衆議院

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第13号 平成22年4月15日(木曜日)

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平成二十二年四月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      石津 政雄君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           秋葉 賢也君

   議員           谷  公一君

   議員           山口 俊一君

   議員           西  博義君

   議員           山内 康一君

   総務大臣         原口 一博君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   農林水産大臣政務官    舟山 康江君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  戸塚  誠君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  皆吉 稲生君     石津 政雄君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     皆吉 稲生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(秋葉賢也君外四名提出、衆法第一二号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び秋葉賢也君外四名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政管理局長戸塚誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 おはようございます。

 きょうは一首また用意をしてきたわけですが、緑も少しずつ見えてきた、そういう季節でございます。有名な歌ですので繰り返しません、一回でやらせていただきます。巻三、三百二十八。

  あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり

という世の中になればまた明るいかなと思います。よろしくお願いします。(拍手)

 いつも温かい拍手をありがとうございます。

 それでは、きょうは枝野大臣もいらっしゃっていますので、前回の質問を踏まえながら、少し事業仕分けの方にも入らせていただいて質問を続けたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、前回の質問のときに独立行政法人評価年報というものを持ってまいりまして、今原口大臣も見ていただいておりますが、こういうことで大変立派な作業もされているわけであります。こういった土台の上の事業仕分けということになれば、さらに効果的でないかと思うわけですが、まずはこの年報についての評価を原口大臣にお伺いいたします。

原口国務大臣 おはようございます。

 橘委員には、毎回、日本の文化そして伝統をしっかりと確認させていただきまして、ありがとうございます。

 これが今おっしゃった独立行政法人評価年報でございますが、まさに、私たちが今行っている事業仕分けのもととなるような、評価シートとほぼ同一のものもこの中にあります。独法の経営の質の向上を図っていくために、業務の運営状況や独法に関する情報を取りまとめて、広く国民の皆様に提供しています。その項目も、業務運営の効率化、提供するサービスその他の業務の質の向上、あるいは資金計画といったところで事細かく評価をしております。具体的には、総務省のホームページ、あるいはこうやって冊子として関係機関、両議院の関係委員の先生方に配付をしているところでございます。

 これは極めて重要なものでございますので、ぜひ、この場を利用して国民の皆さんに少し宣伝をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 そこで、事業仕分け第二弾ということで、短時間の中で何らかの結論を、あるいは意見をまとめていく、そういう手法になるかと思います。であれば、事業仕分けに際しては、年報にまとめられたこういった評価活動というもの、このシートというものを、やはり仕分けを担当される方がしっかりと読んでいただいて臨んでいただくということがより適切ではないかと思いますが、枝野大臣のお考えをお伺いします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、総務省で行っていただいております独立行政法人の評価については、大変重要な参考資料であるというふうに思っております。

 現在、独立行政法人の、取り上げる対象の選定に当たっても、そして実際に事業仕分けの本番に当たっても、この評価の年報を十分に前提とさせていただくつもりでおりまして、実際の事業の事業シートというのをつくりますけれども、そこにもしっかりとこの内容を記載する、さらには、事前に年報についてごらんをいただいておくというようなことをさせていただこうと思っております。

橘(慶)委員 確認させていただいてありがとうございます。

 そしてまた、それぞれの独法がさまざまな仕事をされているということであれば、仕分けされる方には事前に法人の業務などを少しでも知っていただくということ、あるいは現場を見ていただくということもやはり大事ではないかと思います。接触ということは少し避けて、平場で見てもらおうという考えもあるようですが、現地調査、実地視察みたいなことは考えられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

枝野国務大臣 実は、前回の昨年秋の事業仕分けにおいてもそうでございましたが、今回も、実際の事業仕分けの事前の準備、調査が大変重要であるというふうに思っております。

 所管省庁と当該独立行政法人、それぞれ、候補になっているところでございますが、既に十分なヒアリングを始めさせていただいております。そして、必要に応じて現地に赴きまして、現地の実態を見せていただくということも既に始めている部分もございます。これから事業仕分け、独立行政法人については二十三日からスタートいたしますので、二十二日まで、国会議員の評価者の方は既に決まっておりますし、民間の評価者は二十日に決まりますが、その候補の方にも既にいろいろな調査を始めていただいております。

 できるだけ、実態を十分に把握した上で事業仕分けに臨みたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 そして、第一回目の議事録がなかなか上がってこないというのは、前回、内閣委員会で枝野大臣にも質問させていただいたんですが、現状いかがでありましょうか。そしてまた、二回目はこういうことにならないように、議事録が簡単につくれるようにされてはということですが、いかがでしょう。

枝野国務大臣 大変少ない予算で、なかなか、ちょっと時間がかかっておりまして御迷惑をかけてきておりますが、今、最終的なチェック作業に入っておりまして、第二弾の二十三日より前にはきちっと第一弾の分はお出しをできるようにという見通しになっております。

 また、第二弾については、今回の反省を踏まえて、予算はなかなかここにかけられないんですけれども、同じ少ない予算の中で、できるだけスピーディーに出していただけるような手配と相談、準備を始めているところでございます。

橘(慶)委員 四月二十三日の前にと、これで初めて期限も出していただいたので、やはり一回目のものが終わっていないのに二回目に入るというのも変ですし、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、この事業仕分けですが、過日内閣委員会でも、枝野大臣にも確認をさせていただいたこの手法というのは、本来、一つ一つの事業、そういったものがいいか悪いかの、ミクロのものをしっかりと見定めていくということに一つ非常に効果が上がるものだということを、前回、お互いのやりとりの中で確認をさせていただいたと思っております。

 そうなりますと、この第二弾の事業仕分けで、実際、それぞれの法人で何を仕分けていくのかということであります。前にも申し上げたように、例えば地方交付税みたいな問題を前回扱われましたが、これについて一時間で何かの答えということはなかなかできない。そういうことから考えると、今回も、法人というものを扱った場合、もし効果を上げるのであればやはり何かの、この事業はどうだろうかとか、こういうものはどうだということであれば効果は上がると思いますが、一時間なら一時間ということであれば、例えばそこで法人の存廃というようなことをやりますと、かなり乱暴な話になってしまうのではないかと危惧をするわけです。

 この辺、実際どういうことを今回はされようとしているのか、前回のやりとりを踏まえてお答えをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 橘委員には事業仕分けを十分御理解いただいて、大変感謝をいたします。

 あくまでも事業仕分けは、事業の仕分けをするということでございますので、独立行政法人そのものを仕分けるのではなくて、独立行政法人が行っている事業を仕分けの対象とするということでございます。

 ただ、そこでの、事業の仕分けをしている議論や一定の結論を踏まえて、今度、事業仕分けと連動はいたしますが、行政刷新会議としてその議論も、それから先ほどあった総務省の年報やさまざまなものを総合的に前提にして、行政刷新会議として独立行政法人全体の存続、統廃合等の議論を行う。その前提である、あくまでもそこで取り扱うのは事業である、こういう認識でございます。

橘(慶)委員 大変大事な部分の確認をさせていただけたかと思います。

 だから、事業というものをやっていくのであって、その中から出てきたものをまた行政刷新会議でそれぞれの法人の検討に生かす、そのような形にしていただかないと、何かそこで、いいとか悪いとかはいいんですが、要らないとかいうことになるとちょっと意味が違う。もう少し緻密な議論をしていただけるものと、今の答弁で理解をさせていただいたところであります。

 続きまして、三党提出法案と内閣提出法案、衆法、閣法の差異ということで少し質問を続けたいと思います。

 前回も少し議論になりました。衆法におきまして、施行期日が、基本的に二年を超えない範囲内で政令で定める日という形になっておるわけです。これは昨年の閣法を踏襲しているということにはなるわけですが、この二年以内という、ある程度のアイドリング期間をとっていることについての理由をまず提出者にお伺いいたします。

山口(俊)議員 橘委員さんにお答えをいたします。

 今先生からお話しをいただいたように、「二年を超えない範囲内において政令で定める日」というふうにしておりますが、これは、評価機関の一元化をするに当たりまして、新たな評価委員会の組織等の体制整備、あるいはまた新たな評価制度の運用に係る手続とか評価基準、そういった細目を定めることや、各府省とかそれぞれの独立行政法人にしっかり周知をする、また、それぞれ各独法、中期計画等で若干のサイクルの差もありますので、そこら辺も考えて、二年を超えないということであります。

 ただ、原口大臣、大変エネルギッシュな方でありますので、恐らく二年かからずに、速やかにやっていただけるであろうと思っております。

橘(慶)委員 二つの質問を予定していましたが、今、山口議員から全部お答えいただいたように思うわけでありまして、要するに、二年を超えないといっても、エネルギッシュに取り組まれれば、この法律を武器にしていただいてガバナンスの効果をさらに上げられるのではないか、これが衆法の提出者の方々の考えではないかと思うわけであります。

 それを前提にさせていただきながら、質問は一つ先へ進みますが、百四法人のうちで今報道等にありますのは、仕分け対象五十四法人というような報道もございました。そうすると、対象になるものと今回は対象にしないというもの、しかし、たしか原口大臣はこれを受けて、六月には工程表をおつくりになる、こんな話もあったわけです。

 そうすると、対象にならなかったところなんかを考えますと、ゼロベースといっても仕分けにもかからないわけですし、ガバナンスの強化を図るということはもう始めてもいいんじゃないか、そんなふうにも思うわけですが、改めてここで、先ほど山口議員からございましたこの衆法を武器に、原口大臣、いかがですか、こういうことでありますけれども、内閣の考え方をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 不断の見直しを行い、PDCAサイクルをしっかりと果たして行政改革を前に進めていく、衆法のお考えも、私たちは全然別のベクトルを持っているというふうには考えておりません。

 ただ、その中で私たちは、現行法でもできること、それから先ほど委員が御指摘くださいました年報についても、旧政権においても効率化がAA、A、B、Cとなっているものもあるわけでございまして、そういうものをまず一回棚卸しをしてみよう、そして、ゼロベースで見直すことによってさらなる行政改革に努めていこうというふうに考えておりますので、ぜひ、いいものはお互いに協力し合って改革を前に進めさせていただきたい、このように考えております。

橘(慶)委員 せっかく枝野大臣にも来ていただいております。本会議ではいろいろお答えになっていましたけれども、ガバナンスの強化ということは、それはそれで大変いいことではないかと思うわけですね。

 いかがでしょう、今からもう監事さんの任期をしっかり延ばしていくとか、あるいは監査の機能を高めるとか、こういうことが盛り込まれ、また評価委員会をまとめる、こういったことになっているわけですが、もう早速に取り組んでもいいんじゃないかとも思うんですが、行政刷新会議としての考え方はいかがですか。

枝野国務大臣 広い意味でのガバナンスをしっかりさせるという問題意識は共通しているかというふうに思っております。

 ただ、私どもは、今の独立行政法人の仕組みの全体像について、もう一度しっかりとゼロベースで見直す必要があるということを考えています。その足がかりといいますか取っかかりとして、事業仕分けというやり方で、全部はできませんが、独立行政法人の行っている事業の仕分けを行います。それも踏まえた上で独立行政法人のあり方全体の抜本見直しを進めていくということになっていきます。

 その中においてはガバナンスのあり方が、現在の百四の独立行政法人、行っている事業の性格がかなり違いますので、適切なガバナンスのあり方というものももっと多様なのではないかという問題意識を持っておりまして、そうした意味では、広い意味でガバナンスをしっかりさせるということは同じ方向だと思うんですが、もう少し、事業仕分けなども踏まえて、それぞれの事業の特性に応じた最も適切なガバナンスのあり方はどういったものかということで、その部分も見直していきたいというふうに思っております。

 したがいまして、現時点で一律にすべての、百四の独立行政法人共通のガバナンスのあり方を、今の時点でルールを変えるということよりも、早急に今申し上げた見直しを進めて、それぞれの事業の性質に応じたガバナンスをしっかりさせていくという改革を進めていきたい、こんなふうに思っております。

橘(慶)委員 このあたりが、ちょっとすれ違っているようなところもあるわけですけれども。

 もう一つ、各府省に今評価委員会を置かれている。前回の御答弁でも、五百八十五人の方で、各府省を合わせると年間二百八十七回会合をし、一億六千万円という予算になっているというお話もございました。そして、これをPDCAサイクルの観点から再検討したいという原口大臣のお話があったわけですが、この評価委員会というものがそれだけのことをしなきゃいけないのか。事業仕分けも今回やるわけですね。

 これから将来に向かってという話も含めて、総務省さんに、そういう外部有識者の評価委員会を最終的に集約するというのもやはり十分考えられる。いわゆる費用対効果、評価のための評価にならないようにという点からすると十分あり得ることだと思うんですが、時間軸は別にしてでも、お考えをひとつお願いします。

原口国務大臣 将来的には、一元化ということは射程に入ってくると思いますし、枝野大臣や私たちも、今委員がおっしゃったことと同じ認識を持っています。

 ただ、ある意味、今ここで議論が時間軸というところで一致していないのは、今私たちは、例えば年金積立金管理運用独立行政法人、GPIF、これも総務省と厚労省で毎週のように、この運用をどうあるべきかと。いわゆる年報ではSなんですよ。つまり、すごくパフォーマンスはいいというふうにこれまでしてきました。しかし、では、百二十兆円の年金運用をもし国債だけでやるとするんだったら、果たして八十人近い職員は本当に必要なんですか。あるいは逆に、予定利率というので四・二%を国民に提示させていただいていますから、国債だけというと、今は一・五ですよね、その一・五と四・二の間が乖離をする。だったら、リスクとベネフィットをしっかりと仕分けして、そして、ポートフォリオについてももっと国民に対してしっかりと説明ができる、そういうガバナンスにするためにはどうするんですか。

 こういう個々のことをやるためには、私たちで一元化するというところにはまだ至らないわけです。それぞれの独立行政法人の、極めて専門性、あるいは将来にわたる、いわゆるこれはミッションの仕分けだと思いますけれども、そのことをまずやろうと考えておりますので、ぜひ御理解をいただければと思います。

橘(慶)委員 将来に向かっては、一元化というところについては理解するという部分はありがとうございます。

 もう一つ、独立行政法人整理合理化計画というものを全面的に凍結されたという形の閣議決定になっております。もう少し違った部分もあるんですけれども、まず基本、原則は全面凍結である。しかし、先ほど申し上げたように、事業仕分けの対象にならない法人もどうやら今五十法人近くあるということであれば、あの閣議決定、結構細かく、各法人でこんなことをしたらどうですか、どうですかとなっております。そのすべてをあえて凍結しなくても、一部凍結というようなことでもよかったんじゃないか、そんな感じもするんですが、ここについての、全面凍結、全部一回とめちゃおう、時計の針をとめた感じになっているようにも危惧するわけですが、この真意ということをお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、事業仕分けで取り上げるのは五十四と固まっていないんですが、五十前後ではございますが、それを選択するに当たっては、同種同類の事業について全部を取り上げないで、その代表を取り上げるとかという形で、独立行政法人については全法人を事前に調査した上で、その代表選手として取り上げるものが決められるということでございますので、事業仕分けとしても、全部の法人の全事業を視野に入れての検討であるということをまず申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、先ほど申し上げましたとおり、ガバナンスのあり方については、この事業仕分けや、それを踏まえた行政刷新会議としての独立行政法人全体の抜本見直しの中で適切なガバナンスのあり方をつくり上げていくというプロセスに入っておりますので、その部分のところについては一たん凍結をするということにさせていただきました。

 ただその一方で、それぞれの府省において、当然実施すべきと思われる事項について取り組むことを妨げるものではないというふうにもいたしておりますので、全体を通じての計画そのものは凍結いたしますが、その中で、今のような見直しのプロセスに入っているという中でも進められることは、各府省において、特に具体的な話について進めてくださいということで、現に進めていただいているというふうに理解しております。

橘(慶)委員 後段の部分があるからまだよかったと思うんですが、だから、後段のことがあればあえて凍結と、そこまで大上段に振りかぶらなくてもと思うんです。

 そこで、今おっしゃいました、凍結といいながらも進めるところは進めてよろしいと。それで、進んでいるとお話しの部分の確認をしたいと思います。事前に通告していますので、各府省で進んでいる例について、ここで御披露いただきたいと思います。

枝野国務大臣 質問を御通告いただきましたので、調査と改めて確認をいたさせましたが、一日で調べられただけでも資料にすると三ページ分ぐらい、幾つも並んできております。

 具体的に申し上げますと、例えば国民生活センターの全国消費生活情報ネットワークシステムの刷新、いわゆるPIO―NETの刷新。それから、医薬品医療機器総合機構のデバイスラグへの対応としての審査迅速化に向けた取り組み。それから、都市再生機構のニュータウン事業の縮小とそれに伴う体制の縮小などについて、具体的に合理化計画に書いてある事項を各府省の取り組みとして進めているところでございます。

橘(慶)委員 そこをもう少しPRされていくということも大事なことじゃないか。評価年報に書かれる方法もあるし、要は、凍結で時計の針をとめているということではやはり国としてまずいと私は思うんです。そうじゃなくて前に進めているんだ、それはある意味でぜひPRもいただきたいですし、もし差し支えなければ、せっかく三ページつくられたのであれば、また私どもにもその書類もいただいて、PRいただいた方がいい。要は、何か、すべてとまっちゃったということでは非常にまずいんじゃないか。そんな思いできょう冒頭の歌も詠んでいるわけで、よろしくお願いしたい。

 もう一つここで、ちょっと細かくなりますが、独法海上災害防止センターの指定法人化、これは十九年の閣議決定に位置づけられ、凍結対象ということで凍結されているわけです。一度新聞に出た情報によれば仕分け対象になっていないんですが、もし事業仕分け対象にされないのであれば、関係者の打ち合わせも終わっていれば、指定法人化ということでやってしまえばいいんじゃないかと思いますし、あるいは仕分け対象にされるのか、ここについてお伺いをしたいと思います。

枝野国務大臣 仕分け対象にするかどうかは、最終的な詰めをしているところでございますので、今の時点で何とも申し上げられないんですが、確かに、同法人の指定法人化という方向が従来出てきているということは認識をいたしております。

 ただ一方で、その指定法人制度についても、従来のあり方がいいのかどうかということを、この独立行政法人、公益法人の見直しの一環の中で検討しなければならないというふうに思っているところでございまして、ここは主に後段の、五月に行う事業仕分けにおいて、指定法人制度を含む民法法人による公的な事業のあり方ということを検討することになっております。そこでの事業仕分けや、それを踏まえた検討も考慮に入れて、独立行政法人である必要はないという方向性は変わらないというふうに思うんですが、その場合、どういった形の法人形態で事業を行っていただくのがいいのかということは、そこを踏まえて検討をしたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 要は、検討しなければいけないことがだんだん山積みになってくるんじゃないか、実はそういう心配をするわけであります。

 そして、あともう一つ最後にお伺いしておきますが、行政刷新会議という形で、今、また一つ新しい形で仕分けをしていろいろ考えるわけですが、行政改革推進本部というのもまた別にあるわけですね。このあたり、これからまた内閣府のあり方みたいなことについて法案も出てくるんですが、いっそ、行政改革推進本部を行政刷新会議に吸収していくような形になるのかなと思ったりもするんです。

 何かこの辺の、いわゆる評価、あるいはいろいろなことの立案といったものについての組織もある程度効率的に、要するに、考える組織も効率化させないと、言ってみれば、コンピューターの中にいいソフトをいっぱい入れていく、ソフトをいっぱい入れ過ぎたらコンピューターが動かなくなったということではいけないと思うんですよ。ソフトは、いいソフトを使うならこれに絞る、そういう選択。行政管理局もあります、改革本部もあります、刷新会議もあります、しかしこれは選択ということも必要ではないかと思うんですが、最後にこのことをお伺いして、終わらせていただきたい。

枝野国務大臣 御指摘の行政改革推進本部事務局は、行革推進法という法律に基づく組織として位置づけられておりますので、法律の御審議をお願いせずに、その組織のあり方を内閣だけで勝手に動かすということができません。

 そういった意味では、行政改革関連のところでは内閣府にいろいろな部局が、特に、法律に基づくいろいろな部局が実は存在しておりまして、そこのあり方というのは検討を要するのではないかということは考えております。

 ただ、現実に、法律に基づく組織でございますので、その前提のもとで行政改革推進本部事務局も行政刷新会議事務局も、いずれも私が担当の大臣となっておりまして、そして、事業仕分けなどに向けては両事務局に一体的な作業、準備を進めていただいておりますので、運用上は、問題なく一体的に進めているということでございます。

 ただ、外から見たときの見えやすさ、わかりやすさということを考えたら、これで直接税金の無駄遣いが減るとかということではありませんので、ちょっと優先順位を考えないといけないと思っておりますが、よりわかりやすい組織にすることは考慮の中に入っているということだけ申し上げたいと思います。

橘(慶)委員 この点については、法案を提出することは内閣で幾らでもできることでありますから、本当はそれを全部まとめた形で先へ進まれた方がいいということを、きょうは指摘だけさせていただいて、これで私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 政府案に対する対案の提出者ではありますが、衆法についての質問は慣例上できないということでございますので、きょうは政府案に対して、枝野大臣を中心に何点か質問をさせていただきたいと思います。

 先週の木曜日にこの独法通則法の改正案が本会議上程され、質疑があり、そして今週の火曜日もありました。

 政府側の答弁、先ほど来の答弁もそうですけれども、抜本見直し、抜本改正、ゼロベースで見直す、聖域なく見直す、抜本的に見直す、そればかりです。より効率的、効果的に実施する観点から検討を進める、まず事業仕分けだ、これをオウム返しのように繰り返すのみです。我々がどういう方向なのか具体的に聞いても、抽象的な方向を述べるのみです。

 そういう議論が深まらない質疑ではなくて、私はできる限り具体的にお尋ねをしたいと思いますので、明敏な枝野大臣でございますので、具体的で明確な御答弁を、簡潔な御答弁をぜひお願いして、質問に移りたいと思います。

 今週の火曜日のこの委員会の質疑で、今、席を外されましたけれども、寺田委員が、国立印刷局、造幣局を国に戻すということも選択肢であるかのような発言、意見がありました。また、以前の新聞を見ますと枝野大臣みずから、財務省所管の独法国立印刷局について、国家公務員に戻すということがより合理的であるかのような報道がなされています。

 大臣、この国立印刷局、造幣局をこれからどういうふうに考えておられるんですか。事業仕分けにはなぜか入っていません。これだけ例示が挙がりながら、今、非公務員、公務員でない方を公務員に戻すとして……(発言する者あり)ああ、非公務員ではなくて、特定法人ですから公務員ですね。あれをまた国家公務員に戻すと大臣みずから発言されていながら、なぜ事業仕分けの対象にしなかったのか、私はよくわかりません。

 この二つの法人の経営形態について枝野大臣はどういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、二つのところの職員を国家公務員に戻すというようなことは、私申し上げたことは一度もないはずでございます。というのは、現に国家公務員型でございますので、国家公務員に戻すということは論理矛盾になりますので、そういったことは申し上げたことはないつもりでおります。

 私どもが今、独立行政法人のあり方について考えている一つの視点は、今、公的な仕事を国が行うやり方は、国が直接行う、独立行政法人が行う、そして民間法人である公益法人等に委託をするという三パターンに分かれています。もちろん、地方の分は別といたしまして。

 この独立行政法人という物の考え方は、国が直接、いわゆる府省が直接仕事を行わなくても、一種のアウトソーシングをするべきである、この大きな考え方自体は、私はできるだけそうするべきであるというふうに考えております。

 ただ、そのアウトソーシングの主体である独立行政法人という仕組みが、国の非常に強い関与を必要とするけれどもアウトソーシングできる部分と、一定の関与は必要だけれども国の関与が非常に弱くて済む部分と、わかりやすく言うと、そういったものが全部一つの独立行政法人という仕組みの中に、箱の中に入れられている。ここに問題があるというふうに思っておりまして、個々に行っている業務の中身をしっかりと一個一個精査した上で、そして、その業務の性質に応じて、最も適切な国による関与のあり方と、最も効率的な運営のあり方というものをそれぞれに考えるべきであるというふうにまず大前提として思っています。

 そうした中で、印刷局や造幣局の行っている業務については、これは前政権時代に進められた独法改革においても国家公務員型、公務員型の独立行政法人とされているように、国の関与や責任の持ち方の度合いが強くなければいけない業務であるということはほぼ異論のないところであろうというふうに思っています。にもかかわらず、国の関与が非常に小さくてもいい分野と一つのカテゴリーの中に含まれているということによって、ここは効率性の面で問題がないだろうかという問題意識で、昨年秋の事業仕分けで、特に印刷局が事業仕分けの議論の対象になりました。

 そこでの議論において、このガバナンスのあり方について、国がストレートに関与せざるを得ない部分があるんだからそのことを前提にしつつ、なおかつ、独立行政法人化で効率化が図られた部分もあるわけですから、その部分はその部分で生かしながら、しかし、もう少し国の関与と責任を明確にすることでさらに効率化を図れないだろうか。こういう問題意識で、一つの方向性、考え方として、国に近づけるといいますか、国に戻す方向で、国に近づける方向で新しい組織のあり方というものを模索できないだろうかということを私自身考えておりまして、私の一つの意見として現時点で申し上げております。

 事業仕分けで今回取り上げておりませんのは、先ほど申しましたとおり、昨年の事業仕分けで取り上げた、そこでの意見が前提となっておりますので、それを踏まえて、今回の事業仕分け第二弾の他の法人に対する議論も踏まえて、トータルとしての独立行政法人全体のあり方を見直す中で一つの方向性を示していきたい、こんなふうに思っております。

谷委員 よくわからない答弁で、大臣、私は時間が短いんです。答弁は簡潔にしてください。冒頭にもお願いしたはずです。

 どうも、印刷局、造幣局、要は財務省に戻すということが本音のようだということがわかりました。今も独法の公務員型だから同じだという見方があるならば、それは明らかに違うと思いますよ。今は、確かに国家公務員ですけれども、定員法の枠外のはずです。財務省に戻すということは国家公務員の定員法の中に入るということですから、その辺は明らかに違うと思いますので、そういうこともあわせて、私は慎重に考えるべきだと思います。

 今大臣の方から話がありましたが、先週木曜日の、我が党の塩谷議員への本会議答弁でも、大臣の答弁は、独立行政法人制度は大きな無理と矛盾があるという視点で見ていると。どうも今の答弁を聞いても、何が制度上大きな無理と矛盾なのか、これは制度に内包しているものなのか、あるいは運用のものなのか、その辺をややごっちゃにして言われているようにも思いますし、独立行政法人という制度そのものに大きな無理と矛盾があると考えておられるんですか。その大きな無理と矛盾ということを、大臣、簡潔にお願いしますよ。

枝野国務大臣 簡潔にと努力しておりますが、質問が抽象的だとどうしても、答えも抽象的になって長くなりますので、御理解いただければと思います。

 今御指摘のところは、そもそも当初は、国の試験研究機関が研究開発法人として設立されました。ただ、その後、先ほど御指摘のあった造幣局、印刷局や国立病院機構など、異なる類型の法人が国の業務から切り出されて設立されました。さらには、特殊法人から多くの法人が独立行政法人に移行しました。まずこの経緯を考えても、さまざまな種類のものが一つの独立行政法人という箱に入れられて、一つのルール、制度のもとに、統一的な部分がかなり多く持たされている。そこにはかなり無理がある。

 今の独立行政法人の仕組みで適切な事業もあるかもしれないけれども、必ずしも今の独立行政法人の通則法やその枠組みというものにとらわれずに、どういうガバナンスのあり方がベストであるかということを白紙で検討すれば、例えば先ほどの印刷局や造幣局、ちなみに、財務省に戻すなどということは私は全く申し上げておりません。

 それで、例えば国立公文書館とか、国の関与が非常に強いことが求められているものと、例えば研究開発のある部分であるとか、国の関与は薄いけれども、国が一定の財政的な責任を持たなきゃならないという意味で国の関与するべきところと、いろいろ多種多様なものがありますから、一つの箱にくくっているということを一度取っ払って物を考えてみると、より効率的な運用とガバナンスができるということを考えているということであります。

谷委員 さまざまな種類、多種多様、それはおっしゃるとおりだと思います。今の百四の独立行政法人の仕事、法人の行っている業務から見ればそのとおりだと思います。だからといって、独立行政法人制度そのものを白紙から見直すというのはやや論理の飛躍があるように思います。

 原口大臣、地方自治体は全国に一千八百ほどございますね。人口が三百万人を超える横浜市から、それこそ二百人ぐらいの村まで多種多様です。本当にさまざまです。また、財政的な力もさまざまだ。それでも地方自治法という一つの法律で、いろいろな工夫をしながらやっているんじゃないですか。

 多種多様だからということだけで抜本的にゼロベースで見直す、だから我々が提起している今回の改正案についても、いやいや、そんなことよりも抜本的な見直しだというのは、大変時間がかかって、きつく言えば課題の先送り。目の前でやらなければならない、例えば独法のファミリー企業への再就職の規制、こういうことも何も法制的に手当てをしようとしない、これはいかがなものかなと思いますが、枝野大臣、もう一度簡潔に答弁をお願いします。

枝野国務大臣 独法制度ができてからもう何年もたっていますので、独法制度の運用の中で見直しが必要なことがあれば、その時点でおやりになっておけばよかったのに、できていなかったということがまず大前提としてある。そのときに、そのできていなかったところだけ手当てをするのか、それとも、そもそもせっかくの機会ですから、この制度のあり方そのものを一から検討することと、これは、どちらが正しいかどうかということよりも、一つの選択の問題だというふうに思っておりまして……(発言する者あり)

近藤委員長 お静かにお願いします。

枝野国務大臣 私どもの政権の方針としては、今までやってこなかったことの手当てをすることよりも、この機会に一から見直してみることによって、できなかったことの手当てをする以上の成果を上げることが重要であるというふうに判断しているということでございます。

谷委員 もっともらしいあれでございますけれども、平成十一年の独法のときに、民主党は反対されましたけれども、社民党は賛成していますよ、この法律。与党の方は御存じかどうか、そこまで調べられているのか、勉強されているのかどうかよく知りませんけれども。

 また、平成十三年に民主党が一部改正案を出しているんですよ、平成十三年に。かつて出していたんですよ、再就職規制。そして二年前も出しているんじゃないですか、ガバナンス強化を。

 あなたたちが野党のときはこういうふうに、改正すべきだと具体的に法律までつくっていて、ほかの党の賛成は得られなかったみたいですけれども、結局それで成立しなかったんですけれども、出していた。ですから問題意識はあると思うんです。

 それで、我々が今回出したのは、初めて出したのではなくて、二年前に政府案として出したんですけれども、残念ながらたなざらしにされたんです、野党に、民主党さんに。

 そういう経緯を改めてこの場でお話をさせていただきたいと思います。そして、そういう経緯を踏まえた上で、もう一度大臣にお尋ねします。

 今回の法律は、要は金を召し上げるだけです。そうしたら、ファミリー企業への法制度はどうするんですか。あれほど選挙前は、天下り撲滅だ、なくすると叫んでおきながら、なぜ今回の法改正で独法の役職員のファミリー企業への再就職を規制しないんですか。あるいは、しようという我々の案とどうして協議を進めようとしないんですか。

枝野国務大臣 既存の制度を所与のものとして、それをどう改善するかという物事のアプローチの仕方と、所与の制度そのものを本当に所与のものとして考えていいのかということで抜本的に考えるというのは、どちらが正しいとかということではなくて、状況状況に応じて、どちらの選択が求められているのかというまさに政治判断だというふうに思っております。

 そうした中で、今の政治状況と今の財政状況のもとでは、所与の制度を前提としてその改善よりも、抜本的なところから見直すべき時期に来ているという判断をしております。

 そうした中で、ファミリー企業について言えば、そもそも独立行政法人にファミリー企業なるものが存在していること自体を、私たちは、事業仕分けやそれを踏まえた制度改革を通じて問いたいというふうに思っています。

 いわば、独立行政法人は、独立とはいっても行政を担う組織であります。行政を担う組織にファミリー企業は、もちろんファミリー企業と呼ぶわけではないでしょうけれども、ファミリー企業と俗に言われるような存在がつくられてしまう現在の制度そのものを私どもは見直そうというふうに思っておりますので、より抜本的なところにメスを入れようと思っているということでございます。

谷委員 全くわからない議論ですね。ファミリー企業の問題なんか、数年前から大きく何度も新聞に出ています。要はほっておくということですよ、やる気がないということですよ。我々が案を出しているんですよ、何も抽象的な話をしているわけじゃない。我々は法案としてまとめた。そして刑事罰まで科して、しっかりとした再就職規制をしようと、そこまでしているのに、何か今の、枝野大臣らしくないですね。真っ正面から取り組もうという姿勢が感じられないです。私は大変残念です。

 今、ファミリー企業の話が出ました。それに関連して、皆さんのお手元にあるかと思いますけれども、天下りとか、それから裏下り、これは鳩山総理大臣が言われた言葉です。何のことか定義はよくわかりません。隠れ天下り、これは枝野大臣が言われた言葉ですが、定義もよくわかりません。

 わかりませんというのは、私が質問主意書を出して、内閣に文書で問いただしても、文書でしっかりとした答えは出てこなかったという意味でよくわからないと言っているわけです。この毎日新聞の二月の新聞記事にあるように、政府はその実態調査をやろうとしない。それで、ことしになって何度か原口大臣にお尋ねして、やっと調査をするということです。

 これも資料を見ました。どういう調査をしようとしているのか。びっくりしました。というのは、今まで、四千五百の法人に二万五千人の国家公務員OBが天下っている、そこに十二兆一千億の資金が流れている。この四千五百、二万五千人、十二兆一千億、これがポイントです。それらを、自分たちが言っていたことが本当にそうなのかどうかと検証すると私は思った。しかし、今回の調査を見ると、極めて限定された人たち、つまり国家公務員の中でも、対象が中央省庁の課長職以上だけ、しかも、年数を平成十九年一月一日から平成二十一年の三カ年だけに限定している。

 しかも、十二兆一千億というのは、国民の皆さんの多くは、国の予算から十二兆一千億流れていると誤解された方も多々あったかと思いますけれども、実は、あれは別に国の予算だけではなくて、融資なども入っているんです。そんなものをみんな含めて十二兆一千億という金額を、盛んに政治的に利用した。

 原口大臣、今回の調査は融資など入っていないでしょう。どうしてそんな限定的な調査にするんですか。これも私は質問主意書で聞きましたら、膨大な調査を要する。膨大な調査を要するかどうかなんか大事な問題じゃないですよ。本当に天下りなり、あるいは独法のファミリー企業への再就職が問題だという意識があって、これを撲滅するという気持ちであれば、なぜ全部、悉皆調査をしないんですか。

原口国務大臣 谷委員にお答えします。

 この後ろの肖像は谷委員のお父様ですよね。(谷委員「はい」と呼ぶ)本当に、このお顔を見るとまさに先生とうり二つと言っていいようで、過疎法を一生懸命なさいました。

 私たちも、この天下りの問題について一貫してやってきたわけです。その上で、私たちは、まず五代連続天下りを明らかにし、それから非人件費ポスト、非人件費でやっている天下りも六百万以上を明らかにしました。それから、今委員がおっしゃるように、省庁あっせんの有無を確認して、それを二万五千人、すべての府省庁……(発言する者あり)

近藤委員長 お静かにお願いします。

原口国務大臣 これをしっかりと、その中でも調べるべきだという委員の質問主意書に対する閣議決定を踏まえて、私たちは、持参金型天下り、人質型天下り、創業型天下りと言われるものがあるのではないかということで、今調査を行っているわけでございます。

 委員、私たちはこれを一貫してやってきたわけです。そして、実際にあっせんの有無ということについてその記録をつぶさに調べる、これも大事でしょう。しかし、五年の保存期間で、何年も何十年も前のものがどこまで残っているのか。そして私たちは、まずこの天下りの実態、現実にはあっせんが認められなくても、今申し上げたような三つの形の天下りが実質化しているんじゃないかということで、今回最初の調査をしているところでございますので、ぜひ、政権に長くおられましたから、そのやり口についても御指導を賜れば幸いだというふうに思っています。

谷委員 やり口は簡単なんです。やる意思があるかどうかだけなんです。少々時間がかかってもいいんじゃないですか。

 その意思が、総務省が所管している行政評価という横ぐしの機能を発揮して、原口大臣が内閣に働きかけて天下りの調査に踏み込んだ。まあ、踏み込まざるを得なかったと言っていいかわかりませんけれども、それはそれとして、私は評価はしますよ。評価はしますけれども、やり方が極めて中途半端だということです。この調査をやっても、四千五百の法人なんか全然出てこない。二万五千人の天下りが本当に正しかったかどうか、それも出てこない。そして十二兆一千億のあれも出てきません。そのことを指摘させていただきたいと思います。

 なぜこんなことになったかというと、結局、鳩山内閣が発足して、日本郵政に元大蔵事務次官を起用したことからすべてが何かおかしくなっているんです。自己矛盾ですよ。それまでは、省庁のあっせんの有無にかかわらず、とにかく、事実上権限を行使して就職するのが天下りだと言っていた民主党さんが、政権をとった途端に、省庁のあっせんがなければそれは天下りとは言えない、こういう定義をするから、無理に無理を重ねてこういうことになったんだということを御指摘させていただきたいと思います。

 我々としてはぜひ与党の方に協議に乗っていただきたかったんですけれども、メンツにこだわって、一切協議に応じないというかたくなな、信じられない態度をとったということに強く抗議いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 それでは、まず、独立行政法人の不要財産について数点伺ってまいりたいと思います。

 提出者に答弁をいただきたいと思いますが、野党提出者から不要財産の評価に関して法案の趣旨を御説明いただきたいと思います。

西議員 稲津委員にお答え申し上げます。

 私どもの野党の提出法案では、独立行政法人は、毎事業年度の終了後、業務の実績ほか不要財産の有無を含めた保有する財産の状況についても独立行政法人評価委員会の評価を受けなければいけない、このように規定しております。

 この趣旨ですが、独立行政法人は、その財政基盤の大部分が公費によって賄われていることから、効率的な業務運営が強く求められている。もちろん、その保有する財産についても、その業務を実施していく上で必要最小限度にすべきものでございまして、不要財産を保有すべきではないという基本的な考え方に立っております。

 したがって、不要財産の有無を含めた保有する財産の状況を評価委員会が評価するということを法律に明記することによって、その不要財産が確実に処分されるように法人の業務の効率的な運営の実現を図る、こういう趣旨のもとに今回立法化した次第でございます。

稲津委員 そこで、政府提出案との違いは何かということをお伺いしたいんですけれども、特に不要財産についてだれがどのように決めるのか、このことについて具体的にお示しをいただきたいと思います。

西議員 お答え申し上げます。

 野党の提出法案では、総務省に設置されます評価委員会が独立行政法人につきまして業務の実績ほか保有する財産の状況についても評価をする、こういうことを明記しております。

 具体的には、先ほども若干述べましたけれども、不要財産の有無を含む財産の状況について、独立行政法人がみずからまず評価を行い、その報告の提出を受けて評価委員会が評価を行い、必要な勧告を行う、こういうふうになっております。

 政府の提出法案においても、独立行政法人は不要財産または不要財産となることが見込まれる財産を中期計画に記載するということを定めておりますけれども、野党提出法案では、以上の評価委員会の評価の仕組みを通じて適正にその記載がなされるような必要な規定を盛り込んでいる、こういうことでございます。

 なお、野党提出法案は政府提出法案とは異なって、不要財産の国庫納付等のほかにも、独立行政法人制度の改革を進め、内閣が全体として独立行政法人のガバナンスの強化に取り組むため、評価機関の一元化、監事の職務権限の強化等による独立行政法人の業務の適正化のための措置を講ずるとともに、非特定独立行政法人の役職員に係る再就職規制の導入等についても定めているという、今回、一つのパッケージとして提出させていただいた、こういうことでございます。

稲津委員 もう一点、提出者の方にお伺いしたいと思うんですけれども、事業仕分けの問題が背景にある、このように私は思うわけなんですけれども、この事業仕分けの問題点についてどのように見ているのか、この点についてもお示しいただきたいと思います。

西議員 今回の独法通則法の改正案を議論する際に、今現に行われている、また近々行われるであろう事業仕分けについて、私どもは問題点があるというふうに感じております。

 まず基本的に、評価に当たっては、評価者、評価方法、それから評価基準については客観性や公平性が求められることは当然のことでございます。しかし、民主党の事業仕分けでは、仕分け人の中には利害関係者がいる場合があったり、客観性や公平さに欠けるケースが間々見られるというふうに思います。また、評価方法や評価基準については明確に示されておらず、非常に主観的な議論、それから評価も多く見受けられました。評価についても一方的であり、十分な、冷静な議論や評価が行われたとは言えないわけで、まず財源ありきという姿勢であったという印象はぬぐえません。

 さらに、事業仕分けの結果は意見の表明としながらも、その後、政府はその意見について十分な検討を加えたという経緯も見られず、実質的には、法的根拠のない事業仕分けの結論が政府の結論になっていると言わざるを得ないと思います。

 このように、事業仕分けについては、評価の客観性や公平さ、政策決定の手続上、非常に問題がある、こういうふうに認識しているところでございます。

稲津委員 事業仕分けの問題点については今御答弁いただきましたが、これは世論的にも非常に多くの声が寄せられているというふうに思っております。

 そこで、これは政府の方にお伺いしたいんですけれども、その不要財産の決定について、今お話しさせていただきましたように、事業仕分けという方法をとっているというふうに私は思うわけでございますけれども、この事業仕分けをいつまで続けるのか。今後、例えば、事業仕分けという手法をやめて、ほかの方法で行うという考えがあるか、もしほかの方法で行うという考えがあれば、私はそもそもこの制度をきちんと決めてから不要財産の評価をすべきだと思いますけれども、枝野大臣、御答弁をお願いしたい。

枝野国務大臣 念のため一点だけ申し上げたいんですが、前回の事業仕分けの評価者に利害関係者が入っていたという事実はないというふうに確信を持っております。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、不要資産かどうかという判断を事業仕分けでするというような位置づけでも認識でもございません。前回の事業仕分けにおいてもそうです。基本的には、事業を対象として仕分けを行うということでもございます。

 また、その事業仕分けの意義というものは、国民の皆さんに税金の使われ方を透明化する、公開をするというのが一番の目的でございまして、したがって、そこでの決定には法的拘束力がない。そこでの議論のあり方というものは、むしろ素朴な国民、納税者の皆さんの疑問を特に民間の評価者の皆さんなどにぶつけていただいて、その素朴な納税者の皆さんの疑問に関係省庁、関係者の皆さんにお答えをいただく、このことを国民の皆さんに見ていただくということが事業仕分けの最大の意義でございまして、そのこと自体で直接に予算の削減や不要財産の国庫返納の対象をセレクトするというものではございません。そうしたセレクトを行う前提として、国民の目線で議論をしていただいたときに、どういうふうな見方をされているのかということを、参加される評価者の皆さんはもとより、それを見ていただく国民の皆さんにもわかりやすく透明化をするということが目的でございます。

 そうした意味での事業仕分けは、やり方とかはいろいろと今後も状況に応じて工夫をしていかなければなりませんが、今の問題意識、つまり、専門家による理屈っぽい最終的な評価、判断に先立って、まずは国民の皆さんに透明化をする。そのときには素朴な納税者の問題意識というものを率直にぶつけていただいて、その議論を国民の皆さんに知っていただくという、この事業仕分けの本質部分のところについては、今後も何らかの形でこの政権においては位置づけていきたいというふうに思っているところでございます。

稲津委員 今の大臣の御答弁を聞いておりますと、私は矛盾があると思うんですよ。後で少しこのことについては御質問させていただきたいと思いますけれども。端的にここでまず一言言わせていただくならば、この事業仕分けで一つ見えたものは、どうも各省庁のいろいろな強い意見が出てきてお手盛りになっているんじゃないか、こういう見方も私はできると思っているんです。そのことは、後で何点かお聞かせいただきますので、そのときにまた御答弁いただきたいと思います。

 次に移ります。

 先日の本会議の質問でも、民主党の質問者の方が、「各法人の個別の財産が不要か否かをどう認定するのか、また、その認定が客観性を持ち、恣意的でないようにするためにはどうすればいいのかが重要であります。」こう述べられました。

 そこで、この不要財産の認定に関する客観性をどう担保するのかということが大事な問題になってまいりました。これは政府と提出者の両方に伺いたいと思うんですけれども、この客観性の担保についてお示しをいただきたいと思います。

西議員 お答えいたします。

 私どもの野党の提出法案においては、御存じのように、一元化された評価委員会において不要財産の有無を含めた保有する財産について評価をきっちりと厳密に行う、こういうことになっております。

 一元化する趣旨は、これは評価機関の評価の内容、質の統一性を確保し、また、内閣が一元的に独立行政法人評価に取り組むことによって評価の客観性、厳格性を高める、これが今回の最も大事な部分だと思っております。

 また、評価委員会の評価は、評価制度の運用の細目として定める評価基準等に基づいて行われることになりますから、不要財産の認定に関する客観性はこのことによって十分に保てる、こういうふうに思っているところでございます。

原口国務大臣 稲津委員にお答えいたします。

 今議論を聞いていまして、野党提出者と私たちの考え方はどこが違うのかなと思いましたら、現行の制度でも実際に不要財産の認定でありますとか独法の評価というのはあるわけです。そのことが多分議論の分かれ目になっているんじゃないか。

 確かに、将来一元化してやることは大事ですけれども、総務省は政独委というものを持っています。そして、二十一年度に中期目標期間が終了する法人の個別資産の見直しについて指摘を行っている。それから、二十二年度に行う業務実績評価における重要視点として、保有資産の見直しを位置づけて評価に取り組むこととしております。

 不要財産の判断に当たっては、行政刷新会議における事業仕分けなど政府部内における法人の保有資産の見直しや、中期目標期間の終了時の組織、業務の見直しなどの際の政務三役の積極的な関与とともに、先ほど申し上げましたけれども、政独委の取り組みを初め、各府省で評価委員会の評価や意見を踏まえた検討など、外部有識者の専門的な知見を活用することにより客観的な評価を、現在でもやらなければいけないし、やるべきことだということを御理解いただきたいというふうに思います。

 さっき橘委員にGPIFの話をしました。つまり、ミッションは一体何なんですか、そのミッションに対してどれぐらいの資産を持つのが大事なんですか、そういったことをゼロベースで見直しをしているということを御理解いただきたいと思います。

稲津委員 原口大臣はさきの本会議で、各府省の政務三役に対して、不要財産の判定については、独法に任せるのではなくて、積極的に関与することを要請している、こう答弁をされました。独法任せにしないためには、評価委員会を一元化して、それを積極的に活用すればいい、私はそのように思っております。いみじくも、今大臣は将来的な一元化のことについても触れられました。そこに私は一つのあかしがあるような気がしているんです。

 もう少しここを掘り下げて聞きたいんですが、そもそもどうしてこの評価委員会の一元化を法案に盛り込まなかったのか。国による政策評価というのは、より厳格な客観性を確保するために各省における評価機能とは別に全政府レベルの評価を行っている。総務省はこうした取り組みを所管している行政機関だというふうに私は承知をしております。独立行政法人に関する評価については、そうした観点の評価は必要ないというふうに見ているのか。必要がないとすれば、その理由をお聞かせいただきたいなというふうに思うわけでございます。ぜひこれは原口大臣に御答弁いただきたいと思います。

原口国務大臣 委員も御案内のとおり、総務省は横ぐしの評価機能を持っています。もう現在あるわけでございます。

 現政権における取り組みとしては、先ほどお話をしましたように、独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会において、まず独法の内部統制のあり方を検討し、本年三月に取りまとめたところでございます。また、独立行政法人ガバナンス検討チームにおいても、独法のガバナンスのあり方そのものを検討しておりまして、独法については廃止を含めた抜本的な見直しを行うこととしております。制度自体を根本的に見直すことを含めて、改めて検討する必要があるため、評価機関の一元化等に関する内容は今回の法案には盛り込んでおりません。

 それこそ、今すぐやらなければいけない、それを今やっているわけでございまして、現在の仕組みの中にまた屋上屋を重ねるようなことを私たちは今考えていないということであります。今委員がおっしゃったようなPDCAサイクルがしっかりと現行制度の中でも動いているのであれば、先ほど御議論がありましたが、ファミリー企業もないだろうし、あるいは天下り、先ほど三つの類型の、いわゆるあっせんによらない天下りの疑いということをお話をしましたが、それ自体が起きていないはずなんです。ぜひそのことを御理解を賜れば幸いでございます。

稲津委員 そこのところが見解の違いだと思いますし、それから、いわゆる一元化というところが政府案と提出者の一つの大きな開きだと思うんですね。どっちがより客観性を保つことができるのかということになってくると思うんですけれども、またさらに質問を進めさせていただきながら、やらせていただきたいと思います。

 政府提出案では、独立行政法人がみずから不要財産について処分計画を中期計画に盛り込むときには、主務大臣があらかじめ評価委員会の意見を聞いて認可することとなっている。一方、野党提出案では、主務大臣が認可したときは、遅滞なくその旨を評価委員会に通知するものとなっております。

 これは提出者の方にお聞かせいただきたいんですけれども、あらかじめ評価委員会の意見を聞くという仕組みを変更した理由、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

秋葉議員 稲津先生からは、一元化の方が客観的な行政評価ができるんじゃないかという問題意識に基づいて貴重な御質問をいただいております。

 本当に、原口大臣が、現行の中でやっていることであって、屋上屋を重ねるようなやり方はおかしいというような御答弁もあったわけでございますけれども、基本的に、今、各省ごとに主務大臣のもとでばらばらにやってきたものを総務省に一元設置してやった方がより客観性が担保されるわけでありまして、今百四ある独法のほとんどが、評価基準もまちまちですし、委員数も、多いものは五十人を超えているような評価委員会もあれば、わずかな委員数だけでやっているところもある、やること自体は各省ごとにやるのか一元的にやるのかの違いでございますから、より客観性を持たせていく改革が非常に大事だと思っております。

 政府案の評価委員会というのは、あくまでも各省に置かれている評価委員会のことを指しているわけでございますが、野党三党提出の法案におきましては、評価委員会は、総務省に一元的に設置する評価委員会のことでございまして、したがいまして、先生の御質問は、評価委員会を一元化することによって、中期計画の認可について評価委員会の意見を聞くという手続を整理したのはどうしてだということになろうかと思います。

 一元化された新たな評価委員会は、すべての独立行政法人の評価を担い、その際、質の統一性、あるいは客観性、厳格性の向上を図ることによってお手盛りの評価をなくすんだということにそのポイントがあるわけでございます。これまで各府省の評価委員会が分担して行ってきた業務の実績評価の事務負担が、質量ともに相当なものになってまいります。こうした実績評価に関する事務以外の事務についても、必要性が高いものについては集約化を一層進めていくということが大事だと思っております。

 御質問の中期計画の認可についてでございます。

 主務大臣が中期目標を定める際に、引き続き評価委員会の意見を聞くこととしておりまして、この段階で第三者の客観的な立場からのチェックが確保されることになります。独立行政法人が定めるこの中期計画というのは、中期目標に基づいて定められるものでございまして、その認可について評価委員会の意見聴取がなされるとしても、実質的には中期目標に沿ったものとなっているか否かを確認するものでしかないことになります。こうしたことから、中期計画の認可について評価委員会の意見を聞くという仕組みを変更させていただいているところでございます。

原口国務大臣 秋葉委員は、たしか総務省の政務官をされていますから、総務省の仕組みについても御存じだと思いますが、現在、総務省にあるわけです、政策評価・独立行政法人評価委員会。政独委といいますけれども。

 評価機関の委員数については、平成二十二年四月一日現在で、今秋葉提出者がおっしゃったような、各府省評価委員会と総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会とで合わせて委員百九十九人に、臨時委員等を加えて五百八十五人の体制でやっているわけです。それに対して、野党三党法案では一元的な評価委員会、これは何人にされるのか、例えば十八人のほか臨時委員等とされておられますけれども、それですべての独法の保有資産について不要か否かをどのように判定していくのか。

 私たちは各省に置いてあるものと、そこは多分考え方が同じで、総務省の横ぐしの機能をさらに強化したい。第一次の事業仕分けでも、枝野さんや多くの皆さんからこの評価機能についてはさらに強化しろという御指示をいただいているものと承知しておりますので、多分、そこのところの認識が必ずしも共有されていないのではないかというふうに考えております。

稲津委員 先ほどの私の意見の繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、総務省の横ぐし機能というお話を原口大臣は繰り返しされていますね。それは、そもそも、このテーマについて、これを総務省でどういうふうに見ていくのか。そう考えていくと、一元化したところに機能をきちんと持たせていくということは、これはある意味で客観性をさらに高めていく。大臣が屋上屋という言葉を使われましたけれども、その点は、今提出者の方から御説明いただきましたけれども、その考え方の方が説得力があるんじゃないかなというふうに私は思うわけです。これは見解の違いもあるかもしれませんから、結構でございます。

 そこで、もう一つ提出者にお伺いしたいと思います。

 独立行政法人が業務の見直しや社会経済情勢の変化その他の理由で不要となったとみずから認める財産に関して、評価委員会の関与はどうなるのか、評価の対象外となるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

秋葉議員 結論から先に申し上げますと、もちろん、これは不要財産と認める財産であっても、評価委員会による評価の対象となるものでございます。

 政府案は、この評価の対象ということでいえば業務実績ということの中でくくられているわけでありますけれども、野党三党提案は、業務実績について評価をするというのは当然でありますけれども、今回、独立行政法人の不要財産をしっかりと監視していこう、その機能を強めていこうという問題意識から、法律の中にも不要財産の有無を含めた保有する財産の状況というものを対象にするということを新たにつけ加えて明記をさせていただいているところでございます。

 独立行政法人が評価委員会の評価を受けようとするときには、あらかじめ独立行政法人がみずから評価を行った結果を明らかにした報告書を評価委員会に提出しなければならないことにいたしておるわけでございまして、この報告書は、不要財産の有無を含めた保有する財産の状況についてももちろん記載されることとなります。

 評価委員会では、その報告書とこれに対する主務大臣の意見をもとにして不要財産の有無を含めた保有する財産の状況についての評価が行われることとなっているわけでございまして、評価委員会による評価の対象に不要財産が当然なってまいります。

稲津委員 ここまで不要財産の評価について何点かお聞かせいただきました。

 今度は事業仕分けについて少しお聞かせいただきたいと思うんです。きょう、枝野大臣に来ていただいておりますので、何点か枝野大臣にお聞かせいただきたいと思います。

 まず、今回、政府は独立行政法人及び政府系公益法人が行う事業に対して事業仕分けの手法を用いて徹底的に見直すということでございますけれども、どのような視点で検証を行うのか、スケジュールはどうなっているのか、また、仕分け対象は全部の独立行政法人なのか一部なのか、もし一部であるとすれば、どういう基準で一部にしているのか。

 今何点か伺いましたけれども、もう一回確認しますと、どんな視点で検証するのか、スケジュール、それから仕分け対象は全部なのか一部なのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 事業仕分けの第二弾は、四月の二十三日と、そして、二十四、二十五が土日でありますので、月曜から、六、七、八と、四日間にわたって開催をすることにいたしております。その後、五月の下旬に、これは政府系の公益法人を中心として後半戦を行う予定でございますが、独立行政法人については基本的にこの前半の方で扱おうというふうに思っております。

 その際、視点といたしましては、独立行政法人そのものではなくて、独立行政法人が行っている事業について、その事業の必要性、有効性、効率性、そしてだれがその事業を実施する主体として適当かという視点で検証を行うということにいたしております。

 すべての独立行政法人のすべての事業を対象にできれば、それはより望ましいのかもしれませんけれども、そのすべてを取り上げる準備も含めた物理的なことを考えますと、なかなか困難でございます。

 すべての独立行政法人の事業について、これは百四でございますので、行政刷新会議の事務局と評価者をお願いしている国会議員の方と私とで一つ一つの事業をチェックいたしまして、その中で、今申し上げた視点での検証が必要だと思われるもの、そしてそういったものが同種の視点で同種の問題点があると思われるものについては、その最も問題の大きいあるいは典型的なものを取り上げて事業仕分けの対象にするというふうに考えておりまして、最終的にはどの事業を取り上げるのかというのは行政刷新会議において具体的な事業名を掲げて決定をしていただく、その最終的な案を今取りまとめているところでございます。

稲津委員 今御答弁で、全部じゃないんだという御説明でしたね。鳴り物入りの事業仕分け。そして、国民の皆さんに、民主党さんとしてはこの事業仕分けの手法を用いて今回の独法についてもきちんと明らかにしていきたいという趣旨でこの法案をつくったんじゃないですか。それを、いやいや、時間に限りがあるから限定するんだというふうに受けとめざるを得ない。私は、そこに本当にこの独立行政法人についてきちんと検証する気があるのかどうか、そう思ってしまいます。

 もう一回お聞かせいただきたいと思いますけれども、やるのであれば百四全部を事業仕分けする、そういう姿勢でなぜ臨まないんですか。

枝野国務大臣 まず、独立行政法人改革と事業仕分けはイコールではございません。行政刷新と事業仕分けはイコールではございません。私どもは、行政刷新会議のもとで独立行政法人のすべてを聖域なく改革するということに取り組んでいます。そのすべての独立行政法人についての改革を行うための一つの手段として事業仕分けを行います。

 その際には、独立行政法人は、先ほど来申し上げているとおり、非常に多種多様なものがありますので、それを一つのカテゴリーでくくっていることに問題があるというふうに考えている一方で、例えば同じ独立行政法人の行っている複数の事業の中で、それぞれの性格がほとんど共通しているのですべてを取り上げなくてもそこの問題点は明らかにできる、議論できるというものもございますし、あるいは、複数の独立行政法人がほぼ類似しているような事業を行っている、ほぼ類似した問題点を抱えている事業が行われているというものについても、その典型的なものを事業仕分けの手法で議論して、そこで明らかにされた問題点を踏まえて改革を行えばできるということになります。

 事業仕分けは、これから行います四日間のプロセスが事業仕分けではございません。あそこで一時間の事業仕分けの議論を行うに当たっては、仕分け人となる十人前後の皆さんはもとより、そのサポートをするチームを含めて、一時間の議論をするためには、それぞれ少なくともその三倍から五倍ぐらいの準備、調査をしてあそこに臨んでいるので、国民の皆さんから一定の御理解をいただける議論ができているものというふうに思っています。

 そうした意味では、目的は独立行政法人全体の抜本改革でございますので、その上で必要な対象をしっかりと事業仕分けの俎上にのせればいいというふうに考えておりまして、その結果を踏まえて実際の独立行政法人全体の抜本改革がしっかりとなされているかどうかということで御評価をいただければというふうに思っております。

稲津委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、独立行政法人の改革に当たって、事業仕分けという手法がすべてではないと。だから、そうなってきますと、事業仕分けという手法が果たして本当にこの独法改革にどれだけの効果があるのか、そういう疑念も生じてくるわけです。

 私は、百四ある独法を徹底的に洗い出して見直していくというのであれば、繰り返しですけれども、そもそも、手法として事業仕分けを用いるのであれば、全部を対象にしてやるべきだと。これは国民の皆さんから見ても、そう思うはずですよ。ですから、私は、ここのところは、本当に自信があるのかどうか、こう思わざるを得ない。

 次の質問に移らせていただく中でさらに検証させていただきたいと思います。

 行政刷新会議で提出された資料に「事業仕分けの対象事業の選定の考え方(案)」がある。幾つかの視点の例とともに、留意点として「対象事業の選定に当たっては、「ハトミミ国民・職員の声」に国民の皆様から寄せられた、独立行政法人及び政府関連公益法人の抱える諸問題等についての意見を活用する。」とあります。

 これは、私は広く国民の皆さんの声を拾うということにつきましては意義あることだと思いますけれども、これはどういうことを目的としているのか、ぜひ枝野大臣から直接お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 事業仕分けというのは、納税者、国民目線で税金の使い方を洗い出す、チェックをするということが本質でございます。そのためには、その事業の選定に当たっても、できるだけ国民の皆さんからの直接の声を踏まえて、その視点を生かして対象事業を選定するべきであるという基本的な考え方に立っております。

 そうした視点で、ハトミミ、国民の声、職員の声において、国民の皆さん、それから内部の職員の皆さんにも、公式のルートでは言えないことだけれども現場で仕事をしてこれはおかしいよななんて気づいていることがあれば、そこは寄せていただきたいということで職員の声と、それぞれから意見を募集しました。本年の二月二十三日から三月二十三日までの一カ月間募集をいたしました。

 国民の声については、独法見直しについて約六百件、職員の声については約百八十件が寄せられているところでございます。これについてはすべて私のところに御報告をいただきまして、もちろん、ざっとでございますけれども、すべて目を通させていただいた上で、独立行政法人の事業仕分けの準備チームとその準備作業に御協力をいただいている国会議員評価者の皆さんに、これらの情報を、実は職員の声については個人情報の点で部分的に注意を払わなければならないところがございますが、内容的にはすべて伝えておりまして、できるだけそうした視点を優先して生かすように事業を選択するつもりでございます。その作業を行っております。

 そして、最終的には、事務の作業との関係でいつごろできるかということは今の時点で申し上げられませんが、これらの国民の声、職員の声を踏まえて取り上げられた事業については、こういうものであるということはしっかりと公開をしたいというふうに思っております。

稲津委員 私は、このことはよろしいと思うんですよ。恐らくこれも客観性を高めていく一つの手法であると思います。

 ただ、私ども見てみますと、まだ全部公表しているわけじゃないんですね、一部しか公表されていないというふうに思っております。今、大臣は、取りまとめて全部公表していきたいというお話がありましたので、ぜひこれは進めていただきたいというふうに思うわけでございます。

 時間が大分押してまいりましたので、予定していた質問を少し簡略化してお聞かせいただきたいというふうに思います。

 次は、事業仕分けの手法についてです。

 これは疑問を呈する声もありまして、現に、第一回目となった前回は、短時間のヒアリングで、廃止や見直し、基金の返納、予算の縮減と、どんどん決められていった。対象事業の選定にも問題があるというふうに私は思います。財務省主導で偏った選定がなされたのではないか。独立行政法人についても、こうした偏りをなくす選定を行わなければいけない、こう強く思うわけでございます。この点について枝野大臣にお答えいただきたいというふうに思います。

枝野国務大臣 短い時間の議論でという御批判を大分いただいたんですけれども、それは先ほど来何度も申し上げておりますとおり、基本は一こま一時間でございますが、あの一時間の事業仕分けに向けて評価人の皆さんは相当な時間とエネルギーをかけて事前の調査をしていただいております。逆に申し上げますと、それぞれの事業が必要であるという説明を一番最初に聞くわけでございますので、それなりに自分たちであらかじめ調査や勉強をしておりませんと、ここでその事業に問題があるという指摘や疑問の声を上げることはできません。

 ですから、準備等の時間が長ければ長いほど、より深く事業の問題点に切り込めるというのが事業仕分けの性質、性格だというふうに思っております。そうした意味では、第一回の事業仕分けは、事前の準備の時間が十分とは言えなかった部分もありまして、その結果として、むしろメスを入れ切れなかったところがあるのではないかというのが反省点でございます。

 したがいまして、今回はできるだけ早目に準備の作業を進めて、そして、最終的な事業の確定は先ほど来申し上げているとおり二十日でございますが、少し幅広に、候補となっている事業については相当な準備、調査を進めているところでございまして、それの成果が事業仕分けの現場の一時間で出るのか出ないのかということが問われているというふうに思っています。

 それから、財務省主導で事業が選ばれたのではないかとずっと一貫して言われているのでございますが、確かに、財務省がちょうど予算編成のプロセスの中で事業仕分けを行うということもございましたので、私はその時点では大臣ではなくて現場評価者の統括役でございましたが、私のところにも、私からお願いをしていないのに、こんな候補がありますというリストを持ってきたりもしましたが、私は一切それに目を通しておりません。財務省主導とかということがきっと言われるに違いないと初めから予想しておりましたので、そうした資料は私は一切目を通さずに、まずは、過去に会計検査院や国会等の議論で問題になっている事業、それから、我が党や、与党当時の自民党も事業仕分け的なことをなされていましたので、そうしたところで問題として取り上げられた事業、それから、それぞれの個々の国会議員評価者が長年の政治活動の中で問題があると思われている事業、そうした事業を優先して対象としてのせる。その上で、いろいろなところから上がってきている候補リストの中のワン・オブ・ゼムとして、最終的には、全体としては財務省から出てきたリストも利用をいたしましたけれども、決して財務省主導と言われるような性格のものではないと思っております。

 ただ、これも、事業仕分けを行うという決定から実際の事業仕分けまでの時間が短かったものですから、こういうプロセスで対象事業を選んでいますというプロセスが十分に伝わっていなかったので、きっとどこかで例によって財務省が決めたんだろうという予断が事実として伝えられ、受けとめられるという傾向があったかなと。そこは反省をしておりますので、今回は、この事業の選定のプロセスに当たっても、できるだけそのプロセスの中間段階で今こうなっていますということをお示ししてきているところでございます。

稲津委員 今、大臣の御答弁を聞いて、ああ、なるほどなと思いました。それは、いみじくも大臣はメモの話をされて、要するに各省からそういう働きかけがあるわけですよ。そして、偏りができてしまったわけですよ。そういうふうに今おっしゃったじゃないですか。だから、私は、手法として事業仕分けはいかがなものかなということをさっきも聞きましたけれども、そういうことを今おっしゃいましたよ。いやいや、まだ私の質問中ですから。

 それで、きょうは農水省から舟山政務官にもお越しいただいていますので、ちょっと聞かせていただきたいんです。

 よくわからない点があったわけです。それは、農水省所管の鳥獣被害防止対策です。昨年の事業仕分けの結論は、自治体の判断に任せるというものだった。まず、この自治体の判断に任せるというのはどういう意味だったのか、予算措置を行わず交付税でやるということなのか。私は、その当時よくわかりませんでした。しかし、結果的に鳥獣被害防止総合対策交付金という交付金にした。これが自治体の判断に任せるという事業仕分けの結論に対する答えなのか、どういうことなのか。これは農水省に確認したいと思います。

舟山大臣政務官 お答えいたします。

 まず、事業仕分けにつきましては、税金の使い方を公開する、透明化を図るということで、私はやはり一定の意味があったのではないかと思っております。

 あの事業仕分けの場におきまして、私は提出者たる農林水産省の代表としてその場にも参加させていただきました。その中でこの鳥獣被害防止対策も取り上げられて議論になったということでありますけれども、事業仕分けにつきましては、いろいろな一般の国民目線からの意見の中で、なるほど、これは確かに改めるべきだというところはやはり改めていかなければいけないと思っておりますし、その中で認識がちょっと違うのではないか、これはこういう意味なんだと説明するところは説明しなければいけない、そういうスタンスで臨んでまいりました。そういう中で、今御質問にありました鳥獣被害防止対策につきましては、事業仕分けの結果、自治体の判断に任せるという評価結果が示されました。

 ただ一方で、この事業につきましては、まず、地方から国による支援について大変強い要望があったということ。それからもう一点、非常に重要なことでありますけれども、これは鳥獣被害防止特別措置法という法律に基づいて国による財政上の支援が定められているといった状況があります。こういった双方の判断も踏まえまして、一部では交付税でやるべきではないかという声もありましたけれども、今の法律上の措置、それから地域からの声を踏まえまして二十二年度からは、そうはいっても、国がすべてを縛って全部配るということではなくて、一定程度地方の裁量を高めるような形での交付金化、まさに自治体の判断による事業実施を可能とするような交付金化を図ったところであります。

 具体的には、二十二年度におきましては、国が都道府県に資金を交付し、都道府県がその裁量のもとに事業実施主体を採択する方式としたところでありまして、地域の主体性を生かしつつ対策の円滑な推進に努めているところであります。

 実際に、鳥獣被害というのはここ数年二百億円を超えるような非常に深刻な被害になっておりますので、やはりこういった一定の国の役割、また地方の裁量、そこのバランスを考えてこういった対策にさせていただきました。

稲津委員 だから、そもそも、この鳥獣被害の対策を事業仕分けに入れてしまったことに、私は懸念が残るわけですよ。最終的に、また交付金としてこれはきちんとやっていく。今お話がありましたけれども、地方からの大変強い要望があった、声があった。当たり前のことですよ。そういう俎上にのせる段階に問題があったんじゃないか。

 このことは、実はもう一つあるんですよ、文科省の知的クラスター創成事業。これは事業仕分けで廃止という結論になりました。ところが、文科省のパブリックコメントの一カ月間で、異例の、廃止反対意見がどんどん来た。最終的に政府としては、この事業を形を変えてイノベーションシステム整備事業ということで、予算はちょっと縮減しましたが、継続しているわけですよ。

 こういうことを考えていったときに、この事業仕分けの手法というのが果たしてこの独法改革にどこまでの効果や担保があるのかということについて、やはりどうしても疑念が生じてくる。事業仕分けという手法が間違っているというわけじゃないんですよ。しかし、独法問題について果たして本当に効果があるのか、そういうことも思うわけでございます。

 もう一つ聞きます。これは時間がありませんので最後の質問になりますけれども、枝野大臣に聞きます。

 大臣は、研究開発系の法人について、十日に行われた講演でせいぜい五つか、多くても十個ぐらいに整理できると述べられた。川端文部科学大臣は、十三日の閣議後の会見で、まだ仕分けもされていないのにいかがかと陳情申し上げたと苦言を呈した。大学入試センターの民営化検討という発言についても、受験生や保護者に配慮しなければいけないし、経済効率だけでどうなるという話にはならないと述べています。どうですか、これは。

枝野国務大臣 川端大臣のおっしゃったことは当然の発言だというふうに思っておりまして、事業仕分けをこれから行って、その結果を踏まえて、例えば研究開発法人のあり方は、これは別に研究開発法人そのもののガバナンスとしては古川副大臣と鈴木副大臣のもとでチームをつくって検討していただいていますが、そことの検討とあわせて抜本改革のあり方を検討していくわけでありますが、その前の段階で私が結論を申し上げるということはあり得ないということでございます。それは大学入試センターについても同様でございます。

 ただ、私は自分の講演の中で例えばこういう考え方もある、こういう視点もあるということの中で申し上げたことでございますが、担当大臣でございますから、それが既に結論の見通しであるかのように受け取られて報道されたという側面については、私自身、遺憾でもございますし、そうした誤解を招かないように気をつけなければならないというふうに思っておりますので、川端大臣の御指摘は大変ありがたい御指摘だというふうに受けとめました。

稲津委員 ありがたいかありがたくないかは主観の問題ですから別にいいんですけれども、私が言いたいのは、こういうことが政府の中で閣僚から声として出てきている、そういう中で本当に偏りが生じないのかどうか、こういう懸念のことを言っているんです。

 したがって、結論になりますけれども、より客観性、恣意的でないもの、こういうことを高めていくためには、冒頭いろいろ提出者の方にもお聞きしましたけれども、やはり一元化を進めていくことが最も大事なことだと私は思いますよ。そのことを最後にお話し申し上げまして、質問を終わります。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 独法の通則法の改正案について質問をいたします。

 最初に、今回の法案に基づいて今年度の予算で見込まれている国庫納付額は幾らとしているのか、また同様に、昨年度において見込まれていた国庫納付の額が幾らだったのか、お示しください。

階大臣政務官 お答えいたします。

 今回の提出法案によって独法からの国庫納付が見込まれる額は、現金で六千四百四十八億円、そのほかに現物のまま国庫納付される不要財産として簿価ベースで九百八十七億円、こういうものでございます。そして、前政権のときの旧法案で独法からの国庫納付が見込まれていた額は現金で三百四億円、こういうことでございます。

塩川委員 現金で国庫納付の額は、今年度は六千四百四十八億円、昨年度が三百四億円ということでございました。

 昨年度の場合には法改正が行われていませんから、それがそのまま積み残しということで今年度ということになっているわけですけれども、ただ、去年想定した三百四億円も、おととし出されました自公政権時代の閣法の仕組みに基づいて行われるということでありますし、ことし見込んでいる六千四百四十八億円も、当然のことながら自公政権時代の閣法と同じ仕組みで国庫納付をするということであります。

 仕組みは同じなのに額がこんなに開きがある、その理由は何なのかをお答えいただけますか。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

階大臣政務官 思いますに、一番大きな要因は、昨年の事業仕分けで独法が積み立てていた基金について幅広く見直しが行われた、その結果がこういう数字の差に反映されているのではないかと思っております。

塩川委員 枝野大臣に伺います。

 去年の行政刷新会議で「事務事業の横断的見直しについて」という文書を出されておりまして、そこに「公益法人及び独立行政法人等の基金の見直し」という項目で、「運用益で事業を行っているものについては、基金相当額を国に返納し、必要額を毎年度の予算措置に切り替えるべきである。」ということが指摘をされているわけです。つまり、事業そのものの検討をして、事業そのものの必要性がある場合であっても、その基金の運用益の活用はやめて、毎年度の予算措置に切りかえることになっているということで承知をしております。そのとおりでよいかということが一点。

 そうしますと、事業の必要性は認めるものの、運用益の活用をやめて毎年度の予算措置ということになりますと、この毎年度の予算措置が将来どうなっていくのかという見通しも非常に不透明だということを考えますと、結局、国の財政への寄与を理由にして国民にとって必要な事業の縮小、打ち切りにつながりはしないか、こういう懸念を覚えるわけですが、枝野大臣、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、基金の運用益で事業を行うという考え方は、特に昨今の低金利時代においては、基金を積んでおいてもほとんど運用益が上がらないという経済状況のもとではやはり合理性を失っているであろう。一方で、その財源になっている国の予算そのものが大幅な借金で成り立っているわけでありますから、それは、借金も減らし、基金の部分も減らすということで全体のいわゆるバランスシートを縮小させることが財政の立て直しに向けて必要なことであろうというふうに思っています。

 その上で、もちろん基金があれば何年先もそこから一応金が出るという見通しが立つのかもしれませんけれども、逆を言えば、社会状況、政治状況の変化によってその事業が必要でなくなった場合であっても、あるいはそこに必要な予算の規模が小さくなった場合であっても、その事業が継続をされてしまうという、そういった無駄が発生する余地が一つあります。

 そして、もう一方では、本当に必要な事業はきちっと毎年の予算措置をしていく。まさに政治の一つの大きな役割は、必要なところにしっかりと予算をつける。その予算をどこにつけるのかという判断こそが、あえて言えば政治の一番大きなと言ってもいいぐらいの責任である以上は、そこのところの御懸念には当たらない。少なくとも私どもの政権が続いている限りは、必要なところにはしっかりと必要な予算をつける、こういうことで対応してまいります。

塩川委員 無駄が発生するのについて、毎年度の予算措置を通じてチェックをするし、当然必要なものにはお金をつけるんだという話ではありますけれども、一方で財政の立て直しという観点というのは当然のことながら挙げられているわけで、結果としてその財政立て直しが優先されるがゆえに必要な事業さえも切り込まれることになるのではないのかという懸念が、今回の独法の資産の国庫返納について私はその懸念が払拭できないと考えております。

 具体例を挙げて聞きます。

 一つは、総務省の情報通信研究機構、NICTで、衛星放送受信対策基金、BS基金三十一億円の国庫返納がございます。この三十一億円の中で、基金で行っていました事業として、地上波でアナログ放送が受信できないいわゆる絶対難視世帯、つまり、現行のアナログ放送も届かないような地域というのが、推定ですけれども、四万世帯ぐらい残されているとされているわけですけれども、そういういわゆる絶対難視世帯には、今、衛星放送で対応しているわけですね。この対象世帯が衛星放送を受信するためのBSのアンテナとか受信機などの設備を設置した場合に、経費の一部を助成するという事業をこの基金で行っているわけであります。

 これはまさにユニバーサルサービスとしても、国民にあまねくこの環境を整える事業を進める上でも重要ですし、何よりもセーフティーネットとしても欠かせない事業だと思いますが、この点についての総務省の御見解をお聞かせください。

内藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、この基金の運用益を使って二つの事業を行ってきたわけでございます。一つは、目の見えない方、目の不自由な方に対して字幕放送とか解説放送の充実、そしてもう一つは、NHKも含め地上波のアナログ電波が届かないところに対して衛星放送が受信できるようにその受信側の設備を助成してきたわけでございます。

 ところが、今回の基金の廃止に伴ってこれができなくなる。その代替措置といたしまして、衛星放送受信対策事業というものを新たに設けまして、一般会計で今年度は一億八百万円を措置して継続をさせていただくことになっております。

 以上でございます。

塩川委員 基金は廃止、それで一般財源措置で一億円余りをつけたという話でございますけれども、確かに、近年の実績はほとんどないんですよ。〇八年度も一件なんです。〇九年度も六件なんです。

 しかし、来年七月にアナログの停波が行われます。ですから、それとあわせて、当然のことながら、現行のアナログは映るけれどもデジタルが映らないという新たな難視世帯も生まれてくるわけで、改めてきちんとした受信環境の整備のために努力をしなくちゃいかぬという点では、この絶対難視世帯に対しても、現にNHKが調査もやっているわけです、地図の上に落としてみて、映らない地域にどのぐらい世帯があるかというのを拾い集めるような作業なんかも現に行っているわけですよ。そうしますと、多数の申請が行われるかもしれない。そういう点で、今年度、そして来年度、私はアナログ停波そのものを延ばせと言っていますから、そういうことも含めて、場合によってはその先もあり得るかもしれないという点でいえば、このアナログ停波前後の不測の事態が想定されているときに、あえて今この基金をなくす必要があったのか、このことが問われていると思うんですが、原口大臣、いかがですか。

原口国務大臣 これは、塩川委員、完全デジタル化に向けての取り組みについて、大変この委員会でもさまざまな御指摘をいただき、御支援をいただいております。まずそれをお礼申し上げます。

 その上で、先ほど枝野大臣がお話をされましたけれども、必要なものはちゃんと予算措置しましょうね、そして、さまざまな基金という形で残っていることによって、今、実績についてもお話がございましたけれども、本当の意味での政策効果、これは国が、今回も基金廃止に伴う新制度創設により絶対難視聴地域の居住者については経費の一部を助成してそのとおりのことをやるわけでございまして、やはりストックとフローのバランスをちゃんと見直そうじゃないかということでやっておりますので、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

塩川委員 必要な予算措置という場合でも、どのぐらい必要かというのは結構わからないわけですよ。現にどのぐらい出るかというのは見込めないわけで、過去の実績のピークの数字をとっておおよそ三千八百世帯ぐらいかななんという織り込みで一億とかという予算をつけているわけですけれども、それだってわからないわけですよ。場合によってはもっと出るかもしれないし、出ないかもしれない。そういう点では、今年度の予算措置が適当かというのもよくわからないし、来年度はどうなるかという見込みだってよくわからないんですよ。

 であるならば、基金という形でしっかり残した上で、その基金の中でしっかりやるということがあれば、まさにいざというときのセーフティーネットだからこそできる仕組みになっている。ですから、単純に毎年度の予算措置ではなくて、基金方式というのが望ましいような事業の形態だってあるはずだ。それをこういう形で一律に基金の運用益の事業はやめて予算措置というのは余りにも機械的な対応じゃないのかと思うんですが、原口さん、いかがですか。

原口国務大臣 先ほどGPIFの百二十兆円、あれは年金基金でございますけれども、それを運用するだけでもコストはかかるわけです。そして、キャッシュフローマネジメント、私たちは新たな考え方で、さまざまな国民からお預かりした、税金を含めて決してそれを寝かせないあるいは無駄にしない、これは当たり前の話です。

 私は、委員がおっしゃるように、基金対応した方がいいものも確かにあると思います。しかし、私たちが今目指しているものはそこではなくて、要は、不測の事態があるから基金を積んでおこうといったことではなくて、むしろ予備費でそれは対応すべきだし、そして、厳格にどれぐらいの不測の事態が起きるのかといったこともしっかり政策評価した上で、委員がおっしゃるような下支えの政策を一般会計予算の中でやるべきだ、このように考えています。

塩川委員 このBS基金について、ピークとして考えられるのはアナログ停波の時期前後の話なんですよ。そのときに集中的に問われるわけですからね。それを一年、二年後に回せばいいものを何でことしなのかという点でも、道理がないじゃないのかと。結局は、目先のお金の確保のために基金を廃止したと言われても仕方がないということを私は言わざるを得ません。これが一つ。

 それとあともう一つ、文科省の方の国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金百億円の国庫返納について伺います。

 この事業は、超党派の子どもの未来を考える議員連盟が子供の未来のために有意義な基金の創設を発意し、スタートしたものです。ここも基金廃止によって、運営費交付金の一部として事業費が予算措置をされております。

 そこで文部科学省にお尋ねします。

 運営費交付金の一部として事業費が予算措置をされるということです。そういう点で、運営費交付金自身は、全体はマイナスシーリングがかかっております。そうなりますと、事業の経費が交付金になると、事業縮小のおそれにつながるんじゃないのか。活用している団体からも、基金だからこそ継続的な事業が行える、単年度の予算措置だと将来の見通しが立たないという声が寄せられているわけですが、こういう交付金化による事業縮小のおそれがありはしないか、このように考えますが、文科省はいかがですか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

高井大臣政務官 子どもゆめ基金についての経過は委員が御指摘になったとおりでございますが、原口大臣、枝野大臣がおっしゃったとおりの趣旨から、事業費について、基金は政府出資額の百億は国庫返納して、今年度の事業費について前年度と同額の二十三億を確保できるように国立青少年教育振興機構の運営費交付金を措置いたしました。事実関係はもう委員は御承知のとおりだと思います。

 運営費交付金について、中期目標に沿って毎年一定度の効率化を図ってきてはおりますけれども、子どもゆめ基金事業は子供たちの健全育成のための草の根的な事業に支障のないように確保されてきたところで、今回もそういう措置をいたしましたので、今後とも事業費の確保に努めてまいりたいと思います。

 シーリングについては、政府全体として二十二年度のシーリングは廃止されましたので、来年度に関してはまだ承知はいたしておりませんけれども、文部科学省として必要な事業費は確保してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 利用している団体のお話なんかをお聞きしましても、例えば年間十万円ぐらいの助成によって読み聞かせの事業とかをやって、そういうもので子供たちが読書に親しむような環境をつくる、地域からそういうボランティアの運動なんかに大いに取り組んでいるという話になっているわけですけれども、事業仕分けなんかの議論を見ますと、そういうのは国がやらなくてもいいんじゃないかみたいに頭ごなしに言う。この事業仕分けのシートを見ても、事業は縮小すべきだ、こういう観点で議論が行われるという指摘もされているわけで、私は、そういう意味でも、今回のやり方は、一律に基金の運用益で行っているような事業を廃止する、そういう中で実際に必要とされる公共サービスが後退をする、そういう懸念を覚えざるを得ないということを申し上げておくものでございます。

 そこで、こういう独法の不要財産の国庫返納について、今回の法案に直接かかわるものではございませんが、平和祈念事業特別基金の運用資金の国庫返納の問題がございます。

 これは、今年度の独法などの不要財産の国庫返納の一つとして、平和祈念事業特別基金の運用資金二百億円が国庫返納されます。これは四年前に個別法が廃止されたことに伴って、ことしの秋に基金が解散ということで返納ということになっているわけです。

 そこでお尋ねしたいんですが、戦後、旧ソ連によってシベリアやモンゴルに強制連行され、奴隷のように働かされた日本兵や民間人の方が約六十万人、うち約六万人の方が亡くなったとされております。抑留中は、零下四十度と言われるような酷寒の地で、炭鉱ですとか森林伐採などの重労働を強いられ、一日の食事はわずかな黒パンと塩スープだけだった。酷寒と重労働と飢えという三重苦のもとで苦しめられ、亡くなった方たちの遺骨の多くはいまだ異国の地に眠ったままでございます。

 終戦直後、旧ソ連のスターリンが旧日本軍人らの労働利用について触れた極秘指令を出していたなど、国際法違反は極めて重大でありました。一方、こういう軍人や軍属らを労働力として旧ソ連側に提供する方針を示していた当時の日本政府の国策というのも、表裏一体となって抑留者を生み出した。まさにこの棄民棄兵政策というのが問われたわけであります。

 原口大臣は、野党時代に、シベリア特措法の法案を野党としての取りまとめで中心となってこられた方でございます。そこでお尋ねしたいんですが、こういう抑留者の方の強制労働に対する対価の支払いがないのはおかしい、国には責任があるはずだ、こういう切実な要望にこたえるという法案の中身でもございますが、シベリア抑留に対する国家補償の観点での特別給付金を支給する、こういうシベリア特措法の必要性についての大臣としての御認識を伺いたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 塩川委員が御指摘のように、戦後、酷寒の地で乏しい食料と劣悪な生活環境、まさに過酷な強制労働。私の後援会長は九十四歳でございますが、シベリア抑留者でございます。もう何十年も御一緒していますけれども、最初は多くのことを語ることがありませんでした。しかし、今九十四の年になって、その筆舌に尽くしがたい経験を少しずつお話ししてくださっております。その話を聞くだけでも、私たちが想像できない御苦労があったというふうに考えております。

 今委員がおっしゃるように、私は、民主党のネクストキャビネット総務大臣時代に、シベリア抑留者についての特別措置法の取りまとめを行ったところでございます。

 戦後、抑留者への給付金については、今関係者の間で真剣な話し合いをしておりまして、今委員がおっしゃったような形で一刻も早く、これは給付金が来たからといって、その方々の傷がいえたり、その時間が取り戻せるということはありません。しかし、その上でも、今補償という言葉をお使いになりましたけれども、シベリアに抑留をされた方々や、そのほかにもたくさんの、まだ南方やさまざまなところで帰国できないまま野ざらしにされておられる御遺骨もございます。そういったものに対し、祖国に帰ることを夢見ながら帰ってくることができなかった、あるいは今なお多くの心の傷を抱えながら生活をされている方々に対して、国家としての姿勢をしっかりとするべきだ、私はそのように考えております。

塩川委員 国家としての責任はやはりしっかり認める、そういうものとして我々は立法措置をぜひやっていきたい、その点でも原口大臣自身が御努力をされてこられたわけであります。平均年齢八十八歳と言われている方々に一刻も早く実現させたい、してもらいたい、これが関係者の共通の願いでございます。

 ですから、政権交代がいいきっかけだったわけですけれども、秋の臨時国会でできるのかと思いましたら、ごたごたがあって、それがかなわなかったということもありました。では、年が明けたらと思って関係者の方が願っていたのに、これも残念ながらかなわなかった。では、桜の咲くころにという話をしていたのも、もう散り始めてしまっているというので、どんどん先延ばしをされているわけです。この間にも、そういう抑留者の方が、高齢で亡くなられている方も現におられるという点でも、一刻も早いこの実現が求められているわけで、何でこんなにおくれているのかと私は率直に思うんですけれども、大臣、その辺はお聞きになっておられませんか。

原口国務大臣 総務省としての立場は、今お話をしたとおりでございます。

 先日も、民主党を中心とした有志の議員その他の関係者の皆さんが総務大臣室にお見えになりまして、先ほど私が述べたことと同じことをお話しくださいました。今政府の中で、あるいは関係者等で真剣な御議論をいただいていると聞いております。総務大臣としては、今委員がおっしゃったように、一刻も早い、しっかりとした支えというものを期待するものでございます。また、そこに向けて努力を重ねてまいりたい、このように考えています。

塩川委員 本当に実現を願っているわけですけれども、何でこんなに先延ばしをされるのか。仄聞するところでは、財政当局の方がオーケーを出さないんじゃないかとか、そういう金目の話になっているようなことであれば、これこそ問われるんじゃないでしょうか。

 この平和祈念事業特別基金そのものの廃止、まあ、独法の廃止そのものは、もともと余り役に立ってないんだという声も現にあるわけで、廃止そのものは措置をされるわけですけれども、その際に、二百億円の基金が国庫に返納されることになっているわけです。

 この間、民主党など野党は共同してこのシベリア特措法案を国会に提出し、政権交代を受けて以降も立法化の努力を重ねてきているところでございます。そこで、民主党などが取りまとめております法案骨子案の概要で何と書いてあるかというと、「特別給付金の支給のために基金の資本金を取り崩すことができることとする。」としているわけですね。つまり、基金の資本金二百億円を特別給付金の支給に手当てをするものとなっているわけです。抑留者の方は、何もお金の話じゃないんです、国が責任を認めて自分たちの労苦に対してきちんとした姿勢を示してもらいたい、そのあらわれがこの特別給付金であるわけです。そういう提案をしている法案そのものが、特別給付金について、基金の資本金二百億円を取り崩すことができるということで措置するようになっているわけです。

 では、今年度の予算に見込まれています平和祈念事業特別基金の運用資金、国庫返納額の二百億円というのは、この抑留者の方への特別給付金の支給に充てられることになっているんでしょうか。

原口国務大臣 平和祈念事業特別基金の資本金は、今おっしゃるように二百億円でございますが、廃止法に基づき、平成二十二年九月三十日までに廃止し、国庫に返納が予定されております。資本金二百億円は、二十二年度歳入予算に計上をしています。

 その上で、今お尋ねの戦後強制抑留者への給付金については、関係者の間で真剣な話し合いが行われていると聞いておりまして、総務大臣としては先ほど申し上げた姿勢でございます。なお関係者の話し合いを見守りながら、今委員がおっしゃった趣旨の方向で決着することを期待しておるところでございます。

塩川委員 議員立法を出そうという議員の皆さんは、別にブレーキなんかだれもかけていないわけですね。だれがブレーキをかけているんですかということなんですよ。このままでいいんですか。

 実際、一刻も早く実現を願っていたのに、結果的にもう半年が経過をするような状況になっている。自公政権の退場をきっかけとして大きく前進させようと思っている、そういう点では関係者、まさに立法化を目指す皆さんは共通の願いであるわけですけれども、それが現時点で見通しはどうなんでしょうか。私は、そういった財政当局の金目の話が理由で事が前に進まないとしたら、そのこと自身がおかしいと思いますが、原口大臣、いかがですか。

原口国務大臣 委員がおっしゃるように、この戦後補償、あるいは強制抑留者の皆様に対する国としての責務、この問題は大変重い問題でございます。ですから、金目の問題でこれが動かないというようなことがあってはならないというふうに私は思います。

 ただ、関係者という場合、これはさまざまな関係者がいらっしゃいます、その関係者の皆様との話し合いや、政府として整理をすべき点があることも事実でございまして、委員がお話しくださいましたその方向を一刻も早く実現できるべく総務大臣としての努力を重ねてまいりたい。

 今申し上げられるのは、残念ながら、だれが邪魔しているかとか、かれがどうしているかとかいう話を今ここですべきでもないし、また、そうではありません、政府として一丸となってやっているところでございますが、いましばらくお時間を賜ればと。しかし、その時間もそんなに何年もなんという話じゃないということも申し上げておきたいと思います。

塩川委員 全国抑留者補償協議会の方は原口大臣にも要請をされておられて、その広報ではこの予算二百億円の財源も平和祈念事業特別基金の残余資金が充てられることでクリアできると見られていますと。そういう期待も寄せておられるわけです。独法資産の不要財産国庫返納による国の財政への寄与が優先されることによって、この抑留者への補償が棚上げというようなことがあってはならないわけで、一刻も早い実現を改めて求めて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今まで枝野大臣もいらっしゃいましたが、職務にお戻りになられました。今、ちょうど事業仕分けが行われている最中というか、前段階の大変山場だと思いますので、そのこと自体には御期待を申し上げたいというふうに思うんですけれども、きょうは、この独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について、政府案、また私たちが提出をした法案についてお尋ねを申し上げてまいりたいというふうに思っております。

 今回、自民党、公明党、みんなの党で共同提出をしました独法通則法の一部を改正する法案というのは、もともと安倍内閣当時に、渡辺行革担当大臣の当時に、政府としてまとめて国会に提出したものが基本的にベースとなっております。ですので、自民党さんからこの対案の提出という御相談を受けて、私も、今我が党の代表になっていますが、渡辺喜美先生に御相談をしましたところ、これはおれがつくった法案だというお話をされておりました。そういう意味で大変思い入れも強いところでありますが、その一方で、政府案を見ますと、その法案の大半の部分が削除というかなくなってしまっている。これを見て我が党の渡辺代表は、非常に内容が乏しい、しょぼい法案だな、こういうことを感想として述べておられました。

 当時、直接所管をしていた大臣が我が党のトップでありますので、何とかチルドレンみたいな言い方を多分いろいろと今回の質疑でさせていただくことになると思いますけれども、お聞き苦しい点はお許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、独立行政法人のあり方についてなんですけれども、きょうの質疑でもいろいろ出てまいりましたが、一部に、あたかも独法を廃止した上で国営の事業に戻す、独法職員を公務員に戻す、そういうふうに受け取れるような発言がどうも見られるように思います。

 典型的なケースが国立印刷局だと思います。先ほどもいろいろと議論がありましたが、やはりこういった事業については国営に戻した方がむしろコストが安くなる、人件費も、役員ポストが少なくなってむしろ効率化できるんだ、こういう趣旨のお話を枝野大臣もここまでされてきたというふうに思うんですけれども、これは本当にそうなのかということを一つ申し上げたいというふうに思います。

 これは、機械的な試算でやっていくとこうなるということでありますけれども、もし国立印刷局を再国営化した場合、幹部の数を減らし人件費を削減できる、こういうお話でありますけれども、確かに、大蔵省印刷局時代は局長一名ということでやっていたわけですが、今の独立行政法人の体制では理事のポストを四つもつくって、ここに財務省のOBが天下っている。ここはまさに幹部体制が膨らんでいて、役員の人件費の増大要因になっていることは事実だと思います。

 現在は、理事長一、理事四、監事二という七名体制になっているわけですけれども、役員の報酬、賞与の総額は一億一千六百万円ということになっております。これを国に戻して印刷局長一人だということになれば、七人が一人になるわけですから、総額大体一億円ぐらいのコストの削減になる、これは事実だというふうに思います。

 ただ、この印刷局の人件費の総額自体はトータルで三百二十五億円ということになっているわけでありまして、役員人件費というのはごくごく一部にすぎないわけです。ほとんどを占める残りの部分、一般職の人件費はどうなるかといえば、これは機械的に言えば、今、印刷局の職員の給与のいわゆるラスパイレス指数は、国家公務員人件費と比べて八八・八という数字になっています。国に戻して国家公務員並みの給与をもらうようになるとすれば、単純計算をすると、これは人件費、四十一億円もふえちゃうんですね。

 さっきの役員人件費、こんなに理事をつくって、監事をつくって、七人も理事になっている。局長一人でいいじゃないか。そうです、一億円人件費が減ります。でも、一般職で四十一億円ふえて、差し引き四十億円もの人件費の増大になってしまうんですね。

 しかも、さらに申し上げると、独立行政法人評価委員会国立印刷局分科会の提出資料によれば、ここまで、印刷局は独法化をしてから民間企業的な経営手法を導入して、効率的かつ効果的な業務運営体制を確立することにより、銀行券の製造コストを引き下げるということで取り組みをしてきた。光熱費、修繕費、人件費以外の固定的経費について大変努力をしてきて、結果として五十四億円の経費節減をこの間達成しています。

 国営に戻したらそれが全部チャラになるというふうには思いませんけれども、しかし、独法化によってこの経費節減の五十四億円ということが実現をされたわけですから、再国営化した場合に、ここのコスト削減部分が一体どうなってしまうのかということもあるわけであります。

 四十億円の人件費、そして五十四億円の経費の節減、こうしたことが、国立印刷局が独法から場合によっては再国営化される、そうしたことによってコストの増大につながってしまうのではないか。しかも、国営化するということになっていくと、まさに先ほど谷先生がおっしゃられた定員の問題にもなってくるわけであります。

 こうした形で独法を廃止して、逆に独法職員を公務員に戻すようなことになれば、結果として、公務員数がふえて、公務員の焼け太りとなってしまうのではないかと思います。万が一にも、そのようなことがないというふうには理解しておりますが、政府の方針はいかがなんでしょうか。

原口国務大臣 柿澤委員は、かつて同じ民主党の同志として、HAT―KZシステムに鋭く切り込んでくださっておられますし、今もその方向を前面に出してやっておられますので、私たちがそんなことをするわけがないということは、おわかりのことだと思います。

 今私たちはガバナンスをきかそう、ガバナンスについてのしっかりとした検証をやって、それからミッション。独立行政法人とは、そもそも、公共性の高い事務事業のうち、国が直接実施する必要はないけれども、民間の主体にゆだねると実施されないおそれのあるものということを言っているわけでございまして、今御指摘の独法についても、焼け太りなどということを、またそんな余裕があるはずもございません。

 また、逆に、ぜひ敵と味方を間違えないで柿澤委員にはやっていただきたい。先ほど、一元化の議論がどうしてかみ合わないのかなと思いましたら、私たちは、各省にそれぞれPDCAサイクルを持ってくださいと。私が橘委員にお答えをした一元化は、それをなくして総務省に一元化するという意味ではなくて、逆に、前の菅総務大臣がいらっしゃいますけれども、これはインナーキャビネットでしっかりとした強い権限を持って、将来的にはそこに、総務省の横ぐしの機能のさらに強大なものを移すべきだということを考えているわけでございます。

 各省の大臣が、みずからが所管する独法についてのPDCAをみずからチェックできないなんという仕組みは私たちは想定をしておりませんので、かつて民主党にいらしたときと同じように、私たちの行革をぜひ見守っていただきたいと思います。

柿澤委員 まさに原口大臣のおっしゃる趣旨は共感をするところであるわけですけれども、あえてここで詰めさせていただくと、これからの独法の整理合理化に当たっては、独立行政法人が行うべき仕事というのを精査して、そして、必要ないというか、民間にできることは民間にしてもらうということで、独立行政法人の業務の全体のボリュームも、また独立行政法人の数も、そして執行体制も最小限のものにしていくということをおっしゃられているという解釈でよろしいでしょうか。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、先ほど塩川委員からお話がありましたNICT、これは世界最高の頭脳を持って、そしてIITH、インド工科大学のハイデラバード校やさまざまなところと今リンクを張っています。しかし、それとて、しっかりとした知的な生産のパフォーマンスが明らかにならないのであれば、それは予算を減らしますよということを言っておるわけでございます。

 また、GPIFについても、例えば百二十兆という年金基金を持ちながらポートフォリオの議論をなぜ今までやっていないのか、ファンド・オブ・ファンズの議論をどうしてやっていないのか。もし国債だけでやるんだったら、それは財務省の理財に戻して、八十人の独法というのは要らないじゃないかという議論を今しておるところでございます。

 まずはミッション、それから費用対効果ということで厳しく精査をしてまいりたいと思いますので、御協力をお願い申し上げます。

柿澤委員 先ほどの枝野大臣の御答弁、また今の原口大臣の御答弁で、今までの、国立印刷局を国営に戻すかのような、そう受けとめられても仕方がないような御発言もあったと思いますけれども、基本的にこれは否定をされたというふうに解釈をいたします。

 ガバナンスのお話ですけれども、PDCAサイクルを各省庁の中でしっかりと確立する、このことは大変大事なことだと思います。しかし、先ほどの公明党の稲津委員の御質問に対して枝野大臣が御答弁をされていましたが、大学入試センターについて、これは完全に独立採算で大丈夫だという視点でやっていく、民営化をするというような趣旨の発言を自分の御地元でされた。これが報道されて、川端大臣にかみつかれたわけですね。研究開発系の独立行政法人についても大きくまとめていく、これは私は非常に共感をする考え方ですけれども、これについても川端大臣は、仕分けもしないうちに、こういうお話をされました。

 これに対して枝野大臣はどういう御答弁をされるか、私も稲津委員の質問に対しての答弁に注目をしたんですけれども、川端大臣の発言は当然の発言だ、事業仕分けの所管大臣であるので、あたかも結論であるかのように話してしまったことは誤解を招いた、大変ありがたい指摘をいただいた、こういうことをおっしゃったので、ちょっと私はびっくりしたんです。

 これは、まさに各省のガバナンスという点でいえば、事業仕分け所管大臣の問題意識が事業所管官庁からひっくり返されているということになるわけでありまして、今の原口大臣の、各省ばらばらの評価委員会のシステムということをやっていると、こういうことが起きてしまうということの証左なんじゃないですか。

 私は、その点において、やはりこの評価委員会を各省庁から切り離して一元化して、公平中立、第三者的な立場から鋭く切り込んでいく、こうした体制をつくる必要が、先ほどの枝野大臣の答弁でますます明らかになったというふうに思いますけれども、原口大臣のお考えはいかがでしょうか。

原口国務大臣 柿澤委員と私が目指す方向は同じなんですよ。

 ただ、私は総務大臣として自分のところも、あの事業仕分けの後でさらに顧問やさまざまな方々にお願いをして、PDCAサイクルでさらに深く切り込んだわけです。つまり大臣というのは、単なる要求大臣や、みずからの省庁の肥大化する圧力を是認する大臣じゃないんです。みずからのところについてみずからがチェックをし、そして先ほど申し上げたように、総務省はその上に横ぐしの委員会を持っているわけです。

 だから、私は先ほどの稲津委員と枝野大臣のやりとりを聞いていて、各省の思惑に大臣が屈したというふうにはとっていません。逆に言うと、事業仕分けの仕分け人さんたちがやっておられることは、費用対効果について、まさにそれをオープンで国民に見せるということなんですね。その上で、稲津委員の問題意識は何だったかというと、相手のあるもの、例えば市民公益の皆さんと一緒にやっている食育なんというのもあります。食育も事業仕分けの現場では相当減らされているんです。

 ところが、刷新会議では何を言っているかというと、稲津委員の問題意識と同じことを言っているわけです。つまり、命にかかわる問題、あるいは相手がある問題、そういったことについては事業仕分けの一番最前線の仕分けにもう一つ、政治判断とかあるいは権限仕分け、あるいは理念との合致というものがありますよ、そのベクトルを合わせましょうと枝野大臣は言ったので、何も、各省に独法の評価あるいは厳しい管理のところを設けるからといって、独法についての管理が甘くなるというのは、それは一義的じゃないというふうに思っています。

柿澤委員 残りが三分ぐらいになってきてしまって、法案提出者の方にもちょっとお伺いをしたいというふうにも思うんです。

 特にこの点、政府提出案と私たちの案を比べて、大きな違いがあると思います。まさに省庁のお手盛り評価に基づく、独法の今の体制の温存につながりかねないそのような評価、こうしたことを避けるために、私たちの法案ではどのような体制をしいているか、政府案と比べて、私たちの法案がすぐれた点ということについて御答弁をいただければと思います。

谷議員 政府案の、不要財産を国庫納付する規定を置くこと自体、我々の法案にもあり、当然必要な措置だと思っています。

 ただ、この規定にしても、再々述べさせていただいていますように、国庫納付を行う際に各府省の独立行政法人評価委員会が関与することとされている。今柿澤委員御指摘のお手盛り、そういう仕組みにしていますので、各府省が反対しているときに国庫納付が行われるかどうか、担保が全く措置されていない、そういう問題がございます。

 我々の、野党三党で提出いたしております法案については、財産の国庫納付はもちろんですけれども、先ほど来御指摘の、一つは、評価の客観性を高める、質を高めるための統一的な一つの委員会ということ、それから、ガバナンスを強化するために、監事の権限強化あるいは内閣任命制といったこと、そして三つは、ファミリー企業への役職員の天下り規制も定めているということ。

 先ほど、私も質問でお話しさせていただきましたが、そもそも与党も、かつてファミリー企業への再就職規制の法案を提出されているんです。その与党が、なぜ政権をとってから出されないのか不思議でなりません。ちまたで言われているように、ファミリー企業への天下りを温存していた方が労働組合にとっていいんではないか、そういううがった見方もせざるを得ないのではないかと思います。やるべき改革は、直ちにやるべきだと思います。

 原口大臣が、抜本的な改革ということをたびたび口にされます。現在、地方自治法の改正も出されています。抜本的な地方自治法の改正をやるために、検討会を原口大臣のもとで設けています。それはそれとして、当面の地方自治法の改正は出しているんじゃないですか。なぜ、そういう対応を政府は、あるいは与党は我々の協議に応じようともしない、門前払いだ。そういう対応に、大変、不信感と怒りを持っているところでございます。

柿澤委員 大変激しい答弁をいただきましたが、私は、原口大臣も同じ方向を向いているというふうに信じたいと思うんです。

 ただ、今回のこの法案提出に関して言えば、独立行政法人の制度を、今、目の前にあるものとして、もっともっとガバナンスをきかせて、国民の目線から見て適正な方向にしていくためには、政府提出の法案では極めて不十分、むしろ、必要なものをすべて、既にある法案から削除をして出してきたということに逆の意図を勘ぐられる部分もある、そうした中身になってしまっていると思います。

 そういう点で、今回の政府提出法案、非常に残念だと思いますし、また、同じ方向を向いているということを考えれば、この間、修正協議ということも可能だったんではないかと思いますが、与党側は一向に受け付けなかったというふうに聞いておりますので、あわせて非常に残念なことだと思っております。

 そのことを最後に申し上げさせていただいて、時間超過をいたしましたが、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田建でございます。

 民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に対して賛成の立場から、自由民主党・改革クラブ、公明党、みんなの党共同提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に対して反対の立場から討論をいたします。

 独立行政法人は、年間で約三兆円以上もの財政支出がなされているにもかかわらず、効率的な運営が行われているとはとても言えません。例えば、平成二十年度における独立行政法人の契約のうち、約四分の一は競争性のない随意契約です。また、独立行政法人は天下りの巣窟と言っても過言ではなく、平成二十年十月時点で、独立行政法人の役員の約三分の一が天下り公務員であります。

 民主党は、マニフェストで、「独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。」ということを掲げています。鳩山内閣は、公約を実現すべく、独立行政法人の抜本的改革を実行しようとしており、抜本改革を見据えることなく、あれこれと盛り込んだ野党提出の法案に賛成することはできません。

 政府提出の法案は、独法の抜本的な改革の第一歩であり、早急に行う必要がある措置を盛り込んで提出されたものであります。独立行政法人に対して、不要となった財産を国庫に返納することを義務づけることを内容としています。

 政府提出案による平成二十二年度の国庫納付見込み額は約六千六百億円に上ります。これだけの財産が国庫に納付されることになったのは、昨年、鳩山政権が事業仕分けを行ったからにほかなりません。政府提出の法案と政府の事業仕分けは国の財政に寄与するものであり、高く評価することができます。

 鳩山政権は、間もなく、事業仕分けの第二弾として、独立行政法人や公益法人に関する仕分けを行うことを予定しています。政府提出の法案と事業仕分けが相乗効果を発揮すれば、独立行政法人からさらに不要財産を返納させることが期待できます。

 これまで、看板のかけかえ、あるいは法案に魂を入れることなく失敗を繰り返した。同じ失敗を繰り返すことなく、鳩山総理が施政方針演説で述べられたように、事業仕分けなどを通じて、独立行政法人について聖域なく、国民目線で検証がなされることを要望し、私の討論を終わります。(拍手)

近藤委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 自由民主党の橘慶一郎です。

 自由民主党・改革クラブを代表し、内閣提出、独立行政法人通則法改正案に反対、自由民主党、公明党、みんなの党の野党三党による、秋葉賢也君外四名提出、独立行政法人通則法改正案に賛成の立場から討論を行います。

 独立行政法人の徹底的な見直しについては、自公政権期の平成十七年に整理合理化計画が策定され、整理、統廃合、人件費削減などが進んできたところです。

 この改革の流れはたゆまず継続させる必要があります。今回、自民、公明、みんなの野党三党が、政権交代後初めて共同で本改正案を提出したのは、独法が、今後とも公的セクターの重要な一員として、ガバナンスの強化や役職員の再就職規制、保有資産の見直しなど包括的な独立行政法人改革をさらに進ませる必要があるにもかかわらず、政府案が全く中途半端なものであると考えたからであります。

 独法改革の必要性については、与野党共通の認識を持つ部分も多いはずです。しかし、民主党は、第百六十九通常会に自公政権が今回とほぼ同内容の改正案を提出した際にはまともに取り上げようとしなかったにもかかわらず、政権党となった今回、その姿勢を一変させ、一部をつまみ食いした、いわば縮小改正案を提出したのであります。

 野党三党提出の改正案には、政府案にある不要財産の国庫納付はもちろん、評価機関の一元化、監事の職務権限の強化等による業務の適正化のための措置、非特定独法の役職員にかかわる再就職規制の導入について定められており、独法をよりよいものにするためには政府案か野党案のいずれに賛成すべきか、答えは明白であります。

 今般の本会議趣旨説明、質疑、当委員会での質疑を通して見ても、独法改革の将来像について議論はありましたが、野党案の内容の詳細について、民主党ほか与党側からの批判はほとんどなかったばかりか、民主党質疑者からは、政府案の不十分さや野党案の評価できる点などについても言及がありました。

 それなのに、野党からの修正協議の申し入れも一顧だにせず、一方、政府案には改革の中身も理念も全くなく、質疑で追及しても、ゼロベースで見直す、四年間で抜本改革を行うなどとあいまいな答弁に終始されたわけでありまして、これでは独法改革の先行きに期待が持てるとは言えず、改革の時計がとまるのではと危惧いたします。

 マニフェストで国家公務員人件費の二割削減をうたいながら、一方で独法職員の公務員化は否定されず、内閣からは、独法の廃止をゴールにしたいとの発言も耳にします。国民は、口先ばかりで具体策が見えてこない鳩山政権の言葉の軽さに日々失望感を強め、信用をなくしているのであります。

 以上、独立行政法人通則法改正案の政府案には反対、野党案に賛成の理由を申し上げ、討論とさせていただきます。(拍手)

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました政府提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に反対、自由民主党・改革クラブ、公明党及びみんなの党共同提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に賛成の立場で討論をいたします。

 独立行政法人は、制度導入から九年の間、人件費の削減、財政支出の削減、自己収入の増加、透明性の確保等の成果を上げている一方、いわゆる天下り問題の温床として指摘されるなど、失った国民の信頼回復が重要な課題となっております。

 我々公明党は、税金の無駄遣いは一円たりとも許さないとの精神で、独立行政法人の事業の見直しを初め、徹底した行政の効率化、スリム化を図り、不断の行政改革を推し進めてまいります。

 さて、今回の政府提出法案は、平成二十年の通常国会に提案された独法通則法改正案の中から、わずか不要財産の国庫納付等の部分だけを抜き出しただけの、いいとこ取り法案であり、逆に、その他の重要な部分が欠落した欠陥法案であると言わざるを得ません。

 以下、具体的内容について申し上げます。

 第一に、不要財産の決定について、だれがどのような形で決めることになるのか具体的に示すべきであります。

 政府は、二十二年度予算における国庫返納について、事業仕分けの結果を踏まえた形で決定しましたが、そもそも、組織そのものの位置づけや、いわゆる仕分け人たちの位置づけが不明確なまま、なし崩し的に議論が行われ、決定されたのではないかとの指摘があります。

 不要財産の認定に関する基準が不明確で、客観性の担保がないまま進められるならば、事業仕分けの結果をもとにした不適正な評価によって保有財産の見直し等が行われることが危惧されます。そのためにも、野党三党提出法案に盛り込まれている内閣全体としての評価機関の一元化が必要であると考えます。

 政府案では、各府省におけるお手盛り評価になるとの懸念が払拭するどころか、政府・与党による恣意性を強めることになりかねず、不要財産の見直しの適正性を欠くおそれが払拭されておりません。その点、野党三党提出法案には、一元化した評価機関が行う評価項目の中に、独立行政法人の業務実績とともに、不要財産の有無を含む保有財産の状況が明確に規定されており、評価の客観性がより具体的に担保された内容となっております。

 次に、政府案には、独立行政法人の人事に関して適材適所を担保するための措置がとられておりません。

 その点、野党三党提出法案には、独立行政法人の理事長、監事の人事に内閣承認の仕組みの導入や解任勧告制度の導入が盛り込まれており、また、非特定独立行政法人の役職員の再就職に関して、密接関連法人等に対するあっせん並びに法令等違反行為に関連した求職活動及び働きかけに対する規制を導入するとともに、あっせん禁止違反に対して明確に刑事罰を設けるなど、業務の公正性を確保することとしております。一方、政府案ではそのような規定は盛り込まれておりません。

 以上申し上げましたように、無駄の排除の観点から、独立行政法人の財務基盤の適正化及び国の財政への寄与を図ることは必要であると考えますが、独立行政法人の改革には、その無駄、非効率性を排し、より適正、透明な業務運営を確保するための措置が必要であり、政府案では、それらの環境整備を行わずに不要財産の国庫納付だけの改正を行うこととしており、極めて不十分であると言わざるを得ません。

 現政権は、前政権で講じられてきた独立行政法人改革の取り組みを一たん白紙に戻した上で、改めて抜本的な見直しを行うとしていますが、本来であれば、その全体像とスケジュールを示すべきではありませんか。現政権における基本的な考え方や今後の工程表が明確になっていないがゆえに、中途半端な内容の法案しか出せなかったのではないかと考えざるを得ず、政府には本気で独立行政法人改革を進めようとの気概が欠落していると申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の独立行政法人通則法の改正法案並びに自民党、公明党、みんなの党提出の改正法案の両案に対し、反対の立場から討論をします。

 政府提出法案に反対する第一の理由は、独立行政法人の不要財産についての国庫返納規定を一律に持ち込めば、医療、福祉、教育など公共性、公益性の高い、国民生活にも深いかかわりのある事業が縮小、廃止となるおそれがあるからであります。

 もちろん、真に無駄な資産等を国庫返納することは当然であります。しかし、問題は、当面の財源確保を最優先にして、「運用益で事業を行っているものについては、基金相当額を国に返納し、必要額を毎年度の予算措置に切り替えるべきである。」などと、事業仕分けの方針に沿った独立行政法人の資産取り上げを行うことであります。

 例えば、情報通信研究機構、NICTは、アナログ地上波が受信できない絶対難視世帯に対する衛星放送での受信支援対策を実施しています。これを支える衛星放送受信対策基金は、基金の運用益で実施するからこそ、不測の事態にも対応するセーフティーネットとなって機能するのであります。

 また、国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金の廃止についても、事業は継続されるものの、運営費交付金頼みでは、基金だからこそ継続的な事業が行える、単年度の予算措置だと将来の見通しが立たなくなるといった不安の声を解消できません。

 このような独法資産の国庫返納を強めるならば、国民の居住権を侵害する雇用促進住宅の廃止やUR賃貸住宅の売却など、公共サービスの後退にもつながることを指摘せざるを得ません。

 反対理由の第二は、本法案は、自公政権が〇七年十二月に閣議決定した独立行政法人整理合理化計画に基づいて〇八年に提出、審議未了、廃案となった見直し法案から、不要財産の国庫返納規定だけを切り出したものであり、構造改革路線の立場から、独立行政法人の整理縮減、民営化をねらったものであるからです。

 日本共産党は、そもそも、独立行政法人制度は、国の行政から国民生活に関連する部門を切り離すための仕組みであり、本来国が責任を持たなければならない事業を、効率化と採算優先の短期的評価で切り捨て、地域医療や不採算医療を担う公的医療機関や産業活動の基盤を支える試験研究機関などの公共サービスを後退させ、労働者の労働条件を切り下げ、最終的には民営化への筋道をつけるものとして反対してきたのであります。

 本法案は、我が党が指摘してきたこの方向を加速するものであり、容認することはできません。

 自民党、公明党、みんなの党の提出法案は、政府が事業仕分けで独立行政法人を切り刻むのに対し、評価委員会の一元化と監事の権限強化で整理合理化を進める違いはありますが、その方向は全く同じであり、賛成することはできません。

 以上、両法案に反対であることを述べ、討論とするものです。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途です。

 私は、政府案に反対、秋葉賢也君外四名より提出された法案に賛成の立場から討論を行います。

 独立行政法人改革の歴史を少しひもときたいと思います。

 安倍内閣当時、渡辺喜美行革担当大臣です。独立行政法人にガバナンスをきかせ、傘下のファミリー企業との天下りネットワークを形成するような組織のあり方を許さないと同時に、その先には、民間でできることは民間にとの考え方のもと、独立行政法人の形態で行うべき業務なのかどうかということを含めて、徹底的な見直しを行いました。さらに渡辺行革担当大臣は、独立行政法人、例えば雇用・能力開発機構、UR、都市再生機構等、廃止または民営化を含む組織体制の見直しを掲げて、所管官庁や当時の閣僚とも大議論を繰り広げたところであります。その結果としてでき上がったのが、平成十九年の独立行政法人整理合理化計画であります。

 さらに、効果的、効率的な独立行政法人制度を実現すべく、平成二十年の通常国会に独法通則法の改正案を提出しております。今回の政府提出案の内容ともなっております不要財産の国庫納付義務のほか、独立行政法人の評価機関の一元化、業務管理体制の強化、さらに非特定独法の役員の再就職規制等を盛り込んでおります。今回、自民党・改革クラブ、公明党、みんなの党で共同提出をいたしました独法通則法改正案は、この渡辺行革担当大臣当時の独法通則法改正案を基本的に踏襲、発展させたものであります。

 しかるに、あの当時、野党であった民主党は、独立行政法人改革の必要性を主張してきたにもかかわらず法案の審議入りすら拒否し、結局、法案は昨年の衆議院解散により審議未了、廃案となってしまいました。

 衆議院選挙の結果、鳩山内閣が発足をしましたが、新政権は、あろうことか昨年十二月、平成十九年以来推し進められてきた独立行政法人整理合理化計画をいきなり凍結してしまいました。そして、政権をとって今回提出をしてきた独法通則法改正案は、独法の財産を召し上げて国庫に返納させる、そのことだけを規定するものでありました。独法評価の一元化、なし。役員人事の公募制導入、なし。ファミリー企業への天下り規制、なし。これでは賛成できるはずもありません。

 現政権は独立行政法人の制度自体にメスを入れることにしていますが、このほど行われている独法仕分け、事業仕分け第二弾の作業が先行していて、現行の独立行政法人制度をどのような形で変えていくのか、その姿は全く明らかにされていません。その一方で、独立行政法人国立印刷局について、あたかも国営に戻すかのように受けとめられるような発言を、独法仕分けを担当する枝野大臣自身が行っております。

 渡辺行革担当大臣が苦労しながら、不十分ながらも到達した独法改革、整理合理化計画、その到達点をチャラにして、独法へのガバナンスをきかせる通則法の内容をすべて削除してしまう。しかも、一部の独法についてはあたかも再国営化であるかのような、独法改革に逆行するかのような発言も行われています。

 このような状況の中で、これから先、踏み込んだ内容の独法改革が現政権の手によって行われるという各閣僚の皆様方の答弁をにわかに信ずることができるでしょうか。現在、内閣委員会で審議が進んでいる国家公務員法の改正案、これについても同じように、公務員の身分保障のあり方の見直しや給与法改定のような公務員制度の抜本改革は、平成二十三年通常国会以降に先送りされてしまっています。

 こうした状況が、私たちが政府案への対案を提出したゆえんであり、あえて内容の乏しい法案にした政府案に反対、そして私たちの法案に賛成をするゆえんであります。

 以上です。(拍手)

近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより採決に入ります。

 まず、秋葉賢也君外四名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十一分散会


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