衆議院

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第23号 平成21年6月19日(金曜日)

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平成二十一年六月十九日(金曜日)

    午前九時十二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    大高 松男君

      川崎 二郎君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    徳田  毅君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    松野 頼久君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         佐藤  勉君

   総務副大臣        石崎  岳君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  勝則君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  岡本 榮一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役副社長)         寺阪 元之君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          横山 邦男君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          妹尾 良昭君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            清水 弘之君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            寺崎 由起君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     大高 松男君

  谷  公一君     山本ともひろ君

  平口  洋君     西本 勝子君

  福井  照君     徳田  毅君

  小川 淳也君     松野 頼久君

  森本 哲生君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  大高 松男君     今井  宏君

  徳田  毅君     福井  照君

  西本 勝子君     平口  洋君

  山本ともひろ君    谷  公一君

  川内 博史君     森本 哲生君

  松野 頼久君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 郵政事業に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 郵政事業に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、取締役兼代表執行役副社長高木祥吉君、執行役副社長寺阪元之君、専務執行役横山邦男君、専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役藤本栄助君、常務執行役伊東敏朗君、常務執行役妹尾良昭君、執行役清水弘之君及び執行役寺崎由起君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原勝則君、総務省情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、国税庁調査査察部長岡本榮一君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君及び国土交通省大臣官房審議官内田要君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩原誠司君。

萩原委員 皆さん、おはようございます。

 昨日、原口委員の御質問と、それから資料を拝見しながら、いろいろと思うところもありまして、お手元に、私なりに少しバージョンを進化させた資料を配付させていただきました。これは、それぞれの問題に対する政府、つまり総務省からの是正のアクションがどういうふうに今処理をされているんだ、処理の途中であるのかということを中心に書いてみたわけであります。

 一ページ目をごらんになっておわかりのとおり、かんぽの宿の問題につきましては、都合四回のアクションが繰り返されている。報告の徴求であったり、あるいは報告の要請であったり、認可についての条件の付与であったり、そして監督上の命令というのがさらに残っている。次のページを見ても、これは低料第三種郵便の関連でありますけれども、これについても幾つかのアクションが継続して残っていて、それぞれ六月の末を期限として今動きがある、こういうことになっているわけであります。

 これは何を注目すべきかといいますと、同一の案件において何回もやりとりがあるということ。私も実は役所の出身でありますので幾つか是正勧告とかをしたことがありますけれども、大体一発で打ち合わせができて、ぱんと決まっていくのが通例というか常識であるというふうに認識をしているわけであります。

 総務大臣がきょうは閣議でおられませんので、総務省の御担当にお聞きをしておきたいんですが、こういった案件について、どんな理由で複数回のアクションを起こしておられるのか、その点についてぜひ御開陳願います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 かんぽの宿に限って三回ほどございますが、これについて申し上げますと、日本郵政株式会社に対しましては、かんぽの宿の一括譲渡をめぐる問題に対しまして、かんぽの宿等のオリックス不動産株式会社への譲渡に関する報告徴求と、この報告徴求結果を踏まえて、監督上の命令及び報告徴求を行ったほか、日本郵政公社時代の不動産売却に関しまして、その事実関係を報告するよう要請いたしました。また、平成二十一年度事業計画につきまして、宿泊事業の経営改善計画を策定して事業計画の変更認可申請を行うよう条件つき認可を行ったところでございます。

 これらはそれぞれ観点が異なっておりまして、かんぽの宿の一括譲渡をめぐる問題に対しましては、譲渡先選定過程、譲渡価格その他の条件について適切性、妥当性を確認するために報告を求めて、その報告を調査、検証した結果、早急に是正、改善すべき事項が判明しましたことから、命令を行ったものでございます。

 また、公社時代の不動産売却に関しましては、国会審議におきましてその不適切性が指摘されましたため、事実関係を把握するために要請を行いました。

 また、事業計画の条件つき認可につきましては、宿泊事業用の施設につきまして民営化後五年以内に譲渡等をすることが求められていることから、適正な譲渡価格を形成するために経営改善が必要であるということから行ったものでございまして、それぞれ観点が異なっているということでございます。

萩原委員 役所の方からは、観点が異なっているという表現が出ましたけれども、これはどういうことかといいますと、聞けば聞くほど新しい疑問が起きてくる、こういうことになっている可能性があるわけであります。

 つまり、この一連の問題については、さまざまな角度から点検をしていくと、また新たな課題が生じてくる。もちろんどこかで収束するはずなんですけれども、その収束というものがまだできていなくて、それを今度の業務改善命令の中で何とか包括的に片をつけるということで、国民の方々からこの問題を見たときに、既に終わってしまった問題ではない、これからまだ解決が残っている、議論が残っているということが大変重要なポイント、今そういう時点にあるんだということであろうかと思っています。

 この間の前総務大臣そして西川社長をめぐるさまざまな報道を国民の方々がどうごらんになったか。いろいろ差はあるんですけれども、やはり本当に今の郵政の経営というものが国民のためということで行われているのか、それとも何か別の利害のためにそれがゆがめられているのではないかという思い、この間で随分見方が違ってくる。

 いや、適法であればいいんじゃないかという、それはよくありますけれども、コンプライアンスというものが外形標準的に合っていればいいというのか、それとも、真にまじめに国民のためにやっていただいたのかどうかというところに差がある。まじめなふりがコンプライアンスとすれば、本来、日本的な意味での倫理であるとかまじめという観点からやられた経営と、何となく本質的に国民の目から見て違うんじゃないかという感覚を持たれているとしたら、非常に残念なことではなかろうかと私は思います。それが、支持率というのが社長にあるかどうか知りませんけれども、国民からすると余り支持率がまだ高くない、こういうことになっている。

 そして、郵政の経営というのは、こういう言い方をすると変ですけれども、やはり国民の方々からの支持というか共感というものをベースに本来は運営をされることが、末端において働きやすく、あるいは、今まで培ってきた郵政の、国民から見て身近な存在であり親しい存在である、そういう資産、そういう価値、文化というものを継承していく上でも大変大切なこと。国民のために経営されているという実感を国民が持つこと、それをあらわすような経営の表現をしていくこと、これが重要なんだけれども、一連の起こっていることはそれにどうも逆方向に向いている、こんなふうに思っておられるのではないかなというふうに分析をさせていただいたわけです。

 そこで、総務省にもう一回聞いておきたいんですけれども、今申し上げたようにまだ問題処理中になっています、最終的には業務改善命令というものは六月末にお答えが来るはずですが、こういった問題の処理のされ方というものが、例の郵政株式会社法第九条の権限、つまり役員の認可権限ですけれども、これの行使に当たっての考慮要因となると我々は思いますけれども、この点、いかがでございますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務大臣には、日本郵政株式会社法第九条に基づきます取締役の選任の決議に対する認可権限がございます。これは、日本郵政グループが、郵便のユニバーサルサービス義務や郵便局のあまねく全国における設置義務を負っておりまして、これらの義務は国益と深くかかわるというようなことで、認可の規定が設けられているものでございます。

 したがいまして、認可に当たりましては、かんぽの宿の問題で明らかにされたガバナンス不足等の問題にかんがみて判断する必要があるというふうに考えております。

 これらの認可権限の行使に当たりましては、日本郵政からの最終報告を待って、是正、改善措置の内容の精査、検証を行いまして、事実を踏まえて、法律に基づいて判断する必要があるというふうに考えているところでございます。

萩原委員 ということで、実は明確な答えになっています。これから判断をさせていただくということ、そしてそのときに、ガバナンス不足という言葉がありましたけれども、この不足というのは、量的な面と恐らく質的な面、それを両方見るんだというふうに解してよろしゅうございますね。

 はい。ということで結構でございます。そういう観点からしっかりと精査をした上で、よい対応、国民が理解できる御対応をいただきますように、総務省、副大臣には心からお願い申し上げておきます。

 続いて、第三種郵便なんですけれども、これは、昨日厚生労働省の方々とお打ち合わせをしたときに、ほとんどお答えができない種類の話らしいということがわかっているわけです。

 我々が気にしておりますのは、この問題について、新聞紙上等で政治案件であったというようなことがたびたび言われて、そして一部の新聞には野党の先生方の名前が二名ほど出ている、こういう状況であるわけですけれども、これは本当なのかどうかというところについてはやはり非常に大きな関心があるわけであります。

 そこで、我々としては聞いてみたわけですけれども、実は、平成十四年七月十六日の閣僚会議の申し合わせ、これは当時政官の癒着の問題が随分議論されて、そこで、いろいろな政治家からの申し込みとか、あるいはプレッシャーというのですか、そういうものについては、行政上の運用に違背する可能性がある場合において、きちっと上司に報告をしたり、その記録をとっておけ、こういうことになっている。その記録の保持には各省さまざまなレベルがあり、あるいは範囲があるんですけれども、恐らくどこかに記録があったはずじゃないかということを聞きましたら、そういうものがあったとしても、挙げて検察に押収されておりますので何とも言えません、こういうようなお話があったわけであります。

 そういうことで、なかなかこの問題は進むこともできにくい話でありますけれども、私としては、とにかく、この問題についてもある種の不快感を国民が持っている、政治家としてぜひこれは襟を正していただく必要がある。そして殊に、これは野党の方々にお願いでありますけれども、野党の方々の仲間の方々が言われているわけですから、きちっとこの辺は追及をしていただいて、そうじゃないならないということを明らかにしていただきますようにお願いを申し上げておきたい、こんなふうに思う次第であります。(発言する者あり)そういう声もございます。

 続きまして、統治の問題そのものに入っていきたいと思っているんですけれども、昨日、この原口先生の御質問の資料を拝見しておったときに、ちょっとした疑問が起こったわけであります。

 といいますのは、昨日の資料を見ますと、不祥事に対する役員の措置事例という紙がございましたね。この紙を拝見しておりますと、持ち株会社である日本郵政の処分は基本的になくて、いわゆる保険会社であるとか窓口会社であるとか、そういうところの役員の方々が、例えば減給をされたりいろいろな形で処分をされているということがある。もちろん、民営化法並びに各関連法のたてつけからいえば、そのとおりでいいのかななんということも思ったりしたんですけれども、本当にそれでいいのかな、幾つかの前提の中で見方が違ってくるんじゃないかなという疑問があるわけであります。

 実は、私もきのうまで、きのうというかおとといぐらいまで余り知らなかったんですけれども、日本郵政グループの中にグループ管理契約というものがあるらしいということであります。

 そして、そのグループ管理契約というのは、例えば日本郵政と窓口会社が契約をしている、あるいはその他の関連会社も契約をしていると思うんですけれども、グループ内の会社から持ち株会社である日本郵政が経営管理料というものを徴収し、その徴収をした経営管理料を恐らくベースにして、業務の執行全般について報告徴収を行うとともに、持ち株会社の通常の権限が法的に決まっていますけれども、会社法上の権限を越えて、例えば執行役員の選任等についても、あるいは解任についても、事前承認というような形で管理をしていく、こういう形になっているというふうに聞いております。

 これはこのこと自身が決して悪いとかいいとかという話じゃないんですけれども、一方で我々は、私がばかだったかもしれないんですけれども、こういった管理契約というものが存在をしているということを前提にきのうの議論は聞けなかったんですね。つまり、管理契約というものがあれば、いや、待てよ、この管理契約に基づいて、本社である日本郵政の責任があるケースとないケースがあるんじゃないかということを改めて吟味しないと、その処分のあり方というものが断定的には決定できない。

 つまり、会社法だけ見ていると、会社の、いわゆる日本郵政じゃなくて窓口会社の責任というふうに断定的に見られるんだけれども、グループ管理契約というものを通して見ると違ってくる。つまり、ガバナンスのスタンダードがどうも二つある、ダブルとなっていて、その両方を見た上で判断をしていかなければならない。こんなふうに見えてしようがないわけであります。

 そして、その上で新たに申し上げると、先ほどから出ているかんぽの問題とかあるいは簡保の不払い問題とか、こういった問題を今後精査する上でも、このグループ管理契約というものがあるんだという認識のもとに議論が進まなければならないと思います。

 ちなみに、担当部長おられますけれども、御本人がこの問題を御認識されたのが、もちろん管理契約そのものがあるということは恐らく昔からわかっているんですけれども、管理契約の中に例えばかんぽの問題に絡む部分があるとか、あるいは博報堂エルグの問題に絡む部分があるとか、そういう視点から見始めたのがこの五月からであるというふうにおっしゃっておられるとすれば、今後随分、問題の処理の仕方に特別な色合いを持って考えなければいけないだろうと思いますし、そこはこの場をかりて、ぜひともそうあるように郵政当局の方々にはお願いをしたい。フルのガバナンスの体制というものを前提に、それは表に出ているかどうかは別として、しっかりと検討をしていただくように、心を込めてお願いを申し上げておきたいというふうに思う次第であります。

 そして、同じような問題があり得るのは何かというと、例えば日本郵政の広報宣伝活動というものを見ますと、ある特定の会社、例えば博報堂でありますけれども、博報堂に専属契約というのですか、これもある種のバルク契約なのかと思います。バルク契約が悪いとは言いませんけれども、そういう形で載っているんですけれども、これが、低額郵便制度の悪用問題で名前が取りざたされている博報堂エルグの恐らく関連会社であることは間違いないわけでありまして、そこに何かすっきりしないものが残ってきて、一体何でこんなことになったんだと。そして、何でこんなことになったんだというときに、この管理契約を見ると、恐らくそれは御本社、西川社長のところまで上げての判断でそういう選択が起こったのではないかということをどうも考えざるを得ない契約になっているというところに問題がある。

 さらに、最後の紙になりますけれども、これは別に悪いとは思わないんですけれども、労働組合の、JP労組ですけれども、山口委員長さん、この方はいい方だと私は確信をしておりますけれども、山口さんが今度、異例の措置なのかどうか知りませんけれども、「異例 労組委員長を顧問に」、そして恐らく、聞いているところによれば、監査役になるということになっている。

 こういった人事についても、この場合には窓口会社の人事としてやられているのではなくて、法的にも先ほどの管理契約的にも本社の事前承認が要るわけですから、本社と関係を持ちながら決定をされているというふうに見ざるを得ないわけであります。

 そして、このことをどう考えるか。例えばこの人事の問題について言うと、西川社長が現場重視ということで考えておられる、その表現の一環であるというふうに見ることもできる。いろいろ労組の委員長との関係は非常に緊密に持ってこられたということは仄聞をしていますけれども、それでは、広くすべての労組の方々、まあ、それは無理なんだけれども、その代表になるようなイメージでこのことが決定されているのか。

 ぜひ今後の日本郵政のためにも、例えば特定郵便局の方々がこの山口さんを監査役にすることによって我々の現場の声を全部聞いてくれというような形でなったのか。それとも、ある種、現経営陣の個人的な利害の中で、あるいはグループ的な利害の中でやられたのか。

 殊に、我々、ひがみがあるんですか、JP労組は当然民主党を支持しておられると思いますけれども、そして民主党の方々が西川社長は辞任すべきだなんておっしゃる中で、こうしておけばうまくおさまるんじゃないかというようなことは、ないとは思いますけれども、まさか、そんなような利害がこの背景にあったとしたら、これは大変妙なことになろうかと思うんです。

 今申し上げたように、ガバナンスのあり方については、ガバナンスの量の問題と加えて、裏面でつながっている、要するに、持ち株会社が実は実質的にすべての子会社関係のことを管理、支配しているという実質論というものを踏まえた上で、事の正否あるいは事の美しさ、汚さというものが理解をされなきゃいけないというふうに思うわけであります。

 何か時間がなくなってしまっておりまして、お答えをできる部分はぜひともお答えをしていただきますようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、各事業会社との間でグループ経営管理契約を締結して、役員人事などについて、持ち株会社である日本郵政株式会社の事前承認事項としているのは事実でございます。

 これは、通常の業務執行にかかわる事項については民営・分社化のメリットでありますスピーディーな意思決定を実現すべく各事業会社の独立性を尊重することを基本としながらも、グループ経営戦略の根幹にかかわる事項につきましては日本郵政の事前承認事項とすることなどによりまして、民間の他の企業グループにもこういうものがございますのでこれを参考に、めり張りをつけたグループ経営管理を行うこととしたことによるものでございます。(萩原委員「博報堂の問題も」と呼ぶ)

 博報堂問題につきましては、もともと、企画コンペによりまして、博報堂との間で責任代理契約を結んだということが根幹にございます。これはなぜかと申しますと、グループ各社の広報宣伝活動につきまして一つの統一性あるいは連関性を確保していきたいということから、そういうことにいたしておるわけでございます。

 さらに、JP労組の山口委員長、もう退任されましたが、この方につきましては、郵便局の業務を本当に知悉しておられまして、また現場をよく知っておられる、小まめに現場を歩いておられるということでございますので、この方に郵便局会社の監査役に御就任いただくということで、郵便局あるいは郵便局長との関係、郵便局会社との関係あるいは日本郵政との関係が一層緊密になっていく、こういう期待を持ってお願いをした次第でございます。

 以上です。

萩原委員 時間ですから、終わります。

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。

 大臣、新しく総務大臣に就任されたわけでありますけれども、きのうも御答弁の中で郵政問題についてみずからの御見解もおっしゃっておられたわけでありますが、まず初めに郵政民営化ということに関して御自身の基本的な認識をお伺いいたしたいと思います。

佐藤国務大臣 郵政の民営化でございますけれども、経営の自主性等を高め、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上等を目的とするものというふうに考えております。

谷口(隆)委員 ですから、民営化を進めていきたいのかどうなのかということです。

佐藤国務大臣 もちろん、民営化を進めるというのが基本的な考えだと思いますし、その民営化を進めるに当たってさまざまな問題が出ていること等々を踏まえて、悪いことは改善をしていくというスタンスのもとで民営化をしっかりしたものにしていくという基本的な考えでございます。

谷口(隆)委員 今大臣がおっしゃったように、やはり前回の選挙でも郵政民営化を旗印にして戦って与党は大勝利したわけであります。国民の皆様は、国の機関が、例えば今のJRにしてもNTTにしてもJTにしても、民営化したことによるサービスの向上というのは非常に身近に感じておられるわけであります。

 今既に、ホールディングス、日本郵政の下に四つのメーンの会社があって、従来の郵政公社の皆さんがこの中に入って業務をやっていらっしゃるわけでございます。一生懸命やっていらっしゃるわけであります。やはり国民の皆さんにしっかりと、民営化によってどのようなサービスが変わってきたのか。国民に非常に当たりのいいといいますか、国民のためのサービスが行われておるのかということを国民は見ておるところなんだろうと思いますが、そのようなことで、今大臣がおっしゃったことを前提にして質問させていただきたいと思います。

 今、いろいろな問題が起こっております。それで、監督上の命令について五つ起こっておる。昨日の審議の場においても、佐藤大臣は、ガバナンスに問題があったということで、ガバナンスをしっかりとさせていかなければならないというようなことをおっしゃったわけであります。

 これは当然であります。ガバナンスというのは、企業体質が良好な状況でなければ、それを監視するという意味がありますから。また、日本郵政グループ全体がこれから上場しようということで、今その上場準備にかかっておられるわけでありますが、私が公認会計士の時代に、上場しようと思えば、まず初めに、その会社の内部牽制組織だとか内部監査組織だとか、そういう、牽制し合いながらガバナンスを高めていくという組織でなければ、そもそも上場できないわけですね。

 そのようなことで、日本郵政グループも今頑張られておるところだと思いますが、しかし、おっしゃるように、監督上の命令があります。

 例えば、かんぽの宿の関連。これは日本郵政です。低料第三種郵便物関連、低廉な料金を設定しておる身障者の郵便料金を不正に利用したというような問題。これは郵便事業株式会社ですね。三点目は、コンテナ残留関連。このコンテナ残留関連というのは、ねんきん特別便十二万通をしばらく滞留しておった、また沖縄においてもこのような問題があったということで、これは郵便事業会社であります。もう一つは、郵便認証司関連ということで、内容証明及び特別送達の郵便物について郵便認証司による適正な認証事務が行われなかったというようなことでやっております。これは郵便事業会社及び郵便局会社であります。

 私は何を言いたいかといいますと、今の組織、日本郵政というホールディングスがあって、その下に四社あるわけですね。後から聞きますが、そのトップに今、西川社長がおられて、やっていらっしゃる。それぞれの会社にはそれぞれの経営をやっていらっしゃる方がいらっしゃるわけです、ホールディングスですから。今回、私が見ておったら、その責任を全部、西川さんが悪い、西川さんが悪いと言っている。

 これは、ガバナンスというようなことをおっしゃっておられますが、このガバナンスについて、一体どこが悪いということを明瞭に、日本郵政グループのここのガバナンスが悪いんだということを言わなきゃ、なかなか国民一般に理解できるものではありません。

 そんなことで、このような、いわば腐敗をしておる組織体は、しっかりとガバナンスを構築しなければ経営の透明化ということはあり得ないわけでありますから、それは重要でありますけれども、一つは、どういうガバナンスを言っていらっしゃるのか。今回の場合は、確かにトップにおられるのは西川さんですけれども、それぞれの会社で起こった問題で、すべてが稟議で、ずっと回ってきて承認するというわけにはいきませんね。そういう観点で、大臣、どうお考えなのか。

佐藤国務大臣 ガバナンスの問題でございますけれども、まず、かんぽの宿の問題に関して言えば、譲渡先選定方式についての説明が二転三転し、国民、利用者に対する説明責任を果たしていないということがございました。口頭での確認事項や報告事項が散見をされ、取締役による執行役に対する監督、そしてトップレベルでの検討が行われていたのかの検証ができていない状況になっております等々、細かく言えばまだございますが、その事実が確認をされております。

 総務省において、これらの事実を踏まえて、かんぽの宿の問題を含めたグループ全体のガバナンスの問題として指摘をさせていただいているということでございます。

谷口(隆)委員 今おっしゃっているかんぽの宿の問題におきましても、これは日本郵政のことでございます。ただ、組織でありますから、それぞれの所管があるわけです。その所管でいろいろ議論をされて、社内上の規定どおりやられたものなんですね。それを、全部をあなたが知らなきゃいかぬというわけにはいかぬと私は思うんです。要するに、日本郵政バッシングみたいなものがあって、しっかりよく見ていかなきゃいかぬと思いますよ。

 例えば、日本郵政というのは、その前は郵政公社だったわけですね。この郵政公社のときにどんな状況であったのかといいますと、これは委員の皆様方にも懲戒処分の状況をお渡ししておりますが、平成十五年から十六年、十七年、十八年、十九年と、免職、停職、減給、戒告が出ております。それで、この横に在職者数を入れておりますが、平成十五年は二十七万人余りで二千二百を超えるような懲戒処分をやっておるわけです。その後も、十六年、十七年、十八年とかなりの数の懲戒処分をやっております。一般職の国家公務員の懲戒処分数のうち郵政公社職員の懲戒処分数の割合を見ますと、この右端のところに出ておりますが、大体八〇%程度、国家公務員の中の八〇%程度が今まで郵政公社職員の懲戒処分数だったわけであります。

 どういう状況だったのか。僕は、一生懸命やっていらっしゃる方がほとんどなんだろうと思いますが、人数も多いんですね。今現在、二十三万人ぐらい正規社員の方でもおられます。非正規も入れますと四十万人を超えるような巨大な組織なんです。それで、これを見ますと、人数が多いということもありますけれども、在職者に対する懲戒処分者数を見ますと、一%近いわけです。これはやはりかなりの問題が過去にもあったんだ。過去にもあったということは、いわばこの企業の体質というところがあるんだろうと思います。

 私が国会議員になってもう十六年になりますけれども、それまでの間に、民営化をしておらないような状況の中でも、以前あった問題は、例えば、マル優を超えておるような預金を、郵便職員がわかりながらも勧誘したとか、切手だとか収入印紙の扱いが極めて乱雑だったとかいう、国家公務員であるというか、親方日の丸であるということにおいての気の緩みというものがあったことは間違いないんだろうと思うんですね。そのようなことをしっかりと、民営化することによってガバナンスを強めていただかなきゃならないと思うんです。

 しかし、この体質というのはすぐに変わるものじゃないんです。一生懸命取り組んでも、きょうやったからあしたできるというようなものじゃないんですよ。そのあたりの状況をよくわからないと、すべてが、問題があれば西川さん、西川さんといって、これは西川さんにも問題はないことはないと思うんですが、そういうような状況というのは、私はちょっと行き過ぎていると言わざるを得ない。このようなことをしっかりとガバナンスの観点においてもやっていただかなきゃいかぬ。今、その途上にあるんだろうと思います。そのことを一生懸命やると言っているわけでしょう。

 私は、さっき言ったように、きのうはガバナンスに問題ありとおっしゃったんですが、ガバナンスに問題ありといっても、郵便事業会社であるとか、また郵便局会社であるとかいうような問題が起こっているものも含めて、全部ホールディングスの社長が悪いというのは、これもおかしいんじゃないですか。御答弁をお願いしたいと思います。

佐藤国務大臣 御指摘のように、郵政省時代及び日本郵政公社時代において数多くの不祥事案が報告されておりまして、主として、勤務態度不良などの服務規律違反、郵便貯金業務の不適切な処理、横領等となっているところでございます。

 他方、民営化後は、先生が今おっしゃられたようなこと等々、郵政時代の不祥事案の類型に加えて、民間の経営手法の導入とともにかんぽの宿のような新たな類型の事案も生じたことから、従来の類型も含めて、全体として日本郵政株式会社によるグループのコンプライアンスのあり方が問題と考えております。

 コンプライアンスが確立できるかどうかは、先生がおっしゃるように民営化そのものの成否につながることだと思いますし、今後とも、グループ各社の事業の信頼を回復し、国民、利用者に迷惑をかけることのないように監督をしてまいりたい。

 そして、西川社長に対してというお話がございましたが、私は、西川社長にそのようなこと等々を申し上げたことはございません。したがって、西川社長が、こういうことの判断において、いろいろな状況においてこれからどんな改善案、そしてどんな責任をとられるかというのは、私は会社側にある問題であるというふうに認識をしております。そのお答えを待っていろいろな判断を下したいというのが私の考え方でございますので、御理解を賜りたいと思います。

谷口(隆)委員 確かに、おっしゃるように会社側の問題ではあるんですが、さっき言っているように、民営化後の会社と民営化前の公社、もっと言うと、郵政省の時代から問題がなかったのかといえば、かなりの問題があったということをまずは認識しなきゃいけない。その後、それをしっかりと改革していかなきゃいかぬわけですよ。ガバナンスの面においてもコンプライアンスの面においても改革をしていかなければなりません。それをしっかりとやっていただくようなことを役所として支えていくというのが、私は本来のやり方なんだろうと思います。

 出てきた問題を、悪いから、悪いからということじゃなくて、いかに改革ができていくのか。さっきも申し上げましたように、JRだとかNTTなんて、もうどんどん存在感が出てきて、しっかりやっておられるわけでしょう。私たちはそういうようなことを期待しておるわけであります。そういうしっかりとした企業になるようにやっていくというような観点でぜひお願いしたいと思います。

 とにかく慌ただしく大臣がかわられたわけでありますけれども、前の大臣はそういう意味で、私はちょっと客観性を失われておるのではないかというようなことも感じておったわけであります。ここはしっかりと、役所としても、総務省としてもやっていただきたいと思います。

 それで、西川社長には、社長の本来の使命というのは、先ほども私が申し上げました、業務改革またガバナンスの構築という観点があるんだろうと思います。挙げればたくさんの不祥事も起こっておるのは間違いありませんので、このような観点で今やっていらっしゃるんだろうと思いますが、業務改革といいますか、ガバナンスの構築という観点で、これからの決意をお述べいただければと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 私、日本郵政株式会社の社長に就任して以来、やはりそれまではガバナンス、コンプライアンスというところに非常に問題があったということを強く認識いたしておりまして、これをしっかりさせないと、それまでは政府がバックの事業でございましたから、政府の信用でお客様の信頼が得られていたということでありますが、民営化されますと、これはそういうものではなくて、ガバナンス、コンプライアンスをしっかりさせるということによってお客様の信頼を得ていかなければならない。そういう意味から、これは大変重要なことであるということで、この点について、監査の充実も含めまして随分力を入れて取り組んでまいりました。

 まだまだ不十分な点もございまして、これにはさらに力を入れていかなきゃならないというふうに考えておりますが、全体として見ますと、大分改善をしてきたなという認識は持っております。

 しかしながら、非常に残念なことは、まだやはり部内者犯罪、潜伏しているものもあると思いますが、そういったものも発生してくるという状況でございますので、一層それらの防止あるいは意識改革ということに取り組んでいかなければならないと考えておるところでございます。

谷口(隆)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、二十三万人を超える職員の皆さん、また、非正規を加えますと四十万人を超える皆さんがいらっしゃるわけであります。その職員の一人一人にやはりモラールのアップを御教育いただいて、それで日本郵政グループ全体が国民の皆様方から大変な評価を受けられるように、ぜひ頑張っていただきたいと思う次第でございます。

 これで終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。委員長、理事の先生方にお許しをいただきまして、発言をさせていただく機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。

 きょうは、西川社長にもお運びをいただきましてありがとうございます。佐藤大臣には頑張っていただきたいというふうに思います。

 まず、けさの新聞に、大臣が御就任になられ、西川社長が総務省にお運びになられたときに、西川社長の御自身の人事も含めてお二人の間で具体的な名前を挙げてやりとりがあったとする報道がございますが、その事実確認をさせていただきたいというふうに思います。

佐藤国務大臣 大変恐縮でございますけれども、まず結論から申し上げますと、ございません。

 私は、この立場になって西川社長と初めて会ったわけでございますので、そんな不見識なことを最初から申し上げる立場にはございませんでしたし、いろんなこともまだわかっていない中で西川社長にそういうことを申し上げるという私の判断は全くございませんでしたし、そのこと等々も含めて全くそういう事実はないということを申し上げておきたいと思います。

川内委員 そのときは、部屋に大臣と西川社長以外にどなたかいたんですか。

佐藤国務大臣 二人で話させていただきました。

 西川社長との間というのは、私は総務委員会が長いものですから、大変長いおつき合いをさせていただいておりましたので、昔話とかそういうことも含めて、大変険悪になっていた関係ということもございまして、私とはありませんけれども、いろんな誤解を解くようなこともさせていただいたということはありますけれども、今先生がおっしゃられたようなことは一切ございません。

川内委員 西川社長にも確認させていただきますけれども、二人だけで会った、西川社長の方からそのような話もされていない、あるいはしたのか、もし、したのであればした、していないのであればしていないというふうに教えていただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいま佐藤総務大臣がお答えになったとおりでございまして、人事等についてのお話はございませんでした。しかし、一層コミュニケーションをよくしていかなければならない、総務省の皆さん、大臣を含めてコミュニケーションをよくしていかなければならないというお話は出てまいりました。

 以上です。

川内委員 二人だけの話で、どちらもしていないとおっしゃる話が新聞の記事になる、不思議なこともあるものだなというふうに思います。

 それでは、続けて日本郵政の西川社長にお伺いをさせていただきます。

 一昨日、六月十七日のJP労組の定期大会で、西川社長は御出席になられ、かんぽの宿等の売却に関しては、不正や違法行為はなかった、第三者報告でも明らかである、私もそのように断言するとごあいさつをされたというふうに報道をされておりますが、ごあいさつの趣旨はこのようなことでよろしいでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃった事柄については、そのとおりお話をさせていただいたわけでございますが、それはお話の中のごく一部のことでございまして、そこに焦点を合わせたわけでは決してございません。

川内委員 もちろん、そのことだけをお話しになられたんですかということを確認しているわけではなく、ごあいさつの中でそのような御発言を発言の一部としてされていますねということを確認したわけでございますが、そのように発言をしたということでございます。

 確かに、この第三者委員会の報告書には、郵政公社時代から現在に至るまで、不動産売却について法令違反あるいは不正、違法行為があったとする記述はない。私も読ませていただきましたが、ないということは私も確認しております。

 郵政公社の方にも西川社長にもこの第三者委員会の報告書には不正や違法行為があったとする記述はないということを確認していただきたいと思います。

西川参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生のおっしゃったとおりでございますが、公社時代に処分した資産の中に認可申請漏れが一件あったということが判明したという事実はございます。

川内委員 それは、私が五月十日に日本郵政に資料請求をした郵政公社時代の不動産売却について、取得価額が二億円以上の土地、建物については重要財産の処分ということで総務大臣の認可を受けなければならないと郵政公社法で定められております。これに違反した場合は公社の役員は罰則を受けると。罰則規定のついている条文でございます。

 この総務大臣の認可について、五月十日に私が資料請求をさせていただきましたが、五月十九日になって回答が参りました。平成十八年三月六日にバルク売却をした、取得価額三億四千七百万円の旧大泉学園三号社宅の土地が郵政公社法に違反し、総務大臣への認可申請を行っていなかったという報告が私のところになされました。これは明らかに郵政公社法違反であるというふうに考えますが、西川社長に、まずこの事実について確認をしていただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 それは事実でございます。

川内委員 不動産の処分についても法令違反、法律違反があったということが、西川社長の御確認によって今確定をしたわけでございます。

 「平成二十一年五月十九日 日本郵政株式会社 重要な財産の処分の認可申請の有無の状況について」という書類を私はいただいたわけでございますが、この五月十九日付の私がいただいた「日本郵政株式会社」とクレジットされている文書は、最終的な決裁権者はどなたでしょうか。

西川参考人 先生への報告に際しましては、ファシリティマネジメント部を担当する執行役が御説明を申し上げたかと思いますが、この執行役が最終決裁権者でございます。

川内委員 第三者委員会の報告書は、平成二十一年五月二十九日付でございます。私が法令違反があったとする文書をいただいたのは、五月十九日付でございます。したがって、この郵政公社法違反の事実をなぜ第三者委員会に報告しなかったのか。

 それは、この第三者委員会の報告の二ページに、「日本郵政公社法の規定により、重要財産(土地及び建物でその取得価格が二億円以上のもの)を処分する際には総務大臣の認可が必要であった。」とする記述がございます。本来、この記述に続けて報告がきちんとなされていれば、郵政公社法に違反する事例が一件あったとする第三者委員会の報告になったのではないか、きちんとした記述がなされたのではないかというふうに思いますが、なぜ第三者委員会に報告をしなかったのか、また、報告をしたが第三者委員会が無視をしたのか、事実関係を教えていただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 本件は、日本郵政公社時代の郵政公社法の適用に関する問題でございまして、第三者検討委員会に委嘱をいたしました目的に直接かかわるものではございませんので、総務省に御報告し御判断をいただくことにしたものでございます。

川内委員 西川社長、今の御説明はちょっと説明になっていないわけで、この第三者委員会の報告に、重要財産の処分については郵政公社法の規定で総務大臣の認可が必要なんですよということが書いてあるので、そうであれば、やはりきちんとその結果について記述をされるべきであったろうというふうに考えます。

 そもそも、この第三者委員会は、先生方のお手元に資料をお配りしてございますが、日本郵政が報酬を出していらっしゃいますが、報酬を幾ら出したのかということについて教えてください。

西川参考人 お答えいたします。

 平成二十一年二月二十日から五月二十九日までの間、委員会及び現地視察等一回当たり、委員長五万円、委員三万円で、合計百三十万円の謝礼金をお支払いいたしました。

 以上です。

川内委員 報酬をもらって文書を書くわけですから、それは日本郵政に対して厳しい指摘はなかなかできないのかなというふうに思います。

 佐藤大臣、この郵政公社法違反、しかも、これは罰則規定のある法律違反ですから、かなり重いものであるというふうに私は思います。私への説明では、単なるミスです、いや、ちょっと記載が漏れたんですよというふうに御説明されていたんですが、そもそも総務大臣への認可申請という、しかもこれは総裁の名前で行われるものですから、非常に重いものであるというふうに思います。なぜかなら、国民的財産だからです。

 至急、日本郵政に対して、なぜ認可申請が漏れたのか、なぜその後も判明しなかったのかということについてしっかりとした報告を求めるべきであるというふうに思いますが、佐藤大臣、この件について、朝初めて知ったでしょう、朝初めて知ったということと、今後どうされるのかということを御答弁ください。

佐藤国務大臣 今初めて先生からお伺いをして対応しているわけでございますから、果たして明確な答えができるかどうかわかりませんけれども、財産の処分の認可は、当時の郵政公社の業務の公益性を担保するための規定というふうに思います。その認可申請の漏れは、私としてみれば、甚だ遺憾なことでございますし、よく精査をさせていただいて、報告なり結果なりを判断してまいりたいというふうに思います。

川内委員 法令違反はなかったと断言できるというふうにおっしゃっていらっしゃったわけですが、郵政公社法違反の事例が一件あるということでございます。

 次に、指名委員会について伺います。

 この間、人事について、指名委員会が決めたんだというふうなことを盛んに麻生総理大臣もおっしゃっていらっしゃいました。民間会社なんだからということも繰り返し党首討論などでもおっしゃっていらっしゃいました。

 そもそも、日本郵政株式会社は民間会社なのかという根本的な疑問があるわけでございますが、行政用語として民間会社という言葉はないわけでございまして、日本郵政株式会社は特殊会社である。大臣が監督権限を持ち、人事についても認可権限を持ち、そして株式は一〇〇%国、政府が保有をしている。行政的には特殊会社であるということでよろしいですね。

佐藤国務大臣 そのとおりだと思います。

 説明はよろしゅうございますか。

川内委員 結構です。

 もちろん、株式会社ではありますから、会社法上のさまざまな規定にも準拠し、委員会を設置し、委員会設置会社でございますということを日本郵政が御主張されることは構わないわけでございますけれども、他方で、公益性の観点から、先ほどまさしく大臣がおっしゃったように、郵政民営化法の目的である国民経済の発展に資するようにしっかりと監督し、人事権の行使をしていかなければならないというふうに思います。

 まず、資料一を見ていただきたいと思いますが、指名委員会を開いた、指名委員会を開いたとおっしゃるわけでございますが、この指名委員会というのは日本郵政株式会社発足以来四回開かれておりまして、四回の指名委員会の平均開催時間は七分でございました。一回七分。今回の平成二十一年の五月十八日の指名委員会は二十分であった。

 西川社長、二十分であったということでよろしいですね。

西川参考人 約二十分でございます。

川内委員 そもそも、この日本郵政の取締役がどのようにして決まったのかというと、平成十八年一月十七日の竹中総務大臣の閣議後記者会見の会見録では、「一つこの場をお借りしてご報告をさせていただきます。日本郵政株式会社、一月二十日に創立総会がございますが、その取締役、社外取締役を内定させていただきましたので、私の方から発表させていただきます。取締役に関しては、既に西川善文氏、高木祥吉氏、團宏明氏の発表をさせていただいておりますが、加えて社外取締役の候補として五人の内定をさせていただきました。」牛尾治朗さん、奥谷禮子さん、奥田碩さん、西岡喬さん、丹羽宇一郎さん、この「五名が社外取締役でございます。」と。

 そして、記者さんに社外取締役の五人はどのように選んだんですかと質問されて、竹中大臣は、西川さんの御意向も踏まえながら総理と御相談して、今般内定に至ったところでございますというふうに答えていらっしゃいます。

 つまり、西川さん、小泉さんと当時の竹中総務大臣が決めたということでございますが、そのとき以来、社外取締役はかわっていないということで、西川さん、よろしいでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 社外取締役には、ただいま先生がおっしゃられました五名以外に、監査委員会の委員を務めていただく取締役が三名いらっしゃいました。その中のお一人、関さんとおっしゃる方がほかのお仕事の関係で辞任をされまして、一名かわっておるということでございます。

川内委員 社外取締役の方々なんですけれども、今指名委員会のことをお話ししているので、西川社長、よろしくお願いします。

 指名委員会のメンバーで社外取締役の牛尾さん、奥田さん、丹羽さん、そして報酬委員会のメンバーである奥谷さん、西岡さんの報酬は、日本郵政に月一回ぐらい出ていらっしゃるわけですけれども、出社一回につき大体幾らぐらいになるんですか。

西川参考人 お答えいたします。

 日本郵政株式会社では、平成二十年度におきまして、執行役との兼務者を除く八名の取締役に対しまして、総額四千八百万円の報酬等を支払っております。一回幾らということではございません。報酬は、したがって、毎月支給する形式でございまして、そのように御理解をいただきたいと思います。

川内委員 毎月支給されるということですから、月一回日本郵政に、時間は何分から二時間ぐらいまで、それぞればらつきがあるんですけれども、月一回の報酬の平均額というのは大体お幾らになるんでしょうかねという趣旨でございます。

西川参考人 申しわけございませんが、月一回という割り算をいたしておりませんので、今すぐにお答えすることはできません。

川内委員 お答えいただけないんですけれども、大体一回五十万ですね。

 大体、何分か、せいぜい二時間の会議ですから、それだけもらっていれば、指名委員会を開いても、正直な話、西川さん、やめてくださいとはなかなか言えぬですわな。私はそう思いますよ。私が指名委員会の委員だったら、毎月一時間日本郵政に出ていって五十万もらえるんだったら、西川さん、ずっと続投してくださいよ、私もちゃんと選んでねみたいな、それをお手盛りと言うんですね、私はそう思います。

 そこで、ちょっと視点を変えて、五月十八日の指名委員会についてなんですけれども、お手元の資料四に、昭和五十二年十二月二十三日の「特殊法人の役員の選考について」というタイトルの閣議決定文書がございます。きょうは内閣官房からも来ていただいておりますので、この閣議決定文書は現在も生きている、今回の日本郵政株式会社の役員選考もこの文書の対象になるということを確認していただきたいと思います。

原政府参考人 議員御指摘の昭和五十二年の閣議決定でございますが、現在も生きております。

 日本郵政株式会社について申しますと、これについては内閣官房長官に事前に協議をするということになります。

川内委員 だから、この閣議決定文書が適用されるということでよろしいですね。

原政府参考人 さようでございます。

川内委員 この閣議決定文書の最後の部分、「なお、常勤役員については候補者選考の段階において事前に内閣官房長官に協議するものとし、」とございます。候補者選考の段階というのは、日本郵政の場合には、本件の場合には、五月十八日の指名委員会による取締役候補選任の前の段階を指すということでよろしいでしょうか。

原政府参考人 指名委員会は、会社として株主総会に提案する候補者を決める場という役割を担っているというふうに聞いております。閣議決定においては、最終的には役員人事は株主総会で決まるということでございますので、最終的に役員人事が決まる株主総会までに協議は行われるものと理解しております。

川内委員 この閣議決定文書には、「候補者選考の段階において事前に内閣官房長官に協議する」と書いてあるわけですが、もう取締役候補は決まっているんですよね。株主総会に提起される取締役候補者は決まっているわけですね。その取締役候補者の選考の段階で、取締役候補の選考について事前に協議しなさいと書いてあるんですよ。

 これは明らかに、指名委員会の前に官房長官に協議があり、そして、指名委員会を開いてもらって、そこで決めて株主総会に上げる。株主というのは大体政府なんですから、株主の意向を最大限そんたくして取締役候補も決定されていくというのが当然の流れじゃないですか。

 政府の意思決定が事前にある。それは竹中さんが、最初に日本郵政の創立の取締役を決めるときも、自分たちが決めました、意向を踏まえて決めましたと言っているじゃないですか、記者会見で。さっき説明したじゃないですか。これは明らかに閣議決定に違反すると私は思います。

 鳩山総務大臣は、官房長官に総務大臣としてはこう思うよという協議を指名委員会の前にしているんでしょうか。

佐藤国務大臣 決して私は逃げるつもりはございませんけれども、これまで前大臣が日本郵政株式会社の西川社長の続投は認めがたいとのお考えであったため、西川社長を含む二名の常務取締役について官邸との協議は行っていないというふうに私は承知をしております。

 したがって、今後、私としては、よく事情をお伺いした上で方針を固めまして、必要に応じ、適切なタイミングで官邸との事前協議の手続をとれるように心がけたいというふうに思っております。

川内委員 それでは、内閣官房はどうなんですか。官房長官に協議があったという認識があるのかないのか。

原政府参考人 正式な協議は行われていないと承知しております。

川内委員 正式な協議は行われていないということは、正式でない協議、非公式の協議、あるいは内々の打診というものはあったということですか。相談はあったということですか。

原政府参考人 大変恐縮ですが、事務方としては、そうした具体的なことは承知しておりません。

川内委員 内々の相談ぐらいはあったでしょう。だって、この閣議決定は「特殊法人の役員の選考について」ですよ。役員の承認についてとか承諾についてじゃないんですよ。選考というのは、政府が選ぶということですよ。

 では、この閣議決定文書の「選考」という言葉の意味は、ただ単に承認することを含むということですか。選考というのは、選ぶと書いてあるじゃないですか。政府が選ぶんでしょう。

原政府参考人 昭和五十二年のこの閣議決定の趣旨としましては、基本的には、それぞれ所管の大臣が特殊会社の役員の人事につきまして権限を有している、例えば認可でございますとか、そういう権限を有しているということ自体に着目して、それを基本にして所管大臣から内閣官房長官に協議をしていただく、この閣議決定はこういう趣旨でございますので、私どもとしては、この件について言えば、総務大臣の方から協議があって、初めてそれを受けて判断をする、こういうことだろうと思います。

川内委員 だから、認可権限を持っているわけですから、認可権限を持っているということは、認可される方は、事前にこういうふうにしたいと思うとかいうことは内々に相談をする。そして、認可権を持っている方は、相手に対して今回はどうなるのかというようなことをきちんと聞いた上で判断していく。いきなり出たとこ勝負をするという意味ではないでしょう、法律に書いてあることは。

 ということは、指名委員会の前に鳩山大臣は官房長官に対して、あるいは首相官邸に対してでもいいですよ、官房長官ではなくて首相官邸に対して何らかの相談をしているはずですよ、相談をしているということぐらい認めないとおかしいですよ。そうじゃないと、明らかにこの閣議決定に違反することになりますよ、選考の事前の段階で協議するとなっているわけですから。

赤松委員長 川内君、時間が来ておりますので。

川内委員 だから、相談しているということぐらいは認めないとおかしいですよ。これは閣議決定に書いてあるんですから。

原政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、大臣同士でそういう相談があったかどうかということについては、あったかもしれませんし、なかったかもしれません。少なくとも事務方としては把握しておりませんので、大変申しわけありませんが、御理解いただきたいと思います。

川内委員 この閣議決定どおりに素直に、「常勤役員については候補者選考の段階において事前に内閣官房長官に協議するものとし、総裁等の選任については前記協議を経た後閣議口頭了解を得るものとする。」と書いてあります、これらの手続をちゃんととって法律的な認可というところに行ってくださいねということが前提でこの閣議決定がなされているわけですから、当然、指名委員会の前には鳩山総務大臣と官房長官との間で相談なり協議なりというものは行われていなければおかしいんですよ。その協議が相調わなかったので、今回の事態に立ち至っているわけですから。そこは、総務大臣、ちゃんと認めてくださいよ。

佐藤国務大臣 私もその事実関係については今知り得るよしがございませんので、調べさせていただきたいと思います。

 そこで、今後、先生がおっしゃる趣旨はよく理解をさせていただいた上で、私としては、そういう手続のもとに進めたいというふうに思っております。

 今先生がおっしゃられている点については、事実を調べさせていただきたいというふうに思っております。

川内委員 事実をお調べいただいた上で御報告をいただきたいというふうに思います。

 もうちょっといいですか。(発言する者あり)

赤松委員長 では、民主党内の時間ということで、どうぞ。

川内委員 先ほど西川社長は、ガバナンス、コンプライアンスが大事なんだというふうにおっしゃっていらっしゃいました。行政というのはそもそも法律にのっとって仕事を行うものですから、コンプライアンスは建前としては完璧なんですね、コンプライアンスは。では、民間会社あるいは民間に近い会社は、法律さえ守っていれば、コンプライアンスさえあれば何でもしていいのかというと、私はそうではないというふうに思います。

 今回、西川社長の人事について問われているのは、金さえもうかればあとは何をやってもいいのかということが問われているわけですね。

 例えば、郵政公社時代に売却されたかんぽの宿については固定資産税評価額が二百億ぐらいなんですね。それを郵政公社は百億で、固定資産税の大体二分の一で売っている。ところが、今回の七十施設は、固定資産税評価額は八百五十億ですよ。それを百億で、八分の一で売却しようとしたわけですね。これは、民間会社になって明らかに国民的財産を毀損する割合が高くなっているわけですよ。

 総務省自体は、今回の七十九施設について評価額を算出していらっしゃいますが、大体幾らだというふうに算出していらっしゃいますか。

佐藤国務大臣 本年三月一日の時点で、かんぽの宿等の一括譲渡の対象とされた全七十施設と九社宅のうち、黒字の十一の施設及びラフレさいたま、そして九社宅の鑑定額ということで調べさせていただきましたが、百四十八億円になります。

 この百四十八億円をもとに推計をさせていただいて、全七十施設と九社宅の鑑定額は二百五十億ということになっております。

川内委員 収益性を勘案していますからね、総務省も。それでも二百五十億です。ところが、日本郵政はそれを百億で売却しようとした。百五十億の差額があるわけですね。

 これは、もし売却が成立していたとしたら、国民的財産に大変な損害を与えることにつながるというふうに私は思いますし、本件については、きょう原口先生の時間をいただいてこんなに長くやってしまって申しわけないんですが、まだまだ議論すべきことは山ほどある。それこそ、西川社長がお残りになられて、ガバナンス、コンプライアンスを徹底させるのだというふうにおっしゃるのであれば、我々の議論にたえ得る答弁なり説明というものがしっかりできてこそ、ガバナンス、コンプライアンスを徹底させるのだというきょうの社長の言葉は、ああ、そのとおりだねということになるわけであって、まだまだ私は聞きたいことは山ほどありますので、委員長、国会もまだ七月二十八日まであるようですから、ぜひぜひ引き続きこの問題について委員会を開いていただけるように最後にお願いをして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 本日は、委員長初め各党の皆さん、この総務委員会においてこうしてお時間をいただきますことを心から御礼申し上げます。また、西川社長、本日は参考人として御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 時間が三十分ということなので、早速質疑に入りたいと思うんですが、まず西川社長に伺います。

 西川社長は、十七年の十一月十一日、日本郵政の社長に内定をされました。翌年の一月、準備会社が設立をされて社長に就任をされた、十九年四月一日、西川社長が郵政公社の総裁として就任をされる、同年の十月一日に民営化という、この時系列は間違いないと思うんですね。

 一点伺いたいのは、西川社長及び横山専務は民営化前の土地の売却にかかわっておられるかどうかということを伺いたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 私、民営化前のものについては、公社で最後のバルクセールを行いました。これは、既に私が総裁に就任する前に決定をされておったものが実行されたものであるというふうに聞いております。

 以上です。

松野(頼)委員 要は、かかわっておられないということでありますね。

 その三回のバルクセールということも含めて、それ以外の公社時代の土地の売却に関してかかわっておられたかどうか、御確認をいただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 申しわけございませんが、ただいまどういう物件が売却の対象になったのかということを私はしかと記憶をいたしておりませんので、改めて調べまして御報告を申し上げたいと思います。

松野(頼)委員 事務方で結構です。きのう僕がレクのときには、公社時代、民営化前は全くかかわっていないという説明をしていましたけれども、それは間違いないでしょうか。

寺崎参考人 お答え申し上げます。

 売却を決定いたしますのは、施設を不用ということで決定することでございまして、これは平成十八年度に決定したものを十九年度に売却したものでございますので、西川社長はその不用の決定というものにつきましては基本的にはかかわっていないと記憶しております。

松野(頼)委員 基本的にはとは、どっちなんですか。はっきり答えてください。横山専務及び西川社長はかかわっていたのかいないのかですよ。簡単なことじゃないですか。

寺崎参考人 お答え申し上げます。

 かかわっていないと記憶しております。

松野(頼)委員 いや、記憶じゃなくて、きのうもレクで言っていますよ、ちゃんと答えてくださいよ。かかわっていたのか、いないのか。

寺崎参考人 大半の物件につきましては、平成十八年度に不用決定をしてございます。なお詳細の件につきまして、私、ただいま絶対ないと申し上げるには定かでない部分がございますので、ないと記憶しております。

松野(頼)委員 委員長、これは非常に大きなポイントなので、一回確認をしていただけないでしょうか。

 きのうの夜、さんざん言っているんですよ。きのうは、民営化前の物件に関しては全くかかわっておりませんと答えているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。

赤松委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こして。

 寺崎執行役。

寺崎参考人 お答え申し上げます。

 まことに申しわけございません。昨日の先生のお話の関係につきまして、私、詳細にわたり承知していない部分がございますので、正確なところは改めて御報告させていただきたいと思います。

 申しわけありません。

松野(頼)委員 これじゃ議論が進まないんですけれども。

赤松委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こしてください。

 それでは、日本郵政株式会社寺崎執行役。

寺崎参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは不用の決定の話でございまして、売却の実務につきましては、決裁権者は当時の施設部門の長でございます。施設部門の長という役職の者が売却の決裁を行い、その施設部門の長の名義で売却の契約を行ってございます。

松野(頼)委員 いや、違うんですよ。それはわかっています。それは公社の施設部門の長でしょう。そこに持ち株会社の準備会社である日本郵政が指示したり、かかわっているのかということですよ。

 わかりますか、言っている意味が。それに関与しているんですかということです。責任の所在は一体どこにあるんですかということなんですよ、この土地売却の。

寺崎参考人 お答え申し上げます。

 あくまで決裁を行っておりました施設部門の長の責任で売却を行っておりました。

松野(頼)委員 だって、二億円以上の物件を売却する場合には総務大臣の認可を受けているわけですよね。それを施設部門の長の名前で、大臣に認可を受けているわけですか。そんなわけないじゃないですか。だれが責任者なのか、そして、持ち株会社がその売却に関与しているとかということをきちんと説明してくださいよ。

 第三者委員会でも、これはだれに対して言っているのかわからないけれども、「売却先の選定について」というところで、「不正な意思に基づく一者入札とならないよう、」「精査する余地はあったと考える。」と指摘されているんですよ。これはだれに対して指摘したんですか、第三者委員会は。ちゃんと答えてください。

寺崎参考人 お答えいたします。

 第三者委員会の御指摘につきましては、バルク売却等の、まあ、グループ売却等でいろいろな事例がございましたけれども、複数の競争者がいる中で実質的に一社であるということがないようにもろもろの情報を精査すべし、そういった指示だと思います。

松野(頼)委員 違う。私が聞いているのは、これはだれに対して指摘をしているんですかということですよ。これが指摘している相手はだれなんですか。それを聞いているんです。そこだけでいいからちゃんと答えてくださいよ。

妹尾参考人 第三者委員会の事務局からお答えをいたします。

 第三者委員会で先生御指摘の公社時代のバルクに関しましてこのような御意見をちょうだいしておりますが、これは、当然、その当時の公社のバルク実施に関し意見を述べられたものでございます。

松野(頼)委員 そんな答えがあるわけないじゃないですか。「不正な意思に基づく一者入札とならないよう、」「精査する余地はあった」と指摘をしているわけだから、だれか相手方がいるわけでしょう。生田総裁なんですか、西川総裁なんですか、西川社長なんですか、だれに対してこれを指摘しているんですか。ここははっきりしてくださいよ。

妹尾参考人 お答え申し上げます。

 第三者委員会のこの御指摘は、当時、バルク実施をいたしました日本郵政公社に対しての指摘だというふうに理解しております。

松野(頼)委員 では、当時の生田総裁に対して指摘しているわけですか。主語がないこんな指摘なんかおかしいじゃないですか。だれに対してこれを言っているわけですか。もう一回ちゃんと答えてください。

妹尾参考人 お答えいたします。

 第三者検討委員会の検証を踏まえまして、諮問、提言という形でございますので、最終的には現在の日本郵政株式会社に対して提言という形で御意見をちょうだいしております。

松野(頼)委員 第三者委員会、第三者委員会とさんざん言われていますけれども、これは提言なんですか。

 質疑にならないので、原口さん、とめてください。こんなふざけた答弁はないでしょう。これは諮問なんですか。

赤松委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こしてください。

 それでは、日本郵政妹尾常務執行役から少し丁寧に説明をお願いします。

妹尾参考人 お答え申し上げます。

 第三者検討委員会そのものは、先生御承知のとおり、日本郵政株式会社が今回のいろいろな経緯、問題、御指摘を踏まえて今後グループの不動産売却等を考えるに当たっての基本方針あるいは留意すべき点を提言していただきたいということで諮問をした機関でございます。

 それで、郵政公社時代のバルクについても委員会が一応の検証をしという中で今御指摘の事案が入っているわけでございますが、このバルクについては、共同入札が行われた際に、いま少し丁寧に代表企業以外の者について資本あるいは人的関係を精査する、そういうことが望ましかったという事実指摘及び意見表明、それを踏まえて提言が、今後はもう少しその辺を……(松野(頼)委員「だめですよ、答えになっていない。だれに対して提言したのか、だれに対してこれを言っているのかということですよ」と呼ぶ)

赤松委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こしてください。

 今の松野頼久君の質問に対して、日本郵政の方の答弁がかみ合わない、まともな形で答えが出てこないということから、松野君の質疑は後日に延ばすということで、引き続き原口一博君の質問に入りたいと思います。

松野(頼)委員 事実関係なので、ぜひきちんとそこを押さえて次のときには御準備をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 委員長にお許しいただいて資料をお配りさせていただきたいと思います。

 まず、先ほどの萩原議員がお話しになった管理契約、つまり、さっきの答弁の混乱も、実際、事業会社が責任を持ってやっているんだけれども、持ち株がさまざまな権限を持って、持ち株がさまざまな決裁をやっているのではないか。

 ですから、西川社長におかれましては、先ほど自民党の萩原議員がお話しになりました管理契約なるものをぜひ開示していただきたいんですが、よろしいでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 管理契約は開示をさせていただきます。

原口委員 西川社長、ありがとうございます。

 この契約が明らかになると、西川社長、私たちは随分不思議なことに出会ったんですよ。局会社の処分なのに、局会社に聞いてもわからない。あるいは、かんぽ会社のことなのに、かんぽ会社に聞いてもわからない、持ち株に聞いてくれと。つまり、持ち株がどういう権限を持ち、何をやっていたかということで、この一年八カ月で五回の業務改善命令。佐藤大臣、五回の業務改善命令の中で持ち株が何も処分されていないというのは、ここに大きな原因があるんだというふうに思います。

 そこで、きのうお話をしたように、六月の二十九日が株主総会ですね。議案書がもう送付されているんじゃないかと思いますが、事実関係について、株主に対して議案書を送付したのかどうか、あるいは人事案件もどこまで固まっているのか、それを総務大臣としてどう認識されているか、伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生からおっしゃられた事実については、まだ私ども承知をしておりません。議案書についてはまだ私どもいただいておりませんし、財務省の所管になろうかと思いますけれども、その点につきましても精査をし、検証した上で御報告を申し上げたいというふうに思います。

原口委員 そこなんですよ、大臣。さっき川内議員が指摘をしたように、事前協議というか、この時点で人事案件についての協議が調っていなきゃいけないんです。調っていなきゃいけないのを、今総務大臣がお話しになったようにまだ御存じない。本来であれば、日本郵政指名委員会がやってくる前に、どういう人を次の社長にするかということで政府の中での協議が調い、そして、きょうそれを株主に対して、今回は株主は国民ですけれども、送付するという形にならなきゃいけない。それが逆転しているから混乱しているんですよ。

 その辺の認識について、私が言っていることが是であるか非であるか、大臣にお伺いしたい。

佐藤国務大臣 基本的に、一週間前ということになれば、きょうじゅうに出てくるものと承知をしておりますが、客観的に見ればいろいろな状況があるというふうに見ざるを得ないということもございまして、その辺のお話は当然会社側からあるものと思っております。

原口委員 大臣がおっしゃるとおり、会社側からもう話がなきゃいけないんですよ。

 西川社長、ガバナンス、コンプライアンス、まさにおっしゃるとおりです。だけれども、ガバナンス、コンプライアンスというのは、単なる法令遵守じゃありません。法令遵守を超えた、先ほどお話しになったような国民共有の財産としての認識があったかどうか。私は、この第三者委員会の報告書、さっき答弁が混乱しましたけれども、稟議書もないし、国民共有の財産の認識もないという指摘をしておきながら、なぜ違法でないという判断が出てしまうのか、このことがよくわからない。

 そして、委員長、私も松野代議士と関連する質問があって、その部分が質問できないので、そこは留保させていただきたいと思います。

 お手元の資料の一ページ目をごらんください。これが日本郵政株式会社指名委員会議事録です。きのう、高木副社長が私にこの委員会で開示をしていただくということで、いただいた議事録がこれです。これをごらんになってください。

 私は、議事録が開示されるというからには、具体的な議論があったんだろうというふうに思いました。これまで四回しか開かれていない指名委員会ですから、指名委員会の席で、私たちがここでかんかんがくがく議論をしている、先ほど谷口さんが指摘をされた点はとても大事なんです、どこにガバナンスの中心があるのか、すべてを西川社長にするというわけにはいかない、だけれども、管理契約で持ち株がさまざまな権限を持っているとしたら、その持ち株の責任はこれでよかったのかということを議論しなきゃいけないはずです。

 ところが、ごらんになってください、たったの二十分。そして、これを見てみると、西川社長が退席をされ、西川社長をまた次の社長にすると決めた指名委員会の議事は二分ですね。高木副社長、それでいいですね。

高木参考人 済みません。先生が二分とおっしゃる御趣旨がよくわからないんですが。

 西川さんの案件については、西川さんに退席していただいて、その間議論していますから、二分というのは、ちょっと私、よく理解できないんですが。

原口委員 だから、指名委員会の委員長に来てくださいと。

 指名委員会の委員長が、この指名委員会が終わった後に、二分で決まったよということを記者に対しておっしゃっているから聞いているわけです。どうぞ。

高木参考人 二分かどうかということは、この議事録を偽造しているわけじゃございませんので、二十分開いていたことは間違いなく事実でございます。

 ですから、それほど議論がなかったという御趣旨をおっしゃったのかどうか、あるいは全員一致ですんなり決まったという御趣旨なのかどうか知りませんけれども、二十分かかったことは事実でございます。

原口委員 高木副社長、よく聞いてください。西川さんの人事案件についての部分は二分だったと。私、これを偽造したなんて一言も言っていませんからね。そんな無礼なことをおっしゃらないでくださいね。皆さんの方がよく偽造されてきたんじゃないんですか。

 西川さんのことについてはほとんど議論がなくて、これでいきましょうということになったんでしょうということを聞いているんです。どうですか。

高木参考人 済みません。大変失礼なことを申し上げまして、まずおわびを申し上げたいと思います。

 西川社長につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな議論がございますので、まず御退席いただいて、そこで委員長の方から御提案があって議論させていただいて、全員異論なく西川さんの再任を認めたということでございます。

原口委員 ということですよね。

 ですから、国民共有の財産であるという認識があったかどうか。あるいは、第三者委員会から指摘をされ、国会から指摘をされたことは、そこでは具体的な議論はなかったということでよろしいですね。

高木参考人 お答え申し上げます。

 きのうもお話し申し上げたと思うんですが、かんぽの宿を含めいろいろ課題はあるわけです。それにつきましては、取締役会でそれまでもいろいろ議論もなされておりますし、五月十八日時点ではありませんけれども、この議案を議案として了承した五月二十二日の取締役会では第三者報告の中間報告をいたしております。

原口委員 私が伺ったことは、今あなたが二十分とおっしゃった中の話をしているので、それ以外のことをおっしゃらなくて結構であります。

 さて、あとの質問は留保させていただきたいと委員長にお願いをしたいのは、松野議員の関連質問でございましたので、私もこれ以上は質問できませんが、西川社長に最後に伺っておきたいのは、今回のさまざまなかんぽの宿の売却です。

 皆さんのお手元のこの写真をごらんになってください。これは北海道の上川町というところにつくったかんぽの宿層雲峡が、四年で今はこういう状況になっているということであります。

 ガバナンス、コンプライアンスということをおっしゃるからには、取締役もしくは親族、今の日本郵政の執行部です、その中でこのバルク売却に御親族がかかわられたり、あるいは不動産を取得されたり、オリックス不動産あるいは住友不動産という名前が出てきますけれども、この一連の売却を通してそういうものとの取引というのはあったのかなかったのか。それはないと思いますが、西川社長、お答えください。

西川参考人 お答えいたします。

 近親者あるいは深い関係のある企業との取引はございません。

原口委員 以後の質問については松野議員の質問と関連し、私一人ですので、これ以上時間をとることはできませんので、留保させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

赤松委員長 では、松野君、原口君のお二方についての先ほどの質問に関連する部分の答弁が混乱をいたしましたので、次回の郵政に関する質疑の際にお二方からの質問を受けるということにして、民主党関連の質問はきょうはこれで終わりということにしたいと思います。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、日本郵政にかかわりまして、雇用労働問題に係る質問をいたします。

 この間、派遣切りや期間工切りなど非正規切りが社会問題となりました。日本郵政におきましても、郵便事業会社においてJPエクスプレスが発足をするのに伴い、正社員の出向ですとか、ゆうメイトの賃下げや雇いどめの問題などが起こっております。日本郵便事業会社の子会社の日本郵便輸送においても非正規切りが行われているということを指摘して、質問したいと思っております。

 日本郵便輸送というのは、旧日本郵便逓送を中心に郵便物の拠点間輸送を担ってきた複数の会社を再編統合して設立をされた、日本郵便事業会社の一〇〇%の子会社であります。そこで質問いたしますが、旧日本郵便逓送、現日本郵便輸送において二〇〇四年から派遣が活用されるようになりましたが、そのきっかけ、理由は何かをお答えください。

伊東参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、日本郵政公社におきまして、平成十六年十一月から、当時の日本郵便逓送でございますが、派遣を行うきっかけになりました事業でございますが、当時の郵政公社におきましては、ゆうパックの取り扱い個数を拡大しようということでいろいろな対策をとられてきました。その一つといたしまして、コンビニエンスストアにおける集荷というものを拡大していくということを行ったわけでございます。

 その際に、コンビニエンスストアは二十四時間あいてございますので、コンビニエンスストアで引き受けられましたゆうパックを、例えば朝四時までに引き受けたものは当日配達するとか、あるいは夜の九時までに引き受けたものは翌日の午前に配達するとか、もちろんこれはすべての地域じゃございません、試行的な形で行われたわけでございますが、その委託を当時の日本郵便逓送株式会社が受けました。

 試行ということもございますので継続的に受託されるかどうかが明らかでないということも踏まえまして、当時の日本郵便逓送株式会社としては派遣職員による出向法を採用したというふうに聞いているところでございます。

塩川委員 これはコンビニに設置をされましたポストから郵便物の集荷も行うことになっていると承知していますが、そのとおりでしょうか。

伊東参考人 お答えいたします。

 もちろん、ゆうパックを引き受けて、それを集めるということによるゆうパックの利便性がメーンでございますが、あわせまして、ポストも設置して、そこで手紙、はがきを出していただき、それも取り集めるということも行っております。

塩川委員 ゆうパックの事業と同時に、郵便のユニバーサルサービスの確保に当たっても重要な仕事をする、そういう業務を派遣業務という形で行っておったわけであります。

 二〇〇四年の十一月に、郵政公社は、今お話しのようにゆうパックのコンビニ集荷を開始しました。当初はローソンだけだったものが、サンクスなど計五社に拡大をし、ゆうパック取り集めの人員確保が必要になったために派遣社員の活用が始まったわけであります。

 派遣先の当時の日本郵便逓送に対し、派遣元のクレイブは郵便物の集荷業務に従事する労働者派遣業務を開始しました。中野営業所で勤務をしていた派遣労働者は、二〇〇七年十一月に日本郵便逓送の直接雇用、期間臨時従業員となり、その四カ月後の二〇〇八年三月に再びクレイブの派遣社員に戻っております。しかし、ことしに入って同業務は他の請負会社に委託をされて、中野営業所に勤務をしていたクレイブの派遣社員は三月末ないし五月末に雇いどめとなっております。

 実態は、二〇〇四年十一月から〇九年三月まで派遣期間上限の三年を超えて同一業務に勤務しており、明確な違法派遣だという事態であります。この件について東京労働局から日本郵便輸送に対し是正指導書が出されていると承知をしておりますが、どのような中身なのかをお答えください。

伊東参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の是正指導書でございます。ことしの五月十四日、東京労働局から日本郵便輸送株式会社あてに出されたものでございます。具体的には、労働者派遣法第四十条の二、これは雇用の期間、原則一つの業務につきましては一年から三年という期間があるわけでございますが、それに関しての違反ということで是正指導書が出されました。

 先ほど先生からも御指摘がございました、平成十六年十一月十日から締結しておりました派遣契約におきまして、三年が過ぎた段階で実はクーリング期間というのがございまして、三カ月と一日クーリング期間があればさらにまた派遣労働者として雇用できるという仕組みがあるわけでございますが、このクーリング期間の設定に問題があるということで指摘を受けまして、当該契約を中止すること、あわせまして、今回と同様な形態がないか点検を行い、同様の形態がある場合は適正な是正措置を講ずることという是正指導書を受けたと聞いているところでございます。

塩川委員 今回と同様の形態がないか点検をということで、その点についてはいかがですか。今回と同様の形態がほかにあるかどうかについての事実関係を教えてください。

伊東参考人 お答えいたします。

 日本郵便輸送株式会社におきましては、先ほど御説明いたしました是正指導書を受けまして、必要な措置というものを今とるべく準備をしているというふうに聞いております。

 まだ現在いろいろな作業を行っているというふうには聞いておりますが、先ほど御指摘がございました、同様の形態があるかどうかということにつきましては、現時点ではそういうふうな形態はないと聞いております。

 ただ、先ほど申し上げました三カ月と一日以上のクーリング期間の設定に仮に問題がないとしても、通算すると長期にわたる派遣ということにもなりますので、何らかの形で、もちろん大前提といたしましては、それぞれの派遣労働者の適切な雇用の安定の措置を講じた上でというのがこの是正指導書にも書いてございますので、それらを踏まえた上で、一定の時期に中止をするということで今検討しているというふうに聞いているところでございます。

塩川委員 日本郵便輸送が明確な派遣法違反であるわけですし、それを踏まえて日本郵便として労働者の直接雇用、正社員化を行うべきだと考えますが、その点についてお答えをお願いしたい。

伊東参考人 お答えいたします。

 郵便輸送株式会社、それから、当然のことながら郵便事業株式会社、また郵政グループ全体でございますが、こういった是正指導を受けるようなことがないように、当然、まさにコンプライアンスの話がもうずっと出ているわけでございますから、そういう観点からも今後適切な対応をしていきたいと思っているところでございます。

 ただ、作業の形態によりまして、すべて正規社員というわけにもまいらない部分がございますので、それぞれの作業の形態にふさわしい形、派遣も、あるいは非正規社員も正社員も含めた形での業務運営ということに私どもは努めていかざるを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。

塩川委員 違法派遣を中止するのは当然のことで、結果とすれば郵便輸送が直接雇用していたという実態になるわけですから、そういう意味でも、直接雇用、正社員化を行うべきだ。今、派遣云々の話がありましたけれども、そういう対応ではなくて、直接雇用、正社員化を図るという立場で、こういうコンプライアンスが大問題となっているときだからこそ、こんな違法行為はきっぱりと是正をするという姿勢を示すことが必要であります。

 現に、労働者の方の訴えでも、雇いどめに遭った方は、日本郵便輸送で業務がなくなったわけではなく、請負労働者を受け入れている、結局、請負労働者に切りかえることで、さらに安価な労働力に切りかえるために私たちを切った、こういうやり方は許せないという怒りの声を上げているわけですから、こういった不当な立場に身を置かれている労働者に対して、しっかりと郵便輸送における直接雇用、正社員化を行うべきだ。この立場を改めて明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

伊東参考人 先生たびたび御指摘いただいております派遣法に基づく適正な業務の運営ということにつきましては、改めて申し上げるまでもなく、郵便輸送会社におきまして今後確実に行われるようにということで、郵便事業会社あるいは日本郵政グループとしても対応していきたいと思っているところでございます。

塩川委員 大臣に伺います。

 この違法派遣というのは、郵政民営化を前提とした旧公社時代の業務拡大の中で生まれた違法行為だったわけであります。新規業務に新たに参入するということをきっかけとして、そのための人員が必要だということでスタートしたものが実態として違法行為につながったという点でも、こういう違法行為を放置せずに、郵政の一〇〇%子会社である日本郵便輸送のこの実態を把握して、きちんとした直接雇用、正社員化につながるような是正指導を行っていただきたい。お答えをいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 労働者派遣法の問題ということでございますので、労働者派遣法というのは厚生労働省が所管をするわけでございますけれども、仮に労働者派遣法に違反するような行為がなされているのであれば、これは許されない事態であるというふうに思います。

 法令を遵守することは重要でございまして、御指摘の事案につきまして、ことし五月に日本郵便輸送株式会社の元派遣社員が日本郵便輸送株式会社を告訴して、提訴がなされていると伺っておりますので、今後の司法の判断を見守っていきたいと思いますし、同時に、しっかりと指導してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 そのしっかりと指導していく中身のことですけれども、冒頭確認しましたように、郵便輸送そのものが、ゆうパックももちろんありますけれども、郵便物の取り集め、運送そして配達という形で、そういう業務を実際担っているわけですね。そういったいわば郵便のユニバーサルサービスを確保する上で不可欠な業務を担っているのが日本郵便輸送であります。

 ですから、郵便のユニバーサルサービスの確保を図る上でもこの郵便輸送の業務や経営実態を把握することは欠かせないと思うわけで、こういう違法行為があった実態についてきちんと調査をするということについて、総務省として行うべきではありませんか。

佐藤国務大臣 どこまでできるかわかりませんけれども、先生からいただいた御意見をもとに、総務省としてできることをこれからしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

塩川委員 平成二十年度の郵便事業会社の事業計画を見ても、日本郵便輸送を一〇〇%子会社とすることでみずから運送業務を行う形態への移行を志向すると掲げているように、郵便輸送を子会社化することによってみずから運送業務を担うという点ではまさに不可分な関係にあるわけであります。そういう意味でも、こういった実態について調査をし、ふさわしい指導を行っていただきたい。

 大臣の率直なお気持ちをお聞きしたいんですけれども、こういった不当な立場に置かれている雇いどめに遭った労働者の方に対してかける言葉をぜひお聞かせいただきたいと思うんです。直接雇用、正社員化という形で雇用の安定を図るということを望んでおられるわけで、そういう思いにこたえた御答弁をぜひいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 こういうことがあるとすれば、先ほども申し上げましたように、本当に許されることではないというふうに思いますし、今後、こういうことがないこと等々、また先生の御指摘等々を踏まえて対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 これは違法行為ということで労働局が指導している案件ですから、そういう点でも、きちんとした是正、直接雇用、正社員化を図るという点で取り組みをお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 早速質問に入りますが、まず第一に、JPエクスプレスについて西川社長にお尋ねいたします。

 まず、日通との宅配事業統合は現状どうなっておるかということが第一点。それから二つ目に、当初、吸収分割方式となっていたと聞いておりますが、これはどうなっているか。この二点。

伊東参考人 事実関係でございますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 先生御指摘いただきました準備状況、それから、この統合は吸収分割方式かという二点でございます。

 一点目につきましては、この四月一日からの郵便事業会社の二十一年度事業計画におきまして、総務省から認可が必要になるわけでございますが、そのいただきました認可の内容といたしましては、JPエクスプレス株式会社の第三者割り当て増資引き受け並びに宅配便事業統合の検討及び準備ということが認められております。

 したがいまして、現在、これらを前提といたしまして、宅配便事業統合の計画内容の具体化、あわせまして事業統合に向けた準備を行っておりまして、総務省から示されました郵便業務への影響、顧客利便性の確保、公正競争の確保といった条件を踏まえた事業計画について、早期に認可が得られるよう検討を進めているところでございます。

 それから、もう一点の統合方式でございますが、吸収分割方式ではなく、段階的にJPエクスプレス株式会社にゆうパック事業を承継することを前提としているものでございます。

重野委員 当初、吸収分割方式と承知しているんですが、それが今の説明によりますと事業譲渡になっている。なぜ吸収分割方式から事業譲渡に移行したのか、その経緯と理由を。

伊東参考人 お答えいたします。

 宅配便事業統合につきましては、この四月に、日通あるいは郵便事業会社からそれぞれ該当いたします事業を分割いたしまして、四月一日に新たな事業を開始することで準備を進めてまいりました。

 しかしながら、非常に大きな統合でもございますので、システムを完全に統合するのはもともと十月一日を予定してございました。いろいろ検討を重ねる中で、システムが完全に統合する前に事業統合いたしますとシステム上の課題が多数出てくるということが判明いたしましたので、会社分割による一括承継をさせることとしていました車両とか小包区分機等とか、そういった資産を段階的に承継させることとする必要が生じまして、そのために事業譲渡というスキームに変更したものでございます。

重野委員 手続論ですから。そんなのは、この計画、統合するという段階からわかっていたはずなんですね。その中で、吸収分割方式ということを当初考えたわけでしょう。それが、今の説明では、そういうプロセス、システム統合だとかそんなのに時間がかかるからこれを事業譲渡に変更したと。これは説明にならないんじゃないですか。

 そのほか何か決定的な要因があるんですか、システムの問題だけではなしに。

伊東参考人 本来、当初からそのようなことは見込むべきではなかったかという御指摘でございます。

 確かに、御指摘の点はごもっともかと思いますけれども、現在、郵便事業の仕事というのは、先ほど来も出ていますけれども、手紙、はがきとゆうパックを一緒に行っております。特に、その両方のサービスを、一つの契約といいますか料金の支払い方法であります後納方式をとっているお客様が多数ございます。

 このお客様をそれぞれ振り分ける必要がございまして、この作業が、システムが完全に統合する前にどのようなやり方でできるかというのを検証するプロセスにおきまして、やはり手作業で行うことになりますとお客様に大変な御迷惑をかけるということも判明しました結果、先ほど申し上げましたように、半年、十月一日の完全統合まで事業を移行するのは延期することにいたしまして、そして、それまでの間、順次、それぞれの資産等を事業譲渡という形で移していくということにしたものでございます。

重野委員 吸収分割方式から事業譲渡に移行した。そのことに関連して、この作業の中で、大臣が直接タッチできない、吸収分割の場合には大臣が当然かかわってくると思うのでありますし、さらには労働協約の問題等々一定の制約がある。そういうふうな状況、外的条件というものを踏まえて、言うならば、会社にとって都合のいい方向に切りかえたというふうな理解を私はするんです。

 というのは、鳩山大臣が、かんぽの宿問題で待ったをかけた、これは昨年末の出来事であります。その後、大臣と日本郵政との関係は厳しい関係になっていたということと、この吸収分割方式から事業譲渡に移行したということは無縁でないという認識を私は持つわけです。つまり、そのことに対して大臣が関与できない、そういう仕組みに変えていこうとした、こういう図式を私は頭に描くんですが、あながち的外れではない。

 この部分に対して、大臣がこういう発言をしているわけです。十月に完全合体するという部分は認可しなかったにもかかわらず、内部資料はどんどん、十月一日に完全に合体したことを前提とした資料をつくって、ありとあらゆるところにこれを配付している、勤務形態はこんなのではどうだというところまでやっている、全く人をこけにした話でございまして、冗談じゃないと。これは鳩山前大臣の発言です。

 今のあなたの説明とは違う、私が描く絵の中で、大臣がこけにしたというふうなことを言わなきゃならない現状がやはりあったんだろう。それが、今言うように、吸収分割方式から事業譲渡に移行したというところと全く無縁ではない、このように思うんですが、社長、どのように思いますか。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいま伊東常務がるる御説明いたしましたが、そのとおりでございまして、総務大臣認可を不要とする、あるいは回避しようといったようなものでは決してございませんでした。

重野委員 結果としては、総務大臣の関与というのは決定的に薄まるじゃありませんか。それを否定できますか。

伊東参考人 お答えいたします。

 冒頭申し上げましたように、私どもといいますか、郵政グループの中では、日本郵政、郵便局会社それから郵便事業会社が特殊会社でございます。日本郵政と郵便事業株式会社は、先ほどもちょっと触れましたけれども、毎年度の事業計画は大臣の認可を受けるということになってございます。したがいまして、今の宅配統合につきましても、その事業計画の内容の一部をなすものでございますので、そういう意味では、総務大臣からの認可をいただいてと。

 さっき申し上げましたように、その中でも、今回の宅配便統合につきましては、さまざまな条件をいただいております。したがいまして、その条件を踏まえて、今、宅配便統合の事業計画を検討しているところでございまして、その統合計画が固まりましたら、あわせて、その修正の認可申請をすることになっておるところでございますので、大臣の認可が薄まるとか、そういう認識は、私ども全くございません。

重野委員 これは二十一年の一月二十三日ですね、「日本郵便の宅配便事業の統合について」というところで、さっきも、繰り返すんですが、「当初株主間契約で予定していた会社分割に代えて四月一日から段階的に」「事業を承継することとし、以下のとおり」云々、こういうことになるんです。だから、当初は会社分割ということでスタートしているんですよ。少なくとも、会社分割であれば労働契約承継法が適用される。ところが、事業譲渡だとそうでなくなる。

 私がこだわるのは、郵政民営化に関する特別委員会の中で、いろいろな附帯決議がなされている。その中で、「現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮すること。」「民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。」という附帯決議がつけられている。私は、このことと今指摘をしました変更が無縁でない、そういう制約を受けることを嫌って日本郵政は意識的に変更した、こういうふうに思うんです。

 私のそういう思いというのは全く的外れではないと私は信ずるんですが、その点について、重ねて答弁してください。

伊東参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のございました参議院の郵政民営化に関する特別委員会の附帯決議、私どもも十分承知をしておりまして、それらを踏まえて、今回の統合計画に伴います労働条件、あるいは人の移り変わりということに対応していくつもりでございますので、先生御懸念の部分に関しまして、私どもは全くそういう意識はございませんので、御理解を賜りたいと思います。

重野委員 言うこととやっていることが違うということを具体的に申し上げます。

 会社がスタートした。今も、労働条件の問題も触れました、雇用の問題も触れました。これは確認ですけれども、所定内労働時間二千五十六時間、年間時間外二百四十時間、こういうことを聞いておるんですが、これは事実ですか。

伊東参考人 お答えいたします。

 具体的な労働条件は、当然それぞれ対応する労働組合と交渉をして決まるものでございます。しかしながら、いろいろな計画をつくるに当たりまして、私どもJPエクスプレスとしての一定の考え方を組合に示す必要がございます。その示した数字は、今先生の御指摘のとおりの数字でございます。

重野委員 その水準は、日本の平均値あるいは国際基準に照らしてどうですか。

伊東参考人 日本全体の平均というのは、ちょっと私、手元にございませんが、他の宅配事業者等から比べまして、もちろん多少の多寡はございますが、それほど突出したものではないという認識をしているところでございます。

重野委員 そういう認識が間違っている。世界基準に照らして見ても、日本の平均から見ましても、非常にこの時間は長過ぎる。そういう点を指摘して、終わります。

赤松委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 きのうに引き続いての質疑でございますが、郵政民営化が日本の社会に何をもたらしたのか、国民、利用者にとっていかなるものであったのか、よかったのか悪かったのか、そうした大きな議論をしたいところですが、限られた時間でございますので、きょうはかんぽの宿の問題に絞って質問をしたいと思います。

 鳩山前総務大臣が終始言われていたことですが、かんぽの宿の売却はできレースであったのではないか、そうしたことをしばしば言われた。意図的に仕組まれたものではないのかな、そういう思いが大変強くするわけでございます。それは、ほかの委員からの指摘でもたびたび出てきておりますけれども、かんぽの宿及び社宅施設、七十九の施設のその評価額、それがどういう形で出されてきたのかということが、どうも不明朗であるからでございます。

 一つは、固定資産税評価額という公のものがある。これが八百五十七億という大変巨額のものでございます。路線価というものもありましょう。確かに郵政会社、民営会社に公社から移行したということであれば、企業会計原則というものを当然重視する。その中で減損処理というものも義務づけられているわけでございますから、そのことについては別に異論はありませんけれども、土地の評価についてはいろいろな公的な評価額というものがあるわけで、そのいずれをとるかということは、これは経営判断の問題ではないかというように思います。

 特に、まだ国有民営という特殊会社の経営形態にあるわけでありますし、郵政の持っております資産というのはいわば国民共有の資産であるということからすれば、その資産の売却については公にきちっと説明のつくようなやり方でなくてはいけない。これはもう当然のことだと思います。それがどういう評価をなされていたのかというその過程が、どうも私には明確にわかりません。

 私が入手をいたしましたさまざまな資料によりますと、かんぽの宿の鑑定評価額というのは、十八年度は三百三十九億なんですね。ところが、十九年度はこれが百三十六億になっている。不動産をめぐる経済環境というのは、十八年から十九年はそんなに変わっているわけではありません。それにもかかわらず、十八年の評価から十九年の評価にどうしてこんなに大きな差が出たのか。半分以下になっているわけですね。二十年度は百三十三億、十九年度が百三十六億。この十八年度の評価というものは、一体どういう評価のやり方をやったのか。

 私が聞いたところでは、積算法が七割、収益還元法が三割、そういうことで評価をしたと。大体かんぽの宿というのは、皆様方も御承知のとおり収益を生み出す施設ではなかったわけであります。簡保加入者のための福祉施設であります。ですから、もともと収益を求めていなかった。そこに収益還元法で評価をするということ自体が私はおかしいと思っておりますけれども、それが七、三で評価をしていた。

 それが何で十九年度にこれだけ下がったかというと、その評価のやり方を変えた。積算法を五割にして収益法を五割にした。五、五にして評価をした。だから、下がるのは当たり前ですよね。もともと赤字を前提にして運営をしていた、それを営利の観点から赤字として収益還元すれば、値段ががんと落ちるのは当たり前のことであります。

 本来、郵政の資産を売却するということであれば、できるだけ高く売ろうとするのは当たり前じゃないですか。民間の会社の経営者、西川さんは三井住友銀行の社長であられたわけですけれども、民間会社であったとしても、みずからの会社の資産を売却するときに、わざわざ値段を下げて売るなんということをされるはずはないですよね。できるだけ高く売ろうとされる、それが当たり前だと思います。それを、意図的に下げたと言われても仕方のない、そういう評価のやり方をされたというように私には思えるわけでございます。どういう意図でそうしたことがなされたのかということが、まだ全然明らかになっておりません。

 佐藤総務大臣、改善命令を鳩山前大臣のときに出された、その業務改善命令に対する答えが、西川社長は来週あたりにという答弁をされている、それを見て判断されるということをきのうも答弁されておられますけれども、そもそもこの業務改善命令を出すに至ったそのもとといえば、総務省から郵政の方に出させたいわゆる十七箱の段ボールの箱、その中の資料を精査して、それに基づいて、これは言うべきことを言わなくてはいかぬということで改善命令を出されておるわけです。

 その一番もとになっている段ボールの資料に漏れているものがあったとしたらば、改善命令そのものも間違いだということになるわけですね。やはりすべての資料が出ていなければ正しい改善命令というものは出されない、それは当たり前のことだと思います。

 今まで私ども、野党三党でいろいろ調査してまいりましたけれども、日本郵政が一生懸命隠そう隠そうとされる、そういう体質があることは間違いないんですね。どうしようもないからということで資料をちょびちょび出してこられる。そういうことの繰り返しなんです。

 本当に、今の、十八年の評価、十九年の評価、ここがどうしてこんなに変わったのか。そしてまた、どうも聞くところでは、この十九年の評価を出すその直前に、もっと高い評価というものがあったというような話すら伝わってくるんですよ。ですから、こういうことをやはりしっかりと調査をしていただかないと、改善命令そのものが的を得たものにならないというおそれもあるわけでございます。

 これは、西川社長、高木副社長がおいでになりますけれども、鑑定評価のもとになるやり方、そのことをどなたが考えて、どなたが指示をされたのか、どういう経緯でこういう百二十三億という価額が出てきたのか。

 この百二十三億が正しいものでなければ、ここから四十八億引いて九十三億、それ以上であれば損はしていないんだという言い方をされている。しかし、四十八億の負債だって、これは事業のための負債だって含まれているわけでしょう、土地そのものに対する負債じゃないですね。そういうものまでそこに入れて四十八億を引いて九十三億にした。そのことも私は納得がいかないわけです。

 とにかく、その百二十三億という鑑定評価がどういう経緯で出されたのかということを御答弁いただきたいと思います。

藤本参考人 公社時代の減損でございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 まず、十七年度の中間決算から減損会計を導入したわけでございますが、これは、上場企業に減損会計が強制適用になりまして、日本郵政公社も、当時、企業会計原則を採用するということが法律上義務づけられておりましたので導入したわけでございます。そういう意味で、これは強制適用ということでございます。

 それでは、どういう経過であるかということを申し上げますと、平成十七年度、十八年度、十九年度の三回にわたって減損をしております。

 先生お尋ねのございました、十八と十九はなぜ違うのかという点でございます。先生のお話ですと、鑑定評価の手法を収益還元法重視に切りかえたために評価額が下がったのではないか、こういったお尋ねであったろうかというふうに思います。

 私ども、不動産鑑定士に鑑定を委託する際には、いろいろな条件を示すわけでございますが、例えば更地で売却をするのと、あるいは事業を譲渡するという前提ですと、随分評価額は変わってまいります。そういう意味におきまして、十七年度は事業譲渡を前提としない評価ということでやっておりました。しかし、平成十九年度につきましては、事業の譲渡をする、雇用も継続をする、こういう条件で減損会計の適用に際して鑑定評価をとっておったわけでございます。その結果が反映されたということが一つ考えられます。

 ただ、一つ申し上げておかなければいけませんのは、先ほどお話のございました鑑定評価の手法、主に三つございまして、原価法、取引事例比較法、それから収益還元法でございますが、これは国土交通省で定められております適用指針に書いてある三つの手法でございまして、これが一般的に適用されるわけでございます。それを何%のウエートで適用すべきであるかといった具体的な話につきましては、これは不動産鑑定士の方の判断でございまして、私どもが個別にどれを何%と指示することはございませんので、その辺は御理解をいただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

亀井(久)委員 郵政の担当者としてはそういう答弁をせざるを得ないということだと思いますけれども、国民感情からしても、今、鳩山総務大臣と西川さんとどっちを評価するんだといったことに対して、圧倒的に鳩山総務大臣を支持する。そういうことを国民の皆様が感じておられるということは、やはり、もっと高く売れるものを意図的に安く売ったのではないのか、しかも、それを最初から渡す人を大体決めておいて、そこに渡したのではないかという疑惑が、一番みんなが不思議に思っている、おかしいなと思っていることなんですね。

 かんぽの宿のまさに一番コアといいますか、中心のテーマというのはそこのところなんです。だから、さまざまな業務改善命令を出されるということはもちろん大事なことではあったんですけれども、本当に、今のそういう経緯についてすべての資料が出されて、総務省として精査をした上で改善命令を出されたのかどうか。そこのところを、総務大臣、もう一度しっかり日本郵政に話をしていただいて、あらゆる資料を、もし出していないものがあるとすれば出せと、そして、その上で総務省としてしっかり精査をするということで、ぜひ指示していただきたいと思いますが、いかがですか。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられますように、いろいろなグレーな部分といいますか、そういうところがあるというのを、私もるるお話を伺っております。したがいまして、事務方にもう一度そういうことに対しましてしっかりと調べさせるように指示をしたいと思います。

亀井(久)委員 もう時間がないので終わりますけれども、かんぽの宿の問題、それ以前の資産の売却のあり方、そういう問題は郵政民営化がよかったか悪かったかというような大きなテーマとは全然違う話で、民間会社としてもあってはならないことが起こったのではないかという疑念を私どもは持っておりますから、そのことを徹底して追及をしているわけでありまして、その我々の真意をよくお酌み取りいただいて、総務大臣、しっかり事務方に御指示いただいて、郵政との間でそうしたことを詰めていただきたいと思います。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、森山裕君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による修正案が提出されております。

 先ほどの、一部を改正する法律案を議題といたしまして、他に質疑の申し出がありませんので、これにて本案に対する質疑は終局をいたしました。この点、つけ加えておきます。

 提出者より趣旨の説明を求めます。森山裕君。

    ―――――――――――――

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

森山(裕)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明を申し上げます。

 この修正案は、政府原案において外国人住民に係る住民票を作成する対象者となっていない仮放免者等について、引き続き行政上の便益を受けられるようにするとの観点から、その者に係る記録の適正な管理のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じようとするものであります。

 その具体的な内容は、政府は、現に本邦に在留する外国人であって入管法第五十四条第二項の規定により仮放免をされ当該仮放免の日から一定期間を経過したものその他の現に本邦に在留する外国人であって入管法または入管特例法の規定により本法に在留することができる者以外のものについて、入管法等改正法附則第六十条第一項の趣旨を踏まえ、入管法等改正法の施行日以後においてもなおその者が行政上の便益を受けられることとなるようにするとの観点から、必要に応じて、その者に係る記録の適正な管理のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を、附則第二十三条として追加するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、住民基本台帳法改正案に対する反対討論を行います。

 最初に、当事者であります外国人住民の方の参考人質疑も行われることなく質疑が打ち切られ、採決に付されることを極めて遺憾に思います。

 外国人住民の住民基本台帳を制度化し、整備することは、外国人住民に対し、行政サービスの適切な情報提供を行い、教育や社会保障の権利をひとしく保障していく上でも必要なことであります。

 しかし、以下の理由からこの法案には反対するものです。

 第一の理由は、住民基本台帳制度に外国人の在留管理強化を持ち込むものだからです。

 市区町村は、外国人住民について法務大臣からの在留資格等の変更の通知を受け、適法でないとされた外国人住民を住民基本台帳から削除することになります。

 一方、入管法等改正案に基づき、死亡、出生などの情報を法務大臣に通知することとなります。本来、外国人住民基本台帳の制度は自治体が行政サービスを行うために活用すべきもので、この制度を新たな在留管理強化のために利用すべきではありません。

 また、このことは、外国人住民の情報を差別的に取り扱い、住民基本台帳法の個人情報保護のルールを逸脱するものです。

 第二の理由は、外国人住民基本台帳の対象を、在留カード交付対象者、特別永住者、一時庇護許可者または仮滞在許可者、出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者の四類型に限定し、それ以外の在留資格を有しない者は住民基本台帳から一律に排除するからです。

 除外される外国人住民には、難民申請中で仮放免となっている人など、人道上配慮が必要な人も含まれています。

 また、外国人住民が、住民基本台帳から一律に排除されることによって、子供の教育を受ける権利や医療、福祉の各種サービスから除外されかねないものとなっています。在留資格を有していない外国人であっても、基本的人権は原則として保障されるべきであり、国際人権規約の医療、社会保障を受ける権利等を侵害するもので、許されるものではありません。

 以上、表明して、討論を終わります。

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、森山裕君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、森山裕君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 外国人住民への住民基本台帳制度の適用拡大に当たっては、基本的人権に十分配慮するとともに、これを基盤として外国人住民が行政サービスを適切に享受できるよう万全の措置を講ずること。

 二 仮住民票の作成を含む外国人住民の住民基本台帳への記録関係事務を行うに当たっては、関係事務の委託先等を含め、データ保護とコンピュータ・セキュリティ対策の徹底、情報管理に係る責任体制の明確化等、個人情報保護に万全を期すること。

 三 他の市町村への転入後における住民基本台帳カードの継続利用を可能とするに当たっては、個人情報保護に齟齬が生ずることのないよう慎重な配慮を行うこと。

 四 住民基本台帳ネットワークシステム等のシステム改修に要する費用や、仮住民票の作成に要する費用等、本法施行に伴い地方公共団体に発生する経費について適切な財政措置を講ずるとともに、新たな在留管理制度の実施に要する経費については、地方公共団体に負担を求めないこと。

 五 外国人住民に係る行政が質、量ともに大きく変化していることを踏まえ、政府における総合調整機能の整備を図るとともに、本法施行に係るものを含め、地方公共団体に対する財政措置の拡充強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

赤松委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤総務大臣。

佐藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしてまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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