衆議院

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第1号 平成20年1月29日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十年一月十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

平成二十年一月二十九日(火曜日)

    午後五時二十五分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 川北  力君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

一月十八日

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(高井美穂君外二名提出、第百六十五回国会衆法第七号)

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、第百六十六回国会衆法第二九号)

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、第百六十六回国会衆法第四一号)

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(参議院提出、第百六十八回国会参法第七号)

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第九七号)

 日本放送協会平成十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

同月二十四日

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

同月二十九日

 国民生活等の混乱を回避し、地方団体における予算の円滑な執行等に資するための地方税法の一部を改正する法律案(石田真敏君外四名提出、衆法第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 自立と安定を基本とする地方財政制度の見直しに関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 平成十九年度分の補正予算により、同年度分の地方交付税が二千九百九十二億千五百万円減少することとなりますが、地方財政の状況等にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。このため、平成十九年度分の地方交付税の総額の特例として二千九百九十二億千五百万円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて地方交付税の総額に加算することとしております。

 また、平成十九年度に行うこととしていた交付税特別会計借入金の償還を繰り延べ、償還予定額五千八百六十九億円を平成二十年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。

 次に、地方税の平成十九年度における減収に対処するために発行する地方債については、普通建設事業等に充当し切れない部分がある場合においては、充当対象を拡大できる旨の特例を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君及び財務省大臣官房審議官川北力君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)委員 厳しい日程の中質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。

 さて、質問に入る前に一言大臣に申し上げたいことがございます。通告をしていないものですから、御答弁は要りませんが、意見として申し上げたいと存じます。

 まず、昨日の予算委員会で地方交付税に関する質問が出されました。その中に、ガソリン税の問題に絡んで民主党の代表代行が、新直轄の地元負担について、自民党道路族の有力議員がいる和歌山県などは地元負担がゼロになった、こういう趣旨の発言がありました。これを放送で見ていたある国民の一人から、そうすると、有力議員のいるところはゼロになって、ほかのところはゼロにならないのか、こういう趣旨の質問があったわけであります。

 これに対して増田総務大臣は、公平公正にやっている、こういう趣旨の御答弁で、そのことはそのとおりなのでありますけれども、後で聞くところによりますと、通告のなかった質問なので大臣は慎重にお答えになったようでありますけれども、しかし、これを聞いている、テレビを見ている国民は、何か道路族がいると特別にゼロになって、そうじゃないところはゼロにならない、こういうふうに受けとめるわけであります。

 しかし、この新直轄の地元負担については、起債の後、たしか交付税で措置をする、その交付税の措置のやり方を、昨年、年度途中に、いろいろな声があったものですから、ルールを変えたわけであります。私も当時政務官でその判こを押した方ではございますけれども。

 したがって、何を言いたいのかというと、きちっと国民に説明するときに、あたかも何か道路族がいるところだけさじかげんで手厚くやっていて、そうじゃないところはそうじゃないような印象を与える質問については、今後そういう機会があろうと思いますから、きちっとルールどおりやっているんだと、ほかにも地方の皆さんもいるから、そういうことをきちっとさらに詳しく御答弁をいただきますように要望いたしておきたいと存じます。

 さて、いろいろ用意をしたのでありますが、残念ながら余り時間がないようでありますので、逐次御報告申し上げます。

 まず、また昨日の予算委員会の質問において、地方財政計画が自治体を縛っているとの趣旨の発言が野党の幹部からありました。この方は、私も立派な論客の方だなと思って日ごろから尊敬をしていたわけでありますが、この方の地方財政計画が自治体を縛っているというのは誤解があるんじゃないか、このように考えております。

 地方交付税の総額を決める際にも、地方財政計画が決まらなければ何とも言えないわけでありますから、地方自治体にとってはガイドラインの役割を果たしているわけであります。今、法案の趣旨に沿った質問でございますから、きちっと、地方財政計画の目的、性格、地方自治体を縛っているのかどうか、これらについて御説明をいただきたいと存じます。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、冒頭の御指摘はよく承りました。御案内のとおり、きちんとしたルールで交付税を配分しているわけでございますので、和歌山県のみならず、他の団体もそういう措置をとっている、こういうことでございまして、突然の質問でございまして事実関係がちょっと詳しくわかりませんでしたので、ああいうふうにお答え申し上げておきました。

 それから、今の御質問の地方財政計画でございますが、これは、御案内のとおり、翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込みなんですが、これを国会に御提出するというものでございますけれども、これは意味が三つございます。

 地方財源を保障するということで、あれは標準的な団体の歳入歳出をそこに計上していますが、そういうことで地方財源を保障するという大変大事な機能。

 それから、地方財政というのは大変規模が大きいので、国家財政それから国民経済と整合性を図る必要がありますので、そういうために、こうした計画をいろいろな観点からつくる。

 それから三点目、ここがまさに御質問と関係してくるのかもしれませんが、団体の毎年度の財政運営の指針をお示ししていまして、それを目標として見ながら各団体もいろいろとみずからの予算をつくるという意味でございますので、これは、今お話ございましたような、それぞれの自治体を縛るということではなくて、むしろ、そういう自治体がそれぞれのきちんとした財政の見積もりをして、それで地域の住民の皆さん方に御説明する上で大事な指標となるということだろうと思います。

 ここの点はぜひ誤解のないようにしていただいて、こういった地方財政計画に基づいて、それぞれの地方団体の健全財政運営に向かって進んでいけるんだ、こういうことでございます。

土屋(正)委員 次に、財政見通しが狂ったことによって歳入欠陥になり、今回の補正予算並びにこの法律改正になったわけでありますけれども、この点についてお尋ねしたいわけであります。

 税収の見通しというのは、予算編成の段階では非常に難しいものがありますね。私も、多少長く地方自治体の長をやりましたけれども、固定資産税や個人住民税の場合には、これは過年度課税であったり評価が確定していますから、これは積算の結果として税収の見通しというのはぴしゃりと出てくるわけであります。そんなに違いがないわけであります。ところが、現年課税であります法人住民税に関して言えば、これは、予算編成する前年の秋と、それから実際に入ってからの見通しが大きく狂う場合があるわけであります。

 その乖離に、時には非常に苦労することがあり、財源調整の財源を使って、それで補正をしたりしているわけでありますが、国の場合にはどのようなやり方で税収見通しを立てているのか。そして、その税収見通しは、実質的には一年後とか一年半後にその実態との乖離が出てくるわけでありますが、福田総理も答弁しておりましたが、見通しと、それから結果としての年度末近い段階での現計予算がぴったりと合うというようなことは過去にあったのかどうか、あるいは今までのはどうなのかについてお尋ねをいたしたいと存じます。

増田国務大臣 まず、この税収見積もりは、当然、国税の場合と地方税の場合と、それぞれございますが、直接私どもが携わっております地方税の場合について例えば申し上げますと、地方財政計画で今回も地方法人二税の税収について盛り込んでいるわけでございますが、直近の課税実績というものを基礎に、一方で、国の法人税収の状況というのは、国は国でもちろんそれを見込むわけでございます。それは、政府で出しております「進路と戦略」など、さまざまな経済指標を用いまして今後の経済動向というものを厳密に予想するということでございまして、そういうデータを駆使して見積もり作業をする。

 したがいまして、毎年こうした地方財政計画を十二月に策定する際に、十二月の時点で利用し得る直近の課税関係データというものをもとにして、でき得る限り正確な見積もりが得られるように努力をしてございます。

 ただ、これは当然、結果として数値がぴたっと合うことが望ましいわけでございまして、これを私どももいつもいつも努力してきたわけでございますが、今、結果としてどうなったのかというお話がございましたのですけれども、やはり経済状況が随分変化が、今、短期間にいろいろ状況が変わるということもあるんだろうと思いますが、過去十年さかのぼって、計画額と決算額の乖離状況について見ましたところ、見込みを下回った年度というのが六回、それから見込みを上回った年度というのが四回ございまして、残念ながら、ぴたっと合ったという年はございませんでした。

 ずっと見込みが下回っていたばかりかと言われればそうでもございませんし、上回っていた、余計に見積もっていたのかといえばそうでもございません。やはり、厳密に、適正に見積もるということで常々努力をしてございましたのですが、結果としてはこういう状況でございます。

 こういったこと、もちろん正確に見積もらなければいけないということを踏まえつつ、経済情勢というものの変化ということ、これが最近は大変大きゅうございますので、むしろ、決算額との間にある程度乖離が生ずるということは、やむを得ないと言うとおしかりをいただくかもしれませんけれども、そういったことがあるんだ、今までの過去の例からもそうでございますので、それを前提に、やはりどのようにそれを修正するのかということを考えることが肝要かということでございます。

 ぜひ御理解を賜りたいと思います。

土屋(正)委員 今の御説明で昨日の福田総理の御説明と平仄が合っているわけでありまして、これは了といたしたいと思いますが、確かに、一年半前ぐらいに見通すわけでありますから、サブプライムローンにおけるああいう債権焦げつきの状況のようなものは見通せないわけでありますからやむを得ないと思いつつ、しかしなおかつ、さらに一層努力をしながら精査していただきまして、年度途中のこのような補正が極力少なくなるように要望して、持ち時間を残しつつということで、質問を終わりたいと思います。

渡辺委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。補正に関連をいたしまして、交付税法の改正案等、お尋ねを申し上げたいと思います。

 土屋先生、大変紳士的な御質問でいらっしゃいましたが、やはり国会議員として、持ち時間は存分に議論の場に費やしていただきたいな、党派は異なりますが、国会議員の一人として希望を申し上げたいと思います。

 大臣におかれましては、大変長時間の予算委員会の審議の後でございまして、お疲れのことと思います。また、私自身、かつてこの地方税財政の場で勤務の機会をいただいたということもございまして、諸先輩方を前に率直なお尋ねをさせていただく機会をいただきましたこと、本当に大変ありがたいことだと思っております。

 中身に入る前に何点か、大臣の御所感で結構です、お尋ねを申し上げたいと思います。

 まず、けさの新聞ですか、昨日、総務事務次官が私ども民主党の藤井税制調査会長に、会見の内容について、御説明をされたのか釈明をされたのか謝罪をされたのか定かではありませんが、そういった一連の経過がございました。

 大臣、この件に関して御承知おきか否か、あるいはどういった感想をお持ちであるか、冒頭少しお伺いいたします。

増田国務大臣 私どもの次官が、記者会見だったと思いますが、そこで発言した内容を民主党の藤井議員がテレビなどで引用されて、いろいろと内容について批判をされた、こういうことがあったようでございまして、私はそのテレビ番組自体は見ておりませんでしたけれども、そういう話がございまして、次官の方からも、むしろ次官の方から私の方に、藤井議員のところに行って説明をしてくる、こういう話できのう行ったというふうに聞いております。

 今、釈明云々等のお話がございましたけれども、次官の考えているところを率直に藤井議員の方にお話をしてきて、議員の方で御了解されたのかどうかということはありましたけれども、行ってこういう話をしてきた、藤井議員からこういう話があった、そんなことを、きのう戻りまして私も報告を受けたところでございます。

小川(淳)委員 少し突っ込んで御見解をいただきたいと思うんですが、私自身、かつて自治省で勤めさせていただきました。そして、イギリス・ロンドンで勤務の機会をいただきました。そのときにイギリスの政治、英国の政治文化を間近で見たことが、今こうして自分自身が政治にかかわろうとしていることの大きな原動力の一つでありますが、その際に非常に印象的だったのは、役所の担当者の方、これは局長さんあるいは事務次官含めての方が表立って公式の会見をする、あるいは見解を述べるということはまずありません。閣僚であったり、あるいは各所掌分野を担当する担当大臣という政治家、責任をとれる人が表明するのが通例であります。

 大臣としても、これは恐らく部下の方が大臣に成りかわっていろいろなことを御説明されるという機会だと思いますが、この際、役所の担当の方が公に会見をするということに関して、むしろ控えられたらいかがかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

増田国務大臣 今イギリスのことなども、向こうで勤務された御経験も含めてお話がございました。御案内のとおりイギリスは、公務員と政治家との接触について、独自のルールといいましょうか、これは今までの長い歴史の中で積み上げられてきた、ああいうルールだと思いますが、何しろクエスチョンタイムなどをつくり出したところでございますので、やはり独特のルールがあると。同じ議院内閣制ではございますけれども、公務員制度を含めいろいろと、成り立ちですとか現在のルールは我が国と大分違うところもあると思います。ですから、一概にそれがいい悪いということよりも、むしろ、例の公務員制度改革の中でもそのあたりについては今後いろいろ議論があるようでございますが、そんな議論も見る必要があると思います。

 ただ、我が国の場合には、そういうこともあって、私も、きちんと大臣が責任を果たす、これは大事だと思いますので、私も最低でも週二回はきちんと記者会見し、それ以外にぶら下がりなどはもう常に応じております。次官については控えたらどうかということでございますが、それは恐らくマスコミの皆さん方も情報遮断がされて望まないんではないか、そういうことをすれば、むしろそういった役所の情報を得るということにおいて懸念を示されるんではないか。

 きちんと責任を持った形で、省として一体性を持っていろいろ物事を言っていく必要があると思いますけれども、そういう中で、これも長い我が国のルールの中で、次官が次官会議後にマスコミの皆様方にいろいろとお話をするというルールもございますので、やはりそういうルールなども尊重しつつ、これから適切な運用をしていくということが大事ではないかというふうに思います。

小川(淳)委員 現時点の御所感は御所感として受けとめたいと思います。

 しかし、本質的な問題意識としては、やはり責任をとれる政治家が責任を持って公に発信をしていく。もちろん、事務次官を初め役所の最も詳しい専門の方々ですので、今大臣がおっしゃった、記者の方々を相手に非公式にブリーフィングをする、あるいは非公式に事務的な御説明をする、これは大いにあって結構だと思います。しかし、公に責任が生じかねない説明をするというのは、できるだけこれは責任をとれる人がやっていくという問題意識、提示をさせていただきたいと思います。

 次に、大臣、御存じでしたらお答えをいただきたいと思いますが、この後、いわゆるつなぎ法案というのは出てくるんですか。

増田国務大臣 内容等全く私はわかりません。

小川(淳)委員 地方税法に関連した部分が極めて出てくる話だと思いますが、大臣あるいは総務省に対して、この点、全く何の説明も事前の調整もないという前提で受け取ってよろしいですか。

増田国務大臣 きょうは実はこのこともいろいろ、先ほどの予算委員会などでも話題になっておりましたけれども、私どもはその内容を存じ上げておりませんし、やはり今出している法案、これは我々が出している閣法でございますが、これを真摯に御議論いただいて、ぜひ年度内に御成立をしていただきたい、こういうことでございます。

小川(淳)委員 お出しをいただいた閣法を真摯に議論をしたいからこそこういう形で、報道されている限りでありますが、つなぎ法案、衆議院の審議、また特に参議院での審議を、実質手足を縛って一つしか出口がなくなるというような方向へ追い込むこのつなぎ法案については、大臣、地方税制の責任者として懸念をぜひ表明していただきたいと思いますし、これだけ話題になっているつなぎ法案ですから、大臣、世の中では奇策とかなんとか言われています、過去これまでこういう異例の措置がとられたことが歴史的にあったのかどうか、あるいはどういうケースだったのか、大臣、御存じですか、御存じでないか、それだけお答えください。

増田国務大臣 内容等も知りませんので、過去にどうあったかといっても、ちょっと私にはわかりかねるというのが正直なところでございます。

小川(淳)委員 大臣、大変残念です。地方税制の責任者であり、今提出された閣法の責任者であり、そして今最大の注目を集めて議論されているこのつなぎ法案、これが一体どういう性格のものなのか、過去にこんなものがあったのかどうか、私は、それはぜひ大臣として御存じいただいて、あるいは勉強された上でここへお越しをいただくというのを期待しておりましただけに、大変残念です。

 参考までに申し上げます。過去四回、つなぎ法案というのが特別に、異例の措置としてとられたようであります。

 さかのぼりますこと半世紀余り、一九五三年、つなぎ法案の提出時期は三月十八日だそうです。この四日前、衆議院が解散しております。二年間下りまして一九五五年、つなぎ法案の提出時期は三月二十四日、さかのぼりますこと二カ月、一月の二十四日に衆議院が解散されております。一九六七年、同じくつなぎ法案の提出はやはり三月の十六日、その前年、十二月二十七日に衆議院が解散されております。一九七〇年の二月十九日、つなぎ法案の提出、やはり前年の十二月二日に衆議院が解散。以上の四例だそうであります。

 つまり、つなぎ法案で、異例の、議論を封殺する形で、今回に限って言えばですよ、数カ月とはいえ税率を維持するがためだけに提出したということは、これは衆議院の解散に伴うものばかりです。

 与党の皆さん、ここにおられますので声は届くことと思いますが、現在、衆議院で確かに三分の二の勢力を誇っておられる、郵政解散に伴って。しかし、その力をもってして、それを前提に、つなぎ法案という形で臨時異例の措置を講じてまで、今国論だって二分しているわけです、私たちだってこれからまじめに議論したい、一生懸命これから議論しようとしている、その出口をふさぐ形で、まず結論ありきという形で……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に願います。

小川(淳)委員 こんなことを検討する。しかも、総務大臣の耳にも総務省にも全く入れていない。おかしいじゃないですか、これは。

 直接与党の皆さんに申し上げているわけではありませんが、ぜひ大臣には、この経過、あるいは一体これがどれほど異例の措置だったのかということの重み、事の重みをしっかり踏まえた議論なり御答弁をお願いしたいと思います。

 最後にお尋ねします。

 大臣、今申し上げたとおりです。過去四度、いずれもその数日から数カ月前に衆議院を解散し、国民の信を問うていた期間中あるいはその直後でありました。だからこそ、こういう異例の形でつなぎ法案という形態をとった。

 衆議院の解散権は内閣にあります。大臣は内閣の構成員の一人であります。今回、つなぎ法案という形であえて世にその正当性を問うのであれば、その前に衆議院を解散して、そこに対して国民が三分の二の力を与えるのかどうか、私は信を問うべきだと思いますが、大臣、感想をいただきたいと思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

増田国務大臣 私ども内閣で法案を出したわけですけれども、年度内成立をお願いする立場でありますけれども、一方で、法案を成立するに向けて、後の対応というのは与党の幹事長の方にお任せをしているわけでございます。そうした方で、先ほど予算委員会でもいろいろ質疑を聞いておりましたが、与野党でお話し合いが今継続して続けられているというようなことでございましたけれども、やはり私としては、きちんとこの内閣の法律を成立させるために努力する、そのことに尽きると思います。

 それから、あと、解散の話もございました。これはまさに総理の大権でございましょうから、私が申し上げる筋合いのものではないということでございまして、いずれにしても、私としては、この地方の問題について、今私どもがお出しをしている法律について、成立に向けて全力を尽くしたい、このように考えます。

小川(淳)委員 大変じくじたる思いがございますが、模範的な御答弁をいただきましたので、この件についてはひとまずおきたいと思いますが、改めて与党の皆さんには、現在お持ちの力に対しては極めて謙虚であっていただきたい、そのことをお耳に届けておきたいと思います。

 本予算について、審議にまだ入っていないわけでありますが、先ほど申し上げましたつなぎ法案等を含めて今最大の焦点であります道路財源、道路特定財源について、大臣のお考えを一点だけ、極めて本質的な点だけ、地方財政とのかかわりにおいて大臣の御見識をいただきたいと思います。

 私たち民主党は、地方財源の確保あるいは地方の財政の安定的な運営に対しては極めて高い関心を持っております。だからこそ、つい先ほど、補正予算案については、政府の無策あるいは朝令暮改、これを理由に反対を表明いたしました。しかし、ここ総務委員会では、この関連法案について真摯に議論をしたい、願わくば地方自治体が困らない形で対応をしたい、そう思って、今、歯を食いしばって総務委員会に出てきているわけであります。

 その地方財源の確保、安定的な地方財政の運営に関しては極めて高い関心を持った民主党の一員としてお伺いをいたしますが、現在、この道路財源、特定財源の議論、さまざまな議論が行われております、地方の財政に穴をあけるな等々ですね。

 少し前置きが長くなりました。大臣、お尋ねいたします。今、地方自治体は財源の確保を求めているのか、財源を確保せよと言っているのか、道路財源を確保せよと言っているのか、その点、大臣の御見識をお聞かせください。

増田国務大臣 そのことは両者密接不可分でございます。

 自治体といっても、もちろん全国多くの自治体がありますけれども、それぞれ軽重の差といいましょうか、重きの置き方は違うかもしれません。きのう、冬柴国土交通大臣も話していましたが、全部の自治体からいろいろな意見が来ている、こういう話もしておりました。

 したがって、私も地方におりまして、まだまだ高速道路、高規格道路でも途中で切れたりしておりますので、やはり道路の整備のニーズは大変強いだろう、そういった道路整備のニーズが強いところは、当然のことながら財源が確保されないとそうしたものが実現できませんので、そうした道路財源の確保ということを強く望んでいるんだろう、そういったことが今の各自治体の声として届いているんだろうというふうに思います。

 ここで、よく御案内だと思いますけれども、お考えいただきたいのは、地方の場合には道路財源が極めて不十分でございまして、一般財源からもそれを充当している、それから地方債もわざわざ起こしているといったような実態があるということからいいますと、国と地方とそれぞれ問題を抱えていると思いますけれども、オーバーフローの問題も全くありませんし、とにかく、地方の団体はやはり財源のことを大変心配している、それから、地域の活性化のためにも道路整備にも大変強い関心を持ってそのことを訴えているんだろう、こういうことでございます。

小川(淳)委員 ちょっといろいろおっしゃったので、確認させてください。

 財源の確保、そこはもう私どもも全く共通の思いです。財源の確保なのか、道路財源の確保なのか、もう一回、はっきりお願いします。

増田国務大臣 今お話しになった違いが、私、ちょっとよくわからなかったんですけれども、道路について、道路財源の確保を望んでいるがゆえに、今、この暫定税率についていろいろと御心配をしているということじゃないでしょうか。

小川(淳)委員 大臣、今、密接不可分だというお答えを最初のお答えの中でいただきましたが、まさに今、法律上、道路財源と一般財源とは密接もしていませんし可分なんですよね。法律で明らかに別の財源だとされているわけです。そのことを前提に、もう一回お答えください。

 道路財源。もし今のようなお答えだったら、論理的にもお聞きをしたいんですが、私たちは財源の総額確保には全力を挙げたいと思いますよ、思いますが、これを道路に特定している今の制度が果たして本当に地方のためなのか。それは、国交省の道路局にはいろいろ言われているでしょう。そういうことはあろうかと思いますが、財源の確保であれば、それは自治体が道路に本当に使いたければ使えるわけでしょう、一般財源であれば。

 そのことをなぜ大臣は否定をされ、道路財源でなければならないとお考えなんですか。一般財源で、それを道路に柔軟に使える制度にすればそれで済むわけですね。地方財政を所管しておられる総務大臣のお立場としては、そこをもう一回確認させてください。

増田国務大臣 一般財源か特定財源か、あるいは特定といわずに道路でも結構ですが、一般財源か道路財源かということ、これは、地方財政の中で道路財源はうんと余っているとかいうような、オーバーフローしているということがあれば意味のある議論かもしれませんが、いずれにしても、今、御案内のとおり、道路財源が二〇%なんですよね。ですから、そこを一般化して、今おっしゃったように、福祉どうのこうのというよりも、そこも道路に充てるけれども、それ以外もいっぱい道路に充てているわけですね。

 ですから、むしろ今大事なことは、税率が下がってそこの財源の確保が危うくなるかどうかということを皆さん心配しているんですが、それと今のおっしゃったこととはやはり違うのではないか。地方の場合にはやはり財源の充実ということが一番大事ではないかと。そうでないと、償還財源にもなかなか苦労している自治体の要請にもやはりこたえられないのではないかというふうに私は懸念をしております。

小川(淳)委員 理屈の上でやはり理解できません。総額の確保には私たちも同じ思いです。しかし、それをあらかじめ、道路に使え、道路だというふうに決めることに関しては、時代の変化とともに私たちは異を唱えたいわけであります。それが、あくまで自治体が自主的に道路に使う、各自治体によっては、道路が今喫緊の課題だというところは大いにそこに使えばいいわけでありまして、この柔軟性を奪う道路特定財源については、やはり本予算の中で改めてこれはしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 冒頭、幾つかのポイントをお伺いいたしましたが、ここからは極めて補正予算に引きつけてお尋ねを申し上げます。

 まず、今回の補正予算を組まなければならなくなりました原因からたどってまいりたいと思いますが、財務省にお越しをいただきました。今回予算を減額補正した理由、そして減額が生じたこと、冒頭、土屋先生の御質問にもございましたが、私はこれは一種の責任が生じると考えております。その責任という概念が生じるのか、生じるとしたら、その責任の所在はどこにあるのか、まず財務省にお伺いしたいと思います。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 十九年度の税収につきましては、一昨年末に十八年度の補正後予算額をもとに各種の経済指標あるいは税制改正による影響等を勘案いたしまして、五十三・五兆円と見積もったところでございますが、今回、補正予算の編成に当たりまして改めて見積もった結果、〇・九兆円の減額補正を行いまして、都合五十二・六兆円としたところでございます。

 これは、十九年度の当初予算を見積もった後、昨年七月に十八年度の税収の決算が出まして、これが補正後予算額を所得税で〇・五兆円、法人税で〇・九兆円下回ったことによりまして、合計で約一・四兆円の減、土台減が起きたわけでございます。

 こうした状況のもと、これまでの課税実績や足元の経済動向あるいは各種の経済指標等を踏まえまして、今回、先ほど申し上げましたような税収の減額補正をさせていただきました。

 税収見積もりにつきましては、直近の課税実績あるいは足元の経済動向、各種経済指標等、利用可能な客観的なデータを踏まえまして、適切な見積もりに努めているところでございます。しかしながら、当該年度の実際の税収になりますと、その後の経済動向に直接影響されますので、当初の見積もりと決算額との間で結果的に異同を生ずるということがあることは事実でございます。

 私どもといたしましては、引き続き適切な税収見積もりに努めてまいりたいと思っております。

小川(淳)委員 責任は生じるのか否かをお聞きしています。責任は生じないのか生じるのか、そして、その所在はどこにあるのか、お答えください。

川北政府参考人 今御説明させていただきましたように、見積もりに当たりましては、直近の課税実績ですとか経済動向、各種経済指標あるいは政府の経済見通し等々、そのとき使えるデータを踏まえまして、適切な見積もりに努めております。ただ、見積もりでございますので、その後、決算が出ましたときに、結果的に異同を生ずるというのは、性格的にはそういう見積もりと決算の差があるというものでございます。

 こうした中で、繰り返しになりますが、私どもといたしましては、その都度その都度、データを踏まえまして、適切な税収見積もりに努めていきたいというところでございます。

小川(淳)委員 これだけ日本は国も地方も借金財政なわけです。今非常に健全な財政運営がなされている状態であれば、さまざまな御説明はそれなりに説得力を持ちます。しかし、ベースがこの借金財政ですから、あらゆることに対して、財政当局あるいは地方財政当局も含めてです、いろいろな、一見客観的に見える説明に責任意識なり規範意識が欠けているのではないかという前提に立ってこれは議論をしていきませんと、今、国家財政にせよ地方財政にせよ、心配しておられる国民、また我々政治家、これに責任を負っている政治家としては不十分な議論だと思います。

 その前提に立ってお答えをいただきたいと思いますが、今、土屋先生の議論の中で、総務大臣、いみじくもお答えになりました。確かに、過去十年さかのぼると、当たったときはない、それより上回ったときもあれば下回ったときもあります。それは、そのとおりです。

 ちなみに申し上げます。二十年さかのぼりますと、平成に入ってから、平成元年以降、決算との比較でありますが、国税が増額になった回数が十回ですか、減額が九回です。地方税もほぼ似たような状況です、地財計画ベースで。当初の見積もりからふえた年もありますし、減った年もある。

 ここで一つはっきりさせたいんですが、いわば、ほぼ一勝一敗なわけですね、割合からいうと。ふえたときもあるし減ったときもある、その割合はほぼ同じということです。一勝一敗です。大臣、ちょっと御見識をお伺いしたいんですが、これは一勝一敗なら、これでいいですか。当たらないのはそうだとして、一勝一敗なら、これはそんなものだなという御感想ですか。

増田国務大臣 こういう税収見積もり、まさに経済の先行きの見通しをするようなものでありますので、一勝一敗とかマル・バツでとらえるよりも、でき得る限り正確に予測しつつ、やはり、外れというか乖離は必ず出てくるわけですよね。これは、だれがやっても恐らくそこは出てくるであろうし、政権がかわってもやはりそこは必ず乖離は出てくるんだろう。

 ですから、それに対してより適切な時点時点での対応方策ですね。今話がございましたとおり、二十年の間でずれがどうしても出てくるときに、それぞれの事情、財政状況等も勘案してずれを修正する、それから一方で、地方財政の状況を見ながら措置を講じているわけですが、そのあたりをきちんと責任を持って措置を講ずるということが大事ではないかというふうに思うわけでございます。

小川(淳)委員 まさに、その責任の果たし方なんですが、私が申し上げたいのはこういうことです。それは当たらないでしょう、こんなものは、当初見込みどおりは。しかし、私が申し上げたいのは、当たらなくていいんですよ、当たらなくていいんですが、同じ外れるなら、今回も減額補正ですが、後でふえて困る人はいないんですよね、ふえて困る人はいないんですから、むしろ、かた目に見積もるという価値基準。

 冒頭申し上げました。これだけ借金財政の中ですよ。これだけ借金財政の中ですから、一勝一敗だからいいとか、マル・バツじゃない、それはそのとおりでしょう。しかし、同じ外れるんなら増額補正の方がいいわな、予算より決算の方が多い方がいいわな、そのつもりで国の財政当局、地方財政当局は見積もっていく責任があるわな、私はそう思いますが、大臣いかがですか。

増田国務大臣 これは、やはりあくまでも適切に見積もる。かた目とかそういうことではなくて、やはり適切に当たりをちゃんと追求する。そして、乖離がどちらかに生じた場合には、それぞれまたそれをきちんと直視して対応をとる、こういうことじゃないかと思います。

小川(淳)委員 繰り返し申し上げますが、健全財政やっているときならそれで百点満点ですよ。しかし、国民の皆さんから見て、先生方もそうだと思いますよ、地元でいろいろな声をお聞きする中に、必ずこの借金財政というのは出てきます。これを解決するつもりがあるのかと。私は、そのつもりがなくなったときは政治家なんてやっていませんと言っていますけれども。何とかしたいわけですよ、これを。そのためにはやはりしっかりかた目に見積もって、本当にすさまじい責任感でやっていますという姿勢を見せてほしいわけです、国民の側からすれば。

 財務省は今、増田大臣の答弁をお聞きいただきました、適正に適正に。私はかた目かた目と主張している。かた目かた目と申し上げている。財務省はいかがですか、この点。

川北政府参考人 私どもは、足元で得られております課税実績をもとに、経済指標ですとか政府の経済見通しと整合性がとれる形で適切に見積もっているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小川(淳)委員 いや、よろしくお願いされにここに来ているわけではないわけでして、説明を求めているわけです。適切にやっておられるという今御答弁でありました。そうしたら、それを少し論証してください。

 繰り返し申し上げます。私は、かた目に見積もっていたなら何も言いません、この場で。甘いんじゃないかということを問題意識を持ってお尋ねしていますので、少しその前提で御答弁いただきたいと思いますが、財務省にお尋ねします。

 今、委員長のお許しをいただきまして資料として配付をさせていただきました、税制改正の要綱、平成十九年度版であります。前々国会ですか、百六十六回国会に財務省主税局の名前で提出をされています。この点、客観的とか適正とかいう抽象的な言葉が並んでいますので、少し検証させてください。

 まず、資料の二ページ。あえてポイント部分に下線を私の手で引かせていただきました。所得税についてお尋ねいたしますが、(一)「給与所得については、雇用の動向等を勘案し、税額が前年度に対し三%程度増加するものとして算定した。」この数字的な根拠、財務省、お教えください。

川北政府参考人 十八年度の実績見込みを十一兆七百五十七億円と見まして、そこに政府経済見通しによります雇用者報酬の伸び率二・八%を乗じまして、改正増減収等の影響を加味いたしまして三%と見ております。

小川(淳)委員 雇用者報酬の伸びは今二・八とおっしゃいましたか。資料の三ページ。私が間違っていたら教えてください。主要経済指標の見通しもこれは丁寧に添付されておりますが、この二・六と、今おっしゃった数字は違うんですか。

川北政府参考人 申しわけございません。二・六でございました。

小川(淳)委員 再び財務省の御見解をいただきたいんですが、私はかた目と申し上げているつもりですから、これをもし二・五とか二で計算していれば、この場では何も言っていませんでした。なぜ二・六を三にしたんですか。

 委員長、余り時間かかるようでしたら、速記をおとめいただきたいと思います。

渡辺委員長 どうですか、川北審議官。答弁を迅速に。

川北政府参考人 政府経済見通しの二・六%を基礎にいたしまして所得税の税収として判断したものでございまして、二・六を三に切り上げたとかそういう趣旨ではございません。

小川(淳)委員 いや、理由を聞いているんです。二・六が三になった根拠。適正、客観的、中立と延々おっしゃっている、その計算式を教えてくださいと言っているんです。

川北政府参考人 二・六%を乗じたものでございます。

小川(淳)委員 そうしますと、これは何ですか、この税収見積もりの中に三%と見込んだというのと今の御説明とは食い違うんですか。整合しているんですか。

 委員長、余りお時間かかるようでしたら速記をおとめください。

渡辺委員長 では、時間とめてください。速記とめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 川北審議官。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御指摘になりました資料、私どもの提出した資料でございますけれども、計算上二・六で税収計算いたしておりますが、ここでの資料の上で三%程度ということで御説明させていただいております。

小川(淳)委員 それはそういうことでいいんですか。計算上は二・六を掛けているということ、数字の上からは。ここは丸めて三と書いているということですか。そういうことなら、ややこしいですから、それは正確に書いた方がいいんじゃないですか、翌年度から。

 もう一つお聞きします。今の所得税、ついでに、もっと開きがある、今回の主要な原因になっています法人税、これはどういう試算ですか。

 いや、私はいいんですよ、これはえいやでやりましたなら、それでいいんです、そう言ってくれれば。だから、それはかた目に見積もるべきでしょう、そのとおりですねという議論ならそれでいいわけですよ。それならそれでお答えください。

 法人税、これはどういうことですか。今の資料に戻ります。二ページ、(三)ですね、傍線部、「生産、物価、消費の動向等を勘案し、法人の年税額は、前年度に対し六%程度増加する」。六%。これは六なんですか、五・幾つなんですか、お答えください。

川北政府参考人 お答えいたします。

 法人税収の見積もり方法につきましては、政府経済見通しにおけますそれぞれの指標をもとに、法人の決算期別の伸び率を算出いたしまして、最終的に合計したものを御提出しております。

 数字は、先ほど申し上げましたとおり、程度ということで、四捨五入してお示ししております。

小川(淳)委員 決算期で入り繰りがあるという議論は、それはあり得るんでしょう。しかし、これは数字がえらく乖離があるように私には見えるんですけれども、間違っていたら正してください。

 六%伸ばしているわけでしょう、六%。この中の、いいですか、「生産、物価、消費の動向等」とありますね。これは、「生産、物価、消費の動向等」、資料をおめくりいただいて、三ページですが、民間最終消費支出は一・六%ですよ。消費者物価は、一番下、〇・五。国内企業物価〇・七。そしてもう一つ、詳細の方に説明がありますね、鉱工業生産二・一。

 一・六、二・一、〇・七、〇・五をどう合成すると六%、一〇六になるんですか。

渡辺委員長 速やかに答弁願います。

川北政府参考人 先ほど申し上げましたように、大法人につきましては、決算期ごとに十八年度の年税額を試算いたしまして、それに対して指標を合算したものを計算いたします。加えまして、繰越欠損金を解消いたしました法人につきましてはその部分を試算して加えまして、都合お示ししたような数字としたと思います。

小川(淳)委員 最初の話に戻るんですが、これは本当に、こういう時代ですから、かた目の見積もりをやはり財政当局としては当然やるべきだと私は思いますし、減額補正なんという事態はやはり避けるべきですよ。そして、説明も、だれもこんなもの見ないんでしょうね、今まで、こんな細かいもの。これはやはり見ないとだめですよね、我々国会議員も。こういう時代ですから、しっかり説明責任を果たしたような記載にする必要があるでしょうし、そのことをちょっと強く指摘をしたいと思います。

 繰り返しになりますが、適正適正、中立中立と言うのはいいんですけれども、私、〇・一でも割り落として計算していたら何も言いませんよ、本当に。そういう姿勢でぜひ臨んでいかないと、これは国民的な理解は得られません、国も地方もこれだけ借金財政をやっているんですから。

 その前提で、今度は地方財政についてお尋ねを続けます。

 今回の改正案、大きく三点ございますが、まず一点目、地方交付税の総額の確保。

 これは確かに大事でしょう。しかし、今ごらんいただいたように、減額補正が二年に一回あるわけですよね、まあ、決算との乖離もありますが。減額補正そのものは十四年以来ですか。

 これを考えますと、年内早い時期に、十一月ですか、最後に概算交付してしまうという制度そのものからこれは見直ししていくべきではありませんか、将来的に。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 お答えいたします。

 今、地方交付税の交付の時期といいますのは、御案内のとおり、これは法律で決められているわけです。四、六、九、十一と四回に分けて配るということですが、これは長い間のこういう地方財政の状況、すなわち資金需要ですね、資金がどこに一番需要が出てくるかといったようなことも含めて、それでこういう配分をしているわけですね。特に年末、年度末じゃなくて年末ですけれども、そのあたりで非常に大きな資金のカーブが上昇してきますので、そういったことも踏まえてこうした配り方をしてきたという長い歴史があるんだろうと思います。各公共団体の方でも、そうした中で予算編成をしたり、それからあといろいろ資金需要等の多様なやりくり等もやってきたということが実情でございます。

 むしろ私は、交付の時期というよりも、今少し説明がおぼつかないような感じがしたんですが、そこの見積もりをきちんとする、そしてきちんとした計画をする、それを公共団体も見て、いろいろみずからの予算をつくっていくということが必要じゃないかなというふうに考えております。

小川(淳)委員 この二千九百九十二億円、財源はどうされますか。

久保政府参考人 平成十九年度当初の地方財政対策、一年前になりますけれども、その時点におきまして繰り延べることといたしました法定加算分というのが六千二百五十一億円ございまして、これは地方交付税法附則第四条の二第二項、そして第三項におきまして、平成十九年度の交付税総額に加算することと本来されていたものでございます。それを後年度に繰り延べたということでございます。

 この中で、後年度に繰り延べました六千二百五十一億円のうち、このたび、歳入が不足した、交付税が不足した二千九百九十二億円をまたこちらに戻して埋めようというのが今回の改正案になってございます。

小川(淳)委員 後年度の財源を繰り入れるだけの余裕は後年度にはあるんですか。

久保政府参考人 我々、地方財政対策をやりますときに、例えば三位一体で所得税が減る、それに伴って交付税の原資が減るといったときに、その激変緩和といいますか、そういったことをどうしようかというのを議論して、そして何年後にそれを補てんしようといったことを決めて、そして法律で、その時期が来たときにまた、何年には幾ら加算をする、何年には幾ら加算をするといったことをその都度法律化してお願いをして決めているということでございます。

 このたびは、十九年度に本来法定加算されるべきものが六千二百億円ぐらいあって、昨年度の場合には、法定加算しなくても地方財政対策ができるという判断をして後年度に繰り延べたといったものでございまして、それをこのたびは本来の十九年度にもともと加算できたということがございますから、また改めて法改正を今お願いしているということでございます。

小川(淳)委員 これは、繰り延べていたものを引き戻す、そのときに財源があるかどうか今お尋ねしたわけです。

 関連して二番目、交付税特会の借入金の償還計画。これを今度は、ことしと来年返すのをやめて後年度に返しますと言っている。片や後年度からお金を持ってくる、片や現年あるいは翌年から後年度へ返済すべき借金を繰り延べていく、これはどういうことですか。どう説明するんですか、これは。

久保政府参考人 今、特別会計の借入金の償還の延期の話でございましたので、それについてお答えをいたします。

 御案内のように、十九年当初の時点で考えますと、地方税と交付税原資でございます国税、ともに好調な伸びがあったということでございまして、中期計画でございます「日本経済の進路と戦略」、これに参考の試算というのがございますけれども、その名目成長率も勘案して、当時新たな償還計画を策定したということでございましたが、その後の地方税、そして国税の伸びが鈍化をしております。

 それを考慮いたしますと、地方公共団体に配付をいたします出口ベースでの地方交付税総額の確保がなかなか容易でないということがございまして、私どもといたしましては、この出口ベースでの地方交付税総額の確保を優先しなきゃいけないと考えたわけでございます。

 そこで、まず今御審議をお願いいたしておりますが、平成十九年度の償還を平成二十五年度以降に繰り延べた上で、当該償還予定額、約六千億円でございますけれども、これを平成二十年度の交付税総額に加算をするということを今お願いいたしております。そしてまた、当初予算関連、今後御審議をいただくことになろうかと思いますが、これで平成二十年度と平成二十一年度の償還もそれぞれ平成二十六年度、平成二十七年度以降に繰り延べるということにいたしております。

 そして、繰り返しになりますけれども、平成二十年度の地方交付税総額を確保したいということでございます。

小川(淳)委員 局長、お言葉ですが、これは、正確な答えはわからないという答えだと思いますよ。後年度にこんな財源があるかどうかわかりません、後年度、これを繰り延べて本当に返せるかどうかわかりません、これが正直な答弁だと思いますよ。先ほど来、翌年の収支でさえわかりませんと言っているわけですよ、当たりませんと。これはもう、皆さんよくよくおわかりだと思いますが、わからないことをあたかもわかるかのごとく、幻想を振りまいて借金を積み重ねてきた。これは地方財政当局として本当に大きな責任を感じていただかなければならないことです。

 これはもちろん、国につき合って景気対策もやってきた、やらされてきた、そういった事情もあるでしょう。しかし、そのときに、本来この議論をずっと避けてきたわけです。本当に必要な金なら、交付税の繰り入れ率を、法定率を繰り上げる議論をもっと早くにやるべきだった。なぜその真正面、正面突破の議論を真剣にやらずに、こういう形でツケを先送り先送りしてきたのか。少なくともこの点に関しては、地方財政当局は大きな責任を感じるべきだと思います。今や、もはやこの期に及んでは、地方財政計画をつくられたって本当にこのとおり交付税がもらえるのか、交付税で元利償還、措置をします、それで本当に金は来るのか、むしろ不信と不安のまなざしで自治体から見られているんじゃありませんか。

 この本質的な議論は、今回この補正関連、いろいろな要素が出てきますから、改めてその議論、諸先輩方を前にではありますが、きちんとさせていただきたいと思います。

 ぜひここで、せっかくお出ししている資料ですので、先生方にも御確認をいただきたいと思いますが、四ページは地方債残高の推移です。平成元年当時にはわずか五十兆だったものが、一時は百五十兆近くまでずっとふえ続けています。特会の借入金残高、あえて手書きでメモを入れさせていただきました。単年度ごとの地方負担分の増加の様子です。

 さらにおめくりいただきまして、五ページ。特会の借り入れをやめた、縮小したことに伴って、今度は地方に臨時財政対策債という形で、真ん中の欄です、年間二兆円から三兆円、借金が積み上がっています。

 そして、これはもう堂々めぐりの議論になるんですが、臨時財政対策債はやがて交付税に一〇〇%算入をされますという美名のもとに、不安定な財政状況を、さらに雪だるま式にふやしていくことになります。こういうことを一体いつまでこの国はやり続けるのか、我々一同が本当に心して考えなければならないことだと思います。

 最後の資料もあわせてごらんをいただきたいと思います。これはまさにつじつま合わせの資料です。

 積み上がった三十三兆円余りの交付税特会の借入金、十九年から三十八年まで、二十年かけて返済します。その返済額たるや、少ない年で五千億から六千億、多い年は三兆円、毎年返していきます。一体これを見て、はあ、なるほどと思う人が、自治体関係者、我々国民の間にいるでしょうか。まさに、こういうことをずっと先送ってこの惨状にあるわけです。

 あえて地方財政当局に申し上げますが、この交付税の需要額を大きく膨らませてきた最大の要因は、事業費補正、動態補正を交付税の算入措置に大幅に入れ始めたこと、ひいては元利償還、措置をし始めたこと。ここからです、大幅に需要額が膨らむ、需要額が膨らむから、足りない足りないと借金をする。

 大臣、ちょっと思い切ったことを申し上げますから、御所感を最後にいただいて、今回のこの関連法案に関する質疑を閉じたいと思いますが、私は、個人的な見解も含めて申し上げます。

 確かに平成元年、バブル崩壊以降、地方は大変な国の景気対策につき合わされてきました。これで積み上がった借金が恐らく地方債のうちの三分の二、少なくとも半分、事業費補正あるいは元利償還という形で積み上がってきました。

 私は、これは一たん国で引き取るべきだと思います。清算事業団方式、いろいろあろうかと思いますが、一たん国でそれは買い上げる、引き取る。そして、自治体の経営に息を吹き返させたら、以後交付税については動態補正はやらない。自治体の裁量、これはもうこんなことをやると財源の分捕り合戦になります、完全に外形標準で交付をする。そして、最後、地方債、今回の改正案とも関連しますが、地方債については、もう自治体は、古い言葉でいえば、禁治産者でも何でもありません。自由に借金を起こし、地方債を起こすことができる。

 こういう自立的な仕組みへと大きく転換をしていくべきだと私は考えますが、大臣、今の現実の制度を所管しておられる立場、余り思い切ったことは言えないでしょうが、御所感をいただきたいと思います。

増田国務大臣 地方の方の借金は随分積み上がったわけでございますが、これはやはり景気対策の影響が大きかったと思いますね。そういったことで、平成、特に四年ぐらいから十年ぐらいの影響が大変多かったんだろうと思います。借入金の残高も、足し合わせて、一時期二百兆を突破して、二百一兆だったでしょうかになったのを、やっと百九十九兆、それから百九十七兆と、ここ一、二年で減らす方向に持ってきた。

 例えば、交付税にしても何にしても、一番我々の、地方財政を安定化させるということからいえば、法定率をその都度、何年かで見積もって、それで足りないということであれば法定率を上げる、これが制度の本来の、当初の趣旨だったんだろうと思いますが、やはり常にこういったときに問題になるのは国の財政状況との関係でございまして、地方財政も大変規模が大きいものですから、そういった大きな制度改正を行うと、どうしても国の財政がどうかということと連動してくる、こういうことでございます。

 ですから、今お話がございました、議員から御提案がございましたような、そうしたもので積み上がった部分は国に全部引き取らせる、こういうことでございますが、そうすると、一体国の方の財源手当てをどうするのかということがございまして、そのために、それでは今の状況からいえば、消費税をどうにかするのかとか、いろいろな議論にもやはり波及してくる。

 今議員からお話ございましたとおり、やはり地方の財政をきちんと確立できれば、地方債の発行なども今後もっともっと自由化の方向に向かっていくべきであろうし、そのためにいろいろな制度も変えていくべきだろう。やっと許可制から協議制になりましたけれども、もっと自由化ということを真剣に考えていいと思っていますし、やはりこれからの地方財政のあり方、自己責任という部分をもっともっと各自治体も重く受けとめなければならないと思っていますが、一定の財政規律のもとで制度を変えていくという、新しい白いキャンパスに絵をかくわけではないので、今の中から痛みを最小限にしつつ、どう変えていくかということでございます。

 今御提案しているものがこの時点では知恵を振り絞ったものでございますし、財政健全化の方向、ごくわずかではございますが、ここ二、三年、借金の残高も減らす方向で歩みを始めてきておりますので、ここでやはりきちんとした方向を、特に内閣がかわって、今回いろいろ苦労しましたけれども、交付税の総額自体は、今までずっと削減しているものを地域の実情に合わせるべく増額もしてございますし、もちろんこれからいろいろ御議論をさせていただきますけれども、ぜひこのあたりについても御賢察の上、今回のこの補正の措置についてもお認めいただければ、このように考えております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 大臣、まさに今消費税率の話もおっしゃいました。もう本当に、今、地方財政に関して申し上げました、繰り入れ率を真っ正面から議論すべきだった、そして我々政治家はこれまで、消費税率も含めて、本当に必要な議論を避けて通るべきではなかった。我々政治家全体の責任も、本当に厳重に皆さんとともに自覚したいと思います。

 そして、最後に交付税。法案に対する大きく三つの対応、私ども民主党は、実務的な協議の中で大変思い悩みましたが、ひとまず財源確保、そして償還の繰り延べに関しては、自治体への影響を大変重大に受けとめておりますし、また、減収補てん債の発行についても、さらに長期、中長期安定化の措置を講じて、むしろ自治体の裁量をふやすべきだという観点からの議論を、実務的に与党の皆さんともさせていただいたところです。そしてあわせて、これら、今回の法案に対するさらに課題と思われる点については何らかの意思表明を国会としてした上で、この関連法案に対しては対応をさせていただきたい、その議論を積み重ねてまいりましたこともあわせて申し上げ、ひとまず質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。補正予算に関連する地方交付税法案、質問させていただきます。

 今回の内容で、国税五税の減額補正に伴う地方交付税の減額分について、国の一般会計からの加算によって補てんされる、そういう形になっておりますが、これは後年度に繰り延べをされた平成十九年度法定加算の一部を充当するものとなっております。

 そこでお尋ねしますが、交付税の総額に加算をされる、この既往の法定加算額自体は地方の財源だと思いますが、その点、確認をさせてください。

増田国務大臣 今回のこの一般会計加算ですが、これは加算ということで、借り入れではございません。後年度に繰り延べている部分を、これは国の一般会計から加算すべきということが法律上明記されているものを戻したということでございますので、言い方を変えれば、今お話ございました地方の財源と言えるのではないか、こういうふうに考えております。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

塩川委員 交付税の減額分の二千九百九十二億円が実質的に地方の財源で補てんされることになる。これは、本来、地方に配分される交付税総額は、総務、財務両大臣の地方財政対策を経て、地方財政計画で最終的に額が決定をされます。この地方財政計画を策定するのは内閣の責任であり、また、交付税の総額を見積もることも内閣の一員である総務大臣の権限とされておりますから、年度当初の交付税総額の確保は、国の責任によってなされなければならない。ところが、本法案は、交付税減額の実質的な補てんは地方の財源の、いわば交付税の先食いという形で行われており、私は国の責任は果たされていないものであるということを申し上げなければなりません。

 その上で、特別交付税について関連して質問をいたします。

 昨年の十二月二十五日に、政府は原油高騰・下請中小企業に関する緊急対策を取りまとめました。その中に、生活困窮者に対する灯油購入費等の助成を行う地方公共団体に対する特別交付税措置というのがあります。新聞でも、灯油の購入費の二分の一を国が補助するかのような、正確でない報道もあったと承知をしておりますけれども、それだけ注目されているということだと思います。

 せっかくですから、この特別交付税の措置について、寒冷地云々というのが頭書きであるんですけれども、寒冷地に限定されるものではないというふうに承知をしているんですが、その点、確認で一言。

久保政府参考人 御指摘のとおり、寒冷地に限定をしたようなことにはしておりません。

塩川委員 その点でも、地方自治体がそれぞれの取り組み、生活困窮者に対する灯油代の補助などを行う際に、それに対する特別交付税の措置を行うということであります。

 そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、普通交付税は交付税台帳があって、その算出根拠が自治体にわかるようになっておりますけれども、特別交付税の場合は、金額、数字だけが知らされるというふうに承知をしております。なぜこの額になったのか、交付される側の自治体にはわからない。交付税は自治体の共有、固有の財源であり、本来の所有者である地方公共団体に、少なくとも特別交付税の内容がわかるように改善するという措置をとる必要があるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 特別交付税ですけれども、これは、例えば今の時期ですとよく除雪などの経費ですね、通常よりも非常に多く雪が降った場合の、そういった除排雪の経費、それから、これからどうなるかわかりませんが、例えば今までも、鳥インフルエンザなどで特別な対応が迫られたときは特別交付税で対応するといった、突発的な需要というようなものについてお配りをするといった場合が多うございまして、なかなか普通交付税のような機械的な積み上げになじまない、こういったような事情があるというふうに理解をしております。

 その上で、しかし、お話があったように、その内容をできるだけわかりやすく各自治体ですとか皆様方にわかるように、算定式を明示するとかいったような努力は、これは一方できちんとやらなければいけないというふうに思っていまして、私も大臣に就任したときに、やはり今まで特別交付税が、受け取る側にいて非常にわかりにくかったので、ここをできるだけはっきりさせるようにということの指示も出しております。

 今まで省令に具体的にできるだけ書くなどの改善をやってきたというふうにそのとき説明を受けておりましたけれども、そのほか、いろいろな、公共団体への通知ということ、今余りはやりませんけれども、そういった、公共団体向けに文書を出しておりまして、その中で、こういう算式でやると大体この程度になるということはお示しをしてございます。

 これは、昨年も公共団体にわかりやすくお示しをしたという話を聞きましたが、今後、そうしたことがさらにできないか、そのあたりをよく検討していきたい、そして、この特交についても算定方式というものをでき得る限り明示していきたい、このように考えます。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 普通交付税、交付税の算定台帳というのは、コピーがありますけれども、具体的にどういう算定方式に基づいて行われるのかわかりやすくなっています。それと同じような形とまではいかないのかもしれないけれども、何らかの形で、金額だけではなくて、それぞれの地方公共団体にしっかり示すことをお考えということでよろしいですね。

増田国務大臣 これからどの程度のことができるか、今検討しているところでありますけれども、できるだけ透明性を高めるということで努力していきたいと思います。

塩川委員 そこで、その内訳を明らかにする上でも、この間、特別交付税で措置する経費の算定項目自体がかなりふえているというふうに承知をしております。

 そこで伺いますが、この算定経費の算定項目が幾つになっているのか、その推移を、九七年度と〇六年度について、都道府県及び市町村ごとの数字ということで明らかにしていただけますか。

久保政府参考人 お尋ねがございました特別交付税に関する省令、これで算定項目の数を定めておりますけれども、九七年度、平成九年度におきましては、都道府県分が百四十八項目、そして市町村分が二百二十八項目ございましたが、〇六年度、平成十八年度におきましては、都道府県分が百七十九項目、市町村分が二百七十項目となってございます。

塩川委員 今御答弁ありましたように、都道府県分が百四十八から百七十九というと、三十一項目ふえております。それから、市町村分が二百二十八項目から二百七十項目ということで、四十二項目ふえております。

 その上で、それぞれの、九七年度と〇六年度の特別交付税の総額はどうなっているでしょうか、お示しください。

久保政府参考人 九七年度、平成九年度でございますけれども、特別交付税総額、一兆二百八十億三千百万円でございました。〇六年度、平成十八年度、これは九千五百四十五億三千九百万円でございます。

 御案内のように、特別交付税は交付税総額の六%でございますので、地方交付税、この間ずっと下がってきておりますので、金額も、特別交付税も下がっているということでございます。

塩川委員 この十年間、算定項目はずっとふえ続ける。それぞれ、事情を勘案して項目そのものはつけ足していくわけですけれども、特別交付税の総額そのものは当然全体の六%に規定されますから、そういう金額でいえば、この十年間をとれば減るという形になっています。

 項目はふえても額の総額は減っているということになりますと、一項目当たりの措置が単純に言えば少なくなっているというようなことにもなるわけで、特別交付税で措置したといっても、本当に入っているのかなということを自治体当局の方は思わざるを得ないんじゃないでしょうか。

 例えば、今回の生活困窮者に対する灯油代の補助についての特別交付税の措置についても、実際、額として三月にもらった金額はわかるでしょうけれども、その中で、実際に灯油代補助相当のものが特別交付税でどの程度措置されたのかというのはなかなか見えてこないんじゃないでしょうか。

 ですから、本当に入っているのかどうかよくわからない、この問題についてはどのように自治体に対して示していくのか、その点についてお考えがあれば、ぜひお聞かせください。

増田国務大臣 特交で措置したと言っているけれども、自治体の方での受け取り方が違うというようなことだと思うんですが、これはどうしても総額と関連してくるんですよね。総額と関連してまいりまして、実は、そういった特交措置が仮に当該団体にとってとられなかったとすれば、本当はもっと下がっていたはずなんですが、きちんと措置をした、だけれども全体の総額が減っているので、それを実感として受け取るということがなかなかない。しかし、厳密に言いますと、本当はもっと減額をされていたものが、減額が少し緩和された、そういうことなのかもしれません。

 今お話がございましたとおり、全体の六%を配分しているということでございますが、この特別交付税というのは、本当に突発的な財政需要が生じたときの最後の重要な財源手当てということになりますので、この制度自体をよく、いろいろな算定項目をふやしていくというのは、これはできるだけきめ細かくいろいろなものをすくい取ろうということでわかるんですが、その上で、やはり全体の交付税の額を適正に確保していく、一般財源総額をきちんと確保していく。来年度、まさにそれに向けて一歩踏み出したわけでございますが、そういうことと同時に、この特交の項目ということも吟味をしていきたいというふうに思います。

塩川委員 冒頭で御答弁いただきましたけれども、特交で措置されたという額について、その金額がどうなったのかということについては、やはりきちんとした説明があってしかるべきですから、その説明責任を総務省としてきちっと果たすということが求められているわけです。その点で、やはりこの特別交付税の算定項目自体についても見直す必要があるんじゃないのか。

 これは古い数字で、関連する論文から拾ったものですけれども、一九八二年度の十二月分の特別交付税の算定対象項目数は、都道府県が三十項目で、市町村が三十九項目でした。それが、今では、十二月分だけとりますと、都道府県が九十一項目と三倍になり、市町村は百六十一項目と四倍にふえているわけです。ですから、算定項目自体はウナギ登りにふえてきているわけですね。

 ですから、算定項目がふえるに従って、長年積み上げてきているわけですから、特別な事情と言えない経費、本来普通交付税で措置した方がいいような経費も特交の中に入っているんじゃないのか。これまでも幾つか特交から普通交付税に移行した項目があるということも伺っておりますけれども、この際、現在、合わせれば数百項目に上る特交のそれぞれの算定項目について、きちんと精査をして普通交付税で措置すべきものは措置する、こういう対応というのが改めて必要だと思いますが、その点、伺わせてください。

増田国務大臣 毎年毎年、特別の財政需要なのか、あるいはもう普遍化した一般的な財政需要かということについては、やはりきちんと吟味をしていきたい。

 これまでも、最近の例ですと、私が記憶している限り、BSEが発生したときは、そこの当該団体の方に特交で配付をしましたけれども、全国の団体でBSE対策ということでいろいろな検査等を取り入れましたので、これを普通交付税の算定項目の中に移行させて、それで財政需要をカウントする、こういったことがとられたかと思います。

 そのほか、いろいろ項目見直しは行ってきているというふうに思いますが、今お話ございましたとおり、そうした特交の項目でも、中身をよく吟味して、これはもう普遍的な一般的な財政需要としてとらえて構わない、そうすべきだと思うものについては、今後もよく見直しをしていきたい、このように考えます。

塩川委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正ですが、最後の質問になります。答弁は簡潔明瞭によろしくお願いいたします。

 政府は、景気減速の影響で、二〇〇七年度の地方税収入が当初見積もりよりも大幅に減る見込みとなったことから、減収分を補てんする地方債の発行を認める、そういう法案を提出しております。

 減収補てんを目的とした地方債発行を認めるのは、オイルショックがありました一九七五年、また、不況感が強かった二〇〇二年、この二回、過去、発行しているわけであります。今回が三回目、額からいいますと二番目に大きな額になっています。

 総務省の調査によりますと、都道府県で北海道など十五道府県、総額で約一千四百。このうち、宮城、千葉、新潟、兵庫、岡山の五県は補てん債の発行ができなければ赤字に転落するんだ、こういう話であります。政令市におきましては、仙台、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡の七市で計二百八十億、その他の市町村で計百三十億円の発行を希望している。

 そこで、赤字地方債の発行は戦後三回目という、これは異常な事態であると言わなければならぬのですが、一九七五年、二〇〇二年、二〇〇七年、赤字国債を発行しなければならなかった原因はどこにあるのかということが一つと、それまで、一九七五年までは赤字地方債の発行は全くなかったのか、なかったとすれば、なぜそうなったのか、まずその点についてお伺いいたします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、一九七五年度、昭和五十年度ですが、ここは、ちょうどオイルショック後の大幅な減収で特例の地方債を起こす必要があった、それが原因でございます。それから、二〇〇二年度、平成十四年度でございますが、このときは、ちょうどデフレ経済が進行して大変な不況でございました。経済の停滞で、やはりここでも大幅な減収ということがありまして、今回と同じような特例債の発行ができるように、こういうことをしてございます。

 今回でありますが、今回は、その前二回に比べまして額は小さいわけでございますが、私のところにも当該団体の知事さんあるいは市長さん方が来られましたけれども、やはり、お話を聞いてみますと、投資的経費が非常に少なくなって建設事業の充当先というのが縮小しているということをおっしゃっている。それから、あと、今まで非常に財政運営がきつかったものですから、財源調整のための各種基金ももうほとんど取り崩しをしている、こんなことをおっしゃっておりました。こういった二つのことが今非常に大きな原因となっているのではないか。八十団体ぐらいこちらに来ておりますが、そんなことが大きな理由になっているのではないか。

 過去、それでは昭和五十年に発行したそれ以前はどうだったかということでございますが、昭和五十年に初めてこの減収補てん債の制度ができたわけですけれども、それ以前、この減収補てん債制度というのはございませんでした。したがって、今回と全く同じような対応はとってございませんが、ただ、年度途中に地方税が大きく減収になるということはございまして、調べますと、昭和四十年度、それから昭和四十六年度に、一般公共事業債の通常充当率を引き上げする、昭和四十年代の二回の場合には充当率を引き上げする、こういった対応で減収に対応していた、こういう歴史があるようでございます。

重野委員 そこで、この減収補てん債でありますが、これは、通常、税収が当初の見積もりを下回った場合、建設事業債に限り発行が認められているというふうに聞いているんですが、なぜ建設事業債のみなのか、これについて説明してください。

久保政府参考人 これは委員御案内のことになりますけれども、地方債につきましては、地方財政法第五条の規定によりまして地方債の発行目的を制限いたしまして、地方公共団体の財政運営の健全化を図りますとともに、世代間の負担の公平を図るといった観点から、公共施設の建設事業費の財源とする場合など一定の場合に起債できることになってございます。

 この趣旨を踏まえまして、例年でございますと、当該年度の減収額を補てんするため発行いたします減収補てん債につきましても、起債が可能な普通建設事業等の事業に、これも地方財政法五条に基づきまして、充当するということにしております。

 ただ、これは先ほど大臣から答弁ございましたが、本年度におきましては、減収額の大きい地方公共団体から建設事業以外の経費にも充てることについて強い要望があるということを踏まえまして、現在ただいま、特例債の発行を可能とする法改正を御審議いただいているということでございます。

重野委員 そこで、こういうふうなことをやらなければならなかった背景ですね。地方は、ずっとこの間、公共事業を圧縮してきました。その地方公共事業を圧縮したということが今回のこういう特例を設けてまでして補てんをしなければならなかったという現実に帰着したのではないかというような感じを持つのですが、その点についてはどうですか。

久保政府参考人 事実として申し上げますと、委員御指摘のように、最近十年間の普通建設事業費、これを見てみますと、平成九年度決算では二十七兆六千六百八億円ございました。これが、平成十八年度の決算では十四兆五百七十五億円ということでございまして、この間、五〇・八%に建設事業は減っております。

 そして、さらに本年度におきましては、もう御審議をいただいておりますように、地方財政計画の収入見込み額に比べて大きな、七千億近い減収が全体の地方税に生じるという見込みでございまして、私ども昨年末に調べました調査によりますと、八十団体におきまして、地方税の減収見込み額が建設事業費に係る通常の地方債の充当残額を超える見込みであるということがございまして、このたび、建設事業以外の経費にも充てる、そういう旨の改正案を提出しているということでございます。

重野委員 平成十九年度の国税の減収に伴う地方交付税の減額分二千九百九十二億一千五百万、これについては一般会計からの加算により全額を補てんするとしていますが、その財源は、平成十九年度当初の地方財政対策において、従前の地方財政対策で定められた特例措置額に係る後年度加算措置のうち、平成十九年度における加算を先送りして平成二十二年度から平成二十四年度に加算することとした、こういうふうに書いています。

 そこで、この交付税原資となる国税五税の見積もりはどのように行われているかということが一つ。二つ目は、税収見積もりと実績の乖離がどのような経緯と理由により生じたのかということが二つ。三つ目に、今回の措置を仮に講じない場合、個別地方公共団体において、どのような結果が出て、それはどういうふうな形で補てんをする方法があるのか。

 その三点について伺います。

久保政府参考人 最初の、国税の減額の要因でございますけれども、これは、先ほども御議論いただきましたように、私ども、国税当局からお聞きをしております限りで申し上げますと、当初予算では平成十八年度補正後の予算額をもとに各種経済指標等を勘案して見積もっていたものの、今回の補正予算の編成に当たり、これまでの課税実績や足元の経済動向、各種経済指標等を踏まえて改めて見積もった結果、九千億円の減収見込みとなったというふうにお伺いをしております。

 そこで、どうやって補てんをしたかということになりますと、これも先ほど御議論いただきましたように、本来、十九年度当初の地方財政対策におきまして、法定加算で加算ができる六千二百五十一億円という、法律に明記をされておったものがございましたけれども、昨年は、ただいま申し上げましたように、税収、国税、地方税ともに好調な見込みであろうと、昨年の今ごろはそういうふうに判断をしておりまして、地方財政対策もこの六千二百五十一億円を使わなくても済むであろうということでございましたから、昨年度の法改正においてこの六千二百五十一億円を後年度に繰り延べたというものでございましたけれども、今回、本来、十九年度で使えるといった性格のものでございましたから、そのうちの二千九百九十二億円を補てん財源として使うということで、今お願いをいたしております。

 また、仮に昨年度当初の時点で国税五税が今回のような収入見込み額と見込まれていたならば、この法定加算額を恐らく当初から加算をしていたというようなことも考えられますので、私どもとしては、これをまた今年度に使わせていただくということにしております。

 そこで、そうした措置が仮に講じられなかったとしたときにはどういう影響が生じるかということになりますけれども、普通交付税の減額再算定ということを行うことになります。今年度の普通交付税、これは地方交付税法の規定に基づきまして十一月までに地方公共団体に全額交付をしておりますから、各地方公共団体は、既に交付された普通交付税の額と、改めて再算定した普通交付税の額との差額を国に返還していただくということになります。返還額は、人口百七十万の標準的な規模の県で約二十五億円、人口十万人の標準的な規模の市で約一億四千万円に上るというふうに試算をしております。

重野委員 もっと多く通告もしておったんですけれども、ちょっと緊急な事態が起こりましたので、以上で終わります。

渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、山口俊一君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。原口一博君。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 この修正案は、政府原案の問題点を踏まえ、理事会等における各党間の協議により、取りまとめたものであります。

 その内容は、地方税の減収に伴う地方債の特例に関する事項であります。

 政府原案では、地方財政法第三十三条の五の三において、地方公共団体は、地方税の減収により、地方財政法第五条の地方債を起こしてもなお適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足が生ずると認められる場合には、同条の規定にかかわらず、「平成十九年度に限り」、地方債を起こすことができるものとしておりますが、本修正案では、「当分の間、各年度において」、地方債を起こすことができるものと修正するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 税収の見込み違いに伴う地方交付税の減額が補てんされるのは当然のことであります。問題は、どのような財源を充てられるかであります。

 政府提出法案では、国税の減収に伴う交付税の減額二千九百九十二億円は国の一般会計から補てんされるようになっていますが、この二千九百九十二億円は、一昨年の地方財政対策で後年度に先送りされた交付税総額への加算額六千二百五十一億円との間で将来精算されることになっております。したがって、減額分が国の一般会計から補てんされたように見えますが、実態は将来の交付税の先食い、地方への負担転嫁ともいうべきものであります。

 交付税法は、毎年度分の交付税総額の見積もりが総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の策定等が内閣の義務であること等を規定することによって、すべての自治体が、法令に義務づけられた事務事業その他地域住民の福祉を増進するための行政が全国的に一定の水準で実施できるよう、その財源保障を国の責任としております。こうした法の趣旨からすれば、地方財政計画で年度当初見込んだ交付税の総額を確保することは国の責任に属することであり、政府案はこうした法の趣旨に反するものであります。

 また、交付税特別会計借入金の償還繰り延べは、計画そのものが昨年つくり直されたばかりだということを考えれば、その計画が最初からつまずく事態になったことについて、財政見通しがどうだったのか、見通しの甘さが問われなければなりません。同時に、安易な計画変更は、交付税特別会計の借入金を縮減することについての総務省の熱意が那辺にあるか、疑問さえ生じるのであります。

 最後に、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党三会派共同提出の修正案は、相次ぐ交付税総額の削減のもと、厳しい財政運営を強いられている地方自治体の当座の財源確保の一つの方法であり、起債の上限も税収減に限定されていることから、賛成できるものであることを表明して討論を終わります。

渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山口俊一君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、今井宏君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党の三会派共同提案による自立と安定を基本とする地方財政制度の見直しに関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。今井宏君。

今井委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    自立と安定を基本とする地方財政制度の見直しに関する件(案)

  政府は、今回の措置が、地方交付税の原資である国税五税の減額補正に伴う各地方公共団体からの超過交付額の還付を回避するための措置であることも踏まえ、次の事項について早急に対応すべきである。

 一 今後における地方交付税の原資となる税収の見積もりについては、特に減額による混乱を回避するため、正確性を期すよう、万全の努力を行うこと。

 二 国税の補正に伴い年度途中における地方交付税総額の変更が生じた場合においても、地方公共団体が自立的かつ安定的に財政運営を行えるよう、地方財政計画や地方交付税について、抜本的な見直しの検討を進めること。

 三 交付税特別会計の借入金については、地方公共団体の安定的な財政運営に支障が生じないよう必要な一般財源総額を確保した上で、速やかな償還に努めること。

 四 地方財政制度については、地方債制度の運用を含め、地方の自由度と財政規律をより一層高める観点から、制度の抜本的な改正と運用の改善に努めること。また、その前提として、地方分権改革の一層の推進の観点から、事務の義務付けの廃止等国と地方の役割分担の見直し、権限と財源の適正な配分、国と地方を通じた財政制度の改革を早急に進めること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、自立と安定を基本とする地方財政制度の見直しに関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時二十二分散会


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