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第1号 平成18年1月27日(金曜日)

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本国会召集日(平成十八年一月二十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      やまぎわ大志郎君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      谷口 隆義君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

平成十八年一月二十七日(金曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 葉梨 康弘君

   理事 萩生田光一君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 後藤  斎君 理事 渡辺  周君

   理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      柚木 道義君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務副大臣        菅  義偉君

   総務副大臣        山崎  力君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松山 健士君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     寺田  学君

同日

 理事赤松正雄君平成十七年十一月二日委員辞任につき、その補欠として谷口隆義君が理事に当選した。

同日

 理事岡本芳郎君及び三ッ矢憲生君平成十七年十一月二十四日委員辞任につき、その補欠として葉梨康弘君及びやまぎわ大志郎君が理事に当選した。

同日

 理事谷本龍哉君同日理事辞任につき、その補欠として萩生田光一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十日

 独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律の廃止等に関する法律案(宮路和明君外三名提出、第百六十三回国会衆法第二号)

 戦後強制抑留者に対する特別給付金の支給に関する法律案(長妻昭君外六名提出、第百六十三回国会衆法第一八号)

 独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律を廃止する法律案(長妻昭君外六名提出、第百六十三回国会衆法第一九号)

 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十三回国会閣法第八号)

 独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十三回国会閣法第九号)

同月二十四日

 平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案(内閣提出第一号)

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、総務委員長の重責を担うことになりました中谷元でございます。

 本委員会は、行政機構、公務員制度、地方自治など国の基本的な仕組みにかかわる問題及び情報通信、郵政事業、消防など国民の社会経済を支える問題を抱え、国民生活に密着した、極めて重要な使命を果たす委員会でございます。

 今日、行政改革、地方分権の推進、通信と放送の融合、放送のデジタル化の推進など、当委員会に課せられた課題は山積しております。

 私も、その職責の重要性を認識するとともに、委員各位の御指導、御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じています。

 何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

中谷委員長 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事谷本龍哉君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

    やまぎわ大志郎君 及び 谷口 隆義君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

中谷委員長 この際、竹中総務大臣、菅総務副大臣、山崎総務副大臣、桜井総務大臣政務官、上川総務大臣政務官及び古屋総務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 総務大臣を拝命いたしました竹中平蔵でございます。

 通常国会における総務委員会のスタートに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

 総務省は、国民生活に密着した幅広い行政分野を有しております。改革なくして成長なし、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという方針のもと、引き続き構造改革を進めるべく諸課題に積極的に取り組んでまいります。

 副大臣及び大臣政務官とともに全力を尽くしてまいりますので、中谷委員長を初め理事、委員の皆様の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

中谷委員長 次に、菅総務副大臣。

菅副大臣 総務副大臣を拝命いたしました菅義偉であります。

 皆様方の格段の御協力、御指導のほどをお願い申し上げます。(拍手)

中谷委員長 次に、山崎総務副大臣。

山崎副大臣 同じく総務副大臣を拝命いたしました参議院議員の山崎力でございます。

 委員の皆様方の格段の御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

中谷委員長 次に、桜井総務大臣政務官。

桜井大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました桜井郁三でございます。

 皆様方の特段の御指導、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

中谷委員長 次に、上川総務大臣政務官。

上川大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました上川陽子でございます。

 委員各位の皆様の御交誼をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

中谷委員長 次に、古屋総務大臣政務官。

古屋大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました古屋範子でございます。

 皆様方の格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

中谷委員長 この際、御報告いたします。

 昨年十月十八日、本委員会から調査局長に命じました独立行政法人の組織等に関する予備的調査につきまして、去る十九日、その報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、内閣提出、平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

    ―――――――――――――

 平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹中国務大臣 平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 平成十七年度の補正予算により、同年度分の地方交付税の額が一兆三千五百十六億円増加することとなります。本年度においては、このうち普通交付税の調整額の復活に要する額六百九億円を交付する必要があります。また、残余の額一兆二千九百八億円を平成十八年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとする必要があります。したがって、平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律を制定することとし、所要の規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官松山健士君及び総務省自治財政局長瀧野欣彌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 竹中大臣とは、大臣が大学で教鞭をとられていた時代にも何度か、それから、私が前の仕事をしていたときにも、大臣室にお邪魔をいたしまして、日本の財政の将来についてとか地方財政についていろいろ一緒に考えていきたいななどという懇談をしたことがございました。今度また、立場を変えまして、こうやってお互い新しい立場で国民のためにいろいろな議論ができるということを大変うれしく思っているところであります。今後ともよろしくお願いいたします。

 さて、そこで、大臣に何点かきょうお伺いしたいことがあるわけですが、短い時間でございますので、まず大臣の基本姿勢についてお伺いをしたいと思っております。

 昨年末、大臣が御就任いたしましたとき、実は、全国の自治体から私のところへ随分といろいろなメールやら電話やらお話がございました。それは、竹中さんが総務大臣になるんだけれども、これから日本の自治体の将来、大丈夫かなということでありました。どうもこれは、自治体にとってはどちらかというと相反する立場の方が大臣になられたのではないかということで、多くの警戒論というものが寄せられたわけであります。

 実は、私の手元に、私の地元にございます北海道新聞という新聞のコピーがここにあるんですが、これは北海道新聞の十一月五日の記事でございます。これの見出しを読みますと、「竹中警戒論」と書いてあるんですね。本文を読みますと、さきの内閣改造で総務大臣に就任した竹中平蔵氏に対する警戒感が広がっている、こんな書き方がされているわけで、この警戒感を広げているのは自治体だという記事なわけであります。

 まず、大臣、第一点、なぜこんな自治体から、大臣にせっかく就任されたのに警戒感が広がるんだと。この辺についての御感想、お考え、ちょっとお聞かせいただければと思います。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

竹中国務大臣 竹中警戒論があるという御指摘でございます。確かに、そういう声、承知はしております。

 一方で、手前みそというおしかりを受けるかもしれませんが、いい人になっていただいた、頑張ってくれという声も、警戒論ほど多くはないかもしれませんが、私もいただいているところでございます。

 警戒するしないという問題ではなくて、私は、国と地方のあり方、この極めて重要な問題についてぜひ真摯に取り組んでいきたいと思っております。そのことの根本論をぜひ議論させていただきたい、その思いでおります。

 根本的な議論をするということに関しましては、これは、銀行の不良債権のときにも、やはり当初、銀行の方々、いろいろ竹中警戒心というものがあったのかもしれません。しかし、銀行についても、そういうことについて、それは誤解である、本当に銀行のあり方を考えていこうということについて御理解いただけたのではないかと思っております。郵政についても同じような問題があったのかもしれません。

 何分にも、やはり自分が考えている以上に私の一言一言が地方に対していろいろな影響を与える、ここは身を引き締めて私自身対応しなければいけないと思っております。

 警戒論のうちの最大のものは、地方交付税を削るのではないだろうかということであろうかと私は思います。

 ただ、これはぜひ経済財政諮問会議での議論等々も御検証いただきたいんですが、私は、国も地方も歳出をできるだけ削減してスリム化しなければいけない、しかし、地方交付税をねらい撃ちにするようにしてこれを削減するという議論は根本的に間違っているというふうにかねて主張をしております。

 それは、地方交付税というのは、つまりは中間的な支出でございます。最終的な支出、例えば国の社会保障費等々と同じに考えていること自体がやはり、言葉をあえて選ばずに申し上げれば、中央の金庫番的な議論なのであって、それは絶対にだめだ、それは絶対に違うだろうということを常に申し上げているつもりでございます。

 私自身、地方で生まれ育った人間としまして、地方がよくならない限りこの国はよくならない、そのような思いで真摯に対応していく決意でございます。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

逢坂委員 竹中警戒論というのは、確かに、大臣お話しのとおり、交付税という問題もあろうかと思います。

 ただ、私はそれ以前に、もしかすると、税でありますとか行政の仕事に対する基本姿勢の部分で、全国の自治体の皆さんからするとなかなか御理解いただけない部分があるのではないか。そういった底流に流れるところに何か警戒論があるのかなというふうに思っているんです。

 大変失礼ながら、大臣、税、税金というものと一般の通貨、我々が通常お店へ行って物を買うときに使うお金と税金との違いというものについてどのように認識されていますでしょうか。

 一般の通貨というものは、私がどこかデパートへ行って物を買うときに千円なり五千円なり払う、それと税金の違い、ここの辺についてどのように認識されているか、もし御見解がございましたら、お教えいただきたいんです。

竹中国務大臣 お尋ねは通貨と税ということでございますが、今ちょっとお話を伺っていますと、何か、物を買う対価としてのものと国、地方に払う税との違い、そのようなことであろうかと思います。

 言うまでもなく、税というのは、一定の権力に基づいて、国家権力等々に基づいて、課税権に基づいて徴収するものでございますから、その対価を求めて、自己が、個人が自由に選択するというものとは根本的に違うメカニズムのものでございます。

 税の役割というのは、いろいろなものがあるというふうに思いますけれども、一定の求められる公的なサービス、その公的なサービスの財源を調達する、そういう機能が間違いなくあろうかと思います。

 同時に、税というのは、もっと進んで、我々の住む高度な社会では所得の再配分という重要な機能を担っているというふうに思います。この再配分の機能をめぐっては、いろいろな形での、大きな政府か小さな政府かという国のあり方そのものに関する議論にも発展していくということになろうかと私は思います。

 もう一つつけ足すとすれば、税というのは、実は、景気を安定させる、よく言われる自動安定効果、ビルトインスタビライザーとしての機能もあるだろうということであろうかと思います。

 いずれにしても、個人が自分の満足を最大化するために価格と質を考慮して対価を支払うというものと、一定のコンセンサスのもとで求められる一定の公的なサービスを賄うために権力のもとで徴収される税、そこはやはり根本的に違う役割を担っている。税に関しては、加えて所得再配分、ビルトインスタビライザーの機能があるというふうに理解をしております。

逢坂委員 税に対するお考えをお話しいただきましたけれども、通常の、我々が日常使うお金というのは、例えば、大臣はコンビニエンスストアに行くかどうかわかりませんけれども、コンビニで五百円の買い物をする、私が千円札を出す、当然五百円のお釣りが戻ってくる、これが通常のお金ですね。コンビニで千円分しか買い物をしなかった、だけれども、実際私は千円しか払っていないのに二千円分の商品が来たら、それはおかしいですよというふうにコンビニの人に言うのが、これは当たり前の、お金の日常の感覚であります。

 ところが、税金はそうではないということでありますね。仮に、私が五万円税をどこかに納めているとしても、直接的なサービスは五万円来ないというのが税の仕組みですね。あるいは、全く税を納めていなくても直接的なサービスが三十万、四十万来るというのが税の基本的な仕組みであって、これを税の非報償性などという言い方を、税の教科書の前の方には書いてあるかというふうに思います。

 とすれば、大臣、市場原理と税というのは全く違うんだというふうに思うんですが、このあたりについてどうでしょうか、市場原理と税との関係については。

竹中国務大臣 今の委員のお話で改めて委員の問題意識を私なりに理解したつもりでございます。

 要は、私たちの社会というのはいろいろな財・サービスで成り立っている。財・サービスを私たちが享受することによって生活していけるわけでございます。その財・サービスの中には、やはり私的な財と公的な財がある、これが根本的に違うということだと思います。私も全くそのように思います。

 私的な財というのは、これもいろいろなレベルがあると思いますが、一般的には市場を通して配分する。高いものは買わない、できるだけ安いものを買う。その意味で、私的な財というのは市場を通してやるのが一番よいのであろう。

 しかし、市場では配分されない公的な財というのが間違いなくあるということだと思います。例えば離島ないしは私の生まれた和歌山の山の奥のような、そういうところについては、私的なメカニズムだけでは物は行き渡らないから公的なものが要る。それは決して市場に任せられるものではなくて公的な介入が必要になってくる。その公的なサービスの財源を確保するものとしての税があるということだと思います。

 ただし、公的なものに関しましては、それをすべて税で賄わなければいけないかどうかについては、これは必ずしもそうではないだろうというのが昨今の流れかもしれません。そうした点も含めて考えていかなければいけないと思っております。

逢坂委員 大臣のお話、全く同感であります。

 だとするならば、先ほどの私の、自治体の皆さんの警戒論というあたりなんですが、多分、これは誤解もあるのかもしれないんですが、全国の自治体の皆さんが、もしかすると、竹中大臣が就任されたら、自治体行政のありとあらゆる面に市場原理が投入されて、税が実現すべき目的、価値、そこまで何か市場原理によって左右されるのではないか、そんな警戒感があるのではないか。

 要するに、税が実現すべき価値、それをどうやって実現するか、手段については最大の効率性というものを使うことは重要だとは私は思いますけれども、税が担うべき、実現すべき価値の部分までその市場原理にゆだねられるということについていろいろなおそれがあるのかなというふうに思っております。

 この点については、きょうは初回でございますので、後ほどゆっくりと別の場面でまた議論したいと思います。

 さて、そこで、きょうの二つ目でございますけれども、大臣は、私的な懇談会として、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会というのを設立されましたけれども、これの設立目的をお知らせください。

竹中国務大臣 委員から今御紹介いただきましたように、私のもとに地方分権二十一世紀ビジョン懇談会を設けました。大体半年ぐらいでこの大きな問題についての何らかの方向を示していただきたいということを座長の大田弘子氏に申し上げているところでございます。

 そのねらいでありますが、これは、この三年間、随分、先生方にもいろいろ御議論をいただき、また御協力もいただいた三位一体の改革。地方にできるだけ自由度と責任を持ってもらう、地方でできることは地方で、それが地方分権の基本的な考え方である。そのために、まず補助金を削減する、そしてそれを税源移譲する、それで、税源移譲する以上は、課税客体があるところ、ないところのいろいろな問題があるから、交付税の改革も行っていく、同時に、できるだけやはりスリム化も行う、そのような改革を行ったところでございます。いろいろな御評価はあろうかと思いますが、何とか三兆円規模の税源移譲ができたということは一つの大きな成果であるというふうに思っております。

 その上で、しかし、本当にこれで地方の自由度が十分に増したのかということに関しては、これはやはりまだまだそんなところまではいっていない、地方の自由度をもっともっと増さなきゃいけないということだと思っております。そして、自由度とともに必ずやはり責任の問題がついてくるわけでありますから、自由度を増すということと責任を担うということは、コインの両面のようにしっかりとやはり両立させていかなければいけないのだろうというふうに思っております。

 そうした意味からいいますと、これは私の見方でございますけれども、今拝見していると、やはり国の仕事に携わっている方は、いや、地方はまだまだ無駄がある、地方はいっぱい無駄をしているんじゃないかというような思いが、正直言って多くの方々にあるように思います。しかし、地方から見ると、何を言っているんだ、国は規格を全部自分で決めて、そして地方にいろいろなものを押しつけてくる、自分たちの自由度が余りにないではないか、そのような思いがある。実は、二年前でございましたか、あの地方交付税の決定に当たって、そうした一種の不満が大変高じた時期があったと思います。そうしたことも含めて、この十八年度まではしっかりと交付税の確保をするんだというような合意も改めてしたわけでございますけれども、私は、国と地方の間にそのような不信感があるとすれば、それはゆゆしき問題だと思います。

 そうした点も含めて、私のもとでこの懇談会を開いて、地方の自由度を議論しよう、しかし自由度とともに責任を議論しようと。そして、六団体の方々にも呼びかけまして、六団体でも同じ議論をしていただきたいと。そして、必要に応じてその意見を交換することによって、そもそも三位一体は一つのステップであるけれども、そのステップ、次をどうするかということも含めて根本的な議論をさせていただきたいというふうに申し上げたわけでございます。

 この自由度の中には、例えばですけれども、これは今後議論していただくことでございますけれども、国が法律を決める、ある程度地方で条例等々でそれを上書きするようなことは可能なのかどうか、そういうことも議論していただきたいと思いますし、その地方の課税自主権の問題、地方債の発行の自由度の問題、そういうことも大いに議論していただきたい。

 一方で、これも委員から御質問が出るかもしれませんけれども、それでも地方の経営が行き詰まった場合の再建型の破綻制度というか倒産制度とか、そういうことの法制度もやはりこの際やるべきではないのか、そういうことも議論してくれということで、今お願いをしているところでございます。

逢坂委員 とすれば、巷間言われている、この私的な懇談会というのは何か交付税の削減のための懇談会じゃないかというふうに言われているんだけれども、それは大臣は違うということに私は理解をいたしました。

 しかしながら、この懇談会設置を表明した十二月九日の大臣記者会見では、交付税の適切な削減が必要だと大臣が発言されているというような報道で、これは、我々自治体関係者、我々じゃないですね、私は元自治体関係者として非常に驚きまして、歴代の総務大臣でもしかすると交付税の削減をあそこまで明確に言った方は初めてかもしれないということで、戦々恐々としたわけでありますけれども、それは違うというような理解で先ほどの話を承りました。

 しかし、だけれども今の日本の財政を思うと交付税は削減しなければいけないというような、そういう基調もあるんだというような雰囲気のお話を先ほどされたんですが、昨年の十月六日のこの総務委員会の場で、前任の麻生大臣がこんなことをおっしゃっているんですね。交付税は足りないという認識を基本的にされておりまして、十一・七兆円足りないとか云々かんぬんというような話をされていて、その内容として、当時の麻生大臣は二つの点を指摘されました。一つは、国で出した景気対策に強引につき合わされた結果のツケが今自治体に回っているんだと。それからもう一つが、かなり景気が悪いために地方税の税収の絶対量が下がっているんだと。だから、そんな観点から見て交付税は足らないんだというような話を当時の麻生大臣はされていたわけであります。

 前任の大臣は交付税足りないぞと言っている、でも、竹中大臣になると交付税の削減というものをある種基調に置いているというようなことなんですけれども、このあたりの整合性は今後どうとるおつもりでしょうか。

竹中国務大臣 交付税が多いか少ないか、交付税を削るかどうかというのは、先ほども言いましたように、中央の金庫を預かる方々の視点で私は余りになされていると思います。先ほども言いましたように、交付税というのは中間の支出でありますから、これを最終支出と比べて多い、少ないということを論ずること自体が私は間違っていると思います。

 これは仮の議論ですよ。ちょっとこういう極端な議論を言うと誤解されるといけませんけれども、交付税をもしゼロにしろというんだったら、ゼロにできますよね。同額全部税源移譲してくれればいいんです。そうしたらゼロになります。そういうことを一つとっても、やはりこれは、税の仕組みとか国と地方全体の歳出とか、そのそもそも論を議論しないとこの先には行けないのではないかというふうに私は思うわけです。その意味での抜本的な議論をぜひさせていただきたいと思うし、この委員会でもさまざまな議論を私はしていただきたいと思います。

 そういう趣旨から申し上げているのでございまして、他のことを全部置いておいてこれだけ削るというような議論は絶対になしてはいけない、私はそのように思っております。

逢坂委員 どうもありがとうございました。

 実は私も、こういう仕事につくようになりましてから、全国の自治体からいろいろなメールなどをいただきます。きょうは、実は四国のある役場の職員からいただいたメールを若干紹介させていただきます。

 本町は、人口四千二百人余りの小規模自治体です。しかし、三位一体改革などで地方交付税は年々減少し、十八年度はピーク時より五億二千万以上の減少、減少率でマイナス二三%と見込まれています。これは、職員給全体に該当する一般財源を上回っています。現在、職員給のカット六から一〇%三年目、退職者不補充による人員削減、若年退職者もふえている、事務事業の見直し、わずかしかない基金の取り崩しなど、いつまでもつか、いや一、二年しかもたないといった状況です。

 こんなメールが寄せられておりまして、さらにこれは続きます。

 このような状況の中で心配するのは、職員の仕事に対するモチベーションです。職員給のカットや人員削減、事務事業の見直しなど、何とか頑張って住民自治を進めようと年々取り組んでいても、その翌年には、その努力を上回る大幅な地方交付税のカット。自分たちの努力は何だったんだろうという無力感、出口の見えない地方財政の悪化。地方分権というよりは、国のさじかげんに翻弄されているといった感じです。

 これは四国の実際にいらっしゃるある役場の職員からいただいたメールですが、こういう実態もあるということを頭に置きながら、すなわち、一生懸命地域は頑張っている、だけれどもその頑張りを超えるようなものが年々歳々直前になってから打ち出される、これでは夢も希望もないではないかというようなことでありますので、ぜひ、愛のある我が民主党でございますので、愛のある対応を大臣にはよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは一回目でございまして、もう時間もございませんので、あと最後に一つだけお聞きをして終わりたいと思います。

 今回、アスベスト対策の関係で地財法を一部改正して、アスベストの除去に対する費用、これを適債事業、起債を該当させるというような改正案が盛り込まれているわけでありますけれども、そういう観点から考えますと、今、全国に未解体のダイオキシン関係の焼却炉というのが約六百ぐらいあるそうでありますが、これが、各自治体お金がなくて全く解体できずにいるわけですが、アスベストに対してそういう対策をするのであるならば、ダイオキシン関係焼却炉、休止の焼却炉ですね、この解体費用を適債事業にできないだろうかという点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

竹中国務大臣 先ほどから、前半に公的な役割がございましたが、その公的な役割をどこまで今認めたらよいのかという点に関連するものであろうかと思います。

 ダイオキシン類の排出規制が強化されたこと等によって、一般廃棄物処理施設の集約化、大規模化が進んだ、その結果として、今御指摘があったように、廃止された施設が未解体のまま多数存在している。特に地元の北海道ではそのような数が大変多いということも聞いております。

 この点について、環境省では、これらの施設につきまして、循環型社会形成推進交付金でありますとか特別交付税措置を活用して解体を促進するよう指導しているというふうに聞いております。総務省としては、その所管であります環境省の動向を我々としては当面見守りたいというふうに思います。

 その際、従来から、施設を解体撤去して建てかえを行ったり、跡地を公園等の公共施設として活用するような場合には、建設事業と一体としまして、解体撤去の費用についても地方債の対象になる、これはもう委員よく御存じだと思います。こうした場合の地方債の活用等々も含めて、ぜひお考えをいただきたいというふうに考えているところでございます。(逢坂委員「単独のもののことを聞いているんです、一体じゃなくて。建設と一体じゃないもののことを聞いているんですよ。適債事業じゃないものを適債にしてくれと言っているんですよ」と呼ぶ)趣旨は理解をしております。

 先ほど申し上げましたように、環境省におきまして今そういうこともいろいろ考えているところでございますので、そういう動向を見きわめながら、我々も適切に判断をしていきたいと思います。

逢坂委員 わかりました。どうもありがとうございます。

中谷委員長 委員は、挙手をしてから発言してください。

逢坂委員 はい。恐縮です。

中谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 竹中大臣には、私、栃木県時代、よくも悪くもお世話になりました。特に、足銀問題では、お世話になったというか、ひどい対応をしていただいたというか、非常に感謝をしているところでございます。きっと、私がこの国会で竹中大臣に質問する機会を得られたのは、栃木県民が、ぜひ竹中と対決してこい、そういうことで送っていただいたのかなということで、私も感謝をいたしているところでございます。

 しかし、本日は、足銀問題じゃなくて、竹中大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、私、最初に、小泉構造改革は国民を本当に幸せにするのかどうかという観点から、非常に疑わしい、そういう観点から、幾つか御質問をさせていただきます。

 竹中大臣は、小泉総理の実質的な、どちらかというと、懐刀といいますか、知恵袋でございます。そこで、竹中大臣の考える我が国の形はどういう形が望ましいか、小さな政府と言っておりますが、それはどんな形が望ましいのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 改めまして、福田委員には、本当に足銀等々のことで御尽力を賜りまして、感謝をしております。

 望ましい国というのを、国会の答弁で、限られた時間で言うのはなかなかちょっと難しいなと思いますので、一つのイメージとして話すことをぜひお許しいただきたいと思います。

 私は、和歌山という地方都市で生まれました。そして、普通に父親は小さな商売をしておりました。家は、正直言いまして豊かではございませんでしたが、私は子供のときから幸せだったと思っております。

 それは、親が普通に子供に対して、おまえ、小学生になったんだから一生懸命勉強しなさい、立派な大人になりなさいというふうに言われて、私もそのことを素直に聞いて、そうしなきゃいけないなと思った。学校に行ったら、学校の先生は、これは普通の公立の小学校でございますけれども、大変立派な先生で、いろいろなことを教えてくださった。そんなにおいしいものを食べたわけではないけれども、食卓を囲んで、豊かな食生活ができた。申し上げたいのは、そこにはやはりそういうコミュニティーと家庭という基盤、そういうものがあったということでございます。

 しかし同時に、そのとき思いましたのは、父親はこんなに一生懸命働いているのに、どうしてもっと豊かになれないんだろうという思いがございました。それが私が経済学を勉強したいと思った一つの理由でございますけれども。

 昨日から、小泉総理が、夢と勇気とサムマネーというお話をされました。夢を持てて、そしていろいろなものに挑戦しようという勇気が持てて、そういう姿勢がある、それはやはり家庭とかコミュニティーだと思うんです。そしてサムマネーがあれば。つまり、経済、生きていくための基盤、これはやはり重要でございます。そういうものがバランスよくそろっている社会というのが、私は、望ましい社会、望ましい国であろうかと思います。そこで個人がおのおのの生きたいような生き方を個人の能力を最大限に発揮して実現していくことができる、そして社会が豊かになって、みずからの個人の力そのものをさらに高めていくことができる、それが私が目指したい国でございます。

福田(昭)委員 ちょっと抽象的でよくわかりませんけれども、私は、人が幸せになるということについては二つ条件があると思うんです。一つは、何といっても経済的な豊かさでございます。しかし、お金があるからだけでは幸せになれません。やはり心の豊かさ、この二つがちょうど相まって、人は幸せになれるんだと思うんですよね。

 そうした中で、どういう国がいいかということを考えると、よく言われますのが、小さな政府の代表がアメリカであります、大きな政府の代表が北欧であります。そうした国々の方々を比べたときに、どちらの国民の方が幸せに暮らしているかということをしっかり考えるべきだと思います。

 そこで次に、大変残念ながら今だんだん崩壊してきておりますけれども、私は、日本のすばらしい、文化が生み出してきた終身雇用制度なんですけれども、終身雇用制度を竹中大臣はどのように思われているか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 終身雇用の制度は、年功序列の制度と相まって、日本の産業基盤を非常に強くする重要な役割を果たしてきたと思います。

 ただし、今福田委員は日本の文化が生み出したというふうにおっしゃいましたが、私はそうは思っておりません。これは決して文化、風土が生み出したものではないと思っております。

 なぜならば、近代化が始まって、明治の時代、大正の時代、では終身雇用の制度があったか、これはございません。むしろ明治の時代には、日本の雇用者というのは非常に職場を頻繁に変えて、どうして定着しないんだというようなことが専門家の間で頻繁に議論されていたという事実がございます。これはいろいろな学説があるようでございますが、基本的には、日本の終身雇用制度が定着したのは戦後であるというふうに私は認識をしております。

 繰り返し言いますけれども、これは文化ではなくて、その当時の状況が、非常に高い潜在成長率があった。工場は、人を雇えば必ず将来大きくするという恵まれた条件があった。しかし、町にはいわゆる熟練した労働力がなかった、スキルドレーバーがいなかった。そこで、若い、可能性のある人を雇って、そして自社でトレーニングするわけです。若い人がいいから新卒を雇うんです。つまり、色のついていない人を雇って、自分の色に染めて投資する。しかし、社内で投資して、オン・ザ・ジョブ・トレーニングをやって投資するわけですから、投資して一人前になった途端に外の会社に行かれたら困るから……(福田(昭)委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)長くいればいるほど給料が高くなっていくという制度にするわけでございます。

 結論を言えということでございますから申し上げますけれども、私は、終身雇用制度というのは、そういう当時の状況下で非常に合理的な制度として存在していたと思います。それによって企業も個人も利益を受けた。しかし、残念ながら、これは経済がかなり右肩上がりでないと成り立ちませんので、そういう条件が崩れてきたというところに、ここ十数年来の日本の悩みがあるというふうに思っております。

福田(昭)委員 そのお話はそのとおりだと思いますが、問題は、終身雇用制度みたいなものが要するにすばらしい制度だというふうな基本的な考え方があれば、それこそ経営上の理由から、あるいは個人の価値観の多様化で、いろいろな雇用形態が出てきたということは私もやむを得ないことだと思っておりますが、ただ、雇用形態として一番望ましいあり方というのは、私は、終身雇用だと思うんですね。

 それはなぜかというと、やはり一番安心できる、仕事があるのが一番安心できるということだと思うんですね。実際、この終身雇用をいまだに守っているのが、日本の代表的な企業であるトヨタ自動車とかキヤノンということですよね。

 ですから、そういったことを基本に置きながらも、もちろん経済社会の変化に応じてはいろいろな雇用形態があっていいと思うんですけれども、こうしたものを守れる企業はどんどん守ってもらう、そういう日本にすべきじゃないんでしょうかね。私はそう思っております。

 それでは次に、小泉改革の結果として、所得の差、貧富の差が拡大をしている、こういう御指摘がございますが、竹中大臣はどう思われているか、お伺いをいたします。

竹中国務大臣 予算委員会の中でも、この議論、いろいろな観点でなされております。私は今そういうマクロ的なことを担当する立場にはございませんが、基本的には、いろいろな見方があるということが議論されているように思います。

 所得の格差をジニ係数ではかる場合に、ジニ係数は拡大しているのではないだろうか。いや、しかしそれは、高齢者がふえているということを考えると、それを割り引くと必ずしも見かけほどではないのではないだろうか。しかも、社会保障と税金で調整する前と後では状況が違うのではないだろうか。いろいろな議論が今、専門家の間にもなされていると思います。拡大していると言う京都大学の橘木先生のような立場と、必ずしもそうではないと言う大竹先生のような立場と、いろいろな議論があるということだと思います。

 ただ、私は、やはり拡大の圧力が高まっている、格差拡大の圧力が高まっているということは、ここは素直に認めなければいけないというふうに思っております。しかし、これは、日本だけではなくて世界じゅうでそうなっております。一九八〇年代の後半ぐらいから、世界じゅうでまさにITとかバイオ等のフロンティアが拡大していって、グローバル化が進んで、そのフロンティアに素早く対応していける人たちとそうでない人の差がどうしても高まる傾向がある。それがやはり、大変、社会の安定という観点からは注意をして取りかからなければいけないことだと思います。

 私たちは、小泉構造改革の中で、だからこそ、まず機会の平等を保とうではないか、一部の人はチャレンジできるけれども、ほかの人はチャレンジできない、これでは格差が広がる、格差が広がらないようにするためにも規制を緩和して、だれでもがチャレンジできるようにする機会の平等が必要だというふうに考えて、それを実行してまいりました。

 そして二番目は、一度格差が拡大したとしても、それが固定化しないような仕組みが必要であろうということで、再チャレンジできるような仕組みが必要だ。さまざまなその仕組みをとらせていただきました。再チャレンジする一つのやり方として、資本金の特例を設けるとかそういうこともやらせていただきました。

 そして三番目に、セーフティーネットをきちっと拡充するということだと思います。財政の制約がある中で、セーフティーネットが多ければ多いほどいいかもしれませんが、そこはやはり集中と選択で、本当に必要なところにセーフティーネットを集約していく。

 そういうようなことが、私は、構造改革として、構造改革の中にそういう格差を拡大させないような仕組みをビルトインしているつもりでやっております。

福田(昭)委員 何か世界じゅうで格差が拡大しているからそれでいいんだみたいな言い方に聞こえましたけれども、しかし、確実に、数字を見てみれば、もうはっきりしてきているんですね。それこそ京都大学の橘木先生だけじゃなくて、ほかの方々も指摘をしております。

 先ほど竹中大臣からお話が出たようなジニ係数をもって見ても、これも非常に、格差の拡大している国の中に、先進諸国、OECD諸国の中に所属をしている。それから貧困率を見ても、やはり高い方から五番目ということ。ここには、それこそ小泉構造改革が目指しておりますアメリカ型の国づくりのアメリカも入っている。アメリカ合衆国もジニ係数が高い方へ入っている、そして貧困率が高い方に入っている。ですから、GDP世界第一位と第二位の国が、どちらも実は所得の格差が開いている。そうした国を目指しているということでございまして、このことにつきましては、さらに、生活保護受給者が急拡大をしているということからもそのことが裏づけられているような気がいたしております。

 昨日の日経新聞、竹中大臣もごらんになりましたか。東京都と横浜市の事例でございましたが、「景気回復、税収増でも 所得格差拡大 都市財政を侵食 競争原理、裏で扶助費増」ということで、生活保護受給者がふえておりまして、都も横浜市も予算を組むのに四苦八苦をしている、そういう話でございました。

 しかも、チャンスの平等は確保しようという話でございますが、この影響は実は子供たちにも出ている。これは足立区の例でありますが、「公立小中学校に通う約四万七千人の児童・生徒のうち、四割強が文房具代や給食費などの援助を区から受けている。区の支援基準は他区と比べてむしろ厳しいが、保護者の所得が低下し、自前で負担できない世帯が増えている。」というような指摘もございます。

 そしてさらには、東京都と名古屋市は、これ以上の人口流入は不可能だということで緊急アピールを発表した。東京都や名古屋市に生活保護を受けるような人たちが流入してきたのではとてもとても生活保護費を負担し切れない、そういう、もう入ってこないでくれという緊急アピールをした、こういう報道もあるくらいでございます。

 まさに、ジニ係数や貧困率だけじゃなくて、生活保護受給者の面から見ても、実は格差が非常に拡大をしているということがはっきりしてきているんじゃないかなと思っております。そんなことを考えますと、小泉さんが進めているこの構造改革が日本の国民を本当に幸せにしてくれるのかどうか、非常に疑わざるを得なくなるわけでございます。

 先ほど竹中大臣からもお話がございましたが、時間の関係で、私の方からこの貧富の差の拡大の理由というのを、いろいろな学者が指摘しておりますので、その理由を幾つか申し上げます。

 竹中大臣のお話のように、高齢化の進展、これが一つですね。それから、能力・実績主義による賃金支払い制度の変化、不景気による失業者や低所得者の増加、政府の税、社会保障制度による不平等化の促進、これまで入っていますよ。政府の税、社会保障制度による不平等化の促進。そして、その背景にはアメリカ型の新自由主義への信奉がある、ここまで言われている学者もいらっしゃいます。これは私は非常にゆゆしき問題だと思っておりまして、こうしたことをしっかりと是正していくのも政治の仕事かな、このように思っています。

 だんだん持ち時間がなくなってきましたので、大きな二点目の、今度はもう一点、小泉構造改革は地方を疲弊させるだけかどうかという観点からの質問をさせていただきたいと思っています。先ほど私どもの逢坂委員の方から、これからの地方交付税改革などについて、あるいは地方分権ビジョンですか、そうしたことについては質問がありましたので、最後に一点だけ質問をさせていただきます。

 交付税改革も含めて、今後、第二期の三位一体改革を考えているのかどうか、このことについてお伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 福田委員はたくさんのことを指摘されましたので、本来でしたら一つ一つ申し述べるべきかとも思うんですが、一点だけ。

 ただ、アメリカ型を目指しているとよくおっしゃられるんですが、アメリカ型を目指しているなどと私は考えたことは一度もございません。アメリカ型というのは一体何なのかということも私にはよくわかりません。したがって、どこかにモデルがあって、それを目指しているということではなくて、これはやはり、日本にとって、民間でできることは民間でするのが必要だ、地方でできることは地方でするのが必要だ、私はそのように考えてやっているところでございます。

 小泉構造改革で格差が拡大するという話もございましたけれども、不良債権の処理をやりました。小泉構造改革の重要な一部ですけれども、不良債権処理をやらなかったら格差はもっとよくなっていたんでしょうか。私はそうは思いません。したがって、そこは一面的な議論を避けながら、現実的に私どもはぜひ議論をさせていただきたいと思っております。

 お尋ねのございました第二次の三位一体の改革でございますけれども、これは、第一次を終えた段階で、先ほど申し上げましたように、国と地方それぞれがそれぞれの立場をもう一度見詰めて、そもそも国と地方のあり方をどうするべきなのか、その際に、これは私どもの研究会の中で青森出身の山崎副大臣もおっしゃったんですけれども、地方は一体どうしたらいんだ、そういう問題意識もしっかり持ってやっていかなければいけない、私もそのとおりだと思っております。

 そういう中で、まず、ビジョン、あり方についてのそもそも論を議論させていただいて、しかし、それは十年先なのか、そのぐらいの先だと思いますから、それに向けて、では第二次としてやることはあるのかないのか、何をやるのかということを、ぜひ議論を深めて私は考えたいと思っております。

 今の延長線で、補助金削減、税源移譲、そして交付税の改革という、第一次の延長線上でこれを続けるということはなかなか私は難しいだろうというふうに思うんです。だからこそ、そのそもそも論のビジョンを考えて、だからそれに向けて何をすべきか、それを第二次と呼ぶなら第二次だと思いますが、その方向性もこの懇談会の中でぜひ明示したい。それを、先ほど言いましたように、地方の六団体の皆様方ともよく相談しながらやっていきたいと思っております。

福田(昭)委員 そろそろ時間がなくなってきましたので、ひとつ要望をさせていただきたいと思いますが、一つは、やはりこの二期計画は地方六団体が望んで既に要望してある事項でございますので、竹中大臣が承知をしていないとしたら、事務当局と二期計画まで進めて、竹中さん、ぜひ考えていただきたいと思っております。

 それで、最後に申し上げたいと思いますが、私も小泉改革がすべてだめだとは言っておりませんが、基本的に、格差の拡大というのはしっかり真剣に考えてもらわなくちゃならない問題だと思っております。それは貧富の格差の拡大もそうでありますし、また都会と地方の格差、これもどんどん私は拡大していると思っています。したがって、そうしたことについて意を用いていただいて、取り組んでいただきたいなと思っております。

 私も、実はニュージーランドの大使に四年半ぐらい前お会いしたことがありました。そのときにニュージーランドの大使にちょっと聞いてみましたが、ニュージーランドでは行財政改革がうまくいったそうですねと尋ねたところ、大使は何と言ったか。いや、そうでもないんですよ、我々の反省として、痛みを伴う人をもっと少なくできなかったか、そういう大きな反省があるんです、そういう答えをしてくれました。

 確かに、小泉さんがやろうとしている構造改革は日本にとって必要な改革かもしれません。しかし、今のところ余りうまくいっていないと私は思っております。そういった意味で、ぜひとももう一度しっかりと原点に返って改革を進めていただければありがたいと思っております。そうでないと、きっと小泉総理も竹中大臣も、そう対応していただきたいと思っておりますが、小泉総理が九月に退任すると何回も明言しておりますから、竹中さんも一緒に退任しないように、ぜひ頑張っていただきたいな、こう思っております。

 以上で質問を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 今、大臣の答弁を聞いておりましたら、きょう通告しておりました質問を取りやめてやろうかなというふうな気になります。大臣所信、総務大臣としての所信表明もまだ聞いてもおりませんので、そういう問題については、その後にじっくり大臣と意見の交換をしたいな、このように思っております。

 きょうは、既に通告もしておりますけれども、本委員会にかかっております平成十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案、これに絞って幾つか質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、一月の二十日に閣議決定されました「構造改革と経済財政の中期展望―二〇〇五年度改定」、これについて聞きます。

 これによりますと、我が国経済は、長期停滞を脱して民間需要中心の持続的な回復の道をたどっている、このように断じております。そして、今後の経済展望において、実質成長率一・五%程度あるいはそれ以上、名目成長率二%程度あるいはそれ以上、このように見込み、その上で、政府、日銀が一体となった取り組みがこれを定着させるんだ、このように結論づけております。

 そこで、そういう判断が、我々国民生活あるいは生活者、さらには国民の生産活動、そういうものにどういう影響を及ぼすのか、その点について、まずお聞きしたいと思います。

松山政府参考人 ただいま委員御質問の点でございますけれども、先般閣議決定をさせていただきました「改革と展望」におきまして、経済の状況が一時に比べまして着実に改善を見ている、委員御指摘のとおりでございまして、そういう情勢認識のもとで、政府、日本銀行が一体となった取り組みを続ける、そういうことによりまして、成長率につきましては、二〇〇六年度以降、実質成長率で一・五%程度あるいはそれ以上、名目成長率は二・〇%程度あるいはそれ以上という成長経路をたどるもの、そのように考えておるわけでございます。

 また、デフレの状況につきましても、まだ完全にこれから脱却したわけではございませんで、デフレの脱却は政府にとりましても大変重要な課題というふうに考えておりますけれども、政府、日本銀行が一体となった取り組みを続けることによりまして、二〇〇六年度には消費者物価指数、GDPデフレーターともにわずかながらプラスに転ずる、その後も中期的にプラスの物価上昇が定着する、そのように見込んでおるわけでございます。

 委員御指摘の、そういう経済状況が達成された場合に国民生活にどのような影響が期待されるのかという点でございますけれども、私どもといたしましては、当然、経済成長に伴いまして着実に国民の所得が増加して消費生活も豊かになっていく、そういうことを想定しているわけでございます。

 以上でございます。

重野委員 いわゆる「構造改革と経済財政の中期展望―二〇〇五年度改定」、この一連の書き物ですけれども、要望しておきたいんですが、この中に、その結果、国民の生活はどうなる、国民生活はどういう展望で改善されていくんだ、そういうものが私はあってしかるべきだというふうに思うんですね。そういうふうな中身に、この展望は今後、多分年ごとに出されるんだろうと思うんですが、そのことを加味してそういう内容を付加する、こういう点についてどうか、聞いておきたいんです。

松山政府参考人 ただいま御指摘の点でございますが、この「改革と展望」の改定におきましても触れておる点でございますけれども、これから政府は、今後の経済財政運営の一つの大変重要な課題でございます歳出歳入一体改革、これを検討しておるところでございます。そして、本年の六月ごろを目途に、歳出歳入一体改革のあり方について検討を進めてまいりまして、歳出歳入一体改革の選択肢及び改革工程を明らかにするというふうにいたしております。

 そして、「改革と展望」について委員から御指摘がございましたけれども、その中でも、当然でございますけれども、歳出歳入一体改革の検討、そうした中におきまして、国民生活が今後改革によってどのように変わっていくのか、どのように豊かな状況がつくっていけるのかということを念頭に置いて検討を進めるべきことは当然のことというふうに考えております。

重野委員 それでは、今後この国の経済の状況というのは、少なくとも下降をたどるということはない、どれくらい上がるかということについてはなかなか断言することは難しいと思うんですが、そういう傾向にあるという点についての共通認識の上に立って、次に、今回の補正に伴う交付税の増額分一兆三千五百十六億、そのうち四千三百二十二億、これは昨年度補正後の決算に伴う増であることを見ますと、今の経済がそういうふうに上向き傾向にあるという前提に立って、国税の増収に伴う交付税の増、これも政府の経済見通しと相まって増加傾向に転じた、こういうふうな見方ができるんじゃないかと思うんでありますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 最近の景気回復についての説明が内閣府からございましたけれども、十六年度決算そしてこの十七年度の補正予算で、交付税の原資となるところの国の法定五税の税収が当初の見込みを大幅に上回った。その交付税の法定税率分は、金額でいいますと、一兆三千五百十六億円の増加になったところでございます。

 一方で、交付税については、入り口ベースの交付税という言い方をよくすることがございますけれども、これは、国と地方が折半で財源不足を補てんすることによります国の一般会計からの例の特例加算を含んでいるわけでございます。これは、景気が回復すると地方税収の増加、そして歳出抑制努力により財源不足が縮小した場合も、この特例加算はプラスマイナスといいますか、打ち消しの形で減少するという効果もございます。

 したがって、入り口ベースの交付税は、こうした複数の要因で相殺し合われるような要因も考えていかなければいけないというふうに思います。その意味では、一本調子の増加基調に転じたということまでは言えないように思うんですけれども、構造改革が進展して、今後もこうした回復基調が続けば、これは国税五税の税収増により、国税五税の税収がやはり基本的な要因となりますので、この交付税の法定税率分についても増加が期待できるのではないか。

 大きなトレンドとしては、今申し上げたようなことは申し上げられると思います。

重野委員 そうしますと、今後こういう傾向が続いてくるというふうに考えましたときに、ことしの場合は一兆二千九百八億を来年度に繰り越す、来年度予算の中でそれをどうするか、消化していくということになるんだろうと思うんですが、そういう内容になっていますけれども、結論から申しまして、やはり今年度分の交付税は今年度分に配分する、わかりやすく言えば。だから、この増加した部分も今年度地方に配分する。地方が赤字地方債等によって財源を確保していますけれども、その分を減額することが地方にとっては将来の負担を軽減していくことにつながる、こういうふうに見るんですが、そういう意味で、このいわゆる増加した部分をそういうふうな使い方をしてはどうかという考えを持つんですが、それについてはどうでしょうか。

竹中国務大臣 今回、国の税の増収によって地方交付税が増加するような場合、どうやってそれを運営するのかという、原則的な考え方はどうかということを申し上げれば、これは、当該年度の普通交付税の調整額の復活に要する額を交付した上で、残余の額を翌年度に繰り越す、そのような原則でこれまでも運用がなされてきたというふうに思います。

 平成十七年度の予算については、既に各地方自治体の安定的な財政運営に必要な交付税等の一般財源の総額を確保しているというふうに考えております。当初の地方財政計画の運営でできるものというふうに考えておりますので、地方財政の健全化という点から、この一兆二千九百八億円を来年度の原資として繰り越す。来年度これは地方で使っていただけるものでありますから、そのような形で活用させていただくのが、これまでの原則にのっとった運営の仕方であるというふうに考えております。

重野委員 では、ちなみに、交付税特会の借入金の総額は今幾らあるんですか。

 それから、それに対する年間の金利はどれぐらい払わなきゃならぬのですか。

 加えて、金利が一%アップした場合、今後金利上昇の方向というのが濃厚だと思うんですが、特別会計の金利負担は幾らふえるんですか。

瀧野政府参考人 お答えいたします。

 十七年度末におきます交付税特別会計の借入金残高でございますが、五十一・七兆円、うち地方負担分が三十三・六兆円という見込みでございます。

 十七年度の交付税特会の予算におきましては、支払い金利を一・三と見込んでおるところでございますが、現在のところの実質の借入金の水準を見ますと、〇・四%程度という状況で推移しております。

 仮に、今御質問のように、一%上昇した場合、どのぐらいの金利負担が生ずるかと申しますと、約五千七十億円程度の増かなというふうに見込んでおりますが、先ほども申し上げましたとおり、最近の金利水準、平均で〇・四%程度ということでありまして、予算金利であります一・三%よりは低い水準で推移している、こういう状況にございます。

重野委員 五千七十億というお金は大変な額であります。今後これが累増していくということになると、これはやはり私は、ゆゆしき事態になる。そういう意味では、先ほど大臣は私の提案については否定的でありましたけれども、そういう視点もやはりしっかり考えていく時期ではないか、このように私は思います。そこら辺はひとつ十分検討していただきたいな、このように要望しておきます。

 時間も来ましたので、以上で終わります。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、地方交付税と、それからこの交付税法によらないようにするための特例法の問題、これについての質問に先立って、既にこれまで各委員の皆さんからも、政治の基本的姿勢といいますか、こういったことについて質問がありましたので、私も若干最初にそれを伺っておきたいと思います。

 一つは、証券取引法違反の容疑で逮捕されたライブドアの元社長堀江容疑者を竹中大臣が総選挙で、小泉、ホリエモン、竹中で改革をやり遂げると持ち上げて応援された話は予算委員会などでも出ておりましたが、この堀江容疑者の行為というのは、市場のルールを踏みにじり、市場を大混乱させ、多くの投資家に損害を与えました。堀江容疑者は自民党本部で立候補の会見を行うなど、事実上自民党の支援を受けていたことは明確なんですが、竹中大臣は、公示の日と最終日という選挙戦のかなめの日に応援に入るなど、特に力を入れて応援をしていらっしゃいました。

 昨日、堀江容疑者への応援というのは自民党幹事長の指示によるものだという答弁でしたが、しかし、武部幹事長の方は、自民党としては応援していないということを言っていたわけですね。そこに食い違いがありますから、これは一体どういうことなのかということを最初に伺っておきます。

竹中国務大臣 事実関係は、もうきのう申し上げたとおりでございます。

 さきの総選挙、これは、郵政民営化に賛成か反対か、それを問う国民投票的な位置づけであった、私はそのように位置づけております。私は、幹事長からの要請によりまして、これは公明党候補を含む多くの賛成派候補を応援させていただきました。八十カ所ぐらいで応援演説をさせていただきました。堀江氏は、無所属候補ではありますけれども賛成を表明していたために、郵政民営化賛成の立場から応援をさせていただいたわけでございます。したがって、事実関係としては申し上げたとおりでございます。

 しかし、これは、今まだ取り調べ中でありますけれども、容疑が事実であるとすれば、もう言うまでもなく、そのような不正行為というのは許されるはずのないことでございますので、私も大変残念に思いますし、遺憾に思っております。その意味で、そういうことをその時点で見抜けなかった私自身の不明に関しては、これは反省をしなければいけないというふうに認識をしております。

 いずれにしましても、まだ捜査が継続中でございます。全容がどのように明らかにされていくのか、捜査の状況を注視したいと思っております。

吉井委員 今の答弁で、竹中さん個人としての応援じゃなくて、これは指示を受けて自民党として応援されたということでありますが、彼は、市場のルールを踏みにじり、市場を大混乱させて多くの投資家に損害を与えて、証取法違反の容疑で逮捕されたわけですが、法律違反の件は現在、おっしゃるように捜査当局で解明中です。

 法律違反以外の件ですね。堀江容疑者が駆使したさまざまな手法については、これが問題視されていたことは周知の事実であったわけです。例えば、一株を百分割する株式分割、さらに昨年のニッポン放送株取得の際には時間外取引、こういう手法が錬金術として使われていたことはもうみんな知っていることですが、これらのやり方は一応合法となっているんですが、法の不備をつく、法のすき間をつくというやり方ですね。実は、これは昨年三月から四月にかけての国会でも結構取り上げられたわけですが、竹中大臣は、ライブドアが行ったこういう手法というものについてはこれは問題がないという認識でいらっしゃるのかどうか、これを伺います。

竹中国務大臣 先ほどの問題でございますけれども、私は幹事長からの要請で参りました。幹事長から要請を受けて、要請を受けて常に行くわけではございません、私が判断して行ったわけでございます。それは党の意思決定かどうかということは、これは私の立場で申し上げることではなくて、これは幹事長がおっしゃっておることと私が言っていることは矛盾を全くしていないというふうに思っております。

 その手法についてのお尋ねでございますが、私は何よりも、個別のこの事案について詳細を知る立場にはございません。どういうことを実際になさったのか、これは私にはわかりませんので、この点についてちょっとコメントのしようがございません。

 いずれにしても、今、これは捜査当局が関与している問題です。捜査当局が責任を持って今しっかりと捜査をしておられると思いますので、その点をしっかりと見守りたいと思っております。

吉井委員 実は、昨年の二月十八日の予算委員会で、ライブドアの株式取引の問題について、ルールを無視してとか、ルールのすき間を縫ってということはあってはいけないというのが、これは竹中大臣の答弁でありました。ですから、そういう点では、ライブドアが行った手法というものについて、当時はそう言うてはるわけやから、これは問題ないという認識、これはこういうことですね。

竹中国務大臣 ちょっと、そのときの答弁は手元にございませんが、私は、申し上げたとすれば、そのときの趣旨は、個別の事案についてコメントする立場にはない、しかし、一般論として言えば、法の精神に反するようなこと、すき間を縫うようなことはあってはならない、そのような趣旨で申し上げたのだと思います。

吉井委員 ですから、ライブドア取引についてはそういう趣旨で言っておられたわけですから、これはやはりすき間のない、ルール破りのことをやっちゃならないという、この基本の立場というのはこれはきちっと貫くのが当然であったと思います。

 問題なのは、あってはならないと言われたルールのすき間を縫う手法を堀江容疑者がいわば確信犯のように実行したことですが、堀江容疑者は、ニッポン放送株争奪戦のときに、ずるいと言っても合法だったら許されるんだと言い放っていたわけですね。こうした言動はマスコミでも報道され、竹中大臣もその当時承知しておられたと思うんですが、この堀江容疑者は、彼の書いた「稼ぐが勝ち」の文庫版の中で、「日本にはグレーゾーンがたくさんあります。同じことをやったとしても、そのときの趨勢によって、白か黒か決まってしまう。」だから、ルールのすき間を縫っても合法だったら許される、あるいは趨勢によって白か黒に決まる、そして勝てば官軍ということでやってきたわけですが、私はここで伺っておきたいんです。

 金もうけのためならば法のすき間を縫ってやっていく、こういうことをよしとする人物を国会議員にすることについては、今はふさわしくないと多分思っておられると思うんですが、そこだけ聞いておきます。

竹中国務大臣 選挙の場合、常にそうであると思いますけれども、考え方の個々のところについて賛成できないというような候補者は私はたくさんいると思います。しかし、基本的には、一つの、特に前回は郵政民営化について争う選挙でございますから、その基本的なところについて賛成か反対かというところで応援をするかしないかというのを決めるものだと思っております。

 いろいろ御紹介ございましたけれども、堀江氏の個別の事案について、私は詳細を全く知る立場にはございません。ですから、それぞれの行為について、私はコメントをできる立場にもございませんし、する立場にもないと思っております。

 今捜査が進んでおりますので、その捜査においてその全容をぜひしっかりと明らかにしていただきたい。法に反することがあってはならないし、またその法のすき間をつくようなことがあってはならない、これは当然のことだと思います。

吉井委員 だから、堀江氏の話は捜査の方として、金もうけのためなら法のすき間を縫ってやっていくということをよしとするような人物だったら、これは国会議員としてはふさわしくない、今それは当然のこととしてお考えだと思うんですが、これは一言だけで結構です。

竹中国務大臣 今引用されたのがどういうシチュエーションで、どういう言い方をされたのかということのニュアンス、私はちょっと承知をしておりませんので、そのことに関してはちょっとコメントはしかねます。これは、書き物、読み物、いろいろなところでおもしろおかしく、やはり印刷物ですから、書かれている場合もございますでしょうから、それがどのような趣旨で書かれたのかというのは私にはわかりません。

吉井委員 私は、シチュエーションがどうであれ、金もうけのためであれば法を無視しようと何やってもいいという考え方に我々国会議員が立ったら、これはとんでもないことになると思うんですよ。そこだけは、応援された方がどうかこうかは別にしてでも、私はそこだけはきちっとやはり今言うべきであったと思います。

 次に、堀江容疑者が法律違反を行っているかどうかは、選挙時にはもちろんわからなかったとしても、しかし、堀江容疑者がどういう人物であるかということは結構よく広く知られておりました。いろいろなものに書かれておりました。彼は、著書に書いておりますが、ずるいと言っても合法だったら許される、勝てば官軍と。さらに、彼が、人の心はお金で買えるという話は有名ですが、この中に、私もこれ読んでちょっと驚いたんですが、「人の心はお金で買える」と書いた「稼ぐが勝ち」の中で、「人の心はお金で買えるのです。」と言って、それから「女はお金についてきます。」「たとえばビジネスで成功して大金を手に入れた瞬間に、「とうてい口説けないだろうな」と思っていたネエちゃんを口説くことができたりする。その後は芋づる式です。要するに、ネエちゃんの話を聞いた女の子たちが集まってくるわけです。」人を動かすのはお金ですというのを、これは全部引用をさせてもらったんですが、私、大臣を初めとして、内閣として男女共同参画社会推進本部というのをつくって、内閣挙げて取り組んでいると思うんですね。例えば、この世論調査も、こういうのもされましたよ、男女共同参画をどう進めていくかと。どうも私は、この男女共同参画社会という考え方と、女性について、女は金でついてくるという発想とは両立しないと思うんですね。

 堀江さんの話はちょっと、逮捕された話は置いておいたとして、男女共同参画社会を推進するというのが内閣の立場でありながら、女は金でついてくるという一連の考え方というのは、これはなじまないと思うんですが、どうですか。

竹中国務大臣 女性がお金でついてくるというふうには私は考えておりません。内閣としては、男女共同参画に向けてしっかりとした対応をしなければいけないと思っております。

吉井委員 私、金で女がついてくるとか、こういう物の考え方、これは昔、この間もちょうど映画で「ルーツ」というのをやっていたので、最近また復刻版でやっていましたのを見ましたが、金で人が奴隷として買われたという時代がかつてありましたけれども、人の心は金で買えるとか女は金についてくるという考え方は、これはおよそ人間の尊厳という考え方と今日の民主社会とは異質な考え方、奴隷制の時代の発想だと言ってもおかしくないというふうに思います。

 さて、税についても、彼の本を読んでいまして、「僕は消費税を海外と同じような水準にするべきだと思っています。ヨーロッパでも、イギリスは一七・五パーセント、フランスでは一九・六パーセントです。そうすると、「貧乏人から税金を取るのか」と言う人が出てきます。貧乏な人ほど言うのですが、そういう発想だから貧乏になる」「金持ちから税金を取ると、金持ちは海外に逃亡します。残された貧乏人は逃げることができないので、貧乏のスパイラルに落ち込むだけです。税金は、取れる人から取るのが一番いいのです。つまり、払わざるを得ない人から払ってもらう。」「貧乏人からも税金を取るのは当たり前です。でも、政治家は選挙の問題があるので、はっきり言えないわけです。」と書いているんですね。

 ホリエモンの改革というのは、金持ちから税金取るな、逃げられない子供や自営業者、貧乏人から税金取れということをこの本の中で言っているんですが、私、そこで、政治姿勢として、ホリエモンが小泉改革を支持したのは、小泉改革はお金持ちのための改革だと確信しているからやったのかなというふうに思われる文章でありました。小泉、ホリエモン、竹中でスクラム組んで目指すとした構造改革というのはこういう改革なんでしょうか。

 確かに堀江容疑者は逮捕されておりますが、私は、あなたがずっと言ってこられた自己責任原則、自己責任論からすれば、やはりこういう考え方の人を応援してやってこられたことについては自己責任というものをきちんと考えていかなきゃいけないんじゃないかと思いますが、最後にあなたの自己責任論について伺って、質問を終わりにしたいと思います。

竹中国務大臣 きょうは堀江さんの本をたくさん読んでいただきましたが、その本に書いてあることについて、どういう真意でおっしゃったのか、ちょっと私にはわかりません。わかりかねるところがたくさんございます。

 いずれにしても、選挙の応援でございますから、郵政民営化を実現したい、そのために郵政民営化への賛成の人とスクラムを組みたい、そのような趣旨で申し上げました。

 自己責任そのものにつきましては、これはやはりみずからの行動はしっかりと、市場においても法律の世界においても当然みずからの責任にかかってくるわけでございますから、これはすべての人において、堀江さんを含むすべての人においてそのような自己責任が全うされなければいけない。そのためにも、今捜査が進捗しておりますから、しっかりと捜査をしていただいて、その結論を出していただきたいと思っております。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、自己責任を日ごろおっしゃるからには、そういう人を応援してやってきたことについての自己責任というものを厳しく考えるのが当然だと思います。

 終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る三十日月曜日午後四時二十分理事会、午後四時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会


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