衆議院

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第4号 平成16年10月28日(木曜日)

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平成十六年十月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小西  理君

      佐田玄一郎君    自見庄三郎君

      高木  毅君    谷  公一君

      西田  猛君    萩生田光一君

      原田 令嗣君    平井 卓也君

      増原 義剛君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    稲見 哲男君

      楠田 大蔵君    田島 一成君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    中村 哲治君

      松崎 公昭君    松本 大輔君

      村越 祐民君    山花 郁夫君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   総務大臣政務官      山本  保君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     原田 令嗣君

  谷本 龍哉君     高木  毅君

  西村智奈美君     村越 祐民君

  藤田 幸久君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     谷本 龍哉君

  原田 令嗣君     田中 英夫君

  田島 一成君     藤田 幸久君

  村越 祐民君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 大輔君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、総務省情報通信政策局長堀江正弘君、消防庁長官林省吾君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君及び社会・援護局長小島比登志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 五十嵐文彦でございます。

 朝早くから御苦労さまでございます。

 質問に入ります前にお願いが一点ありまして、きょう副大臣、政務官おそろいかどうかわかりませんが、党の方から、大臣、副大臣、政務官につきまして、いわゆる年金の未納、未加入があるかどうか、二点目、郵政民営化について基本的に賛成か反対か、三点目、自民党の郵政懇話会に入っておられるかどうか、それから、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうか、この四項目についてそれぞれお答えをいただきたいといういわば一種のアンケートでございますけれども、そういうお答えをいただきたいという要請が来ていまして、この場でお答えする必要はないと私は思っていますので、後ほど、大臣初め、副大臣、政務官から、簡単なメモでお答えをいただければ幸いでございますが、そういう御用意があるかだけ、まず、麻生大臣からお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 メモを出せという御要請ですね。わかりました。

五十嵐委員 ありがとうございます。これについては、用紙そのものは御人数分だけ私の方で用意をさせていただきたいと思います。

 それでは、先ごろ行われました麻生総務大臣のいわゆる大臣所信に対する質問に入らせていただきたいと思いますが、自民党の総裁選挙に絡んでいわゆる中二階発言というのがありまして、いろいろな取り上げ方をされました。改めて、中二階と呼ばれたことについて麻生大臣がどのようにお考えかを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 中二階という定義がよくわからぬと思いますので、その定義につきまして御説明いただければ、ぜひ答えさせていただきたいと存じます。

五十嵐委員 中二階がある家というのに私はあこがれていまして、なかなかしゃれた家ですよね。ですから、二階に行くのに中二階を通らなきゃ行けないというんだったら、中二階があってもいいし、別に何もそれを恥じることはない、こう思うわけですね。ただ、中二階と呼ばれるのがお嫌だというふうに聞いているものですから、それだったら、中二階のない家に移ったらいいんじゃないかな、こう思うわけです。中二階というのを、余りいい意味でないように、特に総理がお使いになったというふうに承っております。

 つまり、改革の姿勢が乏しいから、弱いから、中二階とやゆされるんだという趣旨で総理が発言したかのように私どもには伝わっております、マスコミを通じて。これについてはどのようにお受けとめをされていますでしょうか。

麻生国務大臣 中二階と言われた対象者に私が入っているのかどうかも極めて明確ではありません。私の方は、今閣僚をやったら、中二階から一階におりてきているのか、それとも中二階を抜けて三階に上がれという意味かもよくわかりません。ちょっと感想と言われましても、一階がいいのか三階がいいのかもちょっと明確ではありませんのでお答えのしようがないんですが、中二階と言われて気にするほど、もっとほかに気にしなくちゃいかぬことをいっぱい言われておりますので、余り気になっておりません。

五十嵐委員 マスコミ報道によりますと、中二階と言ったやつのことを忘れないと言ったのは麻生大臣だというふうに報道されていますから、それが本当かどうかだけ、それじゃ伺いましょう。

麻生国務大臣 前にも五十嵐先生に御答弁を申し上げた記憶があるんですが、僕は基本的には新聞は読まぬことにしておるんです。あれは見るだけにしております。中にどう書いてあるか、大体議題を見れば、あと内容まで詳しく読んで、自分のところが出てくると大体違っているなと思いますので、多分ほかの方のところも同じようなものだと思っております。

 新聞というのは、読むと、政局を間違えたり、判断を間違えたりしますので、基本的には見出し以外は読まないように努めておりますので、ちょっとその内容がよくわかりませんけれども、少なくとも、私がその質問を記者から受けた記憶はございません。

五十嵐委員 私が申し上げたいのは、総理がもしそういう発言をされたのであれば、一体、総理はどのような意味で、いわゆる中二階、つまり、ほかの一階の人たちよりは上にいる人たちですね、総理の座に近いと言われている人たちが改革意欲が乏しいから問題だという発言とすれば、どういう意識でされたのかというのが問題だと思うのです。

 私は、中二階という言い方をすれば、かつてのYKK、総理そのものがかつて中二階だった、こう思うわけですね。総理の座に近いところにいるけれども、そこまでは行き切れていない人たちという意味でいえば、YKKの人たちもまさに中二階だったと思うわけですが、そのYKKは中二階だったけれども、自分は改革に対する意欲を常に持っていたから、こうして総理になれたんだというふうにも受け取れるわけですね。

 問題は、私が問いたいのは、その改革姿勢なるもの、総理は、中二階と言われる麻生さんを初めとする当選八回の方々ですか、そういう方々には本当に乏しいのか、あるいはなぜそういう言い方をされるのか、自分の改革姿勢は正しいけれども、よその、中二階の方々の改革姿勢は正しくないとおっしゃられているのか、ここが問題だと思うのですね。

 いわゆる改革一般について、あるいは小泉改革と言われるものについて、麻生大臣がどのように御理解をされているのか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 基本的に、郵政がよく例に引かれますけれども、明治四年に郵政ができましてこの方、とにかく百三十数年間の制度、加えて、そのときに廃藩置県をやっております。同じように三百諸侯に分かれていた、地方分権だった日本という封建体制を近代国家にするためには中央集権という制度でやって百三十何年間、そこそこうまくやってきたことは確かです。

 ここに至って、成熟し、結構世の中も豊かになり、地方におきましても、電話、テレビ言うに及ばず、いろいろなものが普及してきた段階で、結構小さな国といいますけれども、北から南まで、ロンドンからバルセロナぐらいまでこの国は長さからいくとあることになりますので、細長い国とはいえ、そういった地域においては、寒さ、暑さもいろいろ地方によって地域差があります。その地域にとって最も必要なことは地方にというので、これが多分地方でできることは地方に、民でできることは民にという話の基本の流れとしては私は正しいと思っております。

 ただ、改革をやっていくに当たりましては、改革は必ず改良と改悪と二つ答えが出ますので、改革した結果、どのような結果が出るかが問題だと私は思っております。政治は常に結果論を問われるということになりますので、その意味では、この改革が結果として改良を生むように努めていくというのが私どもに与えられている仕事だと思っております。

五十嵐委員 地方でできることは地方で、民間でできることは民間でというのは、方向としては正しい話、全く正しいんだと私も思いますね。しかし、小泉さんが今やられている手法がすべてで、それ以外は全くだめで、今の郵政民営化が本丸で、三位一体改革はこういうやり方でなければいけないというふうに私どもは思わない。麻生大臣もそうではないのでしょうか。

 つまり、方向性は合っているかもしれないけれども、それは必ずしもすべてが正しいとは限らない。山へ登る道はたくさんあるはずだ。民営化といっても、三分の一、官が保有した持ち株方式で分割して株式会社化することだけが正しい道かどうかというと、必ずしもそうではないという回答もたくさん出てくると思いますね。

 ドイツのシュタイナー方式という教育の仕方では、一足す八は九というのではなくて、九イコール何とか足す何とかという形で、三足す六も答えだし、二足す七も答えだし、一足す八も答えだというふうに、いろいろな答えが世の中にはあるんですよというのを教えていくのがドイツのシュタイナー教育でありますけれども、私は、政治の世界はまさに、答えは唯一ではなくてたくさんあるという世界だと思うのですが、小泉さんはどうもそれをそうとは考えていない。自分の考え方以外はすべてバツであるという発想からきているから、中二階はけしからぬという話になるんではないか。

 私は、必ずしもそうではない。小泉さんの答えはひょっとしたら合っているかもしれないけれども、それは合っていることの一つであり、あるいは間違っているかもしれないと思うのが本来の常識的な改革への姿勢だと思うのですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 みずからをして常識人と言われたことのない人ですから、奇人変人をもって任じておられる方なので、今五十嵐先生の言われるような常識的な話で自分をと思っておられないから、なかなか説明やら何やらもいろいろあるんだとは思います。

 私は、これまで政調会長時代を含めましていろいろさせていただきましたが、目的は結構ここというのは知っておるんですが、それに至るまでの手段につきましては、最後のところで話がついたりいろいろした例がありますので、新聞で語られるほど、これだけ以外はだめというのに凝り固まっておられるわけではなくて、一足す八イコール九のやり方以外は認めないというほどではなくて、少なくとも二足す七とか三足す六ぐらいまではそこそこ話ができるような感じがするのが私の実感です。

五十嵐委員 確かに柔軟な部分はあるんです。しかし、彼が関心の薄い部分については柔軟だけれども、そうでない部分、こだわっている部分は徹底的にこだわりまたメンツにこだわる、私も小泉さんとは実はおつき合いは長いのですけれども、そういうふうに思います。それは非常に危険な部分を持っていると感じていますのであえて言わせていただいているわけであります。

 例えば今度の三位一体の改革でありますけれども、まず三兆円ありき。方向性は悪くないと思うのですよ。先ごろの予算委員会でも言いましたけれども、方向性は全く悪くないんですが、なぜその部分だけを区切って、それで税源移譲、補助金のカットをしなければならないのかというのは、全体的な方向として、方向性は悪くないという話とは全く別なんです。そこをきちんとしなきゃいかぬ。

 本当に先ほどの地方でできることは地方でと言うならば、先に、地方でやるべきことは何なのか、国がやるべきことは何なのか、そして国と地方が共同してやることは、あるいは競合して、争ってやることは何なのかということを仕分けするのが、イタリアの憲法のように、あるいはドイツの憲法のように、仕分けをしていって、最後の競合する部分で、実際の実務で争いがあったら憲法裁判所で裁いてもらうというような仕組みをまずつくることの方が大事であって、何だかわからないけれども、何でもかんでも、国庫負担金も補助金も、しかもまずその一部だけ移譲してみるのがいいんだというのは、どうも本来の姿ではない、順序が狂っているように私には思えます。

 先ほど大臣も、地方でできることは地方で、今までの明治以来の中央集権のピラミッド方式のやり方では、一番底辺から遠いところにいる中央官庁の役人が机上の空論で絵をかいて全部下へ押しつけてしまうからうまくいかなくなる部分があるんだという趣旨でおっしゃったんだろうと思いますが、ここを直していくには、最初にその見直しが必要だ。

 ところが、例えば地方財政法を、大臣の所管でありますから見ると、その中に国の責務がずらっと書いてある。その中から適当に拾い上げて、三・二兆円に当てはまるように拾ってきている。何で中学校の教師の人件費だけなんだというのは、ちょうどそこが〇・八兆円でおさまるからなんですよ。三・二兆円やってきて、あと残り〇・八兆円足りない、どこにあるかなと探して、中学校の教員のこれがあったということで当てはめただけなんですね。そうすると、この間の予算委員会でも私が指摘したようないろいろな矛盾が出てきてしまうわけであります。

 本来、地方財政法というのは基本的な法律でありますから、そこに書いてある国の責務というのはかなり重要であります。つまり福祉だとか伝染病の予防だとか、災害だとか防災だとか書いてありますよ。これは国の責務としてやりなさいという意味でそこに書いてあるわけですから、財源をきちんと確保しなさいと書いてあるんで、これを変える場合には、十分に全体を見回した中で、これとこれは外しましょうという議論が先に来なきゃいけないのに、なぜそもそも全体の論議がなくて三・二兆円分だけ動くのか。これは国民も地方団体も、それだったらなかなか納得できませんねという話になるのは当たり前じゃありませんか。それについてどうお考えになりますか。

麻生国務大臣 御存じのように、平成十二年四月にいわゆる地方分権一括法と言われる地方自治法の大改正が行われて、国と地方の役割分担は、あの法律をもってかなり仕分けができ上がったと存じます。ただ、そのときに、それを実施するに当たっての財源の保障制度は、あの法律の中にはつけられておりません。それを補うのが、今回の三位一体の中に出てくる地方への税源移譲が一点と、それに見合ういわゆる補助金というものは一括してということ、それがいわゆる三位一体という宗教用語をもって当てているんですが、こういったような形がその背景だと思っております。

 したがって、これが要る補助金なのか、要らない補助金なのかを地方で考えるということが今回の案として一つ出てきております。中央でそれをやりますと、自分が担当している補助金はみんな必要な補助金、地方から見たら、それはおれたちでもやれる補助金という考え方は、基本的には受け取る側と出す側との意見が違うのは当然と思っておりますので、当然のこととしてもめる。

 さらに、これは細かく言えば、県と市町村もまた違いますよ。県が市町村に出す補助金がまた別にありますから。そういった意味では、県と市町村とまた少し違うんだとは思いますが、それでも、三千あります県市町村が一体として、少なくとも今回の案をまとめてきたという点は画期的なことだとは思っております。

 したがって、その中でよく精査してみて、いろいろもっといいやり方があるという提案があるならば、それはそれなりに検討してみる値打ちがあると思いますけれども、少なくとも、地方と国との間で分担する役割は、五十嵐先生御存じのように、これは一応の形はついてはおると思います。それに対して、時代はもっと早く進んできておりますので、もっと別のやり方があるのではないか等々の御意見は、今後とも尊重されてしかるべきだと思っております。

五十嵐委員 いや、まずそれはきちんとできていないんですね。

 国と地方が両方でやらなきゃいけない仕事は当然出てくる、競合的分野というのは出てくるので、そのときに、負担割合、負担の分野をどうするかというようなことが必ず出てくる。その財源移譲、財源の調整のところまで全部やらなければ、実は三位一体と言えないんですよ。全くそれは、部分の移譲のやりとりでは三位一体ではないのであって、財政調整の機能も絶対必要ですよね。

 今の地方交付税の仕組みは精緻だけれども、私はまともだとは思っていません。かつては非常に機能したかもしれませんけれども、現在ではむしろ、先進的な取り組みをしようという自治体にとっては足かせになっている部分もあります。自分のところで自主的に財政を調達しようというところにとっては、余りにも制限税率やあるいは標準税率という形で足かせがあって困るというところも出てくるだろうし、それから、地方にとっては、そんなに一律に義務的経費を一般財源化されても、結局、出ていく方は自由度がきかないで出ていって、その分交付税を減らされたら、逆に自由度が減るじゃないかということが当然ながら出てくるわけで、新たな財政調整の仕組みと、きちんとした税源移譲、偏在をカバーできるような税源移譲の仕組みをきちんとつくらなきゃ三位一体にならないんですよ。全くそこの部分の話し合いがまだ済んでいない。

 先に補助金カットがあって、後で地財交渉で、長い間大蔵省と自治省の間でやりとりを重ねてきましたけれども、その間に水膨れになっている地方交付税を財務省はカットしましょうと。最近は六兆円カットしましょうというような話が出ているようですが、瞬間的にあうんの呼吸で財務省と総務省の間で決められたのでは、困っている地方団体の方は不安で不安でたまらない。自主的な、やりたい仕事は何にもできなくなってしまうではないかということが出てきて当然なんですね。

 安定した税源として何を移譲しますということが先に決まらなければならないと私は思うのですが、そのところはやはり後回しにして、最後の二月段階にある地財交渉で決めるということになる、あるいは十二月の予算編成の最終段階で仕方なく、あうんの呼吸で落としどころで決めるということでは、また借金で、例えば財政対策債で地方に一時我慢してもらうという形で決着するということになれば、何のことだかわからなくなってしまうと思うのですね。先にまず安定税源をよこせと。

 私は、そのために、かつて与党の税調の責任座長をしたときに、両方をおさめるために、ドイツの共同税法などに倣って、地方消費税をつくって、国が集めてその分地方にそのまま渡す、そういう共同税的な発想でお金を配ったらどうか、その方が下手に配るより実は偏在を是正することができるという知恵をあのとき出したんですが、そういうことをきちんとやっていかなきゃ、今の消費税の部分を、四対一ですけれども、これでいいのかどうかというものを含めてしっかりした交渉を先にまずされなければ、地方はたまらないじゃないですか。それについて、もう一度伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のあったところの中長期的な部分は正しい、私どももそう思っております。

 町村合併がかなり進んだとはいえ、基本的には、今後とも市町村の財政力指数の格差は解消してゼロになることはないと存じます。東京と何とか村が一緒になるはずもありませんので、そういった意味では、財政力指数がある程度差がついた分を何らかの形で補てんするものとして、バッファーとしての交付税というものは非常に大きな補完する力になり得ることはもう御存じのとおりなので、これを簡素化してわかりやすくしてという努力は絶対必要だ、私もその点はそう思います。

 それから、急激に地方財政の赤字がふえてきたのは国の財政が赤字になり始めた平成に入ってから、平成二年、三年、四年、五年、六年、七年、そのころは赤字公債発行はゼロですから、それ以後、細川内閣からばっと上がってきて今日まで至ったという流れだというのは、もう御存じのとおりでしょう。

 したがって、赤字公債が出るのに合わせて地方債も発行される額が急激に膨らんできた。私は、正直申し上げて、これがすべて悪いとは思わぬのですよ。必要だったからだと思っておりますし、これがなかりせば、少なくともデフレ不況は恐慌になっていたかもしれぬと思うぐらいですから、私は、それなりのやる意味があったと後世の経済歴史学者が書くんだと思っています。ただ、今の段階として、これをなるべく少なくとめておく必要があるというのは確かです。

 もう一点、中長期的なことを言われましたけれども、基本的に地方税というものは地方の財産ですから、地方の権利ですから、通常国税五税と言われる、酒にしても住民税にしてもたばこにしても、それによって率が二九%、三三%、いろいろ税によって種類は違うんですが、その違った種類の中から自分たちの部分でやっても足りないわけですから、そういった意味からいくと、先ほど御提言がありましたように、その法定率を何らかの形で変更する、消費税の配分比率を含めて。そういったものは中長期的に確実に見直されてしかるべきものだ、法定率のリセット、再セットというのは中長期的に考えなければならぬ大事なところだと思います。

 いつまでたっても地方は、今のままでいきますと、よほどのところでない限り交付団体のままで、いつでも年末になると大挙して東京に行かざるを得ないというルールはそもそもおかしいと思っておりますし、私どもとしては、そういった意味では、地方が自立できるために税源というものは非常に大切なものだと思っておりますので、今言われました点につきましては、私どもも大事なところです。

 ただ、今回の平成十七年度、十八年度に限って言わせていただければ、三兆円のいわゆる補助金のカットをするに当たっては、少なくとも税源の保障というものがついていないと、自分のところは補助金だったら一億来たけれども、地方税に回ったら七割しか来なかった、四割しか来なかったというところはすごく出ますので、その差は何らかの形で埋めてやるということを前提にして地方はこの話を受けたわけです。地方との信頼関係というのがなくてはこんなものはやれませんから、そういった意味では、地方との約束はきちんと守らないと話がおかしい、私はそう思っております。

 いろいろ雑音がかしましく新聞に出ているそうですけれども、私どもは、正直申し上げて、それはそもそものいきさつを忘れていただいては困るので、ここは総理みずからが言われたところなので、先ほどの言葉をかりれば、その点だけはこだわってもらわないかぬところだ、私はそう思っております。

五十嵐委員 今お聞きしていますと、地方交付税制度は守るんだ、それで、いわば法律どおりに、基準財政需要額マイナス収入額が足りない部分は、そっくり交付税率の引き上げで対応するんだ。今は三二%のところを、これは足りなければそこは変更するということになっているんですから、それで持ってくるんだというふうに伺いました。

 ただ一方で、財務省は、基準財政需要額そのものが水膨れである、六兆円ぐらい多いよ、こう言っているわけですね。この多くなったもとは、確かに国にも地方にも原因があると思います。

 つまり、これは総務省にも責任があるわけですけれども、財源対策債を、後で元利償還を見ますという形で、後送り後送りにしてきた。その場その場でちゃんと、交付税率を動かすなり、そのほかの財源をとってくるなり、きちんと分捕ればよかったものを、大蔵省との間の覚書のやりとりで、貸し借り勘定でずっとやってきて、足りない分はみんな地方に我慢してね、後で地方交付税で面倒見るから、当分借金していてくださいという形で、財源対策債をかなり出させた。それが積み上がってくると、やはりこれは乖離が出てくるんだろうと思います。収入は上がっていませんから、基準財政収入額との差が大きくなってくる、そこで交付税をもっとたくさん出さなきゃいけなくなる、そんなお金はないからまた借金という悪循環に入ってきているんだろうと思いますね。

 そうすると、いつまでもこの交付税を基礎とした地財計画というのは維持できないんじゃないでしょうか。そもそもの考え方を変える必要があるんじゃないか。交付税制度というのを抜本的に改正して、あるいは放棄しなきゃいけない、別の制度、別の財政調整制度に持っていかなきゃいけない時期が近づいているんではないか。財務省はそれを言っているんではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。

麻生国務大臣 このところの財務省の話を聞いていて、中長期的に建設的に考えるというのを前提にして考えておいてくれれば、それはそれなりにまことに結構なことだと思うのですが、交渉していて、昔のような見識高い話とはかなり最近は違ってきているんじゃないかなというのが正直な実感です。財務省の人と面と向かっていつも言い合っておりますから、別に陰口をたたいているわけでも何でもありません。そう思っております。

 少なくとも、今回、七・八兆円とかなんとかいう話が一挙に出てきておりますけれども、昨年一二%の減であれだけの騒ぎだったのに、それ以上の減を向こう二年間しくというのは、それが現実的な提案でしょうか。正直、私どもの担当から見ますとそういった感じがいたします。大蔵省というのは財務省と名前が変わってからちょっとその体質が変わってきたのかなと最近思っております。五十嵐先生も、その点はそう思ってつき合っておられないとという感じがいたしております。

 それから、地方税につきまして、いろいろ御意見があられるところだと思いますが、この二〇〇四の中で、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保すると書いておりますので、少なくとも、今言われたのは、先ほどの御指摘のように、中長期的には正しいと思っております。ただ、十七、十八年度につきましては、今申し上げたようなことのほかに、それを前提にして三兆円の補助金削減案を提出してもらっておりますので、その前提というものをきちんと守らないかぬというのが第一点です。

 それから、今言われましたように、今地方がふえております大きな理由は、いわゆる八〇年代後半のところで、国として景気対策として、後でつけてやるからというので、地方にどんどんどんどん事業をふやさせた、それの払いが今来ているわけです。そのときは払ってやるからと言って、いざ返すときになったら、あれが多過ぎるとかなんとかいう話は、それは少々見識としてはいかがなものか。あのとき何と言って地方にいわゆる景気対策を依頼したのかという経緯を全然無視して言うのは、昔の大蔵省では考えられぬと正直思っております。

 それから、今申し上げた点でいいますと、景気が下がってまいりましたので、地方税がかなりの部分、地方の事業税が減っておりました。また、所得税もそれに合わせて減ってきたのも確かです。その両方相まっておりますので、ただでさえ足りないところにもってきて、不況がさらにそれに追い打ちをかけたという点も多々あろうと存じますけれども、基本的には、中期的には、いわゆる根本的なところを変えないとどうにもならぬのではないか、それは名前が交付税がいいのか、何か適当な名前がいいのかどうか知りませんが、調整機能がゼロになるというのは極めて危険だと思いますので、何らかの形で、これは地方が全部成り立つというのはちょっと世界じゅう見てもそんなにありませんので、この種のものはある程度保有しておかぬといかぬものだとは思っております。

五十嵐委員 今大臣が言われたのは、財務省は昔の姿と違って、どうも自分の庭先だけ掃けばいいやと思うように変わってきているんじゃないか、貧すれば鈍するというふうに言っているやに聞こえるわけであります。しかし、作戦上は財務省の作戦に乗っちゃっているんじゃないですか。一兆円だ、三・二兆円だというふうにちょびちょびやっていたら、抜本的な基幹的な税目が来るわけがないんですよ。そのたびごとに、小さな、たばこがどうですかとかいう話になってしまうので、これは大きいまとめの固まりの話にして、最終的な姿もはっきりさせてからちゃんと交渉をしないと、これは小手先の、後で消えてなくなるかもしれない税目だけいただいたって保障にはならぬわけですから、そこは大事なところだと思うのですね。

 それからもう一つ、先ほど私が地方消費税については共同税という考え方を持ち出したということを言いましたけれども、そういう考え方も視野に入っておられるのかどうか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御提案の一つだ、私どもはそう思っております。

 これは実にいろいろ考えられるんだと思いますが、長いこと中央集権でやってきましたが、先ほどたばこ税を言われましたので、昨年末もたばこ税での調整をやりましたけれども、この種の煙で消えるような話はだめということであのときは突っぱねて、今の税制に変えたと記憶いたしますので、御指摘の点はまことにおっしゃるとおりなので、手口に乗らないように気をつけてまいりたいと存じます。

五十嵐委員 知事会案、きょうは各省からの回答日ですか。今までどのぐらい集まってきていて、どんな状況ですか。総務省としてはどのような評価を下されているか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 まとめられるのは官房長官でありまして、私のところではないので、ちょっとまだ正式な書類をいただいておりませんが、過日の六団体と各省庁の大臣との話を聞いておりますと、余り建設的な案ではなかったと記憶します。

五十嵐委員 そうすると、あくまでも六団体案のとおりに決定をし、各省庁には指一本触れさせない方針でいきますということで理解してよろしいですか。

麻生国務大臣 六団体は、各市、町、村、県と、これは少しずつ意見が違うところでもあります。これはもうちょっと、こっちの案がいいんじゃないですか、こういう案もありますがということは決してないわけではありませんので、そういった意味では、具体的な案として最終案にまとめますときには、あの原文そのままということは少々考えにくいので、党側の提案、また私どもから見ても、これはこっちの方がいいんじゃないですかという案もないわけではございませんので、そこらのところは最終的には調整をする必要があろうかと存じます。

五十嵐委員 特に、地方や関係する団体から懸念が出ているのは、やはり義務教育費国庫負担金の部分なんですね。なぜ中学校の先生の給与だけなのかというのが一つありまして、これをやるんだったら、義務教育全体で考えるか、あるいは、もっとそれより先に、公共事業分野など、ほかの負担金や補助金に手をつけるべきなのではないかという考え方がやはりあると思うのですが、これについてはどういうふうにお考えですか。

麻生国務大臣 そもそも義務教の話というのは、財政諮問会議でも数度、それから全国知事会でも申し上げましたが、義務教の話を金の話から入るのは品がないと申し上げております。四回ぐらい申し上げたと思います。

 そもそも義務教育とはという話からしていただかないといかぬので、義務教育は果たして中学まで必要ですか。今、荒れている中学校とかいろいろ話がよく聞かれておりますが、長いこと文教族と言われてきましたので、ああいうところの中を知らないわけではありません。そもそも義務教育とはという話をきちんとして、中教審もやる話はきちんとやっておかないと、ただただ中学の教員だけというのはどうかというのは御指摘のとおりだと存じます。

 また、中学校だけというので、八千億という話がたまたまあったのではないかというお話もあるかと存じますが、いろいろ税率の面からだけでいえば、いわゆる二分の一と言われる国庫補助の負担金は、二分の一というものを小中突っ込みで一律五分の二とか三分の一とかすることによって、五分の二だったら六千億ぐらいになるじゃないかとか、いろいろ考え方があるんだと思っております。それは御指摘のとおりなんです。ただ率の引き下げだけで数合わせという話は、地方の自由度を増すという話にはならぬのです、今までどおりですから。

 その意味では、将来どうするのかという中長期的な話は、十八年度まで間に合わないとするならば、十九年度までに中教審でかくかくしかじかといろいろな対応をつくっておかないと、地方としてもそれはなかなか納得しがたいところだと思っております。

 ただ、一つだけ、義務教育というものを国の金だけでやる、それさえあれば国の責任を果たしたことになるのかといったら、それはちょっと違うのであって、いろいろ教科の内容等々を考えねばならぬところでしょうし、現実問題を見ましても、全国の県立高校ですけれども、私どもの福岡でいえば修猷館高校と熊本の済々黌、福岡高校と佐賀の佐賀高、どっちの方が水準が高いと言うのは自由だけれども、そんな差があるなら出してみろ、地域差が出てくると言うんだったら出してみろというその資料はいまだかつて出たことはありませんので、やはりある程度県は競争されておられるんだと思うのです。

 ですから、そういった意味では、この種の話は、それこそ一億総教育評論家になれるぐらい、いろいろ御意見があるところだと思いますが、少なくとも、今申し上げた点を含めまして、地方案の提案の中に、今の御意見のように、いろいろほかにも考え方があるのではないかという御指摘はそれなりに正しいと思っております。これをそのまま全部一歩も譲らぬということができるかと言われれば、もっといい案もあるのではないか、かつ地方も納得してもらえる案があるのではないかとは思っております。ただ、仮にも、閣議を経て地方に依頼して地方が出してきた答えですから、それを全く否定してやるというのは、ちょっといかがなものかなという感想であります。

五十嵐委員 私は、教育の自治ということをもっと重視しなければいけない。最終的には教育は地方にしていただいて結構だと思うのですが、どこまで国が関与するか、ガイドラインを示すとか、手とり足とり今のように文部科学省が全部やる、命令するというようなやり方では、多分教育はうまくいかないんだろう、現にうまくいっていないというふうに思いますので、根本的な教育のあり方というのを検討してからこの問題もやるべきだという意味では、麻生大臣と私は同意見だというふうに解釈をいたしております。

 それから、さらにこの問題をやりますと、盛んに財務大臣が、先ほど言いましたように、基準財政需要額が過大な見積もりである、こう言っているんですね。これについては、そういう部分もあるとお考えになるのか、いやいや、そんなことは全くないとおっしゃっているのか、その辺を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 過大計上等々のお話が財務大臣からあっておるのは知らないわけではありません。

 ただ、過大計上と言われますけれども、これは、財務省も私どもも全部詰めた上で、平成十六年度、自分でサインした話が自分で過大計上になると言うのは、これはみずから否定されるようなお話ですから、形容詞の使い方が間違っておられるんじゃないかなと御本人に申し上げております。

 今、その中で、投資的経費だ、二兆九千億の差があるとかいろいろ御意見があって、その中には、百歳になった人への祝い金とか、海外旅行に何とか補助金がついているじゃないかとか、農協何とかとか、そういうのがずっと一ページ分ぐらい書いてある紙が出されました。財務大臣に伺いますが、それで全部足して日本で総額幾らあるのですか、二兆九千億分の何%あるのだか答えてくださいと言うと、極めて限られた額でありまして、千億あるかないか。

 しかし、問題は、二兆九千億だ、二兆五千億だと言っているものの差の四千億のうち、幼児に対する手当とか高齢者に対する手当、医療関係を含めて約三千億ありまして、残りは千億ぐらいだと思いますので、そういった意味からいきますと、この種の言い方がいかがなものかという感じがいたします。

 そもそも、地方は、一般行政経費として必要な額、いわゆるソフトがふえてきている。ハードの方が減ってきている。乖離が起きておる。それは間違いなく法律上そうなっておるんだと思います。

 そういった意味では、二兆九千億と二兆六千億、一般行政経費と投資単独の差がそれだけ出ているんですが、その差額の分を言った場合に、一般行政経費をふやさざるを得ないというのが地方の実態だと思うのです。それは間違いない、ソフトとして要るわけですから。

 そうすると、投資単独の分をこっちに回さざるを得ないという地方の実態を踏まえて、計上の仕方が違うというのであれば、それは一体として考えなきゃならぬのであって、ここだけが違うという言い方は少々偏っておられるのではないか、これも御指摘を申し上げております。

五十嵐委員 確かに、毎年、地財計画、両省が納得した上で政府として決定しているわけですから、急に粉飾決算だったというのは、みずからの否定になるというのはおっしゃるとおりの論理だと思います。

 ただ、実態との乖離というのは、一般的にもかなり言われてきた。ですから、私どもも見直す余地があると。余り複雑になり過ぎて、複雑なゆえにおかしくなってきている、最近の機械と同じようなものがあるのかなと思っていますので、人口と面積だけで簡単に割り切るという方がむしろ正しいんじゃないかなと私は思っていますが、それは後でまた議論をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、平成の大合併が進んでおりますが、総務大臣の所信にも誇らしく二千七百になるというふうに書いてありましたけれども、私、合併特例債をえさにした合併というのは非常に問題があると思っています。これは借金助長といいますか借金奨励にしかならない。合併する前に大急ぎで使ってしまおうというところが出てきます。それから、合併特例債目的で、箱物行政をもう一回やれるぞと思っているところもあります。

 七割が元利償還で交付税算定されると思っていますけれども、どうやら財務省方針だと、交付税そのものは後で総体が減額される方向にある。ということになると、これは、まさに国と地方との信頼関係の揺らぐもとになり、かつ借金財政へ誘導されて、地方自治体の借金の状況が非常に深刻になってくるおそれがあると思います。これについて、私は大きな懸念があると思いますが、大臣はどうでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のとおり、これは、その合併後の町村を経営するという感覚で、行政体の長なり議会なりの責任は極めて大きいと思っております。

 私、大臣に就任したときに約三千百だったと記憶しますが、今、大臣の協議済みベースでいきますと、二千六百二十二になっております。これは、後でまた県議会で否定されたりする可能性もゼロではありませんので、最終数字が出ておるわけではありませんけれども、大臣がサインするところまで行きましたのが、二千六百二十二まで進んでおります。ただ、今おっしゃられましたように、特例債をもらうことによって、それを何に使うかというのは、これは極めて大事な判断だと思っております。建物にはそれを使わないという町も正直あります。

 それで、ある県のある市が合併したんですが、そこは、それぞれ建っている中で一番いいところを、議会は新しい市の旧町、何々役場はここといって全部分けたんですが、そこの道路がうまくつながっていないので金をかけるというわけです。こういうのは、少なくともきちんとした意識がおありになるんだと思っております。そういうところもあれば、箱物になるじゃないかという御指摘のとおり、従来どおりの発想でやられるところも、これは市によっていろいろ出てくるんだと思います。

 私どもは、ホームページに、同じような町で、同じような市のサイズで合併した例というのをわっと載せております。私どもの地元で言わせていただければ、おれに聞かないでホームページを見ろ。ホームページという単語も知らないだろうけれども、おまえのところの役場の役人によく聞け。じいさん、わからぬだろうといってホームページの見方を教えて、クリックもわからぬだろうから、接続してとか言って、いろいろ全部説明して、つい三週間ほど前に帰したことがあります。長々と筆のお礼が来ましたので、いろいろ参考になる例は努めて出さないといかぬものだと思っております。思い込んでこうなるといかがなものかと思いますので、同じようなサイズというのが大事だと思います。

 そういったところを努めて出すようにはいたしておりますが、御指摘のありましたように、これはうかつにやりますと、先ほどおっしゃられたような形になり得る可能性は十分あるという種類のものだと思っております。

五十嵐委員 いや、もう既に、地元などを歩いていますと、向こうの町とこちらの町の借金の額が違うから合わせておこう、先に使っちゃおう、そうしないと、合併したときにこっちの財政調整基金を取り崩されたんじゃたまらないとか、こちらの法人市民税が多いから、こちらの方はねらわれているんだから、先にもう仕事に取りかかっちゃった方が得だという形で、実はもう借金合戦が始まっているんですよ。前は年末にならないと道路をほじくり返さなかったのが、今や年末じゃないのに、どうも最近道路をほじくり返すのが多いなと思ったら、いや、今急いでやっているんだという話、どうもあちこちで見るんですね。もう既に始まっているというところから見ると、起債許可をえさにせざるを得なかった苦しい財政状況はわかりますけれども、もう少しほかに知恵を出して地方への誘導策というのは考えられなかったのか、こう思うのです。

 今、大臣が一生懸命指導して、余り地方債を頼りにするな、下手な使い方をするなというふうに指導するんだと言うけれども、どうもそれはなかなか全国に行き届くとは思えないんです。ほかに工夫の余地はないのか。あるいは、特例債の許可権限というのは本当にこれでおしまいなのか。それとも、本当に必要なことをやるんだったら、もっと後になってもいいからじっくり合併しなさいよということに切りかえていくのか。合併特例債許可の時期を後ろへずらすこともあるのか。あるいは、そのほかの方法で、合併をその後も、期限が切れた後も進めるような措置をとるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今の五十嵐先生の御意見は、これは検討する価値があると思っております。

 御存じのように、埼玉県はちょっとよく知りませんけれども、私どもの福岡県の例でいけば、やはり、町長の選挙があと一年半後にあるわけです。その前に、あいつが町長で再選されたらやらないとか、あいつが落ちたらみんなで合併しようとか、実にもういっぱい、多分皆さんも同じような問題を抱えているんだと思います。合うか合わないかという話がもう最後の詰めでして、そういった意味では、町名は結構いろいろ柔軟なやり方もいたしましたけれども、最後は、任期を延ばす、延ばさない、議員の定数がどうか、だれが最後に町長、市長になるかという話等いろいろありますので、今言われましたように、運用の仕方としては、時期をずらしたものに対しては、それなりに一つの考え方としてあろうと思います。

 私どもは、町村合併が非常に大事だと思っておりますのは、やはり、一つは、行政経費が五千人以下の町は百三万円かかります。それが一万人超しますと約四十万になります。それが二、三万人なら三十万に下がりますという、一人当たりの行政経費が三分の一も違ってくるということになってくると、これは、長期的には町村合併というものによって非常に行政経費が落ちるということが大事なところなんだと思いますし、行政手続は全てオンライン化されていくということが法律で決まった以上、それに対応できるだけの能力も必要だと思いますので、私どもは、町村合併によってある程度スケールを持っておかないと対応できないんじゃないかなと思っております。

 ただ、おっしゃるように、そのところには金が入るからと思って、事業みたいなつもりでやったはいいけれども、あとはどうするんだという点は、これはかかって私ども言いますけれども、ただ一応限度額は決まっておりますので、それである程度できるにしても、それが少しでも少ないようなコスト意識を持つ、コスト意識があるかないかというのは非常に大事なところだ、私どもそう思います。

五十嵐委員 十分に、さらに検討していただきたいと思います。

 次に、郵政改革の方に移るんですが、総務大臣は郵政公社の主務官庁でもあるわけですが、一方では地方を担当しているわけで、地方債を郵貯、簡保はかなり買っていると思います。民営化された場合に、地方債というのはなかなか消化が難しい。昔みたいにシンジケート団に押しつけて、みんな縁故債でさばくというようなことはなかなかできにくい状況になってきている。それから、地方団体の財政状況が悪くなってきていますから、そう簡単に買い手があらわれないという状況になりつつあるわけですが、この地方債の消化について、これからの設計次第とおっしゃるのかもしれないけれども、民営化されて本当にうまくいくのかどうかという点について、見通しがおありになったら伺いたいと思います。

麻生国務大臣 民営化された会社という前提に立ちますと、これはかかって郵便会社をやる経営者の判断に最終的にゆだねられることになります。ただ、法律的には、いわゆるそういったものを制度的に買わねばならぬということではなくなります。したがって、経営者の判断ということになるんですが、ただ、今、郵貯、簡保合わせて約三百四十兆とかいう金の運用をどうやってやるかという知恵は役人にはありませんよ。貸したことはないんだから。集めたことはあっても、貸した経験なんかありませんから。

 そういった意味では、運用をやっていくときに、預かった大事な金ですから、これを確実に運用するという知恵、ノウハウ、知識、能力がつくまでにはある程度時間をかけてもらわぬといかぬところだと思います。それまでの間は、いわゆる国債とか地方債とか財投債とか、いろいろな確実なものである程度運用していくことを考えざるを得ぬだろう。それでも運用できなかった場合は、三百二十兆、政府保証がある今現在で減り始めておりますけれども、そういった政府保証がなくなるんですから、貯金も減ってくることは十分に考えられますので、どの程度が適正な規模になるかというのは、これは市場で決まるものだ、私どもはそう思っております。

 ただ、いわゆる義務として地方債を買わねばならぬという制度ではなくなります。

五十嵐委員 いや、それはわかっているんです。

 予算委員会でも言いましたけれども、優秀な都銀の行員で入ってきても、一人前のバンカーに育てるには七年かかるということを私は申し上げました。それがもし七年で順調に育ったとしても、私は無理だと思いますが、育ったとしても、三百五十兆円ものお金を扱うような能力はないわけですよ、おっしゃるとおりに。絶対つかない。それがどのぐらいサイズが小さくなるかという問題ですね。

 民営化論者の皆さんは、急速に小さくなるだろうと言っているんですが、暗黙の政府保証がつきますよ、それは。まず、ホールディングスの方で、持ち株会社の方で国は持っているし、最終的にも三分の一超は持ち続けると言っているし、あるいは、サイズがでかいこと自体がツービッグ・ツーフェールの感覚になりますから、これはつぶれないだろうという寄りかかり感ができますから、そんなに減らないんですね。そうすると、これをうまく運用していくというのは大変なこと。そのときに、多分国債はリスクウエートゼロというローカルルールを日本は適用するんだろうと思いますから、国債を持つ意欲というのは、民間化された会社でもかなり高くなるんだろうと思いますが、それにしても、地方債はそうではなくなる可能性が高い。そうすると、地方債の消化というのは結構問題になってくるんだろうなという意識を持っていただきたいというのが一つであります。

 もう一つは、金融というのは本当にユニバーサルサービスがなくていいのかという問題も指摘をさせていただきました。私はあるんだろうと思います。全国どこにいても、山奥に住んでいても口座を持てる、地方に出した子供たちのために振り込みができる、口座引き落としができるというようなことはやはりなければいけないと思って、金融の面でもユニバーサルサービスという分野はあり得るし、またあっていいんだろうというふうに思っているんですが、そういう口座を持てない国民が出てくるということを金融排斥といいます。これについては危惧をお持ちなのか、お持ちでないのか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これまで、五十嵐先生、やはり日本で金融に関してユニバーサルサービスという話が全然出てこなかった最大の理由は、一つは銀行の護送船団方式、一つは郵便貯金。この二つがあったから、私はそういった問題が出てこなかったんだと思っております。

 ところが、現実、今どういうことになってきているかといいますと、銀行等を見ますと、平成九年から平成十四年までの間に銀行は三千二百九十六店舗閉鎖しております。マイナス一一・六%。同じく農漁協、八百六十六店舗閉鎖。これが一八・二%に比べて、郵便局は〇・五%ということになっておりまして、二十三局がやめたということになっております。

 そういった意味では、山間僻地、離島におきましても、いろいろな形での郵便局の持っております機能というのは大事なところで、これをもって年金が受け取れる、恩給が受け取れる等々のものもありましょうし、また、町村合併によって役場が閉鎖された後、行政事務のかなりな部分は郵便局で受けるということも可能になろうと思います。

 私どもは、このユニバーサルサービスを、これは法律としてやるのはなかなか難しい問題もあろうかと思いますが、きちんとした形でこれが担保されないと多くの不都合が出てきて、いわゆる五原則で申し上げました行政サービスを落とさないというところに関しましても、ちょっといかがなものかということになりかねないと思っております。

 ただ、行政サービスをやる以上、今度は役所と違うんですから、ちゃんと手数料ちょうだいよと言ってよろしいわけです、民間人ですから。タクシーに乗って行くよりはよっぽど安く済むでしょう。ちゃんと利益にも供さないかぬところだとは思いますけれども、いろいろな形でユニバーサルサービスというものの機能を維持される方が、私は、住民にとってはまことに都合がいい、行政サービスとしては維持されてしかるべきものだと思っております。

五十嵐委員 今の竹中さんの原則には、そういう金融のユニバーサルサービスという観点がないということが一つ、それから地域で集めた金を地域に戻す、貢献するという意識が全くない、ここはきちんとしてもらわないと大変な欠陥になるということを申し上げて、時間が来ましたので終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、安住淳君。

安住委員 大臣、御苦労さまです。ちょっと、大臣に対する質問の前に、新潟県中越地震のことについて質問します。

 きょうは、消防庁長官においでをいただきました。本当に御苦労さまでございます。長官も視察に現地へ入られていたということなんですが、きのうから長岡の崩落現場で、私もずっとテレビを見ておりましたけれども、行方不明になっていたワゴン車の中から、皆川優太君が無事、九十二時間ぶりですか、元気な姿を見せたときは、本当に私もテレビに拍手をしました。しかし、残念ながらその後、貴子さんは死亡していたということをきのう病院の側は発表なさったわけですね。

 それで、現在、私もこの委員会に入りましたから、長女の真優ちゃんの捜索が続いていると思いますけれども、徹夜でのレスキュー隊の皆さんの大変な御苦労を国民も見ていると思いますが、状況に変化があったかどうか、まず教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お尋ねの長岡妙見堰におきます救出作業でありますけれども、現在も作業は継続いたしている状況にございます。

 お触れになりましたように、昨日の午後から東京消防庁のハイパーレスキュー隊を中心といたしますレスキュー隊員による捜索活動、救助活動を続けておりまして、昨日の二時三十九分に男児優太君を救出いたしました。また、四時三十五分にはお母さんの貴子さんを救出いたしました。優太君につきましては元気だということが確認できております。お母さんにつきましては、残念ながらお亡くなりになった、こういうことでございました。

 それで、レスキュー隊員、一時過ぎから昨日作業を進めまして、夕方まで続けましたが、その後の救助活動を専門家チームで検討いたしました結果、昨夜八時前から、真優ちゃんの救助活動にも従事するということで、徹夜で作業を続けております。

 現在も作業は継続いたしておりますが、救出作業は難航いたしておりまして、大変大きな岩石の中でありまして、その岩石を安全に取り除きながら救出できるかどうか、慎重な作業を続けているところでございます。

 私も、出かけてまいりますときに今後の見通しについても現地の人間から確認をいたしたところでございますが、現在のところ作業をしばらく継続する、安全を確保しつつ継続する、これ以上のことは言えない、ただ、真優ちゃんのお体の一部は確認できているので、どのようにしたら安全にお体を車外に救出できるかどうかなかなか苦労しておられる、こういう報告でございました。

安住委員 ありがとうございます。

 この救出作業、本当に余震の続く中ですから、明らかにテレビを見ていても大変だろうなというふうに私も思って見ておりましたが、東京消防庁のハイパーレスキュー隊の皆さん、さらにどういうところの方々がチームをつくって救出活動をなさっていらっしゃるのか、教えていただければと思うのです。

林政府参考人 少し詳しく御説明させていただきますと、妙見堰におきまして車両が発見されましたのが一昨日の午後でございました。新潟県警ヘリが発見をいたしまして、夕刻まで新潟県警、新潟県内の消防応援隊で救出作業を進められたわけでありますが、現場の状況から見ましてなお専門的かつハイパーレスキュー隊等の応援が必要だ、こういう判断がございまして、昨日から、東京消防庁を中心といたしまして、宮城県の指揮支援隊長のもと長野県、栃木県のレスキュー隊員を中心とした隊を編成いたしまして、当初は三十隊百三十八人の隊を編成して作業に当たったと聞いております。

 まず最初は、ハイパーレスキュー隊が持っておりましたシリウスと申しますが、電磁波による生命探査装置を使いまして車中の心音を確認するという作業を行いましたところ、心音が確定されましたので、生存者がいるということで私ども大きな期待を持って作業を見守ったわけであります。

 その後、徹夜の作業となりましたので、私の方からも、現地の隊長には安全に注意をしながら、また時間がかかる場合は隊員の交代も十分配慮しながら作業を続けるようにお願いをいたしております。

 現段階では、東京消防庁それから長野県隊等々は、隊員の交代はいたしておりますがなお現地にとどまっておりまして、それに加えまして、数県の新しいレスキュー隊員が応援にも駆けつけております。現在のところ、二十数名で救助作業を継続していると聞いております。

安住委員 大変な状態であることは、もう国民の皆さんも我々もよくわかっておりますので、どうぞ長官の方からも十分に頑張っていただきまして、真優ちゃんの救出を無事できるよう、我が党としても、レスキュー隊の皆さんにも心から感謝をし、応援をしていきたいと思いますので、後方支援の方、しっかり消防庁としてはやっていただきたいと思います。

 さて、震度六から震度五という地震が十数回にわたって起きるということは、もうまことに異常なことでございます。

 私は実は、四十二年間生きていまして、二十五年前の宮城県沖地震、それから秋田県で起きた地震、そして実は去年宮城県北部地震と、三回震度六の地震を経験している。地震についているというのは大変不名誉なことではあります。しかし、余震を十数回も、あれだけ同じことを経験するというのはやはり大変なことだと思いました。私の経験では、三回、震度五強、震度六弱を経験したのですね、一日のうちに。その地震のたびに家屋が崩落するわけですから、多分現地の皆さんは本当に大変だったと思います。

 そういう中で、消防団また消防のあり方についてきょうはちょっと議論させていただきますけれども、長官、お入りになった御感想をまず伺いたいと思います。現地で、消防隊員の方、消防団の方、随分疲労の中で頑張っていらっしゃったと思うのですけれども、ごらんになっていかがでございましたか。

林政府参考人 今回の中越地震は、二十三日の午後五時五十六分に発災いたしたわけでありますけれども、私ども消防庁は、直ちに災害対策本部を設置いたしました。

 また、新潟県知事からの要請を受けまして、緊急消防援助隊の出動をお願いするような作業にまず取りかかったわけでありますけれども、初動の体制を整えましたところで私も現地に入りまして、現地の被害状況、また緊急消防援助隊の活動状況を確認したいと思いました。また、地元市町村との意見交換もやる必要があると考えましたので、一昨日でありますが、二十六日に現地入りをさせていただきました。

 もちろん、消防関係者、日夜を分かたずの活動でございまして、疲労の色がありありといたしておりましたが、地域の住民の方々を守るために懸命の活動をされていることに、私、大変感動いたしたわけであります。

 災害対策本部等もお訪ねいたしたわけでありますけれども、不眠不休の活動を続けておられます緊急消防援助隊の隊員、また県内応援の消防本部、現地消防本部、消防団に対しましては、これまでの活動に対する労をねぎらいますとともに、引き続き救助活動等に積極的に従事するようお願いをしてきたわけであります。

 なお、現地に入りまして確認をいたしたところでありますけれども、私がお訪ねしましたのは、長岡市、小千谷市、それから十日町市、そして被害の大きかった山古志村につきましても上空から確認をさせていただいたわけでありますが、多くの箇所で道路が寸断されておりましたし、電柱は傾いておりましたし、また家屋につきましても、余震がかなり強いものが重なりまして強度が著しく低下している様子で、全体的に非常に大きな被害を受けられていることを確認いたしました。

 特に山古志村につきましては、上空からの確認ではありましたけれども、土砂崩れや地割れによる道路の寸断が各所に見られまして、ため池が崩壊し、伝えられておりますように、集落は孤立状態にございました。

 また、長岡市の一部地域では、二十六日、通電地域がございましたけれども、それを除きますと、いずれの市におきましても、電気、ガス、水道などのライフラインが破壊されておりまして、総じて被災地におけるインフラの損傷は極めて激しく、甚大な被害を受けておられることを確認してきたところであります。

安住委員 山古志村では、地震発生から十二時間、つまり、日が上がるまで全く情報が遮断されて、交通機関も全くなかった。一夜明けて、報道機関のヘリコプターを見て、山の崩落が至るところにあって、我々も愕然としたということになるわけですね。

 震災に遭った方々からいえば、実は一番最初に警察の姿と消防の姿をとにかく探すわけですよ。しかし、考えてみますと、ここに大きな問題があります。

 今回の場合は、まず第一点が、情報のネットワークがやはり寸断されたときにどういう対応をするのかということがあったと思いますね。つまり、山古志村には消防団が多分あると思いますが、消防団の方そのものが被災者なんですから。こういう方々や隊員の方々が救援作業をするというのは、もう事実上多分不可能に近いのではないかと思うのですね。そういうネットワークの問題がありました。

 それから、広域の支援体制ですが、これをやはり速やかにとるにはどうしたらいいのかということですね。

 さらに、最後に、これは後でちょっとやりますけれども、やはり近年消防団員になる方が非常に少なくて、全体的に慢性的な消防団員の不足状態というのがあって、私は、大きく見ますと三つの問題がやはり今回あるのではないかなと思うのですね。

 最初の情報ネットワークですね。

 NTTのことはよくわかりませんが、隣の伊藤先生に聞いたらわかるかもしれません。停電をしますと、常識的には、電話はなかなか通じなくなるんだと思うのですよ。だから、今回NTTは頑張って自家発をしたんでしょう。自家発で多分電話を動かしたんですよ、何時間後かに。

 未曾有の災害、そういう中にあって、消防の場合はどういう連絡体制をとるのですか、長官。

林政府参考人 御指摘の山古志村の発災直後の状況でございますが、私どもも現地の状況がわからず大変苦労いたしました。

 事実を申し上げますと、発災直後、山古志村におきますNTT回線は不通となっておりました。ただ、そういうときに備えまして私どもは防災行政無線を用意いたしておるわけでありますが、山古志村におきましても防災行政無線は整備されておりましたし、また、停電の場合に備えて自家発電機も用意をした防災行政無線となっておったわけでありますけれども、今回の地震によりまして建物の損傷が激しく、この県の防災行政無線も不通となるという大変不幸な結果となりましたので、外部との連絡が発災当日はとれない、こういう状況になっておりました。

 したがって、私どもも、消防庁からも直接状況を把握しようと試みたわけでありますけれども、山古志村の情報収集が当日はできないという状況にありました。

 ただ、後でわかったことでございますが、消防救急無線というのも一つございまして、これは小千谷に広域消防本部がございますが、この広域消防本部と山古志村に設置されております出張所との間の連絡手段は確保されていたようでありまして、その間の連絡はとれておったようでございますけれども、小千谷広域消防本部から県への情報連絡は、現地が大変混乱いたしておりましたために不徹底でありました。そのため、県も十分な情報が把握できず、私どもに対する報告も当日はできなかった。したがって、現地の様子がわかりましたのは、翌日、ヘリが偵察し、ヘリで緊急消防援助隊の職員が現地に入り、状況を報告してきたことによりまして被害の甚大さを確認いたすことになったわけでございます。

 このため、二十六日に現地に入りました際、長岡市に山古志村の村長もおいででございましたので、私の方から、今後余震も続くことであるしということで、また県との間の非常時の情報の確保について特にお願いをしてまいりましたし、また、今後に備えて防災行政無線を設置する場合は、強度の地震があっても耐えられるような堅固な場所への設置をお願いしてまいったところでございます。

安住委員 大臣、私も、こういう田舍と言ったら失礼ですが、都会と違って情報の伝達が本当に孤立するところというのは、我が国は残念ながらやはり山村が非常に多いですから、この整備については予算措置をやはり検討なさった方がいいと思いますが、いかがでございますか。

麻生国務大臣 今御指摘の点はまことにおっしゃるとおりでして、普及率六七、八%は行ったと思っておりますが、一〇〇%行っております県もあれば三〇%台の県もあるというふうに、県によってかなり差があることも事実であります。

 今おっしゃられたことは、私どもぜひと言ってもなかなか予算の関係やら何やらがあってしていただけないところがあるんですが、今回のようなものが起きると初めて事の重大さに気がついていただけることになるのかなと思っております。災い転じて福とせないかぬところで、こういうところはきちんと対応するように、予算化等々対応させていただきたいと存じます。

安住委員 統計をとっているわけではないのですが、私もNHKにおりまして災害の報道にも携わりましたけれども、大きな事故や多数の死傷者が出るというのは余り平野部ではないのですね、大臣。山岳地帯や、崩落に近いところの、土砂災害なんかが起こりやすいところの集落でやはり大きな災害が起きるんですね。

 だから私は、それぞれの県で熱心なところでは危険度マップをちゃんとつくって、場合によっては転居も含めてやってもらった方が、言い方は失礼ですが、今までの自民党の政治は、そこに何軒か集落があれば、そこに無理やり何十億かけて道路を通して、車でそこを通えるようにしますけれども、もしかしたら、集落ごと本当に危ないんだから移転をしていただくとか、そういう方がコストを含めても本当はいいところもあると思うのですよ。

 そこまで行政ができる権限があるのかと言われると私はわかりませんけれども、しかし、そういうことはぜひやはり検討すべきじゃないですか。いかがですか。

麻生国務大臣 安住先生、全くそうなんですが、ちょっと似たような例で、元炭鉱屋、炭鉱が終わったので、もうここは何もないんですからしかるべきところにと言って、当時、閉山いたしましたときに、私ども、直接だけで二千三百人ぐらいいたんですが、その移転をさせるときに一番困ったのは、その地はじいちゃんの墓がある、ばあちゃんの墓があると言って絶対移動しないんですよ。これが最大の問題でして、息子たちは出て行こうとするんですが、じいちゃん、ばあちゃんが残るわけです。そのじいちゃん、ばあちゃんの面倒をだれが見るのかというと、その村なり町が面倒を見るということになります。

 先ほどの五十嵐先生の御質問にもありましたけれども、若いのは全部都会に出て行って、地方に残ったじいちゃん、ばあちゃんの方は、地方がきちんとしておるわけです。地方というのは人口比だけでやるのは甚だ問題だと私が申し上げておるのはその点でして、残った人の面倒を見ている分だけ、出て行った先のものをこっちに回したって当たり前じゃないかという話は、なかなか受けない話なんですけれども、私はこれは大事なところだと思っております。

 特に私も山古志に詳しいわけではありませんけれども、これは、長い間のあれで、ずっとそこにという人は必ず出ます。その人たちに対して、道路でやるといっても、もうなかなか移動できるような年齢じゃないということになると、これは死に絶えるということになりますと、今度、山がおりてくると言うんですよね、あの辺の表現では。だんだん上の方に人が住まなくなる、だんだん山がおりてくるという表現がある。山が荒れるんです。そうすると、さらに今言われたような状況が起きやすくなります。

 いろいろな意味で、棚田とか、いわゆる水をやってくれているおかげで治水治山というものができている部分もありますので、ここらのところは別な考え方できちんと対応するべき問題ではないか、私自身はそう思っております。

安住委員 いや、私も、本当に田舎で生まれ育って、選挙区も田舎ですからよくわかります。ただ、もう一つは、私は身の危険があるということを言っているんですよ。先祖代々のところから強制的にコストだけ考えて動かせなんということができるわけないのです。ただ、逆に言えば、これだけ地震も多発して、全国的にはどこが危険かということはそれぞれの集落がよくわかっているわけですから、丁寧にやはり行政はやるべきだということを私は言っているということです。

 それから、消防団の問題ですけれども、今、長官、二万四千ぐらいですか、消防団は。小学校単位でこれはある。私の感じでは、全国で消防団に入る人が非常に少ないんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。

林政府参考人 消防団についてのお尋ねでございますが、現在、全国すべての市町村に消防団が存在いたしますが、消防団の数は三千五百九十八団、ただし、分団の数にいたしますと、御指摘いただきましたように、二万五千六十四の分団がございます。小学校の数が二万三千六百三十三とお聞きしておりますので、ほぼ小学校単位ぐらいに分団がある、こういう状況にございます。

 また、団員につきましては、現在、九十二万八千人を数えておりますが、最近、社会情勢の変化を反映いたしまして、団員数が低下傾向にある、団員の確保が困難になっていることを私憂慮いたしておりまして、大きな問題意識を持っているところでございます。

安住委員 これは、多分田舎に行けば行くほど入ってくれているとは思います。それでも、もう福岡でも多分相当団員になる人は少ない。特に福岡市なんというのは、これはなってくれる人は本当ありがたい。仙台なんかもそうなんです。しかし、私は、ここで考えないといけないことがあると思いますよ。

 大臣、これはちょっと誤解をされると困るので正確に言いますけれども、消防団のあり方を私は全く否定はしないし、今までの貢献というのは大変なものです。しかし、こういう時代状況で、若い人が入らない。しかし、私はボランティアはたくさんいると思うのですよ、地域に。消防団のあり方を、みんなが参加できてやれるようなやり方でもうちょっと工夫をしたらいいんじゃないかと思うのですよ。

 敬礼して、何かやはり軍隊的にどうしたってやらざるを得ないと思うかもしれませんよね、ああいう災害時は。しかし、それは実際には、はっぴなんか着てやっていらっしゃることに対して、若い人たちは多分抵抗もあるということも事実じゃないですか。これは大臣になるか長官になるかわからないですけれども。婦人防火隊なんてやっていますけれども、それも、名前も聞きようによっては、若い人たちはなかなかこれはやはり参加できないですよ。

 しかし、ボランティアで、もし自主的にとなって、工夫をすれば、参加してくれる人がたくさんいるんですけれども、いかがですか。

林政府参考人 消防団についての御意見をいただいたわけでございますが、今回の地震におきましても、また、ことし重なっております台風被害の際にも、消防団の方々にいろいろと御活躍をしていただいているところを眺めますと、やはり最終的には、災害の際に被害を最小限に食いとめるためには、消防団を中心とした地域の防災力、これが何よりも大切だということを今痛感いたしているわけであります。この消防団の充実強化を図るということは、地域の防災力を高める上で最も重要なことだと思っております。

 そのための方策といたしまして、一つは、消防団の数、低下傾向にあります団員数を確保するということと、それから、地域における消防団を中心とした防災力を高める、この二つの点、心してかからなければならないと考えているわけであります。

 確かに、消防団につきましては、いざ火災が発生いたしましたときに専門的な消火技術を必要とするということもありまして、日ごろから訓練をしていただいておりますので、専門的な集団となっていただく必要もあるわけでありますけれども、しかし、いざ地域で台風被害あるいは地震災害に直面をいたした場合は、地域に根差して、要員動員力があって即戦力がある、消防団を中心とした体制整備が何よりも必要とされるわけであります。

 その際の消防団は、確かに、専門的な技術を駆使して消火活動、救助活動に当たっていただく中核的な消防団員だけではなくて、その消防団員を支える、団員的な活動ができる方々も必要ではないか、こういうふうに考えております。

 そのため、麻生大臣の御指示もございまして、ことしに入りまして、地域におきまして、市町村職員あるいは郵便局の職員あるいは農協の職員、さらには企業の従業員の方々、本格的な消防団の総合訓練にはなかなか参加できない事情にある方についても消防団員として参加していただいて、地域総ぐるみで防災力を高めるような消防団の体制をつくっていただきたい、こういう考え方で、各市町村、消防団長さんに団員の確保をお願いいたしているところでございます。

安住委員 団員の方々の今までのやり方はやり方でいいんですが、もう少し、やはり若い人たちも参加できるようなボランティアのやり方を工夫したらどうですかと言っているんですよ。

麻生国務大臣 大丸有というのを御存じかどうかは存じませんが、大手町、丸の内、有楽町、この三つの頭をとって大丸有という防災組織をつくっております。今、安住先生が言われたような御趣旨に沿って都会でこれをやっている。大手町でやっているところに私は甚だ意義があるのかなと思って、この大丸有をやたら宣伝するんですけれども、ネーミングもなかなか覚えやすいので、あっという間にいろいろ調べられる。

 こういう組織がやはり都会でできませんと、消防庁の職員が鎮火できるところまで行くかもしれませんけれども、火災に限らず、福岡市内でも集中豪雨で地下街で水死なんという事件が起きてこの方、意識がかなり変わってきたことも確かなんです。川がないのにあんなところで何でおまえ水死なんだというと、排水しないものですから、そういうことになっております。

 したがって、私どもあちらこちらに申し上げておりますが、今言われました点は大変大事なところだと思います。何も消火ポンプを扱えなくてもほかにやることはいっぱいありますので、そういったようなことは基本的に広げていく必要がある、私どももそう思っております。

安住委員 皮肉を込めて言うと、どうぞ政治利用とかしないで、消防庁の次長なんて選挙に出して消防にお願いするとか、そういうところは注意した方がいいですよ、総理・総裁を目指すんだったら。私はそう思いますよ、大臣。これは皮肉です。私の個人的な意見ですから。

 だから、消防というのはそうじゃないんですよ。もっとボランティアの人が自由に参加できるような中で、地域を守っていく核になるということですよ。私はそのことだけちくりと申し上げて、次の問題に入ります。

 長官、もう結構でございますから、どうぞお仕事に戻ってください。ありがとうございました。

 大臣、実は私、二つのことをちょっと申し上げたいんです。私の経験からこのことは申し上げます。

 まず第一点は、これから住宅の問題がどうしたって出てきます。あれを今から検査したら多分、中越ではどうでしょうか、何千世帯も家に入れないから、仮設住宅の設置というのが急務だということで、厚生省の社会・援護局が主になってやっているようでございます。

 この仮設住宅というのは、大臣、ちなみに一戸当たり幾らの値段だか御存じですか。本当に参考に。別に、わからないからだめだと言わないですから。

麻生国務大臣 一戸当たりの坪当たり単価がどれくらいかはちょっと存じません。

安住委員 実は、私の宮城県北部地震のときの平均は二百五十万なんです。仮設住宅ですよ。だから、その世帯分をつくるわけです。それは、大体二週間から三週間、受け付けをしまして、その戸数に応じてつくっていくんです。

 ところが、ここで大きな問題があったんですよ。これは自民党の佐藤理事と一緒にやったので後でちょっと紹介します。阪神大震災は都会の災害ですよね。ああいうところでは、仮設住宅を申し込むと、やはりうわっと来るんですよ。なぜかというと、働いていらっしゃるところに行くのには、どこに住んでいてもいいわけですよ。電車で通えばいいわけですから。私は神戸のことは土地カンがないので、東京に当てはめていうと、九段で被災をして、しかし品川に仮設住宅をつくったので入ってくださいといっても、東京の人だったら働き場や何かに行けますから、学校だってぎりぎりそれは行けると思う。

 ところが、田舎での地震では、思ったほど仮設住宅に入りたいという人がいないんですよ、大臣。これはなぜだと思いますか。(麻生国務大臣「移動できないからね」と呼ぶ)全くそうなんですよ。農家は家の前に畑と田んぼがあるでしょう。十キロも離れたところからくわを持ってそこに行けと言ったって無理なんですよ。だから、崩壊して、もうこの家に住めませんよと言っても、無理してそこにお住まいになる方が多いんですよ。

 そこで、実は私は、自分が被災をしたときに、二百五十万とさっき言いましたけれども、一戸つくるぐらいだったら、スーパーハウスを貸与したらどうだという話をしたんですよ。

 そこで、資料を大臣に渡してください。これは自民党の佐藤理事に調べてもらって、さすがにやはり業界の人で、すぐスーパーハウスの値段を出してくれたんだけれども、大体、三坪で四十万、三・七坪で五十万、これは月で貸与しますと、五万円もかからないそうですね。場所によっては二、三万円で貸与できるというんですよ。大臣、ごらんになっていますか。

 私、何を言いたいかというと、災害救助法によると、仮設住宅をつくることは可能なんですよ。しかし、それは今から二カ月近くかかるんですよ、建築基準法を満たさないといけないから。しかし、どうですか、皆さん、新潟で今から二カ月も待って、その間、体育館で生活なさるんですか、あの方々は。何を言っているんだと私は思うのですよ。

 つまり、災害のときの経験を全く生かしていないんですよ。宮城県北部地震や去年は北海道の地震があって、関係者を現地に派遣しているぐらいのことはやってどうも頑張っているようですけれども、しかし、私は、状況によって、地方で自由に使えるお金を渡してあげた方がこういう知恵が出るのではないかということを言いたいんですよ。大臣、どうですか、感想を伺いたいんですけれども。

麻生国務大臣 質問しておられる方もよくおわかりのとおり、これは基本的には厚生省の管轄にあるんですが、今言われましたように、これは予備費等々で対応していく話なんだと思うのです。これはトイレはついていないのね。(安住委員「トイレはないの」と呼ぶ)ないのね。だから安いんだろう。そうだろうと思った。元セメント屋としてはいろいろ考えますので。

 実情を地方公共団体から聞いてみないかぬし、ここは一番の問題は雪なんですよ。もうすぐ雪が来ますので、特に中越というところは豪雪地帯で、先ほど林長官の方から申し上げましたように、崩落家屋が少ないのは、積雪二メーター、三メーターを前提にして家をつくっていますから、だから、ペちゃんとつぶれたうちが神戸に比べて少ないというのは多分それが大きな理由だ、見た感じですけれども、私どもそんな感じを持っております。

 いろいろ、こういったものに対しましては柔軟に考えないかぬだろうなと思いますので、この提案は参考にさせていただきます。

安住委員 私が言いたいのは、災害救助法では、県が三分の一で、国が三分の二ですよ。これはおっしゃるとおり、厚生労働省社会・援護局がやるわけだ。大災害という認定があればそうで、普通は二分の一、二分の一ですよね。いいんですよ、それは。

 私がなぜこういうことを言ったかというと、実はもうきのう、佐藤理事もそうだし、野田さんは安倍晋三さんに私の話を伝えて、それをまた厚生労働省に言ったそうなんですよ。そうしたら、厚生労働省は何と言ってきたかというと、いや、仮設住宅という範囲の中にはスーパーハウスも入りますと言うのですよ。私は、確かにそれはそうかもしれないけれども、私が少なくとも被災をしたときの感覚でいうと、町役場や県はどう言うかというと、ひな形に合わないものはだめだと言ってくるんですよ。日本の役所というのは、事ほどさように、怖いから自分の判断で何もできないのですよ。

 しかし、私は思ったのですよね。私の地域では、大体農業人口が二割強ぐらいあるところなので、やはり離れたがらないんですよ、庭の敷地から。だから、私は、それだったら、今回の中越の場合は地震だからそれはスーパーハウスがどうかわからないけれども、私は、少なくとも自宅にこれを置いてあげて、二年間貸与してあげた方が多分気は休まるなと思うこともあるわけです。特に女性なんかあの体育館で集団生活はつらいものがありますよ。だから、一日でも早くそれから解放してあげるというためには、こういうメニューを積極的にやはり出してやる。今の制度ではですよ。

 私は、大体、そもそもおかしいと思っているのですから。自由に地方自治体にお金を上げて、それぞれ臨機応変に対応すべしが本来あるべきだと思っているのですよ。しかし、今はそんなことはあなた方に言ったってせんない話だから。もう権限放さないから。災害のお金でさえ放さないんだから、中央省庁というのは。だから、私はそれはいい。しようがないから。

 しかし、さっき言ったように、やはり臨機応変にやることを、少なくとも市町村等についてはいろいろなことが可能だということはぜひ言っていただきたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 いい御指摘だと思います。事を急ぎますので、即対応させていただきたいと存じます。

安住委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 それから、実はもう一つあるんです。

 まず、本当に地元の話で悪いんだけれども、私の地元の宮城県北部地震というのは、去年の七月の下旬に起きたんです、大臣。激甚災の指定はいつだと思います。ことしだよ、ことし。資料ありますよね。いつと書いてありますか、大臣。わからないんですか。二月だよ、二月。

 大臣、日本の国の役所というのはすごいところですよね。地震があったのは七月二十六日で、激甚災の指定があって、これは局地激甚災です、私のところは死傷者がなかったので。局地激甚災の場合は、公共や農林とかという種目別に被害額を算定して、そして最終的に激甚災の指定を決めるわけですね。大臣、よろしいですね。まずそこまでちょっと確認したいと思います。(麻生国務大臣「そうです」と呼ぶ)

 そうですというのを議事録に残しておいてくださいよ、大臣。

麻生国務大臣 そうです。

 ちゃんと書いてくださいよ。ちゃんと議事録とっておいてくださいよ。

安住委員 これは、ちょっと細かい話で悪いんだけれども、公共と農林に限って言いますからね。これは選挙区の皆さん、これから地震があったら参考にしてもらわないといけないから。

 公共と農林についてはどういう算定の仕方をするか、皆さん御存じですか、大臣も。被害を寝かせておくんですよ。それで、どれぐらいの被害額なのかを算定するんですよ。

 私は、さっき岡本総務課長に調べるように、私の一方的な話ではちょっとあれなので、確認をしてもらいましたが、宮城県桃生郡の鳴瀬町というところでは、町にかかった二本の橋のうちの一本が不通になったんです。これは町の幹線の道路にかかった橋です。小野橋といいます。大臣、去年の七月二十六日に震災があって、その後、通行どめにして通れなくて、国土交通省がその幹線道路の被害の算定に来たのは去年の十二月ですからね。三カ月いじくるなと言うんだから。何で復旧作業しないんだと町長さんに言ったら、先生、そんなことをやったら激甚災の指定の算定が出ませんと言うんですから。

 いや、大したものですよ、この国の役所は。それは目の前の人を救うのじゃないんですよ。つまり、激甚災の算定をするときは、そういうことがたくさんあるんですよ。

 では、農林の被害の場合は、なぜ二月までおくれたか。その橋のことを続けて言うと、ようやく着工のめどが立ったと言うんですから。いつ開通するか、まだわからないですよ。来年になるか、再来年になるか。こんなばかなことをやっているんですよ。これが中央集権なんですよ、大臣。違いますか。農業被害が出て、なぜ二月まで半年も延ばして金を出さなかったか。

 農林省は、被害の算定額を基準にして、なおかつその年の農家の収入、その統計がないと算定できないからですよ。つまり、田の草を刈って、稲を刈って、つくった収穫物を全部売って、その年の収入が幾らだかをまず決めないと直接の農家の被害がわからないから、それまでは激甚災の指定はできないことになっているんですよ。そうですよね。

麻生国務大臣 農林省のことで、詳しくはありませんけれども、ほかの例からして、存じ上げている点からいくと、間違いなくそうです。いわゆる被害額が算定されないと激甚災害は指定はできないということです。

安住委員 目の前に被害が広がっているものを放置して、金の算定がつくまで動かすな。江戸幕府もこんなことはやっていないんじゃないかと思いますよ。こんなばかなことをやらせている中央集権体制を直さないといけないという気持ちになるのが政治家の良心じゃないの。それをほっておいて、笑っていちゃだめですよ、あなた。何言っているんですか。

麻生国務大臣 その地方を担当しておりますのが総務省でして、私どもの場合は、今ほぼ孤立無援とは言わぬけれども、かなりなところでやられておるんだから、しっかり私の応援をしてください。今のところ、そこだけお願いします。これは今一番、この三位一体の肝心なところですよ。

安住委員 私は、きょうは五十嵐さんが表の大きい話をしたから、災害から見た地方と国のありようというのをわかりやすく話をしました。

 しかし、それは多分私の地域だけではありません。私は、ことしの九月に北海道に視察に行きました、水産の関係で。同じ状況でした。つまり、地方は手も足も出ないんです。国のお金を待っているんです、制度を。しかし、中央の役人は、ちんたらちんたらとは言わないけれども、どこの世界に、七月に大災害を受けた人たちに対して二月まで局地激甚災をほったらかしにしておくか。そんなことをやっている制度そのものを放置しておいて、何が地方分権だということなんですよ。

 私は、総務省は、霞が関の中ではまだそれでも地方のことを何ぼかわかっているぐらいの役所としか思っていません。本当に味方かどうかわかりませんから、地方にとって。けれども、そのことは大臣、あなたは内閣でやはり強く言う責任がありますよということを私は言っているんです。今度の中越、見てください、絶対そういう話が起きてきますから。それを直させることができるのは、しかし与党なんじゃないですか。いかがですか。

麻生国務大臣 与党を構成しております内閣の一員といたしましては当然のこととして、政治家として臨機応変に対応できるような方法を考えるというのは大変大事な視点だと思っております。

安住委員 それでは、災害をたなざらしにする今のような制度はぜひ改めて、少なくとも、県に自由な裁量を与えて、それぞれの県で臨機応変に対応できるような制度にまずとにかくした方が、私は被災をした方々が救われるというふうに思っておりますので、我々が政権をとればすぐやりますけれども、ぜひ改善をするようにお願いしたいと思います。

 さて、麻生総務大臣は文教関係に大変お詳しい方だと私は思っております。

 私、実は文部省の記者をやっていたときに、帝国ホテルのゴールデンライオンで二度ほどごちそうになったことがあります。あのとき文教部会長ぐらいだったですかね、大臣は。昭和六十四年、三年ぐらいはそんなものですか。だから、わかっているということを前提に、義務教育国庫負担制度についてちょっと掘り下げて教えていただきたいと思います。

 大臣、この制度は大体いつから始まったんですか、国庫の負担をするようになったのは。別にわからないからといって責任とれとか言わないですから。

麻生国務大臣 出入りを幾つかしましたので。昭和二十三年だったかにスタートしたんだと思います。その後、一回平衡化したりいろいろして、またもとへ戻したりいろいろしたんですが、とにかく昭和二十三年にスタートしております。

安住委員 正確には、大正七年の市町村義務教育費国庫負担法というのがありまして、制度そのものはそこからスタートしました。

 大臣が言っているのは、シャウプ勧告で平衡交付金制度に入ったときにこれを一たん廃止して、今の原型ができたのは昭和二十八年なんですよ。そのときは二分の一の国庫負担だったんですよ。それがスタートしました。そのときの理念は、やっぱり学校の先生の重要性、それから地域によって差が出ないようにということでスタートしたと思うのですね。その後、田中内閣は、人材確保法なるものをつくって、学校の先生方のお給料を上げて、それで今日まで来たという経緯だと思います。

 実は、私はこの義務教育費国庫負担金に、八千億円になぜ視点が行ったのかということについて、まずそのことについて、今回三兆の中で、なぜそこがクローズアップしたのかということについて御自身はどういうふうに思っていらっしゃるのかをまず聞かせてください。

麻生国務大臣 今回そこに行った大きな理由は、基本的には三兆円という税源移譲に見合うだけの補助金の返済。今回、税源移譲が先にできましたので、税源移譲三兆円に見合う補助金というものを考えましたときに、約二十一兆円近くになります補助金総額のうちで少なくとも約半分が社会保障関係、これに手をつけずにいこうとすると、残りの半分でやらないかぬ。その中の多くの額を占めておりますのが、いわゆる文教関係。三兆少々のものになります。やっぱり大きなところでいくと、厚生労働省か文部省か建設省ということになるので、百億単位ではともかく、やっぱり千億単位でということになりますと、文教関係というのは避けがたいところだった、それが多分雰囲気だったと存じます。

安住委員 つまり、理念はないんですよね。そろばんで数字合わせをしたということになるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 そもそも義務教育とはという話をしないで、金目の面から入ると品がないという話は、経済財政諮問会議で三回ぐらい、それから全国知事会でも同じように、私の方からはさように申し上げております。

 そもそも義務教育というものは今どうあるべきかということを考え直す時期に来ているのではないか。六・三・三・四制の制度を含めまして、いろいろ大問題というものをやった上でのこの話にしないといかがなものかという話を申し上げて、一応文教関係で文部大臣等々を諮問会議に呼んで話を聞いたことはあります。だが、それが十分だったかどうかと言われれば、私はいろいろ意見のあるところだと存じます。

安住委員 今義務教育の経費負担は大体十兆三千八百億円ぐらいで、全体の七五%は、教育の場合、人件費ですね。結局、大きなこのお金を動かしても、では、地方はそのお金を削って公共事業とか何かに回せるかといったら、回せないんじゃないですか。

 そういう点からいうと、このお金を動かしても、自由に使える地方のお金ということになるんでしょうか。私はちょっと疑問なんですね。

麻生国務大臣 先ほどの五十嵐先生の御質問の中にも一部ありましたけれども、基本的に平成十二年度の地方分権一括法で教育は地方自治事務と決まっております。したがって、教育は地方自治事務なんです。法定受託事務ではありませんので、地方が自由度を増せるということは確かです。

 ただ、今言われましたように、教育を中学でやりました場合に、総枠、定量制とか、いろいろ今文部省も努力をしておられるように理解しておりますが、少なくとも、今教職員の給与のところだけは、全く、出された分は、今おっしゃったように、文部省を素通りして地方に、通り越してなんという言葉は品がないですね、すっと素通りしていくわけですよ。別に文部省がどうのこうの言う範囲じゃ全くありません、決められているわけです。

 現実問題として、では、学級編制だとかなんとか、いろいろ教職員の数を割り振っておるんですが、それが地方によっては、四十人学級とかなんとか言うけれども、現実問題として、詳しいのであれですけれども、大体、いわゆる学校で落ちこぼれができるのは、分数が出てきたときと因数分解のときと二つなんですよ。そのときに、できないのだけ十人学級、十五人学級にして、残りは六十人学級でもいけるやつはいけるんだからやろうじゃないかといってやれるのができないんですよ。だから、そういったところでは今のようなやり方を、事実、進めているところは実はいっぱいあります。

 それは、地方の自由度を増した方が正しい、私自身はそう思っておりますけれども、それを枠をきちんとはめられるとなかなか難しいのではないか。だから、自由度が増すという点においては、私は正しいんだと思っております。

安住委員 大臣、そもそもあなたはこの義務教育費国庫負担金、いや、もっと深く言うと、学校教育は地方に任せた方がいいと思っていらっしゃるんですか。それとも、今のように、ある程度国が、文部省なるものがあって、やはり補助金を含めてやった方がいいと思っていらっしゃいますか。これは役人に聞く話じゃないですよ。あなたは政治家としてどっちなんですか。

麻生国務大臣 安住さん、議事録を残されているところでしゃべる話じゃないけれども、私、小学校三年まで学校に行かなかったんです。当時、終戦直後の混乱時期でしたから。とてもじゃないけれどもというので、近所の子供だけ集めて、近所の高校の先生が高校の中で教えてくれた。今でいえば塾みたいなところ、一応小学校と名前はつけてありましたけれども、全校四人しかいませんでしたから。一年生、私を含めて四人。

 私自身は、それしかいないという学校に行きましたので、一応合法的ではあるんですけれども、終戦直後の混乱時期でもありましたので。そういったところに行った経験からいいますと、例の「窓ぎわのトットちゃん」のあの話を読んだって、あれはバスの中で学校教育を受けていますものね、黒柳徹子なんて。今、バスの中で学校なんてとても考えられぬ。では、そういった学校で受けた子供が程度が悪いかというと、この程度にはなるわけです、黒柳徹子にはね。(安住委員「いや、賛成か反対か聞いているんですよ」と呼ぶ)

 だから、制度として、私は、読み書き計算、今では英会話が少々ぐらいが義務として国が責任を負わないかぬところかもしれませんけれども、だんだんだんだんやっていくのはいかがなものかと思っております。これが行き過ぎているんじゃないかと思うのが一点。

 それから、国が全然負担をしておりませんカナダ等々は、OECDの資料によりますと、ほかの指数を調べますと、世界でベストファイブのところにほとんど入ってくるのはカナダです。それから、全額国庫でやっておりますイタリアの方はどうかというと、二十何番以下というのが資料としてありますので、そういった意味では、金を国が出せば必ずよくなるというものではない。したがって、きちんとした教育というものは、むしろ、国がやるからいいとは限らないし、地方がやるからだめだということも言えぬのではないか。私は、率直にそう思っております。

安住委員 大変失礼ですけれども、総務大臣ですら結論が出せないような話だというふうにしか私には聞こえないんですよ。そうですよね。どっちがいいかは、これはわからないんじゃないんですか。

 つまり、私が言いたいのは、あと五分しかないからですけれども、そんな微妙な話ですよ、私から言ったら。私もどっちが正しいかわからないんですよ、本当に。そんな微妙なところからまずお金に手をつけること自体、おかしいんじゃないですかということですよ。

 三兆円の話まずありきだから。それは、まあいいでしょう。しかし、どうですか、大臣。これは推測です、ここからは。知事会もどういうことかというと、本当は自由になるお金として一番欲しいのは公共じゃないのですか。しかし、公共については、本当のことを言えば、利権に一番絡んでいて、一番厄介でとれないから、おまえたち、その高みを望んだって無理だから、これぐらいのところで妥協して要求した方がいいというのが義務教でしょう。これは自民党の中はどうだか知りませんけれども、私は、本当は地方に一番やるのは公共だと思いますよ。国交省や農林省が持っているような公共について、しっかり税源移譲した方が、こういう論争を巻き起こすような話よりも、比較的すっきりいくんじゃないかと私は思っています、個人的には。

 しかし、それについては、実は総務省が陰に陽にブレーキをかけたんじゃないですか。余りそんなこと要求したって無理だから、手の届くところぐらいからやらないと、最後は生活保護のあたりまでやられちゃうからというのが政治の本音じゃないんですか、大臣。透けて見えますよ。

麻生国務大臣 透けて見ている方向が少しずれておると思うのですが、今回のこの地方のことに関しては、安住先生、文部省がこれでいけなんというようなことはもう全くなかったと思います。(安住委員「いや、そんなこと言ってないですよ、僕」と呼ぶ)いえいえ、いわゆる公共よりは義務教の方が楽じゃないのなんというような話ではなくて、基本的には、公共の場合、やはり難しいのは、あれは赤字公債でやっている部分があるものですから、償還期限が六十年と二十年の違い、まあ技術的な話ではありますけれども、そういったところが一番大きな理由だったと思います。

 義務教に目が行ったのは、多分地方も、教育は自分たちでという意欲は結構感じられる。知事によって大分意識違うんですけれども、結構意識がある知事も多かったのが、この義務教をおれたちにという気になったところかなという感じはいたしております。

安住委員 全く役所個人個人はやる気がないのは、もうはっきりしていますね。もう全くこれは出す気ないわけですよ。どうなるかというと、最後はもう政治の決断なんですよね。

 そこで本当は大事なのは、小泉さん、何をしたいんですかね。ようわからないんですよ。ただお金の帳じりを合わせればいいと思っているだけなんじゃないの、あれは。深い理想とか信念があって、これを地方に移すにはこういう哲学というのがなければ伝わってこないんです。あなたはいつも会っているようだけれども、昔は仲が悪かった、今は仲よくやっているらしいけれども、どうなんですか。

麻生国務大臣 奇人変人と会うとこっちも奇人変人というレベルでやらぬといかぬのかなということになるので、なかなかお答えしにくいところですけれども、好き嫌いとか奇人変人とかいうのに、仕事をやる以上、きちんと会って話をつけない限りできませんから。そういった意味では、私どもは、役目柄、好き嫌いを言うておられぬというのが正直な立場なんですけれども、多分向こうもそう思っているんだと思います。

 基本的には、一番のところは、地方でやれることは地方にということになると、やはり地方の自由度を増すためには金の裏づけがないとできない、裁量権が自由度を増すためには。そのためにというので今言えば、その金として、一応、地方分権一括法で決まってはいるけれども、金の裏づけがない。となると、今言われたように、三兆円ありきという形にならざるを得ない。正確には四兆円なんですけれども、昨年から。そういうことにならざるを得ないんだと思います。

 思想が高邁か何かは別にして、少なくとも、中央集権から地方主権へという流れを助長するために、これは非常に大事な、手段としては正しいと思っております。

安住委員 時間が来ましたので、大変恐縮ですけれども、情報通信関係の質問ができなかったのでまた後日に回しますが、どうぞ理念を持ってやってください、郵政事業も。何にもしないでただとにかく言うだけだったら、だれでもできますから。

 だから、私が聞きたいのは、やはり本当に高邁な志というのがあって義務教に手をつけましたと言うのだったら、金の算段でとりあえず何千億円とまとまれるところといったら、まあ厚生労働とこっちだという話では、私は、やはり無責任な内閣なんだなということになると思いますので、そのことだけ申し上げて、終わります。

 ありがとうございます。

実川委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 大臣、再び総務大臣に就任され、またよろしくお願いいたします。

 冒頭、まず質問に入る前に、実は、郵政の問題で政務官、副大臣の皆さんにちょっと質問したいというふうに申しておったのですが、先ほど五十嵐さんがペーパーでお願いをしましたので、それをもってかえさせていただこうかと思っています。

 今、るる三位一体の話が出ていました。本当に私も、通常国会でこの三位一体、本会議で質疑にも立たせていただいて、約二兆七千億の補助金、交付税のカット、そして、約四千七百億円の税源移譲、差し引き約二兆三千億というものが地方から切られているわけです。

 今お話があったように、地方自治体は非常にこれから苦しくなる、これが想像できるわけでありますし、私の地元でも、今、予算が組みづらいということを非常に申しておるのですが、実は、その裏で今全国で始まりつつあるのが、前に決算行政監視委員会で一回大臣とやりとりをさせていただいた豊島区の放置自転車税を初めとする、要は法定外税なんです。今、資料を配らせていただいていますけれども、今の段階で規模はまだ二百四十三億円、地方税収に占める割合が〇・〇七ですから、まだ小さいのです。

 ただ、どんどんこの流れは進んでくると思うのですけれども、この豊島区の例を見ても、また福島県の核燃料税の例を見ても、納税者側とかける自治体側が非常に大きく反発をしたり、もめているんです。物によっては国地方係争処理委員会にかかって係争に入ったとか、そういうこともあるんですけれども、見ていると、すっきりこの課税に対して納得して税を払っているという状態がどうも少ないように見えるんです。

 ですから、今まだこれが小さいうちに、大臣、二百四十三億という数字ですから、これから、今の段階である程度のルールを決めなければいけないと思うのです。

 この始まりから考えますと、平成十年の地方分権推進計画、これの閣議決定によって平成十二年に地方税法が改正されて、法定外普通税の新設、そしてこれは今までの許可から大臣の同意となったわけです。あと、目的税というのがつくられて、普通税と目的税の二本立てでこの法定外税というのが今進んでいるわけです。

 まず、幾つか今もめている例の中で、豊島区の例を出させていただきます。ちょうどけさの新聞に、これも今配らせていただいている資料の二枚目でありますけれども、僕がきのうこの質問をつくっていましたら、夜十時ぐらいにファクスが入りまして、豊島区長のコメントというのを総務省からいただいて、それを受けてのこの新聞記事だと思うのですが、大臣が同意をしたときにつけた幾つかの要望を少しは盛り込んでいるようですが、まだ鉄道事業者は反発をしているようです。

 ですから、なぜこういうことが起きるかというと、ある程度ルールを明快にしなければいけない。このことについて、きょうは質問をさせていただこうと思います。

 この豊島区の放置自転車税なんですが、漠とした話よりも一つ例をとって話した方がわかりやすいので、この税を例にとって話させていただくと、この税の受益と負担の関係、法定外目的税といえども受益と負担の関係は明確でなければいけない。これは、平成十一年度に当時の自治大臣の野田毅先生が答弁をされているのと同時に、地方分権推進計画の中にも、きちっと受益と負担はしっかりしなければいけないということがうたわれているんですが、この豊島区の放置自転車税に対して、受益者はだれでしょうか。

麻生国務大臣 これはなかなか一概には言えないとは思いますけれども、受益を一応もらえるのは区ということになるでしょうね、ある面では。それは受けるわけだから。それから、益を受けて、それで本当に減れば、通りやすくなったという人も受益を得ることになるので、自転車をやっている方にも。ちょっといろいろなところがあるので、一概にこれというのはなかなかこういうところで、それだけしかないのかと言われると、いろいろ間接的に受益を受ける方がいるかなとは思います。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

松野(頼)委員 いや、大臣、それはちょっと違うと思います。

 この税で約二億円、鉄道事業者から徴収をして、区が十億円ぐらい、放置自転車の撤去だとか、あと保管場所だとか駐輪場の整備に使うわけですよ。ですから、当然、受益者は自転車の所有者か、放置した人間、これが当然受益者になると思うのですよ。そうでしょう。

麻生国務大臣 それは、基本的に、税が取れた後、その税を使われたときの受益者ね。確かです。

松野(頼)委員 受益と負担、要は受益者が納税するというのが基本的な理念ですから、もちろんいろいろありますよ、原因者負担の税だとかいろいろな税はありますけれども、この法定外目的税に関してはきちっと受益と負担の関係を明確にすることというのが、前の自治大臣のこの法定外目的税を創設するときの答弁にも残っていますし、基本的な理念なんですよ。これはもう当然のことなんです。

 そうすると、では大臣、この税の負担者はだれですか。

麻生国務大臣 負担者は、基本的に鉄道会社ということになろうかと存じます。

松野(頼)委員 これでまず受益と負担のバランス、要は放置した人間及び自転車の所有者が受益者ですよ。負担者は鉄道事業者。これでもう受益と負担のバランスは明らかに崩れていると僕は思うのですが、そこをもう一回答弁いただけないでしょうか。

麻生国務大臣 この条件の中で、私どもの立場から言わせると、不同意の要件は三つというように決められておると思うのです。他の税と重複し、かつ負担が過重にならない、物の流通に障害がない、そして国の経済政策に照らして不適当等々、一応三つの条件が不同意の三要件ということになっているんですが、今言われたように、この経緯をもうお互いよく知った上で話しているのであれですけれども、それには当てはまらないんだという立場なんですよ、私の方から言わせると。したがって、これはちょっといかがですかと。

 そもそも感情論から大分、スタートからもつれたんだと想像はつきます。しかし、基本的には、今、この種の話で不同意三要件に当たらないという立場にありますものですから、これは同意せざるを得ないという最終的な結論にはなったという経緯なんですが、先ほど新聞にもありましたように、同意せざるを得ぬがわかっておるでしょうねということを、間接的にも直接的にもいろいろ文書で申し上げたりした結果、少なくともその実施をするにはこの一年間考えますというのが先ほどの新聞の記事なんだと理解しております。私どもとしては、これは基本的には双方で話がつかないかぬところなんだと思うのです。

 私も、豊島区のあそこの場所というのは、たまたま近くを通ったら、ここですと言うから、ちょっと見たんですけれども、よく見ると、高そうな自転車は置いていないんですよ。高そうな自転車はみんな駐輪場に預けているんだね。盗まれてもいいような自転車があそこへ置かれるわけです。そういう意識。これはコスト意識なんです。

 それを見て、これはなかなか簡単にはいかぬなと思ったのが私の正直な実感です。具体的にやっていくときには、この種のものはいろいろなところに波及する可能性があるというのを恐れておられるがゆえにこの話を言われているんだとは思いますけれども、いろいろな点を考慮に入れないかぬ要素が多いなというのが正直な実感です。

松野(頼)委員 ですから、こういう状況が起こるというのは、明確なルールが今見えないんですよ。

 今おっしゃった地方税法の七三三というのが目的税、六七一というのが普通税、それで不同意の三要件というのがあるんですが、ただその不同意の三要件というのは、地方税法の中の話であって、税の応益性だとか、公平、中立、簡素だとかいうのは、地方税よりもっと上の話なんですね。ある意味では憲法に絡むような話なんですよ。法整備上考えましてどっちが優位かというと、当然、受益と負担のバランスがとれているとか公平、中立、簡素だということは、地方税法に書き込まなくても、当然これは同意、不同意の判断の前提になると私は思うのですね。

 ですから、こんなバランス感覚の悪い税というものが出されてきて、大臣が同意をされてというこの状況ですよ。そこから先、施行するか施行しないかというのは自治体の議会の問題ですから、それはもう僕ら国会が口を出す話じゃないと思うのですが、同意するかしないかというところは、これは国会の問題ですから、やはりそこで僕は明確に不同意にしてもらいたかった。

 というのは、今後の全国で広がる法定外目的税なり法定外普通税の根本にかかわる部分ですから、この受益と負担のバランス、大臣、もう一回ちょっと答えていただきたいんですが、これは明らかに受益と負担のバランスは崩れていますよね。

麻生国務大臣 崩れていると一概に言えないところがまた難しいところなんですよ。難しいところであるんですが、今言われたところだけを言えば、確かに当たっていると思うのです。

 基本的に、これは課税自主権の尊重という、今地方主権に移っていく中にあって一つの大きな流れというのがあるというのも御理解をしていただかないかぬところなので、こういったものを完全に自由化しろということに関しましては実に慎重意見が多いことも確かです。

 これは一つの業界だけねらい撃ちにするというのはいかがなものか、東京都がやった例やら、ほかにも地方の原発の話を例に引かれましたけれども、いろいろあることも確かなので、今言われたように、こういったものの大前提があるだろう、憲法みたいなものがという御指摘はまことに正しいのでありまして、そういったものも含めて、ちょっとこれは慎重に検討せないかぬところではあるんです、正直なところ。

 それから、むやみにこんなものをやられると、話があっちこっちへ波及していくということは、話を非常におかしなことにしかねないと思いますので、私ども、これは慎重に対応せないかぬものだとは思っております。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

松野(頼)委員 さっき安住議員も言っていましたけれども、基本的な理念の問題だと思うのですよ。

 今ちょっと読み上げますが、この税を創設するときには野田自治大臣はこう申しているんですよ。「特定の費用に充てるための財源確保の手段でありますから、あくまでそのところが大事なポイントでありまして、住民の受益と負担の関係が明確になり、課税の選択の幅を広げることにもなる、これが法定外目的税創設の考え方であります。」これだけ明確に、受益と負担のバランスを考えて答弁をされて始まった税なんです。

 これが、二年、三年たって運用になったらば、この基本的な理念が全く忘れ去られている。ただ、地方税法の七三三によって、不同意、同意、この基準だけで、いや総務省は同意しなきゃならないんだよということで同意をしていったならば、この税の基本理念だとかこの税を創設したときの理念が全くなくなってくるんですよ、大臣。ここにもう一度立ち戻って、同意、不同意の判断を私はしていただきたかった。はっきりと、こういう答弁があるから同意できませんよということも豊島区に対して言えたはずだと私は思うのですね。

 学者の論文の中では、この三要件に当てはまらなければ、それ以外の理由では不同意にできないということはないと多くの学者が言っておりますので、ある意味では、当然それが守られるべきだ、税なんだから当然守られて当たり前なんだということ。だから、憲法だとかいうところの大きな話は、子供じゃないんだから、こんなところにあえて書かなくても当然守られるべきだろうということで書かれていないわけですよ。

 ですから大臣、どうかもう一回考えていただいて、冷静な御判断をいただきたいと思いますが、答弁をお願いします。

麻生国務大臣 これは応益税だというわけですよね。それに応じてやる、いわゆる利益、受益の話でいけば、地方税というのは応益課税でいくのが基本だというのはまことにそのとおりなんで、特にこの種の目的税の場合はその性格が極めて強いことになるのは当然なんです。

 ただ、鉄道会社も、第一義的にはこれは受益者とか原因者ではないじゃないかということを言われるのは確かにそのとおりなんです。しかし、勝手に置かれることによって一定の受益関係も認められないわけではないということになって、これは、基本的には不同意にするにはなかなか判断できないということで最終的にごちゃごちゃしたので、これがさっさと不同意にするんだったらもっと早くぱっといったところだったんですけれども、いろいろ考えるところがあったものですから、話に時間がかかって、結論を最終的に出し、かつそれを、同意された側の豊島区側もすぐやるかといったら、やはりちょっとまた考えて、一年ということに多分なった。

 それは向こう側もいろいろ悩んだ末なんだと思っておりますので、今後、鉄道側と話をまた開始されると思いますけれども、そういった中から、しかるべき、双方納得する結論を導き出すようにしていかなければいかぬ。ぱっと見て、はい、これはだめというふうに簡単にはいかない種類の話であったんじゃなかったかなとは思っております。

松野(頼)委員 これもまた地方税法の不備なんですが、もし、大臣が今から不同意にしようと思った場合に、できる制度はありますか。

麻生国務大臣 法律的にはないと思います。

松野(頼)委員 ないんですよ。

 国と地方に関しては、大臣、国地方係争処理委員会というのがあるんです。これは、例えば横浜市の馬券税を不同意にされたときにかかったんですけれども、これは国が不同意にした、それに横浜市が怒って係争処理委員会にかけた。この二つ、国と地方にはあるんです。ただ、一番の納税義務者である住人だとか企業には申し出る機関はないんです。

 それで、もし後でトラブって、一回同意をしたものに対して、大臣が、いや、これはよくなかった、また、経済情勢が変わったり、いろいろな環境が変わったから、これを今から不同意にしようと思っても、できる制度はどこにもないんですよ。このことについて、どうでしょうか。

麻生国務大臣 今おっしゃるとおりなんですが、それは裁判するしかないんですよ、残っている手段は、現状としては、というのが実態だということはわかっております。

松野(頼)委員 ですから、国と地方には裁判の手前にそういう制度がちゃんとつくられている、官にはちゃんとあるんですよ、官と官には。ただ、民には申し出るところもない。

 これは、後でまた言いますけれども、例えば福島県の核燃料税、東京電力ですよ。東京電力も、当初この税がつくられたときに、議会では余り発言もできなかった、一方的に課税が決まって、まして選挙権がないわけですよ、企業というのは。代表なければ課税なし、これもある意味では当然な理論なんですよね。これは近代民主主義の基本的な考え方ですよ。

 だから、こういうところが今ばらばらになっているんですが、大臣、後から不同意にできる制度をつくるつもりはありますか。

麻生国務大臣 御存じなんだと思いますけれども、特定少数納税者という言葉になっていると記憶するんですが、特定少数納税者からのいわゆる不服審判というか、意見の聴取というような制度が平成十六年から新設をされたというのは、それは不備に対応する解決の一つだとは思うのです。少数の法人への課税を禁止する仕組みというのはなかなか難しいんだと思います。今新設されたものの推移をちょっと見てみなければいかぬところだとは思いますが、確かに代表なくして課税なしという御意見は基本中の基本だと思っております。

 そういった意味では、今おっしゃっているところの意味はよくわかるんですけれども、今新設しました制度をちょっと使わせていただいて、それで推移を見た上でさらにどうにかせないかぬというのであれば、考えなければいかぬところかもしれません。

松野(頼)委員 私は、各地方自治体が自主課税権を持って、それぞれの独自の創意工夫をして税源を持つ、本来ならば国税をもっと移譲して、本当の意味での地方分権をするということには大賛成なんですよ。

 今配った資料をもう一回見ていただけますか、全国の法定外税の資料。これを大臣、見ていただいても、ほとんどが特定の企業をねらった、ある意味では特定納税者に対する課税なんですね。こういうことになると、やはりなるべく浅く広く多くの住人に負担をしてもらう、そのかわり住人も、その税の使い方に対して、もっと高い意識を持ってしっかり監視をしていく、それで、四年間の任期の中で、自分たちの投票権を行使してその首長を選ぶ、これが民主主義の基本的なルールですよ。特定な企業をねらい撃ちしちゃいけないとは言いません。ただ、ある程度そこは縛るような法整備をするべきだと僕は思いますよ。

 それと、もう一回さっきの質問に答えていただきたいのは、今から、同意をした案件に対して、もう一度不同意をするような法改正をするつもりはありませんか。

麻生国務大臣 松野先生、ただいまあるかと言われたら、ありません。ただいま、今この段階で聞かれたら、今役所の中で考えていますかと聞かれたら、考えていません。

 ただ、今言われましたように、今から地方が出てきたときに、流れが出てくると思うのですね。地方税が、例えば、先ほどの五十嵐先生のお話のときにも出ましたけれども、中期的なことから考えて、今言われたように、消費税の配分の仕方とか、また、たばこ税、酒税、住民税等々の国税五税と言われるものの比率が二九とか三三とかいろいろあるんですが、こういった国税のいわゆる法定率をある程度変えることによって、地方の分がふえることによって、法定外目的税は取らなくてもいいような地方の財政になるという条件は、一つのこういったもののトラブルが少なくなる問題だとは思います。

 ただ、傍ら、そういったものが取れるところは特定の企業をねらい撃ちにするというのはいかがなものかと思いますし、逆に、ある県のように、おたくがうちで工場をやってくれるなら、それによって雇用がふえる、いろいろ下請けもふえる、うちの周りにいます周辺の法人に皆仕事が出る等々で、おたくに関しましては当分の間法人税は取りませんとか、法人事業税は要りませんと、逆に減税するケースも今出てきているわけなんで、いろいろな意味で、地方の自由度を増すということは、地方を経営するという感覚からいったら正しいとは思うのです。

 ただ、御存じのように、知事もいろいろいますので、その人の経営能力とかセンスとかいうものが問われるところなのです。妙な、偏ったのが出てくると話が込み入るだろうなということは、私どもとしては注意をしておかねばならぬところなのであって、その意味で、前の知事のときはうまくそれを使っていたけれども、今度の知事になったら、その法律を妙な方に歪曲していろいろなものにするのはちょっと待てということが言えるかという話をある程度考えておかないと、それは法定外のあれを認めたとはいえ、使ったものが目的外じゃないかとか、話と違うじゃないかという可能性は否定できませんので、その種のことを考える必要が今すぐ出てきているわけではありませんけれども、考えておかねばならぬ点だとは思います。

松野(頼)委員 大臣は非常に企業の経営の感覚を持っていらっしゃるので、また一連のこの放置自転車税に対する対応を見させていただいても、一回は五月に意見書をつけて差し戻したり、九月に同意をするときにもいろいろな意見を同意書に添付したりということで、多分この税に対する感覚は、皮膚感覚でちょっといかぬなということはよくおわかりだと思うのですよ。

 ただ、今の制度の中では同意せざるを得ないということに対してこういう対応をされたというふうに私は思うのですが、だったら、ここは国権の最高機関なんだから変えるべきですよ。そうでしょう。ここで立法すれば変わるわけですから、いいことはどんどんやっていいですよ。ただ、これはちょっとまずいなということに対して、大臣が今の制度のもとでこれは同意せないかぬなという形でいやいや同意をしているという姿は、これは私はおかしいと思います。

 今の七三三と六七一の同意、不同意の消極三要件と言われているものですが、これも、横浜市の馬券税を例にとると不同意にしました。

 これを例にとると、当初、この同意、不同意のときに、国地方係争処理委員会にかかったんです。この係争処理委員会も、十三年の七月に、国の経済施策に照らして適当でないということでこの横浜市の馬券税は不同意にされたわけですよ。この内容に対して、地方自治法二百五十条というのがあって、そういう行為をするときには明確にしなければいけないという文言があるんですね。

 ですから、国の経済施策に適当でないという文言は、極めて抽象的かつ包括的で、協議の申し出をしようとする地方公共団体としては、総務大臣が何をもって国の経済施策に照らして適当でないという判断をしようとしているのか、その具体的内容を把握することが困難だとはっきり言っているんです。それで、地方自治法二百五十条の二に照らして、できる限り具体的な基準を定め、原則としてこれを公表しなければいけない、当委員会は、今後、同種の事案に備えて、総務大臣がより具体的な同意の基準を速やかに作成するべきものであると考える、同意の基準として抽象的な文言を繰り返すだけでは、地方自治法二百五十条の二の要請にこたえるものではない、ここまで明確に言い切っているんです。

 総務省がこれを受けて何をしたかということを申し上げましょう。そうしたら、総務省は、この地方税法にのっとって、要は、法定外普通税または法定外目的税の新設または変更に対する同意に係る処理基準及び留意事項という通知を出しているんですね。処理基準というのは、総務省に聞きましたら、これは法令に照らして非常に厳しく守らなければいけないもの、留意事項というのは、まあ聞きおいておいてくださいなというぐらいのもので結構なんですという説明があったんですね。

 これは大臣、ちょっと一回後ろに確認してもらいたいのですが、これでよろしいですね、処理基準と留意事項の解釈。

麻生国務大臣 今言われたことをもう一回正確に言ってください。

松野(頼)委員 法定外普通税または法定外目的税の新設または変更に対する同意に係る処理基準、処理基準と留意事項、この二つなんです。

麻生国務大臣 処理基準は。

松野(頼)委員 処理基準は、これは法令にのっとって法令に準ずるぐらい守らなければいけないものだ、留意事項は、まあ聞きおいておいてくださいなというぐらいのものだという説明を私は受けているんです。

麻生国務大臣 聞きおいておいてくださいなよりはもうちょっと強いような気がしないでもないけれども、まあ基本的にはそうです。

松野(頼)委員 そうしましたら、この国地方係争処理委員会のあれを受けて、十四年度には、国の経済施策に照らして適当でないことというその文言の説明文を、今までは留意事項に入っていたのを処理基準に持ってきただけなんですよ。これで、明らかに、国地方係争処理委員会が、もっと行為を明確にしなければいけませんよ、地方税法の国の施策に対して適当でないという文言が、これは抽象的だからもっと詳しく書きなさいよと言ったらば、総務省は、留意事項から処理基準に同じ文句で持ち上げただけなんですよ。文言は変わっていないんです。こういうところが漠としているから、こういう全国で起こっている、法定外税で納税者と自治体が争う、反発をするということが、大臣、いっぱいメディアで出ていますでしょう。

 やはり、ここもこれから法改正をきちっとして、明確に、こういうものは国の経済施策に照らして適当でないというのを僕はつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 松野先生今おっしゃるとおりに、これを見ますと確かにそうなっているんですが、これは全部書いたらぶわっと出ますからね。それで処理基準というのに上げて、一応こういったように読ませるようにしたというのが、多分技術的なことからいったらそういうところだと思うのですね。

 ただ、基本として、今言われたように、何となく、裁量だけで、裁量幅が広くなればなるほど、いろいろその場で変わるというのは法定主義からいったらいかがなものかという御指摘もあろうとは存じますけれども、これは書いたらぶわっと多分いっぱい出てくるからやったんだというのだけはわかります。わかりますけれども、ただ、それでいいのかと言われたら、それは全部書くのもちょっと大変だなという感じが正直しないでもありませんけれども、今おっしゃられている意味で、少なくとも、聞きおく程度ではだめよ、ちゃんとこれは、ほぼ準拠よというところまで一応対応したということだとは思います。

松野(頼)委員 きょうは国交省から政務官に来ていただいているので、鉄道事業を所管する国交省として、もしこの課税が全国に波及をしたらば、これは鉄道事業として成り立たっていくのかが一点目。

 鉄道事業というのは、要は民営鉄道にしてもJRにしても非常に公共性のある事業だということで、税制の特例措置というのを随分受けているんですよ。これが国の経済施策に当たらないと総務省は言っているんですけれども、この点について、国交省はいかがでしょうか。

岩崎大臣政務官 お答えします。

 まず、こういうような税が導入をされた場合の全国の鉄道事業者に与える影響でありますが、鉄道事業への影響ひいては鉄道利用者への影響は相当大きなものになるんだろう、そういう可能性があるわけでありまして、国交省としましても、今後の推移を十分注視してまいりたいと思っているわけであります。

 それから、鉄道事業者に対する租税特別措置が法定外目的税の要件であります経済施策に該当しない、こういうことについて国交省はどう考えるかということでありますが、これはすべて地方税法の制度に係る問題でありますから、国交省としてコメントする立場にありません。

 ただ、放置自転車の問題につきましては、基本的には自転車法という法律がありまして、市町村または道路管理者がその設置についての努力義務があります。そして、鉄道事業者はそれに積極的な協力義務があるわけでありまして、それを、関係者が協議会を設けて、その場で十分協議、調整し、市町村が市町村計画としてそれをまとめる、こういうような仕組みになっているわけでありまして、基本的には、その枠組みの中で両者が十分協議して解決していくべき、これが基本的な対応だろうと考えておるわけであります。

松野(頼)委員 そうなんですよ、政務官。

 これは、国交省がまず鉄道事業を所管するわけですから、これは本当に全国に広がったら鉄道事業は成り立ちませんよ。これは、国交省がもっとしっかりしてもらわなきゃ困る。

 片や、鉄道事業に対しては、一方の地方税である固定資産税を減免したり、租税特別措置法を設けて減免しているんですよ。豊島区だけ、自分のところは放置自転車のためにお金を使うからといって徴収をしてしまう、これもちょっと国の経済施策に照らして適当ではないと私は思うのですが、どうもそういう判断ではないそうであります。

 ですから、大臣、各論の話というよりも、要は、法定外目的税というのはこれからどんどん間違いなく広がってきます。今、うちの地元の九州四県でも産廃税をどんどんどんどん、一挙に、大臣のところもそうですけれども、議会で可決していますでしょう。多分、福岡もやっているはずです。こうして、税収が足りなくなる、三位一体の裏側としてお金が絞られてくると、だんだん自主課税権をつくって、自分のところの自主財源をつくろうとする。これは当然の流れなんです。

 だから、今明確なルールをつくっておかないとこれから大変なことになりますよということを私は申し上げたいのであって、どうか、大臣、ことしの地方税法改正でも一部この法定外目的税の関係が税制改正されていますように、先ほどの特定納税者の方はことしの十六年度に入っていたんですよ。ですから、また来年の通常国会でも地方税法は改正がありますから、随時、これは使い勝手のいいもの、かつ、地方の独自性を制約しないようなもの、こういうルールづくりをしっかり考えていただいて、そして、納税者と自治体、また自治体と国がすっきりとした形のルールをつくることを提案いたします。大臣にそこをはっきり答弁していただいて、終わりたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、中央集権から地域主権に大きく流れが移っている中にあって、地方にあって自由裁量権がふえたら、それを裏づける財政というものがついて回るのは当然だと思いますので、その意味では、地域によっていろいろ工夫がなされる。やはり、苛斂誅求をきわめた場合、そこから人が出ていったりリコールが起きたり落選したり、いろいろなことはするわけですから、そういった意味では、いわゆる監視というか、きちんと見ているという対応が必要なんだと思うのです。

 ただ、言われましたように、その四年間だけはでたらめされたらかなわぬというお気持ちもよくわかるところなんで、こういったものはよくよく見ておかないかぬところですし、よくよく見ていた上でもやる人はいるかもしらぬし、そういった意味では、ここらのところの対応というものは、柔軟かつきちっとやらないかぬという御意見なんだと思いまして、十分に尊重してまいりたいと存じます。

松野(頼)委員 ありがとうございました。終わります。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私の方は、この間の一連の台風災害や新潟県中越地震災害にかかわって、緊急の要望、政府への対策を求めるということで質問をさせていただきたいと思っております。

 一昨日の本会議でも幾つかの要望項目を掲げましたけれども、少し具体的に、関係省庁も含めて政府からの答弁をお願いしたいと思っております。

 私、震災のあった土曜日の翌日の日曜日の午前中から現地に入りまして、その夜遅くまで、各地で被災者の方のお話を伺ってまいりました。最初に十日町に行って避難所も幾つか回りましたけれども、九カ月の赤ちゃんを抱えるお母さんですとか、寝たきりでおむつをしておられるおばあちゃんを抱えておられる女性の方ですとか、それぞれ本当に、とにかく建物の中は怖くて仕方がない、そういう思いで避難所に駆けつけておられる。同時に、これからどうしていくのかということについては、どなたも共通して不安の思いを感じておられるわけです。

 そういう際に、十日町の避難所でも相談する相手がいないというのもあるわけですね。役所の方もいらっしゃるんです。しかし、当面の配給のやりくりだけで手いっぱいで、いろいろ要望があっても、声をかけるのも何か申しわけない、こんなような状況になっているわけです。

 被災者の皆さんが将来を見据えて自分の足で一歩を踏み出せるような支援策が求められている、そういう点で、行政相談のような窓口などをしっかり持っていただきたい。こういう点では、総務省行政評価局の方で震災時など災害時に特別行政相談窓口などを設けることもあるというふうにお聞きしました。

 こういう取り組みとあわせて、ぜひとも要望したいのが、被災者の方一人一人に、どうすれば一歩を踏み出せるのか、行政がどんな支援を行うのかというのがわかるような手引といいますか、何かそういう形で、被災者一人一人にそういうものが届くような取り組みをぜひこういう機会に御検討いただきたい、具体化していただきたい。この点、ぜひお願いしたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘になったのは特別行政相談所の話だと存じますけれども、取り急ぎは、被災者の方々の救出、救援というのが一義的にはこれが一番ですので、とにかく地震やら災害が起きたら直ちにそういうことになるんだと思います。その後、片づけが終わったりして、先ほど安住さんが言われた仮設の話やら何やらがあって、いよいよ次に、じゃ、これからというときに初めて出てくるんであって、受ける側も被災者なものですから、今言われたように、あなたも被災者だしねという話になって、なかなか言い出しにくいとかいうことも確かにあるんだと思いますので、私どもとしては、特別行政相談所を開設いたします。

 その時期というのは、いつもこの種の話には出てくるところなんですが、直ちにやっても、今そこにまでまだ気が回っておられない方が通常であります。この種の話は二、三週間後に大体始まるということにいたしておりますので、この中越に関しましても、同様に、今御指摘の線でやらせていただきたいと思っております。

 よく、おまえ、あっちこっちわかっておらぬじゃないかと言われることに関しましては、この開設に関しましては、ある程度広報しておかないと、そういうものがあるということすらわかっておられぬ方も大勢おられることだと思いますので、周知するための広報は、ぜひあわせてやりたいと思っております。

塩川委員 例えば、被災時にはまず罹災証明書をもらえばいろいろな制度を受けられるんですけれども、罹災証明書をもらうということも被災者の方は御存じない、初めての体験ですから。ですから、そういうことを含めて、きちんと被災者の方にどういう制度があるのかというのを知らせることがまず大事だ。

 そういう点で、例えば、我が党なども、宮城の北部地震の際に、「被災者のための制度活用の手引き」というものをつくりまして、冒頭に罹災証明書の交付手続とか、こういうのをお配りして、まず自分で第一歩を踏み出せるようなきっかけとしていただく、こういう取り組みも行っているわけなんです。共産党独自にこういうのを作成して配付しているわけなんですね。

 特別相談窓口についても、こういう案内のチラシ、これは台風十六号の際のものをもらいましたけれども、もう少し細かくといいますか、教育ローンの話ですとかあるいは仮設の話ですとか、個々具体的な、こういう要望にもこたえられますよみたいな、わかりやすく、案内そのものも要求にかみ合うような形でつくっていただきたい。過去たくさんの、数万件のそういう相談の実績があるわけですから、まず被災者の方の困り事はこれだというのを見出しに立てるような形で、案内を含めて、被災者全員に配るようなことをぜひ音頭をとってやっていただきたいなと思うのですが、その点、お約束いただけますか。

麻生国務大臣 今言われた罹災証明書の発行というのは、阪神・淡路大震災のときも、たしか七百八十七件の罹災証明書を出させていただいたりしておりますけれども、いずれにいたしましても、今言われたような話はいい話だ、いいこともやっておられるんだなと、改めて率直にそんな感じがしました。だれがとは言いません、これ以上言うと話がこじれるんで。いいこともやっておられる。私は、いいと思いますよ。

 そういった意味では、国で一括これでやれというような話じゃありませんので、地方自治体で、こういったものがあるんだからというような指導をするのはいいことだと存じます。

塩川委員 県や市町村の独自の制度、上乗せや横出しなどもありますから、そういう意味では、自治体単位でこういうものができるのが一番いいわけです。そういう音頭をとるところということで、総務省もそうですし、内閣府の防災担当の方も、この点、ぜひお願いしたいと思うのですが、そのことに限ってお答えいただけますか。

柴田政府参考人 災害の場合に、各種の手続がございます。これらをわかりやすく被災者にお示しできるようなものをつくれということにつきましては、大変重要なことだと我々も思っております。その手続は公共団体の方でやるわけでございますので、国としましても、公共団体が速やかに、わかりやすいものができますように、国としての制度に関する情報提供も地方公共団体等が適切に伝えることができる、そういうものができるような支援をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 その上で、幾つか災害救助法に基づく取り組みについて厚生労働省などにお聞きしたいと思うのですが、一つは避難所の問題なんです。

 今、数百カ所の場所があるわけですけれども、実際に、私、十日町や幾つかのところへ行ってみても、避難所はもういっぱいで、キャパシティーを超えているわけですよね。ですから、皆さん、御自宅や、特に車の中で夜を過ごされるという方が多いわけなんです。

 そこで、ぜひとも要望なんですけれども、避難所ということであれば災害救助法に基づいて国、県が折半をする形で費用が出ます。だから、暖房費、光熱水費も出るわけですよ。しかし、避難所でない、いわば避難所に準じた、車で暮らしておられる方の暖房費であるガソリン代というのは自分で持たなくちゃいけない。私、避難所に準じるという意味でも、こういった車で避難生活をされておられる方のガソリン代を少し持つぐらいは災害救助法の範囲でやるべき仕事なんじゃないかというふうに思うのですが、厚生労働省はいかがでしょうか。

小島政府参考人 災害救助法の救助は、自治体がみずから行う現物給付ということが基本になっておりまして、自治体が設置いたしました避難所の設置及び運営経費について国の費用支弁の対象としているところでございます。

 一方、被災者の方々は独自にさまざまな避難措置を講じられる場合がございます。場合によってはホテル、旅館へ避難されるとか、あるいは親戚宅ということもございまして、先生御指摘の自分の車の中というのもその形態だと思うわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたが、現物給付が基本であるという考え方から、やはり災害救助法の適用をしていくというのは困難じゃないかというふうに考えております。

 ただいま、非常に避難所がいっぱいだというふうな御指摘がございました。

 現在、五百七十九カ所、約九万八千人の方が避難されていまして、避難所もだんだんふえつつあります。さらに、昨日には長岡市内に二カ所の仮設住宅が着工されました。これも、県の方においてさらにふやしていくということでございますし、高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦の方々の要援護者につきましても、現在、新潟県と共同して作業をしておりまして、社会福祉施設等に福祉避難所として受け入れるということの作業を進めているところでございます。

 いずれにしろ、今後とも、新潟県ともよく相談しながら、被災者の方々の生活の安定に努力をしてまいりたいと考えております。

塩川委員 仮設ができるのは一カ月先ですから、今入れないんですよ。車内で暮らしている方々が。もう八海山は雪ですから、これからどんどんおりてきますよ。十一月はもう積もり始める。そういうときにどう暖をとるのかという際に、車内で暮らしておられる方に、これは避難所の延長ですから、全部とは言えないかもしれないけれども、ガソリン代の一部を補うようなことは当然読めるんじゃないですかね。こういうことを真剣に考える必要があるんじゃないか。ぜひ検討してくださいよ、どうですか。

小島政府参考人 災害救助法の適用に当たりましては、いろいろな御意見があるわけでございますが、私どもとしましては、災害救助法の原則といたしまして、応急救助と現物給付、要するに、市町村がみずからそれを提供しまして住民の生命と健康の保持に全力を集中するという考え方でございまして、やはり、市町村からの現物給付という整理がなされない以上、災害救助法の適用というのは難しいんじゃないかと考えております。

塩川委員 では、例えば、十日町市なりがガソリンスタンドを借り上げて、それでそのガソリンを現物給付する、そういうことであれば、それは検討が可能だということでいいですか。

小島政府参考人 これは、あくまで避難所ということで災害救助法に規定がしてありますので、避難所になるかならないかということが現物給付の……(塩川委員「その点はどういうふうに検討するんですか」と呼ぶ)これは、ガソリンスタンドを借り上げましても、それは避難所とは言えないんじゃないか。(塩川委員「いやいや、だから、車は避難所に準じるんじゃないかと言っているわけです」と呼ぶ)例えば、市町村がバスか何かを借り上げまして、そこをどうしても使いたい、ではそこに収容しましょうということになれば、それは現物給付になろうかと思います、そういう例は余りありませんが、ということでございます。

塩川委員 今回みたいなことがこれで終わるということはないでしょうから、そこは大いに考えていただきたいと思うのです。個人の車、乗用車を借り上げるという考え方ももしかするとあり得るわけですから、そういう点では、その範囲として、ここで縛ることもしませんけれども、ぜひとも考えていただきたいと思います。

 あわせて、仮設住宅の話について、安住議員からもお話ありました。

 私も、阪神・淡路大震災に行ったときに、御年配の方が瓦れきになった自分の家の前でおっしゃっておられたことが今でも残っています。仮設住宅というのは、地下鉄に乗って山向こうのニュータウン、四つ駅行ったところにできているわけですよ。自分が住んでいるところからまるで切り離されてしまう。できれば、この瓦れきを取り払ってもらって、土地は自分のものだから、ここに仮設を建ててくれないか、こういう要望というのは、少なくない方からお話をお聞きしたわけなんです。

 そういう点でも、この仮設住宅について、スーパーハウスというのがありました、ユニットハウスとかコンテナハウスとか、いろいろ呼び名はあるんでしょうけれども、そういったものを被災された方々の家の庭先に置く。

 私は、川口町に行こうと思って行けなくて、その手前の堀之内町というところに行ったんですけれども、新道島という五十軒ぐらいの集落があって、二十軒ぐらいが倒壊をしているわけなんです。そういうところに行ったときに、やはり皆さん支え合っていらっしゃるわけです。そういうときに、庭先にでも置いてもらえば、電気も通っていますから引っ張ればいいし、水道だって外の井戸からくみ上げることもできるわけだし、最低限のことができるわけですよ。

 そういった仮設の借り上げというのは具体的に可能だと思うのですけれども、いかがですか。

小島政府参考人 仮設住宅の設置につきましては、上下水道、生活関連施設の整備状況や、医療機関、学校、商店街への利便性、こうしたものを考慮して選定をするということになっているわけでございますが、先生御指摘のように、やはり被災した自分の住居のそばに住みたいという御要望はいつも大変強うございます。

 それで、私どもといたしましては、仮設住宅のみならず、公営住宅の活用あるいはまた民間賃貸住宅の借り上げ等につきましても災害救助法の対象としているわけでございまして、こういうものを活用して住民の被災者の方々の気持ちに配慮していただくのはどうかというふうに県に言っております。今後とも、被災者の方々の理解を得て、適切に対応していただきたいと新潟県の方に伝えるつもりでございます。

塩川委員 いや、近所に公営住宅も民間のアパートもないんですよ。そんなところだって五キロ、十キロ向こうなんですから。

 そうではなくて、自分の家の庭先があいているんですから、そこにぽんと置いてもらえばそれで十分だというのが現場の声としてあるわけですよ。そういった形で対応するということも可能ですよねとお聞きしているんですが、いかがですか。

小島政府参考人 先ほども申し上げましたように、現物給付ということでございますので、市町村がどういうふうに判断されるかということでございまして、今の状況ですと、非常にたくさんの方が被災されて、やはり応急仮設住宅の建設の効率性を考えますと、一ところにまとまってつくらざるを得ないという状況もあろうかと思います。それはまた、県の方と市町村の方と相談して、どういうふうにしていくかということになろうかと思います。

塩川委員 市町村がそういうふうな判断をして、県と協議をして、やろうということになれば、今お話ししたように、スーパーハウス、ユニットハウスのようなものを庭先に置いて仮設住宅とするということは可能だということですよね、市町村と県が判断してやるとなれば。

小島政府参考人 いずれにいたしましても、どういうふうな形態になるか。もしそういうふうな申し出があれば、私どもも相談に応じてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 ぜひともそういう前向きな形で対応していただきたいと思っています。

 堀之内町というのがちょうど合併を控えていまして、近隣六町村と合併して魚沼市に十一月の一日からなるという場所でありまして、そういう意味では、何か十一月には市長選挙も予定されるようなこともあるそうです。そういった合併実務というのが、いろいろなこういう被災者の救援活動ですとか震災の復興復旧支援活動の差しさわりになるということではとんでもない話ですから、そういうことについてきちっと万全の対応をとっていただきたい。

 あわせて、大臣に、今の仮設住宅の問題で、こういう方向で取り組むことが必要じゃないかと私は思うのですが、率直な感想で結構ですから、その点お願いいたします。

麻生国務大臣 まず、合併の話。北魚沼郡というところだと思うのですが、これは予定どおり十一月一日に合併するということで、地震が起きました後の十月二十五日の会議で正式に決まっておりますので、予定どおり合併することだと存じます。

 それで、旧町長、村長、収入役の特別職につきましては、十一月十四日までの二週間は、少なくとも非常勤特別職として在職するということで話が決まったと聞いております。守門村長が職務執行者になるということも伺っておるところであります。いろいろ新潟県と連絡はとらないかぬところだと思いますけれども、その方向で進めてまいりたいと思っております。

 それから、先ほどのスーパーハウス等々のお話があっておりましたけれども、今援護局の方が話をしておりましたように、現物支給というのであれば、町とか村がその方向で決めていただきさえすれば対応はあるんだと思いますので、先ほどのスーパーハウスを含めていろいろ手口が進んでおりますし、今の時代になるともっと安くあるのかもしれません。こういったところでは貸与するわけですから、そういった意味では、うちのが余っているから貸すとか、こんなものはいろいろ出てくるんでしょう。

 そういったようなものをやれば、国全体の経費としては安くかつ効率よく被災者の方々の要望にこたえられるというのが一番大事なところだと思いますので、その方向で検討されるべきだと存じていますし、私どもとしてはその方向を検討させたいと思っております。

塩川委員 ありがとうございます。現場に即した対応をぜひともお願いしたい。

 以上を申しまして、終わります。

実川委員長 次回は、来る十一月四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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