衆議院

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第3号 平成22年10月28日(木曜日)

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平成二十二年十月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 階   猛君

   理事 福田 昭夫君 理事 大野 功統君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      阿知波吉信君    石井  章君

      石田 芳弘君    磯谷香代子君

      内山  晃君    大谷  啓君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      平岡 秀夫君    松崎 公昭君

      村上 史好君    山岡 達丸君

      和嶋 未希君    渡辺  周君

      渡辺 義彦君    伊東 良孝君

      石田 真敏君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          桑田  始君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            菊地 敦子君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   迫田 英典君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     渡辺 義彦君

  藤田 憲彦君     磯谷香代子君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     阿知波吉信君

  渡辺 義彦君     村上 史好君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     川村秀三郎君

  村上 史好君     大西 孝典君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     川島智太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     藤田 憲彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長桑田始君、事務総局人材局長菊地敦子君、事務総局給与局長尾西雅博君及び財務省主計局次長迫田英典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小室寿明君。

小室委員 おはようございます。民主党の小室寿明です。

 片山大臣初め副大臣、政務官、そして原口委員長、御就任をお祝い申し上げます。

 私は、四期十四年間、島根県議会議員として務めさせていただきました。片山大臣には、鳥取県知事時代、島根県と県境を接する中海干拓土地改良事業の終結に向けて、さらに懸案の斐伊川治水事業の前進に向けて御尽力をいただき、ありがとうございます。

 本日の議題ではありませんが、県をまたがる国直轄河川斐伊川の管理問題は今後の地域主権改革でも議論になるところでございます。この際、中海、斐伊川をめぐる過去の経緯も振り返りつつ、直轄河川等の管理のあり方についての御所見をお聞かせください。

片山国務大臣 小室議員の御質問にお答えします。

 斐伊川の問題についてお話がありましたが、私は個人的にも大変斐伊川には縁が深くて、昭和五十六年のことでありますけれども、当時私は鳥取県の地方課長をやっておりましたが、そのときに中海で県境紛争がありまして、中海というのは一級河川斐伊川の一部でありますけれども、そこに県境を引きました。それが現在の県境でありますけれども、非常に懐かしい、思い出のある場所であります。

 その後、さまざまな斐伊川、神戸川の改修計画がありまして、これは、例えば島根県の上流の方にダムをつくる、神戸川の改修を行う、大橋川の拡幅を行うということがありまして、それは島根県の領域で行うことでありますけれども、下流の中海の鳥取県側でありますとか境水道については、鳥取県としてその影響をどういうふうに除去するかということをやらなきゃいけない、両県が共同してやらなきゃいけないということでありました。

 本題になりますけれども、今、河川も含めて、地方移管という話が地方出先機関改革の絡みで出てまいりますが、私は、例えば鳥取県の千代川でありますとか日野川でありますとか、一県で完結する河川については今の四十七の都道府県でも十分移管は可能だろうと思います。ただ、斐伊川のように二県にまたがるものについては必ずしもそうはいかない、その場合には受け皿が必要ではないか、こんなことを現在の重要課題との関連では考えているところであります。

小室委員 ありがとうございました。また追って議論をさせていただきたいと思います。

 人事院勧告でございますが、民間賃金を反映した今回の勧告により、月例給で七百五十七円、〇・一九%の引き下げ、一時金は、一九六三年以来の低水準となる三・九五月となされております。

 まず、今回の勧告によって削減される人件費の総額、地方自治体への波及についてお聞かせいただきたいと思います。また、公務員給与が九九年をピークにして減少に転じておりますが、九八年からこれまでの公務員給与実態をモデルケースにして、わかりやすくお示しをいただきたいと思います。

片山国務大臣 それでは、私の方から人件費総額の点についてお答えを申し上げます。

 今回の人事院勧告をそのまま実施して給与改定を行ったとした場合には、国家公務員の人件費は、財務省の試算によりますと、五百三十億円程度の減額になります。地方公務員については、実際にどうなるかというのは自治体がそれぞれやってみないとわからないことでありますけれども、単純計算で、現在の水準、地方公務員のそれぞれの自治体の給与の水準を人事院勧告と同じ率で機械的に引き下げたとした場合には、二千三百四十億円程度と推計をしております。

江利川政府特別補佐人 公務員給与の推移の関係につきまして、私の方からお答えします。

 公務員給与は、民間賃金が厳しい状況にあることを反映しておりまして、平成十一年に年間給与が減少に転じております。今日までの減少の結果でございますが、平成十年と平成二十二年を比較しますと、国家公務員のモデル例で年間給与を比較してみますと、地方機関の係長四十歳の場合には百二十万円程度、一九%ぐらい減をしております。また、本府省の課長四十五歳ぐらいでは百五十八万、一一・七%程度減をしております。そういう状況でございます。

小室委員 これは民間給与も同様だと思いますので、公務員だけがどうこうというわけではないんですが、非常にデフレスパイラル的な厳しい環境にあるなということを改めて感じるわけでございます。

 さて、中身に入りますが、今回の勧告の中で、民間給与比較は〇・一九%の較差である。そういう中で、五十六歳以上に特化をして一・五%の引き下げを勧告しております。職務給原則とか能力・実績主義ということを人事院は主張してきたわけですけれども、これと矛盾するのではないか、こういう意見もあるわけであります。

 私たちはこれまで、同一価値労働同一賃金、よく原口前大臣も言っておられたわけですけれども、そういうことを主張してきたわけでございます。仕事が同じ価値であるならば同じ賃金をもらうべきだ、給料をもらうべきだということなんですが、それは、年齢とか地域とか、私どもの住んでおります中国地方、特に島根なども全国から比べれば給与水準も低いわけですけれども、差があって当たり前と思うのか。いや、そうではない、同じ仕事なんだから格差をできるだけ縮小していくべきだと。それは、弱い立場にある人たちが、あるいは地方が弱肉強食の今の市場主義を克服していく道だ、こういうふうに思うからでございます。

 この問題、人勧云々ということでなくて結構なんですけれども、基本的に片山大臣は、同一価値労働同一賃金という私どもの主張に対してどのような所見をお持ちなのか、お尋ねをいたします。

片山国務大臣 同一労働同一賃金といった場合に、幾つかの意味合いがあると思うんですけれども、私は、同じ職場で同じような仕事をしていて、それで賃金が違うというのはおかしいじゃないかという、これが一つの同一労働同一賃金の問題だろうと思います。

 それは当面、今の課題で言いますと、正規雇用と非正規雇用の間に必ずしもこの同一労働同一賃金という原則が貫かれていない、これをどうするかということで、賃金面とか処遇面で改善をしなければいけないという課題が現在あるんだろうと思います。

 今議員がおっしゃったのは、国家公務員でも地方公務員でもいいんですけれども、例えば東京都で働く職員と島根県、鳥取県で働く職員が同じような仕事をしていて、それで給与の水準が違うのはおかしいじゃないかという問題があるとすれば、それは確かにそういうとらえ方もあるとは思います。

 一方では、例えば地方公務員の給与の決め方というのは、生計費でありますとか、国や自治体の公務員の給与の水準でありますとか、それから地域における民間の給与の現状というものを反映するということになっておりますから、これは違ってもやむを得ない面が私はあると思います。東京都と鳥取県では生計費も違いますし、地域の民間給与の現状もかなり違いますので、それはそれなりにやはり反映されてしかるべきだろう、現行の制度のもとではそう思っております。

小室委員 全部は賛同できないんですが、ただ、正規と非正規の問題について御指摘をいただきました。後ほど御議論をさせていただきたいと思います。

 さて、一番大事な部分でありますが、この人事院勧告、憲法で保障された労働基本権を制約している、その代償措置であるということは御承知のとおりでございます。

 一九八二年、鈴木善幸内閣のときであったようですが、国の財政事情の悪化を理由にして、とはいえ、今日よりはそんなに悪い状況ではなかったと思いますが、ただ、当時は、国債を発行して国の事業をやるということがなかなか難しいような事情もあったというふうに承知をいたしております。そのときに人勧を凍結したということがございます。その後、ILOへの提訴にもつながり、今日の労働基本権回復議論へと波及をしてきているわけでございます。

 こうした経過を踏まえて、改めて人事院の方に、この勧告制度の持つ意義について明確にしていただきたいと存じます。

江利川政府特別補佐人 国家公務員の労働基本権につきましては、各国でさまざまな取り扱いをしているところでございます。アメリカではスト権は禁止されておりますし、一方、フランスではそれは認められている。また、ILOにおきましても、軍隊とか警察とか、国家行政に直接従事する公務員については特別な扱いをし得るというような見解が示されているわけでございます。そういう中におきまして、我が国の場合は、先生御指摘になりましたように、基本権の制約の代償措置として人勧制度があるわけでございます。

 この意義でございますが、人事院勧告制度があることによりまして国家公務員に適切な処遇が確保される、それによりまして人材の確保とか労使関係の安定など、そういうものが確保される、さらにまた、それを通じましてひいては能率的な行政運営を維持する上での基盤になっている、そのように認識しております。

小室委員 おっしゃっていただいたとおりだと思いますが、よく縮み志向ということが言われますけれども、今日、非常に行政体も厳しい環境にさらされて、下を向いて仕事をするということが結果として公共サービスを萎縮させているんじゃないか、こういうふうに私どもは受けとめております。ぜひ、現場で働く公務員の皆さんが誇りを持って元気に仕事ができる環境をつくっていただくように、さらに努力をお願いしたいと思います。

 そして、労働基本権の回復問題でございますが、今回の報告の中でも四つのケースが示されております。一つは、協約権、争議権を回復する、完全回復型だと思います。二つには、協約締結権を回復し争議権は認めない、一部制限をする。三つには、いずれも認めず、代償措置としての機関を存置の上、職員団体の参加の仕組みを制度化していく、今の仕組みを少し強化していこうということだと思います。四つには、職位や職務内容や職種に応じて組み合わせていくんだということで、一、二、三、三つのケース、いろいろ組み合わせて考えられるんだということですけれども、いずれにしても、来年の六月、法律が求めているタイムリミットに向けて、政府の早急な対応が求められているというふうに思います。

 労働基本権回復に向けた今後のタイムスケジュールについて、現状、現段階での考え方をお示しいただきたいと思います。

園田大臣政務官 小室委員にお答えを申し上げます。

 現在、公務員の労働基本権は制約をされておるところでございまして、それに対しまして、先ほど来議論がありますように、第三者機関である人事院の勧告によって給与が決定されるという仕組みは、御指摘のとおりでございます。

 そしてまた、これは平成二十年でございますけれども、自民党、公明党あるいは民主党の皆さん方が大変御苦労なされまして、国家公務員制度改革基本法が成立をいたしたところでございます。そこの十二条におきまして、このような仕組みを見直して、委員御指摘のように、自律的労使関係制度を来年の六月までに措置するということが求められているというふうに私どもも理解をさせていただいているところでございます。

 ひいては、労働基本権のあり方につきましては、付与の方向で具体的な制度設計を精力的にただいま進めているところでございまして、今後、成案を得て、関係法案を次期通常国会に提出したいというふうに考えておるところでございます。

小室委員 しっかり頑張っていただきたいと思います。

 私どもはマニフェストの中で、これは大きな議論になっています人件費二割削減の話でございますが、いろいろな機会に私自身も訴えてきたわけですけれども、地域主権改革で掲げる地方支分部局の統廃合、それから補助金の一括交付金化による事務の効率化、さらには労働基本権回復による労使交渉などを通じて、総人件費の二割削減ということを訴えてきたわけでございます。

 短期のこの人事院勧告の問題とこの国の形を、先ほど、基本法の中では自民党、公明党の皆さんも一緒に決めたんだということでありましたけれども、この国の形の改革とリンクしたこの問題を整理しながら目的を達成していきたいというふうに思っております。

 それでは、時間も限られておりますので、育児休業等の適用についてお尋ねをいたします。

 今回、報告の中で、常時勤務することを要しない職員の処遇改善、こういう趣旨から、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正について申し出がなされております。日々任用、ちょっとこれはわかりにくいんですが、日々任用が更新される仕組みを廃止して期間業務職員を設けたことに伴い、民間との均衡を図る観点から、育児休業等を設けるというふうに明記をされております。

 この期間業務職員創設の趣旨と、現在の任用状況をお知らせいただきたいと思います。

江利川政府特別補佐人 制度の趣旨につきまして、私の方から申し上げます。

 今まで日々雇用というのは、毎日毎日雇用が更新される、そういう形で認めていたわけでございまして、その仕組みは、雇用されている者にとりましては大変不安定なものでございました。それで、関係方面とも相談をしながらまとめていったわけでございますが、会計年度を一つの単位として、その中の期間で一定期間継続して雇用されるような形にしよう、それによって勤務の安定を図る、そういうことで制度化したものでございます。

片山国務大臣 御質問にありました現状ということでありますけれども、どれぐらいの職員がその対象となっているかということでありますけれども、平成二十一年七月一日現在で約一万七千人ということになっております。

小室委員 しっかり非正規の処遇改善ということで取り組んでいただきたいと思いますが、この問題は、常に国レベルでのいろいろな制度改正が地方にも大きな波及をしてくるということで、例えば週休二日制の導入の問題でありますとか、あるいは地域給の問題もそうでありました。あるいは育児、介護、いろいろな制度を改正するときに地方にも波及をしてきたわけでございます。これから提出をされるであろう法改正に伴って、当然ながら、地方公務員にも同等の取り扱いを求めていきたいというふうに思います。

 地方の方では今、人件費削減圧力の中で、やむを得ず期間を定めて雇用せざるを得ない臨時や非常勤職員が激増いたしております。この委員会でもいろいろ議論されてきたところでございまして、約五十万人近い官製ワーキングプアが生まれているというふうにも言われているところです。

 継続して、あるいは断続して、反復して数年、あるいは長い人では二十年とか任用されている臨時、非常勤職員、保育士でありますとか相談員でありますとか図書館司書でありますとか、看護師までおられるということで非常にびっくりするわけですが、多種多様、しかも専門知識が必要で、恒常的な業務に従事しておられるというのが実情でございます。このことは、片山大臣も地方の現場でよく熟知をしておられることであろうかと思います。

 育児休業等の適用拡大が今回申し出をされているわけですけれども、地方自治体の恒常的業務につく臨時、非常勤職員、今後の処遇改善のあるべき方向について、実際の現場で苦労してこられた片山大臣の所感をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 最近の自治体で、正規職員を非正規化するという傾向が非常に強くなっております。これにはさまざまな事情がありまして、一つは、財政事情が非常に厳しくなって、各自治体が総人件費を減らそうという、そういう意味では努力をされていることの一つの結果だと思いますし、それから、それにあわせて、これまで国の方がそうなるような指導をしてきた経緯もあります。

 ただ、現状を見ていますと、私は、かなり無理が生じているのではないかという認識を持っております。

 例えば、私などは、指定管理者制度でありますとかそういうものを導入するときに、図書館などというものはなじまないということで対象から外したんですけれども、今、全国の多くの自治体で、公立図書館、公共図書館などが指定管理になされたり、それから司書の非正規化というものが進んでおりまして、本当にそれでいいのだろうかという疑問も持っております。それから、さっきちょっと申しましたけれども、同一労働同一賃金の原則にもとっているケースがかなりある。これが現状であります。

 そういう中で、今回、育児休業について、国の方で、こういう非常勤の職員に対する制度の改善がなされる、そういう法案を出しておりますけれども、ぜひこれは地方公共団体でも同一の取り扱いをしていただきたいと思いますし、さらには労働基準法をちゃんと守る、これは当たり前のことでありますけれども、さらに社会保険の適用もある、こういうことも必ずしも認識されていないケースもあるようでありまして、そういうことが徹底されるようにしたいと思います。

 それから、私は常に気になっていたんですけれども……

原口委員長 片山大臣、質疑時間が過ぎておりますので。

片山国務大臣 はい。

 物件費という扱いをしているんです、人件費ではなくて。こういうところから認識を改めていかなければいけないのではないかと思っているところであります。

 長くなりました。

小室委員 終わります。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 夏が過ぎまして秋になりましたので、万葉集で始めさせていただきたいと思います。

 実は、佐藤先生からリクエストがありまして、それをやろうと思ったら、ちょっと今、御都合がつかないので。

 そこで、もう一つ用意してきました。柿本人麻呂の方がきょうはいいかな、そう思いまして、巻三、二百六十六番、大津の京をしのんで柿本人麻呂が歌った歌を御披露して始めさせていただきたいと思います。

  近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ

 どうもありがとうございました。(拍手)

 この円卓の委員会室の方が何となく総務委員会はなじむかなというふうに思っておりまして、ちょっとしみじみした歌で始めながら、最初の質問に入る前に。前回は、残念ながら、学校形式のところでやらせていただいていまして、ちょっとムードが出なかったんですけれども。

 通常国会、いろいろなことがありました。ここにいらっしゃる顔ぶれを見ましても、多くの方々と一緒にいろいろな議論をさせていただいて、残念ながら法案を、交付税法とか幾つか生み出したものもありましたが、放送法あたりからはちょっと生むことができなくなった、そういうことがございました。

 いろいろな経緯については、前回も、大野議員、また重野議員からもいろいろなお話があったと思います。片山大臣は確かにその場にはいらっしゃらなかった、それはそのとおりではありますが、いろいろなことも、その後多分、お帰りになって聞かれたことかと思います。

 そういったことを踏まえていただいて、改めて、これから放送法、高テレ法の国会審議もあるわけでありますから、これについての基本的な、この審議に臨む大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。

 前回は、いろいろと修正協議もやっている中での云々ということもありましたので、そういったことを踏まえて、もちろん政府とすれば閣法というものがベストというお考えはそうだとは思いますが、しかし、そこにはやはり国会というものの委員会の役割ということも踏まえて、その辺、どういうふうにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 前回、大野議員からの御指摘もいただきまして、放送法それから高テレ法がさきの通常国会でさまざまな経過をたどった上で廃案となった経緯を私なりに再確認させていただいたところであります。その上で、こうした経緯をしっかりと踏まえまして、本法案については、これまで以上に慎重かつ十分な御議論をいただく必要があるものと認識をしております。

 当委員会におかれましては、この法案に関して、与野党を問わず、修正を含む建設的な御議論を尽くしていただき、よりよき内容としていただきますことを心からお願いいたします。

 その結果得られました一定の結論につきましては、政府としても、これを真摯に受けとめ、それに従いたいと思っているところであります。

橘(慶)委員 柿本人麻呂で始めてよかったかな、そう思っております。しみじみとさせていただきました。

 それでは、委員会を一生懸命またよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、きょうは、給与法関係のお話をさせていただくんですが、今回の人事院勧告の内容から始めまして、これを受けてどうするか。先ほど小室議員からもお話がありましたが、二割削減なり公務員制度改革という問題も残っておるわけですし、そういったところまで、できるだけ、時間のある限り、順を追って進めていきたいと思います。

 まずは、人事院勧告、今次勧告の内容から幾つかの点について、給与局長さんに重複を避けながらお伺いをしたいと思います。

 まず、今回の勧告で、五十歳代後半層において官民の給与較差が大きくなっているという傾向を指摘された、このことは妥当なことだと思います。

 ただ、今回初めてこういうことが出てきたということについて、これまでも毎年調査をされているという中で、特に今回明らかになってきたという、そのあたりの経緯についてまずお尋ねをしておきたいと思います。

尾西政府参考人 今お尋ねの高齢層の官民の給与差でございますけれども、この点につきましては以前から認識しておりました。そこで、平成十八年から実施しております給与構造改革におきましても、十八年に俸給表水準を引き下げる際に、中高年齢層につきましては、官民の給与水準の差を踏まえまして、平均である四・八%より大幅な七%の水準の引き下げを行ったというところでございます。

 ただ、その後、最近の傾向を見ますと、高齢層の官民の給与差が拡大傾向にあるということでございまして、まず、民間の状況を見ますと、平成十七年以前の民間の給与の水準を見ますと、五十代の前半層から後半層にかけて増加あるいは横ばいという状況でございました。ただ、それがこのところは、五十代後半層になるとむしろ前半層を下回る、そういった傾向が出てきているところでございます。

 片や、公務を見ますと、公務におきましては、従来から、多くの地方機関におきまして、五十代の後半層に管理職に昇任し、そのときに給与も昇格する、そういった昇進パターンが一般的でございましたが、それに加えまして、最近、在職期間が長期化する中で、こういった五十代後半層におきまして上位の級の在職者の割合が高くなってきておる、そのことも給与上昇の背景にあるということで、こういった事情が相まちまして官民の給与差が拡大してきておるということでございます。

 したがいまして、こういった官民の給与差の現在の状況というのは、これは公務員給与のあり方として適当ではないということで、早急に一定の対応が必要だということで、今回、五十代後半層につきまして給与抑制措置を行ったところでございます。

橘(慶)委員 私もいろいろな職種を経験してきたわけですけれども、賃金のあり方といいますか、生計費のあり方として、子育てに大変かかる時期というのがやはり一つ大事な時期になるのかな。それを終えていきますと夫婦お二人という形になってくる場合においては、ある程度そこは若い方々に少し譲ってあげるというような、そういう賃金カーブというのも大事じゃないかな、そんな認識は持っております。

 そこで、今回の勧告においては、この調査結果を受けて、五十五歳を超える職員についての俸給の引き下げということをされるわけですが、これを行政職俸給表(一)でいいますと、六級以上、本省の課長補佐級以上のみというところで一・五%の引き下げを勧告されたわけであります。

 一から五級の方はいじらず、高位、六級以上十級までのところに限定された理由についてお伺いをしたいと思います。

尾西政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、公務におきましては、多くの地方機関で五十代後半層になって管理職に上がっていく、しかも最近では、在職期間の長期化という影響があって、こういった五十代後半層で高位の級、六級以上で見ますと、六級以上の在職者の割合が約六割と高くなっているということでございまして、それが五十代後半層の平均給与額の上昇の背景となっておるということでございます。

 そこで、この点につきまして、具体的に官民の給与の水準を見てみますと、特に五十代後半層で官民の給与差が拡大しておるわけですが、民間を見ますと、五十五歳から五十九歳の層で平均五十万七千円という数字がございます。対しまして、公務の、年齢は一歳違っていますけれども、五十六から五十九歳の層では行政職俸給表(一)の五級で五十万六千円、六級で五十五万九千円ということでございます。

 そこで、こういった状況の中で、今回、五十歳代の後半層につきまして給与の抑制措置を行うこととしたわけですが、その際何を考えたかといいますと、これは、本年の民間給与との較差、〇・一九%ございます、この中で処理する必要があるということ、その中で減額率を設定する必要があるということ、それから、今回のようなこういう減額措置は初めての取り組みであることも踏まえますと、やはり六級以上の職員の給与水準が、先ほど申し上げましたとおり、民間の同年齢層に比べてかなり高くなっているといったことを考慮しまして、今回、六級以上の職員を対象として特別な措置を講じたところでございます。

橘(慶)委員 論理的なところは今お話があったとおりなんですが、また、一面見てみますと、この層はいわゆる管理職についておられる方が当然多いわけでありまして、管理職の方々に少し泣いていただいたと言うと変な言い方ですけれども、そこはちょっと我慢していただいてというふうにも見えるわけであります。

 この辺が実は、この後、きょう御質問していく中での、労働基本権の問題、給与を本当に深掘りするとか、そういう議論はいろいろございましたが、そういったときの一つのポイントにはなってくると思います。そういったことを含ませていただきながら、次の質問に移るわけです。

 職務段階別のこの十数年間の推移については、先ほど小室委員からお話のあったとおりで、質疑が終わっていますので、一〇%から二〇%近い切り下げには実はなっているわけですけれども、それは飛ばさせていただいて、今ほどたまたま局長さんもお引きになられた俸給表、大体、十級だと五十五万とか、九級だと五十万ぐらいという数字が俸給表には載っております。しかし、現実、これも公務員さん、先ほど同一労働同一賃金の話もありましたが、地方の場合、東京の場合、勤務の場所あるいは管理職か管理職でないかによって、実はそこに割り増し率というものがあるわけであります。

 つまり、地域手当ということで、東京の場合は本給の一八%増しになります。さらに管理職手当については、昔で言う1種ということですが、これは二五%増しということになります。ですから、現実、九級の中位の新任の課長さん方で、俸給表上五十万という数字であっても、それの一・一八倍し、さらに一・二五倍する。したがって、東京の中央省庁にお勤めの課長さんの場合は一・四七五倍することになるものですから、実質大体七十五万ぐらいの数字になってくるということであります。

 これは人事院さんの勧告の中でも、本省課長級はこれくらいですというのが実は書いてはあるんですけれども、私は、俸給表で見たときの、今ほど局長さんもおっしゃった五十万とかいう感覚と、実は七十五万なんだよというそのあたりが、必ずしも国民への開示のあり方としてこれでいいのかという疑問を持っております。もちろん、給与計算上こうなるという説明も事前にはいただいているんですが、本省の課長さんは七十五万だという認識はもうちょっとしっかりさせてもいいんじゃないかなという、これは私の思いなんですが、いかがでしょうか。

尾西政府参考人 勧告の際に、資料の一つとしまして、「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」という資料を入れております。その中で、先生御指摘がありましたような地域手当ですとか管理職手当を含めた月額を職務段階のモデルごとに示しておりまして、ことしの場合も、先生御指摘の、本省課長ですと七十四万程度ということをしっかりと数字も示しておるところでございます。

 そういう意味で、私ども、こういった数字についても情報をお示しするということには意を用いているところでございますけれども、他方、先生おっしゃいましたとおり、国家公務員給与について正確な情報をお示しするということが重要であることは私ども認識していまして、今後とも適切な情報提供には努めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 そのあたりはまた工夫をお願いしたいわけです。

 そこで、片山大臣、片山大臣も鳥取県知事をされた。私は富山県の高岡市長をさせていただいたことがあるわけですが、いろいろなスタッフと一緒に仕事をしてまいりました。片山大臣も、知事さんとして、当然県庁の部長さん方といい仕事をされてきたと思います。富山県の方で地元の県庁さんにお伺いしますと、県庁さんの部長級で、今給与は大体六十万円そこそこという数字を実は聞いております。それは確かで、高岡市になると、それよりまた多分五万ぐらいは下がっていると思います。

 今ほど、本省の課長さんは七十五万という話がありました。確かに、場所も違う、いろいろ仕事の内容も違う。ただ、素朴に、どうお感じになっているか。ここはイエスでもノーでも、それはお感じの問題なんですが、御一緒に汗をかかれた県庁の部長さんの給与と本省の課長さんの給与、どういうふうにお感じになりますか。

片山国務大臣 率直なことを申し上げますと、私も県で部長をやったことがありまして、総務部長をやっておりましたときに、そのとき自分の給料はやはり低いなと思いました。それは何と比べて低いかといいますと、今おっしゃった中央省庁の、給料表では大体、中央省庁の課長と県の部長が同クラスですけれども、その同クラスの中で比較して低いんじゃないかと思ったことがあります。

 ただ、鳥取県で民間の給与と比べてみますと、やはり県庁の部長の給与というのはかなり恵まれているという面がありまして、そういう意味で、比較する場合も少し二面性があるのではないかという実感を持っております。

橘(慶)委員 前段、率直にお答えいただいてうれしかったんですが、後段は、当然立場もあるんだな、そんなふうに感じたところであります。

 ただ、ここは今、多分、これから二割削減の問題をいろいろ議論していくときに非常に大事なポイントではないかと思っています。

 というのは、先ほど同一価値同一労働賃金、こういう声があるわけでありまして、要は、その給与にかなう仕事をしていれば、それはそれでみんなが納得するということではないかと思うんですね。それから、民間と違いましてお金を稼ぐ仕事ではないわけですから、公務職場全体として国民に対してどういう仕事をしているか、どれだけのアウトプットを出せているかということは、必ずしも公務員の方々だけではなくて、私どもみんなを含めて、国民に対してどれだけの仕事をちゃんとしているんだ、そこが見えてこないと、ではもっと給料をカットしなさい、こういう話になるんじゃないか、こんな危惧を実は抱いております。

 そんな意味で、何とかここの、今いろいろ議題になっていることも一つ一つ前進させなきゃいけないという思いは強く持つんですが、それはもう少し後でお伺いするとして、給与構造改革についてもう一つまた、同じ地域にいらっしゃったということからして片山大臣はここのところは余り認識されなかったかもしれないんですが、実は、十八年度からこの給与構造改革をことしまで、二十二年度まで五年間進められて、地域手当というものを入れてきて、これで完成したわけであります。

 もちろん、人事院さんも地域間の給与配分について最終的な検証はこれから行う、これはこれで大変ありがたいことだと思っておりますが、今回の地域手当を入れる中において、同一県内において市町村レベルに差をつけたということであります。実はこれ、なぜ大臣に御認識がないかというと、調べさせていただくと、鳥取は全部ゼロなんです。ただ、例えば富山県であれば、富山市は三%、残りは全部ゼロなんですね。

 だから、私は大臣にまずお伺いしたいのは、これがもし鳥取県で、鳥取市と米子や倉吉と給与が違うと言われたら、どうですか、そんな感じはいたしますか。

片山国務大臣 幸か不幸か鳥取県は〇%の地域ですから、私も知事をやっておりまして認識がございませんでした。

 今議員がおっしゃったような御質問に、これも率直にお答えをしますと、仮に鳥取市に三%なら三%ついていて、倉吉、米子についていないということになりますと、やはり大変違和感があります。県の出先機関は米子にも倉吉にも相当のものがありまして人事異動を頻繁にやるわけですけれども、そういうことがやりにくくなったりするなということを思います。

 ただ、これは鳥取県の場合のことを申し上げたわけで、全国、いろいろなその地域の事情がおありでしょうから、差をつけた方が実感に合うというところも恐らくあると思いますので、それはそれぞれの県で決められたらいいことではないかと思います。

橘(慶)委員 ただの前だけで終わっていると大変うれしい答弁なんですけれども。しかし、私は原口大臣も大変いろいろやりとりさせていただいて好きだったんですけれども、そういう意味では、片山大臣にまた違った切り口でお答えいただくのは大変うれしいなと思っております。

 ここで江利川総裁の方へ移るわけですが、今、片山大臣がおっしゃったこと、つまり県の方である程度決めてもいいよということではあるんですが、しかし、実は、大臣もよく御存じのとおり、人事院勧告に地方も準拠しなさい、大体はそう言われているわけです。ちなみに富山県の場合はどうしているかというと、石井知事さんのもとで、県の職員の給与をカットしまして、地域手当のところを全部外しているという形で、実は県内をフラットにしてこれまでやってきてはいるんです。

 ただ、私が申し上げたいのは、人事院さんは当然国家公務員というものをにらんで勧告を出されるんですけれども、これが総務省さんというところを通じて行きますと地方公務員にも影響してくる。だから、今、例えば鳥取で、鳥取と米子、倉吉云々というようなことは人事院さんにとってはある意味でどうでもいいといえばどうでもいいことなんですが、しかし、そういう地方の実態も踏まえていただいていろいろな検討をする際に、今ほどの元鳥取県知事さんとしてのお声も踏まえた形でいろいろな検討をしていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

江利川政府特別補佐人 もう先生よく御存じのとおりでございますが、十八年から行いました給与構造改革におきまして、本俸につきましては、ブロックを地域ブロックで見ていったわけでございます。そうしますと、ブロックの中では格差がございますので、そういう意味では、地域手当でその格差を是正するということが必要になります。

 この地域手当の是正の仕方につきましては、人口五万以上の市を単位として地域を指定してやっていくという形で、そのデータとしては賃金センサスを使っているところでございます。

 公務員の給与は民間に準拠するという基本になっておりますので、そういう意味で、地域に差がある場合にはやはりそれを反映させるのは一つの我々の負っている責任ではないかと思います。

 ただ、一方、データにつきましては経済事情、地域の事情でそれぞれ変わってきますので、そういう状況をフォローアップしながら、適切な反映という観点で努力をしてまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 今ほど用いられた賃金センサスのころにちょうど市町村合併もあったものですから、たしか、そのセンサスで使っている市町村の区域も合併前のものをお使いになっているはずで、合併前のものを合併したところへ全部適用されている、そういう問題もあるかと思います。これはぜひ、よくまた、これからの検証というところでよろしくお願いをしたい。そしてまた、時にはそういう知事さん方のお声もそっと聞いていただければ大変幸いかと思っております。

 さて、次へ進みます。

 ここは毎回毎回、概算要求と予算設定ごとに聞かせていただいておりますけれども、要は、この人事院勧告あるいは国家公務員の総定員の縮減、いろいろなことをされて、どれくらい人件費が下がってきているんだろうかという問題であります。

 二十二年度予算、これは前の内閣委員会だったかもしれませんが、大串財務大臣政務官からお答えをいただいているんですが、国家公務員全体で二十二年度は一・九%減員になっております。昨年の給与のマイナス改定効果では二・四%下がっている。トータル四%くらい人件費は下がっていいわけですが、しかし、ここで実は問題は、総人件費というときは、退職手当の負担金とか共済組合の負担金とかあるいは地域手当の増分、いろいろなものが入ってくるものですから、現実、昨年度の予算では、財務省さんのお答えは、一千四百億円、二・六%の減ということに実はなっております。ですから、二割削減のスタート台の二十二年度、一回目は二・六%であったということになるんです。

 ただ、しかしながら、ここにもまた一つトリックがありまして、去年は国立高度専門医療センターの独法化、そしてまた社保庁の改革ということがありまして、要は、人件費はまた別の形で実は国庫から払われている、そういう形になっているので、これを除きますと純粋の減分は実は百五十億円、〇・三%にしかすぎない。四年間のうちの第一年次が〇・三%という数字を、二十二年四月九日の委員会でいただいているわけであります。

 そこで、まずお伺いいたします。

 今回、人事院勧告前で当然概算要求をセットしております。この概算要求における各省庁の要求全部、総額で人件費についてはどのような形に、二十二年度予算と二十三年度概算要求の数字、どうなっておりますでしょうか。主計局次長さん、お願いいたします。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十三年度概算要求におきます国家公務員人件費は五兆二千百九十六億円でございまして、二十二年度当初予算に比べますと四百一億円の増という形になっているわけでございます。

橘(慶)委員 増なんですね。四百一億円の増なんです。これはぜひ認識いただきたい。

 要は、私、何を言いたいかというと、なかなかこれは大変ですよということなんです。人件費にされればまだ簡単だった。総人件費というのはなかなか大変ですよ。それは削れない部分がありますよということもあるんです。もちろん今のは、今、定員増要求を出しているから、それを定員減に、最後は定員は査定がありますよね。行政管理局も査定をされる。それから、今の人事院勧告一・五%が反映される。反映すれば五百三十億円減るという話も先ほどありましたけれども、しかし、本当に、給与をカットしても、なかなか給与というのは総人件費へのはね返りは難しいということはどうか御認識をいただきたいと思うわけであります。

 そこで、この人事院勧告を受けた、これからその先へ向かう議論について話を進めさせていただきたいと思います。

 勧告の内容から深掘りをしてはという議論が随分、新聞紙上、あるいは片山大臣も検討されたやに伺っております。しかし、通常国会でこれは、先ほど席を外されました階前政務官とは随分、仙谷大臣もそうでしたが、いろいろな議論をさせていただきました。その中で、私なりに、あのときはまだ鳩山内閣でしたが、そのときの認識としては、労働基本権の問題を素通りしてこの勧告の深掘りをすることは不可能に近いというのが、最高裁の判例なんかも含めた、仙谷前大臣あるいは階前政務官のお考えだったように理解をしております。

 そこで、改めて、今体制が変わりました、現内閣における見解、片山大臣の見解を確認させてください。

片山国務大臣 議員がおっしゃいましたように、やはり労働基本権の回復の問題は、避けて通れない問題だと思います。人事院勧告制度というのは労働基本権制約の代償措置として設けられているものですから、それらが密接に絡み合う、これは当然であります。したがって、人事院の勧告というものは基本的に尊重しなければいけないということ、これは原則だろうと思います。

 ただ、現下の厳しい財政事情などを見ますと、緊急避難的に特例的なものがあってもいいのではないかという考え方もあります。現に私も、これはレベルは違いますけれども、一つの自治体においてそういう考え方をとって実施したこともあります。そういう考え方も一方ではあるということです。

 それらをどういうふうに調和させるか、バランスをさせるかということを、今、最終的な詰めを行っているところでありまして、いずれ、本当に近いうちに政府の方針を提示したいと考えております。

橘(慶)委員 今、知事経験者の片山大臣をここにお迎えしていることは大変いいことだと思うんですけれども、いいというのは、今から議論するにはいいことだと思っているんです。それは、今、大臣もそういう御経験があると。私も多少の経験を持っております。そこで、幾つかこの問題を、もう少し地方のことも聞かせていただきながらお互い考えてみたい、こう思うわけです。

 そこで、まず、労働基本権の問題を避けるということであれば、これは私の市もそうだったんですが、管理職の皆さん、ごめんなさい、管理者の方だけちょっと管理職手当を、ごめんね、下げますよというのは私のときにやっていたんです。私の次の市長さんは立派で、職員団体と交渉されて全部カットしちゃったんですけれども。ただ、地方の感覚でいうと、管理職だけならそれはまあいいんじゃないのという感覚が僕はあったと思うんですね。

 これは、まず大臣のお考えと、それから総裁のお考えと、順番にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 よく自治体でありますのは、三役と当時言っていましたが、知事、副知事、出納長、出納長は今はおりませんけれども、そういう政治職のポストと、それから管理職、例えば部長職とか次長以上とか、そういうところだけカットして終わり、そういう団体があります。ですから、管理職の場合には数も少ないし納得も得られやすいしということだろうと思います。そういうことがあることは事実であります。

 ただ、部長とか課長というのは管理職でありますけれども、これも一般職でありますから、実は労働基本権の制約の代償という大枠の中に入っておりますから、単純に管理職だけ別枠にして何か特別の措置をするということが望ましいことかどうかといいますと、私は必ずしもそうではないと思っております。(発言する者あり)

橘(慶)委員 そうではありますけれどもね。済みません、今、谷議員がそうおっしゃると言いづらくなっちゃったんです。

 総裁にはもちろん今聞くんですが、ただ、僕がちょっと思うのは、例えば、今いろいろ御検討されていると言われたでしょう。逆に言うと、管理職の方々から、いや、これは大変だと。先ほど七十五万、六十万の話もいたしました。こんな大変なときだから、みんなで、いいです、大臣、少し下げてもいいですという話はないものなんですかね。いかがでしょう。

片山国務大臣 そういうことはあり得るかもしれませんけれども、それを使用者側から一方的に押しつけるということはできないと思いますし、もう一つは、例えば自治体などで、管理職がこぞって私たちの給料を下げてくださいと言ってきたからといって、おおそうかというのも、私は直ちには褒められたことではないと思います。

 やはり仕事というのは職責がありまして、非常に重い職責、それはやはり給与面でもそれなりの報いがあっていいと思います。それを無視して何かそのバランスを崩すようなことは、かえって組織としてのパフォーマンスを低下させることになるんではないかと思います。

 例えばこんなことがありました。率直に申し上げますけれども、私は鳥取県で、職員の人件費を人事委員会の勧告よりも深掘りをして下げました。そのときに労使の交渉をやったときに、知事が率先して三割とか四割下げたらいいじゃないか、こんな議論も出てきたんですけれども、そんなことをしたらやる気が起こらなくなりますから、条例を改正したらできますけれども、そうなったらもうやめると組合交渉で言ったりしていました。

 やはり管理職、特に重要な管理職についている者にはそれなりのプライドもありますし、それから職務の重要性、責任の重大性もありますから、それなりの処遇があってしかるべきではないかと私は思います。

橘(慶)委員 それでは総裁の方に、一応この問題について見解をお伺いしておきたいと思います。

江利川政府特別補佐人 人事院の立場ということでお答えすることになります。

 管理職職員も一般の職員と同じように、非現業職員と同じように、団結権、協約締結権、そういうものが制限されているわけでございまして、そういう労働基本権の制約に対する代償措置が人事院の勧告でございます。私どもの立場としましては、代償措置としての勧告でございますので、その意義を十分踏まえて尊重していただきたいと思っている次第でございます。

橘(慶)委員 今の議論を逆にまた違った面で見ますと、やはり賃金、給与をいじっていくということについては、非常に難しいといいますか、いろいろな手続を踏まなきゃできないというふうにも思えるわけであります。

 その中で、地方公務員の給与については、今ほど片山大臣のお話がありましたように、人事院勧告準拠とはいいましても、それぞれの自治体の事例も含めて、下回る形に設定されている例も多いわけであります。もちろん、人事委員会に勧告をさせてというところもありますし、そういう人事委員会がないところでは自主的にいろいろな判断をされているケースもあると思います。

 そこで、国家公務員については、ある意味で今、下方硬直性のような形になってくるわけですが、地方公務員の場合、それが許されると言ったら変ですけれども、結構そういう事例が多いということについての、言ってみれば国と地方の違いというのがあるとすればどの辺にあるのか、これは大臣の御見解をお伺いいたします。

片山国務大臣 国と自治体の給与の水準が違うということ、これは制度上もあり得るわけであります。

 先ほど議員が、人事院勧告というのは国家公務員に対する勧告、国家公務員の給与についての勧告でありますけれども、これが事実上、総務省を通じると自治体にも浸透していくということを言われましたけれども、かつては実際そうでありました。かつての自治省時代の自治体に対する指導方針、言葉は悪いですけれども指導方針というのは、国公準拠、国家公務員に準拠せよ、これを徹底しておりました。ですから、人事院勧告が出ますと、それと同じ率で人事委員会の勧告を出すようにというようなことが事実上あったようであります。

 しかし、それは本来おかしいことでありまして、地方公務員の給与というのは、先ほどもちょっと言いましたけれども、生計費、国、他の地方公共団体の職員の給与水準、それから地域の民間企業の給与水準、その他の事情を考慮して決める。それらを調査するのが人事委員会でありまして、したがって、地域ごとに人事委員会の勧告の内容というのは違ってくるわけであります。以前のように、北海道から沖縄まで、ほとんどずらっと同じ率で並ぶというのは異様であったわけであります。

 私はちょうどその異様であったときに鳥取県の知事になりまして、こんなことだったら人事委員会は要らないじゃないかということで、人事委員会に話をしまして、ちゃんとまともにやってくださいと。それまでの鳥取県人事委員会というのは、独自に調査をして調査結果が出るのでありますけれども、その出た結果はともかくとして、国の人事院の勧告に率を合わせるなんて、こういう変なことやっていたわけです。それはやめてくださいということで、自来、独自の人事委員会の勧告が出るようになりまして、それに合わせるということになりました。

 したがって、さっき富山県の部長さんの給料の話をされましたけれども、鳥取県の部長はそれよりもさらに低いんです。実はそんなことになったりしているわけですね。それが、よしあしは別にして、制度の趣旨を踏まえた運用だろうと思うわけであります。

 それぞれの各自治体で地方公務員法の規定と趣旨に沿った取り扱いをしていただく、これが、これからの地方公務員の給与に関する取り扱いの基本原則だろうと思います。

橘(慶)委員 今お話しをいただきまして、先ほどちょっと答弁の中でもありましたが、給与をいろいろ切り下げたりする際に、職員団体との交渉なども御自身が出られてされた、このようにお伺いしております。

 そこはちょっと飛ばさせていただいて、問題は、いろいろ地方の御経験あるいは地方の実態ということを踏まえながら、この国家公務員あるいは労働基本権の問題、そこへもう少し具体論としてきょうは入ってみたいわけです。

 結局、そういう形になってくると、労使交渉ということが多分必要になってくるんだと思うんですね。そうなると、どういうふうにそれをやっていくかということも詰めておかないと、実は労働基本権の問題というのは、ある意味で、制度面とそれをどう実際こなしていくかというのは表裏の関係にあると思います。

 そういったことを念頭に置きながら、今、現状をお伺いするんですが、人事院さんと職員団体さんというのは、交渉ではないにしても、会見という形で、非常に頻繁に会見を行っておられると思います。どういう形で、どんな頻度でやっておられるのか、給与局長さんにお伺いいたします。

尾西政府参考人 人事院では、国家公務員の勤務条件に関しまして、給与勧告ですとか、あるいは人事院規則の制定や改正を行うに当たりまして、広く職員団体と会見を行っております。そういった会見を通じまして、職員団体側の意見、要望などを聞き、それを私どもの施策に反映させるということにしております。

 二十一年の場合でありますけれども、職員団体との会見は、春闘時の要求、あるいは人事院勧告時の要求、さらには級別定数等に関します要求を中心としまして、人事院の本院におきまして百六回、地方事務局、地方事務所におきまして百七十七回、合計二百八十三回行っております。

橘(慶)委員 もちろんこれは、つかさつかさということで、つかさつかさがかなりがっちりやっておられるという印象を持つんですが、それを受けながら、労働基本権ということでいえば、政務三役さんなりいろいろな形のことが、やはり交渉の締めとか要所要所はそういうことも多分必要になってくるんだと思うんですね。

 そんなことを思ったときに、今、片山大臣が御就任されていますが、深掘りの議論なんかもございます。職員団体との会見は既に済ませておられるのかどうか、そしてまた、そういう際に給与深掘りの話は出しておられるのかどうか、このことをお伺いいたします。

片山国務大臣 国家公務員の職員団体との協議というのはまだやっておりません。近々やる予定にしております。

 それから、これは答弁と関係ないことでありますけれども、地方公務員の全国組織の皆さんとは意見交換などをやったことがあります。

橘(慶)委員 遅いとか早いとか、それはいろいろあるかもしれません。しかし、これはもし労働基本権ということを前提にしたら、深掘りなんという話をする際には、やはり早い段階で、どうあれ会って、いや、こんなことも考えているんだよということを、今の制度でそれを言わなきゃいけないということはないと思うんですけれども、本当にもし労働基本権なんてことになったら、そういったことをやっていくこともしなきゃいけない。そういった部分のやり方というか覚悟がないと、この問題、幾ら制度を組み立てても、それが動かなくなるんじゃないかということを一つ心配するわけです。

 そこで、だんだん時間的には来年の六月ということに迫ってきていまして、先ほどその御答弁はいただいていますけれども、いろいろなことを多面的に検討されて、そこをどういう形であれ乗り越えていくということについては、いろいろなことをぜひお考えいただきたいということをまずここでは申し上げておきたいわけです。

 そこで、総人件費二割削減というのをお話しされるときは、四年間でやります、これはいつもおっしゃるんですね。しかし、ここで確認をしたいことがまず二つあります。二つに分けてお話しします。

 一つは、四年間というのは、去年の夏からの四年間であった。だから、今となってはもう三年間ですよということですよね。そしてまた、予算としては、二十二、二十三、二十四、二十五年度の予算ですから、二十三年度予算がセットアップされたら、二年間終わっていて、あと二年間しかないですよね。こういう事実関係について、まずイエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 私もそのとおり認識しております。

橘(慶)委員 そうなってまいりますと、非常にこれは、ナローパスという言葉をよく前の総務大臣も使っておられましたが、なかなかナローパスではないかな。なかなか大変じゃないですかね。

 先ほど申し上げた、後から数字も出しますが、まだあと一八%ぐらいのり代があるわけですから、そこは、地方へ定員を出せばいいということじゃないですよね。人件費を国が賄うのであれば、それは別の人件費になるだけですから。それは見かけ上の総人件費は減るかもしれないけれども、本当の意味でこれを財源にして使っていく、一兆円の財源を生み出していくということについては、なかなかナローパスではないかという認識を持つんですが、いかがですか。

片山国務大臣 それは本当に厳しいことだと思います。

 私も長年、今とは違った立場で公務員の給与問題にタッチしてまいりましたけれども、なかなか容易なことではないということは、もう自分自身の体験からもわかります。ただ、これは政権の一つの大きな政策課題でありますから、それの担当になりましたので、全力を挙げて取り組むしかありません。

 議員がおっしゃいましたのは、私はよく申し上げるんですけれども、公務員の総人件費というのは、総人員掛ける単価になりますから、今問題にしているのは単価の問題で、この単価をどうするかということが当面焦眉の急であります。

 もう一つは量の問題もあるわけで、例えば仕事を減らしていく、ごく基本的なところで人員を減らしていくということは当然やっていこうと思いますし、それから単価の面にしましたら、給与だけではなくて、退職手当とか各種のそのほかの手当もあるわけでありまして、そういうものを一つのパッケージといいますか、そういう問題としてとらえていかなければいけないと思っております。

 ただ、それにしても厳しい問題であることは変わりはないと認識しております。

橘(慶)委員 そこで、私は、決してこれは物事を進めない方がいいという意味じゃないんです。進めていかなきゃいけないと思うんですが、時間軸ということについては、着実に確実にやはり前へ進んでいかなきゃいけない。とまっていてもいけないし、かといって一足飛びにいくものでもないということで、私は、建設的にぜひこれは進めていくべき問題ではないかと思っておるわけです。

 そこで、今まで単価の話をずっとしてきました。単価掛ける人数であります。人数の問題ですが、これは前政権でもしっかり取り組んできたものがありまして、「国の行政機関の定員の純減について」ということで、平成十八年の閣議決定に基づきまして、この五年間、国家公務員の定員管理を進めてこられたはずであります。五%以上の純減目標の達成見込みはいかがでしょうか。

片山国務大臣 平成十八年度から二十二年度までの定員純減数は一万七千四百六十人、率にして五・二六%となっております。当時の、自民党時代の掲げた目標よりもちょっと、その後、目標値を変えたりしておりますけれども、そのことは前提にして、その目標値は達成するということであります。

橘(慶)委員 それでは、平成二十三年度以降の国家公務員の定員管理方針はどうなるんでしょうか、お伺いいたします。

片山国務大臣 今、公務員の定数管理というのは二方向の要素が動いておりまして、減らす、純減計画で純減していく。一方、業務がふえたようなところは、必要なところはふやしていく。減らす方は減らしていく、ふやす方はふやしていく、その差が純減とか純増ということになるわけでありまして、これまでの五年間は純減計画でありましたが、そういう意味での純減計画は、今のところございません。

 ただ、一方の減らす方は、二十六年度までの五年間で、二十一年度の定員から一〇%合理化するということになっておりまして、これが今ある計画であります。ただ、さっき言ったように、別途ふやす要素がありますから、必ずしも純減がどれぐらいになるかというのはわからないということになっております。そういう面があります。

 私は今、これは私の担当でもありますけれども、地方出先機関の改革をこれからやろうとしておりますので、そういうものの動向を見ながら、必要に応じて、この定員管理の方針というものをまた精緻なものにしていければと思っているところであります。

橘(慶)委員 実はこの問題については、原口大臣時代に地域主権改革の工程表はできているんですが、これは確認ですが、定員管理の部分についての新政権になってからのいわゆる方針というのは、まだ閣議決定ベースでは定めていないんですよね。確認です。

片山国務大臣 先ほど私が申し上げました、一方通行の方の、減らす方だけの要素、これを決めたというのは平成二十一年七月一日の閣議決定でありますから、前政権、自公政権の時代だったと思います。

橘(慶)委員 私が心配するのは、今からこんな大きな改革をしますとか、今からこんなことをやりますと言うのはいいんですけれども、実際どうやっていくかということは決めておられないんですよ。だから、定員管理方針とか純減計画というのをやはりお持ちになるべきだと思うんです、本当にやっていくのであれば。それがないと。夢は語れますよ。だけれども、それを本当に、階段を一歩一歩どう上っていくかということが全然わからないということになる、これを一番心配しているんです。だから、早くそれはお決めになった方がいいということをきょうは進言させていただきたいと思います。

 先ほどから申し上げたとおり、二〇%のうち二%しかまだ下げていませんよ。あと一八%もあるんですよ。私は非常に菅内閣を心配しているんです。有言実行というのは危険です。不言実行ならまだ安全です。こんな有言実行にしちゃうと、実行できなかったらどうするのなんて言われたら、本当に大変ですよ。

 これはちょっと質問から外れますけれども、今回の最初の所信演説でも、三つの法案をやりたいと言われたんですよ。郵政それから派遣、地球温暖化、その三つを十二月三日までにやるというのはすごい大変なことなんですよ。そんなことを余りさらさら言われない方が。できたことは、これだけやりましたと言った方がいいんじゃないかと。これは、ちょっと興奮しましたけれども、特に申し上げておきたいと思います。

 そこで、どうやらあと一問ぐらいで、まだまだ六十歳以上のこととかいろいろ聞きたいんですが、公務員制度のことについても一つお伺いしておきたいと思います。

 それは何か。仙谷大臣と私は何回もやりとりしたから階さんもよく御存じのとおり、僕は何を言ったか。仙谷大臣、頑張ってください、ぜひあなたの手で公務員制度を、やはり一大臣一仕事をやり切ってくださいと言ったんですよ。でも、今回、体制が変わったら、またかわったじゃないですか。仙谷さんから玄葉さんになって、玄葉さんのときに何もなくて、今、蓮舫さんですよ。今、事業仕分けでお忙しくて、ではどうやって公務員制度を、階さんも御苦労されて答弁されましたけれども、どうやってあんな答弁をやるんですか。

 そして今、園田さん、きょう政務官が来ていらっしゃいます。副大臣はいらっしゃらないんだそうですね。大島副大臣の後がいないんだそうですよ。今はまだ配置していない。それでどうやって公務員制度改革をやり切るんですかと言いながらも、有言実行ですから、先ほどもお答えいただきましたが、この体制で本当に制度改革ができるんですか、やり切るんですか。決意をお願いします。

園田大臣政務官 橘委員にお答えを申し上げたいと存じます。

 本当にこの総務委員会あるいは内閣委員会でもお取り組みをいただいておりまして、心から感謝を申し上げたい、そのように思っております。

 御心配の向きでありますが、私は、心配には当たらないとまず申し上げておきたいというふうに思っております。

 公務員制度改革につきましては、蓮舫大臣が就任のあいさつのときにこのように明言をさせていただいています。国家公務員制度改革基本法に基づき、労働基本権のあり方等を含めた、総合的、抜本的な改革を実現するための法案を次期通常国会に提出する、これが第一点。そしてもう一点につきましては、国民のための行政サービスを実現するため、これは行政刷新と両輪の形で進めていくんだ、すなわち、公務員制度改革というものはこの国のあり方を変えていく、そういう決意を申し上げさせていただいたわけでございます。

 したがって、この決意の表明のもと、私どもも蓮舫大臣のもと、事務局スタッフ一同、そして政府を挙げて取り組んでいく所存でございますので、ぜひ、国会におかれましても、あるいは橘委員におかれましても、御理解とそして御協力のほどよろしくお願い申し上げたいと存じます。

橘(慶)委員 改革には決して私らは反対ではありません。そのやり方はいろいろあっても、前へ進めなきゃいけないという思いは持っています。

 ただ、今幾つか申し上げたとおり、やはり幾つかの問題をしっかり乗り越えて、丁寧に進めていかなきゃいけない。そこを間違わないように、ふろしきだけ大きく広げればいいというものじゃないということ、きょうはそこまで申し上げておきますので、ぜひ、これからこのストーブリーグによく練っていただいて、間違いのないもの、そしてまたできることを一歩一歩着実に進めようじゃありませんか。このことをきょうは申し上げて、以上で私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 まず、片山大臣初め政務三役の皆様、就任のお祝いを申し上げます。あわせて、総務委員会でこれからさまざま議論をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初にお伺いをさせていただきますのは、ぜひ片山大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、民主党のマニフェストの二〇〇九、それから二〇一〇年の、先ほども議論が一部ありましたけれども、いわゆる公務員の二割削減のこと、それから、菅総理が人事院勧告についての深掘りの話をなされました。そして、今まさにこの人事院勧告ということで、これらのことをあわせて、まず大臣の率直な見解、お考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、総人件費二割削減というのは大変重要であり、かつ、非常に困難な要素を含む分野だと思います。思いますが、私は担当大臣として、これに全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 その際に、当面問題になっておりますのは先ほど来出ております単価の問題で、この人事院勧告をどう取り扱うのか、その際に、それとは少し違った観点からいわゆる深掘りをするのかどうかというところが今まさに焦点でありまして、それの最終の詰めを今しているところであります。

 それから、同じ単価でいいますと、退職手当その他の各種手当をどうするのかということ、これももう現実具体的な課題として取り上げなければいけないと思います。

 さらには人員の方でありまして、王道としては仕事を省いて、特に無駄な仕事、それから今必ずしもやらなくてもいい仕事を省くことによって人員を減らすということ、これは本来常にやらなきゃいけないことでありますから、これにも取り組みますし、それから仕事を地方に移管することによって、特に国の出先機関の仕事を地方に移管することによって職員も移管をするということ。これは、もちろんいろいろ議論がありまして、定数は減ってもそれに見合った財源を移譲するのであれば余り国家財政には寄与しないではないかという議論は当然ありますけれども、国だけ見ますと、その分はスリムな行政体になるということは評価しなければいけないんだろうと思います。

 そんなことも含めて、総人件費の問題についてはこれから当たっていきたい。大変困難な問題でありますけれども、私自身として全力を挙げたいと思っております。

稲津委員 二割縮減のこと、今、二割縮減をそのままというお話はなかったですけれども、基本的に総人件費を縮減していくという基本的なお考え方はわかりました。

 それで、先ほど私がちょっと触れましたけれども、深掘りについてのお考えはどうですか。

片山国務大臣 人事院の制度、人事院勧告制度というのは、本来、万人に、すべての労働者に認められているはずの労働基本権が公務員の場合には一部制約されておりますので、その制約の代償措置としてこの人事院制度、人事院勧告制度があるわけでありまして、これは事柄の性格上、基本的に尊重しなければいけない、これはもうそのとおりだと思います。

 一方では、現下の我が国の厳しい財政事情にかんがみるときに、そのままの、これまでどおりの考え方で果たして済むのかどうかということ、これはやはりよく頭に入れておかなければいけない問題で、公務員の皆さんにも、その点についてはよく認識をしていただきたいと思っているところであります。

 これをどういうふうにかみ合わせるのかというところ、そこが非常に難しいところでありまして、そのことを今日まで、私も就任以来一月強でありますけれども、その問題に当たってきまして、今大体その最終段階に来ている。ちょっと今の段階ではまだその見解は表明できないんですけれども、近々、政府の方針というものを提示できるだろうと思っているところであります。

稲津委員 大臣の基本的なお考えというのは今の御答弁の中でも、私も理解はできます。問題は、今、菅政権の中で総務大臣という任に当たられた、そこで深掘りという話が出てきた。それから、民主党さんのマニフェストにもまさにこの人員の縮減の話がある。ですから、私は、今後これらのことについてはやはり大臣のお立場として、この政権の中におられるお立場として、これ以外のことについてもいろいろなお考えを聞かせていただきたいというふうに思っております。

 今のことを踏まえた上で次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、次は総裁にお伺いしたいと思います。

 いわゆる官民較差のことについてお伺いしたいと思うんです。

 九月二十八日、国税庁は民間給与実態統計調査を発表しました。それによりますと、もう御案内かと思いますけれども、二〇〇九年度の民間企業の平均給与は四百五万九千円、前年比マイナス二十三万七千円、五・五%の減。一方で、人事院の勧告はマイナス九・四万円、一・五%のマイナス。

 なぜ国税庁と人事院でこのような調査の差が出てくるのかということなんですけれども、これは、これまでも国会などでも触れられていると思います。そもそも対象とする企業の規模とか数が違うということはわかっておるんですけれども、人事院が行ったのは、全国の約一万事業所のうち、五千人以上の会社が約四千社で四割、百人から五千人が四千社で四割、残り、五十人から百人が約二千社で二割。一方、国税庁においては、対象の事業所は二万、五百人以上は八千社で四割、そしてちょっと飛びますけれども、百人未満に至っては九千社で約四・五割。人事院の調査というのは正規職員のみですけれども、国税の方は非正規職員も含まれる。

 いろいろな見方があるのかもしれませんけれども、人事院の調査の給与というのは国税庁の調査よりも高くなっている。このことについてどのようなお考えを持っているか、見解を伺いたいと思います。

江利川政府特別補佐人 二つの調査についての違いでございます。

 一つは時期の違いがございます。国税庁の方は二十一年の調査でございますので、二十一年の給与あるいは夏冬のボーナスが対象でございます。私どもが今回発表しましたのはことしの四月の給与でございまして、ボーナスにつきましては昨年の冬とことしの夏の状況でございます。そういう意味で、一つ時期が違うわけでございます。

 それから、先生の御指摘がありましたように、調査対象企業の規模であるとか、あるいはパートタイマーが入っているというのがあるわけでございます。特に昨年は、若干私なりの推測が入るわけでございますが、リーマン・ショックの後の状況ということで、特に非正規の人たちの例えば勤務時間の減少であるとか、勤務日数の減少であるとかということで給与が低くなっている。それを全体で平均をすると、平均値は低くなるわけでございます。さらに、団塊の世代、高齢者が退職をしていきますと、全体としては給与を下げる可能性もあるわけでございまして、そういうものが影響しているのではないかと思っておるわけでございます。

 私どもは、給与の勧告は、民間で同じような仕事をしている人を比較して、同じようなレベルの給与を確保しようということでやっているわけでございまして、制度の趣旨からくる違いもあるわけでございまして、その点、御理解を賜りたいと思います。

稲津委員 基本的な違いはわかりました。時期の問題とか目的とか、そういうことはわかりました。

 この人事院の調査の方は職種別民間給与実態調査というんですね。それから、国税の方は民間給与実態統計調査。非常に名前も似ているんですけれども、これは一般国民の方々にとっては非常にわかりづらい。ほとんど同じような調査じゃないかというふうに思われてしまうということが一つあると思うんです。厚生労働省も賃金構造基本統計調査、同じような調査をやっているんですね。

 私は、このことを踏まえて考えてみると、各省庁でよく話し合っていただいたりして、もっと国民にわかりやすい調査をしっかりやっていく必要があるのではないかと思うんですけれども、どうですか。

江利川政府特別補佐人 先生の御指摘は、確かにそういう側面はあるかなという思いがいたしますが、私どもの場合、直接公務員の給与に響くものですから、職員が担当企業に出向きまして、それで企業の組織表を見せていただいて、給与簿を見せていただいて、類似の職であることを確認しながらやっているわけでございます。

 そういう意味では、できるだけ実態を精確に把握するという形でやっておりますので、また、そういうことでやりますからこそ、先ほど橘先生の御質問で組合との交渉の話などもありましたが、そういう実態を踏まえている調査だからこそ、ある意味で納得させることができる、そういう側面がありますことにつきましてもまた御理解を賜りたいというふうに思う次第でございます。

稲津委員 わかりました。

 ちょっと時間の関係上、次に移らせていただきます。

 次は、先ほどもちょっと御議論がありました、いわゆる独自縮減について伺いたいと思います。これは総務大臣に伺いたいと思うんです。

 片山大臣が鳥取県の知事時代、人事委員会での勧告より踏み込んだ独自の縮減に取り組んだ、このようにも聞いております。先ほどもお話がありました。

 それから、自治体の財政状況が非常に悪化している中で、例えば何年間で一律何割カットとか、こういうことを行っている地方の自治体もあるのは御承知のとおりです。いわゆる独自縮減、これは言うまでもなく、先ほどのことは別にして、官民較差を理由にしているんじゃなくて、その理由の多くというのははっきりしています。いわゆる財政難ということが挙げられる。私の地元の北海道でも、平成二十年から平成二十三年、一般職員一律七・五%カット、手当の縮減が行われてきています。実態としては、財政難の自治体はほとんど、かなり多くがこういうような独自縮減を行っているんじゃないだろうかと思うわけです。

 先ほどの質疑の中でも、国と自治体では仕組みが違うんだというお話をされました。それはある程度理解できるんですけれども、一方で、地方の方は非常に財政状況が厳しいので独自縮減をやっていますよ、では国の方の財政状況はどうなんですか。私はこう考えていったときに、いわゆる官民較差ならぬ官官較差みたいなものが実態としてあるのではないか、こう思うんですけれども、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 自治体で独自縮減を行っているところがかなりあるということはそのとおりでありまして、私も独自縮減をやった者の一人であります。

 そのときの考え方を申し上げますと、幾つかあるんですけども、議員は、財政事情が専らで、官民較差では必ずしもないのではないかとおっしゃいましたけれども、必ずしもそうではなくて、もちろん厳しい財政事情というのはありましたが、私なりに見ますと、やはり官民較差というのはあると思いました。

 それは、かつて国の指導で、地方公務員については国の給与を上回らないようにという国公準拠ということを基本にして、国の給与を上回らないように、すなわちラスパイレス指数が一〇〇を超えないようにという指導を徹底してきたわけです。そうすると、国と同じであればいいんでしょうということになりますと、今度は、地域においては地域内での官民較差がやはりあるということが続いていたと思います。そういう意味での一種のなだらかな水準是正のようなものが行われてきた嫌いはあったんだろうと思います。必ずしもそれは証明できませんけれども、そういう感じは私は持っておりました。

 もう一つは、当時やりましたのは、非常に雇用情勢が厳しくて、今もそうですけれども、なかなか新規の採用も少ないというときに、民間も採用を減らす、官公庁も減らすということになりましたら、余計に若い人の雇用情勢というのが悪くなるものですから、この際、それでは県の行政分野で今まで光の当たっていなかったような分野、教育とか福祉とかそういう分野で必要なスタッフをこの際多目に採ろうじゃないかと。ただし、それで行政が水膨れになって大きな政府になっちゃいけませんから、それならばみんなで既存の職員の給与を五%下げて、その分を財源にして新しい雇用を生み出そうではないか、そういうこともやったんです。そんなことがありました。

 北海道は北海道で、財政事情が中心だったかもしれませんけれども、他の事情もあったのではないかと思います。そんなことで、一律には言えないということです。

 そこで、自治体はそうやって努力しているのに、国もこんな厳しい財政状況だからもっとやるべきではないかということ。であればこそ、今日まであれこれあれこれしながら、この給与の人勧の処理をどうするかということを悩んできているわけでありまして、そういうことをどうするかということが近々できれば方針を発表したい、こういうことであります。

稲津委員 ちょっと言葉を返すようですけれども、私は、地方の方は基本的にやはり財政状況が非常に厳しくて、それが主な要因になっているというふうに思っております。

 それからもう一つ、これは先ほどの一番冒頭の深掘りの話と連携してくるんですけれども、そういう地方の独自縮減と、では国はどうするんですかという、ここのところの説明をきちんとしていかないと、私は、国民の皆さんの、あるいは地方の公務員の方々の理解も得られないんじゃないか、そのことは指摘をさせていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、いろいろ用意しておったんですけれども、最後に、国と地方公共団体との人事交流について、簡潔に数問だけ伺わせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、国と地方公共団体の人事交流というのが続けられているんですけども、この状況についてまず簡潔に伺いたいんですが、この人事交流を行っている理由と意義についてお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 これは、基本的には自治体の側の方から要請があって、それに対して国の側がその要請に応じているということが基本であります。

 ただ、私も地方の経験がありますが、その原則だけでとらえられるかどうかというのは、必ずしもそうとも言えない面もあります。一つは、基本は地方からの要請でありますけれども、国から慣例的といいますか、既得権的に押しつけている面があるんではないか。これは全くないと言い切れるだけの自信はありません。であれば、そこのところをこれからは除去していく、基本に戻って、地方側からの要請に基づいて人事交流を行う、これが基本だろうと思います。

稲津委員 もう一点、最新の、国から地方公共団体への出向者及び地方公共団体から国への出向者数を、都道府県あるいは市町村別で簡潔にお答えいただきたいと思います。

内山大臣政務官 稲津議員にお答えいたします。

 平成二十一年八月十五日現在の出向者数は、次のとおりでございます。

 国から都道府県へ千二百十名。内訳は、部長級以上百三十一人、次長等八十四人、課長等三百十四人、その他六百八十一人。

 国から市町村への出向者数、四百七名。内訳、部長級以上百九十八名、次長等三十三名、課長等六十九名、その他百七名。

 都道府県から国への出向者数、千八百三十七名。室長級以上十二名、課長補佐級五百六十八名、その他千二百五十七名。

 市町村から国への出向者数、百八十一名。室長級以上二人、課長補佐級二十人、その他百五十九人でございます。

稲津委員 今御答弁いただいたように、国から地方への出向はどちらかというと幹部クラスが多い、逆はそうでないということも一面考えられると思うんです。それはどういう理由か、私も想像はつくんですけれども、あえて伺います。

片山国務大臣 それはさまざまだろうと思います。私が知事をやっておりましたときに、国の職員に出向で来てもらって仕事をしてもらいました。それはそれなりの必要性があったからであります。本当にいい仕事をしてくれた職員もかなりいます。ほとんどがいい仕事をしてくれました。正直言いますと、中にはそうでない職員もいましたから、申しわけないけれども、こちらから願い下げで帰ってもらったりしました。

 私は、この問題は、国側の問題もあるんですけれども、自治体側の問題も大きいと思います。ぜひ自治体においては、必要があれば国に求めてもいいですけれども、今までの惰性とか、求めなければ何か不都合なことがあるのではないかというような懸念で、それで何となく求めるというようなことは、私はきっぱりやめられたらいいと思うんです。知事会とかいろいろな会がありますから、私自身の経験も踏まえて、そのことをはっきり申し上げていきたいと思っております。

稲津委員 時間ですのでこれで終わりますけれども、大臣、ぜひそれを進めていただきたいと思います。どうも固定化してきている気がする、例えば副知事だ、総務部長だ、財政課長だ。そもそも、こういう固定化しちゃいけないというところから人事交流については一つの考え方が生まれているわけなんですけれども、そうでない場合も多々見られるというふうに思います。

 私は人事交流を否定するものではありません。双方に大きなメリットがあるというのは非常に大事だと思っています。したがいまして、今大臣がお話しされた観点で、ぜひここの改革もやっていただきたい。そのことをお話し申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人勧の質疑に当たりまして、最初に、女性国家公務員の管理職登用問題についてお聞きいたします。

 人事院の公務員人事管理に関する報告の中で、女性国家公務員の採用、登用の拡大について指摘をしております。男女共同参画社会基本法制定から十一年ですが、現実は、ことし七月の男女共同参画会議の答申でも、男女共同参画が必ずしも十分には進まなかったと反省を述べているのが実態であります。国連女性差別撤廃条約と日本国憲法を生かした男女平等の取り組みを前進させるときであります。

 人事院報告では、国の行政への参画は、男女共同参画社会実現のために政府全体として積極的に取り組むべき重要な課題である、このため、本院策定の女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針に基づき、各府省は平成二十二年度までの目標を設定した女性職員の採用・登用拡大計画を策定して取り組みを進めているとあります。

 時間の関係があるので、採用についてはきょうは聞かずに、登用に限ってお尋ねしたい。

 そこで、目標の点では、数値目標、スケジュールの方は内閣府の方で示されておりますので、まず内閣府にお尋ねします。

 この登用についての政府としての目標はどうなっているのか、また、府省ごとの数値目標やスケジュールはどのようになっているのか、この点についてお答えください。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

末松副大臣 お答え申し上げます。

 女性国家公務員の管理職への登用につきましては、平成二十年四月の女性の参画加速プログラムにおきまして、「政府全体として、本省課室長相当職以上に占める女性の割合を、平成二十二年度末に少なくとも五%程度とする」という目標が定められております。

 また、各府省ごとにそれがどういうふうな形で女性職員の採用・登用拡大計画において定められているかというと、大体十五府省がその具体的な数値目標を定めているところでございます。

塩川委員 今の点についてちょっと確認なんですけれども、末松副大臣は政府全体の目標について、五%程度というのを平成二十二年度とおっしゃったように聞こえたんですが、平成二十二年度末ということですよね。(末松副大臣「ええ、そうです」と呼ぶ)はい。

 そういうことと確認した上で人事院にお尋ねしますが、このいわゆる管理職相当、本省課室長相当職以上に占める女性の割合は政府全体でどのぐらいになっているのかについて教えてください。

菊地政府参考人 女性国家公務員の登用状況につきましては、採用・登用拡大状況等のフォローアップの実施結果によりますと、本省課長、室長級以上に占める女性の割合について見ますと、平成二十一年一月現在で二・二%になっております。

塩川委員 二十二年度末に五%程度という目標に対して、二・二%というのが実態であります。この人事院の報告でも、管理職等への登用については女性職員の割合が依然として低いと指摘をしております。ですから、二十二年度末までに五%程度とするのには大分遠いというのが今の状況であります。

 そこで、改めて内閣府にお尋ねいたしますが、先ほど副大臣はお答えにならなかったんですけれども、男女共同参画推進本部決定、平成二十年四月八日の女性の参画加速プログラムで、各府省ごとの数値目標とスケジュールはどのようになっているのかということなんです。ちょっと読み上げますけれども、「各府省において、「女性職員の採用・登用拡大計画」等に、本省課室長相当職以上に占める女性の割合を現在の割合より少なくとも三%程度を基本として増加するという数値目標を設定」する、このように書かれておるわけですね。

 そこでお尋ねなんですが、これは起点が、この時点での現在ですから平成二十年の四月、また終点の方は二十二年度末ですね、数値目標は三%程度を上乗せする、この三点を示しているわけであります。もちろん、起点の方は、実際各省が計画を改定するに当たって平成二十年の七月になったり九月になったりというずれはあるでしょうけれども、いずれにせよ、平成二十年四月以降を起点として、二十二年度末という終点に向けて、三%程度上乗せするという数値目標を設定している府省等は幾つなのかをお尋ねします。

末松副大臣 先ほどちょっと、そこまで聞かれたかと思いまして答えてしまいました。

 これについては、先ほど申し上げましたように、十五府省がそういった計画を持っております。

塩川委員 それは、私が言った今の三点を押さえた数というふうに本当に副大臣はお考えですか。

末松副大臣 大体各府省で、十五府省の中では、三%程度増加させるという目標をほとんどの府省が掲げておりまして、例えば厚生労働省なんかは、最終的には八・三%程度までふやす、こういったことを決めている省もございます。

塩川委員 例えば、十五の中に防衛省とか入っていますけれども、防衛省の計画というのは、女性の参画加速プログラムにある「三%程度を基本として増加する」を踏まえ、「更に拡大するよう努める。」というだけなんですよ。「更に拡大するよう努める。」というのが防衛省の数値目標なんですよ。そういうことを御存じですか。

末松副大臣 今委員がおっしゃったように、確かに、本省課室長以上に占める「女性の割合を現在の割合よりも少なくとも三%程度を基本として増加する」を踏まえということでございますが、これを踏まえてやっていくということでございます。そこを目標にしながら拡大するということを言っておりますので、私どもとしては、これも三%増加するということを目標にしているという形で考えております。

塩川委員 防衛省そのものも具体的な数字というのはないんですよ。さらに頑張ると言っているだけなんですよ、これ。あるいは文科省なども、三%程度増加させることを目標とするとあるんだけれども、起点の方が平成十八年の一月になっているんですよ。平成二十年の四月以降じゃないんですよ。

 ですから、基準のとり方が、その省の都合に合わせて起点を適当にとったり、終点があいまいだったり、三%上乗せということ自身もはっきり書いていない省が大半だということについて、御存じないんですか。

末松副大臣 私ども、各府省から出てきた数字をもとに判断して十五府省と考えておりまして、みんな、どの府省も三%増加させるということを目標にしているということでございますので、そういった意味で十五府省は、私どもこの数字に入れているわけでございます。

塩川委員 数値目標を持っていない省もあると聞いていますけれども、それはどこだか御存じでしょうか。

末松副大臣 国土交通省が未定ということで、報告をされておりません。

塩川委員 今お話ししましたように、持っていない省もそもそもありますし、私が言ったように、そもそも、閣僚が参加をしている男女共同参画推進本部が決定をした各府省ごとの数値目標とスケジュールについて、この基準に合わせてはっきりとした計画を出している省というのはほとんどないんですよ。私は、そういう立場でもう一回見直してもらわないと困る。

 というのは、国連の女性差別撤廃委員会の勧告でも、数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置を導入するよう要請するとあり、日本政府に対するフォローアップの対象項目ともなっているわけです。政府の第三次男女共同参画基本計画策定に向けた答申では、「府省ごとに、採用及び管理職の登用について、「二〇二〇年三〇%」に向けた具体的な中間目標を設定するほか、」「女性の登用が進むよう積極的に取り組む(例えば各府省において中間目標達成のための工程表を作成するなど)。」とあるわけです。

 ですから、この答申も踏まえて、政府として、ぜひ管理職の登用について府省ごとの数値目標とスケジュールをきちんと設定した特別措置を行うべきだ、それなしにやはり進まないと考えますが、内閣府のお答えをいただきます。

末松副大臣 政府としてこれまでも、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度という目標を掲げて取り組んできましたが、委員御指摘のように、公務員の分野について女性の参画が十分には進んでいないという現状にはございます。

 また、委員御指摘のとおり、女子差別撤廃委員会からの最終見解において、行政分野を含め女性の参画促進のためのポジティブアクションの実施が勧告され、二年以内の実施状況のフォローアップが求められております。

 このため、第三次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方について、本年七月に男女共同参画会議から内閣総理大臣へ提出されました答申におきましても、国家公務員の採用及び管理職の登用について、各府省ごとに、二〇二〇年三〇%に向けた二〇一五年までの具体的な中間目標を設定するということの御提言をいただいております。

 政府におきましては、この答申の内容に沿って、第三次男女共同参画基本計画を年内に策定するように検討を進めているところでございますが、女性国家公務員の採用、登用につきましても、各府省ごとに具体的な中間目標を設定したり工程表を作成したりするなどして、実効性のあるものとしますよう検討していきたいと思います。

塩川委員 みずから決めている男女共同参画推進本部の決定に沿った各府省の数値目標、スケジュールについて、きっちりとした実態を踏まえずに物を言っても進みませんので、今の答弁を本当に具体化をする上での取り組みというのを求めたいということであります。

 女性の働きやすい環境の整備こそ女性の登用拡大につながるわけで、転勤を登用の要件にするべきではない、あるいは育児休業中の代替要員の確保とか、長時間労働の是正などをしっかり行っていくということが必要で、これが結果として男女とも働きやすい職場環境をつくることになる。女性国家公務員の管理職登用の拡大は政府みずからの責任でやることができるわけですから、積極的な改善措置をとるべきだと思います。

 ちょっと時間の関係で、総務省の取り組みもお聞きしたかったんですが、またの機会にしたいと思っております。

 最後に、人事院総裁にお尋ねします。

 人事院の最も重要な役割は、言うまでもなく、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割を果たすことであります。現行の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に公務員の労働基本権を制限しております。その点から、代償措置としての役割を人事院が担っています。だからこそ人事院は政府から独立をし、中立な立場から、国家公務員の身分、任免を含む、賃金や労働時間を定める役割を持っております。

 今、菅内閣は、公務員人件費二割削減を掲げております。これまでも、小泉内閣の時代に骨太方針で総人件費抑制政策が打ち出され、公務員の純減やあるいは総人件費抑制計画が閣議決定をされ、政治的な圧力が強められ、そのもとで人事院の役割が投げ捨てられてきたのではないのか、こういう指摘が行われてきたところであります。政権交代の後で、私も原口大臣にこの点での検証が必要だと提起もし、原口大臣からは、前政権で何が起きていたのか検証したいという答弁もございました。

 人事院は、国家公務員の人件費二割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指すという菅内閣の言いなりにならずに、独立、中立な立場を堅持しなければならないと考えます。このことについての人事院総裁の見解をお尋ねしたい。

江利川政府特別補佐人 人事院の機能につきましては、先生の御指摘のとおりだと思います。

 私どもは、労働基本権制約の代償機能として、それから公務員の人事管理の中立公正性の確保、これが大きな任務だと思っておりまして、公務員法によりまして内閣の所轄のもとに置かれる組織でありますが、独立した第三者機関としてその職責を果たしてまいりたいと思っております。

塩川委員 今回の人事院勧告は、二年連続の大幅な給与引き下げのマイナス勧告でもありますし、五十五歳以上の職員をねらい撃ちにするような引き下げも行われているという点で、政府の総人件費抑制政策に沿ったものと言わざるを得ない、この点も厳しく指摘をして、質問を終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 私は、きょうは非正規雇用問題に絞って質問をいたします。

 小泉構造改革のもとで拡大をした格差、これは非常に深刻な社会問題として、経済危機の中で一気に顕在化してきた、こういう経過がございます。私は、労働法制の規制緩和によって非正規雇用が増大したことが、最も深刻なダメージを日本社会、日本経済に与えた、このように見ているわけです。

 そこで、総裁に三点ほど聞きますが、国の機関で雇用されている非正規雇用者の最新の数はどうなっているか。二つ目に、業務は一時的なものなのか恒常的な業務なのか。それから三つ目に、いわゆる派遣あるいは請負というような間接雇用が存在しているかどうか、存在しているとするならば、どの程度の数字を把握しているか。以上三点について聞きます。

江利川政府特別補佐人 まず、数でございます。

 非常勤職員の在職状況統計報告におきますと、二十一年七月一日時点での非常勤職員は十四万八千人余りでございます。ことしの七月時点については現在集計中と聞いております。そのうち、日々雇用職員につきましては、二十一年七月段階では二万四千人余りでございますが、この中には社会保険庁などが入っておりますので、これが抜けていきますと一万人余り減るのではないかというふうに思います。

 それから、非常勤職員は常時勤務を要しない職員ではございますが、恒常的に置かれている者、臨時的に置かれている者がございます。恒常的に置かれている者につきましては審議会の委員などがあるわけでございますし、また、臨時的に置かれる者には統計調査員のようなものがございます。

 それから、派遣や請負についての御質問がございましたが、公務員として任命されていないため、非常勤職員には含まれておりません。

 そういう状況でございます。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

重野委員 今、含まれておりませんということですが、それは概念として含まれていないのであって、現実、そういう行為、実態というのはあるのかどうか。

江利川政府特別補佐人 例えば、自動車の運転手のような形で派遣契約などをしているケースがあると思いますが、実態は把握されているわけではございません。

重野委員 私は、その点については、実態を把握していないというのであればやはり調査をすべきである、そのことを申しておきたいと思います。

 次に、この非正規雇用というのはいつごろから増大してきたのかという点について聞いておきたいと思うんです。

 官製ワーキングプアというような言葉が一時たくさん使われました。理由はともかくとして、法のすき間を利用して人を安く使う、そういう行為が公的機関においても行われているという大きな問題、これは私は恥ずべきことだと言わざるを得ません。

 例えば、似たようなことが郵政でも行われてまいりました。現在、その是正のために、非正規社員の正規化に向けた取り組みが行われていることは御案内のとおり。民間企業になったとはいえ、政府出資一〇〇%の会社で正規と同数の非正規雇用が行われているというのは大問題ですね。自見大臣とこの前話をしていた際に、かつて大臣が郵政大臣だった九七年、当時は非正規の数は微々たるものであった、このように自見大臣は申しておりました。ところが、現在では二十万人を超えるまでになっているわけですね。

 そこで、国の機関でいつごろからこの非正規雇用というものが増大し始めたというふうに把握しているのか、また、この増大した要因はどこにあるというふうに考えておられるか、これについても聞いておきたい。

片山国務大臣 国の方を見てみますと、むしろ、昭和四十年から昭和五十五年ぐらいまで増加しております。それ以降、国立大学の法人化などで国から離れたという要因はありますけれども、そういうものを除きますと、ほぼ横ばいの状態でありまして、どこかから急にふえているということではありません。

 私は、この正規、非正規の問題で重要なのは、むしろ地方公務員の場合だろうと思っております。地方公務員の場合には、近年相当増加しております。これにはいろいろな要因があるだろうなと、私も統計上しっかり研究したわけではありませんけれども、幾つかの要因が考えられるということは私も認識しております。

重野委員 今、地方公務員の話をされましたけれども、私は地方自治体も、積極的に非正規雇用をふやすことが絶対的に正しいとは見ていないと思うんですね。そこには、いわゆる政府のいろいろな財政的な締めつけとか、そういう道を選択しなければならないような状況に誘導していった、こういう実態があるのではないかと私は思うんですね。だから、気がついてみたら政府は、非正規雇用をふやす、労働市場の極めて不安定なそういう状況をむしろ進めてきた、こういうことがあるのではないか。

 先ほど大臣の答弁で、いわゆる民営化だとか、国の機関が例えば社会保険庁のようにがっと向こうに移転していくわけですね。しかし、やっていることは、それはやはり全く公の仕事をやっているわけですよ。その公の仕事の現場にそういう非正規の方々がふえている。その部分が国として横ばいになっているというのはそのことなんですね。その後、いわゆるシフトしていくことによって国の機関でなくなった、結果として横ばいになったということであって、その仕事をやっている現場においては依然としてそういう非正規雇用というのは存在している。そうすると、私はやはりふえているんじゃないか、こういうふうに見るんですね。そこのところの認識というのは、大臣、どうなんですか。

片山国務大臣 そういう面がひょっとしたらあるかもしれません。郵政などはその一つの例かもしれません。場合によっては国立大学法人なんかも、運営交付金がだんだん減りますから、ぽつぽつと非正規にかわっている面がないとは言えないと思いますけれども、私は、先ほど言いましたように、そういう国家公務員とか国系統のところよりも、むしろ自治体の方がこの非正規化の進行度合いが激しいと。

 それについてはいろいろな事情があるんだろうと思いますけれども、例えば、さっきおっしゃったように国の政策がそれを進めたということも決して否定できるものではない、そういう面があったことは確かだろうと、私も当時自治体におりましたので、そういう認識はしております。

重野委員 そういうふうな状況を踏まえて、人事院総裁に、もう時間も来ましたから最後に聞いておきたいのですが、日本も批准をしておりますILO百号条約、これは同一価値労働同一賃金がうたわれているわけですね。同一価値労働と同一賃金、性別、雇用形態など関係なく、労働の質が同等であれば同一の賃金水準を適用すべきだ、これが日本も批准をしているILO百号条約です。

 この考え方について、人事院総裁としてはどのように考えておられるのか聞いておきたい。

江利川政府特別補佐人 考え方の一般的な意味でございますが、それにつきましては、国家公務員法上も「職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」ということになっておりまして、性別等によって差別はされないということにされているわけでございます。平等取り扱いの原則があるわけでございます。

 そういう考え方に基本的には沿うわけでございますが、もう一つは、公務員の給与は民間準拠というのもあるわけでございますので、そういう意味で、そういう側面も考えながら全体としての給与体系を考えるべきものというふうに思っております。

重野委員 質問を終わりますけれども、よく民間準拠と言われるんですね。民間準拠というのは、言葉は非常に聞こえはいいんですが、民間の実態は、そういう意味では私は極めて厳しい状況にあると。その厳しい状況に準拠するということは、その水準でいけということになるので、これではこの国の水準は上がりません。

 やはり人事院はそこのところは厳しくとらえて、ILO百号条約の精神というものを、批准した以上はこの国の現実においてもその精神が実行されるように、実現するように努力することが人事院総裁としての任務と思っております。その点はひとつよろしくお願いします。

 以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の人事院勧告はマイナス一・五%ということで、二年連続のマイナス勧告になった。民間水準に合わせてこうしたマイナスの勧告が行われたということで、一見これはもっともらしい、そういうふうにも感じられるわけですけれども、先ほど稲津委員もお触れになられましたように、この給与水準の官民比較を見ると、本当にこんな水準なのかな、こういうふうに私たちは疑問に思っております。

 先ほども出ましたけれども、国税庁が平成二十一年民間給与実態調査を行って、九月に発表しておりますが、これはマイナス五・五%です。そして、これは調査対象とする企業の規模が違う、こういう話でありますけれども、人事院の方の調査は、五百人以上の企業は全国の八割を調査対象にしている。一方で、五十人から五百人の企業は全国の二割しか対象にしていない。比較的規模の大きい企業に偏った調査を行って、結果として出てくるのはマイナス一・五%。国税庁調査とはかけ離れた数字が出てきているわけです。

 こうした違いがなぜ出てくるのかということについては、先ほどの質疑で江利川総裁から御答弁がありました。時期の違いだ、国税庁の調査は平成二十一年度の調査だ、人事院の方はことし四月の調査である、また対象とする企業の規模の違いもあるだろう、こういう話でありました。

 しかし、これまで、二〇〇三年から二〇〇八年までの六年間を通しで見てみると、人事院勧告では民間給与調査は十七万円ふえている。国税庁の調査は逆に九万円減っています。〇八年度をそれぞれ比較すると、人事院調査による民間給与は四百六十五万円、それに対して国税庁調査は三百六十五万円。百万円も差がついちゃっているんですよ。これが時期の違い、対象とする企業の規模の違いです、民間水準をある意味反映している調査であることは同じですと、こういうことが言えるんでしょうか。

 私たちから見れば、人事院の調査というのは公務員のお給料を余り引き下げないように、高目の数字が出てくるように対象企業を選定して調査を行っている、国税庁の調査と比較するとそのように思えてなりませんけれども、御見解をお願いします。

江利川政府特別補佐人 まずは企業の規模の関係でございますが、五十人以上の事業所総数が五万一千余りあるわけであります。その中の一万一千を調査対象にしております。

 選び方は、五十人以上から百人未満、百人以上から五百人未満、五百人以上から千人未満、千人以上から三千人未満、三千人以上、基本的にはおおむねそれぞれ二割程度ということで企業を選びまして、全体のバランスをとって調べているところでございます。

 それから、国税庁の調査との関係でありますが、企業規模の違いのほかに、国税庁の方では勤務時間の少ないパートタイムとかあるいはアルバイトが含まれているわけでございます。その人たちの勤務時間が減りますと、トータルとして所得は減るわけでありますが、この間のリーマン・ショック以降の話でいえば、その減った分が平均にならされると減に出てくるわけでございます。

 私どもは、公務員と同じような仕事をしている人の給料を調べまして、それとの対比で民間準拠しているわけでございまして、その辺は制度の違いによる側面があるのではないか、その点を御理解賜りたいと思います。

柿澤委員 このような形で国が行っている別々の調査で百万の差がついて、そしてマイナス幅も一・五%と五・五%、大きな違いが出ている。こうしたことをこのまま容認というか、受け入れることはできないと思います。

 私たちは、従業員一人からの企業も対象にしている国税庁の調査の方が実態に即しているというふうに思いますし、本当のことを言えば、民間企業は一定割合で倒産をするわけです。こういうところは従業員の給料はゼロになっちゃうわけですから、こうしたところの倒産確率みたいなこともカウントした上で、本来の民間で働いている方々のお給料の水準というものを割り出して官民比較を行わなければいけないというふうに思います。

 そうした観点から、私たちはこれから提出をされる給与法の改正案には対案を提出していきたいというふうに思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいというふうに思います。

 先ほど来、こんな削減幅で二割削減なんかできるのか、こういう話が出ております。確かに、〇九年度はマイナスで千四百億、今年度は、このまま勧告どおり実施すれば七百九十億になるんですか。これでは一兆一千億を四年間で、到底無理ですね。

 しかも、国家公務員法の改正案の通常国会における審議の最中に、私、原口大臣と予算委員会で質疑を行ったときに、これから勧奨退職が天下り根絶によって減ってくるだろう、減ってくると、定年を待たずして途中でおやめになる国家公務員の数は減ってくるだろう、そうなれば多くの方々が定年まで滞留をして、人件費がむしろ増大することになってしまうのではないか、こういうことを申し上げましたら、原口大臣はあのとき私に対して素早く試算を出していただきました。結局これはどうなるかというと、二割削減どころか、このままいくと公務員人件費は二割アップしてしまう、こういうことがそこには書かれていたわけです。

 こうした状況に対して、どういうふうに答えを指し示していくのかというふうに思っていたんですが、何と六月には、こうした一定程度昇格をされて、そのまま定年までとどまり続ける方々を処遇するためと思わざるを得ないような形で、退職管理基本方針に、高位の専門スタッフ職、こういうものが設けられる方針が明らかになりました。これは、これまで幹部クラスであった方々、局長クラスであった方々がそのまま役職の中にとどまって就任をすることが想定されているポストで、大体、年収一千数百万円というふうに言われているものです。

 こうした形で今処遇を行おうとしているわけですが、本来であればこの退職管理基本方針に基づいて、高位の専門スタッフ職の設置ということについて、政府から、早急に検討し結論を得るよう人事院に対して要請するということが書いてありました。この臨時国会でそうした勧告が人事院から出てくるのかなというふうに思いましたけれども、現時点では見送られている。

 今後どうなるのかわかりませんけれども、政府の要請があったのかなかったのか、そして要請があったとすれば、それを受けて人事院はどのような検討をされているのか、そして、今この勧告を出せないというのはどういう理由があるのか、お伺いをしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 まず要請があったのかどうかということでありますが、ことしの六月に閣議決定されました退職管理基本方針におきまして、私どもの方に、「転任により指定職の外に異動させられるような専門スタッフ職を整備する。」ということで、専門スタッフ職の俸給表に新たな専門スタッフ職に対応した級を新設することについて早急に検討し結論を得るよう、人事院に対して要請がありました。

 それから、それについての人事院の対応でありますが、本年八月の勧告を出しましたときに、「新たに設けられる専門スタッフ職の整備に向けての政府の取組をみながら、その官職の具体的な職務と責任の在り方や求められる知識経験、能力等を踏まえて必要な給与水準等の検討を進め、成案が得られれば、速やかに勧告することとしたい。」そういうことを八月に報告しております。つまり、専門スタッフ職の整備に向けての政府の取り組みがどうなっているかということを見て勧告するということでございます。

 現時点においては、政府においてその取り組みの中身というものが明示されておりませんので、勧告を行う状況には至っていないということでございまして、私どもとしましては、引き続き政府の取り組み状況を見ながら必要な検討をしてまいりたいと考えている次第でございます。

柿澤委員 政府の取り組みを見ながらというお話でありますが、このままいけば、場合によっては来年度からの制度導入は見送らざるを得ないことも時間的には考えられると思います。

 そもそも、ある種、天下りができなくなって役所に滞留している方々を処遇するための、人に言わせれば高級窓際ポスト、こういうふうにも言われるような、こんな高位の専門スタッフ職などを新たに新設するということ自体が私たちから見ればおかしな話ですし、また、二割削減という政権の大方針にも、はっきり言えば全く反しているものだというふうに思うんです。

 政府の取り組み状況を見て人事院も勧告をするというわけですので、最後に総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、この参議院選挙前に、どさくさに紛れて出てきた退職管理方針……

原口委員長 柿澤君、時間が来ておりますので、質疑をやめてください。

柿澤委員 はい。

 これに基づく高位の専門スタッフ職をやはり置くのか、あるいはまだまだ考える余地があるのか、どのようにお考えになられているのかお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 先ほど来議論になっておりますように、これが高級官僚の何か身の置きどころみたいなところで、処遇ポストになるということでは国民の理解を得られないと思います。ただ一方では、従来手のつけられなかったような、例えば情報収集とか分析とか、高度な研究分野で本当に活用できる人材がいるとすれば、それはそれでつくる意味もあるだろうと思います。

 そんなことを念頭に置きながら、よく検討してみたいと思います。

柿澤委員 終わります。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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