衆議院

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第23号 平成20年6月3日(火曜日)

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平成二十年六月三日(火曜日)

    午後一時四十一分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      高木美智代君    富田 茂之君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   会計検査院事務総局第五局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員)          多賀谷一照君

   参考人

   (日本放送協会会長)   福地 茂雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 金田  新君

   参考人

   (日本放送協会理事)   溝口 明秀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   八幡 恒二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   永井 研二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  斉藤 鉄夫君     富田 茂之君

  谷口 和史君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  高木美智代君     谷口 和史君

  富田 茂之君     斉藤 鉄夫君

    ―――――――――――――

六月二日 

 日本放送協会平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

同月三日

 行政不服審査法関係法律案における労働災害不服審査制度に関する請願(金田誠一君紹介)(第三四二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本放送協会平成十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会平成十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日本放送協会平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長小笠原倫明君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長高山丈二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成十七年度及び平成十八年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書について、その概略を御説明申し上げます。

 本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。

 まず、平成十七年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十八年三月三十一日現在、資産合計は七千二百三億円、負債合計は二千五百八十四億円、資本合計は四千六百十九億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千六百六十億円となっており、経常事業収支差金は八十八億円となっております。

 次に、平成十八年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十九年三月三十一日現在、資産合計は七千四百九十七億円、負債合計は二千六百四十三億円、資本合計は四千八百五十三億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千七百五十六億円、経常事業支出は六千五百二十六億円となっており、経常事業収支差金は二百二十九億円となっております。

 以上について、監事の意見書においては、監査の結果、平成十七年度及び平成十八年度の財務諸表は、日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認められております。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

渡辺委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長福地茂雄君。

福地参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十七年度及び平成十八年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、平成十七年度の財産目録、貸借対照表を御説明申し上げます。

 一般勘定の当年度末の資産総額は七千二百三億円、一方、これに対する負債総額は二千五百八十四億円、また、資本総額は四千六百十九億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千六百六十億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は八十八億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は四十三億円となりました。

 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は三十七億円であり、事業収支剰余金は五億円でございます。

 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 以上につきまして、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。

 引き続きまして、平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、財産目録、貸借対照表を御説明申し上げます。

 一般勘定の当年度末の資産総額は七千四百九十七億円、一方、これに対する負債総額は二千六百四十三億円、また、資本総額は四千八百五十三億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千七百五十六億円、経常事業支出は六千五百二十六億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は二百二十九億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二百三十四億円となりました。

 なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 以上につきまして、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。

 これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、平成十七年度、十八年度は、不祥事により受信料収入が大幅に落ち込み、財政は大変厳しい状況でありました。組織を挙げて信頼回復に向けて取り組みました結果、受信料収入は徐々に回復しつつあり、今後の協会運営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、視聴者から一層信頼される公共放送を目指した改革に取り組み、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、去る五月二十七日、職員の株取引問題に関する第三者委員会から調査結果の報告書を受けました。報告書の指摘を厳粛に受けとめますとともに、提言を踏まえて、再発防止を図ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

渡辺委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局第五局長高山丈二君。

高山会計検査院当局者 日本放送協会の平成十七年度及び十八年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 協会の十七年度及び十八年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、十七年度分については十八年六月二日、十八年度分については十九年六月十一日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ十八年十一月十日、十九年十一月九日に内閣に回付いたしました。

 協会の十七年度の決算につきまして検査いたしました結果、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件を十七年度決算検査報告に掲記いたしました。

 まず、不当事項につきましては、職員の不正行為による損害が生じたものでありまして、スポーツ報道番組の制作に当たるチーフプロデューサーが、出張を要する用務があるように装って本人の口座に振り込ませるなどして旅費等を領得したものであります。

 なお、本件については、損害額のすべてが補てん済みとなっております。

 また、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項につきましては、事業所等におけるテレビジョン受信機の設置状況の把握などに関するものでありまして、検査いたしましたところ、官公庁について、テレビ調査票の記載内容が十分なものとなっていない、また、ホテル等について、契約率に大きな差があるなどの事態が見受けられましたので、これについて指摘いたしましたところ、協会では、テレビ調査票の記載依頼等を適切に行うよう地方放送局等に周知徹底し、また、地方放送局等に統一的な取り組みを行わせるなどの処置を講じたものであります。

 次に、十八年度の決算につきましては、十八年六月七日に、参議院から、国会法第百五条の規定に基づき、協会における不祥事に関し、番組制作費等の経理の実施状況、不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況及び関連団体の余剰金の状況について会計検査を行い、その結果を報告するよう要請があり、十九年九月十二日にこれに関する報告書を参議院に提出し、その概要を十八年度決算検査報告に掲記いたしました。

 このうち、まず、番組制作費等の経理の実施状況及び不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況について御説明をいたします。

 検査いたしましたところ、不正経理や不適切な経理が行われていた放送料や旅費等の経費について、検査した範囲では、架空請求や架空出張等の不正な事態は特に見受けられませんでした。また、協会が再発防止を目的として実施した経理適正化策等の遵守状況等について、検査した範囲では、特に不適切な事態は見受けられませんでした。

 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、協会ではコンプライアンス推進のアクションプランに基づき不正防止機能の強化に取り組んでおりますが、これを確実に実施していくことが必要であるとしております。本院としては、協会における不正防止機能の強化に係る施策の実施状況や、番組制作費等経理全般の実施状況について、引き続き検査していくこととしております。

 次に、関連団体の余剰金の状況について御説明いたします。

 検査いたしましたところ、十七年度末の関連団体三十四団体のうち協会の直接出資子会社十九社は、全体として、財務面での健全性が高いと認められ、中には十分な財務上の余力がある会社が見受けられました。また、関連団体との取引の大半は随意契約による業務委託であり、協会からの出向者に係る委託人件費相当額は職員給与等を委託費として支払ったものであるなどとなっておりました。

 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、協会の直接出資子会社には、その資産状況等を勘案して特例配当を要請するなどし、協会の財政に寄与させることが望まれるとしております。また、関連団体との業務委託では、出向者の従事割合を減少させるなどして委託費を削減することなどに努める必要があるとしております。本院としては、これらについて、多角的な観点から引き続き検査していくこととしております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

渡辺委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)委員 自民党の土屋でございます。逐次質問をいたしたいと存じます。

 本来なら、平成十七年度並びに平成十八年度の決算でありますから、当該年度に起こった出来事について、主要なことについて、経営上の観点から議論をすべきところであります。しかしながら、残念なことに、平成十七年、十八年度も不祥事件が相次いだわけでありますが、さらに重ねて不祥事件が発覚するという事態になったわけであります。

 三月八日に報道されたNHK職員の株取引問題については、従来の、空出張とかさまざまな点で問題があったわけでありますが、これらと質を異にして、報道そのものの情報でもって株を取引するという、性格の違う、極めて悪質な、報道機関としてはあってはならない、こういった重要な案件だろうと思います。こういうこともあり、今回はNHK職員の株取引問題を中心に質問せざるを得なくなったことはまことに残念であります。

 改めて振り返ってみますと、一斉にニュースが、NHK職員の株取引、平成十九年三月八日にインサイダー取引を行った疑いがあるとして報道されたわけであります。その後逐次実態がわかってきたわけでありますが、このNHK職員三名は、一月の十六日に証券取引等監視委員会が調査を開始した。これを受けて、NHKでは、二月の十三日にNHKの中に第三者委員会を設置して、当事者として調査を開始した。第三者委員会の調査結果では、新たなインサイダー取引は認められないものの、時間中に株取引を行った職員が八十一名と判明。既に三名は四月に懲戒免職処分、これはインサイダー取引をした者ですが、上司九人も減給処分、こういうことになったわけであります。冒頭申し上げましたように、報道機関としてはあってはならないことで、極めて重大なことだろうと思います。

 一万三千有余人の関連する職員全体が、それぞれ個人の生活を通じて株などを購入している者もいると思いますけれども、株の取引そのものは、これは自然人としての経済活動の一環というわけでありますが、しかし、おのずから、これらについてはきちっとした線引きがなされなければならないわけであります。

 そこで第一に、株取引についてNHKの見解をお尋ねしたいわけでありますが、地位利用をして捕まった、いわゆるインサイダー取引は犯罪行為であります。これは当然許されざるものでありますが、同時に、職務時間内の取引、これは職務専念義務違反ではないんですか。就業規則等でこういったことについてきちっとした規定があるはずでありますし、また、これらについての処分をどうするか、こういったことについて、改めて、職員の株取引についての原理原則について考えをお尋ねいたしたいと存じます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

福地参考人 まず冒頭に、今回のインサイダー取引問題につきましては、およそ報道機関に携わる者としてあってはならない事件でございまして、改めて深くおわびを申し上げたいと存じます。

 株取引自体は社会一般に認められた経済的行為でございますし、憲法で保障された個人の財産権に関する事項でもございます。しかし、一方で、御指摘のとおり、報道機関に従事する者は、国民の知る権利に奉仕するという使命を果たしますために、その職務上、さまざまな情報を一般の人たちよりも早く入手しやすい立場にあるということから、おのずから株取引について一定の制限、禁止が必要だというふうに考えてございます。

 したがいまして、その対策といたしまして、まず一番に、報道に携わるすべての職員及び報道情報システムにアクセスする資格がある者について、これは職員、スタッフ、関連団体の社員すべてでございますが、株取引を原則として禁止する、それ以外の全職員につきましても、株の六カ月以内の短期売買を原則として禁止するなど、抜本的な再発防止策を早急に実施に移すことで視聴者の信頼を取り戻したいと考えております。

 なお、この問題に関しまして、先日、「「第三者委員会」の提言とNHKの取り組みについて」という資料を委員の皆様にお配りいたしました。その資料の中で、報道システムにアクセスできる資格を持つ人数につきまして、八千百人から五千百人に削減したと表現してございましたが、五千百人は誤りでございまして、正しくは五千七百人でございます。これは、もとの正しいデータを誤って転記したために起きたものでございまして、この場をおかりいたしまして訂正をいたしまして、おわびを申し上げます。

 この報道システムは、取材やニュース制作に当たる職員やスタッフが情報を共有しながら作業を円滑に進めることを前提につくられておりますために、アクセスできる資格を持つ人数が五千七百人となっております。しかし、この人たちがすべての原稿を見られるわけではございませんで、今回の事態を受けて、極めて機密性の高い原稿については、最初の段階から一貫してパスワードをつけた秘密扱いの原稿として作成する仕組みを徹底させております。こうした原稿のパスワードを知ることができる者は、一つの原稿についてほぼ十人程度に限られるものでございまして、この人たち以外は、アクセスできる資格を持っておりましても放送以前に原稿を知ることはできない、こういった仕組みに改めることといたしました。

 以上でございます。

土屋(正)委員 報道システムが実態的にどういうものかよくわかりませんが、しかし、データを共有することは大事ですけれども、最初五千百人ということでしたが、五千七百人に訂正されましたけれども五千百人でも随分多いなと。普通の会社だと物すごい情報の秘匿ということが行われますよ。五千百人でも多いなと思って、このことも質問しようと思ったんですが、しかし、パスワードでさらに重要な情報にアクセスできるのは十名程度にする、こういう答弁があったので、これはこれで一応了とします。

 少なくともNHKでは、さまざまな経済情報だとか、あるいは国家の安全に関することとか、社会に重大な影響を与えることとか、人の名誉毀損にかかわることとか、さまざまな社会的要請に基づいて報道が組み立てられるわけですから、そういうことに対する厳密な区分と、当然、例えば経済記者とそれから国の防衛、安全をやっているような記者とはセクションが違うわけだろうと思いますので、これは引き続き厳密にルールをつくり、そのルールを、だれがどうということではなくて、こういうルールでやっていますということを少なくとも国会などにきちっと提示してほしいと思います。これは要望として申し上げておきたいと存じます。

 さて、もとの株の取引について戻りますが、関連する一万三千二百二十一人のうち、株式保有なしという回答が一万三百四十七名。七八%が株式保有なし、こう答えているんですね。逆に、NHK職員、関連の中には二二%程度しか、十人に二人、百人に二十二人しか株を持っていないのかと思って、私、正直言って意外な感じがしたんです。

 国民の中でどのぐらい株を持っているのかということについての適切な統計があるかどうか、今調べてもらっているんですけれども、なかなか出てこないんですが、しかし、一般的には、今は、言ってみれば家庭の主婦まで株を持つ時代ですから、NHK職員が全体の中で二二%しか株を持っていないということについては、少し不思議な気がいたします。世の中全体でそういう比率なのかどうか、引き続き私も調べてみますけれども、会長として、こういった回答についてどうお考えになるか、御意見を承りたいと思います。

 同時に、第三者機関を設けて、そして一万三千余名の職員に、この第三者機関が、個人情報を秘匿するということを前提にした上で、正直に答えてくれ、こういうふうな調査をしたんだろうと思います。このこと自体は、いわゆる人事権を持っているような当局がすべてやるのではなくて、第三者機関がやって、なおかつ秘匿して正直なという実態に迫るということですから、このことのねらいそのものは決して悪くないわけでありますが、中身に疑義があったらこれはもうしようがないわけですから、さらにお尋ねしたいわけでありますが、第三者委員会の調査で、ほかにインサイダー取引がないということが断定できるんでしょうか。

 それから、株取引があると言った職員の中で、それではあなたの言ったことを裏づけをとりますよといって、委任状をとって証券会社等に対して調査をしたわけですね、この第三者委員会が。これはこれでまた、犯罪捜査と紙一重みたいなところで、職員にとってはいろいろな思いがあるんだろうと思いますが、いずれにせよ、それを調査した。ところが、調査しちゃ困るよというのか、あるいはどういうことかは別にして、委任状を出さなかった人がいる、九百四十三人、こういうことがあるわけでありますが、これについてはどういうふうに受けとめているのか、見解を聞きたいと思います。

 さらに、難しいところなんですけれども、この九百四十三名に対して第三者委員会に再調査をきちっと行わせる必要があるんじゃないか、こういう気がいたしますが、どうお考えになるか、お尋ねしたいと思います。

福地参考人 まず、第三者委員会の選定でございますが、調査の公明公正を果たすため、法律などの高い専門性を有する外部の有識者にお願いをいたしました。この委員会で三カ月余りにわたりまして独自に職員等に対しまして株取引調査、それからアンケート調査及びヒアリング調査を実施いたしました。それから、職員の株取引履歴、これは過去三カ年分でございますが、そういったものを証券会社から取り寄せるなどして、データを丹念に分析されました。また、全部職員の自己申告によるものだけに、その担保策といたしまして、第三者委員会の情報提供窓口で虚偽申告に対する通報等も受け付ける、そういった面のチェックも行われまして、調査に強制力を持たない中でも可能な限り厳格な調査をしたという報告が参っております。

 私といたしましては、職員の株の保有率について、これは多いとも少ないとも申し上げにくうございますが、第三者委員会の調査は厳正に行われたというふうに考えております。

 また、インサイダー取引がないのかという御指摘でございますが、第三者委員会の調査では、一次調査で株を保有していると回答した人が二千七百二十四人ございました。その二千七百二十四人を対象に二次調査を実施いたしました。二次調査では、本人にかわりまして第三者委員会が証券会社に対しまして株取引履歴を取り寄せることを認める委任状の提出を職員に求めました。第三者委員会では、個人情報の取り扱いに特段に配慮しながら取引履歴を取り寄せました。有名な三人の委員だからできたのではないかというふうに私は認識をしております。

 第三者委員会は、限られた時間の中で可能な限り過去の株取引履歴と原稿が作成された時間の関連性を調べました。その結果、これまで明らかになった三人、SESCの告発によりました三人の職員以外には、報道情報システムに掲載された情報を利用した株取引、いわゆるインサイダーはなかったとなっております。調査権のあります証券取引等監視委員会の調査も既に終わっておりまして、インサイダー取引はほかにはなかったと信じております。

 再調査をやるあれはないのかという御指摘でございますが、今回の調査は、強制力を持たない第三者委員会が問題点の把握と有効な対策の検討に最も有効だと判断して行われたものと認識しておりまして、再調査を改めてお願いすることは今のところ考えておりませんが、しかし、NHKといたしましては、この第三者委員会の提言等を踏まえまして、実効性のある再発防止策を速やかに取りまとめまして、全職員に徹底していくことに全力を挙げてまいります。

 なお、委任状を提出しなかったこの九百四十三名につきましては、印鑑が届け出印と違ったといって証券会社から返ってきたとか、提出が間に合わなかったとか、たんす株として自宅で株券を保有しているので証券会社と取引がないとか、あるいは、NHKには持ち株会はございませんが、家族が持ち株会に入っているので証券会社に口座がないとか、あるいは職員同士が結婚しておりますと片一方だけが届ければいいというふうなことで、そういった調査に協力できなかったこともございます。

 では、こういった職員にどうやって対処していくのかということでございますが、この九百四十三名の中から、明確に委任状の提出を拒否した三十三名と、それから委任状提出について回答をよこさなかった百二名、合計百三十五名がございますが、これは出す意思が最初からなかったというふうに判断をされますので、この百三十五名に対しまして、私、日本放送協会会長名で手紙を書きまして、全協会一致でこういった取り組みをしていこうといったときに、しかも会長名で全面的な協力を要請したにもかかわらずそれを無視したということに対しまして、極めて遺憾である、しかし、今後の視聴者の信頼回復のためにひとつよく理解をするようにといった、文面はまだでございますが、そういった手紙を、NHKといたしましてはあて先を確認できませんので、手紙は私が書きまして、発信については第三者委員会に依頼をして出すというふうなことで再発防止策の実施に取り組んでいきたいと思っております。

 また、休憩時間を含む勤務時間中に株取引をしたという人間が八十一名おりましたが、これも同じように会長名で手紙をつくりまして、第三者委員会がそれに表書きを書きまして発信する、そして、執務時間中の株取引に対しまして厳しく反省を促すとともに、社会人、とりわけ公共放送で働く者としての自覚を改めて求めていきたい、かように思っております。

 以上でございます。

土屋(正)委員 委任状未提出の中に、あるいは拒否した者の中には、いろいろなことがあるんだろうと思うんですよ。犯罪一歩手前みたいなもので、もともと犯罪に手を染めるような人は、株式保有なしと回答したかもわかりませんね。だから、逆に、ここまで頑張っているというのは、ふざけるなよ、何を言っているんだ、おれはそんな堕落していないよ、こういう要素もあるのかもわからない。

 それは、私がなぜこういうことを言うかというと、今会長から、通告するとか、一種の監視のあれですね、これはなかなか、確かに不祥事だけをとってみればそういうことがあるかもわからないけれども、あつものに懲りてなますを吹く、角を矯めて牛を殺すみたいなことがあって、一番大事なことは、職員の誇りとモラルですよ。昔は、皆様のNHKと言ったし、NHKが基準だったんですよ。時刻も基準、標準語だって基準。最近はもう標準語もしゃべれないようなアナウンサーだっているんですから。だから、何を言いたいかというと、より根本的な再発防止というのは、職員の誇り、自覚をしっかりと高める、そこに根本の組織の要諦があるんじゃないかという気がいたします。

 同時に、私、株の専門家に聞いてみましたら、普通の人は、朝寄りつきで買うとか、朝注文を出しているとか、そういうことらしいんですね。年がら年じゅうパソコンや放送を聞きながらやっているというのは、これは本当のプロだと言うんですよ。まさか、こんなことをやっていれば、必ずパソコンのジャーナルや何かに残るはずですから。だから、そういうことも含めて、一方では定期的にチェックしますよ、だけれどもその本質は、職員の誇りを持ってやってくださいよというところなんだろうと思うんです。

 ですから、私は、これはもう回答は要りませんけれども、株式保有なしの一万名ですね、こういう者にも、きちっとNHK会長として威儀を正す、こういうことについてやっていただきたいと存じます。

 さて、この点の最後で、NHKとしては、再発防止について十項目の提案が第三者委員会から出されているわけですが、私、見ましたらいろいろな提案があるけれども、主要な点を一、二、ここはという点についてお答えいただきたいと存じます。

福地参考人 まず、御指摘のございました、手紙を発信するに際しましても、未提出の理由に、御指摘のように、個人の財産権の問題について触れるのかというふうなことで未提出の社員がおりました。しかし、私の方は、個人の財産権の問題はあるものの、こういった日本放送協会が一つになって信頼回復に取り組むときにぜひ調査に協力してほしいという熱い心がございまして、それだけに、この手紙をあえて出すことにいたしました。

 それと同時に、これも御指摘にございましたけれども、全職員に対しまして私の名前でメールを発信いたします。その準備もいたしております。

 そういったことと同時に、再発防止策については、七項目、分類していきますと十項目ございますが、これについては真摯に受けとめまして、確実に一刻も早くこれは実施に移してまいる、そういう予定でございます。

 以上でございます。

土屋(正)委員 ぜひこれを機会にNHKの風土をさらに、昔は、よくも悪くもNHKの職員というのは誇りを持っていて、生意気なぐらいだったですよ。私の同期にもNHKに入ったのがいて、やたらと生意気だったですけれども。それは、生意気かどうかは別にして、そういう誇りを持っているということをぜひ風土として確立してほしいと思います。

 最後の質問として、これはまた未納者がふえるんじゃないですか。ここのところずっと、不祥事件があるたびに未納者がふえて収納率ががくっとおっこちる、営々として努力して、少しずつ少しずつ回復したらまたどすん、こういう感じのことが繰り返されてきたわけですね。今回は余りにいろいろな事件が起こったので若干目立たないというところがあるんですけれども、これはやはり厳しいと思うんですね。

 現在でも、未納件数というのは、契約していないのも入れて一千三百万とかそういう単位のあれがあるわけですから、そういう意味で、不払い者に対する今後の対応、経営に対する影響、こういうことについて最後にお尋ねしたいと思います。

福地参考人 まず、先ほどの、誇りを失っているんじゃないかという御指摘でございます。

 私はおっしゃるとおりだと思っておりまして、ことし四月一日に百五十名の職員が入局いたしました。私は、自分の口で、あいさつの中で、倫理観を高く持つということと、それから、今NHKの職員が失いつつある誇りでございます、誇りを高く持て、一部の心ない職員のためにNHK全員が今伏し目がちになって、誇りを失っている、これをもう一遍取り直そうじゃないかということを四月一日に新入職員に申しました。その後の全局あての私の言葉でもそれを発しておきました。御指摘のとおりでございます。

 受信料の問題でございますが、インサイダー取引の発覚後、これまでのところは受信料収入に顕著な影響は見られませんが、当面、慎重に見きわめてまいりたいと思います。

 全体としての受信料収入は堅調に回復しておりますけれども、こうした傾向を持続させますためには、今回の問題について、第三者委員会の提言をしっかりと受けとめまして、再発防止に徹底していくことで視聴者の信頼を回復するということが必要だというふうに考えております。

 もとより、受信料の公平負担を徹底いたしまして視聴者の皆様の不公平感を解消することはNHKの重要な責務でございますし、今後も不払いを減らすために、訪問集金廃止による不払い対策へのパワーシフトや民事手続によります支払い督促の実施地域を拡大していく、そういった活動をより一層強化していく所存でございます。

 以上でございます。

土屋(正)委員 以上で終わります。

馳委員長代理 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 私も、決算はさておき、ただいま同僚の土屋議員が議論されました今回の問題、株取引の問題について、最初に所感を申し上げたいし議論もしたいと思っております。

 今、同僚委員の議論を聞いておりましていろいろ感じたのでありますが、今さまざまに対策を講じておられるということであります。認識として、同僚委員は職員の誇りということをおっしゃったけれども、それ以上に切実な問題は、国民の皆さんがNHKをどう見ているかということでありまして、かつて大変な厳しい、不払いの、まさに国民の怒りが爆発したようなこともあったわけでありまして、そうしたことを考えますと、今回の株取引の問題、第三者委員会によって相当整理をされたけれども、国民がどう受け取るか。

 会長、会長になられてまだ日が浅いわけであります。今、政府もそうでありますけれども、こうした問題はどんな作業をやっても、国民から、やり足りない、不十分だ何だという新たな疑惑を呼んだり、行革、行政改革とか社会保険庁の問題もそうでありますけれども、この作業というのは本当に苦しいんですね。ということを念頭に置かれてしっかり取り組んでもらいたい、こう思うのであります。

 先ほどの議論を聞いておりまして、一般の国民はどう思うかというと、九百四十三名、その中に、先ほどるる説明がありましたけれども、とりわけ百三十五名ですか、あの中に絶対に限りない灰色がいるとだれもが思うわけですね。これで終わってしまうのかということで、せっかく第三者委員会が取り組んだこと、あるいは、第三者委員会のみならずNHKそのものが改めて、何だという不信を買うようなことになるわけであります。

 先ほど会長から、それぞれ第三者委員会を通じてお手紙をお出しになるという話を聞いたけれども、そんなことで国民が、そうか、そこまでやるのかということで、すとっと国民の気持ちが落ちるかというと、私は簡単なことではないんだろう。ぜひ、その文書は公表してもらいたいし、こういう文書を出したということも明らかにしてもらいたいんだけれども、可能な限り不正を正す作業に全力を挙げてもらいたいとお願いをしておきたいというように私は思います。

 その上で、先ほどの説明を聞きながら、やはり今回の調査が、強制捜査権があるわけではない、あくまで自己申告に基づく調査でありますから、この三次の調査をもとに、先ほどの百三十五名じゃありませんが、私なんかが思うのは、その名簿をそのまま、第三者委員会がそれこそ証券取引等監視委員会にデータを持ち込んで重ねて調査してもらいたいぐらいな思いなんだけれども、それはできませんわね、それはまたやるべきでもない。今回の目的は、あくまで実態を明らかにするということが目的だったわけでありますから。

 そういう意味で、私は、国民は、ではどうするんですかということをやはり本当に大事に見ていると思うんです。そこは本当に、国民が、わかった、そこまでやるんだなということが、メッセージとして伝わらなきゃならぬと思うわけです。

 そういう意味では、先ほどお話があった十の提言に対してどういう対応をとるかということでありますが、またアクセスの数字が変わったりすると、もう本当にごまかしているんじゃないかと思いたくもなるわけでありますけれども、株取引の全面禁止、提言をされておりますが、先ほど御説明があった、報道に携わるすべての職員、それからアクセス権を持った職員、これは本当に全面禁止なのか、あるいはその他の職員についてはどこまで対応されるのか、もう一度改めて確認をさせていただきたいと思います。

福地参考人 御指摘のありました株取引につきましては、報道にかかわる者につきましては全面禁止でございます。それから、その他の職員につきましては六カ月以内の短期売買について禁止をするということでございまして、これは徹底していきたいと思います。

 ただ、原則としてというのがついておりますのは、遺産相続によって持たなければいけないとか、生活上、持っている株の一部を売却しないといけない、そういった問題までをとめるのはいかがかと思っておりますし、そういったものはきちんとした届け出をさせる。それから、その前に、原則として取引を禁止するということにつきましては、それぞれの個人から私あてに誓約書を出させたいというふうに思っております。

 そういった取り組みで、これは株の取引の問題ですが、挙げられております十項目についてはきっちりと取り組んでまいりたい、かように思っております。

桝屋委員 多くの国民が今関心を持って見ているということでありますから、私も報告書を見ましたけれども、やはり今回の調査、訂正の作業も、一次、二次の間に、委任状の問題もありますが、最初の報告が間違っていれば訂正をしてもらいたい。その訂正の中には、いやいや実は株がありました、いやいや実は株はなかったんですという訂正、それぞれがそれぞれの思惑を持ってNHK職員は動かれたんだろうと私は思っておりますが、そこは客観的に分析をし、しかるべき対応、先ほど言いましたように、不正を正す作業、飽くなき作業をやっていただきたい。

 百三十五名なんかは、名前は確定しようがありませんが、こういう人を受信料の徴収業務に当てたらどうか。実際回ってみればよくわかるわけでありまして、しかし、それもなかなかできないことでありますが。

 報告書の中で、アクセス権、これについても、アクセス権があるなしだけではない、実際にそれぞれの現場では、たとえアクセス権がなくても一たんログインされたものはだれでもアクセスできるという実態があるということであれば、やはり私は、本当に現場の末端でどういう状況になっているかということをよく、会長と皆さん方の誓約書だけではなくて、それを監視する状況もぜひとも御検討をいただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 それから、きょうはもう一点、後半部分は、せっかくの決算の状況でありますから、NHKの経営管理のあり方について一点議論をしたいと思います。

 先ほど、会計検査院からも検査報告がありました。NHKにおいて、十八年の検査結果で、関係子会社あるいは関連団体等との契約のあり方、発注のあり方については随意契約が多いのではないか、こういう指摘があったわけであります。御案内のとおり、政府を挙げて、行革の観点から、随意契約というのはほとんどもう政府の調達においては見られない、関連団体、公益法人も含めてそうした実態は今改善されつつあるわけでありますが、NHKにおいて、こういう指摘を受けて今日まで、今どういう状況になっているのか、本当に改善に向けて取り組みが始まっているのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

 まずは、指摘以来どういう状況になっているのか、ちょっと概要を御報告いただきたいと思います。

福地参考人 それでは、関連団体との随意契約について御報告をいたしますが、これにつきましてはこれまでも毎年点検、見直しを実施してまいりまして、競争契約の推進に取り組んでまいりました。十九年度は、競争契約率を五ポイント向上させまして、前年度の二十八億円から九十四億円へ競争契約を拡大いたしました。会計検査院の報告も踏まえまして、引き続き随意契約の再点検に努めまして、順次可能なものから競争契約への移行を進めていきます。

 ことしの四月に随意契約見直し計画を公表いたしまして、関連団体を含めました随意契約の適正化に取り組んでおります。これは、今策定しております次期経営計画を取りまとめることしの九月までに、グループ経営のあり方とあわせまして、関連団体との随意契約をさらに検討してまいります。番組の企画制作、どちらかというと今まで置いておかれましたけれども、これにつきましてもさらに検討してまいります。今後さらに、企画の公募とかあるいは審査の透明性などのルールを整えまして、企画競争を順次拡大していくことを検討しております。

 また、随意契約におきます契約金額の妥当性につきましては、二十年度から外部監査法人によります実地調査を行うことなどによりまして、より積極的に検証、改善を進めております。四月に第一次の手直しを発表いたしまして、九月にもっと踏み込んだ手直し策を発表する段取りで今進めております。

 以上でございます。

桝屋委員 会長に詳細の数字をお聞きするのはちょっと申しわけないので、どなたでも結構でございますが、今会長がおっしゃった十八、十九、できれば私はもう少し前から知りたいのであります。関連団体との取引の全体像、それに対して競争契約、どういう状況になっているのか、改めて数字でお示しをいただきたいと思います。

八幡参考人 お答えいたします。

 関連団体との取引の状況については、金額でいきますと、十九年度が千二百一億円です。十八年度が千五十一億円ということです。そのうち競争契約が、先ほど会長が申しました九十四億円ということであります。ということは、随意契約は千百六億円になります。

 ただ、随意契約のうち約七割が番組の制作委託ということで、これは番組の質ですから、ただ競争すればいいというものではないのですから、このあたりを、先ほど言いました企画の公募とか審査の透明性を決めて、企画制作についても外部プロダクションとかNHK関連団体との競争をどう導入していくかということを、今回、これからの経営計画の中でもきちっと詰めていきたいというふうに考えております。

桝屋委員 重ねて伺います。

 今十八年度の数字をおっしゃったのでありますが、関連団体との取引、千二百十七件、一千五十一億円という数字をお示しいただきました。この中で随意契約というのが何件なのか、もう一回、件数と金額をお示しいただきたいと思います。

八幡参考人 先ほどの千二百一億の、件数としては千四百五十一件で、随意契約が千二百件です。それで、競争契約が二百五十一件ということであります。

桝屋委員 もう一回確認します。

 今十九年度の数字をお示しいただいたわけでありますが、全体の件数が千四百五十一件、そのうち随意契約が千二百件、八三%という数字。今お話がありましたように、番組制作に関する契約が多いからどうしてもこういう状況になっている、こういうことであります。しからば、随意契約千二百件というふうに今お示しをいただきましたけれども、その中で、番組制作委託、それからそれ以外のもの、とりわけ工事、あるいは設備、保守点検などの調達契約についてはどういう状況になっているのか、重ねてお示しをいただきたいと思います。

八幡参考人 お答えいたします。

 調達、いわゆる工事関係の件数としては、千二百七十二件です。合計が二百四十四億円というのがいわゆる関連団体との調達、工事関係を含めたいわゆる調達という部分での契約になります。よろしいでしょうか。

桝屋委員 端的に伺いましょう。NHKと関連団体というのは、先ほど会計検査院からも指摘があったけれども、じゃ、その関連団体との取引の関係、随意契約と競争契約、どういう割合になっているのかということを端的に伺いたいわけであります。

 先ほど、千四百五十一件のうち千二百件が随意契約になっている。これは八三%でありますから、かなり高い数字、会計検査院からは多くの契約がという指摘があったようでありますが、こういう実態なんだなと。

 重ねて、調達について、番組制作はともかく、じゃ、その他の調達契約はどういうふうになっているのかな、こう思っているわけでありますが、ここも随分随意契約の割合が高いのではないかという私の問題意識。それに対してどれぐらいが随意契約になっているのか、調達契約のみ、十九年度で何件のうち何件が随意契約になっているのか、改めてお示しをいただきたいと思います。

八幡参考人 お答えいたします。

 先ほど言いました関連団体の調達関係千二百七十二件、二百四十四億円で、そのうち随意契約が千二十一件で百四十九億というふうにお答えいたしました。この百四十九億というのは、特に大きいのはNHKアイテックという技術系の会社がありますが、今地上デジタルの設備の整備で、現存する中継放送所の地上デジタルへの改修工事はアナログの電波を出しながら改修工事を行うという、非常に特殊な技能が要る部分で、これについてはNHKアイテックというのが非常にその面での技術がすぐれているということで、ここに随意契約としての発注を大体百億規模でかけてあります。

 それと、BS、放送衛星ですけれども、この賃貸を十七億、NHKはBSATという会社からしていますけれども、これは日本では一社しかない会社ですので随意契約せざるを得ないということで、随意契約の調達で百四十九億といいましても、ほとんどがそういう理由であります。

 ですから、今地上デジタルの新設の中継放送所については、NHKの関連団体とかほかのきちんとしたメーカーときちんと競争して行っているというふうに考えていただければと思います。

桝屋委員 済みません、しつこく伺いまして。

 今お話を伺いまして、もう一回頭を整理しますと、NHKさんは、会計検査院で指摘された関連団体との契約については、先ほど、全体としては八〇%以上が随意契約になっている、そのうち工事あたりの調達の件数は、これも八〇%ぐらい、千二百七十二件のうち千二十一件、ただ、金額としては、今おっしゃったように、アイテック等に百億という大きな規模で契約をしなきゃならぬ、こういう背景があるんですという御説明であったかのように思います。

 そこは一定の理解を示すのでありますが、会長、ぜひ聞いてもらいたいのです。十七、十八年あたりから政府の調達部門における随意契約の見直し作業というのは随分厳しくやってまいりました。もちろん、政府のみならず独立行政法人も含めて相当厳しい改革作業をやってまいりまして、今、大体随意契約というのはほとんどないという状況。もちろん全くないということではありませんよ、これも、なくなったという政府の説明があるので、しっかり中身を調査しなきゃなりませんが、しかし、それでも、随意契約の割合というのは大体、政府部門で契約の五〇%ぐらい、それを特段に改革しようということで、それこそ二割を切っている、一七、八パーぐらいの数字まで行っているのではないか、私はこう思っております。これが、ただいまの政府の行革のレベルであります。

 きょう、総務大臣が横に座っておられますが、これは大変な改革でありまして、先ほど、NHK、国民の目を、視線を意識してもらいたいということを申し上げましたが、国民は政府になぜここまで厳しい声をしているかというと、やはり天下りの問題もあり、金と人の不明瞭な流れがこの随意契約という形であらわれているのではありませんかと、これが今、国民の声であります。

 したがって、その声を受けて、できれば随意契約はなくそう、できるだけ競争契約にしよう、こういう改革が今進められる中で、NHKが全体として八〇%、あるいは工事や設備、保守などの調達部門についても七割。そこは私、今から精査しなきゃならぬと思っていますが、もう少しこのレベルは、今のNHKさんも受信料をもらってやっているという自覚に立てば、これだってある意味では税金と同じでありますから、私は、格段の取り組み、改革をするべきではないか、こう思うのでありますが、会長、いかがでしょうか。

福地参考人 私、NHKに就職いたしまして最初に感じましたのは、今、民の間では当然のことになっていますグループ経営といいますか、連結経営としての意識、意識といいますか実態がほとんどないということでございまして、例えば連結決算をやろうと思いましても、各社ごとにシステムが違うというふうな極めて大きい問題もございます。そういったものも改めていこうと思っております。

 今の随意契約の考え方にいたしましても、随意契約という言葉が当てはまりにくいものが随意契約に入る。例えばNHKエデュケーショナル、これはNHKの教育テレビの半分近くの番組をつくっている、要するに機能切り出し型の会社で、これを第三者的な企業と同一にする……。まさにこれはNHKそのものみたいな会社でございまして、教育テレビ制作局と名前を変えてもいいぐらいの立場でございますね。そういったところを一概に随意契約等の問題に取り入れていいかどうかの問題も、ただ、そういった問題を少し整理をしてまいりたい。

 ほかに外注先が幾らもあるのに随意契約になっていないかどうか、随意契約という名前がふさわしくない、むしろNHKの機能をそのまま切り出した部門であるというふうな見方もございます。ただ、しかし、そういった部門でありましても、では、競争がなくていいのかということは、今の世の中、考えられません。だから、そういったエデュケーショナルのような機能切り出し型の団体につきましても、そこのつくった番組が果たして競争力としてどうか、これは企画面の競争力についてどうかという検証をする必要もございますし、それから、NHKエデュケーショナルがつくった番組のコストが客観的な第三者の業者と比べてどうかという検証、そういった検証、一つは考査室みたいなところもありますけれども、もう一つは今の番組審査会の問題もありますから、客観的な評価を取り入れて検証していきたい、そして、御指摘のとおりのグループ経営としての実を上げていきたい、そういうふうに考えております。

 以上でございます。

桝屋委員 きょうはもうこれ以上言いませんけれども、今の会長のお答えは、随意契約というのはなかなか必要ですよ、随意契約という言葉だけで切ることは相当難しい、こういう御説明だったと思います。

 先ほどの説明もそうでありますが、意識をお変えになった方がいいんじゃないかと私は思います。政府部門も全く会長と同じ、どんどん切り出して作業をやってきた経緯は同じようにあるわけでありまして、そうした認識では国民の理解は得られない。今、独法を二つに分けてでも、あるいは公益法人を二つに分けてでも、道路関係は競争関係をつくろうというようなことまで今言っている時代でありますので、どうぞここを何とか、政府部門に負けないぐらい取り組んでいただきたい……ごめんなさい、携帯電話もそう言っておりますので、ぜひとも頑張っていただきたい。

 改めて、公明党としてもこの問題、子会社、きょう特例配当等の話はしませんでしたけれども、ずっと追っかけていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

馳委員長代理 委員の皆さん、携帯電話はマナーモードにしておいてください。お願いいたします。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、NHKの決算に係る質疑の時間でありますけれども、私も、NHKの組織そのものの存亡にかかわる重大な問題であります職員の株取引問題に絞って質疑をしてまいりますので、福地会長におかれましては、簡潔明瞭にお答えをいただければありがたいと思っております。

 まず、職員によるインサイダー取引についてであります。

 一点目は、第三者委員会に依頼をして実施をした、全役職員等に対する株取引調査結果についてであります。この調査結果を見て、会長はどう思われたのか、まず御感想をお聞きしたいと思います。

福地参考人 全役職員を対象に行った調査の結果でございます。

 インサイダーは見つからなかったということでございますが、八十一名もの職員が、休憩時間を含むとはいいながら、勤務時間中に株取引をしたことが明らかになりました。これは社会人、とりわけ報道機関に働く者としての自覚に大いに欠けるものと厳しく受けとめております。

 また、その際、事前に私の名前で全職員に対しまして調査への全面的な協力を訴えました。それにもかかわりませず、種々な事情があるとはいうものの、九百四十三人がこれに応じなかったということは、極めて遺憾なことで、私の不徳のいたすところと自覚をしております。

 九百四十三人につきましては、印鑑が届け出印でないとかそういった書類の不備とか、あるいは提出が間に合わなかったとか、たんす株として自宅で株券を保有しているから証券会社と取引がないんだとか、あるいは家族が持ち株会に入っている、したがって証券口座がないんだ、そういったことで調査に協力できなかったということもございます。

 私は、明白な拒否や、回答をよこさなかった百三十五人、それと、休憩時間を含む勤務時間中の取引が明らかになった八十一名、これについては厳しく反省を求めたいというふうに思いまして、会長名の手紙を書きまして、第三者委員会に依頼をして本人に送ってもらう、厳しく反省を促すとともに、再発防止策の実施に率先して取り組むように求めていく、そういった考え方でございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 九百四十三名が協力してくれなかったということは非常に残念だったという話でございますが、この調査の目的でございました、事実の徹底解明、隠ぺい工作はなかったのか、再発防止策の三つの調査目的でお願いしたわけですが、これは果たせた、こう思っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

福地参考人 これは、私の責任におきましてきっちりと果たしてまいりたい、そういった覚悟でおります。

 以上でございます。

福田(昭)委員 調査の目的は果たせた、こう感じていらっしゃるということですね。思われていらっしゃるということですね。

 それでは二点目でありますが、インサイダー取引の事実認定についてであります。第三者委員会の調査で、証券取引等監視委員会及び金融庁が認定したインサイダー取引があったと、事実を認定することができましたか。いかがでしたか。

福地参考人 既に三人の元職員につきましては明らかになっておりますが、それ以外にも疑わしい取引が存在する可能性が、カッパ・クリエイトについてはこの三人を既にSESCの方が摘発をいたしておりますけれども、今度の調査はそういった近接した取引がないかということを調べたわけでございます。

 疑わしい取引が存在する可能性があるという報告、これが三人で合計二十二件ございまして、しかし、それ以上はやはりわからないということでございます。

 インサイダー取引は、報道に携わる者として絶対にあってはならないことでございまして、改めて深くおわびを申し上げたいと思います。

 以上でございます。

福田(昭)委員 疑わしい取引もあったということでございます。

 この三人の職員ですけれども、インサイダー取引は法律に違反した犯罪だという認識はあったんでしょうか。

福地参考人 退職処分を納得したわけでございますから、最後のところはあったと思います。ただ、罪の意識の軽重はあったと思いますが、最終的には、犯罪であったということを自覚したようでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 次に、三点目でありますが、インサイダー取引が同時多発的に発生した直接的な原因についてであります。

 第三者委員会が三点挙げております。一つは、行為者らの倫理観、矜持、職業意識の欠如。二つ目が、NHKにおけるインサイダー取引に対するリスク管理、コンプライアンス施策の不存在。三つ目が、報道情報システムの不備及び運用規律の弛緩。こう指摘をいたしておりますが、これはそのとおりだと思われますか。いかがでしょうか。

福地参考人 今回の問題は、組織や体質にまで及ぶ構造的な問題をはらんでいるものとして、今、厳しく深刻に受けとめております。本人同士が連絡をとり合わない状態で、違う地域で三件発生したということは、そういった風土にあるというふうに指摘をされても、これはそのとおりだというふうに謙虚に受けとめないといけないと思います。

 プロ意識の欠如でございますとか、あるいはリスク管理の不在とか、報道情報システムの不備。例えば、アクセス権があってもそれを悪用してはならないことは当然でありまして、アクセス権の多い少ないということもございますけれども、やはり、それを悪用したということが問題でございます。

 それから、アクセス権の運用自体についても、例えば、彼らができないように、タイトルから中身が推定できないようにするとか、あるいは情報開示の時間をもっと遅くするとか、そういったいろいろな運用の工夫があったのではないかと思いますが、そういったことがやはり、規則は規則としてありながら、そういった運用上の手抜かりもあったというふうに考えております。

 そういった面も今度の改定の中ではきっちりと、例えば、大きな声でアナウンスをするなと。アクセス権を制約しておっても、アナウンスをすればすぐわかってしまう。アクセス権を持った人がパソコンの画面を見て、そのまま立ち上がってどこかへ行ったらだれでも見られるじゃないか。そういったわきの甘いことがあってはだめだということで、規則は規則として、一方で運用を厳しくするということも今回指摘をいたしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 四点目は、「本件インサイダー取引の背景となったNHKの組織上の問題点」ということで、五点挙げております。一つは、組織として職業倫理を確保する体制を欠いていた報道部門の弱体化。二点目が、相次ぐ不祥事への事後的対応に終始し、新しいリスクへの対応という視点を欠いたコンプライアンス施策による現場の疲弊。三点目が、統一的、包括的な情報セキュリティーシステムの不在。四点目が、組織の存続に対する部門を超えた一体的危機意識の乏しさ。五点目が、組織の縦割り制度の行き過ぎによる部門間の人事、情報の分断。こう問題点を指摘いたしておりますが、この点についてはどう思われますか。

福地参考人 組織上の問題点の指摘は、まさにこの指摘どおりだと考えております。

 まずは、この報告では、報道に携わるジャーナリストとしての倫理観や職業意識を希薄化させるNHKの組織上の問題点があるんじゃないかというふうな指摘でございます。この倫理観や職業意識はジャーナリストとして当然持っているものと思い込んで、指導に緩みがあったのではないかと反省をいたしております。

 それから、現場では既に自然発生的に、報道の原点を確認する議論が始まっておりますが、NHK全体として早急に、全国の職場で、公共放送の使命でありますとか、報道機関で働く者としての気概について議論することを指示することにいたしております。

 報告でも、ジャーナリストとしての誇りは現場でしか身につかないものだと。現場でのこのような議論は、当然、一過性のものであってはなりません。積み重ねの中で続けていくものだというふうに考えております。

 組織の縦割りの弊害も指摘をされております。そのために、まず上からということで、ことしの二月から役員室を大部屋にして全部一室にしましたのも、役員というのは、縦型で君臨すると同時に、役員同士が横型のコミュニケーションをとらないとだめだということで大部屋にしたわけでございます。

 それから、四月から、若手プロジェクトと言っておりますが、約二十人、十数名から成ります若手職員で組織横断的にプロジェクトチームを組みまして、風通しのいいNHKの職場を実現するためにはどうしたらいいかということについて今議論を進めておりまして、先週は私もそれに参加をいたしました。今度の中期計画の中にもそういった若者たちの意見も取り込んでいきたい、かように考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 五点目でありますが、そうした直接的な原因、あるいは組織上の問題点などの指摘をされたわけでございますけれども、本事件に対する認識についてお伺いをしたいと思います。

 NHKも、一連の不祥事を乗り越えて、やっと国民の怒りもおさまりつつあり、三カ年の決算書を見ますと、懸案の受信料の収入も年々増加をしてまいりまして、平成十九年度は六千三百十二億円ということで、平成十六年度にはまだ百億円強足りませんけれども、せっかくだんだんふえてきているのに、こう次々と事件を起こしていたのでは、国民・視聴者の信頼はいつになっても得られないと思いますし、それこそNHK解体論まで出るような、そういう大変な大きな事件だと思いますけれども、会長の御認識をお伺いしたいと思います。

福地参考人 御指摘のとおり、三年前の不祥事からやっと立て直り、立て直り、立て直りしてまいりましたときに、十九年の春にこういう不祥事が起きました。しかし、そういった中で、営業部門の努力にもよりまして、何とか受信料については、まだ不祥事以前までは回復はしておりませんが、徐々に回復の足取りに向かっております。

 そういったやさきでもございますので、なお一層、こういった再発防止策の徹底によりまして、視聴者の信頼を取り戻して、受信料の安定収納に向けて努力してまいりたい、かように思っております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 第三者委員会の調査に当たっての問題意識、これを読んでみますと、この問題は、単に金融商品取引法違反だけではなく、憲法二十一条に定められております報道の自由、この報道の自由を破壊させかねない重大事件である、こう認識をしているようでありますが、会長の認識はいかがですか。

福地参考人 これはもう第三者委員会の指摘のとおりだというふうに認識しております。

福田(昭)委員 この事件を見ると、私は、インサイダー取引をやった三人の職員もNHK自体もこういう認識がなかったんじゃないか、実はそう思えるんですけれども、会長はいかがですか。

福地参考人 三年前の不祥事以降、それぞれの再発防止策、対策をつくりながら、頻発してきたということは、まさにモグラたたき式に、一つ押さえれば次が出てくる、それを押さえれば違う不祥事が出てくるというふうな状況は、そういった認識に欠けていたというふうに認識をしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 どうも、我々国民の大切な公共放送に勤めている、そういう使命感と志、そういうものが全く感じられないんですけれども、いかがでしょう。

福地参考人 御指摘のとおりでございます。

福田(昭)委員 ぜひそうしたことを基本にNHKの再生に取り組んでほしいなと思っておりますが、後の方でまた具体的にお伺いしたいと思っています。

 次に、第三者委員会の提言と取り組みについてお伺いをいたします。

 それでは、これは内閣府になるのか金融庁になるのかでありますが、一点目は貯蓄から投資への政府方針についてであります。

 世界の経済、特にアメリカの経済は、御案内のとおり実体経済とマネー経済が大きく乖離をしていて、投機マネーが多くの問題を引き起こしていると言われている中で、政府が進めております貯蓄から投資へという方針の実態が、今、日本でどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

戸井田大臣政務官 我が国では、現在、千五百兆円を超える個人金融資産の約半分が現金、預金として保有されており、諸外国に比べ金融資産に占める現金、預金の割合が高いものとなっております。千五百九十八兆円のうち、現金、預金に五〇・四%、株式投資に一〇・三%。米国の場合には、同じく現金、預金に一三・三%、株式投資に二六・二%。ドイツでは三四・八%と二一・一%という状況であります。

 高齢化がさらに進展していく中で、国民一人一人がより豊かさを実感できる社会を構築していくためには、この個人金融資産に対して適切な投資機会を提供していくことが重要と考えております。とりわけ、低金利のもとにあって、株式、投資信託の保有による配当所得の確保は、国民が経済成長の果実を享受するための重要な手段と考えております。

 定期預金金利は、各行平均で年〇・三四七%であります。配当利回りの方は、平均一・二八%という状況であります。

 貯蓄から投資への流れを適切に進めていくためには、国民が安心して投資できるような環境を整備していくことが重要であると考えております。このため、一昨年の証券取引法の改正においてインサイダー取引の法定刑の引き上げを行うなど、市場の公正、透明性を確保するための措置を講じているところであります。

 金融庁といたしましては、引き続き国民が安心して投資できる環境の確保に努めつつ、貯蓄から投資への流れを適切に推進してまいりたい、こう考えております。

福田(昭)委員 私も、金融市場が世界に開かれた市場になる、するということについては反対をいたしませんけれども、国が国民に対して、貯蓄から投資へと、早く株を買えとあおるようなことはやめた方がいいんじゃないか、私はこう思っておりますが、いかがですか。

戸井田大臣政務官 投機に関しては確かにそういうふうに思うんですけれども、やはり投資というのは、個人金融資産をいかに安全に、またその安全な環境をつくっていくということをやりながら、そこで投資をしていただくということが重要だと心得ております。

福田(昭)委員 先ほど答弁にございましたように、それこそ、より公平で公正で透明性のある市場をつくるということは非常に大切なことだと私も思います。しかし、今回のNHK職員の株のインサイダー取引ですけれども、これは何もNHK職員に限っていないんですよね。つい最近発覚しただけでは、日経新聞の社員もやりましたね。野村証券の社員もやりましたね。これは、日経新聞にしても、野村証券にしても、NHKにしても、日本が誇るべき大企業、大特殊法人ですよ。こうした、それこそ、むしろ日本の中では模範となるべき人たちがインサイダー取引で捕まっているんです。これはやはり、政府のあおるやり方、金万能主義、こういうやり方は私はまずいと思うんですが、いかがですか。

戸井田大臣政務官 今いろいろお話がありましたように、確かにそういう事件が起きておりますし、それは言ってみれば個人のモラルの問題という点もあるんだろうと思います。ただ、同時に、それを進めていく環境の中で、投機と投資の違いというか、そういうものをやはりきちっと理解していただく、また、先ほども申し上げましたように、国民が安心して投資できるような環境整備をしていくことが重要だ。そのために、一昨年の証券取引法の改正において、インサイダー取引の法定刑引き上げを行うなど、市場の公正性、透明性を確保するための措置を講じて、実際にインサイダー取引の法定刑を、懲役三年以下、罰金個人三百万円以下、法人三億円以下から、懲役五年以下、罰金個人五百万円以下、法人五億円以下というふうに引き上げた、そういう対応はしておるわけであります。

福田(昭)委員 おっしゃるとおり、金融資産をどう運用するかはあくまでも個人の自由ですね。しかし、庶民は、それこそ株に投資してみて、そんな簡単にもうけることはできないんですよね、基本的には。ですから、そういうことを考えると、やはり個人が持っている金融資産、千五百五十兆円と言われておりますが、これをいかに日本のために使うということが大事な視点かと思いますけれども、いたずらにあおるということについては、私は、こうした事件を引き起こすもとになっているんじゃないかと。

 それは個人のモラルの問題かもしれないけれども、遠因といいますか、遠い要因、原因にはなっているんじゃないか、私は実はそう思っておりまして、こうしたことをやはり政府が率先してやるということは、あのアメリカのサブプライムローンと同じじゃないかと思っているんですよ。あのサブプライムローンも、三年間は利子が安い、四年目から高くなると。一緒に住宅も上がっていって、それは売ることができれば償還できるかもしれませんけれども、売れなければ破綻するのは明らかですよ。詐欺商品みたいな商品ですよね。ですから、こういったことに対して、やはり政府があおるようなやり方はぜひやめてほしい、私はそう思うんです。

 日本人は貯蓄を美徳として今まで取り組んできたわけですよ。これを急に方向転換して、金融市場に手を出せといっても、そう簡単に出せる問題じゃありません。ここをしっかり踏まえて、政府は取り組んでほしいなと思っております。

 それで、二点目に入りたいと思いますが、第三者委員会の提言に対する取り組みについてでございます。第三者委員会から十点ほど提言がございましたけれども、そのうち、時間の中で何点かお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、NHKの使命を実現するための意識改革を目指すコンプライアンス施策と研修の実施についてであります。

 先ほども申し上げましたが、私は、まず採用段階から、NHKという、国民にとってかけがえのない公共放送で働くんだという使命感と志を持った職員を採用する、また研修でもそうしたことをしっかりと取り組んで、職員にはそうした志と使命感を持って取り組んでもらいたいと思っておりますが、いかがですか。

福地参考人 この証券取引等委員会に摘発を受けました三人の職員、第三者委員会がいろいろ調査をいたしました。その中で、インサイダーに関する研修を受けたことがないというふうに彼らは言っておりまして、本当はそんなことはなかったのかもわかりませんが、しかし、それほど印象が薄かったんじゃないかというふうに記憶いたしております。したがいまして、インサイダーはもちろんですが、とりわけ、コンプライアンス全体に対する研修というのは強化していきたいというふうに考えております。

 とりわけ、いろいろな形の研修がございますけれども、まずは新入職員に対しましても、受信料の重みというものをまず感じないといけないということで、今現場で受信料収納の研修をいたしておりますが、そういったことから、あるいは、ことし二十年度の研修の具体例として、放送局長研修あるいは中間管理職研修、すべての管理職層の研修で、組織改革、人材育成それからコンプライアンスの徹底、そういった問題の研修を強化していくような段取りをつくっております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 会長、私は、それはコンプライアンス、法令遵守をすることも大事だし、それから提案にありますように、組織の再編も大事だと思います。しかし、やはり何といっても、使命感を持った職員を採用する、あるいは、現職の職員にはそういう職員を育てていくということが大事だと思いますし、また、これはそれこそ大先輩に対して失礼ですけれども、実は前の質問でも何度も指摘をしたんですが、組織を動かす上で一番大事なことが、NHKの三カ年計画にも載っていない、また今度の指摘にもないんです。

 一番大事なことはコミュニケーションを深めることでしょう。もちろん、倫理観を持った人間同士のコミュニケーションを深めるということでありますが、そのための大事な、報告、連絡、相談の徹底、これがやはりNHKの再生計画に、目標の中に、実現手段として報告、連絡、相談を徹底する、これを入れておかないとだめだと、最初に不祥事が起きたときから私は指摘しているんですが、残念ながらいつになっても入ってこないんです。どう思われますか。

福地参考人 御指摘のとおり、私も、NHKに就職する前から、組織の活性化というのはコミュニケーションとモチベーションとバリエーションの三つのションだということを言ってまいりました。そういったことを、今後の中期計画の中の組織の活性化、そういった中に組み込んでいこうと今いたしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 会長、ぜひやってください。これは、報告、連絡、相談を大方針として位置づけて、コミュニケーションをよくして、風通しをよくして。それこそ組織だけ変えたってコミュニケーションがとれなきゃだめですから。それは、組織も大事なことは私もよくわかります。ですから、組織を動かすための潤滑油といいますか、やはりそういうものもないと動きませんので、ぜひしっかりと位置づけて取り組んでいただきたい、こう思っております。

 それから、二つ目でありますが、二つ目は、関連団体も一体として、懲戒制度の厳格かつ柔軟で実効性ある運用の確保についてであります。

 泣いて馬謖を切る、こういうことわざもございますけれども、人事はやはり信賞必罰だと思うんですね。よくやった人は褒める、悪いことをした人は罰する、やはりこうしたことが厳格に行われて初めてまじめに働く人も報われていくんだと思うんですね。ぜひここについてもしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

福地参考人 まず、懲戒のことでございますが、職員の懲戒処分につきましては、複数の理事から成ります責任審査委員会というのをつくっておりまして、これが、就業規則に照らしまして、処分をするかしないか、どういうふうな処分をするかということを決定いたしまして、そして、その決定について顧問弁護士の意見を聞いて最終的に決定する、そういったことで厳格、適正な運用に努めているところであります。

 また、これはNHK本体だけでございますけれども、関連団体におきましても、協会の制度を参考に懲戒制度が制定されておりまして、その運用とか懲戒の個別事例につきましても、その都度、各団体からの相談や報告を受けておりまして、内容を把握いたしております。

 各団体の経営の主体性といいますか自主性を尊重しつつも、御指摘のような、関連団体全体としての統一的で整合性のある運用に努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 三つ目は、インサイダー取引を禁止する規定の制定と研修の実現についてであります。この質問につきましては、先ほど、前の委員の質問に対してお答えがありましたので省略させていただきますが、ぜひインサイダー取引防止規定を早く新設して、インサイダー取引は犯罪なんだということをしっかりとNHKの中に広めていただきたいと思っております。

 四つ目でありますが、四つ目は、職務に関連して知り得た情報の目的外利用の禁止、就業時間中の株取引禁止についてであります。

 公務員には、御案内のとおり、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという守秘義務と、それから職務専念義務、勤務時間中は職務に専念する義務があるわけでありますけれども、NHKは国民・視聴者からいただく受信料によって運営されている特殊法人ですから、公務員に準ずるような就業規則があってもよいのではないか、こう考えますけれども、会長、いかがですか。

福地参考人 御指摘の点につきましては、遅まきながら、まずは、職員によるインサイダー取引の発覚を受けて職員の就業規則を改正いたしまして、職務上知り得ることのできた情報を私的利益に利用することを禁止するという規定は三月の十八日に改正をいたしました。

 それから、服務規則の問題でございますが、職員の就業規則によりまして誠実労働義務を定めまして、これに加えまして、改正放送法に基づく職員の服務に関する準則におきましても勤務時間中の職務専念義務を明記いたしまして、これはことしの四月一日に制定をいたしました。

 以上でございます。

福田(昭)委員 この四月から制定をして取り組んでいるということですので、ぜひ、本当にそういう意味では、勤務時間中に、いやしくもほかのことなど考えないように、しっかりと職務に専念して、いい情報を国民に伝えてほしいなというふうに思っておりますし、いい番組をつくってほしいなと思っております。

 それでは、五つ目でありますが、五つ目は、報道情報システムについての管理システムを改善し、運用基準を厳格化することについてであります。

 先ほど質問がありまして、お答えがあったようでありますが、機密情報のある原稿の汎用化、アクセス資格の厳格化、アクセスした者の記録、閲覧制限や地域制限の設定などを考えているようでございますけれども、どのように改善し、運用基準を厳格化するのか、お伺いをしたいと思います。

福地参考人 インサイダー事件発覚後、再発防止の徹底に向けまして、システムの改善とか運用基準の厳格化を速やかに実施してまいりました。

 まず、機密性の高い原稿の取り扱いを厳格化するということでございますが、機密性の高い原稿につきましては、一貫してパスワードをつけた密原稿、秘密の原稿として作成しております。

 また、原稿のタイトルも、具体的な内容がわからないように。といいますのは、三人のインサイダー職員から、中には原稿のタイトルを見て判断したというのもございまして、タイトルの表現にも注意を払っておりまして、今後もこういった対応を徹底してまいります。

 また、この措置をとりますと、原稿の汎用化、つまりアクセス権を持っている人がだれでも見られる状態、こういった状態にする前に原稿を閲覧できるのは、直接取材、制作に当たった十人程度に限るように直しました。今までは、これが、五千七百人の人が見ようと思えば見られる状態でございました。これが十人程度に絞られるように直しました。

 それから、その五千七百人の人たちもこれを見ようとしますと、放送終了後にしか見られないということで、これはもうインサイダーじゃなくなってまいります。

 それから、一番大きい抑止効果がありますのは、原稿へアクセスした記録を保存するということでございまして、これまでは記録がほとんど保存がなされないという状態でございまして、今度は数年間は記録をするということと、もう一つ、あなたはこの原稿にアクセスしましたねという警告を入れるというふうな、そういったことでアクセスへの抑止効果をつくるようにいたしました。

 これで随分変わってくるんじゃないかというふうに考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 いろいろ工夫をしてこれから取り組んでいくということでございますので、ぜひしっかりと実効が上がるようなシステムの改善をしてほしいと思います。

 最後に、「NHKは再生に対する国民によるモニタリングを得るために定期的・継続的に検証番組を作成する。」こういう提言がありましたけれども、このことはやられるおつもりですか、いかがですか。

福地参考人 実施をいたします。

 第一回目は、まだ内容は今検討しておりますが、六月十六日放送の段取りで今準備を進めております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 それでは、会長への質問は以上で終わりまして、増田大臣、通告をしておりませんが、このNHKの一連の事件を踏まえて、総務大臣の決算の意見書を見ますと、十七年も十八年も、十六年も同じでしたけれども、すべて、不祥事の再発防止ということについて指摘をしているんですね。このことについて、監督官庁の総務大臣としてどう思われているか、御所見を承りたいと思います。

増田国務大臣 報道機関でありますし、特に公共性の高いNHKとして、不祥事を起こさない、あるいは組織の内部でコンプライアンスを徹底する、これはもう当然のことでありまして、そういうことを毎年毎年指摘するということ自体が本来あってはならないことでありますし、NHKとしてもそういうことを重く受けとめていただかなければなりませんし、また、当然重く受けとめていただいていたものと思っていたところに、あろうことかインサイダー取引という大変遺憾なことが起きました。

 そして、このことはやはり報道機関としての根幹を揺るがすものであるということでございまして、特に新しく就任された福地会長におかれても、そうした思いから第三者委員会を立ち上げて今回取り組まれたというふうに思っておりますが、ぜひこうしたことを一人一人が、まさに組織風土の改革に一人一人がそれぞれの持ち場で取り組んでいただいて、そして一刻も早く国民の信頼を取り戻すということが必要だろうと思います。

 特に大事なことは、第三者委員会が提言をしております十の提言がございますが、このことをNHKとして本当に真剣に、確実に実行していただくということが必要だろうと思います。今聞いておりまして、福地会長もその旨答弁をしておられましたけれども、ぜひ一人一人が我が事として受けとめて真剣に取り組んでいただきたいと切に願っております。

福田(昭)委員 私もです、国民の皆さんもそうだと思っているんですが、公共放送としてのNHKの果たす役割は大きい、これは皆期待していると思うんですね。しかしながら、このようなことが何度も起きますと、私だけじゃなくて国民の皆さんも、仏の顔も三度までということで、これは四度目はない、こう思って、ぜひ、福地会長におかれましては、また福地会長以下各理事の皆さんにおかれましては、それこそ大いにリーダーシップを発揮してNHKをしっかりと再生していただきたい、そんなお願いをして、私の質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 福田委員に引き続き、インサイダー取引に関する質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 いろいろ厳しい質問をさせていただく前に自分自身の考えも述べたいんですが、委員会ごとにお話ししているんですけれども、私は本当に公共放送は大事だと思いますし、必要だと思っています。私の同年代の仲間からはよく、もう民営化してしまえ、受信料なんて払いたくないというような仲間もいることは事実ですが、やはり良質な情報を国民が受けるという意味では、公共放送、私は本当に大事だと思っています。

 そしてまた、個人的な思いですが、できることなら、政治からできるだけ中立になるように、私としては、将来的に、国会の予算審議というのもなくして、イギリスのBBCのように、政府との距離感というものをしっかりとれるような制度も築き上げなければならないというふうに思っています。

 ただ、現状、そういうことを言って国民の皆様に納得いただけるかといえば、今の状態は厳しい問題だと思っています。たとえ政治との距離感が縮まっても国会でしっかりとNHKを追及せよという声は、手紙なりメールなりでさまざまいただいているところを見ると、NHKに対する不信感というものは恒常的に続いているんだなということは事実だと思います。

 そういう中でこういう事件が起きてしまったことは本当に残念で仕方がないですし、これからも厳しい対処というものを望んでいきたいと思います。

 それで、一点目、お伺いしますが、報告書を読ませていただきました。特に興味深かったのが、役職員に対して行ったアンケートの中で、自由記述欄というものがあって、それに対する、いろいろな思いというのが書かれている文もあります。

 中に、感想・提言ということで、こういうような報道がされていても、「それでも私はNHKのために命をかけて報道に携わります。」という本当に強い意識と倫理観を持った方の意見もありました。しかし、片や、「株取引は誰でも出来る私的な行為なのに、今回の事件で職員・スタッフはおろかその家族の株売買の有無を聞くのはプライバシーの侵害。 「出来れば株取引をしないように」なんていうお達しは勘違いはなはだしい。バカじゃないのか。個人的な行為を何故会社に規制されなければならないのか。NHKの保身体質はうんざりだ。」というような自由記述もありました。役職員の中で、強い正義感を持って頑張る方もいれば、やはり一部、こういうようなことを平気で書いてくるような方もいるというのが今の現状だと思います。

 それで、ちょっと確認の意味をもって聞きますが、NHKというのは、まさしく受信料で、法律である意味守られている形で受信料をお預かりしているという立場だと思います。そういう意味において、民放とは違った倫理観とか規律というものが求められると私は考えておりますが、福地会長におきましては、民放に比べて高い倫理観と規律というものが求められていると自覚されているのかどうか、いかがでしょうか。

福地参考人 私の自覚も一番その点でありまして、国営放送でもなく、民間放送でもなく、一人一人の視聴者がひとしく負担する受信料で成り立っている、それだけに、受信者に対する高い責任があります。そのために、先ほども申し上げたんですが、新入職員の研修において、高い倫理観を持てというのはそういうことだという話をいたしました。

 第三者委員会の調査の最後にありますそういった自由意見に対して、二つの対立する意見があったのは御指摘のとおりでございます。第三者委員長からも、NHKの将来を熱く考える職員もいる反面、今の御指摘のような職員がいることも事実でございまして、そういった全般の企業風土を変えていくということが私に課せられたミッションであろうというふうに自覚をしております。

 以上です。

寺田(学)委員 もう一度質問を端的にさせていただきますが、他の民放等、ほかの報道機関に比べて、NHKはより高い倫理観と規律を持たなければいけないと思われているのかいないのか、どちらでしょうか。

福地参考人 高い倫理観を持たなければいけないと考えております。

 以上でございます。

寺田(学)委員 まさしく、こんな私的行為であるにもかかわらずという一意見もありましたが、やはり公共放送という形で高い倫理観と規律とが求められているんだと思います。

 比べ物にならないと思いますが、私たち国会議員も、資産公開から何からというのを、やはり、いわゆる税金で支えられている部分もあるし、立法権というのを持っているということで開示することになっています。程度の差はあれども、NHKというものは、もちろんそこに勤める職員というものは、普通の民間企業の方々がやっているからいいだろうという話でもなく、報道という普通の会社よりも一つ高いグレードがあり、公共放送だということでそれよりもまたもう一つ高いものを持たなければならないというふうに思っています。

 結論から申し上げますと、こういうような方々がいる限り、不祥事は起き続けるんだと思います。そのたびに、熱い思いを持って頑張っている方々の思いというものがくじかれていくと思いますので、何かしらの形でやはり御理解いただくまでは説得する、御理解いただけないならやはりそういう職場にはいてもらわない方がいいと私は思います。そこら辺は厳しくやっていただきたいと思います。

 そして、質問を続けますが、まず信頼回復というのは、当然のことながらNHKに今課された業務であり責務だというふうに、質問することなく、当然のことだと思います。そういう意味で、だれの責任かということもちょっと改めて確認しますが、この信頼の回復ということに関しましては、いわゆる発覚したインサイダー取引を行った方数名の問題なのか、それとも全社的な問題なのか、どちらでしょうか。

福地参考人 全社的な問題と心得ております。

寺田(学)委員 それでは、役職員全員が当事者である、この信頼回復に係る努力をする当事者であるということでよろしいですね。いかがですか。

福地参考人 そのとおりであります。

寺田(学)委員 第三者委員会の報告書によれば、これは久保利さんが言われたんだと思いますが、NHKのことですけれども、「相変わらず派閥抗争に明け暮れ、あるいは、嵐の過ぎ去るのを待つだけの役職員も相当数存在する、」というふうに書かれております。

 この発言に関して、会長自身、どのような御所見を持たれていますか。

福地参考人 私は、派閥抗争に明け暮れる職員が大勢いるとは思っておりませんが、そういった職員がいることは事実であります。事実、そういった怪文書も流れているわけですから。しかし、そういったものをなくすような、風通しのいい企業風土をつくることがまず先決だというふうに考えて、いろいろな組織改正の問題も、人事異動の問題も、そういったことを念頭に置きながら実施をしているつもりであります。

 以上です。

寺田(学)委員 さすがに外から来た、外から来たという言い方はもう古いのかもしれませんが、正直に派閥抗争があるとお認めになられたのは、私は第一歩だと思います。そういう形でオープンにしながら、いろいろその中で大変な業務をされていくんだと思います。

 見方を変えて質問しますが、先ほど御答弁いただいたとおり、これは、犯罪を犯した数人の者ではなくて、役職員全員の責任問題であり業務であるというお答えでした。そうすれば、もう一点聞きますが、どういうことが行われていたかということを全容解明することはその信頼回復をする大きな柱である、手段であるということでよろしいですか。

福地参考人 今回の第三者委員会による調査もまさにその点でありまして、カッパ・クリエイトにかかわるインサイダー問題については証券取引等監視委員会の手で挙げられております。したがって、この第三者委員会による調査は、その全容を解明する、そしてもう一つは、隠ぺい工作がなかったかということと、最後には、その全容解明の中から適切な再発防止策を講じていくということが趣旨でございましたので、おっしゃるとおりでございます。

 以上でございます。

寺田(学)委員 この全容解明をすることが信頼回復の大きな柱だということだと思います。そういうことをする当事者は全員であるということだと思います。

 そういう意味において、委任状を提出しなかった、さまざま言いわけはあると思いますよ、ただ、全容を解明しようという形で行った調査に関して委任状を不提出された方々、百何十人、数え方によっては九百人という話になりますが、こういう方々は信頼回復をするという業務を阻害しているというふうにとらえていますか。

福地参考人 御指摘のとおりでございまして、この第三者委員会の調査は、強制力を持たないという限界がある中で、個人名を明らかにしないことを前提にして職員にみずから申告をさせて、あわせて、取引履歴等と照合するために最も有効だと判断して行われたというふうに承知をしております。

 その際に、会長名で全面的な協力を訴えました。それにもかかわらず、それに応じない職員がいたということは極めて残念だというふうに考えておりますが、今回の調査で、明確に提出を拒否した三十三名と、それから回答をよこさなかった人間、合計百三十五名につきましては、この第三者委員会を通じて、まさに今御指摘のとおり、企業風土を変えていこう、全社一体となって信頼を回復していこう、取り戻していこうというものに反する行為じゃないか、そういった文面の手紙を送りまして、厳しく反省を促すとともに、再発防止に率先して取り組むように求めていくということにいたしております。

 以上でございます。

寺田(学)委員 もう一度お伺いしますが、そういう方々というのは、理由はさまざまあって、それは後で検証したいと思いますが、信頼回復をするという全社員に課せられた業務、そして達成するべき目標というものを阻害されているような方々ですか。協力されなかった方はそういう方々だと会長自身お考えになられていますかということです。いかがですか。

福地参考人 私がそういった要請をしたにもかかわらずよこさなかったということは、そうだというふうに解釈いたしております。

寺田(学)委員 そういう意味において、福田委員の質問をちょっと後で見てみたところで重なった質問になるかもしれませんが、とすれば、この調査というものは目的を果たしたんでしょうか。会長、いかがですか。

福地参考人 冒頭申し上げましたように、いろいろな、捜査権を持たないという制約条件の中でなされたものでございまして、要するに、犯人捜しではないというところからスタートをしている、全容解明と再発防止策をつくり上げるためだということの限界の中では、目的を果たしているんじゃないか。

 私も、当初、この第三者委員会の設置について、経営委員会並びにコンプライアンス委員会から申し入れを受けました。取り組む際に、そういった面の限界はあるけれども、現在考えられる最高水準の方にお願いしようということで取り組んだ問題でございますだけに、目的は、そのとおりではございませんけれども、限界がある中では達しているんじゃないかというふうに考えております。

 以上です。

寺田(学)委員 それでは、この調査結果をもって信頼回復、調査によって回復されるであろう信頼は回復されたというふうに会長はお認めになるんでしょうか。

福地参考人 これはあくまでもスタートラインでありまして、これからの私たちのそういった努力が前提になるということで、この調査だけではなりません。

 以上です。

寺田(学)委員 いや、全容解明による信頼回復があったかどうかと。だからこそ、この調査の実効性を伺っているわけですけれども。他の部分でこれから起きないようにしようということと、今までどうであったかというのをさらけ出すということが信頼回復の大きな二つの柱だと思いますが、まず一本目の、調査をして全容を解明するということは、会長として達成されたのかされていないのか、その部分、ピンポイントで聞いているんです。会長、いかがですか。

福地参考人 ただいま申し上げましたとおり、この調査そのものをスタートとしてやっていくということで、ただ、この調査の中から信頼回復に向けての幾つかのポイントが明確になってきました。今のように、例えばアクセス権の問題にしても、システムだけ変えてもだめだというふうなこともわかってまいりました。

 以上です。

寺田(学)委員 ぽろぽろと出てきた、任意の調査の中から解決の端緒を見つけ出すことはあったと思います。

 私がしつこく質問しているのは、調査によって全容解明したいという、全容解明こそが信頼回復の柱だと言われているわけですから、調査による全容解明で信頼が回復されたのか。信頼回復されたのであればもう調査はやらないでしょうし、信頼回復されていないんだったら全容解明しなきゃいけないんです。それとも、全容解明をあきらめるのか。大体これぐらいの三つだと思うんです。どの三つに当てはまるんですか。この調査によって信頼回復はなされたと考えるのか、信頼回復はなされていないと考えるのか、そもそも無理だからあきらめるというのか。全容解明に対して御評価を聞いているんです。どうですか。

福地参考人 何度も申し上げますが、調査というのはこれからの信頼を回復するための手段だと私は理解しております。調査そのもので信頼回復されるとも思っておりませんし、これからの問題だというふうに認識をしております。

寺田(学)委員 いや、全容解明こそが信頼回復のかぎだと御答弁されていたじゃないですか。だから、全容解明したかどうかを聞いているんです。していないんですか、これは。結局のところ、会長の望む全容解明はこの調査によって行われたんですか。その評価を聞きたいんです。いかがですか。

福地参考人 いろいろな面の指摘を生かしていけば、そういったヒントがこの中で出てきたというふうに認識しております。

寺田(学)委員 何かしらの効果があった、次につなげる効果があったというのはわかりますけれども、本当にしつこいようで申しわけないんですが、私は新聞記事をたどっていきますと、自民党さんの方の部会でやられたときに再調査も検討したいという話をされていましたが、かぎ括弧がありましたけれども、今までの質疑をちょっと聞いてみたら再調査は考えていないという話をされている。再調査を考えていないということは、全容解明をされたと。全容解明をするためにした調査ですから。

 何かしらこの調査によって解決の手段が浮かんだというその副次的なことはまずおいておいて、全容を解明するというその目的は、会長として、それは百点じゃないにせよ、合格点を上げたいのか、上げたくないのか。その二分でいいです、合格点を上げたいのか、上げたくないのか、どっちですか。

福地参考人 御指摘のとおり、当初の段階から一〇〇%は無理だということは第三者委員会からも聞いておりまして、私は、合格点で、ヒントが出てきたという面では合格点だったと思います。これからは我々の取り組んでいく努力こそが重要だと心得ております。

寺田(学)委員 ヒントが出てきたことを合格点に加味しないでください。全容解明されたかどうかの評価を聞いているわけです。一部の内容が解明したから、それで何かのきっかけが生まれて、その生まれたきっかけをもって加点するのではなくて、その全体を明らかにするということにおいて今回の調査で合格点を上げますか、それとも不十分で不合格だと思うのか、どちらですかと。国民の皆さんに対して今回の、任意というものはありましたけれども、我が方でやった調査はNHKとして合格点を与えますというのかどうかを聞いているんです。どうですか。

福地参考人 大変判断の難しい御質問でございまして答えに窮しておりますが、何度も申し上げますけれども、当初の段階から久保利委員長から、捜査権を持たないので、ある限界がありますということは伺っておりました。したがって、一〇〇%の人間が正確な回答をするというふうなことは難しいと思って、しかし、その人たちに対してどうしていくかということでございまして、そこにやはり今度の第三者委員会としての限界があったというふうに思っております。

 しかし、その中では、私はこの第三者委員会は今までにないような取り組みの仕方でやったということを第三者委員会の中のほかの一部の方からも聞いておりますし、私もそうであったというふうに確信をしております。

寺田(学)委員 結局、評価を逃げられているんだと思うんです。もちろん、それで再調査をされないということは、これによって私たちができる全容解明の最大限の努力を図ったというような御評価なのかなと思います。それか、そもそも任意に頼ってやっている部分において、役職員の人たちの任意というものが、はっきり言って会長の思いが通じない方々が多かったのであきらめるというのか、どっちかだと思うんです。そういう意味においては、私ははっきり言って不十分だと思います。

 本当の意味で信頼回復するのであれば、さまざまリコールを出された会社の対応でもいろいろありますけれども、徹底的に、こういうことが悪かったです、何度も何度もCMを流して、その起こした事故及びリコールみたいなものに関しても説明責任をし続ける、調査し続けるという姿勢があったんですが、会長自身がさまざまな思いがあってこの程度でやめられるのであれば、全容解明、今まで何があったの、あなたたちの調査を信用できるのかどうかという信頼性という意味においては、私は非常に疑わしいままこれはふたを閉じることになるんだと思います。

 もちろん、先ほどの命をかけても頑張りたいという方々も含めて、その公共性にも照らして、プライバシーのある程度の制約があるという条件の中でやるんだとすれば、全職員に委任状を出してもらって、最初に株を持っているか持っていないかということを聞く前に、皆さんが本当にどのようなことをやっていたのかということを調べさせてくれというところから始まるんだと私は思います。まさしくそのような調査も、そして、勤務時間中に限った株取引の情報公開をするというようなもっと限定的な委任状でも再調査は行わないという方針なんですか。もうあらゆる再調査は行わないと会長自身は今お考えになられているんですか。

福地参考人 調査という面でこれからの第三者委員会との接触はないと思いますが、ただ、提言について、いろいろ再発防止策を実行していく上であるいは考えていく上で十分に意をすり合わせておきたい、そういう面の折衝はこれから先も十分努めてまいります。

寺田(学)委員 あと、余り瑣末な話かもしれませんが、この調査にかかわることにも費用はかかっていると思います。これはもちろん受信料から出されているんでしょうか、それとも違う部分から出されているのか、お幾らぐらいかけて皆さんに、私の言い方をするとこの程度の調査を出してきたのか、具体的なことがわかれば教えていただきたいと思います。

福地参考人 NHKは受信料以外の収入源を持ちませんので、当然受信料から支払っていくことになりますけれども、しかし、先ほど御指摘のございましたように、再びこういったことを起こさないためのいろいろな措置を講じていくためにこれは必要であろうというふうに考えております。

 幾らという問題については、契約上の問題もございますので、ここでは表明を差し控えさせていただきます。

 以上です。

寺田(学)委員 民間企業のことであればいいんですが、まさしく会長が言われているとおり、皆さんの受信料で賄われているNHKですから、どのような不祥事が起きてそれがどのようなものであるかはつまびらかに国民の皆さんに、納付者、受信料を払っている方々に示さなければいけないでしょうし、それとともに、どれぐらいかかっているかを、そしてどのような調査が行われたということもでき得る限り、契約どうこうというお話をされますが、私は明らかにするべきだと思います。

 それで、一つの柱の全容解明のための調査ということに関しましては物すごく回り道したような言い方で御評価されているんだと思います。私自身はそれは全く評価できないものだというふうな異議は述べておりますが、もう一方の、これからどうするかという話についても質問をさせていただきたいと思います。

 ほかの方が質問されたかわかりませんが、勤務時間中の株取引は当然のことながら、それはもう明記することもなく株取引は禁止されていると思うんですが、休憩時間中の株取引というのはいかがなものなんでしょうか。

福地参考人 休憩時間については、これは拘束をするわけにいかないということになっておりますが、しかし、NHKの場合には仕事の種類によりまして休憩時間が皆まちまちであります。そういった中で、人さんの誤解を受けるようなことはやはり好ましくない。休憩時間の行動を規制するということは法律上の問題もあろうかと思いますからそれをするわけにはいきませんが、休憩時間がわかりにくいという件については、人さんの誤解を受けやすいというふうな職場である、そういう点はやはり自粛をしていかなければいけないんじゃないかと私は思っております。

寺田(学)委員 私の質疑のときじゃないんですが、前の質疑のときに、全般的にアクセス権のある人間の株取引は禁止するということであれば、勤務中であろうが休憩時間中であろうが休みであろうができなくなるということなんだと思いますが、ちょっと改めてお伺いしますけれども、御答弁されたとおり、いわゆるアクセス権を持った人間の取引は禁止されるということでよろしいんでしょうか。今うなずかれたので、それでいいと思います。

 では、申しわけないですが性悪説に立って物事を考えますけれども、本当に株取引をしていないかどうかということがある程度担保できなければこういう反省に立った行動というものは実効性を帯びないと思うんですが、まさしくこれから規制、するなよ、株取引はしちゃいかぬぜということをやられるんでしょうが、それをどのようにして実効性を担保されるんでしょうか。会長、いかがですか。

福地参考人 いろいろな方法があります。最終的にはやはり冒頭申し上げましたような本人の意識の問題になってきますが、しかし、そうばかりは言っておられません。

 一つは、誓約書を出させる。それからもう一つは、これは第三者委員会の報告書にも、実効性を確保するための施策として、「無作為に抽出した一定割合の職員をサンプルとして、当該口座の取引履歴の提出を求めて売買の有無を検証することなどは検討に値する」という提言がございます。

 こういったものについては、まだ確とした方法が私の手元にございませんけれども、検討していって、いろいろな、御指摘のような、そうはいっているもののどこかでやっているんじゃないかというふうな抜け道は防いでいきたいと思いますが、最終的にはやはり本人の自覚の問題になってくると思います。

 以上です。

寺田(学)委員 その提案の中にあった、無作為で抽出してその人の口座をチェックしてということですが、それは当然のことながら任意ですので、断ることができるんでしょうかね。いかがですか。

福地参考人 御指摘のとおり、この問題は、SESCによる捜査でない限りはすべてやはりそういった自発的な問題になってきます。それをいかにいろいろな面で担保していくかということでありまして、一〇〇%ということはあり得ない。これは、やはり企業風土としてつくり上げることが一番大事だというふうに思います。

寺田(学)委員 そういうところに行き着くんだと思いますが。

 それでは、提言の中にもありましたが、いわゆる懲戒制度に関しての適切な運用をするという話がありました。そういう意味で、これから内規として禁止されるんだと思いますが、インサイダー取引をしていたことがわかった場合、今回は懲戒免職になったと思いますけれども、確認の意味で聞きますがどのような懲戒制度になるのか。それとともに、禁止されていた株取引が見つかった場合にどのような処分というものが行われるのか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

福地参考人 インサイダーが発覚をいたしましたら、これは既に社内処分の域を超えてくると思います。これは、当然、SESC等の処分に従って、今回は懲戒解雇になりましたけれども、そういったことになります。

 それから、就業時間中に株取引をした者をどういうふうに処分するかということにつきましては、先ほどの服務規定の問題に照らして処置をすることになります。

 以上です。

寺田(学)委員 その服務規定どうこうというのをお伺いしたいんですが、単純明快ですよね。まさしく内規で、今回のこの事件の反省点に立って、調査は不十分ですけれども、そこから出てきた解決策をもって、株取引をしないようにという内規を定められると明言されているわけです。それに違反した場合はどうなるんですかということを具体的にお伺いしたいんです。どうですか。

福地参考人 当然、社内で処分の対象になります。処分の内容については今明記しておりません。

 これは、それの内容によって、複数の理事から成る規律委員会で議論をして、弁護士の意見を聞きながら、最終的に処置を確定していきます。

 以上です。

寺田(学)委員 アドバイスは受けながらということだと思います。

 もちろん、株取引をすること自体は一般的な意味での合法行為ですから、インサイダーをしたとか飲酒運転をしたとか、そういうところとはまたニュアンスの違う部分があると思うんですが、NHK自体が、私は残念なことだと思いますけれども、こういう怖い罰則をもって、やるなよというふうにやっていくことは、本当は自律した中で教育されていくのが一番いいと思うんですが、こういう問題が起きた中においては仕方がないことなのかなというふうに思っています。

 そういう意味において、こういういわゆる内規を破った方に関しては、例えば懲戒解雇みたいなことまで含めて、強い罰則をもこれから検討する範囲の中に置いて弁護士さんと御相談されるおつもりなのか。簡単に言えば、一カ月休職だとか減給だとか、それ程度におさめようと思っているのか。具体的にどこに落ちつくかは別として、その範囲というものも、最終的なものではないかもしれませんが、ぜひとも会長のお考えをお聞かせ願えたらと思います。

福地参考人 インサイダーについては懲戒解雇に値すると私個人では考えております。前の結果に照らしてもそういうことだと思います。

 ただ、勤務時間中の服務規定違反については、どの程度になるということは、私は今ちょっと頭の中にございません。それは、やはり客観的な、そういった罰則規定に照らして判断することになろうと思います。

 以上です。

寺田(学)委員 ほかの、前の委員からも質問されたかもわかりませんが、その禁止される内容についてもう少しお伺いしたいんです。

 それは、いわゆるパートナーであるとか親とか、そういうところまでも含めて株の取引というものを禁止しようというふうにお考えになられているのか。例えば、邪推すればですけれども、自分は勤務時間中も含めて株取引できないから、ちょっと買っておいてということを言ったり、買うようにほのめかしたりとか、さまざまやれることがあると思うんですが、そういうところまでも、例えば親の売買、自分の妻であるとか夫の売買ということに頼んでいくようなことも禁止されるのか、そこの株取引も禁止されるのかどうかというところをお伺いしたいと思います。

福地参考人 インサイダー情報を漏らして親に買わせるというのは、これはあくまでもインサイダー取引でございます。これはやはり懲戒解雇と同じようになると思います。

 ただ、やはり通常の株取引を親とか兄弟とか家族に依頼するというのは、これは休憩時間中でありますと服務規定違反にならないと思うんですが、ただ、その場合も、協会の施設を使ってやる、協会の電話を使ってやるとか、あるいは休憩時間であっても協会のパソコンを使ってやるということは、これはやはりルールにもとるというふうに考えております。

寺田(学)委員 そもそも株取引はしちゃいけないんですよね、会社のパソコンを使ってやるどうこうは別として。株取引自体は、アクセス権を持っている人は株取引を今後禁止しているわけですから、会社の施設を使って株を買うとかということ自体、その前段階で禁止されていることだというふうに理解します。

 大臣にお伺いしたいんですが、まず調査の評価についてお伺いしたいと思います。

 今るる調査の結果に対する評価を会長に、それと今後の対応策に関して会長にとお伺いしましたが、大臣自身、今回のこの調査というものがいわゆる信頼回復に寄与した、合格点だというふうに思われているのか、不十分だと思われているのか、いずれかだと思いますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

増田国務大臣 NHKで、今回の問題に対してどういう対応をするのか、調査をもう一回やり直して対応されるということでありまして、この調査自身がどれだけの効果を持ったか、これはまずNHKで特にきちんと御判断いただく必要があると思うんですが、私は、橋本体制のもとで行われた調査は、三名の者がインサイダー取引だったということかと思います。

 今回は、そのことに対してまた別の結果が出てきたということでありまして、第三者委員会を設置する、そして限定された中で第三者委員会としてのいろいろな調査についての結果を最大限発揮できるようにNHKとしても努力された、そういう調査だったんだろうというふうに思っております。

 いずれにしても、今回の調査がどのように今後活用されるかも含めて、私どもはNHKがやはりきちんとした報道機関としての姿になってほしいというふうに思っているものですから、この調査結果をどのように生かされるのか、要は、調査に十分協力しない人がNHKにいるというその現状も一方で浮き彫りになっているわけでありますから、そういう中で、今後NHKが企業風土としてどのような取り組みをなされるかも含めて、NHKに自覚を促していきたいと思っております。

寺田(学)委員 いろいろ御見識をお伺いしましたが、調査結果に関しての御評価は、十分なもので再調査は必要ないと考えるのか、それとも、不十分だから再調査する必要もあるのではないかと大臣としてお考えになられているのか、どのような御評価なんですかということをお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 再度やるかどうか、それはNHKで御判断をしていただきたい。

 ただ、私どもが求めているのは、NHKがきちんとした報道機関として一人の者もインサイダー取引にならないような、そういう結果を求めているわけでありますから、NHKの判断でそこはきちんとやっていただきたいということであります。

寺田(学)委員 まさしく再調査するかどうかはNHKが考えることだと思いますが、いわゆる総務大臣も深く関係している案件でございますので、NHKのことに関してということですけれども、調査結果に対してどのような評価を持っているかということはぜひともお伺いしたいと思っています。もちろん、それで再調査させる権限はないと思いますので、するかどうかに対する意見というのはあってもいいと思います。

 それとともに、思いがけずという言い方もおかしいですが、福地会長が派閥抗争もNHKの中にあってということをお認めになられました。大臣としてその発言をどのように受けとめられているでしょうか。増田大臣、いかがですか。

増田国務大臣 やはり組織の中で組織を一番見ている方がそういったことを覚知したり、それからそういった端緒をつかんでおられたりした、その上での発言だろうと思います。

 組織として今後どのようにされるのか、いろいろ問題点が出てきている中で同じ方向に向かって進んでいかなければいけないわけでありますから、内部で抗争している場合では全くないというふうに思っておりますので、そういう現実の姿というのは十分踏まえて、ぜひNHKをいい方向に持っていっていただきたいと思います。

寺田(学)委員 時間も参りましたので最後にしたいと思いますが、福地会長の方にお伺いしたいと思います。

 いずれにせよ、この問題は調査をするにせよ、任意性の中で、結果的に役職員の方々の意識というものは、強い正義感と使命感を持っている方と、うちらはほかの人たちと一緒だろうというふうに思っている方々にはっきり分かれたと私は思っています。いろいろな自由記述の中にもあるんですが、構造的な問題があったからこそああいう事件が表出したんだろうというお話がありました。そういう意味で、派閥抗争がどうこうということも言うつもりはありませんが、いずれにせよ根深い問題があると思っています。

 そういう中において、会長の足を引っ張る方もいるでしょうし、後押しする方もいると思います。けれども、冒頭お話しさせていただいたとおり、公共放送は必要だと私は思っていますし、このままのペースでいくと、民営化してしまえという世論が大変大きくなるのではないかなと非常に危惧をしております。

 そういう意味において、もう少し、もう少しというかもっと大分危機感を持って、本当にうみを吐き出すんだということが国民の皆さんに伝わるぐらいやらないと、正直なところ、民営化の波、受信料なんて払いたくないというような話がどんどんどんどんふえていくんだと思います。そこら辺はもっと危機感を持って対応に当たっていただきたいと思います。

 最後に、何か一言あれば、会長の方から御答弁いただきたいと思います。

福地参考人 先ほども申し上げました、今度のインサイダー事件が、時を同じくして全然別のところで、しかも本人同士が話し合わない中で行われたということは、そういった企業風土にあるということでございます。

 ただ、その中で、私は、今の職員というものは、やはり何とかしなければいけないという方向に向かいつつあると思います。派閥抗争はあります。ありますけれども、どちらかというと、今までの派閥抗争というのは過去のいろいろなしがらみにとらわれた派閥抗争であった。派閥抗争がある、報復人事がある、さらにまたその報復人事がある、そういった形の中での派閥抗争のように私には見受けられました。

 今の職員は、こういった中で、何とか新しい方向に向かって一緒にやっていかなければいかぬじゃないかというふうに、私はいろいろなところで現場を回って、ほとんどというのはあれでございますが、かなりの現場を歩いてきました、そういった中で若い人たちと話し合った中で、今そういうふうな感触をつかみつつあると思います。

 私は、今がチャンスだと思って、そういった方向に取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

寺田(学)委員 ぜひ頑張ってください。

 以上です。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 NHK決算について質問をいたします。

 私は、二〇〇五年度のNHK予算案の審議の際に、受信料不払い問題について質問をいたしました。不正経理問題とともに、特定の与党政治家への事前説明問題が重なって、受信料の不払いが急速に拡大をしていた時期であります。そのため、受信料の不払い件数累計の数が、三月の国会でのNHK予算案審議の時点では、一月にNHKが予算案を提出した時点よりも一層深刻になっていたわけであります。

 そこでお尋ねしますが、二〇〇四年度の十二―一月期、二―三月期、それぞれの支払い拒否・保留数の累計が何件となったのかをお示しください。あわせて、二〇〇五年度における支払い拒否・保留数の累計のピークがいつで、何件となったのか、この点についてお答えください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 支払い拒否・保留件数の累計については、十六年度十二月―一月期は四十万件、二月―三月期は七十五万件でありました。

 十七年度の支払い拒否・保留件数累計は、四月―五月期が九十七万件、六月―七月期が百十七万件、八月―九月期が百二十七万件、十月―十一月期が百二十八万件、十二月―一月期が百二十五万件、年度末の二月―三月期が百二十万件でありました。したがって、ピーク時は十七年十一月末の百二十八万件でありました。

 以上でございます。

塩川委員 そこで、重ねてお尋ねしますが、〇五年度の予算で見込んだ支払い拒否の件数と実際の件数の乖離はどのぐらいあったのか、それによる減収はどのぐらいだったのか、お示しください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 十七年度末の支払い拒否・保留件数は、十七年度予算編成時には二十三万件と見込んでおりました。しかし、その後も口座振替利用中止者の発生が続いたことなどにより支払い拒否・保留件数は増加し、十七年度決算では百二十万件となりました。

 支払い拒否・保留件数の予算と決算の乖離である数は約百万件であります。減収の影響は約百五十億円であります。

 以上でございます。

塩川委員 予算と決算の不払い件数の乖離が百万件、予算についても百五十億とお話がございました。

 私は、二〇〇五年度の予算案の審議の際に、予算審議の段階で執行部が想定した以上の不払いが出ることが明らかになったのに、その内容を盛り込まない予算案となっていると批判をいたしました。結果としてそのとおりになったと思いますが、この点についての会長の御見解をお聞かせいただけますか。

福地参考人 もう少し予算審議について慎重であるべきだった、当時私はおりませんので、そういった返事で申しわけありませんが、そう考えざるを得ないと思います。

塩川委員 当時の質疑の中でも、落ち込みが予想を上回った場合はシビアな予算管理をその段階で行っていきたいと、まさに答弁の中で、この予算案は欠陥が出るかもしれないということを認めるような答弁を行っていた。そういう点で、国会における審議において極めて重大な答弁であり、そしてそれを踏まえた結果だったと思うんですけれども、この点についての会長としての率直なお考えをお聞かせいただけますか。

福地参考人 御指摘のとおりだと考えます。

塩川委員 極めて見通しの甘い予算の結果で大きな減収を招き、そのため、当然のことながら、削られるところも出たわけであります。

 国内放送費が当初予算額から三百四億円も削減をされました。NHKの一番の魅力でもあり、存在意義でもある、すぐれた番組を制作するその土台である国内放送費がしわ寄せを受けることになったのは極めて重大で、要するに、〇五年度の予算は欠陥予算だったということは明らかであります。この点を、この決算の審議に当たって改めて指摘をしておくものであります。

 次に、決算ともかかわり、インサイダー取引事件に関連して質問をいたします。

 インサイダー取引事件については、一昨年、日本経済新聞社の広告局員が逮捕されるという事件がありました。報道機関の関係ということで極めて重大だったわけですが、しかし、報道機関の記者が関与したインサイダー取引事件はNHKが初めてということであります。そういう点でも、このインサイダー取引事件を機に、NHKとしてそもそも論の議論が必要だということを痛感するものであります。

 そこで、会長に伺いますが、この間、国会でも、あるいはNHKの番組などを通じて、このインサイダー取引事件をどう受けとめておられるのかという御発言がございました。日曜日でしたか、一日の「三つのたまご」という番組の中でも、会長のコメントとして、インサイダー取引は報道に携わる者として絶対にあってはならないことで、視聴者の皆様に改めて深くおわび申し上げますと述べておられます。ここで御自身が述べておられる、インサイダー取引は報道に携わる者として絶対にあってはならないという、そのインサイダー取引を報道機関関係者が行ってはいけないのはなぜなのか。そもそも、その理由というのをどのようにお考えなのかをお聞かせください。

福地参考人 御指摘のとおり、インサイダー取引というのは報道関係者でなくても違法行為であるわけですが、とりわけ報道に携わる者は、国民の知る権利にこたえるために国民にかわって一般の国民が知ることのできない最新の情報に触れることができる立場にある、そういうことでございます。さらに、公共放送に携わるということは、いわば国民の重大な負託を受けて仕事をしているということにもなります。その立場を悪用してみずからの私利私欲のために情報を使うということは、到底許されることではないということでございます。

 以上でございます。

塩川委員 国民の知る権利にこたえるために国民にかわって最新情報に触れる、そういう機会にある報道機関の関係者が、その触れた情報をみずからの私的な利益に費やす、この点での問題と、公共放送として国民の負託を受けているその信頼を裏切るものだという点でのお話がございました。

 これは、第三者委員会の調査報告書を拝見しましても、「調査にあたっての第三者委員会の問題意識」が記されております。ここは私も拝見して、大変重要な指摘だと思っております。今お話がありましたように、報道の自由、国民の知る権利の立場から保障されている報道機関として、その報道の自由を担保するための取材の自由、そのもとで得た情報を、こんなインサイダー取引という形で私的に流用する、そういう点で報道機関としてあってはならない問題だ、こういう点での指摘もこの中に挙げられています。

 そこで、第三者委員会の調査報告書で指摘をしています調査に当たっての問題意識、三つの観点で述べておるわけですけれども、これに即して改めて会長にお伺いしたいと思っておるんですが、ここでは、取材の自由の重要性にかんがみ、第三者委員会は、「以下の三点から、本件インサイダー取引が、憲法上の権利を与えられた報道機関であるNHKの存在意義が問われる極めて深刻な事態であると認識している。」ということで、三点を指摘しています。

 その一点目について、記者が取材で得た情報によって私的に利益を得たことは、NHKに報道の自由を標榜する資格があるのかという疑いが生ずる、こういう指摘をしておりますけれども、この指摘について会長はどのように受けとめておられるでしょうか。

福地参考人 まさに今回のインサイダー事件というのは、そういった資格に値しない事件であったと認識しております。

塩川委員 どのように資格に値しないと思っておられるのかを、会長のお言葉でお聞かせいただきたいんですけれども。

福地参考人 国民の負託を受けて、第三者が知り得ない情報を知っている、それを私利私欲に利用したという点が許されないということであります。

塩川委員 続けて、二点目の問題意識として取り上げていますのが、同時多発的に行われたことは、NHKという報道機関に内在する組織的要因に根差したものではないかという疑念がある、こういう問題意識で調査に当たったということですが、このNHKの組織的要因に根差したものではないのかという問題意識、指摘についてはどのように受けとめておられるでしょうか。

福地参考人 この指摘はまさにそのとおりでございまして、重く受けとめておりますが、東京と水戸と岐阜の三人が、お互いに連絡をとり合わないで、しかも同時に、それぞれがインサイダー取引を行った。したがって、今回の問題は、組織や体質にまで及ぶ構造的な問題をはらんでいるとして、厳しく深刻に受けとめております。

 以上です。

塩川委員 構造的問題として厳しく深刻に受けとめているというお話です。第三者委員会は、この組織的要因について何点かの組織上の問題点を指摘しておられます。

 そこで、第三者委員会が取り上げた問題点に沿って何点かお聞きしたいんですが、「組織として職業倫理を確立する力が低下した報道部門の問題点」、要するに、インサイダー取引事件が行われた報道部門において職業倫理を確立する力が低下をしたという指摘なんですが、これは、実情に即してこの指摘は妥当なのか、会長としてはどのように受けとめておられるのか、お聞かせいただけますか。

福地参考人 まさに職業倫理のあれも甚だしいというふうに考えております。やはり最もそういった職業意識を持たないといけない報道部門で発生したということが、この問題の大きさを物語っていると思っております。

塩川委員 あわせて、問題点として指摘をしているのが、「膨大、煩瑣なコンプライアンス施策と現場の疲弊」というふうに述べております。「後ろ向きの形式主義的対応は、現場を疲弊させ、役職員の士気、プライドを低下させる。」つまり、コンプライアンス、コンプライアンスということで、不正経理事件以降いろいろな対策をとってきたけれども、その対策が形式的だったのではないか。それで、膨大、煩瑣な施策というのが、かえって現場を疲弊させてしまったのではないのか。

 こういう、執行部が行ったコンプライアンス徹底という趣旨での施策についての厳しい指摘についてはどのように受けとめておられますか。

福地参考人 これも第三者委員会の指摘のとおりでございまして、たび重なる不祥事の後に、後追い式、後追い式にそういった組織がつくられたり、規定がつくられたり、しかもそれが、回を追うたびに詳細になってきて、とてもあれは見られない。

 私も、NHKに就職しまして、職員倫理規定、行動規範を見ました。私の年寄りの目ではとても読み切れないような小さい字で書いております。私はそれを、きょうはまだ持っておりませんが、できたらこの大きさで、いつでも持てる、そういうふうな簡単な、いつでも持って歩けるものにならないと、ポケットに入らない、持ち合わせできない、しかも眼鏡をかけないと見えない、そういった行動規範というのは実は役に立たないんだ、そういうふうに言って、今つくりかえさせております。

 以上です。

塩川委員 第三者委員会の問題意識の三点目として、公共放送のNHKの報道情報は、公共放送である以上、国民共有の財産であり、インサイダー取引事件はまさに国民に対する背信行為だという指摘ですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

福地参考人 NHKの放送は、国民お一人お一人からいただいております、それもひとしくいただいております受信料によって支えられているわけでございまして、その存立基盤というものは国民からの信頼にあるというふうに認識をしております。

 国民の知る権利にこたえるための情報を自己の利益のために悪用したということは、国民がNHKに寄せる信頼への裏切り行為である、国民全体への背信行為と考えております。御指摘はそのとおりでございまして、真摯に受けとめまして、当然のことですが、二度と起こさないように、組織を挙げて、この第三者委員会からの提言に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 今御答弁いただきましたように、会長から、第三者委員会の報告、問題意識を踏まえての考え方についてお聞かせいただきました。報道機関としてあってはならない、公共放送として国民の負託を受けて行っているのに、裏切るような行為だったと。

 そういう会長の御発言が、このインサイダー取引事件が発覚して以降、「三つのたまご」の報道に至る間、具体的に語られてこなかったわけです、今のような中身について。私が見ているだけでも、記者会見や「三つのたまご」というのは、報道に携わる者として絶対にあってはならないという一行で済ませているというのが率直なところで、私は、NHKの執行部として今会長が御発言になったようなことがどれだけ議論をされているのかということを率直に疑問に思ってきたところなんです。

 今会長が御発言になった、このインサイダー取引事件が、報道機関として、また公共放送として極めて重大な問題だということについては、執行部内で具体的な議論というのは行われてきたんでしょうか、一月以降現在に至るまで。どのようなものが行われたのか、その点についてお聞きしたいと思います。

福地参考人 その辺は、執行部内のみならず、私は、もうこれは随分現場を歩きましたけれども、現場の中でも、各放送局の職員たちの間でも、そういった問題を話してきたつもりであります。

塩川委員 私は、三月のNHK予算案の審議の際にもインサイダー取引事件問題は取り上げまして、一昨年に日経の事件が起こった際、このインサイダー取引事件について、経営委員会でもNHK執行部においても他山の石とするような議論が行われなかった、この点を指摘いたしました。

 ですから、まさにみずからの組織でこういう重大な事態が起こったわけですから、この機会に大いに執行部として議論が求められているわけですが、現場でやっていただくのはもちろん当然なんですけれども、執行部としてはいつどのような御議論が行われているのか。その形跡が、私、率直に見てとれないんですけれども、いかがでしょうか。

福地参考人 それは、今回も第三者委員会から十項目の提言がなされましたけれども、発生いたしましてからすぐいろいろな再発防止策を練ってきました。例えば、特別な情報、秘密情報へのアクセスにつきましても、アクセス権者を減らすことにつきましても、いろいろな再発防止策を練ってきました。そういった再発防止策を練る中で討議をしてまいりました。

 以上です。

塩川委員 再発防止策の議論というのは、当然、結論として必要なわけですけれども、その前提というのが求められているわけで、なぜ起こったのかという総括というのは当然必要なわけですね。

 この第三者委員会の調査報告の中でも、職員の方の意見などが載せられて、私も、なるほどといって拝見しました。

 ある方は、「今回の事件は、報道人・報道機関としての「自律性」をNHKの記者職場が喪失している・育成できていないことを示したという点で、致命的と考える。なぜなら報道機関の自律性は、国民の知る権利を保障する手段としての「取材の自由」を担保するために不可欠だからである。」「事の本質は、報道機関としての存続をかけるものであることや、なぜ今回のことが報道機関としての存続を賭さねばならないものであるかは、議論が少ないように思われる。このことこそが今のNHKの不幸を象徴しているとも思う。」こういう指摘であります。

 これはまさに経営陣が受けとめなければいけない指摘だろうと思っております。

 その点で、私、率直に伺いたいんですが、第三者委員会に委託、お願いをして調査を行う、それで調査を踏まえた提言を受け取る、これはこれとして一つのあり方だろうと思っております。その提言自身をどう具体化するかというのはNHKの執行部として求められていることだろうと。

 同時に、今私が指摘した、第三者委員会で調査を行う上での問題意識についてのやりとりの際に、会長からは、第三者委員会の指摘のとおりという御答弁もあったわけですけれども、まさにその総括の部分について、NHK執行部としての発信がないんですよ。なぜ起こったのかということについて、NHK執行部として語る言葉がないんです。そこが欲しいんです。つまり、総括部分は第三者委員会に任せて、提言だけ受け取ってそれを具体化しますというのでは、これはやはり本当に身になるのかということを率直に思っているわけです。

 ですから、NHK執行部として自己分析もして、総括を行って、なぜ起こったのかということをNHKが執行部として発信することが必要だと思うんですが、そういうことはお考えにならないんでしょうか。

福地参考人 そういったトータルの発信というのは確かに必要だと思います。

 私たちが取り組んできましたのは、そういった、なぜ起こったのかという原因を考えながら再発防止策を練ってきた。例えば、アクセス権者の問題は今お話ししましたけれども、指摘の中に、縦軸の組織が強過ぎる、もっと横風を入れるべきだというふうな提言がございます。これは、提言を受ける前から、私たちも、そこに原因があるじゃないかということも承知をしておりました。

 そういった中で、私が取り組んできたのもそうですし、それから、中堅、若手職員を中心とした横型のプロジェクトチームが、組織改革に向けて、組織風土をよくするための活動を開始したのもそういったことでございます。

塩川委員 みずから執行部として総括を行ってそれを公表するということは、具体的にお考えになりませんか。

福地参考人 確かに、いろいろな御指摘がございました。そういったものを総括して、今度、検証番組というふうな形で発信をしていきたいとも考えております。

塩川委員 なぜ起こったのかという自己分析が求められている。

 その点で、この第三者委員会の報告での職員の発言の中で「ジャーナリストであれば、公務員や政治家といった公人を批判することも多い。ある意味で公人よりも「公性」を備えているべき。今回の事件が深刻なのは、これまでの不祥事のように社会人としてのコンプライアンスに欠けた問題である以上に報道の公性を完全に忘れた“汚職”だったことだと感じる。根底には“ジャーナリストとは”といった青くさい議論に対する冷やかな空気や、権力者を批判するという気概の消失がある気がする。」と言っております。

 私、この点は重要だと思っておりまして、やはり、権力者に対峙をするという気概、政府から独立していることが公共放送には求められているわけで、トップが権力の顔をうかがっているようでは、記者にジャーナリストとしての自覚や自尊心は育つはずがないわけで、権力と対峙する緊張感があってこそ、記者の倫理観も確立をされる。

 その点で、私、「ETV二〇〇一」の問題の対応のように、権力と対峙をする姿勢がNHK執行部からうかがえないということが、この記者の倫理観の劣化をもたらしているんじゃないのか。

 その点について最後一言伺って、終わりにしたいと思います。

福地参考人 私は、NHKの会長就任以来、編集権の自律ということと、編集権の自律というのは、不偏不党ということによって、その義務によって担保されているんだということで、ひときわ不偏不党は自覚しているつもりでおります。

 以上です。

塩川委員 終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 いつも私、質問の順番は一番最後ですから、以前にやられた内容と重複する部分があるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 五月末に公表されました職員の株取引問題に関する第三者委員会の調査報告書に関連してお伺いいたします。

 職員によるインサイダー取引、これは私にとりましても衝撃的な事件でありました。報道機関に携わる者が知り得た情報をもとに株の売買を行う、しかも、お互い面識がほとんどない者が同時多発的に行うというのは、うがった見方かもしれませんが、違法な行為が恒常的に行われていたのではないかという疑念を抱かせる、非常にショッキングなものでした。

 まず、会長、今回まとめられた報告書についての感想なり所感をお聞かせください。

福地参考人 今回の第三者委員会の調査報告は、当然のことではありますが、大変厳しいものでございました。とりわけ、委任状を提出しなかったとか、あるいは休憩時間を含む勤務時間中に株取引をしていたというふうな、極めて残念な結果が出ました。そういったことについては大変重く受けとめております。

 それから、インサイダー取引の背景にNHKの組織上の問題があるといった指摘、しかも危機感が極めて乏しい組織であるというふうな指摘を受けました。こういった指摘は厳粛に受けとめて、これからの組織風土の改革に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

重野委員 第三者委員会の調査の結果を読ませていただきました。勤務時間中、株取引職員が八十一人。二〇〇八年までの三年間、株取引をした者が千四百四十七名。ある職員は五千百三十七件の取引をしていた。本人や家族名義の株保有を認めた職員のうち、九百四十三人が取引履歴照会の協力を拒否する。百五十人は株保有の有無すら答えていない。

 これを見て感じますのは、これもうがった見方かもしれませんが、今明らかになっているのは三人、これだけの調査結果と、それに対する反応、対応を見たときに、これは今後なお、この辺の調査を徹底してやる必要があるんじゃないか。本当に全容解明の努力をやるべきだ。協力を拒否するなどという常識があるとするならば、これはゆゆしき問題だ。その点について、会長の決意をお聞かせください。

福地参考人 カッパ・クリエイトにかかわるインサイダーの問題につきましては、既に証券取引等監視委員会からの結論が出て、三名ということが出ております。第三者委員会に要請をしましたのは、それに類似した、カッパ・クリエイト以外のインサイダー情報もありますので、そういった情報を利用したインサイダー取引があるのではないかというふうな調査でございました。

 それについては、疑わしいものはございましたけれども、インサイダー取引はなかったというふうな報告は受けておりますことは御承知のとおりでありますが、それ以上に、御指摘のように、九百四十三名、これはいろいろな理由がありますけれども、とりわけ、その中の一部の者が拒否をする、無回答だといった態度に出たことは、組織のトップに立つ者として極めて残念に思っております。

 以上です。

重野委員 次に、経営委員会にお伺いいたしますが、今回のこの事件に関して、コンプライアンス委員会は、経営委員会にも責任なしとは言えない、このように言っております。経営委員会として、今回の報告書をお読みになっていかなる感想をお持ちか、お聞かせください。

多賀谷参考人 職員による株のインサイダー取引は、公共放送NHKの報道機関としての信頼の根幹を揺るがすものであり、まことに遺憾に思っております。経営委員会として、NHKを支えていただいている国民・視聴者の皆様に対して、心からおわびを申し上げます。

 これまで経営委員会としては、その諮問機関であるコンプライアンス委員会の答申等を踏まえ、執行部に対して適宜提言等を行ってまいりました。また、執行部に対し、コンプライアンスに関する工程表の提出を求め、それに基づき四半期ごとの報告を求めるなど、NHKのコンプライアンスの徹底のため、さまざまな対応を行ってまいりました。

 しかし、それにもかかわらずこのような事態が生じたことは、コンプライアンス意識や倫理意識が組織全体に徹底されていなかったことでありまして、それについて経営委員会としても責任を感じており、第三者委員会の調査結果を真摯に受けとめております。

 八十人を超える人が休憩時間が含まれているとはいえ勤務時間中に株取引をしていたことや、調査に協力しなかった人が少なからずいたことについては、職務のモラル上大きな問題であり、報告書に指摘されている、組織全体としての危機意識の乏しさという問題が極めて根深いものであると受けとめております。

 経営委員会としては、今後、第三者委員会の提言も踏まえ、執行部とともに再発防止に向けた取り組みを進めるとともに、これまで以上に執行部に対する監督の役割を発揮し、再び、信頼されるNHKを取り戻すために力を注いでいく所存であります。

 以上であります。

重野委員 私は、今回の事件は決して許されるものではない。しかし同時に、国民が株を買い、株を売り、そしてそこで利益を上げるというこの行為は、これは否定されるべきものではない。そこのところが難しいんですね。この事件を通して、NHKの職員が株取引をやっちゃいけないとか、そういう萎縮効果というものを及ぼさないように、経営の側がどう分別をつけた指導をするかということは極めて重要だと思いますね。

 そういう点について、今後、そういう思いをどう具体的にいわゆるNHKの職員に知らしめて、そしてそのことが不断に、常に意識の上に感化されていくという点をどうするか、その点について再度お聞かせください。

福地参考人 もちろん、私どもも株取引を否定するものではありませんけれども、やはり公共放送として、その業務上知り得た情報をもってみずからの利益に充てる、株取引に充てるということは、これは許されないもの。それが一つでございます。

 それから、そうでなくても、私どもの仕事というものは誤解を受けやすい部分がたくさんあります。あるいは、ある仕入れ業者が新しい技術を開発したとか、あるいは取引先がこういうことをしたとか、そういったいろいろな情報がインサイダーでなくても入ってくるというふうな微妙な立場にあります。そういった立場にありますだけに、誤解を受けるような行動をしてはならない。

 そういったことで、まずは、報道に携わる者に対しては原則禁止といたしました。それから、その他の職員については、六カ月間の短期取引は禁止、これも原則でございます。さっき言いましたように、遺産相続上どうしても持たないといけないとか、あるいは、だれだれが病気になったから、買うことはないにしろ持っている株を一部売って換金化しなければいけない、そういったことがございますから、そういったことについてはきちんと届け出をして実施する。

 そういうふうなことに、一定のルールのもとに整然と、株取引はやらない、やる場合にはそういった理由をきっちりと届け出るということにしたわけであります。

 以上です。

重野委員 次に、今回のこの事件がNHKのイメージをマイナスに働かせるということはあると思うんですね。

 そういう中で、ここ二、三年間、いわゆる不祥事による受信料の収納が低下して、その回復のために前線は本当に一生懸命頑張った。そして、いい兆しがこの間ずっと報告の中に見えてきたわけですね。それにまたマイナスの要因になるんじゃないかと私は大変心配しているんですが、そこら辺についてこの現状を教えていただけますか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 一月中旬に発覚したインサイダー取引の影響については、発覚から五月末の第三者委員会による調査報告が発表されるまで、契約総数、支払い拒否・保留数など、数字を見る限り顕著な影響は見られておりません。

 しかし、今後の受信料収入への影響については、報道機関としての根本的な姿勢を問われる問題だけに、営業現場における委託契約収納員の活動などを含めて慎重に見きわめていく必要があるというふうに考えております。

 以上でございます。

重野委員 今の段階での報告でありますが、経営にかかわる問題でありますから、次の点についても確認しておきたいと思うんです。

 二〇〇九年度からの中期経営計画の骨子を経営委員会に提示した、五月二十七日の新聞にそういう報道がありました。その中で、昨秋、経営委員会に示して不承認となりました月額最大百円の受信料値下げに関して一切触れられていない。金田新専務理事の談話ですが、値下げするしないはこの二カ月間議論していない、どの程度数字が積み上がるかで両方の可能性があると含みを持たせた、こういうふうに新聞が書いている。古森委員長は、最初から値下げありきでも値下げなしありきでもない、こう言っている。

 あのときのこの委員会での議論の中で、そこのところが一番問題になったんですよね。ところが、この五月二十七日の新聞報道を見る限りにおいては、随分静かになったなという感じなんですね、コメント自体が。

 これは今一体どういうふうな状況になって進んでいるのか、そこら辺をひとつ示してください。

福地参考人 私は、かねてから受信料問題だけを切り離して中期計画の中で討議をするのはいかがなものかというのが持論でございまして、入るをはかって出るを制するではありませんが、まず、中期計画の中で五年先を見通す、三年先を見通して、受信料の収納率をどこまで上げることができるか、いろいろな施策が前提になってきます。

 その中で、公平負担という問題は率でございますが、経営は逆に額でございますので、どこまでの額が確保できるのか。その中で処理しなければいけないリスクがどれだけあるのかという全体の、まさに入るをはかって出るを制する中で考えられるべきであって、その中で、あるべき姿というのは何らかの形で受信料も当然検討してまいります。今は、だから、受信料を下げる、あるいは下げないとかそういった論議は、その中で消化していく。

 いずれにしても、しかし、公平負担という問題と、私は一律で下げるということはかねてからいかがなものかと。やはり下げるときには弱者を中心とした、弱者という表現がいかがかと思いますが、そういったことの重点的なことは考えられても、一律というのは、前は一律でございましたが、ああいったものはいかがなものかというのが私の基本的な考え方でございまして、まず、値下げの問題、受信料下げの問題から討議していくのではなくて、全体の経営資源の運用の中で考えていくということにしております。

 解決しなければいけない問題はたくさんあります。例えば、年金の処理の問題が二千数百億、これをどうするか。それから、直下型の地震がありましたら受信料免除が五百数十億になると思います。阪神大震災のときの例を見ますと、もし直下型で、今五百億受信料を免除しなければ払えないということとか、あるいは、先ほどから連結決算についていろいろ考えるようにという御指摘がございました。連結決算を仕組んでいく上で、システムがばらばらで連結決算ができないという状況でございます。システムを統一するために数百億かかる。

 解決しなければならない問題がたくさんある。そういった中で優先順位を考えながら、受信料の問題、視聴者への還元ということも考えていきたいと思っております。

 以上です。

重野委員 あの当時の雰囲気というんですか、大臣もそうでありますけれども、我々からすれば、先に結論ありきで、それを経営はどう具体化するかみたいな感じがあったんですね。それは私はおかしいと。今の会長の答弁を聞いて、そうだと。私も同意できる部分がたくさんありました、今の答弁で。そこら辺は、やはり順序を間違えないようにやっていただきたい。

 次に、今回の件でいろいろな対策を講じる、こういうふうに調査報告書は書いております。すべてを聞く時間はありませんが。

 例えば、NHK倫理・行動憲章、行動指針を改定する、こういうふうになっています。これは一体どういうふうなことを言っているのか。また、先ほども触れられましたけれども、役職員の株式等の六カ月以内の売買は禁止する、こういうふうなことが具体的には書かれていますが、そのあたりについて、ひとつもっと具体的に教えていただきたい。

福地参考人 私は前職の場合の行動規範八項目は暗記しておりますが、まだこちらに入りまして、極めて多岐にわたっております。だから私は、わかりやすい行動規範じゃないとだめだというふうなことで、まさに行動規範ですから、行動できる、実行に移せるような行動規範をつくるということで、現在、もうでき上がると思いますが、作成を進めております。

 以上です。

重野委員 そこで、この倫理・行動憲章に関して、これも古森委員長さんが、私もこの委員会で具体的に質問をいたしましたし、その後、新聞紙上等々でいろいろな発言をされております。

 これは、市民団体が委員長の罷免を求めた、こういう記事が載っています。その中で、古森委員長は、経営委員が政治活動をしていけないわけではない、経営委員は政党の党員になることも許される、あるいは、自民党衆議院議員を励ます会に出席したことについても、特に政治的な発言をしたわけではなく経営委員長としての政治的中立性を逸脱しているとは思わない、こういうふうに言っておるわけです。

 私は、放送法を調べてみたんですが、実は、この委員長の発言は、放送法に照らしてみてもいささか逸脱をしているのではないか、こういうふうな感じがいたします。

 例えば、第一条、放送の不偏不党の問題であるとか、第三条の二、NHKは政治的に公平であること、それから日本放送協会の番組基準の中でも、不偏不党の立場を守ってと、公共放送としての権威と品位を守れ、こういうふうなことがずっと書かれているんですね。それに照らしてこの発言を考えてみますと、私は、どう考えても、これはいささか言い過ぎではないかという感じがしてならないんですね。

 これについて、委員長そして大臣、それぞれ答弁ください。

多賀谷参考人 私は委員長ではありませんけれども、経営委員会の一員として……(重野委員「ちょっと待ってください。そういう答弁は困りますよ。きょうは経営委員長、出てくださいと。出張して、いません、ですから代理を出しますと。その方が、私は委員長ではありませんということを先に言って答弁するというのはおかしい」と呼ぶ)

渡辺委員長 委員長代理として。

多賀谷参考人 はい。委員長代理として。

 経営委員会で議論したわけではありませんけれども、古森委員長の発言についてさまざまな御意見があるということは、経営委員全体、一つとして受けとめております。しかしながら、このことが経営委員長として不適格であるということにはならないと考えております。

 今後とも、経営委員会としては、その職務においては、おっしゃるように放送法における不偏不党、政治的公平の立場を堅持し、務めてまいりたいと考えております。

 以上です。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 放送法によりますと、その中で、経営委員の政治活動に関する規定というのは設けられておりませんが、放送法の第十六条に委員の任命の規定がございまして、そこを読みますと、政党の役員は経営委員となることができずと書いておりますので、政党の役員でなければ経営委員となってもいいというふうに読めます。それからあと、委員の任命について五人以上が同一の政党に属することとなってはならないということは、個別に、それぞれ別々の政党に属してもいいということを前提にこの規定はできているということであります。

 しかし、いずれにしても、NHKの経営委員というのは、やはり経営委員の立場と、それから恐らく一人一人の委員というのはそれぞれ別の職についているわけですが、それは私人としての立場ということになるわけでありますけれども、そこはしっかりと峻別をしていただく必要はある。そして、経営委員としての任務を適切に行っていただく必要があるというふうに考えております。

 今、古森委員長が政治家の議員のパーティーに出席をしたということでありますが、これは、代表しております会社の社員として十年以上勤務していたといったようなこともあって、そこに出られたというふうにお聞きをしているわけであります。

 いずれにしても、経営委員長としての職務を果たすに当たって、経営委員長の立場と私人の立場というものをしっかりと峻別をしていただいて、適切に職務を行っていただきたい、このように考えています。

重野委員 今、大臣の答弁それから委員長代理さんの答弁も、そうですかというふうな感じですね。

 例えば、友人のパーティーに行って、こんなことを言う必要はないと思うんですが、私は今はNHKの経営委員長をしている、こんなことを前口上で述べてあいさつしているんですよ。どういう思惑を持ってそれを言ったのかというのは私はわかりませんけれども、それは僕は、不謹慎だ、そんなことを軽々に言うべきでない。これはやはり、大臣もそこのところはきちっと言うべきだと思いますね。

 あと、質問の準備をしておったんですが、ちょっと時間が足らなくなりました。また次回に譲りますけれども、やはり国民は公共放送としてのNHKに対する信頼というのはあるんですよ。問題は、その信頼を裏切らないように経営者がしっかり緊張感を持ってやらなきゃいかぬということですね。私はそのことを強く申し上げておきたい。

 きょうは、古森委員長の代理として来ていただいて、大変ありがとうございました。その点については、ぜひ、委員長にも正確にお伝えいただきたいと思います。

 以上で終わります。

渡辺委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより両件を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、NHKの〇五年度、〇六年度の決算に対して反対の意見を一言表明いたします。

 〇五年度の予算案については、不正経理事件に加えて「ETV二〇〇一」番組への政治介入が明らかになる中で、大幅な受信料の落ち込みが予想されました。我が党は、受信料の支払い拒否・保留数が大幅にふえていることを指摘し、〇五年一月段階で見込んだ数字をもとに受信料を見込むことは実態を反映した予算案ではないと批判しました。にもかかわらず、NHKは、落ち込みが予想を上回った場合はシビアな予算管理をその段階で行っていきたいと、あくまでも受信料の落ち込みを的確に反映していない予算案に固執したのであります。

 結果は明らかです。決算では支払い拒否・保留数は過去最高の数字になり、受信料はNHKが見込んだ額より四百五十四億円も落ち込む結果となりました。こうした受信料の落ち込みの影響を受ける形で国内放送費が当初予算額から三百四億円も削られるという事態になりましたが、こうしたことは予算編成の段階で十分想定されたことであり、そうした手だてを打たなかった姿勢が問われなければなりません。

 また、〇五年、〇六年度は、不正経理事件や「ETV二〇〇一」番組への対応についてのNHK執行部の姿勢が鋭く問われた年でありますが、〇五年七月二十五日付朝日が「「政治家の圧力による番組改変」という構図がより明確になった」と報道したことに対して、放送総局長が、政治からの圧力による改変は、これまでも、これからもないと反論して従来の姿勢に固執するなど、その姿勢には変化が感じられないことは極めて遺憾であります。

 なお、〇五年度、〇六年度は、日経職員のインサイダー取引事件が発覚し、逮捕された時期であり、また、NHK記者によるインサイダー取引が行われた時期でもあります。日経の事件の教訓に学ばず、全くの無策であったNHK執行部の姿勢が厳しく問われた時期の決算でもあることを指摘して、討論を終わります。

渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより両件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会平成十七年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会平成十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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