衆議院

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第4号 平成17年2月24日(木曜日)

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平成十七年二月二十四日(木曜日)

    午前十一時三分開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 安住  淳君

   理事 大出  彰君 理事 松野 頼久君

   理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小西  理君

      佐田玄一郎君    坂本 剛二君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      武田 良太君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    浜田 靖一君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    稲見 哲男君

      楠田 大蔵君    小宮山泰子君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      松崎 哲久君    山花 郁夫君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     坂本 剛二君

  谷本 龍哉君     浜田 靖一君

  萩生田光一君     武田 良太君

  田嶋  要君     松崎 哲久君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     自見庄三郎君

  武田 良太君     水野 賢一君

  浜田 靖一君     谷本 龍哉君

  松崎 哲久君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  水野 賢一君     萩生田光一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成十七年度地方財政計画)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十七年度地方財政計画について説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 平成十七年度の地方財政計画の概要について御説明を申し上げます。

 極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、経済財政運営と構造改革に関する基本方針等に沿って、歳出全般にわたり見直しを行うことに努めております。一方、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行うこととし、安定的な財政運営に必要な地方交付税などの一般財源を確保することを基本といたしております。

 引き続き生じる財源不足につきましては、一般会計からの加算、特例地方債の発行等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにいたしております。

 さらに、三位一体の改革として行われる国庫補助負担金の一般財源化等に対応し、所得譲与税による税源移譲等の措置を講じております。

 以上の方針のもとに、平成十七年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十三兆七千六百八十七億円となり、前年度に比べ八千九百八十二億円、一・一%の減となっております。

 以上が、平成十七年度の地方財政計画の概要であります。

実川委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

実川委員長 次に、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、平成十七年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を改正いたします。また、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十七年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、法定加算額、臨時財政対策のための特例加算額、交付税特別会計借入金及び同特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金償還額及び利子支払い額を控除した額十六兆八千九百七十九億円とすることといたしております。

 次に、平成十九年度から平成三十三年度までの間における、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例等を改正することといたしております。

 また、平成十七年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、算定の簡素化を図る観点から、経費の種類の統合及び補正係数の見直しを行うことといたしております。

 あわせて、公営競技を施行する地方公共団体の公営企業金融公庫に対する納付金の納付期間を五年間延長することといたします。また、義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金の平成十七年度における暫定的な減額に伴う財源措置として税源移譲予定特例交付金を拡充いたします。また、その税源移譲予定特例交付金に係る基準財政収入額の算定につきましては、百分の七十五の基準率を改め、税源移譲予定特例交付金の額により算定することといたしております。

 さらに、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方公共団体の負担の特例を、平成十七年度においても適用することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

実川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時五十四分開議

実川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

実川委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君及び自治税務局長板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英夫君。

田中(英)委員 自由民主党の田中英夫であります。

 きょう、地方財政計画の概要及び地方交付税等々についての提案が委員会でなされたわけでありまして、やはりそれぞれ地方の行政にかかわる府県、市町村の皆さんが、大変な困難性を持って地方行政を執行しながら、また国との折り合いの中でさまざまこれについて大きな関心を持っている中で、残念ながら野党の諸君が、こうした地方行政にとって大変大切な論議の中に参加を冒頭からしないということは、私は、極めて遺憾であるし、もちろん、地方自治というものを野党の皆さんにも語ってほしくない、それぐらいに地方自治にあった者として思いますので、冒頭申し上げておきたいと存じます。

 そんな中で、麻生大臣に、この地方財政計画及び交付税の問題を通じて、主に地方自治に対して頑張ってやれと思っていただいておると思うわけでありますけれども、そうした大臣としてのお気持ちを聞かせていただくという形で質問をさせていただきたい、このように思っておりますが、質問も少ししたいと思いますので、ずっとお気持ちを述べていただくと余り時間がなくなりますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。

 三位一体の改革が進んでいくという議論の中で、今回のことが調整され提案をされたわけでありますけれども、もうずばりお聞きします。三位一体、そして六団体からのいろいろな提案等々があって今日に来た。この面において、今この地方財政計画そして交付税の額等々について、ここでくくって改めて提案をされた。これは、地方団体に対して、どのようなメッセージというか思いを伝えたいというふうに思っておられるか、まず最初に聞きます。

麻生国務大臣 平成十七年度の地財計画を含めまして一連の計画の中で、どのようなメッセージを地方に伝えたいかという御質問ですけれども、基本的には、これは歳出を抑制していただかなきゃならぬことはもうはっきりしておるんです。その中にあって、治安、安心、そういった意味から、警察官の三千五百人は増員というようなものを織り込んだ上で、かつ一万二千四百人というのを純減するという形になっております。この意味は、基本的には、人員等含めましてそういった点について極めて歳出を抑制していただきたいというお願いであります。

 また二つ目は、地方団体が、時代が違って社会福祉などのソフトの面での経費を重視しているという実情に応じまして、単独事業と言われる公共工事などの投資的事業を減らして、いわゆる経常的経費と言われるものを増額するという方向で今までやっていたんです。だんだん予定と決算、いわゆる計画と決算、予算と決算の乖離が激しくなってきておりましたので、これを初めて投資的経費の勘定科目を経常的経費の勘定科目に移すという大がかりなものの第一歩として、いかにも地方が何か勝手なことをしているようなイメージをつくられかねぬという状況にもありましたので、この乖離の是正というのを実施しております。

 そして、大事なことは、やはり地方が最も望んでおりましたのは、安定的な財政運営というものに資するために、地方交付税等々一般財源の総額の確保ということだったんですが、これはきちんとした形でできております。

 しかし、考えてみましても、地方公共団体、今二千二百ぐらいまで少なくなってきておりますけれども、やはりいろいろな意味で、地方として、首長としてその町村の行財政改革に努めるのは当然のこととしても、行政サービスを落とすというのは一番手っ取り早い経費の節減になるんです。行財政改革はするけれども、行政サービスはできるだけ落とさずやるということは、これは明らかに首長さんは預かっておられます町なり市なりを経営するという感覚というものをぜひ持っていただきたいと思っております。

 町村を経営する感覚というのが首長に求められているという点でありまして、そういった感覚を持って、これまでできなかったことがしやすく、規制の緩和やら地方自治法の改正やら行っておりますので、そういったものを含めまして、従来と同じようなものではなくて、経営する感覚で臨んでいただければというのが私どもの最も期待するところであります。

田中(英)委員 地方に対して望まれる基本的なこと、そしてそういう思いを持ってこれからの地方行政の経営もやっていくべきだというお話をいただいたわけであります。

 確かに、いわゆる金目という意味合いでの財政上は非常に厳しくなっていく。しかし、私も首長のときにそういうふうに市民の皆さんに申し上げておったのでありますけれども、その範囲の中でできるだけの努力をしているんだというふうに住民の皆さんが認識をするというか、そのように褒めたたえてもらうとまではいきませんが、思っていただければそれが住民満足度につながるのであって、住民満足度を高めるためには、金目だけではなくて、よく説明をしたり丁寧に議論を交わしたり、その中ででき得ること、できないことをしっかりと話したり、要は、そういう接触度というものがこれから大きな経営力というものにつながっていくんだろうというふうに思ってきたわけであります。

 しかし、今回、とりあえず財政上の国と地方の制度の振り分けみたいなものでありますから、どうしても金の方にいろいろな話が集中しておる。こういうことでありますから、ぜひ今大臣のおっしゃったようなお気持ちがそれぞれの首長につながっていくように、今後もお願いを申し上げておきたいというふうに思うわけであります。

 経営ということに関して、今おっしゃったようなことで、まだ十七年が積み残していっているわけですから、どっちかといえばそっちの方が大きな課題にはなるわけであります。しかし、当面がとりあえず四兆と言われたりしておる。あるいは六団体でいうと、いやいや八兆なんや、こんなことを言ったりと、何かお金で言っておるのでありますけれども。本当は十八兆ですか、二十兆ですか、税金等々もあるとするならば、要は、国は何をすべきか、地方は何をすべきかという大もとの議論も含めてですけれども、どの辺まで行くのが最終なのかということをやはり議論しないと、途中で、ことしはこれや、ことしはこれやというと、なかなか難しいと正直思うんですね。

 その辺について、どのように終着点というかあるべきものをお考えかということをお聞きしたいのであります。

 実は、一つこういうことを私は地元で言っているんですよ。例えば、川があって道路があって学校を建てるのがあって、それで廃棄物処理場がある、四つあるとします。全部補助金をもらっておった。二つは補助金、どれでもいいですけれども、例えば川と道路は補助金がなくなって、府県に移ったか何かで国の関与ではなくなる、学校と例えば廃棄物、たまたま今言うたのでいったら、これだけ残った、そしたらこっち側の分は、府県であろうと市町村であろうと丸っぽ一緒と見たら、ここはもともと一般財源がふえるわけですよ。一〇〇が一一〇かなんかになるわけですよ。そしたら、この一一〇を使って、まあ人件費やらありますけれども、これを使って裏負担にして、補助金のあるものを先に食った方が、地方としてはたくさんの住民要望の実現ができるわけですよね。

 これはみんなそっちにそう行く。確かに、先行きのものが見えなかったら、目の前だけでいかれたら。それが経営者というもので、またそうしなかったら代表株主訴訟になってしまうのと違うか、こういうようなことまで言っておるのであります。

 そういう意味において、何年先にはやはりあり得べきところに行くのだ、もちろんその議論は大いにされているのでありますが、そこら辺についてどんなものとお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘なんだと思うんです。基本方針二〇〇三のときに、四兆円程度の補助金ということの目標を定めてこれでスタートして、最初に一兆円、そして、ことし約三兆円の税源移譲を目指すという目標を定めておるんです。問題は、そこまではわかったがそれから後の話だというんですが、取り急ぎ、十八年度までに補助金改革を含めて税源移譲、残りのものをきちんとした形にしないといかぬというところなんだと思っております。

 傍ら、地方六団体の方からは、今御指摘があったように、ほぼ九兆円の税源移譲という要求が出ておりますので、私どもとして、一つの目安としては、今、国対地方税の比率が五八対四二かな、何かそれくらいになっていると思うんですが、こういったものの額の比率を五対五、地方と国との比率は五対五、一対一とか、表現はあろうと思いますが、そういったもので税源配分の見直しというものをぜひということを提案しているんです。

 十九年度以降もさらなる分権を進めていくんですが、仮にも、地方団体の、いわゆる三位一体とあわせて、町村合併というのが進んでおりますので、自治体の受け皿としての体力、また財政力指数等々が上がってくることによって、この四月一日から二千二百五十ぐらいまでには少なくとも下がりますので、そういったところの内容は、皆この一年間やってみて、こんなこともあんなこともと随分合理化も進むでしょうし、アウトソーシング、民間委託やら何やら含めて随分進みますので、やはり経営者としての感覚も出てくる。

 かつ、本当に自分でやるのよ、もう赤字になったらその責任は自分でやるんですよという話を、きちんとした意識を今どれくらいの首長が持っておられるかというと、私は、これは持っている人はかなり進んでおりまして、ラスパイレス指数でもう八〇切ったなんというところが出てきていますから、そういうようなところはもうかなり意識としては高い。

 では、そういうのがみんなかと言われると、今騒ぎになっておりますところが幾つもありますが、組合との関係やら何やらでいろいろ問題が指摘をされているとおりなんでして、こういったところを含めまして、経営者としての感覚を持った上でやっていったときに、やはりある程度の財政というものをきちんと持たせてやるということをしておかないと、やることもやれなくなりますので、長期目標としては一対一。

 かつ、法定率の見直しとかそういったものを含めて、これは十九年度以降の大きな課題にしていかねばならぬところだと思っております。十七年度はどうしてもまだ残した部分がありますので、そこを取り急ぎやらねばならぬと思っておりますが、十九年度以降につきましても、いわゆる地方税と国税の比率を一対一とか、税の偏在性が高い、法人税ですと何倍でしたかね、かなり高い倍率で、東京と地方との倍率でいきますと、一番激しいところでいきますと、五・四倍ぐらいになるわけですね。しかし、消費税でいきますと、一・八倍ですから、偏在性はやはり消費税の方が少ない。そういったいわゆる偏在性の少ないものにやっていかないと、これは永久に直りませんので、そういった意味で、きちんとしたものを絵にかいてやらねばならぬものだと思っております。

田中(英)委員 おっしゃいますように、五対五というあたりに持っていくというのがまずの目標である、そのことは我々もそうであろうと思っておるわけです。

 ただ、さっき言いましたように、実際は、十七年に、積み残したという言葉はいかぬのかもしれませんが、やや重大な問題が残っておる。残っておるものを議論するときに、どうしても、金目として五対五というのはわかるんですけれども、要は、国のところに最終は何が残って、地方はどれだけするんやという議論を、それは明確な単語にはならないとしても、やはりここの議論はしないと、さっき言いましたように、道路と川は移ったけれども学校とあれは移っていないとなったら、六年目からは道路も川もするけれども、五年間は補助金のある方を食おうよと言うたら、みんなそれはそうやなと言いますよ。

 そういうものだと思うので、この十七年の議論をするのにも、その根本論が必要だなと思ったので、ちょっとお話をしておりましたので、またそのように思っていただけたらありがたいと思うわけです。

 今ちょうど、五対五にしていくのについても、どんな税でいくか、それについて、今回、法人事業税のことになっておるのでありますけれども、分割基準の見直しということも含めて、これがあるわけでありますけれども、実際にはどんな、今ちょっとおっしゃった、上と下はちょっとお聞きしたんですけれども、細かくどういうふうになるんですかね、各都道府県において。ちょっとお聞かせをいただきたいなと思います。

麻生国務大臣 今御指摘の法人事業税の分割基準の見直しというものの影響額についての御質問があっております。

 試算を実施したところでありますけれども、その結果を見てみますと、減収となるのは東京、大阪が一部です。東京が約六百億、大阪が八十億程度の減収となる予定でありまして、大阪は普通交付税の交付団体でもありますので、実質二十億ぐらいの減ということになろうと思っております。

 その他の道府県にあっては、いずれも増収となりますけれども、影響額の大きなところから申し上げると、北海道が八十から九十億、沖縄が三十から四十億、先生のおられる京都等々二十府県が五から十億ということになろうと思います。

 今回の試算の結果というのを見てみますと、いわゆる税源の偏在の緩和というのを先ほど申し上げましたけれども、これには一定程度寄与するんじゃないのかなという感じはいたしております。

 その他いろいろ、各府県によって違いますけれども、今申し上げたように、五から十億というところに京都と申し上げましたように、ここが大体全部で二十府県ぐらいになりますので、ここが一番平均的なところかと思いますけれども、北海道、沖縄が一番大きいという形になろうと存じます。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 当然、府県でそういうふうになってくるということでありますが、いわゆる税財源の問題を含めた、地方へ移していくというのは、次には、今度は都道府県と市町村がお互いにどうするのだという議論が物すごくまた起こってくる、こういう問題に相なります。今、適切な、多分移譲のための計算をしていただいているんだと思いますけれども、その辺については適時、やはりいつもチェックをしていただきますようにお願いします。

 最後、もう時間がありませんので、さっき合併のお話もありました。千ぐらい、町村ですかね、まだ減っていくというようなことも含めて、それ自身が直接の要素にはならぬのですけれども、いわゆる地方財政計画及びそれにかかわる交付税の問題というのが、今後、やはり変化を起こしてくるというか、従来の考え方だけではいかないようになってくる、要素やらいろいろなものをまた変えていかなきゃならぬということがあるだろうと思いますが、改めてどこかの機会でまたお聞かせをいただきたいと思っておるんですが、一つだけ。

 さっきから言いました、要は国というものがあり、府県、市町村を含めて地方行政というのがあり、そこのところでお互いに何をどれだけ確保していくのか、こういう話にかかわって、今回たくさん議論がありました中で、私は、義務教育は四分の三まで向こうへ行ってしまったけれども、逆に言うたら四分の三ぐらい国へ引きつけて、最後は一〇〇にして国が見るのだ、これは僕の意見ですけれども、そのぐらいであってほしいなと思っておるんです。やや、そういう意識でいくと、議論をするとたくさんあるんですが、義務教と生活保護、これについては私の意見としては国が負担すべき性格のものだと思っておるんですけれども、どうですかと聞いてもそうやなとはおっしゃらぬかもしれませんけれども、ちょっと感想だけいただいて終わりたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の税制改正の中でというかいろいろ改正の中で、最も最後までもめたものの一つがこの義務教と生活保護の問題だったと記憶します。

 今田中先生御指摘のように、これは性格上きちんと法律で、義務教育は地方自治事務と決められておるのに対して、生活保護の方はいわゆる法定受託事務ときちんと分けられております。そういった意味では、生活保護の方は、これは法律できちんと決められておりますので、今のままでいきますと地方の裁量権は全くないということでありますのに対して、義務教育の方は地方自治事務になっておりますので、いろいろな弾力的なサービスというものが地方の裁量でやれることになっております。本来の性格が、法定受託事務と地方自治事務と全く違っているということなんだと思います。

 その意味で、今御議論のありました全額をいわゆる国庫負担という議論があるのはよく知っているところでもありますが、今流れとしては国から地方へという流れがあっておりますので、そういう中にあって、今日的な政策的な課題からすると、そこのところはやはりある程度地方というところで裁量をふやして、きちんとやっておかないかぬのじゃないかなという感じはいたしております。

田中(英)委員 時間が来たので、終わらせていただきます。

 麻生大臣、もちろん、総務大臣としてもしくは従来からそうした地方自治、地方行政のことを知り尽くしておられますので、ぜひ閣僚の中で、閣僚懇等々も通じて地方行政をまた応援していただきますようにお願いいたします。

 ありがとうございました。終わります。

実川委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 野党の皆さんが御出席でないということはまことに残念でありますけれども、やっと大事な地財計画、そして地方交付税さらにはこれから地方税の議論もしなきゃならぬというときに、本当にこの状況、残念に思っております。

 加えて、昼食時間にもなりました。委員の皆さんも委員長もお疲れだと思いますが、やはりここは大事な問題でありますから、はしょりながらもポイントだけはやらせていただこう、こう思っておりますので、おつき合いのほど、よろしくお願いいたします。

 三点に絞って議論をしたいと思います。

 一点目は、総務大臣にお伺いしたいと思いますが、今回、地方六団体から意見が、三位一体で出されました。その地方団体、昨年八月にすったもんだの上意見をおまとめになった、改革案をおまとめになったということは、本会議でも申し上げたように大きな出来事であったと思っております。

 新しい全国知事会長さんが選出されました。お名前がどうも同じお名前で、私はこれからの地方自治はダブル麻生のラインで大きな時代を迎えるのかな、こう思っておるのでありますが、東になるのかな西になるのかなと私も関心を持って見ておりました。真ん中ではちょっと難しいことになるな、こう思ったのでありますが、これからさらに三位一体の改革は続けていくという、いかなければならないというときに、今回の知事会の新しい会長さんをお迎えになった。総務大臣としての御感想をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 麻生という名字は、桝屋先生、東京じゃ余り聞かない名前ですけれども、筑豊へ行ったら、麻生、野見山、馬のくそというぐらい多い名字の一つなんです。だから、どこどこの麻生さんじゃ全然通じませんから、きっちり言わないとだめなぐらい多い名字の一つだということなんで、よく御親戚でしょうとか言われる方が多いのですが、親戚でも何でもありませんので、まずそこのところはお断りしておかないかぬところだと思っております。

 それから、今知事会長の話が出ましたけれども、昔は、昔はというのは、鈴木俊一東京都知事ぐらいが知事会の会長をしているころは、もうこれは明らかにあの時代は知事会会長というのは名誉職でありましたし、大体、知事会なんというのが開かれるから東京に出てこいと言われて出てくる知事というのは数カ月に一遍だったと思います。梶原知事の場合は、月のうち一週間弱、五日間以上は東京に来ざるを得ないという生活を送っておられたと思いますので、昔は名誉職でしたけれども今はかなりの激職になっておる。しかも、給与は出ませんから、いわゆるサービス残業みたいなものと御理解いただいていいんだと思いますが、全くボランティアなところでもありますので、そういった意味からいきますと、これはよほど地元の県議会なりが理解をされておかれないとかなり大変な仕事であるという点。

 三つ目は、やはり今回の地方へのいろいろな税源移譲の話を含めまして、やはり三千の地方団体というものの意見が八月以降も最後まで崩れなかったというのが、やはり交渉する立場といたしましては地方六団体が全然崩れていませんよというところが一番大きな交渉力になった、私はそういう感じがあります。

 先ほど田中先生から言われましたとおりに、これから先、町村と県とは予算の配分、補助金の配分でまたもう一回もめるんですよね、ここは。そこのところを調整した上で六団体をまとめるというのはかなりの力量を問われることになろうと思いますので、今回選挙までということになったんですが、それだけ地方六団体の期待するところも大きいんだと思っております。

 福岡県、人口約五百万の大きな県ではありますけれども、そういった県をバックにしている大きな県議会と人口百万に満たない県との間の調整はもちろんのこと、町村で一番小さな青ケ島二百一人という地方団体もあるわけですから、そういったもののあれを全部ある程度頭に入れた上で交渉をしていただく上に、かつまとめてもらうというところが一番大事なところなので、大変しんどい思いをされるんだと思いますけれども、私ども、そのリーダーシップに大いに期待をいたしておるというのが率直な感想です。

桝屋委員 名前というのは意外と大事でありまして、たまたま同じということでありますので御親戚ではないようでありますが、名前が同じだということで、しっかり連携をとっていい地方自治の歩みが始まればと期待をしているわけであります。

 二つ目でありますが、今回の三位一体の改革の中で、私も大変悩んだ一人でありますけれども、端的に言いまして、国庫補助負担金を削減するのはいかに難しいかということを如実に私も感じたわけであります。総務大臣、総務省のお立場から見て各省の国庫補助負担金の削減、これはもう総理がみずからのリーダーシップで、あるいは各省大臣が責任を持ってということで骨太で始まったわけでありますが、振り返ってみると、先ほど義務教の話も出てどきっとしましたけれども、生活保護もそうでありますし、きょうは野党の皆さんいないからあれなんですけれども、与党の中でも、私ども公明党と自民党さんでは大分温度差もあったわけでありまして、それを今言うつもりはありませんが、国庫補助負担金の削減ということに関しては、各省、採点をつけるとすればどうなのか。

 とりわけ地方団体の期待が大きかった文部科学省あるいは厚生労働省、農水あるいは経産、国土交通省など、大臣、どういうふうに感じておられるのか。真情を吐露していただいて、今点数をつけていただいても結構でありますが、お願いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは前にもどこかで、予算委員会かでお話ししたと記憶しますが、役人は基本的には権限に生きるわけですから、その権限というもののかなりの要素は補助金という名の金なんだと思っております。

 その補助金を切るということは、イコール権限を削減するという話ですから、これはなかなか難しいのは当然でして、そこは各大臣のリーダーシップが大いに要求されるところ、加えて、国民の理解も得なければいかぬところだと思います。やはりそういったものの中でいきますと、関心の高いもの、教育とか社会福祉とか農業とか、そういったところは総じて、長い間の歴史を見れば、補助金はずっとふえ続けていった歴史でもありますので、やはりここは一番、担当された方々、最もしんどかったろう、私どもはそう思っております。

 そういった意味では、点数をつけろと言われても、それはその結果だけ見れば、数字の比率だけ出せば簡単なんですが、間に入られた方々、これは自由民主党の政調も同じような各部会を抱えておられますのでなかなか大変だったんだと思います。

 少なくとも、そういったものからされたら、今回いろいろな、義務教育もとりあえず半分とかいうような形で一応暫定的な措置になっておりますけれども、形としては、少なくとも三兆円を目指して、二年間で三兆円の予定が、少なくとも一年間で二兆四千億ということは八割結果としては達成をしておりますので、やはり苦労されて、最後の最後まで、随分遅くまでかかったところもありますけれども、そこそこ評価をされてしかるべきかなというのが率直なところです。

桝屋委員 質問が悪かったかもしれませんが、まだ続く作業でありまして、各省ごとに議論をというのは適当でないかもしれませんが、今後の作業ということで、実は私も大変頭を痛めているところでありまして、今まで決めたことがもとに戻ることはないと思っておりますが、まだまだ残っておる、こんな思いであります。

 最後の質問にしたいと思いますが、交付税であります。

 先ほど大臣の趣旨説明の中にも、今回は、十七年度については、改革期間ということもあって一般財源総額は確保されたということでありますが、やはり地方の声を聞くと、三つの不安があります。

 一つは、去年、地方交付税と臨時財政対策債でばくっと削減をされた。大変な、予算も組めなかった思いをしたわけでありまして、そこがもとのレベルに戻ったわけではない。深ぞりされたままの状態で、昨年と同額が確保されましたよといっても、にわかに安心できるものではない。これが一つ。

 二つ目が、今回の地財計画を見ておりますと、地方税収の伸びを三%以上見込んでいるわけでありまして、とりわけ都道府県について四%以上ということで、これが本当に確保されるのかどうか、とらぬタヌキの皮算用ではないか、こういう不安。

 それから三つ目が、地方交付税は、確かに我が党も最後は谷垣大臣に申し入れをしたりいたしましたけれども、総額として約十六兆九千億、前年度以上の額が確保されたというのは確かにそのとおりなんだけれども、よくよく考えてみると、十六年度は地方税収がたまたまよかった、それで振り分けて繰越分が一兆円もあるじゃないか、決して交付税がふえたとは言えないよ、交付税は三角が立ったんだというふうに明らかに言う方もいるわけでありまして、そういう意味では、来年を考えると、じゃ、この一兆円は減るのという不安にもなるわけであります。

 以上、三つのようなことを考えますと、地方は決してまだ安心できる状況ではない、十七、十八の改革を考えただけでも、いまだ不安は残っている、これが地方の声ではないかと思いますが、これは局長でも結構ですし、最後の質問でありますから、少し丁寧にお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 三つに分けての御質問でしたので、その真ん中の、経済のいわゆる景気動向というものが結果として法人税、地方事業税にはね返ってまいりますので、その二番目のところは私の方から、残余の質問は瀧野自治財政局長の方から答弁させます。

 今、三四半期連続してマイナス成長ではないかというお話がよくあるところですが、私どもの見た感じで、それを裏づけておりますいろいろな指数だけ見るとそういうことになるんですが、しかし、傍ら、設備投資は間違いなく機械受注が大幅に伸びてきておりますので、これは、指数といたしますと必ず六カ月後の設備投資は伸びる、過去の経験則できちんとそうなっております。その意味では、今までと違って、次の四半期というのはもう一回上がってきはせぬかなという感じが一つです。これは物すごく大きな要素の一つです。

 二つ目は、ことしは、これはどう考えても雪やら雨やら異常な事態が続いておりますので、そこの分のマイナス、これは間違いなく従来に比べて消費が大幅に減ったというのは事実だと思います。

 そういったものを除きますと、やはり基本的には、今、企業の場合を見ますと、一番の、設備投資やら何やらのところは、時代も変わってきたというか、経済環境が変わってきたこともありまして、少なくとも東京都心部等々におきましては地価の値下がりがとまっておりますので、一応底を打った形になっておりますので、企業としては、いわゆる企業の収支というものでいきますと、バランスシート上は明らかに自分の持っている資産の下落というのはそこでとまった形になっておりますから、債務超過というものに目安が立ったというのはすごく大きな要素だと思っております。

 ただ、企業が今金利がほぼゼロでも金を借りないという状況を前提にして経済学の本が書かれたことがあるかといえば、過去、そんな例はありませんので、その種の経済学の本は、私としては読んだことがないと思っております。そういった意味では、初めての状況になってきておりますので、設備投資がこれだけ伸びれば、普通は銀行貸し出しが確実にふえるはずなんですけれども、銀行貸出総額は一貫して減り続けておる状況というのは、明らかに今までの経済状況とは全く違った前提で物を考えないかぬということ等々を一番ベースに置いて考えないかぬところだと思っております。

 しかし、企業のいわゆる売り上げ、もしくはコストの削減等々によって、法人税収が平成十七年でも伸びることだけは間違いないと思っております。これは、個別企業の予測を見ましても、ほぼかなりしっかりした予測をしておられますので、役所の予想よりこちらの予想の、企業の個別の予想の方がよほど確実だ、私は景気動向についてはそう思います。

 その点につきましては、平成十七年度におきまして、十八年度の目安になるわけですけれども、そういった法人税の伸びというのはかなり確実なものだ、私どもそう思っておりますので、今、二番目の点につきましては、ある程度の増が見込めるという予測に立って地方の経営をやっていただいてもよろしいのではないかと思っております。

 残余の質問は瀧野の方から答弁させます。

瀧野政府参考人 それでは、交付税につきまして、事務的な点について二点お答えを申し上げます。

 十七年度の交付税について、十六年度の水準で回復したとは言えないのではないかというお話でございました。

 十六年度につきまして、厳しい状況であったことは我々も認識しておるわけでございますけれども、一番の問題は、地方団体に対して十分そういった状況が事前に周知できなかった面もあったかというふうに我々思っておりまして、昨年度からの予算編成後、地方団体の方々ともいろいろな形でお話をし、今後の状況についても、こういう方向になるのではないかということもお話をしてまいりました。また、大臣も、地方六団体の方々と数度にわたりまして、十七年、十八年の見通しなどについても十分お話をされて、そういった中で、十七年度の総額も決まってきたということでございます。

 確かに厳しい状況ではございますけれども、地方団体の方といたしまして、いろいろ御意見をお聞きしますと、状況を十分事前に踏まえた上で予算編成に臨めたということでございます。もちろん、いろいろな面での歳出の見直しということをしていただかなきゃいけないわけでございますけれども、そういう面で、十七年度は随分十六年度とさま変わりしてきているということでございます。

 そこで、十八年度について、どういうことになるのか、十七年度はたまたま繰越金等があったので総額が確保できたけれども、十八年度、非常に心配だというお話でございます。

 確かにそういう面はあろうかというふうに思いますが、我々といたしましては、三位一体改革を進める上で国と地方の信頼関係というものが一番重要でございますし、それを踏まえた上で、この前の三位一体改革の全体像におきましても、十七、十八年度、両年度におきましては一般財源の総額を確保するというのが政府・与党としての共通の認識事項でございますので、我々といたしましては、十八年度におきましても、地方団体の安定的な財政運営に必要な交付税などの一般財源の確保ということについては、全力を挙げて頑張っていきたいというふうに考えております。

桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございました。

実川委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四十分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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