衆議院

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第13号 平成20年4月10日(木曜日)

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平成二十年四月十日(木曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長代理理事 今井  宏君

   理事 石田 真敏君 理事 馳   浩君

   理事 林田  彪君 理事 山口 俊一君

   理事 黄川田 徹君 理事 原口 一博君

   理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    原田 憲治君

      福岡 資麿君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          木下 信行君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     安次富 修君

  橋本  岳君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     萩原 誠司君

  赤澤 亮正君     原田 憲治君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     福岡 資麿君

同日

 辞任         補欠選任

  福岡 資麿君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

四月三日

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

今井委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長所用のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行います。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役米澤友宏君及び常務執行役伊東敏朗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室長木下信行君、総務省自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長小笠原倫明君、郵政行政局長橋口典央君、国土交通省大臣官房審議官内田要君、大臣官房審議官菊川滋君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘です。

 本日は、一般質疑ということで、二十五分ほど時間をいただきました。

 まず冒頭、報道の正確性それから公平性ということで質疑をさせていただいて、そしてそれから、今まだ参議院も通っておりませんけれども、歳入法案の関係が通らないということの悪影響等についてもいろいろと質疑をさせていただきたいと思います。

 報道の公正さ、それから正確さということで、きょう取り上げますのは二月の二十六日に放送されましたテレビ朝日「スーパーモーニング」、これは「追跡シリーズ・ガソリン税にちょっと待った!!」というシリーズなんですが、その内容でございます。

 ただ、ちょっと資料に訂正がございまして、資料一を見ていただいたらと思うんですが、この中で、「注」ですけれども、「「すべて借金」という部分についてのみ、二月二十七日」とありますが、これは二月の二十九日でございます。

 どういう内容が放送されたか、この資料に基づいて御説明をまず申し上げて、それから総務大臣から御所見をいただきたいというふうに思います。

 内容的に言いますと、テレビ朝日の「スーパーモーニング」の中で、元の、民主党のネクストキャビネットで国土交通大臣を務めていらっしゃったと言われる山崎養世さんですとか、あるいは道路博士というのを自称している松下文洋さん、そういった方が出て、あとは東国原知事も出ていましたか、いろいろとお話を聞いた中で、局アナそれからナレーターが、では、道路づくりって一体何なんだ、あるいは、私の選挙区も通っております首都圏中央連絡道路、圏央道ですね、これの建設費とか全長は一体何なんだということを玉川という記者がしっかり勉強した上で国民に対して説明をしたという内容でございます。

 それによりますと、圏央道の全長は二百三十キロでございます。それからコスト、四兆円で、まだまだふえるって言われていますというふうに言っていますから、今まで四兆円かかってまだまだふえるという意味だということは、これは彼の発言からも明らかでございます。そして期間ですが、三十年以上たってまだ建設中という報道でございますから、これまで三十年間建設をして、まだまだ建設中であるというような内容でございます。財源はすべて借金。そして道路づくりって一体何なんだということで、これはナレーターの総括ですけれども、建設業者、官僚そして政治家、彼らの彼らによる彼らのための道路づくりというふうに断定をした。そういうような報道でございます。

 実は、これを見ていた方が自民党の中でいらっしゃって、私は、総務部会長代理、放送担当、通信担当をやっているものですから、私のところにおりてまいりました。問題点は何なんですかということがあって、幾つか私も問題点を挙げさせていただきました。そして、特に一番大きな問題というのは、この中ではすべて借金という部分は明らかな間違いですよということを申し上げて、ではこれを、BPO、放送倫理・番組向上機構に対して申し入れをしようじゃないかという話になりました。二十八日にそういった話をしました。

 関係あるかどうかわからないんですが、その日にその話を伊吹幹事長にも申し上げたところ、幹事長がぶら下がりの記者会見で、あのテレビ朝日の報道は、すべて借金というのはうそだからね、BPOに提訴することにするよという話を記者会見で言われたらしいんです。そうしたら、その翌日の朝に、テレビ朝日は、多分その発言とは関係なしで、しっかりこの番組の内容を検証した上で訂正されたんだと思いますけれども、この財源については、すべて借金という部分はうそでした、これからはしっかり事実を報道するようにいたしますというふうな訂正をされたのでございます。

 ただし、二百三十キロ、四兆円、三十年、建設業者、官僚そして政治家、彼らの彼らによる彼らのための道路づくり、この部分は、検証した上でも彼らはどうも事実だと言い張っているようでございます。二十三が三十というのは、数字が近いようですけれどもこれはひどい話なので、どうもテレビ朝日に出ると、ことしの十一月で二十三歳になります宮崎あおいさんも三十歳にされてしまう、そういうような話なんですね。

 しかも、最後の、建設業者、官僚そして政治家、彼らの彼らによる彼らのための道路づくり、これは明らかに、民主党の方々だって選挙区でこんなことを言ったら選挙民から怒られるだろう、そういうような報道だというふうに思っております。

 今、説明を聞かれたばかりで、大臣もこれを個々具体的に断定するということは非常に難しい面もあろうかと思いますけれども、私自身これを見ますと、明らかに放送法第三条の二「放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」「二 政治的に公平であること。」「三 報道は事実をまげないですること。」二百三十と言ってはいけませんね、三百四キロを。それから「四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これらに抵触する可能性が極めて高いんじゃないかというふうに思います。

 いずれにせよ、こんなような報道を見ますと、放送業者には、今回はテレビ朝日ですが、猛省を促したいと思いますし、公正な番組編集のためにさらに一層の努力が求められるんだろうというふうに私自身は思っております。

 大臣から、今ちょっと説明を聞いた上で、想定問答によらないでください、大臣の政治家としての、大臣は政治家じゃないですね、大臣御自身のお考えをぜひともこの場でお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 私、実はその番組は拝見しておりませんでしたけれども、しかし、今先生の方から御指摘がございましたとおり、放送法には番組準則と呼ばれる原則を掲げておりまして、政治的にはやはり公平でなければいけないということ、それから事実を曲げてはいけないということですね。これは放送事業者すべての人たちがきちんとこういったことを守っていただかなければならないというふうに思います。

 今お話をお伺いしておりますと、これは自主的にだと思いますが、後で放送局の方でも事実をきちんと放送するということで、当日の放送を訂正されたというお話がございました。

 本来は、そういったことをあえて後日やるまでもなく、事前にきちんと事実がそうであるのかどうかということをやはりやっていくということが大事でありますし、それから、我々も放送法を運営していく上で、できるだけ放送事業者の自主性、自律ということは重んじているわけですが、両者はそういう信頼関係の上で成り立っているということであります。

 今回、個別のことについて私もなかなか申し上げにくいところがありますけれども、特にこの道路の問題というのは今国民世論の中で非常に関心の高いものでありますので、なおさらそういうことについて、特に今回は圏央道についていろいろお話をされているようですが、それは確認すれば恐らくわかる話だと思うので、そういうことについては、やはり放送事業者の皆さん方もよく考えておられるんだと私は思います、考えておられるんだろうと思いますけれども、事実として後ほど訂正されたということであれば、やはり不十分だったと言わざるを得ないんだろうというふうに思うんですね。(葉梨委員「大臣、訂正は一部なんです。全部を訂正していません。訂正したというのはうそです」と呼ぶ)はい。

 ですから、やはりそういったことを、番組準則をきちんと守っていただかなければならない。国民の皆さん方に事実をきちんと正確な事実として報道するという姿勢は大事だと思いますし、政治的にも公平であるということ、それから多くの角度から物事を伝えるということがありますので、私は、このことを繰り返し繰り返しいろいろな場面で、先般のこの委員会での放送法の改正のときにも、放送というのはそういう前提の上で成り立っているんですよということを申し上げたわけでございますが、やはりそうしたことを十分放送事業者としても深く認識していただいて、そしてその業務に携わっていただきたい。今、いろいろお話をお聞きいたしておりまして、そういうふうに思っている次第でございます。

葉梨委員 途中でもちょっと申し上げましたが、訂正をしたというのは一部でございます。ですから、罪一等重いか軽いかちょっとわからないんですけれども、ほかの部分については、検証をしているにもかかわらず何ら訂正をしていないということですから、訂正放送をしたという前提でのお答えであってはならないというふうに思いますが、時間の関係もありますので。

 先般、私が放送法改正の質疑で、やはりこの国会の場でも、放送の番組倫理向上のためにいろいろな議論を民間放送連盟なんかともしていかなきゃいけないということを申し上げました。ここでこういった問題も生じたわけでございます。

 ぜひとも委員長には、日本民間放送連盟会長の広瀬道貞さん、放送倫理・番組向上機構理事長の飽戸弘さん、この両者を参考人としてこの委員会にお呼びして、いろいろとお話をお伺いしたいということをお取り計らい願いたいと思います。

今井委員長代理 理事会で協議をさせていただきます。

葉梨委員 それでは、歳入法案の関係に移らせていただきたいと思います。

 まず、各都道府県の歳入歳出予算、既に、私、三月中に成立していると聞いております。このうち歳入部分については、軽油引取税の暫定税率分、これも歳入として計上されているはずでございます。

 きょう資料としてお配りいたしましたのは、私の地元茨城県でございます。県議会に提出された予算説明書、具体的にこのどの部分に暫定税率分の税収が記載されているのか、簡潔にお答え願いたいと思います。

久保政府参考人 茨城県の平成二十年度予算に関する説明書におきまして、歳入のうち、一款、県税、そしてお配りされました資料の三ページになりますけれども、十一項、自動車取得税百五億一千八百五十三万八千円、そしてそのすぐ下に、十二項、軽油引取税三百四十一億六千二百八十七万三千円、県税ではこうなっております。続きまして、これは資料のその次のページでございますけれども、三款、地方譲与税、そのうち、一項、地方道路譲与税四十四億三百万円となっておりまして、暫定税率分を含んだ予算が計上されております。

葉梨委員 久保さん、これはほかの都道府県も一緒ですね。はい、わかりました。

 次に、道路整備臨時交付金、これは、現在道路整備財源特例法が失効しておりまして、その制度自体が今宙に浮いた存在となっております。衆議院、これは強行採決とかなんとかという御批判も全くない形で、民主党の方々も出席をして国土交通委員会、本会議も通りました。ところが、本日の参議院の本会議、きのう読むはずだったんですけれども、これでも読まれていない。つまり、三月の十三日に本会議で可決をしてからもう一月になりますが、参議院で一切審議がされていない道路整備財源特例法の改正案がございます。

 この道路整備財源特例法の改正案に基づいて交付されることになります地方道路整備臨時交付金、これも各都道府県の予算において予算化されているというふうに私は聞いております。茨城県だけの分で結構です、具体的な項目名をお示しください。

久保政府参考人 茨城県の平成二十年度一般会計当初予算におきます道路整備臨時交付金の予算計上項目名、これは、九款、国庫支出金、二項、国庫補助金、九目、土木費国庫補助金におきまして九十五億三千五百九十万円となっておりまして、暫定税率分を含んだ予算が計上されております。

葉梨委員 これもほかの府県、一緒ですね。はい、わかりました。

 そこで、資料の三を見ていただきたいというふうに思います。これは、こちらでちょっと調べまして、各県議会で、都道府県の歳入歳出予算について、どういう会派が賛成をして、どういう会派が反対をしているかというのを調べた表でございます。一部民主党も反対をしているわけですけれども、おおむね民主党は暫定税率を歳入として計上することに賛成、道路整備臨時交付金をいただくことに賛成ということで、この法律の制度それから暫定税率については容認をされております。

 昨日、福田総理がだれに話をしていいのかわからないというようなことを言われましたけれども、地方における意思決定と国における意思決定が大分違います。党としての統合、インテグレーションが失調状態にある、そういうような感じを持たざるを得ない。あるいは、そうじゃなければ、民主党の国会議員による民主党の地方議員いじめじゃないかというような感じすら持たざるを得ないわけでございます。

 その意味で、やはり都道府県においては、もう既に多くの民主党議員も賛成して予算を通しているわけでございます。その裏づけとなりますような歳入の法案について国会が何らの意思決定もできないという状況は、私は極めて不正常な状態であるということを御指摘せざるを得ないというふうに思います。そして……(発言する者あり)何を言っているんですか。今こんなところで国政の空白をもたらして、それこそ、あなた、政治家としてそんなことを言うのは失格だ。

 さて、次に移らせていただきましょう。

 建設業、今や構造不況業種と言われています。過去三年間における建設業の倒産件数及び過去三年間の都道府県建設業協会会員企業の倒産件数を御教示ください。

内田政府参考人 御答弁申し上げます。

 過去三年間の建設業の倒産件数でございますが、東京商工リサーチによりますと、平成十七年三千七百八十三件、平成十八年三千八百五十五件、平成十九年四千十八件でございます。

 また、地域の代表的な建設会社で構成されております都道府県建設業協会の会員企業の過去三年間の倒産件数でございますが、平成十七年三百十五件、平成十八年三百七十八件、平成十九年四百三十四件ということでございます。

 以上でございます。

葉梨委員 福田さん、私個人的には政治家として大変尊敬申し上げておりますので、先ほどのはちょっと取り消させていただきます。

 それでは、建設業というのは全体の企業の一八%なんですが、実は、全倒産件数の三割ということで、相当今建設業者は体力が弱っております。そこに対して仕事が今回らなくなっています。

 暫定税率が失効しました。そして、道路関係事業予算、これを執行保留としている府県があります。これは何県でしょうか。それから、道路関係事業予算を含む普通建設事業予算、これも執行保留としている県があります。これは何県でしょうか。さらには、これに加えて、普通建設事業予算以外の経常経費を含めて執行保留としている県があります。これは何県でしょうか。それぞれ数字をお答えください。

久保政府参考人 道路特定財源の暫定税率失効に伴う地方公共団体への影響につきまして、私ども、四月一日現在で、各都道府県、調査をいたしました。

 その調査結果によりますと、道路関係事業予算を執行保留としている団体、二十五でございます。道路関係事業を含む普通建設事業予算を執行保留としている団体、四団体でございます。そして、普通建設事業予算以外の経常的経費を含め執行保留としている団体、これが七ございます。そういうことで、合計三十六団体が何らかの事業の執行を保留しているという状況になってございます。

葉梨委員 執行が保留されております。そして国からの補助金もまた回らなくなっております。

 昨年度、年度当初ですが、道路関係の補助金として都道府県に配分した金額、これは幾らでしょうか。そして、今年度、道路関係の補助金として都道府県に配分した金額、これは幾らでしょうか。

菊川政府参考人 平成十九年度の年度当初に道路関係の補助金として都道府県に配分した額でございますが、二兆一千二百六十六億円になっております。うち、地方道路整備臨時交付金が一兆二千八百億円となっております。

 一方、本年度当初、道路関係の補助金として都道府県に配分した額は一千三十五億円でございます。なお、財源特例法が未成立でありますことから、地方道路整備臨時交付金は配分できておりません。

葉梨委員 地方に渡るお金が大幅に減っております。建設業の関係でいうと、サブプライム以降、非常に運転資金についても、銀行がなかなか、貸し渋りというのが最近ございまして、資金がショート状態にあります。しかも、これから受注が見込めないということになりますと、運転資金さえなかなか回らない。

 実は、我が茨城県におきましても、昨年は、建設業協会の県南の支部長さんを務めていた会社が倒産、水戸の支部長を務めていた建設業の会社が倒産ということで、相当な打撃が地方に回っています。執行が保留される、お金が行き渡らない。十八年の建設業自営者の自殺者、三百五十一人です。三千八百五十五件倒産がありました。

 このままの状態が地方の建設業で続いてまいりますと、極めて悲惨な、倒産とか夜逃げとかいうこと以上に悲惨な状況が現出する。やはり、一月、二月、間をあけるということは、ガソリンが安くなった、いいでしょうということだけじゃないんですね、大変な問題を惹起するということを御指摘申し上げたいと思います。

 次に、交付税の関係についてお聞きします。

 まず、交付税法、これも年度内成立できませんでした。四月の概算交付額は幾らになるのか。そして、法案が成立した場合と比べてどれだけ減額となるのか。また、四月の概算交付額に比べ、どのような増減となるのか。

 あわせてまたお聞きいたします。暫定税率の失効、それから交付税が来ないということは、地方において非常に問題が多うございます。今現在、地方においては、地方の一般財源を投じて地方道路整備費、これの借金を返しているという状況にあります。暫定税率分の税収が来ません、地方交付税も来ませんというような事情の変更があったということによって、地方においては地方債の償還を踏み倒すということができるのかどうか。

 この二点を伺いたいと思います。

久保政府参考人 まず、交付税について御答弁いたします。

 去る四月の二日に地方交付税、そして七日に地方特例交付金の四月概算交付を行いました。概算交付額は、地方交付税が約三兆三千四百億円、地方特例交付金が約一千三百億円でございまして、合わせて約三兆四千七百億円でございます。地方交付税法改正法案が年度内に成立しなかったことによりまして、地方交付税で約二千八百億円の減、地方特例交付金が約三百億円の減、合わせて三千百億円の減となっております。

 また、今年度の四月概算交付額は、前年度と比べまして、地方交付税で約二千二百億円の減、地方特例交付金で三百億円の減、昨年に比べまして合計約二千五百億円の減となっております。

 それからもう一点、地方債のことでございますけれども、地方債に関しましては、借り手でございます地方公共団体が金融機関等の貸し手との間で合意をいたしました貸し付け条件に基づいて借り入れを行っておりますので、当初の約定どおり支払われると考えておりまして、道路特定財源の暫定税率の失効が地方債の償還に影響を与えることはないということでございます。

葉梨委員 最後の問いに移ります。

 この関係については、資料四、「地方公共団体の資金収支」というのを出させていただいておりますが、毎年年度末に資金収支が大変悪化するんですね、借入金が。四月に交付税がちゃんと来まして、それで少しよくなるということですが、今、四月に大幅に減額された形でしか来ないということになります。

 このような状況が続きますと、まさに地方における財政関係は火の車という状況になります。一刻も早くこれを解消してあげなきゃいけないというふうに思いますのは、私は国の政治家としてあるべき姿だというふうに思っています。

 党利党略ということで考えるのではなくて、あるときは不人気施策と言われましても、都道府県や市町村レベルで多くの民主党議員の方の賛成も得て暫定税率を盛り込んだ予算というのは既に成立をしています。そういう現状にかんがみると、やはり、政府の歳入法案というのは通していかなきゃいけないし、成立をさせなきゃいけない、場合によっては再可決も当然あり得べしだというふうに私は思っています。

 地方団体からも相当な要請が寄せられていると聞いています。大臣から、政府提出の歳入法案が成立しない現状が長期化すること、これによって地方財政に大変な悪影響がある、そのことについて触れていただいた上で、地方交付税法の早期成立、暫定税率の維持の必要性、これについて簡潔かつ明快に答弁を願いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今、年度かわってわずか十日でありますけれども、これだけ多くの団体が執行留保する等の措置をとらざるを得ない、こういう状況になっているわけでございます。これが長期化すれば、単に執行留保にとどまらず、その事業をやめると。したがって、サブプライム等で景気の下振れリスクのことが指摘をされておりますけれども、それがさらに地方の、建設業初めそれ以外のさまざまな業態にも及んでいくのではないかと大変懸念をされます。

 したがいまして、今よく先生方地方の状況については熟知しておられると思いますけれども、そういう状況を考えれば、これが一日も早くもとに戻る状態を私は切望しておりますし、そのためにも、与野党協議というお話もございますけれども、いろいろと建設的な協議をしていただいて、とにかく、そういった地方団体の歳入減が一般市民生活に及ぶことを食いとめていただきたい、ぜひ、切に御要望申し上げる次第でございます。

葉梨委員 最後に、民主党の皆さんにもぜひとも御理解をいただいて、地方いじめとならないように、やはり前向きに考えたいということをお訴え申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今井委員長代理 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 私もきょう、十五分という短い時間でありますけれども、道路関係の話について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどからもるる議論がございましたけれども、ガソリンは、二十円、二十数円、四月一日以降下がってきております。これについては、当然、ガソリンが下がれば、車を使っていらっしゃる方は下がった方がいいわけで、いろいろな世論調査で、下がっていいと思うかどうかという質問に、いいと答える人はたくさんいるのはもう当然であります。

 ですけれども、心配なのは、そういう目に見えるメリットがある中で、デメリットの方はまだ顕在化してきていない、そういう状況について、きょうはお伺いをしていきたいと思います。

 私は、二月のこの総務委員会の質問でもお話をさせていただいたんですけれども、一気に暫定税率が引き下げられる、こういうことが起きると、先ほどもお話ありました、やはり建設業に携わる方々への影響は大きなものになるんだという指摘をさせていただきました。

 四月に入って、私、先週の日曜日、横浜市で党の時局講演会を開きまして、その中で、ある方から御指摘をいただいた点があります。その方は、鉄筋工の仕事をしていらっしゃる。会合前に話しかけられまして、もう既に仕事がなくなった、現場の工事がストップしてしまって仕事がなくなったという声を伺いました。ガソリンは安くなるのはいいんだけれども、これからどうやって生活をしていけばいいのか非常に不安だ、早く暫定税率をもとに戻してほしいという強い声を伺いました。

 二十一年度以降については、来年度以降については、これは議論をしていけばいい、こういうふうに思いますけれども、もう既に国も地方も予算を組んでいる中で、いきなり廃止、こういうことに今なっている状態でありますが、これはやはり最前線の方、現場の方々に大変な迷惑をおかけしているというふうに思います。

 そこで、先ほどの質問にありましたけれども、総務省の調査によると、四月一日時点の調査で、暫定税率が三月末で期限切れとなったということで、全国三十六の道府県で道路事業など一部の予算の執行を保留しているというふうに伺っております。

 まず最初に、ちょっと先ほどの質問とダブるかもしれませんけれども、道路関係で予算の執行の保留はどういうふうになっているのか、また、そのことに対して、大臣の見解も含めてお伺いをしておきたいというふうに思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今お話しの三十六の道府県、これの関係でございますが、道路事業については、私どもの方の調査に対しての回答として、まず、新規事業を凍結する、こういう答えが出てきている。それから、債務負担行為に基づく契約済みの事業、それから必要最低限の維持管理事業、これと同じような概念だと思いますが災害復旧事業等の保留が困難な事業、それだけに限定をして執行している、こういう対応などが多くの道府県から回答が寄せられております。

 これは四月一日の調査でございまして、まだ年度がスタートした日の調査なので、実はその前の三月のぎりぎりぐらいに、事前でもうすぐにそういう対応をとらなくちゃいけないなというふうに思った、そういう調査なんです。

 今、十日たちました。ということがあって、十日たって事態はより深刻化しているのではないか、こういうふうに推察をするわけでありますが、いずれにしても、現場では大変厳しい、そしてまた深刻な判断が迫られている、こういうふうに思っております。

谷口(和)委員 私の地元の神奈川県でも、地方道路整備の臨時交付金の廃止と合わせて、約二百五十億円の減収が見込まれるということになっております。このため、整備系の事業費はこれまでの約四割に圧縮せざるを得ない、こういうふうな状況になっているそうであります。

 道路関係でいえば、私、今、大和市というところに住んでおりますけれども、圏央道の一つであるさがみ縦貫道路というのをつくっております。これは地元の期待が非常に大きくて、これができることによって国道十六号の慢性的な渋滞が緩和されるという大きな期待が地元ではあります。このさがみ縦貫道路に限って言うと、東名の海老名から中央の八王子まで全線つながるのが、今のところ、これまでの予定ですと、平成二十四年度、あと四年でつながるということで、もうすぐだという期待が大きい中で、暫定税率がこのまま廃止をされることになりますと、十三年おくれて平成三十七年までおくれてしまうということで、非常に大きな不安が広がっております。

 また、二月にも指摘させていただきましたけれども、神奈川は、インベスト神奈川ということで、圏央道ができるということで、これも含めて、多くの企業を誘致しておる。約百社が神奈川にいらっしゃるということになっております。

 ですから、予定どおりいかないと、これはある意味約束違反になってしまうわけで、企業が来れば雇用もふえる、また地方の税収にも貢献をするということで、神奈川としては大きな期待を寄せているところであります。

 続いて、もう一つ、道路以外のところでも予算の執行が保留をされているというふうに伺っております。

 大臣も、三月三十一日の大臣の談話の中で、暫定税率が失効したままとなれば、地方税、地方譲与税だけで年間九千億円もの地方財源が失われて、そして、道路整備だけでなく、さまざまな行政サービスが大きな影響を受ける、こういうふうな趣旨のお話をされておりますけれども、先ほどの調査で、道路以外の予算の執行の保留、これはどういうふうになっているのか、この点、また大臣の見解も含めてお伺いをしたいと思います。

増田国務大臣 三十六道府県のうち十一府県で、道路関係事業以外の事業まで執行を保留する、こういうふうに回答を寄せられております。

 現時点でその回答の内容を申し上げますと、一つは、義務的経費を除いた福祉、教育を含む幅広い行政経費のうち、債務負担行為設定事業等を除いた事業について当分の間執行を保留したい、こういう回答が寄せられています。それから、ソフト経費について保留をしたいなどと回答が寄せられているものもございます。

 いろいろ今検討しておられるんだろうと思いますが、新聞報道を見ましても、宮城県では、地元紙の方に、道路以外で執行留保の検討の対象となっているのは、県立高校施設整備事業費、それから病院事業負担金、市町村や外郭団体への補助金、それから、これは多分JR東とやっているものだと思いますが、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンの経費などについて、その執行留保の検討対象の俎上に上っているという地元紙の報道などもございますし、先ほどのソフト経費については三重県の方から、ソフト経費についても二〇%の配当保留を実施している、こういう回答が寄せられております。

 いろいろ各団体での事情はあろうかと思いますけれども、いずれにしても、道路関係事業以外のところにも一定の影響が出てきているということが言えるというふうに思います。

谷口(和)委員 今のお話にもありましたように、心配されていたことがもう既に起きてきているというふうに思っております。

 四月七日に、指定都市の市長会の方々が緊急意見というのをまとめられております。この中で、少し読ませていただきますけれども、「暫定税率分の税収がない状態が長く続いた場合、新たな道路整備はもとより、既存の道路や橋りょうの適正な維持管理が十分にできなくなり、安全安心な市民生活の確保が脅かされるとともに、都市の活力を大きく低下させることになりかねない。」こういう認識のもとで、三点の要望をされております。

 まず一点は、「市民生活への影響を最小限に留めるためにも、国会において真摯な議論を行い、一刻も早く結論を出すことに全力をつくすこと。」であります。二点目が、「今回の事態により生じた地方の歳入への影響に対しては、地方に負担をかけることなく、国の責任において必要な措置を確実に講じること。」そして三点目に、「今後も、地方の道路整備や維持管理などに必要な財源を確保すること。」この三点を意見としてまとめられております。

 今既に歳入欠陥が生じている状況の中で、民主党の皆さんは地方には迷惑をかけないというふうにおっしゃられていたわけでありますけれども、ただ、国としてこれはきちっと対策を打っていかなきゃいけないと思っております。

 そういう意味で、この意見書への見解も含めて、今後の総務省の対応をお伺いしたいというふうに思います。

増田国務大臣 今、指定都市の市長会の意見の御紹介がございましたが、特にその中で、歳入欠陥が既に生じていることに対して、私どもも、国の責任においてこれは適切な財源措置を講じなければいけないということを申し上げております。

 三月三十一日、私も総務大臣談話ということで各公共団体の方に申し上げました。その具体的な中身については、暫定税率が失効することによる影響額とか、それから国の方の直轄・補助事業の取り扱いはどうなるかということを見きわめる必要があるので、現段階ではそれ以上のことはなかなか申し上げられません。今後、財務大臣とも相談する必要がございます。

 ただ、指定都市市長会の、そういう皆さん方の意見ということも今後十分配慮したいというふうには思っているところでございますが、しかし、仮にこれが一年間になってしまうと莫大な歳入欠陥が生じるということで、これはもう本当に、国の責任といいながら、代替財源はほとんど見出しがたいような状況にもなるわけですね。いずれにしても、地方の道路整備それから維持管理など、やはり毎日毎日かかるもの、きちんとあるわけでございますし、市民生活への影響ということも、市長会も懸念しておりますが、私どもも大変懸念をしているわけでございます。

 いずれにしても、与野党協議をぜひお願いしたいと思っておりますし、政府案を提出している立場としても、この歳入欠陥に対して、政府案の成立をぜひお願いしたい、こういうふうに申し上げたいと思います。

谷口(和)委員 私は、いろいろな政策変更というか、いろいろな変更が突然起こる、このことはやはり最前線の皆さんに大きな迷惑がかかるというふうに思います。だから、そういう意味で、今年度、平成二十年度については暫定税率も維持し、もとに戻して、民主党の地方議員の皆さんもそれぞれの自治体での予算には賛成していらっしゃるわけでありますから、二十年度についてはやる。その上で、二十一年度以降についてしっかり議論をしていきましょう、こういう取り組みが大事なのではないかというふうに思っております。

 最後に、もう時間がありません、一点お伺いします。

 一般財源化について、先日の、八日の経済財政諮問会議で、骨太の方針に明記するという方向になったようでありますけれども、この一般財源化について総務大臣の見解を最後にお伺いしておきたいと思います。

増田国務大臣 総理の方の三月二十七日の提案にも二十一年度から一般財源化ということが入っているわけでありますし、四月八日の諮問会議、私も出席しておりましたが、その場でも総理から、道路特定財源の一般化を進める、そしてその趣旨は骨太の方針に盛り込んでいく、こういう御発言がございました。これは当然、内閣、政府としての一致した見解でありますので、そういったことで政府としては進めていく。もちろん、その前段で与野党協議をぜひ進めていただきたい、こういうふうに思っております。

谷口(和)委員 もう時間も参りましたので、終わります。

 とにかく、国民の皆さんに国会は何をやっているんだと言われぬように、しっかり審議をしていくことが大事だということをお訴えさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

今井委員長代理 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十八分開議

今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 一般質疑の時間をいただきましたので、きょうは地方における道路特定財源問題と郵政民営化についてお伺いをいたしますので、いつものことながら、簡潔な答弁をお願いいたします。

 まず、地方における道路特定財源問題についてでありますが、一点目は特定財源の一般財源化についてであります。

 増田大臣は、先日の私の質問に対して、一般財源化について基本的には賛成だ、こう言われましたけれども、その考えに今も変わりはありませんか。

増田国務大臣 これは一般財源化に向けて、もう総理もお話をされているわけですし、私も、そういう方向で進めていかなければならない、こういうふうに思っております。

福田(昭)委員 一般財源化についてでございますが、今総理の話も出ました。総理も一般財源化を言い出しましたが、そのことに対してどう思われましたか。

増田国務大臣 与野党協議を進める、進めなければいけないという思いから、真摯な思いでこうしたことを御提案されたというふうに受けとめております。

福田(昭)委員 それでは、福田総理は、二〇〇八年度、今年度からではなく、二〇〇九年度から、こう言っておりますが、このことについてはどう思われますか。

増田国務大臣 総理の御発言それから提案を見ておりますと、国民生活それから地方財源、こうしたものにいささかも混乱を与えてはいけない、こういうことを盛んにおっしゃっておられるわけでございまして、ことし、もう既に二〇〇八年度になっておりますけれども、これについては予定どおり従来の線で進めて、そして真摯な与野党協議を踏まえて、二〇〇九年度から新しいそういう考え方に移りたい、こういう思いでおられるというふうに理解をしております。これは大変現実の状況を踏まえたお考えだというふうに思っております。

福田(昭)委員 私はそうは思わないんですね。予算編成の熟練者であれば、ことし、二〇〇八年度からやるべきだと思うんです。

 そのことについては後でまた触れたいと思いますけれども、今年度、二〇〇八年度からどうしてできないんでしょうか。

増田国務大臣 済みません、どうしてできないというのは、一般財源化がですか。(福田(昭)委員「そうです」と呼ぶ)

 これは納税者との間で十分な理解を得なければいけないという問題もあると思いますし、いずれにしても、制度としてもう既に法律も、従来の法律ができ上がっている、それを大きく変えるというためには、それなりの準備というものも必要であろう。ですから、そういった現実の問題を踏まえて二〇〇九年度からということを言っておられると思いますが、一方で、先般の御提案を見ますと、与野党協議を踏まえて、二十年度予算における一般財源としての活用は民主党さんから現実的な提案があれば協議に応じるというようなことで、二十年度予算の執行にもいろいろな配慮をしているということでありますので、非常に現実を踏まえてそうしたことを御決断されたものというふうに思っております。

福田(昭)委員 そのことは、この問題の最後の質問で少し明らかにしたいと思います。

 それでは二点目でありますが、二点目は暫定税率期限切れに伴う国民生活への影響についてであります。

 政府・与党は、国民生活が混乱すると盛んに不安をあおっておりましたけれども、どの程度混乱をしたのか、現状認識をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 まず、課税現場のことでございます。

 課税現場では、私どもの方でも全力を挙げて関係業界に対して課税関係の周知等を行いましたし、公共団体にもそうしたことの周知を要請いたしました。

 昨日までに、各都道府県の課税当局に対して、やはり販売業者等からさまざまな照会、確認、それから一部苦情も含まれておりますけれども、そうしたものが寄せられておりまして、そうした件数を累計いたしますと、大体六千件ほど全国で寄せられたというような報告を受けております。

 我々は、私ども自身もそうですし、公共団体にも、こういう状況の中で混乱が極力起こらないように懸命の努力をするようにということを要請しておりますので、大きな混乱は生じていない。六千件ほど照会が寄せられたという報告を受けていますが、大きな混乱は生じていないというふうに聞いております。これはやはり、各都道府県の課税当局の皆さん方の懸命な努力もあったものではないかというふうに思っております。

福田(昭)委員 今のお話を伺っていますと、六千件の苦情があったということですけれども、私の質問は国民生活への影響ということであって、今の苦情六千件は、業者やあるいは地方自治体関係者からの苦情ということであって、国民生活直接への混乱ではないですよね。そこをしっかり確認する必要があると思うんですね。

 むしろ国民の方々は、ガソリンが下がって喜んでいる方の方が多いんじゃないですか。いかがですか。

増田国務大臣 今申し上げましたのは、販売業者さん等からの照会、確認、苦情といったようなものでございまして、これはやはり、全国に相当な数のそうした事業に携わっておられる皆さん方がおられるわけでございますので、これはもう、そうした皆さん方は大変御心配をされたということだと思います。

 それからあと、大変喜んでいる皆さん方がおられると。これは、多くのドライバーの皆さん方が当然おられるわけでございますので、そうした皆さん方にとりまして、ガソリンが下がるということは、最近特にガソリン価格も高騰している中で、もちろんそういうお考えをお持ちの方が多くおられる、これは私ども十分承知をしてございます。

 しかし、今そういう形でいろいろとそうしたガソリン価格の下がったということを実感しておられる皆さん方も、いずれ、今後これが長引きますと、公共団体の方でもう既に予算の執行の保留等を行っておりますから、いろいろな場面、建設業の関係のところでもいろいろな影響がだんだんに出てくる、もっと深刻に出てくるのではないかというふうに思います。それから、予算の執行が、道路関係だけではなくて、他の部門についても今慎重に判断をしている自治体が多うございますので、そうしたものが後日現実のものとして出てくれば、これは国民の皆さん方への生活にも深刻な影響が出てくるのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、国民生活に対しての影響というのは、そうしたことも含めて考えなければいけないのではないかというふうに思っております。

福田(昭)委員 そのことについては後で御質問いたしますけれども、大変だったのは、それこそ暫定税率が失効してその対応に追われた、特にガソリンスタンドの方々なんですけれども、そのガソリンスタンドの方々に対して何か対応策はとらなかったんですか。いかがですか。

増田国務大臣 ガソリンスタンドに対しては、これはこれで、主として経済産業省が所管をする現場でございますけれども、そうしたところからきちんと周知を徹底する、あるいは、今いろいろな経営の問題が出てきますので、そうしたところに対しての融資の問題ですとか、そうしたことで政府としても対応をとっているということでございます。

福田(昭)委員 総務大臣の権限じゃないかもしれませんけれども、民主党は、ガソリンスタンド対策法というのを提出して、ガソリンスタンドの皆さんが困らないような支援をしようとしていくことで考えているんですね。

 これはかつて、ウイスキーの値下げで法律が間に合わなかったときがあります。そのときは、国税庁長官のただ一通の通達で実は全部対応できたんですね。閣僚の一人としてそういうことを提言する必要があるんじゃないですか。いかがですか。

増田国務大臣 その民主党の法案については私ちょっと存じ上げませんけれども、内閣としてそうしたガソリンスタンドに対しての措置というものを今行っているわけでございまして、当然、内閣として行う以前に関係閣僚で集まっておりまして、その中で、ガソリンスタンドの混乱に対しても適切に対応をとる。

 これは、官房長官のもとで、経産大臣、私等が集まって道路の問題についての閣僚会議を開いておりますので、その中で、お互いに現場の実態を意見交換しつつ、対策をとっているところでございます。

福田(昭)委員 増田大臣、今からでも遅くありませんので、国税庁長官の一通の通達でできちゃうんですよ。それを、どうですか、閣議の中で提案する気持ちはありませんか、考えはありませんか。

増田国務大臣 やはり、政府としては、暫定税率の復活をお願いするのが一番国民生活に混乱を来さない、こういうふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 暫定税率は切れているんですよ。この切れている間の措置だってあるんじゃないですか。それはいかがですか。

増田国務大臣 今、十日ほど切れたわけでございますが、したがって、一刻も早くもとに戻していただくことが今一番必要ではないか、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、その質問は後でしますけれども、対応が余り上手じゃないんですよ。

 次に、三点目でありますが、三点目は暫定税率二兆六千億円の減税効果についてであります。

 総務省の管轄ではないかもしれませんけれども、最近の原油高、飼料高、諸物価高、加えて米国のサブプライムローンによる損失が百兆円にも上る、こう言われる中で、福田内閣として景気対策はやらないのでしょうか。やるとすると、暫定税率二兆六千億円の減税効果は相当大きなものがあると思いますけれども、いかがですか。これは、大臣の個人的な見解でいいですから、どうぞお聞かせください。

増田国務大臣 減税の効果と、それから本来予定されておりました道路整備などの投資の効果と、これはいつも、その効果の発現がどういうふうに影響してくるかというのは議論になるところでございます。そして、一般的には、減税の効果よりも具体的には財政投入した場合の効果の方が大きいというふうに言われておりますので、筋としては、今、一度失効してございますが、その暫定税率を戻していただくということが一番景気の対策には必要であろうというふうに思うわけです。

 いずれにしても、現実的に、今先生からお話ございましたとおり、サブプライムの問題等、景気の下振れリスクというものが大変高まっているところでございますので、これは内閣として、四月四日だったと思いますが、経済財政担当大臣のもとで成長戦略の前倒しというものをまとめたところでございます。ですから、こういう今の景気状況の中で、やはり政府として、早急に景気を下支えするような対策を講じなければならない、そういう判断のもとで、そうした対策をまとめ、今その実施に移っているというところでございます。

福田(昭)委員 ぜひ、早急な対策が必要だと思います。

 これは前回も申し上げましたけれども、道路博士の松下文洋氏は、減税効果はプラスマイナスありますけれども、プラス年間で二兆円、そんな試算を出しておりますし、あるシンクタンクでは、家計に一・六兆円、企業で一・一兆円の税負担が軽減されて、消費で〇・二%、住宅投資〇・三%、設備投資〇・二%の増加効果があり、GDPも〇・二%押し上げる、そんな試算をしているシンクタンクもあるところでございまして、ぜひともこれは……(発言する者あり)そういうマイナスもあるかもしれませんが、それは日経新聞ですからね、自民党応援団だからそういうこともあるでしょうけれども、しっかりとした試算を政府としてまずされることを望みたいと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 一般的には、多分、減税よりも投資の方が経済的に与える効果は大きいというふうに言われている方が多いと思います。松下氏の論というものを私は詳しく知っているわけではございませんけれども、シンクタンクの見方も、私が目にしている限りでは、複数のシンクタンクなどが、今回ガソリンが下がることでの経済効果よりも、むしろ従来どおりの事業が行われた場合の経済効果の方が大きいと、新聞紙上でも、日経以外でも予測していたのを目にしたことがございます。

 ただ、いずれにしても大事なことは、全般的に、先生お話ございましたとおり、サブプライムのみならず、いろいろな意味で、米国経済の今後の先行きの問題もあって我が国経済に非常に悲観的な見方が多いので、そういった中で、景気の動向に十分注意をする必要がありますし、先ほど申し上げましたような緊急の経済対策を前倒しで四月四日に決めたわけでございますので、そうしたものを一刻も早く実施をして、そして各地域の景気というものを刺激していく、このことは大変必要なことだろうというふうに思います。

福田(昭)委員 この議論をしていても水かけ論になってしまうかもしれませんが、しかし、景気が減速していくということは確実なようでございますから、しっかりと政府として対応をとられることを望みたいと思います。

 それから、四点目ですけれども、四点目は暫定税率期限切れに伴う地方自治体への影響についてであります。

 地方自治体はそれぞれ、予算の組み替えとか執行留保など対応しているようでございますけれども、四月一日以降それはどんな状況になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 これは都道府県に対しての緊急の調査でありますが、四十七都道府県の予算執行上の対応について調査を行いましたところ、四分の三に上ります三十六団体の方で、何らかの事業の執行を保留する、こういうことの回答をいただいております。

 中身は、道路関係事業予算を執行保留というふうに答えているところが多くて、これは午前中申し上げました二十五団体ですけれども、それ以外の、道路以外の普通建設事業予算を執行保留する団体も四つありますし、それから、普通建設事業予算以外の経常的経費も含めて執行を保留するという団体が七団体ございます。そういうところまで考えて、いろいろ執行を気にしておられるようでございます。

 ちなみに、先生の地元の栃木県でございますが、栃木県の方からの回答を見ますと、これについても、今申し上げました、経常的経費を含めて執行を保留するという七つの県の中の一つに入っておりまして、これは、県の方の話でも、道路と関係のない五十億円分の事業の執行も留保するということを四月一日に県の方でも発表されたようでございます。

 したがいまして、多くの団体は、その後いろいろと様子を見ているところだと思いますが、総じて言いますと、この問題によりまして予算の執行に非常に慎重になっているということではないかと思います。

福田(昭)委員 暫定税率がなくなったんですから、それは予算の執行に慎重になるのは当たり前ですよね。

 大臣、実は、こうした、補助金が来ないとか税収が減るといったことは、過去にも何度もあったんですね。今回のように地方自治体が騒ぐのは、私は異常だと思うんですが、いかがですか。

増田国務大臣 税収の振れというのは毎年当然生ずるわけでございますが、ただ、公共団体が、国の歳入法案が通らないということによって、各自治体の議会も経て予算を計上したものがこれだけ入ってこない、こういう事態は私は初めてではないかというふうに思います。

 そして、各自治体もいろいろな判断はあっただろう、確かに、こういったリスクを考えて道路予算を計上していないというごく一部の団体の話も聞いております。しかし、二月の末にいろいろな議論がございましたけれども、国の方の法案が通ったということを見て、また議長あっせん等もございましたので、三月までには全体の歳入法案が国としても上がるのではないか、今までそういうことでございましたので、そういう判断をされた団体がもうほとんどだったのではないかというふうに思っております。

 ですから、こういう事態というのは自治体にとりましては私はまさしく初めてのことだろうと思いますし、そういうことだからこそ、予測がつかないということで、さまざまな事業の執行を今現在保留しているという状況ではないかと思います。

福田(昭)委員 そんなことありませんよ。私も市役所、県庁で三十三年余り仕事しましたけれども、補助金がつかなかったなんということはよくあることですよ、これは。そんなことはございませんで、幾らでもある話であって、基本的に……(発言する者あり)ちょっと黙りなさい、静かにしなさい。こうしたことは過去にもありまして、政府が、地方の減収については、減収したことについてはちゃんと補てんするよと約束すれば済んだときも実はあったんですよ。

 そんな中で、増田大臣も、三月三十一日にいち早く記者会見して、地方の収入減については補てんする考えがある、記者会見でそんな発表をしているじゃないですか。いかがなんですか。

増田国務大臣 認識が全く違うわけでございまして、今回の事態は、補助金がつかない、こういう事態とは全く違うというふうに思っております。

 予算が成立しても歳入法案が年度内に上がらないという事態であるからこそ、各自治体が今この問題を深刻に受けとめているということでございまして、しかも、全国の自治体が、議会の方でいろいろ議論をした上できちんとその予算を計上しているわけでございます。

 この中で、やはり地方財政に混乱を与えるということはいけませんので、混乱を避けるということから、この問題について、そうした各自治体に生じた財政的な面については国の責任で応じたい、こういうことを私は申し上げたところでございますが、やはりこれは本来、そういう事態を招く以前にきちんと法案に御理解をいただいて、そして成立をさせていただきたかった、そういうことでございます。

福田(昭)委員 それはちょっと違うんじゃないですか。暫定税率というのはそもそも切れることになっているんですよ。切れることを前提にして組んだ予算じゃないのがおかしいんじゃないですか。また、それを保証した政府の責任じゃないですか。保証したんですよ、あなたたちは、地方財政計画をつくって。自分たちの責任を棚に上げて、そういう言い方はないと思うんですね。

 ところで、次は五点目ですけれども……(発言する者あり)静かにしなさい。

 五点目ですけれども、地方自治体の財源不足への対応策についてであります。

 地方交付税法第七条に基づいて、さきの質問のときに、地方の財源不足は国が補てんする、こう大臣は答えているわけでありますが、今回の税収減といいますか減収について、どういうふうに補てんするのかお答えをいただきたいと思います。

 例えばでありますけれども、この暫定税率が、それこそ今大臣がおっしゃるように、自民党が、与党が強行採決して復活したとすれば、一カ月分で済むのか。あるいは、ずっと一年間再可決できずに、もしかすると一年間補てんしなくちゃならないのか。その点について、一カ月分、二カ月分あるいは一年分、どのように補てんしようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 国の責任において財政措置は講じなければいけないということを申し上げておりますが、具体的なことにつきましては、この影響額がどのように及ぶのか、それから国の補助事業、直轄事業の取り扱いがどうなるかということがわかりませんので、それ以上の具体的なことは申し上げられない、こういうふうに述べているわけでございます。

 したがいまして、今の、一カ月なのか、あるいは一年、十二カ月なのかといったようなことも全く仮定の話でございますし、影響額も、今の状況では、国の対応ということも含めてよくわからない状況でございますので、それ以上のことは今の段階では申し上げられないということでございます。

福田(昭)委員 それでは、新聞報道にありました、特例交付金など検討したい、こう言われていたようでありますけれども、では、まだ検討はなされていないんですか。

増田国務大臣 特例交付金をどうするかとか、何をどうするかということについて、私の方で具体的に述べておりませんで、今、三月三十一日に総務大臣談話を申し上げておりますけれども、そういう総務大臣の線で実際にどういうことを具体的に念頭に置いて検討すればいいかどうかということが定かでございませんので、国の責任で財政措置は講じなければいけない、そこの認識まで申し上げているものでございます。

福田(昭)委員 それでは、新聞報道は行き過ぎたということですかね。

 そうした中で、実は、先ほども大臣の方から御紹介いただきましたが、栃木県から多分全部の県内選出の国会議員に要望書が出たんだと思いますが、私のところへも届きました。どれだけお金が減るか、それに対してどうしてくれという要望が届きました。その中に、こういうのもあるんですね。「歳入欠陥を補うための実効ある財源措置」ということで、「暫定税率の失効に伴う減収額を補てんするため、特例交付金や地方交付税の特別加算による実効ある財源措置を講ずること。」こういう要望書が来ているんです、私のところへ。

 これはやはり政府の責任で、政府が指導してきた考え方に基づいてしっかり予算を立てた地方団体としては、これを国の責任でしっかり補てんしてくれ、こういう要望書が来ているんですよ。いかがですか。

増田国務大臣 財政的な面について、現実に今、歳入欠陥が日々生じていますので、各公共団体も大変御心配される、これはもう当然だろうというふうに思います。

 そして、個々の団体でもいろいろとお考えがあるようでございますが、私のところにも、特にまとめて六団体の方からも、三月三十一日あるいは四月に入りましてからも御要望、今週も知事会長なども来ておられました。そうしたさまざまな文書を見ますと、とにかく暫定税率を復活してほしいということが特に強く言われているわけでございます。

 ですから、気持ちとしては、暫定税率をきちんと復活していただきたいという気持ちだと思いますし、そして、現実的に今、日々地方団体で、今月で言えば毎日毎日トータルで二十億円ずつでしょうか、歳入欠陥が生じているという状況でございますので、それについては、いずれにしても、こういう状況の中で国としても何らかの財政措置は講じたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 あくまでも暫定税率を再可決して復活させて地方の財源を確保したい、こういうことですか。確認をさせていただきます。

増田国務大臣 やはり、今生じている事態を、国民の生活を混乱なくおさめるというためには、暫定税率をもとに戻していただいて、そしてまた、総理の御提案にあるとおり、その上で本当に真摯の与野党協議という中でいい解決策を出していくということが適切ではないか、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 私は、そう思わないんですね。

 やはり、基本的には、逆にこの一年間、地方の暫定税率が減った分、国が補てんをして、その間にこの道路特定財源問題を解決していく、その方が私はずっと福田総理にとってだってベターだと思いますよ。

 いいですか……(発言する者あり)聞きなさいよ。だから、先に通せなんという話ではなくて、まず、国が先に大きな気持ちを見せることが大事であって、福田内閣の支持率が、読売、共同、毎日、フジサンケイと、軒並み三〇%切ったんじゃないですか。これは崩壊寸前ですよ。

 ここは、再可決をして二・六兆円の増税をするよりも、明確に、具体的に、地方自治体の皆さんに地方特例交付金なり特別交付税などでしっかりと補てんする、そう約束された方が私はずっとベターだと思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 再可決するかどうかというのは立法府の御判断でございますので、私から申し上げるべき話ではございませんし、この問題については、政府案を提出する立場として、その立場を踏まえて今申し上げているわけでございます。

 大事なことは、国民生活それから各地方団体の財政状況、これは委員が一番熟知していると思われますけれども、栃木でも、県として予算を、道路以外の部分を含めて執行を留保しているということをはっきりとおっしゃっているわけでございますので、それについて、やはり一刻も早く解消する手だてを考えていかなければならない。

 この間、現実的にもう十日過ぎていますので、そのことによって生じた地方の歳入の不足分というのは私どもも措置をしたいというふうに思っておりますが、いずれにしても、今のこういう景気状況の中でございますから、この混乱がさらに広がらないうちに与野党の建設的な協議をしていただく、そして国民の期待にぜひこたえていただきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それこそ、今年度、平成二十年度の予算でも、埋蔵金を十一兆八千億も取り崩しているんですよ。その埋蔵金はまだまだ、財政投融資特会と外為特会だけでも埋蔵金は三十四兆円もあるんですよ。一年分ぐらい補てんする財源は国には幾らでもあるんです。ですから、そういうものを使って、まずしっかり一年分、地方の予算を補てんしておいて、本格的な議論をする、その方が私はベターだと思いますよ。

 地方に迷惑をかけない、国民生活に迷惑をかけないというのなら、それぐらいの大英断は私は必要だと思いますが、大臣には無理でしょうから、福田総理が決断するんでしょうから、この辺にしておきます。

 次に、郵政民営化についてお伺いをいたします。

 一点目は、民営化の現状についてであります。

 昨年の十月に民営化がスタートして半年になりますけれども、郵便事業、貯金、保険、郵便局、それぞれの会社の経営に早くも懸念が生じてきているという報道がありますけれども、現状はどうなっているのか、その認識をお伺いしたいと思います。

山本副大臣 お答えさせていただきます。

 郵便貯金銀行、かんぽ生命、それぞれ貯金残高、契約件数も減ってきておりまして、最高時と比べますと、ゆうちょ銀行が、平成十一年度ですけれども、このときから比べますと、二百六十一兆円から百八十一兆円まで下がっております。かんぽ生命の方は、平成十六年の六百六十五万件から、これはまだ平成十八年度、年度でいきますと十八年度末でありますけれども、二百三十八万件まで減ってきております。民営化されてからでも、郵便貯金銀行の残高が、十月が百八十六兆九千億ですけれども、三月末が百八十一兆三千億ということで、ずっと、対前年度比五、六%ずつ下がってきております。かんぽ生命の方は、十月度四万四千七百十件でありますけれども、これは対前年度でいきますと七四・二%減ということで、大変下がってきております。

 ただ、これも、減少の理由を西川社長が言っておみえになりますけれども、ゆうちょ銀行におきましては、九〇年代後半は金融不安がありまして、安心であるということで郵便局の方に流れてきた、そのお金が低金利に入りまして資金が流出しておる、こういうふうに判断をしておるという発表がありました。

 かんぽ生命につきましては、営業社員の九割を占める郵便局チャネルにおいて、保険以外の業務の繁忙だとか民営化に伴う保険業法等への対応、これは説明責任が出てきましたので対応がありまして、非常に時間もかかるということもありまして、民営化後、特に契約件数が減ってきておる、このように西川社長は発表しております。

 金融庁の判断はどうかと言われますけれども、今後どのようになるのかということは、これは確定的なことを私どもとしては申し上げるわけにはいきませんけれども、私どもとしては、この金融二社につきまして、民営化されたわけでありますから、財務の健全性だとか業務の適切性、これについてこれから適切な検査監督に努めていきたい、見守っていきたい、このように思っていますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

福田(昭)委員 ありがとうございました。非常に厳しい状況だということはよくわかりました。

 そこで、二点目でありますが、ゆうちょ銀行と郵政保険会社の運用資金の運用状況についてでございます。

 まだ半年で、どうも聞くところによると、まだ詳しい話がわからないということなものですから、金融庁の方ではちょっと答えられないかもしれないんですけれども、これは会社の方で、株式も処分して完全民営化、民間銀行になったとき、あるいは保険会社になったときに、例えばですけれども、二十年物、三十年物あるいは六十年物という長期の国債とか、六十年物の地方債はありませんけれども、こうしたものは買うことができますか。どうですか。お伺いいたします。

山本副大臣 運用状況がどうかということでありますけれども、ゆうちょ銀行の方は、十九年十月時点のバランスシートでいきますと、二百二十三兆円の総資産に対しまして、有価証券が百七十兆円であります。そのうち、国債が百五十五兆円と約九割を占めております。かんぽ生命の方はどうかといいますと、平成二十年一月末時点で、百十兆円の総資産に対しまして、有価証券が八十六兆円、そのうち国債が六十八兆円ということで、約八割を占めております。

 このような制限を別にいたしますと、ゆうちょ銀行が資産運用手段としてどの程度の国債をどの程度の期間保有するかはそれぞれの、銀行、かんぽ生命の経営判断にゆだねられておる事項でありまして、金融庁が予断を持って申し上げることは困難であります。

福田(昭)委員 このことはまた後で問題にしたいと思いますが、民間になったらせいぜい十年物ぐらいしか持てないんじゃないかなと思うんですけれども、基本的に。そうなったときに、この運用をどうするのかという話も出てくるかと思います。

 次に三点目でありますが、三点目は郵政民営化関連法案作成時の十八回にわたる米国との面談内容の公表についてであります。

 まず最初に委員長にお伺いいたしますが、面談者と面談内容の公表について理事会に諮っていただきたい、そんなお願いをしておりますけれども、その結論はどうなったのか、お伺いいたします。

今井委員長代理 後ほど理事会でその経過を把握して、御報告させていただきます。

福田(昭)委員 残念ですけれども、これは理事会でしっかり諮っていただいて、面談者の名前と面談内容の公表についてぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思っています。

 これはやはり国民の、国家の一大事なんですね。ですから、この面談者と面談内容を公表するということは、国民益、国益にかなうことですから、これをしっかりやっていただきたいと思っているんです。

 それでは大臣の方に質問いたしますが、内閣府の文書管理規則で、簡易なものというのは具体的にどのようなものを指すんですか。お伺いをいたします。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 内閣官房の文書管理規則によりますと、事務及び事業の性質、内容等に応じて行政文書の保存期間を定めているということでございまして、したがいまして、それによっていろいろ判断をしているわけでございます。例えばの話ですが、許認可等をするための決裁文書などというものは保存期間が一年以上とか決められておりますし、そこで判断をして、軽微な内容のものはそうしたものに当たらないということで、短期で廃棄するもの、こういうふうに取り扱いが分かれているもの、こういうふうに承知しております。

福田(昭)委員 大臣、よく見ていただきたいんですが、軽微なものとか簡易なものというのは、例えばですけれども、大臣の行動の日程表みたいなものを指すんですよね、内閣府の文書管理規則はですよ。

 そこで、前回の大臣の答弁では、十八回の面談のうちあいさつ程度の面談もあったのでメモがない、こういう答弁でしたけれども、あいさつ程度の面談は十八回のうち何回だったんですか。教えていただきたい。

木下政府参考人 御説明いたします。

 十八回の面談のうち、米国の政府関係者の方々あるいは在日米国大使館関係の方々、民間企業関係の方々というようなことで相手があったということだと思います。

 その中で、米国政府関係者の方々につきましては、例えば日米規制改革及び競争イニシアティブ会合、こうした用務で来られたときに表敬訪問ということでお会いになったというようなことが多いように承知いたしております。こういうものを指しまして、先般、大臣の方からは、あいさつ等の軽微なものがあったというようなことで御答弁申し上げたと思います。

 また、在日米国大使館……(福田(昭)委員「だから、何回なのというんだよ、そういうあいさつ程度のものは」と呼ぶ)恐れ入ります。回数の問題ですので、恐縮でございます。

 例えば、今の例で、アメリカの政府関係者が何回来たのかということを申しますと、五回でございます。

福田(昭)委員 要するに、あいさつ程度の面談は十八回のうち何回かと聞いている。

木下政府参考人 失礼いたしました。

 今申し上げました米国政府関係者の表敬訪問等が五回でございます。また、米国大使館関係者につきましては、問い合わせ等でございまして、これもあいさつ等に含まれるということであれば、六回でございます。さらに、民間企業関係者につきましては七回でございますが、その中には、陳情等のものもあれば、表敬的な性格のものもあったというようなことでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 十八回のうち、全部があいさつ程度じゃないんでしょう。そうしたら、しっかりメモがあるんじゃないですか。いかがですか。

木下政府参考人 恐れ入ります。

 あいさつ等というふうに大臣から御答弁いただきましたのは、これは、今のような軽微な内容であるというようなことでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 時間がなくなってきましたからちょっと急ぎますけれども、そのあいさつ程度の名前も公表できないんですか。

木下政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律におきましては、行政機関の長は、原則、利用目的以外の目的のために保有個人情報を提供してはならないとされております。ただし、特別の理由がある場合は提供することができるとされ、職務遂行に係る日本の公務員の氏名につきましては、特段の支障が生ずるおそれがなければ公にするとされております。

 米国側の来訪者に係る個人情報につきましては、この日本の公務員に係るようなことが認められておらないところでございますので、情報提供を差し控えさせていただいておる、こういうところでございます。

福田(昭)委員 それじゃ、全く、この個人情報保護法を適用させる必要ないじゃないですか。法律で規定してないようなものを個人情報として隠す必要ないじゃないですか。おかしいじゃない。

木下政府参考人 繰り返しになるかもしれませんですけれども、個人情報の保護に関する法律では、利用目的以外に保有個人情報を提供してはならないと、まず原則として禁止されております……(福田(昭)委員「だって、外国人は規定してないでしょう」と呼ぶ)いえ、それで、その例外として、日本の公務員につきましては、職務遂行に係る日本の公務員の氏名については公表するということになっております。

 こうした日本の公務員に関する例外規定が、それ以外の方、例えばアメリカの方につきましては例外的な取り扱いが認められておりませんので、原則に戻りまして禁止されるということでございます。

福田(昭)委員 それは違うね。行政機関個人情報保護法においての行政機関の長は、原則、利用目的以外の目的のために保有個人情報を提供してはならない、こうされておりますけれども、まさに今私が聞いているのは利用目的ですよ。いいですか。目的外じゃないですよ。郵政民営化の是非を今質問しているんだよ。目的そのものじゃないですか。利用目的以外じゃないよ。そうじゃないか。日本の主権が侵されたかもしれない、そういう重大な郵政民営化の問題そのものをやっているんだよ。利用目的そのものじゃないか。どうですか。

木下政府参考人 恐れ入ります。

 利用目的と申しますのは、この会合の目的だというようなことではないかとただいま考えております。

福田(昭)委員 そんな曲解しちゃだめだよ。こんな大事な問題を、これは日本の国益にかかわる話だよ。

 委員長、ぜひこのことについてはしっかり理事会に諮って、公表するようにしてください。私も、政権とってから公表させるよりは、今公表させた方がいいんですよね。ぜひこうした偽りと隠ぺい体質の役所を直さないとだめですよ。ぜひお願いをしたいと思います。

 そこで、郵政民営化の抜本的な見直しについては時間がなくなりましたのでやめますけれども、自民党の中でも研究会ができたそうでございますから、ここはぜひ与野党を超えて、日本の国益のために、国民の利益のために頑張っていきたいと思っています。

 日刊ゲンダイ二〇〇八年四月八日、「国際政治ナナメ読み」、原田武夫国際戦略情報研究所代表が「密かに進む小泉郵政民営化の真の狙い」ということで書いています。サブプライムショックによる損失で大量首切りが続出している欧米金融機関であっても、日本支社では首切りを行っていない、それは郵政民営化にある、二〇〇九年に株式上場する際の主幹事会社の争奪戦が外資勢を交えて壮絶に行われている真っ最中である、目先の政局の中でもついこの間起きたことを忘れずに、郵貯の米国売り渡しという小泉郵政民営化の真の目的に目を光らせなくてはならない、こう書いています。

 ここはしっかりやらなくちゃならない、こう私は思っているところでございまして、ぜひ自民党の心ある方々もともに頑張ることをお願いして、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。よろしくお願いします。

 大臣、質問通告をしておらないのでございますが、先般、NHKの経営委員長が国会議員のパーティーに出席をされて、しかもあいさつをされたということを聞いておるわけでありますが、そのことを御存じか。もしそれが事実であるとするならば、大臣の認識をお伺いいたしたいと存じます。

増田国務大臣 今の点については、参議院の総務委員会でNHK予算の審議をする際にも、どこの会派の先生だったかちょっと今失念いたしましたけれども、その点の指摘があって、古森委員長の方で答弁をしておられました。わきで私それを聞いておりましたので、ちょっと細かい点については詳しく今覚えておりませんけれども、そうした事実があったということは、そのやりとりを聞いておりましたので、承知をしております。

 それから、その上で、古森委員長のお話ですと、その国会議員はかつて、古森委員長が今社長をしている会社の社員、たしか十年ぐらいだったですか、社員だということで、会社の社長という立場で参加をしたというような話をしておりました。

 いずれにしても、この問題について参議院のその場でいろいろ古森委員長さんも言っておられましたけれども、経営委員会の委員長というお立場でございますので、その立場というものを十分踏まえて行動していただけるもの、こういうふうに思っております。

森本委員 大臣、行動していただけるものと思われるというところが、大臣の思われるところと違うところへ行動されておるわけですから。

 これ以上追及はしませんが、この委員長の発言とか行動は、やはり不可解な点が多いと思うんです。ですから、そのことは、この総務委員会等へ出席していただいてしっかりお話をいただくということを委員長にぜひお願いしておきたいわけでございますが、いかがでございますか。

今井委員長代理 後日理事会で協議をさせていただきます。

森本委員 きょうのところは、質疑がございますので、この点について。

 それと、大臣、もう一つ、四月の八日に地方分権改革推進委員会が公表された分権案に関する各省庁の回答状況は、実質ゼロ回答が目立ったということで、委員の中にはお怒りの発言もされたということも聞いておるわけでございますが、このことへの認識と、今後、大臣としての対応、どのようにお考えでございますか。

増田国務大臣 四月八日、分権委員会が開催されまして、その各省の回答を、私も概略を見ました。分権という視点からは不十分、分権という視点からは、やはりその視点にほど遠い回答が多いというふうに思っております。

 これについては、また近々に、地方分権改革推進本部というものを政府でつくっておりますが、その本部を開催して、そしてその中でこの問題についてはまた議論していかなければならないと思っております。それから、分権委員会が委員長の方も、各省から回答をもらった上で、今まで審議官などに来てやってもらう、いろいろやりとりをしていたけれども、さらに各省の格を上げて、そして委員会で直接論議を深めていきたいというふうに言っておりますし、そうした各省とのやりとりを見ながら、私も各省の大臣と個別にいろいろお話をしていかなければならないというふうに思っております。

森本委員 今地方が大変な時期に、地方分権こそやはり地域の活性化だというふうに認識をいたしておりますから、そのことについては主管の大臣としてしっかり対応をしていただきますことをお願い申しておきます。

 具体的な質疑に入らせていただきますが、その前に、今、福田委員からもそのお話がありましたが、三月末をもってガソリン税の暫定税率の期限が切れたわけであります。このことに関して、福田首相など政府・与党は、結果として、地方に迷惑がかかるのは民主党の責任であるかのような主張を行っておられます。このことは全く事実に反することでもありますし、みずからの失態を棚上げした言い分である。民主党は、暫定税率を廃止しても地方に迷惑をかけないための、地方の税源分の財源を確保するための法案も提出をさせていただいておりますので、政府・与党が我が党の主張に耳を傾けていただければ済むことでございますので、この点、認識を改めていただきたいと存じます。

 それでは、二月二十六日の当委員会において地方税法の質疑を行った際にお聞きした点、特に非課税等の特別措置についての確認から始めさせていただきます。

 非課税等特別措置による減収額については、平成二十年度は見込みが幾らになるかということはお教えいただかなかったわけでありますが、平成十九年度の見込額として、一兆四百五十億円と聞かせていただいております。一兆といいますと大変な金額で、それだけの地方税収が減るわけであります。ただ、その中には、国税の租税特別措置に連動するものと地方で独自のものがあるともお伺いをいたしました。

 さて、一兆四百五十億円のうち、国税の租税特別措置に連動するものはどのぐらいございますか。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 平成十九年度におきます地方税の非課税等特別措置による減収額、これは、先般の委員会でもお答えいたしましたとおり、一兆四百五十億円と見込んでおりますけれども、このうち、国税の租税特別措置の影響によるものといたしましては、四千六百五十億円と見込んでいるところでございます。

森本委員 それで、国税と連動と言った場合の連動の意味ですが、これは、国税で決まったことが、つまり財務省で決めたことが、自動的に地方税に反映をされてしまうということでしょうか。総務省はその決定にどのようにかかわられているのか、お教えください。

河野政府参考人 国税に連動する、あるいは国税の影響を受けるものということでございますけれども、現行の地方税のうちで、法人住民税法人税割、これにつきまして、課税標準が法人税額となっておるわけでございまして、また、個人住民税の所得割、あるいは法人も含めました事業税につきましては、原則として国税の所得税あるいは法人税における所得計算の例によることにしているところでございます。

 これは一つには、納税者の申告でありますとか、あるいは税務調査への対応といった事務負担の軽減を図る必要もございますし、それから課税事務の効率化を図るという要請もございますので、こういった制度にしておるわけでございます。

 これによりまして、法人税等において租税特別措置が講じられました場合には、こうした共通する所得計算等を通じまして、地方税においても影響が生じてくる、こういうことになるわけでございます。

 ただ、これは原則として、先ほどのような要請から法人税等の所得計算の例等によることにしておるわけでありますけれども、法人税や所得税における租税特別措置のすべてを地方税に自動的に連動させるということでは必ずしもございませんで、例えば、研究開発税制のうちで大企業分については地方税には影響しないような措置をするとか、一応、地方税として、これを適用することが適当かどうかという判断は行った上で、こういった場合につきまして、一部のものについては法人税等における租税特別措置の影響を遮断するということもしておるところでございます。

森本委員 これに関連しては、大臣にこの次の質問でもう一つお願いをいたします。

 次に、国税に連動する非課税等の特別措置の中では、中小企業の投資促進税制が大きなウエートを占めております。苦しんでおられる中小企業の皆さんの投資を活発にしよう、それがそのとおりならとてもよいわけであります。ただ、本来は支払うべき税を優遇して行うわけですから、実際に当初の目的どおりの効果があったのかどうかを検証しなければなりません。でないと、効果もないのに漫然と続けてしまうという事態になりかねないわけであります。

 そこで、例えば中小企業投資促進税制について、総務省は、それの費用対効果が過去どうであったのか、つまり、どれだけの特別措置でどれだけの投資増大効果があったのかという、こういった実績評価を行っておられるのか。行っておられるとしたらどのようにされておるのか、お聞かせください。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 中小企業投資促進税制でございますけれども、これは、中小企業者が機械装置などを取得いたしました場合に、法人税法におきまして特別償却あるいは税額控除を認めるものでございますけれども、地方の法人課税におきましても同様の措置が講じられているところでございます。

 今回、この特例措置の延長をお願いしているところでございますけれども、延長の判断をするに当たりましては、先般の委員会でも申し上げましたけれども、関係省庁でございます中小企業庁との間でヒアリング等も行っておるところでございます。

 費用対効果というお話がございましたけれども、まず、費用といいますか減収額、税収上の影響額でございますけれども、これは平成十九年度で、法人事業税、法人住民税合わせまして九百五十億円程度というふうに見込んでおります。

 一方、効果の面でございますけれども、この税制は中小企業者等の幅広い、機械装置などを対象とした設備投資を促進するために設けられたものでございまして、中小企業者等の生産性を向上させ、あるいは成長率の底上げを図る、そういった効果を有するものというふうに考えております。

 少し具体的なことになりますけれども、平成十八年の八月から九月にかけまして、中小企業庁の委託によって民間調査機関が実施をいたしましたアンケート調査がございます。これによりますと、この税制の存在を知る中小企業者の約二割がこの制度を利用したことがあるというふうに回答をしておりますし、その約六割が設備投資資金を確保できたことを効果として挙げているというふうに聞いているところでございます。

森本委員 今のお答えを聞かせていただいておって、費用対効果の算出というのは非常に難しいということも理解できますが、しかし、それを限りなく追っていくということも当然必要なことでございますので、それとともに、連動することによって地方も減収をしていくという、こうしたことが今の地方分権、国と地方のあり方で非常に問題もあるという意識を私としては持っておりますので、そのことを申し上げておきます。

 大臣にお伺いします。国と地方が一体となって税対策をすべきこともあるかもしれません。ただ、私見になりますが、本来は、地方税の中でこうした、今も申し上げた国税に連動した部分は少ない方がいいというふうに私は思っております。国税連動部分が多ければ多いほど地方税独自で決めていける余地が小さくなるわけでありますから、その意味でも、こうした部分は国税に渡してしまって、その分、税源を交換できるものはそのように行っていくことが必要だというふうに私は考えておりますが、大臣はいかがですか。

増田国務大臣 今の点は一つの大きな論点だというふうに思います。地方の税収を安定させるという意味で、地方税というのは大変大事なものでありますし、こういう地方の独自課税として、いろいろそれを獲得していかなければならないというふうにも思うわけです。

 具体的に、例えば、法人住民税の場合には法人税額を課税標準としていますし、個人住民税の場合には所得税、法人税における所得計算の例としていまして、これをそれぞれ別々にやると納税者の申告の手間ということになりますと、そこはやはり簡素化しなければいけませんし、税務調査の場合にも、それぞれ二重にやると大変煩雑だということで、徴税費の節減ということも大事な観点ですから、国税同様の所得計算方法でいい、こういうふうにしているわけですね。

 ですから、前段は私も一般論でそういうことを申し上げましたけれども、こういう個々のものを見ますと、どうしてもお互いに連動させなければいけない税目というのはやはりあるのではないか。ただ、法人税の連結納税制度などは、やはり応益課税としての地方税の性格を踏まえる必要があるので、地方税に影響させないように、その影響を遮断する措置を講じているということもございます。

 ですから、そこは税目に応じて、やはりよくきちんと見て、必要なもの、それからそうでないものをよく峻別して、国税からの独立性を保つものは、きちんとその必要な措置を講ずるということが大事だろうというふうに思います。

森本委員 それと、非課税等の特別措置を個々に見てみますと、二年の暫定措置というものが本当に多い現実なんです。暫定と言いながら二年の措置の延長を何回も繰り返しておられるわけですが、その結果として何が起こるか。延長期限の近くになって、地方から陳情合戦が繰り広げられるという実態でございます。予算やその他政策要望を含めて、そういった陳情政治、陳情行政は、私は、膨大な無駄をつくり出していると言わざるを得ないと思っています。

 暫定措置については、きちんと政策評価した上で、本則にするのはする、廃止はするものはする、このようにしていくことが必要ではないかと思いますが、そのことについていかがですか。

増田国務大臣 非課税などの特別措置でありますが、これはやはり、特別な措置ということでありますので、できるだけ件数等は少なくなければいけないものであると思いますが、どうしても諸般の状況でそういった特別措置が必要であるならば、逆にその必要性というのを不断に見直しして、そして、本当に必要かどうかをその都度判断しなければいけないので、二、三年程度の時限措置として法制上措置しなければいけないのではないかというふうに思います。

 その上で、ちょうど期限が来たもの、二年あるいは三年たった時点で、今委員からお話ございましたとおり、政策効果や実績等をきちんと検証して、そして、必要性がもう薄れてしまったんだということであれば、やはり廃止をするということだろうと思います。そこは、暫定措置ということがただだらだら続くということではなくて、その時期、時期ごとにきちんと検証して、必要性の薄れた特別措置は廃止、縮減をするということだというふうに理解をしております。

森本委員 大臣、本則に二年、二年と、資料をいただいたら、ずっと二年ぐらいで続けておられるものがありますが、そこの本則のお考えはいかがですか。

増田国務大臣 本則も、実はこの税の議論、公平性、中立性の中で措置をしなければいけないものでありますので、個々の税目ごとに非常に細かく検証して見ていかなければならないと思うわけでありますが、恒久的に必要性があるというふうなものは、やはりそういうふうにきちんと本則に位置づけて、恒久措置として考えていかなければならないというふうに思っております。

森本委員 次に、地方税との関連を含めまして、地方自治体及び地方議会のあり方についてお聞きをさせていただきます。

 地方税というのは、もちろん、地方自治体の歳入そのものを決めていく重要なものであります。また、地方自治の観点からも、できるだけ住民の意思が反映される仕組みが必要でありますが、では、税条例について自治体はきちんと審議をしているのかといえば、現状はどうでしょうか、多くの自治体は首長による専決処分で決めてしまっているのではないでしょうか。ことしは少し様相が違いますが、通例ですと、国のレベルでは三月末に税法が成立するということになりますと、自治体では三月の議会には間に合わない、そこで、新年度の課税に間に合わせるために、首長による専決処分ということになっていたと思います。

 本来は、税条例についてもきちんと十分な審議をして、納税者の理解と納得の上で決められるべきものと思いますが、こうした事態、つまり、納税者の代表である議会の審議も議決も経ない税条例に基づいて税制が運用されている実態について、これは三重県議会では二回になりましたので、ここのところは幾分これから変わっていくと思うんですが、そのことについてお伺いします。

増田国務大臣 税条例も大変大事なものでございますので、やはりきちんと議会で審議をしていただいて、その上で決めていかなければならない。

 私も、知事をしておりましたときに大変悩ましい状況でございましたが、どうしても、国会の御審議が年度末近くにずれ込むということがございましたので、知事に就任してしばらくの間は、やむを得ず、これは本当にやむを得ずでございますが、専決処分でこれを処分して後日議会の方に御報告をするということをやっておりました。しかし、途中で、やはりこれはいけないと思いまして、年度内に議会審議を経るように、国会に提出されている法案をもとにして税条例の改正案をつくって、きちんと議会の議決をいただくように変更いたしました。

 全国、調べてみましたら、岩手県議会は今そうしているんですが、まだ余り数は多くないようでございますが、ほかのところで、年度末ぎりぎりですが、そういう形できちんと議会で議決をしているところが最近ふえてきてはいるようです。望ましいのはもちろんそちらの方向でございますので、私としては、ぜひ、特に議会ででき得る限り努力をしていただいて、きちんと議論した上で可決していただきたいなというふうに思っております。

 ただ、いろいろな事情がございますので、専決処分がどうしても必要な、その道を閉ざしてはやはり難しゅうございますので、その場合には専決処分ということになるわけですが、特に支障のないようなものについては六月以降の議会で審議をするということも可能なものもございますので、そうしたことも踏まえて適切に対応していただきたいというふうに思います。

    〔今井委員長代理退席、馳委員長代理着席〕

森本委員 大臣、時間がありませんので少し急ぎますが、少し飛ばさせていただいて、監査委員制度についてお聞かせをください。

 この制度については、地方自治法では、自治体の行政運営の公正性、効率性を確保するために、主に財源に関する事務の執行状況をチェックするための監査委員が置かれるということになっております。しかし、これは自治体のOBとか、まあ、「識見を有する者」というふうになっておるんですが、委員は首長が任命ということになっております。

 このことは、第二十九次地方制度調査会の専門小委員会におきまして監査委員制度に関する議論が今行われておって、委員を議会が選任することや、議選委員の廃止、全会一致の合議制の見直しといったような方向性の論点が取りまとめられつつあるというふうに聞いておりますが、監査委員制度の形骸化の現状をどのようにごらんになっておられるのか、また、地方制度調査会で現在行われている議論の方向性についてどのような御意見をお持ちになっておるのか、お答えいただけませんか。

増田国務大臣 この監査制度は、これから分権が進んでまいりまして、自己決定、自己責任の拡大に伴って、これまで以上に非常に重要になってくるというふうに思うわけでありますが、今お話ございましたとおり、自治体のOBなどが就任しているようなところも中にはあって、非常に形骸化しているということを指摘されておりました。

 今お話ございましたとおり、二十九次の地方制度調査会でこの問題を議論してございますが、監査委員の選任方法、監査能力の向上、それから外部監査のあり方等について、かなり回数を重ねて、今この点について御審議をいただいております。

 この二十九次の地方制度調査会の審議の結果を踏まえて、私どもも、この監査機能の一層の充実を図りたい、独立性と専門性というのを十分兼ね備えた、本当に監査機能を発揮されるような監査制度にしていきたい、このように考えております。

森本委員 今お話に出ました包括外部監査の件なんですが、地方自治法の改正によって外部監査制度が導入されたのも、本来の監査委員制度が十分に機能していなかったことのあらわれではないかというふうに思います。包括外部監査と個別外部監査がありまして、都道府県や指定都市、中核市などは包括外部監査が義務づけられておるわけであります。しかし、これはかなりお金がかかるんですよね。ですから、そのことについて、大臣、この外部監査について大臣の認識はいかがでございますか。

増田国務大臣 私が知事をしておりましたときも、外部監査をお願いして、それで随分的確に厳しく指摘していただいた案件がございました。ただ、今お話ございましたとおり、優秀な人を頼もうとすると、これは契約になるんですけれども、かなり費用がかかるのも事実でございます。

 そういうことで、いい制度だと思っておりますけれども、有効活用や実施の拡大を図りたいんですが、やはり議論が必要な部分もございますので、今この点も地方制度調査会の方で御議論いただいております。ぜひ幅広く御議論いただいて、この制度も有効な制度になるようにしていきたいというふうに思います。

森本委員 包括外部監査がなくても、監査をしっかりしておれば、むしろそれで解消できるという考えも私も持っておりますので、あわせてよろしくお願いをいたします。

 それと、大臣、少し省略しますが、使命感に燃えられて税金の無駄遣いをしっかりチェックされておる市民オンブズマン、こういう方々に監査をやっていただいたらどうかと思うんですが、そのことについてはいかがですか。

増田国務大臣 監査委員の資格というのは法律で決められておりますけれども、いずれにしても、識見を有する者ということでございます。オンブズマン、これは、そういうことになっておられるいろいろな方々がいるわけでございますけれども、やはり監査制度そのものは、厳しくチェックをしていただく、こういう制度でございますから、そういうオンブズマンの中でこうした資格要件にきちんと該当するような方がおられれば、なっていただいてその能力を発揮していただくということも、当然一つの考え方だろうというふうに思います。

 これは長なり議会の方の御判断でございますけれども、私としては、御指摘のように、監査制度が、形骸化が言われて久しいわけでございますので、本当の、真の意味で発揮させるために、やはり人、一番いい人を得なければいけないというふうに思っておりますので、どういう制度になるにせよ、選任の方法がどういうふうになるにせよ、とにかく、ぜひそういう有為な人材を幅広く選んでいただきたい、こういうふうに思います。

森本委員 時間が参りましたので最後にしますが、大臣、これはあわせてお答えいただきたいんですけれども、住民監査請求が活発にやられておるかおらないか。私は、やられておらないと。しかし、その中で、例えば、住民監査請求でせっかく費用を浮かすというんですか節約したにもかかわらず、他の部署で使われてしまう今の行政の仕組み、ここはやはり、住民の皆様がこうしたチェックをして、費用、残された分を有効に使えるような仕組みというものをつくっていかなければならないと私は思うんですけれども、最後に、簡単にお答えください。

増田国務大臣 住民監査請求は年々増加はしてきています。十八年度約一千件ということでございますが、やはり住民の意識が大変高くなってきているということだろうと思います。

 今お話ございましたとおり、そうやった結果、いろいろ指摘があって、そして無駄遣いが指摘されて、監査請求によって経費が節減されたという場合には、そのせっかく生み出された財源というのは有効に活用していただきたい、私もそう思います。その点は御指摘のとおりだと思います。

森本委員 ありがとうございました。終わります。

馳委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、地上デジタル対策についてお尋ねをいたします。

 昨年八月、総務省の情報通信審議会「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」第四次中間答申で、アナログ放送において放送の電波によりカバーしている地域は放送事業者の自助努力により一〇〇%カバーすることを基本として取り組んでいるが、二〇一一年時点においてデジタル放送を送り届けることができない地域が存在することは避けられないとしております。そして、衛星を活用したセーフティーネットを提言しております。

 あわせて、昨年九月の市町村別のロードマップでは、二〇一一年以降の新たな難視・デジタル化困難世帯として、NHKで十九万から二十六万世帯、民放でも同様の世帯数が生まれるとしております。もちろん、ここには、現在でもアナログ波が届かない地域は別に残されたままという状況になります。

 そこで、一点お尋ねしますが、総務省として、アナログ放送が現在視聴可能なエリアでデジタル放送がカバーできない、こういう世帯が生まれること、また、その際、衛星活用のセーフティーネットを行うということについては容認する立場なのか、その点を確認させてください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、政府といたしましては、現在アナログ放送をごらんになっている世帯のすべてにデジタル放送をごらんいただけることになりますよう、関係の放送事業者とも連携いたしまして最大限の努力を行っているところでございます。

 私どもとしては最大限努力を行っているところでございますが、どのような場合におきましても、二〇一一年七月二十四日の時点におきまして地上デジタル放送を送り届けられないことのないよう、まさにセーフティーネットといたしまして、衛星を利用してデジタル放送を送り届ける放送についても検討している、こういう段階にございます。

塩川委員 要するに、アナログのカバーエリアは地デジでもカバーしようということで最大限努力しているけれども、そういかない場合があるということでセーフティーネットを検討するということですから、いわば達成できないということを前提にこういうことが進められているということであります。二〇一一年までに一〇〇%カバーできないことを前提にした取り組みが行われているという点でも今までの対応とあわせて重大で、改めて見直しが必要だと考えます。

 そこで、この中間答申を受けて、全国地上デジタル放送推進協議会では、「衛星によるセーフティネットに関する検討結果について」をまとめております。この中では、二〇一一年のアナログ放送終了期限において地上デジタル放送が受信できない地域に対して、放送衛星により、NHK総合・教育及び各民放が放送する番組を再送信するということをうたっております。

 そこでお尋ねしますが、この推進協議会の検討文書では、実施期間、対象世帯、視聴可能番組、そして視聴者負担はどのように取り上げておりますか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のございました、昨年十二月、全国地上デジタル放送推進協議会から情報通信審議会の地上デジタル放送推進に関する検討委員会に報告された内容でございますけれども、まず実施期間でございますが、これにつきましては、平成二十一年度内に開始し、運用期間は五年間を基本とするとされているところでございます。また対象世帯につきましては、地形等の理由により直接デジタル電波が届かない世帯、またはデジタル混信により視聴が困難となっている世帯のうち、共聴施設等の手段を用いてもデジタル放送が受信できない世帯。それから視聴可能番組につきましては、先ほど先生からもお話がございましたが、NHKは総合(東京)と教育の番組、民放は各地方局の系列キー局の番組。視聴者負担につきましては、視聴者負担のあり方を含めて今後検討を行うことが必要であるとされているところでございます。

 いずれにいたしましても、現在、具体的実施方法につきましては情報通信審議会において御議論いただいているところでございますので、本年夏までに基本的考え方をまとめていきたい、かように考えている次第でございます。

塩川委員 この推進協議会には、NHK、民放、そして総務省も参加しているわけですから、総務省としてこの方向でやろうということになります。

 そこで、重ねてお尋ねしますが、衛星放送を活用するということですけれども、衛星放送の場合に、地域放送、地域番組というのは視聴できるのか。例えば地域の災害情報というのはテレビを通じて提供されることになるのか。その点についてお示しください。

小笠原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、視聴可能番組につきましては、全国協議会から御報告した内容によりますと、NHKは総合(東京)、教育の番組、民放は各地方局の系列キー局の番組ということで、各地域の番組というのはその中には含まれておりませんので、先生今おっしゃったような番組については提供が難しいということでございます。

 いずれにしましても、そういったような性格のものであるだけに、私どもとしては、いわゆる衛星セーフティーネットというものは、性格として緊急的あるいは暫定的、緊急避難的なものでございますし、そうしたものが最小限となるよう、できる限り、現在、中継局の整備、その他辺地共聴施設の整備等に最大限の努力を払っているところでございます。

塩川委員 今お話しのように、衛星放送では地域情報が提供されません。今まで受けていたアナログ放送で地域の放送を見ていた、それが見られなくなる。ですから、地域放送の充実を掲げている総務省の方針にも反するものとなります。

 この間、全国の地デジ移行に当たって、地方で取り組んでおられます四十道府県の検討会のお話を伺ってまいりました。この三月までは高知県が会長でありましたので、お話をお聞きした中でも、高知県の場合に、高知県に台風が来ているのに東京の天気予報が流れても意味がないじゃないか、こういう意見が寄せられました。

 衛星放送を容認すれば、今でも地上波、地上デジタルの努力をしなくても届くわけですから、そういう点でも地デジ投資そのものを行う動機が失われることにもなるわけで、放送事業者の責務を棚上げして視聴者にしわ寄せするようなやり方になるのはおかしいということになります。

 配付資料の一枚目に、今局長から答弁もいただいたセーフティーネットの実施方法についてありますけれども、一番下に「経費負担」とありますように、視聴者負担のあり方を含めて今後検討を行うことが必要だ、このようにも示されています。

 結局、衛星放送を受信するための設備や受信料などの負担も検討課題になるということは、アナログ放送は映っていた、それなのに地デジでは映らなくなる、そういう人には、地元の放送は見られませんよ、東京の放送を見てください、あわせてお金の負担もしてくれと。これは余りにも虫のいい話で、通る話ではないということを申し上げたい。

 そこで、大臣に伺いますが、全国協議会の検討文書では、先ほど局長の答弁にもありましたけれども、「この措置は、地上系の放送基盤により地上デジタル放送が送り届けられるまでの間の暫定的・緊急避難的な措置として実施するものであり、終了期限を定めて実施する。」とあります。つまり、五年間できちんと地デジについては対応しましょうという話になっているわけですね。

 そうしますと、二〇一四年度内には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するという、暫定的な措置としての衛星のセーフティーネット利用になります。ということだったら、二〇一四年度には地上デジタル放送が受信できないエリアを解消するということに合わせて、アナログ停波をそもそも五年間延長したらどうですか。

    〔馳委員長代理退席、今井委員長代理着席〕

小笠原政府参考人 先ほども申し上げましたように、私ども、放送事業者と連携いたしまして、地上デジタル放送の電波を全国の各世帯へ送り届けようと最大限努力をしているところでございます。ただし、地形などの原因によりまして、放送を良好に受信できない地区が発生する可能性があるということも想定され、そのような地域に電波を送り届けるためには新たなチャンネルを多数確保することが必要となる可能性がございます。

 しかしながら、先生御承知のように、現在、アナログとデジタルのサイマル放送を実施しております。つまり、過去、アナログ放送に使用していた同じ周波数の幅の中に、アナログとデジタルの両方を放送しているわけでございまして、そのチャンネルと申しますか周波数というのは、相当の逼迫状況にございます。したがいまして、新たなチャンネルを多数確保することが必要となるという場合には、まずはアナログ放送を一たん停波して、周波数の余裕を生み出した上でそのための放送用のチャンネル数を確保することが必要でございます。

 したがいまして、セーフティーネットと申しますのは、これによって確保したチャンネルを利用して、まさに先生がおっしゃいました、地上系の設備を整備する期間の間、暫定的、緊急避難的な措置として実施するものであるということを御理解いただきたいと思います。

塩川委員 周波数帯の逼迫状況というのは、それはまさに総務省の仕事であって、問題は、国民・視聴者のためになんですよ。国民・視聴者のために行っているのに、その視聴者は地デジが見られなくなる。地方なのに東京のテレビを見なければいけない。地デジ対応の整備がならないのに、衛星放送についての負担も検討の対象になっている。踏んだりけったりな状況ですよ。こういうのを容認するのか。これは、是正する上でも、五年延ばせば対応ができるというんだったら五年延ばせばいいじゃないのかということを、やはり改めて今考えるべきです。

 そこで、大臣、お聞きしますけれども、先ほども紹介しました四十道府県の検討会、地上デジタル放送普及対策検討会も昨年十一月に提言を出しておりまして、先日公表された市町村別ロードマップでは、新たな難視世帯の発生等、地上アナログ放送停波時に多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況となっている、多くの住民がデジタル放送を視聴できない状況が二〇一一年までに改善されない場合、安易にセーフティーネットの措置を講じることを理由にアナログ放送の終了を容認することは難しいという厳しい声が自治体から寄せられております。

 今度の会長は岩手県だそうですけれども、知事時代に随分御努力されたというお話も伺いました。地デジ対応のテレビの普及状況など、受信側の対応がおくれているというのも明らかであります。加えて、送信側の対応も二〇一一年までのアナログ波のエリアカバーが間に合わない。ならば、二〇一一年のアナログ停波を延期すべきではありませんか。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 今先生お話しの四十道府県の会でございますけれども、私も随分、当時高知県の橋本知事に旗振りをお願いしまして、私も難視聴のところが解消されないことを大変心配して、当時の立場で積極的に総務省に物を申し上げたんです。また、いずれにしても、やはり目標を持って、そしてこの問題を解決していかなければならない。

 先ほどいろいろお話ございましたが、まず、今NHKベースで九三%ということになっているんですが、とにかく、最大限視聴可能エリアを広げていくために、NHK、民放、そして総務省、それから自治体も含めて最大限努力をしていく、目標を持って努力をしていくということが必要でございますし、そのために、送信側、受信側もいろいろロードマップをつくって今やっているわけであります。

 これが崩れてしまいますと、やはりその取り組みがおくれてしまうということになりはしないかということを大変私も懸念しておりまして、一度時期を決めたらそこに向けて、そのときに視聴可能エリアをとにかく徹底的に広げていく、いろいろな技術、ありとあらゆるものを使って広げていくということが今必要であります。私はそういうふうに思います。全力でそれに向けて努力をしていくということが必要だろうというふうに思うわけであります。

 ですから、アナログ放送の停波の時期、二〇一一年七月二十四日、これはきちんと決めた上で、もうすべてが全力を挙げて努力をしていく。そして、あと最後の最後のセーフティーネットは、これはいろいろな電波の余裕を生み出すためにも、どうしてもそうしたことで、視聴可能エリアを全部広げていく上でも必要なことでございますので、この点については特に国民の皆様方に十分御理解いただけるように説明をして、そして、いずれにしても、限りなく一〇〇%に近づけるように努力をしていきたいというふうに思います。

塩川委員 受信側の対応のおくれは明確です。送信側についても、アナログのエリアについて一〇〇%カバーできないということを今はっきりと認めたわけですから、この点について、今の時点、二〇一一年のアナログ停波というのも選択肢として対応すべきだ、このことを強く申し上げるものであります。

 次に、地デジ普及に当たっての大きな課題の一つに、共同受信施設、共聴施設の改修問題があります。

 資料の二枚目に、これはNHKの資料ですけれども、全受信世帯の中で、右側上に辺地共聴、それから左側に破線で囲まれています集合住宅共聴、それから障害対策共聴、主に三つの共聴施設の対策というのが重要になってきております。

 資料の四枚目に、その中で辺地共聴施設についての都道府県別の施設数、世帯数の一覧表を載せました。

 NHK共聴はNHKが対応するとして、自主共聴については、全国で施設数が一万、世帯数が七十八万、これは、都道府県別で見ますと、一番右側のパーセントは都道府県ごとの世帯数に占める辺地共聴施設の世帯数です。例えば和歌山県一一・〇%とか、岩手県なども九・四%と極めて高い割合で、こういうところに対する対応策がどうなっているのか、このことが今問われているところです。

 そこでお尋ねしますが、総務省の予算措置として、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業、これは電波法の改正にもかかわる部分ですけれども、そのうち共聴施設の整備支援事業について、国の負担、市町村の負担、視聴者の負担の割合がどうなっているのか、お答えください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、先ほど来御答弁申し上げておりますが、二〇一一年七月二十四日までにデジタル放送の完全移行というものを確実に達成するために、辺地共聴施設において地上デジタル放送を受信するための施設整備を行う場合に、その所要経費の一部を国が補助しているところでございます。

 具体的に申しますと、二十年度予算に盛り込みました国、市町村及び視聴者のそれぞれの負担割合ということでございますが、国が整備事業費の二分の一を負担する、そして市町村と視聴者で残りの二分の一を負担するというのを基本にしているところでございます。

 なお、この補助制度の適用に当たりましては、視聴者の負担といたしまして、放送エリア内、つまり個別アンテナでごらんいただくといったような住民の方々との負担の公平さを図るため、通常デジタル化に要する費用を負担していただくことを前提にしているところでございます。

塩川委員 資料の五枚目に、その負担割合、補助額の算出方法がありますけれども、特に視聴者の負担の三万五千円というのは、それ以外にもデジタルテレビや、あるいは地デジ対応のチューナーの購入も必要なわけで、大変大きな負担という点でも負担軽減が必要でありますし、あわせて、なぜ市町村が負担をしなければいけないのかという問題があります。

 放送行政に係る国の共聴施設の整備支援事業について、市町村に負担を求める根拠は何なのか。大臣、この点いかがですか。

増田国務大臣 辺地共聴の関係でありますけれども、制度が二十年度に少し変わりまして、この負担割合が変わったんですが、いずれにしても、市町村にとりましては、これは地域住民、村内の住民の皆さん方がひとしくデジタル化の恩恵を享受できる環境を確保する、そして、地域での情報通信基盤整備という側面もございますので、そういう観点からこれについて御負担をお願いするということでございます。

 もちろん、市町村負担を伴ってこうした辺地共聴施設の整備を行う場合に、国から先ほどお話がございましたとおりの補助が出るわけでございますが、この市町村負担部分については、総務省として地方財政措置を講ずることとしているところでございまして、その点については、今後もよく自治体の皆さん方に御説明をして、自治体の皆さん方の御協力も得ていきたい、こういうふうに思っております。

塩川委員 自治体が自主的に行うものについて、私は何も、それがだめと言うものではありませんけれども、そもそも放送行政を所管する国が地方自治体に負担を求める根拠は何なのかということをお聞きしているんです。その点でお答えがないんですけれども。

 では、放送法上に自治体の権限とか責務というのは規定されているんでしょうか。

小笠原政府参考人 放送法の上で地方公共団体の責務というのは、特段の規定はございません。

 ただ、地方公共団体の負担を求める根拠ということにつきまして申し上げますと、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、地域住民がひとしくデジタル化の恩恵を享受できる環境を確保する、あるいは地域における情報通信基盤を整備するという観点から地方公共団体が財政措置を講ずる場合もあり、その場合につきましては地方財政措置も講ずるということにしているということでございます。

塩川委員 そもそも、放送行政に係る仕事については、国あるいは放送事業者の責任で行われるべきものであって、地方自治体に負担を求める根拠というのはないわけですよ。本来は、国あるいは放送事業者がきちんとこれについての負担をするということこそ求められているんじゃないですか。そもそも放送法には自治体というのは一言も出てこないわけですから。何らの規定もないわけです。

 高知県などにおいても、自治体は放送法に規定されている権限、事務はないので、テレビ放送に関する業務はない、地上デジタルは本来国の責任において解決すべきだ、このように述べています。これは、地方公共団体の筋としての主張だと思いますよ。

 ですから、改めて大臣に伺いますが、そもそも地デジ、自主共聴施設を含めて共聴施設については、国及び放送事業者、あるいは地デジに当たって利益を享受する事業者が負担するというのが筋であって、視聴者や、ましてや地方公共団体に負担を回すというのは筋違いじゃありませんか。

増田国務大臣 地上デジタル放送に切りかわりますと、自治体の立場からいいましてもさまざまなサービスが提供される、災害時のさまざまな地域のきめ細かな情報等の提供も可能になってくるわけでございまして、地域の住民の皆さん方の視点から見ましても、そういう意味で情報基盤が非常に強化される、ひとしくその地域全体で情報基盤が強化されるというふうに思います。

 そうしたこともございますので、当然、昨年度、国の方で用意しましたこうした辺地共聴施設の整備の制度といいますのは国の負担割合もまだ低うございましたので、今年度は国の負担割合を高めました。逆に言いますと、各自治体の負担割合はその分下げたわけでありますが、なお自治体の方にも御支援をお願いするということが適切ではないか、こういうふうに考えているものでございます。

 しかし、全部その自治体に補助裏を負担させるということではなくて、総務省として、過疎債、辺地債等、地方財政措置も講じているところでございまして、この点については、地方の自治体の皆さん方にもよく御説明をして、御理解いただくように努力をしていきたいというふうに思います。

塩川委員 本来、キー局のような放送事業者が負担をするとか、あるいは地デジ対応の跡地利用があるわけですから、跡地利用の周波数帯で収益を上げるような携帯電話事業者に負担を求めるとか、あるいは大手の家電メーカーなどに負担を求めるとか、本来そういうところから対応することが必要で、そういう対応を国として行うことが今求められている。筋違いの視聴者や地方公共団体に負担を求めるべきではない、このことを改めて指摘をしておくものです。

 あと、残りの時間で、防衛省の航空機の受信障害対策について何点かお聞きします。

 資料の六枚目に、防衛省から出していただいた、航空機受信障害に伴う実績世帯数の表を載せました。七つの防衛施設において、合わせて七万世帯の実績であります。共同受信アンテナですとかケーブルなどで全額補助の事業を防衛省として行っているわけです。

 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この対象施設の一つであります厚木航空基地のある綾瀬市においては、独自に地デジの場合の航空機受信障害調査を行い、影響があるということを確認し、その旨を防衛省に調査の要請をされたと承知をしております。防衛省としてどのような対応をされたのかをお示しください。

地引政府参考人 お答えさせていただきます。

 これまで、厚木飛行場周辺におきましては、航空機の離着陸等の頻繁な実施により生じますテレビの受信障害を防止または軽減するために、綾瀬市等に対し、アナログ放送に対応した共同受信施設の整備に当たって補助金を交付しているところでございます。

 綾瀬市は、平成十七年度に地上デジタル放送に対する航空機受信障害調査を実施されまして、一部の地域においては、航空機の飛来時にテレビ画像に障害が認められたとの結果が得られたと承知しております。

 防衛施設庁といたしましては、綾瀬市からの要望があったこと、また、地上デジタル化によりまして、今後全国の飛行場周辺において同様の要望がなされることが予想され、航空機の離発着等により地上デジタル放送に受信障害が発生するか否かの実態を把握する必要があったことから、平成十八年度におきまして、厚木航空基地周辺七市域を調査対象といたしまして、航空機受信障害について調査を実施したところでございます。

 綾瀬市及び大和市の一部の地域において瞬時の受信障害が確認されました。その調査結果につきましては、平成十八年度に厚木飛行場周辺七市へ御説明したところでございます。

 さらに、当省といたしましては、綾瀬市から共同受信施設の地上デジタル放送に対応した施設の整備要望がございましたことから、平成十九年度に綾瀬市内を対象とした詳細な受信障害調査を実施いたし、現在調査結果を取りまとめているところでございます。

塩川委員 基地周辺自治体から要請があれば、地デジ対応の航空機受信障害調査を行うということでよろしいんでしょうか。あわせて、ここに挙がっていないような基地がありますね。そういう基地について、もし、周辺自治体から要望があれば同様の調査を行う考えがあるか、その点をお答えください。

地引政府参考人 お答えさせていただきます。

 航空機の離陸、着陸等の実施によって生じますテレビ放送の受信障害の実態調査を実施することにつきましては、関係する地方公共団体等からの要請がございますれば、受信不能等映像の一部に乱れが生ずるなど、地上デジタル放送の航空機受信障害の具体的な状況を確認するなどした上で、調査の実施について検討してまいりたいと思っています。

 また、今までテレビ共同受信施設の対処が講じられていない地方公共団体からもそういう御要請があれば、同じような考え方で対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。

塩川委員 地デジの場合においても受信障害が完全になくなるというわけではありませんので、そういう点でも防衛省としてきちんと調査を行う。調査を踏まえて、障害が出るということであれば、当然のことながら、地デジに対応した受信障害対策を行うということでよろしいですか。

地引政府参考人 御指摘のとおり、そういう事態になりましたならば、周辺環境整備法に基づきまして、我が方が持っております法律に基づきまして適切に対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。

塩川委員 ここに挙がっていないような航空自衛隊百里基地ですとか、あるいは米軍横田基地、あるいは沖縄の米軍嘉手納基地などもあります。そういったところについても、要望を踏まえて適切な対応をきちっと行うことを改めて求め、もともと基地撤去を求める声もありますけれども、少なくともこういう障害は許さない、きちっと排除するということを強く求めて、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、郵政関連を中心に質問をいたします。

 まず、郵便事業会社の事業計画についてお尋ねいたします。

 先月三十一日に、郵便事業会社が申請しました事業計画を総務省が認可したと聞いておりますが、その中で、営業収益が前年度比一・五%減との見通しが立てられています。営業収益が減少するとの見通しを立てた理由をお聞かせください。

伊東参考人 お答えいたします。

 御質問ございました平成二十事業年度の事業計画につきまして、営業収益、御指摘のとおり一・五%減という見通しを立ててございます。

 この理由でございますが、最近のそれぞれの、私どものサービスをしております手紙、はがき、あるいはゆうパックなどの、これまでの物数の増減傾向、あるいは今後の取り組みの計画などを踏まえて策定したものでございます。具体的には、ゆうメール、ゆうパックの物数については増加を見込んでおりますが、手紙、はがきなどの普通通常郵便物の減少がこのところ続いている傾向にございますので、どうしても全体の収益のシェアはこの手紙、はがきが多いということから、対前期二百八十四億円の、一・五%減、一兆八千八百八十一億円を見込んだものでございます。

重野委員 次に、事業計画の中で、お年玉付郵便葉書等の計画値が四十二・四億枚となっております。その中には年賀はがきだけではなく夏のお便り郵便はがきも含まれている、こういうふうになっているんですが、年賀はがきが何億枚、夏のお便り郵便はがきは何億枚、また、その他もあれば具体的な数字をお聞かせいただきたい。また、この前年度の計画値は、年賀はがき、夏のお便り郵便はがき、その他、それぞれ何億枚だったのか、比較対照してみたいと思うので、お聞かせください。

伊東参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十事業年度の事業計画におきまして、年賀はがきなどと夏のお便り郵便はがきの合計で四十二億四千万枚を計画しておりますが、具体的に年賀はがきが幾らで夏のお便り郵便はがきが幾らかというのは、これから決めるところでございます。

 平成十九年度の計画でございますが、年賀はがき等につきましては四十億枚を計画してございました。実際の発行枚数ですが、年賀はがき等は平成十九年度四十億二千万枚、それから夏のお便り郵便はがきは二億三千万枚となっているところでございます。

重野委員 この年賀はがきについては、一度この委員会でも質問いたしました。その中で私が強く指摘したのは、無理な営業目標によって、いわゆる自爆営業という言い方がされているのだそうでありますが、そういうものが行われているのではないか、このように指摘をいたしました。そのとき、参考人からも総務大臣からも、実需のない買い取りはないようにするという答弁がありましたが、今話のありました今回の計画値にこうした経過というものがどういうふうに反映されているのか、お聞かせいただきたい。

伊東参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、私、そのとき答弁させていただきました。昨年度、つまり平成十九年度、この二十年の正月の年賀でございますが、先ほど四十億枚強発行しましたと申し上げましたけれども、売れた額、販売枚数は、三十六億一千六百万枚でございます。したがいまして、今度、夏のお便り、いわゆる「かもめーる」も含めて四十二億枚強を今予定しているわけでございますので、どういうニーズというものを見込んでこの計画を立てたのかという御質問だろうと思います。

 私ども、事業計画の中におきましても年賀はがきについて触れておりまして、この二十年年賀、私どもとしては、販売の低落傾向に歯どめがかけられたのではないかというふうに認識をしておりますが、さらに「年賀郵便の利用の増加を図るとともに、」ということを事業計画でもうたっております。

 具体的に申し上げますと、この二十年の年賀につきましては、年賀タウンメール、あて名がなくて一定のエリアに全部お出しになる、そういうタウンメールというのがあるんですけれども、これの年賀用でございます。これが一昨年に大体五百万枚ぐらいあったのが、昨年、つまりことしの年賀になりますが、三千万枚ぐらいにふえております。これは法人の方がかなり利用していただきまして、そういった傾向を踏まえまして、現在いろいろニーズ調査なども行っております。

 まさに、私ども、ニーズがあって初めて計画があり、目標があるということで進めてまいっておりますので、今申し上げましたような、特に法人向けというところで、我々、ある程度期待にはなるんですけれども、かなりの販売の見込みが立てられるのではないかということで、今度の二十事業年度の計画の中で、夏のお便りはがきと一緒ではございますけれども四十二億四千万枚の数字を掲げたところでございます。

重野委員 私が危惧するのは、実需のない買い取りはさせないと言いながら、他方で、計画値にはそれを反映させない。となると、結果的に現場はその板挟みになるのではないかなということですね。

 無理な目標を与えられて、目標達成が強制されて、しかし自爆営業はだめですよ、こうなると、現場の職員は大変なんですね。サラリーマン川柳に「無理させて無理をするなと無理を言う」、こういう川柳があるんですね。どうも聞いていると、そういうふうなことが実際行われているんじゃないかな、こういうふうに推測せざるを得ませんね。

 そもそも、計画時点で実態、実需を正確に把握してそれを反映させるということを行っていけば、そういうふうなことは私は起こらないんじゃないかと思うんですが、果たしてそういうふうなことが具体的になされているのかなという点について疑問を持たざるを得ないんですね。

 この点について、さきのこの委員会でも私は大臣にもお尋ねいたしましたけれども、大臣のお考えを、あるいは認識を改めてまた聞いておきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 この事業計画でありますけれども、やはり現場、事業運営の実態を踏まえて、そして達成可能性ということも十分考慮されてつくられなければいけないというふうに思います。

 ですから、郵便事業会社の方でも、そうしたことの中で、きちんと現場を把握されて今回つくっているというふうに思っておりますが、真摯な営業努力ということも今後も引き続き行っていただいて、そして国民の信頼をぜひ得ていただきたい、こういうふうに思います。

重野委員 新しい郵政の体制になって、若い方の退職等々が意外と多いんですね。非常に、それは、当局が思った以上に現場の職員が職場を去っていく。

 やはりその背景にはこういうふうなことがあるんじゃないかと思うんですね。大きな割り当てをもらって、実際にそれが全部さばければいいんですけれども、そうじゃなくて、その部分は全部自分でかぶる、こういうふうなことが実際にあるというふうに私も聞いていますし、そういうことはやはり郵政に働く皆さんの覇気に私は影響してくると思うんですね。やはりそういうふうなものが積もり積もって、予想した以上に職場を去っていく人が多いということにつながっているんじゃないかと。

 私は、そこのところをやはり深刻に受けとめて、本当に現場の職員がやるぞと気持ちよくやれるような、そういうことに対する配慮が、実績実績という要請にこたえるがために、そこら辺がいささか無理なことが行われているんじゃないか、このように考えますので、私は一年ぐらいたったらまたこれは聞きます。ですから、そこのところはしっかり受けとめて、目を光らせていただきたいな、このように思っております。

 次に、郵便事業会社の事業実績について伺いますが、先ほど質問したとおり、事業計画における営業収益、前年度比マイナス一・五%としております。その理由として、通常郵便物の取扱数が二〇〇一年度の二百六十二億通をピークにその後減少していると説明がありました。

 他方、冊子小包、商品名で言いますとゆうメールというんですが、このゆうメールについては、料金の引き下げあるいはサービス改善などによりまして、通常郵便物からの利用変更で大きく伸びている、こういうふうになっております。

 ことし一月のゆうメールの実績は、資料によりますと、前年度同期と比較いたしますと三九・六%の増加、これは大変な伸びであります。また、二〇〇八年度事業計画でも、年間を通じて一二・三%の増加を見込んでいる。非常に有望な商品であるように見えているんです。

 そこで聞いておきたいのは、料金引き下げとありますが、最大でどの程度の割引率を適用しているのかということが一つ。それから、個人が二百グラムのゆうメール一個を郵便局で出す場合と比べて、同じ重さのものを特別運賃で出した場合の割引率はどの程度になっているのか、これを、配達支店内、県内、県外、それぞれの数字を教えていただきたいと思います。

伊東参考人 お答えをいたします。

 ゆうメールにつきまして、割引とか特別運賃というものではなくて、一般のお客さんがお出しになる場合の料金を最初に申し上げます。二百グラムというのを一応目安にして申し上げますが、これを割引なしでお出しになる場合は、一通二百十円でございます。

 一定の量、例えば五百通とか五千通とか一定の量を出していただいた場合、もちろん、量だけではなくて、ある意味ではワークシェアリングといいますか、私どもの方で行う作業をお客様の方でやっていただく、具体的に申し上げれば、郵便支店ごとに区分をしてもらうとか、あるいは大きな支店に直接持ち込んでもらうとか、あるいは、私ども、原則翌配で配達をしておりますが、三日間程度、遅延承諾とか呼んでいますけれども、そういう余裕を私どもにいただけるとか、こういう条件のもとで、特別運賃とか特別料金というものが設けられております。

 具体的に、先ほど二百十円というのは、二百グラムでそのままお出しいただいた場合の料金を申し上げましたので、それとの比較で申し上げますと、月間五千個以上、今私が申し上げた区分をしていただくとか、あるところに出していただくとか、ある程度おくれてもいいとかということの条件を満たす場合に、配達支店のエリアの、昔々の市内特別郵便みたいなものですけれども、その郵便の支店の配達エリアで完結してしまうものにつきましては六十五円でございます。それから、県内あての場合には七十円。ですから、六十五円の場合には三分の一ぐらいですかね。それから、県外あてが八十円。ですから、六十五円、七十円、県外あてが八十円、こういった料金になります。

 さらに、量がどんどんどんどんふえていきますと、これにまた一定の割引率が、もちろん、その場合に幾つかの条件が加わりますけれども、最大九%ぐらいですか、割引が加算される、これが条件でございます。

重野委員 わかりました。

 次に、特別運賃(1)と(2)というのがあるんですが、この特別運賃の差し出し個数条件、これを教えていただきたい。あわせて、ゆうメールの引受物数のうち、割引のないもの、それから、今話がありましたように、特別運賃(1)、(2)それぞれの割合、それを教えていただけますか。

伊東参考人 お答えいたします。

 特別運賃(1)というのは、先ほど申し上げました幾つかの条件を満たす場合ですが、月間あるいは同時、五百個以上五千個未満というのが特別運賃(1)の通数、数の条件でございます。特別運賃(2)は、月間あるいは同時、五千個以上ということでございます。

 これらのそれぞれの割合という御質問でございますが、私ども、一つ一つの割合は手元に持っておりませんで、こういった特別運賃全体の割合がそうでない一つ一つお出しになるものとの比較というものを持っておりまして、特別運賃全体がゆうメールの中で占める割合は九割強でございます。

重野委員 わかりました。

 そこで、もう一つお尋ねしますけれども、民営化以降、民間会社との提携話が進んでいるようですね。民営化以前から佐川急便とはメール便に関して提携を行っているというふうに聞いております。

 どういった提携が行われているのか、その内容と、なぜ提携したのか、その理由、それを簡潔にお聞かせください。

伊東参考人 お答えいたします。

 今申し上げました特別運賃というものを、基本的にはたくさん出される大手のお客様が多いわけですが、そのお客様が利用される、ある意味ではお客様のお一人として佐川急便さんがいらっしゃるということで、佐川急便さんと提携して何か特別なサービスを私どもがお客様に提供しているわけではございません。

 したがいまして、佐川急便さんの方でこの特別割引を使った、ある意味では我々にお出しになるものについて、飛脚ゆうメールというようなことをたしか呼んでおられると思いますけれども、これは佐川急便さんだけではなくて、ほかの同じような大手のお客様でも同じように名前をつけられて、何とかゆうメールということで私どもにお出しいただいている例もございます。そういう意味では、特に提携ということではなくて、私どもが提供させていただいている特別運賃というものを御利用いただくという形の中でそういうお名前をそれぞれのお客様がつけておられるということで、私どもとしては、ある意味では理解をしているというか、そういう出され方でございます。

 なぜどこどこと提携かということではなくて、私どもが、たくさんお出しになるときには当然さっき申し上げましたように安くなりますので、それをそれぞれのお客様がお使いになっていただいているときの名前だ、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。

重野委員 だとすると、今、郵政とそういう関係を持っている輸送業者というんですか運送業者というんですか、それは何社ぐらいあるのかということが一つですね。

 そういう郵政と運送業者の関係を見ると、運送業者は運送業者の値段で民間の多数の方から引き受けるわけですね。それを郵便局に持っていくと、引き受けた値段よりも、郵便局に任せた方がそこで安くなるんですね。そうするとその差額が運送業者のもうけになるみたいな形が今形成されている、そういうふうに理解するんですが、その事実はお認めになりますかどうか。

伊東参考人 御指摘いただきましたとおり、それぞれのお客様が、そのお客様が持っておられるいろいろなお客様から集めてきまして、まとめて私どもにお出しになる。それで、私どもに出していただいたコストよりも、お客様からいただいたものの全体の収益の差額でそれぞれ当然のことながら経営をやっておられるというのは、もともと、私どもは発送代行と呼んでおりましたけれども、そういう業者の方もいらっしゃいました。それだけではなくて、さらに、御自分で持っておられるそういった運送手段をお使いになって、いろいろなところから集めてきたものを私どもに全部まとめてお出しになるというのが、先生御指摘の佐川急便さんのやり方なのかなというふうに思っております。

 したがいまして、いずれにせよ、お客様からたくさん集めてきたものを私どもにお出しになる中での仕事の仕方というのが、ある意味では先生の御指摘のとおりで、そういう業者もいらっしゃるし、それはもう運送会社だけではなくて、そういう発送代行という方もいらっしゃいますし、それ以外のもともと一般の大口のお客様としてこれを御利用になる方もいらっしゃいますので、いろいろな形態があるのかなというふうには私どもとしては理解しているところでございます。(重野委員「何社あるんですか、何社、取引している」と呼ぶ)

 それで、どういう使い方をされているかという細かい分析までは私どもはしていませんが、いずれにせよ、この特別運賃を利用していただいているお客様、それは、さっき申し上げたように、大口のお客様ということで御理解いただければいいかと思うんですけれども、大体四千五百社ございます。

重野委員 民間企業同士がそれぞれの長所、短所を補い合うために提携する、それはよくある話ですね。一般論としては納得できるんですが、しかし、例えば、二百グラムまでのゆうメールが第一種定形の二十五グラム以下の封書より安い値段で送ることができる。これでは原価割れしているんじゃないのかという疑問も素人ながら持つわけですね。

 また、メール便事業を展開している他の民間他社もそれに引きずられる形で無理な値引き合戦が行われているとすれば、これは、郵便事業会社はもちろん、宅配便業者も含めて、大きな負担になってしまうおそれがあるんじゃないか。これが郵便事業会社の本意ではないにしても、問題は結果論でありますから。そういう点について私は懸念をするんです。

 また、利用者の側から見ても、この制度を利用するのは個人ではほとんどあり得ませんね。大部分がいわゆる業者です。そうすると、業者の値引き分を、個人には値引きがないわけですから、理屈の上では個人が埋め合わせる形になってしまうという問題も発生するのではないか。このあたりの点について、では、大臣はどういうふうに受け取っておりますか。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 今問題になっておりますゆうメールとゆうパックを合わせた小包部門、全体としては、昨年の十九年四月から九月、公社時代の最終年度の事業収支を見ますと、九億ほどの黒字というふうになっているわけでございますが、この関係についても、私ども、サービスが低下することがないように、引き続きよく見ておきたい。

 ただ、御案内のとおり、料金については、民営化されたときに、ゆうメールそれからゆうパック、いずれも郵便法の対象から外れまして、一般貨物と同じように、他の民間事業者と同様に貨物運送法制のもとで提供される、これは国交省さんでしょうか、そちらの方の持っております貨物運送法制のもとで提供されて、その料金設定については総務省が規制するものから外れたわけでございますけれども、しかし、こういった運送部門、ユニバーサルサービスということで、利用者利便に影響が出てまいりますので、このサービスが低下することのないように、引き続き総務省としても注視をしていきたい、こういうふうに考えます。

重野委員 最後にもう一点質問いたしますが、先日、新聞に、新日鉄向けに五億円の協調融資をゆうちょ銀行が行う、こういう報道がありました。さらに、数億円程度から始め、徐々に規模を拡大し、件数もふやしていく、こういうふうに書いております。

 民営化されて、銀行としてそういうふうな点について検討するというのは、ある意味では当然のことかもしれませんが、今後、こういう企業向けの融資についてどういうふうな方向性を持っておられるか、また、当然リスクを伴うわけですから、リスク管理についてどのように行っていくのか、それが一つ。

 私は、ゆうちょ銀行は、もちろん銀行です、それはわかりますが、「郵」という文字に対する国民の信頼、安心、これはやはり絶対大事にしていかなきゃならぬし、民間企業になったとはいえ、その点はしっかり押さえていくべきだろう。したがって、民営化した後、一般市中銀行と同じように張り合うとか、ある意味では成果を上げなきゃならぬというふうなものが、結果として、この世界というのは厳しいわけですから、徐々にやはり、ならし運転もあるし、十分配慮して対処していく必要があるのではないかなという私の懸念ですけれども、そういう点について大臣の答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

増田国務大臣 新しい業務、新規業務、民営化委員会の方の意見も踏まえて、金融庁とともに認可いたしましたが、やはり適切な業務運営体制が維持されるということが大前提でございます。そうしなければ、民営化ということについても国民の支持が得られないわけです。

 したがって、新規業務を行うに当たりましては、ゆうちょ銀行の方でもそうした点については十分に留意をしていただきたいというふうに思いますし、それから、私どもも、金融庁と連携をしながら、ゆうちょ銀行の業務の状況について随時適切に把握をして、そして国民のための民営化という目的が果たされるようにしっかりと見ていきたい、こういうふうに思います。

重野委員 終わります。

     ――――◇―――――

今井委員長代理 次に、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国のあらゆる社会経済活動の基盤として電波利用の拡大が進む中、有限かつ希少な電波の有効利用の重要性はますます高まっております。そこで、電波の有効利用を促進する観点から、電波利用料についてその使途の範囲及び料額を見直すとともに、柔軟な電波利用の実現のために無線局の運用の特例を追加する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、電波利用料の使途として、電波のより能率的な利用に資する技術を用いた無線設備の技術基準を定めるために行う国際機関等との連絡調整の事務を例示として追加するとともに、携帯電話や地上デジタル放送などの無線通信を利用できない地域において必要最小の空中線電力によるその利用を可能とするために行われる設備の整備のための補助金の交付対象の拡大等を行うこととしております。

 第二に、免許人等が電波利用料として国に納めなければならない金額の改定を行うこととしております。

 第三に、国等について、電波利用料の徴収に関する規定を適用することとするとともに、特定の無線局の免許人等については、その規定を適用除外とし、または納めなければならない電波利用料の金額を減額することとしております。

 第四に、電波利用料を納付しようとする者は、一定の要件を満たす者として総務大臣が指定する者に納付を委託することができるようにする納付委託制度を整備することとしております。

 第五に、携帯電話の超小型基地局等の無線局について、一定の要件のもとで、免許人以外の者に当該無線局の簡易な操作による運用を行わせることができるようにする制度を整備することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電波利用料の使途の範囲の見直しに関する改正規定は公布の日から、電波利用料の納付委託制度の整備に関する改正規定は公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

今井委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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