衆議院

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第5号 平成19年11月15日(木曜日)

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平成十九年十一月十五日(木曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    平  将明君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    松本 文明君

      山本ともひろ君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   財務副大臣        森山  裕君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局勤労者生活部長)      氏兼 裕之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役

   兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     平  将明君

  古屋 圭司君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     関  芳弘君

  山本ともひろ君    古屋 圭司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長高木祥吉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長片桐裕君、総務省自治財政局長久保信保君、総合通信基盤局長寺崎明君、厚生労働省大臣官房審議官木倉敬之君、労働基準局勤労者生活部長氏兼裕之君、国土交通省大臣官房総括審議官大森雅夫君及び大臣官房審議官内田要君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。御声援、まことにありがとうございます。しっかり頑張ってまいりたいと思います。

 きょうは、一般質疑の時間をいただきましてありがとうございました。渡辺委員長それから与野党の理事の皆様、委員の皆様にまず御礼を申し上げたいと思います。それから、増田大臣には質問させていただくのは初めてということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、一般質疑ということで何をやってもよかったんですけれども、インターネットの利用、特に不適切なものについてどうするかという話を取り上げさせていただきたいと思っております。

 十月十八日、この委員会が始まるに当たりまして、総務大臣発言で、いろいろな情報通信関係の施策を並べて、「これらの施策を通じ、ICTの恩恵をだれもが享受できるユビキタスネット社会の実現に努めます。」こう増田大臣が御発言になりました。もちろん、その恩恵をどんどん享受できるようにというのは進めていっていただきたいと思っておるわけでありますけれども、現実には必ずしも一方的に恩恵ばかりがあるというものでもないというのは、残念ながら現状なんだろうと思います。最悪、インターネットのやりとりなどを通じていろいろな事件あるいは犯罪などが発生したり誘発されたりということが起こっているというのは、もういろいろ報道がされているとおりであるわけであります。

 だから、害悪と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、そういったものをどのようにして減らしていくのかということも考えていかなければならない。特に政府、その中でも情報通信をつかさどる総務省さん、しっかりと十分に関心を払っていただきたいと思っておりますし、また、私たち国会としても議論はしなければいけないだろうというふうに思っております。

 実は先日、十一月六日、衆議院の青少年問題に関する特別委員会で、玄葉先生お越しになっておりますけれども、子どもとインターネットをめぐる諸問題ということで、学識の方などを参考人としてお招きして取り上げられておりました。議事録を私も拝見させていただきましたけれども、特に青少年がインターネットというもので大変いろいろな影響を受けている、悪い影響を受けているところもあるということがるる明らかにされたわけでありまして、これは私たち総務委員会としてもぜひ取り上げなければならぬだろうというふうに思っております。

 さはさりながら、当然ながら、憲法第二十一条というのもありまして、表現の自由でありますとか通信の秘密というのも書いてあるところでありますから、そういうことも頭に置いておかないといけませんし、民間主導でインターネットというのはこれまで爆発的な普及をしてきた、そこで、では国が何かに取り組むのが望ましいことなのか、あるいは民間ベースでやってもらうのがいいのか、そんなことも頭に入れながら議論していかなければならない、結構難しい問題なんだろうというふうに思っております。

 しかしながら、やはり取り上げていくというのは大事だと思いますので、問題提起として、きょうは幾つか論点を取り上げさせていただきたいと思っております。

 まず最初の一点目、迷惑メール、あるいはスパムと呼ばれますけれども、そうした問題についてであります。

 議員の先生方も、メールは当然もう活用されていらっしゃる方が多数だと思いますし、日々、ではメールを見ようと思って取り込むと、大量の要らないメールがいっぱい入ってくるというのは体験されているだろうと思います。自分の場合、さっき数えてみましたら、きのう一日では六十五通、おとついでは五十五通来ておりました。毎日そのぐらい来ています。必要なメールが紛れ込んじゃって間違えて消しちゃったりとか、そういったことも起こっておりますし、もっと多い人も当然いらっしゃるでしょう。

 そうした状況につきまして、二年前に勤めをしていたときにちょっとした作文を書いたことがあるので、資料の一枚目につけさせていただきました。これは時間のあるときにでもごらんになっていただければと思います。

 これはコラムなのでおもしろおかしく取り上げて書いておりますけれども、現実問題として、例えばこういういろいろな出会い系のサイトとかの勧誘みたいなものをクリックして、そのサイトを見て、そこからいろいろなものに巻き込まれていく、そんなこともあるわけでありまして、こういうものがずっと放置をされているというのはきっといいことではないのだろうというふうに思っております。

 実際、二〇〇二年には特定電子メールの送信の適正化等に関する法律というのが定められておりまして、二〇〇五年に改正もしています。しかしながら、現状は今申し述べたようなところでありまして、減っているようにも思いませんし、その法律では、そういうスパムのメールというか広告のメールに「未承諾広告※」というのをつけて送るというルールが決まっておりますけれども、いっときそういうのもありましたけれども、最近全然見かけなくなったなというのが正直なところであります。

 だから、この法律というものをもう一回見直していかないといけないのだろう。規制を強化するのがいいのかどうか、それはいろいろ議論がありますけれども、やはり法改正というものも検討していかなければならないのではないかというふうに思っておりますけれども、大臣の方から、ちょっとそのあたりの御見解を教えていただきたいと思っております。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今先生の方からお話がございましたとおり、迷惑メールの対策につきましては、二〇〇五年に特定電子メール法の改正を行いました。それから、電気通信事業者の自主的な対策というものもこの間進んでまいりましたけれども、しかし、それにもかかわらずと申した方がいいかもしれませんが、メールの中でのいわゆる迷惑メールは全体的に依然として増加傾向である。それから、お話にもございましたとおり、ますます巧妙化をしている、あるいは悪質化をしている。相手側もさすがに先を行って、いろいろな手の込んだやり方をしてくる、そういうことでございます。

 そこで、総務省の方でも、これに対して何かやはりきちんとした手を打たなければいけないということで、ことしの七月、前大臣のときでありますが、迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会というものをつくりまして、そこでいろいろな関係者の皆さん方に検討していただいてきております。

 それが十月に中間取りまとめということで、まとまりました。今、これについてパブリックコメントにかけているところでございますが、その中で、幾つか論点はございますけれども、全体としては、こうした悪質化、巧妙化する迷惑メールに対しての対応を強化する、それから、法の実効性の強化という観点から、十七年改正に続いてさらにこの法律の見直しを行うべき、こういう方向が打ち出されているところでございます。

 まだパブリックコメント中でもございますので、さらにそこで寄せられた意見も勘案しなければいけないと思いますけれども、やはり社会の実態として非常に迷惑が生じているということがございますので、今後また、次期通常国会への法案提出の準備も含めて、私ども内部でよく検討して、そして必要な措置をとっていきたい、このように考えております。

橋本委員 次期国会へ提出を含めてということで、いずれまた議論をする機会もいただけるということであります。検討中、パブコメ中ということでありますからまだまだ続くのだと思いますけれども、しっかり見ていかないといけないなと思うところであります。

 その改正の方向として、今、そういう広告のメールについてはオプトアウトという方式になっていると承知をしております。要するに、要らない人はこちらに連絡してください、そうしたらとめますという方法であります。でも、そうすると、メールを送信する人に自分のメールアドレスを教えるということになりますので、怖くてそんなことできないんですね。正直言って、この方式というのはもう破綻しているというか現実的には機能していないんだろうと思います。

 そういう意味で、オプトインという方向の検討というのはされているのではないかと思うんですが、されているかどうか、それから、ユーザーから見て、では実際そのオプトインという手法になったときにどういうふうになるのかということを教えていただけませんでしょうか。

寺崎政府参考人 お答えいたします。

 迷惑メール対策に関しましては、諸外国の法律では、欧州を中心に、広告宣伝の電子メールにつきまして、事前の同意を取得したものに関して送信を認めるといった、いわゆるオプトイン方式の導入が進んできております。

 また、我が国では、先生がおっしゃったとおり、拒否の通知をした者への送信を禁止する、いわゆるオプトアウト方式について導入されていますけれども、実態として規制が形骸化しているのではないかといった指摘も受けているところでございます。

 こうしたことから、現在、総務省で開催している迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会の中間取りまとめ案におきましては、現行のオプトアウト方式の見直しを行いまして、オプトイン的な考え方を導入することが適当ではないかとの指摘がされているところでございます。

 ただし、この中間取りまとめ案では、現行のオプトアウト方式の見直しに当たりましては、正当な営業活動の一環としての電子メールの利用に過剰な負担となるような方式を避けるべきという指摘も受けています。

 総務省としては、こういった議論を踏まえて、今後、具体的な制度設計を検討してまいりたいと思います。

 なお、具体的なやり方につきましては、広告宣伝電子メールの送信を正当な営業活動で行う場合には、既にオプトイン的な運用が大勢を占めておりまして、その場合の具体的な同意の取得に関しましては、例えば、ウエブサイト上で同意をとるだとか、店頭で申し込みを受けた際に同意を得るといったような形で行われております。

橋本委員 実際、オプトイン方式というのはまじめなところで既にとられているところも多くて、そうでないところをどうするのかというのが実は問題だったりするわけであります。そうした点も含めて、しっかり考えていかなければいけないだろうと思います。

 続いて、出会い系サイトの問題というのをちょっと取り上げたいと思います。

 これも、援助交際の温床となっているとか、いろいろな指摘があります。これについても、実は、出会い系サイト規制法というものがありまして、十八禁の表示をする、そのほかいろいろな規制があるわけです。一応、それについて資料二がございまして、実際、そうしたもので事件の被害児童数というものがグラフになってあります。法律を改正して少し減ったけれども、またふえている。千件以上、そういう被害児童数というのがあるという状況であります。だから、これが効果を上げていると必ずしも言い切れないところもあるんだろうなと思います。

 この出会い系サイト規制法について、課題として、今どのように考えていらっしゃるか、また今後どのように考えているか、教えてください。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 出会い系サイト規制法、御承知のとおり、附則第二条に、第七条、今おっしゃられた十八禁の表示でございます、それと第八条、利用者が児童でないことを業者が確認しなければいけない、こういった規定について、施行後三年を経過した段階で必要に応じて見直しをすべき旨の規定があるところでございまして、施行が平成十五年十二月でございますので、昨年十二月にその三年が経過をしたということでございます。

 また、今御指摘があったように、出会い系サイト規制法施行後、一時この被害児童数は減ったのでございますが、それが最近またふえているということで、こういった児童の被害をいかに防いでいくかが大きな課題であるというふうに認識をいたしております。

 こうしましたことから、警察庁では、先般、出会い系サイト等に係る児童の被害防止研究会を設置いたしまして、この第七条、第八条を含めて法全体の問題点と今後の対策のあり方について御検討いただくことにいたしたところでございます。

 検討の論点は、主に、不適切なサイト運営を防ぐための事業者としての責任をどう考えるか、また、児童による利用をどう防ぐかといった二点であると考えておりますけれども、今後、こういった研究会での議論を踏まえながら、法律の改正を含めて、児童の被害防止のための実効的かつ相当な対策を検討してまいりたいと考えております。

橋本委員 こちらも研究会をつくって、法改正も含めて検討中ということであります。大変大事なことでもありますし、ただ、冒頭申し上げたように、通信の秘密だとかそうした権利保護という視点もあるので大変難しいところもありますけれども、しっかり議論をしていかなければならないのだろうということであります。

 ただ、今、迷惑のメールだとか、あるいはあからさまな出会い系のサイトについてはこういう規制がありますという話をしたわけでありますけれども、出会い系とかではなくて、一般の、例えば個人のブログのサイトだとか、あるいはコミュニティーサイト、ミクシィだとかいろいろございますけれども、そうしたところ、もしくは自分でつくったホームページ、あるいはプロフという自己紹介用のサイトなんかも最近あるようですね。そうしたところに、例えば高校生とかが自分で自分の個人情報を書き出す。何とか高校の何年生ですよ、携帯電話はここ、メールアドレスはこうですよ、どこか一緒に遊びに行きましょうなんて書いてしまうことで、それが犯罪に巻き込まれるきっかけになってしまうとか、あるいは、例えば人の悪口を書くということが、ある学校の裏サイトとか言われるのもありますけれども、そういったものが積もり重なっていじめにつながっていくようなこともある。もっとひどいことにつながることも当然あるわけでありまして、あからさまに出会い系とかではないところをどうしていくのかというのが実は物すごい課題なんだろうと思います。

 親や教師がという話もありますけれども、親や教師は、携帯でこんなことをやっていて、一体どこにアクセスしているのか、何を書いているのか全然わかりませんから、把握できない、学校の先生もついていけないという現状もあるようであります。

 こうした点について、どのように対策を考えておられるか、総務省さん、教えていただけますでしょうか。

寺崎政府参考人 お答えいたします。

 出会い系サイト以外のいわゆるインターネットのコミュニティーサイト等におきましても、個人情報の公開がトラブルということで問題になることがあるということで、未成年者におきましては特に注意して利用する必要があると思います。

 総務省及び電気通信事業者は、文部科学省と連携いたしまして、保護者、教職員及び児童生徒を対象にしました、インターネットの安全、安心利用に向けた啓発活動でございますe―ネットキャラバンを実施するなどしまして、利用者啓発の充実に取り組んでおります。ちょうど一年半ほど実施させていただきまして、十万人以上の方に聴講していただいております。

 e―ネットキャラバンにおきましては、掲示板、チャットなどの利用につきまして、そのサイトの信憑性を確かめて、むやみに個人情報を書き込まないような、そういう啓発を行っております。

 また、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリング、こういったものは有害情報から青少年を守るために有効な対策というふうに考えておりまして、昨年十一月、総務大臣から携帯電話事業者等に対して、その普及促進の取り組み強化を要請しているところでございます。

 このような取り組みの結果といたしまして、携帯電話のフィルタリングサービスの利用者は、一年間で約三・三倍と急増いたしまして、現在、九月末の時点で二百十万人を突破するなど、一定の成果が上がっているものと認識しています。

 今後、総務省としましては、フィルタリングのさらなる導入促進を進めていくことが必要だと思いますので、インターネット上の違法・有害情報への総合的な対応の検討のための会合を十一月下旬に開催するなどしまして、引き続き積極的なフィルタリングサービスの導入促進等に努めてまいりたいと思っています。

橋本委員 今、e―ネットキャラバン、それからフィルタリングの取り組みについて御紹介がありました。まだまだ知られていないと思いますので、ぜひとも啓発活動の方、しっかりとしていただきたいと思いますとともに、これは資料三を委員の先生方、ごらんいただきたいと思います。これは総務省さんの資料で、今、携帯電話のフィルタリングサービスについての利用状況ということです。

 利用者がふえているというのはいいことなんですが、右下の、「子どもにフィルタリングを利用させていない理由」という円グラフがありまして、ここで丸で囲んでいる二つのカテゴリー、「親子でコミュニケーションをとり、利用のルールやマナーを身につけさせればよい」あるいは「子どもを信用しているから」というので合計六〇%あるんですね。そのほか、「知らなかった」とか、「必要性を感じないから」云々というのが残りであります。

 この絵、今白黒でコピーしているんですけれども、実はカラーでありまして、丸がついている、さっき申し上げたところで、青い文字で書いてあったんですね。これ、「子どもを信用しているから」と親が答えているのでありますけれども、実際何をやっているか、親が子供のことを全部把握しているか、あるいは携帯電話で何を書いているか。こういう親御さんがたくさんおられるというのは、実は危ないんじゃないかと思います。だから、実際のところ、今e―ネットキャラバンは学校などが中心になりますけれども、親御さんなどに対してもぜひとも普及啓発みたいなものが要ると思いますし、さっきの出会い系サイト規制法でも、保護者の責務というのがあって、児童がアクセスしないように必要な措置を講ずるよう努めるという努力義務が保護者にかかっています。実は、このことを調べるまで僕は知りませんでした。それは自分が不勉強なんですけれども。しかしながら、そういった現状というのもあろうかと思いますので、引き続きこうした議論をしっかりと続けていって、被害を減らしていく。インターネットをみんなが楽しく使っていただけるようにこれからも議論していかなければならないし、関心を払っていただきたいと大臣にもお願いを申し上げまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 国会は動いているのか、とまっているのかよくわかりませんけれども、紛れもなく延長国会、動いているわけでありますから、しっかりとこの総務委員会、議論を続けていきたい、このように思っております。(発言する者あり)もっとしっかり動けという声もありますけれども、だれがだれに向かっておっしゃっているのかよくわかりませんけれども、我が委員会はしっかり議論を続けていきたい。

 きょうは、限られた時間でありますから、二題、議論をいたしたいと思います。一点目が、地方公共団体の財政健全化法の取り組みについて、それからもう一点、これも地方が大変関心を持っておりますが、公立病院改革、大臣にはちょっと耳の痛い話かもしれませんが、この二題について議論をしたいというふうに思っております。

 一点目が地方公共団体の財政健全化法でございますが、ことしの通常国会、六月に成立をいたしました。指標の公表は平成十九年度決算から、財政健全化計画の策定義務というのは平成二十年度決算から適用されるというふうに理解をしております。

 ただいまそれぞれの地方自治体では、健全化判断比率、これはそれぞれ監査委員会の審査を受けて公表しなきゃならぬというわけでありまして、悩みながらそれぞれの自治体が取り組みをされている。とりわけ、ただいま年末に向けて、来年度の予算あるいは税制改正の中で、地方の財政がどうなるのかということ、下手をすると交付税をもっと減らされるんじゃないかという大変な悩みのある中で、この財政健全化法の取り組みについても、それぞれの自治体が今悩みながら取り組みをされている、こういう状況だろうと思っております。

 最も今注目をされておりますのが、早期健全化基準がどういうハードルになるのかということをそれぞれの自治体は気にされているのではないか。十八年度決算が、速報値がそろそろ発表されたという状況でありますが、どんなハードルになるのかなと。もちろん赤字再建団体になるわけではないんだけれども、やはりここは、それぞれの市町村、議会に対しても、あるいは市民、住民に対しても、執行部としても、とりわけ首長さんあたりは大変お悩みになっているだろう、こう思っているわけであります。

 そこで、どういう数値になるのか、ハードルになるのか、総務省における検討状況をお示しいただきたい。いつごろ明らかになるのかも含めてお話をいただきたいと思います。

久保政府参考人 地方公共団体の財政健全化法の四つの比率、財政指標の算定方法でございますとか、あるいは早期健全化、財政再生の基準などにつきましては、年内の政省令の整備を目指しまして、現在、地方公共団体の御意見をお伺いしながら検討を行っているところでございます。

 その検討に当たりましては、現行の再建制度でございますとか、現行の地方債制度の運用を踏まえまして、四つの指標間の整合性、これも勘案をいたした上、どうするかといった検討を進めているところでございます。本日も、この時間帯で、地方公共団体を集めまして、説明会の開催を今いたしております。そこで私どもの基本的な考え方をお示しするなどして、必要な意見交換を行っております。

 具体的には、実質赤字比率、これの財政再生基準でございますけれども、これは現行再建法の起債制限の基準、すなわち、標準財政規模に対して、都道府県でありますと五%、市町村は二〇%の赤字、この基準を用いるということ、これを基本としたいと考えておりますとともに、実質赤字比率の早期健全化の基準につきましては、現行の地方債制度におきます許可移行基準、これは財政規模に応じまして標準財政規模の二・五から一〇%を許可移行基準にしておりますけれども、これ以上の数値を基本として検討を進めております。

 また、実質公債費比率につきましては、昨年から同意基準というのをつくって運用しておりますけれども、そこにございます、二五%以上で単独事業債の起債が制限をされますし、三五%以上で公共事業などに係る地方債も制限されるといった運用を昨年から行っておりますけれども、これを念頭に置いて、早期健全化基準を二五%、そして財政再生基準を三五%にするということを基本にして検討しているというところでございます。

 また、連結実質赤字比率につきましては、実質赤字比率の基準をベースにしながら、公営企業会計におきます経営健全化などを踏まえた数値を参考にして検討をしているところでございます。もう少し時間をいただきたいと思っております。

 また、将来負担比率、これにつきましても、算定要素の多くが実質公債費比率と共通するということがございますので、それを踏まえて、実質公債費比率の早期健全化基準などを参考として、これも検討しております。もう少し時間をいただきたいと考えております。

 引き続き、地方公共団体の御意見等を伺いながら検討を進めて、年内に政省令を整備してまいりたいと考えております。

桝屋委員 大体我々も年内に結論が得られると理解をしているところであります。しっかり地方の声を聞きながら進めていただきたいと思いますが、先日、我が党内も、政令市議会の議員と懇談をいたしました。その中で、悲鳴のような声が伝わってまいりました。今お話のありました実質公債費率の算定に当たっての話でありますが、例えば政令市あたり、都市計画税も算定に当たってはぜひ考慮してほしい、評価してほしいという声がありました。恐らく、標準財政規模を考えた場合、都市計画税を取っているところ、取っていないところはあるんだろうと思うんですが、その辺を、ここは政令市にとっては非常にぎりぎりのところだろうというふうに私も伺ったわけでありますが、強い要請をいただいたわけであります。

 ここはぜひ地方の声も、恐らくそういう声も伝わっていると思いますが、どのようにされるのか、善処をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

久保政府参考人 私どもに対しましても、政令指定都市から、実質公債費比率の算定に関しまして御指摘のような具体の御要望をいただいております。

 都市計画税でございますけれども、これは市町村が目的税として課すことができる税でございまして、課税するか否かは各市町村の判断にゆだねられているということ、そして標準税率のない税であるといったようなことがございまして、標準財政規模の計算におきましても、標準税収入ではないといって除外されている、分母から外されているといった状況がございます。

 ただ、私どもといたしましても、さまざまな課題があるわけでございますけれども、都市の主要な税収でもございますし、また、御指摘のような御要望も強いということもございまして、何らかの形で算定に反映できないか、そういう観点で今鋭意検討をしております。

桝屋委員 何らかの検討を、何らかの方向を、何らかの善処の方向を、こういうことなんでしょう。期待をして見守りたいと思っております。

 いずれにしても、財政健全化計画をつくられる市町村、義務づけになる市町村がどれぐらいになるのか、自治体がどのぐらいになるのかということも気になるところですが、余り多いとどうかなという気もしますし、全くないというのも変でありますし、年末に向けて適切な検討をしていただきたいとお願いしておきたいと思います。

 時間もありませんから、次のテーマに行きたいと思いますが、公立病院改革であります。

 この公立病院改革、本年の骨太二〇〇七をスタートといたしまして、平成十九年内に各自治体にガイドラインを示して、経営指標に関する数値目標を設定した改革プランを策定するように促すというのが骨太の記載であったと思います。

 その骨太方針に基づいて、既に公立病院改革懇談会においてガイドライン案が決定をされて、今、年内に向けて総務省の作業が進められているというふうに理解をしておりますが、今回の公立病院改革の目的というものを、ここはもう一度確認しておきたい。中には、地域住民にとっては、我が地域の病院がなくなる、とりわけ公立病院がなくなると心配をする懸念の声もあるわけでありまして、今回の公立病院改革の目的についてお示しをいただきたいと思います。

久保政府参考人 公立病院は、過疎地域におきます医療でありますとか救急などの不採算医療など、地域医療の確保に重要な役割を果たしておりますけれども、近年、多くの公立病院において、その経営状況が悪化をしておりましたり、あるいは医師不足の深刻化といったことで、医療の提供体制自体の維持が極めて厳しい状況になっているのではないかと考えております。

 今回の公立病院改革の目的でございますけれども、これは懇談会のガイドライン案でも示されておりますように、改革を通じて、公と民間、公、民の適切な役割分担のもとに、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあると考えております。

 このため、各公立病院は、地域医療の確保のためにみずからに期待されている役割を改めて明確にして、必要な見直しを行った上で、安定的かつ自律的な経営を行いつつ、良質な医療を継続して提供することができる体制を構築していくことが求められていると考えております。そのためには、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しといった三つの視点に立った改革を一体的に推進していくということが必要ではないかと考えております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 決して公立病院をなくすということが今回の改革の目的ではない、あくまでも良質な地域医療を確保する、その中で公立病院の役割というものを認識しながら地域医療の確保を図るということが目的だろう、こう思っております。

 ただ、既にマスコミでも報道されていますように、経営指標に係る数値目標、例えば病床利用率であるとか人件費率であるとか、経営指標の観点だけで検討すると、これはもうこの病院はない方がいいという結論が簡単に導き出せるような、そんな感じもしないわけでもないわけでありまして、とりわけこの経営指標に係る数値目標というのはどういう、今三つおっしゃいましたけれども、これだけで、経営指標だけで、ではその病院が必要かどうかという判断をされるのじゃないかという不安を住民は持っているわけでありますが、改めてそのあたり、御説明をいただきたいと思います。

久保政府参考人 今回のガイドライン案におきましては、財務内容の改善に係る主要な経営指標といたしまして、御指摘にありますように、経常収支比率、職員給与費対医業収益比率及び病床利用率について数値目標を設定するといったもののほかに、医療機能の確保に係る指標というものも記されておりまして、例えば、救急医療に係る取扱件数でございますとか、臨床研修医の受け入れ人数あるいは患者の満足度、そういった指標についてもこの案では触れております。公立病院として提供すべき医療機能の確保ということについて、やはり数値目標というのもあるだろう、こう考えております。

 そして、財務内容の改善に係る指標につきましては、これは法律上、経費の負担区分の原則がございまして、不採算部門に対する一般会計等からの所定の繰り出しが行われるということがございますので、それが行われた後で経常黒字が達成されるという状態を想定いたしまして、これに対応した水準で目標数値が定められるべきであると提言されております。

 ガイドライン案におきましては、こうした考え方に立って、各公立病院単位で、その経営の実態を踏まえながら目標数値を定めるというふうにされております。各病院が一般会計からの繰り入れに見合った医療機能を果たしながら、経営の効率化に取り組むことを促す、そういったことが配慮されていると考えております。

桝屋委員 最後に大臣のお話を伺いたいのであります。

 確かに地域医療の医療体制の確保というのは必要なんですが、例えば人口十万程度の都市でも、市立病院もあれば日赤があって、済生会病院がありその他民間の総合病院もある。片方では医師不足だというようなことがありまして、やはり医療を効率的に運営するということは厚生労働省の行政だけではなかなかできないということもあり、公立病院の役割というものが、岩手県、県立のネットワークでおやりになっているわけであります。

 きょうの新聞でも、産める病院が一割減なんというセンセーショナルな記事が出ておりまして、二次医療圏のうち、出産できる病院が一つもない医療圏がいっぱいあるというようなことも書いてありました。

 こうした実態の中で、公立病院の役割、不採算部門をやはり公立が担うということも必要だろうと私は思っておりまして、そこはよほどそれぞれの地域で、これからガイドラインに沿って検討いただくのだろう、こう思っておりますが、そのための総務省が示すガイドラインあるいは病院改革プランの考え方だろうと思うんです。そうはいっても、やはり行革の集中改革プランのように、国がばんと決めて、さあ、あなたたち、来年中に計画をつくりなさいよ、改革プランをつくれというやり方もどうかなという気もします。

 集中改革プランのときは全然やらなかった県もあります。鳥取県の片山さんなんか、嫌だ、何で中央から言われなきゃいけないんだと。この気持ちもわからぬわけではないのでありますが、しかし、この問題はどこかが言わないと進まない。私は、総務省の取り組みは評価をしているわけであります。

 そうだとするならば、大臣、そこまで国がリーダーシップを持って指導的立場でおやりになるのであれば、その改革プランに対して的確な国の支援というものはぜひお考えいただきたいし、用意をしていただきたい、こう思っておりますが、大臣のお話を伺いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 こうした自治体の公立病院改革、大変難しさも伴います。私の経験でも、釜石で県立病院と市立病院がございまして、全体の病床が人口減の中で著しく過剰になりましたので、いろいろ統合を試みました。結果としてでき上がりましたが、その間の議論に大変時間がかかりましたし、御理解いただく上でいろいろな措置が必要でございました。総務省からも、身分を安定させるための退職手当債等いろいろお認めいただきまして、何とか実現いたしました。

 自治体がこうした再編などに取り組む場合には、もっと都道府県が主体的に地域に参画していかなければならないということと、国においても必要な財政支援をきちんと講ずる、そういうことによって初めてこの改革がなし遂げられるわけで、私どもが今回示す改革プラン、ガイドラインというものも、やはりそういったものも伴ったものでなければいけない、このように考えるわけであります。

 したがいまして、各地域でそれぞれ二十年度に改革プランをつくっていただくことを要請するわけですが、その際には、例えば病院の再編に伴う一時的な財政負担、これは例えば取り壊し費用であったり、あるいは中核的なところにいろいろな機能を集約するのであれば、そこに地域としては恐らく高度な医療機能を備えてほしいとか、いろいろな御要望が参ります、そうした一時的な財政負担というものが生ずる場合が多かろうと思いますので、そうしたものについて、必要な経費を財政上我々が支援するということも必要だろうと思います。

 具体的な支援策については、今、いろいろ中で議論して年末までに決定をすることとしてございますけれども、きちんとそうした内容の伴ったものを私どもといたしましても用意をして、その上で各自治体、地方団体の方にお示しをして、その上で改革プランを実効あるものにしていただくようにしていきたい、このように考えております。

桝屋委員 我々も、与党の一員として努力をしたいと思います。具体的な内容が決まりましたら、またこの委員会で議論したいと思います。ありがとうございました。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 きょうは、地方分権改革、そして地方の再生、さらには、先ほど橋本委員もお尋ねになりましたけれども、特に子供とインターネット、この三点についてお尋ねをしたいというふうに思います。増田大臣には、特に、地方の再生あるいは地方の分権改革、これについては感動するくらいの進捗を期待したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、地方分権改革の基本的なポイント、大枠について、きょうは議論をしておきたいというふうに思います。

 まず、そもそもこの分権改革はなぜ必要なんだというそもそも論、目的についてお尋ねをしたいんです。それは、目的によっては、あるいは恐らく目的は複数あるんだと思いますけれども、その優先順位によっては改革の方向性が違ってきますので、改革の目的について増田大臣のお考えを端的にお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 地方分権改革の大きな目的や理念について、お尋ねがございました。

 我が国は、今日までの国づくりの中で、中央集権、中央がさまざまな自治体をコントロールして、そして、中央の考え方のとおり国づくりを進めていく、こういういわゆる中央集権体制が今まで非常に根強くとられてまいりましたし、いまだにそうした考え方はあちこちに浸透しているところでございます。

 これからは、地方の自由度を拡大する、そして、自由度を拡大するということは、その裏側に当然責任も伴うわけでありますが、そうした地方の自由と責任の中で、地域地域が本当に民主主義に基づいた自治を展開していく、これが今後の国づくりの中で大変重要なことではないか。権限や財源をできる限り地方にゆだねる、これは、国と地方のきちんとした役割分担に基づくものでございます。

 そうした権限や財源を地方にできるだけゆだね、そして、地方の責任のもとに地方が自立をしていただく、このことが、将来の我が国の国づくり、ひいては国民のさまざまな利益、そして福祉の向上につながる、こういう目的で分権改革を進めていくべきもの、このように理解をしているところであります。

玄葉委員 地方の自由度を拡大する、もちろんそれに伴って責任が伴う、これが一番大きいというお話ではないかというふうに思います。基本的に、そこは同感であります。特に、自由度を拡大して、いわば潜在力のふたをあけるというか、そういったことが大事なことなのではないかと私も思います。

 そういう意味では、今までも議論になっていたようでありますけれども、これまで、地方分権一括法で機関委任事務が廃止をされた、これはよかったと思います。

 その後の三位一体改革で、例えば、税源移譲が三兆円なされたけれども、補助金あるいは負担金、これらがたしか四・七兆くらい減った、あるいは地方交付税交付金が五兆程度減った、こういった問題。あるいは、特に義務教育の国庫負担金、これは教職員の負担金ですね、さらには児童手当の負担金、それぞれ国庫の負担を減らした。しかし、地方の裁量は全く広がらないというか、地方の裁量は全くそのままにして、いわば手足を縛ったまま負担だけ押しつけた。こういう、改革と言えるのかどうかわかりませんけれども、こういったことについて、大臣としてはどういう評価をされているか、お尋ねをしたいと思います。

増田国務大臣 この三位一体改革でございますけれども、当時私も、地方の首長として、この改革の理念というものに大変期待もいたしました。その理念というのは大変大事なものでありまして、地方の財政的な自由を確立する、こういうことであったんだろうと思います。

 しかし、その中で、やはり中央省庁も大変抵抗を示したということによるんだろうと思いますが、今先生からお話ございましたとおり、結局、三つの柱のうちの補助金改革も、単なる補助率の引き下げのような形が行われました。二分の一補助であったものが、国の補助を三分の一に引き下げるということだけで、結局、いわゆる国の義務づけのようなものがそのまま維持されるというものは多うございました。

 したがいまして、三兆円の税源移譲、これは地方の一般財源に振りかえるという理念をあらわしたもので、これは当委員会でもお答え申し上げましたとおり、財政的な自立に向けての第一歩を記したものというふうにそこは評価をいたす部分もございますが、しかし、補助金改革などは中途半端に今終わってしまっている。それから、御案内の五・一兆の交付税の削減、これも特に財政力の弱い地方団体の財政を非常に厳しくするという結果をもたらしているわけでありますので、結果として、行われたこの三位一体改革、その影響というものは、そのとおり、その影響というのは直視をして、そのまま重く受けとめなければいけないのではないか、このように考えているところであります。

玄葉委員 先ほど具体的に申し上げた、例えば義務教育の国庫負担金あるいは児童手当の国庫負担金、これはそれぞれおっしゃったとおり、いわば単なる補助率の引き下げに終わってしまった。裁量を与えた上で減らすのなら私は理解をいたします。しかし、裁量を全く与えずに減らした。こういう具体的な点について、多分増田大臣は全く評価しない、こういう考えではないかと思いますが、もしそうであるとすれば、それを戻すお考えはないかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

増田国務大臣 三位一体改革が行われまして、私はやはり、財政的な自立に向けての一歩をしるした、このように思っております。

 次にこれをどのようなやり方で、これまでの三位一体改革の結果というもののきちんとした検証といいましょうか、反省点も踏まえて、掲げている理念に向けてどのようにきちんとした方向に向けて進めていくのか、そういう考え方が大事ではないかというふうに思っております。

 したがいまして、今分権委員会等でいろいろな議論も行われておりますけれども、権限のみならず財源も地方にゆだねるわけでありますが、そのときに、やはりできるだけ、本当に地方の自由と責任の中で財政運営が行われるような考え方、やり方というのを、今後も私も模索をした上でこの分権改革というものに取り組んでいきたい、このように考えております。

玄葉委員 今の私の質問は、具体的に、義務教、児童手当、この先般の単なる補助率の引き下げの評価と、もとに戻す考えがあるかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。

増田国務大臣 やはり、この間行われたものでありますので、戻すというわけには現実なかなかいかないだろう。むしろ、まだこれについて自由度が決して高まっていない、このことは現実の事実でありますから、これを今後自由度を高めるようにどのように取り進めていくか、こういうことが大事ではないか。戻すというよりはむしろ自由度を本当に高めるためにどのように進めていくか、これが大事ではないか、このように理解をしております。

玄葉委員 それでは次に、いわゆる分権改革推進委員会というのが今つくられて、たしか増田大臣も大臣就任前は座長代理をされておられたということだと思いますけれども、この位置づけが、かつての分権改革委員会でしたか、それはたしか答申に対して尊重義務があったと思いますけれども、分権改革推進委員会というのはいわば一生懸命答申を出しても尊重義務がないということで、そういう意味では、これは必ずしも答申が出たときに法律になるということではないというふうに考えた方がよいのかどうなのか、その点を確認したいと思います。

増田国務大臣 地方分権改革推進委員会、今お話しのとおり私も先般まで委員長代理を務めておりまして、これは分権改革を進める上で非常に大事な委員会である、こういうふうに思っております。

 第一次の、いわゆる前の分権法に基づく委員会のときには、御案内のとおり、そこから出ました勧告について、政府としての尊重義務がありました。

 実は、第一次の委員でございました西尾委員、今般も国会で御同意いただきまして、私の入れかわりに今回の改革委員会の方のメンバーになりましたけれども、第一次委員会の西尾委員初め、あの当時のメンバーの皆さん方にいろいろお話を聞きましたところ、こんなお話をしておりました。

 第一次委員会のときには、政府に尊重義務があったゆえに、当時いろいろ政府の方から実現可能な勧告にしてくれというお話が大分委員会の方に寄せられて、そして大変、中でいろいろ御苦労されたようでございますけれども、勧告を各省と調整するにつれて、やはり各省から了解をとったものを結局入れざるを得ないような、そういう状況に追い込まれたという話もございました。

 ですから私は、両面あると思うんです。今回、国会の方でいろいろ御議論があったようでございますが、尊重義務が今回の法律では除かれておりますけれども、やはり分権改革の中心の委員会でこれだけ注目される委員会でありますから、結果として法律に尊重義務はございませんけれども、私は委員会の方に申し上げておりますが、やはり委員会として理想論をきちんとそこで述べていただいて、それで、政府が尊重義務がないから尊重しないということはやはり許されないわけでありまして、そこから出てまいりましたことについては、きちんと法律の中に位置づけられております委員会でありますので、政府として当然その中での勧告は最大限尊重する、そういう責任というものが政府に生じます。

 実現可能な勧告というようなものを委員会に申し上げるのではなくて、委員会として、こうすべしというものを勧告の中に盛り込んでいただいて、そして出てきたものに対しましては私どもも最大限尊重する、こういう考え方で臨んでいくべきもの、このように考えているところであります。

玄葉委員 まず理想形を描いてもらうんだ、こういう話だと思いますが、最後は政治次第、こういうことなんだと思います。

 そういう意味では、政治家増田氏がどうこれからかかわっていくのかということもとっても大切なことだと思いますが、総務大臣としては、この委員会に対して、お立場もあるのかもしれませんけれども、私はエンジンになってかかわっていくべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。

増田国務大臣 この分権改革でありますが、総務省が国と地方の関係というものを政府の中では責任持って取り扱っている役所でございます。

 別途、私も特命担当大臣として地方分権改革を担当するということではございますが、総務省としてあるいは総務大臣として、この分権委員会からお話がございましたような勧告に対しては、政府部内で、今お話のございましたとおりエンジンとなって、あるいは責任ある立場として実現に向けて努力する、そういう立場であろうというふうに考えております。

玄葉委員 何かこのテーマだけで四十分すぐ過ぎちゃいそうなんですけれども、できるだけ端的に私も質問しますので、ちょっとポイントだけ、最初なので申し上げたいと思うんです。

 一つは、事務の仕分けをするときに、いわゆる補完性の原理というものを徹底していくんだという気持ちでこれから取り組むのかということ、そして、補助金の問題について、原則廃止するんだというくらいの気持ちで取り組むかどうかということ、この点についてお尋ねをしたいと思います。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

増田国務大臣 まず、事務の関係でありますが、これは補完性の原理が大変重要だ。したがいまして、まず地域あるいは地方の基礎自治体の役割というものから、次に続いて県、そして国、こういう補完性の原理に立つべきものというふうに思います。

 それから、補助金でございます。この補助金については、やはり自治体を縛るものでありますから、これは廃止をするのが原則だと思うんです。ただ、御承知のとおり、今十九兆ぐらいあるものの中に、社会保障関係のものとか、その中で地方団体にとりましても大変重要なものがございます。したがって、全部をそのまま廃止ということになりますと、現場が大変大混乱するわけでございますので、国と地方の役割分担、そしてその中で財政的な措置というものがどうあるべきかというものを考えた中でこの問題を考えていかなければならない。

 ただ、補助金というのは極力なくすべきだ、こういう考え方に立っております。

玄葉委員 それでいいんだと思います。

 もう一つ、ブロックごとに地方支分部局というのがございます。国家公務員三十三万人の中で二十一万人がこの出先機関にいるわけですけれども、率直に申し上げれば、私はこれはほとんど要らなくなると思っておりますが、この点についてはいかがですか。

増田国務大臣 地方支分部局でありますけれども、私も地方の知事をしてございましたときに、やはり県との二重行政のようなことを随分実感として受けていたところでございます。確かに中に、税関ですとか、あるいは防衛、それから気象台とか航空管制とか、これはやはり国でやらなければいかぬというものもございます。

 ですから、そうした国が本来果たすべき役割というものがあるんだということは十分留意する必要があると思ってございますけれども、しかし、二重行政のような形に住民に見えているというのは、これはもう紛れもない事実でございますので、やはりこの点については、仕事の内容を十分に分類した上で、極力そうしたものを避けるべき、このように考えております。

玄葉委員 分権推進委員会と霞が関とのやりとりでは、例えばこの問題一つとっても、ほとんどゼロ回答だという話でございまして、これは総務大臣が強いリーダーシップをとらないと、もっと言えば、何といっても総理大臣だと思いますけれども、本当に強いリーダーシップをとらないと、結局何も進まないということで終わってしまうのではないかという強い危惧を持っているということを申し上げたいと思います。

 同時に、関連して言うと、思い出したから申し上げるような感じになってしまいますけれども、例えば道州制特区とかというのがあって、北海道で実施をされていますけれども、私などはあれを見て、とてもじゃないけれども道州制などという名前を出してほしくないというふうに思った一人でございます。

 簡単に言えば、例えば北海道というのは府県をまたぐわけじゃありません。北海道開発局というのがたしか五千三百億ぐらいの直轄事業費を持っているんですね。もし道州制特区というくらいだったら、その出先機関の五千三百億円を道に丸ごと自由に使わせる、そのくらいのことを考えなかったら、そもそも、まさに目的の優先順位の最初におっしゃった、自由度を高めて潜在力のふたをあけるんだ、こういう目的が達成できないと思うんですね。そういう意味では、例えば今の道州制特区、いかがお考えですか。

増田国務大臣 道州制特区の方は、実はそちらも私、所管をしておるものですから、なかなか言いづらいところがあるんですけれども、北海道から今後間もなく具体的な提案が来ることになってございます。やはり、道州制というのはいろいろな意味があると思うんですけれども、道州制特区というのは、その中で権限を移譲する、こういう権限について取り出して、何業務について北海道に移譲するということで、道州制全体が本来果たすべき役割あるいは機能、これは、そこ自体についてもいろいろ議論がありますが、それにしても、道州制特区法というのは、その中のある一部を取り出して、北海道に、こういうものは道の方に権限移譲できますよといったようなことのみを示したような法律ではないかと思っております。

 やはり、北海道庁からかなり大胆な提案などが出てきて、本来のダイナミックな、国と地方の体制の大きな改革につながるようなそういう提案、これは今後のことでございますけれども、そうしたことを道民との間でよく議論した上での大胆な提案などがその中で本当に出てくるということがやはり大事なことではないかなというふうに思います。

玄葉委員 本当にお粗末な現在の案ではないかなというふうに私は思っております。

 いろいろお話をしたいんですけれども、もう一つ二つ聞いておきたいと思いますが、分権改革を進めるときに一つの壁があると思っています。それは、自治体の人材、特に企画立案能力にたけた方ももちろんいらっしゃいますけれども、総じてそういった人材が私は不足しているというふうに思っているんです。将来、補助金がなくなったり、あるいは地方支分部局が整理されたりしてくると、今の国の、中央政府の役人、キャリア、ノンキャリ、どちらでもいいんですけれども、そういった中で、企画立案能力にすぐれた人たちが、ある意味ではあぶれる人たちが出てくるわけでありますけれども、私は、そういった人たちがもっとこれから強くなる自治体に容易に異動できるような仕組みをつくるべきではないだろうか、こう考えておりますけれども、いかがですか。

増田国務大臣 やはり分権改革を進めていく上で、地方自治体の職員の能力確保、あるいはもっと長い目で育成などは大変重要なことであろうというふうに思いますし、そういう育成という長い年月というものも一方で大事でありますが、今お話がございましたとおり、人材の流動化というものをして、そして、中央省庁にも随分有為な人材も多くおりますし、本当の意味で地域に役立つような、そういう流動化のスムーズに行われるような条件整備というものも大事だと思います。これは官民交流という視点からも、そちらの点も大事だろう。

 往々にして、今まで中央省庁から地方に人材が行く場合にも、例えば助役で行ったり部長で行ったりと、幹部で行く場合が多かったんですが、これから、今私も担当部局にいろいろ検討させていますが、もっと本当に市町村の最前線で仕事ができるような、中央省庁も、できるだけ若い人たちが本当に地域で汗かくような、そういう仕事ができるような、そんなこともこれから考えていかなければならないと思います。

 そういう意味で、いろいろな多様な観点からこの人材確保、育成に取り組んでいくということが大事ではないか、このように考えています。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

玄葉委員 多分、最終的には、大胆に仕組む、国家公務員から地方公務員に異動できるように仕組みをしっかりつくる、法律を変える、こういうことが必要になってくるんじゃないかなというふうに思っています。

 地方議会、これも、分権改革を考える上では、この議会の質を高めていくということも大切であります。私も例えばマニフェストの議員連盟の共同座長の一人をさせていただいておりますけれども、昨今は非常にレベルの高い議会なんかも出てきているようであります。

 ただ、議会をもっともっとよくするのに多様な議会のあり方というのをもっともっと認めていくべきだ。かなり条例によってできるようになってはきているんですけれども、例えば、これは議会と直接関係ありませんけれども、シティーマネジャー制度を導入できるようにしていくとか、比例で選ばれることもオーケーだとか。

 あるいは、こういう障害が今あります。これは具体論になっちゃいますけれども、合併が進んで、県議会の区割りを変えよう、こういうことが今検討されているわけですけれども、公職選挙法を見ると市、郡ごとと書いてあるんですね。国の法律に縛られて、例えば合併によって飛び地になっちゃった、あるいは市、郡ごとにまとめた方が地域振興上望ましい、こういうケースはあちこちで今出ているんですけれども、実は我々は、これは議員立法でやらなきゃいけない話かもしれないなと思っているんですが、手をこまねいて何も動かない、こういう状況になっているわけですけれども、こういった点も含めていかがですか。

増田国務大臣 議会のあり方というのは、これも今後大きな分権を考える上での、あるいは地方自治を考える上でのやはり論点だろうと思います。

 今お話がございましたとおり、そもそも自治体に、もう三百万人を超えるような大きな市が一方であれば、村で千人を欠けるようなところもありますし、やはり地方自治の真髄というのは多様性、それぞれの住民の考え方によっていろいろなことを決めていくということでありますので、例えば、お話がございましたとおり、議会についても、今後議会の能力を向上させるということが大事であると同時に、その中に地域でいろいろなことを決められるような、そういう考え方を盛り込むということも大変大事だろう。この点について、二十八次の地方制度調査会でも一定の答申を得て、それに向けての法律改正が行われましたが、こういったものは次に向けてのいろいろな課題もございますので、今、現在の地方制度調査会で議会のあり方についても議論することにしてございます。

 したがって、そこでのお話なども十分にお聞きをしたいと思いますが、特に今先生の方からお話がございました議員の選挙区などにつきましては、これもいろいろな考え方があろうと思いますし、基本のこうした法律で客観的な基準が定められるということと同時に、多様性ということもその中で取り入れられるような、そういったことも必要ではないかというふうに思います。

 選挙区の関係につきましては、最後に先生の方からもお触れがございましたとおり、非常に政治的な問題もございますので、その関係については各党会派といいましょうか、やはり政党の方でいろいろお考えいただくのが基本だろうと思いますし、各地方の自治体の中でもこの点については議員の条例で決めてございますので、またそちらの方のお考え方も十分にそんたくしながら今後考えていきたい、このように考えております。

玄葉委員 地方の再生の問題あるいは残った分権改革の質問通告した課題などは、きょうは時間の関係で、また別の機会、この総務委員会あるいは内閣委員会などでさせていただければなというふうに思います。

 最後、十分だけかけて、先ほど、冒頭、橋本委員からも出たネット関連の話に触れたいと思うんです。というのは、特に子供とインターネットということにある意味では絞ってお話をさせていただきたいんですけれども、今、子供の世界でインターネットが大変なことになっていると言っても過言ではないと思います。

 これは質問通告しませんでしたが、ちなみに、知っているか知っていないかでいいんですけれども、先ほどお話のあったプロフとか学校裏サイトというのは御存じですか、大臣は。

増田国務大臣 学校裏サイト、言葉は聞いたことがございますけれども、現物は正直に申し上げまして見たことがございません。

玄葉委員 プロフというのは、私も実は最近知ったんですけれども、どうもプロフィールをそれぞれ仲よしの友達同士で特に携帯電話を通じて交換する。これはプロフィールのプロフだそうです。仲のいい間はいいんだけれども、仲たがいすると、そのプロフィールが時には写真入りで例えば援助交際の希望サイトにそのまま入っちゃう。頻繁にある事例です。

 学校裏サイト、ほとんどの学校で今有していると言われています。これはほとんど、まず大体先生が、○○先生にセクハラされたとかでたらめ情報を書き込まれる。あるいは、友達同士で、死ねとかきもいとかそういうことを書かれる。つまり、ワンクリックで心がずたずたにされるという状況が今子供の世界で本当に起きていて、大人が知らないうちにこの問題は進んでしまって、対応が後手後手に回っている、こういう状況なんですね。

 先ほど総務省から説明がありましたけれども、本当にそんなレベルの対応でいいのかどうか、そんな悠長に構えていていいのかどうかということを我々真剣に考えなきゃいけないと思っています。

 たまたま今私は青少年の特別委員長なので、実川先生なんかと相談して、今テーマとして委員会で実は扱い始めているんですね。これは早急に対応策を考えないといけないというふうに思っております。私は、自分の考えを申し上げれば、はっきり申し上げて、規制を強化すべきだというふうに思っています。内閣府の調査でも、八割から九割は規制を強化すべきだ、こういうふうなアンケート調査というか世論調査が出ております。

 総務省として、これは特に事業主の責任という問題があるんですね、事業者の責任というのがあるんですけれども、いかがなされますか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 確かにこの関係は、特に青少年に対しての深刻な影響を及ぼしているということと、それから、今までの経緯を見ましても、こちらの方で何か対策を講ずるとさらにそれを上回るような、常にそういうものが出てくるということで、日々、ふだんから見直しをしていかなければならないということもございますし、どうもすべての対策が後手後手に回っているようなことがあったのではないか、私もそういうふうに思うわけであります。

 今、フィルタリングサービスなどについての研究会等を設けてございますが、そうした対応で本当にいいのかどうかということ、それからもう一方で、今お話がございましたけれども、携帯電話の事業者の皆さん方がどういう責任を果たしていただくことが必要なのか、そういったことも今後よく検討していかなければならないだろうというふうに思っておりまして、今この場ではなかなかこうするということを申し上げるまでのものはございませんけれども、総務省として、こういった有害なもの、特に青少年に対してのものについてはどういう方策が今後さらに進めてとれるのかというのをよく検討していきたいというふうに思っております。

玄葉委員 ちなみに、小学生が大体三割携帯電話を持っているそうです。こういった被害は大体携帯電話ですから。携帯電話は、小学生三割、中学生六割、高校生十割、大体そう考えていいと思いますけれども、いろいろ勉強してみると、日本ほど、小学生とか中学生とか高校生にネット機能を持つ携帯電話を自由に持たせている国はないんですね。

 例えばアメリカは十八歳までネット機能を有する携帯電話は持たせないんですよ。つまり、十八歳になってからじゃないと契約を認めないんですね。例えばですよ。

 今、石川県の野々市町という町があって、その町では、どうも小学生、中学生に携帯電話を持たせない運動というのをやっているそうですね。これは本当に、事業主、事業者が責任を果たさないと、携帯電話をやはり子供たちには持たせないというところまでいかざるを得ないと私は考えています。

 先ほどフィルタリングが三倍にふえたなんて言って何か自慢していましたけれども、こんなのはまだまだなんですよ、はっきり言って。わかるでしょう、担当者の方々。寺崎さんもうなずいておられるから、わかっていると思うんですよ。はっきり言うと、これは新規だけです。しかも、はっきり言っていいかげんです、販売店の説明も。説明をやっている販売店もあります。だけれども、かなりいいかげんと言わざるを得ない側面もあります。

 だから、これはいろいろな技術とのイタチごっこというところはあるんですけれども、例えばフィルタリングを義務づけるというのもこれは一つの手段なんですね。そういうことをやっていかないと、本当に最後は携帯電話を持たせないというところまでいってしまうと思うんですけれども、大臣、何かございますか。

増田国務大臣 どうしても、今まで見ておりますと、義務づけのようなことでもしないと後手後手にやはり回ってしまう。このことについて、やはり私どもはよく認識をしておかなければいけないな、常に事業者としてどういう社会的な責任を果たしていただくかということも大事だろうというふうに思います。

 技術的に常に先を行くようなものがどんどん出てくる世の中でありますので、私も、具体的にどこまでのことが可能なのか、それから、今までの議論を見ていますと、確かに表現の自由の問題とかいろいろ出てくるんですが、ただ、青少年、子供たちですから、そこのことをどこまで考えるのかといったようなこともあると思います。それから、親権者、親の意識の問題もあると思うんですが、社会全体で多様な観点からいろいろ考えなければいけないと思いますけれども、やはり社会でこういった問題が非常にいろいろな犯罪の温床になっている、しかも、常にそれは最終的には青少年が犠牲者となっているという、その思いだけはきちんと受けとめて、今後のことを幅広く考えていかなければならないというふうに思っております。

玄葉委員 本質的な解決のためには、そもそもいじめをなくすとか、あるいは、おっしゃいましたけれども、親の責任、例えば、学校が親を呼んで、こういったことが行われているとメール機能の説明をするとか、そういうことまで最終的には必要だと思いますけれども、やはり対症療法的には、今大臣もおっしゃっていただきましたけれども、本当にフィルタリングを義務づけるぐらいのことはやっていかないと、どうも本当に恐ろしいくらいの状況になりそうだぞということだと思います。そういうことで効果がないとなると、先ほど申し上げたように、いよいよ携帯電話を持たせない、こういう話にならざるを得ないのではないかなというふうに思います。

 ですから、ぜひこのことは早急に、そんなにもう待っていられないと思いますので早急に、我々、ここは総務委員会ですけれども、青少年の特別委員会でも取り上げていきたいということで両筆頭理事もおっしゃっていますので、そういうことも含めて連携しながら、何とかこれはもう与野党の枠を超えて解決策を探りたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは、私も実は民主党の分権調査会の会長でございまして、本当は、私のあるいは民主党の考え方をいろいろと申し上げながら、地方の再生問題も、あるいは税財源論も議論を交わしたいという思いもございましたので、また別途の機会をつくらせていただいて、その場でしっかりとした議論をさせていただきたいと思います。

 増田大臣には、きょういろいろ質疑をさせていただくと、どちらかというとスポンジのように吸収されていくような感じがしないわけでもないんですけれども、問題は実行力という側面があります。

 これは、最終的にはやはり福田総理大臣の、内閣全体の意思の問題だと思うんですね。多分、残念ながら余り大幅な前進はないのではないかというふうに私は思っていまして、もしそれがなければ民主党が政権をとったらきちっとやらせていただく、こういう考え方でおりますが、増田大臣には、官に取り込まれないようにしながらぜひリーダーシップを発揮していただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 きょうは一般質疑ということでございますので、私がかねてから問題意識を持っておりました独立行政法人について、総務大臣以下関係府省に対して質問をさせていただきます。

 さて、厚生労働省所管の独立行政法人、勤労者退職金共済機構の中に建設業退職金共済事業本部、略しまして建退共というところがあります。この組織は、中小企業退職金共済法に基づきまして、一般の退職金共済制度では対象とされず、退職金共済制度の恩恵を受けない期間労働者を救済するために昭和三十九年に創設されたものでございます。

 しかしながら、この制度はいろいろと問題があります。勤労者退職金共済機構がまだ特殊法人であった平成十四年に、総務省は、特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告において、幾つかの指摘を行っております。本日は、その指摘内容に対してその後どのような取り組みがなされ、その結果として状況がどれだけ改善をされたのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。

 まず、大臣、建退共については、もともとの勧告を行った当事者としてその後のフォローをどうなされておるのか、お伺いをいたします。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 私どもの勧告でございますけれども、平成十四年の一月に行っているわけでありますが、今先生からもお話ございましたとおり、建設業退職金共済事業について、退職金の支給の充実を図るために、支給のもととなる手帳への証紙の貼付の励行、それから、受給資格を満たしていながら手帳が未更新である者への対応などについて勧告に盛り込みました。

 この勧告については、平成十四年の十一月、同年の十一月に、厚生労働大臣から、勧告に沿った改善措置を図る、こういう内容の回答がございました。

 この機構でございますけれども、翌年の十五年十月に、それまでの特殊法人から独立行政法人、独法の方に移行しておりまして、その際、私どもの勧告事項が機構の中期目標、中期計画等に盛り込まれました。独法のそういう中期計画等に盛り込まれましたので、その後のフォローアップにつきましては、毎年度の業務実績評価と、そして、中期目標期間終了時の主要な事務事業の見直しという、この独立行政法人制度の枠組みの中で今行われております。

 ちなみに、今私が申し上げました中期目標の期間終了時というのは、ちょうど来年の三月までの期間ということでございまして、今、独法全体について、中期目標期間終了時の事業の見直しという観点でいろいろ検証してございます。その中で、この関係についてもきちんとフォローアップしているところでございます。

森本委員 了解をいたしました。

 ただ、最終的には総務省、二次的な評価を行うということで、最終的な責任、そこのところをしっかり踏まえておいていただきたいと存じます。

 それでは、中身については厚生労働省にお伺いしますが、第一次的な政策評価は厚生労働省ということでございました。まず、事実関係の確認からさせていただきますが、平成十四年の勧告の大きな背景となりました約二百八十八億円にも上った利益剰余金の発生の事実、これに関して、その後、直近の数字で結構ですからお教えいただけますか。

氏兼政府参考人 建退共給付経理におけます利益剰余金は、御指摘のとおり、平成十一年度末において二百八十八億円でございましたけれども、直近の十八年度末においては八百二十一億円と、五百三十三億円増加しているところでございます。

森本委員 剰余金は、全然なくなってしまえば問題かもしれませんが、といいましても、平成十八年度現在で八百二十一億円というのはかなり大きな数字。それと、今、勧告とは全く違う方向に動いておる。

 この剰余金の発生原因については、どのようにお考えですか。

氏兼政府参考人 この五百三十三億円増加している理由でございますけれども、まず第一に、平成十五年十月の予定運用利回りの引き下げによりまして、運用利回りの実績が予定運用利回りを下回る逆ざやの状況が解消いたしまして、さらに最近の良好な市場環境もありまして、利ざやによる利益が発生していることが挙げられると思われます。

 二番目といたしましては、この建退共制度の予定運用利回りは、これは勤労者に手帳が渡されるわけでございますけれども、ここには二百五十日分の証紙、これを十二カ月分、一年分と勘定いたしまして証紙を張るわけでございますが、これを前提に設定されております。

 ところが、実際の勤労者は、この建退共制度への未加入事業所で働く場合があったり、あるいは、期間労働ですから、例えば三カ月働いてしばらく休んで、あるいは出稼ぎ労働者の場合ですと、三カ月ぐらい一年のうち働いてということで、一冊の手帳の更新にかかる期間が十二カ月を超える場合もございます。

 証紙が購入されてから貼付をされるまでの間の資産運用は、予定運用利回りの設定の前提よりも長期間行うことができる、こういうこともございまして運用益が生じているということでございます。

 またさらに、過去の金利が高い時代に予定運用利回りを上回る運用収入が得られたことによって利益剰余金が蓄積されておりまして、この部分に係る運用益が生じているといったようなことも要因かと思われます。

森本委員 それは、平成十四年の勧告に指摘された剰余金の主な発生原因、購入された共済証紙の約五%、これは金額にすると五百十億円が未貼付であるということと今のお答えとは異なっているような気がしますが、それとの関係はどうなっておられるのか。未貼付が剰余金発生の原因ではないということですか。

氏兼政府参考人 証紙の未貼付率につきまして、これは市中に出回っている手帳に現時点でどれだけ張られているかということでございますので、正確な数字を挙げることは難しいわけでございます。

 他方、平成十一年度末から平成十八年度末にかけまして、証紙が購入されたことによる掛金収納額、つまり、事業主が証紙を買った額の累計が三千八百一億円増加してございます。一方、手帳に証紙が張られた後、機構の方に手帳が戻ってくるわけでございますが、手帳更新によって添付を確認された額が三千九百七十七億円の増加ということで、掛金収納額の増加を百七十六億円上回っているということでございます。

 このように、共済証紙の貼付実態に明らかな改善が見られます。この時期、未貼付の証紙の増加が建退共の剰余金の増加に寄与しているということではなくて、むしろ剰余金を減少させるという方向に動いているものと考えられます。

森本委員 そのことはもう一度後からお聞かせをいただきます。

 それでは、運用環境ということになりますと、逆に言えば、担当者が運用を失敗すればどういうことになるんですか。

氏兼政府参考人 運用が予定されていたものよりも低いということになれば、当然、利益剰余金が減るということになりますが、機構の資産運用につきましては、退職金等の支給財源として安全かつ効率的な運用を行うことが必要でございまして、中小企業退職金共済法第七十七条により、その運用方法が定められているところでございます。

 また、同法七十八条におきましては、機構は、資産運用に関しまして、資産構成、これは基本ポートフォリオ等でございますが、これらの基本事項を定めた基本方針を策定して、これに沿って運用しなければならないというふうにされてございます。

 これらの規定に基づきまして、建退共事業におきましては、外部の専門家で構成いたします資産運用検討委員会を設置いたしまして、その意見を踏まえ、資産運用の基本方針を策定し、安全かつ効率的な運用を行っているところでございます。また、資産運用の実績を的確に評価し、健全な資産運用を実施するために、外部の専門家で構成する資産運用評価委員会を設置し、基本方針に沿った資産運用が行われているかどうかを中心に運用実績の評価を受けまして、評価結果を自後の資産運用に反映させているところでございます。

 なお、先ほど申し上げました基本ポートフォリオにおける資産配分は、リスクの低い資産である国内債券を中心にしたものとなっておりまして、これは八六%程度を目途にするということでございますので、安全な資産運用に心がけているというところでございます。

森本委員 基準をしっかり守って運用されておるという御説明で了解をいたしておきます。

 それでは戻りますが、未貼付が主な原因ではないということ、むしろ逆なんだということ。これは、ただ、共済契約者が証紙を購入しても貼付をされない場合は責任準備金に算入はされないということになっていますね。ここは確認をしておきますが、これが剰余金になります。

 だったら、十一年から十八年、この総務省の五%の未貼付という勧告は、一体このときにはどういうことですか、総務省の勧告の中身は。全くつじつまが合わぬじゃないですか。

氏兼政府参考人 先ほど申し上げましたように、未貼付を算出するのは困難でありますけれども、平成十四年の勧告をいただきましたときに、総務省におきましては、一定の前提を置いて五%の未貼付率というのを推計したというふうに理解しております。

 先ほど申し上げましたように、掛金収納額が貼付を確認された額より下でございますので、未貼付の状況は改善しておるということであろうかと思います。

 それで、私どもなりに、平成十四年の五%を前提といたしまして、その後この未貼付率がどのように推移したかというのを、直近時点で大胆な前提を置いて推計してみました。それを、掛金収納額と共済手帳貼付未確認額、こういった数字を利用しまして推計してみましたところ、平成十四年時点で指摘されましたのは十一年度の数字でございますが、直近十八年度ではその当時の五%が三%に改善したということで、二%ポイントほど改善が見られたということでございます。

森本委員 このことについては、ですから、勧告以降、改善は二%はされておるんだということの解釈でよろしいですか。

 それにしても、十一年から、まあ、ここは余り議論するつもりはありません。もう少しほかにありますから、このことについてはこの程度にしておきます。

 でしたら、国土交通省にお聞きしますが、未貼付率、この時点で把握されておって、それを、建設業協会等にこの指示を国土交通省としてはされておりますか、おりませんか。

内田政府参考人 国土交通省でございますけれども、御承知のように、建設業者団体に対する指導とか、あるいは公共発注機関を通じての依頼というような立場でございます。したがって、国交省単独では未貼付の実態というのを全体的に把握するのは難しいところがございますが、運用実態につきまして、制度官庁でございます厚生労働省さんと連携をして、必要な指導を建設業者団体にも行っておる、こういうことでございます。

森本委員 その数字はそれで結構です、きょうは出てきましたが。

 例えば、厚生労働省の政策評価委員会は、この制度の政策評価を行っていただいております。私のいただいた資料の中では三年連続A評価を与えているわけでありますが、今のように、その数字を把握されずにA評価を与えられているようですが、後でも申し上げますが、そのことはどういうことですか。

氏兼政府参考人 平成十五年十月一日を始期とする中期計画におきまして、建退共事業の適正化のための取り組みを示しているところでございます。これは、先ほど来御指摘いただいております平成十四年の総務省の勧告で指摘された事項を踏まえ、その改善に向けて効果的であると考えられる取り組みと目標を盛り込んだものでございます。業績評価は、この中期計画を前提として、同評価委員会が定めた評価基準に従って行われたものだというふうに理解しております。

 この間、厚生労働省といたしましても、共済契約者に対する指導等を徹底したとか、建設業の事情に対応してきめ細かな業務を行っているということが評価委員会によって評価されたものと考えてございます。

 現行中期目標を定めた時点におきましては、この数値目標についてですが、当事者と十分検討した上でこの中期目標を定めたものと考えておりますけれども、現時点で、一般的な視点から、現行中期目標に数値目標が入っていないということについては問題なしというふうには考えてございません。

 以上でございます。

森本委員 初めいろいろ言っていたんですが、後のところは、その数字を入れていないということは問題があるというふうに理解しておるということでよろしいんですね。最後のところだけですよ、まともに答えられたのは。ですから、問題意識を持ってみえるということでよろしいんですね。

氏兼政府参考人 そのとおりでございます。

森本委員 それでは、もうこれ以上は申し上げません。具体的な数字を示して実績を上げていくというところに評価があるのであって、やろうとしているということだけで、前へ一歩進めたことが評価に決してつながらないということを、もう一度そちらに申し上げておきます。

 それでは、少し飛ばします。

 聞くところによりますと、地方などでは、建退共に入っていることが公共事業の入札を行う際の条件、あるいは経営審査会の評価点を得る際の条件となっておるとお聞きしますが、その事実はありますか。国土交通省からよろしくお願いします。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公共工事に関しての件でございますけれども、国土交通省の直轄工事の入札に当たりましては、建退共制度に加入していることが条件とはなっておりません。しかしながら、この建退共制度の趣旨を建設業者に対して徹底し、制度への加入を指導しているところでございます。

 なお、具体の工事における契約締結に当たっては、建退共制度への加入を求めているところでございます。

森本委員 ありがとうございました。

 少し急ぎますが、ですから、実施する事業規模に応じた証紙の購入金額の目安を示されているというふうに聞いておりますが、いかがですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事に当たりまして、その証紙の枚数等でございますけれども、これにつきましては、建設業者自身が、制度の対象労働者数、またその延べ就労日数を的確に把握した上で、必要な枚数を随時購入すべきこととされております。

 なお、直轄工事におきましては、契約を締結してから一カ月以内に証紙の購入の領収書を提出していただくことにしております。この提出によりまして、我々としては、証紙の購入枚数の把握に努めているところでございます。このような把握を発注者として行うことによって、事業者の的確な証紙枚数の購入に寄与するものというふうに考えているところでございます。

森本委員 本当はここでやりとりしたいんですけれども、実は、直轄と言われましたけれども、何々市の財政課では、大体これは契約の事項に、掛金は契約金額の千分の一・七以上をめどとしてください、こういう指導をしておるんですよ、実際は。今、もう少し大事なところがありますからこの議論は飛ばしますが、またこれは次の機会にやらせていただきます。

 大変時間が迫ってきましたので、少し通告をした分を飛ばさせていただいて、大変御迷惑もおかけしますが、ひとつよろしくお願いをいたします。

 それでは、退職金の支給実態についてお聞きしたいんですが、事実上の掛け捨ての大量発生の問題であります。

 平成十四年の勧告では、十年以上手帳が未更新で、掛金の納付月数が二十四月、二年未満の方を事実上の掛け捨てとみなし、そういう方が累計で百七十四万人、推計金額にして約六百四十五億円を推定されておりますが、それが最近どのようになられましたですか。

氏兼政府参考人 お答え申し上げます。

 十四年の勧告では、十一年度末の数字で、御指摘のように、支給要件を満たさない、すなわち二十四月未満しか就労されていなくて、十年以上退職金手帳が未更新となっている者、これが百七十四万人でございますけれども、直近の十八年度末におきましては二百三十一万人に増加してございます。

 ただし、これを加入者の累計値に占める割合ということで比べてみますと、十一年度末及び十八年度末、それぞれおおむね三八%程度ということで、横ばいであるというふうに考えてございます。

森本委員 まあ、すごい言いわけですね、これは。まあ、よろしい。大変な数字だと私は理解しておるんですけれども、そういう回答をいただくとは夢にも思っておらなかったわけです。

 例えば、掛金の納付実績が二十四月以上、つまり手帳を二回以上更新した退職金の受給資格取得者が九十九万人お見えになります。そのうち四分の一に当たる二十四万人もの方が十年以上手帳を更新していないとのことでした。しかも、これらの方が退職金を受給する可能性は一%未満であるというふうにされております。

 さて、受給資格があるにもかかわらず十年以上手帳を更新しておられない方は現在どのくらいおられますか。

渡辺委員長 速やかに答弁してください。

氏兼政府参考人 申しわけございません。手元に資料がございません。

森本委員 そんなばかな。これはきのう通告していますよ。

 ただ、少し助け船を出すとすれば、三年の資料は出されておるんですよ。これは長妻議員に言われた。十年は通告していますから。それを資料がないからって、それは余りにも軽視していますよ。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 森本君。

森本委員 では少し飛ばしますが、この事実上の掛け捨てが発生していることに関して、どのように認識をされておるのか。問題だと認識されておりますか、それとも、いたし方ないと思われておるのか、どちらですか。

氏兼政府参考人 お答えいたします。

 受給資格があって三年以上手帳未更新の者が四十一万人ということでございます。十年以上の者については、把握していないということでございます。

 長期間手帳の更新実績がないという被共済者が存在するということは事実でございますけれども、この中には、先ほど申し上げましたように、出稼ぎ労働者のように、年間三カ月働く、断続的に建設業で就労している方とか、今は建設業に従事していませんが将来再び建設業で就労の意思がある方とか、あるいは、今は建設業に従事しておらず、かつ、将来建設業で働くか否か明確な意思を有していない方もいらっしゃいます。このような方は、退職金の支給事由にも該当しないということでございます。

 このため、機構におきましては、毎年度、共済契約者である事業主を通じて、前回の手帳更新から三年が経過した長期未更新者の実態調査を行ってございます。こうした中で、退職金受給の意思がある方には退職金支給をし、さらに手帳更新を求めていく、こういった取り組みを進めているところでございます。

森本委員 これは、総務大臣はどう思われますか。

 総務大臣の勧告は、十年以上手帳の更新をしておられない方たちに勧告しておるんですよ。それが、四年たった今、これを三年に変えて、四十一万人ですよ。これは勧告になっていないじゃないですか。これを足すと、二百三十一万人、二十四万人、二百五十五万人に合計なって、九百四十億円ぐらいの、九百億円ぐらいの規模のものがほとんど支払われないような状況になっていくんですよ。それで今の回答、全然連携がとれていないということを、私は、時間がありませんけれども、指摘をさせていただきたい。後でまた質問します。

 それと、今言われた、掛け捨てが発生するような問題、どのような御見解ですか。

氏兼政府参考人 私が直前にお答え申し上げました三年以上未更新というのは、受給資格があり、三年以上未更新ということでございます。

 それで、先ほどの二百三十一万人……

森本委員 いやいや、それと違う。それと違う、全然。

 十年の勧告をされておるのに、その実績が今数字で示すことが必要だと言われたのに、十年の調査をやらないで三年に変えてしまったら、それは評価にならないんじゃないですか。十年間手帳を更新されていない方の比較、それを三年に変えてしまったら、私は比較にならないと言っておるんですよ。それは指摘しておきます。

 これはだれでもそうですよ。十年間調べた数字を三年間たって評価するときに三年間に変えてしまったら評価しようがないじゃないですか。いや、もうこれは結構です。

 あと、時間がもう少しですから。

 大臣、これは、政独委で二次評価をされて、勧告の方向性を示す役割を大臣は担っておられるわけです。この二次評価を行っておられるお立場から、今の勧告を出されて、勧告を出しっ放しではなく、結果をきちっとフォローしなければならないお立場から、今どのような認識ですか。

増田国務大臣 今やりとりを私も伺っておりましたけれども、私どもも十四年に勧告を行っているわけでありますので、この勧告事項が厚生労働省において的確に実行される必要があるというふうに思います。

 そして、今政独委のお話がございましたのですが、きょうの議論の内容についても、私の方でやりとりの詳細について政独委の方にきちんと伝えたいというふうに思います。その上で、それぞれの府省の独立評価委員会でいろいろ業績評価をすると思いますが、私どもで行います二次評価におきましても、今のやりとり等も伝えた上で、厳格な、そして的確なチェックというものが行われるということが重要だというふうに思います。

森本委員 これで私の時間が来ましたのでやめますが、これは、独法の今後の運営の重要なことだというふうに私は認識しています。独法はこれでいいのかということと、天下り先を府省は決してきっちり評価ができないですよ、そのことを指摘させていただくのと、これは制度設計に問題があります。二十年たって二百二十万円ですよ、退職金。それが、独法へ天下りされた方は二百二十万か二百五十万、三百万ぐらいを二年間でいただけるんですよ。一方、建退共では二年間で十五万。これは貴重な金額なんですよ。しかし、待遇的には恵まれない方のための共済退職基金なんです。

 ですから、今後の制度設計を含めて十分御議論、御検討いただきますことをお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、大きく二つ議論をしたいと思っています。一つは公立病院改革のガイドラインの問題、もう一つは市町村のあり方ということで、大きく二つの議論をしたいと思うんです。

 その前に、先ほど玄葉委員が指摘をした子供の携帯電話、特にネットワークにつながる携帯電話の問題ですが、私もこれに対しては相当な危機感を持っておりまして、子供たちが、いわゆるネットワークリテラシー、ネットワークからくる情報に関しての善悪の判断能力が必ずしも十分でないうちにネットワーク機能を持つ携帯電話を持つということは、やはり極めて危険だろうというふうに思います。したがって、これについては早急に抜本解決をするということを私自身も強く考えているということを表明させていただきたいと思います。

 さてそれでは、きょうはまず公立病院改革のガイドラインの件についてお伺いをしたいんです。

 実は私ごとで恐縮ですが、ことしの夏に母が他界をいたしました。十年近く病院に入院をしておりまして療養していたんですが、そんなこともありまして、この十年余り、地元にいるときはほぼ毎日、朝な夕なに病院に行く、国会議員になってからも週に一、二度は必ず病院に行くというようなことをやっておりました。

 そこで、入院していた病院は、ベッド数三百床程度の、公立ではないんですけれども、公的な総合病院でありました。そこでの看護師さんですとかお医者さんの動きを見ておりますと、本当に過酷だ。私の母の担当医も、本当にいつ寝ているんだろうかというような感じでありました。また、夜の病棟の管理などを見ておりましても、少ない人数の看護師さんが、あちらでアラームが鳴る、こちらでアラームが鳴る、そうこうしているうちに人工呼吸器のトラブルが起きる、アラームがもう鳴りっ放しで手が回らないというような現実があったわけであります。だから、今、日本の医療というのは大変なところへ来ているなということを、この十年余りの自分の体験からもつくづく感じているわけです。

 そしてまた、その一方で、例えば公立病院の赤字が膨らんでいるとか、あるいは、言葉は適切ではないかもしれませんが、救急患者のたらい回しがあるとか、あるいは医療費が増大して財政を圧迫しているとか、あるいは勤務医の皆さんがどんどんおやめになって開業医の割合がふえていくとか、今、この日本の医療についてさまざまな課題、問題が出ているわけですね。まさに、書店などに行くと、日本の医療崩壊などという本もたくさん並んでいるわけであります。

 そこで、総務大臣、それからきょう厚生労働副大臣それから財務副大臣にお越しいただいているんですけれども、お三方に、それぞれ日本の医療崩壊の現状に対して今どんな認識を持っているか、御自身の考えを端的にお願いいたします。

増田国務大臣 それぞれ、厚生労働省、財務省の方からも御答弁あると思いますが、私は、公立病院を所管している立場から申し上げます。

 今、先生の方から御指摘ございましたけれども、やはり経営状況がいろいろな関係で悪化をしている。それから、私も自治体病院の開設者を長年務めておりましたが、医師不足が大変深刻でございます。

 したがいまして、端的に今の状況を申し上げますと、現場が大変苦労している。そして、そのことが地域の皆さん方の安心感の崩壊にやはりつながってきている。公立病院は僻地医療等を担っていますので、そうしたことからもいいますと、非常に住民の皆さん方にいろいろな危機感というものを感じさせているのではないかということで、憂慮しているところでございます。

森山副大臣 お答えをいたします。

 我が国の医師数というのは年間三千五百人から四千人ほどふえているというのが実態でございますけれども、特定の地域や、あるいは産科、小児科等、診療科によって医師の確保がなかなか難しいという状況になっているということが問題であるというふうに認識をいたしております。

 問題の背景としては、もう先生御承知のとおり、一つは、臨床研修必修化等に伴いまして、大学病院の医師派遣機能というものが随分低下をしてまいりましたし、また、反面、病院の勤務医の勤務状況というのが、先ほど先生御指摘のとおり、大変厳しいものもあるというふうにも思います。また、女性の医師の増加ということもありますし、産科等におきましては、リスクが大変高まっており、訴訟がふえているということも、そういう専門医を目指す若い医師がなかなかふえてこないというところにも問題があるのではないかというふうに考えております。

 ただ、財務省といたしましては、これは命にかかわる問題でございますので、例えば医師確保対策につきましては、平成十九年度は、対前年度比、補正予算を含めますと二・五倍ほどの医師確保対策の予算を組ませていただきまして、各般にわたりまして取り組みを行っているところであります。

 また、五月末に政府・与党で緊急医師確保対策を……(逢坂委員「基本認識だけ聞いております」と呼ぶ)そういうことでございます。

西川副大臣 逢坂先生、お母様が御入院されていたということで、少しでもよくおなりになられるように、お見舞い申し上げたいと思いますけれども、日本の医療制度は、まさに保険証一枚で、いつでもどこでもだれでも、安心して医師、医療にかかれて、入院ができてというのを誇っていたわけですね。ただ、ここ五、六年、その崩壊の状況が著しいということは認識しております、しっかりと。

 その中で、今財務副大臣の方でもおっしゃいましたけれども、研修医制度が変わった、これはやはり大きな一つ拍車をかける要因だったと思いますね。やはりある程度、卒業したときに地域に残るというような、強制的なそういう制度もこれから入れていかなきゃいけないとは思いますが、そういうさまざまな、女性医師が多くなってきて産休でやめてしまう、あるいは医師全体がどうしても楽な方を選ぶとか、いろいろな要因があると思います。

 その中で、確かに、医療費が毎年一兆円近く上がる中で、財政的に何とか少しでも抑えなきゃいけないというこの数年の努力、努力という結果が、ある意味では公立病院の医師の過酷な勤務状況もつくり出していることも否めない事実は少しあると思いますので、その辺のところ、これからもう少しきめ細かく、しっかりとした医療制度の体制整備に頑張ってまいりたいと思います。

逢坂委員 増田大臣から、地域では危機感があるというような話があった言葉に象徴されるとおり、日本の医療制度、お三方ともに、さまざまな立場、目線で、決していい状態ではないのではないかという話だったかと思うのです。

 そこで、今回、十二日に総務省の中に設けられた公立病院改革懇談会の座長から財政局長あてに出された公立病院改革のガイドラインについて、何点か政府参考人の方にお伺いをしたいのですけれども、このガイドライン案を読みますと、公立病院の役割というのは、採算性等の面から民間医療機関には困難な医療を提供するというのが公立病院の役割だというふうに書いてあって、具体的な事例として、農山漁村、過疎地など不採算地域での医療の提供だとか、救急などの不採算部門の医療の提供、あるいは医師確保対策だとか、あるいは高度先進医療などをリードしていくなどという例示が出されているわけですね。

 このガイドライン案を読むと、いわゆる医療サービスというのは民間提供が原則であって、公立医療機関というのは、それの補完的役割、限定的な役割にあるというふうにこれは理解をしてよいのかどうか。このあたり、政府参考人、総務省それから厚生労働省、それぞれお越しいただいておりますが、簡潔にお願いします。

久保政府参考人 公立病院の責務と役割でございますけれども、これはそれぞれの病院の立地条件などによって異なっていると考えておりまして、地域において必要な医療、これは公と民の適切な役割分担によって提供されるべきものであると考えております。

 そして、公立病院の場合、特に、今委員御指摘のような僻地医療など、民間医療機関の立地が困難な過疎地域における医療でありますとか、小児医療あるいは救急医療等の不採算部門、また、がんセンターなどの高度先進医療などの分野で、地域医療の提供において必要な役割を果たすべきものであると考えているということでございます。

木倉政府参考人 厚生労働省といたしましても、公立病院につきましては、地域において必要不可欠な部門、採算面から民間の医療機関だけでは十分に提供することが困難である部門、救急、周産期、僻地等を地域の実情に応じて担っていただいていると思っております。こうした地域の実情に応じての役割分担、これは連携を進めていくべきものでありまして、必ずしも一律に民間提供が原則ということではないというふうに考えております。

 こうした観点から、昨年の医療法改正をさせていただきましたが、これで来年の春から、都道府県で地域の医療計画というものを位置づけていただこうと思っておりますが、その中でも、このような救急、周産期、僻地等につきまして、連携体制をきちんと構築して明記をしていただきたいということでお願いをしております。

 現在、作業中、各都道府県がやっていただいておりますけれども、その中では、今回示されました公立病院改革ガイドラインを踏まえて、県としての位置づけ、地域での連携体制というものを組んでいただきたいというふうに考えております。

逢坂委員 総務省の政府参考人、久保財政局長にお伺いしたいのですけれども、今回のガイドラインの中に、地域において真に必要な公立病院という言葉が幾つか出てくる。これがすべての出発点になっているように思うのですが、地域において真に必要な公立病院というのは、どんな基準でだれがその選定を行うのかというのを、まず一つお伺いしたい。

 このガイドラインを読んでみますと、一般会計からの所定の繰り出しを前提としてやっていると。すなわち、採算性の面から民間医療機関がサービスを提供できないというようなことをやるのが公立病院だとすれば、公立病院の経営というのはそもそも赤字が出発点であるというふうに考えてよいのかどうか。

 この二点、お伺いします。

久保政府参考人 公立病院、これは、その開設の経緯でございますとか、都市部で立地しているのか農村部かといったような立地の条件、あるいは一般病院であるのか専門病院であるのかといったその機能、そういった面で、いずれの面でも、千差万別といいますか、一様でないということでございますし、おのおのその役割、使命もさまざまであるということで、地域住民の意向を踏まえて、開設者でございます地方公共団体の判断によって設置をされたというふうに考えております。

 今回の公立病院改革でございますけれども、これは冒頭増田大臣から話がありましたように、経営状況の悪化でありますとか医師不足の深刻化、こうした状況を踏まえまして、医療資源の効率的な配置という観点も含めて、公立病院が果たすべき役割を改めて見直した上で、真に必要な公立病院の持続可能な経営、これを目指したいという観点でなされたものと考えております。

 したがいまして、改革後の各公立病院のあり方につきましては、各都道府県が本年度中を目途に行うこととされております都道府県の医療計画の改定、これを踏まえながら、最終的には開設者でございます各地方公共団体が判断すべき問題であると考えております。その際には、当該公立病院が、一般会計からの経費負担に見合って、どのような医療機能を果たすことが求められているのかという点について十分に吟味をされるべきものであると考えております。

 そこで、もう一点御指摘のございました一般会計からの繰り出しでございます。

 公立病院も地方公営企業でございます。その経営に伴う収入をもって必要な経費を賄うという独立採算の原則、これが公営企業である以上当然の原則でございます。

 ただ、不採算部門に対します一般会計からの負担、これはもう委員御案内のように、地方公営企業法の第十七条の二に経費負担区分の原則が書かれておりますし、またそれに基づきます同法施行令の八条の五、あるいは同附則十四項、これらに基づいて、最大限効率的な運営を行ってもなお客観的にそれでは無理だとか、あるいは真にやむを得ない部分、これを対象として行われるものでございまして、現実の公立病院の運営の結果発生した赤字をそのまま追認して補てんする性格のものではないと考えております。

 したがいまして、一般会計からの繰り出しを制度化した趣旨、これはむしろ、純粋に独立採算になじむものについては独立採算制を貫徹させようとしていると考えておりまして、そもそも赤字ありきといった考え方で病院経営を行うことを容認しているというものではないと考えております。

逢坂委員 いろいろたくさん言っていただいたんですが、ガイドライン案をただ読み上げただけの部分も相当多くて、何を言っているのか、聞いている皆さんはわからなかったのではないかというふうに思うんです。

 はっきり言わせていただいて、要するに、民間病院でやったら不採算なところを公立病院が担うんだというような趣旨のことを今回のガイドライン案には書いてあるわけですよね。それこそがまさに公立病院が担う根幹だというふうに言っているわけだから、そこが効率化して収支採算がとれるのであれば、それは民間部門が請け負うべきだというのが今回のガイドラインの案ではないかな、基本的な考え方ではないかなというふうに感ずるんですが、ここはまた後日、具体化したときにさらに議論をしたいと思います。

 そこで、厚生労働省の政府参考人にお伺いしたいんですけれども、現在の診療報酬体系をもってした場合に、例えば過疎地などの病院というのは黒字化するような診療報酬体系になっているのかというようなところなんですね。このあたりはどうなんでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の診療報酬体系、これは、国民皆保険制度のもと、基本的には全国一律のものとして設定をされております。それで、その仕組みは、医療機関で請求をされます個々の医療行為に着目をしまして点数を設定する、それでその相対として必要な医療サービスが評価をされるという仕組みでございます。

 そういう仕組みの中ではありますが、例えば昨年の診療報酬改定におきましても、全体としてはマイナスの改定ではありましたが、小児医療であるとか産科医療、救急医療、そういうふうな不採算と言われるような医療部門につきまして、公立病院を初めとする医療機関に積極的に取り組んでいただいておりますが、それらに着目して特に手厚い評価を行ったところではあります。

 来年に向けて、また診療報酬改定において、現在、中医協等で診療報酬の御議論をいただいておりますけれども、地域の医療の充実のための重点的な評価をすべき点ということについてポイントを置いて御議論をいただいておる。ですから、この診療報酬だけで公立病院の部門が全部当然にカバーをされるという仕組みではないのは基本だろうとは思っております。

逢坂委員 要するに、診療報酬だけでは公立病院の経営が全部カバーできないということは、何らかの補てんみたいなものがなければ赤字になることもあり得るということだというふうに理解をするわけですが、増田大臣、真に地域にとって必要な医療というものがあるという定義が今回のガイドラインの中には書いてあるわけですが、でも、それが現行診療報酬体系の中で必ずしも黒字化しない場合もあり得るだろう。でも、その医療というものが真に地域に必要なものであるならば、公立病院経営に対する何らかの支援というのは、先ほど厚生労働省の政府参考人からもありましたけれども、診療報酬以外の何らかのげたを履かせる支援というものが必要だという気がするんですが、増田大臣と厚生労働副大臣、いかがですか、このあたり。

増田国務大臣 やはり、公立病院は大変重要な機能と役割を果たしております。だからこそ、一般会計がそうした中で繰り出し基準を設けて負担をする、こういう仕組みになっているわけでございますし、それについて、地方財政計画上もその額というものを見て、各地方公共団体は、岩手県もそうでございましたけれども、地方交付税措置というものを講じてもらってまいりました。

 だから、そういったことから考えますと、こうした公立病院に対して、診療報酬ということを超えて、やはり国としてきちんと財政的な責任を果たすということが大事だろうというふうに思います。また、今回、ガイドラインの中にも書いてございますけれども、例えば、公立病院改革に取り組む公共団体に対しても、一時的な財政負担というものが伴うのであれば、それに対しての財政的な支援措置ということも考えていかなければならない、このように考えております。

西川副大臣 先ほど、逢坂先生のお母様、お見舞いと申し上げてしまいました。お亡くなりになられていたということで、失礼いたしました、お悔やみ申し上げたいと思います。

 今、逢坂先生のおっしゃったこと、基本的には、診療報酬というのは、マクロ的な医療経済実態調査、それに基づいて全国平均して決めているわけでございますけれども、その中で公立病院だけ特別な診療報酬というわけにはなかなかいかないという実態があります。

 その中で、やはり僻地、離島、そういうところに関しては、例えば看護師の人員配置とか、そういう問題でも、満たしていなくても減算する率をすごく低くするとか、あるいは、僻地その他の大切な周産期医療あるいは小児救急その他を担っている公立病院には、施設整備や運営費の助成も行っているところでございます。

 少なくとも、それぞれの地域によってかなり地域差というのがありますから、県その他としっかりと話し合いながら、総務省とも連携をとりながら対応していきたいと思っております。

逢坂委員 診療報酬の中でさまざま工夫されていることは私自身も承知をしておりますけれども、それでもなお、例えば、今、公立病院でいくと、約九百の公立病院施設があるうち六百ぐらいが赤字であり、単年度の赤字額が一千八百億円ぐらい、累積ではもう今二兆円に迫ろうとしているわけですから、これまでの診療報酬のさまざまな、離島だとか過疎地の上乗せなどということだけではもう問題が解決しないのではないかというところを指摘しておきたいと思います。

 そこで、引き続き総務大臣にお伺いしたいんですけれども、真に地域に必要な公立病院というところがもう最大限努力をした、だけれどもどうしても補うことのできない赤字が出るんだというような場合に、それを一般会計で補おうとすることを今回明確化しようとするわけですけれども、補った場合に、新しい自治体の財政再生法制、この連結指標の中で単純な赤字としてこれを合算されるというのは、地域に住んでいる人にとってみると何とも解せないというか、地域にどうしても必要な医療なのに、そこに赤字が出ているから補てんすることが財政再生法制でいくとだめじゃないかと言われるのは困るという声が随分強いんですが、大臣、この点についてどう思いますかというのが一つ。

 あと、真に地域にとって必要な医療の赤字を一般会計から補うということについても、例えば憲法の最低限の生活を保障するというような観点から見ると、自治体の一般財源だけで補うということが本当にいいのかどうか、あわせてちょっとお考えをお伺いします。

増田国務大臣 まず、今回の自治体財政健全化法の考え方でありますが、こちらの方からいうと、いろいろな諸事情はあると思うんですけれども、例えば病院事業も含めて、地方公共団体の連結の実質の赤字を住民の皆さん方に正確にお知らせして把握していただく、ここにやはり一つ意味があることは事実でございます。

 したがいまして、そういった要請も一方で満たさなければいけないのと同時に、一般会計でいろいろと公立病院の経営について負担を、決まりによってきちんと厳格に制度化した上でするわけですが、それでもなお経営状況が悪化してそれで赤字が生じている、資金不足が生じているということについては、病床数が過大だといったようなことを初め何らかの原因があると思うので、そうしたことを除去するような取り組みは一方でやはりきちんとしていただかないかぬというふうに思います。

 今申し上げましたようなことが一方で必要だろうというふうに思いますのと、それから、その上で、この財政健全化法の中でどういうふうにこれを取り扱うか、今まだ私どもの中でいろいろ検討してございまして、自治体の皆さん方から今先生お話しになったような声も届いておりますし、そうしたものをどう取り扱うのか、いましばらく検討の時間をいただきまして、どういう指標にしていくのか、どういう考え方に立つのかということを検討していきたいと思っております。

逢坂委員 今回、総務省がこの公立病院改革のガイドラインをつくろうとしたということは、私は、総務省の皆さんに大変失礼なんだけれども、限界があるんじゃないかというふうに思うんですね。総務省の皆さんが切り込めるのは、地方財政上の効率がいいとか、会計がプラスになったとかマイナスになったとか、どうしてもそういうところしか切り込めないわけですね。だから、本来は、医療制度の根幹を担う厚生労働省との共同作業によってこれをやらなければいけない。だから、総務省だけの目線でやってしまうと、別に総務省が悪いと言うつもりはないんですが、総務省の権能だけでやってしまうと、地方財政は健全化したけれども地方医療は崩壊したということが起きかねないわけですね。

 だから、やはり総務省と厚生労働省、西川副大臣も協力して、この地域医療のあるべき姿を、今回のことを契機として一緒に描いていく。そしてその上で、森山財務副大臣に、やはりこれぐらい金がかかるんだから、これぐらい予算を用意しないといかぬぞというようなことを言わなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、三人の大臣、どうですかということを聞きたい。

 と同時に、あわせて、私はこう思っているんですよ。公立病院に限らず、今、日本の医療制度が崩壊しかかっているというのは、多くの識者の方あるいは本などでも言われていることですけれども、医療にかける予算を相当大幅にふやさないと日本の医療の崩壊というのはとめられないんじゃないか。だから、省庁の縦割りの予算配分の枠の中だけで考えていたのでは、これはもうどうしようもない。だから、その省庁の縦割りの予算配分の枠を排して大胆な予算の増額が必要なんじゃないかというふうに思うんですけれども、お三方それぞれ、今の私の発言に対してどう思われるか、お願いします。

増田国務大臣 まず私からお答え申し上げます。

 やはり、この医療の問題は、例えば総務省それから厚生労働省、ここはよく連携をして取り組まなければいけない。さらに言いますと、あと大学の医学部の問題もございますので、文部科学省などともよく連携をとって将来像を描いていく必要があるだろうと私も思います。

 これまでのガイドライン、例の私どものつくっておりますガイドラインの策定に当たりまして、そうした観点から厚生労働省からもいろいろアドバイスをもらったりしてございますけれども、それはそれとして、今後に向けても、よくその点を両省とも協調していく。そして、真に必要な医療というものをきちんと地域で展開できるようにしていかなければならない、このように考えております。

森山副大臣 逢坂先生御承知のとおりでございますけれども、公立病院の経費で地方の普通会計が負担すべきものにつきましては、地財計画上、公営企業繰り出し金として計上させていただいているわけでありますが、二十年度分につきましては、現在総務省におきまして公立病院関係経費の積算中であると伺っておりますので、その結果を見まして、総務省とよく議論をさせていただきまして来年度予算は対応させていただきたいと思っております。

 また、医療全体の話でございますけれども、一番大事なことは、医療保険制度を持続可能なものにするということと、財政健全化をどう進めていくかということが大変大事なことだというふうに思っております。ただ、医師確保等必要な対応は行わなければなりませんけれども、診療報酬を含めて、重点化、効率化など不断の見直しを行いまして、医療給付費の伸びを抑制していくことはどうしても必要ではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、給付と負担は表裏一体でございますので、このような前提のもとで医療保険制度が経済、財政とも均衡のとれるものになるように、今後とも給付と負担の見直しに取り組む必要があるというふうに考えているところであります。

西川副大臣 ありがとうございます。

 ある意味では、逢坂先生、厚生労働省の応援団になっていただきたいという思いもあるくらいでございますけれども、毎年医療費が一兆円近くふえていく、高齢化が進んで、いわば高齢化とともにどんどん医療費がかかっていくのは当然であるという中で、やはり財政バランスをとるというために毎年削減努力をしているわけです。

 その、まさに二律背反のジレンマの中にいるのが今の厚生労働省の医療制度改革ということになると思うんですけれども、その中で、やはり緊急に、とにかく今の病院勤務のお医者様たちの過酷な労働条件を何とかしようということ、それから、とにかく周産期医療、小児科医療の地域の緊急の医師派遣システムを整えよう、そういうところにかなりいろいろな予算の工夫をしております。平成十九年度予算総額では医師確保対策として九十二億円でしたが、これを二十年度は百六十億円要求していく予定でおりますけれども、そういう中で、先日の奈良の救急医療体制の問題もありますが、今の救急医療のシステムづくり、これは各地域によって本当にかなり状況が違いますので、きめ細かなシステムづくりその他を、予算の面も含めてしっかりと対応してまいりたいと思います。

逢坂委員 三人の方の答弁を聞いていて、私は、役人の答弁を聞いているよりまだ悪いと。まだ悪いというのは、自分で書いていないものを自分で読んでいるわけですから、これはやはり政治家としてきっちり責任ある答弁を、国民に対してメッセージを発するべきだ。それぐらい、この医療の問題は今大変な状況になっているというふうに思います。

 それで、きょうはもう最後、時間がなくなりましたので、これでやめたいと思いますが、せっかく増田大臣にたくさん用意していたもののうちで、先ほど玄葉委員からも話が出た地方の議会改革について。

 今、地方の議会は、本当に、地域に住んでいる人の年齢構成、人口構成、職業構成と地方議会の議員の構成が全く違っている実態があるのは大臣も御承知かと思うんですね。やはり、これを是正するために、地方の選挙制度の仕組みを変える必要があるんじゃないか。例えば公務員も地方議員になりやすい仕組みにするとか、そんなことというのは、大臣、何かお考えがございますでしょうか。もう時間がありませんので、端的にお願いします。これで質問を終わりたいと思います。

増田国務大臣 選挙制度のことにもつながってくるので、一方で慎重な検討も必要だろうというふうに思うんですが、ただ、やはり議会の構成というのは地域の民主主義において大変大事なものであります。ですから、そういった中で、今、地方制度調査会の中でもそうした観点からいろいろな議論を提起していっていただきたいなというふうに思います。単に地方議会だけでなくて、被選挙権の話になりますと国政も含めての話になりますので、一地方議会だけということではない観点が必要だろうと思うんです。

 ただ、被選挙権ということになるとそういうことになってしまいますが、地方議会ですとか地方自治体のあり方については、地域の個性ですとか、それから条例で決められる範囲というのはできるだけふやしていくべきというふうに私も思っておりますので、そういう点からのいろいろな検討というのはこれからもっとあってしかるべき、あるいは提言などはもっとあってしかるべき。その中で、選挙制度ですとかそういったもの、いわゆる議会の権能にかかわるような話については、やはり各党会派の中でもいろいろと御議論いただければよろしいのではないか、こういうふうに思っております。

逢坂委員 終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、自治事務に関する国の関与の問題についてお尋ねをしたいと思っております。

 先日、地方分権改革推進委員会の中間取りまとめも出されたと承知をしております。その中でも、「「地方が主役の国づくり」に向けた取組み」の中で、

 国は、地方自治体の自治事務に対しても、法令にもとづいてさまざまな義務付け・枠付け、関与などを行っており、これが地方自治体の実質的な裁量権と責任ある判断を大きく制約している。地方自治体に与えられた事務や権限について本当の意味で判断の自由度と責任を確保し、権限移譲を実質的に進めていくためには、国が担う役割についての明快な基準を設定し、これにあてはまらない義務付け・枠付け、関与などは原則廃止との方針のもと、徹底的な見直しを行う必要がある。

このような指摘があることも念頭に置いてお尋ねしたいんです。

 大臣、自治事務に係る技術的助言、いわゆる通知ですけれども、総務省から地方自治体に対してどれぐらいの自治事務に係る技術的助言、助言または勧告と言われる通知が出されているのか、およそで結構なんですけれども。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

増田国務大臣 総務省からどのくらいの数が出ているかというのはちょっと、今手元に数字がございませんので、わかりません。恐縮です。

塩川委員 我が党は予算委員会での要求資料の中で毎年お尋ねしているんですけれども、暦年での〇六年で百十三本とされているということでした。

 私は、機関委任事務の廃止という地方分権一括法以来の流れの中で、いわゆる通達類について大きく少なくなるだろう、同時に、自治事務に係る技術的助言などについても、これはやはり総務省としても徐々に少なくしていく方針だと承知しておりますけれども、その点、間違いないでしょうか。

増田国務大臣 やはり、自治事務でありますので、本来、自治体が独自に判断をすべきというものでございますし、できるだけわかりやすいものを省庁としてもきちんと用意すべきでありましょうから、こういった通知を出さないと自治体の方でも判断に困るようなものというのは、数はやはり少なくしていくべしと。

 いずれにしても、この自治事務というものの本来の性格というのを各省にも十分理解していただいて、そして対応していただく必要があるだろうと思います。

塩川委員 地方分権一括法の議論の際に、当時の野田大臣なども、自治事務について、そういった通知類はやはり一般的、ルール化された形になっていくだろうという形で、事細かに書くようなものじゃないというお話も答弁の中でございました。

 しかしながら、現状がどうか、総務省の自治事務に係る助言がどうなっているのかということなんですが、先ほどの続きで、我が党が要求した予算委員会の要求資料で、自治事務に係る助言、総務省から発出された本数が何本かとお聞きしましたら、二〇〇四年が百本なんですね。二〇〇五年が百十一本で、二〇〇六年が先ほど申し上げたように百十三本という形で、ふえているわけです。

 地方分権一括法の前、九八年当時の自治省の通達は三百二十三本ということでお聞きしていました。このうち、旧自治法二百四十五条第四号のいわゆる技術的助言、今で言う自治事務に係る通知に相当するものと考えられますけれども、この技術的助言として出されたものが百二十三本でした。ですから、九八年、地方分権一括法前に百二十三本だったものが、現在はほぼ同水準の百十三本になっている、ほとんど変わらなくなっている。

 先ほど大臣のお話の中に、通知については数は少なくしていくべきだとお話がありましたけれども、現状はそれに逆行しているんじゃないか、これについてどうするおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。

増田国務大臣 通知それぞれの内容をよく吟味する必要があると思うんですけれども、中に、やはり技術的な基準等で公共団体にお知らせすることが一定の意義を有するものもあると思いますし、それからあと、自治体の方から何かわかりやすい考え方を示してくれというふうに求める場合もなくはないと思います。

 ただ、やはりそういったものを金科玉条と考える傾向もありますから、今お話ございましたとおり、ちょっと私も数を承知してございませんでしたが、以前百二十三本あって、今の段階では十本少ない百十三本ということ、このようないわゆる技術的な基準、自治事務に伴いますこうした通知のようなもの、これについては、やはりその内容といいましょうか、それから通知の持つ意味というのを十分によく考えていかなければならないというふうに思っております。

塩川委員 百二十三本、後に地方分権一括法が出て、一時抑制的だったものが今戻ってきているんじゃないのかという懸念を覚えるわけです。それは、当該地方行政所管の総務省の通知だからなおさら、その問題というのが問われてくるんだろうなと思っています。

 もちろん、自治体の方からこの点についてどうなんだという問い合わせはあるんだと思うんですけれども、それは個々の案件について問い合わせに答えればいい話であって、それを通知という形で出すのが、先ほど言ったように、かえって金科玉条のようなものになってしまうんじゃないのか、こういうことにもつながってくるんだろうと思っています。

 そこで、もう一点、これは要望でもあります。御意見もお伺いした上で要望としたいんですが、各府省から政府全体の出されている自治事務に係る助言の本数なんですけれども、同様に予算委員会の要求資料に基づいて調べたところ、二〇〇四年が二百五十九本、二〇〇五年が三百二十六本、二〇〇六年が三百七十二本と、やはり増加をしているわけです。

 政府全体としても増加するというのはいかがかと思うんですけれども、地方分権を預かる大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 今お話ございましたとおりの数字であるんだろうと思いますが、やはり、公共団体の自主性ですとか自律性ということが損なわれるようなことがあってはならない。したがいまして、そもそも国の公共団体に対する関与というのは本当に必要最小限なものにとどめなければなりませんし、それからあと、自治体の方でどうしても助言が必要な場合には個別にいろいろお問い合わせするといったようなこともできるわけでありますので、そうした各省から出されているものについても今言ったような内容にならなければいけないというふうに思いますし、やはりいろいろ各省の方で、助言をするという意味を十分に理解して運用していただかなければならない、こういうふうに考えます。

塩川委員 そこで二点伺いたいんですが、総務省として、この間ふえる傾向にある通知についてもやはり減らす方向で今後努力していくということが必要だと思うんですが、総務省としての通知の発出件数について、これは抑制をしていく、減らしていくという点についての大臣の決意をお聞きしたいというのが一つ。

 あと、政府全体についてなんですけれども、先ほど言ったように、政府全体でもふえております。そういうことについて、各府省に対して必要な申し入れなどをぜひ行ってもらいたいと思うんですね。よく予算の概算要求の際に、これは地方財政法上の規定なんでしょうか、各府省に対して、自治体の立場を配慮したという形でのいろいろな意見とか申し入れをされておられます。こういった通知についても、地方分権、地方自治の趣旨にのっとって必要な対応をお願いしたいという要請なりを総務省としてぜひ行っていただきたいと思うんです。

 以上二点について、お答えをお願いします。

増田国務大臣 今お話ございました、数をもっと抑制するようにすべきというお話なんですが、総務省で発しているものについても、私の方でも、少し内容もよく見ておきたい、吟味をしたいというふうに思います。それから、各省の方に対しても、どういう対応をとるのか、それぞれの省の中で、先ほど言いましたように、公共団体の自主性、自律性ということが損なわれるようなものは、これはもうやめてもらわなければいけませんし、その趣旨のことを毎年いろいろな場面で各省に対して要請してございますので、そういったことが損なわれているような実態があるのかどうか、よく調べたいというふうに思います。

 といいますのは、今申し上げましたのは、要は、本数というか数字、今言ったようなことを各省に理解させ、それから総務省としてもやはり必要最小限という形にしていけば、おのずから数字は減少していくだろうというふうに思います。その中で、どういった内容の通知なのかといったことを、やはりもう少し見る必要があると思いますので、その点をよく吟味した上で対応を考えたいというふうに思います。

塩川委員 先ほど、やはり通知を金科玉条のように考える傾向もないとはしないという話がございましたが、そもそも自治事務に係る通知は技術的助言または勧告であって法的拘束力はないものだということだと思うんですが、その点、確認だけさせてください。

増田国務大臣 その点は、まさに先生おっしゃるとおりでございまして、法的拘束力はないというふうに考えております。

塩川委員 実際に拘束力はないわけなのに、何回も事細かな通知が来ると、それが拘束力を持つかのような錯覚にもとらわれるというのが実態としてありまして、その点で具体的な事例を紹介したいと思うんです。

 これは、ことしの通常国会で特区法の見直し、延長の法案が出されて質疑が行われました。その際に、東京市政調査会、今度大臣のかわりに分権の委員となられた西尾勝氏が主宰しておられる東京市政調査会が提言を出されているんですけれども、特区制度を活用した形で、本来自治事務で自治体がみずからの判断で処理できることが、あたかも国の規制であるかのようになっているという事例が紹介をされておりました。

 そこで総務省関係が何例かあるんですけれども、例えば住民票、印鑑登録証明書の自動交付機の設置場所の拡大事業というのがあります。この特例措置の内容というのが、特区の認定を受けることにより、個人情報の保護やセキュリティーに配慮すれば都道府県または国の施設以外の場所に端末機を設置することができるというものですけれども、これが提案として出された際に、規制とされているものが、自治事務についての総務省の助言に基づいているわけですね。ですから、法的拘束力を持たない助言を規制の根拠にして特区を実施したという事例になっているわけです。

 このように、そもそも特区の提案とか認定を受けなくても自治体の判断で実施が可能という対応ができなかったのはなぜなのか。総務省の所管する特区であるのにもかかわらず、なぜこんなことになったのかについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

増田国務大臣 今、先生の方から御指摘ございました点でございますが、これはやはりあくまでも、先ほど申し上げましたとおり、法的拘束力のない技術的助言としてお示しをしておりますので、そのことを規制というふうに考えるのは、やはり私もおかしいと思います。規制ではなくて、本来技術的助言ですから、あくまでも助言として取り扱って、各自治体の方で、別途の考え方で何か違う措置をとるということも当然可能なことであろうと。その通知自身にも、何かそういった旨は示されているようでございます。

 ですから、むしろこういったものを特区ということで取り上げるということが、その経緯もちょっとなかなか、まだ私も十分理解していないんですけれども、それを規制というふうにあたかもとられがちなような形の、特区として取り上げること自体がやはり少し考え方としておかしいのではないかというふうに私は思っているところでございます。

塩川委員 だから、本来自治体が自主的に判断できるものを国が何らかの形で、規制を緩和するかのような形で特区を使うというスキーム自身が、大臣もおかしいとおっしゃられたことだと思います。かえって国の関与を強めるような形になる、地方分権の趣旨に反するようなことを総務省が行っておられるんじゃないのかということが問われるわけです。

 それと、もう一つの例が消防に関してなんですけれども、農家民宿における簡易な消防用設備等の容認事業ということで、特区の認定を受けた農家民宿について、一定の条件を満たせば、誘導灯とか誘導標識、消防機関へ通知する火災報知設備を設置しなくてもよいというものです。

 これも、そもそも消防法の規定の中で、消防署長が判断できるという適用除外があるわけですよね。しかし、特区をつくるのもその適用除外を使ってできますよというふうに、消防庁がいわば指示を出すという中身になっているという点でも、わざわざ特区の認定を受けることなく、自治体みずからの法令解釈によって適用除外ができたんじゃないのかということになります。

 ですから、そういう点について、先ほどの印鑑登録の証明書、住民票の写しの自動交付機の設置場所拡大事業の問題も含めて、何でこんなことになってしまったのかということについて、ぜひ検証していただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

増田国務大臣 私も実は、東京市政調査会の西尾理事長の、御指摘の論文といいましょうか報告書等も拝見をいたしましたけれども、やはりこういった通知などが自治体にとりましてあたかも規制のような形で受け取られているといったところに何か問題があったのではないか、こういうふうに思っております。したがいまして、あくまでも技術的な助言でありますので、それを十分に参考にしながら、自治事務ということで自治体がいろいろな判断をしてしかるべきであろう、こういうふうにも思います。

 今回、こういった規制改革特区の手法を使って行われているということについて、私の方でもよく経緯などを検証して、そして、あくまでもこうした自治事務について行われる助言または勧告、これは自治体の方の受け取り方の問題もやはりあると思うので、そこは自治体サイドでも意識を変えていく必要があると思うんですけれども、そういった、あくまでも自治事務だ、そして国の関与は必要最小限にとどめるべし、このことについて徹底をさせていきたいというふうに思います。

塩川委員 お話のように、自治体側の対応の問題も当然あると思います。同時に、通知の中身そのものが、かなり縛るような文言にもなっているという現状があると承知をしています。ですから、助言の範囲を超えるような中身ですとか、あるいは法的拘束力がないといっても拘束力を持つような内容のものもある。

 例えば、総務省の自治行政局公務員部給与能率推進室長名の「人事委員会における公民比較の較差算定等に係る留意点について」、こういうのについて、本通知で示した留意点と異なる取り扱いをしている場合にはその理由を示すことと、点検するかのような中身の問題なんかも出ているわけです。理由を示せと要求するようなのは、これはいかがかと思いますから、こういった実際の通知の中身の問題についても、しっかり改めるということをぜひ求めたい。そのことについて一言いただいて、終わりにしたいと思います。

増田国務大臣 いろいろな通知もあるようでございますので、そうした内容についてよく点検をしてみたい、このように考えます。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、大きく分けて二つの分類によって質問したいと思います。

 まず最初に、先般の郵政の集中審議と申しますか、総務省、さらには四会社を呼んで議論させていただきました。その折、私の方も盛りだくさん質問を準備しておったんですが、すべてそれを問うことができずに終わりましたものですから、きょうはそれをやろうというふうにしたところが、十月以降、郵政四事業会社になりまして、やりますよという手続が要るんだということで、なかなか窮屈になったな、民営化とそれから国会の審議の間にそういう意味では距離ができたのかな、こういうことというのは余り好ましくないなと。

 だから、まず冒頭に、今後、やはり郵政というのは国民生活に極めて密接なかかわりを持つ事業でありますだけに、国会としても日常不断にそこら辺に聞いたり申したり、そういうやりとりをすることが私は必要だと思いますので、委員長においては、そういう点について十分配慮して、取り計らっていただきたいなということを最初に申し上げておきたいと思います。

 そこで、先般も私、何点か質問をいたしましたが、きょうは次の点について聞いておきたいと思います。

 郵政民営化がスタートしまして、いわゆる同様なというか同質なというか、そういう業界との関係、ある意味では競合する部分が今後激しくなってくるのではないかというふうに思うわけです。

 金融業界と流通業界というふうに分けられると思うんですが、私がある本を読んだら、全国銀行協会の方が公正な競争条件の確保をというふうな視点で政府に要望した、こういうふうな記事を見ました。言うならば、そういう全国ネットワークを持つ郵政事業の金融部門と民間の金融、今度郵政の貯金もこれは民間の貯金銀行なのでありますけれども、民間のそういう業界との折り合いというのか、そこら辺はどういうふうに調和がとれるのかということが一つ。あるいは、そういう問題意識を持っておられるかどうか。

 それから、物流業界も、やはり郵政のネットワークというのは流通業界のインフラとしては極めて巨大なものがあるという点において危惧しているという向きがあるんだと。そういう流通業界との折り合いというのか、そこら辺の危惧の念をどう払拭していくのか。まず、その点についてお聞きしたいと思います。

高木参考人 お答え申し上げます。

 まず、金融の方についてお答えを申し上げたいと思います。

 御承知のように、ゆうちょ銀行は、民営化当初は公社と同じ業務ということで、極めて限定された業務でスタートをいたしております。民営化後は、民間金融機関になるわけでございますから、段階的に業務の範囲を拡大していくという法律の大きな枠組みの中で業務を拡大していくことになっております。

 そういう枠組みのもとで、私どもは、まずは運用対象、これは基金のようなたくさんの、百八十何兆のお金を集めているわけですけれども、その運用が非常に重要でございますから、その運用対象を拡大していただきたいとか、それをまずイの一番にお願いをしているんですが、これは民業圧迫とかいう問題は極めて少ないと私は思っております。市場が活性化するということはあっても、民業圧迫の問題は少ないと思います。

 それから、次のステップとして、住宅ローンの仲介だとかあるいは変額年金の販売だとか、そういうことをお願いしております。これは民間金融機関の商品を仲介していくということですから、例えば自分でローンをするということとはおのずから、民業圧迫という意味で影響が違ってくると思います。その一方で、こういう多様な商品を扱うことによって、国民の皆様、利用者の皆様の利便が向上するということで、そういう影響の少ないものから段階的にやっていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、そういう新たな業務につきましては、イコールフッティング等の観点から、郵政民営化委員会の御審議を経た上で、主務大臣の御認可を得て行うという仕組みでございます。そういうことで、関係方面に御理解をいただくようによく御説明をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、物流の問題でございますが、物流は郵便事業会社が中心になってやっております。これは、御承知のように、極めて厳しい事業環境の中にございます。そういうことで、郵便のユニバーサルサービスの提供をそういう厳しい状況の中で継続していく必要がございますので、郵便事業そのものの分野でさまざまな取り組みをしていくことは当然でございますが、さらに国内外の物流分野などへの進出も必要になってくるというふうに考えております。

 先生御指摘の公正な競争という点につきましては、郵便事業会社は民間業者と全く同じ、例えば貨物自動車運送事業法等の貨物法制の適用を受けるといったふうに、民間物流業者と同じ制度、枠組みの中で事業展開、競争をしていくということになってまいります。また、民営化法七十七条に書いてございますけれども、新しい業務をやるときに、同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することがないようにという条文がございます。私どもは、そういう点も十分踏まえながら、配慮しながら業務の展開を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解をお願い申し上げます。

重野委員 はい、わかりました。

 次に、これも確認をしたいんですが、ことしの九月に、東京都など四十七都道府県が連名で当時の公社に何か要請をした。というのは、ゆうちょ銀行で扱う公金の収納手数料について、民間金融機関並みに引き下げるよう求めた、こういうふうな報道がありました。そのことを郵政公社に提出をしたと。その結果がどういうふうになったのかという点なんですが、その点についてはどういうふうなてんまつになったんでしょうか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の問題につきましては、公社時代から郵便貯金事業本部が関係団体といろいろ御相談をしてきているというふうに聞いております。ただ、結論が出ないまま議論が継続されているという状況でございます。

 民営化後の考え方といたしましては、ゆうちょ銀行も民営化したわけでございますから、基本的に民間並み、他の金融機関と同じような条件でサービスを提供していくことが基本だというふうに私どもは考えております。

 ただ、他方で、公共団体の収納料金を見ますと、無料のところから三十円のところまで非常にばらばらになっております。今の私どものシステムでは、多数の公共団体とお取引をいただいているわけでございますが、その多数のそういういろいろなばらつきのある手数料の料金テーブルを持つということが今のシステムでは対応できないという問題がございます。これは私どもの中の問題で大変恐縮なのではございますが、そういう事情もございますので、そういうことをよく御説明しながら、関係団体と今後とも誠実に話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 その点については、今高木副社長の方から話があったんですが、そういう方向で折り合いをつけるように、いい話を進めてほしい、このように思っております。

 次に、いわゆる会社に移行して間もないわけでありますが、言うならば、コンプライアンス意識を徹底しなければいけないという事象があるんだ、こういうことですね。

 顧客関連書類等々を誤って廃棄するとか、あるいは内容証明郵便などの事務処理ミス、押印漏れであるとか記載ミス等々が出ておるということですね。これはやはり、国民の目線から見れば、いわゆる会社に対する不信というか、あるいは信頼感の欠如につながっていく。

 その辺の問題意識と、そして、そういうことが発生しまして、その後の対策と、そして現状どうなって、将来展望をどう見ているか、その点についてもお聞かせください。

高木参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、公社時代に顧客情報の誤廃棄があったとか、あるいは民営化後に郵便認証司の署名押印をうまくできなかったとかいう問題が生じております。これは大変申しわけないことだという気でいっぱいでおります。今後はこういうことのないようにしたいというふうに思っております。

 いずれにしても、誤廃棄の問題は公社時代に起こったことですが、これはルールをたびたび改正しているんですが、それをまとめてちゃんと整理されていないものですから、まじめな職員がちょっと読んだときに、例えば、この書類の保存期間は二年とかいうのを誤って認識したケースが随分あるんですね。それで大量のそういう書類が誤廃棄されたということで、これにつきましては早急にルールの明確化をしたいというふうに思っております。

 それから、認証司の関連の問題につきましては、やはり、民営化のときに、その重要性の認識が不足していたと思います。それで、研修とか訓練が十分でなかったということで、これは徹底して、御迷惑をかけたお客様には御迷惑をこれ以上おかけしないように、きちっとした対応を今させておりますし、今後こういう問題が生じないように、研修等を今徹底してやっているところでございます。

 よろしくお願いいたします。

重野委員 よくわかりました。

 それでは、今度、総務大臣、そしてきょうは木倉大臣官房審議官にもおいでいただいておりますから、二人に聞きたいと思うんですが、先ほど来、公立病院の問題について質問等々、議論のやりとりがありました。重複する部分があるかもしれませんけれども、私の住む大分県は、本当に過疎地域の多い地域です。そして、医療機関の偏在が非常に顕著な、県庁所在地であります大分市に医療機関も集中をするというふうな現状がありまして、周辺部においては極めて厳しい状況にあります。

 まず、大臣、公立病院改革懇談会が答申を出しております。その内容は先ほど触れましたからもう重複は避けますけれども、我々、大分という、あるいは過疎地域の多いという目線から見れば、非常に不満の残る内容になっている。そこで、そういう医療過疎という存在を認めた上でどうあるべきなのかという点について、まず総務大臣、お聞かせをいただけませんか。

増田国務大臣 公立病院、いずれの地域でも大変重要な役割を果たしておりますので、今回、私どもの方でガイドラインの案をおつくりして、今いろいろ御意見をお伺いしておりますが、何としても公立病院を、地域でこれからも医療を支える、そういう体制に持っていきたい。

 公立病院の経営の問題もございます、それから医師不足の問題もあります。そうしたこともありますので、経営の効率化ですとか、再編・ネットワーク化ですとか、そうしたことを内容に盛り込んでおりますけれども、そうした、正すべきは正す、改革すべきは改革するといったことを行った上で、地域の医療サービスを担う担い手として、公立病院に十分な役割を果たしていただきたい、このような考え方でおります。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 医師不足の問題、御指摘の、先生お地元の大分県に限らず、全国的に大変深刻な問題になっておるというふうに思っております。

 これは、医師全体の数をある程度ふやしておりましても、特に産科、小児科あるいは救急といった、非常に困難を伴うような診療科について偏在が見られるというふうなことも、問題が大きくなっている原因になろうかと思っておりますが、我々といたしましては、地域医療の確保のために、そもそも地域において病院間ネットワークを組んでいただくということももちろんでありますが、全国的にも医師の派遣システム、特に大分県は具体的に医師の派遣を今、日本医大の御協力を得てやっておるところでございますが、これらのことも、全国的なレベルからも国も率先をして応援していかなきゃいけない。根本的な地域における確保についても、県を主体に取り組んでいただきますが、全国的なカバーもしながらバランスをとっていかなきゃいけないというふうに認識しております。

重野委員 それと、もう一つ問題は、診療科目での偏在の問題ですね。これはもう大分県だけではないと思うんですが、小児科、産婦人科医の著しい減少、今までは、三年前までは六人いた産婦人科の先生が一人になってしまったとか、そんな話があちこちあるわけですね。そういう診療科目による医師の偏在という問題意識、これは、総務大臣、どういうふうに受けとめていますか。

増田国務大臣 診療科目ごとの偏在も、今お話ございましたとおり、大変著しいものがあるというふうに思います。したがって、いずれの科も、現場で懸命に働いておられる先生方、特に勤務医の皆さんですけれども、もう身を削るような思いでやっていらっしゃる。ですから、ここはやはり数を何としてもふやさにゃいかぬと思いますし、それからあと、特に産科などで、今ハイリスク出産による訴訟の問題といったようなものもございますし、いろいろな問題をさまざまな角度から、そうした問題を解決するための施策を講じていかなければならない、こういうふうに思います。

 基本はやはりお医者さんの数をふやすことでありますから、総務省としてできる、まず自治医科大の卒業生等もふやしますが、全部がそういった偏在の著しい、減少の著しい小児科、産科に向かうかというと、必ずしもそうでもないということもあるので、全体的なお医者さんの母数をふやすと同時に、それだけではない、例えば産科、小児科、特に勤務医の皆さん方に対しての診療報酬上の措置ですとか配慮ですとか、そういったことも必要だろうと思います。

 いずれにしても、そうしたことをした上で、やはり一定程度、基幹病院に産科、小児科医の集約化をして、そしてお医者さんの働く条件を一定程度確保しながら、全体としてネットワーク化していくといったようなことも必要だろうと思います。いずれにしても、多角的な取り組みをこうした問題に当たって考えていかなければいけない、このように思っております。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今総務大臣の御答弁にもありましたように、特に、全体の医師数の不足も目立っておりますが、産婦人科、小児科、それから救急といったところで、医師数の不足ということが特に強く指摘されております。

 これにつきましては、医師全体の、特に病院勤務医さんの過重労働、これを軽減しなきゃいけないということがありますが、女性がやはり産科であるとか小児科を目指されているという実数が多いことは事実でございまして、この方々が子育て等の間に離職してしまわざるを得ないような状況がある。そのときにも、復職をしていただくための研修制度、あるいは医師の人材バンクというようなものの整備。それから、どうしても減ってしまった場合には、そういう産科医療機関に対して、採算がとれなければ、そういう人たちに対する予算的な支援というふうなことも含めて応援をしていかなきゃいかぬ。

 それから、今御指摘ありましたように、やはり当面の医師の養成増の確保ということもやらなきゃいけませんので、去年、東北地方を中心に大学の入学定員増員を図らせていただきましたが、ことし、今進めておりますのは、全国的に十年間にわたりまして前倒しで、五名ずつとはいえども増員を図らせていただき、なるべくそういう地元に残っていただくような施策を同時に打っていかなきゃいかぬというふうに思っております。

重野委員 終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 この際、御報告いたします。

 去る一日、議長より本委員会に送付されました、議員武正公一君外百十二名からの独立行政法人の組織等に関する予備的調査及び議員原口一博君外百十二名からの特殊法人の組織等に関する予備的調査の両要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、いずれも予備的調査を命ずることといたしましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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