衆議院

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第6号 平成21年2月27日(金曜日)

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平成二十一年二月二十七日(金曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    冨岡  勉君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    原田 令嗣君

      福井  照君    古屋 圭司君

      松本 文明君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    渡部  篤君

      石川 知裕君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局長) 立花  宏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官) 徳久 治彦君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     原田 令嗣君

  関  芳弘君     安井潤一郎君

  谷  公一君     鍵田忠兵衛君

  萩原 誠司君     冨岡  勉君

  平口  洋君     矢野 隆司君

  小平 忠正君     石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     谷  公一君

  冨岡  勉君     萩原 誠司君

  原田 令嗣君     今井  宏君

  矢野 隆司君     平口  洋君

  安井潤一郎君     関  芳弘君

  石川 知裕君     小平 忠正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 地方税財政基盤の確立に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国家公務員制度改革推進本部事務局長立花宏君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君及び文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 まず最初に、麻生内閣の立ち位置をお伺いいたしたいと思っております。

 郵政解散によりまして、その結果、今の衆議院の構成なのでありますけれども、その後、安倍内閣、福田内閣、そして麻生内閣ということでございます。

 そこで、まず、基本となる内閣の一等最初であります小泉内閣、この小泉内閣の構造改革をどのように評価して、そしてその上で、麻生内閣の立ち位置はどこにあるのか、これをお尋ねいたします。

鳩山国務大臣 小泉内閣では、官から民へということが盛んに言われた。郵政民営化、道路公団民営化、あるいは政府系の金融機関の大胆な改革などがありまして、官から民へ、そして国から地方へという流れをつくろうとして、それが三位一体改革等の形をとったんだと思っております。そういった意味では、小泉政権というのは、大胆に改革を行うという意味では、これは歴史家の評価にも十分たえ得るものであろうとは思います。

 しかしながら、いつも申し上げておりますように、小さな改革ならまだしも、一定規模以上の大きな改革には必ず光と影の部分が出てくるわけで、その影の部分はできるだけ取り除いていくということが国民のためになる、こう考えるわけでございます。

 したがって、麻生内閣の立ち位置というのは、光の部分はより明るくし、影の部分は削り取るということが基本の立ち位置ではないかと思います。

 ただ、私は、麻生太郎という政治家とのおつき合いの中で、選対本部長を三回務めた者として、麻生総理の一番の主張というのか、根本にある考え方というのは、日本という国はすばらしい国、日本人というのはすばらしい知恵とキャラクターを持っているわけで、もっともっと自信を持って国民が生きていく、自信を持って政策をやっていくという中で日本の繁栄は一層拡大する、基本的にはそういう信念が麻生総理の体の真ん中にある、私はこう考えております。

黄川田委員 光と影というお話をしますけれども、小泉構造改革から、総務の関係であれば、三位一体改革、郵政民営化、あるいはまた、終わりましたけれども平成の大合併、それぞれ基本の部分で大きく政策が転換しているんじゃないですか。特に、麻生総理はもう二度も総務大臣をやっておられまして、小泉内閣の中でも中枢部分を占めていたはずであります。それを引き継いだ鳩山大臣でありますけれども、単なる光と影論議だけでは済まないのではないか、私はこう思っております。

 そういう中で、私の学校の先輩であります玉沢先生もおられます。勇退されるそうでありまして、与党の次席の理事、もちろんもう大臣をなさった方でありますけれども、私も野党の次席の理事となっておりますので、ちょっと関連してお話をさせていただきたいと思います。

 玉沢先生の先輩には石川啄木という方がおられます。歌人であります。生まれは、今は盛岡市になりましたけれども、玉山村渋民であります。実は、原口さんの奥さんはその渋民の生まれでありまして、石川啄木のお墓は、逢坂さんが選挙区の函館にあるわけなのであります。

 それで、彼はこういう歌も詠んでおります。「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」これは明治の時代であります。

 当時は、白河以北一山百文ということで、東北は貧しかったわけでありますが、でも、今考えれば、平等に貧しかった。そういう中で、岩手の人間が頑張って生きていこうとすれば、明治でありますから、薩長閥がありますので、賊軍ということで、持てる力を発揮できるところというのはどこかというと、そこは軍隊の中だということになります。

 政治が社会をしっかりと支える、そういう思いがあって、実は、岩手からは総理に、原敬、斎藤実、米内光政、これは東京と言う方もおりますが東条英機、南部藩地の息子でありますから我々にとっては岩手の人間だと思っております。それから鈴木善幸さんであります。私は、玉沢先生も総理になられて六番目、そして我が方からも総理になって七番目、こう思っておるわけなのでありますけれども、そういう中で、何といっても政治が社会をしっかりと支えていくんだというその思いはやはり大事だと思います。

 それから、東北の県民性といいますか、もう一人先輩がおりまして、宮沢賢治であります。「雨ニモマケズ」であります。本当に実直に生きること、それが最も大事だ、こういうことなんでありますけれども、残念ながら、小泉内閣の構造改革といいますか、アメリカの新自由主義といいますか、そういう中で、競争原理あるいはまた規制緩和から始まりまして、市場重視の経済ということになって、今現在それが破綻して、今石川啄木が生きていたら何と歌を詠むかであります。

 その明治の時代と違っておるのは、今も大変低所得層が拡大しておりますけれども、また一方には富める者もおるわけであります。富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者、そういう意味の格差が社会に蔓延しつつあるのではないか。

 大臣はよく言いますね、共生という言葉。国家と国家の共生は平和ということでありますか。人と自然の共生は環境でありますか。人と人との共生は、共同社会といいますか、そういうものを大事にするということだと思うのでありますが、どうも、そういうものからも何か離れているような骨太方針といいますか、そういうふうに見られるのであります。

 それでは、もう一度、三位一体改革あるいはまた平成の大合併、これでだれが一番喜んだのでしょうか。

鳩山国務大臣 だれが喜んだかという御質問には、私は答える能力はありません。

 例えば、三位一体改革というものが、三兆円の税源移譲とか補助金の削減、地方交付税の見直しがつきましたが、そういう非常に大胆な見直しであって、とりわけ国税から地方税に税源が移譲するなどということはあり得なかったことですから、地方行財政改革、地方税財政改革と言った方がいいのかな、その第一歩という評価はできると思うわけでございます。

 ただ、その結果がかなり光以外に影の部分を生んだことは、もう毎日のようにここで御説明をしていることでございます。とりわけ、地方交付税の減額が急激であったこともあって、財政力の弱い自治体にはしわ寄せが行ってしまった、こういうふうに考えるわけです。

 私は、当時の麻生総務大臣は、やはり三位一体改革に当然関与をされた、地方六団体の意見も十二分にお聞きになって、これがいいということで政策を実現されたと。しかしながら、地方の疲弊というものは、最近の経済、景気状況にもよりましょうが、非常に深刻であるということを、無役の時代、全国百六十一カ所講演をして歩く中でよく理解をされて、そして、麻生内閣ができたときに、私は総務大臣を拝命して大変光栄だったと思っているんです。それは、とにかく地方はくたびれてしまっている、地方を元気にするのがおまえの仕事だという指示をいただいたわけでございます。その後、あの一兆円の地方交付税の増額を別枠でやっていただいたことなどは、まさにその当時の三位一体改革の影の部分を総理御自身が減らしていこうと思われたことではないだろうか、そう思います。

 市町村合併については、これはプラスとマイナスと両方あるわけでございますが、三千数百という基礎的自治体の数が多過ぎるというふうには私も思っておりましたから、これが千八百というような数になったことについては十二分に評価をしたい。とりわけ、行財政基盤の充実という意味では意味があったと思っております。

 しかしながら、両方の改革を通じて言えることは、これは確かに、行政改革的観点というのでしょうか、効率性を求めるという意味では大変大きな意味があったけれども、世の中は効率性だけ求め過ぎますと、何か本当にいい、文化的なものとかそういうものが、きのうの中央郵便局の話ではありませんが、出てくるわけですね。だから、小泉改革というのは偉大な改革だったけれども、どちらかというとドライな改革ではなかったか、そこにウエットな部分が削られるという意味で影の部分が出てきたという点はあるのではないかというのが私の基本的な考え方でございます。

 例えば、ふるさとの柳青める北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくになどというのは実にウエットな歌で、なぜそれを覚えているかというと、私と兄は二つ違って、兄が学習院中等科の修学旅行で東北へ行って買ってきた湯飲みに書いてあったんですね。私はその二年後に渋民村に行ったときに、本当に感動しましたよ。これが日本だ、貧しいかもしれないけれども、ここには桃源郷の原点があるかもしれないと。

 私は基本的にそういう考え方を持っておりますので、影の部分と申し上げているのは、効率性を追求し過ぎて、人の心だとかゲマインシャフトに悪影響が出ているという部分を申し上げているわけです。

黄川田委員 大臣、いろいろ御答弁いただきましたけれども、私はやはり、影といいますか、国の財政再建、もっと言えば、省庁でいえば財務省が一番喜んだのかな、こう思うわけなのであります。三位一体改革で税源移譲をやったのだから、今までにないことだというふうな形で大臣はたびたびお話しされますけれども、また一方、補助金削減ということになれば、これは財務省としての各省庁に対する財源の縛りですね。また一方、交付税ですよ、交付税。財務省は交付税にメスを入れることができたという部分があるのではないか。こう思っておるわけであります。

 重ねて、私は、光と影じゃなくて、基本的に小泉構造改革はどうだったんだということ、もし正しいというのであれば、それを引き継いでいる麻生内閣というのであれば、もっと国民の目の前で大いに議論して、国民の信を問う、これが一番大事だと私は思っております。

 それから、たびたび郵政民営化に関しては、個人の感想ではなくて大臣の答弁ということなんでしょうけれども、例えば、郵政に関しても影があった、悪い会社をよい会社にしたい、こういうふうな答弁であるとか、どうもあいまいもこというふうな感じなのでありますが、この郵政民営化、具体的に何をしたいのか、麻生内閣として本音は何なのかということをお尋ねいたします。

鳩山国務大臣 郵政民営化については、私はさんざん迷いましたが、やはり、小さくて効率的な政府をつくる、国家公務員の削減という大行政改革ということ、それから官から民への流れということ、自由な経営で良質なサービスが新しく提供されて発展していけばいいという思いがありましたから、最終的には賛成をしたわけでございます。

 残念ながら影の部分として出てきておりますのは、私は、先ほど申し上げましたように、精神共同体の中心には特定郵便局長さんたちがおられた、その特定郵便局長さんたちが、今はもちろんただの局長と呼ばれるんでしょうけれども、例えば集荷ができない、あるいは、顔の売れた配達員が、郵便事業会社の職員であるがために、郵貯や簡保のお金を預かることができないというようなことがありますね。

 そのことは、郵政というのはみんなでつくってきた文化で、すごく地域に根づいていました。したがって、郵政に対する信頼というのは、国民的に言えば、もう戦前から絶対的なものがあった。あったからこそ、郵便局、あるいは特定郵便局とその局長さんたちあるいはその家族というのは、ゲマインシャフト、地域文化の中心におられることが多かった。そのことにやはりいろいろな形でひびが入ってきているのは事実だと思いますから、何とかその辺を少しでも改善したい、こういうふうに思っております。

 また、具体的に言えば、これはまた言い過ぎると問題かもしれませんが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の場合、今の法律案どおりにいけば、十年の移行期間が経過すれば、完全に糸の切れたたこになるわけですね。そこの二つの金融会社と局会社、郵便局というのはずっと密接な関係があって、当分その関係は続くということになっていますけれども、もし完全に関係が切れるようなことがあれば、郵便局会社という窓口サービス専門の会社は非常に利益を上げにくくなるという問題がありますから、そういう連携のことも不安要因でございます。

 それから、官から民へという流れについて、きょうも朝の予算委員会では、実際郵貯や簡保の金は官から民へ移ったのか、相変わらず国債ばかりじゃないかというような話がありました。確かに、シンジケートローン等に回っているお金はごくわずかでございますが、官から民へという中で、結局あの嫌な問題があるわけですね。

 官から民へというので、要するに、官のものを民に移す、すなわち、一般に言う払い下げと言われるものが全く不透明なたたき売りになっているわけでございますから、官から民へとただお題目のように唱えていると、逆に、えらい国民への大損害が起きることもある。こういう教訓を得ながら、かんぽの宿等の問題、これは皆さんと一緒に追及していきたいと思っています。

黄川田委員 郵政の関係は、集中ということで当委員会でもあるでしょうから、それはちょっと移します。ただ、言っておきたいのは、総務大臣を二度された今の麻生総理が制度設計にかかわった、これだけは間違いないことでありますので、一言触れさせていただきたいと思います。

 それからもう一つ、国民の財産、郵政の財産の処分であります。

 先ほど言ったとおり、どうも小泉構造改革では拝金主義者を日本国に多く出回るような形にしてしまったんじゃないのか、こういう感じがするんですね。日本社会の最もいいところは、やはり勤勉さ、まじめさ、しっかりやるんだと。自分だけが生きればいい、そういうところじゃなかったはずなのであります。

 処分の仕方を個別具体にしっかりと吟味しなきゃいけない、そういう点を私は思うのでありますが、その点についてはどうでしょうか。

鳩山国務大臣 先ほど、最初の御質問でお答えをしましたように、偉大なる構造改革でございますが、そこで効率性の問題が一番中心の議題になる。効率性を議論していけば、やはり金の問題になる。そういう中で、改革全体の一番いけない部分は、何となく、ドライでかさかさしたものが中心になる、ウエットなものが排除されるというふうに私は思ってきたわけで、そうしたムードの中で、拝金主義者という言い方はどうかとは思いますが、金を稼げさえすればいい、どんな手段であってもいい、いわゆる実物経済、実体経済じゃなくて、金で金をつくれればいいというような風潮が社会に広がったのもまた事実だろうと思います。

 ですから、会社とか経営というとすぐ、テークオーバービッド、TOBである、かけるとかかけられたとか、いわゆる企業の吸収合併、MアンドAである、そのことばかりが話題になって、それが非常に巧みな人が英雄のように持ち上げられて、結局は実は実態が伴っていなかったというような事件が幾つかあったりしました。

 私は、今回のかんぽの宿問題で、新聞の端っこに載っているいろいろな記事も読みますけれども、それこそ原口先生も鳩山邦夫も一緒くたに、何もわかっていないやつというような批判記事がありますよ。それは、大体、公正な価格というのは何だ、そんなものはわからないんだ、わからないんだから、それは定まっているものではないので、人によってどれが公正であるかというのは違うんだ、立場によって違うんだ、とすれば、何らかの競争をして出てきた価格、百九億円のことか何かわかりませんが、それが正しいんだというようなのを読みますと、いまだに、何かドライそのもので、マネーゲームですべて割り切れるように思っている人間がいるのかと思うと腹が立ちます。

黄川田委員 それでは、もう残り時間が少なくなりましたので、公務員制度について残り時間お聞きしたいと思います。

 人事院の方にお尋ねいたします。

 去る二月三日、公務員制度改革に係る工程表が国家公務員制度改革推進本部において決定されましたけれども、新聞報道によりますと、現在、工程表の内容に沿った法律案の作成が進んでいる、こう聞いております。

 国家公務員制度改革基本法でありますけれども、これは内閣の人事管理機能を強化することとしており、そのために、内閣において幹部人事を一元管理することとされております。この点については、私は基本法の内容に沿って実効的な仕組みを導入すべきと考えておりますけれども、問題は、この基本法の想定を超えておる部分であります。

 一点目は、公務員の中立公正性の確保に関するもの。工程表においては、幹部人事の一元管理にとどまらず、一般職員の人事も含めて、内閣人事・行政管理局が試験、研修などの企画立案の部分も行うこととされております。採用における政治的介入あるいはまた情実、こういう影響を危惧しておるわけであります。公務員は全体の奉仕者であることは当然のことでありまして、公正性が脅かされるということは絶対あってはならないと考えております。

 それからもう一点、労働基本権制約の代償機能であります。給与については人事院の所掌としつつも、人事院から級別定数の機能を移管するとされております。級別定数でありますけれども、これは給与決定の基準そのものであり、勤務条件だと私は考えております。でありますから、労働基本権が制約されている現状において、級別定数を含めた勤務条件に関する機能の移管、これはあり得ないと思っておるわけであります。

 ただいま申し上げたことについては、先般の参議院の代表質問におきまして、我が党の高嶋先生も懸念を表明しておるところでありますけれども、改めて、人事院総裁から、公務員制度、人事院の役割、工程表の問題についてお尋ねいたします。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおりなのでございますけれども、人事院は、戦前の官僚制度の弊害への反省を踏まえまして、国家公務員は国民全体の奉仕者であると規定いたしております憲法第十五条に由来いたします公務員人事行政の中立公正性を確保するという責務とともに、国家公務員の労働基本権が制約されておりますことに伴います代償機能を担いますために、国家公務員法におきまして、内閣から独立した中央人事行政機関として設けられておるところでございます。

 人事院といたしましても、今般の国家公務員制度改革基本法に基づいて公務員制度の改革を実現するということの重要性につきましては十分認識しておるところでございまして、例えば内閣人事・行政管理局の設置に関しましては、幹部人事の一元管理を中心的な課題といたしますこの基本法の趣旨にかんがみまして、幹部職員の給与の格付機能を内閣へ移管することなど、人事院の責務を果たしますために必要な機能を損なわないぎりぎりの範囲での御提案も行っておりますし、また、工程表の課題のうち、給与制度の検討など人事院として取り組んでまいるべき課題につきましては、引き続き真剣に取り組んでまいりたいと考えております。

 ただ、御指摘ございましたように、この工程表には、次に申し上げますように、重大な問題点が含まれておると考えております。

 まず一つは、工程表に掲げられておりますように、任用、採用試験、研修の中立公正性確保に係る基準設定等の機能を内閣人事・行政管理局に移管いたしまして、人事院は事後チェック機能にとどめるということとしておりますが、そういたしますと、内閣から独立した中立第三者機関でございます人事院に任免の基準設定などを担わせることで公務員の人事管理の中立公正性を制度的に保障しております現行制度の基本的な枠組みが大きく損なわれるおそれがございます。

 それからまた、工程表におきましては、級別定数の設定主体を人事院から使用者でございます内閣人事・行政管理局に移管することとされております。こういたしますと、俸給表の何級を職員に適用するかという基準を使用者が決定するということになってしまいまして、労働基本権制約のもとで給与制度の運営に全責任を持つこととされております人事院といたしましては、責任を持って給与制度を管理、運用することができなくなるわけでございまして、代償機能が損なわれるということになります。

 また、使用者によりまして職務の級別の在職者数が変えられるということになりますと、人事院勧告が予定いたしております俸給表の改定効果を変化させ、その結果、人事院勧告制度が形骸化するおそれもあるわけでございます。したがいまして、現状の労働基本権の制約が維持されております間は、代償機能を担う人事院が級別定数を管理する必要があるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、法律案の策定に向けまして、引き続き、この点についての御理解をいただけるよう努力していかなければならないと考えております。

黄川田委員 国家公務員に協約締結権を付与するということにまでなれば、これは人事院の役割もまた変わってくるでしょうし、定数の部分もこれまた協議事項になるというふうな形でありますが、現時点においては公務員の公正性それから代償機能をしっかりとやってほしい、こう思っております。

 時間でありますので、終わります。

赤松委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 大臣、お世話になります。よろしくお願いします。

 この間、大臣就任以来、いろいろなところで大臣のお話を聞かせていただいて、私はすっかり大臣のファンになってしまいました。率直で非常にストレートな物言い、しかも、官僚の書いた答弁を読みながら、こんなものはだめだと言うようなあたり、非常に親近感を覚えております。きょうもまたよろしくお願いします。また、先般来、答弁をお願いしていてできなかったりして、大変申しわけございません。

 さて、そこで早速中身に入りたいと思います。

 二十一年度の地方財政でございますけれども、いろいろな対策をこの百年に一度の経済危機と言われる中で講じているというふうに思うわけですが、大臣、こんな対策をやった、こんな対策をやったというのはいろいろなところで御発言されていますので、もうよろしいと思うんです。そうではなくて、本当に今回のこの地方財政計画でよいかどうか。私は、やはりちょっと小さいんじゃないかと。小さいというよりも、もっと別な対応、対策というものが出てくるような気がするんですね。

 一つは、歳入面で地方財政もこのとおり進まないだろう。だから、歳入欠陥が起こるなんということは相当出てくるんじゃないかというふうなこと。あるいは、地域経済の状況を思うと、自治体みずからがもっと財政出動をしなければならない場面というのが今以上に出てくるような気がするんですが、直観的に大臣はこの辺をどう思われますか。

鳩山国務大臣 正直に申し上げて、現下の経済情勢ですと、予算というか地財計画も非常につらいものになるわけですね。

 つまり、平成二十年度のものに二兆三千億ぐらい穴があいた。これは国に埋めていただいて、将来返すという法律案をここで通していただいた。ということは、今回も地方交付税の発射台、国税五税の一定割合、法定率という発射台がうんと下がる中で、何とかやりくり算段をして地方交付税をプラスに、四千百億円ですが、プラスに持ってきた。地方の一般歳出も四千億円ぐらいのプラスになって、これは十年ぶりの快挙である、こういうことになっているわけです。

 しかしながら、ではこれは百年に一度の危機に対応したものであるかどうかと言われれば、もし本当に百年に一度のものであるならば、さらに対策を打たなければならなくなるだろうと私は正直思います。

 つまり、この間の、内需、外需で、十―十二という四半期で三・三%ぐらいのGDPの減を年率に計算すれば結局マイナス一二・七%という数字だった。これは、いわばそのときの風速ですから、ことし一年間がどうなるかと考えた場合、暦年でも年度でもいいと思うんですが、丸一年どうなるかと考えた場合に、それはマイナスになっても大したことはないんだろうと言う方もいるし、本当に百年に一度だったら一年通して二けたマイナスだということになるかもしれない。それは全くわからない。経済学者にもわからない。

 そうならないとは思うけれども、もしなるような事態があるとすれば、当然さらに追加の政策が必要になるし、この地財計画は決算段階でまた物すごい穴埋めをしなくちゃならないことになると存じます。

逢坂委員 私も全く同感でありまして、きょう発表されました一月の鉱工業生産指数が対前月比マイナス一〇%、これは史上最大の落ち込みであります。それから、きのうの日経二百二十五銘柄のPERが七十を超えている。七十を超えているということは、今の日本の株価が実力以上に評価をされている。七千四百円なのに実力よりも何倍にも評価をされているということでありますから、これから日本の経済の先行きというのは相当シビアに見なければいけないというふうに思います。

 そこで、きょうは二つほど問題を指摘したいと思うんですけれども、これから自治体の財政を考えていく上で、歳入の面で、歳入欠陥が起こりかねない税目があるだろうというふうに思っています。また、ことしの一月二十日の総務省の財政課長内簡においても、本年度の地方税については大幅な減収が生じる見込みとなっておりというようなことで、減収の心配をされているわけですね。それで、この財政課長内簡においては、道府県民税法人税割及び利子割、法人事業税並びに市町村民税法人税割及び利子割交付金における減収というふうになっているんですが、ここに上がっている税目以外にも私は心配なものがあるんです。

 それは、一つは、外形標準課税である固定資産税ですね。固定資産税の納入が、固定資産税は外形標準だから、会社がもうかっている、もうかっていないにかかわらず払わなきゃならないものでありますけれども、私の経験からしますと、法人収益が悪くなってきますと、どうしても法人の皆さん、営業されている皆さんは固定資産税を払いたくなくなる、そういうバイアスが働いてまいります。法人税の場合は、ルールに定められて、収益がないんだから払わなくていいということになるわけですが、固定資産税の場合は、滞納という形で、払いたくないという動きが出てくるんだというふうに思います。

 それからもう一つ、余り難しい質問はしません、国民健康保険税、あるいは住民税の所得割の部分なんですけれども、これは大臣御案内かもしれませんが、前年の所得を基準にしてやるわけです。一年おくれなわけです。すなわち、昨年たくさんお給料をもらっていた時代の所得に対して、ことしひどい状況になったときに課税されるわけですから、これはまた相当な実際の現状の生活のレベルとギャップが生ずるということがあるわけですね。

 だから、私は、ことしは歳出の方も地方財政はこれから何とかしなきゃならないという場面が出るとは思うのですが、歳入欠陥というものに対して相当な備えをしておかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うのです。大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 地方交付税の算定においては、いろいろな政治加算、法定加算、先食いみたいな形での実質的な地方交付税になる臨財債とかという方法が考えられますけれども、実際、地方税というのは、ちょっと表現は悪いですけれども、生のお金ですよね、地方税がどれだけ入るかというのは。

 おっしゃったように、住民税などは一年おくれですから、本当のことを言うと、平成二十二年度が一番ひどいことになるのかなと思ったり、実際に今の平成二十年度の決算がどの程度になるのかなと。つまり、国税の方の事柄は地方交付税の減になって、その穴は埋めていただいたわけですが、実際地方に直接入る地方税のことは心配で心配でたまらないというのが実感です。

逢坂委員 全くそのとおりでありまして、まず二十年度の決算がどうなるかというのも心配ですし、二十一年度中に歳入欠陥というのが見えてくるかもしれない。そして、さらに大臣が御指摘になったとおり、二十二年度の予算編成がそもそもできるのかという心配が相当あるわけですね。したがいまして、この点、これは指摘をするとかなんとかということではなくて、ぜひ、ともに知恵を出し合っていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そこで、もう一つ問題があるんですが、この財政課長内簡の中に、要するに、減収額については減収補てん債による補てん措置を講ずるということになっているわけですね。御案内のとおり、減収補てん債は借金でございます。借金であるけれども、それは後にまた交付税で面倒を見ましょうというふうなことになっているわけですね。

 これは最近やっと語られるようになりましたけれども、お手元の資料の二枚目、これは予算委員会などでも出ておりますけれども、交付税の基準財政需要額への元利償還金の算入額というのは、平成二十年度ベースで八兆円になっているということですね。しかも、これも大臣御案内のとおり、交付税の総額というのは十五兆しかないわけであります。

 これは、基準財政需要額に入っている額が八兆だから、交付額十五兆とは関係のないものだというふうに一般的には言われますけれども、実は、自治体の現場はそう見ていないわけですね。例えば、合併特例債で元利償還金五五%を基準財政需要額に算入しますということになると、自治体の現場では、この借金をしても五五%は国が面倒を見てくれるんだ、国がお金を出してくれるんだというように理解をしているわけです。現にまた、国の皆さんも説明に来るときはそういう説明をすることがしばしばあるわけです。

 ところが、実態は、総額十五兆の交付税に対して、基準財政需要額に八兆も元利償還金の額が入っているということですから、これは、交付税制度でいろいろな財源対策をしていくというのは限界に来ているということをやはり指摘せざるを得ないと思うんです。大臣、このあたりはいかがでしょうか。

鳩山国務大臣 バブルのころはいざ知らず、バブル崩壊後は当然税収が落ち込んで、また減税をやる、公共事業を追加するというふうなことで、交付税措置を伴う地方債を増発してきた結果、地方の借入金残高は百九十七兆円になった。この百九十七兆円のうち、例の特会借り入れが三十三兆ある、これはちょっと別にする、それから、これも本当は一緒にしなくちゃいけないかもしれませんが、公営企業会計のもちょっと別にすると、幾らになるんですか、百四十兆とかそういうようなオーダーになりますが、その半分ぐらいがいわゆる財源対策債とか減収補てん債とか臨財債あるいは減税補てん債、そういうものによって占められてきているわけですね。つまり、ちょっと違うかもしれませんけれども、赤字国債ということにほぼ近いわけですね、建設国債対赤字国債という国の分類でいえば。

 だから、これは相当厳しい状況になっているわけで、そういう中で、基準財政需要額に占める地方債の元利償還金の割合、先生御指摘の八兆円です。これは、基準財政需要額四十六兆円の比較でいうと一七・六%ということでございますが、実際にこの八兆円が基準財政需要の中に入っておるわけです、使えない金として。つまり、返さなくちゃいけない金として入っているわけですから。それと、十五兆八千億地方交付税が参ります、もちろん臨財債がそれに加えて五・何兆あるかと思いますけれども。そういう数字と比較しても、八兆というのは非常に大きな数字だと受けとめざるを得ないと思います。

逢坂委員 ぜひその認識を持って、これからのさまざまな地方財政対策をやっていただきたいと思います。

 そこで、次にちょっと夕張市の話をさせていただきたいと思うんですが、隣に小平先生がいらっしゃいます。まさに夕張の問題を専門的にやられている小平先生ですが、私も夕張に随分友人が多いものですから、あえて何点かお話をさせていただきます。

 お話をしたいことは二つございます。

 一つは、夕張市、確かに財政が相当厳しい中で、今一生懸命歯を食いしばってやっているわけでありますけれども、実は、職員の待遇といいましょうか、将来見通しといいましょうか、これが非常に暗い、それで、やめていく職員が非常に多いわけです。

 確かに、自治体の仕事、職員がやめていったらまた採用すればいいじゃないかというふうにおっしゃる方も多いんですけれども、例えば財政、予算を組むにしても決算をつくるにしても、きょう採用してあしたからすぐというわけには、自治体の仕事に詳しくない方は余りできないわけですね。したがいまして、自分たちで頑張ろうと思っても、これはなかなかうまくいかない。せっかくの有能な職員がやめていくということでありますので、職員の先の見通しが見えるような待遇というものを多少はやはり示さないと厳しいのではないかというのが一つです。

 それから二つ目ですが、夕張市の人口、十二万いたのが、今その十分の一で一万二千人ということでありますけれども、地域を何とか再生していくために企業を誘致したい、いろいろな企業に入ってきてもらいたいと思っても、従業員の方が住む場所がないということになれば、これまた近隣の市、町に住むということになれば、夕張のためには最終的に、直接的にプラスにならないというようなこともあるわけです。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、夕張のためにやはり国としても何らかのことをしていかなければ、自立的、自発的に立ち上がっていくことすら難しい、そういう御認識はお持ちかどうか、お伺いします。

鳩山国務大臣 夕張の問題というのは、夕張だけ特別に、一般的な言葉で言うとえこひいきしていいのかという問題は当然ある、周りの自治体からもそういう声が全くないわけではないと思います。

 ただ、財政健全化法が四月から本格施行される中で、恐らく、再生団体になるのは夕張だけなのかな、ほかのところがいろいろやりくりしておられますから、結局一つだけなのかなという予想がございます。

 しかも、この間、小平先生からお話があったように、百年に一度の金融災害ではないけれども、やはり産炭地域のエネルギー需要の大きな変化の中で、人がどんどん減っていってしまった、あるいは、会社がなくなったけれども人だけ残しておいて、残った人たちが大変苦労したとか、そういう夕張の歴史を考えますと、それは、再建計画の中で実際税率を上げているわけですよね、住民税等でも。あるいは手数料等も上げたり、いろいろやっている。施設の統廃合等もなさっておられるということで、職員と市民が一丸、一体となって再建計画に取り組んでいる姿は十分に評価しなくちゃならないと思います。

 とにかく、十分の一に減ってしまった人口に対して、しょっている債務が大き過ぎる。道も随分助けて、低利資金の貸し付けをしていると思いますし、国としても精いっぱいの援助をしてきているわけでございます。また、職員の派遣も、北海道からは八名、道銀一名、北陸銀行一名、東京都二名、春日井市一名などとなっておりますけれども、そういうような支援もしています。

 私もお伺いして、非常に風光明媚なところで、「幸福の黄色いハンカチ」でしたか、あの映画の舞台ともなったところでございますし、将来の可能性は十二分にあるのでありましょうが、今の状態は、年間に建築確認申請が一個しか出ないというような状況、その辺を考えますと、やはり総務省もできる限り温かく見ていかなければならないとは思っています。

 物すごいえこひいきができるという、えこひいきだ、えこひいきだと批判されるようなことはできないと思いますが、できる限りの援助をするというのが総務省の正しい姿だと思います。

逢坂委員 具体的な言及は避けますけれども、大臣、ぜひその温かい支援をお願いしたいというふうに思います。やはり自立できる基盤を失ってしまえば大変なことになるということだと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、きょう宮澤副大臣にもお越しをいただきました。わざわざお越しいただきまして、どうも済みません。

 実は、宮澤副大臣、今、百年に一度の経済対策を打たなければならないというときに、私は、自治体の役割というのは極めて大きいというふうに思うんですね。国が中央集権的にと言うと少し語弊がありますけれども、全国一律の政策を全国にシャワーのようにばらまいていく、これも実は経済対策としては必要なことだというふうに私は思います。金融政策などというのはまさにそうやらなければいけないわけです。

 しかし、やはり地域には地域ならではのそれぞれの事情があって、地域独自にいろいろな経済対策をやった方がいいということも多分たくさんあるんだというふうに思うんですね。しかも、それは何も、全国が同じゴールに行ける、行けないということではなくて、チャンスを均等に与えて、やれるところにはどんどん地域で一生懸命やってもらわなきゃいかぬということがあると思うんです。

 そこで、宮澤副大臣にお伺いをしたいんですけれども、ぜひ総務省とタッグマッチを組んで、全国の市町村に、今地域では何が困っているんだ、何をしたら地域がよくなると思うんだということを、無理強いではなく、虚心坦懐に聞く、そして有効な政策については支援をしていく、バックアップをしていくというようなやり方も、全国一本の政策と合わせわざでやらなきゃだめなんじゃないかと私は思うんです。

 そこで、宮澤副大臣、どうですか、そういうやり方というのは。

宮澤副大臣 今、逢坂委員、大変重要な御指摘だったと私は思っております。

 よく経済学でマクロ、ミクロと言いますけれども、私は景気対策とか経済対策もやはりマクロの面とミクロの面があるんだろうと思います。ついつい七十五兆円総額というような、政府がどうする、日銀がどうするというところに目が行きがちですけれども、やはりそれをどうやって使うのかというミクロという部分が本来非常に大事な部分だと思います。

 そうした意味で、例えば雇用などというものは、今回も交付金というような形でそれぞれ工夫をしていただくということでやっておりますけれども、例えば公共事業のようなものでも、やはり地域によって経済波及効果がかなり違う部分がある。経済波及効果の大きなものを選んでいただく、さらに言えば、住民の方の中長期の利益のために資するものを選んでいただくというようなことで、ミクロの面というものをやはりきっちりやっていくことが大事だと思っております。

 総務省の方も、私、大学のクラスの同級生が三人、高校の同級生が二人同期で入りましたので、連絡はとり合っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

逢坂委員 宮澤副大臣、そんなに同級生などがいらっしゃるのでしたら、ぜひ鳩山大臣とタッグを組んで、そのミクロの政策を今以上に、より地域の実態、実情に合う形でおやりいただきたい。鳩山大臣にもよろしくお願い申し上げます。

 宮澤副大臣、もうよろしいです。どうもありがとうございました。

 そこで、きょうの話の最後です。市町村合併のことなんですけれども、時間がもうございませんので私の方から申し述べさせていただきますが、昨年の十月に全国町村会が「「平成の合併」をめぐる実態と評価」という報告書を出してございます。これは、道州制と町村に関する研究会ということで、有識者の方に集まっていただき、それから全国の町村にアンケートもとりということでやった内容でございます。

 私は、合併に反対するとか賛成するとかということではなくて、合併というのは、地域の形というのは、自治体みずからが地域がどうあるべきかということを自主的に判断できるということが大事なことだというふうに思うんですね。

 そうしたときに、この報告書の最後の方を読んでみますと、国の合併推進策の問題点ということで幾つか載ってございます。

 それは、一つは、財政措置に偏った合併推進策により、分権時代の流れに逆行する、将来に禍根を残す、そういう合併になったんじゃないか。ある種、財政政策で誘導し過ぎたというようなことですね。それから、市町村規模と行政能力が比例するという誤解をもって合併をさせ過ぎたんじゃないか。あるいは、広域行政というのは一市町村単位でしかできない、そういう誤解のもとに行政体制を整備し過ぎたんじゃないかというようなことが指摘されております。さらに言うならば、国(総務省)、並びに、国の意を受けた府県による強引な合併誘導策が目立ち、市町村の自主性が尊重されたとは言いがたい実態が明らかになったということです。

 それから、合併市町村の問題点として、一つは、財政計画との大幅な乖離がある。実際に財政計画をつくって合併したけれども、本当はそうじゃなかったというようなことですね。あるいはもう一つは、行政と住民の関係の希薄化があるというようなことであります。

 こんなようなことを含めて、よかった合併というのも中にはあるかもしれませんけれども、この町村会の報告書によれば、総じて厳しい指摘がされているわけであります。

 こうした実態を受けまして、総務大臣、今後、市町村合併については、私は、地域がみずから自分たちの判断によって選択できるというようなことを尊重すべきであって、押しつけるとか強制するとか、殊さらに財政によって誘導するというのは、やはり地域の特色を失うというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

鳩山国務大臣 三千数百あった基礎的自治体が、千八百をいずれ切ってきますが、ここまで再編成されたことには私は大きな意義があったと思うし、それは合併のプラスマイナス、今の資料にも書いてありましたよね、私も読ませていただいた、それはプラス面、かなり目立ったと思います。

 しかし、私は、もうこれ以上の合併を強制的に進めるべきではないと思います。

 まあこの辺でいいのではないかというのは、日本には、日本の地域地域にはそれぞれの風土があるわけですから。それに、風土に根差してもともと自治体というのができていたとするならば、自分たちの風土、歴史、伝統、文化、風土というのは、恐ろしいのは、人の心まで独特なものがあって、特色がある。つまり、A村とB村とあって、風土が違えば、A村の村民が幸せに感じることとB村の村民がうれしく思うことには違いがあるという、これが基本的な風土論、和辻哲学というものではないかと私は思っていまして、それを大切にするという思いから考えれば、これ以上の無理な、強制的な、あるいは進めなくちゃならないからといった合併は進めるべきでないと思います。

逢坂委員 これで終わります。どうもありがとうございます。

森山(裕)委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、子供たちの学業を保障する就学援助について、地方財政との関係で質問させていただきます。

 最初に、文部科学省に伺います。

 文部科学省は、二〇〇六年の二月に就学援助に関する二つの調査を実施しております。一つ目の、就学援助受給者数の変化の要因等に関するアンケート調査がありますが、そこで文科省にお尋ねしますが、この調査の目的は何か、受給者数の変化の要因、背景は何か、どのようになっているのか、お示しください。

徳久政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま御指摘の調査でございますけれども、調査目的は、近年、要保護、準要保護児童生徒に係る就学援助受給者の増加傾向が見られることから、その要因、背景等の把握に資するため、十八年二月に調査したものでございます。

塩川委員 それに加えて、受給者数の変化の要因、背景について、回答数の多かった項目をお示しください。

徳久政府参考人 その調査におきまして、就学援助受給者数の変化の背景、要因につきまして、多かったものは、一つは、企業の倒産やリストラなど経済状況の変化によるもの、また、離婚等による母子、父子家庭の増加、児童扶養手当受給者の増等が多くなっております。

塩川委員 経済的理由等によって貧困世帯が増加をしている、これが就学援助の受給者数の増加になっているというのがこのときの調査でありました。貧困の拡大が反映をしているわけであります。

 続けて文科省に伺いますが、就学援助の準要保護児童生徒数について、九七年度、それから二〇〇四年度、二〇〇五年度、二〇〇七年度は何人となっているのかをお答えください。

徳久政府参考人 お答え申し上げます。

 就学援助における準要保護児童生徒数ということのお尋ねでございます。

 一九九七年度、すなわち、平成九年度でございますけれども、七十万人でございます。二〇〇四年度、平成十六年度でございますけれども、百二十一万人でございます。二〇〇五年度、平成十七年度でございますが、百二十五万人。それから、二〇〇七年度、平成十九年度でございますが、百二十九万人となっております。

塩川委員 お手元に資料をお配りしてありますけれども、準要保護児童生徒数の推移を見ましても、九七年度以降大変増加をしております。それが、二〇〇四年、二〇〇五年ぐらいを機に、その伸びが鈍化をしているわけであります。貧困世帯自体の増加そのものは大変大きなものですけれども、こういう現状となっております。

 続けて文科省に伺いますが、市町村が給与しました就学援助の額について、二〇〇四年度、二〇〇五年度、二〇〇七年度が幾らかをお答えください。

徳久政府参考人 市町村が就学援助といたしまして、要保護児童生徒、準要保護児童生徒の保護者に対して給与した金額でございますけれども、平成十六年度、二〇〇四年度でございますが、こちらにつきましては七百九十五億円、二〇〇五年度、平成十七年度でございますが、八百八十六億円、二〇〇七年度、平成十九年度でございますが、九百二十一億円となってございます。

塩川委員 貧困世帯が増加している傾向がある中で、市町村が給与した就学援助の額も、伸びが鈍化をしているわけです。貧困世帯が増加しているにもかかわらず、就学援助の受給者、または市町村の就学援助費の伸びが抑えられております。背景には、自治体における就学援助の認定基準が厳しくなって、就学援助対象者が狭められている実態があるのではないかと考えます。

 そこで、文科省にお聞きします。

 先ほどお答えいただきました、二〇〇六年二月の就学援助調査の二つ目の項目ですけれども、平成十七年度における準要保護児童生徒に係る認定基準等の変更状況調査、その調査の目的は何か、そして、所得基準限度額あるいは率が引き下げられ、または認定要件、対象者が縮小された自治体は幾つなのか、お答えください。

徳久政府参考人 平成十八年一月に調査を実施いたしました、平成十七年度における準要保護児童生徒に係る認定基準等の変更状況調査についてのお尋ねでございます。

 まず、調査の目的でございます。

 これは、準要保護児童生徒に係る就学援助は、その認定が市町村によるものであることから、平成十七年度から、税源移譲、地方交付税措置を行った上で国庫補助を廃止したところ、国庫補助廃止後における市町村の準要保護児童生徒に係る就学援助への取り組み状況を把握するために実施したものでございます。

 お尋ねの二点目でございますけれども、その調査におきまして、調査を行ったのが二千九十五市区町村等でございますが、母数が二千九十五でございますが、そのうち、平成十七年度で準要保護児童生徒の認定基準の引き下げ、縮小等を行った市町村は百五市町村となっております。

塩川委員 調査の目的にありますように、三位一体改革に伴って準要保護についての国庫補助が廃止をされて一般財源化をされる、それを機に文科省として調査を行った。結果として、これは、切りかえた当初の一年間といいますか、その年の調査でありますけれども、既に百以上の自治体で所得基準など準要保護基準の切り下げの方向で対応が行われていたということがこの調査で明らかとなっております。

 〇五年度に準要保護の国庫補助が廃止をされ一般財源化される、それを機に、認定基準が厳しくなり、対象も伸びが抑えられ、支給額の伸びも抑えられるということにつながっていることが見てとれます。

 文科省に続けてお聞きしますが、このときの調査以降、同趣旨の調査というのはどうなっておりますか、その中身も含めてお答えください。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

徳久政府参考人 現在、申し上げました平成十七年度において市町村の認定基準等の変更を行った調査以降でございますけれども、平成二十年度の状況につきまして、全市区町村教育委員会に対して調査を行っているところでございます。

塩川委員 重ねて伺いますが、この二十年度の調査というのは、前回、三年前の調査と同趣旨のものなのか、その点の確認が一つ。要するに、認定基準が変更されているという調査と承知をしているわけですが、そうであるならば、十八年度、十九年度の調査というのはなぜ行わないのか、その点をお答えください。

徳久政府参考人 ただいまお答えをいたしました準要保護児童生徒の認定というのは、市町村が実施をするものでございまして、市町村が地域の実情に応じて定めて実施をしているものでございます。

 私ども文部科学省といたしましては、そういうような状況についての現状把握のために行っておるものでございまして、基準そのものが毎年どう変わっていったのかということを追跡する目的ではないということでございます。

塩川委員 要するに、二十年度だけを切り取ってどういう傾向かといっても、この間の三年、四年の流れの中でどういう変化が生まれたのかというのはわからないわけですよね。つまり、十七年度で変更を行ったというのは前回の調査でわかったとしても、十八年度、十九年度でやった場合には、現状ではわからない。

 今の千七百市区町村の中で、実際に準要保護の基準を見直したというのが、先ほど言った、国庫補助の一般財源化をした以降でどうなったかという全体像がわからないんじゃないですか。そういう調査は行わないんですか。その点をお聞かせください。

徳久政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、準要保護児童生徒の認定基準は、市町村が適切に実施をすることになっております。

 文部科学省といたしましては、それらの現状について、例えば児童生徒数であるとか全体の支給額であるとか、そういうことも調査しておりますとともに、今言いました観点から、基準の変更につきましても、現状把握のために調査をしているということでございます。

塩川委員 いや、ですから、現状把握にならないわけですよ。二十年度だけの変化を切り取っただけでは、全体の流れがどうなったかというのはわからないでしょうということを聞いているんです。現状把握として今年度だけの変更を切り取っても、それは全体の特徴をつかむものにはならないんじゃないですかとお聞きしているんですが、いかがですか。

徳久政府参考人 もちろん、平成二十年度は現在調査中で、集計中でございますけれども、この調査結果が明らかになれば、当然のことながら、十七年度との比較においてどういうような市町村がふえたのかということは把握できると考えております。

塩川委員 いや、十八年度、十九年度で変更したところは、二十年度でも変更しなければ出てこないわけですよ。そういったことでは全体像がわからないでしょうと言っているわけです。ですから、十八年度、十九年度も含めて調査を行うべきだ、このことを申し上げておきたい。

 あと、この二十年度の調査におきましても、回答日は一月の二十九日ということですから、既にお手元にデータをお持ちでしょう。集計結果の取りまとめは少し先なのかもしれませんけれども、大まかな傾向として、どのくらい基準を変更したのか、切り下げ方向に変更したのか、その数を教えていただけますか。

徳久政府参考人 委員御指摘のとおり、この調査結果につきましては、締め切り日を一月二十九日というふうにしておりまして、一カ月弱たつわけでございますけれども、現在、申しわけございませんけれどもまだ集計中ということで、全体の粗い数字も含めてまだ積み上がった数字はございませんので、そちらの集計ができ次第、また御報告させていただきたいと思います。

塩川委員 文科省に対しては、抜けている年度についてもきちっと調査をしていただきたいと重ねて要望しておきます。二十年度の調査についても、明らかとなった時点で教えていただきたい。

 そこで、総務省にお聞きします。

 就学援助に係る地方財政措置額について、二〇〇四年度と二〇〇五年度、二〇〇七年度がどうなっているのか、お答えください。

久保政府参考人 要保護及び準要保護児童生徒の就学援助に対します地方財政措置でございますが、二〇〇四年度、平成十六年度でございますけれども、約百四十一億円、二〇〇五年度、平成十七年度でございますが、約二百八十三億円、二〇〇七年度、平成十九年度でございますが、約二百八十二億円となっております。

塩川委員 二〇〇四年度から二〇〇五年度にかけて国庫補助の廃止、一般財源化、それに対応して地方交付税措置が行われています。その数字として今伺ったわけです。

 大臣に伺います。

 この間の市区町村における就学援助の額は大きくふえているわけですね。しかし、この間、その伸びが鈍化をしている。他方、それに対する地方財政措置というのは大きく変わっていない。その開きが大きくなっているという実態があると思うんですけれども、少なくない自治体において就学援助の支給基準や支給額の引き下げ、抑制が行われているというのは、このような自治体の財政需要に見合った地方財政措置が行われていないからではないのか。どのようにお考えか、お聞かせください。

鳩山国務大臣 私、この問題は、考えてみるとかなり難しい問題で、結局、今、久保局長がお答えした数字、二〇〇四年度百四十一億円、二〇〇五年度二百八十三億円と倍増していますが、これは、その前年まで準要保護は文部科学省からの国庫補助があった、それが一般財源化されたから倍増したということなんだろうと思っております。

 準要保護児童と認定するかどうかというのは市町村の教育委員会だろう。そこにまた、いろいろ基準をつくっていく、それは自治事務だし、地方自治だから、それぞれの地域の実情に応じてこれは上下する、厳しくしたり甘くしたり。つまり、多くの子供に配ったり、少ない子供に配るように変えたりということが頻繁に行われているということなんですね。これは、地方の実情に応じてということだし、地方財政措置している金額の大体三倍ぐらいが払われていますから、基礎的自治体の単独事業で相当上積みをしている、まさに地方自治なんだな、こういうふうに私は今は思います。

 ですが、かつて私は文部政務次官も大臣もやった人間でございまして、教育の機会均等ということについてはうるさくて、したがって、いろいろな費目が一般財源化していくことにひどく危機感を覚えたわけです、一般財源化すると平等原則が崩れるんじゃないかと。

 平等原則が崩れるというのは、国が一律でやるということです。それに対して、地方自治は地方の自由裁量でやるということです。その両面にかかわってくる問題なので、非常に考え方が難しいなと正直思います。

 ただ、本会議でお答えしたように、とにかく認定するかどうかということで言うならば、できる限り広く認めるようにお願いしたいということを本会議では申し上げたつもりです。

塩川委員 本会議の大臣の答弁では、自治体において円滑な事業の実施が図られるように、文科省とも協議しながら必要な地方財政措置を講じたい、この点でもなるべく優しく援助すべきと。このなるべく優しくというのはどういう意味なのか。要は、市町村が住民の福祉の増進を図るのにふさわしい地方財政措置をしっかりやってもらいたいというのが私の趣旨でありますけれども、その点についてはいかがですか。

鳩山国務大臣 当然、そうあるべきだと思います。

塩川委員 市町村の財政力の違いによって就学援助にばらつきが出る、この点でも経済的理由によって教育上差別されてはならないという立場から考えても、私は、ここはやはり大いに知恵を出すべき、ふさわしい対策をとるべきときだと思います。

 大臣自身も、三位一体改革に失敗の部分がある、そういうふうに答弁をされ、これは具体的にどういうことなのかといえば、少なくとも財政力の弱い団体にマイナスの影響があらわれたということをお認めになっているわけですから、その立場で、まさに就学援助を受けるような貧困世帯が多い自治体に結局より大きな負担がかかるような構図となれば、それ自身がさらに基準を引き下げるような悪循環にも陥りかねない、こういう事態こそ改めるためにふさわしい地方財政措置をとるべきだ。そのことについて一言御答弁いただいて、終わります。

鳩山国務大臣 うそも隠しもいたしません。私は、三位一体改革のときに、文部省にしばらくいた人間として、義務教育国庫負担制度の堅持、つまり、二分の一から三分の一へ、それだけ一般財源化することに絶対反対して最後まで党で騒いだ人間でございますから、そのとき危惧したと同じようなことがこの就学援助問題で起きてはいけないと私は痛切に思います。

塩川委員 交付税の抜本的な増額、復元を求める、このことを改めて強調して、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 昨日に引き続き質問いたしますが、きょうは、まず個別算定経費について若干質問をいたします。

 別枠予算のうち、五千億円分については、社会福祉関係費などの単位費用を引き上げることに使うということであります。私は、規模は十分ではないが一定の評価はできることだろう、このように思っています。

 それに関連して、教育費についてでありますが、教育費で、学級数の単位費用は引き上げております、ところが、学校数の単位費用は逆に引き下げている。これは一体どういうことを意味しているのか、伺いたい。

久保政府参考人 市町村分の小中学校費につきましては、給食経費など児童生徒の数と関連性の高い経費、これは児童生徒数を測定単位にいたしております。そして、教材備品の購入に要する経費といったような学級数と関連性の高い経費は、学級数を測定単位にいたしております。また、学校医でありますとか学校の数と関連性の高い経費につきましては、学校数を測定単位といたしまして、小中学校に関するさまざまな需要の性質に応じた算定を交付税では行っております。

 平成二十一年度におけます学級数を測定単位とする単位費用でございますけれども、先ほどふえているという御指摘がありましたが、これは地方公共団体からの要望を踏まえまして、耐震改修等維持補修に要する経費を充実したといったような要因で増加をいたしております。

 また一方で、学校数を測定単位とする単位費用につきましては、学校全体に係る物件費の微減といったことに伴いまして減少しているということでございます。

重野委員 説明を整理しますと、結局、過疎過密という概念からしますと、過疎地域における学校の状況というのはマイナスに振れてくる、逆に、都市部の人口がどんどんふえている、あるいは児童数がふえている、そういう地域における部分というのはプラスに振れるということだろうと思うんです。

 しかし、私は、実態に合わせて単位費用を変えていくということは、現状をどういうふうに持っていくのかという思想に乏しいと。つまり、現状を追認し、それに合わせて予算を組んでいくということになり、現状をどうするかという方向性というものがその限りにおいては見えてこないんだな、こういうふうに言わなければなりません。

 であるとすれば、地方の過疎地域における状況というのは、加速することはあっても、それに歯どめがかかり、反転、上向いていくという展望というのはこの限りにおいて見えてこない、こういうふうに言えると思うんですね。

 それがこの間続いてきて、私どもが小学校に行っていた時代、今はもう臼杵市に合併して臼杵市となりましたけれども、その前は野津町だったんですが、野津町というのは五つの村が合併して野津町になった。その五つの町に、僕らの時代というのは間違いなく全部に小学校があり、全部に中学校があった。今進めている学校の統廃合が進めば、将来、野津町に小学校は一校、中学校も一校になる、こういう状況なんですね。

 これもその限りにおいては、私どものそういう住む町において、学校がふえてくるあるいは今の学校数が維持できるという展望はほとんど見えてこない。その結果、どういうことが起こっているかというと、小学校の子供たちが大きなかばんを持って一時間も歩いて学校に通学しなきゃならぬ。そういう現状です。

 歩いて学校に通うということが、いかなる教育的見地から見て効果があるのかないのかなんていうのは私はよくわかりませんけれども、やはり歩いて学校に通う距離というのは適正なものがあるんじゃないか。

 そうすると、野津町に一校の小学校となるというときに、今一番人口が多い、昔の野津市村なんですけれども、そこと他の村の、私の村の一番端の距離は、それは一時間どころではないです、もっと時間がかかるんですね。この町の者は十分か十五分でほぼ皆行ける、これはどうなるのかということが、その地域において問題として出てくるんですね。

 そして、機械的に、昔のある小中学校を合併後、廃校になった学校の跡地はどこもそのままです。もうグラウンドに草はぼうぼう生えて、そこに昔の校舎が建っておる。本当に、幽霊屋敷じゃありませんけれども、そんな姿があっちこっちに出てくるわけですね。だから、この学校再編の過程の中で、そういう部分もどう加味されて新たな学校の配置というものがなされるのかという点、これは真剣に議論しないと問題があると私は思うんですね。

 そういう意味では、学級数、学級の定員がこういうふうな形でマイナスに振れてくるということは、ずっと追っていくと、そこに行き着くんですね。そこら辺も踏まえてやはり財政的な措置というものが同時になされていかないと、地方の子供と町の子供というのは何でこんなに差があるのと、こんなことを言う子が出てくるかもしれない。それほど今の人口の減少傾向のもたらす現実というのは厳しいものがあると私は思うんですね。

 そういうものに対する認識、あるいはそういうときにどう対応していくのかという思想、それはどういうふうに思っているのか、それを聞きたい。

久保政府参考人 先ほど申し上げましたように、地方交付税の算定上、小中学校の経費につきましては、児童生徒数、学級数、あるいは学校数といったような、それぞれ需要の性質に応じた測定単位を設けて算定を行っております。

 さらに、平成二十一年度、来年度におきましては、御案内のように、地方交付税が既定の加算とは別枠で一兆円増加をしたということがございまして、それを歳出にも立てるということによって、学校教育環境の充実に二百七十億円程度を振り向けるといったようなことをいたしておりまして、全体として教育分野における基準財政需要額を充実する方向にしております。

 なお、御指摘のございます学校の統廃合でございますけれども、学校の統廃合が行われた場合におきましても、学校数の減少に伴う基準財政需要額の減少を緩和するといったことで、私ども従来から数値急減補正といった補正を講じておりまして、その適用期間でございますけれども、平成十八年度までは三年間でございましたが、地方公共団体からの御意見を踏まえまして、平成十九年度には四年間に延長いたしました。また、平成二十年度にはさらに一年延長して五年といたしております。

 今後とも、地方公共団体の御意見をお聞きしながら、交付税の適切な算定に努めてまいりたいと考えております。

鳩山国務大臣 私は、率直に、重野先生のお話を承って、かつて一応は文部大臣をやった人間として、本当に難しい問題だなと思いました。

 というのは、私の昔の選挙区である中央区とか文京区、台東区、あるいはこの千代田区あたりでも、学校の統廃合をめぐっては、残せ、残さないで相当な争いというか、PTA同士のけんかのようなものも起きているわけですね。

 先生の地元は野津町ですか、例えば、五つの村が一緒になった、五カ所に小学校も中学校もあった、そしてそこに適正規模の児童と生徒がいて、地域の文化をそれぞれ五つの村で風土に基づいて継承していくならば、それが理想なんだろうと思いますが、現実には、人口というのは移動するものだ、いわゆる過疎と言われるような現状になってしまった。では、それをどこか一カ所に集める、その方が子供たちに社会性が身につきますから。要するに、学校の適正規模というのはどれくらいなのかという議論も文科省では大いにやっていただきたいと思うし、それでは交通インフラというんでしょうか、歩いて一時間も一時間半もかかったら、これは健康にはいいかもしれませんが、教育上問題がある。とすれば、スクールバスが全部手当てできるかどうかとか、いろいろな難しい問題があるんだろう。

 効率化ということからいえば、当然一カ所に全部集めてしまった方がいいのかもしれませんが、しかし、先ほどから申し上げておりますように、それぞれの地域地域の特色を残すという意味だったら、一緒にしない方がいいというときもあるんだろう。ですから、適正規模の議論を踏まえながら検討しますが、大変難しい問題だ。総務省の行政で、全部残すあるいは全部一緒にすると、片方の方向に決めて誘導できるものではないという気がします。

重野委員 今大臣が言うように、私も、これは簡単な問題じゃないと思うんですね。簡単な問題じゃない。

 例えば校舎を含め廃校になった学校の跡地、今私が言いましたように、草ぼうぼうの中にもと通った学校の校舎が建っておる。自治体がその校舎を壊して処分するなんという余裕は、残念ながら今自治体にはないですね。私の周辺の自治体にはない。いつまであれをほっておくの、いや、もう金がないというのが、過疎地域の財政力の乏しい自治体の学校をめぐるお話です。

 これもやはり統廃合し、言うなれば適正規模の学校に集約をしていく、それも理解できないではないんですが、同時に、今言ったような、付随して今進んでいるそういう状況にも目配りをして対策を講じていかないといけないと私は思うんですね。

 私は、ある意味では、校地というのは非常にすぐれた資産だと思いますね。それをどう有効に活用していくかということも同時に議論されないともったいない話ですね。その点もひとつしっかり総務大臣に考えてもらいたい。

 次に、地方税法に関連をいたしまして、今回、最高六百万円の住宅ローンの控除が盛り込まれております。これについて地方税では課税所得金額などに五%を乗じた額を限度に減額する、こういうふうになっているんですね。

 そこで、これはなぜ五%という数字が出てくるのか、それを聞きたい。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 今回の税制改正におきまして、住宅投資を活性化する観点から、住宅ローン特別控除につきまして、最大控除可能額を過去最高水準まで引き上げますとともに、個人住民税において所得税から控除し切れなかった住宅ローン控除額を控除する、こういう制度を導入することにしているところでございます。

 この個人住民税の住宅ローン控除につきましては、個人住民税は地方公共団体の行政サービスに要する経費を広く住民に御負担いただく地域社会の会費としての性格を有するわけでございますので、こうしたことを踏まえまして、所得税から引き切れなかった額のうち、税源移譲によって所得税から個人住民税に移譲された額の範囲内で控除する、こういう考え方をとっているわけでございます。

 所得税から税源移譲されました額は、所得税の課税総所得金額等の百九十五万円以下の部分の五%でございますので、控除額の具体的な算定の仕方といたしまして、個人住民税における住宅ローン特別控除の限度額を、所得税の課税総所得金額等の五%、最高九・七五万円としているものでございます。

重野委員 今、会費的性格という言葉が出ましたけれども、会費的というふうなことが言えるのであれば、均等割でやるのが一番いい。それこそ会費的なんだという理屈もあるわけですね。均等割を残して全額控除すべきではないかという提案なんです。その分、控除の最高額を引き下げれば財源も手当てできるし、その方が一部の金持ちだけではなく多数の人がこの制度の恩恵を受けることができる。それがさらに住宅需要をより喚起することにつながる。こういう理屈を考えるんですが、そういう私の考えに対していかなる評価をされますか。

河野政府参考人 お話ございましたように、この住宅ローン減税の政策効果をできるだけ大きくしていくという観点からいたしますと、一つは、今回のように最大控除可能額を過去最高水準まで引き上げておりますし、そういったできるだけ控除額が大きくなるようにするということも必要でございますけれども、一方で、先ほど申し上げましたように、住民税の性格というものを十分に踏まえる必要がございますし、この住民税の性格といいますのは、先ほど申し上げましたけれども、地方公共団体の行政サービスに要する経費を住民の方にできるだけ広く、公平に負担していただくということでございますので、そういう両方の要請を十分考慮した上で制度を仕組むことが必要であろうと思います。

 その中で、均等割についてお話ございましたけれども、もちろん均等割も地域社会の会費でございますけれども、所得割も含めて私ども先ほど申し上げたような意味で地域社会の会費という認識を持っておりまして、その中でも均等割については、特に基礎的な部分といいますか、いわば最低限の会費という性格を持っておるかと思いますので、やはりここは所得割も含めまして住民税の性格に即した控除の仕組みということを考えることが必要であろうというふうに思っております。

重野委員 この効果をより多くの方に波及するという見地から見ても、私の提案というか主張というのは合致しているというふうに思うんですが、より多くにこの効果を及ぼすという点において、これの方がいいんですか。

河野政府参考人 もちろん、住民税からできるだけ多額に控除するということであれば、その政策効果は大きくなるわけでございますけれども、そういう要請を踏まえて、もともと住民税においては原則として政策的な控除をやっておらなかったわけでございますけれども、従前であれば所得税から控除できた額が、今般の税源移譲によって引けなくなっているという事情がございますので、そういう住民税の基本的性格と整合性がある範囲で住民税から控除する仕組みを導入して、できるだけ政策効果が発揮できるようにさせていただいているということでございます。

重野委員 終わります。

赤松委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 本当に時間調整で、あと限られた時間でございますけれども、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 本当に、鳩山大臣が総務大臣に就任して以来、ますます総務省の発信力というのが高まってきたんじゃないかなと思うわけです。その原因は、要因と申しますか、鳩山大臣の個人的な魅力もさることながら、やはり国民の声にしっかりと行政がこたえていく、こうした一つ一つの積み重ねの結果がそういった評価につながっていると私は思いますし、私もそのことを高く評価させていただいているわけでございます。

 とりわけ、かんぽの宿関連では、大臣として国民の多くが感じておられることを代弁し、徹底調査を約束したり、白紙撤回をしたり、こうした国民目線での取り組みをこれからもしっかりと続けていっていただければ、我が党の支持率の回復にも寄与してくるのではないかな、こう思うわけであります。

 いよいよ二法も終局を迎えておりますけれども、ことしの国の予算は、御案内のとおり八十八・六兆円で、六・六%の伸びでありますけれども、赤字国債が三十三兆円ということで、これは本予算でも、あるいは年度での補正も含めても過去最大の発行額でございます。そういった厳しい中で、これだけの予算を組んでいるということは大変評価できるんだと思います。

 一方で、地方財政の方は、一言で言うと、本当に綱渡り状態で、ことしも、まあ去年よりもかなり臨時財政対策債を増額して、五・一兆円規模で発行して、何とか二十一兆円、特別枠の一兆円もございますけれども、確保していただいたということでございます。

 基本的に、きょうはこの二つの法案の審議を通して、与野党問わず、多くの議員から地方交付税制度も含めた地方財政を抜本的に見直していかないと大変なのではないかという声が相次いだわけでございまして、そもそも大臣は、この地方財政の現状をいろいろわかりやすい御説明の中でお披瀝がございましたけれども、やはり時代に合った制度に変えていく、右肩上がりの経済成長を前提に、税収の伸びを前提にして制度設計していたのでは、これから地方財政の期待にこたえていくことはなかなか難しいんだろうと。これまでの三位一体改革の中でも進めてまいりました地方の自主財源の確保を図りながら、この地方税制の制度設計を鳩山大臣のリーダーシップでこれから抜本的に進めていくということが大事だと思っております。

 地方財政に対する大臣の御認識とあわせてお伺いをさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

鳩山国務大臣 地方が元気でなければその国は発展もしないし元気がなくなるというのは、私は世界共通の原理なんだと思います。したがいまして、世界各国の大多数は、地方に借金を大きく背負わせるような仕組みはとっておりません。大体、国が肩がわりするという形でやっております。

 我が国の場合は、例えば国、地方と借金を合わせて、正確ではありませんが、国が六百兆で、地方が二百兆だとか、よくそういう数字が語られますけれども、日本では地方に意外と多くの借金が背負わされておりまして、その数値が現在は百九十七兆円というものに上っているわけでございまして、先ほどからございましたように、基準財政需要を積み上げる中に何と元利償還金を八兆円も入れなければならない、実際の支出としては十三・数兆の元利償還返しをしなければならない、こういう状況にあるわけでございます。

 そこへ百年に一度と言われるような経済危機が襲ってきた中で、地財計画を大変立てにくい、そういう状況がありました。結局、そこは約十兆を超す財源不足が生じたわけでありますが、折半ルールのもとで半分は国に入れてもらって、そして半分はまた例の臨財債という、結局将来の交付税の先食いになってしまうんですが、これを組み込むことによって何とか前年よりも地方交付税で四千百億円ぐらい多いもの、そしてまた地方の一般歳出の総計で四千億ぐらい多い、これは十年ぶりだ、こういう水準ではあります。

 しかし、こういう厳しい状況を続けてまいりますと、結局いつかは地方財政そのものがもたなくなる。とすれば、偏在性も少なくて安定性のある財源がどうしても必要になってくるわけで、仮に中期プログラムで消費税を五%から一〇%へ引き上げるというのであるならば、一説には一〇%になったときに地方消費税一%で国の消費税が九%などという意見もありますが、冗談ではないわけでして、仮に消費税が一〇%という時代が来るならば、二%、できれば三%地方消費税が欲しいわけです。そうなりますと、大分安定感が出てくるわけです。

 いずれにいたしましても、地方税と国税の割合が一対一に近づくように努力したい。これができませんと、いつも穴埋め穴埋め、どこかで借金という、またいずれ借金で首が回らなくなるという事態になるだろうと思います。

秋葉委員 時間が参りました。ありがとうございました。

赤松委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して討論を行います。

 地方は、自公政権の三位一体の改革で傷つき、さらに昨年来の急激な経済の悪化で疲弊し切っています。民主党は、地方財政の充実、地方間格差の是正など、地方の再生に最優先に取り組んでいくべきだと考えます。しかし、政府が提出した予算案及び地方財政関連の二法案には余りに問題が多く、地方の再生に結びつかないことから、反対せざるを得ません。

 第一の問題は、二十一年度予算案が実質GDP成長率をゼロ%と想定していることです。

 我々は当初から、政府が現状認識を誤っており、経済対策が不十分であることを指摘してきました。実際、昨年の第四・四半期実質GDP成長率が年率換算でマイナス一二・七%となりました。しかし、政府はこの現実を無視したままで、与党内からも補正予算が必要だとの声が上がる始末です。これでは自分たちが出した予算案がまるでだめだと認めているようなものです。

 第二の問題は、地方交付税が不十分だということです。

 政府は地方交付税を一兆円増額したと喧伝していますが、交付税の原資である国税が大幅に減り、地方交付税の実際の増額は約四千百四十一億円にとどまります。これは今よりも景気がよかった平成十八年度の水準にも達していません。

 第三の問題は、道路特定財源が実質的には一般財源化されていないことです。

 政府が新たに創設する地域活力基盤創造交付金の使い道は、道路や道路関連事業に限定されています。介護、教育、医療などには使えない交付金であり、地方にとってはいまだ道路特定財源です。

 地方にとって地方財政関連の二法案がいかに大切なものであるか十分承知しておりますが、政府・与党がみずからだめだと言っている予算案の関連法案には賛成したくてもできません。

 民主党は一刻も早く政権交代をなし遂げ、財政力の弱い自治体に手厚く財源を配分する一括交付金制度や財源保障機能をも強化した新たな財政調整制度を創設することをお約束して、私の討論を終わります。(拍手)

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案であります。

 この法律案は、個人住民税の住宅ローン減税の創設、ハイブリッド車など環境への負荷の少ない自動車に係る自動車取得税の税率軽減措置の導入など、急速に悪化する景気動向に対応する内容のほか、道路特定財源の一般財源化への対応などを含んでおり、安心で活力ある経済社会の実現に資するものとなっております。

 これらの改正は、社会経済情勢の変化等を踏まえ、国民生活に配慮した適切かつ妥当なものと認められるものであります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案であります。

 この法律案では、平成二十一年度分の地方交付税の総額として、既存の法定加算とは別枠の一兆円の加算等を通じて十五兆八千二百億円を確保するとともに、平成二十一年度及び平成二十二年度における措置として、地域雇用創出推進費を創設することとしております。これらの措置を通じて、地方公共団体が、みずからの創意工夫により、雇用創出や地域の元気回復に向けた取り組みを行うための財源が確保されるものであります。

 また、この法律案では、現行の地方公営企業等金融機構の仕組みを見直し、貸付業務の範囲を一般会計まで拡充することとしております。これは、地方公共団体より長年主張されてきた懸案でもあり、地方公共団体の財政基盤を強化し、自由度を高めるとともに、金融秩序の混乱の中での資金調達を補完するものとして高い意義があるものであります。

 さらに、第三セクター等の抜本的な改革についてであります。第三セクター等の抜本的改革につきましては、先送りをすることなく、将来的な財政負担の明確化と計画的な削減に向け、早期に取り組むことが極めて重要であります。この法律案により創設される地方債の特例を活用することにより、第三セクター等の抜本的な改革に集中的に取り組むことができるものと考えます。

 地方の経済、雇用情勢は深刻であります。政府におかれましては、地域の元気回復、活性化を図るため、地方税財源の一層の充実確保に努めることを強く要請いたします。

 以上のような理由により、二案に賛成の意を表するものであります。

 つきましては、地方公共団体が一刻も早く両法律案が成立することを要望しておりますことを申し添えて、両法案に対する私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手)

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、地方交付税法、地方税法等改正案に反対の討論を行います。

 まず、地方交付税法等改正案についてであります。

 第一に、政府は特別枠で交付税額をふやしたと言いますが、三位一体改革で削減した五兆一千億円の交付税額を復元、増額することにはなっておりません。

 今回の雇用対策や公立病院などに対する特別枠は、二年限りの措置などを含んでおり、恒久的、安定的な財源措置ではありません。

 地域医療を担う公立病院を再建するために必要な財源は、全く不十分です。地域の実態を無視し、効率化を求める公立病院改革ガイドラインは、直ちに撤回をすべきであります。

 また、雇用と景気が深刻化するもとで、例えば就学援助費が急増するなど住民の福祉や教育のために必要な財政需要はますますふえており、交付税の大幅増額が求められています。

 国の行う大型公共事業に地方自治体の負担を強いる直轄負担金は、廃止を含め抜本的に見直すべきです。

 また、骨太方針二〇〇六に沿って、住民サービスを担うための人件費を初め、必要な経費を厳しく抑制し続けていることは容認できません。これが、地域に必要な単独事業を圧迫し、住民サービスの低下をもたらしているのであります。

 鳩山総務大臣は、三位一体改革は失敗だったと認めながら、本法案は、三位一体改革や骨太方針を何ら是正するものではありません。

 第二に、地方財政を確保する国の責任が果たされていないことです。

 地方交付税法は、ナショナルミニマムを保障するための財源保障を国に義務づけるとともに、財源不足が生じた場合には、交付税率の引き上げを政府と国会に求めています。

 財源不足は十四年も連続して続いています。地方の借金で不足額の穴埋めを繰り返すやり方は、もう通用しません。

 地方交付税法第六条の三第二項の規定に従って、交付税率を引き上げるときです。今まで一度も使われたことがないというこの規定を、今こそ実施すべきであります。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案についてであります。

 反対する理由は、大資産家優遇税制を延長、拡充していることです。上場株式等の配当、譲渡益課税は、二〇%から一〇%に減税されたままです。この軽減措置を延長した上、配当所得基準をなくす優遇策は直ちに廃止すべきです。また、固定資産税の負担調整措置は、負担水準が低い土地ほど税の負担を上昇させる仕組みになっています。住民に連続増税を強いる仕組みの延長は、容認することができません。

 以上を述べて、反対討論を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論を行います。

 平成の大合併や三位一体の改革が国の財政再建のための改革、地方に行革を強いるための改革であることが明らかになっています。地域の切り捨て、格差拡大という改革の影の部分をどうしていくのかが問われているにもかかわらず、政府案はそれにこたえるものとはなっておりません。

 まず、地方税法改正案は、上場株式等の配当、譲渡益に係る軽減税率の適用期限の延長等、不公平税制の是正に逆行するものが多く盛り込まれています。また、地方の道路特定財源の一般財源化も、事実上骨抜きに終わっています。地方自治の根幹を支える貴重な財源であるにもかかわらず、地方の意思や歳出の実情とは無関係に、住宅ローン減税などの大幅軽減がなされているのも問題です。

 次に、交付税法等改正案について、雇用創出推進費五千億円については率直に評価をいたします。

 財源不足額についての対応についても、地方交付税法第六条の三第二項に立ち戻るのが筋であるにもかかわらず、臨時財政対策債にツケ回しされています。しかも、臨財債の償還自体が臨財債依存となっており、借金頼みのやりくりは限界に来ています。

 なお、地方公共団体金融機構の設置は、社民党が一貫して求めてきた自治体銀行につながるものであり、評価できます。

 最後に、地方六団体からも、もはや歳出の削減努力だけでは住民の暮らしを支えることさえ困難になっているという声が上がっています。地方の声に真摯に耳を傾け、国、地方の税財政関係の抜本的見直しを行い、地方税財政の充実強化を大胆に図るべきであることを申し上げ、反対討論とします。(拍手)

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、森山裕君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による地方税財政基盤の確立に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税財政基盤の確立に関する件(案)

  住民本位の分権型社会を実現するにふさわしい地方税財政基盤を確立するため、政府は次の諸点について措置すべきである。

 一 現下の厳しい経済環境の下において、地方の疲弊が極めて深刻化していることにかんがみ、地方交付税については、本来の役割である財政調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ地方公共団体の安定的な財政運営に必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含め、抜本的な見直しを検討すること。

 二 地方分権改革推進法に基づく地方公共団体に対する財政上の措置の在り方等の検討に当たっては、地方の参画の機会を保障するとともに、地方分権改革推進計画の作成に当たっては、地方の総意を真摯に踏まえ、地域の実情を十分反映したものとするよう、最大限の配慮を払い、新たな地方分権一括法の早期制定を目指すこと。

 三 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、地方公共団体間の格差是正を図る観点に立って、国と地方の税源配分の見直しなどを通じ、可及的速やかに偏在度が小さく地方分権を支えるに足る地方税制の構築を図ること。

 四 巨額の借入金が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることにかんがみ、計画的に、地方財政の健全化を進めるとともに、臨時財政対策債をはじめ、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 五 本年四月からの地方公共団体の財政の健全化に関する法律の全面施行に当たっては、各地方公共団体における住民サービスの不適切な低下を招く事態とならないよう十分な配慮に努めること。

 六 地方公共団体の財政の健全化に関する法律の全面施行に際し、各地方公共団体における企業会計の慣行を参考とした地方公会計の整備の促進を図ること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤松委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地方税財政基盤の確立に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じますが、すばらしい内容だと思います。

 ですが、例えば第一項目、第三項目、「法定率の引上げ」とか「国と地方の税源配分の見直し」「可及的速やかに偏在度が小さく地方分権を支えるに足る地方税制の構築」など、私が幾ら頑張ってもできません。国会が立法をしていただかなければ実現できない内容が入っておりますので、ぜひ、国会の委員の皆様方の、あるいは委員長を初めとする皆様方の御協力を心からよろしくお願い申し上げます。

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会


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