衆議院

メインへスキップ



第3号 平成21年12月1日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十一年十二月一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 逢坂 誠二君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 西  博義君

      稲見 哲男君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(内閣提出第一〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。亀井国務大臣。

    ―――――――――――――

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

亀井国務大臣 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、郵政民営化について、国民生活に必要な郵政事業に係る役務が適切に提供されるよう、政府において平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づきその見直しを検討することとしていることにかんがみ、日本郵政株式会社等の株式の処分の停止等について定めるものであります。

 次に、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、政府は、郵政民営化法第七条第一項本文及び日本郵政株式会社法附則第三条の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する日本郵政株式会社の株式を処分してはならないものとしております。

 第二に、日本郵政株式会社は、郵政民営化法第七条第二項及び第六十二条第一項の規定にかかわらず、同様に別に法律で定める日までの間、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を処分してはならないものとしております。

 第三に、日本郵政株式会社は、日本郵政株式会社法附則第二条第一項の規定にかかわらず、同様に別に法律で定める日までの間、旧郵便貯金周知宣伝施設及び旧簡易保険加入者福祉施設の譲渡または廃止をしてはならないものとしております。

 以上のほか、所要の読みかえ規定を置いております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

 よろしくお願いいたします。

近藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井(崇)委員 民主党新人の高井崇志でございます。

 新人ながら発言、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私の地元は亀井大臣のお隣の岡山でございまして、国会議員として最初の質問を、ぜひ亀井大臣にお聞きいたしたいと思います。

 亀井大臣におかれましては、全国各地の郵便局を飛び回られて、最も郵便局の現場の声をお聞きになっている政治家であると尊敬を申し上げております。

 私もかつて郵便局に勤務をいたしておりました。最初の勤務地は五名の昔で言う特定局でございました。その後二つ、計三つの郵便局の現場での勤務の経験がございます。そんな御縁もありまして、今でも地元岡山では郵便局長さんや職員の皆さんと大変懇意にさせていただいておりまして、たくさんの御意見を拝聴する機会に恵まれております。

 今、郵便局の現場で働く皆さんの一番切実な悩みとは何であるか。私は、その現場の声が本社に届いていないのではないか、本社は現場のことを本当にわかっているのだろうかという危惧を持っております。

 西川前社長のもとの経営陣は、現場の声に耳を傾けていたとは到底思えません。そもそも、郵便局のことを全く知らない方々が経営陣を占めていらっしゃったのではないでしょうか。もちろん、改革を行うためには外部の力というのも必要です。しかし、経営陣のほとんどが郵便局のことを全く知らないのでは話になりません。郵便局のことをよくわかっている人を経営陣にというのは、現場で働く人たちの切実な声でございます。

 そこで、亀井大臣に御質問いたします。

 現場の声が本社に届く風通しのよい組織というものをつくるためには、どのような経営体制であるべきだとお考えでしょうか。また、それは今後行われるこれからの郵政改革によって確保されるのでしょうか。その点を御質問させていただきます。

亀井国務大臣 郵政事業のど真ん中で長い間御活躍をされた高井議員の御意見、普通の議員の御質問よりも非常に真実を踏まえたあれだろうと思いますので、以後の御質問に対しても緊張しながら対応してまいりたいと思っております。

 今度、齋藤次郎氏を新社長に任命いたしました。残念ながら、この新社長も大蔵官僚としてらつ腕を振るった決断力のある大変な人物でありますので、私は白羽の矢を彼一人に立てて、ある意味では、説得というよりも、将来の郵政事業のあり方についてもいろいろ意見を交換した上で承諾をしていただいたという経緯がありますけれども、何しろ、新社長もあの膨大な郵政事業の中身について承知しておるとは到底思えないし、本人もそのように自覚をしておるわけでありますので、逆に、そうした意味での素人であればこそ、かつての郵政事業にとらわれずに、地域のため、国民のための新しい事業展開を果敢に展開してくれるだろう、このように期待もしておるわけであります。

 そういう意味で、あと副社長以下の布陣等につきましては、郵政事業について詳しい者も副社長の中に入れたり、あるいはその下の、ほかの会社の社長等についてもそういうことを十分配慮した布陣になっておると思います。

 委員御指摘のように、やはり現場とトップがツーカーで直結をした形でなければ二十四万人近い事業体は新しい展開をしていけないと思います。齋藤社長も、今一生懸命勉強しているのに往生しているようでありますが、現場の視察もし、現場の生の声も本人は聞きながらやっていきたいという気持ちを持っておられますので、本社のトップが地方にどんどん出ていき、地方の皆さん方の生の声を聞きながらということをやっていくはずでありますし、今、原口大臣とも話をしておったんですが、私どもも、法案が成立いたしますと、できるだけ現地にも赴いて、大臣が行ったからといって本当のことを話してくれるとは限りませんけれども、できるだけそういう現場の中にトップが入っていく努力を今後ともしていきたい、こういうふうに考えております。

 以上です。

高井(崇)委員 ありがとうございます。

 亀井大臣が選ばれた齋藤新社長は、もう実力、経験ともに申し分ない、大変すばらしい社長だと思っておりますので、ぜひ郵便局の現場の声をしっかりとお聞きいただいて、また、郵便局のことを知っている方をぜひしっかりと使っていただきたいというふうにお願いをいたします。

 それでは、もう一つ質問をさせていただきます。

 先般の閣議決定、郵政改革の基本方針では、「国民共有の財産である郵便局ネットワークを活用し、」という文言があります。この国民共有の財産である郵便局ネットワークを維持していくためには、郵便局の売り上げの八割を占める貯金、保険事業の経営を安定させることが不可欠であります。

 しかし、昨今、ゆうちょ、かんぽともに契約数は激減をしております。特にかんぽは、保有契約数がここ十年間で四割減っているということでございます。これは、かんぽの商品が貯蓄型の養老保険に限定されていて、医療分野など利用者ニーズの高い分野に対応ができていないためでございます。

 かんぽ生命では利用者ニーズの高いがん保険の販売を希望しておりまして、本年三月には金融庁、総務省に対して政令改正要望を出しておりますけれども、いまだに認められておりません。がん保険は、アメリカの保険会社がほぼ独占をしております。

 よもや、アメリカの利益を優先するような小泉・竹中路線のような政策を亀井大臣がおとりになるとは思えませんけれども、かんぽ生命に対してがん保険等の分野の参入を認めるべきだと思いますが、亀井大臣の御見解はいかがでしょうか。

亀井国務大臣 私、かねがね申し上げておりますように、新しい事業展開、これは、従来の経営の概念にとらわれずに展開をすべきだと思います。

 ただ、その場合に、郵政事業を今まで担っておられた方々のノウハウの問題が一つあるわけでありまして、資金運用にしても、今八割が国債とかいうような形になっていってしまっている。また、営業面につきましても、がん保険等についての進出ということも今まで考えておられたようでありますけれども、問題は、そうした多種多様な営業を展開していく体制、能力、こういうものをやはりきっちりと備えていくということをしないで手を出しちゃうとやけどをしてしまう。

 そういう面もございますので、齋藤新社長もそのあたりのことを今いろいろと考えておりますけれども、私は、ゆうちょ銀行もかんぽの方も、従来の狭い範囲ではなくて、地域の人たちにとって非常に有用な活動をしていく、そういうことをぜひやらなければならないと思っておりますので、今御指摘のがん保険を含め、いろいろな分野について、どういう形で出ていったらいいかということを今後真剣に検討していくということになろうかと思います。

高井(崇)委員 まことにありがとうございました。

 今御質問した二つの点はまさに現場の切実な声でございますので、どうかお聞き届けいただければと思います。

 それでは、時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 二十分間の時間をいただいて、質問させていただきます。

 私は戦前生まれで、小学校時代というのは昭和二十年代ですから年がばれるんですが、当時、私が学んだ田野小学校という学校にこども郵便局というのがありました。私は、小学校六年のときに、そのこども郵便局の局長をさせていただいた。まずここにおられる方で小学校時代に局長を経験した人というのは僕以外いないんじゃないかと思うんですが。

 当時、戦争に負けて、戦後復興に膨大な資金を必要とした時代です。ですから、私なりに考えますと、こども郵便局も、毎週水曜日の昼休みに一時間、局を開くんですね。それで、小学生がみんな、お小遣いとかでもらったお金、十円、二十円という単位ですよ、それを貯金するわけですね。そうまでして戦後復興の資金を確保するという、そういう意味での郵便局が果たした役割というのが、そこまでやっていたのかというふうに考えざるを得ないほどに、今にして思えば、そういう役割というものを担っていたのかなと。

 私に言わせれば、国が豊かになってお互いの生活も豊かになる、そうなると、ついついそういう歴史を忘れて、もう郵便局みたいな仕事は民間に任せておけばいいや、こういうふうな話にずっと流れてきたのが小泉・竹中コンビによる郵政民営化路線だったと私は受けとめております。

 ですから、私、そういう流れに対して強く反対してきましたし、総務大臣も、野党の時代一緒に郵政民営化路線に抗する運動を一生懸命やってきた。そういう思いと感慨を込めながら、まず、郵政民営化について、両大臣の所見を最初に聞いておきたい。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 重野委員にお答えいたします。

 まさに同志として、国民の郵政事業における権利を保障するために懸命に先頭に立ってくださいました。

 私は、郵政というのは、国民共有の財産であるとともに、国民のまさにコミュニケーションを保障する大変大事な仕掛けだと思います。

 明治の初期に三つ歩いていける距離につくられたものが、学校、派出所、そして郵便局であります。まさに重野委員がこれまで一貫して戦ってこられたように、広くあまねく等しく、貧しき人も、そして危険な仕事をしている人たちも、郵便局、郵政のネットワークでしっかりと安心をささげることによって国民の福利厚生をさらに向上していく、こういう崇高な使命を持っていた。

 それをずたずたにし、そして、民であれば何でもいいんだ、そしてかんぽの宿等に見られるように私物化の疑いさえもある、これが小泉・竹中路線が残したものであり、まさに郵便局がこれまで掲げてきた、郵政が掲げてきた誇りまでも奪うものだったと思います。

 今、こども局長さんをなされたということですが、やはり小さいころから違いますね。今先生のお話にもありましたように、郵便局というのは、単なる経済的な装置とかコミュニケーションの装置だけじゃなくて、その中に教育を埋め込んでいるんですね。障害を持った方々をしっかりと支えていく、あるいは、子供たちにも小さなころからお金の大切さや社会を支える大切さを教えていく。そういったものに郵政を変えてまいりたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。

亀井国務大臣 私の生まれたところもダムの予定地でして、広島ですけれども、冬になりますと胸ぐらいまで雪が積もるような、そういうところに、子供時代から覚えておりますのは、どんなに雪が降ろうと雨が降ろうと、郵便局の方が必ず配達に来られておった姿というのは、子供時代からもう焼きついております。

 私は、日本じゅうが、やはりそういう方々がとにかく本当に、ただ単に郵便局に雇われているからということじゃなくて、地域の生活の中のまさに軸ともいうような役割を、御本人が自覚しておられるか否かにかかわらず果たしてこられた、こういう組織であろうと私は思います。

 それを、いわゆる市場原理といいますか、市場主義の中で、また、郵貯、簡保のお金を将来的にMアンドAが可能になってアメリカに渡してしまうような道筋をつけるというような、だからそういう意味では、大きな目的のもとで、国民的財産をとにかくがたがたにしてしまっている現状。

 私、いろいろな方からのお話も聞きますが、今一番大きな問題は、やはりモラールが完璧に落ちてしまっているということだと思います。そういう方々のひたむきな働きを評価するというような、そんな雰囲気が全然なくなってしまっておる現実。

 もっとひどいのは、議員御承知のように、監視カメラで特定局長が四六時中のぞかれていて、年二回ぐらい局からやってきて、そのビデオを点検しちゃっている。重野先生と会っていないかとか、亀井と会っていないかとかまで調べたかどうか知りませんけれども。そういう状況の中で、局が三つに仕切られておってお互いに協力もできないという、かつての郵政事業とは全くさま変わりの状況であります。

 これを生き生きとした地域のため国民のための事業にしていくというこのたびの出発であろう、このように思っております。

重野委員 今、両大臣から答弁をいただきました。まさにそういう方向で今後頑張っていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。

 二番目に、民営化の検証作業を進めていくべきだと思います。

 私どもが野党時代、さまざまな疑惑について追及してまいりました。しかし、その都度、資料が出てこない、完全にシャットアウトして我々が求める資料がほとんど手に入らない、こういう時間帯がありました。

 私は、郵政民営化の過程で何が行われてきたのか、結果としてどういう問題が発生したのか、今この問題についてきちっと検証しておく必要がある、その作業をぜひ進めてもらいたい、このように思うんですね。

 その中から、今まさに来年の通常国会で法律が制定されていく、そして我々が目指す郵政がスタートをするというそのときに、やはりこの間の反省と、欠陥というものを明らかに国民の前に示すことが非常に大事だ、私はこのように思うんですが、その点について、亀井大臣、どのようにお考えですか。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、民営化なるものの実態がどういうものであったかということをやはりきっちりと検証した上で、今後どういう事業にしていくかという取り組みをしなければならないと思います。

 委員御指摘のように、当時の野党がいろいろな疑惑について懸命な調査活動をやってもなかなか前に進まなかった、そういう経緯もありますので、もちろん齋藤新社長の積極的な協力もいただきながら、私どもとしてもこれについてはきっちりと検証していきたいと思っております。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

重野委員 その中で、個別具体的にすべては申し上げませんが、例えば、西川さんが出身企業から多くの幹部を日本郵政に連れてきた。一体どういうねらいで、そして彼らはどういうことを果たしたのかという点についても、ひとつしっかり検証していただきたいと思います。

 次に、事業の再編について。

 今回の法案では、日本郵政株式会社並びにゆうちょ、かんぽ会社の株式処分の停止と、郵政株式会社法の附則第二条第一項に基づく宣伝施設及び福祉施設の譲渡、廃止を停止させることになっています。

 一方で、事業の再編については今後どのような方向で取り組まれていくのか。例えば、先ほど亀井大臣も申しましたように、一つの局が三つに仕切られるなんというあほなことが実際行われているわけですね。それはそもそも会社が別だから、こういう話でありますが、そういう問題意識も含めて、原口大臣、どのようにお考えか。

原口国務大臣 今後の見直しの方向でございますが、まさに委員がお話しのように、分社化ありきの民営化なんですね。この分社化ありきの理念なき民営化によってさまざまな不都合が生まれ、そして多くの国民の利便が、あるいは権利が侵害されてしまっています。

 ここをまず変えて、これは社民党さん、国民新党さんと民主党との間の三党合意の中にもありますが、これを大きく見直して、三事業を一体的に供給できるようにする、このことがとても大事であるというふうに考えておりまして、そのためには、一回ここで株式売却を凍結して、そして経営形態そのものについてもしっかりと議論をし直すことが肝要である、このように考えております。

重野委員 ぜひ、今大臣が答弁された方向でしっかり進めていただきたい。

 次に、具体的にJPエクスプレスについてお伺いします。

 報道などによりますと、日本郵政がJPエクスプレスの完全子会社化の方向で検討に入ったと報じています。その際、齋藤社長が、このプロジェクトは非常に性急に進められた、なぜこういう経営判断になったのかという疑問を呈しておられる。

 JPエクスプレスの中間決算では、二百四十八億円の赤字を計上している。これは旧経営陣の経営判断に間違いがあったとも考えられますし、先ほど私は検証作業と申しましたが、その検証作業とも関連しますが、この問題について、旧経営陣の経営責任の有無というものも明確にすべきテーマではないのか、このように思いますが、JPエクスプレスについて原口大臣の見解を。

原口国務大臣 重野委員と全く同じ認識を持っております。

 これは十九年十月に日本郵政持ち株と日通との間で締結された基本合意書に基づき、郵便事業の子会社を前提として両社が宅配便事業を統合しようというものでございますが、この時点において郵便事業会社は入っていないんです。

 何をどう検討してきたのか、齋藤社長が今御指摘のように記者会見で余りにも性急に進められてきたのではないかと、社長みずからが今そのことを検証されようとしていると思いますが、私も、その検討に至るまでのプロセスを出してきなさいという指示をしています。しかし、どうもそれが、これというものがまだ私の手元に来ていない。

 最後まで郵便事業会社は何も知らされていないのではないかという疑いを現時点で持っておりまして、委員がおっしゃるように、かんぽの宿のときも最後の入札にかかわるところの書類がなかったですね。これはある意味では、あれよりもさらに問題な、深刻な事態ではないか、このような感想を持っております。

重野委員 私もそのように思うから、きょうはあえてまた大臣に問うたわけです。そこら辺はひとつしっかり検証していただきたいと思います。

 次に、社宅の問題について。

 昨年末から大きな問題となりましたオリックスへのかんぽの宿一括売却問題。その一括問題では、かんぽの宿だけではなくて社宅も売却リストの中に入っておるんですね。

 今回の法律では、旧郵便貯金周知宣伝施設及び旧簡易保険加入者福祉施設の譲渡または廃止をしてはならないとなっております。一方で、さきの通常国会で佐々木参考人が答弁でこのように申しているんですね。旧簡易保険福祉事業団から承継した社宅は、今回のこのかんぽの宿の施設の譲渡に伴い一体不可分の関係で譲渡される、こう佐々木さんは答弁をされているんです。

 そうすると、これはちょっと問題で、今回の法律では社宅はどのような扱いになるのか、これは聞いておかなきゃなりません。

長谷川大臣政務官 事実関係に関することでもございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。

 今回の、今御審議をいただいております法案の中では、凍結をかけておりますかんぽの宿あるいは郵便貯金の周知宣伝施設、これは委員御指摘のとおり、日本郵政株式会社法の附則の第二条の中で五年以内に売却をせよというふうに書かれているものを凍結するというだけでございますので、先ほどの日本郵政の人の答弁というのは確かに私も承知をしておりますけれども、社宅そのものは今回凍結をする内容には入っていないというふうに私ども考えております。

重野委員 そうすると、社宅の扱いはどうなるんですか。

長谷川大臣政務官 社宅につきましても、会社の重要な財産であることは事実でございますけれども、これは、そもそも経営者の判断の中に含まれるものというふうに理解をしております。

 ただし、前回会社の方からそのように答弁がありましたように、現在までかんぽの宿の売却とあわせて議論をされてきたという意味では、今後とも慎重な判断を会社としてすべきものと考えております。

重野委員 それでは、時間も参りましたので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 これより自由民主党・改革クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

近藤委員長 これにて自由民主党・改革クラブの質疑時間は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 質問に入る前に、今回の委員会のこの一連の問題について若干御意見を申し上げておきたいと思います。

 ちょうど昨日の今ごろ、この総務委員会で閉会中の諸手続をするという委員会立てを行っておりました。その約一時間前に、山岡国対委員長の方から四日間の会期の延長ということが発表になりました。これのために、もちろん委員会はなくなり、しかも、四日間という短い会期で、今議題となっている郵政の株式凍結法案を衆参で可決するという目標に向かって与党の皆さんが走り出したことは、これは紛れもない事実でございます。

 事実、きのう午後開催された当委員会の理事懇談会でも、本日、このわずか二時間半の質疑でもって採決をし、しかも緊急上程をして本会議を通過させるという日程を与党が組んだ。まことに遺憾なことでございます。しかも、これは委員長の職権でもって本日の委員会立てをされているということについても、私はまことに残念なことと言わなければなりません。

 その前に、新しい政権ができ、新しい大臣が誕生され、その大臣の所信に対する質疑がまず初めにあってしかるべきものを、いまだにやることができないで、こういう最終のどたばた劇に及んでいるということは、まことに残念と申し上げなければなりません。

 とは申し上げましても、やはり一定の質疑が行われ、採決をするということになりますと、私どもも党としての立場、賛否も含めてこの問題に対してきちっと問いただし、討論等もやらせていただく、こういうことが党の立場であろうということできょうは参加をさせていただきました。

 ということで、具体的な質問に入ってまいりたいと思います。

 私は、過日の本会議の趣旨説明、質疑で、登壇いたしまして何点かの質問をいたしました。まだ十分理解ができないままに終わってしまいましたので、そのことを中心にきょうはやらせていただきたいと思います。これも本当にまだ郵政改革の入り口の段階でございまして、本当は中身も含めてもっともっと質問させていただきたいんですが、そういう意味でそこのところを再度確認させていただきたいと思います。

 まず、天下りについて御質問申し上げます。

 本来は、平野官房長官にお答えいただいたんですが、きょう日程の都合で参加できない、官房の皆さんそれぞれがお忙しいということで、原口大臣がお答えいただけるということですので、お願いいたします。天下りやわたりの定義に関する確認です。

 本会議においてこういう答弁がございました。「府省庁が退職後の職員を企業、団体に再就職させること」、これが天下り、わたりというものの定義だという説明がありました。民主党のマニフェストでは、「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。」としております。しかし、ここに来て、政務三役、それから官僚OBがあっせんした場合は天下りやわたりには当たらないということで、私には主張が大きく後退したように見えるわけです。

 本会議で、同一の企業や団体に継続してもしくは頻繁に公務員が再就職をする場合や複数の公務員が再就職する場合でも天下りやわたりとは言わないのかというふうに私が質問したことに対して、平野官房長官は、「職員OBのあっせんにより、退職した公務員が、同一府省庁出身者が何代にもわたって領域を占める、こういうことについての、特定の団体等のポストに再就職する場合には、当該府省庁の当該団体に対する行政上のチェック、すなわち権限、契約、補助金等の関係を十分に精査していく必要があると考えておるところでございます。」こういう答弁をいただきました。

 非常に長くて回りくどい表現ですが、要するに職員OBのあっせんによって天下りやわたりが生ずる可能性があるからこそ、こういう考え方、例えば権限、契約、補助金の関係を十分精査する、こういうふうに踏み込んでいるわけでございまして、そういう可能性がなければこういう心配も手続も必要はないというふうに言わざるを得ません。そういう意味では、これは可能性として、それこそ民主党の根絶しようとしている政官癒着の問題の一つであろう、こういうふうに私は思っているところでございます。

 そういう意味で、この問題について、天下りの定義がこれでいいのか、そして今の定義の合理性について御答弁をいただきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 その前に、西委員におかれましては、一貫して教育改革、政治改革を御指導いただいてまいりました。思い起こしますと、私、平成八年に国会に来させていただきましたが、西委員、あるいは、もう亡くなりましたけれども久保代議士、あるいは桝屋先生、多くの皆さんが現場を大切に、国民一人一人を大切にということでお導きくださったことをまずお礼申し上げたいと思います。

 その上で、今のお尋ねでございますが、私たちは、HAT―KZシステムをなくそうと考えているわけです。HATのHは補助金。そして、天下り、特別会計、官製談合、随意契約。このたび、各省庁で競争性のある入札をちゃんとやっているのかということを調査させて、きのう発表させていただいたところでございます。

 そこで、私たちがなくしたいと考えていたものは、省庁の権限を持ってその天下り先で随意契約を行い、そしてたくさんの税金の無駄遣いをすること。ですから、今回、公益法人改革についても内閣として指示をしたところでございます。その一連の文脈の中で、私たち民主党はマニフェストの中で、今、西委員がおっしゃるように、国家公務員の天下りのあっせんを全面的に禁止するんだということを宣言してきたところでございます。

 今回の社長人事についてですが、一方で、これは西委員とも同一の政党だったときも議論しましたが、もっと公務員の知恵や民間の知恵を自由に行ったり来たりできるように、いわゆるオープンドアのようなことができないだろうかと。今回、次官会議もなくしましたから、この間、柿澤委員にもお答えをしましたけれども、次官を頂点とするピラミッドそのものも変えて、もっと風通しをよくできないかということを一方で議論し、国民の皆さんに問いかけてきたところでございます。

 今回の社長や副社長の選任は、会社法三百四条にのっとって、株主である政府が議案を提案し、その中で新取締役の候補者が選任をされたというふうに理解をしておりまして、天下りのあっせんとは、府省庁のあっせんにより退職後の職員を企業、団体等に再就職させるあるいは玉突きのように渡っていく、こういったことを私たちは禁止させるべきだと主張しておるわけで、株主の提案により選任された社長や副社長は、これまでの民主党の主張、いわゆる国家公務員の天下りのあっせんを全面的に禁止するというものと異なるものではございません。

 ただ、西委員がおっしゃるその御指摘、一緒に議論してきた立場からいうと、やはり国民に疑念を持たれないようにしっかりと峻別をし、そして説明をしていくということが大切だろうと思います。

 私は、限られた人材、優秀な人材が一回公に入ってしまうと、今度、民間に行って戻ってもこられないというシステムそのものは変えるべきだ、このように考えておりますので、また御指導をよろしくお願いいたします。

西委員 役人の皆さん、大変優秀な皆さん、たくさんいらっしゃいます。その資源、まあ、資源という言い方は非常に失礼な言い方ですけれども、その力というものをどう活用するかということは大変大事なものだと私は思っております。

 ただ、天下り、いわゆる権限、また補助金等を背中に背負ってどこかに行かせることによって、我々の大切な国民の税金がそれに付随して余計なところに流れていくというこのシステムをどう変えていくか、これは大変大事なことで、だれがやったからそれは正しいとか、だれがやったからこれはいけないとか、こういうものでは私はないんだろうと。OBが引っ張ったらいいけれども、現職を押し出したら悪いとかいうようなことではないんだ。まして政務三役という大変重要な立場にいらっしゃる方は、よもやそういうことはなさらないとは思いますけれども、そういう方も、もちろんイの一番にそういうことを十分気をつけていかなければいけない。

 私は、こういう立て方をしなければいけないんだろうという意味で、先日の本会議の答弁、OBや政務三役は何だか別のような聞こえ方をする答弁をいただいたというのは大変不満でございまして、やはり本質をきちっと見きわめないとだめなんじゃないか、こう思っているんですが、再度御意見がございましたらお願いいたします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 西委員が御指摘のように、天下りのあっせんは、省庁の権限を背景に今までは官房でやっていた、それを今度は内閣に移そうが何しようが天下りには変わりはありません。

 私が先ほどから主張しているのは、じゃ、政治任用というのは一体何なのか。今回、日本郵政の場合は亀井大臣が、この人事は大変な人事だったと私は思うんです。と申しますのも、よく官から来た方だけをお話しされていますけれども、亀井大臣は一切御自身のことを言いわけされませんが、どれほど多くの民間の方々が、いわゆる民間の経営の皆さんも、日本郵政を立て直すために自分たちも協力しようと経済界のトップの方々もお二人以上また入っておられる。そういう中で、西委員が御指摘のように、政務三役も、その役所の背景、役所の論理を背負った人を、また役所の権限をそのままその再就職先で行使するなんということは絶対あってはならないことでございますので、そこはまさに政治が責任を持って任用し、その結果についても政治が責任を負うということが大事だと思います。

 私は、もう一方で、ポリティカルアポインティーの議論をさらに深めていただきたい、このように考えておるところでございます。

西委員 時間がたってしまいますので、この議論は、きょうのところはこれまでとさせていただきたいと思います。

 続いて、これも本会議でお伺いしたことなんですが、日本郵政の社長人事の件でございます。

 まず、会社法及び日本郵政の定款に基づいて、役員に欠員が出た、今回では社長が辞任されたということが欠員になったんだと思うんですが、この場合の選任の手続というものについて御説明をいただきたいと思います。

原口国務大臣 齋藤社長の選任のプロセスについてでございますが、今回の日本郵政の取締役の選任は、先ほど申し上げました会社法第三百四条の規定に基づいて、日本郵政株式会社の株主総会において、唯一の株主である国が株主総会の目的である取締役の選任に対して議案を提出したものでございます。

 また、日本郵政株式会社定款第九条、これは株主総会の招集です、この招集について、十月二十八日の取締役会によって、取締役の選任を目的とした株主総会を招集するということ及び招集権者を西岡会長に変更するということが決議されておりまして、これを受けて西岡会長が株主総会を招集したものです。

 今回の欠員の場合の選任の経緯は、まず十月十三日に亀井大臣が西川前社長と会談をされて、今後の見直しの方針を立てられ、二十日に閣議決定、その夕刻、今おっしゃるように西川前社長が辞任を表明されるということを受けて、指名委員会がさまざまな御判断をされて、二十八日の取締役会、それから臨時株主総会に至ったものでございます。

 ここのところは非常に大事なプロセスでございますので、しっかりと国会の方に開示をし、御報告を申し上げたいと思いますので、御理解をよろしくお願いいたします。

西委員 大臣からしっかりと詳細開示をするということですので、まずはそこに期待をしたいと思うんですが、先ほど指名委員会がさまざまなプロセスを経てというふうにおっしゃったように思うんですが、ここのところが全く、今のところ私どもには不明確、見えておりません。

 これが開かれたのか。私は、多分開かれないでそのままになっているのではないかという疑念を強く持っているんですが、これはそれこそ、そのときのプロセスをきちっと開示していただかないと結論は出ない問題でございますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

原口国務大臣 そこは大事な御指摘で、私たちからも積極的に申し上げたいと思います。

 今、十月十三日と、二十日の閣議決定、それから二十日の西川前社長の辞任表明までは申し上げましたが、まさに西委員の御指摘、これはとても大事です。

 奥田委員長は、指名委員会の委員長でございますが、定足数要件を確保できないために指名委員会は開催できないと御判断をされました。そして、指名委員会五名中四名、つまり、西川さん、この方は辞意を表明されているわけですけれども、高木さん、そして牛尾氏、丹羽氏が欠席を奥田委員長に表明されて、これでは指名委員会は開催できないなと御判断をされたというふうに伺っています。

 そして、その結果、先ほどのプロセスを経て、翌十時の定例取締役会で新取締役を選任することを議題とされたということでございまして、しっかりとしたデュープロセスを経るように私たちの方からも見守っておりましたし、そのような報告を受けているところでございます。

西委員 これは新聞の情報ですので、それ以上のものではないと私は思いますが、例えば、丹羽宇一郎日本郵政前社外取締役の発言として、今回の人事は株式会社組織のガバナンスを無視しているという不満を述べられたという記事もございます。だから、そういうところからすると、会社法にのっとったいわゆる指名委員会というものが本当に健全に通過したのかどうか。これは大変大事なことでして、ここのところがまさしく会社としての立場、あり方というものを強く規定している部分ではないかというふうに私は思います。

 今回の、この日本郵政は、一人株主、全額国が持っているわけですから、財務大臣が唯一の株主と言ってもいいのではないかと思うんですが、そこの部分との整合性をきちっと明確にされるようにぜひとも原口大臣の御協力をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 後ほど亀井大臣、あるいは大塚副大臣も御発言があると思いますが、まさにそこですね。

 私、丹羽委員長が何とおっしゃっているか、それは存じ上げません。地域主権の関係ではいろいろお会いしていますが、郵政の関係で私のところに何かおっしゃってきたという事実はございませんで、その新聞報道をもとに総務大臣がここであれこれとコメントする立場にはございませんが、私たちは亀井大臣を中心に、そして奥田委員長は、非常によく配慮をした、奥田委員長はまさに日本を代表する大きな会社の社長でもあられまして、さまざまなプロセスについてもしっかりと踏んでいただいているということを確認しているところでございます。

 私で言い尽くせないところは、亀井大臣、大塚副大臣にお願いをしたいと思います。

亀井国務大臣 委員からいろいろ御指摘でございますけれども、閣議決定という形で郵政事業を抜本的に見直しをするという状況の中で、西川社長がみずから社長の職を引きたいという意思を私のところに表明されました後、きちっとした手続にのっとってすべてが行われた、このように私は確信をいたしております。

西委員 会社法の第三百四十六条には、「役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。」つまり、やめたからといって、次の人が来られるまではその立場というのは保有しているんだよという規定がございます。

 西川前社長やおやめになった指名委員会のメンバーというのは、そういう意味では、おやめになったとはいえ、指名委員としての立場は次の指名委員が決まるまでは保持されている、こういうふうに読めるのではないかと思うんですが、その権限が無視されたと私は見えるんですが、このことについてはどういう理由なのかということをお伺いしたいと思います。

 国が一〇〇%保有をしているこの日本郵政株式会社は、特殊な会社でございます。そんな意味では、私は、この人事ということについては、疑念のないように徹底的なプロセスを踏んで、そしてだれから見ても正しいと検証される、そういうものでなければいけない、こういう思いで質問をさせていただきますが、御答弁をお願いいたします。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。両大臣の御答弁と若干重複する部分がございますが、整理して申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど来、会社法三百四条のお話が出ておりますが、もう一つ、四百四条という規定がございまして、四百四条は、指名委員会がその議案の内容を決定できるということになっております。

 ただ、この指名委員会につきましては、原口大臣が先ほどおっしゃいましたように、まず、定足数に満たないという物理的な制約を奥田委員長は御認識されました。

 それに加えまして、もう一つ、議案の内容といたしまして、新しい社長を指名することに関しまして、これは唯一の株主である政府が次にどのような方を社長として選任したいかという事実上の意思を表明していることを重んじられ、委員長、議長のお立場である奥田さんが指名委員会の開催をしないということを決定されたということでございます。

 その上で、おっしゃるように、次の取締役の皆さんが決まるまで権能を有する旧取締役の皆さんが、成規の手続を経て取締役会の開催を決め、その決まりました取締役会で株主総会の開催を決め、その株主総会においては、三百四条の規定に基づいて、株主である国が人事を提案し、議決をされたということでございます。

 これがすべての手続の全貌でございますので、これ以上でもこれ以下でもなく、会社法の成規の規定にのっとって粛々と行われたというふうに認識をしております。

西委員 皆さん御欠席ということなんですが、実はそこの部分が非常に……。その理由もわかりませんし、本当に最大限の努力をされたのか。欠席と言われれば欠席なんでしょうけれども、開催ができなかったということがこの問題を非常に複雑にしているように私には見えて仕方がありません。この問題は、これで終わらせていただきます。

 それに関連して、亀井郵政担当大臣はこの議案を提出する権利は特にお持ちじゃないと思うんです、株主は財務大臣ですから。そういう意味では、亀井大臣が、この人がいいですよ、こういうふうにあっせんをされたのかなと。あっせんという言葉を悪くとるわけじゃないんですが、こういうふうにされたのかなというふうに思います。正確に言うと、亀井大臣があっせんをされて、提案をして、そして、日本郵政で開かれた臨時株主総会の議決で選任された、こういうことではないかと思います。

 以前に大臣が、齋藤次郎氏を政府が株主として責任を持って選任しという答弁が残っているんですが、政府が選任したわけではなくて、郵政株式会社が臨時の株主総会の議決で選任をしたというのが正しかろうと思うんですが、大臣の御認識はいかがでございましょうか。

亀井国務大臣 私は、財務大臣から委任を受けまして株主として出席をして、その権限を行使したわけでございます。

西委員 それはそれで結構かと思います。最終的には、日本郵政株式会社が次期社長を選任したと。一番短く質問すると、そういうことでよろしいんでしょうか。大臣が選任をしたんでしょうか。

大塚副大臣 補足をさせていただきます。

 日本郵政の唯一の株主である政府が郵政の株主として選任をしたということでございますので、今申し上げたくだりの、政府がという以外の部分が捨象されて表現をされておりますが、意味はそういうことでございますので、委員の御指摘のとおりでございます。

西委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 時間が迫ってまいりました。

 最後に、今回のこの凍結法案のことに関連してですが、私どもは、ユニバーサルサービスの確保、民間との公平性の確保、そして、国民負担のない独立採算制の確保という観点で民営化した日本郵政を見直す議論については、これは大いに行うべきであろうと思っております。何もそのことを否定するつもりもございません。

 日本郵政の株式の売却益は、郵便局ネットワークを維持するために社会・地域貢献基金として充てられることになっております。今の法律ではそうなっております。ユニバーサルサービスを提供するコストはだれが負担するのか、政府はまだそこまでの議論には至っていないと私は見ているんですが、郵政をめぐる経営環境は非常に厳しいものがございます。先日の本会議でも、民主党議員からも、独立採算を維持するためには経営の自由度も認められなければならないという質問もございました。毎年赤字が積み重なり、これが累積した場合、税金の投入など国民負担の問題が避けられなくなるという事態も考えられないわけではございません。

 郵政の将来像や国民負担が発生するのかどうかを明確に示されていない段階で、これでは法案の十分な審議ができないということを先日の本会議でも主張させていただきました。通常国会で、郵政改革法案など十分な材料が提供された状態でこの問題については決着をする問題ではなかろうかというふうに申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 郵政民営化凍結法案について質問をいたします。

 利用者のサービスを低下させて、また、国民共有の財産を食い物にしてきた郵政民営化を根本から見直すことが必要であり、郵政株式売却の停止は当然のことであります。

 そこで、この法案ですけれども、株式売却の停止と同時に、かんぽの宿やメルパルクなどの資産の売却の停止も行うという中身になっております。そこで亀井大臣にお伺いいたしますけれども、かんぽの宿やメルパルクの資産売却を凍結する理由は何なのか、その点についてお答えいただけますでしょうか。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、抜本的な見直しを遂行していくためには、やはり資産を凍結するという措置をとっていく必要があると思います。

 残念ながらかんぽの宿を含めてそうしたものの処分というのが極めて不自然、不適切な形でやられてきておるという状況も踏まえて、こちらをきっちり措置した上で改革に取り組んでいきたい、このように考えております。

塩川委員 御答弁にありましたように、抜本的見直しのためには資産の凍結が必要だ、この間のかんぽの宿をめぐるような処分が不自然、不適切であったのではないか、こういうことでございました。

 そういう点でかんぽの宿やメルパルクの資産売却には多くの疑惑がありました。この委員会でも随分この問題で質疑が行われてきたところであり、その点では原口大臣もその先頭に立ってこられたわけでございます。今回の法改正は、やはりこういう疑惑の解明と一体であってこそ意味があると考えております。

 原口大臣は、日本郵政の保養宿泊施設かんぽの宿の一括売却問題で、民主党、社民党、国民新党の三党の疑惑追及プロジェクトチームの座長としても追及の先頭に立ってきた議員でございました。さらに、五月の十五日には、原口議員を初めとした三党の有志の議員の方が、かんぽの宿などの施設を不当に安い価格で売却して会社に損害を与えるおそれがあったとして、西川社長らを特別背任未遂などの容疑で東京地検に刑事告発されておられます。こういうお立場で疑惑の解明を進めてこられた。

 そういう方々が今回新しい政権を担うということになったわけですけれども、新政権になってから、この立場でかんぽの宿を初めとした資産売却をめぐってどのような真相解明を行ってこられたのか、その点について原口大臣にお尋ねします。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 塩川委員も、まさにその先頭に立って疑惑の追及をされてこられました。この立場になりまして、まさに監督をする立場でございますから、私たちが野党時代に要求をしていたさまざまな資料をまずは開示するようにということで指示をしたところでございます。

 大きなところから言うと、これは福田筆頭も随分この委員会で、あるいは塩川委員もお話しになりましたけれども、そもそもこの民営化に至るプロセス、そのプロセスにおいて十九回アメリカのさまざまな主体と当時の竹中氏が会談を持った、その中身については、これは増田総務大臣でしたが、すべて開示をしますということでしたけれども、いつだれとやったかということは黒塗りで開示をされましたけれども、その中身についてはもうなくなっているということでございました。なくなっていると。文書の保存期間がまだ過ぎてもいないのに、なくなっているなんということはないということで再調査を指示したところでございます。

 それから、かんぽの宿等の売却の問題で言うと、そもそも、塩川委員、簡易生命保険法の百一条には加入者福祉施設となっておりまして、この三項において、「第一項の施設に要する費用は、公社の負担とする。ただし、その一部は、公社の定めるところにより当該施設の利用者の負担とすることができる。」、こう定めてあったにもかかわらず、いつの間にか赤字ということにすりかえられて、そして、塩川委員が先頭に立って追及をしてくださったような不透明な売却に至る。この売却に至る経緯がわからないんです。この売却に至る経緯をしっかりと文書で開示するように、そして納得のいく説明ができるように、ここのところに今中心を移しております。

 また、この以外でもカードの問題もございました。あるいはJPエクスプレス、ここについては先ほど重野委員に御答弁させていただきましたけれども、なぜこんなに早急に決める必要があったのか、その資料がないんです。

 本当にこんなことでいいのか。さらに私たちは開示と説明を強く求めて、この総括なくして新郵政が国民の郵政事業における権利を保障できるということを自信を持って総務大臣の立場としては言えない、そう考えておりますので、また御協力をよろしくお願いいたします。

塩川委員 こういう取り組みを一歩一歩ぜひ進めていただきたいと思うんです。

 そういう点でも、これは、私も本会議で質問もいたしましたし、原口大臣も記者会見の中でこういうかんぽの宿の問題などについて疑惑を解明するチームをつくるというお話がございました。かんぽの宿を初めとした疑惑解明の特別調査チーム、こういうものを立ち上げるというお考えはございますか。

原口国務大臣 これは先ほど亀井大臣もしっかりと追及をしていくというお話をされましたけれども、そもそも、総務省は日本郵政に対して業務改善命令も出しています、それから、それについての改善計画をまさに検証する立場にあります。省を挙げてこの分野についてのことをあいまいにしない、そういう決意を持っているところでございまして、特定のチームにするかどうかはまだこれからの判断でございますけれども、私たち自身の、総務省自身のコンプライアンスも問われていることだ、大変重要な御指摘である、このように考えております。

塩川委員 そういう点では、郵政民営化の総括ということに当たりまして、新たな利権についてのさまざまな疑念があるわけですから、そういうことについてきちっと整理もし精査もする、そういうチームをぜひ立ち上げていただきたいと考えております。

 そういう点でも、この間のいろいろな疑惑についてもう一歩踏み込んだ対応という点で、再調査、改めて資料の要求をされておられるということですが、現段階で、例えばかんぽの宿の問題ですとかクレジットカードの話も一言ございました、また、旧郵政公社時代の三回にわたるバルク売却の問題についても、これも多くの疑問のあるところであったわけであります。こういった一連の問題について、改めて郵政会社に対して報告徴求を求めるとか、こういう総務省としての権限も活用した対応というもののお考えはございますか。

原口国務大臣 これは前政権におきましても、今委員がおっしゃるような報告徴求をしているわけです。しかし、ここでも、それこそ委員が追及してくださったように、肝心かなめのところに行くとその書類がないということになるわけです。

 この委員会で明らかになったのは、まさにオリックスの関連会社でございましたけれども、そこに、決定をした人が、その決定書の中にいわゆるアンパイアの人間がその先の企業に行くということも明らかになりましたが、なぜそこに至るかという書類がないんですよ。ないということは、普通の会社じゃあり得ないんです。あり得ないから、もう一回捜してくださいと。

 新体制になりました。新しい齋藤社長は、まさに今までの総ざらいをする、そして、これは総ざらいだけに力をかけているわけにもいきません、しっかりとした総括を早急に行って、未来に開く、亀井大臣がよくおっしゃるように国民の負託にちゃんとこたえられるような体制に新しい社長の体制のもとでなるものだと思っておりますが、今の委員の御指摘を踏まえてさらに精査を続けていきたいというふうに考えております。

塩川委員 郵政改革基本法を来年の通常国会に出されるということでございますので、当然それに向けて、今の日本郵政の現状がどうなっているのか、このことを国民的に明らかにするというのがいわば抜本的な改革を行う前提として必要だ。そういう点でも、必要な調査をしっかりやっていただいて、国民の前にそれを明らかにしていただきたいということを改めて要望するものであります。

 次に、郵政民営化によるサービス低下の検証の問題についてお尋ねをいたします。

 十月二十日の閣議決定、郵政改革の基本方針で、「郵政事業の抜本的見直しについては、国民生活の確保及び地域社会の活性化等のため、日本郵政グループ各社等のサービスと経営の実態を精査する」とありますが、この各社のサービスの実態を精査するという中身がどんなものかということについてお示しいただけるでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 十月二十日の閣議決定において、郵政事業の抜本的な見直しに当たっては、今委員が御指摘のように、「日本郵政グループ各社等のサービスと経営の実態を精査する」としたものでございます。

 この中身は、今、日本郵政グループを監督する総務省としては、現在、民営化前後における、前後ですね、前後における経営の状況、サービスの改廃等、それから日本郵政グループから財務データ、例えば承継計画がありました、その承継計画とどれぐらい乖離しているのか。コンビニもできますわ、国際ロジスティックもできますわ、そんな話が、バラ色のことが出てきました。しかし、一体それはどうなったのか。

 そして、郵便局ネットワークというのは、言うまでもなく、局会社は、委員御案内のようにゆうちょ銀行等の手数料で成り立っています。この手数料が先ほど御指摘にあったような低下する状況になると、ネットワークそのものも維持できない。いわゆるサステーナビリティーがどこまであるのかということについても精査をしているところでございまして、しかるべき精査が終わりますれば、ヒアリングを今実施しているところでございますが、可及的速やかにこの委員会、国会に御報告をさせていただきたい、このように考えております。

塩川委員 郵政民営化を見直すに当たって、基本方針でも書かれていますように、国民の権利としてネットワークを利用しようということでございますので、国民、利用者の立場からこの現状がどうなのかということをしっかりと把握することが必要だ。そういう点で、民営化によって利用者サービスがどのように低下をしたのか、そこの実態調査をぜひともやっていただきたいと思うんですが、そういう調査をぜひこの機にということで要望したいんですが、いかがですか。

原口国務大臣 全くおっしゃるとおりです。

 ですから、私たちは、郵政事業における国民の権利を保障する。これは今ようやっと人口に膾炙するような言葉になりましたが、塩川委員御案内のとおり、金融社会権。つまり、広くあまねく等しく多くの人たちがみずからの決済機能を保障される。こういったこともとても大事でございまして、この分社化ありきの民営化によってサービスがよくなったところがどこがあるのか。むしろ逆で、遠くなった、地域においては集配局もなくなった、今までのサービスができなくなった、そういうお声をたくさんちょうだいしておるところでございまして、まさに委員がおっしゃるように、国民の視点からの検証、見直しを行ってまいりたい、このように考えております。

塩川委員 そういう利用者サービスという点では、今金融社会権というお話がございましたように、全国で金融決済機能を利用することができる、そういう場をしっかりと保障する。そういう窓口サービス、そこには当然のことながら、郵貯に限らず保険や郵便の事業の仕事、そういう窓口サービスをしっかりと保障するということ。

 と同時に、郵便事業において、この間の集配局の統廃合がございました、そのために遅配の問題ですとかさまざまな不便が生まれています。

 そういった窓口サービスと郵便事業の両面からしっかりとした調査を行っていただきたいと思いますが、そういうお考えでよろしいですね。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりです。

 郵政民営化の委員会で、あれは我が党の安住委員だったと思いますが、「あすなろ村の惨劇」という紙芝居を出しました。あのとき、それをごらんになった国民の皆さんは、まさかこんなことにまでという思いがあったと思います。逆に言うと、当時の与党の皆さんは、郵政民営化ってこんなにバラ色なんだという紙芝居をおつくりになりました。しかし、現実は、今塩川委員がおっしゃったように、地域からさまざまなサービスが奪われているわけです。公の、まさに地域のよすがであったものがなくなっている。

 このことを、単に金融事業だけではなくて、三事業全体で検証をしてまいりたい、郵便事業についても当然のことながら検証してまいりたい、このように考えています。

塩川委員 新たな利権の疑惑の問題と同時に、国民サービスの低下という現状を浮き彫りにするということが郵政の改革を行う上での国民的な合意を図る上でも極めて重要な作業になってくると思いますので、そういう調査内容についてもしっかりと国民の前に明らかにしていただいて、国民的な議論を促すというところにつなげていただきたいと考えております。

 最後に、分社化についての問題でお尋ねしたいんですが。

 これは、毎年末に政府の中で税制についてのさまざまな要望のやりとりがございます。総務省からは、二〇〇五年から、ゆうちょ銀行と郵便保険会社かんぽ生命が郵便局会社に業務委託をする際に支払う手数料に係る消費税の非課税措置の創設を要求しております。

 そもそも、消費税の課税が行われるというのは、郵便局会社とゆうちょ銀行、かんぽ生命が別会社になっているからであるわけですけれども、こういうのを考えても、改めて四分社化を見直して、ゆうちょ銀行、郵便保険会社を含めた一社体制にするということがこういう消費税の課税をなくすことを含めて合理的なあり方ではないかと考えていますが、その点についてはいかがでしょうか。

亀井国務大臣 今、委員御指摘のように、もう極めて明らかに業務が非効率になっていく。いろいろなサービス面においてもがたがたになっていくということをわかっておりながらとあえて私は申し上げているんですが、わかっておりながらそれを強行してしまった。その今の現実を、先ほど来いろいろ議論されておりますが、現実をしっかりと検証した上で今後の事業展開について検討をしていくべきだ、このように考えておりますので、今後の事業展開につきましては、税制その他を含めて、この点を抜本的に我々としては取り組んでまいりたい、このように考えています。

塩川委員 新たな姿については今後ということでございますので、私たち、本会議でもお話ししましたし、基本方針のあり方についての提案も持っております、ぜひそういった議論を重ねる中で、国民サービスをしっかりと保持し、利権などには無縁な体制につくっていくという郵政改革に取り組んでいきたいと考えています。国民サービスを後退させ、新たな利権を生み出さないという、そういう改革に向けてまずは郵政民営化を凍結するということは当然だということを改めて申し上げます。

 同時に、今回の審議の過程については一言ございます。

 今回の会期延長の理由は、与党側からは、郵政民営化の凍結法案を成立させるということで、現に閣法として三本残されておりましたが、実際、延長になってから審議を行うのはこの郵政民営化の凍結法案一つ。そういう点でも、私は、延長までして審議をするというのであれば、十分な審議時間を保証することが当たり前だ。それにもかかわらず、きょうの運営を見ましても、きょうの朝、提案理由説明が行われ、質疑が行われ、そして採決。そして、緊急上程まで行う。こういう審議日程になっているというのは極めて重大なやり方であり、こういうことについてあってはならないということを強く申し上げなければなりません。

 この総務委員会におきましては、そもそも、本来は大臣などの所信に基づいてその質疑を行う、大臣所信の質疑の機会も現時点までないまま法案のみを優先して審議をしてきた。そういう過程においても、法案そのものについて私どもはこれを同意するものではございますが、しかし、こういう委員会運営、審議の過程については同意できないということについて厳しく指摘をし、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤でございます。

 この郵政株式凍結法案の審議によって、いわゆる歴史的な郵政巻き戻しが始まったと言えると思います。その第一歩となるのがこの法案の審議になりますが、今回のこの衆議院総務委員会では、わずか二時間余りの委員会質疑で衆議院を通過させよう、こういう審議日程になっております。大変性急で、私たちとしても遺憾に感じざるを得ません。そのことをまず冒頭に申し上げたいと思います。

 まず、質疑に先立って、そもそも郵政民営化がなぜ行われたかを踏まえる必要があると思います。

 かつては、財投が郵貯から借り入れするときに通常より高い金利を払っておりました。それが、二〇〇一年ですけれども、資金運用部への預託が廃止をされて、何もしなくても高い利ざやを稼げる、こういう構造がなくなって、みずから資金運用をして収益を稼ぎ出す必要が出てきたわけであります。

 しかしながら、今は政府が一〇〇%出資をしておりますので、リスクの高い投資もなかなか難しい。現に、郵便貯金の資金は八割が国債で運用されているわけであります。国債での運用で利ざやを稼げるのは今までの低金利時代だったからこそ可能なことでありまして、今後、金利上昇の局面になったときに、低利の国債運用では逆ざやとなってしまうことは必定です。そうなりましたら、郵政事業の人件費一兆円、この赤字を恒常的に垂れ流す、こういう赤字構造になっていってしまう。

 こうしたことを防ぐためにも、民営化を行って、ゆうちょが一人前の銀行となって、貸出業務を含めて事業の多角化をしていかないと、将来、ゆうちょ、かんぽは破綻をしてしまう。これは目に見えたことだと言わざるを得ません。それをしないまま、かつ郵便局ネットワークを維持しようとすれば、その選択肢は税金投入、国費の投入しかないわけであります。結局、今回の郵政事業見直しというのは、口ではどう言っても、帰着するところは郵政の再国有化の第一歩だと言わざるを得ません。

 しかも、郵政事業の高コスト体質の温存につながりかねない動きがあるように見受けられます。いわゆるファミリー法人の問題です。

 私の手元に、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会の最終報告書があります。これは、郵政三事業の在り方について考える懇談会の委員を務めた、民営化にもかかわった東洋大学教授の松原聡さんが委員長を務め、ファミリー法人の整理、見直しを行ったものであります。ここで言うファミリー法人とは、子会社や関連会社、関連公益法人に加えて、郵政公社取引額が年間三千万以上に上り、売上高に占める割合が五割を超える企業、全部合わせると二百十九社に上ります。

 このパネルをごらんいただきたいと思いますが、二百十九社の中には、郵便輸送の会社、あるいはメルパルクやかんぽの宿の運営にかかわる法人のほか、郵便局の制服を納める会社や年賀はがきの印刷を行う会社、金庫やコピーを郵便局に納入する会社、こういうことを挙げていたら切りがないですけれども、こういうファミリー企業が随意契約などで郵政公社からの契約を受け続けてきたわけです。

 ファミリー法人と二百十九社の取引額は一千五百億円、そこに郵政省や公社から天下っている役員が四百人、そして職員が千六百人であります。道路公団でさえファミリー企業というのは七十社と言われておりましたが、二百十九社。とんでもない天下りファミリー企業のネットワークが形成されてきたわけであります。ここにメスを入れて整理、見直しを進めようというのがこの松原委員会の報告書であったわけです。

 衆議院選挙が終わって、郵政グループの人事の見直しが進みました。齋藤次郎社長、そして坂副社長、足立副社長、私たちから言わせれば官僚の天下り、わたりそのもののとんでもない人事だというふうに思っておりますが、しかし、それだけではなく、政府の郵政改革推進室長に清水英雄さんを起用するという人事がありました。

 手元に共同通信の記事がありますのでそのまま読み上げますが、民営化抵抗勢力が郵政改革推進室長にということが書いてあります。総務省出身の清水氏は小泉政権の二〇〇四年に郵政行政局長についたが、郵政民営化に抵抗したとみなされ〇五年に政策統括官に事実上降格された、抵抗勢力とされた元総務省幹部の復権で、小泉元総理や竹中元総務相が敷いた民営化路線からの転換が一段と鮮明になった、こういうふうに書かれております。

 この清水英雄さんの直前の役職はゆうちょ財団の理事長、かつての財団法人郵便貯金振興会で、いわゆる今申し上げたファミリー法人の代表格。

 一方、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会委員長としてファミリー法人の整理、見直しを取りまとめた松原聡さんは、郵便事業会社の社外取締役をこのほど退任させられております。先日、我が党の勉強会に松原聡さんに直接来ていただいて話を聞きましたけれども、十一月十七日に坂副社長に呼ばれて、お察しでしょうかということで退任を求められて、わずか三日後の取締役会で退任をさせられたということでありました。

 ファミリー法人の整理に尽力をした功労者の松原聡さんを首にして、ファミリー法人のいわば親玉を郵政改革推進室長に据える。人事はメッセージといいますけれども、これほどわかりやすいメッセージもないのではないかと思います。

 先ほど出てまいりましたように、郵便輸送を担うファミリー企業を整理統合して日通のペリカン便と合併をしようとしたJPエクスプレスは、総務省の認可を得られない中、巨額の赤字が続いているということで、既に事業の見直しに入っているということです。この報告書に基づいて行われようとしてきたファミリー法人の整理、統合、見直しの動きの逆戻しが始まっているというふうにも見受けられます。

 その中でお伺いをいたしますけれども、今申し上げた郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会の最終報告書のとおりに今後もファミリー法人の整理を進めていくのかどうか、お伺いしたいと思います。

大塚副大臣 今委員が御指摘になりました報告書は、私もここに持っております。

 二〇〇七年十一月六日、松原さんが委員長でおまとめになった内容でございますが、しかし、これらの法人については、郵便の運送を実際に担っている企業と、まさしく業務に密接に関連した、なくてはならないものもございますので、こうした法人の取り扱いについては、今後、新しい郵政の経営体制のもとで的確に御判断をされていくものというふうに思います。

 なお、今委員からはるる御意見を拝聴いたしましたが、今回の郵政改革において私どもが最も重視をしておりますのは、この郵政という社会的インフラが国民の皆さんの生活やあるいは利便性に資するということが最大のポイントだというふうに思っております。

 しかし同時に、御指摘になりましたような、仮に天下りというような実態があるとすれば、それも是正をしていかなくてはならないというふうには思っております。もっとも、だからといって、この二年間行われたような特定の企業グループの私物化に資するようなことを許すわけにもいかない。

 これらのさまざまな点を留意しながら新経営陣が新しい経営内容を考えていくと同時に、政府としても、唯一の株主として的確な判断を示していくことになるということをぜひ御理解賜りたいと思います。

原口国務大臣 大塚副大臣が答えたとおりですけれども、官から民に、官から市場に、もともと民主党が言ってきたことなんですよ。

 市場というのはエクイティー、つまり平等でなければいけない。その平等性が壊れているんじゃないか。一部に、まさにかんぽの宿のあの払い渡しに象徴されるように、市場がゆがめばそれこそが大問題だ。

 もう一つ、今国債の話をされましたが、官から民にというのであれば、なぜ国債が八〇%もゆうちょ銀行で保有されているんでしょうか。これこそ重大な問題なのではないでしょうか。地域からお金を集めてそれを中央の公債、国債で使っている。まさに財投で改革しなければいけなかった、そのことそのものの構造を郵政に移しただけじゃないですか。

 そこを変えようということでございますので、私たちは、あらゆる聖域なく、小泉・竹中改革は間違いであったと思っているわけですから、市場をゆがめない、しっかりとした公正な改革を亀井大臣を先頭に進めてまいりたい、このように考えております。

柿澤委員 この構造を見直していく、その一環としてこのファミリー企業の問題があったわけでありますので、ぜひ鋭意進めていただきたいと同時に、私たちも注視をしていきたいと思います。

 以上です。

近藤委員長 逢坂誠二君。

逢坂委員 動議を提出いたします。

 ただいま議題となっております本案に対する質疑は終局されんことを望みます。

近藤委員長 ただいまの逢坂誠二君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。西博義君。

西委員 私は、公明党を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対しまして、反対の立場で討論いたします。

 日本郵政の株式の売却益は、郵便局ネットワークを維持するために、社会・地域貢献基金として充てられることとなっています。日本郵政をめぐる経営環境は非常に厳しいものがあります。赤字が積み重なり累積してきた場合、日本郵政を存続させるために、税金の投入など国民負担の問題も避けて通れなくなる可能性もあります。ユニバーサルサービスを提供するコストをだれが負担するのか、政府が明確に示さないことは大きな問題であります。

 また、現行法では、ゆうちょ銀行やかんぽ生命は、それぞれ銀行法や保険業法の対象とするなど、民間との公平な競争を制度的に担保しました。国民負担を避けるための経営改革を行い、同時に民間との公平な競争を確保するという民営化の基本原則について、政府も配慮すると答弁しています。しかし、現行制度にかわって、民間との公平な競争を確保するための具体的な制度もしくは政策が提示されておりません。公平な競争を大きく阻害し、経済活動をゆがめる可能性が出てきております。

 郵政の将来像がどのようになるのか、また、国民負担が発生するのかどうかなど、重要な事項が明確ではありません。株式等の処分をどうするかという問題は、次期通常国会で郵政改革法案など十分な材料が提供された中で議論すべきであり、本法案は撤回すべきであります。

 今回の郵政改革は、政治主導のもとに、手続を無視した強引な手法で進められています。日本郵政の社長人事についても、会社法や定款を無視して行われ、政府が安易に民間企業に介入するなど、企業ガバナンスの面からも大きな禍根を残しました。また、民主党が批判してきた天下りやわたりについても、詭弁を弄するばかりか、政務三役などは対象外として政官癒着を認める姿勢をあらわにし、天下りやわたり問題は大きく後退しました。極めて問題であります。

 さらに、手続無視の強引な手法は国会の運営にもあらわれています。中小企業等金融円滑化法案をめぐる強行採決や、そのどさくさの中で決められた総務委員会の日程など、本会議でも厳しく注意したところであります。ところが、昨日の午前中までは国会延長の話もなかったのに、急に当法案の処理だけを行うために国会を四日間だけ延長するなど、またもや無謀な国会運営に走り出しました。

 今、日本経済は円高、デフレ、株安など三重苦とも言える課題に直面しています。デフレや円高を克服する処方せんを一日も早く国民に示し、国会でしっかり議論することが重要です。私どもは、国会会期の大幅な延長が必要と考え、与党側に対し、一つ、党首討論、二つ、日米首脳会談などに関する政府報告、質疑、三つ、予算委員会での集中審議の実施を要求してまいりました。

 実質的に意味のない日本郵政の株式売却処分停止法案を審議するのであれば、年を越せるようしっかりと景気対策を議論し、必要な手を打っていくことこそが今優先すべき課題だと強く申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより採決に入ります。

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.