衆議院

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第17号 平成18年4月20日(木曜日)

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平成十八年四月二十日(木曜日)

    午後二時六分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    松本  純君

      松本 洋平君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      村井 宗明君    森本 哲生君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 吉夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 岡本 佳郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     新藤 義孝君

  実川 幸夫君     松本  純君

  土屋 正忠君     鈴木 馨祐君

  永岡 桂子君     松本 洋平君

  田嶋  要君     村井 宗明君

  福田 昭夫君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     石破  茂君

  鈴木 馨祐君     土屋 正忠君

  松本  純君     実川 幸夫君

  松本 洋平君     永岡 桂子君

  村井 宗明君     田嶋  要君

  森本 哲生君     福田 昭夫君

    ―――――――――――――

四月十九日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)

同月十八日

 シベリア抑留問題の早期解決に関する請願(仙谷由人君紹介)(第一四九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十三回国会閣法第八号)

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 この際、谷人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。谷人事院総裁。

谷政府特別補佐人 このたび、人事院総裁を命ぜられました谷公士でございます。

 これまで二年間にわたりまして人事官として人事行政の適切な運営に努めてまいりましたが、これからは人事院総裁として公務員制度改革を初めとする諸課題に取り組み、人事院の使命達成のために全力を傾けてまいる所存でございます。

 委員長を初め委員の皆様方から御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

中谷委員長 第百六十三回国会、内閣提出、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村吉夫君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、自治行政局長高部正男君、情報通信政策局長竹田義行君及び国税庁長官官房審議官岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡部英明君。

岡部委員 自由民主党の岡部英明でございます。総務委員会、初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、e―Japan戦略にかかわるお話をちょっと聞きたいというふうに思っています。

 二〇〇一年の一月に政府のIT戦略本部で決定されましたe―Japan戦略において、我が国は五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すという目標が掲げられました。そのための重点政策分野の一つとして電子政府の実現があり、そして電子政府というのは、行政内部また行政と国民及び事業者との書類ベース、対面ベースでの業務をオンライン化、そしてその情報ネットワークを通じて省庁横断的、国、地方一体的に情報を瞬時に共有、活用する行政を実現するということでございます。そして同年三月にはe―Japan重点計画が策定され、申請、届け出等の手続の電子化、そして六月にはe―Japan二〇〇二プログラムの公的個人認証サービスの基盤整備の推進が定められたわけでございます。

 まず初めに、大臣にお伺いしたいと思います。

 我が国は五年以内に世界最先端IT国家を目指すという目標を掲げたわけでございますが、e―Japan戦略、特に電子政府・自治体の推進状況について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 岡部委員から、e―Japan戦略、とりわけ電子政府、電子自治体、そして公的個人認証サービスの現状についてのお尋ねでございます。

 まず、電子政府について申し上げますと、電子政府構築計画、これは平成十五年に決定されて十六年に改定されているものでございますけれども、これらに基づきまして、利用者本位の行政サービスの提供及び予算効率の高い簡素な政府の実現を目標としまして、幾つかのことが行われてまいりました。

 具体的には、国の行政機関の申請や届け出等の手続については、手続の約九六%のオンライン化を行った。七十六分野の業務、システムについて、業務や制度を見直して、システムの共通化、一元化等を内容とする最適化計画を策定する。そうしたことに取り組んできたところでございます。

 この点では、今後の取り組みについては、さきのIT新改革戦略、ことしの一月に決められたものの中で、オンラインの利用率、手続が可能かどうかじゃなくて、利用率を二〇一〇年度までに五〇%以上とすること、そして政府全体の情報システムに対するいわゆるPDCAサイクルを確立して最適化を図ること、そうした目標を掲げまして、それを達成するために必要な、新重点計画においても具体策を定めているところでございます。これらの施策を確実にぜひ実施していきたいというふうに思います。

 電子自治体について申し上げますと、庁内LANでありますとか、一人一台パソコンの実現、そして電子申請受け付けシステムなどの基盤整備を着実に進めてきたところでございます。現在、この点では、市町村を中心に一層の基盤整備を進めるとともに、その利活用を進めているところでございます。

 最後に、公的個人認証サービスについてでございますけれども、これは電子政府、電子自治体を実現するための基盤として大変重要なものでございます。例えば、成り済ましとか改ざん、さらには送信の否認など、我々が持っているいろいろな課題を解決しながら、オンライン上でも確かな本人確認ができる個人認証サービスを全国どこに住んでいる人にも安い費用で提供するものであります。本改正案を提出させていただいたこともその目的でございますし、公的個人認証サービスの普及に向けた取り組みをさらに進めたいというふうに思っているところでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 ただいま公的個人認証サービスの意義というものもお伺いしたわけでございますが、民間にも認証サービスがあるわけでございます。その意義というものを改めて、民間とのすみ分けという部分も含めてお伺いしたい。公的個人認証サービスそして民間認証サービス、これは将来、公的認証サービスの役割というものが、その中で改めてこの場で明確になればというふうに思うのでございますが、公的、民間のすみ分けの方をお伺いしたいというふうに思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 民間でやっております個人認証と公的な部分のすみ分けというようなことでございますが、公的個人認証サービスを開始いたします時点のやや前のころから民間の個人認証が始まっていたというようなタイミングでございました。

 公的個人認証につきましては、特に一つは、行政関係の申請手続等のオンライン化ということに対応して、そのための基盤を整えるといったことが目的になったということがあろうかと思います。

 それから、今のものとも関連いたしますけれども、そういうことでございますので、既に始まっておった、あるいは制度ができておりました民間の個人認証とは適切な役割分担をするということがございまして、現在の制度では行政等への手続等を中心とするものに対応するような形になっているということが二点目でございます。

 それからもう一つ申し上げますれば、公的な個人認証基盤でございますので、どこでも安く手に入れることができるといったようなことも目指したわけでございます。

 これらが特徴と言えるのかもしれないと思っているところでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 民間ですと、大体年間に一万円ぐらい認証サービスにかかるということで、公的なものだと五百円ですか、三年間で五百円、非常に安くなったということは国民にとって大変メリットがあるのかなというふうに感じますが、まだまだ利用する範囲が狭いというところがあるのかなという気がします。また後ほどちょっとその点についてお伺いさせていただきます。

 現在のオンライン行政手続、公的個人認証サービスの普及状況というものをお伺いしたいと思います。先ほど大臣の方から利用率五〇%を目指すというお言葉がございましたが、現在の状況をお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 国の行政事務についてのオンライン化の利用状況についてのお尋ねでございます。

 まず、分母の方でございますが、分母は、実は国の行政機関が行う申請手続等というようなものは約一万四千二百件ぐらいあります。そのうち、大臣から申し上げましたとおり九六%、約一万三千七百件ぐらいがオンライン化が可能になるということになっております。

 それで、その一万三千七百件ぐらいの実際の申請件数、年間申請件数がどのくらいかと申しますと、七億八千万件ぐらいの申請があるというふうに考えておるわけでございます。ただ、これは、実は手続によって実際の申請件数というのはすごくばらつきがございまして、年間十万件以上そういった申請が行われている手続の数、これが百七十余りなんでございます。それで、実際の申請件数が七億七千万件、約九八%。九八%が、実は一種類当たり十万件以上の毎年の申請、すごく大量の申請がある手続で占められているということでございます。

 それで、冒頭申し上げました一万四千二百件ベースのオンライン化利用率というのは、これは恐縮ですが把握してございませんが、年間十万件以上の、いわば重点的に対象にすべき手続、それの利用状況については把握しておりまして、これが平成十六年度末で約一一%ということになっているところでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 一一%という数字が出て、ちょっと年数が違うのか尺度が違うのかわからないんですが、〇・五とか〇・四%という、分母の違いなんでしょうが、そんな利用率だというふうなデータも聞いております。

 一一%は、政府として今どんな数字としてとらえているのか、その評価をお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 率直に申し上げまして、こういう手続が一一%の利用にとどまっているというのは、まだまだ努力が足りない数値というふうに認識しております。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

岡部委員 非常にまだ思うような数字でないということでございますが、なぜオンライン化が浸透しないか、普及しないか、そして利用につながってこないか、その辺の原因をどのようにとらえているか、お願いいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 率直に申しまして、オンライン化するということは、特に今申し上げました十万件以上の申請があるようなところ、これは実は、国の場合はほとんど企業とか司法書士とか税理士さんとか社会保険労務士さんとか、いわば事業者の方がかかわっている手続なんです。そういったところでオンライン化していただくということは、今までわざわざ役所の窓口に行ったり郵送していたのが直接オンラインでできる、瞬時にできるということで、多分、コスト的にもマンパワー的にも時間的にも非常にメリットのある手続でございます。

 それがなぜ利用されていないかというところで、私どもも、いろいろ関係する方、特に現場を知っておられる方、そういった方の意見をお聞きして回りました。

 そうしますと、やはり使い勝手が悪いとか、あと、実際そういう仕組みがあるのを知っていなかったという方もいらっしゃいます。それだけじゃなしに、使い勝手の一つなんでしょうが、多分ちょっと御質問にあったと思うんですけれども、せっかく表書きはオンラインにできても、添付書類とか手数料納付、こういったものは別途いわばマンパワーでやらなきゃいかぬ、そういう手続になっているというような、いろいろな御指摘をいただいたところでございます。

 何しろやはり一番の問題は、こういう便利な手続をもっと実感していただくということがこの普及の一番のポイントだと思っていますので、そういう認識のもとで新たな利用促進の行動計画をつくろうとしたというところでございます。

岡部委員 今いろいろ、なかなか普及しない原因というものがあったわけでございますが、私も、今回質問するに当たって、自分で住基カードをつくり、また電子証明書をつくってきたわけでございますが、それまでつくっていなかったということであります。

 それで、実はいろいろやろうと思いまして、先ほど言われたように、調べましたら、やはり電子で申請しましても、なかなか添付書類が、例えば厚生年金の資格届、過去に年金手帳を取得していると年金手帳を、扶養家族がいれば被扶養届を添付する必要があり、電子申請システムでは添付書類の確認ができないために、それを社会保険事務所に別途郵送するか持っていかなければいけない。結局、電子申請をしますと、郵送して戻ってくるまでに余計時間がかかってしまう、そういう不都合がある。

 また、聞きますと、例えば韓国では、非常にIT大国、そして電子政府の方も、範囲の方は日本よりは、約一〇%ぐらいの電子化率しかないわけではございますが、利用率の方はかなり日本よりも高いということでございます。その中の一つのホームページはワンストップ化が進んでおりまして、日本の方も四月から始まったというふうには聞いておりますが、その辺のワンストップ化の進展状況というものをお伺いしたいというふうに思っています。

藤井政府参考人 ワンストップ化についてのお尋ねですが、ワンストップ化といってもいろいろバリエーションがありまして、例えば車検関係とか港湾関係とかあるいは通関関係とか、そういうもろもろの、一つの仕事のために幾つもの手続をまたやらなきゃいかぬときに一つの手続で済ませる、そういうワンストップ化というのは、これは別途、各省で今進めていただいているところでございます。

 私どもは、それだけじゃなしに、せっかくオンライン化したんですから、手続は普通、各省に申請することになるんですが、国民の側にとっては、どの事務をどこの省庁がやっているかということも十分わかっていない場合もある。やはりそれは、窓口はいわばバーチャルですけれども、インターネット上は政府のポータルサイトとしてe―Govというのがあるんですが、そこに統一的な窓口をつくるというのは簡単なことでありまして、実はそういうことで、政府のe―Govのポータルサイトの一番目立つようなところにそういう統一の窓口を今つくることとしたところでございます。

 この窓口で各省の手続が、これは逐次ということなんですが、すべての省庁がここを通じてできるようにするという形で国民への利便の向上を図ろうということに努めているところでございます。

岡部委員 ワンストップ化、電子政府を進めていく上ではもう前提条件ではないか。私は、例えばインターネットに詳しくない方にとっては、どこを探して、どこをどうすればそういう電子申請ができるのか、それさえもなかなかわからないという方が多いんではないか。そういう意味では、ワンストップ化、そしてまた、韓国のように、先ほど言ったような添付書類をなくして、電子申請をすればすべてそこで手続が済んでしまう、そんな形を早く整えるべきではないかというふうに思っています。

 ぜひ利用率を高める、そのためには、やはり利用者にとって、まず利便性というものが前提条件で、さらにメリットを感じられるようなインセンティブを与える、そんな施策をしていかなければならないというふうに思います。役所へ行って申請するよりも時間がかからない、また待たなくてもいい、そして簡単だ、または申請料が窓口に行ってするよりも安く済む、そういうインセンティブを考えなければなかなか進まないんではないかなというふうに思っています。

 今回の法案、公的認証サービスの改正案ではございますが、ぜひそこのところを深める意味でも、今回は士業団体ということでございましたが、私は、士業個人にもこの認証を進めるような、そんな考えも一つあるんではないかなというふうに思っています。

 なぜ今回は士業個人ではなく士業団体までとしたのか、お教え願いたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 この法律に基づきます公的個人認証サービスでございますけれども、利用者が電子署名を行ったことを確認することができる者の範囲を限定いたしておるところでございます。具体的に申し上げますと、IPアドレス、ネットワークに接続されたコンピューターの識別番号のことでございますが、このIPアドレスを事前に登録することによりまして、無資格者によるアクセスを排除するといった方法をとっているところでございます。

 今回の改正で想定されます司法書士の方あるいは行政書士の方等、いわゆる士業個人等に直接この失効情報を提供することといたしますと、その数が膨大となりましてアクセス管理が難しくなるといった点から、今回の改正案では、連合会等の団体を団体署名検証者として、これを経由して士業個人等が本人確認を行うということにさせていただいているものでございます。

岡部委員 IPアドレスの管理が難しいということでございますが、本当のIT社会が来たときには、これはもう士業個人だけではなく、民間まで含めると非常に多い署名検証者が出てくるわけでございます。そうなったときに、では、果たして民間ではできないか、そんなことは私はないというふうに思っています。ぜひ、そういう意味では、御検討をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 質疑時間が終了ということでございますので、どうもありがとうございました。

谷委員長代理 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 二十分お時間をいただきましたので、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 今回の公的個人認証サービスを拡大していくという法案は、もう本当に時宜にかなったものであると思いますので、当然賛成をいたしますが、実は、その前提となる住基カードについては、私はちょっと個人的にいろいろ思い入れがございます。

 この総務委員会の前身であります地方行政委員会に七年前に所属しておりまして、住基カードの法案の審議、当時、公明党は野党でした、自自連立政権で、小渕総理、野田自治大臣のもと、かなり長い時間審議をした法案でございます。その前提として、自治省の方でつくられた勉強会が中間報告等を出して、野党でしたけれどもきちんと御説明をいただいて、住基カードのあり方というのをずっと勉強してきたんです。

 法案の審議に入っている中で、実は、九九年の二月ごろだったと思いますが、韓国に民主党の河村たかしさんたちと一緒に視察に行かせていただきました。すばらしいという声がありましたが、実は、河村さんは大臣と一緒に私の大学の先輩でありまして、そういう関係もありまして一緒に行きましたが、そのときに韓国では住基カードの実験をやっておりました。ソウルの南側の果川市、そこでちょうど一年間、実証実験をやっていまして、その結果が出るということで、自治省の方にお願いしまして、見に行かせていただきました。

 では、一年間やって、どうだったのかということなんですが、果川市の結果は、住民から、ノーだ、住基カードは要らないと。たまたま私たちが韓国・ソウルに行った日に、韓国の国会の方で住基カードはやめましょうという法案が通った日でした。

 なぜそうなったのかということを、果川市まで実際に行かせていただきまして、現場でいろいろお話を伺いました。そのときの韓国政府側の説明では、ずっとやってきたけれども、やはり住民の皆さんが、住基カードのチップの中にどういう情報が入っているのかがわからない、いろいろ実験して、いろいろな画面に全部入っている情報を見せたり、あるいは見られないようにしたり、いろいろなパターンで住民の皆さんに実験していただいていたんですが、やはりそのチップに入っている情報が読めないということに対して物すごい不安がある、だから、ちょっと嫌だなという方が多かった。

 もう一つ、政府の方でいろいろ統計をとってみたけれども、ICチップを入れたカードをつくる、その初期投資、ランニングコスト、そういったものを考えた場合に、やはり余りコストパフォーマンスがよくないんじゃないかと。

 この二点が、大きく、住民の皆さんに一年間実験したけれどもだめだと言われた理由だったんですね。

 私、それを持って帰って、この地方行政委員会で、韓国でこうだったけれどもどうですかと聞いたら、まだ当時自治省の皆さんはそういう情報がなかったのでわかりませんと言っていました。いろいろな参考人とか、意見を聞きましたら、チップに入っている情報が外に漏れることはないし、絶対安全なんだというふうに、当時、東工大の先生でしたか、来ていただいて、いろいろ話がありました。また、このIC化、今e―Japanとやっていますけれども、こういうものが進めば、必ずカードも相当枚数が出て、コストパフォーマンスもよくなるんだという御説明だったんですね。

 今回、この法案を審議するに当たり、いろいろな資料をいただきました。基本的に、「公的個人認証サービスの全体像」という説明をいただいたんですが、この前提でこういうような説明がありました。

  公的個人認証サービスを利用して電子申請等を行おうとする住民はこれに先立ち、まず電子証明書の発行を受ける必要がある。電子証明書の発行は住民が住民基本台帳に記録されている市町村の窓口で行われる。担当者が住民の実在性・本人性を確認した後、窓口に設置された鍵ペア生成装置を用いて住民自身が公開鍵・秘密鍵の鍵ペアを生成する。基本四情報と公開鍵を含む電子証明書及び秘密鍵は一定の基準を満たしたICカードに格納される。なお、現在該当するICカードは住民基本台帳カードのみである。

ということになると、このシステムをどんどん広げていくためには、この住民基本台帳カードが本当に大事になるんだと思うんですね。

 そういう意味で、ちょっと数字を教えていただきたいんですが、住民基本台帳システム構築に要した初期投資費用額、また、もう三年間運用していると思いますが、毎年度の運用のランニングコスト、そして住基カードが今一体何枚発行されているか、この数字をちょっと教えていただきたいと思います。

高部政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、初期投資といいますか構築経費でございますけれども、平成十一年度から本格稼働した平成十五年度までの合計で約三百九十億円となっております。

 それから、毎年のランニングコストでございますけれども、平成十七年度は約百八十億円、それから平成十八年度は、市町村合併等で市町村の数が減ること等の影響で、約百四十億円というふうに見込んでいるところでございます。

 それから、住民基本台帳カードの交付枚数でございますが、二年を経過した昨年八月末の時点でございますけれども、交付枚数は約六十八万枚といったような状況になっているところでございます。

富田委員 今、局長の方で言っていただいた数字、ちょっと平成十六年度の運用コストが落ちているんですが、これは約百九十億円というふうに聞いているんです。こんな計算は正確ではないと思うんですが、今の初期投資額と運用コスト三年分を合わせると約九百億、発行されている住基カードの枚数が六十八万枚。先ほどその席でちょっと割り算してみたんですが、一枚十三万二千三百五十二円かかる。これはちょっとコストパフォーマンスがいいとはとても言い切れないと思うんですね。やはりもっと広がっていかないと、これはちょっと、先ほど岡部先生はカードをつくってきたと言われましたけれども、私は今の段階であんなカードを絶対つくりたくないなというふうに思っているんですが、やはり十三万円かけてつくるカードじゃないだろうというふうに思うんですよね。

 そのカードの中に今回の電子証明等が入っていくわけですから、この電子証明の方の開発コスト、運用コストは十五、六億ぐらいで大した金額じゃないということなので、そこはもういいと思うんですけれども、住基カード本体の方のそういうコストパフォーマンスを考えたときに、もう少し住基カードが広がるような方策というのをやはり総務省が主体となって考えていく必要があると思うんですね。

 では、なぜこれだけ、一%にも満たない人しか住基カードを取得しないのか、どういったところにそういう原因があるというふうに総務省は考えられているのか、ここをちょっと教えていただきたいと思うんです。

高部政府参考人 住基カードの枚数については、約六十八万枚にとどまっているということで、普及の状況については、これから力を入れて普及していかなければならない課題だというふうに思っているところでございます。

 ただ、一点、先生に御理解いただきたいと思うんですが、先ほど、住基ネットの費用、総額を申し上げましたけれども、住基ネットの費用の中には、当然のことながら、カードを通じてのいろいろなサービスのほかに、直接的に本人確認情報を行政機関に提供するという形での機能が入ってございますので、これは順次ふえているところでございます。これまでの時点でも、恩給事務等々について年間約三千万件の情報を提示しているところでございますし、さらに、ことしの秋には、厚生年金、国民年金等の支給事務における現況確認に使われることになりますので、これがさらに約二千六百万件と見込まれているところでございます。

 これらの数は、例えば住民票を添付する等々の手間が省けるといったような意味で、行政コストの削減でございますとか、住民の利便に資するといった面では大いに役立っているものではないかというふうに思っているところでございます。無論、住基カードの普及については重要な課題だというふうに認識しております。

 そこで、次の、普及しない原因はどこにあるのかといったような御指摘でございます。

 一つは、いろいろな要因があるかと思うんですが、やはりカードを持つことによって、メリット、利便を感じていただくということが一番普及の近道ではないかということだろうと思っておるんです。

 全体として見ると約六十八万枚、人口比で見ますと〇・五四%ということで、大変比率は低いのでございますけれども、市町村ごとに見ますと、人口比で二割を超えているといったような団体もあるところでございます。こういうところではいろいろな多機能化を図っているところでございます。

 この住基ネットのシステムは、条例で独自利用できる格好になっているわけでございますが、例えば、印鑑証明書、印鑑登録の証書がございますけれども、ああいうものと共用するとか、あるいは図書館のカードとかいったものと共用するとかというような形で、多目的利用を進めている団体ではかなり広まっているということがございます。

 私どもといたしましては、一つは、こういう多目的利用をぜひとも進めていきたいというふうに思っておりまして、実際、ことしの三月に報告書を出したんですが、住民基本台帳カードの利活用の検討会というのをつくりましたのも、このカードの普及がまだまだ十分でないという認識のもとで、どうやって進めたらいいのかという問題意識で進めたものでございまして、この研究会では、今申し上げましたような多目的利用を進めているような団体の事例もたくさん集めまして、他の団体への周知といいますか、情報提供といったようなことについてもやっていきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、もう一つ、カードそのものにつきましても、私ども相当努力してPRしたつもりではございますけれども、まだまだ住民の方々に十分御認識いただけていないという面もあろうかと思っておりまして、こういうPRといったものも非常に重要だなと思っております。

 それからもう一つは、先ほど来、今回のテーマでもございますけれども、いろいろな行政手続のオンライン化等々の関連での利用というのを進められれば、これまた住基カードの普及が進むということにもなろうかと考えております。

 こういういろいろな面でできる限りの努力を払ってまいりたい、かように考えているところでございます。

富田委員 ちょっと質問通告していた先のことも答えられちゃったんですが、今の、多機能化すれば利便性が広がるから利用者が広がっていくだろうというのは、それはいいんですよ。報告書を出して、なぜこういう報告書を通知したんだというのを聞こうと思っていたんですが、それはそのとおりなんですけれども、やはり〇・五四%にとどまっているというのは何か深い原因があるんだと思うんですね。幾らこれだけコンピューターが発達してIT化になったとしても、目に見えないものの中に入っている不安感というのは日本人は消えないんだと思うんですね。そこの部分をきちんと説明しないで、利便性が広がったからどうぞ利用してくださいといっても、やはり限度があると思うんですよね。

 システム自体はつくられて九六%がもう電子申請できるようになったのに、もともとのカードの方が〇・五四%しか持ってもらっていなかったらこのシステムは全然利用されないじゃないですか。そういう意味で、どうしてそこに原因があるのかというのを、検討会でもそういったところをもう少し踏み込んで議論すればよかったんじゃないかな。多機能化というのは、確かに便利になりますから、住民の皆さんもそれがわかれば、なると思います。

 局長が言われた、二割使われているというのは宮崎市の例ですよね。これは、印鑑登録証明書を住基カードと一体化する、印鑑登録証明は皆さん必ず必要ですからもらいに行く、それを無料化したから多分二割までいったんだと思うんですよね。

 そういう意味で、総務省の方で全国に三月十七日付で発出した「検討会報告書について」というのは、添付されている資料なんかも読ませていただきましたけれども、本当にいいことがいっぱい書いてある。これをどんどん広めるということは、住民、国民の皆さんがこんなに使い勝手がいいのかというのはわかると思うんですけれども、それでも、ではなぜ〇・五四%なんだというところを総務省の方できちんと議論しないと、また堂々めぐり。システムは準備できました、どうぞ使ってくださいといっても、実際カードを持っていないんですから使えませんよね。

 先ほど、岡部先生の方の質問で、なぜこれだけオンライン化できているのに進まないんだというところで、局長の方から添付書類等の問題があるというふうに答弁がありましたよね。私ももともと弁護士ですから、例えば、弁護士は裁判所の横に事務所を開きます。司法書士さんは登記所の横に、社労士さんだったらやはり社会保険事務所の近くに。要するに、士業の皆さんから聞くと、事務所へ行った方が早いんですよ、オンラインを利用するより。幾らこういうシステムをつくってもらっても、添付書類を持っていかなきゃならない、お金も、手数料もまた別の形で払わなきゃならない。それだったら、そんなことをやっているよりも、窓口にパソコンでつくった書類を持っていってぱっと出した方が早い、これが現実なんですよね。依頼される方も、自分で住基カードを持っていないし、そんなの使えない。当然、電子証明もないわけですよね。

 もっと根っこのところをきちんと総務省の方で議論して、それを各自治体に伝えないと、なかなか住基カードは広がらないと思うんですけれども、そこはどうですか。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

高部政府参考人 御指摘いただいた点は、我々十分心しなきゃいけない点ばかりを御指摘いただいたというふうに認識しているところでございます。

 特に、最初に御指摘いただいた点でございますけれども、住基関係は基本利用領域に格納されるわけでございますが、住民票コードといったようなものだけでございますし、それから公的個人認証も十分安全性に配慮したものになっているわけでございますので、御指摘ございましたように、こういう点についても、先ほど私もPR不足だと申し上げたのは、その研究会でも議論になりましたけれども、住民の方々に、ちょっと持っていると何かなくしたりしたとき怖いんじゃないかとか、いろいろな思いがあるというような御議論もいただいておりまして、そういう点でPRが十分ではないというふうには十分感じておるところでございまして、努力してまいりたいと思っております。

 それから、御指摘いただきましたように、カードが持たれていないということがオンライン申請等につながらないという、そのとおりでございますけれども、実は、私どもの立場から言わせていただくと、若干泣き言に聞こえるかもしれませんが、利用の場が広がることが一方でカードの普及につながるという面もあるわけでございまして、我々、いろいろ課題がある中ではございますけれども、御指摘等も踏まえまして、いろいろ知恵を絞って普及に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

富田委員 検討ばかりしないで、早くきちんと結論を伝えていただきたいなと思います。

 先ほど、岡部先生の最後の方の質問で、本当にすばらしい指摘だなと思ったんですが、やはりインセンティブを与えるのが大事だと。検討会の報告書の中でも、例えばこの住基カードなんかについても、市町村が交付するカードの一枚化、さっき印鑑登録証明書にかえるというところを無料化して二割近い住基カードの取得があったという答弁がありましたけれども、このカードの一枚化とか手数料の無料化、また先ほど岡部先生の方からも指摘があった、認証サービスを利用した、そのサービスを提供する場合の手数料の減額化、こういったものをそれぞれの自治体に任せるんではなくて、こうしたらこういう形でできるんじゃないかというような、ちょっと総務省の方で背中をぽんと押してあげるような、この報告書を参考にしなさいと言うだけじゃなくて、本当にこうやれば動いていきますよというものがもう一押し必要なんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、宮崎市の例などでいいますと、やはり無料化、無料で配付したといったようなことが大きな要素になっているというふうに認識しております。ただ、これも検討会の中ではいろいろ議論させていただきました。必ずそうすべきだというのは、こういう厳しい財政状況の中で、一方で受益者負担という観点もあるところから、なかなか言い切れないなといったようなところが、歯切れのいい方向性を示せないところがあるのかなと思っておるところでございます。

 インセンティブの面でいいますと、オンライン手続についてのインセンティブということでいろいろ取り組みが順次進んできているというふうに認識しておりまして、例えば、いろいろな手続が、これを利用することによって料金が多少安くなるとかといったようなインセンティブがあれば利用してみようかなというようなことにもなろうかと思うわけでございまして、そういういろいろな面でのこういうものが広がるような工夫を我々考えていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、今後ともよろしく御叱正をいただけたらと思っております。

富田委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。よろしくお願いします。

 公明党の富田先生が与党の先生とは思えないぐらい厳しい御指摘をされて、それに負けないぐらい私自身も、住基カードについて、そしてまた電子政府、また政府の方では世界最先端のIT国家を本年度中に目標達成したいということも言われていることでもありますので、一つ一つ質問させていただければと思います。

 富田先生の流れをくみまして、住基カードのことについてから御質問させていただきたいと思います。

 大臣も常々いろいろなところで、プラン・ドゥー・シーが大事であるとか、物事の、行動の、計画、実行、そしてチェック、再検証ということも大事であるということを言われていると思います。まさしくこの住基カード、住基ネットにおいてもプラン・ドゥー・シーというのは大事であろうと思います。

 今御質問されておりました住基カードに関して言うと、総務省の方では二〇〇三年の時点においては三百万枚を見積もっていたと聞いております。これが正確な数字であるかどうか、もし間違っていたら御訂正いただきたいんですが、実際のところ、それから三年たった今でも六十八万枚という意味でいうと、プランというところにはほど遠いような現実が今あって、それをしっかりとチェックしなければいけない状態にあると思います。

 そのときにおいては、どこかの研究室及び会議室に集まってああだこうだ言うよりも、生身の住民の方もしくは自治体の方がどのようなお気持ちを持たれているかというのを真摯に酌んで対策に移さなければいけないと思っております。

 そういう意味において、高部局長にお伺いしたいんですが、私自身も住基カードの今の普及を御質問したかったんですが、先に御質問されて六十八万枚ということがわかりましたので、当初の予定というものが今わかるとしたら教えていただきたいということですけれども、いかがですか。

高部政府参考人 今の時点で、大変申しわけございませんが、過去どういう設定をしたのかということについて数字を持ち合わせておりません。私の認識しているところでは、これだけの枚数をということを明確な目標として設定したことはないのではないかというふうに思っておるところでございますが、その時点時点で、一定の条件でこのぐらいはいけるかとかいったようなことはあったかもしれませんが、明確に何万枚普及させたいといったようなことはなかったのではないかというふうに思っております。ちょっとこの辺は正確な情報を持ち合わせておりませんので、御容赦いただけたらと思います。

寺田(学)委員 当初予定していた枚数に関してちょっと通告していませんでしたので、申しわけないんですけれども、では、これは確実にわかると思うんですが、局長自身、住基カードを持たれているでしょうか。

高部政府参考人 やはり私ども所管省でございますので、特に行政局に属すると、私はただいまのポストの前に選挙部におりましたけれども、そういう場でも住基カードは取得するということで対応しております。

 なお、このポストにつきましたので、公的個人認証も取得しているところでございます。

寺田(学)委員 省内においても、やはり住基カードは、先ほど言われたとおり、いろいろな誤解やらまだ認識不足があるとはいいつつも、大事な、普及させていくべきだということでしょうから、省庁内でも働きかけ等々されているんですか。

高部政府参考人 特にこういう状況でございますので、いろいろな場では申し上げておりまして、特に一定の幹部以上の会では、冗談のように、例えば持っていないと昇進はできないというようなたぐいの話が話題にのぼることはしばしばあるところでございます。

寺田(学)委員 冗談で言うよりも、やはり実際持ってみてどうなのかというところから解決策は生まれてくると思いますので、そこら辺は徹底されたらいかがでしょうか。

 竹中大臣もこちらを見られてにやにやされているんですけれども、お伺いしたいんですけれども、大臣自身、お持ちになられているんでしょうか。

竹中国務大臣 おかげさまで持っております。

 ただ、正直言いまして、ちょっと正確には記憶しておりませんが、そんなに以前ではございません。昨年のどこかであったと思います。

 それで、実は先ほどから富田委員、寺田委員のお話も伺っていまして、確かにそういった点で我々はやはり努力がまだ不足しているというのは痛感いたします。

 実は、そのときに、大変個人的なお話で恐縮でございますが、私も家族につくれというふうに言いまして、そのときにやはり言われましたことは、つくって何かいいことがあるのと。そこで、正直言ってなかなか答えに困るわけでございます。これは、今すぐできることは限られているけれども、今後間違いなく重要な役割を果たすものであるし、つくっておくと便利であると思う、そのような説明をしたことを記憶しておりますけれども、まさにそういう意味で、多機能化を図って、そういう利便性を増していかなければいけないということは、私も個人的にも実感をしております。

寺田(学)委員 日本国じゅうの方が大臣ぐらい行政に対して善意の気持ちを持って、先見性を非常に信じて住民生活を送られていると、恐らく大臣のような方々が働きかけて広まっていくんでしょうけれども、現実として、率直に御家族の方が言われた、持っていて何になるのというところが一番のふえない原因であると思います。持ったら意味があるんだ、非常に便利になるんだということがわかれば、それは自然発生的に、だったら持ちたい、多少の、千円、二千円、五千円ぐらいを負担してでも持ちたいと思うと思うんです。

 実際、なぜ普及しないかということを、局長そして大臣、ある見方からすると、住民の方の意見ということでお伺いしたんですが、自治体の方も、では果たしてこの普及のために心血を注いでいるかと。言い方をかえれば、普及を促すような便利なサービスを自治体として用意しているかということをつぶさに見るんですが、先ほど宮崎だどこだという話が出ていましたが、一部の自治体ではそのような先駆的な試みというか積極的に取り組まれているんでしょうが、どうも見る限り、余り自治体の方は取り組もうとしていない。

 私も性格が悪いんですが、大臣の御地元の和歌山の方の市役所に問い合わせてみたんです。そうすると、身分証明書としては利用できるよということをお答えいただきました。そしてまた、写真が入っていると身分証明書としても効用を得るということでした。そしてまた、他の市町村からでも自分の住民票を請求できるんだということを言いましたけれども、その後に、免許証でもできますけれどもねということだそうでした。ここら辺、ちょっと正確じゃなかったら後で直しますけれども、千円程度で申し込んでいただければ取得できると。最後のあたりなんですけれども、和歌山市では、カードの申請には時間、費用など市民に負担が多く、また、それに引きかえ有用な点もほとんどないため、その普及を積極的に推進しているわけではないんだということを、文言どおりではないですけれども、そのようなニュアンスのことをおっしゃられました。希望があった場合は対応していますよということです。

 ちょっともう一件ぐらい調べてみようと思って、小泉総理の御地元の横須賀の方にちょっと問い合わせてみたんですが、大体同じように、身分証明書として利用できると。印鑑証明の申請に使えるところが他市町村であるが、我が横須賀ではやっていないと。現在、五百円で取得できるみたいですが、余り活用はされていないんだというような声でした。

 うちの市の方のことについてもいろいろ調べてみると、大体あまねくそんなトーンであるのが、平均的な自治体のこの住基カードの普及に対しての意識だと思います。

 ですので、ここに対して、先ほど大臣が言われましたけれども、住民がとりたいと思うようなこと、そういう動機を持つためには、その自治体が便利なサービスをそろえなければいけない。では、その便利なサービスをそろえるはずの自治体自体がこれほど意識が先駆的とは言えないような状態になっていることは、政府が後押しして頑張らなければいけない。もし政府がこのカードをもっと普及させるんだというような考え方を持っていらっしゃるんだとしたら、積極的にこの自治体に対して何かしらの方策をしなければいけないと思うんですね。

 そのことについて、局長自身、何か考えられていますか。

高部政府参考人 先生御指摘いただきました自治体の対応について、若干私どもの方にも耳に入ることがございます。

 一つは、担当セクションが、例えば電子政府とか電子自治体を推進するようなセクションと、それから現実的な窓口が違うところが担当していると、こういう問題に対する思い入れが違うとか、そういうのが時に住民の方に接触したときに出てくるといったようなこともあるやにも聞いたことがございます。いずれにしても、こういう多目的利用というものについて自治体で本当に取り組んでいただかなきゃいけないというふうに思っております。

 そのときに、先ほど富田先生からの質問の中で出た検討会といったものも、こういうようなやり方をすればこういう反応があるといったような事例をいろいろ御紹介することによって各団体の取り組みを促すことができるのではないかというような問題意識の中で、いろいろな制度的な課題も議論させていただきましたけれども、そういう事例を集めたりもしたところでございます。

 いずれにしても、いろいろな取り組みの事例等々、参考情報も私どもとして提供させていただきながら、地方公共団体と連携をとりながら、取り組みが進むように努力していきたいなというふうに思っているところでございます。

竹中国務大臣 今局長の方から、いわばいろいろな取り組みをしている自治体の参考になる例、いわゆるベストプラクティスについて周知徹底するように総務省としても努力をしている。これは、これまでも努力をしてまいりましたけれども、今回こういう法案をお願いしているということも踏まえまして、さらにその取り組みを強化させていただきたいと思います。

 それともう一点、より大きなところで、冒頭、寺田委員がPDCAサイクルの話をされました。実は、この問題に関して、明示的なPDCAサイクルが確立されていたか、準備されていたかということに関しましては、残念ながら、やはり今まではそうではなかったということなんだと思います。

 PDCAのPは、言うまでもなくプランでございます。実は申し上げたいのは、今回の新IT戦略のもとで、これに関連する明示的なプランがつくられたというふうに私は思っております。行動計画、アクションプランをつくっておりますが、そのアクションプランの中に、この電子政府の利用率を五〇%にするというこのプラン、まさに目標を掲げているわけです。

 それを実現するためにどうしたらよいかということは、それぞれの手続の各部署に今投げられておりまして、その部署部署でインセンティブが重要だと私は思います。添付書類の何がいろいろ問題になっているかということも現場現場で精査をされます。

 いずれにしても、それについてプランを立てさせているわけですので、五〇%という目標を課しているわけですので、それについて必ず答えを出させます。今までの例からいいましても、霞が関というのは、そういうふうに各部署に責任を割り当てて目標を定めたことに関しては、これは一生懸命やって、それなりの成果を今までは上げてきております。

 私は、その意味では、この問題に関連して、これは住基カードの普及を別に直接の目標にしているわけではありませんが、利用率を五〇%にするというプランをまさに今回初めて立てましたので、そのもとで、ぜひそういうよい結果を実現させたいというふうに思っております。

寺田(学)委員 よく理解できました。

 利用率というものを一つの目標に掲げているということは、利用できる人間の、その分母がいかようにでも、それは自由に裁量があるわけですから、そういう意味で、国民全体がこの電子政府及びe―Japanのおかげで非常に簡便な行政になって便利になったなということが実感できるようなこれからのアクションプランの実現というものをお願いしたいし、大臣におかれましても、御家族にこれからは有用になるんだということを言われてカードを持っていただいたのであれば、そういう意味でうそつきにならないように、御自身頑張っていただきたいなと思います。

 住基カードの質問を終えまして、世界最先端のIT国家を目指すと、政府のIT戦略本部の方で二〇〇一年ぐらいから五年計画で実行してきたということを伺っております。

 この世界最先端、先端ではなく最先端というところに関しても少し疑問がありまして、何をもって最先端であるのか、達成度はどうなっているのかを聞こうと、きのうの質問取りの段階で来ていただいたお役所の方に言ってみると、いやこれになると内閣府の担当になるのかなとか、いやそれは総務省でやれるからどうかとか、結構押し問答されていたのを苦々しく見ておりました。

 そういう意味でいうと、大臣としての一つの御所見でもいいんですが、ある種、経産省にもあり、総務省にもITに関してもあり、そして横断的に内閣ということもあるんですが、そういう意味で、行政の縦割り的な部分の弊害によって、そのIT戦略というものは足が引っ張られていないのか、改善点というのはあるのかないのか、そういうところに対しての御所見を伺いたいなと思います。

竹中国務大臣 御質問は、最先端云々ではなくて、各省の縦割りが今あるかどうか、それが今の何か障害になっているかということでございましょうか。

 御承知のように、この問題、非常に多くの省庁に関連してまいります。そういうことを踏まえて、全政府的にこの問題を戦略的に考える場所としてのIT戦略本部がつくられているわけであります。本部長はもちろん総理大臣でございます。そして、それを支えるためのIT室というのが、ちょっと正確には、IT室でよろしいんですか、これは内閣官房につくられているわけでございます。この仕組みは、まさに省庁縦割りにならないような形で、専任の担当大臣も置くという形で、私はやはり非常に大きな成果を上げてきたというふうに思っております。

 もちろん、それでもまだ、問題がない、すべて解決したというふうには思っておりません。業務というのはともすればやはり省の縦割りになりますし、そういう問題をしっかりとこのIT戦略本部で解決していっていただく、それに対して各省が協力をする、その姿勢を常に見失わないようにしていかなければならないと思います。また、これは一部ここでも御議論が少し出たかもしれませんけれども、今、どんどんいろいろな形で時代の要請が変わってまいりますから、それに応じて、例えば各役所の各部局のあり方がこのままでよいかということも不断に見直されていかなければならない問題であると思います。

 いずれにしましても、そういうことも含めて、省庁縦割りにならないような、横の組織としての内閣官房のIT戦略本部、そして役割というのがそれなりに機能しているというふうに私は理解をしております。

寺田(学)委員 縦割りの弊害を乗り越えて、横の連携で頑張っていただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、ここもプラン・ドゥー・シーというか、そういう部分で検証したいんですが、最先端のIT国家を目指すと。そもそもその最先端というのは、インフラ的なものがそろって、安い価格で利用できるようになったという設備的なものだけなのか。それとも、リテラシー部分も含んだ意味で、利用者がちゃんとふえているんだということまで含めて世界最先端であると。その最先端の定義みたいなものを、わかりましたら。

 そしてまた、その達成度。ことしが、二〇〇六年が一つのめどと聞いていますので、その達成度はいかようかということ。政府参考人の方でも結構ですので、いかがでしょうか。

竹田政府参考人 お答えいたします。

 まず、最先端ということでございますけれども、IT基本法というのがございますけれども、目指すべき高度情報通信ネットワーク社会を、インターネットなどを通じて自由で安全に多様な情報や知識を世界的規模で共有することにより、あらゆる分野において創造的で活力ある発展が可能となる社会というふうにとらえてございます。こうした社会を我が国が世界に先駆けて具体化することが世界最先端のIT国家であるというふうに認識しております。

 それから二点目の、達成度につきましてでございますけれども、e―Japan戦略を策定いたしました二〇〇一年当時、我が国のインターネットは、値段が高くて遅い、こういうものが代名詞でございました。しかし、その後の取り組みによりまして、ブロードバンドの基盤の整備とかあるいは携帯インターネットの普及などによりまして安くて速いインフラというものが実現しまして、例えばインターネットを使った株取引の拡大など、我が国では、世界で最も安く速く多くの情報に接することができる、世界最先端の環境が実現しているというふうに考えてございます。

 しかしながら、一方で、行政とかあるいは医療、教育の分野などで国民の利活用が進んでいないといったような課題も存在しておりますので、引き続きこういったものに対して取り組んでいく必要があるというふうに認識しております。

寺田(学)委員 今御答弁いただいた後段のあたりにリテラシーの話が出ていたと思うんですが、もう一回お伺いしますが、その最先端と認識する中にリテラシー部分も入っていて、それの達成度はどのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。

竹田政府参考人 前段のところで、ICTというものは、情報流通の費用とか時間とかといったものを劇的に低下して、密度の高い情報のやりとりを容易にしまして、人と人、あるいは人と組織、あるいは人と社会の関係を一変させるということでございまして、過去の産業革命への対応といったようなことがその後の国家の繁栄を左右したのと同様に、ITに対する国家の実現、こういったようなものが二十一世紀の国家のあり方を決定づけるというふうに認識しております。

 特に、具体的な姿として、利用者とか生活者の視点に立ったICTの利活用ということによりまして、少子高齢化への対応など、我が国の抱える、先生が御指摘の部分につきましての課題の解決にも寄与するというふうに認識しておりますし、国民生活の利便性とかあるいは産業競争力の強化、あるいは新たな知的あるいは文化的な価値の創出といったようなものが実現される社会を目指していく、こういうことに考えております。

 ただ、具体的に、先生が御指摘いただいたような部分について、現時点で数値目標を、e―Japanで定めていたというわけではございませんので、一概に評価ということではちょっと明確なお答えはできませんけれども、いずれにしましても、そういったような社会を私どもは目指して諸施策を推進してまいりたいというふうに考えてございます。

寺田(学)委員 私がお伺いしたいのは、その最先端というものの中に、設備的なものではなくて、リテラシーなところも最先端の中に入っているのかどうか、そのイエス、ノーと、もし入っているんだとしたら、それの達成度はどれぐらいなのか、入っていないんだとしたらなぜ入れないのか、お答えいただけますか。

竹田政府参考人 e―Japan戦略もそうですし、今回決定されていますIT新改革戦略につきましても、双方ともに、生活者の視点とかあるいは安全、安心といったようなことが戦略の中に明確に含まれております。

 それについて実現したかどうかということにつきましては、部分的には実現しているというのがe―Japanの評価でございます。実現していない部分については、先ほど大臣の方からも御答弁がありましたけれども、できるだけ具体的な目標とPDCAサイクルを確立して、二〇一〇年に向けて新改革戦略でこういったものを引き続き推進してまいりたいというのが考え方でございます。

寺田(学)委員 設備的なものはかなりこの数年間で劇的によくなってきたなと。もともとITに関してはそれなりに利用していた僕らのような世代にとってみると非常にいいんですが、うちのお父ちゃん、お母ちゃん、じじばばに対して見ると、設備があってもやれないんだというところがありまして、そういう意味で、やはり本当に設備だけじゃなくて、利用するということも、具体的な施策、先ほど言ったアクションプランでも立てられて、一生懸命頑張っていただきたいなというふうに思います。

 それと、ITの活用そして電子政府をつくることによって、住民が便利になるということ、そしてまた行政のいろいろな手続というものが簡素になっていくということは図られると思うんですが、そもそも要らない行政手続というものが存在しているのをIT化したところで、また無駄なものがふえるというか無駄が残る結果になると思うので、そもそもその無駄な行政手続は要らないんじゃないかということの取り組み及び検証というのはやられているんでしょうか。大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 今の御指摘はまことにごもっともな御指摘で、これはIT化云々というよりは、行政改革全般の中で常に問われていかなければいけない問題だと思います。

 まして今、公務員の人件費の削減等々で、仕事の見直し、公明党の皆さんからは、要するに業務の仕分け、いろいろな問題の提起をいただいているわけでございますし、そういう中で常に見直していかなければいけないと思います。

 また、当委員会との関係でいえば、国の役割、地方の役割を明確化して重複を避けていく、そういうことを含めた行革の努力が必要であると思っております。

寺田(学)委員 ちょうどきょう、衆院で行革の方も一つの区切りを終えまして、この電子政府ということも、さっきから述べているとおり、ある種行革の一環であるとは思っています。

 そういうことを含めていうと、具体的に、目指すべき電子政府像、目標とする像があると思うんですけれども、その電子政府像に達成した場合に、どれぐらいの人員が減ってどれぐらいのコストが削減されるんだということを御想像されているのかされていないのか、されているとしたらどれぐらいのものなのかということを、大臣でも政府参考人でもどちらでもいいですけれども、お答えいただけますか。

藤井政府参考人 電子政府の実現による行政コストの削減についてのお尋ねでございます。

 実は現在、政府の中のいろいろな分野の行政用のシステムの見直しをやっていまして、それを最適化計画と称しているんですが、より合理的なシステムに見直していくという形でやっているんですが、その際には、今委員御指摘の削減コストとかマンパワーの低減効果、そういったものも試算して計画を策定するという形で進めさせていただいております。

 それのデータは一応私どものところで取りまとめているんですが、それによりますと、運用経費ということでございますけれども、運用経費については約千二百三十億円低減するということになっております。それからマンパワーの方は、業務の処理時間ということで計算しておりますけれども、全体で四千七百五十万時間の減、そういう数値が試算されております。

 ただ、ちょっと御注意いただきたいのは、このマンパワーの方は、今、公務員の純減をやっているところでございますけれども、定員だけじゃなしに、非常勤とかいろいろお手伝いをやっておられる方がいらっしゃるんですけれども、そういったマンパワーも含まれている数値ということで御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 そもそもそのe―Japanの計画外のところの最適化計画として立てられているという理解でよろしいんですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 e―Japan重点計画というのは、政府全体としての大きな一つの政策なんですが、それを実現するためにいろいろなプロジェクトが盛り込まれているわけでございます。そのプロジェクトの一つとして、政府の行政機関のシステムについては、最適化計画ということで、抜本的に効率的なものをつくっていこうということをやっているということでございます。

寺田(学)委員 時間ももうほぼなくなってしまいましたので、最後に大臣の方に、総括的な意味を込めて、住基カードという一つのツールのことから始まり、全体的に電子政府をつくるということに関して、余り空想的なことだけじゃなくて、実態的な部分をかなり検証して実効的な施策を打っていただきたいと思っています。

 そういう意味においていうと、これからに関して御意思というか、これからの施策に関しての考え方でも結構ですので、総括的に何かありましたら、最後に御答弁いただいて終わりたいと思うんですが、いかがですか。

竹中国務大臣 このe―Japan戦略を二〇〇一年に議論いたしましたときに、いろいろなことが議論されたことを記憶しております。インフラが重要であるということ、そして委員御指摘のやはりリテラシー、それを使う人間の適合性が高まっていかなければいけないということ、それに合わせた社会のさまざまな法律の整備が必要であろうということ、そして何よりも、行政改革に結びつくような意味も込めて、電子政府をしっかりやらなければいけないということ。

 しかし、実は、そういう議論が包括的になされてきたわけですが、それでも、当時の議論としては、やはりインフラだ、インフラをきちっと整備することでほかの問題もかなり解決するであろうというような期待がございました。実際、その期待は正しかった面もあります。しかし、インフラが実現してみて、やはりまだ足らざるところがたくさんあるという思いが今現実にあるんだと思います。

 その中でいいますと、電子政府も、利用はできるようになってインフラはできているんだけれども、利用されていないのではないだろうか。そういう具体的な問題にしっかりと目をつけて、そして国民の生活に結びつくような成果を上げていくこと、まさに国民にその成果を実感してもらえるような結果を出すことが我々の重要な務めであるというふうに考えております。

寺田(学)委員 終わります。

中谷委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 今回の法律改正及び住民基本台帳カードのことでありますけれども、これまでの質疑を聞いておりますと、何か気の毒で、余り富田先生のように舌鋒鋭く質問できないなというふうに思っています。

 と申しますのも、私もそうですし、ここに前武蔵野市長も前岡山市長もおりまして、多分、この住基ネットワーク、住基カードにまつわることについては、さまざまなことを現場にいた者は知っているだけに、ここでの議論が必ずしも現場に合っているかどうかというようなところはいろいろ悩ましいというふうに思います。

 それはともかくとして、ちょっと議論を進めさせていただきたいと思いますけれども、先ほど、住基カードの発行枚数、これは私の住基カードですが、発行枚数が六十八万枚ということでございましたが、今度、その内数である電子証明の発行件数でありますけれども、これはお聞きしますと十三万件ということで、人口比にいたしますと〇・一%ということになるわけでありますね。これは非常に少ないということになるわけです。

 そこで、どうしてもやはりこれは費用対効果、コストの話ということにならざるを得ない部分があるんですが、現在、電子認証サービスというものを実現するためにかかった総コスト、これはどのぐらいなのかということをまずお知らせ願いたいんです。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 公的個人認証サービスのシステムの構築費用につきましては、平成十四年度に約十六億円を投資いたしているところでございます。

逢坂委員 公的認証サービスというのは、これだけで物が進むわけではありませんので、当然、住基ネットですとかさまざまなものを含めてやっている。しかも、それを動かすネットワーク、LGWANのようなものだとか普通のインターネットも必要ですから、膨大なコストがかかっているというふうに思うわけですが、このコストからすれば投資効果というのは、大臣、これはどうお考えになられますか。

竹中国務大臣 今の現状で考えると、投資回収期間が極めて長いというか、投資効率が低いというか、そういう数字にこれはならざるを得ないのだと思います。

 しかし、これは先ほどの、私が家族に説明した言い方に尽きるわけでございますけれども、やはり長期的にはこれは十分回収できるものであって、ある時点からこれは恐らく非常にキンクして利用率が高まる可能性を秘めているものであるというふうに思っております。我々としては、一日も早くそういう状況に持っていきたい、そういう思いで行動計画等々を立てております。

逢坂委員 今後ふえていくだろうという認識でございますけれども、実は今回の公的個人認証サービスの対象手続で、例えば国に該当するものとして、自動車検査登録、あるいは国税の電子申告、社会保険関係手続、国民年金云々かんぬんというふうに、各十一省庁にわたってあるわけですね。

 まず、これは参考人の方に聞きたいんですけれども、これらの手続というのは現在国全体で何件ぐらいあるのか、そして、そのうち、現在もう既にこの電子認証サービスを利用して行われているものの比率というのは何%ぐらいになっているのか、これをお教えいただけますでしょうか。

藤井政府参考人 対象手続の数でございますが、私の方からは、まず国の手続、当然個人認証カードは国の手続だけじゃないですけれども、国の手続について御説明いたしますが、これは先ほど実は数字をお話ししたことの繰り返しになるんですけれども、全体としてオンライン化可能な手続の数、これは約一万三千七百件ぐらいあります。ですが、先ほど申し上げましたように、そのうち、一件当たり十万件以上の実際の処理件数があるもの、これは大体百七十種類で占めていて、それで、処理件数的に言えば、その百七十件余りの種類の手続で九八%、手続の処理件数ベースでいったら九八%を占めるということです。

 それで、その大多数が、企業とか、あるいは行政書士とか、司法書士とか、税理士とか、社会保険労務士とか、そういうような士業、事業者なんかを相手とした手続が多いというのが一つの特色であるということでございます。

逢坂委員 ちょっと答弁漏れだと思うんですけれども、そのうち、電子で幾らやっているのかというのはわからないですか。

藤井政府参考人 それは、十万件以上の百七十種類余りのデータのベースでいきますと、十六年度において一一%ということでございます。

逢坂委員 一一%というのを高いと見るのか低いと見るのか、いろいろな見方があるとは思いますけれども、先ほど大臣が、利用率を五〇%に上げるというふうにおっしゃいましたけれども、それはまさに今言った手続の総件数分の電子認証を利用したものというふうに理解してよろしいでしょうか。それは、しかも都道府県、自治体も含むというふうに考えてよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 五〇%というのは、先ほど申し上げました中での十万件以上の主要な事務手続、百七十種類余りですが、これの五〇%、申請数の五〇%ということでございまして、それに相応する数字が、まさに先ほど申し上げました一一%です。ですから、一一%を五〇%に五年間で引き上げるという行動計画をつくるということでございます。

逢坂委員 今の数字には都道府県、市町村は含まれるんですか。

藤井政府参考人 失礼しました。

 この分は国だけの分であるということと、あと一つ補足的に申し上げますと、この実際の申請手続に公的個人認証システムが使われているかどうかというようなのは分けておりませんが、ほかにもいろいろの認証機関がございますので、そういうほかの認証機関を使っているものは相当数あるというふうに考えております。

逢坂委員 先ほど来聞いておりますと、PDCA、きちんとそれを回していくことが大事だという話でございましたけれども、今の話を聞くだけでも、PDCAのPの部分、何が公的個人認証を使ったのかというのは必ずしも現時点では区分けがされていないというようなところもあるわけでございます。今後、やはりITの政策というのは非常に夢、あるいは将来性のあるものだというふうには思うのですが、その反面、落とし穴、影も相当に多いというふうに思いますので、ぜひきっちりとした数字の裏づけを持って、いや、確かにこれは過大投資、だけれどもこれは将来の投資なんだというところは、そういう姿勢を持ってやれると、しかも、その説明責任が果たせるようなやり方をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、実はこれは私の考え方なんですけれども、なぜこれが進まないのかというところであります。例えば、これは住基カードですけれども、これは総務省のホームページを見ますと、公的な本人確認の書類のかわりになるんだということが書いてあるわけですが、これを持って総務省の玄関へ行くと、総務省へは入れてもらえないんですよ。これでは入れないと言うんですよ。それで、私が当時町長時代に、北海道町村会の、だれでもつくれる紙のパウチの手書きの身分証明書を見せたら、フリーパスなんですね。一体これはどうなっているんだということでありますね。すなわち、そもそも足元からの認識がおかしいのではないかということが一つあります。

 それから、ここに公的個人認証サービスの主な対象手続というのがあるんですが、例えば市町村においては、国民健康保険関係の手続とか、あるいは市町村税の電子申告とか書いてありますけれども、市町村税だけをとりたてて電子申告は普通しないわけですね。国税と大概セットでやるわけでありますね。それからもう一つは、国民健康保険の手続というのも、大体は転入、転出に伴うケースが多いわけですが、転入、転出に伴って市町村の窓口でやる手続というのは多分相当数ありまして、やはりその全体が一気に網羅できるんであれば、電子申請というのは相当進むわけですね。でも、一部分は電子申請で可能だけれども、やはり窓口へ行かなきゃいけないということであるならば、これは全く進まないんだろうというふうに私は思うわけであります。

 それから、実はこれは個人認証するためにカードリーダーというものが必要なんですが、このカードリーダーというものを私買おうと思ったら、よく考えてみたら、どこへ行けばいいのかというのはなかなかわからない。それで、実は私、この間、近所の電器屋へ行きました。家電量販店へ行きまして、カードリーダーはありますかと言ったら、それは何ですかと。こういうものじゃない、何か別のものを出してきて、必ずしもやはり周知がされていないというところもあるのだと思いますけれども、これらへの対策というのを皆さんはどのようにお考えになるでしょうか。まず政府参考人の方からお願いします。

高部政府参考人 最後に言われたところからお答えしたいと思いますが、地域によって、あるいはお店によって差があるのかもしれませんけれども、ICカードリーダライターにつきましては、接触型のものであれば、二、三千円で量販店等々で市販されているというふうに認識しております。

 それで、先生が手続をとられたときに多分そうされたといいますか、一緒に、電子証明をとったときに、いろいろなディスクをくれたりとか書類をくれたと思うんですが、この中に、それぞれに適合するリーダライターはこういうものですよというようなリストを、配付といいますか、一緒に配って説明するといったものとか、ポータルサイトに掲載するとかといったような試みはしておるところでございます。

 今、先生御指摘のような事情の点につきましては、我々としても、いろいろ状況を聞きながら、どういう対応が必要なのかというのは考えてみたいと思います。

 それから、最初に言われた身分証明書としての御利用の話で、先生おっしゃられた点は、実は大分前の私ども総務省の中での若干の笑い話みたいなところもございまして、確かに先生おっしゃられたような時代がありまして、私ども、これは身分証明として使えるよということを大分PRしていたんですが、必ずしも周知が行き届かなくて、玄関で、おっしゃられたような事例があったやに私も聞いておりますが、その後は周知徹底しておりまして、現在そういうことはないものというふうに思っておるところでございます。

逢坂委員 今後の普及について、大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、これはもう目標をしっかりと立ててやってまいります。そして、その中では、個別の問題が言うまでもなくいろいろと出てくると思います。その個別の問題にやはり一つ一つ丁寧に対応していくという姿勢を持つことが重要だと思います。私の立場としては、目標を立てた以上必ず実現しろ、そのためにきめ細かい対応をしろということを声高に督励してまいりたいと思っております。

逢坂委員 先ほど、これを普及するためには、宮崎でしたかの例が出て、多目的に利用することが大事だという話がございました。ただし、多目的に利用しているところはやはりそれなりにコストをかけているということなわけですね。この点も考えないで、すべて自治体の責任だから、それは自治体がやらないことがだめなんだということではやはりないのだというふうに思います。

 それから、実は、住基ネットに始まるこれらの一連のものは、平成六年に国が主導で研究会をつくって、そこから検討を始めてやっているものなわけですね。確かに、住民基本台帳に係る事務は自治体の事務ではありますけれども、この住基ネットというのはどちらが主導してやったものだということもよく考えてみれば、それは自治体がそれぞれ努力しないからこれの利用が進まないんだという姿勢ではやはりまずいと思いますので、ぜひ、このせっかく投資したものがよい効果をもたらすためには、国としてがっちりと進めるという姿勢を、影の部分も頭に置きながら、考えていただきたいというふうに思います。これは答弁よろしいです。

 それから、今回の改正に伴って、士業の団体が今度、都道府県単位の認証局にアクセスをできるようになるわけでありますけれども、最近、この士業系の団体、例えば税理士でありますとか、そういうところで随分不祥事も出ているわけですね。こういう点から考えてみますと、士業団体に証明書の有効性を確認させることをやるということについて、どうやって安全性を確保するのか、このあたりについて御答弁お願いします。

高部政府参考人 まず、法制的な面からお答えをしたいと思います。

 今回、団体が団体署名検証者という位置づけになるわけでございますが、この団体署名検証者には、現行の署名検証者と同様に、電子証明書の目的外利用禁止の義務が課されるということになるとともに、受領した失効情報などに関して秘密保持義務が課されることになるものというふうに考えております。これらの規定に違反した場合には、失効情報の提供を停止することができるとともに、秘密保持義務については罰則が科されるというふうになっているところでございます。

 それからもう一つ、やはりこういう制度でございますので、我々、制度発足に当たりましては、中身、それから留意事項等々について関係団体に対しても十分説明してまいりたいというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 どうもこの問題は、私もいろいろ裏を知っていればいるほど、なかなか歯切れが悪くなって、何かいつもより若干調子が悪いんですけれども、本当に何か気の毒だなと思う部分もございます。

 それはともかくとしまして、電子政府のようなものをどんどん進めていくということは、先ほどの繰り返しですが、非常によい部分もあると同時に、やはり影の部分、格差を生むということもあろうかと思います。先ほど私どもの寺田委員からも話がありましたとおり、おじいちゃんやおばあちゃん、あるいはこういうものに関心のない人にしてみれば、なかなか利用しづらいものである。使える人と使えない人との間での格差というものが生まれるようでは、これはやはりせっかく構築した意味のないことになってしまいますので、格差を防ぐという観点で、格差を防ぐための方策をどうするかという点で、大臣の方から御答弁いただければと思います。

竹中国務大臣 御指摘のように、非常に利用促進を図りたいという思いと、一方で、これはやはり、本当に性急にすれば、今委員御指摘のように、それになかなか適応しづらい立場の方々が非常に大きな損害を受ける、そういう問題であろうというふうに思っております。

 したがって、そこは先ほど御議論もありましたけれども、やはりこういった個人の情報がIT化されているということに対する全体のリスクも考えた上で、非常に抑制的に始めて、それで、皆様方の理解を踏まえながら少しずつ拡大していく、やはりこれしか現実的な方法はないのだと思います。

 先ほどからインセンティブを与えるというお話もございました。これはぜひいろいろ積極的に検討はしたいと思いますが、例えば、非常に極端なインセンティブを与えてしまうと、そういう弱い立場の方が相対的に不利になってしまうわけであります。その意味では、周知徹底を図りながら、時間をかけて、しかし必要なインセンティブを用意しながらよい方向に導いていく、そういうペーシャントな姿勢が必要であるというふうに思います。しかし、そのためには、事あるたびにこのことを周知徹底していくという姿勢が必要だと思います。

 また、利用者からの問い合わせへの対応体制、これがやはり私は重要だと思います。今、結構我々だって、一つの機器を使おうとした場合に困ったことがありますと、しかしどこへ問い合わせしたらいいんだ、問い合わせをしてもなかなか、相手が常に通じなかったりとか、そういうことに関して、我々もやはりきめ細かな対応が求められているというふうに思っております。

逢坂委員 そこで、これらのものを進める上で非常に大事なのは基礎的な情報インフラの整備だろうというふうに思います。

 お手元にちょっと資料を配付させていただきました。今週の月曜日に北海道総合通信局へ行きまして、たまたま私の地域の、北海道の高速インターネットサービスの提供の状態を、白黒のコピーではございますけれども配付させていただきました。

 現時点で、まだ六町村が全くブロードバンドが使えないというような状況になっているわけであります。しかも、この図の右の下の方に四角がございまして、四角の上をちょっと、小さい字なんですがごらんいただきたいんですが、「ブロードバンド化された市町村単位を示すものであり、色塗りされている範囲全体がブロードバンド化されていることを示すものではありません。」ということが書いてあります。すなわち、この市町村の行政区域の中のごく一部にブロードバンドが入っているだけでこの地図は色塗りをして、ここの自治体にはもうブロードバンドが来ていますよという図面だということなわけであります。

 そういう観点から地域をつぶさに見てみますと、まだやはり相当数、ブロードバンドが使えない地域というのがあるのが実態であります。そこで、これは多分、市場原理、民間の皆さんだけの力では整備は、もう最後の細かいところは難しいんじゃないかという気がするんですけれども、大臣、このあたりはいかがでしょうか。市場に任せるだけでは整備が進まないという感じがするわけですが、どうでしょうか。

竹中国務大臣 インターネット時代の通信インフラをどのように整備するかということに関しては、各国がやはり頭を悩まされて、非常にいろいろな工夫をしているところだと思います。

 インターネットの技術の進歩等々を考えて、やはりこれは民間主体で整備をしていただくというのが、これは世界を見渡した場合の基本的な方向であろうかと思っております。そういう意味では、競争政策等々はもう大変重要であるわけでございます。

 しかし、同時に、最後の最後のところに関しては、基本的には、やはり地域格差がどうしても出てまいりますから、そこをすべて市場に任せてよいというふうには私たちは全く考えておりません。そこにはやはり政府の関与が必要であって、政府が適正な関与、過大ではないけれども適正な関与をすることによって、まさに国民全員にブロードバンドが行き渡るような方向にこの社会を導いていかなければいけないというふうに考えております。そうした意味から、実は電気通信基盤充実臨時措置法の期限の延長もお願いしているところでございます。

 また、これは、各自治体そして事業者がしっかりと連携していただくことが重要なわけですけれども、国としても、新たに地域情報基盤の整備推進のための交付金を本年度創設したわけでございまして、地方公共団体への支援もしかるべく強化をしているところでございます。

 このブロードバンドは、やはりいろいろな形で、生活、そして産業活動、行政に不可欠な基盤になっておりますので、その意味では、今後とも、今申し上げたような方針のもとで、官民挙げて推進をしてまいりたいというふうに思っております。

逢坂委員 まさに大臣おっしゃられるとおり、やはり市場だけでは整備し切れないところもあろうかと思いますので、ぜひ国としての責務をしっかり果たしていただけるように、この部分、強く期待をしたいと思います。

 それから、先ほどお配りした白黒の紙、これは実はカラーの原本でありますけれども、平面で見ると、このように、ああ、なるほど、随分進んだなというふうには見られるんですが、実は、情報通信インフラの実態というのはこの平面からはわかりません。

 と申しますのは、どこにどの事業者が、あるいは国なのか地方なのか、いろいろな主体があるとは思いますけれども、それらが光ファイバーを整備したり、いろいろな情報通信インフラを整備しているわけですね。それで、道路や港湾や空港というものは、目で見れば、過大であるとか、過小であるとか、込んでいるとか、利用率が高いとかということはある程度わかるわけですが、この情報通信インフラに関しては全くそういうことがわからないわけですね。

 したがいまして、もし国が総合的に情報通信政策をもっと推し進めようとするならば、そのインフラの実態が目で見てわかるような情報整理の仕方をきちんとする必要があるのではないか、そういう可視的な一覧図のようなもの、例えば道路台帳のようなものを整備する必要があるのではないか。そうしなければ、国も、省庁によって、こちらの省庁が整備したもの、あっちが整備したものと二重投資になっているところもある、でも、それも国民のチェックがきかないわけでありますので、ぜひ、このあたり、目で見て情報通信インフラの具体的な整備度合いがわかる資料の整備ということを私は要望したいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今、お示しいただいておりますけれども、ブロードバンドの整備状況につきましては、市町村ごと、サービスごとの整備状況がわかるマップを作成しまして、地方の総合通信局等から公表をしているところでございます。

 しかし、今お話がありましたけれども、このマップは市町村単位の状況を把握するというものでありまして、委員は今、可視的一覧図というお言葉をお使いになりましたが、要は、ブロードバンドの整備状況を、目で見て、もっとわかりやすいような形でデータを公表することが必要なのではないかという御指摘だと思います。

 実は、この点については、委員の御指摘は大変よく理解できるところがありますが、同時に、いろいろな専門家の間での御指摘もあるというふうに聞いております。例えば、これはやはり重要インフラでありますから、悪意の者がそういう重要インフラのことに関する正確な情報を得過ぎて、それによって問題が生じないかというようなことを心配する向きもあるんだそうでございます。

 したがいまして、どのような形で、わかりやすく把握できるようなデータの公表方法があるかについては、これはぜひ私たちの方でも検討してまいりたいというふうに思っております。

逢坂委員 その悪意の部分は私もよくわかりますので、そんな細かい位置までじゃなくて、やはり各省庁が併存して整備している区間があることも事実でございますので、ぜひそういうことが国民にわかりやすく提示できるようにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、時間が残り少なくなってきましたので、次の話題に移りたいと思うんです。

 お手元に、この間、二〇〇六年四月十八日の毎日新聞の社説を用意いたしました。個人情報保護法に関してであります。個人認証制度も個人情報保護制度とある種非常に重要な関係にあるわけですが、この社説を読みますと、現在、個人情報保護法が行き過ぎているというような指摘が随分あるわけであります。

 そして、実は、平成十五年の十一月に人事院が懲戒処分の公表指針に関する通知というのを出しておりまして、「懲戒処分の公表指針を各府省等に発出した。」というような文書があるわけですが、これを見ると、「個人が識別されない内容とすることを基本として公表」というようなことが書いてあるわけですね。

 まず、人事院総裁にお伺いしたいんですけれども、「個人が識別されない内容とすることを基本として公表」というのは、これは公表の指針じゃなくて、逆に非公表の指針じゃないかという気がするんですが、いかがですか。この心は何なんですか。

谷政府特別補佐人 御案内かとも思いますが、この発出の経緯でございますけれども、懲戒処分の公表につきましては、従前は各府省等限りで判断して行われてきたところでございますけれども、幾年か前に公務員に不祥事が続けて発生をいたすということがございまして、その際の各府省のこれに関する処分の発表の仕方にばらつきが見られまして、これでは国民に対する説明が十分ではないという御意見がございましたことから、私どもといたしましては、各府省等が懲戒処分の公表を判断する際の参考に供するために発出したものでございまして、趣旨としましては、公表していくということを基本に考えて発出しておるわけでございます。

 ただ、この公表指針は、各府省等が懲戒処分を公表することによりまして、職員の非違行為に対して厳正に対処しているということを国民の皆様にお示しし、これによりまして国民の信頼を確保するということを目的とするものでございますが、この目的は基本的には個人識別情報を公表しなくとも達せられるというふうに考えられることから、このような取り扱いをすることとしたものでございます。

 また、この取り扱いは、当時、いわゆる情報公開法が制定されまして施行されておるという段階でございましたが、この法律におきまして個人識別情報は開示しないことが原則とされていることもあわせ考慮いたしております。

 ただ、この指針におきましては、個別の事案に関し、当該事案の社会的影響、被処分者の職責等を勘案して、公表内容等について別途の取り扱いをすべき場合があるということについても示しておるわけでございまして、事案の社会的影響などを考慮いたしまして、各府省等の判断によって氏名等の個人識別情報を公表内容とすることも想定しているところでございます。

逢坂委員 御丁寧に御答弁いただきましたが、とはいうものの実態はどうなっているかというと、個人情報保護制度ができて以来、あるいはその前後から、どんどんどんどん公表しない部分が多くなってきているのではないか、しかもそれはやはり過剰な反応ではないかという気がするわけですね。

 たまたま、平成十五年の七月の内閣府の人事異動のプレス発表の資料をいただきました。かつては、人事異動には、役職と名前以外に、生年月日でありますとか最終学歴のようなものが当然ついていたわけですね。ところが、最近のものを見ますと、役職と名前しかないわけでありますね。生年月日も最終学歴も何もないわけであります。

 これは、民間企業ならいざ知らず、公務員でありますから、一体どんな仕事をどこでしてきたのかとかどういう経歴なのかということは、つぶさではないにしても、やはり国民の皆さんにはっきりさせるということが重要なのではないかという気がするわけですね。だから、この個人情報保護制度を一つの契機として、例えば懲戒処分ですら個人認識させないようなことを原則にしてやっているんだとするならば、これはやはり行き過ぎではないかという気がするわけであります。

 特に行政機関の個人情報保護については、民間の機関については法施行後三年以内に見直すというようなことで、今審議会などで議論されているそうですが、行政機関のところについては見直すというような雰囲気がないわけですね。総務大臣がその執行の状況を公表するという程度にとどまっているわけです。

 総務大臣、今の行政改革とか、透明性を持っていろいろなことをやっていこうという点でいいますと、少し問題があるのではないか。特に行政機関の部分についてですね。この点はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 いわゆる過剰反応の問題は、今、社説も御紹介いただきましたが、いろいろなところでやはり問題になっている。我々も、そういった意味では注目をしております。

 御承知のように、行政機関の個人情報保護法では、これは利用目的外の使用ということになるかと思いますが、利用目的外であっても、法令に基づく場合のほか、その行政機関の長がしかるべき特別の理由があると認める場合であって、かつ本人または第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるときには、個人情報を提供することが可能な仕組みになっているわけでございます。

 具体的には、情報の性格とか利用目的等をやはりしっかりと勘案していただいて、公表することの意義、さらには影響等々を踏まえて、しっかりとした公表の範囲についての御判断をいただくということに尽きるんだろうと私は思います。

 その意味で、私としては、各行政機関において、今の趣旨を踏まえてぜひ適切に判断をしていただきたいというふうに思いますし、適切に判断をしていただけるように我々としては何が必要かということは常に考えていきたいというふうに思っております。

逢坂委員 時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、お手元に千葉県議会の意見書の資料も用意いたしました。これについては、縦割りで、個人情報をどこが扱うんだということがなかなか明確でないというようなことがあったものですから、その例として使いたいと思っておりましたが、これはまたの機会に譲りたいと思います。

 それから、このことだけは申し上げたいんですが、人事院で「個人が識別されない内容とすることを基本として」というようなものを出しておりますけれども、人事院がやることというのは全国の市区町村にも影響を及ぼすことであることは間違いがないわけであります。

 しかしながら、人口数万の市町村の例を考えてみたら、個人が識別されない公務員などというものはおらないんです。要するに、国の皆さんは個人が識別されないなどという組織の中に埋没しているかもしれないけれども、こんな文言は市区町村に持っていったら全く通用し得ないものだということであります。だから、そういう実態をよく考えてやっていただかなければならない、そのことだけを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、最初に、インターネット社会になりまして、成り済ましとか改ざんとかを防ぐためには、個人認証というもの、そこがはっきりしないと成り済ましその他が出てくるということがありますから、それで電子証明書が必要になってくるというのが説明であります。

 そこで、最初に政府参考人に確認をしておきたいんですが、民間認証機関の事業者と発行の状況については、これは、ことし三月末で十八社、二十一万六千ということと、一方、公的個人認証サービスの方、これは二〇〇三年度は三カ月間ですが、二〇〇四年度、二〇〇五年度とやってきて、こちらは現在、発行累計で十三万四千百七十二枚ですか。

 ですから、民間では二十一万六千、公的なものが十三万四千ほどですから、民間が六割も多い。後から個人認証が始まったということはあるにしても、まず現状がそういうふうになっているということを最初に確認しておきたいと思います。

竹田政府参考人 まず、民間認証事業者の事業者数、それから電子証明書の発行枚数についてお答えいたします。

 民間の認証事業者数につきましては、電子署名及び認証業務に関する法律に基づきまして特定認証業務の認定を受けている民間事業者は、委員の御指摘とはちょっと数字が違っておりまして、現時点では十七社でございます。

 それから、民間認定事業者によります電子証明書の発行枚数については、委員の御指摘の二十一万六千枚となっております。

高部政府参考人 公的個人認証サービスの電子証明書の発行枚数につきましては、先生御指摘ございましたように、本年三月末現在で十三万四千百七十二枚となっております。

吉井委員 民間の方は、一番新しいところでは、ことし四月一日現在の一覧をいただいているので、これの数を数えたら十八社。三月三十一日のところで、表の方でいただいたのは十七社ということで、一社の違いがあるんですが、余りそれにこだわっているわけじゃないんですけれども、要するにそういう状況だということを踏まえた上で、次の質問に入っていきたいと思うんです。

 それで、個人認証を利用対象別に見ていくと、これは政府参考人に伺っておきたいんですが、官公庁用の行政手続と、それからオンラインショッピング等の民間利用に分けて考えた場合、民間の個人認証、電子証明書というのは、官公庁行政手続とオンラインショッピング、両方可能ですね。それから、公的個人認証による電子証明書の方は官公庁用の行政手続専用というふうになると思うんですが、どういう理由で、民間において既に個人認証、電子証明書が行われているのに、あえて設備や維持管理に莫大な費用をかけて、行政手続専用の個人認証制度による電子証明書をつくることにしたのか。

 これはそれなりに理由があると思うんですね。その理由を伺っておきたいと思うんです。

高部政府参考人 先生の御指摘は、公的個人認証サービスの署名検証者のことだろうと思いますが、基本的には、先生御指摘ございましたように、行政機関等への手続が対象になりますので、無論、指定の機関等が対象になることはありますので、厳密な意味での官公庁だけじゃない場合もございますけれども、大筋、先生の御指摘のとおりかと思っております。

 公的個人認証サービスは、民間のサービスがあるのになぜやったのかということでございますが、これは先ほども若干お答えいたしたところでございますけれども、行政手続等のオンライン化を進めていくというときに、しっかりした基盤を整備しておこうということがございます。

 それからもう一つは、特に民間事業者との役割分担には配慮しながらも、安い価格で日本国じゅうどこでもこういう認証が取得できるようにという問題意識、それからいろいろな個人情報保護といったものの配慮も込めてこういう制度をつくらせていただいたものだというふうに考えております。

吉井委員 民間の個人認証、電子証明書の方は官公庁もいけるし、オンラインショッピングその他、そういう利用もできる、両方可能なんですね。それに対して、公的認証による電子証明というのは、これは民間商取引には直接利用できない制度ということになっているわけですから、それはそれで理由があると思うんですね。その理由というのを伺っておきます。

高部政府参考人 先ほど若干お答えいたしましたけれども、公的個人認証サービスをつくるときに、既に民間の個人認証サービスというようなものがスタートしていたこともございましたので、それとの適切な役割分担。

 それから、当時、行政の電子申請等に対応するようなものをつくっていこうというふうなこともございまして、現在の仕組みの中では署名検証者が限定されておることとの関係で、民間のショッピングといったようなことには対応するものではないという仕組みになっているところでございます。

吉井委員 これは、よく言われる、公的個人認証による電子証明が民間取引に利用できるようになってしまうと民業圧迫という意味があるのかなという感じを、お話をお聞きした感じとしては受けます。

 同時に、これは非常に、住基カードによる公的個人認証に基づく電子証明の利用ということで、個人情報の漏えいとかリスクをどう考えていくかという問題にもかかわってくるので、その点は後ほどまたお聞きしたいと思うんですが、先に費用負担の方についてもあわせて伺っておきたいと思うんです。

 住基カードは五百円、これに電子証明書を入れるとさらに五百円かかる。三年間有効ということですね。そうすると、公的個人認証は税金を投入して格安にするというものですからこうなるわけですけれども、民間事業者における電子証明書の発行の手数料は大体どれぐらいですか。

竹田政府参考人 お答えいたします。

 電子署名法に基づきます認定認証事業者によります電子証明書の価格と有効期間につきましては、事業者の提供されるサービスによってさまざまでございまして、一概には言えませんけれども、一年当たりで換算いたしますと、おおむね一万円から一万五千円程度となっていると伺っております。

吉井委員 ですから、民間の場合ですと一万円をはるかに超えるものであり、公的認証の方は、五百円で三年間有効ですから、一年で見れば百六十六円というふうになってくるわけですね。

 それで、ではなぜ五百円でということになりますと、これは、都道府県センターのランニングコスト、通年約十六億で、三年でいきますと約五十億、これが基礎になっていて、それを五十億と見積もって、三年間の電子証明書の発行枚数一千万枚、これで、割り算すれば単純に出てくる話で、五百円ということになるわけですが、では、実態の方はどうなってくるのか。

 そこで、最初に伺ったことなどにもかかわってくるんですが、大体、二〇〇四年度で五万六千百枚、二〇〇五年度で五万三千六百八十枚、合わせて十万九千七百八十枚ですね。ですから、三年間で一千万枚発行しようとすると、これは単純にいくと、二〇〇四年、二〇〇五年の二年間で、一千万掛ける三分の二でいいわけですから、六百六十六万枚。実績は約十一万枚ですね。そうすると、これは一・六五%にしか当たらないわけですね。だから、一枚五百円というのは、これは余りにも実態とかけ離れた計画に基づく算定数字ではないのかと思うんですが、これはどういうふうになっているんですか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、現行のこの公的個人認証の発行枚数からしたときに、その現状から見たときに、先生御指摘の一千万という数字は相当大きな数字といいますか、難しい数字だというふうには思っているところでございます。ただ、この公的個人認証サービスというのも、これは電子社会の中で、できるだけ安い価格で、どの地域でも電子証明が手に入れられるような仕組みを整備しようということでスタートしたところでもございますので、我々、この普及に精いっぱい努めながら、ぜひとも普及が進むように努力してまいりたいと考えているところでございます。

吉井委員 よくコスト、コストとおっしゃるんですが、これはもうかなりコストを無視して、採算その他は無視して、とにかく政策目標値として一千万枚。現実は一・六五%の実績ですから、これはなかなか、とてもじゃないけれども一千万枚に到達するめどというのは立たないというのが実態ではないかと思います。

 それで、オンライン利用率の方ですね。これは都道府県とか市町村で随分ばらつきがあると思うんですが、全体を網羅したような、そういう調査というのはやっていますか。

高部政府参考人 公的個人認証サービスを利用して行える申請の手続といったものがどういう状況かといったことについては把握しておりまして、十八年二月一日現在、国では十一省庁、地方団体では四十五都府県及び一部の市町村の手続が対象になっているというふうに把握しているところでございますが、具体的にこの公的個人認証を使って何件の申請等がなされたかということにつきましては、地方団体等において集計がございませんので、現時点では把握できていないといった状況でございます。

吉井委員 現在の利用状況は要するにわからないわけなんですけれども、しかし、目標値は五年後に五〇%という目標を立てて進めていっているわけですね。

 それで、公的個人認証に対応した電子申請システム自体が今整備されていないところが多く残っているわけですが、IT新戦略では、電子申請システムは全都道府県において二〇〇八年度までに、全市町村において二〇一〇年度までに整備すると。要するに五年後に目標五〇%、こういうことですが、この対象の申請、届け出等、手続数もわからなかったら、大体この到達もわからないということになりますし、到達してもわからないし、公的個人認証に対応した電子申請システムの整備もこれからというところですから、これでこの五〇%目標だけ追求すると、これは過剰な設備投資が起きかねない。現場では混乱が生じてくるというふうに思うんですね。

 この世界は日進月歩ですからね、なかなか五〇%にいかないんだけれども、とにかく過剰な設備投資をやって、十年、二十年たったころにはもう旧式の設備になって、無駄遣いということにもなりかねない。この点では、やはり現状に合った、きちんとよく考えた取り組みというものをやっていかないと、これは本当に過大な、無駄な投資ということにもなりかねないということをきちっと踏まえなきゃいけないと思うんですが、この点、どうですか。

高部政府参考人 まず、目標としております五〇%ということにつきまして、関係といいますか、地方団体の方々といろいろ連携をしながら、どういうふうに進めていくのか、いろいろ検討を進めているところでございます。

 また、先生御指摘ございましたように、いろいろな投資が過大となるということは、これは決してあってはならないということだと思いますので、費用対効果等も考えた一定のガイドラインといいますか、一定の情報提供といったものもさせていただきたいなというふうに考えているところでございます。

吉井委員 先ほど来、皆さんからも御意見、御議論ありましたけれども、要するに、仕事の上でうんと登記手続をとるとか、そういう人の場合は別として、普通の市民の場合には、それこそ何年に一回かというふうなことでしか余り使うわけでもなく、そもそもこの行政手続というのは、こういう人というのはそんなに多いわけじゃないんですよね。そして、自宅のパソコンから自由にできるといっても、読み取り機に新たなお金をかけないとできないということになってきますし、電子申請が全くふなれな人にとっては、役所の窓口に行って教えてもらった方がよほど間違いなくよくできる。

 キーの押し方一つ間違ってもうまくいかなくなったりとか、そういうことにもなってくるわけですから、私は、この問題というのは、やはり過剰な投資にならないように、そして本当に合理性を持って進めていくものかどうかということを踏まえた上で判断をするべきものであって、私、いずれにしても、電子申請を選ぶか、従来どおり役場へ行って紙で申請するか、いずれでも選択できるということですから、これは一つの方法だと思っているんですよ。それ自身は一つの方法だというふうに思っているんですが、あわせて、この場合、やはり個人情報の漏えいの問題ですね。これにどう取り組むかというのがもう一つの大事な問題になってくるのではないかと思います。

 そこで、実際に、そういうこともありますから住基ネットからの離脱を求めての訴訟等もあるわけですが、最近の行政機関から個人情報が漏えいした実例等、これはどういうものがありますか。

藤井政府参考人 まず、国の行政機関や独立行政法人の流出事案についての状況について御説明申し上げます。

 私ども、随時各行政機関等からの情報の収集に努めているところでございますが、すべての事案について把握しているわけではございません。これまでに把握している事例としては、例えば処分通知、書類などを本人以外の者に誤って交付してしまったとか、あるいは個人情報を含む業務関連の情報が記録された書類やパソコンを持ち出した際に盗難、紛失したとか、あるいは庁内で紛失したとか、こういったのが意外と多いというふうに認識しております。また、最近の事例では、これは大きくメディアでも報道されていたわけですが、職員が個人情報を含む情報が記録された電子データを持ち出して、ファイル共有ソフト、いわゆるウィニー等、この関連のコンピューターウイルスに感染した私物のパソコンから流出してしまったという事案が発生しているというふうに承知しております。

吉井委員 これは、総務委員会じゃなくて内閣委員会の方でありましたけれども、愛媛県警の捜査情報の流出とか、随分この流出問題というのは今深刻な事態が続発しているときです。

 そこで、伺っておきますが、個人情報をめぐる保護意識の高まりももちろん一方にあり、同時に情報流出がどんどん続くという中で、このトラブルの増加を受けて、全国町村会が市町村などを対象にした個人情報漏えい保険というのをつくっていこうということを検討しているということが報道されております。引受先は自治体関連の保険で実績のある損害保険大手の損保ジャパン、情報漏えいに伴い発生した損害の賠償のほか、謝罪のための記者会見や原因調査の対応費用も補てんする、こういう新しい個人情報漏えい保険というのが検討されているということが報道で伝えられておりますが、どういう状況ですか。総務省だったらつかんでおられると思いますから、伺います。

高部政府参考人 大変申しわけございませんが、詳細、承知しておりません。

吉井委員 これは実際に報道でも、私の方はインターネットで、ホームページで読んでいるんですが、これはちゃんと報道機関のものですよ、河北新報でしたか、そういうので紹介されております。

 つまり、逆に言えば、住基ネットも含めて、個人情報の流出というものについては今本当にどんどん起こっている。ですから、電子認証にしても、民間の認証機関ですと、そこも結局、特定のところは認めてもらって、住基ネットを使ってアクセスして本人確認をやるとかいうことを含めないと、確認業務というのはできないわけですね。

 ですから、そういうふうになってくると、逆に、この個人情報漏えい保険があるということは、現実の漏えいがあるという実態から生まれているわけですから、私は、情報漏えいの心配な人は、これはやはり住基ネットからの離脱も含めて、同時に申請についても、私はお役所へ直接行って紙で申請したい、もうちょっと安全なシステムがつくられるまでは電子化されたものに簡単に頼りたくないという方はそっちを選択することもできるし、いや、少々の個人情報の漏えいのリスクを背負っても便利さの方を選びたいという人はそっちを選択することもできると。

 今の時代、個人情報というものが相当きちんと守られるということに行くまでは、行政機関情報のオンライン結合の問題とか、それによって流出が広がるということになったりすると大変ですから、竹中大臣、ちょうど大臣が個人情報保護法担当をやっておられたのは二〇〇二年だったと思うんですね、私たちは野党四党で野党案の検討もして、行政機関情報については、オンライン結合についてはやはりきちんとした規制措置をとって、これは個別の法で対応を考えていかないとだめだということを言ってきたんです。

 それはそれとして、当時その議論をした大臣でもいらっしゃるわけですから、私は自分がリスクを背負って電子認証を選択しよう、そういうリスクはとりたくない、あるいは、もともとそういう分野は弱いから、わしは役場へ行って紙で申請したいという人も当然いらっしゃるわけで、いずれにしても、これは本人の選択に任される、そういうことが今の時代、大事なことだと思うんですが、この点は大臣に伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 二点あったかと思いますが、情報の漏えい、これはもう言うまでもなくあってはならないことで、そういうことが起きているということは極めて遺憾なことだ、これはもうしっかりと対応させるということに尽きると思います。

 ただ、情報の漏えいは、ITであるがゆえの漏えいというのももちろんあるわけですけれども、そうではないところでも実は漏えいというのは、残念だけれども、あり得るわけです。ITであるなしにかかわらず、そこはしっかりと情報管理をして個人情報保護法を守っていただかなければいけない、これが大前提であろうかと思います。

 今お尋ねの、これはもう選択制でよいではないかという点に関しては、現実的には今そのようになっているわけです。住基ネットの取得を強制しているわけではございませんし、そこは選択をしてやっていただくという形に現実にはなっているわけでございます。

 ただし、どのぐらい長期であるかはともかくとして、非常に長期について見ますと、これは、社会的なコスト全体を引き下げていくためにITを活用していくという方向は、私たちはやはり模索をしなければいけないのではないかと思います。これは、そうでないと、例えばいわゆる限界費用を考えると、今はまだ固定投資が大変高い段階ではございますが、ある程度の普及を前提としたならば、やはり限界的な費用というのはこのIT化によって非常に大きく引き下げる可能性はあるわけでございますので、そこはやはり、個人の選択の自由を重視しながら、しかし長期的な社会コストの低減というものを目指して、その時々の判断をしっかりとしていかなければいけないのではないかと思います。

 今は、その意味での重要な準備段階だと思います。個人情報の漏えい等々には十二分な配慮をしながら、その基礎固めをしていかなければいけないというふうに思っております。

吉井委員 私は、インターネットを、それは当然の道だと思って、別にそれを否定しているわけじゃないんです。ただ、やはり個人情報の漏えいの危険というのは随分広がっているときですから、リスクを負っても便利な方を選ぶか、個人情報漏えいがなくなるときまで、確信できるまで紙の方を選択するか、こういうことはやはり個人の選択にゆだねられるべきものだということを重ねて申し上げまして、この法律そのものはそういうふうになっているわけですけれども、私の質問を終わりたいと思います。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問の最後になりました。質問の内容によっては重複する部分があるやもしれませんが、その点についてはひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。

 まず最初に、指定認証機関についてお伺いいたします。

 この法律の専門書というか、ぎょうせいが出版したこの法案の説明書、これを読んでみました。「公的個人認証サービスのすべて その制度とシステムの全貌」、こういうふうな題名の本でありますが、これによりますと、指定認証機関の指定要件といたしまして、「本法の目的に沿って適切に実施することが可能な組織、能力、財政的基盤を備えている」こと、このように定義されています。一方、二〇〇二年、この法律が制定されるときでありますが、十二月三日の政府答弁を見ますと、「職員、設備、認証事務等の実施の方法その他の事項についての認証事務等の実施に関する計画が適切であること」が要件、こういうふうに答弁がされております。この二つを比較したときに、重なり合わないというふうな感じがするわけです。

 それで、この専門書というか解説書というか、その内容と政府答弁とはどういう連関性を持つのかなと、改めて政府のこの指定認証機関についての定義について聞いておきたいと思います。

高部政府参考人 お答え申し上げます。

 指定認証機関の指定基準につきましては、この公的個人認証法の第三十六条第一項におきまして、その積極的要件が定められているところでございます。

 ここの三十六条第一項におきましては、まず一つといたしまして、「職員、設備、認証事務等の実施の方法その他の事項についての認証事務等の実施に関する計画が認証事務等の適正かつ確実な実施及び認証業務情報の保護のために適切なものであること。」二つ目に「認証事務等の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有する法人であること。」第三に「申請者が、認証事務等以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって認証事務等の適切な執行が困難となるおそれがないこと。」この三つのものが規定されているところでございます。

 今、先生御指摘いただいた法制定時のお答えというのは、これらいろいろの中で一番目に規定されていることを答弁したものだというふうに考えられるところでございます。

 御指摘ございました解説書の意味、これは、今の三つの要件をとらえて、組織、能力、財政的基盤といったような記述、特に二つ目には「必要な経理的及び技術的な基礎を有する法人であること。」といったような要件が書かれておることから、このように記述されたのかなと推測するところでございます。

重野委員 ということは、この組織、能力、財政的基盤なる、いうところの三要件、これは、当然政府答弁の中に含まれるというふうに解していいんですか。

高部政府参考人 先ほど言いましたように、政府答弁は、法律に規定された三つのもののうち、例示だと思いますけれども、一つが書かれておるものですから、政府の答えた一号、一つの部分だけでいいますと、これは全部入っているということにはなりませんけれども、ただ、あくまでも指定要件というのは、この法律に規定されております、先ほどの三つの要件を満たしているところでございます。

 解説書が言いかえをしているものがどうこうというよりも、ともかく法律で規定されている三つの要件に該当するということが要件だというふうに認識しているところでございます。

重野委員 そこのところをくどく聞くのは、次の質問に入ることと非常に重要な意味があるから聞いたのであります。

 自治体衛星通信機構、LASCOM、これが本法に基づいて認証業務を行っております。このLASCOM、つまり自治体衛星通信機構を認定機関とした理由は一体どこにあるのか、それについて答弁ください。

高部政府参考人 ただいま御指摘ございました財団からの指定の申請を受けまして、法第三十六条の基準に照らして審査いたしましたところ、提出された認証事務実施計画に、認証事務の適正確実な実施や認証業務情報の保護のための措置が盛り込まれていたこと、公的個人認証サービスのシステムの実用試験に参加するなど、認証事務の実施に必要な高度な技術的基礎を有していると判断されたこと、健全な経理的基礎を有していると判断されたことから、同財団は基準を満たし、認証事務を適切に実施する能力を持っていると認められたために、指定したものというふうに考えております。

重野委員 この自治体衛星通信機構なる組織は、もともと都道府県、政令指定都市を母体とする災害対策時の通信網を確保する機構、これがLASCOMであります。それが認証機関となるには、今説明がありましたが、設置目的からして妥当な選択と言えるのか、当初の設立目的とは随分違うんではないか。そうした設立目的の異なる法人を認証機関と指定する以上、こういう、いうところの三要件を初めとして、積極的に満たす条件がどこのところにあるのか、具体的にはどういうふうに説明されるのか、改めて聞いておきたい。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございましたように、LASCOMは、全国の自治体等において通信衛星を共用するための設備を設置、運用して、防災情報の伝送といったネットワークを目的としているところでございますが、平常時には行政情報の伝送を行うネットワークの整備促進を図るといったこともあわせて目的にしてつくられたものでございまして、従来から、地方公共団体向け地域衛星通信ネットワークの安定的な運用でございますとか、セキュリティー確保に取り組んできた実績がございまして、地方団体に係る情報システムの構築、運営に高度な専門的知識、技術基盤を有する団体と認められたものと考えております。

 また、公的個人認証サービスに関しましても、システムの実用試験に参加するほか、ICカードリーダライターの動作確認ツールの開発等を実施するなど、高度な技術的基盤を有しているというふうに認められたものだと思っております。

重野委員 では聞きますけれども、LASCOMの財政基盤を検証してみますと、これは二〇〇五年度の予算でありますが、一般会計が約二十五億円。その収入の半分強は、都道府県あるいは政令指定都市からの分担金であります。また、公的個人認証特別会計もほぼ同額の二十四億円で、その内訳は、法四十四条に基づく都道府県からの交付金が全体の六〇%、約二十四億円のうち十四億五千万、このようになっております。

 要するに、LASCOMの二つの会計とも、地方自治体がその多くを負担しているわけでありまして、そういうふうな形にしておいて、指定認証機関としてまた新たな機関としての位置づけをする。これは、ある意味では法律に名をかりた既存法人の、焼け太りという言い方は語弊があるかもしれませんが、そういうふうな指摘を受けても仕方がないんではないか、こういうふうな感じがしますが、そこら辺の一つ認識をお聞かせください。

竹中国務大臣 自治体衛星通信機構、LASCOMについて御議論いただいておりますけれども、この機構は、地方公共団体に係ります情報システムの構築、運用を通じて、高度な技術基盤を有している、そしてネットワーク管理に必要な専門的知識を有する人材そして財政的基盤を有しているというところでございます。要するに、先ほどから御議論いただいていますけれども、やはり情報管理の専門性、それと技術を持っている機関だというふうに認識をしております。

 この機関を指定の認証機関として指定するかどうかに当たりましては、当然、同団体からの申請を受けまして、先ほどから御議論を賜っております、法の第三十六条の基準に照らして審査をしたわけでございます。そして、それぞれの基準に適合している、適正に認証事務を実施できるというふうに認められたということで、指定をしたわけでございます。

 もちろん、指定機関に委任を行うかどうかというのは、これは委任する主体であります都道府県が判断することでございます。都道府県においては、公的個人認証サービス都道府県協議会におきまして、運営事務の内容でありますとか、運営に必要となる経費等についての慎重な審議が行われているというふうに聞いております。

 この機構に対する都道府県知事からの交付金というのは、公的個人認証法の第四十四条に基づいて、委任しなければ都道府県が直接支払うべき適正な金額分を交付するという仕組みになっているわけでございます。

 したがって、委員も焼け太りとは言っておられませんけれども、決してそういうものではないというふうに認識をしております。

重野委員 これは、防災情報システム、市民生活に大きな影響を及ぼす情報を扱う機関ということですね。そういう本来の目的と、そして新たにこの仕事というか情報が入る場合に、それは本来の業務に全く差しさわりはないと、私、専門家じゃありませんから、そういうふうな検証というか、それはされているんでしょうか。

高部政府参考人 先ほど言いましたように、法律に、ちゃんとできるようにと、ほかの業務をやっている場合には要件がございます。申請がございまして、現行業務が認証の事務の適切な執行に支障を来すことのないように、現行業務と認証事務等を行う事務所を分離するとかといったようないろいろなところを講じておりまして、そういう点を配慮して問題ないということで判断したところでございます。

重野委員 それでは、次にかわりますが、IT戦略について聞きます。

 二〇〇三年から行政手続オンライン化法、二〇〇四年には公的個人認証サービス法が施行されるなど、世界最先端のIT国家となるんだということを目標として法整備が進められてきました。そこで、まず、申請、届け出などオンラインに占める電子証明書の発行件数はどの程度となっているかということが一つ。それから、今後のオンライン化の普及あるいは進展についての見通し、どういう見通しを持っておられるか。この二つをお聞かせください。

高部政府参考人 公的個人認証サービスの電子証明書の発行枚数は、本年三月末で十三万四千百七十二枚という状況になっているところでございます。

 電子政府、電子自治体を目指して、こういう手続のうちの五〇%をこういうものでやるようにということを目指して、そういう方向に向かって努力しようということになっているというふうに考えているところでございます。

重野委員 IT新改革戦略というのがありますが、これで、今局長も言いましたが、国、地方公共団体に対する申請、届け出など手続におけるオンライン利用率を二〇一〇年度までに五〇%以上とする、こういうふうになっております。今の見通しからして、この五〇%というラインを達成する、そういう見通しを持っておられるかどうか。

竹中国務大臣 見通しについてのお尋ねでございますが、これは我々にとっての目標でありますので、見通しというよりは、ぜひこれは達成をしなければいけない、ぜひ達成させるということで、そういう強い意思を持って計画を立てております。

 御指摘のありました五〇%というのは、IT新改革戦略におきましてオンライン利用率を二〇一〇年度までに五〇%以上にするという、これは目標でございます。この目標に向けて政府全体として取り組むということで、その目標を達成するために、これは、単に数値目標を設けるだけでは達成するということはおぼつかないものですから、それだけではなくて、そのための具体的な行動計画というのを策定したわけでございます。まさに、アクションプランをつくってそれを実現していこう、そのために各部署に必要なことをしっかりと検討させてしっかりと実現させるという体制をとったわけでございます。

 具体的には、年間申請件数の多い、十万件以上の手続を対象に、インセンティブを付与するということとか普及啓蒙活動の推進等、具体的な、まさにオンライン利用促進のための行動計画を先月の末に策定したところでございます。これを、PDCAサイクル、まさに定期的に行動計画を評価、見直しをするということのサイクルに乗せて、二〇一〇年度までにオンライン利用率が五〇%以上になるようにぜひ努力をしてまいりたいというふうに思っております。

重野委員 その改革戦略で書かれていることは、二〇〇六年度一六%、二〇〇七年度二一%、二〇〇八年度二八%、そういうふうに年度ごとの目標値を設定しております。二〇〇八年度までしか数値目標を示していないんですね、見ますと。この二〇〇六年一六%、二〇〇七年二一%、二〇〇八年二八%というふうになりましたが、この目標値に対し達成率というか、それはどういうことになっておりますか。その二点。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨は二点あろうかと思います。一つは、現在利用率はどのくらいかという話と、もう一つは、この行動計画自体は全体で五年間になっているんですけれども、何で前半の三年間だけ年度割りの目標値を定めてあるのか、こういう二点かと思います。

 まず、最初の点については、これは先ほども実は御説明したことの繰り返しになるんですが、平成十六年度で一一%という形になっております。それを、先ほど御指摘のとおり、一六%、二一%、二八%と毎年上げていきたいということです。

 それで、なぜこの三カ年間だけにしているかというと、これは、一つ計画の推進のテクニックの問題として、まず三カ年間については具体的な、大臣が申し上げたところでございますけれども、ただ目標値を追いかけるだけじゃなしに、いろいろシステムを見直したり、手続を見直したり、個別に普及活動したり、そういう施策を実施する、そういうことでこの三カ年についての数値をまず達成することを目指して、それで、これも大臣から申し上げたところですが、やはりそういった改善方策の効果を評価するということで、残りの二カ年間もっとグレードアップをするべきかどうか、そういうようなことを見直した上で最終的に五カ年で五〇%を目標にするという意味で、まず第一ステップとして我々はこういう具体的なものをつくったということでございます。残りの部分については何もしないということじゃなしに、むしろ、第一ステップを、成果を評価した上でさらに具体的に何をすべきかということをつくっていく、そういうつくり方になっているということでございます。

重野委員 それではまた、二〇〇九、二〇一〇というふうに、残りの三カ年の目標値というか、それがまた後刻明らかにされてくるんだろうというふうに受けとめました。二〇〇八年までが終わって、そこでどうするかということで出てくるだろう。

 それはそれとして、次に、いずれにしましても、この目標を達成するには、現状に照らして、先ほど来るる話がありましたように、相当な努力が必要になってまいります。幾つかの知恵をあるいは方策を出していかなければならぬわけですけれども、そこで、例えば所得税、法人税の電子申告に係る制度、運用の改善について検討するというふうな文言がございます。これについて、今どういうふうな検討がされておるのか。

 それから、先ほども確定申告の話が出ましたけれども、現行の確定申告一つとってみましても、例えば医療控除等々は別途領収書を添付しなければならないだとか、あるいは、所得税の電子申告を促進するならば、例えば今の源泉徴収票を添付しなければならぬとかいうふうなものがまだあるわけですね。そこら辺がどういうふうに整理されていくのかということが問われてくると思うんです。添付書類の電子化、省略、廃止、手続自体の廃止等々、課題として挙げていることからも、そこら辺の議論がされていくんだろうと思うんですが、そこら辺について今後どういうふうに進んでいくのか、明らかにしていただきたい。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のIT新改革戦略を受けまして、国税庁におきましても、ことしの三月末にオンライン利用促進のための行動計画というのを策定、公表いたしたところでございます。

 その行動計画の中で、具体的な施策として幾つか御紹介いたしますと、例えば第三者の作成いたしました源泉徴収票、それから領収書といった添付書類のオンライン化。それからまた、税理士さんを通じた手続における納税者本人の電子署名の省略、そういったことができないか。三番目には、早期還付などのインセンティブ措置が何らか考えられないか。さらには、執行面でも、確定申告期における利用可能時間の拡大といったようなこと。そういったことをこのオンライン行動計画にも盛り込んでいるわけですけれども、現在、鋭意検討をいたしているところでございます。こうした取り組みによりまして、御指摘の目標達成を目指して一層のオンライン利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

 あわせて、このため必要となる公的個人認証の普及、拡大などについては、関係府省とも連携を図ってまいりたいと思っております。

 それからもう一つ、特に添付書類の問題でございますけれども、やはり先ほど申し上げましたオンライン行動計画も踏まえつつ、源泉徴収票や医療費の領収書など、第三者が作成した添付書類ということにつきましては、不正還付を防止する策などをきちっと施すということが前提にはなりますけれども、オンライン送信を認めるなどの検討を現在鋭意進めているところでございます。

重野委員 時間が来ました。以上で終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・日本・無所属の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の御説明にかえさせていただきます。

    電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 公的個人認証サービスを基にした電子申請等の手続の普及を進めるとともに、国民が広く利用できるように署名検証者等の範囲を拡大することにより、住民の利便性の向上及び行政の合理化を推進すること。また、これに際しては、地域間格差が生じないよう地方公共団体に対し、必要な支援を行うこと。

 二 個人情報保護の万全を期するため、地方公共団体の条例についても、個人情報保護法の趣旨を踏まえ適切な措置が講じられるよう助言に努めること。

 三 地方公共団体の認証業務を行うに当たっては、情報の流出、改ざん、不正使用等が行われないよう、個人情報管理の徹底、セキュリティー対策の強化等を図ることにより、業務の信頼性・安全性が確保されるよう万全を期すること。

   特に、コンピュータウィルスに感染したパーソナル・コンピューターから地方公共団体が保有する個人情報が流出する事例が頻発していることにかんがみ、地方公共団体において早急に、自ら対策を講ずるとともに、請負契約等に基づき地方公共団体が保有する個人情報を処理する者に対しても同様の対策の徹底を求めるよう適切な助言に努めること。

 四 住民基本台帳カードの利活用を図るに当たって、プライバシー保護及び個人情報保護の重要性にかんがみ、住民基本台帳ネットワークシステムの安易な利用の拡大を行わないよう留意すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

中谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹中国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の自主性・自律性の拡大等のため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、副知事及び助役制度の見直しに関する事項であります。

 市町村の助役にかえて、市町村に副市町村長を置くこととし、副知事及び副市町村長の職務として、普通地方公共団体の長の命を受け、政策及び企画をつかさどること並びに長の権限に属する事務の一部について、委任を受け、事務を執行することを追加することとしております。

 第二は、出納長及び収入役制度の見直しに関する事項であります。

 出納長及び収入役を廃止し、一般職の会計管理者を置くこととしております。

 第三は、監査委員制度の見直しに関する事項であります。

 識見を有する者から選任する監査委員の数を、条例で増加することができるようにするものであります。

 第四は、財務に関する制度の見直しに関する事項であります。

 クレジットカードによる地方公共団体への使用料等の納付の方法を定めるとともに、行政財産の貸し付けまたは私権の設定ができる場合を拡大するほか、国債等の有価証券の信託の規定を設けることとしております。

 第五は、長または議長の全国的連合組織に対する情報提供制度の創設に関する事項であります。

 各大臣は、地方公共団体に対し新たに事務または負担を義務づけると認められる施策の立案をしようとする場合には、地方公共団体の長または議会の議長の全国的連合組織が内閣に対して意見を申し出ることができるよう、連合組織に施策の内容となるべき事項を知らせるために適切な措置を講ずることとしております。

 第六は、議会制度の充実に関する事項であります。

 学識経験を有する者等の専門的知見の活用や議長の臨時会の招集請求に関する規定を設けるほか、議員の複数の常任委員会への所属制限を廃止するとともに、委員会の議案提出権を認めることとしております。

 このほか、中核市の指定に係る面積要件の廃止その他所要の規定の整備を図ることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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