衆議院

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第29号 平成18年6月14日(水曜日)

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平成十八年六月十四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 後藤  斎君 理事 渡辺  周君

   理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    金子善次郎君

      上川 陽子君    木挽  司君

      佐藤ゆかり君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    谷本 龍哉君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      平口  洋君    広津 素子君

      福田 良彦君   山本ともひろ君

      逢坂 誠二君    佐々木隆博君

      田嶋  要君    寺田  学君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      古本伸一郎君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務副大臣        山崎  力君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   参考人

   (日本郵政公社常務執行役員)           塚田 為康君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     金子善次郎君

  橋本  岳君     佐藤ゆかり君

  渡部  篤君     広津 素子君

  安住  淳君     古本伸一郎君

  西村智奈美君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  金子善次郎君     石破  茂君

  佐藤ゆかり君     平口  洋君

  広津 素子君     渡部  篤君

  佐々木隆博君     西村智奈美君

  古本伸一郎君     安住  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

六月十二日

 軽油引取税暫定税率に関する請願(細川律夫君紹介)(第三四三六号)

 軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第三五二四号)

同月十三日

 シベリア抑留問題の早期解決に関する請願(前原誠司君紹介)(第三七三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事小林良介君、理事中川潤一君及び日本郵政公社常務執行役員塚田為康君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、総務省大臣官房総括審議官荒木慶司君、人事・恩給局長戸谷好秀君、自治行政局長高部正男君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長小室裕一君、政策統括官清水英雄君及び財務省主計局次長松元崇君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、本国会最後の質問でございます。と同時に、竹中総務大臣にひょっとしたら最後の質問かもしれませんので、一抹の寂しさを感じながら質問させていただきます。

 十五分でございますけれども、まず前半、公務員の制度に関して質問をさせていただきます。

 この国会でも、天下りの問題やら、あるいは天下りが繰り返される問題、早期の勧奨退職制度とか、いろいろな問題に関して指摘がされ、見直しの検討もされ始めておるということでございますけれども、いろいろ今、公務員制度は、これは昔からでございますが、常に批判をされる対象ではありますが、そういった制度をいろいろと見直していくということの一環で、私は一方で思うわけでございますが、これは地元でも指摘をされたことが何度かあるんですけれども、公務員バッシングというのは非常に得意なというか、みんなの好きなテーマになり得るんですけれども、片方で、日本の霞が関の仕事のあり方というのが大変ハードというか重労働になっているのも実態としてある。まあ、若干政治家が批判されたりもするわけでございます。

 そういった中でよく指摘されるのは、実は霞が関の方々の中には、最も時給の安いブレーンというんですか、いわゆるアドバイザーというんじゃなくて、知的な作業をしている方々ということで、そんなような指摘を受けることがあるんですね。だから、これから、公務員の人件費の総額削減とか定数の削減とか、そういったようなことで下方というかそういった圧力は大変かかってくるわけですし、それ自体は私はあるべき方向であるという認識は持ちつつも、しかし、やはりもう一つの問題が悪平等的な側面、これは教員の部分にも同じことが言えるかと思うんですが、そういったところをやはりこれからめりはりをつけた形にもっともっと変えていかなきゃいけないという感じもいたします。

 ある意味では、大学の同期の仲間と話していても、公務員の待遇というのは必ずしも高くはないわけでございますが、私は、早期退職とか天下り後に高額な退職金をもらうとか、そういう制度をなくす一方で、現役のときにもう少しその点に関して見直されてもいいじゃないかという思いも一方で持っておるわけでございます。

 その点に関して、大臣、今どのような御見解をお持ちでしょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、今国会を振り返るに、これまで本当に、公務員の問題そして待遇の問題、給与の問題、いろいろな御議論があったと思います。公務員の社会の中に私も身を置いたことがございますけれども、改めて時給の安い知恵袋だという委員の御指摘、私も同感するところがございます。

 やはり原則は、私、公務員に限らず、よい仕事をして、それに見合った高い給料をとっていただく、これが基本だと思うんですね。そういう形に今のところなっているかと聞かれると、残念ながら変えていかなければいけないところは私は大変多いのだと思います。そのためには、やはり基本になるのは、よい仕事をしているかどうかということをしっかりと判断して評価するシステムをこの公務の部分においても築いていかなければいけない、やはりそういうところに行き着くのではないかと思っております。

 国民からの厳しい目に対して、しっかりと削るべきは削らなければいけませんが、公務が正しく評価されるように、私たちとしても今新しい評価制度の試行を始めましたけれども、そういうことをしっかりとぜひ行って確立させていく、それが必要であるというふうに思っております。

田嶋(要)委員 退職後の高額な、数年いただけでもらえる高額な退職金とか、そういうものに対しての何かインセンティブが働いたり、あるいは先回審議がありました留学なんかも、留学の二年間を骨休めみたいにみなすようなそういう風潮は必ずしもなきにしもあらずだと私もいろいろ聞いておるわけでございますが、やはりそれは全体としての構造がいびつなところから出てくるマインドが生まれてしまっているのではないかなと。だから、先ほど申し上げた、もちろん総額での費用とかそういった部分を圧縮していきつつも、やはりちゃんと手当てをするところはしっかり働きに見合った形に変えていかなきゃいけない。

 これは恐らく日本社会全体がこれまではどちらかというと横並び式ということで、民間も試行錯誤の中でせいぜい五年か十年ぐらい先を行っているような感じがいたしまして、外資系なんかに比べると、まだまだ民間企業でも、個人の業績によって差をつけるというのは本当にスズメの涙程度のボーナスの差しかつかないとか、そういうことはよく聞くことでございますので、社会全体のことだとは思いますけれども、公務員バッシング一色じゃなくて、ぜひそういう部分の見直しも必要かなというふうに私自身思っております。

 それから、質問通告をちょっとしておらないんですが、もう一点だけ大臣のお考えをお伺いしたいと思うんです。

 早期の退職がこれからなくなってきますと、ある意味、公務員の方々が滞留してくる時間が長くなってくるわけですね、早く退職する方々が減ってくるわけでございますから。そうすると、当然、中にいる人員がふえ、先ほど申し上げたような、小さくしていかなきゃいけないという方向性とは逆になってくる可能性がある。そこら辺でなかなか悩ましい問題が出てくるのではないか。新規の採用をストップとか小さくしていく、そんなようなこともひょっとしたらあるのかなというふうに思っておるんです。

 私は、一つの検討に値する、私個人の意見として、よく任期つきの採用なんかで採用される方は、大体、士の資格を持っておられる弁護士とか、そういう方がよく来られていますね。でも、アメリカなんかですと、日本でも始まりますが、法科大学院制度みたいなものが始まって、大学院を卒業してそういう仕事につくというケースがよくあるわけでございます。

 私は一つ思うのは、公務員も、新卒でじゃなくて、例えば年齢制限をして二十五歳からとか、そういう若干ずらす形で新卒を始めるような、そういう制度なんかもひょっとしたらあり得るのではないかな。要するに、早期退職がなくなってくれば、当然そこに関して人が残ることになりますから、ではどうしたらいいのかということですが、全体の枠を変えずにということですと、一つ検討してみる価値があるのは、入るタイミングをもう少しずらしていく。やはり世の中の社会経験が少ないとか民間のそういう経験も全くないとかいろいろな指摘がある中で、民間との人事交流やあるいは中途の採用や、そういったものとセットに、もう一つの検討課題として、入省する、そこで働く年齢を少し引き上げるということも検討してみたらどうかなと私は常々思っておるわけです。

 大臣、その点に関して何かお考えがございましたら、コメントをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員の御指摘は基本的には賛成でございます。

 委員の御指摘は今、入省の時期、採用の時期の話でございましたけれども、それだけではなくて、恐らく退職ないしはラインから外れて専門職的に仕事をするとかいうことも含めまして、人事ローテーションといいますか、人事の複線化といいますか、多様化の御指摘だと思います。

 やはりそれをやらないと、今までと同じように二十二歳で新卒で入って、そのまま年功とともに偉くなっていって、そしてある時点から急に勧奨退職で外に出て行くというふうなことに結局はなっていかざるを得ないわけでございます。長く役所にいた方に関してはそれなりの社会的な待遇が与えられるような仕組みも私は考えられてよいと思いますし、実は税理士さんというのはそういう仕組みを一部取り入れているわけであります。そういうことも可能でありましょう。

 また、今のは出口ですが、入り口の面では、委員おっしゃったように、外部の教育機関でないしは外部の職場でそれなりのトレーニングを踏んでいただいた上でいわば新規採用するというようなローテーションも当然あってよいと思いますし、そのような複線化を同時にやっていかないと、やはり制度全体が回っていかないのだと思っております。

 評価を能力主義、実績主義で行っていくこと、評価の基準も多様化すること、そして人事を複線化すること、そのことが相まって、公務員制度を改革していかなければいけないというふうに考えております。

田嶋(要)委員 この間も申しました、私と一緒に留学した仲間も帰国早々やめた役所の方も何人かいるわけで、やはり自分が本当に公務員に向くのかということを見きわめる冷却期間も必要ではないかな。だから、試験にパスするのはいいんですが、例えば省に入るのは二十五歳以上とか、そういう若干のタイムラグを設けた方がいいのかなという感じもいたしております。

 次に、大きなもう一つの御質問でございますが、地方自治体に対する総務省あるいは総務大臣の働きかけというか、そういう部分に関して前回も少し質問させていただいて、私がこの間、四十九カ月の知事の給与の問題を指摘したときに、これはそれぞれの自治体で考えればいい話だというような御答弁、基本的には地方の考え方を尊重したいという大臣の考え方があったと思うんですね。しかし、私は、それは中身によるのではないかなという思いをいたしております。

 そこで、きょうは二点御指摘いたしたいんですが、それぞれの自治体が徴税をする、収入側ですね、それを使って行政を、いろいろなサービスを行っていくわけですが、お金を使う側の話でまずお伺いしたいんです。

 昨日、随意契約の調査結果が出ました。実際、ほとんどが随意契約で行われているんだが、その中で真に随意契約の必要性があるものは二割以下だというようなことが、官房長を中心にした調査の結果、出てきておるわけでございます。もちろん総務省でも、防衛庁とか国土交通省に比べれば額や件数は大変少ないとは思いますけれども、随意契約の問題はやはり共通の課題だと思うわけでございます。

 私は、今後さらに考えていかなきゃいけないのは、今回は霞が関だけだったんですけれども、地方も同様な問題がむちゃくちゃあるんじゃないかなと思っておりまして、実態は国とほぼ変わらないのではないかな。そういったことに関して、やはり調査を加速化させていかなきゃいけない。

 今回、霞が関も初めてこの調査をやって、随意契約の中で必要性のあるものはほとんどなかった。つまり、会計法に反することをみんなやっていたということですね。そこが本当に真っ黒なのか、若干の判断の余地があって、まあこれは随意契約でよかろうというような、だれかが決裁しているわけですが、やはり中にはかなり真っ黒で悪質なものもあるのではないかな。その調査をこれからやっていかなきゃいけないと思うんです。

 これからぜひ、地方の自治体の関係するそういった契約に関しても、私は、大臣に強制力はないのかもしれませんが、そこをしっかり、前回も大臣の権限は意外に小さいということを正直におっしゃった御記憶が大変強く印象に残っていますけれども、しかし、やはりこれはやっていかなきゃいけない。これは税金の無駄遣いですから、やはり待ったなしでやっていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

竹中国務大臣 地方の自治、地方が分権のもとでしっかりと御自身で判断していただくということを目指していろいろな制度の改革を進めております。そういう意味で、政府として、総務大臣として、総務省として、何をどのように関与すべきかというのはなかなか微妙な問題があろうかと思います。そういうことも含めて前回あのような答弁を私もさせていただいたわけでございますが、しかし、それでもやはり必要な働きかけというのはあると思います。そのようなことに関しては、必要なときはちゅうちょしないでそのようなことは行っているつもりでございます。

 お尋ねの公共調達の適正化でございますけれども、国におきましては、公共工事等の入札契約の改善そして随意契約の適正化を図るために、ことしの二月にこうした適正化に向けた取り組みについてということを決定しておりますけれども、これを受けまして、関連します国土交通省と我々の連名で通知を行っております。国における取り組みを踏まえて、その適正化をさらに推進していただくよう要請をしている、そのような要請は行ったところでございます。

 同じように、経費の節減についてもいろいろな国での取り決め等々がございますので、そうしたことに関連しまして、節減合理化を進めるように要請をしているところでございます。

 やはりこれは、総務省としては、必要な情報提供や技術的助言、そういったことを行っていきたいと思っておりますし、随意契約の問題に関しましては、今御紹介したような要請を既に行ったところでございます。

田嶋(要)委員 その随意契約のお金を使う側の話とセットにして、もう一つ私が御指摘を申し上げたいのは、お金を集める側の話でございます。

 これはどうしてそこに行き着いたかという連想ですけれども、私が社会保険庁の質問をさせていただいたときの話でございまして、要するに分子と分母の話でございます。あれはかなり不正だったわけで、三十六カ所で発覚しておるわけでございますが、社会保険料の徴収に関してそういうインセンティブが働くのであれば、同じインセンティブがひょっとしたら徴税実務に関しても働くのではないか。つまり、保険料の徴収率を上げる、それに何らかのインセンティブ、あるいは事務所間の競争とか、あるいはそれによってその担当者の評価が決まるとか、そういうことが今社保庁の中であるのであれば、では同じようなことは、それぞれの自治体、場所によってはそういったインセンティブが働く仕組みがあるのではないか。とすれば、やはり税の方の徴収に関しても、間違いが起きないようにしっかりと見ていかなきゃいけないんじゃないかなという感じがいたしておるわけです。

 そういうのも、私自身の千葉市で、実際に滞納が八十億ぐらいずれていたということで過少申告が出ていたということがあるわけで、これも、例えば政令市間の徴税率の競争みたいなことが中にはあるのかもしれない。私は、こういった例が最近、九州か沖縄の方でも一件出てきたという話も聞いておるわけです。

 基本的に、監査というのは、それぞれ自治体が自分たちでやるべきだとは思うんですが、しかし、外部監査も含めて、徴税事務に関してもやはりしっかりと見ていかないと、これも、税を集める側での何かとんでもない問題があっちゃいけないわけでございますから、ぜひその辺も大臣に御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 行政における徴税というのは、最も基礎的な業務、行為であると思います。そうした点について、まずは団体においてしっかりと対応していただく、そのための外部監査の制度等々もあるわけでございます。

 千葉市におきまして、最近そうした問題が判明して、市が調査の上、市議会に報告することになっているというふうに承知をしておりますので、これはぜひ厳正に対処していただきたいというふうに私も思っております。

 総務省としては、そうしたことも含めまして、あくまでもこれは地方でやっていただく最も重要な基礎的な業務であるからこそ、地方で責任を持ってやっていただきたいという思いが非常に強くございますが、同時に、今言われましたように、公正で適切な税務行政が行われるということは当然必要でございますので、機会をとらえて地方団体にも必要な要請はしてまいりたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 最後になりますけれども、税金の収納率に関して、国が行革インセンティブとして交付税の上積みをしておる、そういうことを知りました。これは一つの、地方は地方の仕事であるけれども、やはり国と交付税という関係でつながっている、要するに国がインセンティブを与えているわけですね。

 そういうことであれば、今私が申し上げた、例えば随意契約を見直していくとか、あるいは税の実務に関してしっかりと監査を行って間違いがないようにしていくとか、そういうことに関しても何らかのインセンティブ、要するに、罰則とか強制させるというよりは、何らかのインセンティブを与えるようなメカニズムを考えることは、私は中央政府で検討はできるのかな、実際に今あるわけですから。

 その辺も含めて、ぜひこの二点に関して重ねてお願いを申し上げまして、今回、私の最後の御質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは、総務委員会での質問の機会をいただきましたことに、理事の皆様、同僚委員の皆様に感謝を申し上げる次第でございます。

 私からは、我が国の少子高齢社会が加速していく中で、いわゆるシルバー人材の皆様に今後さらに労働力としてある意味期待するというよりむしろ頼らざるを得ない局面に来ているのじゃないかという問題意識から、地方公共団体が締結をする契約、発注について、二、三お伺いをいたしたいと思います。具体的には、地方自治法の二百三十四条、二百四十四条になろうかというふうに理解をいたしております。

 まず一点目でありますが、公の施設の管理について、指定管理者制度が平成十五年より導入されております。これは、法を読みますと、「必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するものに、管理を行わせることができる。」というふうにうたってあります。これは、法改正前の同法と比較いたしますと、改正前、改正後で比較いたしますと、改正前は「公共団体若しくは公共的団体に委託することができる。」こういう法律が今冒頭申し上げたような書きぶりに変更になったわけですね。

 結果、今地方ではいろいろと、シルバー人材の皆様が受注の機会を逸しているのではないかという懸念があるんですが、まず、大臣におかれましては、こういった現状について、御認識あるいは御見解があればお伺いをいたしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 指定管理者制度が導入されたことによります地方公共団体からシルバー人材センターへの委託の機会の増減といったことにつきましては、現時点でちょっと把握していないところでございますけれども、個別に把握しているところによりますと、シルバー人材センターが、駐輪場でございますとか駐車場でございますとか老人福祉センターといった公の施設の指定管理者に指定されている事例も見られるといったような状況でもございますので、各地方公共団体におきましては、施設の性格や地域の実情等を踏まえまして、それぞれの公の施設の管理を行うのにふさわしい者を議会の議決を経て指定しているものというふうに考えているところでございます。

古本委員 お尋ね申し上げているのは、「必要があると認めるときは、」と書いているということは、この指定管理者制度に基づいて、導入によって受託ができる範囲を民間に拡大したということなんですが、必ず民間に広く公募といいますか入札をかけてやらなければいけないということではない、こういう理解でいいでしょうか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、そういう管理をすることの方が施設の機能を生かせる、そういう必要性を認めたときに行うものでございますので、地方公共団体の判断によって行うということでありますので、必ずやらなきゃいけないという性格のものではございません。

古本委員 そうしますと、地方自治法二百三十四条の方に移りたいんですが、こちらは、今度は逆に、構造改革特区の一環として、随契できる対象範囲をシルバー人材センター等からの役務の提供というふうに具体的に明記をして、逆に門戸を広げたといいますか、法的なたてつけとして裏づけを得たという意味では、その範囲が広がったということで歓迎されているというふうに理解しています。

 問題はこの役務の範囲なんですが、これは法文上、定義が見当たらないんですが、何をもって役務とするかということについては各自治体によって判断をするという理解でよろしいでしょうか。

高部政府参考人 役務の概念でございますけれども、自治法でも、法律そのものにも使われておりますけれども、一般に、役務という言い方については、他の人のために行う労務やサービスを指すといったことで用いられていることが通例でございます。

 シルバー人材センターですと、私ども経験したところによりますと、清掃でありますとか草むしりだとか整理といったような業務、高齢者が集まってサービスを提供していますので、こういうたぐいのサービス、行っているサービスというのは広く含まれるのではないか。

 ただ、判断はすべて地方公共団体の判断かということでございますが、役務という用語を政令で使っておりますので、それは外縁は当然あるものでございます。その中で地方団体が判断していただくものだと思います。

古本委員 大臣、お待たせしました。ぜひ大臣の御見解をここで伺いたいんですが、率直に申し上げまして、いわゆる草むしりとか駐輪場の整理だとか、単純労役といいますか、こういったことは従来のシルバー人材さんのイメージだったと思いますが、今後、いわゆる経験技術者ですとか、あるいは企業の設計を担当していた人だとか、いわゆる日本のこれから失われし、ある特定の労働層が今後どんどん定年退職をしていくということが控えているわけですね。こういう中で、改めて法のたてつけとして、役務の定義づけをより範囲を広げるとかあるいはより具体化することによって、そういった今申し上げたような特定技能あるいは見識、経験を積んだ方がシルバー人材としてより活躍できるような法のたてつけを今後していくお考えはあるかないか、お尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 きょう古本委員に御指摘していただいた二百三十三条、二百三十四条の考え方というのは、今後大変重要な問題だと私は思います。

 それは、こういった施設の活用も含めてですけれども、地域のサービスをできるだけ門戸を開いて効率的にやっていただきたいという一つの要請と、一方で、今の場合ですとシルバー人材ですけれども、やはり一種のアファーマティブアクションのようなものをちゃんと準備しておいて、高齢者の方々にちゃんと働いていけるような配慮をしなければいけない。その兼ね合いをぜひきちっとやってください、それを地域の実情に合わせて自治体の方でやっていただきたいというような法律のたてつけになっているわけでございます。ここは本当にしっかりとした判断をまずしていただくことが必要だと思います。

 それと、今委員お尋ねの、今後これをどうやっていったらいいかということに関しては、まさに御指摘のように、シルバー人材が一種の人材としては高度化していくプロセスに今あると思っています。これを活用することは社会全体として重要でありますし、何よりも、そこにいらっしゃる個々人にとって、人生を充実して過ごすという意味でも大変重要になってくると思うんです。

 自治法の施行令百六十七条の二第一項第三号の規定でそういうことを促進するような仕組みも我々としては設けておりますが、まだこの仕組みが動いて二年でありまして、実態を必ずしも我々十分把握しておりません。しかし、これは、特区の活用の要請が既にあってこういう制度ができてきたということも含め考えますと、潜在的なニーズは非常にあるところだと思います。

 我々としては、まず実態を把握して、そういった先進的な事例を集めて、必要なことを紹介を行っていきたいと思います。その中で、私は、シルバー人材センターの中でも起業家精神を発揮して、今委員おっしゃったような新しい活躍の場を切り開いているところというのは必ず出てくると思っております。そういう総務省としてのしかるべき役割をぜひ果たしていきたいと考えております。

古本委員 大臣からは、高齢社会を踏まえた、シルバー人材の皆さんがさらに活躍していただける場をさらに整備していきたいという力強い決意をいただいたというふうに受けとめました。

 最後に、私は常任委員会は財務金融に所属をいたしておりますが、昨日、日銀の福井総裁の一千万の問題が発覚いたしました。与謝野、谷垣両大臣にはその御所見を求めたわけでありますが、竹中大臣におかれましては、我が国の金利政策のまさに権限を持っておられる方があのファンドに出資をしていたという事実について、どのようにお感じになっておられますか。

竹中国務大臣 私は、ちょっと詳細を存じ上げておりませんし、財政金融問題全体について政府を代表して答弁する立場にもございません。

 ただ、昨日の月例経済報告で福井総裁御自身がそのことに対して経緯の御説明を若干しておられました。そのことを踏まえて私の印象を申し上げるならば、福井総裁におかれては、ぜひとも日銀総裁としてその責任を全うしていただきたい、金融政策の面において、ぜひしっかりとこういう仕事を続けていただきたいというふうに私自身は思っております。

古本委員 竹中大臣御自身は出資されていますか。

竹中国務大臣 全くございません。

古本委員 ありがとうございました。以上で終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正ですが、質問に入ります。

 まず、郵政民営化に関連しまして幾つか質問をいたします。

 いわゆる無集配化というものが計画されていると聞いておりますが、まず、無集配化の目的、内容及び利便性に対する影響について詳しく説明していただきたい。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

塚田参考人 再編につきましては、これまでも、交通手段の発達や道路の整備状況を踏まえまして、時代の変化というものに対応いたしまして、過去五年間ぐらいで二百局ぐらい郵便区調整という形で進めてまいりまして、今後ともこれを進めていくわけでございますけれども、今回、民営・分社化ということが決まりまして、集配局でも、集配特定局のような小規模な郵便局におきましては、総合担務という形で、郵便、貯金、保険、こういう事業を一人の職員で受け持っていたということでございますが、分社化によりまして、これらの職員を各会社に振り分けることが必要になってまいります。そういうような状況の中で、業務運行とか休暇付与といったような職員管理、こういうものを的確に行いまして、民営化以降の円滑な事業運営を行っていくことが必要であるということでございまして、このようなことから集配局の再編を行うということでございます。

 具体的内容といたしましては、現在、集配局は四千七百ぐらいございますけれども、これをグループ化いたしまして、区分機を集中配備し、郵便物の区分処理を集中的に行ういわゆる統括センターというものと、この統括センターで区分された郵便物の配達を行う配達センターに機能分離するとともに、集配事務を集約するものでございます。

 利便性への影響でございますけれども、この再編に当たりましては、郵政民営化の議論における政府答弁や附帯決議がございましたが、これを尊重することを基本方針としております。

 具体的には、集配事務が集約される郵便局の窓口はそのまま存置いたします。お客様には引き続き郵便、貯金、保険の窓口サービスを提供するとともに、集約される地域の三事業の外務サービスは、集約する郵便局からこれまで同様に提供するということでございます。

 また、集配局の再編によりまして従来と取り扱いが変化する項目につきまして精査いたしまして、サービスが低下しないようにさまざまな工夫を行っていくということでございまして、例えば窓口時間でございますけれども、一部の郵便局で内務職員を存置しないということでございますので、短縮することになりますけれども、この代替の施策といたしまして、不在持ち戻り郵便物の受け取りにつきまして、民間宅配便と同様に土日も含めて毎日配達をするというような形で、お客様が来局されることなく受け取れるような仕組みをつくるというようなことでございまして、このようなさまざまな代替のサービスを工夫いたすことによりまして、お客様の利便性が損なわれることのないように、今後ともこれまでと同等の高いサービスを提供するように全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 限られた時間の質問でありますので、もっと簡潔明瞭に答弁をお願いいたします。

 次に、簡潔に質問いたしますが、この再編によって、全国的に郵便配達員一人当たりの配達面積、これは現在と比べてどのように変化いたしますか。

塚田参考人 基本となる考え方は、いわゆる郵便外務員の配達エリアをどういうふうに設定するかということでございますけれども、先ほども申し上げたように、今は、郵便、貯金、保険の外務の方が一人でやっておりまして、月曜日から金曜日までは、例えば郵便の方は午前中配達をして、午後、貯金、保険の集金等に回るということでございますが、土曜日におきましては、貯金、保険の外務員がお休みになるということで、いわゆる郵便だけが配達をする、要するに八時間の労働の中で配達するというような仕組みになっておりまして、今回の再編の配達エリアの考え方も、この土曜日を基本とした配置にするということでございます。

 したがいまして、先生御指摘の外務員一人当たりの配達面積ということについては把握しておりませんけれども、現在把握しているデータといたしまして、特定郵便局等の局のいわゆる外務員一人当たりの走行距離というのがございまして、これを見ますと、月曜日から金曜日が三十六キロ、土曜日は五十八キロということになっておりますので、この観点からいいますと、大体一・六倍程度になるというふうに考えられます。

重野委員 次に、こういうふうに書いているんですね。再編によりまして、速達や小包など送達速度は現行どおり、通常郵便物は日単位で遅くなることはない。朝行くのか夜行くのかという違いはあるけれども、その日のうちに行くんだと。事業所等からの早い時間帯の配達要望は可能な限り対応するというふうに言っているんですが、これは、サービスの目標なんですか、それともずっとデータを積み上げたサービスの標準値、目標なのか標準値なのか、これはどうですか。

塚田参考人 現在、公社では、一日に三度の配達を行う速達とか、一日に一度の配達を行う通常郵便物につきまして、それぞれの配達日数というものが、サービスレベル一覧表という形でインターネットのホームページに公表されておるわけでございますけれども、これにつきましては、引き受けから配達までを決められた手順どおりに取り運んだ場合の標準的な送達日数ということでございます。

 ただ、公社といたしましては、できる限りこの品質を確保するという観点から、中期経営目標におきまして達成率九七%という目標に挙げて取り組んでいるということでございます。

重野委員 こういうふうに形が随分変わってまいります。一人当たりの配達面積の拡大、これは間違いなくそうなっていくんだろうと思うし、これだけの再編をするんであれば確度の高いシミュレーションをするべきではないか、私はこの点を注文しておきます。

 具体的に聞きますが、通常郵便物について日単位で遅くなる地域はないということは、これまで午前中に配達されていた地域が午後に回されることがあるということだと思うんですが、それが一つ。

 二つに、事業所等からの早い時間帯の配達要望に対応することは、その他の配達に当然影響が出るんではないかという懸念。

 三つ目に、小包、書留などの引き受けについて統括センターや配達中の外務員が集荷するということになるんですが、これまた他の郵便物の配達に影響が出る、このように私は見るわけです。そうであるのに、どうして、現行サービスは維持できる、こういうことになるんでしょうか。その点について詳しく説明してください。

塚田参考人 御指摘の第一点目でございますけれども、配達の中では、例えば今まで午前中にやっていたものが午後になる場合とか、今まで午後になっていたものが午前中になるという場合がございまして、そこは一日の日単位の中での送達ということで対応するということでございます。

 それから、第二点目でございますけれども、現在も、郵便物の多い事業所とかそういうものにつきましては、午前中配達してほしいというような要望があるわけでございますけれども、こういう場合には、これまで郵便区調整の場合も実施してまいりましたけれども、速達や小包とあわせて配達するというような工夫で、なるべく御要望に沿えるような形で努力をしているということでございますし、これによりまして他の配達への影響を及ぼすものではないというふうに認識しております。

 それから、三点目でございますけれども、集荷でございますが、再編によりまして、配達の担当者に携帯電話を配備するということで、配達途上で効率的に集荷を行うということでございますが、中には、集荷の物数や件数が多いという場合もございますので、そういう場合には、統括センターから、混合要員がおりますので、そういう者で集荷に対応するということで、業務量に応じた体制を整備して現行サービスを維持するということでございます。

重野委員 郵便物が届くからいいではないかという今の言い方だと思うんですが、いわゆるサービスが変わるという点については、これはお認めになると思うんですね。

 時間というものは別として、受ける側からしますと、例えば午前中ならいつもいる、しかし午後になったら家に不在であるというようなケースはたくさん出てくると思うんですね。今まで実際にその人がいる中で郵便物が届いていたものが、今度の制度で、今のやりくりをする中で必ずしもそうはならないと。だから、最前線におけるサービスの形は変わるという点は、私は率直に認めなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、どうですか。

塚田参考人 再編によりまして、今までのいわゆるサービスといいますか、配達の部分でも全く同じというわけにはいかないということでございまして、先生御指摘のところはあると思いますが、ただ、私どもは、午前中はいるとか午後はいない、そういうような御要望がある場合には局の方に申し出ていただきまして、なるべく御要望に沿うような形で工夫をしてまいりたいということでございます。

重野委員 そこで、違った立場から、今度は郵便物を配達する、送達をする外務員の皆さんの問題について聞きますが、広域化が現場の配達員、職員の勤務労働条件にどのような影響を及ぼすのか。あるいは、配達区域の広域化は、利用者の利便性はもとより、今言ったように外務員の労働超過をもたらすのではないか。先ほど距離の話がありましたけれども、それはもちろんでありますが、そういう仕事のありようがどう変化するのかということが一つ。

 もちろん、郵政改革で外務員をふやすわけではありません。である以上、労働の超過だとか、あるいは労働の密度、そういうものは当然試算されていると思うんですが、その点についてはどのように見ておりますか。

塚田参考人 第一点目のお答えでございますけれども、再編によってどういうふうに変わっていくかということでございます。

 先ほど冒頭に御説明したとおり、今、集配特定局におきましては、郵貯法で一つの事業を一人の方でやっていらっしゃるということでございますが、総担を分けるわけでございますので、実態的にいいますと、例えば一日五時間ぐらいは郵便でやっていて、三時間ぐらいをいわゆる貯保の集金等をやっているということでございますが、これが変わりまして、一日八時間を郵便に使えるということでございまして、一日の業務量というのは確かに増加するわけでございますけれども、勤務時間等について増加するものではないというふうに考えております。

 それから、二点目でございますけれども、そういう中で、今、局別の具体的な労働力の算定作業をしておりまして、御指摘のように労働力が不足だという場合には、これまでもやってきたのですけれども、非常勤職員を活用して対応するということで考えているということでございます。

重野委員 そういうふうに郵政の内容が変わってくるわけでありますが、その行き着く先に毎年度百億円の節減効果があるというふうに具体的に持ち上げているわけですけれども、これはどういう根拠に基づいて百億という数字が出てくるんですか。

塚田参考人 今回の集配拠点の再編におきまして、いわゆる統括センターというところに区分機を集中配備いたしまして、そこで区分処理を集中して行うということでございます。今現在、各郵便局に内務要員がおりますけれども、これをすべて統括センターに統合するということでございまして、そういう内務職員の人件費の削減ということと、それから、局間の運送を今委託でやっておるわけでございますけれども、これを職員執行に切りかえるということでございまして、運送経費の削減ということで見込んでおりまして、これが二十一年度以降、毎年度百億円程度の削減が図られるということでございます。

重野委員 それでは、時間も切迫してまいりました。きょうは金融庁にも来ていただいておりますので、金融庁に質問いたします。

 四月二十七日付、金融庁の三井住友銀行に対する行政処分及びこれに対する六月二日の同行の業務改善計画について、その性格と内容について説明していただきたい。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 三井住友銀行については、公正取引委員会から、四件の金利スワップ商品の販売について、独占禁止法上の優越的地位の濫用の規定に違反するものといたしまして、十七年十二月二十六日、勧告審決を受けたところでございます。

 これを受けて、金融庁として、同行に対し、金利スワップ商品の販売事例について同様の問題がないか原因分析を含め報告を求めたところ、同行において取引等の適切性の確保の観点から基本的かつ重大な問題が認められたことから、体制整備のみならず役職員の根本的な意識改革を図るため、銀行法第二十六条に基づき、業務停止命令を含む行政処分を行ったところであります。

 これに対し、同行より六月二日、業務改善計画書の提出があったところでございます。当該業務改善計画書の概要は六月二日に同行が公表しているところでございますが、これによれば、役職員の責任の所在の明確化を図る観点から、現役役員の報酬カット、退任役員への報酬返上の要請といった措置、金利スワップ購入者へ真摯な対応を図る観点から、現場による早急な謝罪とともに本部からの丁寧な説明、顧客に金銭的負担をかけない解約といった対応、経営管理体制、内部管理体制、法令等遵守体制を抜本的に改革していく観点から、人事評価制度の見直し、外部有識者を委員長とする業務管理委員会の設置といった方策が盛り込まれているというふうに承知してございます。

重野委員 金融庁にはそのほか二点通告をしておりましたが、もう時間も詰まってきましたのでそれは飛ばします。

 そこで、大臣に聞きます。この間に日本郵政株式会社社長の西川さんの話だとか、あるいは当時の金融庁長官であった高木さんの名前が出てくるわけでありますが、処分をした側と処分をされた側のトップがくしくも郵政の民営化に絡んで新しい会社の枢要なメンバーになった。これはどういう理由でそういうふうになったんでしょうか。同時に、私は、そういう過去というか、そういう経過、今明らかになりつつある内容というもの、そういう方々が、今まさに出発し、日本国民の期待にこたえていかなければならない会社の枢要なポストに就任するということは、国民の認識からすればやはりおかしい、率直なそういう思いがあると思うんですが、その点も含めて大臣の見解をお聞かせください。

竹中国務大臣 今回、三井住友銀行という日本を代表する金融機関でこのような事案が発生したこと自体は極めて遺憾であるというふうに思っております。

 西川社長は、もちろん今の経営陣ではありませんけれども、当時経営者であったということで、そうした点を踏まえて、この問題に対しては真摯な御対応をぜひしていただきたい。私としては、郵政民営化というのは大変重要な仕事であり、大変大きな経営力が必要とされていると思います。西川氏におかれては、今回の件も一つの糧として、それを踏まえた上で、ぜひ郵政民営化を成功させていただきたいと考えております。

 高木氏に関しましては、高木氏は金融庁長官ももちろん歴任をされましたが、郵政民営化準備室の副室長として、あの膨大な法案の実質的な作成の功労者でございます。郵政民営化は、これはもちろん民営化ではありますけれども、特に最初の十年間、普通の民間企業とは違う、非常に多くの法律的な制約の中でやってまいります。そうした意味で、制度設計に熟知された高木氏にぜひ今回の民営化をうまく助けていただきたい、そういう思いで任命をお願いしております。

 今回の事案でいろいろな思いがあると思いますけれども、それを乗り越えまして郵政民営化という国民的な大事業をぜひ達成していただきたいと考えております。

重野委員 終わります。

萩生田委員長代理 次に、岡部英明君。

岡部委員 自由民主党の岡部英明でございます。

 本日は地方自治及び地方税財政についてお伺いしたいと思っております。

 昨年の十二月九日に提出されました第二十八次地方制度調査会の「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」の提言を受ける形で、今国会で地方自治法の一部を改正する法律案が成立いたしましたが、答申の提言内容が十分に反映されたわけではございませんでした。そして、その点に関しましては、附帯決議という形で本改正法の施行に当たっての配慮をすべき事項として取り上げられました。

 本日は、まず、この附帯決議で取り上げられました事項に関連しまして、地方の自主性、自律性の拡大を進め、国から地方への流れをより確かなものとしていく上で、今後も引き続き求められる制度及びその運用方法の改革などをどのように実現させていくのかという観点から、総務省の今後のビジョンについて伺いたいと思っております。

 まず初めに、附帯決議にありました、国の個別法令による義務づけ、枠づけの縮小という留意事項の中で、自治事務については、原則として、国は制度の大枠を定めるにとどめ、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまで条例等により行うことができるようにすることと決議しております。

 地方自治体の現場では、確かに国によるはっきりとした明確な基準を望む声もないわけではございません。また、そのような環境に地方自治体がまだ整備されていない、そのような御意見もあるようです。しかし、国、地方の財政健全化のために地方でも歳出削減努力が一層望まれる状況下では、地方の自由度を高める必要があり、自治事務についての権限を地方に移譲していくべきだと私は考えております。権限を移譲せずに一方的に地方に要求するだけと言わざるを得ません。

 地方分権二十一世紀ビジョン懇談会報告書、中間取りまとめにおいても、自治事務の執行基準を原則として条例で定め、変更できるようにする仕組みを整えるべきであるとして、新分権一括法を早期に制定して、国の規制・関与の廃止縮小を大胆に進めて地方の自由度を拡大するとともに、自治事務の執行基準は原則として条例で決めるという基本方針で、国と地方の権限と責任を再整理すべきであるという提言がなされております。

 しかし、このように権限の移譲、地方の自由度を高める意見がある中でなかなか今まで実際に進展してこなかったという状況がありますが、総務省として、この附帯決議にありました法令による義務づけ、枠づけの縮小という点に関して、今後どのような方針で進めていくつもりなのでしょうか、自治事務の取り扱いの見直しという点も含めまして、御見解を伺いたいと思います。

山崎副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今の地方の自律性あるいは自主性というものを高めなくてはいけないという見地から、そういう意味で、国の関与というのは必要最小限度のものにしていった方がよいのではないかということでございまして、そういった点につきましては、御指摘もありました昨年十二月の地方制度調査会からのいろいろな御提言、「特に自治事務については、国は制度の大枠を定めることに留め、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまでできる限り条例等により行うことができるようにすべきである。」という答申をいただいております。

 そういった中で、総務省といたしましては、やはり地方にできることは地方にという理念のもとで、一層の権限移譲や国の関与の廃止縮小等を進めてまいりたいということを考えておりまして、引き続き地方分権に取り組んでまいりたい、推進してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

岡部委員 地方の自由度、裁量を地方に与えるという声は日増しに大きくなってきているんだろうと私は思っております。ぜひ副大臣のリーダーシップをよろしくお願いしたいというふうに思っています。

 続きまして、行政委員会の見直しについてお伺いしたいと思います。

 先日も行政委員会の見直しについては当委員会で議論があったところでございますが、附帯決議の中でも、行政委員会の制度について、地方の自主性、自律性を拡大するために、必置規定の見直し、組織、運営の弾力化等について、地方公共団体の実態を十分に踏まえて、引き続き検討を行うことと決議しております。先ほどの地方制度調査会の第二十八次答申でも、教育委員会そして農業委員会の見直しについて言及されておりましたが、今回の改正では監査委員制度のみの見直しとなっております。そして、附帯決議として、教育委員会、農業委員会の見直しについては取り残された形というふうになっています。

 先ほども申したわけでございますが、地方に裁量を与える、自由度を高めるという観点からは、行政委員会の必置規定の見直しは確かに私も理解できるものだというふうに思っています。しかし、もう一方では、多角的な意見の反映という視点や、地方自治体の首長に権限が集中してしまうんではないか、また、関係者からは、自治体長から独立した行政委員会制度を求める声もあるのも事実でございます。さらに、先日の大臣の答弁に「法律によって一律に設置を義務づけるまでの必要はないのではないか」という御答弁もありました。

 地域の実情に合わせて設置を決めればよいのではないかとの御意見がある一方で、そうなったときに、個々の行政委員会の意義が十分認識されずに、関係者の意見が反映されない形で行政委員会の設置の有無が決定されてしまうんではないかという懸念もないわけではございません。ぜひその辺のところを、総務省として、今後の行政委員会の見直しについて、対象をどのようにふやしていくのか、どのような御意見を持っているのか、そしてその議論をどのように進めていくのか、お考えをお聞きしたいと思っています。

山崎副大臣 教育委員会、農業委員会については、御指摘のとおり第二十八次の地方制度調査会の答申で、自主性、自律性の拡大という観点から、必置規定、必ず置くという規定から選択制を導入することが適当であるということの答申を受けたところでございます。今、当省といたしましては、その関係省に対してその答申の内容をお伝えして、検討を依頼しているというところでございます。

 教育委員会につきまして、いわゆる首長と教育委員会との間の事務に関する選択制、あるいは中核市等における県費負担教職員の人事権の移譲についてもその中で言及されておりますが、これらの点につきましては、政府内においてその答申と基本的には同じ方向で検討が行われているものと認識しております。

 総務省といたしましては、地方公共団体の組織については、可能な限りそれぞれの団体、地方公共団体で主体的に判断していくものだというふうに考えておりまして、そういったことが全体として一層の地方分権を推進する結論が得られるように、そういった努力をしてまいりたいと思っております。

岡部委員 ありがとうございます。

 地方の声、関係団体の声がぜひ反映されるようによろしくお願いしたいというふうに思っています。

 次に、地方税財政改革についてお伺いしたいと思っています。

 三位一体の改革の将来の地方分権の具体的な姿については、大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、そして地方六団体の新地方分権構想検討委員会、そしてまた経済財政諮問会議のそれぞれの場において、これまでおのおのの立場から提言がなされてまいりました。

 その中で、地方六団体が先日六月七日に大臣に提出した地方分権の推進に関する意見書においては「地方交付税が、国から恩恵的に与えられるものではなく、「自らの財源を他の自治体のために融通しあうことにより、全ての自治体が国に依存せずに、住民に対して一定水準の行政サービスを提供できるようにすべきである」との考え方に基づく、セーフティネットとしての性格を持つものであることを明確にするため、」国の一般会計を通さずに直接特別会計に繰り入れる地方共有税の創設が提案されました。

 出されたばかりでございますが、現在のところの総務省のこの地方共有税構想というものについての御見解をお伺いしたいというふうに思っています。

山崎副大臣 御指摘のいわゆる地方共有税の問題でございますが、地方六団体からの御提言というのの中では、御指摘もありました特別会計への直入、繰り入れ、それから、財源不足を解消するための法定率の引き上げ等ということが内容として提案されております。

 その中で、交付税制度においては、直接繰り入れにつきましては、これはかねてより地方制度調査会の答申等において御指摘いただいているところでございまして、総務省といたしましては、やはり地方共有の固有財源である地方交付税の性格を明確にする見地からも、直入の実現を図ることが望ましいというふうに考えております。ただ、その一方で、これについては、国の一般会計において税目の状況を一覧性のある形で示せなくなるという御意見もあって、これまで財政当局との合意が困難であったものでございます。

 また、法定率の引き上げにつきましても、こういった中での大幅な財源不足が続く場合、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うというふうに現行の交付税法でも示されているところでございますので、基本的には交付税率を引き上げることが望ましいものと考えております。ただ、そこのところでも、国の方も多額の赤字国債を発行せざるを得ない財政状況ということもあって、財政当局が異なった見解を持っているのも事実でございまして、これまで国の一般会計の特例加算、地方団体の発行する臨時財政対策債により財源不足を補てんしておるということをやってまいりました。

 いずれにいたしましても、当省といたしましては、地方の意見をよく聞きながら、地方分権をさらに推進するための政策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

岡部委員 どうもありがとうございます。

 この構想、私は、評価するべき点が多々ある、やはり地方交付税のあり方、またその性格を改めて見直し、認識する上で、ぜひ今後議論を深めていくべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、同じように、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の中間の取りまとめでは、交付税の算定をわかりやすくする観点から新型交付税が提案されています。当委員会でも、先日いろいろな議論が取り交わされたわけではございますが、現在、地方交付税の算定に当たり国の基準が細かくあり、それが自治体の自由を奪っていると同時に、交付税を非常に複雑にしているという観点から、人口、面積を基準として算定基準を一部見直すということが今回の新型交付税の意義だというふうに私はとらえています。

 しかし、地方からは、新型地方交付税に対し不安の声も聞こえております。今後よく検討して、その目的をよく理解していかなければならないと私は考えています。特に、現在財務省あたりで進められている歳出削減の流れを受け、新型交付税の導入によって交付税総額自体が削減されてしまうんではないかと懸念する声もあると聞いております。

 総務省としては、この新型交付税導入は交付税総額の削減が目的の一つなのか、この新型交付税の構想をどのようにとらえているのか、それらについて現在までのところどのような御見解を持っておられるのかお聞きしたいと思います。そして、先ほどの地方の側の懸念というものをどう払拭し、現実に制度化していくのか、今後の展望などもありましたら御見解をお伺いしたいと思います。

山崎副大臣 ただいまの御質問でございますけれども、新型交付税は、交付税の算定面における改革であって、総額に影響するものではないという点をまず申し上げたいと思います。

 その理由としてということでございますが、今回の考え方のもとになっておりますのは、やはり地方の行財政の各分野にわたって国の法令あるいは補助金等による細かな規制とか関与が行われていることに対応した形で、地方交付税の基準財政需要額の算定方式というものが複雑になっておることもまた事実でございまして、その辺をもう少し簡素化できないかという指摘はこれまでも行われてまいりました。そういったものを受けまして、国の基準づけの廃止、縮減に対応して、算定方法を人口、面積を基本とした簡素なものにする、そういった形での新型交付税を導入することとしたいということでございます。

 現在でも、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野もございますので、その部分について新型交付税を平成十九年度から導入したいと考えております。

 その後のことでございますけれども、新分権一括法の制定やさらなる補助金改革によって、国の基準づけを大幅に廃止縮小、そういったことに伴いまして、新型交付税の割合を順次拡大してまいって、中期的には全体として五兆円規模を目指したいと考えております。

 そういった考え方でございますので、冒頭申し上げましたように、総額に影響するものではないというふうに明らかにしておきたいと思います。

 それでは、交付税の総額についてはどうなんだということでございますが、現在、歳出歳入一体改革の議論が行われておりますが、この中で、社会保障、公共事業、あるいは人件費といった最終支出の見直し、税収等の歳入のあり方、そういった検討の結果として決まってくるものである、総額についてはそのように思っております。

 今後も、一番重要なことは、国、地方双方が納得できる形で歳出歳入の一体改革、これが必要でございますので、納得できる形の改革を進めてまいりたいと思っております。

岡部委員 ありがとうございます。

 今、総額に影響するものではないというお話でございます。新型交付税は、私、大変評価しております。地方自治を進めていく、地方に自由度を与えるという意味では大きな一歩ではないかと思っておりますが、総額という部分については、ぜひ、これからも影響がないようお願いしたいというふうに思っております。

 質疑時間が来ましたので、終了させていただきます。

萩生田委員長代理 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 自由民主党の金子善次郎でございます。

 お時間をいただきまして、市町村合併に関連しまして、総括的な質問をさせていただきたいと思います。

 本年三月末をもちまして、合併特例法の経過措置期間が終了いたしまして、いわゆる平成の大合併がひとまず節目を迎えたところでございます。平成の大合併によりまして、全国で大幅な市町村の再編が進んでいるところでございまして、平成十一年三月末で全国で市町村が三千二百三十二団体ございましたが、本年の四月一日時点では千八百二十団体と、実に四割以上の減少をしているところでございます。私の地元の埼玉県でも、政令都市となりましたさいたま市を初めといたしまして合併が進みまして、九十二の市町村が七十一の市町村となっております。

 私は、地方分権をさらに推進いたしまして、基礎的な地方自治体が主役となって我が国の内政を担っていくためには、住民に最も身近な自治体でございます市町村の足腰を強くしていくことが何よりも重要だというふうに考えているところでございます。そのためには、市町村合併によって行財政の基盤を強化していくことが不可欠のところであるというふうに考えております。

 また、全国の合併の進捗状況を見てみますと、確かに合併が進んでいる県と申しますか地域がある一方で、まだまだ合併を進めなきゃならないという地域もあるように見受けます。特に、首都圏や大阪圏あるいは名古屋圏などの大都市部では、地方と申しますか、比較的過疎地域等を含んでいる地域と比較いたしまして、そこの市町村と比べまして、余り合併が進んでいない側面もあるというふうに見受けられるわけであります。

 そのような観点から申し上げますと、ここまで市町村数も減ったのだから、もうこれで市町村合併も一段落だというようなことになってはならないのではないかと私は考えている次第でございます。ぜひとも総務省におかれましても、これまでと同様、積極的な取り組みを期待しているところでございます。

 そこで、まず、今後の市町村合併の推進に当たりまして、総務省の基本的な方向と申しますか、合併に対しましてどういうような方針で臨んでいかれるのか、その辺につきましてお話をお伺いしたいと思います。

荒木政府参考人 ただいま御指摘がございましたとおり、市町村合併につきましては、関係者の御努力によりまして相当の成果を上げてきているところでございますが、一方で、地域ごとの進捗状況には差異が見られるところでございます。また、人口一万人未満の市町村も四月一日時点で五百三団体存在しております。

 このようなことから、総務省としましては、引き続き合併新法に基づきまして、市町村合併を積極的に推進していく必要があるものと考えております。

 この合併新法では、総務大臣が定めます基本指針に基づいて都道府県が市町村合併の推進に関する構想を作成し、この構想に基づいてあっせんや勧告などの措置を講ずることができることとしているところでございます。現在までに、三十四の道府県で構想を検討する審議会の設置条例が制定されており、うち十四の県では構想を決定しております。

 総務省といたしましては、今後も合併新法に基づきまして、都道府県に対する構想作成の働きかけなどを通じて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進してまいりたいと考えております。

金子(善)委員 ありがとうございます。

 今後はいわゆる合併新法のもとでの取り組みを進めていくということでございますが、私が思いますに、何よりも有効な合併の推進方策というのは、現に、現実に合併した市町村がこんなによくなっているんだというような、町づくりあるいは都市整備というものが実績が出ているというようにしていくことが何よりも重要ではないか。それを見た、合併しようかあるいはどうしようかと悩んでいると申しますか考慮中の市町村にも大きな影響を与えるのではないかというふうに思いまして、この辺が極めて重要なことであろうと思っております。

 旧合併特例法のもとで合併をした全国の市町村は、今まさにそういうようなことで一生懸命いろいろな施策の取り組みについて頑張っておられるというふうに思っておりますが、こうした各地域の取り組みに、これまで合併の旗を振ってこられました総務省としてもしっかりとしたフォローをしていただきたい、このように思うところでございます。

 そこで、お伺いいたしますが、合併した市町村が計画しているさまざまな町づくり事業に対しまして、総務省としても積極的な支援措置を行っていくべきだと考えるところでございます。例えば、大都市部において合併した市町村においては、大型事業と申しますか、さまざまな事業があろうかと思いますが、地下鉄の整備を推進するというようなこともあるわけでございます。そうしたことに関連して、都市整備のためのさまざまな事業を計画する必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 このような事業に対しましても、合併との関連のある限り、できるだけ柔軟にいわゆる合併特例債を充当していただきたい、このように思っておりますが、この辺につきまして、御答弁をお願いいたします。

荒木政府参考人 御指摘がございましたとおり、合併した市町村におきまして、地域の特色を生かしたさまざまな町づくりを進めていただくことは大変重要と考えております。

 総務省としましては、合併した市町村が、その一体性の速やかな確立や均衡ある発展を図るために実施いたします事業に対し、さまざまな支援措置を講じているところでございます。

 このうち、合併特例債につきましては、旧合併特例法の規定によりまして、合併した市町村の市町村建設計画に基づき、合併後の町づくりに必要な事業を遂行できるよう、その財政負担を軽減しようとするものでございます。

 御指摘のございました大都市部における都市基盤の整備を初めとした社会基盤の整備等につきましても、合併特例債が有効かつ適切に活用されますように、合併した市町村の要望を十分に踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えております。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

金子(善)委員 ありがとうございました。

 まさに力強い御答弁をいただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、この建設計画、これについても柔軟にと申しますか、いろいろな変更点等もこれから出てくるんだろうと具体的には思います。そうしたことに対しましても、柔軟にと申しますか前向きに対応していただければというふうに考えている次第でございます。

 いずれにいたしましても、合併新法の期間はあと四年弱ということでございますので、総務省のこれまで以上の御努力を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、土屋正忠君。

土屋(正)委員 住民基本台帳法をめぐる審議について、関連して質問をいたします。

 去る六月八日の日に住民基本台帳法改正についての質疑が行われたわけでありますが、その中で民主党の西村委員の御質問があり、その趣旨は、住民基本台帳法が今全国的な、これは住基ネットを念頭に置いているんでしょうけれども、一つの自治体の中でおさまる話ではなく、広域的な問題である、国で対応したらどうかという趣旨の御質問がございました。高部政府参考人からお答えがあったわけでありますが、さらに、かてて加えて大臣に説明を求め、広域的な課題でもう一度仕切り直しというような、抜本的な改正をしたらどうか、こういう御趣旨の質問があったわけでありますが、これは自治事務になっていることについての質問であります。

 これに対して竹中大臣から、これはまだ確定した速記録ではありませんが、今委員御指摘の、この法律に関連して個別の問題もある、私もそのように認識しております、これを根本的に見直す必要があるのではないか云々とあって、私は、これも含めてですけれども、国の関与のあり方、さらには、そもそも国の責任、地方の責任をどのように考えるのか、区切るのかということについては不断に見直す、とりわけ今の時点で抜本的に見直す必要があるというふうな認識を持っております、このようにお答えになっているわけであります。

 これは住民基本台帳法に対する質疑、法律に対する質疑でございますから、抜本的に見直すということになりますと、西村委員も他のところでおっしゃっているように、法定受託事務にしたらどうかというような趣旨の御質問かと存じます。これに対して、地方自治の最高責任者である総務大臣からのお答えでございますので、あえてこの趣旨について確認をさせていただきたいと存じます。

 そもそも住民基本台帳法は、住民の範囲を特定するための行政の基本的な文書であり、当然のことながら、国民登録法ではないわけであります。地方自治の原点ともいうべき基本的な書類であります。したがいまして、これが法定受託事務のように全国で通用するようなやり方というのはあり得ないわけで、住基ネットでいわゆるその利用についての全国展開というのはあり得ても、住民基本台帳そのものを法定受託事務にしたりということは、自治の原点からいってもあり得ないことだろうと思います。

 それを法定受託事務にしろというような趣旨の質問に対して、抜本的に見直す、こういう大臣の御答弁ですと、これは極めて今後に与える影響は大きいし、誤解を与えるだろうと思います。恐らく大臣の御答弁の趣旨としては、一般論としていろいろ念頭にあって、それを誤解しての答弁だと思いますが、しかし、那辺に趣旨があるのか、副大臣にお尋ね申し上げます。

山崎副大臣 去る六月八日の総務委員会において今御指摘のようなやりとりがあったというふうに承知しております。西村委員からの質問の方は省くといたしまして、それに対しての竹中大臣からの答弁としては、国と地方の役割の分担について、国の関与のあり方、あるいはそもそも国の責任、地方の責任をどのように考えるか、こういう前提つきで、不断に見直さなければならない、とりわけ今の時点で抜本的に見直す必要があるというふうな趣旨の答弁をさせていただいたところでございます。

 これにつきましては、委員御心配のところでもございますが、住民基本台帳法に係る事務を個別にどうするかという問題ではなくて、先ほど申し上げた前提で、国と地方の役割の分担に関する非常に大きな議論の中で今後議論をしていかなきゃいかぬ、見直す必要があるというふうな、一般論として答弁させていただいたものと聞いております。

 それで、今委員御指摘の点を、住民基本台帳法に係る事務の性格ということにつきまして申し述べれば、住民に最も身近な行政主体である市町村というものが住民を対象とする行政を適切に行うためには、その住民に関する記録を常に正確に把握しておくことが必要不可欠であるというふうに認識しております。

 そういった意味で、この住民基本台帳法に係る事務は住民を対象とする行政を適切に行う上で不可欠な事務であるという性格からいけば、法定受託事務ではなくて自治事務とされているというふうに当方では認識しております。

土屋(正)委員 今副大臣から副大臣の御答弁でない点について御説明いただいて、ある面ではまことに恐縮をいたしておりますが、そのようなことで終始一貫していただければ結構だと思っております。

 なお、住民基本台帳法の趣旨は、行政文書であると同時に、いわゆる民間に対する信用供給の役割も果たしているわけですね。例えば、住民基本台帳の写しを添付してほしいとか、あるいは住民基本台帳法に基づく完全な自治事務であります印鑑登録事務、これなどは法に基づかない、それぞれの条例の完全な自治事務でありますけれども、これはどこの市町村でもやっております。これなどは、住民基本台帳という行政文書をベースにしながら、それがいわゆる市民生活、国民生活の信用供給の基礎となっているわけでありまして、そういう点から、何人も閲覧をできる、こういうことになっているわけでありますので、そういう趣旨に従ってまたきちっとした行政を行っていただくよう重ねて申し上げて、時間が参りましたので、これで終わります。

 どうもありがとうございました。

中谷委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 大臣がもう着かれるということでございますので、若干お待ちしたいと思います。

中谷委員長 では、時間がもったいないですから、しばらく速記をとめて、時間を停止いたします。

    〔速記中止〕

中谷委員長 速記を起こしてください。

 谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 竹中大臣、本当に御苦労さまでございます。急遽戻ってきていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは竹中大臣にお伺いをいたしたいということで、二問ほど用意いたしておるわけでありますけれども、まず初めにお伺いをいたしたいのは、公営企業金融公庫についてお伺いをいたしたいと思います。

 公営企業金融公庫というのは、地方公共団体の公営企業の地方債について低利かつ安定した資金を融通するということで設立をされたわけでありますけれども、御存じのとおり、今国会で行政改革推進法が成立し、その中で二〇〇八年に廃止をするというように決まったわけであります。その後にどういうような姿になるのかというところが現在明確ではありません。七月の初めに骨太を検討した折に何らかの形で言及するんだろうと思いますが、そのことを考えますと、余り時間的余裕はないわけであります。

 まず、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会報告におきましては、公営企業金融公庫のことに言及しておりますが、この廃止後の資本市場を活用した新たな枠組みということで、公営企業金融公庫の廃止後は、国は新たな政府保証を行わない、公営企業金融公庫の承継法人は経過措置の業務を行う、小規模自治体等、単独での地方債発行が困難な自治体については、地域単位での共同債の発行制度などを導入し、資金調達の円滑化に配慮するということで、ここがまだペンディングになっておるわけであります。

 基本的には、資本市場で集めていただきたい、資金調達をしていただきたい、こういうような趣旨なんだろうと思いますが、これに対しまして、地方六団体の方は、二〇〇八年に廃止をする公営企業金融公庫の後継組織を地方出資の地方共同法人にするべきだ、こういう御提案がございます。

 先ほど申し上げましたように、二十一世紀ビジョン懇は、新組織の業務を残務整理に絞って、地方の資金需要は地方債の共同発行などで対応すべきだと言っていることに対しまして、六団体の方は、公庫機能を今後も残すべきだ、こういう全く対立した考え方の中で現在ペンディングになっておるわけでありますが、竹中大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 公営企業金融公庫の廃止の後どのようにするかについては、今地方とも話し合いながら一生懸命制度設計をしているところでございます。

 基本的には、国の政策金融という枠組みからは外れる、そのために公営企業金融公庫は廃止する、そして資本市場を活用する、これはもうはっきりとした方針として決まっております。同時に、例えば、これは書きぶりの問題ですが、分権ビジョン懇談会の書きぶりは、これはペンディングではありますけれども、公営企業金融公庫の承継法人は経過措置の業務を行う、そして小規模自治体等、単独での地方債発行が困難な自治体については、地域単位での共同地方債の発行制度などを導入し、資金調達の円滑化に配慮するというふうにされている。

 また、地方六団体が提出した資料の中では、全国ベースの共同法人を設立し、個々の地方団体の資金調達の補完を自律的に行っていきたいというふうにされているところでございます。

 これはまだ制度設計の途中でございますけれども、私は、書きぶりは違ったように見えるかもしれませんが、その果たすべき機能についてはおおむね合意があると思っております。

 一つは、既にある債権債務をしっかりと管理していかなければいけません。これは当然やらなきゃいけない。借りかえの話も出てまいりますから、やらなきゃいけない機能の一つ。二つ目は、やはり共同発行の仕組みをつくらなければいけないというふうに思います。共同発行はやはり希望している自治体も多いようでありますし、それをどのような形で担保するかということを考えなければいけない。そして三つ目としては、特に弱小自治体に関しては、今ある財務基盤を活用してしっかりと、高い資金調達金利にならないような一種のセーフティーネットの機能を持たなければいけない。この三つは必ず果たさなきゃいけないと思っております。

 そのときに幾つかの技術的な問題もあろうかと思います。つまり、既存の債務というのは実質政府保証がついているわけでございますので、政府保証がついている債務をどのように引き継いだらいいのか。ちょうど郵政のときに旧勘定をどうするかという問題がございました。それと同じような技術的な問題をクリアしなければいけませんので、そこで、どのような組織にするかについてはまだ議論を深めているというところでございます。

 いずれにしましても、地方からは昨日もこれに関する申し入れをいただいておりますので、地方の意見をよく伺いながらしっかりとした制度設計を行ってまいりたいと考えております。

谷口(隆)委員 今大臣おっしゃったように、弱小の地方団体で資金調達がなかなか困難だというところが出てくるわけでありますけれども、そのときに、セーフティーネットというお話がありましたが、まずこのセーフティーネットの具体的なイメージがはっきりわからないと当該団体が大変心配するところもあるわけでございますが、どのような姿を描いていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のように、その点に関して大変大きな御懸念、御不安を抱いておられる方が多いということは十分に承知をしております。

 この議論、なかなか難しいと思うのは、セーフティーネットはどのようなイメージか、どのぐらいのセーフティーネットが本当に必要とされるのかということについて、なかなか詰めた議論がないんですね、これは各地にないんです。

 例えば、本当に中小の自治体が債券を発行する場合に大規模なところと一体どのぐらいの格差がつくものなのか、これは大変つくだろうということを御懸念する向きもございます。一方で、アメリカの例なんかを見ますと、アメリカのように厳しい破綻法制があるところでも、実はその格差というのは〇・二とか〇・三とか、意外とついていない。これは基本的にはソブリン債でありますから、市場が正しく評価すればそんなに、大きくても小さくても、財務状況がどうこうでも、余り差がつかないんだという専門家の御議論もございます。そういう点も踏まえて今見きわめを行っているところでございます。

 ただ、いずれにしても、これはセーフティーネットでありますから、しっかりと機能しないと意味はございません。地方の意見も伺いながら、よい制度設計をぜひしたいと思っております。

谷口(隆)委員 資金調達のときに、資本市場から資金調達をするということでありますけれども、例えば金融機関からの融資等で賄うというような場合もあるんだろうと思うんですね。そのときに地方銀行に頑張っていただかなきゃいかぬというようなことなどもやはり視野の中に入っていらっしゃるんでしょうか。

竹中国務大臣 今のお尋ねは、財務副大臣を御経験されて、資本市場、金融のことに大変お詳しい委員の深い御質問だというふうに思います。

 地方銀行にもしっかりとした対応をしていただきたいという思いはございます。同時に、今のいろいろな地方の自治体の資金調達を見てみますと、資本市場をもっとうまく活用すれば平均調達金利をもっと下げることができるのではないかという思いも私自身にはございます。そういう意味で、今回こういう制度の変更に当たって、私は、地方銀行にも頑張っていただきたいと思いますが、地方自治体にも非常にうまい資金調達戦略というのを戦略的にやっていただく工夫もぜひしていただきたいと思っております。

 いろいろ見てみますと、やはり長期の資金調達が多いわけですから、短期の資金調達は銀行でよいのだと思いますが、長期の資金調達は銀行ではやはり無理な面が非常にあります。そのための資本市場があるわけで、その資本市場の活用というのを、ぜひこれを一つの契機にして広げていきたいというふうに思っております。

谷口(隆)委員 それともう一つは、今公営企業金融公庫の中にある二兆円余りの、将来の金利負担に備えて引き当てておる準備金をどうするのかという議論があるわけです。これを新組織がこのまま引き継ぐのか、また国庫の方に戻すのか、こういう議論がありますが、大臣、一体どのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 これはいろいろなお考え方があるわけでありますけれども、当然のことながら、まず財務的に言うと、これは、債権を持っている、そういう資産を持っている、その資産の変動に対応するための引当金を持っているわけですから、資産がすぐゼロになるわけではありません。先ほど言いましたように、その引き継ぐ資産を負債とともにしっかりと管理していかなければいけないわけですから、これはそのための準備金でありますから、当然必要な準備金であるというのが財務上の当たり前の考え方であろうと思います。しかも、それに対しては借りかえの問題も出てくるでありましょうから、公営公庫がなくなるからこの引当金をすぐどこかへ持っていっていいというような、そんな単純な話では全くありません。これは我々は明確に議論を進めております。

 地方から長期低利の資金供給機能を確保するためには、これは地方の支払い利息として積み上げてきたのであるから、その引当金が財務基盤として必要だという強い意見をいただいております。こうした地方の意見を十分に聞きながら、具体的な制度設計の中でぜひ適切に対応していきたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 やはり地方団体の意見をよく聞いていただいて、現状の中で一体、改革もやっていかなければなりませんから、やっていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、これは骨太に入れなきゃいけませんね。そうすると、それまでの間にそんなに時間的余裕がないわけですが、大体ほぼ近々そういう方向が決定されるのか。時間的な問題でありますけれども、どのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 これは今、行革の中馬大臣のところで取りまとめておられる全体の中で考えていかなければいけないことだと思っております。全体のスケジュールについては中馬大臣のところでお考えだと思います。そういう中で適切に対応していきたいと思っております。

谷口(隆)委員 ありがとうございました。

 今度は、通信のことでお伺いをいたしたいと思います。

 二〇一一年の七月二十四日に完全デジタル化になるわけですね。まだ国民一般的にはどうも周知徹底されておらないようなところがありますから、先日、大臣のところに私どもの党の総務部会で取りまとめたものを、六月八日でありましたが、申し入れさせていただきまして、そのことにつきましても言及をいたしたわけであります。

 今、大体予想されておるのは、アナログの受信機が少なくとも一億台程度もう使えなくなってしまうということです。そうしますと、リサイクルの問題も出てまいりますし、しかし、このまま廃棄をするのももったいないなということになりますと、デジタルの波をアナログに転換するといったような形で、チューナーか何かをつけてやっていただく。それも現在は割と高価なようでございまして、なかなかそれを買ってつけるということもままならないというような状況があるわけであります。また、そういうチューナーが出てまいったときに、それを購入し切れないような所得の低い方もいらっしゃいます。そうしますと、テレビ放送がごらんになれないという方も出てくる可能性があるわけであります。

 こういう状況の中で、チューナーのこと、また周知徹底のこと、これも含めて大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 まずは、谷口委員を中心に公明党におかれて積極的な議論をくださいまして、大変建設的な申し入れをいただいていることに感謝しております。

 今のお尋ねの件は、二〇一一年に完全デジタル移行、それに備えて随分やることがあるのではないかという御指摘は非常にそのとおりであると思っております。我々の責任は大きいと思っております。

 まず、やはり周知徹底でありますけれども、アナログが停波するということは皆さんかなり御承知なんですが、二〇一一年というその正確な日付についてはまだ意外と御承知いただいていない。そのためには、パンフレット、相談センターの開設、そして御承知の例のシールの張りつけ等々やっておりますけれども、そういうことをさらに今後精力的にやっていかなければいけないと思っております。

 それともう一つは、受信機そのものはやはり個人の持ち物でありますので、個人の責任において対応していただかざるを得ないわけでございますけれども、その場合に、やはり低廉化、価格を安くするということと、多様な選択を準備するということは政策的な観点からも必要だと思います。

 低廉化に関しては、今、一インチ一万円を大幅に切るような、そういう傾向がございますし、一インチ五千円という目標を掲げる受信機メーカーも登場していると承知しています。また、十インチ台の小型の受信機等々で価格そのものが安くなるというようなものもございます。そして、まさに切りかえのチューナー、セットトップボックスについても一万円台のものが今売り出される等、そういう例が出てきておりますので、低廉化、多様化は着実に進んでいるというふうに思いますけれども、さらに、先ほどの周知徹底とあわせまして、しっかりとした対応を行っていくつもりでございます。

谷口(隆)委員 ぜひきめの細かい対応を、先ほども申し上げましたように、所得の低い方にも対応していただけるようなことをお願いいたしたいと思います。

 いずれにしても、所管省庁でいいますと、総務省だとか環境省だとか経済産業省あたりがこのリサイクルの問題を議論していかなければならないと思うんですが、そういう協議の場はもう既にできておるのか、また今後そういう機関をつくっていかれる予定はあるのか、お伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと現状を申し上げておきたいと思いますが、テレビの受信機というのは、年間約九百万台出荷されている、そして平成十五年度の資料によれば、これとほぼ同数の受信機が廃棄されている。プラス九百万、マイナス九百万という、その移動がございます。

 二〇一一年までの間、デジタル放送、アナログ放送を並行して行うこととしているわけですし、それ以降も、セットトップボックスを取りつけることによってアナログ受信機でデジタルを受信することが可能である。そういった点を考えますと、現時点で、受信機の廃棄が、二〇一一年の前後に特定に集中して廃棄量が著しく上回ることは多分ないのではないかというふうには考えております。もちろん、それでもきめ細かな対応はぜひ必要だと思います。

 こうした状況の中で、総務省としては、昨年十月からアナログ受信機に例の二〇一一年アナログ停波の告知シールを張っている。このシールは、実はアナログ受信機の購入の増加を抑制するという経済的な効果はあるわけでございます。今後、担当する省庁ともそういった意味ではしっかりと連携を進めてまいりたいと思います。

 協議の場は既にあるのかということに関しては、まだ今の時点では今申し上げたような理由で持っておりませんが、今後、ぜひきめ細かく対応していきたいと思っております。

谷口(隆)委員 それと、この二〇一一年完全デジタル化なんですが、アナログ放送のときの一〇〇%世帯をカバーしてもらいたいということで、私どもの申し入れもそういうふうに言っているわけですが、例えば離島を抱える沖縄県だとか鹿児島県、広大な面積の北海道、岩手県では、開局時期の明示のないような中継局もあるようであります。整備困難な地域が比較的多い地域もあります。

 そのような状況の中で、民間放送事業者が一〇〇%に向けて努力をしておりますが、あと残りの数%のところがなかなか難しいわけです。デジタルデバイドを解消するという観点からも、財政的な支援も必要なのではないかと私は思うわけですが、大臣にお伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 先般申し入れをいただいた中にも、今御指摘の点は大変力点を置いてお書きくださっていたというふうに承知をしております。

 御承知のように、デジタル放送中継局に関しては、ロードマップを作成しておりまして、今九五%カバーのところまで来ております。しかし、これは九五%ではだめで、一〇〇%にしなければいけません。また、九五%といっても、現状では地域によってかなり格差がある。離島とかエリアの広い北海道とか、そういう点についてまだまだ努力を要する状況であるというふうに認識しております。

 三つの段階で考えなければいけないと思います。

 一つは、その地域の実情を把握した上で、やはり自力の建設に向けて最大限の御努力をいただけるよう事業者を指導しなければいけない、これが第一の点でございます。

 さらには、二〇〇八年、二〇一〇年とロードマップを見直していくわけでございますので、そのときにアナログ時の一〇〇%カバーに向けてその完成度を高めていく、そのチェックポイントでしっかりやっていくということが重要だと思います。

 そして三番目には、IPマルチキャストや衛星など最新の技術を用いて、いわゆる伝送路をしっかりと選択肢を多様化していって、結果的に一〇〇%の方がデジタル放送にアクセスできるような、そういう工夫をしていくことが必要だと思っております。

 その意味では、先ほどから委員も御指摘のように、これこそまさにきめ細かな対応が必要であると思っておりまして、そうした役割を適切に果たしてまいりたいというふうに思います。

谷口(隆)委員 これで終わりますが、財政的な支援はどのようにお考えなのか、最後にちょっとお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 この国会でも御審議をいただきました情報基盤の整備等々、実は、IPマルチキャスト等々の情報の多様化に向けた非常に重要な手段になると思っております。その意味では、今の段階では、そういう広い意味でのブロードバンドネットワーク、ブロードバンドのインフラに関しての地域間のデジタルデバイドを解消していくということが、結果的には今議論した点にもつながっていくというふうに考えております。そうした点を二〇〇八年、二〇一〇年、チェックポイントで再度点検しながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。

谷口(隆)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

中谷委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、きょうの新聞に、昨日の経済財政諮問会議で大臣が勝利宣言をした、消費税率三%程度で可能だということで、最後に、神の啓示や悪魔ではなく経済学の話だと自信たっぷりに話したという記事を拝見させていただいて、これからの、この委員会で対応をお約束していただいた骨太の方針に、ぜひ地方の立場に配慮した形になっていくことを冒頭まず望んでおきたいと思います。

 きょうは財務省にも来ていただいております。冒頭、財務省に一点御確認をしておきたいことがございます。

 先般のこの委員会で国家公務員の留学費用の償還に関する法律が制定をされました。その中で、当時ちょっと十二分に議論をせずに対応した部分が一点ありますので、その部分を確認しておきたいと思います。

 いわゆる旅費の規定であります。これは、トータルでいうと、人事院からの説明にもありましたように、二年間で七百万の滞在費ということで一般的にはくくられている部分であります。国家公務員等の旅費に関する法律という昭和二十五年にできた法律の規定に基づいて、さきに議題になっておりました長期行政官の派遣の旅費の返還規定が規定をされております。

 そして、先週の決算行政監視委員会の中でも、この滞在費、旅費の中に、日当との関係で、本俸での給与が出ているにもかかわらず日当が入っているのは何か二重取りみたいな形でという指摘がある中で、谷垣財務大臣も、海外留学中は何かとお金がかかるのでもろもろの諸経費に充ててもらっているということで、それを是認ではありませんがお認めになるような発言もしているというふうにお伺いをしております。

 しかし、今これだけ国、地方を含めた問題、特に財政的には国も地方も大変厳しい中で、国民、住民の皆さんから信頼をされる行政組織の確立ということが求められているというふうにも思いますし、やはりこの国家公務員等の旅費に関する法律は、ある意味では、国民の皆さんから信頼される形で、二重取りというような指摘がないような形で整理をしていただく、検討していただくという必要性があると思うんですが、冒頭、その点について財務省にお尋ねをしたいと思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 海外に留学する職員につきましては、人事院の行政官長期在外研修員制度によりまして派遣されているということでございますが、そういった制度の一環として、職員は所属省庁の身分のまま出張命令を受けて派遣されているということでございます。その上で研究に従事をしていることから、勤務に対する報酬であります俸給等とは別に、派遣期間中の滞在費として一日九千六百円を支給しているということになっておりますが、この滞在費につきましては、長期の研修という性格にかんがみまして、通常の旅費として支給する額よりも減額して支給しているということでございます。

 ただ、この滞在費につきましては、同じような民間企業の場合はどうなっているのであろうかといったような実情等につきまして、行政官長期在外研修員制度を所管する人事院ともよく協力しながら、実情を勉強してまいる必要があろうか、このように考えております。

後藤(斎)委員 ぜひ、今最後に御答弁をいただいたように、人事院ともよく御相談をいただきながら、民間の実態、そして先ほども御指摘をさせていただいたように、国民の皆さんからあらぬ御不審を抱かれぬような形でのこれからの検討を強く望んでおきたいと思います。

 次に、NHKの受信料の問題であります。

 先週も議論をさせていただきましたが、それ以降、またいろいろな形で、これは不祥事とかそういうことではありませんが、やはり基準についていろいろ不透明な部分が出てまいりました。これはもしかしたら私だけの意識かもしれませんが、例えば、先週の土曜日、いろいろなメディアの中で、民放から、五十年間契約対象外ということで受信料の未徴収をして、四月一日から一部を契約対象とすることを決定して現在に至っているという報道がございました。

 そして、これをいろいろ調べていくと、確かに、放送法第三十二条の契約対象外になる放送の受信を目的としない受信施設の基準というものが、放送法の規則の中でも総務大臣がオーケーを出せば対応ができる仕組みになっております。ただ、ほとんどが、これを拝見させていただくと、これはNHKの受信料免除規定というものでありますが、例えば学校であるとか社会福祉法人であるとか身体的に障害がある方とか、そういう形で全額免除、半額免除という規定がございます。

 しかしながら、数字を見させていただくと、これは確かに、大臣とも御議論をさせていただきましたが、放送法の第三十二条の受信契約、これは「者」であるということで、ほとんど今までは個人の世帯を中心にして対応してきた部分があると思います。そして、事業所や法人につきましては、その契約率みたいなものを明らかにしたのは、昨年の五月に情報公開請求によってお出しになられたということであります。

 そして、昨日の報道によりますと、政党や官公庁の支払い実態というものに大変ばらつきがあるというふうに報道されております。例えば、ある政党の部分につきましては一台につき月二百三十円の割引で支払っているとか、ある自治体では一台につき月三百円の割引で払っているとか、いろいろなばらつきがある中で、そうした総数の実態が必ずしも明らかでない。大体七四、五%の法人、事業所とは契約をしているというふうにNHKの方でおっしゃられておりますが、やはりここが、どうしてそんなばらつきが出てくるかということをきちっと明確にしておかないと、確かに竹中大臣のビジョン懇においてもこれから義務化ないしそれ以降の罰則化ということを触れられながら話が進捗をしておりますし、この委員会でも同趣旨のお考えを持っている委員の方もたくさんおられます。

 冒頭、その辺の、なぜばらつきが事業所、法人の間でそういうふうにあるのか、そして、この実態というものはトータルの事業所や法人というものを把握しながら七四、七五%という契約率なのか、この二点について簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

小林参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました点の一つでありますけれども、事業所契約の率等につきましては、以前よりも、こうした国会の場でも御質問等がございましたら、契約率等は御説明しているところでございます。

 それから、先ほど事業所の受信料割引の件がございましたけれども、事業所等におきます受信料額につきましては、御承知のとおりでございますけれども、放送受信規約で多数契約一括支払いという割引制度がございます。それに基づきまして、衛星がついている場合でございますけれども、衛星カラー契約の割引額につきましては、十件以上五十件未満の場合は月額二百円、五十件以上百件未満の場合は二百三十円、百件以上の場合は三百円という割引制度を設けているということです。これは平成元年に衛星料金を新設した際から設けさせていただいている制度でございます。

 それから、事業所契約にややアンバランスがあるんじゃないかということでございますけれども、例えば、中央省庁等におきましては、あるいは地方自治体もそうでございますけれども、毎年、受信契約等一定の調査をさせていただきながら契約していただいている。また、一般の企業に対しましても、当然ながら、NHKみずからが職員あるいは地域スタッフを動員いたしまして、日常的に訪問、電話等の対策を通しまして、テレビ設置状況につきまして把握、確認をさせていただいているということでございます。

 そういった形で日常的に取り組んでいるところでございますけれども、率直に申し上げて、事業所に関しましては、NHKの調査に必ずしも御協力いただけないというケースがございます。あくまでも自己申告に基づいた設置状況の調査であるということでございまして、率直に申し上げまして、事実の確認につきましては限界も多少あるということでございます。

 このため、テレビ設置状況の把握などの精度をより高めていくということが今後の課題認識ということで持ってはございますけれども、現状の中でもできるだけの工夫をしながら努力していきたいというふうに考えているところでございます。

後藤(斎)委員 先ほども御指摘をしたように、この四月一日から、民放のテレビ局の局内に設置された、受信料を支払うような形になったというお話をお伺いしております。

 そして、まだ事業所とか法人の中でばらつき、未徴収の部分もあるというよりも、その実態をこれからきちっと把握するという理事の今お答えでありましたが、例えば、NHK自体、食堂であるとか会長室であるとか委員長室であるとか、子会社の(株)NHKエンタープライズとか、そういうところについてはきちっと受信料は払われておるんですか。

小林参考人 お答えいたします。

 NHKに関しまして、いわゆるNHK本体の中におきましては、事業主体ということで、みずから受信料を払っているということはございません。受信料を払った結果、またNHKに戻ってきてしまいますので、そのことは相殺してあるということでございます。

 なお、NHKグループ、関連団体につきましては、通常と同じような扱いで受信料をいただいているという状況でございます。

後藤(斎)委員 今のお答え、若干、冒頭の部分では、本当は徴収してお返しするということではなくて、この設置基準にありますように、運用の監督であるとか、今回民放の方が入れたのは、関連の現業部局のテレビというものはきちっと今までどおりの対応にしているということだと思うので、そこは確かにNHK自体が入って出てというのはおかしな話かもしれませんが、ぜひ関係会社の部分についても、きちっとこれから支払い実態というものがどうであるかということをNHK自体が自助努力して情報公開していただきたいと思います。

 そして、事業所、法人についても、これから御努力なさるということなんですが、ばらつきがあったりということは、やはり今のNHKの抱えているいろいろな問題、そして義務化にしたらそれが解決できるのか、罰則規定をやったらそれが解決できるのか、それ以前の問題としてきちっと対応していただかないと、それの数字がないというようなことでは困るので、ぜひこれからも引き続き検討はお願いをしたいというふうに思います。

小林参考人 ただいま委員御指摘の点については、十分踏まえて対応してまいりたいと思います。

 なお、NHK関連団体につきましては、先ほど申し上げましたように、適切に受信料を契約して払ってもらっておりますので、この開示については、必要ならばいつでもする用意はございます。

後藤(斎)委員 最後に、時間がないので、大臣、この受信料の問題は、この間も大臣と御議論したように、これから、ある意味ではワンセグであるとか例のいろいろな新しい通信機材の中で対象が広がってくるというものが一方で前提にある中で、実態が十二分に把握されていないとおかしなことなので、ぜひ大臣の方からも引き続き御指導をお願いしたい。

 あわせて、先ほどもお話が出たように、地方主権を確立するという、大臣が繰り返しお話をされてきました。そして税財源の移譲も含めて、地方の意見もきちっと聞きながら最終的な骨太の対応をするというお話も繰り返し大臣からお伺いをしております。

 そして、その部分がもうタイムリミットというか、七月の冒頭ということで骨太をまとめられるということであれば、時間があと二週間程度しかないという中で、総務大臣が今までいろいろな、改革の流れであるとか官邸との関係とかいろいろ新聞報道もされて、大変お悩みになったというふうな記事も新聞でごらんになりましたが、冒頭御指摘したように勝利宣言をした大臣ですから、地方のスタンスに立った、例えば地方共有税というところまで言葉的に踏み込めないまでも、地方財源、きちっと財源保障をしたり調整機能をきちっと堅持するよ、税財源もきちっと移譲しながら対応するよというお話をぜひ最後に大臣に御確認しておきたいんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 冒頭の、毎日新聞だったと思いますが、記事ですが、新聞というのは、持ち上げたと思ったらまた引き落として、引き落としたと思ったらまた持ち上げて、そういう一種の自己運動メカニズムがありますので、私は淡々と仕事をさせていただいているつもりでございます。

 NHKに関しては、収入基盤について、要するに受信料は収入基盤の問題です。これを明確にしていくことは、収入基盤を強くすることにも当然なります。その意味からもNHKにはしっかりやっていただきたいし、我々として必要なことはぜひやりたいと思います。

 骨太に向けて時間はございませんが、私は、やはり政府として基本的な考え方をこれまでの議論を踏まえてある時点で可能な範囲で取りまとめるということは、当然に必要なことだと思います。いろいろな意見が政府の中にもございますけれども、この委員会で御議論いただいたことを一つの糧にして、あと数週間ぜひ頑張りたいと思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。きょうもお世話になります。よろしくお願いいたします。

 早速でございますけれども、いわゆる骨太の方針に関してですが、これに関して、六月の末もしくは七月の初旬には決まるというようなことが、与謝野大臣の口から諮問会議の中でも言われているようでございますけれども、あともう余り時間がないということで、現時点で、骨太の方針の中に竹中大臣として地方の財政に関してどのようなことを盛り込む方針でおられるのか、骨太の方針にこういうことを入れていきたいというふうに思っていることをまずお示し願いたい。

 それから、自治体との相談のあり方でありますけれども、もう時間が余りない中でありますけれども、今後、自治体との相談というのはどのような形でおやりになられるのか。

 それからもう一つが、六月八日のこの総務委員会で、新しい交付税制度を構築する上で、大きな方向を決めた上で精緻な制度のシミュレーションをやっていくしかないというふうに大臣は御答弁されているわけですが、この精緻なシミュレーションというのは、いつどのような形で発表されて、その議論というのが行われるのか。

 この三点について、まずお伺いいたします。

竹中国務大臣 いきなりちょっと大きな質問を三問いただいたわけでございますが、骨太の方針については、これは御承知のように、取りまとめは内閣府が行います。内閣府が政府全体を見渡してしっかりと対応していかれる。その中で、我々としてはこういうことをぜひ主張したいということを申し上げる立場にあります。

 申し上げる立場として、どのようなことを方向として言いたいかということに関しましては、先般諮問会議で、私なりの私案として方向を出しております。これは、あのとおりなかなかいくかどうか、いろいろな問題もございますけれども、あれに沿った形でぜひ主張をしていきたいと思っています。

 幾つかポイントはございますけれども、国と地方の役割を根本的に見直すという意味での、分権一括法のようなもの、そういうものをぜひしっかりと議論したいということ。そして、その中で、できるだけ国の基準づけを小さくしていきたいんだ、そして、その中で、国の基準づけのない部分については、より簡便な方法で交付税の仕組みをつくっていきたいんだというようなこと。当然のことながら、自立する自治体をふやしたいということで、私は、人口二十万以上の都市については半分が交付税に頼らなくてもやっていけるような仕組み、それだけの税源移譲も必要であるというふうなこと、そうしたこともぜひ主張をしていきたいと思っております。

 さらには、これは破綻法制と言うとまたいろいろおしかりがあるかもしれませんが、より強固な再建法制の仕組みについても申し上げたいというふうに思いますし、また、地方債についてもしっかりと自由化できるように。

 そういった一連の問題を、パッケージでぜひ主張したいと思っております。これはつまみ食いはだめです。ここだけやる、ここはいいけれどもこれは嫌とか、そういうことを言う省庁が当然いるわけでありますけれども、それは困るというふうに申し上げたいと思っているところでございます。

 それと、自治体との話し合いでありますが、これは、こういう局面になってきますと、特に頻繁にいろいろ顔を合わせて議論をすることは重要だと思っております。どういう形になっていくのか、これは例年こういうことを総務省としてはやっておりますので、去年、おととしの例も参考にしながら、しっかりと誠実に対応していきたいと考えております。

 第三番目のシミュレーションの話でありますが、これはもう今委員が言ってくださいましたけれども、やはり大きなこと、方向を決めて、それでより制度の精緻化を行っていくことが重要だと思っております。私としては、まずそういった新しいタイプの交付税を十九年度に導入するという入り口を決めたいという思いでございます。

 制度設計に当たりましては、これは、人口規模等によって当然行政コストに差があるわけですから、そこをしっかりと現実的に配慮しなければなりません。さらには、経過措置のあり方も必要だと思います。そうした多岐にわたる課題をしっかりと検討していかなければいけないと思います。

 スケジュールに関するお尋ねでございましたので、あえて申し上げますと、例年秋に開始されます地方団体の予算編成スケジュール、これを念頭に置きながら、地方団体と十分な意見交換を行って、具体的な算定のあり方について議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

逢坂委員 十九年度に新型交付税導入の入り口をつけたいということでございましたけれども、となりますと、精緻なシミュレーションというのは、まず十九年度に導入することを決定した後に順次いろいろなパターンに応じてやっていくということでよろしいのかどうかということ。

 それからもう一点でございますけれども、骨太の方針、今回は国会の会期外に最終結論がどうも出そうな時期的な見込みでございますけれども、これについて、大臣は問題ありというふうには思われないか。というのは、国会としてほとんどこれには最終的には口を差し挟めない状況になるわけですが、この二点、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず最初の御質問に関しては、十九年度にやるということを決めて、そこから試算をしていくということでよいのかということだと思いますが、当然そういうのが自然な姿であろうかなというふうに思います。具体的に今イメージがあるわけではございませんが、流れとしては、委員御指摘のような流れになるのであろうというふうに私も思います。

 骨太ですけれども、いかがでしょうか、小泉内閣になってから骨太方針というのをつくるようになったわけでございますが、ほとんどの場合、国会が大幅に延長されない場合は、骨太方針というのは大体六月の末ぐらいが普通でございますので、こういうタイミングでほとんどつくられてきたのではないかと思います。その意味では、ことしが特別であるというふうには考えておりません。これは政府・与党の中で合意をする基本的な方針でございますので、それに関しては、それで国の方針がいわゆる決まるわけでもございません。法律事項というのは、それから国会で御審議を当然いただかなければいけないわけでございます。その後数カ月で臨時国会が持たれるのかどうか、これは私にはわかりませんが、そういう中で、これは全党挙げてしっかりと、国の方向でありますから、御議論を賜るべきものであるというふうに思っております。

逢坂委員 ということであれば、新型交付税について、十九年度導入の入り口をつけて、そしてさらに具体的な内容を議論していくということでありますが、仮に十九年度導入の入り口をつけたとして、いろいろ議論していくプロセスの中で、どうもこれは自治体の実態に合わない制度である、いわゆる人口、面積だけによる算定がですね、そのようなケースがあった場合には、これは導入を見送る、一度は導入を試みたけれども途中で見送るということもあり得るのかどうかということをお伺いしたい。

 それと、今、新型交付税が割合がだんだん高まっていく、例えば二十一世紀ビジョン懇などでは、三年後に五兆円規模というような話も出ていることは先般も聞いたとおりでありますけれども、現在の交付税制度の基礎になっている考え方というのは、いわゆる需要額と収入額とのこの差を埋めるというようなことが交付税制度の考え方になっているわけですが、この需要額と収入額の差みたいな基礎的な考え方というのは、新型交付税の導入に当たっては変えていくのかどうか、このあたりをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 まず最初の質問でございますが、これはすべての政策がそうだと思いますけれども、何事も、一回決めたら絶対変えない、そんなことはあり得ないというふうに思います。ここは大変重要な問題でありますし、これは何度も申し上げさせていただきましたが、今この瞬間も行政のサービスが行われております。それに支障がないようにやはり制度設計をしないと何のための改革かわかりませんので、必要な修正というのは当然に行っていかなければいけないというふうに思っております。

 二番目の需要額の云々でございますけれども、これは、いわば基準財政需要額の考え方、地方財政計画の考え方を何か根底から変えるというような話では全くございません。

 よい機会ですので、幾つかの誤解をぜひ解いていただきたいと思うんですが、まず、これは仕組みの問題でありますので、総額の問題とは別の問題である。この仕組みを変えることによって総額が変わってくるというような問題ではないということが第一の問題でございます。

 そして、これは需要を見ないのかという御指摘でございますけれども、これは需要は需要として見るわけです。ところが、需要の見方として、非常に簡潔な代理変数として人口、面積のようなものをもっと重視してよいのではないだろうかということで、これは需要を見ているわけです。需要をどの程度個別に積み上げるのか、人口、面積という代理変数で見るのか、これが基本的な考え方であろうかと私は思っております。

 その意味では、総額が減るのではないかとか、根本的に地方財政計画が別のものになるのではないか、私はそのようには思っておりません。

逢坂委員 それでは、地方財政計画を根本的に見直すというようなものではない、考え方を大幅に変えるというようなものではないという御答弁でございますけれども、その中で、大臣、これまで、地方交付税における自治体へのいわゆる義務づけの内容ですね、この基準を減らす方向だということを何度も答弁しているわけですが、今のところ、将来的にどのような事項をいわゆる義務づけの事項として交付税の算定項目に入れるお考えであるのかをお伺いしたいということが一つでございます。

 それからもう一つ、最近、谷垣財務大臣が、地方交付税に関して、富裕な自治体とそうじゃない自治体、この自治体間をある種兄弟のように見立てまして、兄弟間での調整をしたらどうかというような話を一番先にされているわけなんですが、私は、これはちょっと危険ではないかというふうに思っているわけですね。国と地方の税財源の全体の枠組みの議論なしに、とりあえず今の状況の中で兄弟間で調整して、その結果というようなニュアンスの発言が谷垣財務大臣の言葉からいろいろ聞かれるんですが、私は、これは順番としては逆だ、大きな国と地方の税財源の枠組みというものをはっきりさせなければ、この議論に行くのは危険だと思うんですが、竹中大臣、このあたりいかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず最初の、国の基準づけをどのように考えているのかということでございますけれども、これは非常に大きな話で、今の時点で私一人が何かトータルのイメージを語れるというようなものではとてもございません。であるからこそ、これは政府を挙げて、与野党を挙げて非常に大きな議論を、私は数年かけてしていただきたいというふうに考えております。

 これは、一般論として言えば、例えば所得再配分というようなものに関するものは、これはやはり国の方がよいのではないか、こういう財政学の考え方がございます。公共財的な性格の強い国防とかそういうものは、これは当然国であろう。ある程度の抽象的な議論はできると思いますが、今求められているのは、国民生活に関係のある一つ一つの問題についてどうするかという問題でございますので、ここは幅広く議論をしていただきたい。そのために、分権一括法という形でその大きな舞台をまずつくろうではないかということを私としては申し上げているつもりでございます。

 第二点の、財務大臣の御発言でございますが、兄弟同士でという御発言は承知しておりますが、その中身がどういうことをイメージしているのか、私自身もう一つよくわかりません。その意味で、なかなかコメントは難しいのでありますが、今委員言われたように、これは今の制度の中で国と地方の財政を考える仕組みになっているわけです。国の財政、そして地方の財政の仕組み、それぞれ法律があって決めるようになっているわけでありますので、その法律の枠組みを飛び越えて、何か急に、兄弟同士でというようなことは、これは現実的では当然ないと思います。

 そういうことをすることによって、まるで国が役割を放棄するような、まあ皆さんでいいようにやってくださいというような、私は財務大臣の発言はそうではないとは思いますが、そのような議論になっては断じていけない、ここは現実的な議論の中で収れんをさせていかなければいけないと考えております。

逢坂委員 それでは、またちょっと、谷垣財務大臣の言葉のことに対する竹中大臣の感想というか、お考えをお聞きしたいんです。

 去る六月七日の参議院の決算委員会、この席には竹中大臣もいらっしゃったかと思いますが、谷垣財務大臣はこんなことを言っているんですね。国と地方の財政の基礎的収支に関して、地方に比べて国が一層厳しい状況にあるということは私は否定できない、こういう発言を財務大臣はしているわけですね。一方で、竹中総務大臣は、五月三十日の総務委員会での私への答弁では、この国と自治体の基礎的収支に関して、非常にフェアネスを欠く議論というふうに大臣は指摘をされたわけであります。

 それから、六月七日の経済財政諮問会議の席上で、谷垣財務大臣はこんなことを言っているんですね。地方財政の状況がこれから中期的にさらに好転していくと見込まれるというような認識を財務大臣は持っているようなんですが、本当にこういう認識でいいのかどうか。国の方が基礎的収支はいいぞ、それから、地方財政は中期的にはこれから好転していくぞという認識を持っているということに対して、竹中総務大臣の考えをお伺いしたいということですね。

 それからもう一つ、谷垣財務大臣はこんなことを言っているんです。地方交付税は地方固有の財源であるかどうかという六月七日の参議院の決算委員会の質問に関して、固有財源かどうかというのは論争の焦点だというような言い方をしているんですが、これについては、平成四年の五月十八日の参議院本会議、それから平成五年の三月十九日の参議院予算委員会、それから平成五年の五月十二日の参議院本会議で、当時の宮澤総理が、地方交付税は地方固有の財源だということを明言しているわけで、これにやはりそごを来すような発言ではないかと思うんですが、この二つの点について、竹中大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、二番目の谷垣大臣の御発言でございますが、私の承知している限り、谷垣大臣御自身も、これは平成十七年の二月十五日の衆議院本会議の答弁ですが、これは「固有の財源と言って差し支えない」というふうに答弁をしておられると思います。これは総理もそのような答弁を、私の記憶ではどこかでしておられると思いますし、これはもう基本的な考え方でございますので、今引用された谷垣大臣の答弁がどういう脈絡の中で出てきたかということは確認をいたしますが、この点はもう間違いないと思っていただいて結構だと思います。

 それと、今ないしは今後出てくる非常に重要な問題として、国と地方のバランスの問題が必ず出てまいります。そして、このバランス論を言うときに必ず出てくる一つの傾向は、国が大変で地方がよい、ないしは地方の方が財政状況が楽になっているという言い方でございますが、これはやはり幾ら何でも誤っているというふうに申し上げざるを得ないと思います。

 地方は、行革努力にもかかわらず八・七兆円という財源不足を抱えている。債務残高が二百四兆円に達するわけでございます。地方財政にゆとりがあるかというふうに言われると、これはもう、それは全くないというふうに申し上げざるを得ない。もちろん国もないわけでありますから、地方にも努力はしていただかなければいけませんが、国が大変で地方が楽だというような議論は、これは幾ら何でもフェアネスを欠いていると思います。

 実は、このバランスの議論を、先般、先週の経済財政諮問会議でまた民間議員から出されたとき、総理が明快におっしゃってくださいました。国と地方のバランスと言うけれども、そもそも地方には自由がないんだ、国のような自由がないんだから、そこら辺をよく考えて議論しないとだめだと。これはまことに適切な御指摘だと思います。

 私もよく例として挙げるのでありますけれども、要するに、国の方が債務残高が多いというふうに言うわけですけれども、地方は国のような強い課税権を持っていませんから、これは当然のことです。諸外国を見ても、地方というのはそんなに債務残高持たないんです。その意味では、相対的には国の債務残高、日本では国が地方の、国がですよ、地方の三倍あります。でも、OECDでは、国は地方の七倍持っています。それが大体のバランスなんだと私は思うんですね。

 そういうことを考えますと、先ほど言いましたように、国が大変で地方が楽だというような議論は、これは幾ら何でもバランスを欠いている。諮問会議でこういうことを言うのは私一人なのでありますけれども、そこは頑張って主張しなければいけないと思っております。

逢坂委員 ぜひ頑張っていただきたいし、その点においては応援もしたいというふうに思っております。

 一方、文芸春秋のことしの五月号のインタビュー記事、竹中大臣のインタビュー記事を拝見いたしましたら、景気拡大よりも構造改革が重要というふうに前置きをした上で、このような発言を竹中大臣されているんです。自治体について、財政から補てんされる仕組みがある限り、積極的に経営を改革しようとは思わないでしょうというような話をこのインタビューの中でされているわけであります。要するにこれは、自治体に対する財政補てんが自治体の構造改革をあたかも阻害しているかの発言のようにも受け取れるわけです。

 こうした観点から見て、この発言の背景から見て、竹中大臣は、今の交付税制度、あるいは今後の新型交付税制度を含む自治体財政というものを均衡させるというようなことについて、基本的にどのようなお考えをお持ちなのかをお伺いしたいというふうに思います。

 今後、もしかすると、新しい制度の導入によって自治体の財政面の格差というのは広がっていくかもしれないわけですが、同じインタビューの中で竹中大臣は、格差を広げないためには三つの点が大事だという話をされているんですね。機会の平等が必要だ、再挑戦する仕組みが必要だ、セーフティーネットを整備することが重要だと指摘しているんですが、自治体の財政の格差拡大を防ぐために、もしこの三つの観点から見たときに、具体的な政策というのは今大臣の方でどのようなものをお持ちか、この点をお伺いします。

竹中国務大臣 逢坂委員、文芸春秋の私の言葉に対する御質問で、第一点の点は、ちょっとぜひ正確に御議論賜りたいと思うんですが、財政補てんがあると積極的に自治体は経営改革しない、それだけ聞くと非常に私の真意ではないと思います。その前のところをぜひ言っていただきたいんですが、堅実な経営をしようと野方図な経営をしようと、結果的に何らかの形で補てんされるのであるならば、これは積極的に経営改革しないでしょう、そういうインセンティブがなくなるでしょうというふうに言っているわけです。自治体に対する財政的な補てんを否定しているわけでは全くありません。むしろ、資源のないところに対しては財政の補てんは必要です。これはもう絶対必要で、そのことを私は否定しているわけではありませんので、ぜひそこは御理解をいただきたいと思います。

 資源の賦存状況は異なります。東京のようにいろいろなものが整っている地域と、私の出身地和歌山のように、必ずしもそうではないところがありますから、その資源の賦存状況の違いを埋めるための財政措置というのは、これは当然必要なわけで、そこでまさに、シビルミニマムというかナショナルミニマムというか、一定の生活ができるようにするのが政治の役割でございます。そういうことはしっかりやっていかなければならない。

 格差の観点から、機会の平等、再挑戦の仕組み、セーフティーネット、確かに私はそのように申し上げております。

 これは一般論として申し上げたわけで、決して自治体のことを念頭に置いたわけではございませんが、質問ですので、あえて当てはめるとすれば、例えば機会の平等というのは、特区などのようなものを活用していただいて、非常にその個性に合った形でのいろいろな開発を進めていただくというのは機会の平等の一つの形だと思います。

 再挑戦については、やはりしっかりとした再生法制をつくるということが私は再挑戦につながる道だと思います。

 そして、セーフティーネット、これもいろいろあろうかと思いますけれども、例えば過疎債であるとか、今も、場合によって特別交付税の活用など、そういうものは制度としてあるわけで、そういったしっかりした幾つかの政策措置を組み合わせることがセーフティーネットにつながっていると考えております。

逢坂委員 質問時間がなくなりましたのであれですけれども、大臣はこの間いろいろと大きな仕事をやってこられた。郵政の民営化、それから、今もまた地方財政の制度を新たなものにしようとしているわけですが、郵政の民営化も、実は地域では集配局がなくなるというようなことで、いろいろな不満、不平が出ているわけです。地方財政もこれからどうなるかわかりませんけれども、これがうまくいく保証はないわけです。

 最後に、万が一これらが失敗したなどというようなことは大臣は想定はされていないとは思いますが、そのようなことがあった場合、大臣としてはどのような答弁をされますでしょうかね。

竹中国務大臣 本当に、物事を変えていくというのは、困難もありますし、勇気が要ることだと思います。そして、何よりも国民の御理解が要ることだと思います。しかし、そういうことを国民の皆さんにしっかりと語りかけて、そして前に進んでいくことが政治ではあろうというふうに思っております。

逢坂委員 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、きょうは、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律というのがありますが、今配っていただいております資料の五ページ目、一番最後のところに載せておきました。この第三条に、国と自治体の法人の債務についての保証契約を禁止する規定があります。こうした制限規定を設けた理由があると思うんですが、その理由は何なのかということを最初に伺いたいと思います。

瀧野政府参考人 法人に対する財政援助の制限に関する法律でございますが、御指摘のとおり、第三条におきまして、政府、地方団体は、会社その他の法人の債務について原則として債務保証を行うことができないというふうにされているわけでございます。

 この法律は昭和二十一年の制定のものでございますけれども、立法趣旨といたしましては、政府なり地方団体が債務保証を行うことによりまして負担額が不確定な債務を負うことになる、このことが国庫や地方財政への負担の累増を招くおそれがある、こういうことで、会社その他の法人に対する債務保証による財政援助を制限いたしまして、財政の再建を円滑に図ろう、こういったものであるというふうに承知しております。

 また、会社その他の法人がこういった債務保証を受けますと、公の保護に依存するというような傾向が強くなるわけでございますので、自主的に活動することを促すということも法律の立法趣旨の一つとして挙げられているというふうに考えておるところでございまして、こういった立法趣旨は、現在におきましても引き続き妥当しているというふうに考えております。

吉井委員 それで、これは一九四六年に石橋湛山大蔵大臣が立法趣旨を説明されたりとかいうことでありましたし、今おっしゃったとおりなんですが、ただし書き規定で、法律に基づく会社法人の債務保証についてはこの限りでないと言うんです。ただ、会社法人については、法律に基づきということで、例えば関西国際空港株式会社のようにきちっと法律があって、そこに対しては債務保証は認められるんだけれども、それ以外はだめですよ、こういう規定で、一般に、法律に定めのない会社法人への債務保証はできないということを定めていると思うんですが、これはそのとおりですね。

瀧野政府参考人 御指摘のとおり、基本的に債務保証を禁じる中で、一定の立法措置がされておる、こういったものについては、大臣の指定ということで解除されるということでございます。

吉井委員 そこで、きょうお手元に配付させていただきました資料、これは大阪市議会において配付されたものと同様のものでありますが、昨年、大阪市における厚遇問題とかいろいろありましたが、乱脈行政というのはなかなか深刻で、国会でもこれまでからよく問題になりました。昨年十二月の大阪市浪速区の同和地区の民間医療機関、芦原病院の民事再生法適用申請以降、さまざまな問題が改めて浮き彫りになってきて、関西の方では日経、毎日、朝日を初め各紙でもテレビでも繰り返し取り上げられている問題で、ここには自治体の補助金の流用など、不正の数々なども明らかになってきております。

 芦原病院という法人が銀行から金を借り入れるときに、大阪市が銀行に借入金返済確認書を提出しているというのが一枚目の資料、一枚目の文書なんですが、ここにあるように、「さて、芦原病院の今回の借入金につきましては、平成十八年四月二十八日までに、本市が責任をもって返済させますので、何卒ご理解をいただき、引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。」これは、大阪市の稟議決裁を経て、局長さんがりそな銀行の恵美須支店あてに出している文書なんですね。

 二枚目には、これは二〇〇三年五月の大阪市の文書で、要するに、芦原病院が銀行から融資を断られたので、かわりに大阪市がそれに見合う額のお金を特別運営資金として貸し付けるということにした決裁文書を示したものです。

 芦原病院が銀行から借りた資金を返済する必要から借入申請があったものなんですが、そのことは三枚目に、今回の貸付金については、同病院が銀行から借り入れた資金を返済する必要から借入申請があったものだと、三枚目の資料に載せているとおりです。

 そして四枚目、これは五千万円の貸し付けを行ったということであります。

 それで、結局、芦原病院の銀行への返済に大阪市の市民の税金が充当されたということになるわけですが、この芦原病院という一民間法人が借りた金を返済できないときに大阪市が返済資金を貸し付ける、つまり、これは大阪市が実質的に債務保証をしているのと同じことになってくるんじゃないか。これは、最初にお聞かせいただいた、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条に照らしておかしいんじゃないか、これは三条にやはり抵触してくるのではないかと思うんですが、どうですか。

瀧野政府参考人 ただいま御指摘の借入金の返済確認書につきましては、その位置づけあるいは経緯を詳しく承知しているわけではございませんので、その適否を述べる立場にはないわけでございますけれども、大阪市からは、当該病院が金融機関から資金を借り入れるに当たりまして、病院を指導監督する立場としての市の協力姿勢を示して、金融機関の協力を要請した文書であるというふうに聞いておるところでございます。

 そうであるといたしますと、ただいま御指摘の、法人に対します政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定により制限されます債務保証契約というものには当たらないというふうに考えるところでございます。

吉井委員 病院といえば、たしか委員長も御兄弟は病院か医院を経営しておられると思うんですけれども、どういう場合も、それは厚生労働省とか自治体がかかわりを持って健全に運営され、市民の健康を守るようにやるのは当たり前の話なんですよ。

 では、どんな病院、法人でも全部、ちょっとこれは大変だと言ったら実質的な債務保証をやる、そういうことはないですね。返済できないときや最初から貸し付けが得られないときに、この病院は大阪市から貸し付けを受けることになっておるんですが、芦原病院を経営する浪速医療生協の理事長から大阪市長あてに浪速医療生協芦原病院特別運営資金借入申請書というのが出されておりますが、これは市の方が求めた議員などには出しておりますから、私も見せてもらいました。市の各部局で決裁が行われて、さきに見たような金銭消費貸借契約書が交わされて資金貸し付けが行われているわけです。

 もう大分古くなりますが、四半世紀前になりますが、一九八〇年、当時の大島市長あて申請書には、「前記銀行借入金の元利償還がこの推進に対し大きく負担となるため、この返済に要する資金の貸付を申請するものであります。」とあるんです。事実、この申請書どおりの大島市長の決裁が行われて、資金貸し付けが八〇年三月には行われております。

 この種の銀行から借りた金を返すための返済資金の貸し付けというのは、全部で九十三件ある市から法人への貸し付けの中で十五件、たしか、マスコミか何かは三十億ぐらいになるとか書いておったように思うんですが、あるんですね。

 だから、返済を指導するとこの文書にあるんですが、最初から返済されると考えないで、返済資金は大阪市が貸し付ける形をとって処理する。だから、りそな銀行などは困らないわけですね。

 二〇〇四年十一月二十三日の決裁文書や、それについているものを見たんですが、浪速医療生協芦原病院特別運営資金借入申請書によると、関淳一市長あての文書の中で、銀行の今後の融資条件として、銀行としてはできるだけ返済原資が一定確保されたことを確認した上で実施するという判断になったんだ、だから、大阪市の特別運営貸付金でとりあえず今度の場合は対応してもらいたいというのが、銀行からこの法人への回答だったということになって示されております。

 二〇〇五年三月十四日付の申請書を見ると、「これを返済しない場合、今後当座貸越制度を利用できないばかりでなく、来年度以降の融資を受けられなくなってしまうので、三月末には返済しなければならず、その返済資金として必要となるため、特別運営貸付二千万円を執行いただきますようどうぞよろしくおねがいいたします。なお、みずほ銀行に対しては、来年度の融資の実施を含めて現在も引き続き交渉しているところであります。」というふうに決裁文書に添付されているんですね。

 大阪市に、貸し付けが得られないと銀行融資が受けられないからとか、だから返済資金の貸し付けをしてくれとか、銀行貸し付けを受けるための債務保証もしてくれというのが一連の要求書として出てきているんです。

 これにこたえて実際に貸し付けが行われてきたわけですが、特定の民間法人の債務保証を大阪市が行うことは、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律にどう考えても抵触してくるんじゃないか。やはりこういうところは、おかしいものはおかしいとして、きちんと正すことが大事なんじゃないかと思うんですが、どういうお考えですか。

瀧野政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、こういった借入金返済確認書といったようなものにつきましては、市の方からの御説明では、市の協力姿勢を示して金融機関の協力を要請した文書であるというふうに聞いておるところでございまして、その限りであれば法律の規定に抵触しないというふうに考えますし、その貸付金を市の方が病院にするということについても、どういうような形で貸付金をする、あるいは財政的な補助をするかということにつきましては、そういった公的な状況を判断しながらそれぞれの地方議会で御判断をされるものというふうに考えております。

吉井委員 この委員の中にも、ひょっとしたら病院を経営していらっしゃる方とか、親戚が病院を経営しているとか、いっぱいあると思うんですよ。その一法人に、その法人が経営上問題が出るたびに自治体が実質的な債務保証を行う。保証といっても、返せないものについてはお金を貸してあげて保証だと。それは、だれが考えてみても、私は、そもそもの立法趣旨から根本的にずれてしまっていると思うんですよ。

 二〇〇四年十一月の特別運営貸し付けの起案文書も読みましたが、その中では、病院の資金ショートを防ぐために、再度みずほ銀行に対し、当初、予定どおりの融資を求めたが、大阪市に対しては、前述の問題を抱えていることから、銀行上層部の理解が得られず、十一月の融資については厳しい状況である。その後、再三にわたり依頼したが、十一月十九日に今後の融資条件として、今年度の残りの融資については、銀行としてはできるだけ返済原資が一定確保されたことを確認した上で実施する、そういう判断になったというんですね。それで、早くとも二〇〇五年度予算のある程度の方向性が見えてから実施したいと考えている。よって、今月は、大阪市の特別貸付金で対応してもらいたい。これは銀行からの回答だというんですよ。つまり、大阪市が銀行貸し付けの債務保証という形をとって、その上で元利償還の金を貸し付けることに税金を投入する。そんなことは、りそな銀行もみずほ銀行もよく知っているということなんですよ。これは、単なる確認書、念書のたぐいの話じゃないんですね。

 これは大臣、やはり法三条に抵触する、こういう問題についてはきちんと、もともとこんなのは法律の想定外だと思うんですね、だけれども、想定外の話がずっと、何年も何十年も続いてくるというのはやはりおかしいわけですから、これについては厳正に対処するということがやはり必要だと思うんですけれども、大臣、どうですか。

竹中国務大臣 各自治体が法令にのっとって、まさに適正に財政運営をしていただく、これはもう当然のことであろうと思います。一部の地方団体による不適正な財政運営で信頼が損なわれるということになれば、これは甚だ遺憾と申し上げざるを得ません。

 御指摘の大阪市の事案でありますけれども、事実、原因の解明を進め、責任を追及すべき問題が発見されれば厳正に対応するという旨、これは市長が表明をしておられると聞いております。そして、その上で調査委員会が設けられているというふうに承知をしております。我々もそれに注目をしたいと思っております。

 総務省として、必要があれば、その必要に応じて助言に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

吉井委員 実は、もちろんその調査委員会も私が言ったようなことを一部指摘もしているんですけれども、この決裁文書等と添付されたものをきっちり調べてやっておれば、もっと早くに問題は明るみに出ているはずなんです。

 それで、一体これまで幾ら投入されてきたのかということを見ますと、一九七四年から七九年の六年間の運営貸付金が二十二億九千四百万円、一九八〇年から二〇〇四年までの二十五年間の特別運営貸付金が七十六億八千九百万円、一九七六年から七九年の四年間の第二期整備貸付金というもので三十億七千三百八十万円。つまり、貸付金だけでも総額百三十億五千六百八十万円が焦げついたままなんですよ。これは一回に出すんじゃないですよ。一年間に四回とか五回に分けてですが、年間、最近の一番安いときで一億近いんですけれども、数億、数十億単位で貸し付けと称して返ってこないわけですね。

 この大阪市の芦原病院への貸付金だけで百三十億五千六百八十万ですが、この金は焦げつきで返らない金。このほかに、貸付金以外に補助金が百八十二億七百二十八万円ですから、合計三百十億円を超えるものが一つの医療法人に出されているわけです。返ってこないんです。

 これは、大臣、やはりこの法律の根拠もなしに大阪市が支出したことは問題じゃないかと思いますし、総務省として、実質的にこういう債務保証や民間法人の借金の肩がわりに税金を投入することを、何十年も続いているわけですから、それを知らなかったというのは、これは通らない話ですからね。何か急にわかったからこれからしっかりチェックしましょうという話じゃなくて、総務省自身がなぜこういうことをあいまいにしてきたのかとか、地方自治の本旨を本当に実現していく、そして地方の民主主義を確立する上でも、異常なことは異常なこととして、旧自治省にしても総務省にしても、それは自治に対する侵害の話とはまた別の話でありますから、ここはやはりきちんと物を言う必要はあると思うんです。大臣にもう一遍聞いておきます。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、地方自治であるからこそ、自治体にはしっかりとしていただかなければいけないわけであります。そのための仕組み、枠組みをつくるのは我々の重要な役割だと思います。

 今回の個別の事案に関しては、この調査委員会の動向をしっかりと見守っていきたい、そして必要な助言は、必要があればぜひそのように努めてまいりたいと思います。また、これは偶発債務を負っているという意味では会計上の問題でもございますので、公会計、その会計情報の開示を我々も求めておりますので、そういう中でもしっかりとした対応を行ってまいりたいと思います。

吉井委員 御承知のように、最近、大阪市の関係でいっぱい各紙で紹介されました。部落解放同盟飛鳥支部小西支部長という人が大阪市の駐車場などの事業委託や補助金執行をめぐる不正で逮捕されました。

 この容疑者は、私も昔の問題をこの逮捕の後思い出したんですが、一九八五年の一月二十六日でしたが、吹田市のマンションで山口組の四代目組長がピストルで射殺された事件がありましたが、この射殺されたマンションを貸し与えていたということで当時問題になっていた人なんですが、最近、朝日だったか毎日だったかで紹介していましたが、大阪府警が、九六年八月に大阪駅前第三ビル前の路上で山口組の生島組長射殺事件に関して、この組長とも非常に親交のあった人だということとか、これは、この山口組との関係とか、ずっと言われてきた問題ですが、つまり、この暴力団の力を背景にして、大阪市だけじゃなくて大阪府各地で不公正、乱脈な同和行政というものを強要し、これに屈服しなかったら、例えば羽曳野で自民党の皆さんの応援もあって津田さんという人が市長に十六年間就任しましたが、この市役所を百二十日間占拠する、市長に暴力を加えるとか、さまざまなそういう問題ありましたから、みんな怖がってしまって、この問題をたださない。

 私、自治省、総務省も怖くてようたださなかったのかどうか、それは知りませんけれども、こういうふうな市政支配や私物化に解同と一緒になって行動したり、あるいは利用しようとして腐敗を深める事件が相次いで起こったわけですが、これは、大阪市の乱脈問題、最近、昨年特に問題になった職員厚遇問題とか、いろいろな問題の根底にある問題ですね。ですから、そういう根底をただして、本当にこの法律の三条違反をただすことはもとより、地方自治の本旨の実現によって、民主政治の基盤の確立に大事な問題ですから、私は、この芦原病院問題について総務大臣として厳正に対処するということが、これがこれからにかかわってくる大事な問題だ、このことを申し上げまして、質問時間が終了となりましたので、質問を終わります。

中谷委員長 次回は、明十五日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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