衆議院

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第6号 平成20年2月22日(金曜日)

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平成二十年二月二十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    岡部 英明君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    長崎幸太郎君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      古屋 圭司君    馬渡 龍治君

      松本 文明君    御法川信英君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      高木美智代君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   財務副大臣        遠藤 乙彦君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣府計量分析室長)  齋藤  潤君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長)   大脇 広樹君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     御法川信英君

  石崎  岳君     長崎幸太郎君

  岡本 芳郎君     加藤 勝信君

  鍵田忠兵衛君     近江屋信広君

  木挽  司君     岡部 英明君

  古屋 圭司君     馬渡 龍治君

  谷口 和史君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     鍵田忠兵衛君

  岡部 英明君     木挽  司君

  加藤 勝信君     岡本 芳郎君

  長崎幸太郎君     石崎  岳君

  馬渡 龍治君     古屋 圭司君

  御法川信英君     秋葉 賢也君

  高木美智代君     谷口 和史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府計量分析室長齋藤潤君、経済社会総合研究所国民経済計算部長大脇広樹君、総務省行政管理局長村木裕隆君、自治行政局長岡本保君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、財務省主計局次長真砂靖君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、資源エネルギー庁次長平工奉文君、資源・燃料部長北川慎介君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、航空局長鈴木久泰君及び環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 内閣総理大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。自由民主党の石田真敏と申します。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、公明党の御配慮もいただきまして、与党枠で九時二十分まで質問をさせていただきたいと思います。

 まず、最近、国会でも地方の疲弊についての議論が頻繁になされているわけですけれども、地方の疲弊については小泉内閣の末期ごろから議論が起こってまいりました。安倍内閣でも主要なテーマとして平成十九年度予算でこの地方再生について取り上げられたと思いますけれども、残念ながら、昨年の参議院選ではその内閣の姿勢が国民的理解を得られるに至らなかったというふうに思うわけでございます。

 そういう中で、今回この福田内閣の予算編成を見ておりますと、地方再生がもうメーンテーマになっている、そういう思いでおるわけでございますが、そのような中で、今回のこの法案に盛り込まれました地方税の偏在是正措置、これに当たりましては、最終的に総理みずからが石原東京都知事とかあるいは神田愛知県知事に面談をされまして、そして決着を見たということで、地方の格差に対する福田総理の強いリーダーシップを発揮していただいたということで、大変高く評価をいたしておる次第でございます。

 そのような中で、今回のこの地方交付税あるいは地方税、幾つかの特色があると思います。例えば、昨年から交付税については、新型交付税あるいは「頑張る地方応援プログラム」、そういうこともやってこられましたけれども、今回新たに、地方再生対策費、それから交付税の増額も図られた、そういうような手だてを講じられた。あるいは地方税につきましても、ふるさと納税ということを創設されました。こういうものを通じて、非常に苦心されたと思いますけれども、地方の声にどのようにこたえようとされてこられたのか、そしてまた、地方にどのような効果があるんだという思いで編成をされたのか、そのあたりについてお聞かせをいただければと思います。

増田国務大臣 今、特に財源のやりくり等につきましてもいろいろお話がございましたので、少しそのあたりも含めて私の方からまずお答えを申し上げたいと思うんですが、地方財政の現状については、今まで、地方自治に通じておられて委員が一番御存じなわけでございますけれども、三位一体改革の中で交付税等も大分削減をされましたので、特に財政力の弱い地方団体を中心として、今厳しい財政運営を迫られている、こういう現状がございます。

 そういう中で、医療や福祉のみならず、やはり地方団体が自主的あるいは主体的な知恵を出す、そうしたことが必要なわけですが、そうした知恵を出したり工夫をしたりするための財源がそうしたところでは特に不足をしている、こういうことを地方を回って実感してきたところでございます。

 そこで、地方財政計画の中で、歳出の特別枠として地方再生対策費四千億を創設して、特に財政状況の厳しい市町村を中心にして重点的に配分をする、こんなことを考えたわけでございますが、そのためにも財源を生み出す工夫が必要でございますので、今委員からもお話がございましたとおり、地方税の偏在是正措置、これは法人事業税の一部を使ってこの偏在是正措置を行いましたが、そうしたことを使ってこの財源を生み出した、確保した、こういうことでございます。

 今回のこうした措置によりまして、今私が申し上げましたように、特に厳しい財政運営を余儀なくされている地域、こうしたところを中心に財源の充実確保ということを実感していただけるのではないか、このように考えているところでございます。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 そういう税制に基づいて、施策面ということになりますと、昨年末に地方再生戦略というものを策定されて、それの中に地域活性化統合本部というのを設置されました。体制としては整ってきたのではないかな、そういう思いをいたしておりまして、その中でも、地方都市とか、あるいは農山漁村とか基礎的条件の厳しい集落とか、非常にきめ細かい、事情に応じた対策をやっていくんだという姿勢がうかがわれるわけであります。しかし、その基本に流れているのは、地方がやはり自主的に、主体的にやっていくんだと。私もそのように思います。

 そして、今までは、例えば地方自治体であるとか商工会議所であるとか商工会、関係機関がその施策というものをやっていったと思うんですけれども、私は、今回のこの地方再生というのは、国民全員がこういうものに関心を持っていただいて、やはり積極的に参加をしていただかないといけない。

 例えば、地域資源の活用といっても、本当に国民が、身近にある、自分の周りにこんなものがあって、こういうふうにすると地域活性化につながるんじゃないか、そういう姿勢が必要だと思うんですね。そのためには、やはり国民全員にわかっていただく、周知を徹底していただく、こういう取り組みをぜひ頑張ってやっていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上での質問をさせていただきたいんですけれども、地方の疲弊は随分とこの場でも議論されてまいりましたけれども、私も、地方自治の経験が長いものですから、自分の地元を中心に考えますと、今の地方の疲弊は一体何なんだと。

 それは、やはり今までの地方経済を支えてきたもの、それは、まずは農林水産業でした。そして地場産業であったわけですね。それから建設業でありました。そういうものに付随してといいますか伴って小売業とか飲食店とかがあったわけですね。

 ところが、今、やはり大きな時代の流れの中で、農林水産業というのは長い長い衰退傾向がありますけれども、やはりグローバル化の中で一段と大きな打撃をこうむっている。また、地場産業も、中国との競合とか、やはりいろいろな大きな問題があります。それから、御承知のように、建設業というのは、成熟社会になりましたから、当然ですけれども、もう公共事業がどんどんどんどん伸びる時代ではなくなりました。しかし、一方では、適正利潤も確保できないような入札状況、こういう中で非常に疲弊をしていっている、そういうことですね。あるいは、小売店にしても駅前商店街にしても、やはり車社会というような大きな世の中の変化がありました。こういう中でなかなか立ち行かない。

 そういうふうになると、地方にお金が回らないんですよ。地方にお金が回らないし、職場がない、若者が流出する、そういうような非常な悪循環。さらに、そういうことになっていきますと、小売店の自営業の後継ぎがいない。そして、そういう状況が、本当に何か大変なことになるんじゃないかというのが目の前に迫ってきました。恐らく、五年、十年、このスパンだろうと思うんですね。

 ですから、今本当に何かをやっていかなければならないということで、先ほどの政府の地方再生戦略に国民が一体となって取り組んでいく、これは大事だと思いますが、私は、その中でもう一つ、今申し上げたように、地域経済のモデルというのが崩れたと思います。ですから、では次にどういう地域経済のモデルというのが成り立つのか。これは、農業をやっておられる方、建設業をやっておられる方は、自分で考えろといっても、なかなか考えられない。今後の地方経済を支えていくモデル、そういうようなものの指針をひとつ示していただきたいなというふうに思うんです。

 総理は、ことしに入って、消費者行政の推進会議とか社会保障会議とか、また、きょうも新聞に載っておりましたけれども、地球温暖化問題の懇談会とか、重要なテーマについて矢継ぎ早に会議を立ち上げられました。

 また、経済財政諮問会議でも植田東大教授が、今後、前川リポートの平成版みたいなのをつくる、こういうことが載っていまして、非常に期待をしておるわけですけれども、ぜひ前川リポート地方版みたいな、これからの国内の経済状況、あるいは地方、こういう大きな構造変化、こういうような方向に進んでいくべきでないか、そういうような形のものを、例えば地方再生会議とかを立ち上げていただいてぜひ御検討いただいて、そして、国民に対して強力な地方再生のメッセージを打ち出していっていただきたいなと。そういうことについて、総理の御所見をお伺いさせていただきます。

福田内閣総理大臣 地方の問題、これは私は大変重要な課題と心得ております。

 今、委員からいろいろとその事情をお話しございました。その一つ一つが当たっていることがほとんどだというふうに思います。

 要は、日本の全体を見た場合にどういう発展を遂げていくのかということが大事なんだというふうに思います。そういう観点からすると、今、地方から大都市圏に人口が流出していくという現象がございます。これは何も日本だけではありません。ほかの国々においても、大都市圏に人が集まっていく、そういう傾向はございまして、日本の特色というわけではないかもしれない。しかし、日本は国土がそんなに広いわけでございません。また、住めるところも広いわけじゃございません。そういう地域地域を守っていくということを考えますと、余り激しく人口が移動するということがいいのかどうか。特に、地方から人がいなくなってしまうということが果たしていいのかどうかということはここでよく考えてみなければいけない。

 今、前川リポート地方版、こういうふうなお話がございましたけれども、そういったようなことを皆さん全員で考えていただく、そういう機会ではないかというふうに思います。

 ですから、私からこうだというふうなことを申し上げるのははばかられるところでございまして、今、基本的には大転換期ですよね。日本にとってもそうです。世界にとってもそうかもしれぬけれども、日本はその上に少子高齢化という急速な社会的な転換期にある。これは経済にも影響を与えます。そして、国際社会の中における地位ということにも影響があるかもしれない。そういうことすべてが今後の我が国の国民の生活に一つ一つ響いてくる。そういう問題であるということを考えてみますと、なかなか大きな課題を今背負っているんだ、そういう転換期に皆様方と一緒に悩んでいかなければいけない、こういうことだと思います。

 そういうようなことでありますので、これは悩んでいるだけではしようがないので、これから、今後そういうような状況からいかにして脱していくかという方策を具体的に考えていかなければいけない、こう思います。

 私は、地方問題は重大だというふうに申しましたけれども、日本が何となく閉塞感があるということは、これは経済が停滞しているということもございますけれども、やはり地方の活力がどんどん失われてくるところにも原因があるのではなかろうかというふうに思っておりまして、今現在の地方の状況を考えると、地方にここで一頑張りしてほしい、こういう気持ちがございます。

 したがいまして、昨年の十一月に地方の再生戦略というものを取りまとめました。これは私も、総裁選挙をしまして、地方に参りましてそういうことを実感したという、その結果でもあるのでありますけれども、地方の再生戦略、それをしっかりやっていこう、こういうふうな思いをいたしております。

 そしてまた、こういう具体的なことについては総務大臣からお話があったと思いますけれども、日々の生活を支える圏域、そしてまた地方の圏域、そういうものをしっかりとさせる、そのことによって都市圏に人口が流出しないで済むようなことを考えていくといったようなこともございます。

 ちょっと時間がないようでございますので、かいつまんで申し上げますけれども、いずれにしても、今お話がありましたとおり、地方が地方の意思をしっかりと持つということが極めて大事だというふうに思います。そういう地方の意思が明確なところについては政府も支えていきたいということを今考えております。そして、その場合にはノウハウも提供したい、そしてまた資金的な協力もしていきたいというふうに思います。その主体は地方であります。

 地方に頑張っていただく、そして、そこから地方再生を果たしていただきたい。そしてまた、中央もいろいろな工夫をしまして、地方が困らないような方策をこれからいろいろと、産業的な、経済的ないろいろな意味において手助けをしていくというようなことをさせていただきたい、そしてまた地方の声をしっかりと聞きながらそういう施策を進めさせていただきたい、そういうことだけ申し上げさせていただきます。

石田(真)委員 総理から熱弁を振るっていただいたので、時間が参りました。

 まだ幾つか申し上げたいことがございますので、申し上げることだけ申し上げておきます。

 まず、今の問題については、私は、専門調査会のようなそういうものを立ち上げていただいて、例えば自治体とかあるいは一企業とか一団体だけでなかなかできない、そういう分野について政府として取り組んでいただきたい。

 そして、地方の問題を考えていきますと、総理の群馬県でもそうですけれども、外国人の労働者の問題というのは、これから必ず大きな問題になってきます。しかし、今、それぞれの自治体でもう対応できないような課題というのが出ているわけですね。そういう問題について、私は、政府挙げてぜひお取り組みをいただきたい。そして、これは早急に取り組んでいただかなければ、そこで子供さんが生まれて、子供さんが不就学というような状況が続いていったときに、将来的には大変大きな社会問題、治安の問題になっていくと思いますので、私は、今現在から見ても、もう一刻の猶予はないと思います。そういう意味で、これは各省でということではなしに、政府挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、もう一点申し上げたいのは、今回の法人二税の偏在状況を見ても、やはり東京に集中しています、はっきり申し上げて。愛知の場合はトヨタ関連のいろいろな特殊な事情がある。東京に集中している。なぜか。これは堺屋太一さんもいろいろ言っておられますけれども、昭和十六年体制とか。しかし、現実に見てみたら、国を成り立たせる機能というのは東京にいっぱいあるんですよ。政治、行政、司法、経済、金融ですね。それから文化、出版、放送、通信、大学、研究機関、学会、全部東京です。東京へ集まるようになっているんです。

 そういう意味で申し上げて、私は、この機能の分散、機能の移転というものをやっていかなければ、東京一極集中の抜本的な改正にはならない、そして地方の振興につながらない、そのことを申し上げて、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 まず最初に、地方分権と地方財政の基本課題についてお尋ねしていきたいと思います。

 平成十二年に地方分権一括法が施行されました。それに伴って、機関委任事務は廃止され、そして国と地方の関係の根幹に変革があったはずなのであります。改革が行われたはずなのであります。その後の小泉内閣、そしてまた安倍内閣によりまして、三位一体改革の厳しい荒波にもまれまして、自治体体力は本当に消耗し切っております。そしてまた、国として人口が減る時代、そしてまた少子高齢化、限界集落の増大、地域の構造はさまざま変わってきております。

 そういう中で、現実を直視してしっかりと対策をとるのが総理の役目と思いますけれども、まず初めに、安倍内閣、そしてまた小泉内閣、これの総括をどう思っておりますか。そしてまた、福田内閣として地方のために何をやっていくのか、方向性を示していただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 バブルの崩壊後、企業は、過剰な雇用、それから設備と債務の調整といったようなものに追われてきました。長い停滞の時代を経験したわけでございます。

 小泉内閣以降、特に小泉内閣のときに、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという基本理念のもとに一連の改革に取り組んでまいりました。この間に景気は回復しまして、雇用が拡大するというような一定の成果がありました。また、民間にできることは民間にということでの財投改革もいたしまして、以前四百十八兆円の財投資金が、今二百兆円になりました。そのぐらいの改革を進めてきたわけです。また、成果も上がっている。まだまだやることはたくさんございますけれども、そういうような成果は上げてきたというように思っております。

 ただ、地方に目を転じますと、高齢化、人口減少、そしてまた中小企業の経営環境の悪化というような、その実情というものは大変厳しいものがあるというように思っております。

 そういうことで、昨年十一月には、地方再生戦略をまとめました。そして、それに基づきまして、政府一体となって施策に取り組んでいくほか、今回取りまとめました中小企業対策なども実行しておるところでございます。

 現在、我が国は、人口減少、少子高齢化といったような多くの課題に直面しておりますので、引き続き改革を進めて、そして国民全員が豊かさを実感できる活力ある経済社会を構築してまいりたいというように考えております。

黄川田委員 今総理から、地方にできることは地方に、民間にできることは民間に、裏を返せば、国がやるべきことは、しっかり国のことはやるということだと思います。地方は一生懸命、地方議会も始まっておりまして、いろいろな議論が論判されて活力を持って頑張っていると思いますけれども、最近の国がやるべき仕事、これが劣化しているんじゃないのかということでちょっとお尋ねいたします。

 国の仕事として、安全保障だと思います。食料の安全保障、エネルギーの安全保障あるいはまた外交、防衛の安全保障だと思いますけれども、外交、防衛では、駐留米軍の沖縄での不祥事、あるいはまた先般のイージス艦と漁船の衝突、あるいはまたエネルギーを見れば、一バレル百一ドルを超す、この冬を北海道、東北の人間は越せるのか、こういうふうな状況。それから農業、自給率が三九%に落ちている。そういう中で、中国産ギョーザの農薬あるいはまた殺虫剤等の混入とか、いろいろあるわけですよ。

 地方には地方にできることがあるんだけれども、では、国家として、何かかかわりが劣化しているんじゃないのか。そしてまた、立ち位置ですね。何のためにやっているんだというところ、官僚のための官僚の政治じゃないんですから、立ち位置はしっかりと国民になければならないと思うんですが、やっていることがちょっと不安に思うんです。総理はどう思いますか、今やっているさまざまな安全保障について。

福田内閣総理大臣 いろいろなことを御指摘ございました。

 確かに、今までの行政といったようなものが、また政治も含めて、果たしてそれでよかったのかどうか、これは常に反省をしていかなければいけない問題だと思います。一刻も、油断をして、そして済ますことはできない、また、これからも何が起こるかわからない、何が起こるかわからないから、それだけに十分な注意をしなければいけない、そしてまた、過去の経験にも学ぶべきところはたくさんある、こう思います。

 今御指摘のあったことは、一つ一つその状況が違いますので、全部ひっくるめて申し上げるわけにいきませんけれども、冒頭申し上げましたように、国民というものを意識した行政、そして政治、そういうものが今本当に問われているのではないかと思います。今までありましたいろいろな事件を考えてみますと、やはりそういう視点が欠けていたのではないかなというように思います。

 法律もそうですよ。法律も、戦前からある法律、戦争直後にできた法律とか、今度のギョーザ問題でもってわかりましたけれども、あの中の法律は昭和二十二年にできた法律で、それでもって今やっているんですね。そういったような今の時代に適応しないような制度も法律もあるということも考えまして、そういうものもいつか見直す必要があるんじゃないか、物によっては早急に見直す必要があるんじゃないかといったようなことも議論されなければいけないと思います。

 そういうことは、やはりこういう国会でもって議論をもっと活発にやっていただかなければいけない問題だと思います。問題が起こってから直すというのでなくて、問題を予見して、そして事前に直していくというようなことも問われているのではないかと思います。我々の責任は、そういう意味において大変重いものがあると思います。

 いろいろな問題に対処することは当然でありますけれども、今後、そういうことが起こらないような体制づくりというものを私は重視してまいりたいと思っております。

黄川田委員 国と地方の役割といいますか、本来、地方にできることは地方にということは、国の行政行為としてさまざまあるわけなのでありますけれども、例えば国土交通省、厚生労働省、あるいはまた農林水産省などのこういう事業部門の部分は、将来的には、私は地方に全部移っていっていいと思うんですよ。逆に、国家がやるべき仕事をしっかりやる。今は逆なんですね。そういう本来地方がやらなきゃいけないところに国家がかかわって、さまざま、補助金であるとか特定財源であるとか、あるいはまた先般の三位一体改革も補助率を引き下げるような形とか、もっと国家のやるべき仕事というのを総理は的確に判断して、明確にしていただきたい、こう思っております。

 それから、施政方針演説の中で、地方分権を大事にするということの中で、今地方にとって一番必要なのは、自由度の高い一般財源、これが欲しいということだと私は思っております。小泉内閣の中で、地方財政は本当に規模が縮小しております。それから、総務大臣にもこの間言ったのでありますけれども、経常収支比率が高くて、本当に余裕のある財政、裁量権のある財政になっていないという現状にあります。

 そういう中で、地方財政計画、大臣も、予見性のある地方交付税にしなきゃいけないということ、地方で将来的な制度設計といいますか基本構想をつくるにしても、十年、五年の制度設計をつくるためには、何といっても交付税の予見性がなきゃいけないということなのであります。ずっと削減されてきた交付税でありますけれども、これの復元あるいは総額の確保について、総理の見解を求めたいと思います。

増田国務大臣 今交付税の総額の話がございましたけれども、やはり私も地方を回っていまして、確かにこのことについて大変多くの声を聞きました。現下の財政状況が当然各地方団体は厳しいわけですから、そうしたことを受けての声ということもありますし、それから、医療や福祉などの法令に基づく行政サービスのみならず、自主的な創意工夫を発揮する、そのための財源としてもやはりこうしたものが必要である、こういう声も多く承った。

 それを受けて、このところ確かに、今委員おっしゃるとおり、ずっと削減の傾向が続いてきた地方交付税の総額というものをきちんと確保しなければいけないということで、交付税総額十五・四兆、前年に比べて二千億増、こういう措置をしたわけでございますが、これは、やはり政府全体として財政当局も含めてそういう認識で一致をして、こうした交付税総額の確保をしたということでございます。

 こうした地方の声というのは、分権型社会に向けて、当然自主性を高めるという中で私どもも重く受けとめて、その実現を今回図ったわけですが、今後もそういう姿勢をきちんととり続けていきたい、このように考えております。

黄川田委員 総務大臣の意気込みはそれでいいのでありますけれども、やはり総理として一言意見も求めておきたいと思います。

福田内閣総理大臣 地方交付税は、地方税と一緒に地方において自由に使えるという意味において、大変これは貴重な財源であるわけです。地方交付税の機能、これはそういう意味において今後とも極めて重要なものであるというふうに認識しております。

 ですから、平成二十年度におきましては、地方歳出の見直しというものは当然行わなければいけませんけれども、地方の再生に向けた施策の充実などに必要な財源を確保するためには、地方交付税というものは重視して、そしてその総額も、大した金額ではございませんけれども、増額をさせていただいたというところでございます。しかし、これは減ってきているところからふえるというところになったんですから、大きな意味があると考えてください。

黄川田委員 総理に地方交付税は大したことないんだけれどもと言われたら、五千人とか三千人の村の村長さんなんかは、もうちょっと、総理なんだから、厳しい中でも頑張っているんだから、激励の言葉みたいな形にはちょっと伝わらないんじゃないかというような気がします。まあ、ちょっと言いかねたところがあるかもしれませんけれども。

 時間も進んでいますので、それで、ちょっと一つ飛びまして、前回総務大臣に聞いておりますから、総務大臣は答えなくて構いませんので。

 第二期の分権改革であります。

 先ほど来私が言うとおり、総理も地方分権は大事だということを何度も言われておりますので、第二期の分権改革、どうもスケジュールどおりに進んでいないような気がするし、税制改革関連分野はどこかに行ってしまったんじゃないのか、先送りされたんじゃないか、こういう思いもあります。それから、何といっても、各省庁の抵抗といいますか、国の出先機関の統廃合について各省の回答はゼロ回答ということなんですね。総務大臣が来て旗を振ってもなかなか動かないものでありますから、総理大臣にしっかりと、官僚政治を打破するんだというぐらいの気持ちを込めてやってほしいのであります。その指導力を問いたいと思いますので、総理の御見解をいただきます。

福田内閣総理大臣 地方分権改革は、これはちっともおくれていませんよ。ついこの間、昨年十一月ですよね、地方分権推進委員会から中間的な取りまとめをいただきました。そして、政府の地方分権改革推進本部において、私自身が、中間的な取りまとめを最大限尊重し各府省が委員会の求めに誠実に対応すること、それからもう一つ、政府が一体となってスピード感を持って取り組んでいくことということ、これを徹底してほしい、そういう要望、要請をしております。

 マスコミ報道などを見ていますと、各省庁が否定的な意見を言っているといったようなことばかり強調されていまして、各省庁はいつもそうでしょう、ぎりぎりまで答えを出さないということになっているんですから。それは、その報道を信用してはいけないということでありまして……(発言する者あり)人ごとじゃないですよ、私がそういう指示をしているんですから。ですから、それは、私どもは地方分権推進委員会のこの答申を、中間報告を重視して、スピード感を持ってやるということを申し上げているんですから、そういうように御理解をしていただきたいと思っております。

黄川田委員 第二期の地方分権改革でありますけれども、どうも官僚政治を打破するためには政権交代しかないような気がします。

 それでは次に、パイプライン事業と地域振興についてお尋ねしていきたいと思います。

 昨今の原油高で、北海道、東北に住むのは本当に大変な状況にあります。そこで、こういう状況下の中にあって、北海道の地元の建設業界や商工会など多くが出資する事業でありますが、北海道と目と鼻の先にロシア・サハリンがありまして、このサハリンから、S1とかS2とか、S7から8まであるんですか、石油、天然ガスの開発ということで、ロシアの天然ガスをパイプラインで北海道に輸送して、そして北海道の産業振興、地域活性化のため、ガスプロム社との日ロ合弁事業でありますが、こういうものが進んでいると私は認識しております。そしてまた、この事業は北海道から需要見合いで東北から首都圏までという計画でありますけれども、総理は、この事業の動きといいますか、この事実を理解しておるというか、御存じでしょうか。

中野副大臣 サハリンからの天然ガスをパイプラインで北海道に、そしてさらには東北地方にと、パイプラインによってガス供給をしたいという民間事業者がいることは伺っておりますけれども、つまびらかにつきましては承知をいたしておりません。

黄川田委員 私は総理に聞いたわけなんです。

 総理はもともと丸善石油に長らくおられた方でありますので、そういう部分ではかなり理解度が高いと思いますが、総理、一言で構いませんので。認識していないというのなら、それで構いませんので。

福田内閣総理大臣 石油会社におりましたけれども、三十年前の話ですから、全然情勢は違います。

 私、このことについては新聞でちょっと見たぐらいでございます。

黄川田委員 突然、地域の活性化という質問で入ってしまいましたが、一方で、地方交付税とかそういう財源も大事だけれども、自前の財源もつくっていかなきゃいけない。地方を再生し、地域を再生し、そして、そういうものが生きてくれば、事業税であるとか固定資産税ということでさまざま、地方にできることは地方にという財源になることだと思って聞いておるわけであります。

 いずれ、原子力の部分でもなかなか課題が多い、エネルギーのベストミックス、どんな形で進んでいくんだという問題、それから、特に環境問題ということで、やはり天然ガスの利活用というのが私は重要だと思っておるわけなんであります。

 また一方、これも官僚組織の中でのエネルギー政策といいますか、大口需要家の場合は、規制緩和の中で、ある意味では恩恵もさまざま受けているんでしょうけれども、北海道、東北に住む者にとって、普通の一般家庭が利用、活用したいと思っても、今の現状は、ヨーロッパと比べて二倍から三倍の高い価格でガスを使っているというような感じじゃないか、こう思っておるわけなのであります。

 それで、エネ庁としても、もちろんあっちに肩入れする、こっちに肩入れするということじゃない形の中で中立ということなんでしょうけれども、民民の事業でありますが、投資額が一千億を超える資本集約的なロシアとの合弁事業であります。しかも、中小事業者の事業に対しては、やはり官と民の役割分担を明確にしまして、ある意味では、官邸主導でサポートをするなどの方策も必要ではないかと思っているんですが、これについては、総理、どう思いますか。

中野副大臣 サハリンは我が国と地理的に近接し、豊富な石油、天然ガスの埋蔵量が確認されております。サハリンから我が国へ経済性のある形で天然ガスが供給されるということになれば、エネルギー政策上、戦略的意義を有するものと考えております。

 我が国への天然ガスの輸送方法については、基本的に民間事業者が経済性に基づいて判断すべきと考えておりますが、政府としても、サハリン事業の戦略的重要性にかんがみ、状況を注視してまいりたいと考えております。

黄川田委員 総理に答弁を求めているのでありますけれども、中野さんからびしばしと答弁があるわけなんであります。

 LNGですか、液化天然ガス。こういう施設は多大な投資が必要なんでしょう。しかしながら、エネルギーの安全保障からすれば、LNGとパイプラインと二重の供給の仕組みがあってもいいのではないかと思います。また、これが首都圏にも供給されるとなると、例えば地震とか災害とか、さまざまな意味合いがあるのではないかと思っているのであります。

 また一方、韓国なんかを見ますと、ガス供給の幹線ネットワークですか、これが充実しつつあるという形になっておりますし、パイプライン事業は、やはりナショナルセキュリティーといいますか、そういう意味でも大事だ、こう思うわけであります。

 やはり高次の判断が必要だと思うんですが、短くてもいいですので、総理から一言、やはり丸善石油さんの方の、ひとつよろしくお願いいたします。

福田内閣総理大臣 今のエネルギーの情勢を考えましても、環境問題を考えても、ガス事業というのは大変貴重なエネルギー資源だと思います。そしてまた、エネルギーの多様化、調達の多様化といったようなこともございますので、そういうお話は大事なお話になる可能性があるかもしれません。

 ただ、経済性のことがございますので、経済を無視してというわけにはいかないことはございます。例えば、日本の国土でパイプラインを張りめぐらすことができるかどうかといったようなこと、山とか川とかが多い、それからまた地震がありますね、そういう国にパイプラインを敷設するのが妥当かどうか、そういったような安全面の配慮も必要だということになりますから、これは相当慎重な対応というものが当然求められるわけでありますので、そういうことを総合的に勘案してこの話が続いていくということが望ましいのではなかろうかと思います。

 ですから、そういう意味において、政府としてこのテーマにも関心を持っていくべきだというふうに思っております。

黄川田委員 最後に、年金と公共サービスについてお尋ねいたしたいと思います。

 これも先般、総務大臣にもお聞きしたのでありますけれども、なかなか総務大臣、厚労大臣だけでは年金問題を解決するのは大変だ、やはり総理の指導力が一番じゃないのかと思いますのでお尋ねするわけであります。

 総務省は、第三者委員会や、あるいはまた監視委員会を通じて最も厚労省と連携をとってやらなきゃいけない部分でありますので、しっかりとお願いするわけであります。

 一つ認識として総理にもわかってほしいのは、実は、国家公務員あるいは地方公務員、これは共済年金という形なわけなのであります。加入者は公務員でありまして、その記録を管理する人たち、あるいはまた給付の事務にかかわる人たち、この人たちは公務員か民間の人だか、突然の質問でありますが、総理はわかりますか。公務員共済の職員が公務員の年金の管理運営をやっているのでありますけれども、その人たちは公務員ですか、民間の人ですか、それがわかっていますか。

福田内閣総理大臣 公務員でないと理解しておりますけれども、もし必要であれば、総務大臣から答弁をしていただきます。

黄川田委員 わざわざ総理への質問でこれもあれなんですが、私にとっては、自分にとってはという言い方もないですけれども、公共サービスの目線、立ち位置がどこかというところを、やはり基本の基本なので、総務大臣に聞いたところを重ねて総理大臣にも聞いておるわけなんであります。

 公務員の年金を、公務員共済の職員ということで、これは公務員の方々じゃないんですよ、公務員の方々でない方々が、公務員の年金のために一生懸命努力しているわけですよ。ですから、宙に浮いた年金もありませんし、福利厚生でいろいろな施設をつくっても赤字は出していないわけなんですよ。

 また一方、今国家がかかわっている、社会保険庁がかかわっている年金業務というのは、例えば国民年金、あるいはまた厚生年金なんかは、加入者は一般国民ですよね、国民一人一人ですよ。それを管理運営するところはどこかというと、社会保険庁、公務員なわけですよ。公務員が支えるわけですね、一般の国民を。

 そういう中で、公務員が本来であれば公共サービスとしてしっかりとかかわっていかなきゃいけないのに、いろいろな問題が出ている。この三月までに解決しなきゃいけないところがたくさんある。共済の方は、民間の方々が公務員をしっかり支えているわけなんですよ。ですから、公務員として公共サービスをしっかりとやっていかなきゃいけないところを、やはり原点に返ってやらなきゃいけないと思うんですよ。

 経緯、経過の中、ちょっと具体をお話ししますと、何でこんなに五千万件も出たかというのは、コンピューター化のときにさまざま、臨時職員であるとかパートであるとかということで、それが積み重なって大変な数になっている。今度、それを精査して立て直さなきゃいけないという形になっておりますけれども、そういう中で、またまた民間委託、それも派遣社員が行っている、そういう事実が次から次へと出てくるわけなんですよ。我々からすると、懲りない面々じゃないのかという気がするわけなんですよ。

 そういう部分で、事務方はさまざまな答弁をしますけれども、やはり総理として、最後に、年金問題は全省庁横断でしっかりやるんだというメッセージがなければ、この間まで百年安心だという年金が、これは百年不安だという年金になりますので、年金に対する総理の仕事の対応の仕方といいますか、思いをひとつお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 年金は、老後を支える大事な仕組みなんですね。要するに、若い人も将来に対して安心を持つと。ですから、安心が支えで今の仕事を一生懸命やる、そういう張りも出てくるわけですね。

 ですから、この制度が崩壊するようなことになってしまっては、これは本当に、すべての国民が不安に駆られてしまう、国家として大変危機的な状況になってしまう、こういうふうなことでありますので、今起こっておりますいろいろな問題、年金記録問題というものは一刻も早く解決して、そして皆さんが、国民全員が信頼できるという制度にしていかなければいけない。そのことでただいま鋭意努力をしている最中でございます。

 もちろん、私が長となりまして、年金記録問題関係閣僚会議というものを開きまして、その動きをチェックし、また適宜指示をするというようなことで取り組んでおるところでございます。この不安を解消するという観点から、全力でやってまいりたいと思います。

 その制度をどういうふうにしたらば一番合理的でそして信頼を持っていただけるかというようなこともあわせて並行的に考えているところでございますけれども、機構も変わります、そういう中でどういう対応をしていくかということをこれから皆様方によく説明をして納得していただく、こういうふうにしたいと思っておりますので、詳細はここで申し上げませんけれども、そういう方向で全力を挙げているということを申し上げたいと思います。

 このことは、やはり政治とか行政とかいったようなものが国民のためにあるんだということを意識するかしないかで随分変わってきます。今までは、年金は、残念ながら、どうも年金をつかさどっている一部の役所の人の裁量でもって適当にやられてしまった。そういう中では、四十数年にわたるいろいろな問題が積み重なってきたわけですね。スタートからどうもおかしかったんじゃないかなんというふうなことも言われている、そういうこともございます。

 また、中には、労働組合が電算機の導入に反対をしたというようなことも、これは第三者の監査委員会の報告に書いてございますけれども、そういったようなこともあったというように承知しておりますので、これはやはりみんなで解決すべき問題だと思います。

 しかし、今の政府としてこれは責任を感じて、全力投球しておるところでございます。

黄川田委員 福田内閣が信頼される内閣になることを望んで、終わります。

渡辺委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 福田総理には、ようこそ総務委員会にお越しをいただきました。心からお礼を申し上げたいと思いますし、また、連日の審議に対しては、率直に敬意を表したいと思います。その上で、先ほど思わず不規則発言、口をついて出ましたが、やはり一国の総理として尊敬に値する御答弁を御期待申し上げたいと思います。

 我が国は本当に難局にあると私は思っています。常々、この局面で内閣総理大臣を務めるというのは、一個の生身の人間に本当に耐えられることだろうかというぐらい思うときもあります。その構造変革をぜひ推進力の中心として推し進めていただかなければならないわけですが、その象徴として、きょうは時間も限られております、道路財源に絞ってお尋ねをいたします。

 まず一点目。きょう議論すべき地方税財政制度全般にわたって大変影響の大きい道路財源でありますが、二つに分けてお尋ねします。一つは暫定税率の存廃、もう一つは一般財源化。

 まず冒頭、暫定税率の存廃について、私たちはその廃止を主張しています、総理は当然存続を主張しておられる。ただ一点、ここだけ議論させてください。総理は、環境目的からいっても暫定税率を維持しなければならないんだとおっしゃっておられます。これは私は余りにバランスを欠いた議論だろうと思います。

 まさに、サミットまで半年を切りました。その中で、例えばイギリス、ドイツ、フランス、百円から百五十円ガソリン税をかけています、それを一般財源化しているわけです。そういう国々の首脳を招いて、私は環境目的から道路財源として暫定税率を維持しました、これを胸を張っておっしゃっていただいては、私は日本国として恥ずかしい、そう思っています。

 総理、この点、環境目的だと、そんな取ってつけたような議論はぜひ今後控えていただきたい、その趣旨からまず一点お尋ねいたします。

福田内閣総理大臣 環境目的だということは申し上げておりますけれども、それがすべてだというふうに言っているわけじゃありませんよ。環境問題は環境問題でまたしっかりと別途対応しております。

 これは、ガソリン税が地球温暖化対策上果たしている役割、これは無視し得ないものがあるということであります。しかし、それ以外に、我が国は、技術的に環境対策が非常に進んでいるところがあるんですね。例えば省エネ対策、例えばエネルギーの使用効率なんというのは、世界で一番の技術を持っているんですよ。そういう認識はしっかり皆様方にも持っていただきたいと思いますけれども、そういうようなことはやっております。

 ですから、そういうところを誇っていいんですよ、諸外国に比べて誇っていいんですよ。どんどん威張ってください、今現在は。将来はわかりませんよ、怠っていればおくれてしまいますから。そのためにまたどんどん頑張らなければいけない、そう思います。

 しかし、これだけではないんだ、しかし日本はそういうことに努力をしているということは、胸を張っていただけると思います。

小川(淳)委員 使途をとにかく環境目的あるいは一般化を含めてしっかり整えていただけるなら私はその議論にあえて反論いたしませんが、道路に使うという前提の中では、それはもう恥ずかしい議論だと私は思います。

 参考までに申し上げます。地方税の道路特定財源の中には、ディーゼルエンジン、ディーゼル燃料に対する課税がございます。これは、海を渡る船、軌道を走る鉄道、農場を走り回る農作業車、製造機械、これに係るディーゼル燃料は課税されていないんですね、軽油の関係は。これはまさに、道路を走らないという一点において課税していないわけです。

 これはまさに、環境を口にする以上こういうことも整理していかなければなりませんし、使途についても一般化していくということを腹に持たなければその議論は通用しないと、改めて指摘をしておきたいと思います。

 そして、もう一点、一般財源化についてお聞きします。

 今、国税で一部一般財源化するという、私たちは、これはまやかしじゃないかと主張しています。余った一般財源化は翌年に繰り越す、十年の暫定期間が終わったら十一年目にまたそれを枠として使う、これは一般財源化でも何でもなく、道路財源の繰り延べじゃありませんか、総理。これをもって一般財源とおっしゃる総理の御見識を私は疑います。

 その点、御答弁いただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 我が国が燃料使用者に環境税を導入する、そして環境のためにちょうだいするということについては、これはこれからいろいろ考えていかなければいけない問題だと思います。

 今御質問のことについて、財源特例法改正法案の第三条の規定でもって、受益と負担の関係に基づき、道路整備を目的に暫定税率の負担をお願いする納税者の理解の観点と、それから一般財源を確保していくという観点と、この二つの要請の調和を図るために規定をいたしておる、こういうことでございまして、この規定によって、納税者にとっては、いずれ税収相当額の道路整備が進められる、しかし真に必要な道路以外はつくらない。

 すなわち、十年間も十一年目以降も、各年度の予算編成において、税収の額によって毎年道路整備量が決まるという制約は一切ないというような内容が実現されることになりますので、これまでの道路特定財源制度を抜本的に改めて、一般財源としての活用を可能とする、こういうふうな考え方に成り立っておるわけであります。

小川(淳)委員 総理、受益と負担をぎりぎり言えば言うほど一般財源化はできないんですよ。受益と負担の関係をある程度相対化しないと一般財源化はできないんです。一方で受益と負担だと言いながら、一方で一般財源化だと言っている。しかし、結果としては、道路財源の繰り延べ、財源枠の繰り延べという大変対症療法的なつじつま合わせに終始している。これでは日本は新しい時代に行けませんよ。そこは総理の的確な方向感、そしてそこへ向けた推進力、ぜひこれを発揮していただかなければ本当に日本は立ちおくれてしまう、そういう危機感に本当に私は満ちた気持ちでおります。ぜひこの点指摘を申し上げます。

 あわせてお尋ねします。

 国では、曲がりなりにも道路財源を繰り延べして、当該年度に限って言えば一般財源枠をふやす余地をつくりました、制度的に。地方にもこの自由を与えたらいかがかと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 地方の道路整備の必要性は、その点についてはあえて申し上げませんけれども、地方の道路整備に対するニーズがあることと、それからそれを満たすだけの地方の財源をどのように生み出していくのか、この両面をやはり考えていかなければならない。

 そして、今、地方の道路の財源構成をごらんいただければおわかりのとおり、道路特定財源プラス一般財源まで継ぎ足して、そしてこういったことを賄っているわけであります。

 そして、そういう地方の道路財源の状況と、それからやはり、地方でお払いいただく納税者の皆さん方のこうした御理解を一方でいただくということから、地方の道路財源に充てるべき地方税というのは、当初から目的税としてこれは構成されているわけですね、これはもう委員十分おわかりのことだと思いますけれども。そういう地方の道路財源の構成、まさによくお考えをいただきたい。

 一般財源化をして、そしていろいろな使途の自由を地方に与えたらいいだろう、これは、大きな議論の中では、分権化を目指して、そういう地方の道路財源のみならず、一般的にそうした予算を自由に使えるようにしていく、これは、一方で大きな分権化の方向にかなうものだと私も思うんですけれども。

 そういう出の方の自由ということはもちろん必要でございますが、それ以前に、まず入りの方をどのように獲得するかということが大事なわけです。入るをはかって出るを制すではありませんけれども、まず税収をどのように獲得をしていくのか、納税者の理解ということが前提でございますし、そしてその上で、今、地方の一般財源を、地方の道路単独事業にまで充てて整備をしている、この点もよくお考えいただきますと、今回の地方税をこういう目的税化をされたもので提案している理由がおわかりいただけるのではないか、このように考えております。

小川(淳)委員 大臣、お言葉ですが、地方の道路財源が足りているかどうか、地方の道路ニーズが不足しているのかどうかは、地方が判断すべきです。わざわざ法律で義務づけてそれ以外に使えないように縛る必要は全くない。地方がみずからの判断で、それぞれの地域の実情を踏まえて決断をすればいい。その決断できる環境を整備するのが国の責任です。ぜひ、この軽油と自動車取得税含めて、地方税法、一般財源化、あるいは国とせめて並び、繰り延べでも結構ですよ、一般財源化なんて私は申し上げられない、繰り延べでも結構です。そういう制度をぜひ地方にも設けるべきだと思います。

 この地方財源の、道路財源の一般化なんですが、総理、サミットを控えられたお立場でぜひ御承知おきいただければと思って、申し上げます。

 確かに、冒頭申し上げましたヨーロッパも、今は百円、百五十円の一般財源をかけています。これはやはり、確かに一九〇〇年代前半に道路特定財源から始まっているんですね。しかし、二、三十年たった時点でほぼ一般財源化にかじを切っています。

 これは恐らく日本の状況とも似た状況だと思いますが、一つには、道路整備がほぼ行き渡って飽和状態になりつつあること。しかし、もう一方で、納税者の理解とか、受益と負担とかおっしゃっています。多分、道路を走る車を持っているのが、かつては、恐らく特別な人の特別な乗り物で、特別な税負担だったんです。しかし、今や一世帯に二台、三台、一人一台車を持って、車に乗って道路を走るなんというのは本当に一般的な日常生活の一環なんです。だからこそ、使途の面からも受益と負担の面からも一般財源化する環境が整ってきていると政府としては価値判断すべき局面であって、むしろ遅きに失する、そういう戦略的な判断を私はぜひ求めたいと思います。

 総理、サミットを控えられて、ぜひこの点御承知おきの上で、環境問題でリーダーシップを発揮されるとおっしゃっていますから、こういう遅きに失した日本の対応、ぜひ御所感をいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 いろいろお話を伺いましたけれども、ちょっとわからないところは、使途は一般財源化すると、しかし、取るときにはどうするんですか、取る方は。ガソリン税としていただくのですから、ユーザーから。いただいた上で、それを自由に使わせろ、こういうことですか。

 ですからそれは、今まで説明申し上げてきたことは、自動車ユーザーにとっては受益と負担の関係がこの部分については非常に明確であるということから、今までそういうふうに説明してきたわけですよ。そういうことだから、やはり、そのための受益者というものは範囲が決まっているから、そこに対して、道路をつくるというような形で、今までこの財源については道路整備、こういうふうなことに使ってきたわけですね。

 しかし、そういう中でもって、今説明しているように、この一般財源化という方向も目指しているわけですよ。それは、今の段階では、ユーザーに説明がつく範囲でというようなことでもって、その説明のつく範囲を広げてきているわけです。ですから、二十年度も、一般財源の使用分というのは、これはふえているわけですね。そういう方向に今なりつつあるわけですよ。しかし、ユーザーの理解も得ながら、そういうことがありますので、全面的にということにはならないということを申し上げております。

小川(淳)委員 総理、今私申し上げたのは、その判断がヨーロッパから数十年おくれていますよということを申し上げているわけです。受益と負担の関係はどんどんどんどん時代に合わせて相対化しています、そこをぜひ価値判断すべきだと申し上げているわけであります。ぜひそれも含めて御判断をいただきたい。

 非常に限られた時間ですから申し上げますが、道路財源の一般財源化を何のためにやるか。資源配分を変えていくためです。何のために資源配分を変えるのか。国家の構造変革を促すためです。それは何のための構造変革か。将来をにらんだ方向転換、将来に明るい見通しを持てるような方向転換を図っていくためです。そのための象徴としてこの道路の財源を議論している。

 その方向転換で、具体的に私は議論をしたい点が何点かあります。非常に限られた時間ですが、総理、駆け足で参らせていただきます。

 委員長のお許しをいただいて、資料をお配りさせていただきました。道路の中期計画(素案)でございます、国交省が示された。もうこれは、総理は見るのも嫌なぐらい議論された状況だと思いますが、あえて申し上げます。

 おめくりをいただいて、二ページ、いいですか、六十五兆円、今五十九兆円ですか、この道路の中期計画の事業は、内訳として一から四まで大きく四つに分けられています。(一)は、国際競争力の確保に二十四兆円使うと書いてある、十年間で。(二)は、地域の自立に三十三兆円。(三)は、安全、安心の確保に十九兆円。(四)は、環境保全に三十一兆円。これはすべて道路です。道路を経由して国際競争力を高めたい、道路をつくって安全、安心を高めたい、道路をつくって環境保全に生かしたい、簡単に言えばそういうことです。それにこれだけのお金を投じるというのが今回の中期計画であります。

 しかし一方、まず、一点目の国際競争力の確保について私は申し上げたい。おめくりをいただきたいと思います、三ページ。この国際競争力のために中期計画で何をやると書いてあるか。空港や港湾に対するアクセス道路を整備すると書いてある。しかし、空港の旅客数と貨物量、もう今や日本は、上海やソウルや香港、そして参考までにロンドンも入っていますが、アジア諸国との苛烈な競争環境に置かれていますし、これからも置かれ続ける。そういう中で、私は、資源配分を変えていくべきだという主張を申し上げたい。

 もう一つおめくりください、四ページ。競争環境の中にある例えば成田と上海とソウルと香港、ジャンボ機一機おろすのにこれだけの費用を取っています。成田は七十万円。一番安いロンドン、西の島国ですよ、イギリスのロンドンはわずかに十万円。これは為替が円安に振れているからこんな数字になっていますが、かつては日本の十分の一が相場でした。

 そういう状況で、総理、申し上げたいのは次なんです。もう一枚おめくりください。今ごらんいただいた、五ページです。

 世界で最も高いと言われている着陸料、日本がですよ。日本には国内に空港が約百カ所あります。それ全部を合わせて、着陸料が年間幾らか。それが五ページです。手書きでメモさせていただきました。空整特会わずかに五千億のうち、空港の使用料が二千億、着陸料に至ってはわずかに八百億です。

 総理、話を戻します。

 今、道路の中期計画では、国際競争力を確保するために、十年間で二十四兆円、空港へのアクセス道路をつくりますと言っている。しかし、わずかに八百億円のお金があれば、日本じゅうの空港を無料で世界に開放することだってできる。航空局と道路局をせっかく一緒にしたわけです、国土交通省で。しかし、その資源配分が全く変わらない。

 しかし、総理、これもあわせて申し上げます。道路局からはこんな発想は出てきませんよ。航空局からも出てこない。総理が判断するしかないんです、将来のために。総理、今の点、いかがですか。

福田内閣総理大臣 私は、前にどこかの委員会でそういう質問をしたことがあるんですよ。ですから、お気持ちはよくわかります。そして、問題点も私もあると思っております。ですから、これからどうするかということを私の今の立場で、今、早急に考えていかなければいけないと思っております。

 問題点があるということを申し上げて、答弁とさせていただきます。

小川(淳)委員 総理、権限がおありですから、最高責任者としての答弁をぜひお願いしたいと思います。相手の気を抜くというのは総理のお得意わざだと思いますが、それでは日本はよくならないんですよ。ぜひ真摯な御答弁をお願いします。

 話題を続けますよ。今、国際競争力に関して申し上げました。二点目、(三)の安全、安心の確保で、防災について申し上げます。

 資料を引き続き一ページおめくりいただくと、これは小中学校の耐震化率ですよ。平成十四年から十九年にかけまして五割前後を行ったり来たりしているわけですね、全国三万五千の小中学校の耐震化率。これに一体幾らお金をかけているか。

 もう一枚おめくりください、七ページ。耐震関連分として国が支出しているのはわずかに一千億オーダーですよ。さっきの空港の着陸料が八百億オーダー。この耐震化には一千億オーダーです。この程度ですから、耐震化率があの程度にとどまっているわけです。

 これも道路の中期計画との比較でいえば、安全、安心、防災を含めて、地震が起きたときに橋が落ちないように橋をかけます。それには十年間で十九兆円なんですね。橋をかけて避難施設、小学校へ行けたって、小学校が崩れていたらだれも救われないじゃないですか。道路をつくって空港へ行けたって、そこに飛行機がいなければ何にもならないじゃないですか。

 この新しい時代をにらんだ資源配分の転換、これは総理にしかできない仕事です。ぜひお願いを申し上げたい。

 限られた時間ですから、最後にもう一ついきます。

 (四)で、環境の保全には三十一兆円、十年間で三十一兆円ですよ。しかしこれも、道路をつくることで渋滞を解消します、立体交差をやります、バイパスをつくります、そんな話ですよ。

 しかし、八ページをごらんください。総理、これはよく御存じだと思います、有名なグラフですね。太陽光発電に、わずか三年間で、日本の半分だったドイツは今や日本の倍近い。この状況に、総理、一体幾ら使っているかなんです。あえて手書きでメモを入れました。資源エネルギー庁に推計をいただきましたが、日本では今、太陽光の発電推進に大体年間百億だそうですね。では、ドイツは何兆円もかけてこうしているのか。違いますよ、わずかに三百億程度。

 この程度の話で、さっき三つ申し上げました、世界じゅうに日本の百カ所ある空港を無料で開放できる、八百億で。わずかに一千億の予算、これは、小中学校の耐震化には二兆円から三兆円要ると言われているそうです、その程度のお金。わずかに年間二、三百億加えてやれば、少なくともドイツに負けないだけの自然エネルギーの発揮ができる。

 つまり、こういうことをにらめばこそ、私たちは、地方分も含めて一般財源化を推進すべきだという本質的な主張をしているわけです。これに対して、総理、御答弁いただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 いろいろ御指摘をいただきました。

 そういうお話は方々から毎日たくさん来るんですよ。あれも足りない、これも足りない、これを伸ばさなきゃいけない、あれも伸ばさなければいけない、そういうことなんですね。まさに資源配分の問題ということです。そのやり玉に上がっているのが道路ですね。道路も、新設するというものはこれからだんだん減っていくと思いますよ、新しい道路は。そして、むしろその維持費に回る、維持費がどんどんふえていくというように思います。

 ですから、この分野の財源をどんどん削っていいという話ではないと思います。もし削っていいということになれば、それは地方の道路はどうするかということになるわけですね。四国だってそういう要望はたくさんございますけれども。そういう道路を、その地域に住む方々の気持ちはどうするか、生活をどうするか、経済をどうするか、そういったようなものに直結するわけですから、そう簡単なものでないと思いますよ。

 そして、一般財源化せよということは、今のユーザーに対して、一般財源化しますよ、場合によっては道路をつくりませんよというようなことを言えるのかどうか。説明がつかなければガソリン税は下げるしかないんですよ、ガソリン値下げなんですよ。そういうことでもって地方の財政も国の財政も維持できるかどうか。そういったようなこともあわせ考えなければいけない。

 もちろん、私どもは、資源配分という面で、全般を見て、考えてやっております。道路も必要だということだから道路の財源は手当てしなければいけない、そういう考え方をしっかりと持っておるわけであります。

小川(淳)委員 総理、道路特定財源法、きのう審議が始まりました。この第三条を見るたびに、私は不可解なんですね。こう書いてあります。政府は、十年間、毎年ガソリン税を道路財源に使わなければならないと書いてある。これを読みかえると、政府はというのは福田康夫はですね、内閣総理大臣は、十年間、道路整備費にガソリン税を使わなければならないという法案を総理が出されているわけですよ。これは総理御自身がもしそうしたければすればいいじゃないですか、予算の調整権限は持っておられるわけですから。

 なぜわざわざ国会に、私を縛ってください、私の手足を縛って道路にしか使えないようにしてください、なぜ総理の口からそんなことをおっしゃるのか。これは、たどれば、二十九年にできたときは議員立法ですよ。まさに国会が、田中角栄さんが政府を縛るためにやった、それは私はわかりますよ。しかし、あえて総理がみずから、私を縛ってください、手足を不自由にして道路にしか使えないようにしてくださいと、なぜこの場で言わなきゃいけないのか。せっかく道路財源の期限が切れたんですよ、今。逆じゃないですか。ぜひこのたがを外してくれ、おれは日本の将来のために新しい使い方をつくりたい、ぜひこれを外してくれというのが本来ですよ。

 総理、これは、総理が道路局に、道路族議員に、道路関連業界に縛られるための法案です。それをみずから出されたわけです。ぜひこの点、総理、猛省を促したい。そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 総理の口からはよくこういうことを聞くんですよ、見直すべきは見直す。では、見直すべきは何なのかを聞きたい。いつかは見直さなければならないとおっしゃる、それがいつなのか聞きたい。国会において議論していただくのもそうですが、総理がどうしたいかを聞きたい。ぜひ、そのことをあわせて申し上げ、質疑を終わらせていただきます。

福田内閣総理大臣 申し上げますけれども、私は独裁者じゃありませんよ。皆さんの意見を聞いて、そしてこの議院内閣制というシステムの中で意見を取りまとめてやっているわけですよ。

 そしてまた、今回、法律を直しました。道路特定財源の一般財源化。これは、現行の仕組みは、税収の全額を毎年度の予算で道路整備に充てることを義務づけているということなんですよ。それを今回改めて、そして税収が自動的に道路整備に全額充てられる、そういう今までのリンクを、これを断ち切ったんですよ。随分大きな変化じゃないですか。

 そういうことを、皆様方の意見を聞いて、国民の意見も聞いて、地方の意見も聞いて決めたんですから。ですから、そういう仕組みを無視した発言というのは、これは私は慎んだ方がいいというふうに思います。

小川(淳)委員 最後にします。

 この国難、難局、構造変化の時代にあって、私は、トップリーダーのリーダーシップのあり方において、総理との認識には極めて大きな隔たりがあることを改めて認識をいたしました。そのことを申し上げ、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。総理、きょうはよろしくお願いいたします。

 私は、どちらかといえば穏やかなというか、自分で言うのもなんですが、余り大きな声を出さないタイプの人間でございますので、きょうはよろしくお願いいたします。緊急事態にはそれなりの対応をしなければいけないというのは、自衛隊なども緊急事態にどう対応できるかというのは非常に大事なことでありまして、本来は穏やかに対応する、でも、いざというときはしっかり力を発揮できるというのが大変大事なことだろうというふうに思います。

 それはそれとしながら、私は昭和三十四年の生まれです。家は商売をやっておりました。家の前の道路は砂利道ですらありませんでした。土を踏み固めたような、雨が降ると泥沼になるような道路でした。いずれそこが砂利道になりました。そして、舗装道路になりました。昭和三十九年、東京オリンピックのときに、聖火リレーが通るということで、近所の国道が舗装道路になりました。それから、一九七二年、札幌オリンピックのときに、札幌には地下鉄ができました。そうしてどんどんどんどん私たちの国がよくなっていく、そんなような印象を我々は子供のころから持っていたわけであります。

 ところが、一九八五年あたりから、私の思いでは、どうもそういうバラ色の夢が描けない、必ずしも、あと五年たったらこうなる、十年たったらこうなるというようなものでは日本の将来がなくなってきたような気がする。それは、私が年を重ねてきたからではなくて、どうも社会全体が大きく変質をしてきたのだろうというふうに思っています。

 そして、国では、三千三百あった市町村を合併するということで、今、千八百余りになりました。私は、この合併というものを頭から否定するつもりはございませんけれども、今回の合併によってでも、必ずしも合併をしなくてもよかったのではないか、そういう地域がたくさんあるような気がしてなりません。

 私は、全国の地域をさまざま歩くというのをライフワークにしておりますので、合併した町村も随分歩きました。しかし、合併をしたことによって、合併前にいろいろと喧伝されていたとおりになっていない地域が随分多い。見かけ上の財政面は確かに助かったところは随分あるかもしれないけれども、現実には、そこの地域の生活がどんどん疲弊をしていく、あるいは行政サービスが届かなくなる、あるいは行政に対して声が届かなくなる、あるいは大きな中心の役所のところから自分たちの地域がどんどん存在の薄いものになっていく、そういうところが随分出てきているような気がするわけであります。

 そこで、まず最初に総務大臣に客観的にお伺いをしたいんです。

 地方の現場にもいらっしゃって、これまでの市町村合併、評価ばかりではなくて、悪い面も含めて、どう御自身として判断をしているか、端的にお伺いします。

増田国務大臣 今回の合併ですけれども、多分、数としては、平成十七年あるいは十八年ごろに合併が行われたというところが多いと思いますね。今現在、平成二十年の二月ですから、まだ合併がなされてから二年あるいは三年ぐらいのところが多いと思います。

 そうしますと、それ以前、大変皆さん真摯な議論をして、重い決断だったと思いますし、その過程の中でいろいろ行き違い等もありました。そういうのは岩手県内でも経験をしておりました。その間に、合併したらこういうふうになりますよといろいろ合併の計画をつくって、そして皆さんが期待をして結局合併に踏み切った、こういう経緯があったんですが、それと、二年あるいは三年たった今どうかと言われると、その計画どおりいっていない、あるいはそうした夢がうまく実現できていなくて、かえって周辺部が寂れたとか、そういうことも恐らく今現在ですとあるんだろうというふうに思いますね。一方で、もっとすばらしくいったところもある。

 ただ、一言だけ申し上げたいのは、委員とは全国あちこち御一緒して歩いたこともありますけれども、私は岩手でこういうことを言われたことがあります。というのは、昭和三十年代の大合併がありましたよね。あれの効果が、やっと今こういうことでよくなってきたなという声を、実は県内でも随分聞いたんですよ。それだけ合併の評価というのは、二年、三年という短期間での評価ももちろんあるけれども、昭和三十年代の合併の効果が三十年、四十年たってやっと今、本当にあのときの人たちが苦労したけれども英断をしてくれた、こういう声を随分聞いた。このこともよく考えながら、やはりこれは長期にわたる評価が必要だろうというふうに私は思います。

逢坂委員 今の総務大臣の話は、後半は本当に残念な話だなというふうに思います。単に評価を先送りしているだけで、本当に残念なことだとは思うのです。

 それで、私は総理にお伺いしたいんですけれども、私、総理と初めてお会いをしたのは、五年前官邸でお会いをしまして、そのときもやはり市町村合併の問題で直接お邪魔をさせていただきました。総理にぜひお伺いしたいのは、総理の頭の中にある日本の市町村、都市、農山漁村、これはどうあるべきかというふうに総理御自身は、制度がどうとかこうとかという細かいことじゃなくて、自分の思いとして、イメージとして、こんな日本だったらいいな、こんな農山漁村だったらいいな、こんな都市だったらいいなというあたりを若干お知らせいただければと思うんです。

福田内閣総理大臣 私は、やはりその地域地域、そこに住んでいる方が明るい表情で、そしてその生活を支えるいろいろな諸施設、例えば病院とか、公的なものも含めて、そういうものがあればいいなというように思います。その地域の人が生活に困らない、安心して生活できるということ。その上に、その地域の自然が守られるということも大事だというふうに思います。そういうふうな形で、その地域に住む方々が自分の地域についての誇りを持てる、そんなような地域というのが私の想像するところであります。

 今のように地域から人がいなくなっちゃうとかといったようなことになりますと、その地域が維持できないということがあります。人口全体が減っていくというようなことがあればやむを得ない分もあるかもしれないけれども、しかし、そういうような、自然を残し日本というものを残していくためにはどうしたらいいかということは、人口減少時代の中にあっても、これから考えていかなければいけない問題だと思っております。

逢坂委員 総理の口から誇りという言葉が出たんですけれども、私は本当に、まさに同感でございます。やはり、その地域が小さかろうが大きかろうが、誇りを持って暮らせるということが何よりも大事なことだというふうに私は思っています。

 残念ながら、今回の市町村合併によってその誇りや自信を失ってしまった地域というのも随分あるような気が私はしております。団体自治、住民自治といういわゆる講学上の自治の分類というものもございますけれども、それを推し進めていく原動力というのは、そこに暮らそう、ここがいいところだ、ここを何とかよくしたいという思いが非常に大きいものだと私は思うんですね。だから、そこに暮らす人たちの思い、誇りというものを大切にしないいわゆる机上だけのプラン、あるいは財政だけの、これはこの先もうやっていけませんぜというような話だけで地域をくくるというのは相当に問題があるだろうというふうに私は考えているんです。

 総理の、誇りのある地域をこれから日本の国で何とかもっとつくっていきたい、もっと維持したいという、それを実現するために、これからさらに市町村合併を進める、あるいは別の手法も組み入れる、どんな手法で誇りのある地域というものを総理は実現しようとお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 私は、いろいろな地域があっていいと思うんですよ。経済合理性、財政のために合併しなければいけないという地域もあるでしょう。では、その地域に住む方が不幸になるのかというと、そういうことではないと思いますよ。

 それから、例えば、私の選挙区にもありますけれども、水力発電所がある、そこから固定資産税が上がって、小さな村でも自立できる、そういう地域もあるんですよ。そういうところは、自立していきたい、こういうふうに言っておりますけれども、そういうことも許されていいんではないかと思います。何も、合併、合併ということではない。いろいろな形がある。

 しかし、やはり経済というのは大事ですよ、財政というのは。ですから、その財政がしっかりできないという、要するに山村地域でもって、何もない、平地もないような地域、私の選挙区にもございますけれども、そういう地域がやはり合併して、よりよい公共施設、公共サービスを受けるということがあれば、それはそれでいいなというふうに思います。

 また、政府としては、そういう地域を何らかの形で支えていくという、ばらまきでない仕組みを考えていく必要はあると思っております。

逢坂委員 日本の自治体の問題を考えるときに、どうしてもやはり、財政面でもあるいは機能面でも、特に問題になるのが東京問題というふうによく言われています。財政も人も物も全部東京に集中している。先ほどの与党の方の質疑でもあったかと思うんです。

 その中で、政府は首都機能移転の部局を今もお持ちになっておられますけれども、この首都機能移転について、総理、現状認識はどのように思っておられますでしょうか、そして今度どうされるおつもりでしょうか。

福田内閣総理大臣 首都機能移転の話はここしばらくないですね。七、八年ぐらい前までは、それは今の比じゃないんですよ、わんわんやっていましたよ。政府機能を移転しようとか、どこにしようかとかいったような具体的な話まで含めて随分ありましたけれども、景気が悪くなってきたのですかね。そしてまた、そんなことよりも経済を何とかしなきゃいかぬ、そういう時期もありました。そういう時期に重ね合わせるような形でもってだんだん議論が小さくなったという感じがしております。

 それは昔は大変だったんですよ。毎日のようにそういう話をしておったという時代がありますので、私自身はそういう時代を懐かしく思っております。

逢坂委員 あれ、私の認識では国土交通省の中に首都機能移転の課があったというふうに思うんですけれども、もうなくなりましたかね。ホームページ上にもそこは出ていたはずなんですが、まあそれはそれでいいでしょう。もしそうだとするならば、そこの課にいる方は、今の発言を聞いて、あすから仕事に来なくていいということでしょうかね。

 この議論はここでとめておきますが、総理、もし今のがお間違いでしたら後で御訂正いただいた方がよろしいのかなと。まあまあ、後でよろしいです、時間もございませんので。

 それで、次の話題に入りたいと思うんですが、文書管理と情報公開についてお伺いしたいんです。

 総理、この問題で、さまざまな簿冊がなくなったとか書類を紛失したとかいって随分御苦労されているわけですが、私は適切な情報提供というのがなければ民主主義は健全に機能しないと思っているんですね。日本の民主主義は、確かに基本的には制度としては間接民主主義ではありますけれども、やはり、国民の皆さんの世論というものがどう形成されるかということは非常に重要です。

 健全な世論を形成するためには、きちんとした情報提供がなければこれは全くだめなわけですね。例えば、ここに私がペーパーを持っていて、総理にこのペーパーに書いてあることに賛同くださいますかと言ったとしても、このペーパーの中身が見えなければ、賛同するもしないも何も言えないわけですよね。だから、そもそも情報提供がなければ民主主義は機能しないんだという点について、総理、どうお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。

 やはり、民主主義というのは、国民一人一人がいかに正確な情報に接することができるかによって正確な判断ができるわけですよ。ですから、そのために、国がやはり国民に正確な情報を提供するという義務があるんですね。そうしないとやはり民主化というのは進んでいかないと思います。

 残念ながら、我が国の場合には、役所の中でもいつの間にか資料がなくなっちゃうというようなことがある。最近もいろいろと問題になりましたね。そういうふうなことがないように、やはり公文書をしっかりと保存する、記録として残しておく。そういう書類がたくさんたまって、これが日本の記録なんですよ。日本というのは何かといったときに、そういう記録が日本の歴史を構成するんですよ。そういう意識を持って、この分野のことについてもっと皆さんの関心を高めていかなければいけないと思っております。

逢坂委員 総理のそういう意気込みは、私はまさに民主主義の基盤を支えていく重要なことだと思うんですね。そして、しかも、こういう分野というのは、どちらかといえば選挙で余り支持されないというか、業界団体がいるわけでもなく、国民が、それをやったからといって頑張れよと言ってくれるわけでもなく、まさにそういう意味では基礎的な土台の部分だと思うんですね。しかし、この土台の部分がしっかりしなければ、実は健全な民主主義にはならないということだと思います。

 そこで、我が国は情報公開法があって、その施行令の十六条に、例えば、国の各府省は、文書の管理に関する規定、ガイドラインを制定することになっている。各府省は制定をしているようなんです、総理。ところが、きのう事務方に聞いたら、各府省は制定しているけれども、その実施状況とか、そのガイドラインどおり、規定どおりちゃんと文書が管理されているかというのは必ずしもチェックしていないと言うんですね。これはいかにも残念なことですね。

 それから、お手元に資料を用意しましたが、順番が変わって大変恐縮ですが、資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。これは、諸外国における公文書館の制度の現況ですね。

 諸外国における公文書館の制度の状況なんですが、日本には国立公文書館というのがありますが、職員が四十二名、書架の延長が四十九キロです。アメリカは、職員が二千五百人で、書架の延長が九百三十キロであります。ほかは後で見ていただければよろしいと思うんですが、諸外国の公文書の管理に関する姿勢とは、日本は全く違っているわけですね。

 こうした中で、総理は先般の一月十八日、施政方針の中で、行政文書の管理のあり方を基本から見直すというような発言をされて、公文書の保存に向けた体制を整備するんだという発言をされているわけですが、私はこれはもう本当に大きく評価をしたい。与党である、野党であるなどという枠を超えて、民主主義の基礎をつくる意味で、ぜひこれは総理に頑張ってやってもらいたい。私、実は国会議員になった大きな理由の一つはここなんですよ。これを何としてでもなし遂げなければ、日本の民主主義が深化しないというふうに思っているわけですね。

 総理、これに対するちょっと総理の思い入れをぜひお話しいただきたいんです。

福田内閣総理大臣 全く御指摘のとおりでございまして、日本の公文書館制度というのは大変おくれているというように思っております。そしてまた、公文書館に何を、どういう記録を入れるのかといったようなことについての、こういう検討も政府の中でなされていなかったということでございますので、おくればせではございますけれども、公文書をどうするかということについて、法制化を目指して今検討作業を進めているところでございます。

 いずれその法案をお示しするときが来ると思いますけれども、なるべく急いでやりたいと思います。

逢坂委員 それで、総理、実は、昨今の道路特定財源の議論などを見たりいろいろ聞いたりしていると、日本の国はやはりいかにも情報に関して閉鎖的だなというふうに思わざるを得ません。

 それは、予算や決算の情報が開示されていないものですから、予算や決算の情報の開示を迫るところからそれぞれの委員会での議論がスタートするわけですね。国民の目から見れば、そんなことなんて当たり前のことで、そこから先の政策の本質議論をしなきゃいけないだろうというふうに思うわけですが、どうも私どもの国会の議論を見ていると、開示をさせて問題点を指摘するところでとまっている。そして、それは不毛とは言わないけれども、政策の本質議論ができないという意味では、それはもう当たり前のこととして情報開示されていることが大事なんだ、開示をさせることにエネルギーを使うなんというのは、まことにもって政策の本質議論をする上では無駄だというふうに思うんですが、総理、この点どうお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 できるだけ、可能な限り情報は提供し、御参考にしていただくということは必要でございます。

 予算案を国会で御審議いただくというときには、予算案及び直近年度の決算に関しまして、予算書、決算書、予算の説明、財務書類等に加えまして、各省庁からそれぞれの施策についての目的、方策を明らかにした資料を、これはホームページを通じまして公表いたしております。また、必要に応じて各方面に御説明をさせていただくというようなことをいたしております。さらに、国会の御議論の中で、追加的な資料の御要請があった場合にはできる限りの対応を行っているというところでございまして、今後ともそういう方向でもって努力をしてまいりたいと思っております。

逢坂委員 情報がなければ議論ができないわけですので、お手元の資料、一枚目をごらんください。お手元の資料の一枚目は、平成二十年度の予算書の一部、総務省所管の予算のところをコピーしたものでございます。

 この中に、「〇〇七 地域振興費」「地域振興に必要な経費」ということで八億円余りが計上されているわけであります。これが基本的には予算書として国民に公表されているものでありますけれども、この八億円、地域振興に必要だよということだけ見ても、実際に予算がどうなっているかは全くわからないわけですね。

 そこで、二枚目でございますが、この二枚目は、総務省の同じ八億円の中の千円単位の積算書でございます。この積算書を見て初めて、ああ、この八億円の中身はこういうふうにお金を使うんだなということが理解できるわけですが、今までこうした情報は必ずしもつまびらかに公開されていなかった。そして、この情報というのは、求められて初めて出すというものではなくて、当然のごとく政府は国民に説明する義務があるんだというふうに私は思うんですが、総理、この点、いかがでしょうか。この程度まで出さなければ、聞かれたら八億円の中身をしゃべりますじゃ、これは全然議論にならないんですよ。総理、総理、その点いかがですか。

増田国務大臣 今、総務省の予算書だったので、私は担当大臣として少しお話しします。(逢坂委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)

 予算書の書式等も決まっていますし、それで、全体像を出すと同時に、できるだけ予算の中身を国民の皆様方にわかりやすくお知らせする努力は常に続けていかなければいかぬと思います。

 ですから、こうした内容について、一足飛びに全部できるかどうかは別にして、やはり我々も、どういうやり方で出せば国民の皆様方にわかりやすいか、それは工夫をしていきたい、それはきちんとやっていきたいというふうに思います。

逢坂委員 総理、基本姿勢をちょっとお示し願いたいと思うんですが。

福田内閣総理大臣 こういう資料につきましては、できる限り対応する、また公開する、こういうふうな考え方をしております。

逢坂委員 そこで、たまたま例示として、大変恐縮なんですが、今道路特財の話が随分問題になっておりまして、道路特別会計についても、やはりこれはしっかり公開してもらわなきゃならないと思うんですが、松島副大臣、いかがでしょうか、簡潔に決意をお願いします。

松島副大臣 国土交通省も、予算の資料としては各局ごとにこんなに分厚くいろいろなものを出しているわけでございます。(逢坂委員「それだけ見たんじゃわからない」と呼ぶ)しかしながら、これを見てもわからないというのは、確かに逢坂委員がおっしゃいますように、これはどの部分についてもそうなんですけれども、国交委員会でも議論がありました。

 私自身、国会議員をやる前に新聞記者をやっていたんですけれども、役所が出す資料というのは、だれにでも一応当たり前の資料を出して、なおその後に、議員であれ新聞記者であれ、こんなことを知りたいじゃないかと突っ込んでいくことによっていろいろなことがあらわれてくる。つまり、先ほどの資料みたいなものを全部この中に書いたら、道路局だけでめちゃくちゃ膨大になる。(逢坂委員「備え置けばいいんです、配る必要はないわけですから」と呼ぶ)

 いつでも委員から御質問いただいたら出せるように、備え置いていないときには、拒むことなく、隠す意思はございませんから、とにかく応急に、急いで何でも出せるようにいたします。

逢坂委員 ちゃんと実行させるように、本当によろしくお願いします。

 そこで、きょう最後に、ちょっと今までと毛色の違う話をさせていただきたいんです。

 自治体の予算や仕事というのは、国の法律に随分左右されるというのは総理も御承知のとおりだと思います。でも、内閣が提出する法案というのは必ずしもそのとおり国会で可決されるとは限らないわけですよね。国会でさまざまな議論があって、場合によっては修正されたり否決をされることも制度上当然あるわけですね。だから、例えば道路特定財源問題というのは今まさに国会で議論されているわけですが、これが内閣が提出した法律どおり結論が出るとは限らないわけですね。

 しかし、お手元の資料を見ていただきたいんですが、資料の五を見ると、これは総務省が一月二十二日に全国の自治体の財政担当課長さんらを集めて開催した会議の中の資料で、いわゆる内簡と言われているものなんですが、その資料の五の十三を見ていただくと、道路特定財源については道路特定財源の見直しに基づき云々と書いてあって、すなわち、道路特定財源の今政府・与党が出している案がそのまま「創設することとされているので留意されたい。」というような文言があるわけですね。

 私は、これは、今までのように、政府・与党が出した法案が政府・与党内だけで議論していればそのままそのとおり大体国会で通るという時代なら、このとおりの書き方でもよかったのだと思うんですが、今はもうそういう時代ではないわけですね。そして、政権交代可能な二大政党というような時代がもう目前に迫っているようなこの時期に、今のこのような文書を全国に出すことによって、今後、国民の皆さんの政策選択の幅を狭めるという気がするんですね。

 実務上、これは今までの慣例でいけばこうやらざるを得ないということは私も理解はしますけれども、でも、この方式をとっている限りは、例えば国会でどんなに議論をしたって、いや、自治体が困るからやはりそれは直せませんぜというような話になるわけですね。

 だから、国会の結論が終結する前に、あたかも政府・与党の案が決定するかのごとくのこういう文書を出し続けるということは、これから慎むべきではないか。あるいは、これからもっと別の方式を考えていかなければ、まさにこの国会の議論というものはうまくいかなくなるのではないか。

 これは何も、あすからすぐやれと言っても難しいことだとは思うんですが、私の問題意識として、総理、でも、そうしなければ、本当に真っ当な政策判断というのはできなくなるような気がするんですよ。

 あらかじめ与党案だけが先に出ていって、それで準備をさせているなどということになると、もう準備が進んじゃっているからそれは直せませんというような、そういうバイアスがかかるわけですね。

 今後、こういう場面にはたくさんぶち当たってくると思うんですが、これはやはり見直すというか、そういう方向に頭を切りかえていかなければ国会の審議はだめになる、私はそう思うんですが、総理、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 難しい御質問でございまして、現実は、国において予算審議をする、関連法案の作成もございますね。しかし、地方団体では、予算編成とか条例案の作成とか、そういうものが同時期に行われるわけですよ。そうした場合に、地方はどうしたらいいんですか。

 我が与党としては、政府案というものは出しております。出しておりますよ。野党として何か案がおありなら、それを出されるということがあれば、どっちかなということは地方は考えられるかもしれぬけれども、今は与党の案しかないわけでしょう。ですから……(逢坂委員「私が言っているのはそんな話じゃないですよ」と呼ぶ)だから、地方のことも考えてあげなければいけないということを私は申し上げているわけですよ。

 政府として、国の予算案とか関連法案の考え方、内容を地方団体に十分情報提供し、その参考にしてもらう、こういう必要は当然あると思います。この自治財政局財政課長の文書でも、「地方公共団体の予算編成作業の状況にかんがみ、さしあたり現段階における地方財政の見通し、その他予算編成上留意すべき事柄について、別紙のとおりお知らせいたします。」と丁寧に通知しているわけですから。

渡辺委員長 逢坂君、時間が過ぎておりますので、終わらせてください。

逢坂委員 はい、わかりました。一言だけ申し上げて、終わりたいと思います。

 総理、今のは確かに予算のことですから、指針が必要だということは私も認めているんです。しかし、例えば後期高齢者医療制度、この制度を、ことし四月から本当は当初実施しようと思っていたものを変更いたしましたね。あれは、国会で補正予算も通らないうちに全国の市町村にはあたかも変更を前提として指示を出して準備をさせているわけですよ。その内容を今ここで議論して、仮に補正予算の内容が狂ったとしても、全国の自治体はコンピューターシステムを二度変えてしまって、もうもとへ戻せないというような状況になっているわけですよ。そういう政策の進め方は、この予算に限らず、もうだめなのではないかということなんですね。これは極めて大事なことで、そうしなければ国会の議論が硬直化してしまうんですよ。

 公平に対案が出たときも、そのどっちを選ぶんだということができなくなるということだけは御認識いただきたい。よろしくお願いいたします。

 以上です。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 地財三法に関連して、特に地方交付税に関して総理に質問をいたします。

 お手元に資料を配付させていただきました。朝日新聞の地方交付税全国市区町村アンケートの調査に基づいてつくったグラフでありますが、人口規模が小さく地方交付税に財源を依拠する財政力の弱い自治体ほど住民サービスの見直しに踏み切らざるを得ないということが、ここでもうかがえると思います。交付税削減による自治体財政の逼迫で、医療や福祉、ごみなど、生活に密接にかかわる分野も聖域なき見直しの対象となっている、住民サービスの見直しに踏み切った自治体が七割に上る、住民サービスの見直しも、公共事業の削減も、人件費の削減も、自治体の規模が小さくなるほど大きかったと報道がされております。

 そこで、総理に質問いたしますが、私の本会議での、交付税の削減が地方の疲弊をもたらした重大な原因ではないかという質問に、総理は、結果として地方交付税の削減が急激に行われたこともあって、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声があったということは承知をしていると答弁をされました。

 そこで伺いますが、この間の急激な交付税の削減が財政力の弱い自治体ほど住民サービスの低下をもたらしているという認識は、総理、お持ちでしょうか。

福田内閣総理大臣 私は、今委員がおっしゃったとおり、そういう答弁をしたと記憶いたしております。

 三位一体改革では、国、地方を通じた財政の健全化を図るために、地方歳出の見直しに伴う地方交付税総額の抑制を行った。結果として、地方交付税の削減が急激に行われたということもありまして、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声があったという認識を持っております。

 しかし一方で、地方の自主性とか主体性を高めるために、補助金の廃止縮小、税源の移譲というものが実現したところでございまして、地方税財政の改革の第一歩である、こういうように考えております。

塩川委員 税財政の改革と言いましたけれども、税源移譲なども行われたわけですが、実際その税源移譲でふえる住民税の増収額というのは極めて少ないわけであります。それ以上に地方交付税が削減をされているというのが実態なわけです。

 総理、もう一度お伺いしますが、財政力の弱い自治体ほど、交付税の急激な削減がやはり住民サービスの低下をもたらしたんだ、こういうグラフに示しましたけれども、そういう認識はお持ちか、改めて伺います。

福田内閣総理大臣 これは、地方によっていろいろございますけれども、結果としてそういう部分もあるということも、私も、具体的にどこどこということでなくて、想像できます。

 しかし、三位一体改革は、そもそもの趣旨は、地方の財政改革も迫ったわけでありまして、そういう意味において、私は成功した部分もあると思います。ですから、いいところもあったけれども悪いところもあった、こういうふうに認識をいたしております。

塩川委員 結果としてというおっしゃり方でしたけれども、住民サービスの低下をもたらしたということもあっただろうということを、具体的ではないけれどもお認めになりました。

 そこで、私は伺いたいんですが、本来、全国どこでも同等の住民サービスが確保できるよう財源保障するのは交付税であるわけで、その交付税が大きく削減をされたことが、特に財政力の弱い地方団体で住民サービスの低下をもたらさざるを得なかったということになるわけですから、そうであるならば、財政力の弱い地方団体に対し、この間急激に削減をされた地方交付税の復元を図ることこそ、政府の仕事だと思います。地方交付税の復元を図るというお考えはございませんか。

増田国務大臣 確かに、人口規模の小さいような、今委員がお話しになったようなところでかなり財政の仕組みを見直さざるを得なかったということにもなりましたし、そのことがいろいろと財政の窮屈さを増したことは事実でございます。

 そういった実態を踏まえて、今回の予算編成において、全体の地方の一般歳出の内容についても私どもは吟味をいたしましたのと、それから、その中でやはり枢要な部分を占める地方交付税についても、地域のさまざまな声を聞きながら、そうした法令で決められたサービス、それから、新たな自主的そして主体的な発想を生かすような財源をきちんと手当てしなければいけない、こういうことで増額をさせていただいた、こういうことでございます。

 復元ということでございますけれども、こうした地方交付税の全体につきましても、政府全体の予算編成の中でどういうやりくりをするかということ。これは、地方財政の規模も大変大きいわけでございますので、地方財政計画というものをつくって、その中でそれぞれの調整を図っている、そういう機能も地方財政計画にあるわけですが、地方財政計画をつくりながら予算全体の中での調整をしております。

 したがって、毎年毎年その額については今後も適切に考えていって、立法府の御判断をいただきたいと思っておりますが、今回は、今の地方の置かれております、先ほど表でお示しになった実態を私どもとしても十分酌み取った、そういう最大限の予算編成になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

塩川委員 そういう財政力の弱い団体の声を酌み取った予算となっている、そういう点で地方交付税の増額を図ったというお話ですけれども、そこで資料の二枚目をごらんいただきたいわけです。地方交付税の増額、それは、歳出計画に適切に地方の歳出を見込むという中で地方再生対策費を設ける、そういう中での増額の反映ということになるわけですが、そもそも三位一体改革に伴うこの五年間の交付税額の減額、人口四千人未満の町村の地方交付税の増減で見ていただきたいんですが、本会議で私が例示をしました、全国の中での町村の実態であります。ごらんいただきましたように、交付税額の減額というのが数億円に上る。七億一千万とか六億四千万、三億四千万。

 こういう数字に対して、地方再生対策費による増額分というのが、五千五百万、五千五百万、五千五百万、四千万、五千万。いわばこの五年間で削減をされたうちの一割、二割程度にしかならないというのが実態であります。

 まさに、増額分はこの間の大幅な削減に比べれば微々たるものであるわけで、総理自身も、財政力の弱い地方団体が厳しい財政運営を強いられているという声があると承知をしておられるわけですから、まさにその対象の人口四千人未満の市町村に対して、ふさわしく、そういう厳しい声を酌み取って交付税の復元を図ることが必要ではありませんか。

 総理自身の御答弁に沿っての質問ですから、総理、お答えください、総理。

増田国務大臣 私の方で先にお答え申し上げます。

 地方交付税の中で地方再生対策費、これは市町村を中心に重点的にできるだけ対応するということで配分をしております。

 それから、もう一つ申し上げたいのは、今までの財政の中で、こうした市町村も含めて、やはり見直しをせざるを得ないところはあったわけですよ。これは再三御指摘いただいておりましたとおり、公務員人件費ですとか、行革が進んでいないという一方で、さまざまな御指摘もいただいて、それを踏まえて一般歳出総額をいろいろと圧縮してきた。そういう目配りをしながらの圧縮でありますので、単純にその額をもとどおりに戻せということではなくて、きちんとそういった内容も吟味した上でこの問題は考えていく必要があるというふうに思います。

福田内閣総理大臣 今般、地方再生対策費で対応したのは、地方交付税の算定を通じまして、市町村、特に財政状況の厳しい地域に重点的に配分をしたということであります。

塩川委員 財政事情が厳しいといっても、削減に対して一割、二割でしかないわけですから、こういう中ではとても立ち行かなくなっているというのが実態だと思います。

 そもそも、この間の構造改革路線、骨太方針の中で、地方の歳出の総額を抑制するという枠組みをつくっている、そういうもとの中で幾ら工夫をしても、交付税の増額を図れない、復元を図れない。この構造改革路線、骨太方針そのものの撤回が必要だ、このことを強く求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 総理にお尋ねいたします。今の質問と重複する部分がありますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 現在、地方の財政は大変厳しい状況にある。私は、地方財政が危機的状況に陥った原因は幾つかあると思っています。しかし、長期的に見て、根本的な要因といえば、やはり小泉構造改革のとった政策、とりわけ国際競争のみを強調した外需依存型の体質に日本経済をしてしまったというところにあると思います。そうすると、輸出型の企業を持たない地方の疲弊は進む一方であります。そこに拍車をかけたのが、先ほど来問題になっております基本方針二〇〇六、そういう方針に基づく歳出歳入一体改革であると思います。

 昨年十一月に内閣府が出しました地域の経済二〇〇七では、このように書いております。「公的部門に寄り掛かる経済では、民間の知恵や創意工夫を発揮して成長していくことが困難」、こういう指摘をしているんですね。内需が盛り上がらず、輸出型の大企業を持たない地域では、やはり公的部門が最後のとりでとなって地域経済を支えている、そういう実態があるわけです。これは否定できません。

 総務調査室が行いましたアンケートがありますけれども、そこで、予算規模の変化が地域経済に悪影響を与えていると答えた都道府県、実に七割に上っております。政令市、中核市でも五割を超えている。企業側から見ても、五割を超える企業が、悪影響を与えている、こういう回答をしております。

 つまり、地方財政の逼迫が地域経済に悪影響を与えている、また、それが回り回って地方財政を圧迫する、こういう悪循環に今落ち込んでいるんだ、このように思いますね。

 そこで、総理は十九日の本会議で、引き続き基本方針二〇〇六にのっとって歳出歳入一体改革を進めていく、このように述べられましたが、そのお考えに変わりはないのか、ひとつ確認をいたします。

福田内閣総理大臣 考え方には変わりありません。歳出歳入改革をきちんとやっていくということは、今の日本の経済財政状況を考えれば、これは避けて通れない大きな課題だと思います。

 そしてまた、これから、我が国人口は今減少を始めた、こういうような状況の中で、そして資源価格が、農産物も含めて値上がりしてくる、こういうふうな状況も踏まえて考えた場合に、人口が減少する、だから内需が減る、その分を外需で支える、そういう構造というのは、やはりこれはあり得るのだろうというふうに思います。

 ただ、内需がもっと振興してほしいという気持ちは持っておりますので、その面における努力はこれからしてまいりたいと思いますけれども、外需を無視するわけにいかない。外需があるから今の日本の経済、我々の生活が支えられるんだという、このことは無視してはいけないし、将来的にはその分がより多くなるでしょう。人口は減る、では、その分を支えるのはやはり外需だといったようなことになる可能性が十分にありますので、そっちの面の努力もしていかなければいけないと思います。

 その基本は、やはり二〇〇六の歳出歳入改革、今の財政状況を考えれば、どうしてもその目標を到達させなければいけないというように思っております。

重野委員 私は、現下の地方財政あるいは地方の厳しい経済状況というのは、やはりいろいろな背景があると思うんです。再三言われているように、税源移譲をして三兆円地方に回す、それはよし。ところが、補助金の削減、これで四・七兆円、地方交付税五・一兆円、これはもう削減されたわけですね。そして、やはりそれが地方自治体の財政を大変疲弊させた、それが一つあると思うんですね。

 交付税特会の借入金の償還についても、二十年度、二十一年度の部分を二十六年度以降に繰り延べしなきゃならぬ、そういうやりくりをしなきゃならぬという地方財政の実態がある。

 そして、地方自治体、東京と愛知から四千億召し上げたわけですね。これだってやはり異常な出来事だと思いますよ。東京、愛知だって、大変厳しい実態があるわけですよね。そういうところから四千億という金を召し上げるという方法が、これは本当に妥当性があるのかという問題もある。

 そういうことを考えたときに、今総理が言うようにこの二〇〇六をさらに推し進めていくということは、私は、現状に照らして妥当性はないと思うんですね。そういう問題指摘に対して総理はどのように受けとめられますか。

増田国務大臣 今、例の東京、愛知からの税源偏在の是正のことについても触れられました。そのほか、今回の交付税の地方再生対策費等の生み出し方についての御指摘もいただきました。

 やはり、地方税収を安定的な税体系のもとで構築していくということは大変大事でありますので、今回のこうした対策の基本は、地方消費税を中心として、偏在性の少ない安定的な体系を構築する、これが基本であります。このことをはっきりと確認した上で、暫定的な措置として、法人事業税の偏在是正に取り組んだわけです。一方で、やはり、法人事業税、余り地域間の差があるということもこの地方自治の中で望ましくないという判断で偏在是正を行いました。こうした、大きな目指す方向というのは、地方税の税体系を構築する大きな方向性に沿った形で私はやられているというふうに思っております。

 そして、そうしたことを行った上で、交付税の総額を生み出したり、あるいは、前も補正の交付税法案のときにいろいろ御議論いただきました、償還を繰り延べたりといったような措置も行いましたが、これは、やはり現下の国の財政状況との調整の上で行ったものであります。

 全体として、そうしたことを通じて、二〇〇六の基本方向に沿った形で、歳出も見直すし歳入も見直す、そのことによってそれぞれの財政の改革も進めていく、こういうことが私はやはり必要である、その中で、地方財政も、今回の措置によって一般歳出全体をふやしましたので、もちろん額の規模の問題はあると思いますが、政府として、小規模自治体も含めて財政の点についてきちんと目配りをしているという、その決意はきちんと各自治体の方に伝わった、こういうふうに思っております。

重野委員 先般新聞で、舛添厚労大臣が、社会保障費の二千二百億円のマイナスシーリングはやめたいと思っている、そういう発言をされた、こういうふうに報じられました。産科、小児科の医師不足対策、あるいは女性医師が仕事と子育てを両立できるような院内保育所をつくるなど、いろいろな施策を行っていく必要がある、こういうふうな記事でありました。

 つまり、二〇〇六が、そういう意味ではもうやはりもたない、あちこちにそのひずみが出ている。この二千二百億の話は、私はその証左だろうと思うんですね。そういう問題意識というのを総理が持って、そして事に当たっていただく、そういうことが今私は喫緊の課題として求められていると思うんですが、その点について総理の答弁を求めます。

福田内閣総理大臣 そういうふうにしたいところですけれども、国の財政も極めて厳しい状況にあります。地方の財政も厳しいと承知しております。これから社会保障費もふえてくるでしょう、それから少子高齢化といったようなこともございます。高齢化して、そして少子化ですから、支え手が少なくなってくる、その方々の負担も多くなる可能性も考えられるわけですね。

 そういうような状況の中で、社会保障費についても、随分政府も頑張ってやってきたと思います。御不満も多いと思いますけれども、頑張って、これは結果としてですけれども、ふえてきているということでございます。

 政府の予算の中で、科学技術開発予算、これと社会保障、この二つの項目だけですよ、ふえているのは。それ以外は全部減額をしている。公共事業はひところの半分になってしまったというぐらい大きく減少している。そのことが地方経済にも悪い影響を与えるというふうなことも言われているわけでありますけれども、そういうような犠牲を方々に強いているわけですね。

 ですから、社会保障費についても、これもやはりできるだけ合理的な、しかしサービスの質を落とさないようにということは配慮しているんですけれども、そういうような姿勢でもってやらざるを得ない、こういうふうなことであります。

 今後この問題についてどういうふうにするかということについては、最近、社会保障に関する国民会議も立ち上げまして、こういう社会保障について全般的にどういうふうに考えるべきかということ、これを議論していただくということになっておりますので、そういう議論も通して、この社会保障費をどう見ていくか、そして負担のあり方というものもあわせて議論していただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

重野委員 終わります。

渡辺委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 質疑を続行いたします。井澤京子君。

井澤委員 自由民主党の井澤京子でございます。

 前半二時間、福田総理が出席されての答弁がございました。退室をされてしまいましたが、増田大臣、改めてどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、私ごとではございますが、私の地元京都六区という選挙区は宇治から以南の十二市町村から成りまして、京都府全体では二十六市町村ある中のほぼ半分が私の選挙区ということで、本当に地方の声をこれこそ上げなければならないなと思っているところでございます。

 今回、質問するに当たりまして、各市町村にアンケートをとりまして、地方財政に対する国への要望、そういう声がないかということで、幾つか声が上がっておりますので、その声も含めまして、質問を早速させていただきたいと思っております。

 まず、質問に入る前に、先ほど、朝、福田総理からも、地方が主体で、地方が意思を持つことで、政府はそれを支えていきたい、そこからスタートする、しっかり地方の声を聞いていきたいという心強い決意が福田総理の方からありました。また、先日の増田大臣の所信表明の中でも、大臣は、地方の元気が日本の力であると、まず第一声に基本理念を示されました。

 また、福田内閣のメールマガジンの二月の十四日号で、就任以来、増田大臣は車座対話として全国七カ所の各地を回り、地域住民や地元の企業、またNPOや市町村など、各市町村の皆さんと本当にひざを交えて意見交換を行って、地域の実情やあるいは地域の人々の生の声というものをじっくりと聞かれたと書いておられます。地域間格差が広がる中、どう是正していくのか、それが一番重要であると、私から申し上げるまでもありませんが、実際御自分の足で回って地域の生の声を聞くというのは、本当に現地、現場主義を貫かれる大変すばらしいことだと、私も共感するところでございます。

 そこで、早速二つ質問をさせていただきたいと思います。幾つか前半の質問の中で御答弁もあったかと思いますが、増田大臣は、十二年間の岩手県知事として、実体験、本当に現場で実情を身近に感じてこられて、実務でも携わられてきた。現在は、総務大臣としても半年間取り組まれている。

 車座対話を通して全国の地域を回られた結果、第一問目として、今地方で何が求められていて、そのためにどんな対策が必要なのか、改めてその御決意と、特にぜひこれをお伺いしたいのですが、知事時代と大臣になられて、地方への見方が変わったのか、また地方の現場の声とトップ、大臣への届く声に差があるのか、その辺、率直な御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、大臣になりまして心配しておりましたのは、やはり現場の声とか現場の実態がわからなくなっては困るなという思いが強くありまして、それで早速、各地域、今お話ございましたとおり、七カ所でございますが、車座対話といいまして、そこに出かけてまいりました。

 その中で聞かれました声ですけれども、いろいろございましたが、人づくりが大変重要であるといったようなお話、あるいは役所の縦割りの中で、省庁横断的な施策をぜひ生み出してほしいということ、それから医師不足のお話もございました、道路整備の要望も強くございましたし、そして、自治体の関係者からはやはり交付税の増額のお話もございました。

 知事時代に岩手県内の各地域を歩きました声と届く声に共通点は大変多いなという思いがございました。結局、全国の多くの自治体がやはりこうした問題で悩んでおられるということを肌で感じましたのと同時に、こうしたことを継続して続けていかないと国政の中に現場の声が反映できない、こういう思いがございまして、これは今後も私としてもしっかりと継続をしていきたいというふうに思っています。

 そして、その上で、できるだけ急がれる対策から順次実行に移していきたいと思いまして、まず昨年の十一月三十日に、限られた時間ではございましたが、地方再生戦略ということで、各省でき得る限り横断的な対策を取りまとめたというのが一つと、それから、暮れの予算編成の過程の中で、地方再生対策費という形で、地方財政計画の中の歳出項目を一つ新たに立てまして、財政力の小さな自治体を中心として交付税としてお金をお配りする、そうしたことを実現した。

 この財源の生み出し方には大変苦労いたしましたけれども、そういうことで、でき得る限り自治体の要望におこたえをしたのと同時に、そのほか、さまざまな新たな地域の財政需要、特に法令で決められたもののみならず、やはり自分たちで創造的に、例えば女性軍の力を活用してこの地域の道の駅をもっともっと大きくしたいとか、いろいろなアイデアがさまざま聞かれましたので、そうしたことに対して、本当にちょっとしたお金でそこがうまく実現に結びつけられる、ソフト的な経費でも非常に効果があるということでございましたので、そうしたこともでき得る限り組み入れたような形で積み上げまして、一般財源の総額も全体としてふやした計画としたということでございます。

 今般の措置によりまして、そうした声にどれだけこたえ得たのか、私としては最大限努力して、今の政府の中では最大限きめ細かく対応したつもりでございますけれども、また逆に、こうした声でまた新たな政策というものも国政の中に反映させる必要がございますし、これで何か二十年度はやり尽くしたということには決してならない、それだけ地方が厳しいということは重々承知しておりますので。

 こうした現場の声を酌み取り、国政に反映させるということを今後も引き続き強力に推し進めていきたいと考えております。

井澤委員 ありがとうございました。

 安心をしました。知事時代と大臣になられて共通点が多い、それを肌で感じて、それを実現していきたいという取り組み、大変ありがたいと思っております。また、女性のアイデアを聞いて、それをちょっとしたお金でもできる、ちょっとしたアイデアをちょっとしたお金で、ぜひもう少しずつきめ細かく取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、早速、地方の切実な叫びを全国で聞かれていく中で、来年度の地方財政計画、具体的にどのような対策を講じられて、それが今後どのように地方の再生や活性化に効果づけていかれるのか、そのあたりの大臣の御見解を具体的に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

増田国務大臣 少し具体的に申し上げますと、やはり一番大きなものは、地方財政計画の中で地方再生対策費という新たな歳出の特別枠を実現できたことではないか、このように思っております。これが今後、各県、あるいは市町村にこれは重点的に配分してございますけれども、こうした市町村のさまざまなアイデアにうまく結びつく、政府としてそれの後押しをしていかなければならない。先ほど総理の方からも、主体的に考える自治体のいろいろなアイデアというのを政府として最大限後押しをするという表明がありました。これは省庁横断的に私も責任を持って行っていかなければならないというふうに思っております。

 それからあと、各地域でのそうしたさまざまな主体的な取り組みを実現していく上で、やはり産業振興などの新たな芽というものをしっかりと育てていかなければならない、こういうふうに考えております。それはやはり、今回は税の偏在是正ということに大きく取り組んだわけでございまして、抜本的な税制改革までの暫定措置としての措置も行ったわけでございますが、やはり税の偏在是正で各地域の税収をできるだけならしていくという、これは限度があります。根っこの産業がしっかりとしていて、そこで上がってくる税をできるだけ公平にしていく、こういう考え方になっていますので、やはり根っこの産業振興をどうしていくかということに今後大きく私どもとしてもウエートを置いていかなければならない。

 そうしますと、今総務省の方で検討しております定住自立圏構想ということで、実は、そこに住んでいる特に若い人たちが全部大都会に吸い寄せられるようなことでなくて、その地域に雇用の場を確保していく、そういう定住自立圏構想のアイデアとも結びついてくるものでございますので、これはもう少しお時間をいただいて、今検討会を進めておりますが、その中で、都市との共生ですとか各自治体間の相互支援というようなことで、一つ一つの小さな自治体だけではなくて、お互いの相互協力というものを大きく圏域としてくくり上げていくような、こういう考え方を実現していきたいというふうに思っております。

 そのほか、道路の整備ですとかハードの整備ももちろん行っていかなければなりませんし、時代の傾向が人口減少下の中で、ストック型社会ということで、ストックをできるだけ生かす方向に価値観を変えていかなければならないという大きな時代の変わり目でございますので、こうした価値観の変化、あるいは国民のライフスタイル、あるいはワークライフバランスを十分に考慮しながらの政策というものの実現に努めていきたいというふうに思います。

井澤委員 ありがとうございました。

 ぜひ、都市だけではなく地方の産業力を高めるということをお願いしたいと思います。あと、ともに、今お話がありましたように、ストック社会ではなくフロー、これが都市、地方、全国に流れるような社会にしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に移りたいのですが、先ほども地方交付税の増額について質問がありました。今回、地方交付税の総額がさかのぼってどんな状況で流れてきたのか、振り返ってみますと、平成十七年を除きまして、平成十三年から昨年の十九年まで減額の年が続いてきたと聞いております。そのような縮小財政の中で地方も、次第に減額されていく、元気がなくなっていく、シュリンク状態に陥ってきたのではないかというのが実態ではないでしょうか。

 来年度の地方交付税の総額の増額は、三年ぶりに一・三%の増、十五・四兆円の増加、また、臨時財政対策債と合わせた実質的な地方交付税の増額は、五年ぶりに二・三%増、十八・二兆円の増額となっております。地方にとっては久しぶりの朗報ではないかと思っておりますが、増額となったことで、地方が元気になるために、一つのこれは大臣の大きな取り組みのあらわれ、思いのあらわれかと思いますが、増額されたことについての効果なり期待についてお話しいただければと思います。

増田国務大臣 今まで、行革をせい、行革をせい、人減らしをせい、人減らしをせいとか、やはり財政がきつくなってくるとそういう話ばかり行政の方としては考えるようになってきた。そして、こう言うと大変言い過ぎかもしれませんけれども、結局は切りやすいところ、削減しやすいところ、ソフト的な経費とか、本当にアイデアをかき立てるようなそういう経費から真っ先に削ってきて、なかなか経常的な経費に手がつかなかったといったようなことになってきたわけです。しかし、それもだめなので、ついには結局そういうところも手をかけざるを得ない。

 これは、やはり気分の問題かもしれませんが、精神的に非常に内向きになってきて、そして、外に出ていって住民のニーズを酌み取ろう、そういうことをなかなかしなくなってきた。そこで新たな財政需要でこういうことをやりたいなということを聞いてきたら、今度はそれを実現する責任が出てくるわけですが、そういったことをしょい込みたくないと、職員も非常にシュリンクをしてきたという傾向がございました。

 そうではなくて、これは政府としてもそういうことがないように、今回の地方再生対策費で政府としての姿勢、メッセージを送ったつもりでございます。今まで三位一体改革で急激な削減を行ったということが、どうしてもそういう自治体のビヘービアにつながっていってしまったのではないかということもございましたので、そこを断ち切りたかったというのが今回の予算の眼目でございます。

 その後、予算編成を終えた後、ことしになりましてから、いろいろ全国の自治体の首長さん方にお会いをしますと、いや、これで少し、少しと皆さんおっしゃっていますが、少し予算編成の気が楽になった、ぜひこういうことを続けてくれよ、こういうお声をいただいているわけですが、政府の姿勢がそれにしても変わったんだなということは受けとめていただいておられるようでございますので、そのことを含めて、政府としての考え方は、また新たにそういう首長の皆さん方あるいは議会の皆さん方にもしっかりとお伝えをしていかなければならない、このように考えております。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

井澤委員 ありがとうございました。

 ぜひ、少しずつでも地方が元気になるように取り組んでいただきたいと思います。

 では、次に、地方再生対策費についてお伺いいたします。

 冒頭に私申し上げましたように、私の地元は京都の南部十二市町村から成り立っております。例えば、人口十九万人の宇治市という都市部や、また人口増加率が全国第二位の精華町という町がある、ほかに、一年前に三町合併を行ったばかりの、これからまちづくりをしていく木津川市という市もあります。

 でも、その市町村合併に取り残され、財政が本当に緊迫して、高齢化や過疎化に悩む郡部の町村など、村もあります。自主財源に乏しくて義務的経費を削っても削っても、もう二、三年以内には第二の夕張を迎える、どうにかしてほしいという悲痛な叫びも聞こえております。

 このような実情のもとで、地方の再生や活性化のための措置として、来年度の地方財政計画については、先ほどお話がありました地方交付税の増額、また地方再生対策費の創設など、いろいろと取り組んでいただけることになっております。

 しかし、そのようなものに期待はされているのですけれども、実は、地元の市長からこんな要望が届いておりますので、そのまま読み上げさせていただきたいと思います。

 ある市なんですけれども、当初、試算額として、地方再生対策費について試算をしていたそうです。人口十万人規模の市町村は二億円程度である。人口五万人規模の市町村は一億三千万円程度と示されていた。これをもとに、市の人口は約八万人であることから、地方再生対策費の額は一億三千万円から二億円の間の額と見積もり、平成二十年度当初予算の編成に当たっていたところである。しかしながら、一月末に示された試算額としての金額は九千八百万円であったため、予算編成での収支調整が少なからず当初より狂いが生じてしまった。地方再生対策費は、特に財政状況の厳しい地域に重点的に配分するとされており、期待していたが、その配分方法は、第一次産業就業者比率や高齢者人口比率、また耕地及び林野面積によるものであり、財政状況の厳しい市町村に重点的に配分されたかどうか甚だ疑問を感じているという声が上がっております。

 せっかく地方再生対策費を創設されたにもかかわらず、その算定の考え方について、地方自治体にはしっかりと説明していただきたい。納得していないのが現実なんですね。無意味なものであっては、せっかくの大臣の取り組みも残念でなりません。

 そこで、地方再生対策費の算定方法について、具体的な御説明、納得いくようにお願いいたします。

久保政府参考人 まず、四千億円の配分の方法といいますか、これについて申し上げますと、地方再生の取り組み、これは市町村が主な役割を担っていただくというふうに考えておりますから、算定に当たりましては市町村に重点を置くということにいたしまして、都道府県分が一千五百億円程度、そして市町村分が二千五百億円程度の算定額とする予定でございます。

 また、ただいま御指摘がございましたように、この地方再生対策費、これは、特に財政力の弱い地方公共団体において、懸命な行政改革を行ってもなお地方再生のための財源の確保に苦労している、そういった実態を踏まえまして、地方と都市の格差是正の観点から創設するということでございますので、財政状況の厳しい地域に重点を置くということにしておりまして、御指摘もございましたように、具体的には、各地方公共団体の人口と面積の要素で算定することを基本としながら、人口規模のコスト差のほか、また第一次産業就業者比率でございますとか高齢者人口比率などを反映することにしております。

 また、合併した市町村、これが特に、合併をするときに想定していたよりも財政状況が厳しいといった声もございまして、合併市町村につきましては、旧市町村単位で算定した額を合算するということによりまして合併後のまちづくりの財源が確保できるように配慮することにいたしております。

 地方公共団体に対しての説明が不十分ではないかという御指摘でございます。

 私ども、御指摘のように、各地方公共団体の平成二十年度予算の編成が重要なことでございますので、これに資するということで、地方再生対策費の算定方法の案、そして試算額を、先般一月二十二日に全国都道府県財政課長、市町村担当課長の合同会議が開かれましたから、その席上、算定方法等を示しまして、同時に、当日公表するということにいたしました。

 今後とも、各種会議の場におきまして、算定方法の考え方、これを地方公共団体に説明してまいりたいと思います。私どもの考え方も十分にお話をして、意見交換もしていきたいと考えております。

井澤委員 ぜひ、この地方再生対策費、成功に向けて協力的に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 時間も限られております。次に移りたいと思います。

 次は、地方の道路特定財源について質問したいと思っております。

 お手元に配付をさせていただいております、京都府で作成した道路関係費の内訳をごらんください。左の方の歳出を見ていただくと、道路予算の八百六十六億円のうち、公債費の返還が三百六十億円もあります。実際に使われている道路事業費の七割を超える額が過去の道路事業の借金返済に充てていられることが事実です。これは、国から来る道路特定財源を合わせたすべての京都府の道路特定財源、右にあります歳入、二百七十六億円を百億円近く上回る数字でございます。今の京都の道路特定財源では過去の借金返済さえ賄えないというのが現状です。

 もしこの暫定税率が廃止された場合、京都府がどのくらいの影響になるのか。ここには百五十四億円の減収とありますけれども、これは過去の借金さえ賄えない、道路特定財源、これ以上減らすとどうなるのかと思っていることが、これが本当の、事実の数字としてあらわれていることです。今回、質問に当たり、私の地元の町長からも、この道路特定財源についての緊急の要望をいただいております。このような京都府の現状というのは異例なことではないと思います。

 そこで、全国の地方団体をトータルで見た場合、この道路特定財源だけでどの程度道路事業ができるのか、また過去の借金返済がどれぐらいあるのかも含めて、総務省の御見解をお願いしたいと思います。

久保政府参考人 委員からただいま京都府の例の御紹介がございましたが、地方公共団体全体を見てみますと、道路事業、これは、過去の道路整備に係る公債費負担も含めまして、道路特定財源だけでは足りずに、多くを一般財源や地方債によって賄っているのが現状でございます。

 具体的に申し上げますと、平成十八年度決算統計、これに従って見てみますと、まず、都道府県の道路関係経費の合計額約六兆円のうち道路特定財源は一・二兆円、二一%でございまして、国庫支出金などを合わせても二・三兆円、四〇%という状況でございます。また、市町村の道路関係経費の合計額、約四・六兆円でございますけれども、このうち道路特定財源が一兆円、二一%でございまして、国庫支出金などを合わせて見ますと一・六兆円、三四%という状況でございます。

 その一方で、過去の借金返済でございます地方債の償還費用でございますけれども、都道府県は二・一兆円、三六%、そして市町村が一・三兆円、二九%となっておりまして、いずれも道路特定財源では賄えないという状況になってございます。

井澤委員 今、事実がわかったかと思います。道路特定財源では過去の借金返済が本当にできていないというのが、これが事実かと思います。

 それに関連いたしまして、もう一問だけ御質問します。

 御存じのように、地方の道路特定財源は、道路に関する費用に充てるということで、目的税として、特定財源として位置づけていられます。これを、目的税を普通税にするということにしてしまっては、例えば住民の方々への理解を求めるに当たっても、受益と負担の関係をわかりやすくするために、目的を明確にした方がやはりわかりやすい、理解していただけるんじゃないかと思います。

 地方税の中には目的税もかなり多くあります。目的税を見直す必要があるとしたら、もはや必要がなくなったということを明確にされてしまうのではないかと思います。

 先ほど、道路特定財源は足りているという意見もありましたが、現状は足りていないと、今の答弁からもおわかりになったと思います。地方の道路の特定財源は既に定着した目的税のままで維持すればいいのではないかと思いますが、この点について御意見をお願いいたします。

谷口副大臣 井澤委員のお尋ねでございますが、地方の道路状況は、御存じのとおり、国道に比べまして改良率もまた舗装率も大変低いわけであります。また、地方の道路事業に占める道路特定財源が約二割というような現状がございます。

 そんなこともございますので、地方団体は、真に必要な道路をつくってもらいたいという強い要望があるのは事実でございまして、このような状況の中で、今委員がおっしゃった、目的税であった方がいいのではないか、こういうお話になるわけでございますが、例えば自動車取得税だとか軽油引取税、これは目的税になっております。ですから、仮に目的税でなくなった場合には、受益と負担との関係が崩れるものですから、行きどころがなくなってしまう。国税の方の揮発油税は、これは一般財源として処理をすることが可能なのでありますけれども。

 このようなことだとか、そもそも、住民の皆さん、国民の皆様に、本来、道路のために使わせていただくという前提でこの税金をいただいておるわけでございますので、この前提そのものが崩れてくるというようなことも危惧されるわけでございます。

 それで、また、今、一般財源がいいのではないかというお話もございますが、真に必要な道路をつくるために、財政力の弱い団体は、一般財源になりました場合には道路に回せないという事態もあるわけでございます。このような観点から、今の現行の道路特定財源を維持していただくということが望ましいと私は考えておるわけでございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 時間となりましたので、最後に、地方からは増田大臣への期待が大きくあります、地方の元気が日本の力になるようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。そして、私の地元京都南部にも、車座対話でぜひお越しいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 総理がお帰りになって、テレビカメラもうんと減りまして静かでありますが、大事な法案の審議であります、しっかりと取り組みたいと思います。

 大臣におかれましては、お疲れでございます。京都へ行く前にぜひ山口にいらっしゃるようにお願いをしておきたいと思います。

 一点目は、偏在是正についてまず議論したいと思います。

 今回、地方税法の改正案では、地方税の偏在を是正するために、法人事業税の一部を移しかえて地方法人特別税とするということでございますが、この地方法人特別税なるものは、これは国税なのか地方税なのか、一体どっちなんだ。考え方によっては、民主党の皆さんからも、地方税源の充実という目的から見ると逆方向ではないかという声もあるのではないか、こう思ったりするわけでありますが、その点、まず大臣に確認をさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 まず、今回の地方法人特別税でございますが、形式上は、形の上では国税という形をとっております。

 問題は、なぜこういう形で偏在是正をしなければいけないのかということにかかっておりまして、応益性というのが地方税の大原則であるわけでございまして、それぞれから取る税で何かサービスを提供する、この関係ですね、応益性という関係があるわけでございますが、その関係をずっと突き詰めていきますと、どうしても税の偏在というものがますます大きく広がっていくような形になっていく。したがって、形式上は国税という形で、まさに言葉としては再配分をするような形をとらせていただきましたけれども。

 しかし、これは、大きく考えますと、地方税の偏在是正をするために新たにつくった税であるということ、そういう税の創設目的と、それから、徴収のやり方も、現実に地方税である都道府県の法人事業税と賦課徴収する形で、一体としてこういうふうに納めていただくということからして、実質的に我々は地方の税源そのものであるというふうに考えておりますし、したがいまして、今回、それぞれ配分をした先の地方法人特別譲与税自体は、地方税と同様に基準財政収入の中に七五%算入をするということで、全く地方税と同じような形にしていただきました。

 しかも、これは暫定措置という形をとっておりまして、当面の、税の抜本改革をするまでの間、やむを得ず私どもも、形式上、国税のこういう形をとりましたのですが、その抜本改革の際には地方税全体の充実、安定化を図る、そして、その際にはできるだけ偏在性も小さな税体系にしようという大きな考え方がございまして、それを明確に確認し、政府としても年明けにこの考え方をきちんと閣議決定して、各省全体の共通理解になっている、そして、地方消費税の充実も図りますということをはっきり書いたわけでございますので、そういう大きな森全体を見ていただいて、その一部分の枝としてこういうものを実現して、今の各地方団体の財政が非常に逼迫している、このことに有効に使わせていただきたい、このように考えたものでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私も与党税調の一員として議論に参加した一人でありますけれども、やはり今大臣がおっしゃったように、地方消費税の整理を本当は今回やりたかったんですね、なかなか難しいところもあったわけでありますが。

 何でこんな話をするかといいますと、やはり県民、国民から見ると、五%の消費税のうち一%が地方消費税で地方へ行っている、さらに、その残った四%部分から交付税財源として、一・一八%ですか、地方に行っているということは、国民は、多くの方は御存じない、わからないわけでありまして、間違いなく早い機会に消費税の議論をしなきゃなりませんが、その議論のときの条件整備として、私は、二%部分は地方消費税として地方へ行っているという環境をつくりたかったなと思った一人でありますが、なかなかそこまで行けなかったという残念な思いもあります。

 ぜひとも、政府全体として今回の特別税についてはそういう位置づけをしていただいているわけでありますから、先々、抜本改革の中でぐちゃぐちゃにならないことをぜひお願いしておきたいと思います。

 そこで、さっきの議論もあったんですが、四千億の特別枠であります。もう時間もありませんから余り議論しませんが、さっきの話のとおり、地方は、基準財政需要額に算入されているわけでありまして、一月に課長会議で示された試算も、ではこれがそっくり我が自治体の交付税としてふえる額なのかと。でも、なかなかそうでもないような、基準財政需要額に入っているものですから、税収がふえたりいろいろなこともあるんでしょうけれども、あれは、そっくりそれぞれの自治体が、久々に交付税はふえる、あの部分はふえたという理解でいいのかどうか、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。

久保政府参考人 このたびの地方再生対策費でございますけれども、これは、交付税の新たな算定費目として、交付税法の附則に五条の二というのをつくりましてそれを設けたということでございまして、しかも、これは地方財政計画上の特別枠でございます。したがいまして、従来の基準財政需要額にこの地方再生対策費の算定額を加算した額、これをもって各地方公共団体の基準財政需要額を算定するということになります。

 各地方公共団体の具体の地方交付税の額、これにつきましては、基準財政需要額から基準財政収入額を控除して算定をいたしますために、特別枠を設けた効果として、交付団体におきましては、これは基準財政収入額が変わらずに他の需要額が変わらないという前提を置きますと、地方再生対策費の算定額だけ地方交付税が増加するということになってまいります。

桝屋委員 とりわけ私ども三千人の地方議員がおりますから、地方議員と話をしておりますと、よかったじゃないか、こう言うと、いや、よかったのかね、どうかねと、本当に疑い深くなっておりまして、ありていに言うと、減らない分だけよかったかなというような声すら聞こえてくるわけであります。

 今回、基準財政需要額に入っているということで、なかなかわかりにくい、もっと明確な形で、執行部はもちろんわかっていると思うんですが、とりわけ地方議会ですね、それぞれの議会が、新たな、特に投資的な事業についてはほとんど手がつけられない、萎縮しているという話がありましたけれども、この特別枠を使ってぜひとも事業に取り組むんだということでは、ちょっともう少し工夫してほしかったなという声もあることを御報告しておきたいと思います。

 しかし、我が山口県でも久々に、久々というか初めてでしょうか、合併してよかったなという声を初めて聞きました。いや、合併してよかったと。五十六市町村が二十二になった山口県においては本当に久々に明るい話題だったな、だったじゃない、これからも続けなきゃなりませんが。

 そこで、次の点ですが、地方税関係です。

 今回、個人住民税における寄附金税制、大きく前進することになりました。いつも寄附金税制の議論をすると、私は、総務省というのは本当に消極的だなと。応益負担、応益負担ばかり言って、極めていつも後ろ向きであったのですが、今回はさま変わりしたように意欲的に取り組んでいただいて、まさに我が国の寄附文化を醸成する大きな決意に立っていただいたな、こう思っております。

 具体的には、対象団体も拡大されました。あるいは所得控除から税額控除ということにもなったわけでありまして、適用下限額も五千円ということで大幅に改正をされることになりましたが、そこで一点だけ確認をしておきたいと思います。

 今回対象は、個別に条例で各地方団体は指定ができるということになりました。その場合でありますが、当然、それぞれの自治体においては地域における受益関係を考えて選定をし考慮するんだろうと思いますけれども、自分のところの市町村の範囲内の団体の寄附に限るというものではない、全国どこからでもいいんだろうと私は理解しておりますが、その理解でいいかどうかお答えをいただきたいと思います。

河野政府参考人 個人住民税の寄附金税制の拡充につきましてのお尋ねでございます。

 近年、お話ございましたように、我が国の寄附文化の醸成を図っていく、こういった課題、あるいは地域に密着した民間公益活動の促進を図る、こういった必要性が高まっているところでございまして、こうした状況を踏まえて、今回、個人住民税の寄附金税制を大幅に見直し、拡充するということにさせていただいているところでございます。

 この中で、一つには、所得税の控除対象寄附金のうちから地方団体が条例で指定した寄附金を個人住民税の寄附金控除の対象とする制度を新たに創設することにいたしているわけでございまして、これとあわせまして、これもお話ございましたけれども、控除方式を従来の所得控除から税額控除に改める、さらには適用下限額を大幅に引き下げる、こういった改正をさせていただいているところでございます。

 お尋ねございました対象となる寄附金についてでございますけれども、これは、各地方団体におきまして、地域における受益関係を勘案いただいて条例で指定する、こういう仕組みとしておりますので、各地方団体の区域外に所在する団体に対する寄附金であっても対象とすることができるものでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 大事な点でありまして、例えば東京の公益法人あたりが我が市町村に大変なサービスを展開してくれているという例はたくさんあるわけでありまして、そうした団体に対する支援策ということにもなろうかと思っております。

 それから、今回の寄附金税制、個人住民税の寄附金税制のスキームを使いまして、議論になりましたふるさと納税のスキームもこの中に入っているというふうに理解しておりますが、なかなかこれも、ニュースに時々出ますけれども、私は新しい試みだと思っておりまして、大きな期待を持っております。

 議論をわかりやすくするために、一般的な例でちょっと例を、一般論で結構ですが、示していただきたいと思います。

 例えば、我が山口県出身の方が東京で働いておられる、この方が、では、このふるさと納税を使って我が山口県の市町村に寄附をしようとした場合にどういうことに相なるのかお示しをいただきたいと思います。例えば、平均的なサラリーマン、給与収入が七百万ぐらいの方が自分の住民税の一部を、五万円あるいは三万円という数字を寄附した場合、これはどういうメリットがあるのか、どういうふうになるのか、お示しをいただきたいと思います。

河野政府参考人 お答えいたします。

 今回の住民税における寄附金税制の拡充の中で、先ほど申し上げた点のほかにもう一点、地方団体に対する寄附金につきまして、五千円の適用下限額を超える部分につきまして、個人住民税所得割のおおむね一割を限度として、所得税と合わせて全額控除する、こういった拡充を行うことにしているところでございます。

 その具体的な効果といいますか控除の状況でございますけれども、お尋ねございました年収七百万円のサラリーマンということを前提に、これはさらには夫婦子二人の世帯といったことを前提として計算をいたしますと、まず三万円を寄附した場合でございますけれども、この場合には、所得税から二千五百円、そして個人住民税から二万二千五百円、合わせて二万五千円、三万円の寄附に対して二万五千円が控除される、こういうことになります。

 また、五万円を寄附したケースでございますけれども、この場合には、所得税から四千五百円、それから個人住民税から三万三千九百円、合わせて三万八千四百円が控除される、こういうことになるわけでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 こういうスキームを使って、知恵のある自治体は、ぜひとも我が市に、あるいは我が県に、出身者もたくさんいるわけでありますから、ぜひともふるさと納税、この寄附をお願いしようという知恵をお出しになるんじゃないかと思っております。

 そこで確認なんですけれども、例えばさっきの例でありますが、山口県出身の方が我が山口県の山口市に寄附をしたいというような場合に、では、山口の名物を盆や暮れにお届けをしよう、一部還元をするというようなことも考えられるかもしれません、余り勧められたものではありませんが。しかし、中には工夫をされて、例えば広島あたりであれば、被爆地としてそうした運動を世界的に起こす、その協力者としてうまく活用できるんじゃないかというようなことも考え得るわけでありまして、何らかの制約があるのかどうか、あるいはどんな動きを期待されているのか、今既にどんな動きがあるのか、御紹介をいただければと思います。

河野政府参考人 地方団体の寄附金税制の拡充に関して、地方団体の勧誘行為等に関するお尋ねでございますけれども、今回の改正によりまして、一つには、納税者の税に対する意識、こういうものが高まっていく、あるいはふるさとに対する思いが高まる、こういった効果が実は期待されるわけでございます。

 また、各地方団体がみずからの地域の魅力を高めて情報発信を行っていくとか、あるいは集めた寄附金を活用して地域づくりを行っていくとか、そうした地域の活性化にも資する、こういう効果が期待されているところでございます。

 こういう中で、各地方団体におきましては、これまで以上に地域の魅力を高めるための方策に取り組むことが予想されるわけでございますし、それから、みずからの地域の魅力について積極的に情報発信する、あるいは寄附の手続をさらに利用しやすいものとするといった納税者に寄附を促すための取り組み、これも促進されていくというふうに考えております。

 地方団体に期待される取り組みにつきましては、これは総務省にふるさと納税研究会というものが設置されていろいろ御議論いただいたわけでありますけれども、その中でも、地方団体の取り組みについて議論いただきました。

 この報告書におきましては、寄附を受領した団体におきましては、いわば寄附者の志にこたえる観点からその使途を明らかにすることが望ましいとか、そういう意味で、寄附者に対してあらかじめ使途を示す、あるいは実績を公表していく、こういったことが望ましい、こういう御指摘をいただいているところでございます。

 また一方では、御懸念もお話しされましたけれども、この報告書におきましても、寄附を集めるために、地方団体が寄附者に対して特産品を贈る約束をするとか、高額所得者に特に個別、直接的な勧誘活動を強く行うこと、こういった懸念も指摘をいただいております。

 これは地方団体で御判断いただくことでありますけれども、我々は報告書を各地方団体に全部送らせていただいておりますので、各地方団体、市町村や都道府県で、この報告書の指摘も参考にしていただきながら、制度導入の趣旨を踏まえていろいろな形で創意工夫をしていただいて、いろいろな取り組みも実は始まっているようでございます、そうした創意工夫をしていただいて適切な対応をいただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

桝屋委員 今の御答弁では、特別制約があるということではないようでありますので、それぞれの自治体、ぜひとも頑張っていただきたい、制度の趣旨に即して頑張ってもらいたいな、こう思っているわけでありまして、知恵を私どもは期待しているわけであります。

 この議論をするときに、あれはどこかマスコミでしたか、調査しましたら、ふるさと納税をどこへ一番したいかというと、やはり沖縄とか北海道とか、観光地、有名なところばかりに集まってしまう。これでは全く意味がないわけでありまして、やはり情報発信といいましょうか、知恵が大事だなとつくづく思っている次第であります。

 最後の質問に移りたいと思いますが、実は、毎年度、六月から七月にかけて市町村が提出をいたします「普通交付税、地方特例交付金等及び臨時財政対策債発行可能額算出資料」、こんな分厚い資料があるんです。これは、私もきのう見させていただきまして、百八十八ページぐらいの大変な交付税の算出資料であります。これは六月、七月の頭ぐらいの作業になるんでしょうが、交付税額を決定する作業の一環でありますから、非常に限られた期限の中で、それぞれの市町村は、それこそ二日間ぐらいかけて、大変な項目があるわけでありますが、しかも、手書きで一つ一つ書いて提出をしなきゃならぬという事実を聞いております。

 この可能額算出資料はどういう目的でおやりになっているのか。これを出さないと交付税をもらえないのかどうか、大変心配でありまして、目的をまず御説明いただきたい。

久保政府参考人 ただいまお尋ねのございました地方交付税の算出資料でございます。

 これは、各地方公共団体の普通交付税額を決定する過程におきまして、交付税額の算定の基礎資料として、それぞれの団体におきまして、交付税額の算出過程、そして算定額を確認するために作成をいただいております。この資料は、算定事務の精度を高めますとともに、算定の透明性を確保する上で重要な資料となっていると考えております。

 また、算定結果の記録として、後年度におけます交付税検査の基礎資料としても活用しております。

 さらに、各地方公共団体は、地方交付税法の十七条の四というのがございまして、御案内のように、これに基づいて交付税の算定方法について意見を申し出ることができるということになってございますけれども、その前提として、具体の算定方法について理解を深めていただくといった上でも、この算定資料の作成は有効な作業であるというふうに認識をしております。

桝屋委員 今の御説明では、地方交付税の交付を受けるため、絶対これがなきゃ交付がされないということではないということでありますが、しかし、大事な目的を持った作業のようであります。これは多分二日間ぐらいでやるんだろうと思いますが、同僚委員の皆さんにもぜひ見てもらいたいなと思うんですけれども、大変な資料であります。しかも、このITの時代に手書きというのは、いかにも何とも言いがたいな、こう思っているのであります。

 もう一点、久保局長、これは確認ですが、こうやって出てきた資料は、確認をするためということなんでしょうが、この数字を電算に移しかえるという作業は、国かどこかの作業でやることはないんですか。手書きは手書きのまま、電算にこの数字を使う、資料を使うという事実があるのかどうか、通告しておりませんが、ちょっと、わかれば。

久保政府参考人 基礎数値等につきまして、オンライン化とか電算化を相当進めておりますけれども、またそれをさらに確認するといった上で、こういう作業をしていただいているということでございます。

桝屋委員 そうすると、多分これは使うんですよ、この数字を。どこかでオンライン化されている数字を訂正に使うんじゃないかと僕は思っておりまして、手書きでやるというのは、いかに何といっても、今、税の申告も、うちの政治資金もやっておりますが、電算化を御検討いただいた方がいいのではないかというふうに思います。ただ、期限もあってなかなか難しいんだと思いますが、えらい数字であります。同僚議員も見ておられますが、手書きというのはいかにもと思っております。感想であります。合理化を図るべきではないかな、こう思っているのであります。

 その上で、何らかの合理化の研究をしていただきたいというお願いと同時に、大臣にあわせて伺いたいんですが、例えばこの中で、包括の部分の新型交付税は、百八十八ページある中でたった一枚きりでありまして、非常に整理されているわけであります。やはり交付税の算定方法について簡素化を図るべきだということも感じておりまして、それが一番私が言いたいことなわけであります。しかし、手書きあたりは改善される余地はあるんじゃなかろうかと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 県の方の財政担当者も大分この作業にとられていた記憶がございます。交付税というのは、やはり地方団体の財政運営、特に予算編成等をしていく上で一番肝心なところですから、それだけみんな熱を入れてやりますし、これの算定をするということは、予算の予見可能性のようなことにもつながってくることであります。

 今委員からお話がございましたとおり、それをできるだけ作業を合理化、簡素化する、そしてわかりやすいものにしていくということは、やはり私は必要なことだなというふうに思います。

 内容を正確に、地域の財政需要を酌み取るということの一方で、努力もしつつ、しかし、できるだけ簡便な、簡素な、負担がかからない方向でやっていく、やはりこれは知恵を生み出さなければいかぬというふうに思うんですね。その究極の姿が、やはり新型交付税のような形で国民にもわかりやすい大きな制度をつくったらどうかということだったと思います。そういう意味で、これまでも総務省の方で、算定項目の統合、それから、これは都道府県分だけのようですが、補正係数の半減といった取り組みも行ってきたというふうに聞いてもおりますけれども、しかし、まだそれだけの厚さのそういう資料を頼りにしながら実際の作業を行っているということ。

 今お話がございましたとおり、e―Taxのような税務事務も、納税者に非常に簡便なように、まだ完全には簡便とはいっていませんが、e―Taxをだんだん中身を改良して納税者に沿った形にしていくといったことも行われています。今御指摘をいただきました交付税の算定方法の簡素化、このことについては私どももまた知恵を出して、これはやはり実務をやっておられる県や市町村の担当者のお話もよく聞いてみる必要がある、胸襟を開いて率直にどうなんだということを聞いてみる必要もあると思いますので、これは財政局の方によく私からも言って、なお一層、合理化、簡便化に努めるようにしたい、いろいろ工夫をさせていただきたいというふうに思います。

桝屋委員 ありがとうございます。大臣のリーダシップを期待したいと思います。

 総務省の担当の皆さんは、これが全部頭に入っていないようでは、それぞれの市町村の財務担当の責任は務まらないと多分おっしゃると思うんです。そのとおりだと私も思いますが、しかし、それはそれとして、処理はできるだけ合理化するということが私は望ましいんだろうと思います。

 同時に、市町村、執行部の中でこれをきちっとやっている人は二、三人だと思いますが、何もその人だけがわかればいいということではなくて、今、地方議会も非常に大事でありまして、議会の皆さんもこういうことは理解しなきゃならぬわけでありますから、多くの人に共有できるような材料にすべきではないかな、こんなことも思うわけでありまして、お願いをしておきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十六日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは税法に関する質問でございますけれども、特に道路特定財源に絞って質問させていただきます。道路特定財源、まさに特定でございますから、入る方と出る方とが一体化しているということで、きょうは国土交通副大臣にもお越しをいただきましてありがとうございます。入りと出をセットにして、お伺いをさせていただきたいと思います。

 せんだって私も本会議で代表質問させていただき、そしてまた、予算委員会でのさまざまなやりとりもずっと聞いておりますけれども、いま一つはっきりしないことは、まさに地方税法等に書いてありますところの道路特定財源の暫定税率の維持ということに関して、果たしてこれが、政府は増税という認識があるのかどうかということですね。

 私、代表質問でもさせていただきましたけれども、改めて、これは法案提出者でございます総務大臣にお尋ねをいたしますが、今回の暫定税率十年延長というのは、これは増税ではないという御認識なんでしょうか。お答えください。

増田国務大臣 今回のことについては、維持継続というふうに考えております。

田嶋(要)委員 その日本語も私はありだと思うんですね。しかし、やはり、人間、相当昔のことというのは大体記憶にないわけで、暫定税率が誕生したのは大体三十四年前ですか。ということは、当時この場にいた政治家がほとんどいなかったのではないかなというふうに思います。あるいはまた、今実際に車を運転されている方々の中にも、その当時のことを覚えている方は余りいらっしゃらない。だからこそ、今の状況があたかも当たり前の状況、言ってみれば全部本則みたいに感じている国民の方が圧倒的に私は多いんだと思うんですね。

 したがって、今総務大臣がおっしゃったことも間違いではないと私は思うんですが、もう一度私の質問にはっきりお答えいただかなきゃいけないと思うんですね。これは増税ではないと言えるんですか。

 仮に、一年前に暫定税率というものができたとしましょう。そして、一年後切れる、三月末に切れる。そして、それをもう一回続けたいということになれば、国民の中に、この間暫定税率で増税したばかりだ、ということは増税の継続だという意識が私はもっと強くなると思うんですが、三十四年前の話ですから、人の記憶にはない。そういう中で、総務大臣、この間、総理もですけれども、継続という言葉でお茶を濁すようなことはやっていただきたくないんです。これは増税でないのか、増税なのか、一体どちらですか。もう一度お答えください。

増田国務大臣 今回の地方税法もそうですし、広く言いますと、道路財源の問題については、過去も五年ごとに維持継続をお願いするということで実施をしてきたというふうに理解しております。今回、五年、十年の議論はもちろんあると思いますけれども、私としても、今回もそういうことで維持をし、そして暫定税率分も含めて維持をし、継続をお願いする、こういうことだと思います。

田嶋(要)委員 では、質問の仕方を変えますが、ということは、増税路線を維持するという、それはお認めになりますか。増税路線を維持するんだと。

増田国務大臣 昭和四十九年でしたか、暫定税率を新たに設定して、そして税をふやしたという、その時点から上がった税率を維持継続する、こういうことだと思います。

田嶋(要)委員 では、今の御答弁で、増税をした、今のほとんどの国民には記憶は薄れているかもしれませんが、三十四年前に増税をした、その増税路線を今回も継続させてほしい、そういう中身の法案だという理解ということでいいですね。

 もう一度確認ですが、大臣、いいですね、増税の継続だ、その増税という言葉を大臣の口から一言はっきり言うべきですよ、これは。国民を欺くようなことではだめですよ。増税なんだ、増税の継続なんだということをはっきり言ってください。お願いします。

増田国務大臣 暫定税率というものをおかけするときに、随分議論があったかと思います。そして、その中で、利用目的を限ってという、これは本当に国民の間でいろいろな議論がある中で議論をされた。その暫定税率を、ですからこれは、当然、税率が上がっているわけですから、国民の皆さん方に負担をお願いした。ただし、理解をいただくために特定目的ということにして、理解をいただいた。それを今回も、従来五年ごとでしたけれども、今回十年にわたってそれをお願いする。こういうのが一番正確な言い方だと思います。

田嶋(要)委員 しつこいんですけれども、本則に暫定がのったときは、それは増税と言うんですよね。五十四年前から続いたものが、三十四年前に、本則だけだったのを、その上に暫定税率をのっけたときは何と言うんですか。それは増税と言わないんですか。大臣、お答えください。

増田国務大臣 税率を新たにかけているわけですから、当時、増税じゃないかという議論が当然いろいろあったと思いますよ。それは当時の資料などにいろいろ出ていると思いますね。

 ですから、そういう理解をいただくために利用目的を限って、そして国民の理解を得た。そういう考え方を今回も継続する。ですから、当時、利用目的を限って国民の皆さん方に増税をお願いしたという考え方を継続する、こういうことだと思います。

田嶋(要)委員 ちょっと最後、聞こえませんでしたけれども、増税の延長をお願いするということでいいですね。最後、聞こえませんでした。

増田国務大臣 当時、増税ということについて、利用目的を限って、そして御理解をいただいた。そういう考え方を継続して、今回もお願いをする、こういうことだと思います。利用目的を限って納得いただいたということです。

田嶋(要)委員 では、今、大臣の口から、増税を継続するという法案だということに関して御答弁をいただけたものというふうに理解をいたします。よろしいですか。大臣、よろしいですか。いいですね。

 では、次の質問に移ります。

 今回、この地方税法等の改正案でございますが、先ほど申しましたとおり、これは使途が限られている税でございます。したがって、入りと出がセットであるということでございます。

 そこでお伺いいたしますが、総務大臣ないしは総務省は、この出ていく方の、道路歳出の査定にかかわる部分に関してはどのように関与をされておるんでしょうか。御答弁ください。

増田国務大臣 国の財政の歳出全体については、それぞれの省の中で、分担管理の原則で、そして財務省がそういう歳出について査定をする権限を有しているということだと思います。

 それから、これは今後の話になりますけれども、この道路整備計画、中期計画が手続的に閣議決定をされますので、その閣議決定には内閣の一員としてこれに関与する、こういうことになっております。

田嶋(要)委員 では、閣議決定前の今日までは総務省としては一切関与はない、言われたから十年の増税継続の法案を出しただけだ、そういうことでよろしいですか。言われたからやったという、それだけですか。

増田国務大臣 従来から、こうした道路整備、特に地方の道路整備について、その財源をどうするか。それからまた、今回も、臨時道路整備交付金ですとか、それから新たに設けた無利子貸し付けの制度等がございます。こうしたことが地方公共団体の財政運営の中でどういう役割を果たして、果たして適切なものなのかどうか等といった問題について、私どもも、私どもの役割を果たす上でいろいろ御意見を申し上げたり、それから考え方を言ってすり合わせをしたり、そういうことで今回のこの道路整備の問題に関与してきた。

 そういうことで、それぞれの役所の果たしていく役割ということの中でこの問題には関与してきているのだというふうに思います。私どもも、そういう観点でこれについて見ております。

田嶋(要)委員 少なくとも総務省が、総務大臣が法案提出者でございますね。したがって、国民に増税継続を提案しておられるわけですから、その歳入がどういう目的で使われるか、これは道路ということになっておるわけで、その出ていく方の中身に関する政策評価、これを財務省と一体となって、要するに、国税に関する歳入の法案を出してくる財務省と、そして地方税に関しての歳入の法案を出してくる総務省が一体になって、少なくとも出ていく方の政策評価を行っているんだろうと私は思っておるんですが、その点はいかがですか、大臣。

増田国務大臣 我々、地方の道路整備について、やはり地方の財政上の観点からこの問題がどうかかわってくるか、こういう観点で内容についていろいろと心配をする点もあり、そして、そういった地方道路整備の財源を確保する上でどこまでの方策を講じたらいいかということを、いろいろと意見を言ってきたわけであります。

 今回も、そういう地方の道路整備をしていく上で、その必要性は十分認めておりますが、財源が足りないという実態を踏まえて当然今回の地方税法の改正案を提案しておりますが、正直言いますと、本来これでも地方の財源の実態には不足する部分があるかもしれません。あるかもしれませんが、やはり納税者の理解を得るという観点からは、こういったやり方、従来の、今までのいろいろ経験も持っておりますので、そういう観点から見ますと今回の地方税法の改正案の内容が必要だろうということで今回もお出しをしているということです。

田嶋(要)委員 では、中期計画の素案、その中身に関しては、総務省、総務大臣としては理解され、そして得心をされての、踏まえての法案提出という理解でよろしいですか。それとも、言われたから出しているというだけでございましょうか。どちらでしょうか。

増田国務大臣 最終的にきちんと閣議決定する手続というのが、今後、四月以降になりますか、年度が変わってからまた残っていますけれども、しかし、素案を見て、それから政府・与党の中でもそうしたものを検討しておりますので、そうしたものを見て、今までの道路整備ネットワークの中で大分落ちているといいましょうか、抜けているところもまだまだ多々ありますし、それから、私自身も各地域を回ってのさまざまな地域の声というものを聞いておりますので、そういうものがこういった計画の中にどのように反映されているのかということも踏まえながら政府・与党の会議にも臨んでおります。

 ですから、今回の道路整備計画、こういうものが案という形で出されましたときに中身を見ましたけれども、なるほどこういう形で今後十年進んでいくんだなということを見ながら、これについて政府の一員として関与してきた、そしてそれを受けての税法を今お出ししておるということでございます。

田嶋(要)委員 それでは、お配りした資料の三ページをごらんいただきたいと思いますが、その中期計画に関しましての財務省からのペーパーが出ております。これは、民主党の中川委員に対して財金の方で提出された資料でございますが、今のお話で、総務相、そしてもちろん歳出側の国土交通省を代表した副大臣にお伺いをさせていただきます。

 これを読みますと、一番のところに、重点的な対策が必要な箇所を絞り込んで当初六十五兆円の事業量を算出した、それが、財務省としては、現下の厳しい財政事情等を踏まえて五十九兆円に引き下げをしたということでございます。

 国土交通の副大臣にお伺いをいたしますが、この引き下げですね、さらなるコスト縮減、これはきのうの予算委員会ですと、このコスト縮減が三兆円ですか、それから、まちづくり交付金などの活用二兆円、有料道路何とかというのが一兆円という数字を聞いておりますけれども、これは、当初の国土交通省の素案の六十五兆円で、そもそも目いっぱいのコスト削減をして出された数字ということじゃないんでしょうか。

 きのうも我が党の岡田委員が予算委員会でされておりましたけれども、なぜこれは、財務省に言われてこれだけの巨額、六兆円もの削減が可能になったのかということを御答弁いただきたいと思います。

平井副大臣 御存じのように、公共事業は大変厳しい、減らさなきゃならぬというようなことで、考えてみても、過去、十五年から十九年にやっていた、目標にしていた計画も、三十八兆円に対して、実質は三十三・五兆だったんですね。

 今回のこの目標でありますが、もちろん、もともとその六十五兆円というのも、十分に、最近の厳しい財政状況を踏まえてつくったものではありますが、今回は、さらにコスト削減で三兆円、また、まちづくり、地域づくりと一体となって行う道路整備など、他事業でやることによって目的が達成されるようなことを含めて約二兆円、高速道路の引き下げやスマートインターチェンジを活用することで一兆円とさせていただいております。

 ですから、今回、全体で五十九兆円にするに当たり、修繕、更新、維持管理というものに関してはそういうことができませんから、それ以外のところに事業量全体から五%の縮減をやって、そしてその後は知恵を使いながら削減をさせていただいているということであります。

田嶋(要)委員 上限値ですね、これは。五十九兆、もうこれは上限ということでございますが、この上限値のこれ以上の削減はもうできない、そういう御理解ですか、副大臣。

平井副大臣 常にコストを下げるということは今後も考えていきます。それは常に我々の問題意識の中にありますが、今回は、六十五兆円から五十九兆円の削減ということでやらせていただいております。

田嶋(要)委員 予算委員会でもいろいろと言われておりますけれども、やはりこの数字を、これからでももう一度きちんと見直していかないと本当にまずいことになるという思いを私も強く持っております。

 資料の最後のページ、ごらんください。今さらという感じがございますけれども、改めて、やはりこの道路の議論をする上では、今の日本がどういうような状況にあるかということをほかの国とも比較しながら確認をする必要がある、私はそのように思います。

 上のグラフをごらんいただければ、これは有名なグラフでございますけれども、だれがどこから見ても、日本の状況は本当に世界の先進国の中でも異常な状況にある。これだけの借金を抱えながら財政運営をやってきてしまった。そして、借金地獄と言ってもいいようなこの状況の一つの大きな要素が、やはりこの下にある公共事業、特に道路建設にもちろんあったということが私は言えると思います。

 ごらんいただくとわかるように、既に今から十年ほど前にピークは過ぎておるものの、今でも非常に高水準というふうに私は思いますけれども、こういった道路事業費の推移、そして、先ほどの五・九とか六・五、結局は、十七年度のこの数字、過去七、八年の下りカーブですね、この下りカーブの延長線を伸ばして、腰だめで書いた、腰だめでつくった数字だ、私はそういうふうに理解しておるんですね。その辺、どうですか、副大臣。

 これは、本当に精査すれば、財務省に言われてすとんとこれだけの巨額な額が落ちるんですから、本当に必要な額というのはこんな五十九兆なんという数字とは全く関係ないですよ。もう一度きちんとやり直さないと、本当に日本にとって破滅的ですよ、これは。

 あちこちでいろいろな方がおっしゃっていることの繰り返しにもなりますが、日本の、借金まみれのこの国の経営、最後のとどめの一撃になるのがこの間違った道路の法律ですよ。これから十年間増税を固定化して国民を苦しめる、この増税路線を本当に見直さなきゃ深刻だと私は思いますよ。いかがですか、副大臣。

平井副大臣 先ほど委員の御指摘になりましたとおり、既に十年前にピークが過ぎて、今は半減しているわけですよ、こういうものの投資に関して言えば。

 私も昨年九月から副大臣を務めさせていただいておりますが、連日百人以上の方々が、それぞれの立場で道路の整備の要請に来られます。それぞれの要望の内容を聞いてみますと、今回の中期計画の中で全部カバーできるかどうかがわからないような要望もありまして、正直言って、すべての皆さん方の要望を足せば幾らあるか、私自身、今、はかりかねるようなところがあるんです。

 そういう中で、今回は政策目標を明確にして、これは国民の皆さんからもアンケートもいただきました、地方自治体の意見も十分にお聞きをしました。その中で、そういうものの事業量を示して、それに対して我々がこれだけの予算を必要とするという、事業量に対しての予算ということで出させていただいております。

田嶋(要)委員 事業量もさることながら、やはり、私は先ほどとどめの一撃と申しましたが、深刻なのは、十年固定するということですね。十年くぎづけですよ、国民一人五十万円。

 そこで、お伺いします。

 過去、暫定税率の延長は五年ないしそれ以下でございますが、今回なぜ十年延長するのかといういろいろな理由をあちらこちらで述べられております。それが事実なら、なぜこれまでも十年ずつの延長がなかったんですか。

 道路の建築には時間がかかる、そういうところをあちらこちらの資料に書いていますね。それが事実なら、きょうに始まったことじゃありません。これからの道路だけじゃなくて、これまでの道路だって同じ状況の中で道路建築を進めてきたんです。なぜ今回だけ道路の延長十年が正当化され、そして、それがもし正当化されるのだとすれば、なぜこれまでも十年延長がなされなかった、それでもちゃんとやってこられたんですか。お答えください。

平井副大臣 今回の計画も五年で見直すということになっています。これはよく冬柴大臣がおっしゃっておりますが、人口減少とか少子高齢化とか、この十年間でいよいよ次の日本の形が決まってしまう。ですから、その次の世代に対して責任ある社会資本整備をする上において、今回のこの十年間が道路整備にとって非常に重要だというように我々は考えております。

田嶋(要)委員 これから十年で次の日本の、これからの日本の国の形が決まってしまうんじゃないんですよ。これからの十年は、日本の国の形が激変するんですよ。つまり、不確実性は極めて今高まっているんですよ。そういう中で、五年後に見直すといったって、今までは五年の暫定税率延長でしょう。あるいは二年とかというときもあったんですよね、二年、三年。何で今回十年なんですか。だれも理解できませんよ、それは。

 もう一度、本当に正直に考えてください、後ろの人じゃなくて。副大臣、頭で考えて、おかしいと思いませんか。一度もやったことのないことを、人口減少が既に始まっているこのときに、リスクは極めて高いですよ。こういうときこそ一番慎重にいかないと。

 例えば、これまでは五年ずつ延長した。これからはもう一年とか、そういう提案だったらまだ常識的な提案かもしれないけれども、もう狂っているとしか言いようがないですよ、これは。今まで五年ずつですよ、最高でも。(発言する者あり)今のは失言かもしれません、ごめんなさい。おかしいということです。

 これまで、長くて五年で、どう思いますか。だって、人口がずっと右肩上がりでふえてきた、ある意味では見通せた時代はもう既に終わったんですよ。人口減少、かつてない初めてのことでしょう。しかも、ほかの国ではまだ起きていない。少子高齢化も世界で最も先頭を走っている。つまり、未知数の世界に飛び込んでいっているんですよ。不確実性が極めて高いのに、何でここで十年間の、一人五十万円の固定の増税をとるんですか。極めて危険な運営ですよ、それは。取る方は都合がいいかもしれないけれども、極めてそれはおかしいですよ。どうですか、副大臣。

平井副大臣 委員のおっしゃるとおり、この十年間で、日本を取り巻く環境は大幅に変わると思います。不確実性が高くなっていることも事実です。ですから、何をやらなきゃならないかということは我々政治家にとって非常に悩ましいんですが、道路をつくる、そのことによって財政的なリスクがあるとおっしゃいましたが、道路をつくらないことによるリスクもあるんですよね。次の世代が、ある意味では、そういう道路をどのように使って、この国の生産性を上げて、国際競争が厳しい中で生きていくか。要するに、ある意味では、道路、社会資本の整備、今回の六十五兆の中にも道路の維持管理費が七兆あるんですよ、基本的には。ですから、それはやはりやっていかなきゃいけない。

 その上で、恐らく、これは総務委員会ですから、委員の皆様方の頭の中にあるのは、例えばブロードバンドゼロという政策目標と今度の中期計画というようなものの優先順位を考えた場合に、ではどうなんだというようなことをそれぞれが考えるんだと思うんですが、これから十年の間は、そういうデジタルのものとかいろいろなものがあるにしても、やはり物がちゃんと移動する、命を運ぶ、そしてそういう皆様方が生活するという基幹インフラとしての道路はやはり必要だと我々は考えました。

田嶋(要)委員 余り私の質問には答えていないと思いますね。

 要するに、これまでだって、あるいはこれまでの方がもっと、ある意味、日本の国土の発展のためには道路建設は重要だったんです。その一点は否定していないんですよね、田中角栄さん以来ずっと今日まで。その重要性は確かにあるんですよ。だけれども、そういう中で、毎回五年ずつ暫定をやってきたわけでしょう、延長で。何で初めて十年をここでやるんですかということを質問しているんですよ。御自分、答えわからないでしょう、これは。どうですか、副大臣。答えになっていないでしょう。

 私は、それと先ほどのセットで、出ていく方が十年だから入る方も十年だという説明を総務省から受けているんですよ。なぜこの暫定税率の増税が十年ですか、出ていく方の計画が十年だからと、私は総務省の役人から聞いているんですが、大臣、そんなことで納得しちゃっていいんですか。これは、増税をするということは、国民から義務としてお金を巻き上げるんですよ。お金を取るんですよ。そうですよね。増税で、十年、一人五十万円ですよ。物すごいことじゃないですか。そんなことをやるのは、本当に慎重にいかなきゃいけない。

 私は、今、出る方の、副大臣の御答弁でも、なぜこれまで五年なのに今度十年なのか、理解できないですよ。総務大臣、理解されていますか。教えてください。

増田国務大臣 地方の財政事情を見ますと、本当に正直に言いますと、今のこの暫定税率をかけた地方税収でも足りないんですよね。ですから、十年間、これからいろいろ地方の道路整備を行ったとしても、恐らく、さらに一般財源を継ぎ足さないと、各地方団体はきちんとした地域の声にこたえられないという事情もあると思います。ですから、そういうことも一方お考えをいただきたいんですが、それと同時に、当然、このことは、計画との連動性ということも一方であります。

 それから、この十年ということについての考えですが、私は、国論を二分するといいましょうか、大きな議論ですから、こうして従来五年、五年でやってきた計画ですが、やはりこういう十年の計画にして、そして、今、人口減少時代に入って、社会の構造がまた大きく変革していこうという、これは委員も御指摘されておりますけれども、そういう大きな時代の変革期にあるわけですから、こうした十年の御負担をお願いする以上、やはり、こうした道路整備を本当に真剣に、コスト削減にも取り組んだ上で、やり切る覚悟、そのぐらいの覚悟をしてやらないと国民の皆さん方に御理解をいただけないだろう、しかし、そういうことをもって私どもはやはりやっていかなければいかぬというふうに思っております。

田嶋(要)委員 いや、だから、大臣、いろいろ長く説明されるのはいいんですけれども、答えをやはり言っていないと思うんですよ。

 十年の増税をしていくからにはというような言い方をされましたね、正確にはちょっと忘れましたけれども。そうじゃない。その前提である十年がどうかということを聞いているんですよ。なぜ十年固定するんですかと。これまで五年でずっとやってきたじゃないですか。

 私は、リスクの一番高いときだと思いますよ、日本の国のステージとして。ある意味、安定してずっと右肩で来たときは見通しやすい時代だった。これからは本当に不確実性が高まった、大臣も今おっしゃったとおりですよ。わかっていらっしゃるんだったら、何で今までと違うことをされるんですか。一度もやったことのない十年の暫定延長というのは、本当に、もうとどめの一撃ですよ、これは。まずいですよ。本当にまずいですよ。

 もう一度。総務大臣、今からでも撤回した方がいいですよ。出す方は、工事をやりたいからそうやっておっしゃるかもしれませんけれども、お金がないと始まらないんですから、歳入側の、増税路線を堅持しようという法案を出されている総務大臣が反省して、やはり十年は納得を得られない、国民の賛同を得られないと、今からでもやはり翻意された方がいいですよ。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 何度も申し上げていますけれども、地方の財政構造、大きく言いますと道路に対しての財政構造を安定化させるためには、こうした税の負担をお願いするということが必要なわけですよ。何せ足りないわけですから。一般財源まで継ぎ足して、それで何とか賄っているわけですから、住民の皆さん方の御理解をいただいて、やはり暫定税率もお願いしなければいかぬ。

 地域地域でそうしたニーズが全くなくて、そんなことが必要ないということがわかっていれば、それはもう、そういうことは即刻やめるべきですけれども、しかし、今、そうじゃないでしょう、地方の道路整備についての財政構造というのは。

 そういう状況の中で、五年、十年。従来五年でやっておりましたけれども、政府として、全体のそういう事業量というものがどうであるかということの計画を今回中期計画という形でつくっているわけですから、それがマックスで、それをさらに圧縮するということで、でき得る限り負担は小さくするということでありますが、そういう計画が示されて、それに連動して十年間の地方の税収構造を賄うという、これは考え方がそこはとれていると私は思います。

 もしこれを、例えば地方の団体が負担に感じるとかいうことでやれば、逆に、私は、そういうことはなくて、むしろ、これでも実際のところは賄い切れていないという声が逆に出てくると思いますよ、そこのところは。

田嶋(要)委員 いや、大臣、何度も、先ほども今も、単年度の事業のボリュームの話をしているんじゃないんですよ。期間として、なぜ十年延長するのかという質問ですよ。それにはお答えになっていないと思います。

 しかし、もう一度私が強調したいのは、これは本当にとどめの一撃の政策ですよ、こんなことをやっていたら。今までも数々の失政で、障害者自立支援法とか高齢者の医療の問題とか、さまざまやってきた中で、これが本当に、最後、一番強烈にきいてきますよ。このことをぜひ、私は、歳入側の責任者の総務大臣にも強調させていただきたいというふうに思います。

 もう一つ質問させていただきたいんですけれども、これは、特定財源の一般財源化の話と、それから暫定税率を廃止するかどうかという話がありまして、暫定税率を廃止する方に関して、財源がなくなるといって地方の自治体から反対の声がいろいろ出ている、そういう構図だというふうに私は思っております。

 そこで、総務大臣にお伺いしますけれども、暫定税率の廃止ということはわきに置いて、まず、今申し上げた一般財源化の話ですね。特定財源を一般財源化すると地方自治体にとっては何が困るかということを改めてお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 特定財源を一般財源化して何が困るかという、困る点の御質問でしたので、そういう特定財源を一般財源化した場合に納税者の理解が得られるかどうか、この一点だと思いますね。私はその一点だと思います。

 それによって、今までさまざまな税がつくられておりますけれども、普通税にするか目的税にするか、そこが判断として変わってくるだろうと思いますし、使途が限定されているがゆえに納税者の理解が得られる、現実にこういったもの、法定目的税や法定外の目的税も、さまざまありますが、そこが税体系としてはあると思います。

 歳出の方についてはまた別ですよ。歳出の方の自由度の話とまた別ですが、税収を集めるという形ではそういうことだろうと思います。

田嶋(要)委員 納税者イコールユーザー、ドライバーですね。車のユーザー。

 しかし、大臣、もうこれまでいろいろなところが調査をして、世論調査結果がいろいろ出てきておりますね。それは大臣も御存じだと思いますけれども、はっきり答えが出ているじゃないですか。大臣、そう思いませんか。特定財源の継続、一般財源化せずに特定財源をそのまま守っていくということに賛成している人は一割でしょう。場合によっては二五%ぐらいの結果も出ているかもしれませんが、いずれにしても、物すごく少ないじゃないですか。

 国民、ユーザーの理解が得られていないというのはどういうことですか。特定財源を維持することが理解を得られていないんですよ、全く。これはもう明らかじゃないですか。それをいまだにごり押しして法律を通そうとするのはおかしいと思いますよ。もう世論がだめだとはっきり言っているじゃないですか、これは。総務大臣、どうですか。

増田国務大臣 これは、自治体の関係者なりがやはり国民の皆さん方に、これは自治体だけじゃなくて、もちろん政府がその前にあるわけですが、そういう関係者が国民の皆さん方に理解をいただくというその努力がまだ十分になされていない点もあると思います。こういったことについて、今までやはり十分でなくて、今それぞれのところで懸命にやっておられると思います。

 しかし、大事なことは、そのことがどういうことにつながるのか。地方財政のところで見れば、お考えのように、これは異常な数字だと逆にそちらからも言われておりますが、全国の自治体の、一千七百八十か九十ぐらいの自治体が、このことについてみんな意見を合わせているという、これも他のことでは余り考えられないことであって、予算編成などについてそれだけ皆さん腐心をしているということでもあるわけですよ。ですから、そのこともよくお考えいただかないといけないというふうに私は思っていました。

 地方財政について責任を持っている立場からいえば、こうしたことを通じて国民の皆さん方の理解をいただく努力はなおしていかなければいけないというふうに思っています。

田嶋(要)委員 それは、理解を得る努力がまだ足りないとか、そういうことじゃなくて、この日本という国に住んでいる国民の多くが、やはり日本はほかの先進国とちょっとお金の使い方が違うんじゃないか、間違ってきたんじゃないか、そういうことを薄々感じているんですよ。それは具体的数字で細かく把握している人はいないかもしれない。一般の国民の皆さんが、教育分野で働いている方も、障害者が家族にいたりする方も、高齢者の方も年金暮らしの方も、みんな一様に、どこかで日本は行き過ぎてしまった、方向転換をせずに同じ国の形でここまで来たから、ほかの先進国にはない金額の借金を積み上げて、そして、道路だけじゃないかもしれないけれども、道路も、一般論としてはやはりちょっとつくり過ぎているんじゃないかと。それは宮崎のようなケースもありますよ、個別論ではつくらなきゃいけない道路はあるかもしれない。しかし、全体として見たときに、やはりもうそろそろ方向転換が必要だと思っているから、道路だけの特定財源に賛同する人は少ないんですよ。

 大臣、資料をちょっと、データをちょっと説明したいので、七ページをごらんください。

 これは「道路の現況」というので、いろいろな統計データで同じものが出ていますけれども、この矢印で書いたところの、日本の道路密度というデータ、もう御存じだと思いますが、これの計算は、一平方キロメートルに何キロの道路があるか。ちなみに、これは舗装されていない道路も含まれています。舗装されている道路で計算し直したデータも私の手元にはありますが、三・一六の日本の数字は二・四九になります。かなり下がるのは事実です。しかし、いずれにしても異常な突出ですよ。少し突出しているんじゃないですよ、異常な突出ですよ。

 これだけで結論を引き出そうとは思いませんけれども、しかし、これを見たときに、ほかの教育でも障害者対策でも何でも、ほかの国と横並びで見るじゃないですか、我が国は今どういう位置にあるのかと。これを見たときに、一般論ですよ、日本全体としてはやはり極端に道をつくってきた国づくりをやってきたな、どこかで、先ほどの予算の適正配分、小川さんからも出ましたけれども、そういうことにもう少し慎重で、よく考える政治をしなきゃいけなかったんじゃないか、多くの国民はそれを反省していると思いますよ。だからそういうアンケート結果が出るんですよ。この道路密度の数字をごらんいただいて、どう思いますか。私は本当に悲しい思いです、日本はこんなことをやってきたのかと。そしてあれだけの借金の山を積み上げてきたんですよ。もちろん、社会保障制度とか、そういうこともありますよ。しかし、これが日本の今の姿ですよ。どうぞ、大臣。

増田国務大臣 まず一つは、この問題を考えるに当たって国民の皆さん方が、道路整備がこういった暫定税率を廃止することによって変わるのかどうかということについてどれだけ認識しておられるのかということがあると思うんですね。民主党さんなども、全部地方の道路はつくる、それから地方財政には迷惑をかけないといったようなお話をして、しかし暫定税率は下げるといったようなことがございました。何もそういったことを申し上げるわけでもないんですが、本当に地方の道路のスピードがどれだけ変わるのかということがまだ十分理解をされていない、ほとんど変わらないのではないかというふうに思っておられる方も随分いらっしゃると思います。

 それから、今、委員のお話をお聞きしておりまして、例のこの間の、菅代表代行でしょうか、と東国原さんの討論を私も後でニュースで見ましたけれども、こういった道路は必要だろうというふうにおっしゃっていました。今、委員の方からも、ああいう宮崎の例もあるけれどもということでしたが、多分、新直轄ですが、ああいった道路はやはり整備しなければいけないといったときに、しかし地域の皆さん方は、宮崎でも恐らく、アンケートをとられれば、今回の暫定税率については抵抗感が多くて、ほとんど全国と変わらない数字になっているんじゃないでしょうか。ですから、本当に必要な道路なのかどうかということを真に見きわめるということが必要だと思いますけれども、やはり国民の皆さん方にとりましては、こうした暫定税率が上乗せされていて負担になっているということについては、やはり全国一律に、どうしてもそれはやめるべきだというアンケート結果が出てくると私は思います。

 ただ、その中で、やはり地方の、道路財源ですらまだまだ全部充当されていないそういう中で、地方税の今回の改正案をお認めいただいて、そしてその中から本当に真に必要な道路についてきちんとした形で整備をしていくということが今必要ではないかというふうに思っています。

田嶋(要)委員 これからの道路の整備の話じゃなくて、私が申し上げたのは、今、今日の、この瞬間の、これまでの日本の姿形を申し上げているんですよ、大臣。これから十年の話をしているんじゃなくて、今のこの日本の道路密度の話をしているんです。日本のこの姿は突出していませんか。こういう数字は国民にはわかりませんよ、これは統計データですから。私だって、調べて初めてわかりました。こんなに違っているんですよ。三・一六。物すごい違いじゃないですか。一割、二割違うんだったら、まあそれは狭い日本だから、道路をつくればこういう数字は上がってくる。だけれども、やはり国じゅう道だらけにしちゃいかぬでしょう。どこかで節度を持たなきゃいけないじゃないですか。先ほど人口という話が出ました。だから、人口を見なきゃいけないのか、国の面積なのかという議論もありますよ。しかし、どこかでやはり線を引いていかなきゃいけないと思いますよ。

 せっかく資料をつけましたので、ちょっとごらんいただきたいんですけれども、九ページ。今の道路密度を横軸に、日本の名目GDPというんですか、今十八位か何かに落ちてしまった。要するに、私は、何のために道路、道路といってつくり続けるのかということも国民はよく考えなきゃいけないと思うんですよ。道路をつくる目的、最終的には日本の国の発展とかというようなお題目がありますね。しかし、道路をつくり続けていっても余り明るい日本はやってこないですよ。

 この表、そして、恐らく人口の話も出ると思いまして、次のページにもつけさせていただきました。人口千人当たりの道路延長ということでは、明らかに一億二千七百万の日本はまだ比較的左の方ですよ。だけれども、世界で圧倒的に大量輸送交通網を持っているんですよ、日本は。先進国の中では突出してすぐれた大量交通網を持っている。まさにこれこそが日本のこれからの環境優先の時代に必要な道路のチョイスでしょう。

 この二つの表を見ていただければ、一体何を目指して私たちは道路をつくり続けるんですか。どこかで節度を持たなきゃ。全部だめと言っていませんよ。だけれども、どこかで節度を持たなきゃ。私は、そういうことを考えたときに、六十五だろうが五十九だろうが、こういう腰だめの数字は本当にまずい。日本を滅ぼしますよ、これは本当に。

 副大臣、良心をお持ちでしょうから、やはりこれは使う方も、大臣、まずいですよと、国土交通大臣にもっと言ってくださいよ、もう一回考え直しましょうと。きのうの予算委員会と結論は一緒ですけれども、最後に副大臣、御答弁ください。

平井副大臣 私も良心を持った政治家の一人でありますが、道路をつくるというのは、目的なしにつくるわけじゃないんですよ。要するに、あくまでも社会資本の整備というのはやはり一つの手段の選択肢だと思います。そういう意味で、今回はいろいろな目標を掲げて、そのことをもう少し国民の皆さんに理解していただければ。道路という、確かに過去には、大型の投資でなかなか国民の理解を得られないようなことをやってしまったことも事実です。そういう反省も踏まえて、今後十年間の道路、この全体のイメージが皆様方にわくようにつくったのが今回の中期計画であって、その政策目標をもっと我々はちゃんと国民の皆様方に理解をいただかなければならないと思います。

 このデータの話なんですけれども、人口の問題もありますし、地形も気象もいろいろなものがあると思うんですが、冬柴大臣がよくおっしゃっているのは、ドイツの場合は市町村道の延長が入っていない。今回のこのデータの中でも、IRFのデータと政府統計の発表のデータというのは大分乖離しているケースがあります。ですから、このデータの中身に関しては、やはりもう少し精査する必要があるのではないかと思います。

渡辺委員長 田嶋君、時間が終了しております。

田嶋(要)委員 ちょっと長くなっちゃいました。どうも済みません。ありがとうございました。

 以上です。

渡辺委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 それでは、本日、四十五分ほど時間をいただきましたので、政府関係者から、総理の言われる希望と安心、そして総務大臣の言われる地方の元気が日本の力となるような答弁を期待して質問させていただきますので、簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思います。

 まず最初に、国と地方の財政状況等についてお伺いをいたします。

 一点目は、いわゆる骨太の方針、基本方針二〇〇六の第二期目標の達成に向けての財政健全化に当たっての考え方についてお伺いをいたしたいと思います。

 その中で、経済の見通しについて、「過度の楽観視も悲観視もすることなく、名目経済成長率三%程度の堅実な前提に基づいて、必要な改革措置を講ずることとする。」とありますけれども、名目で三%成長するということは可能なんでしょうかどうか、見通しをお伺いしたいと思います。

木村(勉)副大臣 本年一月の「日本経済の進路と戦略 参考試算」の成長シナリオでは、名目成長率は、足元、二〇〇七年度〇・八%程度の低い伸びを見込んでおります。その後、潜在成長力の高まりとともに輸出成長力が高まることに加え、適切なマクロ経済運営のもと、デフレから脱却をし、中期的に安定的な物価上昇率が徐々に実現していくことにより、二〇一一年度にかけて、名目成長率は三・三%程度まで高まると展望しております。

 政府といたしましては、今後とも、成長力強化に取り組むことを通じて、安定した成長を図ることとしているところであります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 私は、とてもとてもそれは無理なんじゃないかなと思うんですね。

 それは、内閣府から、過去十年間のGDPの推移を出していただきました。これを見ましたら、びっくりをいたしましたが、実は、名目GDPと実質GDPの成長率が同じだったのがちょうど十年前、一九九八年ですね。ともにマイナス二%でした。そのときは、まだ実額は、名目の方が五百四兆円、実質の方が四百八十九兆円だったんですね。しかし、この九年間で名目と実質が逆転をして、しかもびっくりをいたしましたのは、成長率の逆転だけじゃなくて、実額の逆転も大幅にしているんですね。実質GDPの実額は、何と、二〇〇七年、五百六十一兆円、二・一%の伸びです。しかし、名目は五百十五兆円、一・三%の伸び。成長率はもちろんだけれども、実額まで実質の方が上回っちゃう。名目が下回っちゃう。しかも大金ですよね、これ。五百六十一兆円と五百十五兆円ですから。

 こういう状態を見たときに、まず、計画の初年度である二〇〇六年度が、名目では一・四%ですよ。そして昨年、二〇〇七年が一・三%ですよ。これで本当に一一年までに三・三%の成長率が達成できるんでしょうか。この書きぶりを見ると、基本的には二〇〇六年も三%成長しなくちゃだめなんじゃないですか。毎年三%成長していくという考え方と違うんですか。二〇一一年になったら三%を超える、そういう考え方なんですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 「日本経済の進路と戦略」の参考試算の成長シナリオにおきましては、「日本経済の進路と戦略」に盛り込まれた、我が国の潜在成長力を高めるための政策が実行される場合に視野に入ることが期待される経済の姿を示したものでございます。

 名目成長率につきましては、二〇一一年度にかけて徐々に高まってまいりまして、二〇一一年度において三・三%程度まで高まるというふうに展望をしております。

福田(昭)委員 そうすると、最終的に三%の成長を達成する、こういう話なんですか。それで、あの骨太の方針、二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化は達成できる、こういう話なんですか。

齋藤政府参考人 「進路と戦略」におきましては、二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字を達成するということを目標に掲げております。参考試算におきましては、既に決定を見ました歳出削減につきまして、その効果を織り込んで展望を示しているところでございます。

福田(昭)委員 とても無理だと思うんです。これは最初から前提が崩れているんじゃないかと思うので、とてもとてもこの歳出歳入一体改革はもう不可能な計画かなというふうに私、思っているんです。

 こうした状態を脱却するための具体策というのは、何か内閣府としては考えているんですか。役人じゃなくて副大臣がいいですけれども、こうしたデフレの状況を脱却する具体策というのは何か考えているんですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたように、二〇一一年度にかけて三・三%、名目成長率を達成するというふうに掲げてございますけれども、その場合の考え方は次のようになります。

 名目成長率は、実質成長率とそれからGDPデフレーターの上昇率に分けて考えることができるわけでございますが、まず実質成長率について申し上げますと、これにつきまして大きく三つの要因が考えられます。

 一つは、グローバル化改革とグローバル化のメリットを享受するための規制改革あるいは労働市場改革等の国内改革の効果でございます。二つ目は、企業のIT化、利活用の促進による生産性向上の効果でございます。三番目は、労働市場の抜本的改革による複線型でフェアな働き方の実現などによりまして、女性や高齢者の労働参加率が高まる効果でございます。

 こういったことを見込みますと、潜在成長率が、二〇〇七年度一・六%程度から二〇一一年度には二%台の半ばまで高まっていく。それに伴いまして、実質成長率についても二%台の半ば程度が視野に入ってくるというふうに考えております。

 それからもう一つの要素でございますGDPデフレーターの上昇率でございますが、これにつきましては、適切なマクロ経済運営のもとで実質成長率が確保されるということによりまして、デフレから脱却をいたしまして、中期的に安定的な物価上昇率が徐々に実現していくというふうに見込んでおりまして、二〇一一年度にかけては、GDPデフレーター上昇率がゼロ%台の後半程度に近づくことが期待されております。

 これによりまして、名目成長率が三%程度あるいはそれ以上の姿が実現されるということでございますけれども、決してハードルは低くないというふうには思っておりますが、万全の政策の取り組みを行っていくということでございます。

福田(昭)委員 それでは単なる文章で、具体策になっていませんよね。

 私はこう思うんですね。まず、何といっても内需を、今外需に頼っているこの日本の経済を、やはり内需を拡大する、そしてデフレを脱却していくことだと思うんですね。そのために大きなポイントが四つあると思います。

 一つは、何といっても、今大企業がもうけて、大企業と中小企業の勝ち組、負け組がはっきりしちゃっているんですよね。ですから、そういった意味では、中小あるいは零細企業への下請料金を引き上げる。

 もう一つは、やはり働く人への賃金カットですよ。ワーキングプアが一千二百万とも言われる、そうした働く層が出ている。ですから、中小企業、零細企業への下請料金を上げるということ、それから、働く人の賃金を上げるということ。大企業は、六年連続、経常利益最高益を更新しているじゃないですか。完全に勝ち組、負け組にはっきりしているじゃないですか。ですから、その大企業からしっかりと、中小零細企業、下請機関やあるいは働く人へ所得の再配分をしてもらう。

 さらにもう一つ、三つ目は、税制の抜本見直しですよ。税制が、大企業あるいは大資本家、富裕層優遇の税制になっているじゃないですか。これを抜本的に見直して、ちゃんと担税能力のある人から税金を納めていただく。

 そして四つ目が、歳入歳出の、それこそ一体改革じゃないんです、歳入歳出の構造改革なんですよ。午前中の質問で小川委員の方から総理に言いましたけれども、まさに資源配分を変えるということですよ、歳入歳出の構造改革をやるということは。これをやらなくては、絶対、内需は拡大しません。こうした具体策抜きに、日本が、日本人が豊かになれるわけないじゃないですか。

 当初の、今回の通常国会の初日にですか、大田大臣が、名目でGDPが世界第二位から第十八位に下がりました、改革が足りないからですと言っていました。これは、改革が間違っているからなんですよ。足りないからじゃない、改革が間違っているからこういうことになった。このことをはっきり認識しないと、日本の経済はよくなりませんよ。また、この大幅な借金ですね、財政の健全化もできませんよ。そう思うんですけれども、いかがですか、副大臣。

木村(勉)副大臣 ただいま先生の御指摘の、内需を拡大して消費に火をつけろということは、私も基本的にそれは大事だと思っています。今のように輸出と設備投資だけで意欲的な成長というよりも、もっと今の大企業での収益を家計に反映してもらうような労働分配率の適正化も図っていかなきゃなりませんし、また、中小企業やサービス産業の生産性を上げて、その人たちに成果を分かち合って、ワーキングプアを解消しながら、その人たちの所得をふやして消費に向けていくという姿勢が大事だ、こう思っています。

福田(昭)委員 ぜひ大臣、そうお思いなら、やはりこれは政策を変えてくださいよ。

 きのう、あれは東京大学の女性の先生、大澤真理教授のお話を伺いましたけれども、大澤教授がこういうふうに言っていましたね。財政は何をしてきたかというくだりのところで、今まで日本の政府の財政は、小さい福祉で大きい土建政府だったと。そして、一九九〇年代には国の直接税を中心に税収調達力の大幅な低下をした。特に九〇年代後半から、企業と高所得者、資産家の税負担軽減を繰り返した。このとおりですよね。

 さきの小泉さんのときの税制改革のときに、定率減税を戻しましたね。所得税と住民税の定率減税を戻しました。そのときに、高額所得者、今まであった三千万以上の高額所得者は、これは下がったままですね。千八百万以上が高額所得者でなっておりますけれども、もともとあった三千万以上の高額所得者用の所得税はなくなったままです。小渕内閣のときに下がったままです。そして、大企業の方は、グローバル化競争に対応するためだということでどんどん法人税を下げ、しかしながら、それだけ下げても利益を毎年六年連続更新している大企業。どこかおかしいと思いませんか。

 やはり、私も首長を経験してきましたけれども、税金はより公平で公正で、しかも担税能力のある人からもらわなきゃだめですよ。所得層の低い方から一生懸命集めたんじゃ、お金が使えないでしょう。お金はやはり使ってもらわなきゃ、景気はよくなりませんよ。一部の大企業や大金持ちだけがお金をひとり占めしていたって、景気は絶対よくなりません。より多くの国民にお金を配ることによって、多くの国民がお金を使うことによって、中小零細企業がお金を使うことによってお金がぐるぐる回って、昔から言うじゃないですか、お金は天下の回りものと言うじゃないですか。そういうふうに回さなかったら、絶対、景気なんかよくなりません。それを、まさに大資本家やあるいは大企業や大金持ちが、一部の人たちだけがお金を手にするような税制をやったり政策をやっていたのでは、絶対よくならない、私はそう思うんですね。

 この大澤先生が言っておりました。二〇〇〇年になりましたら所得階層が非常に低い人がふえてきて、貧困率より政府からの受給者比率が低い国はOECDの中で日本のほかはないそうであります。さらにひどいことに、日本では税や社会保障が子供の貧困率を引き上げている。こんなばかなことをやっているのはOECD諸国で日本ただ一つだそうです。唯一だそうです。こんな国にしてしまったのは、あなた方政府ですよ。こうしたことをやはりしっかり是正していく必要があると思っております。

 さらに、それぞれが豊かに国民が暮らせるためには、やはり名目で成長しなきゃ、私はだめだと思うんですね。

 そうした中で、先ほどの福田総理の答弁の中にも、しっかりと国民が情報に接する機会をつくる、あるいは国民に正確な情報を出すという話をしておりました。私は非常に疑問に思っているんですが、政府の発表は、この経済成長、GDPにつきまして、どうも、いつから変わったのか、ちょっと私もまだ調べておりませんが、実質成長率を中心に発表しているんですよね。こっちを重点に置いて発表しているんですよ。そうじゃなくて、名目を重点にちゃんと発表してください。

 それはわかりますよ、そのねらいは。名目で発表したんじゃ、これはひとつも成長していないと国民に思われたりしたんじゃ困るということで実質で発表しているんでしょうけれども、しかし、これでは真実が伝わらない。その辺をこれから変える考えはありますか。いかがですか。変えるというか、もとに戻す考えはありますか。

木村(勉)副大臣 もとに戻すというよりかは、実質成長率と名目成長率をあわせて公表しておりますから、どちらか一方を隠してということはございませんので、両方対等に、実質と名目とをあわせて発表しておりますので、これを変えるつもりはございません。

福田(昭)委員 いや、両方発表するのを変えろと言っているんじゃないんですよ。政府の皆さんがマスコミに対して、それこそすべてのマスコミが実質でばんと出すでしょう。例えば昨年の十月から十二月の成長率も、実質で三・八%だと書くでしょう。でも、テレビ番組あたりではニュースキャスターが、三・八%というんですが全然実感がわきませんね、こうコメントしているじゃないですか。

 ですから、両方発表するのはいいんですよ、今までどおりなんですよ。しかし、マスコミ関係者に対して、ちゃんと政府の皆さんが、名目を中心に出してくれと。実質も当然括弧書き。だから、括弧書きが逆になるわけですよ。皆さん方が、そういう世論をだますような報道の仕方をせずに、実態をはっきり発表するということ、マスコミ干渉じゃなくて、国民をだますような報道の仕方はだめだと私は言っているのであって、ここをやはりしっかりとやってほしいと思うんですよ。そうでないと、いつまでたったってデフレ脱却できませんよ。デフレ脱却の具体策もないんだから。

 そこをしっかり、どうなんですか、もう一度お答えください。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私が、実際にGDPを発表する際に記者の方に説明をしているという立場でございますけれども、実質GDP成長率と名目成長率、両方その場で資料をもちまして説明をいたしております。

 実際にGDP速報の公表説明資料におきましては、実質GDP成長率の推移と名目GDP成長率の推移のグラフを並べて表示をしておりまして、両方について私の方から詳細な説明を加えておりますので、今後ともそういった方向で適切な公表に努めてまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 国民が少なくとも誤解をしないように、そういう発表の仕方をぜひしていただきたいなと思っております。

 それでは二点目に入りますけれども、二点目は、政府の歳出歳入一体改革でありますが、この具体策。

 財政再建は入るをはかって出るを制するだ、こういう話なんですが、そのための具体策が、どうも読んでみると、いわゆる上げ潮路線ですかね、成長戦略と、あと消費税のほかに何があるのか、あったら教えていただきたいと思います。

木村(勉)副大臣 政府は、基本方針二〇〇六等にのっとり歳出改革を進めているところですが、その際には、歳出改革を一段と進め、財政の無駄をなくするとの基本方針を堅持すると同時に、真に必要なニーズにこたえるための財源の重点配分を行うこととしております。今後とも、こうした方針のもと、めり張りのある歳出改革を図ってまいりたいと考えております。

 また、安定した成長を図るとともに歳出改革を実施し、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにすることとしております。このため、社会保障給付や少子化対策等に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税財政体系の抜本的改革について早期に実現を図ることが必要であると考えております。

 ですから、消費税も考えると同時に、成長経済で税収もふやしていくという立場でございます。

福田(昭)委員 消費税の前に、私がさっき申し上げたように、富裕層や大金持ちや大企業からもっと税金をもらう。担税能力があるんですから、そこからしっかりもらうということで、それをまず、入るをはかるではやるべきじゃないですか。いかがですか。

遠藤副大臣 我が国の財政は依然として厳しい状況にございまして、将来世代に対して責任ある財政運営を行う観点から、まずは、これまで累次にわたり国民の皆様にお示ししてきた目標であります、二〇一一年度における国、地方のプライマリーバランスの黒字化を確実に達成する必要があると考えております。

 また、これからの社会保障を持続可能な制度とするためにも、安定した財源を確保しなければなりません。このため、社会保障給付や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革について早期に実現を図る必要があると考えております。その際には、御指摘のように、所得再分配機能のあり方の見直しも課題になるとは当然考えております。

 他方で、欧州諸国では、経済動向に左右されにくい消費税が国の主要な財源とされていることとか、あるいは、経済の活性化、国際競争力の強化といった課題への対応も念頭に置きながら、所得税、消費税、法人税など、総合的に税制全般を見直していく、こういったことでこれから検討してまいる所存であります。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 消費税を上げる前に、私は二宮尊徳翁をえらいこと尊敬して、二宮尊徳翁が立てる分度というのがあるんですが、日本の国としての分度というのがどれだけなのかというのをやはりしっかりまずやるべきだと思うんですね。それが今、残念ながらやられていない。日本の国としての分度をしっかり再設定した上で、その上で、ではどういう政策があるかということですから、そうすると、歳入については、ではどれだけちゃんと国民の皆さんに、企業の皆さんに納めていただけるんだという見積もりが、私に言わせれば全くできていない。そうした中での財政再建策はないですよね。

 ですから、先ほどから申し上げているように、三千万以上の高額所得者は累進税率が下がったまま。また、大企業も、えらいこともうけているのに下げたまま。こんな状態の中で、しかも輸出産業などは、輸出の際に消費税かかっていない。こういう、しっかりいただかなくちゃならないところからいただいていない税制なんですよ。

 そうした税制をしっかり見直して、抜本的に見直しをして、無理なくいただける、納めていただける税金は何かということをしっかりと考えて、その上で、歳入がどれだけ上がる、そしてさらに歳出の見直しもして、これだけ足りないということになったら、初めて増税もあるんでしょう。しかし、それが全くできていない中での増税は私はないと思うんです、基本的に。

 ですから、そういう意味では、歳入については税制を、庶民からだけいただくんじゃなくて、担税能力のある大金持ちや大企業からもいただく、そういったことをしっかり検討するということが一つです。

 それから、歳出の方ですけれども、歳出の方も、それこそこの道路特定財源をめぐってもえらいこと埋蔵金がありますし、さらには、外為や財政投融資資金をめぐっても埋蔵金がありますし、特別会計やいろいろなところに埋蔵金があり過ぎるんですね。

 ですから、できるだけ特別会計はなくして、全部一般会計に入れて、一般会計でそれこそ埋蔵金はつくればいいですよ。国の財政調整基金はつくればいいですよ。特別会計だとか、あるいは補助した特殊法人や独立行政法人や公益法人にまで預かり補助金があるような実態で、増税なんということはとてもとてもできない話ですよ。そういうものを一たん全部清算する、清算して分度を、日本の国としての分度を再設定するということが大事なんですよ。

 その歳出も、先ほども資源の配分という言い方をしましたけれども、これから国費だけで五兆六千億あるいは五兆九千億も毎年道路にお金をかけるという話ですけれども、これじゃだめなんですよね。やはり内需を拡大する意味でも、お金は必要なところにかけなきゃだめなんですよね。

 ですから、道路も必要ですけれども、道路以上に必要なところが日本の国内にたくさんあるわけですよ。例えば教育であったり、医療であったり、福祉であったり、農林漁業であったりするわけですよね。そういったところにお金を振り向ければ、そこに職場ができるんですよ。そこで働けるんですよ。そこで働けば給料をもらうから、お金を使うんですよ。そうした資源の再配分、お金の使い方を変えないと、歳出歳入の数字だけ一体改革したって意味がないんです。使い方を変えなきゃ意味がないんですね。

 例えば、今、医者不足が言われています。今、医者がいなくて、私の地元でもJAの病院はやめるというんですよ、医者がいなくて。それから、私の地元でも、特養ホーム、新しくできた特養ホームが、定員五十人で、希望者はいるんですよ、入りたいという希望者は。入りたいという希望者がいても、満杯にならないんです。なぜだと思いますか。給料が安いから介護スタッフが集まらないんです。お世話をする人が集まらないから、希望者がいても特養ホームに入れられないんですよ。

 こういう実態があっても、道路に五・九兆円も一年間にかけるんですか、国費だけで。

 ですから、こういうお金の使い方を変えなかったらだめなんです。私が言うまでもなく、限りがあるんですから、税財源は。その限りある税財源をいかに生きたお金として使うか、これが大事なんですよね。これが歳入歳出の構造改革なんですよ。単なる数字合わせの一体改革じゃない。そこをぜひ考えてほしいと思うんですが、いかがですか。

遠藤副大臣 委員も財政の専門家でいらっしゃるので、釈迦に説法で恐縮なのでございますが、おっしゃるとおり、まさに歳入歳出一体改革、特にお金の使い方をしっかりと見直すことは大変大事なことだと思っております。

 キーワードは、要するに、めり張りあるいは選択と集中という言葉で言っていいんだと思います。

 例えば、ことし、二十年度予算でございますが、総額では〇・二%しかふえておりません。ほとんどふえておりませんけれども、内容的には大きく、見直し、めり張り、選択と集中を行っておりまして、特に、成長力の強化、地域の活性化、国民の安心、安全、あるいは教育の再生といった点には意を用いて、非常に手厚く予算配分をしているところでございます。その反面、公共事業は三・一%カット、ODAは四%も切り込んでおりますし、防衛費も切り込んでおりますし、その他、特殊法人、いわゆる独立法人等の費用も切り込んでおります。

 今先生が御関心の医療なんかにつきましては、例えば医師確保対策。昨年、与党として打ち出しましたが、その裏づけとして、今回、約七割アップした百六十一億円という医師確保対策を行っております。また、先生が大変御関心がある教育につきましても、例えば、今の現場で教師と子供の触れ合う時間が少ないということを検討しまして、定員を一千人の増員。あるいはまた、一たん退職されたOBの方々七千人に現場に戻っていただいて勉強の指導あるいは生活指導等に当たっていただくような、そういう体制もとっておりまして、特に新年度の予算はめり張り、選択と集中を徹底して行った予算である、そのようにぜひ御理解いただきたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ遠藤副大臣、公明党のおはこは行政改革、棚卸しでしょう。ですから、ここで道路特定財源を棚卸ししなかったら、いつするんですか。これはしっかり、公明党の党是みたいなものですから、棚卸し、ぜひ頑張ってほしいなと思うんですね。

 時間がなくなっちゃうので、その先へ行きたいと思います。

 先に三点目、遠藤副大臣からお答えいただきましたが、国と地方のプライマリーバランスについてであります。

 国は赤字、地方は黒字だということで、小泉さんの三位一体改革以来、地方のお金は削られたんですね。私、先日総務省から資料をもらいましたら、平成十二年と十八年を比べますと、何と地方の歳入は八兆七千億円減っているんですね。大変な減り方です。小泉改革、三位一体改革のときには六・八兆円減っているんですね。そうなると、本当に地方は非常に厳しい行政を運営しなくちゃならないわけです。

 そうした中で、私は、国の赤字と地方の赤字は違うと思っているんですよ。時間の関係で先に私の考えを言っちゃいますけれども、国の場合は徳政令が可能なんですよ。赤字が幾ら含んであっても、赤字をチャラにするぞというのが国はできるんですね。それだけの権力を持っているんですよ。しかし、地方はそれができないんです。地方は、ちゃんと借りたものは返さなくちゃならないんですよ。

 そういうことを考えたら、単に地方財政計画上地方が黒字だから、まだまだ削れるといって地方を削って国の赤字分を押しつけるというのは、私は、これは全くもって不届きなことだと思っているんですね。私が財務大臣なら、そんなことやりませんね。やりません。これは全くとんでもない話だと思うんです。

 ですから、そうしたことで、先ほど私が申し上げたように、それこそ地方の教育も医療も福祉もみんな大変なんです。それこそ、先ほどから道路特定財源について、増田大臣からも、地方はいっぱい一般財源から使っているんだと言っていますが、地方の首長をやった経験とすると、予算のある程度の総額を決めるためには、補助金のある事業から選ぶんですよ。ですから、道路をつくる補助金が来れば、そこに一般財源をくっつけるんですよ。くっつけざるを得ないんですよ。ですから、道路じゃない財源が来たら、地方の首長もちゃんと使い方を変えると思いますよ。

 ですから、全くさっきの増田大臣の話は理屈が合わないんです。地方の首長は、どんなことがあったって市民生活あるいは県民生活を守りたいから、いかに予算を確保するかということに苦心するんですよ。ですから、全く、道路が必要だからだけじゃないんです、これは。そこをやはり御理解いただきたいと思います。

 そこで、質問の四点目に行きたいと思います。

 四点目は、今回の地方法人特別税ですが、法人事業税の一部を国税化し再配分することについてであります。

 このことについては、私、びっくりしたんですが、平成十九年の十一月十六日、去年の十一月、地方財政審議会は、「地方公共団体間の財政力格差の是正についての意見」の中で、時間がないから簡潔に言っちゃいますが、具体的な方策として、地方同士で財源の調整をするのはだめだ、こう意見具申しているんですね。

 そうした地方財政審議会の意見具申があるにもかかわらず、なぜ地方税を巻き上げてまたもう一回地方に、一たん国税にしてそして地方に再配分する今回のこの税法をつくったんですか。その理由を教えてください。

増田国務大臣 地方財政審ですが、その十一月の答申の中で一番主眼を置いているところは、安定的な偏在性の小さい地方税体系を構築すべし、そして、地方消費税を中心とした税体系を構築しなさい、こういう答申をいただいています。あわせて、今委員からお話ございましたとおり、地方税を水平的に配分するという考え方は、これは税理論上存在しない、成り立たない、こういう話をいただいたんですね。

 したがって、まず、一番大きな眼目である、安定的で偏在性の小さい地方税体系の構築をしようということで努力をして、そして、その方向性を今回税体系の改革の方向として書き込んで、そして、将来的になりますけれども、地方消費税の充実を図る、そういうことと、それから地方税改革を抜本改革まで見直す、こういうことをしたんです。

 その間の暫定的な措置として今お話しのことを行ったわけですが、これは、その暫定措置までの間であっても、今偏在性が大変著しいということは見逃し得ない問題であるということがございまして、そこで、今回、法人事業税の一部を切り出して、そして各団体の方にそれを配分し直した。

 これは、地方税の応益性の原則を崩してはいけないということで一時的に国税にいたしましたが、これは我々、地方税源というふうに考えておりますので、当然、ずっと恒久措置ですと、今委員からお話しいただきましたような点について御懸念をさらにいただく可能性がありますが、暫定的な措置であって、大きな地方税改革の方向に沿っているということと、それから、各地方団体の財政需要に現実に合っているもの、こういうことで御理解をいただいたところでございます。

福田(昭)委員 私は、こう思っているんですよ、総務省が財務省に負けたと思っているんですよ。それは、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、だめだ、国税はやれない、地方は余っているんだから、地方の税源が偏在しているのをちゃんと巻き上げて再配分しろと、財政制度等審議会は意見具申しているんですよ。地方財政審議会は、今大臣が言われたようなことを答申しているんですよ。

 だから、総務大臣の諮問機関と財務大臣の諮問機関が全く別な意見具申しているんですよ。しかし、財務省がやはり強いから勝っちゃったんですよね。

 それで、申し上げておきますが、地方財政審議会の答申ですが、ポイントだけ読んでみますけれども、「国の消費税の一部を地方消費税にする一方で、地方法人二税の一部を同額国税化する、いわゆる税源交換を基本に検討するべきである。」こう言っているんですね。地方財政審議会は、まず基本は税源交換だ、こう言っているんですよ。そして、「税源交換を行った場合、地方法人二税の税収シェアの大きな団体は税収が減少するが、地方消費税が充実されることにより、税収構造自体が安定化するというメリットもあり、全体として偏在度が小さく、安定的な地方税体系の構築に資する改革となる。」こう言っているんですね。

 そしてさらに、「地方税としての法人課税である限り、課税対象となる法人の支店や工場等の恒久的施設が存在しない地方公共団体には、課税権は存在し得ず、税収が帰属することはないことから、こうした主張は理論上成立し得ない。」こう言っていますよ。理論上成立し得ないことを今回政府はやっちゃうんですよ。

 そして、「地方税についてこのような配分を行えば、地方税の根本原則である受益と負担の関係を完全に分断するばかりか、企業誘致など税源涵養に努力している地方公共団体が報われず、地域振興へのインセンティブや、納税者による行政監視の機能を損ないかねないことなどにも留意するべきである。」ちゃんと地方財政審議会はこう意見具申しているんです。こうした意見具申があるにもかかわらず、全く理論上あり得ない法律を今回出したのが今の政府だということなんですね。非常に私は残念に思っております。

 時間がなくなりましたのでこれ以上は伺いませんが、五点目の質問に入りたいと思います。

 五点目は、そうした財源調整じゃなくて、私のアイデアを提案いたします。こうした財源調整のやり方があるじゃないかということです。今回の財源調整が当面という話ですから、抜本的な税制改正をやるまでの間という意味なので私がこういう提案をするんですが、それは国庫補助負担金の、財政力に応じた補助率算用による格差是正策なんです。財政力の指数、弱い強いに応じて補助金の補助率を変えればいいじゃないですか。

 例えば、東京都みたいに超過財源が一兆四千億もあるところは、道路の補助金、今回道路特定財源をたくさんもらうものですから、今度の道路特定財源を十年間維持する中で、国庫補助負担率のかさ上げというのがあります。高規格幹線道路は、今まで三分の二だったのを今度は十分の七出すというんですね。それから、地域高規格道路は、十分の五だったのが十分の五・五にかさ上げするというんですよ。こんなばかなことをやらずに、本来はお金が余ってからこれをやるんでしょうけれども、こういうことじゃなくて、逆に、それこそ十分の五出すところを東京都は十分の三にするとか、そういった形での財源調整をするのが私は一番公平だと思いますよ。いかがですか、大臣。

増田国務大臣 まず、今の問題ですけれども、確かに公共事業の場合には、北海道とか沖縄とか、特例で補助率をかさ上げしているところもあるんですが、そもそも、補助金の適否は別にしても、財政力によって一方で上げたり一方を逆に下げたりするのは、国と地方の責任分担を決めているということからして、さまざまな事業があります、公共事業もいっぱいありますけれども、当該事業の国と地方の責任分担、役割を決めている中で、地域ごとにそれをばらつかせるというのはやはり適当ではないということが一つ。

 それからあと、主として財政力が高い団体というのは東京を中心とするところになると思いますけれども、今必要な偏在是正の全体の規模からいうと、そういった補助率をかさ上げしたり、それから一方で下げたりしても、生み出されるものというのは極めて少額です。これはやっていただければおわかりになると思いますけれども、それによって実際に出てくるキャッシュというのは本当に少額でございますので、それで偏在是正ということには極めて限定的な、効果がないということだろうと思います。

 それから、先ほどの消費税の話とか、今回の国税の話もありましたが、閣議決定で消費税を充実するということを書いたので、これは財務省に負けたとか財務省が勝ったとかいう話じゃなくて、社会保障として消費税を使いたいといろいろなところからねらって、先ほど先生おっしゃったとおりの、そういう中で地方消費税を今後拡充していく、充実強化していくというのは政府の方針として閣議決定したわけですから、暫定措置の問題がありますけれども、私は、きちんとそういったことについて地方財政審の要望にもこたえているのではないか、こういうふうに思います。

福田(昭)委員 全く原則を曲げるよりずっといいと思いますし、実際に我が栃木県では合併処理浄化槽の補助金なんかは財政力に応じて補助して、それこそ財政力の弱いところにたくさんお金が行くような仕組みをつくってやっているんです。ですから、格差是正が大きくならないといいますけれども、やり方次第だと思いますよ。例えば、東京都の知事が要求している環状の高速道路なんかは、何も国がやらずに、東京都にやってもらえばいいでしょう。そうすれば、東京都は幾らでもお金があるんだから幾らでもできる話であって……(発言する者あり)まあまあまあ、静かにして。そういうこともできるわけですよ。

 時間が来ましたので終わりにいたしますけれども、残念ながらいろいろな細かい税金の話とか交付税の話ができませんでした。しかし、先ほども申し上げましたが、財源は限られているわけですよ。ですから、そうした中で財源をいかに有効に使うか、国民の皆さんからいただいた税金をいかに有効に使うか、そのためには、特定財源じゃなくて一般財源なんです。ですから、道路特定財源をしっかり一般財源化し、さらには地方の自主財源を拡大する、そうしたことに対して、増田大臣も、また遠藤副大臣、それぞれぜひリーダーシップを発揮していただいて、地方の元気が日本の元気になるように御努力をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 四十五分の時間をいただきまして、私も、今国会、道路のつくり方、予算のあり方について議論が集中しているものですから、それに関連するような形で議論をさせていただきたいと思います。

 もちろん、一般財源化の話であったり、暫定税率を廃止するかどうかというところの議論もしたいんですが、もう一個ブレークダウンしまして、先ほどから一般財源化、特定財源化、そこの議論の根拠として、自動車ユーザーの理解がどうだとか、環境に影響がどうだとか、一万四千キロが必要だとかどうかとか、そういうのがありますけれども、事この総務委員会に関係することとして、いわゆる暫定税率が廃止された場合における地方財政、特に今二十年度予算の編成というものを地方議会はやっていますから、そこら辺に係るような影響等も含めて議論させていただきたいと思います。

 いろいろ議論したいと思うんですが、ちょっと前提を確認したいんです。物すごく一般的な、常識的な話で大変申しわけないんですが、これは通告していませんけれども、総務省の役割ということで、地方の安定的な行政運営を支えるための財源を確保するということは、あまたある総務省の使命の中の一つであると考えてよろしいですね、大臣。イエス・オア・ノーで結構ですけれども、当然のことと思いますが、よろしいですか。

増田国務大臣 済みません、地方の安定的な財源確保……(寺田(学)委員「安定的でも何でも」と呼ぶ)そのためにやはり総務省は努力をする、そういう責任を負っているんだろう、大臣として、そういうふうに思っております。

寺田(学)委員 旧自治省的なことにおいては、地方の財源をしっかり確保するというのは当然の役割であり、使命だと思います。そこは議論の余地がないと思います。

 これもまた議論の余地がないと思うんですが、今回出されました、閣議決定もされている地財計画ですけれども、その地財計画の性格はどういう性格のものなんですかということを、ちょっと基本的なことですが、総務省さんにお伺いしました。紙っぺら一枚でいろいろ御説明いただいたんですが、三点ほど挙げられている中で、地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障することだ、大幅な財源不足を抱える地方財政の現状においては、地方財政計画の策定を通じた地方財源の保障は不可欠だということを地方財政計画の役割として挙げられています。

 当然、これは閣議決定されていますので、どの省に聞いても同じことの答弁だと思いますが、念のため、本当にお忙しい中来ていただいてありがとうございます、財務副大臣の方に、今、総務省が説明を私たちにしたこのことで、何ら異存がないというか、異論はないですね。よろしいですか。

遠藤副大臣 基本的には認識は共通していると思っておりますが、地方財政計画策定の際には、地方の歳入歳出両面を精査した上で、財源不足が発生する場合には、国、地方双方の負担で補てん措置を講ずることにより、地方の財政運営に支障がないようにしております。

 すなわち、地方財政計画は、地方自身の歳入確保、歳出改革努力を前提に、地方の財政運営に支障が生じない状態を確保する役割を果たしていると考えております。

寺田(学)委員 同じだということだと思います、その中ではいろいろな考え方があるんでしょうけれども。

 地財計画、ことしの分を見てみますと、もちろん財務省さんも含めて議論されて提出されました地財計画が、歳出の部分が八十三・四兆、給与関係経費だ、何兆、何兆と積み上げていって、いわゆる地方の歳出としてはこれぐらいが必要ですねということを政府として決められたということだと思います。

 これも本当に確認ですけれども、総務大臣、よろしいですか、歳出というものは地方の必要額を積み上げたものである、地財計画の歳出というのは、地方に必要なものを積み上げたら八十三・四兆円になりましたということでよろしいですよね。

増田国務大臣 全体の歳入と歳出との関係を見ながらそれを精査しているものでありますけれども、もちろん、単純に地方の歳出でぼんぼん積み上げるというよりも、歳入と、全体を見ながら、それから、先ほどの地財計画の性格の中でも三本柱の一つとなっていますが、国全体との計画の中での整合性をとる、こういうこともありますが、そういうことをしながら決めたものでございます。

寺田(学)委員 いろいろおっしゃりたいことはわかるんですが、歳出がこれだけあって歳入がこれだけしかないんだろうから、その中を交付税等のもので埋めましょうというのが地方財政計画なんだとさんざん教えていただきましたので、地方財政計画に言う歳出というものは、もちろん背景としていろいろなものを考えながらも、地方はこれぐらい必要ですねということを積み上げたものだということは、今さら否定することではないと思います。

 その上で、先ほどから何度も申し上げている、地方の財政を安定的にやっていくために財源を確保するんだというその使命において言えば、これもまた当然のことですが、歳出に合わせた歳入というものを、税収分を補足するような形で穴を埋めて歳出と歳入を一致させるということは、当然地財計画の中では役割として必要ですよね、総務大臣。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

増田国務大臣 私ども、常々そういうことで、そこは我々総務省の責任としてそういうことをやってきているところでございます。

寺田(学)委員 総務省の責任としてということじゃなくて、閣議決定までしているのですから政府の責任としてだと思いますけれども、確認のために財務副大臣にもお伺いしますが、これは一致させるということでよろしいんですよね。

遠藤副大臣 説明の重点の置き方の違いは若干あるかもしれませんが、基本的には認識は共通をいたしております。

 しかしながら、財務省といたしましては、地財計画策定の際には、地方における歳入確保、歳出改革努力を前提とする、それが必要だということも述べさせていただいております。

寺田(学)委員 私も、野方図に地方の無駄遣いを放置したままそれを確保しますということではないことはわかっております。

 その上でお伺いしますけれども、とすれば、一致させなければいけないということであれば、歳入の部分が減少したのであればそれを埋める。いずれにせよ、地方の安定的な財源を確保するという意味では、歳入をしっかりと歳出に合わせるということが必要であることも、これはもうイエス・オア・ノーで結構ですけれども、大臣、それでよろしいですよね。

増田国務大臣 内閣の中ではそういう形でやっております。

寺田(学)委員 もう一つ一般的なことをお伺いしたいんです。

 今法律というものをこの国会において審議しているわけですが、国会の役割として、出された法案、出された予算案に関して審議をする。行政、内閣としては、そこで決まったことに対して執行をしていくということだとは思うんです。だと思うというか、そういうことの仕組みにはなっていると思うんです。もちろん、議院内閣制ですから政党というものがいろいろ含まれてくると思いますが、行政として、政府提出のものであっても、まさしく国会の中で、与党が考えていたことであっても野党が考えていたことであっても、国会としての一つの結論が出たことに関しては、それは何の遜色もなく行政としてしっかりと仕事を、先ほどの総務省の任務を果たしていくということでよろしいですよね。

増田国務大臣 法律として決められたことは、きちんと私どももそれを忠実に執行していく、こういうことを行っていく立場でございます。

寺田(学)委員 今いわゆる暫定税率を含む歳出の関連法案を審議していますけれども、いずれにせよ、この審議、つなぎ法案にかかわって修正するんだなんだという話がありますが、どのような形であれ、それは強行的にやられたのであれ、いきなり我が党の考え方が受け入れられたのであれ、どういう形であれ国会の結論というのは何かしら出ると思うんです。その結論に関しても、総務省は、政府案だったとか、政府・与党という意味では自民党の考えではないからとか、そういうことに関係なく、国会が出した結論に関しては当然のごとく総務省としての仕事を果たされますよね。よろしいですよね。

増田国務大臣 我々はもちろんそういうことで努力します。

 ただ、財政的に穴があくようなことが、そういうことが出てきたりというようなことのないように、我々も今回いろいろ考えてお出しをしていますので、どういうケースを想定して今おっしゃっているかということはございますけれども、我々としては、そういったことでお出しをしているものがすべてではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 今まで、総務省の役割として、地方の財源を守りましょう、地財計画として歳出を組んだ分に対して歳入は一致させてその財源をちゃんと守っていきましょうという地財計画としての仕組みもお認めになられましたし、行政として、国会がどのような結論を出したとしても、先ほど言った総務省の役割であったり地財計画の内包している役割というものを果たしていこうということだと思います。

 実際、暫定税率の結論がどういう形になるにせよ、例えば、落ちた、暫定税率が廃止されるということの結論が、どういう形であれ国会として出たというときに、ここは財務副大臣と総務大臣に分けてお伺いしますけれども、地方に財政的な、一応暫定税率が落ちるわけですからそれに見合った分だけ地方の財政はマイナスにはなると思います。原資をどうするかということは後で財務副大臣に聞きますけれども、落ちた分だけ例えば交付金として、例えば秋田県が百億落ちました、原資はまた後でいろいろ考えるとして、百億円渡しましょう、そういう形で渡していったらいわゆる財政的に穴は埋まるということは、当然の足し算と引き算ですけれども、よろしいと思うんですよ。

 財務副大臣にもあわせてお伺いしたいんですが、さまざまな優先順位を政策につけていると思いますけれども、無駄遣いをカットするであるとか、優先順位が下の部分から持ってくるとか、あとは例えば借金をするとか、さまざまなやり方を考えて原資をつくり上げることも、是非はともかくとしてできると思うんです。

 何を確認したいかというと、総務省において、財政に穴があいた部分を埋めるということは技術的にも可能でしょうし、財務省としても、それは是非はあろうとも、予算をどこかから持ってくるということも可能だと思うんです。そういう意味でいうと、今回、暫定税率が落ちた場合において、是非はまずともかくとして、いきなり、暫定税率の法案が否決されたからといって、最終的な意味において財政に穴があいてしまうということはないですよね。穴を埋める方法というものは総務省も財務省も、政府という意味ですけれども、お持ちですよね。総務大臣、いかがですか。

増田国務大臣 今特に具体的な案を持っていません。今お出ししているのが我々でいろいろ考えてつくり上げたものですので、仮にそこのところが穴があく、これは公共団体にとっても衝撃的なことかもしれませんが、それはさておいて、我々の方で具体的に何か考えを持っているわけではございません。

遠藤副大臣 道路特定財源関連法案が成立しないことを前提に、地方の財源不足にどう対応するかということは、具体的には検討しておりません。

 ただ、あえて一般論といいますか、理論的に申し上げれば、御指摘のような無駄遣いの削減とかあるいは国債の発行といったことも法制上不可能ではないということは言えると思います。

 しかしながら、現実的じゃないんじゃないかということで、暫定税率廃止の場合、約九千億円のほか地方道路整備臨時交付金七千億円を足せば、一兆六千億円の穴があくわけですね。これを無駄遣いで、歳出削減によって埋めるということが果たして現実的かということですね。あるいは国債発行も、今、国として六百十五兆円も債務があるわけですから、これも非現実的だろうというふうに考えております。

寺田(学)委員 わかり切ったことをくどくどと確認したんですが、総務省の役割としても財源を守らなきゃいけないし、地財計画の仕組みとして、自分たちが定めて計算した歳出に見合う分だけの歳入を確保しなきゃいけないだろうし、行政として、国会でどういう結論が出ようとも自分たちのその使命を果たさなきゃならないだろうし、果たす手段というものも、是非はいろいろ議論があるでしょうけれどもあるということです。

 総務大臣にお伺いしたいんですけれども、総務大臣として、今国会で今議論されているいわゆる暫定税率を維持する法律が確実に可決するということは断言できますか。総務大臣、いかがですか。

増田国務大臣 これは、我々内閣として、連帯して国会に責任をとりますけれども、そこで、我々としてベストを尽くした上で、可決されるか、あるいは否決されるか、これは立法府の御判断でございますので、そのことについて予測をしたり何なりしたりということはすべきではない、こういうことでございます。

寺田(学)委員 断言できるはずがないと思うんですよ、国会の中で審議をするわけですから。大臣が言われるとおり、否決されるか可決されるかだと思いますよ。

 そのときに、自分たちは、通してほしいような法案があるから、それを思い願うだけで、それじゃないパターンになったときのことは、先ほど言うとおり、具体的な案がないということを堂々とおっしゃられています。

 本当に、地方の財源を守るんです、地方に対して安定的な財源を確保するんです、不安にさせないんですというのであれば、それは、自分たちはこういう形でやりたいと思いつつも、それは行政が決めることじゃなくて国会が決めることですから、国会の結論いかんによっても地方の安定的な財源を確保するような準備をするのが当然の役割だと思いますよ。

 だとしたら、今地方議会が、暫定税率を含めた上で、含めていないところはないと思いますけれども、先ほどの通知があったとおり、暫定税率がある中で予算組みをいろいろしながらやっていると思いますけれども、恐らく不安になっていると思いますよ、国会としての結論がどう出るかということを。不安になっているとは思いませんか。

 大臣自身の知事の経験があるでしょうから、もし知事のころだったら、どういうような、不安の声はもう私の方にも聞こえてきますけれども、不安を与えているか、いないかで言うと、どちらですか。(発言する者あり)

増田国務大臣 今委員もまさにおっしゃったとおり、いろいろな声が聞こえている、自治体の不安の声が聞こえてきているというふうにおっしゃっていましたが、したがって、先日の予算委員会でも私は答弁申し上げたんですけれども、こうしたことについて立法府が御判断される際には、立法府においても、そういった歳入欠陥が出るようなことについては、立法府の方でいろいろそのことについてもお考えをされるのであろうということでございます。

寺田(学)委員 やじに一々つき合っても仕方ないんですけれども、そんなもの早く議論したらいいじゃないかとか、そちらが引っ張るからだどうこうと言いますけれども、そもそもこういうような事態になったのは、去年中に出しておかないそっちの与党が悪いんですよ。もっと時間を確保して議論するようなことをやっていれば、もっともっと余裕を持っていろいろなことを議論できたと思いますけれども、今政府・与党が言っていることは何ですか。今回の議論が長引けば地方に穴があく、穴をあけちゃいけないから十年間の暫定税率を延長しろと。全然本質的な議論じゃないじゃないですか。本当にチンピラのおどしみたいなものですよ。

 それで、自分たちが出した法案に対して、それが可決されないのであれば国会がそれの面倒まで見てくれるだろうというようなことをおっしゃられましたけれども、実際に地方に穴があくということを予測されていて、それでいて何でそのまま平気で放置できるんですか。

 別に表に出して、私は、もし暫定税率が廃止されたのであれば、私たちが決めた地財計画の歳出の歳入額をこういうような形で確保しますということを法案で出すべきだと思いますよ。だけれども、そこはさすがにいろいろな国会の議論の中でそこまでやるのは露骨なので。総務省内でもし暫定税率が落ちる結論になったら地方は混乱するであろうということをわかっておきながら何の議論もしていないというのは、行政の怠惰ですよ。

 どうですか。暫定税率が廃止されたというようなことに関して、総務省としては何のアイデアも出さない、その回復策も出さないんですか。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 出しているのが総務省の案でして、それで、それだけの巨額のことでございますので、今の制度で継続ということになりますけれども税負担をお願いするということ、それ以外に私どもとしてそれだけのものをお願いする代替案を特に今持ち合わせているわけではない。

 これは四月が非常に近いという御趣旨での御指摘かと思いますけれども、要は、議論しているのはやはり十年のことでございまして、そういう中でどれだけ地方の税収構造を安定させるか、こういうことで考えて、やはり今までの担税力のある皆様方にお願いをするということがそれだけの税収を安定化させるということにつながるというふうに考えております。

寺田(学)委員 道路の議論は道路の議論でしっかりするべきだと思うんですよ。本当に一万四千キロの五十九兆円がいいのかどうかとか、十年間暫定税率をお願いするのがいいのかどうか、そういう部分でやるんでしょうけれども、ほかに付随する副次的なものは一個一個削っていかなきゃいけないと思うんですよ。

 私が先ほどお伺いしたのは、暫定税率が廃止されたときには、九千億なのか、それに臨時交付金を含めて一兆六千億なのか、減ったことに関して総務省は何もしないんですかということをお伺いしています。何もしないんですか。

増田国務大臣 先ほど財務副大臣の方で、国の場合の対応ということで、一般論ということでお話がございました。当然、どうしても歳入欠陥が生ずる。それも、立法府の方で御判断をされて、ただ、その財源のところは立法府は全く御判断をされないということなのかどうかはございますけれども、地方の歳出をカットして道路の整備のその部分を、見合った分を全部なくすということも一般論としてはあるかもしれませんし、逆に、借金でそこを埋め合わせる、これも、国の場合、先ほど一般論としてお話をされた。それを、国なのか、ただ、国の方が今難しいということを言っておりましたので、それでは、その分については全部各地方団体に借金をして十年間持ってもらうかとか、そういうことは一般論としてはあるかもしれません。

 ただ、今の段階で、では例えば国がそういう対応なので、その地方の道路整備に当たる分について各公共団体にどういう借金をさせて、それがしからば財政健全化法が施行された中で公共団体の財政にどれだけの影響を及ぼすかとか、実際の具体的な検討というのはそういうことも全部やった上でいろいろ判断をするんでしょうけれども、とてもとてもそういうことをしているわけではございませんので、今は立法府の方に我々の地方財政計画を全うする上での地方税についていろいろと御理解をお願いする、こういう立場かと思います。

寺田(学)委員 一般論としてと言いながら道路の話をされていますけれども、本当に、今後どういう結論が出るかわからない中で、何も議論していないと。

 そのときに、今地方の方としては、本当に暫定税率分が来なくなるのか、はたまた暫定税率が維持されるのか、維持されなかったとしても何か補てんされるのか、本当に財政がどうなるんだろうという中でやって、不安を与えているわけですよ。

 それに関して、中長期的な問題は残りますよ、今までの道路の借金の分もありますし、メンテナンス部分もありますし、地方における道路の予算をどうしましょうかという中期的な議論はありつつも、二十年度における地方が行っている予算編成において、できる限り安心感を与えるというのは、総務省の役割でもあると思いますよ。もちろん私たちの役割でもあると思いますけれども。

 私たちが与党であれば、それはいろいろつくりますよ。だけれども、与党の皆さんにしてみたら、全然何にもつくっていないじゃないですか。もちろん我が方のこの考え方が通るからいいんだと言いつつも、通らなかった場合どうするかということを考えていないわけでしょう。

 総務省としてそれを考えるように指示したらいかがですか。別に、法案として出せとは言いませんよ。すぐ、結論が出たときに、こういう形で財政的な補てんをしましょうと。もし財政的な補てんをしないのであれば、もう一回地財計画をつくり直さなきゃいけないわけじゃないですか。この地財計画は、今の段階においてこれだけの歳出が必要ですと言ってきているわけでしょう。それに対して、どうやって税収と交付税を含めた歳入を確保するかという議論があるわけですから。総務大臣、けんか口調になって申しわけないですけれども。

 いずれにせよ、ことしはまず地方に穴はあけないようにする。なぜなら、地財計画でこれだけ出して計算して、歳入を確保することも総務省の役割としてあるんだ、だからことしに関しては、どのような結論になろうとも、それは何とか保持しますと。全然、地方の議会にしてみれば安心しますよ。特定財源を守れ、十年延長しろという話はその中でもすると思いますよ。ことしの予算編成において影響を与えているのであれば、総務大臣として、何かしら、別にそれは民主党を利するわけでもないし、自民党を利するわけでもないですよ。地方財政が今逼迫する中で予算を組んでいるわけですから、大臣として、極力迷惑をかけないようにやりますと言ってくれるだけでもいいんですよ。どうですか。

増田国務大臣 やはり、今の御指摘ですとか問題提起、あるいは御議論を聞いていて、だったらやはり総務省でもっと今の法案を通すための努力をして、理解を求めるということになるんじゃないでしょうか。我々の方の今お出しをしているこの法案を、そういうことだから各党各会派の方に理解を求める、そういうことになると私は思いますね。

 そうしたことがやはり、いろいろとこれから、当然私も議長の修正協議というようなお話も承っていますけれども、今地方団体に、少なくとも来年度ですね、ことしとおっしゃっていましたが、来年度ということになるでしょうけれども、そういった予算編成の実態も踏まえて御議論がもしなされるとすれば、立法府の方でなされるのかなというふうに思いますが、そこは立法府のいろいろな御判断はあると思いますけれども、私に今安心感を与えろと言われれば、なお一層、来年度そうした安定的な税が入ってくるように、理解を求めるように動け、そのために努力をせよ、そう言うことではないかと思います。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

寺田(学)委員 政府提出ですから、政府案を一生懸命説明して御理解を得るような努力を国会に来ていただいてされることは、別に否定もしませんし、その姿勢が間違っているとも思いません。ただ、そのような努力が報われるとき、かなうときとかなわないときが国会の意思ですからあるわけですよ。

 そのときにおいて、地方財政に、今こういうタイミングで議論しているわけですから、ことしの予算に関しては今編成作業をしているんでしょうけれども、それは、先ほどくどくどと当たり前のことを確認したのは、総務省の役割としても地財計画の性格としても、地方の歳出を守るという役割があるんですから、その役割にのっとってやりますということは別に言っていい話だと思います。もちろん、自分たちはこうすべきだという考え方は一生懸命説明しつつも、かなわなくとも、こういう形で財源保障しますと。実際に不安を与えているわけですから。(発言する者あり)民主党としても出しますよ。考え方はもう出していますよ。自民党さんは出していないですよ。

 だから、政府・与党として、本当に、今わざわざ幹事長同士が会って、ちゃんと修正案をつくって、そのときは修正しますと。その修正内容が暫定税率が下がるという話だったらそのときにいろいろ議論するんでしょうけれども、今その結論が出るわけじゃないじゃないですか。

 ただ、今地方の議会においては予算の議論をしているわけですよ。総務省としてちゃんと役割があるんだったら、検討を指示するだけでもいいですよ。どうですか。私たちは説明するんですというのは、意気込みはわかります。ただ、さまざまなケースを考えて、そういうときにおいてはどういうような予算措置をするんだということは検討しておいてもいいじゃないですか。内部検討でも結構ですよ、私的な勉強会でもいいですよ。そういうのを今のうちから検討しておいた方が、いろいろなケースにおいては十分対応できるじゃないですか。それとともに、政府としてそういう責任があるじゃないですか。

 いかがですか。指示するのもだめなんですか。内部的に検討することもやっちゃいけないんですか。総務大臣、いかがですか。

増田国務大臣 うちの職員が一つ一つ全部私の指示云々で動いているわけではなくて、やはり総務省は総務省として、今の世の中の状況を見ながら常日ごろから目配りをして、それはちゃんと動いているわけで、その中で、世の中の空気、これはいろいろとそちらの方からも御指摘いただくかもしれませんけれども、これだけの巨額のものでございますし、そういうことについて考えられるような代替案がもしあるとすれば、それはまた、今までだってもっと知恵が出ていたはずなのです。

 なぜ今回こういうことになっているかといえば、やはりこれだけの道路、道路の話になるなということをおっしゃっていますけれども、しかし、御質問の御趣旨はまさに道路についての歳入欠陥のお話であるわけですから、先ほどお話ございましたとおり、一兆六千億にも及ぶようなものを、その代替案といっても、これはやはりオーダーが全然違う話ではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 アイデアが一番いいものがあるから出していて、それ以外のものがあったら今出しているものは出さない、それはわかりますよ。ただ、その一番いいと行政府の方が考えていることが、国民の議論の中で、いろいろ審議している国会において、だめですという話をされることだってあるわけじゃないですか。もちろん、一つの考え方に行き着く間にいろいろな形もあるでしょうし、いろいろなことをケースで考えるわけじゃないですか。

 危機管理という言葉を使うのも私は余り今回はふさわしくないと思いますが、さまざまな自治体にとってみれば危機じゃないですか。そんな、いきなり下がったら。

 我が方が与党になっていてさまざまなことを施策としてできるんだったら、それはいろいろなことを考えて用意しますよ。ただ、その辺は謙虚に考えて、大臣だってとられているし、総理大臣だって自民党だし、我が方の考えていることは、皆さんが政権を渡すか、私たちの考えていることを皆さんがのんでもらう以外にないわけですから。

 総務省として、もちろん国会の中でいろいろドンパチドンパチやっているのはわかるけれども、各自治体に帰ってみれば、どうなるんだよ、今回の予算どうなるんだという話が一番今深刻に語られているわけじゃないですか。そのことにおいて、最善の策は今の政府が出しているものだとわかっていますよ。もしそれがだめだったときのことを検討せよということを、省内である程度シミュレーションして、財務省ともある程度の話をしておくぐらいは別にやっておいたっていいことだと思いますよ。そんなのは四月に暫定税率が廃止されてそこから考えましょうといったら、地方の財政だって一日、一日と不安な日が続くわけじゃないですか。どうなるものだ、自分たちの事業を進めていいものかどういうものか、ことしの借金どうしたらいいのかと考えるわけですから。

 それを迅速に、国会が今、本当であれば去年のうちに出して議論しておけばいいようなものを、今ぎりぎりのタイミングで出してきてこういう形になっているのであれば、国会として、政府として、ある程度の地方に迷惑をかけない努力というものはさまざまなことでするべきだと思いますよ。

 政府が推していることはわかります。どうですか。一般的な質問として、地方自治体の方が、今、暫定税率ありのままで組んでいいんですか、暫定税率がそのまま存続されるものとして予算編成を地方の方でしていいんですかと言われたときに、大臣として何と答えますか。

増田国務大臣 これは、最終的には地方団体の御判断というふうに言わざるを得ないですね。今のこういう国会情勢を各団体もよく知っているわけですし、先ほど言いましたように、通るという保証を私が言うことは絶対にできませんから、これは地方団体の方でもいろいろ情勢を判断してくださいというのが一番私としての適切な言い方だろう。

 それからあと、今の議論で、私は、いろいろな案を考えることは大事だということは、そこはおっしゃるとおりだと思いますよ。ですから、何も、私が絶対に代替案を考えることをやっちゃだめだぞとか禁じているわけでもないし、それは、職員は職員で、大体、いろいろなことを私が言う前に、いろいろな案は、一般的にはいろいろな情勢は考えているわけですよ。ただ、これだけの大きな金額に及ぶ話ですし、それが、そういうことでぱっと何か代替案で実現可能なものがそういうふうに出てくるというようなたぐいのものではないと思いますよ。

 それから、さらに言えば、二十年度の時期がもう来ている。これも全く一般論ですが、通常、大きな制度変更があるときは、経過措置なりなんなりで、そういったことについて当該団体に迷惑をかけないようないろいろな措置を考えるから、私は、まさに今回のいろいろなことで、これは立法府の方で英知を出されるんだろうと思いますけれども、そのときにいろいろな、そういう当該団体にとって心配ないようなことは、そこはぜひお考えいただきたいなというふうに思います。

 余りそういうことについて今の段階で申し上げるべき話ではないわけで、今はとにかく、まだまだ理解が足りないことに対して、ひたすら各党各会派あるいは国民の皆さん方に御理解をいただいて、そして、表面的には確かに、道路整備についてのことと当面の税負担の問題と、いろいろと国民の皆さん方に思いがあるのは重々受けとめておりますけれども、我々として、地方団体の予算編成に滞りがないようにしていきたいというふうに思っています。

寺田(学)委員 では、一般論という言い方をしますけれども、一般論として、こういうような大きな税源の上下があることに関して、そういうことが起きた場合においては、総務省として何かしらそれの激変を緩和していくような経過措置を設けることを提案するような努力はしていくというのは当然のことだということでよろしいですよね。一般論としてお聞きします。

増田国務大臣 いや、それはケース・バイ・ケースじゃないでしょうか。一般論と言われても……(寺田(学)委員「努力するぐらい言ってもいいじゃないですか」と呼ぶ)だって、我々でも出せる限度がありまして、総務省としてそういう案を出せということで言われても、やはり出せる限度もございますし、再三申し上げておりますけれども、私どもとして案を持ち合わせているわけでもございませんし、このことについては、とにかく知恵を絞って今お出しをしている。だからこそ、それだけ今御議論が沸騰しているんだと思いますけれども、こういった問題について、我々としてひたすら今の政府案への御理解をお願いする、こういうことでございます。

寺田(学)委員 その善後策を考えろということは言わないんです。三月の末を付近として何かしらの結論が出るでしょうけれども、地方に財政的な減少が起きることがあったとしても、総務省として何かしらそれを埋めるような努力は、努力ですよ、別に対案をつくってそれを出すとか、そういうことじゃなくて、そういう努力は当然の任務としてされますよね。努力するかどうかということですよ。いや、それは政治で決めることなんだということではなくて、総務省としても当然何かしらの措置を考えますよねということです。そういう措置をつくり上げる努力もされますよねということです。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 総務省で自分の財布があれば何か言えることがあるかもしれませんけれども、そういうものは当然のことながらありませんし、それから、例えば立法府の方でいろいろとお話をお組みになったことが、総務省がそのことについて全部、総務省の権限の中のところで実現しろという、そういう判断を私はされないだろう。やはり立法府は立法府として、今のそういう全体を見て、賢明な御判断をされるんだろうということを期待しております。

寺田(学)委員 では、今回審議しているこの地財計画ですけれども、その地財計画の中で組み入れられている暫定税率分があるわけですね。それが政治の判断によって暫定税率が廃止されましたといったら、この計算自体の素地が狂うわけですよ。これは、もう一回出すということですか、計画が狂うわけですから。地財計画は別に法律ではないので、オープンにしてやるんでしょうけれども、これをもとにした交付税法は、出して可決されることはあるかもしれないですよ。ただし、歳入法案が否決されてなくなりましたという話も出てくるかもしれません。そうしたら、この地財計画というのは、もう一回つくり直すということでしょうか。

 この地財計画が今示している歳出というものは、どういう性格を持つものになるのでしょうか。どうなんですか。もし暫定税率が廃止されて、この地財計画の基礎となる数字が狂ったら、その後、総務省としてはどうされるんですか。

増田国務大臣 立法府の方でいろいろ御判断される際に、当然、どういうところに影響が出ているか、立法府としても、その一部分だけじゃなくて、全体を見て御判断をされると思いますし、それから、恐らくそれだけの大きな問題であれば、事前に我々の方にもお話があって、その際に、どういう処理をすれば一番その御判断に適切に沿った形になるか、そういうことをお互いに柔軟に検討する、そして国家国民のために尽くす、こういうことではないかと思います。

寺田(学)委員 道路の審議は道路の審議で、総務委員会でもやるでしょうし、予算委員会でもやるでしょうし、国交でもやるでしょう、財金でもやると思いますよ。その中で、冒頭申し上げましたけれども、自動車ユーザーの納得がどうかとか、環境がどうかとか、そもそも一万四千キロがどうかとかいう話をいろいろするんでしょうけれども、自民党の幹事長さんとかがよく言われます、この予算編成をしているときにこれをなくしてしまったら、地方が混乱するじゃないか、だから十年通さなきゃいけないんだよという言い方は、余りにも私は乱暴だと思うんです。そういうような乱暴な意見を出しているからこそ、本当に議論する、道路をどういう形で、どういう予算でつくるのかというところにさまざまな影響を与えていると思うんですよ。

 地方としても、十年延長というのはおかしいなと思う、道路は欲しいけれども、暫定税率を上げたままで一般財源で欲しいなとか、さまざまなことを考えている中において、ことしの予算がどうなるかわからないから十年延長に賛成する方針を出すんだというのは、私は残念な結果だと思うんですよ。

 ですので、できる限り総務省でも、もちろん、きょうは財務副大臣にも来ていただいていますので、先ほど総務大臣が自分のところには財布がないからという話をされましたので、財務副大臣にもお伺いしますけれども、暫定税率が廃止されて地方の税収が減ったというときにおいては、総務省と相談しながら出している地財計画の歳出があるわけですから、この分はことしはまず守ります、そのための財政措置というものは財務省としても努力しますというような考え方を持っているというふうに私は思っているんですが、いかがですか。

遠藤副大臣 委員の御質問は仮定の話であったわけで、そういった意味で、私からも、仮定の話ということで一般論でお答えをいたしました。

 繰り返しになりますけれども、万が一、暫定税率が廃止になった場合は、それは道路の大幅な歳出削減か、あるいは借金でやる、この二つの柱のもとに、そのバリエーションもあり得ますけれども、それで対応するしかないというのが理論的な考え方だと思います。

 しかし、今のところ政府としては、今の案が最善と思って努力をし、各会派に御協力をお願いしているところでありまして、全力を尽くして年度内成立をお願いしたいというところであります。

 もし万が一そういった仮定の状況が生起した場合には、そのときは現実を直視して適切に対処するということになると思います。

寺田(学)委員 仮定の話はしちゃいけないと言いますけれども、暫定税率が通っていないにもかかわらず暫定税率が通るような形で紙っぺらをまいているのは総務省じゃないですか。仮定の話はよくないという言い方は、それは一つの考え方のように思えますけれども、行政として適正に執行するのであれば、さまざまなことを考えてやっておくべきだと思います。

 もちろん、今本当に国会の中が激突している状況がありますから、事によっては民主党を利するような話とか、自民党として一つ論拠として言っていることを崩しかねないことかもしれませんけれども、総務大臣として、知事までやられて、改革派だどうこうだという形でやられたのであれば、そして、自民党員なのかどうかわかりませんけれども、民間人として入閣されているわけですから、それこそ地方の今困っている部分に立ってそれなりの発言なり行動なりをしていただきたいという思いで質問をさせていただきました。

 もちろん、おまえらで考えろということもあるんだと思いますけれども、我が方は、もし地方の財源が九千億落ちたのであればこういう形でやりますということは、もう既に出しているわけですよ。与党の方は、自分たちのアイデアはこういうことでするから、これ以外は考えていないというような言い方をしているのであれば、地方は不安になるだけですよ。野党の考え方なんて通るかどうかわからないと現実的に思っているわけですから。そういう意味において、政府・与党の一員である増田さんに、地方にできるだけ、今予算審議をやっているわけですから、さっき少し言われましたけれども、大きな政策変更があったとしても経過措置みたいなものを考えていくのが一般的だから、そういうことに該当するであろうというお考えを持っていただきたいと思うんです。

 もう時間になりましたが、最後に、総務大臣、地方の立場に立ってぜひとも御答弁いただきたいと思います。

増田国務大臣 地方団体がこうした問題に対して不安を持たないようにと。

 先ほど紙切れを出したというお話がありましたのですが、やはり各団体も同時並行して今予算編成をしていますので、ですから、そういうことで、今の状況は正確にお伝えをして、そして予算編成にも対応してもらう、こういうことでございますが、なおこうした大きな問題でございますので、御理解いただくように、そしてまた、地方の財源が道路については著しく足りていない、こういうことを前提にこれからも職責を果たしていきたいというふうに思います。

寺田(学)委員 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。よろしくお願いします。

 きょう、通告をさせていただいておりますが、少し順番を変更させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、非課税等の特別措置のあり方についてお尋ねをさせていただきます。

 今回の地方税法の改正案を見ておりますと、随分たくさんの非課税等特別措置が創設されております。非課税等特別措置といいますのは、国税でいいますと租税特別措置のことでありますが、地方税についての呼び方だということでございます。

 まず、事実関係の確認からお願いをさせていただきますが、今回、何件非課税等の特別措置が創設されて、そして何件廃止をされたか、お聞かせください。

河野政府参考人 お答えします。

 非課税等特別措置につきましては、これは一定の政策目的を実現するための手段の一つとして位置づけられているものでございまして、税負担の公平、中立、簡素といった基本原則の例外措置として設けられることになるわけでございます。

 したがって、個々の措置につきましては、その目的や効果を絶えず検証いたしまして、整理合理化を進めていくことが必要でございます。

 今回の平成二十年度の地方税制改正におきます非課税等特別措置の整理合理化等の状況について申し上げますと、まず廃止が十五件ございます。それから、縮減を図ったものが十五件ございます。一方、新設が二十二件、それから内容を拡充したものが四件ございます。

森本委員 ありがとうございます。

 その結果、現在、地方税全体での非課税等の特別措置は全部で何件ございますか。

河野政府参考人 今回の改正案も含めまして、地方税法の附則で規定しております非課税等特別措置の件数、二百九件となります。

森本委員 この特別措置について、政府税制調査会の答申などで過去何回も、その目的や効果を十分に吟味しながら整理統合化をしていく必要があると指摘をされておるわけでございます。

 その点、総務省としては、どのように努力をされていったのか、その実績を教えていただけますか。

河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、非課税等特別措置、これは一定の政策目的を実現する手段ではございますけれども、税負担の公平、中立、簡素といった基本原則からいたしますとこれは例外措置になるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、その目的、効果を検証して、整理合理化に努める必要がございます。

 特に、毎年度の税制改正に当たりましては、大体こういった特例措置、非課税等特別措置は期限つきにいたしておりますけれども、そういった期限の到来を迎えるものにつきまして、それまでの政策効果あるいは実績等を十分検証いたしまして、必要性の薄れた特別措置を廃止する、あるいは縮減を図る、こういったことに努めております。

 それから、一方で、毎年度新たな税制改正要望が出てまいりますけれども、そういうものにつきましては、政策目的、効果等につきまして所管の省庁等と十分に議論した上で、真に必要と認められるものについて創設するといった形で対応しているものでございます。

森本委員 二百九件、私は百ぐらいかなと思っておったんですが、そうしますと、これをオープンに、実績評価はどのようにされておるんですか。

河野政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、こういった非課税等特別措置につきましては、その政策効果あるいは実績等を十分に吟味して検証し、そのあり方を検討しているところでございまして、それぞれ、例えば期限が到来する非課税等特別措置のあり方につきましては、所管省庁等からそういった目的、効果に関する資料等をお出しいただきながら、十分その中身について議論をして、そのあり方を検討し、取り扱いを決める、こういう形でやっているところでございます。

森本委員 通告はしておらないんですが、吟味してということでございますが、それはどのような形の機構とか組織で吟味されておるんですか。

河野政府参考人 私ども、税制を所管する立場でございまして、政府内におきましてはそれ以上に特別の制度、組織をつくってやっているということではございませんけれども、基本的な考え方等につきましては、政府税調等におきましても、大きな特例措置等につきましては議論をいただき答申もいただくわけでございます。すべての細かい非課税等特別措置につきまして一々政府税調等で議論、審議の対象になるわけではございませんけれども、こうしたことにつきましては、先ほども申し上げましたように、私どもと所管省庁の間で、いろいろな政策目的に関する資料、あるいは実績、効果等に関する資料、こういうものをお出しいただいた上で、それをもとにヒアリングを行ったりさらに議論を行ったり、こういうことでそのあり方について検討をしているものでございます。

森本委員 そうすると、例えば、各省の代表とか総務省の関係者の代表とかいって組織をしておるわけではないと。ですから、所管省庁からの資料をいただきながら総務省の方で十分吟味をしておるということでよろしいですか。

河野政府参考人 税制改正につきましては、これは与党の方でも税制調査会という組織がございます。政府の中におきましては政府税制調査会で調査審議はいたしますけれども、個々の非課税等特別措置につきましては、各省と私どもの間で、これは特別の組織をつくってということではなくて、税務当局と、そういった税制改正を要望するなり所管をしておる関係省庁との間で議論、検討する、こういうやり方をしているところでございます。

森本委員 それでは次に、非課税等の特別措置による減収額は平成二十年度にどのぐらい見込まれておるのか、教えてください。

河野政府参考人 平成十九年度におきます非課税等特別措置による減収額、これは平年度ベースでお答えをいたします。一部は地方税法の本則で規定している措置もございますけれども、一兆四百五十億円と見込んでおるところでございます。

 なお、この見込み額につきましては、一部こういった減収額、算定困難なものもございますし、非常に少額なものもございますので、そういう意味で、主要なものについて算定した結果の数字でございます。

森本委員 今のは十九年度ですね。二十年度の推計はいかがですか。

河野政府参考人 この非課税等特別措置による減収見込み額の算定に当たりましては、地方税の場合は、国税の特例措置のはね返りによって出てまいるものもございます。したがいまして、その影響額を算定いたしますためには国税における減収額といったデータが必要でございますけれども、現在のところまだ国税の方でそういった作業ができておりませんので、二十年度につきましてはまだ全体としての額は把握していないところでございまして、そういう意味で、十九年度で申し上げさせていただいたところでございます。

森本委員 これは、二十年度の予算を組むに当たって、その見込みも出さない、毎年こういう状態ですか、二十年度予算が目の前にあって。もう一つ、よろしくお願いします。

河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、この非課税等特別措置の影響、減収額を把握いたしますためには、国税の数値等もベースにする必要がございますので、現在時点ではまだ作業ができていない状況にございます。

森本委員 これは大体、租税特別措置法に連動しての税収減もありますよね、増もありますけれども。そうしたものが出ておらないところで、この一兆円というお金は、今回地方交付税で少し加えるのは二千億程度でしょう。こうした一兆円の予算額を、毎年大体よく似た額で推移するとは思いますが、しかし、それにしてもこの金額が地方では大体わかっていると解釈されておるのですか。

河野政府参考人 先ほど申し上げましたのは、非課税等特別措置による減収額ということについての作業の考え方を申し上げたわけでございまして、税収の見積もりというのはちゃんと作業するわけでございます。その際には、こういった非課税等特別措置が継続される部分につきましては、これは各年度ごとの特別措置自体をとって見ますと多少増減したりすることはございますけれども、しかし、その点につきましては、それが変わらない状態で翌年度の税収がどうなるかといった作業をすることが可能でございますので、そういう意味で、予算編成等に当たって税収見積もりをするという上では格段の支障は生じないものでございます。

森本委員 これで議論はいたしませんが、普通は大体のつかみ、約の金額でも出てくるんじゃないかなというふうに私は思っておりましたので、ちょっと意外な気がするわけです。

 ことしに限らないことでございますが、地方税法の改正案に、今二百九件というたくさんの数字が出たわけでございますが、特別措置が盛り込まれておるわけでございます。ただ、個々のものについては、それらがどのような経緯で出てきたのか、そのあたりのプロセスについて不透明感を私自身は感じております。

 政府税調の答申で、先ほども答弁もありましたが、これらの措置については全くといっていいほど触れられておりません。では一体どこから出てきたのかといいますと、租税特別措置、先ほどもこれは申し上げました。非課税等の特別措置については、自民党税調、これも与党と言われましたが、すべて決定されており、総務省は、自民党での決定内容、与党の決定内容をほぼそのまま法案にしただけではないかという疑いを強く持つわけであります。ところが、自民党税調の議論のプロセスは非公開ということでもありますし、個々の措置がどのように決定されているのか、外部からは知る由もないわけであります。

 ただ、最終的には、議員立法という形ではなく、これは政府法案という形で総務省から提出をされておるわけでありますから、当然、総務省としても個々の内容について精査をした上で決定されているはずだと私は今の議論の中で思わさせていただいております。

 そこで、お聞きしますが、今回出されております個々の非課税等特別措置については、どのようなプロセスでこれが出てきたものなのでしょうか、お伺いします。

河野政府参考人 先ほどもお答えをしたところでございますけれども、税制改正に関しましては、一つは、政府税制調査会という機関がございます。ここで税制改正あるいは税制のあり方について大きな問題あるいは基本的な方向等を中心に議論していただいておるところでございまして、その中でも、一部の特例措置については審議、議論の対象になるケースもあるわけでございます。

 また一方、個々の非課税等特別措置につきましては、基本的には、先ほど申し上げましたけれども、政府部内におきましては、所管省庁等から、税制の所管省庁である私どもなり、別途国税につきましては財務省の方に税制改正要望が提出をされまして、それをもとに私どもと所管省庁の間等で政府として議論をする。また、これと並行いたしまして、別途、ほぼ同様の内容、あるいはそれに加えたものもあるかもしれませんけれども、与党の税制調査会にも関係の方々からいろいろな税制改正要望が出ていくわけでございまして、政府と与党の方で一緒に並行して作業しながら、そうして税制内容が決まっていくということでございます。

 こうした政府、与党間でいろいろな作業をしながら政策決定をしていくということは、いろいろな場面であり得ることであろうと思っております。

森本委員 それでは、大臣、この非課税等特別措置の問題については、総務省としてのスタンス、どのような形で反映されておるのですか。

増田国務大臣 これは地方税でございますので、地方団体、各都道府県なり市町村のこうした問題についての意見もよくお聞きをした上で、各省庁と詰めなければいけません。

 そこで、私のかつて属しておりました全国知事会などでも、各都道府県の税制改正の要望を取りまとめて、当時も総務省に出しておりました。最近でも、直接私は昨年それを見ておりませんけれども、各六団体の方から総務省の方にもいろいろな要望が出ていると思います。それから、個別に各地方団体からも私のところに言ってきたものもございます。

 そうした多くは都道府県や市町村の意向を踏まえつつ、一方では各省からの地方税に対しての要望もございますので、それを踏まえて、この問題、非課税措置等の内容がいいのかどうか一つ一つ検証して、それで総務省として案を作成している、こういうことでございます。

森本委員 先ほど参考人の方からもお話がありましたが、そうしますと、この特別措置については、自民党税調にかなりの部分ゆだねているということではないということですか。

増田国務大臣 もちろん、そうした案をまとめていく上で、自民党の税調の方の御意向というものもよく踏まえながら、しかし、そこで総務省としても、いろいろと各団体の意向がどうであるとか、それから実際の実態はどうなっているかということをよく御説明をしているということでございまして、我々として、そうした自民党の税調の方で全部お決めになっているということよりも、先ほど局長が言いましたように、大きな政府税調としての方針を踏まえた総務省としての考え方があり、そして、これは当然法案化をしなければいけない問題でございますので、そうした自民党あるいは公明党さん初め与党の方のそちらの税調の方とも調整をしつつ案を取りまとめているということでございます。

森本委員 そうすると、大臣、政府税調とこの特別措置については十分協議をされておるということ、少し参考人と食い違うように思うんですけれども、ある程度任されて、政府税調には余りかかっていないんじゃないですか。

増田国務大臣 今、政府税調の大きな方針のもとというふうに申し上げました。個々の非課税措置については、これは政府税調の方で一つ一つ審議することはございませんで、我々の方に任されているわけでございますが、やはり大きな今後の税の方向というのをまず真っ先に政府税調で審議をされますので、そうしたことを踏まえながらということでございます。

森本委員 了解しました。

 そうしますと、先ほど説明もありましたが、個々の非課税等の特別措置を決定するプロセスについては、地方自治体の意見を聞かれて、そこで協議の場をつくってやっていただいておるということではないんですね、個々に聞かれたりとか。そこのところをもう少しお答えいただけますか。

増田国務大臣 それぞれの地方団体とは、何か決まった一つの協議の場というものがあるわけではございませんが、非常に多くの項目がございますので、今も、例えば知事会なら知事会として、地方税についての要望項目というのをそれぞれの会ごとで取りまとめるようにしておりますので、そこと総務省との間でいろいろとお話をお聞きする。それから、なおかつ個別に各団体からもいろいろ、これは、それぞれの時期時期、それから全部ということではなくて代表的なものだと思いますけれども、そういう形で今やっていると思います。

 私が知事会におりましたときは、兵庫の知事さんがそうしたことの取りまとめの責任をしておりまして、知事会の中で各団体の意見を何回か会議を開いて取りまとめて、それで代表して総務省の方に当時ぶつけておりましたが、そういう形でやっておりました。あと、それに、個々の団体からもお話を聞くということで、そこはかなり重なり合いながら意見をよく聞いている、こういうことでございます。

森本委員 そうしますと、都道府県からクレームがつくとか、こういうことはいかがなものかと、そうした……。知事もやってみえましたから、国との関係については良好だと。

 私は、うがった見方をするならば、こういうものを国が今決めます、こういうことすら私自身は今まで疑問として思わなかったんですよ、しかしこの租税特別措置法の道路特定財源の問題も含めてこのような議論になりましたから、こういう問題が浮き彫りになってきた。そうなると、県議会等は知らないうちに、もうこの予算については一兆円余りは減額なんだ、そうした見方をされても仕方がない、これまでの経緯はそうでなかったかなということで、私はあえて大臣に質問をさせていただいたわけです。

 ですから、そこのところはコミュニケーションをうまく図られて問題ないんだという大臣のお答えですが、間違いありませんね。

増田国務大臣 過去、そういったことで何か、例えば知事さんなら知事さんでいろいろクレームがあったのかどうか、ちょっと全部はわかりませんけれども、少なくとも昨年私が就任してからは、こうした税の関係については、例えば全国の知事会長さんからもいろいろお話があったり、あるいは、場合によっては電話で、そうしたことについてはお電話をいただいたこともございました。それから、個々に来られた知事さん、あるいは市町村長さんからもお話を聞かせていただいたこともありました。

 途中で、例えば例の、消費税と法人事業税の、いわゆる二つの税を交換しようなんという話もございまして、新聞報道等もいろいろなされたので、御心配された自治体の首長さん方もおられましたし、総務省の案はいい案だからぜひそれを貫徹しろとか、あるいは、どうも財務省の方の考え方が少し違っているようだとか、いろいろ御心配等もありました。やはり、そういうことで、税の折衝の過程でいろいろ動きが新聞等に報じられますので、御心配などの話はたびたび伺いましたけれども、もちろん道路の問題もございましたけれども、逆に言うと、それだけ、暮れに近くなりますと、いろいろ、総務省とそれから各自治体の皆さん方との意見交換などはなされております。

 その中で、過去を振り返ってみれば、恐らく、総務省の方でやはり努力不足だったんじゃないかとかいうお話も多分幾つかあったのではないかと思いますけれども、昨年は、特にそういったことで大きな問題はなかったのではないかな、意見交換は随分させていただいた、こういうことでございます。

森本委員 大臣、地方分権法が施行されて、上下、主従の関係から対等になった。ですから、そういう意味では、何らかのこうした協議の場があってもいいんじゃないかというふうに私は思っています。これは一兆円ですから、ここのところの議論をこれまで議会等でもほとんどなされなかったところに地方議会のあり方が、これから変わってくるんじゃないかという気がします。

 ですから、そうした意味でも、今後、こうした検討の、協議の場を考えていただいたらいかがかと思うわけでございますが、いかがですか。

増田国務大臣 少し担当の局の方に話をして、工夫させてみたいと思います。

 多くの団体があるので、何か、今言いましたように、地方の六団体ですとかそういうところを窓口にしてこうした問題を検討するとか、今やっているいろいろなそういう協議もあるので、それをうまく、頻度を密にしてやっていけばいいというのであれば、そういうやり方もあるでしょうし、実質的にどういうやり方が一番いいのか、効果的なのか、少し担当部局に話をして、工夫させてみたいというふうに思います。

森本委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 健全化法も制定された時点で、やはり国の関与というものが非常にある意味きつくなったということも、分権との考え方で、私は、非常に難しい問題だというふうに認識しています。ですから、どうぞ、そうしたことも踏まえて、これからよろしくお願いをいたします。

 きょうは通告なしに大臣と議論をさせていただきましたので、申しわけなかったというふうに思っております。

 それでは次に、もう一つ、国税の、租税特別措置にも言えることでございますが、非課税措置を行うのであれば、それぞれの減収額が幾らで、どのような効果があったのか、きちんと評価していくことが大事だというふうに私は考えています。うたい文句はよくても実際に効果がないようなら廃止すべきでございますし、総務省としてはどのような、これも聞くのがやぼかわかりません、今の場合、評価体制がどうなっておるのか、組織的にはないということでございますが、内部ではどのようにはかられておられますか。そしてまた、資料はそろえておられますか。

河野政府参考人 先ほどもお答えを申し上げたところでございますけれども、私ども、税制そのものを所管しているわけでございますので、そういう立場から、各年度、税制改正が行われる際に、非課税等特別措置等のあり方について検討させていただいているところでございます。

 ただ、非課税等特別措置、大体は二年とか三年とか、そういった期限つきの措置になっているものが多うございますので、その間ずっと恒常的に検討、検証を同じ密度でやるということでは必ずしもございませんで、特に期限の到来に当たって、それを延長するのかどうか、廃止するのかどうか、そういった検討が必要になりますので、その際には必ず関係省庁から、その政策目的に関する関係のいろいろなデータ、実績や効果、そういったものをお出しいただいた上で、どういった取り扱いをする必要があるのか、そういった観点から、毎年度の税制改正のプロセスの中で、私ども自治税務局の組織として十分検証を行って対応させていただいているところでございます。

森本委員 個々の措置については、決定プロセス、効果、そして透明化が大事だというふうに私は思っています。

 参考までに十枚、十枚というか、二百のうちに十本程度で結構でございますから、どのように評価をされて、そして、減税することによってどのような効果が上がったか、そうした資料を今お持ちですよね。参考までに資料としていただけますか。

河野政府参考人 整理をいたしまして、お示しをさせていただきたいと思います。

森本委員 繰り返しになりますが、個々の適用実態の調査、つまり、適用数、増減収額等の適用実績に関する調査、その集計、対象者別の増減収額分布状況等の統計の作成などは行っておられますか。

 さらには、正当性の検証、つまり、手段として相当なものかどうか、有効なものかどうか、適用実態において、合理性を欠く、不公平がないかどうかを確認はされておられるでしょうか。

河野政府参考人 先ほど来申し上げているとおりでございまして、全部を網羅して、今おっしゃいましたようないろいろなデータといいますか、ものにつきまして、集計、整理しているということでは必ずしもございませんけれども、繰り返し申し上げますが、非課税等特別措置のあり方につきましては、毎年度の税制改正の中で十分その実績等お出しをいただいたり、その上で、効果を検証して対応を決めさせていただいているということでございます。

森本委員 先ほど申し上げたことは、私の考えを申し上げたわけでございますので、どうぞまた参考に取り入れていただければありがたいというふうに、それだけ申し上げておきます。

 それでは、道路特定財源について少し触れさせていただきます。

 国道に比べて地方道の方が整備がおくれていることは、データ的にも明らかでございます。改良率では、一般国道が九〇・八に対し、都道府県道六六・七%、市町村道は五五%。舗装率では、簡易舗装を除くと、一般国道が九〇・三%、都道府県道六〇・四%、市町村道一七・八%。

 ただ、必要な道路整備については、地方それぞれの事情があり、本来はそれぞれの自治体が、国からの関与がないような形で独自で判断できる体制が望ましいと私は考えております。ただ、道路財源の多くを国が握っているために、地方はなかなかみずからの判断で道路の整備ができていないというのが実態であります。自治体の判断によっては、道路よりは教育や医療や福祉に回したいというところもあるかと思います。

 そこで、民主党としては、道路特定財源については一般財源化した上で、地方の財源は手当てすると提案をさせていただいておるわけであります。現行の制度であれば、いつまでたっても地方の自主性は高まらないと私は思っています。地方分権の視点からいえば、民主党は反対ですが、もし仮に特定財源を維持したとしても、道路関係諸税についても大幅な地方税への移譲が必要だと思います。

 そこでお聞きしますが、きょうもこの話は少し触れられた方がありますが、増田大臣も知事時代に、地方六団体は揮発油税の地方への移譲を要望されておりました。当時は、小泉三位一体改革の中での要望でございましたが、大臣になられて、地方税財源の拡充を図っていくお立場から、今はどのようにお考えですか。

増田国務大臣 今、地方の道路整備の財源、繰り返し申し上げておりますが、不十分である、決して十分ではない、こういう実態がございます。

 そこで、平成十六年だったと思います、平成十六年に全国知事会で国に対しての要望事項を取りまとめいたしましたときに、当時はまだ私、知事をしてございましたけれども、そのときに、地方の道路財源を充実するということで、国からの移譲ということをその中に検討項目として入れた覚えがございます。

 やはりこれから大きな、国と地方の役割分担を議論して、そしてできるだけ地方の税財源を安定的に確保していくということは大きな流れだと思っておりますので、道路につきましても、そうした大きな役割分担をこれから政府としても議論していかなければならない。まさにそのために今地方分権改革推進委員会で、道路の問題のみに限りませんけれども、国と地方の大きな役割分担と、そして今後それに見合った税財源の構造について御議論いただくことになっております。

 したがいまして、政府として、地方分権改革推進委員会での御議論を踏まえて、どういうことが望ましいかということを考えていきたいというふうに思っておりますが、その際には、今回大きな議論となっております道路財源の問題についても、今行われております現行制度を、他の分野も同様でございますが、道路についても財源構成をいろいろと見直しをしていくことはあり得るものだというふうに思っておりますし、私としても、そうした中で、できるだけ今の地方の財源が不足をしているという状況を踏まえた検討を促していきたい、こういうふうに考えております。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

森本委員 大臣、私も三重の方で生まれ育ったわけでありますが、車は、私、妻、長男、長女、トラック、五台なんですよね。しかも、道路は、正直、百六十六号線という国道を、松阪の駅で近鉄をおりて四十分走ります。そのまだ奥地に未整備が随分あります。美杉という、非常に山間部で、国道三六八がありますが、町道よりも、うちの方では哀れと言うんですけれども、非常に狭い、くねくね曲がった道が国道です。ですから、その現場におる私としては、今の地域の事情はよくわかります。

 しかし、今般の予算委員会等の質疑を聞かせていただいておりまして、国の道路特定財源をめぐる一部の使い方については、岩手の県でもそうかと思いますし、道路に命をかけて非常に頑張ってこられた県の職員さんとか市町村の職員さんは本当に怒り心頭、本当に残念な気持ちで報道を見ておられると私は思いますよ。そうではないんですよ、地方では。

 ですから、残業もいただけずに、今ですと合併で五十六、七でもうやめられて、そして仕事もない。月々二十万の給料をいただけるような仕事があればいい方です。ですから、その事情はよくわかりますが、だからといって、この五十九兆円をこのまま認めていくというような、普通の考え方からいくと、納税者の理解と言われましたが、普通の考え方では非常に理解ができない部分だというふうに私は思っております。

 ですから、きのうの馬淵議員の質問の中で、アローアンスが、今のあり方検討委員会の資料を見ると、一・六はもうこれは一を切れていくんだという質問に対して、そういう質疑をしてみえるときに総理は、国民は日本全国においでなんですよ、交通量が減ったからといってその部分についてと、一部を引用しますと問題もあります、しかしこれは、今寺田議員も執拗に食い下がられたように、こうした議論は国民の皆さんにとって本当に理解がされるかどうかという、自民党の皆さんも皆、いろいろ悩んでみえると私は思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 国会の議論を私もわきで拝見しておりますけれども、例えば、道路に関係する団体がいろいろな目に余るような、本当に情けないようなお金の使い方をしていたり、それから国の直轄の方で、またこれも全く理解のできないようなものを買っていたり、やはり今まで、大きなお金を扱っている人たちに、おごりと言っていいのかどうかわかりませんけれども、やはり慢心があったのではないか、そんなことを決してやってはいけないと。

 岩手の道路事情も大変厳しいところで、本当にここの道路のこの隘路を何とかしてあげたいな、こういうふうに思ったことも再三ございましたけれども、お金が足りないということを考えたときに、やはり一銭たりとも無駄にせずにそうした皆さん方の期待にこたえなければいけないという思いを強くしております。

 五十九兆という、これもまた大変大きなお金であります、それの是非もありますけれども、あれはとにかくマックスであって、それを毎年毎年少しでも無駄を削って、そして額を圧縮するということと、それから、その中で、どこから順番に整備をしていくのかどうか、それを真剣に考えて、一番いいやり方、これもある種反省でもあります、私が知事に就任する前も、何でこんなところに道路が整備されているのかなということは、景気対策等で、できるだけ用地買収の手間のかからないところを先にやろうという判断もあったようでございますけれども、そういうことでやられてきたことも実際にはあった、これも反省材料だと思うんですね。

 ですから、そういうことをして、本当に真剣に、真に必要なところからスピード感を持ってやっていく、そして地域の皆さん方のそうした期待にいち早くこたえていくということが必要ではないかというふうに思います。

 そういうことをしないと決してこの問題は国民の理解が得られませんから、私も、地方の道路の整備がまだまだ必要だということでありますけれども、その中で、決して無駄遣いすることなく本当にこれはやっていきたい。これは国土交通省にということじゃなくて、やはり政府としてやっていかないとこの問題についての理解は決して得られませんので、総務大臣としての立場からもこのことを強く申し上げておきますし、そして、そのことを踏まえた判断ということを私もしていきたいというふうに思います。

森本委員 大臣、そのお考えの中で、十年間の暫定は継続はないんですよね。そのことは、もうくどく言われておりますから避けますが。

 私、大臣にもお願いしておかなければならないんですが、八十歳の、私のおふくろのような感じの方と、ある文化会館で御一緒させていただきました。その方は、六万六千円の年金を、早くいただいたので五万円ぐらいだという、まあ、おばちゃん何してんねんという話から、あんただれやという話で、気楽に話をしていただいたおかげでそうした話になったんですが、議員としての話としてではなかったんです。森本衆議院議員ということではなくて、隣のおばちゃんという感覚で。その方は、この大会は十月は毎週お弁当をいただける、すてきな民謡とか踊りの会があるんですよというお話で、お弁当をいただいて、御薗だとかああいういいところへ行かなくても、ここで楽しめるんですと。確かに、私も少し拝見させていただいて、すばらしい民謡、踊り、舞の大会でありました。毎週お弁当をいただける、ですから毎週お見えになっているようでございます。もし今からおむつをしなきゃならなくなったときに、自分の人生が果たしてどうなるか。生活保護をもらうということも非常に楽だけれども、私自身としては避けたい。何とか倹約して、離れておるので子供たちにも余り不自由をかけたくないと。

 そして、あるときは、また違うお母さんでありましたが、あんたらは一枚一枚身ぐるみはがしていくんかというお話。何ですかというお話、わからなかったんですけれども、ことしは介護、来年は医療、どんどんどんどんお金を取っていくばかりやないかというお話。これは、議員として私が聞かせていただいたものではありません。ですから、そこに本当のお気持ちをあらわされたんだろうというふうに思っています。その方々にとって、今地域社会で、きょうの発言を聞かせていただいておりまして、十分それは増田大臣も御理解はされております、そこのところ、年金、医療、介護という福祉、命の源をやはり整備するということも、これは政治の大事な役割なんです。

 ですから、この今の現状の道路の計画とか資金の使い方、これを見ておって、私は政治家として黙っておるわけにはいかないという中で、どうぞ、政治というものがどうあるべきかということを、大変生意気なきょうの質疑でございますが、大臣、認識していただいて。大臣は車座をやられています。これは非常に私は感謝をしておりますが、しかし、大臣として行かれたのでは真の生活は見えません。ですから、どうぞ部下の方でも結構でございますから、本当の意見をいただく方をブレーンにつけていただいて政治をやっていただくことをお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、まず住民税の住宅ローン控除の問題について、何点か確認で質問させていただきます。

 税源移譲に伴って、所得税から住宅ローン控除、引き切れない人は住民税から控除されることになります。こういう「申告をお忘れなく!」という、総務省、全国地方税務協議会で出されているもので周知徹底なども図られておるところだと思います。

 まずお聞きしますが、住宅ローン控除の対象となる方がどのくらいいらっしゃって、そのうち、控除額を所得税で引き切れなくて住民税で控除される対象者の方はどのくらいいらっしゃるのか、お答えください。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 今年度実施されております税源移譲に伴いまして、所得税から引き切れないローン控除につきまして、住民税から控除する制度を設けておるところでございます。

 所得税における住宅ローン控除の適用者数でございますけれども、おおむね五百万人程度と聞いているところでございます。このうち、今回の措置の対象となる、すなわち所得税で引き切れなくて個人住民税における住宅ローン控除の適用対象となる方につきましては、こういった数字をもとに、おおむね三百万人程度というふうに見込んでいるところでございます。

塩川委員 三百万人の方がいらっしゃるということでは、大変大きな数だと思います。

 そこで、重ねてお聞きしますが、控除対象者が税源移譲のこともよく御存じない、住民税から控除されるということも知らない、あるいは忘れているということも当然あるわけですから、この三百万人の住民税控除対象者の方への周知徹底はどのようにされるのか、その点についてお答えください。

河野政府参考人 この住民税における住宅ローン控除、適用を受けますためには申告が必要でございます。この措置につきましては、特に多額の住宅ローンを抱えておられる方の税負担に直接かかわることでございますので、国と地方団体、よく連携をいたしまして、措置の対象になる方が漏れなく申告いただけますように十分な周知、広報を図ることが大変重要でございます。

 こういう観点から、まず、総務省等国におきましては、テレビ、ラジオ、あるいは新聞、雑誌といった広告媒体を活用いたしまして、政府広報によって広く周知を図るように努めているところでございますし、それから、地方公共団体にも積極的に周知、広報に取り組むようにお願いをしているところでございます。

 地方団体におきましては、広報誌あるいはホームページなどを活用した広報等に取り組んでいただいているところでございますし、先ほどもお話ございましたが、リーフレットの配布でございますとかポスターの掲示、こういったことに取り組んでいただいているところでございます。

 今後におきましても、よく地方団体と連携を図りまして、しっかりと周知、広報を図っていきたいと思っております。

塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、この住宅ローン控除、住民税から控除する手続の申告の一応の期限というのはいつになっているのかという点が一点と、あわせて、やはりホームページですとか広報誌を見ても、ほとんど見ない方が実際だと思うんですね。ですから、やはり対象となるような方にお知らせを送付する、個々の方にそういう、あなたは対象となり得る可能性がありますというお知らせをするような市区町村なんかもあるのかなと思っておるのですけれども、その辺の地方公共団体での取り組みの状況、個々にお知らせをお届けする、そういう状況などについて把握をしておられたら教えてください。

河野政府参考人 お答えします。

 まず、申告の期限でございますけれども、所得税の申告期限と同じでございます。毎年三月十五日までに申告いただくことが必要でございます。ことしの場合は、三月十五日が土曜日、十六日が日曜日でございますので、十七日までに申告いただくということでございます。

 なお、今回の改正案におきまして、納税通知書が送達された後に申告書が提出された場合におきましても、市町村長がやむを得ない理由があると認める場合には、この住宅ローン控除が適用できるようにするといった改正も織り込ませていただいているところでございます。

 それから、市町村における取り組みでございますけれども、先ほど申し上げましたように、広報誌でありますとかホームページ等を使った周知、広報に取り組んでいただいているところでございますけれども、お話ございましたように、今年度の税源移譲がほぼすべての方が対象になるというのと違いまして、こういった住宅ローンを抱えておられる方が特に対象となるわけでございますので、そういう方が把握できる場合、これは給与支払報告書にそういった記載があること等によって把握が可能でございますので、そういったものにつきましては、市町村に対しまして、対象者に対して直接リーフレットを送るような取り組みも行っていただきたいということを私どもの方からお願いをいたしておりまして、かなりの市町村でそういった取り組みをしていただいているところでございます。

塩川委員 幾つかの市にお聞きしたのですけれども、例えば埼玉県内のある市では、データを全部コンピューターに入れて、それで、ことしの場合は三月十七日に間に合うようにということで、一月中にはその対象となる方にお知らせを送付したそうです。

 それが、また違う別な市にお聞きしますと、市の広報やホームページでの周知徹底はされておられるわけですが、今、給与支払報告書からデータを抽出中で、お知らせを送るつもりでいるんだけれども、その時期は四月になるでしょうねという話なんですね。ですから、三月の十七日にはとても間に合わない、それを過ぎてから。まあ、担当の方も、納税通知書が届くまでに申告してもらえばよいのでということで、でも通年で申告の受け付けをやるようかな、こんなことをおっしゃっておられたようですけれども、これでは控除対象者の方も困るものですから、こういった実際の周知徹底の状況がどうなっているのかについて、大臣、実情について、市区町村について一声かけていただく、そういう実情の把握について、個々の対象の方にリーフレットやお知らせなどを送るという取り組みはどうかということについて聞いていただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

河野政府参考人 調査というちょっと実務的なことでございますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、私どもの方から、いろいろな媒体等を通じて周知、広報を図っていただきたい、さらには、直接リーフレット送付が可能な方には送付を行っていただきたいということをお願いしているところでございまして、具体的にこうしたポスターの掲示でございますとかリーフレットの配布、あるいは個別の納税義務者への周知等につきましてどういった実施状況にあるかということにつきましては、一月末現在で調査をいたしておるところでございます。

 こういったポスターの掲示、あるいはリーフレットの配布、これは大多数の団体でいろいろな形で取り組みをいただいているところでございますけれども、特に対象となり得る方への個別周知の状況につきましても、大体千を超える団体におきまして取り組んでいただいているという結果が把握できております。

 さらに、今後におきましても、しっかりと周知、広報を図っていただきますように要請をしてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 個別の周知徹底について、まだやっておられないような市区町村もあるようですから、そういう点についても一声かけていただくのをぜひお願いしたいと思っております。これは国の施策ですから、市区町村の方が悪いわけではないので、そういう点でも国の責任をきちっと果たしていただきたいと思っているわけです。

 その上で、所得税の場合には、一度申告をすればこの住宅ローン控除が継続されますけれども、住民税の場合には毎年申告が必要で、やった方は、面倒くさいと。この負担軽減策がとれないかというのが実際の対象の方の声であります。

 その点が一つと、あと、申告を忘れた場合に、翌年度にも申告すれば控除ができると承知をしておりますけれども、そういうことについても確認で答弁いただきたいと思いますし、その趣旨も徹底するということもあわせてお願いしたいと思っておりますが、その点いかがでしょうか。

河野政府参考人 まず、申告についてでございます。

 この制度につきましては、対象になる方は、毎年度市町村に申告していただくということが必要なわけでございまして、そういう意味では御負担をおかけすることになるわけでございます。

 ただ、これはどういう理由でこういうことにしておるかといいますと、市町村が個人住民税を減額する、住宅ローン控除を適用するということを決めますためにはいろいろな情報が必要でございまして、一つには、当然、所得税における住宅ローンの控除可能額そのものがどうか、それから、住宅ローン控除の適用前の所得税額が幾らになっているか、さらに、税源移譲に伴って所得税から引き切れない部分を住民税から引くということでございまして、税源移譲前の税率を適用して算出された税額、こういった情報をちゃんと把握する必要があるわけでございます。

 これらの情報につきましては、納税義務者の所得が当然変動いたしますので毎年変動してまいりますこと、それから、住民税の特性といたしまして、住所の異動がございますと課税団体も変わってまいります。そうした前提で市町村が漏れなくこうした、先ほど申し上げましたような情報を把握していくということは非常に困難でございますので、ちゃんと対象になる方がきちんと措置を受けられるということにいたしますためには、どうしても住所地の市町村に申告をいただくということが必要なわけでございます。

 そうした意味では、納税者に御負担をおかけするわけでございますけれども、納税者の便宜も考慮いたしまして、納税義務者が所得税の確定申告を行います場合には、税務署を経由して申告書を提出いただければいい、こういう形にしているところでございます。

 それからもう一つ、申告を忘れた人は翌年度、翌年でもいいのか、こういうお話がございました。先ほどちょっと申し上げましたところでありますけれども、この申告につきましては、原則三月十五日までということになっているわけでございます。

 ただ、この個人住民税における住宅ローン控除といいますのは、税源移譲によって負担増が生じないようにしよう、こういう措置でございます。そういう趣旨で、できるだけ救済できるようにといいますか、いろいろな事情で申告ができない場合というのは当然考えられるわけでございますので、今回の地方税法の改正案におきまして、納税通知書が送達された後に申告書が提出された場合におきましても、市町村長がやむを得ない理由があると認めるときにつきましては適用できるように改正を行うように提案させていただいているところでございます。

 この措置につきましては特に期限というものを設けておりませんので、そういったやむを得ない事情があると認められるときにつきましては、仮に翌年に申告された場合であっても控除を適用することが可能ということになるわけでございます。

塩川委員 この問題で最後に大臣に一言御答弁いただきたいのですが、やはり国の施策として変更がされたわけで、住宅ローン控除を受けている方にきちんと周知徹底をする、そういう点で、個々の方にやはり届くということがその人の注意喚起の一番の力ですから、市区町村の方に押しつけるということではなくて、何よりも、その対象となる方にきちんとそういった旨が伝わるように取り組むという点で、国としてふさわしい取り組みを果たしていただきたいと思うのですが、その点についての大臣のお立場をお伺いします。

増田国務大臣 今回のことでありますけれども、なおまだ国民の皆様方にそうした手続の必要性等が十分伝わっていないということがございます。御指摘のとおりかと思いますので、市町村の方も含めて、総力を挙げてそうした皆さん方への注意喚起といいましょうか、そういうことについて御認識いただけるようにしていきたい。

 三月の十七日までということになってございますけれども、やはりホームページ等の話では、委員がお話がございましたとおり不十分でございますので、個々の皆さん方にそうしたことがきちんと届けられるようなことを、市町村のそれぞれの工夫にあと何を工夫すればいいのかということもこちらでよく考えて、やはり一番は身近な市町村から何か工夫をしてお伝えいただくことが一番いいかと思っております。

 よくそうした他の市町村での取り組みなどもほかの市町村にも伝えるなりして、そして国民の皆様方に周知徹底されるように、私どもも全力を尽くしたいというふうに思います。

塩川委員 次に、地方法人特別税について質問いたします。

 地方法人特別税は、地域間の格差、都市と地方の格差拡大を防ぐということで、法人事業税の税収の二分の一、約二・六兆円を国税化するものであります。そこで伺いますが、地域間の財政力の格差是正といいますけれども、法人事業税の税収格差というのは最近は縮小傾向ではないかなと思うんですが、どうでしょうか。

河野政府参考人 地方税の中にいろいろな税目があるわけでございますけれども、その中で、法人関係税、法人事業税それから法人住民税につきましては、地域の経済活動の差というものを反映いたしまして、地域間の差がかなり大きい税目であるわけでございます。

 そこで、この税収格差の状況がどうなっているのかということでございます。いろいろな見方はあろうかと思いますが、各都道府県ごとに人口一人当たりの法人事業税の税収額というものにつきまして、最大、最小の比率といったもので比較を私どもしておるわけでございます。ここ十年ぐらいの推移、具体的には平成九年度以降、十八年度まで実績が出ておりますけれども、こういったもので最大、最小の比率を見ますと、大体五倍から七倍ぐらいの間で推移しておりまして、上がったり下がったり、若干変動しているという状況にございまして、こういう指標で見まして、偏在度が拡大している傾向ということには必ずしもないものというふうに見ております。

 ただ一方で、都道府県におきます法人事業税の税収の規模は、ちょっと超過課税分は除いて申し上げますけれども、平成十四年度には三・四兆円まで減少しておったわけでありますけれども、その後急速に回復をいたしておりまして、平成十八年度には約五・二兆円というふうになっております。

 こういうふうに、もともとこの偏在度の状況は多少変動はいたしますけれども、税目として地域間の偏在が大きい税目でございまして、この税収規模が非常に大きくなってきているということで、地域間の税収の差が広がってきている、こういう状況にあるというふうに認識をいたしております。

塩川委員 この十年の経緯ということで、数字、五とか七とかというお話がされました。

 それで、ちょっとお聞きしたいんです。

 確かに税収の規模が法人事業税は伸びてきているという中での絶対額としての差の話もされましたけれども、そうしますと、この十年間で法人事業税収がボトムだったのは、平成十四年なわけですね。平成十四年度がボトムなんですけれども、その平成十四年度の人口一人当たりの倍率が幾つか、平成十八年の倍率が幾つか、その部分をとって紹介してもらえますか。

河野政府参考人 都道府県の人口一人当たりの税収の額で比較した最大、最小の比率でございますけれども、お尋ねにございました平成十四年度におきましては、七・三倍となっております。それから、平成十八年度におきましては、五・九倍という数字になっております。

塩川委員 人口一人当たりで見た偏在については拡大傾向にはないとおっしゃったわけですけれども、今のように、税収がボトムなところから大きく伸びている。この数年間を見ると、はっきりと縮小傾向にあるというのがこの法人事業税の実態じゃないでしょうか。

 ですから、私は、地方の、地域間の格差の是正という際にこの法人事業税の話をされるんですけれども、実態はそうじゃないんじゃないのかなというふうに思うわけですね。問われているのは、やはり本来そういった地域間の財政力の格差を是正する、財政調整機能を持つ地方交付税が問われているんだと思います。

 その点で、ちょうど「地方税」という雑誌の一月号に、「平成二十年度地方税制改正と今後の課題」という総務省自治税務局長の論文があります。そこで見ましても、「財政の健全性回復に向けた歳出削減の継続により地方交付税総額が抑制され、地域間の財政力格差が拡大する傾向」にあると局長自身が書かれているわけですね。

 つまり、地方交付税が抑制をされることによって、そのことが財政調整機能を弱めて地域間の財政力格差は拡大をしているということですから、この地域間の財政力格差の拡大は、交付税の大幅削減によって、財政力の弱い自治体、人口の少ない自治体ほど一般歳出の削減額が大きくなったことによるものなんじゃないでしょうか。改めて、どうですか。

河野政府参考人 まず一つは、偏在度の推移でございます。

 むしろ縮小傾向にあるというお話がちょっとございましたけれども、平成九年度以降の推移を申し上げますと、平成九年度は五・四倍であったわけですけれども、一たん平成十一年度には四・八倍まで縮小し、これが平成十三年度、十四年度には七・三倍に数値が上がり、平成十五年度は五・六に下がり、また平成十六年度には七・〇に上がって、その後、十七、十八と五・九倍まで下がってきている、こういう状況でございますので、必ずしも一貫した傾向にはないわけでございます。

 先ほども、年度によって拡大したり縮小しているというふうに申し上げたわけでございますけれども、比率そのものは多少こうやって変動いたしますけれども、ほかの税目と比べますと、法人二税、法人事業税等につきましては、非常に地域間の偏在の大きい税目でございまして、それが、先ほど申し上げましたように、税収の規模が非常に拡大してきているということで、地域間の税収の差が広がっているということでございます。

 先ほど私の拙文をちょっと御紹介いただきましたけれども、お読みいただいたところの前にそういった地方税の偏在の状況について書いておるわけでございまして、それとくっつけて交付税の話をした上で、両方の要素から、私は、財政力の格差が拡大している、こういうふうに書いたつもりでございます。

 交付税を加えましたのは、特に、税収が増加いたしますと、不交付団体につきましては、これは交付税の影響を受けませんので、そういう意味で、一方的に税収のふえた分だけが結果としてあらわれるわけでございます。それから、地方交付税につきましては、一定の歳出抑制をしながら総額を決定している中で、近年減少傾向にあるわけでございますから、不交付団体については税収、一般財源の額が増加する一方で、交付団体については、税、交付税を合わせて必ずしもそういう姿になっておらないわけでございます。

 そういった両方の要素を勘案して、財政力の格差が生じている、こういったことを書いたつもりでございまして、交付税がその原因であるということだけを書いたわけではございません。

塩川委員 大臣に伺います。

 全国知事会でも、この交付税の削減というのが地域間の財政力格差を拡大する要因になっているという指摘もしておるわけです。ですから、本来地方の財政調整機能を果たすべき地方交付税が、地域間の財政力格差を縮小するどころか拡大するような役割を果たしているというのは、これは問題だという認識はお持ちですか。

増田国務大臣 やはり交付税の大事な機能というのは、それぞれの団体の財政力のばらつき、そして今お話あったような、こういう偏在を是正する、財政を調整していくという大事な機能がございますので、これも私どもは十分注意をして財政運営をしていかなければならない。ですから、それに対して、このところやはり急激な交付税の減ということが各自治体に影響を与えてきた、このことは申し上げてきたものでございます。

 それからあともう一つ、法人二税の税収がふえていく中で、やはり偏在の是正ということもどうしても見逃せない要素でございますので、これも今回手をつけた。

 例えば、税の偏在是正だけでこうした問題を全部解決、もとより解決できるようなものではございませんし、一方で、交付税の問題につきましても、今回、私どもの方でいろいろ工夫をして増額をさせていただいたということでございますので、この間、各地方団体の中で財政力に大分差が出てきたということを踏まえて、私どもとして、今回の案に至ったということでございます。

塩川委員 地方交付税の削減というのが地域間の財政力の格差を拡大してきたという点については認めたわけですから、地方交付税の財政調整機能を壊してきたのを是正する点でも、復元、増額が求められています。このことを改めて要求するものです。

 最後に、地方法人特別税と消費税の関係についてお尋ねします。

 大臣は、今回の偏在是正措置は、税制の抜本的改革までの暫定措置として行うもので、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実、そして地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むと述べておられます。

 現行の消費税率の枠内で、大臣は、法人二税と地方消費税の税源交換を要求してこられたわけですけれども、それが今回かなわなかったということですね。その点だけ、ちょっと確認を。

増田国務大臣 私どもの素案は、税源交換をする、こういう今委員がお話しされたとおりのものでございましたし、そのうちの消費税についての提案は、税の抜本改革の時期に検討する、こういうことになったわけでございます。

塩川委員 暫定措置というのが税体系の抜本的改革までということであるわけですけれども、「総務大臣増田寛也からの「元気のでる便り」」というのがホームページ上にもあるそうですけれども、そこでも、税源交換の話の中に、「消費税収(国四%、地方一%)のうち、地方分の割合を増やし、それと同じ規模の地方法人二税を国の法人税に移すというものです。」と、税源交換の中身の話をされておられます。

 そこで伺いますが、こういった税源交換を要求したんだけれども、今回、こういう地方法人特別税、譲与税という形での暫定措置となったわけです。そうなりますと、つまり、現行の消費税率を前提にしては、この暫定措置は解消されないということですね。

増田国務大臣 現行の消費税率をどういうふうに考えるか、これが税制の抜本改革の中で大きな議論になるだろうというふうに思います。

 例の社会保障ですとか少子化ですとか、そういうための財源としても期待をされているものですが、しかし、そういう抜本改革を検討する際の周辺状況というものがございますけれども、先般、私が提案をいたしましたものについては、やはりそういったこととは別に、今の地方税収の中で、先ほど局長からも話がありましたように、各年で非常に大きく税収が振れるというのは法人二税の特徴でございますので、それをもっと安定的な偏在性の少ない財源に切りかえていこうということでございますから、これについては、税率アップを前提としているというよりは、むしろ現行の税率の範囲の中でもそうした操作が必要である、こういうふうに考えたものでございます。

塩川委員 今回の地方法人特別税、同特別譲与税というのが、やはり消費税を含む税体系の抜本的な改革というのは、皆さん、もう消費税増税を前提にという議論として動き出しているわけで、消費税増税のレールの上に乗ったものだと言えます。

 この点で、財界団体、日本経団連が平成二十年度の税制改正に関する提言を出しておりますけれども、その中に、「地方法人二税は、国税である法人税への一本化をはかり、」「全体の規模を縮小していくべきである。」あるいは、「法人実効税率を引き下げるべきである。」と述べているように、この今回の法人特別税、地方法人特別譲与税の枠組み自身が消費税増税を念頭に置いて進められている、消費税の増税の一方で、大企業の法人実効税率引き下げを要求する、その財界の要求にこたえるものになっている、こういう点は許されないということを指摘して、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 それでは、幾つか質問させていただきます。

 まず、法人事業特別税、法人事業特別譲与税、地方再生対策費等々について最初に質問いたします。

 大臣は、十九日の本会議で、三位一体改革での歳出削減と地方交付税等の抑制が結果として急激であったために、地方は厳しい財政運営を強いられている、このようにお答えになっております。果たして、歳出削減の緩急が問題なのかという思いを持つわけであります。

 午前中に総理にも質問したところでありますけれども、舛添厚労大臣が基本方針二〇〇六の方針では無理だとおっしゃっているという報道がありました。増田大臣も、地方公共団体に関する事項を所管する大臣として、基本方針二〇〇六は転換すべきではないかというふうに私は思いますが、その点について大臣のお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 基本方針二〇〇六ですけれども、この中で、いわゆる歳出歳入一体改革ということで、さまざまな項目についての改革が求められております。

 私は、各地方団体の財政運営状況というものをいろいろと見ておりまして、やはりそうした中で、一般財源総額あるいは交付税等の総額もきちんと確保しなければいけないというふうに思いますと同時に、ですから、これはまさに歳入の部分でありますが、歳出の方において言えば、投資的経費ですとか、それから人件費ですとか、これはいろいろと既にもうこれまでも見直しを行ってはきましたけれども、そうしたことについてもさらに見直すべき点はないのかどうかというようなことで、やはり常日ごろから点検をしていく必要があります。その中で、各公共団体も、例えば行革のために年次計画をつくって、そして、これだけの行政改革を進めていくというような計画もお持ちになっています。そうした歳出の抑制努力もやはりやっていかなければならない。

 すなわち、あれだけの巨額な国、地方の借金を抱えている中で、もちろん地方も今まで懸命な努力をしてきたけれども、しかし、国の方も努力をしつつ、さらに今の財政が悪化していってはもっとひどいことになるという思いがありますので、やはり、この二〇〇六というような中で言われております歳出歳入一体改革というものは、国と地方が歩調をそろえて進めていかなければならない。

 ただ、そうした中で行われている現象というのは、私は、丁寧に丁寧に毎年毎年見ていく必要があると思いますし、まさにそこを、予算の中で大きな全体の債務残高は減少させていくという中で、毎年毎年の財政需要にこたえられるようなものに何とか工夫していかなければならないというふうに考えております。

重野委員 新年度予算を編成する中で、地方自治体も大変財政的に困難な状況に直面しております。積立金ももう底をつくというような話をよく耳にいたします。そういうふうな事態を踏まえての政府の対応が迫られたと思うんですね。

 それはそれとして、今の置かれている状況を打開するための方策というものを打たなければならぬ。同時に、私はこの間の国の地方財政対策の中で、午前中、総理にも指摘をしたのでありますが、例えばこの税源移譲三兆円、それはいい、しかし、補助金の削減が四・七兆、また地方交付税を五・一兆、いずれも削減した、そのことが今日の地方自治体の財政状況を極めて困難な状況に追い込んでいったということは、私は否定できないと思うんですね。

 であるとするならば、それに対し国がどうするかということは避けて通ることのできない極めて重要な命題になっている。そうしないと、財政再建団体に転落をする、そういう予備軍がもう名指しで、具体的にこういう自治体はこういう状態だというようなことが報道されるという状況にまでなっているわけですね。そこのところをひとつ、今の答弁に加えて、総務大臣としてどういう展望を地方自治体に与えることができるのか、その点をお聞かせいただければありがたい。

増田国務大臣 今お話ありましたいわゆる三位一体改革、補助金、交付税、そして税源移譲、これはせっかく改革に手をつけたんですけれども、不十分なところがいろいろあって、補助金についてもその根っこが残ったりといったようなことが確かにございました。ですから、この三位一体改革のもたらしたことをやはり冷静に分析をして、その経験を踏まえるということは、私は大事だと思います。

 午前中、総理もお話しされておりましたけれども、ああいうことによって相当公共団体もぴりっとしたというか、目を覚ましたところもやはりあって、これについて私ども、財政的には大変急激な変化だったと思うんですけれども、その中で改革がなし遂げられた部分もあるんだろうというふうに思っています。

 ただ、今、特にこの間、財政力の弱いところが非常に大きな財政削減を強いられるといったようなことがございまして、なお自治体間の格差もふえていったということもございましたので、そういうところを丁寧に丁寧に見ていく。そういうところに人が住んでおられて、必要なサービスは全国どこでも均一に提供されなければいけない、こういうことは国の役割だと思いますので、今回もいろいろ工夫はいたしましたけれども、一般財源総額なり、それからその中での交付税の額というものは確保して、そういうところの財政需要にこたえようといたしたわけでございます。

 今後、まだまださまざまな財政需要、特に社会保障関係のものについてどのように工面するかとか、いろいろ考えなければいけない問題が多々あると思っていますけれども、やはりそうした地方に対しての国の責任を果たしていく、目線をしっかりと向けるということについて、これまでの経験といいましょうか、これまでのこともよく含めながら今後の財政運営に臨んでいきたいと思います。

重野委員 それでは、具体的に聞いていきたいと思うんですが、今回、地方交付税の増額が行われました。地方への配慮がそれなりになされたんだなというふうに理解をいたします。確かに地方交付税二千億、臨時財政対策債二千億、合わせれば四千億という数字になるわけですね。しかし、私は、この臨時財政対策債を実質的に交付税と同等なものなんだというふうに見ていいのかという点については疑問を持っています。その点については、ここではこれ以上申し上げませんが、大臣所信で大臣は、地方と都市の共生の考えのもと、地方税の偏在是正により生じる財源を活用して、法人事業特別税と譲与税の新設が提案をされた、さらに地方再生対策費を新たに設けた。

 これに関連しまして、火曜日の本会議、我が党の日森議員の質問、地方法人特別税は税源移譲の流れに逆行するのではないかとの質問がなされました。それに対して大臣は、形式上は国税だが、都道府県が賦課徴収しその税収を譲与税として譲与する仕組みだから分権に反するものではないとお答えになっています。私は、その答弁を了とするわけにはまいらない。

 というのは、ところが、続いて日森議員がこういう質問をしています。応益課税である法人事業税の譲与税化は受益のない部分の負担を求めることになりはしないか、こういう質問をしたんですね。それに対して大臣は、国税である地方法人特別税を都道府県に譲与するもので、地方税そのものを再配分するものではない。

 こうなると、答弁の質が、二つの答弁が違うんですね。実質的には地方税なんだということを最初には述べている。ところが、その後、数分の間に、今度は国税ですというふうに、都合のいいふうに言い分けておるんですね。そういう印象を私は持つんですが、大臣の答弁を求めます。

増田国務大臣 やはり、これは一つ申し上げておきたいことは、実質地方税である、これは形式上は国税の形をとっていますけれども、私は、これは実質地方税である、ですから賦課徴収等も全く法人事業税と同じような形でやっている、そういうことでありますが、さらに、今お話しいただきましたような御指摘が、これが恒久措置であるということであれば、今お話のあったような御指摘も一部うなずけるところもございますが、なぜ暫定措置ということをしなければいけなかったのかというのは、これは確かに税の抜本改革の時期が、ことしではなくて少し先だということで、こういうふうにさせていただいたわけでございます。

 それでは、なぜああいう答弁でいいのかということでございますが、これは大きな構造として、地方税収を、振れる、年々によって大きく税収が変動するようなものでなくて、安定的で偏在性の少ないものにしていく、さらには、そのためにも、いろいろな財政需要がある中で、社会保障あるいは少子化対策等の財源としても常に期待されているような消費税について、ですから今まで地方にはそうしたものをやる分はないんだろうというようなこともいろいろと国税の税務当局からも言われていたものに対して、今後抜本改革のときに地方消費税を充実していくということを政府としてはっきり決められたということがありまして、今後地方税の中で、地方消費税を中心として税制を構築することができるということが決められて、大きなその方向の中でこの地方税体系を構築していける、それに沿った方向であるということから、先般ああいうふうに申し上げたところでございます。

 今社会の中で、一方で税収が非常に好調なところと、それから著しく困難をきわめているところと、その差が大きく開いているわけでございますので、実態としてそこに何らかの手を打つ必要がある、それに沿った税を構築していく必要があるという中で、今後の大きな税制改革の方向に沿っているということがございましたので、今委員から御指摘いただきましたような点の御指摘も、恒久措置であればいろいろと厳しく受けとめなければならないと思いますが、暫定措置として、こういう措置であれば御理解いただけるのではないか、こういうふうに考えております。

重野委員 今回の法人事業特別税、譲与税、これは、内容的には、東京と愛知の法人事業税をその他の自治体に配分する、そういう内容ですね。確かに、東京と地方では税収格差が歴然としている。特に法人事業税ではその傾向が顕著である、そのことも事実です。

 だからといって、都民は十分な公共サービスを享受しているかというと、そうではない部分もある。例えば、東京でいえば、高齢者に対して支給されていた都営地下鉄、バス等の無料パスが廃止されたという経過がある、有料化されました。また、国保への補助金のカット、こういう福祉の切り捨ても矢継ぎ早に行われているわけです。

 今回の特別税、譲与税の新設が東京都民や愛知県民の暮らしに悪影響を与えるのではないかと考えますが、そこら辺について、大臣はどういう理解をしておられるか。

増田国務大臣 まず、東京と愛知が一番影響を受ける、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。

 そのことについて、私どもも、全く目をつぶって無視できるというふうには決して思っておりませんで、大東京とはいえ、今さまざまな需要がある中で、確かに今回のことについていろいろと心配もおありだろう。したがって、東京都の知事さんも、この問題については再三にわたって否定的な発言も繰り返してこられたんだろうというふうに思います。

 ただ、一方で大変大きな財政力をお持ちになっている東京都でございますので、その中でぎりぎり御理解をいただける線はどの程度かということもよく東京都の方と詰めて、今回のことを提案して、最終的には総理に知事に会っていただきましたけれども、さまざまな東京都の懸案を解決する上で国としても協力を惜しまないというような形で決着を見たわけであります。

 それから、愛知については、実はそれほどの大きな財政的な余裕をお持ちになっているわけではありませんので、こちらの方に対しては、相対的に減収額が非常に大きくなった場合には、減収額の二分の一を加算する措置を講じたり、あるいは、これは借金になりますが、地方債の特例措置を講ずるといったようなことで、財政上の支障が大きく生じないような措置も手当てをさせていただきました。こちらも大変厳しい選択だとは思いますが、何とか知事さんに御理解をいただけたのではないか、そういうふうに思っております。

 もちろん、いろいろと難しい問題もございましたのですが、ただ一方で、この問題について、偏在是正をする、地方団体全体として偏在を是正して安定的な税体系に切りかえていくという方向は、東京都も含めて全自治体がこれまでも申してきたところでございますので、そういう大きな偏在是正という中で、どうしても一番初めの段階では税収が減少するということが生じてきてしまう団体が出てくるわけであります。

 ですから、そこを丁寧に丁寧に、私どもの方で御理解をいただくようなことをして、この全体の方向性についてはやはり進めていかなければならない。税の偏在是正については、これからも目配りをして取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

重野委員 都市と地方の税収格差というふうに今盛んに語られるわけでありますけれども、格差自体は昔からあったんですね。八九年をとらえてみますと、八九年の地方税収格差、約四・六八倍でありました。現在の三・二倍に比べても大きいんですね。しかし、当時は今のような議論はさほどなかった。

 今問題になっているのは、単なる差の問題だけではなしに、地方の財政がもう崩壊の危機に瀕している、瀬戸際まで来ているんだ、そこに私は起因しているように思うんですね。そういうふうに追い込んでいったのは、私は、国だとあえて言わせていただく。

 それで、先ほど言いましたように、税源移譲三兆円なのに、四・七兆円の補助金の削減。先ほどから盛んに言われます偏在性を緩和する役目を果たしてきた地方交付税が、三位一体改革の中で五・一兆円も削減された、こういうふうに国の政策がもたらした、その元凶ではないかとあえて言わせていただきたい。それを、相対的に財源があるように見える東京都や愛知県から金をとって他の自治体にばらまく、こういうこそくで泥縄式なやり方というのは、私は賛同できないんですね。

 まず、国は、大幅に減額された交付税をもとに戻す、こういうことをやるぐらいの決断をしないと、私は、これは毎年毎年このことが続いていくと思いますよ。地方自治体の予算が組めないとか、積立金も底をついた、もうお手上げだ、こういう傾向がさらにさらに私は増幅していくんじゃないかと思うんですね。

 そういう危機意識というものを大臣は当然持っておられると思うんですが、どうですか。今私が提案しましたけれども、やはり、ここは地方交付税、もとに戻していく、それぐらいの大転換をしないと、もう地方自治体は本当に行き着く、そういうふうな危機感を持っておられるかどうかですね、大臣。

増田国務大臣 今の地方各団体の財政状況がきつい、これは私も重々承知しているところであります。確かに、積み立てておりました基金も大変厳しい状況になっている、あと数年先には完全に底をつくという自治体が軒並みいろいろなところに出てきているという状況も、私は理解しているつもりでございます。

 その大きな原因、確かに、急激な交付税の減少といったようなこと、まさしくそれは三位一体改革の中で行われてきたことにも影響されていると思うんですが、もう少しさかのぼっていいますと、やはり一九九二年ごろからでしょうか行われました景気対策、平成四年ごろだったと思いますけれども、その景気対策によって随分大きな公共事業等の投資的事業を公共団体が行ってきた。これはやはり国の方のそういった景気対策に歩調を合わせたということもございましたけれども、国そして地方、双方にやはり原因があったということでございまして、そうした公共事業等を多くやったことによる借金に今大変苦しんでいる。これが大きく影響しているのではないかというふうにも思っております。今、少し改善されて、百九十七兆ぐらいの償還残高になっていたかと思いますけれども。

 ですから、このことに対して国も重く受けとめなければいけないと思いますが、一方で、地方団体の方も、やはり、最終的には首長と議会の判断でこうした事業を行う等のことを行ってきたわけでありますので、よくそういった行動を見直して、最近いろいろな行政改革等に取り組んでいるわけですが、そうしたこともきちんと行わなければいけない。

 三位一体改革がそうした公共団体のさまざまな財政改革を促したという側面も一方であるわけでありますので、今、あえてということで、委員が国がというふうにおっしゃいました。そういうふうに見えなくもないような、そういう受けとめ方が自治体の中にもあるということも一方で踏まえつつ、やはり自治体もこの問題については責任を果たしていかなければならないと思っております。

 ただ、大事なことは、その中で、今地方の非常に財政力の弱い団体は本当に行き着くところまで来てしまっているという認識をちゃんと持って、今回、交付税について増額等の措置をとったわけであります。

 ですから、この原因に至るところについては、やはりこれは幾つかの問題がある。それは、一様に交付税のカットのみということではなくて、もっと大きな原因もあったというふうに思っておりますが、ただ、今後さまざまな地域の状況に自治体が対応していかなければなりませんから、それに対しては、私どもも英知を出して、そして、多くの団体が今後本当に必要な財政運営に支障のないように、私どもの方でやはり責任を果たしていかなければならないというふうに思っております。

重野委員 それでは、ちょっと具体的な話をしますが、法人事業税には、今回税率を引き下げる所得割、収入割のほかに、資本金一億円以上の普通法人に対する付加価値割、資本割があります。今回この付加価値割と資本割は除外しておりますね。その理由はどういうことですか。

河野政府参考人 法人事業税の外形標準課税部分、付加価値割、資本割でございますけれども、この法人事業税の外形標準課税というのは、地方税制における非常に大きな多年にわたる課題であったわけでございますけれども、ようやく平成十五年度税制改正におきまして、税負担の公平を確保する、また、応益課税としての税の性格を明確化する、さらには、地方分権を支える基幹税の安定化を図る、また、経済の活性化等につながる、こういった観点から実現を見て導入されたものでございまして、まさに地方の応益課税である地方の税、地方の法人課税としてふさわしいという性格のものでございます。

 そして、そういう意味で、将来的には、その割合あるいは対象法人を拡大していく方向で検討するということが基本になろうと思っております。

 したがいまして、今回の暫定措置におきましては、法人事業税の税率の引き下げを行う部分からは外形標準課税部分を除いて制度を構築するというふうにしたところでございます。

重野委員 所得割、収入割というのは、企業収益の影響をもろに受ける部分なんです。これは非常に変動が大きいはずですね。所得割、収入割の税額、最近十年間で最も大きく変動した年の対前年度の伸び率はどれくらいになっておるのか、プラスの年、マイナスの年、それぞれの数字を出していただければありがたいんですが。

河野政府参考人 外形標準課税部分と所得割部分とに分けた数字をちょっととっておりませんので、法人事業税全体の増減の状況でお答えをさせていただきたいと思っております。

 法人事業税は、一部、外形課税部分、先ほど申し上げたように導入されておりまして、この部分は比較的安定性があるわけでございますけれども、全体としてまだ所得課税のウエートも高うございまして、まだ全体として景気の変動に左右されやすいという性格がございます。

 最近十年間ほど、平成九年度の決算から平成十八年度決算までの十年の間で、この増減状況が最も大きい年度ということで申し上げますと、増加率が最も大きい年度、これは平成十八年度でございまして、前年度比で一四・二%増となっております。一方で、減少率が最も大きい年度、これは平成十四年度でございまして、前年度比で一五・八%減となっております。

重野委員 非常に大きな変動幅であることが今報告されました。

 そこで、〇七年度の補正予算で既に歳入不足が明らかになっております。先日の本会議で、額賀財務大臣が、名目二・一%の成長を見込んでいるとしていましたが、民間の調査機関の平均は、名目一・四%の成長としている。最も強気な見方でも一・九%。こうなると、政府の経済見通しと随分差があるわけですね。あくまで見通しであり、国の予測と調査機関の予測が一致する必要はありませんが、それにしても、政府の見通しはちょっと楽観過ぎるのではないかと思わざるを得ません。そこで、最終的にこの見通しが誤った場合、これはどう対処するのか。

 それから、〇八年度は地方再生対策、四千億を地方財政計画に積んだんですが、先ほど総務大臣の言葉を考えますと、これは今後やるものではないんだという言いぶりだったんですが、〇九年度以降はどうなるのか、また変動するものなのかどうかを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。答弁してください。

久保政府参考人 まず、平成二十年度の今後の動きということでございますけれども、御案内のように、今回の平成二十年度の地方財政対策、これは五兆二千億ほどの通常収支の不足がございました。したがいまして、今回も、地方財政計画の策定を通じまして、国税五税の一定割合に加えて、国の一般会計からの法定加算を実行するとかそういったことで、その収支を埋めたということになってございます。

 御指摘のように、仮に、こうした状況で、今後予測し得ないような経済変動等が生じて、また今年度と同じように国税五税の減収が生じて、国も補正予算がまた減額の補正とかということが行われて、そして私どもの地方財政の財源不足が拡大をするということになってまいりますと、やはり財政運営に支障が生じないようなそういった措置、これをまた考えて、そして、どういう形で収支不足を埋めるのかという問題になりますけれども、また何らかの措置を講じなきゃいけないだろうというふうに考えております。

 なお、地方税の収入の減少につきましては、この前、修正をいただきまして、特例減収補てん債を当分の間発行できるということになったので、それについての新たな法改正というのは必要ないだろう、こう考えております。

 そして、もう一点の地方再生対策費の四千億円のことでございます。これは、もう御議論いただいておりますように、今般の暫定措置によります偏在是正の平年度ベースでの効果額、これを勘案して計上をいたしております。三千七百億が東京都と愛知県の減収の分、そして残った三百億、これは不交付団体も地方財政計画上は地方再生対策費ということがあるというふうに考えておりまして、これを合わせて四千億円といたしております。

 この所要額でございますけれども、やはり私ども、安定的に確保する必要があると考えておりますので、平成二十一年度以降も偏在是正の効果額に大きな変動がなければ、引き続き四千億円の規模を確保してまいりたいというふうに考えております。

 なお、予測し得ないような経済変動等によって偏在是正の効果が大きく変わる、減少する、そういった事態が仮に起きれば、またその時点で適切に対応しなきゃいかぬというふうに考えております。

重野委員 終わります。

渡辺委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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