の考え方というものをまとめていきたいと思います。

 自民党におかれましても、九月の八日までにはきちんとした党としての見解をまとめていただきたい、そのことをここで私からもお願いさせていただきたいと思います。

山下委員 九月八日のことはちょっと頭に入っていなかったので。ただ、民主党の皆さんとしては廃止という方向で党としてまとまった、こういうふうに理解をいたしておきます。それはなかなか大問題だと思います。

 その関連でもう一つだけ。要するに、これは年金の一元化ということの中で、国会議員年金についてもやはり統合していく方向ということが皆さん方の頭にあるというふうに思うわけであります。そうであれば、類似の制度として、これこそまさに総務委員会の所掌にもかかわってくるでありましょう地方議会議員の年金について、これも、どう扱っていくのかということがないとやはりバランスがとれないのかな、こういうふうに思うわけでありますが、民主党の皆さん方はどんなふうにこの問題について考えていらっしゃるか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。

古川(元)議員 まずはやはり私ども国会議員が襟を正してきちんと示すということが、地方議員の人たちにお話をする上でも必要なことではないでしょうか。

山下委員 襟を正すということは常に必要だと思いますが、ただ、何回も申し上げておりますように、私は、条文で法律案に書き込んでいろいろ提案をしてこられて、しかも、冒頭お尋ねしたように、これは単なるパフォーマンスではないんだ、この国会で成立を目指すんだ、こういうことであるならば、条文にそうやって書いてくる以上は、一定程度の詰めがあって、聞かれたらちゃんと答えられるという状況で提案されるべきでないかな、こう思うのであります。

 地方議員の問題というのは大事な問題だと思うんです。もう一回考え方を、提案者の考え方で結構ですから。

赤松(広)議員 これは地方議員の身分にかかわる、しかも、数でいえば非常に多い人たちにかかわる問題でございまして、御本人たちの意見を抜きにしてこうしたことを決められるわけがございません。そういう意味で、年金の一本化の問題をトータルに、国民全体の議論の中で当然これはもうこれから進んでいくわけですから、そのときに、国会議員は大体こういう方向が出た、では地方議員はどうするのか、自分たちの問題としてまずどういう結論を考えるのかということで、まず地方議員の皆さん方にお考えをいただくというのが順番だと思っております。

 もちろん、これは法律によって決められているわけですから、最終的にはその法律が国会にかかって私どもがまた決めるということになりますけれども、まずは当事者である御本人たちの意思を尊重しながら議論を進めていくということではないでしょうか。

山下委員 時間が参りましたが、ただ、そのことにだけ関係して申し上げると、公的年金の一元化ということを大きな政策課題として民主党の皆さん方が提起していかれるのであれば、まずは関係者の間でという、その機運の醸成を待ってというのはちょっと違うと思うのであります。むしろ積極的に、国会議員の互助年金をこうするというのであれば、地方の議員についてもどうするということを提起していかれるべきだ、このように思います。

 そういうことで、今回、出されている法案についていろいろ勉強させていただきましたが、大変僣越な言い方ですが、なかなか中身が伴っていない、熟度の低い法案であるなという印象を持ったということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。三十分ほど議論をさせていただきたいと思います。

 まずは、提案者の皆さん、本当に短い国会ではありますが、法案を提出されたということについては敬意を表したいと思います。

 最初に、前半部分の議論は、きょうの厚生労働委員会の議論をずっと聞いておりまして、その議論に私も割って入りたいとうずうずしながら聞いておりましたから、やじだけではなくてちゃんと議事録に残る議論もしたい、こんな思いも持ちながらこの場に立たせていただいております。

 まずは、やはり民意という話が大分出ました。今回の参議院の選挙結果をどう考えるのか、こういうことであるとか、あるいは、今回、一連の年金改革関連法を廃止するというものでありますから、ある意味では、ではあの国会は何だったんだ、あるいは三党合意というのはどういうふうに考えるのか、国民の皆さんから見るとますますわかりにくくなってくるんじゃないか、こういうことを懸念しながら議論をしたい。そういう立場から議論をしたい。

 私は、この国会から、厳しい参議院選挙、我々も厳しい結果、叱責をいただいたと思っておりますが、それを踏まえて、年金の議論については新しいステージに入ったというふうに考えている一人であります。したがって、ぜひともあの三党合意に基づいてしっかりとこれからの議論をしていかなければならない、そういう立場でいるわけであります。

 そうしたことを最初に表明をしながら前段部分の議論をしたいと思いますが、まずは民意の話であります。

 きょうの提案理由説明の中にも、法律成立前あるいは成立後、六割から七割あるいは八割の人が懸念を持っておられる、納得をしていない、こういう声、したがって白紙撤回をし、もう一回一からやり直すんだ、こう言われているわけであります。私どもは、そうではないのではないか、それはかえって国民の皆さんにさらなる混乱を与えるのではないか、こういうふうに思っているわけであります。

 実際に、今回の選挙、私はプロジェクターを買い込みまして、言葉だけではなかなか理解していただけないものですから、パワーポイントで図解をしながら、大変厳しい声があれば、三十分時間をくれと言って、自分でつくったパワーポイントでプレゼンを示しながら説明をいたしますと、三十分ぐらいすると、よくわかった、ぜひ頑張ってくれ、なお多くの課題があるんだな、それは与党も野党もない、一緒になって議論してもらいたい、こういう声が多くありました。

 したがって、七割、八割の人が懸念を持っておられるということは、言葉をかえて言いますと、私どもは、特に私個人が考えていますのは、七割、八割の人は、我が国の年金はなくていいというふうには決して思っていない。年金に期待をしている、あるいは年金を中心に老後の生活を考えている。したがって、安心できる制度にしてもらいたい。そこは与党も野党もない、ぜひ一緒になって考えてほしい、こういう感じではないかと私は理解しているんです。

 どうも皆さん方はそう御理解されていなくて、もう一回白紙撤回だ、こうおっしゃっているわけでありまして、であるならば、どうしても伺わなければならないわけであります。最初に提案者からもお話がありましたが、あの三党合意、これをもう一回、今の段階でどういうふうに考えておられるのか、国民の皆さんにきちっと説明をしていただきたい。

 経緯を説明するまでもありませんが、五月の六日、あれはぎりぎりの調整の中で、本当に真剣な議論を重ね、そして出口のぎりぎりの部分で交わされた三党の合意だというふうに私は理解をしておりまして、もちろん私は、これからも三党で合意に基づいて議論を続けたいと願っている一人でありますが、そういう御姿勢なのかどうなのか。

 その前に、さっき提案者がこうおっしゃった。既に大前提が崩れておる、あるいは基本的なことが壊れていると。いみじくもきょうのこの議事録を読んだ方は、三党合意は、民主党としては、もうこれは自然的に消滅している、破棄するんだ、もう壊れている、こういう前提でお話をされているように思えてしようがないのですが、そういうことではないのかどうか。

赤松(広)議員 お答えをいたします。

 そういうことではありません。先ほど来私は言っていますように、三党合意については積極的に進めたいと思っております。しかし、その三党合意を進めるに当たっての、ここにコピーもありますけれども、その五項目のところに委員会での決議ということがきちっと約束をされておりますけれども、これについては履行されていない。まず入り口のところの約束が守られていませんねということが一つ。

 それからまた、二つ目は、先ほど言った一本化についての小泉発言が象徴でありますけれども、一本化は難しい、できるのか、国民年金の云々というところが出てきて、果たして、自民党の中にも公明党の中にも、一本化に対する考え方がないとは言いませんが……(桝屋委員「一元化でしょう」と呼ぶ)一元化についてのこれがまとまっているのかどうなのか、まずこの疑問があります。

 三つ目、財源の問題。これも先ほど来言っているように、給付と負担の問題の裏づけとなる財源の問題。必ずしもそれは私どもが消費税を言っているから、消費税を納得しろとか了解しろとか、同じことを言えと言っているわけではありません。もしそれがないとすれば、では、どういう財源でもってどうするのか等々、これらの財源問題についての整理がされていない。その辺のところが整って、早く与野党の協議を進められる状況をつくってくださいというのが、今の私どもの基本的な考え方であります。

 選挙中にも、三党合意を守れ、岡田さんが署名したじゃないか、これはもう公明党の皆さんも自民党の皆さん方も、民主党を批判するという意味で、小泉さん自身もよくそのことを、もう耳にたこができるぐらいよく言われました。

 しかし、結果的には、国民の皆さん方は、そのことに賛同するよりも、むしろ、どうもあの年金はもう強行採決で通っちゃったけれども、しかし、後からぼろぼろ出てくるのを見ると、出生率、制度設計する基本の数字がまず違っていた。そして、一万六千九百円で頭打ちというのも、どうやらこれも違うらしい。あれも違う、これも違う。言っていたことと説明を聞いていたことと、実際に年金の法案の中身とは大分違うんじゃないか。もう一度これはやり直しをして、白紙にして、撤回をして、真っ白なところからもう一度きちっと議論をして、本当に将来にわたって安心と安全の年金制度をつくってほしい。当然、負担の問題、あるいは給付条件が下がる上がる、こういうことは出てくるだろう。しかし、やはり年金制度だけは安心できる制度としてきちっとつくってもらいたいというのが国民の皆さんの大きな願いなんじゃないでしょうか。

 そういう意味で、私どもは、先ほど来何度も言っていますように、年金制度というのは、政権がかわるたびにころころ変わったり、一部の政党だけが数でもって決めればそれがもう何十年続いていくというようなことではよくないわけでありまして、政権がかわろうが、どの党が選挙に勝とうが負けようが、やはり各党合意のもとでつくった年金制度だけは、確固たるものとして、しっかりと国民の皆さんの安心、安全の制度としてずっとこれからも続いていくというものをつくりたいものだと思っておりますので、ぜひその意味で御協力をお願い申し上げたい、御賛同をいただきたいと思います。

桝屋委員 随分いっぱい言われたから話がわからなくなってきたんですが、もう一回確認をさせていただきます。

 三党合意については、もちろん入り口部分に委員会決議、それを時系列的にやらなければいかぬとおっしゃっていますが、そういうことも含めて、一元化を展望し、あるいは一元化も含めて社会保障の全体の姿をどうするかということを三党で協議していきましょう、こういうのが私は魂だろうと思っているんですが、それは大事にしていく、それでいく、それでぜひ進めたいと。

 というのは、一元化、それから財源の問題、決議がなきゃだめだ、そういうふうにおっしゃっていますが、まず、政党の基本的な姿勢として、これは本当に大事なんだ、これでいきたい、こういうことなのかどうなのか、もう一回お答えください。

赤松(広)議員 誤解のないように申し上げますが、私は、合意が全体でできなければ話し合いをしないと言っているんじゃないんです。

 それぞれの政党が一元化に向けてのみずからの案をしっかり持つ、財源対策についての自民党の案なり公明党の案なりをしっかりまず持ってもらう。そして、民主党は持っていますから、それぞれそれを持ち寄る中で、当然、どこかの案に集約しろなんて無理ですから、話し合いの中で、譲るところ、あるいはこちらの意見をとるところ、いろいろ出てくるでしょう。しかし、まず、案もないのに単にやみくもに会ってみたってこれは話が進まないでしょうということを言っているわけであります。

桝屋委員 そうすると、午前中の議論もそうでありましたが、三党合意を生かしてこれから協議をするについて、まず一元化について自民党なり公明党がきちっとした考え方を明らかにしない限り、この合意は前へ進まない、こういうことですか。

赤松(広)議員 それは三党合意に、ここに控えもありますけれども、見てごらんなさい、書いてあるじゃないですか。あなたたち、ここで合意しているじゃないですか。何言っているんだよ。

桝屋委員 いやいや、これは大事な議論ですから。赤松さん、何もそんなに激しく言わないで、真摯に私は議論しているつもりなんですよ。(赤松(広)議員「三党合意を守れと言うから、三党合意には書いてあるでしょうと言っているのですよ」と呼ぶ)

佐田委員長 御静粛にお願いします。

桝屋委員 いやいや、守れとは言っていないのですよ、私は。基本的な姿勢を私はここで改めて確認をさせていただいているわけであります。

 そうしますと、もう一回整理をすると、三党合意については、やはり一元化というものをきちっと自民党なり公明党が明らかにしない限り、合意は成立しない、なかなか前へ進まない、こういうことですか。

赤松(広)議員 直接この文章を思い出せない方もあるので、そこの部分だけ一行読みますが、「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、平成十九年三月を目途に」云々ということが書いてあるわけです。ということは、一元化に向けて、中身の違いはあってもいいのです、それぞれ政党が違うのですから。しかし、一元化の方向で、どういうところに一体問題があるのか、我々はこう考えるけれども、なぜあなたのところとは違うのかとか、そういうことを与野党間協議でやっていきましょうと。

 しかし、案も持たないのに、一元化はもともとそんなことする必要ない、今のままの分立式の公的年金制度でいいんだというふうに言っていたら、これは議論が進まないでしょうということを申し上げているわけであります。(発言する者あり)

桝屋委員 今、私が議論しているので、ちょっと静かに。

 午前中の議論を聞いてみても感じましたけれども、一元化については、私も個人的には、今回の附則に入っていますように、展望するというこの言葉、まさにそのとおりであろう。私も、小泉総理も何度もおっしゃいましたが、できればそうしたいんだと。この思いは、私は、全部とは言いませんけれども、多くの国会議員の思いの一つだろうというふうに思っている。もちろん一人一人にアンケートしたわけではありませんが、少なくとも私も、できればそうしたい。

 ただ、それは午前中の厚生労働委員会でも議論がありましたように、その設計をするだけで、あるいはその議論を開始するだけで、大変な幅のある、あるいは困難性のある作業になるわけで、そこをあらあらまとめない限り三党合意が始まりませんよということを言っていると、私の率直な印象は、いつまでたってもテーブルに着けないんじゃないか。

 やはり政治というのは、それぞれの政党が理想を求めて、その理想の実現の可能性をどうつくり上げていくのかというのが、まさに政治の技術、政治だというように私は思っておりまして、そういう意味では、午前中の議論を聞いておりますと、いつまでたっても始まらないんじゃないかという心配をいたしました。

 午前中の議論を聞いておりますと、何か政党には自民党と民主党しかないような、それで、この二党が、いや、そっちが考えを出さないからだめなんだと、こっちは、いや、そんなこと言ったって、廃止法案を出してきたらもうすべてこれで御破算じゃないかというような議論、まさに神学論争のような不毛な議論が今続いているのではないか、ここは国民の皆さんが見てわかりにくいのではないか、私はこう思います。

 もう少し私の思いから発言をいたしますと、古川さんにぜひ伺いたいのですが、あの三党合意した、見ろ見ろとおっしゃった、私も何度も、きのうももう一回改めて見ました。

 この三党合意のときを思い出してもらいたいのですが、あのときはもちろん、三党合意をして、それに基づいて修正案が出た。その修正案部分には賛成をされた、それ以外の本体部分には出席をされて反対をされた。それが成立を前提としたものではないかどうかみたいなつまらぬ議論が午前中ありましたけれども、私は、現実の姿として、今の国会構成からしますと、当然ながら与党の数が多いわけですし、与党は与党でしっかり詰めてきた法案でありますから、この三党合意に基づいて、あの五月六日、修正をした。

 そのときは、少なくとも与党は成立を前提として、自民党や公明党の議員は成立を前提として修正に応じたというのは、古川さんなんかはごらんになっていて、少なくとも与党はそうなんだろうなと、こういうふうにあのときは思われませんでしたか。あの時点でですよ。

古川(元)議員 与党の方がどう思われようとそれは御自由でございますけれども、それこそこの三党合意が進まないと言われる、そこのところが私ども不思議に思っているのは、午前中の委員会の質疑にもありましたけれども、私どもは、この修正部分というのは、別に本体に附属している、本体にかかわっているという部分ではないと思っています。そこは桝屋議員もわかっていらっしゃると思いますが、別にここの文章は、これがあることによって本体が何か変わるとか、そういう話ではないわけですね。ここの部分というのはある意味で独立しているわけです。だから、ここの部分についてのみ私どもは賛成をしたわけでありまして、本体について反対を続けるということについては、それは全く立場はずっと、衆議院から参議院、変わっていないわけであります。

 そういう中で、与党の方が、私どもがこの修正案に賛成をしたから本体の成立を黙認した、認めたというふうに思われるというのは、それは全く心外でありまして、私どもは、あくまでもそういう本体については反対をしている。むしろ、この修正部分において、こういうきちんとした議論を国会の中でやっていこうと。

 これは桝屋議員、前の国会のときにも大変良識的な御質問をいただきました。私は、桝屋議員であればよくおわかりになると思いますが、抜本改革だ、百年安心のプランをつくろうというのであれば、そもそも、あの政府・与党案を提案する前の段階で私どもに対して、こういう協議をしよう、そういう訴えかけをされるというのが本来の責任ある与党のあり方じゃないでしょうか。

 そこの部分がなくて、つくってしまったものをとにかく通せ、そうしたら後からおまえたちの話も聞いて考えてやろうというのでは、これは余りにも、やはり私は与党の横暴だというふうに思わざるを得ないと思います。

 ですから、そういう意味では、私どもはこの三党合意に基づくようなこうした議論はしっかりとしていきたい。しかし、そこについては、この法案を黙認、あるいはこれを実施することが前提だ、そういう議論には到底乗れないということは申し上げたいと思います。

桝屋委員 後にいっぱい言われたので、また議論がぐちゃぐちゃになったのですが、私が聞きたかったのは、古川さん、五月六日、そして五月十一日の本会議、あのときは、自民党、公明党、修正案に応じていただいたので、この法律は成立させる、将来に向けてこの法律を前提に自民党や公明党はこれからも考えていくだろうというのは、当然、野党側から見てもそういう理解ではなかったのか、こう思うのですが、どうですか。そこだけ教えてくださいよ。

古川(元)議員 繰り返しになりますが、与党がどう考えるかは勝手ですけれども、私どもは、法案の成立というのは、参議院でも成立しなければ成立じゃないのです。私は、あの時点で、仮に五月十一日に通っても、あの三党合意も踏まえてきちんと議論をするのであれば、しかも、参議院の審議になってから続々明らかになってきた、言っていたことと違う数字もあれば、当然、良識ある与党の立場であれば、あそこで強行採決するのではなくて、継続審議にするというのが普通の姿勢じゃないか。

 私は、これは桝屋議員よくわかると思いますけれども、あそこのところで無理に強行採決をした、そういうことが、この三党合意が前に進まない大きな原因もつくっているということをよく御認識いただきたいと思います。

桝屋委員 なぜそういうことを私はしつこく言っているかというと、午前中の審議を聞いて、私どもは小さい政党でありますから、どうやったらこれから三党合意がうまく機能して、与野党超えて新しいステージの中で、私はそういう立場ですから、議論できるかなということをずっと考えながら審議を聞いていて、そのときに、きょうの、まさに法廷のような、錯誤に基づく無効ではないか、こういう発言が出たりして、まことに残念な議論だったと思うのです。

 当然ながら、与党は、あの五月六日あるいは五月十一日、あの修正をするときには、修正以外の本則については成立を期して、そして、しかる後に一元化も展望し、なおかつ、今後の介護保険の問題やあるいは高齢者医療の問題、そうした大きな社会保障全体の議論についてともに議論できるのではないか。

 もちろん、一元化を議論しないなんて一言も言っていないですよ。一元化できるなら本当に展望したい、こう我々も思っているわけでありますから、少なくとも私はそう思っている立場でありますから、議論はできる、こう思うんですが、今のように、この法案を出されてまず白紙撤回だ、そしてなおかつ、今の古川さんのお話ではありませんが、その後状況が変わったというのであれば、私は、それこそ民主党の皆さんがこれは白紙撤回をされたというふうな批判も受けるのではないか。言葉としては、誠実にやっていきたい、こういうふうに言われているけれども、現実、私は、まさに今の国会構成からしても、その壁を乗り越えて一歩踏み越えていただきたい、こう思うんです。

 古川さんがそこまでおっしゃるので言うんですが、例えば選挙のときも、まあいろいろありましたけれども、民主党の皆さん方のホームページなんか見ても、こんな言葉もありました。欠席戦術とか牛歩戦術などはやってもなかなか国民の理解も得られない、このままだと政府・与党案が成立してしまうと。この五月六日前後の話です。保険料もそうなると引き上げられる、やむを得ず自民党、公明党を議論の場に出して、年金一元化議論に与党を引き込んだという我々の戦略なんですよ、こういうように説明された議員もおられます。

 あるいはまた、私の地元でも本当に象徴的な出来事がありました。皆さん方は年金の一元化、一元化と言われているけれども、いやいや、うちの地元の皆さん方の党の候補は、一元化なんか簡単にできるはずがない、できませんよとちゃんとした新聞に書かれているんです。

 これは一体どうなるんだろうと私なんかは大変悩んだのでありますけれども、その結果が、選挙が終わってこの国会になって白紙撤回というのは、私は、白紙撤回と言われる以上、三党合意をも否定するということにつながるんじゃないですかということを改めて申し上げたいと思いますが、どうでしょうか。

古川(元)議員 繰り返しになりますけれども、私どもはきちんとした議論をしたいと思っているんですね。

 そこで、本当に与党の方々が誠意を持ってこういうことをやろうと言われるのであれば、なぜこの国会をこんな短く終えるんですか。そしてまた、この三党合意云々と言うのであれば、何で、小委員会を設ける、そういう具体的な提案をそちらから出されないんでしょう。そしてまた、こういった三党合意がありながら、政府の中に社会保障に関する懇談会をつくって、そこで議論をもう始めている。本当に与野党できちんとした議論をしようと言うんだったら、まずこちらの方に具体的な呼びかけや提案というものがあってしかるべきじゃないでしょうか。

 桝屋議員は公明党で与党にいらっしゃるわけでありますから、そういう小委員会の構成をではどうするのか、また与野党の協議会をではどういうものをつくるか、参加しろ参加しろ、尊重しろと言われながら、具体的な提案は全くそちらから見えていないわけであります。そういう意味では、具体的な提案もしていただいて、そういう中で私どももそこに参加できるようなものなのかどうか、そういうものが判断できる材料もない。材料もない中で、午前中の話にもあったように、この三党合意の中に明確に書かれている決議さえもない。

 きょうの議論の中で、与党の長勢筆頭理事も、この決議については速やかにやりたいというお話が出ました。ぜひその点も、公明党さんも桝屋先生も協力していただいて、早くこの三党合意の一項として明確に書かれている協議の部分、決議をつくり上げていただきたい。そして、具体的に一つ一つ提案もそちらからしていただきたい。私どももそれに対して聞く耳は十分持っております。

桝屋委員 そうおっしゃるのであれば、私は国対の担当ではありませんから、この国会の舞台回しの話まで今ここで議論しようとは思いませんが、願わくは、おっしゃるように、今回の廃止法案、ある部分だけいいとこ取りするような復活事項を入れて国民に提示するということではなくて、必要なことは、午前中議論しましたけれども、せっかく納番なんかも法案を前回そこまで踏み込まれたわけでありますから、そうしたことも一体的にまとめて九月の臨時国会にお出しになる、そこでしっかり議論をする、こういうことの方が私はよかったのではないか。だれが悪いとは言いませんが、本当にそういう舞台であってほしかったな、そのように思っているわけであります。(発言する者あり)ちょっと静かにしてくださいよ。僕の頭が回らなくなるじゃないですか。

 それで、何を申し上げていいか。私は、このままの状況でいきますと、何度も言いますけれども、民主党の皆さんは、ある意味では、選挙結果を見て、民意を見て、民意、民意とおっしゃっているけれども、まさに民意に迎合する形で国民を混乱させてしまう、こういう結果になるのではないかということを御忠告申し上げたい、このように思います。

 例えば納番についても、何でこの法案と一緒にお出しにならなかったのか。皆さん方の本意としては一緒に議論したい、こう言うのかもしれませんが、そこもやはりかえって混乱を与えてしまう、こういうことになるんじゃないか。あるいは、地共済の部分でいうと、国と地共済の財源調整をやるという、ここは、皆さん方は復活事項を入れているんですから、一元化に一歩踏み込むわけですから、せっかくなら復活の中に入れられた方がよかったんじゃないか。

 やはり相当混乱があるんじゃないか。その混乱が国民の皆さんに混乱を与えてしまう、そういうことになりはしませんかということを心配しているわけであります。

古川(元)議員 桝屋先生の頭の中でかなり混乱しているようでございますが、私どもは、きちんとこれは整理をさせていただいて、この法案も提案をさせていただいております。

 納税者番号のお話とかありましたけれども、これは、前の国会に私どもが出した抜本改革法の中では明確に書いてありまして、この廃止法案がもし桝屋議員も賛同していただいて成立すれば、それは協議をやるところにきちんと私どもの考えとして提案をさせていただきたいと思っています。

 地共済の方のお話もありますけれども、この部分について一元化じゃないかと。実は、ここは視点が私どもとやはり基本的に違うところがあるんですね。現行制度を何か変えていって、別の形にしていこうというふうに考えるのか。私どもは、まず、新しい年金制度の姿、そういうものをつくって、そこに今の現行制度からどういう形で移行措置を考えるのか、そういう視点で考えております。

 そういう視点で、抜本改革を十八年までに決めるという中で、ここのところだけ、しかもこれは財政のところだけ一元化するわけですから、そういう話をやるということは、これは全体の抜本改革の中で処理すればいい話ということで、今回はあえてこの廃止法案の中には復活させなかったということでございます。

桝屋委員 時間がなくなりました。具体的な議論もしたかったんです。

 一つだけ、今の納番で確認だけさせてください。心は納番だ、今回法案はないけれども前回出している、こうおっしゃっていますが、納番、本当に民主党の中は大丈夫ですか。

 私も、本当に住基番号だけでも六年苦しんできた男でありますから、おたくの党から、国民に番号を振るなとうるさく言われる方がいらっしゃる、そこは乗り越えられた、党内まとまって納番について進んでいくということは、それは大丈夫だ、乗り越えている、こういう理解をしていいですか。これは大事な部分であります。

古川(元)議員 私どもも、それこそ小泉総理じゃありませんが、自由民主党と同様、自由な発言、それは議員として可能でありますけれども、党として決めるということについては、自民党とは違ってきちんと決めさせていただくのが我が党であります。そして、ここは党としてちゃんと決めているところでございます。

桝屋委員 そのお答えは大変に心強いお答えというふうに私も感じました。

 最後に忠告でありますが、もう一回言いますが、政党は政策を実現するために可能性を追求するという姿勢が求められると思いますので、大前提、これ以外は一歩も引かない、こういうことではなかなかテーブルにすら着けないという状況があるんじゃないでしょうかということを申し上げて、私もテーブルに着くための努力をしたいということだけは申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 民主党の稲見哲男でございます。

 きょうは午後から質疑を聞いておりまして、質問者の真後ろにおったわけですが、総務大臣、非常にいい審議ができておりまして、できれば最初からお聞きをいただいたらよかったのじゃないかというふうに思っております。

 年金問題については、非常に国民の注視するところで、参議院選挙が終わって、きょうもう一度、民主党の廃止法案をめぐってですけれども、議論をすれば、与野党に何か理解が深まった、後ろから見ておりますと、何度も与党の委員が縦にうなずかれるというふうな場面もございまして、非常にいい議論ではなかったかなというふうに思っております。

 その上に立ちまして、もう一度、当然知っておられるのでしょうけれども、廃止法案の提案理由説明のときにおられませんでしたので、全体を含めて総務大臣にお聞きしたいと思います。

 七月十一日に執行されました参議院選挙、やはり年金選挙であった、これは皆さんも認めておられるところだと思います。改選議席でいいますと、民主党は自民党を上回ることができました。全国比例の選挙では、民主党が二千百万票、自民党が一千七百万票、まさにあの強行採決をされた年金改悪法、改正年金法が国民にノーと突きつけられた、こういうふうなことだと思っております。そういう意味では、政府の年金改正法の廃止を今決断すべきだ、こういうふうに考えますが、政治家としての麻生総務大臣の所見はいかがか。

 また、国民年金を含めた一元化というものについて、必要性をどう認識しておられるのか、実現へのプロセス、タイムテーブルをどうお考えなのか、政治家麻生総務大臣にお聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 さきの通常国会で成立をしました改正年金法というのは、いろいろな御意見があるのはよく承知しておるところではありますけれども、この年金の中において最も大事な給付と負担の比率等々の大きな課題について真っ正面から取り組んだという点につきましては、これは極めて評価されてしかるべきものだと思っておりますので、これをすぐ廃止するというような話は適当ではないと思っております。

 それから、国会審議において、公的年金の一元化という話が社会保障制度全般にわたっての話として上がっておりました。一元化というのは、この議論を進めていくに当たっては三党合意というのもありましたので、そういった意味では、衆参の厚生労働委員会に小委員会を設置し、平成十九年三月をめどに結論を得て、随時実施ということになっておりますので、これにあわせて、与野党において、平成十六年から協議会を設置し検討ということにされております。

 去る七月三十日に、政府におきまして社会保障の在り方に関する懇談会というのを既に設置して、第一回の会合が開かれております。社会保障全般について幅広く議論することとしておりますので、公的年金の一元化という非常に大きな問題でありますけれども、これらの機会を通じていろいろ議論をされていくべきものだと思っております。

 この公的年金の一元化は、背番号制等々を含めて、いろいろな問題が含まれておりますのはもう稲見先生御存じのとおりだと思っておりますが、委員の中に笹森さんもおられましたり、いろいろな方がいらっしゃいますけれども、大勢の方が集まって幅広く議論を今から進めていかれるということだと理解をいたしております。

稲見委員 そういう御答弁だと思うのですが、先ほどからの審議の中では、三党合意についても、その要件になっていた小委員会すらいまだに設置をされていないじゃないかというふうなこともありました。また、今大臣からありました在り方懇談会について、国会の中でそういう一元化に向けて議論を進めていくという場が整っていないにもかかわらず一方的に設置されているじゃないかというふうな御意見もございました。

 そういう意味からいいますと、今、民意を受けて改正年金法が廃止されても、法律すべてがなくなってしまうわけじゃないわけです。いわば十四年間連続値上げ法律、しかも、給付の下限もごまかしであったという法律がなくなるだけですから、その決断をされた上で、今もおっしゃったように、抜本改正、一元化に向けて与党として努力をしていく、こういう姿勢が必要なのじゃないかというふうに思っております。

 その意味で、もう一度政治家麻生総務大臣に所見をお聞きいたしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には見解が違うのだと思っております。少なくとも、きちんとした手続を経て既に成立しております法律を、もう一回審議することなく直ちに廃止するかの話は手続上もいかがかと思います。

 何といっても、問題なのは、新しい一元化のものができるまでにどれぐらい時間がかかるのか存じませんが、少なくとも、共済年金だ国民年金だ厚生年金だというのを一元化する話というのは、稲見先生は市役所におられたのでこの種の話はよく御存じと思いますが、簡単な話じゃないということはよくおわかりのところだと思っております。これがすぐできる、この臨時国会でもでき上がるというならまたそれは話は別ですが、それができる当てもないのに、背番号制の話やら含めての話を延々と時間をかけていく、毎年赤字がずっと今のまま継続するということを放置するというのもいかがか。

 これは考え方の違いなんだと思いますが、でき上がった法律、少なくとも給付と負担の比率について真っ正面から取り組んだこの法律を直ちに差し戻し、廃案という点に関しては、私は、政治家としては賛成をいたしかねると思っております。

稲見委員 今、一元化についてどれだけの時間がかかるかわからないというふうなお話でしたけれども、これは先ほども議論がありましたように、三党合意の中でも十九年三月まで、そしてこの廃止法案の中でも十八年度中に法案の成立を目指す、こういうことになっているわけですから、一元化についてはきっちりここまでに実現するというふうなことを決めて努力をしていくということなので、その点は少し状況が違うのじゃないかなというふうに思います。

 その上で、今最後に大臣からありました、赤字が継続をしていくということとのかかわりですが、これは本会議で小泉総理が廃止法案に反対をするということの中で、毎年五兆円ずつの赤字を放置することはできない、こういうふうなことがとりわけ廃止法案に反対をする論拠になっておりました。

 そこで、少しお聞きをしたいのですが、厚生年金、国民年金の赤字、いわゆる過去債務ですね。過去期間に係る年金給付の財源構成、四百五十兆円過去債務がある、こういうふうに言われているわけですが、当該総務委員会の、地方公務員共済の過去債務というのはどれだけあるのか。

 民主党は、先ほど申し上げたように、二〇〇九年に抜本改革を実施するということを提起しているわけですから、これから五年先になるわけですが、今後五年間、この地方公務員共済についての債務がどういうふうに増加をしていくのか。確かに、今財政再計算の作業が行われている最中だと思いますけれども、見込みを含めて明らかにされたいと思いますし、財政再計算というのは、料率を検討する資料として、これは過去債務の増は行わないということが前提になるというふうに思うのですが、その点も含めて見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 細目、公務員部長の方から答弁させますが、平成十一年度財政の再計算結果におきましては、六十八兆七千億というのが地方公務員共済年金の過去債務と言われるものになっております。

 それ以降の過去債務の増加額につきましては、今御指摘のあったとおり、再計算の作業を行っておりますので、具体的な額をこの段階でお答えすることはできません。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、地方公務員共済年金の過去債務ですが、平成十一年の財政計算の数字は出ておりますけれども、現時点、これは平成十六年になりますが、この点につきましては、厚生年金と仕組みが違うこともありまして、この十月の財政再計算の中で計算することとしておりますので、現時点でその数字は、具体的なものはお答えすることができない状況でございます。

稲見委員 後段に言いました、料率を検討する場合、過去債務をどんどんふやしていっていいものかどうかということがありますから、この五年間の物価の上昇あるいは賃金の動向を含めて、見込みとしてどういう状況なのかということを、わかりましたら少しお教えいただきたいと思います。

須田政府参考人 この財政再計算でございますけれども、基本的には、地共済年金の場合は、給付を厚生年金にそろえたものでその後の財政状況がどのようになるか、それを、平成十六年時点におきます組合員数とかあるいは受給者数とかをその時点で全部把握したものでもう一回計算し直すものでございまして、その時点におきましては、経済的条件につきましては基本的には厚生年金と同じようにするつもりでございますけれども、そういうこともございまして、ちょっと現時点では具体的な数字はお答えできないということでございます。

稲見委員 私は、前回の地方公務員共済組合法の改正時点でも、今の段階でこの組合法が財政的にどうなのかというふうなこともお聞きをしました。あのときでいいますと、国共済と含めて財政一元化をすれば健全に推移するというふうなお答えもありました。そういう意味では、この法律にのみ限定をしますと、赤字が毎年どんどんふえていくから保険料率を含めて今の改正年金法を廃案にできないのだという理由にはならないのじゃないかというふうに思っております。

 その点、今の過去債務の問題を含めまして、総務大臣、所見がありましたらお願いをしたいと思います。

麻生国務大臣 この過去債務というものは、やはりこれを含めて考えないかぬ物すごく大きな額になっております。そういった意味では、これは、それこそ一元化の中においていろいろ考えねばならぬ大事なところの一つに、やはり過去に負っております債務の話をきちんとしなくちゃいかぬところだと思いますので、これはその種の話を無視してやれませんし、これがまたそのまま放置したらずっと今のままでふえていく可能性は否定できませんので、そういったものも含めて、それこそ一元化に当たっては総合的に考えねばならぬという大事な観点の一つがこの過去債務と思っております。委員のおっしゃりたいところはわからぬわけではありませんけれども、これは避けて通れない大事な点だ、私はそう理解をいたしております。

稲見委員 これは、厚生年金法における過去債務が非常に大きい中での議論があったわけですから、地共済だけに限定しての議論はもうこのぐらいにしておきたいと思います。

 あと、年金制度の空洞化にかかわって、国民年金の空洞化が非常に激しいということについて少し総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 十日ほど前にも、年金の収納率、検認率が出ておりました。とりわけ二〇〇〇年を境にして大きく検認率が低下をしたというふうなことが如実にあらわれておりまして、ことしの場合も、四割程度の未納というのが改善されておりません。これは、社会保険庁の方でいろいろな努力はされているにもかかわらず改善されておらない、こういうことだと思います。

 その中で、御案内のように、二〇〇〇年に国費職員が国が直接行う事務として整理をされまして、国民年金についての異動事務あるいは徴収事務、すべて社会保険事務所に統合されました。社会保険事務所プラス三千余りの自治体という形で取り組んでおったものが、三百十八の社会保険事務所にすべて統合された。このことが検認率に非常に影響しておるのじゃないかというふうに思っております。

 そういう意味では、地方分権推進の主務大臣でございます総務大臣として、国民年金の空洞化、検認率の低下についてどういうふうな感想をお持ちなのか、お聞きをいたしたいと思います。

麻生国務大臣 感想ですね。これは、御自分が徴収しておられる立場にいらっしゃいましたのでよくおわかりのところだとは思いますが、地方分権一括法という法律ができたのを境にこういう話になったのだと思っております。

 御存じのように、それ以前は、年金手帳の話やら印紙の話から何から、保険料の徴収を含めて、これは年金事務所ということは、主に地方自治体等々いろいろなところでやっていただいておりましたし、また、この法律ができたのを境に、国が保険者としての責任を負わないかぬ、たしかそういう御議論があって、今後とも不断の努力でやっていきますというお話が当時あったと記憶いたしております。

 正式に保険料の徴収義務というのが国へ移管することになりましたのは、平成十四年の四月ということになっております。そして、今御指摘のありましたように、数字の上からいきますと、大体、平成八年ぐらいまでが八〇%だったものが、九年以降は七〇%台に落ちて、平成十三年度から十四年度に入るときに、いわゆるこの事務が完全に移管されたと思われます平成十四年度から六〇%台に落ちておる、数字的には間違いなくおっしゃるとおりになっております。

 それは、失礼ですけれども、通常地方自治体は三千百、今二千八百幾つになっておりますが、三千百というものから社会保険事務所三百ということになれば、十対一の比率になれば、それはなかなか保険の徴収としては大変ではなかろうかというのは、正直最初からこの議論の中であったところだと私自身は記憶をいたしております。

 当時政調会長をしておりまして、いろいろ意見を申し上げた記憶もありますので、そういうことだと思っておるのです。地方分権一括法という法律が成って、地方は地方、国は国でということになったのですが、どうも、元経営者としては、効率から考えたら、三千と三百じゃ全然違うのじゃないですかと当時申し上げたのですが、とにかく一応決まって事はスタートいたしておりまして、事実下がっております。

 この間の坂口大臣の答弁の中にも、おっしゃるような指摘を認められていて、一度こうなったからといって、いや、もう国はだめですから地方にもう一回お願いしますよとはなかなかそうすぐには言えぬので、私どもとしては精いっぱい努力をします、こう答弁されておられます。そういう答弁を見ますと、なかなか大変だということなのだと思います。

 しかし、厚生労働省において国民年金特別対策本部というのを設置されておられまして、今後五年間で八〇%を回復するという目標を立てて、これは直接厚生労働省に聞かれた方がよろしいと思いますが、いろいろな問題に取り組んでおられる最中だと思っております。口座振替の促進とか保険料の納付の呼びかけの話とか、いろいろ書いてある御努力を今しておられる最中です。

 いずれにいたしましても、国民保険料の徴収率の向上というのは、稲見先生、これは物すごく大事なところでもあろうと思います。厚生労働省が所管でもありますので、厚生労働省を中心に積極的な取り組み、対策が行われなければならないものだと思っております。

稲見委員 もう時間が来ました、もう一、二問あったのですが。

 今感想と申し上げましたのは、当然、今努力をすべきは社会保険庁、厚生労働省だと思います。ただ、地方分権という意味から逆行しているのじゃないか。これは検認率の問題だけじゃなくて、窓口での混雑度合いを含めて。例えば、私も、母が死亡したときに父の遺族年金と本人の国民年金の廃止届けに行きましたけれども、その届け自身は、書類が整っておれば五分で済む問題が、やはり二時間、三時間待たされる。番号札をもらってずっと待っているというふうな状況が続いているわけです。

 こういう市民サービスにもかかわって、年金制度をやはり充実していくためには、感想というふうに申し上げましたけれども、総務大臣としての努力をしていただくことがたくさんあるのじゃないか、こういうふうに思っております。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘だと存じます。

 たしか私どもの政務官のところの和歌山県の話でしたけれども、和歌山の社会保険事務所を訪れる人の数が一日に三百数十人ということになって、待たされること三時間。対応できる人はそうたくさんはおりませんので、そういった意味では延々時間がかかるという話、現実問題として甚だ利便に供していないというのは事実だと思います。

 したがいまして、社会保険庁に対して、身分が明確にできる住民基本台帳なんというものがあるのだから、それを入れたら接続ができて、少なくともその中において、自分の年金の払った額と自分の受け取れるであろう額等々をきちんと教えてくれるようなものが、今のインターネットですからできないことはないだろうという話で、二〇〇五年までに確実にそれをやってもらうようにという話を申し込んで、総務省としてはそういった対応をいたしております。

 これは、ICTを使えばいろいろ利便に供することは幾らでもあろうと思いますので、今後とも努力をしてまいりたいと存じます。

稲見委員 終わります。本来であれば、今の総務大臣との質疑を踏まえて、廃止法案について赤松ネクスト総務大臣に思いのたけを語っていただこうと思ったのですが、その点は中村哲治先輩の方に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

左藤委員長代理 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 政府の提出されました改正法に対する廃止法案についての質疑ということでございますので、私としましては、五月二十日の総務委員会での私のさせていただいた質問をフォローさせていただきたいと思います。それで、政府の改正法律の中身についての指摘をさせていただいて、この民主党の提出法案の理由ということにつなげさせていただきたいと思っております。

 質問の順番ですが、今用意している順番は、前回の質問と同じように、まず、みなし掛金建て方式について、次に年金制度一元化について、職域加算部分について、マクロ経済スライドについて、その順番に質問をさせていただきたいと思います。時間がありましたら、その他、前回積み残した質問をさせていただきたいと思います。

 まず、みなし掛金建てについてでございます。五月二十日の質疑の際にも、この制度がなぜ必要なのか、麻生大臣、また竹本厚生労働大臣政務官にもお話をさせていただきました。簡単に申し上げますと、私たちの若い世代にとっては、もう親が年金をもらう世代になっている、そういったときに、二重の負担の問題もあるので賦課方式を維持しないといけないだろう、だけれども、払った分はきちんと将来返してもらえる、そういった方式、いわゆる賦課方式だけれども掛金建てというみなし掛金建ての方式を導入するのがいいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。

 その中で、なぜ今この方式を採用することができないのか、それについては、竹本大臣政務官が次のようにおっしゃっております。少し長いですが、読ませていただきたいと思います。

  先生おっしゃるとおり、スウェーデンのやり方は賦課方式、世代間扶養を概念上前提としまして、そして拠出した額の保険料、これを賃金上昇率に合わせて運用している、そういう前提に立っておるわけです。そういう意味ではわかりやすいわけでありまして、自分のお金がどのぐらいになっているか、確かにわかりやすいんです。

  では、いいじゃないか、日本でそれを採用したらどうかというお話でございますが、問題が幾つかあります。一つは、今麻生大臣言っておられましたけれども、今我が国の保険料は段階的に引き上げていこうとしております。今一三・五八、これを一八・三〇まで段階的に上げていくわけであります。今の時点でこの保険料率のまま導入いたしますと、給付水準が大幅に低下する可能性がある、これが一つ。それからもう一つは、実は所得再分配機能が公的年金制度にあるわけであります。厚生年金あるいは共済年金、こういうのがあるわけでございますが、今のやり方ですと、この所得再配分がうまく機能しない可能性がある。

  こういった意味で、即採用というのはなかなか難しいですが、なおいろいろ総合的な見地から検討はしていかなきゃならないものだと思っております。

このように竹本大臣政務官がおっしゃっております。

 簡単に私なりにまとめさせていただきますと、一つは、保険料率がこれからずっと上がっていくので、その途中でこういった制度を導入することはできませんよね、もう一つは、所得の再配分機能が公的年金制度にはあるから、これがみなし掛金建てではできませんよね、以上のような二つの理由だと思うのです。

 そこで、政府のみなし掛金建てを導入できないとされている理由について詳しく、これからもう一度確認をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目の理由なんですが、みなし掛金建て制度自体は、保険料率を上げていく過程でなぜ導入することができないのか、これについてお伺いしたいと思います。

森副大臣 既に今、委員が前回の御質疑に基づいて分析をされたわけでございますけれども、今御承知のとおり、大変な勢いで少子高齢化が進んでいて、しかもいろいろな事情で保険料率が、ちょっと下げどまっていると言っては言い過ぎですけれども、まさにそういった状況に合わせてこれから徐々に上げていこうという提案をさせていただいているわけでございます。

 そういうことで、やはりある程度ステーブルな状態、安定した、つまり、そういうみなし掛金建て方式にしても、上げるところまで上がった状態でその導入を検討するならば検討の余地もあると思いますけれども、今まさにそういった状態にするための過程でございますので、これは前回も竹本政務官が御答弁したとおりでございまして、こういう状況では今はなかなか難しいというのが私どもの考えでございます。

 スウェーデンなども、あそこは大体人口構成がこれからも変わらないという前提でああいう制度がとられているものでございますから、やはり、今のこういった非常に厳しい状況に向かっていく中で導入するのは難しかろうというのが私どもの考えでございます。

中村(哲)委員 わかったようでわからないような説明だと多分若い世代は思うと思うのです。だから、一八・三〇がなぜいいのか、なぜ一三・五八ではだめなのかという理由はお話しになっていないのですよ。地共済の方は、国共済と財政単位の一元化をする中で二〇・二〇に上げることになっています。だから、二〇・二〇になったらいいのか。なぜ今の、一元化された後の一三・三三ではだめなのかという説明についてはされていないわけですね。

 ここは事前に、質問取りのときにはお答えいただいているんですけれども、確認させていただきたいのです。もう一度、いかがでしょうか。

森副大臣 これは、つまりこれからだんだん段階的に上げて一八・三%でサチュレートするということにしておりますから、そういった前提の場合と比べますと、今委員の御提案の制度を導入した場合、当然、財源が少なくなる分だけ給付が非常に少なくなるということを皆様方に御理解をいただかなきゃいけないと思うのです。

 民主党さんのこの間の代案でもそういった数字が入っておりませんから、どの程度まで下がるかというのが皆様方わからないままで議論されているわけですけれども、私どもとしては、大体所得の半分ぐらいは担保しないと年金にならないだろうというふうなことでその議論を始めているわけでございますから、今の一三・五八を維持したままでそういったみなし掛金建て方式を導入した場合に給付がどこまで下がるかということが、やはり皆様方の御理解を得るのがなかなか難しいのじゃないかというのがその導入が難しいと考える一つの大きな理由であります。

中村(哲)委員 私の理解が間違っていたらおっしゃっていただきたいのですけれども、一三・五八でみなし掛金建てをやった場合には給付額が少なくなり過ぎてしまう。一八・三〇まで上げないとまあまあ納得してもらえるような年金給付額は保障できない、そういった考え方があるということで理解してよろしいでしょうか。

森副大臣 そのとおりです。

中村(哲)委員 ある意味で親心というか、そういった気持ちで言われているのかなと思うのですけれども。

 だから、確定給付のあり方と掛金の関係、それが今見えないことに問題があるんですけれども、まず、それはそれで問題がある、だけれども、みなし掛金建てを導入するためには、まず引き上げていった一八・三〇で考えましょう、そういうふうに主張されていると理解させていただいていいということですね。――うんとうなずいていらっしゃいますから、次の質問に移ります。

 もう一つは、所得再配分機能があるということをおっしゃっているわけでございますが、私は、所得の再配分というのは、厚生年金だけで考えるのではなく、また地共済や国共済だけで考えるのではなく、社会全体、もしくは公的年金制度全体で考えるべきではないかと考えております。そうすると、もちろん消費税をどのようにするのかという問題も出てくるわけでございます。

 まず、私が申し上げております所得の再配分というのは、厚生年金や地共済、その世界だけで考えるべきではないのではないかと思っているんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

森副大臣 確かに全体の中で考えるべきこととは思いますけれども、やはり年金の枠組みの中でもそういうことがきちっとされなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

中村(哲)委員 私は理解できないんです。所得の再配分機能をなぜ厚生年金の世界だけ、地共済の世界だけで考えなくちゃいけないのですか。

森副大臣 ちょっとよく委員の御趣旨が理解できないのですけれども、それはつまり、最低保障年金とかそういったことも含めて考えたらどうかというお話でしょうか。(中村(哲)委員「そういうことです」と呼ぶ)

 最低保障年金ということを指していらっしゃるんだとすれば、やはり社会保険方式の一番大きなメリットというのは、まずみずからを助くる者を助く、自助自立の精神ですね、これがいかに機能するかということだと私は思うのですね。

 それは、最低保障年金というふうなことが持ち込まれますと、やはりそういった心持ちが薄れるだろうという心配が一つ。それからもう一つは、生活保護との関係が一体どういうふうに整理されるのか、この二つを申し上げたいと思います。

中村(哲)委員 今おっしゃっていることは、論理的に矛盾しているんですよ。社会保険方式で自助自立ということであれば、所得の再配分というのは論理的には矛盾するんですよ。

 なぜ自助自立の社会保険方式にもかかわらず所得の再配分をしなくてはいけないのか、そこについての御答弁をお願いしたいのです。

森副大臣 それは、そういったものを複合的に勘案して今の制度ができているのであって、いやいや笑い事ではない。だから、例えば国民年金、厚生年金、共済年金、全部一元化すればいいではないかという御提案もありますけれども、しかし、そうしたときに、例えば国民年金の人たちが、厚生年金の場合と違って事業主がいないからそれを半分負担してくれる人がいないとか、やはり今までのそういった組み合わせでもってかなり配慮の行き届いた制度になっているわけでありますから、必ずしも一概に自助自立の精神と、それから所得再配分の機能が矛盾するということは私は言えないと思います。

中村(哲)委員 それなら、なぜ所得再配分が必要なのかというところから考えないといけないと思うのですよ。

 それでは、そもそも所得再配分というのはなぜ必要なんですか。

森副大臣 それは大変本質的な御議論であって、私はやはりそういったことも将来的には、つまり、所得再配分は税金でやればいいじゃないか、それから、年金についてはそういったことはなくてもいいじゃないかという御意見があるということは制度論としては理解いたします。

 しかしながら、今までの経過の中でこういったシステムができていて、それなりに機能して、一つの国民の皆様方の安心のもとになっているのですから、それを前提としてこれからどうやって組み立てていこうかということで今回の制度改正になったわけでございます。

中村(哲)委員 いや、私はシンプルに聞いているんです。所得再配分というのはなぜ必要なんですか。

森副大臣 それは、老後の生活保障を年金でやっているということから、そういった所得再配分、本当に気の毒な人もいるわけですから、やはりそういった機能を持たせるということも私は政策論として当然あり得ると思います。

中村(哲)委員 いや、制度の中でなぜ所得再配分という考え方が出てくるのかということを申し上げているわけでございます。

 私なりの理解を申し上げますと、市場経済の中で全く自由競争に任せていくと、勝つ者と勝たざる者の差が大きくなる、だから国家権力が介入をして、多く収入がある者からは取って、そして貧しき者には分け与えていく、これが所得の再配分の機能です。

 なぜそういうことが自由主義の中で許されるのか。それは、社会権に見られるような実質的な人権の保障である。十九世紀から始まった立憲主義においては、まず国家からの自由というのを国民に保障した。しかし、それでは結局資本主義が拡大して労働者は搾取される。その中で階層が固定化してしまう。本当に自由というものを保障したけれども、本当の意味で人格的自立や実質的な人権が保障されていたのか。そういった疑念が生じたから、現行の現代立憲主義においては、形式的な自由権の保障だけではなく、国家が積極的に介入して社会権を保障していこう、そういった人権の歴史があるわけですよね。

 だから、所得の再配分というのは、国家が市場主義経済に介入をして、そして税金なりで国家権力で徴収した分を再配分するわけですよ。それが所得の再配分の意味だと私は思います。

 この理解で間違っていますか。お答えください。

森副大臣 そのとおりだと思います。

中村(哲)委員 だから、そうであるのであれば、原則的に、所得の再配分というのは、国家が強制的に徴収する税金でやらなくちゃいけないんですよ。社会保険でやるということは、社会保険というのは何の目的なのか。それは先ほど副大臣おっしゃいましたように、自助自立の考え方なんですよ。自分が払った保険料で将来自分が恩恵を受ける、そういった意味で、社会保険料というのは、考え方としてはまずあるわけです。

 それでは、社会保険料を使うことによって、先ほど申し上げましたような所得の再配分を全くしてはいけないのかどうか、そこについては論点があると思いますよ。だけれども、メーンの機能としては、社会保険料というのは自分が将来不安にならないために掛けていく、そういったものであるはずなんですね。税金は、また自分たちの国家を維持するだけではなく、貧しき者にも実質的な人権を保障していくために使っていく、これが社会保障の考え方ですよね。そこの整理をきちんとしないといけないんじゃないか、私はそのように思っているんです。

 だから、民主党は、ある意味で、一階建ての部分は最低保障年金、基礎年金を最低保障年金という呼び方をしているわけですけれども、そういった一階建ての部分はきちんと税金で全額保障しよう、そして二階建ての部分に関しては、自分が払った保険料を結局みなし積み立てですよね、みなし掛金建てという制度で将来返してもらう、こういうふうに整理した方が社会保険料と税金と、その性質を整理できるんじゃないか。私は、民主党案というのはそのような考え方でつくられていると理解をしているのですけれども、こういった考え方の方が整理されるのじゃないかということでお聞きしているわけでございます。

 説明が長くなりましたけれども、そういった意味で考えると、なぜ社会保険料で所得の再配分をしなくちゃいけないのか、そこについて検討しないといけないんですよ。そこについての哲学的な理由を述べていただきたいと思います。

森副大臣 委員がおっしゃっていることも私は非常に一理あると思いますけれども、それでは、先ほどおっしゃられたように、年金で所得再配分をやっちゃいけないということはないわけですね。特に、確かに国が強制的に徴収するのは税金だけれども、一方、年金も国民の義務でありますし、これは強制的に徴収するものですから、その中においてなるべく不公平がないような一つの機能を持たせるということも決して否定されるべきことではないというふうに私は考えます。

中村(哲)委員 今、副大臣がおっしゃいましたように、しちゃいけないというわけじゃないでしょう。つまり、政策判断だということなんですよ。だから、政策判断だから、みなし掛金建てにできないという理由に入っているのは必ずしも適当ではないんじゃないかというのが私の主張なわけでございます。

 この件については、議事録等を後日精査していただいて、また検討していただきたいと思います。

 時間もありませんから、二つ目の質問に行きます。

 職域加算部分についてでございます。

 職域加算部分については、前回、山口副大臣の方から御答弁がありまして、「この職域部分というのは、実は、公的年金制度という考え方と、もう一つ公務員制度の一環として私どもとらえております。 特に公務員というのは、もう御案内のとおり、さまざまに制限があります。あるいは、退職してからも一生つきまとう守秘義務等々、これはいろいろあるわけですので、やはり労働基本権との絡み等々も考えてこうした制度を共済年金の中に設けさせていただいております」、以下略させていただきますけれども、このように山口副大臣はおっしゃっております。

 これをそのまま聞くと、では、公務員にはいろいろ制約があるので、その分、将来お金で、職域部分という形で返すという考え方なのかな、そういうふうに受け取られがちだと思うのですね。

 しかし、私は、公務員の特殊性から考えてそれは正しくないだろう。公務員がなぜ守秘義務があるのか、またさまざまな制約があるのか。これは、公務というのが近代国家にとって非常に崇高な目的だからです。国民主権の国であって、それが一人一人の自由をある意味で国家に社会契約でゆだねる、その国家権力を担う公務員というのは、公務ができる、そのことだけですごく価値を持っている、だからそれに相応する義務があるんだ。

 私は、公務員は義務があって制約があるからお金で面倒見てやろう、それは基本的におかしいんじゃないか、そんなふうに考えておるんですけれども、やはりこのような御答弁、制約があるから金で面倒見るんだ、御答弁としてはそういう理解でよろしいんでしょうか。それとも、私が間違った理解をしているのか、御答弁をお願いいたします。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

山口副大臣 基本的には、今、中村先生おっしゃったような思いを込めて実は前回も答弁をさせていただいたつもりなんですけれども、一方においては、やはりいろいろな制約があるということも事実でありますし、そういった中で、本当に自覚と誇りとあるいはまた安心感を持って長期間しっかり頑張っていただけるようにというふうな思いでこの職域年金部分というのはあるんだろうというふうなことで、思いとしたら、もう先生おっしゃるような思い、もともとこれは恩給制度から変化してこうなってきたわけですから、そういったものは当然公務員の性格としてあると思っております。

中村(哲)委員 今おっしゃったのも、そういうのもあるけれどもこういうのもあるとおっしゃっているだけでして、義務があるから金で解決しようとしている部分もあるのかどうかということなんですよ。私は、そういう考え方はおかしいんじゃないか。公務員は、公務をできるだけで非常にすぐれた、すばらしいことをさせていただいているわけですから、それをやはり感じないといけないし、そこを金で解決するというのは基本的におかしいのじゃないか。

 そして、二十年という期間も、なぜ二十年か。この間も御答弁があったわけですけれども、長期間働くから二十年なんですよとおっしゃっているのですが、なぜ二十年なのか、十年じゃなぜだめなのか、その御答弁はなかったわけでございます。

 なぜ二十年なのか、その点についてもお答えください。

山口副大臣 金で買うみたいな発想は実は全くしておりませんで、むしろ、そういったことでしっかり保障してあげるということで、安心して、しかも誇りを持って仕事ができるだろうというふうな意味合いでございまして、決して金でつっておるようなことではございませんので、そういった御理解でお願いいたしたいと思っております。

 それと、二十年云々というふうな話も前の国会で先生の方から御質問があって御答弁もさせていただいたわけなんですが、これは若干繰り返しにもなりますけれども、これも公務員制度の一環として設けられたものというふうなことで、実は、地方公務員法には、相当年限忠実に勤務して退職した場合に支給をするというふうなことがありますので、それに準じてというふうなことであります。

 それと、私も、なぜ二十年なのかな、十五年はなぜだめなのかというふうな思いがありましたけれども、これももとの恩給制度ですね、かつて昭和六十年以前の場合の受給資格というのは実は二十年だったというふうなことを踏襲して二十年というふうなことになっております。

中村(哲)委員 時間が来ましたので終了させていただきますけれども、公務員制度に対する国民の見方が恩給制度のころとは私は大分変わってきていると思うのですね。給料が少なくて、働くのもしんどいから、やはり長期間働いた者はきちんと面倒を見てやろう、そういう考え方でできた制度なんですけれども、今果たしてそうなのかどうか。

 私は、今国民の皆さんは、公務員制度に対して、また公務員の働き方について厳しい目で見ていらっしゃると思います。自分たちはいつリストラされるかわからない、いつまで働けるかどうかわからない、その中で公務員はいつも安定して生活できるじゃないか、そういった国民的な不満があるから、今公務員バッシングがかなりなされているんだと思います。

 そういった意味で、公務員制度改革の一環ということですので、公務員制度改革についてはそういう視点から、与野党ともに取り組ませていただきたいと思います。

 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは冒頭、現下の喫緊の課題でもあります豪雨災害対策について、一問、麻生大臣にお尋ねいたします。それは、災害情報の提供の問題についてであります。

 今回の災害では、避難勧告など、情報伝達についての問題点が幾つも指摘をされております。三条市などでは、同報系の防災無線が設置をされていないということで高齢者の方に情報が届かなかった、福井県の方では、広報車が回ったんだけれども水が出てしまって実際には回り切れなかった、こういう問題もあります。こういう点でのさまざまな助成措置の拡充なども求められておると思います。同時に、高齢者の方や障害者など、災害弱者の方に対してきちんとフォローできるような体制をつくっていこうじゃないか、こういう対策というのも重ねて必要だと思っております。

 その上で、ぜひひとつこれは実現の方向で御努力いただきたい。それは、現場でも三条の方などもおっしゃっておられましたが、テレビで避難勧告の情報が流されないのかということ。つまり、気象庁などの津波の情報などは出ますけれども、三条市での避難情報の勧告、こういうのがいわば県域放送のテレビなどで流れたらどれだけお年寄りの皆さんにも届いただろうか、こういう声をいただいているわけです。

 そういう点でも、テレビやラジオの情報提供がどうだったのか、今後に向けてこういう活用方法を本当に検討、研究すべきなのじゃないか。デジタル放送があるからそれで、そういうことではなくて、今のテレビでテロップなどを流せるような、そういう取り組みというのが求められているのじゃないか。この点、ぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 まず、福島、福井、新潟また四国等々、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第です。

 その上で、今のお話ですけれども、まことに御指摘は正しいと思っております。現実問題として、そういった情報を、例えば村なら村に一本スピーカーが立っていて、スピーカーで退避、避難とかいうような、スピーカーを含めましてそういった発信のシステムが三条になかったとかいろいろ御指摘があるのです。そのとおりなんだと思いますが、それもやらねばならぬ。

 あと二点あると思っているのです。今回は、塩川議員御存じかどうかは存じませんが、普通、一時間に四十ミリの雨が降りますと、大体ワイパーはだめなんですよ。もう車のワイパーはきかないのです。六十ミリを超えましたら、まず車はほぼ走行不能ということになるんですが、この場合、約百十ミリというのは猛烈をきわめたと思っております。

 そういう意味では、短時間に多分増水の速度も記録的に速かったと思いますので、それに対する対応は、いつもの調子でやっていて確実におくれたと思われることは、一つ状況としては、向こう側の立場に立てば、何だかすごいなと思ったけれども、まさか百十ミリという記録的なものとはとてもじゃないが思えなかったとか、いろいろな理由があるのだと思いますが、情報を流すのがおくれたというよりは、もともとの状況把握がおくれたから流すのもおくれた、両方重なってその手段もまたということもあろうと思いますし、いろいろなものが重なっておると思います。

 しかし、今、テレビの話が出ましたけれども、私は、デジタルハイビジョンなんということになりますと、確かにおっしゃるように、スイッチは一応待ちにしておきさえすれば、切ってあってもいきなりぼんとなって、退避というのはすぐできるようなことになります。ただ、それに至るまでの段階として、少なくとも今の情報で、台風情報と同じように、この地域のこれはということを流すことは技術的には可能だと思います。

 そういった意味では、お天気情報というのはいろいろ昔に比べてICTのおかげでかなり技術が進歩しておりますので、三条のこの地域だけ避難とか、九頭竜川の沿岸部だけ避難とかいうような情報をテレビで流せるようにするという努力は、今後の検討課題として重要な御指摘だと思っております。

塩川委員 よろしくお願いいたします。

 三条の場合でも、避難勧告の指示が出てから実際の破堤まで三時間ありますから、本当に早く届いていれば、お年寄りの方の避難の状況も整う。そういう意味でも、あらゆる手段を駆使するという意味で、テレビというのも大きな情報伝達手段ですので、御検討のほどお願いします。

 それでは、年金法について質問いたします。

 やはり選挙後の世論調査でも、八割の国民が、年金改革法は白紙に戻してやり直せ、こういう声を上げております。この改悪年金法が、保険料の連続引き上げで保険料が払えない人を一層ふやし、年金制度の空洞化を深刻にするとともに、給付の連続引き下げで、今でさえ貧困な年金額を一層切り下げることになる、このことへの国民の怒りが示された結果だと思います。

 その上に、負担増には上限がある、給付減には下限がある、こういう二つのごまかしも明らかとなる。その上で、あの強行採決が行われました。法が採決された後に出たのが、出生率のデータ隠しでもありましたし、さらに四十カ所の条文ミス、三重、四重にこういうごまかし、国民不在、無視のやり方というのに、国民の皆さんが、これはおかしいという声を上げたわけで、私どもも、この年金法の実施の中止ということを強く求めていきたいと思っております。

 その点で何点かお聞きしようと思っていますのが、例えば今回の本体の法律で四十カ所の条文ミスがありました。この問題ですけれども、過去、内閣提出の法案で成立したものの中に、正誤を後で行った、官報掲載を行った、こういう法律というのは、平成元年以降、過去十五、六年の間でどれだけあって、法律にどのぐらい実際間違いがあるものなのか、少し具体的に示していただけますか。あわせて、その間にどのぐらいの内閣提出の法律が成立したのかという総数も出していただけますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、総数の方からでございますが、平成元年からさきの通常国会までにおける内閣提出の法律で成立いたしました件数は、千八百五十九件でございます。

 次にお尋ねのございました、その中で官報正誤を行った状況でございますけれども、公布後、官報正誤を行った件数といたしましては、本件年金改正法に係るもの以外に八件ございます。

 順に申し上げますと、平成五年の特許法の一部改正について一カ所、平成六年の行政手続法関係整備法について一カ所、平成七年の新たな事業活動促進のための関係整備法について二カ所、平成十年の新事業創出促進法について一カ所、平成十二年の民法一部改正法について二カ所、同じく平成十二年の同整備関連法について三カ所、それから、平成十四年の地方公共団体の選挙に係る電磁的記録投票の特例法につきまして一カ所、平成十五年の消防組織法及び消防法一部改正について二カ所、以上でございます。

塩川委員 今のお話にありますように、平成元年以降、千八百五十九本もの成立した閣法がある、そのうち、こういう間違いを官報で訂正したというのは、今回の年金法を含めて九本しかない。わずか〇・五%。まあ当たり前といえば当たり前で、誤りがないのが本来ですから、そういう意味でも異常ということが当然ありますし、ほかの八本というのは、大体一カ所か三カ所ぐらいなんですよね。四十カ所というのが、いわば天文学的に多い、極めて異常な事態だということもまた明らかだというふうに思います。

 その上で、この条文ミス、いわゆる条ずれなどによって、具体的にいろいろな年金の支給などについて、その支給の根拠が不明確になるという問題も生まれてきているわけです。

 そこで、厚生労働省に伺いますが、今回の厚生年金の改正法で、加給年金の支給の規定部分に誤りがあったために、この加給年金の支給根拠が不明確となっていると厚生労働省のメモでも上がっていますけれども、これは具体的に何人ぐらいに影響が出るのか、不明確となる対象数が何人ぐらいになるのか、お答えください。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの国会で成立させていただきました年金改正法につきまして、相当数の過誤が出たということについて、私ども、深く反省し、おわびを申し上げたいと思います。

 今回の過誤は、いずれも、今御指摘のように、引用条文のずれ、こういったもので、実質的な法規範の内容と法文の表記の間にそごあるいはずれが生じたということでございました。

 御指摘の加給年金についての規定でありますけれども、これは、御説明申し上げますと、本来の老齢厚生年金の額に加給年金を加算するという規定があるわけでありますが、これが条項がずれてその対象が不明確になったということでございます。

 お尋ねのいわゆるこの規定の対象とする受給権者数でありますが、平成十五年三月時点で約三百二十万人というふうに承知しております。同じく、今御指摘いただきましたが、これにつきましては、この受給者の方々の法的な地位が不安定となっているということにかんがみまして、この七月二十七日に官報正誤による訂正をし、安定を図ったところでございます。

塩川委員 また、これだけではないわけです。三百二十万ということ自体も極めて重大でありますけれども、老齢厚生年金につきましても、年金額のかさ上げ部分の計算の根拠が不明確となっています。これにより影響を受ける老齢厚生年金の受給権者数は何人になるのか、人数だけで結構ですから、お答えください。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のことにつきまして、制度の解説は省略申し上げますけれども、現在、六十歳以上の老齢厚生年金の受給権を有しておられる方が約一千六百七十七万人おられます。この方々が今、いわゆる給付乗率といいますか、年金支給の根拠のかさ上げを受けておられるところでありますので、この規定に関係しておられるのは、最大限こういう額の範囲であろうかというふうに考えております。

 これにつきましても、先ほどと同じく、こういった方々の給付の法的地位が不安定となってはいけないということで、同じ官報正誤を行ったところでございます。

塩川委員 極めて重大なミスなんですよ。こういうのも過去にないわけですよね。一連のそういう誤り、ごまかしに加えての条文ミスですから、やはり出し直せという声が国民の声だと率直に思います。

 その点で、今回、民主党提出の地共済法改正法の中止を求める法案についての趣旨なんですけれども、年金改革の議論を一からやり直せという民意にこたえるものだ、政府の年金法の実施中止を求める民意にこたえるものだと思いますが、いかがでしょうか。

赤松(広)議員 全く塩川先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほど来、理由もいろいろ挙げられておられましたけれども、一つだけ申し上げれば、過日の選挙の折の出口調査等を見ても、何でもって投票されましたかというのに、ほとんどの人が年金と答え、そして、あの結果を見れば、まさに小泉ノー、自民党ノーの結論が出たということでございます。その意味で、この民意を受けた形で私ども廃止法案を出させていただいたわけで、ぜひ共産党の皆さんについても積極的な御賛成をいただく中で、何としても廃止に追い込んで、そして安心と安全の将来に向かっての新たな年金制度を確立していきたい、このように思っております。

塩川委員 最後に大臣にお伺いいたします。

 改悪年金法を出し直せの国民の声だ、私はそのように思います。国民の信頼がなければ年金制度は成り立たないわけで、このままで年金制度の信頼が得られるとお考えなのか、この点、ぜひお伺いしたい。

麻生国務大臣 年金制度を含めまして、いわゆる政治は基本的に信頼関係がないと成り立たないのは当然だと存じます。

 今回のこの年金の点につきまして、先ほど御指摘のありましたところを含めましていろいろ問題点があろうとは存じますが、私どもとして、この法案の一番肝心なところは、どうしても避けがたい給付と負担という問題につきまして、この均衡というものをきちんと確保するという点に主眼を置き、これに真っ正面から取り組んだものだ、その点は大事なところだと思っておりますし、いろいろな意味で、今後一層説明をしていく努力というものは避けて通れない大事な点だと思っております。

 いずれにいたしましても、この国会審議の中において、年金制度を含みます一元化等々、いろいろ今問題点が指摘をされておるところでもありますし、また、内閣におきましても、社会保障の在り方に関する懇談会を去る七月の三十日に、いろいろ年金にお詳しい方々を含めまして第一回の会合を持ったところでもあります。いろいろな形で議論を通じ、国会の論議を通じ、また、この種の有識者の方々の御意見等々を通じて、この問題は非常に大事な問題だと思いますので、理解を得られるようなきちんとした制度の確立に努力をしていかねばならぬと思っております。

塩川委員 年金法を出し直せという民意を無視することがかえって年金不信を拡大することになる、私はそのように思います。年金改悪法を白紙に戻して、国民の総意を結集して安心できる年金制度をつくるべきで、年金法を白紙に戻せという民意にこたえるものとなるこの平成十六年改正地共済法廃止法案に賛成の立場を表明して、質問を終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 きょうは法案の審議ですが、特例として、委員長や理事会の御配慮をいただきまして、さきの災害対策についてちょっと総務省にお尋ねとお願いをさせていただきます。

 今回の新潟、福井など、四国も含めて集中豪雨が襲ってきたわけでございますが、その結果、貴重な人命が失われました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りをいたします。そしてまた、被災に遭われた方々のお見舞いを申し上げたいと思います。

 これからやはり重要なことは災害の復旧でございますが、既に関係自治体や関係機関やボランティアなどが日夜分かたぬ努力を進めているところでございますが、現地は引き続き、被災者支援対策あるいは被害の復旧復興、産業、経済の回復等々、再発防止のための災害復旧事業の早期の促進などについて万全の対策が求められている状況にあると思うわけでございます。

 既に普通交付税の七月分の交付が決定され、配分をされておるわけでございますが、今後、被災自治体について、交付税法第十六条第二項に基づいて、普通交付税の九月交付分の繰り上げ交付を、やはりこういった状況である以上取り組まなきゃならないのではないかということが一つでございます。

 そしてまた、被災者に対する県税、市町村税の減免措置に伴う減収額、これを補うため、さらには災害復旧事業、災害対策関連事業に伴う財政需要について、特別交付税の配分においてやはりここは特段の措置を講じていくべきではないかと思っておりますが、総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

瀧野政府参考人 今回の豪雨災害によりまして被災した地方団体におきましては、今御指摘がございましたように、応急対策、復旧対策など、相当の財政負担が生じると見込まれるところでございます。

 総務省といたしましては、これらの関係地方団体の実情を十分お聞きいたしまして、災害復旧事業債の配分あるいはその元利償還金の交付税への算入、さらには罹災世帯に応じました特別交付税への配分、こういった地方交付税や地方債によります地方財政措置を講じまして、財政運営に支障がないように適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

 また、最初に御指摘ありました普通交付税の繰り上げ交付でございますが、現在、県と市町村の間で検討を行っているところでございます。正式に繰り上げ交付の申請がなされれば、総務省といたしましても、関係省庁と調整の上、早急に対応してまいりたいというふうに考えております。

横光委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。

 今述べられました災害復旧事業債、このことも述べられましたが、これは地方債の中でも非常に有利な、自治体にとりましては非常に助かる地方債でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、民主党提出の地方公務員共済組合法改正案及びその親法でもあります年金改悪法案廃止法全体の考え方についてお尋ねをしたいと思います。

 政府案は、給付を減らす、そしてまた負担をふやす、これは財政事情からしていたし方ないという部分もございます。しかし、この上限を決める、下限を決める、だからもう百年は安心だといううたい文句、これも審議の過程であやふやになった。しかも、野党の質問権を奪ってまで強行採決した法案が、後出しで合計特殊出生率一・二九という、まさにこの法案の大前提ががたがたに崩れてしまったという、私から言わせれば余りにもひどい政府案であるということでございますが、これを廃止するということは、野党が共通してさきの参議院選挙で有権者に問うてきた課題でございます。

 そして、その結果が、この提案理由説明にもございますように、与党は改選過半数を獲得することができなかったわけですね。これがいわゆる民意だと思うのですね。そのための国政選挙であったと思うわけでございます。こういった廃止してほしいという国民の声が選挙によって明らかになったわけで、しかも、選挙の後の意識も、なおこの法案を廃止してほしいという声が七割にも上るという状況の中でのこの民主党の廃止法案の提出はさもありなんという思いでございます。

 各党の主張の違いはあります。我々もこの中身を見ますと意見の違うところがあります。しかし、各党の違いは横に置いて、まずこの政府案の欠陥、そして矛盾、これを改悪前の状態に戻す、この法案を野党が共同で政府・与党に迫っていくことが、私は、さきの民意にこたえる道筋でもある、そして、さらに政治的にも力となるものだと考えておるわけでございますが、この点についての提案者の御見解をお聞かせいただければと思います。

赤松(広)議員 お答えしたいと思います。

 横光議員が言われるとおりに、国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、国民的合意に基づく公的年金制度の抜本改革がどうしても必要であります。特に、年金の一元化等によって、将来にわたり安定した公的年金制度の確立を図るためには、先生御指摘の、さきの百五十九回国会で強行採決により成立した一連の年金改正法案、すなわち分立した公的年金制度の継続を前提とし、負担の増加、給付の削減の中身しかないあの法案を廃止して、広く国民に開かれた議論に基づく年金制度を実現しなければならない、このように思っております。

 民意にこたえる唯一の道は、この廃止法案の成立によって、もう一度改めて、一から安心と安全の年金制度を与野党合意のもとで確立していくことだと思っておりますので、ぜひ廃止法案の成立のためにお力添えを賜りたいと思います。

 以上です。

横光委員 この廃止法案で、社会保険庁の廃止といわゆる歳入庁構想の導入がうたわれておりますが、社会保険庁の改革、これは先ほどからございます、今回の年金不信の象徴的な存在として国民から非常に批判が高いわけですが、この改革は積極的に取り組むべき課題だと思っております。

 しかし、徴収の一元化は、保険料と税の性格や対象が違いますし、給付事務のあり方、あるいはこの徴収を税務署が行うことによって、滞納や資格停止者の増加が逆にふえるのではないかという懸念もございます。国税と地方税の相違など、詰めなければならない問題点があると思うのですね。本当に効率化が図られるのかという疑問もあるわけでございますが、この点について、今後どのように検討されるおつもりなのかお聞かせいただければと思います。

中川(正)議員 歳入庁という方式は、外国でも採用をしておるところがあるわけであります、その際、私たちも前提として考えていったのは、民主党案の中で、所得比例方式を前提にしていく中で考えていくと、やはり所得の把握というのが基本になるのだろう。そういう意味からいっても、歳入庁でまとめて、しっかりとした信頼関係を国民と結んでいくということが正しい方向じゃないか、そんな議論を経た上で歳入庁方式ということになったわけでありますが、御指摘のとおりに、それに対してさまざまなまた問題点もあろうかと思います。

 効率的に行っていくために、そうした議論もさらに弾力的に考えていきたいというふうに思っておりますので、また、これからの議論もよろしく参加をいただきますようにお願いしたいと思います。

横光委員 もう一点だけお聞かせいただきたいと思うのですが、政府の地共済法改正案に含まれておりました地共済年金と国共済年金の財政単位の一元化、そして、市町村の共済組合の年金給付事業の一元的処理というのがこの政府案には含まれていたのですが、この取り扱いについては、民主党案はどのようにお考えなんですか。

中川(正)議員 これは、トータルで私たちも一元化ということを考えておりまして、その中で、今、個別にここをとらえてもう一つ議論しようじゃないかというようなところはもう全部割り切って考えていきたい、いわゆるトータルの中で一元化という形でこの際は足並みをそろえたらどうかということに立っております。

佐田委員長 持ち時間が切れております。

横光委員 はい。

 民主党のいわゆる年金廃止法案、問題点も、ちょっと意見の違いもあるわけですが、さきの通常国会で与党の強行採決によって成立した年金改悪関連法を廃止して、抜本的な年金改革の国会審議を行えというこの国民の大きな願いを踏まえて、我々は政府案廃止の一点で賛同の意を表明して、質問を終わります。

佐田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後四時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十三分開議

佐田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております岡田克也君外十名提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について審査を進めます。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。

左藤委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、民主党提出の地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について反対の討論を行います。

 本法律案に対して反対する第一の理由は、将来の姿を示さず、改正地共済法をただ廃止しようとする無責任なものであるからであります。

 本法律案においては、改正地共済法を廃止した後の新しい年金制度について、どのような体系とし、いつから実施するのかなど、地共済制度の将来像について全く触れられておりません。共済制度にとっては、どのような制度をとるにせよ、給付と負担の均衡を確保するという課題は避けて通れない課題であります。この点について具体的な姿を示すことなく、廃止することを提案する本法律案は、全く無責任なものであり、いたずらに国民を惑わせるものであります。

 本法律案に対して反対する第二の理由は、給付と負担についての見直しを行わず、年金財政を悪化させるものであるからであります。

 本法律案では、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げについて、政府の方針よりも一年繰り上げ、平成二十年度までに行うこととしていますが、その財源については、歳出の抜本的見直しとするだけで、何ら具体的に示されていません。

 さらに、本法律案で提案されている事項は、給付増や負担減につながるものばかりで、理念やその財源も示されていません。本法律案は、全く無責任なものであり、将来の年金財政の悪化を加速させるものであります。

 本法律案に反対する第三の理由は、年金制度の一元化への具体的なスケジュールを全く示していないということであります。本法律案では、年金制度の一元化の期限だけは設定されていますが、どのような課題について、どのような手順で検討していくのかも示されていません。給付と負担の関係も示されていない状況で、期限だけを設定する本法律案は、実現可能性のないものであり、無計画なものであります。

 本法律案に反対する第四の理由は、地共済と国共済の財政単位の一元化や市町村組合の事務の一元化を図る内容までも廃止していることであります。

 改正地共済法においては、地共済と国共済の財政単位の一元化により、財政単位の拡大と負担の平準化を目的としたものでありますが、本法律案は、この点についても、ただ廃止するだけで、どのような措置をとるのか代替案を示していません。また、事務の効率化につながる市町村組合の事務の一元化についても、ただ廃止するだけであり、具体的な提案がありません。本法律案は、このような制度の効率的運営につながる制度改正までも無見識に廃止するものであります。

 以上のとおり、将来の地共済年金の姿についての具体的なビジョンを示さず、さまざまな矛盾を抱えている本法律案は、極めて不完全なものであると言わざるを得ません。

 このような提案は、国民を裏切るものであり、与党としては看過することはできません。

 このような理由から、私は、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に強く反対の意を表明するものであります。

 これをもちまして私の反対討論とします。(拍手)

佐田委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に賛成の立場で討論を行います。

 さきの国会で成立した年金改革関連法に対して、国民は、その成立前も、成立後の現在も、強い不信を抱いています。

 まず、負担と給付の数字を明確に打ち出したことが抜本改革であるとしながら、実はその負担と給付がまやかしであることが明らかになりました。加入者の約四割が保険料を納付していない、すなわち既に制度として破綻状態にある国民年金に至っては、何ら根本的解決策が示されず、放置されたままです。

 さらには、法案の成立後に発表された合計特殊出生率一・二九は、政府の想定外であり、法律で約束した給付と負担の根拠が崩れ去ってしまいました。

 とどめは、法律の条文に前代未聞の四十カ所もの過誤があったことです。これでは法律としての体をなしていませんが、政府はそれを官報の正誤表掲載で取り繕ったのですから、もう救いようがありません。年金改革関連法は実現不可能であり、明らかに欠陥法なのです。

 国民が年金改正法に不信を抱き、廃止を求めるのは当然です。そして、国民はこの不信をさきの参議院選挙で明確に政府・与党に対して突きつけました。参院選の投票基準が年金改革であったのは明らかです。その年金選挙で国民が示した審判は、年金改正法に対する明確なノーでありました。

 国民は今回の年金制度改革について、改めて一から議論し直せと言っているのであります。厳しい暑さの中、国民と向き合い、選挙を戦ってきた皆さんこそ、この国民の声をだれよりも痛感しているのではないでしょうか。このまま改正法を施行すれば、国民の年金に対する信頼は文字どおり地に落ちてしまいます。ひいては、政治そのものに対する信頼が根本から失われ、私たちは存在意義を失いかねません。民意に基づき国の進むべき方向や社会のあり方を規定するからこそ、国権の最高機関なのであります。

 また、国民の不信が頂点に達する中で、保険料の未納率が改善することは到底期待できません。まさに、年金制度は国民の信頼なくして成り立たないのであります。それを回復するためには、国民の意思に従い、年金改革の議論を一から国民の目に見える形で行うことが不可欠であります。

 以上の理由により、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を含め一連の政府の年金改革関連法を一たん廃止することは、私たちの当然の義務だと考えます。そして、民主党の提案している本法案はそのための法案なのであります。

 なお、基礎年金拠出金に係る負担に要する費用についての地方公共団体の負担の割合を平成二十年度末までに二分の一とすること、在職中の年金支給額の一律二割カット制度の廃止、育児休業等をしている組合員に対する掛金の免除措置の拡充など、改正案廃止に伴って必要な措置について本法案が適切に手当てしていることも申し添えます。

 民意に従って悪法を廃止し、年金制度に対する国民の信頼を回復し、持続可能な年金制度をつくるためには、本法律案の成立が不可欠であります。国民の代表者たる自負と高い見識をお持ちの皆様の御理解を得て、本法律案が成立しますことを心より祈念いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)

佐田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより採決に入ります。

 岡田克也君外十名提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐田委員長 次回は、来る六日金曜日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


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