衆議院

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第6号 平成16年11月9日(火曜日)

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平成十六年十一月九日(火曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小西  理君

      佐田玄一郎君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    平井 卓也君

      増原 義剛君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    稲見 哲男君

      楠田 大蔵君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      藤田 幸久君    松崎 公昭君

      山花 郁夫君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   総務大臣政務官      山本  保君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   勝 栄二郎君

   参考人         

   (地方公務員災害補償基金理事長)         杉原 正純君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官磯部文雄君、人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長畠中誠二郎君、自治行政局公務員部長須田和博君、自治財政局長瀧野欣彌君及び財務省主計局次長勝栄二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長杉原正純君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 提出法案、二つございまして、一つは特別職職員の給与改定、もう一つの法案が障害の改定ですね。

 特別職職員の給与改定、これが提案されておりまして、私ども読ませていただきましたが、現行制度を前提にした改定になっておりまして、行政府のトップであります内閣総理大臣、内閣総理大臣の報酬は月額にしまして二百六十万、これを頂点にして公務員の給与体系が決められているわけですね。もちろんこれは三権の長でございまして、行政府の長は総理、立法府が国会両院の議長、それから最高裁の長官ということになるわけですが、公務員の給与体系ですから、行政府の総理大臣を頂点とした公務員の給与体系、この中での格付をどう変えるかということなんだろうと思っております。

 それで、これらの公務員の給与体系のあり方については、新たな公務員制度改革をやろうということで、改革大綱そのものは閣議決定をなされておることは皆さん御承知のとおりでありまして、将来的には全般的な見直しを余儀なくされていくものだろう、私はこのようにとらえておりまして、そういう観点から議論を深めていかなければいかぬと思うのですが、この閣法ではそこまでなかなか議論がいきませんし、これから新公務員制度の改革をどうやるかということでもございますから、そういう立場でこの法案については理解をしていきたい、こう思っております。

 きょうは、お時間を一時間いただきまして、公務員制度改革、時の焦点でございますが、この問題を中心にしまして議論を深めたいと思っております。

 公務員制度改革大綱は、二〇〇一年十二月二十五日に閣議決定されました。実際、これの政府と労働側のトップ会談は、その後三年たって、二〇〇四年の五月十三日に発足をしているわけであります。もちろん、これまでと違いまして、政府サイドとしては一応の方針を閣議で決めましてこれから進めようということでありますから、これに対応する連合の方も公務員制度改革に関する研究会を二〇〇三年十一月二十一日に発足させまして、具体的にどのような改革を進めていけばいいのかということをオーソライズしております。この点が、従来の公務員制度審議会、つまり、公労協の中で行われてきました公務員制度審議会に伴うILO絡みの基本権問題についてと比べますと少し違っている点だと私は思っております。

 その後、二〇〇四年の二月二十六日に第一回実務者会議がトップ会談を受けまして行われております。四回行われているわけですね。第二回の実務者会議では、片山メモを中心に意見交換が行われました。第三回の実務者会議を経まして、四月九日に第四回の実務者会議が開かれております。ここで制度全般についての議論をやっていこうということが確認をされた、このように私は経過を理解いたしております。

 さらに、続いて六月九日に、与党の行革推進委員会というものがございまして、そこから政府に申し入れがなされております。その柱は二点でございまして、一点目は、能力等級制、これを実現したい、それから二点目、退職管理のあり方についてこれもきちっと具体化をして実現するように努力をしなさいという二点に限定をしまして政府に申し入れを行っているわけであります。

 そういう意向を体して、政府側としては労働側との話もやってきたわけですが、九月二十九日に至りまして、政府・与党は労働側との協議に臨むわけですが、結論を申し上げますと、今臨時国会に関連法案の提出を意見が合いませんから見送るという方針を固めました。

 この一連の、二〇〇一年に公務員制度改革大綱を閣議決定なされまして、それから政労交渉がずっとやられてきまして、意見が合わずに九月二十九日に、これは意見対立、終わりというふうに言いますと誤解がありますから、継続になっていると思うのです。

 公務員の労働基本権の付与問題については、これはもう積年というか、実は私も公務員制度審議会当時ILO総会にも参加をしましたが、先進国日本の権利状況がその都度訴えられまして、ILOの場で随分議論になるわけです。なぜ今この問題が、先進国と言われる経済大国日本がなぜ労使でもめているのかということが大変関心を呼びまして、ある意味ではILO総会では非常に有名になっています。ILO総会というのは、基本権問題だけではございませんで、ほかのもろもろの問題を扱うわけですが、大変これが、なぜなんだという強い関心事になっているわけです。

 そこで、公労協、現業部門ですね、三公社五現業という当時の現業部門の基本権問題は、これは幸か不幸か民営化に移行するという一連の組織改編がございまして、そのことによって権利問題が解消したという歴史なんですね。三公社五現業というのは一応そのことで解消したということになっていまして、残ったのが国家公務員、地方公務員、公務員エリアの問題なんですね。ここだけが残って、今日まで引きずってきているわけです。

 はしょりましたけれども、大ざっぱに見まして、それが公務員の労働基本権問題の歴史です。約四十年間かかっていますね。戦後六十年近いわけですが、二十年ぐらいは戦後復興ということになりますと、日本の国が、やっと戦後、体制を立て直して、これから高度成長でやっていこうかというその当時からの、とにもかくにも四十年間の長きにわたってこの問題を引きずっているわけでありまして、ILO勧告を受けて政労交渉をやる、しかし、具体的な前進はなかなかこれが見られない、極めて不幸な歴史だと私は理解をしているわけです。

 経過の問題、一方的にお話をさせていただきましたが、この経過については、事実関係を踏まえて私は発言しておりますので、異論はないと思っております。

 問題は、双方の対立点。これは、公務員の労働基本権の対立点、労働側と政府側の主張はどの点が違うのかということなんです。

 対立点の中身というか対立点のポイントは、労働側は、労働基本権をまず認めなさい、それで新人事制度を一体的な関係でやっていきなさい、やってほしいというか、言い方はいろいろありますが。それに対して政府側は、労働基本権はだめです、つまり、団結権についてもこれは制約がございます、団体交渉権についても公務員の場合にはほとんどだめ、ましてや争議権は論外だという姿勢なんですね。だけれども、基本権問題はノーなんだが、新人事制度については協力をしてほしい、こういうことなものですから、これは全くクリンチのままになっているわけです。

 そこで、九月二十九日の自民党と連合の協議の中でも、これはもちろん最終的には意見対立になったんですが、その中で自民党さんが提起をなさいましたのは、基本権について検討する審議会を新設して今後やっていってはどうかというのが一点。二点目の人事評価制度、これは労使協議制に準ずる意見交換の枠組みをつくってはどうか。これは少し踏み込んだ自民党さんの考え方が提案をされたわけです。

 そこで議論になりまして、この場合はどうだ、あの場合はどうだというような議論が連合側との間に行われました。結局、審議会をつくるというけれども、展望はどうなのか、あるいは、人事評価制度をつくって労使協議制に準ずる意見交換の枠組みというけれども、その中身は権利の保障からいうとどういう形になるのか、言うなら、団体交渉権の一環として認めるのか、単なる協議制として話し合いだけで終わるのかというあたりだと思うのですが、こういう意見交換が行われまして、気合いが合わないということで、これは対立、継続になっているわけです。だから、政労交渉の場よりは、自民党と労働サイドの九月二十九日の話は少し前進をしているわけです。

 そこで、いつまでも意見対立のままで硬直した議論をやっておったって問題の解決にならぬということもございまして、組合側からは最小限要求というものが提起をされまして、それに対する政府サイドの回答がなされているわけですね。ちょっと話はわかりにくいと思うのですが、自民党と労働サイドの協議と、それから政府側と労働サイドの交渉が並行的に行われたというふうに御理解いただいたらどうでしょうか。

 それで、基本権について、政府側はこういうふうに言っているわけです。時間をかけた十分な検討が必要である、これを強調しているわけですね。最終的な組合の最低限の要求というので言ったことに対して、時間をかけた十分な検討が必要だというので、審議会を置くとかそんな話には触れていないと私は理解しているわけです。十分な検討の中身は何かといいますと、労使関係の成熟度、国民世論の納得がなければ前向きな結論を出すというのは困難だということで断っているわけです。

 そうすると、労働側にしてみると、自民党の提案の審議会をつくって検討していくというその心は、審議会をつくっても事実上のたなざらしになると考えるのは当然ではないか。こういう不信感、疑問というものが出るのは当然じゃないですか。そのことについては、答える場というか、さらに交渉をやって次の段階に行けるのか行けないのかという場面はまだ設定されていないわけです。

 十二月五日にはICFTUの世界大会がございまして、聞くところによりますと、もちろんこれには労働側は総結集、世界から皆集まるわけですが、宮崎でやられますが、当然主催国みたいな格好で招致をいたしておりますので、小泉総理もその世界大会には参加をなさるというようなことも、日程上の関係がございまして、これ以上の話は今日時点、進んでいないわけですが。

 基本権を審議会でやろうと言うけれども、それは時間をかけた十分な検討が必要なんだという政府の答弁と、自民党はそういう場でやっていってはどうかと言うけれども、全然これがかみ合っていないんですよね。何を意味するのかということがなかなかわからない。そういう不信感というか、そこで協議をしていったって、結局これは見通しがつくのか、展望があるのか、答えはいつ出るのか、また十年、二十年そのままたなざらしでいくのじゃないのか。そうしたら、人事考課制度だけ抱き込んで、これだけやっていくということになったら、これはどうなるのか。労働側には言い分が残ります。私は、これが現状だと思っています。

 次に、評価制度についての協議を、これも組合側は、最低限の要求だというので、それを政府側に出しまして、関係の実務者会議でやられてきたと思います。その中で言われておる、政府側の答弁はこういうことです。職員の理解と納得性を高めることが重要であって、労使間で意思疎通を図ることは必要だ、しかし、勤務条件に該当しないので労使協議を法制化することは困難である。政府側はここでノーと言っているわけですね。自民党さんの方は、人事評価制度については労使協議制に準ずる意見交換の枠組みをつくると言っておるわけです。

 これはかなり違いますよね。ここでデッドロックに乗り上げているというのが現状でありまして、そこからまず議論を始めていきませんと問題解決、現実的な対応になりません。

 私は、余り論議の空中戦は好きじゃない方ですから、具体的なことでこれから意見なり議論をしてみたいと思います。

 まず、労働基本権問題について具体的に質問するんですが、いただきました資料を見ますと、行政機関の公務員の数は随分多いですよね。六十万を超えるんですか。その中で、自衛官だとか防衛庁だとか警察だとか海上保安庁だとか、これは別じゃないですか。いわゆる国の安全保障だとか国民の生命財産のガードに直接当たるというこの分野を横に置くとしますと、本省内部部局が三万四千、国税五万五千、検察等が一万五千、入管の税関が一万二千、登記が一万二千、その他が十四万いるわけです。それで、この十四万人はその他でくくってあるわけですが、霞が関の各役所がどういうふうに分かれておるのかというのはある程度私はわかりますが、これがその他で一くくりにしてあるわけです。この十四万人の仕事の中身、これが実は非常に問題だと思うのです。

 この点について、これは一般の事務職、行政職、行政職といいますと六等級以下ですか、いわゆる管理職は別にしていますから、管理運営事項に携わる人はこれは別なんですよね、これは幹部公務員じゃないですか。それでない人たちがこの十四万人の大宗を占めると思うのです。こういう皆さんの職務の軽重を私は殊さら言う気はございませんが、独立行政法人で、これまで公務員だった病院関係の皆さんは、医師、看護師さんを含めまして、これは言うならば、基本権の問題では団結権と団体協約締結権が与えられることになりました。

 組織が変わったからそのように整理をしたという説明だったんですが、仕事の軽重からいいますと、お医者さん、看護師さんは人命にかかわる直接の仕事をされているわけですね。その皆さんと、十四万人の事務をやってみえる皆さんと、仕事の軽重からいったら、常識的に考えて、やはり病院の皆さんの方がこれは大切だなと普通思うじゃないですか。そういう皆さんは団結権や団体交渉権が付与されていまして、なぜ、その他十四万人の行政職の、言うならば、管理運営事項に携わっていない、そういうポストの皆さんが全部だめだというのは、団結権はいいけれどもそれ以下はだめだというのは一体どういうことなんだということをお聞きしたいんです。これが一点です。どうぞ。

磯部政府参考人 ただいま先生の方から国立病院等の職員との比較を申されましたが、私の方も、その十四万人の中身につきましてすべて精査しているわけではございませんが、基本的には、一般行政機関の中で、地方支分部局その他を含めまして本省に対応するような業務を行っている者、もちろん、国税等につきましては今この十四万人に入っていないという御指摘でございますが、そうした者を除きましても、何らか本省と対応して、基本的には国家権力の行使といったことに当たる者としての十四万人だと理解をしておりまして、その点におきまして、やはり労働基本権の制約について本省と同様の規制をしているというのが実情だろうと思います。

伊藤(忠)委員 大体答えはそういう答えだと思います。国家権力という一言で全部くくっちゃうわけですよ。

 それなら、聞きますけれども、登記に関係する地方の事務所がありますよね。だから、ああいうところでやっている仕事、これは幾らでも民間でできるじゃないですか。でも、国家権力の行使と言うんですよね。そのことでもって、これは団結権は認めるけれども団体交渉権はだめだと言っているわけですよ。どう考えてもおかしいですよね。それから、入管だってこれは実際にいろいろ仕事がありますよ。でも、あれは国家権力の行使、いわばパスポートのチェックというのはそれはわからぬことはないですけれども。

 それなら民間で聞きますが、原子力機関で働いている人もみんな民間じゃないですか。原子力発電所で実際に携わっているエンジニアの皆さんなんかは、一つさじかげんを間違ったら大爆発事故が起きるじゃないですか。これは命がけのチェックをやっているわけですよね。そういう皆さんと、事務をやってコピーを焼いている人もいるじゃないですか、中には。下級公務員と言ったら怒られるけれども一般の公務員ですから、そういう皆さんの仕事も権力行使という一言でもってくくられて、仕事の中身で横断的にこれを区別するということが一切なくしていわゆる基本的権利そのものを制約していくというのは、これはおかしいんじゃないの。

 だから、私が言いたいのは、幹部公務員の、管理運営事項に携わる人というのはみんな横断的にそれはいるわけですよ。霞が関でもどこだっているじゃないですか、そういう人は。一般の行政職というのは横断的にいるじゃないですか。そういう皆さんと一緒くたにするというのはおかしい。縦でそれを全部仕切ってしまって、権利関係を、基本権の権利保障に差をつけるというのはおかしいというのが私の理屈なんですが、その点はどうですか。

磯部政府参考人 先生のような御立論があることを否定するわけではございません。確かに、いろいろな切り方で公務員をもっと見ていくべきだという御指摘も御意見としてはあろうかと思います。

 ただ、先生からの御言及がございました、例えば登記でありますれば、やはり商業登記にしろ土地の登記にしろ、国の制度の根幹としてやはり非常に重要な部分であろうと思いますし、また、入管につきましても、不法滞在外国人の身体拘束その他を含めまして、非常にその意味でも国としての権力的な部分もございますし、そういう意味で、やはり現行のこの分け方につきましても十分な合理性があるんではないかというふうに思っております。

伊藤(忠)委員 私が言ったところで余りひっかからぬでくださいよ。私はこの一覧を見ながら言っておるんですよ。その他の中身を明らかにせずに、たまたまほかの項目を私が抜き出したからそれにひっかかってそのように言いますが。

 それなら言いますけれども、印刷局があるじゃないですか。これはお札を刷っているんですよ。これはあなた、一番重要な仕事じゃないですか。ところが、ここの職場は団結権も団体協約締結権もありますよ。これはむしろ大変な仕事じゃないですか。にせ札をつくって行使したというのは一番刑が重いんですよ。その印刷局は団体協約締結権がありますよ。だから、私は仕事の軽重を言っているんです。合理的なそういう切り分けになっていないでしょう。ただ、国家権力ということで。

 そうじゃないんです。中身を言っているんじゃなくて、これは歴史の流れがあって、今たまたま、その他、これは行政一般職、行政職としてありますよね、各種みんな分かれているわけですよ。その中をつぶさに、仕事の中身を精査せずに一くくりにしているわけだ。片や、病院や看護師さんやそれから印刷局や、極めて重要な仕事は独立行政法人にしたものだから外れているわけですよ。そういう処理の仕方はまずいんじゃないですかと私はむしろ言っているわけです。そういうやり方がまずいんじゃないのか。そこを問うているわけですよ。

 いや、それでも正しいんだ、これは権力を行使する機関ではないから当然なんだ、そのかわりその他というのは権力を行使する機関だ、こう言われるけれども、現業で働いておる人だっているんですよ。社会保険庁だってその他に入っているわけですよ。それなら、これは権力の行使と言われれば年金の事務だからそうかもわかりません。そんなことを言ったら、みんなそうじゃないですか。全部そうじゃないですか。それなら、原子力の関係はどうなるんですか。原子力発電所はどうなるんですか。これは民間じゃないですか。これは公務員にすべきですよ、そういう意味じゃ。国家権力の一番やはり大事な点じゃないですか。違うんですか、軽重からいうならば。

 そういう検討をせずに、言うならば、事務的にそういうふうに組織の経過あるいは現在の組織の現状でもって縦線で切り分けているところにこの権利保障の矛盾が出ている、私はこのことを言っているんですが、もう一度その点について明らかにしてください。

磯部政府参考人 おっしゃるように、歴史的な経緯でこういうふうな形態になっている部分も確かに否定できない部分もあるかと思います。

 ただ、個別で名前が出ましたので恐縮でございますが、社会保険庁のまさに年金業務にしろ、強制差し押さえといった場面も出てまいりますので、そういう意味では、まさに十四万人の中に、やはりそういった観点からの分類で行われているというものは否定できないというふうに考えております。

 ただ、もちろんそれぞれ細かに、どこまで権力行政をやっている、あるいはその他の観点から、国としてこういった基本権を制約するべきかどうかという不断の検証と申しましょうか検討することは重要なことだろうと考えております。

伊藤(忠)委員 何といいますか、のれんに腕押しみたいなところがありますけれども。

 おたくからいただいた資料を見ても、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、この先進国と日本と比べるなら、一目瞭然に、つまり、団体交渉権でも、高級公務員、いわゆる官吏ですね、そういうところを官吏というじゃないですか、官吏と一般の職員、官吏の皆さんには労働協約締結権を保障しているところは少ないんですよ、ある意味では。おたくの資料によって私は言っているんですよ。ところが、いわゆる一般の行政職、そういう皆さんにはほとんどが労働協約締結権があるんですよ。

 一挙に労働協約締結権は無理だけれども、これは一定の期間を置いて、到達点はそこまで持っていきたいが、当面は労使協議を議定書でもって文書化して、それは公表できるというような約束事をきちっと文書にまとめるというところまで話が行くというような考え方を政府側も出されるというならまだ話の取っかかりはあるかもわかりません、労働側にしてみたら。ところが、のっけから、そんなの一切だめ、こういうことで一貫しておるんですね。これでは話にならぬ、もうこれは四十年間引きずっているわけです、私は話にならぬと思いますね。そういう神経そのものがわからないと思います。

 もう一つあるんじゃないですか。お役人さんのサイドも、団体交渉の経験がないものですから、団体交渉なんか制度化されたら、うるさいの相手にいろいろな仕事がふえてきてというふうに恐らく思われると思うのですよ。労働側も労働側でありますわ。団体交渉権というのは、労働協約でもし締結するとしましょうか、労使でもって合意した中身を協約化するわけですから、労働側もいいことだけ言っておるわけにいかぬわけですよ、結論を出すわけですから。そうしたら、その部分については、当事者は恐らく役員が当たりますから、その役員の皆さんは、判こを押した人なんかは特に責任がありますから、組合員に対して組合も、それは七〇%賛成で三〇%反対という組織事情だってやはりあるじゃないですか、そういう皆さんに一生懸命説得するわけですよ。そうすると、立場をかえれば、経営者側がというか、政府側がやらないかぬことを組合がやっているわけですな、ある意味では。そういうふうに映るわけです、現象面では。

 ところが、当然の話なんで、話をつけたら、私は嫌だと言う組合員に対して、いや、あなたはこうこうこういうことがあってこういう結論になったんですよ、だから執行部を信じてくださいということで説得に当たるわけです。これはかなわぬな、ある意味では。団結権だけ認めてもらって団体交渉権がなければ、気に入らぬこと言っておればいいんですよ。あれが悪いんだ、政府が悪いんだ、あれは使用者が悪いんだと言っておれば、通っていきますよね。

 ところが、労働条件というのは、労働協約で締結されなければ意味がないわけです。それには労働側は責任を持たぬわけですから。一方的に管理運営事項で使用者側がやっただけの話ですから、それは反対反対と言えますよね。そこのところはお互い責任を持って一定の結論を出したら、そのことは使用者側と労働側が責任を持って守るというところが団体交渉権なんですよ。

 これがうまくいかない場合に争議権というのが出てくるわけですよね。公務員は争議権まですぐ行きませんから、一般の公務の皆さんは。いわゆる独立行政法人だとかそういうところの皆さんは、争議権行使の場合には労基法がかぶるじゃないですか。だから、これも一般の民間のように、一〇〇%は争議権は認められていないわけです。制限されておるわけです。だから、そういう状況の中での団体交渉権は当然与えてしかるべきじゃないのか。これは全部と言ってないんです。今言ったようなところは当然じゃないですかということを言っておるわけです。

 これはまた一緒の答えしか返ってこないと私は思います。硬直していますよね。自信がないんでしょう、お役人の皆さん。だから、民間では、労務担当重役といったら、専務の次ぐらいに、あるいは専務が兼ねている人もいますけれども、物すごい力を持ちますよね。それでやはり職員を全部掌握するわけですから、責任を持って当たるわけですから。

 そういうふうな経験を積むためにも、先進国日本ですから、これは官僚の皆さん、やはりそういうのをやってくださいよ。でなければ、新たな公務員制度というものをどう描こうが、そんなものは仏つくって魂入れずで、絵にかいたもちなんですよ。できっこありません。私はそのことを強調したいんです。

 例えば、一番いつも問題になっています、ILOでもいつも出ていますが、消防職員、あれは団結権もないんです。消防職員の皆さんは組合つくる権利もないんだ。それで、これは過去の話になりますが、ある方が中に入られてというんですか、もう麻生大臣なんかみんなわかっていますけれども、結局そこで一応権利化を、中途半端な権利化ですけれども、やったじゃないですか。話し合いをやっているわけですよ。この話し合いはまだ続いておりますからというんですが、組合をつくるその権利をどうのこうのなんというのは全く初歩的な次元でしょう。消防署の職員は、これは権力行使の一環であるから組合をつくる自由もどうかななんて言っている。首をかしげるような我が国政府の認識とセンス、私は大変これは問題だと思いますね。

 やはりそういうものがなければ職場だってまとまらぬでしょう。管理者が一人一人マンツーマンで掌握するといったって、これは限界があるんじゃないですか。一たん緩急あればだあっと出動するわけですからね。そういう職場ほど、やはり組合の団結なんて要るんじゃないでしょうか。ある意味では、裏返したら、管理者の皆さんは組合に対する不信感みたいなものがありまして、組合といったら赤旗振ってあっち向いていく組合かというふうに思われていると、やはりこれはつくらぬ方がいいでしょうな。

 そうじゃないでしょう。労働基本権を本当に常識的に考えて、現実的な問題を考えれば、これは職員にとって、むしろ団結して働こう、まとまって働こうということになるわけで、何ぼ言っても平行線に終わりかねないので、これで時間の関係もありますから議論を終わりますけれども、こんな状態続けておったら、それこそ不毛の論議をいつまででもやっているわけです。

 幹部の皆さん、これは話し合いに私らも参加しているという人、この中にいますよね。話し合いなんというのは団体交渉じゃないんですよ。労働協約を締結するというのは、配転協約もやる、職転も入れます、いろいろなことがあるんですが、そんなの全然やらぬでしょう。人事院、やっていますか。人事院、そこまでは手が伸びていないんです。配置転換協約というのは人事院だって出しませんよ。一方的にやるわけだ。どうしたって個々の職員との紛争が起きるじゃないですか。そういうものを全部、労働協約で労働条件ですから縛っていかないと、これはだめだと思うのですよね。そういう必要性についてどうですか。必要性はわかりますか。答弁してください。

磯部政府参考人 ちょっと御質問の趣旨を十分理解しているかと思いますが、まさにおっしゃるように、勤務条件を含めて、今も交渉制度もございますし、それからそれ以外の部分についても、やはり職員団体を初めとする関係者の皆様方と十分意見交換をして職場をつくっていく、あるいは職場のルールをつくっていくといったようなことは非常に重要だというふうには認識しております。

伊藤(忠)委員 自民党サイドはわかっているんですよ。政府サイドはわかっていないわけですよ。団交権だとかその必要性についてわかっていないんですよ。つまり、だからそれは認めないんです。それで人事考課制だけほうり込めというんですから、これだけのみなさいというんですから。そこが自民党と政府の違いなんですよ。自民党と政府の違いというのは、政党とお役人の違いですよ。

 あえて私申し上げます。お役人さんはそういう頭になかなかなれないんです。やったら大変だ、非常に頭いいものだから、その結果を考えちゃうのかな。だから、人勧に任せておいた方がいいんですよ。そういう煩わしいものは皆人勧に振る、それで人事院が皆答えを出してくる、それに乗っかって全部やる、労働問題を処理する、これが今のやり方なんです。

 代償措置というのはそういうものじゃないでしょう。ところが、これは逆に悪用しているみたいなものですね。人事院を活用しておるわけです。そうじゃないんです。基本的には労使で物事を決めていくんです。これが本来の根本なんです。そのことはどこかへ吹っ飛んで、人事院を上手に使いながら、基本権の問題は現状のままでくくって、それで進んでいこうというのが政府の考え方の基本なんです。

 私がそこまで決めつけると、首を振られていますけれども、そうじゃないというんだったら、そのようにひとつ反論してください。

 これは大きいですよ。自民党の言っていることと政府の意図とが違うんですから。小泉さんはわけわからぬから乗っておるだけで、関係大臣もわけわからぬから、そうかと言って、後ろからねじを巻かれて言っておるだけですよ。主体的に考えたら、自民党さんの言うのは当然だと思いますよ。問題解決のためには一歩でも二歩でも進めないかぬという態度が出てくるのは当然じゃないですか。ところが、政府に持ち帰ったら、全然政府は違うんですもの。

 私の言うのはちょっとぼろくそ過ぎますか。だったら反論してください。私、聞かせてもらいますので。どうぞ。

磯部政府参考人 一つ、先ほど、経緯のところで先生おっしゃっていまして、あえてその場では申し上げませんでしたが、現時点では、まさに自民党と、あるいは与党と連合との間での議論がなされておりまして、まだ政府として直接それについて協議等の場でのお答えをしているという状況ではございません。したがいまして、政府がこう言っているじゃないかというのは、あるいは個人的なレベルでのお話も含めてのことかと存じております。

 それから、人事院制度につきまして御言及がありましたが、やはり我々としても、各任命権者がそれぞれの責任においてまさに任命をしていく、あるいはいろいろな職場での取り決めをしていくということは非常に重要だと思っておりまして、その一つがまさに能力・実績主義の導入ということで、それぞれの任命権者がしっかりとした任用規則を運用していくということをねらっているところでございます。

伊藤(忠)委員 せっかく答弁がありましたので、では評価制度に行きましょうか。人事院はそれをつくってくれということになっていますから、それでは評価制度に行きましょう。

 勤務評定制度というのがありますよね。これは、勤評、勤評といって六〇年あたりで随分と反対運動が起こりました。あの勤評というのは現在生きておるんですか。簡潔に答弁してください。それと、これは実効性があるんですか。機能しておるんですか。その点、一言で言ってください。

磯部政府参考人 現在の勤務評定制度につきましては、各省の基準に任されている部分が多いわけでございますが、例えば、その評価基準として判断力といった定め方をしておりまして、具体的な職務行動を評価するには不明確な場合が多いといったような、その他の問題点はちょっと割愛させていただきますが、そういったような問題点がございまして、必ずしも十分に機能しているとは言えない状況だというふうに認識しております。

伊藤(忠)委員 御答弁があったように私も聞いておりますが、各省それぞれやってくれと。政令で決めておって、それは大まかな大綱というか基本を決めておりますから、具体的に各省でやっているところもあるし、やっていないところもある。

 それで、私は聞いたんです。評価制度と言うからには、職員を一人一人、課長さんなり部長さんが呼ばれて面接をしまして、それで紙に書いて自己申告をさせて、そういう評価、運用をやっているかと聞いたら、そんなものをやっているところはほとんどないと。一方的にポストにある人が裁量権でやっているのかと言ったら、そうなんでしょうねと話す。それが恐らく勤務評定制度の機能していない実態だと私は聞いているわけですが、これでは、何をか言わんや。こんなものは制度じゃないですよ。

 それで、新たに評価制度を今回提起されているわけですね。能力評価と実績評価、これはどのように違うんですか。今の勤務評定制度というのはそれでパアになっておるわけです。それで、これからまたやろうというのは、それの総括があったから新たなものを入れようという気になったのか。その辺、どうなんですか。

磯部政府参考人 先ほど申し上げました、例えば判断力といったような具体的でないということを是正いたしまして、職員に期待される役割というものを明確にして、具体的な職務行動に即して明確な評価基準を職員に示す。

 それから、今お話のございました、評価に当たっての評価者と被評価者との間のコミュニケーションの機会を用意して、現行の勤務評定制度よりも被評価者の、評価される方の納得性を高めるといったような仕組みを、いずれにせよ、これは現在検討中でございまして、まだ法案化されているわけではございませんが、そういった方向で検討をしているというような状況でございます。

伊藤(忠)委員 これは細部にわたってまでおたくが決めるんじゃなくて、労働側と協議の上で決めていこう、基準もそうしようという意味なのか、基準は人事院に全部決めさせて、そのことについて、まあ作業の手順としてはいろいろありますよ。それは細かいことですから、ある部分については人事院に仕事をしてもらって、でき上がった、それなら労使でもって話し合って、こんなものかな、ここはどうしようかなという議論をするのは、それは方法論はありますが、そういう議論をやっていこうというのに、中身が全然わかっていないですよね。それで、運用はどうするんですか。

 民間のことを言いましょうか。私でも経験がありますけれども、これは、課長さんが、言うならば課員を全部年度当初に呼ぶわけですよ。営業だったら一番わかりやすいと思います。私は一年間かかって百売りたいと思います、Bさんは八十売りたいと思うと。Aさんの目標設定に対して、君はちょっとそれは無理じゃないの、九十ぐらいにしておいた方がいいよと言ったら、いやいや、私は張り切っていますから百でしてくださいと言うから、それでいいなということで帰ってもらうわけです。それで、Bさんの場合には八十と言った。君の能力だったら八十は行くだろうと言ったら、まあ頑張りますと、それなら八十五にした方がいいよと言って、面接の上で、チャレンジシートにつけて帰るわけですよ。それで、一年間たったら来てもらって、君の評価はこうなったな、君は残念だったな、こういうふうなことで、A、B、C、D、幾つか評価があって、その課長さんが一応、君はこの評価になりますよと言うんですよ。勝手につけたらいけませんよ。もめますよ。言うんですよ。

 そうしたら、これは笑えないような話があるんですが、ある職員は、課長さん、私はこんなに評価していただいて本当にありがたいと言って目の前で目を潤ませた、こういうケースもあります。それから、ある女子職員が来まして、私は高校から大学までトップで来た、ところが課長さん、こんな評価を受けるのは私は情けないと言ってわんわん泣いたという例もありますよね。

 これはいい例と悪い例。そういう場面に必ず出くわすわけです。それでも、その課長さんはやらざるを得ぬわけですよ。そこを避けて通るわけにいきませんよ。これは人事院が決めた基準だから私は責任持たぬ、しかし決められているから形の上で私はやらないかぬ。そんなわけにいきませんよ。そんな逃げるようなことをやっておったら、絶対に人事評価は進みませんよ。やる気を起こさせるというのはそういうことなんですよ。

 もちろん、民間と公務員との、お役人との評価の中身なり幅は違いますよ。生産活動とか物売りと違いますから、そこは浅いものになるかわかりませんが、とにかく自分の責任も明らかにする。だから、進んだところでは、管理者、評価する側を今度は評価する。評価される人が評価する人を評価するというふうなところまで必ず発展していきますよね。それにたえて初めて、みんなで総がかりでいこうかということで、言うならば社内の結束というんですか、公務員全体の結束ということを図ろうという考え方があるから、あなたたちは新人事、いわゆる評価制度を新しく考課制度にかえて、勤務評定制度にかえて導入するということなんでしょう。違うんですか。その一番もとですよ、根性の話。そういうものができなかったら、こんなもの、いいかげんなこと、絶対できませんよ。また勤務評定制度になりますよ、私のところの役所はかなわぬと。大臣はやれやれと言いますよ、政治家ですから。ところが、お役人が真ん中にいますから、まあ適当にやっておけやと、口では言いませんけれども、そういうふうになっていったら、結局、一方では団体交渉権はもう認めない。責任はだれが持つのか。責任を持つ人がいなくて、何でこういう、あなた、人をくくっていく評価をするなんという大事な仕事ができるんですか。私はそのことを申し上げたいが、どうぞ、反論がありましたらおっしゃってください。

磯部政府参考人 反論と申しますか、先生のおっしゃるところ、多くの部分、賛成するところもございまして、もちろん、責任を持って評価者側が、まさに自分が評価されるといったつもりでこれから評価をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 それから、人事院に全部任せるのではないかというお話もございましたが、今のところ、検討中でございますけれども、すべて任せるというようなつもりではございません。

伊藤(忠)委員 ところが、評価制度の実施に絡めまして、最低限要求を労働側が出しているんですね。その中で、労働側が、この評価制度、評価基準というのは任用や給与を決める人事管理の重要な決定基準なんだから、これは労働条件そのものというか、労働条件の極めて重要な要素、ベースではないのか、だから、これは勤務条件ということで交渉事項に入るのではないか、こういうふうに言っているんですが、そこのところをまた理屈ではねているわけです。それは言われればそうかもわからぬけれども、とにかく、任用権の絡みでこの評価制度というのはいくから、その要素が強いから、勤務条件には関係するけれどもそのものではないというような言い方でおたくははねているわけですよ。

 私は、そういう器用な言い回しができませんので単刀直入に聞きますけれども、評価制度というのは、任用や給与を決める人事管理の重要な決定基準であると思います。評価結果によって任用や給与が決定されるわけですから、そういうことを考えるならば、評価制度は勤務条件の重要な要素であると思うのですが、どうですか。

磯部政府参考人 先ほど、ちょっと一点、反論とおっしゃった部分で補足させていただきますけれども、勤務評定とは違うんじゃないかという御指摘がございました。もちろん中身的に、先ほど申し上げましたように、勤務評定の問題となっている点を改善していくというのが新しい評価制度と思っておりますが、法的な位置づけとしては現在の勤務評定制度と同じ位置づけと考えております。

 それから、ただいまの御質問ですが、評価結果につきましてその重要な要素であるかという点につきましては、私どもは、今のところ、任用あるいは給与の重要な判断材料ということで活用するというふうに思っておりますが、任用や給与を直接決定するものではなくて、その決定というのは人事管理に関する総合的な判断によって行うものであるというふうに考えております。

伊藤(忠)委員 あなたの言いたい意味はよくわかりますよ。ところが、それも言い回しなんだ。

 総合的判断というのは、評価基準を適用して、その人の評価なり実績が出るじゃないですか。能力評価なり実績評価が出ますよね。その上で総合的ないろいろな要素を加味して、最終的な結論を出すわけでしょう。そういう仕組みじゃないですか。それなら、評価基準なり評価制度そのものがベースにあって初めて成立するんじゃないですか。横に置くのはだめなんですよ。これがベースなんですよ。これがなければ、言うならば人事も決まりませんよ。給与も決まらぬじゃないですか。給与なんて、当面まず一時金に反映させるということでしょう。それから、人事といったら、これは等級の話でしょう。もちろん等級が上がる場合もありますよ。

 だから、実績と能力というのは、これは評価制度が存在して初めてあり得るわけで、それがあって初めて給与や任用が決まるわけで、ベースじゃないですか。だから、重要な要素と私は言っておるわけですよ。横に置くのはだめですよ。これは交渉権にかかわってくるから、あなたたちは横に置いているんですよ。だから、こんな言い逃れはやめなさいよ。それなら、評価制度はだめだと言われた方はどうなるんですか。全部パアですよ。だから、そういう重要な評価制度であるにもかかわらず、団体交渉権そのものも切り込まずに一方的にやろうなんといったってだめですよ、それは。そんなのは回っていきません。職場の中、いろいろ荒れますよ、そんなことをやったら。

 もう時間がありませんから、最後の方に行きますが、私は青島のハイアールに行きましたよ。これは中国の白物家電で最大規模です。有名ですね。かなり値段も安くて、どんどん広がっています。

 あそこの職場に行ったら、廊下にQC運動で一覧表が張ってありました。A、B、C、Dと書いてあって、それにみんな名前が書いてあって、その年度の評価結果が全部一覧で並んでいるわけですよ。私は、これはちょっとひどいんじゃないの、こんなのを廊下に張り出すことはなかろう、こう言ったら、その管理者いわく、伊藤さんの考え方は非常に社会主義的やと。おまえに言われたくないわと私は言ったんですが。非常に社会主義的や、それではだめやと。市場原理、市場競争を勝ち抜こうと思ったら、こういうのをやって、これから先は、今度は下が上を評価するものまでやりたいと言いましたよ。あそこに私は言われたくないと思ったけれども、そういうことなんですよ。だから、ちんたらちんたらやっていたら、これはやらないのと一緒なんですよ。

 だから、私はもう一度強調しますが、評価制度を導入するとなったら、これは職場の労使の団体交渉に準ずるような協議の場、ここの出た結論はちゃんと公開できるようにしてもらわないと、議定書ができるような形にしてもらわないといかぬ。そうでなければ、これはもう一方的におたくがやったということになるんですよ。一方的におたくがやって、こんなものがきちっと実りますか。勤務評定制度で懲りているじゃないですか、皆さん。そういうものなんですよ。あなたたちがそういう認識をしてくれなきゃ、これは労働側はこんなものに危なくて乗れるわけがないですよ。ということを私は思いましたから、きょうは強調したわけです。

 事務方に申し上げますけれども、これは能力評価と実績評価がありますが、この中に行動評価を入れなさいよ、態度がどうかということ。要領のいい人は、遅刻はするわ、いろいろなことをするけれども、非常に仕事ができる、これは実績評価、能力評価、こうなるわけです。行動は大事ですよ。政治家の場合は、委員会で新聞を読んでいても、何を言っていても、自分持ちですから余り言われませんけれども、ところが、やはり社員はそうはいきません。一生懸命にまじめに尽くしてもこれだけしかできない人、ちょちょっとやって、要領よくやってよくできる人、これは一つの評価がないと総合的な評価になりませんよ。何か要らぬことを言わぬでよろしいけれども、それは実際に実らすときにはそういうふうな点を一考されてはどうかと私は思っていますよ。これは非常にいい点だと思っております。

 最後になりますが、総務大臣に。総務大臣はトップ交渉の重要なメンバーでございます。それで、現在の代償措置機関として人事院がありますが、この人事院に詳細な基準をつくってもらって、各省庁がそれに基づいて一方的に運用すればいい、苦情が出れば人事院に適当な受け皿をつくればいい、そういうのもちらちらっと出ています。というようなことになったら、それこそ、使用者としての政府、総理の責任は放棄することになるでしょうね。これは、根源的な問題でもあります労働基本権についての前進的な解決がなければ、この人事評価制度だけやっていこうなんというのは、全く意味をなさないし、それは実りませんよということを私は申し上げたい。総務大臣の答弁をいただきたいと私は思いますね。

麻生国務大臣 六十年間ぐらいにわたりまして、この労働争議というものの歴史を振り返ってみますと、一番は、やはりこれは炭労ですよ。何だかんだいったって、若い方には全然通じないけれども、我々の世代ならわかる言葉ですね。そこの使用者側にいましたので、正直言って、厳しさはよく知っておるつもりですよ。鬼の動労とか仏の電電というとちょっと褒め過ぎだけれども、そういったいろいろなものがありまして、各労働組合というのは、その組合のやはり体質というのが長い間あったんだと思います。私どもは、これを見て、官公労というものはいかがなものかという点は、これはいろいろあったんですよ。だけれども、今おっしゃるように、この一連の話の中で、私は、一番問題だなと三年ほど前からこの種の話が出てきたときに申し上げているのは、能力給の査定というところですよ。

 これは、さっきも委員言われたように、青島の話じゃありませんけれども、営業というのは非常にわかりやすい。しかし、では、その他の経理とか総務とか、どう能力を査定するのかと言われると、これは会社でも難しいのです。だから、そういったのを見ますと、役人の場合はほとんどそこのところにおりますので、これに能力給を安易に入れるというのは極めて難しいと思うのですね。これは、まず大前提です。

 それから、いわゆる管理職として入省して十年ぐらいの三十前後の若造が、役人として、中級職の人が何百人もいる現場事務所に出ていって、この人の評価をやるわけですよ、立場上。現場にいる人から見たら、おまえみたいなきのうきょう来た若造が、来年はまたどこか転勤するような若造が、どこが評価できるんだという不信感が出るのです。当たり前でしょう。そこにずっといないんだから、一年か二年したらすぐいなくなっちゃうんだから。そうすると不信感が出る。傍ら、若い方は若い方で、これは全然わからぬから、下手すると、そこにいる何となくうまく言ってくる人にすっといく可能性だってありますから。

 そういった意味では、この種の話というのは極めて慎重にやらないかぬ。だから、労働基本権の話やら団体交渉権の話やらというものは非常に大事なものだというのは、政務調査会長のときにこれにかなりかかわり合いましたので、ずっと申し上げてきたところなのです。人事院というものを全然かませず最初スタートしたという経緯もありましたので、団体交渉をしたこともない人がいきなりこの種の話を一部の役人だけ集まって何ができるんだか言ってみろといって随分もめたことも正直あるぐらい。したがって、これは非常に大きな問題だと思いますので、今新たに人事院やら何やら入れたところでいろいろ研究やら勉強やらしておられるんだと思いますけれども、伊藤さんが今一時間で言われた話というのは正解だと私は思っていますよ、現場にいた側から言わせると。

 したがって、そういった意味では、この種の話は安易な結論をおろすべきではないと思います。これは、内閣府の方で今主に一生懸命やっておられるんだと思いますけれども、この種の話は、法律をちょっと変えようとかいう話と全然違って、非常に大きな問題になると思います。この話は、最初に能力査定ありきみたいな話でスタートするのは極めて危険だなと私自身はそのように思っておりますので、まだ今から国民世論等々いろいろあるんだと思いますけれども、労使の信頼関係がないとこの種の話は成り立ちませんから。そういった意味では、私ども、時々丸山さん初め交渉をさせていただく機会がありますけれども、そういった話を通じて信頼関係を逐次積み上げていった上でなされないとならぬものだと思っております。

伊藤(忠)委員 終わります。

実川委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。麻生大臣初め関係の皆さん、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

 本日、案件に上がりました法案二つに関しましては、私自身は法案自体には異論はございません。ただ、一点確認をさせていただきたいと思いまして、まず一問質問申し上げます。

 衆議院の議院運営委員会に設置された国会同意人事に係る審議会委員等の報酬等のあり方に関するワーキング・グループというものの中に、常勤委員の退職金のあり方について、廃止を含め検討する、当面二五%の割り増し措置を廃止するということが上がってきまして、これがもとになって、今回の法案では二五%の退職金の割り増しの措置が入ったのであろうというふうに考えています。

 そこで、割り増しの廃止の措置は、財政事情も厳しい中で国の方も経費を削減するという努力を行うのは、時期に合ったものであって、今回の削減は、ある意味で当然であろうというふうに考えていますが、この件で、同時に上げられた退職金の廃止の方についての検討はなされているのでしょうか。お答えください。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 審議会の常勤委員等の退職手当につきまして、この法律の基礎になりました内閣官房長官主宰の有識者懇談会報告書におきましても、衆議院のワーキンググループでの指摘、これを踏まえて見直しを行う必要があるというふうに提言をいただいているところでございます。

 今回の法案では、このような状況を踏まえまして、常勤委員等の退職手当の二五%割り増し特例措置について、退職手当のいろいろな制度ができてから相当に各般の事情が変わっておりますので、そういう事情を踏まえまして、給与の格付等の見直しとあわせて廃止することとしております。

 ただ、退職手当法は、常時勤務に服することを要する国家公務員を対象としております。したがいまして、この対象から審議会の常勤委員等について適用除外とするためには、常勤の職員としての職務遂行ということは共通でございますので、これに対して退職手当を支給するという現行の考え方、また、こういう法律にのっとって各職員に支給をしておりますので、これを例外とするという明確で合理的な理由というのが必要となるわけでございます。

 ただ、常勤委員はいろいろな方々がいらっしゃいますし、年齢あるいはいろいろな職業から来られるということで、除外とする合理的な理由というのはなかなかちょっと認められないということで、今回は、引き続き退職手当支給の対象にすることとしたということでございます。

高井委員 このときの議論の中に、官庁や企業で退職金をもらった後に、さらに退職金を三年少々でもらうのはどうかという話があったというふうにもお伺いしておりますので、引き続き、また財政事情が厳しい中ですので、御検討の方をよろしくお願いしたいというふうに思っています。

 では、三位一体改革の方について少し質問を変えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 三位一体改革の目的は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三にあるように、地方の権限と責任を大幅に拡大するということが目的であって、国のコントロールと地方の依存を断つための改革であるというふうに認識しています。しかし、二〇〇四年度までの改革を見ると、順調に進むようには思えずに私も少し心配をいたしました。

 昨年度の三位一体改革は、一兆円の補助金削減という数字が先にあってビジョンなき改革だと言われたり、一兆円の補助金削減に対し税源移譲が四千五百億であったということで、しかも、廃止された義務教育の退職金等も地方の裁量の拡大につながるものではないというふうにいろいろ批判を受けたのは、御承知のとおりだと思います。

 交付税とその代替財源である臨時財政対策債が二・四兆円近くカットされ、地方の悲鳴と怒りが上がった。大臣も、いろいろその声をお聞きになっているとは思いますが、それを受けて、基本方針二〇〇四では、地方の意見に基づいて進めるという手法で、一歩前進だというふうに私も感じております。

 二〇〇四の中に、「地方交付税については、地方団体の改革意欲を削がないよう、国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方の歳出を見直し、抑制する。一方、地域において必要な行政課題に対しては、適切に財源措置を行う。これらにより、地方団体の安定的な行政運営に必要な一般財源の総額を確保する。」というふうに配慮されて書き込んでおられましたけれども、昨年の改革と今回の二〇〇四年の改革は何が違うのか、昨年のどこをどう反省してこのような書き方になったのか、教えていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、平成十六年度、十七年、十八年の三年間で約四兆円というのを目指して、初年度、平成十六年度、約一兆円の補助金削減というのが昨年。したがって、三年間に一兆円と三兆円を、初年目で一兆円、二年間で三兆円、この額の絶対量がまず違っておりますので、当然対応も違ってまいります。

 最初の約一兆円、正確には一兆三百だと記憶しますけれども、そのうちで、内容を精査した結果、簡単に言えば、基本的には削減を行ったんですが、引き続き国として何とかせないかぬというもので決めました約四千五百億円というものにつきましては、これは、所得譲与税で二千二百億、そして、税源移譲特例交付金で二千三百億、それで合計四千五百億だったと思うのです。その二つで埋めておりまして、残り五千五百億のうち、いわゆる、引き続き事業そのものの廃止、削減というものをいたしましたのが四千二百億。まちづくり交付金だけは別、これは必要だということで、これについては交付税で充てたというのが昨年の実態なんだと思うのです。

 そのほかに、今御指摘のあった臨財債というものがありましたものですから、前年度に比べましてマイナス一二%の大きな額になったというのが、昨年、非常にいろいろ御意見が出されたところだと思っております。

 そこで、今年度というか平成十七年度、十八年度対応として今三兆円の税源移譲という話になって、いわゆる税源移譲、補助金の削減、交付税、この三つが三位一体という言葉を言われていますが、実際、三すくみみたいになってなかなか動かなかったものですから、まずは税源移譲というものを明確にしてもらわないとということで、税源移譲の総額をまず三兆円ということで決めていただいて、地方税のフラット化、いわゆる五%、一〇%、一三%を一律一〇%にするというような案を考えつつ、今、事は動いているんです。まず、税源の手当ては三兆円でというのを決めてもらって、それに見合った地方税というものは保障されるわけですから、それに伴って、地方にいわゆる自由に使える税が三兆円入ることになりますので、それに見合ってひもつきの補助金を三兆円、これが要らないというようなものをもらう側の地方に選ばせたというところが、今回のものの一番大きな従来と違ったところだと思っております。

 ただ、御存じのように、もらう側にしてみれば、まあ、徳島は企業、法人数も少ないので、地方税をもらったって、私のところは従来補助金だったら十来たけれども、地方税になったら四しか来ないとか五しか来ないということになりますと、差額が足りなくなりますので、それなら補助金の方がええわということに多分なりますので、その差につきましては、これはいわゆる地方交付税で埋めるという形でないと、これは地方としては補助金削減をのまれないわけですから。

 そういったことを考えてやるというところまで考えて、今、事は動きつつあるというところが、去年と比べて、二〇〇三と比べてどうかと言われれば、二〇〇三のいろいろな点を学んで、二〇〇四にはそれなりの対応をさせていただきつつあるというように御理解いただければと存じます。

高井委員 補助金の件は、実は、後段の質問で少しお伺いしたいと思うのです。

 地方の改革案に対して各省から出された補助金の廃止、縮減額が一兆円足らずというふうに報道されておりました。しかし、その中には地方改革案にないもの、つまり、地方が望んでいないものも入っているというふうに思います。

 地方改革案にリストアップされた項目のうちで、各省庁が十月二十八日の提出期限内に受け入れた合計額は幾らになりますでしょうか。

麻生国務大臣 これは、地方の補助金改革案というのはいろいろあるんですが、税源移譲の対象のみというように極めて厳しく限定しますと、正確には八百十億円だけということになろうと思います。税源移譲だけ、税源移譲を伴うものだけに限った場合は八百十億になるんだと思います。

 いろいろ言われております数字というのは、補助率の削減とかいろいろなもの、突っ込みで約一兆弱ということだと思いますけれども、税源移譲を伴うもののみと厳しく限定すれば八百十億、私どもはそう試算しております。

高井委員 六団体は、激しい議論の末に三兆まとめてこられた。小異を捨てて大同につき、改革案をまとめたという点におきまして。一方、小泉内閣の方は、閣議決定までしているにもかかわらず、各省庁がこういうふうに総理と違うことを言っているというのは、内閣の求心力が大変私は心配でございます。

 例えば、片山知事、こんな皮肉なことをおっしゃっております。こっちは三位一体改革だと言ってやっているのに、政府はばらばら対応で恥ずかしくないんですかね、例えば、自分の身に置きかえてみると、私のところの各部長が市町村に対しててんでんばらばらなことを言い張っている、恥ずかしくてしようがないから自分で説得する、それで統一の見解をする、それでも言うことを聞かなかったら配転するというふうなことを、記者団に対してというか、インタビューの記事の中で言っています。統一した政府としての体をなしていないと。

 私もこの指摘は本当にそのとおりだと思いまして、各省庁の既得権温存のための抵抗に屈することなく、自治体の誠意にこたえるのが大臣のお役目であろうというふうに思っていますので、ぜひとも、総理と異なる発言をなさる大臣や省庁に対しては、強くいさめるか、強い御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 六団体の改革案と私たちの案もすべて一致しているわけではございませんけれども、省庁が押し切るか、六団体案が押し切るか、日本の地方自治、地域主権確立へ向けて決定的に重要だというふうに思っておりまして、総務大臣の決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 いろいろ意見が各省庁から出ておりますのはよく知っているところでもありますし、いろいろそれなりの御説があることも知っておりますけれども、少なくとも、三兆円という税源移譲のまず税枠は決まっております。

 また、この地方案というのは何も地方が勝手に出してきたのではございません。政府の要請に基づいて、三千弱の市町村がみんなけんけんがくがくやった結果で出てきておりますので、当然それは、真摯に受けとめるという言葉が使われておりますけれども、これは単なる地方案ですよなんというような扱いでできるはずもありません。

 私どもとしては、このところ、毎朝八時から四大臣、財務、経済財政、官房長官と私、その四大臣と各担当大臣と個別の交渉やら、また、きょうも夕方六時から地方六団体と四大臣というのがありますけれども、そういったのを連日精力的にやらさせていただいているところでありますので、ばらばらではないかという御指摘は、多くのところから出て、中村さんあたりも賛成のやじが飛んでいましたけれども、大改革ですからいろいろ出ますよ。これは、地方に案を示してみろなんというのを政府が要請したということは過去一回もありませんから。その結果出てきておりますので、みんな受けた方も驚いたと思いますけれども、そういった形でごちゃごちゃ、今、いろいろかしましく意見が出ておりますけれども、最終的には、十一月十八日にきっちりかどうかはともかくとして、しかるべきところにきちんとおさめて、地方もそれぞれ納得する案をつくり上げねばならぬと思っております。

高井委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 そこで、三兆円の税源移譲の中に十六年度までの六千五百億が含まれているのかどうか。含まれるとなると、今回の改革での税源移譲は二兆三千五百億ということになりますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは基本的に含まれると思っております。いわゆるおおむね三兆円ということで対応してきたところなので、十五年度、十六年度の補助金改革に対応して決定された所得譲与税、先ほどちょっと申し上げた所得譲与税も含めたところで考えて、おおむね三兆円というのはかなり幅のある数字だとは思っておりますけれども、十六年度までの改革対応分というものを別枠と考えても別に問題はないんだと思います。

 平成十五年度及び十六年度の補助金改革に対応して決定された、いわゆる所得譲与税と特例交付金の額も含めて考えるべきものだと整理しておりますので、私どもとしては、平成十六年度までの補助金改革対応分というものを別枠と考えたとしても別に問題はないと考えております。

高井委員 私が六団体の上げたものやほかの書類やいろいろなものを見る限り、六団体は三兆円がそのまま移譲されるつもりで案を作成しているのではないかというふうに懸念します。結果的に六団体をだましたようなことにならないか、ちゃんとその点は説明していただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。

麻生国務大臣 地方六団体との話はきちんとさせていただきたいと思います。

高井委員 では、次の補助率カットの件についてお伺いしたいと思います。

 三位一体改革の原点とも言える地方分権推進計画、平成十年の五月二十九日に閣議決定された分において、「国庫補助負担金の整理合理化は、地方公共団体の自主的・自立的な行政運営の実現に資するものであるから、単に国庫補助負担金を削減するため補助負担率の実質的な引下げを行うような手法は採らないこととする。」と明言しております。

 今、与党が補助率引き下げを含めた対案を検討中というふうなこともお聞きしておりますが、さきの閣議決定並びに与党で進められている検討作業について、どのような見解を持っておられるのか教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 与党の内容を逐一知っているわけではありませんけれども、基本的には、今回の三位一体改革の中で地域主権という方に世の中の流れが動いていくという状況の中にあっては、地方分権一括法という法律が平成十二年に施行されて、これは自治事務、こっちは国がやる事務ときちんと分けておりますので、そういったときにさかのぼって、基本的に今、地域主権、地方分権の方に流れは移っていく、ということは、すなわち地方の自由度が増すということになろうと思います。

 地方の自由度、裁量権が増すということは、それを行うだけの財源もくっついていかなならぬというのがこの三位一体につながっていった大きな背景だと思いますので、単なる補助率の引き下げ等々いろいろな話をされていらっしゃる方がおられますけれども、地方に裁量権があるならともかくも、その裁量権が全くないものをいきなり渡されても、それは別に自由度が増すことにはならぬということになります。国はこれを決めておいて、補助率だけ下げて、その差は地方で埋めろと言われても、それはとても地方ののめるところでもないと思っております。やはり地方の自主判断にゆだねるというのが、増すというところが一番大事だと思いますので、今、生活保護とかいろいろ言っておられますけれども、これはとてもじゃないけれども受けられる話ではないと思っております。

 十一月八日でしたか、地方制度調査会のいわゆる総理に提出された「地方税財政のあり方についての意見」にも同様の指摘がされておりますので、私どもとしては、単なる補助率の引き下げというのはのめるところではないと思っております。

高井委員 ありがとうございます。私も大臣と本当に同じ認識で、今上がっているのが生活保護とか、義務教も二分の一から三分の一とか五分の二にしようというふうな案が漏れ聞こえておりますけれども、私もそれは何の解決になるのか全く意味がないような気がいたします。ぜひとも、その点は先ほどの観点から議論を闘わせていただきたいというふうに思っています。

 そこで、次の建設国債と税源移譲についての質問に移りたいと思います。

 財務省は、公共投資関係の補助金の削減を行う場合は、建設国債を財源にしているから移譲すべき税源ではないという考えでありますし、また、事業そのものがスリム化されるため税源移譲の対象とはならない、また、世代間の費用負担の考え方からも現役世代の負担となる税源移譲は不適当だというお考えであるというふうに今聞いております。

 そこで、一番初めに申し上げた建設国債だから税源移譲できないという点において、公共事業関係の補助金を廃止して事業自体を地方にゆだねることとした場合には、国が国債発行を行わなくて済むようになる一方、地方がその分だけ負担が増加するわけでございます。現在の国債の新規発行額が償還費を上回っていたとしても、最終的には国債の発行は国税で賄われるべきものでありますよね。だから、補助金を廃止した場合に税源移譲が必要となるのは私はある意味で当然のことだと思いますけれども、どのようにお考えなのか、財務省の方から御見解を伺いたいと思います。

 つまり、建設国債も赤字国債も借金には変わりはございません。税源移譲を行って赤字国債が増加しても、その分だけ補助金削減に伴って建設国債は減少するわけでございますから、国の財政収支自体には影響はないと考えます。仮に八割で例えば税源移譲したとすれば、その分、収支は改善するわけですよね。この点、いかがお考えでしょうか。財務省の方からお願いします。

倉田大臣政務官 確かに、建設国債の償還も理屈上は税収等を最終的な財源として六十年をかけて行われる仕組みになっております。

 しかし、現下の厳しい財政状況、具体的には、基礎的財政収支、それが赤字になっている状態におきましては、国債の新規発行額が償還額を大きく上回っているわけでございます。償還を国債の増発で賄っているのが現状でございますので、実質的には国債の償還を税収では賄えていないというような状況にある。

 こうした状況も含めまして、やはり移譲すべき税源がない、こういうことを申し上げているわけで、御理解を願いたい。

高井委員 私にはちょっと理解しがたい御答弁でございました。国債の新規発行額が償還費を上回っているのもわかります。でも、最終的には国債も同じ国税で賄われるわけですから、これは本当に、税源移譲の対象とすることに対してそこまで拒否しなくてもいいのではないかと思います。

 二番目の、事業そのものがスリム化されるため税源移譲されないというふうな点に関しても、重ねて質問を申し上げたいというふうに思いますけれども、公共投資について、厳しい財政状況のもと、効率化が必要であるということはよくわかります。でも、現在の予算は財務省が厳しい査定をした後に取りまとめたものでございますし、その財務省が、税源移譲の話が出てきた途端に、まだまだ切り込む余地があると。ある意味で、無責任ではないかというふうに私は感じます。

 国がこれまで必要と判断してきた公共事業が地方にゆだねられることになった途端に、いきなり全額渡せない、不要だというのは、私や世間では、財源、税源を渡したくないための意趣返しのようにとらえられるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 ここは、基本方針二〇〇三で決定されたとおり、引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては税源移譲の対象とするということが当然だと思いますが、いかがでしょうか。

今井副大臣 高井議員にお答えをいたします。

 高井さんから今お話がございました。財務省の見解としては、現段階の中ではなじまない、こういう見解も示されているところでございますが、御質問ございましたように、公共事業関係の補助金を削減すれば、当然、その事業そのものが地方にゆだねられるわけでございますし、国が国債発行をその分だけ行わなくて済むわけでございます。したがって、国債の償還は国税で賄われる以上、補助金を廃止した場合には税源移譲の対象とすることは当然だ、このように考えておるわけであります。

 したがって、そのやり方につきましては、移譲の額だとか時期につきましては、これは技術的なものもございますし、しっかりと協議した上で、当然国税で補てんしていく、このように考えておるところでございます。御理解いただきたいと思います。

高井委員 倉田財務大臣政務官、どうでしょうか。私も今の総務副大臣のお考えのとおりだと思います。(発言する者あり)財務省にお聞きしたいと思います。総務省のお考えはよくわかりました。

勝政府参考人 公共投資関係費になぜ建設国債を充てるかということなんですけれども、一つは、国債発行は原則として財政法上禁止されております。ただし、例外としまして、公共事業によります便益は長期にわたりますので、将来の世代も受益するということで、将来世代も負担するということで、建設国債を例外的に財政法四条ただし書きで認めております。したがって、そういう観点からは、建設国債といわゆる赤字国債を区別して考えております。現に、地方においても、公共投資は地方債でファイナンスされておると思っていますので、そこはやはり違うんじゃないかと思っています。

 引き続きまして、償還財源ですけれども、先ほど大臣政務官から申しましたように、償還財源も現在は借金で賄っております。では、普通の事業も半分は借金で賄っているんじゃないかという議論があり得ます。したがって、その半分も税源移譲すべきじゃないかということも言えますけれども、そこは法律、財政法の考え方に戻りまして、本来はやはり、経常的経費は現役世代で賄うべきである。

 したがって、半分は借金で賄ったとしても、その分につきまして税源移譲すべきだというのが我々の考えでありまして、そこはやはり建設国債と赤字国債を区別して考えております。

高井委員 今のお考えにはいま一つ納得できません。世代費用負担の考え方からしても不適当というふうなお話もございましたけれども、公共投資関係の補助金を廃止して仮に地方債で行うとしたとしても、国債が最終的に国税で償還されるということとは同じ意味でありまして、地方債の償還に必要な財源を税源移譲すべきではないかといふうに私は思います。

 赤字国債を財源とするものは税源移譲できて、建設国債を財源とするものはできない、財務省の理屈で言えばこういうことで、将来世代が受ける便益について現役世代が費用負担するということになり、世代間の公平に反することになるという理屈でこのような論理を組み立てておられると思いますが、財務省の理屈で言えば税源移譲なんかほとんどできないのではないかというふうに私は懸念します。総務大臣、いかがですか、このようなお考えは。

麻生国務大臣 最終的には国税ですべてやることになるんですけれども、これは、高井先生、技術的な話なんです。基本的には、六十年と二十年の差とか、いろいろな問題が残っておりますので、これは技術的な差の話だと思っております。きちんとその種の技術的なところは詰めないかぬところだとは思っております。

実川委員長 質疑時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

高井委員 はい。質問が一つ残ってしまいましたけれども、いずれにしましても、本当の地域主権を確立するためには麻生大臣のリーダーシップがかぎだというふうに思っていまして、分権改革が進めば、年末に、地方議員や首長さんや、みんな日参して来る必要もなくなって、地方のむだな経費もなくなると思います。また、政官業癒着の構造を打破することにもなり、また、自民党にとっても利権構造が変わってくることになるだろうと思いますが、ぜひとも頑張っていただきたい。

 地方のお立場に立っての御奮闘をよろしくお願いしたいと思います。質問を終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 国家公務員、地方公務員の災害補償法について質問いたします。

 まず最初に、公務災害の現況について確認を一言しておきたいと思います。

 国家公務員の場合、災害補償法適用職員数が減少しているのに応じて、認定件数も減少しております。地方公務員の場合は、災害補償法適用職員数は減っているんですが、認定件数の方は増加している。だから、普通で考えますと、適用する職員数が減ればそれに応じて公務災害も減少すると考えられるわけですが、現実の姿は逆になっている数字が出ております。

 まず、逆になっているというこの事実だけ、最初に一言確認しておきます。

杉原参考人 お尋ねの件につきまして、お答え申し上げたいと思います。

 我々の地方公務員災害補償基金が発足以来、公務災害の認定件数は確かに、当初三万七千件ほどございました、それ以後ほぼ一貫して減ってまいったわけでございまして、昭和六十三年に三万件を下回りましてからは、しかし、ずっと、二万八千、九千、七千、その辺を前後しながら、ここ数年推移しております。

 一方、御指摘のございましたように、対象となります地方公務員数は、平成六年以降、毎年少しずつ減少してきております。例えば、五年前の平成十年度には約三百二十五万人でございましたのが、平成十五年度には三百十二万人と減ってまいってきておるわけでございます。

 そうしますと、対象職員千人当たりの認定の件数といいますか割合、それを見ますと、基金発足当初は千人当たり一五・六という高い数値で、それが順次減ってまいりまして、平成二年になりますと、九・三まで実は減ったわけでございます。その後、大変残念なことなのでございますけれども、九・幾つという数値を前後しながら推移して、ごく直近ですと、やや微増というような状況になっております。

 とりあえず、実情を申し上げた次第でございます。

吉井委員 要するに、国家公務員で見てみますと、一九九九年と二〇〇二年で比べてみれば、適用職員数が百十一万人から百八万人に減っていますね。これに伴って、認定件数は一万四千百七十七件から一万三千五百七十九件と確かに減っているんです。民間の労災の場合も同様の傾向があるんですね。

 ところが、地方公務員の場合は、適用職員数が九九年の三百二十六万八百二十七人から三百二十二万六百六十一人と減っているんですが、認定件数の方は三万六百四十八件から三万二千三百八十二件。ですから、認定率でいいますと、一・〇二から一・〇五とふえていっているんですね。

 ですから、普通で考えれば、民間も公務員の場合も、年度によって多少でこぼこはあり得るわけですが、対象となる労働者の数が減少すれば、それに連動する形で災害認定の数が減っていくというのが普通だと思うのです。ところが、地方公務員の場合は、災害補償法の対象となる職員数は減っているのに公務災害の認定件数が逆に増加している。

 となりますと、なぜ地方公務員だけがこういう傾向になってくるのか。やはり何らかの要因があると思うのですね。この要因についてどのように研究しておられるのか伺っておきます。

杉原参考人 どうも原因を特定することが大変困難でございますが、実態的に推定いたしますと、例えば平成十年度と平成十五年度で認定の状況の変化といいますか、それを仮に職種別に比較いたしてみますと、職員千人当たりの認定の割合といいますか、その比率で非常にふえておりますのは、運輸、船員を含みます運輸事業関係、それから義務教育、警察といったような分野でございます。絶対数として非常にふえているのは警察職員、それからその他の職員。ただ、警察職員は職員数そのものもふえております。しかし、さきに申しましたように、認定の比率といいますか、それも大変ふえているようでございます。

 片方で、職種別にどんな災害がふえているのだろうかというふうに見てみますと、特に警察とか義務教育学校職員関係でございますと、自己の職務遂行中の負傷事故、これがふえているのがいわば主要な原因となっているというようなことでございまして、公務災害防止事業といったものを積極的にやっているわけでございますが、さらに、予防が最大の対策である、安全管理、健康管理に十分注意しまして、事故のないように、あっても軽くて済むようにというようなことを関係機関とも協力しながらやっておるわけでございますけれども、今申しましたような実態にあろうというふうに思っておりまして、なお一層その方面の努力が必要だろうと考えておるわけでございます。

吉井委員 要するに、地方公務員の場合はこの三年間、通常想定されるケースとは逆の傾向がはっきり出ているんです。

 これは、地方リストラなどが今どんどん進んでおりますが、職員数は減ってくる、業務はふえるとか、過労死、脳、精神、心臓疾患などの増加が見られるのではないかということもあります。

 ですから、何かやはり原因がないとこういう逆転現象はないわけで、その要因の分析を、私は、通告はしてありましたけれども、今きちんとした回答というのはできないでしょうから、まず、ここの点、基金としてもしっかり研究する、よく分析をするということを求めておきたいと思いますが、これはちゃんとされますね。

杉原参考人 公務災害補償の実務を担当する組織の者といたしまして、そういった原因調査をしながら、どういう対策をしていけばいいかということは大変大事なことでございますので、十分検討してまいりたいと思います。

吉井委員 次に、地方公務員の公務災害認定で、災害の種類によっては、認定に当たって基金本部と協議をしなければならないというものがあります。その協議にかなり時間がかかっていますね。これは以前から問題になっておりました。この本部協議の事案について、大体どのくらいの期間で結論を出すという基準はありますか。

杉原参考人 特に本部協議に入ります案件は、脳疾患、心臓疾患あるいは精神障害、そういった関係で大変、判定といいますか、困難な分野が多うございます。したがいまして、一律にあらかじめ何カ月以内という目標を設定することはできかねるわけでございますので、特に目標は設定しておりません。

 ただし、迅速に適正に処理するということは大変大事なことでございますので、本部に当たりましても、特に、今年度も、いわば私どもは最重点施策といいますか重点目標としまして、迅速な処理というのを掲げまして、人員の重点配置をいたしましたり、有能なるOB職員もさらに再活用しながら、短期に迅速に処理できるようにといったようなことで、少しずつ実績を上げる方向に進んでおりますが、引き続きそういう方向で努力してまいりたいと思っております。

吉井委員 これは公務員部長に伺っておきたいと思いますが、以前の部長のときでしたが、今おっしゃった心臓疾患とかあるいは精神的な疾患とかいうような場合には認定がおりるまで大体どのくらいの平均的な日数がかかっておりますかという質問に対して、当時の自治省の柳公務員部長の答弁は、「本部に上がってまいりましてから三月以内に処理できるように努力しておるということでございます。」これは衆議院地方行政委員会での答弁です。

 公務員部長に確認しておきますが、今でも、この三カ月以内に処理できるように努力と、努力という言葉がついておりましたけれども、こういう立場での運用ですね。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 本部協議の処理期間でございますけれども、三カ月以内で処理できているものの今現在の数字が約二割でございます。一年以内には全体として七割はおさまっておりますけれども、三カ月以内でおさめるということは、現状ではかなり難しい問題があろうかと思っております。

 と申し上げますのは、先ほど基金の理事長からのお話にもありましたけれども、本部に協議される事案といいますのが、公務遂行性、それから公務起因性の有無、これを判断するためにかなり詳細な調査あるいは十分な医学的な判断を求めざるを得ないことが多うございますので、そういった意味でやむを得ず長時間を要するものも生じているのではないだろうかと思っております。

吉井委員 個々にはいろいろなこともあり得るでしょう。

 ただ、これは古屋自治大臣のときも中島部長答弁でありましたし、それから、もう少し古い世耕自治大臣の時代も、審査は迅速にやると大臣答弁があり、それから今の柳部長の答弁もあり、九〇年に、当時奥田敬和さんが自治大臣のときですが、この間まで自民党の理事席にいらっしゃった滝さんが公務員部長で、認定業務は迅速処理が基本原則だと。ですから、一貫して、迅速に処理するんだ、これは基本原則だということを言ってきているわけです。

 ことしの最重点課題が迅速処理だというお話が今ありましたけれども、公務員部長、もう一度私はあなたに重ねて聞いておきますが、やはりずっとこれまで迅速処理が原則ということでやってきて、三カ月以内に処理できるように努力するということも言ってきているわけですから、この立場できちっと臨んでいきますね。

須田政府参考人 本部協議に関する案件につきましてのお尋ねと理解しておりますけれども、基本的に、私ども総務省といたしましても、こうした公務災害につきましての認定というものは、やはり被災者の方あるいはその遺族の方、このような方の福祉の向上あるいは生活の安定ということを考えますと、何よりも、迅速に処理する、これが非常に大切なことだと考えておりますし、我々としても、そのような観点から適切な技術援助を行うこととしているところでございます。

吉井委員 それで、資料をいただいておりましたが、これを見ておりますと、さっき二割ぐらいというお話がありましたけれども、実は、二〇〇一年度は三一・七%が三カ月以内ですね。二〇〇二年度が二三・六%と落ちてきて、二〇〇三年度は一八・四%、つまり八割以上が三カ月をオーバーしてしまう、今はそういう事態ですが、だんだん時間がかかり過ぎてきているんですね。

 これは、中には、数は少ないですが、二年を超すものとかがあります。やはりまず改善を要するべきだと思うのです。これは一言でいいですから、基金の方に聞いておきます。

杉原参考人 先ほどもお答え申し上げました。今も御指摘がございました。迅速な処理、適正な処理というのは大変大事なことでございますので、さらに引き続き努力してまいりたいと思っております。

吉井委員 改善に努力するということですから、これは本当に努力をしてもらわないといけないと思うのです。

 災害補償の制度として、認定に不服があれば、これはもちろん労働者は再審査請求ができます。さらに、再審査請求の結果について不服がある場合には、裁判という道があります。それぞれ、期間を非常に要するわけですね。

 昨年度、基金本部が再審査請求に対して結論を出した事案三十二件のうち、取り下げの一件を除いた三十一件の再審査請求を処理するのに要した期間が、平均で十カ月ですが、二十六カ月というものもあれば、二年以上かかったという例もあります。さらに、この処分に不服ならば裁判という道はもちろんあるんですが、非常に時間がかかります。

 とりわけ、再審査請求されたものの一〇〇%近くが却下されてしまっていて、仕方がないから裁判、ところが、この裁判で公務災害と認定されたもの、つまり基金の側の敗訴が、二〇〇一年度からの三年間をとってみますと、三十七件の中の十九件、つまり基金の側が半分以上敗訴しているんですよ。つまり、裁判の方は、これは公務災害として認めなさいという判決を下しております。それなのに、公務災害と認められるまで、最初から数えれば、数年かかるとか、長い人は十年を超えるという人がありました。

 これが現実の一端ですが、その間に、基金の方は、認めようとしないんですが、申請者には膨大な資料の提出が求められます。いずれにしても、認定まで余りに時間がかかり過ぎて、被災者を苦しめるということになっている。時間がかかるから、苦しい思いをするからということで、はなから公務災害の申請をあきらめる人まで生まれてくるなど、公務災害の申請の足を引っ張ってしまっているという指摘も今出ております。

 裁判のことはおいておくとして、やはり行政内部でかかる期間については、これは短縮できるはずなんですね。もともと、公務に際して災害に遭った者への救済制度なんですから、基金には当然その立場に立って事務処理をやってもらわなきゃいけないし、総務省としてもやはりそのことをバックアップしていく、これは体制からいろいろな面を含めて、やはりきちんとそのことをやって、公務に際しての災害に遭った人については、救済制度なんだから、これがきちんと生かされる、その取り組みは、行政内部で時間をとって被災者の救済に時間がかかることのないように、これは世耕大臣のときもそうでした、それから古屋大臣のときも葉梨大臣のときも奥田大臣のときもずっとそうなんですが、大臣それぞれにやらないかぬと言いながら、なかなかこの間進んできておりませんので、麻生大臣のときにはかなり強い決意でもって取り組んでいただきまして、この迅速処理が進められるようにやっていただきたいと思います。

 大臣の答弁を求めます。

麻生国務大臣 今、三カ月というお話があっておりましたけれども、いわゆる労災対象になりますものは、本部の話だけですけれども、これは支部の話がありますから、支部はほぼ二カ月以内で九割前後が上がっておりますので、全体がすべて一年ぐらいかかるわけではありませんので、本部に上がってくる、難しくなったものがかかるという話ですから、もともとの部分は、九割は二カ月以内に全部終わっておりますという点はちょっと念頭に入れておいていただかないと……(吉井委員「よくわかっているんです。本部へ来てから三カ月以内という話ですから」と呼ぶ)わかっておられて、何となく追い込むような手口なのかなと思って、うかつには聞けぬなと思って聞いていたんです。

 おっしゃるとおりに、これは時間がかかるようになっておりますのは、比率で見てみますと、精神疾患とか難しい問題が結構数字に上がってまいりますので、これはなかなか難しいという点は確かなんだと思いますが、従来と少し内容が変わってきておりますので、単純な労災とは少し違うような気がする点もあろうとは思います。

 時間がかかるという点は今言われたとおりでもありますので、なるべく早くやるようにするのは当然のことであります。私どもとしても、その方向で基金においてきちんと対応が図られるように努力してまいりたいと思います。

吉井委員 努力を求めて、質問を終わります。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。

 人事院総裁にお尋ねをいたします。去る十月二十二日に本委員会で私は質問をしたんですが、そのときに時間切れでちょっと総裁の御答弁を確認することができませんでしたので、きょうは改めてその問題についてお尋ねをいたしたいと思います。

 人事院の存在意義というものを私が質問したんですが、そのときに佐藤総裁は、人事院の役割について、基本権制約の代償機関、公務の能率的な運営の保障、この二つに加えて、国民の御意見、納得性を得る、あるいは国民に対して説明責任を果たすということ、そして、代償機能の発揮ということよりは上位の規範ではないか、また、国民の納得を得られるというのがまず第一に必要ではないかという考えを持っておりますという御答弁をされました。

 私たちは、申すまでもなく、人事院の存在意義は、何といいましても労働基本権制約の代償機関、ここが一番重要な、重いところであるというふうに考えておりますが、総裁の御答弁はそのことを否定されているように聞こえるわけでございます。

 上位の規範というのはどこの法律のどこの条文から言えることなのか、御説明いただきたいと思います。

佐藤政府特別補佐人 まず冒頭に申し上げたいのは、公務員は労働基本権が制約されている、そしてその代償機能というのが人事院にゆだねられている、このことにつきましては、私ども、大変重く受けとめております。そして、適切にその代償機能を発揮するということは、人事院の大変大きな役割であり、また、私どもに課せられた責務であるというふうに深く認識している次第でございます。

 その上で、先日の御答弁の中で申し上げたかったのは、そういう代償機能の発揮に当たっても、やはり、主権者たる国民の理解を得、あるいは説明責任を果たすということは非常に重要ではないかということを申し上げたかったわけでございます。そこで上位の規範という言葉を使ったのは、私の頭の中に、国民主権ということは憲法の基本的な理念であるということがあったものでございますから、あえて上位の規範という言葉を使ったわけでございます。

 規範という言葉、どういう意味合いがあるかということを、私、しかと存じているわけではございませんけれども、私が使った意味は、私たちが業務を遂行していく上で最も基本となるような考え方、あるいは判断のよりどころというような意味で使ったわけでございまして、決して法律的な意味があるというふうなことで使ったわけではございませんので、もし、私の表現が不適切である、誤解を招くということであれば、深くおわびをし、またお許しをお願いしたいと思います。

横光委員 今、国民の納得性を得ること、あるいは国民に説明責任を果たす、重要だというお考えを述べられました。それは、確かにそうでしょう。

 しかし、国民の納得を得られるような勧告をするのがこの人事院の役割だなんということは、どこにも書かれていないわけです。そして、今御説明のように、この規範は法律のどこにもない、条項もどこにもないというお話でございました。しかも、不適切だというお考えも述べられました。といいますと、上位の規範という文言、この御答弁は撤回ということでよろしいでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 私の真意は先ほどお答え申し上げたとおりで、その点に関してぜひ御理解を賜りたいわけでございますけれども、もし、その表現は大変不適切であるということでございますれば、私の言葉遣いのために貴重な委員会の時間を使うことは私の本意ではございませんので、取り消しをさせていただきます。

横光委員 どうもありがとうございます。

 やはり、総裁の御答弁となりますと、代償機能の発揮という人事院の本務よりも、国民の納得性を得ることの方が上位の規範であるということを述べられたわけですので、これを、今お話しのように撤回していただきました。ありがとうございました。

 それともう一つ、国民の納得を得られるというのがまず第一に必要ではないかという文言もございます。これも、同じような趣旨で、代償機能の発揮というのがまず第一だということを先ほど言われましたし、この御答弁が残りますと、代償機能より国民の納得を得られるというのがまず第一だということを言われておりますので、このまず第一という文言も同じように取り消しということでよろしいでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 私どもが人事院勧告の内容を検討する場合に、まず、その内容を説明できるだけの客観的なデータがそろえられるのか、あるいは、そういう調査ができるのかということがまず念頭にございます。

 そして、確かに、最終的に国民の納得が得られるかどうかを判断されるのは国会でございますけれども、その国会に私どもが勧告をいたすときに、国会でそういう判断をなされるときの判断材料としての客観的データも一緒に御提示できるのかということは私ども非常に重要と考えておりますし、また、逆に言えば、そういう判断材料なしに私どもが勧告をするということも、これもまた許されないことだというふうに思いますので、そのような二十二日のお答えをしたわけでございます。

 これにつきましても、私は、改めて速記録を読んでみましたところ、やはり私の舌足らずの部分が多々あるように思いましたので、今申し上げましたような内容が私の真意であるということで、訂正をさせていただきます。

横光委員 やはり官民の給与というものを、さまざまなデータを集め正確に把握して、そして勧告をする、そしてそれを国会で審議する、その結果、今総裁が言われたように、国民への説明責任、納得を得られるものにつながるというのであるのならば、私はそれでいいと思うのです。しかし、先に国民への説明責任、納得性がまずあって、それが上位だ、まずこれがイの一番だ、代償機関の仕事はその次だというような誤解を与えたものですから、今私、改めて御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 次に、今回の公務災害補償についてお尋ねをしたいと思うのです。

 今回の障害補償関係の改正案、これは民間の労災とバランスをとることを基本として、その内容については民間に合わせるということでございます。これはもう時代の流れで、当然のことだと私も思っております。

 ただ、国家公務員の場合は決定事項であり、法改正が必要なんですね。となりますと、七月一日に人事院は意見の申し出を行っておりますが、いわゆる現場の組合側への説明は、その前日、六月三十日であったと伺っております。しかし、民間の場合はもう既に六月四日に省令改正が行われておりますし、そういった意味から、今回の改正内容は勤務条件であるのですから、私は、もっと早く説明し、十分な議論を行ってから申し出を行うべきではなかったのかという思いがいたしておりますが、その点、人事院、いかがお考えでしょうか。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 今回の補償法改正に係る意見の申し出は、五月十八日に出ました労働政策審議会の答申を受けて行われました。労働者災害補償保険法施行規則の、これは省令でやっておりますけれども、改正を踏まえて行ったものでございます。その省令の改正は、御指摘のとおり六月四日に行われております。

 人事院としましては、労災保険制度の改正が行われるというその見直しにあわせて改正を行わなければいけないということで、日ごろから労働政策審議会での審議状況等を注視してきているところでございます。

 今回の障害等級の改正に関する省令について、省令改正についての答申が五月の中旬、五月の十八日に行われましたことから、その後、当院として所要の改正について検討をしてきたところでございます。

 ただ、先生も御指摘のとおり、労災保険制度における障害等級の改正は省令の一部改正ということで済みますけれども、公務災害補償制度については、これは地方公務員災害補償もそうですけれども、補償法の、法律の改正を必要とするということでございますので、同法の改正に係る意見の申し出のために、法律改正ということでやはり作業がかかります。

 また、医学的な専門家の意見というのもやはり公務災害として注視しながら検討しなければいけないということでございまして、そういう検討が終わった段階で、できるだけ早くやりたいということで、まとまった段階、七月一日に国会と内閣に対して意見の申し出を出したわけでございます。

 また、御指摘の職員団体に対してでございますけれども、今回の改正が労災保険制度の補償の内容と均衡を図るということもございまして、従来からまとまってという、時間もありまして事前にというのはなかなかできないんですけれども、前日である六月三十日に正式に事前の説明を行ったということでございました。その間にも、内々のいろいろな情報提供とかいうようなことをして意見は聞くように努力はしているところでございます。

 ただ、今後とも、迅速な改正の対応ということも必要でございますし、その中で職員団体に対してもできる限り早い段階で説明をするということに心がけてまいりたいと思います。

横光委員 内々に、事前にそれなりに報告をしているという御説明でございましたが、しかし、やはりちゃんとした報告を、報告した次の日が申し出ですから、やはり勤務条件が変わるということでございますので、現場の職員団体の皆様方のためにもできるだけ可能な限り早目に説明していっていただきたい、私はこのように思います。

 次に、国家公務員の公務災害の認定は、所属する省庁、いわゆる実施機関、ここが行うことになっております。しかし、公務災害の認定を行う当の省庁自身が、例えば違法なサービス残業を行わせていたというようなことがあったらそれを認めるであろうかとか、いろいろな問題もございます。

 民間企業の場合は、第三者機関である労働基準監督署が労災認定を行うことになっております。また、地方公務員の場合は、一応第三者機関であります地方公務員災害補償基金が公務災害の認定を行うことになっております。しかし、国家公務員だけは、当の省庁自身が認定を行うことになっている。

 このようなシステムは、私から見ると極めて不公正なものと言わなければならないと思うのですが、例えば、第三者機関による認定、国家公務員の場合でも考えられないものなのか、そのあたりを人事院にお聞かせいただきたいと思います。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国の国家公務員災害補償法におきましては、第三条に規定しておりまして、各府省なり特定独立行政法人、郵政公社というような実施機関が、公務災害、通勤災害の認定を行い、補償を実施しているということに法律上なっております。

 ただ、この中でも労災保険制度なり地公災制度とちょっと違うという御指摘がございましたけれども、人事院としては、認定のための基準を示したり、認定に当たっての心構えについての指針を出しましたり、指導、研修会も行っておりますし、そういうものを通じて各省庁の認定が公正に行われるようにということでやっておりますし、また、脳、精神疾患等の認定困難事案というのもございます。こういうものを初め、広く認定が困難なケースについて、これはいろいろなケースがございますけれども、人事院の方に実施機関から相談していただいて、協議していただいているところでございまして、そういう中で公平性、公正性に欠けることがないよう努めてきているところでございます。

 補償法上は、補償の完全な実施のため、最終的な責めは人事院が負うということになっておりまして、そういう意味でも、人事院が責任を持って公正性を確保していかなければいけないということで今までやっておりますけれども、いろいろな補償のやり方というのは今後あろうかと思います。実施機関の対応も変わってまいります。御指摘のような点も含めて、どういう実施のあり方がいいのかということについても研究はしてまいりたいというふうに思います。

横光委員 今、基準や指針をお示しになっているということでございますが、やはりどう見ても公務災害の認定を当の省庁自身が行うということは非常に難しい問題が生じてくると思いますので、どうしても不公正感はぬぐえないような状況が起こるのではないかと思います。できるだけ公正な形でこの認定作業を進めていただきたいと思っております。

 終わります。

実川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、来る十一日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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