衆議院

メインへスキップ



第5号 平成18年11月7日(火曜日)

会議録本文へ
平成十八年十一月七日(火曜日)

    午前十時三十三分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 谷  公一君

   理事 谷畑  孝君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      井澤 京子君    石田 真敏君

      今井  宏君    浮島 敏男君

      大塚 高司君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    木挽  司君

      実川 幸夫君    杉田 元司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      冨岡  勉君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      原田 憲治君    福田 康夫君

      福田 良彦君    安井潤一郎君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    園田 康博君

      田嶋  要君    長安  豊君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            森   清君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           合田 隆史君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  橋本  岳君     大塚 高司君

  渡部  篤君     安井潤一郎君

  安住  淳君     長安  豊君

  西村智奈美君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  大塚 高司君     冨岡  勉君

  安井潤一郎君     原田 憲治君

  園田 康博君     西村智奈美君

  長安  豊君     安住  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     杉田 元司君

  原田 憲治君     渡部  篤君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方分権改革推進法案(内閣提出第九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方分権改革推進法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長荒木慶司君、大臣官房総括審議官久保信保君、行政管理局長石田直裕君、自治行政局長藤井昭夫君、自治行政局公務員部長上田紘士君、自治行政局選挙部長久元喜造君、自治財政局長岡本保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長鈴木康雄君、総合通信基盤局長森清君、消防庁次長大石利雄君、文部科学省大臣官房審議官合田隆史君及び厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍵田忠兵衛君。

鍵田委員 奈良の鍵田忠兵衛でございます。

 総務委員会に所属をさせていただいて初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 質問に入らせていただく前に、まずは、菅大臣初め皆様方にもおわびを申し上げたいと思います。

 皆様方も御承知のとおり、奈良市で病気休暇の職員の問題が大きくクローズアップされたわけでございます。私も奈良の市長を十カ月間務めさせていただきました。その間、病気休暇五年の中の十カ月が私が市長を務めておったわけでございまして、本当に皆様方にまことに申しわけなく思っておるところでございます。

 ただ、あの方が奈良市の職員であったということを私自身も知らなかったわけでございます。というのは、現業職の皆さんは直属部長から人事課長決裁において病気休暇が認められるわけでありまして、市長のところまでその決裁が参りませんでした。そういった意味で、非常に私も腹立たしい思いをしておるわけでございます。

 今、奈良市において、この問題で非常に今の市長及び幹部がみんな苦労しております。ただ、あの問題をいい契機にして、奈良のうみを一生懸命出してもらいたいということを今、奈良市の市長初め幹部にもお願いしておるところでございます。本当に大掃除をして、奈良が世界に誇れる奈良になるように、私も今希望し、いろいろと助言もさせていただいております。

 では、質問に入らせていただきます。

 平成七年に地方分権推進法が成立をいたしまして、平成十二年に地方分権一括法により四百七十五本の法案が成立をいたしました。いわゆる機関委任事務など権限移譲が行われてきたわけであります。当時、私は県会議員で、これからは地方が主役だと非常に喜んだわけでありますが、その喜んだのもつかの間でございました。それは、財源移譲が行われなかったからでございます。

 例えて言うならば、親が国、そして子供を地方といたしましょう。そして、親子で買い物に行きました。親は、きょうは何を買ってもいいぞ、好きなものをいっぱい買えと。子供は非常に喜びました。何を買おうか、あれもこれも買おうか、そう思って考えている中で、親がそこで言ったのが、ただし、おまえの小遣いの中から買い物をしろと言ったわけでございます。子供にすれば、ええっと、本当に悔しい思いになりますよね。そういった状態ではなかったのでしょうか。この子供の気持ちというのは非常によくわかります。

 これでは地方分権になっていないということで、平成十四年から十七年、三位一体の改革で三兆円の財源移譲が行われてまいりました。今回の地方分権改革推進法は、その第二弾として、内閣府に設置された地方分権改革推進委員会で三年間の議論をするということになっております。義務づけ、枠づけ等々の見直しを中心に議論が展開するものと思うわけでありますが、三年後の税財源移譲の規模は一体どのくらいになるのか。もちろん三年間の議論ということがあるわけでありますが、先般、十月二十四日に経済財政諮問会議に提出されましたいわゆる菅プラン、この菅プランでは、国と地方の税収比一対一を目指すとなっておりますが、そのために必要な税財源の移譲はどのくらいになるのか、お見通しをお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 国と地方の税収比でありますけれども、平成十八年度税収をもとに、今回の三兆円の税源移譲や定率減税廃止の影響を加味すれば、国が四十九兆円程度、地方が三十九兆円程度となり、おおむね五・六対四・四となるものというふうに思っています。

 今後の税制改正や経済動向によって税収は当然変動するものでありますが、国と地方の税収比一対一は、税源移譲を含む税源配分の見直しを通じて実現をすべき課題であると思っています。ただいま申し上げたこの税収規模を前提にして、税源移譲によって一対一が実現をすれば、約五兆円程度になるというふうに思っています。

 地方の自由度を拡大し、自己責任の徹底を図ることで、魅力ある地方、自律する地方をつくることは重要であり、そのためにも、地方分権を支える地方税を充実する、このことの必要が物すごく大事であるというふうに思っております。

 いずれにしろ、今回の地方分権改革あるいは税制の抜本的改革を通じて、税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しを行って、国、地方の税収比が一対一になるように地方税の充実を図ってまいりたいと思いますし、委員が市長として現場にいて痛切に感じた、そうした税源移譲、私もそのとおりだというふうに思っておりますので、一対一になるように全力で取り組んでいきたい、こう思っています。

鍵田委員 大臣、ありがとうございました。

 続いて、現在、我が国は、国が約六百兆円、そしてまた地方が三百兆円という財政赤字を抱えておりまして、財政再建の途上でございます。国、地方ともプライマリーバランスの見直しが当然必要になってくるわけでありますが、現在の税収、国六割そして地方四割、これが交付税交付金や補助金の配分によって逆転するという構図になってきております。

 先ほど親子の買い物の話をさせていただいたわけでありますが、三位一体改革で三兆円の財源移譲と言っておりますが、義務教育費国庫負担金、そしてまた国民健康保険の給付額の二割を都道府県負担に変更することとなってしまいましたし、結局、国税の所得税から地方税の個人住民税への税源移譲という抜本改革、この抜本改革に踏み込まなかったわけであります。

 税財源移譲の額によっては、今国が抱えている国債も一緒に地方へ移譲してしまうということも考えられるわけでございますが、この辺については非常に大事な話でございます。大臣、その辺のところはいかがでしょうか。

菅国務大臣 地方分権改革の中で、税源移譲の問題は、歳出の割合と税収の割合の乖離をできるだけ縮小することで、受益と負担の関係を明確化し、地方団体の自主性や自律性を高めていこうとするものであります。国と地方の巨額の債務残高をどのように償還していくかは、財政健全化の課題として別に検討していくものというふうに考えています。

 また、国債も地方債も、これまでの役割分担、それに基づく事業の実施を行ってきた結果でありまして、それぞれの責任で発行してきた、このように考えております。これをそれぞれの責任で償還するというのは当然のことであると私は思います。

鍵田委員 ありがとうございました。

 続いての質問でございますが、歳出をどう削減するかは大きな問題であります。その延長線上に郵政民営化があったと私は思っております。政府は、国家公務員の削減を五年間で五%という目標を策定し、現在も取り組んでいただいております。地方自治体においてどのような状況になっているのか、こういったことをお聞かせいただきたいわけであります。

 実は、私も奈良市長時代に、職員の削減ということにしっかりと取り組んでやりたいということでやりました。先ほどの問題になった職員、これも、いわゆる現業職員組合というのがございまして、市長として私は団体交渉にも応じました。私が市長になるまで、それまでの市長さんは団交に出られたことがなかったわけでありますが、私はその場にも出てまいりました。

 団体交渉の中で現業組合が何を言うかというと、まず正職員をふやせということを言うんですね。そしてまた、職員の地位向上ということをやかましく言ってまいりました。しかし、今の時代、職員はふやせない、減らすんだ、特に現業職員、現業の場においては、身分は保障するけれども、外部委託していく、アウトソーシングするんだということを私ははっきりと打ち出しました。しかし、なかなか組合との話し合いがいかなかったわけでございます。

 そういった中で、各地方自治体においても非常にいろいろな苦労をしながら取り組んでおると思うんですが、今地方自治体がどのような状況になっているか、お聞かせをいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体におきます行政改革の必要性は御指摘のとおりでございまして、わけても定員の適正化ということは大変重要なことでございます。国家公務員につきまして、先般の国会で成立しました行革推進法で目標を掲げておりますけれども、地方公務員につきましても同じ法律で言及がございます。

 ただ、地方公共団体におきましては、そのもう一つ前の平成十七年三月の地方行革指針というものを総務省が策定したときに、集中改革プランを定めるようにというふうな要請をしておりまして、これに基づきまして、各地方公共団体が自主的に取り組みを進めてきているところでございます。

 ことしの六月に、国家公務員の五カ年間の純減計画、五・七%というものが定められましたけれども、これにあわせまして、その後定められた二〇〇六年のいわゆる骨太方針でございますけれども、その中で、国家公務員の五・七%以上の削減に取り組もうということで、各公共団体にハッパをかけておりまして、各団体とも真摯に取り組んでいるところと思っております。

 加えまして、八月になりまして、行革指針のバージョンアップのものを、通知を出したわけでございますけれども、こうした五・七%以上ということを当然念頭に置きながら、さらに各団体で努力をできるだけ重ねるようにということを要請しているところでございます。

鍵田委員 上田公務員部長、ありがとうございました。

 さて、スリム化ばかりに目が行ってしまって行政サービスが低下するようなことになってしまったら困るわけでございます。一見矛盾するようでございますが、現在はそれが可能なことだと私は考えております。それにはいろいろな知恵を絞るということになると思うのですが、その辺の御指導を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 続いて、地方分権により地方の自立という展望が見えてくるのでございますが、同時に、これは地方の責任もより大きくなってくるということでございます。北海道の拓殖銀行が破綻し、そしてまた、そのおかげで金融危機が起こったわけであります。今は夕張市のように地方自治体も破綻する時代でございます。三年間の議論の中に、当然、セーフティーネットという考えも盛り込まなければならないと思うわけでございますが、あわせて、地方公務員法の見直しも考えなければならないのではないかと思っております。

 全国各地で起こる地方公務員の不祥事、責任が大きくなるわけでございますから、罰則も厳しくなるべきだと考えております。国民や地域住民に行政サービスを提供する、本来の公務員は公僕であるべきだと私は考えておりますが、公務員としてのモラルが低下してきております。こういったことを言うと、おまえのところの奈良はどうなってんねんともう一度また言われるかもしれませんが、ぜひともその辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 最近、地方公共団体、一部ではございますけれども、いろいろな不祥事が発生していることは、総務省としても大変遺憾に思っているところでございます。

 こうした不都合な事態に対して適切に対処するために、基本的には、懲戒処分あるいは分限処分という規定が地方公務員法にございます。したがいまして、例えば、服務規律違反があった場合には適切に懲戒処分を発動する、あるいは仕事をするのに適切な能力がないという場合には分限処分を適切に発動する、こういったことによって、公務の秩序を維持し、あるいは公務能率の確保を図っていくということが第一義であろうと思います。

 罰則のことについても御指摘ございましたけれども、罰則につきましては、やはりもろもろの刑事罰との、罰則の秩序というものがございますので、その均衡を図っていかなきゃなりませんけれども、当然、罰則に触れるような事態につきましては、必要な捜査とかいうことを通じた上で、罰則の適用というものも必要かというふうに思います。

鍵田委員 ありがとうございます。その辺、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは小渕政務官にも来ていただいております。ちょっと順番を変えて、小渕政務官の方に質問をさせていただきたいと思います。

 地方分権は、国と地方の役割分担を考えると言ってもある意味過言ではないと思っておりますが、これまでの分権の流れの中でちょっと逆行することになるかもしれませんし、また、この場で質問することが適当かどうかもわからないわけでありますが、教育の問題、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 いじめによる自殺、また未履修の問題など、連日報道されております。都道府県教育委員会の委員長はかつて国が承認をしていましたが、地方分権の進展で、平成十一年には国の承認は不要になり、監督する権限もなくなってしまったわけでございます。この結果、国の指導を無視する都道府県が相次いでいるのが現状でございます。

 先日、伊吹文科大臣も、法改正も視野に教育に関する国の指導監督権限強化を図る、この考えを示されておられましたが、私もそのとおりだと思っております。

 教育問題については、私も一言物を申したいと思うわけでありますが、教育という国の根幹にかかわる問題を地方分権といって移譲してしまったことは行き過ぎだと思っております。地域の特色がある地方行政はよいとしても、地域によって教育に格差が生じるまたは取り組み方が違うとなれば、これは大きな問題でございます。

 今まさに教育基本法の改正に取り組んでいるわけでございますが、教育の現場は、いじめ、不登校など非常に乱れており、いじめのアンケート調査をしても、いいかげんな報告しか上がってきていないように見えております。教育改革の方向性がしっかりと決まってからの移譲ということでもよかったのではないでしょうか。

 この辺について、御所見を述べていただきたいと思います。

小渕大臣政務官 お答えいたします。

 委員が御指摘のように、教育長の任命承認制度につきましては、平成十一年の地方分権一括法の際に、地方の自主性を尊重し、また国の関与を縮減するという観点から、廃止されたところでございます。

 現在、教育におきまして、国の地方に対するかかわり方でありますけれども、非権力的な指導、助言、援助を基本とするということになっております。しかし一方で、委員も御指摘のように、昨今いじめの問題あるいは未履修の問題などがありまして、教育の維持また機会均等、そして全国的な水準の維持向上を図るためにも、国が今後きちんと責任を果たしていかなくてはいけないのではないかという御意見もちょうだいしているところでありまして、国と地方の責任、権限のあり方をしっかり明確にしていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 今後、さまざまな議論をし、また御意見をちょうだいしながら、国がどのように今後教育に対して責任を果たしていくのか、しっかり検討してまいりたいと考えております。

鍵田委員 小渕政務官、ありがとうございました。

 縦割り行政の弊害とやゆされることのないように、総務省と文科省の間でしっかりと連携をとっていただくよう、よろしくお願い申し上げます。

 大臣にはもう一問質問をさせていただきたかったんですが、時間が参りましたので、また次回の機会によろしくお願いいたします。

 では、終わらせていただきます。

佐藤委員長 次に、木挽司君。

木挽委員 自民党の木挽司でございます。

 さて、地方の活力なくして国の活力は生まれないと、安倍総理は分権改革、いわゆる分権推進への決意を強く語っておられますが、今回の法案はあくまで今後の改革への基本理念と手順を示したものにすぎない、今後、実効性のある計画をいかに策定していくかにかかっていると私は思います。

 そうした中、新しい地域経営を考えるとき、さまざまな潮流があるわけですが、私が多少気になる点を数点、ここで総務大臣や政務官の皆様方に所見を伺いたいと思います。

 私は、もともと商工会議所の経営指導員を十年ばかりしまして、中小企業のおやじ、物づくりの企業を経営してまいりました。いわゆる民間の中で育ってきた人間でございます。そうした私から見て、官、行政の仕事ぶり、またそうした組織にはどうしてもなじめないところがなきにしもあらずといったところなんでございます。

 ただ、そうした中、地方分権を進めていく、そういった中にあって、なお官から民への流れについては全く異論はございません。ただ、官がだめで民がいいという単純な色分けがひとり歩きしないようにしなければならない、大切なのは、官の仕事を、公共性をベースに、民間なり市民なり、それぞれの特色や能力を踏まえて、最も効率的で効果的な形を実現していかなければならないと基本的に考えております。

 ただ、そうした議論を展開しているときに、よく民営化に反対する人から出てくる意見にありますね、民間は手抜きをするから信用できない、悪さをするんじゃないかなどという意見がよく聞こえてくるわけなんですが、そうした意見を耳にしますと、私はそのたびに、民間を信用できないというより、民間を使いこなせない役所に問題があるのではないかと思うわけなんです。

 さて、そうした官から民への流れの中、御自身の選挙で「菅から土屋へ」を掲げて戦われた土屋政務官にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

土屋大臣政務官 木挽先生の御質問にお答え申し上げます。

 今の御質問は、極めて短い御質問でありますが、非常に深い、答弁をし出したらすごく幅広く限りないことだろうと思います。端的に言えば、公の役割とは何か、民の役割とは何かというところに行き着くんだろうと思っております。

 私どもが行政をお預かりする立場からいきますと、古典的に言えば、警察行政のように、秩序維持、こういうことを中心とする行政といったようなものは官が独占して、しかも司法処分につながるようなものについては当然官が独占していくわけであります。一方で、さまざまなサービス行政と言われるものが社会の多様化、複雑化に伴って出てきたわけでありますが、こういうものに対する一種の所得再配分機能を含めたような公共サービスのあり方、こういうものについては民が担っていく部分が多い、このように考えているところでございます。

 各論についてはまた御質問があればお答えしたいと思いますが、そのような大きな役割分担の中で個別的な議論をしていくべきもの、このように考えているところでございます。

木挽委員 私も異論はございません。

 指定管理者制度でいえば、仕様書や締結する協定の内容を充実させて、手抜きができない、手抜きをさせない仕組みをブラッシュアップしていくということ、また、担当部署だとか利用者による監視などのコストまで換算して官民比較を行った上で、それでも民間の方が安く済む事業については役所が行う必要は一切ないと私は考えています。

 さまざまな点で規則や予算に縛られる役所は、確かにサービスには向かない。スピーディーということを求めれば、リスクを伴う。効率的に動けないことがわかっているだけに、今後地方分権の流れを本格的に築いていくにはまだまだ細い感が否めない。官から民への動きというものに対して、やはり私たちはしっかりと見きわめていかなきゃいけないなと思います。

 そうした中で、さらに気になる点。

 こうした地方分権を進める中にあっては、地域の独自性を発揮して、地域間競争を勝ち抜くことが重要になってきますね。イコール地域間競争の激化です。しかし、そこで極端な勝ち組、負け組に分化することはやはり望ましいことではないと私は考えております。

 どこの自治体も一生懸命取り組むことになるんでしょうが、うまくいくところばかりじゃありません。うまくいかないときの対応策、もちろんこれも地方分権の中で地方で考えておかなくてはいけないことではあるんですが、月並みな質問で申しわけないです、菅総務大臣、そうした対応策、あるいはうまくいかなかったときの再生策について、御所見をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 基本的には、地方分権の時代でありますし、地方公共団体が主体となって各地方のそれぞれの実情に合った経営感覚を持って地域振興に努力していく、このことがまず大事であるというふうに思います。

 しかし、結果として努力が結びつかない、そうしたところをどうするかということでありますけれども、どのような地域であっても、やはり一定水準以上の行政サービスができるように、これについては地方交付税で配慮していきたいというふうに思います。

 また、こうした地方公共団体が再生のために経営努力を行う場合についても、現在検討中でありますけれども、「頑張る地方応援プログラム」、こういうものによって支援をしていきたい、こう思っています。

木挽委員 今のいじめの問題じゃないですけれども、それぞれの地方が置き去りにされるというか、また孤独感を住民の方が抱く、そんな状況にならないようにしなければいけないんじゃないかなと私は思っております。

 さて、ここでちょっと視点を変えてお尋ねしたいと思うんですが、お配りしている資料です。

 私の地元、兵庫県宝塚市、伊丹市、川西市、昨年のJR福知山線の尼崎列車脱線事故では消防の皆さんに随分と御活躍いただきました。その活躍ぶりには敬意を表したいところでございます。しかし、さらにさかのぼってみれば、阪神大震災という大きな災害がございました。このとき、私たちの地元においても消防力の貧弱さが露呈したことは否めないし、まだまだ記憶に新しいところでございます。

 そういった中、まず、消火において、初期段階で消火活動に入ること、いわゆる通報から五分以内に現場到着が求められております。消防白書を見ると、火を消し始めるまでの時間が年々長期化していることがわかるんですね。

 お配りした資料はごく一部でございますが、一枚目、まず出火件数でございます。この中に「放水した建物火災」となっているんですけれども、一応認知してから放水開始までの時間五分以内というのが、出火件数の中で太枠で囲んであるところに四千五百十五件となっています。これは平成十六年のデータです。合計が一万七千六百八十七件ですから、この時点で約二五%。平成十六年、二〇〇四年で約二五%、放水開始までに五分以内を要したということですね。そういったデータが出ております。

 これはあくまでそういった形で数字を、私つらつらと過去のデータをとっていったんですが、一九九三年、この時点で、放水開始まで五分以内にできたよというのが約三七%なんですよ。これからずっと年数がたって二〇〇四年には、今見てもらっている資料でいきますと約二五%、いわゆる悪化しているわけなんですね。

 その一方で、これと比べてみると、おかしな数字があるんですよ。二枚目の数字に出てくるんですが、消防力をはかる指標に充足率という数字があるんです。これは、消防庁が消防力の基準で定めた消防責任を果たすために必要とされる消防職員数だとか消防ポンプ自動車の台数などの基準値、この基準値がどのくらい充足されているかというものなんですよね。

 それによれば、九三年四月当時の消防ポンプ自動車、はしご自動車の総数は、私ちょっと書き出したんですけれども、二万二千九百三十台、そしてその下、はしご自動車が千二百五十九台。これは充足率でいくと八八・七%と六三・八%。ところが、これをずっと左へ寄ってもらいまして二〇〇〇年四月時点で見ますと、ポンプ車の数は五百四十四台も減っているんですね。ところが、充足率は九五・三%と上がっているわけなんです。つまり、六・六ポイントふえている。はしご車にしても同様です。はしご車は二台ふえていますよね。しかし、二台しかふえていないのに、充足率でいくと八一・八%、一八ポイントもふえているんですよ。これは最新のデータでも、平成十五年ですか、高水準をそのまま保っているわけなんですけれども。これは矛盾した数字だと私は思っています。

 消防に対する費用というのは、市町村がこれを負担しなければならない、そうなっています。二〇〇〇年の改正で地方の事情を幅広く盛り込んだ際、消防力の基準は、それまでの達成されるべき必要最低限の基準から、市町村が適正な規模の消防力を整備するに当たっての指針へと性格が改められています。二〇〇五年には基準から消防力の整備指針に変わって、必要最低限の基準としての性格はなくなってしまったんですよね。

 つまり、最低限の基準でなくなったことで、地方にとっては財源が保障されなくなったということ。整備指針自体、それまでのものと比べて前進している部分も少なからずあるわけなんですが、救急自動車、ポンプ車、はしご車に乗る隊員の兼務を認めることによって、ここ十年で五割もふえている実態、救急自動車の出動件数に代表されるようなそういう実態、現場ではかなり過酷な状況が見受けられるところも少なくありません。

 地方の自立を促すのはわかるんです。しかし、消防組織法の条文、これも物語っているように、消防は地方分権の最たるものだと私は思います。国は、消防力の基準に基づき、自治体に消防職員や消防車の充実を求めてまいりました。加えて、財政力の弱い自治体に対しては、地方交付税の配分を通じて消防力の維持向上に必要な財源を保障してきたはずなんですよね。

 こうした中、国と地方の財源をかんがみて、地方分権改革推進法案の具体策が今後話し合われていこうとする中にあって、これは裏腹な動きと言われることはないのか、私はそういうふうに感じるわけなんです。私の素直なというか率直な疑問について、総務大臣にお答えいただきたいと思います。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 委員から御指摘ありましたように、市町村は、消防組織法第六条に基づいて、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責務を有しています。そして、各市町村はみずからの責任で適正に消防力を整備することが求められています。

 そして、消防力の整備指針でありますけれども、国民の安全確保という責任を有する国が、それぞれの区域においてその責任を果たすべき市町村に対して、必要な消防力に関する基本的な考え方と具体的な水準等を専門的、技術的観点から示しているものであります。

 総務省としては、各市町村がこの整備指針の趣旨を十分理解して、必要な整備水準が確保されるように、助言や支援に最大限努力していきたいというふうに思います。

木挽委員 地方分権の中にあって、私は、こうしたことをしっかりと住んでいる地方の方々に説明していくことが大事だと思う。地方分権改革推進法案の流れの中にあって、自分たちの暮らしていく環境がどのように変わっていくのかということをしっかりとそこに住んでいる方に認知していただけるように、また誤解のないように、また不安を与えないようにしていかなきゃいけないと私は思っているんですね。

 基準は弾力化するが住民への説明責任は市町村で果たせ、そういう改正の方針、それ自体は私、地方分権の理念を地でいくものだと思っています。しかし、改正のポイントを見ていくと、地域の事情を考慮することができるというふうに書いてありますね。これは地域の事情を財政の事情と置きかえればそのままになる。財政の事情ばかりというふうに誤解をされちゃ困る。私たちの暮らしている安全、安心な環境が地域分権を進める中にあってもしっかりと確保できるという安心感を持ってもらう、そうした改革が私は大事だと思います。そこのところを外さないようにこれからも改革を進めていっていただきたいと思います。

 限られた時間でございまして、これ一つとってももっともっと話したいところがある、また次の質問においても、私自身の所見を踏まえて、大臣やそして皆さんと議論をしていきたいところがあるわけなんですが、最後に一つだけ所見を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 国会議員になってから、衆議院の補欠選挙だとか知事選、地元の市長選挙とか、何らかの形でかかわることが少なくありません。そんな中、特に地方分権、特に候補によっては地方主権を唱え、声高に叫ぶ人も少なくないわけなんですが、当然、企業であれば、トップが中長期の計画を株主や社員に示す。地方のおさを目指す人がローカルマニフェストを配れない現況の公職選挙法について、私はいつも疑問を持っております。

 総選挙においては、民主党さんが始められて、二〇〇三年からマニフェストが配られるようになった。それが一体何なんだ、それは単なる気づきじゃないかというような議論もありますが、私はしっかりとそういうことを指し示すことは大事だと思うし、現職の市長さんなんかにとっては、自分が掲げた政策がどれぐらい進捗してきたか、そしてこれからどうするんだということを、地方分権の中にあってはしっかりと住民の皆さんに指し示していくことというのは大事だと思っているんです。

 しかしながら、いまだに、そういった中で選挙を戦う中にあって、公職選挙法でローカルマニフェストが配られないというような現況をいかに今総務大臣はとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 私も委員と同じような指摘を地元の県市会議員の方からよく言われます。それで、このことについて私もかつて調べたことが実はありまして、ただ、この頒布についての経緯というのは、御承知のとおり、平成十五年十月に衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員長提案によって、公職選挙法の改正によって、衆議院の総選挙及び参議院の通常選挙に限り政党間で認められた、こういうことになっていることはもう既に御承知だと思います。

 さらに、それぞれの政党において今の木挽委員のような意見というのは実は数多くあるというふうに私も認識をいたしておりますので、これから選挙運動についてのあり方はそれぞれの各党会派で十分議論をしていただいて、結論を出していただきたいなというのが総務大臣の立場として言える限界であります。

木挽委員 ありがとうございます。私たち新人も若手も中堅も皆、手を携えながら、そうした方向に向かっていく努力をしていきたいなと私も思います。

 最後に、今の国と地方のやりとりは、確かに財源や権限の奪い合いとも映るような現況が、私は否めないところがあると思います。住民の暮らしがどう変わるのかという視点を見失わないように、画餅とやゆされないような分権改革のビジョンを示す努力をこれからもお願いしたいと思います。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、岡部英明君。

岡部委員 自由民主党の岡部英明でございます。

 菅大臣、御就任おめでとうございます。菅大臣の秋田県は私の母の実家でもございまして、他人とは思えないような気持ちでいっぱいでございます。ぜひ、地方の味方として大臣の御活躍を期待しているところでございます。

 それでは、本法案につきまして御質問させていただきたいと思います。

 本法案の趣旨とこれをもとにする今後の分権改革の進め方に関しましては、一九九五年の旧法の地方分権推進法と、それに基づいた地方分権一括法の制定に至るまでの一連の取り組みの流れを手法として踏襲したものと考えております。一九九五年に分権の原点とも言える地方分権推進委員会が発足し、同年、地方分権推進法を成立させ、そして関連する四百七十五本の法律を改正し、国が行うべき事務を自治体に代行させていた機関委任事務を廃止するなどの措置を講じた分権一括法をそれから五年かけて二〇〇〇年に実現させました。これは、国と地方のあり方を上下関係から対等協力の関係へと転換させた第一歩になったというふうに思っております。

 今回の法案成立に向けた取り組みは、この一九九五年に始まった一連の取り組みに次ぐ大きな改革として地方の期待も大きいのではないかと考えております。そこで、いま一度、これまでの分権改革の経緯と取り組みをしっかりと再評価した上で、今後の取り組みを進めていくことが極めて重要だと考えております。

 大臣は、これまでの取り組みをどのように評価し、そしてその評価を今後の改革につなげていこうと考えていらっしゃるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 今御指摘いただきましたように、平成十一年に制定された地方分権一括法によって、機関委任事務制度が廃止をされて、これに伴って各省庁の包括的な指揮監督権が廃止されるとともに、国の関与の縮小が行われました。そして、委員からお話ありましたように、国と地方公共団体の関係が、法制面では上下主従の関係から対等協力の関係になってきた。そういう意味においては一定の成果を上げることができたというふうに私は思っております。

 ただ、今日、平成十三年六月の地方分権推進委員会の最終報告にもありますように、地方公共団体の事務に対する法令による義務づけ、枠づけの緩和等の解決すべき課題がまだまだ残っているというふうに思っています。このため、私としては、地方の自主性、自律性を高め、真の分権改革を推進するため、引き続き地方分権推進を行って、地方の自立と責任というものを確立していきたい、こう思っております。

岡部委員 ありがとうございます。

 今ございました真の分権改革というお話でございますが、ぜひこの機会に大臣の、地方と国のあり方についての、道州制の議論も今進もうとしております、本来地方と国のあるべき姿というのはどのように考えているか、大きな話を、将来のビジョンに向けまして大臣のお話を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私は、基本的には、国と地方の役割というのは明快に分けた方が実はいいというふうに思っています。そういう中で、国全体にかかわる外交とか防衛だとかあるいは治安、そうしたものは国がやって、住民に近い部分については地方自治体がそれぞれ自分の責任において、もちろん税源もそうですけれども、そういう中で地方が行っていく、そういう国、地方のあり方というのが私はふさわしいのではないかなというふうに思います。

岡部委員 ありがとうございます。

 やはり地方自治体でできないものを国がやる、そんな姿が私はあるべき姿ではないかなというふうに思っている次第でございます。ぜひ、大臣の今のビジョンをもとにこれからの地方分権の議論を進めていただければというふうに思う次第でございます。

 そして、もう一方で、地方の声をどのように今後取り込んでいくのかということが私は大事だというふうに思っております。

 新地方分権一括法の制定を視野に入れたような本法案をめぐる中で、全国知事会などの要望が出てきております。しかし、地方の自主性がいまだに阻害されているとして、全国知事会などは、国の過剰な規制、関与のさらなる撤廃を求めておりますし、また、今後、地方の側の意見が国の施策に十分に反映されるような仕組みをいかに構築していくかというのは分権改革の中で一つの大きなテーマではないかというふうに思っております。

 地方六団体は、本年の九月十五日に提出いたしました地方分権改革推進法骨子案において、地方の声を国の意思決定に効果的に反映させるための仕組みとして、地方行財政会議の設置を求めました。また、本年六月七日に提出された地方分権の推進に関する意見書において、地方共有税構想、国の特別会計への直接繰り入れなどを提言しております。

 こうした地方の側の要望を踏まえ、総務省は、今後の改革において地方の側の意見を施策に十分に反映させていくためにどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 地方分権改革を進める上でどのように地方側の意見を取り入れていくのかというお尋ねでございました。

 ただ、この問題は、地方分権改革の推進ということになりますと、むしろ、地方分権改革推進委員会が設置された後、その委員会で御検討されていくこととなりますが、その委員会が設置された後の委員会の運営については、これはやはり委員会みずからが自主的判断で的確に運営していただくことになろうかと思います。

 ただ、立案当局としても、地方側から例えば協議の場を設けろというような御要望がございました、そういうことに対しては、この法案の四条でも、連絡を密にするという形で、分権改革に当たってもやはり地方側といろいろな意見交換をやりながらやっていくんだというような規定は設けておりますし、また、委員会の審議の場でも、国と地方の関係を見直すに当たっては、やはりまず国と地方の行政の実情、いろいろ関係者の意見、そういったものを踏まえて御審議いただくのは当然だと思っています。

 ましてや、地方側の意見とか実情、こういったものを聴取するというのは欠かせないことだと思います。そういったことは当然委員会でも的確に対応していただけるものというふうに考えているところでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、地方分権改革推進委員会の中で議論を深めていくということでございました。

 その中で、地方分権改革推進委員会が七名の有識者によって開かれるということでございます。三年間の時限立法として、非常に短い期間でありますし、また、大変困難な作業も含まれているのではないかなというふうに思うわけでございます。ぜひ地方の声をということでございますが、地方の方では三名の地方枠ということも要望が出ているというふうに聞いております。

 また、大変困難な作業の中で、前回、旧法においては、諸井委員長が非常に強いリーダーシップをとって行われたということでございます。

 この二つの点につきまして、委員会の構成について今どのようにお考えなのか、ぜひお伺いしたいというふうに思っております。

藤井政府参考人 この法案に定める改革を進める上で、分権改革推進委員会というのがまさにかなめの機関でもありますし、また、その構成員である委員がそのまたかなめの存在であるということは御指摘のとおりであると思っています。

 ただ、この法案十二条で定めておりますとおりに、委員は内閣総理大臣が任命して、国会の同意を得るということになっておりまして、まさに任命は内閣総理大臣が的確にやっていただくべきものと考えております。

 ただ、これもあえて申し上げますが、当然、こういう国と地方の関係を御審議いただくかなめの委員ということでございますので、やはり、地方側の実情、意見、要望、そういったものを十分理解できる方、そういった方が選ばれてほしいというふうには考えているところでございます。

岡部委員 今お話がありましたように、総務省の方もぜひ地方の声をということでございますし、私の方からもぜひお願いしたいというふうに思う次第でございます。

 次に、委員会の中でこれからいろいろ議論が進むんだということでございます。しかし一方で、ぜひこの場におきまして、どういう範囲でこの委員会の中で議論が進んでいくのか、少しお伺いしたいというふうに思っています。

 まず、国と地方の仕事の仕分けの見直しということが法案の中に出ておるわけでございますが、地方分権改革推進に関する基本方針の第一項において、国は、地方公共団体への権限の移譲を推進するとともに、地方公共団体に関する事務処理またはその方法の義務づけ及び国または都道府県の関与の整理及び合理化等の措置を講ずるものとすることとしております。

 この条文について、具体的にどのような措置を講じていこうと考えているのか。見直しを行う事務処理や義務づけの具体化や数値目標を示すなどといった、現時点においての総務省の見解というものがございましたら、ぜひお聞かせ願いたいというふうに考えております。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 これもまた、委員会設置後の委員会の運営にかかわる話ということで、なかなか私ども立案当局として申し上げにくいところがあるんです。

 ただ、法の趣旨というものは、今お示しいただいた基本方針とかあるいはこの法案で示している基本的な理念、そういったものに沿って、委員会が、全省庁のすべての、いわば国から地方とのかかわりでいろいろな仕事をやっている法案、それを個々に具体的に見直していただくことになると思います。その見直しの中で、まさに基本方針とか理念、それに沿った形で、個々に、できるだけ地方の自主性を増すような形での改革ができないかということを検討していただくことになろうかと思います。

 数量的な目標の件につきましては、これは、最近、目標管理的な物の考え方というのが非常に有効ではないかというようなことで、そういう手法が取り入れられていることは事実でございます。

 ただ、どちらかというと、これは、個々具体的にそれぞれさまざまな事務内容についてその性質、あり方を議論していただくというようなのがやはり本来の筋なんだろうと思います。ただ、あるいは、そういう目標設定による方法というようなものになじむものもあるかもしれませんが、ちょっと今の段階では、そういったまさに委員会の今後の運営の話でございますので、ちょっと申し上げにくいというところは御了解いただきたいと思います。

岡部委員 これからのお話ということなんでしょうが、財政の税源移譲についてもこれからのお話ということでございますが、新型交付税のお話がもう進んでいるというふうに聞いております。新型交付税を含めて、財源の移譲についてこの委員会でやはり議論されていくのかどうか。これも確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 新型交付税については、十九年度から実施しようということでありますので、まずこの実施をし、この委員会の中で結論が出たらそれによって拡充する、そういう形になっていくだろうというふうに思っています。

 そして、今回の法案でありますけれども、まず、地方の役割を強化するために、事務事業をしっかり見直し、その具体的な見直しに応じて補助金だとか交付金だとか税源配分の見直しを検討する、そういう手順や推進のための体制を定めよう、そういうことであります。

 このために、国と地方の役割分担の議論が必要でありますけれども、地方分権を支える地方税が充実するために、今回のこの地方分権改革や税制の抜本的な改革を通じて、税源移譲を含む税源配分の見直しを行い、国民にもわかりやすい数値目標として、私は、当面、国と地方の税収比というものを一対一にしたい、そういうことを掲げて地方税の充実を図っていきたい、こういうことを実は表明しております。

岡部委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、財源についてもやはり地方は大変心配しておりますし、分権改革の中で財源の議論が深められることをお願いしておきます。

 最後になりますが、この分権改革という中で、非常に今、地方自治体に関するような不祥事がいろいろ、先ほど鍵田先生の方からも奈良市のお話が出ておりました。また、岐阜県、福島県、本当に、地方自治体のずさんな行政管理というものを浮き彫りにしたような事件が続いております。さらに、約二百六十億円の収支不足が発覚して財政破綻した北海道の夕張市の一件、これは非常に不透明な財政運営の実態を明らかにしたものではないかというふうに思います。

 国民の間に、地方分権といっても本当に地方に任せられるのかという空気が出てこないとも言えません。地方の側は当然深刻に受けとめているというふうに考えます。国の権限、税源を移譲された自治体がそれを的確な施策の実施につなげていく能力がなければ、分権の意義は根底から失われるものと考えます。そして、住民の行政に対する信頼と協力なくして真の意味での地域の活性化は不可能だというふうに思います。分権を進めるに当たっては、地方自治体が行政運営について十分に情報公開を行い、住民が行政をしっかりと監視できるような、そんな体制を整備していくことも必要と考えております。

 そうした点にかんがみて、夕張市の一件に関して言えば、一時借り入れを使った、納税者であり行政サービスの受益者でもある住民を欺いた、私企業でいえば粉飾決算に当たるようなものではないかと考えるわけでございます。

 確かに、通常の財政運営では考えられない、極めて例外的な事例であるといえばそうとも言えるでしょうが、これで当事者が責任を追及されたり処罰されるようなことがなければ、住民にとっても、全国的に考えても、分権改革を進めていくにおいては大変支障があるのではないかというふうに私は思う次第でございます。

 今回の夕張市の赤字を隠したことにつきまして、法的に責任また処罰、そういうものに当たるのかどうか。ないとすれば、今後このようなことがないように、再発を防ぐために、法の整備を含めてどのように考えているのか。お伺いしたいというふうに思います。

菅国務大臣 一連の地方自治体の不祥事については、地方自治の信頼を揺るがす意味で極めて遺憾なことである、こう考えておりまして、きょう、実は綱紀粛正の通達を出す予定であります。

 夕張市でありますけれども、いろいろ御指摘ありましたように、非常にわかりにくい、そういう中で今度の事件が出てきたわけであります。第一義的には、これは地方公共団体でありますから、それぞれの議会やあるいは監査委員会がチェックすること、これが当然のことであるというふうに思いますけれども、今度はそのことが働かなかった。

 総務省としては、やはり情報開示の徹底と住民監視の強化、これに一層取り組んでいきたい、こう思っております。

岡部委員 ありがとうございます。分権改革を進める上で大変大切なことだというふうに思う次第でございます。

 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 いよいよ本日から地方分権改革推進法の審議ということで、本日は大体その法案を中心にして大臣にお伺いをさせていただきたいというように思っております。

 そもそも、明治期以降、我が国の社会経済がいわば驚異的な発展をしたその根底のところには、中央集権の社会経済システムがあったということなんだろうと思います。それが、戦後、高度経済成長を終えて安定成長に入ったような時期から、いろいろな矛盾も出てまいったんだろうと思います。そんな状況の中で、国と地方との間ももう一度見直さなければならないというような議論が起こってまいりまして、先ほども出ておりましたが、地方分権改革と申しますか、こういう動きが出てまいったわけであります。

 平成五年の六月に地方分権推進に関する決議が衆議院、参議院で行われてから以降、七年には地方分権推進法が成立をし、その年の七月には推進委員会が発足し、五次にわたる勧告を行って、十一年の七月に地方分権一括法が成立をしたというような状況でございます。

 それで、地方分権推進法の成果といいますか、効果というのは大変なものがあったんだろうと思いますが、今回また新たに地方分権改革推進法ということで審議にこれから入るわけでありますけれども、このところの状況を見ますと、竹中大臣が、私的懇談会、二十一世紀ビジョン懇談会でおっしゃっておられたのは、新分権一括法の早期制定だということもおっしゃられておりました。

 また、骨太、二〇〇六年の基本方針も分権一括法のことを言及しておったわけでありますけれども、そもそも現行法の地方分権推進法というのも、基本法、プログラム法でございます。ここに来て、このプログラム法そのものを今回改正するというような状況に至った理由、これをまず大臣にお伺いいたしたいと思うわけでございます。

 このことについては、地方六団体の方から、新地方分権改革推進法を制定してもらいたいというような強い要望もあったということでありますので、そのような地方六団体の強い要望を受け入れた形でこのような今回の法案に至ったのかということをお伺いいたしたいわけであります。

 それとともに、御存じのとおり、二〇一一年にはプライマリーバランスを黒字化したいということで動いておるわけでございますが、その際に交付税の削減ということも念頭に入れて、今回の基本法の改正がそのようなことも念頭に入れたような改正になっておるのか。そのあたりを危惧しておられる地方公共団体もあるわけでございますので、そのようなことも含めて、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、平成十一年の地方分権一括法によって、機関委任事務制度の廃止など、大きな改革の成果が見られた、このように思っています。

 しかしながら、平成十三年六月の地方分権推進委員会の最終報告、ここで指摘されておりますように、地方公共団体に対する法令による事務やその執行方法の義務づけの廃止縮小等の解決すべき課題がまだ残っている、そういう報告であります。

 そして、それに基づいて、去る七月に閣議決定された骨太方針二〇〇六において、地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助金等の廃止縮小を図ることが明記されました。これを踏まえて、地方分権改革の取り組みに着手する。その過程において地方六団体から、推進法を制定すべきであると強い要請も実はありました。

 今度の推進法というのは、分権改革は、まさに地方の自由度を増して、みずからの判断と責任において地方団体が政策を進められるように、それを目標とするものであって、交付税の削減を目指すものではありません。あくまでも、行政の簡素化、効率化の視点が必要であって、国、地方の役割分担の見直し、二重行政解消、国と地方がそれぞれ責任を持って行政運営ができる体制を構築していく、このことが目的であります。

谷口(隆)委員 前の竹中大臣もそういうお気持ちがあったんだろうと思うんですね。だけれども、新地方分権一括法ということを私的懇でもおっしゃっておられたわけでありますけれども、そのあたりの状況の変化といいますか、これをちょっと言っていただけませんか。

菅国務大臣 私、竹中大臣じゃないから余りよくわかりませんけれども、仄聞をする、そばにいて予測する限りでは、竹中大臣は地方分権一括法をやろうと多分されていたと思います。その間に地方六団体の皆さんとさまざまな意見交換をする中で、地方の人たちは、とにかく今改革推進法を出してほしい、そういう強い要請があって、ある意味で目標は一つでありますから、そういうふうに傾いてきた、このように推測をしています。

谷口(隆)委員 この法案そのものが、先ほども申し上げましたように、基本法であり、プログラム法と言いますけれども、こういう法案でありますので、前回の法案も、平成七年に成立をしておるわけで、十一年たったわけでありますけれども、中長期間を見渡したような法案体系でないと、ころころころころ改正するということはよくないと思うんです。本法案もそういう観点で法案として上げられたものだというようにお考えだと思いますが、若干このことについて言及していただきたいと思います。

菅国務大臣 その点については委員の御指摘のとおりだと思いますけれども、ただ、その間に、例えば少子高齢化社会が急速に進捗したとか、あるいは市町村合併、このことも、当時の予想をはるかに超えて推進されているというふうに私は思っています。そういうことを考えた中で、今推進改革法を何としても提出して、地方にそうした自由と責任、そして魅力ある地方をみずからの手でつくってもらえるような、そういう中で提出をしたと御理解をいただきたいと思います。

谷口(隆)委員 次にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、自治体がどんなに実情に合ったことをやりたいと思っても、やはり国の壁がある。例えば土地利用だとか下水道整備などの基本計画策定の場合には関係省庁の同意が必要である。わざわざ上京し、金も時間もかかるというようなことであります。全国知事会でも、国の過剰な規制、関与の撤廃を求めておられるわけであります。だから、地方分権を進めていくということになりますと、中央官庁の強い抵抗が予想されるわけでありまして、当然、菅大臣の強力なリーダーシップ、また安倍総理の強力なリーダーシップを発揮しないと、なかなかこの目的が達せられないというところがあるんだろうと思います。

 しかし、一方で、地方側を見ますと、闘う知事会というようなアピールでやっておられた全国知事会の前会長の梶原さんのところ、岐阜県庁で裏金問題が出てきた。また、福島県では知事が逮捕されたというような問題があるわけで、国民の間では、本当に地方に任せられるのかというような空気があるのも事実であります。

 地方側にこのあたりのことを深刻に受けとめていただかなければならないと思うわけでありますけれども、大臣、お考えをお述べいただきたいと思います。

菅国務大臣 まさに御指摘のとおりであり、私も、ほかの議員の人からも、本当に地方は大丈夫なのかよ、そういうことを実は言われます。しかしながら、地方がみずからの責任で自律をし、自由にそれぞれの魅力を引き出す地方自治を行う、このことも私は物すごく大事なことであるというふうに思っています。

 実はきょう、そうした不祥事に対しまして、綱紀粛正の通達を出したところです。これはまさに異例でありますけれども、このところの、今御指摘のあった、岐阜県の裏金の問題、あるいは公共事業に関しての不正、さらに休暇の問題だとか、あるいはまた飲酒運転の問題、こうしたことがありましたので、私は、きょう、そうした地方に対して綱紀粛正のものを出しました。

 そういう中で、本来であれば、地方の議会や監査委員会のチェックが働く、それがまさに地方の役割でありますけれども、しかし、現実的にはこうしたことが起きているわけですから、そういう意味で、総務省として情報公開などの徹底に取り組んでいく、そういうふうに考えております。

谷口(隆)委員 今大臣がおっしゃったように、綱紀粛正の通達を出されたということは、大変結構なことだと思います。やはり地方側も、地方分権をしていくからには、しっかりとしていただかなければならないわけで、先ほども出ておりましたけれども、夕張市は、一般会計と特別会計との間で、年度のずれを利用したような不適正な財政運営もやっておられたわけであります。

 このような的確な施策が打てないということになりますと、この法案が目指しておることが絵にかいたもちになるわけで、そのようなことをぜひ大臣も念頭に入れていただきまして、任すからには地方の方もしっかりとやってもらいたいということを言っていただきたいと思うわけであります。

 あと、この法案そのものについてお伺いをいたしたいと思いますが、今回のこの法案の第四条に「国と地方公共団体との連絡等」ということがあります。これは、旧法といいますか、現行法にはないものを今回の法律には盛り込まれておるわけでございます。これは、「国は、地方分権改革の推進に関する施策の推進に当たっては、地方公共団体の立場を尊重し、これと密接に連絡するとともに、地方分権改革の推進に関する国民の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。」ということになっております。

 これが具体的にどういうことをこの法案の中で言っておるのか。例えば、政府と地方六団体との間の定期協議の場を設けるということをこのところが言っておるのか、こういう協議の体制、特別な体制を設定したいということを言っておるのか。大臣の方から、この条文についての解説といいますか、お考えをお述べいただきたいと思います。

菅国務大臣 地方分権を推進していくためには、国と地方が十分に議論を積み重ねていく、このことが極めて大事なことであると認識しています。その中で、国と地方がそれぞれの役割を理解し、連携をしながらこの改革を進めていく。

 今、質問にありました、国と地方の協議の場でありますけれども、法制上の取り扱いについては、国の政策決定プロセスに地方がどのような形で関与することが適切か、今後多角的な検討が必要である、そういうふうに考えているところであります。

谷口(隆)委員 関与することが必要というのは、要するにその体制をつくりたいということをおっしゃっておられるわけですか。

菅国務大臣 そういうことも含めて検討しようということです。

谷口(隆)委員 そういう協議の場をつくるというのは非常に重要なことだと思いますので、ぜひつくっていただきたいというように思います。

 それで、次は、五条、権限の移譲のところで、旧法、現行法では「地方公共団体への権限の委譲」、新法では「地方公共団体への権限の移譲」と、イジョウはイジョウなんですが、この文言が変わっております。広辞苑で調べますと、現行法は「他にゆだねゆずること。」新法の方、審議しておる法案は「他にゆずりうつすこと。」

 文言を変えられた深い意味があるんだろうと思うんですね。これはどういうことなのか、お伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 確かに、平成七年に制定をされた地方分権推進法では、権限委譲に関して、委ねるの字を用いております。これは、当時、地方分権推進に関する大綱方針を初め、この字が広く使われ、一般的な用語法となっていた、そういう中で使ったということであります。

 しかしながら、近年、この権限移譲に関して、移すの字、これを用いる例が法令を含めて多くなったことと同時に、国と地方の役割分担を踏まえて、権限を地方公共団体に移すとの語感があると考えることから、よりわかりやすく、今用いた方が地方分権に一歩踏み込んでいるというような理解を得られるんじゃないかな、実はそういう思いであります。

谷口(隆)委員 そうですね。だから、大臣の方からは、今までの「委譲」じゃなくて、かなり意思も入って強く強調した意味での「移譲」だというように言っていただいた方がいいのではないかというように思いますが、どうですか。もう一回。

菅国務大臣 私の思いもそこにありますので、そのようにこれから進めさせていきます。

谷口(隆)委員 それで、最近の新聞報道を見ておりますと、自治体債務の棒引きについてという記事がありました。再生法制で、金融機関の貸し付け、また地方債などの債務の棒引きを認める債務調整の導入に向けて本格的な検討に入るというように新聞報道では出ておったわけです。それで、北海道大学の宮脇先生のやっておられる新しい地方財政再生制度研究会、この研究会の最大の焦点が債務調整だと言われております。

 大臣も、十月二十七日にこの研究会に行かれて、債務調整に大きな関心を持っているというような御発言をされたということでございますが、では、現在一体どういうようになっているかといいますと、地方債は元利償還金の一部に地方交付税が充てられており、政府が事実上保証している。総務省では、自治体の債務返済が不履行になることはないということを言っているわけです。このような状況の中で、自治体が安易な資金調達に走るということになりますと財政規律が揺らぐ、こういうことになりかねない、こういう指摘があるわけでありますけれども、こういう観点で今回の自治体の債務の棒引きのことをおっしゃったのか、お伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 今、地方公共団体の新しい再生制度を検討するに当たって、財政運営の規律を高めていく上で、債務調整の問題も私は大きな課題であるというふうに実は考えていまして、せっかく、今御指摘をされた宮脇先生のもとで新しい地方財政再生制度研究会というのを今総務省でお願いして行っていただいています。私は、そういう中で、やはり従来の制度にこだわることなく忌憚のない御議論をいただきたい、債務調整に私は大きな関心を持っていますよ、実はそういう話をさせていただきました。

 この問題については、憲法の問題だとか破産法との関係、司法権と地方自治との関係、いろいろな問題があるということも私は認識した上で、あえて検討してほしい、そういうことを申し上げました。この点で、難しい部分であれば難しい、そうでなければできる、研究会ですからいろいろな議論をされるというのは私は極めて大事なことであると思っていますので、その結果を踏まえて、地方団体と意見交換をしながら新たな再生制度の検討を進めていきたい、そういうふうに正直思っております。

谷口(隆)委員 もう既に金融機関の方は、この自治体に果たして貸していいのかどうかということを検討しているというんですよ。

 それから、自治体の中では再建団体直前のところがかなりございますので、そうしますと、まだ再生法制ができておりませんし、これから、財政悪化の非常に厳しい、ひどい自治体がどういうようにやっていけばいいのかということがありますね。ですから、その間をつなぐところをきちっとやはりやっていかないと、最終到達点だけ先に言っちゃうと、地方債の発行においても、また金融機関からの借り入れにおいても当該自治体が非常に困難な状況になる。既にそんなことで苦しんでおられるような自治体もあると聞いておりますけれども、最終到達点じゃなくて、その間の道筋みたいなものをどういうように考えていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 夕張の例ですと、今まで不明朗な会計が行われてきて、一挙に大変な赤字が出てきたわけであります。そこへ行く段階で、早期再生スキーム、これも今お願いをしておりまして、できるだけ早い段階で例えばイエローカードを出すとか、そういうことができるような仕組みを今考えておりますので、そういう中の検討ということで御理解をいただければありがたいと思います。

谷口(隆)委員 現実に貸すか貸さないかは金融機関側の判断ですから、金融機関側が貸さないと言えば資金調達に困難が生じるというようなこともあるわけですね。そのときにどのような対応を考えていらっしゃるのか、こういう観点でお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 そこに至らないような形、再生できるような仕組みは当然考えたいというように思いますし、この債務調整を導入することで金融機関がそのような方向をとることはあり得ない、こう実は私は思っています。そこの問題点を今検討してもらっている、そういうことです。

谷口(隆)委員 大臣はあり得ないとおっしゃるけれども、銀行サイドではもう既にそういう検討に入っておりまして、今融資している金額に追加でその要求があった場合に、なかなか追加で貸せないなというようなことを言っている金融機関もあります。ですから、突然資金状況が悪化するというようなところは、いろいろな総務省との間で相談もしているんだろうと思いますから、ないと思いますが、ただ、夕張市のように、いわば粉飾みたいなことで、実態を言わなくて、何とかうまくいっているんじゃないかと思っておったら、突然このような状況になっておったというようなときに一体どうするかということがあるんだろうと思うんですね。

 ですから、そこをもう少し慎重にきめ細かく、大臣の方から、その期間はこういうことをするから安心してもらいたいというメッセージを出す必要があるんだろうと思うんです。これはどうですか。

菅国務大臣 この議論が誤った形で伝えられているのかなというふうに実は私は今思っています。

 夕張のような形で莫大な借財がすぐ出てくる、最後に出てきて手の施しようがなくなってしまう。そうならないような早期再生スキームというものも今検討してもらっていますから、そういうものをしっかりした中で、このことが可能かどうか、どういう問題があるのか、そういうことも含めて研究会で報告をしてください、検討をしてくださいよということでありますから、金融機関は過剰な反応だと私は思いますけれども、そのことは私もきちっとした形で説明していきたい、こう思います。

谷口(隆)委員 今おっしゃっていただいたように、きちっと大臣の方から説明をしていただく、きめ細かく説明していただくということが重要なんだろうと思います。

 それともう一つ、三位一体のことにちょっと言及させていただきますと、この中の税財源の配分について、新しいメンバーの諮問会議の民間議員の報告を見ますと、国と地方の税目、税源配分を大胆に見直して、地域間の税源偏在を是正するとともに、補助金、交付税等の削減額の一定割合を税源移譲することを前提として、現行の国、地方の税収比六対四を三年間で五対五になるように実現すべきである、こういうふうに言っているわけですね。

 しかし、大臣の方はそこまで詳細には言及しておられなくて、大臣提出の資料の中を見ますと、菅大臣提出の資料は、税収比一対一を目指し、地方税の充実を図る、その際、税収の偏在が少ないような税目の充実を図る等によって、偏在度の少ない地方税体系をつくりたい、こういうようにおっしゃっておられるわけでございます。

 税源移譲は大変な思いをして三兆円やりました。あの三兆円は、私も与党の中でやりましたけれども、三兆円やるのにこんなに大変なのかと思うくらい大変でした。これを、先ほどお聞きしておりますと、三年間で一対一にするには大体どの程度の金額になるかということで、大臣おっしゃったのは五兆円程度だということでしょう。五兆円というのは一体どこからどういうふうにやるのかというようなことがあるんですね。

 三兆円やるのにあれほどの苦しみの中でやったわけでありますけれども、大臣、ちょっと具体的にお考えをお述べいただきたいと思います。

菅国務大臣 今回の地方分権改革においては、まず国と地方の役割分担の議論をやる。地方分権を支える地方税を充実させるために、税源移譲を含む税源配分の見直しを通じて、国と地方の税収比一対一を目指して地方税の充実を図っていきたい、それが基本であります。

 さらに、今後の税制改正もこれは可能性があります。そういう問題や経済動向によって税収というのは非常に変動するというように私は思っています。

 私、五兆円と申し上げたのは、十八年度の実績で計算して五兆円と。ただ、やはり、国の事務の廃止だとか縮小、そうしたものを行う中で、地方が自由に、そして自分で責任を持って自律できる、そうしたものにするについては税源移譲というのは避けて通ることができない、その目標としては一対一だ、そういう強い決意を持って申し上げました。

谷口(隆)委員 先ほども私申し上げましたように、安倍総理の強いリーダーシップ、また菅大臣の強いリーダーシップでいかないと、なかなか実態的に地方分権というのは大変なものであります。

 まさに、特に税源移譲が大変な攻防になるだろうと思いますが、新しい国づくりのためにはこれは乗り越えていかなきゃいかぬわけで、ぜひそういう観点で、メッセージを発するところには適時的確に大臣の方からメッセージを発していただいて、この法案が思うようにいくように頑張っていただきたいというように思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。

佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十八分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、この地方分権改革推進法案、かなり長い時間をとって質疑をして深めていくというお話を聞いております。

 その前に、大臣、本論に入る前に、ちょっと一点、御確認というか、大臣の御認識をお伺いしたい件がございます。

 実は、さきの国会でも、地方自治法の改正の際に教育委員会のあり方が課題になりました。結論としたら、さきの地方自治法の改正では、教育委員会は従来どおり必須の中で対応していくということになりました。そして今、この二週間ほど、もう社会問題と言っても過言でないと思いますが、いわゆる高校の社会科の未履修の問題、これが高校だけではなくて、今中学校にまでその波紋というか問題が波及をしているというふうに言われております。

 そして、この中で、これは教育特の方で十二分な質疑をしておりますが、学校、教育委員会、そして政府いわゆる文科省という、その三者の、当該委員会に所属して議論しているわけでもありませんから、ある意味では非常に責任のなすりつけ合いのような形も見え隠れしています。そして、その中で教育委員会の改革というのが、多分今回の一連の事件で、いわゆる今回の主題でもあります地方分権という観点とリンクをするのか、それとも切り離していくのかというものも、多分これから連動して課題の設定をして解決をしなければいけないというふうに思っています。

 私も、三十年ほど前に高校を卒業したときに、本当に未履修というものがあったのかどうかよく覚えておりませんが、いずれにしても、これは内閣一体となって課題の解決をしていただかなければいけないというふうに思います。

 大臣、所管大臣ではもちろんありませんが、地方分権という観点も含めて、大臣は、この学校、教育委員会、国・文科省という主体もございますが、責任の所在がどこにあるというふうに思いますでしょうか。それとあわせて、分権という観点も含めて、もし大臣の御見解がございましたら、冒頭お尋ねをしたいと思います。

菅国務大臣 いわゆる地方の組織は、これはできるだけ、可能な限り地方で決めるべきであるというふうに私は実は思っています。

 今委員から御指摘のありました教育委員会、これについても、今、特区でまずやろう、そういう方向、あるいは選択制という、地制調の中で答申もいただいています。基本的にそういう方向であるというふうに私は大臣として考えていますけれども、これは文科省の問題もありますので、そういう方向で協議をしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、一点、これは御指摘だけにとどめますが、さきの国会の質疑の中でも、私自身の質疑の中で、文科省の担当の部長か審議官かちょっとよく覚えていませんがおいでいただいて、教育委員会の、要するに、地方制度調査会の答申を踏まえて、その中のいろいろな議論のやりとりも含めてお聞きをしました。その際でも、総務省としたら、やはり大臣がおっしゃられたように、分権という観点で必須条項をなくすべきだというお話を承りましたし、文科省に聞けば、いやいや、まだ教育委員会は必須だという、やはり議論が平行線に分かれた中で、現在の地方自治法の中では必須だというふうな議論の結果になったというふうに記憶をしています。

 ですから、大臣、これは、教育委員会の問題は後でいろいろな話をしていきたいと思いますが、まずその一歩であって、それが今象徴的な問題というふうに、いじめや未履修の問題で社会的にたくさんの国民の皆さんがそれを監視している、注目をしていると言って置きかえた方が適切かもしれませんが、そういう中で、仮にこの分権推進法が成立をし、委員会でいろいろな御議論をし、答申を得た後、これは後でもお聞きをしますが、その答えをではどういう形で反映させるかということにもやはりつながっていくと思うんですよ。

 ですから、その点について、大臣、では本論に入りますが、今、この分権推進法の第一条に「目的」がございます。そして、この法律の「目的」、一番初めに、「国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会を実現することの緊要性にかんがみ、」云々ということになっておりまして、基本理念並びに国、地方公共団体の責務を明らかにするというふうなことが書いてございます。

 大臣、この推進法が成立をした後の国と地方の役割分担であるとか、今ある現状から、どんな形で方向性が出るというのが大臣の御認識でしょうか。簡潔にお伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 地方の活力なくして国の活力なし、こういう考え方のもとに、やる気のある地方が自由に独自の施策を展開して、魅力のあるそれぞれの地域をつくる、そういう地方に生まれ変わること、このことが一番大事なことであるというふうに私は思っています。

 そういう中で、地方にできることは地方にという理念のもとに、できる限り地方公共団体に権限を移譲し、地方の自由度を拡大させると同時に、やはり責任も明確にする、このことが大事であるというふうに思っています。

後藤(斎)委員 それでは、大臣、今の現行の地方自治法を中心とした自治のあり方、国と地方の役割分担、現状では不十分だというお立場に立ちながら、これからこの推進委員会での検討を踏まえて、その勧告を得て、さらに、さきに大臣がおっしゃったようなことを進めていくという御趣旨と理解してよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 そのとおりです。

後藤(斎)委員 ちょっと法律の順番が前後になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 第九条に、「内閣府に、地方分権改革推進委員会を置く。」と。ここで分権推進計画であるとか重要事項について具体的な意見を述べるという、いろいろな規定が十条も含めてございます。そして、先ほどもお尋ねをしたように、第二十八次の地方制度調査会、ここでの答申というものは尊重をするということで対応が進められましたが、実際の法律の改正には至りませんでした。

 大臣、まず冒頭、端的にお尋ねをしたいんですが、この推進委員会にどの程度の権限をお持たせになるというふうなことを大臣はイメージされているんでしょうか。特に、前回の一括法のときには、尊重規定というものが法律の中にはございました。それをなくした中で、それは、いろいろな資料を見ると、言わずもがな、尊重するのは当たり前だということで削られたというお話も聞いておりますが、勧告というものは通常の意見よりも重いというふうに普通に考えればあるんですが、大臣、どのくらいの重みというか権限をこの委員会に持たせながら、その意見というものはどんな形で反映されるのか、お尋ねをしたいと思います。

藤井政府参考人 法案の技術的内容を含むことから、私の方からまず御答弁させていただきたいと思います。

 今委員御指摘のとおり、この地方分権改革推進委員会の最も重要な権能として、地方分権改革推進計画のための具体的な指針の勧告を行うことができるという権能を十条第一項に明記しているところでございます。

 この勧告というものの法的性格についてはいろいろ言われているんですが、この勧告という言葉を使った趣旨というのは、単なる意見とは違って、やはり個別具体的にこういうような改善をしてくださいというような明確な意図を持って促す、そういう趣旨を込めているところでございます。もちろん、受けた方に法的義務があるかということになると、それは法的義務はないという面では意見と同じじゃないかというような御論議はあろうかと思いますけれども、ただ、この勧告という言葉は、この委員会として明確にこの問題についてはこうした方がいいんだということを促しているということを明確にしようとしているところでございます。

 加えて、尊重義務がないということはどうなのかという御指摘もございましたが、これは一つは、中央省庁改革が行われた際、審議会についても全体を見直しておりまして、その整理合理化方針の中で、基本的に審議会というのは、委員御指摘のとおり、もともと諮問をした以上、その答申については政府側は尊重する義務があるのは明確であるという意味で、あえて尊重義務を置く必要はないということで置いていないわけで、決して前回より弱めたというつもりはございません。

後藤(斎)委員 それでは、竹中大臣が御在任の際に、地方分権二十一世紀ビジョン懇、この最終報告が七月三日に取りまとめられました。このときにも、五ページのところに「各論」がございまして、「新分権一括法の提出」ということで、この中には、第二十九次地方制度調査会等において、今秋までに検討を開始し、地方の意見も踏まえつつ二年を目途に結論を得て、三年以内に法案を提出するという規定がございます。

 今回は新法ということで、新しい法律体系ということで、地方分権改革推進法という法案の形になりました。これは、どんな議論があって、この報告書には地方制度調査会でやることがいいというのが主体で書かれておりますが、新しい法律の形、制度にせざるを得なかった理由も含めて、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

藤井政府参考人 今回の分権改革が、なぜ地方制度調査会ではなくて新たに分権改革推進委員会を設けることとしたかという御質問かと思うんです。

 もともと、地方制度調査会というのは、それぞれ重要事項についてのあり方を調査審議するというように運営されてきているところでございます。

 今回の分権改革というのは、むしろ最終成果物は、一括法として、各省庁の個別法令、これの具体的な見直し、改善を図るというところで、一つは、非常に広範かつ詳細な審議事項、相当専門的な観点から広範な議論を集中的に続ける必要があるということで、これは、前回の第一次分権改革委員会は、そういう観点から分権推進委員会というものを設けて、そこで集中的に調査審議して改善された。それが非常に有効であったということの経験も踏まえて、やはりこういう全般的な、包括的な一括法に向けて議論するにはこういう分権改革推進委員会というものを設けた方がいいだろうという判断に至ったということでございます。

後藤(斎)委員 ちょっとそれに関連してなんですが、地方制度調査会設置法の中には、目的は、今局長が御答弁されたように、現行地方制度全般に検討を加えるという目的と、二条の部分では、地方制度に関する重要事項を調査審議するということがうたわれております。

 そして、この中に、特に今のこの推進法の部分と違うのは、例えば六条の「委員」の部分でありますが、地方公共団体の議会の議員であるとか長というふうな具体的な記述がございます。一方で、十二条を見させていただくと、「委員の任命」というところは、すぐれた識見を有する者、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命するということになっています。

 これは、具体的に書いていないものも、こういう地方の意見も聞くというふうな御答弁になるかもしれませんが、では逆に言えば、第二十九次地方制度調査会はもう設置をせずに、この地方分権改革推進委員会、これだけで一括法の検討はなさるという趣旨で理解をしてよろしいんでしょうか。

藤井政府参考人 地方制度調査会の再発足につきましては、やはり地方制度調査会という場で御論議いただくような重要な事項が出てくるかどうか、そういうものが出てくれば発足させていかれるということになろうと思います。

 ただ、現状を申しますと、分権改革推進委員会を既に本法案で設置をお願いしておりまして、そこで一括法に向けての審議が行われることになる。ですから、そこがやはり中心になってこの問題については御論議いただくことになると思うんですが、その間に仮に地方制度調査会が再発足されるということになれば、その段階で、地方制度調査会ともいろいろ調整しながらやっていただくということになろうかと思います。

後藤(斎)委員 いろいろな議論はいろいろな角度で、これは大臣の諮問だけではなく、局長の諮問委員会みたいなものもたくさん、以前も竹中大臣に、何でこんな大がかりな懇談会をおつくりになるんですかという、いろいろな委員からも御指摘があった中で、いやいや、たくさんの意見を聞いてそれを参考にしながら方向性を出すんだよという、大臣も副大臣時代にお聞きになっているとおりであります。

 確かに、新しい新法でやるというのは、その趣旨はわからないわけではないんですが、では、違った観点から御質問をしたいと思います。

 この中に、さきの旧法の部分であります、地方分権推進委員会、旧来の部分の最終報告書、その時点では、一次分権改革だという意味合いで整理をされた方もいらっしゃいました。そして、残された課題として、次の六点ということで最終報告は指摘をしております。一つが、地方財政秩序の再構築云々から、六番で、憲法九十二条の地方自治の本旨を具体化し、分権型社会の制度保障を確固たるものにする等の検討という規定がございます。

 この規定は、先ほど局長が御答弁をいただいた地方制度調査会設置法の二条の地方制度に関する重要事項ではなくて、新法の部分の改革推進委員会が対応する、十条の二項にある地方分権改革推進に関する重要事項ということで、この中に入れ込みながら、さきの残されたそういう課題を検討していくんでしょうか。

藤井政府参考人 一つは、地方制度調査会と今回の地方分権改革推進委員会の守備範囲、これは、やはり一部共通というか、重なる部分があるかと思います。むしろ地方分権改革推進委員会は、単に地方制度の問題だけじゃなく、国の行政制度と地方制度のいわば守備範囲というか、権限移譲というか、そういう問題をより広く取り扱うという意味では若干広いのかもしれませんし、分権改革推進委員会は、むしろ地方分権という個々の必要な措置を講ずるための目的意識が相当強い、そういう調査審議になるという意味では、違ってくるんだろうとは思っております。

 あわせて、地方自治の本旨ということについては今回の分権改革推進委員会の調査審議の事項の中にあるのかどうかという御指摘かと思いますが、これは私ども、憲法九十二条の地方自治の本旨というのは、一つは、国と地方との関係における団体自治と、もう一つは、地方公共団体と住民の間における住民自治と、二つに分けられるというふうに認識しておるわけですが、そういう意味で、本法案の第五条で言っているような権限移譲とか、あるいは法令上の義務づけ、国からの関与、こういったものは、むしろ国から地方の自主性、自律性を高める。そういう意味で、団体自治にかかわる問題だと思います。

 また、その後に、地方行政の公正性、透明性の確保とか住民参加、そういったものを一条起こしておりますが、これはまさに住民自治にかかわる問題だと思いまして、私どもは、やはり団体自治と住民自治というのは、これは相まって推進されていかなければいけない。そういう問題でこの分権改革推進法案の中身も検討したものということでございます。

後藤(斎)委員 大臣、この地方自治の本旨については、さきに竹中大臣ともお話をさせていただきました。そして、これは憲法という規定にも基づいておりますから、今、衆参で憲法調査会を開いて、一応とりあえずの報告の部分でも、地方自治に関する論点整理ということで意見集約が図られているところでもあります。当然いろいろな意見が出たという中での論点整理でありますが、もちろん改正の必要はなしという委員の方と、表現が抽象的で意味がわかりづらいので明確な表現にすべきだと。

 大臣、冒頭お尋ねした、この法律が今後目指す国と地方のあり方を含めて、やはりこの地方自治の本旨という部分できちっと総務省の中でも御議論をいただきたいと私は思いますし、あわせて、この分権推進委員会の中でもそれを念頭に置いて論点というか考え方を整理すべきだというふうにも思うんですが、大臣、その点の御認識はいかがでしょうか。

菅国務大臣 後藤委員の今の意見を参考にしながら、これから考えていきたいと思います。

後藤(斎)委員 次に、もう一つ、今回の法律の六条に「財政上の措置の在り方の検討」の規定がございます。そして一方で、大臣も、さきの経済財政諮問会議で大臣のペーパーを出されて、これからの具体的な、分権というか、交付税のあり方も含めて御提示をされているところでもございます。

 この中で、大臣が前回の委員会でもお話をされておった新型交付税の導入の問題や、いわゆるストック分も含めた再建法制の見直しの部分、これについては、具体的な部分は、この六条の財政措置のあり方の検討というところに大臣が経済財政諮問会議で指摘されたような事項というものは入って議論がされるんでしょうか。それとも、分権という将来に向けてのあり方でしょうか。その点についてお尋ねをしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今回の分権改革推進法で出ております財政上の措置の範囲につきましては、まず、分権改革推進委員会で国と地方の役割分担など事務事業の見直しをしていただきまして、その見直しに応じた財政上の措置のあり方について、国庫補助負担金、交付税、税源配分等の見直しなどの検討を行うということにいたしておりまして、その具体的な範囲というものは限定はされておりません。

 ただ一方、今御指摘のように、例えば新型交付税のお話でありますと、これは十九年度から、現在の地方団体、今の事務事業の中で相対的に自由なものから、全体の約一割程度から導入をするというふうにいたしておりますし、また、再生法制につきましては、現在、宮脇先生を中心に行っていただいています研究会の報告を踏まえて、それをできるだけ早期に整備するということといたしております。

 そういう新型交付税、再生法制はそれぞれの研究経過を踏まえて導入をするということとし、それから、この分権推進委員会で行われた検討によって、さらにその新型交付税の範囲を拡大していく、あるいは再生法で見直すものがあれば見直していくということになるものというふうに考えております。

後藤(斎)委員 ちょっと角度を変えて御質問申し上げたいと思います。

 大臣、よく言われる、私どもは、小泉内閣以来のいわゆる都市と地方の格差の問題ということで、その格差問題を指摘させていただきました、これからもしていきたいと思っております。そして、それは今、直接触れませんが、これは、地方財政白書の中でも明確に棒グラフで指摘をしているように、今、地方税収入というのは、全国平均を一〇〇とした場合、これは平成十六年度のものが一番新しいようなんですが、沖縄県が五七・五で、もちろん一番地方税収が高い東京都が一七六・二ということで、人口一人当たり三倍の税収格差というものがございます。

 それによって何が起こっているかというと、例えば水道料で見れば、これは県庁所在地というところだけ見ても、一カ月当たり使用量二十四立方メートルという、水道料が一番安い福井市で二千百八十八円、一番高いのが長崎市で五千五百四十九円、二倍以上の差がございます。そして住民票一部の取得手数料でも、山口市では百円、宇都宮市では四百円、四倍の差になっています。

 もろもろたくさん、行政サービスの格差というのが、税収というか財政力の格差によって当然生じてくるんですが、大臣、やはりこれは、全国どこでも一緒の生活ができるというふうにない中、経済活動も違いますし、いろいろな立地も違いますから、当然といえば当然なんですが、例えば四倍、五倍、そういう格差があるのが本当に正しいあり方なんでしょうか。

 これは事務方ではなくて、大臣、端的で結構なんですが、この財政力格差による行政サービスの格差、現存するものを大臣はどう評価し、どう解決していくかということを、もしお考えがあれば、ぜひ承りたいと思います。

菅国務大臣 地域間で経済力や財政力に差があるということ、これは事実であるというふうに思っています。都市と地方の不均衡というのは、解決すべき重要な課題であると私は受けとめております。

 しかし、こういう中で、一定水準以上の行政サービス、ここについては、やはりできるように地方交付税等で格差を是正していく、このことも大事なことだなというふうに思いますし、また、税制改正の際には、やはり偏在の少ない税を考える、例えば地方消費税等を考える必要性というのも認識をいたしております。

後藤(斎)委員 これは後でも、本当の税という、地方税自体は、法人事業税であるとかはちょっとおいておいて、いわゆる交付税というものは、大臣はこの間、さきに出された経済財政諮問会議のペーパーにおきましても、新型交付税をもっと前に進めるようにというお話をされました。

 ですから、ある意味では財政力の格差がある、イコールではありませんが、行政サービスにそんなに全国で違いがないようにということで、いわゆる交付税の発想というものが一つ大きなテーマとしてあったはずだと思うんです。それをこれからの分権を進めていく上でも、先ほど局長からも答弁があったように、それも当然含めて考えていくよ、そこでいろいろな検討が加えられれば、一括法というか、新しい法律の中に盛り込んでやっていくよというお話が先ほどございました。

 では、もう一つお聞きをしますと、いわゆる地方債の問題がございます。

 これも、自治体間でこれから、いわゆる護送船団ではなくて、自治体の財政力や魅力とかそういうものによって、いわゆる地方債を発行するときの金利の部分も含めて、自治体によって大きく変わってくる時代になってきました。

 これは、大臣のお言葉を今あれすれば、もちろん今まで各市町村もある意味では甘えというものがあったかもしれません。しかし、それだけではなくて、護送船団ではなくて、旧自治省から総務省にかけても、それを、いやいや、全国でまとまった形でやった方が地方債を仮に発行せざるを得ない部分でもいいんだというお気持ちがあったと私は思うんです。これから実際に地方債も発行金利に格差が出てくる。それはひいては、財政収支の中で当然大きな影響を与えていく。その格差はもう是としてそれを認めながら、あとは自治体、あなたたちがやりなさいというふうに言うのか。それとも、いやいや、今は過渡期の部分で、将来に向けて自治体にすべてお任せするにしても、今は総務省として少なからず指導をして、ガイドラインを決めたり何らかの対策をしていくのか。どちらの手法をとられるのでしょうか、端的にお尋ねをしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 地方債の発行条件につきましては、委員御案内のとおり、例えば縁故債でございますと、これまでも各団体が地元の地銀を初めとする金融機関と個別に交渉をしてきておりますし、その結果、一定の格差が出ております。

 また最近では、市場公募地方債がいわゆる統一条件交渉の方式から個別の団体ごとの交渉ということに移行してきておりまして、この結果、各団体の発行条件で一定のスプレッドが生じているということでございますが、そう大きな範囲の差はないというふうに考えております。

 いずれにしましても、いわば協議、同意を受けた地方債につきましては、その地方財政計画においてマクロの財源保障を行っている、あるいは現在の財政再建制度があるということを踏まえまして、BIS規制でリスクウエートがゼロになっているというような基本的な条件は変わっていないわけでございますので、資金調達に大きな問題が生じたり、発行条件に大きな差がつくということにはなっていかないものだというふうに考えております。

 そういう前提の上で、先ほど申し上げましたような、各地方団体が市場の評価を受け、そしてみずからの責任で資金調達を受けるということは、各団体の自律あるいはその財政規律を維持していくことにもつながっていくというふうに我々としては考えております。

後藤(斎)委員 確かに、現在の中では、もう現実そういう部分になっているというのはよくわかるんですが、これからまさに大臣が進められようとしておられる新型交付税にしても、ある意味での裏保証的なものがあるかないかによって当然違ってくると思いますし、そうでないんだったら、やはりスケジュール的に、もういつからは完全に、竹中懇のときに既に、十年後までに地方債の完全自由化を実現して、その際に交付税措置の廃止をしますよという部分がありますよね。先ほど、分権一括法とこれを命名するのかどうかは別としても、当初この竹中懇の取りまとめの報告では地方制度調査会の方がいいだろうということで多分これを明示されたものが、今回の部分では改革推進委員会という形で変わってきたということも含めて、では、この規定というものは、十年後までというのはもっと前倒しになるということで今お考えなんでしょうか。それとも、もっと後ろの、十年に近い方に持っていきながら、交付税措置の廃止も含めての考えをまとめていくのか。どちらになるんでしょうか。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 分権一括法で規定しております、三年で国と地方の役割分担を見直して地方の自由度を拡大していく、それにあわせて、例えば現在相対的に地方の自由度が高いと考えられる一割ぐらいから新型交付税を入れるということにいたしておりますので、そういう地方の自由度が拡大していくということに応じて、例えば新型交付税のウエートも大きくなるということになるわけでございます。

 また、地方債につきましては、今委員御指摘のようにビジョン懇談会でもその議論がされておりますが、そこに置かれております前提として、例えば地方債の自由化といったような議論をする場合には、現在の社会資本整備の中で地方債というのがいわば財源的な役割を果たしている、資金繰りという問題では財源という機能を果たしているという側面があるので、そういう意味でいえば、これからの社会資本整備のあり方をどういうふうにしていくのか。それが今のようなままのあり方ではいけないということを踏まえて、そういう財政措置のいわば社会的な投資のあり方を見直していく中で、地方債の自由化というのも検討されていくんだというふうにされておりますので、そういうことが進んでいきました中で、地方債の自由化といったものが具体的なテーマになってくるということになれば、その状態を踏まえて、新しい地方財政制度、あるいはそれに見合いました地方債の条件の決定のあり方ということに進んでいくというふうに思っております。

後藤(斎)委員 そこについては、これからの議論の進み方ということですから、わかりました。

 大臣、私、実は今おふくろがひとりでおるんですが、今回の二条、基本理念を新しい法律案の中に書いてあって、地方自治体がみずからの判断と責任において行政運営をすることを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われる云々という規定がございます。

 そして、今、孤独死という言葉がございます。これは厚生労働省も、これを本当に国がやるかどうかは別としても、来年度の予算で孤独死ゼロ・プロジェクトというのを、今の概算要求では一億七千万円ほど、新規で孤独死防止推進事業の創設ということを求めているようであります。これは、都市部を中心に、地域から孤立した高齢者や単身高齢者の死亡が増加している状況を踏まえ云々ということがあるんですが、当然、それぞれの自治体のあり方も問われるような部分があるのではないかなというふうに私は思います。

 厚労省がまとめている数字では、推計ということではありますが、六十五歳以上でひとり暮らしの方が、二〇〇五年、昨年度は三百八十六万人、これが二〇二五年になると倍増近くなって、六百八十万人になると推計をしております。特に公営団地などという都市部の部分も念頭に置いて対応しているんですが、実はこれは、私のおふくろもそうなんですが、子供が悪いと言われればそれまでなんですが、やはり地域に、周りにはいるものの、夜どうするかとか、二十四時間体制では当然ありませんから、電話も含めて僕もできるだけ連絡をとるようにはしているんですが、一部の報道では、国、自治体も含めて、孤独死の実態すら今まで把握をしてこなかったと。これは、総務省というか地方自治体であれば、ひとり暮らしになっている方というのは住民票を見れば多分わかると思うんです。

 この点について、僕は今後これを、これは国がやるか地方自治体がやるか、この本論でもあります国と地方の役割分担というところにも行き着くかもしれませんが、当面、地方自治体が一番身近な部分にいるということを踏まえて、大臣、やはりこの孤独死というのは、放置をしておけばこれから社会問題になるというふうに私は思うんです。それをどう今のうちに、それが大きな問題にならないうちに予防するかというのは、先ほども未履修の問題でどこに責任があるかという問題をおいておいても、やはり地方自治全体の、さきの地方自治法の改正も含めてのいろいろな流れを思い出しても、やはりこの問題について総務省としてもきちっとしたお考えをまとめて、それを厚労省と連携するのか独自でやるのかは別としても、地方自治体に対して何らかの注意喚起や本来の実態把握も含めてやってもらいたいと、個人の希望も含めて私は思っておるんです。

 大臣、これから孤独死をできるだけなくしていこうということについて、個人的な御見解でも結構ですから、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 孤独死につきましては、高齢化社会の進展や地域コミュニティーの崩壊など社会状況が変化する中で起こっているもので、極めて深刻な問題であるというふうに思っております。

 私も地方自治体の長の方からいろいろな意見を聞いておる中で、あるアイデアマンの市長がいまして、ひとり暮らしのところには使いやすいパソコンを一台ずつ配給して、朝必ずキーをぽんと押させる、それがないところには役場の職員が必ず行って安全を確認する、そういうアイデア市長もいました。

 そうしたことも含めて、総務省として、この孤独死という深刻な問題の解決に向けて、厚生労働省と連携を深めながらも、そうしたアイデアというものも一つの方向かなと思いながら取り組んでいきたいというふうに思っています。

後藤(斎)委員 大臣、パソコンをぽんというのも確かに一例かもしれませんが、実は私、おふくろに携帯電話を持たせているつもりなんですが、どこかに置いて、携帯に幾らかけてもやはり通じないんですよ。パソコンをぽんというのも、朝ぼうっとしていれば多分それもできないので、何か違った、これは地域消防の低下みたいなものも多分そうだと思うんですが、やはり地域と連携がうまくいかない。

 これはちょっと話がまた戻って恐縮なんですが、多分いじめの問題や不登校の問題も含めて、私も三人子供がいるからよくわかるんですが、よく地域が参加しろ参加しろと言いますよね。確かに最近、シルバーの方も含めて、夕方とか、旗を振ったり小さい子と一緒に下校するような風景が見られるんですが、多分同じようなことで、本当にその人がという部分。ですから、これから郵便局も民営化になれば、昔やったひまわりサービスであるとかそういう声かけみたいなこともだんだん、多分過疎に行けば行くほどそういうことができないような状況に当然なってきます。

 だから今、そういういろいろな部分が変わっているからこそそういうことを、大臣がおっしゃられたようなパソコンぽんも確かに結構かもしれないですが、もっと違った形での地域との連携、それがうざったいという人もいるのかもしれませんが、私は、そういう部分での話を中でもぜひ議論していただきたい。

 制度をつくるだけではだめで、実際の住民の方がどういうふうにそれを利活用できるかということを大きな課題にしていただかないと、この大きいフレームだけを決めても、まさにスケジュール法かプログラム法か知りませんが、そういうふうな命名だけで終わって、中身を詰めるのはこれからだ、すべてそういう答えになってしまうのは、これから何十時間、うちの理事に言わせると三十時間以上はやられるようでありますが、ぜひそういう中での詰めをきちっと具体的にやっていただきたいなという要望を私はしておきたいと思います。

 また話が変わって恐縮なんですが、今、行政改革推進法も含めて、いろいろな市場化テストが各自治体でも実施をされているようでもありますし、この一、二週間、東京であるとか静岡であるとか佐賀であるとか、そういう地方もコスト意識を持ちながらやるという報道がかなりされております。

 ただ、大臣、住基ネットというのがこの委員会でも議論をされたことがございます。そして、それは、東京都の足立区が住民基本台帳ネットワークを、これは個人情報を扱うという部分では当然リンクしますが、民間委託するという決定を議会でもし、それを受けた内閣府は、総務省も協議をされたのかどうかはよくわかりませんが、それ以降、窓口業務の部分は民間委託を延期したと。これは、理由としたら、個人データをめぐり国とまだ協議中だということであります。

 これは、国と地方の仕事のこれからの具体的な役割分担、割り振りも含めてそうなんですが、最近余り聞かれなくなったんですが、官から民へという、大臣が副大臣時代、小泉総理が熱心にお話を繰り返されていた部分にも行き着く部分なんですが、いわゆる行き過ぎた民間委託というものが多分これからも出てくると思うんです。

 総務省は、その際に、行き過ぎたと言ったらいけないのかもしれませんが、法令遵守なのかは別としても、民間への事業開放というもののガイドラインを新たに、指定管理者も平成十八年度までに、要するに今年度中ですね、三年前に法律ができたときに、条例をつくりなさいよという明文がございますが、それも多分されていない自治体もまだあるのではないかなと私は思うんです。

 その際に、やはり国と地方の役割、これからもう一度役割分担を明確にしていく。あわせて、官と民という役割も、もちろん民がいいという部分は、官がすべていいと私は決して思いませんが、やはり明確に官と民の役割も含めて考えていただきながら、個人情報というのは今大変ナーバス過ぎて、私はナーバス過ぎるとあえて言わせていただきたいと思いますが、PTAでの名簿もつくれないとかいろいろなことがありますけれども、やはり行き過ぎたという民間への事業開放というもののある意味でのガイドライン的なものも含めて対応をしていくべきだというふうにも思うんです。

 その点について、大臣、お考えがあればお伺いをさせていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えします。

 民間委託を進めるにしても、行き過ぎた民間委託というのがあるのではないか、それに対してどう対応していくのかというお尋ねかと思いますが、私どもも全く同じ考え方に立っております。引き続き民間委託というものは推進していく必要があると思っておりますが、民間委託する際には、いろいろな留意すべき事項とか、あるいはどうフォローするのかとか、そういう問題がいろいろあろうかと思っております。

 平成十七年三月に新地方行革指針というのを各地方公共団体にお示ししているわけですが、民間委託を推進するに当たって、民間委託等の実施に当たっては、個人情報の保護や守秘義務の確保に十分留意し、必要な措置を講じること、それから第二番目に、委託した事務事業について行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価、管理を行うことを要請しているところでございます。

 加えて、いろいろ民間委託に当たっての問題も生じてきているところでございます。そういった実情を調査しながら、委員は今ガイドラインとおっしゃいましたが、どういうような指導の仕方があるかというのも検討してまいりたいと思っているところでございます。

後藤(斎)委員 これから地方の財政力、足腰を強くするためには、よく言われるように、企業誘致をしたり、今ある中小企業の方の体力を強めて、もうけていただいて、税収を得るということが当然必要だというふうに思っています。

 私は、隣できょう開かれている経済産業委員会の委員もさせていただいておるんですが、その中で、経産省が来年度の目玉の予算として地域資源活用企業家プログラムというものを創設するということになっているようであります。甘利大臣と先週議論をさせていただいたところ、総務省も含めて六省庁連携をしながら、ぜひこれは成功させたいと。

 総務省は、一部共通するのかもしれませんが、地方応援プログラムというのが別途あるようでありますが、いわゆる地方という部分ではまだまだ公共事業に依存する部分がたくさんありますし、それをどう本当の実経済に転換できるかどうかというものもあるというふうに思います。

 私は、逆に言えば、もう一つの指摘として、例えば補助金や固定資産税を免除して企業誘致をどんどんやるのはいいけれども、自治体の中の方と企業との連携が上手にできずに、結局内容が詰まらずに終わってしまったという例も、今、ある意味では自治体が新しい企業の誘致のところに目が行き過ぎたということもあるようであります。

 ぜひその点は、今、地元というかそれぞれの地域にある資源を使っていただくということが私は最低限必要だと思いますし、それをこれからも、関係省庁連携をしながら、ぜひ本当に成功させていただきたいというふうに思います。

 時間ももう参ったようでありますから、最後に大臣、その点、関係省庁、ぜひこのプログラムを達成して、本当に地方に心底足腰を強くして頑張ってもらいたいということをぜひ強調させていただきながら、御答弁をちょうだいしたいと思います。

菅国務大臣 私は、就任してすぐ、経済産業大臣と会談をしました。その内容というのは、まさに地方を強くしたい、そういう思いであります。

 と申しますのは、企業の状況というのは経済産業省の方がよく理解をしていますから、そういう意味で、それぞれの地方自治体にさまざまな情報だとか、あるいは地方自治体が誘致について経済産業省と連携をしながら協力できるところは協力しよう、そういうことで、これは初めてでありますけれども、それぞれの局長級あるいは課長級クラスの実務者レベルの会合を開いて、何としても地方活性化のために取り組んでいきたい。

 これは当然、経済産業省だけでなくて、農林水産省とも非常に関係をしてきますので、そういう中で、私ども、これは政治主導で、こういうことは役所の縦割りを排除して地方の活力のために頑張ろう、そういうことで大臣同士話していますので、こういうこともさらに広げていって、地方が元気になる、そういうふうに努めていきたいと思います。

後藤(斎)委員 通告した部分が少し残ってしまって、また次にさせていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 分権改革推進法につきまして、菅大臣を中心に少し議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 一九八八年のことになろうかと思いますけれども、八八年から九年にかけて、ふるさと創生一億円という事業がありました。当時、全国三千三百の自治体がありましたが、自治体の規模の大小にかかわらず一億円を交付し、自由に使途を決定してもらおうというもので、大臣も御記憶があろうかと思います。全国のマスコミはあれをこぞって報道しまして、いろいろなことを全国の自治体がやりました。温泉を掘ったり、人材育成に使ったり、いろいろなことがあったわけですが、まさに財源を与えて、その使途はきちんと自分たちで決めなさいと。その結果もさまざまでございまして、きっと自治体によっては、何でうちの自治体はこんな使い方だったんだ、あるいはまた、よそに比べたらうちはいい使い方をしたなというところも随分あったのかなというふうに思うわけです。

 大臣、まず最初に、私、分権改革の意義について議論をしたいんですが、このふるさと創生一億円事業、これについて今どんな感想をお持ちですか。

菅国務大臣 当時の梶山自治大臣が事務当局の非常な反対を押し切って、政治主導でやったというふうに私、伺っています。人口が三百万のところもあるいは数千人の村も同じ一億円という、まさに思い切ったふるさと創生であったというふうに思っています。

 これについては、マスコミもいろいろ批判あるいは評価もありました。また、そういう意味で、地域の魅力おこしというんですか、地域おこしにある意味では一石を投じたんじゃないかというふうに思っています。

逢坂委員 そうですね、地域の魅力おこしというか、地域の活力みたいなものに一石を投じたんだろうというふうに私も思っております。

 しかし、あのふるさと創生一億円というのは、我々にいろいろなことを教えてくれたなというふうに思うわけですね。といいますのは、大ざっぱに言うと、一年間で三千三百億円投じたわけですが、国が大きく旗を振って三千三百億のお金を使っても、必ずしも全国から三千三百億の価値が浮かび上がってこなかったのではないかという気もするわけですね。

 すなわち、裏返して言うならば、全国画一的な仕事、道路をつくりましょうとか、下水を整備しましょうとか、そういう分野について国が画一的に旗を振るということであるならば全国的に効果も出たんだろうけれども、いわゆる創造的な仕事、クリエーティブな仕事に関して国が中央集権的に旗を振っても限界があるんだろうなということも、あのふるさと創生一億円である種証明されたのではないかなと私は思うんですが、このあたりはいかがでしょうか。

菅国務大臣 実績として、どういう実績があったかということは私、定かではありませんけれども、しかし、少なくとも、地方が自立するためにさまざまな試行錯誤をしながらこの一億円の使い道について学習した効果というのは非常に大きかったんじゃないかなというふうに私は率直に思います。

逢坂委員 イレギュラーな話を聞きまして、大変恐縮です。

 そこで、今回の分権改革の意義についてお伺いをしたいんです。

 御承知のとおり、一九九三年、衆議院、参議院両方で一致して、分権を進めるべしという決議がされたわけであります。あのとき私は自治体の現場におりまして、その次の年に私は北海道のニセコという町の町長になったんですが、ああ、これは分権改革が進むぞということで非常に大いなる期待を持ちました。

 なぜ分権改革に期待を持つか。それはやはり、分権改革が進めばよいことがいっぱいあるからだというふうに私は感じたわけであります。例えば、地域の特性というのは、やはり北海道と沖縄、東京ではそれぞれ違う、地域の特性に合った仕事ができるではないか、分権改革によってそれが達成されるというようなことを思ったわけです。

 まず大臣、分権改革の意義ということについてどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 国と地方の役割を分担させて、今まさに逢坂委員が言われましたように、地方が自由に自分の思いで、それぞれ地域によって特徴があるわけですから、そういうものを生かしながら、魅力ある地域に生まれ変わる、そういうための、私は地方分権改革というものの目的であると思います。

逢坂委員 分権改革によりまして、まさに今私が指摘した、あるいは大臣からもお話がありました、地域の特性に合わせた仕事ができるということ、これが一つあろうかと思います。

 それからもう一つは、分権改革によりまして、例えば税財源が移譲されるということになりますと、国、都道府県、市町村というふうにお金が渡ってきたものが、ダイレクトに手元にあるわけですから、中間のコストが削減されるということにもなろうかと思いますし、当然、国や都道府県の組織自体もある種スリム化をされていく部分もあるのかなというふうに思うわけですね。しかも、身近なお金を身近な住民自身が責任を持って判断するということで監視もききますし、昨今、例えばさまざまな県において余りよろしくない事例、談合のようなことなどが起きておりますけれども、ああいったことについても、最終的にはやはりその現場に責任があるんだということがより明確になるのではないかというふうに思うわけです。

 分権改革における意義について、私の今の話も含めて、さらに大臣の方からお話しいただけますでしょうか。

菅国務大臣 方向性は全く一緒だと、今意見を聞いて思いました。

 やはり国と地方の役割というものをしっかりと分担して、そして国の関与をできるだけ廃止し、あるいは縮小する。それと同時に、権限、財源そして税源も地方に移譲させる。このことによって、そうした地方が、今委員が言われましたように自由で、自分が責任を持って、そのかわり自律できる、そうした地域づくりを行うことができるような、そうしたことを私もぜひやりたい、そう思っています。

逢坂委員 分権改革については大臣からも力強い言葉があるわけでありますが、分権改革、地方分権という言葉が示すとおり、どうもこれは地方の改革であるというふうに思われがちですが、実は、地方の制度、仕組みを直すということは、裏返せば国の仕組みも直すということであるわけでありまして、私は、これは国家全体の改革である、改革の深度といいましょうか、レベルといいましょうか、それとしては極めて大きなものであるというふうに思っているんですが、大臣、この点いかがでしょうか。

菅国務大臣 少子高齢化社会そして市町村合併が進む中で、やはりこれは、日本という国が安定して活力を持って発達をするために、まさに地方の活力なくして国の活力なしでありますから、そういう意味におきましては、私は極めて重大な問題だと思います。

逢坂委員 極めて重大な問題であるというお話がございました。

 そこで、これまでの一九九三年からの分権改革に関する評価あるいは反省点についてお伺いをしたいんです。

 私、手元に、フォーリン・プレスセンター・ジャパンという団体が出しているジャパン・ブリーフという記事を持ってまいりました。フォーリン・プレスセンター・ジャパン、要するに、外国人の記者さん向けに日本のいろいろな課題、トピックスをコンパクトに整理した記事でございます。

 十月三十一日付の記事に、「政府、地方分権改革推進法案を国会に提出、再度分権改革の試み」という見出しをつけている記事なわけですが、この中にこんなことが書いてあります。政府がこうした特別委員会を設置するのはこれで三度目である、分権推進のための一九九五年の委員会は、自治体を国の下請とみなす機関委任事務制度を廃止するなど改革の土台を築いたが、権限や財源の移譲という点では不完全に終わった。それから、二〇〇一年の分権改革推進委員会は、内部の不統一などから、目に見える成果をおさめることなく解散した。それから、三位一体改革と呼ばれた改革については、地方政府への補助金の交付と結びついている権限を失うことに強く反対する中央官庁の抵抗が主たる原因で失敗したと、こんなまとめをジャパン・ブリーフではしているわけですね。

 これは、外国人にわかりやすく日本の分権を伝えようとしてコンパクトにまとめたものでありますけれども、今の私の話も含めて、これまでの分権改革に対する評価そして反省点についてお知らせください。

菅国務大臣 平成十一年に制定された地方分権一括法によって機関委任事務制度が廃止されて、これに伴って各省庁の包括的な指揮監督権が廃止縮小されるとともに、国の関与の廃止縮小が行われた、これは事実であると思います。

 さらに、これによって国と地方公共団体の関係が抜本的に改革され、法制面では上下主従の関係から対等協力の関係に転換されるなど、一定の成果を上げることができたというふうに考えています。

 しかしながら、平成十三年六月の地方分権推進委員会の最終報告にもありますように、事務権限の移譲や地方公共団体の事務に対する法令による義務づけ、枠づけの緩和等の解決すべき課題がまだ存在をしている、このことも事実であるというふうに思います。

 そういう中で、地方分権改革推進会議における取り組みや三兆円の税源移譲の三位一体の改革などに取り組まれてきた。しかし、私としては、地方の自主性、自律性を高め、真の分権型の社会を構築するためには、さらにこの地方分権改革が必要である、実はこう判断をいたしております。

 そして、私、大臣に就任をして、総理に、翌日でありますけれども、今度の国会で何としてもこの分権改革推進法を成立させたいと。やはり地方が今、国に対して、将来見通しがない、そういう中で非常に不安に思っていますし、そういう意味では、私どもとすれば、地方にも、地方分権を必ずやるよ、そういうメッセージ、これは非常に大事だと思いましたので、私は次の日に総理のところに行きまして、今度の臨時国会はタイトな日程ですけれども、何としてもこの法案を成立させたい、実はそういう思いでありまして、きょう、このように皆さんからも御理解をいただいて審議を行っていただいている、私は大変うれしいと思っております。

逢坂委員 菅大臣、大変失礼ながら、官僚の書いた原稿を読むときよりも御自身の言葉で話されているときの方が非常に生き生きとして、お気持ちが伝わってまいりますので、これからもそういうやりとりができればというふうに思います。大変失礼ながら、そんな感想を持ちました。

 そこで、今のお話の中にもいみじくもあったんですが、上下主従の関係が対等の関係になったということをおっしゃられましたが、その前にまくらがつきましたね、法制面ではという言葉がついたんです。法制面では上下主従が対等協力ということになったんですが、実態面でどのようにお考えになっておりますか。

 それからもう一つ、三位一体改革について幾つかお話をされましたが、三位一体改革に関しては、自治の現場にいる人間、私もいた人間として、あるいは今もいろいろ働いている皆さんから聞くと、必ずしも評判は芳しくない。要するに、国からの補助金が小さくなって、権限は温存されたまま、コントロールの仕組みは残ったままじゃないかという声が大多数なわけですが、こういう生の声に対して大臣としてはどのようにお考えか、二点お伺いします。

菅国務大臣 私も、胸を張って、国と地方の関係というのは対等あるいは協力関係ができた、そこまでは思っておりません。

 三位一体改革でありますけれども、これについてはいろいろな御意見があるということも私は承知をしています。しかし、少なくとも、三兆円の税源移譲があったときに六団体の代表の人たちがこのことについて評価をしたということも事実であります。そういう意味において、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、少しは進んだ、こういうふうに理解をしています。

逢坂委員 まだ実情は必ずしも対等ではなくて上下の関係もあるだろう、三位一体改革も、いろいろな意見はある、少しは進んだという大臣の方からのお話でしたが、やはりそういう状況だからこそ、分権改革の重要性を思えば、これからもより強力に進めなければいけないというふうに私も強く思っているところであります。

 そこで、私が危惧をすることがあるんですが、分権改革といえば、どうも国と自治体、地方の役割分担という話になりがちであります。それから、こちらでは議論の対象にはなっておりませんけれども、内閣委員会で議論の対象になっております道州制も権限の移譲ということが議論の対象になるわけですが、果たしてそれが本当の意味での分権改革、分権社会なのだろうかというふうに私は思うわけですね。

 どんな権限であっても、その権限を、あなたがやるんですよとか私がやるんですよということを他者に規定されるというのであるならば、本当の分権型社会ではないのではないか。どの権限をだれがどういうふうにやるということを国も地方も対等のレベルで協議できること、考えること、それができることが分権ではないかなというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 真の意味の分権型社会にするには、先ほど来申しますけれども、やはり国、地方の役割をしっかりと分担する、それと、地方にできることは地方にしっかりと移譲させる、そういうことが極めて大事な問題であるというふうに思っていますし、国政への地方の意見の反映のあり方というのは、国と地方の果たすべき役割、さらには相互の関係などを踏まえて、やはり多角的に検討していく必要があるのかなというふうに実は思っています。

逢坂委員 今前段で大臣がお答えになったところですね。まず、権限移譲をしっかりと図ることが肝要なんだ、私が指摘したいのはそこのところではなくて、権限移譲を図ることは、それは結果としてそういうことはあってもいいけれども、それを決めるプロセスのことを言っているわけですね。そこが一方的に国によって決められるということであるならば、それはやはり分権型社会ではなくて、先ほど大臣がいみじくもおっしゃった、法制面では上下主従の関係を取り払ったけれども実態上は残っているよということになりはしないかというところなんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 その点におきましては、六団体の代表の皆さんとも私どもは十分に意見交換をしながら進めていきたい、お約束したいと思います。

逢坂委員 そういった観点に立って、十月三十一日にも六団体の皆さんと意見交換をされていたかというふうには思いますが、地方六団体からはさらに一歩踏み込んだ提案というものがされておりますね。地方六団体と一緒に会議体をちゃんとつくってくれないかというような話が地方六団体からの要望としてあったかと思いますが、今回それを盛り込まなかった理由というのは何なんでしょうか。

菅国務大臣 それは、必ずしも法律で盛り込まなくても、私は幾らでも実はできるというふうに思っています。

 それで、この改革推進法を実のあるものにするには地方の皆さんの意見なくしてできないわけでありますから、そのことは十分配慮しながら、きちっとしたものをつくりたいと思います。

逢坂委員 地方の意見がなければできない、そのことに十分配慮をする、会議体がなくてもそれをきちんと担保するんだというお話をいただきまして、ぜひそのことはお守りをいただきたい。地方の皆さんから、いや、我々の声がやはり届いていないじゃないかということのないようにお願いをしたいと思います。

 それから、もう一つ私がお願いをしたいのは、もちろん地方にも多様な声がありますが、そのときに、国に都合のいいところだけをピックアップするような声のとり方はやめていただきたい。そういう声もあるけれども実はこんなことを言っている人もいるではないかというようなやり方をしていくと、これはなかなか地方の声の総体というふうにはなりませんので、その点においては大臣のリーダーシップをしっかりと発揮していただきたいなというふうに思います。

菅国務大臣 実は私ども、大臣、副大臣、政務官で相談をしまして、四十七都道府県、ここに必ずだれかが行って、現場の声、これは市町村長になりますけれども、そうしたことを聞いてこようと打ち合わせをしたばかりです。

逢坂委員 真実は現場にありということでありますので、ぜひ現場をたくさん歩いて、しっかりとした分権改革をやっていきたいと私も思っております。

 さて、そこで、改革をする上で重要なことというのがあります。

 例えば、病気になった患者さんを診断するというときに、熱が出ているとか血が流れているとか、それはどこかが悪いんだろうという現象でありますね。熱が出ている、血が流れている、だから解熱剤を使わなきゃいけない、止血しなきゃいけない。これはもっともなことだとは思うのでありますが、最終的には、なぜ熱が出ているんだ、なぜ血が流れているんだ、どこが切れているんだ、どうなっているんだということをきちんと把握しなければ治療などということはできないわけですね。急性期、今とりあえず血をとめなきゃいけないというときは、原因はともかく、とめるんだということになるわけですが、やはりちゃんとした根本原因を押さえなきゃいけないというふうに思うわけですね。

 その意味において、この分権改革を進める上でも、情報の公開ということは極めて大事なことだ思うんですね。しかも、その情報の公開というのは、いわゆる情報公開法に定められるような、請求を受けて情報を何件開示しましたというようなレベルではなくて、もっとより一歩突っ込むといいましょうか、国の実態、実情というものがよくわかるように、必要とされるときには国民の皆様がすぐ、今、日本の国はどのぐらい借金があるのかねとか、この事業についてはどういうお金の使い方をしているのかねとか、総務省の内部組織というのはどんな人がいて、どういう人件費の使い方をしているのかねというようなことがわかるということが大事だと思うんです。

 そういう観点から考えて、今の日本の国の情報公開の現状、これについてどう思われますでしょうか。いわゆる制度で請求されて、件数がふえたとか減ったとかじゃなくて、実態上、事実上、大臣としてどう見ているかをお聞かせください。

菅国務大臣 今委員御案内のとおり、情報公開については、行政機関に関して平成十三年四月に行政機関情報公開法が、そして独立行政法人については平成十四年十月に独立行政法人等情報公開法が、それぞれ施行されています。

 これらの法律の施行を契機として、公開された行政文書や情報が質的、量的にも飛躍的に拡大されており、公正で民主的な行政の実現のための基盤として定着をしてきている、このことはぜひ御理解をいただきたい。

 ただ、今委員言われましたように、やはり今後とも、政府のさまざまな活動にとって、情報公開というのは極めて大事であるというふうに私は思っております。このことは国民に対しての説明責任の中でも極めて大事だと思っていますので、これからさらに情報公開を前向きに進めていきたい、私はこう思います。

逢坂委員 情報公開はやはり限定的であってはいけない。要するに、請求されたから出せばいいんだということではなくて、国民にとってみますと、情報の総体、全体というものは必ずしも見えないわけでありますね。したがいまして、積極的に情報を出すんだ、それこそが健全な民主主義に資するんだ、民主主義の原動力たり得るのは実は情報なんだということを、ぜひ大臣、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 さて、そこで、今、障害者自立支援法が施行されまして半年以上が経過しまして、全国で障害者の皆さんからいろいろな声が出ております。なかなか障害者の生活は大変だぞ、今まで通えていた施設にも通えないぞというような声があります。あるいは、一割の負担というものが生じることになったために、やはり障害者自身ももっともっと仕事をちゃんとしなければいけないというような話も出ているわけですね。

 そこで、障害者の仕事を担うといいましょうか、バックアップする機構で、独立行政法人の高齢・障害者雇用支援機構というのがあるそうですが、障害者の皆さんから私もここの機構について、本当に我々障害者のために仕事をしているのか、一体どういうことになっているんだ、逢坂さん、せっかく田舎から国会議員になって出て行ったのだから、国の皆さんに聞いてくれやということを言われました。

 それで、私、障害者雇用支援機構の情報についていろいろ聞きたいと思って、厚生労働省を通して、決算の状況とか事業がどうなっているかという、我々が判断できる情報が欲しいということをお願いしたわけですが、これがなかなか情報が出てこないんですね。それで、ホームページに出ているいわゆる決算書、それを持ってきまして、私の手元に今あります。

 決算報告書とか財務諸表とか、これは法律に定められたルールによるものですから、当然これが出てくるのは当たり前なんですが、これを見ただけでは、やはり障害者の皆さんが皮膚感覚で思っている、機構がちゃんとした仕事をしているかどうかなんということの判断は、私はできないと思うんですけれども、きょう厚生労働政務官に来ていただいておりますので、政務官、どう思われますか。この機構が出している決算報告書だとか財務諸表だけで、本当に機構がきちんと仕事をしているかどうかということは皮膚感覚でおわかりになると思いますか。

松野大臣政務官 障害者雇用納付金制度の収支状況等については、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページ上において決算報告書及び財務諸表の中で公表しているのは先生御指摘のとおりでありますが、先生の御質問の意図は、こういったものは利用する国民の立場に立ってよりわかりやすく使い勝手がいいものにしていくべきだという御指摘だと思いますので、そのように改善に努めてまいります。

逢坂委員 政務官からそのように改善に努めていきますという言葉を聞いて、私はほっといたしました。

 それでは、多分そのようにこの先改善されるのだろうということで、あすからまた障害者の皆さんの声にこたえるために、一生懸命、機構なり厚生労働省に、情報を教えてください、どうなっていますかということを聞かせていただきたいと思います。そのときに改善に努めていなければ、それはそれなりのことをまた私もしなければいけないと思っておりますので、政務官も応援よろしくお願いいたします。

 いずれにいたしましても、民主主義を考える上で情報が極めて大事だということを繰り返し述べさせていただきたいと思います。これがない限りは、どんなに改革だ改革だと叫んでみても、改革の実が上がっているかどうかすら実は判定ができないわけですね。

 したがいまして、情報の公開、いわゆる情報公開法に基づく狭義の意味での情報公開ではなくて、広い意味で国民の皆様にちゃんと実態をお伝えして、主権者たる国民が、我が国政府の、あるいは日本の姿が本当に正しいかどうかというようなことを判断してもらえるような、広い意味での情報公開にこれからも努めていっていただきたいと思います。

 菅大臣の方から御決意のほどをお聞かせいただけますか。

菅国務大臣 それは私も当然のことだというふうに思っておりますので、先ほど来答弁をさせていただいていますけれども、やはり国民に対しての説明責任ができなければ、政治も信頼をされませんし、行政も信頼されません。そういう中で、さらに推進をしていきたい、こう思います。

逢坂委員 さて次に、これまでの分権改革を見てみますと、やはり中央省庁の抵抗というものが相当あったということが指摘をされております。三位一体改革しかり、以前の機関委任事務の廃止のときもしかりであります。

 この中央省庁というのは、大臣、なぜ抵抗するんですかね。国民にとって分権改革はいいものだと大臣もおっしゃる、私もそう思う、多くの人がそう思っている。だけれども、何で中央省庁の人は抵抗するんですかね。中央省庁の人というのは国民のために働いているんですよね。大臣、どう思いますか。

菅国務大臣 中央省庁の人もやはり国のために頑張っているとは私は思っていますけれども、しかし、みずからの権限だとか、ある意味の権力、そういうのに固執したいという人もいるわけでありますから、さまざまな考え方の中で、今指摘されましたように、この改革の中で、三位一体のときもそうでした、そういうことが非常に強いということも私も認識をしております。

逢坂委員 さまざまな権限などに固執する人も多いということでございますけれども、やはり国民のために働いて、この国をより一歩でも一センチでもいい国にしたいと思うわけでありますので、官僚の皆さんも、これは優秀でありますから、その優秀な能力をやはり正しい方向に使ってもらわなきゃならぬと私も思いますので、ぜひこの点は、大臣、しっかりとしたリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 あわせて、これはリーダーシップだけではうまくいかないわけでありまして、今回の法案の三条一項に「地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制を整備する」という規定が、前の法律とは変わって、これを入れ込んだわけでありますけれども、これについて、この間本会議でもお伺いさせていただきましたけれども、具体的にどんなことを想定されているんですか。どんなことをやろうと思ってこの規定を設けられたのかをお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 この第三条というのは「国及び地方公共団体の責務」ということになっておりますが、第三条の一項は、その中でも特に国の責務として、国の責務と申しますか、役割と言った方がいいかもしれませんけれども、国としては「地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制を整備する」とあるのは、具体的にはまたそのとき考えていくことになると思いますけれども、考え方としては、いろいろ独自の観点から、分権改革推進委員会が勧告された指針、それに沿って分権改革推進計画をつくるという段階になりますと、やはりそれは政治的なリーダーシップというものが必要になる場合もあろうかと思います。そういった場合には、それにふさわしいような体制をつくるということも含めて考えていく必要があろうかと思っております。

逢坂委員 最後の言葉に、それにふさわしい体制を整備していくこともというような話をしましたが、私が聞いているのは、それにふさわしい体制というのは何なんですかということを聞いているわけであります。あるいは、先ほど冒頭に、これからその時点で考える的な発言があったわけですが、そういうある種軽い気持ちでこの条項を設けたとするならば、それは、先ほど言いました、中央省庁の抵抗をきちんと排除するということにはならないのではないかと思うわけですが、この点、もう一度、藤井行政局長の方、いかがですか。

 その前に、厚生労働政務官、私の方はもうこれで終わりましたので、もしあれであれば。ありがとうございました。

藤井政府参考人 お答えします。

 私は、ふさわしいと申し上げましたのは、分権改革推進委員会から具体的な指針の勧告が出てくるわけですが、それを、その後閣議決定に至る、あるいはその後各省庁に対して必要な措置として関係法令の見直しをしていただく、それを実行するに相当というか、そういう意味で言っているわけでして、決して適当にというような意味での相当とか、そういう意味ではございません。やはり必要な体制を整備するという意味で申し上げているところでございます。

逢坂委員 大臣、今の私と藤井行政局長のやりとりを聞いて多少笑みを浮かべられましたが、大臣、今の答弁で納得できますでしょうか。いかがですか。

菅国務大臣 これは、逢坂委員が考えているのと私の考えと全く同じだと思うんです。

 先ほど来の話の中で、三位一体の中の極めて強かった抵抗だと。そういうものを排除できる、省庁間の全体の壁をぶち破れる人間でなきゃならないというふうに思っています。それは、やはり私は、内閣総理大臣だと。そういう中で、まさに私どもは、政府一体となって挙げて行わなければこの地方分権は推進できない、こう思っています。

逢坂委員 私は、これまでの分権改革を見ておりまして、特に十一年の分権推進委員会の議論を見ておりまして、推進委員会の議論そのものが、その時点でもう既にいろいろな抵抗に遭っている、勧告を出す以前の議論のところでいろいろな抵抗に遭っている。だから、勧告を出して、それを受けて具体的に何をするかの段階ではほぼ決まりというようなところも多少あるわけでありますので、ぜひ推進委員会レベルのときにも抵抗というものがなくなるようにしなければいけないのではないか、このことを強く主張したいと思います。

 そこでの議論が、フリーハンドで、自由に、本当に日本の将来を考えた議論ができるようにすることが大事だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 それは、私は、言われるとおりだというふうに思っています。

 そして、推進委員会の委員は、地方分権計画の具体的な指針についての勧告などを行う機関であり、その進め方や勧告の具体的内容については、これはみずからできることになっていますから、そこにそうした影響が及ばないように、そうするのが、ある意味で私の役割かなと実は思っています。

逢坂委員 そこで、今回これは実は三年という時限になっているわけですが、前回は五年でしたが、三年というと前回より二年短いわけです。議論をある程度集中させなきゃいけないのかなという気も私自身はするんですが、その点について、具体的なイメージ、議論を集中させるのかさせないのか、広範にやるのか、集中させるとすればどの分野なのかというのは、大臣の段階で今ございますでしょうか。

菅国務大臣 私は、当初これは、前回が五年でしたから、いろいろな考え方があるのも事実です。しかし、三年にしてやろうということを私の決断で行いました。

 というのは、こうした地方分権というのは、委員も十分おわかりだと思いますけれども、機運を盛り上げて一挙にやらないと、なかなか時間がかかって、いろいろな審議をして、その結果がいい結果につながるということだけではないというふうに思っていますので、三年あれば十分さまざまな議論ができるというふうに実は思っています。

逢坂委員 三年あればさまざまな議論ができるということであるならば、限定的ではなくて、ある種広範囲にやるというふうに理解をしてよろしいわけですね。わかりました。

 さて、次に、今自治体の現場では、ちょうど来年度の予算編成に向かってさまざまな準備、第二段階ぐらいのレベルに入っているでしょうか、始まっているところであります。

 自治体も、今なかなか全国大変でありまして、特にだれがどうこうと言うつもりはないんですけれども、国の基礎的収支よりも自治体の基礎的収支の方がいいから自治体は裕福であるなどという、本当に財政のことを知らないことを、本当は知っているんだけれども、あたかも知らないかのごとくにしゃべったりする勢力があったりして、私は、ああいうことを言って、自治体の財政が楽だなんて言っている人は、本当に大丈夫かな、人生を安らかに送れるのかなというふうにも思うわけでありますけれども、自治体は今、相当苦しいんですね。

 今、大臣、自治体財政の実態、状況について、どのような感想をお持ちになっているでしょうか。

菅国務大臣 私も、副大臣当時から、合併した市町村にも出向いて、地方の皆さんと何回となく実は懇談をしています。地方は極めて厳しい状況にある、このように私は認識をしています。

逢坂委員 そうなんですね、やはり相当地方は厳しいというふうに私も感じます。

 私の住んでいるニセコという町でも、小渕内閣のころに一般会計予算が五十億を超えておりました。ところが、今はそれが三十億の前半。私が町長であったときにつくった財政計画では三十億を切り込まなければやれないというような、一般会計が半額というような状況すら想定しているのが実は自治体の状況かなというふうに思っております。

 さて、そこで、厳しい財政の中ではありますが、地方交付税ですね。これは自治体にとっては極めて重要な財源であり、自治体固有の財源でありますけれども、地方交付税が自治体固有の財源であるという考えは、大臣は、これは変わらないでしょうか。

菅国務大臣 そのように理解しています。

逢坂委員 さて、そこで、地方交付税に関して、例えばことし一月、地方六団体から提出された、総務大臣と当時の地方六団体との会合において、地方六団体ではこんなことを言っているんですね。「地方交付税を政府の政策誘導の手段として用いることは、今後、順次縮小すべきである。」すなわち、現在の地方交付税の中にも政策誘導の手段として織り込まれているものがあることを前提にして、こういう言い方をしているわけですね。それから、同じくそういうことが地方六団体から別の機会にも言われているわけです。

 ところが今度、地方応援プログラムというのを入れるということでございますね。これは、この間の総理の答弁によると、そういうものではない、補助金化とかではないんだというような話をしましたが、補助金化ではないかもしれないけれども、政策誘導にはならないですかね。大臣、どうでしょうか。

岡本政府参考人 政策誘導とかいう知事会等の御意見もあったことの御説明だけちょっとさせていただきたいと思います。

 これまで、地方交付税に関しまして、もう委員御承知のように、よく議論になりましたのは、事業費補正等で、例えば道をつくるとか箱物をつくるとか、そういう個別の事業に着目して、それを、例えば事業費の一定割合を交付税で後から追いかけていくというようなものがまさにそういう個別の政策誘導になるのではないか。政策誘導というより、ある意味で施策の誘導といったものに近いと思いますが、そういう事業費補正について、これを段階的に縮小していくべきだということが諮問会議でも議論をされ、また六団体等からもそういうことが要望されて、都道府県分の例えば事業費補正でございますとか、そういうものは順次縮小してきているということはもう御承知のとおりでございます。

 それで、今回の「頑張る地方応援プログラム」につきまして、御案内のように、交付税の役割というのは、地方団体に一定の行政水準を保障するということでございますから、その保障の仕方としては、法令等で義務づけられている一定水準をきちんと保障するということと同時に、例えば離島でありますとか過疎というような条件の不利な地域にも一定のラインをそろえるための条件の整備でありますとか、あるいは、行政改革でありますとか地域振興という地域共通の課題、政策課題といったものに対応するため、そういうふうに頑張っているところのものに、例えば昨年度もやって御議論いただきましたが、インセンティブの算定とかいうのをやらせていただいているわけでございます。

 この「頑張る地方応援プログラム」と言っているものの中で、どのような内容にするかは、これから地方団体の意見やいろいろなものを聞いてそのプログラムは組み立てられてまいるわけでございますが、ある意味では、魅力ある地方をつくる、そのための定住人口の増加でありますとか地域の産業おこしでございますとか、そういう地域の共通的な、標準的なそういう意味での取り組み、政策、課題であろうと思っております。

 そういう課題に向かって地方団体が努力していく、そのときのきめ細かな算定の一環として、その努力の成果を頑張りの成果として交付税の算定に反映しようというふうにしているものでございまして、いわゆる事業費補正等がある意味ではもう少し縮小していくべきだと議論されたような、一つ一つの事業に着目してそれを追いかけるということではなくて、例えば、定住人口を増加させるというようなことは、それぞれの地方団体によっていろいろなやり方で多分お取り組みになっている、その個々の具体の施策の内容について、一つ一つそれを追いかけるというようなことを我々今考えているわけではございません。

 ですから、そういう意味では、ある意味では、定住人口の増加というのは成果の指標、どういうものを使うかはこれからの議論でございますが、そういう包括的な成果といったものを一つつかまえて交付税の算定に使っていけないかということで、年末に向かって、そういう検討に今取り組んでいるという状況でございます。

逢坂委員 今の岡本局長からのお話で、二つ話をしたいと思うんですけれども、政策誘導という言葉を私が使って、次に局長の方から、前半は誘導という言葉がありましたが、途中からはインセンティブという言葉になって、何か別のものであるかのようにおっしゃったんですが、インセンティブというのは、私は余り英語がわからないんですけれども、誘導という意味ですよね。そうじゃないのかな、違うんでしょうか。だから、日本語を英語に置きかえれば別の概念になったというふうに思うのは、多少言っている意味は違うのかもしれませんけれども、注意が必要かなというふうに思います。

 それからもう一つ、地域の産業おこしみたいなことであるとか定住人口がいるとかいないとかによって交付税の額が多少変わるというようなことがある、しかし、ともすれば、それが定住人口がたくさんいるところにとってさらに有利になって定住人口がふえる、産業が興っているところにたくさんお金が行ってさらにその産業おこしがうまくいくというようなことでは、やはり交付税の趣旨を逸脱しているんだと思うんですね。最低限の行政サービスの水準を維持するために、産業があるない、定住人口があるないにかかわらず、住んでいる皆さんにどうやって最低限のサービスを提供するかということが交付税本来の趣旨であると思われますので、そこのところは間違わないように、ぜひ今後、年末に向けて決めていただきたいなというふうに思います。

 それと、自治体の予算編成はなかなかタイトな狭い期間の中でやっておりますので、方針については早目に全国の自治体にお知らせをしていただきたいと思いますが、大臣、この点についていかがでしょうか。

菅国務大臣 私、大臣に就任して、財政力指数の低いところでも何とか頑張れる環境をつくりたい、そういう中からこのアイデアを実は出させていただきました。

 今、政策誘導の話をされましたけれども、その限られた中でできることは、やはり私は、地方に元気を出させるために仕組みが必要だということで、今、室をつくって、地方自治体の市町村長からもお話を伺って、十二月ぐらいまでにその制度設計をしていきたい、こう実は考えておりますので、その思い、そして私は、必ず地方に喜んでもらえる、そういうふうに思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 それと、実は私、地方の長といろいろお話しする中で、やはり安心感を与えることが必要だなということを物すごく感じています。来年の交付税はどうなるんだ、その次はどうなるんだ、少なくとも三年間ぐらいは予見可能なものをつくれないか、そういうことを今私は事務当局に指示しています。そういう中で、やはり地方自治体が見通しを持ってそれぞれの市町村の運営をできるように、そういうことをぜひやりたい、こう思っております。

逢坂委員 大臣から予見可能性という言葉が出ましたけれども、それは自治体にとって極めて大事なことだと思います。いろいろな長期計画をつくっても、財政の予見可能性が低いために、そのせっかくの計画が魂が入らないものになるという場面が多々ありますので、ぜひその予見可能性については頑張っていただきたいというふうに思います。

 それから、「頑張る地方応援プログラム」とかではなくて、やはり頑張れる地方をどうつくるかということだと思いますので、頑張る地方ではなくて、頑張れる地方創出プログラムとか、そんなことがきっと大事なことなのではないかなというふうに私は思います。

 さて、そこで、分権型社会を考えるときに重要な視点として、自治体の自律ということがよく言われます。自律性を高めるんだということですね。ただ、私は、この自律というのは、自分の二本の足で立つという自立よりも、最初にまず大事なのは、自分の自治体のことを自分たちの責任、意思できちんと制御できるという意味での自律、いわゆる漢字でいうと、ぎょうにんべんの自律というのが二本足で立つ自立以前にそもそもなければだめなんだろうというふうに私は思うんです。手の上げ下げまで人に制御されるとか、そういうことでは本当の意味での二本足で立つ自立というのも実現できないんだろう。もちろん、究極的には二本足で立つ自立というのも大事なことだというふうには思いますけれども、日本の各地は多種多様であります。産業構造も、気候も、地形も、人口密度も、人口構成も、歴史も、非常に多種多様でありますから、頭から二本足で立つ自立というふうに言われると、夢も希望もないというふうに思う人も中にはいるのかもしれません。やはりそれ以前に、そうではない、あなたたちの地域のことはあなたたちの持てる資源の中であなたたちがきちんと制御できることだ、ぎょうにんべんの自律がまず大事なのではないかという気がするわけであります。

 この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 頑張る地方と頑張れる地方、その違いかなと今思いながら、このジリツについて、今委員の意見を聞いておりました。私は、やはり両方のジリツが必要なんじゃないかな、そう思います。

逢坂委員 これで終わりにしたいと思いますけれども、先日の、安倍総理が就任後初めての衆議院での演説の中で、地方の行財政改革などに絡めて、地方の自律ということを実は所信の中で述べております。このときの自律がぎょうにんべんの自律でした。私は、これを見て、総理は一体どんな意味でこの自律というのを使ったのかな、国がコントロールする意味で自律と使ったのかな、それとも私が言う意味での、地方が自分の意思できちんと自分たちのことを考えられるという意味で自律と使ったのかな、どっちなのかなというふうに思ったわけですが、この点について一つ大臣にお伺いすると同時に、分権改革がぜひとも重要だからしっかりと情報公開してやるんだという決意を聞いて、私の質疑を終わりたいと思います。

菅国務大臣 今の一連の議論の中で、逢坂委員の考え方と私の考え方もかなり、大部分と言っていいかもしれませんけれども、地方分権に関しては似ているな、同じ志、同じ思いだなというふうに私は思っておりますので、まさに地方が自立できる、そうした社会をつくるために全力で頑張ります。

逢坂委員 以上で質疑を終わります。どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 大臣におかれましては、先日に引き続き、質疑のほど、よろしくお願いいたします。そしてまた、委員席の方で非常に不規則な発言が多い土屋政務官においても、きょうは答弁者としてしっかりと御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 法案の審議に入る前に、命令放送に関して、電監審に関して最初少しだけ質問させていただきたいと思います。

 まさしくきょう、衆院の本会議の方で同意人事が行われましたけれども、我が党は電監審に関しては反対をさせていただきました。このことは、今回推挙されました方々の人物がどうこうということよりも、以前から我が方が与党側にお願いしておりました、今回非常に重要な諮問が行われるということにかんがみて、事前に委員会ないしは議運の方でヒアリングをさせていただきたい、御本人とお会いしてどのような人物かをしっかり判断させていただく機会を持たせていただきたいということをお願いしていたんですが、それがかなわず、実際どのような方か、いろいろなところから見聞きすることはできるんでしょうけれども、実際そのような願いがかないませんものでしたから、そういう意味において反対をさせていただきました。

 この電監審のことについてまずはお伺いしたいんですが、当初から言われているとおり、八日の日に大臣の方が命令放送に関して諮問されるという話がありましたけれども、これは確認のためですが、予定どおり八日の日に諮問されるということでよろしいですか。

菅国務大臣 そのように考えています。

寺田(学)委員 今回、同意人事の中に、九日の日に任期を満了される委員がいらっしゃると思います。間違っていたら訂正していただきたいんですが、いずれにせよ、近日中に任期が切れられる方がいらっしゃるということであれば、もし諮問にかけられて、何日以内に上げてこいということは命令されないでしょうから、本当に非常に重要な問題だからと、時には諮問の答申が一カ月、二カ月後になってからされるということもあると過去のデータから伺っておりますので、そういうことにおいて見ると、同意人事で参議院の方までしっかりと同意が行われて、正式な電監審のメンバーが確定した上で諮問をされるということも考え方としてはあるんでしょうけれども、なぜにこの八日の段階で、衆議院にかけて、また、そういう期日が、実質的に委員が欠員するかもしれないような状態で諮問されるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 電波監理審議会は原則として毎月一回定例開催をしており、今月は八日に開催することになっています。十一月八日にはこれまでどおり十分な審議が行われる、こう思っています。

 確かに、委員御指摘のとおり、委員の一人が十一月九日に三年の任期満了となりますけれども、十二月二日に任期満了となるもう一人の委員とあわせて今臨時国会で再任をお願いした、そういうところです。

寺田(学)委員 まさしく一カ月に一回電監審が開かれるのであれば、参議院の方の同意が行われた後に諮問されることも考えられる、それの方が通常の考えではないかなと思うんですが、そこを待つことができなかった理由というのはどちらにあるんですか、大臣。

菅国務大臣 待つとかということではなくて、予定どおりの日にやらせていただくということです。

寺田(学)委員 では、なぜに予定をそのような日に立てられたんですか、大臣。

菅国務大臣 月に一回ということが決まっていまして、たしか第一週とか二週とか、そういうことも決まっていたようであります。

寺田(学)委員 今回の命令放送に関しての諮問に関しては、報道関係者含めて、我が党としても非常に注目をしております。ですので、電監審においてどのような審議がされるのかということは非常に注目されていることと思います。本当に今回、ある種、通常の命令放送よりも一歩踏み込んだ形の大臣の御判断がありましたので、以前よりも重要な諮問であるということをかんがみて、この審議会の様子というものを公開されるということはお考えにないでしょうか。

菅国務大臣 電波監理審議会は、行政処分や不服審査等の審議を行うことから、審議会等の整理合理化に関する基本計画の趣旨を踏まえ、審議会の申し合わせによって、審議そのものについては公開しないことになっています。

 ただ、公開しないかわりに、従来より、審議後、会長が記者会見を行い、審議状況を発表、議事要旨、議事に用いた資料についても総務省のホームページにおいて公開をいたしておりますし、さらに、議事録については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の請求に基づいて公開をしているほか、電波監理審議会事務局において閲覧公開をしています。

寺田(学)委員 議事要旨は公開されるということでしたが、議事録自体を公開されるということはされないんでしょうか。制度としてすることができないのであれば、それを付言していただければ結構ですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 議事録につきましては、今申し上げましたけれども、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の請求に基づいて公開をしている、さらに、電波監理審議会事務局においても閲覧で公開をしているところです。

寺田(学)委員 余り質疑が、ちょっと私の説明が悪いのかもしれませんが、かみ合っていないんですけれども、電波監理審議会の議事に関しては、議事規則という形で、総務省令で決められているんでしょうか。調べさせていただきましたが、その中に、非公開とするであるとか、議事録は公開しないとかいうことは一切書かれていない。書かれていない以上、大臣のお考え一つで、公開するべきだと言うことは可能だと思うんですよね。可能であるかどうかという御判断はいかがですか。

菅国務大臣 審議会の申し合わせにより、審議そのものは公開しないこととされている、さらに、先ほど来申し上げていますけれども、電波監理審議会事務局において閲覧で公開をしておりますから、議事録については必要であれば電波監理審議会事務局においても見られるということになっています。

寺田(学)委員 確認しますけれども、議事録でよろしいですね。議事要旨ではなくて議事録ですね。

菅国務大臣 議事録です。

寺田(学)委員 議事録を公開されるのであれば、その審議の模様を傍聴したいと希望される方がその場に居合わせることは何も情報管理上支障はないように思うんですが、その点は、わざわざその部分は大臣の意思として非公開にされるという判断でよろしいんですか。

菅国務大臣 これはあくまでも審議会の判断じゃないかと思います。

寺田(学)委員 大臣として公開にすることができるんですか、できないんですか。どっちですか。

鈴木政府参考人 大臣が定めております電波監理審議会議事規則によりまして、「この省令に定めるもののほか、会議の議事に関する手続の細目については、会長が電波監理審議会に諮って定める。」ということにしておりまして、それを受けて電波監理審議会で申し合わせるということでございます。

寺田(学)委員 いや、全然僕の質問に答えてもらっていないので、正直残念なんですけれども、大臣が求めることは可能だと思うんですよ。

 今まで、命令放送の議論をしているときも、なぜに要請ではなく命令放送にするのかと言ったら、国民の皆さんにわかりやすいように情報公開をするんだと。大臣の一つのポリシーだと思うんですよね。そうであるならば、この電監審は、まさしく大臣が諮問されるんですから、公開で今回は行うべきだ、そういうふうに委員に申し出ることだって可能だと思うんですよ。その申し出もされないですか。

 大臣の意思を聞いているんです。

鈴木政府参考人 ただいまお答え申し上げましたとおり、大臣の意思というものは、電波監理審議会議事規則、これは当時の郵政省令でございますが、省令で定まっておりまして、その中で、省令に定めているもののほか、会議の議事に関する手続の細目については、会長が電波監理審議会に諮って定めるということになっているのでございます。

寺田(学)委員 正直、質問取りの段階で、こういうような答弁をされるんだったら、もう登録するのを控えたいと思うぐらいの答弁で、残念で仕方がないんですけれども、大臣の意思としてどうなんですかと。可能ですか、不可能ですかということをお答えできるんだったらもう一度お伺いしますけれども、書いていないじゃないですか、別にそんなことは。

 だから、大臣が申し出るのか申し出ないのかということを聞いているんです。意思として、大臣が非公開を望まれるのか、それとも、できれば公開が望ましいけれども、それは合議体で決められるんだと考えられているのか、どっちかというのを聞きたいんです。大臣としてどうされるんですか。大臣としてどうされるのか聞きたいんです。

菅国務大臣 私は、通常どおり、この電波監理審議会の判断に任せたいと。

寺田(学)委員 しつこく聞きますけれども、大臣としてはどうされたいんですかというのを聞きたいんです。

 審議会の方が非公開にしたいんだというのであれば非公開でいいし、いや公開にするといったら公開にしてくれ、もう勝手にしてくれ、自分自身としてはどっちでもいいんだということですか。

菅国務大臣 ですから、私は、この電波監理審議会の意向に、今までの議事規則にゆだねるということです。

寺田(学)委員 今までは、分権の話も含めて、オープンにやりましょう、不透明なのはよくないと言われていて、今回、いろいろな賛否はあろうとも命令放送するんだ、拉致問題という項目も挙げるんだという政治判断をされたところに、私は正直尊敬を申し上げておりましたけれども、いざこのことに関して、いや、公開の方が望ましいと大臣が一言言ってくれれば、審議会の方々だって、では公開でやろうかと考えると思うんですよね。それを、この場において急にさじを投げて、判断をそちらに任せるというのは、正直、大臣らしくないなというふうに思うんです。

 いかがですか、大臣。公開でやりましょうよ。

菅国務大臣 議事録についても、これは閲覧でも公開していることですから、私は今までのそれに任せる、ゆだねるということで、私は全くおかしくないのかなと思います。

寺田(学)委員 別に無理矢理やれとかどうこうじゃなくて、大臣は、情報公開を求めたり、不透明なものに関して非常に強く公開することを求められておりましたので、ここの部分も、そんなに自信を持ってやられるんだったら、公開でやるんだというふうにやられた方が私は自然だと思うんですけれども、このことばかりやっているわけにいかないので、正直その部分は、きょう考え方を委員会後に変えられてもいいので、何とぞ大臣らしくオープンな形で諮問されることを強く望みます。

 法案の方に入りますけれども、今回、この法案において、報道上でもよく言われていましたけれども、道州制の議論というものを盛り込まなかったということが言われています。諸説さまざま言われていますけれども、まず、道州制の議論、道州制の考え方に関して基本方針に含めなかった理由というのはどのようなものですか。

菅国務大臣 道州制というのは、これは先の話になります。しかし、この地方分権改革というのは、ある意味では目前の話でありますから、まず分権をしっかり行う。そして、道州制については、並行して、道州制担当大臣がいます、そこで国民の議論を高める、さらに、ビジョン懇というものをまた立ち上げますから、そういう中で道州制は進めていく。

 しかし、その前に、この地方分権というのはまさに極めて早急に大事なことでありますので、これを一緒にしてしまいますと議論が行ったり来たりになってしまう可能性というのは十分にあると思いましたので、まずこの地方分権一括法をきっちりやって、その先に道州制というのは見えてくるんだろうな、こう私は思います。

寺田(学)委員 道州制の議論というものは中長期的なものであるので、この直近のものに関して議論を進めたいというお考えはわかりました。

 もちろん、分権を進める上では、国が持っている権限というものを地方にまさしく分権していく、そうであるならば、受け取る側、受け取る側という言い方はよくないのかもしれませんけれども、分権の自治体の受け皿というもの、受け皿という言い方もよくないのかもしれませんけれども、その自治体の規模というものもある種考えなければいけないと思うんです。その分権と分権の受け皿である自治体規模、そのことに関して、非常に関連があると思いますが、大臣はいかがお考えになられますか。

菅国務大臣 今後の市町村というのは、やはり住民に最も近い。この分権の先も、国で行うものと、住民に一番近いところはやはり地方自治体がみずから自律をして主体的になって行う、そういう方向を目指しておりますので、そういう意味では、市町村への権限移譲というものを積極的に進めていく。それと同時に、市町村合併を積極的に推進し、市町村の規模、能力のさらなる充実、行政基盤の一層の強化というものも、これは私は大事になってくるなというふうに実は思っています。

寺田(学)委員 分権を進めていく上で、分権される側の方がどのような自治体、まさしくそこを強化するどうこうというお話をされました。今、市町村合併というものは一山越えましたけれども、まだ続く方向にあると思います。ですので、この分権を議論する際においては、道州制ほど中長期的、まだ現実的とは言えないようなことを省くのはわかりますけれども、自治体規模はどのような規模がいいのか、今二千弱でしょうけれども、もうちょっと人口規模を大きくして、自治体の強さというものを高めた方がいいとか、さまざま考え得ると思うんですよね。

 だとすれば、この分権の今回の法案ですけれども、勧告を出してもらうために、推進委員会でしたか、そこに諮問するような形になると思うんですけれども、その場でまさしく自治体規模の議論というのをされるように大臣として御要請されるんですか。

菅国務大臣 七条においては、行財政改革、公正、透明性の確保などを含めて、地方行政体制の整備、確立について規定をしています。そういう中で、地方分権改革推進委員会は、その調査審議の進め方や勧告の具体的な内容の決定をみずからの判断により行うことができるということにされています。

 自治体の適正な規模について調査審議の対象とするか否かについても、これは委員会において判断をされるというふうに思っています。

 ただ、総務省としては、引き続き、合併新法に基づいて合併を推進していきたい、こう思います。

寺田(学)委員 まさしく今、分権推進委員会、正式名称じゃないかもしれませんけれども、そちらにお任せするという話でした。

 だとすれば、大臣側としては、その分権推進委員会の方でどのような議論をしてほしいという項目立てみたいなものを今後提示されるような御予定はあるんですか。

菅国務大臣 基本的には委員会において審議をされる、そういうことだというふうに思っています。

寺田(学)委員 では、委員会がかなりのフリーハンドをもって、総合的に、まさしく委員会が自主的にいろいろな議論を進めていくという判断でよろしいですか。

菅国務大臣 そのとおりです。

寺田(学)委員 その場合において、今もう既に政府の方で進めている新型交付税であるとか、「頑張る地方応援プログラム」であるとか、さまざま、交付税措置の考え方でもあると思います。そのようなものを一方では政府の方で進めていて、フリーハンドを渡された分権推進委員会の方では、まさしくそこもフリーハンドを与えられて議論していくわけですよ。ここの整合性というのはどのようにして図るんですか。

菅国務大臣 「頑張る地方応援プログラム」と新型交付税は十九年度から行うことになっておりますので、これは当然、粛々と予定どおり進めていくということです。

寺田(学)委員 今後三年間で議論して一括法に向けて勧告を出すわけですけれども、その間に政府側として、新型交付税等々は今もう決まっていることだからやっていきますと。では、それ以降、もう二年ありますから、その間、交付税に関して、一応推進委員会の方にフリーハンドで任せているから特段大きないじり方はしないというようなお考えなんですか。

菅国務大臣 それはそういうことでもないと思います。必要なものについては、やはり行っていかないとならないと思います。

寺田(学)委員 では、その都度その都度、総務省として、今政府としてはこのような考え方をしているので、そちらの推進委員会の方ではこのような議論を矛盾しないようにやってくれというようなことを大臣もしくは省庁の方で働きかけていくような形になるんですか。

菅国務大臣 そういうことでなくて、現状行っているものについては従来どおり行っていく。推進委員会については、今度の法案の中で三年以内に分権一括法という形になっていますから、そこでさまざまな議論、方向性というのが打ち出されると思います、国の関与の問題だとか。そういう形になってくると思いますので、その法律によって、例えば新型交付税ですと関与が縮小されますから拡大させていく、そういう形になっていくのかなと思います。

寺田(学)委員 政府の地方分権の政策と推進委員会がつくる分権の政策づくりというものは、ある程度歩みをともにしてやっていくような調整をしてされていくという考え方でよろしいですか。

菅国務大臣 基本的に、今現実的にやらなきゃならない、現実に今進めていることがありますから、それと、新たなこの推進計画になりますけれども、それについては支障を来すようなことは私はないというふうに思います。

寺田(学)委員 逢坂委員の方も質問されていましたけれども、まさしく、勧告を出す前段階においてさまざまな省庁からのいろいろなプレッシャーがかかるのではないかということもありました。そしてまた、勧告を出した後に、本当にそれが政府の閣議決定される推進計画の方に盛り込まれるかどうかというのも非常に際どい闘いが迫られるんだろうなというふうに、過去の経緯を見ていると非常にそれを感じてしまいます。

 ですので、こういう受け皿、議論の場をつくる段階において、その勧告自体を政府として今どのようにとらえているかという発想は、非常に大事な判断だと思うんです。まさしく純然たる勧告だと受け取るのか、それとも、いや、この勧告は意識としては計画の基礎となるようなものなんだと考えるかによって、全然考え方は変わってくると思うんですよね。以前は、出した勧告に関して総理自身がそれをできるだけ守るようにしなきゃいけないというような法文がありましたけれども、今回はそれを削除されている節もあります、前の議員がいろいろ質問されたと思いますけれども。

 そもそも、この出された勧告に関して、政府としては、単なる勧告としてとるのか、いや、勧告の中でもある種計画の基礎となるものなんだというふうにとらえられるのか、どちらの方なんでしょうか。

菅国務大臣 勧告に基づいて計画をつくることになっていますので、勧告は極めて重いと思っています。

寺田(学)委員 了解いたしました。

 三年後も菅大臣であることを、野党であることを差し引いて、お祈り申し上げておきます。

 本当に一昨年の三位一体の最終的な攻防というものは非常に熾烈なものであったなと思います。ですので、今大臣が、意思として非常に重いものだと言われたことも一つの大きな歯どめになるでしょうし、何かしら、ある程度、その勧告を重要なものとして守るために施策が必要ではないかなと、いろいろ思うんです。

 言い方は悪いですけれども、役所の方々というのは、自分の省益に関して非常に大事に大事に思われてなかなか手放さない。自分たちがその省益を放してしまえば自分たちの身分が危ないんじゃないかということを考えると思うんです。ですので、この委員会の中で、まさしく大臣がホームページでもおっしゃられているとおり、分権したら国の役割というのはかなり減るんですから、減った分の、今までついていたお役人さんたちの仕事をどのように再配置するんだということも、この三年間に議論するというのは、非常に有効であり、抵抗を抑える一つの施策だと思うんです。

 分権によって仕事を失った有能な中央官庁の方々の再配置を、非常に重要な問題になると思うんですけれども、どのようにやるのかみたいなことをこの委員会の中で議論するように働きかけるおつもりはありませんか。

菅国務大臣 地方分権改革の推進に伴って、中央省庁の余剰人員が発生した場合は、政府全体としてやはりこの対策というのを私は考えていくべきだというふうに思っています。

 そして、この委員会で余剰人員について調査審議の対象とするかについても、これは先ほどと同じような形で、委員会の判断にゆだねる、そういうことになっています。

 しかし、私は、冒頭申し上げましたけれども、やはり政府全体としてこれは責任を持って取り組んでいくことだというふうに思います。

寺田(学)委員 僕は、総務省でまとめられるのか、その委員会でまとめられるのか、いずれにせよ、その部分は早目に結論を出して方向性を導いてからじゃないと、いわゆるお役人さんたちの省益確保の闘いというものは熾烈をきわめるのではないかなと。そこら辺は、一昨年の三位一体のあのことを思い出しながら、知恵を絞って頑張っていただきたいなと強く思います。

 前回出された同様の分権推進法のときにはあった文言が多少変えられていたりということは、さまざまあると思います。地方の税財源の移譲に関しても、十分なものにするというものが、検討事項になっていたり。そういう意味では、地方の方々は非常に不安に思っている部分もあると思います。

 そこで、土屋政務官の方にもお伺いしたいのです。

 前にも質問がありましたけれども、やはりそういう部分は現場の人間こそが一番のリアリティーを持った政策を提言し得るということは、現場にいらっしゃった土屋政務官こそがまさしくおわかりだと思います。

 そういう意味において、本当に、地方と政府との議論の場、意見交換ではなくて、できることなら何かしらを決めるような議決の場みたいなものがあるのが私は望ましいと思うんですけれども、土屋政務官としては、いかがお考えですか。

土屋大臣政務官 寺田先生の前半の、現場にいた人間が極めて重要な判断をするということについては、おっしゃっているとおりだろうと思います。というのは、時代の変化というものは、まず地域社会、現場に出てくる、高齢化の問題も少子化の問題も、そう考えております。

 さて、後段の御質問の、それでは地方団体の代表が定期的な協議の場があるかないかといいますと、現在のところ、定期的にやっております。

 ただ、最後の御質問の議決という意味については、どういう御趣旨なのかよくわかりませんが、そこで何か議決をすることが法の体系上どういう意味合いを持つのか、国権の最高機関である国会の権限との絡み、こういうことを考えると、今軽々にそれについてあれこれ言う立場にはございません。

寺田(学)委員 何か政務官らしくなりましたね。以前、市長だったら、国は言うことを聞かない、うちらに決めさせろと、その前段の部分に重きを置いて考えられたのではないかなと、非常に残念に思います。

 言われたとおり、法律の体系であるとか、考え方はいろいろあると思います。ですので、いろいろ詰めていかなきゃいけないとは思うんですが、前段の部分で言われたとおり、地方がやはり現場で一番重要な施策を知っていると。

 菅大臣も以前市議会議員をやられていた部分がありますので、当時の感覚というものが、まさしく国政の場で地方行政のために意見反映されるということが一番素直な形だと思いますので、議決というものはどのような形であるか、議論がさまざまあるとは思いますけれども、実現に向けて頑張っていただきたいなというふうに思いますし、我が方としても頑張りたいと思っています。

 まさしくその現場の話をちょっと延長してやりたいんですが、昨今、地方の首長さんが辞任される、逮捕される、さまざまそういうような話が続いております。福島の件、今知事選をやっておりますけれども、多選禁止のお話が、逮捕につながった一つの原因であると言われております。

 この多選禁止ということに関しても、自民党の幹事長の中川さんが法制化ぐらいのことまで言及されている部分がありますので、その点少し、分権された後に現場がいかに地方自治に最適な行政を行うかという観点を含めてお伺いしたいんですが、まずは、多選による弊害を感じるかどうかを、一応多選に当たるであろう二十年以上市長をやられた土屋さんに、実体験を踏まえてお伺いしたいんですが、いかがですか。

土屋大臣政務官 恐縮です、多選で。六期やったんですから、まあ多選ということになりましょうか。

 ただ、一番気をつけなきゃいけないのは、首長としての心構えだけから申し上げますれば、やはりいつも市民感覚を失わない、住民と同じ目線を維持する、そのためには、身を持し、車なんかにやたらに乗らないで、ちゃんと普通の生活をする、こういうところが一つのポイントではなかろうかと思います。

 御質問の多選の弊害ということについてでありますけれども、いろいろな議論がありますけれども、例えば、東京都内でこの十年間起こった中で、不祥事件でやめた首長が二人おります。これは一期目でございます。それから、いい方ですから言っておきますけれども、江戸川の区長さんは、もう亡くなられた方ですけれども、非常に有名な、ユニークな先進的な仕事をやる首長としては有名でありました。この方などは、多選の最たるものでございます。

 ですから、何を言いたいかというと、制度論とそれから政治論、その人物がどういうふうに政治を行っていくかということとは分けて考えないと、混同した議論になるのではないかという気がいたします。

 なお、ちなみに申し上げておきますが、今手元にあるデータで申し上げますが、仮に、三期まではいい、四期以上は多選だとした場合に、知事の場合には四十七人中八人が該当いたします。それから、政令市の場合には十五人中一人、逆に言えば十四人は多選でないと。それから、市区長では七百七十七人中、何と三期までが七百十六人。だから、大多数がこの三期の中に入っている、こういうことになろうかと存じます。

 これをどう見るか。これは、今後とも引き続き国会の場で御議論いただくこと、このように考えております。

寺田(学)委員 すべての首長さんが土屋政務官のように非常に優秀で謙虚な心構えを持たれている方であれば、何もそういう多選禁止とわざわざ法律で決めるどうこうという話にはならないと思うんですが、何分、首長さんはさまざまな個性があるということで、ある種、制度として枠をはめるのはいかがだろうと。アメリカの大統領がすべて悪人の素性を持っているということではないにもかかわらず、大統領は何期でやめなきゃいけないということを制度として決めているわけですから、そういう意味において、多選禁止に関して制度をつくるということは、私はあっていいのではないかなと。もちろん、憲法問題、さまざまありますが、方向性として私はあるべきだとは思っています。

 ですので、大臣の方にお伺いしたいんですが、法律の方で何期と区切るということになると、即座に憲法問題というものが出てくると思うんですが、地方自治法をいじるのか公選法をいじるのかわかりませんけれども、自治体の首長の任期に関しては条例で決めてもいいという法律をつくるのは可能だと私は思うんです。そのような形で多選禁止というものをまさしく自治の中で根づかせていく、そのような制度があると思うんですけれども、大臣はいかがお考えですか。

菅国務大臣 委員の思いというのは、私も理解しているつもりであります。

 私も、かつてこの委員会で、個人的にはどうだと言われまして、私は、アメリカの大統領選挙二期八年のことを、一つの基準じゃないかなということを言わせていただきました。しかし、いざ法律としてつくることになると、これはやはり、今委員も指摘されましたけれども、さまざまな問題が実は出てきます。

 いずれにしろ、この問題というのは、地方自治の観点を含め、さまざまな角度から、また幅広い議論が必要になってくるかなというふうに実は思います。

寺田(学)委員 省内の方で、大臣の意思のもとという言い方がふさわしいかどうかわかりませんが、多選禁止に関していろいろな解釈を詰めていったり、法制度を一歩踏み込んで考えたりということ、検討に関して、これから始められるようなお考えはありますか。

菅国務大臣 今の時点では考えていません。

寺田(学)委員 では、多選禁止に関しては、自粛するような条例をつくったりであるとか、まさしく法律やら条例、何かしらの制限するような形ではなくて、自主的にするように多選禁止というものを考えていくというのが大臣のお考えということだと思います。大臣もかなり思い切ったことをいろいろな方面にされるので、多選禁止に関しても省内でお考えになられるのかなと多少期待していた部分があるので、その部分もちょっと正直残念に思いますので、何かまた気が向きましたら、どうぞお考えになってください。

 まさしく大臣の方が肝いりで考えられましたが、「頑張る地方応援プログラム」に関してお話をしたいと思います。

 そもそも、今、地方自治体というものは、平等な競争が行えるようなスタートラインに全員が立っているのかどうか。どのような御認識か、まずは大臣にお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 それぞれの地方というのは、さまざまな特色があると思っています。都市化が進んでいるところもあれば、自然環境がいいところ、あるいは伝統文化に恵まれている、そういう地域資源の魅力をそれぞれの地方団体というのは生かしている、こういうふうに思っています。

 そういう中の魅力を引き出すために、「頑張る地方応援プログラム」、財政力指数の低いところでも何らかの形でそこの地域の特徴を生かしたことができるのじゃないかなと、そういう中で私自身がこのプログラムを提案したところであります。

 過疎地域など、当然、条件不利な地域もあるわけでありますから、こうした競争になかなか参加をできない、そういうところについても、過疎債というのがありますので、そういうことも含めて考えていきたいなというふうに思います。

寺田(学)委員 それでは、基本的にさまざまな規模の差、財政力の差はあれど、少なからずどの自治体でも頑張れる、要は、言ってみれば、頑張るか頑張らないかの意思の問題であって、頑張れないような状態のところはないと、大臣、お考えになられていますか。

菅国務大臣 私は、地方の長の人からいろいろな意見を聞く中で、余りにも地方全体が元気がない、やはり、地方に安心感を与えることと同時に、地方にそうした何らかの目標というんですか、そういうものを与える必要があるということを非常に感じまして、財政力指数が低いところでも何かできないのかなという中で、この頑張る地方応援、そういうことを提案を今して、その制度設計というものをこの十二月までの間に、また現場の市町村長さんから意見を聞いたり、あるいは学識経験者と言われる方から意見を聞く中で、しっかりとなし遂げていきたい、こう思っています。

寺田(学)委員 私自身も、地方が頑張れる要素というのはいずれ何かしら持っていて、それを非常に伸ばして、まさしく地方に頑張ってもらうというのは私の思いでもありますので、その点は非常に理解するんですが、それを交付税という形でやるのが、先ほど逢坂委員の方から言われましたけれども、かなり政策誘導な感じがするなと。

 具体的な項目はまだ正式には決められていないということですが、大臣の発言も含めていろいろ聞こえてきます。外国人登録者数がふえたところであるとか、外国企業数、外資企業がふえたところにはまさしく需要算定を上増ししますよというような話も聞こえてきています。

 なぜに外国企業と。大臣がお生まれになられた秋の宮に外国企業が来るとも考えられないんですけれども、項目立てはいろいろこれから議論されるという話でしたが、地方を頑張らせることは賛同するんですが、交付税を使うことに違和感も感じますし、その中の算定基準として外国企業とかどうこうというのが入るのもいかがなものかなという思いがあります。

 総合的にお答えいただけますでしょうか。それで時間が来ましたので終わりにしますけれども、よろしくお願いします。

菅国務大臣 確かに外国企業というのは、今まで例示を挙げている中で非常に違和感があることであろうかなと思いますが、外国企業の誘致というのは、対日直接投資の増加や新規雇用の創出などを通じて、地域経済の活性化のみならず国全体の経済成長にも資することから、代表的な取り組みの一例として挙げさせていただいたということだけであります。いずれにしろ、日本には進出する外国企業が非常に少ないですから、そういうことも一つの課題かな、そういう思いの中で入れさせていただきました。

 しかし、先ほど秋の宮の話が出ましたけれども、あのような形で財政力指数が〇・二とか三とかで非常に低いところでも、低いから何もできないというのであれば発展がないというふうに私は思っていますので、低いなりに、それぞれの地域の特徴を生かして魅力あるものに生まれ変わる可能性というのは必ずあると思いますので、そういうものを引き出す意味でこのプログラムをつくりました。

寺田(学)委員 本当に平等な競争ができるようなスタートラインに全員を立たせるところから始めて、まさしく地方を頑張らせるような形にしていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 一九九三年の本会議で地方分権推進に関する決議を行って、あのころ、地方分権の推進ということについて、どういうことかということで、やはり住民自治の上に立つ団体自治としての地方自治を進めていく、拡充していく、そういうものとしてやっていくんだから、やはり住民自治をどのように進めるかということと、同時に、権限と財源を保障していくということが当時の地方行政委員会でも大きな議論になったと思うんです。

 この本会議決議以降、地方分権推進委員会の設置、そして五次にわたる勧告と報告、それを受けての政府による地方分権推進計画の作成と地方分権一括法の成立を経て現在に至っているわけです。最近では三位一体改革というのも経験したわけですけれども、この十年余りの地方分権の動きの中で今回の法案が提出されてきたわけなんですが、大臣に最初に伺っておきたいんですけれども、この十三年ぐらいですか、地方分権を推進しようとするこの取り組みを振り返ってみて、今大臣として、残された課題、今これは残っているからしっかりやらなきゃいけないという課題ですね、どういうものをお考えかを最初に伺いたいと思います。

菅国務大臣 平成十一年の地方分権一括法によって機関委任事務制度の廃止などがあって、それなりの成果を上げてきているというふうに私は思っています。

 しかしながら、十三年六月、地方分権推進委員会の最終報告の中に、地方財政秩序の再構築、地方公共団体の事務に対する法令による義務づけ、枠づけ等の緩和、地方分権や市町村の合併の推進を踏まえた新たな地方自治の仕組みに関する検討、そして、事務権限の移譲等の解決すべき課題が存在している、こういうことが指摘をされておりますので、ここのことはやはり大事な指摘だなというふうに受けとめております。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

吉井委員 幾つか課題があるわけですが、その中で最大の課題というのは、何が最大のものだというふうにお考えですか。

菅国務大臣 残されている課題というのはそれぞれ重要であるというふうに思っていますけれども、財政問題を別にして考えれば、特に大きなものは、地方公共団体に対する法令による事務処理またはその方法の義務づけの廃止縮小、そこではないかなというふうに思っています。真に地方分権を確立するためにはこのような課題に積極的に取り組んでいく必要がある、こういうふうに認識をしております。

吉井委員 機関委任事務制度の廃止などを内容とした分権一括法が施行されて、それで、一年後の二〇〇一年六月に地方分権推進委員会の最終報告というのが出されておりますが、機関委任事務制度の廃止などのそれまでの分権の取り組みを振り返りながら、今後の地方分権を進める上でどういう課題が残されているかということを明らかにしております。そこでは、第二次、第三次の分権改革の断行が必要だとして、今後の改革課題を六項目に整理していますね。

 その一番目に、分権型社会にふさわしい地方財政秩序の再構築というのが挙げられ、報告の中に一つの章を起こして、第三章で地方税財源充実確保方策についての提言というのがされて、これは歳入中立の立場に立って国から地方への税源移譲を提言しているものですが、国から地方への税源移譲という課題は、地方分権推進委員会の委員だけでなく、当時の分権推進を望む多くの方たち、大方の人たちが次の課題として考えていたものだと思うんですね。

 全国どこでも、大体七〇年代半ばの地方財政危機のときにも、都市税財源をどうするかとか、もうずっと長い間、都市でも地方でも、税財源の拡充、地方への移譲ということを問題にしてきたわけですが、税源移譲の課題が三位一体改革ということでゆがめられた形で一たん幕をおろしたわけですが、そこで行われる税財源移譲の規模というのは三兆円だったわけですから、まだ不十分なわけですね。

 だから、国から地方への税源移譲という課題というのは、これは地方分権を進める上で引き続き最大の課題だというふうに思うんですが、この点についての大臣の考えというものを伺いたいと思います。

菅国務大臣 私も、そうだというふうに思っています。

 地方の自由度を拡大し、自己責任のもとに魅力ある地方、自律する地方をつくるには、このことが避けて通れないわけでありまして、今委員の言われたとおり、地方分権を支えるためには、地方税を充実させる、このことが必要だというふうに思います。

 今後の地方分権改革や税制の抜本的な改革を通じて、税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しを行って、私は、国、地方一対一を目指して、地方税を充実させるためにこれからも頑張っていきたいと思います。

吉井委員 税源移譲が最大の課題の一つだというところは、そこは今のお話で言っておられると思うんですが、地方分権委員会の委員であった西尾さんは、二〇〇六年、ことし四月二十七日に開催された構造改革特区推進会議第四回定例総会で講演されたものの中でも、「残されている課題は膨大であるわけでありますけれども、第二次分権改革の中心テーマが何であるべきかということになれば、これは自明のことでありまして、地方税財源の充実強化を図るということであります。第一次分権改革は機関委任事務制度の全面廃止を中心にして、いろいろなことをやりましたけれども、」ということで、今度は税源移譲だということを言っておられるわけです。

 税源移譲が大事だということは今お認めになったわけです。ところが、今度の出てきた法案を見ると、この法案の中では地方税財源の充実確保という条文がないんですね。これは何でないんですか。

菅国務大臣 今回の法案においては、国、地方の役割分担に沿った事務事業の見直しを踏まえ、国庫補助負担金や交付税とあわせて、国と地方の税源配分等の財政上の措置のあり方について検討することになっています。

 このあり方を検討する際には、地方税の充実をする方向で見直しをすべきであると思いますけれども、国から地方への税源移譲は税源配分の見直しによる手法であって、税源配分の概念の中に当然含まれている、このように考えています。

吉井委員 ちょうど対照して、ようわかるようにまとめられておりますが、旧法といいますか、一九九五年の法九十六号、地方分権推進法の第六条、ここでは「地方税財源の充実確保」ということがきちんとうたわれていたわけですね、法律上。「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図る」と。だから、旧法ではきちんと「地方税財源の充実確保を図る」と書いてあるわけですね。今度の地方分権改革推進法案では、ここは「国と地方公共団体の税源配分等の財政上の措置の在り方について検討を行う」と。これまでは、充実確保を図るんです、今度は、あり方の検討と。これは明らかに違うんじゃないですか。伺います。

菅国務大臣 重要なのは、まず国と地方の役割の分担の見直しをしっかりやること。そして、具体の事務事業に即して権限移譲や事務処理、その方法の義務づけ、関与の整理合理化を進める。これらを整理した上で、それにふさわしい税財政制度のあり方を検討していく、このようなことが重要であると思います。

 そういった観点から今回の法案は、まず第五条において、地方の役割を強化するために事務事業のあり方を見直しをする、そして六条において、その見直し内容に応じて補助金、交付税、税源配分等の財政上の措置を検討する、そして八条に、財政上の措置も含めて見直し内容を地方分権ということに想定している。今回はこのような制度の法案になっています。

 ですから、当然、財政上の措置というのはこういう中に十分に含まれておりますし、私もかねてから言っていますように、一対一というのは何としても実現をしたい、そういう思いです。

吉井委員 言葉で一対一はいいとして、法律にきちんとそれをうたうかどうかというのが非常に大事なんですね。

 どの権限をどう移譲するかとか、これを検討すると。そこは検討するとして、しかし、その上で、これまでの法律は、「地方税財源の充実確保を図る」と。充実確保を図るというのは、充実させる方ですから、大体ふやす方なんですよね。しかし、今度は、「税源配分等の財政上の措置の在り方について検討を行う」ということでとまっているんですね。検討を行った結果、権限を移したんだから税源を移そう、充実させようということもあり得るわけですよ、それはないとは言いませんが、しかし、いろいろ検討したんだがあれはやめたということにもなるわけですね。

 だから、法律の条文というのは、そこは検討でとどまるのか。これまでは「充実確保を図る」ということだったのに、「検討を行う」ということだけになりますと、検討を行った結果、これまでよりも充実させることにならないということにもなるので、これだったら地方分権改革推進法案の名前に値しないものになりますから、やはりこれはきちんと、言葉の上での一対一を目指すということだけじゃなしに、法律の中でもきちんとうたわれていたものを消し去るということはやはりおかしいわけで、そこはきちんとするというのが私は筋だと思うんですが、なぜこれが消えているんですか。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 今回の法案でも、事務事業をできる限り地方にゆだねる方向で見直しを行い、これに応じて財政上の措置を盛り込んでいくものである。方向性としては、地方税財源の充実の方向での検討が当然中心になってくると思いますし、具体的な内容については、推進委員会の審議、勧告を踏まえて検討していくという形になってくると思いますので、委員の懸念しているようなことはない、こう思っています。

吉井委員 先ほどの西尾さんのを読んでいても、ことしの講演ですね、「日本の自治体を自治体らしいものにするためには、国の法令・通達通知によって権力的に統制されているという側面を変える」これが必要だというのが一つですね。もう一つは、「国庫補助負担金あるいは地方交付税制度によって国から自治体へ財源が移転し、この財政移転をてこにして国、各省が自治体を誘導していくという構造を断ち切らなければならない」と。

 だからこそ税源移譲ということなんですね。それをやらないと、名前は地方分権改革推進なんだけれども、地方分権改革推進、つまり地方自治の拡充につながってこないわけですね。私は、ここは非常に大事なところだと思うんです。

 今回の法案は、これからの地方分権を進める最初の法案ということで出してきたわけでしょう。国から地方への税源移譲というのは、片山大臣に始まって、歴代の総務大臣が経済財政諮問会議などで主張してきたことですね。しかも、法案は総務省が所管して出してきている法案なんですから、その法案に最大の課題である税源移譲を、これまでの九五年の法九十六号では、地方財源の充実確保を図ると。今度の法律は、検討を行うというふうになっているわけですから、明白に、普通で考えたらこれは後退しているわけですよ。なぜ税源移譲をきちんと明記しなかったのか、もう一度伺います。

菅国務大臣 第八条に、財政上の措置も含めて見直し内容を地方分権推進計画に盛り込む、こういうふうになっております。そういう中で懸念することはないと考えています。

吉井委員 いや、法律上にはっきり充実確保を図ると言えばいいわけですからね。いろいろ検討して盛り込むだけの話じゃなくて、やはり、権限を移す方はいろいろ検討しても、それに見合うものとして税源をきちんと移す。つまり、地方税財源の充実確保を図るということ、本来それをうたわないことには、言葉では地方自治の拡充、分権だと言いながら、実際にそれを裏づけるものがない。私は、そこはやはりきちんとするべきところだと思います。

 先日、十月二十四日の経済財政諮問会議の地方の改革についての集中審議があったとき、大臣の名前で「地方分権改革について」という資料が出されておりますが、大臣もそれをもとに諮問会議で発言しているわけですね。タイトルが「魅力ある地方・自律する地方を創る地方分権改革について」とあるわけです。その中身の第一が「地方分権改革推進法・地方分権一括法の早期制定」、第二が「「頑張る地方応援プログラム」の策定・推進」、第三が「交付税改革の推進」、第四が「地方分権を支える地方税の充実」とずっと続いてくるわけです。「魅力ある地方・自律する地方を創る地方分権改革」、これはいいとして、しかし、魅力ある地方、自律する地方をつくるための地方分権改革の中身というのがやはり問題になってくると思うんです。

 それで、地方分権改革推進法の早期制定はいいにしても、「「頑張る地方応援プログラム」の策定・推進」が分権改革と言えるものなのか。「頑張る地方応援プログラム」というのは、頑張っているんだけれどもなかなかうまくいかないところには交付税の重点配分がないということになってしまうと、これが本当に地方分権改革なのかということになってくると思うんです。

 大臣はよく、頑張る地方、元気な地方を応援すると言うわけです。応援するのはいいんですが、それは交付税じゃなくて別の方法でやっていくべきもので、その問題はまた別な機会に議論したいと思いますが、頑張る地方、元気な地方を応援するとしても、頑張っているから交付税で応援だということじゃなくて、交付税というのはそういうものじゃないわけですから、地方分権を推進する上で最大の課題というのは、これは税源移譲をきちっとする。そして、努力しているんだけれども落ち込んで大変なところについては、これは交付税できちんと財源保障やそういうものをやっていくというのが本来の筋なのです。

 ですから、交付税はそうだとしても、やはり何といっても地方に税源を移譲していく、このことについて本当に法律上もきちんとうたって取り組むというのが私は大臣として一番取り組むべき問題だと思うんですが、最後にもう一度このことを伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 私は、経済財政諮問会議でも、国、地方の税の比率は一対一にすべきである、このことも発言をいたしておりますし、主張しています。

 そして、今委員が懸念されています今度の地方分権改革推進法、この中にも、この配分という形の中でそうした税源をしっかりと担保できるようなことになっていますので、これで全力で頑張っていきたいと思います。

吉井委員 また次の機会にということで、時間が来ましたので、終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 地方分権改革推進法に関連いたしまして、数点質問したいと思います。

 まず最初に、大臣に伺いますけれども、一般論として地方分権の推進に私も賛意を表するものでありますが、しかし、それがいかなる目的、内容、手続をもって進められるのかという点についてはしっかり吟味していかなければならぬ、このように思います。

 まして、地方分権推進法及びそれに基づく地方分権推進委員会の勧告、そして地方分権一括法、こういう一定の歴史を経て今日に至っているわけですから、全くの白地に絵をかくものではないわけです。したがって、今後の課題を確定する上でも、これまでの経過を吟味する必要があると考えるわけです。

 そこで最も基本的な点について伺いますが、具体的には地方分権推進法及び地方分権一括法に始まるこれまでの地方分権の成果、これについて大臣の評価をお聞きしたい。

菅国務大臣 委員の言われるように、これからの地方分権を考えるときに、やはり過去のそうした地方分権の推移というものを私どもも十分考慮しながら進めていかなければならない、このことはおっしゃるとおりであるというふうに思っています。

 平成十一年に制定された地方分権一括法、これによって機関委任事務制度が廃止されて、これに伴って各省庁の包括的な指揮監督権限が廃止されるとともに、国の関与の縮小、これは確かに私は行われたというふうに思っております。

 これによって、国と地方公共団体の関係が抜本的に改正をされ、法制面では上下主従の関係から対等協力の関係に転換されるなど、一定の成果を上げる、このことはあったのかなというふうに思います。

 その後も三位一体改革等の改革に取り組んできたところでありますけれども、引き続き、地方分権を推進し、真に地方の自立と責任を確立していくためにこれからも全力で取り組んでいきたい、こう思います。

重野委員 そこでもう少し具体的に聞いておきたいんですが、さきの地方分権推進委員会は、その最終答申で、財政秩序の再構築、地方公共団体の事務に対する法令による義務づけ、枠づけなどの緩和など六項目を今後の課題としております。そこで、この最終答申において課題とされた六項目について、大臣の評価を聞いておきたい。

菅国務大臣 この最終報告で、まだ改革課題が残っている、この指摘をされた問題につきましては、私も、早急に取り組んでいく、そういう必要性がある課題であるというふうに認識をいたしております。

 その後、三位一体の改革などに取り組んできましたけれども、今後とも、地方分権を推進し、地方が自律と責任を持って魅力あるそれぞれの地域をつくることができるように、さらにこの分権を推進していきたいと思います。

重野委員 確かに、ここで示された課題の幾つか、それも今話題になりました地方公共団体の事務に対する法令による義務づけ、枠づけ等の緩和、こういうものは今回の地方分権改革法案における重要な部分とされております。

 そこで、本案とさきの地方分権推進委員会の最終答申とはどのような関係にあるのか、この点について具体的に説明願いたい。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、十三年六月の最終報告というのは極めて重要なことであって、私は今度の法案で取り組むべき課題であるというふうに思っています。

 さらに加えると、当時と比較をし、やはり少子高齢化社会が急速に進行しました。また、市町村の合併も進展をし、社会の変化、そうしたものも、短い間ではありましたけれども、かなり進んでいるというふうに思っています。そういう中で、今回この分権改革に取り組んでいこう、そういうことであります。

重野委員 冒頭に述べたように、歴史的な経緯があります。さきの地方分権推進委員会が示した課題の具体的改革法案、これが、連続性という点から見て今日求められている法律ではないのかな、こういうふうに思うんですが、大臣の見解はいかがですか。

菅国務大臣 十分にその認識を持っております。

重野委員 そこで、少し角度を変えてお聞きしますが、前内閣あるいはそのもとでの竹中大臣の方針と今議題になっております法案は、私の認識では異なっておるというふうに思うんです。

 竹中大臣の私的諮問機関として設けられました地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、これは、七月の答申でこのように言っておるんですね。新地方分権一括法案について、「第二十九次地方制度調査会等において今秋までに検討を開始し、地方の意見も踏まえつつ二年を目途に結論を得て、三年以内に提出すべきである。」これが前竹中大臣の私的諮問機関の答申であります。このように言っているんですね。

 ここで言っておるのは、いわゆる新地方分権一括法であって、今提案をされている本案のような手続法案、言ってみればプログラム法案とでも言うんでしょうか、そうではないはずなんですね。このビジョン懇談会の言う一括法と本法とは、どういうふうに連続、結びつくのか、この点についてお聞かせください。

菅国務大臣 委員の御指摘のとおり、竹中大臣の地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告というのは、三年以内に地方分権一括法をという形になっています。

 しかし、この新たな一括法の制定に向けては、その前段において、行政の各分野における権限の移譲や義務づけ、枠づけの見直し、関与の整理合理化などを検討することが必要であって、検討対象となる法令は極めて広範なもの、このように想定をされています。

 政府としては、こうした地方分権改革を一定期間内に総合的かつ計画的に推進していくためには、やはりそのために必要な推進体制をつくる推進法が必要だという判断をし、今回の法案提出となったわけであります。

 こういう経緯でありますので、竹中前大臣の地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告と変わるものではない、このように考えています。

重野委員 また後ほど、その部分については触れたいと思うんですが、この問題とあわせて聞いておきたいんです。そもそも地方分権二十一世紀ビジョン懇談会における地方分権論議、これについては、地方制度調査会との関係が議論となったことは大臣も承知していると思います。竹中大臣は、大まかな方向を示し、具体的には地方制度調査会で議論していただく、このように言っておるんですね。ところが、どうでしょう。とうに任期の切れた地方制度調査会は、今もって新発足していないんですね。

 地方制度調査会は内閣総理大臣の諮問機関である。今後、本法による地方分権改革推進委員会で審議し指針を勧告するというのであれば、新地方制度調査会を飛び越えて、地方制度調査会を新発足させないでいく、こういうふうに受けとめていいんですか。

菅国務大臣 確かに、竹中前大臣の地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告については、地方制度調査会において云々ということがうたわれています。しかし、また同時に、七月七日には、竹中大臣も参画をして、経済財政諮問会議において骨太の方針二〇〇六が取りまとめられた。そこで閣議決定されたのが、地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫負担金の廃止縮小を図ること、こうされました。

 同時に、同じような時期に、地方六団体から、新たな地方分権の推進に関する手順などを示す新地方分権推進法の制定について、竹中前大臣に対して意見の申し出があったということも事実であります。

 こうしたことから、新たな地方分権改革の始動に関しては、地方制度調査会に諮問することではなくて、今回の推進法になったわけであります。

 今後、地方制度調査会において審議をしていただく必要性がほかに生じた場合には、速やかに対応できるようにしておいている状況です。

重野委員 確認いたしますが、今の大臣の答弁からしますと、今問題になっているテーマは地方制度調査会で議論するテーマではないという結論ですね。

菅国務大臣 とにかく三年以内に一括法を出そう、そういう中で地方分権改革推進法が今回提出をされているわけであります。一方、地方制度調査会というのは、地方制度全体の問題について取り組む、そういう分け方をさせていただいていまして、今回の法案についてはこの改革推進法の中で行っていきたい、こう思っています。

重野委員 地方制度調査会という組織というか機関というか、これのやはり歴史的な重みというか、もう二十八次、二十九次、こういう歴史があるわけですね。今まで、重要な地方制度の転換点においては必ずこの地方制度調査会の中において議論されておった、こういう手法を歴代自民党の内閣はとってきた。今回の安倍内閣は、そういう歴代の自民党の内閣がとってきた手法とは違った新しい手法を導入した、こういうふうに受けとめていいんですか。

菅国務大臣 今度の改革推進法というのは、三年間の限度の法律でありますので、必ずしも今までと違った手法じゃないというふうに考えています。

重野委員 なぜ三年間かという議論がまた起こるんですが、まあ、きょうはそこでとめておきましょう。

 問題はまだありますよ。七月七日に閣議決定しました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六、先ほど大臣も触れましたけれども、そこで何と言っておるかということですね。「地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、」云々とありまして、これは明らかに改革関連一括法案を指した表現ではないのかなと思うんですが、大臣、これはどういうことですか。

菅国務大臣 ここで記述されています「関係法令の一括した見直し」とは、地方分権改革推進計画を具体化するために必要な関係法律の一括改正法を指しているもの、このように認識をしています。

重野委員 今の幾つかの答弁、私は納得できません。

 経済財政運営と構造改革に関する方針は、どう読んでもこれは一括法です。それが今回の法案になったということは、小泉内閣における方針を安倍内閣は転換した、つまり、これは骨太方針の転換と受けとめる。

 確認します。その点、そういう確認でいいですか。

菅国務大臣 本法案に基づく地方分権改革は、地方分権改革推進計画の作成から実施まで三年の期限で集中的、一括的に行うものでありまして、本法が効力を有する間に、地方分権改革推進計画を具体化するために必要な関係法律の改正法案、いわゆる一括法案の国会提出を含めて、必要な施策を実施することになっております。

 したがって、本法案に基づく地方分権改革というのは、骨太の方針二〇〇六の記述に沿っている、このように認識をしています。

重野委員 平行線で、認識はなかなか歩み寄らないわけですが、時間ももうありません。

 そこで、今度は違った点を質問いたしますが、岐阜県が今いろいろな意味で話題になっております。岐阜県と昔の自治省、今の総務省ですが、この関係で、過去、自治省の時代から同県の副知事へ、あるいは総務省に再雇用された人の人数、及びそうした者の退職前のポスト及び再雇用後のポストについて、これを具体的に明らかにしていただきたい。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 過去、旧自治省時代のものを含めまして、総務省から岐阜県副知事となった者は九名でありまして、そのうち総務省に復帰した者は五名となっております。

 その者の転出前後の具体的なポストを申し上げますと、転出前が自治省行政課長で復帰後は公務員部長であったケース、転出前が行政課長で復帰後が消防庁次長のケース、転出前が大臣官房審議官で復帰後が消防庁次長のケース、転出前が企画室長で復帰後が大臣官房審議官のケース、転出前が消防庁総務課長で復帰後が総務省政策統括官のケースでございます。

重野委員 今の報告でありますが、特に私も個人的に調査いたしましたけれども、岐阜県の財政課長さんというのは、昭和三十四年から平成十七年までずっと連続して自治省、総務省から出向しているんですね。これも私はやはり一つ異常だというふうに思います。

 確かに、国の人事管理の一環という大義のもとにこういう人事が行われて、そして結果的に岐阜県はああいう事態を招いているわけです。その間に国から天下っていった方々が結果的に関与をしている、実際は自分がやったのではないけれども、システムの中で関与しているということも明らかになっている。その方が今参議院議員になっておられますけれども、そこについての一つのけじめというのが見えないんですね。

 この点については、今後きっちり私たちとしてもさらに事細かに出していきたいと思いますので、これをしっかり受けとめて、きょうは時間切れ、この次の機会にまた返事をいただくようにしたいと思います。

 以上で終わります。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十四日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査の参考に資するため、来る十五日水曜日、秋田県及び静岡県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.