衆議院

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第20号 平成21年5月26日(火曜日)

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平成二十一年五月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    小川 友一君

      小里 泰弘君    川崎 二郎君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    原田 憲治君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      武藤 容治君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    小平 忠正君

      佐々木隆博君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    吉田  泉君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   衆議院庶務部長      向大野新治君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            吉田 耕三君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     原田 憲治君

  遠藤 宣彦君     武藤 容治君

  薗浦健太郎君     小里 泰弘君

  谷  公一君     山本ともひろ君

  小川 淳也君     佐々木隆博君

  小平 忠正君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     薗浦健太郎君

  原田 憲治君     今井  宏君

  武藤 容治君     永岡 桂子君

  山本ともひろ君    谷  公一君

  佐々木隆博君     小川 淳也君

  吉田  泉君     小平 忠正君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     遠藤 宣彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長吉田耕三君、総務省大臣官房長田中順一君、大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、人事・恩給局長村木裕隆君、自治行政局公務員部長松永邦男君及び自治財政局長久保信保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 まず、質問の機会をお与えいただきましたことに感謝します。あわせて、この質問に関係していろいろ資料を整えていただいた方々の努力にも感謝をしたいと思います。

 公務員に寄せる国民の信頼度、これがその国の行政府の成熟度をはかる一つのバロメーターである、私はそう思っております。我が国において、昨今、公務員による国民の信頼を裏切る行為が次々と露見しております。まことに残念と言うほかありません。一刻も早く信頼を取り戻さなければなりませんが、そのためにも、この国の公務員給与制度を国民に理解していただくということが重要であります。

 ところが、いつも思うことでありますが、法律を読んでもなかなか難しくて、おもしろいから二回、三回読み直そうという気分になれない。

 そこで、質問の第一です。義務教育を終えた国民ならだれでも大体はわかるという程度の書き方、書きっぷりというのができないのか。

 二つ目。理解をいただくために、一体どういう努力を政府あるいは人事院はなされているのかを伺います。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、できる限りわかりやすい法令の書き方ということを求めるべきだと考えておりますが、公務員の給与につきましては非常に詳細な内容、多岐にわたる内容を含んでおりまして、できる限りそれを正確に表現しようといたしますと、どうしても非常にわかりにくい表現になるということが避けられない、これは言いわけになりますが、そういうことがあるわけでございます。しかし、できる限り平易な法令表現に努めていくべきだと私どもも考えております。

 それから、国民の皆様の御理解をいただくための努力ということでございますけれども、これまでも、勧告、意見の申し出を行いました際には、その都度、マスコミを初め各方面への御説明をいたしておりますし、地方ごとに、それぞれ地域の有力な方々にお集まりをいただきまして懇話会を開催いたします。あるいは、全国的に公務員のモニターを募集いたしまして御意見を伺うと同時に、私どもの施策を周知するというようなことをいたしておりますし、人事院のホームページ、月報などにもいろいろ広報をいたしております。

 このようなことをいたしておりますけれども、御指摘のように、なかなか難しい中身でございますので、十分御理解をいただくに至っていないといううらみがあるかもしれません。今後とも、私どもといたしましては、できる限り国民の皆様の御理解をいただくよう努力をしてまいるつもりでございます。

松本(文)委員 次に、世界の国々がとっている公務員給与制度と日本の制度の明確な違い、メリット、デメリット等、特徴があるんだろうと思うのでありますが、そこら辺を簡潔に御説明いただければありがたい。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 公務員給与の決定方法につきましては、労使交渉によるもの、詳細まで法律で規定するもの、あるいはその中身につきまして民間準拠というようなものを明示しているもの等、さまざまございます。それは、それぞれの国における政府のあり方、公務員のあり方等を踏まえてでき上がっておりますので、一概にどの制度がすぐれているということは言いがたいものと考えております。

 我が国の公務員給与の決定方法につきましては、欧米には例がないほど精緻な民間給与との比較に基づいて決定しているものでございまして、公務員の労働基本権が制約されている現状のもとで考えられる制度としては、国民の理解を得られる最も妥当なものであるというふうに考えております。

松本(文)委員 続いて、人事院にお答えをいただきたいのでありますが、世界各国の公務員の数、公務員の給与水準というのが、日本と世界の国々とを比べた場合、多いのか少ないのか、高いのか安いのか、わかりやすく端的にお答えください。

村木政府参考人 お答えいたします。

 人口千人当たりの公務部門における職員数の国際比較というものがございます。これによりますと、この場合、公務員というのをどの範囲まで含めるのか、中央政府職員、あるいは政府関係企業職員まで含める、いろいろな考え方がございますが、一番幅広くとった場合でございますと、日本は、すべて含めて、千人当たり三十二・〇人となっております。二〇〇八年の数字でございます。

 これが、例えばフランスでございますが、二〇〇六年で八十八・八人、アメリカですと、二〇〇七年の数字で七十八・二人、イギリスでございますと、二〇〇七年の数字で七十七・八人、ドイツでございますと、二〇〇七年の数字で五十四・六人ということで、極めて数としては少ないというぐあいに認識をいたしております。

松本(文)委員 給与水準についても。

吉田政府参考人 諸外国の公務員との給与水準の比較について御説明いたします。

 事務次官クラスについて申し上げますと、イギリスは三千六百万という年収であるのに対しまして、ドイツで約二千万、日本で約二千四百万弱というふうになっておりまして、ドイツよりは高いわけですが、イギリスよりはかなり低いという状況がございます。局長クラスにつきましても、イギリスは二千八百万、アメリカが千九百万、日本は千八百万、ドイツは千六百万ということで、ほぼ同じか、あるいは日本がイギリス等に比べると若干低い。

 本省の課長級で見ますと、アメリカが千七百万、イギリスが千七百万、ドイツが千二百万、日本は千三百万ということで、これも大体英米よりは低いけれどもドイツより高いという程度になっております。それから、本省の補佐クラスについても、アメリカでは千三百万、イギリスでは千二百万、ドイツでは七百五十万、日本では七百万から九百万ということで、大体同じような関係になっております。

 外国の給与水準につきましては、今の数値は購買力平価という物価も考慮した換算率を使っておりますが、為替の変動によりましてもかなり変わってまいりますし、それから、それぞれの国におきます民間給与のあり方にもかかわってまいりますので、一概に高い低いというのは言うことはできないと思いますが、今申し上げたように、英米よりも若干低く、ヨーロッパよりも若干高いというような感じかと思っております。

松本(文)委員 我が国の公務員給与を決定するに際しての制度は、世界の制度と比べて遜色がない、そして公務員の数はどちらかというと少ない、なおかつ、給与水準そのものも世界各国と比べて遜色がないという制度になっている、こういう説明だろうと思います。しかし、それでもなお国民の皆さんの信頼という点においては問題があるというふうな認識を持っているわけです。

 具体的に、ここ十数年間、バブルがはじけてから今日に至るまで、民間の給与あるいは労働環境、こういったものが大きく揺れ動いてまいりました。それに公務員給与がきちっと対応してきたのかどうか、そこら辺を具体的数値で、民間の給与所得の数値と比べて、あるいは世帯収入の数値と比べて、可処分所得の数値と比べてどうであったのか、お示しをいただければありがたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の給与につきましては、毎年民間の給与を調査いたしまして、精確にラスパイレス比較を行っているところでございますが、平成十一年から平成二十年までの推移を見ますと、この間の民間の経済動向あるいは賃金動向というものを反映いたしまして、この十年間で約一〇%程度、例えば係員クラスですと八・七%でございますが、係長クラスあるいは本省局長、事務次官クラスでは十数%のマイナスになっております。

 例えば、事務次官について申しますと、平成十一年は二千六百七十八万円という年収でしたが、去年の勧告後は二千三百五十一万ということで、この十年間で三百二十六万減少しております。係長クラス、三十五歳で見ましても、五百六十七万だったものが四百七十九万と、八十七万円程度減少しているということで、これは民間の動向を反映した結果というふうに考えております。

松本(文)委員 当然といえば当然のことでありますが、数値においてはきちっと対応している、こういう説明であります。

 今回、その民間の動きに合わせて夏のボーナスを減額する、そのための法改正でありますが、具体的に、民間のボーナスの平均というのはどれくらいになり、公務員の平均ボーナスというのは幾らになるのか、金額でお示しをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 公務員のボーナスにつきましては、昨年の勧告後をベースにいたしまして、この四月時点で想定いたしますと八十五万六千六百円程度というふうになっておりまして、それが今回〇・二月分を減いたしますと七十七万六千九百円ということで、七万九千七百円、約八万円程度減になるということになります。

 民間につきましては、今回の調査が、通常のというか、これまでやっております職種別民間給与調査による職種を限った調査ではございませんで、全くざっくりした、職種やそういったものに限らず調査しておりますので、これは増減率で表現しておりますが、昨年の夏に比べまして一三・二%の減というふうになっております。

松本(文)委員 民間は景気のいい会社もあれば悪い会社もあるわけでありますから、一概にそこら辺がすぱっと割り切れないということではあるんだろうと思いますが、今回の措置、この法改正に対して私は全面的に賛成であります。

 次に伺いたいのは、公務員の犯罪と給与の関係はどう規定をされているのか御説明をいただきたい。あわせて、国際比較もお示しをいただきたいわけであります。

 この国でいつごろまで行われていたのかわかりませんけれども、犯罪を犯して逮捕される、公判が開かれて、本人の罪状認否、これを認めるまでは解職できない、したがって、それまでは本人の身柄は拘束されておっても給料が払われ続けた、あるいは当然ボーナスも払われていた、そういう摩訶不思議な現象がかつてあったわけでありますが、現在はどういう規定になっているのか御説明をいただきたい。

村木政府参考人 国家公務員法の七十九条の規定でございますが、「職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる。」という規定がございまして、その第二号に「刑事事件に関し起訴された場合」ということがございます。一般的に刑事休職と申しておりますが、こういう制度がございます。

松本(文)委員 次期政権をうかがっておられる野党第一党の前党首の公設秘書が逮捕されていることは御承知のとおりであります。

 これは当然、秘書給与にかかわる法律は別の法律ではありますが、公務員という立場では国民の目からは同じに映るわけでありますが、この逮捕されている秘書の処遇、給与というのはどういうふうになっているでしょうか。

向大野参事 お答えさせていただきます。

 公設秘書の場合、逮捕されても引き続きその身分を有し、給与の支払いを受けるということになっております。

 以上です。

松本(文)委員 ボーナスも同様でありますか。

向大野参事 そのとおりでございます。

 ボーナスの場合は、基準日に、六月一日と十二月一日でございますが、そのときに在職すれば支払うという形になります。

 以上です。

松本(文)委員 身柄を拘束されて公務につくことができていない、それでもなお四十万を超えて給与が払い続けられる。そして、身柄を拘束されている方にボーナスまで払われる。

 勤務評定というのはどうされるんですか。

向大野参事 お答えさせていただきます。

 公設秘書の勤勉手当につきましては、基準日からの在職期間がどれぐらいという形で、一定の割合で支払われるという形になっております。

 ですから、逮捕された方についても、その在職期間に応じてお支払いするという形になります。

松本(文)委員 一般公務員については、逮捕された時点で、その方が有罪であるかどうかは別として、給与は大きく減額をされる、ボーナスも、当然生活費しか払われないといったような、そういう厳しい制限が法律によって加えられている。

 しかし、公務員である公設秘書については全くそこら辺の制限がない。理不尽だと思うわけでありますが、これを規定している法律、これはどこになりますか。

向大野参事 秘書の給与の法律がございます。(松本(文)委員「何省、総務省の所管ですか、その法律は」と呼ぶ)これは国会でございます。

松本(文)委員 鳩山大臣、これは御承知であったかどうか定かではありませんけれども、国会がこの法律を所管しているということであれば、議員あるいは公設秘書の身分、給与等々もやはり一般公務員に準じなきゃおかしいと思うんですね、そうであれば、総務省として、国会に対して、これはきちっと合わせようではないか、こういったアプローチをぜひしていただきたいと思うのでありますが、大臣の所見を伺いたい。

鳩山国務大臣 多分、国会議員の公設秘書の身分というのはもちろん特別職でありましょうし、政治的な色彩の強い仕事をするわけでありましょう。したがって、我々の歳費もそうかと思いますけれども、これは議院運営委員会の方ですべて処理をしておられる問題だと思いますので、現在私がきょうここに参っております、一般職の給与のボーナスの削減とは直接のリンクはしがたい部分があると思いますが、ただ、先生からそういう御発言があったことは議院運営委員長にはお伝えしようと思います。

松本(文)委員 犯罪が明確になって有罪になった場合、その犯罪が行われた時期までさかのぼって、退職金あるいは給与といったようなものについて遡及をされて返還命令を出すことができるという法体系になっている、こう聞きました。

 防衛省の事務次官が退職をされた後、これは退職金の自主返納という形で行われているわけでありますが、きょうのこの時点では、こういうケースの場合は、遡及をして返還命令を出して、徹底的に取るものは取るよ、税金と同じように取るよ、こういう制度になっていると聞いているんですが、間違いありませんか。

村木政府参考人 国家公務員の退職手当法について御説明いたしますと、まず、禁錮以上の刑に処せられた場合には、退職金を支払っていてもそれは返還させることができます。

 それから、昨年の改正でございますが、禁錮以上の刑、いわゆる刑事処分、裁判にかからない事例であっても、懲戒免職相当という重い非違行為が退職後発覚する場合もございます。仮にそういう非違行為が退職後発覚して、その時点では退職金をもらっていた場合でありましても、退職手当審査会という第三者機関の議を経まして、確かにそれは在職中に発覚していれば懲戒免職になったような重い非違行為であるということが認定されれば、これも返還することができる。これは昨年の退職手当法の改正で導入いたしました。

松本(文)委員 昨今、国民から強い批判を浴びている一つに、やみ専従というのがあります。このやみ専従をやった職員というのが明らかになりつつあるわけでありますが、まだまだ明らかになっている部分は氷山の一角だ、こういう指摘もあります。

 公務を遂行しないで労働組合の仕事をしていながら給与を受ける。そして、勤務評価は、どういうわけか、Aだか特Aだか、一番評価を受けている。こういう事例が我が党の葉梨委員の質問なんかでも明確になっているわけであります。

 こうした人たちの給与というのでしょうか、これを返還するということになった。だれが返還をするのか。組合が返還をする。そうすると、そのやみ専従をやった本人は注意を受ける程度で痛くもかゆくもない。そこに悪いことをしてしまったという罪の意識が出てくるのか出てこないのか、反省の意識が出てくるのか出てこないのか。そういう理不尽な状況を続けるというのはやはりおかしいんじゃないのかな、こう思うんですね。

 今回のボーナス等々においても勤務評定部分がある。しかし、この勤務評定が労働組合によってなされるような評定であったら、判こは課長の判こが押してある、部長の判こが押してある、しかし実際の評価は組合の意向を強く反映して行われているというようなことであっては、国民の信頼を得るにはほど遠い、こう思うわけであります。

 そこら辺の改定、新しくこうなったからこういうことは二度とありませんよ、組合の幹部というか、組合の意向というのからは全く縁を切りました、こう言える制度になっているのかどうか、わかりやすく大臣に説明をいただけるとありがたい。

鳩山国務大臣 先生の御指摘は、そういうような事例があったのではないか、つまり、正常な労使関係ではなくてそこにいわゆる癒着と言われるようなものがあったのではないか、こういうふうに私は受けとめるわけでございます。

 昨年、総務省としては、いわゆるやみ専従問題についての一斉点検をやった。一斉点検をやって、結局、大山鳴動させようと思ったけれどもネズミがほとんど出てこなかったという状況がありました。

 ところが、その後、さまざまな情報によって農水大臣が非常に苦労されるようなことがありましたものですから、正直言って一斉点検というものはかなりずさんなものであったというふうに考えまして、今回、五月二十二日より一斉調査を各府省においてやってもらうことにいたしました。

 定義もはっきりいたしまして、定義というか、調べ方もやや変えまして、今までは、四時間以上職場を許可なしに離れて三十日以上、これがやみ専従というふうに一般に定義のようなものをした。しかし、今度はそれに加えて、四時間などという長時間ではないが、やはり年間三十日ぐらい許可なく職場を離れていわゆる組合関係の仕事をしたという人たちも、ちゃんと調査の結果を出してこいと。それから、その両方でもないけれども、時々無許可で消えてやはり組合活動等をしておったというような人に関して、これも調査をして出してこい、こういうふうにいたしました。

 そして、その調査結果を、上司に当たる人でしょうけれども、署名押印をして報告を出してこいということで、これでかなり徹底してでき上がればいいと思っておりますが、その根幹に、先生がおっしゃるような、昔からの労使慣行でこういうものは認めるものなんだ、だから、勤務評定でも、仮にやみ専従をやっておっても勤務評定が非常にいいものになるなどというような、そうした思わしくない慣行があるとするならば、これはもう絶対に排除していかなければ、公務員制度に対する国民の期待というものは大きく裏切られることになるだろうと思っております。

 そして、この四月から、改正国家公務員法に基づいていわゆる人事評価制度というものを改めたわけで、成果を上げた者が報われるということ、能力のある者が出世するというか、そういう人事管理を導入することとしたところでございます。

 これまでの勤務評定制度とは違いまして、これは、あらかじめ明示された全府省統一の基準に照らして評価するいわゆる能力評価。能力評価ですから、高ければ昇任、昇進ともいうでしょうが、あるいは低ければ降任ということもある。それから、上司と面談して、こんな仕事をやりたいという目標をつくらせて、その達成状況を評価する業績評価もやる。これは年に二回やる。この業績評価は、その結果が非常によければボーナスに反映するというようなことにしたわけでございます。

 この新しい人事評価制度とやみ専従に対する徹底調査によって改善を図っていこうというのが今の総務省の姿勢でございます。

松本(文)委員 今求められているのはスピード感でありますから、できるだけ早い結果をお待ちしたいと思います。

 ありがとうございました。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 給与法について質疑をさせていただきたいと思いますが、大臣、ちょっと一個だけ。余談になりますけれども。

 いつとは申し上げませんが、委員会が終わった後、帰るときに総務省の幹部がぼそぼそしゃべっているわけですよ。きょうは大臣が余計なことを言わなかったなということをぼっそりこぼしておりました。私も、最近、大臣が就任当初に比べて自由気ままさがなくなってきて、まさしく某幹部が言われるとおり余計なことを言わなくなってきたなというので非常に残念であると思っております。まあ、だれであるかということは後でこっそりお伝えしますので、自由気ままに大臣の思われるとおり御答弁いただきたいと思います。

 法律の審議に入る前に、前回、先々週ですか、私の方で定額給付金に関して質疑をさせていただいたことがあって、そのことについて一、二点お伺いします。

 DV被害者に関しての質疑をさせていただいたところ、新聞に取り上げられたこともあったんですが、さまざまなところから御要請及び私の方に対する質問等もありました。今田嶋委員に聞いたんですが、千葉市の方も半分ぐらい給付が終了していて、まさしく今国民の手に給付金が渡るような段階になってきて、より具体的な問題点というのが浮き彫りになってきていると思います。

 繰り返しになるかもしれませんが、当初、この定額給付金の制度を始められるときには、大臣の方からもDV被害者の方にもしっかりとした対策をとりたいというお話をされていたと思いますし、四月二十一日の定例記者会見ですが、そのときでもDV被害者に対する対策をしっかり行いたいと大臣自身お話をされておりました。より具体的な対策内容等あられると思いますので、まずは御答弁いただきたいと思います。いかがですか。

鳩山国務大臣 ちょっとその前に、最初の寺田委員の御指摘についてお話し申し上げます。

 私も総務官僚によって人事評価されているんだなということをお教えいただいて、感謝申し上げます。

 ですが、要するに、よく民主党がおっしゃるのは、官僚主権国家になっちゃいないかと。これは、そういう部分があれば徹底して直さなければいけない。しかし、逆に言えば、政治家が弱過ぎる、リーダーシップが弱い、大臣になっても弱い。役人のつくった文章を棒読みする、これは役人にとってはいい大臣かもしれませんけれども、政治家や大臣のリーダーシップが弱いことが日本の政治の問題点であり、そのために官僚主権国家じゃないかなと言われる。我々はそれを政治家の力によって直すべきだと思いまして、これからは余計なことを言わないような大臣はある意味ではだめなのかもしれません。余計というのは、不規則なばかなことを言うという意味じゃありません。官僚の発想を超えて物を言うような閣僚でなければこの国をよくすることはできない、私はこう思っておりますので、寺田委員のアドバイスをいただいて頑張っていきたい、こう思っております。

 定額給付金については、これは全世帯へ行く、これが受け取れないようなケースを極力減らすという、できるだけ温かい友愛のシステムをつくらなければならない。これは、ずっと思っていましたし、現在もいるんです。

 ただ、そのスピード感と手続の簡単さというのでしょうか、五千万件以上のものを処理しなくちゃならない。申請が全国で五千万件はあるだろう。そうなりますと、仕組みは簡素化しなくちゃならないし、二重給付も避けなくちゃならぬということで、結局は住民基本台帳と外国人登録原票に基づいて世帯ごとに給付を行うという形にしたものであります。

 それでは、DV被害者の方をどうするかということなんですが、とにかく支援措置という、いわゆる閲覧制限があるから、これは二月一日に基準日を置いた関係から二月十六日ということになってしまうんですね、二月十六日までに新しい住所地で住民登録をしても、例えばだんなさんが暴力を振るっているとすれば、だんなさんにはわかりませんから大丈夫ですよということで、そのことで新規に住民登録をされて、定額給付金の申請をされた方が千百人以上はおられるということなんです。現在、支援措置を使ってわからないように住民登録をしていて、当然これは定額給付金の申請があると思いますが、そういう一万三千十六件の方がそういう行動をとっておられる、こういうことなのでございます。

 ですが、問題は、要するに二月十六日までに住民登録ができなかった、やはり怖くて住民登録できないというような方々をどう救うかということになりますと、これは市町村の事務の関係で、そこまで一々調べてということになりますと、二月一日以降に別居したとか二月一日以降に離婚したというところまで追うということで、逆に世帯内のプライバシーに行政が立ち入るという問題も出てくるものですから、したがいまして、要請というか、あるいは技術的助言というのか、そういうような形で……。ですから、ほかの仕組みで、いわば地方の単独事業として、そういう住民票を移すことができなかったDVの被害者に同様の金額をお渡しいただければありがたいというような態度で今我々は接してきているわけでございます。

 前にここで御答弁申し上げたときに、地域活性化・生活対策臨時交付金六千億を全国に配分する件で、これをぜひとも使ってくださいというふうにお願いをした。しかしながら、それは、六千億の分は、もう既に市町村からの申請期限が切れてしまっておりますから、今回この補正予算でお願いをしている地域活性化・経済危機対策臨時交付金一兆円をぜひ使って、住民登録ができなかった、したがって定額給付金を受け取れなかったドメスティック・バイオレンス被害者の方に同様の金額が行き渡ればありがたい、こういうふうに思っております。

寺田(学)委員 総務省が事前に用意した制度を利用して、二月十六日でしたか、登録していただいたのであればということでしたが、大臣は今御答弁の中でその対策の本質的な欠点をしっかり御指摘されていたんですが、二月以降に離婚されたとか別居されたとか、そういう場合はプライバシーがどうこうと言われましたけれども、今大臣が言われたとおり、やはり怖くて住民登録できないというのがこの問題の本質であると思うんですよ。

 その部分に対して、どのような対策をとられるのかというところを注目しているという部分はあると思います。最近のニュースでも、事務が煩雑だとはいいながら、やはりしっかりと公平な制度でということで頑張っている自治体もあるようで、それが波及しているという記事がありました。

 ただ、これはたまたま読売新聞に、富山でしょうか、富山市の方にも「世帯は同一で別居しているが、受け取れるか」という、DVによってということなんでしょうけれども、相談が約三十件ほど寄せられていると。担当者からは、市町村によってDV被害者に対する対応が異なっているのは問題だ、国できちんと統一してほしいという声も出ている。各都道府県の中でも、対応しているところと対応していないところで分かれているというのが今の実態で、それはやはり不公平じゃないかという声は当然上がってくるんだと思います。

 どうでしょう、これは総務省としてどのような対応をされているのかということをしっかりと調べた上で、本当であれば要請するぐらいのことは私は必要だと思うんです。自治体の方でそれをやるかどうか、アイデアが不足している部分等もあると思いますので、国がもう少し、助言的なことでもいいですから、この問題に対して旗をちゃんと振っていくことが必要だと思うんですが、大臣、もしくは参考人の方でも結構ですけれども、御答弁ください。

鳩山国務大臣 おっしゃることは、これから一兆円の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を、何とか予算を成立させていただいてお配りしたい。六千億の地域活性化・生活対策臨時交付金のときになかなかいいアイデアとして取り上げられた地方の事業を今回は例示して、こんな例がありますよというので、これは内閣府の方かと思いますが、資料につくったわけでございまして、今回は安全、安心の実現ということでドメスティック・バイオレンス被害者への定額給付金相当額支給事業などというものも例示させていただいております。

 ですから、これを各市町村でよく読んでもらえればありがたい、こう思っておりますが、これは気の毒な方をどういうふうに面倒を見るかという問題で、社会的弱者に対して支援をするのが政治の本質、本筋だと思っておりますから、できる限り地方自治体にやっていただけるように、我々ができるのは、要請とか助言はこれからも続けていきたい、今までより以上にやりたいと思っております。

寺田(学)委員 自治体の方に駆け込んで相談している場合において、自治体によっては非常に前向きに相談を受けられるところもあったり、国の方が統一的な基準を出していないのでということで門前払いするところもあるそうなんです。

 大臣からはっきりおっしゃってほしいんですけれども、窓口で、世帯は同一だけれども住所が別になっているということを何かしらの形で証明されるような場合は、分離支給等も自治体の判断でやってもいいというような発想でよろしいんでしょうか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 定額給付金に関しては、簡素であること、そして二重支給を防ぐというようなことで、住民基本台帳あるいは外国人登録原票に応じて世帯ごとというふうに決めてやっておりますので、それに例外をつくりますと、非常に事務も停滞をしたり市町村への負担になりますから、今まさにそういうような相談が寄せられた市町村においては、先ほど申し上げた地域活性化・経済危機対策臨時交付金の方で対応していただけるようにお願いをしていこうというのが私どもの考えです。

寺田(学)委員 事務が煩雑になるかどうか一番よくわかっているのは各自治体でしょうから、ある程度自治体側の判断で、想定はしていたけれども国として当初の計画段階において対応し切れない問題に関しては、柔軟に自治体が判断してやればいいと思います。

 今度新しいお金の中で配っていけばいいじゃないかというのはあると思いますが、DVを受けられている方の中には、そもそも自分自身が受け取るべきものをDVを犯している側がもらうことすら許せない。すらという言い方もよくなかったと思います。それが許せないということもあると思います。

 そういう意味で、自治体側が判断して努力されるのであれば、国としては、そういうのは自由にやっていただきたい、柔軟に対応していただきたいぐらいの御答弁があった上で、各自治体にゆだねるということが最低限必要だと私は思うんですが、そういうようなニュアンスでもないんですか、大臣。

鳩山国務大臣 私は比較的柔軟性のある人間だとは思うんですけれども、やはり定額給付金としては、仕組みを決めて出しているわけでございますので、定額給付金と同額を支給できるように市町村を指導するというところで御理解いただければありがたいと思います。

寺田(学)委員 法律とは違うことなので、きょうはこれぐらいにしたいと思いますけれども、これからもまたしつこく質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 法律の方の審議に入りたいと思います。

 今回、この給与法が出る前の段階、特にこの委員会でも葉梨委員が質疑に立たれて、そして、そのPTをつくられて、議員立法という形で給与法を提出されるような向きもありました。そういう部分において、人事院勧告との関係等についても今回質疑を考える上で非常に疑問にも思いましたので、そういう部分で質疑をしたいと思うんです。

 一般的なことで申しわけないんですけれども、今回、人勧が出て即座に法改正が提案されてという運びになりましたけれども、当たり前のことを聞いて申しわけないんですが、政府は人事院勧告に従わなければならない立場なのかどうか、どのように解釈をされているのか。いかがですか。

鳩山国務大臣 人事院勧告が労働基本権の制約の代償措置であるというふうに解釈をいたしております。

 今後、労働基本権のあり方についてもさまざまな議論があって変化があるかもしれませんが、現在の国家公務員制度で考えますと、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置として機能しているということになりますと、基本的には政府はそれを最大限尊重していくということでございます。

 ですから、今まで人事院勧告どおりでなかったこともまれにあったかと思いますけれども、それはまたそのときの特別の事情があったのかと思いますが、基本的に人事院勧告どおりに給与関係の処理をするのが我々の正しい姿だと考えております。

寺田(学)委員 逆のアプローチでお伺いしたいと思います。

 人事院勧告が出ない中で、政府はいわゆる給与法等の改正案を提出することはできるんでしょうか。

鳩山国務大臣 これは、基本的にはそうすべきでない。つまり、人事院勧告が出ていないのに給与法をいじって上げる下げるということは、政府は提案をすべきではないと私は思います。その理由は、先ほどの理由と同じでございます。

寺田(学)委員 すべきではないという言い方をされましたけれども、できるかできないかでいうと、できることはできるということですか。

村木政府参考人 大臣の答弁を補足させていただきます。

 人事院勧告の位置づけにつきましては、御承知かと思いますが、最高裁の判例がございまして、全農林警職法事件判決という判例がございまして、今大臣が申し上げましたように、人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の一つとして人事院勧告制度を位置づけており、政府としてはこの制度を最大限尊重する取り扱いをしなければならないというぐあいに考えておるところでございます。

 それで、今先生御質問になったように、仮に、使用者たる政府が人事院の勧告を受けずに一方的に勤務条件を変更するような給与法改正法案を国会に提出した場合は、代償措置としての人事院勧告機能が没却され、今申し上げました最高裁の判例、それから現行国家公務員法の趣旨に反し、憲法上の問題が生じるおそれがあるというぐあいに考えてございます。

寺田(学)委員 そういうふうに判例で示された部分があるということなんですが、素朴な疑問で申しわけないんですが、そういうようになるのであれば、公務員法を見てみましたけれども、ある意味、政府が提出する場合には人勧を経ないといけない等の義務的な規定にはなっていなくて、最大限尊重するという話になっております。ここら辺、素朴な疑問で申しわけないんですが、そういう部分が義務的にはなっていない理由というのは何なんですか。

村木政府参考人 お答えいたします。

 それは、今申し上げましたように、最高裁の判例等におきまして長年積み重ねられました法律の解釈ということで定着をしているという趣旨でございます。給与法にまさに義務のようなことが明確に書いておるわけじゃございませんが、最高裁の判例等も経まして、そういう解釈がある意味で確定をしているというぐあいに我々は理解をしております。

寺田(学)委員 判例に基づく解釈ということで定着をしているということだったんですが、今回、議員立法によって、まさしく当初は人事院勧告のない段階でそのような動きが与党の中にあったと思います。

 そういう意味において、総務大臣からごらんになられてで結構ですが、今御答弁されたとおり、人事院勧告というものは、判例も含めて、憲法に定めたいわゆる労働基本権の制約の代償措置であるということが広く定着しているにもかかわらず、今回与党でこのような動きがあった。与党の一員として、そして総務大臣として、このような動きに対してどのようにお感じになられたか、御答弁ください。

鳩山国務大臣 私の記憶が間違っていなければ、人事院は給与に関して勧告をしてくれるわけですけれども、多分これは人事院の義務ではないかなと。ちょっと正確ではないんですが、人事院は義務的に給与については勧告をされるんだと思います。それは国家公務員の労働基本権の代償措置でありますから、これは最大限尊重をしてこれを処理するというのが政府の基本姿勢でございます。

 ところが、国会の場合は、私は政府の一員として議論をすべきでないのかと思いますけれども、国権の最高機関でございますから、そうした政府の行為や人事院の行為があっても、国権の最高機関というのは、その上に国会があるという意味だと私は思います。したがって、国会で議員提案をされて、それが国会の議決として衆議院、参議院を経て法律になれば、それは政府としてはいかんともしがたいというか、それは国会が最高機関として当然の仕事をされたというふうに解釈するしかないと私は思います。

寺田(学)委員 政府側が国会の議論及び立法活動を阻害することができないのは大臣の言われるとおりなんでしょうけれども、まさしく給与をいじる場合において、人事院勧告があることが労働基本権の制約の代償措置であるということが定着しているのであれば、そういう動きに対しては、とめることができる、できないはあるでしょうけれども、遺憾に思うかどうかぐらいの考え方は、まさしく所管される大臣としてお考えはあると思うので、どのようにお考えかということをお伺いしたかったんです。

 そういう意味で、今回非常に珍しい動きだったと思うんですね、この一連の行動というものを総括しなければならないと思うんですけれども、人事院勧告を経ない形で、まさしく議員立法という形で給与がいじられていくことに関して、総務大臣としてどのようなお考えをお持ちになっていたのかというところをお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 繰り返しになりますが、当然、給与法というものは政府が提案をするのが普通でありますし、その担当閣僚はだれかというと、総務大臣の私ということだろうと思いますし、今そのための御審議をお願いいたしております。

 ただ、憲法に言う国権の最高機関が国会であるという意味は、選挙を経て、民意の代表者である国会議員が集まって衆議院と参議院を構成しておりますから、そこで議決される内容というものは、少なくとも政府は全く否定することはできないことでございます。

 したがいまして、議員立法の内容が評価されるべきものでなければ成立をしないわけですから、議員立法がなされて、それが両院を可決して法律になった場合には、それは素直に受けとめるしかないわけで、議員立法の動きが出たからといって、それはやめてくれということを申し上げる立場には私はないと思います。

寺田(学)委員 繰り返しになりますけれども、政府側として、国会の議論というものを妨げることはできないし、決まったことに従わなければならない、それはそのとおりなんでしょうけれども、国会議員にしても憲法遵守義務があるのは憲法に明示されているとおりであって、そういう意味において、いわば裁判判例の中で労働基本権の制約の代償であると言われた人事院勧告なしに議員立法で行われることになりそうだった、そういうような動きが出たということに関しては、独自の考えというか御自身のお考えを述べられるのが、総務大臣として今後この給与をどう扱っていくかという議論の中での一つの礎にはなると思います。そういう意味で議論してほしいんです。

 谷総裁にもぜひお伺いしたいんですが、あえて政府とか議員立法という主語を置きませんけれども、人事院勧告なしに給与が上げられたり下げられたりすることはどのようなふぐあいが生まれるのか、お答えいただけたらと思います。

谷政府特別補佐人 先ほど総務大臣からもお答えがございましたように、労働基本権制約の代償措置として人事院の勧告機能が設けられておりまして、人事院は、国家公務員法によりまして、情勢適応の原則のもとに、適時に勧告をするようにという義務を負わされております。それが我が国の基本的な労働基本権制約のもとでの仕組みであるわけでございます。

 しかし、それ以上のことは私申し上げる立場にはございませんで、人事院として申し上げられますことは、国家公務員法二十八条等において課せられました人事院の責務を守るために、情勢適応の原則のもとで適時適切な勧告を行うために最大限の努力をするということに尽きると考えております。

寺田(学)委員 私は、もう少し単純にお伺いしたいんです。

 人事院勧告がない中で給与法が議論されるということは、もちろん、人事院として今まで役割を果たされているわけですから、ある意味どういう役割が失われるというか、議論の中において足りなくなったりふぐあいが生まれるのかなと。

 これは、ふぐあいが生まれるか生まれないか、生まれないと言ったらそれこそ役割自体が滅失しているようなものですので、人事院勧告がなかった場合にはどのようなふぐあいが生まれるのかということを、人事院総裁として、まさしく国会の方に御助言をいただきたいなと思っております。いかがですか。

谷政府特別補佐人 とても国権の最高機関に御助言を申し上げるという立場ではございませんけれども、ただいま現在の事情につきましては、このような形でもう進行しております。

 そのほかにどのようなケースがあり得るかということにつきましては、個々のケースの問題でございまして、一般的に申し上げることはできませんけれども、しかし、先ほど申し上げましたような趣旨でこの制度が設けられております以上、事情によりますけれども、その機能が十分果たせないというような仕組みになってまいりますと、この制度を設けた趣旨が徐々に損なわれていくことになってしまうと考えております。

 ただ、国家公務員のあり方というものは行政運営の基盤であると考えておりまして、その公務員の処遇はその基盤を維持する上で大変重要な問題だと考えておりますけれども、しかし、その問題が国政上最大の問題であるわけでもないわけでございまして、私は、国会の御判断について、どのようなケースが考えられますかわかりません中で申し上げる立場にはないわけでございます。

寺田(学)委員 難しいですね。

 単純に、今回の議員立法で給与を改正していこうという動きに対して、人事院としてどのようなお考えを持たれているのかということもお伺いしたいんですが、そういうこと自体もお答えになられないと思うんです。

 では、ちょっと問いを変えます。

 どうなんでしょう、給与関係がある意味いろいろな形で議論される場合においては、人事院として、その議論が適正な形になるよう、一つの参考になるようにでき得る限り勧告を出されていくスタンスを今後もおとりになられるのかどうか。総裁、いかがですか。

谷政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、国家公務員法等によって私どもに課せられました責務を果たすために、適時適切に勧告を行っていくという努力を尽くします。そして、その勧告の趣旨、内容につきまして、いろいろな場で御説明を申し上げまして、できる限りの御理解をいただきたいと考えております。

 これまでは基本的に私どもの勧告を御尊重いただいて、そのための立法をしていただいているところでございます。今後とも、さらに一層努力をしてまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 教えていただきたいんですが、今何回も言われていますけれども、国家公務員法に書かれている責務というものを、文言ということではなくて、具体的にどのようなことをする責務だと総裁としてお考えになられているのか、ぜひ教えてください。

谷政府特別補佐人 公務員の勤務条件、処遇をどのようにするかということにつきましては、これを判断する絶対的な基準というものがないわけでございまして、我が国におきましては、まさに情勢適応の原則と申しますか、市場原理で決定されます民間の状況を精確に適切に反映し、それに公務部内独特の事情を加味してその条件を決定していくということが基本になっていると考えております。

 そのような考え方のもとに、多年にわたりまして、人事院は、民間の状況を精確に調査をし、その結果を部内の状況を加味して配分いたしまして、勧告の内容としてきております。そして、その内容について、これまでは基本的に国会でお受けをいただいてきたところだと考えております。

寺田(学)委員 ある種、民間の給与状況等を含めて公務員の給与はかくあるべしという一つのモデルを提案するというのが責務だということだと思います。

 そういうことで、ある意味逆側から質問するんですが、国会の中でいわゆる給与的なことを、今回議員立法という形でしたけれども、議論される場合においては、後追い的になるのかどうかは別として、とにかく、こういう国会の場で議論される、公務員の給与というものが何かしら変化を来す議論をされるという場合においては、必ず人事院としては責務を果たすために勧告を出していくというような仕組みになるんでしょうか。

谷政府特別補佐人 適時適切に勧告をするよう最大限の努力をするわけでございますが、私どもの努力が常に一〇〇%適正なものとなっているかどうかということについてはいろいろ御批判もあり得るわけでございまして、国会がそのような御判断をなさるということは当然あり得ることだと私は考えております。

 しかし、私どもといたしましては、適時適切に人事院として必要な勧告をするための最大限の努力をしていく、そういうことでございます。

寺田(学)委員 適切、適正な判断、対応ということを何回も言われるんですが、それがどういうことなのかということをぜひお伺いしたいんです。

 一言で言うと、今まで、公務員の給料を上げたり下げたりする、待遇をどうするということに関しては、やはり人事院がリーダーシップを持って、リーダーシップという言い方はおかしいですね、一つの勧告という形で指し示して、それに政府が対応して変えて、国会の中で判断をしてイエス、ノーを出していくという仕組みだったんですが、今回、議員立法という形で、公務員の給与のあり方はこうあるべきじゃないかということを、人勧を待たずして議員の中から議論していこうという動きになったという、一つの新しいあり方だったと思うんです。

 このこと自体の是非というものはしっかり今後も議論して、言い方をかえると、わかりやすく言えば、今まで政府がある意味給与を上下させることは、専権事項とまでは言いませんけれども、そういう提案をしてくるのは政府だというのが一つのあり方だったんですが、国会も今後自由にそういうような議論をしていく一つのステージ、試みではあったと思うんですね。

 そういう今までと違うパターンに関して、人事院というものはどのように対応していくのかということをぜひとも教えていただきたいということなんです。先ほど言われたとおり、そのような新しいあり方に関しての適正、適切な判断というのはどのようなものなのかということをお伺いしたかったんです。

 ですので、繰り返しお伺いすることになるかもしれませんが、国会の中で議員立法で議論していくような動きがある中では、それに対応する形で今後も人事院は勧告を出していくのか。今回は非常に景気の振れ幅が大きかったので緊急に出したということでしたけれども、そういう今の経済状況ということは別にして、ある種国会の中で給与的なことが議論される場合には、それに合わせて人事院勧告を出していくという一つのあり方になるのかということをお伺いしたいんですけれども、そういう切り口に関してはどのようにお考えですか。

谷政府特別補佐人 今回の問題につきましては、異例の社会状況というものが起きたわけでございます。従来の人事院の対応方式から見れば、こういった場合に対応するという事例もなかったということもございましてとってまいりませんで、具体的に申しますと、夏の勧告で十二月の特別給で調整するということをしてまいりました。

 そういうあり方に対して、そのあり方では対応し切れないと考えられる状況が生じてきたわけでございまして、そのことに対して国会方面でのお考えがあり、また、私ども自身も同じ事象に対して同じような問題意識を持ちましたので、特別の調査を実施して対応を考えようと考えました。一つの事象についての問題でございますから、双方同じ時期に同じような動きになったということはあるかもしれません。

 今後、どのような状況に対してそのような方法をとるかということについて一概に申し上げることはできませんが、従来の取り扱いそのものにこだわるのではなくて、今回のように異例の状況が起きましたときには、その状況に応じた取り扱いを考えていく。そのことも、先ほど申しました私の適時適切な対応に努めていくべきであるということの中身の一つでございます。

寺田(学)委員 今回なぜ出されたのかという御説明は、今までの質疑で十分承知しているところです。そういう経済状況いかんではなくて、給与法をどのように決めていくのか、給与をどのように決めていくのかという場合において、人事院はどのように対応していくのが適切なのかということをお伺いしたいということです。

 今までは人勧があって、政府が給与法を出して、国会で審議してという順番が、議員立法という形で、ある種人勧を経ない形で議論されていく形になったときに、もちろん理由としては経済的な大きな変化があったから、人勧が時を同じくして出していったということになっていますけれども、今までの順番とは違う形に今後もなり得る可能性はあると思うので、そのときに人事院としてはどのように活動されるのかということをお伺いしたいんです。

 何回も同じことを聞いているので申しわけないんですけれども、もし、今後また議員立法という形で審議をされる場合、給与法、公務員の給与のあり方を国会で議論することになった場合、人事院としては、いわゆる公務員法に書かれた責務を果たすために人勧を出していくというのがある種適切な行動と考えられているのか。どうですか。

谷政府特別補佐人 労働基本権のあり方そのものが御議論の対象になっておりますので、そのことは別といたしまして、現在の仕組みの中で申しますと、私は、従来どおり人事院の責務を果たしていくということが現下の仕組みの中では最も望ましい仕組みであると個人的には考えております。

 しかし、国会は国会としての御判断があるということは当然でございます。その中で今御指摘にありましたような状況が何度か続いてくるということになりますと、それは私どもの努力が不十分でありますのか、あるいは私どものやり方が世の中の実情に沿わないという御判断があるか、どちらかであろうと思います。

 いずれにいたしましても、今回のような事例がそうそうあることを私は決して望みませんけれども、状況の変化に応じて適切に対応していくという努力を私どもは常に怠らずに行っていくべきだと考えております。

寺田(学)委員 今、このような状況は望まないという話をされましたので、どういうふうに給与が決められていくのかということは、人事院として一つのお考えがあられると思います。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、人事院のあり方、人事院勧告のあり方ということは、今後も、まさしく公務員の給与、待遇を議論していく中では非常に重要だと思いますので、それは質疑をさせていただきたいと思います。予定していた指定職の勤勉手当であったり、やみ専従の質問も用意していたんですけれども、質疑できませんで申しわけございませんでした。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 今回のこの五月一日に出されました人事院勧告でございますけれども、これについてはいろいろなところで、今回の勧告というのは、確かに経済情勢も厳しいということはあるけれども、一方で政治的圧力があって行われた勧告ではないかというような声も一部からは聞こえてくるわけでございます。このあたりについて若干お教えをいただきたいと思います。

 まず一点でございますが、人事院にお伺いしたいんですけれども、公式、非公式を問わず、今回のこの人事院勧告の前に政治家から何らかの要請だとか発言だとか、そういうものがあったのかなかったのか。例えば、経済情勢が厳しいんだから人事院はもっと公務員の給料も下げるように厳しくやった方がいいよとか、やらなかったら国民の理解を得られないよとか、そういうような政治家からの要請や話があったのかなかったのか。それを受けた、受けないという話は別にして、そういう発言があったのかなかったのか、事実関係をお伺いしたいと思います。

谷政府特別補佐人 私として申し上げますと、先般の総務委員会でこのことに関する御質問がございました。それ以外に、私は、このことに関して国会方面の方々から何かお話を伺ったり、こうせよということを受けたということはございませんし、そういう報告も受けたことがございません。

逢坂委員 改めて総裁にお伺いしたいんですけれども、幾つかの場面で、やはり今回の勧告は経済の情勢もあるけれども政治家からの圧力があったんじゃないのかなというような声を聞くんですが、総裁もどこかでそういうことはお耳にされているかとも思うんですが、総裁は委員会で一度あったけれどもそれ以外はそういう事実があったとは職員からも聞いていないということでありますけれども、それにもかかわらず、なぜこういう政治的圧力があったんじゃないかというようなことが巷間言われるのか。その原因はどこにあるというふうに総裁御自身としてお考えになられますか。

谷政府特別補佐人 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、今回は民間における夏季一時金の支給状況が従来に見られない動きを示すという一つの事実がございました。その事実をめぐっての判断でございますので、基本的には、いろいろなところで同時進行的に同一の問題意識を生ずるということは、当然あり得ることであろうと思います。

 そして、そのことについてマスコミ等でいろいろな報道がなされました。このことにつきましては、たまたま同時進行的に行われているということでごく自然なことでもあるわけでございますけれども、そういった問題抜きにそのことが取り上げられましたけれども、そのことの背景には、これは私の個人的な考えでございますけれども、基本的に、大変残念なことではありますけれども、霞が関におきましては、官庁あるいは公務員はみずからの組織の存在意義、理由を主張するということに非常にこだわる、そういう受けとめ方がなされているという事実が背景にあるように思います。

 このことは、一部そういう公務員もいると私は考えますけれども、しかし、全体の問題ではないわけでございまして、大変残念なことだと思っております。

逢坂委員 政治的に圧力を受けて今回の勧告をしたなどというふうに言われるのは、総裁としても決して心穏やかならぬことだというふうに思うわけですね。しかも、その事実はないということであればなおさらのことであります。

 片や一方で、私は、これは具体的な名前などは控えさせていただきますけれども、ある政治家の方が、今回の勧告については、やはりしなきゃだめなんだとおれが言ってやったんだみたいなことをある席上でお話しされている政治家の方に先般遭遇いたしました。その方が本当に人事院にしゃべっているかしゃべっていないか別でありますけれども、政治家の中にもそういう思いがあるのだというふうに思うんですね。

 したがいまして、私は、人事院にしてみれば、そういう心ならぬ、要らぬうわさみたいなものが出てくることをしっかり防がなきゃいけないのだろうというふうに思うわけです。そのためには、今回のケース、これは昭和四十九年以来極めてまれなケースなわけですね、五月一日に勧告を出すというのは。こういう特別な勧告を出す際のある種の基準といいましょうか、外形的にだれが見てもこれはやはり特別な勧告が必要なものだねというようなことをあらかじめ平時に例示しておくとか検討しておくということが必要ではないかというふうに思うんですけれども、総裁、いかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 先ほども申し上げましたけれども、こういった異例な事態がしばしば起こるということは、私は決して望まないわけでございます。しかし、確かに起きないとも言えない状況でございます。

 ただ、こういった、従来見られなかったような社会経済状況が生じました際にどのように対応するかということにつきましては、今回の判断は一つの前例となるということは、私もそのとおりであると思うわけでございますけれども、どのような事例が起きるかもわからないわけでございまして、過去たった二回の経験で、例えば対前年比何%であれば機械的に何らかの調査を行う、あるいは何らかの措置を講ずるということを決めることは難しいわけでございまして、やはりその時々の状況を踏まえて対応していくしかない。

 そういうことが不幸にして、不幸にしてという言葉は適当でないかもしれませんけれども、たび重なれば、またそこに一つおのずから基準的な考え方が出てくるということはあるかもしれませんけれども、現在の段階では、これは一つの前例となるということは考えますけれども、何か機械的な基準を定めるということについては考えておりません。

逢坂委員 基準を定めることは考えていないということであります。それはそれでまた一つの見識だというふうには思いますけれども、せっかくの人事院の行いがほかのいろいろな力によってゆがめられるということがあってはなりませんので、ぜひそんなことは絶対にないんだという強い姿勢を貫いてやるべきだというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、総務省にお伺いします。

 今回のこの人事院勧告に絡んで、総務省では、お手元に資料を用意させていただきましたが、四月の六日に「人事院による本年夏季一時金に関する特別調査について」という文書を全国の自治体に発しているわけですね。

 この文書を見ますと、「地方公務員法第五十九条(技術的助言)及び地方自治法第二百四十五条の四(技術的な助言)に基づくもの」だというふうに言っているわけですが、これはどういう性格の文書なんでしょうか。しかも、この助言というのは、果たして助言として妥当なものなのかどうか。もしこれが妥当だというならば、何を根拠にしてこれは妥当だというふうに思っておられるのか。そのあたり、総務省から説明ください。

鳩山国務大臣 私に正確に答弁できるかわかりませんが、この技術的助言、名前は通知でございますが、三回出していますね。四月六日、五月一日、五月八日。

 一回目は、今先生からいただいた資料にあるように、要するに人事院が民間企業等社会情勢が激変したので調査をしますよということをお伝えして、調査をする以上は、今後対応が進んでいく可能性があるから、これはスピードが大事になるかもしれないので、人事委員会とか人事担当課その他情報を共有して、いざというときにきちんと対応できるようにお願いしますよという技術的助言が四月六日なんだと思います。

 五月一日は、これはたしか、人事院勧告が出ましたよ、こんな内容ですよという助言、全部通知は技術的助言として位置づけられると思いますが、一種の情報提供でございまして、準備を怠りなくお願いしますと。

 これは強制力はありませんけれども、五月八日付で、三回目の助言で通知をいたしましたように、できる限り国に準拠して地方公務員の給与もお願いをしたい、つまり、今回でいうとボーナスカットをお願いしたいという、これは強制力はありませんけれども、それが三回目の技術的助言でございます。

 そう考えていきますと、国家公務員の給与の問題、人事院勧告と同じようにできる限りそれに沿ってお願いをしたいということで、スピード感覚も必要なので、このような三回の助言をしたものと思います。

逢坂委員 確かに、強制力のない助言だということではありますけれども、二枚目の資料をごらんいただきたいんです。この四月六日の給与能率推進室長さんの文書とあわせて、同じように今度は別の事務連絡が出ているんですね。それで、この事務連絡によれば、今回の一時金についてどういう対応をするのかということを自治体に問うているわけですね。さらにまた、総務省としてこれを取りまとめて公表する場合があるというふうに言っているんです。

 まず、総務省の事務方にお伺いしたいんですけれども、この事務連絡というのは何に基づいて発信しているのか。そして、公表するということは、先ほどのお話は技術的助言であり強制力を持たないという話なんだけれども、この文書二枚一緒に来たら、どう考えてみても、自治体はこれは強制的に何かやられるんじゃないかというふうに思わざるを得ないのではないかと思うんですけれども、その点を含めてどうですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の人事院が調査をされあるいは勧告が出されるということに関係いたしまして、何回か通知等を出させていただいておりますが、いずれもこれは地方自治法の二百四十五条の四、地方公務員法の五十九条に基づくものでございまして、技術的な助言、それから、今お尋ねがございました調査の件につきましては資料提出の要求、これは地方自治法の二百四十五条の四に書かれているものでございまして、総務省といたしましては、地方公共団体の人事行政が地方公務員制度の原則に沿って運営されるよう必要な対応をとってきたものというふうに考えております。

 なお、今お尋ねにございましたが、取りまとめて公表する場合があるということを書かせていただいておりますが、私どもといたしまして、こういう調査をいたしますと、これにつきましては当然地方公共団体の方に参考のためにフィードバック等させていただいておりますし、それにあわせまして、場合によっては、そういう調査をしたのであればというお尋ね等ある場合につきましては、外にその結果をお知らせすることがあり得るということでございますので、この点を念のために記載させていただいたということでございます。

逢坂委員 でも、これは、四月六日のいわゆる技術的助言、上のレベルの技術的助言というんでしょうか、事務連絡以外のものですね。これは先ほど大臣から説明がありましたけれども、三回あるわけですね、四月六日、五月一日、五月八日と。そのそれぞれに全部この事務連絡、調査というのがついていたわけですね。しかも、同じように総務省として公表する場合があるというふうに言っているんですが、こういうものが来ると、やはり自治体としては、有無を言わさず、これは人事院勧告にとにかく従えよというふうに言われている、ある種の強制力を伴っているというふうに感じざるを得ないのではないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 国に準じて同じような措置をお願いしたいということで今までも行動をしてきておりますが、実際問題として、大体四・五カ月のボーナスを既に支給していない都道府県、市町村も行政改革とか財政事情の関係でいっぱいあるわけでございます。ですが、一般的に言えば、国と同じようにやってくださいということで三回の通知をした。

 それは先ほど御説明したとおりなんですが、四月六日というのは非常に早い。最初の第一回の時点で、人事院が調査をすることになりましたという段階で、勧告が出るのは五月一日だったのかと思いますが、四月十七日を回答期限として対応予定を当室あてに回答願いますというのは、これは法律的には、あの例の資料要求、私が日本郵政にやりました報告徴求とはちょっと違うかもしれませんが、資料要求はできるというふうになっていますね、それを使っているんですが、何かちょっと早いなと。随分早いなと。

 早目に、いろいろ情報も共有してください、御準備願いますということは、四月六日、同じ日に既にやっているわけですから。それが趣旨にしては、総務省の役人さんは鳩山邦夫の人事評価をして、また余計なことを言ったと思っているかもしれませんけれども、これはちょっと早いなという感じがしますよ。

逢坂委員 大臣、一般的に、事務連絡以外の公になる文書では余り自治体を縛っているようには見えないんですけれども、今大臣が御感想をお持ちになられたように、こういう事務連絡か何かで結構微に入り細に入り自治体の行動を結果として縛るようなことになっているものがあるのではないかというふうに思っておりまして、これなんかまさにその例でありまして、勧告の内容すら出ていないのに、まさに指摘のとおり、やっているのは少しミスリードだなというふうに思うわけでございますので、今後こういうところにもぜひ目配りをいただきたい。要らぬ関与を強めることのないようにした方が私はいいのではないかと思うんです。

鳩山国務大臣 いや、多分答弁したいんでしょうね。

 だけれども、これは例えば、貴団体における対応の予定が既にお決まりであればあるいは決まった場合には御連絡くださいというのだったら地方自治ですね。ただ、これは、この書き方がちょっと偉そうなんですよ、「下記のとおり当室あてに回答願います。」「公表する場合がありますので」と。それはあるんでしょうけれども、何も書く必要はない。少し注意した方がいいかなという気はします。

逢坂委員 当然、これは自治体の議会で条例によって自治体は決めていくわけでございますので、自治体の側にしても、条例提案前にもう既にこういう調査があって、何となくそれに従うんだみたいにやっちゃうのは自治体議会の軽視にもつながりかねませんので、十分御留意いただきたいと思います。

 そこで、三枚目の資料をごらんください。

 今度は「期末・勤勉手当等の超過支給状況について」ということで、これは総務省が毎年調査をしておりますけれども、これについてはどうしてこういう調査ができるのだと言ったら、それは特別交付税に関する省令に根拠があるというふうに言っているわけですね。

 ただ、これも私はなかなか厳しいものだなというふうに思っているんですが、たまたま例にいただいたのは昨年の十二月の調査ですが、十二月八日に発して十二月十二日までにすぐ回答せよということでありますけれども、なかなかこれは日程的に厳しいんじゃないかなと。

 そういうようなことも踏まえて、総務省、これはどういう意図でこの調査をされるんですか。

久保政府参考人 特別交付税の額の算定につきまして、期末・勤勉手当の場合はたしか昭和三十九年から行っておりますが、各団体と比較をいたしまして、国の基準を超えて期末・勤勉手当を支給しているという団体につきましては、特別交付税に関する省令に基づきまして減額項目を立てるということにいたしております。

 したがいまして、ただいま逢坂委員から御指摘がございましたように、特別交付税に関する省令で、もともとこれは地方交付税法に根拠がございまして、特別交付税の額の算定についての資料につきましては総務大臣に提出をしなければならない、こうなっておりますので、それに基づいて把握をしたいために調査をしているということでございます。

 御指摘がございました昨年の場合、いかにも短いじゃないかということでございますけれども、確かに短いと思います。たしか、平成十七年から後、つまり、十八年度以降は期末・勤勉手当について減額項目を実質的に立てなきゃいけないという団体がございませんでしたから、恐らくそういった予見に基づいて簡単に調査できると考えたんだろうと思います。

 その期間が適切かどうか、これはまた改めて検討していきたいと思います。確かに短いような気がいたします。

逢坂委員 すなわち、要するに人事院勧告が出た段階では先ほど言ったような技術的な助言をする、そして、事細かに事務連絡でその方針まで確認をする。そして、一方で特別交付税で、超過すれば減額をするというような措置がある。もちろん、特別交付税で減額をするというのは裕福な団体なんでしょう、だから減額しますよという意味合いであることは必ずしも否定はしないのでありますけれども、こういうプロセスを見ると、自治体は給与に関して自主裁量権というのが極めて狭いのではないか、その中で運用されているのではないかということを指摘しておきたい、結果として。

 それぞれの担当は違うというふうに言うかもしれないけれども、その情報が全部集まってくる自治の現場にいれば、これはやはり従わざるを得ないのではないかなという感覚を持たざるを得ないのだということを指摘しておきたいと思います。

 そこで、総務省にお伺いするんですけれども、本年の五月一日の勧告でございますけれども、これの取り扱いについて、自治体で、先ほど大臣からも若干説明がありましたけれども、もう既に給与、給料本体も随分減額をしている、あるいは期末・勤勉手当の支給割合も既に相当下げている、これは行政改革の中でやらざるを得ないというふうにやっているところもあるわけですが、こういう団体に対しては、今回の五月一日の勧告はどのように取り扱うべきだとお考えですか。

松永政府参考人 お答えをさせていただく前に、先ほどの私どもの給能室の四月六日の調査の件でございますが、これは勧告をするかどうかということではございませんで、人事院が異例の調査をされるということでございますので、人事院でこのような調査をされるときに、それぞれの人事委員会におきまして同様の調査なり別途の調査なりを実施されるかどうかということをお聞きしたものでございまして、そういうことで締め切りが四月の十七日ということになっているところでございます。

 そこで、今度はお尋ねにお答えさせていただきたいと思います。

 地方公共団体におきましては、既に期末・勤勉手当の支給月数が国を下回る団体、あるいは独自の給与カットを実施している団体が多いということについては認識をいたしております。

 一方、今回の人事院勧告は、民間企業におきます本年度の夏季一時金が昨年と比べて大きく減少するということがうかがえることを踏まえたものでありまして、既に期末・勤勉手当の支給月数が国を下回る団体などにおかれましても、これらの民間賃金の動向の反映、これをどのように考えるかということにつきまして、十分御検討していただく必要があるものと考えております。

 いずれにいたしましても、各地方団体におきましては、地域の実情を踏まえつつ、十分な説明責任を果たしていただくことが必要になるものだというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 この場合の特別交付税の扱いはどうなりますか。

久保政府参考人 これは先ほど委員から御指摘の中にございましたように、期末・勤勉手当で特別交付税の減額措置を講ずるという趣旨でございます。これは、国の基準を超える手当を支給している場合には、他の地方公共団体と比較して財政的に余裕があるといった観点から行っているものでございます。

 したがいまして、財政的に余裕があるということでございますので、その算定に当たりましては、特例的に給与カットを行っているときには、当然そこも反映をして、そして比較をした上で、当然ボーナスというのは給与の基準額に月数を掛けて出てくるものですから、月数が国の基準よりも多いからといって、基準額の方が低ければ減額項目は立たないといったことにもなってまいります。

 いずれにいたしましても、特例的に給与カットを行っている場合には、それを反映した上で算定をするということにしておりまして、あくまでも公平な算定を期するということでやっていこうと思っております。

逢坂委員 ぜひ先行していろいろな行革に取り組んでいる自治体の努力が無駄にならないようによろしくお願いしたいというふうに思います。

 そこで、次は、少しざっくりとした議論をさせていただきたいんです。

 私は、一九八三年に公務員になりました。公務員になったときに、私の同級生とか大学の同僚から、いや、随分公務員の給料は安いんだねと。当時、私の初任給は十万一千九百円でした。一九八三年、昭和五十八年で、十万一千九百円。だから、年収も、それから類推すれば二百万にいかないわけですね。当時、銀行だとか研究機関、あるいはマスコミなんかに勤めた者から見れば、いや、逢坂、よくそんなところへ勤めたねというふうに言われたんですね。

 景気がいいとき、民間はどんどん給料が上がるけれども、公務員は必ずしもそうでもなかったかもしれない。だけれども、仮に景気がどんどん落ち込んでも、ある一定程度給与というものが公務員の場合は保障されるんだ。だから、公務員が果たすべき公共的役割を社会の中で安定的に実現できるのではないかというような考え方もどこかにあったのかなという気はしているわけですね。

 だから、今回、最近のいろいろな議論を見ますと、民間が大変だから公務員の給料を下げなければいけないというのは、もちろん、私は一方で当然のことだと思いつつも、すべてが民間基準と同じように全部連動していくべきものなのかどうか。社会の中である一定の役割を果たすことを求められているという公務員であるならば、ある一定程度の安定性、変動幅が少ないということもこれまた一つの重要な要素なのかなというふうに思うわけですが、こういったことも含めて、公務員の給与に関する基本的な認識をまず谷総裁の方からお伺いして、その次に総務大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、谷総裁、お願いします。

谷政府特別補佐人 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法が定めております情勢適応の原則に基づきまして、民間企業従業員の給与水準と均衡させるという民間準拠を基本としております。

 情勢適応の原則といいますものは、公務員給与を民間給与に合わせていくというものでございまして、これは民間の給与水準が上がる場合にも下がる場合にも当てはまるべきものだというふうに考えられます。

 ちなみに、国家公務員法の二十八条二項におきましては、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときに、人事院に国会及び内閣に適当な勧告をする義務を課しておられます。

 このように民間準拠を基本としておりますことは、国家公務員の給与は市場原理による決定が困難でありますことから、その具体的な給与水準の決定についての物差しというものはないわけでございますので、その時々の経済雇用情勢を反映して決定されます民間の給与を精密に調査して、これに準拠することが最も合理的であるという考えによるものと考えます。

 民間準拠によりまして公務員給与を決定いたしますことは、公務員に対して国民から支持される納得性のある給与水準を保障いたしますとともに、時代の変化に応じまして適正な給与制度を実現する仕組みとして定着しているものと考えております。

 公務員の給与も、その時々の社会情勢に応じて必要とされます生計費というものを基本とするわけでございまして、この法律にも、俸給表は生計費、民間の給与の状況その他人事院が必要と認めることを基準として決めるというふうになっておりまして、水準は民間に合わせて、配分につきましては公務部内の状況も考えて決定するという方針でこれまで取り組んできているところでございます。

鳩山国務大臣 ただいまの逢坂先生の御質問は、私、総務大臣になりたてのときにもどなたかの質問でお答えをしました。

 今の仕組みのもとでは、人事院は給与等について勧告をする義務があるんだと思います。その義務を果たすに当たっては、情勢適応原則というものを中心にしますから、やはり官民の比較の中から数字をはじき出すんだろう。それが国家公務員の労働基本権制約の代償措置であるから、政府はこれを最大限尊重して給与法を提出する。私は、今のその仕組みが間違っているとは思いませんし、それが正しいと思います。

 しかし、国家公務員の、地方公務員も含めて、公務員の給与というものに対する考え方がほかにないかといえば、私はあると思います。その一つは先生が御披露されたようなものかもしれません。時代とともにそれはまた変わるものかもしれません。

 私の父は大蔵官僚でした。隣の家も国家公務員でした。隣の家の御主人が国家公務員をやめて、民間企業にいわばスカウトされて入りました。突然、車を買ったり、隣の家の生活が豪華になりました。そのことを私は母に言いましたところ、母は、国家公務員というものは重要な仕事をしているから、国に対してとてもお役に立つ仕事をしているから、給料は安くても我慢するのは、それだけやりがいのある仕事をやっているからだというふうに母は私どもを説得しておった記憶があります。

 それは、当時の状況は確かにそうだったと思います。公務員になるということ、国家公務員になるということは、いろいろパワーを身につけて世の中を動かすということの方に生きがいを見出して、そのかわり給料は安くてもいいという部分があったんだろうと思います。そういう時代もあったわけです。

 確かに、景気がよくなれば民間の給料はどんどん上がる。それに対して国家公務員の方は、民間準拠となっていますが、同じようにばんと上がるかと。そういった意味でいえば、民間の給料が上下すれば、その振幅は国家公務員にはある程度安定性があってもいいというような面もありますから、今はこれが一番ベターなものとしてこの仕組みでいいとは思います。

 しかし、国会全体の論議の中では、別の考え方というのも将来出てきておかしくないと思います。

逢坂委員 公務員の給与というのはなかなか難しいものだと思います。地域へ帰ると、公務員の皆さんに対して、おまえたちは税金で食っているんだからみたいな言われ方をよくされて、つらい思いをする場面もあるんですね。だから、そういうことも含めて、さらにこれは不断の検討が常に必要なんだろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、地方公務員の臨時、非常勤職員について若干御質問したいと思うのであります。

 資料の四枚目をごらんいただきたいと思います。これは総務省からもらった資料でございますけれども、現在の地方公務員の非常勤、臨時的職員の法律上のカテゴリー、大きく四つのカテゴリーがあるという説明の資料でございます。

 ところが、私は、非常勤、臨時の地方公務員における立場といいましょうか、地位といいましょうか、あるいは首長から見て、その人たちをどう処遇するかという観点から見ても、なかなか複雑なものがあって、いろいろな問題をはらんでいるなというふうに思うわけです。

 そこで、総務省にお伺いしたいんですけれども、この資料の四のそれぞれの四つのカテゴリー、これに自治体の現場では具体的にどんな職種が張りついているというふうに把握されているのか、ちょっと教えていただけますか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 臨時、非常勤の地方団体におきます職種あるいはその勤務形態、実はこれは極めて多様なものがございますし、あるいは必ずしもすべての団体につきまして同じような対応をされているわけではございませんで、団体によりましていろいろとバリエーションがかなり大きくあるところはございます。

 ただ、一般的に申し上げますと、地方公務員法の三条三項三号、これは「臨時又は非常勤の顧問」等と書いてございますが、ある程度資格的なものを持った方がこの根拠に基づきまして任用されている例が多いというふうに感じております。

 それから、いわゆる地公法の十七条に基づきましての任用ということになりますと、これはそのような方ではなくて一般の事務を補助されるような方が多いのではないかというふうに思っております。

 それから、臨時的任用、これは地方公務員法の二十二条に基づくものでございますが、これは緊急なり臨時の場合ということで法律上書かれておりまして、本来ですと、本当の臨時というような場合についての任用という形で任用されるべきものでございますが、一般の事務職等、事務補助的な仕事をされている方がこの根拠で任用されている例も多いかというふうに思っております。

 一番右側の任期付短時間勤務職員でございますが、これは平成十六年に新しく地方公務員につきまして導入されたものでございますが、これは本来的な業務を行うような非常勤職員ということで制度設計したものでございまして、これにつきましては、例えば実際に窓口のいろいろな手続をされる職員の方ですとか、統計とか、そういう仕事等に従事されている方もいらっしゃるというふうに承知しているところでございます。

逢坂委員 微に入り細に入り御説明いただきましたけれども、結論から言うと、実は、同じような職種であっても、自治体の現場によって法の適用カテゴリーが変わっているというような話を冒頭されていたかと思うんですね。

 まさにそういうことなんです。同じような職をやっていても、ある自治体によっては地公法の二十二条でやってみたり地公法の十七条でやってみたりというようなことで、随分現場では違っているのだというふうに思うわけです。

 そこで、次にちょっとお伺いしたいんですけれども、給与決定における職務経験の考慮という言葉がよく使われるわけですが、国の職員と自治体の職員で、特に国と自治体の臨時、非常勤の職員における職務経験の考慮について何か違いがあるのか。まず最初に人事院から国の臨時、非常勤職員の職務経験の考慮についてお伺いして、次に総務省から自治体の臨時、非常勤職員の職務経験の考慮についてお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の非常勤職員の給与の決定に当たりましては、職務に応じた給与という観点から、当該非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号俸を基礎といたしまして、非常勤職員が行う職務の内容に照らし、その者の有する職務経験等が当該職務に有益であると認められる場合には、その額の増額を行うことができるというふうにしております。

 この調整でございますが、非常勤職員の有する職務経験が長いということだけをもって増額調整するというよりも、基本的に、当該非常勤職員が行う職務の内容に照らして有益性があるかどうかということで判断すべきものと考えております。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 非常勤職員の報酬等の制度や水準を定める際には、常勤の職員の給料と同様に、職務給の原則も踏まえまして、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきものというふうに考えております。

 任期が来た後に同一人が再度非常勤職員として任用される場合、職務経験を積んだといたしましても、職務の内容が同一であるという場合につきましては、今申し上げたような考え方からは報酬額は同一になるものだというふうに考えております。

 ただし、同一人が再度任用される際に、任用された職の職務の内容や責任の度合い等が高度なものとなるような場合につきましては、報酬額が引き上げられるということはあり得るものだろうというふうに考えております。

逢坂委員 すなわち、簡単に要約して言えば、国の臨時、非常勤職員の場合は、当該職務に有益であると認められる場合は、いわゆる前歴換算、職務経験を考慮していくということをやる。だけれども、自治体の臨時、非常勤職員の場合は、今の説明を平たく言えば、いわゆる職務経験の考慮というものは原則的には行わないということなわけですね。そのやる仕事の職務内容や責任の度合い等が変更されれば、それは報酬がそもそも上がることはあるだろうという説明なわけですね。

 でも、さっき私が話をしたとおり、自治体の臨時、非常勤職員の法的なカテゴリーというのはいろいろあるけれども、同じ職であっても、いろいろな法的な意味づけをして臨時、非常勤職員がいるわけですね。そういうことを考えてみれば、私は、場合によっては、自治体の臨時、非常勤職員であったとしても、職務経験というものも考慮をする場面があってもよいのではないかという気がするわけですが、なぜ自治体の臨時、非常勤職員にはその職務経験というものを認めていないんですか。

松永政府参考人 繰り返しになるかもしれませんが、基本的に、非常勤職員の報酬等につきましては、やはりその職務の内容と責任に応じて決定されるべきものと考えておりまして、そういう意味でいきますと、職務内容等が同一である場合等につきましては同一のものとなるというふうに考えております。

 ただ、今申し上げましたように、同一人が再度任用される際に、任用された職の職務の内容が、責任の度合い等が高度なものとなるような場合につきましては、報酬額が引き上げられるということは当然あるものだというふうに考えております。

逢坂委員 最後に、大臣にちょっと御認識だけいただきたいんですけれども、実は、自治体の臨時、非常勤職員の問題というのは、これはなかなか根深いというふうに思います。それぞれ地域の実情によっていろいろな運用がされている。それは柔軟でいいという考え方もある一方で、例えば財政が厳しくなったときに安く人を使うというようなことにも場合によってはなりかねない。あるいは、首長がそこを一つの権力発揮のしどころといいましょうか、そこである種自由な人事をやって何となく不透明感を地域にもたらすというようなこともあるかもしれない。さまざまな問題を抱えているのが、この臨時、非常勤職員問題だというふうに思うわけですね。

 そこで、総務省ではこれまでも研究会をつくっていろいろ御議論されたというふうに聞いておるんですけれども、この点について何らかの、ルール化できるかどうかというのはいろいろ難しいところはあるかもしれませんけれども、より継続して検討していく必要があろうかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 研究会をつくって報告書が出ておりまして、幾つかのことが書いてありますが、特に任期付短時間勤務職員というものを使っていただきたいというようなことが入っているかなというふうに思いますが、この臨時、非常勤職員の扱いというのは、私は本当に難しいと思います。

 というのは、定員の問題もありますし、常時多めの定員を抱えていけば、それは行政改革に反することになる。したがって、少しでも費用を減少させるためには臨時的に雇用するという形がとられるわけでありましょう、あるいはまた専門家にたまに来ていただこうなんというようなことで非常勤になっている場合もあると思うし、さまざまなケースがあるので、結局は、先ほどの先生御質問の職務経験を加味するかどうかというような点も、これはそれぞれの自治体で個別に判断をしていただいて、温かく見るような自治体があっても大いに結構だというふうに思うわけです。

 問題は、これはこれからも不断に検討を進めていかなくちゃならないわけですが、臨時、非常勤職員が悲惨な目に遭うことがないようにしなければいけない。今の雇用問題全体の問題かもしれませんけれども、それに対する十分な配慮が少しでも進むように我々もいろいろな検討を続けなくちゃいけないだろう。

 前にここでお話をした、私の秘書が、チョウの研究の秘書が、九州大学で博士課程をとって博士になったら、オーバードクターで就職できなくて、今東京大学の研究室にまさに臨時的に雇用されておるわけですが、大体月給が、今、年は三十五、六でしょうが、月給は十五万はとてもいきません。大学の生協の食堂では全く食事ができないというので、数日前に栄養補給してやるといって呼んだら、実は今は数カ月は無給なんです、研究はさせてもらえるからうれしいけれども、数カ月無給で、七月か九月になるとまた臨時雇用されますので、それまでは辛抱ですと。こういう非人間的な扱いを認めちゃいけない。

 そういうことが仮に地方自治体等でも行われておったら、これは私は厳しく指導しなくちゃならぬと思います。

逢坂委員 終わります。どうもありがとうございます。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 給与法について質問をいたします。

 今回の給与法に基づいて、国家公務員の一時金は平均して約八万円の引き下げとなります。公務労働者の方の中には、この夏のボーナス、およその額というのは見込まれておりましたから、いろいろな買い物をして、夏のボーナス一括払いとかいうことで支出を予定されていた方は当然おられるわけです。そういう中で、今地デジの問題がありますから、これを機会に、夏のボーナスで地デジのテレビを買おう、こういうことを決めて支払いを予定していた、こんな方も含まれているわけで、本来これだけの額が見込まれるということが実際には急遽減額をされるという点では、今回の措置というのは、公務労働者の方にとってその期待を大きく裏切るものになっていると思うんですけれども、大臣、その点について一言お考えをお聞かせいただけませんか。

鳩山国務大臣 確かに、給与がどんどん上がる、ボーナスも上がる、消費もふえる、経済規模が拡大するということは、環境には悪いかもしれませんけれども、社会の姿としてはよりよいものかもしれない、そう思いますが、現在の世界的な経済や金融の情勢の中で一般の民間企業が給与を下げたり、あるいはボーナスを減額していく中で、国家公務員だけは全く別だというわけにはいかないというのがいわゆる情勢適応原則というものだろうと思います。それに基づいて人事院が判断をされ勧告されたものでございますので、このような形で給与法を提出させていただくことは間違っていない、こういうふうに考えております。

 また、テレビの買いかえ等は、ボーナスがちょっと減ってしまうかもしれませんけれども、定額給付金とエコポイントで買っていただければありがたい、こう思います。

塩川委員 ボーナスが上がるという話が当初ありましたけれども、そんなことはないわけで、下がるというのについても、見込まれていたものが実際には直前で下がるという話です。

 この前、人事院への質疑の際にも、国家公務員の特別給というのは、通常、毎年五月に実施されます職種別民間給与実態調査において、昨年の八月からこの年の七月までの一年間に民間で支払われた特別給の実績を精確に把握して、官民較差を算出した上で、八月に人事院が勧告を行ってきたわけです。

 これまでも、景気の影響で民間の夏季一時金が削減された場合には十二月の特別給で調整してきたわけで、こういうこれまでのルールを一方的に変更して減額を勧告する、これをそのまま法案にするということは私は認められないとまず最初に申し上げるものです。

 その上で、大臣に重ねて伺いますが、今回の給与法で特別給を〇・二カ月分引き下げる根拠とした人事院の特別調査、これが、いわゆる本調査に比べて、サンプル数も五分の一と極めて少ない。また、本調査であれば面接、対面の調査であるわけですけれども、今回の特別調査は、とにかくアンケートを送って、書面で、あるいは電話でちょっと問い合わせするぐらいで済ませてしまっている。しかも、実際に一時金が決定している企業は一割程度ですから、そういう点でも、不正確な調査に基づいて引き下げを行うこと自身が問題なんだと考えるわけですが、大臣はいかがですか。

鳩山国務大臣 先生御承知のように、私は組合会見も時々いたしておりまして、先生と同じお話を組合側からちょうだいいたしたところでございますが、全く異例の経済社会情勢の変化の中で、情勢適応原則に基づいて人事院が緊急の調査を行ったわけでございますので、それは人事院として精いっぱいの調査をされたというふうに考えまして、その結果を受け入れて、官民の比較の上で、官民のボーナスに関する考え方が近づいていくように措置をされているものでありましょうから、受け入れまして、当然、人事院勧告最大限尊重でこのような法律を提案させていただいているところでございます。

塩川委員 情勢適応の原則といっても、では、その情勢を本当に正確に把握されているのか。今回の一時金については、現に支払われてもいないわけですから、そういう点でも、いわば仮置きの話をもって、その実態についても一割程度しか確認をしないで決めているということが極めて重大なわけで、人事院自身も人事院勧告の報告で、「データ確保の精確性等の不確定要素がある。」とみずからずさんな調査であることを認め、それに基づいて今回政府が引き下げを決めたことが重大であるわけです。

 その上で、この調査結果が、国家公務員だけではなくて関連労働者の一時金にもマイナスの影響を与えることになります。人事院も認めていますように、六百万人近い労働者に人勧の影響が出ると言っております。人事院の調査でも、今申し上げましたように、実際に一時金が決まっているのは一割程度で、中小の春闘は終わっていないわけですから、そういう点でも民間企業の労働者に与える影響も大きいと言わざるを得ません。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、今回の人勧による一時金の削減というのが民間の労使交渉において労働者側にマイナスに働く、マイナスの影響を与えるんじゃないか、こういうことは考えなかったんでしょうか。

鳩山国務大臣 要は、経済が好転をしていってまた成長軌道に乗っていけば、今回のような〇・二カ月分の減額というものも補っていけるわけでして、そのために景気あるいは経済の底割れを防ぐために、七十五兆円の経済対策を既に着実に実施中であって、現在審議中の予算においても、国費、いわゆる真水十五兆四千億、それから事業費で五十六兆八千億という経済対策を予算に組んで審議中でございます。そういうような形で、経済が上向きになっていくように、既に与謝野大臣等は、四―六については上向き気配でいけるというふうに自信を深めておられるわけでございます。

 政府としては、そういう万全の政策をとっていく中で経済対策をやっていくわけでございますので、今回、人事院勧告によって〇・二カ月分のボーナスの暫定的な引き下げが行われたわけですが、それを見て各企業がどう判断されるかというのは、私ども正確には把握しがたいですが、それは企業は企業なりのそれぞれの判断でなさるわけで、人事院勧告による〇・二カ月のボーナスの引き下げが直ちに民間給与に逆の影響を及ぼすとは私は考えておりません。

塩川委員 民間の職場では人勧を参考にしているという事例があるわけです。今起こっているのは、上げるときには人勧に従わずに、下げるときには人勧に合わせて、そういう職場なんかもあるわけですよ。そういうことは御存じないんですかということをお尋ねしているんですが、いかがですか。

鳩山国務大臣 ですから、企業というのは大変な数存在しておりますから、それは人事院勧告やこの給与法をじっと見詰めている会社もあるかもしれませんが、そうでない会社が大多数だと考えております。

塩川委員 しかし、今回の人勧に基づいて民間が引き下げをするということになった場合に、結局、その引き下げたものをもとにまた人事院の方が本調査を行って、それがまた公務の引き下げにつながるという負のスパイラルになるんじゃないのか、こういういいかげんな調査をきっかけにして踏み進めることでいいのかということがそもそも問われているわけで、民間の一時金引き下げの口実に使われるという点でも極めて問題です。

 六百万人人勧の影響が出ると言われる、そういう職場で、例えば民間病院などもその中に含まれると人事院でも例示をしていますけれども、こういった民間病院も人勧準拠のところが多い。地域医療の崩壊が問題となっているときに、その地域医療の担い手であるこういう民間病院の従事者の一時金も人勧準拠で引き下げるということでは、地域医療の崩壊にも歯どめをかけることができないんじゃありませんか。

 こういうマイナスの影響が出ることについては、どういうふうにお考えですか。

鳩山国務大臣 医療の問題は、民間病院のことについても公立病院についても、別途、さまざまな形でこれが充実していけるように施策を打っているわけでございますから、この〇・二カ月分のボーナスのカットが民間病院の医療の悪化に直接つながるものとは考えておりません。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

塩川委員 医療の現場の対策についても、その場しのぎの一時的な対策が中心なわけです。今回の一次補正の中身を見ても、一時的ということがそもそも掲げられているわけですから。

 そういう点でも、深刻な地域の経済、あるいは先ほど述べたような地域医療の崩壊についても恒常的な、継続的な措置こそ必要であるわけで、その担い手である労働者の給与についても、これをしっかりと保障していくことなしには、地域の医療の崩壊も食いとめることはできないし、地域経済の安定ももたらすことができない。

 先ほど、経済への悪影響については、上向きつつあるんじゃないのか、この補正予算がプラスに働くのではないのかというお話がありました。今、外需頼みから内需主導に切りかえようという点ではそれぞれの党でも同じ主張ですけれども、要は何をやっているかの問題であるわけです。

 私は、やはり国民の家計を応援するということこそ必要になっているわけで、しかしながら、現状、政府の対応というのは、将来の消費税増税つきの一時的なばらまきを行う一方で、労働者の懐を冷え込ませるような一時金の引き下げを行うという点では、国民の暮らしも経済も立て直すことはできないということを率直に思います。

 大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたい。

鳩山国務大臣 確かに、先生がおっしゃる中で私が同感であるのは、各家庭、世帯の可処分所得が長期的にずっと下がってきている、これは決して国のためにいいことではない。これは配当に回すか給与に回すかという問題もあるのかもしれません。そういうことを考えれば、最近の総務省で行っております家計調査も、前年同月比減というのが多分相当期間続いているわけで、これを上向きにさせるということは景気対策、経済政策の上ではとても重要であって、そのためにあらゆる経済対策を行わなければならないと考えております。

 そういう意味で、家庭の消費が伸びる、内需が拡大する、つまり、そのもととして可処分所得がふえるということはとても大事で、大きな目標にしなければなりませんが、そのことと今回のこの給与法における〇・二カ月の削減は、私は直接はリンクさせないで考えております。

塩川委員 そういう点が政策的にはちぐはぐだ、逆方向のことをやっているじゃないかということが問われているわけです。

 残りの時間で、地方との関係の質問をしたいと思います。

 先ほど逢坂委員の指摘にもありましたように、今回の人勧に関連して、四月の六日、五月の一日、五月の八日と通知が出されております。五月八日付の、人事院勧告を受け給与関係閣僚会議を開催した、このことを踏まえた通知におきましても、総務大臣の談話も添付をして地方に送っているわけですね。総務大臣の談話では、「地方公務員の給与についても、国家公務員の給与を基本とすべきと考えます。各地方公共団体において、地域の実情を踏まえつつ、今回の人事院勧告に係る国の取扱いを基本として対応していただくよう、要請してまいります。」ということで、通知を発出しています。

 この通知において地方に要請している中身というのが、一つは「平成二十一年六月分の期末・勤勉手当等については、各地方公共団体においても、地域の実情を踏まえつつ、国の取扱いを基本として対応されたいこと。」二つとして「期末・勤勉手当等の支給基準日を踏まえれば、速やかに対応する必要があることに留意されたいこと。」というように、もう目の前に期限があるような状況の中で、国と同様の一時金の引き下げをとにかく早くやってくれという中身になっているわけです。

 そこで、総務省に伺いますが、地方においては、地方の実情を踏まえつつとなっていますけれども、独自の調査も行わない形で一時金引き下げの勧告を行った地方人事委員会も少なくないわけです。独自調査なしに引き下げの勧告等を行った人事委員会が幾つぐらいあるのかについてお示しいただけますか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 今回、六十八の人事委員会のうち、二十九の人事委員会が独自調査を実施されておりまして、三十九の人事委員会では独自調査は実施されておりません。

 また、凍結措置を実施するよう勧告等を行った人事委員会は五十五ございまして、十三の人事委員会が凍結措置の勧告等を行うことを見送っているところでございます。

 独自調査の実施の有無が勧告等の実施の有無に直接つながるものではございませんが、独自調査が実施されずに勧告等が行われた人事委員会は三十三団体でございました。

塩川委員 半分の団体が独自調査もなしに勧告等を行っているということであります。

 これは、四月六日付の通知に沿った事務連絡でも催促しているということもありますから、こういう現状もそこにも反映しているでしょうけれども、そもそも、慌てて調査するということを言っても、調査したとしても十数とかいう事業所への不十分な、極めて少ないサンプル調査でしかないというのも実態であります。こういった人事委員会の勧告等を受けて対応する地方公共団体が引き下げを実施することになりかねない。

 大臣に伺いますけれども、地方の引き下げの理由というのは、自分たちの実態、情勢適応原則と言いながら、地方の実情についての調査もなしに引き下げをやりますというのは、国がやっているから地方もやってくれというその号令に結局はこたえざるを得なかった、国のこういう通知というのが引き下げのいわば理由、言いわけになっている、こういう実態が生まれているんじゃありませんか。地方に対して引き下げを強いるようなことを国が行っているという実態が生まれていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

鳩山国務大臣 先ほどから私は〇・二カ月分の引き下げとかカットとかという言い方をしてまいりましたけれども、正確には凍結ということなんでしょうから、それは正確には凍結だというふうに先ほどからの答弁について御理解をいただきたいと思っております。

 五月八日の、これはやはり通知というのでしょうか、「人事院勧告の取扱いについて」の技術的助言、要請でもあるわけでありますが、今先生が読まれたとおりの内容でございまして、地域の事情は踏まえながらも、国の取り扱いを基本として期末・勤勉手当等について対応をしていただきたい、基準日は大体六月一日でしょうから、その前に当然条例改正等が入ってきますので、機敏な、速やかな対応に留意されてくださいという技術的助言を行ったわけでございます。

 人事院勧告というのは官民の比較に基づいて出てくる調査であり勧告でございまして、それは当然全国的な標準にもなり得るものでございますから、ほぼ国と同じようなやり方でやっていただければありがたいという旨の技術的助言をしたものととらえております。

塩川委員 凍結という話がありましたけれども、では、民間はそれに準拠して下げた場合に凍結という措置になるのか、結局下げっ放しになるんじゃないのかという点でもマイナスの影響を与えるんだということを指摘しておくものです。

 最後に一点伺いますけれども、こういう通知というのが実際には地方を縛るようなものになっている。だからこそ、地方分権一括法のときに、こういう通知については減らしましょうということを方向として決めたわけですね。だけれども、結果として通知が減るどころかふえているという実態にある。

 そういう意味でも、技術的助言などと言いながらこういった形で地方を枠づけするような通知のたぐいについては減らしていくべきだ、このことを決意として伺いたいのと、そもそも技術的助言、通知というのは法的拘束力のない、強制力のないものだと思いますが、その点についても改めて確認いただいて、お答えいただけますか。

鳩山国務大臣 通知数は、平成十六年百件、十七年百十一件、十八年百十三件、十九年百三十四件、二十年百三十一件。確かに通知は余り多くない方がいいということでもあるんですが、例えば平成二十年においては、個室ビデオ店の火災関係が九件、救急搬送で五件、それから税率の変動に伴う買い置きガソリンの保安関係四件、これはガソリンの税金が一月だけ変わったときのことを受けているんだろうと思いますが、そういう必要性があって技術的助言が減らないという部分があります。

 これは地方自治の根本にかかわる問題なので、私もよくわからないんですが、予算委員会へここのところずっと出ておりますが、私が言われるのは、例えば妊産婦健診だって、どうして地方自治体によってばらつきがあるんだ、地方財政措置してあるのにやらないということはおかしいじゃないか、あるいはがん検診等も、地方財政措置してあるけれども全然自治体によって違うじゃないかと。そういうときに、ですから、基準財政需要の積み方についてはホームページで明らかにすべしと言われて、確かにそうだというような答弁をしておるわけです。

 だから、地方自治といろいろな財政措置との関係というのは非常に微妙で難しい問題がある。やり過ぎれば地方自治を侵すけれども、全く技術的助言をしないとせっかくのいい政策が全く実現されない。非常に難しい、微妙な部分があるということを御理解ください。

塩川委員 地方財政措置の問題は、交付税を減らしてきているから地方がやりたくてもできないというところが大もとにあるわけで、そういうことこそ是正をすべきだ。地方を枠づけするような、縛るようなことはきっぱりとやめる、こういう点についても、給与等についてもそのことを申し上げて、質問を終わります。

森山(裕)委員長代理 次に、重野安正君。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、法案の内容について何点か確認しておきたいと思います。

 今回の夏季の一時金、一般の職員は、期末手当〇・一五、勤勉手当〇・〇五、合わせて〇・二月としたわけですね。本府省課長らについては、期末手当〇・一、勤勉手当〇・一、合わせて〇・二。同じ〇・二でありますが、なぜ一般の職員と本府省課長などとの間に割合で差があるのか、この点についてまず聞いておきたい。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の六月期の期末手当及び勤勉手当の支給月数の合計は、今先生御指摘のように、一般の職員も本府省課長級の職員のいずれも二・一五月でございますが、本府省課長級の職員につきましては、その勤務実績に応じた給与の支給を一般の職員よりも重視するということから、民間管理職の考課査定分の割合も考慮いたしまして、勤勉手当の比率、割合を一般の職員よりも高目に設定してございます。一般の職員では勤勉手当が〇・七五月であるのに対しまして、本府省課長ではそれが〇・九五月と異なっております。

 今回の凍結の後も両者の配分比率が変わらないように措置をするということにいたしましたので、一般職員については、凍結後の特別給の支給月数一・九五月に、現行の期末手当の構成割合六五・一%を乗じて得た月数一・二五月を期末手当といたしまして、現行の六月期の勤勉手当の構成割合三四・九%を乗じて得た月数〇・七〇月を勤勉手当といたしました。それで、期末手当を〇・一五月、勤勉手当を〇・〇五月、それぞれ凍結したところであります。

 一方、本府省課長級職員につきましては、凍結後の特別給の支給月数一・九五月に、現行の六月期の期末手当の構成割合五五・八%を乗じて得た月数一・一〇月を期末手当、現行の勤勉手当の構成割合四四・二%を乗じて得た月数〇・八五月を勤勉手当といたしまして、期末手当と勤勉手当をそれぞれ〇・一月凍結したものでございます。

重野委員 非常に丁寧な説明を聞きましたけれども、私は、簡単に言いますと、特別職の中の内閣総理大臣あるいは国務大臣などは、一般企業でいえば経営陣に当たると思います。普通、民間企業で賞与のカットといった場合、一般社員より経営陣が率でも当然高くなる、これが大体常識ではないかと思うんですが、これに比較をして、今回の勧告、どういう感想をお持ちですか。

村木政府参考人 特別職給与法に規定いたします内閣総理大臣等の給与につきましては、従来から、事務次官、局長といった一般職の指定職職員との均衡等を考慮して定められておるところでございます。

 特に、そのボーナスの支給月数につきましては、一般職の幹部に相当する指定職職員のボーナスの支給月数と合わせることとしております。今回の給与決定に当たっても、去る五月八日に開催された給与関係閣僚会議において特別職の国家公務員についてもおおむね一般職に準じた取り扱いをするとされたことを受けまして、一般職の指定職職員に準じ、本年六月期のボーナスの支給月数について〇・一五月を暫定的に引き下げる法案を提出させていただいたところでございます。

 それで、一般の職員が〇・二月、指定職が〇・一五月、その結果、特別職も〇・一五月となっておりますが、これは、申し上げますと、一般の職員については分母のボーナスが現行二・一五月あるのに対しまして、指定職あるいは特別職につきましては一・六〇月と少ないということで、その分母の割合に応じた減少率ということで〇・一五月となっております。

重野委員 関連しまして、国家公務員法によりますと、「一般職及び特別職」というのが第二条に定められております。ずらっとあるんですが、今回の勧告が全部この国家公務員と言われるところに適用されるのかと思ったところが、十三の「裁判官及びその他の裁判所職員」、あるいは「国会職員」、これらについては別の法律で国公一般職に準ずるということらしいんですね。

 確認しますが、そういうことなんでしょうか。なぜそういうふうにしているのか、それについて説明願いたい。

村木政府参考人 お答えいたします。

 裁判所等につきましては、今先生がお述べになった法律に基づいて決まりまして、先生がお述べになったように一般職に準じてやるということで、最終的にはたしか最高裁判所の規則で決まるということになっていると思います。それは裁判所の方で御措置されるものというぐあいに理解をいたしております。(重野委員「国会職員は」と呼ぶ)

 国会職員も、たしか職員の給与に関する規程というのがございまして、またそれは国会の方でお決めになるというぐあいに理解しております。

重野委員 なぜ裁判所あるいは国会の方で決めるんですか。項目がたくさんありますよ、この国家公務員法の第二条、ずっと列挙されていますけれども、何でここだけ、この二つだけはそういうふうになるんですか。その他も全部別の法律があって定めるんですか、これは。

鳩山国務大臣 国会職員の給与、あるいは国会議員もそうかもしれませんけれども、あるいは裁判所、これは三権分立の建前からくることだと私は理解しております。

村木政府参考人 大臣がお答えになったとおりで、三権分立ということからそういう制度になっておると理解しております。

重野委員 国会議員の秘書はどうなるんですか。

村木政府参考人 お答えいたします。

 国会議員の秘書の給与法というのがございまして、それによりますと、やはり一般職の職員に準じて改定するという規定になっていると理解しております。

重野委員 次に、私は、今回のこの凍結勧告というのは政治的なパフォーマンスとしか見えません。追随した人事院も問題ですが、公務員バッシングをすれば何らか国民の拍手喝采を受けるみたいな雰囲気があるんじゃないかと思うんです。

 こんなことを繰り返していけば、公務員の意欲も低下してくるんじゃないか。現に、国家公務員の上級職の採用試験の状況を聞いていますと、年々上級職の試験を受けようかという人が減ってきているんですね。私は、これはやはり国にとって大きい損失になるんじゃないかと思います。

 それで、先般、厚生労働省が所得の調査をしているんです。そうしたら、現在、所得が二十年前の水準に落ちているんですね、二十年前。〇七年の世帯当たりの平均所得が五百五十六万二千円。これは、世帯当たりの所得が一九九四年が六百六十四万二千円、それ以来、ずっとこの国の国民所得は低下の一途をたどって、一九八八年、二十年前ですね、その水準に落ちているというんです。私は、これは問題だと思います。

 今、この国は本当に厳しい、景気対策を次から次に、今度も十五兆円というふうな巨額な補正を投入しなければならぬというふうなことがある。やはりその根底には、この国の労働者、圧倒的多数は労働者なんです、その階層の所得がどんどんどんどん下がりっ放しということが消費活動を極力抑圧的に左右している。そこのところを切りかえない限りは、この国の経済を上向けるなんか言ったって、上向きはしませんよ。

 私は、そういう状況に今度の人事院勧告というのは追い打ちをかけるような勧告だというふうに言わなければなりませんが、そういう、時代を反映した中でのこの勧告という問題についてどのように考えておられるか、お聞かせください。

鳩山国務大臣 重野先生おっしゃるとおり、確かに、それぞれの家庭の所得というものが減少を続けている。先ほど申し上げましたように、総務省が毎月調査いたしております家計支出の額も、前年同月比でマイナスという状況がたしか何十カ月か続いているんだろうと思います。そのことは非常に生活を直撃することでございますから、決していいことではないわけであります。

 今後、各世帯当たりの所得が伸びていくように、家計の支出がふえていくような政策にしなければならないということで、七十五兆円の経済対策を既にやり、現在審議中の予算に含まれておりますのが、いわゆる真水で十五兆四千億円、事業規模五十六兆八千億円という経済対策でございますので、こうした史上最大の作戦と言われるような経済対策でこれらが上向くように今懸命に努力をしているところでございます。

 ですから、当然、給与というのは上がればいいし、ボーナスも月数がふえれば本来理想だと思っておりますが、現在の経済状況の中で、民間が大変厳しい企業経営を余儀なくされている中で、民間に準拠して、いわゆる情勢に適応するという原則において人事院が勧告をされたものでありますから、これを素直に受け入れて、法律案として提出させていただいているところでございます。

重野委員 政府は人事院勧告ということを隠れみのにして責任を免れていると私は言わなければなりません。

 鳩山大臣は非常に率直な物言いをされる方ですね。五月八日に記者会見されているんですが、その記者会見で、経済社会情勢を見れば国家公務員だけぬくぬくというわけにはいかない、こういう言い方をされております。新聞の報道ですが。そういう情緒的な発言というのはいかがなものかと私は言わせていただきたい。

 果たして、国家公務員がぬくぬくと過ごしているのか。この十年間の人事院の勧告を振り返ってみますと、前回、先ほども述べましたけれども、総額で平均年収が四十六万円、四十六万円というのは小さくないですよ、減額になっておるんですね。しかも、十年間で、平均給与が上がったというのはたった一回だけです。あとは減るばかり。そういう人勧の歴史に照らして、ぬくぬくという言葉は国民に誤ったメッセージを送ることになる、そういう発言だと私は思うんですね。

 問題は、それに続けて、地方も国に倣ってやっていただきたいとも発言をしております。これはどういう立場でおっしゃったのかということを聞いておきたいんです。

 私は、地方自治体と国との関係というのは明確に峻別されなければならない、地方自治体が自主的な判断をされるというのは当然のことであって、そこのところに、地方自治体を束ねる総務大臣としては、こういう認識と発言というのはいかがなものかと言わざるを得ませんが、それについてはいかがですか。

鳩山国務大臣 昔、国会議員というのは言語明瞭、意味不明の発言をするのが一つの才能だみたいに言われた時代がありますが、私はそういう才能が全くありませんので、割かし、意味不明のことは言ってはならないというふうに思ってしまうものですから、言葉が強過ぎる場合が時々あって、反省をいたしております。

 この国家公務員だけぬくぬくとしてはいられないという発言も、ちょっと表現が強かったかなという反省はゼロではありません。というのは、ただ、逆に言うと、人事院勧告が出て、ボーナスの凍結のことを我々も法案化して出すという段階、もしこれをやらなかったらどうなるか。やらなかったら、中小企業も大企業の一部もこんなに苦労しているのに国家公務員だけはボーナスが全く下がらないのか、こういう批判を受けるだろう。その場合にはぬくぬくという表現になるのかなという思いがあって、こういう表現を使ってしまいました。ただ、表現がちょっと強過ぎたなと思いますが、意味としては、わかりやす過ぎるほどわかっていただける意味内容だと思っております。

 地方について国に倣ってやっていただきたいという発言も、記者会見のどういう文脈であったか正確に記憶はいたしておりませんが、これは、私の気持ちとしては、ボーナスの基準日が六月一日でございますので、速やかに条例改正等やっていただければありがたいという気持ちから出てきたことでございます。先ほどから何度も他の委員の方の御質問にお答えしておりますように、情勢適応の原則、あるいは均衡の原則というものがあるものですから、基本的には、国家公務員の給与やボーナスについて変更を加えた場合は、地方も倣っていただければありがたいという気持ちは持っております。

 ただ、地方は決して楽ではないわけで、昨日、予算委員会で、地方は余裕がある、プライマリーバランスは地方は黒だけれども国は赤だという発言があって、ちょっとぎょっとしたんですけれども、地方は懸命に行革をやったからプライマリーバランスが減少傾向になったということなので、地方においては、先ほどからも議論があったように、みずから給料を減額している、ボーナスの月数も減らしているところが多いわけですから、そういう地方のそれぞれの事情において判断をしていただくことでありますが、原則としては国と同じようにやっていただけたらという気持ちがちょっとわかりやすい表現になって出たかな、こう思っております。

重野委員 最後に、この一時金の暫定引き下げというような手法の行使が、景気回復、焦眉の急と言われていますけれども、この景気回復にプラスに作用すると思っているのか、マイナスに作用すると思っているのか、それについて明確に。

鳩山国務大臣 それはプラスに作用するとは思いませんが、それは別途、先ほどから申し上げているような真水十五兆四千億円、事業規模五十六兆八千億円というような経済対策を予算の中に組み込んで今審議をいたしておりまして、景気回復はそちらの方でやっていこうと。

 私、五月十五日にテレビを買いまして、エコポイントの予約券である領収書と保証書も持っておりますけれども、そういう別の方面で対策は十分にやってまいりますので、このことが、つまり〇・二カ月のボーナスの凍結が日本の経済あるいは景気を悪化させるものとは思いません。

重野委員 終わります。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 国家公務員の特別給は、毎年五月から実施される職種別民間給与実態調査において、前年の八月からその年の七月までの一年間に民間企業で支払われた一時金の実績を精確に把握し、官民較差を算出した上で決めてきました。ことし六月の夏季一時金は、既に昨年の人事院勧告で決まっています。景気の影響で民間の夏季一時金がカットされた年は、十二月の冬季一時金で調整してきたわけです。

 ところが、人事院は、突然、一カ月前に調査し、夏季一時金を事実上削減する勧告を五月に出しました。これは、今までのルールを一方的に踏みにじるもので、道理がなく、容認することはできません。

 調査のずさんさという点でも問題であります。

 対象企業は従来の五分の一で、対面調査は行われていません。しかも、民間企業で一時金の労使交渉が妥結した企業は一割にすぎません。人事院みずからが「データ確保の精確性等の不確定要素がある。」と認めるように、勧告制度が持つ精確性を損なうことは明らかです。

 一時金の削減が社会的に与える影響という点でも重大です。

 本法は、国家公務員の夏季一時金を〇・二月、平均約八万円削減するものですが、その影響は、国家公務員、地方公務員や私立学校、社会福祉施設など約六百万人の労働者のみならず、夏季一時金の労使交渉が妥結していない九割近くの民間企業の労働者の賃金にも否定的な影響を与えるものです。

 今、深刻な景気悪化の中で、外需頼みから内需主導の経済政策に切りかえるために、国民の家計を応援する政治こそ求められています。しかし、政府の対応は、消費税増税つきの選挙目当てのばらまきを行う一方で、労働者の懐を冷え込ませる一時金引き下げを行います。これでは、国民の暮らしも経済も立て直すことはできません。

 なぜこんなに急いだのか。それは、与党の担当者が、「人事院に早急な調査と勧告の前倒しの働きかけを行ってきました。今回の人事院の臨時調査もそれを受けてのことではないでしょうか。」と雑誌で述べているように、与党の動きが政治的圧力になったことは明らかです。労働基本権制約の代償措置としての人事院の中立公平な第三者機関という立場を投げ捨てるものと言わざるを得ません。

 以上、反対討論を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論を行います。

 今回の改正で、民間支給実態の精緻な調査に基づき、八月の勧告を経て公務員の一時金に反映されるという公務員賃金決定ルールが踏みにじられることになります。また、人事院みずから認めるように精確性を欠く調査に基づき一時金の凍結に踏み込むことは、勧告の信頼性を毀損させるものであります。与党からの圧力があったと推測せざるを得ず、政治的圧力によって労働基本権制約下での代償措置としての人勧制度がゆがめられることは断じて容認できません。

 また、今回の一時金凍結による経済的な波及効果についても憂慮せざるを得ません。日本経済の最大の問題は、GDPの六割を占める民間最終消費の停滞です。一昨年までの経済回復期に大企業のみが利益を上げ、家計が疲弊していったことは、あらゆる国家統計が示しているとおりです。経済の立て直しには、輸出頼みのひ弱な構造から脱却し、国民生活の安定と向上に基づく消費の拡大による内需の回復が必要です。そのために必要なことは、雇用の安定と賃金の上昇です。ところが、今回の凍結は、賃金引き上げと真っ向から対立します。

 地方自治体では、国の動きを見て、一時金の凍結に向けた動きが始まっています。また、政府が自治体に一時金凍結に追随するように促しているととれる行為を行っていることも看過できません。

 さらに、全国ではいまだ多くの企業で春闘が闘われています。今回の改正は、これに冷水を浴びせかけることになります。今後賃下げ圧力が一層増すことは、火を見るよりも明らかです。

 むちゃくちゃな借金でばらまきを行い、もう一方で内需を冷え込ませるというちぐはぐな政策が続けば、危機はさらに深まり、経済構造が一層脆弱にならざるを得ないことを申し上げ、反対討論とします。

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、森山裕君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 平成二十一年六月期の国家公務員の特別給に関する今回の措置は、急速な景気の後退の中で、人事院が特別調査により判明した民間賞与の状況を踏まえて行った勧告に基づき暫定的にとられた異例の措置であることにかんがみ、本年の国家公務員の特別給の最終的な取扱いについては、人事院が本年の職種別民間給与実態調査の結果を踏まえて行う勧告に基づき、適切な措置を講ずること。

 二 人事院の特別調査時点において夏季一時金が決定済である企業の割合が極めて低いことにかんがみ、今回の措置が今後決定される民間の夏季一時金を引き下げる圧力として働く本末転倒の結果を招くことのないよう、広く、今回の措置の経緯や趣旨の周知徹底に努めること。

 三 平成二十一年六月期の国家公務員の特別給に関する今回の措置に関連する地方公務員の給与の取扱いについては、既に独自の給与削減措置を講じている団体も相当数に上ることにかんがみ、今回の措置に準ずる措置を一律に要請することはしないこと。

 四 指定職俸給表適用職員の特別給への勤務実績の反映に係る措置の実施に当たっては、公務組織の活性化と効率化、業績評価の公正性と職員間の公平性の確保、職員の志気の向上などに十分配慮し、制度改正の趣旨が達成されるよう、適正な運用に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

赤松委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 特に、第三項目についてでありますが、このような御決議をいただいた以上は、今後、地方自治体に対して技術的助言あるいは通知をいたす場合に、十分に注意してやってまいります。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会


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