衆議院

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第20号 平成20年5月20日(火曜日)

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平成二十年五月二十日(火曜日)

    午後三時十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      安井潤一郎君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          川村 卓雄君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長)    坂本 森男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (消防庁長官)      荒木 慶司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     安井潤一郎君

  亀井 久興君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     田中 良生君

  糸川 正晃君     亀井 久興君

    ―――――――――――――

五月十六日

 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 大規模な地震その他の災害に対処するため、危険物施設における危険物の流出等の事故の原因を調査する仕組みの充実を図るとともに、他の都道府県に出動した緊急消防援助隊の機動的な活用のための制度の整備を行う等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、危険物施設において発生した危険物の流出その他の事故であって火災が発生するおそれのあったものについて、当該事故の原因の調査をすることができるよう必要な権限を市町村長等に付与し、あわせて、調査をする市町村長等から求めがあった場合に、消防庁長官が調査を行うことができることとしております。

 第二に、都道府県の区域内において災害発生市町村が二以上ある場合において、緊急消防援助隊が出動したときは、都道府県に消防応援活動調整本部を設置し、消防の応援等の措置の総合調整を行うとともに、都道府県知事が緊急消防援助隊に対し、当該緊急消防援助隊が行動している災害発生市町村以外の災害発生市町村のため、出動することを指示することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長川村卓雄君、内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長坂本森男君、総務省自治財政局長久保信保君、消防庁長官荒木慶司君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君及び社会保険庁総務部長吉岡荘太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 それでは最初に、与党を代表いたしまして質問をさせていただきます。

 法案の審査に入ります前に一言申し上げたいと思いますが、史上まれに見る大災害となりました中国の大地震、亡くなられた多くの方々に心からお悔やみを申し上げたいと思います。今なお救助、復興作業が続いているわけでありまして、一人でも多くのとうとい命が救われることを祈らずにはおられません。

 この大地震に対しまして、今月十五日、中国政府の受け入れ表明を受けまして、我が国の国際緊急援助隊が派遣されたわけであります。消防庁と全国の消防本部から構成されます十七名の国際消防救助隊、IRTでありますけれども、まさにその中核として頑張ったわけでありますが、今回、中国が初めて我が国の緊急援助隊を受け入れたという事態でありまして、大変に困難な事態もあったわけであります。本当に、日ごろの成果によりまして高度な救助技術を持っている、そして、CO2の新しい探査装置も携えていったわけでありますが、団長が報道で言っておりましたけれども、これほど到着がおくれるとは思わなかった、悔しい思いをしているというような報道もされているわけでありまして、本当に困難な救助活動ではなかったのかなと推察をするわけであります。

 ぜひとも、帰りましたら、消防庁におきましては、派遣隊員から聞き取りなどをしっかりと行って、まさに今回初めての出来事でありますから、今後に備えていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、あれほど対日批判がありました中国ネットでも一様に歓迎をされているわけでありまして、隣国との友好を深める、あるいは我が国の人的な貢献を国際社会で示す上で、大変重要な活動であったと思うわけであります。

 今回の国際消防救助隊の活動の動向も踏まえて、総務大臣の所感を最初にお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 私からも、このたび中国で被災された皆様方に対して、心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 そして、今お尋ねの国際消防救助隊員十七名、現地の方に参りました。全体として、国際緊急援助隊三十一名の中で、中核となって、昼夜を問わず懸命な救出活動に当たってくれました。これまでのところ、十六名を救出いたしましたけれども、残念ながら、生存しておられる方はいなかったということであります。しかし、今先生からお話しのとおり、彼らの献身的な活動といいますものは、中国国民にもしっかりと伝わったと思いますし、また、感謝の念を持って受け入れられたものというふうに思っております。隊員の現地での本当に厳しい状況の中での奮闘に、心から私は敬意を表したいと思います。

 現地の方から撤収をいたしまして、あした朝、成田に帰ってくる、こういう話を聞いておりますので、大変疲れていることだろうというふうに思うわけでありますが、この解団式を終わった後、隊員の皆さん方に総務省の方に来ていただきまして、私も直接彼らから現地での活動の様子などを聞きたい。そして、このことは、今回十六回目の派遣ということでありますけれども、必ずや、また今後にも生かされるものがあるであろうと思います。

 もちろん、まず敬意を表し、そして、ねぎらいの意味も兼ねまして、直接彼らにお会いをいたしまして、現地での活動の様子をお聞きしたいというふうに思っているところでございますが、その後、彼らからいろいろと聞き取りましたことを含めて、必ず今後に生かしていきたいと思っているところでございます。

桝屋委員 今回の中国の大地震、改めて、あのサイクロンもそうでありますけれども、自然の猛威、自然災害の恐ろしさを、我が国国民も、我々も痛感させられたわけであります。

 そこで、我が国の対応でありますけれども、従前から、東海地震、東南海・南海地震あるいは首都直下型の地震、いつ起きるかわからない、切迫な状況だということはいろいろ言われているわけでありますが、二千の活断層がある我が国であります、いつどこで同じような災害が起きるかわからない、こういう状況でありまして、今回提案されております法案の緊急消防援助隊、これは阪神・淡路大震災の教訓で行われた、いわゆる広域支援のスキームであるというふうに思っております。趣旨説明でありましたように、一県だけでなくて、県内での移動あるいは県をまたがっての移動というような改正というのは、私はぜひとも必要であろう、そのための体制づくりということをやっていただくことは極めて重要な改正だと評価しております。

 同時に、中国の大地震を目の当たりにした我が国として、こうした機動力の向上に加えまして、三千九百六十隊、約四万六千人の緊急消防援助隊の体制の拡充といいましょうか、そして装備の拡充、そうしたことにさらに取り組む必要があるというふうに思っておりますが、総務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 今先生御案内のとおり、東海地震、東南海・南海地震、それから首都直下地震、この大地震の切迫性が指摘されているわけでございますので、こうしたことに対しての備えというのは国家の基本的な責務、そして、まさに緊急消防援助隊の充実強化ということはそういう国家の責務として行っていかなければならないもの、こういうふうに思うわけであります。

 今お話ございましたとおり、二十年の四月一日現在、三千九百六十隊、四万六千人の規模の登録がございますが、今年度末までに四千隊規模の登録を目標にしておりまして、ほぼ達成できるものと考えておりますが、そういう数だけではなくて、内容の、体制の一層の充実ということが必要でございますので、国として必要な財政支援をしっかりと行って、その体制の一層の充実に努めたい。

 それから、訓練もまた大事でございます。そこで、全国合同訓練、あるいはブロック合同訓練を毎年実施をしてございますけれども、今後もより実践的な訓練を、公共団体の協力もいただきながら、さらには自衛隊、海上保安庁などの関係機関と連携して行って、名実ともに体制の充実を図っていきたい、このように考えております。

桝屋委員 まさに大臣おっしゃったように、訓練ということが私は極めて大事だと思っております。とりわけ、広域の活動ということになりますと、地震は本当に忘れたころにやってくるわけでありまして、こうした中国の大震災を目の当たりにしたときにこそ、改めて思いを新たにする。

 私は、鳥取の西部地震を経験しました。その日のうちに現場に行きましたけれども、今はおやめになった片山知事、ちょうどあの地域で自衛隊も含めて訓練をしていたということがあって、その訓練が本当に生かされたということで、私は、初動体制では鳥取西部地震は本当にいい教訓だったなと思っているわけでありますが、こういうときにこそ、改めて大臣のリーダーシップをお願いしておきたいと思います。

 続きまして、そういう緊急消防援助隊などの常備消防の充実、拡充とともに、地域に根差した消防団の役割であります。

 特に大規模災害の場合、住民の安全確保のため、消火、救助活動あるいは住民の避難誘導などは、今、中国の報道を見ても毎日のようにテレビに出ておりますけれども、ボランティアの活動であるとか、住民組織といいましょうか、そうした活動というのは本当に不可欠であります。

 我が国においては、私はやはり消防団の存在というのは本当に大事だろうと思っておりますが、しかし、私が言うまでもありません。ここにいる議員が、多くの議員の皆さんは出初め式に出ておられるわけでありまして、消防職団員の皆さんの苦労というものを年に一回は皆肌で感じるわけであります。出初め式に出ておりますと、やはり年々数が減っているといいましょうか、あるいは地域の高齢化の中で本当に苦労されているという実態を聞くんですね。

 私の山口県では、たまさか合併が物すごい進んだものですから、全体としては大規模になったように感じるわけでありますが、全国で九十万を既に割っているというデータもあるわけでありまして、ぜひとも消防団員の確保に向けて政府としても積極的に取り組むべきだろうと思います。これもやはり、こうした隣国の大震災を前に、改めて心を新たにしなきゃいかぬ作業だろうと思っておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

増田国務大臣 消防団員は、地域で大変幅広い活動をしております。まさに地域の守り、いざというときの避難誘導等を率先して行うわけでありますので、団員の数というのは大変重要な要素だと思うわけですが、今お話ございましたとおり、九十万を割るという状況、一時期二百万を超えるほどいたわけですから、そういう意味では、この現実をやはり何とかして打破していかなければならないというふうに思います。この活動環境を整備したり、消防団活動への理解促進を図る、団員確保の支援体制の構築といったようなことに今取り組んでいるわけであります。

 少し具体的に申し上げますと、消防団協力事業所表示制度ということで、企業の皆さん方に御理解いただく。あるいは機能別団員、機能別分団等の制度の導入で、少しでも団員の皆さん方に、仕事などの実態に合ったような形にしていただく。あるいは、消防団員入団促進キャンペーンによる全国的な団員募集活動を展開する、さらには消防団員確保アドバイザーの派遣、いろいろ団員を確保する上で有為な事例を紹介して、それをまた御活用いただくといったようなことを今行っているほか、大変基本的なことでありますが、消防団PRということでメディアを活用した取り組みなども行っているところでございます。

 あと、大事なことは、総務省として地方公共団体と連携してこうした取り組みを積極的に推進したり、あるいは公共団体の方に御理解いただいて、地方公務員の皆さん方にも地域で入団をしていただくといったようなことが大変重要かということで、そういったことも働きかけを今しているところでございます。

 先週、二日間にわたって消防団国際会議というのを初めて開催いたしました。来られた十一カ国の皆様方も、やはり同じような悩みを訴えておられて、それでまた、それぞれの国々の団員確保に向けての取り組みなども御披露していかれましたので、そうしたこと、その会議の成果も生かしながら、今後の消防団員の確保に生かしていきたい。

 そして、何よりも、やはり地域防災の中核的な存在でございますので、尊敬の念を持って消防団活動を見守るということが大変大事でございます。

 総務省として、こうした消防団員確保のために今後も全力を尽くしていきたい、このように考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 参考の話ですけれども、我が党は三千人を超える地方議員がおりまして、意外と議員で消防団というのが多いんですね。やはり消防団で頑張らないと地域で票はいただけない。ところが、最近、合併で議員が減りまして、大変これも苦労しているという状況もあったりします。私は、党の組織委員長をいたしているものですから、そうしたこともぜひ積極的に取り組みたいと思っておる次第であります。

 もう一点、やはり出初め式で言われていることが、市町村消防の広域化の話であります。

 市町村合併に伴いまして、さまざまな議論があるんですが、八百七の市町村消防が、二十四年までに広域化を実現するということに既になっているわけでありまして、都道府県の推進計画を踏まえて、各市町村が今具体的検討を行っているわけでありますが、さまざまな問題、疑問が生じております。

 ぜひともここは、必要な支援は財政的支援も含めてしっかりやっていただいて、市町村消防の広域化の実現に向けて今後しっかり取り組んでもらいたいというふうに思いますが、ここは消防庁から見解をお伺いしたいと思います。

荒木政府参考人 消防の広域化でございますが、消防の広域化は、消防本部の規模を拡大することによりまして、さまざまなスケールメリットが出てまいります。これを生かしまして、初動体制の充実、現場要員の増強、あるいは救急搬送体制の充実、さらには施設の高度化などを図りまして、住民サービスの向上や消防体制の基盤を強化しようとするものでございます。

 平成十八年に改正されました消防組織法に基づきまして、都道府県は広域化推進計画を定めるものとされておりますが、平成二十年五月一日現在、この広域化推進計画を策定した都道府県は三十一団体でありまして、未策定の団体につきましても、現在、鋭意策定に向けまして取り組んでいただいておるところであります。

 広域化推進計画が策定された都道府県におきましては、今後は、広域化を進めようとする関係の市町村が、消防本部や消防署の配置や名称、組織体制や職員の処遇、部隊運用や指令管制、教育訓練の方針、財産の整理や経費負担等々につきまして協議をしていただきまして、広域消防運営計画を策定していただくことになります。

 消防庁としましては、これらの取り組みを支援いたしますため、消防関係者や市町村職員等を対象にしまして、消防広域化について具体的な助言等を行います消防広域化セミナーを開催いたしますほか、先進的に広域化を実施した市町村や消防本部の経験者の方に現地に赴いていただいてアドバイスをいただく消防広域化推進アドバイザーの派遣などを行ってまいりたいと考えております。また、事務を進める上での留意事項等について解説します広域化の手引書も早急につくりまして、配付をしてまいりたいと思っております。

 また、財政面におきましては、平成十九年度に消防広域化支援対策を定めまして、広域消防運営計画の作成に要する経費、広域化に伴いまして臨時的に必要となるシステム変更や本部の名称等の変更に要する経費、広域消防運営計画に定められた消防署所等の改築などに要する経費、これらに対しまして、地方債や地方交付税による総合的な地方財政支援措置を講ずることとしているところであります。

 これらの措置を講ずることによりまして、引き続き、市町村の消防の広域化の実現に向けまして積極的な支援をしてまいりたいと考えております。

桝屋委員 時間もありません。もう一点。今回の改正案の一つのポイントが、危険物施設からの流出事故などを調査する制度の創設でありますけれども、遅きに失した感がありますが、しっかりやってもらいたい、こう思うわけであります。

 そこで、これは参議院でも議論があったようでありますが、消防法が規制する危険物の定義であります。ガソリンなどの液体、それから可燃性の固体などは対象とされておりますが、プロパンガスあるいは水素などのガスは消防法の危険物とはされていないということであります。液体であれ固体であれガスであれ、危険であることには変わりはないわけでありまして、一たん事故がありましたら国民の生命にかかわることでありますから、ぜひとも所管する関係法令の枠組みを超えた、政府一丸となった取り組みということをお願いしておきたいと思います。

 危険な物質について、関係する省庁、とりわけ経済産業省などとしっかり連携を図って対策を講じる体制が大事と考えておりますが、改めて長官のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

荒木政府参考人 消防法上危険物とされておりますのは、石油類などの火災危険性の高い液体及び固体でありまして、発火性や引火性の程度により分類し、その製造、貯蔵または取り扱いについて規制を行っているところであります。

 一方、消防法などにより、消防活動に重大な支障を生ずるおそれのあるプロパンガスや水素などを一定量以上貯蔵いたします者、あるいは許可権者につきましては、消防長または消防署長にその量や施設の状況などを届け出る、または通報することが義務づけられているところであります。

 消防庁では、今後とも関係省庁と連携をよくとりまして、これらの物質による事故が発生した場合にも効果的な消火活動が行えるよう措置するように消防機関に働きかけてまいりたいと考えております。

桝屋委員 以上で終わりたいと思います。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党、田嶋要でございます。

 私からも、冒頭、中国とミャンマーの大惨事に関しまして、お悔やみ並びにお見舞いを申し上げたいと思います。連日テレビ等で大変な報道でございまして、特に子供たちが多く犠牲になっているということで、心を強く痛めておる一人でございます。

 きょうは、それに関連をした耐震の問題に関しまして質問をしていきたいと考えております。

 質問に入る前に、総務大臣、けさも私ども民主党の総務部門会議で問題になりました社会保険庁第三者委員会に関する問題でございますが、これは国民の年金に対する権利の問題でございまして、総務省の対応は非常に問題が多いというふうに感じておりますので、総務大臣の方に一言抗議の申し出をさせていただきたい。御答弁は必要でございませんので、申し上げさせていただきたいと思います。

 それから、これもきょう参議院の方で取り上げられました電波利用料のことでございます。

 大臣、私も質問させていただいたわけでございますけれども、衆議院は既に通過をしておりまして、参議院の方で具体的に取り上げられたわけでございますが、もう既にインターネット等では、「総務省よお前もか」というふうな記事が流れたりもいたしております。

 そこで、大臣に、通告しておりませんがお伺いしたいんですけれども、二〇〇八年度はもうこういうことをやっていないというような話もどこかで書かれておりますが、これは、指摘されるのが今回だということで、事前に大臣はもうこういうことをやっていた事実はわかっておったということですか。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 私の方に報告が来たのは今月に入ってからだったかと思いますけれども、きのう、おとといの話ではなくて、一、二週間ぐらい前で、そのときには、きょう新聞等に出ておりましたようなああいうものが含まれている、そういったような報告ではなくて、レクリエーション費で不適正な使われ方をしているものがある、こういう報告でありました。

 いずれにしても、使途について、電波利用料でございますので電波の利用の目的のために使うものでありますから、当然こういったことについて支出はあってはならないわけであります。理解を得られるようなそういうものでなければ何事においてもいけないわけでありますので、そうしたものについてやめるということは当たり前でありますが、組織全体に周知徹底をする必要がありますので、その点はすぐに指示したところでございます。

田嶋(要)委員 この電波利用料、今回、国会審議、初めてじゃないわけですが、毎回、やはり使途の部分、そして肥大化の部分が指摘をされてきておるわけでございます。

 これまでかなり国会でも審議された道路特定財源にも大変似ている側面もあって、私、ちょっと不思議でならないのは、大臣が着任をされて、前提として、やはり同じような、道路特定財源に似たような性格のあるこういった財源、これが知らない間にそういった不適切な使途に向かっている可能性というのは十分想像できたんじゃないかなというふうな感じもするわけですね。

 最近はいろいろ内部からも告発してくださるような方々もふえてきているようでございまして、徐々にこういったことが国民の知るところになるわけでございますが、大臣のようなお立場になられたら、最初からまず疑って、やはりこれは、いろいろしっかりと調べれば、まさに直接的に御自分でわかる立場にあるわけですから、今月にわかったということですが、そこら辺がどうも私はひっかかりを覚えるわけですね。

 これだけ公務員がいろいろ言われて、片っ方で、公務員バッシングをしていたって世の中よくならないという話を聞くわけですけれども、こういうことがまた起きると、世論の風潮としては、やはり悪いことをあちこちでやっているという話になってしまうわけで、非常に残念な気がしてなりませんけれども、大臣、その辺はより想像を超えていたということで考えていいんでしょうか。大変残念でございますが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 道路財源の問題でいろいろな不適正な支出が明らかになりました。電波利用料も目的税でありまして、そういった意味では性格がかなり似通った部分もありますので、私の方から不適正な支出がないかどうかということを聞いておりました。きちんと使われているという報告を受けておりました。当然、税金の使われ方として、すべてにおいて問いただすことが必要でありますが、特にこの電波利用料につきましては、きちんとそのために使っているという報告を受けておりました。しかし、後になりましてそういう報告がまた出てきた、こういうことであります。

 私は、当委員会でも申し上げましたが、予算のときに、いろいろ獲得するときに、どういう目的で使うかということでなくて、やはり決算も含めてきちんとどういう使われ方をしたかというのを世の中に出すということが大事でありますし、そのために資料もオープンにしていくということが理解を得るために必要不可欠でありますので、そういう面で、この電波利用料の使途を明らかにするようなことについて、オープンにしていく、使途を明確化していくということは必ずやっていかなければならないというものであろうと思います。

 そういう中でこの使途が明らかになったということでありますけれども、これはもちろん不適正な支出があるというふうに思っておりますが、こうしたことを通じてより一層の制度の透明性を確保する、それから、やはり御負担いただく方の理解、限度を超えるものは厳しく戒めていくということを改めて、今回のことによって全員が確認するようにしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 本当に残念でなりませんし、今のお話をお伺いしていれば、大臣も欺かれていたということですね。正しい報告を受けていなかったということでございますので、これが実態だというふうに思います。

 本題ではございませんので、法案の関係の質問に入らせていただきます。

 先ほど、冒頭申し上げました、アジアの国々で大変な自然災害が起きているわけでございまして、そういうことを踏まえて今回消防法の改正等が行われようとしておるわけでございますが、消防庁からいただいた資料を私が手元で、きょうは資料を配付しておりません、「危険物施設における事故の動向」というところのグラフから関連してまずお伺いをさせていただきたい。そういった事故がふえているということを前提にして、法律改正で調査権限の強化をしたいということが改正の一点であると理解しておりますが、消防庁長官、お伺いします。

 このグラフを見て、調査権限あるいは調査の拡充をすることは結構なことでございますので反対をするものではございませんが、大変素朴な疑問として、平成六年からもう既に十年以上にわたって、言ってみれば激増をしているという実態があるわけでございます。先ほど、与党の委員の御質問の中でも、時がかなり遅かったのではないかというような御指摘がございましたが、この平成六年からの大きな傾向の変化というものに関して手をこまねいていただけのような印象も受けるわけでございます。私はかなりそこには不作為があったのではないかなという印象を受けるわけですが、どういう御認識でいられますでしょうか、御答弁いただきたいと思います。

荒木政府参考人 消防庁では、平成六年に、容量一千キロリットル以上のタンクの耐震基準を強化いたしたところであります。また、平成十一年には、容量が五百キロリットル以上一千キロリットル未満のタンクにつきましても耐震基準を強化するなど、屋外タンクの貯蔵所の耐震対策に努めてきたところでございます。また、容量一千キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所につきましては、定期的にタンクを開放して検査、点検を行うこととしているところでございます。

 これに加えまして、今回の法改正によりまして、危険物流出事故等の原因調査制度を整備し、事故原因を正確に調査できるようにすることによりまして、技術基準の見直し、点検技術の向上を図り、大地震の際の重大事故の未然防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。

田嶋(要)委員 いろいろ耐震強化をされてきたという御指摘でございますが、そこでお伺いします。

 典型的な例として、この屋外貯蔵タンク、今回の一つの構造物でございますが、全国に今御指摘あられた三つの区分けでおよそ一万カ所弱あるわけでございますけれども、今その耐震化率というのはどのぐらいでございますか。

荒木政府参考人 お答えします。

 容量一万キロリットル以上のタンクの耐震改修期限は平成二十一年十二月末となっておりまして、平成十九年三月末現在で、新しい基準への適合が必要なタンク、千七百七十九基ございますが、このうち八六%に当たります千五百三十三基が改修済みでございます。

 次に、容量一千キロリットル以上一万キロリットル未満のタンクの耐震改修期限は平成二十五年十二月末となっておりまして、同じく十九年三月末で適合しておりますのが、四千四百五十二のうち五七%の二千五百三十七基でございます。

 また、容量五百以上一千キロリットル未満のタンクにつきましては、十九年三月末現在で、こちらは耐震の改修期限が平成二十九年三月末でございますが、三千六百三十三基のうち二〇%に当たります七百三十四基が改修済みでございます。

田嶋(要)委員 一言で言いますと、四九%の耐震化率だというふうに計算されるわけでございます。

 これは、消防庁でございますから、まさにこういった大災害のときに先頭を走って頑張っていただく役所でございますが、この耐震化率四九%、これをどう評価するか。ちょっとほかの役所のいろいろな構造物関係も調べてみました。大臣、聞いていただきたいと思いますが、公立の小中学校、特に今、中国のああいう悲惨な状況を見て、我が国はどうかなということで調べてみましたら、日本全国平均五九%。大体同じぐらいの耐震化率で、公共の建物、市役所等の建物も六割近い耐震化率になっております。

 それからさらに、生命の危険がある公共の乗り物という意味では、新聞の記事によりますと、新幹線なども九割から限りなく一〇〇%に近い。それから、東京、いつも私も走っていて大丈夫かなと思っておるんですが、首都高に関して言えば、国土交通省の報告によりますと一〇〇%の耐震化ができているという報告を受けました。

 そういうのを見ておりますと、旗振り役であるはずの消防庁の所管である部分、これは経産省も入るんでしょうけれども、若干、何か調査権限だけを強化して、肝心のこういった耐震化を進めていくという部分が少し緩慢なような印象を私は受けるわけでございます。

 先ほど、タンクの種別によって強化をしたということで、改修の期限を繰り上げたということでございますが、最新の状況を見ますと、五百キロリットル以上千キロリットル未満のものに関しましては、いまだに平成二十九年、これから九年先が期限である、そういう設定をされておるわけでございます。

 そこで、消防庁長官、お伺いしたいんですが、今回のこの法律改正は、なぜこういう法律改正をするのかという頭書きのところを見ますと、やはり大地震、先ほども出ておりましたが、いろいろな地域で大地震が起きる、マグニチュードが八ないしは七の大地震が日本の首都直下型を含めあちこちで起きる予想がされている。三十年以内に起きる確率が八七%、関西の場合ですね。首都圏直下型の場合には、マグニチュード七以上の起きる確率が七割というふうに言われておるわけでございます。そういうことが言われている中で、これからさらに九年の猶予を持ってやるような状況というのは、私はちょっと心配でならない。

 むしろ、先ほど申し上げた小学校やあるいは役所の耐震化は、平成二十二、三年をめどに、これはIs値と呼ばれているそうですが、かなり危険なものに関しては一〇〇%を目標にしてやっていこうと、それぞれ所管の省庁が目標を設定して今進めているところだと理解をいたしております。

 この危険タンクに関してはIs値なるものはないという御報告をいただきましたが、しかし、旗振り役でなければいけない消防庁の所管の、確かに相手は民間の企業でございますので経営や財政上の問題もあるかもしれませんが、ちょっと印象としては、調査権限だけ強化する法律改正でいいのかなという心配も私あるわけでございますが、そこの御認識をいただきたいと思います。

荒木政府参考人 ただいま委員からも御指摘ございましたように、我が国の場合には、いつどこで大きな地震があるかわからないという国でございますので、消防庁としましては、できるだけ早くそういった事態に備えて屋外タンクの貯蔵所の耐震化等には取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

 先ほど申しましたように、私ども、平成六年、平成十一年にその耐震化の基準をつくりましたが、その後、平成十五年の十勝沖地震であのような大きな火災等も起きまして、いろいろな面で見直しが必要ということでございましたので、翌平成十六年に、耐震の改修期限を、先ほどのランクごとに若干異なりますが、二年ないし三年の繰り上げをするということで、企業の方々にも御理解いただいて繰り上げ措置を講じたところでございます。

 いずれにしましても、消防庁としましては、負担の少ない耐震工法、これも企業の方々に早く取り組んでいただくために大切なことでありますので、それらにつきましても専門家の方々の知見もいただいて今鋭意検討しておりますが、そういったことも積み重ねまして、できるだけ早く取り組んでいただけるようにこれからも努めてまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 小学校や中学校の耐震化ももちろん大変重要ですが、消防庁の今回の施策も、大地震の際に重大事故が起きるのを未然に防止するための対策であるというふうにうたっておるわけですね。うたい文句はそういうことなんですが、中身がいま一つ貧弱な感じがするわけです。

 消防庁長官、これは改修期限、平成二十九年、もう少し前倒ししていただく。もちろんこれは関係する企業はみんな嫌がりますよ。しかし、予防は常に治療よりコストはかからないはずですね、医療でも何でも同じだと思いますが。やはり起きてしまっては遅過ぎる。これは三十年以内に八割の確率で起きると言われているんですから。いつ起きてもおかしくないという別の表現もございましたよ、白書の中に。

 そういう状況の中で、これはやはり、あと九年、ほぼ十年ですね、そんなのんびりしたことでいいんでしょうか。改修期限をもう少し繰り上げていただくことを御答弁いただけますか。

荒木政府参考人 私ども、先ほど来申し上げておりますように、平成六年、平成十一年に基準をタンクの規模ごとに設けましたわけでございますが、その際にも専門家の方々の御意見等も十分伺いまして定めたところでございます。先ほど委員からも住宅でありますとか学校の耐震化の取り組みと比較しての議論がございましたが、基本的に、やはり人がその中に居住する建造物と屋外貯蔵タンクは構造的にも異なるところがございまして、そういったことも踏まえて、先ほどの平成六年、平成十一年の時点で専門家の方々が、地震に対応するタンクの改修のあり方についてタンクの容量に応じまして期限を定めた、こういう経緯がございます。

 しかしながら、その後、平成十六年に、先ほど申しましたように、十勝沖地震を契機としまして、二年ないし三年の繰り上げ措置を講じるということにした経緯がございます。

 いずれにしましても、私ども、できるだけ早くこれが進みますように関係業界にも要請をしてまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 財政が厳しい市町村なども、学校の耐震化等、先ほど申しました平成二十二年、二十三年と目標設定して一〇〇%にしようとしているわけですね。そういう中で、私は非常に残念な御答弁だったと思います。起きてからでは遅いわけでございます。そして、相手が民間の企業であっても、何とか説得をして、少しでも前倒しをしていただきたい。

 そして、もう一点御指摘を申し上げたいんですが、これは財政的な事情が大きいと思うんですけれども、金融的な支援、サポートをするような施策を具体的に考えていただけないでしょうか。

 きのう、私、こういう質問をすると言ったら、それは所管が財務省だと言われちゃったんですね。私は、やはり本当に縦割りというのは情けないなと思うんですけれどもね。情けないなと言うとちょっと語弊がありますが、縦割りの非常に難しさというんですか、一つの施策の所管でありながら、お金の話になると突然所管が違うと言われちゃうと困っちゃうわけです。これは、財務省がイニシアチブをとってこういう分野の資金繰りをサポートするような施策なんて考えるはずがありませんよ。

 だから、まさにこういったことで一日も早く耐震化を強化しなきゃいけない、しかし相手側の企業も悲鳴を上げている、何とかできないか。それを消防庁やあるいは経産省の方から話を持っていって、まず検討してくださいよ。答えがないんだったら仕方がない。

 しかし、ひょっとしたら……五百キロリットル以上でかかる予算が一千万円ぐらいですか、大きい一万キロリットル以上だと億の単位の改修コストがかかると聞いておりますが、しかし、事はいつ起きるかわからない大地震ですよ。重大事故に備えるための設備投資でございますから、それは十分国が支援をする大義があるわけでございます。そういったことを総合的にぜひ、お金のことはようわからぬじゃなくて、総合的に消防庁としてこの分野に関して御検討いただきたい。そのことだけでもコミットいただけますか。

荒木政府参考人 耐震改修促進を図るための事業者等への経済的な支援策につきましては、関係省庁とも十分連携をとりながら、必要に応じまして検討してまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 ぜひ御検討ください、総合的な観点から。

 続きまして、法案に直接関係ございませんけれども、先ほども同じテーマでございましたが、消防団のことを私もお伺いさせていただきたいと思います。

 この消防団、私は、地域にとって本当に重要な、貴重な存在だというふうに思っております。そして、昨今消防団の団員の数が減ってきて大変なことになっている、危機的な状況だというふうな御指摘も受けるわけでございます。

 そこで、まずお伺いします。客観的な事実を見ていると、どういうことなのかなということをもう一度御答弁いただきたい。

 すなわち、例えば過去十五年にわたる出火の件数やその出火に伴う死者の数あるいは損害を受けた額、すべて低減をしてきている。我が国はこの十五年間は非常に以前よりもよくなってきておる状況がある。一方で、では消防団員と消防職員の数の変動を見てみますと、消防団員の数というのはかなり減ってきていて、十五年前から比べるとおよそ一割。一方、消防職員の方はおよそ一割ふえているという状況がある。

 言ってみれば、消防団による消防からいわゆる常備消防の方に徐々に軸足が移ってきているわけですが、しかし、我が国の消防に関する数値は統計データとしてはよい方向に向かっているわけでございます。

 そこでお伺いいたします。

 消防団員の数が減っていることが問題だということですが、一体それがなぜ問題なんでしょうか。そして、どういう方向に持っていきたいと考えられておるのか、我が国の消防体制として目指すイメージはどういうイメージなのか。その点に関して、長官、お伺いしたいと思います。

荒木政府参考人 我が国の消防団の団員の数でございますが、先ほど大臣からも御答弁の中にございましたように、昭和二十年代後半に二百万人おりましたものが今や九十万人を割るという状況で、大変厳しい状況にございます。

 我が国の場合には、これまでも幾度となく大規模な地震が発生しておりますし、また豪雨や大規模な台風等、風水害も相次いで発生する国情にございます。今後におきましては、東海地震、東南海・南海地震あるいは首都直下地震、これらの地震の発生の切迫性が指摘されておりますなど、大規模災害への備えが極めて重要な課題であると考えております。

 こうした大規模災害が発生した際には、住民の安全を確保するためには常備の消防だけではこれはやはりどうしても足りませんので、即時の対応力がある、あるいは要員の動員力におきましても、常備の消防は今十五万七千人ぐらいの職員数ですが、先ほどのように消防団員は減ったといいましても九十万人おりますので、こういった要員の動員力、さらには地域に密着している、こういった特性を生かした消防団の存在は不可欠なもので、どうしても必要であると考えております。

 このため、私ども消防庁では、全国で百万人以上の団員を確保しようということを目標に掲げまして、先ほど大臣からも御紹介ありましたような機能別団員あるいは分団制度の導入、消防団協力事業所表示制度の導入等々、新しい施策も取り入れまして団員の確保に努めているところでございます。

 その中で、もう一点、私ども力を入れたいと思っておりますのが女性の消防団員。今、一万六千人ぐらいでございますが、これも、百万人のうち十万人ぐらいを女性団員と。全体の団員は減っていますが、女性の団員は毎年少しずつ着実にふえておりますので、これを力を入れてふやしてまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 火災の推移という統計データでは状況は改善しているものの、未曾有の災害等に備えてやはり必要だということですね。百万人ということも具体的におっしゃっていただきました。基本的に私も応援をしていきたいというスタンスでございます。

 それともう一つ、私は、この分野以外でも、例えば民生委員、児童委員とか自治会とかあるいは防犯パトロールのグループとか、基本的に自助、共助をもっと強化できる社会、公助だけに頼ってはもちろん財政的な側面からもいられない時代ですから、自助、共助をもっともっと促進する、失われたそういう社会を取り戻していきたいというふうに考えております。

 そこで、方向性は合っておると思うんですが、今御指摘ありました機能別の団員に関してお伺いをしたいと思います。

 この機能別の団員が私もこれからの、サラリーマンが七割になっているという現状にあっては一つの切り札だと思うんですが、その団員をふやしていくアプローチ、もっと、私はこれも、おっしゃったとおり未曾有の自然災害に備えて団員をふやさなきゃいけないというのであれば、それは十年計画、二十年計画ではちょっと悠長過ぎるんじゃないかなという印象を受けておりまして、必要だ、本当にこれからの社会にとって重要だというなら、この三年間集中して、減ってきている流れを大きく変えていただきたいというふうに思います。

 そこで、この機能別の団員ですが、最低限拘束をされる、一人前というんでしょうか、消防団員としていざというときに活動できるための身につけなきゃいけない最初の研修等があると思うんです。それはどのぐらいの所要時間がかかりますか。

荒木政府参考人 新たに消防団員となりました方に対する研修等の時間でございますが、私ども消防庁がお示ししております消防学校における初任消防団員に対する教育訓練の標準的時間数は二十四時間となっているところでございます。

田嶋(要)委員 八時間の研修を三日受けるということで、それなりにというか、基礎が学べるわけでございますね。そういう中でAEDの技術なんかも身につけるということでございます。その後は、火事が地域で起きたときに、自分の本業を途中でやめて飛び出していけばいい。しかし、消防職員と違って消防団には三つの強みがあるという話もお伺いしました。機動力というんですか、動員力というか、そういったものもある。ぜひそこの部分、三日の研修である程度のことができるのであれば、もう少し積極的にこの機能別の団員をふやしていただきたいというふうに思います。

 そこで、これは全く関係のない分野でございますが、ちょうど裁判員制度の裁判員と同じぐらいなんですね。私、ちょっと別で調べてみたんですが、もうすぐ始まる裁判員制度ですけれども、これは国民の義務ですよ。基本的には言われたらやらなきゃいけない。そして、裁判員制度の平均は、七割の裁判は三日間の拘束なんです。全くの素人が三日間義務を果たす。そして、ついでに言えば、そこでいただける日当も一日一万円、つまり三日間で三万円ですね。消防団の方も、年間もらっているお金が一番下のレベルで三万円ですね。

 私が何を申し上げたいか。これはボランティアだけに頼っていなくてもいいんじゃないかと。これはいろいろな御意見があるかと思いますが、私の申し上げたいのは、では皆さん、マンションに住んでいると考えてみてください。マンションに住んでいれば、当然だれかが理事をやらなきゃいけない。私もマンションにいますけれども、抽せんで理事をやるわけですよ。これはそのマンションに住んでいる人の義務ですよ。同様に、やはりその地域をみんなで守っていくということであれば、地域にいるみんなが負担をし合いながら支えていく、そういうふうな社会にできないのかなと私は思っておるわけでございます。

 全く違う分野ですが、裁判員制度なるもので司法を国民に開かれたものにするということで、まさに国民の義務として法律改正がされて、そういう制度が間もなく、これは大変な国民の不安の中で船出をしようとしておるわけでございます。私は、それ以上とは仮にも申し上げませんけれども、しかし地域を守るこの消防団の活動も、なり手がいない、なり手がいないといって、一番の根っこである、やはりこれは情熱のあるボランティアに、その気持ちはよくわかるわけでございますが、ぜひそこを、地域の企業等も含めて、あるいは公務員の皆さんの協力も含めて、もう少しこれは順番に、その地域の方々の義務なんだということで施策を展開していただけないかなというふうに私は考えておりますが、その点、今、消防庁長官、どういうようなお考えですか。

荒木政府参考人 みずからの地域はみずからで守るという発想に立ちまして、地域住民の方々が積極的に防災活動に取り組むということは大変重要であると考えております。

 災害対策基本法におきましても、その第七条第二項の規定にございますように、「住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない。」という住民の責務が法上も規定されているところでございます。

 こうした自発的な活動である防災の取り組みを義務づけるということはなかなかなじまないとは思いますが、各地域におかれまして、住民の自由な意思によりまして一定のルールを決めるなどしてより多くの方々が防災活動に取り組まれるということは、地域の防災力を高める上で大変望ましいことであると考えているところでございます。

田嶋(要)委員 余りストレートに義務とは言えないのかもしれませんけれども、しかし、先ほどマンションの例えも言いました。そのマンションに住んでいればみんなで共同で責任を負っていくしかないわけで、同じように、その地域を守っていくということを考えると、これから未曾有の災害が、もうこれは時間の問題だと言われているわけですから、少し踏み込んだ施策もしないと、お隣の中国のあの災害の状況、そしてその後の今の状況を見ると、やはり私は地域のスキルを上げていくことが必要だと思うんですよ。

 だから、さっき、三日間でAED含めてかなりなものが身につけられる、そういったものは、やはり入ってから経験して初めて意欲が出てくる人だって大勢いると思うんですね。だから、そういうのをもっと誘引していくような施策をお願いしたい。

 時間になりましたので、最後にもう一点具体的な話ですが、新型インフルエンザも自然災害と並んで、もうあとこれは時間の問題だと言われていますね。それも私も、大変地元でも懸念をしておるわけでございますが、社会機能維持者というような定義がございます。これは、プレパンデミックワクチンの接種、優先的に与えられるということでございますが、調べましたところ、消防職員は社会機能維持者に当たっておりますけれども、消防団員に関しましては明示的には今そういうふうにクラス分けがされておりません。

 本質的に我が国の消防を支えていく意味では、この消防団、もちろん本業は別に持っているわけですが、必要不可欠な存在であるというのであれば、そこで、入り口で線を引くのではなくて、少なくとも目先、もう五年以内に恐らくは大地震と同じようにこの新型インフルエンザもやってくるわけでございますから、彼らの士気を高める上でも、ぜひ彼らも同じように社会機能維持者として認識をいただきたい、その検討をしていただきたいと思いますが、消防庁長官、いかがでしょうか。

荒木政府参考人 新型インフルエンザのプレパンデミックワクチンにつきましては、国民生活や社会機能を維持するために必要な者から優先的に接種をするものとされております。

 この観点から、新型インフルエンザ患者に早期に接触する可能性のある医療従事者などとしまして、消防関係ですと救急隊員が当たると思います。また、社会機能維持者のうち治安維持関係者として、消防職員が優先的に接種する対象者として明示されているところでございます。

 御指摘の消防団員も社会機能維持者に該当し得るものであると考えられますので、このような接種の優先順位に関する考え方に照らしまして、地域の実情にも考慮しながら接種について検討されるべきと考えております。

 今後とも、厚生労働省など関係省庁とよく連携をとりまして、消防団員に対するプレパンデミックワクチンの接種について検討を進めてまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 いたずらにあおるつもりはございませんが、時間との闘いでございますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 今もお二方からお話がありましたが、このミャンマー、中国の大災害、想像を絶する災害だけに、言葉も出ない、そのような思いでございます。どうぞ一日も早い回復を、ただひたすら願うばかりであります。

 そういう意味で、きょうの消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案の審議は大事なものだ、そのような認識をさせていただいておる次第であります。この法案の具体的な質疑に入る前に、大臣に今のコミュニティーについて少しお話をお伺いさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今、地方を、地元、私どもの選挙区を回らせていただいて、JAそして市町村の合併、郵政民営化、そして規制緩和等で、私も最近これに気がついたのですが、私どもの一番大きな町の人口が一万人のときには十以上の酒屋さんが非常にいい形で地域で存在されておった。しかし、今回ってみますと、そうした方々がほとんど地域で、例えばみそ、しょうゆを届けたり、地域を巡回されておった姿が、全くというほどではないんですが、非常に寂しい状況になっているということは御存じかと思います。

 そして、今の消防団の話もそうでございますが、今、地域から、コミュニティーから、行き交う人がどんどんどんどん少なくなっていく、そのことに私自身は非常に心配をいたしております。

 民営化された郵政の、郵便局員の方々も、今までは、いろいろなお仕事をされながら全体的に経営を維持されておった。しかし今では、もうとにかく配付するのに精いっぱいで、そういう、お年寄りの皆さんと言葉を交わす余裕すらなくなっていく状況で、この二、三年のうちに地域がさま変わりをしていく様子に、今本当に心を痛めております。これは年金しかり、いろいろな問題があります。

 そうした現状認識について、知事をされた大臣は今どのように思っておみえになりますのか、まずお聞かせください。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の社会の中で、コミュニティー、農村共同体、集落、いろいろな呼び方がありますけれども、そうしたものが地域の活動の中で大変重要な役割を果たしてきた、あるいは地域の中で最後の、セーフティーネットのような機能も果たしてきたというふうに思っておりまして、都会では、隣にだれが住んでいるかわからないような匿名性の社会なんて言われていますが、そういう中で、むしろ地方部において、そういうコミュニティーがあるからこそ、そうした過疎化の中でも一定の地域社会が維持されてきた部分もあると思います。

 先ほど来の議論の中でも消防団の話がございました。これはもう本当に献身的な、ある種ボランティア的な活動ですが、こうした人たちは、いざ火事というときにはすぐに出動するわけであります、またお祭りのときにもいろいろな役割を果たしたりということで、こういうコミュニティーがあって初めて、まさに地方が成り立っていると言っても過言ではない、これは都市部でも同じだと思いますけれども、地域が成り立っていると言っても過言ではないというふうに思います。

 それが今、いろいろな原因、もちろん核家族化といったこともあるでしょうし、それから少子高齢化ということもあるでしょうし、それから産業構造の問題もあると思います、あるいは交通ネットワークの問題もあると思いますが、著しくそういったコミュニティーの機能が廃れてきているといったような状況があって、そういう中でいかにしてコミュニティーを維持していくのか。そしてそれは、ただ単に維持するというか、そこの中でさまざま行われている活動を通じてコミュニティーというのは形成され、そして維持されていくものですから、どういう活動を地域地域でいろいろ展開しているのか、あるいはそういったことへ参加する人たちをどういうふうに確保していくのかといったいろいろな例を全国的にも交換しながら、私はやはりこういうコミュニティーが今後も地域社会の活動の最後の支えであってほしいと思います。

 それはセーフティーネットだけでなくて、地域のさまざまな、住んでいる皆さん方を豊かにしていくものでもありますし、そのためにコミュニティーを維持していく、あるいは活性化させていくという方策について真剣に考えていかなければならない、こういうふうに受けとめているところでございます。

森本委員 そういう意味では、大臣、今各市では、自治組織と申しますか、まちづくり協議会とか町内会のそうした動きが自主的にされております。ですから、そうしたところへの交付税で支援と申しますか、NPOの関係の方々への支援、それと、今も田嶋委員の方からもお話がありましたが、やはり消防団の構成を考えていくためにも、今このような状況だとするなら、今二つ申し上げた、もう一つは、やはり農林水産業の、活性化というよりも再生、そこのところに手をつけないと、地方が活性化するということは非常に難しい現実にあるということを私は強く今思っております。

 ですから、恐らく地元におみえになる農林水産業の方々、こういう方々がやはり消防団、昔はこういった機能を実はうまくされておったわけでありますので、こうした提案をさせていただきたいというふうに私は思いますが、その点については大臣はいかがお考えでございますか。

増田国務大臣 今お話にございましたとおり、やはりこうした地域の自主的な自治組織ですとか、そういったものに対しては交付税措置もきちんと講じなければいけませんし、それからさまざまな先進事例等をいろいろと交換し合って、活動を活発化しなければいけない。それから、やはり農林水産業というのはまさに、業としても当然見ていかなければならないわけですが、地域のこういった活動もそうした農林水産業などを通じて行われていくわけでありますから、そういう意味で、消防団活動をもっときちんと維持していく上でも、こうした自治組織やコミュニティーの場というのは大変重要である。

 ですから、農林水産業ということをいろいろ考えるときは、そういう業としていろいろ見るというよりも、もっと地域全体の、農山漁村のあり方も含めて、よく地域の実態を見た上で、組織と活性化ということを考えていかなきゃならないものというふうに考えます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

森本委員 そういう意味では大変難しい問題でありますが、人口の集中しているところと過疎地域に同じような法的な網をかけていくということは、これからは非常に大変なことが起こる、そのことを今私は指摘をさせていただいて、そうした考え方の中で、これから地域づくり、地域再生を目指していただきたいというふうなことをお願いを申しておきます。

 あと、きょうは御出席をいただいて大変申しわけないんですが、地方分権につきましては時間がございましたら。

 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案の具体的な質疑に入らせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、危険物施設における危険物の流出等の事故などに関する調査体制、そしてスタッフと新たな財源措置については必要なのかどうなのか、お聞かせください。

荒木政府参考人 新たなスタッフの確保と財政措置についての御質問でございますが、これまでも危険物流出等の事故につきましては、消防機関におきましては調査を行ってきたところでありまして、新たな事務を課するものではなく、今回の改正により、より効果的な調査が行えるようになるものというふうに考えております。

 したがいまして、消防庁としましては、今回の改正を契機に、危険物流出等の事故の効率的な原因調査が実施していただけますように、法案が成立した後、速やかに事故調査の具体的方法などを盛り込んだマニュアルを整備しまして、消防機関に周知徹底を図りますとともに、消防大学校等における教育カリキュラムの整備充実等にも努めてまいりたいと考えております。

 さらに、今回の法改正の中で、調査を行う市町村長や都道府県知事から求めがあった場合には、消防庁長官も調査ができるように措置をしているところでございます。

 いずれにしましても、今回の法改正を受けまして、市町村長等の意見を聞きまして、原因調査の実効性の確保が図られるように万全を期してまいりたいと考えております。

森本委員 そうすると、今申し上げたスタッフと新たな財政措置の必要はないという。そこのところはどうですか。

荒木政府参考人 そのように考えております。

森本委員 それでは、緊急消防援助隊の機動力の強化などについて質問をさせていただきます。

 今大臣からもお話がありましたが、緊急消防援助隊員の登録は、平成十九年四月現在では三千七百五十一、今聞かせていただきました数字が少し変わっておるようでございますが四万四千人。

 しかし、この背景には、市町村の消防車両などの消防施設の整備に当たって、緊急消防援助隊への登録を前提としなければ国の補助が得られないという仕組みになっていると聞いております。市町村は、国の補助をもらうために、国の基準に合わせた画一的なものになったのではないか。

 市町村はこれまで、首長のカラーの中で、ある程度独自のカラーを持っておられたというふうに思っておりますが、こうしたことが画一的なものになってしまうということは、私はいかがなものかというふうに思っております。

 ですから、前段で申し上げた、地方自治体のこうした独自のカラーを出していくのであれば、自主財源として、消防、防災時への充当も検討をしていただきたいと思うわけでありますが、いかがでございますか。

増田国務大臣 緊急消防援助隊以外の、いわゆる一般の消防車両等、装備の充実のお話かというふうに思いますけれども、これについては、以前、三位一体等の改革によって一般財源化された部分がございます。ですから、今、こうした問題に、それぞれの自治体が地方税と地方交付税ということで対応しているということでございますが、この中で、十八年度から、私どもの方で地方債と地方交付税による地方財政措置を講じている。これはかつての補助金相当分でありますが、一〇〇%交付税措置ということで、これはいろいろな段階がございますけれども、この点については一〇〇%交付税で措置をする。大変大事な地域の防災の関係でございますので、そういう財政措置を講じているところでございます。

 したがいまして、今後、消防力の整備に支障のないようにしていかなければならないわけでございまして、これは、地域の皆さん方にぜひこういったことを御理解いただくということと同時に、地方財政措置をきちんと講じて、実際の消防車両等の整備に支障のないようにしていきたい、このように考えます。

森本委員 それでは、長官、さっきの私の、国の基準の、画一的なものになってしまっておるんじゃないかということに対してはいかがですか。画一的なものと、私の申し上げたとおりでよろしいんですね。それならもう答えは要りません。

荒木政府参考人 現在、私ども、消防力につきましては、消防力の整備指針を設けまして、これを基準にしまして、各地方団体において所要の整備、消防力の整備を進めていただくようにお願いしているところでございます。これにつきましては、平成十八年四月一日現在で申しますと、消防ポンプ自動車やはしご自動車などの消防車両につきましてはおおむね八七%から九七%の水準になっておりますが、消防職員については七六%という水準でございます。

 これらの状況は、各市町村の現在の厳しい財政状況等によりまして、大幅な予算の確保、増額、あるいは人員の増加が困難なことが背景にはあるというふうに認識しているところでございます。

森本委員 それと、今大臣のお答えいただいた中で、常備消防隊の補助をなくして、地方債を一〇〇%交付税の算入ということでよろしいんですね、理解は。補助金がなくなって地方債。

荒木政府参考人 失礼いたしました。

 緊急消防援助隊以外の消防車両等の整備につきましては、先ほど大臣からも御説明がございましたように、平成十八年度から、地方債と地方交付税措置によります地方財政措置を講じているところでございます。

森本委員 これは、大臣、地方では今まで、地方債を交付税で後から見てあげるという制度は信用はされておらないんですよ。ですから、補助金をもらった方が、地方の財政としては安定もしますし、安心なんですね。今まで、交付税算入をされるからということで、その交付税がどの部分にしっかり入っておるということは、ここへ来て交付税が五兆円も下がっていくと、どれがどれかわからないような状況の中で、こうした独自の消防体制をとれない状況に今地方はある。

 ですから、ここのところはしっかり認識をしていただいて、何かうまく予算は確保しておるからということが言われておりますが、私はそうではないと思っております。いかがですか。

増田国務大臣 やはり、地方の財源というのは自主財源で確保していく、そして、それぞれの財政事情に応じて、それぞれの自治体の方で判断をして、優先度を決めて充てていくということが大事だと思うので、消防などのこうした問題というのは大変重要な、これは全国共通の課題だろうというふうに思うんですが、一般論として言えば、補助金などで国から財源を地方に移転するというのは望ましくなくて、やはり、こういった場合にも、できるだけ地方の一般財源の中で地方の判断ができるような形で措置していくのがいいのではないか。

 その中で、確かに、地方交付税が大変急激に削減をされてきたということがあって、今回のものについては一〇〇%地方交付税措置をしているわけでありますが、大変交付税が削減されたがゆえに、先ほど先生お話ございましたとおり、どうも後から措置したということが信用ならぬという声を、実際に私も多くの方々からお伺いしているところであります。

 ですから、ここは、地方税の確保ということにしっかりと全力を挙げていくということにした上で、各自治体がこうした防災面などの備えを確実に行っていただけるように、こういうふうにしていきたいというふうに考えます。

森本委員 ありがとうございました。

 それでは、ここは確認をしておきたいところなんですが、市町村の消防力を算出する一つの基準として消防力の整備指針がありますが、その算出結果と各市町村の消防の現状との乖離が生まれてきておるということを私は心配しておるんですが、このことについてはいかがでございますか。

荒木政府参考人 消防力の整備指針と現在の整備の水準との乖離の状況でございますが、平成十八年四月一日現在で、主要な施設等について申し上げますと、消防ポンプ自動車につきましては九六%の整備率でございます。はしご自動車につきましては八八%、化学消防車八七・九%、救助工作車八七・一%、救急自動車九七・三%、消防水利八〇・六%、消防職員、これは先ほどもちょっと触れましたが、七六%、こういった状況でございます。

森本委員 それでは次に、消防費の算定に新型交付税は導入されていないということはなぜか、ここをお答えいただけますか。

久保政府参考人 委員御案内のように、いわゆる新型交付税、平成十九年度から導入をしております。法律用語としては、包括算定経費、こう呼んでおりますけれども、これは、国の義務づけとか基準づけがない、あるいはそういったものが弱い行政分野について導入するということにいたしておりますので、平成十九年度におきましては、投資的経費を中心にそれを行ったということでございまして、消防費につきましては、ただいまも御指摘がございましたように、消防力の整備指針などの国の基準がございますので、私どもとしては、引き続き、従来の算定方法によって算定をするということにいたしております。

森本委員 ここのところをなぜこのように申し上げるかといいますと、消防費は人口だけですね、しかし山火事等の対応のために常備消防隊を設置してほしい、そうした中で、しっかりした算定基準を示していただきたいな。

 今は補正係数でやりますが、これは省でいろいろな数字が変わってくるということになりますので、算定基準を明確に、この面積の倍の面積があるからこうだということは非常に難しいと思うんですが、少なくとも、山火事対応とか、こうした常備消防隊の動きを見ても、このあたりはもう少し面積換算を取り入れていただく方がいいというふうに私は認識をしておるんですが、いかがですか。

久保政府参考人 消防力の整備指針を見てみますと、算定基準として、例えば消防署の数とか消防ポンプ車、これは市街地人口に基づいて算定がされております。また、救急車、これは管内人口に基づいて算定されているといったような形で、人口というのはかなり大きな要素を占めているということで、私ども、単位費用といたしましては人口ということを基準に、そしてただいま委員御指摘のように一定の補正を行っているということでございます。

 例えば消防団員の報酬でございますとか消防自動車の燃料費といったような、面積に応じて増加するであろう経費につきましては、標準団体の人口密度、これを二百人というふうに算定いたしまして、二百人未満の団体につきまして密度補正を行って割り増しをしている、これは御指摘のあったとおりでございます。

 そして、現在、ここ数年間で全国各地で合併が進んでおりまして、広域合併によりまして、ただいまお話があったような形で著しく面積が大きくなった地方公共団体、市町村、これが多々ございます。そして、そうしたところの消防行政に関します基準財政需要額の算定につきましては面積の要素を勘案する必要性が特に高まっているという御指摘がある、私どももこれは十分承知をしております。

 当面は、そうした団体につきましては合併による算定の特例、いわゆる合併算定がえでございますね、合併前の市町村ごとに財源不足をはじく、これを適用して対応するということにしておりますけれども、今後、やはり、そういった団体の状況がどうなっていくのかということにつきましては、私どもも地方公共団体の御意見を伺いながら適切な算定というのを心がけていきたいと考えております。

森本委員 それで大臣、これは少し方向も違うわけでありますが、今まで前段に申し上げた地域の状況、市場化テスト、消防も予算がある程度、今の設備については八〇以上整備されておりますから、ここをどう評価するかは別として及第点が与えられるんだろうというふうに思いますが、地方行政の改革の中で、指定管理者制度とかいろいろな状況の中でこの消防団もあります。しかし、その中で、地方自治体ではもう既に過疎地の保育園ですら民営化をしようという検討がなされています。

 ここまで地方を追い込んでいきますと、理想的な、法的な整備はわかりますが、現実とのギャップが余りにも大きいという感じが私はするんです。しかし、今回の法律をだめだとかそういう方向で申し上げているのではないんです。ないんですけれども、ここまでいろいろな面で、交付税が一番効いてくるんだろうと思うんですが、民営化と規制緩和が進むと、そういう立ち直る状況がなかなかつくれないというような状況になっていくんじゃないかと私は思っています。

 特に子供たちの、保育園の民営化なんて、大都市圏の中心の人口の多いところはユニークな民営化というものが私は存在するかと思うんですが、過疎地までこうした方向で市や町が動いていくと大変な状況になる。そのことについて、少しだけで結構です、コメントいただけたらと思います。

増田国務大臣 民営化は、確かに大都市部とか人口の集積している地域でいろいろな可能性があるところが一番なじみやすいんだろうなというふうに思いますし、民間のノウハウを取り入れるというのは大変大事でありますが、私は、こういった民営化も含め、全国一律でやるということではなくて、やはり地域の実情というものを踏まえた上でさまざまな施策というのは導入していかなければならないであろうというふうに思います。

 ですから、まず制度の趣旨ですとか、それから利点がどういう場合に発揮されるのかというのをよく事前に検討した上で、全国一律ということではなくて、地域地域に合った形で制度を導入していく、こういうことであろうというふうに思います。

森本委員 それでは、屋外タンクの関係については、私どもの田嶋委員も改修猶予期間の見直しを強調されましたので、私もこのことは感じておりますから、そのことも申し上げようと思ったんですが、ここではもう重なりますのできょうは省略します。

 この改修費用をどのように総務省は見積もっておられるのか、そしてこの企業経営に対する影響は、屋外タンクの地震対策についてどのように影響が出るとお考えなのか、数字があれば示してください。

荒木政府参考人 タンクの耐震改修に要する経費でございますが、これはかなり大まかな推計の額でございますので、その点あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 対象タンクの種類別に申し上げますと、容量一万キロリットル以上のタンク本体と基礎・地盤の工事を見ますと、タンク本体で一億ないし二億円程度、基礎・地盤で一億ないし数億円程度、これは地盤の状況によってかなり幅があるようでございます。それから、容量が一千キロリットル以上一万キロリットル未満の場合ですと、タンク本体で一億円程度、基礎と地盤の工事で五千万から一億円程度、また、容量が五百キロリットル以上一千キロリットル未満ですと、タンク本体で数千万円程度、基礎・地盤で一千万円程度、このようになっております。

森本委員 私が申し上げているのは全体でということで、田嶋委員の質問のときにその数字が出たと思うんです。それと、企業経営への影響をどのように考えられておるのかということは答弁漏れだと思うんですが、ここのところは後から資料でこちらに提示していただけませんか。

荒木政府参考人 ただいまの点につきましては、数字が出せるかどうかあれですが、よく検討しましてお答えさせていただきます。

森本委員 それと消防の広域化推進計画、これは単刀直入に申し上げますが、十九年度に推進計画が策定できなかった十七府県の状況をお聞かせください、どのようになっておられますか。

荒木政府参考人 市町村消防の広域化推進計画につきましては、五月一日現在で、三十一都道府県が策定済み、未策定が十六団体ございますが、この未策定の団体につきましては、計画案に対する県民の意見募集の手続を行ったり、広域化対象市町村の組み合わせ等について市町村と調整を行う等、現在、最後の詰めの段階に入っておりまして、鋭意取りまとめ中であると伺っております。

 これらの団体につきましては、引き続き、早期に策定ができますよう、助言等を行ってまいりたいと考えております。

森本委員 市町村が反発されて今非常に困っておるんだという例はございませんか。

荒木政府参考人 先ほども申しましたように、各団体におかれまして市町村の組み合わせ等について鋭意調整を行うという中では、そのような組み合わせについてまだいろいろな議論をされている団体もあると思いますが、できるだけ早く議論を詰めてまとめていただきたい、このように期待しております。

森本委員 この件については、平成十八年の消防組織法の改正時の附帯決議に対する趣旨を適切に理解し、反映をされてきたと総務省はお考えでございますか。そのところについて、大臣。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 あえて繰り返しませんが、十八年に主に五項目について附帯決議がなされましたので、それらの事項については、その後、消防庁長官が定めた基本指針というものがございます、この中にそれを盛り込みまして、そして、その上で消防庁として必要な措置を講ずる、あるいは各公共団体に対しまして通知、説明会、さらにはヒアリングといったようなことで、機会あるごとに周知と理解を求めてきたところでございます。

森本委員 この附帯決議の中に、今おっしゃられました「関係市町村等の意見を聴取するなど地域の実情を十分に踏まえ、市町村の自主性を損なわないよう配慮すること。」このことが、自主性を配慮するということがややもすると少し抜けておらないのかなという心配を私はいたしております。

 ですから、最後に念押しをさせていただきますが、大規模の災害時には、市町村の意思を超越し、消防庁長官の指示により市町村の消防が出動をされることになります。ですから、今後は、災害だけでなしにテロ活動へも出動があり得るというようなことになりますと、ややもすると国家統制が強まっていくのではないかなというような、そういう危惧の念を持たれておられる消防関係者の方もおみえになりますので、そのことについては、大臣、行ったり来たりしますが、最後によろしくお願いします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の改正、やはり大変大規模な災害が起きた場合の移動ということについて、そういった意味でのニーズがあるという判断で改正を御提案させていただきました。

 もとより、テロ等の場合に国家統制を強めるといったような意図もございませんし、適切、緊急に、迅速に移動するということを可能にするためのものでございますが、こういった法改正の趣旨ですとか、それから、やはり消防の役割といったようなことについて、関係者のみならず国民の十分な理解が必要でございますので、そうした理解を得るように今後一層の努力をしていきたい、このように考えます。

森本委員 ありがとうございました。終わります。

馳委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 今回の法改正の理由の一つは、危険物施設において危険物の流出があった場合に、なぜ流出をしたのか、その原因の調査ができるようにするものであります。総務省の説明ペーパーでも、「屋外タンク等からの危険物流出等の事故について、消防機関が原因調査を行うために、必要な措置を講ずることができるようにする。」とあります。

 そこで、ここでの例示をしております屋外タンク貯蔵所に関して質問をしたいと思います。

 最初に、屋外タンク貯蔵所の漏えい事故の件数及び、その中で五百キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所の漏えい事故件数について、平成六年の数字と平成十八年の数字をそれぞれ紹介していただけますか。

荒木政府参考人 屋外タンク貯蔵所の危険物流出事故につきましては、平成六年には十九件発生しておりますが、十八年には五十二件と増加をしているところでございます。このうち容量五百キロリットル以上の大型タンクにつきましては、その危険物流出事故は、平成六年に三件でありましたが、平成十八年には十八件となっているところであります。

塩川委員 五百キロリットル以上が、平成六年三件が、十八年には十八件と大幅にふえている。大半が、出光ですとかコスモ石油とか新日本石油などの大手の石油元売事業者であります。

 重ねてお聞きしますが、平成六年と十八年を比較しまして、屋外タンク貯蔵所の漏えい事故が増加をしている原因、背景はどのようなものなのか、消防庁として認識している点について伺わせてください。

荒木政府参考人 危険物流出事故が増加している要因についてのお尋ねでございますが、平成六年に屋外タンク貯蔵所において発生しました危険物の流出事故十九件のうち、主な事故原因としまして、腐食等劣化によるものが七件、確認不十分によるものが三件、管理不十分によるものが二件となっているところでございます。

 また、平成十八年に発生した流出事故が五十二件ございますが、その事故原因を見ますと、腐食等劣化によるものが二十件、確認不十分によるものが六件、管理不十分によるものが十件となっているところでございます。

 この事故件数の増加の理由としましては、高度経済成長期に建造されました危険物施設の老朽化に伴うもの、あるいは、長引いた不景気や国際競争の激化などにより企業における保安部門への投資が削減されていることなどが考えられるところでございます。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 今回、調査権限の強化を図られるわけです。それ自身は重要なことでありますが、今御答弁がありましたように、この間、屋外タンク貯蔵所における危険物の漏えいの事故の理由につきましても、老朽化に伴うもの、また企業における保安部門への投資が削減をされているという点で、大まかなこの要因というのは明らかであるわけです。ですから、そういう点でも、そこに着目をし、対応した対策をとることが必要ではないかと考えています。

 そこで、大臣に伺いますが、今、理由として述べていました、老朽化に伴うもの、あるいは企業における保安部門への投資が削減をされている、こういった原因、理由に対応して、消防庁として、政府としての漏えい防止対策はどのようなことを行ってきているのか、その点についてお聞かせください。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 総務省消防庁では、平成十五年から、危険物関係業界あるいは団体、そして消防関係行政機関の参画を得まして、危険物等事故防止対策情報連絡会というものを開催してまいりました。そこで官民一体で事故防止を図るための方策を検討いたしますとともに、毎年度、アクションプラン、正式には危険物事故防止アクションプランと呼んでいますが、このアクションプランを取りまとめまして、共通の認識、目標に基づいて事故防止対策を推進していく、こういうふうにしてきたところでございます。

 それから、屋外タンク貯蔵所に着目してのものといたしましては、これは耐震性の強化を図るために、平成十六年に耐震改修の期限を二ないし三年繰り上げるようにするなど、危険物施設の安全確保に取り組んできたところでございます。

 したがいまして、こうしたこれらの従来から行っている取り組みとあわせて、今回の消防法の改正ということによりまして危険物施設の事故防止対策をさらに強めていきたい、こういうふうに考えたものでございます。

塩川委員 屋外タンク貯蔵所の耐震改修の期限前倒しは当然の措置だと思っております。

 お聞きしたかったのが、具体的に、屋外タンク貯蔵所で漏えい事故がふえているその理由として、一点が老朽化に伴うものだ、二点が企業における保安部門への投資が削減をされている、こういう要因、理由に対応した消防庁としての事故防止対策というのはどういうことを行っているのか、そこをお聞きしたかったんですけれども、いかがですか。

荒木政府参考人 私ども消防庁としましては、ただいまも大臣からお話ございましたように、関係の業界あるいは団体にも参加をいただきまして情報連絡会、これは危険物等事故防止対策情報連絡会という名称のものですが、こういった場を設けまして、これらの場で、先ほど来申し上げました事故の原因等、私ども、これは推測の部分がございますが、やはり事故等の状況を見ますと先ほど申し上げたような要因が考えられますので、老朽化等のおそれがあるものにつきましてはできるだけ早目に改修いただくように、そういった場を通じまして要請しているところでございます。

 いずれにしましても、今回の法改正によりまして、かなり今流出事故等がふえておりますが、そういった際に、今度は調査が法に基づいてできるようになりますので、これまで以上に具体の情報を集めることができますので、そういったものも踏まえて、さらに関係業界等に対する取り組みを積極的にやっていただくように必要な要請をしてまいりたい、このように考えております。

塩川委員 老朽化に伴うものという点でのお話が、早目に改修を要請しているということです。耐震改修の期限前倒しは当然のことですけれども、老朽化対応での早目に改修を要請するというのは具体的にどういうふうにやっているんですか。そこをお聞きしたいんですけれども。

荒木政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、これまでの事故の要因を分析しますと老朽化等が背景にあるというものが考えられますので、これらにつきまして、私どもも具体に、個別に一つ一つを、これとこれはいつまでにということは申し上げる基準もございませんので、できるだけ、これまでの経過年数等を勘案しまして、あるいは、施設の点検もいたしますのでそういった点検の状況等を踏まえて、必要なものにつきましては早期に取り組んでいただくようにお願いしているという状況でございます。

塩川委員 いや、基準もないけれども必要なものについては早目に改修を要請というんですと、必要なものという基準はないわけですが、そこがよくわからないんですけれども。

 具体的に、早目に改修というと、どういう施設に対して早目にということを言っているんですか。年数で、あるいは七〇年以前のものとか、そういう点で具体的に要請をされているんでしょうか。一般的に言っているのではなくて、具体的な個別の施設を念頭に置いた要請をされているということなんでしょうか。

荒木政府参考人 私どもは、昭和五十二年以前に設置されたものにつきましては、できるだけ早期に改修をしていただくようにお願いをしているところでございます。

塩川委員 あともう一点の、企業における保安部門への投資が削減をされている、これが漏えい事故が増加をしている要因になっているんですが、この点についてはどういう対応策をお考えなんですか。

荒木政府参考人 ただいまの保守管理に要する経費の面での取り組みにつきましては、先ほどのアクションプランを毎年度具体に、今年度はこういったことについて取り組もうというようなことを、業界も入りました先ほどの会議で決めているわけでございますが、保守点検につきまして、企業も経営状況が厳しい中ですが、取りまとめるアクションプランの中に盛り込みまして、それぞれの企業においてしっかりと取り組んでいただいているところでございます。

塩川委員 そのアクションプランの中に、投資が削減されているから投資をふやしてくれ、あるいは維持してくれという要請をされるということなんですか。

荒木政府参考人 これは関係業界も参画いただいている会議で取り決めるものでございますので、それぞれの企業においてもこのアクションプランに基づいて積極的に取り組んでいただくということで、私ども期待しているところでございます。

塩川委員 いや、積極的に取り組むというかけ声ではなくて、具体的に、投資が削減されるのが事故がふえている要因ということであれば、投資の額をふやしてくれ、あるいは維持してくれという要請をしているということなんですか。

荒木政府参考人 再三お答えしますように、アクションプランは企業も業界も入りましたその中でまとめるものでございますので、企業におきましても自主的、主体的に取り組んでいただくということで、その中に位置づけをしている。私どもは当然、そういったことで、自主的に、積極的にお取り組みいただくことを期待している。消防庁としては、それを要請するということで取り組んでいるところでございます。

塩川委員 事業者の対応を期待しているということであります。事業者がそういう点で安全対策を軽視するような状況が生まれるのではないかという懸念があるのであれば、規制官庁としての対策を強化すべきであります。例えば立入検査などを積極的に活用すべきなのではないかと思うわけですね。

 そこで、平成六年度と十八年度を比較して、屋外タンク貯蔵所に対する立入検査の数はふえているんでしょうか、どうなんでしょうか。平成六年度と十八年度の屋外タンク貯蔵所に対する立入検査の数を示していただけますか。

荒木政府参考人 危険物施設の立入検査の件数でございますが、平成六年度には三十万九千七百八十七の施設に対しまして立入検査を実施したところでございます。これは、その時点の対象施設が五十五万五千三百九十八ございましたので、その五五%に対して実施しております。

 また、平成十八年度には二十三万三千二百六十七施設に対しまして立入検査を実施しております。これは、その時点の対象施設の約四七%に対してのものでございます。

 このうち、屋外タンク貯蔵所に関しましては、平成六年度には四万六千二百七十一施設に対しまして立入検査を実施しております。これは、その時点の屋外タンク貯蔵施設が八万五千九十八ありますので、それの五五%に対して実施をしたことになります。

 また、平成十八年度には三万五千九十八施設に対しまして立入検査を実施しておりまして、これは対象施設七万一千七百五十七施設の約四九%に当たるところであります。

塩川委員 立入検査の件数も割合後退をしているわけですね。事故予防対策として屋外タンク貯蔵所など危険物施設への立入検査を強化する必要がある。あわせて、立入検査を行う要因そのものは、この間、予防要因はふえております。しかし、現場に行く立入検査の数は減っているわけですから、そういう点での予防対策の強化が具体的に現場の実情を踏まえて行われることが求められているんだろうと思います。

 この間、規制緩和措置として開放検査の周期の延長なども行われている、そういう方向は実際逆方向なんじゃないのかということが問われていると思うわけです。政府としての漏えい防止対策がもう一段強められなければいけない、そういう点で、事業者任せの自主検査の導入を行うような規制緩和要求が出されているという点は筋違いだということも述べまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 質問いたします。

 まず、ミャンマーにおける大水害、中国四川省における大地震では、本当に多くの方々が被災をし、今なお救援活動が国際的な規模で行われております。我が国の緊急援助隊の皆さんも、献身的な活動をされました。まず、犠牲になられた方々の冥福をお祈りし、行方不明者の一日も早い発見、救助を願っております。そのためにも、日本として引き続き精いっぱいの協力を政府にお願いしたいと思います。

 さて、今回の災害で特に痛ましく思いましたのは、学校が倒壊をいたしまして、多くの児童が生き埋めになったということです。きょうの新聞ですか、ペンを握り締めた腕が露出をして、その児童はもう亡くなっているわけですけれども、そういう痛ましい写真が新聞に出ていました。

 そこで、これはもうよそごとではないわけでありまして、我が国においても、いわゆる東海地震を初めとして、多くの地域で地震が間違いなく起こるということが言われておりまして、そういう事態を思えば思うほど、全国の学校における耐震性はどうなっておるんだろうか、あるいは補強工事はどうなっているのか、あるいは今後の計画はどうなっているのか、このことをまずお聞きしたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 先生お尋ねの公立小中学校施設の耐震化率でございますけれども、平成十九年四月一日現在、五八・六%という形になっております。

 耐震化の計画でございますけれども、昨年十二月に政府において取りまとめた生活安心プロジェクト等において、大規模地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設、これは約一万棟でございますけれども、一万棟については、今後五年をめどに耐震化を図るという方針を示したところでございます。

 文部科学省といたしましては、地震補強事業に係る国の補助率について、一般的な改修に比べかさ上げを行っております。また、予算につきましても、平成十九年度補正予算及び二十年度当初予算において所要の額を計上したところでございます。さらに、地方財政措置につきましても、従来一部地域に限られていた措置が、平成十九年度に全国に拡大されたところでございます。

 文部科学省としましては、今後とも、公立学校施設の早期の耐震化に向けて最大限努力してまいりたいと考えているところでございます。

重野委員 私もいろいろ調べてみたんですけれども、例えば、耐震診断調査ですね、耐震診断、この実施率を調べてみましたら、小中学校で九三%、幼稚園は六八・九%。それに基づく耐震化工事をやって率が上がるわけですけれども、それが、今説明がありましたように、五六%台ですが、幼稚園においては五二・二%と、概して幼稚園の率が低いんですね。

 教育現場においては一番弱者ですよね、適応能力も弱いし、そういう幼児の施設における実施率あるいは耐震化率が低いというのは、私は問題だと思うんですね。今度でも、学校が倒壊して、何百人ですからね。あれを見ると、学校というのは、子供はみんな集団で部屋に入っているわけですね。起こった場合に一番被害を受ける可能性が高い施設なんですね。そういうところはやはり最優先でやるべきだ。

 同じように、これは文科省の所管じゃありませんが、例えば特別養護老人ホームであるとか病院であるとか、こういう、いうところの弱者が集まる施設については私は最優先でやるべきだと思うんですが、そういう法則みたいなものがあるのかどうか。

 これは、消防庁長官、そういう施設については一般のものとは違って優先してしなきゃならぬとかいうのが法律のどこかに書かれているんでしょうか。通告していませんが、その点についてお聞かせください。

荒木政府参考人 ただいま委員御指摘の、法令等に基づきます、優先順位をつけて義務づけるというものはないと思いますが、これは、各地方団体におきまして、公共施設等を設置している設置主体におきまして、限られた財源の制約がある中でございますが、やはり緊急度の高いものから優先順位をつけて実施していただく。

 私ども総務省としましても、こういった耐震化のための財政措置につきましては、耐震のための需要額の算入もいたしておりますし、普通交付税上の措置も講じておりますし、また、事業を行う際には、交付税の措置につきましては地方債等も財源措置をするようにしているところでございます。

重野委員 私は、この問題については、やはり最優先にやるという誘導措置がないと、なかなか自治体は予算の見合い等々で、やりたくてもやれないと思うんですね。

 これは私は、東海地震云々という話が出るというように、非常に関心の高い部分、それに付随をして、それに対応する措置、しかも学校現場というのは弱者が集まっているところですから、それはやはり、きちっとそれができるような、そういう仕組みを消防庁も考えなきゃいかぬし、文科省もそういうインセンティブを働かせる、そういうことをしないと、やはりこの率は急速に上がっていくということにはならぬと思いますね。その点はひとつ十分配慮してやっていただきたいと思います。

 次に、先ほどからタンクの話が出ていますが、これは、流出事故が増加傾向にある。私も調べてみましたけれども、平成六年の発生件数に比べて、平成十八年のデータですが、約二・二倍という数字になっています。火災についても約二倍ですね、そういうふうに増加傾向にある。

 その最大の要因はどこにあるのかという点について、消防庁はどういうふうな理解をしているんでしょうか。

荒木政府参考人 近年の危険物の流出事故の増加の理由としましては、高度成長期に建造された危険物施設の老朽化に伴うもの、長引いた不景気や国際競争の激化などにより企業における保安部門への投資が削減されていることなどが考えられるところであります。

重野委員 これも、例えばタンクの場合を例にとるわけですけれども、小さいタンク等々は、それを保有している企業もどちらかというと弱小企業なんですよね。そういうところに安全性を確保するための工事をやれと言ったって、先立つものがございませんというふうな形でなかなか進まない。言う以上は、そういう財政的な措置というものもかみ合わせた誘導措置を持っていかないと実を上げないんじゃないか、このように私は思うんですが、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。

荒木政府参考人 容量が五百キロリットル以上一千キロリットル未満の比較的小規模なタンクの耐震改修につきましては、負担の少ない耐震工法などの検討に取り組みまして、その普及を図るなど、耐震改修の促進に努めてまいりたいと考えております。

 耐震改修促進を図るための事業者等への経済的な支援策につきましては、関係省庁とも連携をよく図りながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

重野委員 十八年の資料ですけれども、対象が三千六百三十三、適合施設が七百三十四で未適合が二千八百九十九、七九・八%は未適合、こういう数字があるわけですね。これはやはり相当に誘導していかないと、未適合をゼロにすることは難しいと私は思うんですね。そこら辺についてはひとつ、今長官も申されましたけれども、積極的に対処していかないと、これは言うだけで終わってしまう。

 時間もありませんが、最後に、はしご車問題についてお聞きします。

 はしご車は、全国で千二百八十台あります。

 例えば、こういう例があるんですね。オーバーホールは、運用開始から七年でオーバーホールしなきゃならぬ、使用時間千五百時間ですね。ところが、このオーバーホールというのがとてつもなく金がかかる、四千万円だという数字も聞いております。

 はしご車一台が、十五メートル級で五千万円、四十メートルで一億八千万円、それに対してオーバーホール四千万というのはべらぼうに高いですね。だから、できないんですよね。買ったのはいいけれどもオーバーホールするお金がない、これではやはり問題だと私は思うんですね。

 ここのところをどうするのか。これはどの消防本部においても頭痛の種だと思いますよ。だから、結果的に法律違反のまま進んでいるという事態があるんじゃないですか。そこら辺についての意識、消防庁としてどういう認識を持っておられるのか、そしてこれら対策はどういうふうに講じようとしているのか、その点についてお聞かせください。

荒木政府参考人 はしご車のオーバーホールについてのお尋ねでございますが、平成十五年三月に策定をいたしました消防自動車のオーバーホール標準実施基準におきまして、はしご自動車のオーバーホールにつきましては、点検の状況、ふぐあいの発生状況等当該車両の状態を勘案して、運用開始からおおむね七年目に実施をすることとされております。

 さらに、平成十九年三月に策定された消防用車両の安全基準におきまして、二度目以降のオーバーホールにつきましては、前回の実施から五年に至る前に実施をすることとされているところでございます。

 実際のはしご自動車のオーバーホールの実施の状況でございますが、平成十四年十一月に行いましたアンケート調査の結果によりますと、はしご車等を保有している六百二十八団体中四百二十二団体、六七%に当たりますが、こちらの団体で一回以上実施をしております。導入からの実施経過年数は、平均で十・九年となっているところでございます。

 先ほど申しました基準策定後の実施状況については、現時点では把握をしてございませんが、オーバーホールは、はしごやターンテーブル等の機器を車両から取り外して分解点検するもので、多くの時間と、ただいまお話ございましたように多額の費用を要するなど、消防本部によってはかなりの負担となっている場合があるというふうに認識をしております。

重野委員 時間が来ましたから終わりますけれども、消防庁はいろいろな指針を出して消防の能力を高めると。高めろ高めろ、努力せよというのはわかります。問題は、地方自治体あるいはその財政状況というのは御案内のとおり、これも総務省のこの間の政策誘導によって、今、自治体は瀕死の状態にあるんですね。そういう中で、消防庁の要請を容易に受け入れることのできない、そういう実態が顕在化している。そこら辺の問題意識はしっかり持っていただいて、言う以上は国も面倒を見るというところをやはり明確にしていただかないと、地方の消防力は弱体化していく、このように申し上げまして、質問を終わります。

渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、今井宏君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一、大規模地震に伴う危険物施設の流出、破損等の事故により甚大な被害の発生が懸念されることにかんがみ、関係各省の密接な連携の下に、危険物施設の耐震化を促進するなど、安全対策を一層強化すること。また、地下貯蔵タンク等については、腐食等経年劣化が流出事故の大きな要因となっていることから、その種類や設置環境等に応じた腐食防止・抑制対策を推進し、事故防止に努めること。

 二、危険物施設における危険物の流出等の事故の調査体制については、効果的・効率的な調査を確実に実施することができるよう、全国の消防本部において、事故調査マニュアルを整備するとともに、必要な消防職員を確保し、調査能力や技術の向上を図ること。また、調査結果については、技術基準等への速やかな反映を図るとともに、関係機関における情報共有体制を構築すること。

 三、緊急消防援助隊については、活動規模の増大や大規模地震発生への懸念にかんがみ、登録部隊の計画的な増強及び施設・設備等の充実強化を推進するとともに、消防応援活動調整本部の設置や関係機関との連携などに関する実践的な訓練を行い、指揮・連携能力の向上に一層努めるほか、特殊災害への対応力の確保を図ること。また、緊急消防援助隊の活動の拡大等に伴い、都道府県の役割が増大することにかんがみ、都道府県の災害に対する即応体制の強化に努めること。

 四、災害発生時に広範な被害状況を迅速に把握するため、消防防災ヘリコプターによる災害映像伝送システムについては、中継車や可搬型受信装置の普及を含め全国的な映像受信範囲の拡大を図るとともに、通信衛星へ直接伝送する技術について検討を重ねること。また、防災行政無線については、早急に整備率の向上を図るとともに、デジタル化に向けて適切な財政支援を措置すること。

 五、大規模地震災害の発生時において、初動及び応急対応の防災拠点となる病院、学校、公民館等の公共施設について、早期に耐震化を完了すること。また、消防団の地域防災に果たす重要性にかんがみ、常備消防との連携体制を強化するとともに、団員の確保及び装備等の充実を行い、その活性化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十一分散会


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