衆議院

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第2号 平成19年10月18日(木曜日)

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平成十九年十月十八日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    大塚  拓君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      日森 文尋君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務副大臣        佐藤  勉君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   財務副大臣        森山  裕君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   総務大臣政務官      二之湯 智君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  勝則君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 利男君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     大塚  拓君

  重野 安正君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     井澤 京子君

  日森 文尋君     重野 安正君

    ―――――――――――――

十月十八日

 シベリア抑留問題早期解決に関する請願(大畠章宏君紹介)(第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 この際、増田総務大臣、佐藤総務副大臣、谷口総務副大臣、岡本総務大臣政務官、二之湯総務大臣政務官及び秋葉総務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 総務大臣を拝命いたしました増田寛也でございます。

 総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。

 私は、福田内閣の目指す自立と共生を政策の基本にしつつ、希望と安心の国づくりに向け、総務大臣として、各般の施策の推進に取り組みます。

 皆様には申すまでもございませんが、総務省は、国民生活に密着した幅広い行政分野を担っており、いずれもこれからの日本にとって極めて重要な分野であると考えております。私は前大臣のもとで進められた取り組みを引き継ぎつつ、ことしの四月まで十二年間、岩手県知事としての地方での経験も生かし、新たな視点で改革に全力で取り組んでいきたいと考えております。

 こうした考え方のもと、「地方の元気が日本の力」を私の基本理念として、地方と都市の格差の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻すため、地方の声に耳を傾け、地方の再生に全力で取り組むとともに、地方自治体に対する一層の権限移譲、地方税財政の改革に取り組んでまいります。また、年金記録問題について、年金記録確認第三者委員会等において、しっかり取り組むことなどに重点を置いてまいりたいと考えております。さらに、二〇一一年の完全デジタル元年に向け、さらなる通信・放送分野の改革を全力で推進してまいる所存であります。

 以下、各分野について触れさせていただきます。

 まず、行政改革の推進についてであります。

 国の行政機関の定員については、平成十八年度からの五年間で五・七%以上、約一万九千人以上の純減目標を確実に達成します。その中で、めり張りのある定員配置を実現してまいります。また、この純減を円滑に進めるため、国家公務員の配置転換等の取り組みについても引き続き着実に実施をしてまいります。

 すべての独立行政法人を対象に年内を目途に策定される独立行政法人整理合理化計画の検討にあわせて、本年中に中期目標期間終了時の組織、業務の見直しの結論を得ることとなる三十五法人については、徹底した見直しを進めます。

 国家公務員の給与については、去る八月の人事院勧告を踏まえ、本年度の取り扱い方針についてできるだけ早く結論を得た上で、今国会に所要の法案を提出することとしております。

 また、国家公務員の人事行政についても、能力・実績主義の人事管理の基礎となる人事評価制度の構築に向けた試行の実施、官民交流の推進、早期退職慣行の是正などに引き続き取り組み、公務員制度改革の着実な推進に努力をします。

 政策評価については、その機能の発揮に向けて、本年末に経済財政諮問会議に対して重要な評価対象分野の選定等についての意見を述べるなど、同会議との連携強化を図るとともに、本年十月から義務づけられた規制の事前評価の的確な実施を推進いたします。

 行政評価・監視については、原子力防災を初めとして、国民の安全、安心の確保等の観点から、国民の関心が高いテーマについて、積極的かつ機動的に実施をいたします。

 また、行政不服審査制度については、審理の迅速化を図りつつ、客観的かつ公正な審理手続を充実させる観点から、抜本的な見直しの作業を進めてまいります。

 年金記録問題については、年金記録問題検証委員会において、その発生の経緯、原因、責任の所在等についての徹底的な検証を行った上で報告書を取りまとめていただくこととしており、その審議の促進に努めてまいります。

 また、まじめに保険料を払ってこられた方々が正しく年金を受け取ることができるよう、年金記録確認第三者委員会における公正かつ迅速な調査審議を支え、年金記録の訂正に結びつけてまいる所存であります。

 さらに、年金記録問題の解決に向けた対策等が着実に実施されるよう、年金業務・社会保険庁監視等委員会において監視を行ってまいります。

 次に、地方分権、地方行財政改革の推進についてであります。

 地方の自由度を拡大し、責任を持って行政を実施できる「地方が主役の国づくり」を目指していくことが重要であります。そのため、国と地方の役割分担を徹底して見直し、権限や財源を地方にできる限りゆだね、地方の自立と責任を確立する地方分権改革に取り組んでまいります。

 また、引き続き市町村合併を推進するとともに、合併後の市町村のまちづくりを支援します。

 地方行革については、集中改革プランの着実な実施を促すとともに、地方行革新指針に基づき行政改革を一層推進いたします。

 地方公務員の定員、給与については、引き続き、定員純減や給与の適正化、国の給与構造改革を踏まえた取り組み等をさらに徹底してまいります。

 地方公務員について、能力・実績主義の徹底と退職管理の適正確保を図るため、地方公務員法改正法案を提出しています。

 地方財政については、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供できるようにするとともに、地方の再生に向けて自主的、主体的に活性化施策に取り組めるよう、地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保してまいります。

 また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の円滑な施行に努めるとともに、第三セクターの経営改革や公立病院改革の取り組みなどを支援します。

 今後、地方分権を支える地方税を充実させることが何よりも必要であり、当面、国と地方の税収比一対一を目指し、地方税の充実を図ってまいります。

 また、地方法人二税を中心に税源が偏在するなど地方公共団体間で財政力に格差があることを踏まえ、地方間の税源の偏在の是正に取り組みます。

 さらに、ふるさとに対する納税者の貢献やかかわりの深い地域への応援が可能となる税制上の方策の実現を目指します。

 魅力ある地方の創出を一層促進するため、「頑張る地方応援プログラム」において、地方交付税等の財政支援に加えて、新たに先進市町村や民間の人材派遣、研修等を実施し、地域の人材の育成、活性化を支援してまいります。

 都市から地方への移住、交流の促進を図るとともに、時代に対応した新たな過疎対策を検討してまいります。

 個性的で魅力ある地域づくりには、地域コミュニティーの役割も重要であり、その活性化に努めてまいります。

 また、私みずからが直接地方の現場を見て御意見を伺う車座対話を始めたところであり、今後、地方の声を反映させながら、地域の活性化に全力で取り組んでまいります。

 情報通信はあらゆる社会経済活動の基盤であり、技術革新の成果と恩恵をすべての地域と国民に行き渡らせることが重要です。ICTによる生産性向上やテレワークなどICT利活用の取り組みを進め、地域活性化にも役立てる一方、二〇一一年の完全デジタル元年に向け、関係者とも連携しつつデジタル放送への完全移行に万全を期すとともに、ブロードバンドゼロ地域及び携帯電話不感地帯などのデジタルデバイドの解消に努めてまいります。

 また、人口減少社会のもとでの我が国経済を新たな成長のトレンドに乗せるため、ユビキタス特区における地域発・国際展開可能なICTサービス・事業モデルの確立など、ICT産業の国際競争力強化と地域の産業振興との相乗効果を図るとともに、新世代ネットワーク技術等の研究開発や、国際標準化活動の強化による我が国発の技術の国際展開を支援してまいります。

 通信・放送改革については、国民・視聴者の信頼回復に向けたNHK改革などを内容とする放送制度の改正や、迅速、柔軟な電波利用の手続の創設、電気通信事業者に対する業務改善命令の要件の見直しなどのため、放送法等の一部改正法案を提出しておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。さらに、新競争促進プログラム二〇一〇を踏まえた公正競争ルール整備や、通信・放送の融合、連携に対応した総合的な法体系、放送コンテンツの競争力強化に向けた制度等の検討を進めてまいります。

 これらの施策を通じ、ICTの恩恵をだれもが享受できるユビキタスネット社会の実現に努めます。

 電子政府については、申請、届け出等手続に係るオンライン利用の促進及び業務、システムの最適化を、適時適切に評価を行いつつ、着実に推進します。

 郵政事業については、十月一日に郵政民営化がスタートしましたが、今後とも、各承継会社において、過疎地を含む郵便局ネットワーク水準やサービス水準の維持、コンプライアンスの徹底、経営の健全性の確保が確実になされるよう努めてまいります。

 信書便事業については、郵便のユニバーサルサービスに支障がないことを前提としつつ、諸外国の動向も踏まえ、競争の促進に努めてまいります。

 国民の安心と安全の確保は政府の基本的な責務であり、我が国の経済社会の基盤であります。しかし、本年も、能登半島地震、中越沖地震など、大規模な災害で各地に大きな被害をもたらしております。また、首都直下地震等、大規模地震発生の切迫性が危惧されております。

 そのため、緊急消防援助隊の充実と機動力の強化を図るとともに、消防法の改正を踏まえて民間事業所における自衛消防力の確保を促進し、また、危険物事故防止対策の充実強化について検討を行うなど、消防防災対策を積極的に展開してまいります。

 統計については、新統計法の成立を踏まえ、基本計画の策定など統計制度の抜本的改革を着実に推進してまいります。また、経済センサスなど産業構造の変化等に対応した統計の体系的整備を進めるとともに、統計業務の合理化、効率化に取り組んでまいります。

 副大臣及び大臣政務官とともに全力を尽くしてまいりますので、渡辺委員長を初め理事、委員の皆様の御指導をお願い申し上げます。(拍手)

渡辺委員長 次に、佐藤総務副大臣。

佐藤副大臣 総務副大臣を拝命いたしました佐藤勉でございます。

 大臣をしっかりと補佐いたしまして、頑張ってまいりたいと思います。渡辺委員長を初め各委員の皆様方の御指導、御鞭撻をいただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。(拍手)

渡辺委員長 次に、谷口総務副大臣。

谷口副大臣 おはようございます。このたび、総務副大臣を拝命いたしました谷口隆義でございます。

 委員長を初め理事、委員の先生方には大変お世話になりますけれども、大臣を支えて、全力で頑張ってまいります。どうぞ御指導のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)

渡辺委員長 次に、岡本総務大臣政務官。

岡本大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました岡本芳郎でございます。

 皆様方の御指導のほどよろしくお願いいたします。(拍手)

渡辺委員長 次に、二之湯総務大臣政務官。

二之湯大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました二之湯智でございます。

 先生方の御指導のほどよろしくお願いいたします。(拍手)

渡辺委員長 次に、秋葉総務大臣政務官。

秋葉大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました秋葉賢也でございます。

 渡辺委員長を初め委員の先生方の御教導を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

渡辺委員長 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原勝則君、内閣府政策統括官加藤利男君、総務省行政管理局長村木裕隆君、自治行政局選挙部長久元喜造君、自治財政局長久保信保君、総合通信基盤局長寺崎明君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、主計局次長香川俊介君及び国土交通省大臣官房審議官川本正一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 きょうは、首長の多選禁止について、被災者生活再建支援法の改正について、それから改正建築基準法の運用問題、そして通信インフラの整備のあり方について、以上四点について全十問、質問をしたいと思います。

 まず、神奈川県議会で十月十二日に知事多選禁止条例が成立をいたしましたが、総務省の評価はいかがでしょうか。

久元政府参考人 法律解釈の面について申し上げたいと思います。

 まず、結論から申しますと、今回成立いたしました神奈川県知事の在任の期数に関する条例は違法であるというふうに考えております。

 その理由でありますが、現行の地方自治法は、知事の任期については定めておりますが、在任できる期数については定めておりません。知事の在任期数を制限するとすれば、それは法律上の根拠を要するというふうに考えております。

 また、この条例の二条では、「知事は、引き続き三期を超えて在任することができない。」というふうに規定されておりますが、この規定をそのまま読みますと、三期目の知事が四期目を目指して立候補することができないというふうに読めます。

 この規定は、立候補することができない者を、被選挙権を有しない者として成年被後見人あるいは公民権を停止されている者など、一定の範囲に限定している公職選挙法の規定を逸脱するものであり、違法であるというふうに考えております。

馳委員 違法であるならば、憲法第九十四条、法律の範囲において条例を制定するという憲法違反でもあり、これを今後放置するのかどうかという問題もあると思いますが、条例には根拠法の整備後に施行すると定めておりまして、ボールは国会に投げられたのではないかと思っております。

 大臣は、公職選挙法や地方自治法を改正し、多選禁止を法的に担保する考えをお持ちでしょうか。お伺いいたします。

増田国務大臣 首長の多選問題についてでありますけれども、今、各地域の自治体を見ておりますと、従来、自粛条例という形でそういう条例を制定するところがだんだん出てきていた、今回は禁止ということをうたった条例ということになるわけでございますが、いずれにしても、その背景に、各地域でこうした問題についての問題意識が、住民との間、それから首長にとりましてもだんだんそういった問題意識が高くなってきた、こういう背景があったんだろうと思います。

 いずれにしても、首長の多選を制限するのかどうかというのは、その行政執行ということのみならず、政治面での影響も大きいという事柄でありますので、地方自治関係者のみならず、各党各会派などで、この問題を幅広い観点から議論を深められる必要があるのではないか。

 これは、過去にも国会で議員立法という形で法案が出てきたという経緯もあるようでございますので、まずは私どもは、各党各会派などの議論、それから国民的な議論が活発になるということを期待しておるところでございます。

馳委員 自民党は、さきの参議院選挙の公約で、以下三点の公約を出しました。一つ、知事、政令市市長の四選目の公認推薦をしない。一つ、知事、政令市市長の連続四期立候補禁止の法制化をする。一つ、市町村長の多選は条例で禁止を検討する。公明党や民主党にも似たような多選の自粛の内規がございます。

 きのうは町村官房長官も、根拠法として定めて、そして具体案として施行するには条例で制定していただく、こういうやり方がよいのではないかと、記者会見で表明もされました。

 まさしく、多選の弊害というものを意識しながら、我々は自主的に対応していくべきだ、政治の役割があると思われますが、多選の弊害ということについて、大臣の見解、所感を伺いたいと思います。

増田国務大臣 この多選については、私も知事在任中から実は県議会などでも、やはり首長が多期にわたることは弊害が出てくるのではないかと。多選というのはどういうラインで引くのかということについてはいろいろ議論があるわけですが、しかし、余り長くなると、人事のマンネリ化が行われたり、それから日常行政執行が事実上何か選挙運動的な効果を持ってきたりとか、いろいろな面が出てくるのではないか、そして議会との相互牽制機能というのもやはり低下してくるのではないか、こんなふうに思っておりました。

 したがいまして、やはり、私自身も多選ということについて否定的であり、みずからも三期目で退いたわけですけれども、この問題については、首長自身がよく自覚をすると同時に、最終的には選挙民が選挙などを通じてどう判断するかということであろうかと思います。

馳委員 私も大臣のおっしゃったとおりだと思います。

 今後は、根拠法を定めて、具体的に何選までが多選かとかそのやり方というのは、まさしく分権の考え方から、それぞれ地方自治体の議会の考えもありましょうから、制定にゆだねる、むしろ、やはり首長のあり方というものが問われている昨今ですから、議会の見識も受けとめる意味で条例にゆだねるというふうな形で、まずは根拠法を制定していくという姿勢が必要なのではないかなという意思を表明させていただきます。

 次に、被災者生活再建支援法の改正について質問をいたします。

 委員の皆さんには、与党としてこの問題のプロジェクトチームが作成した比較検討案を提供させていただきました。かいつまんで言えば、財源論と遡及措置の問題がやはり課題として残っているなと。

 私は石川県選出の国会議員でありますので、ことし三月二十五日、能登半島地震に被災をした県民の思いを込めて、きょうは遡及措置についてちょっと政府の見解をただしてみたいと思います。

 私は、遡及適用をぜひしていただきたいという思いで質問いたしますが、その理由を三点申し上げます。

 法律の不遡及原則は一般に刑罰法規に対して使われる原則であり、本法のような国民の生活支援という厚生法規には厳格に当てはめる理由はない、法秩序を混乱させたり特段の失われる利益があるわけではないと思います。二つ目、災害支援は暦年で取り扱われております。当該年に改正した法律をその年に発生した災害に適用しても、不合理とは言えないと思います。三点目、過去に遡及適用の事例がございます。平成十二年六月に起きた三宅島噴火支援策のため、本法律を平成十六年三月三十一日に改正し、特例的に遡及適用しております。耐震偽装にかかわる被害者に対しても、関連法改正前の発生事実に対して救済措置をとっております。

 この遡及適用についての見解をお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 被災者生活再建支援制度についてのお尋ねでございますが、この制度は、将来の災害への備えといたしまして都道府県が相互扶助の観点から積み立てた基金を原資といたしまして、被災者に支援金を支給するというのが基本的な枠組みとなってございます。したがいまして、こういう性格から、既に起こってしまった災害に対してこの基金を原資といたしまして支援金を支給するという遡及適用については、本制度にはなじまないのではないかというふうに考えております。

 なお、法制定時には、阪神・淡路大震災の被災者に対して遡及して適用すべきではないかという議論がございました。しかし、結果としては、法の遡及適用は行われておりません。

 また、平成十六年に支給額を最大三百万円まで引き上げるという法改正が行われましたが、その際にも遡及適用は行われておりません。

 また、先生おっしゃられました三宅島との関係について申し上げるとすれば、平成十六年の制度改正時に、三宅島噴火、火災に関しては、改正後の法律に基づく支援を行っております。御指摘のように行っておりますが、これは、大規模な噴火が鎮静化した後も大量の有毒な火山ガス、これが放出されておったということで、火山活動が継続していたという災害の特殊性にかんがみ、災害の発生自体が継続していたという考えから、三宅島噴火、火災については改正後の規定を適用しているということでございますので、これは遡及適用には当たらないのではないかというふうに考えておるところでございます。

馳委員 こういうのを、身もふたもない、けんもほろろの、血の通わない答弁というふうに指摘をしたいと思います。

 与党案と民主党案の調整というのは、これは参議院と衆議院、お互いに法律はもう出されておりますから、今後やはり審議を通じながら検討が加えられていくべきものと思いますので、私は自民党の国会議員でありますから、与党案に即しながら、改めてちょっと質問したいと思います。

 遡及適用がなかなか法理論上も難しいとするならば、しかしながら、能登半島も中越もやはり過疎地域を抱えており、高齢化率の高い、特に、一番ひどかった輪島市などは、門前地区は高齢化率四九%。実質的に言うと、若い方々は出稼ぎに出ていますから、高齢化率は大体七割なんですね、ふだんお住まいの方々というのは。やはり、そういう被災地の何とか助けてほしいという期待に、せっかく被災者生活再建支援法を改正し使い勝手のよいようにしようとしているときに、おれたちは見放されるのか、こういう心配を与えたくないというのが、私は地元選出国会議員としてこの質問をする趣旨であります。

 遡及措置がなかなか難しいとするならば、それに匹敵するような財政措置、この与党案が提出している改正法が適用されたと同等の財政措置が被災民にとってとられる必要があると思いますし、期待は大きくございます。大臣の所感を伺います。

増田国務大臣 この被災地への財政措置ということでありますと、私どもとして考えられるのは、交付税措置をどうするか、こういうことであろうと思います。

 能登半島それから中越沖地震というものについては、今それぞれ石川県や新潟県が基金をつくって、これについて再建支援の対応をしているわけでありますが、この基金の造成は当然交付税措置をしているんですけれども、今御案内の住宅本体についての部分、これについては、従来我々は交付税措置の対象外としておりました。

 ただ、今御案内のとおり、今、国の方でこの法律の改正の話がありまして、それでそうした動きがございます。したがって、もしそれが制定されまして、立法化されて改正されたその後、将来に向かっての法律による支援制度と同じようなものをそれぞれの県が能登半島それから中越沖地震にやろうということであれば、私どもも、過去起こっております能登半島地震、中越沖地震についても交付税措置の対象ということにして財政支援を行っていきたい、このように考えております。

馳委員 改正されれば交付税措置の対象にという極めて前向きなお答えであったと思いますが、その中身が問題でありまして、特別交付税による措置となるのか、普通交付税による措置となるのか、どちらになるのでしょうか。その理由も教えていただきたいと存じます。

 かつて中越地震のときは普通交付税による措置がなされております。要は地元負担が違うということで、被災民にとっては同じように支援を受けられるとしても、県とすれば、特交だと三分の一負担、普通交付税措置だと五分の一負担。なかなか地方財政厳しき折柄、これは一つのモデルケースにもなり得るのではないのかなというふうに思っております。

 当然、大臣、前提として、これは今後の国会論議の中で、民主党案が丸々通るのか、与党案が丸々通るのか、あるいは与野党協議の上、一本化して修正協議にするのか委員長提案にするのか、これはやはり話し合い次第ですよ。話せばわかる。というふうに、この生活支援の問題だけはぜひともことしじゅうに解決をしなければいけないと私は思っております。

 そんな意味で、私は与党案に即しての質問をしておりますので、この場合、特交措置なのか普通交付税での措置なのかということの見解を伺いたいと思います。

久保政府参考人 能登半島地震及び中越沖地震の復興基金でございますけれども、その造成に必要な地方債の発行額、能登半島の場合には五百億円、そして中越沖の場合には一千二百億円でございますけれども、その六分の五につきまして、利息の八〇%を特別交付税で措置をするということにいたしております。これは、災害などの突発的な財政需要でございますとか限られた地域に生じる財政需要、こうしたものにつきましては従来から特別交付税によって対応することが原則と考えておりますので、そうした方針に沿って整理をしているということでございます。

 なお、御指摘にございました三年前の中越地震でございますが、中越地震の場合には、その被害の規模あるいは地方公共団体の負担、これが格段に大きかったということがございますし、またさらには、政府として、財政上の支援につきましては阪神・淡路大震災と同等の措置を講じるということにいたしたことから、特例的な扱いといたしまして、阪神・淡路大震災の例に倣って、造成に必要な地方債の六分の五につきまして、利息の九五%を普通交付税で措置をしたという経緯がございます。

馳委員 いずれにせよ、先ほど私が申し上げたように、財源論の部分と、遡及措置をどう適用するか。遡及がなかなか難しい場合の、それに匹敵する、ことし発生した能登半島地震、中越沖地震への被災者への支援、こういったことについて整理をしながら、私は、与野党の議論も、まさしく表に数字を出した上で、法理論上もあり、また、救われるべき被災民のための改正というものがなされるべきであるということを表明したいと思います。

 次に、改正建築基準法、確認申請の問題で質問をさせていただきます。

 建築確認の審査を厳格化した改正建築基準法が六月二十日に施行されました。その影響を受けて、新築住宅の着工戸数が、対前年同月比で七月が二三・四%減、八月は四三・三%減になっております。あわせて、建築確認件数も、七月が三九・三%減、八月が二四・三%減となっております。景気への影響を特に喫緊の課題として、建築関連の中小企業の資金繰りの悪化などが問題となっております。

 国土交通省としては、この原因をどう認識し、どう対策をとっておられるのか、お答えを願いたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 お話がございましたように、耐震偽装問題の再発を防止するためということで、建築確認検査の厳格化を柱といたします改正建築基準法を六月二十日に施行いたしました。その後、委員御指摘のとおり、設計する側、あるいは建築確認審査をする側、双方とも改正内容等につきまして習熟をしていないというようなことがございまして、建築確認の手続がおくれました。このため住宅着工が大幅に減少しているという状況にございます。

 着工の先行指標でございます建築確認、確認があってから着工することになりますので、確認件数は先行指標ということになろうかと思いますが、これにつきましては、木造二階建ての住宅など小規模な建築物につきましては改善傾向が見られておりますものの、全体としましては依然として十分に回復しているという状況にはございませんで、確認手続が遅延しているという状況を速やかに改善していかなきゃいかぬ、このように考えているところでございます。

 このため、私ども国土交通省としましては、質疑応答集や審査マニュアルを作成する、あるいは電話相談窓口を設けるといったようなことで、実務者に対します情報提供ということを努めやってきたわけでございますが、さらに、都道府県単位での説明会をちゃんとやる、あるいは都道府県単位で相談窓口を置いていただくといったこと、あるいは全国各地で行われております研修会等につきましてはアドバイザーを派遣するといったようなことで、よりきめ細かな情報提供などに取り組んでおるところでございまして、各都道府県におきましても、そういったことについて徹底を図っていただきたいというお願いをしておるところでございまして、先般、各都道府県知事あてに総務省さんとも連名で通知を発出したというところでございます。

 また、資金繰りの話もございましたが、大工や工務店、あるいは資材の関連業者や設計事務所といった関連の中小企業の資金繰りにつきましても影響が懸念をされるという状況でございます。

 このため、中小企業庁に対しまして、関連の中小企業対策をお願いしたいという要請を行いました。十月九日には、中小企業の金融公庫など政府系の中小企業金融機関によりますセーフティーネット貸し付け及び既往の債務の返済条件の緩和等の措置を講じていただきました。また、十月十六日には金融庁にも要請を行いまして、全銀協等の関係の金融関係団体に対しまして、中小企業向けの資金を円滑に供給していただきたい、これについて配慮していただきたいということについて周知徹底をいただいたところでごさいます。

 今後とも、きめ細かな情報提供を初めとしまして対策を講じてまいりまして、確認手続の円滑化に向けまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

馳委員 今の対策は、それはそれとして是としますが、これは九月に入ってからの対応であり、建築確認件数の減少が七月から顕著に出ていることもあわせれば、対応が遅かったと言わざるを得ません。

 特に、一連の確認手続の円滑化に資する大臣認定ソフトが施行日までには間に合わず、年末になるという不手際もあります。告示対応暫定ソフトがあると反論されるかもしれませんが、何度もソフトの内容が変わっております。十分な告知もできていなかったことは事実であります。このままでは、幾ら今回の手続の円滑化を進めても効果が少ないのではないかと思われます。認定ソフトの対策はないのでしょうか。

 また、関係者が改正法に熟知し、なれるまで、事前相談体制を十分行ったり、専門家が言うように、適合性判定機関では審査側と設計側が同じテーブルについて議論し合いながら審査を行うというようなことが必要なのではないでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 改正基準法の施行に当たりましては、当然のことでありますが、政省令や告示、これをつくる前にはパブリックコメントというのを実施いたしておりますし、また、関係団体等もいろいろ御協力をいただきまして、全国各地で設計側あるいは審査担当側、両方あわせまして講習会を開催するなど、いろいろ改正内容の周知に努めてきたところでございます。

 一方で、先ほど申し上げましたように、まだ習熟していないという御指摘、そのとおりでございますので、先ほど御説明申し上げました措置につきましてはきめ細かくやっていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。

 また、構造計算用の大臣認定プログラムについてでございますが、新しいプログラム、これは計算の途中で改ざんをされないようにそれを防止する、それから、法令に適合しない数値の入力防止といったことに対応するということで、各プログラムメーカーの方で開発をしていただいているところでございます。これができますと、審査期間というものの短縮も期待をできるわけでございまして、現在、メーカー側、評価機関に審査を求めているという状況まで来ておりまして、私どもとしましても、評価機関に対しまして迅速に審査をしていただくということをお願いするなどしております。さらに、大臣認定という手続になりましたときには、速やかに手続を進めていきたいというふうに考えております。

 既存のプログラム、従来のプログラムを使用して構造計算を行うということも当然できるわけでございます。ただ、この場合には、新しい技術基準に対する適合といった点について、当然留意が必要になります。これらを使用する場合の注意点というものをちゃんと理解していただかなきゃいかぬということがございますので、この点につきましては、注意点をまとめまして関係者に周知徹底を図っております。

 それから、先生お話がございました事前相談の問題でございますが、現在、特定行政庁や指定確認検査機関に対しまして、設計者、施工者等が改正の趣旨、内容というものを十分に習熟するまでの間は、事前の相談受け付けにつきましては継続をしていただきたいというお願いをいたしているところでございます。また、構造計算の適合性判定機関につきましても、設計者などから寄せられております工学的判断等についての事前相談、これらについてきめ細かく対応するよう要請をいたしているところでございまして、いずれにしましても、引き続き、確認手続が円滑に進みますようにきめ細かく対応してまいりたいというふうに考えております。

馳委員 最後に、佐藤副大臣に質問をいたします。事前に二つ通知をしてありますので、私はそれを一つにまとめて言いますので、二つそろえて御答弁を願います。

 菅前大臣は、ICT国際競争力懇談会を開催して、情報通信分野における国際競争力強化を重要政策として位置づけました。増田大臣は、デジタル・ディバイド解消戦略会議を開催し、日本じゅうどこでもブロードバンドや携帯電話が利用できるための具体的な施策を検討しておられます。この二つの戦略に共通することは、いかにインフラを整備していくかという点であり、特に民間企業の担う役割が大きいと思います。政府として、どのようにして通信事業者のインフラ投資を促していくお考えでしょうか。

 そして、通信インフラについては、日本は世界一安くて速いブロードバンド環境が整っていると言われますが、これからは本格的な光ファイバーの時代にもなり、来年からは次世代ネットワーク、NGNも始まろうとしております。欧米や韓国では、日本に追いつけ追い越せということで、通信事業者の光ファイバーなどへの投資を促すためのルール整備が進んでおります。総務省においても、光ファイバーや次世代ネットワークへの規制について、研究会などで議論されておられます。世界の潮流におくれないためにも、事業者が競ってインフラ投資をするようなルールを整備していただきたいと思いますが、副大臣、見解をお願いしたいと思います。

佐藤副大臣 馳先生の質問にお答えをしたいと思います。

 おっしゃるとおり、世界最先端の情報通信インフラの整備ということに対しましては、適切な競争政策のもと、民間事業者に対し、投資インセンティブを付与しつつその積極的な投資を促しているところであります。

 具体的に申し上げますが、接続ルールの整備等、公正な競争環境の確保とあわせ、電気通信基盤充実臨時措置法に基づきまして、加入者系光ファイバー等の整備を行う民間事業に対しまして、おっしゃるとおり低利融資、そして利子助成、税制優遇等の支援措置を講じているところであります。若干こういうことが功を奏しまして、平成十九年三月末時点におきまして、カバー率でありますが、八七%から八九%という評価もいただいているところでございまして、これからも引き続きインフラ整備に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 もう一つでありますけれども、我が国におきましては、市場環境の変化に対応いたしまして、競争ルールの整備等により、委員御指摘のように世界で最も低廉、高速なブロードバンド環境が実現をしております。六、七年前でありますけれども、接続料、きっと七千八百円とか八千円の時代だったと思いますけれども、現在二千四百円という形をとるような結果になってきてもおりますし、世界で最も低廉、高速なブロードバンド環境が実現していると言っても過言ではないというふうに思いますし、このような環境を利用した新たなサービス提供やビジネス展開によりましてブロードバンド市場の活性化が図られているというふうに思っております。

 今後期待される次世代ネットワーク等の新たなブロードバンド環境におきましても、インフラ投資を促進しつつ、ネットワークを多様な形で公平に利用できるような環境整備をすることが、我が国の経済活性化や地域活力の向上を図ることが極めて重要だと思います。

 総務省といたしましても、環境の整備を図るほか、均衡あるインフラ整備に向けた投資の促進や諸外国の状況等に配慮しつつ、公正かつ透明な形で競争ルールのあり方について検討してまいりたいと思います。

 ちなみに、十年前、私がこういう立場になったときの接続料というのは、統計では出ておりませんが、ISDNを使って子供が二万、三万使っちゃったなんという問題が起きているような状況がありました。そういう中で、十年でここまでやれたということでありますから、馳先生のおっしゃるとおり、これからも促進をしてもっと低廉な、安全で安心なものをつくり上げたいというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

馳委員 終わります。

渡辺委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。お人柄の佐藤副大臣の名答弁を聞いて、やっと総務委員会に帰ってきたな、こういう感じを持っております。

 早速議論に入りたいと思いますが、先ほど増田大臣から所信に匹敵するお話をいただいたわけであります。その中で、各分野いろいろ触れられておりますが、イの一番に行政改革の推進をお挙げになっているわけであります。建制順序かもしれませんが、私は、このプライオリティーは正しい判断だろうと思っているわけであります。したがいまして、まずこの行政改革の推進から話を進めたいというふうに思っております。

 地方行政にあっても、各自治体、集中改革プランを策定して、今、懸命な取り組みが全国的に進められているというふうに認識をしております。大臣も、先ほどお話がありましたけれども、知事として三期十二年、本当に行革に取り組んでこられた、全国知事会でも大いにお仕事をされたというふうに、私、評価をしております。

 ただ、本当に地方行革というのはたやすいことではありませんで、大臣におなりになりましたので、私もずっとホームページ、今ごろ各県あるいは市町村の財政状況というのは全部ホームページで閲覧できるわけでありまして、見ておりましたら、やはり随分苦労されたなという感じを率直に持っております。ここまで努力をされて、なお岩手県はラスが一〇〇をまだ維持をされているんじゃないか、もう割ったのかな、全国平均からしますとラスがもう一〇〇を割って三年ぐらいになりますので、これも大変苦労されたんだろうと。

 あるいは、その中で手当関係はこの集中改革プランでも特に取り組んできたところでありますが、岩手県、特勤手当がやけに高いなといってびっくりした次第でありますが、これは恐らく県立の病院をたくさんお抱えになっている。ここまで病院を、二十カ所以上、三十カ所近い病院を抱えて直営でおやりになるというのは、この時代、こんな県があるのかと私はびっくりしたわけでありますが、しかし、それはやはり地域の事情としておやりになる必要があったんだろう。ただ、これは改革へ向けての議論も恐らくされてきたんだろうな、こう思いながら、御苦労がしのばれたわけであります。

 そして、東北各県の中では、地方債残高、決して低い方ではない、むしろ相当のレベルにある。これも大変な状況でありまして、そんな中で、現場で苦労されてこられた大臣がいよいよ総務大臣におなりになったわけでありまして、大臣として、地方行革に対する思いを最初にお話しいただきたいと思います。

増田国務大臣 今、委員の方から岩手県のこともいろいろ御指摘をいただきました。県行政はもとよりですが、市町村行政は特に、住民と相対する身近な行政を展開しておりますから、そうした行革ということが住民サービスに直結しかねないような点がございまして、現場では、行政改革を円滑に進めていくというのは大変苦労が多うございます。

 しかし、一方で、いろいろ財政制約、そして今後の少子化といったようなことを踏まえますと、さらには国民の目線ということを考えますと、官だけが行革をしないというわけには当然いかないわけでありまして、やはり、しっかりとした行政・公共サービスを提供しながらも、あるいはしていくためにも、行革に全精力を挙げていく、時には首長が先頭に立って、泥をかぶってでも行革を進めていく、そういう覚悟が求められているのではないか、このように思うわけであります。

 今委員の方から御指摘の集中改革プランでございますけれども、ほとんどの団体でこういう改革を進めるということを公表されております。私どもも、例の定員純減、全体では五年間で六・二%、そういうことで行われておりますけれども、二年間で既に三%の純減実績が出ているということから見ましても、それぞれの自治体でこうした行革についてはやはり相当の決意で取り組んでいただいておられるものと判断しておりますが、さらには民間委託ですとか給与の適正化等々、まだまだそのほかにも実現をしていかなければならない項目も多うございます。

 数値目標が掲げられておりますので、その着実な実現に向けて、ぜひ万難を排して、あるいは勇断を持って取り組んでいただきたいと思いますし、総務省としても、その進捗状況について常にフォローアップをして、国民の皆さん方に公表して、そして国民の皆さん方の御評価をいただく、さらには、そうした改革がどのような意味を持っているのかという必要な情報提供も行って、こうした地方行革の推進に積極的に取り組む、また、これは各自治体が取り組むべき課題でありますので、各自治体がそうしたことに取り組みやすい環境づくりに努めていきたい、このように考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私、岩手県の話をしたのは、批判をするために申し上げたわけではなくて、三位一体以降ばったり交付税が減った年もありまして、本当に各自治体が苦労しながらやっている、その中で、現場で苦労された方が大臣になってリーダーシップを発揮されるということは、本当に歓迎すべきことだと私は思っております。

 ぜひとも今までの経験を生かして、そして、今大臣おっしゃったけれども、ディスクローズすればおのずと批判が集まって自然に改革されるだろうと思うのは少し軽々でありまして、ディスクローズしても全然改革が進まないということは結構あるんですね。日本の国というのは不思議なもんだなと。後で独法の話もいたしますけれども、やはりここはリーダーシップが大事だ、私は大臣の発言というのはこの局面本当に一つ一つ大事だろうと思っておりまして、三位一体改革の後の作業が今続いているということからいたしますと、ぜひとも頑張っていただきたいとお願いをしたいと思います。

 それで、とりわけ人件費改革でありますが、私も久々に総務委員会へ帰ってまいりまして、この一年の動きをずっと見てきましたけれども、とりわけ、ことしの七月でありますが、総務省が発表された、人件費の中でも現業職ですね、これは既にマスコミにも出ましたけれども、現業職、技能労務職員が民間類似の職種と比較して非常に高どまりになっている、高いという実態を公表されて、そして総合的な点検を実施しようという通知まで発出をされているわけであります。

 私も本当に資料を見て驚きましたけれども、例えば現業職の中でも用務員は、今既にデータを発表されている数字を見ますと、奈良県あたりは、五十歳ぐらいの平均年齢でありますが、四十万以上の給与、民間のその地域の同種の賃金と比べますと二・六倍ぐらいになっている、二倍を超えて三倍近い数字が出ているわけであります。政令市でも、京都市あたりも四十万を超えておりまして、地域の地場産業から比較しますと二倍以上のレベルになっている。

 あるいは学校給食員も、一番高いところの宮崎県あたりは、これも六十歳ぐらいの平均年齢で四十三万ぐらいの数字が出ておりまして、二倍以上になっている。堺市もそうでありまして、これも一・七倍というようなデータでありますとか、あるいは電話交換手、まだこんなの置いているところがあるのかと思ったんですが、それぞれの県に結構いらっしゃいまして、例えば一番高い青森県あたりは、五十五歳ぐらいの平均年齢で四十三万というような数字になっておりまして、何と、地域の同種の業種と比べると三倍以上のレベルということであります。

 ここを総務省として指摘をされ、公表もされ、そして改革に向けて、見直しに向けて取り組みをしようではないか、こういう通知を出されたわけであります。これが今年中に計画が上がってくるようでありますが、早ければ来年度から改革の作業が始まるというふうに私は期待をしておりますが、本当にこれは進むのかどうか、大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 いわゆる技能労務職員、現業職ですね、これはやはり大変高給だ、高給過ぎるということで御批判が多いのはもうそのとおりでございまして、まず実態を明らかにするところから始めなければいけないということで、七月に、そうした今御指摘の事実を公表したわけであります。

 それだけではなかなか是正の取り組みは進んでいきませんので、各自治体に、では具体的にその内容をどうするんだということを、はっきりと取り組み方針をつくって、そして行動に移してほしいということで、今、これも議員からお話がございましたとおり、今年度中にはそうした取り組み方針をそれぞれでつくってもらって、それを公表して、それでまたさらにそれをそのとおり進めていただく、こういうことで私どもも取り組んでいきたい、各自治体に要請をしていきたいと思っています。

 やはりこうしたことが我々が分権を進める障害になるというのが大変懸念されますので、私どもも、住民理解と納得が得られる適正な給与制度あるいは運用となるように、各個別のいろいろな団体に強力にお願いしていきたい。今、総務省でも指導という言葉はなかなか使いづらい状況でありますが、やはりこれはお互いによく議論して、そして、まさに国民の理解が十分得られるようなところに持っていけるように強力に要請をしていきたい、このように考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃったように、国民の目線で見て理解されるかどうかということが、まさに今の我々取り組んでおります行革に求められる視点であろうと思っております。

 地方行革集中プランの話が出ましたけれども、中には集中プランを発表していない県もあるんですね。鳥取県あたりはまだ発表されていないわけでありまして、総務省御出身の片山知事、もう知事をおやめになって、今いろいろなテレビに出ておられるんですが、全然発表しないまま行ってしまって、あの人一体何だったんだろうと私は思ったりするところがあるんであります。

 何を言いたいかというと、いや、総務省から言われたからといって、そのとおりにやるとは限らないぞ、地方は地方で考えてやるんだ、こういうことなんです。そういう知事もかつていらっしゃったわけでありますが、それぞれの地域の住民の理解ということが極めて大事だろう。我が公明党は地方に三千四百名以上の地方議員がおりまして、地方議員としっかり連携をいたしまして地方議会においても取り組んでいきたい、この決意も申し上げておきたいと思います。

 さて、次に独立行政法人の経営努力についてであります。

 先ほども大臣からお話がありましたように、独法改革についても、これは独法通則法をつくって、それぞれの独法を四、五年ごとの中期計画ごとにきっちりとそれぞれの省で評価をし、そして総務省の政独委でさらに評価をしながら今日まで着実に進んできたと私は思っているんであります。しかし、さまざまな問題が出てきた。まだまだ出ているということで、前の内閣のときに改めて独法の整理合理化計画をつくろうということで、今作業が進んでいるというふうに理解をしているわけでありますが、今までの改革、継続的に続けてきた改革に、さらに思い切ってもう一重深い改革をやろう、こういうことだろうと思っております。

 与党として私どもも、この独法改革に向けて、整理合理化計画策定に向けて取り組んでまいりたいと思っているところでありますが、そこで、きょうは独法の役職員の給与等の実態について若干の議論をしておきたいというふうに思います。

 まことに世間では、各独法の理事長さんの給与は高過ぎるんではないか、こういう指摘もあるわけであります。独法になったんだから独立して自由だということもあるんでありましょうが、本当に、先ほど言いました国民の目線で理解されるレベルなのかどうなのかということも非常に大事だろうと思っております。

 まず、現在の独法の役員の給与のレベル、その実態に即して、行革の観点から、総務省の、これは事務方で結構でございます、取り組みを伺いたいと思います。

村木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今委員御指摘ございました独立行政法人の理事長の報酬の問題でございますが、私ども調べてみましたら、一部の法人におきまして、所管府省の現職の事務次官の俸給を上回っているケースがございました。これは、平成十八年度の実績ベースでございますが、私どもの把握している限りですと、八法人についてございました。

 この原因でございますけれども、これは、平成十八年度におきまして、国において給与構造改革を行いました。それで、委員御承知のとおり、俸給水準を引き下げました。引き下げたわけでございますが、これは国もそうでございますが、激変緩和ということで、現給保障を行うことができるという措置も一方でございまして、したがいまして法人の理事長が引き続き現職でいられる間は現給保障を行っている、そういうことが影響しているのではないかというぐあいに考えてございます。その理由につきましては引き続き調査をしてまいりたいというぐあいに思ってございます。

 それから、独立行政法人の役員報酬の支給基準の制度的なお話を御説明いたしますと、役員報酬の支給基準は、各法人が、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬、法人の業務実績等の事情を考慮して定めるとともに、主務大臣への届け出、公表を行うこととされているということでございます。これは、先ほど委員御指摘のございましたように、独立法人の自主性、独立性という観点からこういう制度になっておるわけでございます。

 また、各府省の独立行政法人の評価委員会は、各法人の役員報酬の支給基準について、社会一般の情勢への適合性の観点から主務大臣に意見を申し出ることができることとされております。それで、主務大臣におきましては、役員報酬の支給基準に係る評価委員会の意見を踏まえ、法人の長の人事等に反映させることが可能である、そういうような仕組みになっておるわけでございます。

 以上のように、役員報酬の支給基準については、国民の不断の監視のもとに置くことなどを通じて、各法人に責任ある決定を促し、適切な水準の確保を図っていく、そういう仕組みになっているということでございます。

桝屋委員 今局長から御報告がありましたように、これは国会でもいろいろな場で議論されておりますが、国公の指定職の俸給表、事務次官級、八号俸でありますが、年間の給与が二千二百万、二千二百九十三万六千円。これは十八年度でありますが、これを超えた独法が見受けられるということでありまして、今いろいろ局長から御説明いただいたけれども、国民の目線から見て、では今の説明がわかるかというと、全くわからぬのですね。

 端的に言いますと、二千二百九十三万六千円を超えているところはどこにあるのかといいますと、八つぐらいある。名前だけ挙げますと、大臣、総務省所管でも、情報通信研究機構二千三百十二万三千円、二千三百万。それから、厚生労働省、国立病院機構二千四百万、二千四百五十万。これは医者がいるから高くなっているんだ、こういう説明ですね。経産省あたりも、日本貿易振興機構二千三百万とか、確かに超えているものがある。これは、今いろいろ制度上の説明があって、一概に制度上の問題があるわけではないのだけれども、国民の目線から見て理解されるのかどうか。

 私も、それぞれの法人のホームページにアクセスしていろいろ調べてみましたけれども、おっしゃるように、国公の事務職員の最高峰であります事務次官は超えないように設定しようという意識は一応働いているようであります。したがって、それぞれの法人の給与規程等でいろいろ整理はされているんでありますが、どう見たって、事務次官までは出してもいいんだね、場合によっては独法になったんだからそれ以上でもいいだろうと。今の説明じゃないけれども、国公が下がったから、こっちは現給保障でそのままいっているから高くなっているんだみたいな、こんな説明が本当に国民に理解されるかどうか。

 これから独法の改革をさらに進めるということであれば、この点は非常に重要ではないか。特に、今挙げたそれぞれの独法の中には、いわゆる特殊法人から移行してきたケースもある。特殊法人時代はしっかり上限を管理しましょうねという考え方があったわけでありまして、その流れからしても、現にここは何らかの対応が必要ではないかと私は思っているわけであります。

 そしてさらに、この中には運営費交付金として国からお金が流れているという事実もある。さらには、天下りといいましょうか、再就職で行かれている方がいるということでありますから、ここはやはり改革に向けて、今回の整理合理化計画で取り組むべき大きなテーマではないかと私は思っているんでありますが、重ねて、大臣、いかがでありましょうか。

増田国務大臣 今私どももこの独法の整理合理化計画を年内につくろうということで取り組んでいますが、その中で、こうした役員報酬、特にトップが現在の事務次官の給与を超えるとやはり理解はなかなか得られない、大きな問題だと思います。

 したがって、それぞれ各府省でも、中にこうして独法の評価委員会がございますので、そこで十分に議論してもらって、やはり適切にそうした点は定めていただかないと、独法そのものの機能あるいは役割といったものについての議論にも影響を及ぼしかねない、こんなふうに思っているところであります。

 これは、当然私どもも各府省の方に指摘をしていきたいというふうに思いますし、それから、本当に真摯に、そうした役員報酬のことも含めて、独法の整理合理化計画の策定に私ども取り組んでいきたい、このように考えております。

桝屋委員 今大臣おっしゃったように、それぞれの評価委員会でしっかりこれは議論していただきましょう、こういうことですが、評価委員会はやらないんですよ。私もずっと各省の評価委員会の内容を見ておりますけれども、独法の中には評価委員会から指摘されたこともホームページにアップされているところもありますけれども、こういうところはなかなか議論されていないわけでありまして、監査においても、それから会計検査院が入っても、適切な規程があればこれは全然問題にならないわけであります。

 何で高いのかといろいろ聞いてみますと、例えば、個別の名前を出して悪いんですけれども、JICAも高い。ここは職員のラスも高いのでありますけれども、理由は何かというと、大学卒業者が多い、それから、高度な職なんだ、職員はみんな東京に住んでいる、したがって高どまりだとかという話。しかし、これも国民の目線からいくと、私は少なくとも説明できない。そんな説明を私現場でいたしますと、次の衆議院選挙はこの前の参議院選挙以上に厳しい結果になるんだろう、こう思っております。

 民主党の皆さんも聞いておられますけれども、民主党の皆さんは、もう独法は全部やめちまえ、こうおっしゃっているわけでありまして、本音でそう思っておられるかどうかはわからないのでありますけれども、中には、中にはといいますか、独法の持っている仕事、機能は私は大事なものがあるというふうに思っているんです。実は、きょうの朝日新聞の一面の最初にもやはり独法の、まあ、不祥事かどうかはわかりません、これからでしょうが、こういうものがマスコミをにぎわす。国民はこういう目線で見ているということを考えなきゃならぬだろうというふうに思っております。

 そこで、今度は役員じゃなくて職員です。職員のラスも非常に高いのではないか、こう思っておりますが、この点は、局長、どうでしょうか。どういうふうに整理をされ、高いところの是正についてはどういう取り組みをされているのか、伺いたいと思います。

村木政府参考人 お答えをいたします。

 独立行政法人の職員の給与水準でございますが、私どもで調査をいたしましたところ、平成十八年度ベースでの国家公務員給与水準との比較でございますが、ラスパイレス指数として一〇七・四となってございます。平成十五年度と比較すると実質一・一ポイント減となっておりますけれども、今委員御指摘のとおり、国家公務員よりは高い指数となっておるところでございます。

 法人ごとの指数を見てみますと、一二〇を超えているものが二十二法人あるという一方、低いものでは八三・二というような法人もございまして、法人によって大きく異なっている状況にあるということでございます。

 給与の支給基準につきましては、国や民間の給与のほか、法人の業績等を考慮しつつ、これは労使交渉を経て各法人が定める仕組みとなってございます。その給与水準について、毎年度、決まったものについて公表をするということとしております。

 また、先ほど来お話が出てございます各府省の評価委員会あるいは総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会におきまして、国家公務員の水準を上回る法人の給与水準の適切性等に関し、厳格な事後評価を実施することとしております。

 それで、政府では、年内を目途に、独立行政法人整理合理化計画、これも委員先ほどから御指摘のとおりでございますが、これを策定することとしておりまして、給与水準等につきましても、積極的な情報公開を通じて国民に対する説明責任を十分に果たしていけるようさらに検討を進めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。

桝屋委員 きょうは時間がないのでこれ以上議論できないんですが、あとは独法の随契の問題も実は取り上げたいと思っておりましたが、時間がありません。

 大臣、ぜひお願いをしたいのは、確かに、独立行政法人、その機能として非常に重要な役割を果たしている、得がたい人材を得なければならないという状況はあるのでありましょうが、しかし、独法として仕事をする上で、やはり相当のレベルの給与を確保しなければ人が本当に得られないのか。私は長い間地方の役人をやっておりました。言葉は適当かどうかわかりませんが、家族が飯を食えればいいな、三十俵二人ぶちという言葉がありますが、それぐらいの思いで私は公僕として仕事をしたいと思って、実は役人をやりました。

 国家公務員のレベルよりも高いレベルを求めなければ人が集まらないということは、国民には理解されない。ましてや、そのトップが次官以上の、国会議員よりも高い給料をもらわなければ人が得られないというようなことは、少なくとも国民は理解できない。かつて臨調を進められた何とかさんという人は、目刺しを食って頑張った。その姿を見てみんなもついてきたわけでありまして、目刺しを食えと大臣に申し上げるつもりはありませんけれども、トップとして、改革のリーダーとして私は適切なメッセージが要るというふうに思っておりまして、今回の独法の整理合理化計画に当たっては、そうした決意を十分お考えいただいて取り組んでいただきたい、知恵は出していただきたい。我々も与党の一員として応援したいと思いますが、最後に御決意を伺いたいと思います。

増田国務大臣 独立行政法人、改革はやはり相当の決意を持って進めなければいけない状況がある。今、給与の問題、それから、直接の御質問はございませんでしたが、随契の問題等いろいろ抱えているのは、これはもう本当に明らかでございます。

 したがいまして、直接の省庁があり、その外にこうした独立行政法人があって、そこが国民の目線から見て見えにくくなっていたり、あるいはおかしなことが行われていたりということが決してないように、やはりそこの職員の皆様方にもしっかりとした目的意識を持って働いていただかなければいけませんので、そうした大きな立場、そして、やはり国民の理解の得られるような改革となるように全力を尽くしていきたい、このように考えております。

桝屋委員 どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 政府に、特に大臣所信について質問をしていきたいと思います。

 今、土光臨調のお話がありましたが、私は、日本のこの長い歴史を見ると、世界経済の大きな変革の流れにふたをしたときにはやはり日本は危機に陥っている。世界経済の大きな流れをしっかりと踏まえながら、ルールにおける競争に勝ち抜くその過程でしっかりと日本全体の所得の再分配、地域のことに目配りをしたときには、国民に安心感あるいは満足感がいっている。しかし、この間どうだったか。そのことを中心に、きょうは特に税財源、この改革についてお話をしていきたいと思います。

 官製談合防止法あるいは随意契約の見直し、そういったことが前提である。徹底的に独立行政法人、特殊法人、そして公益法人、これを改革して、まさに官僚社会主義と言われるものからしっかり抜けていく、このために民主党は存在しているんだ、こういうふうに思います。

 まず、その本題に入る前に、消防行政について一言だけ指摘をしておきたいと思います。

 本年も、能登半島沖地震や中越沖地震、さまざまな災害がございました。その災害の被災者の皆様に民主党の総務担当として心からお見舞い申し上げ、一刻も早い災害復旧、これを民主党としても目指していきたいというふうに思います。

 ただ、そこで議論されるべき視点は、やはり危機管理に対する体制だというふうに思います。特に、中越沖地震、柏崎のあの原子力発電所の火災が起きたときにどういう対応をとったか。

 私たちは、地震のたびに、もうヘリコプターを飛ばすのはやめてくれ、ヘリコプターの音でまさに今救助を待っている人たちの声が聞こえないから、ヘリコプターを飛ばして、そして大きな音で救助を妨げるのはやめてくれ、こういうことも申し入れをしてきました。しかし、現実にあの地震のときに何が起きたのか。私は、二つのことだけ、これはもう指摘にとどめます。

 一つは、首相みずからがヘリに乗ってそこへ行った、そして原子力発電所の放射能漏れはないということを官邸が言った。現実には、それは大きなある意味ではミスリードだったわけです。参議院選挙後初めての委員会ですから、私は、国会で、このときのことについて、政府の危機対応についてしっかりとたださなければいけない。いろいろな法律をつくっても、そのオペレーションがまさに現実の危機対応に沿ったものでなければ国民の命を守ることができない、このことをまず指摘しておきたいというふうに思います。

 大臣には、私たちはプラトンというシンクタンクを持っていますが、その中でもお知恵を大変いただいて、ありがとうございました。この中にも大臣にシンパシーを持って、そこにお座りのことに、何でそこに座っていらっしゃるのかと。知識やあるいは情熱を総務大臣として遺憾なく発揮したい、そう思ってそこにお座りだと思います。ですから、私たちの政策にかかわっていただいたことの感謝を申し上げたいと思います。できたら、私たちが内閣を組織したときも、また御一緒にやれるようにというふうに思います。

 さてそこで、税財源を考えるときに、今、世界で起きている経済、このことについて少し大臣と議論をしておきたいと思います。

 私は、やはりこの参議院選挙の前後で、世界の金融環境、世界経済環境が大きく変わったんじゃないかと思っています。かねてから私も財務金融委員会で警告というか警鐘を鳴らしてきましたが、それはサブプライムローンの問題であります。

 世界的な過剰流動性の時代、大きな過剰流動性の時代に、そのお金がどこへ行っていたのか。結果、サブプライムがはじけて、今、世界経済がどのようになっているのか。その中で私たちの税の議論、地方税の議論、あるいは直間比率の議論、さまざまな税の議論がなされるべきである。

 私たち民主党は生活第一ということを言っています。消費税の議論をする人は、まあ上げてもいいよと言う人は大体所得が一千万以上の人ですね。所得が一千万以上の人は、五%から七%や八%になっても、家計に対するダメージというのはそうはない。しかし、二〇〇一年の小泉改革以降どうなったかというと、貯蓄ゼロの世帯がやはり二〇%を超えて、一人の所得が年収二百万以下の方、これももう五分の一以上になっている。その人たちが今何を考えているのか。大臣、私たち地域を回りますと一番声の大きいのは何かというと、もうこれ以上負担には耐えられないということなんですよ。これ以上負担には耐えられない。

 私たちは、年金の基礎財源として消費税ということを言っていました。しかし、皆さんはその財源を先取りされて、私たちは大反対しましたが、あの定率減税の廃止ということをなさったわけです。構造改革の中身そのものが違っているんじゃないか。構造改革というのは、外需主導型の日本経済を内需主導にして、そして地域を豊かにして、働く人たち、消費者、地域に暮らす人たちにお金を返すということだったんじゃないでしょうか。

 構造改革の本来の意味を大臣はどのように考えていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。

増田国務大臣 今、委員の方から幾つか御指摘いただきました。

 その中で、構造改革というのが小泉政権以降特に行われてきたわけですが、私なりの理解ですと、その背景にはやはり、人口がこれから急激に減少していく社会、そしてそれが年齢構成でいうと高齢化の方に著しくシフトしていく、そういう社会背景がある。一方で、いわゆるグローバリズム、さまざまな面での国境障壁を取り除こうという大きなグローバリズムの波というのが、我が国もその中でどのように生きていかなければならないか、そのことも考えていかなければならない。

 個々のそれぞれの分野ということは申し上げる時間もございませんが、そうしたいまだかつて経験したことのない大きな環境変化の中でこれから持続可能な社会を築いていくためには何をしていったらいいのか、そしてまた、それに伴う資金の流れをどのように考えていったらいいのか、こういう背景の中で構造改革というのが取り組まれてきたのではないか、このように理解をしているところでございます。

原口委員 いや、今大臣は背景をおっしゃったんです。私が申し上げたのは、構造改革のターゲット、行くべき方向を言ったんです。

 少子高齢化が進むからこそ、それぞれの家計の所得をアップして、そして少子高齢化に備えなきゃいけない。グローバル化が進むからこそ、外需主導ではなくて内需主導で。外でさまざまなことが起きますよ、グローバル化するということは。だからこそ内なる経済を強くしなきゃいけない。それが構造改革のターゲットだったはずです。

 サブプライムがこういう形になって、アメリカのその中身を見るととりあえず小康状態になったかなということを思いますが、またぶり返す危険性は幾らでもある。ドル安とインフレ懸念が一気に増して、これが放置されるかどうかで世界経済のこの五年というのは決まるんだというふうに思います。金融市場が非常に不安定で、中央銀行の姿勢に大きく多くの人たちの目が集まっているわけです。

 サブプライムがなぜ深刻かというと、単なる住宅市場にとどまらない。金融市場そのものの、まあ、お化けの大きさをどれぐらいかというのは議論としては大変隔靴掻痒の議論なので、お化けの大きさがどれぐらいかという話はあえてしませんけれども、どれぐらいの資産がこの間なくなったか。これは日本のあのバブルの崩壊の比ではないということを押さえて見ると、まさに構造改革の今の背景をおっしゃるんじゃなくてターゲットをおっしゃるべきだ、私はそう思います。

 私が申し上げた、内需主導、地域がしっかりと潤う。幾ら経済成長しても、その経済成長の果実、日本の上位五十社を見たらほとんど外資が入っている、そのお金が世界に出稼ぎで行って国民に回らなければ、国民は経済成長の実感を結局得られないまま、満足感を持たない、こういうことになってしまうんじゃないかということを申し上げているんです。

 もう一回答弁をお願いします。

増田国務大臣 今私が申し上げましたのは、まさに背景の指摘ということでございました。

 そうした構造改革がねらっているのは、国民生活を豊かにする、そして国民の利便性を向上するというところにねらいがあったというのは、これはもう当然、間違いのないところでありまして、各法人の経済成長を促し、それがやがては国民の消費に影響して、そして国全体の持続可能な社会の形成につながっていく、こういうことが構造改革の大きなねらいとして掲げられてきた、そしてそれをまさに実行していく過程にある、こういうことと理解をしているところでございます。

原口委員 いや、だから、私が申し上げているのは、ここのスタートラインが違えば全部違ってくるんですよ。単なる経済成長では構造改革にならないということですよ。

 経済成長のエンジンをどこに求めるか。経済成長のエンジンがずっと外需主導、輸出ドライブで、輸出の比率が一番大きくて経済成長していけば、今のようなグローバル化の時代は、外部環境が変われば一気に国民がそのしわ寄せを受けるわけですね。だから、内需主導の構造改革はどこにあるかという、そのターゲットを共有しましょうということをお話ししているわけです。

 では、もっと具体的に伺います。

 さっき桝屋議員が質問された岩手県の例がありました。私も、佐賀県の出身ですが、妻が岩手の出身なんですよ。石川啄木の出た玉山村というところで、本当に岩手県には私も大変親近感を持ちます。代表も今岩手から出ておりますので。

 その岩手が、やはり佐賀県もそうですが、知事をなさっていたので岩手の数字にお詳しいと思いますが、やはり財政的にも危機を迎えていますね。県民所得、雇用情勢。一人当たりの県民所得は、平成十三年、前年比七・六%減。これは全国が三・〇ですから、県民所得も相当低いですね。有効求人倍率は〇・七八。今、サブプライムの影響で日本経済全体にやはり陰りが出てきている。指標を見ると、雇用やあるいはストックのところにも大変私たちが注意深く見なきゃいけない指標がたくさん出ているんですが、岩手はもっとそうですね。人口流出に歯どめがかかっていない。県外への転出者数。それから、特に二十から二十四歳において転入者数の減少が拡大している。医師数も、先ほど病院の政策がありましたけれども、人口十万人当たりの医師数は百七十九・一人と増加はしているんですけれども、全国との格差は拡大している。

 予算委員会でも御指摘を申し上げましたけれども、この五年間で岩手県は六百二十七億円財源が減っている。日本有数の改革知事でこれですよ。この結果は、知事が努力をされたけれども外部要因でこういうふうになったというふうにお考えでしょうか。あるいは、もっと言えば、三位一体改革について大臣はどういうことを知事時代おっしゃっていたのか。私はこの改革をもっと進める方向で、改革が不十分だから地域が自立できないんだ、地域の財源が減っているんだという考え方もあるでしょう。どういうふうに大臣がとらえていらっしゃるのか、骨太の議論をしてみたいと思うんです。いかがですか。

増田国務大臣 現場で行政をまさに日々行っている立場からいいますと、私、十二年間知事をしておりましたが、特に後半はやはり大変厳しい行政のハンドリング、運営を迫られた、これは率直な思いであります。これは、多くの自治体の首長が同じような考えを持っているのではないか。

 一つは、これまた原因が複雑多岐に分かれると思いますが、やはり人口減少の問題、過疎化の問題、こうしたことがございますが、もう一つは経済の問題でございます。そして、そうしたことの影響で財政運営がやはり非常に厳しくなってきている。

 三位一体改革がその間に進行されましたけれども、これについては、私は二つのことを言ってまいりました。三位一体改革の理念といいますのは、地域における権限といったものは移譲が進められてまいりましたけれども、財政的な自由というのは全く手をつけられてこなかった。そういうことに対して、補助金ではない、できる限りの税源移譲をして、一般財源をそれぞれの自治体で持つ、そういうねらいでございました。三兆円の税源移譲ということがございましたので、この点については、第一歩を踏み出した、分権社会に向けての第一歩だということで私は言っておりました。

 ただ、一方で、その内容について、まだまだ補助金改革も不十分であり、いろいろな縛りが多いということもございましたし、あわせて交付税が非常に急激に減少された。これは、歳出削減の努力は同じく続けていかなければならないということもございますので、歳出を削減するということ自体について、私はそれがおかしいと言うつもりはないんですけれども、やはり交付税が急激に減った。三年間に五・一兆減りました。特に初年度は二・九兆減った。ここの影響は、地方にとりましても大変つらいものがあった。

 したがいまして、私も、知事時代、この三位一体改革については、その改革のねらい、方向性というものを是としつつ、具体的な進め方とか、出てまいりました影響ということについてはいろいろと国に対して苦言も申し上げましたし、それから、地域でそのことの影響を吸収するのに本当に苦労したというのが正直実感でございます。

原口委員 率直にお答えいただいたと思います。

 ですから、前の内閣、その前の内閣のいわゆるディレクションをそのまま引き継いじゃだめだということですよ。今の三兆円ということだって、実際は都市部に二兆円行っているわけですよ。地方に来た部分は、本当に財源が増加した地域は東京と愛知、つまりグローバル経済で世界と直結しているところだけが財源がふえて、あとは大幅減であります。

 やはり、地方交付税については、あるべき機能を正しく発揮できるようにするということが大事で、そこを急激に減らしてしまえば何が起こるかというと、拡大する格差とともに行政サービスの格差。国民からすると二重にセーフティーネットをそこで破られている。この現状があるわけです。

 ですから、地方交付税総額をどうするのか。地方交付税の法定率を堅持するのか、あるいはむしろ引き上げるのか。あるいは、「頑張る地方応援プログラム」で書いてありますけれども、これを普通交付税の別枠加算しなければ、内枠でやれば、普通交付税でまじめにやっているところは切り捨てになるわけです。臨時財政対策債の制度の見直しや地方交付税の留保財源率の見直し、そういったことが必要だというふうに思います。

 そこで、きょうは交付税の中身にはあえて入りませんが、じゃ、皆さんはどういう形で地方の格差を埋めようと考えておられるのか。きょうは財務省にも来ていただきましたので、財務省の見解をまず聞いておきたいと思います。税の偏在という議論がありますけれども、国の消費税と地方法人二税の税源のスワップ、交換することについて、財務省の見解をまず伺いたいと思います。財務副大臣。

森山副大臣 お答えいたします。

 御質問の税源交換の具体的な制度設計については承知をしておりませんけれども、一般論として申し上げますと、消費税分の国の分、いわゆる交付税分を除きます税収というのは、総則によりまして福祉目的化されており、年金、老人医療、介護の経費に充てられております。今後、少子社会が進む中で、社会保障給付やあるいは少子化対策に要する費用などを踏まえると、消費税は極めて重要な税目であるというところに留意する必要があるのではないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、地方消費税を含めた消費税のあり方については、税制改革全体の中で、国、地方の財政状況、消費税の使途、国、地方の税体系のあり方等を踏まえて検討する必要があるのではないかというふうに基本的に考えております。

原口委員 先ほど増田大臣が、知事時代には本当に苦労したと。今地域からは悲鳴が上がっているわけです。財源自体もうどうしようかと。私の佐賀県も、ついに知事が、財政危機、このまま三年後には佐賀も夕張のようになる、そこまでは言わないでしょうけれども、大変な危機感をあらわしました。長崎県については、二回そういうことをおっしゃいました。

 経済財政改革の基本方針ということで、平成十九年六月十九日に、税制改革の基本哲学という形で皆さん閣議決定されているわけです。この中身について。つまり、消費税五%のうち地方に使われているお金。地方譲与税一%分ありますね。地方譲与税だけではなくて、ほかにも、交付税に使われたりあるいは補助金として行っている部分があると思います。では、地方には消費税五%のうちどれぐらい行っているんでしょうか。

増田国務大臣 消費税の関係であります。

 今お話しのとおり、五%のうち一%分が地方消費税、それから残りの四%は国税でございますけれども、この部分は地方交付税の原資となっておりまして、今この数字が二九・五%。残りの四%部分について地方交付税原資相当分に二九・五%充てられることになっておりますので、これを換算しますと消費税の税率五%のうち一・一八%に相当する、こういうことでございますので、両者足し合わせますと、税率五%のうち合計で二・一八%が公共団体の財源、このような数字でございます。

原口委員 ありがとうございます。そこが問題なんですね。

 つまり、五%のうち二・一八%はもう地方に使っている。というと、今回、法人二税と仮に消費税の一%分をスワップするとしたら、三・一八%が地方へ行くことになるわけですね。そうすると、今副大臣がお話しになりましたように福祉目的に使っている、これは金に糸目はありませんからほかから持ってくればいいという話かもわからないけれども、では福祉はどうなるんですか。

 つまり、消費税というのは、今皆さんが議論されているのは、経済財政諮問会議は一一とか一七とかそういう数字を、消費税率を出しているようでありますけれども、一体、この地方財源の偏在というものを現行の五%の中で考えているんだろうか。あるいは、いや、もう無理だと。地域のセーフティーネットを、あるいは偏在を。

 私はここで、きょう最初の議論ですから大枠だけ申し上げておくと、偏在を改めただけでは、その結果、地方税の偏在是正が即、地方交付税総額が減少しないかというと、これはそのままにしておけば減少する可能性だってあるわけで、地方の財源の確保にならない可能性だってあるわけです。

 どの枠でやるのか、大臣の基本的なお考えを伺いたいと思います。消費税を上げるのか、上げないのか。

増田国務大臣 この税の問題というのは大変将来の制度設計に大事な問題でございますので、やはりいろいろな将来の歳出を考えながら抜本改革に向けての議論というのは必要であろう、そういうふうに思うわけですが、これは一方で、抜本改革であればあるほど国民的な議論、時間も必要な部分もあろうかと思います。

 今お話ございました偏在是正というのは、また一方で大変喫緊の、急を要する課題でございますので、この偏在是正ということについては、そうした大きな抜本改革という議論と同時に、今の税率の中においても急を急ぐ議論として、やはり偏在是正の議論をしていかなければならない。この点については、まだ政府部内でいろいろな意見、御議論がありますし、国民の中でもいろいろ議論があると思っておりますけれども、偏在是正のやり方を、いろいろそれぞれの案のメリット、デメリットを検討しつつ成案を得ていきたい、収れんをさせていきたいと考えております。

原口委員 いや、それで来年の予算だ何だというのが組み立てられるのかなと。

 私存じ上げていますよ。税調を通って、いろいろなところの審議を通る。そのことは踏まえた上で議論をしているんですが、法人二税、これは最大の格差が六・一倍、地方消費税は一・九倍ですから、これで並行して考えてみると、これをスワップすれば随分偏在は是正されるだろうということはわかります。そうすると、今非常に厳しい地域にとっては一つの大きな希望の光になるわけです。希望の光だったら、早目に方針を出したらどうかと思うわけですね。

 抜本改革の議論を待ちましょう、抜本改革のということを、もう十一年国会議員をさせていただいていますが、ずっと聞いてきたんです。抜本改革、抜本改革。改革の安売りをしても何も地方には届かないというこの十一年間でございました。

 ですから、ここは、大臣はこうするんだと、政治家としての意思をお示しいただきたい。いろいろなところで議論しなきゃいけないのはそのとおりでございますが、今の地域のこの悲鳴を聞いて、窮乏を聞いて、私はこうしたいということをぜひお伝えください。

増田国務大臣 地域間の財源、税源の偏在ということについては、ぜひこれを是正の方向で実現したい、そういう強い気持ちを持っておりますし、これは当然、手続的にはことしの暮れまでに決めていかなければならない、そういう時間的なことも念頭に置きながら取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っております。

 その中で、もちろん私も強い意思で取り組んでいきたいと思っておりますし、また、これについては政府部内で、私どものみならず財務省やあるいはいろいろなところと調整をしていかなければならない、こういうこともございますので、この問題について強い意思で取り組むと同時に、私ども税源交換が一番適切と思っているわけでございますが、そういうことを関係間でよく調整をした上でいい結論を得たい、このように考えております。

原口委員 私の期待した答えとやはり随分違いますよ。

 スワップしたいというのは、それは書いてある。では、今なぜ三・一八という数字を出したかというと、三・一八地方がとることで、あとの福祉や年金はどこへ行くのか。消費税は今の税率でいいという考え方の中でこの議論をされているのか、そうじゃないのかということを聞きたかったわけです。どこかの記者会見では、消費税率を上げるべきだと大臣はおっしゃったんじゃないんですか。違いますか。

増田国務大臣 私が消費税率五%について触れたことは今までございませんで、やはり格差是正、偏在を今の制度の中でやる場合のことについて今いろいろ議論をしている、こういうことでございます。

原口委員 これ以上議論をしても生産的な答えは返ってこないのかもわかりません。今の時期もありますからね、大臣が答えられないというのもあるかもわかりません。

 郵政について伺いたいと思います。

 郵政で、きょう、山口理事初め理事の皆さん、大変誠実に対応していただいて、私たちが求めていた日本郵政グループ五社の幹部人事についての資料をお出しいただきました。私、これを見て驚いたんですよ。あの第三者委員会、松原第三者委員会というのは一体何なのか。第三者委員会のメンバーが幹部人事の中にお名前があるのはどうしてですか。

 きのう、NHKのニュースでしたか、郵政を正常化しなきゃいけない、取引会社を正常化しなきゃいけないというお話がありました。いろいろな提言をなさるというのは、それは自由ですし結構なことだと思いますが、一方では、国民は大変、郵政事業におけるこれまでの金融社会権、今まで十円でできていたものが百円になる、今まで午前中に集配をしてきてくれたものが午後になる、四百十九の簡易郵便局がなくなる、これは次の人を探していると言いますが四百十九なくなっている、一千の集配局は集配機能をなくす。こういうことをやっていて、一方では、この人たちのお給料は幾らになるんですかという数字も出てこない。

 だれがこれを決めたんでしょうか。株主総会の資料の開示を強く求めます。財務省がこの株主総会に出ていますよね。これは筆頭理事が出すというお約束ですが、聞くところによると、株主総会の資料はたったの一行、異議ありませんという意味のたったの一行だった。

 これは本当にちゃんと人事を見てやっているんですか。大臣、お答えください。

増田国務大臣 民営化会社の人事でございますけれども、これは二つにやり方が分かれておりまして、基本的にはいずれの会社も、会社が会社法の手続にのっとって決めるということになっているわけでありますが、特に、いわゆる持ち株会社であります日本郵政株式会社の取締役については、郵政株式会社法の手続にのっとりまして、これについてのみ総務大臣の認可を受ける、こうなっているわけでございます。

 実質、七月に会社の方でこういうメンバーを充てたいということを内定して記者発表しているようでございますが、会社の方の決めたそういう内定案に対しまして、私どもの方でも、会社法の手続なり、それから当該会社の法律の手続にのっとっているということを確認いたしまして、特に日本郵政株式会社についてのみ総務大臣の認可をおろしたものでございます。

原口委員 この第三者委員会、松原委員会の位置づけは何ですか。教えてください。

増田国務大臣 この第三者委員会は、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会ということで、これは当時、まだ日本郵政公社でございましたが、公社の総裁が、総裁の私的な諮問機関としてことしの四月に設置をいたしまして、郵政民営化に向けて、公社のガバナンス強化それからコスト削減等の観点から、公社と関連のある法人の資本関係、取引関係等を整理、見直すことを目的として設置した、このように承知をしているものでございます。

 これは、公社の時代に総裁の諮問機関として設置をしてございますが、民営化後、ことしの十月以降も、持ち株会社でございます日本郵政株式会社に引き継がれているもの、このように承知をしているところでございます。

原口委員 いや、それは不思議じゃないですか。だって、諮問機関の人が、同じ人がこの株式会社の役員人事の中に名前があるというのは、あるときには第三者的な立場で、あるときは当事者じゃないですか。そんなことを私たちは郵政民営化のときに想定していませんよ。

 まさにこのお一人お一人の、さっきいただきましたから、これは私、全部精査する時間はまだないんですけれども、私が財務金融委員会で、向こう側でお答えをされていた金融庁の長官や、あるいはRCCの問題でこんな不良債権処理があるのかということで御答弁をいただいていた預金保険機構のトップ、そういう方がお入りになっています。そういう方がお入りになっていることをまた別の機会に、どういうことかというのは聞きたいけれども、少なくともどっちかにすべきじゃないですか。第三者委員会の中にいるのか、それとも取締役の中にいるのか。こういう不思議な人事を認めていくんでしょうか。お答えください。

増田国務大臣 この第三者委員会でありますけれども、ここで議論されている事柄は、ガバナンス強化ですとかコスト削減といったような事柄でございまして、これについては、会社として経営改善の取り組みの一環として今取り組まれているということだろうと思います。

 ですから、当然会社として、そういった意見を会社の中でもいろいろ議論しなければいけないし、外からもいろいろ意見をいただきながら検討する、まさにその中身が大変重要だというふうに思っています。本委員会が設けられたときはそういう形で外部委員ということで設けられているわけですが、その後、今回の人事によって内部の人間にも何人かはなったわけでございますけれども、そうした議論されている中身との関係からいいますと、委員が内部か外部かということよりも、まさに議論されていることの成果というものがやはり重要ではないか、このように考えているところでございます。

 したがって、こういうことを考え合わせますと、本委員会の中で何人かの人間が民営化会社の役員となった、そういうことでございますけれども、私どもは、この点については特段の問題はないもの、このように考えているところでございます。

原口委員 増田大臣、僕は今大変な答弁だと思いますよ。まさにこれはガバナンスそのものじゃないですか。

 第三者が第三者的な立場で提言をしている、だから第三者なんですよ。それが中に入ったら、第三者委員会じゃなくて当事者委員会じゃないですか。お手盛りじゃないですか。そんな答弁は私は納得できません。よく検討して答弁してください。

増田国務大臣 この委員会についての位置づけ、これは公社の総裁の私的な諮問機関ということで設置をされて、会社のトップとして当時の西川総裁が、こうしたことがやはり経営改革の上で必要であろう、こう考えて設置をされたものだろうと思います。その後、現在も社長として、そうしたことを会社で取り組む上でやはりこうした人材の活用ということで考えているんだろうと思います。

 私どもは、そうした民営化によって会社の自由度が増した中でいろいろ経営改革に取り組まれることは大変結構なことだ、そうしたことに対して社長としてのいろいろ御判断もあろうかと思いますが、内部、外部ということよりは、その改革の実をここで出していただいて、それを社長として取り入れるものは取り入れていただいたりなんなりしていただくことが必要ではないか、このように考えております。

原口委員 全く理解できません。私たちも会社法を議論して、市場の信頼、市場は、市という言葉が意味するように、もともとはエクイティー、平等に、公平に、公正であるということが市場の原点なんですね。それが私物化されたりあるいはガバナンスが損壊するということは、市場そのものが、特にこの会社は世界一巨大な会社ですよ、その会社の人事が今のような答弁であるというのはおよそ納得できない。

 委員長、お願いをいたしますが、増田大臣の答弁で私は納得できませんので、理事会で精査をしていただく、そしてあわせて、西川総裁とおっしゃるんですか社長ですか、西川総裁に来ていただいて、どういう形でそのようなことになっているのか。

 大臣、もともと法律は三年の見直しなんですよ、三年の見直し。では、三年の見直しというのはいつからの見直しなのか。施行後見直しだとしたら、あと一年ちょっとです。私たちはそうだと思っている。

 きのう、国民新党さんとの間で、これは社民党さんや共産党さん、あるいは与党の皆さんにも御協力をいただきたいんですけれども、このような状況の中で株式の売却の見切り発車をするんじゃなくて、しっかりと国民の権利を保障できるような担保を持つために株式売却を凍結したい、こういう趣旨の法案を、まだNC段階、ネクスト段階ですけれども、私たち合意をいたしました。

 ぜひ委員長にお願いをしたいのは、西川総裁にこの委員会にお見えいただいて、そして今一体何が起きているのか。あわせて、質問は、郵政、この法律はいつからの見直しだと大臣は思っていらっしゃるのか。先ほどの答弁に加えることがあったら、それもあわせてお答えください。

増田国務大臣 まず、先ほど松原委員会のことがございました。これについて、委員会の委員の構成について、民間会社の関係でございますので直接コメントするという立場にございませんが、今委員から御指摘いただいたこともございますし、会社において対外的に誤解を与えることのないように、やはりこの問題は適切に対応する必要があるだろう、このように考えております。それが一点です。会社においてやはり適切に対応する必要があるだろう、これが一点です。

 それから、三年ごとの見直しでございますが、これは、総務省としては民営化委員会ができてから三年ということであります。したがいまして、民営化委員会ができましたのが昨年の四月でございますので、民営化委員会の方で、その委員任期三年の間に民営化委員会としても見直しをする、その三年間のことについて、見直しについて議論するということになっているわけでございまして、これは十八年四月スタートから三年、こういうふうに理解しているところでございます。

原口委員 少し答弁が前向きになってきました。

 財務副大臣、これは、まだ一〇〇%株は国民のものなんですよ。だから、その中で何が起きているのか。私たちの郵貯や簡保のお金も、まるで自分のお金のようにどこかに売り飛ばせばいいんだという、そんな話じゃないんです。これは、国債を保有する、ある意味でのファンクションも持っている。

 なぜ冒頭に世界経済の話をしたかというと、過剰流動性の時代が終わって、金融なりいろいろなものが縮小してくる、あるいは金利が上昇してくる局面において、私たちは財政の健全化というものを一生懸命頑張っていますけれども、ではだれがその国債を持つのか、あるいは、これほどの大きな金融機関が市場に出てきたときに、ではそれは民間との関係でどうなるかということをさんざん議論してきたわけです。

 そして、政府の当時郵政民営化を推進する人たちは、郵政を民営化すれば税金は安くなるんだ、郵政を民営化すればサービスはよくなるんだということを言われましたけれども、現実、今、地域を回ってごらんになったら何が起きているか。

 今度も私佐賀に帰って郵便局長やいろいろな人たちと話をしました。郵便局長や郵便局の人たちは、これが民営化かと責められているんですよ。あなたたちが言っていた民営化はこれなんですかと。私たちの暮らしと一緒に、私たちは地域で丸ごと郵便局を支えてきたじゃないか、それはどうなったんだという声を多くの人たちが受けているんです。

 そのことからすると、ぜひ委員長、この委員会に西川総裁にお見えいただいて、そして、どのようなお考えで、今何が起きているのか、システムの問題も含めて議論をさせていただきたいと思いますが、理事会で御協議をお願いいたします。

渡辺委員長 ただいま原口君からの御要求がありましたけれども、これは理事会にて協議をいたしたいと思います。

原口委員 ありがとうございます。

 そこで、もう一つ税財源のことで、もう時間があれですが、地方の道路特定財源。この道路特定財源の暫定税率、これはどのような法律で規定されているのか。暫定税率を適用することによる上乗せ分は、国分、地方分合わせて幾らあるのか、まずお尋ねしたいと思います。

増田国務大臣 地方税ですけれども、この道路特定財源、自動車取得税と軽油引取税の税目がございまして、これらの暫定税率は地方税法の附則の方で規定をされているわけであります。それから、地方道路譲与税、自動車重量譲与税の原資である地方道路税、自動車重量税、これも今暫定税率がかけられておりますが、これは租税特別措置法の方で規定をされている、こういうことになっております。

 それで、いわゆる暫定税率分がどういうことになっているかということでありますが、具体的な金額でいいますと、今年度の予算ベースで、いわゆる暫定税率分ですね、上乗せ分でありますが、国分が約一・七兆、それから地方分が約一・〇兆ということでございます。合わせて、全体では約二・七兆、こういうふうに見込まれているところでございます。

原口委員 そこで、皆さんは、これは平成十八年の十二月八日の閣議決定、道路特定財源の見直しに関する具体策ということで、オーバーフローした部分は一般財源化するんだというお話がございました。これは閣議決定されているわけです。暫定税率を今後維持するのか、道路特定財源は地方分も一般財源化するのか、その辺の議論はどのようにされているんでしょうか。

 私たちは高速道路を無料化して、そして、皆さんは二言目には、与党の一部の方は、税源なんか、財源なんかどこにあるんだというふうなことをおっしゃいますけれども、これは上乗せ分、二・七兆円分なくなるわけですよ。財源はあるじゃないですか。私は、道路のために徴収したこのお金をそんなに簡単に別のところに使えるものなんだろうか、その辺、総務省としてどのような議論をなさっているのか、伺いたいというふうに思います。

増田国務大臣 道路の財源でございますけれども、これは昨年、大きな議論がいろいろ国でなされたというふうに、私も地方から見ておりましたが、その中で、暫定税率については現行の税率水準を維持する、こういう閣議決定になっておりまして、総務省としては、今、この閣議決定の枠の中でこの問題を考えているということであります。

 特に、私どもがやはり関心がありますのは地方の道路財源の話でございまして、この地方の道路特定財源については、もちろんこれも特定財源ということでありますから、一般財源化ということについての議論の範疇の中の話ではあるんですけれども、ただ、特定財源の割合が、地方の道路事業については大体充当率が二割程度ということがございます。

 そもそもオーバーフローとかそういう議論はありませんで、地方の道路に占める事業費の中でも約二割ということで、それ以外の部分については全部一般会計などから補てんをしているという状況があるということと、それから、やはり地方の道路の改良率とか舗装率が国道に比べてもおくれている、道路の需要というのは地方にとっては地方活性化の中でやはり多くある、こういう事情もございますので、このことを踏まえた一般財源化の議論が必要ではないか。

 少し国の場合の議論と局面が異なっておりますので、私ども、これから議論が進んでいく上でいろいろ場合によっては意見を申し上げていかなければならないと思っておりますけれども、その際には、今申し上げましたような二つのことを十分念頭に置きながら議論をしていきたい、このように考えております。

原口委員 これは大変私たちにとっても悩ましい話なんですよ。だから、私たちは、どこに暮らそうとも安心な日本、この玄葉さんのもとで地方分権プランをずっとまとめて、そして、これは改革競争をやりましょう。そして、安心、安全、どちらがどうなのか。皆さんのやられた改革の結果は、もう国民は御存じだと思います。

 きょうは、放送や通信について議論をしたかったんですが、そこに入る余裕がありませんでした。

 総選挙において、与党は結果を問われる、今までの実績を問われる、次なる政権党は、次なる政策の現実性、これを問われる、未来を問われる。ぜひ建設的な議論をこれからも進めていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十四分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 自由党の当選以来ですか、総務委員会、久方ぶりであります。そしてまた、大臣には、県議会とは違って、ちょっと空気がさまざまありまして、時々きつい質問等々があると思います。御了解いただきたいと思います。

 まずもって、増田寛也さんには、大臣就任、本当におめでとうございます。持ち前の力を十二分に発揮して、国民のために本当に汗をかいていただきたい、そう思っております。

 また一方、東京におっていわゆる改革派知事として頑張っておられた増田大臣の姿と、岩手にあって県行政のトップとして仕事をしておられた部分と、ちょっと落差を感じる方々も大分あるものですから、まず大臣の政治姿勢といいますか、その辺からちょっと聞いていきたい、こう思っております。

 衆議院の解散・総選挙、これはもう我々は参議院と違いまして常在戦場ということで、いつも気にかけておるのでありますけれども、この安倍・福田選挙内閣の重要ポストに、みずから中に入っていくといいますか、民間人として入っていったということでありますけれども、私はこの理由をまず一つお尋ねいたしたい、こう思っております。

 それから、来るべき総選挙の際でありますけれども、以前の竹中大臣と同じように、じっくりと仕事をしたい、衆議院議員として仕事ができるように立候補する、そういう気はあるのかということ、この二点をお尋ねいたします。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、民間の立場でありますので、こういう大臣の職につくということについて、私も、知事をやめて民間人になったときに、実は正直なところ全く予想もしておりませんでした。しかし、今、地方が抱えております課題、これは大変大きな課題を抱えているということを目の当たりにしてまいりましたし、それから参議院選挙の結果といいますもの、これも、ある種、地方の皆さん方が今の置かれている現状について問題意識を発したということにあったのではないか、こういうこともございました。

 そういう中で、いずれにしても日々国政が推進をされていくわけでございますが、そういった国政の中で、やはり、現場の実情それから現場が抱えている問題意識というのを少しでも反映できれば、そういう思いで、総務大臣という、大変重責ではございますが、その職についたところでございます。日々そうした重責の重荷というものを背にしょいつつ、しかし、今地方が抱えている課題の解決のために身を賭して、全力を尽くしていきたい、こういう思いでございます。

 それから、今委員の方から、国政選挙への御質問がございました。これは、大臣に就任したときにも記者会見等で聞かれたことはございました。私は、国政について、出るという思いはないということを記者会見等で言っておりましたけれども、これについて今もそういった思いに変わりはないところでございます。

黄川田委員 安倍内閣の発足時に、大臣は、中央省庁の権限に大なたを振るってくれという、エールみたいな話もされたと思うのであります。参議院選で大敗した安倍首相の責任について、大臣は当時、首相はやめる必要はない、どうせ自民党の中で政権がたらい回しになる、国民の審判を受けない政権ができても意味がない、こんな発言をされておるわけであります。

 その後、安倍内閣に請われ、そしてまた福田内閣に請われての大臣なんでありますけれども、自民党の解体のために入ったと私は思っているのですが、どうなんですか。

増田国務大臣 安倍内閣、その成立の後、国政選挙、参議院選挙があって、その直後に安倍総理が続投されて、そうした批判を受けながらこの困難に当たる、こういうことを総理が言われたわけでございまして、私は、そのことに対しては、総理が身を賭して今後の難局に当たろうとしておられるということを評価した。その当時、自民党の中でもいろいろ議論はあったようでございますけれども、私は、安倍総理がやめる必要はない、これは安倍内閣がまた新しい視点で政権運営に当たっていかれればいいのではないか、こういうことで申し上げたところでございます。

 実際に、その後いろいろな、御健康の問題等もあって辞されたということではございますけれども、あの時点で私は、安倍内閣、本当に難局に当たるということでいろいろ総理も御決断なさったんだろうと思いますけれども、そのことは、総理の御決断をやはり重く受けとめたい、こういうことで申し上げました。

黄川田委員 大臣は、来月、岩手の方に、自民党の三役の方々とお入りになると耳にしておりますけれども、大臣は、岩手だけではなくて全国行脚をするおつもりでしょうか。

増田国務大臣 来月、きちんと決まっておるわけではございません、公務との関係がございますけれども、今御質問いただいたことは、自民党の岩手県連の、いつもこの時期にございます、正確には政経文化パーティー、たしかそういった名前だったと思いますけれども、それにお招きをいただいておりますので、それに出席をする予定にしている、こういうことでの御質問かと思います。

 この政経文化パーティーには、私も知事時代にいつもお呼びをいただきまして出席をしていたものでございますが、見ておりますと、いつも党三役の方と、今は変わって四役ということになるのかもしれませんが、それから閣僚の方、大体一人、二人の方が岩手に来られて、それで行うパーティーで、来られた閣僚の方々がその時々の政権の話題とか政権の方針などをしゃべっていかれるということで、私も知事の立場で来賓で出席をしておりまして、なるほどこういうことを政府で考えておられるのかな、こんなことをわきで見聞きをしていたところでございます。

 地元の自民党から、ぜひ出てほしい、こういうお話をいただいたときに、私も、民間人の立場ではありますけれども、岩手のことでありますし、県出身でない他の閣僚が行って政権の話題をされるよりも、むしろ、まさに私は政権の中に入って、地域の皆さん方の一番御関心の高い地方行政をお預かりしている立場でございますから、それであれば私が行ってしゃべるのが一番よろしかろうと思いまして、こういったパーティーに出て、そして、いろいろ県民の皆さん方にこういうことを今考えているということを率直にお話をして、また、県民の皆さん方からも、御批判も含めていろいろ御意見をお伺いしたいなと。時間としては大変限られているわけございますが、そう考えたところでございます。

 それから、全国行脚するのかというお話でございます。

 特に他からお招きをいただいているわけでもございません。それは、その時々いろいろ判断があると思います。今のところそういう予定はございませんけれども、やはり一番今までお世話になり、また、私が勤めておりました岩手ということでございますので、格別の思いで出席をする予定にしているところでございます。

黄川田委員 大臣は常々地方分権の関係で、官僚主導はだめだなというふうな話もされることが多いわけでありますけれども、御案内のとおり、全国の四十七都道府県の現職知事のうち二十八名が霞が関の省庁の出身者で占められている、そういう形になっております。

 もちろん、選挙の洗礼を受けておりますので県民の負託を受けておるわけでありますから、単なる天下りということではないのでありましょうが、地方分権をますます進めていく中で六割にも及ぶ官僚の知事支配といいますか、何か戦前に戻った形で、国から知事を送り出しているような感じもするんですが、こういう状況はどうですか。

増田国務大臣 戦前との違いは、やはりそこに民主主義の原点である選挙がある、こういうことだろうと思います。

 ただ、そのことも踏まえながら現状を見てみると、やはり知事というのは大変多様な行政ニーズに対して的確な判断をしていかなければならない、こういうことでもありますので、その出身のところが、あるいは余り同じような経歴の人たちで染まっていくのもどうかなという思いも率直にございます。

 そういうこともどうかなという思いもございますが、これはそれぞれの県ごとの選挙による判断ということもありますので、私は、その中でやはり大事なことは、そういった人の能力をきちんと見るということと、それから、あと、多選の問題等いろいろこうした首長の選挙にいろいろな問題がございましょうけれども、そういったことも含めて、やはり選挙民が選挙ということの意味とその力というのをよく自覚した上で、何か不都合があればそれを正していく。

 これは、国の場合は、総理の場合には議院内閣制であり間接選挙でありますけれども、首長の場合には直接選挙で、知事の場合には確かに範囲が広いですし、なかなかリコールという運動が起こりにくいわけですが、しかし、直接選挙制度はいろいろな仕組みというのがございますので、最終的には、選挙民が十分に選挙民としての力を発揮するということが大事ではないか、このように考えております。

黄川田委員 次に、地域格差についてお尋ねいたしたいと思います。大臣も十二年間格差を身にしみて感じてきたところと思います。

 地域格差、所得格差など、構造改革の大きなゆがみが国民生活を苦しめている中にあって、大臣は、お父さんは岩手の方ということで議員もされました。それから、大臣は東京生まれ、東京育ち。しかしながら、十二年きっちりと岩手の県政を支えてこられたということなんであります。地方の実態を身にしみて私は感じておると思うのでありますので、何も、車座対話ですかね、岩手の県北沿岸、具体の名前を挙げれば例えば三千とか五千の町や村もありますし、山と川と海がありますので、大体その辺で十二分に理解しているような感じもするわけなんでありますけれども、改めてまた原点に返ってということなんでしょう。

 また一方、東京では、先ほど言ったように改革派知事として著名であるということなんでありますけれども、小泉構造改革といいますか、大きな社会のゆがみを正していく際には、内閣の一員として頑張るよりも、地方分権なんというのは大事業なのでありますから、その処方せんなんというのは個別具体じゃなくて、その処方せんの最もいいものは私は政権交代だと思っているんですけれども、その辺はどうですか。

増田国務大臣 地域の格差、こういったものについてはいろいろな地域事情があると思います。

 これについて、地方の状況というのもなかなか一様ではないということを岩手でも実感しておりましたので、これから全国の地域格差の問題、地域でのさまざまないわゆる偏りの是正をしていく上ではやはり全国それぞれの状況をよく見ていかなければならない、これが基本であると思っています。

 その上で、いろいろな処方せんを書いていかなければならない、こう思って今そうした作業に取り組んでいるわけであります。

 一方で大きな改革も国で進められてきて、これについても大きな議論がさまざまあるわけでありますが、私はどんな場合でも、改革ということについて、これは現状を変えていくわけですから、必ずその反作用といいましょうか、そのことによって変わることについての痛みですとかあつれきですとか、さまざまなものがある。やはりそれをきちんと修正しつつ、こうした問題に取り組んでいかなければならない。

 まさに、今私の置かれている立場といいますのは、そうしたさまざま行われてきた改革によって出てきたものを、地域あるいは生活者にとっていい方向になるように修正したり、それから是正をしていく、そういうことかというふうに思っているところでございます。

 今、最後に先生の方から、大きな政権交代のような話がございました。これはこれとして大きな政治課題ということで、これはまさに民主主義そのものの話になるんだろうと思いますけれども、それ以前の段階でも、やはり現状行われていることをきちんと見て処方せんを書いていくということが大変重要なことかというふうに思っているところでございます。

黄川田委員 大臣は、所信で、基本的に前大臣の取り組みを引き継いでいくということで話されていますけれども、ちょっと三位一体改革と地方財政に関連して質問していきたいと思います。

 大臣は、本年四月十七日に地方分権改革推進委員会に委員の立場で提出した資料において、三位一体の改革において、三兆円の税源移譲は実現したものの国庫補助負担金改革において補助負担率を引き下げる手法が乱用されたため、地方の裁量や自由度はほとんど高まっていないとして、批判的な見解を示しておるようであります。

 また一方、菅前総務大臣は、昨年十一月十四日の総務委員会におきまして、「三兆円の税源移譲の実現による地方の自主財源の強化、補助金改革による地方の自由度の拡大とあわせて、今回の改革全体として、地方分権の進展に資するものである」、このように答弁しておるわけでありますけれども、改めて、この三位一体改革の国庫補助負担金改革、あるいはまた税源移譲の評価をお尋ねいたします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 この三位一体改革でありますけれども、やはり一つ、今まで決して行われたことのなかった税源移譲が行われた、額三兆という規模でございますが、税源移譲が行われたというこのことは、分権の中でやはり画期的なことであったというふうに思って、そのことも今まで率直に申し上げてまいりました。

 ただ、あわせて、これは三つの改革でありますので、補助金の改革、それから税源移譲、そして交付税改革、この三つをそれぞれ難しい課題でありますので同時に解決していこうというのが三位一体改革であったわけでありますが、今御指摘いただきましたように、補助金改革がやはり十分であったかということから考えますと、そこにはまだ徹底していないもの、いろいろな基準があったり、単なる補助率の切り下げという形で基準自体が全く温存されている、こういうものが多用されていた、これもまた事実だろうというふうに思うわけであります。

 したがって、トータルで見ますと、地方の自由度というのは、三位一体改革によって高まったと言える分野というのは非常に限定されているということもございますので、こうした三位一体改革、私はやはり、大きな理念というものは正しい、そして、そういった財政の自由度を拡大していくということは今後もやっていかなければならないことでありますが、このことについては、中央省庁の抵抗であったり、いろいろな力関係もございましたんですけれども、やはりその成果についてはいろいろな議論がある、問題を抱えているというふうに考えているところでございます。

黄川田委員 黄川田も何か随分変わったなと思われそうなので、一つだけ。

 国では三位一体改革ということですが、大臣は知事時代、私からすれば四位一体改革というんですかね、人材、人も含めてということで、厳しい財政の中で市町村に財源と人材をということで、いろいろな形で一生懸命頑張ったと思うわけでありますけれども、いずれは、地方にとって、この三つのうちの地方交付税、この部分で右往左往させられるといいますか、調整機能だけじゃなくて、財源保障の機能とか、しっかりとやっていかなきゃいけないと思うのであります。

 次に、新型交付税についてお尋ねいたしたいと思います。

 大臣は、昨年十月五日の岩手県議会において、新型交付税は交付税の透明性を高める点においては一定の評価ができるが、財源保障機能を堅持すべきである旨の知事答弁をされております。菅前総務大臣は昨年十月に、経済財政諮問会議に提出した資料等におきまして、地方分権一括法等による国の関与の縮小とあわせて新型交付税を順次拡大し、全体の三分の一程度の規模を目指すということであります。

 地方公共団体の中には、新型交付税の規模の拡大によりまして、地域の地理的や社会的な状況が的確に反映されなくなり、財源保障機能が後退するのではないかとの懸念を持つ団体も多いわけであります。脆弱な地方公共団体がたくさんありますので。

 大臣は、この点、前任者の路線をそのまま踏襲しましてこの新型交付税拡大を目指すのか、お尋ねいたします。

増田国務大臣 新型交付税ですけれども、議論の出発点は、交付税の算定というのはなかなか複雑なやり方をしておりますので、その透明性を高めるといったようなところが議論の出発点であったような気がいたすところであります。

 そして、新型交付税ですけれども、それぞれ地方団体にとりまして、当時も中で随分議論をした覚えがございますけれども、交付税の機能というのは、御案内のとおり、大変重要な機能、役割を二つ持っておりまして、財源を保障するという機能と財源調整をする、こういう機能でございますが、この機能がきちんとやはり交付税としては守られていることが常に重要ではないか、こういうことであります。

 今回、新型交付税ですけれども、結局、昨年、いろいろな議論の上で出てきた形を見ますと、交付税総額については、これは総額確保ということを常に地方団体は言ってきたわけでありますが、総額が地財計画の中で確保される、これは毎年毎年の予算の中で、予算折衝の前段として決まってくるところで、額はいろいろ動いていますが、交付税総額については、その確保する仕組みが維持されているのと、それから、基本的な、基準財政需要と基準財政収入との差の部分を交付税として配分するという仕組みが特に大きく変わっているわけではないということ。

 それからあと、例の条件不利地域ですね。一番問題になるのが条件不利地域の特別な財政需要をどういうふうに勘案するか、ここが実は新型交付税のときに私ども一番心配したところでありますが、こうした条件不利地域の財政需要を算定する仕組みについては中で確保されて、いわゆる変動額というのは最小限にとどめられているといったことがございますので、こうしたことからは交付税の機能に影響を与えているものではない、こういうふうに理解をしたところであります。

 今後、こうした交付税の問題というのは、やはり分権一括法ができまして、その中での国の関与の縮小とあわせて考えていく必要があるわけでございますが、そうした国の関与の縮小とあわせて新型交付税の割合を順次拡大したいというのが総務省の考え方でございますが、私が先ほど最後に言いました点、ここが大変重要でございまして、やはり公共団体の意見を十分に聞くのと、それから、公共団体の財政運営に支障を与えない、これが必要だろうというふうに思っていますので、この点は十分に考えながらこの交付税についての必要な措置を講じていきたい、このように考えております。

黄川田委員 次に、「頑張る地方応援プログラム」についてお尋ねいたしたいと思います。

 大臣は、「ガバナンス」本年四月号において、「頑張る地方応援プログラム」について、地方の固有財源であり一般財源である地方交付税そのものの仕組みに反するのではないかとの強い懸念を示しており、首長の中には、筋違い、時代逆行、交付税の補助金化であるとの批判も少なくないと私も思っております。

 それにもかかわらず、政府は、平成十九年度から約二千七百億円の予算を計上しまして「頑張る地方応援プログラム」を強行しておるわけでありますけれども、大臣は、平成二十年度以降も、そもそも反対したこの「頑張る地方応援プログラム」を推進していくのでしょうか。所信には推進していくような形になっておりますけれども。

増田国務大臣 この「頑張る地方応援プログラム」ですけれども、自治体の中でも最初いろいろな議論があって、それで私どもも、ことしになりましてから、岩手の方でも前大臣がおいでになったりしてこうした「頑張る地方応援プログラム」の内容を説明していかれましたけれども、様子が十分わからないということで、いろいろ自治体の中でも議論がございました。

 総務大臣になりまして、この「頑張る地方応援プログラム」について各自治体が一体どういう意見を寄せているのかということを聞きましたところ、地方からの意見としては、条件不利地域への配慮が必要ではないかとか、これからの頑張りというよりも、今までも本当に頑張ってきた、過去の頑張りぐあいというのはこの中でどういうふうに反映されているのかとか、あるいは、この次のところが多分一番共通の意見だろうと思うんですが、交付税の総枠の中での配分の変更ということではなくて、こういう考え方で取り組むんであれば、やはりそれを別枠にして、別途きちんとその「頑張る地方応援プログラム」の財源をプラスアルファとして確保すべきではないか、こういう意見が寄せられた、こういうことでございました。

 私は、特に今ありました三番目の意見などはまさにもっともな意見だろうなというふうに思っておりまして、逆に懸念しておりましたのは、その総枠が決まった中で、この頑張り度に応じていろいろな変更が加えられては困るということでの懸念であったわけでございますけれども、これから、先ほど私も所信の中でも申し上げましたけれども、この頑張る応援プログラム、やはりぜひいい形でこのプログラムを組んでいかなければならない。一生懸命努力しているところにそれなりの対応をする、これはもう国民の皆さん方にも御理解をいただけるものだろうというふうに思いますし、また考え方自体については、自治体からも、地域活性化の効果が上がらないといったような批判というのは特段なかったというふうに聞いているところでありますが、やはり財源がその全体の内枠に入っているというところに皆さん方の懸念なり心配が集中しているということでございますので、この点を今後大きな課題として考えていきたいというふうに思っております。

黄川田委員 切り口は違うのでありますけれども、知事時代に、岩手は「がんばらない宣言」というのをたしかしたはずでありますが、その辺の理念とか思想を、せっかくですから皆さんに、どうぞ。

増田国務大臣 私、今議員からお話ございましたとおり、岩手県で「がんばらない宣言」というのをやっておりましたので、この頑張る応援プログラムが出てきたときに、一体これはどういうことかと最初は実は戸惑ったことがございますが、よくよく聞いてみますと、この頑張る応援プログラムの方は、いろいろ努力した、汗をかいたところに対して配慮するあるいは対応するということでございまして、岩手県が「がんばらない宣言」をしたというときも、そこの点は思いは共通でございました。

 やはり、自治体としてさまざま県民のために努力する、あるいは県民一丸となって努力をする、汗をかくということ、これは常に大事なことだろうというふうに思うわけでありますが、その頑張りの内容といいますか価値観といいますか、すなわち、どうもやはり、その追いつく先の、坂の上の雲の行き先を見ているところが、東京を基準にして、そこに追いつき追い越せというか、そういった画一的な基準であってはいけないのではないか。やはり地方がそれぞれの特質なり歴史、文化というものがございますので、そうしたことに基づく価値観というのはしっかりと立てて、岩手県は大変森林県でございますし、そういったものが、東京といったら失礼かもしれませんが、仮に今の経済価値からいえば非常に低価格かもしれませんけれども、別の切り口で見ますと、CO2の吸収源であり、優秀な、優良な木質バイオマス資源の源でございますから、やはりそういった地域の固有の価値を十分に見出して新しい地域づくりに向かっていきたい。そういうことで、あえて「がんばらない宣言」、それは、画一的な価値によらない県づくりをしていこう、こういうことで申し上げたところでございます。

 正直、議員のお話のとおり、これについては県内でもさまざま議論がございまして、賛否両論ございました。県外の方からは比較的好意的に理解をしていただいたと思っておりますが、県内では、やはりそういうキャッチフレーズはかなり刺激的でございまして、いろいろ議論がございましたのですが、今回の私どもが考えておりますプログラムと共通するところは、努力をする、汗をかくというところが共通しているもの、こういうふうに考えているところでございます。

黄川田委員 大臣は知事に、平成七年度からですものね。当時は、地方の疲弊に対して景気対策ということで、国の当初予算から補正予算で公共事業の推進、借金しても地方債発行で何とかなるみたいな形の中で、大体十二年ぐらい前は予算と地方債残高が同じかあるいはまたちょっと低いぐらいだったと思うんでありますけれども、その後の景気浮揚対策に呼応しまして事業をやってきた。結果として一兆四千億の地方債残高ということでありますけれども、この七年から五、六年、ちょうど知事の十二年のうちの半分ぐらいはそんな形のものでありますけれども、この政策については、自分も呼応したということについては、どういう認識ですか。

増田国務大臣 ちょうど知事の任期の前半ですね、ここではかなり地方債も発行し、その上で種々の事業を行ったということでありますが、これをこうやって今の段階でもう一度見直してみますと、あの当時は、議員御案内のとおり、岩手県が抱えております課題、東北新幹線の盛岡以北の整備ですとか、あるいは高速道路の整備、高速道路は整備手法が多少新幹線とは違いますけれども、それから、県民の悲願でございました県立大学の整備、それから、文化の関係でございますと美術館あるいは図書館とかさまざま、要望の高いものについてこの時期にちょうど集中して整備を進めていかなければならない、そういった県民ニーズが大変高い時期でございました。

 したがいまして、今お話ございましたとおり、ちょうど平成七年に私就任いたしましたけれども、そうした資産、将来にわたりまして岩手県土の発展のために十分寄与し得るであろう優良な資産というものをやはりこの時期に整備に取りかからなければいけない、こういう思いもございまして、いろいろな困難がございましたけれども、県債を発行しつつ整備していったものでございます。

 その結果として、財政的には、ちょうどお話ございましたとおり、七千数百億の県債残高が今一兆四千億弱、プライマリーバランスを黒字化しましたので少し今年度減ったわけでありますが、今そういう形になりまして、二倍ほど県債残高が残っております。

 これについては、そういった額までふえて、しかも交付税が減っている中で財政運営が非常に硬直化したということについて、いろいろおしかりもいただきましたし、財政的にも大変将来にわたっての負債を残しているなという思いもございますが、一方で、あの当時で整備しなければもうなかなか整備し切れない、あるいはタイミングを失するとさらに将来に延びてしまいます社会資本を将来につながるものとして整備をしたということでございますので、これはやはりあの時期に整備をしなければいけなかったというふうに思っておりますし、私としては、その時期にそういったものを、今の財政状況ですと恐らく整備できなかったものであり、しかしいずれかの形では整備をしなければいけない社会資本でありますので、こうしたものを整備したというのは、当時の財政状況の中での判断としては適切。ただし、そのことによる負債についての処理というものは、これは多くの団体、どこもそうでございますけれども、またいろいろ考えていかなければならなかったという、後に大変困難なものを残した、こういう思いでございます。

黄川田委員 いずれも、食べたり飲んだりしたわけじゃないし、投資的経費として使われたものでありますから。しかしながら、国策をとめるわけにはなかなかいかない自治体ということでしょう。

 ただ、林業振興にあっては、例えば全国にも、林業公社ですか、こういうものがあるわけなんでありますけれども、この国策に乗ってやって、結果として六百億ぐらいの負債、長期債務をどうするかとか。

 あるいはまた地域医療ということで、先ほど来お話があったとおり、岩手は二十三の県病と、次はたしか新潟が十幾つかですか、県民の医療の均てんということで、県が前面に出てやった。そういう中で、一生懸命やっても、今、県病の百二十八億ぐらいですか、国策に沿ってやっているんだけれども、なかなか大変だということですよね。

 それから、やはりここで聞かなきゃいけないのは、一部事務組合、競馬の関係なんでありますけれども、これについては、財政規律を重んじる総務大臣からすると、ずっと繰り上げ充用でやってきたわけであります。

 そしてまた、今予算編成がなかなか厳しい中にあって何が大事かといったら、財調の基金であるとか減債基金とか、この基金の部分なんでありますけれども、平成十八年度で全国で一番基金を取り崩したのはたしか岩手ではないかと思いますし、その部分では、今は大臣になりましたけれども、何か一つ置いてきたような気持ちはないですか。

増田国務大臣 今、大きなものとして三つほど御指摘いただいたと思うんですが、林業公社ですね。全国どこも、公社をつくって公社造林を手がけたところは大変でございますけれども、まず林業公社の問題。それからあと、病院の問題。本県は県立病院ネットワークで地域医療を維持していますので、これも大変な問題でございまして、今お話ございましたとおり、一般会計から百二、三十億の繰り入れを毎年行っている状況でございますので、この問題。それからあと、最後にございました一部組合の競馬の問題、これが大変大きな問題でございました。

 いずれも、それぞれ解決に向けて、林野庁に働きかけをしたり、病院の関係は厚生労働省、文科省にいろいろかけ合ったり、それからあと競馬については農水とか関係のところ、JRAなどにもいろいろかけ合ったりということでございますが、いずれもまだまだ未解決ないしは非常に困難な問題を残している、こういうことでございます。

 特に今、全体的に自治体の財政運用が厳しい中で、こうした問題がやはり岩手のみならず他の県でも共通の問題として多く残っておりますし、それぞれの主務省庁でいろいろ考える部分はありますが、地方財政全体の問題としていいますと、総務省としてもいろいろ、それぞれの団体が抱えているこうした問題について丁寧に、やはり地域の皆さん方の思いを受けて解決に努力するのは当然でございますので、こうしたいろいろ地域が抱えているそれぞれの問題、そして、総じて言えば地域の自治体の財政問題について、総務省の立場で解決に向けて努力をしていきたい、このように考えております。

黄川田委員 今、大臣は、住民票は岩手にありますか。

増田国務大臣 住民票はこちらでございます。

黄川田委員 総務省でふるさと納税みたいな話がありまして、知事がやってきた借金、借金といいますか投資的経費ですから、そういう中で、受益負担ということで長期にわたって県民は払っていかなきゃいけないわけでありますけれども、その部分で、住民票があって、大臣の給料をいっぱいもらって県民に還元するという話ならいいんですが、もう東京の人になったようでありますが、何かしら岩手に対して財政的に少しでも、手厚くなくてもいいですので、思いはあるんだからということがありますか。

増田国務大臣 もう常に、やはりふるさとに貢献しなければという思いがございます。今は総務大臣の立場でありますので全国平等に扱わなければならない、公平に扱わなければならないという中で、ふるさとに貢献したいという思いが常にございます。

 それからあと、今、ふるさと納税のお話がございました。これはまだ制度化されておりませんし、この間研究会の報告をいただいたばかりでございますけれども、やはり、ふるさとに対する思いというのは、それぞれ国民の皆さん方が格別の思いを抱いているのであろうというふうに思いますし、この間の研究会、私どもも妥当な報告であるというふうに思っておりますので、これを制度化して、何とかあのような制度を実現させたい、そしてふるさとを思う全国の皆さん方の思いにこたえていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

黄川田委員 時間でありますので終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 増田大臣、大臣御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。

 かつて一緒に、例えば二十一世紀臨調でありますとか、あるいは、先ほど原口筆頭からもありましたとおり、プラトンでありますとか、あるいはまたさまざまな勉強会、研究会などで御一緒させてもらったというようなこと、いろいろと御指導いただきまして、そのことに対して心から感謝をしているところであります。また、規模こそ違いますけれども、同じ自治体の首長としてともに戦ってきたということもあるわけで、私としては、仲間が大臣になったなという気持ちを持っているんですが、よもや、私が質問をする立場で、そちらが大臣でという、この構図は余り想定していなかったのでありますけれども、とにかく、大臣になったということで、地方の期待というのは大きいのかなというふうに思っているところです。

 そこで、最初にお伺いしたいんですけれども、自治体の首長を経験され、そして自治体の痛みもよくわかるという立場で、この総務大臣という仕事に対してどんな姿勢で臨むか。きょう午前中に確かにごあいさつはございましたけれども、ああしたごあいさつではなくて、もっと自分の言葉で、どんな姿勢で臨むのかというところを、いつものように、若干簡潔にお話しいただけますでしょうか。

増田国務大臣 簡潔にということでございましたけれども、やはり総務大臣ですから、大変幅広い仕事を担っている。特に地域の皆さん方に役に立つための役所ということでありまして、そういう、地域のために全力を尽くす、そのことに私どもかけていきたいというふうに思っているわけであります。

 今、総務省の任務といいますのは、実はそういった地域というもの、地方行政だけではなくて、情報通信、それから最近では年金記録、これはいずれも、地域ということより、そこに住んでおられる住民の皆さん方、地域にいる住民の皆さん方の切実な問題の解決ということに当たる、そういう役所でありますので、やはり、従来からもそういうことで心がけてきたつもりでありますが、今まで以上に地域の視点ですとか国民の視点、目線というのを大切にしながらこの総務省の役割を十二分に発揮させる、その最高責任者としてこの総務大臣の仕事に当たっていきたい、こういうふうに考えております。

逢坂委員 今回の、午前中にごあいさつされましたあの内容でございますけれども、御自身で書かれた部分というのはどの辺でしょうか。あれは全部役所が書いたものなんでしょうか。

増田国務大臣 これは共同です。私、知事時代も、知事演説については、いろいろ担当のところに材料をそろえさせて、あと、私がいろいろ見ながらやるということでございました。特にけさほどの、こちらの場で読みましたあの所信でございますけれども、後半のところの、各所掌分野についていろいろ書いているところは、これは担当部局のところにいろいろと材料をそろえさせて私が見ている。それから前半のところ、これは内閣の一員でありますので、その内閣の基本姿勢を踏まえつつ、私の理念というものを書かせていただいております。

 それから、あと、その後半に至るところ、これについては、私がいろいろと考えながら、部下といいますか、総務省の職員の皆さん方と議論してつくり上げた、こういうことでございます。

逢坂委員 かつて私も、増田知事時代にいろいろと御議論をさせていただいたときに、例えば、鳥取の前片山知事なんかとよく話をする、あるいは宮城の知事さんとも話をするなんということ、あるいは、盛岡やなんかにシンポジウムか学会で行ったときは、秋田の寺田知事とも一緒になって話をしたなんということがあるわけですが、そのときに私たちがよく口にしていたのは、改革を進めていくときにやはり重要なのは情報だよねという話をしていたかと思います。

 やはり、情報が明確に、明らかになっていなければ、判断もできないし議論もできないと。特に、鳥取の前片山知事などは、情報公開こそが行政改革、さまざまな改革の原動力であるというふうに言っているわけですが、この点について大臣はいかがお考えでしょうか。

増田国務大臣 情報の公開性とか行政の透明性ですね。ここは今、時代の要請でもありますし、やはり行政を展開していく上で大変重要なところ、私もこれまでそういう思いで岩手県政を進めてまいりましたし、これは、そのことに対して、国民の皆さん方のいろいろな後押しといいましょうか、公開をする、そうすると、まだまだ不十分であったり、あるいは公開することによっていろいろな、少し雑な言葉ですが、ぼろがいろいろ見えてきたりということですが、そのことがまた仕事に緊張感をもたらして、そして仕事をいい方向に変えていく。こういうことでありますので、公表とか公開性とか、そういったことを高める、これは私は順次進めていくものなんだろうと思っておりますけれども、そうしたことを常に追求していくということが大変重要だというふうに思っております。

逢坂委員 情報の公開性の重要性は御認識いただいているというふうに思うのですが、やはり、国においても、大臣となられた今後も、ぜひその点には十分に御留意をいただきたい。この姿勢を貫くということで、大臣、よろしいでしょうか。改めて確認をしたいと思います。

増田国務大臣 そのつもりで私も行政に当たりたいというふうに思っておりますし、このことについて、公開を進めていくということについて、知事時代もそうでしたけれども、いろいろ、支障といいましょうか抵抗もいろいろあるんですけれども、やはり先ほど言いましたように、順次公開を進めていく、その上で、最近ではいろいろな、個人情報保護とか、さまざまな法益をうまく調整していかなければならない。こういったことも大変重要でありますので、そうしたことを広い観点で勘案しながらこうした問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。

逢坂委員 しつこいようですが、再度確認をさせていただきたいんですが、今、順次という言葉がございました。私も、自治体、小さいとはいえ首長をやっておりまして、すべての情報を一から十まで全部あけっ広げにできない事情というのもあることも理解はする一人だというふうに思っています。

 が、大臣、例えば予算情報、これは非公開にする何物の理由もないという気がするんです。予算情報でありますとか、個人の名前はともかくとして、国民の権利にかかわるような部分の情報、こういうものについて非公開にする理由はないと思うんですが、これは順次のその段階には入らないような気がするんですが、大臣、この辺、いかがでしょうか。

増田国務大臣 これも知事時代にいろいろ案件によってありまして、私が順次と申し上げましたのは、やはりこの情報の公開性という問題、これは、基本的な考え方も公開をしていく、公的情報は公開をして進めていくということ。しかし、それを実行していく、まさに問われているのは各論の段階で、それぞれどうするかということから、順次ですとか、個人情報保護の一方での要請といったようなことを少し例として挙げさせていただいたところでございます。

 したがいまして、これからも、公開性をずっと高めていくということ、その努力をずっと続けていきたいと思いますが、あと、それをどういう時点で、どういう手法で、あるいはどういう事柄についてやっていくかということを、私自身も、まあ、一番細かなところまでなかなか目が回らないところがあるかもしれませんけれども、やはり、事あるごとによく聞きながら、個別にいろいろ判断をさせていただきたい、個別にいろいろ判断をして、その上で、大きな流れとしてそういう方向に沿うようにしていきたいと考えております。

逢坂委員 大臣、重ねて確認ですけれども、予算情報というのは、それは個別に判断しなければ出せないものなんでしょうか。予算、まさにこれは国民の税金にかかわることでありまして、これについて、出す出さないなどということは判断しなきゃならないことなんでしょうか。いかがでしょうか。

増田国務大臣 恐らく予算情報というものの中にいろいろな種類もあると思うんですね。ですから、そこは今、この場で具体的にどういうものということが少しわかりかねますが、基本的には、予算ですから国会でいろいろ御審議をいただいて、その上でお認めいただくもの、それからまた、その源が公金、税金を使ってのものでございますので、こうしたものは明らかにされて、その上でいろいろ御審議いただくもの。ただ、そのときに、今までも、そうした予算情報の中で、いろいろな理由から、公開性になじまないとかいろいろなものがあったんだろうと思いますので、そうしたものもよく見た上で、これは大きな判断をしていくということで申し上げたところでございます。

逢坂委員 私、非常に残念に思います。私、知事に御就任の直後に初めてお会いさせていただいて、あれから十二年以上が経過したわけですが、この間議論してきたこと、ともに議論をしてきたことは、情報がやはり原点だという話が議論の大きな柱だったかと思うのですが、今、予算情報に関してですら歯切れよく言えない、本当に残念に思います。

 今、私たち、ここの国会でさまざま議論をしていて、実は、本当の政策の中身の議論に入ることができないことが多々あるんですよ。情報を引き出すということだけに終始をして、そのことができたことだけで、やっと山を越えて、次に行こうと思ったらもう既に時間切れだとかということが多々あって、こんな非民主的な国はないと私思っているんですね。ですから、最低限、予算情報だけでも歯切れよく、これはもう当然公開ですよというような発言があってしかるべきなのに、本当に逃げ道の多い答弁をされている。本当に残念でならないんですけれども、一言ございませんか、大臣。

増田国務大臣 結構歯切れよくしゃべっているつもりなんですが。予算情報自体についての公開性は全く否定をしておりませんので。

 私が、これは知事時代でもそうですけれども、そういう情報についていつも議論するとき、やはり具体的には、どの情報をどういうふうに公開するかということの議論だろうと思います。ですから、逢坂議員でございまして、今までも随分いろいろ御一緒してきましたので、恐らく何か具体的な問題をお抱えになっているのではないかなというふうに思って今聞いておりました。

 そういった予算情報、私も、国の情報がどういったものがどこまで開示されているのかということをつまびらかに知っているわけでもございませんけれども、今いろいろとお仕事している中でどういうことがあるのか、私自身も、例えば、総務省の中で、逢坂議員の方からどういうお話を聞いているのかというのをよく後で担当の者に聞いてみたいと思います。

 予算情報自体について、いろいろと公開性を高めて、あるいは国民の中で議論をしていくというその大きな流れは、もちろんそういう方向でいかなければならない。恐らく何か個別の問題でひっかかりがあるのではないかということで、そのことを申し上げたところでございます。

逢坂委員 私、個別の問題で特に案件を抱えているわけではございません。

 いわゆる日本の今の、特に国政、国の予算の非公開性に極めて驚いている。実は、自治体の現場の予算も必ずしも十分公開されていないところもあるんですが、それ以上に非公開度合いが強いということで、ここにやはり風穴をあけなければ、大臣が知事時代に熱っぽく語っていたさまざまなことも私は進まないのではないかというふうに思うものですから、ぜひそれをお願いしたいというふうに思っているわけです。

 この点はこのぐらいにして、またいずれ議論をしたいと思います。

 次に、行政改革について、ちょっとお話ししていた順番とは違うのでありますが、国の審議会についてお伺いをしたいんです。

 国の審議会について、平成七年に「審議会等の透明化、見直し等について」というような閣議決定がされている。それから、平成十一年には「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」というのが閣議決定をされているわけですが、その結果、お手元に出した資料の一にあるような審議会数に再編成されたわけですね。

 そこで大臣にお伺いしたいんですけれども、総務省内の審議会について、この閣議決定はちゃんと守られているのかどうか、それをちゃんとチェックしているのかどうか、それをちゃんと定時的に把握しているのかどうか、このあたりをお伺いしたいんです。

増田国務大臣 この審議会でございますけれども、今先生お話にございましたとおり、閣議決定が過去にあったわけでございます。これは、総務省の中の行政管理局ですとか、それからあともう一つ、人事・恩給局がございますが、ここが、そうした閣議決定の状況がどのような状況になっているかということを見ながら、閣議決定の内容に沿っているものかどうかということを審査しているわけでございます。

 御案内のとおり、総務省というのは政府全体の組織、定員を管理する立場にございまして、その中には、当然、今お話にございました審議会等、審議会という名前のものとそうでないものと若干ありますが、そうした審議会等のいわゆる新設、改廃すべて総務省の方で要求を受けることになってございますので、そうした際に、閣議決定に沿ったものとなっているかどうか、そういうことも含めて審査を行っている。そして、あとまた、他省庁の方でいろいろ内容について見ているところもあるんですが、それについては他省庁と連携しながら閣議決定の趣旨の徹底を図っている、こういう仕組みになっているところでございます。

逢坂委員 審議会の改革が平成十一年に行われて、資料の二が総務省の今の審議会なんですけれども、見ますと、審議会の下に分科会ですとか部会ですとか、部会の下にもそれに連なる下部会合というんでしょうか、そういうものがあるのが、私が提出した資料の二なんです。三枚目でございます。三枚目が総務省の審議会で、分科会、部会、そしてさらにその下にワーキンググループだとかさまざまあるわけでございますけれども、よその省庁では、審議会の数は減っているんだけれども、分科会とかワーキンググループとか、むちゃくちゃばっとふえているところもあるんですね。

 それはさまざまな理由があるんだと思うんです。でも、私、閣議決定の案件というのは、審議会の本体の会議以外に、分科会、部会、下部組織にも当然及ぶというふうに思うんですが、大臣、その点はいかがでしょうか。

増田国務大臣 これは、ざっと見たところ、幾つかある審議会をあわせたときに分科会という形で存置したような、どうもそういう部分があるのかもしれません。今ざっと拝見したばかりでありますけれども、要は下に行くに従って膨れているような、そういう形になっていますので、閣議決定の趣旨は、当然、審議会全体の構図を見ながら、いろいろとこうしたものを適正なものにしていかなければならない、こういう趣旨だろうというふうに思っております。今見たばかりで少し勉強不足かもしれませんけれども、閣議決定の趣旨というのは、やはりそういうものだろうというふうに思っております。

逢坂委員 例えば、十一年の閣議決定ですと、兼職は原則として最高三つだとか、一つの審議会の委員の任期は十年を超えてやってはいけないとか、余り年齢の高い方は原則として委員にしないとか、あるいは、府省庁の出身者の委員への任命は厳に抑制するとか、こんなことがあるわけですが、これは当然、先ほど大臣が言ったとおり、分科会、部会、ワーキング、あるいは、審議会本会は当然そうですけれども、全体にかかるというふうに理解してよろしいですね。

増田国務大臣 そういう理解でございます。

逢坂委員 そこで、総務省の審議会についてはそういうことで適切にやられているということなんですけれども、きょうは内閣官房から参考人にお越しいただいております。他の省庁の審議会で、例えば、府省出身者、OBを厳に抑制するというような閣議決定がありますけれども、これなんというのはちゃんとチェックされているんでしょうか。このあたり、お知らせください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年十一月一日現在の数字でございますけれども、議員御指摘の府省出身者でございますが、全府省の審議会等の委員が当時千七百七十三人ございましたけれども、そのうち百人、割合でいいますと五・六%ということで把握をしてございます。

 適切に行われているかどうかということでございますが、これについては、それぞれ各省、任命権者がございますので、そこにおかれまして御指摘の閣議決定に沿って適切に行われているものと考えてございます。

逢坂委員 政府参考人に再度お伺いしたいんですけれども、今の話を聞くと、ある程度各省庁にお任せしているようなニュアンスのところもあるように感じたんですけれども、やはり審議会全体として、審議会の本会、それから分科会、部会、そしてその下に連なるさまざまな会合、これに内閣官房として閣議の決定を徹底させるということでよろしいんでしょうか。

原政府参考人 閣議決定につきましては、国家行政組織法第八条によるところの審議会等の委員について規定をしておるわけでございますが、当然、この閣議決定の趣旨は守らなきゃいけないと考えておりますし、機会があるごとにそういった趣旨は徹底をしていきたいと思っております。

逢坂委員 政府参考人に再度確認したいんですけれども、国家行政組織法の規定に基づくという話がございました。要するに、審議会というのは一体のものだというふうに理解をするのですが、例えば、先ほど私が出した資料二の総務省の部分でございますが、これ全体に閣議決定がかかるという先ほどの大臣の話でしたが、それとは違うということですか。

原政府参考人 平成十一年の閣議決定につきましては、いわゆる審議会、国家行政組織法第八条等に基づく審議会等の委員について規定をしたものでございます。当然、その下の部会なりそういった分科会についてもそういう精神で臨まなきゃいけないとは思いますけれども、この閣議決定自体は、審議会の委員について規定をされたものと理解をしております。

逢坂委員 精神をやはりしっかりやらなきゃいけないということがあったんですが、じゃ、きょうはこの問題はこの程度にとどめたいと思いますが、先ほど増田大臣から話があったとおり、審議会の数は減っているけれども下部が膨らんでいるというような実態があるわけですね。したがいまして、やはり審議会全体に対して閣議決定の影響を及ぼさなければ、閣議決定した意味がないというふうにも思うわけですが、大臣、このあたり、いかがですか。

増田国務大臣 私も、やはり、閣議決定して審議会のあり方をきちんと正していこうということでありますので、その審議会、中にいろいろ、部会なり分科会とかいろいろあるんでしょうけれども、それの全体を通してその趣旨が徹底される、守られていく、こういうことであろうと思っております。

逢坂委員 きょうは分権の話をいっぱいしようと思って、久々に増田大臣とやれるなと思って来たんですが、時間が残り少なくなりましたので、地域で今悩んでいる問題を一つだけやらせていただいて終わりたいと思うんですが、それは公立病院、公的病院の関係です。

 先ほど来、岩手の話も出ていましたけれども、今、平成十七年度決算ベースで、公的病院の累積債務が一兆八千億円程度、単年度でも一千八百億ぐらい平成十七年度で赤字が出ているわけですね。それで、九百ほど病院がある中で六百ぐらいが赤字だと。先般、十八年度決算も出たようでございますけれども、累積赤字額はもう二兆円に迫ろうというような勢いになっているわけであります。

 この中で、大臣も、けさの所信の中で、公立病院について支援をしたいというようなことを言っているわけでございまして、まさに公的病院に対して何らかの手を打たなければ地域医療が崩壊するというふうに思うわけですね。特に、公的病院の存在理由、意義というのは、民間で採算が合わない、だからこそ公的セクターがやっているんだという側面も帯びている病院が相当多いわけであります。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、財政の健全化法制ができました。私は、財政を健全化させるということは極めて大事なことだというふうに思っています。ところが、財政は健全化したけれども、地域に人が住めない、地域にどうしても必要だった医療サービスが切り捨てなければならない状態になるということは、どうしても避けなければいけないことだというふうに思うんですね。「頑張る地方応援プログラム」だとか地域再生だとかいろいろやっても、人々の生活の安全、安心を守れないことであれば、どんなに地域再生を唱えてみたところで、それは底のあいたバケツに水を注ぐようなものだと思うわけであります。

 そこで、大臣、全国の自治体病院の状況を見たときに、ストレートに財政健全化法制の基準を当てはめてしまったら大混乱を来すのではないかという印象を私は持つんですが、二兆円の累積債務があるわけですから。その点、いかがでしょうか。

増田国務大臣 全国の自治体、今大変経営が厳しいのはお話しのとおりでございまして、私も自治体病院の開設者協議会の会長をこの間までずっと続けておりましたので、そのあたりについてはいろいろ知っているつもりでもございます。何とかしなければいけない。

 やはり、これはいろいろな問題を抱えているんですが、今こういった状況の中でやれることといいますのは、経営のプロがいろいろそういった自治体病院の経営を見て無駄を省くようなことは当然のことでございますけれども、そうした中で、例えば個々の病院で、非常に金利の高い借金をしている、高金利の病院事業債などを借りている場合に、補償金なしでこれを今回繰り上げ償還できるような、そしてもっと安いものに借りかえられるような、そうした措置をとったり、総務省として、やはりこういったことをもっともっと積極的にやらなければいけないということで、暮れまでに、これは年内に自治体病院の健全経営化に向けてのガイドラインをつくって、そこで自治体病院について健全経営に向かうようなことを考えていきたい。

 その中で、今自治体病院が、やはり、地域の人口減少などで、地域にある自治体病院同士あるいは民間病院との間でいろいろな診療科目同士の不突合のようなものが出てきているところは再編をする、再編しやすいような形にして、そういったことを含めたトータルのものをその中に盛り込みたいと考えているところでございます。

 そして、財政健全化法との関係でいいますと、こうした自治体病院の置かれている、これは今お話にございましたとおり、地域で、なくてはならない機能を果たしている、こういうこともございます。政策医療を担う病院でもございますので、そうした自治体病院の置かれている状況というものも踏まえつつ、こういった自治体病院のあり方を考えていきたい。

 健全化法自体については、今まだ中でいろいろ議論してございますので、そうした議論をこれからも進めていきたいというふうに思っていますが、自治体病院の経営問題については大変大きな問題意識を持っておりますので、これからも、総務省として、やはりこれが地域で生かされるように全力を尽くしていきたいと考えております。

逢坂委員 財政の健全化法制が自治体病院の崩壊のトリガーにならないようにやはり配慮をしなければいけない。公的セクターでなければ担えないような医療サービスも地域にはたくさんあるのだということをぜひ御認識いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、最後に二つだけお伺いをして終わりたいと思うんですけれども、増田大臣が、二〇〇四年の週刊東洋経済の中でこう話しているんですね。分権については、「郵政民営化やかつての国鉄改革などとは、比べものにならないほど重大な問題である。」と。これは要するに、分権改革が郵政民営化とか国鉄改革以上に日本の構造改革に大きく寄与するものだという趣旨の発言を、前後の文脈の中からされているわけです。

 私自身も、分権改革というのは、地方の制度を直すということは、すなわち国の制度を直すということになる、地方の制度と国の制度は表裏一体でありますから、分権改革こそが改革の本丸ではないかというふうに思っているわけですが、分権改革について、この東洋経済でしゃべっていたころのような意気込みというのは今もお持ちかどうかというのをお伺いしたい。まさに分権改革が改革の本丸である、そういう思いをお持ちになっておられるかどうかを一点お伺いしたい。

 それから、もう一つが、先般、これも大臣の載っておりました雑誌を読んでおりましたら、道州制に関してこんな発言をされていたんです。道州制に関して大臣は否定はされてはいなかったんですけれども、分権をもっと進めた上で議論するのがいいというふうにおっしゃっているわけですが、私もまさにそう思うわけであります。

 もちろん、道州制の議論は、することは悪いことではないと思うのですが、分権がしっかりと進んでいる上で道州制というものがなければ変なことになってしまうのではないかという懸念を私は持っているんですが、この点について、二点、大臣の現時点でのお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 まず、分権でありますけれども、これは国の統治のあり方にもかかわってくる問題でありますので、大変大きな問題、国家機構そのものに係る大変大きな問題。したがって、それだけ議論も国民の間でしっかりとしていかなければならない問題だというふうに思っております。

 地方対策ということが今喫緊の課題で出てきておりますけれども、私は、当面、来年度に向けての対策等いろいろございますけれども、究極の地方対策というのは、やはり分権を進めていくこと、分権国家をきちんとつくっていって、それぞれが、権限についても財源についても、そして責任についても分かち合いながら地域地域のことを考えていくような、そういう地域づくり、国づくりだと思っておりますので、そういう思いで分権改革の推進に当たっていきたいというふうに考えております。

 それから、今、あわせて道州制についてお話がございました。私は以前から道州制については進めるべしという立場に立っているわけでありますが、これは、分権とはまた違った意味で国の統治機構、特に国の行政のあり方、霞が関の形を大変変えていくことでございますので、大変抵抗感も強い。それから、道州制については、過去の経緯を見ましても、国の分散統治を強めるような、そういう形になりかねないような議論というものも実はあったものですから、やはり、順番とすれば、分権をきちんと進めた上でこの問題を考えていくことである。

 もちろん、国民の皆さん方に道州制ということを十分御理解いただく上でも、常日ごろから道州制の推進に向けてのいろいろな意識改革も図っていかなければなりませんし、私も道州制についてそういう思いで、いろいろ調査を見ますとまだ国民の理解が進んでいないところがありますので、道州制についても国民の皆さん方に十分御理解いただけるような、そういう活動をしていきたいと同時に、やはり、これを現実に進めていくときには、まず分権をしっかりと仕上げた上で、総理もおっしゃっていますけれども、分権の行き着く先の姿として道州制の実現を図っていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 以上で終わります。今後ともよろしくお願いいたします。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 総務委員会は二年ぶりということもありまして、きょうの質疑、午前中から聞いて改めて勉強させていただいたところであります。

 きょうは、地域間格差の問題、その中で地方交付税の問題について、中心に質問させていただきます。

 きょうの大臣の冒頭の発言でも、地方と都市の格差の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻す、そういうことを述べられておりました。就任の記者会見の際にも、都市と地方の格差問題について、現実にさまざまな面で格差が出てきていると格差を認めております。

 それでは、何が地域間格差拡大の要因なのか、その認識をお聞かせください。

増田国務大臣 地域間でさまざまある格差の問題でございますけれども、一つは、景気回復が日本全国の中で大分ばらつきがある。私がずっとおりました東北地方はまだまだ緩やかな回復傾向というような言い方をされているわけでございますが、地域によりましては、非常に企業の収益が向上している、自動車産業が好調なようなところとか、いろいろございます。有効求人倍率を見ても、一をずっと超えるような地域から、私のところは〇・八弱ぐらいだと思いますけれども、まだ〇・四、五といったような地域もございまして、そういった景気回復のばらつきが各自治体の財政力の差にもつながってきているということでございます。

 その背景には、地域におかれては、地理的な条件ですとか、それから、そもそもそこに根づいている産業、その産業を支えている地場の例えば物づくりの歴史、伝統といったような差もあるのではないか。それから、少子高齢化といったような国全体の取り巻く状況、グローバル化といったような国際化の状況、さまざまあると思うんですけれども、こうした地域地域のその差というもの、それからその発生原因、非常に複合しておりますし、複雑化しているわけですが、そうしたものをできるだけ丁寧に見て、そして取り除いていくことが必要ではないか、そういうふうに考えているところでございます。

塩川委員 確かに、この間の景気回復ということでいいますと、私も各地のいろいろな大企業の製造工場などを見て、輸出型の製造業の集積があるような地域で確かに伸びているということがあります。自動車もそうですし、家電、電機などもそうですし、建設機械などもそうだと思います。これはこれとしてどう対応していくのか、地方税のあり方の問題なんかも問われてくると思うんです。

 今大臣がお触れにならなかった点で、地方交付税の問題ですけれども、例えば、新聞報道ですが、太田房江大阪府知事は、地方交付税削減のため地方が疲弊し、参議院選挙での自民党の大敗を招いたということを指摘しております。地方交付税の削減が地方を疲弊させたという認識ですけれども、大臣の見解はいかがですか。

増田国務大臣 地方交付税は、地方団体の一般財源としては大変有力なものでございます。地方交付税、それから地方税、こうしたものが地域のさまざまな知恵とか工夫を具体的に結びつけていく上での財源になるわけでございますので、この地方交付税の伸び、プラスになるかマイナスになるかということは、地域のいろいろな活力ということに対してももちろん影響を与えている、こういうふうに理解をしているところでございます。

 そうした地方交付税というのは、自治体の財政の中でのいろいろやりくりをする上での話なのでございますけれども、地域の活力ですとか、それから地域の力というのは、やはりそういった地方交付税も含めた地域財政全体を支える経済的な基盤、経済的な基礎がきちんとしているかどうかということでございまして、これは、地方交付税はもちろん影響なしとはいたしませんけれども、やはり、地域の産業がどれだけの活力を持っていくか、そういったところの要素、そういったところの影響力というのも大変大きいものである。官、民それぞれの力ですとか努力が合わさった形で、地域の衰退ですとか、それから地域の伸長、伸びていく、そういったところが決まってくるのではないか、こういうふうに考えております。

塩川委員 もちろん産業振興策ということは大いに力を入れなければいけないと思っております。それを進める上でも、自治体間の財政力の格差の問題についてはやはり打開する必要があるだろう。そういう取り組みを行う上でも、それもできないような実態に地方の自治体が置かれているということが今問われているわけで、その点での自治体間の格差の問題というのが問われてくる。

 大臣も、地方交付税の伸び、プラスマイナスという言い方でしたけれども、活力に影響を与えていると。この間、伸びることは決してなくて、減り続けているわけですから、そういう点でも、地方交付税についても、今それをどうするのかということが問われてくるわけです。

 十月四日に地方六団体の要望書が提出をされました。その中でも「地域間格差が拡大している現状があり、この原因の一つとして、分権の趣旨とは無関係に地方交付税が大幅に削減されたことを指摘せざるを得ない。」と述べております。自治体間の財政力格差の大きな要因の一つとして、地方交付税の大幅な削減と言っているわけです。

 交付税の削減が地域間格差拡大の主要な要因ではないかと思うんですが、大臣の認識はいかがでしょうか。

増田国務大臣 交付税の問題でありますけれども、これは自治体のいろいろな財政力の格差にもちろん影響があります。特に、私どもの認識としては、人口が少ないところ、人口が少ない町村にとっては、この地方交付税の額というのから受ける影響が非常に大きいということ、ここが非常に問題ではないかというふうに思っております。

 例えば、私どもよく、自治体のいろいろな状況を見るときに、一番力の弱い、難しいところは人口四千人未満ということで町村を分けていろいろ見ていくわけでございますが、こういうところでは、交付税額がこの間減っていることが、やはり非常に大きく地方財政、その当該団体の財政に影響している、こういうことでございまして、こうしたことが、いわゆる財源、税源の偏在とか財政力の格差の問題につながっている。その点は特に私どもも十分認識をして今後当たっていかなければならないだろう、こういうふうに考えております。

塩川委員 小規模自治体にとって交付税の削減がその財政に大きく影響しているという話でございました。限界集落の問題なども、大臣も回っておられますように、その集落そのものが消えてなくなるような事態がある。地方において、そういった住民がそこに住み続けられるかどうかという問題が今持ち上がっている。そういうときに、この財政力、自治体の地域間格差というのは放置できないということだと思います。この格差拡大によって、憲法が保障する住民の健康で文化的な最低限の生活を保障する、その確保ができなくなるというところが今問われてくるんじゃないかと考えております。

 そこで、今大臣もお話しされました四千人未満の小規模自治体の点ですけれども、私も実態を調べてみました。小泉内閣発足の平成十三年度と直近の計算数字があります十七年度の比較で見て、人口四千人未満の小規模自治体で交付税の現状がどうなっているのか、この点について確認をさせてください。

久保政府参考人 平成十九年三月三十一日現在において、人口四千人未満の町村数、これは百七十三ございます。そのうち、合併によって地方交付税の額に影響を受ける一団体を除きました百七十二団体について見てみますと、平成十三年度から平成十七年度に地方交付税の額が減少した団体が百七十団体、増加をした団体が二団体となっております。

 また、これらの団体の地方交付税の合計額を比較いたしますと、平成十三年度は二千七百六億円、それに対しまして平成十七年度でございますが、これは二千二百二億円となっておりまして、五百四億円減少しております。

塩川委員 お話しのように、百七十二のうち百七十で大きく減っている。総額で見ましても、二千七百億が二千二百億ですから、大幅な減少です。もちろん地方税がふえているような自治体もあるでしょうけれども、交付税の減額が大きいので、これらの小規模な自治体では、税と交付税を合わせた住民一人当たりの一般財源は、特別な要因のあった二つの自治体、ダムが供用開始になったとか、それで固定資産税が入るとか、そういう特定の二つの自治体を除いてはいずれもマイナスとなっているわけです。

 全体の傾向を見ましても、一般財源の人口当たりの額は、都道府県では、財政力指数〇・五から一・〇の団体の平均がプラスとなり、財政力指数〇・五以下の団体はマイナスとなって、格差が拡大をする。市町村では、都市のグループ分けが若干変わって同じ比較にはなかなかならないんですけれども、町村で見ますと、五千人未満のところではマイナスとなっておりますが、二万人以上のところではプラスと、ここでも格差が出ております。東京を含めた全国平均の一般財源の人口一人当たりの額を見てもマイナスとなっているということで、この背景には交付税額の削減があることは明らかです。

 こういう交付税の削減の結果、自治体でどのような事態が生まれているのか。例えば、朝日新聞が地方交付税の全国市町村アンケートを行ったのが昨年の七月に報道されていますが、そこでは、「住民サービスの見直しに踏み切った自治体は七割近い。人口二十万人以上では四八%と半数を下回ったが、十万〜二十万人未満では五八%、五万〜十万未満では六一%、一万〜五万人未満では六九%。一万人未満となると七六%に達する。人口が少なく、自主財源が乏しい自治体ほど影響が大きいことをうかがわせる。」と指摘をしております。規模が小さい自治体ほど地方交付税削減による住民サービスの低下が深刻になっているということだと思います。

 大臣に伺いますが、自主財源が乏しい自治体ほど交付税削減による影響が大きいというこの指摘について、大臣の御見解はいかがですか。

増田国務大臣 やはりそうしたことだろうと私も思っております。そうした自主財源が非常に厳しいところ、産業的にも何か税収が上がるようなものがそういった地域はない地域でございまして、従来、こうやっていろいろ見てみますと、公共事業などを中心に頼っていたところが多いわけでございます。今、公共事業を大きく削減するという中で、ほかに目ぼしい産業がない、やはり交付税などに財政運営を大きく依存していたところでございますので、そうしたところがやはり今の状況の中では大変厳しい財政運営を迫られているもの、このように認識をしているところでございます。

塩川委員 日本都市センターのアンケート調査も同様な傾向が出ておりまして、住民サービス、住民にとってどういう影響が出てくるのか。この間の歳出規模の縮減というのが、単に自治体内部の組織の再編にとどまるのではなくて、住民との関係でサービスの低下になる、あるいは負担の増加になるというところが今大きく問題となってきているんだと思います。日本都市センターのアンケート調査でも、七四・七%の市などで住民サービスの縮小、廃止、六五・一%の市などで手数料、利用料、負担金等の値上げということになっているわけです。

 現状が財政需要を満たす額を確保できていない。これは、小規模自治体であれば段階補正の見直しなどが大きな影響をもたらしてきたわけで、大臣もおっしゃったように、小規模自治体には税源もないような状況ですから、地方税はふえずに、その上交付税も減ったら立ち行かなくなるという状況です。

 そこで伺いますが、これから予算編成の時期になります。交付税の総額がどうなるかということが、自治体、地方団体の大きな関心のところであります。先ほども紹介しました地方六団体の要望書の中にも、「平成二十年度予算の編成にあたっては、社会保障関係の経費が増大を続ける中、地方財政計画に地方の財政需要を適切に反映した上で地方交付税総額を増額する」こととあります。交付税の削減というのが格差拡大の要因というふうにお認めになるんだったら、自治体の社会保障関係費の増額を含めた財政需要を踏まえて、交付税の増額を格差是正のためにも行うべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

増田国務大臣 先般、六団体の代表の皆さん方がおいでになりまして、そこで意見を交換する機会がございましたけれども、今お話ございましたとおり、特に小規模の団体を抱えております町村会などはやはりそういったことを強く訴えておられた、こういうふうに受けとめているところでございます。

 もちろん、国全体の、国、地方合わせたトータルとしてのいろいろな無駄遣いをやめる歳出抑制努力というのは継続していく必要がある。そして、各自治体に対しても、さまざまな行革努力ということをあわせて私も六団体の会長の方には伝えているわけでございますが、そうしたことと同時に、今先生からお話ございました地方交付税の総額でありますけれども、やはり、財源を保障する機能とか、いろいろな自治体間の財源を調整する大事な機能を持っておりますので、こうした地方交付税の総額をきちんと確保する。このことが大変重要でございますし、私どもも、暮れに向けて、こうした交付税を含めた一般財源総額の確保に努めていきたい、このように考えております。

塩川委員 無駄遣いを正すのは当然です。ただ、行革の名のもとに必要以上なリストラが自治体に強要されて、住民サービスの低下にもつながるような事態になっている。そこで悲鳴が上がっているというのが小規模自治体の実態ということじゃないんでしょうか。ですから、本当に最低限の生活を保障するようなところが機能できないような自治体の財政状況になっているということが、先ほど大臣も紹介された小規模な、町村会などからも強く要望されているというところにあらわれているんだと思うんです。

 今お話のように、交付税総額の確保という言い方をされましたけれども、地方交付税を増額するという選択肢はお持ちにならないのか。改めてお聞かせください。

増田国務大臣 これからの、暮れに向けて、いろいろ来年度の全体の地方財政対策というような中で議論していきたいと思っておりますが、今国が置かれている全体の状況ということを踏まえながらそうした地域の事情というのも十分に考えていくというのが我々の立場でございまして、ふやす、減らすというよりも、やはり地方で本当に必要な地方一般財源の総額をきちんと目配りをして確保していく、このことが今我々に求められているものであろう、こういうふうに考えているところでございます。

塩川委員 実際には、一般財源の総額の確保ということで交付税も減らされてきたわけですから、マクロで一般財源の確保という説明はできるかもしれませんけれども、先ほども言ったような税源のないあるいは乏しい自治体が交付税が減らされるというところについて、自治体間の格差を生み出しているわけですから、骨太の方針で交付税の財源保障機能の縮小ということを言ってきた、それを現実には実行しているような状況にある。格差是正を言うのであれば、こういう骨太方針の大もとそのものを変えることなしにはできないわけで、地方の事情をまず踏まえた上でどうするのかということなしには地方の疲弊をとめることはできないということを改めて申し上げておくものです。

 その上で、関連して、「頑張る地方応援プログラム」について質問させていただきます。

 この「頑張る地方応援プログラム」に基づく交付税の配分二千二百二十億円のうち、行革の実績を示す指標に関する部分が一千九十億円と半分を占めております。

 いわば、「頑張る地方応援プログラム」という名前がありながらも、その実態というのは、自治体リストラ推進が中心の内容ということになるんじゃありませんか。大臣のお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 この頑張る応援プログラムでございますけれども、全体で、今年度の算定額、基本的な部分については二千二百二十億ほどございます。

 これについて、幾つかの成果指標を用いてこれを分配していく、こういうことになるわけですが、このうち、今お話にございましたとおり、行革についての実績を示す指標で掲げておりますのが、市町村分が一千九十、それから都道府県分百八十、合わせて一千二百七十億、こういうふうになっているところでございます。

 この一千二百七十億を行革の実績を示す指標により算定しているという理由でありますけれども、従来から交付税の中で行革について算定をしておりました。十八年度においても一千百五十億円程度の算定額になっていたんですが、これをいわゆる行革インセンティブ算定ということで頑張る自治体の中に入れて、そのプログラムの一環として実施をすることにした。

 それから、この「頑張る地方応援プログラム」による交付税措置ですけれども、これは、少し細かいですが、単位費用で措置した行政改革それから地域産業振興等の取り組みに要する経費をそれに関連する成果指標により割り増し算定する、こういうことでございまして、行革指標については、単位費用で措置している割り増し対象経費が多額である、こんなこともあって、算定額が全体の半分を占めるようになったということでございます。

 この頑張り度というんでしょうか、いろいろ努力をしていくということの考え方をどうするかという問題でございますが、私ども従来から、こうした行革努力というのが一方で的確なさまざまな行財政改革の中で進められるべき、こういうふうに考えているところがございましたので、今回、こうした行革についての指標というものをこの「頑張る地方応援プログラム」の中に組み込んで、そして制度をつくっているものでございます。

塩川委員 十七年度、十八年度、十九年度と、この行革インセンティブ算定というのはずっとふえてきている。

 大臣もお話しになったように、地方行革の推進というのが総務省がかねがね地方を指導してきたテーマに今なってきているということで、この近年を振り返れば、二〇〇四年の今後の行政改革の方針を受けて、二〇〇五年三月に新たな行革指針を示して、〇五年を起点としたおよそ五年間の集中改革プランを作成するよう地方団体を指導し、〇五年中に公表しなさいと言ってまいりました。さらに、行政改革推進法や公共サービス改革法の成立、骨太方針の二〇〇六を受けて、二〇〇六年八月には「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」を出して、総人件費の抑制や地方公共サービスの見直しを指導しています。

 これは、言ってみれば国、総務省が掲げている一つの政策であって、その国の政策や方針に従った度合いが大きいから交付税を厚くするなどということは、交付税を政策誘導に使うということで、この間批判をされてきたものであります。地方の共有財源を国の政策誘導に使うなということであります。

 先ほどの六団体の要望書で、「「頑張る地方応援プログラム」の財源については、地方交付税本来の財源保障・調整機能を損なわないよう別途確保する」と言っておりますけれども、この点についての大臣の御見解を改めてお聞かせください。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

増田国務大臣 先般も、六団体の皆様方がおいでになりまして、「頑張る地方応援プログラム」について、この財源をぜひ別途確保してほしい、こういうことを強く要望していかれた。この財源のあり方については、私もかねがね、やはりそうしたことができれば大変望ましいというふうに思っておりましたし、さまざまな御意見がこのことについてはあるということも聞いていたところでございます。

 今、こうした総額を確保する、しっかりと交付税の機能を守るということに全力を挙げていきたいというふうに思っているわけでございますが、一方で、政府全体の歳出抑制方針、これは、地方自治体の中でも、やはり財政状況が厳しい中でいろいろこのことについては取り組まなければいけないということもございますので、この「頑張る地方応援プログラム」についての財源をどういうふうにするか、六団体のこうした要望も十分踏まえつつ、今後知恵や工夫を出していきたい。

 そうした要望を先般いただいて、暮れまでの間に、来年度財政措置について、関係、さまざまなところとこれからいろいろ議論をしていかなければならないというふうに思いますし、来年度の税収見積もり等もこれからいろいろ精緻に積み上げていかなければならない、こういうふうに思っているわけでありますが、その中で、特にこのプログラムについてのこうした六団体の御意見というものについては、私どもも、どういう知恵や工夫を出していくことができるか、いろいろ六団体の皆さん方とも相談をしていきたい、そしてその上で検討していきたいと考えております。

塩川委員 その上で、行革インセンティブ算定のお話ですけれども、地方の共有財源である交付税を政策誘導に使うということは本来抑制的でなければならないわけで、この間の行革インセンティブ算定などが自治体の歳出削減のアクセルともなって、結果としてそれが交付税総額を抑制するという方向にもつながっているんじゃないのか。

 ですから、交付税総額の抑制のための道具としてこれまで「頑張る地方応援プログラム」を活用し、行革インセンティブ算定を活用するということにもなり、その点でも、この行革インセンティブ算定そのものが格差の是正どころか格差をさらに拡大するものになっているんじゃないのか、それをやはり正すことが必要なんじゃないのか。その点について改めてお聞きしたいと思います。

増田国務大臣 この行革については、私は、国民の中にも自治体がきちんとした行政改革に取り組むということについては共有の合意があるというふうに考えています。

 ふだんからこうしたことについて、行政体としては、これは国、地方を問わずやはりやっていかなければならないこと。その上で、それぞれの努力に応じて、各自治体がそうした取り組みに応じて、汗をかいた分だけやはり評価されるというのはあってしかるべきである。

 もちろん、交付税ということでありますので、全体として見れば、必要な財源保障をし、そしてまた自治体間の財源、財政のアンバランスを調整する、この機能はきちんと維持をしなければいけないわけでありますけれども、その中で、やはり行革ということについてきちんと見ていくということもまた必要なことであるというふうに私は思っております。

 しかし、そういう中で、この間、やはり交付税総額がいろいろと厳しい状況に遭ってきているということがございますし、特に大変小さい、小規模自治体ですね、そういうところは、やはり交付税ということに大変依存しているところ、交付税に非常に大きく財政状況が左右されるというこの現実を十分に踏まえて、やはり交付税総額についての確保は全力を挙げていきたいというふうに思っているわけであります。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 増田大臣におかれましては、間近で見るのは私初めてであります。何せ私は九州の大分から出ています。岩手県というと随分遠いなという感じでありますけれども、この間、私も地方議会に長い間籍を置いておりました。その議論の中で、当時、改革派知事という言葉が非常に使われまして、そのときに増田知事の名前がよく出ておりました。一度議論してみたいなというふうな思いを持っておりましたし、そういう意味では、この機会にいろいろな角度から議論をしていきたい、このように思っております。

 そこで、知事三期十二年間、今言ったように改革派の旗手と言われました。そういう知事が十二年間の知事の職を通して岩手県に何をもたらしたのかという点について検証してみる必要もあるんではないかな。そこから今後総務大臣に対するいろいろな議論をしていきたい、このように私は思っています。

 まず、県庁株式会社論というのがありましたね。政策に効率を持ち込む。サービス会社が県庁であって、顧客が県民、こういう図式で語られていたようであります。そのことが、立場の違いはありますが、いろいろな角度からいろいろな論評を受けていたようであります。

 そこで私が聞きたいのは、この県庁株式会社論と言われる知事の手法が、では具体的にどういうふうな成果を上げたのか、まずそれを聞いておきたいと思います。

増田国務大臣 県庁株式会社という発想でぜひ行政に取り組んでほしいというのは、私が知事に就任して間もない時期に県の職員の皆さん方に申し上げたものでございます。

 最近は、郵政民営化ですとか、いろいろな意味で民営化民営化ということが言われているわけでございますが、私がちょうど就任しました平成七年あるいは八年、一期目は十一年までの間でございますけれども、私も国の役人を当時しておりましたのですけれども、県に行きましても、縦割りの壁ですとか、それから発想の柔軟性といったようなことについての県民の皆さん方のおしかりもいただきましたし、やはり画一行政といったこともいろいろおしかりをいただいたということもございました。

 もっと物事に対して柔軟な発想によって対応していくんだ、それから、上を向いて、あるいは中央省庁を向いて仕事をしていくんではなくて、やはり最大のいわゆる顧客というのは県民の皆様方、納税者の皆様方でございますので、そういう思いで行政を執行していく、こういうことを職員の皆さん方に心構えとして申し上げたものでございます。

 そういったことがございまして、具体的にどういうものかというふうに言われますと、これは、職員の皆さん方、ともに一緒に仕事をしていく仲間の職員の皆さん方に対して、主にそうした皆さん方に対して意識改革ということで申し上げたわけでございますが、そうした民の柔軟な発想であったり、あるいは顧客の皆さん方に対して仕事をしていくんだということは、その後、県の職員の皆さん方にも、そういった私の発想、考え方ということを繰り返し申し上げましたので、職員の皆さん方の意識改革ですとか、あるいは意識向上というものに根づいていったもの、このように考えているところでございます。

重野委員 次に、さっきもちょっと触れられた方がおりましたけれども、「がんばらない宣言」。これはそのとおりに読めば頑張らないということなのかなというので、私がこのことを質問すると、岩手県の同僚議員に聞いてみたんですね。おい、これは現場ではどういうふうに受け取られているのかと言ったら、彼から解説が来た。スローライフであるとか、そういうふうなことの象徴的な言葉なんだ、そういう施策をやっていこう、経済一辺倒を反省して、より自然に、素顔のまま生きていけるような取り組みをする、こういうふうな彼の解説でありました。

 では、それはどういう政策をやることを通して、その頑張らないという、スローライフだとか自然に帰るだとか、そんなものを具現化していったのか、十二年間の中に。具体的な例を一、二挙げてくれませんか。

増田国務大臣 今お話ございましたとおり、これは、スローライフとか、それから自然をもっといろいろな目から見ていこうとか、とにかく頑張る頑張るといった、その行き着く先がみんな東京のような、東京を見て同じ価値観で地域をつくっていくことに対しての問題提起をしよう、そういうことでございましたので、それを「がんばらない」という言葉にして、新しい価値観を提唱していきたいということでございました。

 そして、それをやはり形に出していかなければいけない、こういうことでございましたので、職員の皆さん方といろいろ日夜知恵を絞りまして、例えば、岩手県は大変な森林県で八〇%ぐらい森林資源に覆われていますので、そういったものを木質バイオマスエネルギーとして活用できないか、いろいろ製材所で端材が出てきますが、チップをさらに細かく砕いて固めたペレットにして、そういったものを家庭の暖房器具、ペレットストーブというものにできないかということで、そういったものを新たに開発して、今どのくらいでしょうか、千何百台、多分家庭に普及していると思いますけれども、そうしたことを一つの形にしていこうじゃないかということをした。

 それから、新しい価値観ということで、公共事業もいろいろな言われ方をするわけでありますが、物をつくるという公共事業というよりも、それを自然に帰すという形で、一度コンクリートなどで固めた護岸をまた自然に戻すような、そういう公共事業というのを岩手県でも幾つかしようと、戻す公共事業と言っておりましたけれども、そうしたことを別の価値観で実践していこうとか、あるいは地産地消などということも、これは全国各地域で行われておりますが、地域にある財を、地域でそのよさを十分評価して消費をしていこう、こういうことでございました。

 まだ幾つかございますけれども、そうした具体的な運動体に仕上げていくということで努力をしてきたところでございます。

重野委員 次に、財政問題について聞きたいんですが、大臣、言うならば小泉内閣の時代に知事をされていたわけですね。いわゆる小泉さんの言う構造改革ですね。現場において小泉構造改革丸のみの県政をやった、こういうふうな評価をする方もおります。

 ちなみに、平成十四年の予算以降、厳しく財政の圧縮をしてきたということです。平成十三年度九千二十八億が平成十八年度七千三百億とか、あるいは公共事業、平成十四年二千三百億が平成十八年千三百億。その他も大幅に縮減をしたということは、市町村に対する財政対応も大幅に圧縮した、福祉予算の縮減とか。そういう負の部分が非常に顕在化した、そういう批判を私は耳にいたしました。

 そこで、この間の小泉構造改革に始まって以降の国の地方財政対策、地方債対策ですね、これについてどのような評価をされておるのか、お聞きしたい。

増田国務大臣 小泉改革、これについては、官から民へ、それから国から地方へ、こういう改革の理念のもとに進められる。特に、当時現場におりました私にとりましては、今の後者の理念、すなわち、国から地方へ、これについては大変斬新に聞こえてまいりましたし、それまでも、大変強い中央の集権体制のもとでいろいろな基準等がございましたので、その中で、非常に自由度が制限されている、こういった思いもございました。もちろん理由があるものもございましたけれども、しかし、全体的にはやはり強い中央集権体制のもとで行政を展開しておりましたので、非常に新鮮に聞こえましたし、それに対してエールを送ったということでございます。

 結果として、御承知のとおり、三位一体改革が進められましたし、また、非常に厳しい歳出削減という中で、先ほど来から議論がございましたけれども、地方交付税、これが非常に厳しい状況になってきたということもございました。

 今、議員の方から御指摘がございましたけれども、県民の皆様方の議論の中で、社会資本整備等でどうしてもやはりこれはやらなければいけないというものが多くございました。単なる景気対策での公共事業の量というものは、これはもう財政的に破綻を来すということで非常に削りましたけれども、どうしても必要な社会資本等については、やはりこれは県債で、今お話がございましたように、地方債で手当てをしなければいけない、こういう仕組みでございますので、結果として多くの地方債を発行いたしましたし、まだその残債が数多く残っている、こういうことでございまして、県議会などでもいろいろ御批判をいただきながらも、何とかお認めをいただいて、実施をしてきたわけでございます。

 このことは、私も現場で大変苦しんでまいりましたが、全国の数多くの自治体が同じような局面、そして同じような取り組みをしつつ、やはり今の財政状況が似たような状況に陥っている。こういうこともございますので、私は、そうしたこれまでの各地域地域の取り組みですとか、それから国の対応というのもよく踏まえた上で今後の地方財政対策というのも考えていかなければならない、こんなふうに思っているところであります。

重野委員 今大臣も触れましたけれども、小泉構造改革の時代に知事として、地方自治体の活力をどうアップしていくかというふうなことでいろいろな政策を打つわけですね、新幹線を八戸まで延伸するだとか教育県構想に基づく県立大学をつくるとか、それから、農業研究センターの設立だとか、加えて、景気対策に基づくいわゆる公共事業を打つわけですね。

 当時、これはどこでも言われたことですけれども、経済対策のために地方債を発行しても、それは後年度に地方交付税の中で見るよ、そういううたい文句、それを地方の側からは一〇〇%信頼して社会資本の整備を進める。そういう手法で、好機、こういうふうにとらえて取り組んだというのは、単に岩手県だけじゃなくて他の自治体においてもそういうふうな手法がとられた。それが文字どおりそういうふうに国が地方財政に対し手を打ったかという点が問題でありまして、結果的に地方自治体は大変な負債を抱え込むという結果になったわけですね。

 その点について、大臣はどういうふうな見識というのか認識というのかを持っておられるか、その点をちょっと聞いておきたいと思います。

増田国務大臣 この問題については、本当に現場では大変つらい思いをしました、正直なところ。これは多くの団体のトップがやはりそうだっただろうと思います。

 一つは特に、三位一体改革で、三つのうちの税源移譲は評価をしつつも、やはり地方交付税の削減、このことが額も大きかったんですが、初年度が特に対前年に比べて非常に落差が大きいというか、平成十六年、たしか二・九兆だったと思いますけれども、そういうことできた。これは今もなお、私も総務省の中でも問題提起をしておりますけれども、交付税の予見可能性というのがなかなかつかなくて、翌年度の予算編成をする直前に当該団体の交付税の額がわかってくる、こういうものでございますので、非常に財政運営をきつくする。

 ですから、歳出削減のことについては、何とか事情については理解しつつも、やはり公共団体にとって、そうした後の予算編成、あるいはそれは即、住民に対してのいろいろな説明等がございますし、対市町村との関係もございますので、予見可能性のあるものにしなければいけませんし、やはり急激に財政構造に変化をもたらすようなものであってはいけないというふうに思っております。

 ですから、その当時、大分総務省の方にも苦言を申し上げたところでございますが、いまだに、やはりこの点については十分に国に考えていただきたかったというふうに思っておりますし、私こういう立場になりましたので、こうした経験を経ているということをきちんとわきまえた上で今後考えていかなければならない、こういうふうに思っております。

重野委員 今の問題意識は非常に重要だと思います。地方の側から見れば、大変、そこら辺については期待というか、何とかしてくれないとという思いが強いと思うので、それはしっかり受けとめていただきたいなと思います。

 そこで、県庁の業務にトヨタ方式という手法を用いた知事がおったがということを、それはうそか本当か知りませんよ、その書物ではそう書いておった、岩手県におけるトヨタ方式と。コンサル業者の提案を受け入れて、このトヨタ方式というものを受け入れて業務の効率化を推進しようとした、こういうことなんですね。

 私は、行政組織のやる仕事と、自動車工場でベルトコンベヤーの流れ方式で工具をとるのに一秒でとるか〇・五秒でとるかというふうな話と、どうそこら辺の整合性があるのかなというような感じがしたんですが、これは事実そうだったのかどうか。ではそのことが一体どういうふうな変化を県庁という行政組織の中に及ぼしたのか、そこら辺の検証がされているのかどうか、これについて聞いておきたいと思います。

増田国務大臣 岩手県に、これは北海道・東北で唯一の自動車組み立て工場なんですが、これがございまして、今、生産台数が、九州北部ほどではないんですけれども、やっと四十万台弱ぐらいまで上がってきまして、本当に足元に大変な成功をしている工場がある。そこはまさに今お話がございましたとおりトヨタ社でございます。

 私も工場の方に何度も行きましたのですが、実にいろいろな努力がその中で行われているということがございました。それは、最近よくはやりでいろいろなところでトヨタ方式、トヨタ方式ということを言われているわけですけれども、今先生がお話になったとおり、ただ単に物をつくるという工程と、行政を執行していく、公的なものをしていくということの仕事の質はもちろん違います。

 しかし一方で、なぜということを百遍繰り返したり、管理部門についていろいろな効率化ということで共通するところもございますし、物事をいろいろ見て、職員の皆さん方の意識の上でも、常に物事をできないできないということよりもまずどうやってできるようにしていくのかということで、繰り返し繰り返し反すうしながら物事をなし遂げていくというところではいろいろ学ぶべきところもあるのではないか。こういう思いもございまして、そうしたトヨタのいろいろなやり方ということを行政部門で取り入れられるところはどういうところなのか、そして、それを、ただ単に何か表面的なやり方を入れるということよりは、物事の発想ということで、いろいろ議論しながら、そのことで何か発想の原点として気がつくところがあるのではないかということで、かなり繰り返し繰り返し、向こうからも来ていただいたり、それから職員の皆さん方にも参加していただいたりして、いわゆる行政を改革していくという取り組みを行っていったところでございます。

 全庁的な業務の見直しということで、例えば超過勤務をできるだけ縮減して、そしてただただ上司のつき合いで残っている人たちの時間を少なくしたり、総人件費を抑制したりといったようなこと、それから、住民の皆さん方と公共事業の実施に当たってもいろいろ熟度の高い話し合いをしていって住民理解を得ていくとか、そういったことにそのことの成果が生かされてきたのではないかなというふうに思っているところでございます。

 これは、常に県民の皆さん方に御評価をいただくものでございますので、私自身、もちろんそういうことを職員といろいろ議論しながら進めてきたところでございますが、行政の中での仕事と民間の仕事というのはやはり基本的に違う部分もございますので、その点について十分にわきまえながら取り組む必要があるというふうに考えているところでございます。

重野委員 知事は、一方ではこう言っておるんですね。仕事を減らさずに人数を減らしても、それは職員一人当たりの負担が増すだけだ、こういうふうに言っておるということです。そこら辺はどうなのかな。職員の側から見れば、労働過重は高進した、こういうふうに言っている。そこら辺の折り合いというのが、しかも、知事がかわりましたけれども、今なお岩手県ではトヨタ方式というものがやられているのかどうなのか、そこら辺はどうなんですか。

増田国務大臣 やはり仕事の全体の見直し、これは必ず進めていかなければならない。今、官民だけでなくて、間に中間的なさまざまな公的な分野の担い手というものも出てきていますので、そういう中で、やはり官がどうしてもやらなければいけない分野なのかどうかというのは常に見直しをしていく、そして仕事を全体的には適切に減らしていくということも必要ではないか、こういうふうに常々思っておりました。

 それから、その後そうした方式がどういうふうになっているのか。ちょっと私もその後の県政については承知をしておりません。その後については全く承知をしておりませんけれども、恐らく、今申し上げましたような、大きな、行政をいろいろ見直していくということは、それぞれの時期時期、それからそれぞれの状況の中でいろいろ進められているのではないか、それぞれの判断の中で進められているのではないかなというふうに思っております。

重野委員 あと時間が残り少なくなりましたので、通告しておりましたものをちょっと省きますので、御了承ください。

 そこで、平成の大合併、今ちょっと一段落というふうな感じですけれども、しかし、方針としては、市町村合併、その先に道州制の問題というようなことが語られているわけですね。

 大臣はこういうふうに言っておるんですね。合併に関して、勧告するかどうかは地域事情によると思う、自主合併をベースに自分なりに判断をしたい、こういうふうに述べたことがあるということです。私は、それはいいと思うんですね。とにかくこの間市町村合併が強力に進められて、私の大分県なんというのは四十七あったのが今はもう十二ぐらいになっていますから。大分は合併の先進県になっておるのだそうです。

 そこで、私がやはり現場で感じることは、中心部はそれなりにいいんですが、合併した昔の町村、村とか、中心部から遠く離れたところの集落あるいは地域というのは本当に困っている。そういうところに行ったら、こんな合併なんかけしからぬ、こういう怨嗟の声があふれているんですよ。

 これについては、どういうスタンスでいくかという意味で、この時代に向き合ったときに発した大臣の言葉というのは非常にいい、私はそう受けとめているんですね。だから、ここのところは、ひとつそういう状況というのをしっかり踏まえた対応というものをぜひお願いしたいと思うんですが、この合併問題に対してどのように考えているか。

増田国務大臣 合併については、私は、自主的な合併を推進する、こういう言い方をしておりました。もちろん、これは上から押しつけてもやはりうまくいかないということがございます。今はそういう手段もありませんけれども、やはり自主的に考えていただくことが一番必要。

 ただ、市町村は基礎的自治体でありまして、これから地方自治の中で一番主要なプレーヤーでありますから、財政状況も正確にやはり住民の皆さん方にお伝えする。いろいろな住民の皆さん方の心配もあるでしょうし、それから、交通ネットワークが非常に整備されてきた中で移動距離も随分広範囲になってきましたし、それから商圏も拡大していくという中で行政の単位というものを考えていくことも必要ではないかということで、随分地域に情報等は御提示をして、そして、よく考えてください、合併ということもぜひ議論の俎上に取り上げていただいて、そしてお考えください、こういうことも申し上げてきました。結果として、岩手県は、私が就任したときは六十弱でございましたが、今は三十五でございます。

 今、合併新法、前回の合併法が変わりまして、新法になりました。あと二年ちょっとですか、この新法の期間がございますけれども、見ておりますと、合併につきましては、いろいろな事情でどうしても、隣同士でいろいろな行き違い等もございまして、合併への思いを抱きながらもいまだ合併に至っていないようなところとか、いろいろ少しでこぼこがあるような気がします。そうしたところについて、再度いろいろ議論していただいて合併に取り組んでいただくということが必要だろうというふうに思っておりますが、やはり基本は自主的な合併、ここは今の新法も前の法律も変わりませんので、やはりそれぞれの市町村が十分に判断をしていただいてこれを進めていっていただきたい、このように考えております。

重野委員 もう時間も来たようですが、最後に、これはちょっと質の違う質問、あるいはこれは要望になるのかもしれませんが、舛添厚労大臣の市町村に対する発言というのは私は許せない。もう数限りなく、それは市町村の首長さんあたりは、言うや言わずや、物すごく怒っていますよね。これは、地方自治体、市町村に対する国の窓口、あるいは関係で一番強いのは総務省ですよね。総務大臣として、そこのところはやはりきちっと、地方自治という立場に立って、同じ閣内ですから対応してもらいたい。市町村蔑視とは、そこまでは彼は思っていないと思うんですが、とにかく市町村長さんには耐えられない発言を、しかもテレビでがんがんやるわけですね。

 今いわゆる年金問題は山場を迎えているわけですけれども、実際、では、その点検と、もらう資格があってもらえない人をすくい上げていくという作業が、そういう現実的な具体的な作業がどれぐらい進んでおるかといったら、これはほとんど進んでいない。ところが、それを隠すがごとく、市町村が悪いんだ、市町村が悪いんだと。こういう手法というのは、私はやはり許せないと思うんですよ。

 だから、市町村の国の窓口である総務大臣は、そこのところはぴしっとけじめをつけて、閣内ですから、やってもらいたい。その点についてひとつ。

増田国務大臣 この問題の発端になりました年金問題は大変重要な問題でありますし、特に市町村の職員がいわゆるお金を横領、着服していたということは重く受けとめて、こうしたことについて、それを公表したときに多くの皆さん方、国民の皆さん方からお怒りのお電話等もこちらの方にも来たわけでございますけれども、そうしたことについての思いはきちんと受けとめなければならないと思っています。

 舛添大臣の発言は、さすがに、不祥事を起こした市町村に向けられたものであったんだろうと思いますけれども、やはり行き過ぎのところがありました。御本人も、そのことについて、これは撤回しなければいけないというふうに思って撤回をされましたけれども、私も、こうした問題、一般の市町村、多くのところはきちんとやってくれていますし、市町村は、今回のことについても本当に日夜、夜を徹していろいろな調査に協力したり、それから、今後もこの問題について正していこうということで取り組んでいるわけでございますので、当然、そうした地方自治をないがしろにするようなことがあってはならないと思いますし、今後も、そういうことがあればもちろんきちんと申し上げていきたいと思っております。

重野委員 以上で終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 引き続き、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 去る八月八日の一般職の職員の給与等についての報告及び給与等の改定についての勧告並びに公務員人事管理についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁谷公士君。

谷政府特別補佐人 人事院は、八月八日、国会と内閣に対しまして、公務員の給与等に関する報告及び勧告を行い、あわせて公務員の人事管理についての報告を行いました。

 このたび、その内容について御説明申し上げる機会を与えていただき、厚く御礼申し上げます。

 本年の勧告の御説明に入ります前に、公務員給与の改革についての最近の取り組みについて簡単に御説明申し上げます。

 平成十七年の勧告時の報告におきましては、公務員給与に地場賃金を反映させるための地域間配分の適正化、年功的な給与上昇の抑制と職務給の徹底及び成績主義の推進を図るため、給与制度の抜本的な改革を行うことを表明いたしました。この給与構造改革は、平成十八年度から平成二十二年度までの間において、俸給表水準を四・八%引き下げつつ、逐次手当の新設などを行うものであり、所要の法律改正を経て、現在着実に実施に移されております。

 また、平成十八年の勧告におきましては、民間企業の給与水準をより適正に公務の給与水準に反映させるため、比較対象とする民間企業の規模をそれまでの百人以上から五十人以上に改めるなどの抜本的な見直しを行いました。

 本年の勧告におきましては、民間給与との比較に基づく給与水準の改定に加えまして、ただいま申し上げました給与構造改革の一環として、専門スタッフ職俸給表を新設することといたしました。

 給与水準の改定につきましては、月例給について、公務員と民間の四月時点の給与を正確に調査し比較いたしました結果、民間との給与較差が、千三百五十二円、率で〇・三五%あることが判明いたしました。

 適正な公務員給与を確保することは、能率的な行政運営を維持する上での基盤となるものであり、国家公務員の給与水準については、民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本としております。したがいまして、月例給について、この民間給与との較差を埋めることが適当であると判断いたしました。

 改定の内容といたしましては、基本的な給与である俸給について、民間との間に相当の差が生じております初任給を中心に若年層に限定して改定を行い、中高齢層については改定を行わないことといたしました。また、扶養手当について、民間の支給状況を考慮するとともに、少子化対策の推進にも配慮し、子等に係る支給月額を引き上げることといたしました。

 さらに、給与構造改革におきましては、地域間給与配分の見直しは着実に実施すべき重要な課題でありますことから、その改定を円滑に進めるため、地域手当の本年度の支給割合について、地域手当の級地の支給割合と旧調整手当の支給割合との差が一定以上の地域において、今後の改定分の一部を繰り上げて引き上げを行うことといたしました。

 次に、特別給についてでありますが、昨年冬と本年夏の賞与について民間企業の支給月数との比較を行いました結果、民間が公務を上回っておりましたので、民間の支給割合との均衡を図るため、支給月数を〇・〇五月分引き上げることといたしました。

 以上のように、本年は月例給及び特別給について所要の改定を行うことといたしましたが、これにより九年ぶりに国家公務員の年間給与が増加することとなります。

 また、行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、公務において職員が培ってきた高度の専門的な知識や経験を活用するとともに、早期退職慣行を是正し、在職期間の長期化に対応する観点から、複線型人事管理の導入に向けての環境整備を図るため、平成二十年度から専門スタッフ職俸給表を新設することといたしました。

 専門スタッフ職俸給表は、高度の専門的な知識経験が必要とされる調査、研究、情報分析等により、政策の企画立案を支援する業務に従事する職員に適用することとし、その水準は、本府省の課長補佐級から課長級までの水準に対応する三級構成としております。

 専門スタッフ職職員には俸給の特別調整額いわゆる管理職手当を支給せず、また、二級、三級の職員については超過勤務手当も支給しないこととしており、三級職員のうち特に重要かつ困難な業務に従事する職員についてのみ専門スタッフ職調整手当を支給することとしております。なお、勤務時間について、調査研究等の業務を自律的に行わせる必要があること等にかんがみ、いわゆるフレックスタイム制を導入することを考えております。

 続いて、公務員人事管理に関する報告について御説明申し上げます。

 公務員制度改革につきましては、さきの国会で国家公務員法が改正されましたが、引き続き内閣において公務員制度全般の課題についての検討が進められております。このような状況にかんがみ、公務員の人事管理に関する報告におきましては、新たな人事評価制度の導入、法科大学院の設置などに対応した人材確保、キャリアシステムの見直し、官民交流の拡大、高齢期の雇用問題、勤務時間の見直し、超過勤務の縮減などの主な公務員制度の課題について、人事院の見解を表明いたしました。

 近時、行政部門の一部に職員の不祥事や行政の破綻ともいうべき事態が生じていることは極めて遺憾であります。そのような国民の信託に反する行為に対しましては厳しく対処するとともに、関係者はもとよりすべての公務員が一丸となって国民の信頼の回復に向けて努力する必要があり、とりわけ幹部公務員は率先して範を示さなければならないと考えます。

 本院も、公務及び公務員に対する国民の信頼の回復に向けて最大限努力してまいります。

 以上、本年の報告及び勧告の概要を御説明申し上げました。

 人事院といたしましては、今後とも、人事行政の公正性の確保と労働基本権制約の代償機能という責務を担う中立第三者機関、専門機関として、引き続きその役割を適切に果たしてまいる所存でございます。

 総務委員会の皆様におかれましては、人事院の勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、この勧告を速やかに実施してくださいますようお願い申し上げる次第でございます。

渡辺委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、事務総局給与局長出合均君及び総務省人事・恩給局長藤井昭夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 再び質疑に立たせていただきました。自民党、公明党を代表いたしまして質疑を行いたいと思います。

 ただいま人事院総裁から、今回の勧告並びに報告について御説明をいただきました。本来であれば、この委員会、もっと早くやらなければならなかったわけでありますが、きょうになりました。

 今回の勧告につきましては、昨年から比較対象とする民間企業の規模についても五十人以上に改められたところでありまして、その結果、それでもなお、月例給、特別給ともに民間が公務を上回っているという結果でございまして、九年ぶりの年間給与の増加が勧告をされているわけであります。

 最近、公務員制度改革などなどで、人事院の影が若干薄くなっているんじゃないか、こういう声もありますが、決して人事院の存在を変えるような現行制度の変更があったわけではありません。今なお、代償機能を持った、極めて大事な勧告だというふうに私も受けとめております。

 今、給与関係閣僚会議の議論が進められている、きょうも行われたというふうに理解をしておりますが、勧告の趣旨を尊重して、早急に政府としての結論を出していただきたい、総務大臣にもぜひお願いをしておきたいと思います。

 総務大臣、きょうの委員会、御苦労さまでした。何かきょうの総務委員会は、委員会そのものが岩手県に派遣されて意見聴取をしたような感がありますが、いよいよこれから、この人事院勧告に基づく影響というのは、一時期は八百万とか七百万とか言われたわけでありまして、本当に大事な勧告であります。一日も早く結論を出していただきたい、そして、十分勧告を尊重した結論を期待したいと思います。もうおかわりになりましたけれども、前の大臣は、一つの大きな焦点として九年ぶりの給料アップということが国民の理解が得られるかどうかだというようなことを言っておられたように聞いておりますが、大臣、一日も早く結論を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 ただいま委員の方から、けさほどの給与関係閣僚会議のお話もございましたので、私の方からちょっとその関係をまず御報告させていただきたいと思うんです。

 本日の朝九時からでございましたけれども、第二回目の給与関係閣僚会議が開催をされました。結論からいえば、そこでの結論というのは出なくて、また引き続き、今後慎重に検討しようということでお開きになったわけであります。ことしの人事院勧告は九年ぶりのプラス勧告であり、また、厳しい財政状況や現下の経済社会情勢のもとで、こうした公務員給与を引き上げることについて国民の理解を得られるのかどうかという観点から、引き続き慎重に検討することとなった、最後の取りまとめはそういうことになりまして、今、委員の方からお話があった、まさにそのことが、まだ結論が出ていないという状況でございます。

 もちろん、総務省としては、この給与改定の取り扱いに当たりましては、従来からこういう姿勢で臨んでおりますが、やはり、国家公務員の労働基本権制約の代償措置の根幹をなしているのがこの人事院勧告制度でございますので、この制度を尊重する、こういう基本姿勢に立っているわけでございまして、また一方で、厳しい行政不信がある中で、国民の理解を得るためにこうした不祥事案に対して厳正に対応するなどの方策を推進する必要がある、こういうふうに考えているところでございます。

 なお、総務省としての立場は、従来どおりこうした考え方に立っているわけでありますが、今回、第二回目が結論が出ませんでしたので、さらに事務方同士でも検討を進めて、できるだけ早急に次の給与関係閣僚会議を開催して、政府としての結論が得られるように努力をしていきたい、このように考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 この会期は、十一月十日が一応会期でありますので、いつまでもこの臨時会があるわけではありません。早急に結論を出していただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、内容について総裁に伺いたいと思います。

 一つは、今回の勧告で、給与構造改革の一環として専門スタッフ職俸給表を新設するというふうなことにされました。公務員制度改革にかかわる重要なポイントだろう。ずっと議論されてきて、やっとこの形が提案をされたわけでありまして、先ほどの説明では、早期退職慣行を是正する、そして在職期間の長期化に対応するための複線型人事管理の導入に向けての環境整備だ、こういう御説明もあったわけであります。

 総裁、具体的にどのような人を対象に、どのような給与等の制度を用意するものなのか、制度の仕組みについて、そんなに時間はありませんけれども、概略、簡単にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 この専門スタッフ職俸給表は、公務経験等で培われました特定の行政分野における高度の専門的な知識経験に基づきまして、重要な政策の企画それから立案等に資する一定の課題につきまして自律的に調査研究、情報の分析等を行い、その成果を政策の企画立案等の意思決定に携わっておられる方に提供することによりまして政策の企画立案などの支援を行う、そういう職員などに適用するということにしております。

 具体的には、調査研究によりまして政策の企画立案の支援を行う職員のほか、例えば、国際交渉の分野におきまして、情報を継続的に収集、分析し、国際交渉の責任者に提供、助言するとともに、カウンターパートとの人脈を形成いたしまして国際交渉を支援する職員などへの適用も対象として想定いたしております。

 これらの職員に対する給与等の制度についての概略を申し上げますと、まず、給与につきましては、俸給表を三級構成といたしまして、各級の水準は、それぞれ本府省の課長補佐級、室長級、課長級の水準を基礎としております。

 二級以上の職員につきましては、高度の専門的知識経験に基づきまして、特に自律性を発揮して職務を遂行し成果を出すということが求められているものであるということを踏まえまして、昇給や勤勉手当につきまして、より成果に着目した仕組みとすることとしております。また、専門スタッフ職俸給表適用職員は、管理または監督の地位にある職員の職務の特殊性というものが認められないことということでございますので、俸給の特別調整額いわゆる管理職手当は支給しないことといたしております。

 最上級の職務の級でございます三級の職員につきましては、極めて高度の専門的な知識経験などを活用して遂行することが必要とされます業務で、特に重要かつ困難なものに従事する職員には、専門スタッフ職調整手当というものを設けて支給するということを考えております。

 それから、勤務時間でございますが、この勤務時間の制度につきましては、専門スタッフ職俸給表が適用されます職員が調査研究等の業務に自律的に従事するということを考えまして、弾力的な勤務時間を設定する、いわゆるフレックスタイムのようなものを導入することができるような、そういう仕組みを考えているところでございます。

 以上でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 専門スタッフ職俸給表を今見ておりますが、御提案をされた内容は、一級、二級、三級ということで、ただいまの説明では、課長補佐級そして室長級、課長級ということをベースにこの給料表が提案をされているんだ、こういうことでございました。大体概要はわかりました。大変私も長く期待をしていたものでございまして、ぜひとも期待をしたいと思うんですが、総裁、重ねて伺いたいと思うんです。

 政府においては、早期退職慣行の是正をするということでずっと前から言われておりますが、五年間で三年延長するんだ、こういうことで取り組んできておりますが、正直言って芳しくありません。平成二十年度からこの制度導入ということですが、こうした環境整備によって、まさに政府が目標としております、二十年の八月十五日ぐらいが目標でしょうか、それに対して大きな実を上げることができる、そういうツールだというふうに総裁はお考えでしょうか。人事院はそういうふうにお考えなんでしょうが、各府省、これをどう使っていくのかということは極めて大事だと思いますが、総裁、お言葉があれば伺いたいと思います。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、いろいろ難しい問題があることは事実でございます。この早期退職慣行の是正につきましては、いわゆるキャリアシステムの運用のあり方を含めまして、各府省における人事管理全体の中で対応していく必要があると考えます。また、このことに関連いたします複線型人事管理と申しますものも、各府省における業務執行体制のあり方にもかかわるわけでございまして、そういう意味で、この専門スタッフ職俸給表の新設だけでこういった問題に対応できるものとは私も考えておりません。

 しかし、この専門スタッフ職俸給表の新設は、これまで早期に退職しておられました専門的な知識や経験を持つ職員の方々に長く政府部内にとどまって活躍をしていただくという観点からも、それからまた、その問題となっております早期退職慣行是正のための環境整備といたしましても、非常に意義のあるものと考えております。

 各府省におきましても、この専門スタッフ職俸給表の新設に対応するための準備が進められていると承知いたしておりますが、法改正が行われました際には、総務大臣のお力添えもいただきまして、その積極的な活用が行われてまいりますことを私としては大いに期待しているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 総裁、いろいろ問題があると冒頭おっしゃったので、その内容を事細かに聞きたいのでありますが、時間がありませんからまたの機会にさせていただきたいと思います。

 最後に、大臣に伺いたいと思います。

 二十年八月十五日。実は我が党内は、この五年間の目標、特に第1種の皆さん方がどういう状況になっているのか、各府省ごとにつぶさに調査をいたしました。きょうは時間がないから申し上げませんが、実に問題のある省があります。それはもう、与党の一員として我々はヒアリングもし、応援をしたい、取り組みもしたいと思っておりますが、中には、公務員制度改革があって人材バンクがこれからできるというので、駆け込み需要じゃないかと思うぐらい、ことし、本当に若い職員がおやめになっているケースがあるわけでありまして、これは私は本当にゆゆしき問題だと思っております。

 一たん決めた政府の目標でありますから、二十年の八月十五日までに本当に目標を達成できるように、これをツールとして、唯一のツールかもしれませんので、あとは、総裁おっしゃったように、それぞれの、各府省の人事管理というものをがっちりやっていただいて、目標を達成できるようにリーダーシップを発揮していただきたい。大臣に最後、お伺いしたいと思います。

増田国務大臣 今委員からお話がございましたとおり、これは私どもとしても、この専門スタッフ職俸給表の具体化ということは、人事院に要請をして、そして今回取り入れられた、こういう経緯をたどっておりますので、これを十二分に使って、今お話がございました早期退職慣行を是正する、これがもう大事でございます。

 私どもも、そうしたことについて全力で、省を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。

桝屋委員 次の機会に、各府省ごとに我が党が取り組んでいる内容について具体的に御報告しながら、また議論を続けさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 増田大臣におかれましては、このたびは大変おめでとうございます。と申しますよりも、むしろ、大変御苦労さまですと申し上げた方が、今の厳しい環境の中で、本当にその言葉の方がいいんじゃないかというふうに思わさせていただいております。私も三重県出身でございますので、四年間北川知事、特にきょう逢坂議員の質問の中から、当時北川知事が、アカウンタビリティー、とにかく説明責任を果たせという、これが随分、私ども耳にたこができるぐらいお話しになりました。ですから、そういう意味で、その当時から考えますと、やはり国はそれとはほど遠いかなという感想を、この二年間、私の実感でございますので、どうぞ、総務大臣になられて、このことについてもひとつ十分お考えをいただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 それで、質問に入らせていただく前に、大臣発言について少しだけお話をお聞かせください。

 今回の大臣の発言、「地方の元気が日本の力」、これは恐らく大臣が考えられたお言葉だと思うんですが、格差の拡大を防ぎ、そしてまた地方の活力、地方の再生。この「地方の再生」は、私自身、大変な状況を認めざるを得なかったというお言葉かな、少しこのことについては、大臣も地方の落ち込みというものを既に随分認めておられる、そのことの表現かなと思っておりますが、その中で、「一層の権限移譲」そして「税財政の改革」、一層のというお言葉を前につけられておりまして、地方分権の中で「地方が主役の国づくり」というふうにも記載をされております。合併後のまちづくり支援、そして第三セクター、公立病院の改革に支援していくんだと、かなり力強く地方の問題について認識をしておられる。

 そんな中で、三つ挙げるとすればどのことを強調されてメッセージとして出されるのか、そのことを少し簡単に、大臣、これは通告をしておりませんので、もう二つでも結構でございますので、感想をお聞かせください。

増田国務大臣 「地方の元気が日本の力」というのは、これは私が特に力を込めて入れたものでございます。その中で、先般まで私も分権改革推進委員会の委員長代理をしておりまして、一層の権限移譲が必要だということと、あわせて地方税財政改革、この権限の問題と地方税財政改革、これをやはり特に力を込めてやっていきたい、そうしたことが私の大変強い思いでございます。

 ちょっと細かくなりますのでここに書き切れませんでしたけれども、そうしたことと同時並行で、やはり今度は議会の問題ですね、そして条例制定権をもっと拡大して、地域地域で本当に責任ある条例をつくって、それをもとにやっていくといったことがこのまたさらに先にあるわけでございますが、今回この中では、一層の権限移譲や地方税財政の改革ということにしっかり取り組むことが、私が思っております、この「地方の元気が日本の力」になっていくんだ、こういうことに通じるものというふうに考えております。

森本委員 私自身、ことしの夏は、特に私の選挙区の奥地を歩かせていただきました。合併後の町が非常にこの二年間でさま変わりしておる状況に胸を痛める思いをしております。ですから、そのことも、知事という立場からさらにまたもう少し周辺も見ながら政策を打っていただくことをお願い申し上げて、きょうの本題の人事院勧告について進めさせていただきます。

 今回、桝屋議員もおっしゃいましたが、九年ぶりのプラス勧告になりました。久しぶりの改善に対しては、公務員の皆さんの期待は非常に大きなものがあります。人事院勧告というのは、先ほど大臣もおっしゃいましたが、労働三権が制約されていることへの代償措置としての意味があるわけですから、当然、完全実施すべきものであると私は考えますが、八月八日に勧告を行って以来、今も、午前中、非常に難しいという話、延びたという話も聞かせていただいておりますが、いまだに閣議決定がなされておりません。

 安倍前総理の勧告への対応、これは聞き伝えられておるところのことでございますが、国民の理解が必要だ、財政状況、経済状況も考慮し議論しなければならない、結論ありきではないと述べられて、完全実施にやや含みを残されたというふうに私は聞かさせていただいておりますので、こうした状況を踏まえて、今、少し重なるかもわかりませんが、お答えをいただきたいと存じます。

増田国務大臣 けさほどの関係閣僚会議の模様は先ほど申し上げたとおりでございますが、確かに、まだ政府として結論を得るに至っていないということでございます。そういう状況でございますけれども、これはもちろん、国会の状況等もございますので、早急に結論を出さなければいけない。それで、次の関係閣僚会議を早急にセットしよう、けさほど、そのこともあわせて合意をしてございますので、できるだけ早く結論を得るようにしていきたい。

 我々の立場は先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう立場をきちんと主張しつつ、できるだけ早期に次回を開催して結論を得るようにしていきたい、このように考えております。

森本委員 今もお答えをいただきましたが、くどいようでございますが、直ちに完全実施の閣議決定を行っていただいて、一日も早く国会に給与法改正案を提出されますようにお願いを申し上げておきます。

 それでは、次に移ります。

 政令指定都市、都道府県の人事委員会も、多くは初任給の引き上げ、少子化対策の扶養手当改善、一時金の、これはボーナスでございますが、改善を勧告しておられます。一方、地方においても、六〇%を超える自治体が独自の給与削減措置を実施しているなど、人事委員会の勧告と人事院勧告が形骸化をしておるのではないかという懸念があります。

 そうした中で、地方においても勧告は完全実施することが極めて大事であるというふうに考えております。政府には相応の財政措置を求めるものでございますが、御見解をお伺いいたします。

増田国務大臣 地方の公務員の場合でございますけれども、この地方公務員の関係、今仮に、これは人事院勧告に準じた改定を行うということで、仮にでありますけれどもそういうふうな前提を置いて考えますと、大体一千五十億程度が新たに地方の場合には必要になる。これは我々の試算でございまして、この一千五十億円程度というのは、一般財源ベースで置き直しますと大体九百三十億円程度、こういう数字になるものでございます。

 これにつきましては、まだ国の人事院勧告の取り扱い、これも急いで行いますが、こちらが決まっていないものですから何とも言えないところがあるんですが、今後、こうした国の取り扱いが決定した段階で、地方公務員の給与決定に係る地方財政措置につきましても適切に検討していきたい、このように考えております。

森本委員 大臣、そうしますと、八月に行われた経済財政諮問会議におきまして、平成二十年度予算の全体像として、公務員人件費を、国と地方合わせて約五千億円を上回る削減を計画されたところです。

 一方、今お話のありました、勧告が実施されますと、国家公務員四百五十億、地方公務員九百三十億円、これは一千五十億円と言われましたが、後で地方分ということで言われて、計千三百八十億円の財源が必要との試算、先ほども試算で言われましたけれども、そのあたりの兼ね合いはなかなか難しい。

 この五千億と今の千三百八十億円の兼ね合いについて、財政状況を踏まえながら人勧をきちんと実施していくことが必要だというふうに私は考えておるわけでありますが、そのことについて大臣はどのように御見解を持っておみえになりますか。

増田国務大臣 国のこうしたいわゆる歳出歳入一体改革の中で、この取り扱いというものが骨太の中でも人件費の抑制という方向が出ておりますけれども、これは、先ほど申し上げましたいろいろな財政需要の中で、それも勘案しながら、しかしこの人事院勧告というのを考えていくということで、まだその点も含めていろいろ政府として今検討しているということであります。

 我々は、この人事院勧告というものは、先ほど申し上げましたとおり、やはり制度の今までのいきさつということから考えまして、こうしたものを尊重しながら対応していくということを基本にしつつ、国民の理解ということでありますので、そういう立場を主張しながら、給与関係閣僚会議の中で結論を得ていきたい。

 そして、そういった国家公務員の取り扱いが決まりますれば、こうした地方公務員の地方財政措置というものについてもあわせて考えていかなければならない、こういうふうに申し上げたわけでございます。この地方財政措置というのは、大枠では地方財政計画にあらかじめいろいろなものを含んで計上してございますので、そうした地方財政計画の枠の中でこれについては検討できるもの、このように考えているところでございます。

森本委員 大臣、前段でも申し上げましたように、地方みずからが独自の給与削減措置を行っているという事実、それと、先ほど大臣が言われた労働三権と非常にかかわりの深い人事院勧告。このあたりは財務大臣との折衝になるわけでございますが、その意気込みについてお聞かせいただけませんか。

増田国務大臣 これは政府の中で、もう時間もございませんし、できるだけ早期に決めたい、こういうことになっておりますので、私も、この人事院勧告制度ということについての問題を十分わきまえた上で次の閣僚会議に臨まなければいけない、このように考えております。

森本委員 それでは、人事院の方にお願いをさせていただきます。

 昨年から、民間企業の比較対象企業規模を百人から五十人以上に変更されました。しかし、五十人以上ではまだまだ大きいとの意見も聞かれております。私としては、どんどん対象企業の規模を小さくしていくことは問題があるという認識を持っておりますが、人事院として、二年目の調査、比較を行った結果としまして、今時点でさらに規模を小さくするなどといったことをお考えかどうか、お聞かせください。

谷政府特別補佐人 昨年、このような方法を改めますにつきましては、それに先立ちまして、国会、内閣初め各方面での御議論、御要請にかんがみまして、私ども、学識経験者それから各界有識者の御意見も伺い、十分検討を重ねた上で決定したものでございます。

 その際、五十人規模といたしましたのは、五十人以上の民間企業につきましては、多くの民間企業におきまして、公務と同様の役職段階、部長、課長等でございますが、これを有していることから、公務と同種同等の比較が可能であるということ、それから、企業規模五十人以上の民間企業であれば、これまでどおりの精緻な実地調査による対応が可能であって、調査の正確性を確保することができる、こういう観点で選んだところでございまして、その事情は変わっておりません。

 したがいまして、今後も、企業規模五十人以上、このことにつきましては、特段の事情変更がない限り、この考え方に沿って私どもとしては調査をしてまいりたいと考えております。

森本委員 今のところ、これを下げていく状況ではないということでよろしいんですね。

 それでは、例えば地方におきまして、百人から五十人にしたことによって影響が実際どの程度あったのか、人事院に確認をさせていただきたいんですけれども、この比較対照はされておりますか。

谷政府特別補佐人 昨年の調査の時点におきましては、まだこの対象の規模をどうするかということを検討中でございましたために、見直す場合と見直さない場合の双方の数値を把握できるように両様の構えで調査をしたところでございますけれども、今年度の調査におきましては、既にこの方針を確定しておりまして、この方針に従って調査を行いましたので、比較をするというデータについては持ち合わせておりません。

森本委員 これは総裁、私としましては、やはりこうした、百人のときであればどの程度になったのか、五十人規模で計算をすればどの程度になったかという比較対照はいただきたいという思いがございましたので、その資料はなかなか難しいということの回答なんですか。

谷政府特別補佐人 昨年につきましては一応のデータを持っておりますけれども、ことしにつきましては、そういう調査の仕方をしなかったということで、そういうデータはないわけでございます。

森本委員 それでは、ここのところは押し問答になりますので、結構でございます。

 今回の人勧で、初任給を中心に若年層に限定した改定を行っておられます。この背景には、民間のことしの四月の大卒者の初任給が平均二千三百六十二円増の十九万五千四十八円に上昇し、公務員との較差が開いていることが公務員離れの一因になっていることを踏まえてのことだと思うのですが、若年層に限定した理由を確認させてください。

谷政府特別補佐人 本年の公務と民間の初任給を比較いたしますと民間が上回っているという状況にございまして、特に、民間における初任給の水準の前年からの伸びを見ますと、大卒で二千三百六十二円、高卒で千六百六十二円と、大幅な伸びが見られたところでございます。

 他方、中高年齢層につきましては、平成十八年度から実施に移しております給与構造改革におきまして、俸給水準を平均四・八%引き下げるに当たりまして、中高齢者の層の引き下げ幅を七%程度とすることなどによりまして、給与カーブのフラット化を進めている状況にあるわけでございます。

 これらの事情でございますとか、それから公務員の優秀な人材の確保という観点などを総合的に勘案いたしまして、改定原資も非常に限られておるところでございますので、本年の俸給表の改定におきましては、民間との間に相当の差が生じております初任給を中心に、若年層に限定して改定を行ったという次第でございます。

森本委員 それで、総裁、今回の人事院勧告によって公務員離れがとまるというふうに思われておるのか。私は、初任給の引き上げだけでは非常に難しいというふうに思っておるんですが、公務員離れを防ぐためにどのような方策、環境づくりが必要と考えておみえになるのか、お聞かせください。

谷政府特別補佐人 御指摘のように、公務を取り巻く厳しい状況のもとで学生の公務員離れが進んでいるということが言われておりまして、実際に、受験者の数が減少しているわけでございます。

 その原因についてはいろいろなことが考えられるわけでございますけれども、一方で、行政の複雑化、高度化、国際化などが進む中で、公務員に対して高度な知識、広い視野を持った人材が従来にも増して必要となってきているという状況にございまして、何としてもそういう人材の確保をしなければならない。そのためには、この処遇の問題ももちろんでございますけれども、それだけではなく、行政官の役割や働きがいというものを明確化していくこと、それから新たな人材供給源の開拓、それから若手職員のモチベーション向上のための計画的な育成などが求められていると考えております。

 私どもといたしましても、仕事の魅力の発信などを行いつつ、今後とも有為な人材の確保にさまざまな工夫を凝らして取り組んでいかなければならないというふうに思っております。今、なかなか、特効薬、妙薬というものについて御説明することができないのは大変残念でございますけれども、最大限の努力をして取り組んでまいりたいと考えております。

森本委員 これはそちらだけに押しつけるという問題ではないんですが、やはりこれからの若者は、世界の中で国際的にどう活躍できるか、そうした有能な人材を発掘していくのが日本の発展にもつながっていくというふうに考えておりますので、これから私どももそのことの政策はしっかり考えてまいりたいというふうに思っております。

 このことについては、以上とさせていただきます。

 あと、少子化対策に、月五百円の引き上げになっておるんですが、月々五百円で少子化対策なんて、本当に効果があると考えられておるんですか。このことについて、いかがですか。

谷政府特別補佐人 基本的には、民間の同種の手当との比較ということが基本になるわけでございますけれども、千円程度の差があったわけでございます。原資が非常に制約がある中で、その半分程度それに近づけたということでございますけれども、この扶養手当の見直しにつきましては、今年だけではございませんで、実は、これまでにも何年かにわたって少しずつ改善を積み重ねてきておりまして、今年もそういうことの一環として、例えば具体的に申しますと、昨年におきましても、三人目以降の子等に係る手当額は千円引き上げを行っております。

 そういうことで、少しずつではございますけれども、限られた原資の中で改善をして、できるだけ民間の水準に近づけるように努力をしてきているというところでございます。

森本委員 これは大臣、同じ税金を使うんでしたら、小もちのようにいろいろなところに振らないで、もう少しまとまった政策の中で子育て対策、少子化対策をやっていかないと、こういうのが少子化対策でひとり歩きしていくような政策というのは私はいかがなものかというふうに思わさせていただいておりますが、これも通告はないんですけれども、大臣、お答えいただければ、よろしくお願いします。

増田国務大臣 人事院の方では、やはり官民較差を是正するという観点に立って、いろいろそこを御苦心、お考えになっているんだろうと思います。

 少子化対策、これもまた政府挙げての大変重要な課題でございます。これは、少子化対策担当大臣はおりますけれども、これについての対策というのは、これはこれとして、また別に強力なものを考えていかなければいけないのではないか、地方の立場から見てもやはりそのように思っておるところでございます。

森本委員 時間も迫ってきておるようでございますので、通告をいたしました多くのことをカットさせていただくので申しわけないんですけれども、最後に大臣にお願いをします。

 専門スタッフ職なんですけれども、公務員の在職期間、先ほどもお話がありました、在職期間の長期化を視野に入れての制度導入であるというふうに思っておるんですが、一方、定員削減や人件費削減の実施を行っている中において、在職期間の長期化を図ることが今後の定員削減に対して影響を及ぼしていくのも考えられますが、この辺は大変難しいところであると思ってもおります。

 一見矛盾するようなこの両者をどのように両立させていくのか、大臣はどのようにお考えですか。

増田国務大臣 これは確かに、両方を満たすというのはなかなか工夫が要ると思うんですけれども、例えば、早期退職慣行是正の推進については、平成十四年に閣僚懇談会申し合わせというのがあって、今その決定事項に取り組んでいるわけですが、能力主義を徹底して、年次主義やピラミッド形人事構成の見直しを進めるといったようなことや、行政の複雑・多様化や高度化、スリム化への対応、こういうことによって何としても行政組織を肥大化させない、こういうことを行う。そして、総人件費の増大を招かないようにしていきたい。

 これに、在職期間が長期化すれば、職員が長年培ってきた知識や経験を活用できる。そうすれば、組織全体としてはそのことが全体としての成果をさらに生み出していく。こういうこともあると思いますし、結果的にそのことが人件費を抑制できるという面もあると思うんですね。ですから、こうした工夫によって、このことを何とか両立させていきたい、このように考えているところでございます。

森本委員 大臣、これで終わりますが、天下りの問題とこの問題は深く関連をしてくると思いますので、ここのところをしっかり踏まえながら、どうしっかり説明をしていけるのか、ここのところが大事だと思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 増田さん、総務大臣就任おめでとうございます。まさかここでお会いするとは思っていませんでした。特に、安倍内閣が既に死に体内閣だったので、まさか引き受けるとは思っておりませんでしたけれども、総理大臣が福田康夫さんにかわってもそんなに変わりがないと思いますが、大変でしょうが、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 それでは、人事院勧告にかかわる質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、民間企業の雇用のあり方について、谷人事院総裁に御所見をお伺いしたいと思っております。

 一つ目は、最近、民間企業では非正規雇用が拡大をしているわけでありますが、聞くところによりますと、当時の日経連が、一九九六年に、全雇用労働者の三分の二は非正規雇用者でいい、正規雇用者は三分の一でいい、そういう大方針を打ち立てて進めてきた、その結果、既に非正規雇用労働者は三分の一にまでなっている。そういう現状をどう思われるか、総裁の御所見をお伺いしたいと思います。

谷政府特別補佐人 私も、近年、民間におきまして雇用形態の多様化が進展しており、非正規雇用者、いわゆる派遣労働者、パート、アルバイトなどの方々が年々増加してきているということは承知いたしておりますけれども、今御指摘のありました経済団体のお考え方、御方針につきましては承知をいたしておりません。

 また、公務の人事行政を所管する私の立場といたしまして、民間のお考えについて公式に申し上げるというのはいかがかと思いますので、そのことはお許しいただきたいと思います。

 公務のことについて御返答するということでよろしければ、御返答させていただきます。

福田(昭)委員 大変残念な答えでございます、人事院総裁個人の見解でも結構なんですが。

 なぜこんなことを私がお聞きするかと申し上げますと、公務員の給与は官民比較を準拠としてやっているわけですよね。そうした中で、今、民間の給与はどんどんどんどん格差が開いているわけですよ。正規雇用か非正規雇用かで給与の差は開くし、大企業に勤めているか、中小企業、零細企業に勤めているかで給与の差はどんどん開いているわけですね。そうした中で、ワーキングプアなんという、本当に年収二百万円以下の労働者がだんだんふえてきているわけですよ。

 そうした中で、昨年、人事院は官民比較の抜本的な改革をやったじゃないですか。百人以上の企業から五十人以上の規模に引き下げたじゃないですか。今後、これはどうするんですか。民間企業が、どんどんどんどん格差が開いていって、三分の二が非正規雇用になっちゃった、そしてさらにホワイトカラーエグゼンプションとかなんとか、残業代不払い法なんという法律も何かそろそろつくろうかなんという話もあるようでございますが、こうした中で民間企業で給与がどんどんどんどん相対として下がっていったときに、では、公務員の給与はどこと比較することになるんですか。大企業だけですか。どんどんどんどん企業規模を引き下げていくんですか。こうした民間企業の雇用のあり方について、人事院としてしっかりと認識をして、どうあるべきだという考え方がなければ、人事院の存在意義はなくなっちゃうんじゃないですか。いかがですか。

谷政府特別補佐人 常々申し上げておりますけれども、公務員の給与につきましては、同種同等の民間の方々と比較をする。もちろん本当の同種はあり得ないわけでございますけれども、比較的同種同等と考えられる民間の方々を調査対象として比較をするということにしておりまして、そういう意味で、常勤職員の給与につきましては、いわゆる正規雇用の方々を調査対象としております。

 ただ、その方々の属する企業の規模につきましては、御指摘のとおり、百人規模から五十人規模という変更を昨年いたしましたが、これは、各方面の御意見も踏まえまして十分検討した上で、より民間の給与の実態を公務に反映させるという観点から、しかも、その反映の仕方につきましては、正確性を確保しつつ反映できる、そういう範囲ということでこの規模を選んだわけでございまして、特段の事情変更がない限り、これを変えるという考え方は今ございません。

 ただ、基本的に公務員給与のあり方についてどう考えるかということは、国会が代表しておられますけれども、国民の皆様のお考え方次第であるわけでございますので、その国民の皆様のお考えが、公務員というものをどのようにおとらえになり、どのような処遇をすべきかということが変わってくれば、それはその段階でどのようなふうになってまいりますのか。

 その前提として、民間における給与が、今御指摘の正規、非正規というだけでは直ちに公務員給与に、少なくとも公務員の常勤職員の給与に影響するとは考えませんけれども、しかし、回り回ってそういうことが給与全体に影響してきたときにどうなるかということについては、今、私の立場として申し上げられるだけのものはございませんし、そのあり方につきましても、どのようになるかということもわかりませんので、何とも申し上げかねるところでございます。

福田(昭)委員 総裁の苦しい胸のうちはわかりますけれども、先ほど申し上げましたように、日経連が非正規雇用を全雇用労働者の三分の二にするんだという方針ですよ。今、三分の一までなっているんですよ。このまま自民党政権が続いたらそうなっていくんですよ、これは。そうなったときにどういう対応をするというのか。企業にとっては、それこそ景気のいいとき悪いときがありますから、悪いときには解雇しやすいように、まさに非正規雇用者をふやしておけば企業の経営はやりやすいかもしれません。しかし、それではまさに労働者は物扱いですよ。人間扱いじゃありませんよ、基本的に。

 そういう意味で、やはりこうした雇用のあり方というのは、民間企業だって本当は正規雇用者をふやした方が会社のためになるんですよ。一昔前は、会社はだれのものだと言ったら、日本人はみんな社員のものだと言ったんですよ。ところが、今は、会社はだれのものだと言ったら、株主のものだと言うんですよ。それは、百歩譲って株主のものであるかもしれませんけれども、しかし同時に社員のもの、これがやはり日本的な考え方じゃないでしょうか。こうした考え方を捨ててアメリカみたいなお金の論理だけでやっていったのでは、日本の社会はそれこそ大変壊滅的な、アメリカと同じような超格差社会になっちゃうと私は思います。そういった意味で、人事院としてもその辺はぜひしっかりと考えてほしいなと思っております。こちらの方ばかりやっているわけにいきませんが、そうした考え方に基づいて、雇用のあり方というのを、公務員あるいは民間企業を問わず、ぜひしっかりとやはり考えていただくということが大事かな、こういうふうに思っております。

 二つ目でありますが、二つ目は、同一価値労働同一賃金についてであります。たとえパート労働者であっても同じ価値の労働をしている人には同じ賃金を支払うべきだという考え方がありますが、この考え方についてどう思われるかお伺いをしたいと思います。また、あわせて、非常勤の公務員の待遇改善についてどう考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

谷政府特別補佐人 民間も含めた賃金政策についてお答えする立場でないというのは先ほど申し上げたとおりで、繰り返して恐縮でございますけれども、公務員の非常勤職員についてでございますと、ある時点に行っております仕事を見た場合に常勤職員が行っております仕事と同一に見えるということがあるということは私もよく承知しております。しかし、非常勤職員につきましては、採用におきまして競争試験あるいは選考によらずに行われますこと、それから、服務につきましては営利企業への再就職制限でございますとか兼業禁止規定が適用されないなど、常勤職員とはいろいろな点で公務員法上の取り扱いが異なっているという点もございます。

 一方、常勤職員につきましては、長期の継続雇用を前提に部内において育成していくものとして給与等の取り扱いが構築されているということもあるわけでございまして、そういったことを考慮いたしますと、最初に申し上げましたように、ある時点で見て仕事が同じに見えるということだけをもって同じ給与にする、これは、常勤職員の中でも経験年数によって微妙に仕事のできぐあいが違うということも考えまして給与も変わってくるんだろうと思います。生活のことも考えて給与の体系もでき上がっているんだと思います。そういう意味で、常勤職員の中も一様ではないわけでございます。ですから、この原則について私も理解しますけれども、直ちに常勤職員のどこかの額と同額にするということも今の制度の中ではなじまないのではないかというふうに思っております。

 それから、もう一点の非常勤職員の処遇のことでございますけれども、非常勤職員につきましては、御案内のとおりでございますが、各府省がそれぞれの行政上の必要性に基づきまして官職を設置して採用しておりまして、その職務の内容、雇用期間、勤務形態というのは区々にわたるわけでございます。

 その処遇につきましては、予算の範囲内でそれぞれの任命権者の御判断で決めるということが基本とされておるところでございますけれども、私どもとしても問題意識は持っておりまして、この五月から六月にかけまして各府省のヒアリングを行いました。その結果、同様の職務に従事しながら所属する府省によって必ずしもその処遇について均衡がとれていない、そういう事例が見受けられるということがわかりました。

 そこで、ことしの勧告時の報告におきましても、非常勤職員の実態に合った適切な給与が支給されるように、必要な方策について検討していくということを表明したところでございまして、ただいま、さらに各府省のヒアリングを進めながら、関係方面とも連携をとり、関係者の意見も伺いながら、どのような方策をとるべきかということについて検討を進めていきたいと考えているところでございます。

 それから、ちょっと先ほど申し上げた、最初の御質問の中で公務員のことについては申し上げませんでしたけれども、御案内のように、公務員については、恒常的に必要な仕事については、常勤官職、常勤職員というのが設けられております。したがって、あらかじめその割合を決めてどうするという仕組みでは全くないわけでございますが、常勤職員につきまして、私としては、その相当部分は公務を生涯の職業として選択した者によって占められることが適当であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 だんだん時間がなくなってしまうので、ちょっとはしょって質問させていただきます。

 次に、給与の勧告でございますが、その中で、今回、専門スタッフ職の俸給表の新設があるわけでございますが、いわゆる給与の構造改革の一環としてこの俸給表の新設ができたということは、私も大変前進だと思いますけれども、当面はどれぐらいのポストを考えているのか、将来はどれぐらいのポストまで必要になると見込んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 現在のところ、来年度の要求としましては、各府省から八十弱のポストの要求が出されておると承知いたしておりまして、今後、査定官庁において査定がなされるものと承知しております。

 将来のことにつきましては、この制度の実施のためには、各府省における業務執行体制あるいは人事管理の体制、すべてが絡んでくるわけでございまして、そういうものとの見合いで、そういう体制も整備しながら進められていくと考えられておりまして、この制度は、職員の部内において培われました経験、能力をその持ち味に応じて生かしていくという意味で、また在職期間の長期化を図るという観点で非常に重要だとは考えておりますが、具体的には、今申し上げたようなこととの兼ね合いの中で逐次整備されていくことになるのではないかというふうに考えております。

福田(昭)委員 初年度、各省庁から八十ぐらいのポストの要求だと。

 それが将来どれぐらいになるかということでございますが、とても天下りを根絶するための早期勧奨退職制度を廃止するような抜本策として期待することができないんじゃないか、そんな感想を持ちました。そうすると、天下りをなくすためには早期勧奨退職制度そのものをやはりしっかりと見直して全部廃止をしていく、そういう考え方にならないとこれはちょっと無理なのかな、そんな思いをしたところでございます。

 次に、公務員の人事管理報告についてお伺いをいたしますけれども、こちらの方も時間の関係で一つだけお伺いします。

 人材の育成についてでありますが、人材の供給構造変化への対応、キャリアシステムの見直し、官民交流の拡大、女性の採用・登用推進など、こうしたものはまさに私も奨励すべきことだと思っておりますけれども、この中に突然、米国政府への実務体験型派遣研修の新設というのが出てきたんですが、これはどういう意味なんだか、ちょっと教えていただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 私ども考えておりますのは、これからの行政は複雑化、それから高度化、国際化してまいります。(福田(昭)委員「簡潔でいいです」と呼ぶ)はい。

 現在、検討いたしております実務体験型研修でございますけれども、既存の行政官短期在外研究員制度というものがございますので、この枠組みを利用する中で、職員を米国の連邦政府機関の職場に配置をして、米国の連邦職員と交流しながら行政実務等を体験させたい、そういう機会を与えたいというねらいを持つものでございます。

福田(昭)委員 私は、もうアメリカはモデルとする国じゃないと思っているんですね。超格差社会ですから、このまま小泉構造改革路線を続けていくとアメリカみたいな超格差社会になっちゃうんですよ。たった五%の人がアメリカの富の六割を独占している、一割の人が七割を独占しているのがアメリカですから、そんなところへ勉強に行ってどうするんですかね。私は疑問を持っております。

 次に、増田総務大臣に最後にお伺いをしたいと思います。

 勧告の取り扱いについて、先ほどから桝屋委員やうちの方の森本委員がお尋ねをいたしておりますが、けさほども給与関係閣僚会議を開いたそうであります。先ほど立場をちょっと説明したという話ですが、総務省の立場としては人事院勧告を完全実施するという立場ですか。お尋ねをいたします。

増田国務大臣 私ども、この制度ですけれども、これまで果たしてきた役割ということを十分理解してございますので、このことについては制度を尊重していくということで、今、政府の中であわせて国民の理解を得られるかという観点からいろいろ意見が出てございますので、私ども総務省としての主張をきちんとしつつ、政府として早急に結論が得られるように努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 はっきり言ってくださいよ。完全実施をする立場でやるとはっきり言ってください。

増田国務大臣 まだ政府全体としての方針が決まっていないということでございまして、今ここの場で申し上げられますのは、やはり早急に政府として結論を得るために総務省として全力を傾けたい、そして総務省の立場というのは、これは先ほど申し上げましたとおり、従来どおりの立場でこれを推進していきたいと考えております。

福田(昭)委員 それは、閣議で福田総理がだめだと言えばきっとだめなのかもしれませんが、総務大臣、増田大臣として完全実施を求めると何で言えないんですか。

増田国務大臣 私どもの立場は先ほど申し上げたとおりでございまして、そういう立場でけさほども臨んでいるというようなことであります。これは政府としても早急に決めたい、そういうために次の日程も早急にセットをするということになっておりますから、そこできちんと議論した上で政府の方針を決めたい、このように考えております。

福田(昭)委員 何か、地方の星として総務大臣になった割には頼りないですね。

 聞くところによりますと、全国の都道府県、政令指定都市などは、来週の十月二十三日のころまでにはそれぞれの人事委員会から勧告が出るそうですよ。そうすると、各地方の議会でも決断しなくちゃならないんですよ。通常、国の方でも九月には閣議決定して、十月に法律を提出して、十一月以降に議決をして給与改定については決定をしていくわけですよ。今回のこの臨時国会の会期は十一月十日までですから、そうすると本当に時間がないんですよね。

 さっき増田大臣も所信表明の中で言ったじゃないですか。「地方の元気が日本の力」だと言ったじゃないですか。「地方の元気が日本の力」だと言ったじゃないですか。人事院の勧告の取り扱いを国が決めるのを地方は待っているんですよ。国家公務員もそれは元気になりますけれども、地方公務員だって元気になるんですよ。そうすれば地方全体だってまた元気になる、そんな一助にもなるんですよ。せっかく岩手県知事を三期も務めた増田さんが総務大臣になって、その辺のところを地方の立場で主張できなくてどうするんですか。いかがですか。

増田国務大臣 今いろいろお話しいただきました。

 私ども、早急にこれを決めたい、こういうことで考えておりますので、次回、早急に日程をセットしたいというふうに思っております。そこで結論を出したいと思います。

福田(昭)委員 福田内閣はこんなことまで決められなければ、テロ特法も、新法も別ですけれども、それもそうですけれども、こんなことも決められなかったら、これはモラトリアム内閣になっちゃうんですよ。モラトリアム内閣になっちゃうんだ。それくらいよく自覚した方がいいです。

 終わります。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人事院勧告について、最初に人事院総裁に伺います。

 今回の人事院勧告は初任給中心に八年ぶりに俸給表が改善をされました。それでも初任給の官民較差は残っている。高校卒、民間が十五万六千四百七十二円に対し、公務の方は3種で十四万百円。民間の大卒十九万五千四十八円に対し、2種が十七万二千二百円、1種が十八万一千二百円。高卒で一万六千円、大卒で二万円前後の較差があるわけで、この改定によっても民間との初任給の較差は依然として解消していないわけですけれども、そういうことで較差が解消していないということを確認したいんですが、いかがですか。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおりでございます。

塩川委員 民間において初任給が顕著な伸びがある。今回の改定を行ってもまだ大きな差がある。そういったときに、なぜ今回の改定において若年層の俸給水準を大きく引き上げようとしないのか、その理由をお聞かせください。

谷政府特別補佐人 若年層の俸給を大幅に引き上げますと、俸給表全体で逆転現象を防ぐために相当の年齢層のところまで俸給表の調整を行わなければならなくなるわけでございます。

 一方、現在行っております給与構造改革におきましては、中高年齢層につきましては、全体の俸給水準を平均四・八%引き下げる中で七%程度の引き下げを行いまして、給与カーブのフラット化を進めている最中でございます。もちろん、このところに対しましては現給保障という経過措置を講じておりますので、実質的にはそちらにかなりの原資を食っているわけでございますけれども、そういうことの中でこの給与構造改革全体をできるだけ早く円滑に完了させていきたいということも考えまして、限りある原資の中でそういう判断をしたところでございます。

塩川委員 いや、官民較差がある、それをどう充てるかというのは内部で調整するわけですけれども、しかし、初任給の差がまだまだ大きくあるということについて改善をすべきときに、やはり公務のカーブというのは公務なりのやり方があるわけですから、そういう点では初任給部分の改善についてもう少し工夫した形でやるということも当然できるんじゃないでしょうか。それなのに、今回のように地域手当に四割強も回すというのはちょっと筋がよくないんじゃないですか。

 本来は、大きな差がある、官民較差のある初任給の引き上げという形で対応すべきところなのに、何で地域手当に四割強も回すのか、その理由が非常に理解できないんですけれども、その点、いかがですか。

谷政府特別補佐人 初任給中心に二千円のアップを大卒の場合しているわけでございますけれども、結局、そこだけを改定いたしますとその次の号俸との間に逆転を生ずるわけでございまして、そういったことを防ぐということで、今回は二十代のところはほぼ同額を引き上げていかざるを得ない。さらに、それ以上の年齢層についても逆転を防ぐためのいわばなだらかな改定を行わざるを得ないわけでございまして、これ以上に引き上げればさらにそういった調整が拡大することになるわけでございます。

 他方、この給与構造改革におきましては、地域間配分の見直しというのは非常に重要な課題でございまして、本来は、給与の引き下げを四・八%行いましたときに手当についても直ちに実施することが望ましいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、現給保障がございますので、原資をすべて使い切るわけにはまいりません。したがって、二十二年度までの間に段階的にこの手当の改善を行っていくという選択をしたわけでございまして、今回は、総合的に考えまして、この手当につきましてもやはり円滑に実現を図っていきたいということの兼ね合いの中で総合的な判断をいたしました。

塩川委員 総合的な判断ということですけれども、較差分は本来俸給の改定に充てられるべきで、過去のをずっと見ましても、その較差分については大半が俸給の改定に充てられてきているわけで、諸手当はごく一部だったわけですから、今回のようなやり方は極めて異例であるわけです。

 その上で、先ほど給与構造改革の話がありましたが、二〇〇五年の人事院の給与勧告報告の中では、「今般の給与構造の改革は、俸給表の水準を平均四・八%引き下げる一方で、その引下げ分を原資として、地域手当等の新設等を行おうとするものである。」つまり、地域手当の原資というのは給与構造見直しによるものに基づくとしているわけなのに、今回、本年四月にさかのぼって実施をされる地域手当の〇・五%引き上げの原資というのは給与改定分の官民較差を原資として実施されるわけで、いわば〇五年報告と違うことが行われているということだと思います。

 人事院は、配分については組合側の意見も十分聞きながら決めていくと述べていたそうですが、この点について、地域手当の扱いについて労使間で十分な協議が行われたんでしょうか。

出合政府参考人 お答えいたします。

 本年の配分に当たりまして、職員団体とは数度にわたって議論をさせていただいております。その中で、先ほど出ました初任給の問題であるとか扶養手当の問題、さらには地域手当の問題、こういう問題についても議論の上で、最終的に人事院として判断させていただいたものということでございます。

塩川委員 協議の最終段階で地域手当にも一部使わせてもらうという話があったそうですけれども、較差分の四割強を超えるようなものというのは、これはやはり労使協議の中でもなかったような異例のことだったというのが実態だと思います。そういう点でも、私は率直に言って、人事院の対応として誠実なものとは言えないということは申し上げたいと思います。そういう点でも、若年層の給与の較差の解消のためにこそ充てるべきだということを改めて申し上げるものです。

 その上でもう一点、非常勤職員問題について今回報告が指摘をしました。この人事院の報告が非常勤職員問題に言及したのは初めてのことであります。非常勤職員の深刻な実態とこの是正を求める運動の反映でもあり、前進面と言えると思います。

 そこで伺いますが、報告の中で、「非常勤職員の給与の実態の把握に努めるとともに、それぞれの実態に合った適切な給与が支給されるよう、必要な方策について検討していく」と述べておりますが、これはどういうことなのか、どのようなことをするのか、この点についてお示しください。

谷政府特別補佐人 非常勤職員の給与につきましては、給与法の第二十二条の規定に基づきまして、各庁の長が、常勤職員との権衡を考慮し、予算の範囲内で支給するということとされておりまして、多様な職務に応じたさまざまな処遇が行われているところでございますけれども、その処遇についてやはりアンバランスがあるのではないかという問題意識を私どもも持っておりまして、本年の五月から六月にかけまして各府省のヒアリングを行いました。

 その結果、同様の職務に従事しながら所属する府省によりまして必ずしも均衡がとれていない事例があるということがわかりました。そのため、今年度の報告におきましてそのことについて触れさせていただいたわけでございます。

 現在、この問題に対処いたしますために、各府省の非常勤職員の実情についてさらに重ねて聴取を進めております。そして、問題点の整理を行っているところでございまして、今後、引き続きまして関係者の御意見も伺いながら、どのような方策をとることができるかということについて検討を進めていきたいと考えておりますが、まだ具体的な内容について御説明できる段階には至っておりません。

塩川委員 続けて、報告の中で、「非常勤職員の問題については、民間の状況もみつつ、その位置付け等も含めて検討を行う必要がある」と述べておりますけれども、これはどういうことでしょうか。

谷政府特別補佐人 これは、非常勤職員の問題を検討するに当たりましては、勤務条件の問題にとどまりませず、公務組織の中で非常勤職員はどのような役割を果たし、どのような位置づけをされているのか、どのような役割を期待されているのか、それからまた、いわゆる雇いどめと申しますけれども、任期を設けているわけでございますが、年度末でございますとか、そういった問題、それから定員の問題、こういったことについて非常に多岐にわたる検討をすべき課題があるわけでございます。

 これらの相当部分は人事院の所管外の問題もあるわけでございまして、そういったことについては関係機関とも連携して検討する必要があるわけでございます。

 それから、検討に当たりましては、公務部門内における常勤職員との権衡のみではなくて、民間における非正規雇用従業員の処遇の状況にも留意していく必要があるわけでございまして、そういう意味で、それらも含めまして、関係機関と十分連携をとりながら検討を進めていく必要があるという趣旨でございます。

塩川委員 そういった検討を行っていく中身として、雇いどめの問題や定員の問題のお話がありましたけれども、この間、例えば朝日新聞などに制度の谷間論みたいな、育児休業の話なんかもありましたが、こういうのも含めて検討していくということでよろしいんでしょうか、その点が一点。

 もう一つ、実際、その公務の現場におきますと、常勤の方だけでなくて、非常勤の方がかなりの数いらっしゃる。それに加えて、派遣ですとか請負という形の間接雇用の形態で多くの方が仕事に従事しておられます。そういった非常勤という場合に、直接雇用でない間接雇用のそういった公務における労働の実態ということについても検討を行うとか実態調査を行うとか、そういう考えはないのか。

 以上二点について聞かせてください。

出合政府参考人 お答えいたします。

 非常勤の関係につきましては、今おっしゃられた間接的な部分をまだ調査する状況にありません。現在、各省に勤務しておられる非常勤の実態についてヒアリングをさせていただいているという状況ですので、まずはこちらの方の、ことし報告で申し上げました、勤務の状況に応じた給与が適切に支給されるように検討を進めていきたい、こんなふうに考えております。(塩川委員「制度の谷間の話」と呼ぶ)

 その検討をするときに、ただ給与の話だけではなくて、先ほど総裁からも申し上げましたけれども、勤務条件、勤務時間であるとか休暇であるとか、今おっしゃられた育児休業みたいな周辺の問題もあわせて検討していく必要があるという認識を持っております。

塩川委員 非常勤で民間との比較という場合に、今の民間における非常勤の実態も大変深刻なものだということをリアルに見なくちゃいけないということは改めて強調しておかなければいけないと思っております。

 その上で、最後に大臣に伺います。

 これは、人事院の勧告が出た際に、そのときの安倍総理が、人事院勧告の取り扱いについて、国民の理解が必要だ、その観点から財政状況、経済状況を考慮してよく議論する、結論ありきではないということを述べておられましたけれども、そういう趣旨の指示が例えば第一回の関係閣僚会議において行われたのか、また、新たな福田総理のもとで何らかの指示が出されているのか、その点をお聞かせください。

増田国務大臣 安倍総理、それから今の福田総理になられてから、特に具体的にそういった指示が来ているということではありませんで、これは、第一回目、そして、けさほど第二回目でございますけれども、関係閣僚会議の場で今検討している、こういうことでございます。

塩川委員 大臣、人事院の制度を尊重していく、と同時に国民の理解が得られるかどうかということがありましたけれども、労働基本権制約の代替機能という人事院のそういう勧告を受けとめて、この勧告について誠意を持って当たるということが総務大臣としての対応です。

 その点について一言伺って、終わりにします。

増田国務大臣 我々の立場は先ほど申し上げましたとおりでございまして、そういう我々の立場に立ちまして、基本姿勢に立ちまして、早急に次の閣僚会議をセットして、政府としての結論を得たい、そういうふうに努力していきたいと考えております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 最後になりましたが、十五分間、簡潔に質問いたします。

 まず、百人以上から五十人以上というふうに、これは従前の内容から比べれば大変大きな変化でありますが、本年度の勧告内容に、百人以上から五十人以上に変えたということがどういうふうな形で具体的に反映されているのか。従来の内容と今回の内容においてどういうふうな差異というか、変化というのが出たのかどうか、まずそれを聞いておきたい。

谷政府特別補佐人 その両者で較差の出方がどのぐらい違うかという御趣旨かと思いますけれども、昨年民間調査をいたしました際にはまだ企業規模をどうするかという方針は決まっておりませんでしたので、両様の構えで、両方の可能性を調査いたしまして、内容をそういうふうに細かく分けて把握をして調査をしたわけでございますが、今年度の調査におきましてはもう五十人規模を対象とするという方針を確立しておりましたので、その内容に基づいた調査しか行っておりません。

 したがって、両方の区分でデータを分析するという仕組みでの調査を行っておりませんので、百人規模であった場合にどうであるかという較差については把握しておりません。

重野委員 では、なぜ五十人以上というふうに変えたのかということが、今の総裁の答弁の中にはそういうところは全然出てないじゃないですか。

谷政府特別補佐人 昨年この見直しをいたしました際には、その前段で国会あるいは内閣の方からいろいろな御意見や御要請がありまして、有識者でありますとか学者の方々の御意見も聞き、十分慎重に検討して決めたわけでございます。

 その際に、基本的な考え方は、できる限り広く民間の給与の状況を公務に反映させる。しかし、その際には基本的な原則でございます同種同等の比較が必要でございますので、民間企業におきましても役職段階がきちっと存在していなければならない。それからまた、実地調査で相当の精度の、回収率九〇%の調査をずっと続けてきておりますので、そういう正確な調査が実施できるようなところでなければならない。そういうことを考えまして、五十人以上の規模の企業であればこの二つの条件は確保することができる。それでこの規模を選んだわけでございます。

重野委員 百人以上というところを今度は五十人以上と下げたわけですね。それで、従来の勧告内容とどういう異なる部分が出たんですかという問いに対して明確に答えられぬというのはおかしいんじゃないですか。

谷政府特別補佐人 この変更をいたしましたのは昨年からでございまして、昨年は双方を把握いたしておりましたのでお示しできたわけでございますが、ことしはもう既に特段の事情変更がない限り五十人規模で調査を行うという方針を確立しておりまして、これは昨年の改定に際しましては国会でも御了解をいただいたものと私どもは考えておりまして、そういうことで最初からその前提で調査をいたしましたのでそれ以外の比較データを持っていない、そういう趣旨でございます。昨年は持っておりました。

重野委員 それでは、今度は具体的に聞きますけれども、初任給を中心に若年層に限定して改定を行った、中高年齢層については改定を行わなかったというんですが、勧告によって給与がアップする、そして据え置かれる、それを人数でいったらどういうふうな形になりますか。

出合政府参考人 お答えいたします。

 本年は若年層に絞って俸給の改定を勧告したわけですが、お尋ねの俸給の改定が行われた層と据え置かれた層の人数につきましては、行政職(一)の場合、改定が行われた人数は四万一千五百十三人、率にしますと二四・九%、据え置きとなった人数は十二万五千五十五人、七五・一%となっております。これを俸給表全体、全職員で見てみますと、改定が行われた人数は六万七千百四十七人、率にしますと二三・五%、据え置きとなった人数は二十一万八千三百五人、七六・五%となっております。

重野委員 全体から見れば、アップする人数が二五%前ですね、一方が七六%。

 これはどうなんですか。こういう割合というのは、専門家の立場から見た場合に、こういう分布の面から見たときに、これは妥当な線なんですか。

出合政府参考人 お答え申し上げます。

 妥当かどうかというのは、まずは俸給改定をどの範囲にしていくのが適切なのかという判断がまずあるんだろうと思います。

 ことしの場合には、先ほどから総裁から申し上げましたように、初任給を中心とした若年層のところの民間の伸びが非常に大きくて、公務との間にかなり較差が広がっておるというところを考慮して、一方、千三百五十二円しか原資がございませんので、その範囲でどういうふうに改定をしていくかということで、初任給を中心に三十歳代前半のところで収れんするという俸給表の改定をさせていただいたわけでございます。その結果、職員の大体四分の一がその改定の対象となったということでございます。

 ことしの状況からすれば妥当なものであったというふうに理解をしております。

重野委員 次に、スタッフ職俸給表新設についてですね。

 これがことしの勧告の中では一番目新しいというか、人事院としても強調したい部分だろうということです。複線型人事管理という言葉が盛んに使われるんですが、この複線型人事管理というものの目指す目的というか目標というか、なぜこのことを今声高に人事院として語っておるのか、まずその点について。

出合政府参考人 お答えいたします。

 複線型人事管理、これは非常に幅広い意味があるんだろうと思いますけれども、公務内におきましては年次一律的な昇進管理が行われているという実態があります。そういう中で、早期退職慣行を是正するとともに、一人一人の職員の専門的な能力や適性を生かしたキャリアパスを実現できるというのが、やはり複線型人事管理の導入を検討している目的ということになろうかと思います。

 専門スタッフ職俸給表の新設は、各省における複線型人事管理の導入に向けての環境整備を図るものでございますし、各省において積極的に御活用をいただきたいというふうに考えております。

 ただ、先ほどもお話がございましたが、複線型人事管理については、このスタッフ職俸給表のみで実現できるものではなくて、能力・実績主義に応じた昇進管理の徹底とか昇進コースの多様化など、人事管理全般の中で対応していく必要があるというふうに考えております。

重野委員 次に、給与構造改革について聞きますが、まず、一体何を目指してこの給与構造改革というのをやらなきゃならぬというふうに考えているのかということが一つ。二つ目は、適正な給与水準という言葉がよく使われるんですが、適正な給与水準というのは何をもって言うのか、これが二つ目。それから三つ目は、この給与構造改革は引き続き進める、こういうふうにしているんですが、これは到達点があるんですか。

 その三つについてまずまとめて答弁してください。

谷政府特別補佐人 まず、給与構造改革の目的、ねらいでございますけれども、これは、国家公務員の給与制度の基本でございます職務給の原則、成績主義、これを推し進めますとともに、地域における公務員の給与水準の適正化等を図るということを目的といたして実施しているものでございまして、平成十八年度から二十二年度までの五年間で段階的に実施していこうということで取り組んでいるものでございます。

 それから、適正な給与水準ということでございますけれども、国家公務員の給与水準につきましては、民間企業従業員の給与水準と均衡させる民間準拠を基本としているところでございまして、その比較に当たりましては、主な給与決定方法でございます、役職段階、年齢、勤務地域などを同じくする者同士を対比させるといういわゆるラスパイレス方式を採用して、精密な比較を行って、給与水準の適正を確保しているところでございます。

 それから、この給与構造改革におきましても、その民間の地場賃金との均衡を考慮いたしまして、地域の民間水準がより適切に反映されますように、給与水準を平均四・八%引き下げました一方で、民間賃金水準が高い地域では地域間の調整を図るための手当を支給するということにいたしまして、その際、あわせまして、年齢層に応じました給与カーブ、これを見直してフラット化を図るというふうな構造改革を行いました。

 それで、その給与構造改革はどこまで行ったら完結するのかという御質問だったと思うんでございますけれども、ただいま申し上げましたように、五年かけて現在進められております給与構造改革につきましては完結することといたしております。

 現在取り組んでおります給与構造改革は、今申し上げたような観点から五年間で逐次実施をしていくものでございますけれども、この終了後におきましても、国家公務員の給与のあり方そのものにつきましては、民間賃金の動向を初めとする公務をめぐります諸情勢の変化に対応して、適時適切に見直しをしていく必要があると考えております。

重野委員 最後に、総務大臣、先ほどからそれぞれ質問が出ている、いわゆる勧告がされたんです、給与閣僚会議、懇談会がまだ結論を出していない。これはやはり、総務省の場合は地方公務員に極めて大きな影響を持つわけで、地域の経済あるいは地域の労働者に与える影響等々、公務員の給与改定というのは影響が大きいわけですね。下向きじゃなくて上向きにやはりリードしていく、そういうふうな視点というものも私は大事じゃないかと。

 地方においても、地方経済はもう疲弊の一途をたどっています。ある意味では、市町村合併が行われて、昔そこに役場があったんだけれども、もう今支所で五人しかいないとか、そこは商店街があったのが消えたとか、そういうものがやはりあるわけですね、地方に行けば。そういうやはり意識というのを大臣はしっかり踏まえて、速やかにこの勧告が完全実施されるようにリードしてもらいたい、そのことを要望して、また答弁をいただきたいと思います。

増田国務大臣 早急に次回の閣僚会議をセットしていきたいというふうに思っているわけでありますが、この勧告制度を尊重する、こういう基本姿勢に我々立っておりますから、そうした上で、国民の理解を得るための方策を推進して、そして、とにかく早急に次回の会議をセットしたい、こういうふうに考えております。

重野委員 終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会


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