衆議院

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第26号 平成19年6月14日(木曜日)

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平成十九年六月十四日(木曜日)

    午後二時四十二分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    石田 真敏君

      今井  宏君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      北村 茂男君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 康夫君    福田 良彦君

      渡部  篤君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    郡  和子君

      佐々木隆博君    田嶋  要君

      田名部匡代君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  熊谷  敏君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            森   清君

   政府参考人

   (消防庁長官)      高部 正男君

   政府参考人

   (社会保険庁社会保険業務センター所長)      皆川 尚史君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  実川 幸夫君     井脇ノブ子君

  萩原 誠司君     北村 茂男君

  安住  淳君     田名部匡代君

  逢坂 誠二君     郡  和子君

  福田 昭夫君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     実川 幸夫君

  北村 茂男君     萩原 誠司君

  郡  和子君     逢坂 誠二君

  佐々木隆博君     福田 昭夫君

  田名部匡代君     安住  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第三部長外山秀行君、総務省行政評価局長熊谷敏君、自治財政局長岡本保君、情報通信政策局長鈴木康雄君、総合通信基盤局長森清君、消防庁長官高部正男君及び社会保険庁社会保険業務センター所長皆川尚史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 ただいま議案となりました消防法について、何点かお伺いをさせていただきます。

 まず、今回の消防法改正案では、管理権原者に自衛消防組織設置の義務が生じているわけですけれども、この管理権原者や自衛消防組織が地震災害の際に行うべきことというのは一体何なのかということと、これは全部しゃべらなくてもいいんですけれども、この行うべきことは、法改正前と改正後で何か変更があるのかどうか。これをまず消防庁の方にお伺いをしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 自衛消防組織でございますが、建築物等に勤務する従業員などから構成されます人的組織でありまして、一定の設備、資機材等を備え、災害発生時においてあらかじめ定められた……(逢坂委員「聞いていることに答えていただけますか」と呼ぶ)はい、わかりました。

 業務でございますけれども、地震等に際しての消火活動、消防機関等への通報連絡、建築物の利用者等の避難誘導、救出、救護といったような業務を担うことになります。

 何がこれまでと違うのかということですが、特に、地震対応の計画づくりを今回義務づけていただくということになりますので、地震ということになりますと、従前の火災と違いまして、例えばエレベーターへの閉じ込め事案が起こるとか、あるいは、平時とありますが、火災が平時とは必ずしも適切かどうかわかりませんが、通常の火災時には機能するような、例えば防火戸が機能しないとかといったようなこと、あるいは、火のもとがいろいろなところから起こるといったような地震特有の災害対応がありますものですから、そういうものにきっちり対応していただくということが今回の眼目だろうと思っております。

逢坂委員 それで、次にお伺いしたいんですけれども、この自衛消防組織の活動などに国民の皆さん、住民の皆さんが不満だとか不服がある、あるいは消防法そのものに対していろいろと何か疑問があるなというような場合、これは総務省の所管する、現在の行政相談の対象になるんでしょうか。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 総務省が行っております行政相談、その対象は、国の行政機関の業務……(逢坂委員「対象になるかどうかだけ」と呼ぶ)自衛消防組織の活動、自治体消防活動、これについてはあっせんの対象ではございません。

逢坂委員 今、自治体消防もあっせんの対象ではないということでしたが、それでは、消防法に関して、国の業務に関してはあっせんの対象になるのでしょうか。それと、あっせんの対象になるというのであれば、あっせんとはいかなる行為を指しているのかということと、あっせんは関係行政庁に対して強制力を持つのか持たないのかについて、お答えください。

熊谷政府参考人 まず、総務省に置かれます消防庁の業務、これにつきましては、我が行政相談のあっせん対象となるところでございます。

 続きまして、あっせんにつきましてでございますけれども、あっせんは強制力を伴うものではございません。

 それで、あっせんと申しますのは、苦情の申し出人と関係行政機関との間に介在して、苦情の原因を除去し、苦情が解決されるように促進する行為というふうに理解いたしております。

逢坂委員 それで、またさらに熊谷行政評価局長にお伺いしたいんですけれども、もし仮に私が国民年金の受給者だったとして、そういうときに、あれ、おれの年金ちょっと変だよなと思ったときにも、これも今の行政相談の対象になるのでございましょうか。そしてその際も、あっせんという行為に最終的に至るのでありましょうか。

熊谷政府参考人 年金問題につきましての苦情というのは、これまでも相当数受け付けております。当然、あっせんの対象となるものであります。ただ、苦情の内容が、当方がお聞きして、その内容について妥当性があるというふうに判断した場合。全くの誤解というような場合は、その場で御理解いただくというようなことをやっているところでございます。

逢坂委員 六月十一日の参議院の決算委員会で、総理が年金に関して、台帳やオンラインに記載がない方については、領収書等の証拠がなくても、社会保険庁だけの判断に任せるのではなく、総務省の第三者委員会で、申し立てた方のお気持ちに立ちながら公正に判断する仕組みを設けることといたしていると総理が発言をしているわけですが、この件に関して、十二日以降、新聞でいろいろと詳細が報道されているんですけれども、この委員会に対する指示というのは、これは総務省に対して、いつ、だれからあったんでしょうか。これは大臣の方からお答えいただけますか。

菅国務大臣 六月の十一日、総理から私に対してありました。

 その指示は、年金記録の確認について、御本人の立場に立って申し立てを十分に酌み取り、さまざまな関連資料を検討し記録訂正に関し公正な判断を示すことを任務とする第三者委員会を総務省に設置していただきたい、さらに、この第三者委員会は国民の立場に立って対応し国民の信頼を回復するよう努めていくことが必要である、今後、官房長官とも相談しながら早急に準備を進めていただきたい。この指示が、六月十一日に総理から私にありました。

逢坂委員 そこで、政府参考人にお伺いしたいんですけれども、この委員会を設置するというときの根拠法令、それと、現時点で構わないんですけれども、決まっている取り扱いの仕事の範囲でありますとか役割、権限、設置のスケジュールなどについて、現時点で決まっている範囲で構いませんので、政府参考人の方からお知らせください。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 第三者委員会の設置の根拠につきましては、法令に根拠を置く審議会ということで検討いたしておるところでございます。委員会につきましては、今月中に設置すべく、目下、具体的な運営方法、あるいは設置場所、委員の選任等について、鋭意準備を進めているところでございます。

逢坂委員 今月中に設置をするということでありますけれども、きょうは六月十四日で、今ほとんど具体的な話がなかったんですけれども、大臣の方で、これはこの程度の認識なんでしょうか。今の時点でどんなことをお考えでしょうか。

菅国務大臣 今月中に設置をしたい、そういうことで検討します。

 それで、その大枠の考え方でありますけれども、中央に、十人程度のメンバーの方にお願いして設立をしたいと思っています。そのメンバーというのは、法曹界の人だとか、あるいは社労士だとか税理士、あるいは市民相談をやられた方、あるいは民間企業でそうした社会保障に通じている方とか、そういう方を十人程度、その委員会の委員としてお願いしたいということで、今そうした作業を進めているところであります。

 そういう作業が済み次第、立ち上げたいと思います。

逢坂委員 次に、きょうは社会保険庁からもお越しいただいているんですけれども、お伺いしたいんですけれども、もし仮に私が、自分が国民年金の受給者で、今の、いわゆる総務省の行政相談の仕組みを通じていろいろと相談をした、その結果、総務省からあっせんがあったとした場合、最終的に、そのあっせんを受ける受けないというのは社会保険庁の判断によるというふうに考えてよろしいでしょうか。先ほど、あっせんには強制力を伴わないという答弁もございましたので、この点、確認させていただきたいんです。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来の答弁でもありましたように、第三者委員会で御本人の申し立ての聴取等が行われて調査分析されるわけですから、私どもとしては、そうした事案についての公正な判断が行われるということで、そのあっせんを受け、尊重しながら裁決に付するということになると思います。

逢坂委員 最終的には社会保険庁の方が判断権限を持っているというのは、今の行政相談の仕組み上そういうことになろうかと思うんです。

 第三者委員会について、今度は熊谷行政評価局長にお伺いしたいんですけれども、第三者委員会も、あっせんが最終的な権能というふうになると解してよろしいでしょうか。それは、設置の根拠法からすればそう読み取れるのでありますけれども、この点を確認させてください。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 あっせんを行いますのはあくまでも総務省でございまして、委員会の御判断を踏まえて、総務省が厚労省、社会保険庁にあっせんするということでございます。

逢坂委員 それでは、再度また熊谷行政評価局長にお伺いしたいんですけれども、今の現行の行政相談の仕組みと、今回新たに、今月いっぱいぐらいに設けたいと思われているこの第三者委員会の仕組み、これとの違いというのはどういうことになるのでしょうか。今お聞きしますと、最終的な法律的な効力、効果というのはあっせんだということになるわけですので、この差異というのは何か、お知らせください。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、両者ともに最後はあっせんということでございますが、行政相談は、広く各行政機関、幅広くその業務に関する苦情の申し立てについて対応して、必要なあっせんを行っているというところでございます。

 今般の第三者委員会の業務は、そういう中で年金記録の確認にいわば特化して、御本人の立場に立って申し立てを十分に酌み取り、さまざまな関連資料を検討しながら、記録訂正に関し公正な判断を示すものである。その御判断を踏まえて、総務省から厚生労働省、社会保険庁に対しあっせんを行うものであるというふうに考えております。

逢坂委員 今、今度新しくできる第三者委員会というのは、年金に特化するんだ、本人の立場に立つんだ、さまざまな資料を集めて公正に判断するんだ、そして、その話を受けて、総務省としてあっせんをしていくんだという話ですけれども、これ、熊谷行政局長、今までの行政相談も、年金というところを除けばきっと一緒ですよね。苦情申し立て者の立場に立って、いろいろと情報を収集して、公正に判断をしてあっせんするということは、これは一緒ですよね。いかがですか。どこか変わるものはありますか。

熊谷政府参考人 従来から、もちろん国民の立場に立って、公正中立な立場で苦情をお聞きし、あっせんしてきたところでございます。ただ、今般、この問題につきましては、非常に専門的かついろいろございますので、法曹界の方々、あるいは社会保険労務士の方々、いろいろな方々の御判断を仰ぎながら、その御意見をちょうだいし、あっせんをしていくということでございます。

逢坂委員 現行行政相談の中にも、有識者を集めて議論する場というのがあるというふうに私も承知しておるんですけれども、そういう観点からしますと、もうこれ以上局長にはこの点お伺いしませんけれども、要するに、今の行政相談の枠の中でしか、今回の第三者委員会というのはとらえられないのではないか、私はそんな印象を持っているわけです。だとするならば、総務大臣、今回の第三者委員会というのを設置する意味というのは、単に行政相談の中で年金相談特別部門を設けたということに等しいのではないかというふうに私には感じられるわけです。

 しかしながら、新聞報道などを見ると、あたかももっと別の権能を持っているかのように新聞報道からは読み取れるわけですね。あくまでもあっせんだということにとどめるのかとどめないのかというところをお伺いしたいことと、もし仮に、そうではないんだ、これまでの行政相談の枠を飛び越えて、さらに別の権能というものも期待しているんだということがあるのかないのか、この点、お伺いします。

菅国務大臣 今、局長から答弁ありましたけれども、今般のこの第三者委員会というのは、その中で年金記録の確認に特化して、御本人の立場に立って申し立てを十分に酌み取り、さまざまな関連資料を検討して、記録訂正に関し公正な判断を示す、年金に特化した組織であって、そしてこれについて、その第三者委員会の決定というものを私どもは厚労省にあっせんし、そして、先ほど社会保険庁の事務方から答弁ありましたけれども、それを尊重してもらえる、そういうふうに思います。

逢坂委員 今、社会保険庁の方、あっせんをして尊重してもらえるという話をしましたが、あくまでも、法律的に言うとあっせんなわけであります。であるならば、尊重してもらえるというその法的根拠、論拠ですね、それをどのような形で担保するのかについてお伺いしたいんですが、もしそれを明確に担保できるものがあるとするならば、それは何でしょうか。

菅国務大臣 委員は承知の上で質問されていると思いますけれども、私ども、この総務省の設置法の中で、相談とそれをあっせんできるという仕組みになっています。そして、私は今、今月中にそのことを立ち上げたいという話をしました。そういう段階の中で、私どもは、この第三者委員会が年金に特化する中の相談、そして、その申立人の皆さんからのさまざまな資料をもとに確認作業をさせていただいて、そこで判断をさせていただいて、そのことを社会保険庁に私どもがあっせんをする、そういう仕組みの中で、私は尊重していただけるというふうに思っています。

逢坂委員 これ以上この問題を言っても、尊重していただけるしか言わないわけですから、私には、その法的な根拠、要するに、尊重していただけるというものを担保できる根拠はないというふうに判断せざるを得ないわけでありますけれども、要するに、それはあくまでも総務大臣の期待であるというふうにしか思えないわけですね。

 しかし、大臣、もし仮に期待以上のものを、社会保険庁に何かを、尊重ではなくて、もっと、第三者委員会のある種のあっせんをそのまま受け入れるということを望んでいるのであるとするならば、私は法整備というようなものが当然に必要だというふうにも思いますし、もし法整備をしない中でこのままの形で進めるというのであるならば、現行の行政相談とさほど変化のないものであり、これは屋上屋を重ねているにすぎない。

 そのために多額の、いろいろな人員を使ってやっているということは、これは行政コスト上も相当問題であるし、何よりも一番問題なのは、第三者委員会をつくるということによって国民の皆さんに安心感を与えようとしているところに私は問題があると思っているんですよ。今の行政相談と何ら変わらないものを設けて、それで年金の問題があたかも解消されるかのように言っていることに、私は相当に不誠実なものがあるというふうに思うんですよ。

 本当に誠実に国民の皆さんに対応したいのであるならば、新たな委員会に対して権限をきちんと与えるとか、この次にも議論させていただきますけれども、もう少しほかの関係との調整をした上で、一歩引いて慎重に対応すべきだったと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私どもは今月中にスタートさせていただくということを申し上げました。その時点の中で、やはり国民の皆さんの不安を解消し、安心感をしっかり持っていただける、そういう委員会というものを立ち上げていきたいと思います。

逢坂委員 それではお伺いをしたいんですけれども、今回の第三者委員会が関係ないとして、もし仮に、これもまた、私が国民年金の受給者であったとして、私の年金にいろいろと不満があるとした場合に、社会保険庁からの処分があったときに、今、審査請求のできる仕組みがありますね。これは、いわゆる社会保険審査会が最終的に裁定を下すという仕組みであります。

 まず社会保険庁にお伺いしたいんですけれども、このことと第三者委員会の関係というのはどうなるんでしょうか。私は、第三者委員会はあくまでも、今の法の位置づけによれば最終的に総務省のあっせんということになるわけですから、社会保険審査会の裁定というものが非常に重たいというふうに思うわけですが、社会保険庁、この優先順位はいかがなんでしょうか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御相談いただいた際には、第一段階として、当然私どもの社会保険事務所で受け付け、そして私どもが原簿を調べる。

 先生の今の御指摘は、私どもの処理と、審査会それから第三者委員会とございますが、これは、御申請をなさる方にとっては、さまざまなルートができるということでございます。もちろん、審査会には審査会の権限で決定というものもございますが、第三者委員会には先ほど申しましたようにあっせんがあり、そして私どもが尊重し、そして、記録の訂正の必要があれば訂正するということでございますので、あっせんを受けて、尊重して、訂正をする。御申請なさる方から見れば、これは、さまざまなルートができるというふうに思っております。

逢坂委員 引き続き社会保険庁にお伺いしたいんですけれども、もし仮に、社会保険審査会の裁定が下ったという後に、私の苦情申し立て、異議申し立てに対して、社会保険審査会の裁定が最終的に、要するに現行法制の中で行政不服審査の手続がすべて終了したというようなときに、さらに第三者委員会にこれを持ち込むことは、社会保険庁としては想定しているでしょうか。

皆川政府参考人 私どもの考えは、仮に審査会で棄却の裁決が出ても、これは次に第三者委員会にあっせん申し立てをいただいて、私どもに対するあっせんの通知が出れば、そのあっせんを尊重して、また必要な訂正をするという立場でございます。

逢坂委員 今の答弁、本当によろしいんですね。行政不服審査の手続が全部終了した後でも、再度第三者委員会でその問題を取り扱ってまた議論ができるということでよろしいわけですね。そして、さらにまたあっせんをするわけですね。よろしいんですか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 棄却裁決が出ましても、御本人の申し立てでまたさまざまな状況をお話しいただくということが追加的にあり得ますので、当然そういうルートはできるというふうに思っております。

逢坂委員 それでは菅総務大臣にお伺いをしたいんですけれども、菅総務大臣も今と同じようなお考えでしょうか。

 社会保険庁、社会保険審査会で行政不服審査の手続が全部終了すると、これまでの我々の行政不服審査に対する考え方であるならば、すべての手続が終わって社会保険審査会からの裁定が下ったら、後は司法にゆだねるしかないというのがこれまでの通常の考え方だったというふうに思います。

 現に、きのうの衆議院の厚生労働委員会でも渡邉政府参考人が、行政不服審査の手続をすべて終えてもなお不服があるという場合の救済の道というのは司法にお願いする、裁判に出るということだと思いますという答弁をしているわけですね。

 でも、今の社会保険庁からの答弁はこれとも違うわけであります。

 大臣、これはどっちなんですか。総務省としてはどっちのお考えですか。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 社会保険審査会の裁決、これにつきましては拘束力がございますが、棄却裁決には拘束力が認められていないというふうにされておるところでございます。

 したがって、そういう事案について御当人の申し出があった場合には、第三者委員会への申し立てが可能というふうに考えておるところでございます。

逢坂委員 では、あえて聞きますけれども、棄却裁決ではない、拘束力のある裁決の場合はいかがですか。

熊谷政府参考人 その場合は第三者委員会が受けるケースではないというふうに考えております。

逢坂委員 ところが、きのうの衆議院の厚生労働委員会で、今度はこれは田村副大臣の発言なんですけれども、今のようなケースの場合、現状においては第三者委員会にお持ちいただくことは可能だというふうに答弁をしているんですね。一体どうなっているんですか、これは。

 これは、我々にしてみると、というより国民にしてみると、あたかも安心であるかのようなアドバルーンを上げられた、でも、どうもそれは行政相談の域を出ない、今のあっせんのような制度の枠の中でやるんだということがきょうの話でも明らかになっているわけですが、社会保険庁の中にある行政不服審査の手続ともきちんと整合性もとれていないわけであります。こうしたことを拙速にやるというのは、やはり相当慎重であらねばならないというふうに私は思うのです。

 しかも、このことを、アドバルーンを上げることによってあたかも国民に安心感を与えているかのようにとるのは、これはやはり間違っているんじゃないかと思うんですが、大臣は問題点をお感じになりませんか。

菅国務大臣 私どもは、立ち上げるまでの中でそういう不安を解消し、信頼を得られるような形でこの第三者委員会が活動できるような、そういうことをしっかりと行っていきたいというふうに思います。

逢坂委員 きょうの話から明らかなように、今回、総理が発案をされた第三者委員会、十一日に菅総務大臣の方に直接御指示をなさったという第三者委員会ですが、残念ながら、法的にはあっせんの域を出ないものである、もしあっせん以上のことをするというのであれば具体的な法整備が必要であろう、それをあたかも大臣がそのように尊重していただけると言うのは、やはり法制度上は少し無理があるのではないかというふうに思うわけです。

 しかも、今の行政相談の枠の中でやるわけですから、あえて第三者委員会というふうにアドバルーンを上げる意味というのは、これは必ずしも国民に対してきちんとした説明になっていない、あたかもすばらしいものをつくっているかのように見えるけれども、その内実は違っているのではないかということをやはり思わなければいけない。

 それともう一つは、現行の社会保険庁の中にある行政不服審査の手続、それとも整合性がとれていないということをやはり指摘せざるを得ないんです。これは立法府に対する軽視でもあると同時に、行政府に対する軽視でもあるというふうに私自身は感じるんです。

 このような、本当にこれは、今、年金の問題は国家を挙げての一大事だというふうに私は思うのですが、もう少し慎重な、しかも見識の高い対応が必要だ、思いつきでしか、場当たりでやっているようにしか思えないのであります。

 そこで、最後に一つだけお伺いをして終わりたいと思うのですが、第三者委員会とあわせて、菅総務大臣はやはり総理に相当期待をされているとみえて、総務省の中に検証委員会というのもできるというふうに伺っております。

 この検証委員会ですけれども、これも報道でしか私はわからないんですけれども、どうも、過去のことについて、原因はどうだとかどうしてこんなことになったんだということをいろいろと調べる委員会だというふうには聞いているんですが、過去のことも大事ですけれども、まさに、この問題、我が党が去年から指摘をしていて、現職の方に対するさまざまな検証、審査というのも必要だと思うんですね。

 そこで、この検証委員会は、現職の安倍総理、あるいはまた柳澤厚生労働大臣、あるいは村瀬社会保険庁長官に対しても、どこがどういう、不突合があったとか不手際があったとか、そういうことまでお調べになるような予定はあるのでしょうか。いかがですか。

菅国務大臣 まず、第三者委員会につきましては、私どもは、国民の皆さんの不安を解消し、信頼を得られるものをしっかりとスタートさせていくつもりでありますので、そのことは申し上げます。

 さらに、この検証委員会につきましては、まさにその事実関係を含めて客観的な、隅から隅までの調査をしていただいて公表していく、そういうふうに考えております。

逢坂委員 隅から隅までということは現職も含めてというふうに解釈をいたしましたので、これで質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

佐藤委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 消防法改正案について質疑を行わせていただきます。

 まず、一月二十日でしょうか、宝塚市カラオケボックス火災、それをもとにした全国調査で、たしか七割以上消防法令違反があるという報告も以前受けたんですけれども、これがその後どうなっているのかという点と、あと、結局、この宝塚のカラオケボックス火災について、そうした意味での最終報告、これはいつぐらいに出されるのか、これをまず大臣の方にお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 まず、宝塚市のカラオケボックスの火災の件であります。

 この火災を踏まえまして、カラオケボックスの防火対策の状況について、全国の消防機関において再点検を行い、現在、違反是正を実施しているところでありますけれども、本年三月三十一日現在において何らかの消防法令違反のあるものは約四五%です。そして、この割合というのは、火災直後の二月九日に取りまとめた結果であります約七〇%に比べて一定の成果を上げていると認識をいたしておるところでありますけれども、依然として消防法令違反の施設が現実的には多数存在をしておりますから、引き続き、カラオケボックスにおける防火安全対策の徹底のため、違反是正の推進を図っているところであります。

 そして、この火災の原因につきましては、現在、宝塚市の消防本部において調査中でありまして、火災実験の実施も予定しているために、それを踏まえて報告書を取りまとめる予定であります。

武正委員 大体いつぐらいに、めどとすれば報告書は出てくるんでしょうか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、火災の原因について現在調査中でありますので、そうした調査が判明をし、また、火災実験そのものの実施も予定しているということでありますので、そうしたものが終了した時点で速やかにと思っておりますが、今のところ、いつという具体的なことは、まだそこまでいっていませんので、控えさせていただきたいと思います。

武正委員 これは、消防庁本庁も原因究明の調査をしているということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 当然、私どももこれについて取り組んでおります。

武正委員 これは、あの新宿雑居ビル事件を契機とした消防法改正で、いわゆる地域消防での原因究明、再発防止を、広域的なものについてあるいはなかなか原因が難しいものについては消防庁本庁から原因究明、再発防止で調査できるようにという消防法改正を踏まえてのことだというふうに認識をしております。

 そこで、今回の消防法改正でございますが、いわゆる自衛消防組織の拡大、特に大規模建築物等において義務化というような法令と認識しております。新宿雑居ビル事件のときも、階ごとにテナントの所有者が違う、そしてまた、共同防火管理体制がありながらそうした体制がとられていないというようなことがさまざま見受けられて法改正に至ったというふうに考えておりますが、今回は大規模な建物に限定をしておりますし、また、自衛消防組織あるいは自衛防災組織の義務化ということであります。

 きょうは副大臣にもお見えをいただいておりますけれども、これはそもそも、特にアメリカの例ですか、インスペクションということで、特に損害保険のエージェンシーが非常に、当然、損害保険会社にとっては、火災が起きてそこにお金を支払うということは、企業的にいうとやはり損害というかマイナスになるわけですから、できるだけそうした火災が発生しないように、そういう意味でのやはり歯どめをかけたい、そういう側になるわけですから、やはりそれぞれの保険を掛けている物件について強制的な立入調査権限、そうしたエージェンシー、いわゆる代理店ですね、損害保険代理店については社会的にも高いそうした格式というものを与えている、こういうふうに聞いているんですけれども、今、現行の日本の法律で見ますと、例えば火災保険を掛けている物件に対して損害保険代理店などが、あるいは損害保険会社が立入調査を行うという法律は、私が探したところではちょっと見当たらなかったんですね。自賠責保険とか、あるいは保険料率についての関連でという立入調査権限はあるんですが、現行、今どういうふうになっているのか、御説明をいただけますでしょうか。

大村副大臣 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、アメリカにおきまして、損害保険業界が主導して設立をいたしました全米防災協会というものがございまして、そういったところで防火安全規格を策定するなど、これは消火器とか消火栓とかスプリンクラーといった消火設備の設置基準といったものでございますけれども、そういったものを策定するなどの取り組みが行われているということは承知をいたしております。

 一方で、私ども日本の損害保険業界及び損害保険会社におきましても、今委員御指摘のように、損害に対する経済的補償という本来の保険引き受け義務のほかに、火災そのものの発生を未然に防止すること、万一火災が発生した場合にその影響をできる限り小さな範囲におさめることなどを目的として、各種の火災予防に向けた活動に自主的に取り組んでいるというふうに承知をしております。

 具体的には、マスメディア、学校教育を通じての広報活動でありますとか損害保険知識普及キャンペーンの実施、また一般消費者の損害保険に対する意識、利用状況やニーズ等の調査、そしてお客さんに対しまして、これは工場とかそういった事業所になろうかと思いますが、そういったところに、リスク軽減に向けた防災、防火管理に当たってこういうふうにしたらどうですかというような提案を、今、各損害保険会社等々行っているというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、防火制度のあり方につきましては、これはもう総務省の所管事項でありまして、金融庁として、これをこうすべきだという見解を述べる立場にはないわけでございますが、損害保険業界及び損害保険会社が、まさに今委員御指摘のように、火災を防止するということがやはり保険の本来の趣旨にもかなうということもございますので、そういったことをそれぞれの経営判断でやはり自主的に取り組んでいただくということが望ましいというふうに考えております。

武正委員 そういう意味では、損害保険業界を所掌する内閣府、金融庁でしょうか、また、損害保険料率算出機構とか保険料率算出団体に関する法律とか、あるいは先ほどちょっと自賠責保険を挙げましたけれども、ただ、立入調査は、その保険会社に対して監督官庁が立入調査できるという日本の法律ですので、今のように、保険を請け負う側の保険業界あるいは代理店に、保険を掛けている物件に対しての何らかの形での調査権限を付与していくというのが、実はこの自衛であるとか、あるいは今回の法案でさまざま資格を設けてこの資格を取りなさいというような、ある面、持ち主に対する規制をかける一方、やはりそうしたチェック機関として損害保険業界が果たし得る役割というのがあるんじゃないかなというふうに思うんです。副大臣にはそうした保険業法の改正にもぜひ御努力をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 どうですか、総務大臣。今回、法律では、自衛防災組織なりさまざまな資格の義務化、あるいは一人をしっかりと責任者に決めて共同防火管理の責任体制を明確化するとか、こういった義務的な規制をある面強化はするんですけれども、やはり損害保険業界の側からこうしたチェックができるように、これは政府を挙げて、省を超えて取り組みが必要ではないかなというふうに思うんですが、総務大臣の御所見を伺います。

菅国務大臣 今回の消防法の改正は、大規模地震の発生の切迫性が指摘されている状況において、不特定多数の者が利用し、円滑な避難誘導が求められています大規模、高層の防火対象物について、消防防災上のリスクに伴う社会公共の責任の観点から、大規模地震に対応した消防計画の作成と自衛消防組織の設置を義務づけるものでありますけれども、対象となる大規模・高層建築物において、事業者がみずから実施する高度、複雑な応急活動が重要なものでありますから、この自衛消防組織において全体の中枢的な役割を担う者について、有効な応急活動が実施できるように一定の講習を受けている資格者を配置することを予定いたしております。

 なお、これらの体制整備の状況については、消防機関による立入検査のほか、定期点検報告制度の対象とすることなどによって自主的なチェック体制の整備を図ることにしておりますけれども、民間業界の自発的な検討というものを期待したいというふうに思います。

武正委員 自発的な検討というふうに言われましたけれども、私も損保の代理店の経営をしたことが曲がりなりにもあるものですから、その間で……(発言する者あり)ええ、浪人時代もありましたので、生活のためにいろいろございました。

 いろいろ話を聞くと、要は損害保険代理店もかなり、知り合いに保険をかけてくださいとか、知り合いでやっていくわけですよね。でも、業界を監督する立場から、ちょっとそこはきちっとした、やはり代理店もそれなりの格にしようということで、業界を指導されているところも聞いております。ですから、かなり代理店も淘汰をされているような集約をされているような、それは今言ったアメリカと同じくというか、損害保険代理店の社会的な格も上げていこうということを監督官庁として御努力されていると思うんです。

 ただ、いかんせん、皆様御存じのように、損害保険とかあるいは自動車保険とか、特に損害保険でしょうか、火災保険、多分、クライアントと代理店との立場でいうと、クライアントの方がもちろんお客様ですから立場はかなり上ですけれども、やはり保険をかけていただくというような立場の違いの中で、プロから見て、例えば会社に行ってみたり、あるいは建物を見たら、これはとても危ないなと。それこそ、踊り場にいっぱい荷物が置いてあるとか、防火管理責任者の名札のところにだれの名前も書いていないとか、そういうようなことが年に一回の更新とか何かのときにはわかるわけです。でもこれはやはり法律的な整備がないと、今のような、自主的な取り組みを期待すると言うだけですと、その立場の違いからなかなかできないわけですので、ぜひ省を超えて防火管理、あるいは消防庁を抱える総務省としても、お隣に副大臣いらっしゃいますけれども、省を超えてぜひ御尽力をいただきたいと思いますが、重ねて大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 実体験からの武正委員の指摘でありますから、前向きに検討させていただきたいと思います。

武正委員 どうもありがとうございます。

 副大臣、どうぞお引き取りください。どうもありがとうございました。

 まだまだこの消防法、私も新宿雑居ビル事件を契機に、民主党としても、それこそ仲間とともに対案というか議員立法を提出をした提出者としても非常に思い入れがあるところでございます。

 また、消防長あるいはそれぞれの消防署の現場の皆さんが、大変命をかけて、本当に危険を顧みず、現場での消火活動に当たっていただいている。また、委員がもう御承知のとおり、それぞれ民間での消防団、本当にほとんどボランティアとしてそうした消火に当たっていただいている。あるいはまた救急医療、この現場での搬送に消防署が大変御努力をいただいている。

 こういった強い応援のエールを送りながら、しかし、何といっても会期末を控えまして、私も先ほどの逢坂委員に続いて聞かなければならないということで、お手元に資料をちょっと配付させていただきましたので、この点、引き続きお伺いをさせていただきます。

 先ほど来、逢坂委員が言っております行政相談の仕組みは、お手元の一ページの図でございます。あっせんを総務省の行政評価局あるいは評価事務所が行う、これは総務省としてそれぞれの所管省庁に行うんだということでございます。

 二ページには、大臣が、行政相談委員五千人の方も活用したい、特にこれは地方のところに当たるんでしょうか、ということを申しておりますので、その五千人の内訳も資料としてつけさせていただきました。専門的、技術的職業の方は六%ということで、無職の方あるいは自営業の方が合計で七割ぐらいになるといったこともおわかりだと思います。

 また、一ページ目にありました行政苦情救済推進会議、これが本部に、総務省の方に七名で設けられている一方、各管区、七つある管区にそれぞれ同じような救済推進会議が設けられている。これも伺ったところでございます。

 そして、四ページ目、管区行政評価局、行政評価事務所、全国にこうした事務所あるいは評価局があるということも伺いまして、多分、第三者委員会と総務大臣が言っておられるのは、こうした既存の組織を利用する枠組みなのかなということも事前に総務省の方から伺ったところでございます。

 そこで、これについて伺いたいと思いますけれども、先ほど、六月十一日に総理から第三者委員会についてつくるようにという指示があったという総務大臣ですけれども、検証委員会、これは六月五日でしょうかね、記者会見を閣議後行っておられますが、これはいつ総理からそうした指示があったんでしょうか。

菅国務大臣 たしか六月四日であったというふうに思います。

武正委員 私も、検証委員会と第三者委員会というのは非常に紛らわしいなというふうに、混同している人たちが多いんじゃないかなというふうに思っていまして、それがそれぞれ総務省に設けられるということでありますし、また、事前にお伺いをしましたら、行政相談のあっせんと同じく、検証委員会も同じ所管、同じところで担当するのではないかと。しかも、多分、これから全国につくられる第三者委員会と、それからこの検証委員会も全国で同じくやはりそうした検証を行うとすれば、全国にある評価局と事務所がそれを両方やらなければならないのではないかというふうにお伺いをしているところですが、そうしたスキームでこれから進めていかれるということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 まず、基本的に、この検証委員会と第三者委員会、これについては、私ども、行政評価局が所管でやらせていただきますけれども、しかし、ここには当然、それぞれの省庁から関係をしている方を集めた中で事務局体制というものはしっかりつくっていきたいということで、今行っております。

 同時に、検証委員会でありますけれども、これは先ほど申し上げましたけれども、今言われたような事実関係、あるいはその原因、そしてなぜこうなったか、そういうものを徹底して検証していただいて、秋口ぐらいまでにはその方向というものを出せるのではないかなというふうに思っております。

 たまたまきょう、第一回目の検証委員会は開催させていただきます。そして、第三者委員会は、これも先ほど申し上げましたけれども、今月中に中央の立ち上げをして、そして、さまざまな申し立てをした皆さんからの相談を受ける中で大体類例というのは出てくるというふうに思いますから、そういうものを整理し、しっかりとした方向性を示した中で全国に立ち上げていきたい、こうスケジュール的には考えております。

武正委員 両方とも行政評価局が担当するというお話でございますが、この資料で四ページ目になりますけれども、行政評価局の現在の人数、職員数、それから特に地方の事務所の人数、これが何人か、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 全国で九百人ぐらい、一事務所十人ぐらいだと思います。

武正委員 では、先ほどの検証は全国の事務所も当たるということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 検証委員会というのは、必要なところでその必要性があればということだというように思います。

武正委員 第三者委員会は四十七都道府県に設けるということで伺っておりますが、そうしますと、当然、四十七都道府県の評価局並びに分室、事務所が、ある面、事務的な役割を担うということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 そのようになると思います。

武正委員 一事務所平均十人という中で、場合によっては検証委員会の仕事もやらなければならないというと、なかなか私は大変だなというふうに思うんですね。

 きょう検証委員会が立ち上がって、六月いっぱいに中央の第三者委員会、地方の四十七は七月というふうに伺っておりますけれども、やはり順序がどうも違うような気がするんですね。やはりまずは第三者委員会で、今もうそれこそ二万人の方が、社保庁の門前でお帰りをいただいた、そういった救済を求めている方々がいるわけですから、やはり第三者委員会の方が先であるべきだし、ましてや、第三者委員会も検証委員会も行政評価局がやる、それぞれの事務所が場合によっては両方の仕事を全国の四十七都道府県で担当する、これもやはり無理があるような気がします。

 そこで、先ほどちょっと付言されましたが、各省庁から出向もいただくということですけれども、今の総務省設置法を根拠とする今回の第三者委員会、あるいは検証委員会も何か総務省設置法が根拠というふうに伺っていますが、それでそういうふうに省庁からの出向を求めることができるんでしょうか。

菅国務大臣 そこは総務省の職員ということに身分をかえれば可能だと思います。

武正委員 大体どのぐらいの人数が総務省の職員に身分をかえて、いわゆる出向ということでしょうかね、されるんでしょうか。

菅国務大臣 そこは今検討しているところですけれども、ただ、基本的には、これは私どもだけではなくて社会保険庁とも当然連携をしますし、やはりこれは法律的な問題等いろいろな問題がありますから。

 特に、今委員から第三者委員会の方が先じゃないかという話がありました。確かに、第三者委員会、多くの皆さんが不安な思いでいることも事実であります。しかし、私ども、これを立ち上げる段階において、やはりしっかりとさまざまな問題を整理するという作業を実は今いたしておりまして、そうした作業がしっかり整った形でスタートすることが私は必要だというふうに思っておりますので、そうした問題を今整理させていただいて、しかし、遅くとも今月中には設立をさせていただく方向で調整をしているということであります。

武正委員 社会保険庁からも出向があるということでよろしいですか。(発言する者あり)

菅国務大臣 出向というか、今併任とありましたけれども、いずれにしろ、社会保険庁が現場のことについては今のところは一番よく知っているわけでありますから、そうしたものを含めて、まさに私はこれは、国を挙げてこの問題には真摯に取り組ませていただいて、そうした申し立てを行った皆さんの立場に立って確認作業というものをしっかり行って不安を解消し、そして信頼を得られるようなものにしていきたいというふうに考えています。

武正委員 社会保険庁で、現場で確認ができなくて、社会保険庁が認めなかった方々が二万人以上いて、そういった方々を救済する第三者委員会を立ち上げるんだ、それは総務省に置きますと。しかも大臣は、裁判官など中立的専門性も持った方、きょうは新たに社会保険労務士もと。ああ、また専門家がふえたんだなというふうに伺っていたんですけれども、そうした事務局に社会保険庁から出向してきてしまったら、結局、最初、門前払いをやった社会保険庁と同じような形に事務局としてなってしまうんじゃないでしょうか。

 今、専門性があるからというふうに言われましたけれども、それではせっかく総務省に第三者委員会を置く意味がないんじゃないでしょうか。いかがですか。

菅国務大臣 それは誤解だなというふうに思いました。

 というのは、私どもは置くわけですけれども、今までの事務的な経緯とか何かは、やはりこれは社会保険庁の職員が関与しましたから、そうした人たちがそういう事務的な整理をするというのは、ある意味ではこれは当然のことだというふうに私は思いますし、私は当初から法的な専門性を有している方と言っていまして、例えば弁護士の方だとかあるいは社労士の方だとか税理士の方だとか、こうした人たちは最初から専門性ということで対象にしておりまして、今新たにということではありませんので、このことも理解をいただきたいと思います。

武正委員 先ほどお配りした一ページが、総務省の行政相談の仕組みなんですね。これは、国民が相談をして、そして管区行政評価局とか行政評価事務所、そして全国の五千人の行政相談委員あるいは相談所がそうした国民の皆さんの相談に乗って回答する。そして、国の行政機関、独立行政法人、都道府県、市町村等に対してあっせんをする。そして、行政苦情救済推進会議の開催などを通じて、意見の反映で、第三者機関。

 ですから、第三者委員会は多分この行政苦情救済推進会議ではないかというようなイメージを持っておられるということも私ども事前に伺ってはいるんですけれども、そうした、ある面、国民と関係省庁の間に立った、本当に私は大変大事な行政相談の仕組みだというふうに評価をしているだけに、今大変期待がこの第三者委員会に寄せられているだけに、この行政相談の仕組みの中での第三者委員会の事務局に、専門性だから社会保険庁の方が出向するというのが果たして本当に制度設計上いいんでしょうか。

 私は、今の国民の皆さんの疑念を、あるいはそうした要望にこたえるには、それこそ利害関係者と言ったら怒られますけれども、そうした社保庁の職員の人がそこに出向するという仕組みをとらないで何かできないのかということを考えるべきであって、それができないとすれば、やはり制度設計に何か無理があるんじゃないかなというふうに思うんですが、総務大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 全く私は違うというふうに思います。

 ただやはり、今までの流れの事務的な人ですよ、どういう状況にあるかという説明は、やはり社会保険庁の現場にいるわけで、そこから説明を聞く必要というのは当然あると私は思いますよ。

 実際は事務局が、私ども、先ほど言いましたけれども、それぞれの事務所に設けるわけでありますし、その第三者の委員というのは専門性を兼ね備えた委員の皆さんになっていただくわけでありますから、そうした心配というのは全くないと思います。

武正委員 いろいろ話を聞かなきゃいけないとすれば、第三者委員会が社保庁の人たちを呼んで聞けばいいわけで、あるいは社保庁に行って調べればいいわけで、その第三者委員会の事務局に社保庁が入る必要はない、あるいは総務省の行政評価局に厚労省、社保庁から出向者を受け入れるべきでないというふうに私は思います。

 このことを申し上げて、時間が来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございます。

佐藤委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎であります。

 今第三者委員会のお話があって、後で時間があったら触れますが、その前にもう一つ大きな課題が、消防法の前にちょっと幾つか確認をしておきたい点がございます。

 大臣、この春、NHKの改革ということで、受信料の引き下げとあわせて改革を進めたいという強い御意思の中で、放送法の改正の閣法も含めて国会に提出をされました。ただ、いろいろなものが山積する中で、会期が来週いっぱいでありますからなかなか、放送法はこれからどうなるかよくわかりません。

 大臣、きのうの日経新聞の夕刊をごらんになりましたか。大臣は、内閣の仕掛け人菅総務大臣ということで……(発言する者あり)仕置き人じゃありませんね、仕掛け人で、「本来は管轄外の問題まで一手に引き受けた形だが、政権の窮地を救えるか――。」というようなことが書いてありまして、大臣の今までこの国会でやってきたことを幾つか例示をされながらやっているんです。

 今回のNHKの問題で、大臣もこの委員会で何度も触れられた経営委員会の強化という中で、以前もこの委員会で出ましたが、富士フイルムホールディングスの古森さんを経営委員に任命しようということで今手続が進んでいます、いつ国会が同意をするかというのは別でありますが。本当に古森さんが見識も豊かで経営能力もあるということで、大臣は任命ということをお考えになっていると思うんですが、今放送法という、まだ改正をされていない現行の法律の十六条の四の五、ここに、放送用の受信機や送信機の製造、販売をする法人の役員は経営委員になることができないという規定がございます。私は、よくよく考えると、この部分を少しベースに戻って考えると、この規定に古森さんは触れるんじゃないかというふうに思うんですが、この点について、簡潔で結構ですからお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、今放送法第十六条第四項第五号において、放送用の送信機や受信機の製造、販売業者の役員である者は経営委員となることができない、このように規定をいたしておりますが、古森氏が役員を務める企業は、放送用の送信機及び受信機の製造、販売は行っておりませんので、欠格条項には該当しないと考えます。

後藤(斎)委員 大臣、この放送法、成立は、基本的なベースは昭和二十五年、もう五十年以上の法律の形であります。

 きのう総務省の方にお尋ねをしたら、基本的に十六条の四項の部分は多分ほとんどいじっていないというお話でありました。そもそも当時、昭和二十五年のころは、まずラジオがあって、それ以降テレビが白黒が普及をし、レンズとか、要するに映像を撮る技術というものも現在に比べればかなり低い状況。この富士フイルムホールディングスや、古森さんは富士ゼロックスの取締役もおやりになっていますが、放送用のレンズとかそういうものもつくられているということであります。

 確かに、大臣が言われるように、現行の規定では問題ないのかもしれませんが、その昭和二十五年当時の立法趣旨というのは、いやいや、やはり受注で関係があれば注意しなきゃいけないよということがもともとの規定ではないかな。今回閣法で出されていた法律の部分についても、この欠格条項の見直しはありませんでした。やはり本来の立法の趣旨からいけば、少し幅広に、そういう受注関係も含めて、経営委員、大臣が繰り返しこの委員会でもお話をされているように、やはり内部統制や本来諮問機関みたいなものを実質的なNHKの監視、監督をする部分に衣がえしようという強い意思があったはずなんです。

 にもかかわらず、今の規定にはもしかして正しいのかもしれませんが、立法の趣旨の、当時のことを考えれば、そういう部分は考えて大臣はやられるべきだというふうに思うんですが、いかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、十六条第四項五号というのは送受信機、テレビ、ラジオの受信端末であります。

 また、放送法が放送用の送信機と受信機を製造、販売する者を欠格対象としているのは、送受信機は放送方式を決定する重要な機械であり、また、放送方式の決定に当たってはNHKが大きな影響力を有しているという面もある点を踏まえたものであります。こうした状況の中で、現在においても基本的には変わっていないというふうに思いますし、また、NHKは放送を主たる業務としているものであり、NHKが通信方式の決定に大きな影響を与えるものではないというふうに思います。

 こうしたことから、汎用的な情報通信機器の製造、販売にまで欠格対象者を広げるというのは、経営委員の人材を広く求めることを困難にするおそれがあるのではないかなというふうに思います。

 ちなみに、今ゼロックスのお話が出ました。古森さんのところのNHKに対してのシェアというのは〇・〇二%であります。

後藤(斎)委員 もう一つちょっと違った角度からお尋ねをしますが、昨年、大臣が副大臣時代に松原座長が取りまとめをした放送と通信の在り方懇、ちょうど一年前の六月六日に最終報告が出ております。この中で、通信と放送の法体系の抜本的見直しという部分がございました。現在、放送・通信の合計九本の法律、これがいろいろな部分で自由な事業が阻害されたりしているという部分も踏まえて、法体系を見直すことが喫緊の課題である、即座に対応すべきであるというふうなことでありました。

 今回の閣法を議論する時間があるのかどうかは別としても、今大臣がお答えになった部分でいえば、確かに広く人材を求めるというのはあるにしても、全然別の話ですが、この委員会でも首長の多選問題がありました。これが本当に法律ができるかどうかは別としても、なぜ多選が禁じられるのか、いけないのかというときには、よく言われるように、首長さんは、大臣もそうかもしれませんが、会社をやっていた場合、特に公共事業の会社をやっていた場合は、例えば建設業という特定でも構いませんが、社長や代表権はその首長になったときになくす、親族や専務に譲って代表権は少なくとも持たないということをしながら、対外的にきちっと身を処するという形でなければいけない。

 仮にこの古森さんが、国会の中で与党が三分の二おりますから同意を得るのかもしれませんけれども、やはり大臣、主務大臣としたら、そういうところも含めてきちっと大臣として見ていかなきゃいけないと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 やはりNHKというのはさまざまな今までの不祥事の中で、しっかりとしたガバナンス、そうした指導力のある方、また今経営委員の選定基準というんですか、そういう中に基づいて今回提出をさせていただいておるわけであります。

 古森氏につきましては、先ほど申し上げましたけれども、送受信機の製造メーカーでもない。しかし、委員からゼロックスがあるんじゃないかなと言われました。私も実はそこについて気になって調べてみましたら、シェアが〇・〇二%でありますから、これはだれが考えても本体とは全く違うことであり、そのほかの部分についても影響は全くないということではないかなというふうに私は思います。

後藤(斎)委員 最後に要望だけしておきたいんですけれども、今回の放送法、今出されているものがどう処理されるのかは別としても、仮にこの国会で議論がされないのであれば、もう一度、昨年の六月六日の松原懇の提言の趣旨も含めてやはり抜本的な、欠格条項、確かに今はそうでありますけれども、本来の経営委員会の、これから、以前のような諮問委員会的なものではなくて、実際の指導、監視をきちっとするんだという、大きく役割も変わってきているわけですよね。

 あわせて、この委員会でも私自身も何度か指摘をさせていただいたように、NHKの公共放送のあり方という部分も含めて、やはり放送法自体、通信との融合も含めてですが、抜本的な法の整備というものが必要であって、現在はNHKだけが公共放送でありますけれども、公共放送の定義の仕方をいろいろな部分で変えたり工夫をしたりして、やはり抜本的にその部分は見直すべきだというふうに思うんです。

 ぜひその点についての御意識を、先ほども触れられた、大臣がずっと総務大臣を来年も再来年も、個人的にはやっていただきたいと思いますけれども、どうなるかよくわかりませんけれども、仕掛け人だそうでありますから、ぜひ大臣、その辺は一部の放送法の見直しじゃなくて、本当に今ある放送法のあり方、その政治的な中立性のあり方も含めて、やはりきちっとした位置づけ。そして、欠格条項がなぜあるかということは、大臣が言っていることも理解はできないわけではありませんが、なぜこの立法の趣旨があるかということは、そういうふうな疑義がないようなということで、この部分での経営委員会の欠格条項というものをきちっと明定をしたということが、私自身はもともとの昭和二十五年当時の趣旨だというふうに思います。

 ぜひ今回の閣法で出されているものを、時間がもう少しあるかもしれませんから、その点についてはもう一度十二分な時間をとって検討していただきたいと思いますけれども、簡単で結構ですから、大臣の御決意をお願いします。

菅国務大臣 通信・放送の融合、連携、こうしたものに対応した法整備、このことは私は物すごく大事なことであって、そのことはぜひやりたいというふうに思っています。

 そして、NHKの経営委員会の欠格条項でありましたけれども、先ほど来申し上げましたけれども、古森氏についてはそういう意味で全く欠格条項とは関係ないということも先ほどの私の説明でおわかりいただいたかなというふうに思います。

 ただ、いずれにしろ、私どもとすれば、今出している法案というものを国会でお願いしているわけですから、それについて私どもの立場でどうこう申し上げることは大変失礼なことかなと思います。

後藤(斎)委員 大臣、欠格条項を検討した際に、やはり非常勤取締役になっているフジノンのシェアとかいうのも確認をされたんでしょうか。

菅国務大臣 全部確認をしています。

 フジノンは〇・二八%です。富士フイルムは〇・〇二%です。

後藤(斎)委員 盛りだくさんで通告してありますので、では、ちょっとまた違う質問に入らせていただきます。

 大臣、今回の消防法の改正の中で、先ほども武正委員からもお話がありましたように、私は一番気になるのが、大規模や高層の建物に自衛消防の設置の義務づけというのが大きな柱としてございます。

 これは各消防署に通告をさせて、その後きちっとそういう組織ができているかどうかというのを各消防署が確認に行くようでありますが、このフォローをどういうふうにしていくかというのがやはり大切だと思うんですね。できてしまって、その報告を受けたらそれでいいということでは多分この法改正の実質的な効果というのはありませんし、その点については、この自衛消防の設置の義務づけの後、どんな形で実効性がある形になるようにしていくのか、フォローアップの体制も含めてお尋ねをしたいと思います。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、今回の改正は、高い建物あるいは大規模な建物について、地震に対応した消防計画あるいは自衛消防組織の設置を義務づけているところでございますが、地震特有の対応、先ほどもちょっとお答えしましたけれども、エレベーターの閉じ込め事案でありますとか避難のあり方等についても、通常の火災等の場合と異なるところがあるわけでございます。こういうものに対応して、組織対応あるいは計画づくりをしていただくことになるわけでございます。

 そういう意味では、既に大きなところでは取り組んでおられるところもあるわけでございますが、多くのところにとってみると、どういうふうに動いたらいいのかというのがまだまだ十分理解されない部分もあろうかと思います。

 私どもといたしましては、ガイドラインのようなものをつくりまして、情報提供を通じまして、いろいろな活動を支援していくというようなことを考えたいというふうに思っております。そういう情報提供をしながら、この法律が成立いたしますれば、計画とかあるいは組織の届け出をいただくことになりますものですから、そういうものをよく見比べながら、必要な指導をしていきたいというふうに考えているところであります。

後藤(斎)委員 もう一つ、今、常備消防、普通の消防署の職員の方の消防力というのが、消防団の方々がなかなか、お勤めや高齢化ということで、人数が全国的に見れば減っているということであります。

 いわゆる常備消防との連携というもの、今長官がお答えいただいたように、連携をやはりどううまくしていくか。やはり、大規模火災であれば、自衛消防団が本当にその火事の現場に突入するということはなかなか考えにくいのかなと思いながら、その役割分担も含めてどういう連携をするのか、簡潔で結構ですから、お尋ねしたいと思います。

高部政府参考人 災害発生時に、常備の消防が現地に到達するということについて一定の時間を要するということがあるんだろうと思います。大きな地震の場合には、そういうことが特に考えられるわけでありまして、この自衛消防組織には、常備の消防が到着するまで、迅速に必要な対応をしていただくということがまず役割分担としてあるんだろうと思いますし、常備の消防が到達すれば、それと連携しながら活動していくということになっていくんだろうと思います。

 ただ、災害等の状況によっては、周辺の状況も、非常に大きな災害を受けているというような状況も考えられますので、常備あるいは今御指摘ございました消防団との連携とかといったような全体的な対応も考えていかなきゃいけないということだろうと思います。

 いずれにしても、端的なものは、常備の消防が到達するまでの応急の対応というのが一番大事な部分かなというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ちょっと一年前に話を戻して恐縮ですが、平成十六年の消防法の改正で、住宅用火災報知機の設置の義務づけ、これは昨年もちょっと質問をさせていただいたんですが、ちょうど昨年の六月一日から、新築住宅について火災報知機の、警報器の設置が義務づけをされています。

 昨年も、多分四千万世帯くらいあると思うんですが、そういうところに、既存の住宅は各市町村の条例で定めるということで、資料をいただきましたら、まだまだことしいっぱいではすごく少ない数で、来年の今ぐらいになると、二〇%強くらいのところで、その条例が実質的にスタートするということであります。

 ただ、これは一般の方々に、まだ周知というか、できていない部分がすごくあると思うんですね。ですから、法の施行に伴って、昨年も半面くらいの広告を使って、義務づけになりましたよという周知はなさっているんですが、やはり、これから既存住宅というところに入ると、その意識、ないしコストもかかることですから、非常に大変な作業だと思うんですが、その点について、どういうふうに継続的に国民の皆さんに周知をなさっていくのか、簡潔で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、既存住宅への対応というのは、これから大きな課題だというふうに認識しているところでございます。

 特に、婦人防火クラブ等の地域組織が、現在もいろいろ協力していただいておりまして、住警器の共同購入といったような動きも見られるところでございますけれども、全般としては、まだまだこれから普及啓発に努めなきゃいけないという状況だろうと思います。

 ですから、いろいろな地域組織、あるいは、特に、市町村の条例で定める時期から義務化が進みますので、市町村との連携を十分にしながら、精いっぱい周知に努めていきたいと思いますし、消防庁といたしましても、いろいろなポスター、パンフレットの類でありますとか、シンポジウムの開催等を通じまして、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 それと、これも昨年、消防組織法の改正をして、いわゆる市町村消防の広域化というふうなことを、これから基本方針も含めて対応していくというふうなことで決まっております。これも私ども住民にとってみてはなかなか見えにくい部分があるんですが、どのように今進んでいるのか、これも簡潔で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

高部政府参考人 昨年、法律改正をお認めいただきまして、七月に方針を出させていただいたところでありまして、平成十九年度は、県における広域化の推進計画の策定ということで取り組んでいただいているところであります。地域によって多少差はありますけれども、いろいろな、このための協議機関を設置とかというような動きが出てきているところでありまして、私どもといたしましては、今年度中にこの広域化推進計画というものを都道府県において策定していただけるように努力してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 この国会、まだ来週質疑ができるかどうかはわかりませんが、大臣はこの国会を通じて、いわゆる地域の活性化、ふるさと納税の構想も提唱したり、いろいろな意味で対応をなさってまいりました。

 ただ、やはり地域に住んでいる人たちが、自分たちの住んでいる集落というか地域をこれからも本当に維持しようという強い意欲はあるものの、実際、以前もこの委員会で指摘をさせていただいたように、限界集落という、集落というのはもう崩壊をして十年以内に四百以上がなくなってしまうと。今の消防もそうなんですが、では、消防本部であるとかをいろいろな形で収れんをしていくと、その消防力というものは、例えば道路みたいなものが上手に通っていないとなかなか進んでいかないという多分裏返しでもあると思います。

 昨年の十二月には、道路特定財源の一般財源化に向けてというふうなことで、政府・与党で合意をされているようでもありますし、ただ、やはり地方の実態を見れば、そのアクセスをどう改善していくかということが問題になっていますが、これは、平成十四年に道路四公団の民営化というのが政府・与党の申し合わせで決まり、その中で新直轄方式という仕組みがとられました。

 これについて、地方負担も含めて、税財源の移譲も含めての一括でパッケージを決めているわけですが、その仕組みと、あわせて、交付税措置を工夫しながら地方負担を軽減していくということを対応なさっているということでありますが、その点について、簡潔で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

岡本政府参考人 今御指摘ございました新直轄方式の高速道路の整備につきましては、国と地方がそれぞれ三対一という形で費用を負担いたしまして必要な高速道路を建設するということで、十五年度より導入をされております。

 この場合、新直轄方式によります高速道路整備の導入に伴いまして、新たに四分の一の地方負担が増加をするわけでございますので、まずは、マクロベースで、十五年度から、自動車重量譲与税の譲与割合を四分の一から三分の一に引き上げる、また、道路譲与税の都道府県と市町村との間の配分を見直すということで、この都道府県が負担をいたします高速道路、新直轄方式によります増加に対応をするというマクロの財源措置をいたしました。

 また、個々の事業箇所に伴いますミクロの負担につきましては、この地方負担の四分の一につきまして、地方債を九〇%充当するということにいたしまして、その元利償還金の五〇%を事業費補正により交付税措置するほか、残余の地方負担につきましては、単位費用による措置を基本として交付税措置をするということで、新直轄方式としてスタートをいたしております。

後藤(斎)委員 その中で、さらに、今、地方は、都市、特に東京と比べれば、税収がなかなかふえないということで、私どもは、党としても私個人もそうですが、やはり都市と地方の格差を、これは大臣も同じお気持ちであるというふうなことを何度か確認させていただきましたが、いわゆるなかなか税収がふえない。

 確かに、ただ、今局長に御答弁いただいたように、その新直轄というルールが決められた以上できるだけ、地方から見れば、道路ができれば、例えば「頑張る地方応援プログラム」、これも大臣が旗振りして、全国へ出かけてPRもしたり、結構六割くらいいろいろな市町村からいろいろな申し出があるようですが、この中にも、例えば企業立地の促進をするとか定住促進をするとか観光や交流ということで、いわゆる都市と地方が上手に行き来をすることが必要だということが大きな柱になっています。そのために、やはりこの仕組みというものを、地方の方がという部分で、少しでも軽減をしてもらいたいという気持ちがあるんです。

 もう一つ局長に端的にお尋ねをしたいんですが、投資係数、投資補正というものがあって、それが一定の条件を満たせば適用がされる、これが今二者択一であるというふうなお話を聞いているんですが、この投資係数というものは変更できるものなんでしょうか、今二つあるものが。あわせて、新直轄方式というものがいつまで続くかというのは、おおよそ十五年から二十年というお話を聞いておりますが、この投資係数の有効期間はと言うと変な言い方ですが、どのくらい続くのか。あわせて、簡潔で結構ですからお尋ねしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしましたように、新直轄方式につきましては、ミクロで、先ほど申し上げました地方債と交付税措置を併用いたしました財源措置をいたしております。

 その際、新直轄方式によります高速道路の事業実施箇所が偏在をしている、非常に地域的に偏りがあるということでございますので、マクロベースでは一定の財源措置は私どもとしては済んだというふうに考えておりましたが、個々の地方負担に著しい差が生じているという実態もございましたので、十七年度より、新直轄高速道路の道路延長に対する割合が全国平均と比べてその二倍を超える地方団体に対しましては、基準財政需要額の算定上、割り増しの算定というのをやらせていただいております。

 この割り増しの適用期間、基本的には、新直轄の高速道路が、その事業が必要な期間について措置していくということが、当然のことながら、その事業を進捗していく上では必要であろうということでございます。

 今申し上げましたように、平均の二倍ということで割り増しの算定の線を引かせていただいております。この算定方法に関しましては、全国平均の二倍に満たない地方団体の中から、負担額が多額に上る実態があるということで、この実態に応じたさらにきめ細かな算定をしてほしいという御意見もあるところでございます。

 現在、十九年度の普通交付税の算定の作業をいたしておりますが、そういういろいろな御意見がございますが、どのような算定を行うことが可能なのか、あるいは無理なのか、そういうことも含めまして、地方団体の事情も伺いながら検討を行っている最中でございます。

後藤(斎)委員 大臣は、地方の活力を、地方再生ということで、ふるさと納税みたいな税の仕組み、バックアップを含めて対応なさってまいりました。それが構想ということで、税の体系の中で仕組みができるのかどうかは別としても、少なくとも、先ほどの「頑張る地方応援プログラム」についても、例えば成果指標というのは九つ設けております。例えば、新型交付税のときには、従来であれば都道府県、市町村合わせて九十五であったものが六十八、要するに三割減。

 今、局長にお尋ねしたように、投資係数の仕組みというのは一かゼロか、要するに二以上であれば少し投資係数をかさ上げするよ、そうでなければ一だよと、二者択一になっているわけですね。やはりここはきめ細かな部分を見て地方の負担軽減に積極的に取り組んでいただかないと、もしこのアクセスがうまくいけば交流やまた定住人口や企業誘致やということでプラスになるというのは当然でありますから、時間が来たようでありますけれども、その点について、大臣、ぜひ積極的にその部分は対応していただきたいということで、大臣の御決意をお伺いしたいと思うんです。

菅国務大臣 私も、負担額が多額に上る地方公共団体から、実態に応じたきめ細かな算定を行ってほしい、そういう要望を受けております。

 そうした中で、私、事務当局に対して、関係地方公共団体の事情もよく聞いた上で、交付税の算定上どのようなことができるか、そうしたことを検討するように指示をいたしております。当然、私自身は地方の活性化というものを言い続けてきておりますので、そうしたことを踏まえて今検討しているというふうに思います。

後藤(斎)委員 ぜひ、最大限の大臣の、この百六十六通常国会の中でたくさんのことをやってきた、その大きな一つの成果としても実現できるように要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 三十分ほど質疑をさせていただきたいと思います。

 会期末も迫りまして、残すところ来週のみということで、我が方としては、本当にいろいろお伺いしたいことがありまして一般質疑のお願いをしているんですが、大臣の日程もタイトだということで、もしかすればこれが最後の質疑になるのかなということを危惧しております。そしてまた、参議院選挙の結果いかんによっては、もしかしたら大臣が総務大臣じゃなくなっている可能性もあるのかと考えれば、大臣に対する質疑という意味でも最後なのかなと。

 十七日の日に、我が、そして大臣のふるさとである秋田に帰られるということをお伺いしました。大臣就任祝いをされるということで、そういう部分ではうれしく感じておりますが、くれぐれも参議院選挙の応援ということではなくて、純粋に里帰りをされることを望んでおります。

 消防法についてお伺いしたいと思います。

 今回、自衛の消防組織というものを設置することを義務づける、一つの前進であると私自身も考えておりますが、そういうことを法律としてつくられました。

 後藤委員の方からもありましたけれども、その組織というものが実効性あるものであり、そしてまた、今回、消防長の方には、自衛の消防組織ができない場合、そしてまたそういう義務づけを守らなかった場合にそこの建物の使用を禁止するような、ある種一つの権限というものも付与されるという法改正だと思っています。そういう意味で、その権限が余り恣意的に濫用されないように、ある程度の輪郭というものも委員会の質疑の中で詰めていかなければならないと思っていますので、そこら辺を議論したいと思っております。

 まずは、設置が義務づけられた自衛の消防組織の具体的な形というもの、先ほど答弁の中でガイドラインを出されるという話でしたが、どういうものを政府側としてはつくられることを想定していて、それをあらわすであろうガイドラインというものがいつぐらいには公になるのか、そこら辺の御答弁をいただければと思います。

高部政府参考人 幾つかあわせてのお尋ねでございました。

 まず組織でございますけれども、組織につきましては、この対象とするような施設につきましては防災センターのようなものができることが通例だと思います。そこに人員を確保するとともに、全体を総括しながら、例えば各フロアごと、あるいは防火区画ごとのいろいろな分担を決めて対応していくということになるだろうというふうに思っております。

 人員的には、トータルは当然施設の内容でありますとか人員等々によって変わってこようかと思いますが、中核的な役割を担う者といたしましては、応急活動に関して一定の講習を受けている資格者を、応急活動の業務区分に応じた人数、例えば幾つかのフロアに分かれて班編成にする、そういう中核的なものの数に加えて、防災センター要員といったような者については、延べ面積一万平方メートル当たり一人ぐらいの配置をしていただくというようなことを考えているところであります。

 それから、ガイドラインの中身でございますけれども、ガイドラインにつきましては、先ほどもちょっとお答えしましたけれども、消防計画を作成するに当たって地震対応としてどういうことを盛り込んでいったらいいのかというようなことの情報提供を主な目的といたしまして提示をしたいと考えているところでございます。

 具体的な地震に関する内容といたしましては、地震発生時に身体の保護や火気の使用停止、パニックの防止を図ること、在館者の避難誘導については、建築物等の被害状況を確認しつつ、パニックが生じないよう慎重に在館者を誘導すること、建築物内部の安全確保には、建築物の損壊等による混乱や停電、断水の発生を考慮すること、エレベーターの緊急停止による閉じ込め事案に対応すること、仮に出火した場合には迅速な初期消火を行い、消防用設備等や防火設備の損壊にも対応すること、同時多発的な被害発生や二次災害発生に対応することなどについて、その対応方法や必要とされる自衛消防組織の編成、訓練方法なんかについては記述したいと考えているところであります。

 完成時期といたしましては、成立させていただきますならば、二年後の施行に向けまして、本年度前半には基礎となるようなガイドラインをお示しするとともに、防火対象物の用途ごとに詳細な検討をさらに続けるというようなことを考えているところであります。

寺田(学)委員 参考人の方にお伺いしますけれども、出されたガイドラインというものがどれぐらいのメッシュでできてくるかというのは、これから策定されるんでしょうけれども、いわば使用禁止の命令を出すことができる消防長にとってガイドラインというのはどういうようなポジションにあるものなのか。もし、ガイドラインが規定を何かしら、こういうところは細かくありなさい、何個つけなさい、どういう人員でやりなさいというのを事細かにやるのであれば、消防長は、ああ、これはガイドラインにのっとって設置されているとは言いがたいと。逆に、とはいえガイドラインだから考えなくてもいいのかなと考えるのか。

 そこら辺の、消防長とガイドラインとの関係性というものが非常に重要になると思うんですが、どういう関係になるんでしょうか。

高部政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、ガイドラインというのは、こういうような内容で消防計画を作成したら機能するのではないかというような情報提供を主目的とするところであります。ただ一方で、ガイドラインに従って対応していただけることによって、整合が図られた適切なレベルが確保されるというふうに考えているところであります。

 ただ、委員の御質問の意図を拝察いたしますと、すぐ直ちに措置命令等々にリンクするような、非常にコンクリートなガイドラインというふうにお考えのようでございますが、そもそもこの位置づけが、自衛の消防組織、自分たちでつくっていただく消防組織でありますし、あるいは消防計画でありますので、このガイドラインも、それが効果的、機動的に活動するような情報提供という意味合いが強くて、そういうものを受けてしっかり活動していただけるようにということでありますので、事細かな許認可基準のようなものを詳細に書くというようなイメージではなくて、こういうことでやっていただけると地震時にうまい対応ができるんじゃないかというような情報提供をきっちりしていきたいということがメーンだというふうに御理解いただければと思います。

寺田(学)委員 だとしたら、消防長としては、自衛の消防組織ができたときに届け出られるわけですけれども、その消防組織が本当に当該建物にとって有効なものかどうかというのはどのようにはかって、極論を言うと、組織ができましたというただの書面をもって受理し、いわば使用禁止命令を出すことができるもととなるような案件にはならないのか。紙っぺら一枚出せば認めますよという形式的な話なのかどうなのか、実質的にも判断するのかどうか。いかがですか。

高部政府参考人 委員も無論そのような御理解ではないと思うんですが、当然、紙っぺら一枚出せば何でもいいよというような対応はもとより考えておりません。それはやはり、消防計画の作成を通じて地震等の被害を軽減する、避難誘導を徹底するということのためのものでございますので、計画づくりはきっちりしていただくようにと思っております。

 ただ、そのときに、対応というのは施設ごとにいろいろな対応があるわけでございますので、ここまでは絶対必須項目で、これとこれとこれがないと必ず絶対だめだというようなことを直ちに言えるかというような気がするわけでありまして、やはり一定部分は、計画づくりをし、実際の訓練等々を通じながら高めていく部分もあるんだろうと思います。

 ただ、実際上、大きな建物については既に消防計画を定めているようなところもあります。法律に基づくものではありませんけれども、地震対応の計画づくりをしているといったところもありますので、そういういろいろな事例も参考にし、そういうのを提供させていただきながら、実効性のあるものに努めていくというふうに考えているところであります。

寺田(学)委員 それでは具体的に、ないとは思いますが、紙っぺら一枚なのかどうかわかりませんけれども、消防長の方が、いや設置しているとは言いがたいねということで、命令の段階があって、そして禁止の段階というのがあると思うんですけれども、どういう具体的なプロセスに沿うことを想定されているのか。いかがですか。

高部政府参考人 物が出されて、その内容を審査していただいて、そこで現実的にはいろいろなやりとりがなされるんだろうと思うわけであります。

 これだけの大きな、今度対象と考えているような大きな施設についていいますれば、それぞれ社会的責任がありますので、かなりの対応をそもそもしていただけるものだというふうに思っているところではありますが、そういうやりとりを通じて、十分なものがなければ、無論、今委員御指摘いただきましたような紙切れ一枚出しただけだということだと、消防計画として受理できないということになるだろうと思います。ちゃんとしたものをつくりなさいということになるだろうと。

 そういう命令が出されれば、無論それに従わなければ罰則というような手順になってくるわけでありますが、それは、こういう新たな制度を導入して、やはりしっかりしたものをつくっていただいて実効性が上がることに本来の目的があるわけでありますので、無論、命令を出すといったことを主眼としてやるようなことは当然ないわけでありますので、しっかり情報提供をし指導もしというようなことを通じて、それでもどうしても必要な場合にはというような手順を踏んでいくということになるだろうと思っております。

寺田(学)委員 私も、命令ないしは禁止の措置を一つの武器に無理やりつくらせるというよりは、大きな施設であればあるほど、そういう意識が潜在的に高いというか元来高いところが多いと思いますので、自然にでき上がっているものを改めて法律で義務化するという部分だとは思っています。

 大臣の方に、消防法についてもお伺いしたいんです。

 地域地域によって、そして建物建物によって、いろいろ、本当に当該施設において必要な計画ないしは組織というのは千差万別あると思うんですね。そういう意味で、地方ないしは当該建物の自主性というか、オーダーメードでつくっていくというのも一つのやり方でしょうし、とはいえ、全国的に最低限のラインというのは必要だという考え方もあると思うんですよね。

 そういう意味で、このような自衛の消防組織ないしは計画をつくらせる際に、地域の独自の判断というものにより任せる方向の方がいいのか、それとも、やはり国として統一的なレベルというものをしっかりと行き渡らせるために基準を出していく方向性がいいのか、大体どういうような形で考えられていますか。いかがですか。

菅国務大臣 これは、どうした方が地震だとか災害に対して有効かという観点から私は考えるべきだというふうに思っております。

 それぞれ建物によって物すごく違うわけでありますから、そうしたことを考えたときに、画一的なものであってはならないというふうに私は思います。しかしまた、応急するまでの最低限のものというのはやはり当然決められた方がわかりやすいのではないかなというふうに思っておりますので、そうした観点から計画作成に当たってのガイドラインを示させていただいている。そういうことでありますので、それぞれによって違いますけれども、しかし、最小限のものは統一した方がいいのかなというふうに実は思っています。

寺田(学)委員 いずれにせよ、今回の法改正によって消防の自衛組織が本当にワークしていくかどうかというのは、まさしく今の法の仕組みというよりは、その運用における現場の対応いかんであるというふうにも思っております。疑問のある点は、今回法案に附帯させていただきます附帯決議にいろいろ思いを込めるとして、この法案の方は自分自身としては前向きに考えたいなと思っております。

 以上をもちまして消防法の質疑を終わらせていただきまして、第三者委員会の方に移らせていただきたいと思っております。

 月曜日に総理から指示を受けられたというふうに伺っております。月、火、水、木となりましたけれども、この四日間において、どのような作業をだれがしてきたのか、御説明いただければと思います。

菅国務大臣 この問題というのは、国民の皆さんにとって自分自身の受給額に直接関係をするものでありますから、これは私は極めて責任が重いというふうに思いました。

 同時に、そういう中で、総理は、その申し立てをされている方の立場に立ってそうした確認を行う、そして、まず年金の不安を解消し、国民の皆さんから信頼を得られる、そうした組織にしてほしいということも言われたわけでありますので、私自身が先頭に立って、第三者委員会の体制だとか、審議の進め方の検討だとか、委員の人選など、こうしたことについての作業を今行政評価局の職員と一緒になって行っているというのが現状であります。

寺田(学)委員 なぜ社会保険庁の中につくられずに総務省にできるのかということを簡潔に御答弁いただければと思います。

菅国務大臣 これは官邸で決められたことでありますけれども、やはり年金問題というのは、私は、政府を挙げて今取り組まなきゃならない極めて大事な大事な問題だというふうに思っています。

 社会保険庁、厚生労働省というのは、今、年金問題の問い合わせがたくさん来ておりますから、そうした国民の皆さんに対しての対応ということに私はかなりの部分の精力がとられているのではないかなというふうに思います。そうしたもろもろのことを判断された上で、私どもの行政評価局、こういうことで行政相談も行っておるところでありますので、総合的な判断で私どもにということではないかなというふうに私は思います。

寺田(学)委員 結論として総務省に設置されることになるんでしょうけれども、社会保険庁ないしは厚生労働省内につくられなかった理由の中に、厚生労働省ないしは社会保険庁が当該年金のことに関しては総務省と比較した上で信用できないという理由もあったかどうか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 私にはわかりません。ただ、今申し上げましたけれども、この問題というのは、一つの省庁の問題じゃなくて、政府を挙げて私は取り組む問題だというふうに考えています。

 あれだけ多くの皆さんから、今電話もちょうだいをし、そしていろいろな相談も受けているわけですから、とにかく政府を挙げて取り組む。そういう中で、厚生労働省、社会保険庁というのはそうした国民の皆さんの対応に多くの精力が注がれていることも、これはぜひ御理解をいただきたいと思います。

寺田(学)委員 信頼たり得るかどうかというよりも、マンパワーとして物すごく使われているので、そしてまた政府全体としてやるので総務省に置かれたということなのかなと思いますが、これが第三者という委員会になっている。その第三者に任せなきゃいけない理由というのは何なんですか。

菅国務大臣 今、年金に対しましてさまざまな問題が発生をいたしております。そういう中で、国民の皆さんの不安を解消し、信頼を得るためには、やはり私は第三者の機関というのが必要だ、このように考えます。

寺田(学)委員 既存のものでは、当事者では信頼できないという理由があるのかなとお言葉から推察しますけれども、先ほど大臣が、月曜日から本日まで何をされているんですかと言ったら、先頭に立って人選やらその委員会の内容やらを考えられているということでした。

 そのお言葉に対しての質疑をさせていただきますけれども、ではどういうような第三者委員会をつくるのかというのは本当に周りが注目している部分だと思います。その中で、逢坂委員の方からも一言指摘がありましたので引用しますけれども、厚生労働省内、社会保険庁内に社会保険審査会というものがありまして、もちろん第三者委員会をつくられる際には一つそこを御注目はされているとは思うんです。

 この社会保険審査会のメンバーというものを調べてみましたけれども、確かに厚生労働省の人間、OBなのか現職なのかわかりませんが入っていたりしますけれども、大臣が人選という中で他の委員への答弁の中で言われたとおり、裁判官の方やら何やらという、いわゆる第三者的な方も入られているということだと思います。そういう意味でいうと、社会保険審査会と第三者委員会、大臣が今先頭になって考えられている第三者委員会の審査の内容というものは、そしてまた審査のあり方に関しては、もちろん変化させていくということなんでしょうか、同じということなんでしょうか。

菅国務大臣 私どもの第三者委員会の構成ですけれども、先ほど申し上げましたけれども、法律の専門家、弁護士だとか裁判官だとか、いろいろな方がいらっしゃると思います。それと、社会保険労務士の皆さん、さらには税理士の皆さんとか、そうした客観的にこうしたものを判断できる有識者と言われる方に今お願いをさせていただいておるところであります。

 そして、社会保険審査会というのはさまざまなことをやられるんですけれども、私どもの第三者委員会というのは年金問題に特化した委員会になるというふうに考えます。

寺田(学)委員 社会保険審査会の中での年金の審査の仕方と、第三者委員会は特化されているということなので、そこの年金の審査の仕方は同じでよろしいんですか。

菅国務大臣 今検討中でありますけれども、私は違うのかなというふうに思います。

寺田(学)委員 きのう厚生労働大臣との質疑の中で、社会保険審査会において社保庁の判断を不服だと申し立てた場合に却下された、その内容ということに関しては第三者委員会で再度受理することはできるだろうけれども、考え方、結論が変わるということは考えにくいと言われておりました。

 今回、第三者機関をわざわざまた総務省につくるということは、パッケージとして厚生労働省、社会保険庁内での判断というものが信用できないであろうし、国民の納得を得られないであろうから、わざわざ総務省の方につくって、そこの権限どうこうは後にして、第三者委員会が受給権の有無というものをやっていくことになるんだとは私は思います。そういう意味において、社会保険審査会での結論と第三者委員会での結論、どちらに優位性があるんでしょうか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 第三者委員会は、領収書等の証拠がない方々のために、申し立てされた方の立場に立って記録の訂正に関し公正な判断を示すことを任務とするものでありますので、検討の結果記録の訂正を求めるという判断をするということは当然想定をされるのではないかと思います。

寺田(学)委員 社会保険審査会の方にも、恐らく領収書を持たない方、お持ちじゃない方も行かれて、審査をされて、柳澤大臣の発言を総合して考えると、社会保険審査会に行くと何か厳しい判断をされて、そしてそこで下された裁定というものが、いわゆる救済措置として出てきた第三者委員会では救済されないような発言をされておりました。そこの優位性というものは必ず後で明らかにしていただかないと、この機能というのは、第三者委員会のあっせん案の意味というものも非常に薄れるんではないかなというふうに思っています。

 もう一つ質問していきますけれども、山井さんが議論、質疑した中で、いわゆる第三者委員会に対しての申し出をいつから受理されるんだということに関して、大臣も御答弁の中でやんわりと六月中というお話をされておりました。もう一度確認してお伺いしますけれども、その不服の申し立てをいつから受理されるんですか。

菅国務大臣 総理から指示があったのが六月十一日です。私自身は、今月中の立ち上げに向けて今全力を挙げて取り組んでいるということを答弁させていただいております。

 しかし、この第三者委員会というのは、それぞれの申し立てをされた方にとって自分自身の直接の年金額に影響するわけでありますから、それは極めて大事な委員会でありますので、私どもはそうしたしっかりとした体制をつくって行わなきゃならないということも事実であります。かといって、そんなに延ばすことはできない。そういう中で、私は、今月中に立ち上げさせていただく、こういうことを申し上げました。

 そして、基本的な姿勢としては、その申し立てをした方の立場に立って記録等を私どもが調査をする、そういう委員会でありまして、国民の皆さんの年金に対しての不安を解消し、そして、信頼を得ることができるそうした委員会を立ち上げるべく、今全力を挙げて取り組んでいるということであります。

寺田(学)委員 珍しく質問に答えられないんですけれども、受理はいつから始まるんですかということをお伺いしているんです。六月中なのか、六月より以降なのか、以降だとしたらいつなのかということです。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、まず全体を統括する委員会を立ち上げまして、そこである程度の方向性というのを当然出さなきゃならないと私は思います。いろいろな類似があるというふうに思いますので、そうしたものの委員会というのは、中央の中にまず最初に全体を統括するものを立ち上げて、中央においてはそこも月内に立ち上げることができればいいなというふうに思っています。

寺田(学)委員 受理はいつからかということをお伺いしているんです。

 では、違う形でお伺いしますけれども、もともと領収書のない方が、社保庁へ行って、どうせ領収書がないんだったらだめです、第三者委員会に行ってくださいと言われるのがわかっている人が直接この第三者委員会に申し込むことはできるんですか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 基本的には最初に社保庁に行って、社保庁の中で、領収書がなければという形の人が、私どもにそういう案件というのが上がってくるのは当然だと思っていますから、そうした領収書等のない人を中心に第三者委員会というのは確認作業を行うわけでありますので、中央においての全体の立ち上げと同時において、また中央においてのそうした確認というものも今月中にやっていきたいということです。

寺田(学)委員 では、どんな方であってもとりあえずは社保庁に行け、まず行ってくれということなんですよね。

 だとすると、いろいろ聞きたいんですけれども、地方版の第三者委員会は何をするんですかね。社保庁に行って、領収書がないですね、あなたは第三者委員会ですと、第三者委員会の中央の方に案件が送られて、送られた後に、地域にいる主婦の方なのかだれなのかわからないが行政相談委員の方がやってきて相談する形になるのか。

 地方の第三者委員会をつくられるということをもう既にお話しされていますけれども、この地方の第三者委員会の役割と中央の第三者委員会の役割とは何が違うんでしょうか。

菅国務大臣 まず、中央には全体として統括をする第三者委員会を最初に立ち上げたいと思います。そのほかに、そこに対してまた別の、現実的に確認をする第三者委員会というものも、これは五チームぐらいかなと思いますが、立ち上げたいというふうに思います。そしてそこで、今申し立ての方がいらっしゃいますから、そうしたものについてまず処理をする。そういう中で一定の類型というのも出てくると思いますから、こうした問題についてはこういう判断をしようという、そうしたことの方向性ができた段階で全国に第三者委員会を立ち上げたいと思います。

 当然、全国の第三者委員会にはそうした申し立てをされた方が相談に来られる、こう思います。

寺田(学)委員 ということは、地方の第三者委員会は、何かしらの相談窓口、受付窓口になるということですね。そういうことなしにだとしたら、安倍さんが初め、地方につくるんだ、それは身近なところにあった方がいいからだというのは、申請者にとってみると、受付窓口にならないのであれば身近もへったくれもないわけで、ただ単に近くにそれを審査している人がいるというだけのことであって、全くもってワークしないと思うんですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。

菅国務大臣 ですから、わざわざ東京にではなくて、地方の皆さんが住んでいる都道府県にそれぞれそうした第三者委員会を立ち上げるわけでありますから、そういう意味で、私は、地方の皆さんにとってもより身近なところだというふうに考えます。

寺田(学)委員 時間になりましたので終わりますけれども、そういう話でいくならば、とりあえずは社保庁、恐らく五十以上ある、三百ぐらいあるんでしたっけ、そこの社保庁の事務所に行って、あなたのは第三者委員会に上げられますよと言われて、今度は、秋田であれば、どこに住んでいる方でも秋田市とかに行って、また二度目の足を運ばなきゃいけない。非常に煩雑な形だなというふうに思いますので、総務省につくると言ってしまったから仕方がないのかもしれませんけれども、ぜひ御再考をいただければと思います。

 以上です。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 これまでから石油コンビーナートでは、企業ごとに自衛消防隊があり、そして、公設消防との間で消防応援協定などを結んで対応してきたわけですが、今回の改正案では、多数の者が出入りする、政令で定める大規模な防火対象物に自衛消防組織の設置を義務づけることとなっているわけでありますし、そういうところにも自衛消防組織をということですから、これは評価をしているものです。問題は、結局実効性あるものになっていくのかどうかということが一番のポイントだと思うんです。

 実は、防火対象物によっては一年に二回以上の実施が義務づけられているが、しかし、実態としては、例えば東京都内ではつい先月までは実施率は三八%だった。これは、昨年十二月の消防審議会の議事録を読めばそういう議論がされていることはわかります。東京でもそういうことですから、全国の実施率というのは非常に低いということが考えられるわけですが、消防法施行規則では、不特定多数の人が出入りするスーパー、病院などは年二回以上の消火訓練、避難訓練がもともと義務づけられているわけですが、まず最初に、全国での実施率が何%なのか、どういう状況なのかを伺います。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

高部政府参考人 平成十八年三月三十一日現在、年二回以上の訓練実施が義務づけられております防火対象物は六十三万七千六百四十八件でございます。このうち、消火訓練を二回以上実施している防火対象物は七万三千二百七十一件で一一・五%、また、避難訓練を年二回以上実施している防火対象物は八万二千七百七十七件で一三・〇%といった状況にございます。

吉井委員 今のお話でも、要するに、消火訓練で一一・五%、避難訓練が一三・〇%ですか、非常に実施率が低い。ですから、法律をつくるのはいいんですけれども、これを実効性あるものにするには何が必要かというのはやはりここだと思うんです。大体、事前に消防機関への通報義務があって、実施していないところはチェックできるわけです。ところが、消防の方できちんとそれを指導していないということがやはり問題だと思うんです。

 私は、あわせてこの機会に伺っておきたいのは、最も火災訓練を要する施設の一つに原発などがありますが、十分な訓練がなされていないということを国際機関からも指摘されていると思うんですが、どういう状況ですか。

高部政府参考人 御指摘の事案は、平成十七年にIAEAから東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所への、運転状況及び運営の安全対策に関する評価のことだというふうに思われますが、東京電力からその事案が公表されているといったことは承知しているところでございます。この中では、効果的な火災防護組織でありますとか、適切で定期的かつ必須な訓練や演習、可燃性物質、火災障壁や消火設備の状態を適切に管理できるような改善を推奨されたものだというふうに承知しております。

吉井委員 IAEAのOSART、国際原子力機関の運転安全調査団の報告書を見ていると、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に対する国際機関の評価では、「火災防護組織、火災訓練、可燃物の管理、火災障壁の分野では、防火、消火態勢をさらに強化すべきである。」として、IAEAの調査団が以下のことを確認したとしていますね。

 約五十人から成る自衛団を設けているが、適切な訓練を受けていない者や、発電所の定期的な巡回を行っていない者もあると。だから、自衛団を設けても実際に機能していないということなんですね。「自衛団を所掌する管理者は、消防署と共同で行った前回の消防訓練で指摘された是正措置の実施状況を把握していなかった。」「消防署に援助を得る際の消火計画が定められていない。」「消防署に提出した手順書では、自衛消防団の包括的な訓練を年に二度、短い部分的な訓練を少なくとも年に二度行うことが要求されている。」が、「運転員を除くほとんどの職員は、火災訓練への参加を要求されていない。」「自衛団員は、実際の火を消す訓練を受けていない。」だから、自衛消防隊を組織しても自衛団員が火を消す訓練もしていないということが国際機関から指摘されているわけです。

 私は、これは東京電力に対する指摘ではあるんですが、これを深く読めば、単なる東京電力の問題だけじゃなしに、消防署が日常的に査察して、把握して、企業を指導し、原発火災対策、防災対策をとらせるようにするべきであるということを示しているものだというふうに思うんですが、この点、消防庁の方としては、そういう受けとめというのはきちっと持っていますか。

高部政府参考人 この種の計画づくりは実効性あるものとしていくことが非常に重要だというのは、委員御指摘のとおりだということは十分認識しているところであります。

 このIAEAの指摘につきましては、平成十八年度に開催いたしました消防機関と原子力事業者等との円滑な連携などに関する検討会という中で参考資料とさせていただきましたし、また、関連のところに情報提供といったようなことはさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、今回のIAEAからの評価の日本国内の窓口は経産省、外務省というようなところになってくるわけでありますので、その辺との連携も十分意識しながら、適切な対応を考えていきたいと考えているところであります。

吉井委員 私はこの報告書の中身を読んでいまして、何も国際原子力機関から言われるまでもなく、今私が読み上げたような部分というのは、当該消防署が査察でそれを明らかにして、そして改善を求めていくとか計画書なりを出させるとか、また、実際に火災訓練をやっているかどうかを日常的にきちんと実施状況を見る、これだけの話なんですよ。それがずっとそうなっていなかったというのがむしろ大変残念な事態だと私は思うんです。

 そこで、この機会に伺いますが、これまで原発内での大小の火災の発生は何件あったのか、その状況について伺っておきます。

高部政府参考人 原子力発電所施設等において昭和四十二年から平成十九年三月まで消防庁が把握している火災は百八件となっております。

吉井委員 それで、百八件、原発の中でさまざまな火災があったんですが、大きいものでいえば高速増殖炉「もんじゅ」におけるナトリウム火災がありましたし、それから、その翌々年の動燃、東海村の再処理工場におけるアスファルト固化施設での爆発火災事故もありました。原発火災は大小さまざまなんですけれども、百八件の中でもさまざまなんですが、原発の制御とか放射能汚染対策、火災があれば火災の鎮圧をしなきゃいけませんね、それから大量の避難とか、これは通常の工場火災とは異なる難しさがもともとあるんですね。

 そういう点では、消防庁として、今もお話はありましたけれども、総務省、経産省、文科省とか、その他関係するところで、各省でよく連携して、私は、やはりこの機会に、全国の原発の火災対策、放射能防護などの防災対策とその機器の整備状況、それから火災の防護組織、火災訓練や可燃物の管理、火災障壁の設置など、全国の実情を調べて報告をしてもらいたいと思うんです。それからまた、すべての原発ごとに原発防災計画と防災訓練の実績、実情はどういうふうになっているかということをやはりこの機会にきちんと全国的に調査をして、そして報告を求めたいと思いますが、消防庁として、これは連携しながら取り組んでいかれますね。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、所管もいろいろにわたっている、あるいは所轄の消防機関との関係もございます。よく相談して、検討させていただきたいと考えております。

吉井委員 そこで大臣、私が今紹介しましたように、原発火災とか災害というのは、他の工場災害とかあるいは大規模スーパーだ何だというような火災と随分違ってくるんですね。これはこれで通常の火災以上に深刻な問題が生まれてくるし、そして、防災対策も火災訓練その他も、やはり実効性あるものにしていくにはどういうことをやるかというのは、まず現実をきちっと把握し、原発防災にかかわる法律はもとより、消防法の観点からも、きちんと査察して、そして消防訓練などが実施されるように指導していく、こういうことが必要になると思うんです。

 この点について、大臣に取り組んでいく上での考えというものを伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 原子力の機関というのは、もし大きな事故になったら大変なことでありますので、日ごろからそうしたことにつきましては細心の注意を払って消防防火体制というのをとっていかなきゃならないというふうに思っております。そういう中で、私も所管の消防機関と原子力安全・保安院などと相談しながら、絶対にそうした事故が発生しないような対応策というものを考えていきたいと思います。

吉井委員 そういう大きな話から、小さいと言ったら変ですけれども、深刻な問題は町の中にいっぱいあって、先ほども出ておりました、今度は、ことし一月の兵庫県のカラオケボックスの火災のようなものです。

 消防庁は、事件後、カラオケボックスの全国調査を行って、その結果、七割に何らかの消防法違反があったということを明らかにいたしましたが、この兵庫県のカラオケボックス火災の裁判が行われております。経営者側の弁護人からは、消火訓練の未実施などは一般的にある、火災が起こるまでの十八年間、消防による査察が一度もなされていない、査察で適切な指導があれば火災を防げていたかもしれないなどと弁護側は主張しているんですね。開き直りのようなこの主張を別に私は支持する立場にはありませんが、十八年間一度も査察がなかったということはやはり問題だと思うんですね。

 二〇〇一年に新宿歌舞伎町のビル火災があって、立入検査の制限の見直しなど消防法改正が翌二〇〇二年に行われました。ところが、よく見てみると、立入検査の実施率というのは、二〇〇〇年度の三〇・九%が、二〇〇一年の歌舞伎町ビル火災のときは三〇・三%に減っていて、消防法改正をやった二〇〇二年には二八・二%に下がっていたんですね。法改正をして、法施行後、二〇〇四年には三一・〇%と実施率は上がっているんですが、直近の数字では二六・三%と、実は歌舞伎町ビル火災以前よりもまだ実施率が落ち込んでいますね。

 これでは改正の成果があらわれていないということになってくると思うんですが、どうなんですか。

高部政府参考人 御指摘ございました平成十三年の新宿区歌舞伎町ビル火災を契機といたしまして、防火対象物等の増加等に伴ってこれまでのような立入検査実施率を維持することが困難になってきている状況にかんがみて、立入検査をすべての防火対象物について一律に実施するのではなく、消防機関が有する情報をもとに、火災危険性が高い防火対象物、すなわち違反の多い防火対象物に重点を置いて実施することとし、また、立入検査を補完する新たな仕組みとして防火対象物定期点検報告制度を創設したということでございます。

 その後、防火対象物数は増加傾向にあり、立入検査実施数も、御指摘ございましたように横ばいからやや漸減傾向ということでございまして、結果として実施率も低下しているところではございますが、違反対象物に対する命令件数は大きく増加しているところでございまして、効果的、効率的に基準適合性の確保を図る努力に努めているということでございます。

吉井委員 歌舞伎町ビルの場合は、五年に一回立ち入りをやるという方針だったのが、十一年間以上全然放置されたままだった。それではだめだというので法改正したわけですね。ところが、今度は、違反の指導に手がとられて実施件数が少なくなってしまっている。人手不足ではないかという指摘に対して消防庁は、そうではない、防火対象物側の実態が立入検査を難しくしているのが大きな要因だという話があったので、それで立入検査の制限を見直したわけですね。その結果、逆に実施率は低下している。

 よく見ると、立入検査を実施する予防要員の方なんですが、九〇年度は一万八百五十九人だったのが十年たった二〇〇〇年度に一万一千五十六人で、わずか二%しかふえていない。一方、同じ時期に、防火対象物件は二百九十五万件から三百五十三万件へと二〇%増加しているんですよ。検査に入る予防要員が二%しかふえていない、対象物件は二〇%ふえている、それでは実施率が落ちていくのは当たり前ですよ。

 だから、私は、予防要員の十倍も物件がふえているわけですから、予防要員の充足率をどう引き上げるかということが物すごく大事だと思うんです。二〇〇一年の国会審議の際には予防要員の充足率というのは七〇%弱だったんですが、現在は何%ですか。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

高部政府参考人 平成十八年度の充足率について、現在、数字を集計中でございまして、七月中にまとめるという予定にしているところでございます。ただ、平成十七年に消防力の整備指針を改定いたしました。予防要員の指針も少し変わっておりますので、率だけでいうとその分を勘案しなきゃいけないと思いますが、全体の状況的なことを申し上げますと、充足率が大きく改善しているといったような状況にはないというふうには認識しているところであります。

吉井委員 大臣、幾ら法律を改正しても、実際にきちんと消火訓練をやっているかとか、避難訓練をやっているかとか、そういうことを日常的に検査する予防要員というのが、対象物件がふえているのに実はふえていない。対象物件は、予防要員のふえた二%の十倍もふえているんですよ。だから実施率がどんどんどんどん落ちてくる。法律をせっかく改正しても、それに伴うそれを進める体制ができなかったら法律というのは私は生きてこないと思うんです。

 そこで、大臣に、充足率を満たす人員の確保が最低必要なんですが、予防要員をふやす上でどういうふうに進めていこうとされるか伺います。

菅国務大臣 私ども総務省消防庁として、消防力の整備指針において必要とされる消防職員数の確保を目標といたしておるところでありますけれども、予防職員を含む消防職員の充足率の向上は極めて私ども大事だというふうに考えています。

 そのため、本部要員の効率化や消防体制の基盤の強化などを通じて、予防職員等の確保にもつながる市町村消防の広域化を推進するなど、必要な消防職員を確保し、地域の消防力の維持拡充に現在努めているところであります。

 今後とも、各市町村において、消防力整備指針を整備目標としながら、地域の実情に即して消防職員の適正な配置を図っていただくよう、私ども総務省消防庁としても適切な助言や支援を行っていきたいと考えております。

吉井委員 予防要員を確保する努力を強く求めておきたいと思いますが、通常ですと、働いている人たちが、この仕事をこなそうと思ったらこれだけ人を入れてほしいとか、それは、消防職員が本来ですと団結権があって団体交渉権があれば、人員の確保を求めるという、使用者側との交渉の重要な課題にもなってくるんです。しかし、現実には団結権等はないわけですよ。

 そういう中で、消防職員委員会というのがありますが、これについて、一昨年五月に、消防職員委員会の組織及び運営の基準の一部が改正されて、意見取りまとめ者制度というのが創設されました。六月九日の消防・救急課長の通知には、「職員から提出された意見は、原則として意見取りまとめ者を経由して提出されることが望ましい」とあるんですね。今までは自由に意見が出せたんです。今度は取りまとめ者に限定してしまう。これは何でこんなことをするんですか。

高部政府参考人 意見取りまとめ者というのは、職員の意見を取りまとめて委員会に提出するとともに、委員会に提出する意見に対する補足説明を述べるといったような役割を担っておるところでありまして、消防職員委員会のより効果的かつ円滑な運営に資するという趣旨で平成十七年度に創設されたものというふうに理解しているところであります。

 平成十八年度の消防職員委員会の運営状況調査によりますれば、七八・七%の意見が意見取りまとめ者を経由して委員会に提出されており、この制度が定着しつつあるものというふうに認識しているところであります。

 また、意見を提出する消防職員が意見取りまとめ者を経由して委員会に提出することに支障があると考える場合には、職員は直接委員会に意見を提出することも可能というふうにしているところであります。

 意見取りまとめ者制度は、意見を提出しやすくするために創設したものでございまして、個々の職員の意見提出の制約にはならないというふうに認識してございますが、消防庁におきましては、説明会の開催等を通じまして、制度の周知と円滑な導入に向けて今後ともなお一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

吉井委員 職員の意見が反映されていない消防本部があるというのを意見取りまとめ者制度創設の理由の一つにしてきたようですが、そうであるならば、消防職員委員会の運営そのものを改善するようにするということが本来の筋です。

 例えば、消防長が指名する消防職員委員会の委員長を職員代表の委員にするとか、岡山県の東備消防や愛知県稲沢消防、福岡県田川消防など、時間外手当などをめぐって裁判が起こっておりますが、消防職員委員会で解決できるような措置をとるとか方法はいろいろあるわけですが、そういう検討というのはきちんとしてきているのかどうか、これも聞いておきます。

高部政府参考人 消防職員委員会は、すべての消防本部において設置されておりまして、毎年約五千件の意見が審議されてきているところでございます。

 意見取りまとめ者制度が導入された平成十七年度におきましては、五千三百五十四件の意見を審議し、四一・八%の案件が実施が適当であるとされ、このうち五八・五%、平成十八年度末現在でございますが、実施しているところでございます。また、平成十八年度におきましては、五千三十六件の意見を審議し、四三・一%の案件が実施が適当であるとされているところであります。

 消防職員委員会制度の効果的かつ円滑な実施によりまして、消防職員からの意見が提出され、消防事務の円滑な運営が図られるというふうに認識しておりまして、消防庁といたしましても、制度の一層の定着を推進してまいりたいと考えているところであります。

吉井委員 意見が反映しにくい現状がある場合、やはり反映できるように職員委員会の運営を民主的に改善するというのが本来の筋ですし、それができないということは、消防職員委員会のやはり限界で、根本的な解決というのは、これは団結権をやはり認める、そのことを考えなきゃいけないということを指摘しておいて、最後の問題として大臣に伺っておきたいのは、富士フイルムホールディングス社長を政府がNHK経営委員長に推薦したと報道されておりますが、この富士フイルムホールディングスの社長というのは安倍首相を囲む財界人の会である四季の会のメンバーであり、首相人脈による政治任用という指摘などもされています。

 富士フイルムホールディングス、この会社は、放送機器として欠かせない放送用のレンズや放送用ビデオテープを製造する会社を子会社として傘下に持っている利害関係者であって、放送法第十六条の、放送用の送信機や受信機の製造業者及び販売業者を利害関係者として、経営委員となることができないとしていることに反するものです。

 また、この会社の二〇〇六年度決算説明会資料を見ると、その株主構成の五〇・二%を外国法人が占めている。いわゆるこれは外資企業ですね。経営委員というのは、日本の公共放送であるNHKのガバナンスの中枢であって、互選で経営委員長に選出される資格を持っておりますから、外国資本の支配下にある企業のトップをNHKのガバナンスの中枢中の中枢である経営委員とし、経営委員長の資格を与えるということは、これは適切でないと言わなきゃならぬと思うんです。

 利害関係者や外資の支配下にある人物は、そもそも放送法の観点から経営委員としては資格に疑義があると思いますが、これについて大臣に伺っておきます。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、経営委員の欠格条項には全く該当をいたしておりません。外国人等が多数の株式を保有する企業であること自体、そうした放送法に定める欠格条項にはないということであります。

 また、NHKの経営委員というのは、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、そして広い経験と知識を有する者のうちから任命することとされておりまして、経歴などを含めて、多角的な観点から経営委員に適任と考えられる方がこれに任命されるものであるというふうに考えます。

吉井委員 国民の貴重な資源である電波を使用する無線局には外資規制がかかっています。さらに公共性が高い放送局には一層厳しい外資規制がかかっています。ホリエモンの問題があって、地上放送局に対する外資規制がこの間強化されてきておりますが、直接的だけじゃなく、間接的な支配も規制の対象とする改正が行われました。

 NHKは公共放送であり、公共性が高いものです。利害関係企業とか外資系企業のトップを就任させるなどということは、もともと放送法がそもそもそうした事態は想定していないものです。電波法では、法人である無線局に対し、一定数の外国人の役員は認めているが、代表者となることは認めていないなど、そういう外資規制とか、外国勢力の介入、関与、干渉等を排除するというのが基本的な考え方です。

 今回の事態は、首相人脈による政治任用というだけじゃなしに、放送法が禁止する利害関係者に相当し、電波法、放送法が規制する外資のトップが経営委員として適切でないということも、これは明白です。こういう人物をNHK経営委員及び経営委員長に考えるべきではない、このことを指摘して、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。消防法の一部改正案に対する質問を行います。

 まず、本改正案の理由についてから入ります。

 大規模地震の発生が急迫していること、これに対し、一定の事業所の管理権原者に対して、防火のための消防計画の策定だけでは対応が困難、したがって地震被害の軽減のため消防計画の作成と防災体制の整備の導入が必要、そのために自衛消防組織の設置を義務づける、これが本改正の理由であると認識しています。

 そこで、改正の背景となっている大地震発生の急迫性、これはもうかねてから指摘されているわけですね。きのうきょうのことではないわけです。そういう記事は日常茶飯事、新聞の紙面を飾っているわけです。そうであるというふうな見方をすると、この法改正、これはやはり政府は怠慢であった、もっと早く敏感に反応し、対応し、その計画をつくる、こうであるべきだったと私は思うんですが、そういう私の指摘に対し、大臣、どのようにお答えしますか。

菅国務大臣 我が国においては、大規模・高層建築物を含む建築物の震災対策として、建築基準法に基づく耐震性能の確保や避難階段等の設置はもとより、建築物の耐震改修の促進に関する法律等によって建築物等の耐震性の強化、消防法令による消防用設備等の設置など、さまざまな施策というのが今日までとられてきたところであります。

 また、災害発生時に国民の安全を守ることを任務とする消防機関においても、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、緊急消防援助隊の創設を初めとする広域応援体制を整備するなど、消防防災体制の充実強化に今日まで取り組んでおります。

 一方、建築物等の大規模・高層化は近年著しく進展しており、こうした不特定多数の方が利用する大規模、高層の対象物においては災害時の円滑な避難誘導が求められておりまして、最近の地震では、エレベーターへの閉じ込めだとか、あるいは一部施設でのパニック発生など、応急活動上の課題となる事態が生じてきています。

 こうした課題に対応して、専ら自主的な取り組みにゆだねられている事業所等の自衛消防力の強化を図ることが、社会全体の災害対応力の強化を図る観点から極めて緊急な課題となってきております。今回の改正によって、従来の取り組みと相まって、大規模・高層建築物における震災対策の一層の充実、こうしたものにつながっていくだろうというふうに考えております。

重野委員 では、具体的な内容に入っていきます。

 現行の制度で、事業所の管理権原者は、防火管理者を選任し、消防計画の作成、それに基づく訓練などの防火管理業務を行わせる、こういうことにしております。

 では、これがどこまで実効性を持つか、かねてから論議のあるところであります。そうした実効性に対する疑問がまだ払拭されていない。そういうところに、今回、大規模地震による被害軽減を目的に自衛消防組織の設置を義務づける。こういうことになりますと、これまでのように現実に実行されないでは済まされないことになります。この点で、実効性ある自衛消防組織の設置が確実に担保される必要があります。

 この点、確たる見通しをどのように持っておられるか、大臣の見解を。

菅国務大臣 自衛消防組織を実効性のあるものにしていくためには、事前の活動計画の策定だとか、あるいはまた訓練を通じた実践力の確保、こうしたものを統括することのできる人員が必要であるというふうに思います。

 このことにかんがみて、事業所における自衛消防の取り組みを支援するとともに、消防機関における当該事務の適切な運用を図るため、応急活動内容だとか訓練方法等に関する消防計画の作成ガイドラインというものを示す予定であります。

 また、自衛消防組織の要員のうち、それぞれの組織において全体の中枢的な役割を担う者や防災センター要員等については、応急活動に関して一定の知識だとかあるいは技能を有する者の配置というものを求める予定であります。

 今後、全国の消防機関のほか、事業所や関係団体とも連携を図りながら、自衛消防組織の実効性確保、こういうものを推進してまいりたいと思います。

重野委員 そこで、さらに具体的に聞いてまいりますが、現行消防法第二十五条一項の規定について聞きます。

 この規定は、応急消火義務とされています。この規定にある「関係者」とは、消防法二条四項に言う防火対象物または消防対象物の所有者、管理者または占有者、こういうふうに理解いたしますが、その理解でよろしいか、確認いたします。

高部政府参考人 消防法におきます用語の定義に関しまして、御指摘ございました法第二条におきまして規定が設けられておりまして、御指摘の同条第四項で「関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう。」というふうに規定されているところであります。

 したがいまして、法律の第二十五条一項の「関係者」についても法第二条第四項と同義でありまして、御指摘のとおりということでございます。

重野委員 同じ規定で、「その他総務省令で定める者」、こうあります。この総務省令とは、消防法に基づく規則第四十六条に定める者と考えるんですが、具体的にはいかなる者を指すのか、説明願いたい。

高部政府参考人 火災時の応急消火義務者につきましては、当該消防対象物の関係者のほか、消防法施行規則第四十六条におきまして、これ以外の該当者が示されているところでございます。

 具体的には、一つ、火災を発生させた者、二つ、火災の発生に直接関係がある者、三つ、火災が発生した消防対象物の居住者または勤務者で、火災の現場にいるものが定められているというところでございます。

重野委員 つまり、今の説明を私なりに理解しますと、この応急消火義務とされる消防法第二十五条一項の規定に関する者、これは、防火対象物あるいは消防対象物にかかわる権原者、あるいは火災発生者やそれと因果関係を持つ者、あるいはそうした対象物と特定の生活上の関係を有する者、消防法上の対象物と相当程度社会的な関係を有する者で、その点で、対象者は国民一般から見れば限定されるものと考えます。そのように理解してよろしいか、確認いたします。

高部政府参考人 消防法上の応急消火義務者につきましては、消防対象物との関係や火災との因果関係から、当然その応急活動に当たるべき者が規定されているところでございます。

 したがいまして、御指摘ございましたように、応急消火義務者は一定の範囲に限定されたものとなっているところでございます。

重野委員 では、この二十五条二項の規定についてお伺いします。

 これは応急消火協力義務とされている規定でありますが、この規定に基づいて協力義務を負う者はだれかが一つですね。条文を文字どおり読めば、火災現場に遭遇した者はすべて協力しなければならない、こういうふうになるわけです。これは確認するまでもないと思うのでありますが、再確認をしたいと思うんですが、いかがでしょう。

高部政府参考人 御指摘の法二十五条第二項におきましては、火災の現場付近にある者は、応急消火義務者の行う消火もしくは延焼の防止または人命の救助に協力しなければならないこととされております。

 したがいまして、火災発生の際に現場付近にいる者で、応急消火義務者以外のものにつきましては、現場付近に居住等しているかどうかにかかわらず、当該協力義務を有すると解されるものであります。

重野委員 応急消火義務あるいは応急消火の協力義務を負う者の確認がされましたので、次に行きます。

 こうした義務を負う者がその履行過程において例えば死亡したり負傷したりした場合、補償措置はあるんですか。

高部政府参考人 第二十五条一項に規定される応急消火義務者は、当該消防対象物の関係者、火災を発生させた者、火災が発生した消防対象物の勤務者等を言いまして、消火、延焼の防止または人命救助の義務を負っているというふうに考えられます。

 一方、同条二項に規定されます応急消火協力義務者は、火災の現場付近に居住していると否とを問わず、火災発生の際現場付近にいる者を言いまして、応急消火義務者の行う消火、延焼の防止または人命の救助に対して協力の義務を負う者でございます。

 したがいまして、同条一項の応急消火義務者は、消防対象物との関係や火災の発生との因果関係から、消火、延焼の防止または人命の救助に当たることはむしろ当然であり、当該義務を果たすことによりこうむった損害については、原則として災害補償の対象とされないところであります。ただし、勤務者については、一般には労働者災害補償の対象になるのではないかと思料するところでございます。

 これに対しまして、同条二項の協力義務者が協力することによりまして死傷したり病気にかかったといったような場合には、消防法第三十六条の三の規定によりまして、損害補償を受けることができるというふうに考えられるところであります。

重野委員 応急消火義務を負う者と応急消火の協力義務を負う者というのが仮に同じように負傷したりあるいは不幸にして亡くなったという場合に、その対応は違うんですね。その境目というのはどういうふうに峻別するんですか。

高部政府参考人 先ほど御質問ございましたように、それぞれ一項、二項という関係で法律に規定されておりますので、それぞれ、具体の方が一項に該当される方なのか二項に該当される者なのかを関係規定に照らして個別具体に判断されるということになるわけでございます。

 先ほど来御質問にもございましたように、そもそも火災に一定の関係があって、延焼防止でありますとか消火に責任を持っている者を一項でやっておりますし、そういう関係に立たない者が二項で規定されているわけでございますので、そういう趣旨に即して、具体の規定に則し、具体の事案に即して判断されるということになろうかと思っております。

重野委員 三十六条の三の一項と二項の話ですね。違うんですか。

高部政府参考人 補償の規定は三十六条の三の方に規定されておりまして、そこで二十五条を引きまして、二十五条の一項と二項を分けて規定しておるところでございまして、協力するような方について二項で規定されておりますので、こういう方々の損害については補償する、こういう立て方になっているところでございます。

重野委員 そこら辺の区分けというのはだれが判断するんですか。

高部政府参考人 三十六条の補償の規定につきましては、これは市町村が行うということになっているところでございます。

 そもそも、この三十六条の規定は、二十五条を引いて、書き分けて損失補償について定めておりますので、どういうものが補償を受けられるかということについてはこの法律に則して考えられるところでありますが、その具体的な当てはめは市町村において行われるということになろうかと思います。

重野委員 過去、火災があって、不幸にしてこういうふうな事故があったというケースで、どういう裁定が下されたという、その実例というのはあるんですか。

高部政府参考人 ただいま手元にありませんので、どれだけの事例がどういうふうにあったのかというお答えはできませんが、今私ども、私の周辺にいる者を含めてでございますが、今委員御指摘いただいたようなことで区分けに問題があったというようなことについては、余り認識しておらないところでございます。

重野委員 それでは、後でいいですから、そこら辺、物があれば出していただきたいと思います。

 そこで、自衛消防組織について聞きます。

 本案では、第八条の二の五で、大地震の被害の軽減が特に必要な建築物等の管理権原者に自衛消防組織の設置を義務づけた。さらに、その自衛消防組織の要員の現況その他総務省令で定める事項を所轄消防長または消防署長に届け出なければならない、このようにしています。

 そこで、この自衛消防組織の構成、要員について具体的にどのような姿、形を構想しているのかお示しいただければと思います。

高部政府参考人 自衛消防組織とは、防火対象物の従業員等から構成されます人的組織でございまして、具体的な編成の例といたしましては、防災センターを中心に全体を統括する本部を置き、階や防火区画ごとに活動上の班を設ける等を想定しているところでございます。

 すっと言いましたので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、大きな建物について言いますと、防災センターというのが通常設置されておりまして、そこで全体を管理しているところでございます。そこで統括するような形で、高層の建物ですと各階ごとに一つの区画が考えられますので、そこに責任者を設け、またその中でも防火区画を設けて、またそこに責任者を置き、それぞれの中に、例えば消火の班でありますとか避難誘導の班でありますとか連絡調整の班でありますとか、こういうものを置いていくというような姿を予定しているところであります。

 また、自衛消防組織の要員のうち、当該組織において全体の中枢的な役割を担う者や防災センター要員等につきましては、応急活動に関し一定の知識、技能を有する者の配置を求めたいと考えているところであります。

重野委員 地元なんかで、県庁だとかあるいは市役所なんかに自衛消防組織ができていますよね。それで、年に一度、所轄の消防署が来て訓練をやりますよね。はしご車が上がっていって避難を求めている人を救出するということを毎年やるんですが、ここで言う組織も、県庁、市役所に今ある自衛消防組織と同じようなものだというふうに受けとめてもいいんですか、違うんですか。

高部政府参考人 同じようなものという幅の問題がございますが、それぞれ、今ですと火災対応で一定の役割分担をしながら自衛の消防組織をつくっておりますので、イメージ的にはそう大変わりはしないものだろうと思っております。

 ただ、今回法律改正をお願いしておりますのは、地震に対応するものが必要になってくるということでございますので、先ほどもお答えしましたけれども、例えば、通常の火災ではないような、エレベーターの閉じ込め事案というようなものへの対処も必要になってこようかと思いますし、それから避難誘導についても、火災の場合の対応と地震の場合の対応では多少違ってきまして、特に地震対応の場合にはパニック防止といったことが非常に大きくなってこようかということでもございます。

 ざっとした自衛消防組織というのはどんなものかというときに、そんなに大変わりはしないと思いますけれども、今回、法律改正でお願いしておりますのは、地震に対応できるような形で運営できるようにということを考えているところであります。

重野委員 この自衛消防組織に入る、入るというか指名をされるわけですね、指名をされた方と、同じ企業、同じビルの中にいろいろな企業がありますよね、そうでない人。地震が発生した、それで、逃げる人と、逃げる人をいわゆる整然と危険なビルから出られるように誘導する人の、そういう起こった事案あるいは事象に対する危険の度合い、まあ不幸にして死ぬ場合があるかもしれないんですが、そういう役割と任務の違いに照らして、自衛消防組織の構成員が不幸にしてけがをしたとか、そういう場合の救済というんですか、そういう仕掛けというのはこの法案の中のどこにあるんですか。

高部政府参考人 先ほど御説明しました三十六条の三と二十五条との関係ということで御質問いただきましたけれども、そういう関係で言いますと、今回、自衛消防組織の構成員に当たる者についての損失補償の適用につきましては、三十六条の三の規定の適用はないというふうに考えておるところであります。

 と申しますのも、従業員等につきましても管理権原者と、先ほど一項、二項の話がございましたけれども、一定の関係にある者でございますので、その者について規定するということはいたしません。

 その方々について言うと、例えば雇用関係等々がありますれば、労災といったような、そちらの方で雇用関係に着目した補償というのは当然あり得ると思いますけれども、消防法、消防対応のものとしての損失補償の規定は設けておらないところでございます。

重野委員 先ほどの説明の中で、いわゆる正規のというか、消防署とか、そういうところが現場に到着するまでの間この組織は対応するというふうな説明を長官はやったような記憶が私はあるんですが、そうなると、そこの区分けというのはつかないんじゃないですか。消防署の救急隊が来るまで現場で、それなりに役割と任務を背負って、この法律に基づいてやった、そのことが原因でけがをしたということを、いや、それは会社の規定で適用するんだというのはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うんです。

高部政府参考人 先ほど来の議論で言いますと、二十五条一項、二項の問題で、一項は、火災について一定の原因がある者、施設について所有権がある者等々、要するに、何らかの原因があって、むしろ消火でありますとか延焼の防止だとかといったような責任を持っている方々が災害補償の適用にはならないということで、先ほどお答えしたわけでございます。

 今回の自衛消防組織というのは、言ってみればその補償の対象にならない方々のグループに属する人たちだという理解のもとに、消防法に基づく損失補償の適用はないというふうに整理しているところでございまして、それは無論、一定の雇用関係等々に基づいて自衛消防組織の中に入って活動されるわけでございますので、消防法とは別にそちらの世界での救済というのがあり得るのではないか、こういうふうに説明しているところであります。

重野委員 それは、消防庁の方がそのように思っているので、現場の方は、そもそも、火事が発生した、地震が発生したというときに民間の企業が事に当たるということを本来業務というふうには思っていないと僕は思うんですよね。そこのところが、ぴたっと民間のあるいは企業のそういうところにやはり落ちない部分があるんじゃないですかね。

 ですから、この組織が、自発的にできなくて、こういう法律をつくってやりなさいというふうなある種の強制力を示していかないとできないという遠因には、今消防庁長官がいみじくも言った、そういう物事の組み立て方がやはり問題があるんじゃないか、このように思いますね。

 それについてはこれ以上は申しません。私は納得できませんが、次に行きます。

 そこで、自衛消防組織は、消防法上の防火対象物等に勤務する職員の中で、しかも一定の講習を受けた者で構成されること、これは先ほど説明がありました。

 職員全般に要請される協力と、本法の改正によって設置が義務づけられる自衛消防職員の構成員とを同列に置くというのは整合性を欠くのではないかと私は思うんですね。つまり、それなりにある種の目的を持って日常そういう訓練を受けなければならない、そういう人と、そうでない、同じ企業あるいは同じ建物の中におる者をそういうふうな形で同列に置くというのはやはり問題があるというふうに私は思うんですが、これについては、大臣、どのようにお考えですか。

菅国務大臣 消防法においては、災害時において迅速な応急活動を行うことによって社会公共の安全を確保する観点から、消防対象物との関係や火災の発生との因果関係などを勘案し、一定の者について応急活動上の義務及び協力義務を課しているものであります。

 これに当たり行為者がこうむる損害については、当該活動に係る義務の性質に応じて災害補償の要否というものを規定いたしております。

 自衛消防組織の構成員については、当該消防対象物の勤務者等として従来から応急消火義務を有するものであり、今回の改正に伴って消防法上の災害補償に関する取り扱いを変更するには当たらないものと考えるところであります。

重野委員 もう時間が来ましたからやめますけれども、地域の消防団にしてもそうです、あるいはそういう企業の自衛消防組織にしてもそうです、やはりそこら辺のところは、今長官の答弁にしても大臣の答弁にしても、余りにもはっきり区分けし過ぎていると私は思うんですね。自主的な消防組織、そういうものに対する思いというのが伝わらないから、だから地域の消防団も団員の補充に物すごく苦労しているんですよ。それから、民間だって、口には出さぬけれども、もしも何かあったときにどうなるんだ、こういうふうな不安というのはやはりあると僕は思いますね。

 そこら辺は言わずとも受けとめて、そこら辺に配慮した法をつくっていくというのがやはり極めて大事なことである、そこら辺を強く申して、私の質問を終わります。

佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 消防法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。西村智奈美君。

西村(智)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 事業所の作成する消防計画については、地域防災計画及び市町村消防計画との整合性が図られるよう、地方公共団体及び事業所に周知徹底すること。また、事業所の行う防災管理が地震対策の新技術等を踏まえた実効的なものとなるよう、防災管理者等に対する講習内容の充実とともに、ガイドラインの作成や情報提供等を行うこと。

 二 自衛消防組織の行う応急活動の確実な実施に向けて、平素から十分な訓練を行うよう助言するとともに、その組織編制については、防火対象物の構造及び用途等への適合、適切な人員配置及び活動資機材の整備等が図られるようにすること。また、本法施行までの間においても、自衛消防組織の設置に係る事業所の自主的な取組を促進すること。

 三 事業所の設置する自衛消防組織及び消防計画の作成の状況等についての実態把握を踏まえ、所要の対応が適切に図られるよう、地方公共団体に対する助言に努めること。また、予防事務を担当する消防職員の対応能力を強化するため、要員の確保及び教育訓練の充実等を図るとともに、必要に応じ財政措置を講じること。

 四 大規模地震等に対応した自衛消防力の確保が求められる防火対象物については、最近の被災状況の実態等にかんがみ、大規模・高層の建築物等にとどまらず、その範囲の拡大について検討を行うこと。

 五 大規模地震災害の発生時において、初動及び応急対応の拠点となる病院、学校、公民館等の公共施設について耐震診断を促進し、早期に耐震化を完了するとともに、被災者の早期救出に資する、いわゆる「棒カメ」の消防署への配備等、震災対策用資機材の充実に努めること。また、消防団の地域防災に果たす重要性にかんがみ、常備消防との連携体制を強化するとともに、団員の確保及び装備等の充実を行い、その活性化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅総務大臣。

菅国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


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