衆議院

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第25号 平成20年6月10日(火曜日)

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平成二十年六月十日(火曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      上野賢一郎君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      安井潤一郎君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官

   兼郵政民営化委員会事務局長)         木下 信行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   参考人

   (郵便事業株式会社代表取締役会長)        北村 憲雄君

   参考人

   (郵便局株式会社代表取締役会長)         川  茂夫君

   参考人

   (株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役会長)  古川 洽次君

   参考人

   (株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役会長) 進藤 丈介君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     安井潤一郎君

  田中 良生君     菅原 一秀君

  萩原 誠司君     上野賢一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     萩原 誠司君

  菅原 一秀君     田中 良生君

  安井潤一郎君     秋葉 賢也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政事業に関する件(日本郵政公社平成十九年度財務諸表の承認に関する報告等)

 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件

 地方議会の活動の充実・強化とさらなる改革に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 郵政事業に関する件、特に日本郵政公社平成十九年度財務諸表の承認に関する報告等について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、取締役兼代表執行役副社長高木祥吉君、常務執行役藤本栄助君、常務執行役伊東敏朗君、郵便事業株式会社代表取締役会長北村憲雄君、郵便局株式会社代表取締役会長川茂夫君、株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役会長古川洽次君及び株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役会長進藤丈介君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼郵政民営化委員会事務局長木下信行君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省大臣官房長田中順一君、総合通信基盤局長寺崎明君、郵政行政局長橋口典央君及び厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 日本郵政公社平成十九年度財務諸表につきまして、その概略を御説明申し上げます。

 本件は、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第四十四条の規定により、日本郵政株式会社が提出した財務諸表について承認した旨を国会に報告したものです。

 なお、平成十九年度財務諸表は、平成十九年四月一日から九月三十日までの半年間のものであります。

 また、日本郵政公社は、郵政民営化法第百六十六条第一項の規定により、平成十九年十月一日に解散し、その業務等は承継会社等に承継されました。

 それでは、まず、日本郵政公社全体ですが、貸借対照表については、平成十九年九月三十日現在、資産合計三百三十八兆四千五百六十八億円、負債合計三百三十兆七千七百五十三億円、資本合計七兆六千八百十四億円となっております。損益計算書については、経常収益九兆九千二百十六億円、経常費用八兆七千百三十八億円、経常利益一兆二千七十八億円、当期純損失四千四百二十億円となっております。

 次に、郵便業務ですが、貸借対照表については、資産合計二兆七百六十四億円、負債合計三兆四千百一億円、資本合計マイナス一兆三千三百三十六億円となっております。損益計算書については、営業損失三百二十三億円、経常損失三百二十二億円、当期純損失八千百四十六億円となっております。

 次に、郵便貯金業務ですが、貸借対照表については、資産合計二百二十二兆五千百五十七億円、負債合計二百十四兆九千二百九十九億円、資本合計七兆五千八百五十八億円となっております。損益計算書については、経常利益八千百七十億円、当期純利益三千七百二十六億円となっております。

 最後に、簡易生命保険業務ですが、貸借対照表については、資産合計百十四兆九千二百五十三億円、負債合計百十三兆四千九百六十億円、資本合計一兆四千二百九十二億円となっております。損益計算書については、経常利益四千四百四億円、契約者配当準備金繰入額九百十一億円となっております。

 なお、会計監査人の意見を記載した書類においては、監査の結果、財務諸表等は平成十九年度の日本郵政公社の財産等の状況を正しく示しているものと認められております。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君。

西川参考人 ただいま議題となっております日本郵政公社の平成十九年度の財務諸表及び会計監査人の意見の概要につきまして御説明申し上げます。

 なお、本財務諸表は、日本郵政公社としての最終決算に係るもので、対象期間も平成十九年九月末日までのものであることを申し添えさせていただきます。

 それでは、まず、公社全体の貸借対照表について申し上げます。

 平成十九年度末の資産合計は三百三十八兆四千五百六十八億二千四百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三百三十兆七千七百五十三億九千二百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は七兆六千八百十四億三千二百万円となっております。

 次に、公社全体の損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は九兆九千二百十六億四千三百万円でございます。次に、経常費用は八兆七千百三十八億八百万円でございます。以上の結果、経常利益は一兆二千七十八億三千四百万円となりました。これに特別損益を加え、さらに簡易生命保険業務の契約者配当準備金繰入額を差し引いた結果、当期純損失は四千四百二十億二百万円となりました。

 この当期純損失四千四百二十億二百万円は、全額を利益剰余金から減額しております。このほか、資本に、その他有価証券の評価差額金として一兆四千十七億八千三百万円を計上し、国庫納付金として九千六百二十五億七千六百万円を納付したため、資本合計は七兆六千八百十四億三千二百万円となっております。これにより、自己資本比率(総資産額に占める資本総額の割合)は、公社設立時の〇・三%から二・三%となっております。

 続いて、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務のそれぞれの業務区分ごとに貸借対照表及び損益計算書について申し上げます。この業務区分ごとの貸借対照表及び損益計算書は、公社全体の貸借対照表及び損益計算書の内訳という位置づけとなっております。

 まず、郵便業務について申し上げます。

 当年度末の郵便業務の区分に係る資産合計は二兆七百六十四億七千三百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三兆四千百一億五千六百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計はマイナス一兆三千三百三十六億八千二百万円となっております。

 次に、郵便業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、営業収益は八千五百四十四億八千百万円でございます。次に、営業原価は八千三百三十一億五千四百万円、販売費及び一般管理費は五百三十六億五千五百万円でございます。以上の結果、営業損失は三百二十三億二千七百万円となりました。これに営業外収益四十六億五千六百万円を加え、営業外費用四十五億九千四百万円を差し引いた結果、経常損失は三百二十二億六千五百万円となりました。さらに、特別損益を加えた結果、当期純損失は八千百四十六億八千万円となりました。その結果、資本合計は一兆三千三百三十六億八千二百万円の債務超過となっております。

 引き続いて、郵便貯金業務について申し上げます。

 まず、当年度末の郵便貯金業務の区分に係る資産合計は二百二十二兆五千百五十七億八千九百万円でございます。これに対する負債合計は二百十四兆九千二百九十九億五百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は七兆五千八百五十八億八千四百万円となっております。

 次に、郵便貯金業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は一兆七千七百十五億三千九百万円でございます。次に、経常費用は九千五百四十四億五千八百万円でございます。以上の結果、経常利益は八千百七十億八千万円となりました。これに特別損益を加えた結果、当期純利益は三千七百二十六億七千七百万円となりました。

 この当期純利益三千七百二十六億七千七百万円は、全額を利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本に、その他有価証券の評価差額金として百五十一億六千四百万円を計上し、国庫納付金として九千六百二十五億七千六百万円を納付しました。その結果、資本合計は七兆五千八百五十八億八千四百万円となっております。

 引き続いて、簡易生命保険業務について申し上げます。

 まず、当年度末の簡易生命保険業務の区分に係る資産合計は百十四兆九千二百五十三億二千八百万円でございます。これに対する負債合計は百十三兆四千九百六十億九千七百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は一兆四千二百九十二億三千百万円となっております。

 次に、簡易生命保険業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は七兆三千三百六十二億千四百万円でございます。次に、経常費用は六兆八千九百五十七億二千九百万円でございます。以上の結果、経常利益は四千四百四億八千五百万円となりました。なお、内部留保として六千六百十八億九千六百万円を積み増し、契約者配当準備金に九百十一億六千八百万円を繰り入れました。資本合計については、設立時資産・負債差額四百二十六億千二百万円に加え、その他有価証券の評価差額金として一兆三千八百六十六億千八百万円を計上したことから、一兆四千二百九十二億三千百万円となっております。

 なお、会計監査人の意見書では、監査の結果、財務諸表は公社の財産、損益等の状況を正しく示しているものと認められております。

 これをもちまして、概要説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩原誠司君。

萩原委員 おはようございます。自民党の萩原誠司です。

 まず、冒頭でありますけれども、秋葉原の大変な悲惨な事件がありましたが、幾つかの類似の事件で被害に遭われた方々に対してお悔やみないしは心からのお見舞いを申し上げ、そして、こういった事件がなくなる社会が来ることを心から望みます。

 最初に、昨年の十月、この場でまた御議論をしましたけれども、郵政民営化法のときの附帯決議、あるいはそれと絡んでの松原委員会のその後について、念のためお伺いをしておきたいというふうに存じます。

 いろいろな附帯決議がいろいろな法案につきますけれども、郵政民営化法案のときの附帯決議というのは、本当にぎりぎりの選択として、重い思いのこもった決議であった、そして、その決議に対して違背をするという内容を含んでいた松原委員会の報告があった。西川社長さんは、当時御新任でいらっしゃったのでその辺の事情が十分にしっくりきておられなかったのかもしれませんけれども、一方で附帯決議は守るとおっしゃっておきながら、一方で、松原委員会の二次報告などについてこれをしっかり実現するんだということをおっしゃるものですから、みんな、どっちなんだということで、ちょっと疑念と不安が発生をしたというのが当時の経緯でございます。

 改めて、附帯決議の最初に出てまいりましたけれども、郵便局ネットワークの維持の方針、これに関して御質問申し上げます。当時、たしか四百以上の簡易局がいわゆる一時閉鎖の状況となって問題となっていましたけれども、その後、この問題についてはどういうふうに解決が図られたのでしょうか、お答え願います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 簡易郵便局は、附帯決議にもございますように、郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものでございます。私どもとしましても、その一時閉鎖の解消は重要な課題と認識をいたしております。本年五月末までに一時閉鎖局のうち二十八局が再開しているものの、引き続き四百五十四局が一時閉鎖の状態となっております。

 私どもでは、このような一時閉鎖によるお客様の御不便を少しでも解消するための緊急対策を講じつつ、あわせて、簡易郵便局の既存受託者の継続と新しい受託者の確保が可能となるよう、既存施策の抜本的な見直しも行っているところでございます。

 まず、お客様の御不便解消の緊急対策としては、本年二月以降、一時閉鎖局四百五十四局の約四分の一に当たる全国百十四カ所におきまして代替サービスを提供してきたところでございます。具体的には、近隣の直営郵便局の渉外社員による出張サービスを五月末までに百十一カ所で実施してまいりますとともに、直営郵便局の分室の暫定的な開設、そして、愛知県豊田市内二カ所での移動郵便局の試行といった取り組みを行ってきたところでございます。

 また一方、既存施策の抜本的見直しにつきましては、日本郵政の簡易局チャネルの強化のための検討会が本年三月に行いました最終取りまとめに基づきまして、手数料の固定部分を約四割引き上げますなど、本年八月からの取扱手数料の大幅な見直し、そして、受託者の初期投資を軽減するため、郵便局会社が施設を確保した上で受託者にお貸しする施設転貸制度の創設など、既存の受託者に安心してお仕事をしていただくとともに新たな受託者のインセンティブとなるようなさまざまな施策を導入してきたところでございます。

 このような中、一時閉鎖局の再開に向けました受託者の確保も進んでまいりまして、五月末では、受託者の希望のお申し出をいただいている局が約百四十局、そのうち既に関係当局への申請手続等を進めている局が約五十局となっております。

 私どもといたしましては、今回の抜本対策の周知と積極的な募集活動を行うことによりまして、簡易郵便局の一時閉鎖の解消に今後とも全力を挙げてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

萩原委員 大変丁寧なお答えをいただきましたけれども、基本的には頑張っておられるのはみんな知っているんですが、結果として、昨年の十月に四百と言ったものが四百五十というので、まだ増加がとまっていないこと、これについては我々非常に大きな危惧を持っていますので、今後ともよろしくお願いしたいと思うんです。

 次に、同じく附帯決議絡みなんですが、特定局の局舎問題ということで、これについては、局舎の賃貸というものを適正な価格でもって維持するという附帯決議があったわけでありまして、それに対して松原委員会が別の方向を出して、少なからぬ違和感があったということであります。

 その後、私どもの指摘を踏まえて、現場の特定局の方々も参加した別途の検討委員会というものが十一月にできて、検討が行われている。ただ、まだ結論が出ていない。こういうふうに理解をしているんですが、問題点は、その結論が出ていない時期における取り扱いが、附帯決議の方向に沿った扱いになっているのか、松原委員会の二次報告に沿った方向になっているのかということなんです。

 つまり、松原委員会が問題だということで私どもとしては新たな研究会をお願いし、さらに十一月に私どもの委員会でも決議をいたしました。それは、従前どおりの方向を基本としながらそれの微修正ということでやってくれという話をしたはずなんですが、私どもの理解では、その後、松原委員会の二次報告にあったような形、つまり、局舎の維持、改修、新築については公社ないし会社しかやれないから、君たちしばらく黙っておいてくれということになっているというふうに理解をしているんです。

 これはちょっとバランスがおかしいんじゃないか、凍結されるのはしようがないとしても、凍結の仕方が一方的に寄っているんじゃないかという強い違和感があるんですけれども、お答えをいただきます。

西川参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、賃貸借料を含む局舎問題全体につきまして、弁護士、会計士の先生、不動産鑑定士等から成る郵便局チャネル強化に関する検討委員会を昨年十一月に立ち上げまして、検討を進めております。

 これらにつきましては、幅広い論点から専門的な検討を行う必要がありますことから、まだ結論を得るには至っておりませんが、近々取りまとめを行いたいと考えております。

 それから、局舎建てかえが凍結されているのではないかということでございますが、局舎の調達につきましては、検討委員会における検討を踏まえまして、会社として方針を整理した上で実施してまいりたいと考えておりますが、専門的な検討を行う必要がございますために、検討に若干時間を要しているというのが実情でございます。

 しかし一方、道路拡幅等に伴いまして立ち退きを求められ、早急に移転を必要とする局舎もありますので、これらにつきましては、個別に検討いたしまして、支障のないように取り組んでまいる所存でございます。

 以上です。

萩原委員 その際に、何度も申し上げますけれども、附帯決議ないしは昨年のたしか十一月だったと思いますけれども、私どもの委員会における決議をしっかりと尊重していただくということもお願いしたいし、さらには、常にこれは現場の問題であります、よりきちっとした形で現場との調整を行っていただくことを心からお願いしたいと思うんです。

 次に、新規事業の関係を若干お話ししておきたいと思うんですけれども、ここのところ新聞などにも、生命保険各社との連携、郵便事業会社やかんぽ生命との連携、あるいは住宅ローン市場での一部地銀との提携、さまざまな工夫が新規事業分野について見られますが、新規事業というもの、今、西川社長さん、就任されてから一年ぐらいになりますけれども、どんな基本姿勢でお取り組みになっているか、ちょっとその辺を教えていただけますか。

西川参考人 お答えいたします。

 新規事業につきましては、やはりお客様の利便性向上ということを第一義として考えてまいらなきゃなりませんし、また、会社サイドで見ますと、これはやはり収益源の多様化、特に郵便局会社の収益源の多様化ということを考慮に入れた上で実施をしてまいらなきゃならないということでございます。

 それでは、新しくそのサービスを会社で開発していくかと申しますと、それにも現状では限界がございますので、他社との提携という形で新規業務を展開していこうとしているものが多うございます。これは、やはり自社開発で大変時間をかけるよりも提携をさせていただいた方が早くできる、早くお客様の利便に供することができる、こういう考えで提携戦略を進めておるということでございます。

 こういったことから、郵便局会社を中心に新規業務を極力充実させて、そして収益改善の一環としてまいりたいということでございます。

萩原委員 お答えがありましたように、郵便局会社における新規事業というのは、郵便局ネットワークを活性化する、維持するという観点が非常に重要だ、という私の考えでございますけれども、総務省、総務大臣、それでよろしゅうございますね。

増田国務大臣 私も、こうした局会社で新規事業を展開するということ、これは、そもそも民営化の目的が、多様で良質なサービスの提供を通じて国民の利便の向上が図られる、これを目的としているわけでございますので、当然そうしたことが国民にとっても必要なことだろうと思いますし、それは、局会社自身がそういったことで地域の発展に貢献をするということは、地域から支持される、局会社自体を強くすることにつながっていくものだということでございまして、大変大事な視点ではないか、こういうふうに考えております。

萩原委員 ということなので、私も全く同感なんですけれども、ところが、予期せぬことというか、やはりいろいろな役所が絡まっていますけれども、あっと気がつくと、ほかの事業を所管しているお役所の動き、あるいは無作為というか、それが、今話をしてきたような局会社、郵便局の業務の拡大あるいはサービスの提供の分野の拡大ということにちょっと水を差すようなことが起こっているケースがあります。

 具体的に一点申し上げますと、実は、ポストキューブという会社があるそうでございまして、この方々が、郵便局のスペースというものを有効に活用する新規サービスを提供しようというので無人型のロッカー設備を準備して、そしてさまざまなサービスを提供する。

 基本的には、携帯の番号というのがキーになっている、そしてそのキーを使いながら、例えばクリーニングのサービスを提供する。朝預ける、そして携帯で指令を出すとクリーニングの取扱店の方にそこのボックスにお客様から入りましたよという知らせが行って、それをキーとしてとりに来て、三日後に今度は納めたら、これは別のボックスに納めるんですけれども、つまり分離をしなきゃいけませんから、汚いものとできたものというのは分離をした上で、そのボックスに指令が行って、そこにお客さんが行ってそれをとっていく、決済は別途きちっと行われる。こういう形で工夫がされて、たしか郵便局でも三局、代々木、渋谷、大阪の船場と聞いていますけれども、試行がされていて、結構評判がいいんだというふうに聞いていて喜んでいたんです。

 ところが、最近、別のところから聞きますと、いや、そういうものはよくないんだという指導が一部の保健所でされていて、やめてくれと。別のケースなんですけれども、東京のメトロで同じようなことをやろうとしたら、東京都の幾つかの保健所から、それはいいんだけれども、厚生労働省の方でしっかりいいと言ってくれるまではやっちゃいけないという話が出たりする。あるいは、一部の自治体で逆のことが起こったりして、どうもはっきりしないなと。せっかく地域に対するサービス提供、あるいは子育て世代に対する支援、さらには、私の生まれた地域でいいますと、限界集落においていろいろなサービスを提供する拠点としての郵便局の姿が求められているのに、どうも厚生労働省が図らずも水を差しているんじゃないかというのが、これは多分疑念だと思うんですけれども、あります。

 そこで、念のため聞いておきたいんですけれども、クリーニングについて、この無人の制度を郵便局が利用する前提として、無人の制度というものについてどういう基本的な整理を厚生労働省がされているのか、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 クリーニング業法におきましては、公衆衛生等の見地から、洗濯物の受け取り及び引き渡しを行おうとする営業者につきましては都道府県知事に届け出を行い、その構造設備がクリーニング業法の規定に適合する旨の確認を受けたクリーニング所以外では営業を行ってはならないというふうな規定がございます。

 それで、このようなクリーニング所の届け出の受理ですとか確認につきましては都道府県知事の自治事務でございますので、クリーニング業法上の規定する措置に適合するほか、各都道府県の条例に適合するということであれば可能であるということでございます。

 それで、御指摘のいわゆるクリーニングボックスにつきましては、当該設備を媒介として実質的に洗濯物の受け取り及び引き渡しが行われる場合には、これはクリーニング所に該当するところでありまして、知事による確認を受けていただく必要があるということでございます。この趣旨は自治体に対しまして既に通知をしております。

 したがいまして、いわゆるクリーニングボックスの郵便局への設置につきましては、このようなクリーニング業法の規定に沿っていただければ可能であるということでございます。

萩原委員 今、届け出をしてもらえれば可能であるというふうに一応聞こえるんですけれども、ここで総務大臣が登場するわけですが、自治事務になっていて取り扱いに大きな差があるということになってくると、やはり怖くてなかなか拡大ができないということでもあります。

 この場で全部即答していただく必要はないんですが、自治事務ではありますけれども、当然国法に基づいて行われる自治事務でありますから、その解釈において右と左が百八十度違うということは余り好ましくないということもあります。例えば、条例で禁止はできるのかどうかとかいうことも含めて議論が今されているわけでありますけれども、お願いをしておきたいのは、今みたいな問題について、ぜひとも厚生労働省それから総務省でよく協議をしていただいて、利便性の確保、衛生面での安全性の確保、そして、このケースにおきましては郵便局の業務の多角化への配慮といったことがバランスよく実現できるように、いい方法、いい考え方の整理をしていただきますようにお願いをしておきますけれども、いかがでございますか。

増田国務大臣 よく事務方に検討させて、厚生労働省ともよく連携をとるようにしたいと思います。

萩原委員 ありがとうございました。

 それでは次に、決算の内容に移っていきたいと思うんですけれども、どうもお答えが長いので、今、その答えが短くなるように質問をしていくのに苦労をしているんですが。

 十九年度の決算を拝見しますと、要するに、割といいように見えて、幾つかの問題点が見えてまいります。その筆頭が、恐らくは郵便局会社の純利益であると思うんです。事業計画ではたしか三百二十一億の純利益、これが七分の一の四十六億、一体どういうことかという質問をすると説明が長くなりますので、ここの問いは飛ばしまして、私の方でお答えしますと、要するに、これには二つの理由があるというふうに私は思っています。

 一つは、税務会計上の問題なんですけれども、退職が多いというふうに想定をして、退職が多いから退職金がたくさん要るからというので赤字になって、赤字になるから税会計上連結で持ってくるということでプラスが見込まれていたんだけれども、思ったほどやめなかったので失敗でしたと。思ったほどやめなかったら黒字ができない会社というのは、余りよくないですね、これは。

 それからもう一個は、恐らくは、事業会社との関係を含めた手数料とかのやりとり問題があって、あえて問題があるとすれば、事業会社と局会社が競合してしまう。後からちょっと言いますけれども、ゆうパックでの競合とか年賀状での競合とか、そこでとり合いが生じてしまった結果として、局会社への事業収入がちょっと減っている。これは、手数料問題として考えるのか、あるいは会社のうったての問題として考えるのか、いろいろな問題があるんですけれども、そういったところに原因の一つがあるのじゃないかなというふうに思っています。

 ただ、一点だけ質問したいことがございまして、これは、働いている方々から見ると非常につらいことらしいんですね。きのうまでというか半年前まで一緒に働いた同僚が、一方で例えば郵貯会社に行った、自分は郵便局会社に残っている、君の生産性とおれの生産性を知っているかい、こういう議論になるわけでありまして、郵貯の方は一千五百二十一億円の純利益が上がっていて、ざっとした計算でありますけれども、社員一人当たり一千三百万円強稼ぎ出した、どうだい、君、こうなるわけですね。一方で郵便局は、稼ぎが純利益ベースでいうと一人当たり三万八千円なんですね、一年間に。一方で一千三百万円稼いだおれたち、一方で三万八千円しか稼げなかった君たち、前は同じだったんだけれども、どうなっているんだということで、非常に気持ちの上で整理がつかないところがあるやに聞いているんです。

 どなたにお聞きしていいかわかりませんけれども、こういう格差、つまり、ここでは局会社と郵貯のことを言っているんですけれども、この格差の責任は社員の生産性ですか、社員があほだからだめだったのかどうか、どなたかからお答えをいただきます。

西川参考人 お答えします。

 確かに、先生がおっしゃるような数字になっております。しかし、これは業態の違いから当然生じてくる面もございまして、それがために社員の処遇についてゆうちょ銀行と郵便局会社の間で格差があるかと申しますと、それは、現在のところは同じ処遇をいたしております。

 能力ということになりますと、これもまた郵便局会社とゆうちょ銀行との間に格別の格差があるというわけではございませんで、ただ、ゆうちょ銀行の場合は、やはり大量の資金を運用いたしておりますので、その中から上がってくる収益が大きいということでございます。

 この点は局会社などとかなり違うところであろうと思いますが、そういった業態の違いということでありまして、経営者の能力であるとか社員さんのお力とか、こういうところでの格差ということでは決してございません。

萩原委員 先取りしたようなお答えをいただきましたけれども、経営者は能力に全く問題ない、社員も問題ない、業態の違いであるということなんですが、恐らくそうばかりは言っていられないという気もしないではないわけであります。

 具体的に言うと、業態の違いとは言いますが、もちろんこれは今各会社で働いておられる方々に責任があるわけではないんですけれども、制度が設計をされている、そして制度が運用されている。設計のときについて言うと、今の課題ではない、かつての問題とは言うけれども、その設計自身に問題があった可能性はあります。つまり、さっき申し上げたように、郵便局会社と事業会社が仕事をとり合っている状況というのは、これは余り設計上よくなかったんじゃないかという議論、それを運用で直すことができるのかどうかということはあるかもしれないけれども、それを業態というふうに位置づけてしまうのには若干の問題があるのではないかと私は思います。

 また、そのシステムができる、業態ができた上での運用面でも幾つかの問題を指摘せざるを得ないというふうに思います。例えば、承継計画では、利益の四割を配当、今のケースでいうと持ち株会社である日本郵政への配当に回すはずだったんだけれども、これは現実に四割行っていますか、行っていないはずなんです。二五が基本になっていて、郵貯は一五%。なぜ一五%かというと、ほかの銀行が一五%だからだという理屈になっています。

 ほかの銀行は、今異常事態なんです。つまり、公的資金の注入を受けて、返済ができていないものも残っている中で、まだ税金を納めていない。したがって、配当についても、それから役員賞与についても給与についても抑えぎみで運用せざるを得ない、そういう状況にある今の日本の銀行と比較して一五で抑えてしまった。

 もともと承継計画は四割だった。四割ちゃんと配当しておけば、いわゆる余裕資金というか運用できる資金が日本郵政に適当にたまっていって、それをベースにしながら、苦しんでいる、例えば先ほどの簡易局のネットワークに対する支援措置がかなり思い切ってできたはずじゃなかろうか。そこのところをなぜ一五にしたのかというところについては、単に業態の問題ではないというふうにも考えていいんじゃないかなと私どもとしては思うわけであります。

 当然、経営責任がないということにはならない。この辺の経営責任についてはそれぞれの会社によって違うと思うんですけれども、特に見通しの甘さの問題もあったわけでありますから、私は全くないとは言えないというふうには思います。

 ところで、私のところにまたさまざまに現場からの意見が来ておりますので、これは、時間が短いので読めるかどうかわかりませんが、ざっと読んでお答えを最後にいただきたいと思いますけれども、言います、岡山の意見です。

 JT端末、JTというのは情報端末の意味ですけれども、JT端末により、その日の文書、緊急指示文書、一般指示文書、情報文書が送られてくるんだけれども、文書は、毎日四、五件あって、一週間にすれば約五十件になる。例えば五月は、指示文書が七十六件、情報文書が百二十七件、業務の改正が九件あって、本当に大変だ。現場の社員は三人だ、文書を理解して実施をするにも本当にへとへとになってしまう。公社時代からこの文書についてはいろいろな現場としての意見を言ってきたんだけれども、なかなか改善されていない。

 この関係ですけれども、朝令暮改があると。朝、改正の文書が来て、夕方にはその改正の訂正が来るということが、よくあると書いてあるんですが、これは、よくあるというよりも間々あるということだと思うんです。これは、職員としては大変だそうです。指示された文書で仕事をするわけで、やっている途中から別の形になっているというのだと非常に困るし、それをある時期からやらなかったらサボっているというふうに非難をされる、そして、事務リスクや重大事故にびくびくしている、どうぞよろしくお願いしたいということであります。

 それから、業務取り扱いが大変煩雑ですと。規則や様式を確認するときに、JT端末の中にポータルサイトがあって、その中に規定ナビとゆうちょサポートがあるんだけれども、窓口カウンターとJT端末の距離が長かったり一台しかなかったりすることで非常に時間がかかって苦労しているんだ、現場優先の改良ができないか。

 次、現場では、局会社、それから貯金、簡保等から検査、監査が来ると。モニタリングを含めていろいろな形で一つの局に年に四、五回来て大変、うまくこれが整理できないのかなという議論がありました。

 それから、営業目標というものがありますけれども、営業目標の達成その他について、本社、支社からは非常に厳しい指示文書が出ているんだけれども、目標に対する根拠がよくわからない、なぜそういう目標がうちに来るのか理解ができないところがあり、不平不満がたまっている。これは改善できると思いますけれども、こういうことがあります。特に、郵便目標は実績主義で、やればやるほど目標が上がっていく。つまり、蜃気楼ですね、近づけばまた先に行くというので苦しいんだと。

 それから、ゆうパックの問題。さっきちょっと言いましたけれども、ある地方では、郵便局会社がお客と折衝をして利用していただけるというふうに内諾をとった段階で、事業会社の方がうちの方が大口割引があるからうちに来てねというのでとっていってしまった、もうがっくりきているんだ、二つの会社の料金体系がこういうふうに違うのは本当に苦しい、こういうことであります。

 いろいろありますが、時間となりましたのでお答えは結構でございます。

 最後に、委員長にお願いなんですけれども、先ほど言いましたように、この郵政の問題、三年目の見直しの時期になってございます。そして、各会社において頑張っていただける問題もあるんですけれども、先ほど言いましたように、システムというか制度というか、そういったところに起因した問題もあるというふうに見受けられますところ、当委員会としても、小委員会などをきちっと設けて、この三年目の見直しにしっかり取り組むような体制をとっていただきますように理事会等で御検討いただきますようお願いをいたします。

渡辺委員長 後日、理事会等で協議をさせていただきます。

萩原委員 終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口でございます。

 まず最初に、きょうは決算のことについてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 民営化後初めての決算ということで、半期でありますけれども、発表されました。全体を見ますと、連結、グループ全体の純利益は二千七百七十二億円ということで、全体としては計画を大幅に上回っているわけでありますけれども、まず最初に西川社長に、今回の決算の内容をどういうふうに評価しているのか、お伺いをしたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、最終利益を民営化前の承継計画と比較をいたしますと、十九年度は、この承継計画の二千百五十億円を上回りましていい数字になっておるわけでございますが、事業計画と比較をいたしますと、事業計画が二千七百九十五億円ということでございますので、ほぼ同水準でございます。

 これは民営化から半年の成果ではありますが、なれないシステムや業務フローに起因する民営化当初の業務ふくそうが営業成績に及ぼした影響でありますとか、あるいは株式相場の大幅下落や急激な円高の進行などによる影響、これはかんぽ生命がかなり受けたわけでございますが、これなどを考慮しますと、まあまあ、まずまずの結果ではなかったかというのが私の実感でございます。決して、胸の張れる数字ではございません。

 この中から、さまざまな課題が見えてまいりました。新しい年度、二十年度は、経常利益一兆円、そして当期純利益四千四百億円というグループ全体の目標を掲げておるわけでございますが、これに向けまして、今見えている諸課題にきちんと取り組み、これを解決しながら、この目標達成に向けてグループ一体となって全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。

谷口(和)委員 今、今期、二〇〇八年度についての見通し、予想の数字もありました。そこで、その見通し、今期の予想についてお伺いしたいんです。

 今お話ありましたように、連結ベースで、経常で一兆円、それから当期純利益で四千四百億円。今回発表になった半期分、これは下半期で、これを二倍して単純に比較すればという話ではないかと思いますけれども、ちなみに、今回の下半期が、経常が四千三百八十七億円、それに対して一兆円を見通している、それから、純利益の方は二千七百七十二億円に対して四千四百億円の見通しとなっているということですけれども、この予想を、どういう前提で、また理由で見通しを立てていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 各社の見通しは、それぞれの営業収益の動向でありますとか、あるいは人・物件費の計画を勘案いたしまして、さらに、ゆうちょ、かんぽでは資金運用の見通しなどを踏まえて算出したものでございます。

 各社それぞれの見通しにつきましては、郵便事業会社におきましては、郵便物数の減少が続くが、ゆうパック等の増加を見込みますとともに、効率的な事業運営によるコストを抑制するということ。それから、局会社につきましては、三事業会社からの受託手数料を確保するとともに、新規事業の拡大を進めていくということ。それから、ゆうちょ銀行につきましては、貯金残高減少が残念ながらやはり続いてくると見ておりますが、手数料収入を拡大いたしまして運用収益も同時に確保してまいりたい、運用の多様化ということも進めておりますので、その効果も勘案をいたしております。また、かんぽ生命におきましては、保有契約件数の減少が続きますが、新規契約の獲得に向けた営業強化を図っていくということで計画をいたしておるものでございます。

谷口(和)委員 グループ全体としては、今社長がおっしゃられたように、まあまあの成果を上げられたということなんですけれども、一方、ちょっと個別に見ますと、郵便局会社の純利益は四十六億円ということで、これは承継計画をかなり下回っているということになっております。この原因について簡単にお伺いをしておきたいと思います。

川参考人 郵便局会社の川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ただいまの谷口先生の御質問でございますが、十九年度下期につきましては、既に御提示させていただきましたように、経常利益については、承継計画の二百五十億に対して百八十五億と、達成比率が七割強の状況になっております。これは、十月一日からの、この新しい会社発足時の業務のいろいろなふなれの問題、あるいは、それによって営業活動にもっと時間を割けなかったという事柄に加えて、株価の下落等によって、例えば投信が非常に落ち込んでしまった、こういう状況でありますが、私は、職員のもろもろの努力によって、見通しとの差を六十億程度にとどめることができたというふうに考えております。

 また、承継計画の損益見通しにおいて百五十億を見込んでおりました税引き後の当期純利益が四十六億にとどまった理由は、今申し上げましたような与件に加えて、税務調整の結果によるものだということでございます。

 以上でございます。

谷口(和)委員 今期、二〇〇八年度の予想なんですけれども、特に純利益、この下半期は予想をかなり下回ったわけですけれども、今期については純利益三百十億円と、かなり大幅なアップを見込んでおられます。その理由についてお伺いしたいと思います。

川参考人 お答えをいたします。

 二十年度の計画につきましては、十九年度の実績及び三事業の経営戦略のほか、特に営業推進が、先ほど申し上げましたような前年度の十月、十一月、十二月の状況と比べて、年明け以降、営業活動に注力ができ、業績が回復しつつある状況、こういうことも踏まえて設定をさせていただいております。

 今年度、二十年度におきましては、郵便局がさらに一層積極的に営業活動に取り組むために、郵便局における日常業務の大幅な見直しにより、過度な業務負担というものを今削減しております。また、営業推進に関しても、地域、地区の郵便局グループの役割というものをもっと強化して、現場力が最大限発揮できるように、郵便局の活力向上施策を展開しておるところでございます。これによって郵便局社員のモチベーションも上がってきておりますし、営業面での手ごたえを感じております。

 また、三月に大変好評でございました郵便局フェアを、六月の来週十六日から、夏のフェアとして、三事業のトータルの連携として強めていく計画もございます。

 こういったことによって、本年度は、この数値達成を期待してまいりたいところでございます。

谷口(和)委員 郵便局会社の経営の安定というのは、やはり民営化の成否を担っているのではないかというふうに私は思います。やはり、郵便局に対する国民の期待も大きい。ですので、ネットワークの維持という責務も担っておりますし、ぜひ、経営安定に向けて全力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 ただ、ちょっと心配なのは、郵便局会社の収益が、かなり大きな部分で手数料収入に依存をしているという構造になっているというふうに思います。この手数料収入というのはできるだけ維持をされていかなければいけないというふうに思っているわけでありますけれども、そこで西川社長にお伺いしたいんですが、今後、コスト削減という努力の中で、郵便局会社への手数料が恣意的に引き下げられて郵便局会社の経営が圧迫をされてしまうのではないかという懸念もあるわけでありますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

西川参考人 先生御指摘のとおり、郵便局会社は、三事業のお客様との共通の接点ということでございまして、我々グループの中ではかなめの会社であるというふうに私は考えております。したがいまして、グループの方針として手数料を恣意的に削減するというような考え方は全くございません。また、手数料につきましては、公平公正な価格条件での取引が法令によっても求められているものでありますので、当然のことながら、そういう考え方で臨んでおります。

 なお、平成二十年度につきましては、郵便局がさらに一層積極的に営業に取り組めるようにするために、二月末に郵便局活力向上宣言というものを郵便局会社から出しておりまして、業務の大幅な見直しによりまして過度な業務負担の削減を図るとともに、営業推進に関しましても、地域の郵便局グループの役割を強化いたしまして、現場力が最大限に発揮されるよう取り組んでいるところでございます。

 幸い、十九年度を振り返りましても、十―十二月よりも一―三月が、かなり営業推進が上向いてきておりますし、また、今期に入りましてからも、例えば、貯金の残高が純増に転じておるという郵便局が、四月末では三千八百局程度に達しております。これはもう前年とはまるっきり違うものでございまして、前年は五、六百局だったと思いますが、相当改善をしてきておるということもございまして、期待をいたしておるところでございます。

谷口(和)委員 ぜひ、引き続き経営安定へ向けての努力をお願いしたいと思います。

 それで、今後も、郵便局会社の方の経営の安定のためには、新規事業に取り組んでいくということが大事であるわけであります。ローソンとの提携など新規事業を計画しておられるようでありますけれども、どの程度計画が進んでいるのか。

 また、ちょっと二つに分けて質問を出しておりましたけれども、一緒にさせていただいて、その新規事業がいつごろから収益に貢献していくのか、川会長にお伺いしたいと思います。

川参考人 お答えをいたします。

 私ども郵便局会社は、三事業の受託、これが中心でございますが、それと同時に、ただいま先生から御指摘いただきましたように、郵便局ネットワークを活用し、地域のお客様の利便性をさらに向上する、一方で、私どもの経営基盤というものをさらに安定化させるということで、新規事業についても積極的に取り組んでまいっておるところでございます。既に、民営化以降、自動車保険の取り扱いであるとか、あるいはカタログ販売の直営化等々を進めてまいりましたが、また、新年度になってからも変額年金の新たな取り扱い等を進めておるところでございます。

 そして、今先生御指摘いただいたローソンさんとの提携の問題でございますが、現状、プロジェクトという形で進めておりますが、その具体的な検討内容の一つが、郵便局においてローソンの商品あるいはサービスを提供する新しいモデルというものを計画しております。二つ目は、簡易局、一時閉鎖で大変お客様に御迷惑をかけておりますが、これらを、ローソンのネットワークを活用して対応できないのかということが二つ目。三つ目は、双方が保有する不動産、これを活用して、店舗の出店あるいは併設店舗、こういったことを三つ目の項目として検討を進めております。

 最後に、双方の商品、サービスの提供、委託あるいは共同開発というふうに、幅広く、全国のお客様の利便性向上あるいは郵便局ネットワークの維持、増強につながる、そういった施策というものを現在進めているところでございます。

 なるべく早急にこれらの具体的な成果というものを上げるべく、現在取り組んでいるところでございます。

谷口(和)委員 それがいつごろから収益に貢献されるのか。

川参考人 これは計画段階でございますので、まだまだ、実際やってみて修正であるとかありますが、現在のところ、平成二十年度に入って、新規としての、先ほど申し上げました変額年金保険、あるいは新たに郵便局の局舎を活用した広告業務、さらには、この後、法人向けの生保商品であるとか第三分野のがん保険の取り扱い、これらをことしスタートさせる予定でございますが、それらの業務を通じて、今年度の事業計画では新規事業の収益として二百七十四億円を見込ませていただいております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

谷口(和)委員 ぜひ、新規事業についても、利用者にとってもこの事業が始まってよかったなというふうに思っていただけるように、また、それと同時に、郵便局会社にとっても有益な、そういう取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 新規事業については、昨年、ゆうちょ銀それからかんぽ生命の運用対象の自由化が認められたわけでありますけれども、世界的にサブプライムローンの問題でかなり金融機関は大きな影響を受けております。ゆうちょ銀それからかんぽ生命が、これから運用対象の自由化ということで、リスクの高い、ハイリスクの商品に対して、その辺の運用をできる体制が整っているのかどうか、それぞれ、古川会長、進藤会長にお伺いしたいと思います。

古川参考人 お答えをいたします。

 私どもゆうちょ銀行は、国債による運用を中心に、金利リスクを適切にコントロールしながら安定的な収益の確保に努めております。また、運用対象を拡大することによりまして、徐々に、リスクの分散、収益源の多様化を図ることといたしております。

 なお、御指摘のありましたリスクの高い金融商品にはさまざまなものがございますけれども、御懸念のようなサブプライム問題による直接的な影響はございません。

 また、運用の体制につきましては、研修による人材の育成、民間の金融機関での経験を有する人材の採用などを通じて、その充実を図っているところでございます。

 また、リスク管理体制につきましては、フロント部門から独立したリスク管理を行う部門を設置すること、定性的な管理とあわせ、リスク量を計量化した定量的な管理を実施すること、さらに、新規業務の導入に当たりましては、関連する部署によるリスク等審査を行うプロセスの導入をするなどにより、民間金融機関並みの体制を整備しているところでございます。

 今後とも、金融市場の動向に適切に対応できますよう、運用体制の充実やリスク管理体制の高度化に努めてまいる所存でございます。

 お答え申し上げました。

進藤参考人 お答えいたします。

 かんぽ生命は、民営化前の運用対象を基本としておりまして、安全資産を中心とした運用を行っておりますので、サブプライムローン関連商品については保有しておりません。

 一方、生命保険の特徴でありますように、長期固定の負債という特徴がございますので、かんぽ生命におきましても、他の生命保険会社と同様に、今後は、それだけではなく、運用手法の多様化を図って、リスク分散、収益の向上を図ってまいりたいというふうに思っております。

 平成十九年十月に、金融庁長官及び総務大臣に、新規の運用対象について認可申請を行いまして、十二月に認可をいただいたところであります。この新規の運用対象に係る運用体制につきましては、研修による人材育成、民間金融機関での経験を有する人材の採用等に努めるなどして、その充実を今後図ってまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 それで、今後の運用の方針、具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか。ちょっとお答えづらい質問ではあるかと思いますけれども、今後の運用方針についてお伺いしたいと思います。

 それぞれよろしくお願いします。

古川参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行の資金運用につきましては、預金者に対して貯金の元利金の支払いを確実に行うために、事業の健全経営を確保していくことを基本に実施してまいる所存でございます。

 具体的には、国債による運用を中心に、金利リスクを適切にコントロールしながら安定的な収益の確保に努めるとともに、運用対象を拡大することにより、徐々に、リスクの分散、収益源の多様化を図ることといたしております。運用対象の拡大に当たりましては、従来の運用対象と業務執行能力の点で親和性のあるものから徐々に拡大することにいたしております。

 いずれにせよ、ゆうちょ銀行の資金の運用に当たっては、市場と良好な対話を行うことによりまして、市場にサプライズを与えないよう十分に配慮してまいりたいと存じております。

 お答え申し上げました。

進藤参考人 かんぽ生命の資産運用につきましては、御加入者に対しまして保険金等の支払いを確実に行う必要がございますので、事業の健全経営を確保していくことを基本に実施していくつもりでございます。

 生命保険の資産運用に当たりましては、先ほども申し上げましたが、長期固定である負債の特性を踏まえまして、金利変動リスクを適切にコントロールして、長期安定的な収益を確保していくことが必要であるというふうに考えております。このため、将来発生するでありましょう負債のキャッシュフローに、負債と親和性の高い国債等の円金利資産のキャッシュフローをマッチングさせる運用を基本としてやってまいりたいと思いますが、さらに、運用手段の多様化を通じまして、リスクの分散、収益源の多様化を図ることとしております。例えば参加型のシンジケートローンとか、そういったものを今後考えていきたいなというふうに思っております。

谷口(和)委員 ゆうちょ銀それからかんぽ生命の資産というのは国民の財産でもあるわけでありますので、ぜひ、国民の財産が毀損されることのないようにお願いをしたいと思います。

 時間があと少しになりましたので、ちょっと質問を飛ばさせていただいて、国際ボランティア貯金についてお伺いしたいと思います。

 私、昨年の十月に、この委員会で、たしかこの部屋だったと思いますけれども、国際ボランティア貯金について質問させていただきました。このボランティア貯金、非常に好評であったわけでありますけれども廃止をされてしまったということで、新たな枠組みでぜひ同じようなものをやっていただけないかということをお願いしました。そのときに、西川社長から、国際ボランティア貯金にかわる企業の社会貢献活動の一環として新たな枠組みを検討していきたい、こういう御答弁をいただいたわけであります。

 この新たな枠組みでの取り組みを早急にやっていただきたいと思うんですが、現在の検討状況についてお伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 ボランティア貯金につきましては、今検討をいたしておりますのは、JICAを窓口といたしました献金をやっていく、こういうモデルを考えておるわけでございますが、ただいまのところ、システム等の準備にもう少し時間を要しまして、ことしの十月ごろから開始ができる見通しでございます。

 去年の十月からいたしますと一年もかかっているということでございまして、まことに申しわけないことでございますが、システムの問題でございますとか、あるいは相手さんとの交渉でございますとかに少し時間を要しまして、申しわけございませんでした。

谷口(和)委員 ありがとうございます。本当にこれは期待の大きいものでありましたので、ことしの十月からということでありますけれども、取り組んでいただいたことに本当に感謝を申し上げます。

 最後に、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 民営化して八カ月、先ほどからの質問でも、何かさまざまな問題が起こっていることも発言もありました。まずは、基本的には会社側がきちんと進めてもらうということが本来のあり方でありますけれども、政府としても、見直しの必要性の有無についてきちんと検証してもらわなければいけないというふうに思っております。

 三年ごとの見直しの期限が来年の三月までというふうになっておるんですけれども、どのようなスタンスで臨んでいかれるのか、最後にお伺いをしたいと思います。

増田国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、現場で今どういう状況が起きているのか、そういったことを十分踏まえた上での見直しということでなければいけないというふうに思っています。

 見直し自体は、まず、先生御承知のとおり、中立それから専門的な立場から審議を行うということで、民間の有識者の郵政民営化委員会、ここが見直しの検討を行うということになっているわけでございますので、そこで審議をしていただくということになるわけでございますが、その際には、そもそも民営化というのは、国民の利便の向上それから経済の活性化、こういうことで民営化が行われたわけでございますので、この郵政民営化の目的に照らした見直しというものがまずそこの委員会で行われるということを私ども期待しております。

 それを受けまして、政府として、この郵政民営化委員会の見直しの内容を踏まえて適切に対応していきたい、こういうふうに考えております。

谷口(和)委員 公明党としましても、郵政民営化のフォローアップ委員会というのを立ち上げまして、今、その進捗状況をしっかりとフォローアップしていくというふうに考えております。

 とにかく、国民の皆さんに民営化をしてよかったと思っていただけるように全力を尽くしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

馳委員長代理 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。おはようございます。

 まず、私からも、日曜日に起きました秋葉原での非常に許されざる事件に関しまして、犠牲になられた方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方にお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 いつまでたってもああいう事件が本当になくならなくて、やるせない気持ちでいっぱいでございますが、今回の犯人の特徴、いろいろなことをメールで掲示板に上げていたということがございました。そういう中で、職場における仕事のストレスとか、そんなようなこともいろいろ記述があったことが特徴的だったかなと思います。

 自分の生活や仕事でつらいことやストレスがあろうが、ああいう犯行が許されることは決してないわけでございますが、しかし、格差社会あるいは非正規雇用の拡大の中で、非常に社会全体が不安定化をしているなということは、改めて私も印象強く思いました。後ほど少しその点にも触れさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、郵政公社時代の最終日付での決算数値、先ほどるる御説明がございました。聞いていて、当たり前かもしれませんが数字の話ばかりでございまして、それに関しまして、郵政の方からちょうだいいたしました資料で、上場に向けて順調なスタートを切った、そういう評価がございました。

 この点に関しまして、まず西川社長から全体を総括した御答弁をいただきたいと思いますが、何をもって順調なスタートというふうに言えるのかということに関して、まず御答弁いただきたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申しましたように、確かに二千七百七十二億という当期純利益を十九年度、半年間で上げることができた、そしてこれは実施計画等に比べて数字的に遜色のないものであるということでございますけれども、やはりいろいろな課題があるわけでございまして、その中から見えてくるそれぞれの課題について、さらに一つ一つ真剣、真摯に取り組んで、成果を上げていかなければならないという認識でございまして、私は、順調だ順調だといって手放しで喜んでおるというわけには決してまいらない、厳しいものであるという認識でございます。

 上場に際しましては、やはり上場審査を当然クリアしていかなきゃならないわけでございますけれども、まだ半年の業績ということでありまして、これをもって判断するわけにはまいらないと思います。やはり、今年度、来年度、年間を通しての業績、その他、コンプライアンスの状況等々について、きちんとした成果を上げていく必要があるものというふうに考えております。

田嶋(要)委員 私も、地元で郵便局関係の方とお話しすることは少なくございません。千葉市は政令市でございますので、もっともっと地方の方に行って、状況の厳しいところはもっといっぱいあると思うんですが、私のところで話を聞いていても、やはり相当、組織としての状況の混乱とストレスの高まりというものを私も感じておる一人でございます。

 そういう中で、今、楽観できる、順調だというような状況には認識がないということでございますが、今回いただいた資料にはちゃんと「順調なスタート」というふうにはっきりと書いておられまして、私は、ちょっと普通じゃない楽観性というか、言葉は悪いかもしれませんが、ちょっとのうてんきなような印象を持つわけでございます。

 まさに今、正念場ですよ。これは、歴史上大きな転換を成功させようとするかどうか、そういう正念場のときにこういうような自己評価を最初から出してくるということは、私にとっては大変残念であります。数字だけを見て、計画よりも数字がよかったということでございますが、こういった状況の中で重要なのは、やはり、いわゆるステークホルダー、具体的にはお客様、地域の方々、そして中で働いている方々のそういう声をどのぐらい真剣に受けとめて、そういう方々から得られる現場の状況、そういったものに配慮しているか、目配りをしているか、そのことを私は自己評価として聞きたかったというふうに思うわけでございます。

 その点に関しまして、どうでしょう、現場の声、お客様、そして働く者。先ほどのこういった事件なんかの話でも職場のストレスということが出ておりましたけれども、皆様のような大変大きな組織でございます、そういう大転換の中でのストレスは本当に並々ならぬものがあると私は想像するわけでございます。

 西川社長、順調だというふうに評価を、最後まで、この言葉まで社長が見られて、これでいいとされたかどうか知りませんけれども、経営陣がそのように思っているわけでございますから、地域の方や職場の皆さんの声をしっかり受けとめる、そういう調査あるいはヒアリング、そういうことをしっかりと行っているんでしょうか。その点、しっかりとやっていかなきゃいけないと思いますけれども、改めてもう一度お願いします。

西川参考人 そのペーパーに順調という言葉があったということは私も余り強い認識がございませんで、まことに申しわけございません。私は非常に厳しい認識をいたしておるわけでございます。

 確かに、社員にとりましては、新しいシステムでありますとかあるいは業務フローに習熟する時間が十分ない中で、移行当初、業務ふくそうを生じまして、営業時間を確保できないということもございますし、相当なストレスがあったというふうに認識をいたしております。

 私自身、機会をとらえて各郵便局を訪問したり、あるいは局長に集まってもらって意見交換会をしたりということを機会あるたびにやっておりますが、その中から生の声をいろいろ聞いております。お客様の反応も、その中からお聞きをいたしております。

 それらを総合いたしますと、やはり我々には大変大きな課題があるという認識でございます。一々詳しくは申し上げませんが、これを真摯に受けとめて、グループの力を結集して真正面から取り組んでいくということが必要なことである、一番重要なことであるというふうに考えております。

 二月末に郵便局活力向上宣言というものを出させていただいたわけでございますが、これもそういう趣旨で、新年度に入るまでに急いで出して、そしてきちんと線表もつくってスケジュールを明確にした上で、そこに宣言したものを早期に実現していこうということで取り組んでおるわけでございます。

 以上です。

田嶋(要)委員 一部のところの話かもしれませんけれども、郵便の誤配がふえているというような心配、あるいは、それにかかわる苦情が大変電話等でふえているというような報告もございます。全地域ということではないにしても、やはりこういうときだからこそ、行け行けどんどんという営業スタイルではなくて、お客様や地域の方々、あるいは社員の声をしっかり聞く、そういう経営をぜひ心がけていただきたいというふうに私は思います。

 それで、金融の方の話を少しさせていただきます。

 この間のいろいろな動きを見ておりますと、矢継ぎ早にさまざまな提携を行ってきている、特に金融の方でございますが、そういう印象を受けるわけです。それに関しまして、これは古川会長で結構でございますけれども、その提携の中を見ますと、これは偽らざる印象として、住友グループとの提携、そして外資との提携というのが非常に目立つわけでございまして、これは一部そういうような指摘も確かに出ているものだと思います。

 私どもも、あるいは私も、この場におきまして、特に外資に関しましては、いわゆる年次改革要望書にも毎回出ていた、そして現在も、アメリカのUSTRが引き続きこの郵政の民営化、特に金融に関して並々ならぬ関心を持ってモニターしていきたいということを発信しておるわけで、そういう中におきまして、客観的に見て非常に目立つわけでございます。

 その点、いわゆる金融で言われるところのアームズ・レングスの関係をしっかり保った契約、提携相手の選択、パートナーシップ、そういうことが守られているのかということに関して、対外的に不信感を抱かれないような判断をしていかなきゃいけない、私はそう思っておりますけれども、その点に関して、会長、これまでどういうふうな意思決定手続を踏まれてきたか、その点に関して御答弁いただきたいと思います。

古川参考人 お答えをいたします。

 今先生御指摘の点でございますが、住友系といわず、特定の企業やグループを優遇しているということは、これはございません。はっきり申し上げられます。

 業務提携は、日本郵政グループのブランドでありますとか顧客基盤、あるいはネットワーク、ノウハウ等を最大限に活用し、競争力のある商品、サービスをお客様へ提供することを目的として行っているものでございまして、そうした認識のもとで、業務提携先の選定に当たりましては、系列のいかんを問わず、今適切に評価をしているつもりでございます。

 なお、外資との件でございますけれども、先生御指摘でございましたけれども、ただ、新聞等に報道されているような事実はまだございませんで、まだまだあくまでも検討の段階でございます。

 以上、お答え申し上げました。

田嶋(要)委員 くれぐれも、李下に冠を正さずという姿勢でその点もお願いをしたいというふうに考えております。

 もう一点、金融に関して、これも最近までいろいろ新聞でも書かれております預金限度額、預け入れ限度額の点に関しましてお伺いをしたいと思います。

 これは、法律事項ということではございませんで、政令改正の要望書を提出されたというふうにお伺いをしておりますが、なぜこういう時期にそういった要望を出されたのかという点、御答弁いただきたいと思います。

古川参考人 お答え申し上げます。

 流動性預金、私どもは通常貯金と申しておりますが、通常貯金等は、お客様の生活口座として、その残高が日々あるいは月々増減を繰り返す特性がありますことから、給与でありますとか年金の振り込みなど、お客様の管理の外で一時的な限度額超過が発生をすることがございます。したがって、払い戻しにより口座残高の調整を行うなど、お客様に煩雑な管理をお願いする、そんなような性格の貯金でございます。

 お客様に対しましてより充実したサービスを提供するためには流動性預金の限度額を撤廃することが不可欠であり、先般、四月一日に、政府に対しまして政令改正の要望をいたしたところでございます。

 なお、残高につきましては、流動性預金は、定額・定期預金等に比べて低利でございますことから、日々の生活に必要となる以上の金額が預入されることは少なく、限度額を撤廃しても、急激な残高増は想定しにくいと考えております。

 また、最近、貯金残高が年間十兆円規模で減少しておることを考えますと、流動性預金の限度額の撤廃によって貯金残高が拡大をするということはにわかには想定しがたいというふうに私は考えております。

田嶋(要)委員 金融の御専門の方ですから、ポートフォリオということも十分御理解いただいていると思いますけれども、今のお話は、特定の口座に着目をすれば、もちろん一時的な口座の残額の増加ということになろうかと思いますが、これを解禁して今の一千万円の上限を撤廃すれば、全体で、マクロで見たときの資金額というのは当然ふえるというふうに私は思いますが、そういうことはないというふうに断言できるんでしょうか、会長。

古川参考人 お答え申し上げます。

 通常貯金は、先ほどもお答え申し上げましたとおり、日々の生活の資というのに費やされるというふうに考えておりますので、その残高が急激に大きくなるということは過去にもございませんし、あるいは、限度額を超えていらっしゃらないお客様でもそんなに大きくなることはございませんもので、そういう貯金の性格からして、限度額を撤廃いたしましても、急激にトータルがふえるというふうには私どもは考えておりません。

田嶋(要)委員 それは、やはり私はそのようには思いません。何も地銀の立場を擁護する気持ちは全くございませんけれども、客観的に見て、これはやはり、一たんそういうことを始めたら、肥大化、そして民業の圧迫、今もう既に民業だということでおっしゃるかもしれませんが、肥大化のおそれというのは大変強くなるというふうに私は思っております。

 この点、質問通告はしていませんが、大臣、政令改正ということの要望書を出された側として、この問題に関して、今後、どのように考えていかれるか、対応していかれるかということに関して、一点御答弁を賜りたいと思いますが、お願いいたします。

増田国務大臣 この関係は、民営化委員会の方の意見を聞くということになっておりますので、そちらの方の対応を踏まえた上で判断したいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 ぜひ慎重にお願いをしたいというふうに思います。

 いろいろな組織が過去民営化をされてきましたが、しかし、この郵政、特に金融の分野に関して、やはり特記すべき点というのは、民営化される以前に既に民間に同業の民間企業がたくさんある世界だという一点だと私は思います。したがって、今、メガバンクの何倍にもなるような、資金量の巨大な郵政が民営化をされて、そして、その上限の撤廃という非常に本質的なところが法律事項ではなくして政令改正ということで提案をされた。私は、極めて時期尚早である、先ほどの行け行けどんどんのような経営姿勢の一環に印象を受ける一人でございまして、私は、ぜひこの点に関しては大臣の方に慎重に御検討いただきたいというふうに考えております。

 少し時間が押しておりますので。

 先ほど与党の方からもボランティア貯金の点がございました。これは、私も昨年十月に質問をさせていただきました。西川社長は当時、至急検討するということで、待てど暮らせど、その後一切何の報告もなかったわけでございますけれども、先週金曜日の時点では年度内に結論を出すということをおっしゃっていただきまして、それから急にいろいろ議論があったんでしょうか、きのうになりまして先ほどのような御答弁、すなわちJICAと十月から再開をすると。三日間でえらく進んだものだなというふうに私は印象を受けるわけです。

 しかし、これは前も言いました、当時の小泉総理も、それから麻生大臣あるいは竹中大臣、当然継承されてしかるべき、非常に評価の高いすぐれた、国民の善意の気持ちを実現していくというものでございます。特に、昨今の中国やミャンマーのああいう大災害を見ても、ああ、こういうときに国民が手を差し伸べる国際ボランティア貯金があったらなと思ったのは私一人じゃないと思うんですね。

 先ほど具体的な御答弁はいただいたので、十月からスタートということで、これは、では具体的にいつの金利から実際には寄附金に回るというふうに理解していいんですか。どういうふうなことになっておりますか。御答弁いただけますか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 通常貯金を対象にしておりますので、通常貯金の金利はたしか年二回発生します、そのときに一定割合を寄附していくという枠組みになっております。(田嶋(要)委員「いつですか」と呼ぶ)済みません、三月と九月だと思います。

田嶋(要)委員 来年の三月ということになると思うんですが、いずれにしても、失われたインフラ、資産は大変残念だということは、気持ちとしては変わりません。

 それと、私たちが再三にわたって、与野党ともにこういったことを衆議院でも参議院でもお願い申し上げ、御指摘申し上げたにもかかわらず、非常に進展が遅い。私は、西川会長が至急やるとおっしゃったにもかかわらず、今日まで相当長い間、私の印象としては放置されてきた状況というのは非常に残念だということを一言申し上げたいと思います。

 そういうことでも、しかし、十月からということで、再開のめどは立ちそうだということでございますので、ぜひこのすぐれた寄附のインフラを再開していただきたいということで、JICAとしっかり話し合って、実現に向けて努力をしていただきたいというふうに考えております。

 残りの時間でございますが、コンプライアンスに関しては少し時間がとれませんので、郵政と離れて質問をさせていただきたいと思います。

 前回、大臣、電波料の問題ですね、電波料がいろいろな目的で使われていた。これも、私ども民主党の寺田議員の方が情報請求をして明らかになった。その点、私もあのときちょっとうっかりして質問することができなかったわけでございますが、大臣、あのとき、五月の上旬に自分が初めて知ったということで、つい最近だという角度からそういう御答弁をされたと思いますが、あのとき私が質問したのは五月の二十日でございます。

 そこでお伺いしたいんですが、五月の上旬に知ってから私が質問した五月二十日まで、あるいはその前の参議院で加賀谷さんが指摘をしたそれ以前に、いわゆるマスコミに対して記者会見という形で、こういう悪い状況が起きていたということをみずから発表するということはなぜ考えなかったのでしょうか、大臣。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

増田国務大臣 地方にある総合通信局も含めてその電波料の使途を全部把握するということで、レクリエーション等で使ったものがあると言ったのは五月上旬と言いましたけれども、正確には、私のところにまずその第一報が来たのは四月三十日でございました。

 四月三十日に私にその点の報告があって、詳細をすぐ調べろということを事務方に指示して、その間連休が入っておりましたので、連休明けに具体的な支出の内容についてさらに詳細に把握するように言いました。それで、そういったことをやっている間に、御党の寺田議員に対して資料を提出するということでございましたので、それはそれでぜひ早く提出をしなさい、こういう指示をいたしまして、さらに事務方に詳細な内容についての報告を求めていた、こういうことでございます。

 お示しをした資料等からもおわかりのとおり、大変膨大なものを確認するということでございますので時間がかかっているところでございまして、私の方では、いずれにしてもこういったものは情報開示をきちんとしなければいけないと。今までそういう考えがなかったので資料も全く整理をされていなかったということなのでいろいろと、寺田議員に出した資料も原資料そのままでお出ししたような形になったわけでございますが、私は、こうした内容についてはやはり積極的に公表して、そして緊張感を持ってこうしたものの使途を我々みずからがただしていくということが必要じゃないか、こういうふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 事務方からも説明を受けたんですが、要するに自分の役所の地方支分部局でいろいろ起きていたことだということなんですが、信じられないのは、十五年間もずっとこの電波利用料、今日は七百億ぐらいの金があるということで、さまざまな懸念、不安、心配がいろいろと指摘されていたにもかかわらず、その総元締めの本社、霞が関で一度もそういうのをつぶさに検証したことがないということ自体、あきれて物が言えない、私はそう思うわけでございます。

 大臣、社会保険庁、道路特定財源、この総務省の電波利用料、そしてまた最近出てきましたタクシー接待、これは特定の公務員の特定の行為であればいろいろな形での処分もできるわけでございますが、社会保険庁に至っては一切のそういった処分もまだだれもされていないとか、国民から見ればこれは理解不可能ですよ。ですから、ぜひ徹底究明ということと、やはりこの電波利用料に関しても、それは道路特定財源より小さな規模かもしれません、しかし、電波利用料に関しても、歴代のしかるべきポストにいた方がなぜそういうことをチェックしていないのか、本当にこれは理解できない。

 大臣、これは残念なことですが、一部の正しくそういうことができない方だけの問題じゃなくて、ビールの問題なんかをとっても、これはもう文化としてそういうものが蔓延しているという前提に立って、性悪説に立つのは大変残念なことでございますけれども、ぜひしっかりとした取り組みと処分の検討を私はお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 先生の御指摘、ごもっともでございまして、やはり、今までこうしたものの調査が全く行われていなかった、したがって今回、実際には初めてということでありますが、これだけ時間がかかっているということもございます。そういうことをきちんと明らかにする文化が根づいていれば、毎年毎年、資料もきちんと整理されて、明らかにされていたと思います。

 今の電波利用料、それから今回のタクシーの問題もそうでございますが、まず実態を明らかにするということ、また、いずれの問題につきましても再調査を指示してあります。電波利用料の使途についてもっときちんと調査するように、それからあとはタクシーの関係についてもきちんと調査するように再調査を指示してございますので、まずそういった実態を正確に把握すること、その上で、そうした関係する者がいた場合にどうするかはきちんと検討したいというふうに思っています。

田嶋(要)委員 いろいろなところで、法律には触れないけれども世間の理解はできないとか、そういう答弁は理解不可能だと私は思うんですね。そもそもそういう法律がおかしいというふうに思います。やはり、すべての行動の判断基準は世間の常識です。国民から理解できるかどうか、その一点に自分の行動を照らしながら、ぜひ襟を正していただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。

渡辺委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、郵政決算を中心とした一般質疑ということでございますけれども、同じ金融問題で、緊急性の高い足利銀行の受け皿問題について質問をさせていただきます。

 しかしながら、郵政に関して一言だけ申し上げておきますと、先ほど自民党の萩原君、公明党の谷口君からも提案がありましたけれども、やはり早急に総務委員会として郵政見直しのための検討委員会を立ち上げて、一日も早く検討に着手されることを私からも要望させていただきたいと思っております。

 それでは本題に入りますので、ぜひ、山本副大臣ほか政府参考人におかれましては、時間が二十五分しかありませんので、簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思っています。

 初めに、足利銀行に対して預金保険機構の一般勘定で金銭贈与できる最大金額についてお伺いをいたします。幾らなのか、金額のみ教えていただければ結構です。よろしくお願いいたします。

山本副大臣 金銭贈与につきましては、二千六百三億円の見込みでございます。(福田(昭)委員「違う違う、最大金額と言っているんだから。それは今回のもの」と呼ぶ)最大金額は、六千二百六億円がペイオフコストになっています。

福田(昭)委員 ありがとうございます。最大金額が六千二百六億円ということでございます。

 そうしますと、例えばでありますが、今回選定に漏れた、地銀連合と言われておりますけれども、どこだかわかりませんが、そちらの方が野村グループよりも買収金額が百億円少ないんですけれども、これも実は公的負担、税金負担がなくて済むということですね。イエスかノーかでお答えください。

山本副大臣 公的負担はございません。

福田(昭)委員 それでは、今、選に漏れた地銀グループも公的負担、税金負担はないということを確認させていただきました。

 それでは、次に二つ目ですけれども、受け皿選定の基本的な視点、三原則についてでありますが、金融機関としての持続可能性、地域における金融仲介機能の発揮、公的負担の極小化、この三点に間違いがないかどうか、イエスかノーかでお答えください。

山本副大臣 この三点でございます。

福田(昭)委員 それでは、次に三点目でありますが、受け皿として野村フィナンシャル・パートナーズグループを選定した理由についてお伺いをいたします。

 国民負担の極小化を重視し、職員雇用も含め総合判断したということでございますけれども、なぜ、最終選考で漏れたグループが示した譲り受け額や経営計画を公表しないのか。漏れたと言われる地銀グループの場合でも、国民負担、つまり税負担はしなくても済むわけですね。そこがわかっては困るので発表しないんじゃないんですか。いかがですか。

山本副大臣 先ほどの三原則をもとに選びました。総合判断で野村グループに決まったわけであります。

福田(昭)委員 総合判断で決まったということでございますけれども、えらく矛盾した総合判断で、これから順次質問をしていきたいと思います。

 それでは、次に四点目、受け皿となったネクスト・キャピタル・パートナーズの出資者についてでありますが、ここには、前回の質問で、オリックスが出資者として参加しているということでございます。

 これは政府参考人にお伺いをいたしますが、国立の足利銀行本店七階に、一民間企業にすぎないオリックス北関東リース、北関東リースは足銀の子会社でありましたが、この子会社をオリックスが買収して、オリックス北関東リースが一時的に、昨年の三月三十一日まで事務所を置いていたことを知っておりますか。いかがですか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話しいただきました事実関係につきまして、詳細は必ずしも承知しておりませんが、そのようなお話を伺ったことはございます。

福田(昭)委員 話を伺ったことはありますじゃないじゃないですか。しっかりそれは確認をしてください。ちゃんと私も、私のこの目で確認をしてきておりますから。いかがですか。ちゃんと今すぐにでも確認させてください。

河野政府参考人 ただいま確認いたしましたところでは、既にその会社は退去しておるというふうに承知しております。

福田(昭)委員 それは、我々が指摘をしたから、昨年の四月一日に退去したんですよ。

 そのほか、オリックスは、隣の廃業したプラザイン・くろかみという栃木県教職員共済組合の所有していた結婚式場兼ホテルですけれども、これも実は買収していたことを知っていましたか。

河野政府参考人 これにつきましては、全く承知しておりません。

福田(昭)委員 これも、聞くところによりますと、既にオリックスは売却をしているそうでありますが、我々が指摘したから、足銀の本店七階から退去をし、隣のビルも売却をしたということなんです。足銀が破綻処理された当初から、受け皿はオリックスだといううわさが広がっていたんでしょう。

 そして、オリックス北関東リースが足銀本店の七階、何で国立銀行の七階に一企業が事務所を置けるんですか。

河野政府参考人 まず、国有化されたとは申しましても、足利銀行は一銀行としまして、その事務所をどのように利用するかにつきましては、当然、経営判断の問題であろうかとは思いますが、ただ、今承知しております限りでは、そもそも、足利銀行の子会社をオリックスグループにおいて買収した関係で、一時的にその事務所がそういう位置関係になったということを聞いております。

福田(昭)委員 それはうそでしょう。

 では、それまでなぜ北関東リースは足銀の本店の中になかったんですか。いいですか、北関東リースそのものは、足銀本店とは違うところにちゃんと本社を構えていたんですよ。それが、オリックスが買収して、国立銀行になってから、本店の七階に事務所を移したんですよ。こんなことを見逃しているようではだめなんじゃないですか。この問題はここまでにしておきます。

 そして、次に五点目でありますが、野村フィナンシャル・パートナーズの社長の考え方についてお伺いをいたします。

 新聞報道によりますと、野村グループが受け皿と決まったその日の記者会見で、野村フィナンシャルグループは、銀行経営に参入するのではなく、あくまでも純粋な投資だということを述べておりますが、そうすると、受け皿選定の基本的な視点、三原則の第一番目、金融機関としての持続可能性に違反するのではないかと思いますけれども、いかがですか。

山本副大臣 純粋な投資ということを言われたかどうか詳しくは承知をしておりませんが、基本方針、基本的な考え方が出ておりまして、それを見ますと、現経営陣による経営を、経営方針とかビジネスモデルを大変高く評価しております。そして、足利銀行の目指すべき姿とこれまでの同行の経営の方向性は合致するというふうにしております。そして、現経営陣による経営を承継する、同行のさらなる成長及び経営基盤の拡大を支えていくことが株主として果たすべき役割である、このように基本的な考えとして述べております。

 事業計画の適切かつ確実な履行を通じまして、栃木県を中心とする地域において金融仲介機能を持続可能な形で発揮できるよう適切なガバナンスを発揮されるというふうに、我々としては期待をしておるところであります。

福田(昭)委員 それは当たり前じゃないですか。そうじゃなくちゃ受け皿銀行になれないじゃないですか。記者会見の席で最初に、投資が目的だ、これを言っていることが問題なんですよ。

 よろしいですか、副大臣、よく考えてみてください。野村フィナンシャルグループは投資会社です、投資会社ですよ。それから、ネクスト・キャピタル・パートナーズ、これは企業再生ファンドですよ、企業再生ファンド。ということは、足利銀行は池田頭取初め行員の皆さんの御努力で再生されたんじゃないんですか。再生された銀行をもう一度投資会社や再生ファンドに任せるんですか。おかしいじゃないですか。いかがですか。

山本副大臣 先ほども申し上げましたように、銀行の経営につきましては、今までの、今再生をされた足利銀行の姿勢を受け継ぐという形でやっておりますので、これはいい方向で進んでいくということだと考えております。投資ではあるかもわかりませんけれども、投機ではないというふうに考えております。

福田(昭)委員 それはないじゃないですか。株式の処分を五年後にやるのは、これは投機じゃなくて投資だからいい、こういう話ですか。だって、これは一度ちゃんと再生された銀行でしょう。もうこれで十分大丈夫だと国が認定をして、金融庁が認定をして、受け皿に任せるわけでしょう。そうしたら、その任せるところが投資会社と企業再生ファンドだというんじゃ、何だと。もう一回再生させる、こういう話じゃないですか。違うんですか。

山本副大臣 これはあくまでも銀行の経営でありますから、経営については現経営陣の姿勢をそのまま受け継ぎますし、経営陣も、頭取は勇退されるというお話でございますけれども、ほかの経営陣は現経営陣でそのままいくということでありますので、問題はないというふうに思っております。

福田(昭)委員 だって、企業投資会社は、投資をして、投資をしたものも売って利益を上げるのが目的じゃないんですか。

 ですから、そういうことからいうと、これはかつての長銀と同じ、リップルウッドと同じと違うんですか。お金は、それこそ、あのときには大変な多額の税金が必要でしたけれども、今回は幸い税金は必要ないようであります。しかし、形は全く同じじゃないですか。こうしたことは非常におかしなことだと思っております。

 それでは次の質問に入りますけれども、次に、野村グループが、足利ホールディングス株式会社に地銀、第二地銀などに出資を求めることについてお伺いをいたします。

 報道によりますと、この四月、全国の地銀や生損保、国内外の機関投資家に足利ホールディングスへの出資を打診したが、日経新聞の問い合わせに、東日本の地銀、第二地銀三十一行のうち、五月三十一日までに出資の意思表明をした銀行はゼロ、出資を否定または慎重な姿勢を示した銀行は十八行との報道がありますけれども、このことについてどう思われますか。

山本副大臣 今現在出資が決まっておるのは三グループでありまして、そのほかにつきましては、金融機関を初めいろいろとございますけれども、今交渉しておるというふうに伺っております。

福田(昭)委員 東日本関係ではあるんですか、ないんですか。

河野政府参考人 ただいま、この件につきましては、当該グループにおきまして打診中でございますので、私ども承知しておりませんし、また、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

福田(昭)委員 何も、あるかないかぐらい言ったっていいんじゃないですか。別に影響があるんですか、三グループの中に東日本の銀行があるかないかを言って何か影響があるんですか。全くないんじゃないですか。そうした姿勢はとんでもない話だと思います。

 私は、うがった見方をすれば、これは、地銀や第二地銀にも声をかけたが出資者はほとんどいなかった、最終的にオリックスへ落とすためのアリバイづくりではないか、これはうがった見方ですけれども、そうした見方もできるんですが、いかがですか。

河野政府参考人 まず、この出資者の問題につきましては、実際、私どもも報告をまだ受けておりませんので、何か決まったことを開示しないというような問題ではございません。そのことは御理解をちょうだいしたいと思います。

 なお、オリックスにつきましては、別途、ファンドへの議決権を有さない投資家として既に事業計画上名前が出ておりますので、そのこともあわせて申し上げたいと思います。

福田(昭)委員 オリックスが、ネクスト・キャピタル・パートナーズですか、こちらに出資しているということは、前回の質問でもお答えいただきましたので、承知をいたしております。

 次に、野村証券と渡辺金融大臣との特別な関係についてお伺いをいたします。

 二〇〇八年四月二十一日の決算行政監視委員会の第一分科会において、私の質問に対して大臣は、どこの土地改良区だか知らないけれどもということで、土地改良区の資金を野村証券で運用していたことをまるっきり逃げの答弁をいたしましたが、なぜ逃げたのでしょうか。

 渡辺大臣は、地元の那須疎水土地改良区と那須野ケ原土地改良区連合の理事長として、昨年の平成十九年の九月十日まで務めておりました。加えて、近所の蟇沼堰土地改良区の資産運用も含めて、少なくとも七億円以上の資産運用をしておりまして、その運用先は野村証券だということを、地元の人は皆さんよく知っているんですね。

 政府参考人はこうしたことを知っておりましたか。

河野政府参考人 本件につきましては、詳細な事実関係は私ども承知はしておりませんが、大臣の方からは、全くやましいことはないというふうに伺っております。

福田(昭)委員 大臣がやましいことはないと言ったというんですが、やましいことがないなら、前回の私の決算のときの質問でなぜ答えないんですか。事実ははっきりしているわけですけれども、なぜ答えなかったんですか。

河野政府参考人 これは、ただいま委員御指摘の議事録を拝見いたしますと、大臣はこの場で、野村証券と特別な関係はないですねとお尋ねをいただきましたことに対しまして、そういうことはないという趣旨のお答えを申し上げていると思いますので、そのとおりでございます。

福田(昭)委員 前回の議事録を持っているようですが、私の方が読んでみます。私の質問に対して、「特別な関係はありませんか、」と聞きましたら、「どこの土地改良区の話をしておられるのか存じませんけれども、私は土地改良区理事長は兼職禁止のルールにのっとって退任をいたしております。」こういう答えしかしないんですね。

 退任をしたのは去年の九月十日ですよ。こんな直近なことを忘れちゃうんでしょうか。

 しかも、この運用については、地元の蟇沼堰土地改良区との間で裁判になって、この中身は実は明らかになっているんですよ、裁判で。大臣の方は負けて、蟇沼堰土地改良区にはお金を返しているんですよ。こうした事件が実はあったんですよ。その運用先、もちろん野村証券に責任があるとは言いませんけれども、運用先は野村証券だったんですよ。

 こういうことを考えると、大臣と野村証券との間に何かあったんじゃないかと疑われるのは当然じゃないでしょうか。いかがですか。

河野政府参考人 まず、大臣の政治家としての個別のお取引に関しまして私は事実関係は存じ上げておりませんが、はっきり申せますことは、私自身、足利銀行の受け皿選定過程につきまして当初より実質的な責任者を務めてまいりましたが、その過程で、渡辺大臣から、何らか特定の候補について、選ぶように圧力を受けたりあるいは示唆をされたりといったことは一切ございませんでしたので、これは明言をさせていただきます。

福田(昭)委員 それでは、時間もなくなってきたのでまとめてみたいと思いますが、この足利銀行の受け皿問題についての総括をさせていただきますと、大きな問題点が二つあります。

 一つは、野村グループも地銀グループもいわゆる公的負担、税金の負担が生じないということになれば、金融庁はもちろん、渡辺大臣の名誉のためにも、落札した野村グループと選に漏れた地銀連合の買収条件の違いを情報公開すべきだと思いますが、いかがですか。

河野政府参考人 落選をいたしました候補につきましての詳細な情報の開示につきまして控えさせていただいておりますのは、落選候補につきましては、やはり競争上の地位などの正当な利益を害するおそれがあるというように判断をしておりますので、この点はぜひ御理解をちょうだいしたいと思います。

 いずれにいたしましても、野村グループを選ぶに当たりまして、譲り受け条件の面でも野村グループの方が優位な点でまさっておったということは事実でございます。

福田(昭)委員 そんな答えじゃ話にならないでしょう。どこが優位だったんだかちゃんと示すべきですよ。情報公開することによって、あなたたち金融庁の名誉も渡辺大臣の名誉も回復されるんですよ。そうでない限りは疑惑のままですよ。これが第一点です。

 それから第二点目。もう一つは、野村グループがあくまでも投資だということになりますと、五年後以降は株式を自由に売買できるわけですよ、処分できるわけですよ。そうなったときには、足利銀行破綻当時からうわさをされていた、先ほども申し上げましたが、オリックスが株式を買うことも自由です。ネクストグループに出資者として入っているわけですから、オリックスグループが株式を購入して、小泉、竹中さんの考えた予定どおり、足利銀行はオリックス銀行になる可能性が高いと思いますね。

 こうなると、まるで完全犯罪のようなシナリオが実現しちゃうんですね。すべてルールにのっとってやるわけですから、まるで完全犯罪のようじゃないですか。オリックスが国立の銀行の足利銀行の本店七階に事務所を置いておいて、最初から、さあ、おれがもう銀行業に進出するんだということで待ち構えていたけれども、地元にうるさいのがいて、あそこから出なくちゃならなくなっちゃった、しかし、今度は野村グループのもう一つのグループの方に出資者として潜り込んでいて、五年後に自由に株式が売買できるようになったときに株を買ってオリックス銀行をつくる、こういうシナリオが完成することになるんじゃないですか。いかがですか、そんなことになりませんか、金融庁。

山本副大臣 上場の際には金融庁の同意が必要というふうになっておりますし、二〇%以上の保有の場合には銀行主要株主の認可が必要になっておる、こういったことで判断できていくと思いますし、これは社長が発言されたことにありますけれども、既存株主の放出割合はマーケットの消化能力等を勘案すれば二、三割程度にしかならないというふうに申されておりますし、上場後、株を全部売るようなことは全く考えていないというふうにもお伺いをしておるところであります。

福田(昭)委員 ちょっと確認をさせていただきますが、それは三年後までじゃないんですか、五年後以降もそうなんですか、お伺いをいたします。

山本副大臣 お答えいたします。

 三年後とか五年後という数字は関係ございませんので、一緒でございます。上場時でございます。

福田(昭)委員 ちょっとはっきりいたしませんが、それは永久にできないということじゃないでしょう。完全な民間銀行になったら、それは株式の売買は自由じゃないですか。金融庁の許可がなくちゃできないんですか。いかがですか。

山本副大臣 上場時には金融庁の認可が要るというふうになっております。年数は関係ございません。

福田(昭)委員 上場時だけじゃだめでしょう。そういう犯罪が成立するということですよ。

 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。よろしくお願いします。

 きょうは、西川社長さん以下参考人の皆さん、どうもお疲れさまでございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、郵政事業に関する件について質疑をさせていただきます。まず、民営化、分社化の問題についてお願いをいたします。

 昨年の十月一日、郵政民営化がスタートしたわけでありますが、私どもは反対をいたしましたし、現在でもその立場であります。民営化そのものもそうですが、とりわけ、四分社化され、郵便と郵貯と簡保が分離されたことは大いに問題があると私は考えております。これまで一つの郵便局内で三事業が一体で運営されていたことによる連携体制が崩れることでさまざまな障害が生じているのではないか、それも、特に地方や過疎地において生じているのではないかと思っております。そのあたりを大いに危惧しておるわけであります。まずはそうした観点から質問をさせていただきます。

 さて、お伺いいたしますが、民営化以前には、一人の郵便配達の人が、郵便の集配、配達、郵便貯金の取り扱い、簡保の取り扱いを兼ねてやっておられたわけです。その辺を分社化されたためにどうなってしまったのでしょうか。何らかの形で認定を行えば、かつてのように一人の郵便配達の方が三つの仕事を兼ねて取り扱うことができるのかどうか、お教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

北村参考人 お答えいたします。

 公社時代は、確かに一人の外務職員が三事業すべてを行っていた郵便局もございます。ただ、民営・分社化後は、郵便専担社員と貯金、保険専担社員とに分かれたことによって、郵便の配達担当職員が配達途中に貯金などをお預かりすることができなくなっております。

 ただし、郵便事業会社の配達担当職員がお客様から年金の配達や郵貯、簡保のサービスの御依頼を受けたときは、郵便事業会社の配達職員が郵便局へ連絡して、郵便局会社の社員がお客様のお宅を御訪問させていただくというようなことで、御不便をおかけしないように努めておるところでございます。

森本委員 民営化後は、郵貯、簡保については、郵便局会社の職員が両社から委託を受けて、郵貯、簡保の取り扱いをすることができるということですね。しかし、郵便配達は兼ねられなくなったとのことですが、郵貯と郵便配達を分ける理屈は何なんでしょうかということ。都市ではともかく、地方などでは、一緒にやってほしいという要望、ニーズは強いものがございます。

 それぞれが民間会社になっているわけですから、契約形態次第では何とかならないのでしょうか。少なくとも郵貯と簡保はできるわけですから、そこに郵便を加えることができない理由が私はよく理解できないのであります。いかがでございますか。

北村参考人 現在、郵便事業会社の業務の範囲は、郵便事業株式会社法に定められた郵便の業務などと、業務の遂行に支障のない範囲内で総務大臣の認可を受けて営む業務に限られております。

 法律上の判断もあると思いますけれども、現在のところ具体的なところは考えておりません。

森本委員 これは会社の方にこれ以上申し上げてもどうかと思うんですけれども、業務に支障のない範囲であれば総務大臣との関係で可能だというふうに私は理解をさせていただいたんですが、間違いございませんか、今のお答えなんですけれども。

北村参考人 業務の遂行に支障のない範囲内で総務大臣の認可を受けて営む業務に限られていると思います。

森本委員 これは後でまた委員会で議論するといたしまして、今の段階ではできないというお答えでよろしいんですね。わかりました。

 それでは、分社化、民営化の問題点は、少し読み上げさせていただきますが、例えば郵便局株式会社の決算に明確にあらわれていると思います。郵便局株式会社の当期純利益は四十六億円でした。今、谷口委員からもこの問題の指摘がありました。実施計画で見通していた百五十億円よりも百億円強少なく、実に三分の一程度の状況でございます。

 会社の方は民営化直後の混乱といった特殊要因を挙げておられますが、そんなものでなく、もっと構造的な問題だと私は思っております。にもかかわらず、郵便局株式会社は、今期、平成二十年度、三百十億円の当期純利益を見込んでおられますが、要らぬおせっかいと言われればそうなんですけれども、とても達成できる状況だとは思えないわけであります。

 そこで、お聞きをいたしますが、郵便局株式会社の収益は、基本的には郵便、ゆうちょ、かんぽの各社からの手数料となっています。貯金残高、簡易保険契約件数、いずれも減少傾向にある中で、今後も安定して収益を上げられるとお考えなのでしょうか。また、収益源の多角化といったことで将来的に委託手数料収入のウエートをどの程度まで下げていきたい、そのようなお考えはございますか、お答えください。

川参考人 お答えをいたします。

 平成二十年度は、実質丸一年という民営化初年度でございますが、引き続き経営環境は大変厳しいというふうに認識をしておりますけれども、ぜひともこの計画を達成できるように取り組んでまいりたいと考えておりますし、そういう形で四月、五月、進めさせていただいております。

 前期は、事務取り扱いの変更の影響で十分に営業推進に時間を割くことができなかったわけでございますが、年明け以降は、フロントラインの皆さんの営業努力によって営業の推進状況は回復基調にございます。

 今年度、これからさらに三事業との連携を強化しながら、受託業務の営業強化を行って収益を確実に確保するとともに、全般的な効率的な業務遂行に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、フロントラインの郵便局の現場力が最大限発揮できるようにグループを挙げて事業改善などに取り組んでおります。こういうことを通じて、お客様に御満足をいただき、経営を強化する、その結果としての収益計画をきちっと実現してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

森本委員 この件につきましては谷口委員からも質問がありましたので、そして今、現場力、営業、きちっとやっていくと。三百十億円というのは私はかなり大変な金額と思うんですが、頑張っていただきますようにお願いを申し上げます。といいますのも、郵便局株式会社の収益動向は、やはり郵便局のネットワークが今後維持できるかということを大きく左右いたしますので、そのことを切にお願いさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 今後、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が都市部などで直営店をふやしていくお考えがあるのならば、郵便局株式会社の委託手数料収入も減って経営が大変だということも予想されるわけでございますが、そのことについてはいかがでございますか。

川参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、郵便局を取り巻く事業環境は厳しいということは十二分に認識をしております。

 二十年度の事業計画にも記載させていただいておりますが、例えば、郵便では冊子小包やメール便、宅配便の取り扱いはふえておりますが、取り扱いの大部分を占める通常郵便物の物数が近年大体三%ほど減少をしております。

 また、貯金について申し上げれば、貯蓄から投資への流れの中で、残高あるいは口座数とも減少傾向にございます。また、投資信託についても、現下の市況を勘案すると大きな伸びは見込めない状況にあります。

 また、保険は、伝統的なこれまでの死亡保障へのニーズというものがだんだん縮小いたしまして、医療、介護等のいわゆる第三分野商品あるいは年金商品など、生存保障のニーズが高まる中で、現在主力である私どもの貯蓄性死亡保障商品というものはなかなか厳しい状況にあることも事実でございます。こういった厳しい事業環境にあるからこそ、やはり委託元会社との連携をさらに強化して一層の営業力強化を図り、安定的な受託手数料を確保したいと考えております。

 新しい商品等もいろいろ委託元から出していただいております。これらのことを本年度はやはりきちっと営業結果に結びつけることが重要だと思っておりますし、また、来週から郵便局フェアという、三事業トータルとして郵便局でお客様により積極的に提案する、こういった共同施策というものを通じて今年度の計画の達成を期してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

森本委員 ちょっと私、後でそのことを、郵便局会社というのはゆうちょ、かんぽ、金融二社の経営戦略と密接につながっておって大きく影響するということも話をさせていただこうと思ったんですが、さっき私が申し上げたのは、都市部で直営店なんかがふえてくると、その手数料が郵便局会社へ入らなくなる、その手数料収入が少しなくなっていくんじゃないかなという指摘をさせていただいて、随分御丁寧に答弁いただいたんですけれども、ちょっと私の質問のポイントとは、少しずれたように思うんですが、これはもう結構でございます、会社の方でございますから。

 しかし、どのように考えても、今申し上げたように、これから金融庁の監督下に置かれて、新規業務もなかなか容易でない、それから製販の分離、つまり商品をつくることとその販売を分離するというビジネスモデルはそもそも非常に難しいというふうに私は思います。こういうことでは、たとえ地域貢献基金を積み立てるといっても、ユニバーサルサービス、ネットワークを今後維持するということが前段の質問から私は非常に難しいのではないかというお尋ねをさせていただきますが、いかがでございますか。頑張ってやっていただけるとは思うんですけれども。

川参考人 お答えいたします。

 現状の三事業の収入と同時に、そういった極めて厳しい状況にございますからこそ、郵便局会社として、この全国のネットワークを活用した、そしてお客様に利便性を感じていただく、そういう新たなビジネスというものを今後きちっと築き上げてまいりたいと思っておりますし、また、金融代理店としてのインフラをさらに活用するために、新たな金融商品の営業というものにも力を入れ、将来的には三事業だけに頼ることのない経営体質をつくり上げていく所存でございます。

 以上です。

森本委員 ありがとうございました。

 それでは、次に移ります。

 四分社化による会社間の壁は、経営に大きな影響を及ぼしていると思っています。

 例えば、局舎施設の資産の帰属は、旧普通局は郵便事業株式会社の支店、旧特定局は郵便局会社となっており、一つの局舎に二つ以上の会社が同居しているために、資産の帰属会社との間で賃貸料の契約をしなければならないわけです。その結果、年始末の繁忙日などに郵便配達の作業スペースを広げるためにも契約が必要となるわけです。また、会社が別なのでやむを得ないことかもしれませんが、お互いにセキュリティーの強化をされたために、社員間のコミュニケーションや情報共有もできなくなっていると聞いています。

 さらに、旧普通局では、郵便局会社の窓口で切手の販売、郵便事業会社の窓口では郵便物の交付と、お客様にとっては実にわかりにくい、経営効率も私は悪いと思っています。これは非常に難しい。お年寄りの方では、どちらがどちらかさっぱりわからないような状況になっています。いろいろな会社のいろいろな商品を扱っているために、お客様の待ち時間も長時間化しているといった不満も強い。配達センターでは、内務員の配置がないために時間外の窓口の取り扱いすらできません。これは私も実際大きな問題に感じています。

 つまり、分社化してしまったために、どんなによいことがあったのか。会社の経営、社員の一体感とお客様のサービス等々、すべてではないです、すべてではないですが、非常に私は地方にとっては悪い影響が出てしまっているというのが実態ではないかということを感じておりますけれども、いかがでございますか。

西川参考人 分社化をいたしまして、郵便局を、一つの局舎を会社ごとに仕切るということが行われております。このねらいは、セキュリティーの確保でありますとか、あるいは顧客情報保護という観点からなされておるものでございます。食堂とかトイレ等の共有スペースについては、基本的に会社間で共有していけるということにはなっております。

 しかしながら、区画工事等によりまして一部ふぐあいも生じておるということも事実でございまして、このため、二月末に出しました、郵便局の営業力強化のための取り組みをまとめた郵便局活力向上宣言にも盛り込みまして、必要な改善策を講じていこうということで今進めておるところでございます。

森本委員 そのあたりは私の思いということで指摘にとどめさせていただきます。

 そして、特に地方、過疎地などにおきましては、見知った郵便配達の人に何でも頼むということが今までできたわけです。そうしたことが民営化されたためにできなくなったとすれば、これは非常に地域として問題なのであります。

 御承知のように、これまで郵便配達の人は、郵便、郵貯、簡保のみならず、お年寄りへの声かけ、安否の確認などの福祉を含めて地域の行政サービスの一翼を実は担っておられた。こうした行政との連携が実は地域社会を支える大きな柱であったわけです。それが民営化された後どうなっているかということをお教えいただきたい。

 具体的には、まず、例えば過疎地域に対しましてはひまわりサービスがございますが、こうしたサービスについては現状どのようになっておるのか。少し質問時間が迫っておりますので省略もさせていただきますが、その点についてお答えください。

北村参考人 お答えいたします。

 ひまわりサービスですけれども、平成九年からずっと続けておりまして、現在、全国で百五十一市町村、二百三十一郵便局で行っております。七十歳以上のひとり暮らしの高齢者や高齢者の夫妻世帯に対してのサービスでございますけれども、今後も、地方自治体と社会福祉協議会の御意見等も踏まえながら、ひまわりサービスを維持、継続していくことによって地域の御期待にこたえるよう努力してまいりたいと思います。

森本委員 これは十九年三月末の時点と全く変わっていないということでよろしいんですね。それで変わっていなかったら結構でございます。

北村参考人 現在、至近時点の数字を調査しております。出次第、どういう形で今後やっていくのか、また検討いたしたいと考えております。

森本委員 郵政の関係は、今までワンストップということで行政も随分力を入れられてきた。しかし、どうもそのワンストップが、四分社化されて、ワンストップどころじゃない、とにかく非常に複雑になったという考え方は、私は逆になっておるというふうに思っておるんです、認識として。ですから、こうしたことについてすべて含めて前向きに努力をしていただくようにお願いを申し上げます。

 それと、先ほどのは無償でございますが、有償サービスをやっていただいておる、例えば、定期的に立ち寄って生活の状況、安否を確認して市町村に報告するとか、不法投棄を見回っていただくとか、こうしたことについては、実際の実績は、簡単で結構でございます、どのようになっていますか。

北村参考人 お答えいたします。

 郵便外務員による地方公共団体受託業務には三つございまして、一つには、高齢者への生活状況確認、これは現在、全国十八市町村で十六支店という実績がございます。それから二番目に、日用品の注文、図書の貸し出し受け付け、こういうものに対しては全国一市一支店、三番目に、廃棄物の不法投棄に関する情報提供、これは全国七市町村七支店で実施しております。

 今後も、地方自治体の御要望を踏まえながら、地方公共団体受託業務を維持、継続していくことによって、地域の御期待にこたえるよう努力してまいります。

森本委員 数がほとんど伸びておらないというようなことで、このあたりはもう少し連携が、これは会社の皆さんにそこまで望んでいくということも非常に難しい問題があろうかと思います。が、地域貢献ということを掲げられている以上、努力をしていただきたい。

 それで、大臣に最後にお伺いしますが、今の現状を見ていただいて、私は非常に、先般も五月の二十日に質問をさせていただきましたが、この地域のコミュニティーは今大変な状況になっております。先般も、そのことについては最後のセーフティーネットというお答えもいただいておりまして、期するところは理解をさせていただきますが、こうした現状は、どうしてもやはりここは少し改正を、私は政治に責任があるというふうに思っておりますが、いかがでございますか。

増田国務大臣 地方、特に過疎地域に行けば行くほど、コミュニティーのあり方、そしてコミュニティー活動というのは大変重要でございまして、そうした地方のコミュニティーの中で、郵政グループというのは大事なそのコミュニティーの構成員、その一翼を担っていると私は考えています。

 ですから、今ひまわりサービス等の話がございましたし、その他のサービスの問題もございましたけれども、やはりコミュニティーを生かしていく、そして地域の大事な一翼を担っているという自覚をぜひ持っていただきたいと思いますのと、それから、自治体や地域地域の自治会ですとか老人会、さまざまな団体等もございますが、そうしたところとの連携もこれから一層強力に、密にしていっていただきたい、それが郵政グループに対しての国民の支持ということにつながってくるだろうというふうに思っているところでございます。

 会社にその点は大いに期待したいというふうに思います。

森本委員 このままでは、郵便局が非常に信頼された地域の存在であった、しかし、今その存在がやや薄らいでいるということに非常に私は危機感を持っています。ですから、今のこと、そして、郵政が民営化する際には、やはり地域と都市部とのその差は、人間ですから、そこのところをしっかり踏まえていただいて、機械のように振っていくということは、私はこれからは通じないというふうに思っております。

 そういう意味では、公共サービス基本法を今検討されておりますが、こうしたことを基本に今後十分このことが検討されることを切にお願い申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 郵政事業に関して質問をさせていただきます。

 最初に西川社長に、地元特産品のふるさと小包、ふるさと産品事業についてお尋ねをいたします。

 地域振興にも貢献をしてきましたふるさと産品事業につきまして、民営化によって手数料等が大きく変更されました。今お手元に資料を配付させていただきましたが、郵政会社、郵便局会社からいただいた資料ですが、ふるさと産品の手数料等につきましては、民営化を機会に、これまで中間マージンを取っておりましたポスタルサービスセンターがなくなり、郵便局会社の直営となりました。その際、左側、下の方に、生産者、販売者からポスタルサービスセンターに委託をする際に、以前は販売手数料が七%前後、払込料が百円だったものが、右側、十月一日以降、民営化によって、生産者、販売者は郵便局会社に対し販売手数料が七%から一〇%に上がる、ゆうちょ銀行への払込料が百円から百二十円に上がる、そして、郵便局への配送料、チラシの配送料が、今まで無料だったものが新たに有料となる、配送料の負担がふえるということになりました。

 郵政民営化につきましては、民営化でサービスがよくなる、利便の向上、経済の活性化と言われておりましたが、このふるさと産品の手数料等の変更によって、生産者、販売者のメリットというのは何なのか、この点について西川社長にお聞きしたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、確かに販売手数料等が多少引き上げということになっております。これは主として、商品の安全性確保のために、現地の工場の衛生管理のチェックでありますとか、あるいは、商品の抜き取り検査等を行ったり、カタログの表記にアレルギーの注意表示を徹底したりするなどの作業を行うための必要費用を負担していただいているものでございます。

 このように品質管理の徹底を図ることによりまして、結果的には、郵便局のカタログ販売の信頼性が高まりまして、生産者、販売者の売り上げ向上につながっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。

 また、郵便局会社は、生産者、販売者が御希望される場合には、カタログに掲載した商品をウエブ上でも御紹介して販売チャネルの拡大を図っておりまして、こうした点も生産者、販売者にとってメリットがあるものと考えております。

 少しサービスの内容が変わってきておるということでございます。

塩川委員 いや、もともと商品の安全性の確保というのは今までやっていなかったのかという話にもなるわけで、このポスタルサービスセンターという、中間マージンを取る組織がなくなったんですから、手数料が上がるどころか下がってもいいくらいだというのが実態で、民営化というのであれば、こういうサービスの向上につながるんじゃないのかというのが本来の国民の皆さんの声、というより、政府が行ってきた民営化のスキームだったのではないでしょうか。これについては、販売手数料が引き上げられるということも含めて、コストがふえるということになったわけです。

 売り上げ向上につながるというお話だったわけですけれども、そこで、数字を確認させていただきますが、民営化前の十九年度上期及び民営化後の下期におけるこのふるさと産品の取り扱いの個数、取り扱いの金額はそれぞれ幾らでしょうか。あわせて、それぞれの前年比の数字をお示しください。

伊東参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の産地直送型のいわゆるふるさと産品の平成十九年度上期それから下期の取扱個数につきましては、上期が五百七十六万個、対前年一〇〇%でございます。下期が三百八十七万個、対前年六四・一%でございます。

 取扱金額につきましては、上期が約百六十八億円、対前年一〇〇%、下期が約百十五億円、対前年比六五・六%でございます。

塩川委員 今お示しいただきましたように、この料金などが変わる前につきましては前年比一〇〇%という数字でしたけれども、手数料などが大きく変更されて以降は、前年比で六四%、六五%と、三分の二以下に減少しているわけです。売り上げ向上につながるどころか、大きく減少するというのが実態であります。民営化後に三分の二以下に後退をしたというのが実態です。

 全国各地からいろいろ声も寄せられて、ふるさとの味発送民営化で危機、民営化により一〇%の販売手数料が新設をされ対応できない食品加工グループが多く、継続が困難になったり販売量の減少を懸念したりするケースが出ている、地域活性化に向けた取り組みに黄信号とか、以前は数人の局員が荷づくり作業を手伝いに来たが民営化後は配送を受け持つ郵便事業会社社員が一人来ただけ、分社化に伴い郵便局会社社員は配送業務に携われなくなったためだ、このように、中国新聞ですとか愛媛新聞など地方紙で、この現状を憂える声が紹介をされております。

 重ねて西川社長に伺いますが、生産者にとってはコスト増になる、会社にとっても、結果としてふるさと産品の取扱量が大きく減少したわけで、これで、民営化で掲げておりました利便の向上、経済の活性化と言えるんでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいま伊東常務からお答え申し上げましたように、約三分の二に減少しておるということでございますが、これは、やはり新しい業務のやり方というものにふなれであるということによるものだと思います。それと、郵便局会社そして郵便事業会社の業務に携わる人たちのやや連携不足ということもあるのかと存じます。

 しかしながら、これは、郵便局会社にとりましても、手数料収入以外の業務の中で一つの重要な業務でございます。非常にこれには期待も持っている業務でございますから、やはり郵便局会社としても、ふるさと小包便の取り扱いについて一層力を入れていかなきゃいけないということでありますし、これに力を入れれば郵便関係の手数料も入ってくるわけでございますから、一層ふるさと小包便に力を入れるようにグループとしても推し進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

塩川委員 ふるさと産品事業が地域経済の振興にも資するものだということだったら、本当に振興にも努めるべきだと考えます。

 しかし、現状はこうなったということが、やはり民営・分社化で、ゆうちょ銀行は手数料を上げて、郵便会社の方は、別枠で、今まで無料だったチラシの配送料を徴収する、そして郵便局会社は手数料を引き上げざるを得なくなる、こういう形で、まさに民営・分社化がもたらした利便性の後退なのではないのか、このことが厳しく問われているわけで、民営・分社化によるサービスの後退は明らかだということを指摘しておくものです。

 次に、郵政労働者のサービス残業問題について伺います。

 二〇〇四年の十一月の総務委員会で、私の質問に対し、当時の生田郵政公社総裁は、サービス残業は経営の恥だ、かなり根気が要ると思うが根絶していきたいと答弁をし、その後、公社は、二〇〇四年十月から十二月のサービス残業の実態調査を行い、二〇〇五年二月の総務委員会での私の質問の際に、五万七千人に対し三十二億円の不払い残業代を支払うことを明らかにしました。郵政公社は、その際に、サービス残業根絶のために実態をよく把握し対応していきたいと答弁をしました。

 そこで、数字の確認をさせていただきますが、労働基準監督署から郵政公社、郵政会社に対し行われた是正勧告の件数、〇三年度から〇七年度のそれぞれの件数と、その勧告の内容はどのようなものだったのかをお示しください。

伊東参考人 お答えいたします。

 日本郵政公社時の、私どもの今手元にあります資料ですと、二〇〇四年からあって、先生にもこれをお示ししているわけですが、二〇〇四年度から申し上げます。

 二〇〇四年度は十一件、二〇〇五年度は七件、二〇〇六年度は同じく七件、二〇〇七年度は、上半期が公社でございますので、その期間は三件、昨年の十月に民営化されまして、半年分でございますが、グループ全体で四件となっておるところでございます。

塩川委員 〇三年度は十件ということで承知をしております。労基署の勧告の内容については、時間外労働に対して割り増し賃金が支払われていないという中身だと承知をしています。

 ですから、〇四年、〇五年で指摘もしたサービス残業について、実際には、〇五年度、〇六年度、〇七年度、それぞれ七件の是正勧告が行われている。引き続きサービス残業が継続をしております。

 郵便会社の労働者から、休息、休憩時間も働いている、食事をとってからも働いている、配達区画がふやされても要員不足のまま、それなのに賃金が支払われていない、こういう訴えも聞いております。相変わらずただ働きが蔓延しているという声も寄せられています。

 そこで、西川社長にお聞きします。

 サービス残業についての西川社長の認識、あわせて、これが現状も引き続いて行われている、このことについての対応策、根絶策についてお聞かせください。

西川参考人 サービス残業と申しますのはあってはならないことでございますが、公社時代に引き続きまして、民営化後も労働基準監督署からサービス残業に係る是正勧告を受けているということは、まことに遺憾でございます。

 この根絶など、労働時間を適正に管理いたしますため、民営化後、各社において、労働時間管理に係る指示文書を社内にそれぞれ発出をいたしました。

 第一には、管理者によります事前の超勤命令や超勤命令簿への記録の徹底、第二に、部下社員の労働時間管理の状況を管理者の人事評価の一項目に位置づけまして、管理者の人事評価へも反映させるということ、第三に、勤務時間等に関する職場の問題点を社員が申し出ることができる勤務時間相談室の設置、そして第四に、これは制度ではございませんが、遅くまで残ることが美徳といった職場風土の改革などに取り組んでいるところでございます。

 こうした取り組みを徹底させまして、サービス残業の根絶を期してまいりたいと考えております。

塩川委員 民営・分社化で職場が混乱して、公務としての郵政事業への誇りが失われ、一方で大量の正社員の方が退職をする、他方で非正規の人をふやさざるを得ない、そういう中でサービス残業が蔓延する、こういう、いわば民営・分社化のゆがみこそ是正をされなければいけません。

 最後に大臣に伺いますが、政府は、郵政民営化に当たって、サービスは低下をさせないと約束をいたしました。しかしながら、現状が、簡易郵便局の一時閉鎖などの金融サービスの後退や手数料の値上げ、分社化に伴う利用者不便の拡大など、国民、利用者はサービス後退を肌で感じております。

 そこで、サービスは低下をさせないというのであれば、郵政会社のサービス状況について政府として検証作業をきちんと行うべきだ、このことを求めたいと思います。いかがでしょうか。

増田国務大臣 私も、今の郵政事業がどのような形で展開されているか、いろいろ関係者から話を聞いたり、総務省としても、会社から必要に応じて報告徴収等を求めているところでございます。

 それから、やはりこうした問題については、三年ごとの見直し規定も法律にも入っておりますし、国会の方での附帯決議にもそうしたことがうたわれているところでございます。これは、もとより民営化委員会の方でまず一義的には御判断をされることでございますが、そうした民営化委員会の御判断というものも来年の三月に行われるということでございますので、そうしたものも十分踏まえたい、このように考えます。

塩川委員 民営化委員会任せでなくて、政府としてのきちんとした検証作業を行うことが国民の要望にこたえるものだということを改めて申し上げて、終わります。

馳委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 時間が迫っております。答弁は簡潔明瞭によろしくお願いいたします。

 まず、質問の第一は、二〇〇七年度郵政公社決算という点でありますけれども、それに関連しまして、いろいろな角度から質問をいたします。

 まず、郵便局会社の当期純利益。当初の事業計画で三百二十一億円だったのでありますが、決算では四十六億円、このようになっております。なぜこうなったのか、まずその点を伺います。

川参考人 お答えをいたします。

 十九年度下期の経営成績、これを経常利益によって見ますと、事業計画は二百四十一億円でございましたが、決算は百八十五億円と、計画の七割強になっております。これは、十月一日以降の会社発足当初の業務のふくそう等によって営業推進が伸び悩んだことと同時に、株価の下落等によりまして投信の販売見込みが落ち込んだものでございます。しかしながら、そういう状況下にあって、職員の努力によって見通しとの格差を五十億にとどめることができたというふうに私自身は考えております。

 十九年度事業計画の見通しにおいて、ただいま先生から御指摘がございましたように、最終損益は三百二十一億円を見込んでおりましたが、結果、当期純利益が四十六億円にとどまった理由は、今申し上げたことともう一つ、主に税務調整の結果によるものでございます。

 ちょっと具体的に申し上げますと、三月末の退職者に対する退職金の支払いによって、財務会計上二百四十一億の黒字であっても、税務上多額の損金が発生をしたということで、税務上は赤字となる見込みでありました。したがって、連結納税の適用によって、郵便局会社としては法人税等を八十三億円、戻りを見込んでおりました。そして、その結果三百二十一億円の当期純利益を計画しておりました。

 しかしながら、実際は、退職者数が予想より少なかったこと等によりまして、逆に納付税額が発生をいたしました。また、納付税額についても、民営化初年度の幾つかの特殊要因によって、百三十七億円となって、結果として、四十六億円の税引き利益になったものでございます。

 以上でございます。

重野委員 今説明がありましたけれども、私はこういうふうに思うんですけれども、この私の指摘は間違っているかどうか。一つは、グループ各社との連携、これが悪くなったんだ、こういう新聞報道がありました。五月二十七日の日経であります。

 例えば、かんぽの商品を記載したチラシなどが二カ月近くも現場におりてこなかった、こういう具体的な話もあるのでありますが、各社の連携はスムーズにいっているのか、その点について伺います。

川参考人 お答えいたします。

 ただいまの先生の御指摘の件は、かんぽ生命の募集関係資料について、かんぽ生命保険の商品別リーフレットを補足する説明資料でございましたので、当初は、私どものグループ社内のネットワークに掲載して郵便局でプリントアウトをする、そういう形で御連絡をいたしました。

 しかしながら、実際に民営化後、郵便局から、一々そうするのは面倒くさいので、できたら印刷あるいはきちっとした書類として配付してほしいという要望がございましたので、私ども局会社として改めてかんぽ生命保険に印刷、調製をお願いしたために、御指摘のとおり、郵便局への納付が十一月になってしまったということでございます。

 しかしながら、こういうことが二度と起こらないように、私ども、グループ会社と連携をさらに強めて、郵便局会社の経営上、これは一番重要なことだと認識をしております。したがって、例えば、各事業会社のトップの定期的な打ち合わせを行うパートナー会議、これを支社レベルでも行っております。そういった密接な意思疎通を図っております。また、各事業会社からも、こういう視点については、郵便局の活動を適切にサポートしていただいていると私自身は認識をしております。

 以上でございます。

重野委員 次に、事業会社について伺います。

 〇七年三月期の個別財務諸表、これを見てみますと、営業未収金の金額が約一千五百億円余りに上がっています。ここ数年の公社時代の同じ項目を見ますと、およそ一千億円程度で推移してきていました。これが一・五倍に膨れるわけでありますが、この要因は一体何なのかということが一つ。

 あわせて、郵便料金後納制度での未収金の金額、これはどうなっておりますか。

北村参考人 お答えいたします。

 平成十九年度末の決算の営業未収金は一千五百一億円、開始貸借対照表に比べて四百四十億円増加しております。

 その要因でございますけれども、民営・分社化に伴いまして、郵便局窓口で収納した郵便の収入は郵便局会社との間で決済することとなっておりまして、十九年度末において、二営業日分が営業未収金となっております。これは百八十七億円というような数字でございます。それから、営業未収金となる二十年三月分の後納債権の金額が十九年九月と比べて増加している、これは物数の増あるいは三月期はかなり多いということで、これも百二、三十億円。それから、グループ内の郵便等の利用も一般の企業と同様に後納収入扱いとしておりまして、その大部分が営業未収金となっております。

 なお、営業未収金のうち料金後納分は一千六十億円でございまして、いずれにしても、分社化でテクニカルな理由によってふえたものでございます。

 以上でございます。

重野委員 今、数字の報告がありましたが、そういう数字を報告すること、そういう数字が出たということに対する評価はどういう評価をしているんですか。

北村参考人 大変難しい御質問でございますけれども、いずれにしても、グループの中の数字でございますので、そういう数字をすぐ処理できるような形でやはり今後展開していかなきゃならない、個人的にはそう思います。

重野委員 個人的にはそう思いますという表現は、非常に微妙な言い方ですよ。そういうふうに簡単にそんなことができるのかどうなのかというのは、今後、決算のたびに私はしっかり注目していきますので。

 次に、郵便認証司、これが新しくできたわけですよね。昨年の十月に、局会社、事業会社で不適正な認証事務が発生した、これは御案内のとおり。総務省が原因究明並びに再発防止策の報告を命じました。十月末にそれが提出をされています。

 そこでは、原因として、社員への徹底の不十分さや管理者の確認不足等が挙げられておりまして、点検と緊急訓練を十一月に行う、こういうふうにしています。

 ところが、再び不適正な認証が事業会社において行われたことが判明いたしました。昨年十一月に行った再発防止策、その効果がなかったということになるわけですが、この点についてはどのように考えておられますか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

北村参考人 お答えいたします。

 昨年十月に郵便認証司による不適正な認証事案が発生いたしまして、再発防止を講じておりましたけれども、再度このような不適正な事案を多く発生させてしまいましたことを、お客様に御迷惑をおかけしましたことについて、まず心よりおわび申し上げます。

 昨年十月に郵便認証司による認証事務手続の不備ということでございましたので、主に事務手続を適正に行う指導ということを行って、再発防止に努めてまいりました。しかしながら、再発防止策は事務手続を適正に行う指導に傾注しておったわけでございますけれども、郵便認証司として任命された社員か否か等の確認、こういうような非常にプリミティブな指導が十分行われなかったということで、郵便認証司でない社員による認証行為が大量に行われてしまった、こういうことでございます。

 今回の事案は、郵便認証司の任務、任命までの過程についての社員への説明・指導不足であった、管理者による確認の不足が原因だと思っております。このため、郵便認証司に任命されている社員の再確認、あるいは支店長等による郵便認証司の一覧の確認、あるいは郵便送達報告書の管理者等による点検、すべての社員に対する郵便認証司の任命過程等についての業務研修会、あるいは新しく入った社員が特別送達あるいは内容証明を取り扱う場合には必ず郵便認証司の任命過程等の説明を実施する等、再発防止を講じて、再度こういう事故が起こらないように徹底を図っていきます。

 なお、役員総出で支社長あるいは支店長会議を今現在行っておりまして、徹底を図っておるところでございます。

重野委員 こういう仕事は、民営化される以前も郵便局でやっていたわけですね。その時代、こういういわゆる不祥事というか、仕事のミスというのはどうだったんですか。民営化される以前とそして今、比較したら、傾向としてどういうふうに言えるんですか。

伊東参考人 お答えいたします。

 民営化されまして初めて、この認証司制度というのがつくられました。したがいまして、認証司による手続の不備あるいは認証司に任命されていない社員による認証行為というものは民営化以前には発生しておりません。

重野委員 民営化前は、認証司はないんだから、認証司の不始末はないですよ。当たり前。

 私が言っているのは、内容証明だとか特別送達とかそういうふうな仕事は以前もあったはずですよね、その仕事においてこういう不始末というか、そんなことがあったのかと私は聞いているんです。

伊東参考人 お答えいたします。

 内容証明、特別送達につきましては、民営化前も当然のことながら郵便局のサービスとして行っておりまして、一定の手続のもとに行われておりました。したがいまして、内容証明を行う際に、例えば郵便局の日付印を押すとかそういう行為は、現在もそうですし、民営化前もありました。

 そういうものがすべて完全に押されていたかどうか、そういったものについて私ども完全には把握していないところがございます。あるいは、送達書を送るときに名前を書くのが正確であったかどうかというのが、全部正しく行われたかどうかというのは必ずしも十分把握していないところがございます。したがいまして、民営化以前に、本来行うべき手続のもとにおきまして内容証明あるいは特別送達が行われていたかどうかということに関しましては、私ども、一部ミスがあったのではないかという認識はしておりますが、その実態について必ずしも正確に把握しておりませんので、このような答弁でお許しいただきたいと思います。

重野委員 最後に総務大臣に聞きますが、いずれも、社員あるいは管理職などの思い違いだとかそういうことがこれにつながったというふうに言われているんですが、そういう事態あるいはそういう報告について総務大臣としてどのように受けとめて、今後どのように対応していくのか、お聞かせいただければ。

増田国務大臣 昨年十月、こうした御迷惑をおかけする事案がございまして、多少原因は異なるとはいえ、また再び郵便認証司の関係で適切な対応がなされていなかったということでございまして、大変遺憾に思っております。

 会社の方から、原因とそれから再発の防止のための取り組みといったようなことを今報告を受けておりますが、やはり今後の再発防止策の実施状況、具体的にどういうふうに行われたのかということをきちんとお聞きする必要がございますので、さらに事業会社の方からその点については十分お聞きをしたい。それから、我々も、こうしたことが二度起きましたので、やはり社内での状況などを会社から今後定期的に報告を求める必要があるのではないか、こんなふうにも思っているところでございまして、今後、こうした認証司、やはり追加任命等も必要になってくると思います、会社のいろいろな対応が必要でございますが、その点については私ども十分注意をして見ていきたい、総務省としてきちんと見ていきたい、このように考えます。

重野委員 以上、終わります。

渡辺委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 先ほど来の議論をずっと聞いておりました。公社から民営化されて最初の決算ということでございますけれども、私どもからいたしますと、三年前にさんざんいろいろな議論をして、こういう制度設計では成り立つはずがない、制度設計そのものが間違っているということをさんざん申し上げたわけでございますが、今の状況を見ておりますと、まさに私どもが心配をしたとおりの状況になってきている。だから言ったじゃないですかということを言いたい気持ちでございます。

 先ほど、決算の中身についてのお話で、西川社長は、決して胸を張れるような自慢するような数字ではないけれども、まあまあの決算である、かようなことをおっしゃったわけですが、公社の十八年度の下半期の純利益、これがどのくらいであるのか、その点、まず伺いたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 公社時代は税負担がございませんので、消費税等の負担もございませんので、一概に比較するということは難しいのでございますが、経常利益で申しますと、公社の十八年度下半期は九千七億でございます。それに対して民営化後の郵政グループ全体の連結経常利益は四千三百八十七億ということで、約半分になっておるわけでございます。

 これの主たる原因は相場環境の違いで、十九年度下半期の場合は、ゆうちょの場合、金銭の信託運用益が千九百五十億円減少したとか、あるいは、保険の場合も運用収益が四千四百七十億円減少した。これは、十九年の下半期と申しますか第一期でございますが、この金銭の信託運用益というのが非常に大きく影響しておるということでございます。

亀井(久)委員 確かに税負担があるかないかということは大きな違いだとは思いますけれども、現実に、公社として立派に国庫納付もやっているわけでございますから、そのことを考えてみても、私は、三事業が一体で運営されている、そうした中で立派に利益を上げてきているという現実はあるんだろうというように思います。

 分社化された中で私どもが一番心配しておりますのは、やはり郵便局会社でございます。郵便局会社が思うような利益を上げられない。

 先ほど、西川社長は御答弁の中で、郵便局というのは三事業共通のお客様との接点だというお話をされました。まさに郵便局を利用しておられる方々からすれば、公社のころと民営化された後の郵便局がどう変わってきたのか、そのことを我が身に照らしていろいろと受けとめ、また批判もされている、そういう状況だと思います。

 先ほど川さんから、新しい郵便局会社としてのサービスについて具体的なお話がございました。確かに、新しいサービスによって収益を上げていくということは経営者として当然のことだろうと思いますけれども、郵便局会社の主な収入源といえば事業会社からの手数料収入であるということは間違いないと思います。

 先ほど、西川社長は御答弁で、意図的に手数料を減らすようなことはしない、そういうこともおっしゃいました。それは確かにそうなんだろうと思いますけれども、現実に、各事業会社から郵便局会社への手数料が落ちてきている。これは歴然たる事実でございます。これはどういう理由でそうなってきておるというように受けとめておられますでしょうか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 郵便局会社の十九年度事業計画では営業収益を六千五百十五億円と見込んでおったわけでございますが、今回の決算では六千百五十八億円と、三百五十七億円下回っております。

 具体的には、郵便の受託手数料が、十月以降の郵便局会社の取扱量が事前に推計した取扱量を下回りましたことから、計画に比べまして収益が百七十七億円下回った。これが原因の約半分でございます。それから、ゆうちょの受託手数料も、投資信託等の販売が約五割にとどまったということから、計画に比べますと収益が四十七億下回ったということでございます。また、かんぽの受託手数料も、新規募集が約五割にとどまったということから、計画に比べますと九十一億円下回っておる、こういう状況でございます。

 この原因は、一つには市場環境ということがございます。投信の販売等では、どうしてもこの影響を受けます。それと、民営化直後の業務のふくそうがございまして営業推進におくれが生じてしまったということ、これが原因としてございます。

 そのほか、郵便局会社の取扱量が事前に推計した取扱量を下回っておると申しますのは、主として、別後納郵便の取り扱いが当初の予想に比べて少なかった。しかし、郵便事業全体として見ますと別後納が減少しているわけではない。それだけ郵便事業会社にシフトをしておるということでございますが、これは、お客様が、ゆうゆう窓口でありますとか計量器のある場所、発着口でございますね、こちらに直接お持ちになる、そういうことになりますと郵便事業会社の取り扱いになってしまう、こういうことでございます。

 これが一番大きいわけでございますが、この差を埋めるために、郵便事業会社と郵便局会社の間で、二十年度以降につきましては、手数料の改定を両者で話し合いされておりまして、こういった事態で郵便局会社の収入が減少することのないように取り計らう、こういうことにいたしております。

 以上です。

亀井(久)委員 私の持ち時間がわずかなものですから、伺いたいことをほとんど聞けなくなっちゃうんですけれども。

 今、局長会がアンケート調査をされた、その結果も私は拝見をしましたけれども、その結果は惨たんたるもので、何一ついいことはないというような意識を持っておられるというように受けとめました。

 局長会は、一つの意識としてそういうことなのかもしれませんけれども、実際に職員の人たちが、局長さん含めてですけれども、どういう将来展望を持っているかということをひとつ見るための資料として、従業員持ち株会へどれだけ加入をされているか、そのデータというのは極めて客観的な数字だと思っておりますけれども、今、平均で三九・六%。これを見て私は驚きました。民間のほかの会社ではあり得ない低い数字である。

 ゆうちょ銀行は六八・九%、かんぽ生命は四四・六%、郵便事業は四三・六%、西川さんが社長をしておられる持ち株会社、日本郵政が三三・七%、郵便局会社が三三・四%。そういう中で、特に郵便局会社と親会社の日本郵政の加入率が極めて低い。一体これは何を物語っているんだろうかということを、この数字からも私なりに考えるわけでございます。

 やはり、自分の勤めている会社の将来に対する夢が描けない、将来展望がない。そういうことがなければ、もっともっと自分の会社の株を持ちたいと当然思うはずでございますけれども、従業員の方々自身が将来に対して夢を持ち得ない、そういう状況になっているということは、私は大変残念なことだというように思います。

 今、分社化したことによっていろいろな難しい問題が現場では出てきておるわけですが、そういう中で、本来事業会社から委託を受けてサービスをやっていく郵便局会社が思うようなサービスができない、また事業会社からのしっかりとした意思がよく伝わらない、そういうことが現場にあって、聞くところによりますと、西川社長の御意思で、郵便事業会社が郵便局会社の職員を指導するとか、あるいは、貯金、保険の会社の方から郵便局会社の職員を指導する、そういうことをやるべきだというお考えのもとに指示が出されたようなことも聞いておるわけでございますけれども、そういうことは、私は労働法制上もおかしな話だなというように思います。

 郵便局会社の職員が二重の従属関係を持たされる、そういうことにもなるわけでございますけれども、そういう事実があったのかどうか。

 そして、そのことは言ってみれば、分社化による一つの限界というものを西川社長御自身がみずから認められたことになりはしないんだろうかと。やはり私どもが言っておりますように、もともと制度設計が間違っているからこういうことが起こるんだろうと私は思います。それは、西川社長や高木副社長を初め各社のトップの方々の経営責任というよりも、まさにビジネスモデル、基本設計が間違っているからこういうことになるのではないかというように思っております。もう私の質問時間は終わりでございますから、最後に御答弁いただければと思います。

 ですから、私は、株式の売却の凍結法案、国民新党が中心になって、民主党、社民党の協力を得て先国会で参議院で可決して、今衆議院にあるわけでございますが、株式の売却が始まってしまったら、もうまさに全体の制度設計を直すということは極めて難しくなってくるだろうと思っております。したがって、経営者の皆様方の責任ではない、私ども政治が判断を間違えたということにほかならないわけでございますから、そこをしっかりと正していかなくてはならないと思っておりますので、今、この国会で、株式売却凍結法案についても、与党の皆様方にも御協力、御努力をいただいて、何とか可決をするように御努力を願いたい、そのことを最後に申し上げます。

 西川社長、今の私の質問で間違っていることがあれば御訂正いただきたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 委託元からの郵便局会社の営業部隊あるいは窓口の社員等に対する指導ということでございますが、代理店の場合、委託元からそういったサポートの意味で指導をする、アドバイスするということは常に行われておることでございます。

 特に、郵便局会社の場合には、残念ながら少し人材不足ということがございまして、本社スタッフによる、あるいは支社スタッフによる指導力というものに若干問題があるという認識もございまして、全体として効果を上げるために、これは主としてゆうちょ銀行、かんぽ生命でございますが、委託元が直接人材を派遣するとか、あるいは業務指導を行うとか、こういったことをやりましょうということで取り組んでおることでございます。

 以上でございます。

亀井(久)委員 終わります。

渡辺委員長 参考人の皆様には、長時間にわたり御出席いただきまして、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において御協議願ってまいりましたが、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、私から、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 本起草案は、与野党の理事会メンバー七名による地方自治法改正に関する実務者協議会における二回の議論を経て取りまとめたものであります。

 実務者協議会におきましては、地方分権時代における地方議会の活動の重要性にかんがみ、その位置づけの明確化と、公開性、透明性の向上を図る必要があるとの認識のもとに、活発な議論が行われ、当面、議会活動の範囲の明確化と議員の報酬に関する規定の整備について、地方自治法の改正を行うものとされたところであります。

 次に、本起草案の趣旨について申し上げます。

 地方議会は、住民の負託にこたえ幅広い活動を行っておりますが、地方分権改革の進展により、地方公共団体の権限や機能が拡大する中で、地方議会の果たすべき役割と責任はますます重要なものとなっており、これを反映して、地方議員に求められる活動領域も拡大しております。

 このような地方議会の実態等を踏まえ、これまで以上に積極的に議員活動を展開していくためには、地方議員の位置づけの明確化が必要であるため、本起草案を提出した次第であります。

 次に、その内容について申し上げます。

 第一に、地方議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査または議会の運営に関し、協議または調整を行うための場を設けることができるものとしております。

 第二に、地方議員の報酬の支給方法等に関する規定を他の行政委員会の委員等の報酬の支給方法等に関する規定から分離するとともに、報酬の名称を議員報酬に改めることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとともに、関係法律について所要の改正を行うこととしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 なお、実務者協議会において、地方議会の活動の充実強化と公開性、透明性を一層向上させるため、引き続き、直接当事者に限らず、幅広い立場からの検討が必要であるとの議論がありましたことを申し添えます。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、石田真敏君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・そうぞう・無所属の会の六会派共同提案による地方議会の活動の充実・強化とさらなる改革に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石田真敏君。

石田(真)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方議会の活動の充実・強化とさらなる改革に関する件(案)

  近年、地方分権が進展しつつある中にあって、地方議会の果たす役割は益々増大しており、その活動の充実・強化と公開性・透明性の一層の向上が重要な課題となっている。このため、今回、先ず、議会活動の範囲の明確化と議員の報酬に関する規定の整備を行うべく、地方自治法の改正を行うこととしたものであるが、今後においても、引き続き、制度、運用の両面にわたり、国民の幅広い議論を喚起し、これを踏まえて、地方議会の活動が国民の負託に応えるものとなるよう、さらなる改革を進めるべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、地方議会の活動の充実・強化とさらなる改革に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十分散会


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