衆議院

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第2号 平成16年10月22日(金曜日)

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十六年十月二十二日(金曜日)

    午前九時四十二分開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      小西  理君    佐田玄一郎君

      自見庄三郎君    田中 和徳君

      田中 英夫君    竹下  亘君

      武田 良太君    谷本 龍哉君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      西川 京子君    西田  猛君

      萩生田光一君    浜田 靖一君

      原田 令嗣君    平井 卓也君

      増原 義剛君    松本  純君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      稲見 哲男君    内山  晃君

      楠田 大蔵君    田島 一成君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    西村智奈美君

      藤田 幸久君    三日月大造君

      山花 郁夫君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      高橋千鶴子君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務副大臣        山本 公一君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           佐久間健一君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            山野 岳義君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十二日

 辞任         補欠選任

  亀井 久興君     竹下  亘君

  佐田玄一郎君     津島 恭一君

  自見庄三郎君     田中 和徳君

  谷  公一君     武田 良太君

  平井 卓也君     西川 京子君

  三ッ矢憲生君     原田 令嗣君

  寺田  学君     三日月大造君

  中村 哲治君     田島 一成君

  松崎 公昭君     内山  晃君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     自見庄三郎君

  竹下  亘君     中馬 弘毅君

  武田 良太君     谷  公一君

  津島 恭一君     浜田 靖一君

  西川 京子君     平井 卓也君

  原田 令嗣君     三ッ矢憲生君

  内山  晃君     松崎 公昭君

  田島 一成君     中村 哲治君

  三日月大造君     寺田  学君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  中馬 弘毅君     亀井 久興君

  浜田 靖一君     佐田玄一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官磯部文雄君、人事院事務総局総括審議官佐久間健一君、事務総局給与局長山野岳義君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長畠中誠二郎君、自治行政局公務員部長須田和博君、自治行政局選挙部長高部正男君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 自民党さんの数が少し少ないのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。(発言する者あり)

実川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

実川委員長 速記を起こしてください。

 各委員にお願い申し上げます。委員会が始まりましたら、速やかに、当委員会室に入りまして、質疑に入りたいと思いますので、十分に注意をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、質疑を始めます。大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、質問に先立ちまして一言申し上げます。

 このたびの台風二十三号の被害によって六十八人の方々が亡くなられ、今なお二十人の方々の行方がわからないままであります。亡くなられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、行方不明の方々の一刻も早い救出を強く願っております。

 政府におかれましても、被害に遭われた方々や地域に対し、激甚災害の指定を初め、災害救助法や被災者生活再建支援法などの適用や災害弔慰金の支給など、個人的には補正予算の編成も視野に入れた万全の対策をとられますことを要請いたします。

 もう一言申し上げさせていただきます。

 今回の法案審議に先立ちまして、この間野党が国会の早期開催を要請していたにもかかわらず、開催をおくらせ、その結果、寒冷地手当支給日が迫り、本来ならば、大臣所信表明、それに対する質疑、そして法案の審議という手続が慣例であり憲政の常道でありますのに、異例の事態となりました。大臣の遺憾、深謝の表明は承りましたが、このことを許せば、国会自体がみずからの立法府としての権威を否定することになりますことを肝に銘じ、今回の対応は異例中の異例であることをお互い確認し、さらに、大臣、厳しく受けとめていただきたいと申し上げておきます。

 それでは、質問に入ります。

 冒頭、二つのことを申し上げましたが、実は賭博罪について質問をしようと思っております。と申しますのは、大臣が、一つは参議院選挙のとき、そしてもう一つはゴルフについて御発言をなさったことがございますので、それで質問をということでございます。

 まず、きょうは、賭博罪の構成要件、趣旨について、お呼びをしておりますので、お聞きをしたいと思います。お願いいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 賭博罪の構成要件は、刑法百八十五条で、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と定められております。

 賭博罪の趣旨は、国民一般の健全な経済観念や勤労観念を保護することであるとされております。

大出委員 ということでございまして、わかりいいようでわかりにくいんですが、よくマージャン賭博とかあったりするんですね。意外と日本の一般の方々というのは、日本の賭博罪というのは結構重い罪であるということを認識していないことがございまして、それでアメリカなんかの映画を見ておりますと、よくかけをやっているというのがあるんですね。ところが、日本でそれをやりますと賭博罪に当たるんだという認識が足りないんですね。それと同時に、東京都知事もそうですが、賭博場みたいのを開こうとして、日本の刑法に反するのではないかということでやめにしたりしておるわけでございます。

 そこで冒頭、総理に、済みません、総理じゃない、総務大臣に、総理になると思っているから言っているんですよ。総務大臣にお聞きをするんですが、麻生さんの麻の字はマージャンのマの字なんですが、マージャンについてだけお聞きしますが、かけごとをやったことがございますか。

麻生国務大臣 今、マージャンの話が出ておりましたが、それに先立ちまして、先ほど台風二十三号のお話があっておりましたので、この話から先にさせていただきたいと存じます。

 このたびの台風二十三号というのは、少なくともこの十年来ぐらいでは最も大きかった台風の被害で、死亡者、行方不明者、まだ正確な数がつかめていない。まだ行方不明、そういった方々が大変大勢おられます。今数字を言われましたが、わかっております現在でまだ不明者の方が大勢ございますので、安易な数字を申し上げるわけにはいきませんけれども、負傷された方々、被害に遭われた方々含めまして、大勢の方々にお見舞いを申し上げる次第です。

 また、私どもの所管いたします消防におきましても、消防職員一名殉職、倒木によるものであります。御遺族の方々に心から哀悼の意をささげる次第です。

 いまだ行方不明者、要救助者という方が多くおられますので、関連しております消防局はもちろんのこと、他県にも応援を求める等々いろいろ消防の総力を挙げて対策支援を迅速に行ってまいりたいと思っております。

 続いて、マージャンのお話があっておりましたが、私、マージャンは全くやったことがありません。

大出委員 法務省にお聞きしますけれども、よく冬にミカンなどをかけてゲームをやって、勝った人がミカンをもらうとか、そういうことをやりますが、これは賭博になりますか。

大林政府参考人 ある行為について実際に賭博罪が成立するかどうかは、証拠によって認定された事実関係に基づいて判断される事柄でございますので、具体的なケースについて当たるか当たらないかということはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

大出委員 刑法の講学上の話をお聞きしているので、刑法の教科書に載っている限りでは、ミカンなどをかけても、それは賭博にはならない、これを今お聞きしたんですが、ガードがかたいといいますか、そういう個別の案件を聞いているわけではございませんので。(発言する者あり)今、同僚がそう言っています。どういう構成要件かを聞けということでございますので、どうぞお願いします。

大林政府参考人 先ほどもお答え申し上げたところでございますが、構成要件は、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」というのが構成要件でございます。

大出委員 普通、今新しく口語になっておりますが、解釈上、偶然の輸贏ということをよく言うわけですよね。つまり、偶然の事情によって結果が左右される勝敗に対して金銭をかけたときが単純賭博ということなんですね。これは、多少の技量がかかわっていても、偶然的要素があれば賭博罪になる、こういうことなんです。例えば、サッカーゲームなんかもそうですが、うまい選手などが勝つ可能性があるわけですが、勝敗は時の運ということがありますので、これでも賭博になるというのが講学上の話なんですね。そのようなことをお聞きするためにお呼びをしたんですが、残念でございます。

 そこで、大臣、七月十四日のマスコミ報道でございますが、参議院選挙に絡みまして、議席の話だけども、マスコミの事前予測は当たらないね、自民党が四十九議席だと当てたのはテレビ東京一社だけだった、僕は趣味で各社どれくらいいいかげんな予想をしているか、後で全部きちんと調べている、責任者も洗ってある、おれも入れたんだけど、ここですね、おれも入れたんだけど、外れて金取られた、千円取られて、ううんという感じだけど、こう発言をしたと。各社いろいろ書いてありますが、これは事実でしょうか、大臣。

麻生国務大臣 参議院選挙の結果が自分の予想を下回ったということは事実であります。それを少々おもしろく、おかしくしゃべり過ぎたかな、自分なりに、少し軽率であったかなと思っております。

大出委員 こういう発言をしたのは事実だということですね。

 それで、気になるのは、冗談であったということになれば、冗談であるかないかということを、真偽を確かめるのは難しい話でございますから入りませんけれども、ただ、おれも入れたんだけどということは、だれか相手の方がいることなんですね。それで、どなたかおられたか、心当たりがあるかどうかお聞きをしているんです。

麻生国務大臣 周りにいっぱい人がおりましたので、今申し上げたように、わあわあわあわあ言っている席でしたので、特定の人を、じゃ、おまえというような状況ではございませんでした。

大出委員 これ以上この部分で追及をしても、そうではないと言われればおしまいですから追及しませんけれども、一回ではないんですよね。今の問題、また後で少し話します。

 もう一個実は問題になっておりまして、それは、今度の副大臣、山本公一さんを選ばれたときの話でございますが、これも十月一日の読売新聞からとっていますが、新任の山本公一副大臣について麻生大臣は、私から数多くゴルフで金を巻き上げてきたと紹介をなさった、こうなんですね。これは、金を巻き上げたといえば、当然、ゴルフでかけをやったということだと思うのですが、これはどうでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 山本公一先生は昔からよく存じ上げておりましたので、副大臣になられた方に対して親しみを込めて紹介したつもりだったんですけれども、山本先生には大変御迷惑をおかけすることになった、大変軽率だったと思っております。

大出委員 きょうは、大臣、そして副大臣おられますので、当の山本公一さんがおられますので、山本公一さんにお聞きをいたしますが、大臣から数多くゴルフで金を巻き上げたんですか。

山本副大臣 一連の報道がありまして麻生大臣との交遊を振り返ってみまして、七、八回ゴルフを多分しているだろうと思いますけれども、一切、金をかけてやったことはございません。

大出委員 この報道がインチキなのか、政治家というのはよっぽどのうそつきなのか記憶が悪いのかのいずれかかなと思ったりしますが、いずれにしても、御本人がイエス、ノーと言わない限りは事実は解明できませんので、これ以上は追及できませんけれども、これは本当は相当問題でございます。

 そして、ちょっともとへ戻りまして、もう一つ問題があるのは、先ほどの参議院選挙のときなんですが、先ほど読み上げましたけれども、大臣が、全部きちんと調べている、責任者も洗ってあるという言い方をされたところがちょっと気になるんですね、それを私読みまして。まず、それは述べられたんですね。どうでしょうか、大臣、今の部分は。

麻生国務大臣 記憶は正確ではありませんけれども、各社の新聞社の事前予想というものがずらっと毎回出るんですけれども、ざっと洗って、翌週どれだけ正確に当たったか一応つけているというのは、昔から趣味でやっております。

 御質問の趣旨は、何でございますか、そこのところは。

大出委員 要するに、責任者も洗ってあるということをおっしゃって、ちょっとぞっとしたんですよ。そこで、それは事実ですかということを。

麻生国務大臣 書いている担当者は政治部の部長さん、どなたが書いた記事と言ったのが、多分その記事になっているんだと思います。

大出委員 私、これを読んだときに、麻生さんが報道規制をやるのかと実は思ったんですね。現に、この結果を受けて、どこかの記者さんあるいは報道機関に何かおっしゃったことはありますか。(発言する者あり)

麻生国務大臣 この内容について、各新聞社の政治部の部長に電話して洗ったかというような御趣旨でございますか、質問の意味は。ございません。

大出委員 わかりました。

 これは、今やじが飛んでおりますけれども、意外と日本の国というのは賭博罪厳しいんだということを一般の方も認識をなさっていないことがあるので、二度もこういう発言があったものですから、質問をしたわけでございます。

 ここに政治倫理綱領がありますので、冒頭だけ読ませていただきます。「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。」このように、信頼にもとることがないようにということがありますので、今回の二つの件は、先ほど軽率だとおっしゃっておりますが、十分に反省をしておられるかどうか、お聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、軽率であったと思っております。

大出委員 これ以上この問題を追及しても仕方ありませんので、本題に入ります。

 今回の人事院勧告は、六年ぶりに前年の水準が維持されることになりました。昨年来、政府によれば、景気は回復傾向にあり、民間の企業収益も大幅に改善していると言われており、ボーナスもアップしたと言われております。そこで、今回の人勧はこうした実態を踏まえたものなのかどうか、人事院にお聞きいたします。

佐藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 私どもの民間企業の調査は、企業規模百人以上それから事業所規模五十人以上の、全国で三万七千そういう事業所があるわけでございますけれども、それを無作為に、そのうちの八千百カ所を抽出して調査しております。

 私どもの調査を始める段階で、政府等が出しておられるいろいろな指針で景気の回復が見られるということで、結果を期待していたんでございますけれども、今回、御報告したとおり、前年並みということで、景気の回復の実態というのは必ずしも民間の給与には反映されていないという結果になったわけでございます。

 私ども、どうしてそういう結果になったかということを解析するだけの能力はございませんけれども、調査の途中で、やはり地域の中心となっている産業の種類によって大変ばらつきがあるという実感を持っておりまして、やはり景気の回復というのが一様ではなくて、いわゆるまだら模様である、その結果が今回の数字となったんではないかというふうに思っております。

大出委員 私も政府によればということを申し上げましたが、いろいろ地元の方々とおつき合いしていて、どうも実感として景気が回復しているというようなものは伝わってこないので、今のように、三万七千調べているわけですから、それが本当の現状ではないかと実は思っているところです。

 次に参ります。

 寒冷地手当については、最長六年という経過措置は長いんではないかという指摘もあるんですが、この点はどうでしょうか、総務大臣。

増原大臣政務官 お答え申し上げます。

 このたびの寒冷地手当制度の見直しでございますけれども、先生御承知のように、現行の対象地域のうち、市町村数でいいますと四割を超えるところがその対象から外れるということになります。そういたしますと、最高でも大体十八万円がゼロになるというような、非常にある意味では厳しい中身になっております。

 そしてまた、残る地域につきましても、最大で、平均で約四割これもカットになるわけでございまして、例えば二十三万円が十三万円というふうになりますものですから、かなり職員の生活等にとりまして大きな影響を持つというところがポイントでございまして、これは、いかに影響を少なくしながら激変を緩和していくか、そういう観点から、先生御指摘のような六年間という、暫定的なといいましょうか、激変緩和の措置をとらせていただきたいというものでございます。

大出委員 いろいろこの六年について意見があるんですが、私も、先ほど質問したように、必ずしも景気がよくなくて不況の部分があるんではないかと思っているものですから、寒冷地手当を下げますと、だから激変緩和しているんだと思いますが、今の景気の悪い理由の中の一つに、合成の誤謬という言葉がございまして、皆さんが景気が悪いからということで縮こまってしまうから消費が伸びないというのがあるんですね。それに拍車をかけるようなことになるんではないかなと実は懸念を持ちながら、今のような御質問をした次第でございます。

 次に質問をいたします。

 本年の勧告では、国家公務員の給与構造の基本的見直しについて述べられております。これは職員の重大な関心事でございますから、そして公務員全体の士気にも影響することです。そこで、労働組合との十分な協議が不可欠だと考えているわけですが、人事院及び総務省の御見解を賜りたいと思います。

麻生国務大臣 まことにごもっともなところだと思いますが、給与構造の基本的見直しにつきましては、今回の人事院の勧告のときにたたき台として示されたものがありますが、人事院においても職員団体と十分協議をされるものと考えております。総務省としても、人事院から具体的な措置の勧告がなされた段階で、従来同様、これは今までもやっておりますし、私が総務大臣になって組合と何回もございますが、職員団体とも十分に話し合いつつ、国政全般の観点が大事だということで御質問なんだと思いますので、その点を勘案しつつ対応してまいりたいと存じております。

佐藤政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、給与制度というのは大変重要な勤務条件でございます。したがいまして、給与構造の基本的見直しにつきましても、職員団体、さらには関係省庁を含めて十分な話し合いを行っていきたいというふうに思っております。

大出委員 その辺は十分によろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域給与の見直しについてなんですが、地方公務員関係では十月十八日から内部で検討が進められているとお聞きしているわけですが、公務員の生活と士気にかかわる重大な問題ですので、これまでの制度との連続性や、結果として不利益を地方公務員がこうむるような見直しとならないように慎重を期すべきだと思っているわけですが、総務大臣の御見解はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど御指摘がありましたように、今回の景気回復は、給与の伸びがないということは、経済報告等々をお読みになっておられますと思いますので、その結果、これまでの過去三回見られました景気回復と甚だ異なっているパターンは、それが一点。もう一点は、中央がよくなると、約半年、十カ月おくれぐらいでよく地方が伸びてくるとか、機械受注がふえたら設備投資が半年後に伸びるとか、いろいろこれまではパターンがあるものなんですが、今回の場合はいろいろな意味で従来と違っておるのが事実だと思っておりますので、先ほどからの御質問なんだと思います。

 したがいまして、地域によって、また同じ企業によっても二極化しておる、地域によっても違いが出ているというのはもうはっきりしておりますので、そういった意味では、地域の民間賃金の反映ということをいった場合に、地域によってかなり差が違うということが一番難しいところなんだと思います。

 しかし、いずれにいたしましても、この点に関しましては、その地域におられる方に関しましては、何でおれたちの税金のところだけがあんなに高いんだ、しかし、隣の町の方は今度は逆にいい企業があるがためにということで、なかなか難しいところだと思いますので、これは研究をせねばいかぬということで、研究会をスタートさせるようにしております。

 これの中におきまして、地域における民間給与というのは、従業員が何百人以上とか工場だったら何百人以上と決められているんですが、そういうサイズの企業のないところというのは、同じサイズの町であっても、同じ五万なら五万、六万なら六万の町であっても、あるところとないところの差は、じゃ、どこに合わせるんだと言われるとなかなかそこも難しいところだと思いますので、給与構造の基本的見直し等につきましても、これは検討をしてもらわないといかぬところだろうと思っております。

 ただ、景気がいいから役人の給与も上がって、悪いから下げてという、アップダウン、アップダウンがあり過ぎるのもこれまたいかがなものかというところもありますので、こういったところは労働界の代表の方々も入っていただかぬといかぬところだと思いますが、地方団体の関係者、学識経験者、労働界等々を含めたところで幅広い観点から御議論いただければと思っております。

大出委員 よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、今のことと絡むんですが、九九年の人事院勧告では一時金の大幅削減によって公務員賃金の抑制が図られることになって、九九年が初めてのマイナス改定となって、それからそのマイナスが昨年の人勧まで続いてきた、こういうことなんですが、民間企業では、公務員も引き下げたんだから民間も引き下げるのは当然だというような、口実にされたというようなことも聞いているんですね。

 そこで、民間準拠であるはずの人勧が、この間、マイナス改定によって民間企業の賃金抑制につながっているというようなことになるのは、負の連鎖といいますか、ちょっと問題なわけですね。これは結局、そうなると、先ほどから景気の話をしていますが、景気を冷やすことになるという悪循環になるわけですね。この点について、人事院の見解を伺いたい。

 そしてまた、この間、政府の方ですが、民間に賃金低下を波及させない努力を行ってきたのか、政府の一員として御質問をいたします。

麻生国務大臣 御存じかと思いますが、いわゆる民間のところで働いておられる方々、約五千四百万というのが実態で、公務員の方は、地方公務員、国家公務員含めまして四百十万ぐらいでありますので十分の一以下でありますから、影響と言われると、それほどの影響力が大きなものだろうか、数字の上では単純にそう思っております。それが第一点。

 もう一点は、この種の話は、全く影響しないと言うつもりもありませんけれども、基本的には、国家公務員の給与の改定に当たりましては、民間給与の実態に国家公務員の給与を合わせていくということが最も理解が得られるということで、この大前提に立って人事院初めいろいろこの給与の改定というのは行われておりますので、民間が下がっているんだから役人も下げるということを、昭和六年でしたか、あのとき以来初めてマイナス査定というのをやった時代というのは、何十年ぶりかで起きたことがつい三年ほど続きましたけれども、基本的には、地方公務員、国家公務員、民間給与に合わせましてということが大前提というように理解をしております。

 今、それが影響は全くゼロかと言われれば、ちょっと何とも申し上げようがありませんけれども。

佐藤政府特別補佐人 今麻生大臣が御答弁になったことに対して、つけ加えることはございません。全く同意見でございます。

大出委員 確かに、公務員が十分の一ということなんですが、それでも日本という国はかなり公務員に対する信頼度というのが、今はたたかれていますが、あるんですね。ですから、かなり影響力はあるのではないかなと私は実は思っております。

 次に質問いたします。

 労働基本権の制約の代償措置としての人勧制度なんですが、それが今みたいに民間の賃金抑制に波及するようなことがあるとすると、代償措置という人勧制度自体の限界も指摘されるようなことになるわけですが、公務員制度を公正かつ能率的に運用するために設けられている中央人事行政機関である人事院が、そのあり方が問われることのないように留意を願いたいと思っているところなんです。

 労使関係の安定と能率的な行政運営のためには、労働組合との十分な協議と意思疎通が不可欠だと思うのですが、この点についての人事院の見解を伺いたいと思います。

佐藤政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、私どもの人事院勧告を行うに当たりましては、労働組合初め関係者との話し合い、協議というものを十分行っているつもりでございます。例えば、今回の勧告に当たりましても、二百回以上いろいろなレベルで職員の団体の代表の方と話し合いをしている次第でございます。

大出委員 話し合いをしているということで、こちら側、こちら側というのも変ですが、人事院や総務省の話では、話し合いをしているという、大変重要なことなんですが、一方で、郵政改革の方ではどうも話を聞いてくれないという話があって、政府としては両方とも同じように取り扱わなきゃいけないのではないかと考えているところです。

 次に、給与法の関係ですが、政府は、給与法の閣議決定に当たりまして、次のようなことが書いてあるんですね。「我が国の財政事情がますます深刻化していることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針は堅持する必要がある。」と言っているわけですね。

 むだや非効率は排さなければいけませんが、公務労働というのは能率が図りがたい面もありまして、人件費とか定員の抑制だけを行政改革の目的とするのは本末転倒ではないかと考えておるんです。さらに一方では、国民に対するサービス、行政サービスの向上や新しい事態への対応などの充実を図らなきゃならない部門もあると思うのですね。

 こうした、政府の言葉ですが、選択と集中に対する政府の御見解を聞きたいと思います。総務大臣。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 組織・定員の選択と集中を図るべきではないかという御指摘でございますが、これは、組織・定員についてめり張りのついた配置をすべきということと推察いたします。

 これにつきましては、常々麻生大臣からも言われておることでございまして、国家公務員の定員につきましては、総定員法が定める定員の総数の最高限度のもとで、定員削減計画を上回る大幅な削減に積極的に取り組むことによりまして、いわばそれを財源としまして真に必要な部門への適切な定員配置に努めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、ICT化とかアウトソーシング等によって減量、効率化を図りつつ、行政サービスの充実を図る上で真に必要な部門には適切な定員を措置するということで、めり張りのついた定員管理に努めているところでございます。

大出委員 めり張りということでよろしいんですが、ややもすると、どうも公務員バッシングで減らせばいい、減らせばいいということになりがちなので、そこのところを少し注意していただきたいと思って質問したんです。

 次に、小泉さんは、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にと呪文のごとく唱えておられるわけですが、肝心の国の役割についてはほとんど語ることがないんですね。

 そこで、現状における政府の官民の役割分担及び公務労働についての考え方をお伺いしたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 官民の役割についてのお尋ねでございますが、官民の役割分担につきましては、民間にできるものは民間にゆだねるという原則のもと、組織、業務を見直しまして、民営化、アウトソーシング等の改革を進めているところでございます。

 現在、行政改革は、それぞれの改革課題に応じて内閣官房とか私ども総務省などで取り組んでいるところでございますが、いずれにしても、このような官民の役割分担の基本的な考え方を踏まえまして、個々の改革の対象ごとに国の担うべき範囲を精査しつつ改革を進めているものと承知しております。

大出委員 なかなか答えにくいといいますか、公務労働についてといってもなかなか、守備範囲がありますので、今の答えでとめておきます。

 続きまして、公務員制度改革なんですが、法案提出がおくれておるようですが、労働基本権の付与をどうするのかというところに決着がついていないというように伺っております。能力・実績評価制度の導入も図られまして、しかし、労働基本権の制約が残ったままというのでは、私が望んでいる改革ではないと思っております。また、もう一つは、天下りの対策も甘いように聞いておりますし、キャリア制度の温存という点についても批判があるところです。

 そこで、私は、今の公務員制度改革というのは相当練り直しが必要なのではないかと、この間も質問をしてきながら考えているところなんです。労働基本権というのは付与すべきだと私は考えていますので、この点について、基本権についての公務員労働組合との協議の現状と、それから基本権付与に関する政府の認識をお伺いしたいと思います。

磯部政府参考人 まず、職員団体との協議の状況でございますけれども、労働基本権のあり方も含めまして、局長級を初め、課長級、さまざまなレベルで意見交換を行っているところでございまして、引き続き幅広く意見交換を行いつつ、法案の取りまとめに向けて努力したいと考えております。

 労働基本権のあり方につきましては、現在のところは、十三年の公務員制度大綱におきまして、「公務員の労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持する」ということとなっております。

大出委員 「現行の制約を維持する」というのは、前の片山大臣のときも議論をしてまいりましたけれども、公務員だったものが民間になればすぐストライキ権があるということになるような話でございまして、諸外国でも、日本ぐらいしか制約をしているところがないのではないかということになっています。

 ILOにおいても再三にわたって勧告があるわけでございまして、国際労働基準に合わせるようなことがどうしても必要なのではないか。と同時に、いい機会だなと実は思っていたんですが、なかなか踏み切らないということでございますので、どうかこの基本権問題は、消防職員についてのストライキ権とかいうのも、国際的な労働事情の中では、消防士をやっている方が国際的な労働機関にいたりするわけですから、そういう意味で、前向きな答弁を本当は求めたいんですが、もう一回お答えいただけませんか。

磯部政府参考人 公務員の労働基本権につきましては、先生十分御承知のとおり、公務員の地位の特殊性あるいは職務の公共性にかんがみまして一定の制約がなされており、これにかわる措置として、勤務条件の法定あるいは人事院勧告制度等が設けられているところでございます。今後、公務員の労働基本権の取り扱いを考える場合に、やはり公務の安定的な、あるいは継続的な運営の確保、あるいは国民生活への影響など、国民世論を踏まえた検討が必要であると考えております。

 いずれにしましても、公務員制度改革を進めるに当たりましては、職員団体を初めとする関係者と幅広く意見交換を行うことは重要であると考えておりまして、労働基本権の問題も含め、意見交換を行ってまいりたいと考えております。

大出委員 十分の意見交換をしていただきたいと同時に、やはり基本権の付与というのはどうしても必要だということを申し上げておきます。

 時間がなくなってきましたので、麻生大臣に質問いたします。

 〇三年の収支報告書でございますが、日歯連から資金管理団体に百万円献金を受けているということでございますが、把握されている限りで結構でございますが、大臣の後援会を含めたその他の日歯連からの献金というのはございませんでしょうか。

 というのは、年金のときに、党の方から質問せいと言われていて、質問しなかったら未納があったというのが出てきましたので、遺漏のないように質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 私が代表を務めております素淮会及び自由民主党福岡県第八選挙区支部の直近三年間の収支報告書の記載を確認しておりますが、日本歯科医師連盟からの寄附を受けた旨の記載はありません。

 パーティー券の購入も同じことだと思っておりますので、日本歯科医師連盟からは、素淮会に対して、平成十四年及び十五年にそれぞれ百万円の収入があった旨の記載があるところであります。

大出委員 わかりました。

 もう時間がございませんので、次の質問をいたさないで、これで質問を終了したいと思います。ありがとうございました。

実川委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 稲見です。

 まず、寒冷地手当の見直しについて、人事院にお伺いをしたいと思います。

 先ほどからありましたように、指定地域で約四四%指定解除、支給額も約半額になる厳しいものでありまして、寒冷積雪地の公務員の生活にも大きな影響を与えるこんなに大幅な見直しは制度発足以来初めてではないかというふうに考えております。

 これは、寒冷積雪地の生計増嵩費等を含めた総合勘案、こういうような考え方からいわゆる民間準拠に変えられたことが大きく影響しているのではないか。そもそも、この寒冷地手当は、戦後、官が先行して制度を整えてむしろ民間に波及したというふうなことであるにもかかわらず、今回、考え方を民間準拠に変えた、その内容を説明いただきたい。

 そもそも民間企業が過疎地の山間部などに営業所を置くということは余り考えられない、しかしながら、公務の場合はどんな山奥でも公務サービスを提供しなければならない、それは役場であり、学校であり、あるいは郵便局である、こういうふうに考えます。そういう仕事の特性を配慮した支給地域の指定の考え方があってもよかったのではないかというふうに思っております。あわせて、この点についてもお考えをお伺いしたいと思います。

 そして三番目に、今回の見直しで、北海道、東北、特に地域経済が冷え込んでいる地域への影響が大変気になるところでございまして、多くの地方自治体もこの点を心配して、支給地域を維持すべき、こういう議会決議があったり、知事が人事院に要請するなどあったというふうにお聞きをいたしております。人事院がどのような配慮をされたのか。

 以上三点、お聞きをしたいと思います。

佐藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 まず、なぜ今回、民間準拠を主体としたかということでございますけれども、そもそも寒冷地手当、歴史をさかのぼってみますと、もともとは石炭手当という形で手当てが行われていたというふうに理解しております。例えば、その場合、石炭三トン分。いわゆる生計費増嵩分として、積算が非常にたやすい部分が石炭手当であったわけであります。

 一方で、例えば、食糧を貯蔵している間のロスとか、衣服費、あるいは家屋にかかわる費用、これは増嵩分として積算が非常に難しい部分がございまして、そういう部分については、当初からやはり民間に準拠するという考え方があったのではないかというふうに思っています。

 そういうことで、実際の生計費増嵩分と民間準拠の部分を総合して勘案するという考え方がずっと続いてきたわけでございます。

 しかしながら、最近になってまいりますと、例えば家屋の構造も非常に改善されている。あるいは、東京においても、ほとんどの家庭で例えば床暖房とかファンヒーターとか、そういう暖房施設を持っている。あるいは、夏のいわゆるヒートアイランド現象、熱帯夜のようなことを考えますと、東京においても、夏にはやはりクーラーで冷房するということはほとんどの家庭で行われているというふうに思います。したがいまして、気候条件で、実際に、例えば札幌と東京でどれだけの生計費の増嵩分があるかということを厳密に積算するというのは昨今非常に難しくなってくるのではないかというふうに思っております。

 したがいまして、今回の見直しに当たりましては、民間の寒冷地手当の状況を詳しく調べましてそれに準拠するということは、職員にとってもあるいは国民にとっても、非常に納得性を得られる、納得性の高い方法ではないかということで、民間準拠にしたいということで勧告をさせていただいたわけでございます。

 それから、二番目でございますけれども、民間に比べて、公務の場合は山の奥にも官署があるではないかということでございまして、これは私ども十分配慮したつもりでございます。したがいまして、本州におきましても、北海道と同程度の気候条件のある地域につきましては引き続き手当の支給対象として残しておりますし、それから、新たに官署指定という方法で、特定の官署が、特に本州において寒いところにあるという場合には、官署指定という形で手当を支給するという方法を今回提案申し上げております。

 それから、三番目でございますけれども、今回の寒冷地手当の見直しが地域経済に悪影響を及ぼすのではないかということでございますけれども、実際、各地の地方公共団体の首長さんあるいは地方議会から請願や意見書などを大変多くいただいておりました。私どもとしても、地方の実情は大変よく理解しているつもりでございますけれども、ただ、人事院の立場といたしまして、地方経済ということに軸足を置いて勧告内容を決定するということは、これはなかなかできにくいこと、あるいは、むしろやるべきではないというふうに理解しております。

 一方で、今回の見直しは職員にとって大変厳しい結果になったわけでございまして、当然、職員には大変な反対があったわけでございます。先ほど申しましたように、何度も職員団体との話し合いを行いましたが、その結果として、最長六年の経過措置を設けるということで職員側の納得も得たわけでございます。結果といたしまして、最長六年の経過措置を決めたということは、先ほどの地方の自治体の御要望にも結果として沿える部分があったのではないかというふうに今思っておる次第でございます。

稲見委員 官署指定とか経過措置とか、いろいろ配慮されたということでございますが、いずれにしても、これは人勧制度からいいますと部内均衡の問題なんですよね。つまり、寒冷地の方々のことを思って、そうでないところが原資を友愛配分していくということでありますので、国民の納得、民間準拠というふうなことだけで決められるべきではないのじゃないか、やはり地域経済の問題なんかも配慮するべきでなかったのではないかというふうな感じはいたしております。この点は少しおいておきたいと思います。

 それから次に、一時金の問題でありますが、四・三九、〇・〇一カ月というふうな較差でございまして、この春闘結果、あるいは、昨日もこの冬の一時金について、みずほ、第一生命研究所からの報告が出ておりましたけれども、どうも実感として相入れないというふうに思っております。今春闘での一時金にかかわる連合集計は四・八〇カ月というふうなことでございますし、あるいは、日経連の調査でも、金額で、昨年冬が一・六一%、本年夏が二・八五%伸びているというふうなことでございます。

 人事院の調査だけがどうしてこのような伸びにとどまったのか、十分納得のいく説明をいただきたいというふうに思います。

佐藤政府特別補佐人 ボーナスに関しての私どもの民間調査は、ことしから迅速に公務員給与に民間の支給状況を反映させるという趣旨から、従来より半年ずらしまして、民間の前年の冬、それからことしの夏の支給状況を把握することにしております。

 その結果でございますけれども、今委員から御指摘があったように、各調査機関の調査結果を見ますと、民間の昨年冬季の特別給、これは大企業を対象とする調査ではプラスとなっている、一方で、中小企業を含む調査ではマイナスとなっているということもございまして、大変ばらつきが多いわけでございます。それから、ことしの夏季につきましても、若干改善はされましたけれども、やはり企業規模によるばらつきというものが見られたわけでございます。

 私どもの民間給与実態調査でも、夏の特別給が昨年比で増額となっている事業所が約四割あったわけでございます。一方で、減額となっている事業所も約二割あるわけでございまして、必ずしも全企業が横並び的には改善されていないということでございます。

 本年の民調結果は、こういったような民間の支給実態を総合的に反映したものであるというふうに私どもは思っておりまして、結果として、昨年の調査結果を〇・〇一カ月上回ったということでございます。

稲見委員 前回の閉会中審査のときにも人事院と少しお話をさせていただいたんですが、今、ボーナスについては、春闘時に年間臨給という形で夏と冬を決めるところがあり、秋の労働組合の交渉で冬とその次の年の春、夏を決めるところがあり、またそれぞれに一回ずつ決めるところがあり、三分の一程度ずつだというふうなことをお伺いしております。

 そうしますと、この春の労働組合の春闘で、夏、冬というふうに決めたところ、そういうところが業績回復の中で上回って、それが連合集計などにも反映をしているのじゃないかというふうに思います。人事院勧告制度では、先ほどありましたように、前年冬とことしの夏ということで改善がされているわけですが、必ずしも民間の動向をリアルタイムで反映できないというふうな限界がありまして、こういう形で引き続いていきますと、行政業務に対する働きがいにも影響があるということで、その点、今後また調査をさらに精密にしていただきたい、こういうふうに思っております。

 次に、地域給与の見直し問題について、これも人事院にお伺いをします。

 要するに、政府が骨太方針で下げろと言っているので下げますというふうに人事院として言っているというふうにしか聞こえないと考えております。これでは、独立をした第三者機関、労働基本権の代償措置としての人事院の機能の放棄だというふうに言わざるを得ません。

 特に、官民比較の中で、全国的に民間給与と公務員給与は均衡しているわけです。地域格差が拡大をしているとすると、要するに、グローバル企業が勝ち残るために地域を犠牲にしてきている、こういう影響がむしろ出ているんじゃないか。そういう意味では、格差を解消することがむしろ必要であって、地場企業の賃金の底上げとか、パートや臨時職員などの非正規職員の雇用や処遇に歯どめをかけるとか、最賃規制を強化するとか、そういう地域や地場経済を活性化するような施策を打ち出すことがまず優先されるべきであって、人事院が地域給を導入するということはどうも納得できない、こういうふうに思います。

 特に、公務員給与の地域における社会的役割、これは私も昔からいろいろ考えてきましたけれども、保護費の算定にも影響がある、あるいは最低賃金制度に影響がある、地場の中小企業を含めて地域経済に影響がある、さらには全体としての公務サービスに影響がある、こういう多方面に影響がありますので、そういう点では、地域を軽視した地域給の導入ということについては、これは行うべきではないのじゃないかというふうに思っております。

 今のところの人事院としての考え方をお聞きしたい、こういうふうに思います。

佐藤政府特別補佐人 地域に勤務する公務員の給与が相対としてその地域の民間の給与よりも高いのではないかという御批判、これは、私どももモニター調査を通じたり、実際に地域に行って有識者の方や地元の中小企業の経営者の方に御意見を伺ってきておりますけれども、この二、三年大変そういう声が強くなってきております。

 したがいまして、人事院といたしましても、平成十三年の給与勧告時の報告において、各地域の民間給与をより反映した給与水準とすることにも配慮していく必要があるというふうに問題提起をさせていただきました。それを受けて、十四年九月には、地域に勤務する公務員の給与に関する研究会というものを設置して検討をいただいたわけでございます。

 私ども、確かに、地域の給与あるいは地域と例えば東京の大都市とどういう格差を設けるかということは給与の内部配分の問題としてこれまで考えてきたわけでございます。しかしながら、やはり地域の住民の方々に公務員給与は高過ぎるという声が非常に高いということ、これはぜひ私ども真剣に考慮しなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 したがいまして、今回の報告において、来年の勧告に向けて地域給与の見直しというものをしていこう、それに関してたたき台というものを提示させていただいたわけでございます。

 これから一年間ございますので、委員初めいろいろ関係の皆様方の御意見を聞いて、各方面が納得できる結果をこれから探っていきたいというふうに思っております。

稲見委員 この点は、地域に勤務する職員の生涯生活設計にも重大な影響を与える、また、職務遂行上の意欲にも重大な影響を与えるというふうに考えております。十分に組合とも話し合い、納得のいくような作業を進めていただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。

 次に、給与構造の見直しの問題であります。

 先ほど大出委員からもありましたので簡単にしますが、過度に年功的な給与制度を見直していくということは当然必要だというふうに私も考えております。職務、職責、実績重視の人事制度に見直すためには、その基盤となる評価制度を公務員に納得性のあるものとして、公平性、透明性、公正性、いろいろありますけれども、機能させるかどうかというのが重要だ、そういう意味では、評価制度の設計や評価基準などについて十分組合と話し合って制度をつくるべきだ、こういうふうに考えますけれども、人事院総裁、いかがでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 私どももただいまの委員の御指摘と全く同意見でございまして、やはり評価制度というものは職員の納得が得られない限りスムーズには動かないということは、これは民間の経験を見ても明らかでございます。したがいまして、今後、中央レベルでもあるいは地方のレベルでも、職員団体とも徹底的に話し合うということがぜひ必要であろう。

 それからもう一点、これは公務の世界においては新しい試みでございますので、試行制度というのがぜひ必要ではないか、試行をしながら悪い点は改善していく、そういうやり方がぜひ必要ではないかというふうに思っております。

稲見委員 試行制度というのはこの後の質問に関連をしますので、公務員制度改革全般にかかわって、今度は麻生総務大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

 今総裁からもありましたように、能力、実績を重視した人事制度に変えていくためには、何よりも職員が納得する形で評価制度が機能していかなければならない、当局が一方的に査定するようなやり方ではだめだ、こういうふうに思っております。

 そうしますと、評価の仕組みや基準をどうするのか、十分労使で協議をいたしまして、多くの職員が納得していくシステムが必要だし、何よりも公務職場における労使関係を変えていく必要がある、こう思っております。そのためには労働基本権の確立というのが不可欠だ、こういうふうに思っておりますし、先ほどの試行ということもありますけれども、この公務員制度改革と労働基本権の回復、これは出口がやはり一緒でなければならないということが先ほどの大出委員からの質問でもあったのではないかというふうに思っております。

 毎日新聞が十月十四日に社説を掲載しております。「労働基本権付与に踏み込め」ということで、全部は読みませんが、「能力・実績評価制度を導入するならば、公務員の労働基本権制約を取り除くことが前提となるはずだ。」「労働基本権の議論を棚上げにした公務員制度改革には無理がある。改革の入り口を基本権問題と位置づけなければ、労働側との協議は進まない。」こういうふうに社説でも述べております。

 前回、閉会中審査でもお伺いしましたが、とりわけ国家公務員、地方公務員制度を所管される総務大臣として御認識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 前半のところでの、能力査定等々のこの種の大きな改革をするに当たっては、労使双方の納得、理解、十分な協議が必要ではないか、信頼関係確立が必要ではないか、全くそうだと思います。

 その点に関しては私も同じ意見なんですが、今基本権の話、いわゆる争議権、団体交渉権、団結権、通称労働三権と言われるものですけれども、この労働基本権を含めまして、今いろいろ議論が行われていることと承知をいたしております。これは自民党の方でもやっておりましたので、かなりかかわっておったときにも同じような話があっておりますので、この一年間、直接関与しているわけではありませんけれども、同様に行われているものと思っております。

 ただ一方、稲見先生も大阪市の職員等々しておられますのでよく御存じのところだと思いますけれども、基本的に、地方公務員、国家公務員を含めて公務員の場合は、国民の利益、地位の特殊性とか職務の公共性といったようなものも考慮に入れて考えねばならぬ立場にありますので、国民全体の利益の保障という見地から、ある程度の制約は免れ得ぬというところも確かなんだと思っております。

 ただ、おっしゃるように、公務員自体もこれは勤労者であることは同じでありますので、その生存権の保障という見地から、よく言われる、労働基本権の制約に見合うものとして人事院制度というものが日本で確立されていわゆる代償措置がとられてきたというのが歴史だと思っております。これは、結構長い制度の積み重ねの中でそこそこ国民にも支持をされていると思いますし、そういう状況を踏まえて人事院の勧告に従って政府としてもいろいろやってきた経緯もありますので、今後とも、労働基本権のあり方は、いわゆる争議権のところを含めましていろいろ問題のあるところだとは思いますけれども、世論を踏まえて、この点につきましても慎重な議論が必要なんだと理解をいたしております。

稲見委員 前回も韓国の状況を申し上げて、後塵を拝することになるのではないかというふうに申し上げました。

 また、友人からいろいろな資料を送ってもらっているわけですが、いよいよ韓国の方はもう法案が提出をされた。そして、これから団結権を認めるかどうかということですから、まだ正式の公務員組合ではないですが、十月二十五日、政府と最後交渉を要請した後、その結果によっては、十一月上旬に二万名のソウル上京ゼネストを計画、民主タクシー連盟、鉄道労組合流、全教組も連帯闘争、民主労総と韓国労総が全面支援、こういうふうな状況に韓国の場合もう至っております。

 それから、労働一・五権というふうに前回御紹介しましたけれども、法案をよく読みますと、「団体交渉の結果、合意された事項に法令・予算に優先する効力を認定することは困難である」。これは協定締結権に対して〇・五だというところなんですが、しかしながら、「政府交渉代表にその内容を誠実に履行するようにし、合意事項の履行を保障する。」というふうにも書いてあるわけです。

 つまり、議会でそれを給与、労働条件法定主義という形で議決するまでは協定締結権については留保するけれども、それをもって協定締結権についても実質的な機能をさせるというようなことで、そういう意味では、韓国がこれをもって一気に公務員労働運動が進むというようなことも考えられるわけです。

 そういう意味では、この公務員制度改革にかかわって、この五月十三日に政労会談で、一方的に法案を提出するようなことはしない、誠意を持って話し合うというふうに約束をしているわけですから、政府と組合及び関係者で、どのような制度がいいのか白紙からきっちり議論をして、この労働基本権の確立の問題についてもぜひ一歩進めていくという努力を麻生総務大臣にお願いしておきたいと思います。

 その場合に、これは御存じかどうかわかりませんが、ICFTU、国際自由労連の世界大会が十二月の五日から十日、宮崎で行われます。全国から労働組合幹部が集まってくる。当然ながら、PSI、国際公務員労連もそこに集まってくるというようなことで、お聞きをしますと、これには一国の総理が必ず歓迎演説をするということになっておるようで、そういう意味では、小泉さんはどういう演説をするのか。ILOから何度も勧告を受けて、お隣の国では、一・五権か二権か知らないけれども、これから確立をしていこうという法整備が整う中で、先進国日本がどうなのかということが問われてくるというふうに思うわけです。

 この点も含めて、もう一度総務大臣からの御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 韓国の、ゼネストを含めていろいろな御紹介があっておりましたけれども、今申し上げましたように、私どもとしては、やはりこの労働基本権のあり方というのは確かに大きな問題だということはもう十分に理解をしているところです。しかし、これは職務の公共性とか特殊性とか、いろいろな制約がある程度は免れぬというのも事実だと思っております。

 したがいまして、公務員も勤労者なんだからということもよくわかっているところなので、そこで日本の場合は、人事院勧告という制度が定着してかなり長いことになってきてそれなりの成果を上げてきておると思いますし、また、時代に合わせて、今回の場合も、この数年間の場合、組合ともいろいろな形で公式、非公式に話を積み重ねるというきちんとした慣例もでき上がっておりますので、今直ちにと言われても、なかなかその点は議論の余地のあるところだと思っております。

 いずれにいたしましても、私どもの所管いたします消防におきましても、消防で争議権なんと言われてもなかなかそう簡単にはいかぬところでもありますが、消防においては、職場における委員会というのを各消防局全部でそれぞれ開くようになる等々、いろいろ現実問題として、いわゆる組合との間の交渉等々が進んでおるところでもあります。

 私どもとしては、長年の積み重ねの中で国民に支持もされていると思っておりますので、労働基本権の見直しということにつきましては、直ちに今ここで前向きにどうというような立場にはございません。

稲見委員 先ほど、韓国の状況を少し説明しましたけれども、キム・ヨンギルという全公労、これは公務員組合の委員長の言葉ですが、労働三権とは、団結権、団体行動権、団体交渉権に区別されるものではない、あるものは保障し、あるものはだめだという問題ではない、すべてが労働基本権なんだというような言葉があるわけです。

 しかしながら、そこで公務の特殊性であるとか公共性ということを言うならば、どこまで団結権を認めるのか、どこまで団体交渉権を認めるのか、それはお互いの知恵の出し合いだと思うのです。労働三権を全体として回復するということを前提にして、どう議論を進めていくのかということが今必要なのではないかというふうに思っております。そういう意味では、ICFTUの大会もありますので、ぜひ政府の努力を求めておきたいと思います。

 ここで終われば格好いいんですが、少しトーンの下がるものをもう一問したいと思います。

 三位一体の改革にかかわって、十七年度、十八年度の補助金削減、これは小泉総理が地方六団体に、ある意味では丸投げをした。そして、地方六団体は、いろいろ利害の違うところもありながら、協議機関を設置して、その内容が誠意を持って履行されるならばということで三・二兆円の削減項目を決めて政府に提出した、こういう状況だと思うのです。

 恐らく麻生総務大臣は勘違いをしている大臣の中には入っていないと思うのですが、もともと丸投げをしておいて、上がってきたことに対案であるとか抵抗であると言うのは、見苦しいし、失礼な話だというふうに思います。そういう意味では、この三・二兆円の補助金の削減とともに、自主財源をきっちり地方に移譲するというふうなことをぜひお願いしたいと思います。

 それを前提にして、ただ、少しここでトーンダウンするんですが、これまでは、補助金がついていて、それにかかわって政省令で行政水準を確保していくということがありました。補助金がなくなれば、この政省令というものも意味をなさなくなるということがあります。

 成熟をした制度については、当然ながら、都道府県、市町村で十分住民と議論をしてその優先順位をつけて、行政水準をさらによいものにしていくということがこの地方分権の本旨でもあるし、分権の意味もそこにあると思います。

 ただ、成熟をしていない政策、例えば児童虐待の問題であるとかDVの問題、全国格差があって今もまだまだ十分実施をされていない、そういうところに、行政水準をここまでやろうというふうな政府としての主導性といいますか、あるいは音頭取りといいますか、こういうものが全くなくなったときに全国格差がさらに広がってしまうのではないかというふうな危惧が関係団体からいろいろ陳情されております。

 そういう意味では、これはお役人さんの頭を切りかえて、政省令ではないけれども、むしろ、アクションプランであったりマスタープランであったり数値目標であったりという形で、全国的にこういう行政水準を発展させていこう、あるいは維持していこうというふうな、何か知恵が必要なのではないかというふうに思っております。

 このことはまだ党内でも十分議論をされていないのですが、これから補助金が廃止をされて、各自治体で自主決定権に基づく政策を優先してやっていくということになったときに、こういう成熟をしていない政策について、どういうふうな国としての責任が果たせるのか。この辺、まだこれからいろいろ議論を積み重ねていかなければならない問題だと思いますが、今、総務大臣に少し認識なりお考え方があれば、お聞きをいたしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 いろいろ今御意見が出ておりますのはもう御存じのとおりでして、少なくとも、明治四年、廃藩置県をやって中央集権国家をつくり上げたのを、地方主権、地域主権にその形を変える。これは、平成十二年、いわゆる地方自治法、通称地方分権一括法、あれ以降、流れははっきりしたんだと思っております。例えば、義務教は地方自治事務と法律で定められておりますが、傍ら、今言われた生活保護などは法定受託事務、明確に地方の役割と国の役割はあの法律によって分けられている。もう既に御存じのとおりであります。

 したがいまして、それを補足するに当たっては、いわゆる地方が自分でやれる自主裁量権の大きさ、自由度の大きさが大事なところ、その自由度を保障する上で、基本的には規制と、もう一つは多分、それを補う財源というところが欠けておりました部分が、今回、国税から地方税にということで変わりますと、それによって財源がきちんと保障されるというところが今回の提案の一番の趣旨だと理解をいたしております。

 したがって、その部分に関しましては、ただ単に率を引き下げるというような、二分の一を三分の一にするとか、いろいろアイデアは新聞を見る限りにおいては出ておりますけれども、それは地方の自由度をふやすことにはならないというのはもう御存じのとおりでありますので、そういった意味では発想の切りかえが必要なんだと思います。

 私ども、書いている新聞の方も理解していないで書いているところもあるので、さらに読んでいる人はもっと混線される点は否めないところだとは思いますが、いわゆる補助金を切ると申し上げているのは、それは事業を切るというのと直結しているように思われますけれども、それはもう趣旨をねじ曲げておられるか全然理解されておられないか、どちらかでありまして、事業の継続が前提です。その事業を継続するために必要な財源を、国税でやっていた分を地方税に渡すというのが、この三兆円の税源移譲の大前提ということになると思っております。

 次の質問は、多分、そうなれば、大阪はいいけれども、ほかのところはどうする、大阪市は人口比に合わせて来ますからいいけれども、ほかのところは知らぬでということになり得るのですが、そこのところは、十七年、十八年度に限りましては、幾ら町村合併が進みましても、地域格差が出るということは避けがたいところであろうと思います。

 人口比だけで地方税を割るということになっておりますので、そういった意味では、地方税というものに関しましては、人口の少ない過疎地におきましては、補助金の方は一億来たけれども、地方税になったら五千万しか来なかったという例は多分いっぱい出ます。その分の差額につきましては、地方交付金等々で埋めねばならぬというのを前提にして、前回の地方六団体に交渉をするという話をさせていただきましたときにも、それを前提にして地方六団体は話をまとめておられるというぐあいに理解をしております。

 地方も、これは御存じのように、大阪府と大阪市は違いますし、もちろん大阪府と茨木市とも違いますので、全国三千百あります地方団体とよく言われますが、その中で県と市町村とは、また同じ地方団体の中でも、補助金を出す側と出される側と差があるというのももう先生よく御存じのとおりでありますので、そういったものを踏み越えて、今回のまとめた案に出てきておるという背景を考えまして、少なくとも、これをまとめるのは大変だったろうというのは想像にかたくないところです。

 そういった意味では、総理の発言をそのまま使わせていただければ、地方六団体の提案を真摯に受けとめという言葉を、地方六団体の前で一回、財政諮問会議に地方六団体を置いてもう一回、重ねて発言をしておられますし、官房長官からも同等の指示が各大臣に出ております。このところ、地方六団体とも過去二回にわたって各省大臣との折衝にも同席しておりますけれども、いろいろ御意見が出ておりますが、地方としての意見は従来と変わらず一貫しておりますので、その方向でまとめていきたい、私自身としてはそう考えております。

稲見委員 時間が来ましたから、終わります。

 六団体の提言については、積極的に受けとめていただいているという点は感謝をいたします。ただ、後段言いましたのはちょっと誤解があるのです。ハードのことじゃなくて、財源のことじゃなくて、政策内容のことについていろいろ工夫が必要じゃないかということで、これはこれからの議論になろうかと思いますので、また改めてやりたいと思います。

麻生国務大臣 代替案を出せということを申しております、ほかの省庁に対しては。地方の出してきた案にかわる案を言うというような場合は、地方も納得するようなもっといい案を出せ、いい案が出ない限りは難しいですよという話は申し上げておりますが、その質問と違いますか。(稲見委員「違うんです」と呼ぶ)もう一回、言ってください。どうぞ。理事がいいと言うんだから、大丈夫ですよ。

稲見委員 ちょっと、これは議事録に残るので正確にしておきたいんですが、DVであるとかあるいは児童虐待について、それを救済するような機関であるとか相談員であるとか、いろいろなことを十分にやっている市町村もあり、なかなかそれが進んでいない市町村もある。しかし、補助金という形で出しているがゆえに、最低限のナショナルミニマムに今から到達をしていこうとしている。しかしながら、補助金がなくなると、今余りしたくないというところは、こういう問題をしたくないということじゃないんですが、それが優先順位として下がって、全国格差が広がってしまうんじゃないか、人権や命にかかわる施策が全国的に統一的に進まなくなるんじゃないか、その知恵を、政省令じゃなしに、何か国として出していかなければならないんじゃないかという問題意識を持っているということです。

麻生国務大臣 個別法令が明確にできておらぬというお話なんだと思いますので、おっしゃるとおり、各市町村によって格差があるのは確かです。そういった意味では、その点を十分に配慮する等々のやり方を別途考えないかぬところだと思っております。

稲見委員 終わります。

実川委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 寒冷地手当に絞って伺います。

 今回は大幅な改定で、これまで支給されてきた地域の四割強、職員数の約半数が対象外となること、対象地域でも平均四割の引き下げになるという改定であります。北海道でも最高で九万八千三百円の引き下げ、これまで北海道と同じ五級に位置づけられていた青森でいえば、最高額の比較で十八万二百円から八万九千円となり、実に九万一千二百円、五割もの削減になります。経過措置があるとはいえ、大変な打撃を受けるのは言うまでもありません。

 まず最初に伺いますが、寒冷地手当とはどういう性格の手当でありますか。確認をしたいと思います。

佐藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 御承知と思いますけれども、寒冷地手当は、昭和二十四年、議員立法で出された法律でございます。

 当時は経済状態が非常に悪うございまして、暖房用の燃料費、北海道でいうと石炭でございますけれども、その費用が給与に比べて大変高額である、あるいは、石炭以外にも、先ほど申し上げましたように、衣服費とか家屋に対する費用とか、そういういわゆる生計費の補てんが必要ということであったと思います。それから、当時、既に民間でも寒冷地手当を支給している実情があったものでございますから、それとの均衡を考慮して制定された手当であるというふうに認識しております。

 その後、賃金水準の上昇、それから暖房器具や住宅などの改善がございました。また、寒冷度合いの変化もあったわけでございまして、寒冷地手当をめぐる状況の変化が生じてきておるわけでございます。しかしながら、支給地域や区分など構造的な見直しにつきましては、今日に至るまで行われてこなかったわけでございます。

 そのため、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、例えば東京と札幌を比較した場合、現在の生活実態あるいは実際の寒冷度と合わなくなってきたのではないか、あるいは、民間の支給状況と大きく食い違っているのではないかというような問題が生じてきたというふうに認識しております。

 したがいまして、人事院といたしましては、昨年の秋に民間におきます同種手当の支給状況を全国的に調査して正確に把握をした上で、その結果を踏まえて、民間準拠を基本にし、さらに近年の寒冷積雪の実情を考慮しながら、今回の勧告を行った次第でございます。

高橋委員 聞いたことにだけ答えてくださいね。なぜ見直しをするのかと聞いたのではありません。性格を聞いたのであります。

 これまで言われてきたように、寒冷積雪による生計費の増嵩を補てんする制度、その趣旨は変わりないということで確認してよろしいですか。イエスかノーで答えてください。

佐藤政府特別補佐人 生計費を補てんするという部分は、確かに現在でもあると思います。しかしながら、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、実際に、生計費の増嵩分を積み上げるという作業は、現在非常に困難になっているのではないかというふうに思います。

 したがいまして、職員に対しても、あるいは国民から見ても最も納得が得られるやり方として、今回は、民間準拠ということを中心に勧告させていただいた次第でございます。

高橋委員 補てんする制度があるということは、お認めになったかと思います。その後の部分については、別に論じていきたいと思います。

 国家公務員労働組合東北ブロック協議会が、ことし二月から四月にかけて生活実態の調査を行いました。回答者千五百九十二名中、九割が世帯主、五四%が現在の五級地に勤務をしています。その中で、七割以上の方が、寒冷地手当、今の手当では足りないと答えています。だから、足りないからふやせという話ではありませんよ。それを四割も引き下げるのがどうかという問題なんです。そういう状況だということを指摘した上で、まず、今お配りした手元の資料をごらんになっていただきたいと思います。

 石油情報センターが、家庭用の灯油一世帯当たりの使用量ということで、こういう数字を出しております。北海道と青森はほとんど差がない状態だということがよくわかるのではないかと思うのです。

 その灯油が、ことしは値上がり傾向にあります。同じ石油情報センターの資料ですが、九月の灯油価格は、十八リットル当たり、北海道は税込みで九百八十一円、この価格は湾岸戦争開始直前以来の高値だと言われています。東北、関東いずれを見ても、昨年同月と比較をすると百円ほどの高値であります。仮に青森県が昨年と同じだけ灯油を消費すると計算すれば、一万円以上の負担増になります。ことしの改定は、増嵩費を補てんするどころか、さらに負担に追い打ちをかける格好になります。著しい引き下げをするべきではないと思いますが、伺います。

山野政府参考人 灯油の値上がりの関係でございますけれども、先ほど総裁から御答弁申し上げましたように、民間準拠が基本でございますけれども、私どもでも、家計調査等に基づきまして、北海道と、寒冷地を含まない四国、九州等との燃料費等の比較をやっております。

 しかし、そういった燃料費等の生活費の比較をいたしましたところ、確かに、北海道、東北等では灯油の消費は例えば暖房費で多いわけでございますけれども、例えば本州では、灯油は少ないけれども電気代がそのかわりに大きい等々ございます。したがいまして、十月から五月の両者の全体の差額を見てみますと、二万円から四万円程度にしかならないということでございます。

 したがいまして、そうした灯油代あるいは電気代等の生計費のトータルで比較してみますと、その程度でございますので、今回の見直しにおいて準拠いたしました民間事業所の支給額は、今申し上げました二万円ないし四万円という額を上回っておりますので、民間準拠いたしましても、その部分は十分にカバーされるというふうに考えておるところでございます。

高橋委員 今のお話は、二万円から四万円の差があって、それは民間準拠だ、その分はカバーしているということですが、今までのお話でも説明があったように、生計費の補てんというのは燃料代だけではないわけですよ。そこを随分極論しているんじゃないのかなと思うのです。でも、これは質問しません。

 大臣に伺いますが、昭和六十三年の改定は、灯油価格が下がったために加算額を三七%引き下げておりますね。そのときの附帯決議は、「寒冷地手当制度の趣旨にかんがみ、政府並びに人事院は、寒冷積雪地における公務員の生活実態に配慮し、今後における燃料価格の動向に対応して、必要に応じ寒冷地手当加算額の適切な改善を行うべきである。」としています。

 灯油価格が下がったために引き下げたときの教訓に学びますと、制度の趣旨にかんがみ、かつ燃料価格の動向を加味し、少なくとも今回は手をつけるべきではないというふうに考えるべきではないかと思いますが、大臣はどうでしょうか。

麻生国務大臣 一缶十八リットルが、この六カ月間で見れば、大体八百円ぐらいだったものが約千円弱、二〇%ぐらい灯油価格が上がっておるという点は、もう御指摘のとおりなんだと思っております。

 ただ、寒冷地と言われる地域の生活費が、灯油の値上がりによって影響を受けるというところが問題だという点なんだと思います。それは、公務員に限らず民間も同じように影響を受けるわけであって、公務員だけが影響を受けるわけではないという点なんだと思います。

 そこで、今回の見直しは、今言われたような、北海道、青森といったような、特に寒冷地と言われる地域の職員にとっても厳しい内容であることはもう間違いないところでありますので、私どもも、給与の一つであるということを考えておりますが、傍ら、民間の支給実態からの乖離という点が御指摘のあるところでもありますので、ここのところを指示いたしまして、この法案を提出させていただくに当たっては、いわゆる経過措置、激変緩和とかいろいろな表現がありましょうが、そういったものをつけることになって、一定の配慮はされているものというように御理解をいただければと存じます。

高橋委員 公務員だけが上がって大変なわけではないとおっしゃったわけですけれども、それは当然だと思うのですね。民間事業所だって大変だ。だったら、公務員が我慢をして民間も我慢しろ、そういう理論でいいのかということだと思うのですね。むしろ、逆ではないのかなと思うのです。

 例えば、今、最低賃金ですが、北海道は六百三十八円ですが、東北は押しなべて低いです。青森、秋田、岩手、六百六円、最悪です。一番高くても、宮城が六百十九円です。

 その宮城が、このほど最低賃金改正決定のあり方等に関する検討小委員会というのを開いて、その報告の中で、最低賃金額の推移、賃金水準、未満率、影響率等の実態と全国的な整合性を考慮して検討した結果、現状において乖離は、時間額で八円と確認するとまとめました。その乖離を一気に埋めることはできないけれども、今後八年間で解消したいということをまとめていることは大変注目すべきです。

 ことしの最低賃金が、全国四十四の審議会で引き上げ答申をした。一円か二円というわずかな額ではありますが、昨年五県だったことから見れば大変な進歩だと思います。民間において最低賃金はやはり引き上げなければいけない、そういうことが注目されているときでもあります。こういうときに、逆に公務員の給与を引き下げるということは、民間の動きに水を差すことにならないでしょうか。

麻生国務大臣 今般の寒冷地手当の引き下げの話、見直しの話につきましては、民間の同じような手当の支給実態を踏まえて人事院から勧告がなされたものだと私どもは承知をしております。したがって、この見直しによって、民間の支給実態に合ったものになっていくんだというように理解をしておるのです。

 ただ、公務員の給与の改定が民間企業の賃金に影響するのではないかというお話が、先ほど同僚の議員の方からもあっておりまして、これは必ずしも否定するつもりはありませんけれども、員数割りからいいましても、五千四百万分の四百十万ということになりましょうし、そういった意味では、ある程度範囲は限られているというような感じはいたしますので、少なくとも、民間給与の実態に比べて公務員の給与が高いのではないかという批判にこたえて、いわゆる民間の給与実態、給与体系に合わせていこうとするものであって、今後とも国民の理解は得られるのではないかと思っております。

高橋委員 民間の給与がそれによって一定引き下げられてもやむなしとするのか。やはり、民間の給与も一定頑張る方向に応援するべきではないのかと思うのですね。

 人事院がことしの勧告に当たって調査をした、民間における寒冷地手当等の支給状況関係という資料をいただきましたが、これを見ると、寒冷地手当を支給している事業所のうち、千百四十三のうち、公務員準拠というのが二百二十六あります。つまりは、人勧の動向が民間事業所にも影響を与える、これはありますよね。お認めになりますか。

山野政府参考人 例えば病院とかあるいは学校等、公務員の給与を参考にして決める民間の企業等があるのは事実でございます。

高橋委員 ちょっと今のお答えがよくわからなかったんですけれども、では、この話は平行線になるのでまたちょっと次においておいて、もう一つの話をしたいと思うのですね。

 今回、民間準拠というのが一つの物差しになって、北海道並みということになったわけですよね。そのこと自体に整合性があるのかどうかということなんです。北海道を三級までにして、本州を、対象とする市町村を四級と仕分けをしました。本州の条件が二つ。平均気温が〇・〇度C以下、かつ最深積雪十五センチ以上の市町村、または最深積雪八十センチ以上を条件としたわけですけれども、この条件にかなう市町村は、北海道の三級地の条件だけを見れば、北海道の三級地と同じことになると思いますが、これは確認です。

山野政府参考人 そのとおりでございます。

高橋委員 そのとおりだと言いました。意味は同じなのに、本州にいるというだけで二万三千七百円もの差になるということを指摘したいと思います。これは最大の場合ですけれども。

 私なりに数えましたけれども、中でも本州では、新潟県津南町の三百九センチを筆頭に、八県三十九市町村は百十センチ以上積もる。つまり、北海道の一級地の条件と同じところがあります。また、十八県二百二十一市町村は、二級地と同じ条件のところがあります。本州にもこれだけ北海道と同じ条件のところがありますが、こういう矛盾についてどう考えますか。

山野政府参考人 まず、指定の考え方でございますけれども、今おっしゃられた点で、北海道につきましては八割以上の企業が行っているので、北海道については支給対象とした。本州については、民間の企業は二割以下ですので、今先生おっしゃられたような基準で指定したわけでございます。これは、横並びというか権衡ということで指定したわけでございます。

 ただ、そういうことで、基準がもともと違うわけでございますので、双方で入りくりがあるというのは、これは事実でございます。

高橋委員 結局、理屈は民間準拠に戻るわけですよね。けれども、青森でも二四%の事業所が実際に手当を支給しているということがあるわけですよね。その差が大きいというだけで、北海道と本州というふうに差をつけるのが正しいのかどうか。だって、これまで寒冷地手当法を何度か改正も行ってきましたし、そういう歴史の中で、北海道から始まった手当だけれども、その改定の中で、本州にも同じように寒いところがある、だから、やはりこれはそこも手当てしなくちゃいけないということでやってきた歴史があるわけですね。

 ですから、その制度そのものの趣旨、これを全く否定するものになりませんか。もう一回伺います。

山野政府参考人 地域指定の考え方と支給額の考え方をちょっと整理して申し上げますと、指定地域の考え方については、今も申し上げたような考え方でございますが、支給額につきましては、それぞれの地域の民間企業の平均額をとっているわけでございます。

 したがいまして、気象条件が本州と北海道、たとえ同じであっても、それぞれの地域における民間の支給額が異なれば支給額も異なってくるということでございます。

高橋委員 ですから、額と地域の話じゃなくて、今私は地域の話をしたんですよ。違いが百とゼロではないわけですよね、北海道と本州が。それなのに、北海道並みということで、北海道並みに寒いところが対象外になる、分けられる、それはおかしいんじゃないかと言っているんです。

山野政府参考人 本州の基準は北海道よりも緩いわけでございまして、例えば北海道の場合ですと、最低気温で見ますと全部零度以下でございます。ですけれども、本州の場合につきましては、気温は条件にいたしませんで、最深積雪が八十センチ以上の場合には指定地域にするというふうに、そういう意味では、本州の基準の方が北海道より緩いということでございます。

高橋委員 それをだれが緩くしているのかということですよね。本州にも、福島県檜枝岐村、マイナス四・六度C、百八十二センチ降るところ、群馬県草津、マイナス四・四度、百二十一センチ降るところ、長野県開田村、マイナス五度を超える、そういうところがあるということをお認めになって、やはり整合性がないということをしっかり見ていただきたいと思うのです。

 最後に、大臣に伺いますが、二年連続の本俸引き下げがあり、平成十一年以来の連続した何らかの給与の引き下げがありました。寒冷地手当が、一括支給されていたものが、今回、額も減ったし、分割される。こういう冷え込んだ中での手当の目減りということでは、消費に対する一層の冷え込み、地域経済への影響も大きいと思います。地方団体からも意見書などがたくさん上がっております。三百四十四の地方議会から上がっておりますけれども、地域経済に与える影響について、大臣、どうお考えになりますか。

麻生国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおりですが、民間給与との乖離をいかに埋めるかというそもそもの主題からこの問題には入ったと御理解をしていただかないかぬところなんだと思いますが、今、この公務員の寒冷地手当の引き下げが直ちに地方の消費に影響を与えるかと言われれば、私は、ゼロとは申しませんけれども、その与える率というのは限られていると思っておりますし、また、そういったことも配慮して段階的にこれを引き下げていくという激変緩和措置というのをとらせていただいた背景であります。

高橋委員 時間が来ましたので、指摘をして終わりたいと思います。

 先ほどの答弁を聞いておりましたが、限られるということを限定しておっしゃる以上は、きちんと影響額をはかるべきだと思います。

 ことしの三月の参議院の同じ質疑の中で、政府の参考人が、寒冷地手当が出ていることによって福祉の措置費が影響してくるとか、地方交付税も関係してくるとか、選挙費用の算定基礎も変わってくるとか、そういう経費に関連する要素がございますので、市町村長さんも強い関心を持っている、そういうことを言っています。だから、公務員だけでなく、いろいろな面で関係があるということをお認めになっているんですね。そのことをしっかり見てやってくださることを要望して、終わります。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。

 まず、公務員制度改革についてお尋ねをいたします。

 政府・与党は、今臨時国会に能力等級制度あるいは天下り規制強化などを柱とした公務員制度改革関連法案を提出することにしていたわけですが、結局、提出を見送ったとお聞きしております。

 もともと、政府は、五十年ぶりの抜本的な改革というふれ込みでこの公務員制度改革を始めてきたわけでございますが、二〇〇一年十二月には関係労働組合の意向を無視して強引に公務員制度改革大綱を決定した。そして、二〇〇三年には法案提出、二〇〇六年には施行というスケジュールを立てていたようでございますが、これまでも法案の国会提出が見送られてきたいきさつがあるわけでございます。それほどにこの問題は多くの課題がまだまだ山積している、そしてまた未解決のままであるということを如実にあらわしていることと思います。

 まず、政府・与党といたしまして、労働組合側の協議の状況、これは先ほど同僚議員がお聞きしました。これは二百回も協議を重ねて、これからも協議を続けていくというお答えでございましたが、この問題に非常に慎重な意見も出しております人事院やあるいは各省庁、こういったところとの調整状況、そしてまたこの法案の提出の今後の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。

磯部政府参考人 公務員制度改革につきましては、本年六月の与党からの今後の公務員制度改革の取り扱いについての申し入れを踏まえまして、事務局で関連法案の骨子案等を各府省また職員団体にもお示しして調整をしているところでございます。御指摘のとおり、なかなか調整が進んでおりませんが、各府省につきましてはやはり能力等級制の実施に伴いますいろいろなコストへの懸念とか、人事院につきましては任務の事務等につきまして、いろいろな話し合いを行っているところでございます。また、与党におかれましても、連合との間で協議が行われ、調整努力を続けるということになったと伺っております。

 政府といたしましても、与党ともよく相談しながら、引き続き関係各方面との調整を図り、法案の取りまとめに向けて努力してまいりたいと考えております。

横光委員 今お答えのように、これは職員団体のみならず人事院やあるいは各省庁、こういったところの意見も非常に大きな未解決の問題が含まれているということだと思います。

 今度のこの法案のいわゆる柱というのは、先ほどから言われておりますように、能力・実績評価制度、これを導入するのならば、公務員の労働基本権制約を取り除くことが大前提に本来ならなるはずなんですね。改革の入り口を基本権問題と位置づけなければ、幾ら労働サイドと今協議を続けているといってもこれは進まないんじゃないですか。

 国際労働機関、これも先ほど説明がありましたように、ILOは、二〇〇二年十一月と二〇〇三年の六月、二回にわたって日本政府に労働基本権の制約を見直すよう勧告を行っているんです。非常に重い勧告を行っているんです。韓国も、これまた先ほどございましたように、公務員に労働基本権の制約を見直すよう勧告を行っている。結局、基本権が付与されたわけです、韓国の公務員に。OECDでは日本だけなんですね、労働基本権がない国なんて。これは、国際的にも当然のごとく基本権を付与すべきであると考えております。

 先ほど、大臣も行革の方も、現行の制約を維持するというような意見もございました。公共性あるいは公務員という職務上、確かに制約は免れないと思います。しかし、これまでならばそれでいいでしょう。大改革をしようというんでしょう。その大改革の中身はいわゆる能力・実績評価制度が柱。つまりこれまでの年功序列型から能力・実績評価制度になるならば、限りなく民間並みに近づくわけなんです。

 その一方で、民間に付与されている労働基本権が、そのまま維持される、制約がある、これでは両手を縛られてしまうわけですよ、職員団体の皆様方。そうでしょう。私は、ごく当然の要求をしていると思っている。民主的な要求をしていると思っております。大臣、この労働基本権の付与、これは当然のことだと思いますが、いかがお考えですか。

麻生国務大臣 横光先生御存じのように、この話の中で一番問題のところは能力査定というところだと思うのですね。それで、お隣の伊藤先生なんかそればかりお詳しい方なんですけれども、これは本当に大変なんですよ。組合をやられた方なら必ずわかっておられると思いますね。おれの能力はまともに評価されておるのかされておらぬのか。営業実績が上がっているのに見合えばいいですけれども、そういうわけにはいかないから、能力査定をだれがやるのだというところは常にもめるところなんです。

 しかも、キャリアの人で三十歳ぐらいのやつがノンキャリの四十、五十をつかまえておまえの能力はどれぐらいだなんて言われたら、おまえに何がわかるかと。言われたら、これはなかなか難しいですよ。そういった意味では、公務員の能力査定というのは物すごく難しいんですよ。

 そういったところを考えないで、公務員制度という話でえらく能力査定の話ばかりをされるけれども、それはちょっと待ってくださいという意見も出てきたから、今回の公務員制度という話につきましては、改革についてはいろいろ御意見が出てなかなか今日までまとまらなかったというのが、僕はその中にずっといたわけではありませんけれども、多分背景なんだと思うのです。

 そういった意味におきましては、能力査定が入るという仮定の前提で言われると、ちょっとなかなか答弁のしようがありませんので、そういったところも考えて今後とも対応していかねばならぬと思っております。

横光委員 いずれにいたしましても、これは国際的には常識的な問題にもなっておりますし、私は労働基本権を保障するということは、いわゆるまさに民主的な公務員制度改革の一つの柱だと思っておりますので、ぜひこれからも協議のほどをよろしくお願い申し上げます。

 次に、寒冷地手当についてお尋ねしたいんですが、これは制度そのものは残ることになりました。また、所要の経過措置も講じられることになりました。とはいえ、寒冷地、積雪地の生活実態を考えれば、支給地域あるいは支給額がともに厳しい結果になったわけでございます。

 そこで、地域としての基準からは適用されませんが、官署あるいは学校などの特別な事情を考慮して該当させるためのいわゆる官署指定、これについてはどのようになったのかお聞きいたしたいと思います。

山野政府参考人 官署指定でございますが、御案内のように、寒冷地につきましては市町村単位で指定いたします。しかしながら、市町村単位の地域指定には含まれなかったけれども官署の所在地の気象データが指定基準を満たしていることが確認できるものにつきましては、個別に官署指定をする仕組みを盛り込んだところでございます。

 ただ、寒冷地手当が寒冷生計費の増加分を補てんする趣旨であることを考慮いたしまして、職員の居住地が支給地域にある場合や官署に近接する場合に限定して支給することとしているわけでございます。

横光委員 この官署指定、正式には、これはあくまでも人事院規則でございますが、法案が成立すればすぐ出されるわけなんです。その法案が、もうきょうにも成立する予定なんです。ですから、私は具体的にお聞きしたかったのです。

 官署指定はどのぐらいあるんですか。

山野政府参考人 具体的な官署指定でございますけれども、現在調整中でございます。御審議いただいております法案を前提とした場合に指定される官署数は、二十数カ所となる見込みでございます。

横光委員 もっと詳しく確かめたいのは、いろいろな情報からすれば、居住地要件一キロメートル以内の二十数カ所ということだと思いますが、これはあくまでも国家公務員の官署所在地や勤務の実態を踏まえつつ決めるものだと私は思っております。

 いわゆる官署のあり方やあるいは勤務実態が全く異なる地方公務員については、これは、自治体官署、つまり支所や出張所、あるいは学校、分校、こういったところは非常に山間地に多く所在しております。通勤事情も全く異なっております。例えば今、市町村合併によって広域化されつつあるわけでございますが、大きな市にくくられた庁舎所在地と学校との積雪量が大きく違うなど、実情を反映したものになっていないわけですね。ですから、広域化のプラスももちろんあるでしょうが、これはマイナスの面、つまり不合理の最たるものがこうして浮上してきているわけです。

 ですから、あくまでも、今言われた官署指定の要件、これは国家公務員のものであると確認してよいかということが一つ。地方公務員の場合は、実態を踏まえてこの要件を弾力的に適用できるようにすべきであり、そのためにも関係の職員団体とよく話し合うよう求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

須田政府参考人 地方公務員に係ります官署指定でございますけれども、これは国の基準を踏まえつつ各地方公共団体において検討されることとなるわけでございます。ただいま人事院の方からも御説明ございましたけれども、官署指定につきましては、あくまで市町村単位で定められた支給指定地域を補完する例外的なものと理解しておりますので、その具体的な取り扱いにつきましては、このような官署指定制度の趣旨、あるいは今回の寒冷地手当の見直しの趣旨、さらには御指摘の地域の実情を踏まえながら適切に対処していただきたいと考えております。

横光委員 地方は、確かに今の基準を踏まえつつということの説明でございますが、私が今説明したように、国と地方の自治体というのは全然違うのですね、所在地のあり方というものが。非常に厳しい状況になっている。それを一律にはめるということは、やはり難しい問題が出てくる。ですから、私は弾力的に考えていくべきだということを申し上げたわけでございますが、これもまた本当にそれぞれの関係団体とよく話し合いをしていただきたいと思っております。

 最後に、ちょっと人事院にお聞きいたします。

 人事院は来年度の勧告に向けて、その報告の中で、給与構造の基本的見直しを行うとして、職務、職責を重視し、実績を的確に反映する給与制度への転換を打ち出しております。具体的には、非常に多くのことを打ち出している。全国共通俸給表の水準の引き下げ、地域手当の新設、査定昇給への転換、昇給カーブのフラット化、専門スタッフ職俸給表の新設、さまざまなことを随分打ち出しているんですね。

 これは、本来であるならば当局がやることなんですね。それをまさに人事院が先取りしているかのようなことで表明をしている。これは、人事院の存在意義というものを私は見誤っているのではないかという気がしてならないんです。いわゆる労働基本権制約の代償として、第三者機関である人事院が、まるで当局が言うようなことを率先してやっている。いわば、ある意味では当局と相対する立場にあると言ってもいい人事院がこのようなことを打ち出してしまえば、これはまた職員団体はまさに打つ手がないわけですね。この問題はまさに人事院の存在意義にもかかわるという認識を持っておりますが、いかがお考えでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 大変重要な問題提起をいただいたというふうに思っております。

 ただ、人事院の役割としては、もちろん基本権制約の代償機関、非常に重要でございますけれども、それ以外に、公務の能率的な運営を保障するということも人事院の大きな役割の一つでございます。

 それからもう一点、私ども、物事をいろいろ提案申し上げたりあるいは判断をするときに、やはり、国民の御意見、国民の納得性を得る、あるいは国民に対して説明責任を果たすということが、先ほど申し上げました例えば代償機能の発揮ということよりは上位の規範ではないか、国民の納得性を得られるということがまず第一に必要ではないかというような考え方を持っておりますので、今回いろいろな提案をさせていただきましたけれども、私どものそういう考え方から出た提案であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

横光委員 今いろいろ説明がございましたが、原理原則として、労働基本権制約の代償機関としての機能を私はこれからも果たしていっていただきたい、このことを申し上げまして質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。

 今回の法改正は、寒冷地手当の支給対象地域及び支給額を抜本的に見直し、支給対象地域では、市町村数の四割強、職員数では約半数が対象外となり、支給額でも平均約四割の大幅引き下げとなるものです。寒冷地手当が支給されている職員の生活に大きな影響を及ぼすことは明らかです。

 反対する理由の第一は、そうした抜本的な見直しにもかかわらず、見直しの中心である寒冷地の定義、基準について合理性が欠けていることです。当初、民間の支給実態から北海道を寒冷地としたにもかかわらず、支給が必要となる現実の寒冷地は、北海道にとどまらなかったことは、その最初の決め方自体に合理性がなかったことを示すものです。

 それはまた、支給対象地域と支給額の間に整合性がないという形であらわれています。本州の寒冷地は北海道並みに寒く雪も降る、つまり、寒冷の度合いが北海道と同じであるのに、本州の支給額は北海道より一律に低くなっており、その格差の合理的説明は不可能です。

 さらに、本州には北海道の二級地、一級地並みの気象条件の地域が存在しますが、これらの地域は北海道の三級地より気象条件が厳しいにもかかわらず、支給額はそこよりも低いという逆転現象さえ存在します。今回の寒冷地の基準は全く破綻していると言わざるを得ません。

 反対する理由の第二は、寒冷地手当は寒冷地において暖房用燃料費等生計費の増嵩分を補てんするために支給される手当であるにもかかわらず、そうした生活実態ではなく、民間企業の支給実態のみを基準にした見直しになっていることです。今回の見直しが説得力のない、矛盾だらけのものになった理由が、合理性のない民間準拠を至上の基準としたことにあることは明白です。

 反対する理由の第三は、今回の寒冷地手当の引き下げが、寒冷地で働く国家公務員、地方公務員の生活に重大な影響を与えることです。さらに、その影響額は、国、地方の合計で最終的には約五百六十億円程度と推定され、地域経済にも重大な悪影響が及ぶことです。

 なお、今回の寒冷地手当の削減は、公務員給与に地域間格差を導入する地域配分見直しの一環として出されているものですが、国民合意のない民間準拠を至上の基準として行おうとする一連の改革の矛盾が今回の法改正にも反映され、道理のないものにしていることを最後に強調して、反対の討論を終わります。

実川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより採決に入ります。

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、来る二十六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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