衆議院

メインへスキップ



第10号 平成20年1月15日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十年一月十五日(火曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      井澤 京子君    石崎  岳君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      亀岡 偉民君    川崎 二郎君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    安井潤一郎君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      階   猛君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    吉田  泉君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  利根川 一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十五日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     安井潤一郎君

  石崎  岳君     永岡 桂子君

  福田 良彦君     亀岡 偉民君

  玄葉光一郎君     吉田  泉君

  田嶋  要君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     福田 良彦君

  永岡 桂子君     石崎  岳君

  安井潤一郎君     秋葉 賢也君

  階   猛君     田嶋  要君

  吉田  泉君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

平成二十年一月十日

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(参議院提出、参法第七号)

平成十九年十二月二十七日

 軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃を求めることに関する請願(北神圭朗君紹介)(第一一六四号)

平成二十年一月九日

 軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一七六号)

 同(石井郁子君紹介)(第一一七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一八三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一一八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君及び専務執行役佐々木英治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官利根川一君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、自治行政局選挙部長久元喜造君、自治財政局長久保信保君、郵政行政局長橋口典央君及び外務省大臣官房審議官草賀純男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井宏君。

今井委員 おはようございます。今井宏でございます。

 増田総務大臣におかれましては、岩手県知事の経験を生かされまして、また常に現場の声に耳を傾けながら、日々、地方行財政のかじ取りを担われておるところでございます。御自身の信念とする地方分権改革、地方税財政改革の推進に日々邁進される姿に心より敬意を表するとともに、疲弊した地方財政の立て直し役に大いに期待しておるところでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 時間の制限がありますので、早速質問をさせていただきます。まず、平成十九年度の補正予算措置に関連して質問をいたします。

 平成十九年度の国の補正予算では、交付税の原資となる国税の収入が約一兆円の減額補正になる、このように伺っているところでございます。また、地方税収につきましても、当初の地財計画の見込み額よりも減収になる見込みである、これも伺っているところでございます。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、既に多くの自治体からは、一般財源である地方税あるいは地方交付税が当初よりも減収になるということになれば財政運営に重大な支障が生ずるとの懸念の声が上がっておりますけれども、実際のところ、地方財政にどのような影響があるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

 また、今回の補正予算に関連して地方交付税法の改正法案を提出すると伺っております。どのような対策を講じられるのでしょうか、御質問をさせていただきます。

 次に、交付税法案の早急な成立についてでございます。

 平成十九年度の国の補正予算とあわせて、補正予算関連の地方交付税法改正案が通常国会の冒頭に提出されると聞いておるところでございます。地方自治体は、補正予算に関連した地方交付税法改正案の一刻も早い成立を望んでいると思いますけれども、仮に法案が成立しなかった場合には自治体財政にどのような影響が生じてしまうのか、大変懸念されるところでございますので、この点について大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 私も、現場にずっと長らくおりました関係から、地方財政が大変疲弊をしているというふうに思っておりました。したがいまして、来年度に対しては、そうしたことについて地方団体の財政運営に支障のないような措置を講じなければいけないと考えてきたところでございますが、まずその前に、今年度の補正の関係についても措置が必要だというふうに思っております。

 すなわち、お尋ねの今年度、平成十九年度の国の補正予算におきまして、国税の方の収入が見積もりよりもどうも大分下がってくる、こういうことでございます。国税の減額補正に伴いまして、地方交付税が、これは一定割合が地方交付税に充てられるわけでございますが、その地方交付税の総額が二千九百九十二億円ほど、三千億弱でございますが、二千九百九十二億円ほど減額となる、こういうことでございます。

 この地方交付税総額の減額につきましては、これは、地方公共団体、当然、そうした交付税総額、全体が入ってくるということで既に財政運営に入ってございますので、地方団体の財政運営に支障がないように補てん措置を講ずる必要があるというふうに考えております。このため、補正予算に関連をいたしまして提出予定の地方交付税法改正法案の中で、この国税の減額に伴う交付税総額の減額について国の一般会計から加算をすることによる補てん措置を講ずる、こういう内容の法律案を提出する予定でございます。

 それから一方で、十九年度の地方税収入につきましても、これも今委員からお話ございましたとおり、地方財政計画で収入見込み額として四十・四兆計上してございますが、これにつきまして、大幅な減収、大体七千億ほど減収の三十九・七兆円程度になる、こういう見込みでございます。

 こうした地方税の減収については、これまでも減収補てん債を発行することで対応してまいりました。この十九年度につきましては、今申し上げましたような地方税の減収見込み額がかなり多いということでございますので、この減収補てん債、従来は建設事業費に充当させるということで発行してまいったわけでございますが、この減収補てん債を建設事業費以外の経費にも充当できるよう措置することが必要だというふうに考えておりまして、この点については、地方財政法第五条の特例を設けなければいけないということでございます。

 したがいまして、この十九年度の補正につきましての地方交付税法改正案につきましては、今申し上げましたような点を盛り込んだ法律内容を含めまして御提案申し上げまして、成立を期していきたい、御理解を得たいというふうに考えております。

 それから、仮にこうした法案が成立しなかった場合のお尋ねもございましたのですけれども、この場合には、先ほど申し上げましたように、今年度の地方交付税が当初予算に比べまして約三千億弱ほど減少いたしますので、手続としては普通交付税の減額再算定を行うということになります。そして、改めて計算した普通交付税の額と既に交付された普通交付税の額との差額を今回のような場合には国に返還していただく、こんなことになります。

 ちなみに申し上げますと、返還額は、標準的な規模の県で約二十五億円、この標準的な規模といいますのは人口百七十万ということで計算しておりますが、その場合には二十五億。それから、標準的な市、これは人口十万の場合ですが、これで約一億四千万、こんなことになります。

 法案が成立しないと、さらに、全国で一千八百億円程度の発行が予定されている減収補てんのための特例的な地方債が発行できなくなる、こんなことが影響として出てこようかと思っております。

 以前にも、この点についてはいろいろと公共団体の方とも意見交換してございますが、公共団体の方でも、財政運営に深刻な影響が出るということで大変懸念をしてございます。

 そして、さらに申し上げますと、仮にその法案が成立しないと、平成二十年度分の地方交付税の総額が六千億弱減少して、来年度の方の財政運営にも影響が出てくるといったようなこともございますので、いずれにいたしましても、今後、よく私どもの方で御説明をし御理解いただくように努力をした上で、法案を提出した際にはぜひとも皆様方の御賛同をいただけるように努力をしてまいりたいと考えてございます。

今井委員 御説明いただきましたように、国税、地方税、収入減、こういうことで、大変な事態に至っております。地方はそうでなくても完全に疲弊し切ってしまっておりますので、大臣の経験を生かしたリーダーシップを期待していきたい、こういうふうに思います。

 次は、平成二十年度に移ります。二十年度の地方財政対策について御質問をいたします。

 地方財政対策につきましては、地方の待望久しかった地方交付税の増額、あるいは地方交付税の特別枠の創設がなされ、財政窮乏にあえいでいた地方を初めとする多くの自治体関係者からは、私どもにも、大変評価するという声が寄せられているところでございます。とりわけ、小さな自治体では、最低限の行政サービスすらままならないぐらい財政が疲弊し、独自の事業を打ち出したいのに、とても財源が回らない、こういう状況が続いておるところでございます。

 私も、今回の交付税の特別枠を特に財政が厳しい市町村に重点配分することによって、将来展望が開けるきっかけになるのではないかと期待をしているところです。

 そこで、今回の地方財政対策の折衝に当たって、大臣、大変な御努力があったと思います。特に意を用いた点、思いを込めた点についてお伺いさせていただきたいと思います。

 引き続き、地域間の税収格差の問題について御質問をさせていただきます。

 今回、与党の税制改正大綱において、地方税制においては、さらなる地方分権の推進とその基盤となる地方税財源の充実を図る中で、地方消費税の充実を図るとともに、あわせて地方法人課税のあり方を抜本的に見直すなどにより、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することを基本に改革を進めていくという基本方向が示されたところでございます。今後の地方税財政の方向性が示されたことは大変喜ばしいことと思います。

 ことしの税制改正では、税制の抜本的な改革が行われるまでの暫定措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税、地方法人特別譲与税を創設することにより、地方税の偏在を是正する第一歩を踏み出すことといたしましたが、今回の措置について大臣はどのようにお受けとめいただいたか、御所見をお伺いいたします。

 また、今度の地方税法の改正につきましては、地方の道路特定財源の暫定税率の延長等が含まれており、年度内成立が不可欠と考えているところでございます。仮に年度内に成立しなかった場合どのような影響があるのか、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

 時間の関係で、さらに質問させていただきますが、最後の質問になります、平成二十年度当初の地方交付税法改正法案についてお伺いさせていただきます。

 先ほど大臣から御説明のございました、平成二十年度の地方財政対策が実施され、地方交付税の増額や、あるいは地方交付税の特別枠の配分として自治体に行き渡るためには、地方交付税法の改正案を速やかに成立させなければなりません。財政難にあえいでいる多くの自治体が、地方税法改正法案とともに、地方交付税法改正案の年度内成立を待ち望んでいると考えております。仮に、万が一にでも交付税法改正法案が年度内に成立しなかった場合、自治体財政にどのような影響が生じるのか、最後にこの点につきまして大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、地方財政対策で一番私が意を用いましたのは、やはり地域間の財政格差是正の問題でございます。この地域間格差の問題は、さらに言いますと、本来は独自の事業をいろいろと打ち出しをして、例えば産業振興、そしてそれを通じた雇用創出に取り組むといった、そのことが本当の解決策ではなかろうかと思うんですが、そうしたことに通ずる独自の事業、そうした独自の事業の打ち出しに今大変財源的に苦労している、今これは委員の方からも御指摘ございましたけれども。さらには、地域医療の確保などの喫緊の課題への対応も難しくなっている、こんな問題もございまして、そこで、来年度の地方財政対策では、いかに財源を充実させるか、こういうことに一番意を用いたわけでございます。

 今般、この次に申し上げます地方税の偏在是正によって生ずる財源というのがございますので、それを活用いたしまして、地方再生対策費という特別枠を設けて、これは四千億ほどでございますが、この特別枠の活用によって、特に財政の厳しい地域に重点的に配分をして、先ほど申し上げましたような独自施策にもいろいろ取り組んでいただきたい、このように考えたところでございます。

 それから、地方から強い要望のございました地方交付税でございますが、これも、来年度につきましては、総額十五・四兆と二千億ほど今年度に比べて増額、そして、例の臨時財政対策債も含めた実質的な交付税で四千億ほど増額をさせていただきました。

 また、全体の一般財源の総額も七千億ほど増額をさせていただいておりまして、このうち、交付団体に対しては七千億のうち六千億ほど増額ということでございますので、ぎりぎり財政運営を行ってまいりました地方団体にとって、地方財源の充実というものをこうしたことを通じて感じていただけるのではないか、このように考えております。

 この関係で、財源生み出しを地域間の税収格差の是正の方策によって生み出したというふうに申し上げましたが、これは、消費税を含む税体系の抜本的な改革が行われるまでの暫定措置として、法人事業税の一部を分離して地方法人特別税あるいは譲与税というふうに創設した、このことを申し上げているものでございます。

 これは、今後の地方税制について、分権が今後進んでいく、そしてその基盤となる地方税財源の充実が地方消費税の充実を中心として必要だ、こういうこと、そして、偏在性が小さい安定的な地方税体系を構築する、この考え方を基本に進めたものでございまして、今申し上げましたような基本的な方向は政府としてもきちんと確認をした上で、当面の暫定措置として、地方法人二税について税収格差の是正の措置を講じました。これに伴いまして関連法案も予定をしているところでございます。

 それから、さらにもう一点、道路特定財源の暫定税率の関係についても、この関係で御質問ございましたが、地方譲与税分の減収も合わせて、道路財源、軽油引取税の暫定税率が仮になくなる、この改正法案が年度内に成立しなくて仮に暫定税率がなくなるとなりますと、地方の道路特定財源は九千億ほど減収になる、こういう今の予測でございまして、これは、道路整備だけではなくて地方行財政全体に大変な影響が出てくるだろう、マイナスの影響が出てくるだろうというふうに思っております。

 したがって、この点は重く受けとめなければならないと思っておりますし、また、地方税法の改正の中には、自動車取得税のように免税点の特例も書いてあるんですが、この特例がなくなりますと課税対象となる車がふえる。これは中古車を扱っている業者さんなどにも深刻な影響が出てくるのではないか。免税点が今五十万円以下となっているものが十五万円以下になってしまいますので、中古車の流通に多大な影響が出てくるだろうというふうに思っております。

 そういうことでございますので、ぜひこの関係も、広く関係の皆さん方の御理解を得たいというふうに思っております。

 この地方交付税総額の増額ですとか地方交付税の特別枠を盛り込んだこうした地方交付税法案、これは来年度の予算の関係で提出をいたしますけれども、仮にこの法案が成立しないと、先ほど申し上げましたようなことのみならず、地方交付税の総額が一兆二千億ほど減少ということになりまして、地方再生対策費四千億ほどの枠を使って財政の厳しいところに重点配分すると申し上げましたけれども、そのことができなくなってしまうということで、これは国民生活、国民経済に悪影響を及ぼすということでございます。

 そのほか、普通交付税の決定の時期も年度内に法案が通らないと遅くなりますので、各自治体の九月補正予算、ことしの九月に通常は補正予算を組みますが、その編成への影響ということもございます。

 いろいろもろもろ申し上げましたけれども、そういったようなことにすべて絡んでまいりますので、私どもも、この法案の内容、特に丁寧に御説明申し上げて、各会派の皆さん方の御理解を得ていきたい、公共団体にとりましても大変心配事でございますので、十分な御説明を行った上で御理解を賜るようにしてまいりたい、このように考えてございます。

今井委員 ただいま大臣から御説明をいただいたわけでありますが、地方にとりまして深刻な事態も予測されるわけでございますので、地方自治体経営を実践なさった大臣の強いリーダーシップを御期待申し上げますので、どうぞ、地方をこれ以上疲弊させないでいただきたい、地方があって国があるという視点を大切にしていただきたい、かように思う次第でございます。

 いずれにいたしましても、議会の皆様の地方に対する温かい御理解を期待して、質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 ただいまは、既に通常国会が始まったような深刻な議論が行われておりまして、大臣が淡々とおっしゃるから余り深刻さを感じないのでありますけれども、大変な通常国会が横たわっておるな、こう思っているわけでありますが、臨時国会の最終日にもかかわらず、こうして一般質疑をできるということ、お取り組みをいただいた両筆頭に感謝しながら質問をしたいと思っております。

 一点目は地方公共団体の財政健全化法のことであります。

 法案の審議の際にも、早期健全化基準等の検討に当たっては、地方公共団体の意見を十分反映していただきたい、画一的な措置ということだけでは済みませんよというような審議をしっかりさせていただいたわけであります。

 昨年暮れ、相次いで各指標が政令という形で発表されたわけでありますが、具体的な中身の中に地方公共団体の意見が十分入っているのかどうか、まず大臣に確認をさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 公共団体とよく意見交換をしながら私ども検討を進めてまいりましたのですが、例えば公営企業につきまして、この公営企業といいますのは、例えば地下鉄とか下水道などを見ますと、供用開始後一定期間、事業の特性上、どうしても構造的に資金不足というのが生じてまいります。こうしたものを一律にこの四指標の比率に算定をしてしまうと、また不都合が生じてしまうので、こうしたことについては算定上控除するといったようなこと、これは事業を実施している公共団体からも強く要望を受けました。

 それから、例えば連結の実質赤字比率の財政再生基準でございますけれども、これは三年間経過的な基準を適用するというふうにしてございますが、これは法律施行と同時にいきなりレッドカードというよりも、この法律の意味合いが、やはりこれを財政健全化の方に持っていくという努力をそれぞれの自治体に促すということでございますので、これはいつまでも野方図にするつもりはございませんが、三年間の間にいろいろ努力をして健全化の方向に持っていったらどうか。これも各公共団体から随分御要望がございまして、いろいろ私ども内部でも検討した上で、こんな規定も設けさせていただきました。

 そのほか、実質公債費比率、将来負担比率の算定で都市計画税を反映させたり、これは特に大都市などからも要望がございました。

 昨年末決定した政令でいろいろの考え方のもとに指標を決定させていただきましたが、その裏には、こうした決定に至るまで公共団体と随分意見交換をし、その中で、やはりこれは合理性があると思うものを反映させていただいたところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 都市計画税の算入あたりも、私どもからも随分お願いをした経緯もございまして、十分かどうかでありますが、とりあえず、昨年暮れの政令については、各自治体とも何とかこの指標を受け入れて、財政健全化に向けて今努力をされているというふうに思っております。

 そこで、ちょっと聞くのは早いかもしれませんが、では具体的に、公表は十九年度決算からというふうに承知をしておりますが、やはり各自治体、きょうも理事会で岩国市の話が出ましたけれども、さまざまに財政運営でお悩みになっている自治体がたくさんあるわけであります。私が承知しているだけでも、十八年度、既に二五%を超えているというところは一つや二つではないわけでありまして、とりわけ早期健全化基準についてどれぐらいが公表の数字になるのか、どんなふうな目算を持っておられるのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 これは、あくまでも平成十八年度決算の数値をもとにして私どもの方でも試算をいたしました。したがいまして、現実の数字といいますか、ことしの秋から具体的に決算で出てまいりますけれども、それと若干ずれているところがあるかもしれませんが、今委員から御質問がございましたことに対して、十八年度決算の数値をもとにして試算をしてみたところによりますと、実質赤字比率の早期健全化基準以上となる団体は二団体、これは、その中に一つは夕張も含んでございますから、それ以外にもう一団体あるということでございますが、この関係では二団体。

 それから、実質公債費比率の早期健全化基準以上となる団体は四十六団体、これは、その中に一つ夕張ももちろん含んでいるわけでございますが、それも含めて四十六団体。昨年度決算の数値ですと、こういうことになります。

 それから、そのほか、連結実質赤字比率それから将来負担比率についてでございますが、これはなかなか正確な把握が困難なのでございますけれども、今申し上げましたような、十九年度までの各団体の健全化努力いかんによるということもございますけれども、それらも含めた四つの指標いずれかが早期健全化基準以上となる団体は、少し大ざっぱですけれども、私どもとしては合計で五十ないし百程度になるのではないか、四つの指標のいずれかがそこの指標に触れてくるのは合計で五十ないし百程度になるのではないか、こんなふうに思っております。

 これは、あくまでも、このような試算ということでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 地方自治体あるいは地方議会、私ども公明党は三千人を超える地方議員を抱えているわけでありまして、財政再生団体となるとこれは深刻でありますが、早期健全化、五十から百という数字もお示しになりましたけれども、私は、早期健全化団体、健全化計画をつくるということが、すなわちその市の財政破綻だということではなくて、まさに再生へ向けての計画を早期に立てていくんだということで、ここは、なったからといってどうこうということではない、あるいはならないことを祈るというような状況ではなくて、むしろ早期に健全化計画を立てて進んでいくということが僕は大事なんだろうと思っていまして、そんなマインドをぜひとも地方議会あたりにお示しをいただきたいなというふうに思っているところでございます。

 そこで、もう一点、三年間の暫定期間を置いていただきましたけれども、ではそれで大丈夫かというと、一番心配なのはやはり公立病院でありまして、公立病院、今日までのそれぞれの自治体の経緯もあり、大変な債務を抱えているという状況もあるわけであります。

 昨年ガイドラインを総務省としてもお示しになって経営の効率化を進めるということでありますけれども、過疎地域の公立病院の経営効率化にはおのずと私は限界があるんじゃないかなというふうに思っておりまして、財政健全化法を進める上で、大臣、どういうふうにこの公立病院の問題をお考えになっているのか、改めてお聞きしたいと思います。

増田国務大臣 公立病院につきましては、これは御承知のとおり地域での重要な役割を果たしていますし、それから政策医療的な分野も担当しているので、必ずしも効率性だけで議論できないところもあるという、大変議論としては難しい分野だというふうに思っておりますが、それにしても公立病院の経営基盤が脆弱であるということ、これは紛れもない事実でありまして、それを強化していかなければならない、それを強化するためのインセンティブを与えるようなガイドラインでなければいけないということでございます。

 従前より公立病院について、不採算地区、いわゆる離島、山間僻地でございます、岩手にも随分こういったところがございましたのですが、こうしたところの病院の運営に要する経費ですとか、あるいはそういったところに応援医師を派遣する経費などについて地方交付税措置などを行って支援してまいりましたが、新たに来年度、こうした不採算地区で日本赤十字社が設置している公的病院の運営費などについても特別交付税措置を講じるように今考えてございます。

 こんなことで、過疎地域の公立病院の応援もしていきたいというふうに思っておりますが、このガイドラインによって、やはり委員からお話がございましたとおり病院改革の、やはり地域に根差した病院であり続けるためにより中身をよくしていく、そういうマインドがもっともっと醸成されていくように、そして、やはりそういった中で、どうしても地域の努力では足らざるところ、やはり公的にきちんと支援していかなければいけないところはさらに地方交付税措置の充実なども検討して、こうした公立病院が地域で十分な役割を果たすように努力していきたい、このように考えております。

桝屋委員 この点に関しては、昨年、総務大臣にも直接我が党からも申し入れをさせていただいて、とりわけ北海道あたりは心配なところがたくさんあるわけでありまして、地方公共団体が改革プランを策定して公立病院の改革に取り組むというこうした状況に対して、何度も私申し上げておりますが、総務省がガイドラインまでお示しになって改革を進めるということであれば、やはりそれなりの支援策が要るのではないか。今、一部大臣からもお話がありましたが、具体的にどういう支援策を今お考えになっているのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

久保政府参考人 今御指摘のございました公立病院改革のガイドライン、これを策定する過程で、病院事業を行っております地方公共団体とも何度にもわたりまして意見交換等を行ってまいりました。

 その過程で、要望といいますか御指摘が多々ございました中で大きなものを申し上げますと、公立病院の再編・ネットワーク化、これに取り組む際には、新たな基幹病院における医療機能の整備などに多額の経費がかかる、これは何とか考えてほしいとか、あるいは、ネットワーク化の対象となります病院などが抱えております不良債務などの既存の債務の処理、これが大きな課題となっているといったような御指摘が多々なされました。

 したがいまして、私ども、ガイドラインの中に、先ほど大臣から答弁がございました点のほかにも、近年の医師不足によって経営状況が急速に悪化している地方公共団体が多々ございますので、そうした公共団体が改革プランを策定し公立病院改革に取り組むといった場合には、平成十五年度以降急増した不良債務の計画的な解消を図ることができますように、平成二十年度に限って、公立病院特例債、一時借入金を長期債務に振りかえるというものでございまして、六百億円を予定しておりますけれども、これが発行できるようにいたしております。

 また、病院の再編に伴う新たな医療機能の整備に要する経費につきましては、新たに一般会計出資債を措置するといったようなことを行って、改革実施に伴い必要な経費について所要の財政措置を講ずるということにいたしております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 随分きめ細かく対応していただいているようでありますが、それでもなおやばいというところもあるかもしれない。今お話のあった公立病院特例債あたりも、性格づけ、何年で償還なのかということもあるでしょう。できるだけ現場の声を聞いていただいて、目的は公立病院の改革が進むということが眼目でありますので、きめ細かな配慮をお願いしたい。

 大臣、これはもう質問ではありません、要望でありますが、最近の総務省の一連の流れを見ておりますと、市町村合併やれと言って相当しりをたたいて、それで合併特例債十分使えますよと言って、合併して頑張ってきたところ、それが、今度は財政健全化法で、借金するとえらいことになるというようなことで、合併特例債そのものの計画を見直さなきゃならぬということも私は出てくるんじゃないかという懸念も持っております。

 それから、最近の事例、通常国会で議論があるかもしれませんが、地域力再生機構であるとか、あるいは公営企業の公庫、これが地方公営企業等の金融機構に新しくなりますが、この資金についても各自治体から出資をいただく。手元の資金がなかなか苦しいという場合はどうぞ借金してやってくださいよということで、特例をお認めになるんじゃないかと思うのですが、借金できるところはいいのですけれども、できないところもたくさんあるわけであります。

 そういう意味では、この健全化のルールというのは後から出てきたわけでありますから、そういう意味では現場の声をしっかり聞きながら目的に即した対応をぜひお願いしておきたい、これはお願いでございます。

 最後に一問だけ、昨年のこの委員会でも議論になりましたが、郵政の問題ですけれども、簡易局の一時閉鎖。我が党でも随分地方から声が出ておりまして、取り組んでいただいているわけでありますが、昨年末に簡易局チャネルの強化のための検討会を立ち上げられたようでありますけれども、どうしたアウトプット、処方せんが示されるかということを大変私は気にしているわけでありますが、簡易局の閉鎖状況、それに対するこの検討会の状況、どんな見通しなのか、最後に大臣にお伺いして終わりたいと思います。

増田国務大臣 簡易局でございますけれども、昨年末現在で一時閉鎖となった局が四百二十六、こういう数字でございます。

 それで、今委員からお話がございましたとおり、これについての対応策を今会社の方で早急に行うということで検討会を開催しておりまして、その第一回、これも昨年末十二月二十日にされたわけですが、そこでのアウトプットということで、緊急対策を五点検討してございます。

 一点が、地元自治会に対して集中的に訪問活動を行って、受託者募集をさらに強化していくということ。

 それから二点目が、移動郵便局の試行。自動車を改造いたしまして、従来は災害などについて大変高額な自動車を配備してございましたが、そうではなくて、もっと簡素な形で移動郵便局ができないかということで、自動車を改造して訪問するような、こういったことを来月から実施することを考えております。

 それから三点目が、営業時間の弾力化でございます。従来、八時間この簡易局を開いてくださいということでお願いしてきたわけですが、それを若干弾力化して、それで地元で受けやすいようにする。

 あるいは、近隣の直営の郵便局がございますが、そこから渉外職員が巡回サービスをしていく。

 それから五点目が、直営郵便局の分室を、その閉鎖の場所あるいはその近隣に設けて暫定的に開設する。

 こういった五点を打ち出して、実施できるところから早急に実施をしていく、こういうふうにしてございます。

 私からも、会社の方に対しては、このような対策をさらに前倒しで実施をするように、今申し上げましたようなものを二月ないしは三月に地元で話がついたところから実施していくということでございますが、これを一日でも早く前倒しして実施するように郵政グループにお願いをしております。できるだけこうした措置をうまく組み合わせて一時閉鎖局の再開が進むということを期待しておるところでございます。

桝屋委員 この国会、野党の皆さんからは法案も出されているわけでありまして、引き続き継続になると思っておりますが、さまざまな問題があるわけでありますので、我々与党としても、郵政民営化後の状況についてしっかり検証もしていきたいと思っております。今後、地域貢献基金あたりの中身もしっかり研究しなきゃならぬというふうに私も思っている次第でございます。引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。以上でございます。

渡辺委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 きょうは、二十五分間の質疑時間をいただきましたので、先ほど今井委員からも質問がありましたけれども、十九年度補正関係に関する交付税についてということと、それとともに、ことしか来年選挙があるだろうというお話がありますので、公選法、選挙関係に関して質問させていただきたいと思います。

 まず、十九年度の補正予算関係、交付税関係のことですが、先ほどから質問、そして御答弁をお伺いしていると、これが通らないと地方に多大なる迷惑がかかるんだということをしきりに主張されております。

 確かに、減収した分を自治体に返してくれという話になりますと、非常に財政が逼迫している中で返してくれというのも非常に厳しいだろうということはわかりますが、だからといって、すべてのことを目をつぶって、仕方がないねと言うことはできないんだろうというふうに思っております。

 まず、今回、国税の収入が約一兆円ほど足りなくなった、予想よりも下回ったということによって交付税の減額修正というところが見えてきたんだと思います。減額修正せざるを得ないような状況になってそれをリカバーするということでしょうけれども、そもそもこの国税の見通しが甘かったんじゃないかという話はやはり質問しなければならないだろうと思っております。

 一義的には財務省だという話もあるでしょうが、政府一体として交付税を決めてやっていっているわけですから、この見通しの甘さも含めて、総務省としてどのように認識しているのか、御答弁いただきたいと思います。

久保政府参考人 今回の国税の減額の要因でございますけれども、国税当局から私どもがお聞きをしておるところによりますと、当初予算では、平成十八年度補正後の予算額をもとに各種経済指標等を勘案して見積もっていたものの、今回の補正予算の編成に当たり、これまでの課税実績や経済動向あるいは各種経済指標等を踏まえて改めて見積もった結果、九千百六十億の減収見込みとなったというふうにお伺いをしております。

 例えば、昨年の今ごろでは十九年度の名目経済成長率二・二というふうに見込んでおりましたものが、現在、今年度は〇・八程度になるだろうといったようなことがあろうかと存じます。

寺田(学)委員 財政当局から伺うところによればというところに、責任的には財務省にあるんだということをお述べになりたいんだとは思いますが、とはいえ、政府一体として物事を決めて交付税のある程度の概算というのを出す形になっておりますので、今回、国税収入が減ったということは財務省の見通しが甘かったということで逃げることはできないのではないかなというふうに思っております。

 ここ十年ぐらいどのような形で、このような減収、また昨年であれば増収、予想よりも税収が上回ったということもありましたけれども、どのように御対応されて、その都度どのように反省されてきているのか、御答弁いただけたらと思います。

久保政府参考人 地方交付税の総額の決定につきましては、これは委員御案内のように、地方交付税法六条によりまして、国税五税の収入額の一定割合とするというふうに法定されております。そして、同条によりまして、毎年度、国の当初予算に計上された国税五税の収入見込み額に基づいて総額を算定しております。そして、国の補正予算におきまして国税五税の収入見込み額に増減が生じた場合には増額または減額を行い、さらに、決算の結果過不足が生じるというような場合には翌年度以降において精算を行うというふうにされております。

寺田(学)委員 この改正法案が出るとすれば、十八日から予定されております通常国会の中で議論されることでもありますから、本格的な議論はそちらの方でやりたいと思いますが、まず臨時国会の間にも指摘しておきたいのは、もう一つ、三つぐらいの骨子がある中で、昨年、勢いよく正々堂々、特会の借り入れを返していきますというふうに胸を張ってお述べになられた舌の根も乾かないうちに、ことしになって、交付税が足りないから償還を繰り延べしたいという話をわざわざ法改正として出してこられる。

 確かに、地方の実情を見てみますと、交付税の減額のトレンドについていけずに本当に逼迫している部分がたくさんあるので、交付税が増額されるということは自治体にとって喜ばしい部分もあると思いますが、昨年、あれほど野党からの指摘にもかかわらず、本当に大丈夫か、この返済計画が守れるのかということに対して、胸を張って大丈夫だと言っていた総務省そして政府・与党が、ここまで簡単に考え方を変えてくるのかというのは、びっくりしているところであります。

 そういう意味で、この特会の借り入れの返済を延期したことに関してどのような反省を持たれているのか、まず御答弁いただきたいと思います。

増田国務大臣 今委員の方から厳しく御指摘をいただいたわけでございますが、まず今年度、それから特に来年度でありますけれども、地方財政をどういうふうに展開していくかという上で、今委員の方からもお話ございましたとおり、各地方団体の財政状況を、私も就任以来、いろいろ話を聞いたり、あるいは自分で歩いたりして見たわけでございますが、本来、こうした財政状況は、地域の産業振興をきちんと行った上での税収で、いろいろな税収の偏在是正なども行っていくのが筋だと思うんですが、そうした独自施策を打つだけの財政的な体力もどうもやはり欠けている、特に財政の厳しい団体に欠けている、こういう現状認識がまずございました。

 そこで、いわゆる出口ベースと言っておりますけれども、各公共団体の出口ベースの地方交付税総額ですとかあるいは一般財源総額、これについてはきちんと確保すべきものをやはり確保しておかなければならない、こういう考え方がございます。

 その上で、これはまさに見通しということについておしかりをいただかなければいけないわけでございますが、地方税それから国税、これは相互に連動してございますけれども、それの伸びが見通しほど伸びない、鈍化をしている、こういうことがございましたので、これはまさにどういうふうにこれを解決するかということでありますが、この償還の繰り延べを行って、そしてやはり来年度につきましては、出口ベースの地方交付税総額の確保を優先させることが現下の状況の中では必要だ、こういう判断をさせていただいたところでございます。

 この税収の伸びについてやはりなかなか難しい点がございまして、この伸びが、今回のように下回ったり、あるいは場合によっては上回ったりと、いろいろな変動がございます。これをできるだけ正確に見通すという努力が今後も必要になるというふうに思うわけでございますが、来年度につきましては、予定どおりの伸びがどうしても確保できないということの中で、ぎりぎり出口ベースの地方交付税総額を確保することを優先したい、このように判断をさせていただいたものでございます。

寺田(学)委員 わざわざ法律で返済額まで決めて去年は審議したにもかかわらず、ことしこういうような形にしたいというような政府の意向ではありますけれども、そもそも、昨年時点においてことしのことを予測できないような政府が、この償還計画、返還計画というものを今後何年も本当に計画どおりやっていけるのかというのは、非常に怪しい部分があるなと思っております。

 説明を聞いたところによると、来年と再来年ですか、ことしの分の償還をやめる、延期することはあるけれども、全体的な返還スキームは変わらない、返還スキームというか、いつぐらいまでに返すんだということは変わらずに後で帳じりを合わせていくという話も聞きましたけれども、また改めて御答弁いただきたいんですが、この返還する、特会の借り入れを返していく最終的な時期的なゴールも変わらずに本当にやっていけるんでしょうか、どうなんですか。

増田国務大臣 償還計画では、平成三十八年までの計画ということで昨年御提案をさせていただきました。

 私どもも、二十年と二十一年の償還については繰り延べをさせていただきたいというふうに思っておりますが、全体の三十八年までに償還を終えるという計画はそのまま維持しつつ、毎年の計画を少しずつ修正する中でそれを吸収したい。今回の措置によって、景気の変動はもちろん見通すことはなかなか難しいわけでございますけれども、地方の方でさまざまな独自施策というものも打つというふうに考えてございますし、それから経済成長の見通しなりの関係もございますが、そういったことも踏まえつつ、毎年毎年調整をして、ただ、償還について余りおくらせるということは適切ではございませんので、全体としては三十八年までに返還するという計画の中で各年で薄く広く吸収していく、こういう考え方でございます。

寺田(学)委員 翌年のことすら正確に予測できなかったのに、三十八年のことを予測できるのかというのは非常に疑問がありますし、そもそもそのときに、今政策決定をされた方々はほとんど退職されているのかどこかに行っているのかわかりませんけれども、与党も野党もなくなっているのかもしれませんが。そういう意味において、非常にこういうものは、大ぶろしきを広げた割にはあっさりとこういうふうに、法律を変えてことしはやめますなんということを、地方に迷惑がかかるからという人質をもとに無理やり説得してくるのは、非常に私は問題があると思っています。

 そういう意味で、本格的には次の通常国会の中でもやらせていただきますが、今回の償還をやめていく、たとえそれが地方のためであるということであっても、交付税の原資をほかに求めればいいわけでありますから、そう簡単に認めていける部分ではないなということをまず御指摘させていただきたいというふうに思っております。

 残りちょっと十分ぐらいしかありませんけれども、選挙の方をやらせていただきたいと思います。

 今回取り上げたいのは、投票時間の繰り上げ、繰り下げ、そして期日前投票に関してです。

 さきに行われた参議院選挙において、本当に多くの投票所の投票時間の繰り上げというものが行われたと聞いております。前回のみならず、合計的に鹿児島県がトップらしいですけれども、千三百ある投票所のうち千百九十三、約九一・八%投票時間が八時より前に繰り上げられているという話を聞いております。私の秋田県も八九・四%繰り上げられている。

 もちろん、漁村であるとか、そういう本当に皆さん朝が早いので夜六時以降ほとんどだれも歩いていないということにかんがみて、多少の繰り上げというものは認められるべきであろうということは一般的には思いますが、ここまで多くの投票所、投票を管理する自治体が繰り上げを行っていることは、私は問題じゃないかなと思っています。

 どうでしょう。まず、参議院選挙のときにおいて新たに繰り上げを実施したところが三割以上もふえたという数字が出ていますけれども、これはどのような理由で繰り上げが起こったんだというふうに思っているのか、選挙部長で結構ですので御答弁ください。

久元政府参考人 寺田委員御指摘のとおり、投票所閉鎖時刻の繰り上げを行う団体がふえております。

 十六年の参議院議員選挙のときは投票所全体の二割強が繰り上げを行っておりましたが、昨年の参議院議員選挙では三割弱のところが繰り上げを行っております。

 投票所閉鎖時刻を繰り上げた理由として私どもが聞いておりますのは、一つは、地域住民の生活のパターンが早朝から昼にかけて投票が集中している、それから、高齢者が多く夕方から夜間にかけての投票に問題がある、それから、道路事情、公共交通機関の状況などで夕方から夜間にかけての交通事情が悪い、また、投票立会人などの確保が困難であるということから、地元住民や自治会などから繰り上げの要望を受けているといったようなことがあるわけであります。

 都道府県別の状況を見ますと、全く繰り上げを行っていない団体が、千葉、東京、神奈川、大阪であります。これに対しまして、この三年間の間に繰り上げを行っている団体が大きくふえたところが、宮城、秋田、群馬、新潟、岡山といったようなところになっております。

 その背景といたしましては、多くの地域において高齢化また過疎化が進行しているといったような傾向が背景にあるのではないかというふうに考えているところでございます。

寺田(学)委員 今御答弁いただいた部分、実際、ないとは言いませんけれども、それがすべて、三割弱繰り上げにつながっているとは到底考えられないと私は思っています。

 総務省から出された資料を見てみますと、ざっと見て、例えば岡山県ですけれども、村とか町であれば、先ほど述べられたとおり、早朝から昼の生活リズムだとか、御高齢の方が多いとか、夜になると道路事情が悪いとか、もしかしたらあるのかもしれませんが、いわゆる市というところに関しても全部繰り上げを投票所は行っている。そういうものはさすがに、まあ、市に住んでいる方がどうこうというような分析をするのもなんでしょうけれども、若い人もいるでしょうから、さすがに、若い人が全員朝早起きして夜早く寝る、そういうことで六時で十分なんだ、八時まで要らないんだということの分析はなかなかできないんじゃないかなというふうに思っています。

 私自身、早朝から昼に生活リズムが移ろうが、道路事情が悪かろうが、投票立会人が見つからないというような事情があろうが、それは一律全国どこでも七時から夜の八時まで、どこに住んでいてもどこに引っ越しても投票時間はあるんだという大前提は私は守られるべきだと思っています。本当に一部の例外だけ除いて、そのような形で投票時間が守られるというのが必要だと私は思っています。

 総務省としては余りこの問題に関して関心を持たれていないのかもしれませんが、昨今、投票率によって政党の浮き沈みというのは多大に影響を与えると思っています。この間の参議院選挙であれば、私どもとしては投票率が上がってくれと思っていましたし、正直な話をすると、二年前の郵政選挙では投票率が上がると厳しいなというふうにも思ったりもしていました。各政党が、投票率が上がった方がいい、下がった方がいいという独自の判断のもとでいろいろ選挙戦略を考える部分もあると思いますけれども、各市長であるとか町長、村長たちがある程度この投票時間の繰り上げを決めていくことになると思うんですが、だれもチェックすることなく投票の繰り上げが行われてしまうというのは、私は、有権者の投票の機会を不当なまでに奪うこともあり得るだろうと思っています。

 いろいろ説明をお伺いしたんですが、投票時間の繰り上げを行う際に特別な理由があればいいということですけれども、その特別な理由が何であるかということは全く総務省でも県でも把握しないような形のプロセスを今とっているということなんですが、この今のプロセスが正しい、今三割以上繰り上げられていることがありますけれども、これでも正しい、現状のままでいいと選挙部長は思われているのかどうか、いかがですか。

久元政府参考人 私どもは、投票率を向上するために最大限の努力を払っておりますし、また、それは都道府県の選挙管理委員会また市町村の選挙管理委員会についても同様であろうかと存じます。

 例えば期日前投票につきまして、最近非常にこの割合がふえているわけでありますけれども、この期日前投票の周知徹底といったようなことにも重点を置きながら、選挙時の啓発をそれぞれの立場で行っているところでございます。

 そこで、投票所の閉鎖時刻の繰り上げでありますが、これは若干制度の変遷がありまして、昭和二十五年に公職選挙法が制定されたときは、一律に、午前七時に開き午後六時に閉じるというふうになっておりました。その後、翌年の公職選挙法の改正で、投票所の繰り上げまたは繰り下げをすることができるという規定が設けられたわけでありますが、このときには、あらかじめ都道府県の選挙管理委員会の承認を得るというふうになっておりました。この規定が、地方分権一括法で都道府県選挙管理委員会の承認が除かれまして、市町村の判断にゆだねられるというふうになったわけであります。

 私どもといたしましては、この運用は基本的には市町村選挙管理委員会が判断をするということが規定の趣旨であろうかと存じます。

 また同時に、投票時間の繰り上げ、繰り下げにつきましては、これは全く自由に判断できるということではありませんで、法律で、特別の事情がある場合に限りといったような要件が付せられているわけでありますので、この法律の規定にのっとった運用がなされるようにこれまでも助言をしてまいりました。

 さらに、今の状況を踏まえまして、この公職選挙法の趣旨に沿った適切な運用がなされますように、十分な助言を行っていきたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 投票所の投票時間の繰り上げに関して、財政的な問題もあるんじゃないかとか、人的な問題があるんじゃないかという話が聞こえてきますけれども、そんな、財政的な問題によって投票機会が奪われる、投票する権利と投票所を設置する自治体の都合というのはどっちが重いかといったら、それは当然ながら投票する人の権利の方が重いわけで、選挙部長は今いろいろ御立派なことを言われましたけれども、実際のところ、どんどんどんどん、投票する機会というものが、繰り上げがふえているということは、少なくなってきている状況にあります。

 期日前投票の話をされましたが、うちの秋田市においても、知事選と参議院選挙を比べてみたんですが、同じように投票日がほぼ従前、前からわかっているような選挙においても、知事選の場合は告示の前の日から期日前投票がいろいろなところで行われて、参議院選挙になったら、急に一週間、間に合いませんでしたということで、期日前投票がおくらせられたりと、本当に市の都合、僕は余りうがった見方はしたくないですが、ともすれば政治的な意味を含めて投票機会というものを狭めたり広げたりするようなことが市町村に持たされているのは、私は、地方分権論者でありますが、ふさわしくないと思っています。

 そういう意味で、地域にはさまざまな事情があるんだと思います。お金的なものも、立会人が確保できないということも、総務省から早く開票をするようにやれというふうに言われている圧力と、さまざまいろいろあると思いますが、きっちりと七時から八時まで原則やれるんだと。本当に繰り上げなきゃいけない場合は、それは地方分権に逆行しても構いませんから、県であるとか総務省であるとかが理由を含めて判断するぐらいしないといけないと思っています。

 そういうような方向をお考えになられないかどうか、選挙部長、いかがですか。

久元政府参考人 今の公職選挙法における投票所閉鎖時刻の繰り上げにつきましては、制度の変遷も含めて御説明申し上げましたけれども、これは、その特別の事情があるかどうかということも含めて市町村の選挙管理委員会が判断をするというふうに書かれているところでありますので、その適切な法の執行を確保していくというのが私どもの考え方であります。

 仮に、より一律にこの投票時間というものは確保されるべきだという考え方に立つということであれば、これは法律の改正が必要でありまして、例えば従来の制度に戻すかどうかということを含めた議論というものはあり得るであろうと思いますけれども、私どもは、法律の考え方はこれまでるる申し上げてきたところでありますので、その趣旨が徹底されるように努力してまいりたいと思います。

 また、今回、昨年の参議院議員選挙におきまして投票所を繰り上げた理由ということにつきましては、私ども、投票所ごとに市町村からも理由について報告を受けているところでありますので、それがどういうものであるのか、それについてどういうふうに考えるのかということを私どもなりにそしゃくをさせていただきまして、今後の選挙管理、執行に当たってこれを適切に活用させていただき、必要な助言に役立てていきたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 法律の趣旨が守られるように努力するというお話がありました。その努力の具体例が、各投票所、各自治体からなぜ繰り上げたのかという事情を聞いて精査するということなんでしょうけれども、選挙はこれからも何回も何回も、時によっては毎年行われるぐらいこれからあるかもしれませんけれども、そんな悠長な話をしてもらちが明かないと思うんです。本当に周知徹底させるのであれば、もっと総務省がリーダーシップをとって、各自治体に対して本当にこの事情というのはふさわしいんですかという実態調査までしなきゃいけないと思います。

 もちろん人員的に総務省としても限られていますから、すべてできるわけではありませんけれども、ちょっと今の三割以上が繰り上げていくというトレンドは、私は今の時代にはふさわしくないと思っていますので、そこら辺をきつく指摘して、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。

渡辺委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。ことしもどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 昨年の十月一日に、多くの問題点、例えばでありますけれども、国家財政の破綻の引き金を引くおそれとか、最近では、何かボールペンを初め事務用品などの購入も、地元の商店街で買っておったものが最近では東京で一括購入してしまう、そんな問題まで、多くの問題点を抱えながら郵政民営化がスタートいたしました。

 本日は、平成十七年六月二十七日に作成された自民党の郵政事業懇話会ニュース第三号が指摘している「アメリカの要求どおりに作られた郵政民営化法案!」の内容と、その与える影響の大きさなどについて質問をしてまいりますので、増田大臣初め答弁をされる方は、ぜひ簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思っております。

 まず最初に、米国の年次改革要望書についてお伺いをいたします。

 一つ目は、いつから始まったのか、開始年とその主な内容について教えていただきたい。特に内容については、米国の要望に基づいて既に日本の構造改革と称して行われたものを教えてください。よろしくお願いいたします。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、日米両国の政府間で行われております日米規制改革及び競争政策イニシアチブというものがございますが、そのもとにおける要望書の交換というものは二〇〇一年十月に初めて行われたところでございます。

 それから、その要望書の主な内容ということでございますが、これは多岐にわたりまして、電気通信、情報技術、医薬品・医療機器、金融サービス、競争政策、法律サービス、民営化などなど、多岐の分野にわたっているところでございます。また、同様の分野におきます規制改革の進捗状況については、毎年、両国首脳に対して報告をしております。

 しかしながら、我が国が実施しておりますその規制改革というのは、国際社会におけるグローバル化が進む中で、日本の国民の利益及び日本の経済成長に資するべく、諸外国との議論をあくまで参考としながら、我が国の主体的な取り組みとして実施してきているものでございまして、アメリカの要望にそのまま従って行っているというものではございません。

福田(昭)委員 さまざまなもの、今まで何か日本の構造改革と称してやられてきたものが、ほとんどが実はアメリカの要望であったということがよくわかってきたかなというふうに思っております。

 大変ひどいことだなと思っておりますが、そのことについては、ここに私は本を持ってまいりました。「マスコミが書けない「日米論」」ということで「アメリカの日本改造計画」ということで、こうした本が出ております。この本の中では、二十人が書いておりますけれども、それこそ日本の右の論客から左の論客まで全員が、とんでもない、アメリカによる日本改造計画、これをしっかり見直して、本当に日本の国民の幸せにつながるような改革をやらなくちゃだめだということを、右の論客から左の論客まで全部書いております。本当に私はゆゆしき問題だというふうに考えております。

 ところで、聞くところによりますと、日米相互に要望書を出しているという話ですが、これは公開されているんですか。もし公開されているとしたら、どこで見ることができるんですか。あるいは、どこのホームページにアクセスすればわかるんですか、教えてください。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 公開されてございます。どこで見るかということでございますが、これは双方向でございますので、日本からアメリカに対する要望の中身につきましては、日本の外務省のホームページで見ることができます。それから、逆にアメリカから日本に対する要望につきましては、USTR、米国通商代表部のホームページ等で見ることができます。

福田(昭)委員 外務省のホームページで見られるんですね。(草賀政府参考人「はい」と呼ぶ)

 時間の関係で次に行きます。

 それでは、二つ目ですけれども、郵政改革要望については何年から要望書に入ってきたんですか、教えてください。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 郵政関係につきましては、平成十三年、二〇〇一年でございますけれども、そのときより向こうの方から提示をされているところでございます。

福田(昭)委員 二〇〇一年ということは、アメリカの大統領はクリントン大統領だったんですか。違うんですか。どなたでしたか。

増田国務大臣 クリントン大統領だと承知しております。(発言する者あり)

福田(昭)委員 ブッシュでしたか。まあ、それはいいでしょう。もっと前から入ってきたような感じがいたしておりますが。二〇〇一年より前のような気がいたしますが。

 三つ目ですけれども、歴代の郵政大臣の対応についてお伺いをいたします。

 平成十七年九月十一日の郵政民営化の衆議院解散・総選挙に当たって、歴代の郵政大臣はどんな対応をされましたか、教えてください。

増田国務大臣 失礼、二〇〇一年、七年ですか。(福田(昭)委員「平成十七年の九月十一日の総選挙です」と呼ぶ)そのときにどういう対応をされたかということでございますが、これは郵政解散選挙というようなことを言われた選挙でございます。この民営化、当時、政府としては法案を提出していた時点でございますが、そうしたことが大きな争点となって選挙をなされたということでございます。当然、当時の大臣としては、郵政民営化をすべしということで選挙に臨んだというふうに承知してございます。

福田(昭)委員 違うんじゃないでしょうか。野田聖子大臣、自見庄三郎大臣を初め、歴代の郵政大臣はみんな反対したんじゃないでしょうか。なぜ反対されたか。歴代の郵政大臣の中で唯一推進したのは小泉元総理だけだったと思いますけれども、そうじゃないんでしょうか。

 それはやはり、歴代の大臣が反対したのは、国民の大切な財産を米国に売り渡すことはできないと考えていたからではないですか。特に、歴代の大臣じゃありませんけれども、元自民党の衆議院議員の小林興起衆議院議員は、そのことをしっかりと指摘しておりますが、そういう理由ではないんですか。いかがですか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 政治家でございますので、歴代の郵政大臣経験者もいろいろな御主張で選挙に臨まれたと思います。今お話ございました野田先生あるいは自見先生はそれぞれの御主張があったかと思います。当然、歴代の郵政大臣あるいはその後の総務大臣経験者の多くが、それぞれの所属している政党の主張を展開されたわけでございまして、例えば、総務大臣初代は片山先生ですが、片山先生であったり、あるいは麻生先生であったり、それぞれがきちんとした主張をされたというふうに思っております。

 要は、この郵政民営化の問題については、やはり当時の総理等が、小泉総理でございますけれども、そのことについて大きな論陣を張られて、それを選挙の結果、多くの国民が支持したということが大変重要な点ではないかというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、国民が支持したといいますか、国民をだましたといいますか、そのことについてお話をさせていただきます。

 次に、郵政民営化問題についてお伺いいたします。一つ目は、皆さんのお手元に資料を配付させていただいておりますが、米国との十八回にわたる交渉についてであります。

 お手元の資料一をごらんいただきたいと思います。当時の自民党の郵政事業懇話会ニュース第三号ですけれども、「アメリカの要求どおりに作られた郵政民営化法案!」として、具体的に六つの対日要望項目、郵政民営化法案の対応が記載をされております。

 その一つが、「郵便貯金・簡易保険は民間企業と完全同一競争条件とせよ。」ということに対して、郵貯は民間銀行、簡保は生保会社に変更します。二つ目、「民間と同じ法律を適用せよ。」、郵貯法、簡保法を廃止し、銀行法、保険業法を適用します。三つ目、「(株式会社化した後)政府の保有する株式は完全売却せよ。」、十年間で株式を完全売却します。四つ目、「(完全売却までの間)暗黙の政府保証の防止策をとれ。」、暗黙の政府保証を防止するため、業務、子会社保有を制限します。五つ目、「郵貯・簡保と他の業務との会計完全分離。」、四分社化し、会計は完全分離します。六つ目、「民間との競争状況を調査する独立の委員会を設置せよ。」、民営化を検証するために内閣に民営化委員会を設置します。

 こうありますけれども、このことについて間違いはありませんか。確認をさせていただきます。

増田国務大臣 ただいまお話ございましたその資料でございますけれども、御指摘の六項目は、二〇〇四年の十月十四日に米国政府要望書ということで日本政府の方に提出をされた競争政策イニシアチブの中の事項の一部、こういうふうに承知をしているところでございます。

 この当該項目の四番目に挙げられている暗黙の政府保証について今議員の方からも御指摘ございましたけれども、その事項以外の五項目について民営化法で制度化をした、こういうことになっているところでございます。

 なお、これは御案内のとおり、今申し上げました十月十四日に我が国の方に提出をされた要望書ということでございますが、五項目の内容、今申し上げましたうちの四番目以外の五項目を法案の内容としたというふうに申し上げましたが、こちらの方は、それ以前の九月の十日に、民営化の基本方針として既に閣議決定をされているものでございまして、向こうの方から提出をされる以前に、もう政府の方針として閣議決定されております。これは、日本政府として主体的に、こうした内容が必要だということで、もう既に判断をしていた事項であることを念のためつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

福田(昭)委員 後づけだか先づけだか、これはわかりませんけれども、小泉総理はこのときに、アメリカから言われたから民営化するんじゃない、こう言っておりましたけれども、しかし、それならなぜアメリカとこんな十八回も会談をする必要があったんですか。アメリカから言われたからやったんじゃないですか。

 二つ目は、十八回の交渉の内容の開示についてであります。

 お手元の資料二をごらんいただきたいと思います。これは総務省から提出された資料でございますけれども、この中で、米国の交渉人が黒塗りなんですね。なぜこれは黒塗りなんですか。これらの人々はそれぞれ役職者であって、個人情報ではないはずでありますね。日本側はしっかりと名前が書いてあるんです。もし個人情報であれば、これは日本側だって黒塗りにすべきですね。ところが、日本側の民営化準備室はちゃんと名前も書いてあります。ですから、まずこの交渉人の名前を明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 まず一点目の、十八回交渉を行ったというこの関係でございますが、これは、アメリカとの取り決めで、向こう側から要請があった場合には、こちらの方としても誠実に対応しなければいけないということがございますので、そうした米国側の要請に応じ面談を行った、こういう経緯をとってございます。

 それから、この面談の中には、いろいろ関係者に聞き取りをさせたわけでありますが、その際には、表敬訪問等の大変軽微なものも多く含まれているということを聞き取ってございます。

 それからもう一点、黒塗りの関係で、どうしてそういうふうになっているのかということでございますが、これについては、相手方の氏名について当然個人情報に該当するということで、室長が理事会の方に提出させていただいた際には、お手元の墨塗りつきの資料を提出させていただいたわけでございます。

 このことについては私の方からも、特に資料が引き継がれていないということがございましたので、いろいろと関係者に当たって、十分にこの委員会の方に誠実に対応させるように指示をしてございますので、そういうことで、今後もこちらの方の委員の御意向も踏まえながら誠実に対応させたい、このように考えております。

福田(昭)委員 大臣、何で役職者の名前が個人情報なんですか。大臣は、岩手県知事のときに大変すばらしい情報公開条例をつくってやっていたんじゃないですか。岩手県ではこうした名前は非公開ですか。個人情報じゃないはずですよ。どうですか。

増田国務大臣 岩手の場合には、当然、岩手県としての情報公開の考え方がございますので、それに応じて、私の方も積極的に情報公開をするように指示をしておりました。

 それから、岩手県ではこういう情報は非公開かどうかということでございますが、アメリカ側とのいろいろな折衝をするといったような場面がございませんでしたので、どういう取り扱いにするかといったことは当然その際その際で判断をいたしますが、恐らく、こうしたものについては、岩手県のやり方とすれば、必ず相手方の方に了承をとって、それで公開するのが通常ではないか。

 いずれにしても、ただ、情報公開ということは大変大事なことでございまして、特に、こうした委員会の方からいろいろ御要請があるときはきちんと誠実にこたえるということが必要であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 あきれた答えですけれども、実は、我が党の松野先生が質問主意書で、十八回の会談の内容をぜひ明らかにしろと質問しているんですね。その回答に、十八回の内容を記したものは残っていない、こう回答しているようでありますが、しかし、その中で大変気になりますのは、この十八回の会談の内容を、軽微な記録だ、こう言っているんですね。軽微な内容のものだと言っているんですよ。

 私も内閣官房の文書管理規則を読んでみましたが、とてもとてもこの会談の内容が軽微なものとは思えないんですね。もしこれが軽微なものだったら、小泉総理が郵政民営化は改革の本丸だと言った、そんな大事な問題の打ち合わせ事項が何で軽微な内容なんですか。お答えください。

増田国務大臣 この内容について、いずれにしても引き継いでいないということでございましたので、当時の準備室の担当者に聞き取りをさせました。そのところによりますと、メモを作成したケースはあったと思われますけれども、面談の内容が、儀礼的なものや、先ほど申し上げました競争政策イニシアチブなどで主張されている要望と同様の陳情的なもの等であり、保存を要するほどのものではないという判断で廃棄されたものと思われる、こういうふうに当時の担当者がしゃべっているようでございます。

 したがいまして、当時の担当者の主張の内容から判断いたしますと、そのメモについて、当時の準備室において短期で廃棄をしたとしても、文書管理規則から見て問題は生じないというふうに思います。

 いずれにしても、これは当時の記憶に基づいてやっているということでございまして、私としては、やはりこうしたものについては取り扱いをきちんと慎重に考える必要もあったのではないかというふうにも思っているところでございます。

福田(昭)委員 委員長、これはきっと薬害エイズや肝炎の資料と同じですよ。ですから、委員長、ぜひ理事会に諮ってください。まずはこの氏名を明らかにすること、それから内容についてしっかり開示をすること、この二つをぜひ理事会に諮ってください。お願いをしておきます。

渡辺委員長 後日、理事会で協議いたします。

福田(昭)委員 それでは、三つ目に入りますけれども、時間がなくなってきましたので簡単に申し上げます。ゆうちょ銀行と保険会社の株式の処分についてでございますけれども、これは十年後までには全部処分をして完全民営化するという話ですけれども、その際には、当然のことながら外国の人たちも、外国の資本もこの株式を購入できるんですね。確認をさせていただきます。

増田国務大臣 可能でございます。

福田(昭)委員 そうすると、次に、郵便貯金銀行と保険会社の保有資産の運用についてでございますが、現在のところは、郵便貯金、簡保資金ともに、国や地方公共団体の国債や地方債とかあるいは地方への貸付金、そうした運用になっているわけでありますが、民営化になると、国債を買うのも売るのも全く自由にできるということですね。確認をさせていただきます。

増田国務大臣 それぞれの経営判断ということで、そういったことも可能でございます。

福田(昭)委員 それでは、完全民営化された会社はどこの人が買ってもオーケーということになるわけですが、もし、このゆうちょ銀行と保険会社を外国の資本が株式を買って、しかも三分の一以上の株を取得して経営権を握ったとします、そうなったときの最悪のシナリオはどんなシナリオが考えられますか。想定したこと、考えたことはございますか、教えてください。

増田国務大臣 今の点については、これはいろいろ経営者の方の判断ということもあると思います。ただ、郵政民営化法の規定で、民営化当初はこうした資産運用については公社と同様の範囲に限定をされているということがございます。それからあと、金融二社の運用資産の大部分を占めているのは依然としてやはり旧契約ということで、旧契約については国債等の安全資産で運用するということが義務づけられておりますので、やはり傾向としては極端な資産構成の変化は生じにくいのではないかというふうに考えております。

福田(昭)委員 ですから、私が申し上げたのは、十年後に完全民営化されて、外国の資本が三分の一以上の株を取得して経営権を握った場合の最悪のシナリオですよ。国債を買うのも売るのも自由ですよ。そうなったら、今の運用でも、郵貯だけでも百三十六兆円、十八年度末で百六十三兆円のうち百三十六兆円、八三%は国債を持っているんですよ。これを完全に売られたらどうなりますか。国債が暴落するんですよ。大暴落するんですよ。そうしたら、日本の国家財政破綻の引き金を引くんじゃないですか。

 今、国と地方で八百兆円を超えるような長期債務を持っているんじゃないですか。これが、国債が暴落したら、大変なことが起きるんじゃないですか。そういう心配はありませんか。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

増田国務大臣 今お話ございましたような外資の関係ですけれども、これは、経営判断に大きな影響を与えるというのは株式取得で大体二〇%以上なんだろうと思いますけれども、そういった二〇%以上の株式取得の場合には、これは外国資本を含めて金融庁長官の認可が必要となってまいります。これは法律でそういうふうに決められておりますので、金融庁において、株主の適格性についてチェックがなされるということになるわけでございます。

 そしてまた、国債市場が著しく暴落した場合にどうなるかということでございますが、そういった今申し上げました制度的な担保がある一方で、そうした運用を行いますと、結局、それはみずからの運用が国債市場に与えるというそのことがまた自分の経営の方にはね返ってまいりまして、みずからの経営を危うくする、こういうこともあります。

 したがいまして、これは当然市場の規律のもとにゆだねられるわけでありますが、経営者の経営判断として、適正な資産負債の総合管理を行っていくであろうということでございますので、今お話ございましたような点については、適正な経営者の判断が行われる、このように考えているところでございます。

福田(昭)委員 まあ、非常にのんきな話ですね。日本人の経営者ならそうした良心もあるかもしれませんけれども、外国の経営者にそんな良心はないと思いますよ、それぞれの国の利益を考えてやっているわけでありますから。

 ですから、私は、今回、政府がやったこの郵政民営化の仕事といいますか、これはまさに日本の国益、国民の利益を本当に失うような大失敗をしたんだと思いますよ。こんなことをやって本当に国民の皆さんに言いわけがきくわけがないじゃないですか。

 ですから、そういう意味では、高杉良さんが「亡国から再生へ」という本を書いていますけれども、ここで高杉良さんもこう言っていますね。「外交無策も含めて小泉内閣が、史上最悪、最低の内閣として、歴史に名を残すことは疑う余地がない。 拙稿への反論を”小泉・竹中”応援団のマスメディアの人たちから、あるいはブレーンといわれる人たちから、ぜひとも聞きたいものだ。」と書いておりますが、何だか反論がないそうです。高杉良さん、残念がっておりますが、まさに日本の国益を損なうようなこの郵政民営化、これをしっかりと是正していく必要があると思っております。

 そして、さらには、アメリカの年次改革要望書、これから我々は卒業して、しっかりとした日本独自の文化に基づいて、日本人のよさ、日本のよさを生かした、本当に国民の幸福につながるような改革をしていくべきだ、そうした提案をして、私の質問を終わります。

 以上です。

今井委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、公立病院改革ガイドラインについて質問させていただきます。

 最初に、公立病院の現状認識について伺いたいんですが、このガイドラインで、多くの公立病院において、経営が悪化するとともに、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされていると述べております。この医師不足が公立病院の経営悪化の要因になっている、このような認識はおありでしょうか。その点を確認させてください。

増田国務大臣 公立病院の経営悪化の原因というのは、やはりこれも複数あると思っておりますが、その中で医師不足がどういうふうに影響を与えているかといいますと、結局、医師不足に伴って、どうしても診療科を閉鎖したり体制を縮小するということがございます。そうしますと、病院の病床数の中で十分に使われない病床数なども出てくるといったことで、そのことが診療体制の縮小、そしてそれが経営の方の悪化につながってくる、こういうことではないかというふうに思っております。

 したがいまして、この公立病院の経営悪化の原因は幾つかございますが、その中で、こうした医師不足が経営の悪化の方に与えている影響というものもかなりのものがある、こういうふうに考えるものでございます。

塩川委員 その際に、このガイドラインで医師不足が解消すると言えるんでしょうか。

増田国務大臣 この医師不足でございますが、これもいろいろな原因がございます。例の訴訟リスクをどのように軽減させるかといったような問題ですとか、あるいは、これは大学教育のあり方にも絡んでまいりますけれども、医局のあり方などにもつながってくるというふうに思います。

 したがって、そういう点を解決していかなければならないので、その点については、昨年の五月に政府・与党で医師不足対策の対応策をまとめましたが、そういったことが有効ではないかと思います。

 この公立病院改革ガイドラインの中では、そうした医師不足対策への政府・与党合意も踏まえて、その対策が行われているということも含めながら、病院の経営改革という観点からまとめたものでございますので、このガイドラインのものと、それから、今申し上げましたような医師不足対策そのものに対しての対応策などを講じていく中で、やはり医師不足というのは、これは大変喫緊の課題でございますので、ぜひ国を挙げて解決していかなければならない、このように考えております。

塩川委員 この緊急医師確保対策は、医師は基本的に足りているというような認識に立って、全体の医師数を抑制するという政策を変えるものではありません。

 そういう点でも、例えば朝日新聞などでも、医師の確保策などを十分に講じず経営改善だけを急ぐなら、赤字はなくなったが地域医療が崩壊したという結果を招きかねない、こういう指摘も出されているわけです。

 ですから、深刻な現状を踏まえて、医師不足とともに看護師などの医療スタッフの不足も深刻です。公立病院の経営悪化が診療報酬の引き下げあるいは医師不足等に起因すると認めるなら、小手先でなく大もとからの政策転換が必要であります。

 その点でガイドラインの対策がどうかということですが、ガイドラインにあります「公立病院に関する地方財政措置の重点化」のところで、「病床数に応じた普通交付税措置に際して、今後の各病院における病床利用率の状況を反映することを検討する。」とあります。

 例えば例を挙げますと、一般病床が百床で、その病床利用率が六〇%という病院の場合ですと、現状は、その病床数百床掛ける四十九万五千円で四千九百五十万円になりますけれども、もしそれが病床利用率で計算をするとなると二千九百七十万円、千九百八十万円の減額という形になりかねません。

 そこでお尋ねしますが、病床利用率が低ければ交付税措置を減らすということもあり得るのか、その点いかがでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 病床利用率が恒常的に低いという場合には、そうした病院について、医療資源の適正配分という観点から、やはり見直しをしていただかなければならないというふうに思っております。

 これは、現在の交付税算定の場合に、許可病床数ということでこれを指標にしているんですが、実は、随分空きベッドがある状況だということが常態化しているようなものについては、地方団体間でも、やはりそういうところに交付税が行くのはおかしいのではないかという、見直しを求める意見があるのも事実でございます。

 ただ一方で、そういう中でいろいろ調べてみますと、一般に病床利用率は過疎地の小規模な病院においてどうしても低い傾向もある、これも事実でございまして、病床数、特に病床利用率をもとに一律に見直しをしていくということになりますと、こうした特に過疎地域の規模の余り大きくない病院で、しかし地域にいろいろな役割を果たしている病院にしわ寄せが来る、こういったこともございます。

 したがいまして、私どももこの交付税算定の考え方については見直しも含めていろいろ考えていきたいというふうに思っておりますが、しかし、あわせて、私が今申し上げました過疎地の病院ですとか診療所についての交付税措置については、こちらの方は充実するということを前提にして今検討しているところでございます。

塩川委員 過疎地の充実は一律ではないという話です。それは、答弁にありましたように、病床利用率が低ければ交付税措置を減らすという見直しもあり得るという話でありました。

 しかし、過疎地だろうと都市部だろうと、利用率が低いところについては、やはり医師不足が反映している、医師不足が原因だということも当然あるわけです。診療体制の縮小などとともに、常勤医師が確保できないために入院はできないという形が現に生まれているわけですから、常勤医師が確保できなければ病床利用率も改善できないんじゃないのか。医師不足の解消なしには病床利用率の改善にもつながらない。それを、実情を踏まえないペナルティー的なやり方で交付税措置を見直すということは、これはとってはならないやり方じゃないのかと思うんですが、その点いかがですか。

増田国務大臣 医師不足の解消はもう優先課題でありますので、当然必要だろうと思います。

 一方で、人口などが随分減っている地域で、確かに施設的に見てもこうした施設が過大になっているような病院もございますし、それから、岩手県での経験もございますが、県立病院とそれから市立病院、地元の所在市で建てている病院と診療科が随分重なっておりまして、医療資源が大分非効率になっているような地域もございました。

 そんなこともございますので、医師不足に対しての対応策というのは当然優先して講じなければいけないというふうに思いますし、それから、過疎地などでの実態も十分踏まえる必要があると思うんですが、一方で、やはり病床利用率が余りにも低くて、医療資源が十分に適正に活用されていないといったようなことについて何らかの措置は必要である、このように考えているものでございます。

塩川委員 実情を踏まえないペナルティー的なやり方はやめるべきだということを申し上げ、この間の診療報酬のマイナス改定それから医師不足というのに加えて、やはり地方交付税の削減の措置も自治体病院経営悪化要因の一つだと言えます。

 病床当たりの普通交付税については、この間、都道府県で、平成六年度の八十三万円が平成十八年度には四十八万円、市町村では、平成九年度の七十四万円が四十八万円にとなっております。自治体病院運営費等への普通交付税措置の削減等が病院経営を深刻にする要因の一つともなっている。

 自治体病院の赤字事業数がこの六年間、平成十二年の四六%が十八年には七七%と、二分の一から四分の三へと急増する。その間、普通交付税措置額の推移は、平成十二年度の二千七百二十三億円が十九年度では二千五百八十四億円、八%減という点でも、この病院事業に係る交付税措置の拡充こそ全体として図っていくべきじゃないでしょうか。その点、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 交付税のここ数年の削減傾向というのはいろいろなところに影響を及ぼしておりますけれども、病院経営、特に公立病院経営の中でのそれぞれの地域の病院に非常に厳しい影響を与える、これは私もそのとおりであるというふうに思っております。

 そこで、先ほどお話し申し上げましたとおり、過疎地域の病院、診療所について特に地方交付税措置を充実するということを今検討しているわけでございます。来年度、交付税全体の増額ということが五年ぶりで行われます。この中で特にねらいといたしますのは、そうした財政状況が非常に厳しい、そしてそれを通じて生活に対していろいろなマイナスの影響が出ているようなところに対して手当てを行いたいということでございましたので、そういった大きな目的をきちんと医療面でも果たしていきたい、このように考えているところでございます。

 なお、診療報酬もずっとこのところ削減傾向でございましたが、来年度は、少しでございますけれども全体としてふえるというようなこともございます。これは厚生労働省の方の関係のことでもございますが、そういったことも含めて、やはり医療の水準、そして内容、質の確保というのは大変重要なことでございますので、私どもも地域の医療実態をよくお聞きした上で適切に対応していきたい、このように考えております。

塩川委員 次に、公立病院の果たすべき役割についてですけれども、明確化ということで何点か具体的に指摘をしておられます。

 自治体病院は医療機関という役割だけではなくて、行政機関の一つとして、保健、福祉、医療を一体的に推進する役割も果たしております。ガイドラインでこのように公立病院の役割を限定列挙するようなことになれば、自治体病院がそれぞれ固有、歴史的な経緯を踏まえて果たしてきた行政機関としての役割、機能を損なうようなことになりはしないか、このことを思いますが、その点いかがでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 報告書の中で確かに公立病院に期待される機能、役割といったようなことで記述してございますが、これは主な機能を具体的に例示すればということで書いているものでございます。だからといって、これが主な機能ではないということを申し上げるつもりはないんですが、やはり今議員がお話しございましたような一般行政部門と連携して行っているような分野、保健衛生といったような分野が典型だと思いますけれども、こうしたものも公立病院の果たすべき重要な役割というふうに考えてございます。

 こうしたことも含めて、公立病院が今後十分に役割を果たせるようにしていきたい、経営を十分なものにしていくようなガイドラインの趣旨でございますので、そういった一般行政と連携して行っている役割についても十分に機能が発揮できるようなことを考えたい、このように考えておるものでございます。

塩川委員 ガイドラインの中で数値目標を設定し、国が点検、評価する仕組みをつくったり、都道府県が公立病院の再編・ネットワーク化の計画を作成することなどが行われれば、一公立病院を現状で維持存続しようとその自治体が考えたプランというのが、そういう形で計画を立てること自身が不可能になりはしないかということを率直に懸念しますが、その点はいかがでしょうか。

増田国務大臣 ガイドラインでございますので、ある程度数値目標を立てて、必要なものについてはその目標に向かって進んでいただかなければならないというふうに思っておりますが、こうした公立病院の問題については、特にこれは市町村というよりは県の役割が大変多いと思うんですけれども、県の中でこうした公立病院の役割ですとか適切な機能分担といったようなことをいろいろと考えていただく必要があるだろう。

 その中で、こうしたガイドラインの考え方というのは私どもも今月から公共団体に御説明を十分にしていくことでございます。今までいろいろ御意見もお聞きしつつまとめたガイドラインでございますが、一方で、その考え方についてさらに十分に御理解いただけるよう御説明してまいりますので、そうした地元の県、さらには市町村とも十分に理解と連携を深めた上で、この機能が十分に果たせるようにしてまいりたいと考えております。

塩川委員 医師抑制路線そのものを撤回するとともに、財政健全化法や今回の公立病院改革ガイドラインが自治体病院のリストラを推進し、地域医療の崩壊につながりかねない、そういう懸念を持つものだということを指摘して、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 何点か質問いたしますが、まず最初に、郵政に関連しまして二点聞いておきたいと思います。

 民営化されまして、郵便局でいろいろな商品が販売されるようになりました。その中で、新たに取り扱う第三分野と呼ばれる保険商品の選定結果が昨年の十一月十六日、発表されました。

 この第三分野の商品については、民営化前までは扱っていなかった商品でありまして、新たに扱うということになりましたけれども、郵便局会社が、がん保険にアメリカンファミリー生命保険、それから引き受け条件緩和型医療保険に住友生命保険がそれぞれ選ばれたというふうに報じております。来年度ですから今年の前半に全国の二百から三百の郵便局で販売を始めて、将来的には簡易郵便局を除く全二万局に広げる予定だ、こういうふうに報じています。二社を選んだ理由については、各社からの提案書や客観的データに基づき総合的に判断した、こういうふうに説明している。

 私がなぜかなと疑問を持つのは、郵便局会社の寺阪社長さん、それから日本郵政の西川社長さん、いずれも住友の出身であります。三井住友フィナンシャルグループなど住友グループ関連出身者が目立つと思うんですね。金融商品においても旧住友の商品が目立つ。例えば、変額個人年金保険、これは三井住友海上メットライフ生命や住友生命、ゆうちょ銀行のATM提携でも三井住友銀行、カード事業も三井住友VISAカード、従業員持ち株会の幹事証券業務に大和SMBCなどが選ばれている、こういうふうに書いているんですね。

 そこで、私が聞きたいのは、人事、それからそういう事務あるいは商品の提携先が、言うように住友系の企業が多い、そういうふうな認識は持っておられるかどうか。あるいは、この選考においては、各社からの提案書や客観的データに基づき総合的に判断して選んだというふうに書いておりますけれども、そこら辺の経緯並びに選定をした理由について、もう少しつまびらかに聞かせていただければありがたい。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

西川参考人 お答えをいたします。

 いろいろな業務提携を行っておりますが、この業務提携は、日本郵政グループのブランドでありますとか顧客基盤、そしてネットワーク、ノウハウなどを最大限に生かしていく、そして、お客様の利便性の向上、また競争力のある商品、サービスをお客様に提供する、これを目的としたものでございます。

 そうした認識のもとに、業務提携先の選定に当たりましては、系列といったようなことは一切考慮せずに、多くの会社に提案をお願いいたしまして、そして五名から十名の関係者がそれぞれの提案について評定をいたしました。その中からベストプラクティスを選択しているということでございます。

 以上です。

重野委員 その結果、どういうふうに分類できるんですかね。三井住友系の企業がこれだけの事業を提携しています、三菱系の企業がこれだけしています、そういうふうな分類ができると思うんですが、それはどういうふうになっていますか。

西川参考人 いろいろな分野がございますので一概に申し上げられないんですが、例えば、物流関係では日本通運という会社がございますし、あるいは郵便事業関係におきましても、広告等の合弁会社におきましては電通でありますとか、あるいはロジスティクスの合弁会社におきましては三越であるとか、あるいは金融商品におきましても、クレジットカードにおきましても、一社は三井住友カードでございますが、もう一社はジェーシービーが入っております。

 また、ATM提携におきましては、イオン銀行でありますとかあるいは住信SBIネット銀行といったものもございますし、かんぽ生命におきましては法人向けの商品の受託販売を提携しようとしておりますが、この提携先には日本生命、明治安田生命、東京海上日動あんしん生命、アメリカン・ライフ・インシュアランス、アイエヌジー生命、アクサ生命、そのほか住友生命あるいは三井住友海上きらめき生命といった会社が入っておるということでございまして、どのグループというものをどうする、優遇するとか排除するとか、こういったことは一切行っておりません。

 以上です。

重野委員 ぽっと見てわかるように、資料を後刻出して、私に送っていただきたいと思います。

 それでは、次に行きます。

 次は、限界集落の問題について総務省に聞いておきたいと思うんですが、このごろよく新聞や書物に限界集落という言葉が出ております。六十五歳以上の高齢者人口が半数以上を占め、コミュニティー機能が十分に働かない、そういうところを限界集落というんだそうでありますが、先般、十一月三十日に、限界集落を抱える市町村が集まって全国水源の里連絡協議会というものを設立した、こういうことであります。皆さんは、限界集落の再生案を情報交換し、また生活環境の整備に向けて、国に対し財政支援を一致して働きかけようじゃないか、こういうことを話し合ったそうであります。

 これは国土交通省の調査でありますが、〇六年四月時点で、高齢者の割合が五〇%を超える、そういう集落が全国で七千八百七十八カ所あるんだそうでありまして、これは九九年度の調査に比べてほぼ倍増している、こういうふうに書いております。地域的には、中国、九州、四国地方に多いんだそうでありまして、限界集落の四%強は十年以内にいずれ消滅する、こういうふうに答えているということです。

 これは大変な問題でありまして、そういう限界集落の認識について、総務省としてどういう認識を持っているのかというのが一つと、それに対してどういうふうな対応をしようとしているのか、あるいはそれを仕組んでいく仕組み、これはどのように考えているのか。それから、今言うように、いわゆるこの限界集落が急速に増加している、こういう急速な展開に対する認識、これについてどのように考えているか、お聞かせください。

岡崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現状認識でございますけれども、先ほど御指摘ありました調査、これは国土交通省と総務省が共同で行っておりますけれども、その中で、御指摘ありましたように、高齢者割合が五〇%以上の集落が七千八百七十八等の事実はそのとおりでございます。人口減少あるいは高齢化の進展などのために集落の維持が困難になり、耕作放棄地の増大、森林の荒廃、空き家の増加等の問題が発生しているというふうに認識いたしております。また、今後も、さらに高齢化が進展することは確実でありますので、地域により状況等は異なりますけれども、全体として問題はさらに深刻化するおそれがあるものというふうに受けとめております。

 また、こうした問題に対する対応策でございますが、過疎地域における集落対策として、今まで、集落の住民が安心して生活できるように、過疎債等の施策によりまして、道路や下水道等の生活環境整備、あるいは保健福祉施設や診療施設の整備等について支援をしてきております。また一方で、集落移転を行うというような場合には、これに対する補助制度も用意をいたしているところでございます。

 また、平成二十年度予算案におきましては、新たに、そういう集落に多く存在します空き家を活用しましたUターン、Iターン者対策などの定住促進策、あるいは住民の身近な足の確保など、過疎地域の集落の維持、活性化を図る取り組みに対して支援をする事業を計上することにいたしております。

 いずれにしましても、内閣官房、農林水産省、国土交通省などとも関係しますので、関係府省と連携を図りながら集落対策に取り組んでまいる所存でございます。

 なお、過疎地域自立促進特別措置法、いわゆる過疎法でありますが、この十年間の期限が約二年後にちょうど切れることになりますので、時代に対応しました新たな過疎対策について、現在、有識者の方々で構成する過疎問題懇談会という場におきまして議論をいただいております。集落対策につきましても、この中で、現場の自治体等の意見もよく伺いながら、十分に検討してまいりたいと思っております。

重野委員 今申されました内容というのは、今までもやられてきたものが大部分であります。にもかかわらず、村落あるいは村落のある自然を維持する能力が急速に喪失されていっている。そのツケは間違いなく川下に及んでいくんですね。水害であるとか土砂崩れであるとか、そんなのがどんどん頻度が増してくるわけです。

 ですから、これは早く手を打たないと手おくれになる。ほっておけば、間違いなくだれも住まない地域がどんどん上流域にはふえてくるわけですね。それが単に、生産という面ではなくて、地域の自然環境を、あるいはそういう災害から下流域を守るという機能を持っているということを前提にした総合的な対策、これは、今省庁をまたいでやるという話がありましたけれども、やはり本気でやっていかないと、そう遠くない時期にとんでもないことになると私は思うんですね。そこのところがやはり重大な決意で取り組んでいただかなきゃならぬと思うんですが、その点、大臣どうですか、きちっと決意を披瀝してください。

増田国務大臣 ただいまお話ございました、まさに限界集落などを含むような過疎対策、これについては、今議員からお話がございましたとおり、単にその地域という要因のみならず、国土保全機能などが著しく喪失されることによって、下流域の都市にも大変な災害をもたらしますし、さらに、自然環境ということを通じますと、国全体にとっても大変な悪い影響を及ぼしてくるんだろうというふうに思います。

 したがいまして、単に過疎法の、どういうふうにこれをまた延ばすかだとかいったようなこと、そして、過疎地域だけを念頭に置いたという視点ではなくて、国全体としてこれをどう取り組むのか、それから特に、都市とこういった地域との共生などの考え方も大変重要だと思います。

 先般、こういった水源の里条例などを通じて、そういった地域の自治体の皆さん方がいろいろお集まりになって真剣な議論をされたということもお伺いをしてございますので、私ども総務省も、政府全体としてこの問題に取り組みたいというふうに思っておりますし、その際には、自治体の皆さん方あるいは地域の住民の皆さん方、NPOの皆さん方などともよく意見交換をし、連携をしてこの問題に取り組んでいきたい。やはり国としてきちんと答えを出していきたい、このように考えているところでございます。

重野委員 終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 この際、御報告いたします。

 今会期中、本委員会に付託になりました請願は十三件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において検討いたしましたが、委員会での採否の決定はすべて保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、お手元に配付してありますとおり、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、過疎地域自立促進特別措置法の失効後における新たな過疎対策等に関する陳情書外二十件、また、意見書は、自治体財政の充実・強化を求める意見書外二百三十八件であります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 まず、第百六十六回国会、内閣提出、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に

 第百六十五回国会、高井美穂君外二名提出、電気通信事業法の一部を改正する法律案

 第百六十六回国会、馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二九号、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案

 第百六十六回国会、馬淵澄夫君外四名提出、衆法第四一号、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案

 参議院提出、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案

並びに

 行政機構及びその運営に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件

 地方自治及び地方税財政に関する件

 情報通信及び電波に関する件

 郵政事業に関する件

 消防に関する件

以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.