衆議院

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第6号 平成19年11月29日(木曜日)

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平成十九年十一月二十九日(木曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    新井 悦二君

      井澤 京子君    石崎  岳君

      岡部 英明君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    清水清一朗君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      山本ともひろ君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   中田  睦君

   参考人

   (日本放送協会会長)   橋本 元一君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     岡部 英明君

  関  芳弘君     清水清一朗君

  萩原 誠司君     新井 悦二君

  古屋 圭司君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     萩原 誠司君

  岡部 英明君     木挽  司君

  清水清一朗君     関  芳弘君

  山本ともひろ君    古屋 圭司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第九四号)

 国民の権利を保障し利便向上を図るための郵政事業の推進に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 第百六十六回国会、内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 放送法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 通信・放送分野の改革を推進するため、日本放送協会について、監査委員会の設置等、業務の適正な執行を確保するための内部組織の強化等の措置を講ずるほか、二以上の地上系一般放送事業者を子会社とする持ち株会社の制度を創設するとともに、無線局の開設に関するあっせん・仲裁手続の創設等、電波の有効利用を促進するための制度を設ける等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、日本放送協会のガバナンスを強化するため、経営委員会について、監督権限の明確化、一部委員の常勤化、議決事項の見直し等を行うとともに、経営委員会の委員から構成される監査委員会の設置、外部監査の導入等を行うこととしております。

 また、我が国の対外情報発信力を強化するため、日本放送協会の国際放送の業務を外国人向けと在外邦人向けに分離し、それぞれに適合した番組準則を適用し、外国人向けの映像国際放送について番組制作等を新法人に委託する制度を設けることとしております。

 第二に、経営の効率化、資金調達等のメリットを有する持ち株会社によるグループ経営を経営の選択肢とするため、複数の地上放送事業者の子会社化を可能とするマスメディア集中排除原則の適用緩和や外資規制の直接適用等を内容とする認定放送持ち株会社制度を導入するとともに、相当数の有料放送契約を代理等する有料放送管理業務、いわゆるプラットフォーム業務の影響力が増大してきていることを踏まえ、受信者保護を図るため、その業務を行う者に、業務開始の事前届け出と業務運営の適正確保のための措置を講ずることを義務づけることとしております。

 第三に、虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送により、国民生活に悪影響を及ぼすおそれ等がある場合、総務大臣は、放送事業者に対し再発防止計画の提出を求めることができることとしております。本法律案において新たに設けることとされています再発防止計画の提出の求めに係る規定については、放送事業者が、虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であって、国民経済または国民生活に悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれがあるものを行ったことをみずから認めた場合のみを適用の対象とすることといたします。

 なお、今般の再発防止計画の提出の求めに係る規定の新設と時を同じゅうして、日本放送協会及び民間放送事業者が自主的にBPO、放送倫理・番組向上機構の機能強化による番組問題再発防止への取り組みを開始したことにかんがみ、BPOによる取り組みが機能していると認められる間は、再発防止計画の提出の求めに係る規定を適用しないことといたします。

 第四に、新しい無線通信サービス等の迅速かつ円滑な実現のため、電波利用の技術的な試験や需要調査のための無線局を開設できる制度を創設するとともに、無線局を開設する場合等に既存無線局との間で行う混信等の防止に関する協議を促進するためのあっせん及び仲裁の制度を創設することとしております。また、柔軟な電波利用の実現のため、無線局の免許人等以外の者に一定の条件のもとで無線局を運用させることができる制度を創設することとしております。

 第五に、電気通信事業の運営が適正かつ合理的でないため電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるときに、電気通信事業者に対する業務改善命令が行い得るよう、その要件を見直すこととしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長橋本元一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、総務省情報通信政策局長小笠原倫明君及び政策統括官中田睦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 どうも御苦労さまです。

 この総務委員会では、私も前国会まで理事をやっておりましたが、久しぶりの質問ということになります。本日の質問では、今も趣旨説明の中にもございましたけれども、民間放送事業者に対する再発防止計画の提出の求め、この関係に大半の時間を使わせていただきたいというふうに思います。

 私、茨城の選出でございますけれども、この規定が入るというか、検討されるきっかけとなりました「あるある大事典」の報道を非常によく覚えております。といいますのは、茨城が納豆を一番消費する県だということなんです。私も納豆が大好きなんですけれども、翌日にはスーパーからばあんと納豆がなくなっちゃいました。ただ、まだ多少はよかったのは、これが捏造報道であるということが比較的早くわかったわけなので、もしも茨城県の業者の方々がラインを設備投資で増設するというようなことをやっていたら大変甚大な被害になったんじゃないかというふうに思います。もっとも、茨城県人の中には太った方もいるしやせた方もいるというのは我々も納豆を食べていてよくわかっているので、納豆がどこまでダイエットに効果があるのかというのはちょっと疑問ではあったんですけれども、そんなことを覚えております。

 そして、今大臣の提案理由の中にもございましたけれども、その後、この制度を検討するというようなことがアナウンスされまして、現在、お話のありました放送倫理・番組向上機構、BPO、これの機能強化策がとられたというふうに聞いておりますけれども、具体的にこの事件を契機としてとられたBPOによる機能強化の施策をまず最初に御教示願いたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 放送倫理・番組向上機構、BPOにおきましては、本年五月、これまでの放送番組委員会を改組し、放送倫理検証委員会を設置したところでございます。これは、従来の放送番組委員会が放送番組等に関します有識者と放送事業者相互の協議の場であったのに対しまして、放送倫理検証委員会につきましては、虚偽の疑いのある番組が放送された場合に放送倫理上の問題があったか否かということにつきましての調査及び審理を行う機能も有することとしたものでございます。

 具体的に申しますと、虚偽の疑いがある番組が放送されたことによりまして視聴者に著しい誤解を与えた疑いがあると判断した場合には、放送倫理上の問題があったか否かの調査及び審理をする権限、それから、こうした調査及び審理に基づく勧告または見解を通知し、公表する、さらに、勧告または見解の一部として、放送事業者に対する再発防止計画の提出を要請する、さらに、再発防止計画及びその実施状況についての意見の通知及び公表をするといった権限を有するなど、大幅に機能強化が図られたものと認識しておるところでございます。

葉梨委員 今も御説明ありましたけれども、実は、これも私ごとになるんですけれども、この時期というか、この春、そのようなアナウンスが行われ、さらにBPOにおいてもいろいろな形での機能強化が検討されるという中で、放送事業者の中である一定の効果というのはあったのかなというのを実は私自身は個人的な経験から思いました。

 というのは、御紹介を申し上げますけれども、実は私自身も、きょうもちょっとテレビに映っているようですが、テレビ朝日の報道ステーションという番組がございます。参議院の憲法調査特別委員会において、当時、国民投票法案に関しての質疑に対して、私、提出者でしたので答弁をいたしました。ところが、テレビ朝日の報道ステーションの中では、四月の私の答弁とそれから五月の私の答弁が全く逆のことを言っているというような番組を放送されたんです。

 中身を簡単に申し上げますと、ありていに申し上げますと、要は、公務員の地位利用、教職者の地位利用の関係で、授業の中の意見表明であっても、国民投票運動、選挙運動みたいなものですけれども、これに当たるような行為であったらいかがなものかというふうなことを四月に申し上げた。五月には、国民投票運動、選挙運動みたいなものですけれども、それに当たらないような意見表明は全く問題ありませんというふうに申し上げた。ところが、前の発言の後段とそれから後の発言の前段をくっつけてビデオにされちゃったんです。ですから、いかがなものか、問題ありませんと、全然私は逆のことを、うそを言っているかのような印象で五月の九日に放送されたという経緯があるんです。

 翌日、五月の十日の深夜ですけれども、自民党として正式に抗議を申し上げました。そして、五月の十一日に、最後の締めくくりの質疑で、憲法調査特別委員会において、NHKの全国放送があったわけですけれども、そのときに私からもその経緯を答弁させていただいて、現在、放送法四条に言う訂正放送を求めていますということをテレビでも答弁をさせていただいたんです。

 ただ、私はテレビ朝日のことを非難して言っているわけじゃなくて、その後、対応は非常によかったんです。というか、テレビ朝日にしてはというふうに言われる方も与党の中にはいらっしゃるんですけれども、実は、その後、テレビ朝日の担当ディレクターともいろいろ話をしまして、五月の十四日には早速訂正の放送ということで訂正をしていただいたんです。法律上の訂正放送では多分ないと思いますけれども、明確に、私自身の答弁というのは四月も五月も一貫しておって、そのような報道の仕方というのは不適切であったと。つまり、十二、十三に土日がかかっていたというふうに思いますけれども、五月の九日の放送が五月の十四日にはそういう形で直ってきたわけです。

 ですから、その意味では、この時期、BPOの機能強化策がとられたということとの兼ね合いで、自民党の顧問弁護士の方ともお話をしていましたけれども、それなりにというか、相当といいますか、機能している面があるのかなというような印象を持ったことは事実なんです。

 そこで、大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今、提案理由の説明の中で、BPOによる対策が機能している場合には本制度を適用しないというような御説明があったわけですけれども、どのような場合にBPOというのは機能するというようなことを大臣としては考えられるのか。そして、適用しないということについて、その真意といいますか、菅大臣も同じようなことを提案理由の説明で申し上げられましたけれども、よりちょっと具体的にそこら辺のところを御説明いただきたいなというふうに思います。

増田国務大臣 先生にお答えを申し上げますが、今お話ございましたとおり、菅前大臣のときにも、このことにつきまして、運用について制限を行う旨を御答弁申し上げております。私もその考え方は引き継いで、そして今回も同様に運用していきたい、このように考えているところでございますが、少し御説明申し上げますと、放送事業者の方で虚偽の説明により事実でない事項を事実である、このように誤解させるような放送でありまして、そのことが国民経済やあるいは国民生活に悪影響を及ぼして、あるいは及ぼすおそれがあるものを行ったことを放送事業者がみずから認めた場合、その場合のみを適用の対象としたい、こんなことをまず考えております。

 それから、BPOによる取り組みが機能していると認められる間は、この改正法で規定してございます再発防止計画の提出の求めについての規定を適用しない、こういう運用を考えているわけでございます。これは、今先生の方からもお話がございましたとおり、自主的な運用ということになるわけでございますが、いろいろと放送事業者の方でこのことについて、新たにBPOの組織を改正して、そしてこうした捏造事案に対して対応をみずからとりたい、こういうふうに考えているわけでございますので、そうした取り組みの行為というものをよく見て、そして判断をしたい、こういうふうに考えているところでございます。

葉梨委員 そこら辺、大変大事なポイントだと思います。まさにこのBPOにおける機能強化というような取り組みがどのように行われているのかということは、我々国会としてもしっかり見ていかなければいけないだろうというふうに思うんです。それが、今までのいろいろな経緯の中でちょっと不十分な面もあるんじゃないかということから多分こういった改正案が提出されたんだろうというふうに私は感じているわけですが、ちょっと現行法の関係でお話を二点ほど伺いたいというふうに思うんです。

 改正案の五十三条の八の二、これについて前の菅大臣のときにも御説明あったかと思いますけれども、現行法では、放送法の違反に対しては電波法による免許の運用の停止、こういったものに直結してしまうという法制になっている。ですから、その意味で、その間をつなぐと言ったらちょっと語弊があるんでしょうけれども、そういったような感じで提案をされた面もあるということを前に伺ったことがございます。

 そこで、一点、現行法についての確認なんですけれども、私自身、特にこの電波法の七十六条の運用というのは極めて慎重でなければならないというふうに思います。これは当然のことです。また、現実にはなかなか起こり得ないケースであろうというふうに思いますけれども、少なくとも法律上は、例えば放送法の第三条の二に明らかに違反する行為があった場合に、電波法七十六条による免許の運用の停止は可能ということでよろしいのかというのが一点確認でございます。

 二点目でございますけれども、では、現行法ではどうなんだということでございますけれども、免許の運用の停止、これは多分電波監理審議会に問うということになると思いますが、その前には、必要な指導、行政指導といいますか、そういったものは全く行うことはできない、あるいはそういうことは想定していないということなのか。この二点について伺いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず一点目の関係でございますけれども、電波法の七十六条の第一項に基づいて、放送局の運用停止または制限が可能でございますので、これはもうきちんと適用できる、こういうことですね。自主的な、放送事業者の自律的対応を期待するところでございますが、そうした自律的な対応ができないような場合には、やはりきちんと電波法の七十六条一項の適用が可能だ、これはそういうことだと思います。

 ただ、あえてまた申し上げますと、今先生もまさにおっしゃったように、このような行政処分というのは大変重たい処分でございますので、このことによって国民生活に必要な情報の提供が行われなくなったり、それから表現の自由を制約するという側面もあるということから極めて大きな社会的影響をもたらす。したがって、そうした点ももろもろ考えながら慎重にこうした問題は判断してしかるべき、このように考えているところでございます。

 それから、それではこの免許の運用の停止前に何か行政指導のようなことをできるかどうかということでございます。

 これは、我々はこれまでも、放送事業者が放送法等に違反した場合には、その程度に応じて、場合によっては警告、これは一番強い措置でございますが、それから次に厳重注意または注意ということで、再発防止のための体制整備を求める行政指導を行ってまいりました。したがいまして、こうした行政指導というのは今後も我々は行っていく考えでございます。

 今三つ申し上げました、警告、厳重注意、注意ということを申し上げましたけれども、例の「あるある大事典」の場合には警告を行ったわけでございますが、この場合は、再発防止のための取り組みが十分でなくて、放送法違反の状態を再度生ずることとなった場合には法令に基づき厳正に対処するとして、再発防止のための自主的な取り組みを強く警告によって促した、こういうことでございます。

 総務省として、今後とも放送法等に違反した事業者がいた場合には必要に応じまして適切な指導を行っていく考えでございますが、まずやはり事業者の方の自主的な取り組みということを期待したい、このように考えてございます。

葉梨委員 私も、今回の改正案において、再発防止計画の提出を求めるということは非常に意義のあることだと思います。ただ、それに全部乗っかかってしまうというのも、やはり放送というものの性質からするといかがなものかというような感じも持っております。

 そこで、これはちょっと政府に伺うこともなかなかできないので、意見表明みたいな感じになってくるわけですけれども、やはり三つの場面というのが、電波法による免許の運用の停止、あるいは問題があった場合、放送法の三条の二違反があった場合、その間という意味では、今回の改正案ということだけじゃなくて、別に我々として考えていかなきゃいけない点というのは三つほどあるだろうというふうに思います。

 今一つ申し上げましたのが行政指導。これについては今大臣からもお話を承ったわけですけれども、二点目が最前来いろいろとお話を伺っておりますBPOですね。これについて、実は私の経験から申し上げますと、テレビ朝日にしても、あるいは「あるある大事典」にしても、何でそういったような問題が起こったのかというのを部内でもいろいろと検討したり、また、いろいろな方からもお話を聞いたことがあります。最近は、テレビ局の番組編集というのは子会社に委託するということが多いんですね。ですから、かつてと比べると、番組編集についてちょっとチェックが甘くなっているのではないかというような指摘もやはり一部にあるようでございます。

 ですから、そこら辺のところは民間の放送事業者の中でもしっかりともう一度、どんどん外注してしまいますから、対応に合わせて対応をとっていくということは必要でしょうし、また、BPOというのも独立性を持った形で運用していただくということも必要でしょう。ですから、そこのところは、本日は政府に対する質疑ですので、今後、BPOの関係についてもいろいろとお聞きしていくということも当然あり得ることかなというふうに思っています。

 そして、三点目なんですけれども、これはむしろ委員長にお願いすることかもわかりませんが、別に理事会で協議とかいうことではなくて結構なんですけれども、この国会の審議というのは非常に大事だというふうに思います。

 何でこういうことを申し上げるかといいますと、私自身の経験からいたしまして、憲法調査特別委員会で国民投票法の審議をいたしました。そして、実はこの国民投票法という法律は非常におもしろい法律で、選挙運動、公職選挙法についてはいろいろな形での意見広告というのは制限をされています。ただ、憲法改正の国民投票運動に関しては全く意見広告の制限というのはございません。放送についても、あるいは報道についても本当に自由という形になっています。放送法の三条の二だけを引いた形の法律になったわけなんですが、その中で、ではどういう形で公正さを担保していこうか、やはり民間の放送事業者の方々に、あるいはNHKも含めてでしょうけれども、しっかりと考えていただきましょうというようなことを国会でも議論いたしました。

 ただ、その中で、少なくとも国会においてこういった法律をつくる、あるいは憲法改正案の発議をする、検討をする、そしてさらには、今回でいいますとこの放送法の審議というのもあるという中で、国会において、では具体的にこの放送のあり方についてどうだということをそういった民放の方々、協会の方々とも一緒に議論をしていくという中でやはりいいルールというのをつくっていこうじゃないかというような話を憲法調査特別委員会の中でもさせていただいたりしたこともございます。ですから、その意味では、放送の倫理といいますか、その適正化というためには、我々、この国会というのは非常に重要であるというようなことを考えております。

 ですから、これについては政府に答弁を求めるということではございませんけれども、行政指導、BPOのあり方、それから国会のあり方、そういったものを総合的にやはり考えていくということが今後はぜひとも必要ではないかなというふうに思っている次第でございます。

 最後に一点だけちょっとお伺いをしたいんですけれども、これはもう政府参考人で結構でございますが、NHKのガバナンス強化というのも今回の改正案では非常に大きなポイントであるというふうに感じております。十四条で新しく、今まで議決を経なければならないというふうに言っていたものが決定という形で法律上改められました。ただ、今まで議決と言っていたものが決定ということになってしまって、だれか委員長さん一人が何か決めるんじゃないかというような懸念もあるやに聞くんですけれども、実際上は、経営委員会は委員会ですから、まさに合議体のものでございます。

 この改正案は、執行部に対する監督権限の強化などによるガバナンスの向上を図ったものと思料しますけれども、このような改正で、例えば決定ということになったとしても、合議体として議事を経て決定する存在である、このことについては全く変更はないというふうに私は感じますけれども、そのような解釈でよろしいかどうか。政府参考人から御答弁をお願いしたいと思います。

小笠原政府参考人 まず議決と決定という言葉でございますけれども、これは今回の法改正に際しましての法令用語上の整理といたしまして、議決を経るを決定に改めたものでございまして、意味に相違はございません。

 それから、現行制度におきまして経営委員会の権限というのは、先生も今お話しになりましたとおり、合議体としての経営委員会が行使することを前提に定められているものでございます。したがって、この権限を個々の委員が行使することはできないとされているところでございます。

 今回の法改正におきましても、こうした考えは何ら変更するものではございません。

葉梨委員 本日は個人的な経験も交えて御質問をさせていただきましたけれども、ぜひとも、この法改正も含めた総合的な観点から、この放送倫理の問題については今後ともこの委員会において考えていくべきであるということを御主張申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 公明党の谷口でございます。

 今、情報通信を取り巻く環境というのはテレビも含めていろいろなものがデジタル化をしており、また、ブロードバンドも十年ぐらい前に比べると本当に驚くほど広がってまいっております。そういう情報通信を取り巻く環境が大きく変わってきた。それから、ワンセグについても大半の携帯電話に、標準装備というまではいかないんですけれども、標準に近いぐらいの装備がされてきた。また一方で、NHKの不祥事も数多く起こってきた。

 そういう中で今回の放送法の改正というのが国会に提出されているわけでありますけれども、私も八月まで政務官として担当分野で放送法の改正案については取り組みをさせていただいておりました。四月に国会に提出されて、やっと審議ができるということで、感慨深い思いでいっぱいであるわけであります。

 まず最初に、冒頭で申し上げましたNHKの一連の不祥事を踏まえてのガバナンスの強化というところについてお伺いをしたいと思うんです。こういった不祥事を考えれば、ガバナンスの強化というのは当然でありますし、また絶対必要なものであるというふうに思うわけでありますけれども、一方で、言論報道機関であるNHK、この独立性、中立性をどう確保、担保していくかというのがやはり大きな問題だというふうに思っております。

 その点についての総務省の御見解を、まずお伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法は、先生もよく御承知のとおり、放送の自律のもとで表現の自由を確保するとともに、放送を公共の福祉に適合するといったように規律して、その健全な発達を図ることを目的としております。

 今回の法改正といいますのは、NHKのガバナンスの強化を主要な目的の一つとするものではもちろんございますけれども、放送番組編集の自由あるいは放送事業者の自主自律を基本とする現在の枠組みといったものを変更するものではございません。したがいまして、言論報道機関としてのNHKの独立性あるいは中立性といったものは引き続き確保されているものと承知しております。

谷口(和)委員 NHKの番組とか報道に外から何らかの影響力が及んでいるということがあるとすれば、また、これから起こるとすれば、やはり国民の皆さんのNHKに対する信頼をかえって失う結果になるというふうに思いますので、ここのところはしっかりと、中立性、独立性というのが確保されるようにお願いをしたいというふうに思います。

 その次に、この経営委員会のところに引き続いて、この改正案の中に、「放送の受信についての契約をしなければならない者の意見を聴取するものとする。」というふうにあります。

 契約者から直接意見を聞くということであるわけでありますけれども、これは政治家も同じでありますけれども、見ている人から直接話を聞く、意見を聞くというのは非常に大事なことであると思います。ここのところを具体的に、どういった方法でこの意見の聴取というのをしていくのか、お伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 経営委員会といいますのは、受信料を財源として運営される協会の最高意思決定機関としての性格がございます。したがいまして、先生もお話しになりましたとおり、国民、受信者の意見に留意する必要があるということでございまして、適切にその把握に努めるよう意見聴取を行う旨規定を新設したところであります。

 具体的には、こうした方法、頻度、対象をどういうふうに選定するかということにつきましては、総務省令において定めることを考えておりますけれども、例えば、意見聴取の方法として、東京のみならず全国各地方で行うとか、あるいは意見聴取の頻度、これも今後検討することになりますけれども、例えば年何回とか、あるいは意見聴取の対象を公平に選定することとか、あるいはそういった場合の公開、意見聴取の結果を例えばインターネットで公開するとか、そういったような方法について、今後具体的な検討を進めていきたいと考えておるところでございます。

谷口(和)委員 ちょっと一点確認なんですけれども、こうした取り組みというのは、これまであったんでしょうか。ちょっとこれは通告していないですけれども、もしわかればで結構です。

小笠原政府参考人 協会として、受信者会議といった形で受信者の皆様の御意見を広く聴取するという機会は設けていると承知しております。

 ただ、経営委員会が直接受信者の御意見を伺うという機会は設けられていないやに承知しております。

谷口(和)委員 ありがとうございます。経営委員会が直接国民の皆さんから要望を聞いて、またしっかりとNHKの改革に役立てていくということは本当に大事なことでありますので、しっかりと、実質的な効果が上がるようにぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それから、二番目の点として、ここはちょっと確認を二点ほどさせていただきたいというふうに思いますけれども、命令放送についてであります。

 今回、命令を要請する、要請放送と言っていいのかどうかわかりませんけれども、要請をすることができる。それで、協会は、総務大臣から要請があったときはこれに応じるよう努めるものとする、こういうふうにあるわけでありますけれども、NHKはこの要請を断るということはできるんでしょうか。

小笠原政府参考人 改正法案の規定は、今先生からお話があったとおりでございます。

 したがいまして、そういった、NHKが「これに応じるよう努める」とされている規定につきまして、NHKの努力の結果として、場合によってはその要請に応じないことも制度上はあり得るとされているところでございますが、ただ、私どもとして、NHKといいますのは、公共放送機関としての性格等にかんがみまして、実際上は、これまで同様に国の要請に応じることが引き続き期待されているというふうに考えておるところでございます。

谷口(和)委員 それで、もう一点確認したいのが、この命令放送の制度があることによって、たしか二〇〇六年度で大体二十二億円ぐらい国費が投入をされているわけでありますけれども、仮にこの命令放送の制度がなくなった場合には、この国費の投入というのはどういうふうになるんでしょうか。国費の投入というのはできなくなるというか、なくなってしまうんでしょうか。

小笠原政府参考人 現行の命令放送、それから今般の法改正によりまして新たに設けます、先生おっしゃいましたこの要請放送といいますのも、どちらも、国として必要な放送の実施を確保するための制度でございます。したがいまして、国費の投入も、その実施に要する費用を負担するものでございます。

 もし仮にこうした制度そのものがなくなった場合といいますと、その国費を投入する根拠というのも失われるということになります。したがいまして、私どもとしては、今後とも国として必要な要請を行うとともに、確実な実施に必要な国費投入を行う制度が必要だというふうに考えておるところでございます。

谷口(和)委員 わかりました。

 次、最後の点でありますけれども、先ほど冒頭からも質問がありましたが、次に、再発防止計画についてお伺いをしたいと思います。

 それで、ちょっと今回の法案とは直接は関係ありませんけれども、ここ数日というか、事件以来、テレビで、また新聞等でも報道されております香川県の坂出市の問題であります。きのうですか、産経新聞等でも報道されておりますけれども、テレビのワイドショーもしくは朝の番組等で、一部、あたかも父親が犯人かと思わせるような、断定はしておりませんけれども、そういうコメントがあったり、また、そういうものを恐らく見ていたんでしょう、ある若いアイドルがブログで、犯人は父親に違いないみたいなブログを書き込んだりして一年間活動を自粛することになったとか、さまざまテレビの報道をめぐっては、今もやはり問題が続いているなというふうに思っております。

 ちょっと今回の法案とは直接は関係はありませんけれども、再発防止計画に関する事項の中に、先ほども御質問ありましたが、「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であつて、」こうあります。この「事実でない事項を事実であると誤解させる」、これを一体だれが認定するのか、ここのところをお伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 先生も今いろいろ御指摘になったようないわゆる番組問題というのが発生した場合、総務大臣が放送事業者に報告を求めた場合、放送事業者は、まず、みずからそうした虚偽の説明による放送があったか否かというのを御判断されることになると思います。総務大臣としては、こうした放送事業者からの報告を踏まえて、つまり、いわゆる事実でないことというものの最終的な判断を総務大臣が行うことになるものでございます。

 ただ、今回の放送法改正案に盛り込まれます再発防止計画に係る規定といいますのは、その運用に当たって、放送事業者の自主性を最大限に尊重することが必要とされておりますので、したがいまして、先ほど大臣からの提案理由説明でも申し上げましたように、放送事業者が、そうした、虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であって、国民経済または国民生活に悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれがあるものを行ったことをみずから認めた場合のみを適用の対象とする旨の運用を行うこととする予定でございます。

谷口(和)委員 放送事業者みずからが事実でなかったということを認めるということが条件になるというか、そのことによって総務大臣がそういうふうに判断をするということでございました。

 その後段のところに、国民生活に悪影響を及ぼすものを行ったと。先ほどちょっとこれも質問がありましたけれども、この国民生活への悪影響というのは非常に漠とした言い方で、非常にとらえづらいというか、ある意味、拡大解釈も可能ではないかというふうに思われるわけであります。

 先ほども御説明がありましたけれども、もう少し具体的に、例えばこういうものがあるよというのをもし挙げられれば、この国民生活への悪影響というものの御説明をちょっとお願いできればと思います。

小笠原政府参考人 今先生お話しになりました国民生活への悪影響というものの判断につきましては、個別の事例ごとに対象範囲あるいはその影響の度合いといったものを総合的に判断するものでございますけれども、例えばということで申しますと、相当数の視聴者が番組の内容に従って行動して、その結果、視聴者の健康を害した、あるいは、本来であれば行わなかったであろう無用の出費を行ったとか、そういった視聴者の行動によりまして他者が経済的損失をこうむるといった場合が考えられます。

 ただ、いずれにいたしましても、これは先ほどの大臣の提案理由説明でも申しましたように、そうした国民経済または国民生活に悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれがあるものを行ったことをみずから放送事業者が認めた場合のみを適用の対象とする旨の運用を行うこととする予定でございます。

谷口(和)委員 わかりました。言論の自由との関連もございますので、ここも国民の皆さんに誤解のないようにしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、これも先ほどの質問とちょっとダブりますが、趣旨説明の中で、再発防止計画を求めるに当たっては、BPOによる取り組みが機能していると認められる間はその求めに関する規定を適用しないというふうになっております。

 そのBPOによる取り組みが機能しているというのはどうやって判断するのか、どういうことをいうのか。それから、BPOの現在の取り組みについては機能しているというふうに見ていらっしゃるのか、ここを最後に大臣にお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がありました、BPOによる取り組みが機能しているか。これは、例えばこの規定が適用されると想定される事案、捏造報道事案というものを想定いたしますと、それについてBPOが審理を開始する、そしてそれを受けて、放送事業者の方において再発防止に向けた改善努力を行っていく、そういった、適切に放送事業者の方で行動するといったことが行われてくることをやはり意味しているのではないか。BPOが組織としてただ単にあるということでは、これは機能しているとは言いがたい。やはりそのことによって放送事業者がみずから改善努力をするといったようなことが目に見えた形であらわれてくるということだろうと思います。

 やはりこれは具体的に今後幾つかの事案について事例を重ねていって、そして、今私が申し上げましたようなことが現実に行われているかどうか、適切に行われているか否かということを総務大臣が判断する、こういうことになると思うわけでありますが、このBPOの中に放送倫理検証委員会というのが設立されたのが先生御案内のとおり本年の五月十二日でございます。そこから取り組みを開始して、本規定の適用が想定される事案について、現在まで、期間としては半年の間ということになりますし、また取り扱いの対象となった事案は一件のみ、こういうことでございますので、先ほど私は幾つかの事案が積み重なっていったときというふうに申し上げたんですが、まだ現時点で、この委員会がきちんと機能しているかどうかという評価をするのは少し早い、このように実は思っているところであります。

 今後、幾つかの事案が出てまいりますれば、それによって放送事業者がどのようなことをしていったのかといったことをこちらもよく注視して、その上で判断をしていきたい、このように考えてございます。

谷口(和)委員 今大臣からも御指摘がありましたけれども、BPOの検証委員会、半年がたって、いわゆる審理というのをしたのが不二家報道の一件だけだということで、これが少ないのか、それとも問題がないからこの一件だけでいいのか、ちょっとここの判断は難しいところではあると思うんです。

 いずれにしても、私もかつて二年ちょっと前までメディアの中におりました、やはり自浄作用というか、みずから正していくということがメディアにとっては一番大事なことであると思いますし、そういう意味で、このBPOの頑張りというのがこれから一番大事になってくると思います。

 そういう意味では、今後、BPOの自浄機能の高まり、頑張りに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 放送法について少し議論をさせていただきたいと思います。

 放送というのは、もう私たちの生活に欠くことのできない重要なものになっているわけであります。そして、放送は、自主性とか自律性とか、あるいは、権力みたいなものから不当に介入されるということがないように、しっかりと独自性というものも守らなければいけないわけであります。これはもう論をまたないというふうに思います。しかし、その一方で、昨今さまざま言われていますように、例えば放送が誤ったことを流してしまうとか、あるいはまた、社会に影響を大きく及ぼすようなことを流してしまうとこれまた社会に混乱を及ぼすわけですから、ある一定程度の何らかの歯どめのようなものも必要になってくるわけであります。

 すなわち、放送法というのは、自由や自律性というものを求める一方で、そうではないというようなものも求めなければいけないということで、極めて大事な法律なんだろうというふうに思うわけですね。一つの法律の中で、ある種相反するようなことも、そう見受けられることも場合によっては乗っかってくるのがこの法律なのかなというふうに思っているわけです。その意味で、やはり改正には慎重を期して、十分議論をしてやるということが大切かなと思っております。

 そこで、まず政府参考人に何点かお伺いをしたいのでありますけれども、改正法ではなくて現行法制上のNHKのいわゆる経営委員会、これについて若干何点かお伺いをして、確認をしていきたいと思うんです。

 経営委員会には委員長という者がいらっしゃいますが、委員長の経営委員会での位置づけというのは現行法上どうなっているのか。すなわち、ほかの委員と委員長というのは、権能、権限の上において差があるのかないのかということについてお伺いをします。

小笠原政府参考人 経営委員長に関します現行法の規定を申し上げます。

 放送法の十五条におきまして、委員長は、経営委員会に一名置かれ、委員の互選によって定められ、委員会の会務を総理することとされております。また、経営委員会の議事は、原則として出席委員の過半数をもって決定することとされておりますけれども、可否同数のときは委員長が決するというふうにされているところでございます。

逢坂委員 ということは、総理するということと、可否同数のときは委員長が決めるというこの二つが、現行法制上、委員長に与えられた特別な権限というふうに解釈してよいかと思うのですが、法改正されたらこれはどのように変化をするのでしょうか。

小笠原政府参考人 改正法におきまして、経営委員長という職に関する変更点は、経営委員会の議事の透明性を確保するという観点から、議事録の作成、公表というのを経営委員長の義務というふうに設けたというところが変更点でございます。

逢坂委員 改正法上もう一つ委員会の招集というのはなかったでしょうか。私の理解ではあったような気がするんですが、まあそれはいいでしょう、書いてあることですので。

 ただし、やはり権能、権限においては、議事録と委員会の招集というものが、後でまた発言していただければと思うんですが、多分その二点がふえただけで、あくまでも総理するというようなところと、可否同数というようなところについては委員長が決めるということでよろしいでしょうか。いかがですか。

小笠原政府参考人 失礼いたしました。先生お話しのとおり、今回の改正放送法の二十二条の二というところで、「経営委員会は、委員長が招集する。」というふうに定められております。なお、経営委員会の招集は、現在ではNHKの定款に定められておるところでございます。

 したがいまして、新法における経営委員長の定めといいますのは、現行法にある二点、それから、今回改正法によって追加されました二点ということでございます。

逢坂委員 そういうことから考えてみますと、またちょっと現行法の枠の中でお伺いをしたいんですけれども、経営委員会の権限でありますとか責任というものは、今のお話からしますと、委員長独自の判断で果たすということは簡単にはできないというふうに理解してよいでしょうか。独善的にという言葉はちょっとひど過ぎるかもしれませんが、委員長が何かの権限を持っていてやるんだということではない、あくまでも経営委員会として、委員会の決めとして、委員会のさまざまな権能、責任を果たしていくということで、政府参考人、よろしいでしょうか。

小笠原政府参考人 現行法におきまして、経営委員会の権限は、先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、合議体としての経営委員会が行使することを前提として定められております。したがいまして、この権限を委員長独自の判断で行使することは認められておりません。

逢坂委員 大変恐縮です。一緒に聞けばよかったんですが、今の点につきまして法改正後はいかがでしょうか。

小笠原政府参考人 法改正後も変更はございません。

逢坂委員 昨今のNHKの経営委員会の現行法制下での動きをさまざま見ておりますと、別に経営委員会の委員長が独善的に何かをしているということは全くないようにも思われますけれども、さまざまな不安がよぎっているところもあるようにもうかがい知れる部分もありますので、現行法においてもあるいは法改正になってもそういうことではないんだということを改めてこの場で確認させていただきたいと思います。

 次に、政府参考人にさらにお伺いしたいんですけれども、経営委員会の役割の中で、経営委員会がNHKの業務に関するあらゆることについてみずから企画立案そして決定ができるのかどうかということについて、この点については現行法制下ではどうなっているでしょうか。

小笠原政府参考人 現行法の御説明を申しますと、経営委員会といいますのは、放送法十三条で、NHKの経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有しております。この重要事項というものは何であるかということにつきましては、放送法の十四条におきまして経営委員会の議決事項として列挙されているところでございます。

逢坂委員 役人に聞いているので極めて役人的な答弁でありますけれども、私はあらゆる事項についてということをお伺いしたのですが、その重要事項というようなことも含めて、それでは、今の話からすると、重要である、重要でないというのはだれが判断をすることになるのでしょうか。

小笠原政府参考人 現行法の放送法の十三条に書いてある重要事項と申しますのは、十四条に列挙されている事項というふうに考えております。

逢坂委員 となれば、十四条に列挙している事項ですから、私の話したあらゆる事項ということではないというふうに解釈をしてよろしいでしょうか。政府参考人、いかがですか。

小笠原政府参考人 私が申し上げましたとおり、現行の法制では、放送法の十四条に列挙されている事項についての決定、議決をする権限を有しているということでございます。

逢坂委員 大変細かいところばかり聞いて恐縮なんですけれども、非常にやはり微妙なところがあると思いますので、改めて一つずつ確認をしていきたいと思うんですが、今の点において、今度は、法改正されたらどうなるかということについてお伺いをします。政府参考人、お願いします。

小笠原政府参考人 改正法でも同じく十四条でございますけれども、そこに経営委員会の決定を要する事項その他が列挙されておりまして、それが新法のもとでのNHK経営委員会の権限に属するものということでございます。

逢坂委員 この点に関して、改正後あるいは改正前いずれも、現行法もそうなんですが、最後に「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」という項目が入っているわけですが、これについてはどのように解釈されるでしょうか。その他経営委員会が認めるというようなことについて、どのような基準でやるのかという点については、政府参考人、いかがでしょうか。

小笠原政府参考人 先生御指摘のとおり、「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」につきましては、現行法でも改正法でも同じ規定でございますが、現行法の規定では、「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」に基づいて議決が行われている事項といたしまして、例えば、総務大臣の認可を受けて行う出資でありますとか、重要な不動産の処分に関する基本事項でありますとか、そういったものが特に必要と認められて、経営委員会の議決に係らしめられているところでございまして、この考え方は基本的には改正後においても同様と考えております。

逢坂委員 今のやりとりの中から、私は、現行法下においてもあるいは改正法下においても、経営委員会が、ありとあらゆる問題について、すべてを議論し決定していけるというものではないというふうに理解をいたしたところでありますけれども、先ほど、冒頭に私が申し上げましたとおり、放送法の規定というのは、自由、自主性を重んずるという側面がある一方で、それが行き過ぎないようにするというような、自由、自主性はしっかり守らなければいけないんですけれども、だからといって、それがむちゃくちゃな状況になるということは避けなければいけないわけですので、いろいろな工夫が必要なのだなということを改めて確認させていただきたいと思います。

 そこで、また改めて政府参考人にお伺いしたいんですけれども、NHK経営委員会の現在の役割でございますけれども、現行法制下では最高意思決定機関というふうになっていると先ほどもほかの方への答弁で政府参考人はしゃべっておられましたが、これは改正法後も変わらないということでしょうか。

小笠原政府参考人 基本的に変わることはないというふうに考えております。

逢坂委員 ここのところがやはり非常に難しいところだというふうに私は感ずるんです。最高意思決定機関だというふうに言われていれば、ありとあらゆるものについて意思決定をしていくのがその役割なんだというふうに思いがちなんですが、最高意思決定機関ではありつつも、議論し審議していくことについては、ある種の限定的な列挙がされている。そしてまた、多分執行部との役割というものもある種明確化されなければいけないのだろうというふうに私は思っているところでありますが、この点をやはり法改正においてもしっかり踏まえていくことが必要なのかなというふうに感じます。

 大臣、今私が話したようなことについて、急で大変恐縮なんですが、どのようにお考えになられますでしょうか。何かコメントがあれば。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 経営委員会、それから経営委員長の権限、役割というのは大変重要なものがございまして、そして今回の法改正の前後で特にその考え方を変えているものではないわけでございますが、あと一点、先ほど先生の方からお話ございましたとおり、議事録の関係でございますね。

 これは、今後、作成それから公表義務が課せられるということでございまして、やはりそうした重要な経営委員会の役割、ガバナンス強化ということが今回の法改正の目的でございますけれども、その目的が公平、公正な立場できちんと行われるように、法律上は前後で変わらないんですが、改正法が仮にお認めいただいて成立した後も、きちんとその趣旨が貫徹されるように我々努力していきたい、このように考えております。

逢坂委員 次に、現行法制上の経営委員会の公開と、まさに今話が出ました議事録についてお伺いをしたいんですけれども、まず、政府参考人、現行法制上で経営委員会の議事の透明性というのはどんな方法によって確保、担保しているのか、お知らせください。

小笠原政府参考人 現行の放送法におきましては、経営委員会に対して議事録の作成、公表を義務づけてはおりません。

 ただ、経営委員会といたしましては、みずからの御判断によりまして、原則議事録を作成し、これを公表しているところと承知しております。

逢坂委員 法上は議事録を義務づけていないということでありますけれども、それでは、政府参考人、現在、議事録の作成責任というのはだれにもないというふうに理解をしていいわけですか。

小笠原政府参考人 先ほど申し上げましたように、放送法では作成を義務づけておりませんので、法律上の作成責任を有する方は存在しないということになります。

 ただ、現在、経営委員会で、先ほどみずからの御判断で議事録を作成しているというふうに申し上げましたけれども、議事録の作成につきましては経営委員会の承認を得た上で行って公開しておりますので、事実上の作成責任といいますものは経営委員会にあるというふうに考えるべきではないかと思います。

逢坂委員 そこで、事実上の作成責任は経営委員会にあるということなんですが、私、昨今の経営委員会の議事録を見ていて、やはりどうも腑に落ちないところがあるんですね。

 例えば、九月二十五日に、これは新聞報道もされていますから多くの方は御承知だと思いますが、NHKの「五カ年経営計画(執行部案)」について、NHK経営委員会の見解というものが出されているわけですね。そして、この見解の最後にこう書いてあるわけであります。「なお、本見解は経営委員会委員の全員一致をもって決定されたものである。」というふうに書いてあるわけですね。

 ところが、九月二十五日以前の経営委員会の議事録を見てみると、そのどこにも、要するに、経営委員会の見解が全員一致で決定したということが全く書いていないわけですね。それで、いや、これは議事録の役割を果たしていないな、随分恣意性があるんだなというふうに思っていたわけですね。

 それからもう一方、七月十日の経営委員会の議事録の中にこんなことが書いてある。「経営委員が新たに五人加わったこともあり、経営委員会の権限と責任について、あらためて確認したいとの意見がありましたので、放送法の解釈等を含めて、関係機関に確認を行いました。」ということが書いてあるわけですね。ということは、七月十日より前の経営委員会で多分そういう議論がされていたから当然七月十日にはこういう話が出たんだなというふうに思って、例えば六月の経営委員会の議事録などを見ても、そういう文言はどこにも一切ないわけでありますね。

 だから、私が言いたいのは、今政府参考人にどうこうということではなくて、やはりNHKというのは極めて公共性が高いものでありますから、その経営委員会の議事録の公開性をしっかりして国民の皆様にも御納得いただくという意味からいうと、現在の議事録の作成に対する基本姿勢は随分むちゃくちゃだなというふうに私は思うんですね。ここは基本的には公開が原則だというふうにして、さまざまな議論ですから、どうしても公開できないものというのは世の中にあることは私は理解はするんですけれども、公開できないというものだけを限定的にして、あとはフルオープンだというふうにするのが私は筋だと思うんです。県議会だって町の議会だって、どこだってそうですね。

 増田大臣、この点、いかがですか。公開が原則なんだ、公開できないところだけを限定的にするというのが重要ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 可能なものについてはできる限りオープンにしていただくというのが原則であろう。今委員がおっしゃったように、私も、どうしても非公開にしなければいけないというものもあろうかと思いますし、微妙な案件もあると思います。ですから、そういったことはよく経営委員会の方でお考えいただいた上で、やはり可能な限りオープンにしていただく。こういう放送に関係することでございますので、今までの経営委員会の現実の運営について直接大臣がこういう厳正な場で申し上げること、個々にはなかなかできませんけれども、やはりそういう原則の中で、何としても経営委員会が自分たちできちんと御判断いただくことが大事ではないか、このように考えております。

逢坂委員 それで、同じような意味で、実は昨今の経営委員会、これは手元に千四十七回から千五十三回までの経営委員会の開催状況をNHKからつくって出してもらったものがあるんですけれども、これを見ると、経営委員会と銘打っているものの会議のほかに、経営委員打ち合わせというのが結構入っているわけですね。例えば、六月二十六日だとそれを一時間三十分やっているとか、八月二十九日だと経営委員打ち合わせというのを一時間五十五分やっている。だけれども、経営委員会そのものは一時間五十分。要するに、経営委員会そのものの方が短いわけですね。

 ですから、議事録の作成というものはしっかりするんだという方向でやることは大事なんですけれども、経営委員打ち合わせになっちゃうと、そこは議事録に残らないわけですから、増田大臣、この経営委員打ち合わせというところで重要事項の方針を決めるというようなことは、やはりあってはならないというよりも、それはごく少なくすべきだと思うんですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

増田国務大臣 具体的なNHKの経営委員会の運営、これは経営委員長初め委員の皆さん方によくお考えいただきたい、これは大原則でございますので、そう申し上げておきます。

 その上で、今申し上げましたように、いろいろ内容によってはそこで委員が自由に意見交換する場もあると思いますし、それから、やはり重要事項を決定する場が経営委員会でございますので、その内容についてはできるだけ国民の皆さん方にわかるようにしていただくというのが原則でありましょうから、そういった、できるだけ議事内容をオープンにするという考え方に立った上で、よくその運営等についても委員の皆さん方でお考えいただければ、御判断いただければ、このように考えております。

逢坂委員 私は、先ほど例に示しましたけれども、この九月二十五日の「五カ年経営計画(執行部案)についての経営委員会の見解」みたいなもの、こういうものが議事録にも残らずに、しかも、これが経営委員全員の一致した決定であるなどということを言われても、これは国民としては理解ができないわけでありますね。どこで話し合われたんだろう、だれがどういう意見を出してこれを決めたんだろうということがわからないわけですね。

 冒頭に私が申し上げました放送の自主性とか自律性とか、そういうものをしっかり守るということが大事ではありますけれども、この見解なるものがどういう議論によって決められたのかがわからなければ、経営計画、五カ年先の部分についても、だれがどう意見を言って、国会で選ばれた委員が意見を言って決めたのかがわからないわけでありますから、やはりこういう部分は公開の場でしっかりと議論をして、議事録も残して、後世、ああそうか、こういう議論があってあのときは五カ年の経営計画が認められなかったんだなというふうにしなければまずいのではないかというふうに私は思っております。これは私の見解でありますけれども、ぜひそのことも大臣以下皆さんも御認識をいただきたいなというふうに思います。

 さて、次でございますけれども、現行放送法の十四条でございますけれども、これは先ほども別の委員から議論がありましたが、現行放送法の十四条には議決という言葉があるわけですが、改正法では決定というふうになっているわけですね。これについて、政府参考人、この理由というか意味をもう一回教えていただけますか。

小笠原政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、議決から決定という言葉の変更は立法技術上の理由によるものでございまして、意味に変更はございません。

逢坂委員 立法技術上の変更によるもので、意味に変更はないんだということでありますが、なぜここをかえているのかが、私はどうも意味がよくわからないんですね。

 その一方で、改正放送法の二十三条には議決という言葉が残っているわけですね。だから、あえてここで、立法技術上の問題だということで議決という言葉を排除しておいて、改正放送法の二十三条には議決という言葉を残しているんですが、政府参考人、二十三条に議決という言葉は残っていますか。残っているか残っていないかだけ、ちょっと御確認をお願いしたいんです。私の勘違いかもしれない。

小笠原政府参考人 二十三条の議決という文言には変更はございません。

逢坂委員 そうですよね。やはり私の目も間違っていなかったですね。いや、どう見ても、ここには議決という言葉が残っている。そして、あえて十四条の議決のところだけを議決という言葉ではないものにしているわけですが、それが何か立法技術上の問題だということなのかどうか、私には大いに疑問と言わざるを得ないのであります。

 ここをきょうここで深々と議論するつもりはないんですけれども、虚心坦懐に、普通の国語の問題として字面を見たときに、あれ、どうしたのかな。立法技術上の問題なら、コンピューターのワープロソフトの置換じゃないですけれども、議決を何とかにかえるといってぴっとやれば一発で全部かわるわけですが、こっちは残っていて前だけ直している、一体何なのかな。もしこれが間違いだったというんなら、またさまざま議論もあるでしょうが、そうでないのかどうか。

 きょうはこれはこの程度にしたいと思うんですが、私個人としては、先ほど来の経営委員会のさまざまな議論だとかその権能だとかというようなことを思うと、改正十四条の、議決という言葉をやめて決定という言葉なんですが、決定というよりは議決という言葉の方が、その権能ややるべき範囲なんかも明確になるのかなという印象は私自身は持っているんです。これについてはきょうはこれ以上深入りをしないで、この点、何かこっちも残っていますよという指摘だけをしておきたいというふうに思います。

 それから次ですが、やはり改正法の十四条なんですけれども、改正法の十四条に、経営委員会が番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を決めることが規定されているのでありますけれども、政府参考人、基本計画というのはどの程度まで決めるということになるんでしょうか。

小笠原政府参考人 放送番組の編集に関する基本計画についてのお尋ねでございますけれども、この放送番組の編集に関する基本計画と申しますのは、放送法第三条の四第三項というところに基づき策定する一定の期間における放送番組の編集についての大綱を指すものでございまして、具体的にNHKの場合で申しますと、毎年、国内それから国際の基本計画のほか、地方ごとに編集計画を策定しております。例えば、国内基本計画について見ますと、編集の基本事項として、国内放送番組編集の基本計画、あるいは各波の編集方針として、総合テレビジョンあるいは教育テレビジョン等のチャンネル別の編集方針が規定されております。

 この点についてどの程度の内容を定めるかということにつきましては、基本的にはNHKにゆだねられているところでございます。

逢坂委員 基本的にはNHKにゆだねられるということでありますけれども、放送法の趣旨といいますか、放送というものに対する基本的な認識からすれば、自主性とか自律性とか、そういうものを考えていくならば、しかも、この法文の言葉は基本計画ということになりますから、一々個々の番組一つずつを取り上げて、この番組はこうせいとか、ああせいとかというところまで経営委員会というのは言えるべきものなのでしょうかね。そのあたりはどうでしょうか、政府参考人。

小笠原政府参考人 経営委員会の役割といいますのは、現行法でも、重要な経営方針の策定その他、執行部の監督といったことを規定しているところでございまして、この役割は基本的には改正法でも変わりません。むしろ、今回の改正法では、執行を行うことができないというふうに、その旨の規定を明確化しておりますので、先生御指摘の趣旨はより改正法の方で明らかになっているのではないかと思っております。

逢坂委員 私が言いたい趣旨が改正法ではより明らかになっているということでありますので、当然これは個別の番組に対してああだこうだと言う趣旨ではないというふうに解釈をして、大臣、よろしいでしょうか。

増田国務大臣 そういうことかというふうに考えております。

逢坂委員 それでは、次にお伺いしたいのが、これもちょっと重箱の隅みたいなことで大変恐縮なんですが、改正法の十四条第一項第一号ハの中に、協会の業務の適正さを確保するために必要なものとして総務省令で定める体制の整備というのを書いているんですね。総務省令で定めるということが書いてある。それから、この同号ソ、これも先ほど私が言ったものなんですが、その他経営委員会が特に必要と定めた事項というようなことが書いてあるわけですが、政府参考人、それぞれ具体的にどのような内容を予定しているのかをお知らせ願いたいんですね。

 それで、私は、こういう書き方というのは法の技術上よくあることは承知はしているのでありますが、どうもこういう書き方をすると、ここのところを上手に解釈して、実はこの最後の条項があるからこれはいろいろなことができるんだみたいになっちゃうおそれもあるものですから、政府参考人、この際、どんなことを今立法趣旨として予定しているのか、お知らせいただきたいと思います。

小笠原政府参考人 まず、十四条第一項第一号ハの省令で定める内容でございますけれども、例えば、職員の職務執行が法令等に適合することを確保するための体制、いわゆるコンプライアンス体制あるいは経営委員会の事務局の体制、そういったものを定めることを検討しておるところでございます。

 それから、ソというところですが、その他経営委員会が特に必要と認めた事項につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現行で、例えば総務大臣の認可を受けた出資等に関する事項について対象としておりますので、その考え方というのは改正法においても変わることはないもの、特段変わらないものと考えております。

逢坂委員 私は、今政府参考人からお話しいただいたんですが、そういうふうに具体的にある種予定されていることがあるのであれば、もうできる限りやはり法文上明確化しておくことが大切なのかなと。特に、経営委員会の恣意性を排除するとか、あるいは行政からの関与というものを極力減らしてやっているんだよということを国民の皆様に明らかにする意味で、できるだけ法文に明確化しておくことが大事だというふうに私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 これは、法技術的にどういうふうに考えるかという問題が一つあることはあるんです。余り詳細な技術基準にわたるようなものについては省令に委任する場合が日本の法体系では大変多いんですけれども、今先生が御心配いただくような点については、そこでは本当に省で決めても法律の精神をゆがめない、こういうことで省令の方にゆだねているんだろうと思います。

 ただ、ここはある種立法の考え方の問題でございますので、もちろん法文の中で可能な限りさまざまなものを書き切る、日本の法律の中で、いろいろなものを法律の中で経緯によっては書いているものもございますし、そこは一般論として言えば考え方の問題であろうと思いますが、政府として、ここで省令にゆだねているということによって恣意的に運営される、この程度のことであれば省令にゆだねても恣意的に運営されることがない、こう判断して書いたもの、私の理解としてはそういうことでございます。

逢坂委員 根幹にかかわるようなことを今例に挙げた条項を利用してやるというのは、それはやはりルール違反だというふうに思いますので、できる限り法文に明確化しておく。あるいは、逆に言うと、こういうことについてはこの条項を利用してはいけないのだというような書きぶりというものも必要なのではないかなというふうに私個人としては思っています。

 さてそこで、また政府参考人にお伺いをするのですが、今度はちょっと違った観点からお伺いをするんですが、経営委員会というものがあります。経営委員会の構成メンバーがいます。経営委員会の経営委員は国会の両院の承認によって決まるわけですが、この経営委員会の役割を、経営委員以外の人、例えば経営委員会の別組織あるいはほぼ同質な組織のようにして、何人か人をふやして、名前は経営委員会ではないんだけれども、経営委員も入って、一緒になって事実上経営委員会と同じような、似たような作業をしていくというようなことというのは、現行法上あるいは改正法上予定されていることでしょうか、それともそれは予定していないことでしょうか。どうでしょうか。

小笠原政府参考人 先生の御指摘することが具体的にどのようなことかとはかりかねる面もございますが、いずれにしましても、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、経営委員会の権限といいますのは、合議体としての経営委員会が行使するということを前提に定められております。したがいまして、この権限を個々の委員に委任することはできません。それから、先生まさにお話しになったとおり、経営委員というのは両院の同意を得て総理大臣が任命しているものでございますので、経営委員以外の者が経営委員としての権限を行使することも認められておりません。

 ただ、経営委員会が検討を行う際、専門家の御意見を伺ったりとかというようなことは可能ではないかというふうに考えられます。

逢坂委員 私も、今政府参考人から答弁あったとおり、まさにそうではないかなというふうに思うんですね。経営委員の位置づけというのは非常に重たいわけでありますし、今回の法改正でも、ガバナンス強化ということで、経営委員会の役割というものを重視する方向になっているわけですから、法改正前であろうが法改正後であろうが、あたかも経営委員会が担うような役割を別働隊をもってして経営委員会の議論のように取り扱うというようなことは厳に慎むべきであろうというふうに思っています。

 もし仮にそういうことが必要なのであれば、まさに御意見を伺うとかあるいは参考にさせていただくというようなことをもって、最終的にはやはり経営委員の皆さんの中の議論で役割を果たしていくというのが王道だというふうに私は思うのですが、大臣、この点は御異論ございませんでしょうか。

増田国務大臣 経営委員会がいろいろな方の御意見を聞く、それは必ず経営委員会の方に権限を留保しておかなければいけないと思いますので、私は、いろいろな御意見をお聞きするのは経営委員会の御判断だと思いますし、その上で、最後、経営委員会は合議体でございますので、その合議体としての経営委員会が経営委員会の責任において決めていただく、これが筋であろうというふうに考えております。

逢坂委員 政府参考人にはしつこくいろいろ聞いて大変恐縮でございます、いつも本当にお世話になっているのに。

 大臣、これから先は大臣と少し議論をしたいと思うんですが、やはりよく言われるのが、放送について、政府の関与というか、思いとか、横文字で言うとバイアスみたいなものがかかっているのではないかみたいなことがよく、正式な場で言われるんじゃなくて、アングラ情報みたいなことで言われたりすることというのはあったりするわけですね、世の中には。特に、今、ネット上なんかでそういうことを書かれたりすることも全くないわけではないと思うんです。

 この放送というものが、政府の関与、政府があれせいこれせいと言ってやっているんじゃないんだとか、あるいは、あれせいこれせいまでは言わないけれども、何となく政府の意向をおもんぱかってそういう方向へ放送が動いていっているものではないんだというようなことをやはり何らかの形で担保しておく必要があると思うんですが、大臣、この点についてどうお考えですか。

 まず一つは、放送がやはり基本的に政府の思いや意向で動いてはまずいぞというようなことと、もう一つは、それを明確に国民の皆さんに、いや、何も政府の思いや意向で放送というものは左右されているものではないですよということをきちっと説明する、申し開きをする仕組みというもの、これはどんなふうになっているかということを大臣の口から説明いただけますか。

増田国務大臣 放送ですけれども、これはお国柄によって大分仕組みが違うと思います。国によっていろいろな成り立ちがありますけれども、我が国は、放送については、政府が放送を恣意的に使うというようなことは許されていないわけであります。

 それから、放送といっても、NHKの場合、それから民放放送、こういった二つのものがございますけれども、それぞれにおきまして放送の準則といったものが放送法にきちんと決められておりますから、そういったものにのっとってきちんと運営をされている。

 またさらに、その上で、特にNHKにつきましては、放送法の中で経営委員会の権限等をきちんと決めたりしておりますので、そういう放送に対してのかかわり方というものを、政府としてどういうものかということを放送法の中できちんと担保されていると同時に、組織としても、NHKに対して、こういう組織でありなさいということもきちんと法律で決めて、それによって内容が守られている。これは、民放に対しては民放の規定がまたございます。

 その上で、こうした放送についてさらに、恣意的に行われてはいけないわけでございますので、私総務大臣のこうしたものへのかかわり方もきちんと法律で決められているわけでございますので、そうしたこの今の仕組みというものを十分に考えますと、我が国においては、放送に対して今いろいろなバイアスというようなお話ございました、これは見方によっていろいろな見方が国民の中にもあるわけでございますが、そうしたさまざまな批判ということがいろいろ我が国は自由に行い得る社会でございますが、そういったことも含めて、国民監視の中で放送に対してきちんと運営をされてきているんだというふうに考えております。

逢坂委員 基本的にはやはり、よこしまな力というんでしょうか、そういうものはかかわってはいけないということだと思うんですが、それを明確化するためにも、議事録とか会議の公開性とか、あるいはどんなことをきちんと議論したのか、するのかということはやはり明確になっていなければいけないのだというふうに私は改めて思いますし、仮に法が改正されたとしても、その精神はしっかりと守られていかなければいけないというふうに思っています。

 最後に一つだけ、若干、懸念事項をお伺いして終わりたいと思いますが、今回、法改正によってマスメディアの集中排除原則というものが緩和される方向になっているわけですが、私は、今の市場のことをさまざま思うと、一定程度そうかなというふうにも思うのですが、これが余りにも進み過ぎますと、私のような田舎に住んでいる人間からすれば、いわゆるキー局と言われるものなどの支配が強まっていくのではないかと。私が住んでいる北海道においても、常に中央の情報だけが来て、ローカル色みたいな、地域のよさみたいなものを発信するチャンスみたいなものがなくなっていくというような気もしないでもないんですね。

 大臣も今、一生懸命地方再生で頑張っていただいているわけでありますが、地方の再生が東京の価値基準で全部やられてしまってはかなわないわけでありますので、マスメディアの集中排除原則を一定程度緩和するということは了としつつも、ローカルの色合いというものをばしっと出せるような仕組みというものも要るのだというふうに私は思うのですが、大臣、この点いかがでしょうか。

増田国務大臣 今先生のお話をお聞きしまして、考え方は私と全く同じだなというふうに思いました。ローカル局が経営努力をされて、そして地域の情報をどんどん、その地域だけじゃなくて、全国に向けて発信していっていただきたい。やはりそれだけのものをローカル局がきちんと行っていくということが地域からも支持されますし、また、今問題になっております地方の格差といったようなことの解消にもつながるのであろう、こういうふうに思うわけですね。

 ですから、放送の中身が地域においてどんどんどんどん東京の流している放送一色に染められていくということは私は大変よくないことだというふうに思いますし、ローカル局の独自性をいろいろと出していく上で、お話がございましたとおり、今回もマスメディアの集中排除原則を緩和する規定もこの中に入れ込んでございますが、そのときに、今お話しになったような、キー局の支配が強まらないような一定の措置をこの中に入れているわけでございます。放送事業者が認定放送持ち株会社の認定を受けられないといったようなこともその規定でございますし、それから、省令の中でこの集中排除原則についていろいろと、緩和する際、地域の多元性、多様性、地域性に十分配意していきたい、こういう思いであるんですが、そういった規定を十分に使いつつ、今お話がございました、ローカルはローカルの特色を思い切って出していくということ、この考え方が極めて大事だと思いますので、そういうローカル局の力というものが十分に発揮できるような、その点はよく私どもも留意してこの放送法というものを運用していきたい、このように考えております。

逢坂委員 お金の力によってローカルが消し去られることのないように、ぜひ大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 それでは、引き続いて放送法の関連について質疑を行いたいと思います。

 増田大臣、まず冒頭、お伺いいたします。NHKの経営委員会のあり方が議論になっておりますが、冒頭、御所感をお伺いしたい点があります。

 九月に経営委員会はNHKの執行部がつくった中期計画を否決したとお聞きをしております。これは、素朴な見方でいえば、大変異常な事態だと思いますし、非常に話題性に富んだ事柄でございました。

 この経営委員会によるNHK執行部の中期計画の否決事件、あえて事件と申し上げますが、増田大臣はどう評価をしておられるのか、お聞きをいたします。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

増田国務大臣 先生にお答え申し上げますが、今の経営委員会が執行部のつくりました計画を否決した、これは、経営委員会とNHK執行部の中、すなわち、大きな意味でのNHKの中の事柄でございますので、その否決をしたということの当否、是非を、私、実は判断しづらいわけでございますけれども、一つ言えますことは、こうした形で経営委員会と執行部がきちんとお互いに意思疎通をして、今後もいいNHKをつくっていただきたいということと、それから、やはり経営委員会は機能を十分発揮するということが大事でありますので、経営委員会は経営委員会としての十分な機能を発揮していただきたい。それから、執行部は執行部としてきちんとした業務運営を行っていっていただきたい。その上で、国民の目線に立ってNHKというものをよくしていっていただきたい、こんなふうに考えております。

小川(淳)委員 古森経営委員長、私どもも党内の会議におきまして直接お話を伺う機会をいただきました。非常に個性のはっきりされた、よく言えば力強い、また反面、負の面も大いにあるんじゃないかという気が率直にいたしましたが、大臣は、古森委員長からこの経過について、否決をした理由、あるいは議論をしてきた経過について直接御報告を受けられましたか。

増田国務大臣 その後、古森委員長の方から経過は私の方に報告がございました。

小川(淳)委員 冒頭、NHK内部の話なので非常に申し上げにくいという、ある面からいえば当然のお答えをいただいたわけでありますが、大臣は今、経営委員会の権限を強化するための法律案を提出されているわけであります。その責任者であります。そのお立場からいえば、現在のこの否決という異常な事態に対して、経営委員会の判断を是とするのか、あるいはNHKの執行部の執行能力に疑を挟むのか、そこに関してはもう少し突っ込んだお答えがあっていいのではないかと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 この経営委員会の判断を是とするのかどうかということ、これは、私の方からは、大臣がこの判断についてマルかバツかということを申し上げるのは適当でないというふうに考えます。

 私は、放送法の中で与えられた総務大臣としての権限、そして責任、責務はきちんと果たしていきたいというふうに思っております。そのことはきちんと申し上げておきたいと思います。その上で、経営委員会として、今回は経営委員会の権限と責任においてああいう、計画を差し戻されたんだろうと思いますが、それは経営委員会としての責任においてされたのではないかということでございます。

 それから、あえて申し上げますけれども、このことについて新聞等をその後拝見しておりましたら、やっとこれで経営委員会が本来の経営委員会としての役割を果たしたというふうに書いているものもございましたし、それから、その後経営委員会と執行部の間にいろいろな議論があったというようなことを書いていると思います。見方はいろいろだろうと思います。国民の中でもいろいろな見方があるのであろうというふうに思っておりますが、私としては、その経営委員会が否決したことの是非というのは、総務大臣が、これはいいことだ、あるいは悪いことだというのはやはり評価すべきではないというふうに考えております。

小川(淳)委員 マル・バツのお答えを求めているわけではございません。大臣としての深い御見識なり高い御見識なりをぜひいただきたいというわけでございまして、是非は仮におくとしても、少なくとも、これは非常に異常な事態だということは改めて御認識をいただかなければなりませんし、そういう異常な中でこの経営委員会の権限を強化する法律案をまさに今議論しているということを、改めてその背景を確認しておきたいと思います。

 そこで、経営委員会の権限を確認、強化されるわけでありますが、今回の法律案で強化した権限を与えられた経営委員会そのものの信頼性はどう高めるのか、その工夫についてお伺いしたいと思います。

小笠原政府参考人 まず、私どもといたしまして、経営委員会の信頼性ということに関しましては、放送法の規定にのっとりまして、経営委員会にふさわしい人材を選び、国会の同意を得て委嘱するということがまず第一に必要でございます。

 それから、今回の放送法の改正におきましては、監査委員会の監査ということの役割として、役員もその監査の対象となります。そういう意味で、経営委員も役員でございまして、そういうものがある。

 それから、今回、放送法の改正の大きな考え方は、いわゆる経営委員会のガバナンスの強化ということでございますけれども、そういう経営委員会の役割とそれから執行部の役割といいますものをそれぞれ明確化する。例えば、経営委員は業務を執行することができないといったようなことの規定も設けます。あるいは、それと同時に監督規定も明示化するということで、そういう相互の役割を明示して、相互の間にもある程度の緊張関係というのを持って、全体として適正な運営が行われることを期待しているということでございます。

小川(淳)委員 今おっしゃったとおり、人選というのはまずこれは大事なんでしょうね。非常に大事だと思います。それ以外にも、今おっしゃいませんでしたが、常勤役員をつくられるんでしょう。常勤化するんでしょう。これは初めてでしょう。それから、専用の事務局をつくられるんじゃないんですか。そういう具体的な構造改革を今計画されているわけでありますから、そのことを前提に議論を進めたいと思いますが、まず人選について。

 大臣もよく御存じだと思います。十二名の委員、これは今、ちょっと手元の資料、この間三名入れかわりましたが、その前の資料でありますが、JR、保険会社、デンソー、薬品、通運、お茶屋さんですか、音楽大学、それから法学部の教授。これは、どういう基準に基づいてNHKの経営委員会としてふさわしいというふうに判断されたのか、その価値判断をお聞きします。

小笠原政府参考人 先ほどもちょっと申し上げました経営委員の選任の考え方は、放送法十六条に規定されております。それによりますと、委員の選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。それから、委員十二人のうち八人につきましては、全国八地区に分けられた各地区に住所を有する者のうちから各一名、それから、残りの四名については全国を通じて任命しなければならないとされているところでございます。

 先般の国会同意人事におきましても、このような放送法の規定を踏まえまして、経営委員にふさわしい方々を政府として提案し、国会の同意をいただいたところでございます。

小川(淳)委員 具体的な当てはめについてお答えいただくというのは非常に難しいのかもしれませんが、ざっと申し上げると今のような構成になっているわけです。そこの権限を強化されるというのが今回の中身であります。

 増田大臣、御見解をお聞きしたいと思うんですが、経営委員会の強化とかガバナンスの強化、後ほど私なりの解釈を申し上げたいと思いますが、大臣はこれはどういうことだと評価しておられますか。聞き方が難しいですね、これは一体何ですか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 私の理解、これは、提案申し上げている総務大臣でございますので、きちんと私も今回の改正について説明をしていかなければならない立場にございます。

 NHKで一連の不祥事がございました。不祥事がございましたその中身はいろいろ多様にわたってございましたけれども、こうした一連の不祥事を契機として、NHKに対しての国民からの信頼というものが著しく損なわれた。そのことによって、例の受信料の不払い等にも結びついていってしまった。そのことはすなわち、逆にNHKに対しても経営の根幹に触れるような問題で、そして、NHKが良質の、国民の期待にこたえるような番組を制作するということにも悪影響が及んでしまう、こういうことがございました。

 NHKとして再発防止の対策をとったわけでございますが、どうもその後も同じような不祥事が現実には起こってきている。しかも、かなり幹部などが関与しているものもあった。こうしたことを一刻も早くやめて、そして国民からの信頼を回復するようにしていくためには、もちろん執行部もしっかりしなければいけないわけでありますが、その執行部に対してさまざまな監督の機能を持っております経営委員会の基本的な性格というのをより一層はっきりさせる必要があるのではないか、明確化させる必要があるのではないか。

 しかも、それだけ執行部を監督するという大事な役割を果たしている経営委員会でありますが、中に常勤の委員もいなくて、他の仕事を兼務しながらそこで経営委員をしているといったようなこともございます。ですから、きちんと専属で見ているというよりも、NHKの執行部に対しての単なる諮問機関のような立場になってしまっているのではないか。

 そういうことがあって、この際、経営委員会の持っております機能というものを強化して、そのことを通じてNHKのガバナンス全体を強化していく、それを国民の信頼回復につなげていきたい。こういうことが今回の制度改正、そしてNHKのガバナンス強化に該当する部分の考え方ではないか、このように理解をしております。

小川(淳)委員 るる御説明いただきました。

 もし見解の相違があれば正していただければと思いますが、私なりの解釈では、これはある種NHKの民主化に当たるのではないかというふうに、自分なりによく考えて判断をいたしました。つまり、今大臣まさにおっしゃった、いろいろな不祥事が平成十六年以降多発をいたしました。そこには、ファミリー企業の問題もあれば、いろいろな内部のまさに官僚組織、NHK内の官僚組織のもたらした弊害といいますか不祥事のようなこともあったんだと思います。そこで、今申し上げたようなJRを初めとした、放送とは何の関係もない、何の関係もないということはないんでしょうが、まさに素人を送り込んで、そこへ強い権限を持たそうという試み、一種のNHKの民主化なんじゃないかなというふうに私は解釈、私なりに理解をいたしました。

 そこで、もちろん、これはいいことなんだと思いますね。素人、いい意味での素人主義をぜひNHKの経営に持ち込む、これは大事なことだと思います。また、外部からの空気を送り込む、これは大事なことだと思います。しかし、同時に、民主化にはやはり政治的なコントロール、政治的な意図の介在がこれは裏表で必然をするわけでありまして、その意味では、現古森委員長は、増田大臣と個人的にどういう関係かは私は存じ上げませんが、菅前大臣、また安倍前総理とは非常に近しい関係にあられた方だというふうにもお聞きをしております。そういうことも含めて、人選に厳選をもって臨んでいただかなければなりませんし、その意味では、国会の同意権限、これもこれまで以上に大きく問われてくるということなんだろうと思います。

 ただ、最後にこの件に関して一点お伺いしますが、例えば、公的な機関として金融部門には日銀という存在があります。そして、日銀には、同じく最高意思決定機関として政策委員会があります。ここには、もちろん外部の先生方も入っているわけでありますが、やはり総裁と副総裁が入り込んでいる。総裁、副総裁を含めた政策委員会、これが日銀の最高意思決定機関だという位置づけになっています。

 それとの比較でいいますと、NHKの経営委員会は先ほど申し上げたとおりでありまして、これは本当に責任をとれますか。権限には責任が伴います。権限を行使するということは責任が伴います。この方たち、私は知りません、どれほど東京に来てNHKの経営にかかわって、実際どこまで、職員の方々を含めて役職員の方々とコミュニケーションをとっているのか私はわかりませんが、権限を強化する以上、責任が伴う。例えば、不祥事に関連して、事実上、海老沢会長は辞任されたわけですね。これは、では今後、古森委員長を初め経営委員は辞任を含めて経営に責任をとっていく体制になるのか。

 その権限の強化と責任のとり方について、一言御所見をいただきたいと思います。

小笠原政府参考人 まず、制度について申し上げますと、過去、NHKでも経営委員会のメンバーに会長が加わったことがございましたが、意思決定と執行を明確に分離するという考え方から会長が経営委員会のメンバーから外れた、そういう制度改正が行われたという経緯がございます。

 いずれにいたしましても、先生先ほどもおっしゃいましたように、経営委員会の責任も重くなる、それを補強するために事務局の強化といったようなこと、あるいはその説明責任を果たすために、先ほど申し上げました経営議事録の作成、公表を義務づけております。

 そういったような今回の制度改正を踏まえて、経営委員会が今後期待される役割を適切に発揮していただけると政府は考えておりますし、その評価といいますのは、基本的には、経営委員、三年任期がございますので、その際に評価されるものというふうに考えておるところでございます。

小川(淳)委員 ありがとうございました。そういう問題意識があることを含めて、今後の制度設計また運用にお努めいただきたいと思います。

 NHKに関連して、もう一点お聞きをいたします。

 いわゆる国際放送に関する命令規定、これを要請規定に変えられるというふうにお聞きをしておりますが、十九年の三月に発せられた、これは当時菅大臣だと思いますが、日本人拉致問題に特に留意をして国際放送をせよという命令が下されているようであります。

 放送というのはどうも妙なものですね。放送を見る側も訓練がむしろ必要なんだと思いますが、番組編集者の意図とか、あるいはその裏にいるスポンサー、あるいはこの場合ですと政府の意図があっての番組だというふうな前提を置いて放送を見ることは、非常にある意味難しい。放送というのは、本当に、どこかのだれかが中立公正な立場から事実を客観的に報道していると思いがちであります。これは、むしろ放送を見る側にとっては非常に大きな課題、私たち自身が訓練をしていかないといけない部分だと思います。

 それにしても、例えば拉致問題に関して、国際的にPRする、これは大事なことでしょう。大事なことだと思いますが、命令をしてこれに関する国際放送をするというよりは、むしろ本当にこれが必要であれば、国内でもありますね、増田大臣が出演されているのも拝見しました、政府の広報番組として政府の主張という形で買い取る、あるいはそういう広報番組を作成して、そうだと誤解されない形できちんと放送する、こっちの方がむしろ適切なんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 今の点については、私どもは、国際放送のあり方ということについては、この改正の前後で特に変更はさせていないつもりでございます。全く同じような考え方でいるわけでございますが、従来からこの国際放送というのは、我が国の見解ですとか、あるいは国情を正しく外国の皆さん方にお伝えする、そして外国の皆さん方に御理解をしていただく、そういう使命を有しているというふうに考えております。

 したがいまして、こういう国際放送というものは、公共放送機関でありましても、そこに任せるということでは不十分でありまして、こういう国際放送については国の関与の必要性は従来からもあるというふうに考えておりましたし、その見解というのは今後も変わらない。そしてその中で、政府としてのこの問題についての放送法上の考え方も同じように大事なものとして考えていきたい、こういうことでございます。

 それにしても、法文上、命令放送という形では、いろいろとまさに強い印象を与えがちでございますので、要請という形にしているわけでございますが、それは放送法上の中身の話でございますが、国際放送そのものについては、これは国としてもきちんと関与して、そして継続していくべきもの、このように考えております。

小川(淳)委員 この点ぜひ、今私が申し上げたような立場から、大臣もいみじくもおっしゃいました、命令も要請もそんなに前後で制度は変わらないんだとおっしゃった、そのことを前提に、私どもは、これをぜひ廃止、削除に向けて、与野党間で真摯な協議を行うべきだということを申し添えさせていただきたいと思います。

 後ほど、メディアの集中規制についても、認定放送持ち株会社制度との関連でお聞きをしたいと思いますが、やはり、もう先ほど来るる議論されております、メディアに関しては、相当政治の介入からは自由、自律的でなければならないんだと思います。これは、表現の自由が民主主義の基盤そのものでありますから、ここは本当に侵されてはならないところだと思います。

 ただ一方で、これは国民の目から見ても、「あるある大事典」ですか、十九年一月以前、十七年から十九年、八番組については放送法違反、そしてもう八番組については放送法違反の疑い、ほとんどがこれはダイエットに関連したもののようであります、こうした放送が、あたかも真実であるかのように放映されることに関しては、これはやはり国民の皆さんも御心配だと思います。そういう意味では、何らかの措置がもちろんとられる、この可能性はあるんだと思います。

 それにしても、地方に対する財源の配分から税制から公務員制度、公務員人事、放送・通信、あらゆることに関する権限をお持ちの大臣が再発防止計画の提出を求めるということに関しては、非常に権力的な行為であり、放送事業者を萎縮させる、あるいは後々の番組編集に影響、もちろんいい影響もあるんでしょうが、負の影響、副作用もある、そういうことを私は懸念をするわけであります。

 大臣、これに関しては、ぜひ抑制的、端的に申し上げれば、こんな制度は法律案に盛り込むべきではないと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 先生、総務大臣のさまざまな、各自治体への権限等よく御案内のとおりでございまして、そういう中で放送についても、総務大臣は放送法の規定にのっとりまして権限と責任を有しているわけでございます。

 そうした中で、今まで私どもが得てまいりました経験によりますと、やはり放送の公共性ということに対して、まさに「あるある大事典」のあの放送がそうでございましたけれども、国民に対して大変悪い影響を及ぼしたということは事実でございます。

 しかし一方で、条文上は、電波法の七十六条でしたでしょうか、いろいろと制約を加えることができるわけでございますけれども、発動することもできるわけでございますが、しかし、今のそういった条文の発動というのは、これは大変社会的に影響があるということでございますので、行政指導を超えて何らかの規定というものが必要ではないかということで、今回の再発防止計画を提出いただいて、これは制度としては、中身にどういうことをお書きいただくかはまさに放送事業者の自由になっているわけでございますが、そうした放送事業者の再発防止計画を御提出いただいて、それを国民の皆様方にお知らせをして、そして再発防止計画に真摯に取り組んでいただきたい。私どもとして、条文を置きますときに、放送事業者の自主性を最大限尊重して、こういう規定をつくらせていただいたところでございます。

 さらに、そういうことで法文を整理したものではございますが、しかし、放送というものが大変自律性の高いこともございますので、趣旨説明で申し上げましたとおり、これについて、放送事業者が大変悪影響を及ぼしたということでみずから認めた場合のみに適用の対象を絞り、そしてまた「あるある大事典」の問題の反省にかんがみて、放送事業者側でもBPOを改組して、さらに自主的な取り組みを強化しておりますので、そうした取り組みというものが機能している間はこの規定も発動しない、こういった抑制的な運用によって、そうした権力的な運用にならないように私どもも自制をするということでございます。

 そうしたさまざまな法文上の措置あるいは運用上の措置ということを私どもも考えているところでございますので、放送事業者の表現行為の必要以上の制約につながるものではない、このように考えてございまして、ぜひこの点、御理解を賜れば、このように考えております。

小川(淳)委員 権力的な運用にならないようにというのは当然でありますが、私どもとしては、権力的な運用につながりかねない仕組みそのものはつくらない、つくらざるべきだという立場から、これも与野党間の真摯な協議、ぜひお願いをしたいと思っております。

 あわせて、持ち株会社による放送事業会社の子会社化、しかも複数の放送会社を持ち株会社でまとめていく、集約化していく、この認定放送持ち株会社制度について、メディア集中排除原則との関連からお尋ねをしたいと思います。

 まず、認定放送持ち株会社制度をこのたびこの法案に盛り込まれた理由、そして、懸念される、メディアが集中することがあってはならないという原則との関係、この二点についてお伺いをいたします。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

小笠原政府参考人 今回の認定持ち株会社を導入するという改正法案の考え方でございますけれども、デジタル化の進展あるいは多チャンネル化の進展、そういったさまざまな放送メディアを取り巻く環境の変化に柔軟に対応するという観点から、この制度を導入しようということでございます。

 認定持ち株会社につきましては、持ち株会社を通じた資金調達ということを通じまして、放送事業者の経営基盤を強化する、あるいは複数の放送会社の間で人材あるいはそういう資金等について効率的な運用を行う、あるいは放送事業者間その他のさまざまな連携ニーズに対応するということを可能にする、そういったような目的から、今回認定放送持ち株会社を導入しようと考えるものでございます。この認定放送持ち株会社のもとに、一定の要件、条件のもとで、複数の放送事業者の所有、支配を可能とするということでございます。

 ただ他方で、先生もお話にございましたけれども、マスメディア集中排除原則の考え方の背景をなしておりますところの放送の多元性あるいは多様性というものを確保することは引き続き重要と考えておりますので、そうした両者の、認定放送持ち株会社のメリット、あるいは放送の多元性の確保といったもののバランスを踏まえながら、改正をお認めいただければこれから制度設計を検討していきたいと考えておるところでございます。

小川(淳)委員 ここで一つ確認させていただきたいんですが、今、放送持ち株会社がたくさんの放送会社を子会社化するというのは、経済的な理由をおっしゃいました。確かに、地デジ放送に向けた設備投資というのは大変な負担なんでしょう。しかし、どこまでいっても経済的な理由であります。それに対して、メディアが集中をしていく、各地域のメディアがある一の者あるいは少数の者によって占有、寡占されていくという状況は、これは経済では済まない問題であります。まさに、表現の自由なり言論の多様性なりという民主主義の基盤そのものを脅かしかねない価値観であります。

 ですから、もちろんいろいろな制度設計を議論していく必要はありますが、今比較考量されている法的な価値といいますか法益は比較に値しない、値しないものを比較されようとしているということ、ぜひその前提に立って議論をさせていただきたいと思います。経済的な理由では始末のつかないものを扱おうとしているということであります。

 そして、メディアの集中ということに関しては、私、ちょっといろいろ個人的なことも含めて大きな問題意識を持っているわけでありますが、ざっと手元の資料を拝見しながら申し上げますと、ほとんどの放送局は、新聞社なり、またあるいはキー局ですか中央のテレビ局の子会社、ないしは大株主としてそういう人たちが名を連ねているというのがどうも現状のようであります。これは、実質的に申し上げて、メディアの集中排除規制、排除原則なるものは非常に形骸化しているんじゃないかという気がしてなりません。この上に立って、さらに持ち株会社制度というのをつくるのは非常に危うい感じがするわけであります。この集中規制を、今の法律案、政府案によりますといたずらに省令にその基準を落としたりということになっているようでありますが、これを議論するに当たって二つの事例をお聞きいたします。

 公正取引委員会と金融庁にお越しをいただきました。市場の極度の寡占状態を排除するための独占禁止法については、さまざまな規制の根拠なり、またその法的な位置づけをお持ちだと思いますので、まずそれをお聞きしたいと思います。

松山政府参考人 お答えいたします。

 市場における寡占なり市場支配力の内容等についての独禁法の規制の概要ということのお尋ねでございますが、まず一つは、独占禁止法の九条で、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立、転化、いわゆる持ち株会社等なりそれの関連でございますが、その規制の対象がございます。

 事業支配力が過度に集中することとなるというものにつきましては、会社及び子会社その他当該会社が株式の所有により事業活動を支配している他の会社、国内の会社といったようなものの総合的事業規模が相当数の事業分野において著しく大きいといったような要件を規定しております。具体的には、会社とその子会社、議決権保有比率でいうと過半数を占める、あるいは、実質子会社として、これはガイドライン等でも規定しておりますが、会社の議決権保有比率が二五%超で五〇%以下であって、かつ、議決権の保有比率が筆頭株主であるといったようなものが実質子会社となるわけでございますが、そういったものが対象になっているということでございます。

 また、寡占に関しての規制でございますが、独占的状態に関しての規制というのが独占禁止法の二条七項にございまして、これでは、第一位の事業者のシェアが五〇%を超える、あるいは上位二位の事業者のシェアの合計が七五%を超える場合に該当してくる。その他、事業分野の基準等もございますが、そういったものを規定している例がございます。

小川(淳)委員 それは法律で規定されているんですね。

松山政府参考人 現在、独占的状態に関しましての規定に関しましては、法律で規定されてございます。

小川(淳)委員 銀行の株式所有、また被所有に関してはいかがですか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、支配基準といいますか、銀行が出資する銀行の子会社に関する規制でございます。

 これは、銀行法上、銀行が本来子会社として持てる金融関連業務を営む会社以外のものにつきまして、いわゆる国内の一般の事業会社につきましては、その議決権について、銀行とその子会社を合算して五%、これは銀行法十六条の三第一項でございます、さらには銀行持ち株会社とその子会社を合算して一五%、これは銀行法五十二条の二十四の第一項でございます、それを超える取得ないし保有を原則として禁止しております。

 次に、銀行が出資される、銀行の株主に関する規制でございます。

 銀行の株主に関する規制につきましては、銀行の議決権を五%を超えて保有する株主については、届け出を求めております。これは銀行法五十二条の二の第一項でございます。さらに、銀行の議決権を原則二〇%以上保有しようとする株主につきましては、事前に許可を受けなければならない。これは銀行法五十二条の九第一項でございます。それぞれ規制されているところでございます。

小川(淳)委員 大臣、それぞれお聞きのとおりでありまして、ちょっと複雑なあれでしたけれども、要するに、市場の寡占を抑える、あるいは銀行が他業種に対する支配を余り及ぼさないようにする、そうした持ち株基準あるいは市場の占有基準については法律でちゃんと定めているわけですね。これは当然だと思います。

 本来、国民が、あらゆる者が、株式を幾ら取得しようと何を買おうと、あるいはどこで何を売ろうと、これは自由ですから、これを政策目的で制限するのはやはり法律でやるべきではありませんか。今、この政府案ですと、総務大臣の一存でそれを制限する、国民の権利を制限することになっていますが、大臣、この点いかがですか。

小笠原政府参考人 いわゆるマスメディア集中排除原則につきましては、現行でも具体的な数字については省令で定めるとされてございます。むしろ今回の法改正では、そうした考え方を法律に明記したというところが改正点ではないかと。

 それで、具体的な集中排除の基準といいますものを法律で規定するか、あるいは法律の委任を受けた政省令で規定するかということにつきましては、さまざまな考え方があるのではないかと。

 私どもが所管しております通信・放送分野は、特に技術革新、あるいはそれを踏まえた環境変化は急速でございます。制度面に関しましても柔軟かつ迅速な対応が求められまして、省令で基準の具体化を図ることが適切というふうに考えておるところでございます。

 最近の例で申し上げましても、一年間に複数回のこうしたマスメディア集中排除原則の改正というのを行っておるのは何度かございまして、そういった点からも現行の考え方は適当ではないかというふうに考えているところでございます。

小川(淳)委員 確かに、地方の放送局ができたというのは昭和二十年代後半とか三十年代前半ですから、中央の新聞社とか、さっき申し上げました、各メディア間で持ち合いをしたり、あるいは出資がそこへ偏ったりといったような事情はあったんだと思いますが、もうこういう時代ですから、法律に明記すべきことと、そしてその基準を現在の政府案よりもさらに引き下げること、そこに向けた与野党協議をぜひ期待したいと思います。

 あわせて、出資者に関連して端的にお尋ねいたします。

 外国人が放送局を持つ、放送局に出資するということに関しては、どうも規制が明記をされているようであります。しかし、少し問題意識として申し上げたいんですが、放送メディアが外国人に支配されることもよくないでしょう、それからメディア同士が癒着することもよくないでしょう、先ほど来の議論のもう一つの基軸は、メディアと政治権力との関係であります。それからいいますと、例えば山形放送は、山形県が一四%を超える株式を保有しています。山口放送は、山口県と周南市を合わせますと一六%を超える株式を所有しております。

 これはあえて個々を申し上げましたが、多くの放送局に対して、地方自治体あるいは国会議員の親族含めた関係者、あるいは新聞社、こうした方々の出資が相当散見されるわけでありますが、もうこういう時代です、外国人に加えて、地方公共団体、政治家、こういう人たちが株主になることに関しては、ぜひ放送の中立公正の観点から規制を設けられたらいかがかと思いますが、大臣、御見解をいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 実は、メディアへの出資の関係でございますけれども、政治的な公平性というのは、放送法の中で番組準則が掲げられているわけでございますので、そちらの方で確保されている、このように私どもは判断をしております。この番組準則による規律というのはこれまで有効に機能してきて、確かに、今先生のお話にございました、特に地方のローカルな局におきましては、地方公共団体が出資したり、それから政治の御関係の方が出資しているという例はございますけれども、そのことが番組そのものに影響を与えることはないというふうに判断をしております。

 私自身も、岩手県の知事をしておりますときに、新しく地域にローカルのテレビ局が、ある系列が出てくるというときに強く公共団体の出資を求められまして、議会の方にお諮りをして出資をした経験と、あるいは、古くからもう既にございましたローカル局で、最初の経営的な観点から出資を検討しましたけれども、大分時間がたったので出資を引き揚げるということも行いました。

 特に公共団体の場合には、地域での経済界等がいろいろ出資をしていく上でやはり公共団体が入っていた方がやりやすいというようなことで、いろいろ御要請がございましてそんなことをした覚えもございますが、いずれにしても、そうした出資について、御意見はいろいろあろうかと思いますが、政治的な公平性、そういう観点からの御心配については番組準則の方で確保されてきている、こういうふうに考えているところでございます。

小川(淳)委員 大臣の今の御説明でありますが、番組の内容に踏み込むというのは本当に難しいんですよね。事が起きたときに、あるいは起きそうなときに番組の内容に踏み込むというのは非常に難しい。だからこそ、構造的にそういうことがないようにという手だてを事前に打つべきだと思います。

 その観点から、改めて、政治家、地方公共団体の出資規制、そしてもう一つ、時間があればお尋ねを申し上げたかったんですが、新聞社ですね、新聞社による放送局に対する出資規制。例えばイギリスでは、地方紙でその地域において二〇%を超えるシェアを持った新聞社は放送免許を取得できない、こういう規制が入っています。こういうこともぜひ御参照いただきたい。

 そして、あわせて最後に、参考までに申し上げますが、私は今回、この放送法の改正案を拝見すればするほど、国民の目から見て放送の内容の適正を期すために、やはりある種の公的な関与は必要だと思います。全くそれを取り去るということにはならないと思います。しかし一方で、政治権力の直下にある内閣の構成員たる総務大臣がこの権限を直接間接に行使する、これからの時代、私はやはりそれは不適切だと思います。

 ということの二つのバランスを考えたときに、やはりこの放送にかかわるメディア規制あるいはメディアに対するさまざまな許認可、監督指導、これはぜひ大臣の権限から切り離すべきだ、総務大臣から切り離して第三者委員会的な独立した行政委員会として新たに構築を図るべきだ、私は今回、放送法の改正案を見るにつけて、そのことを思うに至りました。

 参考までに、アメリカでは連邦通信委員会、連邦議会に対して責任を負う独立行政委員会が所管をしているんだそうです。イギリスでは通信庁、政府から独立した法人組織だそうです。フランスでは視聴覚最高評議会、政府から独立した行政委員会。ドイツでも各州、政府から独立した公法人等々の様子でありますので、大臣、ぜひこれは、中長期で結構です、こうした観点に立って御検討をお願いしたい、そのことを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、放送法につきまして、再発防止計画の提出を求める新たな行政処分についてお尋ねをいたします。

 今回の法案では、いわゆる捏造報道事案などがあった場合に、総務大臣が放送局に再発防止計画の提出を求め、意見をつけて公表する新たな行政処分を導入するということであります。

 そこで、大臣にお聞きしますが、この新たな行政処分の発動要件についてですけれども、これはだれが認定をしたときに行政処分が発動されるということになっているんでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、番組の問題が発生をしたという場合に総務大臣が放送事業者に報告を求めるわけでありますが、本当に虚偽の説明による放送だったかどうか、それを放送事業者がみずから判断をしていただく、これがまず最初です。その上で、放送事業者から報告が上がってまいりますので、その報告を踏まえて総務大臣が最終的な判断をする、これが今回の改正法の建前、考え方ということでございます。

 なお、つけ加えさせていただきますが、自主的な放送事業者の判断というものを最大限尊重する必要があるということで、この規定についての運用というのはいろいろと私どもも抑制的に考えていく、こういうことでございます。

塩川委員 大臣が最終的に判断をする、法文上は大臣が判断をすると書かれているわけですけれども、今おっしゃった、放送事業者がみずから認めた場合を適用の対象とするという点について、これは極めて発動要件にかかわる重要なポイントなんですけれども、そういうことを言われるのであれば法文上に書かれればよいと思うんですが、それをされないのは何でなんでしょうか。

小笠原政府参考人 先ほど大臣の趣旨説明のところにもございましたけれども、放送事業者みずからが認めた場合のみを適用の対象とするという背景につきましては、ことしの五月に設けられましたBPO、民間のそうした自主的な機関の取り組みに期待するという背景がございます。そうした背景につきましては、要するに、BPOの取り組みが機能しているという期待を前提としてそうした運用を、つまり、放送事業者みずからが認めた場合に限定して適用するという運用を行うということでございます。

 したがいまして、法改正後の状況によりまして、こうした民間の自主的な十全の取り組みが必ずしも期待できない、そうしたようなことが生じない、実現しないという場合につきましては、こうした法の適用を考え直すということもあり得るということも含めまして、現行法の規定を提案しているところでございます。

塩川委員 一番根幹にかかわる行政処分の発動要件の点について、放送事業者がみずから認めた場合のみを適用の対象とするということをおっしゃるのであれば、それが法文になるというのが本来ではありませんか。

小笠原政府参考人 今回の御提案をしております自主的改善計画の作成、公表に関する規定につきましては、法律の文章としては、規定を適用する場合について、事業者みずからが認めた場合に必ずしも限定されるものではございません。社会的に別途の観点から提起された、あるいはそういったことも考えられます。

 ただ、要するに、民間の自主的な取り組みが期待できる状況を前提として運用をある意味では狭めるという考え方でございます。したがいまして、そうしたような状況が期待できない状況になりましたらば、我々がそういうことを期待するわけではございませんけれども、法の規定を、法本来の規定に照らして適用するということもあり得るということで明文化はしていないものでございます。

塩川委員 法文上、問題があると判断するのは大臣というふうになっているわけです。

 運用という話がありましたけれども、BPOの話がありました。そこでお尋ねしますが、先ほどの提案理由説明の中でも、BPOの機能強化による取り組みが機能している間は再発防止計画の提出の求めに係る規定を適用しないとしていますけれども、機能しているかどうかというのを判断するのはだれなんでしょうか。

小笠原政府参考人 BPOの取り組みが機能しているかどうかということについてだれが判断するかというお問い合わせでございますけれども、本規定の適用が想定される事案、例えばいわゆる捏造の報道事案でございますが、こういったことにつきましてBPOが取り組みを開始して、再発防止に向けた改善努力がなされる、そういった適切な取り組みが行われているか否かといった点について、総務大臣が判断するということになると考えております。

塩川委員 総務大臣が機能しているかどうかを判断すると。その場合に、機能しているかどうかの判断基準というのも当然大臣が決めるということですね。

小笠原政府参考人 そういうBPOの取り組みといったものが適切になされているかということにつきまして、総務大臣が判断するということでございます。

塩川委員 BPOの対策が機能しているかどうかを判断するのは総務大臣自身でありますし、その判断基準も総務大臣が定めるということになると。そういう点では、運用という話がありましたけれども、総務大臣の考えに左右されるという仕組みになっております。

 そこで、加えてお聞きしますが、総務大臣は、計画を検討して意見を付し、公表するものとするとありますが、計画を検討するというのは何を検討するのか。その点、大臣にお尋ねします。

増田国務大臣 放送事業者の方から計画が出されるわけでございますが、これに対して我々は、今先生のお話でございましたとおり、意見を付して公表するということになるわけですけれども、電波、放送を主管する総務大臣としての考えを示す、そして、公表された再発防止計画についての国民・視聴者による評価、判断に資するように、そういう内容の意見を付すわけでございます。

 具体的には、出てまいりました計画が国民・視聴者に対して十分な説明責任を果たしているかといった観点から見て妥当なものと判断できるか否か、そういうことについて検討するものでございます。

塩川委員 計画が出たところで十分かどうかを見るという話で、国民に対する説明責任を果たしているかどうかということを検討するということなんでしょうけれども、では、国民に対して説明責任を果たしているのか果たしていないのかという判断基準はだれが判断するんですか。

増田国務大臣 これは、総務大臣が意見を付すわけでございますが、総務大臣としての考えをそこに付す、こういうことで、それを国民の皆さん方に御判断いただくということでございます。

塩川委員 懸念の声というのは、やはり総務大臣の付した意見というのが今後の番組制作への内容に対する介入となりかねないという声であります。

 ですから、今回の新たな行政処分の創設というのは、放送内容に問題があると判断するのも大臣ならば、再発防止計画を点検するのも大臣となっております。業界の再発防止対策が機能している間は発動しないと言うけれども、機能しているかどうかを判断するのも総務大臣であり、総務大臣の判断次第で運用されることになるということです。こういうやり方はやはりふさわしくない。

 ですから、きっぱりと新たな行政処分の規定は削除をすべきではありませんか。

増田国務大臣 現実に、今、「あるある大事典」に見られるがごとく、これはあってはならないことでありますが、そうした捏造番組が放送されるということによって生じる被害、こういうのは大変大きなものがある。それだけテレビというものの影響力は強いということでございます。ですから、そうしたことによって生じた、これは現実に生じたわけですが、そうした生じた被害を防止するということについて、私どもはやはりきちんとした責任を果たしていかなければならないということがまず大前提としてございます。

 その上で、措置内容というものを私ども慎重に検討したわけでございますが、では今の規定で十分かどうかといいますと、やはり今の規定でいいますと放送の停止ですとかそういったことになるわけですので、大変強い措置でございますので、そこまで表現行為自体を制約するものではない、そうした放送事業者の自主性を尊重したものが必要ではないか、そういう観点に立ちまして今回の、再発防止計画の提出をしていただく、こういう規定を置いたわけでございます。

 また、再発防止計画の内容自体につきましても、これは、こういう事項を書きなさいということを決めているわけではございませんで、その内容につきましては放送事業者自身にゆだねてございますし、また、今先生の方から御指摘をいただきました大臣意見でございますが、私どもの方では、その大臣意見の中で、計画の内容について事細かにいろいろなことを、こうしなさい、ああしなさいと指示することは考えていないところでございます。

 したがいまして、今回のこの法改正の措置でございますが、これは、前段申し上げましたとおり、大変大きな社会的影響力のある放送ということでございますので、そういったことに現実に被害が起きたということから考えれば、公共の福祉の観点から必要最小限の措置であって、表現の自由という観点からも特段の問題は生じていない、このように考えているところでございます。

塩川委員 今回の新たな行政処分というのが、先ほど言いましたように、政府の恣意的な運用に対する懸念がある、報道と表現の自由を侵害するおそれがある。番組の適正というのは、放送事業者の自律、世論の力によって確立されるべきであり、行政の関与は慎重であるべきだ。

 捏造の報道は許されません。その際に、捏造再発の防止のために政府が行うべきことは、何よりも放送事業者の自由、自律を尊重し、BPOなどの自主的な取り組みを支援することであり、やはり独立した行政委員会に放送行政をゆだねるという対応が求められていると思います。

 それに加えて指摘をしたいのが、このような捏造報道の番組をつくるような放送業界の制作環境、業界の構造上の問題の是正、こういうところにこそ政府が対応策をとるべきではないか。今、職安法や労働者派遣法違反のいわゆる偽装請負などの問題も放送業界で指摘をされております。加えて、元請、下請間の下請いじめの問題があります。

 関西テレビに、この事件が起こりまして、「発掘!あるある大事典」の調査委員会、第三者委員会が置かれ、三月の二十三日に報告書が出されております。この報告書を見ますと、捏造を招いた番組制作における構造上の原因と背景として、視聴率本位の制作態度とか、再委託契約におけるピラミッド形の制作体制の問題とか、制作費の削減措置による影響などの指摘があります。番組制作の会社でつくる全日本テレビ番組製作社連盟、ATPによる「あるある大事典2」捏造事件に関する緊急アンケート調査、これは三月の九日に行われておりますけれども、その中でも、この事件の背景として、予算不足とか、視聴率競争の弊害、孫請構造を挙げております。このような捏造を生みかねない業界の構造上のゆがみにこそメスを入れるべきであります。

 そこで、私はきょう下請いじめの問題を取り上げたいと思っております。

 「あるある」の調査委員会の報告では、「再委託契約による制作の問題点」、つまり、関西テレビが日本テレワークに発注をし、これ自身が親子関係ですけれども、日本テレワークからその下の制作会社に委託をする孫請構造になっているという話で、第三者委員会の報告書では、「契約内容に元請けによる下請けいじめとも受け取れる優越的地位を背景とした不当条項が入りやすい点が指摘できる。」とあります。「現に、テレワークが各再委託制作会社と結んでいた契約書によれば、専従義務と称して再委託制作会社が他の業務を行う場合はテレワークの承諾を得ることと規定され、再委託制作会社の従業員がテレワークの業務を履行するにあたって死亡・負傷・疾病にかかった場合でもテレワークは一切の責任を負わない旨規定されるなど、孫請けに対する優越的地位を濫用した不当条項ともいえる規定が設けられている。」このような指摘があります。

 加えて、「最も問題なのは、納品された放送制作物の委託料の支払いが、納品日からではなく、放送日の月末締めで放送月の翌々月の十日払いとされている点である。」「資金繰りが潤沢でない零細企業が多い下請け制作会社を苦しめる不当な取り決めといってよい」「下請代金支払遅延等防止法に違反する違法な取り決めであり、言語道断の措置」だと指摘をしております。

 こういった下請構造、下請いじめとなるようなこういう構造の指摘について、大臣はどのように受けとめておられますか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 第三者委員会が御指摘をなさいましたこういう事項は、やはり放送事業者として重く受けとめて、これは改めていただかなければならないというふうに思います。

 放送事業者でありますので、当然、その公共的な役割というのは十分認識した上で行動していかなければならないわけでありまして、関係の法令、今先生の方からもお話ございましたが、こういった下請関係法というのは現実にあるわけでございますので、これを遵守していただくということは大変重要でございますし、特に放送番組の制作に係る取引につきましては、こうした事項をきちんと放送事業者として徹底していただきたい、このように考えております。

塩川委員 そこで、総務省としてどのような対応策をとったのかということなんですけれども、この「あるある」の第三者委員会の報告、これに基づいて総務省は三月に関西テレビに対して警告を出されておられます。ですから、当然この内容を熟知しておられるわけですけれども、ここで指摘をしているような下請いじめのような現状について、総務省として、下請取引の是正の観点でどのような対応策をとったんでしょうか。

小笠原政府参考人 「あるある大事典」につきましては、先ほど来もお話に出ております警告というのを行政上いたしましたが、今先生御指摘の下請法に係る事案につきましては、先生御指摘のように、報告書の中で下請法に違反しているという旨の指摘が行われたことにつきまして、公正取引委員会事務局に御連絡をしたということでございます。

塩川委員 公正取引委員会にお尋ねします。

 今、総務省からその旨公正取引委員会に伝えたということですけれども、申告として扱うのかどうかということもありますが、今回のこのような下請法違反と調査委員会の報告書が指摘をしているような状況ですから、こういう事案についてきちんとした調査をすべきだ。この点が一点と、もう一つ、やはりこういった下請いじめがまかり通っているような放送業界、情報成果物作成委託業務と下請法ではしているそうですけれども、これについて重点的な調査をすべきではありませんか、お尋ねします。

鵜瀞政府参考人 御指摘いただきました点でございますけれども、個別の事案でございますので、下請法違反に該当し得るかどうか、どのような措置をとったかということにつきましては答弁を差し控えたいと思います。

 一般論として申し上げますと、支払い期日について御指摘がございましたので、その点の下請法の規定でございますが、親事業者は、下請代金の支払い期日を、下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日以内で、かつ、できるだけ短い期間内に定めなければならない義務があり、また、この義務に反して支払い期日が定められたときは、親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日の前日が下請代金の支払い期日と定められたものとみなすこととされておりまして、親事業者が下請代金をその支払い期日の経過後なお支払わない場合は、いわゆる支払い遅延として下請法に規定する禁止行為に該当するものでございます。

 また、放送業界につきまして特別な調査を行うべきではないかという御指摘がございました。

 本年二月、政府の成長力底上げ戦略におきまして、下請取引の一層の適正化について早急に措置すべきこととされたことを踏まえまして、平成十五年改正下請法により新たに適用対象とされた分野から三つ選びまして特別調査を実施しておりますが、そのうちの一つが放送番組・映像制作に係る委託取引でございます。

 この特別調査の過程におきまして下請法に違反する事実が認められた場合には、厳正に対処してまいりたいと存じます。

塩川委員 公正取引委員会にお聞きしますが、三つの分野、業種で特別調査を実施する。その三つをちょっと例示していただきたいのと、なぜその三つをやるのかという理由を聞かせていただけますか。

鵜瀞政府参考人 三つの分野の選定理由でございます。

 三つの分野は、放送番組・映像制作委託と道路貨物運送と金型の製造委託の三つでございます。

 放送番組につきましては、いわゆるコンテンツ制作に係る下請取引について下請法の厳正な執行が求められていること、あるいは、放送番組やアニメ等の映像制作分野につきましては、書面交付の徹底により発注内容の明確化が必要である等の指摘を受けているからでございます。

 道路貨物運送につきましては、現在まで、私ども公正取引委員会による勧告が行われたものを含めて下請法違反事案が多く、下請法の厳正な執行が特に必要だと考えたものでございます。

 金型につきましては、親事業者の業種が広範にわたりますので、金型の製造委託取引全般について適正化を促すには特別調査の方法が効果的と判断したものでございます。

塩川委員 今お話にありましたように、放送については、書面交付義務違反などが多い、下請法違反が実際まかり通っているということで特別調査ということであります。陸運関係もそうでありますし、金型についても同様にそういうことを指摘する特別な調査をやろうということになっているわけです。

 そこで、公正取引委員会と総務省にお尋ねしますが、公正取引委員会には、放送業を所管する総務省との連携強化を強めて、何らかの対応策を考えるべきではありませんか。

 それから、公正取引委員会に確認しますけれども、金型については対応する経産省が金型を含む素形材産業についての取引のガイドラインというのを策定しております、こういうものでありますけれども。あわせて、今、国土交通省では、陸運関係、貨物関係についてのガイドラインに取り組みつつあるというふうに承知をしております。その点の確認とあわせて、総務省とどう連携強化をするのかということをお聞きしたい。

 総務省に対しては、ほかの省がそれぞれ、陸運関係と、また金型についてはガイドラインという取引についての対応策についてきちんとつくっているわけですから、総務省としても放送業についてこういうガイドラインをつくるべきだ。その点、大臣にお伺いをします。

鵜瀞政府参考人 平成十五年に下請法が改正されまして、規制対象が拡大したところでございます。このような幅広い分野における下請取引の適正化のためには、業所管官庁の協力体制の整備が不可欠であるというふうに考えまして、平成十五年七月以降、総務省を含む関係省庁連絡会議を設置して、これまで七回にわたり会議を開催して連携を図っているところでございます。

 また、先生御指摘になりましたように、成長力底上げ戦略の一環として、現在まで七業種のガイドラインがつくられて、さらにまだ現在作成途上のものもあるというふうに承知しております。その中には、既にできたものにつきましては素形材のガイドラインがございますし、今後作成予定のものとして貨物運送があると承知しております。

 今後とも、関係省庁との連絡を深めてまいりたいというふうに考えております。

増田国務大臣 番組制作の実態をよく把握して、それから公正取引委員会ともよく連携をして、今後適切に対応していきたい、このように考えております。

塩川委員 公正取引委員会が問題とした、特別調査をしている三つの業種のうち二つについては適正な取引のためのガイドラインをつくっている、あるいはつくろうとしているわけですから、総務省においても放送業についてきちっとガイドラインをつくるということを求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、総務大臣に伺いますが、いわゆるNHK改革に関連をしまして、五カ年計画をめぐりましてNHK内部でいろいろな意見が出されて、その検討がスムーズに進んでいないという実態があります。

 この点の中で、一つ大臣に聞いておきたいんですが、古森委員長は、総務省に問い合わせた結果経営委員会の重要な経営方針に関する発議権を持つことを確認した、言うならば総務省のお墨つきだと。それを根拠に、いわゆる五カ年計画をめぐりまして内部でいろいろな混乱が起こっている。

 この点については、私は、総務省はもっと積極的に整理する役割を果たさないと、法律の趣旨を逸脱する動きもあるやに承知をしておりますので、まずその点について、大臣はどういう認識とそしてどうしようと考えておられるか、まず聞いておきたい。

増田国務大臣 今の点について私の方からお答え申し上げますが、まず、経営委員会から総務省の方に問い合わせがあった、これは事実でございまして、経営委員会の場で発議できるかどうかという点について、放送法の解釈について問い合わせがございました。これは、本年の七月二十七日に、経営委員長の方から我が方の局長に問い合わせがございました。

 そして、総務省として、放送法が経営委員会が決定を行う際の手続について特段の定めを置いていないものですから、経営委員会や経営委員がみずからあの場で発議をすることは放送法上排除されていないと考えられる、こういった内容の回答を担当部局の方でいたしました。

 それから次に、先生の方から、経営委員会の方で次期経営計画案、執行部提案のものでございますが、これを承認を見送ったことについてお話がございました。これもそのとおりでございまして、九月末の経営委員会の中で承認を見送った、これは私どもも承知をしているところでございます。

 経営委員会のこのような判断でございますけれども、これは経営委員会としての権限と責任において行ったものでございまして、私どもは、その前の私どもとの間でやりとりがございました発議権云々ということとは直接リンクしていないもの、経営委員会が経営委員会の責任で計画を認めるかどうか、重要事項の決定は経営委員会の判断事項でございますので、そちらを発動して行ったもので、両者の間に特段関係はないもの、こういうふうに考えております。

 今後、こうしたことを含めて、NHKの問題をどうするかということについてお尋ねがございました。これは、やはりNHKの中で、経営委員会とそれから会長以下の執行部、こういう両方の組織が法律上規定をされておりまして、お互いで、全体としてNHKの経営を、そしてNHK自体をよくする方向でそれぞれ責任を果たしていくべき組織でございます。この経営委員会とそれから会長以下のNHK執行部の方で、意思疎通をよくしてお考えをいただいて、NHKの運営、経営方針、これをしっかりとしたものにしていただきたい、このように考えております。

重野委員 今度の放送法の改正の中で、経営委員会があり、そして会長率いる理事会があって、私の常識からすれば、この理事会がNHK、日本放送協会の経営について立案、実行する、そういう役割ではないのかなと。ですから、まず経営委員会があり、その下に会長率いる理事会があって、そしてNHKの各セクションがある。

 ところが、今そういう放送法の審議している中で、NHKの中に、例えば経営改革ステアリングチームというのが設置をされた。それを解説している記事を見ますと、経営委員会と執行部、会長、理事会の間に点線があって、そこに経営改革ステアリングチームというのが位置づけられている。これは、今放送法の改正について議論をしている、そこに提案されている機構図というのは、そんなものはないです。そのさなかに、そういうステアリングチームなるものが位置づけられて、新聞の記事によりますと、経営委員会が経営改革ステアリングチームを軸として主導権を握る、こういうふうに書いてある。こんなことが堂々と、法案を審議している、その組織図、機構にかかわる新たな問題がそういうふうに提案をされて、内部で議論されているというふうなことは、私は許されないと思うんです。その点について、大臣、どのように考えていますか。

増田国務大臣 経営委員会の権限、経営委員会の責務、それから構成ということについて、先ほども申し上げましたのですが、経営委員会というのは合議体でございまして、そしてまた、この経営委員会の権限なりを他に委任するということはできないものでございますし、一方でまた、経営委員会がさまざまな皆様方の御意見を聞いた上で経営委員会として御判断をされるということは、当然あり得ることだというふうに思いますので、経営委員会として、さまざまな御意見なども必要であれば勘案されて、その上で、一人一人の経営委員の責任、合議体としての経営委員会として御判断をされて、そして今後のさまざまな改革を進めていっていただきたい、このように考えています。

重野委員 冒頭に、経営委員会が発議権を持つということは確認いたしましたね。本来ですと、理事会、会長以下の理事会が具体的に検討して、NHKを一年間どうするという方向を出して、それについて発議権を持つ経営委員会が審議するというのが一つの正常な姿だと思うんですね。

 今私が言っているのは、その中に、経営改革ステアリングチームというのを一個置いて、そこに議論をさせる、会長はこう言っているんですね。こんな、屋上屋を重ねるような、組織が混乱するようなそういうことが堂々と行われている。今、NHKの放送法の議論をしている委員会ですよ。そのときに、この議案に載っていないような機構図が議論されている。そんなことはいいんですか。大臣、どうですか。

増田国務大臣 経営委員会とNHKの執行部との間で、常日ごろからそれぞれいろいろ意見を、お互いに意思疎通していい方向に議論を展開していただきたい、経営委員会も経営委員会として十分な役割を果たしていただきたいというふうに思っておりますし、それこそ、その間に、その間というのは経営委員会とそれから会長以下の執行部の間ですが、本当に真摯に国民のために議論を展開していただきたいというふうに思います。

 それから、繰り返しになりますが、経営委員会として執行部に対していろいろ意見を申し上げたり権限を実行していくということは、これも全部法律に決められております。権限と責任も全部決められておりますし、その枠内の中で行動していく話になりますので、経営委員会としてもさまざまな意見を聞いていかれるだろうと思いますけれども、現実に行えることは、法律にのっとった上で、法律の手続にのっとった形で意見を出されていく、決めていくんだ、こういうふうに判断しています。

重野委員 私の聞いていることに答えていないと思うんです。

 このステアリングチームというものが中に設置をされたということ、そして、そのことについて大臣は承知しているんですか。答えてください。

増田国務大臣 新聞報道で、そういうものが設けられて、今後議論していくんだというような報道を目にしたことがございますけれども、これはまさに、経営委員会の方で自主的に御判断をされ、あるいはNHKの執行部の方といろいろお話をされて、今後の運営をNHKの中で自主的に御判断をされているんだろうと思います。私は、そうしたことについて、これは公共性の高いNHKの問題でございますので、まず、NHKとしてさまざま意見を交換されて、自主的に今後の取り組みを進めていただきたいというふうに考えております。

重野委員 今、経営委員会とNHKの執行部の関係というのは、私がすべて知っているわけじゃありませんが、決して正常な姿ではないと思うんです。

 今私が指摘をしたステアリングチームというのは、それに火に油を注ぐようなものだ、そうなりますよ。どうですか。ステアリングチームというのを新聞で見ましたなんというのは、ちょっと不謹慎な答弁ですよ。そんな答弁ありますか。これは重要な問題ですよ。新聞で読んだという程度の認識ですか。今放送法の議論をしているんですよ、ここは。NHKをどうするかという議論をしているんですよ。どうなんですか。

増田国務大臣 やはり、NHKとして、それぞれの機能、経営委員会それから執行部、十分機能を果たしていただきたい。それをNHKとして自主的にさまざまな検討を加える、これはやはり必要なことだろうというふうに思います。

 それをどういう形でやられるのか。法律できちんと、経営委員会が行えること、そして執行部が行えることというのは全部決められているわけでありますので、これから行われてくる、あるいは結論が出ることに対してきちんと我々は法律にのっとって判断をしていくわけでありますので、経営委員会が仮に別の人間に何か権限を委任していれば、それは放送法にも反するものですから、そのようなことを我々もきちんと見ていきたい、きちんと放送法にのっとっているかどうかを見ていきたい。

 それから、問題の発端のところで、経営計画、五年間の今後の経営改善計画について承認をしなかったということで、経営委員会としてどういう判断をされるかということは、法律で、当然承認をする場合と承認をしない場合とあり得ることでありますので、これは経営委員会の方としての御判断をされたもの、こういうことでございます。

重野委員 私がこだわるのは、今、放送法の一部改正を審議している。従前、監事制度で三人の監事がおられました。それを廃止して、今度は監査委員会を置きます。経営委員三人以上の監査委員会を置くと。これはぴしゃっと法律で、こういうふうにしていますね。

 今私が言っているのは、NHKの経営委員会の会長が言っている経営改革ステアリングチームというのを置くというのは、ここにはありません、この組織図の中には出ません、そんなことができるんですかと私は言っている。これは議論するけれどもこれは議論しないなんということはあるんですか。どう考えてもこれは整合性ないじゃないですか。

増田国務大臣 経営委員会として任意にいろいろな意見を聞くことができるわけでありますので、置かれている規定、条文で置かれている以外のものは、当然任意で経営委員会として御意見をお伺いするということで置いているものだ、こういうふうに勘案しております。

重野委員 大臣、これは重要な問題ですよ。NHKの経営委員会があって、会長率いる執行部があってという一つの流れの中で、その間に、経営委員会が意見を聞くチームらしいんですよ、そんな別のものが介在をするということは、私は許されないと思う。そんなことをNHKの経営委員長は勝手に、恣意でできるんですか。総務大臣は一切関知しない、そういう関係の中でそんなことがどんどんどんどんひとり歩きしていくというようなことが許されるんですか。それを聞いているんだ、私は。

増田国務大臣 経営委員会の中で、当然、経営委員長だけが独断で何か組織を置くということは現実には考えられないので、それぞれの委員の皆様方がいろいろ議論されて、その議論の進め方を決めておられるんだろうというふうに思います。

 それから、今おっしゃったような組織が法律に特に書いているわけではございませんので、それは法律で何か権限のあるものとして置かれているものではない、こういうことだと思います。

重野委員 これは、今後ともずっと、もっともっと詰めていかなければと思っておりますので。

 私は、大臣、新聞で見ましたなんという答弁をするような、そういう、委員会の審議を冒涜していると私は思うんですね。これはもう一度やはりしっかり勉強してください。勉強しておるけれども言わぬのか、いや、本当に新聞で見た程度の認識なのかということは、今後また私は確認していきたいと思うんですが、その点は、この際、明確にしておきたいと思います。

 次に、デジタル放送の問題ですが、はっきり言って、最大で七十万世帯が電波が届かなくなる、こういうことになるわけですね。そういう世帯はデジタル放送を見ることができない、視聴者の側にはそういう問題がある。放送を発信する側は、放送局にもいろいろな形がありますよ。地方のローカル局というのは財政基盤も非常に弱い。そうすると、デジタル放送移行にかかる投資額というのは大変やはり大きいものがある。そういうことで、民放の側からその辺の財政支援の要請も出されております。

 そういう状況にあるわけで、デジタル放送移行にかかわるそういう負の部分をどう解消していくのか。ほっておけば格差ができます。だから、それを解消するというのはやはり国の役割。そういう視点に立って、その問題について大臣はどのようにやろうとしているのか、お聞かせください。

増田国務大臣 デジタル波への切りかえ、アナログを停波してデジタル波に切りかえていく、これは、これから大変重要な問題として、私どもも総力を挙げて成功させたいというふうに思っております。

 今先生の方からお話ございましたとおり、このデジタル波につきましては、やはり、電波の特性から、見えないところがどうしても今のままですと残るんですが、それを極力つぶすということで、今、九九%の世帯をカバーするところまで見通しを得ているんですが、残りの一%をいかに少なくするか、これが大変大事なことでありますので、先般、市町村別のロードマップなども公表して、現在の状況を市町村別にお示しして、その上で解決策について地元の公共団体の皆様方とも相談をしながら検討を進めております。

 中継局を整備する、それから辺地共聴を、改修を支援する、それから、地域によっては、ケーブルテレビが活用できればそういったものを活用するなり、それから、さらに別の技術的な解消の手段を使うなり、さまざまこれからもあり得ると思いますが、私どもとして、あらゆる手段を講じて、放送デジタル波が一世帯でも多く届けられるように、今残っております数十万世帯を極力ゼロにするように全力を挙げて取り組んでいきたい、そのために予算等も投じていきたいと考えております。

重野委員 世界各国でデジタル化の動きがあるわけですが、日本と諸外国を比べてみますと、外国の方が幅を持ってやっているような感じがします。

 イギリスが〇七から一二、アメリカが〇六年予定を〇九年に延期、韓国が一〇年予定を一二年に延期、ドイツが〇三から一〇年、段階的、フランスが〇八から一一年、地域の普及に応じて、こういうふうにしています。

 そしてもう一つ、それぞれの国において、例えばチューナー配付をするとか、それから、イギリスが高齢者らに受信機械装置の割引や無料化、韓国がチューナーを配付する、ドイツがチューナーを配付する、フランスは基金を創設、こういうふうに、やはり日本と同じような状況があるんだろうと思うんですが、それに対する具体的な対応策を検討されている、そういう点についてどのように考えておられるか。総務省とNHK。

増田国務大臣 総務省の方からまずお答えを申し上げます。

 今の、お話ございました経済弱者への対策でございますけれども、これはやはりきめ細かく丁寧にやっていく必要があるであろうということでございまして、私どもの方で、例えばチューナー、簡易で低廉なチューナーの実現に向けて、メーカーの方に協力要請をしたり、あるいは我々の方で仕様策定をしたりといったようなことも行っていますし、それからあと、デジタルテレビの低廉化も、さらにメーカーに一層の努力もお願いをしているところでございます。

 そうはいっても、それによっても、なおまだデジタル放送が視聴できなくなる世帯というものがあると思います。アンテナ等の工事等も必要になりますのでさまざまな財政的支出も必要でございますので、そうしたことを、今先生からお話がございました諸外国等で行いました状況もよく参考にしなければいけないと思っておりますので、今、来年の夏までを目途に、さらにこうした世帯に対しての支援方策について研究会を設けて検討中でございますので、そこでの検討の結果を踏まえて、さらに具体的な対策を講じていきたいと思っております。

橋本参考人 NHKからお答え申し上げます。

 放送事業者の立場から申し上げますと、まず、地上デジタル放送を今あるアナログ放送のエリアに対してほとんどカバーするという命題がございます。これに向けて、この限られた時期の中に計画、これはオール・ジャパンで考えております計画に準じて順調に推移している、これに向けて努力しているところであります。

 また、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたけれども、本当に、デジタルというものを普及させると同時にアナログ放送を廃止できる環境というものを十分つくらないといけない。これが大変重要なことになってくると思っております。これは、放送事業者の立場だけでなく、やはりオール・ジャパンの体制、メーカーさん、自治体、国、当然ながら民放さんも含めて、全体でこのアナログ放送を円滑に廃止できる環境をどのようにつくるかというところに意を酌まないといけないと思いますし、そこで一番大切なことだと思っておりますのが、やはり非常にきめ細かいということで、大臣も申されておりますけれども、一戸一戸の家庭の受信の実態というものはそれぞれ異なった環境でございます。共同受信とか直接受信、あるいはその他いろいろな形態で受信しておられる。これについては本当に、どういうふうな対策、デジタル化あるいはアナログをやめるというこの具体的な手段を考えるか、これに結びつく調査、実態調査、これがまず第一だと思っております。

 これからだんだんきめ細かな対応が必要なステージに変わってきております。もう本当に期限が目前に迫ってきているわけでありますから、こういう最終段階に向けての実態的な調査、それに対する具体的な対策というものを、これを個別に積み上げなければいけない、これが一番大事なことだと私は考えております。

 以上でございます。

重野委員 たくさん通告しておったんですが、もう時間が来てしまいました。

 それで、このアナログのデジタル化については、いわゆる情報格差を生まないように念には念を入れて的確に対応をしてもらいたい、そのことを特に要請いたしまして終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十二月四日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、郵政事業に関する件について調査を進めます。

 この際、今井宏君外三名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による国民の権利を保障し利便向上を図るための郵政事業の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国民の権利を保障し利便向上を図るための郵政事業の推進に関する件(案)

  政府は、平成十八年度日本郵政公社決算等を踏まえ、国民の郵政事業に関する権利が保障されるように、次の事項に特段の配慮をすべきである。

 一、日本郵政公社の平成十八年度決算においては、黒字を確保したが、日本郵政グループ各社においても、国民、利用者に対し適切にサービスを提供できるよう、安定的な経営を確保すること。

 二、国民の貴重な財産であり、国民共有の生活のインフラ、セーフティーネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、金融排除が発生することなく、郵便局において郵便のほか、貯金、保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じたり、地方間格差を拡大したりすることのないよう、万全を期すこと。その際、いわゆる「ひまわりサービス」等についても前向きに対応すること。各種料金について周知説明を尽くすとともに、各種料金について国民利用者の急激な負担増とならないよう一層の努力をすること。簡易郵便局についても郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様の考え方で対応をすること。

 三、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険については、当面の間は国の出資が残ることを踏まえ、公正な市場競争の支障にならないように配慮すること。

 四、各会社の情報システムについて、国民生活に支障の生ずることのないよう、万全の体制を確立すること。

 五、国民に対し、適切なサービスを提供できるよう、日本郵政グループ各社のコンプライアンスを徹底し、特別送達、内容証明郵便等、公的なサービスが適正かつ確実に実施されるよう、体制を構築すること。

 六、職員が安心して働ける環境づくりについて、労使交渉の結果が確実に実施され、労使間の十分な意思疎通を図り、適切に対応すること。

 七、特定郵便局の局舎の賃貸借契約の期間については、業務基盤の安定性を確保する観点から、民間における契約の状況を参考にしつつ、長期の契約とするなど適切な対応をすること。また、特定郵便局の局舎の賃貸借料については、今後も適切な算出基準に基づく賃貸借料を維持すること。

 八、当面の間、敵対的買収に対する適切な防衛策を措置すること。

 九、特殊法人・独立行政法人、特別会計等を抜本的に改革し、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の資金運用が公的部門のムダづかいを実質的に助長している構造を変えるよう努めること。

 十、税制等に関し、以下の点について十分配慮すること。

  1税制については、四分社化など郵政民営化に伴う特別な論点を踏まえつつ、消費税の減免などを含め関係税制について所要の検討を行うこと。

  2郵政民営化により法人税等の税収が増加することを踏まえ、過疎対策や高齢者対策の充実を図ること。

 十一、郵政グループ各社の株主は、国民であることをかんがみ、民営化の進捗状況について、適時適切に把握するとともに、求めに応じて国会に報告すること。

 十二、民営化の進捗状況に応じて速やかに検討を加え、必要な民営化の見直しを行うこと。また、国民生活に必要な郵政事業に係るサービスの適切な提供に向け必要があれば経営形態の在り方を含め、総合的な見直しを行うこと。

  右、決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり国民の権利を保障し利便向上を図るための郵政事業の推進に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二月四日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十七分散会


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