衆議院

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第13号 平成21年4月9日(木曜日)

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平成二十一年四月九日(木曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    川崎 二郎君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    谷  公一君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    平口  洋君

      福井  照君    古屋 圭司君

      松本 文明君    松本 洋平君

      盛山 正仁君    渡部  篤君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      小平 忠正君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      松野 頼久君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   衆議院委員部長      山本 直和君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   戸塚  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 金田  新君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            伊藤 和博君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            寺崎 由起君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     盛山 正仁君

  谷  公一君     松本 洋平君

  小平 忠正君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     谷  公一君

  盛山 正仁君     今井  宏君

  松野 頼久君     小平 忠正君

    ―――――――――――――

四月九日

 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事金田新君及び理事大西典良君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長山川鉄郎君、総合通信基盤局長桜井俊君、政策統括官戸塚誠君及び厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうも質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただくわけですが、きょうの主なテーマというのは、やはり地デジ、あるいはそれに関する法改正ですから、そういうことになろうかと思います。

 先日、野球のWBC、ワールド・ベースボール・クラシックがありましたね。あれを、本会議の前の自民党の代議士会のとき、その前後に決勝戦をちょうどやっていまして、ワンセグの携帯で見ておりまして、周りの方に今何対何だよなんという話をしていたら、どうも後ろにテレビカメラがあって、それが何回かテレビで使われたみたいで、私はそれを見ていないんですが、多くの方から、あなた、国会の中で何をしよるんだなどといって、御反響が多々ございました。(発言する者あり)それはいろいろな意味があったんですけれども。時々、本会議中にそんなことをしたらいかぬだろうというおしかりもあって、いや、それは本会議中ではないのでというお話はするんですけれども、まあ、そういうときにワンセグ携帯というのは便利に使えるんだなという、多少宣伝に役に立ったのかなと自負をして自分を慰めているわけでございます。

 それはそれとして、そういうような形で、地デジが進み、そのメリットとしてワンセグもあるわけですけれども、これから、二〇一一年七月二十四日にアナログ停波をして、地デジの移行プロセスというものが終わる。あと二年と少しということになっている段階でございまして、その地上デジタル放送をどう普及していくか、送信側も、そして受信側もどう広めていくかというのが今最大の課題で、これはこの国会においても、委員会で質疑は既に何度もあったわけでありまして、その中で今回の改正案になっているものというふうに考えておるわけであります。

 本来ですと、ここで鳩山大臣にぜひ御決意をと聞くべきところとは思いますが、時間も限られておりますので、しっかりとした決意が既にあるんだ、もう既にこの委員会で御答弁いただいておりますから、そういうことで、きょうは政府参考人の方にこの法改正の意義、内容そのほかについて幾つか御質問したいと思っております。

 さて、今回の法改正の内容の一つは、地上デジタル放送の受信機の購入を支援するのだ、そのために電波利用料を使うのだということで、電波利用料の使途拡大というのが一つの柱になります。

 そもそも電波利用料とは何ぞやということを考えたときに、電波法の百三条の二の四項「無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」、こういうことになっているわけでありまして、「無線局全体の受益」とは何ぞやという話、これはちょうど一年前、やはり電波法の改正があったときに私も質疑をさせていただいて、電波を使う、それは放送だけではなくて携帯電話だとかいろいろな無線だとかそういうのも含めて、そういうコミュニティー全体にとって有益なことだというような御答弁をいただいて、そのように承知をしているところであります。

 では、なぜ地デジが電波を利用するコミュニティー全体に有益なのかということを言うと、それは、今のアナログの放送に比べて大変効率的な電波の利用になるから、その余った分をもっといろいろな利用用途に使えるね、こういうことで地デジがそもそも進んできました。

 昨年の法改正のときは、放送局とか放送するための中継設備でしたか、そういう送信側の設備をサポートするために電波利用料を使えるようにしましょう、こういう法改正でしたから、それこそ地デジを全国で実現するために必要なことに使うのだ、だから電波利用料を使う正当性があるのだということになっていたんだと思うんですが、今回の改正で使う使途拡大というのは、受信側ですね。一応、今の案だと、NHKの受信料免除世帯に限るということになっていますから、そういう経済的に難しい状態にある方の受信機をサポートする。

 もちろん、そういうようなニーズがあるということは重々わかるし、気持ちとしてはとても、それは必要だと私も賛成をするところでありますが、一応、送信側の設備の支援であったら、それは放送の実現のために必要だと間違いなく言える。だけれども、受信側の地デジ対応のテレビだとかそれに必要な機材というものが地デジに必要と言えるのかどうか。地デジの実現をするという国の政策の実現に対して、受信側まで面倒を見なきゃいけないのかということは、一つの論点としてあり得るんだと思います。

 そこで、伺いたいんですが、そういう受信側の支援までするということが地デジの実現に必要だということで今回の法改正になっているわけですが、その考え方、もしくは根拠のようなものをぜひ教えていただきたい、こう思っております。

山川政府参考人 お答えを申し上げます。

 地上テレビジョン放送は、災害時の情報提供など、国民生活に必要不可欠な役割を果たしているということがございます。したがいまして、今回お願いしております受信機器購入等の支援でございますけれども、これは、地上デジタル放送への移行に際して経済的な理由等により見られなくなることがないように、受信機器の購入に対して支援をするということでございますけれども、こうした支援は地上デジタル放送への円滑な移行のために不可欠だというふうに考えております。

 すなわち、こういった受信者側に対する丁寧かつきめ細かな受信者対策というのが円滑のために不可欠だというふうに思っておりまして、周波数有効利用の観点から、本支援に対して電波利用料を充てることが適当というふうに考えております。

橋本委員 では、お伺いをいたしますが、円滑な移行のために必要だ、そういう支援を行うことで御理解もいただくという面もあるでしょうし、そもそも放送は受信と送信とワンセットで放送なのだと思えばそういうことにもなろうかと思うわけです。ただ、円滑な移行のためにということは、当然ながら移行期間というのが決まっているわけでございまして、それは多少オーバーすることがあるかもしれませんが、そういう理由づけなのであれば、いつまでも続くものではないんだろうと思うんです。

 そういう意味で、今回の措置というのは、円滑な移行のためということであればその歯どめがどこかに要るんだろうと思いますし、なお言えば、さらに今後もっと拡大していかなきゃという話にならないかどうかという、歯どめみたいなものが意識されている必要があると思っておりますが、その点についてどうお考えでしょうか、教えてください。

山川政府参考人 御指摘のとおりだと思っておりますが、電波利用料の使途につきましては、昨年の電波法の改正によりまして、すべてを電波法の条文で明示的に示す、いわば限定列挙方式にさせていただいておるところでございます。

 もちろん、地上デジタル放送の受信機器というのは自分で設置していただくことが基本なんですが、この受信機器購入等の支援につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、テレビジョン放送が国民生活に必要不可欠だということで、例外的に最低限度の支援を行うというものでございます。

 今回の法改正におきましては、この趣旨を踏まえまして、限定的かつ一時的な特例的規定といたしまして、電波法の本則ではなく附則で規定することによりまして、今後の使途拡大に対する歯どめという点でも十分配慮した書きぶりとさせていただいておるところでございます。

橋本委員 限定的、特例的、一時的な規定ということで、法文上の配慮もあるということでございますから、そのように受け取らせていただきますが、逆に言うと、今の御答弁というものは、今後の展開の中で、場合によっては、もしかしたら意味を持つものになるかもしれないなというふうに伺わせていただきました。ありがとうございます。

 では、具体的な話を一つしたいと思うんですが、今回の受信機購入支援について、対象はNHKの受信料全額免除者ということになっております。

 ところで、全国各地に消防団がございまして、年末の夜警とかで、機庫を回って激励に歩く。そうすると、時々伺う話として、機庫にテレビがあるわけです。テレビですからNHKの受信料が当然かかってくるわけなんですが、実際のところ、ふだんだれもいないし、そうはいったって、緊急時には、水害の情報だ、火災の情報だ、そういうのはどうかと見ていなきゃいけないし、でも予算というのは余りそういうところについていないし、でも払わなきゃいけないという状態があって、だから、きっと団員の方が自腹を切っていらっしゃるようなこともあるんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、そういうコミュニティーのある、ボランティア消防であるところの消防団というものの公共性だとか、災害対策のときに動いてもらう人たちだということも考えていただきたいと思うのです。

 そこで、まずNHKさんにお伺いをしたいんですが、消防団の機庫のテレビについて受信料を免除してくれという要望があるし、私もそうだったらいいなと思うんですが、その点についてどうお考えか、教えてください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 消防団には住民の生命や財産を守るという公的な使命があるということは十分承知いたしております。

 ただ、免除措置は一般の契約者の皆さんの負担により成り立っており、本来は行政で負担していただくべきという考え方から、施設に対する免除措置は逐次廃止をしてきているところでございます。こうしたことから、消防団の機庫の受信契約につきましては、原則として消防団を所管する自治体にお願いをしています。

 現在、施設に対する受信料の免除は社会福祉施設と学校の教室に限っております。対象の拡大は難しい状況にあることを御理解いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

橋本委員 だとすると、これは消防を管轄しているところの総務省さんにどうなっているんですかということをお伺いしないといけないかなと今思いましたが、きょうはちょっとお呼びをしていないので、また別の機会にします。(発言する者あり)

 では、大臣、どうお考えか、ちょっと教えていただいていいですか。

鳩山国務大臣 受信料の免除というのでしょうか、今橋本先生のお話を聞いていて、ああ、そうしたらいいのかなと私は頭に思いました。

 というのは、十六、七年前、文部大臣をやっておりましたときには、学校からも取っておったんですよ。それで、私が文部大臣として、郵政大臣、渡辺秀央先生だったと思いますが、学校から取るのはやめてくれとか、少なくとも学校の各教室みんな取るようなことはやめて一台だけにしてくれとか、そういう陳情をした経緯もあるものですから、今、ちょっと過去のことを思い出しながら聞いておりました。

 ただ、消防団のようなところでそういうボランティアの方々が自腹を切るのはよくない、そう思えば、これは行政の方で考えなくちゃいけない問題になるなと思います。

橋本委員 では、しっかり御検討というか、お考えをいただきたいなと思っております。

 今のは受信料についてのお伺いだったわけですが、今回の法改正での地デジの受信機購入の支援ということについてもやはり機庫に対して同じ問題というのは起こってくるわけだし、その点についてどうお考えか、教えてください。

山川政府参考人 NHKの受信料免除につきましてはNHKの方でお考えいただくとして、支援については私どもの役割になると思いますが、あくまで視聴者の自己負担で受信機器というのを購入していただくことが基本なんですけれども、今回は例外的な措置といたしまして、経済的に困窮度が高い世帯に対して最低限度の支援を行うこととしているものでございます。

 御指摘の消防団の機庫でございますけれども、これは基本的には自治体の施設でございまして、他の公共施設と同様に、この施設を管理していただいています自治体の自己負担によりましてデジタル化の対応を行っていただくことが原則だというふうに考えております。

 この支援措置は、経済的に困窮する世帯を対象とすることを想定しておるものでございまして、御指摘のような消防団の機庫を対象とすることは想定してございません。

橋本委員 結局、今話が出てきた消防というもの、それから自治体、そして放送、全部鳩山大臣のもとにありまして、議論の筋としては今の政府参考人の答弁のとおりだと思いますが、ただ、問題としてはそういうこともあろうかと。まあ、聞いた限りですから、実際を把握しているかと言われると、そこから始めないといけないかもしれませんが、ぜひ御検討をいただきたいと要望申し上げます。

 さて、次は、移動受信用地上放送というものが今回の電波法、放送法改正のもう一個の柱であります。要は、地デジになります、アナログ波で使っていた周波数帯があきます、じゃ、それを何に使いますかということで、携帯電話などに使う、あとITSなどに使う、そのほかの利用用途とあわせて移動受信用地上放送というものに使おうということが出てきて、そのための所要の法改正が今回されるということであります。

 ただ、結局、地デジになります、移行しますということは随分前から言われていたわけですが、この移動受信用地上放送というものを私が耳にしたのは正直言ってえらい最近の話でございまして、何かこう、後づけで出てきたのかな、うがった見方をすれば、電波の周波数帯が余っちゃった、何かに使わなきゃいけないなというので何とかつくったのではないかなという見方もできる気もするのですが、そういうような指摘に対して、この放送はこういう意義があるんだということをぜひ御説明いただきたいと思います。

山川政府参考人 周波数の有効利用はそもそも地上テレビジョン放送のデジタル化の大きなメリットの一つでございまして、アナログ放送が終了した後の周波数を新たな周波数ニーズに充てていくということは基本的に想定していたものでございます。

 その具体的な利用方法につきましては、情報通信分野の技術革新、市場環境の変化が極めて激しいということを踏まえまして、アナログ終了が見込まれる時点での総合的な周波数事情や、想定される電波利用ニーズを踏まえて決定することというふうにされておりました。

 今回お願いしております移動受信用の地上放送でございますが、まさに新しく始まる放送ニーズとして、国民に対して新しい放送の多様な選択肢を提供していくものだというふうに、私どもは重要な意義があると思っております。

橋本委員 では、移動受信用地上放送について、それがちゃんとビジネスとして成り立つのか。

 要は、もうみんな端末をいっぱい持っているし、時間は限られているし、移動中も寝るか本を読むか仕事するか、いろいろなことがある中で、さらにそういう放送を見るというニーズがどのぐらいあるのかな。あるいは、今あるマスコミでも広告料収入が、それは景気の問題もあるんですが、落ち込んでいて大変厳しい、そういうモデルが成り立つのかどうか議論もある中で、新たなメディアをつくることがどのぐらいビジネスとして成り立つのかなという懸念があろうかと思いますが、その点について教えてください。

山川政府参考人 実際のビジネスチャンスにつきましては、基本的には民間事業者が御判断するものというふうに思っておりますけれども、今回の移動受信用地上放送は、平成十九年の八月から有識者による懇談会を開催いたしまして、事業者の方々とか消費者団体の方々とかさまざまな方からの御意見を伺いながら、具体的な事業あるいはサービスのイメージを想定した上で制度改正を行うものでございます。

 実際に民間事業者においても参入に向けた企業準備というものは進んでおりまして、こうした動向を見ても、ビジネスの可能性は十分にあるものだというふうに私どもは判断しております。

橋本委員 ありがとうございました。

 では、十分にそれが利用されるようになるように御検討されることを願いまして、質問は以上といたします。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 橋本委員に引き続いて、電波法及び放送法の一部を改正する法律案の質疑をさせていただきます。

 まず、そもそも論ですが、基本的なことで大変恐縮ですけれども、今回の改正は、受信機器の購入等の支援にかかわる電波利用料の使途の拡大、これが一つございますけれども、この電波利用料というものはどういうふうに定められているのか、また適宜見直しがされているものなのかどうか、この点について総務省にお伺いをいたします。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料は、無線局全体の受益を直接の目的として行う行政事務、電波利用共益事務というふうに称しておりますけれども、この処理に要する費用につきましてその受益者である免許人全体で負担いただくという、広義の手数料という性格のものでございます。

 使途につきましては、昨年の法改正で十一項目に整理をいただいているところでございます。

 具体的な利用料の料額でございますけれども、これにつきましては、まず、電波利用共益事務の費用の見込み全体を計算いたしまして、その総額を算出して、それに必要な総額を無線局全体で負担していく、こういう仕組みになっているところでございます。

 見直しにつきましては、三年ごとに見直しを行うこととなっているということでございます。

伊藤(渉)委員 済みません、これは通告していないんですけれども。

 利用料を電波を利用する放送事業者の方が払う。その放送事業者の方の収入というのはコマーシャル収入だとかが多くを占めると思うんですけれども、これは非常に景気、経済に左右されるんですが、この電波利用料を定める三年ごとの見直しはそういったこともパラメーターとして含まれているんでしょうか。

桜井政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、電波利用料につきましては、あくまで電波利用共益事務に必要な費用を無線免許人全体で負担するという仕組みでございまして、その個々の負担のやり方につきましては、やや細かくなりますけれども、電波の経済的価値につながるような事務、すなわち電波資源を開発するための研究開発といった事務と、それ以外の事務に分けまして、前者につきましては、周波数の経済的価値に着目をいたしまして、それぞれ無線局が持ちます周波数帯域の幅を基本といたして、それに地域性等々を加味して算出している、後者については均等割をしているということでございます。

 そういう意味で、放送事業者の収入、収益がどうかということとは直接関係はございません。

伊藤(渉)委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 今回の法改正、もう一つの趣旨が、今橋本委員からもありましたとおり、移動受信用地上放送の実現のための制度整備というふうにございますけれども、これもまたそもそも論ですが、そもそもこの移動受信用地上放送、これはどういったものを想定しているのか、また、この法改正に伴う施策の実施によってどういった経済波及効果を想定されているのか、これも総務省にお伺いをいたします。

山川政府参考人 今回御提案申し上げている移動受信用地上放送でございますけれども、一般的には、携帯端末向けマルチメディア放送等と呼ばれている新しい放送でございます。

 具体的には、車載あるいは携帯などの移動する端末で受信されることを目的とする新しい類型の放送でございまして、映像とか音声あるいはデータなどから成る多種多様な情報を、リアルタイムの番組もございますし、あるいは蓄積型の番組もあるわけでございますが、こうしたものを組み合わせた柔軟な放送形態で提供することを想定しております。高度化、多様化する視聴者ニーズに対応した新しい放送サービスとなることを期待しているものでございます。

 お尋ねの、移動受信用地上放送の経済波及効果でございますけれども、総務省でこの三月から開催されている研究会で検討しておるわけでございますが、直接効果として、二〇一一年以降の十年間で約二兆円程度の効果があるのではないかというふうに思っております。また、波及効果でございますけれども、これは試算値がないので具体的な数値を申し上げることは非常に難しいのでございますが、関連業界にも経済的な波及効果は及ぶものと期待しております。

伊藤(渉)委員 こういったすべての政策は、最終的に国民の生活の向上ということにつながっていかなければいけないと思います。また、国民の幸福の増進につながっていかなければいけない。

 地デジの移行を前にこうした政策を進めていくわけですけれども、地デジの移行も、やはり相変わらず現場では、何で今までただで見られたテレビを見るために初期投資も含めてお金が要るんだという声がどうしてもゼロじゃないです。ですから、今回のこの電波法、放送法の改正に当たっても、これが今申し上げたとおり国民の生活、そして幸福の増進にどうつながっていくのかという点を明確にしておく必要があるだろうというふうに思いますので、この点について、大臣の御認識、御見解をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 今の伊藤先生のお話は最も重要なことでございまして、私は、きょうのこの委員会がやや憂うつでございますのは、私自身の基礎的な知識が乏しいわけでございます。

 というのは、例えば、アナログからデジタルにかえることによって周波数があく、それを移動受信用の地上放送でやるんだ。今、中身については山川局長がお答えをさせていただいた。だから、閣僚という立場でそういうふうに私も答弁せざるを得ないわけですが、本当に人々の幸福あるいは人間性の向上とか生活の充実感というものに役立つのに、もう今から移動受信用地上放送に決めていますと。ほかに選択肢がないのかといっても、私に知識がないからほかの選択肢が頭に浮かばないというところで、ちょっと、私としては自信を持った答弁ができない、憂うつな部分があるわけでございます。

 確かに、私が一番ショックを受けたのは、先ほど橋本岳先生の方から、野球の最終戦のときに、前にもお話ししましたが、たまたま車に乗っておって、役所に着くところで私はあのイチローのセンター前のタイムリーを見たわけですね。

 私自身のふだん乗っている車に備えつけてあるアナログのテレビは、ほとんど映らない。映らないというか、画面が乱れておって、よく、ナイターの途中でどうしているのかなと見て、十対〇と見えるんですね。実は一対〇なんだけれども、いろいろなものがまじる。まじるというか、画面がいろいろ重複して出てきて、大体ピッチャーが三人いて、バッターが三人いて、球を打つと、レフトへ飛んだのかセンターへ飛んだのかライトへ飛んだのかよくわからぬという。

 それが、完璧に映るわけですね、デジタルになっているものですから。それでびっくりしまして、なるほど、そういう利便は間違いなくある。そういう意味では、高画質映像とかデータ放送とか、そういうものが見られるということは、間違いない。

 実は、ワンセグというのを私は知らなくて、生まれて初めてワンセグというのを人に見せられたんですよ。私の携帯は簡単なものだからついていないんです。ワンセグといって、こうやってテレビの放送が携帯で見られるんですよと見せてくれて、見たときがちょうど、福田総理が私やめますという衝撃的なのを見ちゃって、それで慌てて、相当量のアルコールを摂取していながら事務所にぶっ飛んでいったという衝撃的な経験があるんですよ。ワンセグというのを見たら、そこで福田総理がやめるとおっしゃったので、びっくりしたわけですね。

 だから、それは、便利になったのは間違いないけれども、人間の日常生活をやたら縛りつけるものであることも間違いないので、本当の意味で、きょう逢坂誠二先生からそういう御質問通告を受けておりますけれども、今の伊藤先生のお話も、先生のようにこういうことにお詳しい方が、あいた電波を何に使ったらいいのか、それは電波監理審議会とかみんなが、専門家が議論していると思いますけれども、これは本当に真剣に考えなくちゃいけない問題だとつくづく思っておるんです。

伊藤(渉)委員 貴重なお話をいただきましてありがとうございます。

 本当に大臣おっしゃるとおりで、今の世の中、非常に技術の革新のスピードが速いものですから、そこになかなか、人間がむしろ対応し切れないところがあると思います。それは、一つは、そういうスピードで開発をしていかなければ経済というものの発展がない、また、世の中のニーズも非常に多種多様になっているからこそ、それに応じて開発をするということなんでしょうけれども、この移動受信用地上放送も、今とにかく当たり前のように使っている携帯電話もまだ十年そこそこでこれだけ普及をしたわけですし、この普及によって、我々もどこにいても必ず連絡がとれる。これはいいときと悪いときがあるわけですね。

 子供なんかを見ていましても、もう中学生にもなると携帯電話を持っているものですから、やはり、例えば勉強をしていても、近くに携帯電話が置いてあって、メールが鳴るとメールに意識が行ってしまうという意味で、なかなかじっくり集中できない。これはみずからの意思でその環境をつくればいいわけですけれども、便利になるということは功と罪と両方あるな、こういうふうに思いますものですから、今の政策がどう国民生活の向上、幸福の増進につながっていくかということを改めてお伺いした次第でございます。

 その上で、せっかくある限られた電波の周波数帯ですから、これを有効利用していかなければいけないということは論をまたないわけでございます。そういう意味では、娯楽という側面ばかりが強調されがちですけれども、今後さらに進んでいく少子高齢化の時代を踏まえて、この電波というものを、医療とか介護とか福祉、教育、こういったことに積極的に活用していく必要があると思いますけれども、総務省の御見解をお伺いいたします。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用につきましては、委員御指摘のとおり、従来からの主要な利用形態でありました携帯電話あるいは放送等に加えて、医療ですとか介護、福祉、教育等の分野における新たな期待というのが高まっているということでございます。

 このような状況を踏まえまして、私どもでは、昨年十月から電波政策懇談会というのを開催しておりまして、地上デジタルテレビジョン放送の空き周波数につきましては、今回法改正に盛り込ませていただいております移動体マルチメディア放送、公共安全のブロードバンド、ITS、あるいは携帯電話ということでありますけれども、その他の周波数帯の周波数の利用につきまして、二〇一〇年代に実現が期待される新たな電波利用システムあるいはサービスの将来像といったものについて御検討いただいているところでございます。

 具体的には、今この議論の中で出てきておりますのは、例えば、医療分野において、ワイヤレス化したカプセルの胃カメラで人体内を診察するとか、介護、福祉分野におきましては、家庭内に設置されたワイヤレスセンサーを活用して遠隔の家族や医療機関に画像情報を伝送するシステムですとか、子供や高齢者に電子タグを装着して外出先でも位置を正確に把握できる子供、高齢者の見守りシステムですとか、あるいは教育分野におきましては、どこにいても教室と同様の臨場感ある教育環境を実現できるワイヤレスの教育システムといったものの提案等がなされて、議論が進められているところでございます。

 したがいまして、総務省といたしましては、懇談会の取りまとめを六月ごろ予定しておりますけれども、御指摘のようなさまざまな分野での電波利用が促進されるよう、必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ぜひ積極的に、公的な利用といいますか、文字どおり、今世の中が求めている社会保障の部分、こんなところにも使えるようにお知恵を発揮していただきたいと思います。

 趣旨は同様ですけれども、現代は、独居老人とか孤独死とか老老介護とか、私が思うに、いわゆる地域における人と人とのつながり、これが希薄になってしまったことを原因とする幾つもの社会問題が起こってきていると思います。地域の安心、安全の確保のためにも、地域のコミュニティーをもう一度再構築していくことは非常に急務である、こういうふうに思います。

 そういったところにも、放送と通信のコラボレーションによって、ほぼ全世帯に普及してきたテレビ、そして地デジ化によってあいてくる周波数帯、またインターネット等々を駆使して、失われてきてしまった地域のコミュニティーの補完をしていくための研究開発も積極的に進めていかなければならないというふうに思っておりますけれども、これも大臣の御認識、御見解また御決意をお伺いできればと思います。

鳩山国務大臣 まず、前の質問についてちょっと申し上げたいことがございます。それは非常に正しい指摘でございまして、答弁書等を見ましても、例えばデジタル化ということもありましょうし、あるいは周波数を振り分けて使う話等で、いわゆる受信者が楽しむことができる、これこれこういうことを楽しむことができるという文字がよく見えるわけですが、それは大変価値のあることですけれども、やはり楽しむだけでなくて、さまざまな、もっと社会的な問題の解決に使うべきという先生のお考えには全面賛成でございます。

 その関連で申し上げれば、そういう科学技術の発達、余った電波の使い道等で、例えば孤独な老人の見守り、あるいは子供たちの見守り、場合によっては通学の見守りのようなものとか、そういうコミュニティーの安心、安全を確保していくことに使えれば、これは大変意味があるだろう。

 こうした観点で、ことし三月に策定、公表したデジタル日本創生プロジェクト、ICT鳩山プランというのがあって、これは、ユビキタス社会を、ユビキタスタウンをつくろう、こういう構想でございます。

 ですから、経済とか科学技術というものは、ある意味ではコミュニティーの破壊者であったという、それは当然仕方のない部分があった。それがまた、新たなICT技術やユビキタスということによって、逆に人間性回復とかそうしたコミュニティーの再構築にプラスになればいいし、また、それがICT技術に背負わされた最大の責任ではないか。そういう自覚のもとで施策を進めていきたいと思っております。

伊藤(渉)委員 私は早く両親を亡くしておりますが、母親なんかも、一人で暮らしていたとき、やはり結構テレビとしゃべるんですね。ああいう姿を見ていると、双方向でテレビを通じて何かできるようなことを考えていく、いわゆる独居老人という方がふえている中でも、何かとつながっているということは人は生きていく上で非常にプラスに、支えになるものですから、そういうことをぜひ考えていかなければならない、こういうふうに思います。

 時間ですから最後にしますけれども、大前提として、繰り返し申し上げてきた地デジの完全移行をやはり実施しなきゃいけない。

 今回の法律で受信機器の購入の支援ができるようになりますし、今、追加経済対策でもさらに検討が進んでいる、こういうふうに聞いております。

 電波利用料を有効に活用する、こういう意味でも、さらに引き続き、状況を見ながら積極的な受信機の買いかえの支援等を検討していくべきだと思いますけれども、最後にその点についての大臣の御認識もお伺いして、私の質問を終わります。

鳩山国務大臣 経済財政諮問会議というのがございます。この何回かは、いわゆるワイズスペンディングということが盛んに語られております。例えば、経済対策を追加するのであるならば何が賢い金の使い道であるか、こういうことだろうと思います。私は、民間議員の方に、定額給付金はワイズスペンディングでございましょうねと言ったら、いろいろな面がありますねというお答えでございました。

 そこで、やはりこれから新しい経済対策等をやるのであるならば、地上デジタルへの移行を促進するとか、あるいはICTを使ってユビキタスタウンの実現のためにお金を使っていくというのは、私なりに思うワイズスペンディングであって、そういう方向に行きたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

赤松委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、法案に関して、地デジにフォーカスして御質問をさせていただきたいと思います。

 以前、地デジの質問をさせていただいたときに、私、このままいけば一千万台ぐらいのテレビが残るというようなことを、当てずっぽうではございますが、申し上げさせていただきましたが、昨今の状況を見ていますと、かなり楽観に過ぎるかなというふうに改めて感じているところでございます。

 そこで、冒頭お伺いいたしますが、現在、どのぐらい計画と実態が乖離をしているかという数字に関して確認をさせていただきたいと思いますが、世帯普及率は今どういう状況でございましょうか。

山川政府参考人 本年一月の数字でございますが、世帯普及率四九・一%ということになっております。当初の計画で五八%でございました。

田嶋(要)委員 二年三カ月強を残して、今既に九%程度の乖離があるということでございますが、今の世帯普及率の実態が四九・一%。これは地デジ対応テレビが見られる状況にある世帯のパーセンテージでしょうか。

山川政府参考人 四九・一%という数字でございますけれども、これは実際に地デジテレビを見られる状態で据えつけていただいているということでございます。

 したがいまして、四九・一%の中には、例えば実際にデジタル放送がその地域で放送されていない、あるいは集合住宅に入っておられて、その集合住宅自体がまだデジタル化対応されていないといった理由から、実際に地上デジタル放送を視聴できない世帯も含まれております。

田嶋(要)委員 大臣、この二つの数字、ちゃんとホームページでも挙がっておりますが、似て非なる数字ということで、四九・一%自体もかなり計画値よりも低いということで大丈夫かなと思うわけでございますが、実際に重要なのは地デジが見られる世帯ということであろうと思います。

 特に、ライフラインという側面を考えますと、すべてのテレビというよりは、すべての日本の五千万世帯、少なくとも一台ずつは地デジが見られなきゃいけないというふうに私は思っておりますけれども、実際のところの数字は四四・三%であるということでございまして、過半数からもほど遠い状況にあるわけでございます。

 それに加えまして、もう一つ事実の確認ですが、かつて、日本ほど大規模にアナログ停波をやろうとして、実際にやった国、あるいはやっている国というのはあるんでしょうか。

山川政府参考人 デジタル化につきましては、これは世界各国共通でございます。

 日本のように大規模にということの御指摘でございますけれども、例えば大国ということであれば、ドイツが既にアナログ波を終了しております。また、御承知かと思いますが、アメリカにつきましては現在アナログ停波の途上でございまして、本年六月十二日にはすべてのアナログ波を終了するという計画で進んでおります。

 そのほかの世界各国につきましても、アナログ終了に向けてそれぞれの計画を持っているというふうに承知しております。

田嶋(要)委員 今ございましたけれども、日本ほど地上波放送に大きく依存をし、かつ一億人を超える人口の国、そういうケースはないわけでございまして、実際、アメリカも現在進行形でございますが、対象世帯数はおよそ二千万であるということを考えれば、日本はその二・五倍の切りかえをやろうとしている。まずこの点を押さえる必要があると思いますけれども、これまでのほかの国の例を参考にしつつも、それよりもさらにかなり高いハードルのことをこの日本はやろうとしているんだということを強く認識しなきゃいけないと私は思います。

 そこで、次にお伺いしますが、この負担と受益ということで、先ほども、一体この地デジがどういうふうに国民に恩恵を与えるのかということに関して見えにくいという話があったかと思うんですが、改めて確認しますが、最大のメリットは何でしょうか。

鳩山国務大臣 これは世界の潮流であることは御承知のとおりです。

 では、最大のメリットは何であるか、メリットと負担を比較したらどうなるかというのは、これは非常に難しくて、単純な比較ができない部分もあります。

 まあ、最大のメリットというのは、やはり、先ほどの野球の放送ではありませんが、大画面できれいなハイビジョン、そして高音質、自動車等でも全く乱れない鮮明な映像、あるいはワンセグ。その他、一つのチャンネルで幾つもの放送、データ放送、いろいろあると思うんですが、ただ、それが最大なのか。アナログをデジタルにかえることによって三分の一電波が節約できて、それをさまざまに使えるということですね。それは、携帯電話サービスの充実、ぶつからない車などの安全な道路交通社会、防災での活用とか、いろいろあるんでしょう。だから、もっともっとメニューはあるんじゃないかと。ただ、私の知識がないので、メニューをここで示したりすることができないのが残念だということを申し上げました。

 どっちが大きなメリットかと言われると、何とも答えがたいところがありますが、私は強いて言うならば、今申し上げた順番で一と二とつけております。

田嶋(要)委員 私も考えるんですけれども、多分、圧倒的多数の人にとっては大したメリットがない中で負担だけが強いられるのではないかな、私はそういうふうに思っております。

 そこで、大臣、なぜこれが基本は自己負担でなきゃいけないんでしょうか。

山川政府参考人 地上デジタルテレビジョン放送を受信するためにデジタル化対応をいただくわけでございますけれども、基本は自己負担でお願いをするということを原則に考えております。(田嶋(要)委員「どうしてですか、理由を聞いているんです」と呼ぶ)

 この理由でございますけれども、基本的に、私どもデジタル放送に移行するということは、今大臣から御答弁させていただきましたとおり、国民の方々にとってよりすぐれたサービスを享受していただけるということと、周波数の有効利用も図れるということから、全体といたしまして、我が国全体でデジタル化に移行すべきものというふうに判断をいたしておるわけでございます。

田嶋(要)委員 やはり、それは上から目線で、先ほど申し上げたとおり、多くの国民にとっては余計なお世話ではないかな。今あるもので十分という方が圧倒的多数だと思うんですが、基本は国民が負担するんだという、そのスタートラインから非常に違和感を覚えるわけでございます。

 それで、ほかの事例でいえば、レセプトのオンライン化みたいな話も、今、全部義務化をして、期日を設けてということで問題になってございますね。日本のこのやり方は、法律で停波の日を決めて、それを国民に対しておどすような感じで、それが迫っているから大変だ、テレビが見えなくなるという形で、市場をあおり、国民をあおるようなこういう政策は、私は鳩山大臣であればかなりの違和感を持たれるのではないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 なかなか鋭いところをついておられますが。

 実は、例えばレセプトのオンライン化という問題も、これは確かに将来は非常に便利になるんでしょうけれども、そのために自分でできないから一人雇わなくちゃならないというような診療所なんかについてどういうふうに面倒を見ていくのか。これは私は厚生労働大臣でないからわかりませんが、その辺をよほど手厚くやりませんと、とんでもないことが起きるだろう。そのために閉鎖する、あるいはやめられてしまう方だって想像はできるわけでございます。

 ただ、このことと地デジのことについて言えば、私は科学的知識はやや乏しいんですけれども、アナログからデジタルに移行していくことによって、将来的なメリットは無限に大きいものがある、これからずっと続いていく。だから、どこかでそういう放送とか通信の分野での世界を変える、社会を転換するという必要があった。これは、日本はいわゆる社会主義社会ではありませんから、とりあえずは皆さん自分でやってください、できない方には御援助しましょうという体制をとっているところだと思っております。

田嶋(要)委員 将来的なメリットは全くそのとおりだと思いますが、私が申し上げているのは、規模と現在の乖離を見たときに、世界で最も無理なプランでやり抜こうというふうに見えます。

 そこで、次の質問に移りますが、アナログ停波が二〇一一年七月二十四日、この停波に停波条件というのはあるんでしょうか。

山川政府参考人 御指摘のような停波条件というものは想定しておりません。

田嶋(要)委員 これは日本の独特なやり方なわけですが、ほかの国は多くは九五%とかそういう一つの条件をつけておりますね。アメリカは例えばFCCが停波を許可するということでございまして、放送事業者自身がもう停波したいんですけれどもという申請をして、それをFCCが許可をする仕組みをとっているわけです。

 日本の場合は、政府そのものが一体として、法定して、もう何が何でもというような形でやっている。そうなってくると、ライフラインとしての実態が七割か八割程度の普及しかしていなくても、この日に絶対やるんですか。

鳩山国務大臣 世界の例を調べることも大事でありますけれども、我が国は人口密度の極めて高い三十七万平方キロの島国でございまして、歴史的にも常に国家というものが一体感を持ってやってきた国であるわけです。

 そういう中で、世界でここまで高いハードルはなかったはずだと先生はおっしゃった。そうかもしれない、私、よく勉強はしておりませんが。ですが、そのハードルを乗り越えて、見事二〇一一年七月二十四日に着地を決めてみせたいという思いでございます。

 なぜ二〇一一年の七月二十四日なのかということは、私は知りません。知りませんというのは、いきさつもあるでしょうけれども、どういういきさつで決まった日かは、私はそれは実情は知りません。

 ですが、私がちょうど総務大臣になったときに、あと千日と言われました。今が八百三十六日ですから、あっという間に迫ってくる。そこで、もちろん放送事業者は中心ですが、メーカー、家電販売店、地方公共団体など、すべてが協力をして、すべての世帯でデジタル放送がこの二〇一一年七月二十四日に見られるようにしようと思ってみんなで頑張っている。デジサポの話など今さら先生に申し上げる必要はないと思いますが、そういった意味で、あと八百三十何日ですが、決めておいて、とにかくそれに間に合わせるように全力を尽くすということでやっていくことが極めて大切だ、こういうふうに思っているんです。

田嶋(要)委員 その議論は、お金が無限にあればいいと思うんですね。だけれども、私はかなり無理筋だと前から申し上げていますが、一千万台以上の危険がかなり現実的じゃないか。

 そこで私は申し上げたいんですが、大臣、これは停波の日をおくらす可能性があるということを今の時点から言うことはどういう不都合が起きますか。何か不都合ですか。

山川政府参考人 現在、放送事業者、メーカー、すべての関係者が、この二〇一一年の七月二十四日という日にアナログ停波ということを目標として、あらゆる事業計画でございますとかそれぞれの行動計画というものを計画的に進めておるわけでございます。

 したがいまして、この二〇一一年の七月二十四日を確実に守るんだということで、これらのすべての関係者の行動が全体として調和あるものとして進んでいるというふうに思います。

田嶋(要)委員 すべての関係者でそういう名前が挙がって、なぜ国民の名前が挙がらないかが不思議なんですね。

 最初の関係者というのは国民ですよ。国民は自己負担を強いられて、おしりをたたかれているわけですね。だから、そこには経済的な合理性のトレードオフがあるはずなんですよ。

 確かに、放送事業者にとっては負担かもしれない。しかし、国民にとっては、当然、ほっておいたって年間八百万から九百万台のテレビが入れかわるわけですね。そういうのが半年でも一年でも延びれば、実際余り無理をすることなく停波ができるかもしれない。なぜ停波する可能性があるということを言わないか。私は、逆に、言わないことによって、例えば半年停波をするとどのぐらい追加的なコストがかかるということを放送事業者も試算をするかどうか、そういうことも必要だと思うんです。

 お伺いしますけれども、停波を例えば半年延ばす、一年延ばす、それによってどのぐらいの経済的な追加コストが放送事業者にかかるか、その辺の試算はあるんでしょうか。

山川政府参考人 この試算ということでございますと、例えばNHKからは、アナログ放送の設備を維持するために年間四十億円程度の負担が発生するということを伺っております。ただ、民放につきましては、これは民放連に問い合わせたこともございますが、そういった試算は行っていないということでございます。

田嶋(要)委員 大臣、これは早く、当然そういう可能性は高いと思っているわけですが、そういう可能性があるということをやはりアナウンスする必要があるのではないかと思っています。いや、早々とアナウンスすると、何か白旗を上げたようで、国民も買わなくていいというふうに思う人がいるなんという話も事前のレクチャーを聞いていて指摘があったんですが、そういう人は、いずれにしたって切りかわるときまでには買うんですよ。

 だから、問題なのは、どういう事情であれ、今数字の乖離がかなり大きくなっている中で、今、日本は世界で最も性急な形で世界最大の切りかえをやらんとしている、そこが私は問題だろうと思います。

 アメリカと韓国は延期をいたしました。アメリカは二度延期をいたしました。そして、ほかのヨーロッパの国々は地域ごとの段階を経た停波をしている。日本はどっちもやらないと言っている。延期、ずらすことは絶対しない、そして全国一斉で、しかも世界で最大規模の切りかえをやる。私は、これは大変な混乱が起きるのではないかというふうに思っております。大臣、答えますか。

鳩山国務大臣 先ほどみずからはつまびらかにしていないということを申し上げましたが、二〇〇一年の時点で電波法の一部を改正する法律案を議論いただいたときがあって、そのときに十年という期間で、これだけあれば消費者の皆さんにも無理なく理解いただけるだろう、テレビの買いかえサイクルも考えると、この二〇〇一年からの十年後というのがいいだろうという議論があったようでございます。

 私は十分に危機感を持ってやらなければいけないと思っておりますから、新しい経済対策を打つのであれば、この点でも大いにやってもらいたいという要求を今いたしているところでございますが、例えば二〇一一年の七月二十四日と決めている、そうすると、アナログ関係でこのときまでぐらいはもつだろうというものはそのまま使い続けて新しく設備を更新しないというようなことで、やはり日にちを決めて、これを延期しないということだから、そこから計算して、放送事業者もNHKもみんな計算が立って、それで全力で頑張っていけば目標を達成できるというふうに考えているわけです。

 本当は、選挙時期が決まっていると、ポスターをいつ張ったらいいか大体わかるわけですが、選挙時期がわからないので、早く張ったポスターが色あせちゃったりというような苦労をみんなするわけです。そういった意味では、選挙時期は総理しか決められないから何とも言えませんけれども、こういうことはやはり決めておかないと。だから、アナログの設備がもつと思ったら、日にちが延びちゃって、つぶれちゃってアナログ放送までできなくなったと。こういう可能性があるんじゃないでしょうか。

田嶋(要)委員 余りいい例えじゃないと思いますけれどもね。有権者にはコストがかかっていないんです。しかし、これはすべての世帯が自己負担しろという政策なんですよ。だから、そこにトレードオフがあるでしょうということを言っているんですよ。

 だから、片っ方で、民放が半年延ばす、一年延ばすと、どういうコストがかかるかというのはだれも試算していないのに、この日を絶対守らないと大変なことになるとかというふうに……。まあ、放送事業者はそう言うかもしれない。しかし、最適解がどこにあるのか。

 実際に、アメリカだって、最初は日にちを決めてやっていたけれども、無理だから二回も延長しているんでしょう。どこだってやり方は一緒ですよ。ゴールを決めてやっていたけれども、現実的に無理だから延長している。私は、早くその可能性だけはアナウンスをした方がいいと思って主張をしています。

 それともう一つ、国会図書館の資料を見て比較しますと、アメリカは最初決めた日にちまでの、要するにサイマル放送の期間が八年と一カ月なんですね、それを今回二度目の延長をして十年と七カ月に延ばしました。お隣の韓国は、最初九年二カ月、これを延長して十一年と二カ月です。先ほど大臣は二〇〇一年に法律改正、そのとおりでございますが、デジタル放送の始まったのは二〇〇三年の十二月ですよ。二〇一一年七月までの期間はわずかに七年七カ月なんです。アメリカが延長する前の八年一カ月よりも半年短いんですよ。あちらは二千万、こちらは五千万世帯ですよ。

 そういう数字だけで答えが出るとは言いませんけれども、相当厳しい、一番きついやり方で日本がやろうとしている。しかも、日付をセットするということは、変数を一つ減らしているわけですよ。ということは、支援する財源の話とかを膨大にしていかないと、これは成り立たない方程式なんですね。

 だから、私が申し上げているのは、なぜそこまでその日にちだけこだわるんですかと。放送事業者だけの問題じゃない、これは国民全体の問題なんですから、最適解を求めるためにいろいろな可能性を今から検討しておく、試算しておく必要があるのではないかということを申し上げているんですが、大臣、もう一回そこのところを。サイマルが世界で最も短い期間だということを申し上げているんです。

鳩山国務大臣 非常にいい勉強をさせていただいた。だからこそ、より危機感を持ってさらに精力的にやっていかなければならないと思います。

 私が総務大臣になったときに、たしか役所の事務方にこういう質問をしたんですね。地デジに移行してアナログを完全にとめるということだと、今大体これくらいの費用がかかるというふうに考えているものが、実際には激しく膨らむということはないのかという質問をしたら、いや、今のところ、その計算を、それはチューナーとかそういうのが入っておったんだと思うんですけれども、特に変える必要があるとは思いませんということなので、私も最初にそういう疑問を持ったのは事実なんですね。

 ですから、それはありとあらゆるケースは想定しなければなりませんが、とにかく何が何でも七月二十四日までにやり抜くという目標を決めて、すべての業界にもお話をしているわけでございますから、万が一の危機対応ということは考えなければいけないでしょうが、今はもうやり抜く決意と覚悟でやっていきたい。

 先生から御指摘をいただいている、これは七年何カ月でアメリカよりも短いですよと。サイマル期間のことですね、同時に流す、それも私は知りませんでした。ですが、それを知れば知るほど、より頑張らにゃならぬというファイトがわいてまいります。

田嶋(要)委員 余り精神論と無限の財源をベースに政策を考えない方がいいのではないかなというふうに思います。

 そこで、もう一つは、今回の法案の部分で機器の補助の御質問をさせていただきます。

 これも全額免除の世帯を対象にするということでございますが、私は、国策としてやるこのプログラムで、地デジ対応の新しいテレビを買う世帯は結構だと思うんですが、そうじゃない世帯に関しては、アメリカが採用しているような、貧困層だけとかそういう理屈は余りなじまない、むしろ、強制的に切りかえるわけでございますから、そういう地デジ対応テレビをみずから買う判断をする世帯以外の希望世帯には全世帯対象にしてアナログの箱を提供する、アンテナも含めてですけれども、そういう方向性の方が筋ではないかなというふうに考えておりますが、いかがでございますか。

山川政府参考人 世界各国のアナログ停波の際の支援ということにつきましては、それぞれの国でいろいろなやり方をとっております。確かに、先生御指摘のような、アメリカでございますが、これは希望のある全世帯を対象にクーポンを配布いたしました。我が国におきましては、経済的に困窮度が高い世帯等に対しまして、例外的に最低限の支援を行うことにしたものでございます。

 アメリカの場合でございますが、当初予定しておりました停波期限が至りました際に、この六月の十二日以内に延期をした背景といたしましては、実際にクーポンを配りましても、そのクーポンを必要としている世帯、主としてこれは日本でいう経済的弱者に該当する世帯が多いと思われるわけでございますが、そこに必ずしも十分にクーポンが行き渡っていなかったという実態があったというふうに私どもは思っております。

 日本につきましては、逆に、そうした手当てが必要な世帯につきまして、手当てをすることで確実にアナログ停波までの条件を整えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

田嶋(要)委員 最低限の支援とか、そういう表現の中にどうも主客逆転しているような感じがするんですけれども、国策なんですよ。国民にとっては目立ったメリットもないのに、ある日にちを決めて一気にやるということを国が決めているわけだから、積極的に新しい商品、時代の最先端のテレビに買いかえるという決定をする家計以外に対しては、基本的には、私はもっと幅広く支援をしていくべきだというふうに思っております。

 一方で、アナログ停波のタイミングに関しては、私は結果的にはずれることになると思いますけれども、そのアナウンスを急ぐことをセットで考えていかなきゃいけないことだろうと思います。

 実際、今、四九%ぐらいですか、四九・一%が既に地デジテレビを買っているわけでございますから、計算すると最大でも二千五百万世帯ぐらいになりますね、残っている世帯数が。それが一年後、例えばこれから一年たてば、八百から九百ぐらいの数字が減ってくるわけですから、引き算したその世帯数が、私が申し上げているアメリカのような、所得で切るような、貧困度で切るようなことではない、支援のあり方ではないかなというふうに私は申し上げております。

 これは障害者世帯、生活保護世帯ということに限定されておりますが、全世帯が無理であっても、際立って不思議な感じがするのは、先ほどもどなたかの質問に出ていましたが、例えば七十五歳や八十五歳の独居老人のような方に自己負担を強いるんですか。そこは非常に最低限のラインとしても違和感を感じる、非常にしゃくし定規なこの切り方。NHKのそれを見れば、白黒はっきりするので非常に便利だということでこういう選択をしているのかもしれませんが、大臣、そこはどうでしょうか。高齢者向けということ、ここはやはりもっと考えていかなきゃいけない。独居老人こそライフラインですよ。そして、唯一の楽しみである老人が確かに多いと私も思うんです。いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 高齢者の場合は、むしろデジサポの方から細かく戸別訪問等もさせていただいて、相談に応じてやっていくというふうに考えております。したがいまして、チューナーの無償配布は、生活保護世帯とか市町村民税非課税の障害者の方とか社会福祉施設入所者ということで限らせていただきたい。お年寄りについては、とりわけ懇切丁寧にデジサポの方で当たっていただくようにお願いをしてあります。

田嶋(要)委員 デジタルの夢をいっぱい語って、高齢者に本当にそういう恩恵が来るか全くわからない状況で、目の前でそういう自己負担だけしてくださいというのは、私は非常に酷なような感じがいたします。

 最後にもう一問だけ。

 このアナログ用のチューナーボックス、あるいはそれプラスアンテナの対応でございますが、そういった補助対象の世帯に対しての実際の機器の提供あるいは設置工事というのは、かつてのアナ・アナ変換のときの対応のように、要するに国の方で補助金を受け取る団体を特定して、そこから上から流すような仕組みを考えているのかどうか。そして、そうした場合に、いわゆる町の商店街の電器屋さん、そういう方々がちゃんと特需のような形で潤うことになるのかどうか。

 私はそれも気になるわけでございますが、アメリカのクーポンというのは、教育クーポンみたいな話もありますけれども、もらった方が選べるわけですから、近くの電器屋さんでやってもらおうということができるわけですが、どうもアナ・アナ変換のやり方だと、また天下り団体からおろすような形で、結局地域社会には何のプラスにもならない、そういうことになりかねない気がするわけでございますが、その点はいかがでしょうか。

山川政府参考人 この受信機購入の支援でございますけれども、これは手続といたしましては、公募によりまして選定する法人が実施することを予定しております。ただ、工事等の実施に当たりましては、あくまで国費による補助事業でございますので、適切かつ効率的な実施を確保することが必要と考えております。アメリカのように選択方式でどのチューナーを買ってもいいという選択をすることは、これは現時点で考えておりません。(田嶋(要)委員「僕はそういうことは言っていない。工事」と呼ぶ)

 工事に当たりましては、支援対象が最大二百六十万世帯という規模でございますので、これは全国各地での工事が自社一社でカバーできないことになるということは当然想定しております。したがいまして、その業務の大部分は外部の業者に委託するということになると想定しておりますので、こうした地域の販売店の協力は不可欠だというふうに考えております。私どもといたしましては、地域の販売店の団体等との連携も視野に入れまして取り組んでまいりたいと思っております。

鳩山国務大臣 今の山川局長の答弁は、私は満足できません。

 それは、最近、公共事業でも工事が地元に行っていないという話がよくあるように、これは地域の振興ということを考えれば、最大で二百六十万、もしその工事をやるのであれば、地域の電器屋さんというか販売店に利益が行くように全力でシステムを考えるべきですよ。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。最後に期待した答弁をいただきました。

 私は、このアナログの選択をする世帯に関してはもっと支援を広げる、非現実的な固定化した日程はずらす余地があることを早くからアナウンスする、それと同時に、一過性ではあるけれども、特需であれば、地域の疲弊した商店街の、特定の業界かもしれませんけれども、電器屋さん、少なくともそういうところがこれからはもうけさせていただけるような仕組みをぜひ考えていただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 おとといに引き続き、質疑をさせていただきます。

 おとといの質疑では公益法人を一回一回質問ごとにということで、いろいろ探しておりました。かぐわしい公益法人がいろいろあったんですが、今回、この施策に関して、よりかぐわしそうな団体がありまして、それがまさしく地デジ支援センターだと私は思います。

 どうなんでしょう、この地デジ支援センターを見てみますと、本部と全国五十一カ所の体制をしいて、総予算は本年度だけで二百二十五億五千万円かかっています。いろいろ資料をもらいましたけれども、このうち、人件費が二十八億円、諸経費で百二十三億円。もうこの時点で百五十億使っているんです。施策のために調査費、受信施設等の改修補助費を足したところで六十三億円です。六十三億円の施策をするために百五十億の経費をかけているわけですよ。これは果たして本当に有効な使われ方がされているのかなと、第一に疑問を持つところです。

 本部が一つあって、そのほかに五十一のセンターがあって、センター長がいて、一般職員がいらっしゃるということですけれども、ちなみに、予算単価はどんなものですかというお話を聞きました。御答弁いただきたいと思いますけれども、まず、本部長の日当と年収は、予算上はどれぐらいになっていますか。

山川政府参考人 御指摘をいただきましたのは、デジサポの統括本部長だと思います。予算上の積算単価でございますが、日当が五万五千九百六十円で、二百四十二日稼働といたしまして、千三百五十四万二千三百二十円の予算単価としております。

寺田(学)委員 大臣、高いでしょう。大臣、どうですか、御感想は。

鳩山国務大臣 仕事をかわりたいなというような金額ですね。

寺田(学)委員 もちろん、これがずっと永続的にあるわけじゃなくて、移行期間の間、これから何年か続いていくわけですよ。相談体制の年数だけ見てみると、計画上でも二十六年までですか、何年までですか、やるみたいなので、この体制というものが、この給与のまま続くわけですよ。

 私がお話ししますけれども、全国にある五十一のセンターのセンター長も、日当で三万六千八十円、これが二百四十二日で八百七十三万一千三百六十円。一般職員も、日当二万千百十円、二百四十二日働くということで年収五百十万。非常に厳しい時代の中において、大臣が率直に言われたとおり、うらやましいようなお給料なわけですよ。

 こういう方々が、センター長を含めて各都道府県に約八名ずつ、すべて独自のオフィスを借りてやっているわけです。県庁の片隅にちょっと八人置かせてくれということでもいいのに、このようないわゆる高給取りが、独自にオフィスを借りて、二百二十五億の予算のうち百五十億もの経費を使って、その半分にも満たない六十三億円の事業をする。その事業自体も、この八人が直接行うわけではなくて、説明会をやったり、現地に行っていろいろ調査したり修理するというのは、地元の業者さんとか委託するわけでしょう。

 二百二十五億のうち百五十億を経費で使って、これだけ給料が高くて、そのくせその八人が、いろいろ一生懸命頑張られると思いますけれども、直接外部の方にかかわることを大半の業務とされないような状況というのは、このテレビ受信者支援センターは、もったいないな、無駄だなという部分が多いんじゃないかなと思いますけれども、大臣、最後に御感想をいただけますか。大臣の御感想でいいです。

鳩山国務大臣 私は、デジサポに関しては、デジサポ、つまりテレビ受信者支援センターというのは、国の十分の十の補助によって行われている事業の名称であって、実施主体者はDpaだと思うんです。Dpaが主体であって、行われている事業がまさにデジサポであって、それに国が十分の十の補助ということですから、結果としては国そのものにかなり近い部分もあるということでありましょう。

 この二百二十五・五億円というのは巨額だと思います。ただ、私は、デジサポは、主に相談とか、場合によっては戸別訪問までしていろいろと面倒を見るものだというふうに考えておりますので、この内訳がどういう形で実際に使われていくのか、それは余りつまびらかにいたしておりませんので、確たるお答えはできませんけれども、この人件費が、単価は年齢とかいろいろあるんでしょうけれども、うちの秘書たちには見せられない数字だなという感じはしますから、高目だという感じはします。

山川政府参考人 一点だけ、ちょっと誤解があればということで御説明を申し上げたいと思います。

 この二百二十五・五億円のうち、諸経費百二十三・一億円ということで非常に大きな数字になっておりますが、この大宗は、高齢者、障害者への働きかけ、サポートを行うための費用でございます。

 このデジサポの目的は、国民の皆様方にデジタルに対応していただくための御説明を、きめ細かく説明会も実施し、戸別に訪問をして、それぞれの高齢者に御対応いただくための業務がメーンでございます。

 おっしゃるように、それぞれの、例えば一カ所に八人の人数がおりますが、これは管理要員でございまして、統括本部長が千三百五十四万円という、高いように見えますけれども、これは全体を統括いたします。したがいまして、このデジサポ、三百人、四百人ぐらいの規模で正規職員は動くわけでございますが、そのほかに、実際に高齢者に対して細かく対応いただいたり、訪問してデジタルとはこういうものですよということで説明をさせていただく、そういった要員が外縁に非常にたくさんの人数が出てくる。それじゃないと、例えば独居老人等何百万人おられるところに対応ができませんので、そうした非常に大きな人数を動かし、また統括する必要があるということを御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 いろいろ弁解はありましたけれども、御省からいただいた資料で、人件費二十八億、諸経費百二十三億と書いてあるわけですよ。諸経費に、施設費、備品費等と書いてあるわけですよ。だって、いろいろな独居老人の方に説明するのは、この八人でやられるわけじゃないんでしょう。八人の中でもやられるんでしょうけれども、それじゃ全然足りないのでいろいろな方々に頼むと。

 もう少し経費のことだっていろいろ節約できるわけですよ。県庁所在地に全部置いているんだったら、県庁を使ったっていいし、そこの市役所にその場所を借りたって浮くわけです。さまざまやり方はあるのに、電波利用料が潤沢にあるのかどうか知りませんけれども、こういうような形で、全国都道府県、五十一カ所に独自にオフィスを設置して、そこに人を配置して、そこでまたその人たちが管理だということでいろいろ広げていくということは、まだまだいろいろな意味で無駄遣いをなくしていくというか工夫をしていく余地はたくさんあると思います。

 ですので、来年、再来年も、これは二十六年まで続くのかわかりませんけれども、ちゃんと精査をして予算計上していただきたいというところです。デジサポはもうこれで終わりたいと……。

 簡潔にお願いします。

山川政府参考人 ぜひ予算の執行は適切にやっていきたいと思いますし、限りある予算でございますので、私どもも効率的にやりたいと思っております。

 一点補足させていただきますと、人件費と諸経費でございますが、諸経費の中にも人に関する部分はございます。ただ、人件費ということではなくて物件費ということでアルバイトの賃金などを計上させていただいているということでございます。

寺田(学)委員 誤解があるのかないのか別ですけれども、大臣がちゃんと御判断されるでしょうから、大臣の指導力にまずは今のところ期待をしたいと思います。

 チューナーの購入補助事業に関してちょっと議論したいと思います。

 電波利用料に関しては、昨年もちょっと議論させていただいて、レクリエーションで使われていた等ありました。昨年も電波利用料の使途拡大の法改正をしたにもかかわらず、またことしこれを出してきたわけですよ。はっきり言って、去年のうちに何で出せなかったのかというのが素朴な疑問なんですが、何で出せなかったんでしょうか。

山川政府参考人 昨年、電波利用料の御審議をいただいておりましたときには、まだこの具体的な支援策につきましては検討中でございまして、具体化に至っていなかったということでございます。

寺田(学)委員 それで、今回、いわゆるNHKの全免世帯、全額免除の世帯に対してチューナー及びアンテナの補助を電波利用料を使ってやるということでした。

 基本に立ち返りますけれども、先ほど橋本委員もお話しされていましたけれども、電波法第百三条の二第四項「この条及び次条において「電波利用料」とは、次に掲げる電波の適正な」云々と条件があるわけですよ、「無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」が電波利用料で、この限りにおいて使えるということです。

 まず聞きますけれども、今回のチューナー補助に当たって何が無線局全体の利益につながるのか、ここの論理性を解き明かしてほしいんですが、いかがですか。

山川政府参考人 まず、この地上テレビジョン放送でございますけれども、災害時の情報提供など、国民生活に必要不可欠な役割を果たしているということが前提にございます。

 この受信機器購入等の支援でございますけれども、まさにこの地上デジタル放送への移行に関して、経済的な理由等により見られなくなることがないよう受信機器の購入等に対して必要最低限の支援をするということで、地上デジタル放送への移行を確実にしようということでございます。

 それによりまして周波数の有効利用を図ろうということでございまして、周波数の有効利用の観点から、電波利用料財源を充てることとしたものでございます。

寺田(学)委員 移行を確実にとお話しされましたか。(山川政府参考人「はい」と呼ぶ)

 であるならば、さっきもさまざまな委員の方が言われましたけれども、どんな普及状態であっても移行するんでしょう。そんなもの、移行は確実じゃないですか、今から。移行は確実じゃないんですか。

山川政府参考人 私どもといたしましては、二〇一一年七月二十四日という移行の期限を確実に守るために万全の措置を講じていきたいというふうに思っておりまして、その措置の一環でございます。

寺田(学)委員 さまざまな方向からお話ししたいと思いますけれども、無線局全体の利益、受益があることが条件になっているわけですよ。この無線局全体の利益というものは、いわゆる今アナログのところがあいて、そこのあいたところでまた経済的な利益が生まれて、無線局全体としての利益につながるという解釈でよろしいですか。

山川政府参考人 周波数の有効利用という観点からは、おっしゃるとおりでございます。

寺田(学)委員 では、改めて聞きますけれども、どのようなことがあっても、二〇一一年の七月、今のアナログのところはあけるんですよね。どうですか。

山川政府参考人 私どもといたしましては、この二〇一一年七月二十四日というアナログ移行期限を守ってまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 だとしたら、チューナー補助をして見られる世帯の数を上げるということは、直接この全体の利益にかなっていないわけですよ。

 どんなことがあったって努力されるんでしょうけれども、努力の範疇の中で最大限努力をして、その状態で二〇一一年に停波するわけですよ。停波して、そこがあいて、有効活用されることが全体の利益なわけですよ。

 とすれば、そのパーセンテージを上げていくというこのようなやり方は、決してこの法文に書かれている直接の目的ではないんですよ。だって、チューナー補助しなくたってやるんでしょう、停波は。停波はやるんですよね。チューナー補助をしなくても停波するんですよね。

山川政府参考人 チューナー補助する目的でございますけれども、これは経済的に恵まれない方々が対応できないという事態を回避するための措置でございます。

 私どもといたしましては、アナログ停波によりまして、こうした方々がテレビを見られなくなってはいけないという観点から実施するものでございまして、そういったさまざまな措置をすべて総合的に実施することで二〇一一年七月二十四日という期限を守っていきたいということでございます。

寺田(学)委員 いや、だから、直接の目的にならないんですよ。多くの方々に見てもらいたいというのは、それは一般的な施策としていいですよ。だったら、一般財源でやりましょうよ。

 電波利用料でやるんだとすれば、無線局全体の受益、これは先ほど御答弁されているとおり、あいて、そこが有効活用されることですよ。これはどのようなパーセンテージ、普及率であろうともされるんでしょう。だとしたら、直接の目的として、チューナーを補助するために電波利用料を使うことは違法ですよ。だとしたら、この「直接」というところを改正するしかないでしょう。改正もしないで、チューナー補助することを直接の目的だと言い張るのはどういう理由があるのか、言ってください。

山川政府参考人 おっしゃるとおり、周波数の有効利用ということが目的ではございますけれども、御指摘のように、例えばどんな状態であっても二〇一一年七月二十四日できるという考えを私どもは持っておるわけではございません。万全な状態に持っていって七月二十四日に停波するということでございますので、万全な状態に持っていくまでの責任は私どもにあるというふうに認識しております。

寺田(学)委員 どのような条件でもとめるわけではないと。

 では、どのような場合だったらとめないんでしょうか。

山川政府参考人 すべての国民が、二〇一一年七月二十四日にアナログが停波することで困ることがないように諸条件を整えてまいるということでございます。

寺田(学)委員 いや、だから、どのようなことであってもやるというわけではないということを言われたわけですよ。では、アナログをとめない環境があることを想定したわけでしょう。だから、それはどのようなものなんですかということを聞いているんです。

山川政府参考人 御説明をすると若干長くなりますが、この条件というのは、もちろん、送信側、受信側、さまざまな条件をクリアしていくことで私どもは二〇一一年のアナログ停波に結びつけていくということでございます。

 例えば、送信側におきましては、それぞれの放送会社の中継波が確実に日本全国に届く。届かないところにつきましては、具体的には衛星を使ったセーフティーネットという仕組みを考えておりますが、そうした仕組みがちゃんと整備される。

 受信側につきましては、すべての国民がアナログ停波のときにデジタル放送が見られるように、例えば経済的弱者の方にはチューナー支援という形でお配りする。あるいは集合住宅につきましてはちゃんと移行期限までに見られるような状態になっている、共聴施設につきましても見られるような状態になっている。

 そうしたことにつきましてはさまざまな支援をすることで条件を整備していく、そういうことでございます。

寺田(学)委員 だんだん条件を出しているじゃないですか。それを具体的に言うだけですよ。

 送信側のことまで幅を広げるつもりはないですけれども、受信側だけでいきましょうよ。

 普及率、それは今のところ何%ですと言わなくていいですよ。普及率がある一定程度まで達していなかった場合にはアナログを継続するということが、今御答弁されている中の条件に入っていますか。

山川政府参考人 普及率につきましては、今私の答弁させていただいた内容には入っておりません。

寺田(学)委員 入っていないんだったら、今回、こうやって電波利用料を使ってアナログ帯をあけるための施策としてチューナーの補助をやること、チューナーの補助は見る人をふやすためですよ、受信側の問題ですよ、そのために使うのはおかしいじゃないですか。

 では、極端な話はしませんけれども、七〇%でも八〇%でも、そのような形でも停波はすると。そこは、受信側の問題は、普及率の上下、多寡はアナログを継続するどうこうには関係ないということであるならば、チューナー補助は認められないと思いますけれども、いかがですか。

山川政府参考人 御答弁させていただきますが、私どもといたしましては、二〇一一年七月二十四日までに、すべての方が、アナログ停波、デジタル移行ということに対応していただけるように万全の取り組みを行っていくということが前提でございます。

寺田(学)委員 では、結果ではなくて、総務省としての意気込みが十分に果たせたかどうかということで停波するかしないかを決めるということですよ、今の御答弁だと。それでよろしいんですか。

山川政府参考人 総務省としての意気込みの問題ではなくて、そこまでに全世帯、必要な万全の環境を整備していくということでございます。

寺田(学)委員 ということは、何かしらの結果としての条件があるわけですよね。条件があるんですよね。

山川政府参考人 条件という言葉にいろいろな意味を持たせるということは可能でございますが、私どもといたしましては、最低限必要なことは、送信側、受信側それぞれにデジタル移行のために必要な環境が整っているということでございまして、それを因数分解いたしますと、さまざまな要素というのがございます。その一つずつの要素につきまして着実に取り組みを進めていく、それで二〇一一年七月二十四日に確実に停波するという考え方でございます。

寺田(学)委員 何を因数分解しているのかよくわからないんですけれども、受信側の方の環境も条件に入っているというわけですよ。

 それで、さっき聞いて、受信側の一番の肝であるいわゆる普及率ないしは世帯側で見られる環境にあるかどうかのパーセンテージは入らないというんでしょう。

 では、その因数分解をしたときに、何が入るんですか。

山川政府参考人 受信側につきましては、恐らく委員も頭の中にあろうかと思いますが、高齢者の方々とか障害者の方々がどうやってデジタルに対応していっていいかわからないという方には、丁寧にどうやってデジタルに対応するのかということを御説明を差し上げる、これが一つデジサポでございます。

 そういった国民に対する説明というのも非常に必要なことかというふうに思います。

寺田(学)委員 答弁が、全然色合いの違う話をしているじゃないですか。

 条件があるのかどうか、その条件の中に受信側の世帯数のパーセンテージのことがあるのかどうかと聞いているんです。

山川政府参考人 条件の中に世帯数というものは想定しておりません。

寺田(学)委員 おかしいですよ。

 例えばの話、九〇%まで達しないとアナログ停波はしません、だから、電波利用料からお金が回ってチューナー補助をして九〇%へ高めるんですという話だったら、一つの論理性ですよ。

 要するに世帯がどのようなパーセンテージでも構わないという、構わないというのは、どんな状態であろうとも二〇一一年にとめるという話のときに、チューナー補助を電波利用料でやることは全く直接の目的にならないと言っているんです。

 だとしたら、この「直接の目的」というのは法改正するべきですし、これを遵守している限りにおいては、チューナー補助、世帯数を上げるためにお金を出すということは全くこの法律の意図に反するということですので、こんなものは認められないということだと思うんです。

山川政府参考人 私どもといたしましては、チューナー補助によって万全の取り組みということでございますが、あくまですべての国民の方々がデジタルに対応できるように目指すということでございます。

鳩山国務大臣 二〇一一年の七月二十四日までに一〇〇%受信できるようにしなければいけない。それは、もちろん山間部で衛星を借りるところがわずか残るかもしれません。ただ、衛星波としてのデジタル波ですが。

 一〇〇%にしなければならない、そのためには経済的困窮者にチューナーを配ることも必要である。一〇〇%が達成されれば、アナログを停波することによって無駄な費用も放送事業者はかけなくて済むようになって利益になる、そういう論理で考えているんです。

 前に原口先生からそのような趣旨の質問を受けて、尊敬する原口一博先生からは、延期がもたらす悪影響等を考えれば、あなたが七月二十四日に何が何でも延期することなくやっていこうという選択、考え方は正しいという強い激励を受けているんですね。そういうことで御理解いただけないでしょうか。

寺田(学)委員 時間がないので、厚労省の方にも来ていただいているので質疑を進めますけれども、全然答弁になっていないですよ。

 目標があるんだったら、その目標を達するために電波利用料のお金を出すことは、ある意味この法律上の電波利用料にのっとると思います。条件がない、はっきり言うと、何%であろうとも停波するのであれば、全くこれは直接的な目的をなさないので、チューナーを配るのは御自由ですけれども、電波利用料から出すのはおかしいと思います。

 もっと言うと、もちろん経済的に厳しい方々に何かしらの施策をということは全般的にわかりますけれども、厚労省の方、来ていただいていますけれども、本当にテレビを見るということがライフラインだ、電気、ガス、水道と同じなんだというのであれば、生活保護制度の中の配電設備費ということで賄えることができると思うんですよね。この配電設備費で地デジチューナー及びアンテナを整えるということは可能なんですか。

坂本政府参考人 地上デジタル放送に移行する際の対応につきましては、総務省を中心に準備を進めておりますところでありまして、円滑に移行を実施するために、厚生労働省といたしましても、総務省と連携して取り組んでまいりたい。

 お尋ねのテレビについてなんですが、生活用品として考えておりまして、これまでも生活扶助費の中で対応していただいております。地上デジタル放送の実施後におきましても、同様に、生活扶助費の中で対応していただくこととなると考えております。

 なお、一時扶助の配電設備費につきましては、電気やガスなどが全くない家庭において設備を設置する際の費用として特別に支給するものでございまして、御指摘のような地上デジタル放送に関する費用には対応してはいないと考えておるところでございます。

寺田(学)委員 厚労省としても、別にライフラインの一つと考えていないわけですよ。もちろん、先ほど言ったとおり、別に経済的に厳しい状態にある方に何もするなとは言いませんけれども、やるのであれば電波利用料は使っちゃいけないと思います。使うんだとしたら、ちゃんと目標値を設定して、その目標に達するためにパーセンテージを上げなきゃいけないから配るんですと。だから、目標を設定するか電波利用料を使わないかのどっちかですよ。そこら辺をしっかりさせていただきたい。

 最後に大臣にお伺いしたかったんですけれども、どこかにいなくなっていますので、かわりに局長でもいいですけれども、先ほど田嶋先生がお話をされていましたけれども……。

 大臣、最後に一問だけ。

 先ほど強く局長答弁を訂正されてまでお話しされていましたけれども、無料でチューナー配布することに関して、総務省所管の公益法人に対して一括で、もちろん入札をすると言いながらそこに渡しておいて、ピンはねさせて、そこから地方の方々の業者にまくということは、まさかやらないだろうと思いますけれども、そういう可能性は排除していただきたいと思います。いかがですか。

鳩山国務大臣 私が厳しく監視します。

寺田(学)委員 以上で終わります。

赤松委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 私も、引き続き地上デジタルを質問したいと思いますけれども、山川局長、あらかじめ質問通告をしていることと、きょうの議論をいろいろ聞いて、多少通告外のこともお伺いしたいと思いますので、もし答弁できないものがあれば答弁できないと言っていただければ、それはそれで結構でございます。よろしくお願いします。

 それで、今の寺田委員とのやりとりを聞いていまして、山川局長、停波の条件というのはやはりあるんだというふうに思わざるを得ないんですけれども、先ほどの答弁の中で、すべての国民が困ることのないようにそういう状態を目指すんだというお話をされましたね。すべての国民が困ることのないようにというのは、具体的にどういうことなんですか。お答え願えますか。

山川政府参考人 私ども、昨年七月に、地上デジタル移行へのための総合対策というのを策定いたしました。

 その中身でございますけれども、これは大きく言いまして送信側の取り組みと受信側の取り組みと両方になります。

 送信側の取り組みといたしましては……(逢坂委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)はい。送信側の取り組みとしては、デジタルの電波が受けられるようにすること、受信側の取り組みといたしましては、経済的に恵まれない方にチューナーを支援することを含め、対応ができない人を出さないようにすること、基本的にはその二つでございます。

逢坂委員 受信側の方で対応できない人を出さないようにすることということでありますけれども、そこにやはり具体的な、先ほど因数分解という言葉も用いておられましたけれども、まさに因数分解なら、具体的な数値がなければ因数分解のしようがないんですね。だから、寺田委員は総務省の意気込みで決めるのかというような話になるわけでございまして、意気込みじゃないんだとするならば、やはり具体的な数値目標というのが必要なんだろうというふうに思うんですが、そのあたりはいかがですか。

山川政府参考人 先ほどの私の答弁がわかりにくかったところがあれば申しわけないと思いますけれども、受信側の取り組みといたしまして、幾つかの総合対策を我々は用意いたしました。例えば国民への説明、相談体制の強化……(逢坂委員「数値が要るんじゃないかと聞いているんです、そんなこと聞いていない」と呼ぶ)

 数値につきましては、おっしゃることが、例えば普及率が一定の段階に達することを目標とすべきではないかという御質問なら、私どもはそういう考えは持っておりません。デジタルの移行のためには万全を期すことが必要であるというふうに思っております。

逢坂委員 全く納得できない答弁なんですけれども、具体的な数値目標もないままに物事を進めるということはほとんど論理性がないというふうに言わざるを得ません。まあ、人の軒をかりての質問はこの程度にして、あらかじめ私が話していた内容に入っていきたいと思うんです。

 まず最初に、地デジに移行する理由というのは、やはりどうも国民の皆様にはよくわかっていないというふうに思うんですが、それで局長にお伺いしますけれども、地デジに移行する理由を簡潔にお述べください。

山川政府参考人 地上デジタル放送の移行でございますが、デジタル化によりまして、データ放送など新しいサービスあるいは乱れのない画像、そういったものを国民の方にお楽しみいただけること、さらには、電波の有効利用によりましてアナログ放送の周波数の三分の一を節約し、携帯電話の逼迫に対応するとともに、さまざまな新しいサービスを実現していくことといった、国民生活にとって大きな効果をもたらすということが目的でございます。

逢坂委員 そこで、山川局長に二つお伺いするんですけれども、アナログからデジタルに移行したら、メリットが強調されていますけれども、デメリットというのは何かありますでしょうか。考えられているデメリットというのはございますか。

山川政府参考人 アナログからデジタルに移行することによりまして、例えば従来アナログの電波が届いていたところでデジタルの電波が届かなくなる、何らかの対策が必要になる、そういった諸環境を整備していく必要があることが生じるということはあると思います。

鳩山国務大臣 これはアナログとかデジタルに限ったことではないのかもしれませんが、森林浴というのがありまして、人間が森の中に入ると、人間の耳に聞こえていない音に何らかの反応をして、脳からエンドルフィンとかドーパミンが出て、非常にいい気持ちになるということが科学的に証明された。その部分のものも流せるような将来のテレビやその他でありCD等であってほしいというのは、これは意外と重要な問題なのかもしれません。

逢坂委員 ちょっと、何を議論しているのか質問している方がわからなくなるような話でございますけれども。

 局長、さらに引き続きお伺いするんですけれども、もし今回地デジに移行しなければ何が起こるんですか。どういうことが予想されるから、今回地デジに移行するということを二〇〇一年に決めたんでしょうか。それをお答えいただけますか。

山川政府参考人 二〇〇一年に地上デジタルへの移行を決めた背景といたしましては、まず周波数事情の逼迫ということがございます。先ほどから御説明をさせていただいておりますように、アナログからデジタルに移行することで周波数は三分の二になります。それから、技術の進歩がありまして、国民に新しいさまざまな放送サービスを享受いただける環境が整ってまいりました。そういうことも背景にあったように思います。

 御指摘のようにそのほかにどういう問題があるのかということでございますが、アナログの設備を維持するということは、アナログの設備というのは今世界じゅうでだんだんなくなってきておりますので、放送事業者が、二〇一一年に向けて、アナログの設備を二〇一一年まではもたせようということで今取り組んでおるわけでございますが、そうしたアナログの設備の運用が非常に不安定になるということがございます。

 具体的には、例えば、アナログ設備がもたなくなって、ずっと延び延びにしている間に放送が中断してしまう可能性が生じる。もう一つは、世界がデジタル化の潮流にある中で、日本がアナログの国でありますと、世界の各国がデジタル化に向けて新しい産業をデジタル化の中で生み出そうとしているときに日本だけがおくれてしまうというような可能性もあるのではないかというふうに思っております。

逢坂委員 そこで局長にお伺いしますけれども、今回の地上デジタルというのは国民に選択権はあるんですか。要するに、今までアナログテレビを見ていた、やはりアナログで見たいなという選択権はあるんですか。

山川政府参考人 二〇一一年の七月二十四日まではアナログとデジタルの双方の波を流させていただきますけれども、私どもといたしましては、二〇一一年の七月にはアナログの波を停波するということで、国民の皆様方には丁寧にデジタルのメリットを御説明することでデジタルの方に移行していただくということを期待しております。

逢坂委員 先ほどの自己負担の問題に絡むんですけれども、選択権がない、だけれどもそれは自己負担でかえてくれ、今まで受けていたサービスを中断する、これはやはり少し横暴なんじゃないでしょうか。どうでしょうか。選択権があるのなら、それは自己負担ということもいいかもしれない。どうですか。

山川政府参考人 この二〇一一年の七月という移行期限を定めましたのは、二〇〇一年の電波法の改正でございます。そのときに十年後にデジタルに移行するということを定めたわけでございますが、この間、十年の移行期間というものがありました。その移行期間の中で、私どもといたしましては、国民に丁寧に御説明をして、デジタルのメリットというのを御説明していく中で円滑に対応いただくということを考えておったわけでございます。

逢坂委員 選択権がない中で、なぜ国民が自己負担をしなければならないのかという質問をしているんです。お答えください。

山川政府参考人 放送のデジタル化につきましては、既に御説明をしておりますように、多くのメリットがございます。こうしたメリットを国民の方々にも享受していただくために、他方でアナログのテレビをデジタルテレビにかえていただくということでございまして、その部分は確かに御負担にはなるわけでございますが、このデジタルテレビをごらんいただくことで、よりきれいな画像あるいは美しい音声、そういったものをお楽しみいただくわけでございますので、そちらの方の国民のメリットというものをお考えいただきたいということで、国民に対しては丁寧に御説明をしていきたいというふうに思っておる次第でございます。

逢坂委員 きょうはこれ以上やりませんけれども、やはり少し無理があるというふうに思います。

 私の父も八十歳近くでひとり暮らしをしていて、今回こういうふうにかわるということを説明しても、父からは、何にも変わらないものなのに、何でおれが金を払わなきゃいけないんだというのが父の言い分であります。テレビも、前から見ているし、何にも壊れていないじゃないか、なぜかえなきゃいけないんだ、何が一体変わるんだ、そういう話なんですね。しかも、そのために全く自分の選択権がないということについて非常に憤りを持っている。

 しかも、高齢ですから、テレビのリモコンとかがかわると、操作がわからないとかなんとか言ってこれまた大変で、離れたところに暮らしているから簡単には説明もできない。それはいろいろな人が来て説明してくれるのかもしれませんけれども、そんなのは肉親のようなわけにはいかないわけでありまして、どう考えてみても、この選択権のない変更について自己負担を求めるということについては大いに疑問だということを改めて指摘させていただきます。

 そこで、次の話題に入りたいと思います。

 先般、四月六日に、アナログ放送終了リハーサルということで、ある地域を指定してリハーサルをするということが総務省から発表されました。具体的には石川県の珠洲市に決定したということでございますが、局長、この概要について簡単に説明いただけますか。簡単で結構です。

山川政府参考人 アナログ放送を実際に停止いたしますと、我々シミュレーションではいろいろな事態を想定しているんですが、想定外の事態も起こってくるやに思いますし、住民の方々がどのような御対応、御反応をされているかということも非常に重要になってまいります。そこで、全体をとめる前に一部地域で実際にリハーサルという形でとめていただき、全体に対するアナログ停波の影響等につきまして事前に把握していきたいということで行うものでございます。

逢坂委員 お伺いしますと、この石川県の珠洲市というエリアは、非常にケーブルテレビの普及率が高いところだというふうに聞いております。ケーブルテレビの整備率が一〇〇%、そして接続率が六三%ということです。こういう地域でアナログ停波のリハーサルをやるということは、局長、妥当なんでしょうか。ケーブルテレビがたくさんあるんだったら、余りここではやる必要はないんじゃないのかな、それよりももっとアンテナでたくさん中継しているところの方がリハーサルに適しているんじゃないかと素人ながら思うんですが、どうでしょうか。

山川政府参考人 まず、私どもがリハーサルの地域を選定させていただきました背景としては、ケーブルテレビ以外に、世帯数ですとか中継局の状況ですとか幾つかのものがございました。そういった中にこの珠洲市があったわけでございますが、珠洲市は、御指摘のとおり世帯加入率が六三%と非常に高い世帯でございます。ただ、アンテナのみで直接受信をしていただいている世帯も一定程度、大体二千五百世帯ぐらいあるのではないかというふうに思っておりまして、そこそこの規模があるというふうに思っております。そういう意味で、リハーサルの実験地域としては適切だろうというふうに思っております。

 多分、御指摘の趣旨をもうちょっとストレートにお答えするとすると、ケーブルテレビが六三%あるから実施しやすい地域ではないかということではないかと思うんですけれども、私どもといたしましても、リハーサルの実施というのはその地域の住民に与える影響が非常に大きゅうございますので、そういった点も勘案して、比較的実施のしやすい地域を選ばせていただいたという事情もございます。

逢坂委員 何か変な感じがするんですけれども、だとするならば、局長、石川県珠洲市を対象としてリハーサルをするというときに、珠洲市エリア、能登町というところも一部入るように聞いておりますけれども、そこの世帯数全部を対象にしてやったというふうに分母をするのは間違いだという気がするんですね。だから、アナログでアンテナで受信している世帯を対象にしてやったというふうにして結果を出さないと、誤ったリハーサルになってしまうおそれがある。たくさん数の多い母集団の中で問題はこれぐらいしか発生しませんでしたということになりかねないので、しっかりと、アナログの電波で受信している世帯がこれだけあるようなエリアでやった結果、これぐらいの問題が出ましたというようなことにしないと、誤った結果を国民に示すことになりはしないかと思うんですが、いかがですか。

山川政府参考人 御指摘の点につきましては、十分配慮してまいりたいと思います。

 ただ、例えばアメリカで、ケーブルテレビがかなり浸透している地域で先行的に停波いたしましたけれども、ケーブルテレビで見ているといっても、その世帯の中で二台目、三台目のテレビがケーブルテレビにつながっていなかったという事態は結構生じました。そうした世帯につきましては、アナログ波が停波すると同時に見られなくなってしまったということがあります。

 そういったことで、実際にケーブルテレビに入っている世帯でも直接受信しているテレビがあろうということは想定しておりますので、そうしたデータもとってまいりたいということで考えております。

逢坂委員 今の話は若干詭弁のようにも思うわけであります。アンテナを立てているうちだって複数台テレビがあって、いろいろなことが想定されるわけですから。まあ、それはそれでいいでしょう。

 ところで、これは自治体負担はあるんですか。

山川政府参考人 自治体側の負担につきまして、今後どういう方法で実施していくか等も含めて、自治体側と今後十分に協議してまいりたいというふうに思っております。できるだけ少ない方向では考えたいというふうに思っています。

逢坂委員 それで、きょう一番議論したかったテーマにこれから入りたいと思うんですけれども、一つは、総務大臣、これからの日本の放送と通信の技術革新がもたらす社会のあるべき姿というものをどういうふうに描くかということなんですね。

 常に技術革新が進んできて、いろいろなものがどんどんできていく。それで、技術に頼れば、例えば私も携帯電話は離せない状態になっていますし、一台だけじゃ足りなくてもう一台使っているなんという状況にもなる。あるいは、コンピューターを使わない日はないわけでありまして、コンピューターがなければ仕事にならないということになるわけですね。

 こういう状況の中で、技術革新の進展度合いに応じていろいろなものを開発して社会に提供していくということで本当にいいのかどうか。私は、そうではなくて、やはりもうちょっとそこに節度なのか、あるいは社会全体のデザインみたいなものを、人間性がどうあるべきかみたいなことも含めて考えていく必要があるのではないかというふうに思うわけなんですね。

 そういう観点でいいますと、例えば今回の移動受信用地上放送事業ですか、これに関してまず第一点お伺いしたいんですけれども、先ほども若干そういう質問があったようですが、新たなサービスをどんどん提供できるということになって、果たしてこの事業というのはビジネスモデルとして成り立つのかどうかというところなんですね。

 だって、総務大臣も私も、持っている資産には物すごく大きな差がありますけれども、一日の時間は二人とも二十四時間しか持っていないわけでありまして、これはどちらも同じ条件なわけです。一日の時間が二十四時間しかなくて、多分、入れられる情報量だって多少限界があるわけですね。そこで、テレビがあり、ラジオがあり、インターネットがあり、そしてまた今度は移動の放送が新たに見られるようになるということになっていくと、当然ユーザーは限られていくわけですね。だから、単位放送当たりの視聴度合いというのは下がらざるを得ないわけですね。

 そういう点で、この新しい事業の採算見通しみたいなものをどうお考えになっているのか、大臣にお伺いします。

鳩山国務大臣 私、先ほど申し上げましたように、こういうような図をもらって、要するにアナログを停波すればうんとすき間ができますと。私が事務方から説明を受けたものには、すき間ができたところにVHF帯では両側に移動受信用の地上放送が入ります、片方は十八メガヘルツ、片方は十四・五メガヘルツと書いてあります。そして、真ん中に「安全・安心の確保」、「自営通信」と書いてあるんです。

 結局、安全、安心の確保ということでいろいろ使うというのはまだわかるわけですが、この両側にモバイル用の放送事業者が出てくる。携帯以外に何があるのと言ったら、モバイルパソコン、カーナビ、ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等と書いてある。

 でも、確かに一日二十四時間しかなくて、テレビはより画面がきれいになって、実際にパソコンに向かう人も相当多くて、実際これで音楽を聞くのと。まあ、聞くんじゃないですかと言うんですけれども、私、きょうの委員会はやや憂うつだと申し上げたのは、自分に知識がなさ過ぎることと、これはやはり未来社会をある程度描くことがなければ、どういう需要が出てくるのか、あるいはどうすれば人間はもっと幸せになれるのかということを考えると、科学技術が進歩することが少なくとも幸せの増進と正比例関係にないことは間違いがない、逆に人間性疎外要因になったらどうするのかとか、いろいろな心配をしてしまうわけでございまして、逢坂先生のこういう高度な御質問には正直言って答える能力がないと言わざるを得ません。

 これは与党とか野党とかいうんじゃなくて、有識者に頼ればいいというものではなくて、どういうふうに今後の科学技術の進展に対して未来社会を描いていくかというのはとても大事です。

 私は確かに三十一年ぐらい国会議員をやっている計算になりますけれども、当選二回のときに、VAN、バリュー・アデッド・ネットワークという問題があって、私は自民党の商工部会におりまして、当時は逓信部会と言ったのか、要するに郵政関係のところへ行って、通信の自由化を求めて演説してこいというのでさんざん勉強をさせられた。

 そのころは、情報を加工するならばいいけれども、情報をそのまま伝えるのは、コンピューター同士で情報を伝えることはいけない、これは電話以外やっちゃいけないんだからと。そうすると、二つコンピューターがあって、つながっていたと。こっちに火事があったときに、本当に火事になったときに、火事だと伝えちゃ違法だ、火事を英語でファイアといって機械が伝えれば合法だとかと、わけのわからぬことをやっていた時代がある。それから二十何年たってここまで来るわけですよ。

 だから、よほど我々の方で、我々といっても私にはその力はないけれども、未来社会を描く訓練をしておかなくちゃならない。私が高校一年のときか何かに梅棹忠夫先生の文章がたしか国語の教科書に載っておって、電子計算機というものができてきている、しかし、機械に人間が支配されたらおしまいだというのを感銘深く読んだ経験もありますので、これからまた先生といろいろ議論をさせていただきたいと思います。

逢坂委員 まさに大臣がおっしゃるとおり、科学技術が進歩して、こういういろいろなものが手にできるからといって必ずしも人間は幸せにならないというのは、私はそのとおりだと思うんですね。だから、あるべき社会の姿をしっかりとデザインして、その上でこの科学技術というものの応用はこれでよいかどうかというのは、やはり慎重であらねばならないというふうに思うんですね。単にそれはビジネスモデルとして成り立つからやるんだということだけでは、大変なことになってしまう。

 その意味において、今回、電波の周波数帯域を少し余裕幅を持たせて節約していこうという考え方は、それはそれで一つ理にかなっているというふうには思うんですけれども、単に科学技術としてそこのところにすき間ができた、だから、さあすぐ使いましょうというのではなくて、そこにもし使うための知恵がないのであるならば、ちょっととどまるということもあってしかるべきなのかなというふうに私は思っております。この議論をしっかりやらないと、本当にえたいの知れない社会ができ上がってしまうおそれがあるというふうに思います。

 そこで、お手元の雑誌の記事をちょっと引用させていただきます。これは日本版ニューズウィークの三月四日号ですけれども、オバマ大統領がたまたま例に挙がっていますけれども、別にこれはオバマさんだけのことではないと思うんですが、ちょっと一部記事を読ませていただきます。

 人間と機械の相互作用の研究者は、情報通信の発展について二つの問題点を指摘するというんですね。「携帯端末が「過度の注意散漫」と「継続的注意力断片化」と呼ばれる状態を引き起こすことだ。使い方によっては、長時間にわたって集中して思考したり、仕事を一気にやり遂げられなくなるおそれがある」というふうにこの記事は指摘をしているわけですね。

 私はこれは極めて重要な指摘だと思っておりまして、例えば、私自身がそうなんですけれども、常に携帯をチェックしていないと不安だというところがあります。

 集中して文章を書いているときも、かつてであるならば、ある一定のところまでがあっと仕上げてから次の何かに心を移していこうとするわけですが、そうじゃなくて、集中して文章を書いているときも常に携帯をそばに置いて、着信音が、ちょっとしたアラームが鳴ると、ああメールが来たなというのでチェックしてしまう。あるいは、夜中に目が覚めたときも、かつてであるならば天井の節穴を眺めるというようなのが夜中に目が覚めたときの当たり前のことだったけれども、夜中に目が覚めて、ついつい携帯を手にして、来ているメールを夜中にチェックしてしまうというようなことに私自身がなっていることに、私は今相当な危機感を持っているんですね。

 でも、これは、今笑い声が出ましたけれども、私は結構笑い事ではないのではないかと。将来の人間の精神に与える影響、将来どころか、もしかしたら今かもしれないんですけれども、相当大きな影響があるというふうに思うんですが、大臣、このあたりについて将来に向かって何か考えていく必要があると思うんですが、いかがですか。

鳩山国務大臣 私は、たまたま総務大臣という立場でいわゆるITあるいは電波その他の問題を担当いたしておりますけれども、一番心配しなければいけない点は、今逢坂先生が雄弁に話されたことだと思っております。

 例えばパソコンだって、関係ない話ですけれども、パソコンの画面からも環境ホルモンが飛んでくるから、余り長時間、前に座っていない方がいいという説は当然あるわけですが、パソコン人間になる、携帯人間になると、ほかの人間らしい本来の行動がとれなくなる。つまり、携帯でないと人に話ができない、面と向かって会うと物が言えない。あるいは、もっとひどくなると、携帯電話でも意思を伝えることはできないが、メールだと文字になるからふだん言えないことも言えるといって、今度はメールにやたら頼るような人間が出てくる。それだけでも現代社会に与える害悪は相当あるのではないか、私はこう思っているわけですから、科学技術の進歩でいろいろな技術が進展したら、人間性疎外要因としてどういうものがあるかということを常にチェックする必要があるのではないか、そう思います。

 うちの事務所の例で恐縮でございますけれども、この携帯が一番よくないのは、私は随分前から、玉沢先生もそうですけれども、三十年前から選挙をやっています。昔はこういうものはないです。そうすると、秘書たちが地元を歩いていて、どこにいるかというのは、携帯がありませんから、例えば何々さんの家から電話してこいとか、そういう指示で連絡をとっておったわけですね。ところが、今は、秘書が、事務所の者が地元を歩いているかどうかの保証がないわけです。GPSか何か機能をつけたらいいんですけれども、要するに寝ていて、今、一生懸命ポスターを張って歩いていますと。これで非常に被害が出ておるんですよ、私の事務所の場合は。

 そのことは、例えば親子の関係だったら、うそをつくということが……。GPSか何かついていればいいんだけれども。そういうことだって、もはや社会や人間に害を与えている部分じゃないかと思って、そういうのは徹底して本当に研究しなくちゃならない分野だと思います。

逢坂委員 大臣の御懸念のとおり、私は、電気通信事業法ですか、それが三十年前に改正する以前からコンピューターネットワークというものに非常に興味を持っておりまして、自作したパソコンを線につないで、それでお互いが通信し合うというようなことも自分でつくった音響カプラーでやっていた時代があります。そのころはまだ日本にはインターネットというものがなくて、いわゆるパソコン通信なんというものが始まり出したころでありました。

 あのころ私が思ったのは、これはコミュニケーションツールとして将来非常に有効なものだろうという印象は持ったんですが、そこでやはりいろいろなことが起きました。といいますのは、文字によるコミュニケーションによって、ふだんはとても穏やかな人なのに、ネットワーク上に入ると物すごい攻撃的になって、実は、それで人間関係がどろどろになったというようなケースも幾つか私自身は体験をいたしました。あるいは、ネットワーク上でなければ行動できないという人も世の中にいるわけであります。でも、それは初期の例であります。

 今度は、まさにこのニューズウィークの記事が指摘するように、行動様式そのものに大きな影響を与えかねない事態になっているわけですね。しかも、それは生まれたときからそういう端末に接していない私の世代、私がこういうのに接するようになったのは十七、八のころでありますから、そういう私ですらこういう心配を感ずるわけです。ですから、今の子供たちにしてみると、我々の想像もつかないような将来像になっていく可能性があるわけです。

 大臣、この点ぜひ、技術だけの勉強をするのではなくて、きょうは厚労には来ていただいておりませんけれども、厚生労働省などとも連携をとりながら、あるべき情報通信の姿と人間社会に与える影響みたいなものをしっかりと考える場というものが国を挙げて必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 全くそういうふうに思います。そういうことの研究が今本当は一番大切なので、余った周波数でどういう業者が参入してどれくらい利益を上げるだろうということよりも、私は、本当ははるかに大事だと思います。

 たしか、マクルーハンだったかどうか忘れましたけれども、テレビの画面がチャンネルによって入れかわるということが、小さな子供から見ると物すごく残酷な、つまり、チャンネルを切りかえるだけで画面が変わるということは非常に残酷なことだと。それを、小さいころからそういう心を植えつけていいのかという話を読んだことがある。ましてそれが、ちょっと指で圧力をかけるだけで画面が入れかわる、そういうものでいいんだろうか。

 私は孫が一人おりますけれども、あれは一歳半か二歳かもっと前かわかりませんが、孫がコントローラーでテレビのチャンネルを変えているのを見て、本当に大丈夫かとすごく心配をしました。

 ですから、その部分の研究がおくれていると思いますので、これはみんなでやっていきたいことだと思います。

逢坂委員 今、大変な経済危機の中にあるわけです。与党も、またさらに追加の経済対策をするということで、今回お出しになられるようでございます。我々の側も、そういうことでまた経済対策をやらねばならないというふうになっているわけですが、大臣、もう答弁は時間が終わりのようですからよろしいんですが、今回のこの経済対策というのは、私はチャンスだというふうに思うんですね。それは、我々の社会のあり方を見直すための大きなチャンスじゃないか。

 例えば、GDP五百兆が落ち込んで、少ない額になる、何%落ち込むかわかりませんけれども。多分、それを前の水準にただ引き戻すだけでは、これは意味がないというふうに私は思うんですね。私たちの社会がどうあるべきかということを考えた上で、今回、経済対策を打つということが非常に大事ではないか。

 この点については、予算委員会でチャンスがあればまたやらせていただこうと思っておりますけれども、ぜひそのことも頭に置きながら、大臣が所管されているこの情報通信もこれからお考えいただきたいということを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 電波法の審議に当たりまして、アナログ放送の停波は二〇一一年七月二十四日、それに際して、地デジの受信機の普及がそもそも間に合うのかという問題を中心に質問をしたいと思っております。

 数字の確認を最初にさせてもらいますが、この間、〇八年三月、〇八年九月、そして〇九年一月と、地デジ対応受信機の普及についての調査を行っております。三回それぞれについて、普及の目標と地デジ対応受信機の保有率の調査結果がどうなっているのかをお答えください。

山川政府参考人 委員御指摘の総務省での調査結果でございますが、まず、昨年三月の調査では、地デジ対応受信機の世帯普及率が四三・七%でございまして、当時の時点での普及目標とはほぼ一致しておりました。

 しかし、その後行った昨年九月及び本年一月の調査結果では、それぞれ、昨年九月は目標の五二%に対して四六・九%、本年一月は目標の五八%に対して四九・一%と、いずれも目標を下回る結果でございます。

 このため、私どもといたしましては、取り組みを強化し、普及目標を達成できるよう、関係者とともに全力を尽くしてまいりたいと思っております。

塩川委員 〇八年三月のときに差は〇・三ポイント低かったわけですけれども、昨年九月の段階では五・一ポイントに拡大をし、ことしの一月の時点では八・九ポイントへと大きく拡大をしている、差が開く一方にあるというのが調査の結果であります。

 続けて、この世帯普及率の数字そのものの妥当性ということで何点か伺いますけれども、地デジ対応受信機の保有世帯、ことし一月では四九・一%ですが、その中には、保有はしているけれども地デジ放送を見ることができない世帯というのが含まれております。

 そこで、お尋ねしますが、この保有世帯四九・一%のうち、地デジ放送を見ることができる世帯及び保有はしているが地デジ放送を見ることができない世帯はそれぞれ何%か、また、保有はしているが地デジ放送を見ることができないとされている理由は何なのかをお答えください。

山川政府参考人 私どもが本年一月に実施した調査でございますけれども、調査対象世帯の四九・一%の内訳といたしまして、実際に地デジを視聴できる状態にある世帯が四四・三%、視聴できない世帯が四・七%という結果でございました。

 こうした、受信機を保有しているにもかかわらず視聴できていないという理由につきましては、居住地域で地デジの放送がまだ開始されていない、あるいは受信アンテナや共聴設備がまだ地デジに対応していないなどの理由があるものと想定をいたしております。

 こうした状況でございますので、総務省といたしましては、全都道府県に拡大設置いたしましたテレビ受信者支援センターを活用いたしまして、国民への説明、相談体制の充実を図るとともに、放送事業者の中継局の整備促進や共聴設備の改修支援などの取り組みに努力してまいる所存でございます。

塩川委員 実際に地デジ放送を見ることができる世帯というのは、四九・一%じゃなくて四四・三%ということであります。

 先日も質問しましたけれども、共聴施設におきましても、都市受信障害対策共聴などの対応状況は極めておくれているわけですから、これはこういう数字にも、テレビはあるけれども、そもそも受信ができる環境にないという事態にもなっているわけです。ですから、今後も、地デジ受信機の保有世帯数と実際の地デジ視聴可能世帯数というのは食い違うことになってくるわけですね。受信環境の共聴などが整わない、こういうことも残るわけです。

 そのずれが、そのまま二〇一一年に持ち越される可能性も否定できないわけで、本来、実態を正確に反映した世帯普及率は、保有世帯ではなくて、保有し地デジ放送を見ることができる世帯ではないかというのが私が指摘をしておきたいことであります。その点でも、政府が指標とする世帯普及率が実態を反映していないと言わざるを得ません。

 もう一点指摘をしたいのが、視聴者にとって地デジのメリットということであれば、当然のことながら高画質、高音質、データ放送といったメリットが享受されてこそ地デジ化の意味があるわけですが、このようなメリットを享受できる地デジ受信対応機というのは当然のことながら地デジのテレビでございますけれども、〇九年一月の調査での地デジテレビの保有率というのは何%なんでしょうか。

山川政府参考人 この一月の調査でございますが、地デジチューナー内蔵テレビの保有率は四〇・四%という結果でございます。

塩川委員 世帯普及率よりも一割も少ないわけです。チューナーなどでは地デジのメリットを享受できないわけで、この点でも、本来、地デジのメリットとして言われていたサービスが提供されないということでいえば、普及率の実態は四割。しかも、先ほど言った、共聴施設などで受信環境が整っていないところも含めれば、その四割もさらに切る事態というのは現にあるだろうということが想定をされているわけです。

 もともと、過去、地デジについて総務省としても行動計画を立ててまいりましたけれども、例えば第四次の行動計画、〇三年の十月のときには、普及目標の対象というのは、「家庭内で地上デジタルテレビ放送をアナログテレビ放送以上の画質で視聴するために用いられる機器」としていたのに、〇六年十二月の第七次の行動計画以降では、「アナログテレビ放送以上の画質や同等の機能で視聴するために用いられる機器」と、アナログ放送以上の画質を提供するのが地デジ放送ということを基準にしていたのを、わざわざ同等の機能という言葉をつけ足して、地デジのメリットが得られない地デジ対応の受信機、いわば地デジチューナーなども加えてかさ上げをするということがこの間行われてきているわけであります。ここでも、いわば数字のかさ上げが行われているわけです。

 加えて、世帯普及率には地域差がございます。昨年三月の調査、これは一定量のサンプルをとった調査ですけれども、全体の世帯普及率が四三・七%ですが、おくれている地域がございます。

 そこで、お聞きしますが、東北と四国と九州と沖縄はそれぞれ何%となっているのかをお答えください。

山川政府参考人 サンプル数との関係で多少の誤差を含むということで御了解いただきたいと思いますが、昨年三月調査の結果では、委員指摘の各地方での地デジ受信機の世帯普及率は、東北が三七・九%、四国が三六・九%、九州が三八・八%、沖縄が二七・三%でございました。

塩川委員 ですから、全国にならしてみますと四三・七%ですけれども、東北、四国、九州についていえば六ポイントぐらいの差がある。沖縄でいえば、全国平均にしてみれば、一六ポイントもの差が生まれているというわけであります。

 なぜこのような地域差が生まれるのかをお示しください。

山川政府参考人 この世帯普及率の地域差でございますけれども、例えば地デジの放送開始時期、それから個別受信や共聴、CATV利用等の視聴形態がどうなっているか、あるいは世帯の年齢構成や生活環境の違いなど、さまざまな要因が複合的に作用しているものというふうに考えておりますので、明確にその理由を断定することは難しいわけでございます。

 いずれにせよ、世帯普及率が目標を下回っているということでございますので、御指摘の世帯普及率の地域差も勘案しながら、各地にテレビ受信者支援センターを設置いたしております、こうしたセンターを活用いたしまして、周知広報の強化や説明、相談体制の充実の取り組みに全力を尽くしてまいりたいと思います。

塩川委員 複合的な要因、その分析もまだされていないということ自身が重大だと思います。

 要するに、三大都市圏は〇三年の十二月にスタートしたけれども、全国で始めたのは〇六年の十二月と、三年ずれているわけですよ。その三年のずれが、東北や四国や九州や沖縄で普及がおくれることにもつながっているわけですね。それは当然反映されていると思いますが、いかがですか。

山川政府参考人 御説明申し上げましたように、この地デジの放送開始時期というのも、その要因の一つであろうというふうに思っております。

塩川委員 大臣にお伺いしますが、今申し上げましたように、総務省の調査を見ても、目標と実際の調査結果が、どんどん差が開いているということが前提にあります。

 その上で、ことし一月の四九・一%の数字をとっても、その数字自身が実態を正確に反映していない。地デジの受信機は持っていても、共聴施設、マンション共聴などが改修されていないために映らないという世帯も実際ありますし、本来地デジのメリットということでうたっていた、そのテレビを購入している世帯そのものも、四九・一%から見れば大きく少ないわけですし、さらに地域差も現にある。現状でさえおくれているのが、さらにおくれた地域があるということです。

 こういった普及目標と普及実態が大きく開いているということについて、大臣はどのように受けとめておられますか。

鳩山国務大臣 これは大変な危機感を持って、今後、普及に力を尽くさなければいけないことと考えております。

 実は、その四九・一%の数字について、私は、チューナーによってアナログのテレビで見られるようにしているところは結構あるのと事務方に聞きました。そうしたら、結構ありますと。四九・一%と言ったって、全部が地デジ対応のテレビを持っているわけじゃないんだね、当然そういうことになりますと。あるいは、四九・一%と言うけれども、いわゆるビル陰とかそういうような、あるいは辺地、共聴施設が必要で、まだそれができていないから見られないというケースもあるの、多少ありますと。そういうふうに私も思ったわけですね。それを今委員から御質問で、きちんと答えていって、したがって、四九・一という数字で、目標よりも九%低いなというだけではなくて、もっと大きな危機感を持たなければならない、こう思います。

 三年ずれたからということでありましょうが、地域的な格差も相当なものがありますから、その辺も踏まえて、より一層すべての対策を出し切るというような気持ちで、原口先生から延ばしてはいかぬという御激励もいただいておりますから、それはもう私どもも絶対延ばすことはあり得ない、こういう意味でこれから全力を尽くしてまいります。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

塩川委員 この問題で、もともと地デジテレビの普及というのが、二〇一一年ということで、どういう根拠があったのかという問題があるわけです。

 二〇〇一年の電波法の改正の際に、では二〇一一年までに地デジテレビが全世帯に普及するという根拠はどこにあるんですかということも問うているわけですけれども、これは当時どういうふうにお答えになっておられますか。

山川政府参考人 地上デジタル対応受信機の全世帯、当時四千八百万世帯でございましたが、この普及という目標は、二〇〇三年の四月に、デジタル放送推進のための行動計画において設定したものでございます。

 御指摘の、二〇〇一年に電波法の一部を改正する法律案を御議論いただきました際には、十年という期間を見て、これだけの期間があれば十分に消費者の皆様に無理なく御理解いただくことができる、さらに、テレビの買いかえサイクルは八年から十年と考えられている、さらに、二〇〇六年に三大都市圏以外の地域でも地上デジタル放送を開始して、そのころには受信機も安くなる、このことにより、二〇一一年までにアナログ放送を終了しても、十年あれば無理ない形で十分に導入可能であろうという答弁をさせていただいておるところでございます。

塩川委員 十年あれば無理ない形で買いかえができるという話でしたけれども、今お話がありましたように、そもそも三大都市圏で電波が飛んでいるのが〇三年の十二月からですよね。全国で、まず県庁所在地からでもスタートしたというのが〇六年の十二月ですから、テレビの買いかえサイクルの八年から十年ということを言っても、〇三年十二月からとっても、実際には二〇一一年七月まで七年七カ月しかありませんし、全国でスタートした〇六年の十二月からとれば四年七カ月しかないんですよ。

 地デジのテレビを買うのは、地デジの電波が飛ばない限り買っても意味がないですから、そういうことを考えれば、全国でいえば、では買いかえようという気になるのは四年七カ月の期間しかないんですよ。それがどうして八年から十年と言われるテレビの買いかえサイクルにそもそも合っているんですか。そもそも、地デジのテレビの普及目標が、二〇一一年で打ち切るということが全く根拠がないということを当時から示されていたということじゃないですか。大臣、どうですか。

鳩山国務大臣 私、たびたび申し上げておりますように、国策として二〇一一年七月二十四日、これに向かって全力で取り組んでいくということ、これを変えるつもりはありませんし、そういうやり方はハードルが非常に高いという御指摘をいただきましたけれども、そのハードルを越えていこう、こういうふうに考えているわけでございます。

 ただ、今の塩川委員の御質問に関して言えば、私は答弁書を見たときにおかしいと思ったんです。十年というのを、人間やはり十という数字は何となくいいのか、例えば郵政でも移行期間は十年という、だから二〇〇一年のときに二〇一一年ぐらいにデジタルへの移行というふうに考えたんだと思うんですが、答弁書にやはりテレビの平均買いかえが大体八年から十年ぐらいだからと言うのですが、今委員がおっしゃったように、買いかえようと思ったときに、まずデジタル波が来ていない地域がいっぱいあったということと、私も余りこういうことは得意ではありませんでしたから、要するに、アナログが停波するから、今買いかえるならばデジタルのテレビにしなければならぬというのは、うちの息子はわかっていても、私は多分わからなかったと思うんですね。

 そういった意味でいえば、二〇一一年にアナログを停波するということをやはりもっとはるか以前から相当な大宣伝をしておかなければ、テレビの買いかえ期間が八年から十年だからというのはほとんど意味をなさなかったように感じます。

塩川委員 もともと、二〇一一年にテレビが買いかえられる、そういうサイクルじゃなかったんですよ。ですから、そういう点でも、この二〇一一年というのが、打ち切るという根拠がなかった。

 もともと十年というのも、周波数帯の変更にかかわって、免許が五年サイクルですから、その二回分で十年という、そちらの方が優先しているわけで、消費者、国民のテレビの買いかえサイクルなんというのは後づけの理屈でしかない。

 そういう点でも、二〇一一年の日までこのまま突入すれば、大量に地デジ難民が生まれかねないということですから、二〇〇一年の法改正時に我が党は修正提案もいたしましたけれども、例えば、アナログ停波予定の二〇一一年七月の一年前の時点で地デジテレビの普及率が一定の基準に達していないときはアナログ停波は延期するといった措置を検討、具体化すべきではありませんか。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

山川政府参考人 地上デジタル放送への完全移行でございますけれども、この二〇一一年七月二十四日という期限に向けて、放送事業者を初め、メーカーあるいは家電販売店、地方公共団体などの関係者が、すべての世帯にデジタル放送を受信いただけるよう計画を立てて、現在取り組んでいるところでございます。

 家庭への普及率が目標を下回っている状況ではございますが、平成二十一年度予算に盛り込まれましたテレビ受信者支援センターによる国民へのきめ細かな働きかけ等に丁寧に取り組むことで、この二〇一一年七月までの普及は十分に達成可能と私ども考えております。

 したがいまして、現時点では、アナログ停波の時期を改めて判断することよりも、二〇一一年七月という期限に向けて関係者が必要な取り組みを全力で実施していくことが重要と認識しております。

塩川委員 大臣にお答えいただきたいんですけれども、平成十年のときに、地上デジタル放送懇談会で議論した。その報告書の中では、停波に当たって条件をつける、つまり、送信側が一〇〇%は当然だけれども、受信側についても、受信機の世帯普及率が八五%以上であることを少なくとも停波の時期を決める条件にするんだということを提言しているわけです。まさに今こういうのに学んで、しっかりとした、地デジ難民が生まれないような措置を考えるべきじゃありませんか。

鳩山国務大臣 ですから、地デジ難民が生まれないように、これからあらゆる施策を通じてやってまいります。

 二〇一一年七月二十四日を一たん定めた以上は、定めたときに一〇〇%まで持っていく、こういう計画でやるのが何よりであって、仮にこれを延期するようなことがあれば、それこそ放送局には、デジタル、アナログ両方流さなくちゃいかぬとか、またさまざまな負担がかかってまいりますので、これはやり遂げるという気持ちで頑張ってまいります。

赤松委員長 塩川君、時間が来ておりますので。

塩川委員 ええ。

 国民にテレビの買いかえを強要するんじゃなくて、アナログ停波そのものを強行せずに延期すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 簡潔に質問いたしますが、まず、電波利用料からの一部負担という点について伺います。

 電波利用料は、電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用に充てる、そういうふうにされております。この利用料を使って受信機の譲渡を行うことが電波の適正な利用、無線局全体の受益のためになるというふうにつながっているんですが、その理由をお尋ねいたします。

鳩山国務大臣 電波利用料というのは、目的税ではありませんが、目的のある利用料ということなのでありましょう。例えば道路目的税、特定財源という話があって、どこまでが道路なのかという議論があったと同じように、電波利用料についても、無線局関係に直接大きな利益がなければいけない、そうしたために使うということが明示されているわけで、先ほど寺田委員と山川局長との間に大変なやりとりがあったのを私も十分聞いておりましたが、私としては、チューナーを経済的に厳しい方にお配りすることによって、先ほどから申し上げておりますように、地上デジタル波を一〇〇%の世帯で受信できるようにする、それができるということで、アナログを停波して、また余った電波をさらに利用することができるようになるという仕組みで、そういうような考え方の中で、チューナーの配布に電波利用料を使うという形を考えたわけです。

重野委員 今、チューナーの話が出ましたけれども、現在、家電の量販店などでは一万円前後のチューナーが販売されております。総務省としては五千円程度のチューナーの製造を希望しているんだというふうに聞いているんですが、それは実現可能なんでしょうか。

鳩山国務大臣 今局長の方から御答弁いたしますが、実は、地上デジタル日本方式あるいは日伯方式、これはブラジルですが、これを世界に売り込むというのでしょうか、シェアを広げようと、総理の手も煩わせて、ペルーあるいはアルゼンチン、ベネズエラ、フィリピン等に働きかけているわけでございます。しばしば私も外国の方とお会いをいたしますが、五千円とか三千円台ぐらいでチューナーが供給できるようになると思いますということを私は外国の方に相当宣伝しているものでありますから、根拠のないことを私に吹き込んでいるとは思えませんので、答弁させます。

山川政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、現在の簡易チューナーの価格は、店頭価格で九千円台で販売されている事例が見られます。ただ、特別割引価格の台数限定では、そろそろ五千円台のものも販売が始まったようでございます。

 このチューナーについてでございますが、実際に支援のために調達を行うのはことしの秋ごろとなる見込みでございまして、それまでにメーカー各社の御努力でさらなる低廉化が期待できます。

 また、チューナーの調達に当たりましては、原則一般競争入札ということで調達をさせていただきますが、二百六十万台近い相当規模のチューナーを調達いたしますので、この一括調達で非常に価格が安くなってまいるものと期待されております。

 また、支援法人自体につきましては、直接調達でございますので、中間マージンを控除した価格になることも期待されておりますので、この法人での五千円チューナーの調達、あるいは市場価格も五千円に向かって下がってくるということは、私どもとして期待しているところでございます。

重野委員 今、期待という言葉が出されましたけれども、この前、量販店で調べてみたんですけれども、安いので九千九百八十円、高いので一万四千八百円、こういう値段ですね。それが、あと二年ちょっとという限られた時間の中で、今答弁者が言うように、この五千円という想定した価格まで下げられるという確信を持たれておるんでしょうか。

山川政府参考人 まさに、確信というよりは期待しておるところでございます。

 現在のチューナーの価格でございますが、次第に下がり基調にあるということは言えるかと思います。現在、我々が調べました最も安いチューナーでございますが、先ほど御紹介させていただきました、特価ではございますけれども、本体五千七百十四円のチューナーが発売をされております。

 今回、三年間で二百六十万の世帯にチューナーを配るために調達をしてまいりますけれども、これは調達規模としては非常に大きいものというふうに思っておりまして、この調達も市場に影響を与えてくれるのではないかというふうに思っております。

重野委員 今、二百六十万世帯という話が出ました。つまり、簡易で安価なチューナーが二百六十万台必要になるということです。

 そこで、お尋ねしたいのは、そうしたスペックと価格のチューナーが十分に供給できるのかという点ですね。今年度は六十万台程度と見ておられるようです。恐らく、停波の直前に駆け込みの需要が大量に発生することも考えられます。

 そこで、四点ほど聞きますが、現在どの程度生産され、市場に供給されているということをどういうふうに把握しているか。それから、今後の見通しでありますが、供給する製品のスペックについて、統一的な基準をつくるのか。譲渡を受ける個人はメーカーを選べるのか、あるいは一社、数社の供給に絞るのか、その場合、競争入札なのか尋ねます。また、アンテナの設置はどの程度と見込み、その価格はどの程度と見積もっておられるか、お尋ねします。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、簡易なチューナーのみの流通でございますけれども、この簡易なチューナーのみの台数は不明でございますが、社団法人電子情報技術産業協会の発表によりますれば、それ以外の例えばBSやCSも同時に視聴できるようなチューナーを含めまして、本年二月末段階で、チューナー全体で約六十万台程度が出荷されているということでございます。

 それから、スペックに関する基準という御質問がございました。

 総務省におきましては、この実施主体の選定の公募の際に、簡易なチューナーの仕様ガイドライン、これは平成十九年に社団法人デジタル放送推進協会が設定したものでございますが、少なくともこれに沿ったものとするように条件を付すことを想定しております。

 また、受信機器購入等支援関係の実施方法に係る検討結果の最終報告におきまして、転売防止措置とか使いやすいリモコンといったものにつきましても言及がございました。また、本支援を受ける世帯が給付されたチューナーを安定的、継続的に使用することを確保する観点から、保証期間というものを義務づけることも検討しております。

 こうしたそれぞれの条件をもとに、実施主体がチューナーの調達を行うことになるものと考えております。

 また、購入支援の対象となる個人が複数の製品の中から選択をすることができるのかというお問い合わせがあったかと思いますが、受信機器購入等の支援におきまして無償給付を行うチューナーは、民間法人から公募により選定する支援実施法人が低廉化のためにまとめて調達することを予定しておりまして、御指摘のように、支援を受ける個人に選択していただくということは想定をしておりません。

 また、競争入札という点でございますけれども、この支援法人が行うチューナーの調達に当たりまして、公平性を確保するために、国が当事者となる契約に準じまして、原則一般競争入札により調達をしていただく予定でございます。

 また、アンテナの量あるいは価格の見込みということでございますが、総務省が昨年五月に発表いたしました地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査というものがございます。これに基づきますと、戸建て住宅のアンテナ、あるいは共同受信施設などを含めましたアンテナ等の改修が必要な世帯は、支援対象の約三割程度の世帯になるものというふうに想定をいたしております。

 また、この価格でございますが、アンテナ改修につきまして、一般に地上デジタル放送の電波が良好に届く地域の戸建て住宅では、通常の工事を行う場合、これらの費用は三万五千円程度が必要になるというふうに見込んでおります。

重野委員 次に、B―CASカードについて、このB―CASというのはそもそも何のためにつけられているのか。有料放送のために必要という話は聞いたことがありますが、無料の衛星放送や地上波を見るのにはこれは全く必要ないと思うんですが、そういう理解でいいんでしょうか。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 デジタル放送と申しますのは、高品質のままで何回でも複製、コピーが可能でございます。したがいまして、著作権の侵害行為が容易に行われやすいということがございます。例えば、権利者の許諾を得ずに無制限にコピーされたり、当該コピーがインターネットに流出したり、あるいは海賊版として販売されるといったおそれがございます。

 このため、放送事業者と受信機のメーカーの方など民間の話し合いが行われまして、地上デジタル放送におきまして、暗号化とコピー制御の技術に基づきますB―CASカードの仕組みが導入されまして、デジタル放送受信機におきまして放送番組の著作権の保護が図られているというふうに承知しております。

重野委員 そこで、このB―CASカード一枚当たりの料金は幾らかということが一つ。B―CAS社のホームページなどを見ると、再発行には送料込みで二千円となっているんですが、B―CASを取りつけるための総費用、これは一台当たりどの程度かかっているんでしょうか。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 まず、B―CASカードの料金ということでございますが、このカードにつきまして、利用者の方にとっての料金というものはございません。

 先生お話しのように、B―CAS社が公表しております損益計算書でございますとかカードの発行枚数から推測いたしますと、およそ五百円程度ではないかというふうに思います。

 それから、取りつけるための部品等の費用でございますが、これは恐らく各メーカーによってさまざまかと思いますが、この点につきましては私ども承知してございません。

重野委員 そこで、これは独占的企業と言っていいと思うんですが、B―CASの発行を一手に行っているB―CAS社、これはどういう会社なのかということをお聞きします。

 というのは、最近まで財務内容すら公開していなかった、こういうふうに聞いております。NHKの総務局長などを歴任された方が今代表取締役に就任されているというふうに聞いておりますが、現状では、デジタル放送を見るためにはこのカードが必要なんですね。それを独占的に発行している会社の状況が不明朗、公表されていないということは、私は大きな問題だと思うんです。

 政府として、どのように関与しているのか、また、この問題について大臣はいかに考えておられるか、お伺いします。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 まず、B―CAS社はどういう会社かということでございますが、正式な名称は株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ、略称B―CAS社というふうに言われてございます。このB―CAS社でございますが、放送事業者とメーカーなどにより設立されまして、B―CASカードの運用管理を行っている会社でございます。B―CASカードにかかわる、いわゆるスクランブルを解除するかぎの運用管理業務を一元的に行うために設立されたものだというふうに承知しております。

 その出資会社といたしましては、NHKやBS日テレなどのBSの放送事業者、パナソニックなどのメーカー等の会社でございます。財務状況につきましては、現在は会社法に基づいた公開を行っているというふうに承知してございます。

 なお、この会社は一般の民間企業でございますB―CAS社でございますので、その運営につきましては、株主でございますNHKを初め放送事業者やメーカーの方などが、株主として適切に対応していただけるものと考えております。

 どのように関与しているかということでございますが、今申し上げたとおり、民間の株式会社でございますB―CAS社につきましては、政府が直接指導監督する立場になく、また、何らかの制度に基づきまして関与しているということもございません。

 ただ、B―CAS社につきましては、運用しておりますB―CASの仕組みにつきまして、放送番組の権利保護の仕組みについてということでさまざまな指摘がございます。例えば、保護の仕組みとして他の手段もあるのではないか、あるいは権利保護の仕組みにつきましては消費者や権利者を含めたオープンな議論をすべきではないか、こういう指摘がございます。

 そこで、現在、総務省といたしましては、情報通信審議会におきまして、消費者や権利者の方などに参加していただいて、オープンな形で、このB―CAS方式を含めた権利保護の仕組みにつきまして御審議いただいておるところでございます。ことしの夏までには一定の結論をいただけるものと考えております。

 以上でございます。

重野委員 最後に、いわゆる受信機購入等の支援について、対象者の問題です。

 これは、NHK受信料の全額免除世帯、こういうふうにしておりまして、半額免除の世帯にはこの補助は行わないということですが、そもそも、いわゆるデジタル対応で、あと二年ちょっとで完全にデジタル化になっていくというときに、受信することのできない世帯が残るんじゃないかという問題意識がきょうの議論の中でも主要なテーマでしたね。

 それを解消するという目標に向かって、全額と半額免除というふうな区分けをするということは、私はいかがなものかと思うんですね。やはり一刻も早くデジタル対応ができる、視聴者がその放送を見ることができる、人間ですからいろいろな差があるんですが、そのいかんを問わず、より多くの方々がそういうサービスを受けることができるという視点から見れば、こういう全額と半額というふうな区分けをするというのは私はちょっと積極性がないというふうに受け取るんですが、その点についてはどうですか。

山川政府参考人 今回の支援策でございますが、経済的に困窮度が高い世帯等に対しまして、例外的に最低限度の支援を行うものでございます。

 御指摘のとおり、NHKの受信料全額免除世帯を対象にということを考えておりますが、御指摘の、世帯主である視聴覚障害者等の半額免除世帯につきましては、むしろ障害という面からハンディキャップを有しているということに着目してこの免除ということが行われていると考えておりますので、本支援の対象外とさせていただいているところでございます。

赤松委員長 重野君、時間が来ていますので。

重野委員 はい。わかりました。

 NHKの方にも通告をしておったんですが、時間が来てしまいました。せっかく来ていただいて、大変失礼かとは思いますが、御理解いただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対する討論を行います。

 まず、この法案の改正点の一つである受信機器購入等に係る電波利用料の使途の拡大は、当然の措置であります。我が党は、電波は国民共有財産であり、電波利用料は広く国民がその利用をしやすくするよう使われるべきものと考えております。したがって、電波利用料を使って地上デジタル放送を視聴するための機器を経済的に困難な者等に給付することには賛成できるもので、必要な支援は行うべきです。

 同時に、今回の法案は、アナログ放送の停波後にあく周波数帯を早期に利用するための制度整備を行うものとなっており、いわばアナログ放送を二〇一一年七月に打ち切ることを前提としたものとなっており、容認できるものではありません。

 地上デジタル放送への移行状況はおくれています。放送事業者の送信について地上デジタル波で一〇〇%カバーという状況ではなく、アナログ放送を打ち切ることで新たな難視聴地域が生まれることが明らかとなっています。また、視聴者である国民の準備状況は、さらに問題が多くなっています。受信機の世帯普及率も、〇一年の決定から八年がたち、停波まで二年、今でも五割を超えていません。これは、政府の受信機の普及目標からも下回っています。二万の辺地共聴施設、約五万の受信障害対策共聴施設、約二百万の集合住宅共聴施設といった共聴施設の改修も大きな課題として残っています。とてもアナログ放送を停波できる状況にはありません。

 一一年の停波に固執することで、準備に当たってのテレビの購入やアンテナ改修、共聴施設改修など負担をめぐって国民の混乱や不満が拡大をし、納得が得られているとは言いがたい状況です。また、一方的にアナログ放送の打ち切りを行えば、地上放送、テレビを見ることができない、いわゆるテレビ難民が生まれるおそれがあります。電波は国民共有の財産であり、政府には国民がひとしく利用できる環境をつくる責任があります。

 今検討すべきは、アナログ放送停波の延期です。

 以上、反対を表明いたしまして、私の討論を終わります。

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、森山裕君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実現に努めるべきである。

 一 受信機器購入等の支援の実施に当たっては、施策の不知による申請漏れが生じないよう、あらゆる手段を講じて支援対象世帯に対する周知徹底を図ること。

 二 受信機器購入等の支援の実施に当たっては、実施に関係するすべての団体等に対し、支援対象世帯に係る個人情報保護の徹底を指導するとともに、関連省庁と連携して悪質商法、詐欺事件等の被害防止対策に万全を期すこと。

 三 景気の後退等に伴う支援対象世帯数の増加等情勢の変化があった場合においても、受信機器購入等の支援の事務が滞りなく行われるよう、適切な対処を図ること。

 四 移動受信用地上放送の具体的な制度設計に当たっては、新産業の創出や地域の振興、情報確保等の観点に留意するとともに、事業者の決定に当たっては、審査過程の公平性・透明性をより一層徹底すること。

 五 平成二十三年七月の地上放送の完全デジタル化に向け、受信障害等に対し、必要な調査・支援の実施や国民に対する説明・相談体制の充実等を含め、官民協力してあらゆる方策を講じ、国民生活に支障を生ずることのないよう万全を期すこと。

 六 電波・放送行政の公正性及び中立性を確保するため、引き続き、電波・放送行政の在り方について検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤松委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 特に、本日の審議のやりとりの中で、新たな課題として受けとめなければならない事柄も多くあると思います。とりわけ、二百六十万世帯を対象としてチューナーを配る、あるいは備えつけ工事ということであるならば、それぞれの地域の業者によって工事が行われるように、きちんと手配をしてまいりたいと思っております。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役藤本栄助君、執行役伊藤和博君及び執行役寺崎由起君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。松野頼久君。

松野(頼)委員 また再び総務委員会にてお時間をいただきましたこと、委員長初め各党の理事の皆さん、また委員の皆さん、大変感謝を申し上げます。

 きょうは、もう昼休みでありますし、前回の補充的な質疑ということで、いい答弁がいただければ早くさっと終わりたいというふうに思っております。ぜひわかりやすい答弁をお願いしたいと思います。

 一昨日質疑をさせていただいたときにお答えをいただけなかった、三月十七日、ジャーナリストの町田徹さん、参考人の配付をした資料に対して内容証明を日本郵政が送った件。その書類をどこから入手したのかということを前回伺って、御答弁をいただけなかったというふうに思います。

 二日たっておりますので、きちんとお調べをいただいたのではないかと思います。どこからこのペーパーを入手されたのか、御答弁いただけますでしょうか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 当時、国会におきまして日本郵政グループに関して御議論をいただいておりまして、我々としても、委員会等での御議論について積極的に情報収集を行っておりました。三月十七日、かんぽの宿等問題についての参考人質疑が行われ、弊社に関係する質疑であったことから、これを聞いていた弊社職員が当該参考人の配付資料を入手したものでございます。

 どなたからいただいたのかにつきまして、資料を入手した社員に確認したところ、日数もたっており、記憶に残っていないとのことでございました。

 以上でございます。

松野(頼)委員 どこから入手したのか、その社員が覚えていないとおっしゃるんですか。それが答弁ですか。

 ちょっと委員長、これは何とかしていただきたいと思うんですが、お願いします。(発言する者あり)

赤松委員長 米澤専務執行役。

米澤参考人 申しわけありません。

 委員会に対しまして大変御迷惑をおかけいたしましたこと、まずおわびをすべきものでございました。申しわけございません。

 大変申しわけないのでございますけれども、どなたからいただいたかにつきまして、資料を入手した社員に確認いたしましたところ、日数もたっておりまして、記憶に残っていないとのことでございました。まことに申しわけございません。(発言する者あり)

赤松委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こして。

 米澤専務執行役。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 どなたからかということについては記憶に残っていないということでございましたけれども、この委員会室の、このところの控え室のあたりでいただいたというふうなことでございます。

松野(頼)委員 ちょっと今の答弁、大変驚く答弁なんですけれども、だれかわからないけれども委員会室の周りでもらったと。

 それをもとに内容証明を送って、二週間以内に返答がない場合には法的な措置をするという書面を西川社長名で送ったんですか。あり得ない話ですよ、そんなのは。ちゃんと答弁してください、もう一回。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 資料の入手に関しての経緯は先ほどのとおりでございますけれども、委員会に大変御迷惑をおかけしたことにつきまして、まず深くおわびを申し上げます。

 また、今回のジャーナリスト町田氏への訂正要求については撤回をさせていただきまして、今後さらなる対応はしない考えでございます。

 以上でございます。

松野(頼)委員 今後の対応は今後の対応で、また議会として決めるべきだというふうに私は思います。今後の対応を聞いているんじゃなくて、その内容証明を送った根拠となる書面をどうやって入手したのかと聞いているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 まことに申しわけございませんけれども、先ほど申し上げましたように、どなたからかということにつきまして、記憶に残っていないということでございます。

 まことに申しわけございません。(発言する者あり)

赤松委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 では、速記を起こして。

 松野頼久君。

松野(頼)委員 では、大臣、今のやりとりを聞いて、もし感想があればいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 それは、委員の先生方にだけ配られた文書であった、それを何らかの形で、実物かコピーだか入手したとして、それをここまで隠そうとするという姿勢が、私は、やはり日本郵政というのはそういう体質があるので、これからよほど厳しく報告徴求とかを求めて監督しなくちゃならぬなと改めて思いました。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

 では、一たんここで締めていただいて、これ以上やりとりしても本会議に御迷惑をかけるので。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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