衆議院

メインへスキップ



第1号 平成22年1月25日(月曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十二年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 近藤 昭一君

   理事 逢坂 誠二君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      稲見 哲男君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    佐藤  勉君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      山口 俊一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

平成二十二年一月二十五日(月曜日)

    午後三時四十分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 逢坂 誠二君

   理事 奥田  建君 理事 黄川田 徹君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 石田 真敏君 理事 大野 功統君

   理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      小里 泰弘君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十八日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     渡辺 喜美君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  渡辺 喜美君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     渡辺 喜美君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     小里 泰弘君

  渡辺 喜美君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     佐藤  勉君

  柿澤 未途君     渡辺 喜美君

同日

 理事逢坂誠二君同日理事辞任につき、その補欠として稲見哲男君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月十八日

 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

同月二十二日

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事逢坂誠二君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に稲見哲男君を指名いたします。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、内閣提出、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。原口総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口国務大臣 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げます。

 今回の補正予算により平成二十一年度分の地方交付税が二兆九千五百十四億七千五百万円減少することになりますが、地方財政の状況等にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。このため、平成二十一年度分の地方交付税の総額の特例として、二兆九千五百十四億七千五百万円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて地方交付税の総額に加算することとしております。

 また、この加算額のうち一兆四千七百五十七億三千七百五十万円に相当する額について、平成二十八年度から平成四十二年度までの各年度における地方交付税の総額から九百八十三億八千二百五十万円をそれぞれ減額することとしております。

 以上が、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。

 よろしくお願いいたします。

近藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 本日は、質問の機会を与えていただきありがとうございます。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案、内容については委員の先生方も御案内のとおりでありまして、国税五税の減額補正に伴う地方交付税総額の減少について、国の一般会計からの加算により全額補てんをするというものであります。

 したがって、本法案が成立をしなければ、交付団体である地方公共団体については、昨年十一月ごろだったと思いますけれども、既に配分を終えている、まあ、自治体からすればもう受け取っている交付税を返還しなければならなくなるということで、地方の財政が立ち行かなくなることは明らかであります。

 全く同趣旨の法案を自公連立政権時代にも、昨年も提出し、成立させたと承知しておりますので、特段内容について異論はないところであります。

 原口大臣、特に答弁は要りませんけれども、念のため、この法案については、補てん額を返還するのにかける年数の違いといったものを除けば、自公連立政権時代に行われていたものと全く同趣旨ということでよろしいですね。うなずいておられますので、そういう前提でお話をいたします。

 それであれば、論点はそこの年数の違いぐらいしかないわけでございまして、昨年の場合には五年間ということで交付税の加算額から引いていくという制度だったと思います。ことしつくるものについては十五年ということで、大臣に伺っておきたいのは、五年で加算額から引いていくといったものについて地方公共団体の財政が耐えられるのか。あわせて、来年以降税収の見通しが違ってきた場合に同じような方針で臨まれるのか。自治体の財政がもつのかといったような点も含めて、今後の方針、それから五年の加算額から引くことについての取り扱い。お考えがあれば伺いたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 本年度の交付税減の補てん措置のうちの地方負担分の精算については、年度間の負担の平準化を図ろうと考えているわけです。各年度の法定加算額等の範囲内となる精算期間となるよう、平成二十八年度から十五年間で精算する。

 これは昨年もこの場で御議論があったと思いますが、果たして五年という形で大丈夫なのか。やはり、自治体財政は、今財政力が弱ければ弱いほど厳しい。そういう中で、今回交付税を埋め、そして来年度予算、これはまだこの後御審議をいただく予定でございますが、十一年ぶりに概算要求ベースで一・一兆円増額をするといったことも地方財政の現状の厳しさにかんがみてのことでございますので、ぜひ委員におかれましては御理解をいただきたいというふうに思います。

赤澤委員 もう少し具体的にお答えいただきたかったんですけれども、五年で加算額から返還をさせるというあたりについての自治体の負担といったようなことについて、これについては見直す方向は今のところ考えておられないということでよろしいんですか。それとあわせて、来年度以降もこういった形でやっていくのかというあたりについてのお考えをもう一度伺いたいと思います。

小川大臣政務官 少し実務的な観点でございますので、補足をさせていただきたいと思います。

 そもそも交付税の原資につきましては国税五税の一定割合というのが基本額でございますが、過去、国税との精算分などを含めまして、それぞれの年度に法定の加算額というものがございます。(赤澤委員「その辺はわかっていますので」と呼ぶ)はい。

 その加算額の範囲内で財政運営をやっていくためには、今回御審議をいただくこの一兆四千億余りについては二十八年度から十五年間でという形でお願いをするものでございまして、来年度以降も万一こういった事態が想像される場合には、十分な補てん措置を御審議をお願いしていくということになろうかと思います。

赤澤委員 なかなかかみ合わないところがあるのでありますが、五年間、昨年決めた五年で加算額から引いて返していくというものについては、自治体の過度の負担になっていくようなことはないのか、見直しによってはないのかということを聞きたかったのと、あとは、きちっと補てんをするのはいいんですけれども、結局、要するに補てんをしたものは加算額から引かれていくわけでありますから……。

原口国務大臣 済みません、逆の方に理解をしていまして。何でそんなことを言われるのかなと思いました。

 委員のおっしゃるとおり、これは見直す予定でございまして、自治体の過度の負担にならないように配慮をしていきたい、こう考えています。

赤澤委員 その方針で、自治体の負担が重たいということであれば検討しなきゃいけないことはあると思うんですけれども、短期間のうちに、今変更して極めて不安定なものとなっている交付税の特会の借入金の償還計画というものがさらに不安定化するという懸念もあると思うので、その辺については、全体として本当に自治体の負担が過度にならないということを前提に、よく御検討をいただきたいということを申し上げておきます。

 ようやくかみ合って答えが聞けたので、次に行きます。

 念のため確認させていただきましたけれども、法案の趣旨というのは自公連立政権時代と変わらぬということでありまして、これについては賛成であるということを重ねて申し上げます。

 その上で、一点指摘させていただくとすれば、本法案による補てんを景気対策に含めてカウントをされているということでありますけれども、言うまでもなく、昨年十一月ごろにもう配分を終えているものでありまして、いわば自治体では先食いをしている。新たな景気押し上げ効果というのはほとんど期待できないんじゃないか、こういうふうに考えます。

 七・二兆円の第二次補正予算ということで今宣伝をされているわけでありますけれども、本日審議中の法案で手当てをする三兆円については、もう既に先食いしているもので効果がほとんどないということであれば、少なくともこの部分は経済効果をほとんど期待できないものであって、張り子のトラと言えなくもないということだと思います。この三兆円を除いた残り四・二兆円の効果が一体どれだけあるのかが問われなければならないというところでありまして、正直なところ、現下の厳しい経済情勢に照らせば甚だ力不足かなという感を強く持っております。

 政府は、景気は持ち直してきたといったような見解をお持ちのようでありますけれども、国民の実感、特に地方や中小企業関係者の実感とは大きく異なっているということであります。今の政府の大きな問題点、欠陥の一つである現状認識の甘さというものの弊害がここにも出ているなと痛感をする次第であります。年度を越せるか、ぎりぎりの瀬戸際で頑張っている中小企業の関係者にとっては、少しでも景気がよくなるよう政府の対応に期待するところが極めて大きい。

 そんな中で、特に問題なのが、これはもう予算委員会、金曜日に出ていた話だと思いますけれども、第二次補正ですね、あすの安心のための緊急経済対策と銘打っておられますけれども、内閣府が公表したその経済効果は、実質GDP比ベースによれば、二十一年度については、第一次補正の見直しの効果、あの執行停止の効果がマイナス〇・二%ということであります。これから打つ第二次補正の効果はプラス〇・一%。差し引き〇・一%のマイナスという信じられない数字が出てきております。つまり、年度末に向けて、この一番厳しい時期に今の政府は景気についてマイナスになる対応をしてしまったということであります。そうでしょう。

 自公連立政権が策定をした第一次補正の見直しをしなければ、今年度の景気の押し上げ効果というのは〇・一%大きかったということになりますから、見直さなきゃよかったんじゃないのという評価は当然出てくるところだろうと思います。

 そこで、これについては原口大臣に特に通告はしておりませんけれども、大臣も御出席の予算委員会で先週の金曜日に議論された問題でありまして、原口大臣にもぜひ弁明の機会を差し上げたいと思います。

 何よりも即効性が求められる緊急経済対策の効果が、初年度、特にこの一番厳しい年度末に、自公連立政権時代と比べてマイナスの状態に置かれる、こういう事態を今の政府がつくり出された点について、あるいはつくり出そうとしている点について、閣僚のお一人としてどのようにお考えになりますか。

原口国務大臣 赤澤議員がおっしゃっている、いわゆるデフレギャップを私たちは財政出動で埋められるのか、あるいは、一次補正の中でおつくりいただいたもの、この中身を見ると、例えば箱物があって、その後の後年度の維持費まで考えるとそれは無理だな、こういうものを削らせていただいているわけです。

 大野議員はまさに財政の専門家でいらっしゃいますけれども、私たちも、財政の自由度が高いのであれば、デフレギャップの三十五兆円をできるだけ財政でも埋めたい。しかし一方で、マーケットといえば、これはストックマーケットだけじゃないんですね。ボンドマーケットもある。ボンドマーケットの動きも、長期金利の動きも見きわめながら、私たちは財政を考えてきたわけです。

 現に、一九九〇年代の終わり、あのころ財政のアウトルックをお示しいただきましたけれども、そのころからすると、今は税収は幾らになっていなきゃいけないか。今は九十二兆になっていなきゃいけないんです。その九十二兆になっていなきゃいけないものが、今三十六兆しかない。その中でのぎりぎりの選択だということを御理解いただきたいのが一つ。

 それからもう一つは、この中身を組み替えることによりまして、私たちは昨年の末に原口ビジョンというのを出させていただきましたが、光の道をつくり、協働教育を行い、そして質的に予算を変換することによって経済を立て直していきたい、より筋肉質のものにつくりかえていきたいと思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 今の御説明を聞くと、いろいろと立派なことをおっしゃったように聞こえるわけでありますけれども、景気対策の規模の点で、そしてまた繰り返しになりますけれども、国民は今本当に苦しんでいるわけであります。

 そんな中で、政治と金の問題を覆い隠すためか、とにもかくにもあれだけ麻生政権のときに秋の臨時国会に補正予算を出さなかったことを批判しておられた民主党の皆様が、この厳しい景気の中、昨秋の臨時国会には補正予算を出さなかった。しかも、一月になって、そのような批判を受けて麻生政権の場合は一月五日から国会を開いたんですが、十八日まで開かなかった。それで出てきたものは本当にツーリトルであって、加えて、自公連立政権時代と比べればマイナス効果だ。こんなことでありますから、私は、これについては国民は本当に腹を立てる、当たり前のことだろうと思っています。

 そこについての御説明は、私は今あったようにはとても思えないので、そこについては本当は今からでも考え直していただきたい。自公連立政権時代の第一次補正をそのままやった方が効果が大きかったじゃないかというふうに思うものでございます。

 あと、さらに言えば、先ほどもちょっと触れた問題なんですが、そもそも今回の三兆円の補てんを景気対策に含めるということは望ましいのかどうかという議論もあり得る。国民の皆様にとって非常にわかりづらい。少々粗い表現を用いれば、張り子のトラをカウントして景気対策を大きく見せる、粉飾決算まがいというような評価もあり得るというふうに考えます。この点については大臣はどのようにお考えになりますか。

原口国務大臣 赤澤委員、それは少し言い過ぎだと思いますよ。

 問題は、要するに何で三・〇兆円も地方交付税の補てん措置をしなきゃいけないか。これは、税収見積もりが違っているからなんです。毎回これだけ税収見積もりが違っていて、もしこの三・〇兆円を埋めなかったとしたら地域の経済はどうなるんでしょうか。本来は、地方というのは財政の予見性、つまりこれぐらいやれば何とかなるんだと。経済、去年の今ごろの株価というのは八千円台ですよ、今は一万一千円まで乗っているんです。そして、その中で懸命に政治を変えたいと。

 私は、やはり一番地方の経済を苦しめたのは、赤澤委員も御案内のとおり、三位一体の改革だと思います。今回、交付税についてはふやす、それから、市町村、小さな財政規模のところにより配慮をした。こういうことをやろうとしているのも、三位一体改革で崩れてしまった地方の安心をかち取ろうと。私もそこに去年まで座らせていただいていて、皆さんで考えたのは交付税の復元だったわけです。そのこともあわせて考えていただければありがたいというふうに思っています。

赤澤委員 今おっしゃった交付税の復元について、一・一兆円手当てをされた、これは原口大臣が努力をされたことで、自治体にとっては大変ありがたいことでしょう。私はそこを評価しないと言っているわけじゃないんです。

 ただ、今巧みに議論をすりかえられたのは、その三兆円を七・二兆円の中に含めて考えるのがいいのか、どう思われるんですか、そこは誤解を招きませんか、新たな経済効果はほとんどないじゃないですかという話をしているのであって、この三兆円を埋めなきゃどうなるかというのは全く問題のすりかえだと私は思っております。

原口国務大臣 これは去年の議論のときも、赤澤委員、それは立場が違うけれども、与党の大臣がここで議論をなさったと思います。大臣だから与党に決まっているんだけれども。

 それは何かといえば、地方の安心なんです。地方財政計画で決めたことについては、中央政府がみずからの責任においてしっかりとやりますよと。こういう意思を示しているわけで、なかったことから議論をスタートされるというのは、私は少し行き過ぎじゃないかなというふうに思っています。

赤澤委員 なかなかかみ合わないところでありますけれども、私は、少なくとも安心をしてもらうために経済効果がないものを景気対策の数字の中に含めていいとはとても思えないので、この点についてはこれ以上やってもまともな答えが返ってくるようには思えないので、次の問題に移らせていただきたいと思いますが、その点については検討をいただければ大変ありがたいことだ、少なくとも国民から見てわかりやすい景気対策の、経済効果の積み上げということになるんじゃないか、このように考える次第でございます。

 次にお話をさせていただきたいのは、私は、今総務省の政務三役の皆様、そして、たまたま逢坂委員も座っておられますけれども、地域主権担当の首相補佐官の適格性についての疑義が生じているというふうに思っております。この点について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、原口総務大臣についてお尋ねをいたします。

 去る十九日、閣議後の記者会見で、民主党の小沢幹事長の資金管理団体陸山会の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件に関するテレビ報道に関して、情報源の扱い方について批判をされたというふうに報道されております。

 報道によれば、大臣は、関係者によるとという報道は検察の関係者なのか被疑者の関係者なのかわからない、少なくともそこは明確にしなければ、電波という公共のものを使ってやるにしては不適だと不満を示されたとされております。さらに、発信源は、被疑者が逮捕されて検察側と弁護側しかない場合には、それ以外あり得ない、どっちかという態度をはっきりさせる姿勢は大事だとも強調したとされております。その後、この大臣の発言について、当然のことでありますけれども、報道規制だという趣旨の批判が沸き上がると、二十一日になって、取材源を明かせと言ったわけではないという趣旨の釈明をされたということも報道されております。

 私は、もともと原口大臣はバランス感覚のあるタイプだというふうに思っておりますが、このたびの一連の経緯を見ていると、正直なところ、不安になってまいります。頻繁に発言がぶれる鳩山総理が、小沢幹事長に闘ってくださいと言っておきながら、批判が起こると、検察と闘ってくれと言ったわけではないと釈明して修正発言を繰り返すという姿とどうも二重写しに見えてくるといったところがあるわけであります。

 余談ですが、鳩山総理はその後さらに発言のぶれのパターンをふやされまして、石川容疑者が起訴されないことを望むと発言をして一夜で撤回するという、いわゆる撤回パターンも登場しております。こういった修正や撤回などの食言パターンが現政権の閣僚の通弊になりつつあるんじゃないかと心から心配をしております。

 原口大臣のこの御発言については、先週金曜日の予算委員会においても、公明党の井上義久議員が質問されております。井上議員が少なくとも二回にわたり明確に発言の撤回を求めたのに対して、大臣は応じられませんでした。さすがは原口大臣、御自身の発言には自信を持っておられると感服をいたしますけれども、一方で潔くないという評価もございます。

 そこでお尋ねをいたします。

 不用意な発言をして釈明に追われるという総理のパターンを原口大臣までまねすることは決してないと思うのでありますけれども、大臣の発言は不適切なものではなかったのでしょうか。要職にある人間は誤解されるような発言をすべきではないという観点も含めて、お答えを賜りたいと思います。

原口国務大臣 赤澤委員、ありがとうございます。

 私たちにはこの総務委員会で、言論の自由、報道の自由、表現の自由を守ってきた、私にも自負がございますし、私は、今、言論のとりでということで御議論をいただいて、それはなぜかというと、戦争に向かうときに言論を権力の側が抑えて言葉が発せられない、これが大変危ないと思ってそういうフォーラムをつくって今議論をさせていただいています。

 赤澤議員がバランスということを言っていただいたのは大変ありがたくて、ぜひ会見議事録をお読みになっていただきたい。お読みになればおわかりになりますが、この総務委員会でも、私は特定の事案について答えたことは一切ありません。一般論としてお話をしました。

 そして、そのときの質問はこういうことです。クロスメディア規制についてです、クロスオーナーシップ。もう赤澤委員に改めて言う必要はないですけれども、一つの資本が放送も新聞も全部持って一色になる、そして、検察リークをもとに一方的な議論をし、人権が奪われ、国民の知る権利が保障されないということについて大臣としてどう考えるかということでありました。それについての答えは一つです。それは不適であると。

 私たちは、放送の自由、報道の自由を守るとともに、国民の知る権利を守らなきゃいけない、その責務を持っています。ですから、質問にあったように、意図的に大きな資本が一色になって、それを国民に一方的に流すということは、まさに推定無罪の原則を侵すものであり、そこで名指しをされた人たちを傷つけるものであり、ひいては国民の安全な環境において情報を得る権利を侵すものだ、そういうことを申し上げたわけで、私は報道の内容に今まで一回も介入したことはありませんし、これからも介入する気はありませんので、ぜひ御理解をいただきたい。

 私は自分の言葉を変えたことはございません。

赤澤委員 なかなかわかりづらいところであります。

 検察の関係者なのか、あるいは被疑者の関係者なのか、少なくともそこは明確にしなければ、電波という公共のものを使ってやるにしては不適だというふうに私は考えています、こういうことです。

 また、二十二日の閣議後の会見で、大臣はこういうこともおっしゃっております。今回の件について、感謝されこそすれ、非難されるいわれはないとおっしゃっていまして、報道の方たちの受けとめとは全く別でありますし、ここからですけれども、一部が切り取られ、誤解を受けるような発言というのは絶対に避けなきゃいけないと思っていますが、というのも御発言になっております。

 まさに絶対避けなきゃいけない、一部が切り取られて誤解を受けるような発言というのはされているわけでありまして、御自身が言ったこの言葉に照らしても、今回の言葉は不適当だったというふうになるんじゃないでしょうか。民放連の会長も、何でこの時期にそんなことを言わなきゃいけないんだと。とにかく大臣の趣旨が違っていたというのであれば、大いに誤解をされるような発言をまさにされております。いかがでしょうか。

原口国務大臣 赤澤議員もその議事録をごらんになればおわかりになると思いますが、マスコミの皆さんが、クロスオーナーシップについてどう考えるのか、その危険についてどう考えるのかということでお尋ねになったわけであります。

 私は、切り取りとおっしゃいますけれども、個別の案件についてお話をしたわけではなくて、赤澤委員も、アメリカやイギリスやあるいは多くの国々のまさに基準というものを御存じだと思います。基準は何か。日本の放送の自主基準、これを私は尊重するものでありますけれども、それは何かといえば、まさに情報源について原則開示をするということが多くのところで求められているわけです。他の国については、もっと厳しい、何とかの内部情報、あるいは何とかの所属を明示した上でのまさに報道になっているわけですね。そういうことを申し上げたわけで、何も違ったことを申し上げたわけではない。

 ぜひ全体を見れば、今は切り取りにくくなっています。私が申し上げたことはまさにクロスオーナーシップの話で、クロスオーナーシップで一方的に情報が流されることについて、では認めろというのかと。そんなことを認めていたら国民の知る権利はまさに侵害されてしまう、私はそのように考えているわけでございまして、赤澤委員も私と同じ立場だと思います。

 国民の自由な環境において、安全な環境において知る権利をしっかりと保障していく、これが私たちの務めではないでしょうか。

赤澤委員 なかなか議論がかみ合わないように感じるのでありますが、私は一つ申し上げたいのは、クロスオーナーシップが問題だというのは、それは分けて考えるべきだと思いますよ。

 というのは、誤解を招かない発言をすることが絶対必要だと御自身はおっしゃっているわけですから、クロスオーナーシップについてどういう手だてを講じるのか、問題が生じるときにどうするのか、それを言えばいいのであって、クロスオーナーシップの報道機関が情報源を明かさないことは許されないなんという言い方をするから、報道の自由に介入しているようにとられるんですよ。

 やはり大臣のおっしゃり方自体が不適切で、報道の自由の問題とクロスオーナーシップの問題は分けて考えて、クロスオーナーシップの話をされているんだったら、それについての対策についてきちっと御議論されればいいじゃないですか。わざわざ誤解されるような発言をして、誤解する方が悪い、感謝されこそすれ、非難されるいわれはないというのは、これは原口大臣のおっしゃることではないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

原口国務大臣 赤澤委員はそのときの記者会見の議事録をお持ちですよね。記者がお聞きになったのは、クロスオーナーシップで、特に一部の公的機関からの意図的なリークによって人権侵害が起こることについてどう考えるかということだったんです。

 それは二つありますよ。クロスオーナーシップを禁止するということ、それからもう一つは、さまざまな情報を流すときにはその情報の所属についてできる限り明示をする、この二つが大事だと。一方的なリークによってそれを流すことは公共の電波ということになじまないということを申し上げたので、何も矛盾することはないと思います。

赤澤委員 公権力、すなわち政治や行政は、報道機関が自主的に判断して良識ある報道を心がけるのに任せるというのが、私は報道の自由の譲れない一線だと思っています。おっしゃるように、クロスオーナーシップを禁止する、そっちの方の議論は、それはされたらいいと思いますけれども、今の話を聞いていると、何かクロスオーナーシップといったようなものが今あって、現にそこが情報源を発信しないのは問題だとおっしゃっているように聞こえるんですね。報道の自由の問題とはやはり違うでしょう。

 そこで、大臣、一つお尋ねをします。

 原口大臣は、現在の民放が情報の発信源を明示するという基本を守っているとお考えですか。

 この辺は、予算委員会の井上議員の質問に対して、今おっしゃったことを、わざわざ民放の報道指針まで持ち出して話をされたんですね。予算委員会の場に民放の報道指針まで持ち込まれて、ここに情報の発信源を明示することは基本であると書いてあると答弁された。その後、アメリカ、韓国、ドイツの例を挙げながら延々と、情報源は明らかにされるべきと。

 大臣の立場にある人が情報源を明らかにしろということをこれだけ繰り返すというのは、私は異例であると思いますし、もうそれだけで十分に報道の自由についての懸念を生じると私は思いますけれども、わざわざ予算委員会の審議の場に民放の報道指針を持ち込まれたわけですから、何かよほどおっしゃりたかったんだと思う。その関係でお尋ねをしているんです。

 原口大臣は、現在の民放が情報の発信源を明示する基本を守っているとお考えですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 それは、BPOや自主的な規制機関でみずからがお考えになることだと思います。

 私が聞かれたのは、ある限定して、クロスオーナーシップで全部言論が一色になって、そして、まさに有無を言わせず、推定無罪の原則も反論の機会も、またはさまざまな国民の知る機会も奪われる、このことについて大臣としてどう思うかというのが御質問だったわけです。

 それは、そういうことはあってはなりませんねと。私たちは、検察がリークをしているなんというのは思ってもいないし、まさに仮定の質問について、そういう仮定はあってはならないということを申し上げたわけでございます。よく御理解ください。

赤澤委員 今の話を聞けば聞くほど、クロスオーナーシップを禁止すればいいんですよ。クロスオーナーシップがあった場合には、報道機関の方が情報源を明らかにすることで、それを規制していくというか、軌道修正していくみたいな話は全く目的と手段がずれているのであって、報道の自由がそんなことで侵害されたらかなわぬと私は率直に言って思います。

 加えて、お答えがない、原口大臣は現在の民放が情報の発信源を明示する基本を守っていると考えていますかとお尋ねしているんです。そこに答えてください。具体的な話ですよ。

原口国務大臣 まさにそれは先ほどお答えをしたとおり、民放自身がみずからを律し、みずからをチェックする機関をお持ちですから、そこはそこで御判断をいただくことだというふうに考えております。

赤澤委員 それは、もう本当に大臣の行動としてわかりづらいです。予算委員会に民放の報道指針を持ち出して情報の発信源は明示することが基本であるということを連呼されて、外国の例も引かれて、それについては民放の御判断だというような話というのは、大臣が一体予算委員会で何が言いたかったのかというのが本当にわからないです。

 これは、今委員会の場で言われていたその行動から見れば、現在の民放が情報の発信源を明示する基本を守っていると大臣は本当に考えているんですか。

原口国務大臣 赤澤委員に再度お答えしますが、それは御自身が御判断なさることです。私がその場で言ったのは、原則は開示だと。

 それは、私たちには国民の知る権利……。赤澤委員も、消費者基本法、これは私と御党の岸田委員と公明党の大口委員の三人が起草者になって、全会一致でつくっていただいた法律です。これはどういうものになっているかというと、消費者の知る権利や健全な環境において情報を得る権利、あるいはさまざまなアドボケートする権利、そういったものをしっかりと踏まえた上で、中央政府、地方政府がどのようにそれを保障するかという法律なんですね。とすると、まさにここで言う消費者というのは国民であります。国民の皆さんがみずからの情報の取捨選択を自由にできる、そのためにはどうするのかと。

 そして、御質問は、全部資本で一色になって、有無を言わせぬ報道があった場合、それについてどう考えるかということでしたから、それはあってはならないということを言ったわけです。(発言する者あり)あり得ないと石田議員がおっしゃいますけれども、私もそのとき、そういうことはあり得ないけれども、あってはならないことだということを申し上げているんです。ぜひ御理解ください。

赤澤委員 それではちょっと質問を変えようかと思いますけれども、民放の皆様が自分たちで考えることだ、こういうお話であります。ということであれば、民放の皆様の御判断に基づいて関係者によるとという報道を今後も繰り返すことについては、大臣は問題がないという理解を今示されたということでよろしいですか。私は、それであれば、何か先日の御発言を修正されたように見えるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

原口国務大臣 個々の報道の内容について私が申し上げることはございません。

赤澤委員 関係者によるとという報道について、まあ、構わないと。事実上訂正されたのかなというふうに私自身も感じるところでありますけれども、それについても、私が一つ感じるのは、何でこの時期にそのたぐいの発言をされなきゃいけなかったのかということについての疑問というのは、やはり最後まで残るものであります。

 私自身は、いずれにしても、報道の自由を守ることが絶対的に求められる放送行政の責任者でありますし、監督権限もお持ちでありますから、総務大臣の職についておられる限り、このたびのような誤解をされる発言は厳に慎まれるべき、これは御自身でもおっしゃっていることなので、私はそのように思いますけれども、いかがでしょうか。

原口国務大臣 赤澤議員にお答えいたします。

 私は、報道の自由、放送の自由、表現の自由、これを守るために、まさにとりでの議論をさせていただいています。さまざまな、故大平総理の言葉を私もホームページに載せています。権力にある者は、司法あるいは放送機関、表現、そういったものに極めて自制的であるべきだ、こう考えて活動を行ってまいりました。そして、なお御理解をいただきたいのは、私たちはその自由を守るとともに、国民の知る権利、国民の健全な状況の中で判断をする権利、これを守るのも私たちの仕事だというふうに考えています。

 例えば、これは一般論ですけれども、どこのだれが言ったのかわからないことを垂れ流していけば、そこには国民が選択をするすべを、あるいは確かな柱を失ってしまう、このことだけは申し上げておきたいと思います。

 赤澤委員がおっしゃっていることと私が考えていることは、そんなに違わないというふうに思うんです。赤澤委員は、そんなだれが言ったのかわからないことをばんばん垂れ流していい、国民はそれで踊らされていいなんということをおっしゃりたいわけじゃない。私もそう考えております。

赤澤委員 一般論の話に大臣も逃げ込まれたので、それについてはまた別の観点から伺っていきたいと思います。

 今回の大臣の発言について、私は二つの点で問題があると思っています。なので、もう一つの観点からお尋ねをしたいんです。

 今まで聞いてきたのは、総務大臣がどうも報道規制ととられるような、報道の自由への政治介入ととられるようなことはやってはいけないのではないか、そういう意味で今回は誤解が生じたのではないですかという問題でありますけれども、今度もう一つ聞きたいのは、介入をする中身にかかわることかもしれませんけれども、大臣の物の考え方は必ずしも公正中立とは言えないのではないかと私が感じる点です。関係者によるとという報道は、何も小沢幹事長についてだけ行われてきたわけではありません。自民党の議員の政治と金の問題などに関する報道でも極めて頻繁に行われてきております。

 例えば、最近では、昨年の西松建設、二階議員についての報道、古くは八年前の元秘書の脱税容疑に関する加藤議員の報道、これもしかりであります。関係者によるとという報道は何年も前からちまたにあふれているわけでありますけれども、今回原口大臣がこのタイミングで声を上げられたという話を聞いて、私からすれば非常に不思議に思うわけです。今回まで関係者によるとという問題について原口大臣が声を上げられたという話は、私は寡聞にして知りません。

 原口大臣に率直にお尋ねしたいのは、過去の自民党議員に関するこれらの報道について不満を抱かれることはありましたか。

原口国務大臣 赤澤委員にお答えいたします。

 それは私は何回もありました。例えば、具体的な個名は申し上げませんけれども、一方的な議論があって、これは私のところに……。これはまさに一般論ですからね。一般論で申し上げるんですけれども、何年か前に、いわゆる関係者というのは、特定の捜査機関が、メディアの皆さんが勉強会をやっていました、それはある自民党の皆さんの疑惑についてでしたけれども、それは関係者と言うと。ある捜査機関がメディアに対してそれ以外のイニシャライズをすると出入り禁止をさせるんだ、結果、それ以外の情報は出させないんだと。そういうお話がその勉強会でありました。

 今はそんなことはないと私は思いますけれども、公的な機関そのものが自分に都合の悪いことを言った人たちを出入り禁止にしたり、あるいは不法なリークをする。私たちは閣議決定で、東京地検特捜部がそんなことをすることはないということを閣議決定していますから、ないと私は信じていますし、現にないと思いますけれども、仮にそんなことがあったらどうしますかという御質問ですから、それは公的な機関としてあってはならない。

 過去、自民党や他の党の皆さんについても、これは一緒に、赤澤議員、勉強会をやっていたんです。そのことは御理解ください。今回は、個別の案件について申し上げたことじゃないということもあわせて御理解をいただければというふうに思います。

赤澤委員 大臣が今お話しされたことを受けて、私も次の質問に移りたいわけでありますけれども、要は、大臣が自民党の議員の報道についても関係者によるとというようなことで不満を感じたということであれば、私からすれば、ぜひ声を上げていただきたかったと思います。

 特に、今のタイミングでお話しされたことが本当にわかりづらいのは、幹事長の事件があって、それについての報道で関係者によるとという文言が出てきて、そこである意味、党を挙げて検察の牽制をするような動きの中でおっしゃっているので非常に誤解があるし、原口大臣であれば、過去に自民党の議員がそうやってたたかれているときにも声を上げて、我々全体の問題であると言っていただいて、殊さらに権限のある今の立場では言葉を慎むというのが本当はあるべき姿ではなかったかなと率直に私は思う次第でございます。

 今回について言えば、本当にタイミングの問題があって、まさに民放連の会長がおっしゃったとおりです。なぜこのタイミングでと言われる時期に発言をされたことについては、本当に問題があった。しかも、身内びいきととられる可能性の高いものであった。その辺の御判断をきちっとされたらよかったなというふうに私は感じる次第であります。

原口国務大臣 赤澤委員、ぜひ御理解をいただきたいのは……(発言する者あり)

近藤委員長 済みません、ちょっと。赤澤委員、いいですか。答弁を求めますか。

赤澤委員 はい、どうぞ。

原口国務大臣 よかったんではないかと言われたので。質問じゃなかったら答えないんですけれども。

 やはり今この手の質問はすごく多いです、記者会見でも。それから、インターネットや多くの皆さんもクロスオーナーシップについての疑問、あるいはいわゆる検察リークと一方的な報道についての議論というのはとても多いんですね。

 これは今私が言い始めたかというと、それは違います。去年の三月も、その前も申し上げていますし、もともと、「検証 戦争責任」という、これは読売新聞がつくった本ですけれども、なぜあの六十四年前の戦争がやめられなかったのか、なぜ三年八カ月戦争をやめることができなかったか、その中でも私たちはきっちり申し上げていますので、今言ってきた話ではないということは御理解をいただきたい。

 ただ、その上で、赤澤委員がおっしゃるように、いささかも報道の中身に介入する気はありませんし、取材源を明らかにしなさいなんということを言う気は全くありません。

 ただ一方で、国民の知る権利、健全に情報を取捨選択する権利、この権利についても私はしっかりとした議論が必要であるということは変わりなく思っております。

赤澤委員 やはり私は少々わかりづらいところがあるように思います。まさによく聞かれるというのは、大臣の発言に問題があった、少なくとも大臣の言葉であれば誤解されるような発言だったということだろうと思いますし、その辺についてはやはり今後少し反省をされた方がいいのかなと私は思います。

 いずれにしても、民主党の小沢幹事長の事件についてですけれども、民主党内で、長らく説明をせずに逃げ回っていた小沢氏への批判が起きないばかりか、検察やメディアへの批判など開き直りとも受け取れる発言が繰り返されることは本当に遺憾なことだと思っております。政治と金問題を徹底追及してきた野党時代の民主党の威勢のよさは一体どこへ行ったんだというのが国民一般の受けとめ方だと確信をいたします。

 加えて、鳩山総理の、民主党は昨夏の衆議院選挙で政治と金の問題も含めて国民の信任をいただいたという趣旨の、考えられない傲慢な為政者の発言も国民の間では非常に不評であります。だからこそ支持率が下がっているんだろうなと思います。

 前原大臣などごく一部の例外を除いて、民主党内から鳩山総理や小沢幹事長に政治と金の問題について説明を求める声がほとんど上がりません。そればかりか、党を挙げての検察、マスコミ批判を民主党が展開していることに世間の批判が集まって、民主党の自浄作用が国民から厳しく問われているときでありますから、身内に甘いとか公正中立でないという印象を放送行政の権限を持つ総務大臣が持たれるようなことは厳に慎まなければならないという感じが強くいたしますけれども、この点、今後念頭に置いていただければ大変幸いでございますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 先ほど故大平総理の言葉を引用させていただきました。腹も立つこともあるだろう、口を閉ざしてほしいと思うこともあるだろう、だけれども、為政者は、特に政権にある者は、司法に対して、あるいは報道、メディアに対して非常に慎重でなければいけない。私もこの故大平総理の言葉をしっかりと胸に刻みながら行政に与えられた務めを果たしてまいりたい、このように考えております。

赤澤委員 私の言いたいことが伝わったものと信じたい、伝わったかどうかについてはちょっと疑問がありますけれども、信じたいということで、次の問題に移らせていただきたいと思います。

 総務省の政務三役の適格性という話の続きなんでありますけれども、総務大臣政務官お二人が石川知裕代議士の逮捕を考える会に参加をされたという件であります。

 報道によれば、今月十八日に、石川容疑者と同期の二期生が石川知裕代議士の逮捕を考える会を結成されたというふうに承知をしております。この中には、大臣政務官が四人、大串財務政務官、きょう来ておられます小川政務官、階政務官、それから佐々木農林水産省の大臣政務官、加えて、これもきょうおられます首相補佐官の逢坂誠二補佐官がお一人ということで、政府高官が合計五人も含まれているということであります。

 そこで、原口大臣にお伺いをいたします。

 報道によれば、逮捕を考える会は検察の……。今そこに、会の会長をしておられましたね、御答弁いただけないのが残念でありますけれども、適当にやじっていただければ大変結構であります。

 逮捕を考える会は検察の捜査手法を検証する会であると報道されていますけれども、この会に政府高官、特に総務省の大臣政務官が参加することは適切なことですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私は、同期の会であるというふうに聞いておりまして、個別の政治家、国会議員がどのようにされるかというのは、その御判断であります。これ以上の答弁はございません。

赤澤委員 大臣が選任をされた副大臣、政務官でありますから、私はもうちょっと責任を持っていただきたいなと率直に申し上げます。

 改めて申し上げるまでもなく、検察庁は法務省の一部ですね。内閣、すなわち政府の一部であります。先週木曜日、二十一日の予算委員会の質疑の中でも、千葉法務大臣は、小沢幹事長の今回の政治と金の問題についても指揮権を発動する可能性を否定はされませんでした。これは微妙に総理と食い違って、総理は指揮権は考えていないとおっしゃったんですけれども、千葉法務大臣は微妙に否定をされませんでした。

 特に現政権は、政治主導の名のもとに、政務三役が責任を持って行政を遂行すると標榜しておられるわけでありますから、小沢幹事長の事件の捜査の公正性についても千葉法務大臣が責任を持って判断して、もし捜査が不公正であれば、千葉大臣が指揮権を発動するというのが現政権の基本的な考え方に乗った筋じゃないかと私は理解をいたします。にもかかわらず、千葉法務大臣が何ら声を上げておられないにもかかわらず、同じ政府の中から高官が多数参加をして検察の捜査手法を検証する会を立ち上げる、検察の捜査を牽制するような動きを見せるということは、本当に異様なことであります。

 どうしても参加したいのであれば、政府高官の役職を辞してから参加されるのが筋ではないかと思います。(発言する者あり)それは政府高官としての立場をきちっとわきまえて行動しないとだめですよ。それは、身内びいきという行動原理を国民のためにという行動原理より優先させているということですから。筆頭、ちょっと黙っていた方がいいですよ。そこは、聞く人が聞いたら明らかにおかしいと思います。

 ということでありますので、どうしても参加したいのであれば……(発言する者あり)

近藤委員長 お静かにお願いします。お静かにお願いします。

赤澤委員 政府高官の役職を辞してから参加されるのが筋ではないかと思います。でなければ、千葉法務大臣が何ら声を上げておられない以上、明らかな閣内不一致の動き。国民から見れば極めてわかりづらい、そういう動きになると思います。

 重ねて原口大臣にお伺いをいたします。

 石川知裕代議士の逮捕を考える会のような会に、政府高官、特に総務省の大臣政務官が参加することは適切なことですか。

原口国務大臣 私には同期の会という御報告がありました。同期会に参加をするということ、それを私が自分の権限でとめるものではありませんが、もし内閣の方針と違うことをそこで決めたりあるいは行動したりということは、それは厳に慎まなければいけないと考えています。

赤澤委員 今のお話で、私は原口大臣がおっしゃったことの中にもわかりやすい点が含まれていたと思うんですよ。それは、内閣の方針ということをおっしゃったわけですけれども、少なくともその方針に沿って検察を指揮するというのは、千葉法務大臣が責任を持ってやっておられることなんですね。それについて何かしら検察の動きを牽制するような、まさにそれを検証すると呼んでいるわけでありますけれども、そんな会を立ち上げること自体、本当に異様なことでありますし、そこに政府の一員が参加することは断固おかしいことだというふうに私は思っております。

 きょう、お二人がまさにここに来ておられます。十九日には、これは個別のあれでありますので名前を挙げますけれども、読売新聞の取材に応じておられます。本日はお二人にもお話を聞かせていただきたいと思います。

 読売新聞によれば、小川政務官は、「石川議員のことが心配で名前を連ねたが、立場上、許される範囲でかかわり方を模索していく」と発言されたとのことですけれども、間違いありませんか。

小川大臣政務官 先ほど来の赤澤委員からの御指摘は、厳しく胸にとめなければならないと思いながらお聞きをしておりました。また、このような場で大臣を初め御迷惑をおかけしたことも非常に申しわけなく思っております。

 三点申し上げたいと思うんですが、赤澤委員とは、野党時代からいろいろな形で御指導いただいてまいりました。私ども、当選同期、非常に逆風下の選挙でございまして、十三名という限られた人員で、ある意味でお互いのきずなといいますか、友情が非常に強いことは事実でございます。それが一つ。

 そして、十八日の会合でございますが、石川さんの逮捕を受けて、その事実関係なり、また、直近まで石川さんとやりとりをしていた同期がいるということも耳にしておりましたので、彼の身の上を心配しながら、ひとまず、公務の合間を縫って、五分でありましたが、冒頭五分、その会議に参加をいたしました。しかし、その場に集った同期同僚諸君の思いはさまざまでございまして、何か一つの固まりとして大きな動きをしようというふうに報じられているとすれば、そこには若干の誤解があるのではないかと私は理解しております。

 最後に、特にこういう立場で職責を預かっているということもございますが、ある種の友情で結ばれていることは事実です。しかし、友情で済まされないものを私たちは抱えているわけでございまして、この点は、大臣が先ほど御答弁なさいましたように、内閣、政府の一員であることを心しながら、今後も事に当たってまいりたいと思っております。

赤澤委員 きずなとか友情とか言われましたけれども、きずなは我が党の総裁の専売特許でありますので、こちらにもきずなや友情はあるということであります。私は、今の小川政務官の話は非常にすっきりしているように感じました。少なくとも、話としては聞きやすい。先ほどから筆頭が何かやじっておられるように、友情があればおかしくないんだと言う。彼は、明らかに友情よりも国民のために優先させなきゃいけないものがあるということをおっしゃったと思います。

 加えて、私は小川政務官に一言言いたかったのは、大臣に迷惑をかけたのは申しわけないじゃなくて、政府が検察に牽制する動きをするような何か不公平なことをやるんじゃないか、こういう誤解を生じる、あるいは国民に不安を生じる、あなたが謝らなきゃいけない先は国民だと私は思っています。大臣に謝ってどうするんですか。それは中でやってください。

 加えて言えば、同期会で情報交換をしたいんだったら、それは飲み会か何かでやればいいんですよ。会を立ち上げて、また、一生懸命やじっているこわもての福田会長を迎えてそれをやれば、みんな誤解しますよ。(発言する者あり)

近藤委員長 お静かにお願いいたします。

赤澤委員 その辺が本当におかしいと思います。ということであります。(発言する者あり)どうぞどうぞ、やじって結構ですよ。

 それで、小川政務官にもう一つ伺いたかったのは、ではその発言は適切なものだったのか。要するに、逮捕を考える会に参加すること自体が立場上許される範囲を超えているものとは少しも考えなかったのかということです。

 要するに、わかりづらければもう一回言うと、「石川議員のことが心配で名前を連ねたが、立場上、許される範囲でかかわり方を模索していく」と取材に答えたとなっていますけれども、そういうことであるなら、そもそも、会に参加すること自体、立場上許される範囲を超えているとはお考えにはなりませんでしたか。

小川大臣政務官 先ほども大変的確な御指導をいただきました。国民の皆様にこういう議論が起こるような形で御迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げたいと思います。

 その上ででございますが、私自身も、こういう形で非常に大きな扱いを受けることをもっと想像すべきだったかなという反省がございます。今後は、個人的な石川さんとの友情関係、心情は別といたしまして、政治的あるいは政府の一員としての立場からどういう形で見られるのか、そのこともよくよく心したいと思っております。

 御指摘に感謝を申し上げたいと思います。

赤澤委員 小川政務官と話していると、私は、本当に大きな力には大きな責任が伴うということをどうも一番理解いただいているように感じるわけでありますが、二十日付の各紙が報じるところでは、平野官房長官が十九日の夜に、法案説明に訪れた小川政務官に対して、石川代議士の逮捕を考える会への政府関係者の出席は問題があるとして、参加しないよう注意したと報道されておりますけれども、これは事実ですか。

小川大臣政務官 国会の開会準備を進めておりました折でございましたので、今回御審議いただく法案の概要を官房長官に御説明に参りました。

 その際、時節柄といいますか、報道の直後でございましたので、よくよく気をつけるようにという指示をいただきましたので、おわびも含めて、今後は気をつけたいということを申し上げました。

赤澤委員 具体的に現時点において逮捕を考える会への参加は適切なことだとお考えなのか、これからも活動を続けられるつもりなのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。

小川大臣政務官 個人的な心情、友情関係においては同期各位と引き続き情報交換に努めたいと思っております。

 しかしながら、何か表立った、例えば検察批判、捜査機関批判ととられかねないような、あるいは誤解を与えかねないような活動については自粛したいと思っております。

赤澤委員 具体的に、会には出席をされるのですか。

小川大臣政務官 官房長官から御指示をいただいて以降、その会の名称を付していろいろな勉強会の御案内があった場合には出席を自粛しておりますし、今後も自粛をしたいと思っております。

赤澤委員 その辺は小川政務官のお答えはすっきりしておるので話を前に進めやすいのでありますが、ただいまの質疑を伺いますと、平野官房長官が注意されたことが功を奏したようにも見えるということであります。

 ただ、本当に心配が尽きないのは、一方で平野長官御自身が、民主党が設置を決めた捜査情報漏えい問題対策チームについて、一方的に検察側の情報が報道に出て不公平感を感じるところはある、あわせて、調査チームの活動が捜査に与える影響についてはない、こう発言をされた張本人であるわけです。私は、長官御自身の見識が確かなものかについて大いに疑問があると言わざるを得ない、暗たんたる状況だと思います。報道の自由について、あるいは検察の捜査の公平性について、安心とはほど遠い状況だなと言わざるを得ません。

 このような状態を評して、私はマッチポンプと言えるんじゃないかなと思うんです。見ていると、総理が闘ってくださいと言って、党内が闘う体制を整えると、冷静にということを言ったという報道がされております。そして、官房長官も不公平はあると言っておきながら、検察の動きについては控えろと。比較的ちぐはぐ。問題を自分で起こしておいて、党内がそれに呼応すると、まあまあとやっているように見えなくもありません。これ全体が本当に政権の信頼性というのを毀損していっていると私は感じるところであります。

 あわせて、せっかくですので、階政務官にもお尋ねをしたいと思います。

 読売新聞によれば、階政務官は「検察の公正中立を重んじるからこそ個人の意思で参加した。(政府の人間だからといって)なぜ批判されるかわからない」と発言をされたとのことでありますが、間違いありませんか。

階大臣政務官 赤澤委員の質問にお答えいたしたいと思います。

 今のような回答をしたのは事実でございます。

 その趣旨でございますけれども、私は、検察の立場、また政府にいる議員の立場、これは双方とも二面性があるかなと思っております。

 まず検察の立場ですが、一方で行政府、法務省の下に属する機関であるという一面がありますが、一方では司法に近いという独立性もあるわけです。その司法の独立性という点を、そちらを重視すれば、私は、政府の中にあるからといって、一体性を重視して内部批判は慎めという議論は必ずしも一〇〇%当たらないのではないか、そういう考えがあります。

 そして、もう一つの二面性ということですが、政府の中にいる議員は、政府高官であるという立場のほかに国会議員という立場もあると思います。私が今回この会に参加したのは、あくまでも国会議員の立場であります。

 それからもう一つ、検察を批判というようなお言葉でございますけれども、これはあくまで石川議員の逮捕について考えるというものでございます。なぜ考えなくてはいけないか。憲法上、憲法五十条で国会議員は不逮捕特権が保障されております。この不逮捕特権の趣旨は、議員の活動を保障すると同時に、議院の審議の自由を保障するものでございます。ですから、これは民主党とか自民党とか関係なく、一人一人の議員の問題でもあります。

 そういう観点から、私は、政府の一員としてではなく、国会議員の責務であると考えて、このような会に参加させていただきました。

赤澤委員 大変立派な演説をいただいたわけでありますけれども、その発言は適切なものでしょうか。政務官でありながら、個人の意思で参加したなどという説明が通用するとお考えのようですが、私からすれば、余りに御自身の立場をわきまえない発言だというふうに思います。

 その点について、重ねて適切な発言だったのかということをお尋ねしたいと思います。

階大臣政務官 今申し上げたとおり、二面性があるということは、一方で検察の独立性を重視するのか、あるいは政府の中の従属性を重視するのか、ここで考え方は二つに分かれると思います。それから、国会議員が政府の中に入ったときに国会議員としての権能をそのまま有するのか、それとも政府に入ったら国会議員の権能はもう行使できないと考えるべきか、ここでも議論が分かれると思います。

 その二つの論点について、二つの見解が分かれる。四通りの中でそれぞれの御判断はあるかと思いますが、私の考えは先ほど申し上げたとおりでございまして、何も私の考えが絶対唯一のものであるということを申し上げているわけではございません。いろいろな考え方がある中で、私の考えも一つの選択肢としてあり得る、そういうふうに思っております。

赤澤委員 さっきマッチポンプと言ってちょっと冷やかしちゃったわけでありますけれども、官房長官は不公平はあると言いながら、小川政務官には注意をされたようであります。

 階政務官は、小川政務官のように平野官房長官その他の政府の幹部から会への参加については特に注意とか受けておられないんでしょうか。今後とも参加されるのか、あわせてお尋ねをいたします。

階大臣政務官 官房長官ではありませんけれども、官邸の方から控えるようにというお話はいただきました。それに対して私は今のような考えを申し上げたんですけれども、最終的には官邸の御判断に従いますということでしておりまして、今現在はそういう表立った活動はしておりません。

 ただ、やはり同期の一人として、表立ったことはしませんけれども、この問題については、何らかの形で、石川さんを支援するということを何か自分の立場でできることはないかなということは模索しながら日々過ごしております。

赤澤委員 大変美しい御答弁ではあるんですが、小川政務官と話していたときほどすっきりと問題を理解した上でお答えになっている感じがしないんです。要は、陰に隠れたところで石川さんのことをどれだけ心配されようが、それは全く問題ないんですが、あなたには本当に政務官としての立場があるということをぜひわきまえていただきたいし、忘れないでいただきたいと思います。

 その点については、私はきょう総じて伺ってきたことについて言うと、総務省の政務三役が、どうも身内の捜査に関する限り、世間の大きな批判を招く捜査、マスコミ批判の活動をどんどん展開しているように今のままだと見えるということについては率直に忠告をさせていただきたい。厳に慎んでいただかないと本当に不安が募るというふうに感じるものであります。

 特に、本日お話を伺った限り、階政務官について言うと、会にはもう出られないということでよろしいんですね。

階大臣政務官 表立った活動ということではなくて、同期の中で何か情報交換をするとか、勉強をするとか、そういうところに出るのには別に支障はないかなというふうに思っております。

赤澤委員 今、会にはもう出席をしないという趣旨でおっしゃったんだろうと私は理解をいたします。

 ということで、小川政務官、そして階政務官ともに政務官としての立場を理解されて、会に出ることはしないということであれば、それはそういうことでいい。当面、軽率な行動をされたということについてはぜひ反省をしていただきたい、このように思うのであります。

 特に気になることをこの際指摘をしておけば、私から見ると、小沢幹事長との距離にきれいに反比例して、小沢事件に関する検察、マスコミ批判の強さが変化するように見えるんです。これでは民主党の政治家の皆様が単なる身びいきという行動原理を優先して動いていると言われても、反論ができないと思います。どうしても、小沢幹事長を中心に我が国の民主主義を暗くするような巨大な雲の渦が日本を覆っているように見えます。

 本日の小川政務官と階政務官の答弁の違いは、私はよい例だと思うんですね。階政務官について言えば、小沢幹事長の秘蔵っ子と言われる達増知事から、岩手の一区、選挙区を譲り受けて衆議院議員になられた。小沢幹事長との距離が極めて近い政務官の検察批判といったようなものは、小川政務官と比べても距離に反比例して強いように私には感じられるんです。そういうことは非常に残念なことだと思います。

 民主党の先生方には身内びいき以外の行動原理、もっと崇高な国民第一の行動原理で行動しているように見えるようにぜひ行動を改めていただきたいなというふうに感じます。

階大臣政務官 今の御指摘は、ちょっとバイアスがかかっているかなと思います。

 私は、石川さんの同期の一人として石川さんの逮捕の問題を考えたい。むしろ、小沢幹事長の問題に隠れて、石川さんは代議士であるにもかかわらず、小沢さんの元秘書というところだけが強調されて、石川さんの代議士としての活動が本当にこれだけ中断させられているにもかかわらず、軽く扱われているのではないか。私はあくまでも石川さんのために活動しているということですので、その点は誤解なきようお願いいたします。(発言する者あり)

赤澤委員 それは、そっくりそのままお返しします。

 石川さんについて同情する美しい友情は私は決して評価しないわけではありませんけれども、石川議員本人については、政治資金規正法上の虚偽記載を石川議員本人が認めているということは、石川議員の弁護士もメディアの取材に対して認めていることです。ということであれば、明らかに冤罪とかではあり得ないのでありまして、その辺については、やはり今のお話を聞いても、私は少々身内びいきあるいは同期びいきが過ぎると感じます。これは答えはいいです。

 身内びいきと見えるもう一例を引かせていただきたいのは、政権をとられてから、大分、本当に行動原理が変わったように私は思うんです。というのは、石川代議士は、逮捕されてから現時点におけるまでまだ離党されていません。過去、平成年間になってからざっと調べてみただけでも、逮捕されたのに離党もしていないという議員は、自由民主党においても民主党においてもいないと私は承知をしています。

 その辺について声も出ず、自民党よりそういう意味で言えば自浄作用がないんじゃないかという評価も当然成り立つところだと思いますけれども、原口大臣は閣僚として、石川議員がまだ離党されていないことについてどのように評価をされていますか。

原口国務大臣 赤澤委員にお答えいたしますが、政府の立場として、党がすることについて答えることはできません。

赤澤委員 石川知裕君の逮捕を考える会以外にも、先ほど申し上げた、捜査情報漏えい問題対策チームというのが立ち上がって、今の民主党は、もはや党を挙げて検察を牽制しようという構えに見えるという話を先ほどいたしました。

 繰り返しになりますが、鳩山総理や小沢幹事長の事件を解明するチームを民主党内に立ち上げて、国民への説明責任を果たそうという動きが全く出てこないことは不思議なことだというふうに眺めております。こんな筋違いな話ばかり、そういう動きばかりしているから、民主党については自浄作用が働かない、そればかりか、党を挙げての検察、マスコミ批判を展開していると国民から批判をされるのだというふうに思います。

 二十日付の朝日新聞が「暗い民主主義はいらない」と題する社説でこのような民主党の異様なありよう、ありさまを評して、民主党は「総選挙での圧倒的な民意の支持を、はき違えているのではないか。」とし、「小沢氏が検察を批判する際に語った「これがまかり通るなら日本の民主主義は暗澹たるものになる」という言葉は、むしろいまのような状況にこそ当てはまるのではないか。」と喝破している。そのとおりだと言わざるを得ないと私は感じるものでございます。

 総務省の政務三役が、身内の捜査に関する場合、これに限定して世間の大きな批判を招くような捜査、マスコミ批判といったことはもうこれから繰り返していただきたくない、厳に慎んでいただきたいということを重ねて申し上げます。

 質問の中で、時間があれば、実は、例のきめ細かな交付金というものの中で外形標準以外の配分ルールがあるというようなことでありますけれども、これについてもしっかりと公平な配分をやっていただくということをあわせて求めて、私の質問を終わりたいと思います。(発言する者あり)

 たくさんやじっていただいて大変ありがたいことでありましたが、どんな場合にも、政策よりも政府の政務三役の適格性の問題が先に来ると私は信じておりますので、きょうはそういう質問をさせていただきました。なかなかかみ合わないところが多かったわけでありますけれども、これからもしっかりと公平な、かつ公正な、国民のためになる、そういう行政に努めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部改正案に関連して質問をさせていただきます。

 先ほどできなかったとおっしゃっていた地域活性化・きめ細かな臨時交付金について、まず御質問申し上げていきたいと思います。

 第二次補正予算案に盛り込まれている地域支援の、地域活性化・きめ細かな臨時交付金についての質問でございますが、地方のインフラ整備を支援するために、今回、五千億円の臨時交付金が創設されております。基本的なフレームは、昨年五月に旧与党、つまり自公、私どもが経済危機対策として行った地域活性化・経済危機の臨時交付金と同じ内容でございます。

 しかしながら、五千億円のうち四千五百億円は第一次分として交付をする、残りの五百億円の内訳については、国が地方の実施計画を審査し、今回の緊急経済対策の趣旨に沿った効果の高い事業に配分する、こういうふうな仕組みのようにお伺いをしております。

 さらに、交付対象事業として五つの類型を挙げております。橋梁の補修、電線の地中化、都市部の緑化、森林の路網整備、そして五番目にその他という分類でございます。残念ながら、ソフト事業は対象にはなっておりません。また、ずっと継続しておりました、老朽化した学校などの施設の解体撤去なども対象にはならないようでございます。

 学校耐震化などを初め、地方には優先したい事業がたくさんございます。その意味で、できる限り地方の判断を尊重し、この五つの分類に偏ることなく配分をしていただきたい、このように思いますが、いかがかということと、時間の関係で、交付金の執行スケジュール、交付限度額の通知、交付の決定、それから交付金の交付などのスケジュールについてもあわせてお示しを願いたいと思います。

原口国務大臣 西議員にお答えいたします。

 今回の地域活性化は、まさに今おっしゃったような五つのメニュー以外にも使えるように、また、地方がどのようなインフラ整備を行うか、自由に事業を選定し、活用することができる。

 そして、今お話しのように、地方交付税の基準財政需要額の算定方法等に準じた外形基準に基づいて、総額五千億円のうち四千五百億円について、第一次交付限度額見込みを地方公共団体にもう通知済みでございます。残りの五百億円についても、実施計画の内容を踏まえて的確に判断をしていきたいと思います。第二次交付限度額を提示後、速やかに予算を関係省へ移しかえの上、当該省において交付決定を行う、こういう段取りになっております。

 その中で特に私が強調したいのは、地方が自由に事業を選定するということ、それからもう一つは、中小企業に配慮した、まさにそういう予算の使い方をしていただきたい、この二つについて特に要請をしたところでございます。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 少々補足をさせていただきますと、今、御案内のとおり、外形基準に基づいて四千五百億円を既に内示しているところでございますが、この後、残りの五百億円につきましては、一月二十九日提出期限の実施計画案、これは各地方公共団体に作成をしていただいて一月二十九日に提出していただき、内容を踏まえて、二月の上旬ごろには第二次の交付限度額として提示することというふうに予定をしております。

 今御指摘のありました学校耐震化等につきましては、使途のうちの地方単独事業で、その他公共施設または公用施設の建設または修繕に係る事業というものも対象にしておりますので、その中で自治体によって御判断をされるべきものというふうに理解をしております。

 以上です。

西委員 ありがとうございます。

 四つの類型がかなり目立っておりますので、それ以外だとなかなか、あとの五百億は当たりにくいのかな、こういうイメージがどうしてもつきまとうものですから、もちろん目標はそれとして、いいと思いますが、柔軟な対応をお願いしたいというのが趣旨でございます。

 続いて、地方政府の自治財源権の確立について大臣にお伺いしたいと思います。

 地方にとっては、自治財源権の確立は非常に重要な課題となっております。政府の地方分権改革推進委員会は、地方政府の立法権や財政権を確立するために精力的な議論を行い、年末にも、義務づけ、枠づけの見直しなど重要な勧告を行ってまいりました。このことについては高く評価をしたいと思っております。

 同委員会は昨年十一月九日に第四次勧告を行いましたが、残念ながら、これは議論途中での勧告ということになってしまっております。地方財政に関してはどのような提言をなされるのか、大変期待をしていただけに残念な思いでいっぱいでございます。新政権において、地域主権戦略会議で再び議論が行われるように聞いておりますが、ぜひとも活発な議論を展開していただきたいと思います。

 ところで、昨年十二月十四日に提示されました、これは原口大臣の提出された内容だと思うんですが、地域主権戦略のいわゆる工程表を拝見しますと、一括交付金に関しては、平成二十二年度夏までに論点整理をする、予算化とともに関連法案を提出して二十三年度から施行していく、こういうことでプロセスが明示されておりますが、その他の地方税、地方交付税に関してはまだ余り区切りが見えておりませんで、このプロセスが明確になっておりません。

 税、交付税交付金など地方財政の全体的な姿をぜひとも示していただきたいんですが、工程表を見る限り、一括交付金化を先行せざるを得ないのかなということも考えているんですが、この辺のことについてのお考えをお伺いしたいことと、それから、地方財政の議論では、これは国ももちろんそうなんですが、消費税問題は避けて通れないというところに至っていると思っております。この点についても大臣のお考えをお願いいたします。

原口国務大臣 西委員にお答えいたします。

 この工程表は、国、地方協議の場、特に地方の皆さんにお投げかけをさせていただいて、その中でつくったものでございまして、この時点においてはまだ、十二月の中旬においては税調の議論が決定しておりませんでした。ですからその後、今、西議員がおっしゃるように、地方の自主財源の充実強化ということを私たちは積極的に議論をし、決めていったわけでございます。

 大体、三つ柱がございます。

 一つは、地方の自主財源である地方交付税を増額していく、ここでございます。例えば、交付税を単に増額するだけではなくて、市町村に厚くやっていく。また、その算定基準についても、きょう予算委員会で沖縄のお話がありましたけれども、西委員、沖縄は若い人たちが多いんですね。そして、島嶼部でございますので、ひっきょう人口密度が高い。人口密度が高くてそして若い人たちが多いと、交付税からすると、沖縄県知事のお言葉をかりると都会並みの基準になってしまう。それではいかぬということで、今、基準の見直しも含めて指示をしているところでございます。

 もう一つは、地方税に関しては、平成二十二年度税制改正大綱、これは昨年の十二月二十二日に閣議決定いたしましたが、国、地方間の税財源の配分のあり方の見直しを行うとともに、先ほど消費税というお話がありましたけれども、地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系を構築する、こういうふうにしておるところでございます。

 もうこれでおしまいにいたしますが、税調の中で最後に議論をしたのは、歳入構造、歳出構造を一体的に改革していこう、そしてこれにクロスする形で地方主権改革を行って、地域の自主性、自主財源を確保していこう、こう考えておりますので、また御指導、御協力をよろしくお願いいたします。

西委員 わかりました。

 続きまして、今回各党で大変な御尽力をいただきまして、私も若干党内では議論に参加させていただいたんですが、過疎法の改正ということが、見直しが行われております。最終的にはこの改正案を委員長提案で成立させる、こういうことで予定されております。この改正案は、平成二十八年三月末までの六年間の延長ということで、内々各党で合意が得られているところでございます。

 さて、原口総務大臣は、昨年十月二十三日、地方六団体との会合で、過疎法を数年延長し、その間に抜本的な見直しを進める考えを表明されました。そこで、きょうは大臣と、もう時間が余りありませんが、過疎法の抜本的な改正についての議論を若干させていただきたいと思います。

 過疎法は必要であるかという考え方も含めて、抜本改正についての大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 西委員にお答えいたします。

 まずその前に、ここにいらっしゃる委員の皆様、西委員を先頭に精力的に御議論をいただいて、過疎法の延長、それから中身の大きな改革に取り組んでくださっておりますことを、総務大臣としてお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、過疎法、これはやはりある一定以上の年限を地域が見渡せる、その間はしっかりと、これはずっと延長延長、議員立法で来ていただいていますから、そういう地域の予見性あるいは安定性というものが大事である、このように考えております。

 ただ、いつまでも過疎法に依存をしなきゃいけないのか。過疎そのものをなくしていくということも私たちは大きな目標にしなければいけない。カリフォルニアと同じ面積で過疎が生まれる、しかもこれだけ大きな国で過疎が生まれる、その原因は何かというと、やはり地域の創富力、富をつくる力だというふうに思います。富をつくる力を奪っているものをまずなくしていく、これも大きな、改正の中で考えていかなきゃいけないことですし、今回御議論をいただいておりますソフト事業にも積極的に使っていける、もっと柔軟に使っていける、そういったことも私たち、御議論をいただきながら、改正の中に盛り込んでいただいたものをしっかりと実施していきたい、こう考えておるところでございます。

西委員 ほとんど各党とももう固まっておりますので、そこはそれとして私どもも合意をしているところですが、今後のことも考えて、この際、この過疎法のあり方について若干の議論を進めさせていただきたいと思います。

 我が党は、過疎法に関して、新しい過疎対策のあり方をまとめさせていただきました。ポイントが四つございます。法律的に恒久化する。それから新立法ルールを適用する。これは、地域主権を推進するために、地方分権改革推進委員会勧告の義務づけ、枠づけの見直しを踏まえた新しい立法ルールを適用するということでございます。それから、地域の実情に合わせた指定をする。それからソフト事業の充実、この四つを考えさせていただきました。

 恒久化ということについてまず申し上げたいと思うんですが、既に四度、四十年にわたって制定、ずっと継続してまいりました。実質的には恒久化されている。もちろん大臣のおっしゃるように、この課題がなくなれば一番いいんですが、現実には四十年続いてまいりました。そういう意味で、党としては、くるくる方針が変わるというよりも、基本的な問題意識をきちっと押さえておくということが大事だということで恒久化を考えてまいりました。このことについてのお考えが一つ。

 また、過疎対策につきましては、地方自治体に第一義的な責任があるということはもちろんですが、一方で、自治体の財政状況、それから各種規制については国が権限を持っているということで、地方だけで対応できる問題でもございません。

 そこで、我が党は、過疎対策を国の基本施策に位置づけることを主張いたしております。具体的には、国土形成計画法の国土形成計画に定めるべき事項に過疎対策ということを一項入れてはどうか、こういう提案をいたしました。このことについても大臣の御意見を賜りたいと思います。

原口国務大臣 西委員にお答えいたします。

 先ほどお示しなさいました党の四つの柱を含め、過疎法を恒久的にという御趣旨は、やはり地域にとって安心の継続であり、そして、しっかりと中央政府そのものが過疎の地域を下支えできる、そのことの担保であるということを考えております。

 いずれにせよ、今御議論をいただいておりますところなので、恐らく期限が入っている法律をお考えだと思いますので、総務大臣としての答えはここにとどめさせていただきますが、後段、まさに過疎地域を一つの立法の中に取り入れて、そして中央政府の責務や、あるいはそこにおける恒久的な財源措置といったものをお考えいただくというのは大変大事なことではないかと思います。

 各党各会派で御議論をいただいて成案をいただければ、こう考えておるところでございます。

西委員 続きまして、ソフト事業の財源についてでございます。

 これももう既に、大臣のお言葉によると、内々各党での話が進んでおりますので、その関連にもなりますが、この財源につきましては過疎対策事業債ではなく、過疎地域総合対策交付金という形で交付すべきではないかということを私たちは提言しております。

 ところが、民主党は、交付金については全体で一括交付金化を目指すという考えが既に示されておりますが、一括交付金は使途が限定されないということが考えられるために、これはまたさまざまな、自治体自治体によっての重点的な実施というのがいい面でもあるし悪い面でもある、そういう状況が、なかなか難しいことがあるというふうに考えられます。

 税金に普通税と目的税があるように、一括交付金という普通交付金と、それからこの過疎地域総合対策交付金という、私どものつけた名前ですが、目的交付金というのがあってもいいのではないかというふうな感じがしております。

 ソフト事業の財源のあり方について御意見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 ソフト事業の財源のあり方についての御質問でございます。

 今回の議員立法の中でもお考えをいただいているというふうに承知をしておりますが、今、西委員がおっしゃるように、私たちは平成二十三年度の一括交付金化、まさにひもつき補助金をなくして、それを統合して、地域が自由にお使いいただける、自由にデザインいただける、そういうお金にしたいと考えております。

 また、今御提案のように、過疎地域に限って総合的に使える交付金といったことについても、大変傾聴に値する御議論だと思いますので、今度おつくりいただいている法律に沿ってまた研究をさせていただきたい、こう考えております。

西委員 時間が迫ってまいりました。指定地域について最後にお伺いしたいと思うんです。

 最近、市町村合併によりまして非常に大きな市町村が出てまいりました。旧来の市というか町の部分と、その周辺の地方の部分が一つになって、非常に大きな自治体がございまして、そういう意味では、今までのような市町村の単独といいますか、全域を指定するということが実質的にそぐわないような部分も実際はあらわれてきております。そこを有効に過疎対策を打っていくことの大事さというものを限られた資源の中でどういうふうにしていくかということが、ある意味ではこれから非常に大事な面ではないか、こう思っております。

 現行の指定は全体になっておりますが、それに対して私たちは、市町村全域が同様に過疎対策の対象地域となってもいいという地域と、それから市町村の一部がその地域というところと、それからさらに小さな範囲での、いわゆる集落、ここはどうしてもポイントとして重点的に対策を打たなければいけない、こんなことを考えているわけでございます。

 この一部地域、それから集落など、地域の実情に応じた指定をやっていただければ、実情に応じた重点的な対策が打てるのではないか、こう思っていますが、最後にそのことについての御意見をちょうだいしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 大事な御議論だと思います。現行過疎法は、過疎地域の指定単位として、市町村の区域単位を原則としております。なお、合併市町村では旧過疎市町村の区域を過疎地域とみなす特例、いわゆる一部過疎というものを設けておるわけでございますが、過疎集落単位で地域指定を行うべきであるという考え方も一方では成り立つのではないか。非常に広い圏域が一緒になって、全体が過疎指定されるというのは一つの考え方ですけれども、しかし、やはりその地域に特化したソフト事業なり、さまざまな支援事業というのが考えられていいのではないかと思います。

 ただ、いずれにせよ、私の立場で今言えることは、今、御議論をいただいて最終の段階に来ているということでございますので、そのことの御努力に心から感謝をささげて、見守らせていただきたいと思います。必要な政策情報はすべて出して、西委員がきょうお話しになったのとほぼ同じことを私も考えておることを申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

西委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 補正の関連の地方交付税法の質問をいたします。

 今回の法案について、私ども、国税の減収による地方交付税総額の減少分の補てんは当然であると考えます。しかしながら、その財源が問題である。補てんされる財源は国の責任で確保されなければならない。しかしながら、地方交付税の減少額の二兆九千五百十四億七千五百万円のうちの半分は、実質的には地方の負担となる。これは国の責任の放棄であり、容認できない。昨年、同様の法案が出されたときにも私どもは反対をいたしました。このことをまず冒頭に申し上げておくものであります。

 その上で、交付税制度について質問させていただきます。そういう点でも、地方を疲弊させた小泉構造改革路線の総括が求められているんだろうと思っております。特に小規模団体の地方財政措置、交付税措置に関連して質問をいたします。

 資料を配付させていただきました。

 総務省提出資料ということで、地方の一般歳出、決算ベースの削減状況ということで、平成十一年度七十九・一兆円が、平成十九年度六十六・三兆円、十二・八兆円の減額、これは財政力指数あるいは人口規模で見た表となっております。これは一昨年、当委員会でも予算委員会でも、原口大臣が当時、この二年前のときの同趣旨の資料を使って質問しておられたのを私も記憶しております。それを十九年度まで引っ張ったものとなっているわけであります。

 ごらんいただきましたように、特に市町村で見れば、小規模自治体ほど削減率が高い。全市町村が一一・六%削減に対して、五万人規模が一三・八、五千人規模ですと三二・〇%の削減ということで、小規模団体ほど大きな影響が出ているということであります。

 そこで、大臣に伺いますが、結果として、小規模自治体ほど住民サービスの水準を引き下げざるを得ない状況が生じているのではないのか、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 このグラフは塩川委員と御一緒に、野党の当時、野党の理事として政府に求めて出てきたものでございまして、まさに塩川委員がおっしゃるように、小規模自治体、特に財政力の弱い自治体に大きなしわ寄せが来ている。委員の認識と同じ認識を持っております。

塩川委員 当時、原口議員が質問した中でも、小規模団体での住民サービスの低下について、総務調査室の個別の自治体へのヒアリング調査も踏まえて、三位一体改革のもとで交付税が大幅に削減された人口四千人未満の町村においての公共サービスの後退の事例を具体的に紹介しておられました。つまり、財政力の弱い団体ほど住民サービスの水準も後退せざるを得なくなっているのではないのか、その点について改めてお聞かせいただけますか。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、小規模な市町村は事業所数等が少なく、法人住民税が歳入に占める割合も低いため、まさに、近年までの景気回復等に伴う地方税収の増加による恩恵も乏しい。その上に、今おっしゃったような三位一体改革の大きなしわ寄せになって、住民サービスそのものが危機を迎えているし、公共サービス格差が広がっている、こういう認識をいたしております。

塩川委員 公共サービスの格差、つまり、小規模団体であればあるほど住民サービスが後退せざるを得ないような状況に至っている、このことが言えるんだろうと思っています。

 そういう点で、この間、過疎法の議論もしているものですから、過疎団体の交付税措置がどうなっているのかという推移の資料を総務省の方にもつくっていただきました。この場にはちょっとお持ちしていませんけれども、比較がしやすいように、合併していない過疎自治体の十年、二十年のスパンでの交付税交付額の数字を調べてみますと、二〇〇〇年度と二〇〇七年度を比較しますと、過疎団体そのものは全体として規模が小さいわけですから、この七年間で、全体で八〇・一八%減っている。一万未満をとると七九・五%、四千人未満をとると七八%。そういう点でも、小さければ小さいほど交付税の削減が大きくなっているということが挙げられています。

 そこで、大臣に伺うんですけれども、こういった小規模自治体ほど交付税が削減をされてきている、これはなぜなのか、この点についてお答えいただけないでしょうか。

原口国務大臣 これは、先ほど幾つか申し上げた、小規模市町村の事業所数の状況と、それからもう一つは、財政力指数が低い傾向にあるために、地方交付税の歳入に占める割合が高いため、三位一体改革による交付税額の減少による影響をもろに受けているということだと思います。

 さらに加えて、小規模の市町村のコストを反映する段階補正が過度に縮減されているということでございまして、段階補正というのは人口一人当たりの行政コスト差を反映する措置でございますけれども、これが影響したものと考えております。

塩川委員 三点述べていただいた、そういう意味でも、私、この段階補正の見直しの影響というのは、これはやはり小さくないということを率直に思っております。

 この間地方団体でお話を伺って、高知県などにも伺った際にも、過去、高知県としてもこういう段階補正の見直しについてコメントを出されております。そこを見ますと、補助金の廃止、縮減とともに段階補正の縮小などが進むと、自主財源が極めて乏しい本県の市町村にはさらに厳しい影響が生じる、このように述べておられます。そういう点でも、補助金の削減とともに段階補正の見直しというのが、小規模自治体の地方交付税を大きく削減し、住民サービスの水準を引き下げる要因の一つとなっていると思っています。

 この点で、二〇〇二年から三年間、この段階補正の見直しが行われました。当時、片山大臣でございましたけれども、片山大臣が段階補正を見直す理由として何と述べていたか。

 これは〇一の骨太方針で言っていることですけれども、段階補正が小規模団体の合理化や効率化への意欲を弱めることになっている、だから見直しを図るんだという趣旨のことを述べているわけですね。片山大臣も、段階補正が小規模自治体の効率化や合理化や健全化への意欲を阻害している、もっとインセンティブを与えるような仕組みを考えたと。

 要するに、ペナルティーをかけるかのようなやり方をしているんじゃないのかという批判を私たちはしたわけですけれども、そう言うと、片山大臣は、今までの段階補正が過度に優遇だという受け取られ方をされると大変ですよ、過度の部分があるとすれば、それは実態と比べてみて過度は直した方がいいんじゃないですか、その方が段階補正は長続きしますよと地方団体の方に申し上げてきたんだということを言っているわけです。

 しかしながら、現実を見れば、こういった段階補正が小規模団体を過度に優遇した措置などではない、小規模団体における住民サービスを維持する、ナショナルミニマムを保障するための必要な措置だったのじゃないのか。このことが改めてはっきりしたんだと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 私は塩川委員と同じ認識を持っています。人口規模が小さくなればなるほど一人当たりの経費が割高となるのは当たり前で、先ほど片山元大臣のお話がありましたけれども、私は逆に、市町村の、特に小規模の市町村のコストを適正に反映させるように、来年度の交付税算定に向けて、段階補正の考え方の抜本見直しを検討させているところでございます。

塩川委員 小規模団体のコストを適正に反映した、段階補正についての抜本的な見直しということですけれども、これは具体的にどんなふうにお考えなんでしょうか。

原口国務大臣 先ほど委員がお話になりましたように、どんなに行政改革努力をしても、ここから下には下がらないという基準がありますね。そして、公共サービス基本法、これも委員とここにいらっしゃる皆様の御協力をいただいて制定することができましたけれども、公共サービスにおける国民の権利を保障するための最低の基準というものがあるはずでございまして、その基準に沿って、必要なコスト、人件費であるとか、地域の皆さんにサービスを行うためのさまざまなコストを適正に反映できる、そういうものにしていきたいと考えています。

塩川委員 そういう点では、この間、小規模団体に対する措置として、昨年度、今年度と実施をされてきた地方活性化や地域雇用創出、こういった小規模団体の財政需要を反映する交付税措置が行われてきたわけですけれども、単年度の措置でしかなかったわけでありまして、そういう点で、条件不利地域に対応した安定的な補正措置が必要じゃないかという点で、今大臣おっしゃったのはそういうことに当てはまるんでしょうか。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、これは当時の藤井財務大臣ともずっと議論をしてきましたけれども、交付税を今度一・一兆円、地方の自主財源を十一年ぶりにふやす。その中でも一番考慮すべきところは、今塩川委員がおっしゃった条件不利地域、特に小さな自治体、過疎の地域、そういったところへの目配りをしっかりやるようにという議論をしてきたところでございます。また今後、それを交付税の基準の中に反映させていきたい、こう考えています。

塩川委員 単年度での措置ではないということでよろしいわけですね。

原口国務大臣 安定的に、しっかりと地域が予見可能性ができるような、そういう交付税を目指していきたいと考えています。

塩川委員 条件不利地域の実情を踏まえた、交付税本来の財源保障、調整機能を発揮する、こういった交付税制度に戻すべきで、小規模団体に対する安定的な交付税措置を強く求めるものであります。

 次に、交付税に関連してですけれども、段階補正の見直しですが、私どもは当時、段階補正の見直しが、市町村合併に向けて小規模市町村への交付税を削減する、兵糧攻めを強化しようとするものだということで反対をいたしました。合併のためのむちに使われてきた。これに対して当時の片山大臣は、私はむちと認識していないということを繰り返して述べておられたわけですけれども、現実はどうかといえば、あめとむちを駆使するということで合併が加速をした。

 ぜひ大臣に伺いたいのは、この段階補正の見直しというのが市町村合併推進の道具とされたんじゃないのか、その点についての大臣の認識はいかがですか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 委員がおっしゃるように、あめとむち、あめの方は恐らく合併特例債だったんだと思いますね。それから、むち、これは表現がどうかと思いますけれども、やはり大変厳しい、このままだと皆さんは自分たちで今の圏域を守れませんね、だから合併する以外ありませんねと、いわゆる兵糧攻め的な部分がなかったとは私は言えないと思っています。

塩川委員 当時の全国町村会のを見ましても、段階補正の見直しというのが合併を強制するものとして反対の声を上げておられます。そういう意味でも、この段階補正の縮小が小規模自治体の切り捨てにつながり、国による合併促進のむちとなったことは明らかで、こういうことはもう繰り返さないということを改めて申し上げておくものであります。

 それと、交付税を国の政策誘導に使うようなことは間違いだ、このことを強く申し上げてきたわけで、その点でも、この段階補正というのはそういう形で使われたのだということを私たちは厳しく批判もしたわけであります。

 あわせて、この間行われてきた交付税措置との関係でいいますと、「頑張る地方応援プログラム」の問題がございます。二〇〇七年の「頑張る地方応援プログラム」については、当時、民主党としても反対をされておられます。その理由は何なのかということについてお聞かせいただけないでしょうか。

原口国務大臣 これはやはり塩川委員がおっしゃるように、地方交付税というのは地方独自の財源なんですね。民主党としたら、これを補助金化して使ってはならない、特別な政策誘導を行ってはならない。

 平成十九年度に創設された「頑張る地方応援プログラム」は、独自のプロジェクトをみずから考え、具体的な成果目標を掲げて前向きに取り組む地方公共団体に対し地方交付税措置を講ずるものというふうにされているわけでございますけれども、私は、そういったことをやるよりも、まさに地方交付税をしっかりとした安定的な地方の独自財源としてお渡しし、そして、予見可能性のある、あるいは将来において安定的な、つまり、幾ら入ってくるかわからないというようなものであってはならないし、国の政策誘導の一つの措置としてやってはならない。

 塩川委員、今回、私たちは事業仕分けの中にもあえて交付税を入れさせていただきました。それはなぜかというと、今塩川委員から御批判いただいているような、地方交付税を補助金化する、こういうことはやってはならない、こう考えておるところでございます。

塩川委員 「頑張る地方応援プログラム」は交付税に成果主義を持ち込むものだ、国が配分するもので、地方固有の財源である地方交付税を補助金に変質させるものだ、そういう点で私どもは批判をしたわけですが、この点でも当時、民主党がそういう角度での質問、本会議の反対討論で逢坂議員がこのような趣旨で述べておられたのもよく記憶をしているところでございます。

 ですから、こういった交付税を合併推進などの国の政策誘導に使うことはもう金輪際行わないということを改めてお聞かせください。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 私たちは、もう平成の大合併は一区切りしたというふうに考えています。みずからの地域がみずから御決断いただいて、多様な地方自治体のその地域における最適規模というものがあるというふうに考えておりまして、重ねて申し上げますが、地方交付税をまさに補助金化する、あるいは成果主義で行うといったことを厳に慎んでいきたいと考えております。

塩川委員 その点で、この二〇〇七年のときには新型交付税の導入も行われました。これについても小規模団体から厳しい批判の声が上がっておりますけれども、この新型交付税について今の政権でどういう対応を考えておられるのか、お聞かせください。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これも塩川委員がおっしゃるように、当時、これは小泉内閣ですけれども、抜本的な簡素化をする、予見可能性を高めるということでございましたけれども、現実に算定の簡素化に貢献したか。その面もないとは言わないけれども、むしろ、人口や面積による機械的な計算では捕捉し切れない財政需要といったことについて、それを捨象してしまえば条件不利地域は余計厳しくなるんだというふうに思いまして、こういう機械的なことはやるべきではない、こう考えているところでございます。

塩川委員 そういう点では、今後の地方税財政の制度をどうしていくのかという方向性の話がありまして、これはですから今後の議論ではありますけれども、一括交付金化と重ねて、交付税との統合も含めた新たな財政調整制度の創設という、その中身というのがよくわからない。そういう点で、この間、過疎法の議論をしている際にも与党の方からは、三年後の見直しの議論として、地域主権改革の時期の節目との関係から、期限の問題というのもお話がございました。

 そういう意味で、私たち、これはどういう方向に進むのかということについて、まさに地方団体の実情を踏まえた、何よりも住民の皆さんの福祉を保持するという自治法の立場に立った、ナショナルミニマムを保障した交付税制度というのをしっかりと維持していくことが必要だということを申し上げておくものであります。

 小泉政権以来の、交付税の本来の機能をゆがめてきた仕組みを抜本的に見直す、そういう点でも、政策誘導的な措置はもうきっぱりとやめるということを申し上げ、住民の福祉を保持する、ナショナルミニマムを保障する、自治体本来の仕事ができるような交付税制度に戻すべきだということを述べて、質問を終わります。

近藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 柿澤でございます。

 原口大臣もお戻りですので、十分間の質疑をさせていただきたいと思います。

 交付税制度についてお尋ねを申し上げます。

 来年度予算の地方交付税交付金は十七兆四千七百七十七億円ということで、九千四十四億円、一兆円近くの増ということになりました。臨時財政対策債を合わせた実質上の交付税については二十四・六兆円、一七・三%増ということで、非常に異例の増額をされたということで、大臣も大変力強い折衝をされたということだと思います。

 しかしながら、一方では財源不足も過去最高ということになっておりまして、十八兆二千二百億ということになってしまっております。そういうことを受けて、この交付税特会の持続可能性というのが、本当に大丈夫なのかなというような気持ちもしてくるわけでございます。

 交付税特会の借入金の三十三兆六千億については二〇一〇年から二六年までの十七年間で返済をするということになっているわけでございますけれども、しかし、二〇一〇年度分に当たる七千八百十二億円が返済を先送りするというような議論になってしまっております。

 こういう意味で、この地方交付税制度、またそれを支える地方交付税特別会計、本当に今後、持続可能性があるのかないのかということが非常に疑問に思われるわけですけれども、その点についてまず原口大臣の見解をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 失礼しました。柿澤委員にお答えいたします。

 それはとても大事な御議論だと思います。私たちは、今ある税財源の中でそれをどう分配するかということよりも、むしろ、予算委員会でも委員が御議論いただいていましたように、政府の規模自体を縮小して、それはストックベースでもですね、そして一方でダイナミックに、世界のさまざまな経済のダイナミズムを入れていく。

 それから、今回、原口ビジョンというのを出させていただきましたけれども、地域そのものが富をつくる、創富力と私どもは言っていますけれども、緑の分権改革、こういったものを進めていかなければ、今ある財源をどのように分配していくか、あるいは先に送っていくかということだけでは乗り切れないというふうに思います。

 大事な御指摘だと思っています。

柿澤委員 今後ダイナミックに、原口ビジョンに基づいて創富力を高めていく。今ある財源をどういう配分をしていくかとか、負担を先送りしていくかとか、こういう考え方に基づいてはもう今後立ち行かなくなるんだ、こういう御認識をおっしゃっていただいたんだと思います。

 地方交付税については、昨年秋の事業仕分けで仕分けのターゲットになってしまいまして、その中で、制度が複雑だとか、客観性があってわかりやすく、恣意性を排除した制度にすべきだというような意見が相次いだというふうに聞いております、その中の仕分け人の方もこの委員会に所属をしておられるわけですけれども。

 先ほど新型交付税の話があって、人口、面積基準で切り分けることによって、小規模な自治体また過疎地域、こういったところにしわ寄せが及ぶんだ、こうした機械的な算定は行うべきではないという御答弁が原口大臣からありました。しかし、今申し上げたような客観的でわかりやすい、恣意性を排除した制度というと、限りなく新型交付税というものに近いような考え方を提示せざるを得なくなるんではないかというふうに思いますが、この点はどうなんでしょうか、お伺いいたします。

原口国務大臣 柿澤委員にお答えいたします。

 やはり新型交付税が導入された時期や、あるいは私たちがこの間仕分けをされた中で御議論いただいたのは、まさに、これを補助金化して、国の一定の政策要件を満たすように、ひもつき補助金のようにして使うべきでないということが言われたわけです。

 このことと、新型交付税の場合は、ディメンションが三つ大きな柱がありましたけれども、その柱だけではやはり切り取れない。むしろ地域自身にさまざまな、先ほど沖縄の例を申し上げました。沖縄は非常に若い人が多くて、そして人口の密度が高いけれども、しかし実態は非常に厳しい状況、そういったこともやはり勘案できる、新たなしっかりとした基準をつくるということが大事だと思います。

柿澤委員 御答弁はわかりましたが、しかしながら、今おっしゃられた二つのこと、予見可能性を高めて客観的な基準に基づいたというものと、今おっしゃられたような地域の独特の需要といいますか課題、こうしたものを算定に当たって考慮していくというのは、なかなか両立するのが難しいのではないかなというような気もいたします。

 それと、今回この質問をつくるに当たっていろいろな議事録を拝見したんですけれども、かつて、民主党議員として小川政務官が非常に参考になる御質疑をされております。

 思い切ったことを言いますということでおっしゃられているんですけれども、これまで、バブル崩壊以降積み上がってきた地方債の償還財源として地方交付税に繰り入れられてきたこの部分について、どんどん積み上がってきた部分が、まさに特会の三十三兆円という額になってしまっている。これは一たん国で引き取るべきだと。清算事業団方式とおっしゃっていますけれども、これを国が一たん買い上げて、引き取って、地方の懐をある種クリアな形にして、新しい地方交付税制度を外形標準でやっていく。こういう考え方をお示しになられておりますけれども、こうした考え方について、今でもお考えとしてお持ちかどうか伺います。

小川大臣政務官 このたびの地財対策、いろいろ研究するにつけて、やはり野党時代に自由闊達に議論できた立場というのは本当に、あれはあれで非常にありがたい立場だったなと思っております。その立場はもちろん大事にしながら、いかに目の前の現実との折り合わせをつけていくかに日々苦心いたしております。

 そこで、二、三補足をさせていただきたいと思います。

 今ちょっと手元の資料があれですので、事業費の積み上げが、既に、元利償還だけで恐らく八兆円を超えていたと思います。そういう事態を正していかなければならないということで、大臣の御指示を受けまして、一部地方債についての事業費補正を縮減していくということで、今、具体の項目を研究している最中でございます。

 そして、柿澤委員御指摘の、できるだけ客観的であり、かつ必要なところに手厚くということをまさに両立させていかなければならないわけでして、先ほどの段階補正の議論でいきますと、見直した過程におきまして、これまでは一律に、全国平均をとってそれより下回るところに厚目に段階補正をかけていた、しかし一連の見直しの中で、合理的に運営されている上位三分の二の団体の平均をもとに、そこに満たないところに段階補正をかけるというふうに変更されたわけであります。

 ですから、こういうことの見直しも含めて、できるだけ客観的、しかし必要なところに手厚くという、この二つの理念をうまく両立していけるように、御指導いただきながら研究してまいりたいと思います。

柿澤委員 御答弁を聞いていると、本当に変わるのかなという気もするんですね。地方交付税制度はもともと複雑なわけですけれども、複雑だったことにもそれなりの理由と合理性があるわけでございまして、そういう意味で、これから、言うはやすく行うはかたし、まさにおっしゃられたとおりのことになるのではないかというふうに思えてなりません。

 また、このたびの議論が、ある意味では既存の都道府県制度、また地方交付税制度を前提にして組み立てられているかのように見えるのも、私どもの立場からすると、やや不満足というか不十分だなということを感じております。

 原口ビジョンの中には、残念ながら、道州制に向けた工程表は示されておりません。先日、予算委員会で渡辺喜美代表が申し上げましたとおり、道州制のビジョン懇談会というのがあって、本来、二十一年度中に最終報告を出して、道州制基本法に向けた議論に踏み出すということになっていたわけですけれども、これもストップをしてしまっている。

 そして、都道府県の財政調整制度をどうしていくか。一括交付金と地方交付税制度がどういう整合性を持っていくのかについても必ずしも明らかではない。こういう状況にあって、ある意味では、地方自治体、都道府県、区市町村は今後どう考えたらいいのか非常に困っておられると思います。

 そういう意味で、今後に向けた決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 いい御質問をありがとうございます。

 そこをまさに今やっているわけで、平成二十三年度から私たちは一括交付金にする、そして義務づけ、枠づけ、それから出先機関も変えていく、これを、道州制について私たちははっきりしたことを申し上げています。

 それは、まず、国の権限、財源を基礎的自治体に移していく。そして、その基礎的自治体の皆さんがそこで道州制を選択されるとしたら、私たちはそれを全力で支えていく。工程表の中にそれが入っていないのは、一気に、すべて網かけで八つの道州をつくればいいという考え方を持っていないからです。まさに国、地方協議の場で、例えば関西圏でそれができるとしたら、関西圏からどうぞお進めください、そして国の出先機関も財源と一緒にそこに移譲していきましょう、これが私たちの考え方でございますので、ぜひ、民主党でも前に御一緒させていただいていましたから、一緒になって御協力をいただきたい、そのことをお願いしたいと思います。

柿澤委員 御協力を申し上げるにやぶさかではございませんが、しかし、今の道州制の進め方については若干の異論も持っておりますので、これはまた今後の議論に譲りたいと思います。

 それでは終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の討論を行うものです。

 反対の理由は、国税の減収による地方交付税の不足分は国の責任で確保されなければならないにもかかわらず、この国の責任を放棄し、地方に負担を押しつけるものだからであります。

 年度当初に見積もった国税収入が減収したことによる地方交付税総額の減少分を補てんすることは当然であります。しかし、問題は、その財源をどのようにするかであります。

 地方交付税の総額は、年末の地方財政対策を経て、地方財政計画が策定される中で最終的な額が確定されます。地方交付税法からも、地方財政計画の策定は内閣の責任であり、毎年度分として交付すべき交付税総額の見積もりも、内閣の一員である総務大臣の権限とされているのであります。したがって、国税の減収による交付税総額の不足分については、国の責任でその全額が補てんされるべきであります。

 ところが、本法案による補てん方法は、国税減収による不足分二兆九千五百十四億七千五百万円について、一般会計から全額を補てんする形をとってはいますが、実質的には、その半分はいわゆる国、地方の折半ルールを踏まえて地方負担分とされているのであります。

 確かに、年度途中での臨時財政対策債の追加発行は地方交付税の総額を減少させるので、これを避けたものではありますが、後年度の地方交付税の総額からの減額とするもので、地方交付税の先食いとなるものです。

 今回のやり方は、昨年度の補てんと全く同様であります。既に昨年度の補てん措置によって、二〇一一年度から一五年度までの五年間、毎年、地方交付税総額から約二千五百億円ずつが減額されることになっております。本法案によって、さらに二〇一六年度から二〇三〇年度までの十五年間、一千億円以上が地方交付税の総額から減額され、先食いが延長されることになるのであります。

 自民党政治は、地方財源においては不足分の補てんに果たすべき国の責任を放棄し、折半ルールというやり方で地方に負担を押しつけてきました。政権はかわりましたが、鳩山内閣は、この折半ルールを踏襲し、地方に負担を押しつけるやり方を変えようとしておりません。これは国の責任の放棄であり、到底容認できるものではありません。

 以上の理由から、本法案に反対をするものであります。

近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.