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第1号 平成21年1月13日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十一年一月五日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 赤松 正雄君

   理事 大野 松茂君 理事 岡本 芳郎君

   理事 実川 幸夫君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      稲田 朋美君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    川崎 二郎君

      木挽  司君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    谷垣 禎一君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    平口  洋君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      小平 忠正君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

平成二十一年一月十三日(火曜日)

    午後二時二十分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 大野 松茂君 理事 岡本 芳郎君

   理事 実川 幸夫君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      飯島 夕雁君    今井  宏君

      小川 友一君    川崎 二郎君

      木挽  司君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    谷  公一君

      谷垣 禎一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      武藤 容治君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    西  博義君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月六日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     小川 友一君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     武藤 容治君

  関  芳弘君     永岡 桂子君

  平口  洋君     飯島 夕雁君

  伊藤  渉君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     丹羽 秀樹君

  永岡 桂子君     関  芳弘君

  武藤 容治君     遠藤 宣彦君

  西  博義君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     平口  洋君

    ―――――――――――――

一月五日

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、第百六十六回国会衆法第二九号)

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、第百六十六回国会衆法第四一号)

 特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金の支給に関する法律案(大畠章宏君外二名提出、第百六十九回国会衆法第二一号)

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第九七号)

 独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第五〇号)

 行政不服審査法案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第七六号)

 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第七七号)

 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第七八号)

同月六日

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。鳩山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山国務大臣 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 今回の補正予算により平成二十年度分の地方交付税が二兆二千七百三十億九千五百万円減少することとなりますが、地方財政の状況等にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要がございます。このため、平成二十年度分の地方交付税の総額の特例として、二兆二千七百三十億九千五百万円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて地方交付税の総額に加算することとしております。

 また、この加算額のうち一兆二千四百十億四千七百五十万円に相当する額について、平成二十三年度から平成二十七年度までの各年度における地方交付税の総額から二千四百八十二億九百五十万円をそれぞれ減額することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、自治行政局選挙部長門山泰明君、自治財政局長久保信保君及び自治税務局長河野栄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩原誠司君。

萩原委員 御苦労さまでございます。

 御就任百日強でございまして、大臣、大変お疲れさまでございました。

 御就任当時、道路財源の一般財源化に絡んで、一兆円がどっちに行くのかというようなときにははらはらして拝見をしておりましたが、無事にまとめ上げられ、三千億あれをプラスし、地域活性化・生活対策六千億を積み、そして二十一年度予算では一兆円の新しい枠をつくりということで、すばらしい成果だったと私は思います。満点という気がするんです。

 景気が悪いときにはいろいろな対策をいたしますけれども、我が国の場合、民間の方々が押しなべて弱気を増幅し、そしてマスコミの方々がそれを増長する、そういう悪い雰囲気の中で、やはり政府部門がしっかりしなきゃいけない。そして、その政府部門というのは、これも御案内のとおり、中央政府だけではなくて自治体の関係の方々も含めてだあっと日本におられて、ある意味ではその統括をするというわけですから、総務大臣の職責というのはこの時期まことに重いものがあると思いますので、ぜひ御精進を賜りますようにお願いいたしたいと思うんです。

 かつて、平成の不況のときにもそうでありましたし、その前のときにもそうでしたけれども、地方政府に対してさまざまな形で予算を提供した上で、例えば今回の六千億もそうですし、あるいはこの目の前にある補正もそうなんですけれども、しっかりとこれを、意味のある事業を通じて、地域の経済の活性化、そして日本の経済社会の安定のために執行してくれということを常々申し上げてきた経緯があります。

 予算の前倒しということ。昨年の十一月ごろ、ある役所の方々に、何でことしはそういう話が出ぬのかな、二次補正の議論があるのであれば、その前にまずは現年度予算についてしっかり前倒しをしていこう、そういう議論が出ないのは不思議ですねと言ったら、不思議ですねという答えが返ったきり、議論が返ってこなかったんです。

 今回、こうやって平成二十一年度も見通した形で、総務省として、総務大臣として物すごく頑張った予算編成をされた。それについて、執行面で前倒しというか、特に四月、五月の山場をどう乗り切るかというのはみんな心配しているわけで、恐らく既に地方公共団体にもある程度のコミュニケーションをされておられると思うんですが、こういった執行の前倒しについて、今後の総務大臣のお考えを拝聴させていただければと思います。

鳩山国務大臣 先生おっしゃるとおり、国と地方の関係というのは非常に難しいものがありまして、つまり、財政規律の問題があります、プライマリーバランスの問題がありますが、やはり国にある程度面倒を見てもらいませんと地方の予算というのはより厳しいものになるということで、それは、六千億の地域活性化・生活対策臨時交付金にいたしましても、あるいは一兆円の地方交付税の積み増しにいたしましても、それなりに国との間で厳しいやりとりがあったわけでございます。

 ただ、世界全部調べたわけではありませんが、ヨーロッパ諸国の幾つかを見てみますと、大体、地方の分の借金はほとんどなくて、国が肩がわりしているというか、国がほとんど借金を背負っているというケースの方が多いわけでございまして、我が国でもこれ以上地方に借金を背負わせるわけにはいかないという強い思いがございます。

 そんな中で、百年に一度と言われるような経済危機が起こっておって、経済対策、雇用対策は萩原先生がおっしゃったように迅速性が第一だ、こう思っておりますので、前倒し執行という形まで明確にはとれなくても、何よりも、今回の補正予算、二次補正と平成二十一年度当初予算を成立させて、生活対策とか生活防衛のための緊急対策の関連事業をできるだけ迅速に実施することができるように環境を整えていきたいというふうに思っております。

 ただ、補正予算が成立するまでにまだ時間がかかるかもしれない。そういう場合のことも想定いたしまして、とりわけ重要な雇用問題として、臨時職員の直接雇用など臨時的な雇用就業機会の創出という、そこに地方公共団体がお金がかかっている場合、あるいは公営住宅への入居など居住確保のために地方自治体が金をかけるような場合には、これを特別交付税で支援することを年末に決定いたしましたので、まずこれを十二分に利用してもらいたい、こういうふうに思っております。

萩原委員 前倒しということまでは踏み込めないという御議論でありますが、これから年度末にどういう経済状況になっているか。時々刻々変化をする中で、その変化を機敏にとらえて執行のシグナルを送る、つまり機動的な執行ということについては、ぜひともお努めをいただきたいと思います。

 そして、その上で、機動的な執行をしていると、年度途中、どうもこれは追加の政策というものが必要になる、そういう判断もあると思いますが、そのときにおかれては、今も大臣がおっしゃったように、地方自治体にまた新たな借金を負わせるということにもなかなかしにくいわけでありますから、例えば補助率のある種の拡大、あるいは交付税の臨時的な、交付税というか交付金というか、裏負担をある程度減少させる一般的な財源確保策ということも含めて、今から平成二十一年度の補正の議論をするのは時期尚早かとは思いますけれども、頭の中でさまざまな体操をしていただきますように、この場をかりてお願いしたいと思います。

 続いて、定額給付金の話にもちょっとお話を持っていきたいと思うんですが、この件も総務大臣のもとに来た。先ほど言いましたように、こういう時期における総務省というのは大変な重責を担うことが、この一点においても明らかであります。

 まず、この定額給付金についての趣旨、目的、今はしっかりしたものがあると存じますけれども、どこまで自治体に浸透しているのか、その御所見、あるいは浸透のための現在の総務省としての対応についてお答え願います。

鳩山国務大臣 定額給付金の議論は予算委員会でも今回ずっと引き続いて行われておりまして、自治体にもきちんと説明をしなければなりませんし、国民により一層丁寧に説明をしなければいけないというふうに考えております。

 前から申し上げておりますように、今は下がりましたが、原油、石油がばか高い値段をつけておった、食料品も高騰しておったというような中で、生活者の不安は非常に高まっておりましたから、一人一人に給付金を配るというきめ細かさで対応して家計への緊急支援を行う、これが最初の出発点だったと思いますし、また、あわせて、全国あまねく給付するということで消費をふやす経済効果がある。この両方で生活対策における重要な施策の一つにとらえているわけでございます。

 きょうも予算委員会で、GDP押し上げ効果がどれくらいあるか、これはいろいろな議論があるが〇・二ポイント分ぐらいかな、こういうふうになっておりますけれども、では、追加的な消費を押し上げるとは一体どういうことか、あるいは、四割が追加的な消費に回るということは六割が貯蓄に回るということかとか、さまざまなやりとりがあったわけですが、要は、地域振興券のときの例を踏まえて、例えば二兆円のうち八千億円ぐらいは速やかに追加的な消費に向かうであろうと考えるならば、その割合を少しでも高めるような方策というのも考えなければならない。

 そこで、今私が耳にしておるところでは、佐世保市、それから福井県の方からもきょう何か連絡があったようですが、プレミアム商品券のようなものを発行すると。これは東京の中央区がハッピー何とかといって既にやっているもので、これも、東京の中央区は私の昔の選挙区ですから情報がよくわかるんですが、多分、四億円で四億四千万円の買い物ができるようにしたわけです。つまり、中央区が発行した券が四億円でございます。それで四億四千万の買い物をして、その差額の四千は、これは、やはり二十三区は強いなと思ったのは、中央区自身が負担をいたしております。四億円分の商品券というのでしょうか、これは即刻、発売当日完売というふうな記録も残っております。

 そういう地域の工夫、いろいろな消費大セールとかそういうものも組み合わせますと、この四割という割合が五割あるいは六割にもなるのではないか。そういう期待もいたしておりますから、先生おっしゃるとおり、全国あまねく一律に配りますけれども、さらに消費性向を高めるためにどういう工夫があるのか、こんな例がありますよ、あんな例がありますよというようなことも地方自治体に広く宣伝する責務が総務省にはあるかと考えております。

萩原委員 こんなことを申しますのは、自治体においてだれがこの責務を担当するかと見ていますと、経済担当の部局であったり、あるいは市民担当の部局であったり、さまざまな部局が担当するんですが、大体これが、残念なことに、押しつけ合いというか、消極的権限争いになっています。

 このような状況を見ますと、例えば経済局が担当しますと、この給付金の中に含まれている、本来ある、いわゆるレリーフというか、生活に対する支援、社会保障的な意味というのはほとんど通じなくなる。逆に、逆のケースは経済活性化の意味が減ってくる。こういった状況があることについては、これはしようがないと見るのか、あるいはもっと徹底的に議論をし説明をすべきか。

 この辺、さまざまな見方があると思いますけれども、私はやはり、その二つある趣旨を丹念に自治体の方々にお話をし、自治体の方々がそれなりに自信を持って市民に接するような、そういう雰囲気というものを醸成することが、この施策の成功の中で非常に重要な意味があると思います。

 これは答弁は結構ですけれども、時間がありませんので、言いたいことだけ言っておきます。

 もう一つ。そうはいいながら、定額給付について、要らぬという人がないことはないだろうという気もするわけで、それを一体どうするのか。一たん自治体にお金を差し上げてから、精算するときに、目的に沿った使い方がないんだから国庫に返納する、これは補助金適化法の規則にのっとってそうなるんですけれども、それが一体どういう意味があるのか非常に疑問でありますし、ここについては今後少し頭を整理してもいいかもしれない、そんなふうに思います。

 また、二点質問しますけれども、一つは、定額給付の辞退というものが、大臣も含めて、まあ大臣はおもらいになると言っておられましたけれども、野党の方々はどうかわかりませんが、辞退をすることが、公職選挙法上の寄附行為にはならないんだと思いますけれども、この点はぜひ確認をしたい。

 そして、定額給付に対して、地域振興券のときにさまざまな議論があった中で、例えば今回基準日が二月一日になっている、これはどういう意味か、あるいは、三月、四月という非常に社会的に移動が多い時期に重なっている、この辺の対策は十分できているのか等々さまざまに疑問がありますので、今申し上げましたところの中で、お答えになれるところだけで結構ですから、お答えをちょうだいしたい。よろしくお願いします。

鳩山国務大臣 先生御承知のように、三月、四月は移動の非常に多い季節なんですね。私が持っている資料でも、一年間に住民基本台帳の異動が、つまり住民票が異動するケースが多くありますが、そのうちの三割以上が三月、四月に集中しているんですが、これは、大体三月から給付を開始したいというので、このタイミングのぶつかりはやむを得ないというふうに思います。

 基準日を二月一日としておりますが、これは、三月のできれば半ばぐらいから配れるとして、なるべく基準日と近い方がその間の移動が少ないということで、一月一日にはしないで二月一日にした。

 それから、例えばドメスティック・バイオレンスとかそういうことで奥さんが逃げ隠れしている場合に、新しく住民登録をしてもそれはだんなにわからないようにするとか、(発言する者あり)そういう仕組みがあるわけですけれども、そういうような方々が住民登録をするための時間が少しでもあるようにというような配慮もありました。あるいは転居届を出し忘れているようなケースがあって、そういう方にも少し時間的な余裕を与えて給付金をもらえるように、そういうふうな配慮も考えて二月一日といたしております。

門山政府参考人 定額給付金の辞退と公職選挙法百九十九条の二の寄附の禁止の関係につきまして御説明申し上げます。

 定額給付金につきましては、住民が市町村に対して申請を行うことによりまして初めて給付を受けることができる、こういう仕組みになっているものと理解いたしております。そういたしますと、公職の候補者などが申請を行わない結果として定額給付金を受け取らないということは、公職選挙法上の寄附禁止に抵触するものではないというふうに考えられるわけでございます。

 一方、公職の候補者等が定額給付金の給付を一たん受けました後にこれを市町村に自主的に返納されるということになりますと、これは当該市町村に対する寄附に該当いたしますし、当該市町村がその公職の候補者の方の選挙区内にある者に当たる場合には、公職選挙法第百九十九条の二の規定に抵触するというふうに考えられるところでございます。

赤松委員長 鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 今御指摘がありましたので、DVで逃げ隠れという表現は撤回をいたします。

 いわゆる家庭内暴力等で避難をするというか、住民票をそのままにしておいて別の場所へ行くというようなケースがあるわけでございまして、そういう方のために特別の配慮がなされるようになっておりますので、そういう方が新しいところで住民登録できる、そういう時間的な余裕というのも考えております。

萩原委員 時間だから終わります。

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 鳩山大臣におかれましては、予算委員会から連続で御苦労さまでございます。

 きょうは、私は、地方公共団体財政健全化法、もう施行されておりますが、これと地方公会計ということを関連させて御質問させていただきたいと思います。

 地方公共団体財政健全化法、一般的には財政健全化法というふうに言われておりますが、昨年の四月にこれが一部施行されまして、財政指標の公表などがございまして、実質赤字比率、連結実質赤字比率だとか実質公債費比率、将来負担比率と四つの指標が公表されまして、十九年度決算で、いわば試行的ということになるんだろうと思いますが、健全化判断比率が算定されて公表されたわけでございます。

 それで、これが本年の四月からいよいよ全面的に施行されまして、二十年度決算、この三月までの決算を取りまとめて、この比率がことしの多分秋ごろには出てまいります。今度は、ことしの二十年度決算の場合は、いよいよ財政が悪化しておる場合には、財政の健全化計画を提出しなければならないという義務を負うわけでございます。ですから、地方団体は今いろいろな形で大変努力をされておられるところでございます。

 それと、今申し上げました一方で、地方公会計というのがあります。

 今までの地方団体の会計制度というのは、本当に、いわば大福帳的な、現金主義に基づくものであったわけでありますけれども、このところ先進的な地方自治体は、民間会計を取り入れた、発生主義といいますけれども、このようなことを一部取り入れた計算書類をもう既につくっていらっしゃるところがあります。

 しかし、私は、従来から申し上げておったのは、ある特定の地方団体が民間会計に準ずるような会計手法で財務書類をつくってやったところで、過去のトレンドでは比較ができますけれども、今、千八百弱あります地方団体全体でのその地方団体の立ち位置がどういう状況なのかというのはなかなかわからない。ですから、垂直的な比較はできるところがあるわけでございますが、水平的にほかの団体と比べて我が団体がどういう状況なのかということをチェックする必要もあるし、それが非常に重要なのではないか。

 ですから、地方公会計を進めるべきだ、このように言っておりましたが、いよいよこれも、当初は平成二十三年度ということになっておりましたが、財政健全化法にも合わせるという形で、二十一年度から総務省の要請で、貸借対照表とか行政コスト計算書などの財務四表の整備を要請しておるところでございます。

 このように、財政健全化法と地方公会計、この二つがあるわけですが、これをぜひ関連づけるべきだということで私は申し上げておったわけでありますが、このようなことで質問させていただきたいと思います。

 先ほど申し上げました、財政健全化法がこの四月から全面施行になるということで、地方団体の方は、今までであれば普通会計だけだったんですけれども、公社だとか第三セクターも含めて連結になりますから、その準備に大変奔走されているというような状況なんだろうと思います。第三セクターで今まで塩漬けになっておったようなところは何とかやらなきゃなりませんし、土地公社なんかも何とか処理すべきところは処理しなければならない。こういう状況でありますが、今現在、これを施行するに当たり、自治体の中でどんな準備状況なのかということをまずお伺いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 自治体の準備状況については局長から御答弁申し上げますが、私は先生と違って会計の知識が全くありませんので精緻な議論をすることはできませんが、例えば、よく、家計が赤字だということがありますね。それは一月の出と入りだけを考える。

 しかし、考えてみますと、国もそうですが、地方も歳出と歳入というフローだけで見て物事を判断すれば全く見誤るわけでございますので、現金主義か発生主義かという議論で分けられるようでございますが、先生がおっしゃるような公会計の考え方、これでストックやコストをきちんと把握していきませんと、ただ実質赤字比率だけを見ておったのではその自治体の様子がうかがい知れないということなんだろう、私はそのように理解をいたしておりまして、とりわけ、将来負担比率というのがストックやコストを一番反映するものだろうと思います。

 実は、私は、選挙区がえをいたしましたから、かつては東京のど真ん中が選挙区でございました。二十三区のそれぞれの特別区が都区合算規定のもとで交付税不交付団体という形になっていると思いますが、それでもなかなか厳しい予算を組んでいるんだななんて思っておりました。今度は福岡に行って、中核都市久留米の予算を見ると、なかなかでかい予算で頑張っておるな、こういうふうに思っておりました。

 ところが、将来負担比率の試算をしたら、何と東京二十三区のうち二十一区はプラスだったという報道を見まして、これは、東京の議員に怒られるかもしれませんけれども、やはり東京というのは、将来負担比率で見ると全然地方の公共団体とは状況が違うんだなと思ってびっくりしまして、これからはそういう要素を取り入れて自治体の状況を見ていきませんと見誤りますので、公会計的要素をどんどん取り入れることが必要だと考えます。

久保政府参考人 今大臣からも答弁ございましたが、将来負担比率、ストックの指標ですけれども、これは新しい指標でございますので、そのストックの評価、これを恐らく各地方公共団体、今一生懸命になってやっておられると思います。

 さらに、委員から御指摘がございましたように、財政指標のいずれかが早期健全化基準以上である、これはまさに、いよいよ本格施行になってそういうふうになりますと、財政健全化計画の策定が義務づけられる。あるいは、財政再生基準以上でありますと、再生計画といったものをつくるということになってまいります。

 したがいまして、一部の団体におきましては、この全面施行に向けまして、使用料、手数料の見直しでありますとか人件費の削減などの財政健全化の取り組み、あるいは財政健全化計画などの策定の準備といったことに既に着手しているというふうに考えております。

谷口(隆)委員 財政健全化法の四つの指標というのは、地方団体は大変関心を持っていらっしゃるわけです。大臣がおっしゃるように、将来負担比率というのは非常に重要だと思います。これを前提にして、いろいろな団体で三セク、第三セクターの処分等が今進められている大きな原因になっておるわけでございます。

 やはり地方団体の財政が透明性を増すということは非常に重要で、その現状を認識し把握しないとなかなか解決策も出てこないわけでありますので、そういう意味では、これがいよいよ実施されるということで、この状況をずっと見ていかなければなりませんけれども、やはり役所としても、総務省としても、これを円滑にシフトできるように、これに合ったような形に対応できるように支援をしていただくことも必要なんだろうと思います。

 それで、もう一つ、先ほども申し上げました地方公会計というものですね。

 財政指標というのは、四つの指標がありますけれども、これはどこから出てきたのかなかなかわからないんです。ですから、私が申し上げておるのは、財務四表というのは住民が見るものですから、ごくごく簡単な財務書類がいいだろう。それを、附属明細書だとか脚注表示で詳細までわかるような形でどんどん深く見ていける。この中である一定程度、これは全部は無理でしょうけれども、四つの財務指標を、これが公会計、公表される財務書類から認識できるというような形に持っていくことが好ましい、このように思っておるわけでございます。

 それと、もう一つは、さっき申し上げました、地方団体間の比較をするということも非常に重要なんだろうと思います。

 そういう意味で、地方公会計もぜひ進めていただきたいと思っておるわけでありますけれども、この地方公会計の整備ということで、今どんな準備状況なのか。また、今総務省としてどのような支援体制をしいてやっていらっしゃるのか。この二点についてお伺いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 先生御指摘のように、昨年三月末現在の調査結果というのがございまして、中小規模の地方公共団体、割かし小さ目の地方公共団体での整備促進が課題だということがわかるわけでございます。

 こうした中小規模の地方公共団体の場合は、なぜ整備が進まないかという要因を伺ったところ、やはり公会計というものになじみが薄い、それから、整備に不可欠な資産評価や連結財務書類の作成手順がよくわからないというようなこと、特に、公営企業会計とか三セクまで含めたものをどのようにつくったらいいのかがよくわからないというような意見が数多く寄せられました。

 それを受けて、昨年六月に省内にワーキンググループを立ち上げて、先生のような公認会計士の先生を中心に検討を進めておりまして、資産評価に関しては、作業手順をわかりやすく解説した手引書が既にできたと聞いております。連結財務書類については、まだ手引書が作成中かと聞いております。また、作業の効率化を図るワークシートをこれから配るというような状況のようでございまして、そんな形で環境整備をいたしておるところでございます。

谷口(隆)委員 今大臣がおっしゃったように、地方公会計、なかなかなじみがないものですから、進まないんですね。

 それで、特に中小のところ、人口でいうと三万人以下ぐらいの団体が大変苦労されておられるというようなことをお伺いいたしておるわけでございますが、特に中小のところの地方団体についてどのように配慮されてやっていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

久保政府参考人 もう委員御案内のことになりますけれども、小さなところについてはやはり県が助言を相当強くしていただきたい、私どもそう期待をしておりまして、例えば和歌山県でございますとか愛媛県、これは私どもの研究会のメンバーにもなっていただいたりしておりますが、こういったところを初めとして、幾つかのところでは、市町村の公会計担当者を対象とした財務書類作成のための研修会、これを年間を通じて常にやっているといったような試みもしていただいております。

 私ども、やはりそういったことを今後とも粘り強く、いろいろな機会をとらえて助言をしてまいりたいと考えております。

谷口(隆)委員 やはり冒頭お話をさせていただきましたように、財政状況をつまびらかに把握できるようになるということは非常に重要であります。ことしは、そういう意味では、地方公共団体、公会計も、また財政健全化法に基づく指標も出てくるわけでありまして、現状は、地方団体の皆さんは大変苦労されていらっしゃると思います。ぜひ総務省の方からもでき得る限りの支援をしていただきまして、円滑にこれが進みますようお願い申し上げたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 大臣、三連休の週末に、地元で数多く新年会を、多分皆さん同じだと思いますが、いろいろ回っていますと、やはり定額給付金の話題が大変多くございました。実際の支給というか政府がやろうとしている具体的な話がいろいろ聞こえてくる中で、賛成の人もいるのかと思いきや、全然そうじゃございませんですね。行くところ行くところ、あんなものはやめてほしいという意見が圧倒的でございます。同じタイミングで世論調査も出てきておりますけれども、国民全体の八割近くが反対、加えて与党の支持層でも七割反対をしている、こういうふうな結果が出ておるわけです。

 アンケート結果など国会とは関係ない、そういうような言い方もあるのかもしれませんが、いつも独自の御意見をしっかりと持っておられる鳩山大臣でございますから、麻生総理が何を言うかはともかく、もう一度この場で総務大臣の言葉として、これだけ反対している、これはもうずっとそういう政策が最近多い感じがするんですけれども、これだけ世論が反対しているのにもかかわらず、そんなことは関係ないんだというふうにしてやっていくという、今大臣も内閣の一員としてそういうようなお考えでおいでなのかどうか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 最初に定額減税という与党合意ができたんだろう。そして、その定額減税では税金を支払っていない方に恩典がない、そういうような方々の方がむしろ消費性向は高いのに恩典がない。家計への緊急の支援という意味ではそういう方々にこそ支援すべきですが、そういうところに支援できないということから定額給付金に移行していったんだろうと思っております。その最初のプロセスのころは、私は閣内にはおりませんでした。

 麻生内閣になって、具体的にこれを制度設計していくということになったわけです。総理が全世帯に配るとおっしゃったにもかかわらず、その後、一定の所得以上には配るべきではないのではないかというような意見が出た。私は当初からそれは税務情報の関係で極めて困難ですよということを申し上げておったんですが、そういうような議論が飛び交うようになって、結局、地方公共団体が、市町村が一定の所得以上の人には配らないという選択をしたとしても、私としてはそれは妨げない、それをだめだとは言わないというところで結論が出ているわけでございます。

 総務大臣というのは、全国千八百幾つかある自治体に対して指揮命令できるわけではありませんで、基本的にいつでもできるのは要請ということでございますから、私としては、所得制限はしないように今要請をいたしておるところでございます。

 これは、二兆円あれば例えば公立病院の建て直しが全部できるじゃないかとか、二兆円という金はどういう金であるかというような議論がいろいろあるわけですけれども、それは、七十五兆円の経済対策の中ででき得る限りのことをやっている。

 先ほどの萩原誠司先生の御質問でいえば、プライマリーバランスの問題はあるけれども、総理の格別の意思と御指示によって、地方交付税が一兆五千億ぐらいあるいは二兆ぐらい減ってもいいところを、配慮によってプラス四千百万までした。その減ってしまう交付税を持ち上げてきた金額も、やはり二兆円ぐらいにはなるのかな。そういう中でありとあらゆる手当てをいたしますので、この定額給付金が、家計への緊急支援、そしてまた、先進国で、世界で一番最初に同時不況から抜け出すためのばねに使えればという思いを強くいたしております。

 とりわけ、来年度というか平成二十一年度のGDPは、いろいろな計算がありますが、一般には〇・〇〇。〇・〇〇といっても、マイナスぎみの〇・〇〇だとして、これが定額給付金によって〇・二ポイントプラスに働くと、マイナス成長がプラス成長に持っていけるという可能性もあるので、ぜひやっていきたい、こう思っております。

田嶋(要)委員 きょう予算委員会でも同じような議論もありましたけれども、家計への緊急支援ないしは消費の刺激。いずれにしても、これは使ってもらわなきゃ意味がない。そういうことですね、大臣。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

鳩山国務大臣 これはもちろん、家計への緊急支援という意味がありますから、例えばボーナスが減った、給料が減った、あるいは職を今失ってしまっている、派遣切りに遭ったとか、そういう方々は使い道が若干違うかもしれませんけれども、一般的に言うならば、どんどん使っていただきたい。それも、追加的な消費につながるような使い方をしていただけると、GDP引き上げ効果が大きい。

 例えば、ちょっと離れたところへ行こうと思ったけれども、定額給付金をもらったからもう少し遠くの友人を訪ねようというような考え方。うどんを食べようかと思ったけれども、やはりすき焼きにするかというような使い方をしていただければありがたいわけです。これは間違いない。それも地域で使っていただければありがたいわけです。

 ですから、私は当然のごとく、あなたは受け取りますかと言われたから、私は受け取ると申し上げました。

田嶋(要)委員 いろいろな使われ方があるけれども、とにかく使ってもらいたいと。総理はばんばんという形容詞までつけて、やってほしいということですけれども。

 それで、地域振興券というのが十年前にございました。ちなみに、これがちょうど十年前でございます。そして、十年前のその当時も、天下の愚策という形容詞がついたわけです。その天下の愚策のさらに十年前にも、何かその源流になった施策が竹下内閣のもとであったようでございます。

 しかし、十年ごとの天下の愚策が、だんだんその愚策度が上がっているような印象を私は受けるわけです。なぜかというと、その一つは、このお配りした資料の最初のページを見ていただきたいんですが、地域振興券と比較しまして、今大臣おっしゃったような、どうやって使ってもらうかというところに関して、この制度設計は何の具体的なものもないわけですね。

 つまり、この二兆円というのは、当時の十年前の七千億円と違って、これは単にばらまくだけの話で、受け取った後、その人が貯蓄に回すかどうかということに関しては何の影響もない。そういう意味では、この資料の一の地域振興券ならば、この左側のところを見ていただくと、相当いろいろなきめ細かい部分があるので、当時の七千億円に関しては、まだ使うインセンティブがあるわけですね。しかし、今回は、恐らくは、もっともっと貯蓄に回るんじゃないか、私はそのように思っているわけです。

 大臣、今回のこの政策の中に、本当に使ってもらうための具体的な部分というのが一体どこにあるのか、それを説明していただきたいと思います。

鳩山国務大臣 地域振興券と比較しますと、それは現金であるというところに一番大きな違いがあるわけで、非常に使い勝手がいいということだろうと思っております。

 特に、転居した方のこと等を考えますと、転居する元の方では地域振興券をもらっていないという証明書までとって、転居先で地域振興券をもらうというようなことで、手続が非常に大変であった。大変というか、手続が非常に複雑だったものが、非常に簡単になっているのが今度の定額給付金だ、こういうふうに考えております。

 では、どうすれば使ってもらえるかということは、これは我々も機会をとらえて申し上げていかなくちゃならぬと思っておりますが、とりわけ各市町村やその市町村の商工関係団体の創意工夫というものが重要になってくるわけです。先ほど申し上げました佐世保とか、福井県のどこかの市長さんだったと思いますけれども、一割増しのプレミアム商品券みたいなものを出すと。たしか佐世保の場合は、半額が市負担、半額が多分商工関係とか団体負担という形になるのではないかというふうに聞いております。

 先ほど申し上げました、東京都中央区が出しております、四億発行して四億四千万の買い物をしてもらった。もちろん、それは、たしか大規模店舗では使えないようにしてあったのかなと思います。中央区にはデパートがいっぱいありますから。その四千万は中央区が全額負担したというふうなこともあって、いろいろなそういう例を全国の自治体に幅広く紹介していきたい、消費拡大セール等が盛んに行われるようにしていきたい、こういうふうに考えておりまして、積極的な情報提供が必要かなと考えております。

田嶋(要)委員 自治事務とはいえ、制度設計は国がやるんだというふうに言っておきながら、一番肝心な消費を刺激するんだ、生活対策と言っておきながら、これはお金を配るだけの政策に終始をしているというふうに言わざるを得ないと思います。

 それと、先ほど、もともとは定額減税だった、その定額減税からさらに受け取る人のすそ野を広げるという意味で定額給付金になったということもおっしゃっておりましたけれども、後ほど触れますが、実際、すそ野が広がっても、本当にそういった生活に困窮されている方に、全員にちゃんと届くのか。そこがこの施策の大きな欠陥ではないかというふうに私も思っておる一人でございます。

 そこで、次の質問に移りますが、受給権者についてお伺いをします。

 少し具体的な話でございますが、この制度の一つとして、短期滞在者でない場合の来日したばかりの外国人はこの受給権があるということでよろしいでしょうか。

岡崎政府参考人 外国人登録原票に登録されている方であれば、今申し上げた短期滞在者あるいは不法滞在者以外は受給対象になるということでございます。

田嶋(要)委員 これはどういうロジックでこういうふうに区別がされるんでしょうか。

岡崎政府参考人 先ほど大臣からもお話がありましたが、もともとは定額減税という発想がありますので、外国人でありましても、所得があれば、内外の別なく所得税等がかかるわけでございますので、そういう意味で外国人も基本的には対象にするということで考えております。

田嶋(要)委員 大臣は、そういうことでいいんですか。もともと定額減税だから、その場合と同じやり方にしているということですか、分け方として。

鳩山国務大臣 外国人登録をしている方、そして、外国人登録証から不法滞在が明らかになればもちろん取り除きますが、不法滞在でない外国人登録をしておられる方に配る。そうではなくて、一時的な旅行者には配らない。というのは、私もこの間まで法務大臣として入管行政をやっておりましたが、要するに一定期間、もちろん、特別永住者から永住者からずっとあるわけですけれども、ある程度定住型の形で日本に滞在する方に外国人登録をしてもらっておりますから、そういう方には出す。そうではなくて、短期的な旅行者には出さない。こういう分け方ではないかと思います。

田嶋(要)委員 もう一つ具体的にお伺いします。

 不法滞在者は受け取れない、日本人の受刑者は受け取れるということですが、その理由を教えてください。

鳩山国務大臣 これは実は、この質問の御通告をいただいて、私もはたと考え込んでいる部分がなくはないわけですね、正直に言えば。

 理屈はいろいろつくんですよ。刑務所に入っている方でも、家族がいたり、社会復帰間近な方などは定額給付金が必要な方も多いので、そうしたことが市町村では判定できないから配るというようなことがいろいろ書いてあるんですけれども、これはちょっと考えるべき点があるのかなと。

 ただ、言えるのは、住民基本台帳からは刑務所に入っているかどうかという判定はつかないんですよ。本来、無期刑や死刑の方は、無期刑は刑務所、死刑確定者は拘置所に入るわけですが、原則は彼らはそこから移動しないわけですね。それは無期懲役でも仮釈放がなくはないわけですけれども。そういうところは、本当は刑務所が住所地になるべきなんだという考え方になっているとは思うんですけれども、そこのところは少し整理をしまして……。

 ただ、今のありようでは、住民基本台帳に基づいて出しますので、入所者の親族が受け取るという形になります。

田嶋(要)委員 私が総務省といろいろ話をした印象では、結局は、最初にこれをどうばらまくかというときのデータベースとして、住民基本台帳、外国人登録原票、そういうふうに決めたから、そこに入っている者は全部行くし、入っていない者は全部こぼれる。単にそれだけのことだというふうに思うわけです。つまり、きめ細かく、本当に配られるべき人に届くようにとか、そういう配慮じゃなくて、単に業務を効率的に進めるだけのためにそういうふうな線引きをしているというのが実態だと思うんですが、大臣、どうですか。

鳩山国務大臣 それは、とにかくシンプルにシンプルにということですから、今委員がおっしゃったような観点があることは間違いがないんです。それはできるだけシンプルにと。

 ただ、無期、死刑に若干ひっかかりを持ちましてね。そういった意味で、法を犯して刑法犯で入所している人に対してどうかなという点は、今確約はできませんが、少し検討させようと思っております。

田嶋(要)委員 そういうことであれば、いつごろまでにそういう結論を出すんですか、大きなポイントだと思うんですけれども。これは、ただでさえこういう愚策に地方自治体がつき合わされるわけですよ、大臣。だから、はっきりとその辺は責任を持って結論を出さなければいけないと思いますけれども、期限とかを答弁していただけますか。

鳩山国務大臣 愚策、愚策と決めつけられて言われるのは余り気持ちのいいものではありませんが、技術的な問題がありますからどこまで可能かわかりませんが、そういつまでもぐずぐずゆっくりやっておるわけにはいきませんから、できるだけ早くと思っておりまして、関連法案もできるだけ早く通していただければありがたい、こう思っております。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋(要)委員 本当に届くべき人に届かない可能性が多々あるんじゃないかという懸念を私は持っております。

 同じような関係でございますが、住民基本台帳をベースにしているという日本人に関してですが、住民基本台帳に載っていない日本人というのは、今何人ぐらいいるんでしょうか。

岡崎政府参考人 住民基本台帳に載っていない日本人の数、例えば海外に転出してしまった方とか、そういう方がおられるわけですが、数字としては捕捉をしておりません。また、推計も困難と考えております。

田嶋(要)委員 これはいろいろなところで議論もされている、ネット上でもそれこそいろいろ議論がございますけれども、ホームレスの方は、私がいただいたデータでは一万四千七百人が全国においでだと。それ以外に、ホームレスとは定義されないようですが、ネットカフェ難民がそれの何倍もいらっしゃると聞いておりますけれども、そういう方々の中には住民基本台帳に載っていない方も大勢おいでじゃないかと思いますが、そういう方々にはこの時点ではこの給付金というのは届くことになっているんでしょうか、届かないことになるんでしょうか。

岡崎政府参考人 今お話がありましたネットカフェ難民あるいはいわゆるホームレスという方々につきましては、住所がどこかの市町村にある、つまり、住民基本台帳に登録されている方と、そうではなくて、例えば長いこと居所不明のために消除されているというような方があると思います。このうち、住民票がない方につきましては、二月一日の基準日までに住民票の復活の手続をしていただかない限りは、今回のスキームでお届けすることは困難であると思います。

 ホームレス等につきましては、別途、政府として、ホームレスの自立の支援等に関する基本方針に基づいていろいろな対策を講ずる必要があるとは考えますが、給付金そのものは困難だろうと思います。

田嶋(要)委員 大臣、だから、これは生活困窮者に、かなりの部分が重なるような、今挙げたようなケースに関して第一優先でアクションをとることにはならないわけですよね。国民の大多数の皆さんに、いわゆる世帯主という方々にお金が渡されるわけですけれども、まさに住民台帳に登録されていないような方々にこそ、このセーフティーネットが次々と壊れている今の社会において支援を緊急にやらなきゃいけない。しかし、残念ながら、意図的ではないにしても、単純化してシンプルに、早く、スピーディーにと言っている中で、この制度を具体的にやっていこうとするやり方は、逆に言えば、そういう方々にだけお金が行かないようなスキームになっているんじゃないでしょうか。本末転倒だと思いますが、大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 一つは、ネットカフェ難民あるいはホームレスという方々、いろいろなプロセス、いろいろな経験を通して今現在そういう形になっておられる方々がかなりおられるわけですね。そうした方々に、また正しく住民基本台帳に登録をしていただく一つのきっかけになればという思いが私にはございます。

 それから、ホームレス等の自立支援とか、そうしたことについては就業の機会や安定した居住の場所の確保等の施策をいたしておりまして、年末年始等の離職者対策等においても地方財政措置、場合によっては特別交付税で措置するということも考えておりまして、とりわけホームレスのような方々については、できる限り住民登録をしていただいて受け取っていただきたいが、それは別の社会政策としてやっていくべきというふうにも思います。

田嶋(要)委員 できる限り住民登録とおっしゃいますけれども、これは今度の二月一日の時点で登録されていなければアウトですね。これから半月で頑張って登録してほしい、大臣、そういうことですか。

鳩山国務大臣 そういうことでございます。

田嶋(要)委員 本当にそうやってお考えでございましたら、やはり生活困窮者の多くのケースでもらえない事態が続発するのではないかという懸念を申し上げさせていただきます。

 次にもう一点、発送に関しても同じような懸念を私は持っておりますが、今回の発送は世帯主ということでございますが、送付件数は何件と考えていますか。

岡崎政府参考人 住民基本台帳ベースの世帯が五千三百万世帯ございまして、外国人は二百十八万人と見ておりますので、合計で五千五百十八万件ほどというふうになろうかと思います。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

田嶋(要)委員 そのうち、郵送が届かないケースというのは何件ぐらいと想定されておいででしょうか。

岡崎政府参考人 当然、住民基本台帳原票あるいは外国人登録原票に記載されている情報によりまして送るわけでございます。

 未到達あるいは返送されるというような比率がどのぐらいかというのは想定しておりませんけれども、そうした事態ができるだけ減るように住民記録等は常日ごろ適正化していただきたいということをお話ししているわけでございます。

 ただ、具体の例がなかなかないのでありますけれども、私が聞いた後期高齢者医療制度で、被保険者証を昨年送りました中で、最初に送ったときの不着、届かなかったというものが〇・四九%というふうに厚生省から伺っております。

 それから、選挙の入場券も大体市民に送るわけでありますけれども、これも住民基本台帳の住所に送ります。これにつきまして都市部はどうかと思いまして、都市部のある指定都市に伺いましたところ、一%よりは低い、大体〇・八%程度ではないかというふうなお話を伺っておりますので、この住民基本台帳に基づいて送る限りは今回もその程度の比率ではないかと推計いたしております。

田嶋(要)委員 私は、参考までにねんきん特別便の状況に関して資料をおつけしました。二ページ目でございますが、これによりますと、先ほどの後期高齢者とは違いまして、現時点で四月から十月までに送付された特別便の未到達は二・三%という結果も出ております。今お話があった後期高齢者の話も一%以下ということですが。

 いずれにしても、先ほどのは五千五百万ですから、全国で五十万、六十万以上の方は未到達、届かない事態になるわけですね。こういう方々に対してはどういうような策を考えておられるんですか。

岡崎政府参考人 今回の通知につきましては、こういう制度ができたので申し込んでくださいねという、ある意味では広報の一環でございまして、そのほかにもいろいろな広報をするわけでございます。国も地方団体も今回の補正予算に基づいて広報予算を組んでお知らせをするわけでございますので、届かない方が全くこういうことがあるということを知らずに過ぎてしまうことはないのではないかということであります。

 もちろん、個人に送ることは必ずいたしますけれども、各世帯に送りますけれども、それにあわせて、積極的な広報活動を行うということでカバーをしてまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 全く知らないケースがないんじゃないかとか、ちょっと想定が甘いと僕は思うんですね。

 これは、本人の責めによらない事由で、受け取り期間、例えば六カ月という話でございますが、そういうのを過ぎてしまったようなケースというのは、その方は何らかの形で救済されるのか、門前払いをされるのか。そして、それぞれの自治体はどこまでが責任範囲なのかということを明確にしてあげないといけないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

岡崎政府参考人 自治体の方で、今申し上げたように通知の送付、それから積極的に広報を行う。国も行う。あるいは広報だけではなくて、自治会ルートとか、市町村においてはいろいろさまざまな周知のルートがありますので、そういうこともやった上でのお話でございますけれども、それでも申請期間の間に申請がなかった場合には、理由のいかんを問わず受給はできないということになると思います。そこは、市町村がそれだけの努力をといいますか、広報をしたのであればやむを得ないと考えております。

 なお、申請期限につきましては、そういうこともありまして、余り短いのはどうかと思いますので、多くの市町村は三月程度でいいんじゃないかと言っておりますけれども、私どもとしては六カ月ぐらいはその申請期限をとる方がいいのではないかというような方向で今検討いたしております。

田嶋(要)委員 そうしますと、今おっしゃった御答弁は、過ぎてしまうと受給できなくなってしまうということですか。それは本人の責めによらない理由で、何らかの理由で届いていない、自分がそもそも申請できない状況にあって三カ月なら三カ月が過ぎてしまった場合でも、もうその方には受給権はなくなる、そういうことですか。

岡崎政府参考人 制度が実施されていることを全然知らないというようなことがないように最大限の努力をする、広報等に努力するという前提でございますが、今おっしゃったとおりでございます。

田嶋(要)委員 大臣、最大限自治体が努力をして、最後はそれぞれの世帯主の自己責任であるということで大臣もよろしいですか。

鳩山国務大臣 今岡崎審議官から申し上げましたように、大部分の自治体が大体申請期限は三カ月ぐらいかなというふうな意見が多いようですが、これを六カ月以内というのでどうだろうかということを申し上げていこうかと思っておりますのも、そういうことがないようにするためでございまして、申請がないまま申請期限を過ぎた場合には受給することはできないわけです。

 ただ、本人の責めによらない事由により受け取り期間が過ぎてしまうというのは、具体的にどういうケースがあるか。それは場合によっては、最終的にはケース・バイ・ケース。例えば災害、例えば大規模な地震なんかが起きれば、当然またそういう部分については話は変わってくると思いますけれども、本人の責めによらない事由によって受け取り期間というか申請期限が過ぎてしまうということは、具体的にどういうことがあり得るか、ちょっと教えていただければと思います。

田嶋(要)委員 私は答弁しませんけれども、ぜひとも大臣にお願いしたいのは、窓口で苦労するのは自治体なんですよ。ですから、これはいろいろなケースが考えられると思うんです。これまで総務省の施策でもほかの役所の施策でもいろいろと失敗しているのは、こういった想定外のところというか、物が届かないとかそういうことが多々ございました、後期高齢者も年金も。そういったときに、自治体の業務だからということではなくて、そのコストの負担に関してまで自治体の方に迷惑はかけないというその一点だけはしっかりと大臣から約束をしていただきたいというふうに思います。

鳩山国務大臣 本日の今の委員とのやりとりも含めて、想像力をたくましくして、どういうケース、こういうケース、ああいうケース、ありとあらゆるケースを、岡崎さん、あなたの方でも一生懸命考えて、これはいろいろな方の意見を聞いて、ちょっと思いつかないけれども、案外ありそうなケースが出てくるかもしれないから、それは懸命に考えて、その場合に、大体、マニュアルというわけではありませんが、自治体がきちんと対応できるように自治体に情報をお与えしていくことが大事だと思います。

田嶋(要)委員 これは、やはり窓口で本当にいろいろ問題が起きると思いますよ。そのときに、最後は何だかんだいったって期限を過ぎても支給しなきゃいけないケースが出てくる。そういうときに自治体を救ってあげてほしいと私は思っております。

 そしてもう一点、この受け取り方法に関してですが、これは部門会議でも議論になりましたが、今三つの手法を考えておられるということで、資料の三でございます。

 基本的には振り込むというようなことをおっしゃっておられるようでございますが、これは、現金で受け取る選択肢をどの自治体も排除はしないということでいいですよね。よろしいですね。

鳩山国務大臣 そのとおりだと思います。

田嶋(要)委員 私は、現金受け取りを希望される方が大変多くなると予想しておるんですが、皆さんの予想はどうなんですか、想定は。

岡崎政府参考人 今お示しした資料にありますように、定額給付金の実施に当たりましては、窓口が混乱するというのが一番心配でございますので、郵送の方法を導入するということでございます。

 それから、それにあわせて、市町村の御判断でありますが、振り込みによる給付を先に受け付けて、そちらの方がむしろ先に現金が手に渡るというふうな形にすれば、窓口の混乱は相当程度減少できるんじゃないかというようなことでございます。

 いずれにしても、迅速かつ簡易に受け取れるという方法、かつ混乱しないような仕組みについてさらに検討を加えると思いますけれども、基本的には、郵送申請等、あるいは振り込みの方が早いということであれば、そちらを選択される方が多くなるのではないかというふうに考えております。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋(要)委員 世帯主の中で振り込み口座を持っていない方というのは日本全国にどのぐらいいらっしゃるか、把握されていますか。

岡崎政府参考人 具体的に私どもその把握をしておりませんが、いろいろ市町村の方とか社会保険庁の年金関係なんかに聞きますと、ほとんどの方が何らかの口座を持っているというふうには伺っております。

田嶋(要)委員 私がとった情報でございますけれども、よく知られた数字として、今、日本に貯蓄の一切ない世帯が二二%おいでだということでございますが、その中で貯蓄口座のみならず一切口座を持っていない世帯というのが一五%いるというデータなんですよ。これは二人世帯以上です。掛け算すれば三・三%程度の方が、振り込んでもらう口座がそもそもないんですね、大臣。

 こういう現状がある中でその人たちはどうやって受け取れるかといったら、現金で受け取るしかないわけですよね。私は、ここの部分も大きな混乱を生むと思いますよ。これまでも何度も自治体に長蛇の列ができるような事態が起きましたが、大臣、この点は御認識ございましたでしょうか。

 私は、現金で受け取りたいと希望する方に加えて、世帯主が現金でしか受け取れない方が日本には相当数おいでだ。五千五百万と掛け算すれば大体の数字が想像できるわけですが、この今の日本はそういう現状にあるんですよ。そういう方々こそ生活支援が急がれるべき方々だと私は思うんです。

 残念ながら、窓口に来て、二時間待ち、三時間待ち。一万二千円、二万円、あるいは家族の分も含めて五万円平均ですか、そういう金額を受け取るのに市役所で何時間も待たされるような事態がいろいろなところで起きるんじゃないかというふうに私は思うんですが、大臣、この実態は御認識されていましたですか。

鳩山国務大臣 数字を正確には存じておりませんでしたが、口座を持たず、現金でしか受け取ることができない世帯がかなりの数に上るという認識はありました。そういう方は、当然、現金でしか受け取ることができないわけでございます。

 ですが、口座がないという理由でなくても、やはり現金は現金でして、現金で今すぐ受け取りたいと思う人は世の中にかなりいると思う。したがって、現金の方が早く受け取れるということになると、市役所に殺到する。そうならないように、口座振り込み等の方が先に給付金を受領できるようにした方がいいという考え方をとっているわけでございまして、確かに現金でしか受け取れない方が大勢おられることはわかっておりますが、そうした方々が長蛇の列にならないで済むようにという配慮を考えております。

田嶋(要)委員 いずれにしても、私たちもこの施策を行うことには反対でありまして、二兆円が本当に無駄に使われると私も思っています。本来だったら違う分野でいろいろ使えるのにというところですね。大臣の冒頭の御答弁とは異なりますけれども、本当にこれはよくない。

 そして、多くの国民が、自分が一万二千円もらいますか、もらいませんかという問題設定じゃなくて、二兆円がこういう形で使われるべきか、違う目的で使われるべきかということを冷静に判断して、今国民の八割が反対をしているということでございますので、ぜひ今からでも立ち戻ってやめていただきたいと思います。

 しかし、もしこういった政策が実行されていってしまうのであれば、少なくとも自治体には迷惑をかけない。それから、今申し上げたようなケース、本当に口座がなくて窓口に現金をもらいに来るしか選択肢のない方々がきちんと救済されるよう実務上の現場の体制をしっかりと施策の中で考えていっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

赤松委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 四十分の時間をいただいて質疑をしたいと思います。

 引き続き定額給付金のことについてお伺いしたいのですが、残念ながら午前中の委員会で強行的に採決をされまして、定額給付金の制度が現実味を帯びてきたという段階には入っていると思います。

 そういう意味でいろいろなことをイメージするんですが、実際のところ、有権者の方、市民、県民の方の手に届く段階を考えますと、幾ら早くてもやはり四月一日ぐらいからなんだろうな、年度内給付は厳しいのかなというふうには思っています。

 来年度に入ってから手に入ってくるわけでありますが、もう一つ時間軸がありまして、私たち衆議院の任期というものは九月十日で切れることになっています。いわゆる任期からさかのぼって半年という段階が、来年度の段階になります。

 この定額給付金がもし残念ながら実現してしまった場合には、まさしく選挙を控えた六カ月前ぐらいからちょうど給付の段階に入っていく。もしかしたら、もし三月、四月が選挙だということになれば、選挙のさなかにこの給付金が国民の手に渡っていくという段階になると思います。私は、非常に問題があると思います。

 これは選挙目当てかどうかという議論があると思いますが、選挙目当てでないんだというお話がありましたが、実はこのことを調べるに当たって、いろいろなものを、議事録等を調べました。

 そのときはまさしく地域振興券のときですけれども、公明党の続総務庁長官がこのような答弁をされているんです。「私は、国民の声として、この地域振興券に真剣に取り組みました。おかげさまで、マスコミから取り上げられて、大変ないわば宣伝をしていただきました。どうでしょうか。八百万の票をいただきたい、そうすることによって私どもはキャスチングボートを握るんだ、こういうことをお願いをいたしました。どうでしょう。七百七十五万票の票をいただきました。結果は、キャスチングボートをいただいたわけです。そのことが地域振興券に私はつながったと思います。」と。

 まさしく選挙目当てでやりまして、いっぱい票をもらいましたと言っちゃっているわけですよ。前例がこういう形でしたから、選挙目当てかどうかという議論は全くないという結論には至らないと思います。

 そういう中で給付の行為が進んでいくわけですが、私は一つ具体的に懸念するんですが、もし四月、五月に選挙ですと、先ほど田嶋委員からお話がありましたけれども、直接給付を受けに役所に行きます、市役所に行って定額給付金二万円、一万二千円もらいました、あっ、不在者投票もできるんだと。そのいただいたお金を持って投票行為に挑むときは、これはさすがに法的にもアウトに近いんじゃないかなと。

 ただでさえ私たちは、任期より半年さかのぼった段階において一般の政治活動が選挙活動とみなされる危険性があって、さまざまな制限を受けます。ああいうポスターを張ってはいけません、これは選挙を目的としたものとみなされます、さまざまな制限を受ける中で、今、全国各地に定額給付金をやりますという看板があって、選挙目当てではないと口で言いながらも、以前こういう大臣の発言があるわけですから、まさしく有権者の方にとってお金を直接もらうという行為が投票行為に結びつく可能性は十分に考えることができるんだと思います。ですので、これは具体的な手続になると思います。

 まず、法的な関係を伺いますが、選挙期間中に定額給付金をもらうということは、買収を含めてですけれども、公職選挙法上に何かしら抵触する可能性はないかどうか。いかがでしょうか。

門山政府参考人 選挙期間中に定額給付金が支給される場合の妥当性はどうかという御質問でございますが、定額給付金は、政府が景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するために、家計への緊急支援として実施する政策でございまして、仮に選挙期間中に支給されるということになりましても、公職選挙法上の問題は生じないというふうに考えております。

寺田(学)委員 私どもはそれに反対していましたし、与党の方々は推進するんだ、これが力になるんだということを言っていますので、投票行為と結びつく可能性というのは全くないとは言い切れないと思っています。

 私は、やみくもにこれは法律に違反するんだということを言いたいわけではないんです。今後現実化していく可能性が高まったわけですから、大臣、私は、例えばの話ですよ、解散をした場合、解散した以降は給付を一時停止するとか、そういう懸念が現実化しないようにさまざまな配慮が私は必要だと思っています。

 この法律自体をやめろとは言いません。まあ、私たちはやめろと言っているんですが、とめようが、さっきの強行採決を見ても、非常に強い勢いでこれを実現しようとしていますから、実現してしまった場合に、選挙期間中に定額給付金を現実にもらうということが起こり得るわけですから、何かしらの配慮が必要だと思います。

 大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 先ほど寺田委員が読まれた続大臣と私は全く考え方が違いますから、私は選挙目当てだとか選挙法との関係というのは想像もしていないわけです。それは、家計への緊急の支援とか、あるいは景気回復の起爆剤ということ以外全く考えていない。

 およそ予算を組んで何らかの施策をすれば、国民にはいろいろな受益者も出てくるわけですよね。それが何か全部選挙の買収とかそういうこととの関係で見られたら、それは、例えば生活保護費を引き上げましたといって生活保護が余計もらえるようになったら、あれ、選挙目当てかな、子ども手当を月二万六千円上げるから一票くれと言っているのかなとか、農家に所得補償するから票をくれと言っているのかなということになるから、私は、政策的に国のお金を扱うことと選挙法というのは余り結びつけて考えない方がいいのではないか、こう考えます。

寺田(学)委員 まさしく選挙をやっている身分の方々がここに集っているわけですから、選挙、特にその買収及び広報も含めてですけれども、主観的に私はそういうつもりではないということでやったとしても、周りからそう見られても仕方がないと言われた場合には、残念ながら、自分自身の考えとは別の形で注意を受けたり、ひどい場合には罪に問われたりするということがあると思います。

 ですので、客観的に考えた場合に、その可能性が捨て切れない場合には何かしらの配慮が私は必要だと。大臣自身がそう思われないということであっても、思っている方々は、実は選挙目当てかどうですかというアンケートはないですが、選挙目当てだということをお答えされている方も、私の範囲では聞くと、かなりの数に当たります。そういう意味では、私は、何かしらの配慮を、今後要綱を詰める際には大臣がお気にとめてお考えいただきたいというふうに思っております。

 お気にとめていただくことぐらいは大丈夫ですよね。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 私は、それこそ、この間、三日間地元へ戻っておりましたけれども、先ほどのお話と違って、定額給付金についての文句のようなものはほとんどどなたからも聞かれませんでした。むしろ、定額給付金について趣旨等を説明すると、万雷の拍手をいただくということでもあったわけで、趣旨を説明すれば違うんだなと。

 むしろ、私は、民主党が政権をとると月二万六千円子ども手当をくれるそうだよということの方が随分言われるものですから、そういうこともお気にとめて政策づくりをなさったらいかがかなと思いますが。

寺田(学)委員 この議論はもうやめたいと思いますけれども、私どもが政権をとったらこのような給付をしますということと、実際に投票する場においてお金をもらうことは全く違います。そこの部分は今の議論においては全く違うということだけ御指摘したいと思います。

 定額給付金の目的の話に入りたいと思います。

 迷走しているという言われ方をしておりますが、まさしく麻生総理が高額所得者の方がもらうのはさもしいと言ったり、今の段階においては、時代背景、目的が変わったんでしょう、高額所得者の方ももらって盛大に使ってくれという話をされました。

 どうなんでしょう、私も以前質疑したときに、この定額給付金の目的は何ですかというお話をしたときには、大臣の方から、生活支援がある、それとともに、ニュアンスとしては副次的な効果として経済の刺激策もあるんだというお話をいただきました。

 今回、麻生総理の発言をいろいろ調べてみますと、その重心というものが変わって、経済的なものを刺激するんだ、消費刺激だということが第一にあって、もちろん、それと同時の副次的な作用として生活支援もあるんだと。この重心が変わったのかなというふうにとらえています。

 いかがでしょう、この第一とする目的……。もちろん、どっちか一つしかないとは思っていません、二つある上でどちらかに重心が変わったんだと思います。今、重心はどちらに移っているんでしょうか。

鳩山国務大臣 私は、当初から家計への緊急支援と消費をふやす経済効果と二つあると。経済環境が世界同時不況というような様相を見せてきたので、重心が消費をふやす方に移ったというふうに言われれば、そういう要素はなきにしもあらずだけれども、私は、最初から二つ重心が、中心か重心かがあるまま来ているというふうに思っておりまして、あくまでも両方の目的を持ってこの定額給付金を実行しようと考えております。

寺田(学)委員 では、この趣旨、目的において第一はこちらで、あわせてこういう効果もあるという、その第一、第二という順位づけはない、両方だということでよろしいですか。イエス・オア・ノーで。(鳩山国務大臣「はい、私は」と呼ぶ)私はというか、総務省としてはそういうことでよろしいですか。

鳩山国務大臣 しつこいようですが、世界同時不況というような要素が出てきましたから、若干重心が移ったかもしれないけれども、私はまだほぼ同順位に考えております。

寺田(学)委員 予算の枝野理事に対して、枝野理事がさまざまな質問をする中で、同じような質問をしたところ、総務省の公式見解としては、生活者支援の趣旨が第一、あわせて広く給付が行き渡ることによって経済対策の効果もあるものであるということで、第一、第二をつけているんですよ。これは答弁と違うじゃないですか。ここが麻生総理がぶれたと言われる、さもしい、さもしくないの大きな大きな分かれ道なわけですよ。生活支援だと言っている以上は、やはりさもしいんですよ、総理の論理にのっとれば。

 そこら辺、どうなっているんですか。総務省としては、公式なペーパーとして、生活支援の趣旨が第一と言っているんですよ。どうなんでしょうか。統一して出してください。

鳩山国務大臣 こういうのを公式見解というのかどうかわかりませんが、私も恐らく何十遍とこの種の答弁をした中で、家計への緊急支援を必ず先に言っているわけで、それは、最初に出てきたものが定額減税、そしてまた、夏ごろの石油の物すごい急騰とかいうことがあって、そこが先に出てきたから家計への緊急支援を先に書くようになっているわけです。ですから、家計への緊急支援という方が、強いて言えば先に来るかなと。

 しかし、経済状況の悪化によって、それがちょうど今同じような段階になったかなという感じのとらえ方ですね、私にとってみれば。

寺田(学)委員 では、一月五日ぐらいに出された答弁みたいですけれども、生活支援の趣旨が第一というよりは、生活支援と経済対策の効果というものはほぼ同列に並ぶような、両方の趣旨である、どちらもだということだと思います。どちらかに重きを置いているのではなくて、イーブンに重きを置いているんだという御答弁でよろしいですよね。

 改めてお伺いしますが、だとすれば、お金持ちの方、所得が二千万超えるような方はもらっていいということですし、もらうべきだということでよろしいですか。

鳩山国務大臣 私は、内閣、閣僚の全員が完全に一致しているとは思っておりませんが、この事務作業というのか、あるいは実際に自治体にお金を配る責任者として定額給付金のことを考えた場合に、先ほどから申し上げておりますように、本来、この技術的な問題、税務情報の問題、税務情報の確定が来年の六月になるということも考えますと、定額給付金に所得制限をつけるというのはそれこそ事務的にも極めて難しいと考えまして、私は全員全員と、シンプルで、全員だと言い続けてきているわけでございます。

 所得の再分配効果というのが税金にありますけれども、それは当然、恵まれている所得の高い人と所得の低い人といろいろな意味で差があった方がいいというのは、世の中のありとあらゆる政策ではそういう配慮は必要なんですけれども、この定額給付金に関する限りは、それは実際問題として技術的にできないということが一つ。

 とにかく全国民に受け取っていただいて、それを寄附なさるのは構わない、高額所得者の人が受け取って寄附するのは構わないが、受け取らない場合には国からも行かないわけですから。それは十分の十の補助金ですから、どこかの市町村が所得制限をした、それで一定の所得以上の人が受け取らなかったら、その金は国庫に残るだけで、地方には行かないということを御理解ください。

寺田(学)委員 ちょっと質問の趣旨が伝わっていなかったかもしれませんけれども、多くの閣僚の方、まあ、総理みずからが、高額所得者なんてもらうべきじゃない、さもしいという話をされた。それで議論があったので、今回経済的な状況が変わったので、大いにもらって、やってほしいと。ある意味勧めている形になっています。ですので、お金持ちの方もどうぞどうぞもらってくださいと。政府としては勧めるということでよろしいですかという質問です。いかがですか。

鳩山国務大臣 私は基本的にそう考えております。

寺田(学)委員 だとすれば、もちろん、もらうもらわないは個人の判断、最終的には。もらうかどうかはそうですけれども、大臣から見て、麻生総理はもらった方がいいと思われるのかどうか。いかがですか。

鳩山国務大臣 私は、全国民が受け取るべきだというふうにお勧めをいたしております。

寺田(学)委員 今、全国民が受け取るべきと言われました。その全国民の中に、愚問ではありますが、麻生総理は入りますか。

鳩山国務大臣 麻生総理は国民のお一人だと思います。

寺田(学)委員 だとすれば、麻生総理はもらうべきですか。いかがですか。

鳩山国務大臣 私の希望としては。

寺田(学)委員 私は当然の論理だと思うんですよ。景気の刺激のために、高額所得者の方もどうぞどうぞ、全国民の方がもらってください、それでお金を乗せて使ってください、それが制度なんですということですから。麻生総理が、経済環境が変わったどうこうなしに、さもしいと言っていたのがいきなりもらうべきだと言ったら、それはおかしいという話になりますが、経済環境と目的が変わったんです、だから私ももらうことにしますというのは、私は素直な話だと思うんですよね。大臣、携帯見てないで……。

 総理は何であれをはっきり言わないで、ちゅうちょされているんですかね。大臣から見てどのように思われますか。なぜちゅうちょされているんでしょうか。

鳩山国務大臣 総理の心の中までは読み取れないので何ともお答えのしようがありませんが、あえて私の思いを申し上げれば、私はうそをつけない人間ですから、最初に総理が十月三十日の夕方の記者会見で、我々もみんなテレビの前でくぎづけで、何とおっしゃったか正確に覚えていませんけれども、全世帯とおっしゃったのか全国民とおっしゃったか覚えていませんが、全世帯に配りますとか行きますとおっしゃった、あれをすべて貫いていただきたかったという思いが痛切にございます。

寺田(学)委員 今、総理がもらうべきかどうかというところからこの制度の趣旨というものは透けて見えてくるわけです。

 総合して申し上げますと、経済的な刺激効果があるので全国民がもらっていただきたい、そういう制度であると。もちろん、それでもらうかもらわないかは個人にゆだねましょうと。この定額給付金をもらうかどうかは個人が決める。個人がもらうもらわない。それ以外、何かしら判断の余地というのはないんですよね。個人が決めればよろしいんですよね。

 大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 それはおっしゃるとおりなんですが、つまり、受け取るか受け取らないか、余り現金を好きでないとか欲しくないという人は世の中には多くはないと思うのですが、それは自由意思としか言いようがありませんが、私は総務大臣という立場として、定額給付金に明確な目的を見出している以上は、受け取ってもらいたいとつくづく思います。

寺田(学)委員 私がなぜそういう質問をしたかというと、この制度の目的が生活支援というところから、大臣の言われるとおり経済の刺激策というものが並ぶほどに来ているんだという段階になった場合において、所得制限を設けることはもうやめなければならないと思うんです。後でも質疑しますけれども、これからこの法案、財源法案等も整って、補助金要綱をつくられると思うんですよね。その段階において、もう経済環境も変わったんです、そういうことにおいて所得制限を、地方にやるかやらないかをゆだねることすらも、所得制限のことを要綱の中に入れなければいいと思うんです。

 なぜまだ所得制限をするという発想が残っているのか。もっと言うと、何で所得制限をしなきゃいけないのか。可能か不可能かではないです、なぜ所得制限をするか、どのようにお考えですか。

鳩山国務大臣 今の部分に関して言えば、寺田委員と私の考え方は非常に近いんだと思うんですね。なぜあんな所得制限なんという議論をするやつがいたのかと腹立たしく思っているんです、私は正直言って。それは民主党の幹事長や私のような人間も受け取るべきなんですよ。べきと言っちゃいけないんだけれども、それはそれで使うんですよ。私はそう思っているのです。だから、ある意味では憤りを覚えている部分はあるので、今の部分に関して言えば、寺田委員と私は、考えはそう違わない。

寺田(学)委員 では、要綱から取りましょうよ。それでよろしいですか、大臣。

鳩山国務大臣 それはやはり与党合意のようなものがあって、その与党合意の中でいろいろ議論があって、どうしても所得制限をしたいという自治体があるならばそれを妨げない、その基準が千八百万というようなことが言われておった。ですから、私としては、そういうふうになってはいるが、千八百の自治体に命令はできません、指揮もできませんから、所得制限をしないように要請をしたいと思っています。

寺田(学)委員 いや、要請する前に要綱に入れなければいいんです。そしたら、議論の余地も全くありません。

 与党合意という話がありましたけれども、まさしく、与党合意の中で、与党の一つの自民党の総裁である麻生総理が責任を持って決めた段階から、麻生総裁いわく、経済状況が大きく変わったんだと。さもしいと言っていたものが、どんどんもらって盛大に使ってくれと変わったんですから、この所得制限の扱い自体も、当時合意したところから全く性質の違うものになっているはずなんですよね、環境的には。ですので、この所得制限があれば、地方議会で議論の俎上にはのりますよ、これを設けるか設けないかと。そういうような議論をしなくてもいいようになるためには、要綱に盛らなきゃいいんです。

 大臣、どうでしょう。要綱に盛らないように検討されますか。大臣、要綱からこの所得制限を取る、そういう形で検討されますか。

鳩山国務大臣 与党合意というのがあるものですから。それは民主党の皆様方にとって小沢一郎さんの指示とか相当強烈なものがあると思うので、私にもやはり逆らいがたいものがあるというのは間違いありません。

寺田(学)委員 そんな、天の声があるから変えられないんだという話をしたら、この委員会で議論しても、与党の方に聞かない限りわからないということになるわけですよね。

 これは廃止する方向で検討する、大臣も与党ですから、与党の中で廃止の方向で検討するように働きかける、そういう答弁はどうですか。

鳩山国務大臣 ただ、そういう形で、つまり、自治体が所得制限を設けようとする考え方や声があるとすれば、それを妨げないというふうにしてきておりますので、これからそれを変更するというのは困難がつきまとうと思います。

寺田(学)委員 先ほど趣旨をお伺いしました。大臣みずから、全員の方がもらうべきであろうと。もう生活支援だけではなく、経済刺激の面も並ぶようにしてあるんだと。もしそれで、本来もらうべきであろう、補助金の趣旨として全員にもらってほしいという形で出しているものが、所得制限によってもらえなくなったとしたら、それは不正運用になりますよ、趣旨が違うんですから。

 趣旨は、全員にもらってほしいというところに変わったんですよ。変わったにもかかわらず、そんな所得制限を設けているときは、自治体としてそんなことをしたら、もらう権利を奪っているようなものじゃないですか。だから、要綱から取るべきなんです。要綱から取れない理由はどこにあるんですか、大臣。

鳩山国務大臣 与党との関係においてこのような形で今のところ方針をつくっているわけでございますから、与党が考えを変えていただかないと、私の場合は非常にこれを取り外すのには困難がつきまとう、こういうことかなと思います。

寺田(学)委員 与党がどこを指しているかわかりませんが、与党に対して、与党の方に修正するように働きかけることはなさりませんか。いかがですか。

鳩山国務大臣 与党が合意して、枠組みを決めてここまで進めてきましたから、やはり法的安定性というのかな……(寺田(学)委員「法律ではない」と呼ぶ)

 法律ではないですけれども、要するに安定性の問題として、今になって変えるというのは甚だ困難かなと思います。

寺田(学)委員 麻生総理に対して、こういう所得制限はもうやめましょう、総理みずから言われるとおり時代は変わったんですということを働きかけることはされますか。

鳩山国務大臣 もうここまで来ておりますので、ここでまた違う構想にするというのは非常に難しいと率直に思いますので、これから総理に呼びかけるということは、私としてはしかねるところでございます。

寺田(学)委員 総理みずからが目的が変わったと言っているんですよ。もう一つの経済刺激の面が非常に強くなってきているんです、時代が変わったんです、目的も変わったからさもしくないんですと言っているわけですから、それに合わせて物事を変えるのは当然でしょう。

 それを、その部分だけ前に決めたことですからと。総理は勝手に変えちゃっているんですよ、目的を。だから、迷走と言われているんですよ。それに合わせて部分修正しましょうと言うのが実務者としての総務大臣の役割じゃないですか。言ってはね返されたら、それは総理の責任ですよ。

 総務大臣として、実務者として総理に言うことは、私は必要なことだと思います。ぜひ言ってください。いかがですか。

鳩山国務大臣 きょうこういう議論をしていることは、当然総理もどこかでお知りになるでしょうけれども、それはこちらに与党の皆さん方が大勢おられて、党というものと我々の関係は非常に深いものがございますので、党が方針を変更しなければ私としては方針は変更できない。

寺田(学)委員 総務大臣ですよ。総務大臣が総理に対して言うのが物すごく大変で、与党議員の方々から総理に言ってくださいというのは……。

 議論できませんよ。総務大臣なんですから、責任者ですよ。責任者として、この委員会で出てきた問題点を総理に伝えるのは当然の役割じゃないですか。それすらもしないんですか。

鳩山国務大臣 こういう議論があったことは、私はもちろんお伝えしますよ。

寺田(学)委員 そのお答えを、またこれからいろいろな審議があると思いますけれども、審議の中で御答弁いただけるということでよろしいですか。

鳩山国務大臣 それは、お尋ねいただければお答えをいたします。

寺田(学)委員 このことはこれだけにしておきます。

 予算の枝野理事から出された質問に対する回答で、この給付金が本当に年度内に給付されますかという質問があるんですが、それの正式な答えです。国の予算が早期に成立すれば、年度内の給付開始が可能と考えていると。前提条件を出して可能だと言っているんです。

 まず、このことについて聞きますけれども、可能というのは、国民の中のある一人に対して給付金が渡った段階においてこのことが可能、まあ、開始されたととらえているのか、市役所、役場の段階で給付する名簿ができ上がったということを可能と言っているのか。この可能というのは、何なんですか。

鳩山国務大臣 もちろん、関連法案も早期に成立することが望ましいわけですが、補正予算が成立をすれば、要綱をつくって各自治体に連絡をする。各自治体は、自治体の補正予算を議決しなければならないというようなこともありますから、それぞれの地方の事情というのがございますので、一律に全部が歩調を合わせてできることとは思っておりません。

 ただ、一日も早くこの補正予算が成立をいたしますと、要綱をつくって、配って、連絡して、すべてがスピードアップしてくると、私が考えております給付開始が可能というのは、年度内給付というのは、つまり実際の給付ですよ、例えば口座振り込みであれば振り込む、あるいは現金は後になるかもしれませんけれども現金を渡す、それが給付。それが年度内に開始されることができるだろうと。それを可能と言っております。

寺田(学)委員 それは、たくさんの世帯がありますけれども、一世帯でも給付された段階、給付が可能になった段階。一世帯でもあれば、それで公約は果たした、年度内給付をするという公約を果たしたということになる、その解釈でよろしいですか。解釈です。

鳩山国務大臣 ですから、自治体によって事情が違うし、自治体の議会の議決が必要になってまいりますから、それぞれ事情が違う。

 ですが、大体、方式としては、最初に連絡のはがきを出して、それが戻ってきて、口座振り込みをするというような形になるんだろうと思いますが、それが年度内に始まれば、まあ、一件でもというのは極端ですが、一件でもと言われると何とも言いにくいですが、それが何件でも、仮に多数でなくても、その自治体で開始できれば、その自治体は年度内に給付を開始した、こういうふうに解釈をいたします。

寺田(学)委員 政府の中で、年度内にやるためにスピーディーにやりましょう、年度内給付なんですということを言われていましたけれども、その年度内給付をするという約束はその時点で果たされたことになるという解釈でよろしいですか。

鳩山国務大臣 そういうことになります。

寺田(学)委員 果たしていないような世帯が九九%に及んだとしても、年度内給付するという約束は守ったというふうに強弁されることになるわけですか。いかがですか。

鳩山国務大臣 我々は、一件でも多くのところに年度内の給付ができるように精いっぱい努力します。こういう答弁でお許しください。

寺田(学)委員 この答弁の一文、国の補正予算が早期に成立すれば年度内の給付開始が可能と考えていると。この一文はシンプルですけれども非常に意思を込められているお話で、今まで法案の成立に関しては、法案がいつ成立するかわからないので何とも言えないというふうな答弁が多かった中で、早期に成立すれば可能なんだと言われている。その早期というものを具体的に想定されているからこそ、こういう文章が打てるわけですよね。

 大臣自身として、総務省として、この早期というのはどのぐらいの時期を、年度内給付する上で早期に成立すればという条件ですから、この早期の大体の目安というのはどれぐらいに考えられているんですか。

鳩山国務大臣 これは技術的というよりもその手はずを整える問題でございますので、それは事務方からお答えする方が本当は正確かと思いますが、私としてはとにかく一日も早い補正予算の成立を願っておりまして、日にちで言えと言われても言えませんが、ただ、一日も早い成立をお願いしていこうと思っております。

寺田(学)委員 早期という言葉と、できるだけ早くという言葉は、似ているようで全く違います。できるだけ早くというのは態度、意思の問題です。早期というのは具体的な時期の問題です。この早期というのはいつぐらいの時期を想定されているんですか。もう一度御答弁ください。

鳩山国務大臣 我々も努力目標を定めてやっているわけですから、一日も早くというふうに考えておりまして、一日も早く成立すれば年度内支給が可能となる自治体の数がふえる、こういうことだろうと思っております。

 ですから、本来ならば、例えばきょうの予算の採決には若干残念な場面がありましたけれども、こうして参議院へ送られて、速やかに結論が出て、あるいは戻ってくるのかわかりませんが、そういうような形を望んでおります。

寺田(学)委員 ですから、できるだけ早くというのは、意思の、大臣が言われた努力目標の話であって、できるだけ早くやったけれども三月三十日になってしまうということは、できるだけ早くという言葉の中には含まれていると思いますよ。

 早期という言葉を出したんです、早期に法案が成立したならば可能だという前提をつけて結論を出しているわけですが、この前提というのはいつなのかということです。できるだけ早くという話の態度の問題じゃありません。成立というのは、もちろん、答弁書の中では、関連法案まで含めて成立ですから、参議院の議論も含めて関連法が成立した段階ですから、その成立したときに、総務省が言う早期というのはいつのことなんですかということです。できるだけ早くというのは答弁じゃないです。

 早期というのはいつごろなんでしょう。二月の中旬、二月の初旬、三月上旬、いろいろな言い方があると思います。大体、この早期というのはいつごろのことを指し示されているんですか。いかがですか。

鳩山国務大臣 それは三月三十一日になって補正予算が成立するのではお話にならないわけですが、できるだけ早く成立できるように皆様方にもお願いをして、我々も努力をするとして、例えば今月中に成立をする場合、あるいは二月の節分のころに成立する場合、こういうふうに考えていって、できるだけ早ければそれだけ年度内支給できるところが多くなるというふうに考えております。

寺田(学)委員 答弁になっていません。時間になりますので、この定額給付金の問題はまた次に譲ります。

 最後に一点だけ、かんぽの宿の件について。

 きょう、恐らくお会いになられたのか、これからお会いになられるのかわかりませんが、さまざまな関係者の方からヒアリングをされるというお話を聞きました。大臣が一点の曇りなくやらなきゃいかぬと発言されているとおり、何かしらの疑念を持たれているんだと思います。

 かんぽの宿がオリックスに売却されることについて大臣の認可いかん。どうするかということですが、大臣として、どのような点が晴れた場合には認可をされるんでしょうか。そのことだけ御答弁いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 総務大臣認可にかかってくるのは、売却という問題ではなくて、例えば日本郵政が、かんぽの宿が七十、あるいはもうちょっとふえるかもしれませんが、それを別会社にして会社分割をしていくプロセスに関して、私の認可がなければ会社分割はできない、こういうことでございます。

 私は、まず、李下に冠を正さずということはどうしても申し上げたい。例えば、いろいろな有識者の方々が政府の中に入って、いろいろな審議会とかいろいろな役回りをされる。そういう方々は大変優秀な方が多いと思うし、優秀な意見を出していかれるんだと思いますが、やはり深くかかわった事柄には御自身の関係する企業は余りお触れになっていただきたくない。それが李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという考え方だろうと思っております。

 オリックスの宮内さんという方は、規制改革委員会の時代から総合規制改革会議、そしてまた規制改革会議へと、ずっと座長とか委員長の役割をしてこられた方であって、例えば郵政民営化の議論は途中から経済財政諮問会議の方に移っていきますけれども、それまでは郵政民営化の議論をしてこられた方だし、また、公的な宿泊施設というものはもう減らさなくちゃいけない、売却とか廃止とかいうような答申も出されておられる。そういう方ですから、やはり李下に冠を正さずという形で歩んでいただきたいということが一つ。

 もう一つ、なぜ今のような時期に、経済状況が悪くて安売りになってしまうのではないかというおそれを非常に感じることと、なぜ全国一括なのか。それぞれのかんぽの宿では大変人気の高いところもある。それは地元資本か地元の方々が買い取って経営するということも十分可能ではないか。

 こういうふうに私は考えておりますから、正直言って、今、会社分割という形で認可しようといっても、全く認可する気持ちはありません。疑念が晴れないからであります。

寺田(学)委員 時間ですので、以上で終わりたいと思います。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 地方交付税法に関連して質問いたします。

 法案についてですけれども、国税五税の減額補正に伴って、地方交付税総額の減少額が全額補てんされるというのは当然のことであります。

 そこで伺いますが、今回の措置は将来の交付税の減額という仕組みになっていると思うんですが、その点を確認させてください。

鳩山国務大臣 先ほど提案理由で御説明しましたように、世界的な経済不況の中で、交付税の原資である国税五税が七兆円を超すという減収になり、その影響で地方交付税に二兆三千億近い穴が生じる。しかしながら、それは地財計画による地方交付税をもとにして各自治体が予算を組んで既に執行してきておるわけですから、今さらそれを取り戻せ、返してこいということはとてもできないから、これを補てんしなければならないということでございます。

 そこは、折半ルールというのがございますので、穴埋めする地方交付税の加算額の半分強は折半ルールによって地方がこれを負うということで、五年間かけて、地方交付税のいわば先食いをしたような形の処理になっております。

塩川委員 大臣が先食いとおっしゃいましたけれども、七年先の交付税にまで手をつけることになる。こういうやり方は将来の地方財政運営に支障を来すことになりはしないか。その点についてはどのようにお考えですか。

鳩山国務大臣 先生御承知のように、もともと交付税特会の借り入れという形でしのいできたケースが多かった。これは国分、地方分とあったんでしょうけれども、現在、地方分としても三十三兆円というお金が残っている。国、地方の借金の合計が幾らという計算のときに、この三十三兆円は地方の借金として計算されてしまっているわけですが、それはもうできないことになってしまいましたので、今回のような措置をいたしました。

 実は、大きな問題として、昨年何回か御答弁申し上げたように、三位一体改革の中で五兆円以上の交付税の減額というのがなされた。それが今の地方財政に非常に大きな影響を与えている。そういった意味では、地方交付税の復元という作業をこれから懸命にやっていく。

 今後、いろいろな加算を予定している、あるいは求めていく、その範囲内で先食いする。一年当たり二千五百億ぐらいの先食いを上回る法定加算等をこれから求めていこうと思っております。

塩川委員 大臣がおっしゃられましたように、この間、三位一体改革の名のもとに交付税が大幅に削減されたということがありました。政権によって対応が大きく変わるということでもあるわけで、将来について、この加算を求めていくということが実際に本当に担保されるのかということが率直に疑わしいということがあります。

 この点についても、もともと地方にツケ回しをすることにおいては変わりがないわけですから、私たち、政権の立場によって交付税が上がったり下がったりするようなことが起こるのであれば、その見通しも立たない、今現在から七年先まで地方交付税の先食いをするようなやり方そのものが認められない、このことを申し上げてまいりました。

 もともと交付税法に基づけば、毎年度分の交付税総額の見積もりは総務大臣の権限と責任のもとで行うことになり、地方財政計画の策定等は内閣の義務であることを規定しております。ですから、この法律の趣旨からいえば、年度途中であっても、地方財政計画で年度当初に見込んだ交付税の総額は国の責任で確保すべきであり、法案は補てんの一部を将来の地方交付税から減額するものだ、私どもとしてはこういう地方への負担転嫁は認められないということを申し上げておくものであります。

 そこで、定額給付金についてお伺いします。

 最初に、事務方で結構なんですが、定額給付金の中にあります所得制限の仕組み、これはどういうふうになっているのかについて、簡単に御説明いただけますか。

岡崎政府参考人 所得制限の仕組みでございましょうか。

 私どもが考えておりますのは、十一月二十八日にお示ししたたたき台の中に書いておいたのですが、やはり所得の時点というのを、給付金をちょうだいする時点といいますか、給付される時点と合わせることにしてあると思いますので、平成二十一年の一年間の所得が基準額を超えた場合には、給付する際に、後で所得情報でそこをチェックして超えた場合に返していただくことがありますよという同意をとった上で給付をいたしまして、超えていることが後ほど確認された場合には返還を請求するという仕組みが基本ではないかということで、市町村にはお話をしております。

塩川委員 一度は全員を給付対象にして、申請書に、税務情報を調べる場合もありますよということを断って、チェックをされるということであれば、給付がされる。二十一年の所得がはっきりした場合に、いわば千八百万円を超えるような人については、改めて連絡をして、返してくださいというふうにお願いをするという仕組みですよね。確認です。

岡崎政府参考人 初めから明らかに超えることがはっきりしている人は申請しないかもしれませんけれども、基本的には、窓口で出す、出さないの混乱を避けるためには、同意をとった上で給付をして、後ほど返還を請求するというのは御指摘のとおりであります。

塩川委員 市町村は、年度末から給付を開始するというだけでも大変な労力がかかるわけであります。その上、所得制限を実施しようと思えば、その市町村は、受給権者に税情報取得の同意を求めて、それから来年、二〇一〇年の五月以降、税情報をチェックして、一千八百万円以上となれば給付金の返還を請求する必要がある、こういう仕組みになるわけです。

 労力を考えましたら、市町村にとって、一度支払ったお金を後で返してくれと頼み込む仕組みというのはどういうものかな。もちろん手間も大変です。また、もらう側にとっても、一度もらった給付金ですけれども、チェックをしたといった場合に、後で返してくださいという仕組みというのも大変おかしな仕組みだと率直に思いますが、大臣、おかしいとお思いになりませんか。

鳩山国務大臣 日本の国が、納税者番号というような形で、また、そうした税務情報をいろいろ使っていいというような法律でもあれば別でございますけれども、実際、一人一人からあなたの所得を把握したらそれを使うことがありますなどという了解をとって、しかも、平成二十一年、ことしの暦年の所得が確定するのは平成二十二年の五月か六月じゃないですか、そんな時点になって返してくれと。返したお金が地方自治体に入るんじゃなくて国へ戻っていくわけですから、私は、そんなばかげたことは本当はあってはならないとずっと言い続けて、所得制限をつけるのはやめるように要請をしたい、こう申し上げ続けておるわけです。

塩川委員 市町村にやらないでほしいと要請したいというお話ですけれども、今も、こんなばかげたことはあってはならないとおっしゃいましたし、予算委員会の質疑のとき、逢坂議員の質問の際にも、所得制限というのは非現実的だと述べておられました。非現実的ということなんですね。

鳩山国務大臣 そうですね、非現実的だと思いますよ。やるところがあったら、何だと世の中から批判を受けるような、非現実的なことだと思っております。

塩川委員 では、そのような非現実的な所得制限の仕組みをなぜ盛り込んだんですか。

岡崎政府参考人 基本的には、大臣のお話にありましたように、すべての方に給付するのが基本でございますけれども、当時、いろいろな議論がありますので、市町村が一定の金額以上の所得がある方は対象外としたいというようなことがあった場合には、それもすべて補助対象から外すのではなくて、排除することはないであろうという考え方のもとにこういう仕組みにしたのだというふうに理解をしております。

 十一月十二日の与党合意も、同様の考え方のもとに行われたというふうに理解をいたしております。

塩川委員 与党合意を踏まえたものということですね。

 では、なぜ与党合意で所得制限を盛り込んだんですか。

鳩山国務大臣 なぜ与党合意に盛り込まれたかというのは、私にはよくわかりません。正直言って、そうであってほしくないと願っておりましたが、さまざまな議論の中であのような与党合意となりました。私は、一切所得制限のない形を強く望んでおりましたから、実際そういう意見は述べましたから、与党合意がああいう形になってしまいましたが、私としては残念だったですね。

 なぜそういうふうになったか、なぜ与党合意がそういう形になったかは、私にはわかりません。そういう議論があったとしか言いようがないということです。

塩川委員 麻生総理が迷走したからではありませんか。

 十月三十日、生活対策発表時には全世帯に実施と述べていたのに、十一月の四日には、貧しいとか生活に困っているところに出す、豊かなところに出す必要はないと発言をしておられるわけで、わずか五日間で制度の根幹である給付対象者の位置づけが変わったからです。総理が迷走したから、こんな非現実的な制度をつくることになったのではありませんか。

鳩山国務大臣 経済財政諮問会議の議事録は明らかになっていると思いますが、そこでそういう議論が出ておりました。高額所得者には配るべきでないという所得制限論が出ておりました。その辺からいろいろ幾つかの所得制限論が出てきたのかなというふうに私は推測いたしております。

塩川委員 ですから、そこも含めて、総理がおっしゃったからなんですね。その後の十一月の十日に、総理は、高額所得者には自発的にやってもらうんだ、辞退してもらうんだと発言をしている。だからこそ十一月の十二日の与党合意に反映をしたわけで、総理自身が非現実的な制度をつくったんですよ。

 それに加えて、年明けの発言であります。十二月の十五日に、例の、さもしい、人間の矜持の問題という発言など、昨年の末までは高額所得者に辞退を促していましたのに、年が明けると一転して、高額所得者がもらった場合には盛大に消費していただきたいと。これもまた迷走しているんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 私は、与党合意ができていくプロセスの中で、所得制限を設けるべきだという意見もいろいろあったんだろうと思います。私は、総理がそうした意見にも配慮されたのかなというふうに思っております。

塩川委員 総理が十二月の十五日には、さもしい、人間の矜持と、高額所得者に辞退を促している発言をしているのにもかかわらず、年が明けたら、受け取って盛大に消費してもらいたいという発言が、矛盾していませんか、迷走しているのではないかと考えますが、大臣はいかがですか。

鳩山国務大臣 現在でも、御自身が受け取るか受け取らないかについては、人の自由意思であるというようなことをまだおっしゃっておられるようでございますけれども、やはり総理としては、枠組みも決めていく過程でさまざまな意見があったので、それに配慮されて若干のあの発言の揺れがあったのかなというふうには思います。

塩川委員 一月八日の予算委員会の答弁で、総理は、景気の情勢が大きく変わっており、生活給付金という色合いとともに消費促進という色合いと両方出てきている、消費促進の面を考えたら、高額所得者がもらわれた場合は盛大に消費していただきたいと述べておられます。

 景気の情勢が大きく変わったから消費促進が重要になったということなんですが、もともと、十月三十日の定額給付金を発表した生活対策の記者会見で、総理は、全世界的な金融システムの動揺が日本の実体経済に影響を及ぼすのは確実だから、自律的な内需拡大が必要と述べていたわけです。

 実体経済の悪化を確実視して消費刺激を含む内需拡大を強調していたわけですから、だったら、去年のうちから消費刺激が必要だという立場に立って、高額所得者にも定額給付金をもらって盛大に使ってくれと何で言わなかったんですか。

鳩山国務大臣 先ほど寺田委員とのやりとりの中では私もいろいろな議論をいたしましたけれども、当初から、家計への緊急支援と景気刺激、消費の刺激というのか消費の増大というのか、二つの意味合いがあった。それが実体経済への波及というお話もありましたが、世界同時不況の中で、確かに消費の刺激という意味合いが若干色濃くなってきたのかもしれない。

 総理も経済に明るい方ですからそういうふうなお考えをお持ちなんだろうと思いますが、総理の若干の発言の揺れと私が申し上げておりますのは、やはりあの枠組みを決めていく中で、経済財政諮問会議でも所得制限論が出ておりますし、いろいろ所得制限論を総理におっしゃった方々もおられたのではないか、そういう方々に配慮をされたように思います。総理は、見た感じよりも物すごく神経細やかに配慮をされる方でございますので、そういう配慮があったのではないかなというふうに思います。

塩川委員 十二月十五日にさもしいと言っておきながら、年明けには大いに使ってくれと言う。そういう景気情勢の認識そのものが、経済がよくわからないと言われちゃうんじゃないですか。本当に消費刺激の必要性を強調しているのであれば、所得制限の規定を残す必要もないわけであります。

 もう一つお聞きしますが、定額給付金が生活支援の制度という側面を持っているんだったら、本当に生活支援を必要としているホームレスやネットカフェ難民の人たちに確実に届くのか。その点を確認させてください。

岡崎政府参考人 先ほどもお答えいたしましたが、ホームレスなりネットカフェの方というのは住民票がある方、ない方ございますので、二月一日現在で住民票がどこかの市町村にある方、住民基本台帳に載っている方については給付ができるようになりますし、そのときに残念ながら消除されたりどこにもないという方については、今回の仕組みではお配りすることがなかなか困難だと思っております。

塩川委員 ですから、必要な方には届かないという仕組みになってくるわけです。高額所得者には盛大に使ってくれと言いながら、本当に必要とするホームレスとかネットカフェ難民の手元に届く保証がない。

 何でこんなふうに定額給付金事業の目的、性格が迷走することになるのか。それは、定額給付金の本来の目的が別なところにあるからだと言われているように、結局は選挙目当てのばらまきだったからであり、自民党にとってのもう一つの目的が連立のコストだという話も出ているじゃないですか。テレビ番組の中で、自民党の有力者の方が、国民の六割以上が反対している定額給付金をなぜ実施するのかと問われて、これは連立のコストだと述べておられる。

 こんな目的、性格づけというのが結局ぶれまくる結果を生み出している。ぶれてばかりの麻生総理がぶれていないのは消費税増税計画だけであるわけで、我々は定額給付金も消費税増税計画も撤回を求めて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 わずか二十分という時間でありますので、簡潔に質問いたしますが、答弁も簡潔に願いたいと思います。

 まず、坂本政務官の不見識きわまる発言について伺います。

 先日、我が党の緊急雇用・医療対策本部で、年越し派遣村の運営にかかわった労働組合の方から話を聞く機会がありました。関係者の方々の努力に本当に頭が下がる思いです。そこで伺った話は本当に深刻な話でありました。

 そういう状況がある一方、政務官の発言は、本当にまじめに働こうとしている人が集まっているのかという本人の率直な疑問が呈せられたということです。私は、これは全く現実を知らない発言というばかりか、政治の責任で追い込まれた人々を不当におとしめて、社会が真剣に向き合わなければならない問題から国民の目をそらせようとする、そういう意図があるのではないかということすら思わざるを得ません。

 しかし、その後、坂本政務官が発言を撤回いたしました。それは、いわゆるあの日比谷公園あるいは厚生労働省の講堂等々の事態が終わって次の段階に移る、その節目のときでの発言であった。それを受けて、大臣は、真摯に反省して謝罪したということでやめる必要はないんだ、こういう結果になったわけです。

 私は、これはそんなことでおさまる話ではないという基本的な認識を持っています。やはり根源的に、坂本政務官はこの種の事態に対する認識が誤っている。しかも、御用始めのときに発言したわけですね。しかし、事態は年末年始、それ以前からずっと続いて、どの新聞もテレビも大きなスペースを割いて報道してきたわけですよ。ですから、政務官が言っているように実態をよく把握しないままの発言だったというような認識は通用しないと私は思うんです。

 そういう点について、大臣の真摯に反省し謝罪をしたという認識と現実は随分乖離していると私は思うんですが、大臣、時系列的に押していっても私のそういう指摘というのは間違っていないと思うし、逆に、坂本政務官が言うように実態をよく把握していないままの発言でしたということで済む話ではない、時系列から押していってもそんなことは通用する事態ではなかったという、認識の問題ですね。まず問うてみたいと思います。

鳩山国務大臣 実は、私も年末に福岡におりました。一日は、朝八時だったかと思いますが、年賀状配達出発式がありますから、その関係で大みそかには既に東京におったわけであります。そしてあの派遣村の深刻な状況をテレビ等で見て、ああ、東京ではこういう形をとっているのか、私の選挙区ではこういうものはなくて、みんな大変厳しい雇用情勢の中でいろいろ頑張っているというふうに思いました。

 恐らく坂本政務官も、多分、私と違って年末から年初にかけて熊本に帰っておられたのではないか。そこで非常に厳しい話を聞かされたり厳しい状況を見たりして、その話を仕事始め式でもされておられました。その非常に厳しい熊本の状況を見て、東京へ久しぶりにやってきてみたら派遣村というのがあって、すごくにぎやかに見えた。私は、何かそこで一種の、カルチャーショックではないんでしょうけれども、意外感みたいなものがあのような発言になったんだろうかなと。

 発言の内容は明らかに不適切です。それは私は断定的に申し上げられます。ただ、いきさつはそうではなかったかなということで、私自身も総務大臣政務官とは何回も話をし、彼自身から真摯に反省をしている旨も聞き、発言を撤回して謝罪をしたい、こういうことでありましたから、ぜひその方向でやってくれということで、彼は発言を撤回して謝罪を記者会見でいたしました。

 非常に真摯に反省をしておりますし、雇用問題へのとらえ方は私以上に深刻に厳しく思っている点もこれありまして、今後、一生懸命仕事をしてくれるものと考えております。

重野委員 坂本政務官は選挙区が熊本ですから、今言う話は熊本と東京の差があるということを強調されていたと思うんですが、それはやはり今の御時世、熊本におろうが東京にいようが、さっき言ったように、新聞でありテレビであり、現場の生々しい姿はどんどん国民の目に入ってくるわけですから、そういう時差はないんだろうと私は思いますよ。

 私が強調したいのは、政務官というのは、総務省のいわゆる大臣を補佐する政務官という高いポストにいる政治家なんですね。その発言というのは重いと思うんです。ある意味では、その発言は、拡大解釈すればその内閣の発言なのか、こういうふうに問われてそれに反論できないものがあります。そういうふうに、政務官であれ大臣であれ、いわゆる内閣に位置する方々の発言というのは重い。だから、そういう感覚的な発言がどんどん活字となって乱れ飛ぶというふうな事態を招くこと自体が問題なんだ、私はこのように思います。

 この間、政府も各政党も、党首あるいは幹部の方々が現場に入って、一生懸命汗を流し、それぞれ発言をし、そして、まとまるところは今度の国会決議のような形でまとまっていく、そういう努力もしているわけですよ。なのに、政府の一翼を担う政務官がこういう発言をする、新聞に大きく報道される。私は、やはりどう考えてもこれは絶対に許容できない、このように思います。

 だから、大臣は、今言うように、真摯に反省をしたんだと、そこで終わっていいものか、このように思います。やはり内閣を構成する一員の発言というものに対する認識がちょっと甘いなというような思いが私はするんですが、再度その点について伺います。

鳩山国務大臣 政府の一員として、内閣の一員でもあるわけで、彼が不適切な発言をしたことは、私は決して軽いことではないと思っております。ですが、そのことを真摯に反省し、発言を撤回して、そして、彼がこれからますますいい仕事をしてくれることを私は強く望むわけでございます。

 私の判断はそういう形でございまして、彼が今後その反省をばねにして一層頑張ってくれることを望むものでございます。

重野委員 あの場に寒さをしのいで集まった五百名を超す方々の思いを感ずるに、そういう方々に坂本政務官が、新聞報道は第三者的な報道ですから、それに対し、やはり本意でなかったというのであれば、そういうふうなメッセージを直接、何らかの方法をとってきちっと伝達する。私は、大臣、この麻生内閣がそういう意味で本当に悪かったというのであれば、やはり新聞の記事を通じてではなくて、実際そんなことをやったらどうかと思うんですが、そういうことはいかがですか。

鳩山国務大臣 私の考えは今申し上げたとおりでございますからつけ加えることはありませんが、重野先生からそういう御意見があったということは坂本大臣政務官に伝えます。

重野委員 直接、そこにおられますので、伝えなくても本人は聞いていますから。

 だから、大臣、内閣としてこの問題を軽々しく扱ってはならぬと私は思いますよ、相手がいるわけですから。その点を強調しておきます。

 次に、派遣、請負切りに遭われた方々、彼らの思いと坂本さんの認識とは、私はやはり随分差があると思うんです。

 まず、派遣労働者あるいは請負の方々がハローワークに行くわけですね。しかし、その地域には求人がない。

 例えば、私の地元の大分でも、キヤノンで千名を超す派遣労働者が解雇されるわけですね。予定の、契約の日前に解雇されるわけです。千人を超す数ですから、地元でそれを受け入れるだけの雇用というのは現実にないわけですね。そこで、彼らは福岡とか、あるいは大分県、このキヤノンの場合には大分県の方というのは一割もいないんです、あの中に。あとはみんな県外の方です、東北から来ている方とか九州各県から来ている方とか。そういう方々が地元に帰って、地元の職安に行って仕事を探す。しかし、なかなかない。そこで、最後に市役所に行って生活保護の申請をするわけですけれども、行きますと、いろいろな理由で断られるわけですね。あなたはまだまだ若いんだから働きなさい、こういうふうに言い返される。

 関係者の方々の話を聞きますと、就労、住居、生活資金、一度にそんなのがトータルでばっと解決できるような行政側の対応というものはできないものか、そういう率直な思いが耳に入ってくるわけです。転々としながら行くうちに、結局、手持ちのわずかばかりのお金も底をつく、こういうふうな状況がたくさん耳に入ってまいります。

 年越し派遣村に行って聞いてみましたら、ある若い男の方ですが、北関東のある県から数日かけて、自転車で派遣村にたどり着いたという本当に悲惨な話なんですね。縦割りの行政の弊害が除去されて、総合的な相談窓口を自治体が開設することによって、そこで一挙にすべてが解決できるという行政側の対応ができないものか、こういう素朴な思いが吐露されております。その点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 百年に一度と言われる経済危機の中で、雇用問題というのは今最大の問題になってきているわけでございまして、国と地方公共団体が十分な連携のもとでその地域の実情に応じた対策を講じていくことが必要です。昨年末、私から全地方自治体の首長さん、議会議長さんあてに手紙を送りまして、積極的な経済、雇用対策の実行をお願いしたところでございます。

 今先生のお話にありますように、地域住民の方で、あるいは派遣切りに遭った方とか雇いどめに遭われた方、その他、いわばワンストップという言い方はちょっとこの場合適当かどうかわかりませんが、これは国で、これは県で、これは市町村などという区別があるわけではありませんよね、そういう方々の悩みからすれば。したがって、ぜひそれぞれの都道府県にそのような相談窓口があればいい、こういうふうに私も思っておりまして、既に四十六都道府県では雇用対策本部、三十九都道府県で離職者相談窓口を設置済みであると聞いておりますので、そうしたところで、ハローワークも含めて、国と地方が連携をとって、場合によっては福祉分野も含めて総合的な相談に乗れるような、そういう体制をつくっていきたいと思っております。

重野委員 次に、きょう出されています法案について。

 まず、二〇一一年度から交付税を減額する問題です。

 交付税の減額に対する加算でありますが、今回の加算のうち、折半ルールに従った臨時財政対策債振替加算額一兆二千四百億、これについて二〇一一年度より交付税から減額をする。今回一般財源から加算されたものを、二〇一一年度から交付税からそのまま引き落としていくという内容です。

 今回の景気後退について、総理は、全治三年と主張されております。果たして三年でそうなるのかという点については、まだわかりません。特に、政府が迷走を繰り返し、的確な経済対策を打てないという現状がこの間ございましたけれども、そういうものを考えるとき、本当に厳しくとらえなければなりません。

 三年後、実際にはもう二年後になるのでありますが、その時点で交付税から二千五百億円を減額するということになるんですね。結果的に将来の地方財政のおもしとなるのではないかと危惧をするんですが、まず、二〇一一年度から減額するとした理由をお聞かせください。

鳩山国務大臣 平成二十三年度から五年間で精算することといたしました理由は、交付税特会で借り入れすることが今では制度的に廃止されておるものでありますから、国に全面的に穴埋めをしてもらうということで、国の一般会計から交付税を増額する形で全額の穴を埋めてもらう。

 しかし、これには折半ルールというものがございますので、やや複雑な部分がありますが、全く折半といっても、半分強が地方の負担になるわけで、負担というのでしょうか、責任になる。その形で、二〇一一年度からの五年間、いわば交付税の先食いをするというような形で折半ルールが適用されるわけでございます。

 ですが、今後、交付税の復元ということ、三位一体で減ってしまった交付税の復元というのが大課題でございますし、そういう意味では、今後のさまざまな法定加算、政治加算等で吸収できる程度の金額がこの二〇一一年度から五年間の交付税の減額になる。それを上回るものを何とか積み上げていきたい、こう考えておるわけです。

重野委員 総理が全治三年、全治三年ということを言っているんですが、その全治三年という一つの条件、これが確定的にそうなるのかどうなのかというのは、今後の推移を見なきゃならぬと思うんですね。

 そのときに、そのことが地方財政の計画あるいは地方財政運営にそごを来さないように、そこら辺は十分認識をして対応する、その点を確認してください。

鳩山国務大臣 全治三年であってもらいたいというふうに思って、これはみんなで経済対策を頑張っていくわけでございます。

 先ほどの答弁にちょっと追加いたしますけれども、いわば五年間かけて精算しますね。そうすると、今までも精算しなくちゃいけないものがありますので、各年度の精算しなくちゃならない規模が大体三千億くらいになるわけですね。だから、それを上回る交付税の積み上げをすることによって地方財政が活性化できるように努力したいと考えております。

重野委員 終わります。

赤松委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

赤松委員長 速記を起こしてください。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。

 まず、予算委員会の不正常な事態を踏まえ、当委員会の慎重な審議日程が求められていたにもかかわらず、委員長職権で質疑終局、採決となったことに強く抗議をするものであります。

 今回、国税五税の減額補正に伴い、地方交付税総額の減少額が全額補てんされることは当然のことであります。問題は、どのような財源が充てられるかであります。

 交付税法は、毎年度分の交付税総額の見積もりが総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の策定等が内閣の義務であること等を規定しているのであります。この法律の趣旨から、年度途中であっても、地方財政計画で年度当初に見込んだ交付税の総額は国の責任で確保すべきであります。

 ところが、法案は、補てん額の一部を将来の地方交付税から減額することになっており、地方への負担転嫁は容認できません。

 今回の補正対策では、国と地方が折半して補てんする措置として、地方負担分については、特例的に臨時財政対策債の発行にかえて一般会計から交付税特別会計への振替加算を行った上で、この振替加算分については、後年度における地方交付税の総額から減額する対策を打ち出したのであります。

 これは初めての対策でありますが、将来の地方交付税の総額を減額する手法は、後年度の地方財政運営に影響を与えるものであり、禍根を残すものと言わざるを得ません。

 以上を申し上げ、反対討論を終わります。

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十分散会


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