衆議院

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第20号 平成17年7月28日(木曜日)

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平成十七年七月二十八日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 田嶋  要君

   理事 松崎 公昭君 理事 長沢 広明君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    川上 義博君

      小西  理君    後藤 茂之君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      高木  毅君    谷  公一君

      津島 恭一君    西田  猛君

      早川 忠孝君    平井 卓也君

      古川 禎久君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      五十嵐文彦君    稲見 哲男君

      生方 幸夫君    大出  彰君

      楠田 大蔵君    小宮山泰子君

      武正 公一君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    松野 頼久君

      山花 郁夫君    河合 正智君

      桝屋 敬悟君    山名 靖英君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        山本 公一君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十八日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     津島 恭一君

  谷  公一君     早川 忠孝君

  谷本 龍哉君     後藤 茂之君

  萩生田光一君     川上 義博君

  伊藤 忠治君     生方 幸夫君

  中村 哲治君     武正 公一君

  桝屋 敬悟君     山名 靖英君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     古川 禎久君

  後藤 茂之君     高木  毅君

  津島 恭一君     佐田玄一郎君

  早川 忠孝君     谷  公一君

  生方 幸夫君     伊藤 忠治君

  武正 公一君     中村 哲治君

  山名 靖英君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     谷本 龍哉君

  古川 禎久君     萩生田光一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長堀江正弘君及び総合通信基盤局長有冨寛一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楠田大蔵君。

楠田委員 郵政民営化の議論のため、この総務委員会、質問が大変久しぶりになっておりますが、ここでまず、本来ならこの委員会で議論されるべきはずであった郵政の話について、こちらでも少しお聞きをさせていただきたいと思います。

 衆議院ではわずか五票差で可決をいたしましたが、参議院の見通し、なかなか難しいと思っております。そうした中で、麻生大臣として、参議院でもこれが可決しそうであるかどうか、見通しがありましたら、まずお聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 参議院の可決の見通しの予想を聞いておられるんですか。(楠田委員「はい」と呼ぶ)ようわかりません。

楠田委員 わかりました。衆議院も五票差、予想はなかなか難しかったところでしょうし、通したいという一心ということでお聞きをしておきます。

 また、仮定の話ですが、否決した場合は、やはり衆議院を解散すべきだと考えられますでしょうか。また、小泉総理が解散すべきと言ったときに、麻生大臣は賛同されますでしょうか。

麻生国務大臣 解散権というのは、かかって総理の専権事項ということにもなろうかと存じますので、その段階でどのような形になるかを今のうちから予想するのは極めて難しいと存じます。

楠田委員 当然、総理の専権事項でありますが、現実的にはそうなっておりますが、学説は違うようです。やはり大臣の賛同というものは必要だと思うんですが、最後にしますが、総理が解散をしようと言ったときに、大臣としてはやはり賛同をされるおつもりでしょうか。

麻生国務大臣 あなたも私も職を失うかもしれぬという話を、ここにいらっしゃる方、どれだけ同じ顔ぶれが上がれるかは甚だ難しいところでもあろうと存じますので、安易なことではなかなかということだと存じます。

楠田委員 それだけ解散は重いというお答えだと認識をさせていただきまして、我々はいつでも、解散があっても戦えるように、常在戦場で民主党は用意しているということを表明させていただきたいと思います。

 それでは、本題に入ります。

 電波については、ますますその有用性が増して、最近では、堀江さんの、私はあえて挑戦と言いますが、挑戦によって、電波の公共性やまた経済的価値というものも改めて認識をされてきたところではないかと思っております。この堀江さんと孫さんは、実は私、同郷の久留米大附設の高校の先輩でもありまして、ただ、私はできが悪かったものですからこの分野には非常に疎いところがありまして、このため、国民一般が疑問に思うような観点から質問をしていきたいと思っております。

 そもそもの話から入りたいと思いますが、電波利用料制度の位置づけというもの、制度が創設されて十年余りたったところでございますが、その後、携帯電話の爆発的普及などにより、従来の制度の位置づけというか中身というのは非常に変わってきたんじゃないかと思っております。その変化に応じていろいろな改正を行ってきたと認識をしておりますが、そもそも電波利用料の目的というものが何であるか、また、そうした環境の変化によってその目的自体が今回の改正で変わってくるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。

有冨政府参考人 お答えをいたします。

 これまでの電波利用料の目的でございますけれども、電波監視とかあるいは無線局のデータベースの維持等の行政事務につきましては、専ら無線局の免許人のために行われるという観点で、このような免許人に専ら受益があるという事務、これを共益費用という形に位置づけまして、一般国民が負担する税ではなくて、無線局免許人に負担していただくというような形で、平成五年度から電波利用料制度を導入してきているというものでございます。

 今回、法案をお願いしておりますけれども、この基本的な性格は変えているものではございません。

楠田委員 免許人のための共益費用だというお答えでございました。

 ただ、今回の改正で、経済的価値というものを勘案する仕組みを初めて取り入れられたわけでございます。私としましては、こうした観点から、共益費用という概念も少しずつ今回で変わりつつあるのかなという認識もしております。それを後々聞いていこうと思っていますが、今回の改正で料額算定方式がどう変わったかということをまず簡単に御説明願います。

有冨政府参考人 今回の改正案の料額算定方式でございますけれども、現在の料額算定では、原則、電波利用共益費用を無線局の総数で均等割をしております。今回は、この電波利用共益費用のうち、電波資源拡大のための研究開発あるいはデジタルデバイドの解消などの戦略的な業務の財源に充てる部分につきましては、地域特性あるいは帯域幅、電力、出力等の電波の経済的価値というものを勘案した算定方法をとるということが一つと、それから、電波監視とかあるいは無線局データベースの運用等の経費、これについては恒常的な業務という位置づけで、料額の安定性に配慮して従来の料額の算定方法をとっておりまして、この二つの方式を合算した金額、これが新しい料額算定方式であるというふうに位置づけております。

楠田委員 今回の算定で、初めて経済的価値を考慮して算定する部分が出てきたということであろうと思っております。幅であるとか地域特性であるとか強さであるとか、そうしたものが加えられた。一歩前進であるかなという気はしております。

 しかし、そもそも電波有効利用政策研究会の報告で指摘されていたような公物占用料、つまり使用料としての概念の導入は結局はなされなかったという結論のようです。この進んだ形として、我々民主党として、従来、オークション制度というものも提案を続けておりましたけれども、こうした概念が最終的に導入されなかった、変更がされなかった理由というものをお答えください。

麻生国務大臣 楠田先生御存じのように、今回、電波有効利用政策研究会の最終報告書というのが出されておりますが、その中で利用方法の見直しについて二つのことが両方書いてありまして、電波の利用者にいわゆる電波を効率的に利用する意欲、インセンティブを与えるために、電波の経済的価値を勘案した算定方式の導入が適当であるというのが一つと、もう一つ、電波の経済的価値概念の最終目標というものが電波利用社会の発展の推進であるという観点から、いわゆる料金の高騰を防止するということをして、ワイヤレス産業と言われるこういった産業の衰退懸念を払拭しておく必要もあるという観点から、電波利用料の使途また料金につきましては一定の歯どめを設けることが必要という、簡単に言えば、両論提言をしておられるところだと存じます。

 したがいまして、総務省としては、この報告書を踏まえて、基本的な性格として、一般的に使途が特定をされない公物占用料ではなく、簡単に言えば道路とかそういうものです、引き続き使途が限定されている、特定されているということによって総額に歯どめがかかる公共費用ということで、行政の事務の対価というかそういったようなものだと思いますが、公益費用としての性格を維持するということの両方を考えて、今回の案をつくらせていただいたというのがここに至った背景です。

楠田委員 お答えいただいたわけですが、この中で、割り当てとしては、二百億円の部分が経済的価値を勘案する部分、四百四十億円の部分が従来の計算方法という分け方をされていると思います。高騰を防ぐという意味もわからないではないわけですが、均等割というものがやはり残っているために、いまだ携帯分野が、今回初めて八〇%台を割って七〇%台になるようになっておりますが、それでもなお高いのではないかという認識をしております。そのために日本の携帯電話の料金がやはりまだ高どまりしている部分もあるのではないかという認識でございます。

 そうなってきますと、今回、質問の際にいろいろ議論している中で、高騰を防ぐ、歳入と歳出の概念が切れていく、そのような問題意識から、歳出が青天井にならないようにするということをおっしゃっておりましたが、私は、歳入の部分を一つ経済的価値の部分だけで固めていって、歳出の部分はそのときに応じて変えていく、例えば一般財源化していくという方向性もあるのではないかと思っております。そうした観点もまた後ほど聞いていきたいと思っております。

 今回の計算方法で、事業者の方も総じてその負担というのは上がっていくと思いますが、利用者の理解は一応得られたということになったと聞いております。その中で、やはりその決め方に疑問を感じましたのが、新たな使途に充てる額の中で、逼迫地域と位置づけた六ギガヘルツ以下の周波数帯域に配分するところで、その中で、移動・放送系を中心とした三ギガヘルツ以下の帯域と、固定・衛星系を中心とした三から六ギガヘルツの帯域、これを三対一の割合で配分するというふうに決められておりますが、この根拠というものをお答えいただけますか。

麻生国務大臣 最初の方を私の方からで、後の帯域幅については局長の方から答弁をさせていただきたいと存じます。

 改定案につきまして納得をしているかという話でしたけれども、これは、本年の三月にその算定根拠を把握できますようにということでホームページでやらせていただいておりまして、過去二年間ぐらいにわたっていろいろ御検討いただいた結果でもありますので、その点に関してはおおむね御了解いただいておるものと存じます。

 帯域幅等々につきましては、局長の方から答弁させます。

有冨政府参考人 先生御指摘の、移動・放送系と固定・衛星系、三対一に案分したということの根拠でございますけれども、六ギガヘルツ以下の逼迫帯域につきましては、周波数幅の逼迫状況、これを周波数の特性とかあるいは現在並びに今後の利用動向等を勘案いたしまして、三ギガヘルツというところで分けております。ちょうどこれが、三ギガヘルツ以下がUHF帯以下のところでありまして、三から六ギガヘルツのところが低マイクロ波帯というような部分でございます。それぞれが、三ギガヘルツ帯が移動・放送系、あるいは三から六ギガヘルツ帯が固定・衛星系というふうになるわけであります。

 この経済価値の比率をどういうふうに算定するべきかということでございますけれども、この三ギガヘルツ帯以下と三から六ギガヘルツ帯のそれぞれの中心周波数に着目をしております。これは一・五ギガヘルツと四・五ギガヘルツになりますけれども、この比が一対三でございまして、高い周波数ほど利用が難しくなるあるいは経済的価値が低くなるということで、この逆数、経済価値の比率を三対一という形で配分するということで今回提案させていただいております。

楠田委員 この数値に関して、最終的にパブリックコメント等では大きな反対はなかったというふうにも聞いておりますが、間をとって、その逆の数にしていくということは、私は、ある意味、恣意的なところが大きいのではないかと思っております。

 その中で、一つ例を挙げて考えていきたいと思いますが、例えば三ギガヘルツ以下の帯域というのは、電波が、特性として、障害物があっても回り込んでいくような電波帯である。また、従来の考え方からしても、機器も簡単であり利用しやすいという特性があると聞いております。その中で、テレビ放送局も当然この三ギガヘルツ以下の帯域に入っているわけですが、この放送局の免許というのは、五年ごとの更新に一応なっております。しかし、私が知る限り、その新しい免許が、参入が許されたということは余り記憶にありませんし、事実上、固定化されておって、既得権益化、特許化しているのではないかという認識をいたしております。

 そうした観点からすると、従来よりは携帯電話端末の収入割合が低下はしておりますけれども、それでもなお放送事業者の負担というのが公平性に欠けるのではないかというふうに考えております。具体的には、従来二万三千八百円であった放送局に対する利用料が今回二万五千七百円に変わったというだけで、この金額というのは非常に低いのではないかなというふうに考えておりますが、この点に関してはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 放送局の電波利用料額というものにつきましては、本年三月に出しました平成十七年度電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針というものにおきまして、いわゆる地上波テレビの円滑なデジタル化に向かっての推進に当たって政策的な必要性に配慮する必要があるというのが一点。また、二〇〇三年度から新たに年額約三十億円の追加的な電波利用料を求めているという現状から、デジタル放送が始まります二〇一〇年までの間は、特例措置として、おおむね現行水準程度の料額というものを設定することにしたということであります。

 これにつきましては、昨年十一月に公表いたしております料額算定の具体化方針案におきまして、これはパブリックコメントにも付したところでありまして、おおむね賛同を得られたところでもあります。

 また、地上波テレビというもののデジタル化が完了した後においては事情が変わってくるだろうと私どもも思っておりますので、電波利用料の扱いについては、その時点におきまして電波利用のいわゆる環境等を考えて、もう一回検討することが必要であろうとは存じております。

楠田委員 今、政策的判断として、アナ・アナ変換に当面予算がかかっていくということで、それを放送事業者に負担をさせていっているという判断がある、これは私も理解できます。ただ、このアナ・アナ変換自体、国の政策としてそれの実施を促しているという負い目があるのもわかるんですが、それによって、やはり従来の放送局が当然、得をするというんですか、さらに利益化が図られるということも事実だと思っております。

 そうした意味から、この特別な事情が二〇一〇年の時点で、なくなった時点で、当然今の負担に見合うもしくはそれ以上の部分を新たに利用料として課していかなければならない分野ではないかなと私は思っております。

 先ほど検討するということでございましたけれども、その点に関してもう一度、ある程度の予測可能性というものをお示しいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 完全デジタル化を目指しておるんですが、そのデジタル化に至りますまで、正直申し上げて、ことしでデジタル化が約五〇%ぐらいに行こうと思っております。来年に七、八〇%まで行けるであろうと思っておりますが、それから先はなかなか難しい地域になってまいりますので、二〇一一年までに完璧にでき上がるかどうかというのは、なかなか難しい問題がまだ残っておると認識をいたしております。

 したがいまして、その段階において、今の御質問の意味はよくわかりますけれども、その時点においてどういうことになっておるかというのをもう一回ちょっと見定めた上で決めさせていただかねばならぬところじゃないかなと。今の時点からこうするとかこの額をということは、ちょっとなかなか言いにくいところではないかというのが率直な実感です。

楠田委員 この点、調査が不足しているところもありますが、例えば今の時点で、NHKの中でさまざまな問題がありましたけれども、電波利用料の負担額というものがおおむね十二・五億円で、支出全体の〇・二%というふうに聞いております。私は、いろいろ考え方はあると思いますが、この負担額というのは正直まだまだ余力はあって、また、放送局の公共性や、それによって得る利益は相当大きいという観点から、私は、もともとの放送局の免許業者に対してかなり大きな負担というものもしていくことが電波の利用料の納得につながるのではないか、そのように考えておるわけでございまして、それに関しての前向きな検討をぜひともお願いしたいと思っております。

 また、もう一つ違う観点でございますが、この地上波放送がアナログからデジタルに移行されていったときに、従来の周波数帯が効率化されて、あきが出てくるというようにも聞いておりますが、その利用というものをどのように将来考えていくのでしょうか。先の話でなかなか難しいとまた言われるかもしれませんが、先ほど申しましたように、放送局の免許がある程度固定化しているという今の現状から考えますと、今後、この使いやすい三ギガヘルツ以下の帯域を新たな放送局の開設等に分配していくということも私は大変重要なことではないかと思っております。この点に関しては見通しはありますでしょうか。

麻生国務大臣 終わった後の跡地、跡地というか、後の帯域の利用についての御質問なんだと存じますが、いわゆるデジタル化により周波数の有効利用というものが実現されますと、約百三十メガヘルツぐらいの周波数があくものと予測がされております。

 このあいた周波数の利用方法というものにつきましては、平成十三年の七月に、携帯電話等の移動通信や、テレビジョン放送以外の放送で使用する旨、周波数割り当て計画というものを変更した経緯がありますので、私どもとしては、いわゆるテレビジョン放送以外のものに関して、いろいろ需要がありますので、そういった需要に対して、新規需要に対しての割り当てというものを考えてまいりたいと思ってもおります。

楠田委員 それでは、電波利用料の使途の拡大に関して、質問をまたさせていただきたいと思います。

 今回の改正で、使途の項目が新たに法定化をされたと思っております。五年以内の研究開発の部分とデジタルデバイドの解消の部分というふうに理解しておりますが、今後、この用途や額というものがふえていくのか、つまりは特定財源の歳出部分の自由度というのが増していく方向か、この点に関して認識を。

麻生国務大臣 新たな需要というものは、私どもは、いわゆるワイヤレス産業と言われる業界の中において、これは技術の進歩等に伴っていろいろ発展しているんだと思いますが、電波利用の公益事務に係るニーズというのは、私どもから見ていますと、大きく変化していくものであろうとも思っております。

 そういった変化に対応できるようにいたしていくためにも、業務の効率化を進める一方、同時に、新たな需要にどう対応していくかというのはすごく大切なことだと思っておりまして、私どもは、今後の研究課題とは思っておりますが、具体化を進めていくに当たりましては、免許人の理解も得ることが必要なんだとも思っております。

 いずれにしても、こういった問題に関して、今のうちからいろいろ、この間ワイヤレスの研究発表があそこで行われたのを見に行きましたけれども、いろいろなものが猛烈な勢いで進んでおりますので、いろいろな新しい利用方法等々がこれから起きてくるであろうということは予測のつくところでもありますので、検討しておく必要があろうと存じます。

楠田委員 今までしてきた質問からこれも含めて感じることでございますが、電波利用の公益ニーズが変化していく、これはもう当然のことだと思っております。従来は、共益費という概念がありますので、その使途というものは限られたものでありましたけれども、今回初めて、私は、従来なら一般財源化、一般財源として使われていた部分も、この特定財源の部分で歳出が行われるように踏み出したんじゃないか、そのような認識をしております。

 そうした中で、私自身の考えとしましては、歳出の部分がこれからふえていくということ、その方向性だと理解しましたが、それによって、この電波利用料額は、今の時点では歳出から歳入を出しているといいますか、均等額割であるとか経済的部分のその単価というものを歳出から割り出しているというふうに私は理解しておりますが、このような改正で、将来、この歳出部分が自由度が増していくということになれば、利用料額が、単価というものがその都度変わっていくことになっていくんじゃないか。そのことに関して免許人の理解が得られるのであろうか。その推測が難しいことになると、むしろ利用料として固定化した方が免許人の利便と国民の納得に資するのではないか。私はそのように考えておるわけですが、この点に関してはどのような認識でいらっしゃいますか。

有冨政府参考人 現在の共益事務に関する費用につきましては、これからいろいろな環境の変化に的確に対応する、片や、先ほど大臣から申されましたように、効率化も図るということで、一概にふえるかふえないかということは決めかねるわけであります。いずれにせよ、きちんとこの使途については法定で列挙というような形、それから具体的な算定に当たりましても、三年ごとに見直すというようなこと等で、恣意的に料金が変わるというようなことではないというふうに思っております。

 先生御指摘の、利用料でというお話でございますけれども、先ほど大臣からも答弁がございましたけれども、これはまた、いろいろと考えるべき点が多々あるわけであります。例えば、二十年固定になるとかいうような海外の例ですね。こういったものを見ますと、俗に言うオークションのような場合を仮に想定いたしますと、かなりこれについても、これまでの諸外国の状況を見ましても、多々問題があるのではないかなというふうに思っております。

 現時点では、我々としては、できるだけ負担される免許人の方の御理解を得るように努力をし、その目的と料額については、法律にちゃんと根拠を置いて、適切な対応を図るというような考え方で進めたいというふうに思っております。

楠田委員 そうした中で、では、具体的に一つ挙げますと、今回、五年以内に開発すべき電波の有効利用技術のための研究開発に七十八億円が新たに特定財源の支出として加えられたわけです。この額に合理性があるのか。また、国の本来的役割として、やはり五年以内としても一般財源の部分として支出をすべきではないのか。また、五年以上の研究開発費の部分というものは、これから後、一般財源の中でどれぐらい積んでいくつもりなのか。この点に関して、まずお聞きしたいと思います。

有冨政府参考人 今回の電波利用料で措置をするというような研究開発につきましては、従来のような、現在ある技術を使って技術試験事務を行うというためのものではありませんで、新たに電波利用機会をふやすような、例えば電波資源を拡大するというようなことに、おおむね五年以内に実現できるようなものに絞り込んでこの電波利用料を使うというようなことでございます。

 これは、事前にいろいろな今後の技術動向というものを分析いたしまして、額について、全体の枠もありますけれども、おおむねこの五年ぐらいでどのような技術があって、具体的にそれに対するどのぐらいの支出があるかということについては、外部評価を得ながら決めているというようなことでございます。

 今後とも、その項目とか額については、総務省の恣意的な運用ではなくて、きちんと外部の人の意見を聞きながら固めていくというようなことにしたいというふうに考えております。

楠田委員 五年以内の部分に関してはそういう形でしていくということでしょうが、私は、その五年以内の建前として、どうも従来の共益費概念から、旧来の免許人にとって利益となり得る、そうした関連性が保たれるのが五年以内ということで、この特定財源化に踏み切ったという理解をしております。

 それでは、五年以上の部分の研究開発、これも国民全体からすれば非常に重要だと思っているわけでございます。そうした意味から、その部分も一般財源の部分として支出をしていくつもりがあるかどうか。この点に関しても、ちょっと抜けておりましたので。

有冨政府参考人 電波にかかわるいろいろな技術開発については、先生今御指摘のように、場合によっては十年かかるようなものもあろうかというふうに思います。今回は、電波利用料を使うということは、いわゆる負担と便益というものがマッチングするということを基本として考えておりますので、その便益がきちんと受けられる範囲というと五年ではないかということで、今回、法律で五年ということに区切って整理してございます。

 十年という話になりますと、これはなかなか今の時点では、十年先に実現できるような技術、これについてまで電波利用料を使うのかというと、便益と負担との関係において非常に薄いのではないかというようなことで、現時点ではそれを対象にするということは考えておりません。

楠田委員 電波利用料から使えということではなくて、一般財源として使うかどうかという意味でございましたが、ちょっと時間も迫ってきていますので。

 私の今の時点での私見ではありますが、こうして今回経済的価値が加えられていって、一つ前進とは言いましたが、私としては、やはり歳入と歳出が全部特定財源の中で見合うようにしていくのは少しこれから無理が出てくるんじゃないかという理解をしております。オークション制度に関しては、やはりマイナスの面も確かに大きかった、こうした文献も見させていただいて、それもなかなかとるのは難しいところもあるかもしれません。

 私としましては、歳入の部分がふえたとしても、それを、先ほど申しましたような五年以上の研究開発であるとか、そうした国民全体に資するような部分に支出するために国庫に還元していけばいいんじゃないかと思っているわけです。そういう意味では、歳入の部分というものを経済的価値に特化して、利用料に特化して、この電波を利用することによって利益を得ている方々に対しては、やはり完全にその利用料として固定化していくことが必要ではないか、そのように考えております。

 そうした思いを持ちながら、最後に二点、ちょっと残された時間でお聞きしたいと思います。

 電波監視の費用というものが、今回の支出がふえる中で二億円が削減されることになりましたが、この根拠と、従来積んでいた監視業務の支障、この二億円削減によって支障が来されてこないか、この点に関して。

有冨政府参考人 電波監視の費用でございますが、電波監視施設の整備というのがメーンの要素になりますが、これにつきましては、電波の利用状況とかあるいは電波技術の発展とか、こういった電波の利用環境の動向を考慮しながら三年ごとに整備計画を策定して、計画的に施設整備を実施してきております。

 平成十六年度から、電波監視施設等の高度化を図りつつ更改を進めているというような状況にございます。

 今先生御指摘の費用の削減でございますが、これを二億円ということでお示ししておりますけれども、これは、更改が必要な施設の機能を高める、反面また安いものに置きかえるというようなことでこの二億円の削減が実現できるものでありまして、現時点で監視業務に支障を来すというようなものにはなっておりません。

楠田委員 もう一つの部分で、無線局データベースの監理の部分が、従来百三十億だったものが九十五億円に大幅削減されるとなっております。削減されること自体は非常にいいことでありましょうが、この三十五億円というのは余りにも莫大な削減額ではないか。逆に、今まで非常にむだな使い方もあったのではないか、そういうような考え方もしております。この点に関しては、どうしてこのような削減をされたか。

有冨政府参考人 今先生御指摘のように、平成十七年度予算につきましては、総額約九十四億七千万というふうに計上しておりますけれども、その内訳は、電子計算機の借料であるとかあるいはシステム開発費であるとかというようなことでございまして、全体的に見ますと、先生御指摘のとおり、約三十五億円の減というふうになっております。

 これはなぜかということでございますが、この総合無線局の監理システムにつきまして見ますと、最新の技術の動向というものにちゃんと対応するものにしなければならない。そうしますと、今の動向から見ますと、いわゆるレガシーシステム、これをオープン化していくというようなことが一つございます。また、地方に分散配置をしておりますようなサーバー、これの集中化を図るというような形で新しいシステムを構築するということで、それが平成十七年五月に導入をしておりますけれども、その結果、十七年度は十六年度に比べて先ほど申しました三十五億円の減になるというようなことでございます。

 もう少し中身を言いますと、電子計算機の借料、これはセンター集中化とかオープン化ということによりましてコスト削減が図られておりますし、申請様式の見直しということでデータベースの効率化も図られております。システム開発経費につきましても、新システム開発が終わったこととかあるいはオープン化によって機能が拡充したとかいうようなことでコストが相当削減できているということでございます。

楠田委員 説明はある程度理解はできますけれども、やはり旧来の、業者の選定であるとか、その方式を使い続けてきたことに逆に問題があるんじゃないか。これだけ多くのカットができるのであれば、私は、もっと早くする必要があった、できたのではないかという認識をしておりますので、こうした観点に関しても、これからも厳しく見ていきたいなと思っております。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

実川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 電波法改正について質問をさせていただきます。

 お手元の方には、理事会、委員長のお許しをいただきまして資料を配らせていただいておりますのは、これは総務省さんがおつくりになられた、この法案、電波法改正に関して、電波利用料をどのように算出していくのか、こういった資料でございます。これに基づいてまたお聞きをしたいと思っております。

 特に、これでいきますと二ページ、表三というところになりますが、a群、b群ということで、経済的価値を考慮して算定したのが二百億円、従来どおりの方式で算定というのが四百四十億円。先ほど楠田委員からも、やはり全額経済的価値でいくべきではなかったのかと。こういう意味では、今回、中途半端な印象を持つわけであります。

 また、どうやって料額を算定したのかということで、これも総務省さんがホームページで公開をしているわけでありまして、それは、三月二十五日公表の平成十七年度電波利用料見直しに係る料額算定の具体化方針ということで既に公表されているわけです。

 その料額の算定方式、大変公平公正な算定方式をつくりましたよというお話なんですが、その前提として、徴収総額が六百四十億円、これがまずありきで、その後、その中を二百と四百四十に分けて、二百の中をさらに第一段階、第二段階、第三段階と分けながら、各基地局の料額を出している。前提がこの六百四十億円ありきというところがいかがなものかなと。経済的価値を反映といいながら、まずは全体額が決まっている、電波利用料総額が決まっている。しかも、その中は、どういうわけか二百対四百四十に分けている、そして二百の中を案分していくということは、昨年の電波有効利用政策研究会の最終報告書、その報告にもやはり後退という感が否めないわけであります。

 まず第一は、中途半端ではないのかという指摘と、それから、公平公正な数式といいながら、この資料でいくと、まず一ページにあるように、六百四十億円に徴収総額を拡大する。その理由というのは、不感対策の三十億円と、技術試験事務を含めた研究開発、こうした拡充あるいは新設、これがあるから六百四十億円であって、だから、六百四十億円の中をこれこれこういう形で分けましたよということは、やはり前提が六百四十億円ありきではないのか。以上二点について、総務大臣の御所見を伺います。

麻生国務大臣 最初のが、中途半端ではないかというお話なんだと思いますが、今いただいたこの資料の中でいきますと、a群、b群というのが書いてありますが、これは先ほど楠田先生からの御質問のときにもお答えをしたところと一部重複するかと思いますが、電波有効利用政策研究会の最終報告というのに、a群というのを全面的に導入すべきという御意見、いわゆる電波の経済的価値を高く勘案してということが一つと、もう一つは、b群の、現行の算定方式を踏襲するというのを導入すべきだということ、両方書いてありましたのはもう御存じのとおりなので、その二つの意見を調和、融合させるということを考えないといかぬのではないかということであります。

 中途半端という御指摘は、私ども、武正先生の御意見としてわからぬわけじゃありませんけれども、私どもの立場としては、二ついただいたものをいかに調和、融合させるかというのを考えねばならぬというのが、行政の立場からいたしますと、そういうことになるんだと思っております。

 それから二つ目の、電波利用料の見直しにつきましては、電波利用の共益費用というところにつきましては、これは基本的な性格を変えているわけではありません。

 ただし、電波の有効利用というものを推進してまいります観点から、私どもとしては、この料金の算定の具体化に当たっては、共益費用のうち、いわゆる電波資源の拡大といったような研究開発とかデジタルデバイド解消に要する費用という意味で、各無線局に配分するに当たりましては、帯域幅とか地域の特性などという経済的尺度を用いた算定方式を導入する、いわゆる戦略的と言っていますが、するものとして、例えば、周波数を多く使用する免許人に対しましては、より少ない周波数幅を使う人よりは高い料金とするとか、また、高い密度の周波数が利用されております東京等々においての料金というのは、比較的密度の少ない地方の方の料金よりは高い料金にするといったような考え方を導入するものであります。

 私どもとしては、使途を限定することによって、共益の配分におきましても経済的尺度というものをうまく活用させていただくということで総額に歯どめをかけたいというのが、私どもの基本的な考え方の根底にこの電波利用料に関してはあるというように御理解いただければと存じます。

武正委員 総額に歯どめをかけたいということが前提であるとすれば、経済的価値とこれまでの手数料的な共益費用をそれぞれでみんなで割った、それを足して二で割ったということになってしまうと、この総務委員会でこれまで、片山総務大臣とのやりとりを含めてずっと、電波は国民共有の資源であるから、やはりその有効利用を図るために電波利用料には経済的価値を含めるべきである、こういったことを総務大臣がこの委員会で認めて、そして今回の見直しということでありますので、やはり、まず総額を抑える、しかも六百四十億円を二百億円と四百四十億円に分ける、これが甚だ理解できないところでございます。

 話を先に進めますと、では、経済的価値の基準というものを、その二百億円、さっき東京とか地域的なものや、あるいは帯域幅と言いましたが、私はやはり、市場に、一般に、あるいは利用者にその辺の声を聞いていく、こういった観点が必要ではないかな、経済的価値をやはり市場に尋ねるというのがオーソドックスなやり方ではないかと思うんですが、こういった点は今回なされているんでしょうか。

麻生国務大臣 今回の電波利用料の見直しに当たっては、産業界の意見もいろいろ個別にもありましたし、団体でもいろいろ御意見をいただいて、約二年間にわたって、片山大臣の後、いろいろ検討させていただいたところでもあります。

 こういう結果を踏まえまして、総務省としては、パブリックコメントを求めたのが三回だったと思いますが、募集広告を含めまして、今回の料金総額の決定を行ったという経緯であります。

 市場に聞くという場合、それをオークションを考えたのかちょっとよくわかりませんけれども、私どもとしては、少なくとも多くの方々の意見を踏まえた結果、このような料金算定というものを行ったというのが、私どものやらせていただいた背景であります。

武正委員 ただ、料額そのものについてはパブコメというのは求めていないのではないですか。料額を決めて、料額それぞれについて皆さんからパブコメを求める、料額の改定について具体的にそういった意見を求めていないのではないでしょうか、具体的な料額については。

有冨政府参考人 いろいろ今大臣申しましたように、関係の方々の御意見というのは、基本的な考え方というものについていろいろお聞きをしたということでございまして、それに基づいて、具体的な料額につきましては総務省の責任において算定をして決めた。なぜそうやったかということについては、先ほど先生言われましたような形で、こういうふうに算定しましたよということを公にしているというようなことでございます。

 したがって、料額についてパブコメを求めて、そして確定しているというわけではございません。

武正委員 ちょっとよく聞こえなかったんですが、総務省の何において決定をしたと言いましたか。

有冨政府参考人 総務省の責任においてというふうにお答えを申し上げました。

武正委員 市場に経済的価値を反映というのは、総務省の責任において決めていけばいいということが、今、この料額ということで、パブコメも求めないということで、これでいこうとしているんですけれども、総務大臣、それで十分である、皆さんから広く意見も求めず、これで決定をしていっていいというふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 武正先生、今の点に関しましては、料金の比率、二対四とかそういったようなところをパブコメに付していないのがよろしくないという御意見のように伺いましたけれども、仕組みとしては、きちんとして、パブリックコメントの中に、こういった仕組みになりますということに関しましていろいろ広く意見を求めているところでもあります。私どもとしては、いわゆる経済的価値として、仕組みとしてはこうなりますということを申し上げておるので、私ども、料金の点につきましては、おおむね六を二対四で割ったというように御理解いただければと思います。

 総務省としては、そこの点につきましては、システム、体系というものはきちんとパブリックコメントに付した、経済的価値というものはそちらで付して問うておりますので、私どもとしては基本的には間違っていない、私もそう思っております。

武正委員 全体的な話がパブコメにかけられているけれども、個々の料額については総務省の責任において決めましたということですので、やはりそこはパブコメに付すなり広く意見を募ってしかるべきである、このことを私は申したわけであります。それはちょっと大臣と認識は異にするわけです。

 そもそも、こうした総務省のさじかげんで電波利用料の個々の料額を決めるというのが問題ありというふうに考えるわけでありまして、私は、第三者的な委員会がやはり検討していく、ましてや、経済的価値を反映ということは、市場から、広く利用者から意見を聞くというのが本来あるべき姿でありますので、肝心かなめな最後の料額は総務省の責任で決定しましたということは、私が先ほど言っているように、今回の電波利用料の見直しについてはやはり中途半端である、このことを言わざるを得ないのでございます。

 オークションについて先ほど総務大臣が触れられましたけれども、オークションについては、御案内のように、アメリカにあっても四十六回行っていることを含めて、あるいはドイツ、イギリスの、ちょうどワイヤレスバブルという、これはちょうど株価のピークのときにも重なっているということもありましたけれども、その後、それぞれの国が工夫をしながらこのオークション制度を導入してきているわけでございます。

 私は、市場に聞くという一つのやり方として、全部オークションを導入する必要はありませんが、やはり一部でもオークションを利用しながら市場の声を聞くということで、それを経済的価値ということで電波利用額の算定に当たっていくべきではないか、このように考えるわけでございます。

 既に米国政府からも、一体なぜ、オークションがだめだという電波有効利用政策研究会の最終報告、いかがなものかというような指摘もあるわけでありますが、これについては、他国政府からの意見でありますけれども、やはりこうした諸外国で有効にオークションを活用している、このことをいつまでも総務省がオークションはだめだだめだと否定するのはいかがなものか、これは指摘にとどめさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、実際にそれぞれの基地局を有する事業者が一体どのぐらい電波利用料を払っているのか、こういったことを私はやはり明らかにしていくべきではないかなというふうにも思っておりまして、そのことをお聞かせいただきたいと思うんですね。

 ですから、今回の電波有効利用政策研究会、これももともとをいえば局長の私的諮問機関なんですよね。なぜ電波監理審議会が出てこないのか不思議でならないわけでありますが、百歩譲って、電波有効利用政策研究会が第三者的で公平公正な立場で答申をしたとしても、その中で、今回、さまざまな案件の中で、公のセクターに課金をすべきではないかという議論については条件を付している。それが最終報告で出ているのは、第一に説明責任をしっかりと国が果たすべきこと、それから公的なセクターが圧縮努力をすること、そして十分でないときには公的セクターへの課金は考えよう、こういったことを言っているわけであります。

 まず第一に、どこの事業者が一体幾ら電波利用料を払っているのか、こういったことがオープンにできないのかどうか。それから、なぜ公的セクターへの課金を今回見送ったのか。以上二点についてお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 ちょっといろいろありましたので、まず、いわゆるオークションの話が最初に御意見としてありましたが、これは、武正先生御指摘がありましたように、たしか二〇〇〇年だったと記憶しますが、そのときにイギリスとドイツでそれぞれやって、落札金額四兆何千億とか五兆八千億ということで、実際よりさらに大きくはね上がったために、結果としては四年間こういったものが使えなくなったという結果で、その後四年間いろいろしてなったという経過がありますので、私どもとしては、この点に関しましては少々慎重というのが正直なところであります。

 それから、今の個別の電波利用料の点につきまして御質問がありましたけれども、行政の透明性を確保していくということに関しては極めて重要、私どもはこの点に関しては間違いなく認識をいたしております。このために、各年度の電波利用料の無線局ごとの分というものにつきましては、十区分で出させていただいておりまして、徴収率等々につきましては、既に総務省のホームページで載せているところだと思います。

 個別の徴収額を公表するという話が今言われておりましたけれども、これは経営情報上の戦略の一つということにもなりましょうし、いろいろな意味で、個々の電波利用料の徴収額というものを公表するということになりますと、これは情報公開法の趣旨ということを踏まえると、ちょっと今、簡単にどうかなということは私は率直な実感でもありますので、今の点につきましては、ちょっと慎重であるべきでないかなと思っております。

 それからもう一個は、最終報告におきまして、電波利用料の徴収につきましていろいろ意見が出されておりますのは御存じのとおりですけれども、防衛、警察、消防等々のいわゆる公共性の高い電波というものを勘案すると、減免する余地はあり得ることを基本とすることが適当というような表現になっております。ただし、その制度というものを、これは制度化を図るということではなくて、まず、国など本当に電波の有効利用というものをちゃんとやっておるのか、公表する必要などがあるのではないか、その成果が十分じゃないというのであれば、その制度化を図ること、逆にそういったものにするべきだ、図ることが必要だということが書かれております。

 私どもとしては、その報告書の趣旨に従いまして、まずは国による電波の有効利用の努力の公表というものを優先的に検討する必要があろうと思っておりますので、今回の改正におきましては、徴収というものを対象とする場合に関しましてだけは従来どおりの扱いということにさせていただいたということであります。

武正委員 今の国等への課金でありますが、最終報告では、「電波利用料の徴収を原則としつつ」と。「国、地方公共団体の扱いについては、電波の有効利用の促進及び負担の公平性の確保の観点から、電波利用料の徴収を原則としつつ」、しかしながらということでありますので、やはり最終報告では原則ということをうたっているわけでありますので、私は、このことを今回の電波利用料額の見直しで取り入れなかったのは、やはり後退したと言わざるを得ないのであります。

 そもそも、なぜ公的セクターにも電波利用料を払っていただかなければならないのか。それは申すまでもなく、実際四割と言われております公的セクターの電波の利用量、これは実際のところもよくわからない。先ほど大臣は説明責任と言いましたが、実際にどのぐらい公的セクターが電波を占用しているのか、これもやはりよくわからない。こういったところも速やかに明らかにしていく必要があると思うんです。四割とされておりますが、このところにはやはり、「電波利用料の徴収を原則としつつ」、このことをまず取り入れていくべきだというふうに私は思っております。やはり今回、後退が否めないわけであります。

 そこでもまた百歩譲って、十分でない場合には電波利用料を徴収するのが適当である。いろいろやりながら、先ほど言ったように、説明責任を果たしたり、あるいは各省庁にむだな使い方をしていたら出してください、返してください、こういった努力をしながら、それでもやはり公的セクターが占用していることが電波の有効利用の阻害要因だ、そのときには国等に徴収を図るのが適当である、こういうようなことが言われているわけであります。

 では、実際いつまでこれをやっていって、どのぐらいの期間で区切って国等に対しての例えば徴収に踏み切るのか。どのぐらい今の説明責任やあるいはむだな電波は返してくださいということをそれぞれの中央省庁なり地方自治体に促していって、いつまでにその成果を見るのか。期限、おしりをどの程度に考えておられますか。

麻生国務大臣 いつまでということは今の段階で決まっているわけではありません。ただ、先ほど申し上げましたように、この中で、いわゆる消防とか警察とか防衛とか、ほかにもいろいろあろうかと思いますが、そういったところで私どもとしてかなり、今四割と、私ちょっとその数字の裏づけがよくわかりませんけれども、そういった形で、きちんとしたものが、まずはどれだけむだになっておるのか、そんなに使うんだったらもっとほかに開放した方がいいのではないかというようなことになるのかもしれませんし、そういった意味では、ここのところをまずきちんと整理するところから始めないと、ちょっと今の段階でいつまでということを申し上げられる段階ではないというのが今の現状でして、私どもとしては、有効利用がされているかどうかというものの内容をまず洗うところから始めなきゃいかぬところだと思っております。

武正委員 今、四割はわからぬというお話でしたが、せめてやはり国民に対して説明責任を果たすということが、今回の課金をしない前提であるならば、一体、国、地方公共団体がどのぐらい日本の電波を占用しているのか、それをやはり説明する責任があるんじゃないでしょうか。

 だから、それについて促していくけれども、ちょっと待ってくれ、しっかりそれぞれ皆さんに有効利用を促していくけれども、実際、四割なのか、五割なのか、三割なのかもわからないといったら、これは本当に大ざっぱな議論しかできないんですが、そのことをやはり総務大臣として国会に対して説明する責任があると思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 政府の電波の場合は、今おっしゃる点はよくわかりますが、幅と同時に帯域、周波数等々は、これは逆に諜報とか情報とかいう面と極めて密接に関係するところでもありますので、その帯域の割り数を出しますと、その帯域か何か逆算すれば出ることになり得るというところがなかなか難しいところではないかというのが多分背景だと思いますが、基本的に、どれくらいと言われるものの幅は、余りきちっと出すということは逆に逆算されるということにもなるというのが一番難しいところじゃないかなと思います。

武正委員 いや、私が言っているのは、国民共有の財産でありながら、それに対しての電波利用料額を公的セクターは免除されている。それに対してやはり説明責任が必要である。ましてや、経済的価値を勘案して電波利用料額の見直しをしているわけですから、公的セクターのみがそれを免れるというのは大変不合理である。

 もしそうであるならば、まずは、個々が全部一々明らかにしなくてもいいですよ、公的セクターがどのぐらい占用しているのか。これはいろいろ説明の仕方があるでしょう。わかりやすい説明の仕方、国民に対しての説明責任ということで、やはりこれだけ電波利用料額をまた今回六百四十億円に引き上げて、そしてまた、これは携帯電話の利用者がその過半を負担するという構造でもあるわけですので、私はやはり今の説明では納得できないわけであります。

 いま一度、総務大臣、個々ではありません、全体でも、かなり大ざっぱでも、いろいろなやり方があるじゃないですか、公的セクターがどの程度占用しているのか、これについてやはり説明をする責任があるというふうに私は思うんですが、御答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 今もらった数字ですから読み上げる以外にほかに方法がないんですが、公共業務用に分配されております周波帯数というものがここに出されておりますが、三ギガヘルツ以下の周波数で、占用で分配されております周波数帯は約一九・一%ということになっております。三から六のところで二・〇%、六以上のところで一・〇というのが、公共業務用に分配されております周波数帯ということになっております。これは公表されておる数字だそうです。

武正委員 そうすると、今のを足したのが公共セクターが利用している割合ということで、二二・一と単純に足していいのか、それぞれの帯域での今のパーセントなのか。

麻生国務大臣 さらに数字は込み入るので恐縮ですが、他の目的と共有をしております周波帯数というのがあるのがまたさらに話を難しくしておるのですが、五九・四%の中に、どういう比率で割るかというところが難しいところで、その中の一九・一、別に一九・一ということになりますので、この割り方がちょっとなかなか難しいというのが率直な実感であります。

 また、三ギガから六ギガのところで八五・五、共有であります。六ギガ以上のところで九一・一という数字になっておりますのが、公表されております平成十七年四月一日現在の数値であります。

武正委員 私は、やはり説明責任を果たしていかないと、公的セクターのみが電波利用料額を免れるということがとても国民には理解できない、また国会としても認められない、このことを再度求めておきます。

 最後になりますが、今回、電波利用料額の使途が拡大をしております。お手元の資料一ページ目、「現状」と「改正」でいうと、右側の三番、六番というところの研究開発、携帯電話等不感対策業務ということでありますが、現状も含めてちょっと数字を出していただきたいんです。

 まず、技術策定業務は、十五年度、十六年度、十七年度それぞれ総額幾らであって、そのうち、独立行政法人の情報通信研究機構、NICT、これが幾ら請け負っているのか、そのパーセンテージもお聞かせをいただきたいと思います。続いて、四、五でありますが、アナログ周波数変更対策業務、そして電波再配分業務、これはそれぞれ総額幾らで、一体どこが請け負っているのか。そして最後、携帯電話などの不感対策業務、これは一体どこが請け負うのか。

 以上、使途について、総額が幾らで、一体どこがこれを請け負うのか、お答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 数字が百二億、八十四億、六十四億とざっとありますので、数字の方は局長から読み上げさせます。

 今御質問のありました、事業主体はどこであるかという御質問につきましては、社団法人電波産業会ということであります。

 交付額につきましては、十五年度は予算額と、十六年度及び十七年度は国庫債務負担行為限度額と同額ということになっております。

 数字の細目につきましては、有冨局長の方から説明させます。

有冨政府参考人 お尋ねの技術試験事務の予算額でございますが、十五年度が百二・八億円、十六年度が八十四・五億円、十七年度が六十五・六億円でございます。今手元にパーセンテージを出しておりませんので、ちょっと時間をいただきたいと思いますが、NICTへの委託額でございますが、平成十五年度が六十三・九億円、十六年度が四十五・四億円、十七年度が三十九・九億円でございます。

 それから、アナログ周波数変更対策業務でございますが、この予算額は、平成十五年度で百九十五億円、それから十六年度で二百二・二億円、十七年度で二百二・二億円でございます。

 もう一つは、今回使途に追加をいたします携帯電話不感対策の予算でございますが、これは平成十七年度で二十九・五億円というようなことでございまして、先ほど大臣は申されませんでしたけれども、これに関する事業主体は社団法人の道路トンネル情報通信基盤整備協会ということで、交付額も予算額と同額を予定しているということでございます。

武正委員 技術基準策定業務を加えた研究開発については、過去三年間、独法のNICTが五割から六割その事業を受託している。アナログ周波数変更対策業務と電波再配分対策業務は先ほどの指定法人の電波産業会である、それから六番の携帯電話等不感対策業務は社団法人の道路トンネル情報通信基盤整備協会、こういった公益法人が独占的に受託をする。そうしたことによって電波利用料額の総額が決まっていて、それを二百億と四百四十億に分けて、二百億だけ経済的価値に基づいて分けましたよという今回の法改正は甚だ不十分であり、到底納得ができないということを申し上げて、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 大変久しぶりの質問でございますが、きょうの電波法、質問通告に入れていなかったんですけれども、まず最初に一点お伺いをしたいんです。

 電波法の電波利用料というのをいろいろと見ていて思ったんですけれども、いわゆる特別会計というものが今三十一ございますが、今までにこの電波利用料を特別会計化しようというふうに考えられたことはあったんでしょうか。

有冨政府参考人 この電波利用料制度の導入の際には、いわゆる一般会計の中での特定財源という形で整理をさせてもらっておりまして、特別会計という概念で議論したことはございません。

田嶋(要)委員 今そういう整理になっているわけですけれども、何となく実態を見ていますと、ピークからは少し減りましたけれども、いまだに三十一あり、そして、既に時代おくれ、役割を終えたのじゃないかなというものが大変多くある中で存在している特別会計と非常に似ているような雰囲気もいたします。

 特に、諸外国と比較してみると若干懸念をせざるを得ないわけですけれども、資料をちょっとお配りいたしておりませんが、我が国の電波利用料を諸外国と比較いたしますと、歳入歳出額が非常に突出して額が大きい。それから、財源区分といたしましては、多くの国においてはそれが一般財源であるということに対して、特定財源ということで日本は行われています。

 そうした現状を見ると、財務省の方からもヒアリングしましたが、今の時点ではそれなりにうまく機能している制度ではありますけれども、恐らく、何十年も前にいろいろな特別会計が生まれたときも、当初はさまざま、それなりの理由があって立法をして特別会計が生まれた、しかし、長い年月がたっていくうちに、全く必要がなくなってもいまだに残っていて、そこに非常に多くのむだが生まれた。今、確かにこの制度がそれなりにワークしていても、これから先、どんどん歯どめがきかずに肥大化していくということに関して、老婆心ながら、今のこの時点から懸念をし、厳しい精査の対象にした方がいいのではないかなという印象を受けるんです。

 我が国の電波利用料の額の突出とそれから特定財源という二点に関しまして、どういうふうな御印象をお持ちかという点をお聞きいたします。

麻生国務大臣 今御質問のあったところで、諸外国に比べて高いというお話に関しましては、これは先ほどの武正先生の御質問にも一部関連をすると存じます。

 いわゆるオークション等々を例に引いていただきますと、例えば、市場規模で約一・六兆円と予想されておりましたイギリスにおける落札価格は四・五兆円でありました。同じく、市場規模二兆七千億と言われておりましたドイツにおいての落札価格が五兆八千億ということになっておりますので、そういったような過去の他国の例を引きますと、いわゆるその分が歳入として入ってくるという計算もしていただきますと、日本だけが突出しておるということにはならぬので、それぞれの国にはそれぞれの特徴というものがあるんだと思って、私どもの場合は日本の実情を踏まえてやってきたものなのではないか、私自身はそう思っております。

 今回の見直しにつきましては、これは、いわゆる世界最先端と言われますワイヤレスのブロードバンド環境の構築というものを一層図っていくために、少なくとも今、世界最低料金、世界最速のスピードをということでもありますので、共益という意味から共益費用という観念を維持しつつ、利用しておられる方々に過度な負担を強いるということもなく、加えて、二〇一一年に予想されますデジタルデバイドというものの対策を私どもとしては考えないかぬところでもあります。電波資源というものを拡大するためにも研究開発などにも取り組んでいかないと、一番必要とされる山間、離島等々において問題が発生しかねないという感じがいたしておりますので、私どもとしては、それを積極的に進めていくためにこういった対策をとらせていただいて、今おっしゃるように、歯どめがなくなるのではないかという御心配の点は十分に配慮しておく必要があろうと存じます。

田嶋(要)委員 いろいろお話しいただきましたけれども、まず、おっしゃるとおりオークションはあります。ただ、私はきのうも役所の方に申し上げたんですが、オークションで入ってくる収入というのは一般財源になるわけですから、言ってみれば税収みたいなもので、これは電波利用料、それぞれの国、行政手数料とかいろいろな名目で取っていますけれども、そういうものと何か横並びで比較できるものじゃないのかな、けたが全然違うんですけれども、やはり性格が違うような気が一つはいたします。

 それから、もちろん国によって置かれた状況が違いますから、額だけ比較して、日本だけ六百億程度、アメリカでもイギリスでも百億、二百億、だから悪いと私は申し上げているわけではございません。そうではあるんですが、それでも、やはり常に厳しい目で見ていかないと、やがておかしなことが始まるんじゃないかということを私は申し上げておるんです。

 IT立国ということが極めて大切だということは全く私も同じ見解でございますけれども、大臣御案内と思いますが、パソコンの世界というのは約七割の技術がハードもソフトもアメリカ発信というふうに理解しておりますが、片や携帯電話、電波といえば基本はまず携帯を考えますけれども、携帯電話の場合はソフトもハードも七割が日本国産だという点が極めて日本が誇ってもいい数少ない分野の一つではないかなと思うんです。

 しかし、それはやはり御案内かどうか、例えばアクセスという会社がありまして、あの会社は、言ってみれば、アメリカのマイクロソフトのような感じで、ほとんどすべての携帯にソフトが入っているんですね。そういった会社が出てくるというのはやはり民間のベンチャーの挑戦なんですよ。そのたまものだと私は思うんです。

 だから、役所のこういう名目の利用料が膨らんで、IT立国で頑張らなきゃいけない、世界最先端でやっていかなきゃいけないから、こういう金額は我が国はほかよりもふえるべきだという理屈には直結しないというふうに私は思うんですね。

 むしろ余り役所が出しゃばらない方がいい。いつもいつも言いますけれども、役所が出しゃばらないから、出しゃばらなかったから携帯はうまくいっているというふうな仮説の方が私は正しいような気がして、むしろ、何か頑張ろう頑張ろうとして役所が前へ出てくると、今までうまくいっている携帯産業がこれからおかしくなっていく可能性もあるんじゃないか。申しわけないですけれども、私はそういう懸念をいたしておりますし、経営をされている大臣も片隅には常にそういう意識があられると思いますけれども、その点を改めて御指摘申し上げたいと思います。

麻生国務大臣 今お話がありましたとおり、例えばフィンランドにノキアという会社がありますが、ノキアという携帯のいわゆる電池の周辺の部分は八〇%以上は京都の村田製作所のものだと思いますね。目に見えない形でそういった技術を日本が押さえている部分というのは、今御指摘のありましたとおりに、もうそのとおりだと思っております。

 また、役所がという説に関しましては、考えてみれば、電信電話公社のままだったら、まさかまだ黒電話でこんなことはないだろうけれども、そんなぐらいだったかもしれませんよ、役所のままであり続けたら。それがNTTという仮にも民営化されたような形のものになった途端に、少なくとも、ポケベルができ、カードができ、自動車電話ができ、ワイヤレスになって、ばっと進んだというのは、間違いなく、民間になり、規制が緩和されていった。そして、e―Japan計画等々において、役所がいろいろな形のものの責任を、ずっと規制を外した結果、ワイヤレスというかブロードバンドで三年韓国におくれていると言われたものがあっという間に追いついて、韓国の先を行くこと三年と韓国の情報通信大臣をして言わせるほどになったのは、今おっしゃるように、そういった形をしていった結果、非常にいい意味で競争が起きたんだ、私もそう思います。

 基本的な考え方はおっしゃるとおりだ、私もそう思っております。

田嶋(要)委員 今ちょっとそういうお話が出たので申しますと、携帯電話の分野、これだけ予想以上に大きく成長したわけですが、先ほどの話で会社の話が出ましたので、私がもともと会社員時代に聞いた話でも、無線、ワイヤレス、だれもそこの職場に行きたくないような、将来性のない分野だというふうに当時は見られていたんですね。だから、ドコモができたときも余り希望者がいなかったというふうに聞いているんです。

 それは何を言いたいかというと、それぐらい、どのテクノロジーが伸びるかということに関しては予想できないということなんですね。だからこそ、多くのリスクテーカーがベンチャーキャピタルの金を集めて、みんながリスクをとってかけをする。それが夢を持ってやるからどこかがばあんとくるというのがおもしろい民間の世界だと思うんです。

 ちょっと後でRアンドDの話に入りますけれども、何か今回またさらに新しい分野に使途を工夫して、さらに役所の役割をふやしていく。申しわけないですけれども、何だか、自分たちの仕事をふやすのがやはり、それが意識的ではないにせよ、結果としてそうなっていっているのが日本官僚社会のこれまでの構造であり、今回もまたそれのやり直しじゃないかなという感じがするんですね。

 ちょっと戻しますけれども、インセンティブがきくきかないという話で、今回もいろいろと料金構造を変えていますけれども、やはりこの携帯電話が無線局だという発想は普通の人にはないわけですよ。これが無線局だなんて思わない。これに五百円だとか四百円金を取られているということだって普通の人は知らないわけですが、一台幾らという課金方法は今回は変えませんでしたね、若干下げますけれども。

 そういうことをやっている限り、やはり民間には有効に電波を使おうというインセンティブはわかない。これはいろいろなところから問題点が指摘されています。これは指摘されているんですけれども、結局温存されました。日本だけですよね、こういうことをやっているのは。よそではこんな課金の仕方はしていないわけで、だからこそ、日本の電波利用収入だけがあんなに大きくて、その八割を携帯会社が払っているわけです。つまり、利用者が負担している。

 そういう仕組みがあると、私はうがった見方をすれば、まずインセンティブがきかない仕組みをそのまま残して、それを残すことによって収入がけた違いにふえたものだから、RアンドDを国がリードしてやって、では、ほっておくと、この分野、どうやって有効活用して電波を使うかということの基礎研究は民間がイニシアチブをとってなかなかやらないから国がやらざるを得ませんといって、今回のRアンドDの分野が新たな使途として加わってくるんじゃないか。

 要するに、順序が逆になっている。インセンティブのきかない制度を残したことによって、結果として、RアンドDを国がやらざるを得ないような仕組みにつながっていっているような感じがするんですね。それは、何というか、役所悪人説みたいなものかもしれませんけれども、何だかそういう気がしてならない。

 だから、要するに、これのお金を取るのをやめればいいんじゃないかと思うんですよ。やめれば、もっと民間が、どうやったら電波の有効活用ができるかということを基礎研究しますよ。さっき言ったように、アクセスとか、みんなリスクをとって勝負しているんですよ。だから、そこが独占的にもうかるビジネスチャンスだと思えば、何十億というベンチャーの金が集まりますよ。だから、それでどうやったら、二倍、三倍、同じ電波帯を使える、有効活用できるか。今なかなか使い勝手の悪い高周波の部分をどうやって実用化できるかということを必死になっていろいろなところが研究すると思うんですね。

 だから、そこをやらずに、何か変な制度をそのまま中途半端、さっき中途半端じゃないとおっしゃいましたけれども、私もやはり中途半端だと思います、中途半端に残して、インセンティブのきく部分ときかない部分が合体すればやはりきかないままなんですよ。きかないままにしておきながら、片方でお金が急にふえて、やはりRアンドDもやらなきゃいけないと。何か、役所がどんどん役割をふやしていく世界がここでも続いているなという印象を受けるんですけれども、どうでしょうか。

麻生国務大臣 電電公社におられたときにかなりしんどい思いをされたんだなということだけはわかりました。そこのところはよくわかったんですが。

 基本的に、今言われた点がすべて合っているともすべて間違っているとも思いません、正直なところ。役所が全部やらなくちゃいけないなんという発想は、それは間違っています。私も基本的にそう思っておりますし、今少なくとも、通信に関する技術の先端のものを、では、民間のいわゆる通常言われております家電メーカーが、機械はつくっているけれども、その研究開発をやっておるかといえば、それはNTTの、かつての電信電話の研究所でやっておるというのがほとんどの実態だと思いますよ。

 だから、そういった意味では、それがインセンティブがないからそうなったのか、いいところだけ民間がとったのか、これは意見の分かれるところなんだとも思います。私どもとしては、一概に今のおっしゃるところがすべてとも思いません。携帯電話のいわゆる基地局という考え方が間違っているというお考え方もありましょうが、しかし、少なくとも基地局として機能は果たしておるわけですから、そういった意味では、今回五百四十円が四百二十円に使用料が下がる、減額されるんだと思います。

 少なくとも、今言われたように、これは両方のものが考えて研究されていくべきものなのであって、民間もそれをやる、しかし戦略的なでかいことは国でやる。やはりそこは、田嶋さん、官民の間にいい意味での競争が起きないといかぬので、こっちが独占している部分に関しては、おまえら入ってくるなじゃないし、いろいろな意味で、両方で考えていくという話を考えて協調する、そういったようなところが必要なんじゃないかなという感じはします。

 今、それがすべてこのところでインセンティブが働かないと言われますけれども、現実問題、インセンティブは結構働いた結果いろいろな形になっておりまして、さらにインセンティブを高める方法にすべきだという御意見なんだと思いますけれども、一つの御意見として拝聴しておきます。

田嶋(要)委員 そういう意味で、使途拡大の一つでありますRアンドDのところ、研究開発のところに関して、もう少し突っ込んで質問をいたしますけれども、この研究開発を行う主体として、どういうところを想定しておりますか。

有冨政府参考人 この電波利用料を使います電波資源拡大のための研究開発のスキームは、これは国が委託をするというスキームになっております。

 ではそれをどこに委託するか、こういうふうになりますが、その方法といたしましては、基本的には、電波の高度な共同利用とか、あるいは未使用、利用されていない周波数帯を開拓するための研究開発を効率的に進めるということは、これは産学官の英知を集めてやるべきではないかというふうに考えておりまして、そのためには、まず広く公募というシステムを活用するというのがあろう。それからもう一つ、役所だけじゃなくて、外部の有識者により評価も受けるというようなことで委託先も決定する必要がある。

 そういった手続といいますか仕組みを前提として、公募対象者は多分、メーカーでありベンチャー企業であり事業者等の民間企業であり、あるいは大学であるかもしれませんし、独立行政法人であるかもしれない。要するに、幅広くいろいろな機関あるいは会社が応募してほしいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 民間企業がやったり大学がやったり、それから、先ほど武正委員の方からも出ましたNICTみたいなところがやる、いろいろあると思うんですけれども、公募ということですが、これは要するに、目ききをする人がいなきゃいけないわけですよね、この技術がいけそうな技術だと。

 やはり有識者というのは怪しいと思うんですよね。この有識者というのは大体、日本をおかしくしているという一つのところですよね。もうそれは余り言う必要もないところなので、だれを有識者と見るかというところが一番難しいと思うんですよ。どういう人が有識者になるんですか。

麻生国務大臣 有識者の定義を聞いておられるんですか。(田嶋(要)委員「例えばどういう人がここは選ばれるんですか、このRアンドDの有識者で」と呼ぶ)(発言する者あり)こう元NHKは言っていますが、私どもとして、ある程度そういったことに関してこれまでの実績とかいうのがやはり高く評価されるんだと思うんですね。

 一つだけぱんといいアイデアを出すというところは、多分若い人の方が当然できるんだと思いますが、それによって起きるいろいろなマイナス面、波及効果等々、全体のことが広く見えているというのが一つ。それから、過去の自分の学説にどうしてもこだわる傾向というのは、年をとれば皆あるんですが、そういったところがなるべく柔軟な人で、少なくとも、国外にいろいろ、今の情勢とか今の状況というものに広く今でも意欲を持って勉強している人というのが、やはり条件としては大きな、必要なものだと思います。

 いずれにしても、田嶋先生、このアイデアが当たるか当たらないかというのは有識者でも若い人でもわからぬ、これは正直なところですよ。だから、この薬が当たるなんて思ってペニシリンができたわけじゃありませんから、そういった意味では、私どもとしては、どれが当たるかは正直わからぬというので、有識者の定義と言われるとちょっと困ります。

田嶋(要)委員 まさしくそうなんですよね。これはわからないんですよ、当たるも八卦当たらぬも八卦。わからないから、自分の金でリスクをとる民間のベンチャーキャピタリストに考えさせなきゃいけないんですよ。それを公金で、黙っていても六百億入ってきた、まあ使える金だからといって使えるような感覚で判断しても、やはり外れるんです。だから私は、回り回って効率性は非常に悪いという懸念が大きいと思うんですね。

 それを官が主導で、こういうことをもう一回、さらに使途をふやしていくということは、今の御時世、何か大きく逆行しているような感じがいたします。それだったら、電波収入を減らしていく、電波料をとっていく量をもっと減らしていって、ああ楽になった楽になったと民間が思えば、彼らの最適な判断で正しいところへのRアンドDあるいは設備投資なりを行っていくんじゃないかなというふうに思います。

 このRアンドD、もう少しいきますけれども、おおむね五年で研究開発の成果が出てくるというような御説明を受けました。それで、それがさらに、周波数の逼迫緩和、有効利用に使えるようになるのに、この資料は配っていないですけれども、通常約十年と書いてあるんですね。今からお金を使い始めて、役立つのが十年後ですよ。

 どうですか。ITはドッグイヤーと言いながら、しかも、本当に電波の逼迫した状況がもう喫緊の課題だ、ところが、ふたをあけてみると、今回の施策で役立つのは十年後だと言っているわけですよね。何だか時間軸としてずれている感じがするんですけれども、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 電波をどう有効裏に利用するかということの基本であります研究開発、いろいろなパターンがあるんだろうというふうに思います。

 例えば、今実用化直前の技術、これを早く生かす、今先生言われましたようにドッグイヤーなんだから、早くこれを実用化するべきじゃないかということになりますと、これは技術試験事務をちゃんとやって、基準をつくって、早くこれを実用化するための手続を進めなきゃならないというふうなものがあると思います。そういうのは、三年とかいう非常に短い期間で、できるだけ早く、前倒しでやるというような形になじむものもあると思います。

 それからもう一つは、まだ開発されていない技術、これも、かつてでいいますとアナログからデジタルに変わりましたけれども、デジタル技術というのも、いろいろな日数をかけて実現をしています。それから波長多重というのもありますが、これも、いろいろ民間の努力の中でやっておられます。要は、こういったことについてはどうしても時間がかかるということになろうかというふうに思います。

 ドッグイヤーと言われるようなIT分野の発展というものをさらに進めるという観点でありますと、いろいろなことを組み合わせてやっていくべきではないか。したがって、実用までに十年かかることがあったとしても、それはやはりやっておくべきことではないかというふうに考えております。

麻生国務大臣 これは田嶋先生、いろいろあるんだと思うんですね。

 例えば、スーパーウエーブ、パナウェーブと違いますよ、スーパーウエーブというのは、今、表にまだ出てきていませんけれども、携帯がお財布に変わり、なにに変わったとき、それを落としたら、なくしたらというのが使う方にとっては一番の心配の種なんですが、その中にチップが入っていて、自分が別にチップを持ってさえいれば、五メーター離れたらその携帯はだれが拾っても全然中は使えないというようにする電波というのを開発した人が日本でいます。これはまだ全然表に出てきていませんけれども、いわゆる総務省の電波の方は知っておるわけです。そういったようなものは、これは多分十年なんか絶対にかかりません。結構数年で出てくるんだろうと思います。

 傍ら、超高周波みたいなので光に近いような電波なんというものは、えらい使いにくいものですけれども、これは、もし開発するのに成功したらえらいことになるというのだけはわかります。しかし、これは民間でやってみろと言っても、まずやる人はいません。

 だから、そういった意味では、そこらのところはやはりある程度国として、超高周波みたいな光に近いようなものをやろうとするならば、やはりある程度採算が悪くても、十年かけてきっちりバックアップしてやって初めて成果が出るか出ないかというところなんだと思います。そこらのところは、ちょっと正直申し上げて時間がかかるものもあるというので、中はいろいろあると思うんです、一律十年というような感じではないだろう、私もそう思います。

田嶋(要)委員 今、最後に大臣が、民間にやってみろと言ってもやるはずがないと。私はそのアプローチが変だと思うんですよね。役所が民間にやってみろ、そんなのはおかしいと思うんですよ。民間は、マーケットがあると思えばあるいはマーケットを自分たちでクリエーションできると思えば、それに挑戦していくんだと思うんですよね。役所にやってみろとかそういうふうに言われてということは、役所が将来を予言しているというような、そんな社会は私はないと思うんですね。

 だから、今言われた二つのケースも、これはやはり時代環境によって、かつてだったらとても手が出せなかったハイリスク、成功確率が非常に低いものでも、今だったら、もっとエンゼル、ベンチャーキャピタルがふえてきた時代ですから、もう全然私は違うと思いますね。十年前だったら日本にはそんなものは存在しなかった。今、私の多くの仲間がベンチャーキャピタルをやっていますよ。五億、十億という金を投じて百分の一の可能性にかける人たちは、今いっぱい日本にも出てきたと思うんですね、シリコンバレーほどじゃないかもしれないけれども。

 だから、何か今の二つのケースなんかを聞いていると、まさしく、電波利用料を使って官が補助金を出すか何かで研究開発をNICTにやらせてなんという世界じゃないと思うんですよね、本当に。

麻生国務大臣 基本的には私もそう思います。

 大分前だったと思いますけれども、マグロを養殖する、なぜなら、マグロがみんな禁止されたからといって、これは実はその当時はえらい騒ぎだったんです。マグロを養殖するという技術を水産研究所が考えてやったんです。金を割り振ったわけです、いろいろな水産研究所プラス私立の大学。結果的に、マグロの飼育に成功したのは私立大学の近畿大学だけです。それは事実として歴史的に見られるところなんですが、両方とも、皆、あきらめたわけです。ところが、近畿大学だけが何でそれに成功したのかというと、ここもだめだったわけです、実は。ずっと研究し続けられた最大の理由はたった一つ、そのほかにつくっていたタイとかヒラメとか、その他の養殖に成功した魚を魚市場に売り飛ばして、その魚市場で稼いだ金を研究にまた突っ込んだわけです。これは国立でできるかといえば、できないと思うんですね。

 おっしゃるように、ぱっとひらめいたものですから、これはいけるというので突っ込むべきだという意見を言い切った人がそこの近畿大学のある先生でおられて、結果として、マグロというのはいわゆる禁止にもならず、我々が今おいしくちょうだいできる背景はそれですけれども、そういった意味で、民間というものは重要だという意見に関しましては、私ども全くその意見に反するものではありません。

田嶋(要)委員 もう一つ言うならば、限られた資源である電波周波数をいかに有効利用するか、そういった分野、それと並んで大切なのが携帯電話ですね。なぜこれだけ爆発的になったかという大きな理由の一つが、この小ささなんですね。では、この小ささに何が最大に貢献したかというと、これは非常に地味ですけれども、実はバッテリーなんですよね、御案内のとおり。昔はこんな重たいのがあったけれども、それの技術を持っているのはやはり日本の多くの企業なわけですよ。だから、そうしないとだめなんだということがあって、熾烈な競争から、最初の何かニッカド電池からずっと来たわけですよね。

 私は、周波数をどう利用していくかというのは、そこがこのビジネス業界の肝だ、ボトルネックだとなれば、多くの金が集まって、どこかが当てますよ。NICTに合わせない方が私はいいと思います。あるいは、ほかのどこかに、国がこうやって金を出すんじゃなくて、ベンチャーにやらせないとだめだと思うんです。昔、何か通産省かどこかが、通産大臣賞か何とかといって、ニュービジネス大賞とかといってどこかのベンチャーに上げたら、翌年つぶれました。そんなものなんですよ、本当にそんなものなんです。

 だから、私の問題意識は、いいんですよ、今のところはほぼ健全だ、財務省の方もそう言っていました、怪しい特会がいっぱいある中でまだこれはまともかもしれない、額も六百億ぐらいですよ、ただ、やがておかしなことになるんじゃないかという心配があるんですよ。

 それから、やはり官の本質として、自分たちの役割を見つけるような形で仕事がふえていくんです。だから、私は、このRアンドDの話と、それからもう一つ、補助金、今回さらに何かデジタルデバイドのをやろうとしています。あれも考えてみると、民からお金を集めてもう一回民に補助金を出すんだったら、最初から民にやらせておけばいいので、それだったら電波収入を減らせばいい、もっともっと安くしておけば、トンネルの中がどうとかそういう話は、彼らが自分たちの考えで一番ニーズのあるところから順番にやっていきますよ。そこがそれこそ最適になっていくと私は思うんですよ。

 だから、本当に、今回の改正案、やはり今までと同じですよね、発想が。何とかしておれたちの役割をきっちりつくって、官が引っ張っていかないと日本はだめになるという強い思い込みで法案提出をされている感じがいたします。どうでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、半官半民の会社にいらっしゃったのでよくおわかりのところだと思いますが、やはり役人は権限に生きるんですよ、私はそう思いますね。長いこと、二十五年この辺をうろちょろしていますけれども、何となく私はそう思います。

 しかし、同時に、おれたちがやらねばという気概、プライドというのも、これがなくなってなあなあになっちゃったらこれは全然だめなので、私どもとしては、バッシングはやたら言うだけ言っている人も世の中にはいっぱいいますけれども、基本的に、役人が自分の生まれ育った故郷のためなり国のために頑張るというところは大事なところなんだと思うんですね。

 だから、そういった意味で、要はその意識と効率というものをいかにうまく組み合わせるかだということなんだと思いますので、今おっしゃっているところは十分に参考にして対応していかねばならぬものだと思います。

田嶋(要)委員 最後に。おれたちは頑張らねばと、全くそれはいいことだと思うんですね。ただ、時代時代によって、おれたちが頑張るというのがどういう方向への頑張りかということが変わってくると思います。来年か再来年から人口も減る、時代がかなり変わってくる、そういう中で、私は、おれたちが頑張らねばという意味は、例えばこの世界だったら、こういうことがわかっていた、中にいる皆さんが電波のボトルネックはここにある、そうしたら皆さんがベンチャーを起こしてほしいんですよ。例えば、こういう形でお金を使うんじゃなくて、そこにビジネスチャンスがあると中でわかっている人たちが飛び出してベンチャーを起こすようなことをやってもらいたいと思うんですね。今、時代の要請というのは、本当にもっともっと民の力を使っていかなきゃいけない、そう言われているときに、何だか流れと逆行しているような方向を向いている気がしてなりません。

 それを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

実川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

実川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田学と申します。

 電波法を審議するに当たって、自分のこういう携帯一個につき、電波利用料というのが五百円程度、今回改正されて少し下がるということですが、取られているんだなということを改めて実感しています。

 電波利用料、結局ユーザーに転嫁されているわけでしょうから、それを支払うからには適正に使ってほしいなと思いますし、それを利用したビジネスを通していいサービスを受けたいなと常々思っております。

 ちょっと突拍子もない質問なんですが、重要だと思いますので、麻生大臣の一カ月の携帯代金は大体どれぐらいであるか、それを高いと思うか高くないと思われるか、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 プライバシーの侵害に近いんじゃないかと思いつつも。四、五千円でしょう。そんなものですよ。(発言する者あり)メールは、受けるばっかりですから、やたら来ますけれども、ほかのもありますから。私のところに入ってくるのはメールと電話と、私は電話は大体嫌いですから、新聞は読まない、電話はなるべく自分の用以外はかけないことにしていますので、大体五千円ぐらい。それがどうしても必要な資料だというのであれば、取り寄せないこともありませんけれども、四、五千円だと思いますよ。

 それが高いか安いか。これは使うときによって、メールなんかは六十五歳にしちゃよくやっている方だと思いますけれども、メールなんかで結構いろいろ入ってくるのを見ていると、こんなのがと思うと、やはりそのときは安いなと思いますし、昔、寺田先生の時代と違って、私は、国際電話が海外で一分何千円という時代、あの時代から、海外からかけていたことを思うと、最近のものは安くなったなというのがちょっと正直な実感ですし、秋田もそうかもしれぬが、九州までの電話料金というのは数十万円かかるものなんですよ、事務所だけで。その分は、ここのところ、メールのおかげ等々もあるんだと思いますが、安くなりましたね。

 そういった意味で見ると、電話料自体としては、私自身は、かつての高かったころの記憶があるせいか、そんなにやたら高いなという感じがするわけではないというのが正直な実感だと存じます。

寺田(学)委員 それと、もう一つ。どこの携帯会社を使われているか。まあ、もちろん言いにくいとは思うんですが、言えないとしたら、なぜにそこを選ばれているのかという理由だけ教えてください。

麻生国務大臣 余りメーカーのものを見たことはありませんが、P504i……(寺田(学)委員「ドコモです」と呼ぶ)ドコモですね。

 これはだれが買ってきたかというと、秘書と同じものを買ってこい、そうしないと、わからないときに聞く相手がいないので、秘書と運転手と同じ携帯にしておけと言って、それで車の中で覚えましたので、選んだのは運転手か秘書か、どっちかです。

寺田(学)委員 麻生大臣ほど財力があられると、余り値段のこととか考えられないんでしょうけれども、一般的に使われている、今中高生にもかなり使われているんでしょうけれども、やはり値段、いわば通話料金を含めパケット料金、データ通信等々を含めた上で、価格というものが一番選ぶ一つの基準でしょうし、最近はやはりそれ以外に「着うた」だ何だといろいろなものが出ていますけれども、付加価値サービスがあるないによっていろいろ携帯は選ばれていると思うんですね。

 いろいろ調べてみると、日本人の携帯代金にかけるお金は世界一だそうです。携帯の単価、いわば通話料金の割安さどうこうではなくて、絶対的に使われているお金は日本が大方一位だろうと。

 それはなぜかというと、さっきも少し述べましたが、通話外のサービスに対して物すごいお金を払っている。私もメールは、ニュースを見るなりなんなりいろいろしますので、パケット代金、いろいろデータ通信代金がかかっています。結局、通話以外の部分に対してかなりビジネスが広がってきていて、それによってかなり私は恩恵を受けているなという実感があります。ですので、電波行政、電波利用料から始まっているんですけれども、本当に有効的に使ってほしいなという気持ちを一番強く持っています。

 総務省の方が書かれた本を読んでみても、電波がイニシアチブをとって我が国のITビジネスをぐいぐい引っ張っていくんだと総務省の方々が言われているとおり、私は、便利になればニーズが生まれて、ニーズが生まれれば市場ができてということで、本当に日本を引っ張っていく産業の一つがこのITであり、それのイニシアチブをとるのが電波だと思っているんですね。

 ですので、電波行政をやる上で、今までやはり希少性ゆえに公平性というのが大事にされたと思うんですが、産業振興という視点もかなり重要になってきたと思います。その点について、産業振興の行政が必要かどうかということについて、どう考えられているでしょうか。

麻生国務大臣 二年前のWSIS、ワールド・サミット・フォー・インフォメーション・ソサエティーというのがジュネーブで開かれたときに、百何十カ国の元首やら情報通信大臣が来ておられたときに、少なくとも第一次産業革命で蒸気機関車で成功したイギリスが、内燃機関にかわった第二次産業革命においては完全にアメリカ、ドイツに置いていかれた。その理由は何かといえば、第一次産業革命で成功したがゆえに、第二次産業革命には最終ランナーになったということなんだと思っているが、今この情報通信というものがITからICTと言われるものに、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーといってCが入った結果、少なくとも、ここにおられるあなたのアフリカの国から、インターネットを使って大英博物館まで、運賃もなく、料金もなく、手間もかからず、一発でばっと中が調べられるというのは革命なんだ。これによってアフリカでも間違いなく、資源がなくても頭脳とかそういったものがあれば新しい産業が起こせるんだ。だから、これは明らかに、その時代の変化についていくという意識をおたくら大統領やら総理大臣が持たなければ、少なくともこれからの時代というものはアフリカが伸びられるチャンスを摘むことになるんだ。だから、これだけに関しては断固関心を持ってやってもらわないと、次の時代にはますます置いていかれる。我々は明らかにITの時代には乗りおくれたんだ。しかし、おかげさまでICTの時代には取り戻すことに成功した。国を挙げてやった。そういう意識を我々は持っているんだから、その点を持ってもらいたいと演説をした記憶があります。

 私は、少なくとも、今、寺田先生が言われるように、何となく需要というものは、先ほどの御質問の中にもありましたけれども、iモードなんというものを開発した人はこれほど大きなものになると想像したことはなかったと思うんですよ。実際、それをやった人たちの話を聞いても、とてもこれほどの需要が出ると思っていなかったという話を聞いたことがありますけれども、そういった意味では、産業になる、情報産業としてリードできるものになっていることは、もう、少なくともこのiモードというものに関しては、これだけでネットワークができる、これだけでデファクトスタンダードになり得る、私自身はそう思っておりますので、ぜひ、今、寺田先生のおっしゃるとおり、きちんと産業としてこういったものは育成されてしかるべきものだと思います。

寺田(学)委員 明確に産業という視点が大事であると言われているので、総務省というものが産業というものに対して本当に適切に対応できるかということが問題になってくると私は思います。総務省さんは総務省さんなりに、いい点、たけている点等があると思いますので、行政的に適切な官庁がやる、もしくは民間がやる、いろいろな発想があると思うので、そこら辺は整理しなきゃいけないなと思っています。

 きょう、ちょっと詳しくお聞きしたいのは、産業、ワイヤレス、電波という中で一番今話題になっているのが新しい電波帯、一・七ギガヘルツと二ギガヘルツの新規の電波割り当てをどのようにしてやっていくかということが注目されていると思います。

 繰り返しになりますけれども、本当に適正に割り当ててほしいなと思っています。我が党の人間からもオークション法案であるとかオークションのあり方とかいろいろ言われていますけれども、今回は便宜的にオークションのことはわきに置いておいて、今総務省でやられている比較審査のあり方が本当に適正かどうかということに関してちょっとお聞きしたい。専門的なことは政府参考人の方にお伺いしますが、価値観的なことはどんどん大臣にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、役所の方から教えてもらったところによると、きのうようやく総務省の一つの案が電波監理審議会の答申を受けて認められたという形で、時間を待たずして開設計画の認定申請受け付けを行う流れになっている。これを十一月ごろまで行った上で、総務省がまたどういう方を入れるかということを一通りまとめた上で再度電波監理審議会の方に諮問をして免許付与につながる。

 そもそも私は、このシステム、プロセスの中で、いろいろ考えているんですけれども、透明性もないし、まあ透明性はあるよと言うかも知れませんが、結局のところは最後に総務省が決めるところがありますし、全くもって具体性がないし、専門性も本当にあるのか疑わしい部分があります。

 いろいろな条件があるようですが、運用開始時期は二年以内にしろ、カバー率どうこうということもありますが、「要件を満たす申請が三以上の場合には、」二つぐらい割り当てるということなんでしょうね、「比較審査を行い、基準への適合の度合いが高い二の申請について認定する。」その「要件審査及び比較審査の基準」が三つあるんですが、「開設計画の適切性、計画実施の確実性」これが一つですね。もう一個が「混信の防止等」、三つ目が「電気通信事業の健全な発達と円滑な運営への寄与」。私は、こんなものだけで判断されるとしたら非常に怖いなと思っています。

 ちょっとお伺いしたいんですが、まず一点目の開設計画の適切性、これは結局のところ、私は、事業規模の適切な大きさ、いわゆるビジネスそのものだと思うんですが、これを総務省が判断されるんでしょうか。局長でもよろしいので。

有冨政府参考人 これは、いわゆる免許方針に従って申請を受け付けたその内容について総務省がチェックをいたします。そのチェックをベースにいたしまして、電波監理審議会に諮って答申を得て決定をするという手続を踏みます。

寺田(学)委員 お答えいただいたかどうかちょっと確かじゃないんですが、大臣にお伺いします。

 結局のところ、開設計画の適切性ということは、ビジネスモデルの適切性と言いかえられると思うんですよね、民間企業の方がビジネスを目的に入ってくるわけですから。それを果たして、ドコモのビジネスであるとか、今盛んに言われているのはソフトバンクが参入してからのビジネスであるとか、イー・アクセスであるとか、KDDIとか、そんなものがそもそも総務省の方にわかるのか。

 私、大臣の率直な御意見というのが大好きで、一番頭に残っているのは、郵政のときにも言っていましたが、商売が下手な者が役人になるんだと常々言われていると思うんですよね。ですので、商売がわからない人間ということなんですよ、行政管理には非常にたけているんでしょうけれども。商売のやり方がわからない人間が事業の適正規模というのをはかれるんですか。いかがですか、大臣。

麻生国務大臣 これは逆に、商売の話は、自分で稼ぐことはできない。これは大事なところですよ。経営評論家なんというわけのわからぬ職業がありますでしょう。あの人たちが経営してうまくいっているか、経営評論家の言うとおりにやってうまくいっているやつがいるか、これはある経営者の言ったせりふなので、随分新聞をにぎわせたせりふなので、なるほどなと思って前に読んだことがありますけれども、そういった意味では、実際に経営をやるということは全然違う種類のものなんだ、私自身は自分の経験でそう思っています。

 労働組合との団体交渉をやったことのない人の労働行政の話なんというのは全然私には理解ができないぐらいずれていると思っていつも聞かされることがあるぐらいなんです。炭鉱屋みたいなちょっと極端な労働をやってきたようなところ、組合との交渉というのは昔は大分激しいものでしたから、少し時代が違うのかもしれませんけれども、そういった意味では違うと思っているので、先ほど申し上げましたように、ビジネスでもうけるという才能のある人が役人をやるのは間違いなのでという話を何回も、別にここに限らずいろいろなところで申し上げてきたと思います。

 私は、少なくとも、いろいろ許認可をする立場にずっといた人で今までやってきたことを見ますと、やはり継続性があるとか、まあ電波なんて公共性の高い事業でもありますので、これが三年したらぱっとなくなったというようなわけにはちょっといかない種類のものだと思いますので、そういった意味では、ある程度資金がきちんと対応できているとか、基地局やら何やら金のかかる話でもありますので、そういったところがきちんとできるかどうかというのを見て判断するというようなことはこれまでも十分にやってきたことだと思います。

 その点に関しましては、技術的な能力を調べるにしても、いろいろなことをやらせて結果的に新たに何社か入ってくればそこにおいて競争が起きることになりますので、健全な競争が促進されれば、結果的に、料金の面においても、利便性の面においても、新しいアイデアの問題にしても、いろいろな面で、私どもとしては携帯という分野の新しいフィールドが開かれる可能性というものを審査し得る能力は有している、そう思っております。

寺田(学)委員 私の少ない知能では何を言われているか全くわからなかったんですが、評論家はビジネスができないと。多分、その評論家という部分が、ある種、官僚の皆様方と重なる部分だと思うんですよね。ビジネスができない方がビジネスを論ずるのはおかしいことだと言われたことに関して、なるほどなと思ったと。ビジネスをわからない方がだれがビジネスをやったらいいかを選べるというのは、いささか私は詭弁だと思うんですよね。本当に大臣として、もしもの話ですけれども、総務省の官僚の方々と商売をやりたいと思われますか。多分、そこら辺は、思われていないからこそ、商売が下手な者が官僚になるんだと言われているんだと思うんですよ。

 ビジネスが成功するかどうかということは、冒頭に述べたとおり、市場経済ですから、ビジネスが成功しているものは大方私たちも大きな恩恵を受ける場合があるんですよね。ですので、せっかく電波帯を割り当てられる人はビジネスが成功してほしいし、ビジネスが成功するような方が入ってほしい。けれども、それを選ぶ方がビジネスの下手くそな方々が選ぶことになるのは、私は、どうも専門性であるとかそういうものが欠如しているんじゃないかなというふうに思います。

 もう一点の計画実施の確実性という指標があるんですが、計画実施の確実性ということは、これは財務体質ということも含まれているんですか。局長さん、お願いします。

有冨政府参考人 財務的な要素も入っております。

寺田(学)委員 今、デリバティブということをここで言ってもしようがないんでしょうけれども、企業の資金調達のスキームなんて物すごく複雑化しているし、高度化していると思うんですよね。一般的に総務省の方々は、繰り返して悪いですけれども、ビジネスは余りお得意じゃない方々が本当に企業の資金調達のスキームを理解できるのかということは、私は大きく疑問を持つところなんですよね。

 こういう割り当てに関していろいろパブコメを募集されていて、その中を少し拝見してみると、財務体質が悪いところには電波を割り当ててはいけないんじゃないかというパブリックコメントを出される企業の方もおりました。それはそのとおりなんでしょうけれども、こういう電波割り当てをやった上で物すごく全国的にサービスを展開しなきゃいけないというか、そういうような形でお金もうけをしようとする方は、初期投資はかなり大きいと思うんですよね。ですので、一時的には財務体質は悪化すると思うんですよ。

 個々ベースによると思うんですけれども、財務体質と計画実施の確実性というものはどのように連動しているというか、リンクするのか、局長でもいいのでお答えいただけますか。

有冨政府参考人 これは具体的な計画を見なければ何とも言えない部分ではありますけれども、ただ、今の現状からいいますと、新規参入事業者がどういう計画を持ち、どういうファイナンスをやっていくのかということについては、実は、既にほかの事業者もおりますので、従来、独占ですとその独占事業体が言うことそのまましかわかりませんけれども、市場でいろいろなことが行われていますので、ある程度どういうような方向にあるのかとか、あるいは、決算が発表されていますので、事実としてどういう財務状況にあるのかとかいうようなことは把握できます。

 それから、例えば有利子負債はどれだけあるかとか、そのための担保はどうなっているかとか、およその担保能力あるいはファイナンス能力というのは、その数字を見れば、財務諸表の見方もありますので一定の評価はできるというふうに考えていますし、その計画がどういうような段取りでできていくのかということも、これまでのNTTドコモやKDDIやボーダフォン等の実績がありますので、そういったことに照らして、どのぐらい妥当性があるかということも一定の判断はできるというふうに思っております。

寺田(学)委員 そういう数字的なものは見られると思うんですが、あるビジネスアイデアがあって、それに対して資金調達をそれなりにしなきゃいけないけれども、これは確実に当たるだろうし、当たったらもう黒転はすぐできるというようなビジネスアイデアというのはあると思うんですよ。大臣が先ほど図らずも言われたとおり、iモードなんてこんなふうになるとは思わなかったよ、ビジネスの行方なんてわからぬのだと言われたんですけれども、そういうことだってあるわけで、結局、iモードは私は非常に多用していて恩恵にあずかっているわけで、そういうビジネスプランというかアイデアというものは大事にしたいなと思うんです。

 それを、単なる数字の一過性の部分をもって確実性がないでしょうということで断るということは、私は、物すごく電波の有効利用に関しては、もしかしたら逆方向に行ってしまう可能性すらあるのではないかなという気持ちがあります。ですので、こういう部分もかなり具体性を持って、どういう基準でやっていくのか、一言で計画実施の確実性と言われたところでいかようにでも恣意的に判断できますし、そこら辺はもっとクリアにするべきだと私自身思っています。

 混信の防止等というところは抜かしまして、電気通信事業の健全な発展と円滑な運営への寄与というものが、また一つ要件審査及び比較審査の基準としてあるんですね。これもまた抽象的で全くわからないんですよ。これを今改めて局長に聞いたところでまた抽象的なお話をされると思うので、新規事業者が参入することは電気通信事業の健全な発展と言えるんですか、どうですか。局長でいいです。

有冨政府参考人 我々の今の電気通信事業分野に対する政策というのは、競争というものを基本に置いております。競争が促進される、あるいは競争が生まれる機会があるということが望ましい状況ではないかというふうに考えております。

 したがって、今回も、周波数については新しく生み出されたものについて新規参入の機会を設けて、さらにそこに競争が入ってサービスの向上や料金の低廉化あるいは高度化等々を実現できるというようなことを基本に考えております。

寺田(学)委員 競争が大事であると。

 電波の割り当てに関して、既存企業もいらっしゃるわけですから、既存企業さんの声をどれほど勘案すべきか、どのような点を勘案すべきか具体的におっしゃってください。局長さん、お願いします。

有冨政府参考人 現実に、今の既存の電気通信事業者はビジネスを展開しておりますし、八千数百万の利用者を抱えている。したがって、さらにそれに対して、例えば第二世代から第三世代に移行するとなりますと、より多くの周波数が必要である。それにこたえるということが加入者に対するサービスの向上につながるというような観点からいいますと、既存の事業者に対しましても、逼迫の状況に応じて追加的な割り当てというものを考えるということが必要だろうと思います。

 ただ、先ほど申しましたように、周波数は限られておりますので、それに対して、新規事業者に対しても割り当ての要望が多いということでこたえなきゃならないということですので、勘案するやり方というのはいろいろあるかもしれませんけれども、追加割り当てを考える際に、実績に基づいて、まず実態を把握して、それから追加割り当てをする際に、新規と既存の事業者の持ち分、周波数の幅ですね、持っている幅に応じて、加入者数の数において一つのハードルの高さを変えるという形で既存事業者についてもチャンスを与えるというふうに今回考えておるところでございます。

寺田(学)委員 一つの基準として加入者数の幅があるということは後ほど質問させていただきたいんですが、それより、一つの一般的な例として、参入している既存の企業が、うちはちょっと加入者が多くて帯域が足りないよと言われたこと、それをもって、そこに対して帯域を割り与える、逼迫している企業に対して、足りないから既存の企業に対して帯域を与えることが電気通信事業の健全な発展につながっているかどうか。

 言ってみれば、それは、逆を返せば、競争、新規事業の参入者が入ってくるという芽を多少なりとも摘むことになるんですが、健全な育成ということは、限定された帯域ですので、新しい人を入れるか既存の人たちが帯域が足りないと言っていることに対して割り与えるのか、相対していることだと思うんですね。

 ここら辺は、健全な発展という基準においてはどう考えられるんですか。局長でいいです。

有冨政府参考人 先ほど申しましたけれども、現実に利用者がいてサービスの向上を図るというときに、現実に周波数が足らないというときに、既存の事業者であるがゆえに例えば追加的な割り当てをやらない、むしろ新規事業者にすべてやるべきだというようなスタンスは我々としてはとりません。

 むしろ、既存の事業者であっても、必要な周波数は割り当てられるチャンスは与えるべきであろう、それが全体の健全な発展、育成につながるというふうに考えております。

寺田(学)委員 加入者というものは大事であるということもあると思うんです。

 先ほど言われた、加入者数の数を一つのめどとして、五メガヘルツ帯に二百五十万人でしたか、あったら追加で割り当てますよというような仕組みを今回組まれているんですが、そもそも、まず五メガ、最初に与えるのを五メガにしてしまうということ自体、本当にビジネスをわかっておられるのかなと非常に疑問に思います。

 ドコモにしてみれば、正確に確かめたわけじゃないですが、データ通信だけで五メガヘルツを使っている。それに対して、新しく入ってくる人たちが、ドコモで五メガしか使っていないところに対して、新規の人が入るときに五メガしか与えられなくて、そこに二百五十万人集めろ、集まったらもう五メガ与えるよというシステムなんですけれども、加入する側にしてみればそこが、帯域が広がってサービスが広がるからどうかと先行きが見えていれば加入するでしょうし、どっちかわからないというのであれば入りにくいと思うんですね。

 そこら辺、なぜに五メガに設定したのかということ、恐らく機械的に考えられているんでしょうけれども、この五メガに決めたときにパブコメにおいては、新しく入りたい企業の人たちが、十メガに、せめて帯域を倍にしてほしい、それぐらいないと今の多様化したユーザーのニーズに対してしっかりとした答えを出していけない、細々と全員に対して、二百五十万人に対してやるのは可能かもしれないけれども、そもそも集めるのに本当にしんどいという声が上がっているはずなんです。機械的に五だと決められていることに、私は、大臣にもお伺いしたいんですが、総務省のビジネスを余り考えない安直な発想というか、機械的な発想があると思うんですね。そこら辺はもう改めていくべきだと思うんです。

 それとともに、比較審査の基準において、電気通信事業の健全な発展と円滑な運営ということで終わってしまうんですが、ユーザーにとっての利益向上ということも私は非常に重要だと思うんですね。

 一番最初に戻りますけれども、ユーザーにとって一番大事なのは価格が下がることだと思います。そういうことに対しても、かなり私は、審査基準、こういう方が入ってくると価格が下がるんじゃないかということも審査の余地があると思うんです。余地というか、評価の余地があると思うんですけれども、局長、いかがですか。

有冨政府参考人 新しく入るということの一番端的な例は、今先生が言われたように、料金が下がるということが期待されるということでありまして、私どもも、いわゆる料金水準については、できるだけ健全な競争を通じて下がるということを実現した方がいい、したがって、先ほど申しましたように、既存の事業者が既存の加入者のニーズにこたえて、周波数が要るから欲しいということだけで政策を展開するのではなくて、やはり新規事業者にも参入チャンスを与える、むしろ、全国的な規模のところについては新規事業者のみに与えるというような形で、料金の低廉化、サービスの高度化、多様化、こういったものが促進される環境をつくっていこうという形で今回の方針案を決定したというところでございます。

寺田(学)委員 端的にお伺いします。

 料金が下がるということは、審査においての判断対象になるかどうかということですけれども、それはどうなんですか。

有冨政府参考人 料金が下がるかどうかということについての判断はありません。参入機会があって、料金が下がるであろうということを期待するということはありますけれども、下がるであろうから、下がることを条件とするというようなことは考えておりません。

 現時点においては、料金は規制が外れておりますので、市場で決まればいい、そういう認識でおります。

寺田(学)委員 いや、料金が下がるであろうからということを審査対象にしないということなんですよね。とにかく値段、価格が下がるということは審査基準の中に入らないということでいいんですよね。

有冨政府参考人 下がるということは競争の結果ということでございますので、審査基準としては考えておりません。

寺田(学)委員 審査基準においてユーザーの利便性という視点は入らないんですか、入るんですか。ユーザーの利便性が上がる、上がらない、そのことに関して、比較審査の審査基準として、この幅広く書かれた健全な発展とかというところに含まれるんですか、含まれないんですか、どっちですか。局長でいいです。

有冨政府参考人 比較審査においては、もし一つのポジションに二つの会社が競合する場合に、どちらがより適切であるかということについては議論があると思いますけれども、行政が、具体的な価格とか、サービスの内容において判断できるかというと、それはむしろ市場に任せるべきだろうと思いますので、個別具体的なことについていい、悪いというのは言いづらい点があろうかというふうに思います。

寺田(学)委員 電波は国民のものだ、だから国民にとって一番有益な形として配分してほしいし、それを代行されているのが総務省の方々だと思うんですね。ですので、ユーザーの利便性が上がるということは、幅広い審査基準の中でも必ず勘案してほしいことだと思います。

 ちょっと技術的なことになるんですが、今新しい技術がいろいろ考えられていて、携帯電話を持っていて家の中に入ると固定電話につながる、これはFMCとかというらしいんですけれども。このことは、私は、一個の携帯を持っていれば、家の中でもコードレスとして使えて、しかも安い固定電話として使える、外に行ってもそれはそれなりに使える、ユーザー全員にとってみると、とても便利になることだと思うんですね。

 ですので、FMCについて、局長自身、どうお考えになられていますか。

有冨政府参考人 今の通信インフラ自体を見ますと、かつては導線の電話というものといわゆるアナログの携帯電話というものと、いろいろあったわけでありますが、最近は特に固定系のところがブロードバンド化をしております。それから、無線系のところが、例えば高速無線LANのように四、五十メガのスピードが出るという意味で、相当ブロードバンド化しています。

 そういった形の中で今の状況を見ますと、いろいろな形の組み合わせがビジネスモデルとして実現している。そういうものを見てみますと、これからの大きなトレンドとしては、固定と携帯の融合というような新たなモデルが徐々に進み出している、この傾向は多分変わらないだろうというようなことでございまして、私どもとしては、こういったものについて、今は法人サービスをやっておりますけれども、いずれこれは個人の方に行くんだろう、そういったものを後押ししたいというふうには思っております。

寺田(学)委員 固定と携帯の融合、FMCの方は歓迎したいというか促進したいというお答えをいただきました。

 それがはっきり言うと電気通信事業の健全な発展ということとも重なり合ってくると思うんですが、だとすれば、割り当ての際に、そのことについてやりやすい企業、やりにくい企業、いろいろ企業形態があると思うんですが、そういうことは影響してくるんですか。健全な発展に寄与するとお考えであれば、判断基準のときに、このFMCのサービスが促進しやすい方が、総合的に考えられるので一部だけですけれども、判断としてそれはプラス評価になるんでしょうか。

有冨政府参考人 今のFMCの実現の仕方というのはいろいろありまして、例えば、ある企業のように固定も携帯もみんな持っているというところはそのままビジネスモデルができる、ほかのところは、例えば固定しか持っていないとか携帯しか持っていないところはパートナーを探して展開できるという意味でいうと、必ずFMCの方が有利であるとかいうようなことについて、果たして周波数を割り当てる際に、この企業はちゃんと固定を持っている、この企業は持っていない、しかしながらチャンスはある、そういうふうなことについて、行政がこちらは有利であるとか不利であるとかという判断をしていいのか、むしろこれは素直に固定の分野だけできちんとしたビジネスモデルができるかというふうにまず考えるべきではないかと思います。

 ただ、全体のモデルとしてどうかというのは、また別の判断が要るのではないかというふうに思います。

寺田(学)委員 電波の有効利用、そして、電気通信事業の健全な発展という意味では、FMCということは歓迎すべきことである、そういうような大前提のもとにだれかに割り当てましょうというときに、そこはまた別の分野ですよという話になると、何のために行政として有効利用を考えられて、さまざまな電波行政、ICT環境をつくり上げるという意思と権力を持った上で配分していくのか、何かそこら辺が整合性がないように思うんですね。

 もちろんいろいろな個別事情を想定されて、はっきりは言えないんでしょうけれども、結論から言うと、やはりそういうような状態、言えないという事態が、ほかの参入者にとってみると、結局のところ総務省さんの手のひらというか裁量権、御機嫌一つだと思われてしまうところだと思うんです。そういうところがあるからこそ、オークションにしたらいいとか、公平性、透明性をもっと持たせた方がいいということで、ほかのアイデアが出てくると思うんですね。

 この開設計画の適切性だなんだというようなことのもとに、いろいろ総務省さんが考えられた上で、最後に電波監理審議会に対して諮問するわけですが、きのうそこの委員名簿を見せていただいたんです。今のところ五名いらっしゃる。私は正直この名簿を見てびっくりしたんです。会長が安田靖彦さん、早稲田大学理工学部教授だそうです。会長代理が井口武雄さん、三井住友海上火災保険の会長兼CEO、そのほかジャストシステムの代表取締役専務であるとか日本女子大学の理学部教授であるとか東大の副学長。

 私は、この人たちに何がわかるんだろう、失礼なことを言う気はないですが、大臣がまさしく言われたとおり、あとは、午前中の話で田嶋さんが言われたとおり、有識者なのかもしれませんが、この電波を有効に使っていくことに関して、保険業界では非常にたけている方かもしれませんが、保険業界の方が判断してもいけないだろうし、評論家と言われる大学教授が判断したところで何がわかるんだろう、結局のところ、さらっとした皮膚感覚はわかるんでしょうけれども、物すごく技術が高度化していて、ビジネスのあり方も多様化して、資金調達も多様化している中で、この人たちに何がわかるんだろうなという率直な気持ちを持つんです。

 大臣、どうですか。こういう方々が最終的には答申されるわけなんですけれども、適正だと思われますか。

麻生国務大臣 これは寺田先生御存じのように、電波法の第九十九条でこの方々が決められます。これは国会の同意人事ですから、国会の同意を得て総務大臣が任命するという形になっていますから、賛成するかしないかは、御自分もその責任の一端を負っておられる立場にあるということを忘れないでいただかないと、何となく、党が言っているからなんというのもどうかなという話、突き詰めていけばそういうことになるんだからね、この話は。

 だから、これは放送事業者はだめとか電気通信事業者もだめとか、いわゆる無線機器の製造メーカーもだめとか、いろいろな基準が決められていると思うんですけれども、そういった意味で、この種の人たちを任命して、かつ若い感覚を持ってどうのこうのというのは、これはなかなか選ぶのは難しい、極めて範囲が狭められていることも確かで、今の新しい技術を知っている国会議員というのはほとんどいやしませんし、役人もそんなにいやしないし学者も、だって、三十代の者が近ごろの若い者の技術の発想にはついていけないとこの間ぽろっと言われたのが物すごく私は印象的だったんです。

 そういう技術のどんどん進歩しているときの話ですから、これは何となく、おくれているじゃないか、ちょっとアウト・オブ・タッチ、感覚がずれておるんじゃないかというような意見が出るというのは、お気持ちとしてはわかりますけれども、私どもとしては、少なくともこういったのは、簡単にぽいぽいぽいと選んでいるわけでも何でもないので、いろいろな方から幅広く集めた結果でありますので、その点も御理解いただければと存じます。

寺田(学)委員 時間が終わりましたので、いずれにせよ、もう少し具体性と専門性と透明性を持ったやり方で電波の割り当ては決めるべきだと思います。

 今後、これから年末に向けて割り当てが決まっていくと思いますが、できる限り、専門的であり、しかも説明責任が果たせるような形で決めていただきたいと思います。

 終わります。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電波法に関連して質問をいたします。

 今回の法改正によって、電波利用料の使途の拡充について、電波の効率的な利用、電波資源拡大のための研究開発に電波利用料を充てることを可能とする中身となっています。だれがこの研究開発費用を使うことになるのか、研究開発の担い手はだれかということについて、先ほどの同僚委員の質問への答弁で、産学官の英知を集めるという中で、メーカーや事業者やベンチャーなど幅広くという話がありました。

 そういうことであれば、例えばNTTですとかNECのような、通信事業者またメーカーなども当然のことながら対象となるというふうに考えてよろしいですね。その点だけ確認をさせてください。

有冨政府参考人 先ほど、この研究開発につきましては公募を行うというふうに申し上げたわけでありますが、今先生が言われたような企業をとりわけ排除するというようなことは考えておりません。

塩川委員 通信事業者のNTTですとかメーカーとしてのNECなどは、日本を代表する企業であるわけであります。この電波の効率的利用のための技術というのは、こういった企業にとってみれば、みずからの企業収益にもつながる、企業利益にもつながる研究開発の分野にもなってくるわけです。

 みずからの企業利益につながるような研究開発に公費である電波利用料を充てる理由、理屈というのはどういうものなのか、その点をお聞かせください。

有冨政府参考人 まず、今逼迫しております電波の状況について、これを改善する。具体的には、例えば電波資源を拡大するためには、電波の高度な共同利用というようなことができないかとか、あるいは、今使われていない周波数というものを何か利用ができないかとかいうような研究開発が必要になるだろうというふうに思っております。

 そのためには、公募によっていろいろな企業に応募をしていただいて、いずれかの企業がそれを担うということになりますけれども、確かに、その一部については企業の利益になる、利便が高じることになるかもしれません。

 その点について、例えばその成果については、これは公正中立に第三者に開放するというような手続をとりたいと思っておりますのと、それから、これはあくまでも電波の有効な利用機会が生まれるということなので、例えばNECだとかNTTと言われましたけれども、そういう大企業が仮に通ったとしても、その成果を利用できる機会というのは他に生まれるというふうに思っております。

 例えば、新しく電波が利用できるというような機会があれば、それを使った新しいビジネスもできるでしょうし、またそのためのそれを支える雇用機会というものも生まれるでしょうし、あるいは競争が入ってくることによって価格競争も生まれるでしょうしということで、一企業の利益になるからおかしいというのではなくて、全体の波及効果等々も全部視野に入れて我々は考えて提案をしているということでございます。

塩川委員 研究開発の費用のあり方の問題につきまして、私、企業としての企業利益を追求する中での開発、それに直結するようなものは、当然のことながら自前でやることが基本だろう、しかし、将来的な基礎技術などについて公費を充てるということは当然あるだろうということは基本だと思っております。

 そういう点で、今回の場合について、電波そのものが独占という性格もあります、逼迫しているような帯域において、それについての共同利用の促進ですとか未利用帯の開発をするとかいう点について、独占者にとってはその効率化というのはなかなかインセンティブが働かないという面というのが当然のことながらあると思います。

 そういう意味で、今公募の話がありましたけれども、どういう研究開発のプロジェクトを支援するのかということについての一定のきちんとした透明性を確保した対応策というのが求められてくると思います。

 そこで、麻生大臣に伺います。電波の効率的な利用技術の研究開発に電波利用料を充てるに当たっては、いわば公費を投入しなければ前進しないというような研究開発に本来は限定される必要があるのかなというふうに思っております。そういう点で、そういう判断が適切かどうか、そのプロジェクトを選ぶ判断基準が適切かどうかということについて常に検証していく必要があると考えるわけですが、その点について、この法案に対応して総務省としてお考えのことをお聞かせください。

麻生国務大臣 問題は、研究の成果というものが出てくるんですが、いいものが生まれたときに、より能率的な利用等々が促進されるということになるんですが、基本的には今世界最先端のブロードバンドというものをほぼ実現したということになっておりますが、これをさらに確実なものにしていくということなんだと思っております。

 この研究開発の成果というものが公平中立な形で第三者機関に開かれている、先ほど寺田先生の御質問の中にもありましたけれども、これは開かれているというのはすごく大事なところで、委託の条件としては、これは一社おまえだけが持っていくんじゃないよ、これは全部開くんだよということをする予定にいたしております。

 これにつきましても、行政評価局等々総務省の中にありますので、追跡調査等々も行える役所でもありますので、私どもの方は、問題があればきちんと対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 かつて、NTTの株式売却益で研究開発投資を行うという問題がありました。これは経済産業省と総務省とそれぞれやっていたんですけれども、投資したのがほとんど焦げついているじゃないかという問題について国会でも大分議論になりました。

 そういう際に、あわせて私が調べたのは、受託をしている企業を調べますと、かつての電電ファミリーのかかわるような企業、大企業ばかりが名前を連ねる、既得権益のように、みずからの利益を確保するようなやり方は問題であるわけで、そういう点でも、この研究開発項目の選定に当たっては、説明責任が果たせるような透明性の向上などに努めることが求められていると思っております。

 あわせて、電波利用料の問題で、今見直すべきだと私が一番思っておりますのがアナ・アナ変換の問題、アナログ放送の停止の問題であります。

 これはこの前の日曜日、七月二十四日の日に新聞を見ましたら、番組欄のところに赤い広告が出ておりまして、だれが出しているかというと、総務省と全国地上デジタル放送推進協議会の名前で出されている広告で、「Xデーは、二〇一一年七月二十四日。(予言ではありません。れっきとした予告です)」と書いて、「本日からちょうど六年後の二〇一一年七月二十四日。すべてのテレビ放送はアナログからデジタルへ移行することが、国の法令により定められています。」ちょうど七月二十四日に合わせて、あと六年後ですよという広告になっております。

 そこで、お尋ねしたいんですが、ここにも「テレビ購入に際しては、六年後のことを正しくご理解の上、ご判断ください。」というふうに書いてあるんですけれども、これはどういう意味なのか、教えてください。

堀江政府参考人 二〇一一年七月二十四日にアナログが停波されてデジタルに全面移行するということが決まっておりますから、これからテレビを購入される方々につきましては、そのことを十分御承知いただいて対応をお願いしたい、こういう趣旨でございます。

塩川委員 要するに、国の法令でアナログ放送が打ち切られるので、それまでにテレビを買いかえるかチューナーを買ってくれという広告であるわけです。

 一番肝心のそのことが一番小さい文字のポイントなんですよ。日にちはもちろん重要でしょうけれども、必要なことは、その日までに、アナログ放送では見られなくなるんだから、デジタルテレビを買うか、あるいはチューナーを取りつけてくださいね、逆に言えば、この日でアナログ放送のテレビはただの箱になりますよというぐらい大きく書かないと、国民の皆さんには浸透しない。そういう点でも、この広告というのは、郵政民営化の広告と並んで、こんなのでいいのかなと思っております。

 そこで、アナログ放送を国の法令で二〇一一年七月二十四日に打ち切るというのは、そもそもどういう理由なのかというのを確認したいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 先生よく御承知のとおり、平成十三年、二〇〇一年の電波法改正を受けまして、電波法では、十年を超えない範囲内でということで期限を定めるということになっておりました。それを受けまして、先ほど申しましたように、アナログ波を停波いたしまして、完全に地上波デジタルに移行するということが決められたわけでございます。

 その理由についてお尋ねでございますが、私どもとしてはこのように理解をしております。

 まず、政策の実行に向けまして、目標期限やあるいは時期を設定して取り組むということは非常に有効なやり方でございまして、各分野で採用されているところでございます。特に関係者が多くなっている場合には、共通の認識を持ちまして取り組むということは極めて重要だというぐあいに考えておるわけでございます。しかし、その目標が余りにも超長期であるということになりますと、目標の有用性といいますか有効性、そういうようなものも低下いたしますし、さればといって、また余りにも短期の非現実的なものであってもいけないというぐあいでございます。

 そこで、本件のようなケースにおきまして、特に本件の場合には、周波数が逼迫している電波事情に速やかに対応する必要性があるということ、それからまたデジタルへの移行の現実的な可能性というようなことも考慮しまして、また、この種のケースでは、過去におきましても十年といったような目標期限を定めていることが多いというようなことを踏まえまして、電波法の十年を超えない範囲内でという規定を受けて、二〇一一年七月二十四日、すなわち平成二十三年の七月二十四日という期限が設定されたものと承知しております。

塩川委員 総務省よりも、地上デジタル放送推進協会のホームページの方が正直に書いてありまして、一緒に広告を出しているわけですけれども、QアンドAが載っているんですよ。この広告を見た人から質問が出る。何で打ち切るんですかということについて、要するに、アナログ放送の周波数の使用を十年以内に停止するというのは、電波利用料をアナ・アナ変換のために充てるということが要件の一つになっているからなんですよというふうに書いてあるわけですよ。ですから、電波利用料をアナ・アナ変換の費用に充てる、その期限として十年が適当だということがそもそもきっかけの一つになっているわけです。

 そういう点では、アナログ放送を停止して電波の節約をして、そこに新たに新規の事業者を入れるようにするという理屈でのアナ・アナ変換であって、そのために十年という期間を設定して、逆算で今その作業をしているという格好になってきているわけです。ですから、デジタル放送の移行に何年必要かという理屈から入っているんじゃなくて、国費を投入して、電波利用料を投入してやるんだから、その成果を十年以内に上げることが適当だというのが、そもそもの考え方であるわけです。

 これで本当にうまくいくのかなというのがそもそもあったわけですけれども、今、十年のうち四年がたちました。そういう中で疑問の声が出てきているわけであります。アナログ放送が停止される以上デジタル放送が始まらなければいけないわけで、どんなに遅くとも二〇一一年の七月二十四日に、現行のアナログ放送と同じ範囲でデジタル放送の電波が届いていなければいけない。これが本当に可能なのか、この点についての国の説明責任が求められている。

 その点で御紹介したいのが、全都道府県のうち三十二道府県が参加をしている地上デジタル放送普及対策検討会というのがあります。ここが、ことしの六月十四日に「地上デジタル放送の活用と普及に向けた提言」というのを取りまとめております。ですから、過疎地を含むようなうちの道府県で本当に一〇〇%デジタルが可能なのかという声が上がっているわけですね。

 そこで、書かれている提言の中には大変きつい文言も入っております。放送エリア拡大の道筋は不透明だ、ローカル局においては、中継局の整備が十分に進まず、新たな難視聴地域の発生も懸念される、二〇一一年の完全移行時まであとわずか六年、住民の福祉を預かる地方自治体として強い危機感を持っている、このように、現行アナログ放送と同じエリアをデジタル放送でもカバーできるように、放送事業者に対する国の指導を強く求めているわけです。

 この指摘に対して、特に過疎地を含めてすべてエリアをカバーするんだということを強く求める要望に対して、総務省としてはどう対応されるのか、この点をぜひともお聞きしたいと思っております。

麻生国務大臣 三十二道府県から出ました提言の中に、いわゆる強い危機感というお話が今塩川先生からあっておりましたけれども、そのとおり出されております。

 現実問題として、今、デジタル放送受信可能は、全国で世帯数で割りますと、今年が約五〇%、来年度中に多分八〇%ということにほぼ達成されると思われます。問題は、塩川先生、それから先でして、山間、僻地、離村、いろいろな表現がありますけれども、そういったところに一〇〇%行くようにするということについては、ここのところが、地方自治体を預かる首長さんとしては、そこにいる方の方がしんどいということになっているんだろうと想像されます。

 第二次答申があした出てくると聞いておりますけれども、この答申を踏まえて、私どもとしては、二〇一一年ととにかく法律で決められている以上、これはあらゆる手段を使ってやらないかぬということを思っているんです。

 いわゆるこのもの以外に、この間も首長さん方とお話ししていたんですが、あらゆるものとは何だという話をその町長さん方から伺ったんですが、今でいきますと、いわゆる光ファイバーとか衛星放送とかいろいろな形で、伝送手段というものにつきましては、今から六年ありますので、さらにいろいろなものが出てくるんだろうとは思います。

 私どもとしては、これにかわる代替手段、いわゆる伝送可能な代替手段というものにつきましては、いろいろなことを検討して、これは視聴者側としては選択肢としてもちろんのことですけれども、現実問題として、二〇一一年度にはきちんと全家庭で見えるようにつくり上げないかぬというのが私どもの使命だと思って、きちんとその方向で、いろいろなことを考えながらも対応していかねばならぬと思っております。

塩川委員 代替手段の問題はまたちょっと後でお聞きしますけれども、そもそも、今回の提言の中でも、放送事業者が早期に現行アナログ放送のエリアをカバーするデジタル放送での整備計画、デジタルで一〇〇%カバーしますよという整備計画を作成し、公表するように強く指導してほしいと求めているんですね。

 そうすると、デジタルで一〇〇%カバーしますよという放送事業者の計画というのは、総務省としていつまでに出させるつもりでおられるんですか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 いつからデジタルが見られるかということは、昨年ロードマップをつくったわけですけれども、では、末端の方までどういう順番を追って、いつごろできるようになるのかということにつきましては、今、放送事業者の方に鋭意督励して、スケジュールを立てるようにということを申し上げております。現地の総合通信局を通じても、相談にも乗りつつ、また叱咤しておる段階でございます。

 目標としては、年内ぐらいには、そういったような段取りといいますか、どこまで、いつごろ、どういう格好でつくっていくというようなことを立てていただきたいというような形で今話しておるところでございます。

塩川委員 年内にはそういう計画が放送事業者から出てくる予定だ、そのために総務省として鋭意努力をするというお話だと思うんです。それが本当に一〇〇%カバーする精緻なものになるかどうかというのは、これは出てこないと私もわかりませんから、そういう取り組みがあるということで、それは、道府県の皆さんにとってみても、今後の準備の上での土台となってくるものだと思っています。

 あわせて、この提言の中で、中継局のカバーエリアが縮小する計画を示した放送事業者に対してということで、つまり、今よりも、アナログの範囲よりも狭い範囲でデジタルをやるという計画を示した放送事業者に対してはきちんと説明責任を果たさせろということも国に対して求めているんですけれども、この提言で言っている中継局のカバーエリアが縮小する計画を示した放送事業者、これはあれですかね、国としては、中継局によるエリアのカバーを基本としているんじゃないでしょうか。その点を確認したいのと、こういう事業者が出てくるというのは想定され得るということもあわせて考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 現在アナログ放送が見える地域で、それが終わって何も見えなくなるというようなことが起こってはならないというぐあいに考えておるわけでございます。したがいまして、現在の地上波アナログ放送をしているところは、自己の責任でもって原則としてそういう地域でデジタルが見られるようにするということが基本であるということは当然でございます。

 そのために現実の可能ないろいろなスケジュールを今検討してもらっているということでございますけれども、御承知のように、末端に行けば行くほどいろいろな地域的な事情でありますとかさまざまな事情があるわけでございます。それは、納得いくものであるか、説得力のあるものであるかどうかということは、今後さらに、暮れに向けてと先ほど申し上げましたけれども、いろいろ事情を聞いていく必要があろうと思います。

 仮に、その場合に、津々浦々、末端までなかなか大変ですというような事情があって、しかし一方で二〇一一年という期限を我々は厳守したいということがございますから、そのために、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、そのときになって慌てては困るわけでございますから、代替手段としてはどういうものが技術的に可能であるか、また制度的にはどういうことを整えておかなければいけないか、また必要であれば実証試験もやってみなきゃいけないといったようなことで、今あらゆる知恵を絞って対応策を考えているわけでございます。

 しかしながら、繰り返しますけれども、今見られるところで見えなくなるというようなことがあってはならないわけでございますから、そのための対応措置としては、原則としては事業者の方々にいろいろ考えていただくということでございます。

塩川委員 代替手段ということは今までおっしゃっておられなかったわけで、基本は中継局により全エリアをカバーするということで進めてきたわけですね。そういう意味でも、今までの二〇一一年に向けた計画というのがそういう形でいわばほころびが出ているというのが現状だというふうに思うんです。そういう意味でも、中継局によるエリアカバーと言いながら代替手段を言っていること自身に、私自身は、もうこれまでの計画の破綻があらわになっているということを率直に指摘したいと思います。

 もともと、自治体の皆さんが近しい放送事業者の方と話をすると、これは無理そうだなということもあるからこういった提言になってくるわけで、地方の放送事業者の実情に近しい道府県の提言は非常にリアリティーがあるものだ。そういう点でも、こういうのを踏まえた対応というのをぜひともお願いしたいと思っております。

 最後に、視聴者の立場で見るとどうなのかということですが、先ほど紹介した新聞広告にもありますけれども、買いかえしてくださいということを基本は求めているわけですね。その文言が一番小さいわけですよ。実際買いかえが必要なテレビが何台かといえば、現状、デジタルテレビの普及は五百万台ぐらい、そうなると、一億台ぐらいの買いかえが必要になってくるわけです。

 ですから、アナログテレビをこれからも販売をしていくわけですね。例えば昨年一年間をとっても、デジタルテレビの普及よりもアナログテレビの販売台数の方が多いわけです。そうすると、今買った人は六年間しか見られないわけですよ。こういうことが本当に続いていいのか。平均使用年数が今十一年ぐらいですから、そういう意味では、使えるものを使えなくしてしまうということについて、これはやはり納得のいく説明というのが必要なんじゃないでしょうか。

 その点についてどういうふうに考えていくのか、お聞きしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、アナログのテレビのまま、そのまま単体でありますとデジタルに移行してデジタル放送が見られないということになるわけでございますけれども、他方で、そういうテレビでございましても、チューナーを取りつけるとかアタッチメントの方式でデジタル放送が見られるということ、そういうことも可能でございます。現にCATVの方でも例えばSTBをつけてやっているとかということもございますし、いずれにしても、全くごみくずになるとかそういう話ではございませんので、チューナーとかそういうものを取りつけることで可能である。

 したがって、私どもとしては、販売店等にもそのあたりをよく御説明していただくようにということもお願いしておりますし、いろいろと行き違いがないようにということは、今後も私ども各方面にお願いしていく必要があるというぐあいに考えております。

塩川委員 チューナーをつけるにしろ、新たな負担が生じるのは明らかなわけで、使えるものが使えなくなるという点では、基本は変わらないわけであります。

 買いかえサイクルとは無関係にこういった強制的にテレビの買いかえを求めるという点でも、国民に対する説明責任を果たしているとは私は思えない。そういう点でも、合理的な計画をつくり直すときじゃないか、このことを指摘して、質問を終わります。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 電波利用料の使途について、全般的な御意見は出されましたが、私は、ちょっと個別的な問題を一、二お尋ねしたいと思うんです。小さな問題かもしれませんが、大変重要な問題という認識をいたしておりますので、お尋ねしたいと思います。

 昨年の百五十九回通常国会で、この改正案の審議のときにも私実はお尋ねしたんですが、いわゆる大都会におけるビルの地下街の問題ですね。ここでは非常に携帯が使用しにくい、通話がしにくい。そのために、地下街の皆様方、商店街の皆様方は、違法だと知っていながらも、やはり中継装置を設置してお客様の利便を図った。しかし、この結果、大変な混信、電波障害等が発生して、大きな問題となったんですね。そのときに私、総務省に、何としても事業者に共同でこういった問題を解消できるような中継装置の開発に努力するようお願いをしたわけでございます。

 その結果、先月、つまり六月二十二日に、携帯電話四社、つまりNTTドコモ、ボーダフォン、KDDI、ツーカーグループ、この四社が共同で利用できる中継装置を開発したと発表しました。私は、これはすごい歓迎すべきことであり、前進であると思うんですね。なぜならば、この四社はふだんならばライバル関係、競争関係にあるわけですね。その四社が共同でこういった問題に対処するために中継装置を開発した。これは総務省のいわゆるそういった事業者に対する努力をお願いした結果でもあろうと私は思っているんです。

 そこで、ちょっとお尋ねしたいんですが、トンネルあるいは地下街のような公共的な広いエリア、ここにおいては、中継装置を整備する場合には、整備費用の一部を電波利用料から補助金として交付してきております、電波遮へい対策として。であるならば、今回も、このような中継装置が開発されたならば、それを設置する場合、やはり同じような電波遮へい対策という意味合いからも、電波利用料から補助を交付することは可能なのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。

有冨政府参考人 今先生のお尋ねに係る共同の携帯電話中継装置でございますが、今先生言われたように、電波の弱い地下飲食店などにおける不法な携帯電話中継装置、これが混信等の問題を起こすということで、私どもも事業者にもお願いをしたり、事業者もみずからの問題意識を持って、今先生御指摘のような施策に取り組んだということでございます。

 ただ、これはあくまでも個々の飲食店ということなものでございますから、いわゆる今まで我々が取り組んでおります電波遮へい対策事業といいますものは、道路とかトンネルあるいは地下鉄、こういう非常に広い場所を中心に国は支援しているところでございます。

 この共同の中継装置そのものは、各飲食店がみずからのところに置くというのが基本になっておりますので、現時点においては、公共性云々というような判断からしますと、電波利用料を利用して国が補助するというのは難しいんじゃないかというふうに思っております。

横光委員 確かにこういった対策は、一に事業者が中心であろうということはよくわかるんです。しかし、これまで旧郵政省は携帯電話の不感対策には電波利用料を充てることには否定的だった、これまでは否定的だった。ところが、今回の改正案ではどうですか。やはり不感対策として電波利用料の一部を利用することができる、一般財源措置に加えて、今回そういった新たに利用料を使うということができるようになったわけでしょう。

 そういったことからしても、やはりこういった、違法を撤去し、適法を設置して、しかも電波環境をよりよく整備するという、ある意味では、無線局免許人全体の利益、いわゆるこの電波利用料制度の趣旨に十分かなうんじゃないんですか。私は、そういった意味からも、これはやはり検討の課題に値すると思っておりますので、郵政省はこれまで、使わないよ、こういうふうなものは対象にできないよと言ったのが、今回の改正案では対象になっておるんですから、どうか検討の対象にしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思っております。

 次に、もう一問お尋ねしたいんですが、一昨日の夜、アメリカのスペースシャトル・ディスカバリーが無事打ち上がりました、成功いたしました。このディスカバリーには日本人宇宙飛行士の野口聡一さんが搭乗しているわけでございます。この野口さんが所属しているのが宇宙航空研究開発機構、いわゆる独立行政法人、この機構に所属しているわけですね。この法人は電波利用料は免除されているんでしょうか、いかがですか。

有冨政府参考人 独立行政法人に対する電波利用料の問題につきましては、電波法の第百四条に基づきまして、免除の対象となる独立行政法人というものは政令で指定するということになっておりまして、現時点で独立行政法人宇宙航空研究開発機構というのは政令に含まれておりません。

 これは、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所及び宇宙開発事業団の三機関が統合して新たに発足した組織であるということでございまして、そのために、その一部、宇宙科学研究所であるとかあるいは航空宇宙技術研究所についてはこれまで電波利用料が免除になっておりましたので、統合以前に免許申請した局につきましては免除をするというような経過措置はとっております。ただ、再免許をしたときにはこれは適用されないという形になります。

横光委員 この機構は、いわゆる電波を有効利用して、そして宇宙科学技術等の水準の向上、さらには宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的として、非常にすぐれた法人であるわけでございます。非常に電波を中心に利用する独立行政法人である。

 では、この開発機構にはいわゆる無線局はどれぐらいあるんですか。

有冨政府参考人 この独立行政法人宇宙航空研究開発機構所属の無線局数というのは約二百五十局となっておりまして、簡易無線局が約七十、携帯局が約六十、実験局が約五十というふうになっております。

横光委員 この二百五十局は、今回の改正によって利用料の負担は相当増大するんですか、それとも現状と変わらないんですか、いかがですか。

有冨政府参考人 今申し上げました機構が開設する無線局につきましては、大半が少額の料額ということになっておりまして、今回の料額改定によって大幅に増額となることはないというふうに承知をしております。

横光委員 いわば宇宙開発というのは、日本の場合、どちらかというとおくれていた分野である。そこで、いろいろな形で公益上サポートをしていく必要がある、そういった機構であるわけでございます。実験局ということで対象になっておるのではなかろうかと思いますが、そういった意味では、負担はそんなに大きくはない、今度の改正でも負担増にはつながらないということでございました。安心したわけでございます。

 人工衛星局は、現在でも、一局当たり年間一万五百円ぐらいが普通である。それが今回の改正によっては、場合によっては一千万あるいは二千万と上がるところもあるということを聞いておりましたので、そういう対象にはなっていないということで安心したわけでございます。

 質問を終わります。ありがとうございました。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、佐藤勉君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松崎公昭君。

松崎(公)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 今回の電波利用料制度の見直しが電波の有効利用に十分資するものであったかを検証し、すみやかに明らかにすること。

 二 今回の改正では、大幅な電波利用料額の見直しが行われた一方で、電波利用料の使途も拡大されていることから、その使途の透明性を確保し、併せて受益と負担の関係の明確化に努めること。

 三 今回の改正では、多くの無線局において電波利用料額が引き上げられていることから、電波利用料負担者の理解が十分得られるようその算定根拠の周知に努めること。

 四 電波利用料が免除されている国等の無線局の今後の取扱いについては、可及的速やかに結論を得るとともに、国等が使用する電波の一層の有効利用に努めること。

 五 情報家電に代表される免許等が不要な小電力無線局は、今後飛躍的に成長が認められる分野であることから、電波利用料を新たに課すことに関しては、慎重に検討を進めること。

 六 携帯電話の加入者は八千五百万を超え、国民生活に欠かせないものとなっていることから、一般財源及び電波利用料財源を活用して、早期に携帯電話の不感地域の解消に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

実川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

実川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十二分散会


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