衆議院

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第5号 平成18年2月21日(火曜日)

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平成十八年二月二十一日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    柚木 道義君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務副大臣        山崎  力君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  福井 良次君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   参考人

   (日本郵政公社執行役員) 塚田 為康君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     中森ふくよ君

  寺田  学君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  中森ふくよ君     永岡 桂子君

  柚木 道義君     寺田  学君

    ―――――――――――――

二月十七日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社執行役員塚田為康君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長藤井昭夫君、行政評価局長福井良次君、自治行政局長高部正男君、自治行政局公務員部長小笠原倫明君、自治財政局長瀧野欣彌君及び情報通信政策局長竹田義行君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘です。

 大臣所信に対する自民党から初めての質疑ということになりますけれども、先般、実は二月の十六日にこの質疑を私は予定しておりました。そうしたところが、急遽、十一時過ぎから大臣が予算委員会にとられるということで、そこで飛び出してきたのがライブドアの例のメールの問題なんです。その問題は予算委員会でいろいろとやっていただけると思いますけれども、余りガセネタで人騒がせなこともやってほしくないなというふうに思うんですが、きょうも実は大臣が予算委員会でとられてしまうということで、九時五十五分ぐらいですか、とられるということで、後は一年生が質問を控えていますので、私も手短に質問を、簡潔にまとめていきたいなというふうに思います。政府参考人の方も御答弁、御協力をお願い申し上げます。

 さて、今回の国会においては、ライブドア、あるいはBSE、それから耐震偽装、いろいろな問題が取り上げられていて、一部の方には、これを改革の影であるというようなことをおっしゃられる方もいらっしゃいます。

 ただ、私ずっと、まだ議員になってから二年ちょっとなんですけれども、この小泉構造改革というのを与党の立場から進めさせていただいてきておりまして、改革の影という言い方が果たして正しいのかどうかというような気がしております。

 というのは、我々が目指してきた構造改革というのは、決してトーマス・ホッブスの言うような自然状態、これをこの日本に現出するというものではないはずです。自由であるけれどもしっかりした公正な競争のもとに、市場に参加する人間がしっかりとルールを守りながらフェアな競争を闘っていく、そういうような世界ではないかなと。

 その意味でいうと、現在のBSE、これはアメリカの問題ですけれども、あるいはライブドア、それから耐震偽装の問題、これは、その公正さという意味では非常に、しっかりした市場、これを侵している。ですから、その意味では、私は、これを構造改革の影というよりは、これからよりしっかり構造改革を進めて、適正な市場を、やはり市場経済、これを日本の中につくっていかなきゃいけない。そういう中では、構造改革を完成させる一つの過程ではないかというふうに私は考えています。

 実は、大臣が経済財政諮問会議の担当大臣でありましたときも内閣委員会で質疑をさせていただいて、公益通報保護法、これを通させていただいたんですけれども、これからはしっかりと、やはり企業にしても、コンプライアンスそれからCSR、これは極めて大事なことになってまいるでしょうし、あるいは、行政改革の担当大臣ということで、実はこれは、行政においてもコンプライアンス、その意味では、行政改革というのは、単なる行財政改革という側面だけではなくて、行政のコンプライアンス、これをどう高めていくかという観点からも非常に重要になるんじゃないかというふうに思っています。

 その意味で、改革は加速をさせていかなければいけない、私どもはそういうふうに考えておりますけれども、最初の質問として、大臣から御所見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 葉梨委員から大変重要な御指摘をいただきまして、感謝を申し上げます。

 改革を絶対にとめてはならないと思います、加速をさせなければいけないと思います。その旨、私の大臣所信でも明確に申し上げたところでございます。

 ともすれば、改革に対して市場原理主義というようなレッテルを張って何もかもそのせいにしてしまうというような言論がジャーナリズム等々で見られるのは残念なことだと私は思います。健全な競争というのはもう絶対に必要なことだと思います。健全な競争を高めていく、それと同時に、ルールを強化してコンプライアンスを高めていく、まさにそれが改革のコインの両面であると思っております。

 その意味で、葉梨委員御指摘のように、この改革をさらに続けて、これを完成させることこそが必要なのである、私も全く同様の認識を持っているところでございます。

葉梨委員 まさに改革、これをしっかりと進めていかなきゃいけない。その意味で、我々が目指す構造改革の先にあるものは、決して世に言われるような市場原理主義ではないはずだ。しっかりとそれぞれの市場に、あるいは経済社会の中に参加していくアクターがルールを守る、公正さを徹底するということが非常に大切だ。その中で調和のとれた市場経済が現出するんだということを、ぜひとも国民にも、安心させる形で、いろいろな形で広報を広げていただきたいなというふうに思うところです。

 さて、次に移らせていただきます。

 きょうはさわりということですけれども、地方公務員及び独立行政法人の給与改革について、何問かお尋ねをいたします。

 実は私、今、当選二、三回生でつくります公務員給与改革断行を求める若手議員の会というのをつくって、ずっと勉強を進めております。明日もことし最初の会合を開くわけです。

 昨年八月に、人事院から、給与構造改革ということで、国家公務員についての給与改革の人事院勧告がございました。昨年の特別国会においても、当委員会において、これを法律化して、その人事院勧告に沿った形での国家公務員の給与改革を行う旨の法律が通ったわけでございます。

 しかしながら、これに合わせて、昨年、各都道府県及び政令市において人事委員会勧告というのがなされているはずです。しかし、総務省からお聞きしたところによりますと、都道府県においては幾つかまだ追随していないところもある、政令市においてはほとんど全滅状態にあるというような御指摘も伺っております。

 そこで、これは簡潔にというふうに思いますけれども、人事院勧告にどのような形で沿った形で人事委員会勧告が都道府県あるいは政令市において行われているのか、また、いないとしたら、総務省としてはどのような形での御指導をされているのか、政府参考人からお答えを願いたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方公務員の給与につきましては、私ども、国の給与構造改革を踏まえた速やかな見直しを要請しているところでございます。

 都道府県につきましては、現在、四十六の都道府県におきまして、ことし四月からの実施に向けて取り組んでいただいているところでございます。

 ただし、先生御指摘のとおり、政令指定都市につきましては、国と同様、本年四月からの実施を予定しておりますのは、千葉市及び北九州市の二市にとどまっております。

 私どもとしましては、本年四月からの実施を予定していない政令指定都市等につきまして、個別に検討状況のヒアリングを実施するなど、速やかな取り組みを助言したところでございます。

 現在、この十二の政令指定都市でございますが、これにつきましても、平成十九年四月までに実施することを念頭に具体的な検討を行っているものと認識しておりますが、私どもとしましては、引き続き、あらゆる機会をとらえまして、できる限り速やかな給与構造見直しを強く求めてまいりたいと考えている次第でございます。

葉梨委員 ありがとうございました。

 ただ、私自身は、地方行革ということでよくこの場でも議論になるんですけれども、小さな市町村、これは意外と進んでいます。といいますのは、もうお金がないですから、目前に、本当に行革をしなきゃいけない、これをやらなかったら市町村自体が破産をしてしまう、そんなようなところまで追い詰められている。

 しかしながら、比較的財政基盤のあります都道府県さらには政令市、ここについては、なかなかまだ切り込む余地が相当あるんじゃないかなというふうに思います。特に、今回の給与構造改革においては、今も御指摘のように、政令市においての対応が極めて遅い。このことはやはり大きな問題であるというようなことをまず御指摘させていただきたいというふうに思います。

 しかし、では都道府県が追随しているといったって、都道府県において、果たしてこの状況が満足できる状況なのか。私は必ずしもそうは考えておりません。

 各人事委員会の勧告においては、それぞれ、国家公務員ですと官民較差、国家公務員は官で、事業規模百人以上、事業所規模五十人以上の民間の企業体とラスパイレス指数で給与を比較して、官民較差というのを出し、その官民較差というのが広がらないように、ほぼ民間に準拠した形で人事院の勧告が行われています。

 そして、都道府県においても公民較差、地方公務員ですから官ではなくて公になりますが、公民較差というのをそれぞれの都道府県において出して、これもやはり人事院勧告をにらみながら、人事委員会の勧告においては、公民較差がないような形で出しているはずなんですけれども、その公民較差の算定の仕方自体も、ラスパイレスの比較ですから、職種ごとの比較で、例えば民間の係長さんとそれから各県の県庁の係員、この方の給与を比較すれば、当然、係員の給与の方が低くなって、民間の係長の方が高いわけですから、民間の方に高い形での公民較差というのが出てまいります。

 そういう形での、各四十七都道府県、これについての民間の職種間比較。これは昨年、人事委員会の事務局長会議ということで総務省が招集をされた会議がございまして、インターネットでもその資料が公表されているわけですけれども、例えば、これはどこの県と言ってもあれなんですけれども、民間の企業規模五百人以上の主任クラスの給与と、石川県の場合は県庁の四級から三級の人を対応させています。しかしながら、お隣の福井県の場合は三級から一級の人を対応させています。そうなりますと、同じ民間の係長と、石川県の場合は四級、三級、少し高い給与と比較する、福井県の場合は三級、一級、低い給与と比較します。そうなりますと、福井県の方が、公民較差ということを算定いたしますと、民間について極めて有利な状況に出てくるはずなんです。

 もちろん個々の計算までは全部していませんけれども、またきょうそれについて一々質疑をする時間もございませんが、民間とそれから県庁職員の職種間比較、級別比較ですね、このようなばらつきについて、総務省としてはどのようなお考えを持たれているのか、さらにはどのような指導をされているのか、政府参考人から伺いたいと思います。

小笠原政府参考人 先生から大変詳細な御指摘がございましたが、私どももその件につきましては問題意識を持って受けとめているところでございます。

 給料表上の職務の級それから民間企業の役職の対応関係でございますが、これが国家公務員の官民較差の算定で用いている対応関係と異なる場合には、結果として公民較差率の算定が不正確になり、場合によっては公務員に有利な公民較差となる場合もあり得るということでございます。

 私どもとしましては、先生のお話にもございましたが、毎年行っております全国人事委員会事務局長会議等の場を通じまして、適切な対応関係を用いて正確な較差算定を行うよう助言しているところでございますが、今後は、こうした職種間の比較方法につきましては、私どもの方からさらに具体的なガイドラインを示すことも含め検討しまして、さらにその趣旨の徹底を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

葉梨委員 今申し上げましたこと、実は、意外とマスコミですとか国民の間に知られていないんです。これでそれぞれ計算しますと、相当な形で各県ごとの公民較差というのはばらばらだという状況が国民にもわかってくるかと思います。もちろん、総務省として自治体に対して強制することはできないにしても、やはり地方の行革を進めるのは国民あるいは住民の声であるということで、総務省としてもしっかりした情報提供を行っていただきたいと思います。

 次の質問、ちょっと時間の関係もありますので、質問の内容だけ申し上げまして、政府参考人からの答弁は、申しわけございませんが、飛ばさせていただきたいと思います。

 これだけではございません。独立行政法人、これは独法通則法という形で国会のコントロールから少し離れる形になったんですけれども、独立行政法人についてのラスパイレス指数、これも昨年総務省が公表されているわけですけれども、平成十五年度は国家公務員と比較して一〇七・四、しかしながら、平成十六年度は一〇七・一。多少改善されているとはいうものの、やはりまだ一〇七・一という形で、相当高いラスパイレス指数を国家公務員と比べると持っています。

 さらに、よく知られていますとおり、この件については、特殊法人由来の独法というのは大変高くなっているわけですけれども、それだけではなくて、特殊法人由来ではないものについても、やはり高いものが幾つか散見される。

 今後、公務員の純減という中で、どんどん公務員がやっていた業務というのが非公務員型の独法という形になっていきます。そうなりますと、独立行政法人、これはもう釈迦に説法でございますけれども、市場原理の中で業務が評価されるというものだけではありません。しっかりとした評価をしていかないと、これは毎年毎年運営費交付金が出ているわけですから、この評価の仕方次第によっては、行政改革の影の部分といいますか、非常にそれが、我々国会のコントロールが行き渡らない部分になってくる可能性もある。

 そこで、その意味では、これからもしっかり議論を進めさせていただきたいと思いますけれども、独立行政法人の給与の問題さらには独立行政法人に対する行政評価の問題、ここら辺についても、我々、しっかりと意見も申し上げていかなきゃいけないというふうに思っています。

 今御指摘申し上げましたけれども、地方公務員の給与、さらには独立行政法人の給与、そこについても幾つか指摘をさせていただきましたが、まだまだ総務省所管の中でも、行政改革という意味で、切り込む余地というのは私は相当あるのかなという感じを持っています。

 大臣から、この行政改革にかける意気込みをぜひお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 公務員お一人お一人は一生懸命やってくださっているというふうに私も考えております。ところが、やはり公務員の給与に関して国民からは大変厳しい目が向けられている、このことは真摯に受けとめなければいけないと思っております。そうした観点から、今、葉梨委員御指摘のような諸点を踏まえて、しっかりと対応していくところでございます。

 総務省に設置した、これは地方公務員に関しましても地方公務員の給与のあり方に関する研究会等々がございまして、三月中に最終報告をする予定でございます。国家公務員、地方公務員ともに、国民の厳しい目をしっかりと受けとめて対応してまいる所存でございます。

葉梨委員 研究会の状況は、また出てきた時点でいろいろと質疑させていただきたいと思います。

 ずっと国の話、決意の話を言ってまいりましたが、最後に一問だけ、地元の話をさせていただきたいと思います。でも大事な話です。

 茨城県で鳥インフルエンザということが問題となっています。そして、家畜伝染病予防法で殺鳥処分をいたしますのが約三百三十万羽、さらには、監視鶏、監視に入っている鳥の中でこれを廃鳥処分していかなければいけないのは二百五十万羽ということで、計五百八十万羽を今一生懸命県が焼いています。

 法定受託事務ということで、これはしっかり処分をしていかなきゃいけないんですが、何せ五百八十万羽ですから、それも早くやっていかなきゃいけない。これにかかる費用が四十五億円、県の負担分だけで二十三億円になります。

 ここについては、茨城県からも強い要望がありまして、豪雪の問題同様に、特別交付税という形で前向きに検討をしていただきたいという要望がございます。この点について、大臣から一言お願いを申し上げたいと思います。

竹中国務大臣 茨城県において、多額の財政需要が鳥インフルエンザの関係で発生しているということを私も伺っております。

 従来から、鳥インフルエンザに関して地方公共団体が講じる対策に要する経費につきましては、特別交付税の措置を講じているところでございます。

 今回の対策に関しましても、この特別交付税の算定に当たりまして、地元自治体から経費負担の実情等よくお聞きをしまして、財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいりたいと思っております。

葉梨委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。

 大分はしょりましたが、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、あかま二郎君。

あかま委員 自民党のあかまでございます。

 今回、質問をさせていただく時間を賜りまして、大変感謝申し上げます。

 なお、総務大臣が予算委員会の関係で滞在時間あと五分ということでございますので、その五分に我々の思いをぶつけながらと思っております。

 私は、神奈川県議会に在籍しておりました。地方議会は、さまざまな行革努力をしております。とりわけ神奈川県は、平成九年、財政再建団体転落の危機以降、相当のいわゆる行財政改革の取り組みをしてまいりました。そういった思いからすれば、国の取り組みというものが多少緩慢に思えるし、鈍い、そんなような思いも持っております。同僚議員には、武蔵野市長さんも、またニセコの町長さんの経験者もございます。恐らく各地方自治体ではそれ相当の努力をしておったと思います。そういった意味では、改めて国の行革の努力について確認、また質問をさせていただきたいと思います。

 今回、総務大臣の所信表明演説を受けて、行政改革の推進における総人件費の改革について、その大きな柱であるいわゆる公務員の純減目標、これについてお尋ねをいたします。

 公務員改革、さらには人件費抑制、さらには定員の削減といったもの、これについてはかなり前から、昔からうたわれていた部分だと思います。平成九年の行革最終報告は、従来の日本がこれまで達成した成果を踏まえつつ、より自由かつ公正な社会の形成を目指してこの国の形を再構築することであり、何よりも、肥大化し硬直化した政府組織を改革し、より有効に機能できるよう簡素、効率化、透明な政府を実現するという理念がうたわれております。それ以降、さまざまな形で行革がうたわれながらも、なかなか国民の理解は得られていないんだというふうな理解でおります。

 今回、改めて、行政改革の重要方針という形で閣議決定をした昨年十二月の中で、小さくて効率的な政府の道筋を確かなものにするために、公務員の定員の純減目標、これを定めたというふうな認識でおります。

 まず、この公務員削減の純減目標という質問の前に、一問ちょっとお尋ねしたい点がございます。

 今月十日の行革推進本部において、この法案の概要の了承というものがあったかと思っております。当初、原案の行革推進法案の目標は、「小さくて効率的な政府の実現」というふうにうたわれておったというふうに理解をしております。ところが、それが首相の指示により「簡素で効率的な政府の実現」に変更がなされたというふうに伺っておりますけれども、小さくて効率的な、小さな政府というこの目標、このフレーズ、これはまさに標榜すべきものであろうし、それに取ってかわって、簡素なといった表現に変わった、その理由といったものは、もちろん小泉首相からの指示という部分もございましょうけれども、総務大臣はどのような理解、見解を持っておられるのか、お尋ねいたします。

竹中国務大臣 まず、私の他の委員会への出席の件で、本日、総務委員会の先生方に大変御迷惑をかけることを大変申しわけなく思っております。そのことを、冒頭、ぜひ申し上げておきたいと思います。

 今のあかま委員の御指摘、行革本部での法案概要の決定に際して、その言いぶりのお話でございますが、小さくて効率的な政府、小さくてという言葉は骨太の方針に入っている言葉でございまして、私は、この方針は政府の揺らがない方針であるというふうに認識をしております。

 法律に直すときの用語の問題として、これはかねてから総理が国会の演説等々でお使いになっておられた、簡素で効率的な政府というふうに表現がなったというふうに聞いておりますが、その経緯等々詳細に存じ上げているわけではございませんが、私は、その意味するところは、基本的に、小さくて簡素で効率的な、そういう少子高齢化の時代になって耐えられるような政府をつくるんだと。その意思そのものは、表現のあり方、小さくて、簡素でという言葉にかかわりなく、私は十分に示されているというふうに考えているところでございます。

あかま委員 今、大臣の方から揺るぎない思いというものは十分入っているという説明も賜りましたけれども、小さくてという、いわゆる小さな政府というものと大きな政府、やはりこの対比といった部分では、小さなといった部分は必須だと私は思っておりますし、簡素という表現だけではなかなか我々の目指すこの国のあり方というのが表現できないんだろうというふうな思いで、あえて質問をいたしました。

 それでは、質問の本題に入らせていただきます。

 まず、今般、総人件費改革の実行計画の中で、公務員の定員の純減目標というのを改めて定めたと思いますけれども、本来であるならば、業務の見直し、さらには削減等を行った後、不要となる人数、定員というものが見えて、それから削減の数値というものが出てくるのが通常の形であろうと思っております。そういった意味では、なぜ最初からいわゆる純減目標を定めることにしたのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

山崎副大臣 総務副大臣の山崎でございます。かわらせていただきたいと思います。

 政府といたしましては、行政のスリム化、効率化というものを一層徹底するということで、民間にできるものは民間に、地方にできるものは地方にという方針のもとでやっているということは御承知のとおりでございますが、その中で、減らせるところは減らす、ふやすところはふやすというめり張りをつけてやるということでこの純減に持っていこう、こういうことでございます。

 当然、そこのところで、どこを減らすかというところの問題につきましては、それぞれのところでもう絞れない、いい表現かどうかわかりませんけれども、乾いたタオルでも絞れるところはどこかからか絞れるんじゃないか、そういった気持ちでやっているというふうに御認識いただければと思います。

あかま委員 それでは、今回、改めて数値目標を示しました。そして、公務員の純減目標、五年間で五%以上の削減ですよということでございますけれども、前大臣、麻生大臣におかれては、いわゆる公務員の人数ということに関しては、人口千人当たりで比べると、欧米の先進国と比べても必ずしも日本が多いわけではない、さらには麻生大臣は、治安、安心といった部分、警察行政等については、いわゆる行政需要はある、公務員の人数は確保しなければならない、ふやさなければならないというような発言をされております。そして同時に、あらかじめ純減目標を設定するのはいかがなものかというような発言をしておりますけれども、改めてこの点について見解をお聞かせいただければと思います。

山崎副大臣 麻生大臣の発言に関してでございますが、まず、政府の職員数、公務員の職員数が人口と比べてどうかという点でございます。

 確かに、中央政府という観点からいたしますと、そのときの中央政府というのは、連邦制をとっているところとそうでないところで大分数字は違ってまいりますけれども、連邦制をとっておるドイツ並みになっているということを考えますと、やはり少ないと言ってよろしいかと思います。

 そして、そういった点でいえば、非常に公務員の職員数は少ない国であるということは言えるわけでございますが、それでもなおかつ、簡素で効率的な政府というのが私ども政府としては国民から求められているということと同時に、国の役割というものを見直していくということは必要である、重要であるというふうな考え方から、そういうふうな方針で、今減らしていこうという考え方でございます。

 そして、その次の、目標の根拠いかん、こういう質問でございましたけれども、これはいろいろな議論があるということは委員も御承知のとおりでございますが、当方といたしましては、総人件費改革の一環として、経済財政諮問会議においてさまざまな議論を経て設定された目標数値であるというふうに承知しております。それを踏まえて、何とかその方向でやっていきたいというのが今の役所の立場でございます。

あかま委員 総務省とすれば、職員数が諸外国と比べて少ないのは認識しながらも、改革、これについては引き続き継続しながら、国民の理解を得られるためにもという見解でございました。それについては一定の理解をするところでございます。もちろん、数値の目標、これを設定することは、私はすべきだと考えておるんです。それはまさに、今おっしゃったように、国民から見て官がそれ相当のいわゆるリストラ努力をしているという部分においては、やはり数字であり、またその成果というものを示すことがやはり大きな改革のエンジンになる部分だと思っております。そういった意味では理解をするところでございます。

 さて、一方で、改革というものはやはり不断の取り組みが必要だというふうにも理解しております。もちろん、先ほど冒頭に平成九年の行革の理念というものを披瀝いたしましたけれども、平成九年以降もさまざまないわゆる行革努力、とりわけ公務員の員数の削減については努力をしてこられたと思いますけれども、その成果というもの、さらにはその成果に対する評価といったものはどのように認識していらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。

山崎副大臣 今御指摘の点でございますけれども、政府といたしましては、政府の役割の拡大、パーキンソンの法則といいましたでしょうか、ほっておくと政府というのは肥大化する、そういったこともございまして、総定員法という法律でもって総数規制という形と累次の定員の合理化計画をいたしまして、おおよそ四十年にわたって一貫して基本的に抑制、削減に努力してきたところでございます。

 具体的には、最初に定員合理化計画が策定された昭和四十三年以降、おおよそ八万人の純減をしているところでございます。このほか、御承知のとおりの郵政の公社化であるとか、独立行政法人化でおおよそ四十九万人というのがございますけれども、そういった意味での国の行政機関の定員というのは、昭和四十二年のおおよそ九十万人から平成十七年度には三十三万人まで縮減しているという実態でございます。

 こういった定員管理を通じて、政府全体の定数というものの膨張が抑制されて、効率的な業務処理体制の実現に寄与したのではないかというふうに認識しております。

あかま委員 一貫して取り組んでこられた、ある程度の寄与をしたということでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、やはり不断の改革、取り組みをすることによって、肥大化、また膨張する官組織の抑止につながるんだろうし、またさらには、目指すべき小さな政府に向けてはより一層の努力が必要だと思われます。

 そういった意味で、今般の五%数値目標については、ぜひとは思いますが、行革の重要方針に、行政機関の国家公務員三十三万二千人、これを五年で五%削減します。この五%は一万七千人で、三千人を超える削減をことししなければならない。一方で、〇五年度の純減は六百名にとどまっている。そういった実態。これまでの五倍のペースでいわゆる純減をさせなきゃいけない。そういった、さらに一段加速させるためにも厳しいハードルがあると思いますけれども、今回改めて五%純減を実現する、達成するための新たな削減方法であるとか、また管理というものの体制について、これについては新たな手法というものを用いるお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

山崎副大臣 今後五年間で五%の純減をしていきたいということでございますが、いわゆる行政改革の重要方針に基づいてのこの計画のうち、めり張りをつけつつ増員を厳しく限定する、いわゆる厳格な定員管理を行うことによって一・五%以上、五千人以上という一つの考え、これは当総務省の方の形でやらせていただきたいというふうに思っております。

 それから、それはいわゆる定員管理という方ですが、それとは別に、業務の大胆かつ構造的な見直しということによって、事務内容自体を国がやるのかどうかということを含めまして、事務事業の削減を強力に進めることによりまして三・五%以上を削減していきたいというふうに考えておるところでございます。

 そして、我が省の方としての厳格な定員管理については、平成十八年度においておおよそ千四百五十五人、〇・四四%の純減ということを行うこととしておりまして、今後とも、昨年十月に閣議決定した定員合理化計画を着実に実施していく。増員については、治安であるとか、徴税であるとか、あるいは安全、安心に関する本当に必要なものに限定していく、こういう考え方でやっていきたいというふうに思っております。

 また、業務の大胆かつ構造的な見直しにつきましては、内閣官房の方において、行政減量・効率化有識者会議というものの知見を活用しながら、遅くても本年六月ごろまでに成案を得て、それを実行に移すというふうに検討が進められているというふうに承知しております。

あかま委員 今、五%純減については、一・五と三・五、それぞれ、定員管理の部分と業務の大幅な見直しによってという部分で分けながらという手法を用いるという御答弁でございました。それらを踏まえて六月までに成案をまとめるというお話でございましたけれども、さあ、それまでに、では各省庁に、いわゆる定員削減計画、これを出させましょうよという段階であろうと思っています、今。

 しかしながら、それに対して、有識者会議が指定した十五分野のうち削減計画を求めている八分野で、二分野はもう既にゼロ回答です、ほかは先送りです。さらには、国会、裁判所、会計検査院、人事院、三万二千人分、これについては、行政機関に準じた取り組みのはずが、対象から外れております。さらには法務省も、行刑施設については、これは例外扱いにしてほしいという要請があり、行革担当大臣もその例外を認める方向を示唆している。一層の取り組み、厳しい取り組み、新しい手法で取り組もう、そして五%純減達成しようというやさきに既にと。

 このような状況の中で、総務省として、この五%純減目標、五%以上の純減目標というものをどのような決意で取り組んでいこうとお考えになられているのか、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

山崎副大臣 まず、総務省としてはという前提がつくことを御承知願いたいと思いますが、これは私どもから言うまでもなく、この五年間で五%というのは、役所を離れたといいますか、総務省の上の、政府としての約束ということをまず御認識していただきたいと思っております。

 当方といたしましては、当然、今おっしゃられたように、大変厳しい目標であるということは、これはもう承知の上でございますが、それでもやはり、簡素で効率的な政府ということ、その実現を図るためには、その達成を図るためには最大限の努力が必要であるということは当然でございます。

 そして、具体的に総務省としては、引き続き厳格な定員管理を行うことによって、五年間で五千人、一・五%以上の純減を行うという作業に全力を尽くすとともに、今内閣官房において行われている業務の大胆かつ構造的な見直し、今その点をいろいろ御指摘になられた点が多いと思いますが、その点についても積極的に協力していくという立場でやっていきたいというふうに思っております。

あかま委員 今、決意の一端をお聞かせいただきましたけれども、三・五%分の業務の見直しについて、ぜひ協力しながら、国民注視でございます、五%という数値目標が出ております、その達成いかんによっては、小さな政府に向けた取り組みというもの、これに対する国民の批判が起こるかもしれません、ぜひ積極的に、前向きに取り組んでいただければと思います。

 以上でございます。終わります。

中谷委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時一分開議

中谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤であります。

 さきの総選挙で衆議院に当選するまで、県議会議員を四期、市議会議員を二期やりました。二十三年間、地方議員として生きてきました。地方自治の理想を求めて、現場で精いっぱいやってきたという自負心もあります。

 しかしながら、端的に申し上げると、総務省は、旧自治省時代から地方団体の身になって考えてくれる役所だと考えていました。しかし、竹中大臣になってから、もちろん竹中大臣も総務大臣として地方の立場に身を置いて日々御尽力されていただいていると思いますが、地方団体の破綻法制、あるいはいろいろな面でその改革が叫ばれていますが、常に時代の変化を見据えた変革は必要であります。しかし、それは、制度の破壊や単純化を目的とするものであってはならないと思います。そして、何よりも地方の実情をしっかりと踏まえることが必要です。

 大臣は、ビジョン懇談会で、今後の地方自治のあり方についてビッグピクチャーを描きたいとされていますが、その際、地方団体の意見に真摯に耳を傾けるという姿勢で対応されるのかどうか、お伺いいたします。

竹中国務大臣 渡部委員から、地方行政の御経験を踏まえて、素朴な御懸念といいますか、そのような御意見を賜ったというふうに思っております。

 私は、経済財政諮問会議等々で議論をするときは、地方の立場で発言する人というのはなかなかほかにおられませんで、常にそういう責任を負って発言をしているつもりでございます。破綻法制のことだけが新聞等で取り上げられるんですが、私はもうかねてから、地方にもっと自由度を持っていただきたいんです、自由と責任というのがコインの両面なんですと。

 自由の問題に関しても、法律で決めたことを一定の範囲で、例えば条例で上書きすることはできないかとか、課税自主権をさらに広げることが必要ではないかとか、そういう自由は自由としてまず議論しましょうということを申し上げている。

 責任の中で、その予防的なものも含めて、破綻の措置、税制等々も考えておかないと、再生がもし困難になった場合は再生できないではないか、そのようなことを申し上げているわけで、新聞はどうしても破綻のことばかり取り上げておりますけれども、私は、地方が自由と責任を持って自立してしっかりとした活動を行っていけるような本当に根本的な仕組みを、ぜひオープンで議論をしたいと思っております。

 その趣旨は私は地方六団体にかなり早い時期に申し上げて、私たちも真剣に議論をするので地方六団体でもぜひ議論してくださいということで、地方六団体でも同じような趣旨の委員会を持っていただいているところでございます。

 当然、我々も地方のお声に耳を傾けます。六団体の方と意見交換をするだけではなくて、その懇談会でも、必要に応じてヒアリング等々で活発に議論をしていただきたいと思っておりますので、委員の御懸念のようなことがないように、本当に真摯に地方のお声に耳を傾けながら、あるべき姿を議論してまいりたいと思っております。

渡部(篤)委員 ビジョン懇談会のメンバーを見ると、本当に地方の現場で悩み、汗をかいている人間が入っていません。一方的な物の見方にならないか心配でありますが、メンバーの選任に際して大臣はどのような考えで対処されたのか、お聞きします。

竹中国務大臣 こういう懇談会のときに必ず議論になる一つの視点として、当事者を入れる方がよいのか、そうではないのかという問題もあろうかと思います。一部には、やはり当事者に入っていただくのは御遠慮いただいた方がよいのではないかという御意見、いやいや、当事者の声をやはりもっと聞けという御意見、私はいろいろなお立場があろうかと思います。今回の懇談会におきましては、非常に長期的な幅広い議論をしていただくということでありますので、そういった観点から、幅広い見識をお持ちの方に集まっていただいております。

 そうすると、地方の現場で汗を流しておられる方が入っておられないという御意見は当然出てこようかと思うんですが、それに関しましては、先ほど言いましたように、地方六団体にこの懇談会と同じようなパラレルな懇談会を設けてくださいということをお願いしている。そこでまさに地方の声をベースにした議論が出てくると思いますので、そことしっかりと議論をしていきたい。そして、この懇談会の中でも、必要に応じてヒアリングでしっかりとお声をお聞きしたいし、実地の調査といいますか、議論も行いたい。そういう形でしっかりとバランスをとっていきたいと思っております。

渡部(篤)委員 竹中大臣は、みずからを小さな政府担当大臣と位置づけられています。しかし、地方財政については、ここしばらくで随分抑制されています。小泉政権誕生時の平成十三年度とその五年後の平成十八年度の地方財政計画を比較してみますと、地方税は七千億円減少しています。交付税は四・四兆円減っています。一方で、赤字の地方債である臨時財政対策債は一・五兆円も増加している。

 これらについて大臣はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

竹中国務大臣 平成十三年度と十八年度の地方財政計画におきます地方税、地方交付税、臨時財政対策債の増減は、御指摘のとおりでございます。

 地方税が七千億円の減になっているにもかかわらず、交付税も四・四兆円の減になっているわけですけれども、これは、まさに厳しい状況の中で地方歳出の抑制を行ったこと、それと、平成十三年度から、通常収支の財源不足について、交付税特別会計の借入金によって交付税を増額する方式を廃止しまして、国の一般会計加算と地方のいわゆる特例地方債とで折半で補てんするというルールに変更したということによるものでございます。

 臨財債が一・五兆円増加していますけれども、これは、今申し上げた通常収支の補てん方式の変更によるものでございます。この補てん方式の変更というのは、通常収支に係ります新規の特別会計借入金を廃止しまして、借入金依存の実態を住民にも明らかにするという財政の透明化の観点を踏まえたものでございます。

 いずれにしても、地方財政は大幅な財源不足を抱えております。それで、債務残高は二百四兆円にも達するという極めて厳しい状況である。しかし、いずれにしても、国と地方合わせて二〇一〇年代の初頭にやはり基礎的財政収支の黒字化を目指さなければいけない。ここはやはり国も地方もともに汗を流さなきゃいけないということでございますので、これは、「国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努める。」地方からの意見もよく聞きながら、そういった形での改革を私たちも進めてまいりたい。そのことは基本方針二〇〇五にきちっと明記をしているところでございます。

渡部(篤)委員 大臣は、先日、補正交付税法案についての総務委員会の答弁等で、交付税は、国、地方間の中間的な支出であって、最終的な支出ではないので、交付税をねらい撃ちにするような議論はおかしいとの発言をされました。それはそれで財務省との議論における一つの見識かもしれません。

 しかし、やはり私は、交付税は地方固有の財源であるという政府の見解がこの議論のスタートにあるべきであると思います。単に経済学、統計学的な視点から中間的な支出と位置づけるのではなくて、交付税は地方の固有財源という基本認識から始めるべきではないかと思いますが、交付税そのものの性格、機能について大臣の認識をお伺いいたします。

竹中国務大臣 この点は、もう委員の御指摘のとおりでありまして、地方交付税は本来どういうものであるかというふうに問われれば、これは本来的に地方に権利のある財源である、すなわち、地方共有の固有の財源である、これはもう揺るぎないところでございます。

 先般あのように申し上げましたのは、国の財政をどうするかという観点から、交付税は減らせ減らせという議論が、どうしてもこの霞が関、永田町では物すごく横行するわけでございます。それに対して、まさに国の財政当局の立場から見ると、これは地方の最終支出じゃなくて中間支出である、だからそのことを問題にするのはおかしいですよということを申し上げるために言っているのであって、その裏側には、まさに地方から見ると、この地方交付税の本来の性格というのは地方共有の固有の財源である、ここはもう議論の大原則であると思っております。

渡部(篤)委員 竹中大臣は、ある雑誌のインタビューで、地方交付税は改革をやっていてもやっていなくても最後にはしりぬぐいしてもらえるシステムになってしまっていると発言されているようですが、固有財源をしりぬぐいと評価するというのはどういう認識ですか。

竹中国務大臣 交付税というのは、その法定分、これは間違いなく固有の財源でございますけれども、今、現実問題としてその財源不足が生じております。それに対して、ちょっとそのときにどういう趣旨で申し上げたのかあれですけれども、結局のところ、現実問題としてやはり我々も認めなければいけないのは、すごく頑張っている自治体があります。でも、国民から見て、もっともっと頑張ってもらわなきゃいけないんじゃないかという自治体もやはりございます。それに対して、財政の需要と歳入との差額で交付税が決まるというような形に関しては、頑張っているところと必ずしもそうではないところが同じような形で要するに財源の不足が補てんされるというような、そういう仕組みになっているという点は、これはやはり認めなければいけないのではないかと思うんです。そういう意味で、地方行革のインセンティブをしっかりと持ってもらうようなシステムでなければならないと私は思いますし、そういうような趣旨の中でそのような発言をさせていただいたのではないかというふうに思います。

 これは、固有の財源であるということを否定しているものでは全くございませんし、ここは、財源不足が非常に大きい中で、現状、やはり地方行革をもっとしっかりと進めていただかなければいけないところがある、そういうところにしっかりとしたインセンティブを持っていただけるようなことを考えたい、私はそのように思っております。

渡部(篤)委員 次は、地方交付税の財源保障機能を廃止すべきであるという指摘が、交付税を削減すべきであるとの立場を主張する財政制度審議会等でされていますが、竹中大臣は、交付税の財源保障機能についてどのようにお考えになっているのか、お伺いします。

竹中国務大臣 交付税の機能を議論するときに、やはり、ともすれば非常に乱暴な議論が一部にあるというふうに私も認識をしております。これは、交付税の機能として、国と地方の役割分担の中で地方がどのような責任を果たすことが期待されているのかということをまずしっかりと見きわめなければいけないと思います。

 今、何がどうなっているかというと、我が国では、国が法令基準の設定などを通じて一定の行政水準の確保を求めているわけですね。その一方で、地域間には大きな税源の偏在があるわけです。これは事実でございます。それで、地方税収のみによっては地方団体がその責任を果たすことができないというような状況に置かれているわけです。こうした中で、地域間の財政力格差を調整して、そして結果的に一定水準の行政を確保する、そのための地方交付税の機能というのは、やはりこれは大変重要なものなわけでございます。

 一方で、将来の地方分権の具体的な姿をやはり描いていかないといけない。それを実現するための改革を進めていくことが、今後の人口要因の変動等々、グローバル化も踏まえて、私はやはり必要だと思います。

 そういう中で、今後、地方の自由度を拡大して責任を明確にするという観点から、国と地方の役割分担の抜本的な見直し、そしてこれを踏まえた地方税財政制度のあり方などを幅広く議論していきたいというふうに考えているところでございます。そうした趣旨で、今、懇談会を設置していろいろな議論を進めていっておりますので、その趣旨につきましてぜひ御理解を賜りたいと思いますし、また、具体的な素材が、その懇談会で議論の素材ができた段階では、先生方にも大いに御議論を賜りたいと思っております。

渡部(篤)委員 その懇談会等で、交付税についてはいろいろな議論がありますが、例えば、交付税は複雑でわかりづらいシステムであるという指摘があります。

 そもそも、国と地方の財政調整というものは、そんなに簡単な制度として設計できるものではありません。一般論として、制度はわかりやすいほどいいが、交付税で算定する制度のそれぞれは、国と地方あるいは関係省庁が議論に議論を重ねて妥結点を見出したものが多いと考えています。一つ一つの制度の重みを考えた算定が必要なことは当然だと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 地方財政の制度というのは、私自身、財政、金融の政策の勉強を何十年かしてきておりますけれども、それでも地方財政制度の細部に至りますと、初めて聞く、そうなっているのかというような話が現実にたくさんございます。総務大臣にならせていただいた後も、日々発見だというようなことが続いております。

 これはどうしてそういうふうになってきたかというと、現実に解決しなければいけない問題が発生する中で、各省庁、地方が本当に知恵を絞って、その都度その都度問題点を解決してきたものだと思います。その意味では、そのプロセス、これまでの経緯というのは、大事にしなければいけない面があるというふうに思います。

 しかし同時に、これは委員も御指摘になられましたように、やはり私たちは民主主義の社会に住んでおりますから、普通の国民の皆さんが、どうなっているのか、制度がどうなって、今どのように運用されているのかというのがなかなかわからないというようなことであるならば、やはりそれは簡素化というのをやっていかなければいけないのだと思うんです。先ほど言いましたように、政策を専門に勉強してきた人間でも非常に細部にわからないところがあるということに関しては、これはやはりもう少し簡素化、透明化の努力が必要であろうと私は思っております。

 その際に、決してこれまでのいろいろな議論の積み重ねというのを無視することなく、しかし結果的に、より簡素でわかりやすく、国民に対して説明がしっかりとなされ得るような、そういう改革をしたいというふうに思っております。

渡部(篤)委員 よく竹中大臣はプライマリーバランスと言われますが、私は、国と地方を通じたプライマリーバランスの黒字化が必要なことはわかりますが、そのようなマクロの数値はすべて一つ一つの制度の積み上げによる結果であることも事実です。経済学、統計的な観点から単純に中間的な支出というマクロの整理をするだけではなく、一つ一つの制度論をしっかり積み重ねなければ、地方団体はついていけないのではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。

竹中国務大臣 マクロとミクロの整合性というのは、政策、経済運営のやはり基本であると思います。むしろ、これまで何が言われてきたかというと、政策というのは、財政政策、いろいろ言うけれども、結局はミクロの積み重ねであった、そしてマクロ的な視点がほとんどなかったではないか、そういうことの批判がむしろ非常に強くあって、その結果、二〇〇一年の中央省庁再編で、経済と財政を整合的に見る経済財政諮問会議のようなものが私は置かれたのだと思います。

 したがって、これは決してオール・オア・ナッシングではなくて、むしろ今まで、マクロの視点というのは私はほとんどなかったと思います。それに対して、今度マクロの視点で初めて、これは初めてですね、基礎的財政収支、プライマリーバランスというような概念が持ち込まれたのは、二〇〇一年に初めてだと思います。そして、今までのミクロの議論に加えてマクロの議論をしっかりと整合させようというのが現状でございますので、マクロが来て、今までのミクロのお話、積み上げの話が全部なくなってくるというのは、これはそんなことは全くないわけでございます。委員おっしゃるように、その基礎は、すべてやはりそれぞれに意味のある経済主体ないしは制度の積み重ねでございますから、その制度との整合性というのは当然のことながらしっかりと図っていかないと、マクロの議論だけでは財政の運営というのは絶対にできないと思っております。

渡部(篤)委員 政治というのは、単に単純に役所を小さくすること、つまりスモールガバメント、チープガバメントだけではなくて、自分の力で解決できない経済上の問題や社会問題に直面している人をサポートする作業だと私は思います。地域を大切にするとか、地方主権であるとか地方分権が求められていますが、日本の大半の地方は、何らかのサポートがないと自己完結的な生き方はできないのです。だから、私は、地方交付税の本当に重要性というのはそこにあると思うんですが、最後に大臣、それをお伺いします。

竹中国務大臣 私も地方の出身者でありますから、東京や大阪の議論が私の出身地の和歌山では全く通じないというふうに思います。

 しかし重要なのは、私は、何らかのその意味での再配分といいますかサポートが必要なわけですけれども、そのサポートの仕方が今までのままでよいのかということが問われているのだというふうに思っています。

 そういう意味での改革でございますので、何か地方交付税が全然なくなってしまうとか、そんな議論、まあ一方でマスコミではあるわけですけれども、そんなことはあり得ないわけで、これはやはり、しっかりとそのサポートをする仕組み、その仕組みを、現状のままでよいのか、どこを変えていくべきなのかということの現実的な議論をしたいと思います。

 きょうこの瞬間も、実は地方の行財政というのは機能しているし、しなければいけないわけですから、そこは現実的な議論をぜひさせていただきたいと思っております。

渡部(篤)委員 どうもありがとうございました。

中谷委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。どうぞよろしくお願いします。

 まず冒頭、先日滋賀県で起きました大変痛ましい事件、お亡くなりになったお二人の子供さん、心より御冥福を申し上げます。そしてまた、フィリピン、私も住んでおりましたが、そのフィリピンでも大規模な地すべりが起きました。何千人という単位での犠牲者でございますが、亡くなられた方、心より御冥福を申し上げたいと思います。

 国会で質問に立つたびにこういった言葉からごあいさつを始めているような、それほど内外、大変痛ましい事件、事故が相次いでいるという昨今でございますが、特に、この日本も、本当に去年からことしにかけて大変厳しい状況になっていると認識をいたしております。

 きょうは、これまでも大臣と何度か質問をさせていただいたわけでございますが、所信に対する御質問ということで、マクロな観点から幾つかの質問をさせていただきたいというふうに考えております。

 総務大臣になられたわけでございますが、もう御案内のとおり、いろいろなアンケートがとられ、そしていろいろな本が売り出されたりしておりますが、例えば、本を挙げますと、昨年、「希望格差社会」というような本があったり、それから「下流社会」といった本がかなり評判を得ておりました。

 そういった一方、きょうも朝日新聞なんかでアンケートの結果が出てきております。政策で格差が拡大したというふうに答えておられる方がかなり多いということで、小泉総理の反論ということも出ておるわけでございます。

 今回、不良債権の問題、それから郵政の民営化ということで、今度、次に総務大臣というふうにおなりになったわけですが、恐らく、きょう、私の地元でも多くの方が、テレビはございませんけれども、インターネットテレビを通して多くの方がごらんになっておるわけでございます。竹中さんという非常に知名度のある方、そして、もともと民間におられて、そして国会議員となられて大臣をやられておる方が、今度大変重要なポストにおつきになられた。一体どういうような国政の経営というか、運営をされるかということは多くの方が注目をされておることだと思います。

 特に、小泉さんと二人三脚というイメージが強いわけですが、どちらかというと、小泉さんは詳しくおわかりになっていないのかなということをよく国民の方はおっしゃるんですが、多分、その理論的支柱を提供されているのが竹中さんではないかというのが、地元で多くの方とお話ししていると、そういった話が出てまいります。

 そうした中、私も改めて、竹中さんがどういった御経歴の方かというのを、ちょっとホームページを見させていただきましたけれども、まあ有名なことでございますので、ハーバードで御教鞭をとられたり、そういうことはございますが、こういった御経歴を見て、竹中さんのようなポストにおられる方が、これからの日本をどのような日本にしていこうと思われておるかということは、やはり御自分の生まれ育った、あるいは学問をやられた、お仕事をやられた、そういった環境から出てくる。日本という国の今の問題はこういうところにあって、こういうふうな国にしていきたい、そういう思いは当然政治家一人一人が持っていることだと思います。

 きょうは、まず冒頭、そういった意味で、竹中大臣がこれから日本をどういった社会にしていきたいというふうに考えられておるか。総務大臣という範囲を超えた質問かもしれませんが、国民が大変関心を持っておるところだと思います。先ほど申し上げた、理論的支柱を提供されている、そういうことを考えても、その点に関してまず御見解を賜りたいというふうに思います。

竹中国務大臣 重要な御質問でございます。同時に、どういう社会を目指すかということを数分の答弁で申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、私の経歴の中でぜひ強調してほしいのは、私は、和歌山の普通の地方都市の商家、まあ商家といっても非常に小さな商売をしている家に生まれて、それで、小学校のころは野球ばかりやっていて、貧しかったけれども、やはり幸せな田舎の少年の生活を送っていた。

 そういう中で、日本の社会が持っている、私は本当によく申し上げるんですけれども、私は昭和二十年代の半ばに生まれておりますけれども、あの貧しかった日本の時代の地方都市で、ああいう普通の公立の小学校で大変立派な先生に教育を授けられた。親は、先生の言うことをよく聞きなさいと、普通の家庭としての価値観を持っていた。それはもうすばらしいことであったな、本当にありがたいことであったなというふうに思います。それがある種、私の生活感覚の原点だと思っております。

 そうした中で、日本は、本当に世界史に残るような、画期的な、驚異的な経済発展を遂げて、今世界のフロンティアに急激に立たされているという状況であろうかと思います。私としては、価値観がどんどん多様化する中で、すべての国民が自分の価値観に応じて幸せに暮らせるような国、それがやはりよい社会であるというふうに思います。

 私が少年時代を過ごした時代と今とは本当に価値観が違うと思います。しかし、それぞれの価値観、人生観は大事だと思いますので、それぞれの価値観に応じて幸せに暮らせるような大きな自由と大きなチョイスがある、そして同時に、いろいろな再挑戦の機会があって、結果的にしかし最低限の日本人としての生活水準が保障されている、それが機能しているような経済社会、それが私がやはり目指したい国でございます。

田嶋(要)委員 そういう定性的な話をさせていただいている限り、私も含めて多くの方が今の御答弁に共鳴をする、この間はやった「三丁目の夕日」じゃないですが、何かそういったものに思いをはせるようなものは通ずるところがあるかなというふうに思うわけでございますが、もう少し具体的に。

 例えば、ハーバードでも勉強をされ、教えられた、そういった方が今そういったポストにおつきになる。国民の多くが、果たしてあの大臣はアメリカのような社会をつくりたがっているのかどうか、そういったようなイメージも持たれると思うんですね。私も、アメリカに四年半、フィリピンに五年間おりましたが、やはりそういう海外暮らしをすると、非常に多くの意味で価値観が衝撃を受けるわけですね。

 そういったこともあって、やはり当然、そういったポストにおつきになられる方がいろいろ学んでこられた、生活をしてきた場というものが、御自分の、日本はどうあるべきかという価値観に大きな影響を与えていると思うんですが、そのアメリカのような社会、それもさまざま定義はあると思うんですが、それを竹中さんは目指しておられるのかというところはどのようにお答えになりますか。

竹中国務大臣 私は、よくマスコミでは、アメリカ原理主義とか市場原理主義とかというようなレッテルを張られるんですが、私は、そのたびにそれはどういう意味ですかというふうに聞くわけです。しかし、どういう意味ですかと問い返して、これはこういう意味だというふうなお答えをいただいたことがございません。

 私は、そもそも議論をするときにレッテルを張ってしまうというのは、もうほとんど問答無用にしてしまう状況でありますので、委員御自身がおっしゃったように、何がアメリカ的かと言われてもわからないですね。物すごく多様なのがアメリカ的かもしれませんし。だから、そういう議論というのは、私は常にそういうふうにラベルを張られるのは本当に困るなというふうに思っているところでございます。

 もちろん、人間が暮らした環境というのはそれなりに重要だというふうに思いますが、私はむしろ、初めて留学したのは二十九歳か三十歳でございますので、ある種価値観ができてからだったんだと思います。

 これは、委員自身どうでしょうか。海外で暮らすと、私は海外で暮らして何を一番感じたかというと、それまで見えなかった日本のよさが本当によく見えたということだと思っております。それが私の海外体験の一つの大きな成果であったというふうに思っておりまして、恐らく田嶋委員も同じような御印象をお持ちじゃないかと思うんです。

 そういう意味では、アメリカ型というのが何を言っているかよく私はわかりません。ただ、経済政策に関しては、一方では市場の活力を重視すること、これは私はやはり重要であるというふうに思います。

 しかし、同時に、そのための、健全な正しい競争をするためのルールづくり、コンプライアンスが重要であるし、競争が重要であるからこそ再挑戦の仕組みとセーフティーネットの整備が必要であるし、やはりそういうことを総体として行っていくということが政策としてのあるべき方向であろうというふうに考えております。

田嶋(要)委員 私もレッテルを張るつもりはないわけでございますが、私自身も、日本がどういう社会を目指すべきかというふうに考えると、恐らくモデルはないんだろうなというふうな感じがいたします。やはり、アメリカのすぐれたところ、あるいは北欧社会のすぐれたところ、そういったところを参考にしながら日本としてのモデルをつくっていかなければいけない、そういうことに尽きるのではないかなというふうに思うんです。

 しかし、やはりそうはいっても、世の中の一般から見たときに、竹中大臣のもとで日本はどっちの方向に進んでいくのかな、そんなような思い、特に格差というようなキーワードをもとに、多くの方がそんなようなことを思っているのではないかという感じもするわけでございます。

 具体的な話を一ついたしますけれども、よく一般のサラリーマンと社長さんの給与格差みたいな話が出ますね。日本はよく三倍とか五倍とか、そんなようなことも出ます。アメリカなんかだとそれが何百倍というような話があるんです。それは格差ということにもつながると思うんですけれども、大臣のイメージされている目標といたしまして、例えば今あるそういった格差がさらに広がっていくということは、方向としては、これから政策を実現されていく上で、より推し進められるべき方向だというふうに御認識をされておりますか。

竹中国務大臣 社長と一般のサラリーマンの比較というのは、数字で何倍とか、どうなるかというのは、これはちょっと、私も質問をいただいて真剣に考えたんですが、申し上げるのはなかなか難しいんだと思います。

 ただ、むしろ現実には、社長といわれる方々の間で非常に格差があるというのも事実だと思いますし、一般の社員の中でも年俸制等々でいろいろな、その時点その時点での格差というのはある程度あるのだと私は思っております。

 ただ、格差を議論する際に、どうしても我々、ともすれば忘れてしまいがちなのは、今、きょうこの時点での所得の格差もあれば、生涯を通じた生涯所得の格差というのもあるのだと思います。

 例えば、今までのようにずっと同じ会社で働いていくというのではなくて、四年間必死で働いて、それで何かをやって、一年間休憩していろいろな準備をして、一年間休憩しているときは所得ゼロですから、その時点ですぱっと切って所得を見ても、これは余り意味のないような状況だって出てまいります。一方で、年齢で、高齢化しますと、リタイアした人は所得がゼロになりますから、そういった形での所得の一時点での格差ということを議論することに非常に大きな限界があるんだと思うのです。

 その意味では、やはり本来生涯所得で格差の問題というのは議論しなければいけないわけで、そこがこの問題のなかなか難しいところであろうというふうに思っております。

田嶋(要)委員 格差は広がっていないとか、広がっているとか、いろいろな御意見、そしてそれを裏づける証拠みたいなものが新聞とかでも出ておりますけれども、しかし、素直な国民の印象として、やはり広がっていると感じている人が大変ふえてきているというのも、これは事実だと思うんですね。そしてまた、生活保護を受けている方々の数とか、あるいは教育に関しても補助を受けておられる方々、あるいは貯蓄ゼロの家計、そういったそれぞれの統計のデータがすべて悪い方向に向かっているというのも、これも事実だというふうに思います。

 そういった中で、小泉政権の大きな柱になっておられる大臣、今のようなその国民の印象、だんだん日本が本当は望んでいない方向に進んでいっているのではないのかな、そういったような不安が徐々に高まっていると思うんですけれども、そういったところに関しての大臣の御所見を賜りたいというふうに思います。

竹中国務大臣 格差につきましては、いろいろなとらえ方がありますし、これはやはり政策を行う側としては常に注意して見ていかなければいけない問題であるというふうに私も考えております。

 そうした問題に対してどのように対処するかという基本的な考え方のお尋ねでございますけれども、今、グローバル化が進んで、IT革命、デジタル革命、新しい分野がどんどん広がって、いわゆるフロンティアがどんどん拡大していく状況では、そのフロンティアに打って出て成功する人と、どうしてもそこから取り残されてしまうということで、格差がつきやすい、圧力が働くといいますか、そういう懸念があるというのは、私はやはりこれは正面から受けとめなければいけないと思います。これは日本だけの問題じゃなくて、世界的にそういう問題が一九八〇年代の終盤から出てきているというふうに認識をしています。

 では、その際にどういう対応をすべきかということになりますと、実はこれはもう小泉改革の当初から申し上げて、また我々なりに実施してきたつもりでありますけれども、第一に、機会の平等。どなたでもチャレンジできるような機会の平等を確保するというのが、実は格差を広げない、是正するための最大のポイントであると思います。ある一定の人はチャンスに挑戦できるけれども、それ以外の人は挑戦できないと、これは格差を生みますから、これはやはり機会の平等を確保する、そのためにいろいろな措置も講じてきたことでございます。そのために、実は規制を緩和してだれでもできるようにするというのは、格差是正のために必要だという面があるわけです。

 二番目は、いろいろな競争がどうしてもグローバルに激しくなってまいりますから、そこで一度挑戦したけれども失敗するという事例はやはり出てき得るわけです。この失敗者をゼロにするということは、これはできないわけでありますから、そういう方でも再挑戦が可能なような仕組みを入れていくというのが第二番目だと思います。

 そして、第三番目としては、どうしても助けが必要な人に対するセーフティーネットを充実させていくということ。セーフティーネットを充実させていくためには、例えばいろいろな保険の制度とかが持続可能なような仕組みをつくるということもそのベースとしては必要になってくるんだというふうに思います。

 その機会の平等、再挑戦、そしてセーフティーネット、やはりそれを健全な競争政策とコインの両面のようにしっかりと行っていくこと、私はこれは恐らく方向としてはそれ以外にはないのではないかというふうに思っております。

田嶋(要)委員 まさにその機会の平等が、今、結果の平等だけではなくて機会の平等すらなくなってきているということを多くの方が指摘しているのだと思います。

 それから、セーフティーネットのネットの目が大変粗くなってきて、ネットの下に落ちちゃう人がいっぱいいる。小泉さんが言っているように、格差は別に悪いことじゃない、勝ち組をどんどん上に伸ばせるのは悪いことじゃない、それは一面そうなんですが、我々が問題にしているのは、ネットの穴から落ちてしまう、ネットの網目からこぼれ落ちていく方々が大変ふえてきているということだというふうに思うんですね。

 私は、まさにあの郵政のときの、総選挙のときですけれども、国民の声を聞いてみたい。その国民の方々が、今まさに格差は広がっている、どのアンケートをとっても実感として、ジニ係数とかそういうことを別にして、実感としてみんなそう答えているんですよ。そういう答えがあるのであれば、その国民の声にもっと真摯に耳を傾けるべきではないかな。結果じゃなくて機会の均等すら今なくなってきている日本の社会がそこにあるというふうに私は認識をしています。

 そして、このことでもう一つ、質問通告はしていないんですが、一つお伺いしたいんですね。同じように本の話ですが、昨年有名になった本、「拒否できない日本」という本がございました。御存じかどうかは知りませんが、その本は、中身は年次改革要望書、これは国会でも何度か取り上げられましたが、郵政との関係でも取り上げられました。

 この年次改革要望書というのは、かなり昔から出されているわけですね、年に一回。これは私も年末大分調べてみましたけれども、国民の多くが何かだんだん日本がアメリカのような社会に向かっているんじゃないかというふうに感じる背景の一つは、やはりアメリカ政府からの毎年の要望書が、実に微に入り細に入り、提出をされ、しかもその結果がほとんどすべて着実に実行されているということと関係があるのかなという感じが私はいたします。この郵政民営化の話もそうでした。小泉さんが本を出された翌年から毎年ずっと出てきたのが、この郵政民営化の話です。

 そういったことも含めて、ぜひ竹中大臣に、その辺大変お詳しいと思うんですが、御答弁を賜りたいんです。

 私が調べた感じでは、唯一アメリカからの要求で実現していない大きなテーマは新聞の再販価格の維持制度ですね。あれだけはアメリカもあきらめたようでございますが、それも、きのうもきょうも読売新聞にその制度の維持が大切だということをアピールはされておりましたけれども、それ以外のすべての大きなテーマ、ことし正月早々に独禁法の課徴金のリーニエンシーの問題も出ていました。あるいは法科大学院の問題、あるいは第三分野の保険の問題、あらゆるものがアメリカの希望どおりに実現をしている。

 もちろん、これはアメリカに言われたからやっているというのは、当然、そういうことを認めることはないとは思うんですが、かなりの圧力がやはりあって、そういった方向での政策、規制緩和、競争導入ということは行われているんじゃないかということを多くの国民が何となく感じていると思うんですね。だからこそ、だんだんアメリカの望んでいるようなアメリカ型社会に、ましてや、小泉さんがそういうポストにつかれて、そういう社会に向かっているんじゃないかという言い知れぬ不安があるような気がするんですが、その辺はどういうふうにお考えですか。

竹中国務大臣 アメリカの年次報告については、これは基本的には外務省のところで取りまとめが行われて、いろいろな経緯があったと思いますので、ちょっと全容を私は承知をしておりませんが、最後に委員がお尋ねになった、そういうものを通じたアメリカの圧力ということに関しては、これはもう率直に申し上げますけれども、私は、不良債権の処理をやらせていただいて、郵政の民営化をやらせていただいて、それで今、さらなるいろいろな改革を目指そうとしておりますけれども、その間に、私がアメリカの圧力を感じた、アメリカ政府の圧力を感じたというような光景は、この五年間、全くありません。

 郵政に関しましては、委員もおっしゃいましたけれども、民営化というのは総理はずっと以前から言っておられることだし、あと、年次報告の中でよく出る一つの事例を申し上げますけれども、例えば保険に関しては、金融、銀行も含めて、一〇〇%完全民営化されるまで新しい商品を一切認めないでくれというふうなものがたしかアメリカの要望の中にあったと思いますけれども、私たちの制度設計はそれとは全く違いますよね。

 これは、民営化のスタート時点では公社と同じ商品といいますか、仕事、業務内容から出発をしますけれども、郵政民営化委員会での議論も踏まえながら、順次新しいこともやっていって体力を強化できるようにしているわけですから、その一点をとりましても、民営化についてはアメリカは言っていたかもしれませんけれども、その中身については実は非常に大きく異なるものであるというふうに私は思っております。

 したがって、日本の政策というのは、まさに日本の国民のために、国益のために我々が必要だと思ってやっていることでございますので、アメリカの圧力等々とぜひ結びつけていただかないように私としてはお願いを申し上げたいと思っております。

田嶋(要)委員 今も米国産牛肉の問題がホットでございますけれども、そういったところも含めてウオッチをしていきたいというふうに思っております。

 今のお話の中に出てきました郵政の関係で一つ質問をさせていただきたいと思います。

 法案は通りまして、そして最近になっていろいろな発言が出てきておるわけでございますが、その中で、郵政株式会社ですか、準備会社の西川社長の方からのコメント、発言が出ております。郵貯の限度額の撤廃といった発言でございますが、これはこんな早いタイミングでそういう発言が出てくるのに非常に驚いたわけでございますが、その後、民営化委員長の田中直毅さんはそれを打ち消すような発言をされておるわけでございます。

 これは、郵政民営化に賛成をされた多くの国民の方々も、郵便貯金の今の一千万という上限を撤廃すべきかどうかということに関してはさまざまな御意見があるかと思うんですが、こういった発言がそういうお立場の方々から出始めている。そして、まだ民営化が始まってもいない。そういったような状況で、二〇〇七年から最長十年かけてという今の時点において、もともと全銀協のトップにおられた方が立場を変えて百八十度違う発言をされておるわけでございますが、多くの国民の中には、やはり肥大化という問題に対する懸念はぬぐい去れないのではないかなという感じがいたします。

 そういった意味で、きょうのこの場で、大臣の方から、そういった全く違う意見がそれぞれのお立場から出ておるわけでございますが、郵政担当大臣といたしまして、上限撤廃の問題に関して御答弁を賜りたいというふうに思います。

竹中国務大臣 日本郵政株式会社のCEOに就任をされました西川社長が、これも詳細、細部ではありませんが、新聞報道等々でいろいろな御発言をしておられるようだ、特に限度額の撤廃等々についても発言されたやに、そのような報道は承知をしております。これはまだ、西川さんは、これまでの経営の御経験を踏まえて、いろいろな意味でのいわば頭の体操のようなものを今しておられる、思考しておられる段階であろうかというふうに思います。

 ぜひ仕組みについて改めて申し上げたいと思いますけれども、郵政が民営化されたときの業務の範囲、限度額等々についてですね。業務の範囲については、国の信用、関与が残る移行期間中においては、民営化委員会の意見を聴取の上、透明、公正なプロセスのもとで、他の金融機関とのイコールフッティングの状況と郵便貯金銀行の経営状況等を勘案しながら、段階的に緩和をしていくということを、これは法律で決めております。

 そして、移行期間が終わった後は、これはまさに民間並みになるわけですから、完全に民営化されるわけですから、民営化から十年程度たった後にはこれは撤廃される、これは明確な枠組みを示しているわけでございます。この枠組みに沿って、当然のことながらしっかりと経営をしていただくということになります。

 その意味では、経営者としては、非常に意欲的に企業を大きくしたい、収益性を高めたいというふうに思われるのは、これは自然のことでありますし、実際そのように頑張って経営をしていただかなければいけないというふうに思います。

 しかし、一方で、これはきちっとバランスをとる必要がありますので、郵政民営化委員会を置いて、そこでイコールフッティングは保たれるのか、いわゆる委員おっしゃったような肥大化がしないか、そういうことについてのチェックを行うことにしているわけでございますので、私は、そこは、よく申し上げるように、西川さんと田中委員長は建設的な緊張関係に常にあるというふうに思っております。

 そういう発言がいろいろな頭の体操の中でそれぞれ今出てきている段階だと思いますけれども、これはぜひ定められた法律の枠組みの中で、しっかりとオープンな議論を今後ともしていっていただく必要があるというふうに思っております。

 それ以前の段階といたしましては、まずどういう形で企業を立ち上げるのかというのは、これは承継計画をしっかりとつくっていただかなければいけません。これは私たち政府で認可する必要がございますので、それで法律と違うようなことが出てきたら、これは認可もできないわけでございますから、そういうチェックも働きます。今のところ、いろいろな頭の体操を西川CEOはしておられると思いますが、あくまでも法律で定められた範囲で、しっかりとした経営をやっていただきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 頭の体操ですけれども、やはりこういったお立場の方々の発言ですから、余り軽々な発言は慎んでいただきたいというふうに思うんですが、やはりそういった法律的な枠組みを承知の上で発言をされておる。しかも、大体こういう大きい組織というのは、一たん方向が決められると今度はもうとまらないというような形になって、もう猪突猛進になるのが常でございまして、そういった意味からも、慎重の上には慎重にお願いをしたいと思うんですが、総務大臣のお立場から、政府の関与が、株式関係ですね、資本関係が残っている間は一千万の上限を撤廃することはないというふうにここで御答弁を賜れますでしょうか。

竹中国務大臣 この問題につきましては、私が今の段階で判断できる問題ではないと思っております。法律的には段階的に規制を緩和していく、制約を取っ払っていくということにしておりますので、その実情に合わせて経営主体である郵政がどのように判断をするのか、それを受けて郵政民営化委員会が、他の企業とのイコールフッティングとの関係で、ないしは経営状況等の関係でどのようなバランスをとる判断をなされるのか、それを今後見守っていこうということになろうかと思います。

田嶋(要)委員 アプローチとしては段階的かもしれませんが、ということは、そのステーク、資本関係が残っている間に上限撤廃なされる可能性はあるということでしょうか。

竹中国務大臣 もう一度仕組みをぜひ申し上げたいと思いますけれども、国の信用、関与が残る移行期間中における預入限度額につきましては、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、透明、公正なプロセスのもとで、民間金融機関とのイコールフッティングの状況及び郵便貯金銀行の経営状況等を勘案しながら、政令改正により適切な限度額が定められるように制度設計をしているということになります。

 一点だけ追加することとしては、実はさらに、郵政民営化法の第百四条において次のように定められております。日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の全株を処分する場合、または、全株処分前であっても、レビューの結果、民有民営実現と判断した場合には、郵便貯金銀行の預入限度額の規制を含めて郵便貯金銀行に係る特例規定は解除されることとなる、これは一種のみなし規定のようなものなわけですけれども、そうでない限りは、これは政令で限度額を定めるということになっているわけでございます。

田嶋(要)委員 時間が限られていますが、テーマを変えまして、電子政府のことに関して一点お伺いをしたいと思うんです。

 かなり高い目標を設定されて、今回の所信表明の中でもございました、五〇%、二〇一〇年までということでございますが、ちょっとその中身を昨日お伺いをいろいろさせていただいたわけでございますけれども、この五〇%に向けてのマイルストーン、ちゃんとしたロードマップができ上がっているのかというところに関して御質問をさせていただきたい。

 中身に関しては、当然、霞が関を中心にした電子政府とそれから電子自治体というふうに分かれておる、そういう御定義のようでございますが、国民から見ればどっちも電子政府だと思うんですけれども、今、普通に考えると、オンラインでそういう手続をやっているというような話は聞いたことがないというのが現状だと思います。

 きょうお配りをしている参考資料の一枚目、特にその上の真ん中の部分が、インターフェースと書いてあるところが、まさに住民が、あるいは一国民がさまざまな手続をするということにおけるどのぐらい進捗しているかということでございますが、ブロードバンド化が進んだとか、そういうインフラの部分ではそれなりに一定の進歩があるような印象でございますけれども、事電子政府、電子自治体ということに関して、現在の状況は大変お寒い限りかなというような印象を受けるわけですが、二〇一〇年、五〇%、どのように達成をされる御予定か、そのロードマップに関して簡単に御説明をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、電子政府、電子自治体について、二〇一〇年度までに申請、届け出などのオンライン手続の利用率、現実の利用率を五〇%以上にするという、これは委員も御指摘くださいましたけれども、やはり非常に思い切った目標を我々として立てたつもりでございます。

 これに関しては、ことし一月に策定されたIT新改革戦略においてその目標を掲げて、そして、今何をしているかといいますと、そのためのアクションプランをつくろうとしているところでございます。本年度末までに、これは具体的に言いますと、年間申請件数の多い登記、国税、社会保険等のオンライン利用促進対象手続ごとに、利用率の多い手続をピックアップしてその手続ごとに、利用率の目標と、それをどのように達成するか、まさにロードマップを、必要によっては具体的な促進のための政策措置、例えば手数料を引き下げるとかインセンティブを付与する必要があるのか、添付書類を省略させてより利用しやすいようにしてもらう必要があるのではないのかとか、電子署名も簡略化できないかとか、そういうことを詳細に織り込んだアクションプランを策定することにしているところでございます。

 そして、地方公共団体の手続に関しましては、地方公共団体のこれは意見を当然聞かなければいけませんけれども、来年度の早い時期に電子自治体オンライン利用促進指針を策定しまして、このオンライン利用促進対象手続を定めまして、それに必要な取り組みを地方公共団体に要請してまいりたいというふうに思っております。

 これは、細かな手続ごとにアクションプランをつくって、そうするとそれに必要な担当部署も明らかになってまいりますので、そこにしっかりとそれを実行させるという意味もその中には含まれてまいります。そういう意味でのロードマップ、委員が言われるところのロードマップを、アクションプランという形で、ぜひこれは今年度の末までに策定をして、それを実現していきたいと思っております。

田嶋(要)委員 電子政府の方と電子自治体の方、先日のヒアリングをさせていただいた感じでは、自治体に関する五〇%というところに関して、余り根拠がないような印象を受けました。電子政府の方は、百七十五種類の手続に関してそれぞれの測定のパラメーターがもう既に明確になってこういった目標値を定めておるようなんですが、電子自治体の方は、大臣も聞いていただくとわかると思うんですが、まだどういう項目に関してそういう測定をするのかも決まっていないというような現状があるというふうにお伺いいたしました。

 時間が限られています。こういう所信表明の中に目標数値を掲げておきながら、その中身が全くないという現状は、ちょっとお寒い限りかな。少なくとも半分に関して、電子自治体の方に関してはまだ中身が決まっていない、これから御相談だというようなお話を伺いましたので、その辺、ぜひキャッチアップをお願いしたいというふうに思っております。

 残りの時間で、前のページにちょっと戻りまして質問をさせていただきたいんですが、所信表明の中の二ページの定員の部分でございます。この中で、財政の厳しい折、これから公務員の削減というようなことがいろいろと考えられておるわけですが、このところに、治安、徴税、安心、安全、政府として重要な施策に重点的に定員を配分していく。まさにここの言葉でも「安」というのが、安らぎというんですか、三回も使われている。治安、安全、安心。いかに政府がこのことに関して重要性の認識をされておるかということで、大変喜ばしいことだと思います。

 そこで、お配りした資料の二枚目をごらんいただきたいのでございますが、これは警察庁の方からいただいた資料でございます。

 私自身の問題意識ですが、冒頭申し上げたあの滋賀の事件なんかもあるんですが、本当に痛ましい事件、事故が続いている中で、財政が厳しいとは言うんですが、総務大臣として、安心、安全をしっかりと守っていくために思い切った予算配分ということをぜひ考えていただきたいと思います。お話を総務省の方からお伺いしたんですけれども、もちろん警察官の充実ということ、やってはおるんですが、これから三年間で一万人ということでございます。

 その表をごらんいただくと、安全と水はただだったから無理もないとはいうものの、今でもただですかということだと思うんですね。どうですか、私はニューヨークやマニラやフィラデルフィアや、危ない町に結構住んでいたんですけれども、やはり東京の方が怖いと感じること、多いですよ。危ない地域は決まっている地域が多いんですよ、大都市というのは。だけれども、日本はそうでもないですね。だから、私は、日本は比較的安全だからといって、そういうところを後手に回っては、また行政の不作為ということになるんではないかなという気がするんです。

 その数字の、特に日本だけは二〇〇五年の数字ですよ。つまり、三年先を行ったデータであるにもかかわらず、警察官一人当たりの見ている人口がそれだけ高い。私は、別に警察庁と結託してこういうことを言っているわけじゃないですからね。ただ、私の本当の気持ちとして、これはもっと目に見えるところで安心できるお巡りさんがいた方が僕はいいと思うんです。そういったことをぜひ、三年間で一万人と言わずに、せめて警察官一人四百人ぐらいは数字として下げていってもらいたい。そのためにどのぐらいの努力が必要かということですけれども、大体六万人台ですよ。今二十四万人。その警察官の数を六万人ふやす。それは地方公務員全体の中で二%です、二%。それは、ほかのところを削減しろと言っているときにこういう突出したことができるかという議論はあるかもしれません。しかし、今回、総務省から出していただいたものの中にも、公正取引委員会、国家公安委員会、金融庁、法務省、こういった最近のライブドアに絡むような話もあるんですが、何か監視のしっかりした強化をしなきゃいけない部分、それから、法務省と公安、そういった安心、安全にかかわる部分はしっかりと数字はふやしていただいているんですね。

 ただ、私は、のろのろやっていたら本当に後悔すると思います。思い切った強化をぜひしていただきたいというふうに思うんです。もちろんこれは警察庁との協力が必要な分野だと思うんですが、ぜひその辺に関しての踏み込んだお考えを賜りたいと思うんです。これは遅かったらだめなんですよ、遅かったらだめ。余りにも落差が大き過ぎると思います、ほかの先進国に比べて。いかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員おっしゃいましたように、本当に安全、安心はただではない、そのことを今日本国民は身にしみて痛感しているのではないかと思います。

 委員、海外での事例を紹介くださいましたが、私もニューヨークに家族と暮らしているときに、ちょうどジュリアーニ市長がまさに安全を取り戻した。ジュリアーニ市長が、その最大の要因は警察官をふやしたことであった、そのように発言していたのをよく記憶しております。

 そういう意味では、安全、安心に重きを置いた人員配置を行う、定員配置を行うということは、総務省としても大変重要な仕事であるというふうに思います。

 同時に、地方公務員数、四・六%を上回る純減の確保が、これはこれでやはり将来の税負担のことを考えると重要でありますので、要は、委員の御指摘、要するにどの程度めり張りをつけられるかというところにかかっていると思います。どのぐらいのめり張りがつけられるか。委員がおっしゃったような大きな数字まで行くのはなかなか現実には難しいかもしれませんが、めり張りをつけるということに関しては私も全力を挙げたいと思っております。

 同時に、警察官の増員だけでこれは片づく問題でもありませんので、地域住民、自主防犯組織との連携、総合的な対策も必要だ。いろいろな意味で、今後、関係省庁と連絡をとりながら、我々としては、めり張りをつけてしっかりと対応するということに全力を挙げたいと思っております。

田嶋(要)委員 時間でございますが、やはり警察官、お巡りさんというのは地方公務員ということで、住民から目に見えるところの安心ということに直結をすると思いますので、ぜひそこの所管であります総務省の方に、警察庁と協力をしてここはしっかりとお願いをいたしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、竹中大臣に、きょうは税源移譲の問題を中心にして質問したいと思います。

 竹中大臣は、今度の三位一体改革に関連して、ガバナンスという雑誌での発言とか、せんだっての委員会での答弁の中でも、三兆円の税源移譲がなされたのは画期的な成果、大きな成果というふうに発言をしておられます。

 確かに三兆円という金額はそれ自身大きな数字ではあるんですが、総務省は、先年、片山大臣が五兆五千億円の税源移譲を経済財政諮問会議で提案したこともありますし、それからすると、まだ道半ばということになってきます。

 昨年五月の経済財政諮問会議に麻生大臣が提案した地方税財政改革の推進、これは中期の財政ビジョンとして、地方の歳入の半分以上を税収で確保する、この発言がありますから、三兆円の税源移譲をしてもこの水準には届かないわけですね。

 ですから、当然、税源移譲の問題というのは引き続き要求していく、これが総務省のスタンスというふうに思うんですが、これをまず最初に伺います。

竹中国務大臣 三兆円の税源移譲に関しては、いろいろな御評価があろうかと思います。委員は今、道半ばというふうにおっしゃいましたが、私は、あえて第一歩だというふうに思っております。

 総務省として、今後さらに税源移譲を進めるということが省の意思なのか、総意なのかというお尋ねかもしれませんが、私、そういうことも含めて、これはあくまで第一歩でありますから、地方の自由度と責任をしっかりと高めていくためのそもそもの仕組みについて、今懇談会で議論をしていっていただくわけでございます。その意味では、地方が自由に使える税源をさらにふやしていかなければいけない、それは持ってもらいたいというのは、方向として私自身は考えていることである、そのように申し上げて一向に差し支えないと思います。

 三兆円の評価についてはいろいろあると思いますが、これは、三年前に経済財政政策担当大臣としてこの議論を始めたときに、私自身の印象としては、本当にこんな兆円単位の税源移譲というのができるのか、財務省はそれを本当に手放すのかというのは、私自身、本当によくわかりませんでした。それを何とか三年間の改革で三兆円の税源移譲ができたということは、これはやはり大きな一歩であると思いますし、この点が、地方六団体についてもその声明の中で表明をしてくださっているというふうに考えております。

吉井委員 道半ばというより第一歩というところなんですが、そういう答弁ですが、なぜこのことをきちんと伺うのかといいますと、大臣の私的懇談会、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会が設置されていますが、税源移譲の話というのは聞こえてこないんですよ。マスコミ報道では、自治体の破綻法制の検討とか、地方交付税に切り込んでいく話とか、自治体の自己責任、財政圧縮というものばかりなんですね。

 一月二十七日の当委員会での答弁の中でも、三兆円の税源移譲は大きな成果だが、これで地方の自由度が十分増したかというと、そうではない、自由度をもっと増さなければならないということで、自由には責任が伴う、だから自由度を増す議論とともに責任の議論もしようという、要するに自由と責任の話に行っているんですね。

 聞こえてくる話は、三位一体の次のステップとしてこういう議論をしていこうというところなんですが、自由と責任ということがあるんだけれども、大臣の口から、これは第一歩なんだから、税源移譲をもっと進めていくんだという話は聞こえてこないわけですよね。

 だから、補助金削減、税源移譲、交付税改革という、この第一次の延長線上でこれを続けるのは難しいというお答えもあるわけですから、そうすると、肝心かなめの、これが第一歩だったら、第二歩、第三歩と行くには、税源移譲をきっちり要求していくんだ、この立場をやはり明確にされないと、どうなっているんやということになりますから、これを伺っているんです。

竹中国務大臣 まず、懇談会で何を議論しているかということに関して、そして私の発言も含めて、税源移譲という言葉が余り出てこないではないか、全く出てこないというか、余り出てこないというか、出てこないではないかという御指摘かもしれませんが、これは、新しいところでは、つい最近の経済財政諮問会議での私のこの問題に関する発言もぜひ御参照いただきたいと思います。私は、税源配分の見直しというふうに言っております。

 これは、税源移譲という形ではなくて、税源配分そのものを国と地方で見直していこうという議論を、非常に大きな議論設定をしておりますので、これはもうまさに吉井委員がおっしゃるところの税源移譲と、税源が移るという意味では同じことであろうかと思っております。

 私が最初の三位一体改革ではどのようにしたかというと、とにかくいろいろな議論をしなければいけないんだけれども、とりあえず、まず手をつけるところとして、補助金、負担金を削減しよう、そしてその中で、義務的経費については一〇〇%、それ以外のものについては八〇%を目途に税源移譲をしよう、それにあわせて、課税客体の偏在があるから交付税の仕組みをきちっとつくっていこう、その中でスリム化もしていこう、こういう枠組みを設定して、四兆円、三兆円、五兆円という議論を行ったわけです。

 今議論しているのは、この枠組み、そういう設定した枠組みだけではなくて、もっと幅広くやはり議論していこうではないですか、自由度と責任と。先ほど言いましたように、新聞はその責任の破綻法制ばかりを取り上げていますから、それが確かに世の中への情報としては出ているわけでございますけれども、懇談会の内容そのものを、これは概要を出しておりますけれども、ここは非常に幅広くしっかりと議論をしております。そしてその中で、諮問会議でも申し上げましたように、国と地方の税源配分そのものを見直していくということも視野に入れて、そもそも論を議論しておりますので、国から地方への税源の移譲がもう終わりとかそういうことは全くございませんし、むしろ、根本的な議論をすればするほど、税源配分の問題というのは重要な問題としてクローズアップされてくるというふうに私は考えております。

吉井委員 片山大臣も麻生大臣も税源移譲という言葉で言ってこられました。地方分権推進委員会最終報告の二〇〇一年六月十四日のでも、「国から地方への税源移譲により」云々ということを、やはり税源移譲ということを言っているんですね。

 だから、確認しておきたいのは、今の竹中大臣のお話の税源配分という言葉は、税源移譲という言葉と大臣としては同義語として使っていらっしゃる、こういうことでいいんですか。

竹中国務大臣 税源移譲というのは、私は税源配分の方がイメージとしてはやや大きいのかなというふうに思いますが、税源移譲を含んでいるというふうに当然お考えくださって結構でございます。

吉井委員 この議論というのはもともと、六〇年代、七〇年代、八〇年代と、要するに、いわゆる三割自治というのは、税金は地方にかわって国が吸い上げておいて、仕事は地方がうんとよくしているのに、配分していない、三割しか行っていないじゃないかというところから、地方自治体に権限をうんと移す。当然ながら、仕事をしようと思ったらお金が要りますから、税源移譲をきちんとやっていくんだ、税財源を地方に移すというのがもともとの出発なんですから、そこのところを踏まえて二十一世紀懇談会でもきちんと議論をされるのかどうかというところが、私は大事な点だと思っているんですよ。

 それで、もともとこの私的懇談会は、あくまでも私的なものですから、大臣としては、経済財政諮問会議に臨まれたときに発言し提案されるものを、大体私的懇談会でいろいろ議論して、ある程度のまとめをやるといいますか、そういうのを踏まえて大臣は物をおっしゃると思うんですが、その大臣としての基本的スタンス、これは、税源移譲をきちっと求めるそういう提案をしていくんだ、この立場で臨んでいかれるのかどうか、これを伺います。

竹中国務大臣 地方の自由度、権限をしっかりと高めて、その分責任も負っていただきますけれども、そのために必要な財政の基盤を整備するということですから、私は、方向としては、地方の税源を拡充するという方向に当然なっていくだろうというふうに思っております。

吉井委員 これはせんだってのマスコミの方にも書いていましたが、自治体への税源、権限の移譲は始まったばかりだ、中央省庁はそれらを一向に手放そうとしない、現状は地方自治の確立からほど遠い、そうした現状で地方自治体の首長の責任を問うことは国の理不尽な責任転嫁であるということも書かれております。

 今、自由と責任の議論の前に、まずきちんと、仕事をたくさんやっている地方にそれに応じた税源をまず移していく、そのことをきっちりやらなきゃいけないときであります。ですから、後にまた自由だ責任だという話は触れるにしても、やはり肝心かなめの話は、国から地方に税源をどう移していくのか、ここが根本なんだというところをきちっとしておかないと、自由だ責任だという議論でかすんでしまうと、とんでもない話になっていくと思います。

 三位一体改革について、大臣はこういうことも言っておられます。目標数値を定めて国と地方が交渉するやり方を続けるのは、中央省庁の抵抗がきつく、これまでのような形にならないだろうと。

 もともと三位一体改革というのは、国から地方への税源移譲を求める流れに対して、国の歳出削減を重視する立場から地方交付税の削減が叫ばれ、それらを一体として進めるために考えられた手法として、税源移譲にブレーキをかける、こういうものとしてとられてきた手法であって、税源移譲を進めようという立場からすれば、税源移譲は永遠のテーマというようなことはとんでもない話であって、目標値を定めて国と地方が交渉するやり方云々という話もありますけれども、実は、国がまとめ切れないから小泉総理が地方に取りまとめを依頼した、こういう経過がありましたし、国の責任で取りまとめを行われると思っていたら、結局国がそれをしないで、やむなく地方が案を出した、こういう経過もありました。だから、国と地方が交渉するという性格のものじゃないんですね。

 もともと国から地方への税源移譲というのは、地方分権推進委員会が地方分権推進の第二ステージとして政府にその実現を求めるとしてきたものですね、第二ステージなんですよ。だから、片山大臣にしても麻生大臣にしても、地方自治、地方財政を所管する総務大臣として、三位一体改革の中で税源移譲の要求というのをきちんとしてきたわけですね。

 三位一体改革というのは、永遠のテーマという話じゃないんですよ、国と地方が交渉するやり方という話でもないんですよ。だから、自由だ責任だの議論はちょっと置いておいて、大臣自身がこの税源移譲にどう取り組んでいくのか、このことをきっちり聞かせていただきたいと思うんです。

竹中国務大臣 どのように取り組んでいくのかということに関しては、重ねて御答弁をしているつもりでございます。この懇談会で、地方の自由度と責任をしっかりと増していただいて、そして、それを可能にするための財政の仕組みというものを考える。その中で、当然のことながら、地方の税源をしっかりと確保するということが当然の方向として生まれてくるであろうというふうに私も申し上げているわけでございます。

 現実問題として、各省庁いろいろな政策を行っておりますけれども、その補助金一つをとっても、これは国が面倒を見なければいけないのではないか、もういろいろな議論があって、現実にはなかなか動かなかったわけです。そこを、とにかく期限を定めて、数値目標を掲げて、四兆円を上回る補助金改革、そして三兆円の税源移譲、そして結果的に交付税改革も五兆円を上回る金額、それを何とかここまで実現した。そして、その基礎の上に立って、今申し上げたような形での、抜本的な、さらなる地方の自由度を増すための改革を行いたい、結果的にそれを可能にするような税源もしっかりと担保できるような新たな仕組みを目指していきたい。

 しかし、きょうこの瞬間も地方の行財政のサービスは行われているわけで、現実的にそれを変えていかなければいけませんので、そういう問題について、今しっかりと専門家で議論をいただいているわけでございます。

吉井委員 私的懇談会で自由だ責任だというそんな議論の話より、今大事なことは、要するに、地方自治体にどれだけ権限を移し、財源を移すか。国の中でいろいろ議論があるんだったら、それは国の責任で解決する話であって、永遠のテーマに棚上げしてみたり、それから国と地方が交渉するような話にしたら、これはもうとんでもない話であって、ましてそれを私的にどこかで懇談してもらうというような話じゃないと思うんですよ。

 片山大臣が税源移譲を提案したのは、地方分権推進委員会がその最終報告で、機関委任事務制度の廃止が地方分権推進の第一ステージなら、国から地方への税源の移譲は第二ステージだと、国から地方への税源移譲を提案し、その後を受けた地方分権推進会議が、税源移譲を先送りしたばかりか交付税の財源保障機能を廃止する主張をするに及んで、地方分権改革会議は頼りにならないということで、総務大臣から提案になってきたものでありました。

 片山大臣の提案は、初めから三位一体でやろうというのではなくて、最初は国庫補助負担金の地方税への振りかえという税源移譲を先行させる考えだったんですね。これに対して、経済財政諮問会議で、交付税が地方の財政運営のモラルハザードをもたらしているとして、交付税を削減すべきだという意見が出されて、結局、三位一体改革、こういうところに収れんしたわけですね。

 あなたはこの間、経済財政諮問会議の担当大臣だったわけですから、当然、片山大臣がどう発言したかとか麻生大臣がどういう発言をされたかとか、よく知っておられるわけですから。だから、問題は、総務大臣に就任したときに、片山さんや麻生さんらが主張してきた国から地方への税源移譲、これが総務省として取り組んできたことなんですから。

 地方も交渉事として考えているんじゃないんですよ、要するに権限を移してもらいたいと。そして、地方自治の拡充というのは、権限を得るとともに、それに伴う税源を移してもらう。もちろん地方には、経済的に見ても不均等に発展していますから、地方にばらつきがありますから、そこは国が一度集めたものをこれまでの交付税の仕組みで財源を保障する機能とそして調整する機能を持ってやっていかないと、ほとんどの自治体が今、財政的にはもともと大変なんですから、それを自由だ責任だの議論を始めてしまったら何にもうまくいかないのは最初からわかり切った話です。

 そうじゃなくて、まず、片山さんや麻生さんらが言ってこられた、総務省としての地方へ税源を移すというこの大仕事、これについてあなたもやっていくという立場でいらっしゃるのかどうか、ここを伺います。

竹中国務大臣 吉井委員の御説明だけ聞いていますと、片山大臣や麻生大臣の考えと私の考えが非常に大きく違っているのではないかというようにもちょっとお聞きをしたのでございますが、そういうことでは全くないと認識をしております。

 片山大臣は、諮問会議で議論をして、しかし同時に、その中で、国と地方がやはりともに努力をしてこの危機的な財政状況を変えていかなければいけないという中で、むしろ片山大臣がリーダーシップをとって、三位一体の改革と。三位一体という名づけ親は当時の片山大臣でございますから、そういう方向になったというのは、これは事実でございます。麻生大臣もそれを引き継いで、そのような三位一体の実現、改革の実現に努力をされたわけで、私はその三位一体の第三年目の枠組みをつくるというその瞬間に総務大臣に就任をさせていただいて、何とかその三年間で三兆円の税源移譲ということを、私もそれを引き継いで実現をしたわけでございます。

 それを受けて、今後どのように進めていくのか。これは決して税源の単なる、言葉はちょっと適切じゃないかもしれませんけれども、税源を国がとるか地方がとるかというとり合いの問題ではなくて、やはり国、地方共通の問題意識で、きっちりとした国の行政サービス、地方の行政サービスが行われるようにしていかなければいけない、その仕組みを全体としてどのようにつくるのか、そういう議論をしなければいけないというふうに私は思うわけでございます。そうした観点から今議論を始めているわけでございます。

 ただ、方向としては、その中で、私はやはり国と地方の税源配分そのものを議論する必要があると思っておりますし、結果として税源が移譲されるということは、方向としては私は必要なことだというふうに思っておりますし、そのことを先ほどから申し上げているわけでございます。

吉井委員 麻生さんにしても、国税と地方税は一対一、それを実現するには税源移譲をしていかなきゃいけないということを言っておられるわけであります。だから、税源配分という言葉でもって税源移譲をあいまいにしてしまうということは、いよいよ第二ステージだというふうにこれまで言ってきたのが、話が飛んでしまうわけで、私はとんでもない話だと思うんです。

 竹中大臣が言う地方の自由度を増すというこの根本議論については、自由度については、また別に考えは、いろいろな角度からの議論がありますから、私もありますが、しかし、地方の歳入の質の転換を図って、歳入の自由度を増すということによって地方の自主性、自立性を高める。大臣の言う自由度を高める最大の手段として、地方分権推進委員会は国から地方への税源移譲を提案してきたと思うんですよ、税源移譲はまさに自由度を高めることなんですから。大臣は、今度の三位一体改革で自由度が十分増したわけではないということも答弁などで言っておられますが、それは税源移譲のやり方にやはり問題があるんじゃないかということがあると思うんです。

 ここで、先に政府参考人に伺っておきますが、今回の三位一体の改革で、税源移譲対象の補助金の総額は三兆一千百七十六億円と言われますが、この補助負担金は、補助負担金の数としては幾つあるのか、そのうち廃止される補助負担金の数は幾つなのか、これを伺います。

瀧野政府参考人 今回の三位一体改革の中での国庫補助負担金改革の件数についてのお尋ねでございますが、補助金の立て方はいろいろございますので、予算上の目の本数という立場でお答えいたしたいと思います。

 財政当局からお聞きしているところでは、三位一体改革、平成十五年度に芽出し改革というのがございましたが、三位一体改革の先行的な取り組みでございましたが、十五年度で九本、三位一体改革の初年度であります十六年度で二十二本、十七年度で三十六本、平成十八年度で五十本ということで、合計百十七本が対象になっているわけでございます。

 このうち、二カ年以上の複数年度にわたりまして改革の対象になりました、例えば義務教育費国庫負担金というような重複分もございますので、これを除きますと、対象としては九十三本ということでございます。

 その中で、片方、地方団体向けの補助金がふえている部分もございまして、増減で見ますと、この三位一体改革、三年間では、全体として目の数では八十六本程度が減っているというふうに財政当局からお伺いしております。

吉井委員 実は、詳しい資料を、国庫補助負担金の改革で印をつけていただきました。目の数で数えると百十六になるんですが、今百十七とおっしゃったから、これはいずれにしても似たようなもので、百十七でもいいんですが、廃止されたのは三十五なんですね。残り八十一、つまり三分の二以上は補助負担金として残っているわけですよ。

 補助負担金額でいうと、三兆一千百七十六億円の中で、廃止された補助負担金は千四百九十九億円、わずか四・八%。つまり、完全に国がかかわりを持たないものとしては、四・八%しかなくなっていないわけですね。あとは、なるほど補助負担金は削ったんだけれども、国の関与はちゃんと残っている。

 つまり、国庫補助負担金から地方への税源移譲というのは、国の関与は本来なくなるものですね。ところが、税源移譲の対象となった補助負担金の大半が残されて、補助負担金の交付手続など、国の関与が引き続き温存されているわけです。

 だから大臣、これで、あなたは自由と責任の話をさっきやっておられたんだけれども、現実の話は、自由と責任の前に、自由度が増したということにはならないというのが実は実態としてあると思うんですね。このことについて伺いたいと思います。

竹中国務大臣 委員の御指摘、補助率引き下げ等々が今回含まれているわけでございまして、それだけでは地方の自由度は高まらないというのは、一つの御見識だと思います。

 ただ、一方で、例えば公立保育所運営費でありますとか、学校、社会福祉施設の施設整備費等の一般財源化というのもございます。これは、地方みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅が拡大するというものだと思っております。

 また、補助金のメニューの一部削減でありましても、当該メニューに係る事務事業については一般財源化をされて、補助金を通じた国の関与はなくなるために、地方の自由度は確実に拡大するというふうにも考えております。

 三兆円の税源移譲をしているわけでありますから、地方の自主財源の強化、それと補助金改革による地方の自由度拡大とあわせて、ここは全体として自由度を高める方向に行ったというふうにぜひ御評価を賜りたいと思います。

吉井委員 要するに、補助負担金を額で削って移したと言うんだけれども、ひもつきはほとんど残っている。つまり、自由度が増したということにはならない。

 そして、片山さん、麻生さんらのお話からしても、まだ税源移譲というのは道半ば。大臣は第一歩とおっしゃるんだから、第二歩、第三歩と本格的に、もともと麻生さんにしても一対一にしようというお話だったんですから、やはり税源移譲をきっちり求めていく、その立場に立つんだということをはっきりさせないと、総務大臣の仕事というのは、一番大きな仕事の一つはそれだと私は思っているんですよ。

 そして、要するに、地方自治というのは、住民自治の上に成り立つ団体自治としてのこの自治をどう拡充していくかというのが一番の眼目ですから、その立場に立って進めていくという点でも、税源移譲の問題についてしっかりした立場をとってもらいたい、このことを申し述べまして、時間が参りました、終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 私で大臣所信に対する一般質疑も最後になるわけですが、予算委員会等々で竹中大臣と堀江さんの問題についてるるお話がございました。本委員会においては今までだれもお触れになりませんでしたので、私、最後のバッターとして、その点について、まず大臣にお聞きしたいと思います。

 東京地検の捜査によりまして、堀江さんが逮捕されたことによりまして、小泉構造改革の、そしてまた総選挙における郵政民営化賛成のシンボルとして、当時の堀江社長、自民党は公認いたしませんでしたけれども、それに匹敵をするような世間の受けとめがこれあり、そのことがあっただけに、今回の事件を通して、政府に対しても、また自民党に対しても、その点での指摘が強く出されてきたことは御案内のとおりであります。

 特に、竹中大臣は、当時、経済財政担当大臣として、また郵政民営化担当大臣として、積極的に堀江候補を応援に走ったことは紛れもない事実であります。このことについて強い批判が出ました。特に、逮捕後の状況展開を通して、そういう行動に対する批判が出されたことは大臣も十分承知をしていると思うし、それに対する大臣の受けとめが、どういう受けとめをされているのか、まず最初にその点をお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 昨年の総選挙、これはいろいろな御意見が委員の皆さん方の間ではあるかもしれませんが、私にとりましては、やはり郵政民営化に賛成か反対かを問う国民投票的な位置づけのある大変重要な選挙であった、本当に小泉内閣の命運をかけた大変重要な選挙でございました。そういう観点で、私は、公明党候補を含む多くの郵政民営化賛成派の候補の応援に赴かせていただきました。堀江氏につきましても、無所属ではありましたけれども、郵政民営化賛成ということで応援に行かせていただいたところでございます。

 今問われているような容疑が事実であるとすれば、これはもう当然、不正行為は許されざることでありますし、大変残念で遺憾に思います。また、その当時、私は郵政民営化賛成という観点から応援に赴いたわけでございますけれども、こうしたことに、今日のようなことに立ち至るそうした部分を見抜けなかったというみずからの不明については、その不明に関しては、私も謙虚に反省をしなければいけないと思っているところでございます。

 今後、事実がどうであったのか、司法の場での解明が進むと思いますので、私もよく注視をしてまいらなければいけないというふうに思っております。

重野委員 当時の小泉内閣の閣僚の中で、彼の応援に行った閣僚は竹中大臣一人と承知しておるのでありますが、そこのところは、単に郵政民営化に賛成をしているというだけではなしに、加えて堀江前社長に対する竹中大臣の個人的な思いというものがあったのかどうなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 確かに当時の閣僚で応援に行ったのは私一人だけだったのだなというふうに思います。理由は幾つもあるかもしれませんが、多くの方は、衆議院議員でいらっしゃいますから、みずからの選挙があった。私は参議院議員でございますから、全予定、すべて応援に行かせていただいたということもあったのかもしれません。

 先ほども申し上げましたように、応援に参上した理由は、郵政民営化賛成であったからだ。個人的な関係、思いということでございますが、特にそれ以上の個人的な思いはございませんし、候補とも、実は応援に行ってその場で初めてお目にかかったという関係でございました。あくまでも郵政民営化に賛成か反対かという私なりの選挙の位置づけで、一生懸命当時としては応援をさせていただいたわけでございます。

重野委員 今でこそそのような答弁をされるわけでありますが、この間ずっと時系列的になぞっていきますと、当初は、詳細を知る立場にはない、こういう言い方をされておりました。その次の段階で、党の指示もあって広島にも行った、そういうふうに言いつつ、二十七日になりますと、今度は一転して、不明に関して反省すべきは反省する、こういうふうに答えておられる。これは新聞に載っておる記事を私はずっと言っておるわけですけれども。

 そこで確認したいんですが、大臣のこの応援は、今も答弁にありましたけれども、郵政民営化と一体のものであったということ、この点は間違いないと思うんですね。まずその点を確認いたします。

竹中国務大臣 私、一貫して同じことを申し上げているつもりなんでございますが、選挙の応援は郵政民営化と一体であった、ちょっと、どういう意味か私は必ずしも全部理解していないかもしれませんが、先ほどから申し上げていますように、郵政民営化に賛成か反対かを問う選挙であったというふうに私は認識をしておりますし、その意味で、郵政民営化に賛成という候補として私は応援に行かせていただいたわけでございます。

重野委員 大臣はその後、応援は、党の指示、幹事長の指示によって応援に行ったんだと。今度、幹事長は、応援は私的なものなんだ、こういうふうな言い方をされているわけです。そうすると、これはつじつまが合わないな、こういうふうに思うんです。

 竹中さん個人の判断で行ったのか、幹事長の指示があったから行ったのか。その幹事長自身の応援は、幹事長みずから、私的なものだ、こういうふうに言っている。ここら辺の脈絡が違うんですね。その点はどうなんですか。

竹中国務大臣 その点については、正確な御答弁の言葉はちょっとあれですけれども、既に、当時の総務局長であった今の二階経済産業大臣が、その経緯については予算委員会等々で御説明をしてくださっていると思います。

 私の立場から申し上げますと、武部幹事長から、郵政民営化賛成の立場から応援に行ってくれというふうに言われまして、これは、言ったことをもちろんすべて聞くわけではございませんから、そのように幹事長からお話があったのを受けて、私も、これは私も行きましょうということで行ったわけでございます。

 事実関係は、その意味では、幹事長からお話がありました、それに基づいて私も行こうと思って参りました、それに尽きております。

重野委員 竹中大臣も、もう既に参議院議員として、政治家として行動しているわけですよね。政治家は、自分の信念に基づいて、その信念のいたすところ、それに従って行動する、これはごく普通に言われることです。

 ですから、竹中大臣が堀江さんの応援に行ったのも、最終的には、やはり竹中さんの政治信念に従って堀江さんを応援した、そういうことに結論はなるんでしょう。確認したいと思うんです。

竹中国務大臣 これも既に御答弁をさせていただいておりますが、言うまでもなく、行くか行かないかを決めるのは自分でありますので、自分が決めて、自分の決断で行った、これは御答弁を申し上げているとおりでございます。

 別途、党の側から要請があったのかというふうに聞かれましたので、そのときは、幹事長からそういう話がありましたということを申し上げているわけでございます。

重野委員 私とホリエモンさんと小泉首相と三人でやる、大臣はそのように応援演説で言っておられます。つまり、三人で小泉構造改革を推進する、そういう意味なのかなと私は理解をいたします。そうなると、大臣は小泉構造改革と堀江候補というのはワンパッケージという認識のもとに応援したことになるのだ、そういうふうに理解をするんです。

 であれば、また最初に戻りますが、人物を見抜けなかった不明を反省する、そういう話にはならないのではないか。つまり、確信を持って堀江さんを応援したんだ、そういうことに論理的にはなっていくんですけれども、そういう認識というのは、大臣、今でも持っておられるんじゃありませんか。

竹中国務大臣 選挙の応援でございますから、目いっぱいの候補者に対する期待を表明して、できるだけ多くの方に投票していただこう、そういう観点から目いっぱいの応援をさせていただくのが通常であろうかと思います。

 実は、三人でスクラムをというのは私の選挙応援のときの決まり文句でございまして、これは何十人の方に応援をさせていただいたのですが、たしかこの中にもそのように応援をさせていただいた方がいらっしゃったというふうに思います。

 その上で、小泉構造改革とワンパッケージか、そういう認識かというお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、郵政民営化に賛成か反対かという観点から選挙に行かせていただきましたし、これは、賛成候補である限りは協力をして郵政民営化を完成させたい、そのような気持ちで申し上げたわけでございます。

重野委員 今の答弁はちょっと聞き捨てならぬと思うんですね。いや、私は選挙に行ったらどこでもそういうふうなことを言うんです、応援する人を持ち上げるためにそういうふうなことを言うんです、こう言ってしまえばそれまでよという話に聞こえますね。

 今後、次から次に、堀江さん、ホリエモンさんがやったことに対するいろいろな事実が明らかになってきつつあります。これも、竹中大臣が一生懸命進めております規制緩和、そのすき間をついていくそういう手法あるいは考え方が、結果としてみずから墓穴を掘ったというふうなことになるという見方もあながち間違った見方ではないのかな、私はこういうふうな感じも持っております。

 竹中さん、今後この委員会で今から何遍、何十遍も意見を闘わせる場が出てくると思うんですが、一番最初に私の質問に対して今答弁された内容は、悪いけれども、軽いなという感じがいたしました。今後もっともっと深みのある答弁をしていただきたいということを、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうふうな感じがいたします。

 そこで、話は一転いたしまして、合併問題についてお伺いいたします。

 本年四月一日には市町村数が千八百二十になる、このように大臣は申されました。しかし、この七年間で、およそ千四百もの市町村が地図から消えていきました。そのことは、当然、住民生活に大きな影響が出ているはずであります。

 大分県が、「市町村合併に伴う旧町村部の課題について」、こういう合併影響調査報告書というものを出されました。私、インターネットを引いていますけれども、意外とこういう報告書は出されておりませんね。私は、そういう意味では、私の大分県の担当者はなかなか一生懸命やっているな、こういう意味で評価しているんです。

 その中で、いろいろな弊害というか、負の部分が出ている。例えば、旧町村役場が支所等になったことによるワンストップサービスの低下、あるいは、災害等への対応体制、即応体制の低下、地域の高齢者、子供を支えてきた、具体的には旧町村所有のバス利用の道路運送法上の制約等が指摘されている。一つの例でありますけれども、そういう指摘がされていることは多くの合併市町村に共通するものと考えるんですね。

 合併は進んだ、しかしその後、日常生活においてこういう負の部分が具現化してきました、こういう話が全国至るところに存在しているのではないか。そういう部分を、大臣、そのかなめの役割の総務大臣としてどういうふうに受けとめておられるか、そういう状況が全国市町村であるという認識をお持ちになっておられるかどうか、その点を聞いておきたいと思います。

竹中国務大臣 市町村の合併というのは、健全な行財政基盤を持った基礎自治体をつくる上で、やはり大変重要な政策であると思っております。

 その上で、委員のお尋ねは、そうした場合に、住民の非常にきめ細かなサービスの面で不都合が出てこないかどうか、その点をやはり総務省として、総務大臣としてしっかりと見る必要があるぞ、そういう御指摘であろうかというふうに思っております。

 このために、きめ細かな行政サービスがしっかりと行き着くように幾つかの仕組みを創設しているという面も、ぜひ御評価いただければと思います。例えば、合併前の旧市町村単位の地域住民の声を施策に反映させる地域自治区でありますとか合併特例区等の制度を創設しております。また、旧市町村単位の地域振興に資するように、基金の造成について合併特例債を充てるといった、財政面でも合併後の課題への対応策を講じているところでございます。さらに、市町村の現場においても、さまざまな工夫をしておられるところがあるというふうに承知をしております。

 合併は、その意味では、行財政基盤をしっかりさせるという意味で私は重要な役割を担っていると思いますので、一方で、経営規模拡大のメリットを十分に発揮していただくということ、そして旧市町村単位の自治の取り組みを一方できめ細かく行っていただく、そういう形でバランスのとれた町づくりを進めていただくことが大変重要であるというふうに認識しておりますので、我々もその点をよく見ていきたいと思っております。

重野委員 平面的な地図を見て、この七つの町や村が一緒になって一つの市になったという、そこにもちろんとどまってはいけないし、そこに住んでおられる地域住民が一体どういうふうに評価しておるのか、そのことをやはりしっかり総務省として掌握しておく必要があるんじゃないか。それに基づいて、新しい自治体体制に対する的確な指導というものがなされてくるだろう。

 そういう意味では、こういう合併影響調査報告書、これが十分とは言いませんけれども、こういうふうなものがやはりすべての自治体でなされるということ、これは非常に大事だと思うし、そういう意味では、総務省もそこら辺の指導というか指摘を全自治体にやるべきではないのかな、こういうふうな感じがしますが、大臣、どのように受けとめられますか。

竹中国務大臣 これは、自治体のまさに自治であります。特に、きめ細かな行財政サービスがどのようになっているかということは、地域住民から常に市町村自身が、自治体自身が厳しい評価を受けて取り組んでいくべきものでございますので、そういう意味でのよい事例、今御紹介いただいたようなよい事例については、各自治体でまずは一生懸命御議論をいただくことが重要であるというふうに思っております。

 その上で、総務省としてさらに何ができるかということにつきましては、多方面の意見をぜひいろいろ聞いて、できることについてはぜひ積極的にやってまいりたいと思います。

重野委員 この平成の大合併に対する評価がいつ下されるか、それは時間がかかるわけでありますが、国として、この平成の合併が一段落する段階、それから一定の時間を置いて、この政策はどういう部分がよかったのか、どういう部分は負の部分があるのか、そういう政策評価を当然しなければならぬと思うんですが、そういう考えはおありでしょうか。

竹中国務大臣 政策評価というのは常に行っておりますし、また、個別の問題に関して評価をする仕組みというものも当然我々は持っているわけでございます。これは、その時々で必要なテーマを個別に取り上げて評価をするというものなわけでございますけれども、その時々の状況を見ながら適切に、どういう政策評価を行うべきか、しっかりと判断をしていきたいと思います。

 まず、その前段階として、アニュアルなといいますか、年々の政策の評価もございますから、それはそれとして当然しっかりとやっていきたいと思っております。

重野委員 次に、郵政民営化について聞きます。

 先般、私は新聞で見たわけですが、今四千七百ある集配局のうち千局の業務を近隣局に移す、こういうふうな新聞記事を読んだんですが、これは事実かどうか。そして、それは何を目指してそういうふうなことをやろうとされておるのか。この点についてお聞かせください。

塚田参考人 現在、民営化、分社化によりまして、事業全体の枠組みが変化するということでございまして、目的としましては、効率的で競争力のある郵便集配ネットワークを構築できるよう、集配事務と郵便内部事務の集約化を行う方向で検討しておりまして、現在、支社それから郵便局、関係労働組合に情報提供いたしまして、意見交換を行いながら再編案を検討中でございますけれども、統合する局、数については、まだ固まっていないという状況でございます。

重野委員 そうすると、この新聞の記事は、具体的に四千七百、千というふうな数字があったんですが、これは公社として、会社としてはまだ出している数字ではないというふうに理解していいんですか。

塚田参考人 そのようでございます。

重野委員 いずれにいたしましても、郵便局がなくなるかどうかということは、私たちの選挙区のように、高齢化の進む、そういう地域の、そこに住む人々にとっては決定的な意味を持つわけです。公社に移る段階での委員会で、私も再三その問題について質問いたしました。一市町村に最低限一つとされているというふうな話もありました。

 その後、市町村合併がどんどん進んでおります。市町村という概念が非常に広い概念になってまいりました。そういうふうな新たな状況の中で、この一市町村に最低限一つというふうな話はどういうふうに理解されるのか。あるいは、集配局の統合というふうに言うときに、そのサービスが地域住民にとってより好ましい方向に発展していくのか、いや、後退するのか、そういう問題も出てまいります。

 そこら辺について、今出されましたその統合というものは、一体何を目指して、そしてその地域住民にとって何をもたらす統合になっていくのか、この点をいま一つ明確にしていただきたい。

塚田参考人 先ほど申し上げたように、民営化、分社化になりまして、やはり事業全体が変わっていく中で、経営基盤の確保という観点から、これを集約していくということが目的でございまして、ただ、集約する場合は、現在の、いわゆる統合される集配局の集配事務というのはそのまま継続しますし、また郵便局の窓口というのはそのまま存置するということでございまして、この中で郵便、貯金、保険のサービスはそのまま維持するということでございまして、おっしゃるようなユニバーサルサービスというものは確保していくということで検討を進めているということでございます。

重野委員 終わります。

中谷委員長 次回は、来る二十三日木曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十七分散会


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