衆議院

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第7号 平成18年2月24日(金曜日)

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平成十八年二月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      越智 隆雄君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    谷本 龍哉君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   参考人

   (日本郵政公社執行役員) 塚田 為康君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     越智 隆雄君

  土井  亨君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     岡部 英明君

  丹羽 秀樹君     土井  亨君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社執行役員塚田為康君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官荒木慶司君、自治行政局長高部正男君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長小室裕一君及び消防庁長官板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野信亮君。

奥野委員 おはようございます。自由民主党の奥野でございます。

 きょうは、民主党さん、ちょっと少ないんじゃないかな、元気がないんじゃないかなと思いまして、心配をしております。私も、社長の経験をしている中で、やはり組織の強化というか融和には人それぞれの意識改革が必要ですから、できるだけ早く体制の立て直しをしていただいて、国民の期待する議論ができますように希望をしているわけであります。渡辺さん、よろしくお願いしますよ。

 私も、経済界から政治の世界へ入って、大変なじめないことがあるんです。それは、公の会計、公会計が非常に企業の会計と違うということでありまして、時々私も首長さんと議論をするんですが、首長さんに、コストを下げる努力をしなさいよ、もっと債務を圧縮する努力をしなさいよと言ったら、どうやればいいんだ、こういう議論になっちゃうわけです。何でだろうなということを考えてみると、やはりバランスシートとか、いわゆる損益計算書、貸借対照表、そういったものがないというのも一つだろうと思います。

 ちなみに、一つの事例を言いますと、市長さんに、あなた、あれは使っていない資産だったら売っちゃいなさいよ、こういう話をしますと、大事な市民の税金でつくったんだから、そうやたらと処分できないんだと。だって使っていないんだろう、使っていないんです、だから早く処分して借金を返しちゃいなさいと。

 要するに、国では、今やっていることは、小さな政府を目指して、バランスシート、貸借対照表を小さくしていくということをやっているわけでありますが、まだまだ市町村、県の領域へ行くとそういう感覚がなくて、資産を減らし、債務を減らしという考え方が理解できていない、こんな気がするんであります。

 そういったことを考えてみると、国の方ももちろん問題でありますけれども、もっと問題なのはやはり市町村じゃないかなと私は思うんです。小さくて効率的な政府を追求していくためには、地方公共団体も民間企業と同じように、今申し上げた貸借対照表なり、損益計算書とは言いませんが、それに近いものをつくって、いわゆる複式簿記化して、不用な資産を圧縮して、債務を減らしていくことが必要だと私は思いますが、竹中大臣は、そうなのかそうじゃないのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 奥野委員の経済界での御経験を踏まえての発言、大変重要であると思います。私も、厳格な複式簿記に基づく財務諸表を作成して、その情報を公開する、それに基づいて分析も行って経営方針を決めていく、これはもうやはり基本中の基本であろうかと思います。

 実は、まさに今委員から御指摘いただいたことが昨日の経済財政諮問会議でも議論になりました。その場でも発言させていただいたんですが、残念ながら、私的な会計に比べて公会計の整備というのがおくれてきた。実は、なかんずくその中でも地方がおくれてきたということは現実であろうかと思います。

 二〇〇〇年から国の取り組みを始めて、二〇〇五年にようやくバランスシートが整った。私は申し上げたんですけれども、国という一つの組織体のバランスシートをつくるのに二〇〇〇年から始まって二〇〇五年までかかっているわけで、今その試案がようやく幾つか、すべての都道府県と政令指定都市で出るわけでございますけれども、その意味で、そこが残念だけれどもおくれてきたというように思います。もちろん、先駆的にやられた市町村、そういうようなところもあるわけでございまして、これは大変重要な役割を果たしてきたことは事実だと思いますが、全体としておくれてきたというのは、残念だけれども、私は事実であろうかと思います。

 それについてさらに強化をしていかなければいけない、そのことを強化していく意思はあるかどうかという問いかけでございますけれども、これはもうぜひ私としてもしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

奥野委員 いろいろ御異議のある元市長さんもおいでになると思います。私も、全体が整理できていないということじゃなくて、できていないところもあるし、やれという指示はされているということも知っています。ただ、足並みが必ずしも十二分にそろっていない、こういう感じがします。

 特に、国の方でも、この間私は予算委員会で申し上げましたが、一般会計と特別会計と連結で見なくちゃいけないんだと。地方の場合でも、やはり公営企業とか三セクターあるいは公社というものを連結した形で財務諸表をつくって、なおかつそれを評価していく。こういうことで、市長さんとか町長さんとかというのはみんな民間企業でいうと社長さんであります、その社長さんがその意識を持ってバランスシートなり損益計算書を見て、そして経営感覚を持って財政運営を行うということが一番大事だろうと思うんです。

 そういう意味で、私は、必ずしも総務省の指導体制は十二分にできているとは思いませんが、国の方もやりかけて間もない、地方の方もやりかけてまだ、平成十二年だから六年ぐらいしかたっていないのかな、そういうことだろうと思います。

 市町村のそういった経営感覚を追求していくような体制づくりに、あとどのくらいかけておやりになるつもりなのか。そして、その指導体制というものはどうなのか。その辺をちょっと、大臣の御意向を聞かせていただければと思います。

竹中国務大臣 どのぐらいのタイムスパンで見ていくのかというお尋ねでございます。

 各地方公共団体全体のバランスシートの作成状況を見てみますと、平成十七年三月末現在でありますけれども、都道府県では約三分の二で作成、公表済みである一方、市町村では全二千五百四十四団体中約一割の二百八十三団体にとどまっているところでございます。

 大変時間を要するという面もあるわけですけれども、やはり小さくて効率的な政府を実現するという国民の強い要請にこたえるためにも、資産、負債の管理等に必要なバランスシートを早急に作成、公表すべきであるというふうに思っております。

 今後、市町村におけるバランスシートの公表を強力に要請したいというふうに思っております。近々、これに関連しまして、こうした会計の問題全般を幅広く検討する体制、研究会のようなものも発足させたいと思っておりまして、その中で、市町村のバランスシートの整備を促進するための方策についても多面的にぜひ検討をしていきたいというふうに思っております。

奥野委員 それを推進する上で、これは一つの考え方ですが、例えば、民間的な経営ということを市町村なりあるいは県の行政の中に埋め込んでいくためには、あるいはそれをさらに推進するためには、何かのインセンティブを与えるということも必要じゃないのかなという気がします。それも一つの方法だろうと思うんです。

 そうしたときに、例えば、今市町村なり県に要求されているのはいろいろな意味での行政改革でありますから、行政改革を推進する手段として、こういうことをやっていく団体については例えば地方交付税をちょっと弾んでやるとか、そういうようなインセンティブもあるのかなという気がしますけれども、こんなことについては大臣はどんなお考えがあるか、教えていただければと思います。

竹中国務大臣 これは、いろいろな意味で経営努力、行革努力をしていただかなければいけないと思いますので、それを後押しするような仕組みというのは我々も常に考えてきているつもりでございます。今の直接のお尋ねが、バランスシート作成そのものをきっかけにということのお尋ねかと思いますけれども、先ほど言いましたような委員会等々でぜひ幅広く検討をさせたいと思っております。

 ただ、原則としては、どういう状況にあるかということを住民の方に見てもらって、住民からの声といいますか、ボイス、これがやはり最大のインセンティブ、ディスインセンティブなのではないかと思います。委員が今御指摘されましたように、それと直接、交付税と結びつけられるかどうかというのは、これは検討を要するというふうに思いますが、先ほども言いましたように、ぜひ、その点は幅広く、委員の問題意識も踏まえて検討をさせたいというふうに考えます。

奥野委員 あと、私がなじめないもののもう一つに、非常に決算に時間がかかる。そして、もちろん、最近やり始めている新しい、企業会計ばりの公会計というのをまとめ上げるのにも極めて時間がかかる。国の場合は、決算をするのにまず六カ月かかる。そしてそれから、企業会計ベースの公会計をつくり上げるのにまた一年かかる。地方も同じような時間がかかるんだろうと思います。

 こういったことをやっていたのでは、やはり行政のスピーディーな対応というものが非常に難しいわけでありますから、こういう決算作業とか、新たなそういった企業会計ベースのバランスシートとか損益計算書をつくっていくプロセスについても、もっともっと見直していく必要があるんだろうと思うんです。スピーディーにそれを仕上げるということも大事なことだろうと思います。

 そうやって考えてきたときに、一方では、日本のいわゆる科学技術という力についても、過去には相当世界に誇れるような科学技術があったわけですが、今現在は若干意気消沈しているような感じが否めないような気がします。

 そういう意味で、最近話題になっていますが、スーパーコンピューターというのがありますけれども、そういったスパコンをうまく使いながら、市町村、県のいろいろな会計処理を全国一括してやるというような考え方を使いながら、例えば、国との連結も含めて、しっかりとした財務諸表をまとめていくという考え方もあるんじゃないかなと思うんですが、そのスピード化、及びその手段についてスーパーコンピューターを使うというようなことが考えられるのかどうか。

 実は、私は、民間企業にいたときに、それに近いことをやりました。ある企業にいたわけですが、そのときに、企業レベルではスーパーコンピューターレベルの大きなものを全国に二つ用意して、片方で処理するんですが、片方がダウンしたときにはもう一個で処理するというような、そんなことを、全国に散らばっている支店の経営情報までそこへほうり込んで、支店ごとの経営情報までしっかりと把握したことがあるわけでありますが、それをもじって、今申し上げたようなことが考えられないか。

 こんなことについて、御意見があれば聞かせていただきたいと思います。

竹中国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、ディスクロージャー、情報開示はもちろん重要でありますけれども、企業会計では、タイムリーディスクロージャーという言葉があるように、やはりタイムリーに、必要なときにそれがないといけない。その意味では、今までどちらかというと民間企業に比べて時間がかかり過ぎたという反省はしなければいけないのではないかと思います。

 決算統計の電算システムについて、平成十四年度は、実は、従来の紙の調査表にかわる電子調査表システムを導入したとか、十七年度にはすべての都道府県、市町村とのネットワーク接続を完了するといった形で、システムの高度化等を図って、大幅に効率化は進んできていると思います。

 その結果、総務省において、平成十六年度決算に関して、出納長または収入役等の各首長さんへの決算提出期限となる八月末から約一カ月間で都道府県、市町村決算の速報値が出る。そして、約三カ月で地方全体の決算、そして都道府県、市町村決算の確報値を公表したところでございます。これは、十三年度決算に比べて、地方全体の決算について約四カ月早くなっているというのも事実でございます。

 しかし、とてもこれで満足していいということではないわけで、今スパコンの話がございましたが、今の決算に時間がかかるというのが、単に電算機の処理速度の問題なのか、その前後のもっと人的なシステムの問題なのかというと、それは後者であろうというふうに思います。そういうことに対して、やはりもっともっと知恵を出していかなきゃいけないと思います。

 それともう一つ、こういうのを、中小企業に関して、民間でやったところもあるわけでございます。我々としては、国としてできることをやりたいと思っておりますけれども、民間のいろいろなノウハウを投入したビジネスチャンスととらえることもできるわけでございますので、ちょっと状況を見ながら、さらにこれを迅速化する方向を探りたいと思います。

奥野委員 確かに、おっしゃるとおり、その前提条件の、要するに会計処理の原則みたいなものの統一化とかそれの徹底というのに時間がかかるということは事実だろうと思います。しかしながら、コンピューターを使うということも一つだろうと思いますので、何か知恵があったらぜひ考えていただければな、こう思う次第であります。

 それから、全然話題を変えまして、三位一体の改革であります。

 私は、個人的に感じていたのは、三位一体の改革というのは目的が二つあると。一つは、地方公共団体の無駄遣いを減らすこと、それからもう一つは、地方分権という考え方に基づいて、地方が使えるお金を用意して、地方に自由に使わせる、こういうことではなかったかなと思います。まだほかにいろいろな目的があるかもしれませんが、大筋そういうことだろうと思うんです。

 無駄遣いの方は結構、額を絞ることで無駄遣いは減ってきたなと。ただし、どうも私は、地方に自由に使える金を与えようといったところについては、若干違う。どちらかというと、税源移譲をしつつも、残念ながらひもつきで税源移譲をしているものですから、これに使え、あれに使えというのがあるわけですね、義務教育の教員給与に使えとかいうようなのがあるわけでありますから。そういう意味でいうと、少し自由度が、拡大を目的としたんだけれども、期待したほど拡大ができなかったんじゃないかというふうな気がしております。

 具体的な数字で言うと、例えば、補助金については四兆七千億円減らそう。しかし、そのために税源移譲を三兆円するよと言ったんだけれども、その三兆円については必ずしも、自由に使える金として地方に渡ったかというと、そうじゃなくて、結果としては一兆七千億円のカットにつながった。それからもう一つは、交付税についても五兆一千億円減らした。しかし、その五兆一千億円の中身を分析してみると、二兆七千億円が地方税の増収ができるはずだから、その分をまず減らす、さらに二・四兆円を減らすことによって地方の無駄遣いを減らそう、こういうことであったと思います。

 ですから、地方団体の長の意見を聞いていると、少しスピードが速過ぎたというようなニュアンスで答えが返ってくるのと、いわゆる無駄遣いの、税源の圧縮が少し早過ぎたという声と、それから、自由に使える金が余りないな、こういうようなことが地方から返ってくるものですから、そういったことに対して、大臣としての見方はいかがなのかということを教えていただければと思います。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

竹中国務大臣 全体として、この三年間取り組んできた三位一体改革の評価にかかわる重要な部分であると思います。いろいろな御意見があるということは私も十分に承知をしているつもりでございます。

 一義的には、地方六団体自身が、やはり三兆円という税源移譲が行われたことは初めてであり、画期的なものであって、今後の分権を進める上で大きな前進であるという御評価をいただいていると思います。しかし、その上で、特に自由度が高まったかということに関しては、やはり今後さらに大きな努力を要するであろうというふうに私も強く認識をしているところでございます。特に、補助率のカット等、必ずしも地方の自由度につながらないものもあるという御指摘は重く受けとめなければいけないと思います。

 一方で、公立保育所の運営費でありますとか、学校、社会福祉施設の施設整備費等の、これは施設整備費を初めて一般財源化したということによって、地方みずから創意工夫と責任で政策を決められる幅が拡大している。それが十分かどうかはともかく、拡大しているということも事実なんだと思っております。

 そういう点も含めて、やはり私としては、さらに自由度を増していただきたいと思うんです。そのためにはどうしたらいいかということを幅広く議論する懇談会も設置しておりますので、委員の今の御指摘も十分に踏まえて、さらに、評価するものは評価する、しかし、不十分なものは不十分だということの認識に立って、さらに改革を進めたいと思っております。

奥野委員 評価については、全く大臣と共有化できると思うんです。

 やはり私は、民間企業でやっていたときによく議論したんですが、人の金で仕事をするというときには非常に甘くなるんですよね。コストを下げるという努力が非常になくなって、どんどん使っちゃう。そういう意味では、地方に財源をばさっと渡して、それで、おまえたち考えろという方が、将来の地方分権あるいは地方財政の充実という意味ではいいんではないかな、こんなことを感じている次第であります。

 それから、その三位一体の中で、財源移譲によって地方の税収が充実して、また、国税、地方税を合わせれば個々の納税者の税負担は変わらないということで制度を組んだわけであります。これはそれで正しいことだろうと思います。

 しかしながら、私は、大都市に税収が集中しているという税収の偏在が税源移譲によってさらに広がってしまうんじゃないかなというような懸念を一つ持つことと、それからもう一つは、特に大規模な都市は税収が多くて、またそれを使う意味での費用についてもスケールメリットがあってコストも割安になるのに対して、税収が少ない小さな規模の市町村では、面積も広くてコストが割高になるなどの厳しい財政状態にあるわけであります。

 そういった意味で、今申し上げたように、税源移譲によって本当に偏在がなくなるかということと、それからもう一つは、地方交付税の算定に当たって、小規模市町村の財政需要をもっと手厚く反映すべきではないかという気持ちを持つんですが、そこら辺について、大臣の御見解を承れればと思います。

竹中国務大臣 委員から二点御質問でございます。

 まず、税源移譲はいいとして、その課税客体の偏在に伴う、つまり税収の偏在、格差をどのように考えるか。

 この点は、やはり税源移譲は重要でありますけれども、移譲を行う際には、できるだけ偏在がないような形でということの工夫は私たちなりにしたつもりではございます。もちろん、それでも偏在が全くなくなるということではありませんから、そうしたことを踏まえて、交付税の制度でしっかりそれを補っていかなけりゃいけない。だからこそ、まさに三位一体の改革ということなんだと思います。

 地域間の税源の偏在を縮小したいというのは我々の強い思いでございます。

 具体的に言いますと、例えば現行の税収シェアによりますと、これは東京の例でいきますけれども、東京には約五千百億円の税源移譲となるわけでございます。しかし、今般の個人住民税の一〇%比例税率化という方向をとることによりまして、それが三千二百億円ということになります。東京に偏在しがちなこの税源の偏在度が縮小するというのは、これはこの数字では示されていると思います。

 また、各都道府県について、個人住民税所得割の一人当たり税収で比べた場合を見てみますと、現在、一番多い東京都と一番少ない沖縄県の倍率は約三・二倍あるわけでございますけれども、今回の改正によって、この倍率は三・二倍から二・七倍に縮小するということでございますので、方向としては、そういう方向に向かうような制度設計はしたつもりでございます。

 二点目の問題ももちろん重要だと思います。

 やはり都市の経営には、地域の経営にはスケールメリットがある程度あるであろうから、小規模市町村の財政需要についてしっかりと考えなければいけないだろうという点は、そのとおりであろうかと思います。

 市町村についての交付税でありますけれども、人口十万人の団体を標準として、そして人口等の指標によって算定しているところでございますけれども、小規模市町村については、人口一人当たりの行政経費が標準団体に比べて割り増しにならざるを得ないという状況がございますので、人口規模によって人口一人当たりのコストが増加する経費について、合理化努力を踏まえた割り増し算定を行うといったようなことを行いまして、小規模市町村の財政運営に支障が生じないように、そういう対応を行っているところであります。

 今後とも、地方交付税の算定については、そうした意向、地方団体の意向も踏まえて、ぜひ適切に対応していきたいというふうに思っております。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

奥野委員 小さい団体が残るということ自体にも問題があるかもしれないんだけれども、やはり合併合併といっても、なかなか気持ちが一緒にならない限りは合併できないわけでありまして、結果的には、やはり小さな団体も結構残っちゃうんじゃないかという危惧をしております。そういったときには、今最後に申されたようなことをぜひ推進していただければな、こう思うわけであります。

 それから、企業の事業を評価する場合は利益であります。ところが、地方公共団体の行政を評価する基準というのは、住民の行政サービスに対する満足度だろうと思います。そして、この住民の行政満足度に対する評価も、制度をつくって、組織もつくって、着実に進んできておられるように思いますけれども、もっともっと目標を定めてベンチマーキングしながら、どの団体もほとんどいいレベルで収束していくような形に早く持っていかないと、住民の不満というのはどんどん募っていくのではないかと思うんです。

 そういう意味で、その評価の方法の標準化や、あるいは評価結果の数値化というんですか、数字で目標を決めてベンチマーキングする、そういうような管理をもっともっと積極的に進めていかないと、住民からのプレッシャーというのはどんどん強まっていくと思いますので、ぜひそれを制度として積極的に入れて推進していく、そういうことを期待したいものだなと思っております。

 ちょっと最後に、一つ違った側面の話をお尋ねしたいんです。

 日本の税制というのは、寄附金に対する優遇が必ずしも十分ではないと私は常々思っております。民間企業にいたときに、世界じゅうを歩き回ってみると、これは民間の人の寄附でつくったんだ、こういうようなことをいろいろ言われて、こんなでかい施設が寄附でできるのか、こうやってびっくりしたものでありますが、そういったことを背景に一つ質問をしておきたいんです。

 所得税においても寄附金控除が十分ではない。しかし、個人住民税については寄附金控除の対象となる団体の数がさらに少ない。せめて、所得税で寄附金控除の対象としている団体については個人住民税としても対象とすべきではないか。

 政府としては、今、官から民へと言っているわけです。民間の金をもっと使わなくちゃいけない。そういう意味合いからいっても、寄附制度というものをもっと日本に充実させて、そして、民間のお金をうまく使うことによっていろいろな住民の満足を上げていくということも考えられるんではないかと思うわけであります。果たしてそれがいいかどうかは、それぞれ皆さん方の考え方もあると思いますけれども、私は、そういう考え方をとったらいいんではないか、こんなことを感じている次第であります。

 特に、地方の税制について、そういったところについての大臣の御見解があれば教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 私も、国、地方をあわせた制度全体として、日本という社会が寄附に対してそれをもう少し受容するように制度を変えていく必要がある、方向としては全くそのとおりであるというふうに思っております。

 同時に、個人住民税というのは、住民税の性格、地方税の性格として、地域社会のいわば会費として住民が能力に応じて負担するという性格でありますので、その観点から今は寄附金の控除の対象は所得税と比べて限定的になっている。やはり所得税と住民税はその性格が違うから、こういう比較はあるんだと思います。

 私は、これが全体としてもっと広くということに関しては、全く賛成でございます。今後、さらに公益法人制度の改革等々も詰められていきますので、その中で、ぜひいろいろと、私もその方向を目指して検討をしてまいりたいと思っております。

奥野委員 私も積極的に寄附をしたいと思っているものですから、ぜひそういう気持ちで税制改革をしていただければと思います。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 まず初めに、きょうは地方税の一部改正案につきましてお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、三年間にわたる三位一体、昨年末に一応の結果が出まして、大臣は、一歩前進であるということで、これは大変な苦労を乗り越えた結果でございますので、私も大変評価するところでございます。

 国庫補助金約四兆円の削減、地方交付税約五兆円の削減、税源移譲、所得税から、国税から地方税に、住民税に三兆円余りの移譲というようなことで、これは大変評価できることだというように思うわけでありますけれども、まず初めに、税源移譲につきまして私の見解を申し上げたいと思うんです。

 私は与党の税調の公明党の方の事務局長をやっておりましたので、今回の税制改正については大変、中身までかかわってきたわけでございますので、私が大臣に質問するというのはちょっとおかしな形になるんだろうと思いますので、私は、今回のこの税制改正全般につきましての私自身の考え方を、考え方というか感想をまず申し上げまして、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

 一つは、大変な苦労をして三兆円余りの税源を国から地方に移譲したわけであります。この移譲は、政府税制調査会等々においても、各個人別に増減税が起こることのないようにということで、これは重々そういうことを念頭に入れてやってもらいたいということで、私どもも総務省、財務省にこのことも申し上げておりまして、最終的な結論は、非常に頑張っていただいた結果、ほとんど影響の出ないというような形で、これは本来増税でも減税でもございませんから、国から地方に税源を移譲するということでございますので、各個人間でこのことによって増税になったとか減税になったとかいうようなことになるということは好ましいことではありませんから、しかし、技術的にはやはり全く問題なくいけるというのはなかなか難しいことでありますけれども、最終的には、私は、大変評価できる形になったということをまず思っております。これが第一点です。

 それともう一つは、住宅ローン減税なんですね。これは、住宅ローン減税を国税の方で今までやっておりました。この住宅ローン減税が国税で引き切れないというような場合、今回三兆円地方に移譲したわけでございますけれども、引き切れない場合に、もう国税で引き切れないから仕方ないよというわけにはいかぬだろうというような議論があったわけであります。このことにつきまして、総務省の担当の方ともいろいろ協議をしたわけでありますけれども、最終的には、従来地方税体系では余りやっておらなかったような、住民税から住宅ローン減税を控除するといったことも今回この法案の中に盛り込まれた、これは大変評価されることだと思います。

 もう一つは、私たち公明党が従来から申しておりました耐震改修促進税制ということであります。昨年は、いろいろ与党間で協議をいたしましたが、これがうまくいかなかったと申しますか、来年検討しましょうということでキャリーオーバーをいたしたわけでありますけれども、昨年は、財政上の措置をとっていったらいいんじゃないかというようなことでおさまっておったわけでありますけれども、今回、このことが税制上で、耐震改修促進税制ということで国税でも対応していただいて、あと、地方税におきましても、限定的な期間でございますけれども、固定資産税を二分の一にしようというような形で、このような耐震改修促進税制を地方税体系の中ですることになったわけでございます。

 税制改正をやっておりますと、いろいろな幅広い分野がございますので、一つ一つ申し上げますとかなり時間もとりますので、私は、この今申し上げた三点が終わって、今法案の審議になっておるわけでありますけれども、終わった後の感想として、ここは非常に評価できるところだと思っておりますが、これ以外も含めまして、竹中大臣に、今回の、今審議をいたしております地方税の一部改正案につきまして、御感想といいますか御所見をおっしゃっていただければと思います。

竹中国務大臣 実は、思い起こすと、この三位一体の改革自体が、谷口委員が財務副大臣のときにしっかりと進めてこられて、それでそれを与党税調の中心として完成なされたということだと思いますので、本当に私が答えるのがむしろ立場がおかしいという印象を持つわけでございますが、今委員、三点御指摘くださいましたけれども、私も、やはりその三点についてそれなりの成果があるというふうに、あったんではないかというふうに思っております。

 本当に税制は複雑でありますから、税源移譲というのは皆さんそれはそれでいいことだと言うわけですけれども、それに伴って個人の税負担に変化が生じないように、これも非常に微妙な調整が必要になってまいります。私もこれはどうするのかなというふうにちょっと思っていたんですが、実は、自治税務局、自治財政局、この点に関しては本当に見事にプロフェッショナルとしての知恵を出して仕事を果たしてくれたというふうに私は思っております。微妙に、税源の偏在を生じないように、その中で、個人についても、不公平といいますか変化が生じないように、それを今の税体制の中で、非常に整合的なといいますかコンシステントな形でやっていくという点に関して、知恵を出してくださっていると思います。

 住宅ローンについても実は同じことが言えます。住宅ローンのやり方はもっとある意味で複雑だったのかもしれません。

 そして、耐震改修促進税制の話もございましたけれども、これは同時に、安全、安心という観点、やはりもう一つの我々の政策の重要な柱とも絡まってくる問題。これに関しては、ほかに地震保険料の控除等々もございますけれども、そういうものとも相まって、国民の安全、安心を図るという目的も達成した。

 そういう意味では、三位一体の大枠の中での非常にソフィスティケートされた税制体系というのを、自治税務局を中心に、そして与党の税調で御議論いただいて、つくることができたのではないかと思っております。

 もちろん、その分、複雑になったという御批判もあるかもしれません。ただ、やはり御負担に変化が生じないように、不公平が生じないようにするということが重要なことでございますので、その意味では、三位一体改革という大きな枠組み、安全、安心という大きな枠組み、それと地域の偏在を少なくする、そして個人の負担をゆがめない、そういうことについて、非常に絶妙のバランスのところの制度設計を関係者の御尽力によって何とかなし得ているのではないかというふうに思っているところでございます。

谷口(隆)委員 大臣がおっしゃった、私もそういう見解でおるわけでございます。

 もう一つ、ちょっと私、つけ加えて、一つ残念なことがありまして、これは私の個人的な考え方でございますけれども、今度、たばこ税を、一本一円上げました。ですから、二十本入りでは二十円、今回上がるわけでございます。

 このたばこ税というのは、本来、税の体系全体で見ましたら、税の体系は担税力に求めるわけでございますので、今のように禁煙ムードが高まっておるときに、これを抑制するというような意味合いでたばこ税を引き上げるということは本筋ではないんですね。しかし、税の理論では、シンタックスというような考え方、罪の税制みたいな考え方もあるわけであります。

 ちょっと詳しいデータは私持っておりませんけれども、世界各国のたばこの価格というのは、いろいろ多岐多様な状況になっておるわけですけれども、例えば、イギリスでは一箱千円近い状況になっている。ニューヨークでは一箱七百円から八百円ぐらいになっておる。ヨーロッパ全体でも、大体三百円台の中ごろというのが一般的なんですね。

 それで、財源を確保するためにたばこ税を引き上げるという考え方もありますし、一方で、喫煙を抑制するという考え方、こういう考え方もあります。しかし、私の方は、今回、一本一円の値上げということに最終的に決まったわけでありますけれども、もう少し値上げをすればよかったかなというように思っております。これは私の個人的な考え方であります。地方税でもその分だけ入ってくるわけで、税収という観点では、地方自治体もこれはもう歓迎されることなんだろうと思います。

 大臣の個人的な考え方でも結構でございますから、たばこ税について、ひとつ御見解を教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 今回の税制改正の中で、最後の最後まで、このたばこ税をどうするかということは非常に大きな議論になったということを今も思い出します。これは本当にいろいろな考えがあるところでありますので、そのいろいろな考えの中で、今回一つの決着を見たというふうに思っています。

 基本的には、まさに担税力をどのように評価するかということと、もう一つは、たばこ需要の価格弾力性が一体、本当に高いのか低いのか。これは一種の嗜好財というふうに考えるならば価格弾力性は低いのではないかという意見もありますし、いやいや、これは非常に幅広く庶民の、まさに国民の愛好の対象であるので価格弾力性はそこそこ高いのではないかというお話もありますから、そうすると、担税力の評価も違ってくるわけでございます。その辺は、やはりさらに議論を深めなければいけないところがあるんだろうというふうに思います。

 一方で、御紹介くださいましたように、国別に見ると、やはり物すごく差がありますね。英米を見ると、びっくりするほど高いなというふうに思います。それじゃ日本は安いなというふうに思いますけれども、必ずしもそういう国だけでもございません。今申し上げましたような担税力とかそういった価格弾力性の話とかということを、今後引き続きしっかりと議論していく必要があるだろうというふうに思っております。

谷口(隆)委員 なかなか大臣としても言いにくいところだと思いますから、それで結構でございます。

 次に移りたいと思いますが、地方債計画についてお伺いをいたしたいと思います。

 二〇〇六年度から地方債の発行が許可制から協議制になるということであります。協議制になるということになりますと、総務相が同意をすれば、公的資金の借り入れ、また元利償還金等が地方財政計画に算入されるということになります。同意なしで起債をする場合には議会へ報告するということになるようであります。

 しかし、協議制に変わっても次のような場合には許可制になるということで、一つは赤字比率、実質公債費比率の高い自治体、もう一つは標準税率未満の課税を行っているような自治体、このようなところは協議制であっても許可制になるんだというようなことのようでございます。今回、実質公債費比率というのが出てまいりまして、従来の起債制限比率にかわって導入された指標だということのようでございます。

 それで、この実質公債費比率、二月三日に政令が出ておるようでございますが、これが一八%を超えるような団体は起債を認めない方針だというようなことのようでございますし、先ほどの標準税率未満というのは、従来の徴税努力を義務づけるということで、標準税率未満の自治体は協議制であっても許可制を求めるというような状況のようでございます。いわばこの協議制への移行というのは、地方債資金は政府から民間にシフトしていっている、こういうようなことのようでございます。

 初めにお聞きしたいのは、今度、行政改革推進法の中でも盛り込まれることになるだろうと思いますが、政府系金融機関の問題、この政府系金融機関の中の公営企業金融公庫のことでございます。

 これは各自治体の窓口というような形で、公的資金の資金調達ぶりが、ここが一括してやっておったところがあるわけでございますが、これが今後、なくなる予定で今いっておりますが、今後の自治体の資金調達ぶりが一体どのようになるのか、大臣からお伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 お尋ねは、今後の資金調達全般というよりは、公営企業金融公庫に係る部分という理解でよろしいでしょうか。

 御指摘のように、政府系金融機関全体の見直しの中で、背景はもう委員もよく御存じのように、政府系金融機関というのは確かに重要な役割を果たします。しかし、実は、直接貸し付けの残高を見ると、GDP比でやはり日本が先進諸外国に比べて突出して高い。これを半分ぐらいにしようじゃないか。半分にしても、まだ多分G7で一番高いぐらいだと思うんですけれども。

 それを目指す中で、公営企業金融公庫についてもこれを廃止しまして、そして資本市場等を活用した新たな仕組みに移行しようということを既に決定しているところでございます。同時に、必要な財政基盤を確保する等、廃止に向けた一定の移行措置はしっかりと講ずる。そこまでを実は閣議決定で決めているわけでございます。

 しからば、それをどのような制度設計にするかということ、これは実はまだ議論の最中でございます。一昨日も地方六団体との懇談の場を持ちましたけれども、それについてしっかりと自分たちの意見を聞いてくれというお話がありましたので、それはもう、ぜひしっかりと意見を賜りながら制度設計をしていきたいということをお答えしているところでございます。

 今後どのようになっていくかということでありますが、同時に、この地方債、許可制から協議制に移行するということで、私がいつも申し上げる自由と責任の非常にわかりやすい事例になってくるのではないかと私は思います。みずからの責任において資金を調達していただくということは必要だと思いますし、その範囲で、やはりマーケットからの評価も得て、しっかりと責任を果たしていっていただく。その一つの入り口といいますか、重要な入り口にあると思っておりますので、この許可制から協議制への移行にあわせて、公営公庫の後の制度をどのように行っていくか、地方の意見も聞きながら、しっかりと制度設計を行ってまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 今までのいわば政府からの資金ではなくて、広く民間から資金調達を行っていくというようなことで、大臣おっしゃるように、自己責任、自治体が自己責任の中で資金調達を行っていくというような、起債の自由化がこれから進んでまいるわけでございますが、そのときに、民間の企業が市場で資金調達をするならば格付等が行われるわけで、大体、資金調達をする側がどの程度の財務内容なのかといったようなことが市場では評価されるわけでございます。

 今回の地方債格付で、日本格付投資情報センターで、これは勝手格付であるようでございますが、どうも行ったようでございます。このようなことが、これから起債が自由化になってまいりますと、どんどん進んでまいりますが、最終的にこれがどういうような形になると大臣はお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 最終的にどういうふうになるか、どのくらいの時間がかかるかということも含めて、なかなか一概に申し上げることは難しいわけでございますけれども、先ほど自治体の財務諸表、バランスシート等々のお話もございましたけれども、そういう情報をしっかりと開示する中で、やはり健全なチェック機能というのを住民からも市場からも受ける、そういうことはやはり自治体自身のためになることであるというふうに思っています。

 一方で、今の公営公庫の制度というのは、一種の共同発行の仕組みの変形のようなものなわけでございます。共同発行するというのも一つの選択でありますから、共同発行するというような選択は当然、今もあるし、これからもあるわけでございます。それも一つの財務上の戦略ということになるんだと思います。共同発行の仕組み等々もしっかりと活用できるようにしながら、そして、さらに創意工夫で、さらに進んだ自治体は自治体として健全なチェックを受けながら資金調達をしていっていただく、そうすることが、やはり自治体にとっても住民にとっても、最終的に長い目で見るとプラスになっていくというふうに私は思います。

 同時に、そこに行くまでの移行のプロセスはぜひ大事にしたい。今この瞬間も地方自治体は存在しているわけですし、行政サービスが行われなければならないわけですので、そういう点については細心の注意を払いたいと思っております。

谷口(隆)委員 例えば、国債発行するときに、シ団、シンジケート団みたいなものをつくってやっている場合がありますね。現在やっておりますが、そのようなシ団の構成といいますか組成といいますか、こういうことも含めて、今の公営企業金融公庫のかわりに、共同調達みたいなことをおっしゃったわけでありますが、そういうことも一つの方法として考えられるわけでありましょうか。

竹中国務大臣 共同発行のシステム、共同発行の制度というのも一つのチョイスであるというふうに思います。

 ただ、それをどのように制度化するか。今でも共同発行はマーケットベースで行われ得るわけでございますから、資本市場を活用して行う際に、それをどのように制度としてかっちりとしたものをつくる必要があるのかないのか、つくる場合は一体だれがつくるのか、そういうことを制度設計の中でしっかりと議論してまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 先ほど申し上げました新しい指標、実質公債費比率、こういう指標は外部から見ると非常に重要な指標になるわけですが、そのようないろいろなところから、民間から自治体が資金を調達する、行う場合には、やはりディスクロージャーが非常に重要であります。ですから、例えばこういう重要な比率、実質公債費比率等は各自治体が公表していただかないと、そこに資金を運用しようというところがなかなかそこを踏み切れないということになるわけでありますけれども、そういうような義務づけというんですか、ディスクロージャー、ある特定の比率また財務状況の現状について、ディスクロージャーについてどのようにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員が先ほどから御指摘をしてくださっています実質公債費比率、大変、今回の改正で重要な、制度移行で重要な概念になると考えております。従来と比べて、あえて言うと、地方債の元利償還金に準ずるものというものも含めて、しっかりとその実態を示そうというものでございます。

 各地方団体の財政状況を示す各種の指標については、これまでも地方財政状況調査、いわゆる決算統計等において、総務省としてすべての団体の数値を公表してきたところでございます。今回新たに設定することとしておりますこの実質公債費比率につきましても、地方公共団体の決算の公表時期との整合性を図りながら、できるだけ早期にぜひ公表したいというふうに考えているところでございます。

谷口(隆)委員 次に参りたいと思います。前回、大臣所信のときに私も質問させていただきました地方交付税のことでございます。

 前回、「一九四〇年体制」という本があって、そのことを申し上げたわけでありますけれども、その一九四〇年に税制改正があって、そのときに地方交付税、調整交付金制度ができて、国が徴税をし、これを地方に配分し、地方団体の財源保障機能、財政調整機能、このような二つの機能がこのときからスタートした、このように言われておるわけでございますが、一つは、財源保障機能、これは、自治体の独立、自立という観点からは、もうない方がいいのではないかというような考え方もあるようでございます。

 いろいろな考え方があるわけでございますが、ある雑誌を見ましたら、大臣がちょっとおっしゃっておられたことがあったので、お伺いをいたしたいわけでありますけれども、地方交付税制度というのは、さっき申し上げたように、一たん国が収受したものを地方団体に配分していく、こういうようなことでありますが、最終的に、今自治体が自治体の財源をどう確保して、これをどう国が保障していくのか、また自治体間の格差を調整していくということをどう埋めていくのか、これが最終目標であるので、これを考える場合に、現在の地方交付税制度を前提として必ずしも考える必要がないのではないかというようなことをおっしゃっておられたわけでありますけれども、この考え方について、もう一歩踏み込んで教えていただければというふうに思います。

竹中国務大臣 実は、かねてから経済財政諮問会議等々で、財源保障と財政調整という議論をしっかりと分けて議論したらどうかという議論がございます。その行く先は、財源保障はしなくていいじゃないか、財政調整をやればいいじゃないか、そういう議論に行き着くわけでございます。

 こういう概念整理というのは、概念整理としては私はやはりあり得るんだとは思うんですが、では、現実にこういう議論に基づいて、ここからは財源保障でここから財政調整でございますというような、現実の予算に即した議論ができるかというと、これはやはりできないと私は思うんです。だから、そういう議論だけにこだわってやっていったら、議論が非常に細かいところに入り込んでしまって、そこで動かなくなる。

 実は、地方財政の話というのは本当に制度が複雑で、ぎりぎり、国の役割、地方の役割というものを詰めれば詰めるほど、なかなか、非常に狭いところに入っていって、議論が動かなくなるという経験を私は何度かしているのでございますけれども、だから、そういう意味では、そういう一つの概念整理としてはわからなくはないけれども、どこからどこまでというふうに分けるような議論に陥らないように、だから、そういう形で、実はそのときインタビュアーがそういうことにこだわって聞いていたものですから、そういうふうにこだわらないで議論する方がわかりやすいんじゃないか、重要なのではないかということをそのインタビューでは申し上げたわけでございます。

 今後とも、こういう話はぜひいろいろと、いろいろな可能性をしていかなければいけないと思うのでありますけれども、なかなかそんなに単純にすっきりといくような問題ではないと私は思っております。

谷口(隆)委員 僕は大臣がおっしゃるとおりだと思います。やはりもう一度足元から見ていかなきゃいかぬ。その雑誌の中にも、社会保障費を減らさなきゃいかぬとか地方交付税を減らさなきゃいかぬということがあるけれども、社会保障費というのは最終支出であって、地方交付税というのは中間支出であって、それから最終的に出ていくものだから、そこは、そういう論議というのはおかしいよという問題提起は、まさにそのとおりだと思うわけでございます。

 もう時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。

中谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。一月二十七日の総務委員会、二月十七日の本会議に引き続きまして質問をさせていただきますので、簡潔で明快な答弁を求めます。

 まず最初に、地方財政の現状について質問をさせていただきます。

 一点目が、財源不足額発生の原因でございます。交付税算定の基本となる不足額でございますけれども、不足額の推移を見てみますと、昭和六十一年から平成十七年度までの二十一年間をずっと見てみますと、ずっと不足続きでございます。そんな中で、一番少ないときが平成二年で〇・六兆円、そして一番多いときが平成十五年で十七・四兆円、平成十八年度の地財計画では八・七兆円ということでございますけれども、その原因は何なのか、いろいろ言われておりますけれども、できれば具体的にお答えいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

竹中国務大臣 今、委員は過去二十一年間の数字をちょっと挙げましたけれども、手元にあるのは現状の説明ということになるかと思いますけれども、平成十八年度の地方財政については、委員も数字を挙げられましたが、八・七兆円の財源不足が生じている。その内訳を見ますと、減税に係るものというのが三・〇兆円ございます。そして、通常収支の財源不足が五・七兆円というふうになっていると思います。

 減税に係る財源不足というのは、定率減税の縮減、廃止等に伴ってこれは縮小傾向にあるわけでございますけれども、地方税の減収が一・八兆円、そして国税の減収に伴う地方交付税への影響というのが一・二兆円生じているものというふうに理解されます。

 通常収支の財源不足につきましては、社会保障関係の歳出が増加をしているということ、これが大きいわけでありますけれども、さらに累次の景気対策等による公共事業の追加、そして減税のために増発した地方債の元利償還金、依然として公債費が高い水準で推移しているわけでございます。そういうこと等によって生じているものというふうに認識をしております。

福田(昭)委員 きっと今の大臣の答弁のとおりだとは思うんですけれども、その際、ぜひ忘れてほしくないのは、国の財政が厳しいというようなことから地方が一緒におつき合いをして借金を重ねてきて苦しい財政になっているということは、しっかりと認識をしておいてほしい、そのように思っております。

 次に、そうした財源不足額の補てん方法についてお伺いをいたします。

 補てん方法についてはいろいろあるということでございますけれども、例えばでありますが、交付税率を引き上げるとか、あるいは交付税の特別会計から借入金を行うとか、あるいは地方公共団体が赤字地方債を出すとかいろいろな方法があるかと思っておりますけれども、通常はどういう方法で不足額を補てんするのが望ましいのか。ぜひ大臣の御所見をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 非常に多くの制約の中で現実の政策は行われるわけでございますが、どういう方法が望ましいのかというお尋ねでございますれば、大幅な地方財源不足が続く場合には、これは地方交付税法第六条の三第二項に基づきまして、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うことというふうにされているわけでございます。

 したがって、交付税率の引き上げや地方税の充実などによって安定的な財政運営ができるようにするのがやはり望ましいというふうに思います。

 一方で、これはもう委員御自身も今御指摘くださいましたが、国の財政というのも大量の特例公債を発行せざるを得ない厳しい状況にあるということでありまして、現在は国の一般会計加算と地方の臨時財政対策債によって折半で補てんされるなどの措置が講じられている、御承知のとおりでございます。

 安定した地方財政の運営のためには、財源不足を現実的に縮小、解消していくということが重要でございまして、これに向けて、引き続き行財政改革を徹底して歳出の抑制に努める、安定的な財源の確保を図るということが重要でございますので、そのためにも、歳出歳入一体改革の議論がこれから非常に重要な局面を迎えます。そういう改革と整合性を図りながら、我々としては、中期地方財政ビジョンの策定を行うことになっておりますので、それに取り組んで、できるだけ早期に健全な財政運営が可能になるように、そういう中でしっかりと我々としての考えも示していきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 先ほども申し上げましたが、地方が国につき合いをしてきたということもしっかり考えていただいて、できれば交付税率を引き上げる中で対応していただくのが一番いいのかな、こう私は思っております。

 それでは次に、交付税特別会計借入金の返済についてお伺いをいたします。

 国の方も大変厳しいという中で、財源不足額の補てん方法の一つであります特会からの借り入れにつきましては、その借入金残高も五十兆円を超えるというふうに伺っております。地方が財政的にも自立をするべきだ、そういう意見がある中で、この借入金を減少させていく考えはあるのか、あるいは、あるとしたら、その計画というか見通しはあるのか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 交付税特会借入金のお話、特に償還についてのお話でございます。

 これは、十八年度末におけます交付税特会の借入金残高は、今五十兆を超えるとおっしゃいましたが、五十二・八兆円の見込みでございまして、そのうち地方負担分というのが三十四・二兆円となる見込みでございます。

 このようにたまった、累積した借入金を償還していくためには、構造改革の推進等による経済の活性化を通じて地方税等の地方の一般財源の収入増に努めることがやはり重要、そして、国、地方を通ずる行財政の簡素化、効率化を図ることによって収支ギャップを縮小していく、これはやはりどうしてもしっかりとやらなければいけない、そういう必要があると思います。

 そのためにも、それぞれの団体の徹底した行財政改革努力に加えまして、制度面でも、国と地方の役割分担、税源配分の見直し、そして地方の自由度の拡大や国の関与の縮小などの議論を深めて、さらに地方分権を進めていくということが必要であると思います。

 歳出歳入一体改革の中では、長期的なストックの議論もやはりやらざるを得ないだろうということが今提議されておりまして、大変困難な問題がたくさんありますけれども、そういった問題に対しても逃げないでしっかりと議論をしていきたいと思っております。

福田(昭)委員 非常に大変なことだと思いますが、巨額な借入金でありますので、これは私は長期的な計画を立ててやっていかないとなかなか難しい話なのかなというふうに思っております。

 次に、地方財政計画上の決算乖離の一体的是正についてお伺いをいたします。

 一般行政経費と投資的経費、単独を中心に地財計画の計上額と決算の大幅な乖離が生じておりまして、投資的経費に過大計上された給与関係経費や一般行政経費に使い回しすることにより、地方財政の肥大化を招いているというような批判があって、そうした中で、ハードからソフトへ政策転換を進める地方の実情を踏まえ、地財計画を大幅に見直すべきであるとの主張がなされていたわけでありますが、そんなことに対して、今回、昨年度に引き続き、投資的経費の削減と一般行政経費の増額を同時一体的に行う乖離の一体的是正が行われたということでございます。具体的には、投資的経費単独が二兆円のマイナス、経常的経費が一兆円の増額ということで、一般財源ベースでは一兆円の増額だということでございますけれども、こうした決算乖離の一体的是正については、平成十八年度で終了する見込みなのか、それともこれからまだ続ける必要があるのか、その辺をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 地財計画、計画と決算との乖離については、いろいろな議論がこれまでもなされておりました。

 委員の御指摘は、今後どうするのかというお話でありますけれども、まず、近年の状況でありますが、十五年度決算での地財計画との実質的乖離額は、一般財源ベースで申し上げますと、投資単独事業の決算額は計画額を二・五兆円下回っている。経常経費の決算額は逆に計画を三兆円上回っている。これを一体的にやるというのがやはり大変重要だということを我々もずっと主張してきたわけでございます。

 このために、十七年度に投資的経費を減額し、一般行政経費を増額するという乖離是正に着手した。この是正は十七年度に着手したわけですけれども、一般財源ベースで三千五百億円だったわけですが、十八年度においては一般財源ベースで十七年度を大幅に上回る一兆円の一体的是正を行うというところに至ったわけでございます。今回の大幅な是正によりまして、乖離額というのは一気に大幅に減少をしていると思います。今後についても、十六年度以降の乖離額の状況を見ながら、着実にやはり是正は進めていきたいと思っております。

 この点については、例の骨太方針でも、地方財政計画の計画と決算の乖離是正を図って、重点強化期間内に解消のめどをつけるように努めるというふうにしている。そのため、おおむね今後一年を目途に、解消に向けての選択肢、方法等について議論、整理するというふうにしておりますので、着実にやっていきたいわけでありますけれども、しかし、自治体に大きな無理がかからないように、やはり一体的に、フェアな形でここはやっていきたいと思っております。

福田(昭)委員 それでは次に、三位一体の改革について改めてお伺いをしたいと思います。

 まず一点目が、三位一体改革の評価でございますけれども、今回、確かに国庫補助負担金を廃止、縮減をして三兆円の税財源移譲が行われることになったわけでございますが、歴史的に考えると、確かに政府が言うとおり画期的なことかもしれませんけれども、しかし、時代の流れは速く進んでおりまして、地方分権を求める声、あるいは地方主権の世の中をつくろうという声はそれこそ我々がやっているよりも速く進んでおりまして、そういったことから考えると、十年前なら大いに称賛をされるべきことだと思いますけれども、今や本当にそれほど称賛をされることではない、このように考えております。

 そのことは地方六団体の談話にも明らかになっております。地方六団体は、今回の改革は地方分権の今後を開くための第一段階と受けとめているというふうに言っておりまして、引き続き平成十九年度以降もさらなる改革を推進すべきである、こう言っております。まさにこれが地方の認識だというように思っておりますし、また、国庫補助金については、おおむね三兆円の税財源移譲に結びついておりますけれども、地方の改革案に含まれるものが、義務教育費国庫負担金を除きますと、何と一二・一%、一割なんですね。地方の意見を反映していない、そういう、首長の間からは大変厳しい評価も出ているわけであります。

 そのような中、今回の改革を表面的な評価ではなく、やはりしっかりと、今回は第一段階なんだというような評価をお聞きしたいなと思っておりますが、もう一度大臣の評価をお願いいたします。

竹中国務大臣 十年前なら称賛に値したけれども今はそうではないぞという厳しい御指摘をいただきましたが、その御指摘は御指摘としてしっかりと賜らなきゃいけないと思っております。

 同時に、これは前の委員会でも申し上げましたけれども、三年前始めるときに、本当にこんなことできるのか、財務省は本当に税源移譲なんかするのかという厳しい状況から出発をしましたものですから、それはそれで一つの、まさに委員がおっしゃる意味での第一歩であったんだというふうに思います。

 もちろん、改革に終わりはありませんし、私自身も現状では満足しておりません。であるからこそ、しかし、今回の改革を重要な一歩として、さらに改革機運が高まっているこの時期に、国と地方のより根本的な問題について議論する懇談会を立ち上げて、そして、地方でできることは地方でという流れをより大きなものにしていきたいという大変強い意欲を私自身は持っております。また、そういうことが社会的には期待されている、その意味では、きっちりとしたことを政府がやればできる環境にあるというふうに私は思っておりますので、意欲は委員に負けないだけ私は十分持っていると思っております。本当の意味での地方の自由度を増して、さらなる地方分権、地方自治がしっかりとしたものになっていくように、今回の成果を踏まえて、より大きな成果が出るような努力をしていきたいと思っております。

福田(昭)委員 本当に私も、それこそ皆さんの御苦労はよく理解するところでございますが、昨年の総選挙終了後の九月の特別国会におきまして、自民党の武部幹事長は高らかに脱官僚宣言をうたったんですよね。そうしたことを考えると、せっかく最大与党を持ったのに、もう少ししっかりとしてこの地方分権を考えてもいいんじゃないかというのが私の感想でございまして、そういった意味から、十年前なら大変称賛をされるということを申し上げたところでございますので、よく考えていただければありがたい、そのように思っているところでございます。

 次に、数字合わせの三位一体の改革について質問をさせていただきます。

 今回の改革では、義務教育費の国庫負担金及び公立養護学校教育費の国庫負担金、児童扶養手当、児童手当の負担率をすべて三分の一に下げて数字を合わせたというような改革であって、これによって地方の自由度が高まったわけではありません。むしろ、国の負担が減って地方の負担が重くなって、地方財政をさらに悪化させるかもしれない、そういう改革であると思いますけれども、どう考えているか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、確かに、今回の補助金改革、税源移譲、そして交付税改革に関しては、それだけではなかなか自由度が高まったとは言えないのではないかというような御懸念もある部分があるというふうに私も認識をしております。実際、この数字を出すまでには、本当にまさにおっしゃったように非常に強い抵抗がありましたし、まだ依然としてそのような抵抗が強く存在をしております。

 そういう中で、しかし、先ほども言いましたけれども、公立保育所運営費でありますとか、学校、社会福祉施設の施設整備費、そういうものも一般財源化した。私は、去年の交渉のとき、どうしても、財務省が反対されてできなかった施設費を、今年度は何としてもそれをやりたい、六団体の長の方と話しても、やはりそれが一つのシンボルであるというような御指摘がありましたので、そこを一つの最重点にして交渉をさせていただきました。

 そうした結果、初めてこういう施設整備費について一般財源化という措置がとられて、これについては、地方みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅というのは、ここはやはり拡大しているというふうに思うんですね。また、税源移譲によって地方税収は、国の財政状況にかかわらず地方の自主財源として安定的に確保される。そういう意味で、経済成長や地方の税源の確保のために大変高い期待が持てるのではないのかなというふうにも思っております。

 そうしたことをトータルで、ぜひいい面を生かしていただいて、さらに今後私たちが変えなきゃいけない部分は間違いなくありますから、そこは引き続きしっかりと議論をしていく。そのためのより幅広い準備を今しているところでございますので、今回の点についての評価と批判、そこはもう素直に両方、両面受けとめて、さらなる改革を進めていきたいと思っております。

福田(昭)委員 そうした中で、実際には行われませんでしたけれども、生活保護費の地方への移譲ということについてもやはり大変な激論があったわけでございます。中には生活保護費の事務を返上するというような自治体もあったりして、大変な騒ぎになったわけでございますが、こんなことを考えますと、本当に脱官僚宣言がやはりむなしくなるような気もいたしますので、ぜひ頑張ってほしいなというふうに思います。

 次に、今答弁がありましたが、施設費が税源移譲対象となった理由についてお伺いをいたします。

 地方が普遍的、経常的に行われる施設整備に関する国庫補助負担金を税源移譲の対象とするように求めてきたわけでありますけれども、それに対して、財務省を中心とする関係省庁は、建設国債を財源とするこれらの補助負担金については、移譲すべき財源が出てこないということを理由に、税源移譲の対象にはなじまないと強く反対をしていたわけでありますが、今聞くところによりますと、竹中大臣が頑張ってくれたという話でございますが、今回の税源移譲の対象として、廃止、縮減分の五割相当分税源移譲を行うことになった理由について、総務大臣並びに、ぜひ財務大臣政務官にお伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 基本方針二〇〇三において「廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、税源移譲する。」というふうにされたわけでございます。そこで、施設費についても、補助金を廃止し、地方が引き続き事業を実施するのであれば、当然これは税源移譲を行うべきというふうに私たちとしては主張をさせていただいたわけでございます。

 これに関しては、地方団体からも、施設費については、その事業の必要性でありますとか規模等を地方団体の判断で計画的に行うというのがやはり最も効率的である、そして、地方の裁量度や自主性を拡大することにつながるんだと、これは強く地方から税源移譲の対象にするよう要望がございました。

 今委員からも御指摘がありましたように、財務省の立場とすれば、これは建設国債を財源としているということで、例えば現実にそこにお金があるわけではないということも事実でございますから、これは反対論はあったわけでございますけれども、これらの点について、国と地方の協議の場でありますとか政府・与党協議会等においても議論を重ねまして、最終的には地方案にも配慮をして、施設費についても税源移譲の対象とする、その際、税源移譲割合を五割とするというふうな形で、いろいろ議論を重ねて合意に至ったというのが経緯でございます。

西田大臣政務官 福田委員にお答え申し上げます。

 地方自治の生き字引のような委員からの御質問でございますので、もうおわかりのこととは存じますけれども、ただいま総務大臣から御答弁がございました、あのとおりでございます。

 昨年の三位一体改革のいろいろな議論の中で政府・与党合意が取りまとめられまして、施設費につきましては、廃止、減額分の五割の割合で国から地方に税源移譲を行うということになりましたが、重要なことは、その際に、税源移譲を行う場合の関連する運営費等の経常的経費についてもあわせて見直しを行うということもあわせて明記されたわけでございます。

 これにつきましては、どういう行政主体がどういう行政をどういう財源で行うかという基本的な哲学が必要でございまして、施設整備費につきましては、国が、ナショナルミニマムといいますか、それを確保するために国の建設国債という財源をもって充てていくんだという基本的な哲学がございますので、いろいろ議論があったところでございます。

 しかしながら、三位一体改革を進めるという趣旨の一つとして地方の自主性の発揮があり、しかも、今申し上げましたように、施設費と関連する経常的経費をあわせて移譲することによって、地方が施設整備と関連事業を一体的に行い、地方の実情に応じた事業の実施が可能となるという面があるのであればということで、三位一体の改革の実現を図る観点からこのような措置になったものでございます。

福田(昭)委員 単なる数合わせでなったわけじゃないんですね。

 それでは次に、交付金化の改革についてお伺いをいたします。

 交付金化は、霞が関の補助金の窓口を一本化し、地方の使い勝手をよくするものだとのふれ込みで、その対象額は七千九百四十三億円と大変巨額なものとなっております。地方六団体が、地方の自由度が高まることはないのでぜひやめてほしいと要望していたにもかかわらずでございます。

 さきの本会議におきましては、谷垣財務大臣の答えは、今回、交付金化の改革につきましては、地方の裁量度を高め、自主性を大幅に拡大する改革でございまして、税源移譲に結びつく改革、スリム化の改革と並んで、重要な補助金改革の一つとされているところであります、具体的云々ということでお答えをいただきましたけれども、谷垣大臣の言うことも一つ理由はございますけれども、しかし、これはあくまでも従来の国庫補助負担金に比べて自由度が高まったということでありまして、やはり税源移譲に勝る自由度が高まる方法はないわけであります。

 また、補助金の交付金化では、やはり、政府が進めようとしている国家公務員の純減目標の削減達成には一つも寄与しないというふうに私は考えております。

 そういった意味では、やはりしっかりと地方に財源を移すということが今回の大きなねらいでありまして、交付金化では官僚の仕事はなくなりません。これでは公務員の数が減るというわけにはいかないのではないかというふうに思っておりますので、そういった意味で、やはりしっかりと、税源移譲に伴う地方の財政自治権が確立するような方法を考えるべきだというふうに考えております。

 次に、三位一体改革の二期計画及び全体計画についてお伺いをいたします。

 地方の改革案では、平成十八年度までの改革を三位一体改革の第一期と位置づけて、引き続き平成十九年度から二十一年度までの間に第二期の改革を行うことを求めているところであります。昨年の政府・与党合意においても、平成十八年度までの改革の成果を踏まえて、国と地方の行財政改革を進める観点から、今後とも、真の地方の自立と責任を確立するための取り組みを行っていく、こうしておるところであります。しかし、先ごろの竹中大臣の答弁では、なかなか従来のような見直しを行うのは難しいんではないかというような答弁でございました。

 ぜひとも、竹中大臣におかれましては、今進めております地方分権の二十一世紀ビジョンづくりの中では、地方が求めているような二期計画をどうしても進めていくんだ、あるいは全体像をしっかりと示すんだ、そういう強い決意で取り組んでいただけるかどうか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 地方の要望している第二期の計画、もちろん私は十分に承知をしているところでございます。我々としては、地方分権に向けた改革に終わりはない、国から地方へという考え方のもとで引き続き地方分権を推進していくことが必要である、これはもう大前提でございます。

 その上で、地方が言っておられるような形で場を設定して、そういう土俵でやっていくのがよいのかどうか、もう少しここを時間を置いて、時間を置いてといいますか、この半年ぐらいの時間をかけて全体の議論をした上で、では次にどう進み出すかということを考えませんか、そのように私自身、六団体に提案をさせていただいたわけでございます。

 そこで、政府は政府として、総務省の中で、そういう全体としてどうやっていくのかと。まずビジョンについて議論をした上で、そこで当面どうするか、そこまでは必ず我々は議論をいたします。そこで当面どうするかということについて議論をいたしますので、それに合わせる形で地方六団体でもそういう議論をしてくださいということをお願いして、地方六団体は六団体で今その議論が進行しているところでございます。

 その意味で、第二期と呼ぶのがふさわしいかどうかはわかりませんけれども、これは絶対、これで終わりなんということはあり得ないわけであります。では次にどうするかということについては、この懇談会の中でビジョンを描いた上で、では当面どうするかという議論は必ず私はするつもりでございますので、その中で、どういう土俵を設定していくかということを積極的に私は議論をして、明らかにしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは、その部分は期待をさせていただきます。

 次に、大きな三点目ですが、地方税法の見直しについてお伺いをいたします。

 まず、定率減税の廃止についてでございます。

 御案内のとおり、定率減税は、所得税、個人住民税の最高税率の引き下げや、法人税、法人事業税の税率の引き下げと同時に、恒久的な減税として実施されたものであります。政府の発表でも、景気は回復をしているというような発表もあるところでございまして、そうした中で、個人においては所得の格差が拡大をした、あるいは、企業においては銀行を初め大企業などが史上最高の利益を出している。そんなことを考えれば、今回定率減税を廃止するということであれば、やはり所得税、個人住民税の最高税率の引き上げとか、あるいは法人税、法人事業税の税率の引き上げということも同時一体的に行うべきではないか、そのように考えますけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。

竹中国務大臣 この問題に関しましては、私だけではなくて財務大臣にもむしろお答えをいただかなければいけない問題かもしれませんが、平成十一年度改正においていわゆる恒久的減税が実施された際には、この定率減税のほかに、確かに個人所得課税の最高税率の引き下げ、そして法人課税の税率の引き下げも実施をされております。

 ただ、これらの税率の引き下げについては、これは、例えば労働供給を高めたい、つまり勤労意欲への配慮、そして国際的な観点から勤労意欲をしっかりと持たなきゃいけないといった、いわゆる構造的な変化への対応として行われたものであり、まさに抜本的な税制改正を先取りする形で実施されたものであるというふうに思います。当時景気が非常に厳しい状況で、いわゆる景気対策として行われた定率減税とは、これは位置づけが異なるんであろうというふうに私は理解をしております。

 したがって、定率減税は廃止する、これは景気の状況によるわけでございますから。国際的な競争の進展とか、そういう構造的な問題に対応して行った税制改正について、これはやはり廃止するということではないんだろうというふうに思っております。

福田(昭)委員 しかし、国際的な競争が激しい中で、これだけ大企業や銀行が利益を上げているわけですね。ですから、これだけ激しい時代の中で乗り切っているんですから、力があるのと違うんですか。これはぜひその辺を再考すべきではないか、このように思います。これは財務副大臣、いかがですか。

西田大臣政務官 今総務大臣からも御答弁ありましたように、法人課税それから所得課税につきましては、これからのあるべき姿を見据えながら、定率減税の廃止という中で見据えていきたいというふうに考えております。

 ただ、企業のそういう行動が家計の中にまでどの程度及んでいるか、あるいは企業の投資行動にどの程度及んでいるかというところについてはまだ精査が進んでおりませんので、それらを見据えながら、これからの法人課税などについては検討を進めてまいっておるところでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

福田(昭)委員 それでは、しっかり対応してほしいというふうに思います。

 それでは次に、税源移譲についてお伺いをいたします。

 二点お伺いしますが、一つは地方消費税の移譲についてであります。

 地方の六団体の改革案については、先ほども申し上げましたが、平成十九年度から二十一年度までの計画を第二期計画と位置づけているわけでありますが、その第二期計画において、五%のうち地方消費税分を一%から二・五%に引き上げて、約三・六兆円の税源の移譲を求めているところであります。国税と地方税の比率を一対一に近づけるという片山当時の総務大臣の趣旨から考えれば、ぜひとも次の計画においては消費税の比率を引き上げることを考える必要があるのではないか、こう考えておりますが、総務大臣のお考えをお伺いいたします。

竹中国務大臣 地方の税源のさらなる拡充というのは、これは長期的な我々の重要な課題であるし、実現していかなければいけない大きな問題であるというふうに思っております。そのためにも、私たちは、今しっかり地方分権のあるべき姿を描いて、そのための議論を深めているところなわけでございます。

 地方から税源の充実についてさまざまな要望や提言があるというのは、これは十分承知をしておりますし、御指摘の提言をいただいた地方六団体の方々とも、これまでもいろいろ意見交換しておりますけれども、今後とも、今委員御指摘の点も含めて、しっかりと議論をしてまいる所存でございます。

 このうち、具体的に今御指摘のありました御提言の中での地方消費税について、これは税の性格から考えますと、税源の偏在性が少ない、そして税収が安定的な基幹税でございますので、やはりこの重要性は極めて大きいというふうに私も思っているところでございます。そういうことを念頭に置きながら、今申し上げたような形でまずしっかりとあるべき姿を議論して、地方とも意見交換をさせていただくつもりでおります。

福田(昭)委員 それでは次に、道路特定財源についてお伺いをいたします。

 政府税制調査会は「道路特定財源等の特定財源については、資源の適正な配分を歪め財政を硬直化させる可能性があることから、一般財源として活用していくべきである。」と答申をいたしております。しかしながら、国道の改良率は九〇・三%、九割。地方道の改良率は五五・三%、五割を超えているところであります。地方の道路整備水準は国に比べて立ちおくれた状況にあるということも事実でございます。そうした中で、地方の道路財源をどのように確保していくのか、お伺いをしたいと思います。

 また、地方の道路特定財源も一般財源化をすれば、道路が必要なところは道路に回すこともできますし、そうでないところは違うところに使うこともできるということでございまして、地方の道路特定財源の一般財源化の検討をする考えがあるかということもお伺いをいたします。

 また、三点目として、地方が、道路目的税を財源とした地方道路整備臨時交付金及び国庫補助負担金を、税源移譲がされた三兆円の別枠として廃止を検討するというふうにいたしております。道路目的税である揮発油税の一部を、税収見込みの約五割、一・四兆円程度でありますが、これを地方譲与税化について検討するということになっております。地方がこのような検討をするということについてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

 以上三点、通告にありませんでしたが、ひとつお答えをいただければというふうに思います。

小室政府参考人 お答えを申し上げます。

 道路特定財源について、さまざまな議論がございます。その際には、今お話がございましたように、国税で入っている部分、それから地方税として特定財源になっている部分、それから、最後にも御指摘がありましたように、国税として入ったところから譲与税として出る部分、それから、御専門家ですから、さらに加えて、補助金、補助事業として出る部分、それから交付金の部分、大変いろいろなものが入り組んでいて難しいところがございます。

 ただ、それら全体としていろいろな議論が必要であるかと思いますが、特に地方団体の方からは、それらについて、道路の実際の需要というものが、国道の整備率をお挙げになりましたけれども、需要として、かなり地方の方はまだたくさんやることがあるんだ、こういった声も聞いております。それらを含めて、全体としての御議論が必要かと思います。

 その際には、御案内のとおり、昨年の十二月に政府・与党で基本方針をまとめてございます。「特定財源制度については、一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る。」この中には暫定税率等の話もありますので、いろいろと、納税者、さらに地方団体、需要等々を見きわめながら、この方針に沿って議論を進めてまいりたいと考えてございます。

福田(昭)委員 どういう見直しをするにしても、地方に不利にならないように、ぜひ検討をお願いしたいなと思っております。

 次に、三点目ですが、個人住民税の現年課税の変更についてお伺いいたします。

 御案内のとおり、所得税は現年、その年に課税されます。個人住民税は前年の所得に課税されます前年課税となっております。こうしたことに対して、退職等の場合、所得が減少してから前年分の個人住民税を納税しなくちゃならないというような困った状況がある。あるいは、賦課期日後に域外に転居すると、徴収する側としてはなかなか徴収ができない、難しい。それから、賦課期日の直前に海外へ転居した場合は、前年所得があるにもかかわらず個人住民税を課税できないというような指摘がございます。

 今回の見直しで所得税から個人住民税への税源移譲がなされるわけでありますが、個人所得課税において、もしかすると国と地方の税収に逆転現象が起きる、そういう可能性があると指摘されている中で、個人住民税の現年課税についてぜひ検討すべきではないか、こう考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

竹中国務大臣 住民税の現年課税、私も納税者の立場から幾つかのことを経験したことがありまして、大変そこは重要な問題であるというふうに以前から思っております。

 本来考えて、所得課税というのは、やはり所得が発生した時点と、そして税を負担する時点というのはできるだけ近づけるのがいいわけですね。今は一年確かに違うんですけれども、これは仮の話で、これが例えば十年とか離れていたら、これはみんな怒りますよ、それは。だから、そういう意味では、所得の発生時点と負担時点というのは近い方がいいというのはもう大原則であろうかと思います。

 一方で、個人住民税に現年課税の仕組みを導入するとなるとどうなるかというと、所得税と別個に個人住民税についても年末調整が必要になるんでしょうかねという話。それと、給与支払い者、つまり特別徴収義務者の事務負担も、これは確かに大きくなります。そういう実務的な問題もやはりあるんだと思います。そこで、現行の個人住民税では前年の所得を基礎としてということに、それこそセカンドベスト、ファーストベストじゃないけれどもということになっているんだと思います。

 しかし、考えてみると、近年のIT化の進展、そして雇用体系がやはり多様化していますから、そんなに簡単に前年のを把握できるのかというような問題もあるんだと思います。そういう社会情勢の変化も踏まえなければいけない。こういう状況の変化や納税者の事務負担等々、そういうことを総合的に勘案していく必要があると思っておりますので、その可能性についてはぜひ研究をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

福田(昭)委員 竹中大臣、今、国税を預かる税務署、それから都道府県民税、市町村民税を預かっている市町村の役所は所得税の申告時期で、今までですと大体二月の十六日あたりから始まったわけですが、三月の十五日まで、最近は非常に協力関係がよくて、もう二月一日あたりから始まるんですよね。所得税の申告をしっかり両方で協力してやっておりますから、しかも、それこそ竹中大臣専門のITも進んでおりますから、これは技術的には非常にできると思います。ですから、ぜひともこれは検討されることを強く要望させていただきます。

 次に、最後の大きな四点目、地方交付税の改革についてお伺いをいたします。

 まず一点目、交付税改革の目的でございます。

 地方交付税につきましては、国の平成十八年度予算編成の基本方針の中で、政府は、二〇一〇年代の初頭の基礎的財政収支黒字化を目指して、国、地方の双方が納得できる形で歳出削減に引き続き努めるとしております。

 さきの本会議におきまして、竹中大臣も、単に交付税を取り上げ議論するつもりもないし、先に削減ありきということは言っておりませんけれども、しかし、竹中大臣の先の方の答弁を読んでみますと、「交付税改革については、平成十六年度から平成十八年度にかけて、臨時財政対策債を含め、総額を五・一兆円抑制するとともに、行政改革インセンティブ算定の創設を行いましたし、」と書いておりまして、「今後の取り組みとしては、厳しい財政状況のもとで、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化に向けまして、国と地方が歩調を合わせて歳出歳入一体改革を進めることとしております。また、総務省としては、この議論と整合を図りつつ、中期地方財政ビジョンの策定に取り組んでまいります。」このように言っております。

 疑って申しわけないんですが、これを深読みしますと、どうもやはり交付税はこれは削減するというのが目的ではないか、このような深読みもできるわけでございますが、ぜひここで、それは全く考えていないんだということを改めてここで、大臣のお考えを伺えればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

竹中国務大臣 ぜひその点は、私も明確にこういう重要な場でさせていただきたいと思います。

 このように国と地方財政が厳しい中で、国も地方も歳出の削減に努めなければいけないというのは、これはもう確かな一つの方向であろうと思います。しかし、その際、私はやはりこの議論は間違っているというふうに常に思うのは、社会保障費をできるだけ削減しましょう、公共事業費を削減しましょう、それと同列に交付税の議論が出てくるというのは、これは間違っているというふうに思います。

 これは最終消費支出を減らすということが重要でありまして、地方の最終消費支出を減らして、その上で適切な地方税収があれば、これは結果として交付税を減らすことができることにはなりますけれども、交付税という中間的な支出をねらい撃ちにして、この中間支出を減らせというような議論は、国庫、国の金庫を預かる場からすると一つ意味があるかもしれませんけれども、国と地方全体からすると全く意味のないことであるし、地方からすると大変迷惑なことであるということになるんだと思っております。

 その意味では、結果的に国も地方もスリム化をして、それで結果的にある一定の税収が上がって、結果的に地方交付税が減るというのは、これは望ましい姿であって、そういう姿になるようにするという努力は私たちはしなければいけないというふうに思いますが、交付税削減ありきという議論は、これは政治姿勢としてという以前に経済財政の考え方として間違っているというふうに私は思っております。そういう発言をこの場でもさせていただきますし、経済財政諮問会議でも何度もさせていただいているところでございます。

福田(昭)委員 ぜひ期待をしたいと思いますが、そこで、次に話題をちょっと変えますけれども、皆さんのお手元に国と地方の基礎的財政収支の推移という表がきっとお配りされているかなというふうに思っていますが、これは財務省がつくった資料でございます。これを見ていただければよくおわかりのように、地方の基礎的財政収支は平成十年度から黒字になっております。国の方は、昭和六十二年から平成四年度までは黒字ですが、平成五年度以降ずっと赤字ということでございます。

 御案内のとおり、我が国の長期債務は、政府の発表がありますように、平成十八年度末においては、国が約六百五兆円、地方が約二百四兆円、重複分を除いた国、地方の長期債務の合計額は七百七十五兆円程度、対GDP比率で一五〇・八%、極めて深刻な状況にある、こう言われております。

 そうした中で、政府においては「改革と展望」二〇〇五年度改定において、「財政の健全化に向けて、引き続き政府の大きさを抑制するとともに、まずは、二〇一〇年代初頭における国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指す。」としております。そのために、ことしの中ごろには「「歳出・歳入一体改革」の選択肢及び改革工程を明らかにする。」こうされております。

 先ほどお示しいたしましたように、そうした中で、地方の基礎的財政収支は既に平成十年度から黒字なんですね。これは各市町村、都道府県が、国の大変な要請もあり、懸命な努力をしてきた結果だと私は思っております。そうした中で、国の歳出改革に対する努力が足りないんではないか、そのように考えているところでございますが、ぜひそのことについて、大臣、そして財務副大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 ぜひ二点申し上げたいと思います。

 第一点は、この表の一つの見方に関連するものでございますが、確かによく、地方はもう黒字じゃないか、国が大変だという言い方をするわけでありますけれども、実はもう一つ考えなければいけないのは、フローとしての赤字、黒字の問題だけではなくて、やはりストックの問題であるというふうに思います。

 国は大変な借金を抱えております。どのぐらいの借金か、今数字をお挙げいただきましたけれども、ちょっと正確な細かい数字は今手元にはないんですが、先進諸外国に比べるとGDP比で二倍以上の借金を国は持っております。では、地方はどうかというと、先進諸国に比べて地方は今五倍ぐらいの借金を持っているというふうな値になると思います。これは、普通、中央政府は借金をしますけれども、地方政府というのはほとんど借金がない形で多くの国では運営されていますから、日本は、国は大変だ大変だと言うんですけれども、実はストックで見る限り、地方の方が大変だという言い方もできます。

 そうすると、プライマリーバランスを今後どのように地方と国でバランスをとるかというときに、地方の方がはるかにプライマリー黒字を高くしていかないと、国よりも地方の方が実は困るんだという議論が成り立つわけでございます。その意味では、国よりも地方の方が上にあるから地方が楽だという議論は、やはりストックのことを考えると間違っている。そのことは地方財政を預かる担当者として明快に財務省にも申し上げて、偏った議論にならないように私はぜひしてまいりたいと思います。

 もう一つ、努力の結果というお話がございました。この点については、実は専門家の間でもこれはどうしてもっと議論がなされないのかなというふうに思うんですが、実は、二〇〇二年から二〇〇六年まで、これは計画値でありますけれども、国と地方のプライマリーバランスは約十三兆円改善されるという結果になると思います。二十八兆円の赤字が約半分になっているんですね、この四年間で。

 どうしてこんなふうに半分になったのかということを見ますと、数字はちょっといろいろなつくり方がありますので、私なりの認識の暫定値であるということで申し上げますけれども、実は十三兆円のうちの八兆円か九兆円が地方の貢献ですよ、これは。国の貢献というのは、国税の税収が上がっているにもかかわらず、実は驚くほど少ないんです。それだけやはり、地方がこの四年間に関しては頑張って健全化を行ってきたというのは、私は紛れもない姿であると思います。

 ただ、残念ながら世間は必ずしもそのように受け取っていないんですね。地方にはまだ無駄があるだろうというような言い方をしますので、決してそうではなくて、この四年間のプライマリーバランスの改善に地方財政、地方が大変大きく貢献したということを明確に数字で議論をして、議論がゆがまないように私はぜひしっかりと担当者として議論を進めたいと思っております。

福田(昭)委員 今の大臣の答弁ですけれども、ぜひとも、そういう地方の方がもっと厳しいんだということであれば、もう少しそれがわかるような資料をつくらなくちゃだめなんじゃないでしょうか。きっちりとした資料をつくって、やはりこれは説明責任を果たすべきですよ、大臣。そういうことをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 それで、だんだん時間がなくなってきましたので、二点は言いっ放しにします。一つだけ最後に質問をさせていただきます。

 今回、法人税にかかわる地方交付税率の見直しがあります。今までですと、三二%が当分の間三五・八%の特例措置が講じられていたわけでありますが、今回から、平成十九年以降、これが三五・八%から三四%に引き下げられるということでございます。この措置が恒久的な措置だということでございますが、これではまさに交付税総額が減るという形になるかと思っておりますので、こうしたことについても、しっかりと考え直していただきたいと思っています。

 それからもう一つは、税源移譲に伴う交付税の減少分の補てん措置でございます。これにつきましては、平成十九年から三カ年間、それぞれ二千六百億円、二千億円、千四百億円を交付税総額に加える、加算をするということになっておりますけれども、これにつきましてはやはり三年間という期限を切った措置でありまして、これもやはり交付税総額が減る大変心配な点でございまして、こうしたことにつきましても引き続き検討されるように望みたいと思っております。

 それでは、きっと最後の質問になるかと思いますが、税源移譲に伴う財政力格差拡大に対応する措置について、そして、首都圏等財特法の法律の適用期間の延長について質問をさせていただきます。

 税源移譲分を基準財政収入額へ一〇〇%算入することは大変よいことだ、私もこういうふうに思っております。しかし、これも当面の措置、三年間の措置ということでありまして、なかなか地方にとっては安心できることではありません。地方団体間の財政力格差を拡大させないためには、地方交付税によりしっかりと保障、補てんあるいは調整するという対応が私は不可欠だというふうに考えております。ましてや小規模市町村に対する段階補正は既に二千億円削減されているわけであります。

 そうした中で、今回、首都圏等財特法については、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置を見直した上で適用期間の二年間延長が提案されているわけでありますが、このような特定地域に対する国庫補助負担率のかさ上げ措置による財政の特例措置については、かつて廃止を含めて抜本的な見直しを行うことが政府の方針とされていたというふうに伺っておりますけれども、そうした中でこのような二年間延長するという法律が出されたということはどういうことなのか、ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 二点でございます。

 まず、三位一体改革に関連して、財政力の弱い団体から、財政力格差がさらに拡大するのではないかということに関連して、これに対応するために、地方交付税の算定におきまして、国庫補助負担金改革分の全額を基準財政需要に算入する一方で、税源移譲に伴う影響額を基準財政収入額に一〇〇%算入する、そうすることによって格差が拡大しない。

 これは、今御指摘のとおり、そういう措置をとっているんですが、この措置は当分の間のものということで、将来的には見直す必要があるわけでございますけれども、その具体的な時期や内容をどうするかということにつきましては、これはいろいろな御懸念もありますでしょうから、地方団体の意見を十分に聞きながら、そして国庫補助負担金改革全体に伴う制度の移行の状況、これを総合的に勘案してぜひ検討していきたいというふうに思っております。

 もう一つ、首都圏の話がございました。

 首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律というのがございますけれども、これは、首都圏整備計画等に基づいて、首都圏等の周辺の人口増加に対応した公共施設の円滑な整備を図るということでございます。それに対しては国庫補助率のかさ上げ措置を行うということなわけでございますけれども、この対象となりますのは、近郊整備地帯等の指定を受けた区域でございます。財政力が弱く、かつ事業費負担が重い地方団体に限定されているわけでございまして、首都圏の財政力の豊かな団体にまでこれを一律に支援するというものではございません。その特別の政策目的のために実施されるということでございます。

 また、首都圏財特法の延長期間については、国土交通省におきまして新しい国土形成計画が平成十九年度に策定される予定であるということでありまして、大都市圏制度のあり方につきましても当該策定作業の中で検討されるということでありますので、それを踏まえて、同年度まで当面二カ年というふうに限定をして、特別の目的のためにそのような措置をとるものでございます。

福田(昭)委員 今説明がありましたが、大臣も二月二十日の日経新聞、お読みになったかもしれませんが、これを読んでみますと、「地方の市町村「景気回復は蚊帳の外」予算編成で四苦八苦」ということで、長野県の王滝村の話とか、あるいは福岡県の大牟田市の話が載っておりました。職員を半減して、公共事業をゼロにしても予算が組めない。そういう報道がございますけれども、まさにこのようなやり方をやっていきますと、都会と地方の格差はますます拡大をしていくものと私は心配をいたしておりまして、そういった意味から、個人の所得格差だけじゃなくて、やはりしっかりと、都会と地方の格差も拡大しないような対応を、ぜひ総務大臣並びに財務大臣政務官にお願いをして、私の質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

中谷委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 竹中大臣、初めまして。民主党の寺田学と申します。

 きょうは、福田委員が前の知事さんで、僕が知事の息子で、午後に元町長という、ちょっと色物の質問が続くかもしれませんが、よろしくおつき合いください。

 大臣に御質問する前に、大臣の著書をいろいろと物色しまして、ざらざらっと読ませていただきました。「早い者が勝つ経済」という、ちょっと今の御時世で言うと誤解されるようなタイトルがついているんですが、この中に日本の政治改革という小文がありまして、その中に、官僚は優秀である、だけれども、結局それによって政治のリーダーシップというものは欠如していると。たしかこれは橋本内閣のころの行革の話をされているんだと思いますが、そのようなことを言われました。

 これは通告するようなものではないと思ったので通告はしていないのですが、総務大臣としての心づもりというか、お仕事をされる上での方向性というものをちょっと大きく伺いたいなと冒頭に思っております。

 私自身として、麻生大臣に御質問させていただいて、今回、お二人目の竹中大臣になられるんですが、大臣の仕事の仕方及び心づもりとして、ある意味、決まり切った方向性に関して、総務大臣としてということでお伺いすると、分権を進めましょうという決まり切った方向性の中において、その制度のほころびであるとか、あとは現状に合わないという意味の調整であったり、効率化であったり、そういうものを迅速に進めていくという一つの大臣としての方向性もあるでしょうし、片や、一方として、価値判断、理念であるとか自分としての哲学というものをもととした価値判断を、いわゆる政治決断をしていくというような大臣としてのお仕事のあり方もあると思うんですよね。

 二年ぐらいのおつき合いでありましたので、麻生大臣はどちらだったかなと思うと、任期が短かったということもあるんでしょうけれども、どうも僕は、前者だったような、効率化を進める、ほころびを直す、緩やかに進めていくということもあってか、そういうふうに映ったかもしれませんが、ある種、前者だったと思うんです。

 総務大臣、竹中大臣としては、どのような御感覚でこの大臣職というものを務められるのか、お伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 どの役所もそうでございますけれども、特に総務省は本当に大きな役所です。それで、つかさつかさにおいて、優秀なスタッフが一生懸命これまでも仕事をしてきたし、きょうこの時点でも仕事をしておられる。そういう意味で、そういうベースに乗って、そのベースの上に立って、さらに自分でできることを効率化していくというのは、やはり大臣の仕事の仕方としてはベースであろうかと私は思います。

 ただ、同時に、これは一つの例として申し上げますけれども、私は金融担当大臣をさせていただいていたときに、やはりこれは大きく流れを変えなきゃいけないというふうに思って、かなり力わざでといいますか、不良債権処理に向けて、これは省の内外での反対も非常に強くあったわけでありますけれども、政策をやらせていただいたこともございました。

 私は、やはりこれは両方必要だと思います。片方だけではだめで、今、総務省の仕事というのは非常に幅広い中で、今まで難しい仕事を本当によくやってこられているというふうに思います。

 同時に、先ほどからも質問がありましたけれども、これから本当に国と地方の関係、三位一体の改革の第二期、どうやっていくんだろうかということに関しては、やはり大きく一歩踏み出すのか、ささやかに半歩踏み出すのかはともかくとして、やはりルーチンの仕事だけでは解決できないような問題にチャレンジしていかなければいけないのではないかという思いがございますし、通信と放送の融合に関しても、放送は放送の中で、通信は通信の中で、これまでしっかりと行政をやってきたわけですけれども、技術の環境が、過去四、五年ぐらいで、私は、キンクという言葉がありますけれども、非常に非連続な形で変化している、まさに電話網がIP網になったように変化している面があると思うんですね。そういうことに関して、できることはぜひさせていただきたい、そのような思いは持っております。

 ですから、AかBかというお答えにはなりませんけれども、Bのタイプでできることがあれば、ぜひしっかりと対応もしていきたいと思っております。

寺田(学)委員 両方だと思うんです。僕自身としては、哲学、理念にのっとった価値判断、政治判断というのもしていってほしいなと思っております。

 分権の議論をいろいろ勉強したりしているんですけれども、やはりもう効率化を進めていくということでの仕事には限界があって、まさしく価値判断を迫られる部分というのはたくさんあると思うんですね。小規模自治体をどうするか、ああいうものを一つのあり方だと考えるのか、効率的にはよくないねと考えてしまうのか。雪国、非常に除雪費がかかったり、住むには南国よりは苦しい生活が待っている、まあ私も雪国ですけれども、そういう部分もあります。それも一つの自治のあり方だと認めるのか、どうだろうかなというふうに考えるのか。まさしくそこは効率化ではなくて価値判断だと思うんですよね。そういう意味の政治決断というものを私はどんどん進める方向性を打ち出してほしいなと思っているんです。

 先日の総務委員会での議事録を見てみると、そもそも論をそろそろやらなければいけないんだよと。交付税のことに触れられているんですが、霞が関で議論している限りでは、地方交付税を削れ削れという議論ばかりが前面に出てくる、そもそも論をやらなければいけないんだと。私もそうだと思っています。

 きょうは、初めて質問させていただく部分がありますので、僕自身が持論を言うのではなくて、竹中大臣がどのような分権に対しての、先ほどおっしゃられた哲学の部分、理念の部分を持っているのかということを単刀直入にいろいろお伺いして、その哲学というものが浮かび上がるような形で質問を進めていきたいなと思っています。

 総務大臣という立場におられて、ある程度地方に対して今権限を持たれていて、地方の自治体というものはどのような自治体であるのがふさわしいのかというのは、ある種、デザインもしくは誘導できるような立場にあると思っています。ですので、ちょっと一点お伺いしたいんですが、行政効率という観点で適正規模を考えた場合の自治体の適正規模と、住民自治、住民のニーズに対してしっかりサービスがあるなという意味での適正な自治体規模、この効率性と住民自治、適正規模の形には差異があると思われているのか、一緒であると思われているのか、どちらでしょうか。

竹中国務大臣 行政にもいろいろな行政がありましょうし、住民自治にもいろいろな局面がありましょうから、個々の議論についてはいろいろなケースがあり得ると思いますが、一般論として申し上げれば、行政というのはある程度のスケールメリットを持っている、私はやはりこれは間違いないのだと思います。特に、いろいろな教育を行って、公共サービスを行って、場合によってはインフラを整備して、そして共通のルールをつくっていく、これは、オーバーヘッドコストも含めて、間違いなくスケールメリットがあるのだと私は思います。

 スケールメリットが無限大にあるかどうかというのは、これはちょっと違います。人口五千万の都市というのが本当にスケールメリットがあっていいかというと、それは多分そうじゃない面が出てくるんだと思いますけれども、我々が常識的に描く自治体に関しては、ある程度ちゃんとそこには、行政に関しては、特に財政面を含めると、スケールメリットがあるというふうに申し上げてよいのではないかというふうに思います。

 一方で、住民の自治そのものについては、まさにコミュニティー、そういうものをイメージして、手づくりの行政、お互いがお互いをかばい合って、子供の通学も一生懸命みんなで見る、支える、火の用心をみんなで回るというような、そういうコミュニティーの存在に関して言うと、これはやはりスケールメリットというのはむしろ逆になる可能性が多くて、かなりきめ細かく見ていかなければいけない面があるのであろうというふうに思います。

 その意味では、行政組織、財政組織としてのスケールメリットを生かすということと、きめ細かな住民自治の仕組みをその中に入れていくという、相当の工夫が今後とも必要になってくるんだろうと思っております。

寺田(学)委員 どちらも大事だ、これもそういうことだと思います。

 ですが、ちょっと一個だけ、実例というか、一つの具体例を挙げて御所見を伺いたいんですが、どこの自治体であるかということはちょっと伏せるんですけれども、ある小さな自治体がありました。そこで、ちょっと正確ではないのではっきりとは言えないんですが、たしか自衛隊の離発着訓練であるとか何とかの訓練であるとか、そういうような訓練を受け入れるかどうかということに対して、その小さな自治体はノーだと言い続けた、やってほしくないと。

 しかし、先ほど大臣が言われた、一般的にはスケールメリットがあるでしょうねということで、隣の市と合併をした。吸収合併だったはずなんですけれども、合併をした。そうすると、その小さな反対していた自治体の出身の議会人、議員というものが、市議会議員というものが極端に少なくなって、離発着訓練であったと思うんですが、その訓練を受け入れるかどうかという合併後の大きな市町村の議会では、賛成が多くて受け入れられてしまった。

 まさしくこれは、スケールメリットをとる片方で、その小さな自治体のことに関して言うと、結局自分たちのニーズというものは大きく阻害されたわけですね。こういうことが起きている。

 この事例に関して、どのような御感想をお持ちですか。

竹中国務大臣 ちょっと個別の事例、詳細もわかりませんけれども、御指摘のようなことは確かにあり得ることなのだと思います。実際にあったということなのだと思います。

 そういう場合に、現状に即して、その地域の方々にどのような行政、行政といいますか仕組みを提供できるかというのは、やはり実情に合わせてその自治体でしっかりとお考えいただく必要があるんだと思うんです。まさに一番問題が起きている近いところでその問題の解決を図っていただくというのが自治の趣旨でございましょうから、それをするときに、何か非常に特別に障壁がある、何か法律上の、国の法律の障壁があるとか、そういうものがあれば、これはもちろん国として考えなければいけないわけでありますけれども、ちょっと個別の事例がわかりませんので、それ以上のことをなかなか申し上げられないのでございますけれども、そういう中で、まさにいろいろな仕組みを活用していただくということだと思っております。

 市町村の合併に関しても、そういうことがある程度可能なような仕組みが用意されていると認識をしておりますし、事前に想定される範囲では、国としてもいろいろな制度づくりはしているつもりでございます。また個別なアイデア等々がございましたら、ぜひ御教示をいただきたいと思います。

寺田(学)委員 大臣が御答弁されている間に、それは相談すればいいじゃないかとか、それは仕方がないとか、いろいろな御発言が後ろの方からありまして、そういうようなことでは済まされなくて、もっと丹念に物事を考えて、効率化に軸足を置くのではなくて、住民自治、住民のニーズに合わせる方に、比べてしまえば非効率かもしれないけれども、やり方次第ですけれども、財政的な負担を社会全体として背負いながらもそういうような自治を守るんだというのも、冒頭質問させていただいた価値判断だと思うんですよね。そこら辺も、近いうちに明確に大臣の方の方向性というのをお示しいただきたいなと私は思うんです。

 もう一点お伺いしたいんですが、地方の自治を進めましょう、ある種、政令指定都市なのか中核市なのか、そのような市が自立して自由度を高めるために権限をどんどん移譲していきましょうと。それは、国からなのか都道府県からなのか、さまざまな形で移譲すると思うんですが、たしか、学校の教員の配置に関して、都道府県が所管している部分も政令指定都市におろせるはずなんですよね。そういうような形でおろす。

 確かに、そのおろされた政令指定都市というのは自由度が高まる。けれども、見方を少し変えて考えたいんですけれども、上部団体と言うと非常に間違いがあるかもしれないんですが、調整する側の都道府県にしてみると、そこに、政令指定都市に一つの権限を与えてしまうと、調整するパイが少なくなるわけですね。そうすれば、小規模な自治体、政令都市以外の自治体、調整される側にとっても、調整されて分配されるものが少なくなるわけですね。

 ここで少し考えたいんですけれども、政令指定都市に権限を与えていく方向性を強めるということは、ある種、調整されるそれ以外の自治体の、もっと結論的には、行政能力が相対的に低くなっていく可能性もはらんでいると思うんです。

 こういうことに関して、政令指定都市みたいなものをある程度進めていくような形にして、三十万、五十万、百万みたいなものをどんどんつくっていく、そういうようなものを進めていく方向性をとるのか。調整することを考えるのであれば、ある程度そこら辺に対しては進めながらも、調整される側の自治体の行政能力というものをケアしていくのか。どのように考えられているか、御答弁いただけますか。

竹中国務大臣 これもいろいろなケースがあり得るでございましょうから、ちょっと抽象的、一般的なことしか申し上げられないかもしれないんですけれども、指定都市、中核市、特例市の制度というのは確かにございます。そして、市町村の規模、能力に応じた事務配分を進めるという観点で、社会的実態としての規模、能力が比較的大きな都市についてその事務権限を強化する、そして、行政はできるだけ住民に身近なところでといいますか、近いところで行うという地方自治の理念を実現する、これはやはり必要なことだというふうに思うんです。これらの都市に対しては、事務権限の移譲を進めることが方向としてはやはり重要なんだと私は思います。

 そこで、この場合に、広域的に行政課題を解決することが求められる分野については、指定都市や中核市等と周辺市町村との連携を強化するということは重要なんだと思います。そして、都道府県が調整の役割を果たしていくということで必要な対応が図られるというのが私は一つの方向なのであろうと思います。

 ちょっと具体的に、県費負担の教職員の問題等とか、いろいろあるという御指摘だと思うんですけれども、そうした人事権については指定都市に移譲されているわけでございますけれども、これに関しては、指定都市とその他の市町村との人事交流でありますとか、道府県と指定都市による共同採用を行うこと等によって、広域において一定水準の人材の確保に配慮がなされて、現実にそういうふうになっていると思うんです。

 その意味では、委員御懸念のような、私は和歌山県の出身ですから和歌山で申し上げますと、和歌山県というのは大体人口百万だとして、和歌山市が四十万弱で、あと三十万都市が二つできたら本当に数万だけ残ってしまう。そういうところが確かにでき得るわけで、それが一体どうなるんだろうということだと思うんですが、今申し上げたような、これは実態いかんなんですけれども、連携を強化するとか、さっき言った共同採用を行うとか、そういう形でやはり実態的な対応を行っていくということなのではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 教員の採用に関して言うと、僕の住んでいるところも、秋田県で百十万、二十万で、秋田市という中核市が三十数万です。そこで教員採用をすべて秋田市だけで回してしまえば、それ以外のところというのは非常に回りにくい実態があるということは、現実として聞いています。そういう意味で、ある種大きなところに自由な権限を持たせるという側面は促進しながらも、やはりそれ以外の部分の自治体がどういう状態に置かれるかということもケアしながらお考えいただきたいなというふうに思っています。

 それで、先ほどから交付税の話も出ているんですが、交付税に関してもちょっとお伺いしたいなと思っています。

 日経新聞の方のインタビューに大臣が答えられていて、交付税の質的な改革は必要だが、実際にどう改革すればいいか、専門家でも意見が少ないと。要は、本質的な議論がされていないんだということを言われています。

 単刀直入に聞くんですが、交付税の将来像を大臣自身描かれているのか否か。もし描かれているとしたら、その中に交付税制度のような機能を持つ、交付税を廃止するということまでテーブルにのせて御検討されるのかどうか、結論を得られているのかどうか、お答え願います。

竹中国務大臣 現状で私自身何かお示しできる考えがあるかということでございますれば、そういうものは現時点では、申しわけありませんけれども、まだお示しするような段階ではございません。

 そのためにも、とにかく、そういう議論が世間でほとんどない中で、あえてそういう知見をお持ちの専門家に集まっていただいて議論を始めて、今三回ばかりの議論を行ったばかりでございます。ぜひそういう意味で幅広い議論をしたいと思います。

 けさほどからも、交付税について、その性格について、いろいろな議論がなされておりますけれども、当然のことながら、地方としては、ある種の、ある基準の行政を行えるような税源をやはりちゃんと確保しておかなければいけないという面がございますし、その税源が、課税客体だけから見ると明らかに偏在しているわけですから、その偏在を乗り越えてしっかりと調整するような仕組みを持っていなければいけない。そういう機能というのは、どういう名前で呼ぼうと、どういう形になろうと、絶対必要な機能でありますから、それをどのように行っていくのがよいのかということのそもそも論をまさに今検討しているわけでございます。

 ぜひ、専門家で検討していただいて、その中で私自身もしっかりとした見方をお示しできるように努力をしたいと思っております。

寺田(学)委員 先ほど、財源保障のことについて、機能についてもお話しされて、今答弁された中で、水平調整は、客体の財政力の多寡というか、強い弱いがあるので、そこを平たくしましょうという財政調整的なことは必要であるというお話をされたんだと思います。

 けれども、実態として、何か事業をする上でげたを履かせてあげる、財源保障制度というか機能というものも、どのように分けるかということは、まさしくさきの委員の、だれかの質問の中でお答えされていましたけれども、どのように分けるかいろいろあると思うんですが、要は、財源を保障する機能というものを今の交付税は持っていると思うんです。それを今後持続させるべきか、必要か不必要か、お答えいただけますか。

竹中国務大臣 何らかの形でやはり財源、税源を持ってもらわなきゃいけないわけです。それを交付税という形で持っていただくのか、しっかりとした税源、地方税としてそのもので持っていただくのか、それは税源移譲すればそうなりますね。やはりそういうことを総合的に議論する方がよいと私は思うんです、そのためのそもそも論を議論していますので。

 いずれにしても、地方から見ると税源は必要なわけです。何らかの形で税源が必要なわけで、そうしないと行政が行えないわけでありますので、その仕組みについてどのようにするかということをぜひそもそも論として議論したい、重ねてそのように申し上げたいと思います。

寺田(学)委員 当然ながら、地方自治体が何かをするためには財源が必要であることは確かだと思います、物事をやるにはすべからく必要だと思うんです。それを国側が交付税という形、スキームでやるのか、さまざまな形でやるのか。国側が地方のやるさまざまなサービスに対してしっかりと財源的な保障をしてあげること、その機能そのものが交付税という形ではなくとも必要かどうかということを再度御答弁いただければと思います。

竹中国務大臣 国税で国が徴収をして、それで交付税という形で地方に出すという仕組みがよいのか、そのまま地方に地方税として入っていく仕組みがよいのか、そこはいろいろな形が考えられるんだと思うんです。しかし、結果として、地方が行政を行うために必要な財政、財源が必要です、そこは動かないところだと思います。そういうことを幅広くぜひ検討したい、そのように重ねて申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 今の御答弁をお伺いしていると、幅広く議論する中に、やはり財源保障機能、国側が何かしら地方の自治体のサービスに対して財源を保障してあげるということを、なくすことも含めて幅広く検討されたいとおっしゃられているんですか。

竹中国務大臣 ちょっと極端な例で申し上げますけれども、例えば、財源保障をしなくていいような制度だってつくれるわけですね、それは、国税を経由しないでもちゃんと地方にそのまま税が入ってくるような仕組みになれば。そうすると、財源保障というのを今の枠組みの中で考える必要はないわけだと思うんです。しかし、結果的に必要な財源は確保されていなきゃいけませんよ。そういうことに関して、どういうやり方がよいのかということを考えていただくのが私は本来だと思います。

 だから、交付税ということになると、交付税を減らして、それでいろいろな意味で財源が保障されなくなるのではないかというような議論がどうしても出てくるんですけれども、そういう単純な議論は絶対にしないということを私は重ねて申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 自分で稼いだもので、自分で稼いだという言い方は汚いんですけれども、地方自治体が独自に徴収した財源によってすべての自治体サービスを行っていくという形もあり得るということだと思うんですね。私もそう思うんです。それこそ、大臣が常々言われている自由と責任のうちの自由の部分だと思うんです。自分で徴収したものを自分で使っていくからには、それなりの責任があるでしょう。それなりの、国側としても、税源移譲をする、権限をお渡しする、自由度を拡大させたんであれば、責任も持ちましょうということだと思うんです。

 自由と責任のことについていろいろお伺いしたいんですが、破綻法制等々のことについて言われていますが、まず先に、責任側じゃなくて自由側の質問をさせていただきたいと思うんです。

 課税自主権を拡大するとか、条例制定の自由度を拡大させるとか、さまざまな自由を拡大させる方法はあると思うんです。その中でも、今、それでも国側として、そもそも今の法案ですけれども、地方の財政計画をつくったり、さまざまな形で、地方がどのように財政運営をするか、どのように自治体運営をしていくかということに関して、お金の面でも権限の面でも、ある意味、今決めている事態はあるわけですね、国会で私は今やっているわけですから。本当に自由度を高めるとすれば、このような議論の場、この場なのかどうかわかりませんが、地方側がちゃんと出てきて、ともに協議するというような場があってもいいと思うんですよ。

 実際、昨年、三位一体改革に関して、意見がどれぐらい聴取されたか、どれぐらい取り組まれたかということは別として、そのような協議の場は持たれたと思います。その協議の場に、ある意味地方側としても決定権を持つような協議の場があったら、それこそ自分たちでルール決めしたんでしょう、ある意味、ルール決めの場に参加したんでしょう。参加した上で、単なるヒアリングをしただけでは、ヒアリングの対象であっただけではなくて、ある種一緒に決断する、決定する権限を持って協議の場に臨んだのであれば、あなたたち、自分たちの責任でしょうと言うこともできると思うんですよね。

 ですので、ちょっとお伺いしたいのは、協議の場、ただヒアリングの客体として呼ぶのではなくて、本当に一緒に、地方のことに関しては地方の団体を含めて議論しましょうよという場をつくってもいいと思うんです。一つの考えだと思います。この考えに対してどのようなお考えを持たれていますか。

竹中国務大臣 委員の御指摘は、オープンソースムーブメントという言葉がありますけれども、オープンソースにして、つまり、みんなが参加して決めれば、そのことは絶対に守られるし、絶対実現する、だから皆さんに参加していただいて決めるのが一番よいやり方であると。私は、物事の決め方としてそういう要素は大変にあると思います。

 同時に、一つの意思決定をするときには一種のガバナンスの仕組みというのが要るわけで、国会はまさに国権の最高機関として、皆様方、先生方が国民を代表して貴重な一票を持っておられて、そうして多数決で決めるという一つのガバナンスのルールがあるわけでございます。そういう場合に、この地方の問題をどのように考えるかというのはなかなかやはり難しい問題なのだと思います。皆さんは国民を代表して来ておられるわけでいらっしゃいますから、ここで決めていただくというのが何よりも本質である。そのプロセスにおいて、いろいろな案を行政府が出すに当たって、協議の場を持って、そしていろいろ意見交換しながら、合意形成ができるだけスムーズにいくような形での案をお出しする。これは当然やらなきゃいけないことでありますし、実際にそういうことをずっとやってきているわけでございます。

 三位一体のときも国と地方の協議の場を持ちました。そして、六団体の代表の方には、総理を中心として行政府の中での議論をする経済財政諮問会議にもおいでをいただきました。そして、実際に総理の前で議論をしていただきました。そういうこともしております。また、交付税等々に関しては、総務大臣と六団体との協議の場というのも持たれております。

 そして、私も今回、国と地方のそもそも論を議論するに当たって、地方六団体でもカウンターパートになるような場を持ってください、そういう検討委員会を持ってください、そして、場合によって、時期が来れば、検討委員会同士のメンバーも一緒に話し合いの場を持ったらどうでしょうかと。そういう重層的なというか、多元的な協議の場を持つことが私はやはり一番重要なのではないかと思っております。

 何かそこで一つの合意機構のような、かっちりとした組織というのはなかなか難しいわけでございまして、国の方針はこの国会で決めていただくわけでありますので、そこに至るプロセスにおいて、行政府としては、そういう懇談の場というのはしっかりと持って、合意形成ができるだけ速やかにいくような最大の努力をしたいと思っています。

寺田(学)委員 非常に難しいお話をされたような気がしてならないんですけれども、自由と責任という大臣自身が提案されている一つの概念において、地方にちゃんと責任を持たせるためにはそれに見合った自由がなきゃいけませんねということだと思うんです。多元的にどうこうとかオープンソースがどうこうとかいろいろあると思うんですが、そういう意味において、検討されてもいいことだと思うんです。

 実際、今お話しの中で、そのような協議機関、要は、ある種かっちりとした機関をつくるのは難しいというお話をされたんだと思いますが、何が難しいんですか。具体的にお考えをお示しいただければと思うんです。

竹中国務大臣 かっちりとした機関というのは、何か物事を決定するという意味でかっちりとした場を設けるのは難しいと思います。ただ、自由に意見を交換して、合意形成を速やかにするための場というのは設けるのは難しいことではございませんし、実際にそういうことを現に我々もやっております。さらに必要であるならば、その努力をするということに関しては全くやぶさかではございません。

 今はとにかく国と地方の協議の場というのがありますので、それを積極的に活用する。場合によっては、その方に経済財政諮問会議に来ていただく。そして、総務大臣と六団体との懇談の場というのもございますから、それはかなり頻繁にやっておりますけれども、そういうものをぜひ積極活用したい。その思いは非常に強く持っております。

寺田(学)委員 この間の協議の場で、小泉総理自身が地方の皆さんと、補助金の削減案をまとめてくださいよ、それは十分にしんしゃくしますというお話をされて、地方に投げられて、けんけんがくがくやりながらまとめて、上がってきたものが、本当にその協議の場において、含めてですけれども、実際の三位一体改革の現実の中でどれぐらい採用されたかというと、非常に低い割合であったことは事実だと思うんですよね。

 もちろん、地方側が言っていること、正しい部分もあれば、本当に御都合主義な話もあると思うんです。ですけれども、そういう部分に関して、しっかりと決定する場の中に決定権者の一員として地方側が入って、議論して、ある程度決めるということも一案だと思うんです。

 僕は、これ自身を積極的に進めたいということではなくて、竹中大臣がおっしゃる自由と責任、まあ責任に関しては、破綻法制という言葉が出ていますけれども、結構シビアな発想が出てくると思うんですよね。そのときに言いわけをさせない部分というのはあってしかるべきだと思うんです。そのときには、やはり自分たちのことを決める、まさしく国のことを決めるときに地方がどのように入るかということではなくて、地方のことを決めるときに地方の人間がプロセスとしてどのようにかかわっていくかということは、やはり自由と責任の関係においてしっかりと考え直すべきだと思うんですよね。要するに、そういう意味で御検討いただきたいなと思います。

 ちょっと責任の方に進むんですが、同じく日経新聞の方のインタビューに答えられて、「自治体破綻に民間並み法制」というようなタイトルでインタビュー記事が載っています。民間並みというんですが、実態を見てみると、民間と自治体というものは明らかに違うものであって、その違いというものを大臣自身どのように御認識されているのかということを、まずはお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 民間並みというのがタイトルとしてたしかついているんですよね。これは新聞社がつけたということなんですけれども。

 これは、私はもうかねてから申し上げているわけですけれども、自治体のことに民間的な手法を導入することは重要だと私は思いますけれども、自治体と民間の企業体とは根本的に違います。これは議論の前提として、私はもう当然の話だと思います。

 したがって、何が違うかというのは少し哲学的な話になりますけれども、企業というのはマーケットの中で評価を受けて、企業の破綻というのはある意味で認定が簡単なわけですよね。認定が簡単だという意味は、不渡りを二回出したら銀行取引が停止になりますので、現実にはそれで破綻になるわけですけれども、自治体の場合は、そういうマーケットの中で生活しているわけではありませんから、そもそもそういうメカニズムがあるわけではございません。

 それと、企業の場合は、特に、通常の、特殊会社ではない企業の場合は、その責任をとって清算をするという手段があるわけですが、自治体の場合には清算するという手段はあり得ません。したがって、破綻法制とかいろいろ言っていますけれども、倒産、破綻には清算型と再建型があるわけで、自治体の場合は、やるとしても再建型でしかあり得ないわけです。

 そういうことを前提の上での議論なんですけれども、そのときに、多分、民間並みというふうに編集者が勝手につけたのは、私は前から言っているんですけれども、今の制度にはストックに関する部分がないということ、これはやはり大変重要なことだと思います。

 一たん悪くなった企業がなぜ再生できるかというと、悪いストック部分を切り離すことができるからなんです。そうしないと、悪い部分を引きずっていたら、悪い部分というのは、銀行でいえば不良債権ということになりますけれども、企業から見ると返せない借金ですよ。返せない借金をずっと引きずっていたら、企業なんか絶対よくならない。これを、再建プランをつくって、債権者も合意して、その返せない借金を切り捨てることによって初めてV字型に再生していくことができるわけなんですが、今の再建制度の中にはそれがない。そのストックをきちっと整理するということも、やはり私は視野に入れて御検討をいただきたいということを申し上げているんです。

 むしろ破綻というのは、しっかりと、万が一にもそういうことになった場合に再生させるために、ないしは、より言えば、そういう状況にならないような予防をちゃんとするために、そういう仕組みをつくっていくというところに第一義的な意味があると私は思っております。

寺田(学)委員 民間と自治体の違いは何かというお話を冒頭私がさせていただいて、認定が簡単であるとか、破綻ということに関して、その局面においての違いというものをおっしゃられたんだと思います。

 では、大臣御自身が考えられているその違いというものが、これから策定されるであろう通称としての破綻法制にどのように影響するというか、その違いというのはどのように法制の中に色濃く出てくるのか、お話しいただければと思います。

竹中国務大臣 今私が申し上げたことに関しましては、懇談会で御議論をいただいている委員の共通した認識であると思います。それを受けて、どういうやり方がよいのかという議論がまさに始まったばかりであります。したがって、専門家に、本当にそういう認識のもとで考えればどういう制度がよいのかという議論を深めていただきたいというふうに思っております。

 今後、ちょっとどういう形で議論が進んでいくのか、今の段階では私も明確に申し上げられませんけれども、そういう今申し上げたような大前提に立って、私の気持ちとしては、やはりそれがしっかりとした予防に結びつくような、そういう制度設計をぜひ考えていただきたいというふうに思っております。

寺田(学)委員 現状においても、破綻法制とは言えないんでしょうけれども、財政再建のスキームというのは、ある意味、法制度がありますよね。それは、破綻する前に一定程度パーセンテージであらわして、都道府県であれば何パー、市町村であれば何パーとか、ある種計算式によって出てきた数字を超えたのであれば、もう著しい悪化状態にあるから破綻する前に再建していきましょうというスキームだと思うんです。あえて今回、大臣の方が、ストックを切り離すであるとか、ある種民間の再生手法と類似するかのような破綻という概念を持ち出したわけですよね。

 なぜに今、破綻する前に、もう最悪な状態になる前に予防しましょうという法制度があるにもかかわらず、ある種一歩進めた破綻というところまで概念としてつくり上げられているのか、そこの理由を教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 先ほどの御答弁とかぶるかもしれませんが、やはり私は二点あるんだと思います。

 それは、私の気持ちとして、今の制度は今の制度として、いろいろな経験の中で積み重ねられてきたことであって、大変尊重しなければいけないものだというふうに私も思っております。ただ、一つの例として、先ほど申し上げましたように、今の制度の中にはストックをどうするかという議論がないわけですね。そうすると、本当に大変困った状況に陥った自治体が万が一出てきたときに、いつまでもそのストックを悪いまま引きずっていかなきゃいけないのか。そうすると、本当に困ったことになると、再生がむしろ難しくなる可能性もあるわけです、今の制度のままでは。そういうことはもちろん想定したくありませんけれども、そういう意味で、やはり一歩踏み込んで考えたいというのが第一点です。

 もう一つは、やはりそこに至るチェックの機能だと思うんですね、予防の機能。今の制度でも、一種の早期是正、アーリーウオーニングのようなシステムが取り込まれております。私は、その早期是正というのがもう少し多元的に行われるような仕組みでなければいけないのではないかなというふうに思うんです。

 一例を申し上げますと、それが先ほどの地方債の話とも私は絡まってくるんだと思います。地方債について、市場からの格付という話が出てまいりましたけれども、実は、格付というのは、ある意味で非常に重要な早期是正、早期のウオーニングになります。

 これは、万が一高い債務を持って赤字になっているところになると、格付は下がりますから、格付が下がると金利が高くなります。そうすると、金利が高くてもこのプロジェクトをやらなきゃいけないかどうかという非常に慎重な判断が自治体に求められてまいります。これはやはり市場からの、やるんだったら気をつけてやれよ、高い金利がつくということは、やるんだったら気をつけてやれよという一つのウオーニングになるわけでありますので、そういうことを全体として、早期の是正といいますか、アーリーウオーニングのようなシステムがこの中に入っていく方が、私はやはり健全だと思うんです。

 総務省は総務省として、いろいろな指標として、今回も協議制、許可制ということで、これも総務省としてのチェックは行いますけれども、やはり市場の活力も活用して、より多元的なそういうチェック機能がある方が私はよいのではないかというふうに思っておりますので、これは一例としてちょっと極端な形で今御説明を申し上げましたけれども、今申し上げたような点も含めて、しっかりと御議論をいただきたいと思っているところでございます。

寺田(学)委員 破綻状態にならないように予防しようという発想というものが大事であるとおっしゃられて、今、資金調達的な面からの予防、ウオーニングというのも大事であるという話がありました。

 そもそも住民自治という基本原則に立ち返ると、そういうような予防の忠告をするというプロセスもありながら、結局のところ、財政運営をする、行政運営をする首長をだれが選ぶのかというのは住民たちがやるべきこと、そこからの注視というかウオーニングというのもあると思うんですよね。

 そういう意味において、ちょっと今の、現行の財政再建のスキームと破綻のスキームというのを考える。今御想像された、ストックを切り離して、日経新聞の記事によると、民間企業に債権放棄を求めるなどのバランスシートの健全化というものがあっていいだろうというスキームがあると思うんですね。

 先ほどお話しされた中で、今の財政再建の制度であれば、たまった負債というものを長いことかけて払っていかなきゃいけないんだ、それというのは再建する上で非常に厳しいよねというのはそのとおりなんですが、裏から見れば、切り離してしまうのであれば、ある種、住民からしてみれば、長いこと負担をしなくてもいいのであればと、やはりチェックというもの、首長をどういう人を選ぶか、そして、今の我が市、我が都道府県、我が市町村の財政状態がどんなもので、未来的にどうなるかということに対しての注意力というものは、負債が、破綻したのであればどこで責任をとらせるかは別ですけれども、離れてしまうというのであれば、緩むと思うんですね。逆に、今の制度であれば、悪い財政状態が続くのであれば、この赤池町というところは一回、法に基づく再建をされて、水道料金が二倍に上がって、さまざまなことで住民にとっても結構痛い思いをして再建の道を選ばざるを得なかったと思うんですね。

 そういう意味で、地方自治体の財政が破綻する、そのことにおいて責任がどこにあるのかということ。そして、それを経営していた首長に重きがあるのか、いや、住民がちゃんと首長を選んでいるんだから、住民、選んでいる方にも問題があるから、長いことちゃんと払ってくださいよ、長い目で自治体の再建にかかわってくださいよと考えるのか。これこそまた哲学だと思うんですよね。

 そういう意味で、破綻においての責任の所在、それのバランスというものは、首長側にあるのか、はたまた住民側にあるのか、まずはそこをお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 これはもう、まさに今委員がおっしゃったように、そのバランスをどのように考えていくのかということで、しっかりとした制度設計をしなければいけないんだと思うんです。

 今、私、詳しく説明しませんでしたけれども、そういう新たな仕組みを考える場合には、首長の責任は一体どうなるのか、議会の責任は一体どうなるのか、さらには、それこそ住民の責任はどうなるのか、そういう議論は当然のことながらしっかりと行わなければいけないと思います。

 私、今の状況でむしろ心配なのは、住民の皆さんは恐らく、自治体はつぶれないよと、だから十分な関心を今余り払わないで、気がついてみると、結構大変なことになっていた。それでもう何十年も非常に厳しい、行政のサービスが受けられないというような状況になっている。これは、住民にもちろん責任があるといえばあるわけですけれども、そんなこと知らなかったよという意味で、制度としては、やはり住民に親切な制度ではないような面があるんだと思うんですね。ある面で非常に親切なんですけれども、ある面で非常に不親切だということになっている。

 そういう意味では、例えばですけれども、市場からの格付とかウオーニングとかがある程度あれば、これは住民も、そういうことにうちの自治体はなっているのかと。そうしたら、本当にしっかりとした首長さんになってもらわなきゃいけないなと、選挙にも熱が入ると思います。そういうことが自然に行われていく方が、私は、やはり長い目で見て住民の皆さんにも親切ではないかというふうに思うんです。

 それは、だれに責任がある、この人には責任がない、そんなに一概に言えるものではありませんけれども、そこがやはり、バランスをとりながら、皆さんが責任を果たしていこうというふうに思う、そして、その思う気持ちがちゃんと結果につながる、そういうようなバランスをとった仕組みをどのようにつくれるかという点で、非常に知恵を絞らなければいけないと思っております。

寺田(学)委員 住民が自分の住んでいる自治体の財政状態に対して余り興味を払わないというのは、うちのおやじの選挙とかを見ていると、ああそうだなと。多分、ここは首長経験者の方々がいらっしゃると思うので、そういうことに関しても、財政を立て直すということよりも、どういうサービスがあるのかということに関して御興味を持たれていると思うんです。

 そういう意味で、住民に対して、財政が悪化したのであればこんなことになってしまうよということをお知らせして、財政に対しての注意力を高めるということは大事だと思うんです。そこまでは私も同意するんですが、では、だからこそ今の、財政再建のスキームじゃなくて新たな通称の破綻スキームをつくるというのは、そのままつながらないと思うんですね。

 今の財政再建のあり方でも、水道料金が倍に上がったと。一件しかないので余り広く知られていないんですが、水道料金が倍になって、普通建設事業の削減がマイナス二二七パーとか、結構激しいことをされるわけですよ。それを周知させるということも、非常に住民にとってみると、いや、水道料金が倍になるのかと。一例ですけれども、そういう意味で、だとしたら、財政状態にもきっちりとした監視の目を持とうという気持ちになると思うんですね。

 だから、どちらを選ぶかということに関して言うと、住民が余りにも知らないから破綻制度、センセーショナルではあるので、ある程度関心はあると思うんですが、気づかせる方法として、だから破綻制度というのは、そのまま進まないと思うんですね。

 むしろ、財政再建の一例を挙げて、どういう再建がなされたか、かつ、ストックを切り離さない形でやっているので長いこと責任を負う形になったんだと思うんですけれども、そういうようなものが待ち受けていると思った方が、非常に危機感は高まると思うんです。かつ、この財政再建に該当する一つの前年度決算の赤字比率というものの設定しているパーセンテージを、もっと前の段階、もっと悪くならない段階のパーセンテージにしたのであれば、ここまでひどくなってから重い負担をしょって何とかやるということも防げると思うんです。

 そういう形で、今のスキームで対応できる部分がありながら、新たに破綻という概念を持ち込むことにどうもしっくりこないなというところがあるんですね。いかがですか。

竹中国務大臣 破綻という言葉が非常に物騒で物々しさを持っておりますので、マスコミがかなりおもしろがってその言葉だけを追いかけているという面は確かにあると思います。

 現実的に我々議論をしていきますから、最終的に出てくる姿というのが、今の再建制度と私はかなりオーバーラップする部分は当然出てくると思うんです。その意味では、今のものと全く百八十度違うところにあるような制度を目指しているというふうには私は考えておりません。

 ただ、幾つかの点で、やはり新しい概念を入れていかなければいけないのではないのかなと思っているんです。

 そのうちの一つが、今の部分にはストックの部分がないですねというのが先ほど言った一つの大きな点なんだと思います。それで、もう少し明示的に市場も活用した予防の、ウオーニングのシステムがある方がいいよねということだと思います。

 ストックの話が入ってきますと何が起こるかと言いますと、これは今度、貸し手の側の責任というのが出てくるわけですね。そうすると、貸し手からのウオーニングというのが、つまり、まさに市場からのウオーニングというのが入るわけですから、ここはやはり、今までのものよりも少し踏み込んだものになる可能性はあると思います。

 でも、それも制度設計いかんでありますので、結果的には、重ねて言いますけれども、今の呼び方が、これはむしろマスコミが呼び方をちょっと違えているという面が私はあると思うんですけれども、制度とオーバーラップする面もあると思いますが、しかし、やはりこれまで必ずしも十分議論されていないことについては、ストックの面等々、私はタブーを設けないでしっかりと専門家に議論をしていただこうと思っております。

寺田(学)委員 この新しいスキームを破綻と呼ぶかどうかに関して言うと、それはマスコミが勝手に呼んでいるんでしょうけれども、大臣が先ほど言われたとおり、いや、余り財政状態が悪いとこうなっちゃうんですよ、いわゆるセンセーショナルな言葉で破綻になるんですよということを言った方が、目的としての、住民にある種、怖さという言い方をするとちょっと語弊がありますけれども、住民に対して、監視の目を高くするには一役買っていると思うんですね。そういう意味で、余り激しく抗議とかされていないんだと思うんです。

 そもそも、住民に責任を持たせるかどうか。持たせるとしたら、ではどれぐらいの責任を持たせるか。そして、その責任の度合いがある程度あるときに、それに対応する住民にとっての自由があるか。裏表の表の部分になると思いますが、その自由という部分に関して言うと、まさしく住民の監視の目という普通のものがありながら、どのような行政を行っていくのかという、選挙においての自由というか、よりちゃんとした情報を受け取る整備というのが必要だと思うんですね。

 ここは総務委員会なので、ちょっと公選法に関しては明確には触れませんが、そういう意味でいうと、今、地方においてはマニフェストが配れない、いわばそういうような形になっているわけですよ。これは議員立法で片づけなさいというのが今までの御答弁の流れだと思うんですが、やはり住民に対してそれなりの責任をとってもらうというのであれば、その責任に対応する、自分自身としての自由意思が働く環境がなければいけないと思うんですね。

 そういう意味で、僕は、この破綻法制等々ということに関して言うと、ちゃんと住民が、行政がどのようなものを行っていくのかということに対して健全な意思決定に加われる環境を整える、いわば選挙の法の整備というものが私は大事だと思っております。

 そういうことに関しても御発想があるかどうか、御所見を伺えればと思います。

竹中国務大臣 選挙の制度について、明示的に私は考えているわけではございませんが、これは改革の常として、一つコアの部分が変わったら、玉突きのようにいろいろなところにそれが波及をいたします。むしろ改革の必要性というのは、そういうことで全体としてのシステムを変えていこうということになるわけでございますから、今委員おっしゃったように、確かに住民がもしも新たな責任を持たされるのであるならば、そのための情報開示が十分かということは問われなければならないし、それを乗り越えていくための何らかの自由度を持っているかということは問われなければいけない。そういう範囲で幅広く社会的な議論が進んでいくということは私は必要になってくるんだと思います。

 同時に、地方の債券を引き受けている、地方債を引き受けている側、格付を行っている側でも、今のままの格付体制でよいのかとか、私は、もういろいろな議論が出てくると思います。この問題はこの問題として、一つの姿が出てきた段階で、どのように波及していくのかということは、正面から受けとめて議論を各方面でしていただく必要があると思っております。

寺田(学)委員 単刀直入にお伺いしますけれども、今の地方の選挙制度及び選挙環境というものが十分であると考えられるでしょうか、考えられていないでしょうか。いかがでしょうか。

竹中国務大臣 これはもう先ほど委員が言ってくださったんですけれども、地方選挙のあり方、選挙運動の方法等については、国会における審議、各党間の議論の積み重ねの中で今日のようになってきていると思うんですね。

 現状についてはもう言うまでもなく委員は御存じでございますけれども、地方選挙において配布可能な文書図画等々は通常はがきに限られているわけでございます。どのような配布を認めるかについては、選挙運動のあり方にかかわる問題でありますので、これはどういう問題があるかということが明らかになってくれば、その段階で各党各会派において十分御議論をいただく必要が出てくるかと思っております。

 私の範囲では申し上げることは限られているのでございますが、現状に関しては、今申し上げましたように、地方選挙においてははがき等々に限られているというふうに認識をしております。

寺田(学)委員 大臣も大学の教授から参議院議員になられて、かつ自民党に入られているので、ある種、もう各党及び各議員の先生方のという中の一員であると思うんですね。一個人としてどう思うかということを聞くと、予算委員会の大島委員長とかを見ていると、大臣に対してそんな質問は無理ですということで断られることもあったのでお伺いはしませんが、まさしく選挙制度ということに関してもやはり関心を払っていただいて、破綻法制をする上でというか、破綻のスキーム及び再生のスキームを考える上で、住民にどのような責任を持たせるかと考えるときにはしっかりと隣に置いて御検討をいただきたいなということは強く申し上げたいと思います。

 そしてまた、自治体運営をしていく上で、市場の監視というか、市場の原理をどのように組み込むのか、はたまた組み込まないのかということに関しても、これが成案として出てきたときにはしっかりと議論しなきゃいけないと思うんですが、やはりそういう、まさしく冒頭でお話し申し上げた哲学、自治体運営というものはどういうものであるからこそこういうようなスキームを入れていいんだということは、やはり骨太に議論させていただきたいなと思っています。そういうところでいろいろお話をさせていただければと思います。

 ちょっと時間も限られているんですが、三位一体に関しても少しだけ質問させていただきたいと思うんです。

 どんどん国の役割を減らしていきましょうということは分権の流れだと思うんです。分権をして権限を渡して財源も渡すということになれば、今まで国のお役人の方々がやられていた仕事が減る、イコール人も必要なくなるということは自然の摂理だと思うんですよね。そのときに、結局、分権を今御想像されている中で進めていけば、どれぐらいの人数が、正確には言えないでしょうけれども、どれぐらいの規模が人員として必要なくなるのかということ。

 それと、今、行革推進ということで自民党さんはやられていますけれども、何年間で何%という数字を出していますけれども、その分権をどれぐらい進めればどれぐらい減るであろうということと行革の方で何年間で何%ということの数字というものはちゃんとリンクしているんでしょうか。

 それとともに、減ることは事実なので、中央官庁の方々、お役人さんの人が減ったときに、それは生首を切る形なのか、補充しないという形なのか、いや、それは地方に対して再配置するのか。どのようなお考え、どのような対応というものを考えられているのか、御答弁いただければと思います。

竹中国務大臣 大きな質問が三つあったかと思うんです。

 まず、地方分権後、国の職員がどのぐらい減るのかという第一の点でございますけれども、現時点で分権の将来像が必ずしも明らかになっていないわけであります。国の職員のうちどのぐらいが不要になるかというようなことに関して試算した例はないと思います。

 ただ、定性的に言えば、どの事務、権限を地方に渡すかということにもよるわけですけれども、大きく、国家公務員のうち、行政機関には約三十三万人いるわけですけれども、このうち、例えば本省のうち、補助金配分にかかわる職員、公共事業などにかかわる職員、こういう職員というのは仕事そのものがなくなるということになるんだと思います。そして、地方の出先機関のうち、国が本来果たすべき役割に係る事務を除く機関の職員というものも、移譲とともに仕事がなくなるといいますか、その分の仕事が減ずるということだと思います。

 それとの関連で二番目に質問がありましたのは、定員削減とリンクをしているのかということなんですが、定員は、五年で五%の純減、そのうち三・五%分を重点事項とするということに決めているわけですけれども、十二月に決定しました行革の重要方針の中で、地方向け補助金配分業務の整理、地方への権限移譲により業務を大幅に削減する、そして、地方支分部局の行う業務について、地方でできることは地方にとの観点から抜本的な見直しを行うということにしておりますので、分権の方向には合致しているわけです。

 ただし、これは公務員の削減方針、公務員の人件費を削減するという観点からのものでありますので、分権像を描いて公務員削減をしているということではないというふうに御認識をいただきたいと思います。

 最後に、仕事が減る場合のその後の仕事のイメージ、職員配置等々のイメージですけれども、具体的な検討はこれからでありますけれども、一つのイメージとしましては、引き続き行わなければならない業務、例えば公共事業などに従事している職員は、業務量を精査した上、国から地方団体への移籍を考えるのかどうか、不要になる事務に従事している職員、例えば補助金配分業務などについては、国の中で配置転換をするのか、そういうことを考えていかなければいけないと思っております。

寺田(学)委員 もう時間になりましたけれども、最後の、減少したお役人さんをどうするかということをお役人さんが書かれた答弁を見ながら言うと、非常に政治主導的なイメージがありませんので、そういう部分は御自身でお話しされた方がいいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

中谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田良彦君。

福田(良)委員 自民党山口二区の福田良彦でございます。総務委員会におきまして質問の機会を与えられましたことを大変光栄に思っております。

 私は、代議士秘書、市会議員、県会議員と、十三年間地方政治の中でいみじくも活動してまいりました。維新の気概を持って是々非々で取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、三位一体の改革についてお尋ねいたします。

 今回の三位一体の改革によりまして、国から地方へ三兆円の税源移譲がいよいよ実現いたしますことは、地方分権の推進に極めて大きな意義を有するものであり、高く評価するところであります。しかしながら一方で、地方には、補助金が削減され税が移譲されるといいましても、都市部にばかり税源が集中してしまうのではないかという懸念の声も強いわけであります。

 平成十八年度地方財政計画における地方税収の見込みを見ましても、都道府県税が九・一%の増、市町村税が二・二%の増、地方全体では四・七%の増となっておりますが、その増収の要因の主なものは、法人事業税を初めとします法人関係の税であります。

 我が国の経済情勢は、全体としては回復してきているということでありますが、地域によっては景況感はまだら模様であると私は思っております。大企業の立地する都市部の税収だけが伸び、地方の税収は落ち込んだままになるのではないか、そのように危惧しておるわけであります。

 そこで、お尋ねいたします。今後、都市と地方の間で地方税収の格差がさらに拡大するのではないかと私は懸念いたしますが、税収格差の是正に向けてどう取り組んでいかれますのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

竹中国務大臣 都市と地方の格差の問題に関しては、税収の御質問でございますけれども、当面、経済活動、いわゆる景気そのものについて非常に幅広く注意を払って見ていかなければいけない問題であると思っております。

 地方税に関して申し上げますと、税目とか課税対象によって、それから仕組みが違っていますので、偏在性も当然違うということになります。例えば地方法人課税、つまり法人住民税、法人事業税につきましては、これは、法人の立地状況や法人所得の状況が地域によって異なる、また法人所得そのものも振れが大きいということもありますので、偏在性がどうしても大きくなるということがあります。

 他方で、地方消費税が典型でありますけれども、地方消費税のような税目については、消費全般に広く課税する税でありますので、これは、税収の偏在性、特に一人当たりで見た場合の偏在性というのは小さくなるというふうに思います。

 地方がその特性に応じて発展していくために、地方税中心の歳入体系を構築していくということは必要だ、これは午前中も申し上げさせていただきましたけれども、その際、地域間の税収の偏在度が小さい税目を目指すというのは、これは我々としても当然そういう観点が重要だというふうに思っています。

 このため、今回の税制改正におきましても、個人住民税の一〇%比例税率化を行うことによりまして、税収の偏在度の是正を図っています。さらに、平成十七年度税制改正におけます法人事業税の分割基準の見直しも、これは事業所の数等々を考慮するというものでありますけれども、結果として都道府県間の税収の偏在性の緩和に資すものというふうに考えています。

 今後、国と地方の役割分担をさらに見直していきます。その中で、税源配分そのものの見直しも視野に入れた検討を進めたい、私たちはぜひそうしたいと思っておりまして、その中においても、税収の偏在性の問題について十分と配慮をして検討していきたいと思っております。

福田(良)委員 今、各自治体が議会に提案しております十八年度の予算の状況が徐々に判明してきております。

 例を挙げますと、東京都では、地方税収が、十七年度の四兆二千五百億円から十八年度は四兆五千億円に、五・九%、約二千五百億円増加しております。歳出は六・二兆円で、五・四%、約三千億円の増となり、五年ぶりに六兆円台に乗ったということで聞いております。

 一方、私の地元であります山口県では、地方税収が百三十億円増加してはいるものの、地方交付税が百四十億円減少する見込みとなっております。また、歳出は七千三百五億円で、前年度比マイナスの二%、六年連続のマイナス予算となっております。ピークでありました平成十二年度の八千四百六十六億円から、一千億円以上もマイナスとなっているわけであります。

 今のは一例でありますが、このように、私の山口県を初め多くの地方の自治体では、たとえ税収がふえても、交付税が減少しているため全く財政は好転していない。毎年、マイナス予算を編成し、ぎりぎりの財政運営をしているのが実際の状況であります。

 現在、地方六団体のうち全国の都道府県議会議長会の会長であります、私の古巣の山口県議会島田明議長からも、交付税は地方の生命線であり、十九年度以降も理不尽な交付税削減は絶対に許してはならないとの強い要請もいただいております。

 交付税は、十八年度は約一兆円減少しているとはいえ、十六年の三位一体に関する政府・与党合意に基づき、一般財源の総額は前年度並みに確保していただいております。しかし、政府は、十九年度以降につきましては何の約束もしているわけではありません。その上、諮問会議におきましては、交付税削減が公然と議題に上がっているとも聞いているわけであります。

 地方は、何の約束もない平成十九年度以降の地方交付税の総額については、大幅に削減されるのではないかという懸念を持っているわけであります。地方の立場に立って、安定的な財政運営に必要な交付税の総額確保に努めるべきと私は考えますが、大臣の御見解をお尋ねいたします。

竹中国務大臣 大変地方の財政が厳しい中で、平成十九年度以降の交付税についてどのように見るのかというお尋ねでございます。

 今、議長の御発言で、理不尽な削減は困るというのは、理不尽なことになっては当然いけないわけでございます。三位一体の改革の中で、これは交付税、そして臨財債を含めて五・一兆円の抑制を行った。その一方で、これは三位一体の改革の政府・与党合意、そして累次の基本方針の中で、平成十七年度及び十八年度は地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、交付税などの一般財源総額を確保するということをうたって、そのように努めたところでございます。

 そこで、今後の取り組みなんでありますけれども、引き続き厳しい財政状況のもとで、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化、これはやはり次の世代のために、国と地方が力を合わせて、歩調を合わせてやらなきゃいけない。そのための歳出歳入一体改革は進めなければいけないと思っております。その中で、総務省としては、この議論、歳出歳入一体改革の議論と整合を図りながら、中期地方財政ビジョンの策定に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 地方交付税、今、経済財政諮問会議での余りに単純化された議論についての御批判がありましたが、私もそういう立場で常に一生懸命、そうではないと批判しております。交付税を単体で議論するのではなくて、国と地方の役割分担、国の関与の縮小、それを踏まえた地方の財政、税制全体のあり方の中で議論していきたいということで、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会も設置しているところでありますので、初めに交付税総額の削減ありきというものに絶対してはいけない。

 そういう中で、歳出歳入一体改革と歩調を合わせて、中期地方財政ビジョンの中でしっかりとした姿を示していきたいと思っているところでございます。

福田(良)委員 大臣の言葉を聞きまして、若干また明るい兆しが見えてきたのではないかというふうに思っております。

 三位一体改革の中でもう一つ、これは大事な改革の一つの柱であります。今回、三位一体改革で、四兆円を大幅に上回る補助金改革が実施されました。この中には、八千億円の交付金化の改革が含まれております。この交付金化は、従来の補助金よりも地方の使い勝手をよくし、地方の自由度を増す改革であるとされております。私も、これまでの補助金よりは一歩も二歩も前進であると受けとめておりますが、地方団体からは、手続の複雑さや地方の自由度の拡大といった点では補助金とはほとんど変わらないと、大変耳の痛い話も聞こえてくるのであります。

 私は常に思うわけでありますが、さまざまな町づくりの計画がつくられ、事業を行っても、実際にふたをあけてみると、どの地域の町並みもまさに金太郎あめのような同じ風景であったりすることが多いわけであります。これからはまさに地方の時代であり、国のメニューに沿った金太郎あめのような町並みをつくっていくのではなく、地方が独自に考えた町づくりに国がどのように支援できるのか、その仕組みを充実することが望ましいと思うのであります。そのためには、交付金化にとどまらず、大まかな目標のみを定め、具体的な使い道などは地方の裁量に任せる、いわゆる総合補助金としていくべきではないかと考えているわけであります。

 そこで、大臣の御所見をお伺いいたします。

竹中国務大臣 三位一体の改革に関連して、平成十八年度までに金額にしまして七千九百四十三億円の交付金化の改革が行われるということになっております。これについては、今委員も御紹介してくださいましたように、これは交付金化だけではやはり満足できない、自由度は高まっていないのではないか、そういう御批判があるということも十分に承知をしております。

 ただ一方で、やはりこれは、極力客観的なチェック項目に基づいて事業計画全体の評価を行って、個々の事業ごとの事前審査を要しないこと、従来の補助メニュー以外で地方が提案する事業を対象とすることができることなど、これまでの補助制度に比べて使い勝手が少しでもよくなるようにというような工夫はしたつもりでございまして、補助金改革という観点からは一つの前進であろうかというふうに思います。

 しかし、今後さらに分権改革を推進する必要がございます。この点では、今の福田委員からの御提案もございましたけれども、やはり地方の意見に耳を真摯に傾けて、関係各省庁にも適切な対応を求めて、さらに地方の自由度が高まるような取り組み、そのためにはどのようにしていったらいいかということは、我々としても常に考えて対応していきたいと思っています。

福田(良)委員 先ほども申しましたが、多くの自治体では十八年度も予算編成に大変苦労している、そういうような声を同僚の先輩議員、また先輩、後輩、いろいろな方から聞くことがよくあります。それは、交付税が削減されていることも一つではありましょうが、昨今の災害の対応が大変である、これも一つの要因であると地方の方からも聞いております。

 実は、大雪の被害だけではなく、例えば、昨年九月、西日本を中心に大きな被害をもたらしました台風十四号では、死者が二十六人、住家被害も約三万棟近くに上ったのはまだ記憶に新しいところであります。ともすれば、災害は過ぎ去ってしまえば忘れてしまいがちになりますが、被害に遭った地域は今もなおそういった災害復旧などの対応に追われているのであります。

 幸いにも、台風十四号なども激甚の指定がなされ、河川等公共施設の補助率のかさ上げがなされているとは聞いておりますが、総務省におきましては、大雪対策はもちろんでありますが、台風十四号等、その他の災害にもしっかりと目配りをして財政支援措置を講じるべきと考えますが、御見解をお尋ねいたします。

竹中国務大臣 御指摘のように、今、豪雪の対応で我々も一生懸命対応させていただいておりますが、豪雪だけではなく、委員御紹介がありましたように、昨年の九月の台風十四号、やはり大変大きな被害をもたらしました。そしてまた、その前の年は、台風が日本にたしか二十とか物すごい数やってきて、特に四国では、そのうちの半分が上陸したというような県があった。そういう意味で、そういう場合の対応というのは極めて重要だと思います。

 御指摘のあった台風十四号、これも含めてですけれども、自然災害によって甚大な被害を受けた地方公共団体におきましては災害復旧等に多額の財政需要が生じるというのは、これはもう現実にそういうことが起きているし、起きてきたと思います。

 総務省としましては、被災の地方公共団体から実情をよくお聞きしまして、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じまして、その財政運営に支障が生じることのないように適切に対処することとしているところでございます。情報収集も怠りなく、また地方の声もよく聞きながら、我々としては、総務省のできる範囲で精いっぱいの適切な対応を行いたいと思っています。

福田(良)委員 災害は忘れたころにやってくるという言葉がありますが、近年では、まさに災害は忘れる間もなくやってくると言った方がいいかもしれません。国民の安心、安全のために適切な対応を今後ともよろしくお願いしたいと思っています。

 次に、市町村合併についてお伺いをいたします。

 私が居を構えております山口県岩国市では、来月の三月二十日に八つの市町村が合併をいたしまして、新岩国市が誕生することになっております。全国の合併新市におきましても、その一体化を図り、新たな町づくりを進めていくために、それぞれの地域でさまざまな取り組みを進めなければならないわけであります。

 しかしながら、一方で、極めて厳しい財政状況のもと、財政再建も進めなければなりませんし、急速に進む地方行革の流れを踏まえ、合併を決めた時点以上の努力が必要になったり、全く先が見えない中での合併となっている例もあるやに聞いております。

 合併はよく結婚に例えられます。スタートは恋愛であったりお見合いであったりするわけでありますが、その後、さまざまな過程を経て結婚や婚約にそれぞれがたどり着いたわけであります。しかしながら、新婚早々、お互いの借金の返済に追われたり、自由に使えるお小遣いも少なくなったりと、ビジョンの実現にはほど遠い、理想と現実にぶつかっているということはよく聞く話でございます。

 そういった例も挙げながら、不安の中で新たな生活を始める新婚カップルともいうべき合併市町村に対しまして、どういうような展望を持ち町づくりを進めていけばよいのか、大臣の方から激励の言葉をいただけたらと思っております。

竹中国務大臣 結婚に対するコメントは控えさせていただきたいと思いますが、市町村合併、これは本当に言うまでもなく、しっかりとした地元への行政サービスを行うためには、ある程度の規模のやはり財政的基盤が必要になってくるという現実がございます。そういう中で、そうすることによって住民サービスを持続可能にしていかなければいけない、そのためにも重要なことであると思います。

 これを機に、市町村合併の市町村は、首長さんや議員などの特別職の減少でありますとか、組織の簡素合理化などによります一般職員の削減等、まずは定員管理、給与の適正化、公共施設の効率的配置、そうすることによって経常経費を削減する等、行政改革を推進してその行財政基盤を強化していく、そのためにやるわけでありますので、そういう、今申し上げたような御苦労が伴ってくるということだと思います。

 しかし、そうすることによって強化された行財政基盤のもとで、住民満足度を高めるように住民サービスを提供していく。国、地方を通じた行政改革の必要性を踏まえまして、合併による経営規模拡大の、いい意味でのスケールメリットを発揮していただきたい。

 本当に、合併をしておられる、その当事者の皆さんがいろいろな御苦労をしておられるということを私も耳にしております。今ここに、手元に新岩国市の地図、私きょう持ってきておりますけれども、それぞれのお立場で大変御苦労が多いというふうに思いますが、ぜひ合併の必要性とか重要性を踏まえていただいて、住民と力を合わせて頑張っていただきたいというふうに思っております。

福田(良)委員 合併市町村の支援策の一つといたしまして、合併特例債があるわけであります。そして、地方におきましては、合併地域の一体性を考えたときに、住民のニーズが高く、特に急がれるのは、市町村間のアクセス道路の整備であります。しかしながら、その多くは国道や県道であったりもします。国道、県道を市町村が整備するわけにもいかないことはわかりますが、せっかくの支援策も、本当に住民が必要な行政サービスを支援するものでなければなりません。そうしなければ効果が半減してしまうのではないかというふうに私は考えます。

 合併特例債につきましては、できる限り要件を緩和し、住民ニーズに沿った整備を可能にすべきではないかと考えます。また、県道など都道府県の整備すべき分野につきましても、合併市町村に重点化すべきではないかと私は考えますが、御見解をお尋ねいたします。

荒木政府参考人 合併市町村の一体化を促進いたします上で、道路整備は大変重要であると認識をいたしております。

 合併特例債は、市町村建設計画に基づきまして、合併市町村みずからが実施いたします道路の整備の事業あるいは公共的施設の整備事業などについて活用できるものでございます。都道府県が行います事業はこの対象とならないわけでございますが、合併市町村の一体化を促進するために、都道府県が整備する旧市町村間を結ぶ国道や都道府県道の整備につきましては、合併推進債という起債がございまして、これは充当率九〇%、交付税算入率が五〇%の起債でございますが、これの対象として支援を行っているところでございます。

 また、政府の市町村合併支援プランにおきましても、市町村合併支援道路整備事業につきましては、国庫補助事業の優先採択あるいは重点投資を行うこととしているところでございます。

福田(良)委員 先ほどの交付金化と同じように、やはり自由な裁量で使えるような仕組みを今後とも検討していただきたいと思います。

 次に、道路特定財源についてお伺いをいたします。

 先ほども述べましたが、道路整備に対する住民ニーズは極めて高いものがあります。しかしながら、最近の緊縮財政の中では、道路整備に充てる財源が多くの都道府県、市町村では不足しているのが現状の状況であります。確かに、国では、道路予算を削減したことによりまして、道路特定財源に余剰が発生していると言われております。先般の施政方針演説におきましても、道路特定財源については、現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に見直しを行うとしているところであります。

 しかしながら、地方自治体では、公共事業を縮小している中にはありましても、道路整備に対するニーズは高く、しかしながら、財源が足りていないという現状にあります。道路特定財源をめぐる状況は国と地方では違うということに注意する必要があるかと私は考えるわけであります。そういったことからも、今後も地方の道路財源の確保が必要と考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。

竹中国務大臣 今委員が御指摘されましたけれども、国の道路特定財源、これは平成十九年度には歳出を大幅に上回る見込みでございます。一方で地方においては、道路整備費用に占める地方の道路特定財源収入の割合は低い状況にあると認識をしております。また、地方は現実に道路整備に対する需要があります。地方は地方道路特定財源の拡充を要望しているということも存じ上げております。

 しかしながら、財政制度全般としてやはり考えますときには、特定財源制度というのは、受益と負担の関係を明確にできるというメリットはあるわけですけれども、どうしても資源配分の硬直化をもたらすおそれがある。そういう認識の中で、財政制度全般は改革していかなければいけないというところに我々も置かれていると思います。

 昨年十二月に政府・与党で取りまとめました道路特定財源の見直しに関する基本方針におきましては、「特定財源制度については、一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る。」そういう観点からされたところでございます。

 地方道路特定財源につきましても、この基本方針を踏まえて、具体的にどのようにするかということを、まさに歳出歳入一体改革の中で我々も検討をしていきたいと思います。地方の状況には十分注意しながら、財政の改革の一環の中で何ができるかということを検討してまいる所存でございます。

福田(良)委員 しっかり地方の実情を踏まえた、また議論をしていただきたいと思っています。

 最後に、竹中大臣の私的懇談会であります、先ほども説明ございましたが、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会についてお伺いいたします。

 最近の新聞報道などを拝見しておりますと、こういう見出しが目に入ってきました。竹中懇談会で自治体の破綻法制を検討、こういった報道を大変多く目にするわけであります。自治体の破綻と聞くだけで、大変、非常にネガティブな印象を持つ人が多いわけであります。財政力の乏しい自治体は破綻に追い込まれてしまうのではないか、そういった過剰な心配をしている声もよく聞こえてまいります。大臣のよくおっしゃられます自由と責任の責任の面だけが余りにも強調されているのではないか、そういうふうに危惧いたします。

 しかしながら、竹中大臣の真意は、将来の地方分権の具体的な姿をビッグピクチャーとして描き、それを実現するために抜本的な改革案を議論することにあると私は承知しているところであります。六月の骨太方針の決定に向けて、今後、このビジョン懇談会においてどのような議論を行い、そしてどのようなビッグピクチャーを描こうと大臣は考えておられるのか、改めてお伺いをいたします。

竹中国務大臣 きょうも何度か御答弁をさせていただいておりますけれども、破綻のことだけが活字として躍って、それに対してやはり御心配しておられる方が多い、そういうことは承知をしております。そうならないように、私も細心の注意を払って今後の議論を進めていきたいと思います。

 まさに、私は本当に、心底自由と責任の問題についてしっかりとした抜本的な議論をしたい。どのようにビッグピクチャーを描くのかということに関しては、まずやはり十年程度の先を想定して、あるべき姿というのをしっかりと描いて、その上で、そこから逆にさかのぼって、今の時点にさかのぼって、では当面どういうことから始めるべきかという、しっかりとした工程が見えるように私はぜひ持っていきたいというふうに思っています。

 三位一体の改革で何とかそれをまとめて、今、国と地方のあり方を抜本的に見直す、本当に重要なチャンスなんだと思っています。専門家の方に議論をいただいて、しかし、これはあくまでも私的な懇談会でありますから、それを政策にどのようにしていくかということに関しては、私なり総務省の責任でしっかりとした対応をしてまいりたい。そのために、当面、六月の骨太方針の決定に向けてしっかりと議論を深めていきたいと思っているところでございます。

福田(良)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 どうも、竹中大臣、お世話になります。

 前回、一月の委員会のときに、私、大変失礼ながら、新聞記事を引用しまして、竹中警戒論があるということを紹介させていただいたわけでありますけれども、あの後、直接大臣のお言葉で、いろいろな場面で話を聞いたり、あるいはきょうの委員会でもいろいろな考えを聞いているうちに、どうも竹中警戒論というのは違うのではないかというふうに思うようになりました。やはり、考えているところはそんなものではないんだ、もっと大きな、根本的なところをがっちりと直していこうというお考えに基づいてやられているんだろう、そして、それも大変深い知見に基づいて、大変すばらしい知識、そしてその才能ということでやられているんだなということを最近感じております。それだからこそ、小泉総理も、大学の先生であった当時の竹中教授をこの世界にお呼びをして、かつまた、政治の世界にまで押し上げたというんでしょうか、そんなことなんだろうというふうに思っているわけです。

 ただ、しかしながら、パートナーが悪かったのではないか。小泉総理じゃなくて、私と組んでいれば、もっと国民にがっちりと受け入れられて、今よりもまだ改革ががっちりと進むということになるのではないかと。残念ながら、私は今その立場ではございませんので、しかしながら、そう遠くない将来に、ぜひまた私とタッグを組んで一緒にいい仕事ができるように頑張っていきたいなと思っているところであります。

 ということで、単に物事を批判するとか批判しないとか、何でも反対すればいいんだということではない中で、本当の核心というものをつかむ議論をすることが大事だなということを改めて痛感をいたしているところであります。

 きょうの委員会も、聞いておりますと、自治の問題、特に総務省が抱える問題については与野党がない雰囲気も一部に散見されるわけでありまして、そういうようなところもがっちりとまたやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)いろいろな声があるようでございますが、きょうの委員会は後ろからの答弁も非常に多いものですから。

 さて、それで本題に入りたいと思いますが、今回の地方交付税、それから地方税法の改正によりまして、十八年度においては一般財源総額を確保するということができたという話を大臣もいろいろなところでされているわけでございますが、心配なのはやはり来年度ということでありまして、十九年度の一般財源確保の覚悟といいましょうか、それは、交付税でやるのか、いろいろな制度を変えるのかということはいろいろあるかもしれませんが、地方自治体における一般財源の確保についてのお考え方をお聞かせ願いたいと思います。

竹中国務大臣 近い将来、逢坂内閣ができて、さらに改革を推進していただきたいと思っておりますし、何よりも逢坂委員は具体的なこの分野についての知恵をお持ちですから、ぜひ知恵を出していただきたいと私も思っております。

 十九年度以降の一般財源確保の問題でありますけれども、これはぜひ思い起こしていただきたいのでございますが、これまでの財政改革というのは、二〇〇一年に小泉内閣ができて、そのときに、まず基礎的財政収支、プライマリーバランスを回復しようということを、私、掲げさせていただいたわけでございます。プライマリーバランスという言葉自身、ほとんど当時まだ理解されなかったのでありますけれども、そして、そのために歳出キャップをやるしかない。これは、諸外国がやはりどこもそうだ、緩やかな歳出キャップで、つまり、歳出全体をGDP比でふやさないようにしていこう。そういうやり方の中で、経済の活性化によって、税収の自然増で毎年GDP比で〇・五%ポイントぐらいの基礎的財政収支の改善を目指したい。そうすると、これを十年続ければ基礎的財政赤字はなくなるはずである。そういう一つの方向性を打ち出したわけでございます。

 そして、その中で、実は、社会保障費というのは必然的にふえていきますから、どうしてもキャップよりもはみ出ていくものはあるわけですから、そうすると、キャップよりも低くしなきゃいけないものも出てきますね。それが公共事業等々に象徴されるような裁量的な経費であって、そういう中で、まさに中間的な支出としての交付税もやはり方向としては減っていく方向になるんだろうというふうに一応描いてきたわけでございます。そして、その中で、三位一体の改革という質的な改革も含めて、そして、十八年度までには一般財源を確保しながらやっていくという道筋が開かれた。

 今ここで、二〇〇一年の時点で、二〇〇六年度まではこういうやり方を続けましょう、二〇〇六年度中に二〇〇七年度以降そういうキャップでいけるかどうかを判断しましょう、必要であるならば国民の負担も考えましょう、そういうシナリオを五年前からずっと描いて、それで、今まさに、二〇〇七年度以降どうするかということを考える大変重要な局面に来ている。それが、何度も申し上げている歳出歳入一体改革なわけでございます。

 その歳出歳入一体改革にあわせて、総務省としては、この議論と整合をとりながら、中期地方財政ビジョンを策定することというふうにしております。まさに歳出歳入一体改革がすごく重要で、この中期財政ビジョンのつくり方が大変重要で、その中で、全体としての整合をとりながら、一般財源をいかに確保していくのか、地方にもこういうふうに歳出スリム化に頑張っていただきたい、国にもこのようにスリム化をしてもらいたい、結果的に地方の一般財源がどのようになっていくのか、必要な税源の配分をどのように見直すのかということを、本当に集中してやる重要な局面に来ていると思っております。

 その中で、委員の皆さん方の御意見も十分に拝聴しながら、ぜひ結論を出していきたい。歳出歳入一体改革の議論を進める、そして、それと整合的な中期地方財政ビジョンを策定していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 今現在、来年度以降のことを考えているんだということでございますけれども、それは私も理解をいたしますが、実はきょう、全国の町村の職員が東京に集まりまして、今の町村の相当厳しい状況というものをみんなで確認し合い、そして、これを何とかしてほしいということで、先ほど、お昼、この国会の前もデモをしておりました。私、たまたまこちらの委員会に来る途中、そこにも寄らせていただいたところ、歩いているデモ隊の中から、もう予算が組めないぞ、頼むぞという声がやはり相当聞こえてくるわけでありますね。したがいまして、この一般財源の確保ということは極めて重要な課題だと思いますので、ぜひとも一緒になって考えていければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 さてそこで、今のお話にございました中期地方財政ビジョンですか、これは極めて重要な考え方が盛り込まれている。この中期財政ビジョンの中に、予見可能性という言葉がまくら言葉で常についているわけですが、今までの自治体予算は、残念ながら予見可能性が全然持てなかったわけであります。せっかく計画的な地方行財政の運営をしようと思って総合計画などをつくっても、来年度の予算がどうなるかということが必ずしも早い時期からわからない。来年度すらわからないわけですから、二年、三年先を予見することは必ずしも簡単ではなかったわけであります。

 その意味で、私は、予見可能性をちゃんと持つような中期財政ビジョンをつくるということについては強く賛同いたしておるわけですが、これの策定のスケジュール、日程でありますとか、現在お考えになっている内容でありますとか、それらについてもし公表できるものがあれば、よろしくお願いいたします。

竹中国務大臣 中期地方財政ビジョンの意義について御理解、御賛同いただきまして、本当にありがとうございます。

 去年まで経済財政政策担当大臣をさせていただいたときに、諮問会議で、実は、財政当局はこういう形に対してやはり、財務省ですけれども、必ずしも積極的ではなかったように思います。それは、しっかりと予算を減らせということは先方はおっしゃるわけですけれども、こういう中期的なものを示すと将来にわたる予算を保障したことになるというような思いが、多分予算当局にはあるのだと思います。これは決して予算を保障するものではありませんが、しかし、やはり財政運営をするに当たって、国だってビジョンを持ってやるわけですから、地方もビジョンを持てるようにしなければいけない。

 そのためには、この中期地方財政ビジョンを予見可能性を持つために我々がつくるのは不可欠である、政府がつくるのは不可欠であろうということで、諮問会議の担当大臣としてその方向で調整をさせていただきました。そうしたら、思いがけず自分がつくる役割に今度なってしまったわけでございますが、改めてこれは大変重要であると認識をしております。

 先ほど歳出歳入一体改革と歩調を合わせて進めるというふうに申し上げましたけれども、これは骨太等々で、歳出歳入一体改革については十八年度中に結論を得るというふうにしております。そして、このビジョンそのものについては、いつつくるということの明示はしてございませんが、やはりこの歳出歳入一体改革と整合的に議論をしてビジョンをつくるということを重ね合わせますと、このビジョンにつきましても十八年度中にやはりお示しをしなければいけないのじゃないかなというふうに考えているところでございます。ぜひその方向で努力をしたいと思います。

逢坂委員 内容についてはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 実は、一方で、そもそも論といいますか、国と地方のあり方のそもそも論を議論しております。これはこれで大変重要な問題だと思っておりますので、中期財政ビジョンというのを例えば今の枠組みでつくるというのは、一つのやり方なんだと思います。これはそういう形での準備をしなければいけないと思うんですが、一方で、国と地方のあり方のそもそもを変えていこうというような議論がもし明示的に入ってきたら、これはこの中期財政ビジョンの中にも入らなければいけないということになります。実はそこが正直言いましてなかなか難しいなと私も今の時点では考えているところでございます。

 もっとも、中期的なビジョンといいましても、十年というようなビジョンではもちろんありませんから、そんなに長いビジョンではございませんから、現状に近いシステムの中で現実にはつくることになるのかなというふうに思っておりますけれども、その中身ということになりますと、午前中も申し上げましたけれども、この四年間、やはり国も歳出をスリム化しましたけれども、それをはるかに上回って地方が歳出をスリム化してきました、この過去の実績を明らかにした上で、じゃ、改めて国と地方がどのような分担を行うのかということをぜひオープンに議論をしていただく必要があると思います。その中で全体の姿というのをぜひ決めていきたい。

 そのためにも、午前中もお話ありましたけれども、国と地方全体のプライマリーバランス改善がどのような役割分担で進んできたのかということに対して、我々はもっと積極的にやはり情報発信をしなければいけないと思っております。そのための準備も今しておりますので、そういう中で中身についても御議論を賜りたいと思っております。

逢坂委員 視点を変えまして、交付税でございますけれども、昨今、交付税の中に行政改革への誘引になるような要素を盛り込むべきだという声がいろいろなところであるわけでありますし、現実に、交付税の中に行政改革を誘引するような要素も昨年あたりから盛り込まれつつあるわけであります。

 しかし、大臣がよくおっしゃるように、地方分権ということを考えてみますと、それは責任と裁量なわけでありますね、一つは。そういう観点からいいますと、失敗する自由、うまくやれる自由というのも、それは自治体が判断すべきではないか。それは、行政改革をあえて誘引させるというようなことを交付税に盛り込むことは、実は交付税本来の趣旨に反するのではないか。

 すなわち、使途を余り決めない、しかし、その範囲の中で、外形標準的な行政需要についてはこのお金でやるんだ、それをどううまく使うか使わないかは、実はその地域自治体の裁量なのではないか。そのことによって、もし時の首長が失敗すれば、それは選挙で厳しい洗礼を受けるわけだし、その範囲の中で非常によいことができれば、それは住民から称賛を得るということになるんだと思うのです。

 行政改革への、いわゆるインセンティブという言い方をしているようですが、そこまで交付税に盛り込むというのはいかがなものかというふうに感ずるんですが、どうでしょうか。

竹中国務大臣 今の逢坂委員の御指摘は、実は大変深い御指摘だと私は思います。というのは、今の交付税の基本的な性格というのは非常にいろいろなものがミックスされたものになっているわけですね。必要な財源を保障するというのだったら、インセンティブも何もないわけです。財源保障したらそれでいいということになる。

 財政調整は調整でいいわけですが、実際には、いろいろな形での財源の不足を結果的に保障するというシステムになっているからこそ、地方行革をするというインセンティブが働かないのではないか。むしろ、頑張って何かやったらその分交付税を減らされるというディスインセンティブになっているのではないか。その御指摘はその御指摘で実は大変正しいわけなんです。

 一番よいのは、一番よいと言っていいかどうか知りませんが、逢坂委員の御指摘のように、一つの徹底した考え方は、むしろ、交付税のようなものは無色透明のようなものがよくて、非常にきちっと割り当てられて、後は自分の責任でやりなさい、その責任は市場からの厳しい声と住民からの厳しい声でインセンティブを問われて、それで、おっしゃったように、その結果が悪い結果になったら自分たちで責任を負いなさい、これは徹底した一つのお考えなのだというふうに思います。

 ただ、今の交付税というのはそういう形にはなっていないわけですね。そうすると、今の交付税の中で考えるとすれば、一方で、実は、私は総務大臣になって、改めて総務大臣の権限は何ですかというふうに聞いたわけですけれども、地方に対しては、総務大臣というのは、言ってみれば助言という権限しかないわけですね。そうすると、地方に対して、結局は交付税を通して少しでも行革をやっていただく、やっていただくということをやらざるを得ないという面もあるというふうに思ったわけです。その意味では、この中にインセンティブというようなものを入れて、当面考えていこうと。

 しかし、より長期的な問題としては、逢坂委員がおっしゃったような交付税のあり方、もっと無色透明なというのは、考え方としてはこれは十分あり得るものだと思いますので、その議論はその議論で、その懇談会でぜひ委員が、委員の中にもいろいろな考えがあるわけですけれども、ひとつ進めていただければよい御議論であろうというふうに思っております。

逢坂委員 交付税に関しましては、私もこの自治の世界に身を投じるようになりましてから二十年以上になりましたけれども、随分と変質してきたというのも事実でございますので、あるべき交付税の姿を念頭に置きながら現状をどう変えていくかという議論をこれからも一生懸命やりたいと思っております。

 次に、どの委員の口からも出てまいります二十一世紀ビジョン懇談会、竹中大臣の私的諮問機関と言われているものでありますが、これについてお尋ねをいたします。

 まずこの人選でございますが、まず人選はだれが行ったかということと、実は、世間のいろいろな評判を聞いておりますと、地方財政だとか地方行政に厳しい意見を持っている人ばかり集まっているんじゃないかというような、そんな評価もあるようでございますけれども、いわゆる大臣の言葉で言うビッグピクチャーを描くにこの人選というのはふさわしい人材だったかどうか、お考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 ビジョン懇談会のメンバーでございますけれども、これは総務大臣の私的な諮問機関でございます。そうしたことを踏まえて、大臣である私がメンバーの人選をさせていただきました。

 メンバーについて、地方に厳しいというような御指摘がある、そういう声があるということは私も耳にしております。ただ、私は決してそうではないというふうに思っています。先ほど言いましたように、何か地方の置かれている特殊事情から出発してその議論をするというのではなくて、まさに国はかくあるべし、地方はかくあるべしというような大きな議論をぜひしていただきたいというふうに思っておりますので、そういう意味で、それにふさわしい方においでをいただいているつもりでございます。

 一方で、現実問題としてのファクトはしっかりと集めなければいけません。そういう観点から、必要なヒアリング等々は行おうと思いますし、実地の調査もぜひ行っていただきたいと思っておりますし、地方の声に真摯に耳を傾けてやる、そこは運用、運営においてしっかりと対応してまいるつもりでございます。

逢坂委員 今ファクトはしっかり集めるんだという話がございました。その中で、実は、大臣、いろいろな場面でお話しされているところなんですけれども、例えば今回の三位一体改革の評価に関するところで、大臣が、公立保育所の運営費の問題で自治体に自由度が高まったではないかという話をされているんですが、これは、実は地域の現場へ行きますと必ずしもそうでもないという事実がございます。したがいまして、二十一世紀ビジョン懇でもファクトを集めるということをおっしゃいましたけれども、それはきちんと地域の実態を踏まえたファクトを集めなければいけないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 さてそこで、国民の目線から見ると、総務省の職員というのは一体何なんだと。地方の行財政に関するプロという集団が実は総務省の職員ではないかというふうにも思うわけでありますけれども、その内部での議論というのは、一体これらの問題に関してどうなっているのか。私の目から見ても、総務省の方たちは極めて能力が高い。その人たちの集団である。にもかかわらず、あえて私的懇談会を設けてというような意図、内部の議論と、あえて私的懇談会を設ける意図についてお知らせください。

竹中国務大臣 私自身、大臣になる前は政策研究者として仕事をしてきて、そして大臣になってからも幾つかの仕事をさせていただいて、やはり立場を変えて見るというのは大変重要なことであるというふうに思います。立場を変えて、しかし、お互いの立場に固執しないで本当に議論を深めたときに初めて建設的な知恵が出てくるというふうに思っております。

 一つの例として不良債権処理のときの議論も、私の一つの原体験でございますのでやはり重要だと思っておりますけれども、金融庁の皆さんも大変能力が高くて重要な仕事をしてこられた、しかし、それでも不良債権問題というのは解決できなかった、そこで違う観点からのアイデアを民間の方に出していただいて、それを引き取っていただいて、どういう法律、制度にするかということを改めて金融庁のプロフェッショナルに考えていただいて、そして今までと変えるところは変えて、不良債権問題に関しては成果を出せたと思っております。

 その意味では、今の懇談会に、その担当局長そして重要なポストの課長さん全員に入っていただいておりまして、実は一緒に議論するというつもりでおります。そして、その中で、提出する資料そのものを、これは座長の大田先生と担当局長の間でしっかりと資料を調整していただく。こんな資料はあるはずだから出せないのか、いや、そういうことは無理なんです、なるほど、そこは無理なのか、じゃ、こういう見方はどうかとか、一回一回の会議の前に、かなりそういう建設的な議論をしてもらっていまして、やはりその意味ではお互いに補い合って、今組み合わせというのが大変重要だという御議論が世間一般としてはありますが、私は、政策においてもそういうことが大変重要なのではないかというふうに思っております。

逢坂委員 それでは、内部の有能な職員の皆さんも巻き込んで、がっちりとしたものをつくっていただきたいと思いますが、このビジョン懇の今後のスケジュールと、そして、私的懇談会でありますから、政策にそのビジョン懇の結果をどう反映させるのかについてお聞かせください。

竹中国務大臣 まず、スケジュールでございますけれども、非常に大きな問題でありますから、もう少し時間がほしいという思いもあるんですが、しかし、小泉総理が九月で任期を終えるというふうに言っておられるということ、そしてその前のスケジュールとして、骨太の方針を内閣の方針として決定するということ、そういうことも踏まえまして、半年ないしは半年弱ぐらいで結論を出していただかなきゃいけないという思いでこの議論を始めております。

 具体的には、今いろいろな議論をしていただいておりますけれども、骨太の方針は六月ですから、その前には、それが五月末になるのか六月の最初になるのかでありますけれども、何らかの意見の収れんをしていかなければいけないと思っております。

 そして、その後のプロセスといいますか、私的懇談会は懇談会、あくまで私的な懇談会ですから、それを行政の政策にするには、次のプロセスが当然必要になってまいります。この点に関しては、この懇談会での議論というのは今後の歳出歳入一体改革の非常に重要な部分を占めますので、経済財政諮問会議で報告をして、そしてそこでさらに議論を、全体の、政府の議論として深めるというプロセスをとらなければいけないと思っております。

 諮問会議の中でも、この懇談会をつくったこと、そして地方財政に関連してこういう報告をするから議論してもらいたいということを既にもう予告しておりますので、あと六月に向けて何とかよい結論が出るように努力をしたいと思っております。

逢坂委員 こうした懇談会の議論とあわせて、国民の声を聞く、意見を聞くということも非常に重要かと思っております。その意味で、大臣は一つ、カウンターパートナーという言葉を使われたかと思いますが、全国知事会などにもそういう委員会をつくってやられたらいいだろうという話をして、現に知事会にも新地方分権構想検討委員会なるものができているようでありますけれども、知事会とは総務大臣として定期的にお話もされている、二十二日にもあったというふうに聞いておりますが、国民の意見でありますとか全国の自治体の意見というものをどうこのビジョン懇に反映させるのか、あるいはそのお考えというのはあるのかないのか、お聞かせください。

竹中国務大臣 これは、地方自治体の御意見をしっかりと踏まえるというのが大前提でございます。そのために、ちょっと先ほども申し上げましたけれども、私自身の私的懇談会をつくると決めた段階で、麻生知事初め皆さんに、六団体においてもつくってくださいというふうに私の方からお願いをいたしました。

 実は、二日前だったでしょうか、総務大臣と六団体との懇談会がありましたときに、先方からもそのお話が改めて出まして、どこかもう少し話が煮詰まった段階で、その場に両方の委員会の代表に来ていただく方がいいのか、その前段階としてそれぞれの懇談会のメンバー同士で一つ議論する方がいいのか、メンバーは考えるにしても、どこかで一緒に議論する場をもう少ししたら持つ必要がありますねということで意見の一致を見ております。これは、ぜひ建設的にそういうことを私はしていきたいと思っております。

逢坂委員 それは知事会を中心とする六団体ということになろうかと思いますが、その他、広く国民の声といいましょうか、そういう点ではいかがでしょうか。

竹中国務大臣 これはまだ正式に担当部局には言っていないんですが、こういう政策の議論をするときの一つの常としてといいますか、やり方として、私はタウンミーティングをぜひ持ちたいと思っております。これは、正式には内閣府に私の方から、こういう趣旨でタウンミーティングを持ちたいので準備してくれということを言わなきゃいけないわけですけれども、もう少し全体の姿が明らかになった段階で、これは金融についてもそういうタウンミーティングをやりましたし、郵政についてもそういうタウンミーティングをやりましたし、それは一つの方法であろうというふうに思っております。

 また、議論の内容によっては、それにふさわしい周知の仕方、広報の仕方というものもあろうかと思いますので、郵政のときには地方のテレビ局を回るテレビキャラバンというのをやったわけですけれども、今回、そういうことにはならないと思いますけれども、やはりそれにふさわしい周知のやり方というのはとらなければいけないと思います。その準備は、時期が来たらしっかりと事務方にも対応をさせたいと思っております。

逢坂委員 委員の皆様のお手元に、資料として新聞記事を配付いたしました。これは、以前私が仕事をしておりました北海道ニセコ町などの例を中心とする情報公開に関する記事でございます。

 情報公開というのは非常に重要なものでありまして、やはり情報が明らかになる、実態がわかるということで、いろいろな改革、改善というものが進んでいく大きな原動力になるし、自分の地域に対する、あるいは国に対する問題意識を持つことにもなるだろうというふうに思っているわけです。

 そこで、当然、このビジョン懇の内容も審議も十分に公開されるということが大事かというふうに思いますが、透明性を高めるということについて、大臣、いかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 幾つかのプロセスで情報発信を常にしていかなければいけないと思います。こういう大きな議論というのは、どうしても行きつ戻りつになりますので、そこは、決まったこととか、自由に議論して一種のブレーンストーミングをした段階とか、そういうことの発信はやはり非常に注意してやらないと、逆に誤解を与えてしまうというふうな懸念もあるんだと思っております。

 そうした観点から、毎回毎回の懇談会の後は、開催要綱もつくっておりまして、その中にも書いておりますけれども、通常、私が出ている場合は私と座長で、私がいない場合は座長が、記者に対してブリーフィングを行いまして、きょうはこういう議論をこういう観点からこういう目的で行いましたということを明確に申し上げるようにしております。また、そこで配付された資料はすべてこれを公開するというふうにしております。また、速やかに懇談会の議事の様子の概要を作成してこれを公表する。これはホームページにも掲示をして、見ていただけるような形にしているところでございます。

 これは毎回毎回のあれですけれども、何らかの論点整理とか一つのまとまったものが出る場合には、それはそれでまた別のミーティングなりコンファレンス、専門家が集まってコンファレンスするということも一つの方法かもしれませんし、先ほど言ったタウンミーティングのようなことも必要かもしれませんし、いろいろなメディアに働きかけるということも含めて、しっかりとした情報の開示をして、ぜひ議論に参加をしていただきたいと思っております。

逢坂委員 情報を開示していくということは非常に大事なことだというふうに思いますし、情報公開というのは、求められてから提供する以前に、そもそも政策判断のもとになる情報というのは積極的に開示をしていくことが極めて大事だというのは、私のこれまでの二十数年の経験の中からもそう強く思っているところです。

 したがいまして、総務省におかれましても、このビジョン懇に限らず、いろいろな分野で情報公開というものを積極的にやっていただきたいというふうに思いますが、特に地方交付税でありますと、算定が一部不透明ではないかというような声もあるわけですが、大臣、その点、いかがでしょうか。それらについてもきちっと情報公開をしていただけますでしょうか。

竹中国務大臣 具体的に委員がどういうことを念頭に置いておられるのかちょっとわかりませんが、これは総務省全体の方針として情報公開はきっちりと行う、これはもう大方針でございます。

 加えて、私が大臣に就任をさせていただいてからコンプライアンス対応室というのを総務省につくりました。それで、これはコンプライアンスについても、情報の開示もその中の一つの議論の対象になると思っておりますけれども、そういう体制をしっかりととって、まさにオープンに、堂々と議論をして評価も批判も堂々と受けよう、そういう態勢を貫いてまいりたいと思います。

逢坂委員 大臣、それではこれからもよろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、地域を考える上で極めて大事な郵便局の問題について若干お話をさせていただきたいと思うんです。

 実は、二月十二日付の私の地元の北海道新聞に「日本郵政公社が、二〇〇七年十月の民営化までに実施する郵便物の集配局の再編計画に上積みする形で、新たに民営化後も集配拠点の集約を進める計画を検討していることが十一日分かった。両方の計画が実施されると、道内では約千五百の郵便局のうち、郵便物の区分、配達を行う集配局は、現行の四百四十六局から、二百十四局へと半分以下に減少する。」という記事が載ったわけでありますけれども、この細かい数字というのはともかくとして、こうした計画を郵政公社がお持ちなのかどうかについてお知らせください。

塚田参考人 私ども、現在、平成十九年の十月の民営化に向かいまして編成案を検討しているということでございまして、御指摘の新聞報道については事実ではございません。

逢坂委員 事実ではないということでございましょうか。これは内部でも議論もしていないということでございましょうか。

塚田参考人 いわゆる民営化後の集配の再編計画については、まだ具体的には私どもはやっておりません。

逢坂委員 改めて確認をいたしますけれども、内部でも議論をしていない、あるいは、内部の、例えば職員団体などがあろうかというふうに思いますけれども、そちらとも協議をしていないということで確認よろしいでしょうか。

塚田参考人 先ほど申し上げたように、十九年十月までの再編計画については支社とか関係労働組合に情報を提供しながらやっておりますけれども、それ以後については検討はしておりません。

逢坂委員 私も全国いろいろなところを歩いておりますけれども、その中で特に北海道は広うございますけれども、北海道の新冠町それから豊富町、天塩町それから更別村、こういった自治体で既にこの集配業務廃止に対する反対運動が起きているということが、これも新聞報道でございますけれども、私も承知しておりますし、現に私が知っている方も私に、集配局がなくなるんだということを非常に強い懸念を持って話されているわけですが、全く検討していないということで本当によろしいんでしょうか。これらの反対運動がもう既に起きているという事実なども、どうなんでしょうか。

塚田参考人 恐れ入りますけれども、何回も申し上げますけれども、十九年十月までの再編計画については今具体的に検討をしているということでございます。

逢坂委員 それ以降のことについては全く検討していないということでしょうか。どうもその辺の言葉がよくわからないのでありますけれども、十九年の今の計画の中に入っているという意味ですか、それとも、それ以降の時代のものについては全く検討も何もしていないということですか。その辺、明確にしていただきたいと思います。

塚田参考人 今検討していますのは、まさに、何度も申し上げますけれども、十九年十月までの話でございまして、先生御指摘のところが今入っているかどうかはわかりませんけれども、それ以降については私どもまだ具体的な検討に着手していないということでございます。

中谷委員長 集配局の統合についてはその計画に入っているんですか。

塚田参考人 要するに、全体、全部で四千七百ございますけれども、それを、十九年十月までのものについて具体的に今検討をしているということでございまして、それ以後のものについては検討はしていないということであります。

 新聞の、書いてあるものについて、そういう事実はございません。

逢坂委員 ただ、塚田執行役員さんですか、新聞にここまで詳しく出て、実は、具体的な局名も全部出ているんですよね。こういう情報というのは、新聞社が勝手につくるはずはもちろんありませんし、ここまで詳しいものというのは、本当に、内部で全く検討していないということでよろしいんでしょうか。上乗せですよ、私が言っているのは上乗せの部分ですけれども、これは実は北海道新聞では、「もっと知りたい」という何か特集のコーナーがありまして、「郵便集配業務の統合」なんというのを特集でやっているんですよね。それから新聞記事にも具体的に局名が出ている。

 それでは、これは、新聞報道は全くのガセだったということでしょうか。

塚田参考人 先生が御指摘の地域についてどうかというのは別途またお話をしたいと思いますけれども、四千七百の中で今やっていますのは、集配業務を集約するわけでございますけれども、それが局舎的に入るとかどうかという観点からも検討しておりまして、それ以外のものについてはまた別途検討したいということでございまして、具体的なものはまだ検討していないということであります。

逢坂委員 何か日本語としてよくわからない。別途検討したいと思います、まだ検討していませんという、よくわからないんですが、これ以上きょうここでやってもどうしようもないと思います。ただ、これは地域にとっては非常に重要な問題でございますので、それで、もう地域で反対運動まで起きているということでございますので、もしきょうの御答弁が事実と違っていれば、これは大変なことになりますので、その点、十分お考えをいただきたいと思います。

 それと、私、お願いをしておきたいんですが、こうした計画をつくるときに、計画が決定するまで表へ出さないとかそういうことはしないでいただきたい。やはり、先ほど竹中大臣もおっしゃいましたとおり、いろいろな将来の大きな構想を描くときには、多様な目線を入れてやはりその計画というものをつくり上げていくことが大事だと思うんですね。したがいまして、計画の決定をする前にこの地域の声をきちんと聞くとか、決定してしまってからこれで進みますよという説明会を開くなどというような前近代的なやり方はしないように、くれぐれもお願いしたいと思いますけれども、この点、よろしいでしょうか。

塚田参考人 現在、この検討につきましては、三月末を目途に内部的な検討を行いまして、その後、四月以降、公表いたしまして、地方公共団体等にも御説明をするということにしております。

逢坂委員 今何かちょっと私キツネにつままれたような気持ちだったんですけれども、皆さんいかがですか。三月末までに検討いたしまして四月には公表するとおっしゃっていましたけれども、それは何の計画のことでしょうか。

塚田参考人 私どもの集配拠点の再編でございまして、どういう局が統合されるのかどうかにつきまして今検討している最中でございまして、それが三月末に……(発言する者あり)平成十九年以降のものについてはまだ検討していないということでございます。

逢坂委員 それでは、もう一度先ほどの新聞記事を私ちょっと説明したいと思いますけれども、いわゆる二〇〇七年十月までの集配局の計画は検討しているよ、その上乗せ分については全く、まだ検討どころか何にもないんだ、それについては職員団体ともどことも協議をしているわけでも何でもない、そのスケジュールすら何も決まっていないんだ、検討すらしていないということでよろしいんですね。

 であるならば、私、後にきちんと新聞記事をお出ししたいと思いますけれども、これは明らかに間違っている報道だというふうにとらえていいわけでしょうか。それとあわせて、この新聞報道に基づいて北海道内では反対運動のようなものが今起こりかけているわけですが、それらについても、それは間違った情報に基づく間違った行動だというふうにとらえてよろしいでしょうか。

塚田参考人 新聞のこれで見ますと、十九年十月までにどのぐらいの再編をするかにつきましては、昨年の十二月に、年度末に組合等に御説明した内容でございまして、今現在はそれについて検討しておりまして、それ以外のものについて、それは十九年十月以降の話だと思っていまして、それについては、まだ具体的なものはやっていないということでございます。

逢坂委員 非常に重大な発言だというふうに思うわけですが、今のお話、本当によろしいでしょうか。よろしいですか。はい、わかりました。それでは、新聞記事の内容も含めてこれは間違っているんだという理解を、この時点では私もさせていただきますが、後に新聞記事もまた、まあ御存じかもしれませんが、お送りをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、ちょっとお聞きをしたいんですが、なかなか難しい問題がたくさんございまして、実は、自治体では消防力の強化というのは非常に重要な問題でございまして、そこに多額の一般財源も投入している。いろいろな部分は節約できるんだけれども、どうしてもこの安全、安心を守るというところの削減というのはなかなかできないわけでありまして、そういう中で、今般、消防庁の方から消防本部の広域化の方向性が打ち出されたというふうに伺っておりますが、具体的スケジュールと手順についてお伺いをいたします。

板倉政府参考人 私ども消防庁におきまして、消防の広域化を推進するということで、消防組織法の一部改正案を今通常国会に提出させていただきたいということで、現在、準備作業を進めております。

 その法案の中身といたしましては、消防庁長官が消防の広域化についての基本指針というものを定める、それに基づいて各都道府県で推進計画を定める、各市町村においては、協議の上、実際の広域化に係る計画を作成していただいた上で広域化を進めるというようなことを想定しております。

 スケジュールでございますけれども、消防庁長官が定める基本指針におきまして、当面、重点的にやはり広域化を推進する期間というのを定める必要があるだろうというふうに考えております。具体的には、法律を通していただいた前提でございますけれども、十八年度の前半にその基本指針を策定させていただいて、十八年度の後半から十九年度にかけて都道府県で推進計画を策定していただく、その後五年程度で広域化を実現するということを当面のスケジュールとして私どもは想定いたしております。

逢坂委員 現在、全国で市町村合併がどんどん進んでいるわけです。その市町村合併は合併として、ある程度進む、進まない、いろいろあるかと思いますが、それとはまた別枠で消防本部の合併が進む、広域化が進むということになって、出されたペーパーを見ますと、一応三十万人というのをある種の規模にしている、あるいは、地理的条件だとかいろいろなものを配慮して地域の実態に合わせるということを言っているわけですが、この市町村合併との整合性というか、混乱は起きないんでしょうか。そのあたりの見解は消防庁としてどうか、お伺いいたします。

板倉政府参考人 市町村合併につきましては、基礎自治体であります市町村の行財政基盤を強化する必要性から推進が図られているというふうに理解をしております。

 他方で、常備消防につきましては、市町村が単独で処理をするよりも、共同、広域で処理をする方が効率的、効果的である場合が多いということでありますので、これまでも、一部事務組合方式でありますとか事務委託という方式によりまして共同ないしは広域処理を推進してまいったところでございます。現に、今回の市町村合併によりまして減少する市町村で、本年四月以降で大体千八百ぐらいになると言われておりますが、その市町村のうちで千三百程度は、共同・広域処理方式をもう現にとっているということでございます。したがって、全国の消防本部数は八百二十九ぐらいになるだろうというふうに想定をしております。

 市町村合併につきましては、これまで一定の進展が見られたところでございますけれども、合併が一段落をしました段階の市町村の状態で考えましても、あるべき規模の消防本部を設置できない地域も多いというふうに見ておりますので、消防につきましてはより一層の広域化を推進する必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 今の話を踏まえまして竹中大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、今、市町村合併は合併として進むと。それで、竹中大臣も、行政運営にはある程度のスケールメリットが必要なんだというお話をされているわけですが、私も、スケールメリットというのは非常に大事なものだと思います。

 しかし、今の話を聞きますと、消防本部は消防本部としてのある種の地域のまとまりというものが多分効率的な運営には必要なんだろう。そういう観点から考えてみますと、実は基礎的な自治体が担う業務というのは、廃棄物なら廃棄物なりのある種の広がり、適正な広がり、あるいは医療なら医療なりの適正な広がりというんでしょうか、あるいは介護のサービスを提供するにはまたその消防のサイズとは別な広がりというんでしょうか、その適正な広がりというのは分野によっていろいろと違うのではないか、そういうふうにも思うわけですが、この点についていかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、消防以外にいろいろなものがあるんだろうと思います、なかなか今ちょっと思いつきませんが。その意味では、適正なというか最適な活動圏、エリアというのは、行政区域を越えて、またいで、関係なく存在し得るということは、これは確かにあり得るんだろうというふうに思います。

 そのような問題、個々にどのように解決していったらいいのかということに関しては、別途、その都度その都度必要に応じて知恵を出していかなければいけないというふうに思いますけれども、恐らく、特に人口密集地になってくると、ここが市の境、県の境といってもほとんど関係なくなってくるでございましょうから、そういう問題は確かにあるだろうと思います。

 そういう観点からも、いろいろな意味で広域でいろいろやった方がいいんじゃないかというのが、だからこそ私は出てくるんだと思いますし、それで行政をどんどん広域にすると道州制のような話も出てくるわけでございますけれども、そういうことも問題意識に置いて個々の問題を考えていく必要があろうかというふうに思います。

逢坂委員 そういった観点からいたしますと、私は、市町村合併は合併として進めるという、その思想はわかるわけですが、最終的には、どんなに合併をしたとしても、あるいは合併をしないといって小さなところも残ったりするわけですが、分野ごとの連携というものはこれからやはり非常に重要になるのだろうというふうに思うわけです。その点で、基礎的自治体のある種の多様性というものをこれから認める方向というのがどうしても必要になってくるのではないかと思うわけですが、このあたりはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員の御指摘は、自治体そのものの多様性を認めるということに関して申し上げれば、私もそのとおりだと思います。

 ただ、難しいのは、一方で、ある程度のスケールメリットがあって、ある程度の規模が要りますねということ、しかし一方で、非常に個性ある小さなところもあってもいいですねということでありますので、現実にそれがどのように分布していくのかというのはなかなかにわかには申し上げかねますけれども、そういう小さくて、まとまって、個性を発揮した自治体というもの、これは当然否定する必要はないわけで、まさにそれこそが地方の独自性でありますから、そういうところはやはり多様にやっていく。

 ただし、これから人口が少なくなって、財政も厳しい中で、やはり一種の持続可能性をみずからの責任で持っていただけるような、そういうことは必要な条件にはなってくるのだろうと思います。

逢坂委員 持続可能性のある地域のあり方というものについては私も全く同感でありますので、今後また、あるべき地域の姿の構築に向けて、ともに知恵を出していきたいというふうに思います。

 次に、LGWANについてちょっとお伺いをしたいんです。

 LGWAN、私は英語が余りよくわからないんですけれども、ローカルガバメント・ワイドエリア・ネットワークというんでしょうか、要するにITのネットワークで全国の自治体をつなぐという仕組みでありますけれども、このLGWANの整備に国と自治体が要した経費の総額、それと、どこの年度でもいいんですけれども、これの維持経費、もしおわかりになりましたらお知らせいただけますでしょうか。

高部政府参考人 LGWANの整備に要する費用でございますけれども、平成十二年度に実証実験費用といたしまして国が約十五億円、その後、十三年度から平成十五年度に地方公共団体におきましてLGWAN接続に必要な機器等の整備費用として約五十七億円ということで、合計約七十二億円。

 それから、単年度の費用でございますけれども、平成十七年度で見ますと、維持管理に要するコストといたしまして、約三十四億円という見込みになっております。

逢坂委員 非常にこれは多額のお金をかけて整備をし、自治体もそれに呼応して整備をしたわけでありますけれども、現在の利用率はどの程度のものかというのをお伺いしたいということと、実は全国の自治体では、すべての自治体がそうだというふうには私も承知しておりません、すべて調査しておりませんので、このLGWANと、以前といいましょうか従来から自治体が整備をしているLANが併存している、すなわち二重投資のような状況になっているところがあるわけですが、この実態を把握しているかどうか、もし把握しているとするならば、これについてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

高部政府参考人 LGWANの利用状況、利用率というような御指摘でございました。

 LGWANでございますけれども、電子自治体のネットワーク基盤として、大きく三つぐらいの役割を持っているのではないかというふうに考えているところでございます。

 まず一つは、地方公共団体の間で情報交換、情報共有を行う行政専用のネットワークという意味合いがあろうかと思いますが、こういうものとして、このLGWANを経由して行われる電子メールの年間利用件数というようなものを考えてみますと、これも大分ふえておりまして、平成十七年で見ますと、その前の年に比べますと六割強ふえておりまして、約三千五百六十万件といったような状況になっております。

 それから、もう一つの機能といたしまして、電子申請でございますとか電子調達といったようないろいろなアプリケーション等をお安く、共同で使って提供できるネットワークというような意味合いがございまして、こういうものといたしましては、アプリケーションの提供件数が、平成十六年末には七十二件といったようなものが平成十七年末には九十八件というふうに、順次ふえているといったような状況でございます。

 それから、三つ目の役割として、国と地方公共団体を結ぶといったような役割が期待できるというふうに思っております。これも、LGWANと、それから国の方で霞が関WANというのがございますが、こういうものと結びついて、国の例えば情報システムとつながっていくというような役割があるわけでございますが、こういうものといたしまして、平成十六年末には十六件ございましたけれども、十七年末には二十件というような形で、順次ふえているような状況でございます。例えば、今のものでいいますと、財政融資資金の事務のオンラインシステムといったものをこういうもので経由できるといったような効用が期待できるわけでございます。

 こういうものについて順次役割が広がっているという認識がございますけれども、大きく三つの役割を申し上げましたけれども、こういうものがさらに活用されるといいますか、使われるということが大事ではないかというふうに思っております。

 二点目にお話しいただきました、既存のLAN等との二重投資の問題の御指摘がございましたけれども、ただいま申し上げましたように、LGWANというのが行政専用ネットワークということで、ただいま申し上げましたような役割を担うということでもございますので、既存の例えばインターネット等を通じたものと、役割の面で新たな専用のものが必要になってくるということもあろうかと思いますので、ある意味では、ちょっと別途こういう形で整備させていただいたということになろうかと思います。

 併存状況というのは、今団体数でどうなっているかというのは把握してございませんけれども、ただ、今委員御指摘の点でいいますと、全国的なネットワーク等々を整備するということになったときには、効率的に、既存のいろいろな取り組みといろいろな調和をとりながらうまくやっていくという問題意識はいつも必要なのではないかなというふうに思っているところでございます。

逢坂委員 電子ネットワークといいましょうか、コンピューターのネットワークといいましょうか、要するにネットワークというのはつながっていることが非常に重要なわけでありまして、かつての古い概念で、電話回線をどこかとどこかをつなぐというようなものではないはずなわけですよね。その意味において、確かに、これは行政利用だからある種独自のネットワークを組んだんだということではあるんですけれども、本来のIT、ICTというふうに今言うんでしょうか、それの精神から考えると、少しずれているのではないかという気が私はするわけであります。

 現に、全国の市町村の現場で、今もう既にネットワークがある、しかも、ドメイン、ドメインというのは御承知かと思いますが、今問題のアットマーク以下の、あのドメインですね。ドメインもそれぞれの自治体が全部とっているわけですが、さらにまた新たにドメインを付与して、そちらへ切りかえるのか切りかえないのかというような状態も生まれているわけでありますので、今後こうしたものの整備をする上ではぜひともこういうことのないように、もし仮にさらにまた別の分野で何かネットワークが必要になったら、また屋上屋を重ねるのかということにもなりかねませんので、ぜひ、情報化を推進する官庁でも総務省はございますので、この点について再度御見解をお聞かせいただきたいと思います。

高部政府参考人 LGWANにつきましては、先ほど申し上げましたような目的を持って整備されたところでございます。

 ただいま委員御指摘の点につきましては、私どもとして十分留意しながら今後進めていかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。

逢坂委員 そういうことで、これはよろしくお願いしたいと思いますが、この点について大臣の方から御見解を。

 無駄な二重投資と思われる、そこまでは断定しませんが、そういうこともあるということをひとつまず御理解いただきたいと思います。これはなかなか国民の目には見えない部分でございます。その点で、私とタッグを組めば、もっともっといろいろな山がありますよということでございますので。

 それと、午前中の大臣の答弁の中で、会計方式に関する質疑がございまして、その中で、なかんずくという言葉をつけて、地方団体がおくれているようなニュアンスの発言がございました。これは奥野先生の質疑だったと思いますけれども、大臣、実は、バランスシートに関しましては、昭和三十七年の地方財務会計制度調査会、有名な田中二郎先生が座長を務めていた調査会ですけれども、これで既にバランスシートの指摘がされております。昭和三十七年でございます。これが一番先かどうかは私は存じ上げませんけれども、もう既にこういう状態のときに、昭和三十七年に財務会計制度はバランスシートを導入しなければいけない旨の指摘がされているわけですね。ところが、残念ながら、これの指摘というのは実現に至らずに、ずっと時間が過ぎてまいりまして、その実現をしたのは実は国ではなくて自治体の現場で、具体化をいろいろなところが試行錯誤しながらやってきたという実態がございます。

 したがいまして、なかんずく地方団体がおくれている旨の発言というのは、今総数として見れば、それは地方団体やっていないところもあるかもしれないんですけれども、実は新たな政策というのが自治の現場から生み出されているんだということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 したがいまして、これから総務省の政策を進める上で、ぜひとも、先ほどファクトという言葉がございましたけれども、自治の現場に立ち返るということを常に御留意いただきたいということで、先ほどの二重投資の件とこの件について御答弁をお聞かせいただいて、私の時間終わったようですので、終わりたいと思います。

竹中国務大臣 第二の点のバランスシートの問題、確かによく承りました。私は、千八百になる自治体全体にまだ行き届いていないという点だけを申し上げようとしたんですが、その経緯からして、地方の自治体がそういう努力を先駆的にやってきたということは改めて認識を深くしておきたいと思っております。

 そして、LGWANの話は、私も実は御指摘いただくまで存在すら、申しわけないんですが、余りよく知らなくて、勉強させていただき、少しけさから勉強しているところでありますが、確かにネットワークというのはつながっているからネットワークなわけですね。ところが、これはクローズドなネットワークですと言われて、つながらないネットワークなのかと。

 これは確かに、セキュリティーという観点とか、そういう観点から必要なのかもしれません。しかし、セキュリティーというのは別の技術でカバーできる面があるのかないのか、そういう点も含めて、さらには、これは速度とかそういうものでいろいろ差別化ができるのかできないのか、そういうことも含めてしっかりと判断をしなければいけないというふうに思いますので、常にそういう点に関しましては留意をしてまいりたいと思います。

逢坂委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

中谷委員長 次回は、来る二十七日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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