衆議院

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第4号 平成18年2月16日(木曜日)

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平成十八年二月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 後藤  斎君 理事 渡辺  周君

   理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    新井 悦二君

      上野賢一郎君    岡部 英明君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    篠原  孝君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      横光 克彦君    吉田  泉君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務副大臣        菅  義偉君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   参考人         

   (日本郵政公社理事)   伊藤 高夫君

   参考人         

   (日本郵政公社理事)   岡田 克行君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     新井 悦二君

  関  芳弘君     上野賢一郎君

  田嶋  要君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     奥野 信亮君

  上野賢一郎君     関  芳弘君

  篠原  孝君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田  泉君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  森本 哲生君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事伊藤高夫君及び理事岡田克行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長藤井昭夫君、自治行政局公務員部長小笠原倫明君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長小室裕一君及び政策統括官清水英雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。

 先日の竹中大臣の所信を聞きまして、本日、私と後藤理事とで民主党の持ち時間で質問させていただきたいと思います。

 まず一つ伺いたい。

 この総務大臣の所信表明にはございませんけれども、先日、福岡高裁で、いわゆる朝鮮総連関係の施設への課税につきまして公共性は認められないといった判決が出ました。

 これは、総務省で、昨年一月現在、東京都と四十八市、朝鮮総連関係の組織があるところを調査した結果、東京都、福岡市など十三市、十四団体が無回答、それ以外の三十五市が回答したところによりますと、全国で全額免除しているのは十九市、一部免除がこの熊本を含めて十一市、減免していないところは、鹿児島、水戸、和歌山など五つの市が課税をしているということでございます。

 そして、今回の、二月の二日にあった福岡高裁での判決では、中山裁判長が、会館には公益性がない、朝鮮会館の税の減免は違法である、公益性がないということで判決を下しました。

 この総連の施設に対して固定資産税、都市計画税を減免している自治体がある中で、このような判決が出たということにつきまして、大臣はこの判決をどのように受けとめられたか、まず冒頭お尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 渡辺委員から、朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の課税をめぐる先般の福岡高裁判決に関する御紹介がございまして、それに対してどのように受けとめているかという御質問でございます。

 本件の訴訟につきましては、委員も御存じのとおり、昨日、熊本市長が上告するということを決定したと我々は聞いております。

 この問題そのものに関しましては、引き続き、我々としては司法の判断について重大な関心を持って見守らなければいけないというふうに思っております。

 判決そのものについては、地方税の減免に当たりましては、課税を行う地方団体におきまして、対象施設の公益性や使用状況等を的確に把握していただかなければいけない、そして適正かつ公平な取り扱いが図られるべきであるというふうに我々としては考えているところでございます。

 これらの点について地方団体に注意喚起を行っているところでもございまして、引き続き、本件に関する司法の判断について重大な関心を持って見守る考えでございます。

渡辺(周)委員 次の質問で伺おうとも思ったんですが、こうした熊本市の対応も含めて、もう一度後で質問しようと思いますが、総務省として、各自治体の状況というのは今申し上げましたように昨年の一月の話でございまして、この判決を受けて、どこかの自治体の中で方針を変える、あるいは何らかの形で総務省に対して問い合わせ等があるかどうか。その辺はいかがですか。

小室政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話のございました、朝鮮総連の固定資産税の減免の関係でございますが、状況把握については渡辺委員の方から御紹介ありましたので省略いたしますが、この判決を受けて、地方団体から問い合わせとか相談、そういったものが具体的にあるかということですが、現段階で寄せられてはございません。

渡辺(周)委員 八日まで、御存じのとおり北京で日朝協議が行われました。何の進展もなく、北朝鮮の不誠実さだけがもう本当にさらに明らかになったという中で、先般、外務省の梅田参事官に民主党の拉致問題の対策本部にも来てもらいました。

 ただ、北朝鮮の関係者、交渉当事者たちは、この日本の世論というものに大変な注意を払っている。つまり、不誠実な対応を続ければ続けるほど、我が国、日本の国家が、北朝鮮あるいはこうした朝鮮総連の組織に対して、やはり現行法を厳密に、厳正に運用する、これは当たり前、もう司法判決下っているわけでございますから。これは、北と一体である、公益性がないというふうに司法が断罪をした、決めたわけでございますので、それに対しては、やはり総務省としてもこの事実を重く受けとめて、自治体に、その実態をもう一度把握すること、そして本当に、その公益という意味においては実際どうなのかということをやはり徹底するように努力をすべきだと思いますけれども、その点について再度大臣のお考えを伺いまして、そして菅副大臣、北朝鮮制裁のかつてプロジェクトチームの座長もしていらっしゃいましたが、いわゆる制裁法案を与野党で出したときの私も一人でございましたけれども、今回のことを受けられましていかがお考えか、その点についてもお尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 まず、私に対する御質問から答弁させていただきますけれども、この減免の実施につきましては、各地方公共団体が、これは当然条例で定めるところに基づきまして、他の施設と公平かどうかというようなこと、そしてその施設がどのような形で、どういった使用状況にあるかということに基づいて、個別に認定をした上で実施しているものでございます。したがいまして、この個別の減免の適否ということになりますと、これはすぐれて事実認定の問題ということになる。そして、各地方公共団体の自主的な判断に、これは地方の自治でございますから、ゆだねられなければならないということが一つの原則であろうかと思います。

 一方で、今回の事例に限りませんで、一般的に地方税の減免に当たりましては、課税を行います地方公共団体において、この公益性、使用状況を的確に把握しているか、そして公平、適正な取り扱いが図られているか、これは常に、やはりいろいろな形で検証されなければいけない問題であろうかと思います。

 委員御指摘のように、今回の問題に関していろいろな御意見が非常に幅広くあるということも私たちは承知をしております。今まで申し上げた点も踏まえまして、既に地方公共団体に対して、その意味でしっかりとやってもらいたいという意味での注意喚起を我々としては行ったところでございます。先般の地方財政の連絡会議におきましても、そのような注意喚起を行っております。今後も機会をとらえてそのような努力を行っていきたいというふうに思っております。

菅副大臣 私も、かつて渡辺委員と一緒になって、特定船舶の入港禁止法案やあるいは外為法改正、北朝鮮に対しての圧力の法案を議員立法したものでありますから、思いは全く同じであるというふうに思っています。

 そして、朝鮮総連そのものは、日本にとっては破防法の指定調査団体でもありますので、やはり厳格に厳密に適用するというのは、ある意味で当たり前のことでありますので、このことをやはりきちっとした形で明らかにするというのがそのことの私どもの務めである、私はこういうふうに考えております。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

 とにかく、司法が一度はそういう判決を下したわけでございます。ここで総務相としてあるいは政治家として、それぞれのお立場で、政務につかれているお立場で、言えないことも、言いたいけれども言うべきでないという部分もあろうかと思いますが、とにかく、北朝鮮との先般の交渉の中で、やはり拉致問題の国際化、つまり、二国間協議で議論しているのではなくて、どんどんどんどん国連の場やアメリカまでも巻き込んで国際化することを非常に北朝鮮は恐れている。

 それから、この日本の世論が、正直言って、私に言わせれば、これ以外についても随分優遇措置をとってきた。これは税務当局とも一回やらなければいけないと思いますが、内々でそういうことがあったのではないか。

 随分こちらとしてはこぶしを振り上げて怒って交渉に臨むけれども、表からも裏からも北朝鮮の人間は出たり入ったりできている。裏というのは裏日本、日本海の方から船が来る。これは後で一つ述べますけれども、まさに本当に怒っているんだったら、仕送りをとめられたり、少々大目に見られてきたことに対してやはり厳格な法の運用等があってしかるべきなのに、そこまで我が国はしてこなかった。ということは、日本という国は本当は本気で怒っていないんじゃないかということを、北朝鮮にもうメッセージを送っているようなものでございます。その点については、この問題、さらにまた議論をしたいと思います。

 もう一つ、ちょっと北朝鮮関係でお尋ねをします。

 まず、これは非常に基本的なことからです。北朝鮮に日本の郵便局から現金を送ることができるかということでございます。この点につきましてお答えいただけますでしょうか。

岡田参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮には、万国郵便条約等の規定に基づきまして、保険付郵便物とする場合に限りまして現金を送付することができます。ただし、一定の限度以下でございます。

渡辺(周)委員 北朝鮮に現金を郵便局から送ることができる。これも私、実は聞くまで知らなくて、聞いたときにはちょっと驚いたんですけれども、実は、日本から北朝鮮に保険つき書状、手紙と保険つき小包で送ることができる。たしか限度額が、保険つき書状で出す場合には約四十八万円までを限度に郵便物を送ることができるんですね。

 それで、私、あるところからであるんですけれども、こういう国際郵便物受領証というのがもらえる。「下記の郵便物を引き受けました。」「保険付書状」というのがあって、「番号」があって、差出人の住所氏名、受取人の住所氏名、北朝鮮平壌市どこそこと。ここに、「内容品」というのは例えば現金三十万円と書いて、この国際郵便物を送ることができることになっています。ここの下に「一年六カ月保存」というふうにありまして、過去一年六カ月はこの控えが残されているということでございます。

 この方の場合は現金三十万円を北朝鮮に送っているんですが、一年六カ月保存している。さかのぼって、保険つき書状というものを何通出されて、うち現金が内容だったものはトータルで幾らあったかということについては、郵政公社、資料を残しているんでしょうか。

岡田参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、国際郵便物受領証を一定の期間、郵政公社は保存しております。

 通数でございますけれども、北朝鮮向け保険付郵便物は、平成十六年度に千五百六十通を引き受けております。ただし、これらの郵便物のうち現金を内容とする郵便物がどれだけあったかということにつきましては、受領証の原符一通一通を確認しながらちょっと調査をしていきませんと数字が出てまいりませんので、現時点では手元に詳細な内容はございません。郵便局にはございますが、本社の方では集計してございません。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 きょういらっしゃる委員の方に、ちょっとちなみに申し上げますと、北朝鮮との郵便物の交換物数、要は、日本から出した郵便物、日本へ来た郵便物、過去五年分、十六年度から十二年度まで、これはいただきました。

 これで見ますと、ちょっと意外な数字でびっくりしたんですけれども、平成十二年六万、平成十三年四万八千だった日本から出した書状、手紙が、小包も合わせてですけれども、平成十四年度になると、前年四万八千五百二だったものが十八万九千六百四十六と、突然四倍ほどにはね上がっている。その後、十五年度が十三万八千七百、十六年度が十二万四千とございます。これは差し立て、日本から出したものです。

 到着した方を見ますと、この突然はね上がった十四年度の前の十三年度、このときに、これもちょっと驚くべき数字なんです。船便に関していうと、十二年度が三千七百九十二。船便と航空便と分けてありますけれども、船便が前年三千七百九十二だったものが翌年十三年度に四万七千六十五、そして十四年度だと三千百八十九。これはどういうわけかわかりませんけれども、突然この年だけがはね上がる。

 要は、十三年度に北朝鮮から膨大な手紙が来ます。トータルでいいますと、十二年度五万三千だった北朝鮮から日本への手紙あるいは小包が十三年度には九万二千にはね上がる。つまり、前年の十三年度に何らかの形で北朝鮮から在日同胞に対して手紙が来たんだろう、あるいは小包で何かを送ってきたのか、船便で手紙を送ってきた。そして、その翌年、十四年度になると、日本から出すのが圧倒的にふえるわけです。これは恐らく、考えますと、十三年度に北朝鮮本国で、日本の同胞に対して、彼らの言う同胞に対して何らかの手紙が出されて、それにこたえる形で北朝鮮に、彼らの祖国に送ったというふうに推測できるわけです。

 ちょっとこの数字を事前に手に入れましたものですから、さまざまな、北朝鮮問題をやっている西岡さんだとか荒木さんだとか佐藤勝巳さんだとか、こういう方々にも随分聞きました。だけれども、わからない、ちょっとしばらく調べさせてくれというようなことでございました。

 実は、これぐらいの手紙、小包が行き来している中で、今御答弁にありましたように、平成十四年度、日本発北朝鮮あての保険付郵便物数が三百八十三なんですね。この数字も手紙を出したものに比例してふえているのかなと思ったら、若干そうではなかったんですが、現金が送られることがある保険つきのものが、平成十五年度に五百六、平成十六年度で千五百六十になるんです。やはり平成十六年度で三倍にはね上がっているんですね。

 ですから、保険付郵便物というのは内容物がいわゆる現金か有価証券か、あの国に有価証券を送る人は余りいないと思いますけれども、何らかの貴重品が送られている。つまり、この辺を境に、この十五年度、十六年度あたりに、北朝鮮に対して十四年度あたりから随分差し出し数がふえているということでございます。

 これは今手元にないということでございますが、これからやはり北朝鮮と交渉していく上で、先ほどありました外為法改正の中で当然このことも含まれると考えれば、我々は、やはり基礎データとしてせめて幾ら、郵政公社が保管をしている今の一年六カ月分の中で一体どれぐらいの現金が我が国から北朝鮮に送られているのか。驚いたのは、このデータすら実は整理していなかった。つまり、我々は当然各国別に出してあるのかなと思ったら全くそれもなくて、やっていないというようなことでございましたけれども、その点に対して、これはぜひ委員会として、これは基礎データでございます。日本の郵政公社を通して北朝鮮というこの国に、国家として認めていない、まさに国家主権を侵す犯罪を犯している国に対して郵便局からお金をどんどん送れるということが、先ほど申し上げましたように、果たしてあの国に対するメッセージとして正しいのかどうかというふうに私は甚だ疑問に、というよりも、憤りを覚えるわけであります。

 これはぜひ委員長、この千五百六十の保険付郵便物の中で現金が送られた、この控えを合計すればわかるわけですから。先ほどの方が三十万円送っています。例えば平均三十万円送ったとしたって、千五百六十通ですから、千五百通送ったとして四億五千万円ぐらいの話になるわけでございます。十万円送っても一億五千万円ですね。あの国の一人当たりのGDPというのが、本当にもう何十万円しかない国でございまして、そんなところに、下手すると何億単位ということで簡単に送れる、しかも内容もチェックされていないということを考えれば、もう少し厳正な、何らかの我が国としての方針で臨むべきだと思いますが、その点についていかがかということと、それと、この基礎データをやはり委員会として出していただきたい、その点については委員長にお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

岡田参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政公社といたしまして、現金を内容とする北朝鮮向け郵便物の件数、金額につきまして、今後調査を行ってまいります。

 ただし、実は、全国七千五百局の取扱郵便局にその原符、原票が保管されておりますので、集計には若干時間がかかりますので、その点は御容赦をいただきたいと思いますが、しっかり調査をして御報告したいと思います。

渡辺(周)委員 今理事からそのようなお答えがございました。

 ただ、全国で扱ったものか、あるいは、例えば東京国際で、これは一番大きなところですね、集計しているだけでどれぐらいなのか。これは、結論を待っていて三カ月たっても五カ月たっても出てこないではなくて、例えば東京国際だけで扱っているものがどれぐらいかということで中間報告みたいなものを出していただけるとか、委員会としてお願いしたいと思いますが、委員長、その辺につきましても御協力をお願いしたいと思います。

中谷委員長 この件につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。

渡辺(周)委員 最後に、この北朝鮮絡みの問題をそろそろ終わりにしますが、今のこのやりとりを聞いていまして、総務大臣あるいは副大臣、いかがですか。郵便局からお金が送られる、しかも、一年間に我が国から郵便を使われて幾ら送られたかという基礎データすらないということをどう受けとめていらっしゃいますか。その辺の御感想を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 今、渡辺委員が御指摘くださった数字、大変大きな変化があった、そういったことに関する状況の把握そのものはやはりしっかりしなければいけないと改めて私自身思います。公社の方でそのことの調査をしてくださるという今答弁もありましたので、我々も関心を持ってその点は見守っていきたいというふうに思っております。

菅副大臣 私は、この拉致問題を解決するには、先ほど委員からのお話がありましたけれども、日本の国を挙げて、一人残らず取り返すんだという、そうした意思表示をすることが極めて大事なことであって、そういう意味で、先ほどの固定資産税の問題、さらに今の郵便の問題は極めて適切な指摘を受けたというふうに思っています。

 私自身も、この郵便については先般まで、指摘されるまでこのことについては理解をしておりませんでしたので、今大臣言われましたけれども、まさに郵政公社の中でできるだけ早く厳格に対応して報告をすべきことであるというふうに思っていますし、また、このほかにもそうしたいろいろな問題があれば、政府、それぞれの政党も挙げてこの拉致問題解決のために頑張っていきたいというふうに思いますので、これからもどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

渡辺(周)委員 それでは、この問題につきましては今後もまた協議をしていきたいと思いますが、そろそろ所信表明の中身について質問をしなければいけない。この後我が党のエースの後藤さんも出ますので、そちらの方に細部についてはまたお任せしたい部分もあると思いますが、この大臣の所信表明の中で、まず一番、行政改革の推進ということをうたわれております。

 この行政改革の推進の中でいろいろな点について、政策金融、それから独法、人事評価等々いろいろと触れられておりますけれども、中馬行革担当大臣と竹中大臣の役割、これはどちらが行革を担当するのか、どちらも担当すると言われるんでしょうが、その役割についてお尋ねをしたいと思うんです。

 これは一つ、先般連合の方々とお会いをしたときに、政府が竹中大臣それから中馬大臣も出席されていわゆる政労協議をしたという中で、中馬大臣が窓口なのか、竹中大臣が窓口なのか、それはちょっとわかりにくかったというふうに例えば指摘がありました。どちらも行政改革を推進する上で、これから行政改革の推進法が出る上で所管大臣が中馬大臣となるのかなとも思いますけれども、その点についての整理といいましょうか、その点についてどうなっているのか、大臣のみずからのお言葉でいいのかどうかはあれですけれども、ちょっと聞かせていただけますか。

竹中国務大臣 私と中馬大臣との関係でございますが、実は非常によく似た御関係といいますか問題が、昨年の郵政民営化のとき、私は郵政民営化担当大臣でございまして、総務大臣と、当時麻生大臣でございますけれども、どういう関係かということで民主党の先生からもいろいろと御指摘をいただいたところでございます。

 総務大臣というのは、国家行政組織法等の法制度を所管しています。そして、行政の総合的、効率的な実施に向けまして、国の行政機関の機構・定員の審査等を初めとする行政管理を行うということをその任としております。そういう中で、私自身は、小さくて効率的な政府の実現に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 一方で、中馬行政改革担当大臣でございますけれども、中馬大臣は、内閣のリーダーシップのもとで総合調整機能を強力に発揮し得るという立場から、内閣総理大臣の命によって、行政改革の推進法案の取りまとめでありますとか、総人件費改革や政策金融改革等に取り組んでおられるというところでございます。

 行政改革、実際に大きく制度を動かすときは、各省庁にまたがる非常に大きな、内閣としての総合的な調整が必要になる、そのことを総理からの命を受けて中馬大臣が担当される。通常の法の所管そのものは、私、総務大臣が定員・機構管理等をやらせていただくわけでございますけれども、そういう関係にあるということでございます。その意味では、郵政民営化におけるときの総務大臣と郵政民営化担当大臣と同じような立場であろうというふうに私は認識をしているところでございます。

 先ほど、連合との政労会見との関係で窓口はというお話がございましたが、そのときも、実は政府側は厚労大臣も出ておられますが、司会役、取りまとめ役は中馬大臣にお願いをしておりまして、一義的にはそういうお話は中馬大臣のところを中心に、しかし内閣協力してやっていくというのが基本的な立場であろうかというふうに思っております。

 行革大臣とは十分な連携、協力の上行政改革を推進していくことが極めて重要であるというふうに考えております。

渡辺(周)委員 それぞれのお立場で取り組まれるんだと思いますけれども、我々も、この総務大臣の所信の冒頭に、一番に行政改革の推進ということが出ましたから、それはもう大臣の強いリーダーシップを発揮してこれから取り組んでいかれるんだろうと思いますが、片っ方でまた行革担当特命大臣がいるということは、非常に何かわかりにくくて、我々もこれから質疑をしていく上で、果たしてどちらにどうしたらいいのだろうかと。今回も、例えば行革の問題を聞くときに、中馬大臣を呼んで、中馬大臣が例えばここで答弁することもあり得るのかなとも思ったわけでございますけれども、その辺について、これから、法案も出ているやに報道等で聞いておりますので、そうした上でぜひ整理をしていただきたいなというふうに考えるところでございます。

 この中の個別の問題で、独立行政法人のことにも触れておられます。「特殊法人等から移行した独立行政法人等について、業務を極力整理縮小する方向で見直します。」というようなことを先般おっしゃられました。

 我々も、今民主党も、百十幾つある、ちょっと失念しましたけれども、百十幾つある独立行政法人を全部ヒアリングをしております。多いときには一日五つぐらいの独立行政法人を我々の仲間が決算行政監視の調査会で行っておりまして、私も出席を何度かしております。そうした中で、この独立行政法人の、調べれば調べるほどいろいろとブラックボックスのようなところにたどり着くわけでございます。

 例えばなんですが、これは聞いていて驚いたのは、国土交通省に独立行政法人自動車検査というのがございまして、ここが、常勤の職員数八百七十一名、出向者八百七十一名、全員が出向者。そうすると、独立行政法人という意味が一体あるのだろうか。もう一つ、航空大学校が、百二十二名の常勤の職員数に対して出向者がやはり百二十二人、全員が省からの出向でございます。

 これは、何も独立行政法人じゃなくたっていいんじゃないか、存在意義としてはその役所の中のワンセクションでいいのではないだろうか、党もそういう議論を今しているわけでございます。

 これは他省庁のことですから、今このことについては例示にとどめさせていただきますけれども、こうやって見ますと、独立行政法人、例えば、非公務員型というと、もうそれは定員管理の枠外、あるいは、もともと独法ですから定員管理、独法に移しかえて公務員の削減がどんどん進んでいるというふうに言っていますが、現実問題としては、出向という形で行っていれば、カウントはされないけれども実態は要は隠れみのであるというふうに言わざるを得ないわけでございます。

 しかも、御存じのとおり、運営費交付金というお金が独法には流れ込んでおりまして、我々、今民主党として人件費改革を議論する中で、この独立行政法人に、一般会計と特別会計から合わせて一兆七千億円のいわゆる運営費交付金、税金が投入されておりまして、この運営費交付金を見ていきますと、かなりばらつきがございます。

 ただ、驚くべきことに、これは全部の人件費を足してみました。そうしますと、全部の人件費、これは国立国会図書館にお願いをして調べてもらったんですが、共同作業でやったんですが、私の試算では一兆二千億円、人件費かかっているんですね。独立行政法人に対してつぎ込まれた一兆七千億円のいわゆる運営費交付金、一般会計と特別会計から出てくるこの交付金の約七割に相当する額が、一兆二千億円が人件費に消えている。御存じのとおり、これは人件費のために独法に出されているわけではありません、いわゆるさまざまな事業収入なんかも含めてカウントされている分もありますけれども、ほとんどこれは独法の維持管理費で消えているようなところもございます。

 それを考えますと、大臣がおっしゃられた、独法の業務を極力整理縮小、整理縮小どころか、先ほど申し上げたように廃止するものもあってもいいんじゃないか。全員が出向者でできているような独法とは一体何なんだろうか。

 今度も、たしか消防研究所の法案が当委員会にかかりますけれども、独法が国に戻る、国の一機関として戻ることも当然あり得るわけでございまして、当然、統合とか廃止とか、役割の全面的な見直しも含めて、独立行政法人の改革をすべきであると私どもも主張するところでございます。

 その点につきまして、今申し上げましたいわゆる運営費交付金、これは税金でございます。公務員の定員の枠外にいる方々、だけれども、人件費は当然税金から、運営費交付金の中から賄われているわけでありますから、その点についてはやはりこの運営費交付金というものを見直さざるを得ないのではないか。というよりも、見直すべきである。それによって、できる範囲の中で、当然人件費を縮小していって、将来的には整理統合をしていかなければならないと思いますけれども、この点につきましてどのようにお考えか、ぜひお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 いろいろ御指摘を賜りましてありがとうございます。

 私自身、簡素で効率的な政府をつくるという中において、独立行政法人の見直しというのは大変重要であるというふうに思っております。

 御指摘のとおり、これは、旧国立大学の大学を除きまして百十三の独法が今ございます。言うまでもありませんけれども、独法というのは、なぜこういうものをつくったかというと、公共性の高い事務・事業のうち、国が直接やる必要はない、しかし民間の主体にゆだねると実施されないおそれがあるということで、やはりそれなりの公的な責務を担っているものなわけでございます。それについては、今委員からも御指摘もありましたように、民営化、非公務員化、統廃合、廃止をにらんで非常に厳しく再評価をしていかなければいけないと思っております。

 やはりその際重要なのは、法人の中期目標期間が終了するときに、法人の業務を継続させる必要性があるのかどうか、組織のあり方はどうかというような全般的な検討を行うことになっておりますので、その際にしっかりとした見直しを行う、私はやはりこれに尽きるのであろうというふうに思っております。

 その際は、官から民へという視点を前面に出して、公務員型、非公務員型を問わず、その組織の必要性を厳しく検討して、廃止、縮小、重点化を図っていくつもりでございます。その結果として、運営費交付金を含めて国の財政支出の縮減を図るよう、私自身もぜひ推進してまいりたいと思っております。

 なお、この人件費という観点に関しましては、十二月に決定されました行政改革の重要方針におきましても、独立行政法人においても国家公務員に準じた人件費の削減を行うということにしておりますので、一方で人件費という観点からも網をかけて、しっかりと見直していきたいというふうに思っているところでございます。

渡辺(周)委員 独立行政法人というのは、例えば公務員型から非公務員型へなんて言われてしまうと、大方の人はわからないわけですよね。何か非公務員型になると、公務員数が減ったんだ、だから大変行革が進んでいるのだというようなイリュージョン、幻想みたいなものを抱かせる。ところが実態は、この運営費交付金という公金から、要は定数管理の外で、要は人件費から出ている。だから、ここの運営費交付金のところに、これは本当にかなり厳密なカットをしていかないと、結果的には行革という観点からいえば変わらないんだろう。我々は、その点から今後も提言をしてまいりたいと思いますし、改革競争、改革を競うという意味では、こちらからもいろいろ調べた結果を提案していただきたいと思うんです。

 そこで、もう一つ関連して申し上げたいんですが、これは公務員の総人件費の枠外になるかと思いますが、非常勤職員ですね。

 これは、総務省・人事恩給局からいただいた資料を見ますと、昨年の七月一日現在で、非常勤職員が十三万四千人おります。この十三万四千人の非常勤職員、これは内訳も、ここにある一般職国家公務員在職状況統計表というこの資料で見ました。この中で分類がされています。

 実は、約十三万四千人いるんですけれども、一般的に多いのは、事務補助、アルバイトです。それからほかには、委員顧問参与等職員というのがあるんですね。多分、委員というのは恐らく大臣の私的懇談会のメンバーなんかもこの委員に入るのかなと思いますが、それが一万九千人。一番多いのが、「その他の職員」というのがあるんです。これは省庁別に分けてあるんですが、事務補助、技術補助、技能、労務、医療、教育、専門、統計調査とある中で、その他という分類に十三万四千人のうちの半分近く、七万人はその他と書いてあって、一体その他というのは何だろうかということで、これは我々も少し本格的に調べたいと思いますが、きょうはその話は導入部分にします。

 いわゆるさっきの独法と同じように、人件費の枠外にあるこうした非常勤職員、これが実は、例えばこれは我が党のかつて長妻昭議員が調べたといいますか質問主意書で集めた、お出しいただいた資料から我々も今検討しているんですけれども、庁費という目から出ている。庁費というのは御存じのとおり、役所のお金ですね。庁費としてずっと出てくるわけでございます。

 例えば、一般会計でいいますと、庁費が、皇室、国会、裁判所を除いて、各省ごとに大体挙げますと一千二百億円でございまして、特別会計から庁費をまた出しますと約一千八百億円、合わせて三千億円を超えるこの庁費の中から、人件費、人件費という言葉が紛らわしかったら、ここから実は給与が支給されているというふうなことでございます。

 つまり、公務員の人事の管理をする定員の外側にいる非常勤の職員は、この庁費という名目の中から出されるわけでございます。庁費というのは、ある意味では文房具を買ったりする、あるいは維持改修をするような、こうした物件費の中で、人件費として支給されているわけでございます。

 この点について、実は、人員の数については今総務省が十三万四千二百五十五人というふうにいうんですが、では、幾らこれは総額でこの人たちに払われているのかと聞いたら、総務省ではわかりませんと。では、どこでわかるかと言ったら、恐らくどこの役所もわかりません、各役所がひょっとしたら把握していると。何でかと言ったら、事務補助の職員は局単位で採用しているからだ、積み重ねていって幾らもらっているかわからないと。

 名目としてこれに載っているんですよ、一般職国家公務員の在職状況の統計表に載っていて、この人たちに幾ら払われているんだと聞いたら、だれも知らないというんですね。どこの役所も管理していない。というよりも、多分、正式な金額が幾らかかっているか、支給総額がだれもわからない。これでいて果たして本当に人件費改革と言えるのだろうかということを御提言したいと思うんです。

 つまり、物件費、庁費という中、あるいは長妻議員によれば、謝金ですね、諸謝金に潜り込んでいる場合もある、あるいは一般的な予算書を見てもわからないところで使われているんだというふうに言っております。これも一回、我が党は今、全省庁にお願いをして、顧問とか参与とかという人たちは一体何をしている人たちなのかということについても全部調べたいと思います。

 これはたまたまある役所でございますけれども、例えば庁費という目の中には、実は、この積算の内訳、明細書を見ても人件費は出てこないんですよ。総務省のたまたまいただいた資料の中には、総合通信局というところにも庁費が計上されていまして、その内訳を見ますと、賃金というところで実は出てくるんです。つまり、これは三億九千万円の総合通信局の庁費の中に二千万円ほど賃金として計上されていますから、ここから非常勤職員の給料が出ているんだなとわかりますけれども、ほかの役所で見ますとそれすら書いていない。まだ総務省の総合通信局は親切だというかわかる方でございます。

 これは、ほかのところを見ますと全然わからない、それすら書いていない。もしかしたらこれは事務用機器等整備費に入っているのか、普通庁費とか、こういう行政名目に、作業名目に紛れ込まされて実は出ている。もっと言ってしまえば、ここで非常勤職員をどんなに膨らませてもわからないということなんですね。幾ら上げても、給料をやってもわからない。

 つまり、こういうことが、実は採用に当たってのルール、賃金についての基準がない。ここに対してもやはりメスを入れなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 渡辺委員の御指摘は、先ほどの独法の場合もそうでありますし、今回の非常勤の職員の場合もそうでございますけれども、一般に人件費の抑制とかそういうふうに言われている枠外でそういう漏れがないように、水膨れがないように本当に厳しく見ていかなければいけないぞ、そういう御指摘だと思います。私もまさにそのとおりだと思います。そのためにどのようにしたらいいかということを、我々は今まだ知恵を出しているところでございますが、ぜひいろいろな御意見を賜りたいと思います。

 現状についてだけ、非常勤職員で申し上げますと、一般職非現業は、常勤約三十三万人でございますが、非常勤は御指摘のとおり約十三万四千人ございます。実は、難しいのは、この非常勤というのは非常に多様だということでございます。その十三万四千のうち実は最も大きいのは保護司だそうでございます。保護司が四万九千人。保護司の方というのは基本的には実費支給で無給になりますので、いわゆる人的サービスに対する支出だけからいきますと、これそのものは決して大きなものではないのだというふうに思います。職業相談員が二万一千人。そして事務の補助職員が二万一千人、これは今渡辺委員が御指摘をくださいました。そして委員顧問参与等職員が約二万人。これは、審議会のメンバー等々はこの中に御指摘のように入りますが、私的な懇談会のメンバーは入っていないということでございます。

 事ほどさように非常に多様で、一くくりに非常勤なら非常勤でなかなかとらえられないところもあって、それであるがゆえに、これも委員御指摘になりましたけれども、いろいろなところに紛れ込んでいるということなのだと思います。

 しかも、例えばですけれども、アウトソーシングしたらそれはサービス料になってしまう。ただ、アウトソーシングしても、実態はほとんどは人的サービスによって構成されているものもございましょうから、やはりそこは実態に合わせてしっかりと管理していくということになるんだと思います。

 その意味では、今物件費に入っているものについては、これは物件費は物件費で抑えるという努力をするわけでございますので、そういう中で見るということも必要だと思います。

 ただ、いずれにしても、これは、抑えよう、抑えようという、そういう枠外で漏れがないようにきめ細かく見ていくような努力は引き続きしていきたい。ただし、非常勤については、非常にこれが実態が多様でありますので、なかなか一律にとらえるのが難しいという側面もあるというふうに認識をしております。

渡辺(周)委員 確かにこれを見ても実態が本当にわからないところがいっぱいあるんです。

 ただ実際、公金、税金からその必要経費、何であろうと、人件費が払われているわけでございますから、先ほどの独法に対する運営費交付金と一緒で、やはり何かの形でこれは一くくりにするべきじゃないかなというふうに思うんですね。

 つまり、労働対価として払われている支給総額をやはり一つにまとめて管理する。つまり、今回のように、人数はわかるけれども全部で一体幾ら公金支出されているんだというと、だれも管理していません、わかりませんということでございます。これでは本当に行政改革の、先ほどの北朝鮮じゃありませんけれども、基礎データたるものすらないということでございます。その点については、ぜひ将来的にも早急に、この庁費というものについて、紛れ込んで人件費、アルバイトの補助職員の給料が払われるようなシステムはやめるべきだということを申し上げて、もう時間もありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。この点については、またぜひこちらとしても議論をさせていただきたいと思います。

 大臣が積極的に発言をしている中に、地方分権の問題も当然ございました。道州制の議論とはちょっと別にしまして、我々も民主党として、中央省庁の地方支分部局からヒアリングをしました。例えば、北海道の高橋知事あたりからもヒアリングをしましたけれども、いわゆる地方の出先機関とその行政体、自治体、これは、北海道を一つターゲットといいますかモデルにして道州制の今検討をされているとは承知しておりますけれども、我々は、やはり地方分権の推進という意味において、地方の出先機関と都道府県、道州制の議論はちょっとここのところに置いておきまして、やはり地方に移管させることができるんじゃないかと。その上で、もっと言えば、国家公務員が地方公務員、都道府県の職員になるということもあり得る、それによって、もっと身近な行政サービスになるのではないかということから取り組んでいるところでございます。

 いわゆる地方支分部局も含めまして、もっと言えば省庁の設置法の業務も含めまして、所掌事務も含めまして、地方に移管できるということをひとつ大前提に小さな政府を目指すべきではないかというふうに思うわけですけれども、大臣のお考えはいかがですか。

竹中国務大臣 今委員が御指摘してくださった点は、当面の私たちの最大のある意味での関心事といいますか重要事項として位置づけている問題でございます。

 昨年の十二月二十四日に行政改革の重要方針を閣議決定しておりますけれども、それに関連する総人件費改革の実行計画というのがございます。その中でも、総人件費改革の重要な柱の一つとして地方支分部局等の抜本的な見直しというのを位置づけているところでございます。これに関しては、別途、閣僚懇談会で中馬大臣も私も発言をしておりまして、特に総務省としては、総務大臣としては、この地方支分部局の改革に積極的に取り組むということを意思表明しているところでございます。

 人件費の実行計画の中では、地方支分部局の見直しに当たりまして、その業務全般について、民間にできることは当然民間にする、そして地方にできることは地方にと、今地方への移管という言葉を使われましたが、そのような方向でぜひ見直しを行うというふうにしております。地方への権限移譲というのは大変重要な改革であるというふうに思っております。

 それとは別にといいますか、それよりより大きな範囲としても、国と地方の役割分担のあり方はどうするべきかということを懇談会でも議論はしておりますので、それとあわせて、まさにそのような問題意識で、これは各省庁の抵抗も非常に強いと思いますけれども、私としてはぜひしっかりやっていきたいというふうに思っています。

渡辺(周)委員 今、懇談会で検討しているところだということでございます。

 私ども賛成でございまして、地方分権と言われながら、かけ声ばかりで全然進まない、いざ各論になってくると各省庁が抵抗をするということになるわけであります。ぜひ、そうした方向を出していただいて、そのメリットに対しては、やはりはっきりとアピールをしていただきたいと思います。

 つまり、地方の首長さんたちが霞が関に何度も何度も陳情に来て、はしの上げ下げまでああだこうだ言われて、結局それにほとんどエネルギーを割いてきた。ですから、本当にそこの意味においては、財源ももちろんですけれども、やはり権限をどれだけ与えられるかということではぜひ進めていただきたいと思いますし、我々も、まとまったらまたこの場でも大臣にもぜひ検討してもらえるというよりも、あるいはこれでどうだと突きつけられればなというふうな思いでございます。

 時間がありませんので、ざっと質問をしますけれども、今おっしゃった例えば懇談会、大臣の私的懇談会、いろいろございまして、今の地方分権もそうでございますけれども、大変積極的に委員の先生方が御発言をされる。これは、ある意味では、省庁の代表者が集まっていると当然省益を代表して前にも横にも進まないという意味では、こうした私的懇談会、私的諮問機関の方々がそれなりの立場で御発言をされて政治的な方針をある程度出すということは、決して我々は否定するものではありません。

 ただ、法案への影響ということを考えると、やはり、これは一部の民間人が政府の政策決定において影響力を高めていくんじゃないか、その点について危惧する声もございますけれども、また、それがなければ省庁からの代表者ではとても進まないということにつきまして、私たちもできればこの場で、これは委員長にもお願いしたい、与党にもお願いしたいと思っていますけれども、こうした例えば発言をされている先生方に途中経過といいましょうかお考えをやはりこういう場で聞く機会も必要だと思うんですけれども、それは委員会での方針にかかわることでございますから、大臣には答弁をというつもりはございません。あえて聞くとすれば、こうした私的懇談会のあり方について、国会報告も必要だとか、あるいは二重行政を招くのではないかという指摘にどうこたえるか、あるいは民間人が政府の政策決定に影響力を強めていくのではないかという声に対してどのようにお考えか、その点を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 懇談会についてでございますけれども、私が総務大臣に就任させていただいてから大臣の懇談会ということで三つ立ち上げさせていただいております。総務省には、私も総務省に行ってびっくりしたんですが、本当に局長クラス等々中心に物すごくたくさんの懇談会ないしは研究会があって、やはり現場の方も含めてたくさんの、私ちょっと今幾つ省であるかと聞かれたら答えられないぐらいたくさんあるんですが、大臣の懇談会として立ち上げたものは三つでございます。一つは郵便のリザーブドエリアと競争政策に関するもの、そして一つは地方分権ビジョンに関するもの、そして三つ目が放送と通信の融合に関するもの、そういうものについて私的な懇談会があるというのは事実でございます。

 今委員御指摘くださいましたけれども、政策の議論をするに当たって、やはり役所の公務員だけで議論をするとなるとどうしても制約が出る。そこで、広く専門家、有識者の意見を聞くということはやはり重要なことなのであろうかと思います。重要な点は、しかし、その懇談会が何か議論して結論を出したとして、それを法案にするか否か、どのような形で行政に盛っていくかというのは、これは大臣が、役所がまず考えるべき問題であり、そして法案については国会で御審議を当然いただかなければいけない問題になると思います。

 これは、まさに金融の不良債権処理のときも民間の方にやはりアイデアを出していただきました。しかし、それは、責任を持って金融庁として、金融担当大臣として行政の形に盛って、そして、いろいろな政治の場で御議論をいただいたわけでございまして、そこのやはり区分はこれは明確に当然させていただく必要があると思っております。私としては、一刻も早くそうした形でいろいろな御議論をいただけるような素材を、民間の知恵もかりて素材をつくりたいというのが今の段階であるということに思っております。

 当然のことながら、懇談会の段階においても議論のプロセスを国民に明確に示さなければいけない、公開しなければいけない。これは私は当然のことであるというふうに思っておりまして、総務省の懇談会の議事は適切に公開されているというふうに思っております。毎回、私なり座長がブリーフィングを行いますし、また議事の要旨等々も示しているところでございます。

 国会でいろいろな御対応をされる、これは委員会でお決めいただくことでございますけれども、我々としては、一刻も早くできるだけ皆さんにいろいろな御議論をいただけるような素材をぜひつくりたいというふうに思っているところでございます。

渡辺(周)委員 いろいろな私的懇談会があって、我々報道でうかがい知るわけでございますけれども、その点について、我々やはり途中経過を何らかの形で、こういうところで聞く機会があるんじゃないかなと思います。それはまた委員長とも相談して、当然これは委員として考えるべきことだとして、お願いしたいと思います。

 結びになります。今回のこの懇談会の話がございました。例えば、情報と通信の融合の問題、こうなってくると情報通信省のような役所の再々編が起こる、せざるを得ないということが、これは当然議論の対象となってくるわけでありますけれども、最後に大臣、情報通信省を含めた、二〇〇一年から五年たって省庁再々編をどうお考えか。

 それから、放送と通信のあり方についてはまた議論したいと思いますけれども、例えば松原座長が、放送法の不偏不党ということについては、例えば政党や宗教団体の放送局もあってもいいんだというような御発言をされました。こういう発言について、私もかつては報道機関に若干身を置いた人間として、非常に首をかしげざるを得ないわけでございます。不偏不党という形をやはり守らなければいけないというところで、大臣は、その点について出てくるであろう問題をどうお考え、どのような認識を持っていらっしゃるかというところについて、最後、二つ伺いまして終わりにしたいと思います。

竹中国務大臣 今、二問御質問をいただきましたが、後の方からあれさせていただきますと、御指摘の松原座長の発言、ちょっとどういう前後の脈絡の中で御発言になったのか、詳細は承知していないわけでございますけれども、放送法は、言うまでもなく、御承知のように第一条において放送の不偏不党を定めております。そして第三条の二において、放送番組の編集に当たって、政治的に公平であること、そして、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることというのを規定しております。放送事業者は、これらの規定を遵守した上で放送を行うというのは、私はこれはもう当然のことであろうというふうに思っております。

 省庁の問題でございますけれども、これは今、いろいろな形での議論を進めております。そうすると、郵政民営化が典型でございますけれども、郵政公社を民営化すると、それを管理監督している部署も当然変わっていかなければいけない。役所全体がそういう状況下に私は置かれていると思いますので、その意味で不断に見直しをしていくということは、これは自然なことであろうかと思います。

 なお、与党においても、中央省庁等改革の実施状況に係る点検、レビューを行うというようなことが議論されているというふうに聞いておりますので、そういった動向も見守りながら、我々としては不断の努力をしていく必要があるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 終わります。

中谷委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎です。

 先ほど渡辺理事からも発言があった最後の部分に係りますが、今大臣が、私的懇談会の中で、特にどれをということではありませんが、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会という懇談会を設置されております。その検討内容をホームページ等で見る範囲では、地方の自由度の拡大のための改革等々、六項目を中心に対応していくという話のようであります。

 私は、地方自治を考える中で一番大切なものは、現行憲法の九十二条にあります地方自治の本旨、これをどうとらまえて位置づけをするかということがベースにあっていろいろな議論が進められるべきだというふうに思っています。

 確かに、小泉内閣になってから、官から民へ、国から地方へということで、いろいろな意味合いが、国と地方のあり方が変わってまいりました。仕事の規定については、その憲法九十二条の規定に基づいた地方自治法の一条に、国と地方自治体との基本関係を確立するという規定と、民主的にして能率的な行政の確保を図るという項の中で、最後に、地方自治体の健全な発達を保障するというふうな規定がございます。憲法のこの地方自治の本旨というものも、解釈が、いろいろな形で時代においての変遷は確かにしてまいったというふうに私自身も承知をしています。

 特に、今お話をした地方自治法の一条の規定も、いろいろな意味で国と地方の基本関係を、もう既に地方自治法を制定した当時からあるにもかかわらず、まだまだ国と地方の関係は対等ではない、平等でないという形で、地方分権一括法も含めていろいろな法整備がなされているにもかかわらず、また新たに小泉内閣になってその流れが加速をしなきゃいけないというものが、この本旨というものがどんな意味合いであって、何が問題で明治憲法と違った形でこの本旨が決まったのかということをきちっと定義づけをしながら大臣がこの分権に対する懇談会にも臨まなければいけないと思いますし、この委員会においてもそうだと思うんです。

 大臣はこの地方自治の本旨ということについてどのようにお考えなのか、まず冒頭お尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 非常に重要な御質問をいただいたと思っております。

 私が総務大臣に就任させていただいて一番感じたのは、とにかく、霞が関で議論している限り、地方交付税を削れ削れという議論ばかりが前面に出てくるわけでございます。そういう議論ではなくて、そもそも論をやはりやらなきゃいけないだろう。国と地方の関係というのはどういうふうにあるべきなのか。地方の制度を変えろということは、それはとりもなおさず国の制度を変えるということでもありますから、そのそもそも論をぜひ議論したいということで、その二十一世紀のビジョンを立ち上げたわけでございます。そういう意味では、そうした議論をするに当たって地方自治のそもそもの本旨をどう考えるのかという委員の御指摘は、まことに重要な私は問いかけであろうかと思います。

 まず、大枠的なこと、これは今委員少し御発言くださいましたけれども、地方自治の本旨というのは、住民自治と団体自治という二つの側面における地方の自治を保障することであるというふうに認識をしております。本旨という意味ではそういうことに尽きるのかもしれません。

 このうち、住民自治というのは、地域の住民が地域的な行政の需要を、自己の意思に基づいて、自己の責任において、意思と責任において処理するということを意味しているんだと思います。そして団体自治というのは、国から独立した地域団体を設けて、この団体がみずからの事務をみずからの意思と責任において処理することを意味するというふうに考えております。

 私としては、このような地方自治の重要性を踏まえまして、地方分権に向けた改革に終わりはないわけでございますから、この分権を推進して、真の地方の自立と責任を確立するための議論をさらに深めていきたい。それで、ある段階で、この場でぜひいろいろと御議論を賜りたいと思っております。

後藤(斎)委員 今大臣が団体自治という御発言をされました。まさにそのとおりだと思います。しかしながら、これは後の質問にもすべて関連をするんですが、今までの国と地方の関係、必ずしも対等ではないという中で、三位一体の改革がある意味では進められたというふうに思っています。

 ただ、その評価も、正直言って、いろいろあると思います。鳥取の片山知事は、国家財政の再建に寄与するため地方へ出す金を絞るだけででたらめだと思うという御発言、これは新聞報道ですから、正しいかどうかはまだ直接御本人には確認しておりません。あわせて、滋賀の國松知事は、まだまだ真の分権改革にはほど遠いものだというふうな位置づけをされております。

 ちょうどこの四月一日から、地方債の発行のいわゆる自主権が確立をされようとしています。今までは、御案内のとおり、地方債の発行は許可制にされました。これは、いろいろな御説がありますが、一番平たく言えば、手放しで起債の発行を認めると各自治体がやたらに借金に走って財政破綻を招くと懸念されるためであるという指摘もございます。これがそのままだというふうに決して思いませんが、今まで地方債の発行自体を国の許可制にしたことが、大臣、団体自治の確立に当たるとお思いでしょうか。

竹中国務大臣 なかなか難しい御質問でございますが、いろいろな考え方、いろいろな現実的な対応の中で、これまでの制度は制度としてつくられてきたというふうに思います。

 しかし、基本的に、自由と、自立とそして責任という観点からいたしますと、これまでの地方債の許可制という枠組みは地方に対して制約を課すものであるし、同時に、ある意味で地方の責任の、欠如と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、希薄化につながるものであったというふうに思います。そういう意味では、これを改めていかなければいけない、そういう重要な段階にあるという判断のもとに、今いろいろな制度設計を考えているところでございます。

後藤(斎)委員 今のようなお話の中で、今まで地方債の起債自体は総務大臣、旧自治省の自治大臣の許可制でありました。それが四月一日から協議制に変わるという中でありますが、今まで、許可制にもかかわらず、地方の財源も国と同様大変不足しているというふうに言われ、後にまた議論になると思いますが、十七年度末で地方債の発行残高は二百四兆円程度あるというふうになっています。

 今まで、例えば地方団体の財政再建というものは、地方財政再建促進特別措置法という法律に規定して、昭和五十年以降では、この団体に指定されたというか認定されたものは十六団体あるということでありますが、この財政再建の特別措置法は、いわゆるフロー、一年間の収支を見て対応されてまいりました。二百四兆円、トータルである地方債、例えばこの発行をどんな形で、発行してきたというのは、それぞれの事情の中で、大臣や知事と協議をしながら許可をして認めた。

 この二百四兆円というのは、大臣、どんな形で返されていくんでしょうか。

竹中国務大臣 二百兆を超える地方の累積債務についてどのように返済をしていくのかというお尋ねだと思いますけれども、これは正確に言いますと、十八年度末で二百四兆円に達するというふうに見込まれているところでございます。

 これはいろいろな経緯でこういうふうになってきたわけであります。この地方債の償還の責任というのは地方団体にもちろんあるわけでございます。ただ、これまでの過程、経過を見てみますと、地方財政全体としてこんなに大きな債務を抱えることになったのは、特にバブル崩壊後の景気低迷による税収の落ち込み、さらに加えて、減税でありますとか景気対策でありますとか、国全体のマクロ政策の中で地方債を増発してきたという経緯も確かにあったというふうに思っております。

 そこで、これを、累積した債務を償還していくということになりますと、これはまず、構造改革の推進等によって、経済の活性化を通じて地方税等の地方一般財源の収入増に努めなければいけないというのは当然の問題だと思います。そして、国、地方を通じる行財政の簡素化、効率化で収支ギャップを縮小していくということが当然に必要になろうかと思います。

 そのためにも、個々の団体が徹底して行財政改革に努力をしていただくということ、そして制度面においても、国と地方の役割分担、税源配分の見直し、地方の自由度の拡大、国の関与の縮小など、そういう議論を含めてこの地方分権を進めていくということがやはり必要になっていくのだと思います。

 これはなかなか、打ち出の小づちのような政策があるわけではないと思います。これまでのいろいろな経緯も踏まえながら、国と地方がともに財政を健全化していく中で、自由と責任をより発揮してもらう形でこの問題を我慢強く解決していかなければいけないというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣が、二月四日の日経新聞に「自治体破綻に民間並み法制」というインタビュー記事が載っております。これは、先ほども触れさせていただきました地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の中にも財政健全化のための改革というふうな項がございます。

 大臣、先ほどもちょっと触れさせていただいた、今までの法体系の中で、地方財政再建促進特別措置法、これが一年間だけで見てきた。要するに、累積の債務等については、それは何とか返していけるだろう。要するに、単年度の地方債の起債の許可であるとか、今までの国と地方の関係、地方債の起債の許可をしたということでは、ある意味では、総務大臣、大臣にも責任はあるんではないでしょうか。

竹中国務大臣 地方の行財政の需要に対して、総務省も、汗をかいていろいろな財源の手当てをしていく、そのための予算の編成を行っていくということは我々の重要な務めだと思っておりますし、その中に地方債における資金の調達というのも当然入ってまいります。

 そうした問題に関して、先ほど言いましたように、特に九〇年代に入ってからは、税収の落ち込みに加えまして、国のマクロ政策に対して地方が実態的に協力をしたというような面もございますから、その意味では、国も地方も、こういう事態に至った経緯についてはしっかりと現実を見なければいけないというふうに思っております。

 私が先般の新聞のインタビュー等々で特に申し上げたかったのは、今委員もおっしゃいましたように、単年度で、そのときそのときではそれなりの、一生懸命いろいろな工夫をしてきたわけでございますけれども、この財政の問題というのは、そういう単年単年のフローの問題だけではなくて、そのフローの蓄積であるストックの問題でもございます。国の借金の残高の話はよく問題になるわけでございますけれども、同じ問題は、先ほど二百兆という数字がありましたけれども、まさに地方にもあるわけでございます。

 それで、民間並みと申し上げましたのは、民間のいろいろな苦しい状況に陥ったところが再生するに当たって、やはりストックの問題をきちっと解決していっているわけですね。フローでは手当てするけれども、ストックそのものが積み重なっていくような状況では、年々のフローの問題だけで解決できる問題というのはやはり限りがあるということだと思っております。

 そうしたストックの観点も入れた何か新しい再生の仕組みが要るのではないかという問題意識は私自身は持っております。そうした問題意識もお伝えをしまして、今、分権の二十一世紀ビジョン懇談会の中で、どういうような形での、再建型の破綻制度ですけれども、それが必要かということも検討いただいているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃったように、もちろん、地方自治体、憲法にもきちっと規定をされて、今地方自治の制度がこの六十年間でようやくきちっと根づいてきた。そういう中で、今抜本改正がいろいろな部分で必要だということは、私自身もそう思っていますし、なぜ今までそのことが素材にならなかったのかということが、逆に言えば、大変不思議な部分があるんです。

 先ほど、滋賀県知事と鳥取県知事のお話を報道ベースでお伝えさせていただきました。そういうふうな、逆に、まだまだ真の分権改革ではないという地方の声には、大臣、今のこの破綻法の整備も含めて、どのように対応されていくんでしょうか。

 というのは、地方から見れば、ある意味では、旧自治省時代から、国と地方の関係は、国にやはりそこの責任も負ってもらっているんではないかなという意識はあるという話は何人かの方からもお聞きをしています。その対等関係というものが、まさに法体系の中で対応が十二分でないという前提で、大臣は、私的懇談会においても、民間並みのというか、要するにストックの部分も含めた破綻法制の整備が必要だというふうにお考えなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 まず、前半で御指摘がありました、まだまだ真の分権ではないのではないかという知事の皆様方の御引用でございますが、私は、まず、ここ三年間行ってきました三位一体の改革につきましては、これは、補助金の四兆円を上回る削減、三兆円の税源移譲、そして五兆円を上回る地方交付税の改革という意味で、やはり一定の成果があったというふうに思っております。特に、地方六団体からも、三兆円の税源移譲、これは、ある種歴史的なといいますか、画期的なものであるというような評価は私はいただいているのではないかというふうに思っております。

 しかし同時に、補助金を削減する過程で、そして税源移譲の過程で、交付税改革の過程で、改めて問題になってくるのは、これはやはり、まだまだ改革が必要だし、今回の三位一体の改革をやってみて改めて、より抜本的な改革が必要だ、それがより明らかになってきたということではないかと思っております。私は、三位一体の改革が大きな一歩であったということを踏まえて、だからこそ今、より抜本的なことを進めていかなければいけないというふうに思っております。

 その際に、今の地方の制度というのは、非常に長い歴史の中でその時々の工夫を重ねてきましたので、非常に複雑に絡み合った制度になっていて、国と地方がある種いいとこ取りができるような仕組みになってしまっているということなのだと思います。そういう中で、非常に大きくなった、複雑に絡み合った制度をどのように現実的に改革をしていくのか。きょうこの瞬間も地方の行政は行われているわけで、行財政が執行されているわけで、そういうリアリティーを持った、しかし抜本的な改革、これは本当に難しい問題だと思っております。

 そこで、まず、今、より長期の一つのビジョンを描いていただいて、それに向けて今何をすべきかというようなプロセスを明らかにしていきたいというふうに考えているところでございます。

 二番目の、法体制の問題等々でございますが、これが、根本的な法制度の未整備によるものが大きいのか、それとも、それ以降の運用とかインセンティブの欠如とか、そういうところによるものなのか、これ自体も私は大変複雑に絡み合っているというふうに思います。

 その意味で、懇談会でいろいろな議論をまず素材として出していただいて、法整備が必要だということになれば、当然法律の議論をお願いしなければいけないというふうに思いますし、運用で変えられる部分があるならば、総務省を中心にその運用について議論をしたいというふうに思います。また、当然のことながら、地方の自治体にもインセンティブをつけて頑張っていただかなけりゃいけないという面も出てこようかというふうに思います。

 非常に大きな問題でありますので、ここをこう直せばうまくいくというような簡単な問題ではないというふうに思っておりますが、であるからこそ、抜本的な議論を、ビジョンとして今懇談会で御議論をいただいているところでございます。

後藤(斎)委員 地方自治に関しては、あと一点だけですので触れさせていただきますが、読売新聞が一月の二十一、二十二日に市町村行政に関する世論調査を行っています。

 大臣がおっしゃるように、確かにいろいろな意味で改革、分権化が本格的になってきたということで、住民ニーズがどんな関連で、行政の合併も含めて形が変わったことで、どんな形で思われているかという中で、ある意味では、分権対応については意見が二分という表題も含めて、世論調査の結果が出ています。

 一番問題なのは、県や市町村による税金の無駄遣いを感じるという方が七三%いる。これは、大臣が所信表明でも触れられた、国、地方あわせた行財政改革をもっともっとやっていかなきゃいけないという裏返しでもあるというふうに思っています。

 もっと問題なのは、市町村合併をかなり現行法でも過去の合併特例債の制度も含めて促進をしてまいって、現在では千七百何がしという数字になっています。その中で、行政サービスが悪くなったという人が、よくなったという人よりも、一八対四ということでかなり多く、変わらないという方も七割近くいる。これがある意味では、大臣もおっしゃられた、今でも現場は動いているというふうに言う中での意識ではないかな、非常に素直にあらわされている数字だというふうに思います。

 ですから、新合併特例法についても、今大臣がいろいろな意味でお考えになって進められている実際の法の運用、要するに実際の行政のあり方についても、もっとこういう、いろいろな形で世論調査を内閣府も含めて対応なされていますが、やはり節目節目、いろいろな形で住民、国民の方の意見をきちっと聞いて対応していくということが必要だと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 といいますのは、私、経済財政政策担当大臣として国の財政の立場から議論をしているときは、周りの人たちは、これはみんな地方が悪い、地方はもっともっと無駄が削れると必ず言います。今、地方の行財政の仕事をすると、周りの人たちは、いや、国はけしからぬ、国のそもそもが間違っているというふうに必ず言う。しからば、国民に聞いたらどうかというと、国も地方もだめだ、もっと頑張れと。これは、国民はやはりそういうふうに、結構、国と地方、両方に対して私は厳しく見ているのだと思います。

 そういう中で、国民の声を、両方に耳を傾けながら、偏った議論にならないように、国と地方が入り口論で対立するというのは大変不幸なことであると思いますので、そうならないように、そのためにも国民の声に真摯に、住民の声に真摯に耳を傾けて、国の制度を変えなきゃいけないところというのは確かに私はあると思います。そして、地方のメカニズムも変わっていかなければならない、そういう点もあるのだと思っております。

 国民の、住民の声を大切にするという後藤委員の御指摘は、私はそのとおりだと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、所信表明で、もう一つの懇談会、放送と通信のあり方に関する懇談会を設置され、今検討されております。これは昨年の麻生大臣のときも御指摘をさせていただきましたが、まさに放送と通信は今融合をし始めた。このことが非常に国民的に大きく取り上げられたのは、大臣もよく御存じの、堀江貴文氏のライブドアとニッポン放送のいろいろな買収劇のとき以降だったというふうに私自身は承知をしております。

 その中で、大臣、NHKのあり方、公共放送のあり方も含めて御議論をされておって、先ほど渡辺委員からも御指摘がありましたように、座長も含めてかなりいろいろ踏み込んだ発言もされております。

 その中で、ちょっといろいろ、私どもは党として、勉強会も含めて対応させてもらっていますが、NHKが定期的にやられている調査の中で、先ほど信頼度というようなお話がありましたが、どんなメディアや国会、政府も含めて信頼しているか。これはNHKがやった調査ですから、そのとおりに数字を挙げますと、国会を、どちらかといえば信頼している人が二五、どちらかといえば信頼していないのが六五%。政府も、二八、六二と、信頼していない方が多いです。民放放送では三七対五二。NHKは、信頼している方が七九、信頼していないのが一四というふうになっています。

 これがどうこうということではないんですが、今のNHKは、御案内のとおり、これからも予算の質疑、またいろいろな形でこの委員会でも議論する場があると思いますが、一番の基本的なことをお尋ねしたいと思っています。

 NHKは、言うまでもなく、放送法の規定によって、受信料でそのほとんどの収入を得ながら運営がなされております。大臣、この受信料というものはどんな性格なんでしょうか。

 というのは、いろいろ不払い運動も含めて数字が出てきまして、実際、全世帯の三分の一くらいは受信料を払っていなかったんだというふうな数字もようやく国民の前に明らかになってまいりました。そんな中で、この受信料の性格がどんな位置づけなのかということが、これからNHKのあり方も含めて議論をする際に大変重要だと思います。ある学者の先生は、受信料は民事債権的なものであるという位置づけもされております。

 大臣の御見解、お考えをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 NHKをめぐる議論というのは、この委員会におきましても大変重要なテーマであると承知をしております。

 今委員が、信頼度調査でNHKに対する信頼度が高い、私も一国民としてそのような実感をずっと持ってまいりました。そのNHKがたび重なる不祥事でこのようになっているということが、信頼が高かったNHKであるからこそ、国民を困惑させているということであろうというふうに思っております。

 放送法における受信料の法的な性格についてのお尋ねでございますけれども、放送法の第三十二条第一項では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」というふうに規定をしているところでございます。

 これについて、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会報告の中では次のように述べられています。受信料は、「国家機関ではない独特の法人として設けられたNHKに徴収権が認められたところの、その維持運営のための「受信料」という名の特殊な負担金と解すべきである。」

 一般に受信料といいますと、サービスの対価というようなとらえ方が一般的かもしれませんが、基本的にはこれは負担金と解すべきであるというふうにされているところでございます。放送のための税金でもなく、NHKに一定の業務を負わせるための一種の負担金として法律が創設したものというふうに解釈しているところでございます。

後藤(斎)委員 その六四年の、今大臣のおっしゃられた放送懇の中での位置づけは、確かにそうであります。

 ただし、その場合、その答申を受けて、放送法の改正案が当時、国会に上程をされ、審議が未了で廃案になったというふうな話も聞いています。その後、一九八〇年に、公平負担の原則の徹底ということで、罰則を盛り込んだ放送法の改正が模索をされたものの、これも当時いろいろな方から反対運動が起きて、廃案になったというお話を聞いております。

 だからこそ、逆に言えば、この受信料をどう位置づけるか。やはり払わなければいけないのかどうか。これは視聴者の意思なのか、それとも法の規定にきちっとあるからかという、ある意味では、後でもちょっと指摘をさせていただきますが、放送と通信の融合といっても、その部分の法体系が、今ここに放送六法というのがありまして、放送法が憲法の次にあって電波法が続くんですが、十法律、放送六法の中にあります。基本的な考え方が、放送法と電波法以下の、いろいろその時代の技術革新も含めた流れの中で新しい法律ができて、こんな厚いものになっておるんですが、もう一点は、それも後で触れさせていただきますが、先ほど渡辺理事も御指摘をした不偏不党という部分であります。

 放送法に、先ほど大臣もお答えをいただいたように、しなければいけないという規定がございます。その第三条の、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということで、二項以降に先ほど大臣がお触れになったものがきちっと記載されております。

 大臣、昨年の九月の総選挙の報道のあり方、どことは申しませんが、放送のあり方がこの不偏不党に当たりましたでしょうか。不偏不党という立場で報道がなされたというふうな御認識をお持ちでしょうか。

竹中国務大臣 放送の内容について、総務大臣として、この内容がどうであったかということを申し上げる立場にはないというふうに思っております。

後藤(斎)委員 二月六日の日経新聞の調査で、これは若干視点が違いますが、ライブドアによる証券取引法違反の事件について、この事件を大きくした責任がだれにあるかという問いに、金融庁・証券取引等監視委員会が五九%で、一番大きい責任だというふうにこのアンケートでなっています。二番目に、マスコミ五六%、公認会計士四七%ということで、「「ホリエモンを持ち上げておきながら、落ちた偶像をたたく」マスコミへの批判は厳しい。」というふうなこと。

 そして、この数字が本当の事実かどうかというのは別としても、私は、この不偏不党や番組の報道のあり方に本当に、大臣は何も言えないという話でありますが、昨年の十月にも当時の麻生大臣にも、政治的公平という部分ではなく、公序、善良な風俗を害しないということで、青少年の、親として子供に余り見せたくはない番組のことも触れさせていただきました。

 では、大臣、この三条の二というものは、法律に規定されているものはだれが、自主規制だという話を多分されるんでしょうけれども、総務省としてどんな形でこの遵守がなされているかというものをチェックするんですか。

清水政府参考人 個々の放送番組の関係についてコメントは申し上げないと申し上げておりますが、仮に、放送事業者が放送法そのものに違反したと認められる事案につきましては、当然ながら、放送法ではない世界の電波法の世界でも罰則の規定がございます。

 今回の、先ほどの三条の二の関係でございますが、三条の二の関係は、基本的に、放送番組の内容につきましては、いわゆる憲法に規定する表現の自由との関係がございまして、放送事業者がみずから基本を定めて、それにのっとって番組の適正を図るという仕組みでやっております。

 なお、この仕組みによってもなお違反が生じたような場合には、当該放送事業者に対して注意をして、再発防止を求める等の行政指導を行っているところでございます。

後藤(斎)委員 竹中大臣、今若干鎮静化をしているかどうかというのは外国のことだからよくわかりませんが、今ヨーロッパで、デンマークから始まったムハンマド風刺画の問題、これも今局長が御答弁なされたその表現の自由というところ、ただ、これが、ある意味では、ある宗教観を持った方、ある人種の方から見れば、大変行き過ぎたということで、大きな問題になっていると思います。

 確かに、テロや暴力は決していけないということは言うまでもありません。しかし、表現や批判という、その自由が本当にどこにあるかというものは、確かにその放送番組を作成する方の自由なのかもしれませんが、その自由にもやはり規律があり限度があるということでなければ、先ほど地方自治の中でも大臣に本旨というものは何ですかというお尋ねをしましたが、本当の表現の自由やいろいろな保障をされた自由がもっと違った形で侵されてしまうんじゃないでしょうか。だからこそ、私は、先ほど日経新聞で、マスコミ、メディアの皆さんの責任も、この数字では五六%ということになっていますが、あるんではないですかと。

 その中で、これから放送と通信の融合という問題を考える中でも、そういう規律がどんな形であるのかどうか、やはり法律に照らし合わせて考えていただく場をまた設けていただく、ないし、その懇談会の中でいろいろな意見を聞いていくということは、大臣、されないんでしょうか。

竹中国務大臣 後藤委員の問題の提起は、私たちの自由な社会の根本にかかわる問題でありまして、放送に関連する行政とか法律とか、そういう範囲で決して議論をし尽くせない問題であるというふうに思います。

 表現の自由、やはり自由というのは本当に大事だと私は思います。しかし同時に、ある人の自由が他の方の尊厳を傷つけるようなことがあってはならない。そういう意味では、これは一種の、私たちが常に社会全体で知恵を絞って、社会の一つの価値としてどのようなものをつくっていくかという問題であろうかと思います。その意味では、総務省が一つの法律で一つの、ないしは行政の介入で解決するというようなことは、これはやはり慎まなければいけない問題であるというふうに私は思います。

 一方で、例えば通信と放送の融合の問題に関して言うならば、放送と通信の合間が非常に微妙になっている中で、放送には適用されるような一種のモラルの規定等々が通信には適用されていないという実態はございますから、そうしたものは一体どのように今後融合の中で扱っていかなければいけないのか、そういうことは懇談会でも議論をしていただきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣の今のお立場の中ではまさにそうだと思うのですが、私は、ですから、大臣の今の御答弁でよくわかるんです。ただ、これからまさに、放送法や電波法という今の既存の法律の中で規定をされているものと、そうではない新しい分野の新しいコンテンツも含めて融合して、新しい産業も含めて、産業育成も含めて考えなくてはいけないという、多分大臣はお立場だと思うんです。

 それで、先ほど御指摘をしたような放送関係法も、放送に関する法律も十本あって、それもこれからどういうふうな形で、やはり法律というものは、一部の利害関係者だけが理解をするものではないはずなんです。放送と通信、情報が融合していく体系の中で、どんな形のあり方、要するに国民にわかりやすい形でそれが理解をされなければ、これは私たちの責任だというふうにもちろん思いますが、法体系を整備し、そして新しい法体系にのっとって制度を運用するという両方の立場から、そこにはすべて国民がいて、そして大臣がおっしゃられたような、自由という基本的には一番大切なものをどう、大臣、私、委員長も含めて、いろいろな立場の中で、やはりそれはある一つの規律というものを持って対応しなければ、私どもがこの国に住んで、そして地球という国に生きていくという同一性というものは私はないと思うんです。

 ですから、懇談会の中でもいろいろな方から、それはNHKの方もお呼びになっているようでありますし、民放の方もお呼びになっている、メディアという部分ではもう少し広い分野だと思うので、そういう方のいろいろな意見も、固定的な委員だけではなく、もっとたくさんの方からお聞きをして、大臣の今のようなお考えをきちっとお伝えいただく。そしてその方たちからも御意見を聞きながら、やはり同じような意識の部分にある意味ではベースとしてはしていかないとおかしな国になってしまうし、例えば先ほどの風刺画の話も日本で起こらないとも限らないと私は思うんです。

 では、そのときにどういうふうなことが求められるのかというのは、私は、そのベースとして、やはりいろいろな形で意見交換を通じて、大臣のいろいろな、放送法や電波法を取り扱っていられる、メディア全体とは言いませんけれども、そういう大臣のお立場もきちっと御発言をなさることが必要だと思うのですけれども、改めて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 委員の御指摘の中で、やはり非常に幅広くこういう問題全般について問題意識を共有していただくということは、これはもう本当に必要なプロセスであろうというふうに思っております。

 その意味では、懇談会におきましても専門委員に基本的な御議論をいただきますが、その過程で、ヒアリングのような形でできるだけ多くの関係者においでをいただいて、そして、時間的な制約は皆さん大変大きいわけでありますけれども、その中でしっかりと私の真意もお伝えをしたいし、そして現場の声もしっかりとお聞きをしたい。そういう中で、しっかりとした問題意識の共有がなされていって、そういう問題意識の共有の基盤があって初めて、決して法律や行政だけでは解決しないような大きな一つの社会的な規律というものができ上がっていくというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ぜひその点はそんな形で進めていただきたいと思います。

 郵政公社の方、いらっしゃっていますでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

 報道ベースでしか承知をしておりませんが、簡易保険の分野で国債などの債券管理業務を外部委託した、その入札で一円で落札をされた、これは事実でしょうか。

伊藤参考人 日本郵政公社で調達を担当しております伊藤ですけれども、一円の入札があったということは事実でございます。

後藤(斎)委員 当初、郵政公社の予定価格は数十億だというふうに聞いております。確かに、安ければ安いほど、公社としたら株式会社に移行する際には大変よろしいというふうにも思いますが、この大きな乖離の中で、予定価格との乖離の中で、どんな御議論をなされて最終的にお決めになったんですか。

伊藤参考人 公社の方では、この一円入札があった契約というのは、先ほど委員のお話のあったとおり、簡易保険が保有する有価証券などの資産管理の事務を外部委託する契約でありますけれども、その契約金額につきましては、不当廉売など法令に抵触するか否か、あるいは契約満了後に優位性があるのかどうか、さらには契約の履行能力があるかどうか、総合的に判断をして、問題はないというふうに判断をして、契約をしたものであります。

 そして、弁護士の方からも話を聞いておりますけれども、安値と考えられる価格による受注が生じたとしても、手数料の収入見合いを認識した価格である限り不当廉売に該当するおそれはないというふうな見解も得ております。

 そしてまた、受注の、受託の会社は、国債等の債券発行体、日銀等でありますけれども、そちらから手数料収入の見合いがある、それから、規模のメリットによる事務コストの削減などがあるということで、総合的に判断してそうした入札をしたというふうに聞いております。

後藤(斎)委員 手数料収入が日銀から、この五十兆の運用管理を任された会社は一年間に数十億の規模の手数料が日銀から直接入るというお話もありますが、それは事実ですか。

伊藤参考人 受託の会社から聞くところによると、そういった手数料があるというふうに聞いております。

後藤(斎)委員 余りにも普通の感覚からすれば、指名を三社に限ってされたということですが、これはまた細かくお尋ねを後にしたいと思います。

 大臣、最後になりますが、私どもの党としても、小泉政権、四月で丸五年を迎えます、小泉政権の光と影ということで、プロジェクトチームをつくっていろいろな検証をさせていただいています。

 その中で、最近よく言われることですが、これは与野党問わずでありますが、都市と地方の格差がまだまだ拡大をしている。都市部は景気回復感が非常にあるものの、地方ではそうではない。日銀のデータを見ても、確かに改善傾向が見られるものの、そういうふうな数字もございます。

 あわせて、家計調査もいろいろ見てみると、特に大都市部では、大変苦しかった時期に預金を引き出す部分が、平成十二年と平成十六年を比べてみますと、三十八万円から三十七万円、一万円ほど預金の引き出し額が減っています。これはもちろんいろいろな社会的要因があると思います。しかしながら、町村と呼ばれている部分では、三十四万円から三十六万円に四%程度伸びております。

 このようなことが象徴的な数字かどうかは別としても、大臣、やはり実態感、皮膚感覚からいえば、都市と地方の格差は依然大きくあり、そして、まだ景気回復感も地方の方では都市部に比べて低いということだと思います。

 地方自治、地方全体を取りまとめる大臣として、この都市と地方の格差の問題、どのように御認識をし、もし問題があるとしたらどのように解決をするおつもりなのか、御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 総じて、格差の問題というのは実態把握も含めて大変難しいわけでございますが、今委員がお話しになった中でも日銀のお話がありましたが、これは景況感の格差ということだと思います。それは当然、跛行性という意味で非常にあると思いますし、今でいえば、主力でありますIT関係の業務、輸送機械業務が存在しているところと存在していないところ、これは決して都市と地方だけではなくて、地方の間でもそういう格差があるということだと思います。そして、より根本的には、資源の賦存状況そのものが格差があるというような問題もあろうかと思います。

 こうした問題、当然、地域の再生という観点から、我々も大変高い関心を持って、ずっと政策を運営してきました。構造改革特区、地域再生のプログラム等々でございますけれども、そういうものを活用して、地方が創意工夫で独自のよさを発揮していただいて、そして地元の経済をよくしていただく、これがやはり最大のポイントであろうかと思います。

 そうしたことが可能になるような国と地方の役割分担、そして税源の配分等々が必要になると思いますので、我々も地方分権の懇談会の中で、地方の活性化という概念をぜひ入れて、その中の中心として入れて議論しようという方向で議論をしております。これもなかなか、これをやれば必ずうまくいくという方法があるわけではございませんけれども、幅広くそういった政策の議論を深めていきたいと思っているところでございます。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。

 竹中大臣とは大変親しくさせていただいておるわけでありますけれども、大臣が金融担当大臣のときには財金委員会、また郵政民営化のときにはその委員会にも入れていただいて、また今回、総務大臣のときに総務委員会ということでございます。別に追いかけておるわけじゃありませんけれども、大変縁が深いなというように思っておるわけでございます。

 大臣所信に対してまずお伺いをいたしたいと思いますが、初めに、地方分権についてお伺いをいたしたいと思います。

 地方分権を過去に一度さかのぼってお話をお伺いいたしたいと思いますが、竹中大臣は大変学者で博識でございますので、いろいろな本を読んでいらっしゃると思いますが、「一九四〇年体制」という野口悠紀雄先生の本があるんです。これを私、時々また読み返して、大変おもしろい本ですから、やっておるわけであります。

 一九四〇年体制というのは、一九三八年に国家総動員法が制定されるわけでありまして、いわば戦争準備態勢の中央集権国家をつくるということで、法制また制度を構築していくわけでございます。

 その当時つくられた制度、法律で申し上げますと、例えば、直接税を主体とするような税体系の制度であるとか、また源泉徴収制度であるとか、金融におきましても間接金融を主体とした金融制度だとか、また、今もう改正をされておりますけれども、旧日本銀行法だとか、また旧借地借家法だとか、いろいろな法律、制度がそのときにつくられたわけであります。それが終戦後も我が国の制度の中に深く入っておって、見方で言いますと、高度経済成長はいわばそういう制度があったのでできたというようなことさえ言われておるわけでございます。

 しかし一方で、非常に根深く入っておりますので、いわば構造改革をするといったような、今の世界の流れに合わせていくというようなことだとか、例えば、財政が今、安定成長でございますから、逼迫した状況の中で、変えていかなきゃいかぬといったときに、これが非常にまた根深く入っているということで、システマチックに入っているということで、なかなか難しいというような状況があるということなんだろうと思うわけでありますけれども、国と地方との関係におきましてもそのようなことが言えるんだろうとも思うわけでございます。

 ちょっと引用して申し上げますと、一九四〇年の税制改革案の焦点は、地方税制調整交付金制度が焦点であったわけであります。この制度によって国税を地方に交付し、地方団体間の財政力の調整と財源の保障を図るということになった。いわば現在の地方財政の基本的な仕組みがつくられたわけでございます。補助金また交付金などによって地方財政が中央に依存するというような体制になった。

 すなわち、申し上げますと、所得課税を国に集中させて、所得税、法人税を基幹税とする国税の体系をつくる。これを財源として、特定補助金を地方に支出し、それによって中央政府の決定した仕事を地方に執行させる。さらに、地方債によって補助事業の執行を支える。その際、地方債は起債計画に基づいて認可することにした、これが戦後の起債統制につながるというようなことでございます。

 地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金という、いわば中央政府から地方へのトランスファー、これが一九三八年までは地方財政総収入の一〇%程度しかなかったわけであります。これが四〇年の税制改正によりまして急激に増加をいたしまして、二割程度になったわけでございます。このような地方財政の中央依存体質は戦後さらに強化されまして、一九五〇年代以降も四〇%程度の水準となっている。こういうような過去の経緯をたどって今に至っておるわけでございます。

 先ほど大臣の御答弁を聞いておりましても、国と地方との関係、非常に入り組んで、密接に関係しておって、なかなかそこに切り込んでいくということについては大変だったというようなお話があったわけであります。

 昨年、三年間にわたる三位一体の成果といたしまして、四兆七千億の補助金の削減が行われ、交付税の約五兆一千億の削減が行われ、三兆円の税源移譲が行われたわけでありますけれども、実は私も与党内でこれにかかわっておりまして、これは大変な状況でありました。国も地方も大変な状況の中で、今回の、昨年の三位一体が行われたわけでありますけれども、今回の地方分権はいわば一歩踏み出したというところではないかとも思うわけでありますけれども、今後より一層の地方分権を進めていかなければなりません。

 しかし、冒頭私が申し上げましたような大変複雑な仕組みの中で、我が国の制度の中に非常に複雑に、システマチックに入り込んでいるこの国と地方との関係を想定し、念頭に入れて、今後の地方分権をどういう観点で進めていくべきなのか。今、私的懇談会もつくられてやっていらっしゃるわけでありますけれども、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 谷口委員には本当にいろいろ御指導を賜りまして、感謝を申し上げております。

 今、野口悠紀雄氏の研究を引用する形で一つの歴史的な推移を御指摘されました。それぞれの国はそれぞれの歴史を踏まえて、その意味では工夫をした制度を持っているわけでありまして、それを変えていくというのは、やはり本当になかなか大変な仕事であるというふうに思っております。

 アメリカの場合等は言うまでもありませんけれども、州が、当然のことながら、自分で法律までつくるという、ある種独立した、自立した自由を持っているわけでありますけれども、その自由と裏腹の関係としては、連邦政府が各州に交付税のようなものを渡すということは一切ないわけでありますから、そういう意味では、それぞれの歴史に合わせた自由と責任のあり方が違っているということだと思います。

 そういう中で、今後どのように進めていくかということを、我々、今真剣に悩んでいるところでございます。三位一体については、いろいろな御批判もあるかもしれませんが、これはやはり一つの大きな第一歩であったというふうに思っております。

 地方分権に向けた改革に終わりはないという認識のもとで、これまでの成果を踏まえながら地方分権を推進して、真に地方の自立と責任を確立するための日本らしい仕組みをどのようにつくっていくかということだと思っております。

 そうした意味から、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会におきましては、地方の自由度を拡大する、これはやはり重要な方向である。同時に、コインの両面である責任の明確化をするということも重要である。そうした観点から、幅広く議論をしていただいているところでございます。

 この中で、道州制も視野に入れた国と地方の役割分担の抜本的な見直し、自由度の拡大や国の関与の縮小、これらを踏まえた地方税財政制度のあり方等の議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

 詳細の方向について、まだ私自身、意見を申し上げる段階ではございませんけれども、問題意識としては、自由度を高める、そしてそれと裏腹の責任もしっかり持っていただくシステムをつくる。そして、地方の行財政改革がもっと進むように、それによって住民がメリットを受けるような、インセンティブのシステムのようなものをどのように導入していくか。そうした中で、国、地方、双方のスリム化を通して財政の健全化も図っていく。そういうことをやはり同時に達成しなければいけないと思っております。

谷口(隆)委員 いずれにいたしましても、国と地方との関係を見直していくというのは、地域住民と申しますか、国民の皆さんにも大変大きな影響を与えるわけでございますので、慎重かつ現在の状況に、現状に合ったような形で変えていかなければならない、一層の地方分権をやっていかなければいかぬ、このように思うわけであります。

 大臣の地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、これをやっていらっしゃって、先ほどの議員の中にも質問がございましたが、自治体破綻法制をそこでどうも検討されているというようなことでございます。

 自治体破綻法制というのは、企業でいいますと民事再生みたいなものなんだろうと思いますが、今までであれば、地方財政再建促進特別措置法に基づいて、仮に非常に財政が悪化したといった場合には再建団体に指定されるわけでありますけれども、一たん再建団体に指定されますと、予算編成権を失って、議会の議決と、いわば総務相の協議により予算を編成するということになるわけでございますね、現行の制度でございます。いわば、自治体首長の経営責任を問われないというような形になっておるわけであります。

 今回、この破綻法制、いわば首長の経営責任を明確にしていくというようなところに一つのポイントもあるんだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在、地方分権も大変な中、一歩踏み出したわけでありますけれども、十分に地方自治が確立されておるというような状況でもないのも、これはまた共通の認識であるわけでございます。そういう状況の中で、地方自治が十分確立されない状況の中で、自治体首長の経営責任を問われるということはいささか酷ではないかという考え方もあります。

 このような考え方があるわけでありますけれども、大臣、どのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたします。

竹中国務大臣 新聞等々では破綻法制の話ばかりがクローズアップされて出ているようでございますけれども、まず議論の大前提として、自由と責任でございますから、自由をしっかりと増していただくという仕組みについても我々はしっかり議論をしておりますし、さらに議論を深めなければいけないというふうに思っております。その上で、自由度を増していただく、そのかわり責任を持っていただくときの破綻法制の整備というのは、それはそれで必要であろうというふうに私も思います。

 ただこれも、破綻というとちょっと言葉がなかなか穏やかではないと言う人もいるわけですが、先生御承知のように、破綻にはいわゆる清算型のものと再建型のものがあるわけでございます。清算型のものというのは地方自治体の場合もう考えられないわけでございますので、再建型のものに当然決まっているというふうに私は思っております。

 重要なのは、いざというときはきちっと再生できるような仕組みをつくっておくということが重要だと思います。その意味では、先ほども御質問いただきましたけれども、フローの話だけではなく、ストックの、過去の借金をどうするかというようなものもしっかりと中に入っていなければいけないだろう。現在の制度ではそれは実はないわけでございますので、そういった点をどのように考えるかということは、これは御議論をいただきたいというふうに思っております。

 しかし、破綻法制を準備することの意味は、いざというときは再生させるということですが、それ以上に重要なのは、そうならないようにするということが重要なわけで、破綻の制度の中には予防的な意味合いというものがしっかりと込められていなければいけないと思っております。

 その意味では、責任者の責任というものを入れる方がいいかどうかというのは、私は一つの議論であろうかと思いますが、これは委員言われたように、いきなりそこまでいくことがよいかどうかというのはいろいろな議論があるということは私は承知をしております。

 むしろ、予防的なものという点に関して言うならば、ストックについて、いざというときは債務の免除をするような考え方がもし入れられるとすれば、それは今度は、貸す方の側できっちりと予防的に貸していいかどうかというのを見るメカニズムが入ってくるわけでございますから、私は、それが決して今の段階でいいと思っているわけではございませんが、そういう点も含めてしっかりと御検討をいただかなければいけないと思っております。

 結論について、私は全く予見は持っておりませんので、今の個別のお話については、いろいろな考え方があるから御議論してくださいということで今議論していただいているわけでございますので、委員言われましたように、やはり自由というのがまずあって、その上での責任の議論であるというふうに私は承知をしております。

谷口(隆)委員 自治体破綻という、小さな自治体ではどうもあったようでありますけれども、大きなところでは我が国は今まで経験しておりませんし、アメリカではオレンジ郡の破綻というのがあったようでありますけれども、これはどうも見ておりますと、税収が不足して財政が悪化したのではなくて、むしろ投資に失敗をして破綻したというようなことのようでございます。

 大臣おっしゃるように、やはり事前準備としてそういう一つの法制を考えるということは、従来はまずないだろうという想定でいましたから、しかし、状況を考えますと、これから起こっても決しておかしくないような状況でもあるわけでございますので、これは必要なんだろうと思います。

 さっきも申し上げましたが、私は、いわばこれが企業における民事再生と同じようなものであれば、基本的には経営者が責任をとるということになりますから、一体だれが責任をとるのかといったときに、やはり自治体の首長に最終的に責任がいっちゃうわけでございますから、そこで、一部、大変危惧をされている自治体の首長もおられるということを申し上げたわけで、今、大臣の御答弁では、すぐそこまでいくということはまずないだろうと。いわばセーフティーネットと考えてもいいんでしょうか、一つの法体系としてつくっておく必要があるんじゃないかというような意味合いでの議論だということと理解いたしておりますが、それでよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 まだ本当に議論が始まったばかりでありますし、それが現実に今どのような意味合いを持ってくるかということは、これはこれでチェックをしっかりとしていかなければいけないと思います。

 先ほども申し上げましたように、抜本的な改革が必要だというふうに多くの方がおっしゃいますが、しかし、今この瞬間も地方の行政サービスが行われているわけでありますので、そういう意味でのリアリズムを持たなければいけないと思っております。

 そうした点も含めて、ぜひしっかりと、まずは懇談会で議論を深めて、そして素材を委員の皆様方にも御議論を賜りたいと思っております。

谷口(隆)委員 この地方分権は大変重要な問題でございますので、私的懇談会の状況も含めまして、これは注目してまいりたいと思いますし、私自身もまた大臣にいろいろな意見を申し上げたいと思います。

 次に、郵政民営化、私も昨年委員会に入っておりまして、大臣にいろいろなことも申し上げたわけでありますけれども、この状況について、年が明けまして、本年になりいろいろな動きが出てきておりますが、このような動きについて大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

 二〇〇七年の十月に民営化をするということでございまして、本年の一月の二十三日に日本郵政株式会社が発足をいたしました。役員のトップが西川社長ということで、いよいよ動きかけたわけでありますけれども、どうもマスコミ報道を見ておりますと、日本郵政株式会社の西川社長が今いろいろなことをおっしゃっておりまして、誤解を受けるようなこともあるんだろうと思いますので、ここで大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 何点かおっしゃっておりまして、一つは、今、郵貯は一千万という上限がございますけれども、この上限については撤廃をしたいというようなことをおっしゃっておられるようでございます。また、郵貯銀行の直営店を二百ないし二百五十ぐらいですか、要するに従来は直営店は余りつくらないという方針であったようでございますが、二百店を超えるような直営店をつくっていく方向だとか、また、郵貯全体の残高におきましても、これはやはり民間のところに流していかなきゃいかぬということもあって、郵貯からむしろ民間金融機関のところに回していくということであったわけでありますけれども、この郵貯の残高は維持をしていきたいとか、また、動きかけましたら融資業務にもすぐに参入をしたいというようなこともおっしゃっておられるようでございます。

 このような御発言に対しまして、竹中大臣、一体どのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 日本郵政株式会社が一月の二十三日に創立をされました。そして、西川社長にCEOに御就任をいただいているところでございます。

 その西川社長が実際にどのように御発言されたかというのは私も報道の範囲でしか承知をしておりませんので、確たることは申し上げられないのでございますが、一般論として申し上げると、これまでの経営者としての長い御経験を踏まえて、いろいろなアイデア、お考えを今頭の中で、我々、よく、そういうのを頭の体操というふうに言いますが、いろいろなことを試行錯誤で考えておられる段階であろうかと思います。

 我々としては、政府としては、これは一月の二十五日に推進本部を開いておりまして、基本計画を決定している。そして、日本郵政株式会社に対して、いよいよ実施計画をつくれというふうに指示をしたところでございます。現段階においては、本年の七月三十一日を期限としております実施計画の骨格の提出を待っているところでございますので、現状において、先方も何かを決めているわけでもございませんし、具体的なコメントをするのはちょっと困難かというふうに思います。

 ただ、これはもう法律の問題でございますから、郵政民営化法におきまして幾つかのことは明確に規定をされております。まず、郵便貯金銀行の業務範囲について、いわゆる移行期間、これは国の信用が残っているわけですから、その移行期間においては、郵政民営化委員会の意見聴取の上、透明、公正なプロセスのもとでイコールフッティングの状況を勘案して、また経営状況を勘案しながら段階的に新しい業務を緩和していくんだ、これは法律で決めていることでございます。移行期間終了後はそういうものは撤廃をされるということでございますので、これは当然、今いろいろな経営のことをお考えと同時に、この法律についても改めて吟味をして、その中で適切な対応がなされていくだろうと思っております。

 我々としては、いずれにしても、その実施計画を待って、実施計画に対してしっかりとした適切な対応を私たちはしていくつもりでございます。

谷口(隆)委員 言うまでもなく、御存じのとおり、西川社長は全銀協の会長を二回お務めになっておられるわけでございまして、二〇〇四年の秋には、これは全銀協の会長のとき、郵貯銀行に政府出資が残る間は貸出業務への参入禁止が必要だ、そういう肥大化に対して強く牽制をするような発言を御自身がされておられるわけでありまして、立場が変わるとこのように変わるのかなと思ってびっくりしておるわけでありますけれども、そのようなことをおっしゃっておられます。

 それで、郵政民営化委員会ができましたから、この郵政民営化委員会の委員長の田中直毅先生は、これはマスコミの報道の範囲内でございますが、郵貯、簡保についてその限度額撤廃の件、これは政府出資が残る間は自由にできるわけがないということが大原則だというように言われておるようでございますし、具体的にどうするかは委員会が発足してからのことだというようなことだとか、無基準に業務拡大を認めれば事後的に処理コストが国民の負担になってしまうことがあるということもあるので、どうも戸惑いをお持ちで、この西川社長の発言を見守っていらっしゃるというような状況のようでございまして、ちょっと私も心配しているところがあります。

 大臣、もう一度、ちょっと、一歩踏み込んだ発言をお願いできれば。

竹中国務大臣 法案を御審議いただく段階から私はかねて申し上げていたつもりなんですが、経営を任された経営者と、そしてそれをいわばウオッチする立場の郵政民営化委員会というのは、これはやはり建設的な緊張関係があってしかるべきだというふうに思います。経営者としては、任された経営体をしっかりとその財務基盤を強くするためにできるだけの自由度を得て思い切りいろんなことをやりたいと。私は、これはこれで郵政というシステムをしっかりと守って大きくしていくために必要な一つのベクトルであるというふうに思います。

 しかし、それが同時に、他の民間の業者との競争条件を崩してしまったり、非常にバランスを欠いた何か業務を行ってしまっては、これは困るわけでございますから、より広い観点からの、公益性を踏まえた広い観点からのレビューというのを、チェックというのをこの郵政民営化委員会にしていただくわけで、私は、それがそれぞれのベクトルの方向でしっかりと働いて、その建設的な緊張関係の中で国民にとって結果的に最もよい道が、パスが出てくるというのが、この私たちが制度設計をした中での一つの理想的な姿であるというふうに思います。ここは、やはりよい意味での意見のぶつかり合いを私としてはむしろ期待しているところでございます。

 まだこれは正式の段階にはなっておりませんので、そうした点、報道も、少し言葉を拾っていろいろ書き立てようとする報道がなされているような面もあるやに思いますし、我々としては、行政でありますから、法律をつくっていただいて、そしてそれをしっかりと執行していく役割を担っておりますので、今私たちが想定しているその建設的な緊張関係がうまく作用して、国民の利益が最大になるように行政としてはしっかりと対応していくつもりでおります。

谷口(隆)委員 昨年に委員会でいろいろ議論をいたしましたけれども、大臣も中心で頑張っていただいて、一つの方向が決まったわけでありまして、そのような方向の延長線上で今後実態的に動きかけるわけでございますが、よく見ていただくようにお願いをいたしたいと思います。

 あとは、放送と通信の融合、これもまた、私的懇談会をこの一月の二十日に設置されたわけでございます。私どもの党の総務部会でもいろいろ勉強会をやりましたが、放送と通信の融合というのはなかなかわかりにくいんですね。ましてや、利用者、国民の立場からは、一体何を言っているんだろうというのがなかなか理解しがたいんですね。しかし、報道を見ておりますと、この四月からワンセグ放送がスタートするとか、先日も、新聞を見ておりますと、日本テレビとドコモが有限責任組合ですか、LLPをつくって出資して、この放送と通信の融合をこれから始めていくんだとか、こういうような報道がよく出てまいります。

 まず初めに、大臣、非常に国際競争力という観点があるんだろうと思いますが、やはり我が国もぜひ、産業の振興上、我が国産業が海外の中で強くなってもらいたい、国際競争力をつけてもらいたいという強い気持ちがあるわけでございます。しかし、実態的に、一体これによって国民の皆さんがどのように変わって、まあ、国民、利用者はそんなに今のところはわからなくてもいいんだということじゃなくて、よく理解をしていただかなければならないので、そういう目線で申しますと、大臣の方から非常にわかりやすく御答弁をお願いできればいいんですが、お願いいたします。

竹中国務大臣 今、谷口委員御指摘くださいましたように、私も行政の責任者としてこのことを勉強しておりますが、これは技術的に本当に日進月歩で難しい。デジタルデバイドという言葉がございますけれども、行政の担当者の間でも非常に、はっきり言って情報量があるようでありますし、経済人の皆さんの間でも非常に問題意識とか知識量に格差がおありになるのではないかなというふうにお見受けをしております。

 そういう中で、国民の皆さんの御理解を得ながらこの重要な問題を推進していかなければいけないものですから、私も、当初から、技術的な話、制度的な話から入るともう何が何だかわからなくなりますので、国民の目線で考えようではないかということをよく申し上げているわけでございます。

 そういう意味では、例えば、ワールドカップがことしあるわけでございますけれども、実は民放が放映権をとって、それが見られる地域と見られない地域がある、一方で、その放映権を今度は放送じゃなくて通信でやるところがあるらしいんですけれども、それは全国見られますね、こういうのは、何かちょっと国民から見るとしっくりきませんねと。先ほどワンセグの話がございましたけれども、携帯でNHKが見られる。これは、NHKの受信料、まさに先ほどの負担金としての受信料を払うのか払わないのかとか、そういうふうに国民の立場に立って考えると、非常に複雑な問題がたくさん出てくるわけでございます。

 私は、常に申し上げておりますのは、今放送は非常に重要な役割を果たしておりますけれども、それでも四兆円のマーケットなんですね。これ、ほとんど伸びておりません。通信が十六兆円のマーケットなんですね。国民がもっとやってほしいこと、例えば、このワールドカップもいろんなところで見たいとか、そういうやってほしいことというのはたくさんあると思うんですけれども、そういうやってほしいと思っていることをやっていったら、この四兆プラス十六兆円というのは、決して縄張りのとり合いではなくて、まさに両方とももっともっと大きくなっていけるはずだ、そういう技術力もコンテンツの力も、そしてそれを購買する力もこの国にはあるはずだ、そういうふうに思っているわけでございます。

 実は、そういう観点で、国民の目線に立って問題提起をしながら、したがって私もぜひこの議論を深めていきたいというふうに思うわけですが、先般、閣僚懇で、総理からも関連する御指摘をいただいておりまして、総理はその前日に、日本に住んでおられる外国の方々と、大使ではないかと思いますけれども、お会いになったそうなんですが、多くの方から、日本からの情報発信が余りに少ないと。これもやはり、我々自身考えてみると、海外出張をすると、ホテルの部屋では必ずCNNかBBCを見ているわけで、実は、そういう情報発信が少ないということに関連して、フランスでは、フランスの国策として、フランス版CNNをつくるということを何カ月か前に決定したそうでございます。

 そうした点も含めて、国際競争力の中の私はこれは一環だと思いますけれども、問題をぜひ議論しなければいけない。そうすると、これはどこがやるのか。NHK、民放、それぞれの役割の問題もありますし、すべての問題が絡まってまいりますので、国民の目線を中心に据えて、そういう難しい問題をできるだけわかりやすく国民に問いかけていくということをさせていただきたいと思っております。

谷口(隆)委員 大臣、予算委員会で呼ばれておられるようでございますので、私もこれで終わりたいと思いますが、この私的懇談会、先ほども申し上げましたように、今大臣もおっしゃっていただきましたように、国民の目線でわかりやすいようにやっていきたいということでございます。

 何か、見ておりますと、バイアスがかかったような報道ぶりもございますので、そこは客観的に、さっき申し上げました国際競争力という観点だとか国民の目線だとかいう観点を中心にぜひやっていただきたい、頑張っていただきたいということを申し上げまして、終わらせていただきます。

中谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十七分散会


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