衆議院

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第5号 平成22年11月16日(火曜日)

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平成二十二年十一月十六日(火曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 階   猛君

   理事 福田 昭夫君 理事 大野 功統君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石田 三示君

      石田 芳弘君    内山  晃君

      緒方林太郎君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    高橋 英行君

      中後  淳君    永江 孝子君

      仁木 博文君    萩原  仁君

      花咲 宏基君    平岡 秀夫君

      松崎 公昭君    向山 好一君

      森山 浩行君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    柚木 道義君

      和嶋 未希君    渡辺  周君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      井上 信治君    伊東 良孝君

      石田 真敏君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      齋藤  健君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  石井  章君     向山 好一君

  内山  晃君     仁木 博文君

  大西 孝典君     萩原  仁君

  中後  淳君     石田 三示君

  永江 孝子君     高橋 英行君

  平岡 秀夫君     柚木 道義君

  藤田 憲彦君     山崎  誠君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

  加藤 紘一君     あべ 俊子君

  川崎 二郎君     井上 信治君

  谷  公一君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     中後  淳君

  高橋 英行君     永江 孝子君

  仁木 博文君     内山  晃君

  萩原  仁君     大西 孝典君

  向山 好一君     石井  章君

  山崎  誠君     森山 浩行君

  柚木 道義君     平岡 秀夫君

  あべ 俊子君     加藤 紘一君

  井上 信治君     川崎 二郎君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

  齋藤  健君     谷  公一君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     花咲 宏基君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     藤田 憲彦君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 今回の補正予算により平成二十二年度分の地方交付税が一兆三千百二十六億円増加することとなりますが、このうち一兆百二十六億円を平成二十三年度分の地方交付税の総額に加算して交付することができることとするとともに、本年度におきましては、三千億円を交付することとし、これに対応して平成二十二年度分の普通交付税の額の算定に用いる雇用対策・地域資源活用臨時特例費の単位費用の改定等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、本案に対し、坂本哲志君外一名から、自由民主党・無所属の会の提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その提出の趣旨及び内容について御説明を申し上げます。

 我が党は、我が党の補正予算組み替え動議に対応し、平成二十二年度分の地方交付税の増加額は平成二十一年度の決算剰余金に係る精算増五千七百五十八億円に限る一方で、これについては次年度に回すようなことはせず、地域経済の活性化を図るため、平成二十二年度においてその全額を地方団体に交付すべきものと考えます。

 本修正案は、このような考え方を踏まえて提出したものであり、その内容は、以下のとおりであります。

 第一に、平成二十二年度分の地方交付税の額の算定に用いる雇用対策・地域資源活用臨時特例費の単位費用について、政府案においては、道府県千七十円、市町村八百三十五円としているのを、それぞれ千四百八十円、千百五十円に引き上げることとしております。

 第二に、平成二十二年度分の地方交付税の一部を平成二十三年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付することができる旨の規定を削除することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、十分に御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田芳弘君。

石田(芳)委員 民主党の石田芳弘です。

 政府提出の法律案について、十五分ですから簡単に御質問申し上げます。

 まず、私は衆議院議員になる前は、二十四年間、地方で政治と行政を経験してきました。その経験の中から、今、民主党内閣のテーマである地域主権というのは、決して財政力だとかあるいは制度の問題が最重要ではなくて、私の経験では、やはり自分の自治体、町に対する郷土愛といいますか、論語では信なくば立たずという有名な言葉がありますが、私流に言いますと、愛なくば立たずとか、誇りなくば立たずという感覚がまず第一にあっての財政力であり、制度だという感覚を私は持っています。

 その点からいいますと、片山大臣、あの過疎の鳥取の地で地域主権の時代のモデルを開かれた、地域の誇りを上方高く出された、私は平成の上杉鷹山だというくらいに思っています。鈴木副大臣も逢坂政務官も地方自治の経験者でありますので、ぜひ、地域主権というものを大いに示していただきたいと御期待を申し上げます。

 それで、結局、地域主権と国家統治を考える場合に、問題の本質は、日本という国はたくさん地方自治体で行政サービスをやっておるんですね。ところが税源が中央に偏っている。地域の仕事量と税源のいわゆる逆ざや現象が起きておるということですね。

 私も経験から申し上げますと、地方の自治体の首長、議員というのは、とにかく中央へ金くれ、金くれなんです。そういう精神構造になってしまっておりまして、ここで、私が先ほど申し上げました誇りなくば立たず、地方の政治をやる者、リーダーたちがここで誇りをなくすんですね。とにかく頭を下げて、お金を中央からもらってこないと自分の自治体の経営ができない。そういう構図が問題の本質にあるのではないかというふうに私は思っています。

 きょうのテーマの交付税、これはそもそも地方の金なんです。初めから地方の金なんです。その交付税の制度について、片山大臣、私は本当は補助金のことをやりたいんですが、きょうは時間が限られていますから交付税に絞って、片山大臣の交付税に対する基本的な考え方を承りたいと思います。

片山国務大臣 石田議員にお答えを申し上げます。

 過疎の鳥取県というお話をいただきまして、当たらずとも遠からずでありますので、あえて反論はいたしませんけれども、過疎だけではなくて、高齢化とかいろいろな問題を抱えております。あと、御質問との関連でいいますと、非常に自主財源が足らないというそんな状況の中で、勢い、地方交付税の持つ意味合いというのは他県に比べて多分高いだろうと思います。そういう中で、私も地方交付税のあり方については真剣に考えざるを得ませんでした。

 そもそも、地方財政、自治体の財政というのは税で賄うのが原則だと私は思います。地方自治というのは、どれだけ仕事を自分たちの地域のためにするか。そうしますとコストが発生しますから、それを地域住民の皆さんで割り振る、これが負担分任という、地方自治法にあります自治の基本原則であります。

 ところが、それだけでやりますと、我が国の経済の状況から見ますと、大都市には税源が非常に豊富にある、地方にはないということで、税源の偏在ということがございますので、税だけで賄おうとしますと、それこそ過疎の自治体は財政が運営できないということになります。そこで、その過不足を調整するために、特に不足を調整するために地方交付税制度というのはあるわけであります。そうしますと、交付税というのは本質的には税の代替物ということでありますから、税というものを基本に交付税というものも考えなきゃいけない。

 では、税は何かというと、税法、税条例というルールで取るということであります。それは、国に陳情して税を取るということではありません。ルールに基づいて、納税者の皆さんの納得を得ていただくということでありますから、ルール性ということが交付税にも重要になってくるということです。

 そうしますと当然、予見可能性という、自治体にとって来年度どれぐらい入ってくるだろうかというのは、税はおよそ予見できます。従来の交付税は、年末の財務、総務の折衝によって決まるということがありましたから、必ずしも予見可能性が高いとは言えない、こういう問題があります。

 それから、税は使途に制限がございません。したがって、交付税も絶対使途に制限をつけてはいけないというのが私の基本的な考え方であります。

 それからもう一つは、税は住民のチェックがあります。交付税は住民のチェックというわけにはなかなかいかない。国民のチェックはできますけれども、住民のチェックはできない。ではどうすればいいのかといいますと、そこは交付税を透明化して、交付税の内容がよくわかるようにするということが、住民のチェックが間接的ではありますけれどもききやすいということです。

 私は、こんなことが交付税の原則ではないか。ルール性、予見可能性、使途制限なし、それから透明性、これが一番大切な原理だと思います。

 そういう原理から今の交付税制度を点検してみると、いろいろな問題が出てきます。すぐにはできませんけれども、これを一歩一歩改善していくというのが、これからの交付税制度の改革の基本方向ではないかと思っております。

石田(芳)委員 今のお話は交付税のとてもいいところなんですが、陰の部分もあるということですね。

 私の経験から申し上げます。

 私は、犬山の一般会計二百億ちょっとの予算編成を十二回やりましたけれども、私が市長になったときに、いわゆる財政力指数が一・〇一だったんです。私は、交付税をもらわなきゃ市民のためには損だという発想をしたんです、もうちょっとでもらえるわけですから。近隣のところがみんな交付税をもらっている。うらやましかったんですよ。それで、工夫しました。工夫した結果、簡単なんです、行政需要をふやせばいいんですよ。例えば農道を市道につけかえたり、一番簡単なのが借金すればいいんです。要するに、人為的に無駄な仕事をふやせばいいんですよ。そうすると交付税が来たんです。

 結局、私はその経験から、交付税の制度の中にわなといいますか、無駄遣いのわなが仕組まれているんです。そういう結果、モラルハザードを起こして、日本じゅうの自治体が交付税をとるために無駄遣いをし、無駄な借金をして、現在の日本の国家の財政が肥大化してきたというふうに私には思えたんですね。

 それで、今度の補正予算でも、緊急総合経済対策として交付税三千億を使われるんですが、本当にこれは真の意味で経済対策になるのか。その点を、大臣、しっかりと一度教えていただけませんでしょうか。

片山国務大臣 石田議員がおっしゃったこれまでの交付税に内在する問題というのは、私も全く同感であります。

 何かわながあるんじゃないかとおっしゃられました。これは、経済学では貧困のわなといいますけれども、もらえる状態が一番いい、一番カンファタブルだということになりますと、自立を阻害することになる。

 私は先ほど、交付税の本来あるべき原則を申しましたが、もう一つつけ加えるとすれば、この観点でいえば、本来、交付税は自立促進型でなければならないと思います。やはり最終的には交付税を卒業するというのが一つの目標であってほしい。交付税をたくさんもらうのが目標でありますと、どんどんどんどん財政力は低くなった方がいいということになりますから、それが貧困のわなになりますから、自立促進型でなければいけないと思います。そういう意味でいうと、先ほどの使途制限なしというルールがこれまで大きくゆがめられたということが、貧困のわなにある意味ではつながっているんじゃないかという認識を持っております。

 このたびの補正でありますけれども、このたび三千億円ということでありますが、本来、交付税というのは、基本的には国税五税の一定割合ということで決まりますから、ありていに言いますと、今回の補正の総額の中で、今年度三千億配れば残りの一兆円は繰り越す、そういうことになります。今年度たくさん使えば、来年度に繰り越す額は減る、こういうトレードオフの関係になります。

 それで、この三千億円がどういう意味合いを持つかということでありますけれども、今回、補正予算が、地方負担分が大体六千億円ぐらい生じますので、それをにらんで、今回の国の景気対策といいますか、雇用や景気の対策のために組んだ補正予算というものが自治体レベルで、自治体の段階で円滑に執行されるためにはこれぐらいが必要なのではないか、三千億円程度が必要なのではないか。それは、それだけで決まるわけではなくて、その他の地域活性化交付金などの国費の財源もにらみながら、三千億円程度が必要なのではないかということで計上しております。

 ぜひ、これが自治体にとって無駄なことではなくて、本当に市民、住民の皆さんに必要な事業として、補正予算のその他の事業と相まって効果的に使用される、活用されるということを期待しているところであります。

石田(芳)委員 もう時間が参りましたので、最後に、質問ではありません、私からの大臣へのエールですけれども、ドイツのマックス・ウェーバーが、政治とはかたい板にきりで穴をあけるような行為である、継続的に、力を込めて、あきらめることなくきりを回し続けないと板には穴があかないという趣旨のことを言っていますけれども、どうぞ、中央集権を打破して、地域主権のために、いろいろプレッシャーがかかりましょうが、ぜひ大臣の実績を上げていただきますよう期待を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、私のほかの委員会の質問の都合で順序を快く入れかえていただきました。委員長初め理事の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 初めに、大臣に、今回の地方交付税における国の関与について御質問を申し上げたいと思います。

 先ほども議論がありましたように、地方交付税は地方の固有の財源である、こういうことでございます。片山大臣もこの認識に立って、地方交付税については、使い道について国が決めてはいけない、こういう基本的な考えをお持ちであるということは再三おっしゃっておられるわけでございます。そういう意味でひもつきという問題を指摘された、いわば地方が自由に使うお金だという意味だと思っております。

 ところで、先月二十六日に、総務省自治財政局財政課から「平成二十二年度補正予算(第1号)に伴う対応等について」という事務連絡が出されております。これは、学校の耐震化など公共事業、普通会計分で四千六百十三億円につきまして、一〇〇%まで地方債を充当でき、後年度、元利償還金の全額を基準財政需要額に算入する、こういう対応についての通達、事務連絡が出ております。

 かつて片山大臣は、景気対策については、政府が自治体に公共事業をやらせるために行われた、地方債の償還財源は後年度に地方交付税を上乗せして補てんする手法を批判されてきました。今回の補正予算では、まさに片山大臣が今まで批判されていたと同様の手法が使われているというふうに私には見えるわけですが、これを大臣は批判されていたのではないのかということについて、大臣の答弁を求めたいと思います。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

片山国務大臣 西議員にお答えをいたします。

 今御質問いただきましたのは、このたびの補正予算に際しまして交付税の追加もしておりますけれども、それが問題があるんじゃないかということでありますが、二つ論点があると思います。結論といいますか、私の考え方を申し上げますと、一つは、西議員のおっしゃっていることが当たっている面があります。それからもう一つは、失礼ながら、当たっていない面があるということです。

 後者の方から言いますと、今回の補正予算債の元利償還について一〇〇%交付税で見るのはおかしいじゃないかということなんですが、実は、その見方が二つ分かれておりまして、一つは、事業費補正という方式で、事業をやったその額にいわば比例して後年度の交付税がふえるという部分があります。これが四五%部分であります。

 それから、残りの五五%は、交付税で後年度見るんですけれども、それは事業量に比例しない、単位費用、専門用語でいいますと単位費用で自治体に平均的に配るということでありまして、こっちの方は、実は私が問題視していたものではないんです。

 単位費用で配りますというのは、平均的に配りますので、事業をしたから交付税がふえるというものではありません。事業をしなかったから交付税が減るというものでもありません。これは本来の交付税の配り方として問題はないと私は思っております。問題は前者の四五%の方で、残念ながらこれは残っております。

 先ほど石田議員の御質問にお答えしたときに、一挙にはできないので、目標に向かって一歩一歩という話を申し上げたのはそのこともありまして、できるだけこういうものはなくさないといけないと私は基本的に思っておりますけれども、今の国、地方の財政事情でありますとか、補正予算というその性格から、なかなか理想どおりにはいかないということであります。

 ただ、私も、年来の主張もありまして、やはり改善はしなきゃいけないので、これはいろいろ御批判もあるかもしれませんけれども、今回四五%にした部分は従来は五〇%だったんです。五〇%を事業費補正していたのを、今回はちょっと落としまして四五にしたというところは、私なりの誠意があらわれているというふうに御理解いただければと思います。

西委員 五〇%、四五%問題は後ほどまたちょっとお伺いをしたいと思いますが、順を追ってやってまいります。

 続きまして、地方交付税のあり方について大臣にお伺いをしたいと思います。

 大臣は、国の事情や官僚の力関係、総務省の思惑などに左右されるということを問題視して、交付税制度の透明化、ルール化を徹底していくべきだ、こういうふうにずっとおっしゃられております。大臣の問題意識からすると、単に使い道だけではなくて、配分方法についても、国が勝手に決めるということについては余り好ましいことではないというふうになるのではないか、私はそういうふうに思っております。

 今回、国税の増収に伴う地方交付税の増額分のうちの三千億円を使うわけですが、これを補正予算の財源として充てるということは、使い道については国が決めてはいけないという発言や、これまでの問題意識とは矛盾しないのかということです。本来固有財源である交付税のあり方、このことについて基本的なお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 このたびの増額します三千億円は、一応、何らかの形で、客観的基準で配らなきゃいけませんから、雇用対策・地域資源活用臨時特例費ということで配るわけであります。ですから、見方によってはそういうことを誘導しているのではないかという御指摘はあると思います。

 正直言いまして、やはりそういう気持ちはあります。現下のこういう経済状態、雇用の状態でありまして、しかも、今回、国があえて補正予算を組もうというわけですから、そういうところに力を入れていただければいいなというのは、やはり気持ちとしてはあります。

 ただ、交付税でありますから、一応の配分の基準は、今申し上げたような雇用対策・地域資源活用臨時特例費ということで配りますけれども、あと使うのは、自治体の方で予算を組んでどういうふうに使うかということは自治体の自由でありますから、それに対して国がとやかく言うものでもありませんので、交付税の本質から外れているものではないと思っております。

西委員 そういう意味では、補正予算ですから、ある程度そういう角度をつけて、そのねらいで配られるというのは私は完全に否定するものではないんですが、本来的には、やはりもう少し基本的な配分の方法というか、このときはこうだ、あのときはこうだということではないんじゃないかな、もっと自由に使えというのなら、その額についてももう少し基本的な考え方があってもいいんじゃないかな、これは非常に難しい問題であることを十分承知して申し上げているんですが、そういうつもりでお伺いをいたしました。

 それから、次ですが、地方交付税の増額、今回は一兆三千百二十六億円ということになっております。これを地方に全額お配りにならなかったという理由でございます。せっかく上げておきながら三千億円というふうに区切った理由です。先ほどの私の考え方と同様に、地方の裁量に任せるということがあってもよかったのではないかという考え方です。

 今、御存じのように、地方財政計画では、財源不足を補てんするために臨時財政対策債の大幅な発行を余儀なくされております。基本的には使い道は自治体の判断でありますが、借金をふやさないように、すべてを地方へ交付するという考え方もあるように思うんですが、三千億というふうに限ったことについての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今、西議員がおっしゃったことは非常に合理的だと思います。できるだけ借金を減らすということは非常に大事なことだと思います。

 私も、もし今回、補正予算で地方交付税の一兆三千億というのを編み出したといいますか計算したその背景とか根拠が、年度当初といいますか、今年度の地方交付税の当初のときに、算定をするときにこれがわかっていれば、多分そういう道行きもあったんだろうと思います。一兆三千億円が今年度の交付税の中に組み入れられて、その分は借金部分であります臨時財政対策債が減額される、これが本来のあるべき姿だったかもしれません。

 ただ、やはりそのときはわかっておりませんでしたし、今になってわかるわけであります。そうすると、では、今からでも遅くないから、臨財債というものをやめてこれを振りかえたらどうかという意見もあると思いますが、もう既にこの臨財債を組み込んだ今年度の地方財政の枠組みというのはずっと走っておりまして、各自治体も、臨財債というものを当て込んだ事業というものを予算化して、その起債も、発行についての同意の手続なんかももう進捗しておりますので、ちょっと、今それをやるということは、手戻りといいますか、混乱を生むということがありまして、その道は今の段階ではとり得ないということであります。

 そこで、今回、補正予算で、先ほど申し上げましたけれども、では、地方負担がある程度出て、それに対してやはりその裏打ちとなるような財源というのは各自治体に必要となりますので、その範囲をにらんで三千億円、そういう決め方をしたという次第であります。

西委員 今のお話ですと、来年度の予算編成においては、考え方といいますか、そういうものも少し変わった、本予算については少しまた違う考えのもとに予算組みをするということを示唆されておるように聞こえたんですが、そういうことでしょうか。

片山国務大臣 必ずしもそうではありません。やはり去年も平成二十二年度の税収の動向というのはしっかり考えられたと思います、どれだけかというのは。その上で今年度の地方財政の枠組みをつくったんだと思います。その際にわからなかったものが、今年度の税収がやはり半年たってみないとわからないとか、それから、それまでの決算剰余金がわからないというのがあったと思うんです。それは恐らく今回、来年度の交付税を考える場合にも、やはりわからない部分というのはあるんだろうと思います。できる限り精査をしてわかる部分を多くしていくという、その努力はしたいと思いますけれども、やはり限界はあろうかと思います。

 ただ、今年度、この法案が通りますと一兆円を繰り越せますので、その分は確実に来年度の交付税の原資としてカウントできるということだろうと思います。

西委員 続きまして、年度途中の地方交付税の増額についての考え方についてお伺いをしたいと思います。

 年度途中の増額については、地方交付税法では特別交付税に加算するということになっております。ですが、この規定は使われたことは事実上ないわけです。それは、年度末に交付されても扱いに困るという問題がありますが、基本的には、地方交付税は、基準財政収入額に対して基準財政需要額が超過する場合に交付されるということになっているところだと思います。

 ところで、先ほども述べましたけれども、臨時財政対策債を発行して財源不足を埋めているという状況で、今回のように年度途中で交付税の増額がある場合にはどのようにすべきか、これは法改正など新しいルールを規定することも検討してはどうかというふうに思うんですが、お考えをお聞かせください。

片山国務大臣 それは非常に重要な視点だと私も思います。

 これはちょっと私見になりますので、私の個人的な考え方だということでお聞きいただければと思うんですけれども、今、地方債というのはすべて建設地方債になっているわけです、国の場合は赤字国債、建設国債ありますけれども。地方債というのは、臨財債であっても何かの事業に当てはめるということになるんですね。そうしますと、一たんそういう作業が始まりますと、それを巻き戻すというのは非常に困難になります。

 これは自治体にもいろいろな意見があると思いますけれども、もし、もう割り切って財源不足の部分は赤字地方債だというふうに観念をいたしますと、年度中途で増収が判明した場合に、赤字地方債の発行との間にトレードオフの関係を築くというのは、これは精査してみないとわかりませんけれども、今よりは恐らく容易なのではないか、比較的やりやすいのではないかと私などは思います。

 ただ、これはこれでいろいろ物議を醸す問題でありますし、いろいろな問題がありますから、軽々に申し上げることはできませんけれども、私見としてそんなことが私は頭にありますので、西議員がおっしゃった提言というのは非常に貴重だと私は思っております。

西委員 ありがとうございます。また種々御検討をお願いしたいと思います。

 続いて、今回の地方交付税三千億円の使用、そして雇用対策・地域資源活用臨時特例費の配分方式の採用について、どのようなプロセスを経て決定されたのかということについてお伺いをしたいと思います。その趣旨は、地方の意見を聞いたのかということを大臣にお伺いしたいわけです。

 民主党のマニフェストでは、国と地方の協議の場を設置し、対等、協力の関係を築く、こういうお立場であると思われます。地方交付税の扱いについても当然協議の場の議題としなければいけないというふうに思いますが、調べてみますと、国と地方の協議の場は、十月七日以降開かれておりません。なぜ、党の方針どおり地方と協議を行い、地方の意見を聞かないのか、党の方針を変更したというのであれば、いつどのような形で変更したのかということについてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 国と地方の協議の場というのはまだ法定されておりませんので、法定協議というのはなされておりません。ただ、前内閣の、私が就任する前から、国と地方との事実上の協議の場というのがありまして、これが十月の七日に開かれました。私もこれには出席をいたしました。

 その際に、国の方が、ばたばたとと言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、この補正予算をまとめる時期だったものですから、ちょうどそのときに開かれた場において、政府側から、補正予算の動向、特に地方側に関係の深いような動向については概略お話を申し上げました。

 ただ、そのときにぱっと申し上げたものですから、直ちにそれについての詳細な反応といいますか意見とかはありませんでしたけれども、とりあえず、今、国はこんなことを考えているんですよという話を、活性化交付金の話とか交付税の話も含めて一応申し上げました。

 正直言いまして、今回のような補正でありますと、自治体側は、額については関心がありますけれども、配り方といいますか、単位費用にどこにどういうふうに入れるというのは実は余り関心がないんです。

 それはそれで問題なんですけれども、なぜそうかというと、やはり議員がおっしゃったように、今まで単位費用なんかも国が一方的に決めてきた、自治体にとっては余りそれについて参画できないという実態がありましたので、そういうことから、おのずから余り関心を持たないということになったのかもしれない。そこはそれでやはり国は気をつけなきゃいけないと思いますので、いい機会でありますから、これから交付税の中身についても、内容についても、自治体とできるだけ意見交換などができるようにしたいと思います。

西委員 事実上そういう関係にあるわけですから、法律の成立はもちろん大きなターニングポイントだとは思いますけれども、ぜひとも地方の皆さんと十分議論できるところはしていっていただきたいということを要望したいと思います。

 最後に、先ほどの五〇%、四五%のことについてですが、これまで補正予算では、元利償還金に対する地方交付税の充当割合が五〇%、今回は四五%にしたと先ほど大臣からお話がありました。これはある意味では地方に冷たいという感じが私はしているんですが、将来さらに縮小していくというお気持ちはあるのか、これが一つです。

 財務省の財政制度等審議会では、地方債の元利償還金の交付税措置の見直しと地方債発行の自由化をセットで考えていかなければならない、こんな議論が行われているようでございます。大臣も、地方債を自由化し、そして元利償還金の交付税措置を廃止していくという方向に一歩踏み出したのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 これは私の持論でありますけれども、地方債というのは本来資金調達のツールであって、財源調達の手段ではないと思います。現実にこれまで、地方債と後年度の地方交付税がセットになりまして、地方債を発行すれば後で交付税がふえるというような仕組みを、これを称して私は交付税の先食いといって年来批判してきたわけですけれども、それはやはり本来の姿ではないと思います。あくまでも資金調達、資金つなぎとして観念すべきものだと思います。

 ですから、今回、五〇%を四五%に下げたというのは、誠意のあらわれなどと言いましたけれども、改善の一歩だろうと私は思っております。

 ただ、西議員が言われるように、地方に冷たいと言われる批判は当たらないと思います。なぜならば、五〇を四五にしたから、その五%分を例えば国が取ったとか削ったというわけではなくて、その五%は、さっきの単位費用として地方に平均的に配分するわけです。ですから、地方トータルとしては取り分は変わらないわけです。

 ですから、今まで使途をある程度誘導したような、そういうやり方の部分を減らして使途自由の部分をふやした、こういう相互関係になるわけでありまして、そういう意味でも、地域主権改革、地方分権改革の中ではあるべき方向に向かっているというふうに私は思っております。

西委員 そのための、その残りの部分のルールづくりがまた必要になってくるということが大変重要なことだと思います。

 時間が来ました。以上で終わらせていただきます。

福田(昭)委員長代理 次に、伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。

 私も実は片山大臣とは初めてお会いするわけでありますけれども、私も二十五年前に地方議会、市議会に出、そして十年ほど経験させていただいて、二期八年間であったんですが、北海道議会に出ました。片山大臣も、その以前に北海道に御勤務されていたということ、あっ、なかったですか。それは失礼しました。数年前に、北海道議会が学芸会だという御批判をされたというお話をどこかでお伺いいたしまして、北海道議会の方を御経験されたのかなという勝手な解釈をしていたところでもございます。そう言われない質疑をきちっとしたいな、そんな思いできょうは質問をさせていただきたいと思う次第であります。

 さて、地方交付税法の一部を改正する法律案、我が党坂本議員からの提案もあったところでありますが、地方交付税につきましては、私も、地方議会、そしてまた市長を六年間経験させていただく中で、常に地方の大きな期待とテーマはこの地方交付税のありようでございまして、何度、この交付税を、特に特別交付税を上げてくれ、少しふやしてくれと陳情したかわからない、そういう思い出もたくさんあるところでございます。

 さて、今般、政府提出法案と我が党提出の修正案の違いにつきまして、まず、我が党の修正案を出された坂本委員にお伺いをさせていただきます。

 この我が党の修正案との違い、いわゆる今年度の交付額が、政府提出の法案では三千億円となっているところでありますが、修正案では五千七百五十八億円に増額をされているところであります。もちろんこれは二十一年度の精算額でありますが、この修正案につきまして、増額理由についていま一度お聞かせをいただきたいと思います。

坂本委員 厳しさを増します地方財政の現状を考えますと、地方自治体にとりまして、今の時期、一円でも交付税が欲しいときであります。

 我が党の組み替え動議に計上している平成二十一年度決算剰余金の地方交付税の法定率分五千七百五十八億円、これは地方の固有の財源でございますので、速やかにそのままを交付すべきであるというのが私たちの考えであります。

伊東委員 平成二十一年度国税五税の決算剰余金一兆七千六百億、この三分の一でありますが、五千七百五十八億円であります。

 私は坂本委員と認識を共有するところでありますが、政府は、今年度の交付額が、このうちから三千億円の追加となっているわけでありまして、これで十分であると認識されているのかどうかお伺いをいたします。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 今回の補正予算の中で、地方が関連するものが多くて、かつ、補正予算に計上された事業を地方が実施した場合に地方負担を伴うというものがあります。それが、先ほど申しましたけれども六千億円程度ありまして、その状況と、あと、地方に国から活性化交付金も出ます。そんなことを勘案しますと、地方交付税としては三千億円程度で十分ではないかというのが一つの判断であります。

 それからもう一つは、交付税を年度中途でどうするかということなんですけれども、今、坂本議員からは決算剰余金に着目した計算というのが出まして、これも一つの判断基準にはなろうかと私は思います。ただ、私どもがしましたのは、もし今年度の税収動向というものが年度当初でわかっていれば交付税がどうなっていたかということを考えますと、その場合には三千億円程度が上積みされていただろう、そういう判断がありまして、そちらの方をとったということもございます。

伊東委員 それではお伺いをいたしますけれども、私も、自分が市長に就任したのがちょうど平成十四年でありました。十五年度の予算を若干リードした。その年は、地方交付税、臨時財政対策債、相当な額でありました。ところが、平成十六年度から毎年、本当に一兆円ずつ大幅な減額がずっと四、五年続いたところであります。もちろん三位一体改革でありまして、この間、地方からは悲鳴が上がってきたわけであります。

 しかし一方、市町村にとっても、この機会にぜい肉を落とす、あるいは無駄がないか、あるいは行政改革、財政改革をさらに進めることができないかという地方の努力も相当ありまして、そういった面では、この三位一体改革が、痛みを伴いましたけれども、地方財政にとってはスリム化をする大きな大きな一つの原因であり、きっかけであったというふうに私は認識しているところでもあります。

 しかしながら、大幅に四兆円、五兆円という、毎年毎年一兆円以上の減額が続きますと、さすがに耐えられなくなってきているわけでありまして、今でも全国の各地方自治体は、地方交付税を何とかもう少し増額してくれというのが大方の要望であります。

 これだけ地方が疲弊してまいりますと、東京や、あるいは大きな工場を抱える自治体とそうでない地方自治体の格差というのはますます広がる一方でありまして、ここで政府が補正を組んでくれる、あるいは地方交付税をふやしてくれるのをどれほど期待しているかわからないわけであります。

 この地方の声をやはりしっかり受けとめるのがその地方選出の国会議員の皆さんではないか、こう思うわけでありまして、とすれば、今回、地域の実情、事情に精通し、あるいはその把握に努めている国会議員の意見をぜひお聞きいただきたいというふうに思うわけであります。

 さて、この三千億円という額、今総務大臣はこれでよいのではないかというお話もありましたけれども、これは地方公共団体の要望等を踏まえた数字なのか、あるいはまた、国と地方の協議の場の設置のための法律案を出している現政権が、地方の要望を踏まえずに一方的に御自分たちの都合で措置したのであれば問題であるな、こう考えるわけでありますけれども、この点について大臣の見解を求めたいと思います。

片山国務大臣 地方の声というのは、専ら交付税の総額をふやしてくださいということがあるんですけれども、これは、補正のときにふやしてくださいということよりは、むしろ年度当初からといいますか、もっと言えばルールとして地方交付税の総額がもっとふえるようにしてください、年来そういう主張は出ております。私が知事をやっておりましたときも、議員が市長をされていたときも同じだろうと思います。ですから、そういう意味では、地方交付税の総額をふやしてくれという意見は、もう十分過ぎるほど総務省としては伺っていると思います。

 今回の、交付税をどれだけ増額するかという話はそれとはちょっと違った文脈で、今年度、もう既に走っている年度の途中で国が補正予算を組みますので、補正予算を組みますと、当然、地方自治体の裏財源といいますか、それが必要になります。その分をどういうふうに手当てするか、見込むかということでありますから、従来から地方自治体が熱望されていることとは少し違った局面だろうと思うんです。今回のあくまでも補正対応として、この補正予算が円滑に執行されるようにという、その範囲内で考えたものだと御理解をいただきたいと思います。

伊東委員 とすれば、先ほどから、地方負担分は五千六百数十億という積算がされているわけでありますけれども、ちょうど我が党が提案しているこの修正額というのは本来はそれにぴったり見合う額ではないのかな、そんな思いがするわけであります。

 さらに、やはり今これだけの不況やあるいは地域疲弊の中で、追加的であろうと、この交付税の増額あるいは配分というものは、景気対策、雇用対策を含めて、それぞれ、これは色がついておりませんので、自治体としては自由に使えるお金ではないのかな、このように思うところでもあります。

 さて、追加的な裏負担というお話があるんですけれども、我が党は、組み替え動議で提案をしております一・五兆円規模の地域経済、雇用対策の交付金こそ、地域の実情に応じた形で地方自治体に自由に活用されるべき、このように考えております。この修正案はまさに二十一年度の確定した国税五税の決算剰余金、こういうことでありますので、これを二十二年度地方交付税に増額するものであれば極めて根拠が明確になるのではないか、こう思うわけであります。

 政府提案の三千億に比べれば約二倍になるわけでありまして、さらに地域の活性化が期待されるのではないか、私どもはこう考えているところでありますけれども、大臣としては、先ほどから大臣お話しのいわゆる裏負担の五千六百数十億、そしてまた今回私どもが提案している五千七百五十八億、こうしたものを、裏負担というのは五千六百七十億でありまして、これはソフト経費千五十七億、ハード経費四千六百十三億ということでありますが、これに見合う額を増額補正するという方が正しいのではないかと考えますけれども、いかがでございましょう。

片山国務大臣 今回の補正予算の地方負担分というか、補正予算を自治体が執行する場合の地方負担分の財源については幾つかの項目がありまして、交付税だけを当てにしているわけではありません。

 例えば、地域活性化交付金というものも一つの可能性のある財源であります。これは、国から自治体に全額国費で行くわけですね。それもありますし、それから、先ほど来、西議員との間でちょっと議論がありました起債もあるわけであります。その起債の償還のときに、さっき五〇から四五にしたという話がありましたけれども、そういう起債で事業をやるものもあり得るわけであります。

 それ以外に交付税もあるということで、いわば複合的に幾つかの財源を確保する道がありまして、その中でどういうふうに自治体が選択して実際に事業を予算化していくかということでありますので、必ずしも今出てきている裏負担といいますか自治体の負担がそのまま交付税に結びつくというものではないということだと思います。

伊東委員 この点につきまして、我が党の修正案を提出された坂本議員にその見解をお聞きしたいと思います。

坂本委員 我々は、地域活性化のために、地域活性化交付金ということで、雇用、経済を守るということで一兆五千億の予算を組んで動議を出しております。これは、ばらまき四Kの五千億というふうな、財源も非常に明確にしたものでございます。それに地方交付税五千七百五十八億円を加えれば二兆円強の地域対策にもなるわけでありまして、我が党としては、地方の実情に十分配慮している、そういう予算であると思っております。

伊東委員 私も全く同感でございます。

 菅政権が掲げる地域主権におきましても財源の確保は極めて大事だ、こう考えるわけでありまして、地方のことを思えば、使える自由度の高いお金がこのとき入ってくる、これは大いなる期待があろうというふうに思うところであります。

 確定したこの五千七百五十八億円、まさにこれは二十一年度の剰余金から生み出されたものでありまして、これをわざわざ一部来年度に回すという話ではなくて、昨年の剰余金はしっかりとこれを交付するべき、このように思うところでございます。この修正案に応じていただいてはどうか、こう思いますが、再度お考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 修正案でありますから、委員会といいますか議会でよく御議論をいただければと思いますけれども、私どもとしましては、一つは、来年度のこともやはり考えておかなきゃいけない。来年度の地方財政がどうなるのか、これもまた非常に重要であります。

 二十二年度を概観してみますと、やはり相当巨額の財源不足額が生じております。これを交付税の手当て、現ナマの手当てももちろん今年度しておりますけれども、それでは足らないので、自治体が借金をしておいて後で交付税で補てんをする、そういう仕組み、便法をとっております。これはもう、できるだけやめなければいけない。将来の地方財政の姿を考えますと、これは一種の必要に基づいてやっていることでありますけれども、できるだけ縮小して、解消しなきゃいけないと思います。

 そうしたときに、では来年度どうなるのか。これはこれから見積もっていきますけれども、恐らく、来年度、そんなに一気に財源不足額が解消するということは見込めませんので、では来年度どうするのかということを考えたときには、今回の一兆円というのは、先送りという御批判もありますけれども、その一兆円というものが来年度の重要な元手といいますか元金になるということ、こういうことも少し、今年度だけではなくて来年度のことも考えておかなきゃいけないということであります。

伊東委員 一兆円を来年度の交付税総額に加算する、そういう今回の提案であります。

 しかしながら、今年度の決算見込みにしても、これは年度をまだ本当に半分過ぎたばかりの、確定したものではないというふうに私どもは思います。後半戦の景気動向その他によっては失速もあり得る話でありまして、今から果たして本当に二兆二千四百七十億円見込んでよいのか、そして地方交付税の法定率分、これは二十二年度分七千三百六十八億、今、半期過ぎたばかりの時点でこれを見込んでこんな予算化をすることは正しいのか、私どもは疑問を持っているわけであります。

 ですから、二十一年度の国税五税の決算剰余金分の交付税法定率分五千七百五十八億、これだけはしっかりと今回の交付税に積み増しをしてはどうか、今年度分で積み増しをしてはどうかというお話をしているわけでありまして、不確定なものを取り込んだ形での来年度の交付税の上積みという話には今はならないのではないか、このように思いますが、再度御答弁をお願いします。

片山国務大臣 この見込みというのは、交付税だけを見込んだわけではないんです。その背景となる国税五税を見込んで、それを機械的に計算したわけであります。ですから、これは補正予算全体の中で論じられるべきものだと思います。交付税だけの問題ではありません。

 そこで、どういう見込み方をしたのかというのは、これは財務省の方に聞いていただくのが多分いいとは思いますけれども、相当手がたく見込んでおりますので、現時点でこれがあやふやだということではないと私は思っております。

伊東委員 それでは、緊急総合経済対策におけるその位置づけについてお伺いをしたいというふうに思います。

 経済対策と地方交付税との関係については、急激な円高あるいは景気後退、景気減速が進む中、本当に、政権政党である民主党が新代表の就任からわずか三カ月しかたたない九月にまた代表選を行い、政府が機能不全に陥っておったことでありまして、そのために、景気対策ができない、景気の落ち込みが深刻化し、地方経済に大きなしわ寄せが及ぶこととなっているのであります。政府・与党の責任はここにおいては極めて大きい、私はこのように思うものであります。

 我が党は、民主党がこの代表選を含む六月から十月までの不毛な内部抗争に明け暮れているさなかに、九月八日に緊急経済危機対策を打ち出したのを初め、今日まで、民主党の政策不況からの脱出方法を提案し続けてまいりました。

 自由民主党の経済対策では地方交付税はどのように整理されているか、これについて坂本委員にお伺いをしたいと思います。

坂本委員 我が党は、地方交付税を経済対策と位置づけておりません。地方交付税は、国税五税の増収によりまして当然配分されるべき、あるいは地方がもらうべき固有の財源であります、権利であります。ですから、私たちは、この交付税と経済対策を一緒にして、そして地域経済に寄与するというような言い回しをすること自体不見識である、固有は固有の地方の取り分としてしっかり地方交付税の位置づけをしていくというような立場にいるところであります。

伊東委員 確かに、自由民主党の政権下にありましては、国税収入の自然増に伴う地方交付税の増額を経済対策に位置づけたという例は聞いたことがありません。

 また一方、民主党政権では、昨年度の第二次補正予算におきまして、法定率分減少額と同額を一般会計から繰り入れて、当初予算の地方交付税総額を確保した措置を経済対策として位置づけているわけであります。これには大変驚いたものでありますが、このたびの経済対策にも地方交付税の増額を規模に含んでいると聞いて、また驚いたものでありました。

 総務大臣にお尋ねをいたしますけれども、政府補正予算における地方交付税の増額約一・三兆円は緊急総合経済対策、このように認識されているのかどうか、お伺いをいたします。

片山国務大臣 一・三兆円というのは、今回の経済対策を中心にしてまとめました補正予算の中の一部であります。そういう位置づけだろうと思います。

 これは厳密に言うと、いろいろな見方があると思います。例えば、これが通りますと、そのうち三千億円は確実に自治体に交付されるわけでありますから、これは、先ほど来のやりとりでありましたように、交付税でありますから別に厳密な使途を決めているわけではありませんけれども、補正予算を円滑に執行するためという文脈の中での交付税でありますから、恐らく、そういう方面で使われることが期待されるということがあります。

 ですから、厳密な意味でいうと確実でないかもしれませんけれども、それは想定されるということだと思いますし、これにあらわれていない面でいいますと、例えば先ほど来の国の事業の補助裏といいますか、裏地方負担の部分は地方債を充てることが可能な面が相当ありますので、そういうものがどれぐらい出てくるかということもありまして、それは不確定要素であります。

 ですから、余り形式的に分類するのではなくて、むしろ、それぞれの要素が具体的にどういうふうに進行していくのか、自治体の方でどういうふうに使われていくのかということを事実に基づいてとらまえた方がいいのではないか、その方が把握がよくできるのではないかと私は思っております。

伊東委員 先ほどから私も、この地方交付税というのは、地方が自由に使うことのできる、それはもちろん雇用であり景気であり、さらにはまた地域の環境整備であり福祉であり何であり、足らざるところを補うための本当にありがたいお金であるというふうに申し上げたところでもあります。

 しかし、これを国が一方的に、今総務大臣のお話では一方的とまで言えませんけれども、景気対策、経済対策に期待をして出したという位置づけだとすれば、本当にこれは適当なのかどうか、私は疑問に思うところであります。

 地方公共団体が自由に使えるはずのお金を、まさに政府は景気対策、経済対策に使えと。使えとは言わないまでも、それに期待している式の発言あるいはまた名称の打ち方というのはいかがかなという思いをするところでもございまして、これについて再度お伺いをいたします。

片山国務大臣 これは、国の方の今回の主として景気対策、経済対策の補正予算に連動して、この補正予算が円滑に実施されるようにということで、交付税も組み込まれているわけであります。ただ、国だけの思惑で組んでいるわけでは必ずしもないと私は思います。

 といいますのは、議員も先ほど来おっしゃっておられましたけれども、地方で景気が非常に思わしくなくて、雇用も大きな課題になっている、そういうことがあるわけであります。そうしますと、自治体の側からも何らかのことをやりたいというのはおのずからあるわけでありまして、自治体の側からの要請、課題と国の側からの今回の補正予算がいわばマッチングするといいますか、そういう性格が強いのではないかと私は思っております。

 そういう意味で、自治体の側も、もし可能であればそういう景気対策とか地域の雇用対策をやりたいというのが潜在的にあって、国もそれに着眼して期待をする、こういうことではないかなと私は思っております。

伊東委員 本当にマッチングすれば何も問題はないわけでありますけれども、必ずしも全国の自治体が、景気対策、経済対策が最優先課題で、交付税が配分されればそれに使うとは限らないわけでありまして、ほかにもその地方地方の抱えるさまざまな課題があるわけでありますので、国が経済対策、景気対策としてそれを包含して、そしてこれを出すんだ、補正を組んで地方の活性化に、あるいは景気対策、経済対策にするんだというのは、私としてはいささかすとんとこないところがあるところでもございます。

 もう一つ、大臣に、今も出ておったお話に関連してお伺いしたいのでありますけれども、昨年九月五日付の週刊東洋経済、「直言 真の「住民自治」を拡充せよ」というタイトルの記事が二ページにわたって掲載されておりました。片山大臣の持論を述べられ、また立派な見識がここで披瀝されていたところでもございます。私も読ませていただいて、本当になるほどなという思いをいたしたところであります。

 さて、この中で、地方分権あるいは地方交付税等々について語られているところでありますが、「財政の中立性を歪める交付税制度を改めることである。政府が勧める事業を自治体が実施したら交付税を増額するというのでは、たちの悪い国庫補助金と同じだ。」このように論じられているのであります。

 先ほどからお話のあるとおり、裏負担の話を含めて期待をされているところでもありますけれども、大臣の言うまさに裏負担は「政府が勧める事業を自治体が実施したら交付税を増額する」、これに当てはまるような気がするのでありますけれども、この点についてどうお考えでございましょうか。

片山国務大臣 今回の国の補正予算に伴います交付税の問題については、二つポイントがあると思います。

 一つは、先ほど来議論になっております三千億円の問題です。これは、私が批判をしてきたカテゴリーに属するものではありません。これは、今回、一定の客観的な基準に基づいて配分するものでありまして、何らかの事業をやったから交付税がふえるとかふえないとか、そういう問題ではありません。これは問題はないと私は思います。

 もう一つあり得ますのは、先ほども少し議論がありましたけれども、今回も補正予算債がつきます。国の事業を執行する場合に、補助裏に対して起債をつけることは可能なものがあります。それについて、後年度の元利償還に対して四五%の交付税措置をする、事業費補正をするということで、これは実は私が年来批判をしてきたもののカテゴリーに属します。そこが、先ほどお話ししましたように、一挙にこういうものが解消できれば問題ありませんけれども、現下の国の財政事情とか地方財政の状況から見て、これを一挙に解消することはできません。では、今までどおりだらだらやっていいのかというと、それも避けなければいけない。

 そこで、今回改善をしたのが、従来はこういうときには五割の上乗せといいますか事業費補正をするといっていたものを四五%にとどめた、これを段階的に改善していきたいというのが私の考え方でありまして、その改善の第一歩だということで御理解をいただければと思います。

伊東委員 私も正直言いまして、交付税の算定基準、算定の仕組み、中身というのが、幾ら聞いても調べてもなかなか理解のできない、わからないものでありました。

 今大臣おっしゃられたように、この補助事業をしたら交付税で後年度措置されますよと。言われるものを幾ら積み重ねても、本来ふえていくはずの交付税が毎年一兆円も減らされる中で各自治体が大幅に削られる。これが総務省の指導で、あるいは財務省の方針でできるとしたら、この交付税の根拠というのは一体何だろうという思いを何回も私自身はしたところであります。

 地方交付税をたちの悪い国庫補助金としないというのは私も同感でありまして、地方自治体が自由に使えるだけの十分な額、そしてまたこれが確保される、本来はその透明性が必要だというふうに思うわけであります。

 今般、我が党の修正案、何回もお話しして恐縮でありますけれども、私どもの修正案の方が本来の片山大臣のお考えに近いのではないか、このように思うところでございますが、地方自治体の味方として、味方というのは、仲間、味方、応援団として、ぜひこれを御理解いただきたいというふうに思います。

 ところで、来年度に繰り越されるこの一兆円も緊急経済対策なのでありましょうか、ここについてお伺いします。

片山国務大臣 これは先ほどお答えしたと思いますけれども、考え方といいますか、整理の仕方だろうと思います。今回の一兆円も、今般、国が編成して提案しております補正予算、すなわち景気対策とか雇用対策を念頭に置いて編成をした国の補正予算の中に含めているということで御理解をいただければと思います。

伊東委員 今年度交付されないものが緊急というのは一般的な感覚とは大分違う、このように思います。

 そもそも、景気の先行きが不透明で不確定要素の多い今年度の国税増収見込みに伴う地方交付税法定率分の七千三百六十八億円を補正予算に計上し、それを上回る額約一兆円を来年度に繰り越すということにどんな意味があるのか、このような声もあるわけであります。この点につきまして、大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 これは先ほどもちょっと触れましたけれども、国が補正予算を組むときに国税の精査を行います。それによって国費の方の財源を捻出するわけです。そうしますと、当然、国税五税の税収見通しというものが現時点で固まりますから、そういう作業を国の方でしますと、はね返りといいますか、自動的に交付税の方の財源が出てまいります。これをどういうふうに処理するかという問題になるわけです。

 ですから、それを、先ほど西議員にお答えしたように、例えば今年度、地方財政は大幅な財源不足を抱えていて、臨財債、臨時財政特例債なんかを発行することになっていますから、それと切りかえますよというのも一つの合理的な選択ですけれども、それは事実上できませんので、そこで、貴重な財源でありますから、来年度の地方財政の方に繰り越して、来年度の財源不足を少しでも減らそうという選択があるのではないかということで、この選択をしたわけであります。

伊東委員 それでは、坂本委員にお伺いをいたしたいと思います。

 我が党の修正案では、地方交付税の来年度への繰り越しを想定していないようでありますが、これはどのような理由によるものなんでしょうか。

坂本委員 先ほどお答えいたしましたように、今、地方自治体にとりまして、一円でもやはり予算が必要なときである、欲しいときであるということが一つであります。そして、ほかに理由を探しますならば、やはり単年度主義にのっとって、確実な形で地方交付税の分はその年のうちに各地方に交付するのが原則であるという考え方であります。

 私たちの総務部会で出ましたけれども、与党議員の皆さんたちの中には、一兆三千億円の増収の見込みがあるんだ、地方交付税分、そして三千億円をことし配分して、残り一兆円は来年度の交付税に積み増しされるんだというふうに喧伝されている方がおられるというふうに聞きました。

 これはまさにペテン師的な言葉でありまして、見込みのないものを見込んだようにして、そして一兆三千億円の財源をつくって、そのうち三千億円を地方交付税として、残り一兆円を、この厳しい情勢の中でそれだけの増収があるかどうかまだわからない中で来年度の交付税に積み増しするというふうなことを有権者の方々、地域の方々に喧伝するというのは、私は、与党としてその見識あるいは政権能力の足りなさ、こういったものを感じるところであります。

伊東委員 先ほどから片山総務大臣も、来年度の税収不足あるいは予算不足をこれによって補完するんだというお話をされました。しかし、今般の交付税の法案につきましては、二十三年度地方交付税の総額に加算する、こう言われているのであります。これは、本来の予定されていた二十三年度の交付税に今年度出てくる一兆円を積み増しする、今坂本委員からお話がありましたけれども、加算するということは、予定された本来の二十三年度の交付税にさらに一兆円を上乗せするということでよろしいんでしょうか。どうでしょうか。

片山国務大臣 これは、予定されていたとおっしゃいましたけれども、予定されていた交付税というのをどうとらえるかということなんです。来年度の交付税というのは、よく出口ベースといいますけれども、自治体に配られる出口ベースはまだ決まっておりません。これから決めるわけであります。ですから、予定されているということはまだないということです。

 ただ、もっと厳密に解釈をして、国税五税に対してそれぞれ交付税率というのがありまして、それでルール分は決まります。もちろんそれでは足らないのでいろいろな、加算をしたり借金をしたりするのがあるんですけれども、そういう意味で、国税五税の一定率分の予定されていたものだというふうに観念しますとすれば、それに対して一兆円が加わる、その上で財源不足額がどうなるのかということを判定していく、こういう作業になるだろうと思います。

伊東委員 ここに、平成二十三年度地方交付税の総額に加算、このように一兆百二十六億円が示されているわけであります。ですから私は聞くんですが、二十三年度の地方交付税の総額とは一体どの範囲をいうのか。

 本来は、国税の一部にこの一兆円を使うというのであれば、足りない分の財源、ほかにこれを使うというのであればそのお話はわかるわけでありますけれども、総額に加算というのは、先ほど民主党の議員の方がどこかで言っておられた、来年の交付税に一兆円上乗せして、さらに積み増しして、そして配るんだというお話をされていることに対する坂本委員からの批判があったところでありますけれども、ここら辺をはっきりさせていただければと思います。

 国税五税の繰り入れ分、法定率分に一兆円加えるんだというお話でありましたけれども、それだけじゃ足りないわけでありまして、その点について、しっかりお答えをもう一度いただきたい。

片山国務大臣 先ほど申し上げましたように、国税五税の一定割合というのを交付税は基本にしておりますから、それが法律上の交付税であります。それに今まで別のルールとして国と地方との間でやりとりがありまして、この部分については幾ら幾ら加算するとか、そういうのがありまして、そういうのがルール分ということになるんだろうと思います。それに対して一兆円が加わる、今回の税収見積もりがもしぴったり合っていればその分が加わる、こういうことであります。

 それを前提にして、さて、では二十三年度の地方財政は収支がどうなるだろうかということを見込む、これが地方財政計画でありまして、その段階でもし財源不足がないということであれば、その一兆円加算されたものが交付税として確定することになりますけれども、これまでの趨勢からいいますと、急に財源不足がなくなる、解消するということはまず予想できませんので、その段階で財源不足額をどういうふうに処理していくのか、始末していくのか、こういうプロセスになるだろうと思います。

伊東委員 それでは、時間でございますので、最後、締めさせていただきます。

 本来であれば、まだ見通しの立たない財源をもとにした一兆円を来年に積み増しする、そしてまた、積み増しという言葉を使いながらも、しかし、来年の財源不足がどれほどになるかわからないので、その足しにする、あるいは十分あればさらに一兆円積み増しするのでありましょう。極めて不明確であります。

 大臣の諮問機関であります地方財政審議会は十二月十八日の意見で、地方交付税を大幅に増額することにより地方自治体の財源を充実していくため、地方交付税の法定率の引き上げを行うことにより財源不足を解消すべきという考え方を示されました。

 さて、それでは、法定率の引き上げというお話でありますけれども、総務省の方では、二十三年度、来年の予算概算要求におきまして、この財源不足は国と地方で折半し、国負担相当額につきましては交付税率を引き上げることとしているわけであります。具体的には、交付税率を四七・九%まで引き上げようとしているわけであります。

 この点につきまして、地方財政審議会の意見と概算要求の考え方に矛盾があるというふうに思います。これを一点、お聞かせください。

 そして、坂本委員に最後に、平成二十二年度地方交付税を増額するためのこの法律改正に当たりまして、政府の答弁も踏まえて、再度、この修正案についての、この質疑ややりとりについて、提出された委員の考え方をお聞かせください。

 お二人からそれぞれお願いします。

片山国務大臣 交付税について、これは私が従来外から批判をしていたことの一つなんですけれども、総額の決定プロセスが、必ずしも透明性が高くないということであります。

 本来、交付税というのは、税の代替物として、国の国税五税の一定割合ということで決まるはずであります。ところが、それはそれとしながら、ずっと毎年財源不足が生じて、それをいろいろなことでつじつまを合わせてきたわけです。もうそれを解消しようではないかということが私の考え方であります。

 ただ、一挙にこれは解消できません、現実の問題としましては、余りにも国税五税の法定率と現実の交付税の必要額との間に大きな乖離がありますから。だけれども、今のような状態をのんべんだらりと続けていくのではなくて、やはり一つの目標を持って、ルール化ということをやっていこうということで、それで、昨年、民主党政権になってから、実は二十二年度からルール化に向けた作業が始まっているわけです。第一歩が始まったわけです。

 現実の問題としてはなかなか難しいんですけれども、これをやっていこうということで、そこで、来年度の概算要求の中では、段階的な、一つの、現段階としてここまで要求しようではないかというのが、半分を率の引き上げでということにされたんだろうと思います。一方、地方財政審議会というのは、一般論として一つのあるべき理想形を言いますから、その間に多少表現の違いなんかはあるかもしれませんけれども、目指す方向は私は変わっていないと思っております。それぞれの、概算要求と地財審の意見との間に、私自身も矛盾を感じることはございません。

坂本委員 我が党は、地方自治体と堅実、確実な形で財政を運営し、そして財政の健全化に努めるというふうにしております。ですから、きちっと収入があったもの、二十一年度の剰余金につきましては、これは確定したものでありますので、五千七百五十八億円地方に交付する。しかし、いわゆる国税の二十二年度の上振れ分二兆二千億、その地方の取り分の七千二百億強、これはまだ未確定でありますので、そういう未確定なものを計上して地方に要らぬ期待を抱かせるということは、地方の財政の健全化をさらに阻むものになるというふうに思っております。

 そういうことで、私たちは、確定した分をまず地方に配ること、そしてその中で地方がそれを工夫して使うこと、これが地方の自立とこれからの地方の裁量権の幅を広げることにつながっていくということを確信しまして、今回の修正案を出したところであります。

伊東委員 長時間ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 地方交付税法に関連して質問をいたします。

 防災対策や地域経済振興策、雇用対策、住民生活を支える福祉、医療支援など、今、地方自治体が行うべき取り組みは数多くあり、そのための財政需要も大変大きなものがあります。

 例えば防災対策でありますが、奄美豪雨災害も大きな被害を与えるものでありました。この奄美豪雨災害では、通信手段が寸断されて、孤立集落の被害状況の把握に時間がかかった、このことが大きな問題となりました。

 我が党の奄美市議団から実情を伝えてもらったものをここで御紹介したいと思います。

 奄美ではすべての通信手段がだめになった。今回の豪雨災害では通信網の途絶被害が特にひどかった。二十一年度予算で学校や公民館への光通信も完備した、しかし、いずれも結局、がけ崩れで電柱や塔が倒壊したり、つぶれたりすると使えなかった。防災行政無線もあったが、これも塔が倒されると使えず、携帯も同様に基地局がだめだと使えない、もちろん固定電話も通じず、集落が孤立した。孤立集落の数がどのくらいかといったものではなく、とにかく、住用、笠利初めすべての集落が孤立したというのが島民の認識だ。三日から四日、長いところで一週間ほど全く連絡が途絶えてしまった。笠利では、ほぼ三日間、集落との連絡が途絶えたが、奄美空港の向かい側、約五十キロ離れた喜界島の電波塔から奄美空港の電波塔に電波が届き、それで奄美の連絡本部に連絡がとれたというのが、唯一連絡できた事例ということです。

 市としても、災害時の通信手段の確保の問題が大きな課題だという認識になっている。市長も衛星通信が活用できればという認識になっているが、問題は自治体負担が大きいこと。衛星携帯電話は、奄美はこれまで全く配備がなかった。このようなことでありました。

 二〇〇五年八月、各地で孤立集落が発生した新潟県中越地震を踏まえて、孤立集落対策の提言がまとめられました。この提言では、孤立集落と外部との通信の確保について、市町村、集落において多様な通信手段を確保しておくことが大切であるとしております。

 そこで、内閣府の防災担当、阿久津政務官にお尋ねしますが、この孤立集落の通信手段の確保についての教訓が全く生かされていなかったのではないのか、この点についての認識をお聞かせください。

阿久津大臣政務官 私も、今、塩川委員の方から御指摘のありましたとおり、今回の孤立集落の対策において、多くの課題が残されていることが確認されたのではないかというふうに考えております。

 平成十六年の新潟中越地震では、道路が寸断されただけではなくて、固定電話回線の不通及び携帯電話の基地局の停波などによって通信が途絶え、六十一カ所ですか、孤立集落が発生するなどの課題が見られました。

 先ほど御指摘いただいたように、学識者等から成る検討会を設置して、その後、孤立集落対策等に、通信の確保をするようにという御指摘をいただいていたんですけれども、平成二十一年度に内閣府において孤立集落に関するアンケート調査を実施しましたところ、全国的には通信手段の確保対策の進捗は低い状況でありました。

 今回の奄美地方の大雨災害においても孤立集落が発生し、住民の安否や住宅の被害情報の収集に大きな障害が生じたことから、今後、総務省を初め関係省庁との連携のもと、国と地方が一体となって、通信の確保等の孤立集落対策に適切に取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。

塩川委員 現地を視察された松本防災担当大臣も、孤立集落の通信手段の確保については新潟県中越地震の教訓が生かされていない、このように述べているところであります。

 いわば、すべての通信手段が途絶をした、基地局など地上の固定施設があるものは全部だめになった。そうなりますと、衛星での通信の重要性。ですから、集落単位に衛星携帯電話を配備しようということを多様な通信手段の一つとして掲げているわけですけれども、衛星携帯電話の重要性にかんがみて、この衛星携帯電話に対する財政措置というのはどうなっているんでしょうか、お尋ねします。

阿久津大臣政務官 衛星携帯電話の配備のための国庫補助制度については、現在のところ、特にないものと認識しています。

 一方で、近年の災害における孤立集落の課題を踏まえて、内閣府では、平成二十三年度概算要求の特別枠において、防災拠点形成総合支援事業として、衛星携帯電話の配備を含む孤立集落対策等に関する予算を要求しております。

 今回の奄美の大雨災害においては、通信の途絶が改めて課題として認識されました。何とか年末までの予算編成過程において、この要求の実現に努力してまいりたいと考えております。

塩川委員 現在、奄美の問題なんかでクローズアップをされた通信の途絶、その際に必要な衛星携帯電話についての財政措置が特にないということで、今後の予算措置についてもわずかなものですから、これでは実際の、二万近いと言われるような孤立集落に対する対策にはならないという状況であります。

 そこで大臣にお尋ねしますが、奄美豪雨災害の教訓を生かすためにも、衛星携帯電話の設置などの多様な通信手段の確保を初めとした防災対策の強化が全国で必要であります。そのための財政措置こそ今必要だと考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。

片山国務大臣 これは先ほど内閣府の方から御答弁がありましたので、よく御検討をいただければと思います。

 その際に、有効であることはそうだろうと思います。ただ、そのためのコストとの兼ね合いをどう考えるかということが重要になるんだろうと思います。コストのことを考えなければ、いいことはもうどんどんやっていきましょうということで済むんですけれども、かなり多額のコストがかかるといったときに、これは設置のときも維持管理もそうですけれども、それをどうするのかというのはなかなか容易ではない、容易に結論は出ないんだろうと思います。よく検討することが必要だろうと思います。

 今回の教訓ということでありますけれども、これも私もいろいろ伺っておりまして、例えば、先ほども議員からお話がありましたけれども、大雨の影響で通信施設が水没してしまうとか、通信ケーブルが断線してしまうとか、それから一部では市町村の防災行政無線が通じなくなるとか、そういうことがありました。そういうことがないようにするということがまずベーシックなところで必要なのではないか、それが一つの教訓ではないかと私は思います。その上で、さらに、おっしゃったような御提案のことが必要かどうかというのを別途検討するということがこれからの課題ではないかと思います。

塩川委員 コストの話をされましたけれども、やはりこの教訓を踏まえて、必要な通信手段の確保のための財政措置の必要性ということが改めて強調されることにもつながるものであります。私どもは、そのためにも地方交付税の増額が必要だと考えております。

 もう一点、地方の取り組みとして、地域経済振興のためにさまざまな取り組みを行っております。その一つに、住宅リフォームの助成制度というものがあります。

 例えば、岩手県の宮古市では、今年度一年間ということで、経済対策として住宅リフォームの助成制度を創設し、総工費二十万円以上の住宅リフォームに対して一律十万円の補助という、シンプルかつインパクトのある制度をつくりました。

 この制度がことしの四月からスタートしたわけですけれども、全世帯の一割が申請するほど活用されております。建設業者では平均四十五万円の受注も来る、産業連関表による波及効果は、三億五千万円の予算措置に対し、十六億円の経済効果となっているとのことであります。

 そこで大臣にお尋ねしますが、疲弊した地域経済振興のため、その地方独自の経済対策実施のための財源確保もしっかりと必要だと考えますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは、おっしゃるとおりだと思います。これを分類しますと単独事業といいますけれども、自治体が単独事業を講ずることによって地域の経済問題でありますとか雇用問題、そういうものに対応していくということは、私は必要だろうと思います。

 そのために、例えば二十二年度でいいますと、地方財政計画で地域活性化・雇用等臨時特例費というものを約一兆円ほど計上しているところでありまして、同額の交付税がそれに応じて配分されているということであります。

 例えば議員がおっしゃったような、地域の特性に応じた振興策というものをきめ細かくという御趣旨かもしれませんけれども、そもそも交付税というのは、全国、普遍的な財政需要をとらまえて、それを客観的に計上するということになっているものですから、なかなか自治体独自の個性の強い取り組みというのは、個別に交付税で算定するということはできません。しかし、さっき申し上げたような一般的な地域振興のための経費というものが、ある程度というかかなり用意されておりますので、その中から工夫をして使っていただければと思います。

 私も、知事をやっておりましたときに似たようなことをやりました。例えば、県産材を使って住宅をつくったりリフォームをしたりすると、それに対して助成金を出すなんということをやったんです、これも単独事業ですけれども。そういうものは、観念的に言いますと、今私が申し上げたような交付税の算定された経費の中から使っているということだろうと思いますので、そういう取り組みをぜひやっていただければと思います。

塩川委員 宮古の市長も、何か補助金で枠のはまるものよりも、一般財源として確保してもらった方がよっぽど創意工夫ができるんだと。そういう点でも、地方交付税の増額というのが地方の実情に即した取り組みにつながると考えております。

 実際、宮古市では、例えばスナックにツケがあった畳屋さんがそのスナックのツケを全部一度に払ってくれたと、スナックのママが大歓迎していたのがこういう制度だったということなんかも含めて、本当に地域のニーズにかみ合った取り組みというのを大いに花開かせるという点でも、頑張りどきではないかと思っています。

 その点で、今回三千億円の地方交付税の措置ですけれども、私は、これでは地方が必要とする財政需要にこたえるものにならないと考えます。大臣にお尋ねしますが、なぜ三千億円なんでしょうか。

片山国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、今回の補正対応での交付税の措置ということであります。補正全体のことを見ますと、地方自治体が実施する事業に着目すると、地方費が大体六千億円程度ということであります。その財源としては、例えば起債というのもありますし、国費としての活性化交付金もありますし、それから交付税もあります。したがって、そういう組み合わせの中で自治体がこれから事業を実施していくだろうということで、三千億円程度あれば、今回の国の補正を円滑に実施することは可能であろうということであります。

 残余のものをどうするのかということは、これも先ほど来申し上げておりますとおり、来年度の財政がちょっとでも、多少なりとも健全化すれば、そういう思いもあって、来年度の財源ということも念頭に置いた上での今回の決定であります。

塩川委員 それだけではよくわからない。なぜ、四千億や五千億じゃなくて三千億なのかということなんですが、改めてお聞きします。

片山国務大臣 それは、特に何かの算式を当てはめて三千億円が出たということではありません。六千億円ということを念頭に置いて、全体のバランス、他の財源とのバランスを考えたということが一つあります。

 それからもう一つ、先ほど申し上げませんでしたけれども、今年度の税収見通しというものを考えた場合に、もしこれが年度当初に判明していれば、それは判明しませんけれども、もし判明していたとすれば、恐らく三千億円程度が交付税として加算されていただろうということも今回の決定の背景にはございました。

塩川委員 要するに、約六千億の地方負担が発生する補正予算の見合いで、地方負担分を国、地方の折半ルールでやるんだと。それで、国が負担をする地域経済活性化交付金と、あと地方の固有の財源である地方交付税、六千億円についてそれぞれ三千億、三千億、交付金は若干他の党の要求で上積みをされて三千五百億円にはなりましたけれども、基本は折半ルールで三千億というのが先にありきというのが実態であります。

 三千億ではやはり、補正予算に基づく事業にとどまらない、地域独自での振興策や雇用対策や生活困窮者に対する支援策、福祉、医療支援など、住民生活を支えるための地方独自の財政需要にこたえることにはなりません。

 先ほど大臣が来年の財源のことも含めてのお話をされましたけれども、しかし、一兆円翌年度に繰り越すのも重大です。来年度の財源不足の圧縮のために、地方固有の財源である交付税を充てることは認められない。

 私どもは、財源不足に対応するのであれば、交付税法六条の三第二項に基づく交付税の法定率の引き上げこそ行うべきで、折半ルールを前提にした法定率引き上げではだめだ、地方交付税に対する国の財政責任を投げ捨てることは許されないということを申し述べます。

 大臣の方で一言、もしありましたら。

片山国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、法定率の引き上げというのは、これは理想であります。私も、それに向かってこれからの交付税のあり方というのは検討し、かつ論じていきたいと思っておりますが、差し当たって、今、言ったからすぐ法定率が引き上がるものでもありません。やはり、そのプロセスというものはよく考えておかなければいけないだろうと思います。

塩川委員 終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 それでは、十五分間という短い時間でありますが、数点質問をいたします。

 まず第一に、今回、前年度決算剰余金と今年度国税収入の増額補正のうち、一兆円余りを来年度の交付税総額に加算する、このようにしているのですが、そうした理由は一体那辺にありますか。

片山国務大臣 これは、一兆三千億円というのが、国が今回の補正予算を組むに当たって、国税の税収見積もりをし直した結果、交付税へのはね返りとして出てきたものであります。

 そのうち三千億円というものを、先ほど来るる申し上げましたけれども、先ほど来の事情、理由によって、三千億円を今年度、自治体に交付するということに予算案の上でなっているものですから、差し引きすると一兆円が来年度に繰り越される、こういう事情であります。

重野委員 よく予算の単年度主義ということが言われます。その予算の単年度主義との整合性は一体どうなのかということが一つあります。

 単年度主義の立場で全額交付して、年度間調整については地方財政法四条の三にあるとおり、自治体自身で行う、そういう方法もあると思うのですが、そうしなかった理由は一体どこにあるのですか。

片山国務大臣 おっしゃったとおり、年度間調整を自治体自身でやるというのは、これが一つの原則だろうと思います。私も異論がありません。

 今回の交付税の問題も、いろいろな道行きが考えられたと思うのです。例えば、国が補正予算を全く組まなかったとすればどうなったかといいますと、一兆三千億円はまるっぽ全部、来年度送りであります。だから、国が補正予算を組まなければそういうことに多分なっていたと思います。今回組むものですから、一兆三千億円というものが地上にあらわれたといいますか、世の中にあらわれてきたわけであります。

 例えば、これを全部、今年度のものとして交付するということも選択肢としてはあります。その場合のさらに選択肢としては、財源不足を埋めるために発行することを予定している臨時財政特例債と交換する、それで地方財政全体の健全化を図るというのも一つありますが、これは先ほど申しましたように、現実の問題として、手戻りでできないということです。

 あとは、全部配り切って、自治体の方で、財政調整基金に積んだりして年度間調整してくださいというのも理論的にはあります。ただ、これは配り方が、技術的な話になりますけれども、一兆円というようなものをどうやって基準財政需要額でつじつまを合わせるかというとちょっと変な言い方になりますけれども、どういう配り方があるのかというのは苦慮するところであります。

 特別交付税で配るという道行きもあるんですけれども、今の特別交付税の総額は一兆円でありまして、これにもう一兆円加えて二兆円の特別交付税というのは、ちょっと私も非現実的だろうと思います。

 そんなことで、いろいろ理論的には道行きは幾つかあるんですけれども、今回の一兆円を繰り越すというのは、大幅な財源不足が引き続き生じるであろう来年度のことも考えた場合には、これが一番現実的で妥当性を持っているのではないかと私は考えております。

重野委員 今大臣が述べられたことが法律の中にどういうふうに書かれているのか、あるいは、この法律は、今大臣が言ったように二兆にもなる、そういうふうな事態を否定的に法律そのものがとらえているのか、その点についてはどうなんですか。

 僕は、額は関係なしに、地方自治体に当然全部持っていくべきだ、それで地方自治体が判断をすることだ、そのことを通して地方自治体のいわゆる力量、パワーも、あるいはいろいろな知恵も、これをどう生かしていくかというふうな知恵も出てくる、そういう方向に僕は思うんですね。

 それを、今言うように、いや、三千億以上はちょっと無理だろうというふうにしていくと、私は、それは地方自治体の自主性とかあるいは創意工夫を凝らすとか、そういう知恵を出す場を結果としてそいでいくことになるのではないか、このように受けとめるんですね。だから、私は、やはりそういう意味では今大臣が言ったような方法ではない、前段に言った方法ですね、認める。

 だけれどもという後段の部分が、結果としては前面に出てこういうふうな形にしているという点については非常に違和感を感じるんですけれども、その点についてはどうですか。

片山国務大臣 私は、個人的な考え方を申し上げますと、もし可能であったならばという仮定法過去形ですけれども、一番いい方法は今年度の臨財債と交換する、全額配って臨財債の発行を抑制するというのが私は一番いい方法だろうと個人的には思います。ただ、それが現実の問題としてできないということでありますので、次善の策を選ばざるを得ないということであります。

 そういうやり方というのは、国が一方的に一兆円を繰り越すというのは自治体の自主性を阻害するのではないかという御批判がありますが、それは一理あると思います。ただ、現在の地方財政の実態を見ますと、大幅な財源不足で、国が主導的に実質交付税、交付税プラス臨財債という実質的交付税の枠組みをつくらなければ、なかなか運営が思うに任せないような状況になっております。そういう意味でいいますと、国としては来年度の地方財政というものの姿をやはり考えざるを得ません。それはもうしようがないことだと思います。

 過去を振り返りますと、こういうときに全額配ったこともあります。全部自治体の方に配って、自治体が基金に積んだなんということもありますけれども、それは財源不足のないときでありまして、国にためておく必要がないようなときだったんですね。ところが、今は、今年度も大幅な財源不足で借金を重ねざるを得ない、来年度も多分それが続くであろうということを想定しますと、やはり貴重な財源として、来年度のことをおもんぱかっておくということが私は賢明ではないかと考えております。

重野委員 それでは、ちょっと視点を変えて、交付税法六条の三との関係について聞きます。

 交付税法六条の三では、「各地方団体について算定した額の合算額をこえる場合においては、当該超過額は、当該年度の特別交付税の総額に加算する」、このようにしています。

 今年度増額する交付税のうち、調整戻しを除く二千六百二十億円が普通交付税となっています。これは、六条の三との関係はどういうふうに理解したらいいんでしょうか。

片山国務大臣 交付税は普通交付税と特別交付税に分かれておりまして、九四%が現行法では普通交付税、六%が特別交付税、こういう仕分けになっているわけです。

 ここで言いますのは、ちょっと今は考えられないんですけれども、財源不足がないときに、法定五税の一定割合ということで交付税総額というのが出てきます、それを普通交付税の九四%でずっと基準財政需要額に割り振っていったときにどうしても余ってしまう、法定五税では余ってしまう、それをどうしますかというときに、それは特別交付税の方に回して、六%プラスアルファで特別交付税を配りなさいよという規定でありまして、今のように、補正予算だけを見ますと何か交付税が追加されるみたいですけれども、そもそも、年度全体で見ますと大幅な財源不足でありますから、この規定が発動される余地は今のところ私はないんだろうと思っております。

重野委員 次に、上半期は確かに税収増ということですが、下半期になってマイナス成長になる、こういうふうな話も耳にいたします。今回の補正では二兆二千四百七十億円の税収増が見込まれるとあるんですが、この増額のうち、景気動向に最も敏感な法人税の割合はどの程度を占めているのか。同時に、下半期の税収見通しはどのように立てておられるか、お伺いいたします。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 丸めてお話をさせていただきたいと思いますが、御指摘のとおり、二兆二千億の増額補正を行ったところでございますが、法人税についてはこのうち約一・五兆円の増収を見込んでおります。

 次に、重野委員から、下半期はどうかというお話でございましたけれども、下半期につきましても、今のところ順調な通期の見通しでございまして、各調査におきましても、経常利益の状況は前年比で二四、五%から三〇%台増収する、増益をするという見通しでございます。したがいまして、今後の九月期決算も良好でございますし、来年三月期の決算においても相当な税収を見込める、当初組みました予算を下回ることはないのではないかと思っております。

重野委員 今の副大臣の話、結構な話でありますが、二四から三〇%増収するんだと。もうちょっと、その中身はどういうものがあってこうなるというところを話してくれませんか。

五十嵐副大臣 ただいまの数字は、法人企業景気予測調査、九月九日のものでございますけれども、経常利益の予測はプラスの三〇・二%、前年比でございます。日銀短観の九月二十九日の調査で二四・六%でございます。

 そして、国の方の一般会計の増収の見通しでございますけれども、二十二年度の補正後の予算で、税収予算額が三十九・六兆円、そして九月末の累積の実績が実は十二・二兆円ございます。そうすると、その差、これから税収を上げなければいけないというものが二十七・四兆円ですね、予算どおりにいった場合。そして、これに対して前年度の決算を見ますと、前年度、二十一年度の決算では予算額が三十八・七兆円、そして九月末、同じ時点での実績が十・一兆円ですから、その差が二十八・六兆円でございます。

 つまり、ことしの、これから下半期に向けて、予算との比較で上げなければいけない二十七・四兆円というのは、昨年の実績よりかた目に見ているということでございます。

重野委員 時間が来ましたから、最後にこの点についても聞いておきたいと思うんですが、税収増が見込みより下回った場合、再度の減額補正というのはあるんでしょうか。また、今回の交付税増額と来年度への持ち越しはどのような扱いになるのか、その点について最後に聞いておきたいと思います。

五十嵐副大臣 再度の補正、二次補正は考えておりません。

 もし万が一、極端な税収減が起きた場合、それは多分、還付という形で二十三年度の予算の方に影響が出てくるということで、この点につきましては、本年度二次補正は現時点で全く考えておりません。

重野委員 以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の補正予算の段階では、交付税財源の増収分として、〇九年度分で五千七百五十八億円、一〇年度分で七千三百六十八億円、こちらは見込みですけれども、合計一兆三千億円が交付税特会に入る、これをどう使うかという話ですね。

 政府案は、このうち三千億円を年度途中に実際に配ろうと。こういう形で年度途中に配るのは、平成になって以降、四回しかないということであります。残り一兆円は来年度の交付税の財源として繰り越す。

 国の税収の上振れで交付税の財源がふえた場合は、翌年度に繰り越すか、交付税特会にある金融機関からの借金返済に充てるのが通例だったと思います。交付税特会の借入金三十三兆六千億円については、二〇一〇年度から十七年間で返済をするという計画を決めたわけですけれども、しかし、二〇一〇年度分に当たる七千八百十二億円の返済をいきなり先送りしているわけです、初年度からいきなり返済先送り。そもそも返すべきものを返していないわけです。

 ならば、今回、財源がふえたのなら、特会の借金返済に充てるのが筋だと思いますけれども、なぜそうしないのかということをお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 この交付税特別会計の借金の返済は非常に重大な問題だと私も思っております。できることならば、これを着実に返していくということが筋だろうと思います。

 実は、数年前に、交付税特会が借金をするという仕組みを変えまして、現在はいわゆる臨時財政特例債などという形態で自治体が借金をしている。従来、特会が借金していたものを自治体が借金するというふうに手法を変えているわけです。それ自体、また、問題の解決には実はなっていないんですけれども、そういう状況なわけです。

 もし、今回、例えば一兆円を特会の借金の返済に充てたとした場合、これも選択肢としてはあります。何がしかのものを借金の返済に充てるということはありますけれども、それをしたらどうなるかということになりますと、その分、来年度に繰り越さないということになりますから、そうすると、来年度の財源不足が多分あるでしょうから、その一兆円は臨時財政特例債の発行増ということになる可能性が非常に強い。

 そうなりますと、特会の借金は返したけれども、自治体の借金がその分ふえる、これもトレードオフの関係になるわけでありまして、柿澤議員のおっしゃることは一理あるなどと言うと非常に失礼な言い方かもしれませんけれども、ごもっともなんですけれども、結局、問題の解決には当面はならないということでありまして、中長期でいいますと、早く地方財政の財源不足をできるだけ解消するということの方に重きを置くのが、今の一番重要な当面の課題ではないかと思います。

柿澤委員 片山大臣のおっしゃるとおりだと思います。根本的な問題は、この地方交付税制度、また地方財政制度そのものにあるというふうに思います。

 そもそも、今の地方交付税は収入と支出がリンクをしていないわけです。国税五税掛ける法定率が交付税の原資であるのに、ありていに言えば、入ってくる以上を地方に配分して、その差額が積もり積もって交付税特会の借入金になっている。三十三兆六千億円、これは民主党政権用語で言う、いわゆる埋蔵借金だと思います。

 それで、臨財債のお話もありました。三十四・三兆円、自治体名義の借金でありますけれども、返済は、利子も含めて、国が翌年度以降の交付税で全額補てんをするという約束になっている。特会が金融機関から直接借りている三十三・六兆円と合わせると、交付税原資で返済せねばならないお金というのはもう六十八兆円ということになっているわけです。

 交付税を原資に返さなければいけない特会の借入金、そして臨財債というのは、これはそもそも国の借金なんですか、地方の借金なんですか。ここのところがはっきりわからないというふうに思うんですけれども、これはだれが返すお金であるのかということをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 特会の借金でありますから、特別会計は国の特別会計でありますから、国の借金ということになります。これはそうだろうと思います。

 ただ、この特別会計から支出された交付税は地方自治体に配られておりますので、地方自治体に配るために生じた借金でありますから、決して自治体は無縁ではない。実質的には、自治体もこれについての負担といいますか、それについてかかわらざるを得ない。自治体が国に納付するとかという意味じゃありませんけれども、後年度の交付税が、特会の借入金の返済によって、その分減じられることがあるということは自治体の皆さんも自覚をしておいていただかなければいけない、そういう性格の借金だろうと思います。

柿澤委員 国の借金であるが自治体も無縁ではない、後年度のところで負担を求められる、こういうことが可能性としてはあるということをお話しいただきました。

 特会の償還計画というのは、もう延々先送りに先送りを重ねていて、先ほど申し上げたように、二〇一〇年度からの返済計画も初年度から先送りになってしまっているわけです。またしても、償還計画の実現性がスタートから問われる事態になっているわけです。借金返済と口では言いますけれども、口で言っているだけになってしまっているんだというふうに言わざるを得ません。

 現実的に、これをどのようにして返していくのか、そうしたことについてお考えがあればお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 それは、特会の中だけで考えていてもなかなか妙案は浮かばないと思います。いろいろな要素があると思います。

 その一つは、一番基本的なのは、やはり自治体が財政の規律を保って、できる限り歳出を小さくするということ、これは一つの改革の王道だろうと思います。それ以外に、例えば国税の改革でありますとか、地方税の税体系の見直しでありますとか、地方税の水準の見直しとか、いろいろなことが考えられるだろうと思います。そういう中でこの問題というのを解決していかなきゃいけないと思います。

柿澤委員 この交付税特会は、先日の特会仕分けでも取り上げられました。評価結果は、特会の廃止、国の関与を廃止五名。特会の廃止、国以外の主体に移管一名。特会の廃止、一般会計に統合二名。現状の制度を継続あるいは見直し三名。

 十一人中八人が、何らかの形で交付税特会を廃止するべきだという判定を下しています。これについて、どうお感じになられますか。

片山国務大臣 事業仕分けで、仕分け人の皆さんの率直な御意見をいただいたわけですから、これを謙虚に受けとめなければいけないと思います。

 ただ、交付税特会というのは、特会を廃止したから何か問題が解決するという問題では毛頭ありません。特会を廃止したら借金がなくなるのかといったら、それはそうではなくて、一般会計の方にツケが回るだけのことであります。それから、特会をなくしたら、何か交付税の制度はすっきりして非常に透明化するかといったら、そんなこともありません。

 問題は、私は、特会が今設けられているということよりも、交付税制度自体に内在する問題があると思います。それは、冒頭の質疑でもお話ししましたけれども、例えば透明性はどうかとか、使途を国が何らかの特定ないしは誘導をしていないかとか、自治体に予見性があるかとか、あとルール化をしているかとか、そういう交付税制度自体に内在する問題を解決していくということが一番重要で、そうすれば、その段階で今のような仕分けをしても、仕分け人から特会に対する強い批判というのは多分出てこなくなるのではないかと受けとめております。

柿澤委員 評価者のコメントを見ると、例えば、実態と乖離した地財計画をやめて、外形標準などのシンプルな仕組みも用いながら、一定の義務的経費部分を見る財源とあわせて交付していくとか、あと、積み上げ方式による地財計画は廃止すべきとか、地財計画の廃止または抜本的な見直しを言っている人が多いんですね。

 要するに、地方交付税は、どういう計算式でどういう算定をしているのか、基準財政需要額の算定とか、余りにも複雑過ぎてだれにもわからなくなってしまっている、こういうことが問題であるということを多くの人が認識しているんだと思います。それが、結果として地財計画の歳出総額の過大計上にもつながっている。財務省の先日発表されたペーパーでは、地方交付税の算定基準となる地財計画の歳出総額が、〇七年度時点で、少なくとも三兆円過大計上されているんじゃないか、こんな報告書もまとめられています。

 この地方交付税の算定方式を、当面、やはりわかりやすい、そして透明性の高い簡素なものに変えていく、こういうことが必要であるというふうに思いますが、片山総務大臣はどのようにお考えになられておりますでしょうか。

片山国務大臣 交付税がわかりにくいというのは、そのとおりだと思います。学校の科目と一緒で、わからない科目は大体嫌われるものであります。やはりわかりやすくしなければいけないと思います。

 問題は幾つかありまして、一つは総額決定プロセスがわかりにくいということです。

 これは、本来は、総額決定というのは国税五税の一定割合ということで機械的に決まる仕組みを基本としております。それがそうなっていなくて、機械的な仕組みの方の率を全く変動、まあ全くでもないんですが、このところ変動させなくて、特例的な上乗せとか、特例的な借金でもってそれのつじつまを合わせてきた、その部分が余りにも大きくなってしまったという、ここが問題であります。ですから、一挙に解決はしませんが、できる限りルール化をしなきゃいけない、その方向に向けた改善をしなきゃいけない、これが一つです。

 それからもう一つは、今度はミクロの方でありますけれども、各自治体への配分の基準というものが、これも本来、客観化された指標でもって配るということになっているんですけれども、これが、いろいろな実態に応じた、いろいろな地域の実情などを取り入れたことの結果、ここも余りにも複雑になり過ぎている。

 そこにもってきて、それ以上に、国の政策を誘導したり奨励したりする意味で、いろいろな特例がまたそこに加わってきて、一見するとわけがわからなくなってしまっている、こういう結果になっております。ここをほぐして、できるだけシンプライズしていく、単純化していくという作業がこれから必要だろうと思います。

 ただ、問題は、私も先ほど石田議員から過疎の鳥取県と言われましたけれども、単純に人口とか面積とかそういう客観指標だけでやりますと、これは実は、多くの自治体では財政運営が成り立たなくなります。やはりそこに何らかの配慮といいますか、実情をうまくとらまえた、客観化された中にそういう配慮が必要なんだろうと思います。そこをどういうふうにしていくのかというのは非常に難しい作業なんですけれども、それをやっていかなければいけないと思っております。

柿澤委員 この後、新型交付税のことをお伺いしようと思っていたんですけれども、事実上、御答弁をいただいたような形になってしまったようにも思います。

 人口、面積基準を単純に当てはめて交付するという形では、例えば鳥取県のようなところにはなかなか行き届かないというのが片山大臣のお考えなんだろうと思いますし、そういう意味では、原口総務大臣時代に、新型交付税について同じように、人口や面積による機械的な計算では捕捉し切れない財政需要がある、だから、こういう機械的なことはやるべきではないということを新型交付税について答弁をされておられます。基本的には同じ考えということで理解をさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、そもそも地域主権という場合に、国が地方に配るやり方というのをなぜ残さなければいけないのかということがあると思います。それはやはり、それ以上に、自前の税金で地方がやっていけるようにするというのが一番の解決策だと思うんです。そういう意味で、地方交付税の総額がどんどんどんどん膨らんでいって、そして、それを借金に借金を重ねて支えている、この仕組みを逆の方向に持っていって、交付税の制度そのものを将来的には縮小して、そして税源移譲に置きかえるということが何よりも必要だと思うんです。

 そして、このことは前にも総務委員会で取り上げましたけれども、原口大臣時代に示された原口ビジョンというのがありますけれども、その原口ビジョンの工程表では、残念ながら、税源移譲の方向性というのはこの民主党政権の四年間の間で検討するということで、だあっと矢印が進んでいって、どこまでいっても実現、実行のフェーズに入っていく具体的な見通しが示されていなかった。

 そういう意味で、この税源移譲の具体的な方向性を、まさに片山大臣、お示しをいただく必要があるというふうに思いますけれども、この点についてお考えを伺って、質問を終わりにしたいと思います。

片山国務大臣 自治体の財政運営を基本的に税で賄う、行うというのは、柿澤議員のおっしゃるとおりであります。それが理想であります。

 ところが、なかなか現実は理想どおりにいかなくて、議員に関連の深い東京都などは税収が非常に潤沢に入ってくる、しかし地方の方では、税目があって、税源も理論的にはあるけれども、税収が具体的には入ってこない、こういう現状があるわけです。そういう中で、この財政調整という交付税制度というものが必要になってきているというのが現状であります。

 問題は、さっきもちょっと触れましたけれども、今の交付税制度が、自立促進型、交付税から脱却することを理想とするような仕組みになっていますかというと、必ずしもそうではない。むしろ、例えば人口が減った方が交付税はふえる、それから産業、経済も弱くなった方が交付税がふえる、そういう傾向がなきにしもあらずであります。できればこういうものを自立促進型にして、交付税の行き着く先は、交付税をもらわなくても済むようになる、そういう仕組みに徐々に変えていかなきゃいけない、これが一つの課題だろうと思います。

 ただ、現実にすぐにやれるかというと、なかなかこれは難しいです。だから、ずっと矢印が長くなっているというのは、決して悪気があったり悪意があったりするわけではないんです。真剣に考えれば考えるほど、やはりそういうことは、私もそう思います。

 それから税源の話になりますと、税源で賄うのが理想なんですけれども、その結果、今どうなっているかといいますと、例えば東京都などは法人事業税が非常に潤沢に入っています。そこで、財政調整をするために、国が法律で法人事業税の一部を国税化して、それを地方に均てん化するということをやっているのは、実は、地方税源を拡充することの一つの限界に行き着いているんだろうと思います。

 そういうこともやはり当面は念頭に置いて、将来の理想というものと現実とを兼ね合わせて考えていかなければいけないんだろうと思います。

柿澤委員 税源移譲の税目については考えるべきだと思いますよ。時間も過ぎておりますので終わりにしますけれども、しかし、片山大臣、最近、人勧の深掘りの話もそうですけれども、理想はそうなんだけれども現実はそうはいかない、こういう答弁が随分多くなっているのではありませんか。

 このことは非常に残念なことだと思いますし、この内閣でぜひ大胆な政策の実現を私は片山大臣に期待しておりますので、このような答弁が余り多くなると非常にがっかりしてしまいますので、これからも頑張っていただきたい。期待を申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。

原口委員長 質疑時間を終えています。

片山国務大臣 はい。

 御指摘いただいたような答弁を幾つかしていますけれども、税源移譲については、私は、完全に税だけで自治体が財政運営を賄うべしなんということを言ったことはありません。

柿澤委員 終わります。

原口委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対、これに対する修正案に賛成の討論を行います。

 政府提出法案は、不確定要素の大きい増収見込みに伴う地方交付税法定率分七千三百六十八億円を含む一兆三千百二十六億円の地方交付税の増加を見込みながら、本年度の地方団体への交付をわずか三千億円にとどめ、一兆百二十六億円を平成二十三年度分に先送りする不可解なものです。

 政府は地方交付税の増額を経済対策に位置づけていますが、国税収入の自然増に伴い地方交付税総額が増額するのは当然のことであり、このようなものまで算入して対策の規模を無理やり大きく見せることには納得できません。

 特に、一兆円を来年度に先送りしたからといって、来年度の地方の歳出が直ちに一兆円増額するわけではありません。この点、片山大臣からも慎重な答弁がございました。実体のない金額を経済対策の総額に加えることは不適切です。地方の共有財源である地方交付税を数字合わせに利用するのは度が過ぎるのではないでしょうか。さらに、緊急経済対策といいながら、平成二十二年度に交付される額は三千億円にとどまり、その理由もあいまいです。我が党は、政府提出法案には断じて賛成できません。

 一方、我が党が提出した補正予算組み替え動議では、本年度の交付税の増加額について、国税収入の見通しがなお不透明であることを踏まえ、本年度の国税収入の増加を前提とする増加分は見込まず、確実に交付できる平成二十一年度の決算剰余金五千七百五十八億円に限ることとしております。

 これを受けて、我が党の修正案は、厳しさを増す地方財政の現状を重く受けとめ、五千七百五十八億円全額、すなわち政府提出案の約二倍の額を平成二十二年度中に交付する修正となっています。我が党が組み替え動議で要求している一兆五千億円規模の地域経済・雇用対策の交付金と合わせれば、地方団体が地域の実情に応じて自由に使える財源は約二兆円となります。

 この修正案は、国の財政規律の維持の面で妥当であり、かつ、地方団体の財政の自由度を高め、地域経済の活性化に大きく貢献する点で、政府提出案よりすぐれていると考えます。

 以上、政府提出法案には反対、修正案には賛成の理由を申し上げ、私の討論を終わります。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 地方交付税法等の一部を改正する法律案に対しまして賛成、自民党提出の修正案に反対の立場で討論いたします。

 公明党は、九月二日に、円高対策・デフレ脱却に向けた緊急経済対策を発表しました。自律的な景気回復にはほど遠く、景気減速の懸念が高まりつつあり、さらに、急速な円高が進んで、日本経済の空洞化や雇用の喪失など、国民生活にさまざまな影響を及ぼすことが懸念されていました。このような状況にもかかわらず、民主党政権が党内政局にかまけていたことは言語道断であります。

 政府は、十月八日にようやく緊急総合対策をまとめ、十月二十九日に補正予算案を出しました。しかし、その補正予算案は、一、公明党が提案した中身が十分に反映されていないこと、二、中小企業、地方、農家に冷たい内容であること、三、デフレ脱却、景気を回復軌道に乗せる中身になっていないことなど不十分であります。

 公明党は、地方の使い勝手がよく、独自の事業もできる地域活性化交付金を一兆二千億円規模で行うことを提案いたしました。しかし、補正予算案ではわずか三千五百億円にとどまっています。交付金の額が大きければ、景気対策として機動的で有効な対応ができるのではないでしょうか。

 また、今回の補正予算に関する対応として、元利償還金に対する地方交付税措置を従来の五〇%から四五%に縮小しています。現在、財務省の財政制度等審議会では、交付税措置の見直しと地方債発行の自由化をセットにするという議論が行われています。地方債発行が自由化されても、地方債で財源を確保できる、体力のある自治体には限りがあります。地方における税財源のあり方を示さずして、一方的に地方財政措置を縮小するのは問題であります。

 今回の交付税法改正は、地方交付税の増額一兆三千百二十六億円のうち、三千億円を交付するものとなっています。その規模は十分であるとは言えません。しかし、現在地方が置かれている厳しい財政状況を踏まえ、地方の円滑な運営に支障を来さないようにするためには最低限必要な措置であると考えます。

 以上、現政権の地方財政政策について問題点を指摘するとともに、地方財政の強化にしっかりと取り組むよう強く要望して、私の討論といたします。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出の地方交付税法改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、菅内閣の緊急総合経済対策を具体化する補正予算案と一体のものであり、その内容は、増額となった一兆三千百二十六億円の交付税のうち、三千億円を交付税とする一方、大半の一兆円余りを来年度の地方交付税の総額に繰り越すものであります。

 そもそも地方交付税法は、交付税が増額になった場合、当該年度の特別交付税に加算し地方自治体に配分すること、配分された交付税は、地方自治体が自主的に判断して必要な財源に充てると定めております。地方の固有財源は速やかに地方自治体に配分し、地方自治体自身の手によって使い方を決めるというのが法の趣旨であります。普通交付税の算定見直しが可能な年度途中において普通交付税で措置する方法はあり得るにしても、基本は、地方交付税法の趣旨に従い、地方に全額配分すべきであります。

 今、地域と国民の生活は危機に瀕し、防災対策や地域経済振興策、雇用対策、住民生活を支える福祉、医療の支援など、地方自治体が行うべき取り組みは、多様な分野で数多くあります。ところが、民主党政権は、財界、大企業を応援することには力を尽くす一方で、国民の暮らしを支援する有効な手だてをとっておりません。菅内閣の新成長戦略にも今回の補正予算にも、国民の生活と営業を救済する有効な手だては見当たりません。追加する三千億円の交付税も、補正予算に伴う約五千七百億円の地方負担を、国、地方の折半ルールを適用して財政措置するという枠組みにはまったもので、地方が必要とする財政需要にこたえるという点では不十分であります。

 一方で、本法案は、交付税約一・三兆円の大半を来年度の地方交付税の総額に繰り越すものであります。これは、地方交付税の総額を確保するという国の責任を投げ捨てるものであり重大です。歴代内閣は、交付税率の引き上げには背を向け、財源不足分は国、地方の折半ルールで地方に負担を押しつけてきたのであります。地方の固有財源である交付税を来年度の財源不足の圧縮のために使うことは許されず、本法案には反対するものであります。

 なお、自民党提出の修正案は、旧来型の公共事業中心の経済対策を進める自民党の補正予算組み替え案と一体であり、賛成できないことを申し述べ、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、坂本哲志君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十四分開議

原口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 片山総務大臣に初めて質問をさせていただきます。鳥取県知事の当時におつき合いをさせていただきました。本当に、大臣就任おめでとうございます。

 それで、きょう、私から見ていて少々議論に混乱があるかなと思うところがあるので、民主党のマニフェストと財源の関係について思うところをちょっと明らかにさせていただきたい。わずか二十分でありますので、なかなか意を尽くせるか疑問であります。細かい通告はきのうの国会の混乱で十分できておりませんので、答えられる範囲でということで。

 まず最初に伺いたいのは、マニフェストの本場の英国のサッチャー元首相が口癖のように言っていたのは、マニフェストの命は財源である、こういう言い方であります。

 このせりふを聞いて、総務大臣としては、賛意を覚える、こういう意味だろうというようなことがもしあればお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 マニフェストに確たる定義があるわけではありませんので、いろいろな方が、その中にいろいろな意味を見出すんだろうと思います。

 その中で、今御紹介にあった財源というものも非常に重要な部分だと思います。あと、私などは、私も実はマニフェストらしきものを選挙のときに一応つくった覚えがあるものですから、そのときの経験でいいますと、いわば総花でなくて整合性のとれた政策体系。あちらにはいいことを言う、こちらにもいいことを言う、それを二つ合わせると矛盾している、そういうことがかつてありましたので、そういうことがないように、整合性がとれているというところに一つの意味があると私などは思いました。

赤澤委員 それで、私も、民主党のマニフェストの使い方がおかしいと思うところがあったので、いろいろ自分なりに勉強したところ、到達した点はこういうことでありまして、要は、財政規律をきちっと保つためにマニフェストが機能する。

 それはどういう意味かといえば、マニフェストにいろいろな政策を盛り込むけれども、それにはしっかりと、例えば、こういう税を創設して幾ら財源をつくるとか、あるいはこの特別措置をやめることで幾ら財源が出てくるとか、とにかく書いた政策に財源の裏づけがきちっとしている。そういうものでなければマニフェストに載せてはいかぬということで、財政規律として非常に働くというのがマニフェストの本来の意味で、私は、サッチャー元首相の、マニフェストの命は財源というのはそういう意味だと理解をしています。

 その一方で、私は本当に我が国で今、悲喜劇が起きていると思うのは、ここは議論の蒸し返しになりますけれども、財源について言うと、ここに配った資料にもありますけれども、初年度九・一兆、二十五年までには十六・八兆の財源をつくるといいながら、事業仕分けは六千数百億、埋蔵金とか全部合わせても三兆かそこら。こういうことになって、結果は本当に悲喜劇的なことに、我が国ではマニフェストが選挙でオーソライズされたから、財源の裏づけはないのにこれはやる必要があるんだというように、どちらかというと、むしろ財政規律を壊す方に働いているというところが、私としては非常に悲喜劇的に思うところなんです。

 その上で、だから一点どうしても私は指摘をしておきたかったのは、実は、十月十三日の予算委員会で自由民主党の鴨下委員が、マニフェストについて言えば全く達成率が低いじゃないかというような指摘をしたときに、菅総理がこうお答えになっているんです。「昨年の衆議院のマニフェストでは多くの公約をいたしまして、その中に今おっしゃったことも含まれております。全体としては、私ども、相当程度は実施あるいは着手しており、未着手は限られておりますので、七割程度は前進をしていると思っております。」

 私は、財源の問題を考えたら、こんなことはとても言えないと思うんですけれども、片山総務大臣として、この菅総理の発言についてはどのように評価をされますか。

片山国務大臣 私もそのときのやりとりは存じておりませんので、直観といいますか感想だけ申し上げますと、恐らく、マニフェストの中のいろいろな項目について、部分的にでも着手したものが相当割合ある、こういうことだろうと思います。

赤澤委員 これは十月十三日の、しかも基本的質疑でありますので、総務大臣もその場におられたはずなので、ぜひここはもう一度確認をしておいていただきたいんですが、鴨下委員は、ここは余りそこに食いつかずに流されたんですけれども、私自身は、とんでもない発言だ、非常に残念なことだと思っています。

 というのは、九・一兆、財源を初年度つくるといいながら、実は、無駄を省いても何をやっても、どんな答弁を今まで聞いても、九・一兆、しっかり無駄を省いてできたという答弁はないのでありまして、三兆円台ぐらいのものはつくったと言って胸を張っている。財源の用意が三分の一であるなら、七割方着手したといったって、私の感覚からすれば七割掛ける三分の一ぐらいしかできていないというのが、国民との約束、本当にマニフェストを財源も含めてそういうものと理解しているなら、あるべき姿だと私自身は思っています。

 では、片山総務大臣、その点についてどう思われるかも一言伺っておきたいと思います。

片山国務大臣 民主党のマニフェスト、私がお答えする立場にあるかどうかわかりませんけれども、四年間で実現するということが前提でありますので、今その二年目ということでありますから、今後、三年目、四年目もあって、その中でどれだけ、できるだけ達成度の高いものにしていくかということだろうと思います。

赤澤委員 確かに、片山大臣はおられなかった時代にできているマニフェストでありますので、いろいろな思いがあることも私もよくわかりますし、ただ、これは流れのあることなので、過去このマニフェストをもとに我々は選挙も戦い、これについて一定の責任は当然民主党は持っておられるはずなので、その前提でぜひ理解を深めていただきたいと思うんです。

 そういう意味では、四年間でやるということは、確かにそれも言っておられますけれども、二枚目を見ていただくと、初年度に九・一兆円つくるということがまさに出ているわけではないでしょうか、あるいはこれは四年間かけて九・一兆。ああ、一番目が初年度というわけではないですね、これは四年間かけてつくっていただくということです。

 それで、これを見ながらちょっと議論をしたいのは、これはもう民主党の皆さんも見飽きている、当初、政権交代後はこれを持って、まさにマニフェストをポケットに入れている閣僚たちが、これを見ろと言って官僚の方たちを指導しながらやっていたわけですが、十六・八兆円分、まさにこういったことで政策を実行していく、その財源は四年かけてつくるというので二枚目になっているわけです。

 しかも、結果、その中にずっと議論になっている人件費等、五・三兆のうち二割削減して一・一ということなので、これは少なくとも、常識的に読めば、やはり十六・八兆円の恒久的な政策をやるに当たって、一・一兆円真水で削って、そして財源を用意すると読めるわけであります。

 そのやり方の中で、真水以外のやり方もあるんだ、地方移管というやり方もあるんだというような御議論もあったかと思うんですが、そこをちょっと確認したいのは、このマニフェストを素直に読むと、一・一兆円の中には地方移管が含まれて、しかもそれは財源も地方に移すというか、地方に引き取ってもらった職員の人件費等については国が面倒を見るというようなことであると、この一・一兆の中に数えることはやはり財源不足を生じる、マニフェストとの関係ではそごが出る。過去、質問の中では、原口前大臣の発言と合っていないんじゃないかという議論もあったんですけれども、この一番もとのマニフェストと照らし合わせると、やはりかなり無理があるんじゃないか、財源に穴があくんじゃないか、こういう感じがいたします。

 そこは大臣、いかがですか。

片山国務大臣 このマニフェストに即して今の問題を立論すれば、今赤澤議員がおっしゃったような推論は成り立つだろうと思います。

赤澤委員 ということなので、先ほどの話に戻ります。

 これから考えていくに当たって、やはりマニフェストの命は財源なんだ、そして財源をきちっと求めて、財源のあるものだけがマニフェストに書き込めるということを本当に各政党が守れば、財政規律が生じてくる。財源も用意できないものを、いいかげんに耳ざわりのいいことを言い散らかして国民から票を稼いで、選挙には勝ったものの、財源ないからできませんとか、大借金を繰り返しますとか、そういうことは防いでいけるということをぜひ共有の認識として持ちたいと思いますし、私はそういう思いでマニフェストを眺めているということを総務大臣に御理解賜りたいということであります。

 したがって、私からすると、総務大臣、この一・一兆円は真水で削っていただけないと、少なくとも当初のマニフェストを見て民主党に票を入れた国民からすれば、どうも何か裏切られたなという感じになると思うんです。一・一兆円については、真水でやることはなかなか現実的ではないというような御答弁があったか、あるいは、これからまた検討していくということで、そこは結論が出ていないということなのかもしれませんが、改めて伺うと、現時点で、この一・一兆円は真水で何とか削減するんだ、実現するんだというところの覚悟、決意についてはどのようになっておりますでしょうか。

片山国務大臣 とりあえず、私は、総人件費二割削減という一つの大きな政策を担当せよということでありますから、それに向けて全力を挙げるということであります。

 その際に、先般議論がありましたけれども、真水で一・一兆という前提に立てば当然そういう方向になりますし、それとはちょっと違った考え方で、国家公務員の総人件費のスリム化ということで、いろいろな手だてでスリム化をする、そういう前提に立てば、またいささか違った道行きも出てくるのではないかということを、この間議論を申し上げたわけであります。

 それで、当面、今回は給与法で人件費の中の、給与の中の単価のことを今提案しているわけでありまして、これは確かに一・五%でありますけれども、それが、必ずしもこれにとどまることなく、次期通常国会でさらに給与費の削減ということもあるということで、必要な法案は準備して提出するということにしております。

 それ以外に退職手当でありますとか、共済の負担金でありますとか、そういうものがいわゆる単価としてはあり得ることでありますし、それから、行政全体のスリム化、事務事業の見直しなどに伴うスリム化で定数の見直しということもありますし、さらには、これは議論のあるところでありますけれども、地方移管というような要素もあるということで、それらを組み合わせながら、できるだけマニフェストに近づくようにしたいというのが今の私の思いであります。

赤澤委員 最後に、もう私の申し上げたいことは御理解いただいたと思うんですが、確かに、現実的にできること、できないことがあります。私も、公務員、一生懸命仕事をしている人たちを、何か約束したから強制的に生首を飛ばして、それが本当に国益にとっていいことなのか。士気を下げるとかいろいろなこともあり得ます。

 大臣がいろいろ現実的な判断をもって結論を出していかれるのでしょうが、しかしながら、そこは、ぜひピンどめをしておきたい、指摘しておきたいのは、一・一兆円がもし真水でなければ、当初のマニフェストとの関係でいえば、十六・八兆恒久財源を用意する、無駄を省いてやっていくんだと言ったものが用意できていないという批判はやはり受けなきゃいけないというふうに指摘をしておきます。

 続けて、過去の給与法の質疑、答弁を聞いていて、人事院勧告なしの人件費削減ということが問題になってくると思ったわけであります。

 人事院の総裁に伺いたいのは、本法案、現時点で人事院勧告を完全に実施するものでありますけれども、閣議決定の際に、政府は、自律的労使関係制度が実現するまでの間についても、「人件費を削減するための措置について検討し、必要な法案を次期通常国会から、順次、提出する。」こうなっております。ということは、平成二十三年度に、公務員給与を人事院勧告なしで引き下げることを意味しているようにとれるわけでありますけれども、人事院総裁としては、このことはどう受けとめておられますか。

江利川政府特別補佐人 現行の国家公務員法上は、二十八条でございますが、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」と、国会の任務が書いてありまして、引き続きまして、「その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。」となっているわけでございます。

 政府の方でこの先どういう案を検討するか、まだわかりませんので、私どもとしましては、現時点ではこの法律に基づきまして任務を適切に果たしたいというふうに思っております。

赤澤委員 それでは、これも議論があったのかと思いますけれども、現時点では、具体的に仕組み、工程表といったものは、総務大臣、これから検討していく、具体的なものは現時点ではまだないという理解でよろしいですか。

片山国務大臣 現時点で、具体的な工程表のようなものはございません。

赤澤委員 そこはやはり、片山大臣の手腕に期待するところが非常に大であるということを御指摘して、大臣にしっかりと覚悟を持って取り組んでいただきたいというふうに思うものでございます。

 それで、自律的労使関係制度を措置するための法案についてもちょっとお伺いをしておきたいんです。

 本法案の閣議決定の際、政府は、「次期通常国会に、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図る。」こういう方針を示しました。これは、労働基本権を含めた国家公務員法の改正案を次期通常国会に提出する趣旨であるというふうに考えられます。

 先週木曜日の当委員会で、園田政務官が、次期通常国会が終わる六月まであるという趣旨の御発言をされたと思うんですけれども、審議未了でもし逃げる気がないとすれば、一体いつ提出をするんだと。ぎりぎりに出したってこれは通るわけがないので、常識的に考えれば、三月提出するぐらいにということじゃないですか。本当に時間がないですよ。できるんですか。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 私が六月という期限を申し上げましたのは、現行の基本法の規定からいくと、来年の六月までに措置をしなければいけないというふうに書いてありますということを申し上げたわけでございます。ちょっと誤解があったかもしれませんけれども、大変その点は申しわけないと思います。

 したがって、通常考えれば、それまでに措置をしなければいけないということになりますと、委員の御指摘のように、三月前後には必ず法案を通常国会に提出という形でなければならないというふうに思っておりますし、また、そこに向けて、今鋭意検討をさせていただいているということでございます。

赤澤委員 困難なのはわかっていて、わざわざ尋ねますけれども、労働基本権の問題は、過去、本当にいろいろ議論はあれど、なかなか解決のできない問題でもありますし、私は、半年かけてもなかなかこれは難物だと思いますよ。時間がないんですけれども、本当に今からこれができますか。具体的な工程というか、どんな仕組み立てで、どうやってやっていくおつもりなんですか。その辺について少し聞かせてください。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 まさしく今、担当の部局も含めて、蓮舫大臣のもとで検討をさせていただいているところでございます。

 そういった点で申し上げますと、来年の三月、通常国会に提出という形になってまいりますと、年内から年明けに向けてはその骨格というものが大体政府内ででき上がっていかなければならないものではないかというふうに思っております。したがって、そういう意味では、蓮舫大臣のリーダーシップのもとで、本当に今、担当大臣のもとで部局を挙げて、私も全力を挙げて、その内容に向けて構築をさせていただいているところでございます。

 また委員からも、さまざまな点で御指導いただければというふうに思っております。

赤澤委員 公務員制度というのは、私、余り各党間で何か政争にして、自分たちがいい提案をしただの、やれパフォーマンスみたいなことではなくて、本当に百年の計だと思うんです。なので、そういう意味では本当に前広に、総理の言葉どおり、熟議の国会にぜひしていただきたいし、きちっと議論ができるように早目早目に相談をしていただかなきゃならないということは、強く指摘をしておきたいというふうに思います。

 最後に、片山大臣、この法案と必ずしも関係がないことでちょっとお尋ねいたしますが、例の一括交付金の総額の話です。

 私の聞き間違いでなければ、総務大臣就任後もよく例に引かれるのは、各市町村とかが建物の修繕をやろうか、それぐらいで実はいいんだけれども、修繕だと国の補助金が出ない、建てかえならば出る、思わず建てかえの方を選んでしまって出費がふえる、このあたりのことは一括交付金にすれば節減ができるんだ、だから、総額はある程度削れる部分があると。

 これについては、私も必ずしも自治体の状況を知りませんので、きょう、実は、片山知事当時に大変御指導もいただいた鳥取県の関係者、首長も全部出てきて、国会議員も出てやる例の会をいたしました。その場で、こういう例はどれぐらいあるんだと言ったところ、通告していなかったのが、少なくともその場では、そういう例はないという答えを各自治体がいたします。

 なので、二つ伺いたいんですけれども、まず最初の質問としては、そういう例はないと、少なくとも鳥取県の首長さんたちが答えるわけでありますけれども、その辺について、確たる具体的な事例を大臣としてつかんでおられた上でおっしゃった話なのか。

 そしてまた、もう一点です。大事なのは、総額を削っていくときは、これは私どもも反省しながら申し上げる話ですけれども、三位一体改革、交付税について大変自治体が苦しいことになった。その二の舞にならないように考えますと、本当に削っていいところ以外を削ると、また自治体が干上がるということが十分あり得るので、その辺は、どういう類型であれば本当に削って大丈夫かということをきちっと示した上で、大臣の賢明な判断で、総額について判断をいただきたいと思うんです、総額確保の要望は非常に強いので。

 二点です。挙げられた例、具体的な事例をつかんでおられておっしゃっているのか。そしてまた、今後削るに当たっては、本当に削っていい事例なのかどうかをきちっと分類して、よくお示しいただいて、間違いのない判断で削っていっていただけるか。その二点をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 私が申し上げているのは、一つの例を申し上げたわけです。

 補助金というのは補助基準に左右されますので、どうしても補助基準に合った事業を執行しようとするわけであります。たまたまきょう鳥取県の関係者の皆さんから、そういう事例はない、こう聞かれたということでありますが、私は、首長さんできちっと予算をみずからの手で編成されている方は、思い当たる節は多分あるのではないかと思います。でも、なまじあるあると言うと、削っていいんだねという話になるので、そこは少し遠慮されているのかなと思います。

 私も、知事を八年間やったり、それ以前に県の総務部長をやったりしましたけれども、自分で予算をつくるときに、補助金が出るのならそっちへ合わせようというのはやはりありました。今、どことどこということを申し上げる資料はありませんけれども、例えば、追加で建て増しをするよりも全部建ててしまえなんていうのは、やはりないわけではありませんでした。それは、国全体で見れば実は無駄遣いかもしれないんですけれども、個別の自治体で見れば極めて合理的な行動になるわけです、そっちの方が有利でありますから。そういうのは、決してないということではないと私は思います。

 あともう一つは、補助金ですから、例えば数年度間の事業を行うというのはよくあります。それを、一括交付金化になった場合は選択と集中で一挙にやってしまおうなんというと、手戻りだとかそういうものがありませんので、そんなのも若干節約になるんだろうと思います。

 ただ、それでもって国庫がごっそり召し上げるような、そんなことには到底なりません。また、そんなことをするのであれば、さっきおっしゃったように三位一体改革の二の舞だということで、自治体はトラウマがありますから、自治体の賛同が得られないと思います。ですから、それをどの程度と見込むかというのは、これは非常に重要でかつ微妙な問題だと思いますので、よく自治体の意見も聞きながら、その辺は政府全体として判断をしてまいりたいと思います。

赤澤委員 最後の部分は、これは今、インターネットでもリアルタイムで見ている自治体の方がいれば、いいことを言ってくださったなということだろうと思います、一括交付金といえば総額確保について、皆さんが口をそろえるのがそこでありますので。

 本当に削って大丈夫な部分かは、確かに、ちょっと口を閉じて真実を語らないような向きもあるかもしれませんけれども、その分、手ごわい交渉になるかと思いますが、そこはしっかりと見きわめていただいて、基本的には総額確保の方向で、ぜひ、自治体が、少しでも財政が潤って活性化する方向でやっていただきたいということを強く最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 十一日の委員会でも閣議決定について質問させていただきましたけれども、幾つかの疑問等がまだありますので、再度質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、これまでの質疑の中で、特に閣議決定の四の条項、このことについてさまざま質問させていただきました。今後、公務員の人件費削減ということを具体的にどのように行っていくのか、その考え方も含めて多くの議論がありまして、大臣からも御答弁をいただきました。

 私も、前回の十一日のときに、公務員の人件費削減についてはしっかりとした工程表をつくってやるべきだ、このことを一貫して訴えさせていただきましたが、まず、このことに対してどのような検討を行ってきたのか、この点からお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 いわゆる工程表についてでありますが、先ほど赤澤議員の御質問にもお答えしましたとおり、現時点では工程表というものを策定しておりません。ただ、いろいろな議論が前回もありまして、全くこれからの道のりを無手勝流でいくというのは私自身も計画性がないことだと思いますし、やはり何らかの道筋を考えながら作業を進めていく必要があると思います。

 現時点ではそれができていないというのが現状でありますけれども、できれば、給与法の改正も含めた何らかの人件費削減のための成案を得て、いずれ次期通常国会に必要な法律案、議案を出しますので、ぜひその段階においては、その提出の時期と合わせて、できる限り全体像が明らかになるように努めたいと思っております。

稲津委員 原口委員長が大臣のときに、いわゆる地域主権改革でも原口プランというものを出されて、目に見える形で、目標を明確にしてこられたと思うんですね。そういう意味では、我々もそれを見ながらいろいろな議論もできたということもありまして、私は、工程表について、今大臣にお答えいただきましたけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。

 それぞれの取り組みの、いわゆる工程表に向けての具体的なものがこれから明確になっていく。課題もあると思うんですけれども、そういう中で、今の大臣の御答弁については、私は一定の評価をさせていただきたいというふうに思っております。ただ、これから大事になってくるのは、課題もある中で、その課題にいろいろ取り組んでいく大臣のまさにリーダーシップであるんじゃないかなと思うわけでございます。この考え方に基づいて進んでいくとして、改めて大臣の決意なりをお伺いさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 これは決して容易なことではないと思います。平たんな道のりではないと思います。

 いろいろな課題、例えば、いわゆる深掘りをするということになりますと、法律上できないかといったらそんなことはないと思いますので、それを前提にいたしますけれども、それにしても、どれほどの幅にするのかとか、手順をどうするのかという問題もありますし、何よりも、公務員の労働基本権制約の代償として今の人勧制度があるということ、これは基本でありますから、その原則を変えるということになりますと、やはり職員団体側といいますか労働側との意見のすり合わせ、できるだけ納得を得る、そのための最善の努力をしなきゃいけないということは当然でありましょうから、そんなことも含めていろいろな課題がある。それに全力で、私は担当大臣として向かっていきたいと思っております。

稲津委員 わかりました。その上で、閣議決定の四の条項について、もう一点お伺いさせていただきたいと思います。

 片山大臣は、非常に苦慮されて今後のことを書かれた、このように答弁をいただきました。それも、ただ単に見通しだとかあるいは願望を述べたわけではなくて、政府の方針として、人件費の削減について具体的な法案を通常国会に提出するということを書いた、こういうふうに答弁をいただきましたけれども、どうも大臣のこれまでの答弁や御発言をお聞きしておりますと、今般の国の財政状況を考えれば、人勧どおりにやるというのはいかがなものか、やはりもっと深掘りをして削減できる方法はないのか、その道を探り続けてこられたのではないか、このようにも思えるわけです。

 率直に大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、今回は、労働基本権の問題もあるし、ある意味ではいたし方なく人勧どおりに給与法改正案を出した、本来ならばもっと削減する内容の改正案を出したかったのかどうか。また、そうであるならば、なぜ出せなかったのか、改めてお伺いさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 これは、私が大臣に就任しましたのが九月十七日でありまして、時を置かずして臨時国会も開かれて今日に至っているわけであります。

 それで、この問題については、いろいろな意見があったことはもう御承知のことと思います。人勧、基本どおりにやるべしという正論ももちろん有力でありましたし、それに対して、現下の財政事情その他の事情を考慮すれば、やはり何らかの深掘りのようなものがあってしかるべきではないかという意見もありました。それは私だけではなくて、いろいろな方の意見もありました。

 そういうことで議論を進めておったわけでありますけれども、何分時間が足らない。特に労使の間の真摯な、特に使用者側から労働側の理解と納得をできるだけ得なければいけない、そのための真摯な努力をしなければいけないということは、これは当然でありましょうから、そのためにも時間が必要だということがありまして、そんな事情で、このたびはとりあえず人勧の完全実施、これとてもマイナス一・五%という内容でありますけれども、人勧の完全実施をする。それで、あと少し時間をいただいて、次期の通常国会までには必要な法案というものを提出したいという、これが率直な経緯であります。

稲津委員 ただ先送りをしたというのでは当然意味がありませんし、次期通常国会に出す予定の給与法案等の提出に向けた環境づくりといいましょうか、そのことについてお伺いしたいと思うんです。

 理事会でお示しになられた考え方、「給与については、現在の人事院勧告制度のもとで極めて異例の措置となるが、次期通常国会に法案を提出する」、ほかにも幾つか出ていますけれども、私、ここのところに非常に着目をしているんですけれども、現実味を本当に帯びてくるのかどうかということなんですね。

 どこをどうやって踏み込んだ深掘りの給与法が出せるのか。今回出せなかったものが、先ほどスケジュール的なことというお話がありましたけれども、どうして年明けの来年の通常国会に出すことができるのか。今回の給与法改正案と次期通常国会に出すであろう改正案と、その出す時期で、背景のどこに本当の意味での違いがあるのかなという素朴な疑問もあるわけです。

 もっと言えば、何をクリアにするといわゆるその改正案が出せるのか。課題はある程度見えているとは思うんですけれども、その辺の背景の違いというかクリアすべき課題、その方策を、若干お答えいただいたと思うんですけれども、改めて聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 いろいろあるということは先ほど申し上げましたけれども、やはり一番重要なのは、職員団体側の合意をどれほど得られるかということだと私は思います。

 今般の人勧の処理とあわせて何らかの深掘りのようなものを出したとすれば、恐らく、労働側にとっては非常に唐突感があったと思います。そうではなくて、やはりこういうものはじゅんじゅんとお話をして、現下の厳しい財政事情なども理解をしていただいて、納得をしてもらった上でこういうものは成案を得るというのが本来のあり方だろうと思いますので、そういう手順を踏んでいきたいと思っております。

 実はもう既に、私も職員団体側とは意見を交換したことがあります。私の考え方もその際に述べております。それに対して、よく話し合ってくださいよという注文も伺っております。それに対して、当然、真摯な話し合いをしていきましょうということを私も答えておりまして、一つのきっかけには入っていると思いますので、これを本当に真剣に誠実に話し合いをしながら、合意をできる限り得ていきたいと思っております。

稲津委員 それで、国家公務員人件費の削減の取り組みについての考えということで、理事会でお示しいただいたことを踏まえて先ほどお話ししたんですけれども、繰り返しますけれども、そこのところに、「給与については、現在の人事院勧告制度のもとで極めて異例の措置となるが、次期通常国会に法案を提出するべく検討を進める。」とありますね。

 先ほど赤澤委員からも御指摘があったと思うんですけれども、そう考えていくと、人事院勧告制度というものの必要性の有無についても、やはりどうなのかなというふうに考えてしまわざるを得ない面もありまして、私にとっては、これは一つの疑問も残るところでございます。

 時間の関係上、ちょっと要約してお話し申し上げますけれども、そういろいろ考えていったときに、この議論の一番大事なところについては、工程表のことをやはりもう一度問わなければいけないというふうに思っております。今後の具体的な取り組みを進めていく中にあって、先ほど大臣も繰り返し御答弁いただいているんですけれども、それはある一定程度私もわかりました。その上で、まだ工程表はできていないということで、私は、これらの議論をしっかり進めていくためにはこの工程表を、今後鋭意検討して、ぜひつくってお示しをいただきたい、このように思っているところでございます。

 時間になりましたので、最後に、ちょっと考えをまとめてお話を申し上げたいと思うんです。

 給与法については、これまで議論をさせていただきました。幾つかの問題点も指摘をさせていただいた次第でございます。今回、あらあらですけれども、公務員人件費削減に向けた道筋という考え方、その方向性が出てまいりましたので、課題なしとは言いませんけれども、しかしながら、私は、このことについてはある一定の評価をさせていただいてもいいのではないかな、このように思っております。

 今回の給与法の議論の中で、最も根本的なテーマというのは何なのかなというふうに問い直したときに、やはり公務員の労働条件が制約されている、その代償として人事院勧告があるということを、まずこの時点でもう一回きちんと認識をして尊重しなければいけない、このように思っているわけでございます。

 それと、あわせてもう一点。国家公務員の人件費削減のことをいろいろ私も議論させていただいていますけれども、もう一方では、国会議員がその範を示す意味でも、では、国会議員の給与については、歳費についてはどうなのか、こういうこともあると思います。すなわち、国家公務員の議論と、その一つ前に、国会議員が範を示して、歳費の縮減について議論をしていくべきじゃないか。もう一点、国会議員の歳費をいわゆる月割りから日割りに変更していくというテーマもございますが、これはまた別な機会に議論させていただきたいと思っております。

 以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 給与法改正案について質問をいたします。

 片山大臣にお尋ねします。

 大臣は、この給与法改正案の質疑を通じて、人件費削減のために、次期通常国会に給与法改正案を提出するべく検討を進めていると答弁しておられます。次期通常国会に給与法を出すんだという御答弁ですけれども、そこでお尋ねしたいんですが、もし給与法改正案を出すということであれば、それは今年度分の給与を削減するための法案を出すという考えなのか、その点をまずお聞かせください。

片山国務大臣 もし塩川議員のおっしゃったようなことを具体化するとすれば、さかのぼって不利益を職員に与えることになりますから、それはできないと思います。

塩川委員 そうしますと、実際に出す時期というのは、いつということを想定しておられるんですか。

片山国務大臣 それは、かねて申し上げているとおり、次期通常国会ということでありますから、おのずからしりは決まるわけです。ただ、最終でいいかというと、先ほど来も議論があったと思いますけれども、これは通らなきゃいけませんので、十分熟議ができる、そういう時間的余裕を見て、おのずから具体的なころ合いといいますかデッドラインというのは決まってくるだろうと思っております。

塩川委員 次期通常国会に提出するということであれば、通例八月に行われます人事院勧告の前に給与法改正案を提出するということにはなりますね。

片山国務大臣 それはそうなると思います。

塩川委員 人事院勧告制度が定着をした一九六〇年以降、国において給与法改正案を人事院勧告の前に提出したということはあるんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 勧告を出しましてから内閣において処理をするということでございますので、今までは勧告を受けて対応しているというふうに承知をしております。

塩川委員 ですから、過去、人事院勧告前に給与法改正案を提出したということは一度もございません。そういう点でも、給与法改正案を出すということは、来年の人勧を縛るものとなる、人勧尊重どころか、人勧に枠をはめるようなことになる、こういうやり方というのは認められない、こういう全く異常なやり方だと言わざるを得ませんが、大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 これは年度で区分しますと、次期通常国会でありますから、具体的に物事が動いていくのは多分来年度、四月以降になると思います、いろいろな議論が始まったり具体化しますのは。

 ただ、これは経緯からいいますと、今回の人事院の勧告の処理に当たって、第一段階として完全実施をします。ただし、それのみに終わらないで、さらに人件費の削減ということを考えながら必要な法案を次期通常国会に出すということでありますから、物事の経緯からいいますと、実は今年度のものと一体になるということだと観念すべきだと思います。

 ただし、さっき言いましたように、仮に削減するということになった場合に、どの年度の給与からとなりますと、不利益遡及できませんので、具体的には二十三年度からということになりますけれども、物事の経緯からいうと二十二年度の一連の作業だろうと思っております。

塩川委員 労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告に枠をはめるようなものになる給与法の改正案の提出ということは、結局は引き下げありきのやり方をまかり通らせることになるんじゃありませんか。労働基本権を制約したまま労働者側の理解を得るということ自身が成り立たないのではありませんか。

片山国務大臣 それは、過去、国も人事院勧告と違った給与の取り扱い方を法律で決めているという事例はあります。また、自治体においても、私も経験がありますけれども、人事委員会の勧告とは違った形で条例で決めたことがあります。給与法定主義でありますから、そういうおっしゃったような事態が生じる可能性はあるだろうと思います。

塩川委員 一九八〇年代の前半における値切ったという話につきましても、勧告を踏まえてそれを値切るという措置であったわけであります。ですから、今回はそうではないということですよね。人勧の出る前に枠をはめるようなことをするということは前例のないことではありませんか。そういうことをやること自身が異常事態だ、認められないと考えますが、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回閣議決定をした次期通常国会で法案を出すというものは、物事の経緯からいいますと、二十二年度分と一連のものだと思います。今おっしゃった五十七年のときとの違いは、五十七年は、人勧が出て、それを実施する前に、値切ったという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、違った取り扱いをしたということでありますが、今回、私が申し上げているようなといいますか、閣議決定のとおりに進んだとすれば、二十二年度の人勧を値切らないでそのまま実施したけれども、おくれて値切る、こういう事態が発生する可能性があるということだと思います。

塩川委員 職員団体の理解を得る、組合側の理解を得る、このようなことをおっしゃいますけれども、人件費二割削減という大方針があるもとでは、結局は、理解を得られなくても引き下げを行うという結論しか出てこないんじゃありませんか。

片山国務大臣 二割というのは、何も単価だけで二割というわけではありませんので、いろいろな組み合わせの二割でありますから、そういう前提で労働側、職員団体側の理解もできるだけ得ていきたいと思っているところであります。

塩川委員 もともと過去値切ったこと自身も、労働基本権制約のもとでの代償措置としての人事院勧告そのものをないがしろにするという点でも極めて重大でありますし、そういう点でも、今回それを上回るような措置を行うと言っている点は、極めて重大であります。

 もともとこの総人件費二割削減がいつ出てきたかといえば、二〇〇五年の総選挙のときであります。そのときに、一方の自民党側は郵政民営化を掲げました。他方の民主党がマニフェストに掲げたのが、国家公務員総人件費の二割削減であります。要は、構造改革路線の競い合いの中で出されてきたのが総人件費の二割削減で、今の状況を見ても、この構造改革路線の競い合いに未来はないということは言わざるを得ません。

 総人件費二割削減をそもそも何のためにやるのか。大臣はどのように受けとめておられますか。

片山国務大臣 一つは、一般論としての行政のスリム化、小さな政府ということがありましょうし、何よりも、現下のこんな厳しい財政事情、国家財政のことを考えますと本当に安穏としていられない、こういう状態の中で、人件費をやはり考えざるを得ないということだと思います。

塩川委員 もともと、現下の財政状況という点でいって、借金をつくったのは何かといえば、過去の大型開発の乱発と、また、大企業や高額所得者への減税ばかり行って、国民の懐を温めることを経済対策として行ってこなかった歴代政権の失政が生み出したものであります。高級官僚が責任をとるのは当然でありますけれども、この十年余りで二割近く年間給与が減少している出先職員など一般労働者にしわ寄せするというのは筋違いだと言わざるを得ません。

 四月の国家公務員法改正案の本会議質問におきまして、民主党議員が、公務員の総人件費二割カット、議員は議員定数削減で血を流し、お金持ちにも身を削っていただく、それでもお金が足らなければ消費税増税だと述べておりました。消費税増税の地ならし、露払いとしての総人件費二割削減は撤回をすべきだ、このことを述べて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 育児休業法に絞って質問をいたします。

 私の問題意識としては、この国の少子高齢化傾向というのは、決定的に最も重要なテーマだと思います。このままいったら、今の少子化傾向に歯どめがかからずに、どんどんどんどん支える側の数が減っていき、支えられる側の数はふえていくという、だれが考えても大変深刻な事態を招く。

 そういう時代認識の中で、この育児休業法について、今回、少しではあるけれども改正するという点については、私はささやかに評価いたしたいと思うんですね。

 そこで、具体的に申していきたいんですが、まず、この育児休業法の改正に関連して、今回、この法律を改正することによって対象になる、この法律ができたおかげである種の利便が受けられる、そういう人は何人いるのか、またこれを地方自治体に適用した場合の対象者数、この法律の対象になる人の数はどのぐらいおるのか、あるいは対象とならない人の数がどういうふうに把握されているのか、その点についてまず聞いておきたい。

片山国務大臣 制度ができましたときにどうなるかというのは、実際わからないところもありますので、推計をするしかありませんけれども、平成二十二年五月現在で、一般職の国家公務員である非常勤職員のうち、週三日以上勤務、かつ一年を超えて継続勤務している者、すなわち対象となり得る者は約三万九千人であります。このうち育児休業の対象となる一歳未満の子を有する者は百八十人程度だとされております、統計上。これに民間の有期契約労働者における育児休業取得率というのを当てはめて機械的に計算してみますと、実際に取得が見込まれる者が八十人程度ではないかと推計をしております。これが国家公務員であります。あくまでもこれは推計でありますので、実際どうなるかはやってみないとわからない面はあります。

 地方公務員の場合ですけれども、地方公共団体のいわば非正規といいますか正規でない公務員のうち、今回の法律改正によって直接対象となる一般職非常勤職員数は約九万九千人であります。この法律によっては直ちに対象とならない特別職非常勤職員及び臨時的任用職員というカテゴリーに属する者が約三十九万八千人いるという統計になっております。

重野委員 ということなんですよね。だから、この法律の趣旨はいいんだけれども、結果的に、その法律自身、極めて制約的な内容が法律の中にあるということなんですね。

 そこで、具体的に聞いていきたいんですけれども、今大臣も言われましたけれども、非常勤と一般的に言われるものの中には、特別職非常勤職員、一般職非常勤職員、臨時的任用職員がある、こういうふうに言われているんですね。こういうふうに分類されているんですが、その三つの違いは、大体どういうところに違いがあるんでしょうか。

片山国務大臣 これは制度に照らして厳密にいいますと、特別職非常勤職員といいますのは、臨時または非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員、その他これらの者に準ずる職にある者だと解されております。これは対象にならない部類であります。

 それから、もう一つ対象にならないので臨時的任用職員というのがありまして、これは、臨時、緊急のとき、または、例えば育児休業中の職員の業務を処理するために任用され、その任期は一年を超えて行うことができない、こういうカテゴリーであります。

 したがって、この二つのカテゴリーに属する職員は、これが厳密に運用されておりますと、そもそも育児休業というようなものは必要性が発生しないと思われます。

 それから、三つ目の、今回法律の対象となる種類といいますか職員のカテゴリーは一般職の非常勤職員と議員が言われたものでありまして、これは地方公務員法第十七条を根拠に採用されるものでありまして、通常、任期を限って臨時的、補助的な業務に従事するとされております。特に、この場合には、不利益処分に関する不服申し立てでありますとか分限処分の規定の適用などといったいわゆる身分保障は任期の定めのない一般の常勤職員と変わらない、そういう立場に置かれている職員であります。この人たちについて、このたび法律が改正されれば育児休業の対象になるということになっております。

重野委員 次に、私がきょうの質問の中で最も、ここのところはしっかり国も考えてもらいたいという思いを込めての質問でありますが、総務省の地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書を見ますと、特別職非常勤職員と一般職非常勤職員との間で、職種や任期、勤務時間などでの差異はほとんどないように私は見るわけですね。そういう意味では、今回の法改正は一歩前進と評価をしているんですが、地方公務員で見た場合、一般職非常勤職員は全体の二割、残り八割の非常勤職員が、一般職非常勤と実態的に差異はない、にもかかわらず育児休業はとれないという、この著しく均衡を欠く現実がある。

 そこで、二点尋ねますけれども、まず、特別職非常勤も育児休業を取得できるようにする必要があると思うんですが、この点はどうですか。

 また、臨時的任用職員についても、国家公務員法六十条の臨時的任用と地方公務員法二十二条の臨時的任用では、その運用の実態が大きく異なっているんですね。国家公務員法の適用、地方公務員法の適用、だから国家公務員と地方公務員でありますが、その運用が実態として大きく異なっている。

 そこで、部分休業ではなく、きちんと育児休業をとれるように地方公務員の育児休業法を改正するべきだ。今度の育児休業法の改正はもちろんですが、地方公務員の育児休業法を改正するべきだ。

 つまり、私が言いたいのは、いかにして育児休業をとれるようにするかということを通して少子化傾向に少しでも歯どめをかける状況をつくっていく、どういう仕事をしていようとも、子供を産み育てるという気にさせる、そういう誘導策というものを考えたときに、この育児休業の問題は決定的に重要な内容を包含している非常に大きなテーマなんだというふうに私は思うんですね。

 そういう点について、今私が二点指摘をしましたが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 制度の建前からいいますと、私、先ほど申し上げましたように、そもそも、今回法律の対象にならない人たちは本来あり得ないといいますか、ほぼ考えられないんだろうと思います。例えば、国勢調査のときの調査員とか嘱託員になるといったようなケースが特別職非常勤職員でありますから、その方々が育児休業をとるということはまず考えられないと思うんですね。それから、臨時的任用職員の場合には、例えば産休代替要員のようなケースですから、その産休代替の期間中に育児休業をとるということもまずあり得ないわけです。ですから、これらのさっきの三つのカテゴリーが本当に厳格に現場で運用されていれば多分問題ないと思います。

 ただ、私も、現場の実態のことを考えてみますと、必ずしもすべての自治体で厳密な三つのカテゴリーの運用ができていない、本来とは違ったような任用の仕方をしているケースがあると思います。本来ならば臨時的任用職員なんですけれども、何回も更新をされて、実態としては本来の臨時的任用職員ではない、そういうケースがあります。そういう場合にどうなんだと言われますと、議員がおっしゃったように、ある種のカテゴリー間のアンバランスとか不公平感というのは出てくるんだろうと思います。

 それをどうするかという問題ですけれども、そもそも臨時的任用職員というのは自治体の条例でもって規律されている方々でありますので、実態に応じて、もし必要があれば条例の中で自治体で独自に育児休業の措置のようなものをつくることができるという整理ができますので、これについては、法律の対象から外れていても、必要があれば実態に応じて自治体でもって措置することができる、そういうことだろうと思います。

重野委員 質問を終わりますけれども、抑制的ではなくて、それを発展させるという積極的な姿勢でこの問題と向き合っていただきたい、そのことを要望して、終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 この時間です、採決前です、十分間です、早目にいきたいと思います。

 人勧の深掘りについてなんですけれども、先日の総務委員会で、片山大臣に、菅総理からどういう指示があったのか、こういうことをお伺いさせていただきました。そのときの御答弁なんですが、組閣の日に総理から指示があって、あなたは総人件費削減の担当大臣だと、具体的にどこをどうしろという話はなかったが、民主党代表選挙でいろいろ言われていたのでそれを踏まえて検討を進めた、こういう話だったと思うんです。逆を言えば、人勧の深掘りというか、人事院勧告を上回る給与削減を今年度行うということについて、片山大臣は総理から具体的な指示は受けていないということでいいんでしょうか、確認をさせてください。

片山国務大臣 総理から幾つか指示がございましたが、それぞれの項目について具体的に、ああしろこうしろ、ここをこうしろという指示はございません。それは例えば地域主権改革でもそうでありまして、地域主権改革について一生懸命やってくれ、こういう話がありました。具体的にどこをどうしろという話はございません。それと同じような文脈で、人件費の担当の大臣ですよという通告を受けまして、そのとおり受けた次第であります。

柿澤委員 民主党代表選挙において、これは、菅候補というか、菅さんの中心的な公約の一つだったはずだというふうに思うんです。しかも、先日の予算委員会で私が取り上げましたとおり、仙谷官房長官は、その間も連合の会長に、政府の方針は変わっていないんですよ、こういうことをお伝えになられていたり、私がお尋ねをしても、これは極めて法をひん曲げるような対応をしない限り難しいんだということを一貫して言ってきた。こういうふうに言われてきたような問題なんです。総理の直接的なリーダーシップが発揮をされなければ、人事院勧告の削減幅を上回るような給与引き下げというのは、もともと到底実現できるはずもなかったというふうに思うんですよね。

 片山大臣は、指示を受ける側ですからこれについて何か責めを負う必要もないのかもしれませんし、逆に、民主党代表選挙で菅さんが言っていたのを受けて、それをそんたくして随分御検討されたというふうにも思うんですけれども、菅総理がこの問題に関して全くリーダーシップを発揮していないということが、片山大臣の答弁ではっきりしたというふうに思うんです。これはまさに言行不一致の最たるものであって、本当に菅総理の政治姿勢が疑われてしまうというふうに思います。

 続いて、先日の総務委員会を受けて質問させていただきますが、私は、事務次官、局長等の幹部職員を一般職から切り離すということについて質問をさせていただきました。今国会に自民党、みんなの党の共同提案で提出をしている幹部公務員法に盛り込まれた考え方であります。

 事務次官、局長等の幹部クラスは企業の役員みたいな立場の方ですから、一般職とは違った幹部職として、ある種任期つきのポストとして、事務次官を終えれば、また場合によっては一般職に戻る、それによって給与の引き下げが行えて二割削減にもつながる、こういう考え方をお話しさせていただきましたが、それに対して片山総務大臣は、傾聴に値する、私自身検討したい、こういうお話をされて、今されたのと同じように、こういうポーズをあの日もされたんです。

 傾聴に値する、私自身検討したいというこの御答弁の意味するところは何なのか、これからの公務員制度において私たちが提示をしているような考え方を取り入れる、こういう考え方を片山総務大臣自身お持ちであるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

片山国務大臣 率直な感想として、傾聴に値すると申し上げました。一つのアイデアだろうと思います。

 私も県で知事をやっておりましたときに、県の特別職というのは知事、副知事、当時出納長というのがおりましたけれども今はおりませんが、それだけでありまして、本来ならば県の部長、局長といいますのは、例えばアメリカの州政府でいいますと、局長というので政治任用であります。ですから、そういうことがあってもいいのではないかと自分の体験上思ったこともあります。

 ただ、これを国家公務員の制度の中でどうするかというのは私だけで決める話ではありませんので、これは国家公務員制度改革の中で、皆さんと政府の中で話し合いながらこれから検討していきたいということであります。

 それから、一つ、先ほど御質問はありませんでしたけれども、総理のリーダーシップの話であります。

 御質問が、組閣の日にどう指示を受けたのかということでありますから、あなたは人件費の担当ですよと言われたわけであります。そのことを御披露申し上げたわけでありますけれども、その後いろいろなことがありまして、例えば総理のところで勉強会などもありまして、そういう中で、これまでの総人件費二割削減の経緯でありますとか、マニフェストのことでありますとか、それから、総理が代表選挙においてどういう政見を出されたかというようなことも、私も担当大臣としてそのことを教わったり指示を受けたりしておりますので、そういうことを踏まえて、今回の人勧、それからそれに続く次期通常国会での措置についても決定をしていったという次第であります。

柿澤委員 続いて、やはり先日の総務委員会ですが、年収二千三百万円の事務次官を、労働基本権が制約されているということで、人勧で守らなければいけない、こういう御答弁をいただいています。

 先ほど申し上げたとおり、事務次官、局長クラスというのは企業の役員に当たる方々ですから、そういうような方々は、一般企業でも労働組合に入れないわけです。このような幹部職員を人事院勧告の対象としているということ自体が、私たちから見ると妥当でないように感じます。

 事務次官、局長等幹部職員を人勧の対象から外すべきではないかと考えますけれども、お考えはいかがでしょうか。

江利川政府特別補佐人 現在の国家公務員法上は指定職の職員も一般職ということになっておりますので、その一般職の職員は国公法上労働基本権を制約されておりますので、その代償措置として人事院勧告があるということでございます。

柿澤委員 片山大臣、どうですか。

片山国務大臣 現行法の仕組みは、今、人事院の総裁が御答弁申し上げたとおりだろうと思います。これを例えば法改正してでも変えるべきではないかというのは、一つの見解、意見としてはあり得ると思います。そんなことも含めて、先ほど傾聴に値するということを申し上げた次第であります。

柿澤委員 こういったことをやっていかない限り、やはり二割削減など到底実現不可能なのではないかというふうに言わざるを得ません。

 時間も参りましたので残余の質問はやめにいたしますけれども、今後、二割削減に向けて通常国会に法案を出されるということでありますけれども、残された時間も少ない、そうした中で本当に達成可能な現実性のある提案が行われるのか、そうしたことを懸念しながら見ております。そのことを最後に申し上げまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

原口委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 菅内閣は、公務員給与について、当初、人事院勧告を上回る削減、いわゆる深掘りを行うとしていましたが、政府から提出された法案は、勧告のとおり、給与引き下げマイナス一・五%、そして月給ベース七百五十七円、こういう給与改定を行うという極めて甘いものであり、妥当性を欠いていると言わざるを得ません。

 現在、人事院が行っている民間給与実態調査は、その調査対象に零細企業の従業員や非正規雇用者が含まれない極めて限定的なものであります。

 そこで、公務員人件費二割削減という目標を踏まえて、より踏み込んだ公務員給与の削減を行うとともに、より国民の生活実感に近い勧告が行われるよう官民較差の比較に国税庁の民間給与の実態調査を併用することとする等のため、修正案を提出するものであります。

 以下、本修正案の内容を申し上げます。

 第一に、国税庁の民間給与実態統計調査により試算を行った場合、官民較差は約五・五%のマイナスとなることから、一般職職員の俸給月額について、当分の間、五%減額することとしております。

 また、経営が悪化した民間企業であれば、責任ある幹部職員は一般の従業員の削減率を上回る削減を行うことが当然であることから、指定職職員の俸給月額については、当分の間、一〇%削減をすることとしております。

 第二に、官民の給与比較をより実態に即したものとするため、当分の間、国税庁の民間給与実態統計調査を国会が給与改定の必要性の決定を行う基礎となる人事院の調査とみなすこととしております。

 第三に、俸給月額を一律に削減するだけでなく、能力・実績主義を徹底し、高い成果を上げた職員が報われる給与制度を導入する必要があることから、政府は、顕著な成果を上げた職員が現行の給与制度の中で受けられる給与よりも高い給与を受けられる新たな制度のあり方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることとしております。

 以上が、本修正案の内容であります。

 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。森山裕君。

森山(裕)委員 自由民主党の森山裕です。

 私は、自民党・無所属の会を代表し、政府提出の一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について反対、国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案について賛成の討論を行います。

 まず、給与法改正案に反対する第一の理由は、本法案が、政府・与党、民主党の公約違反のあかしであり、国民を著しく裏切るものであるからであります。

 民主党は昨年の衆議院選挙マニフェストで総人件費二割削減を明記し、公務員改革推進で無駄削減と大々的なキャンペーンを繰り広げ、選挙を戦い、政権の座に着きました。さらに、菅総理も九月の民主党代表選で人事院勧告を超えた給与削減を公約に掲げ、代表に選出をされました。

 つまり、本改正は、提出した時点で、既に民主党及び菅改造内閣の公約に反しているということになります。人事院勧告どおりの法案を提出することは、まさに国民を裏切る詐欺フェストと言ってもおかしくないことを指摘いたします。

 四年間の衆議院議員任期の間に一兆一千億円の人件費削減を実現すると約束しておきながら、政権について以来、二回の予算編成による給与削減額は合わせて二千億円余の見込みであり、残りの二年間で一兆円近い削減など到底できるわけもないことは、火を見るより明らかであります。

 第二に、給与体系も含めた政府の公務員改革の道筋がいまだ不透明であることです。

 民主党政権となり既に一年以上を経過しているにもかかわらず、公務員制度改革の工程表すらいまだ示されていません。ようやく、本改正案の閣議決定に当たり、次期通常国会に人件費削減に必要な法案を順次提出すると、極めて具体性を欠く文言がつけられただけであります。

 民主党マニフェストでは、公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉で給与を決定するとありながら、二年も続けて人事院勧告に追従した法案を提出する政府・与党では、真の公務員改革など到底できるはずもありません。

 第三に、政府は、厳しい財政事情の中、公務員給与の一層の削減に取り組むべきだと指摘いたします。

 地方公務員は国家公務員と同様に協約締結権と争議権を制約されていますが、地方自治体では、不況で深刻な税収減に見舞われている近年、厳しい財政状況を考慮して、人事院勧告や人事委員会勧告の水準を上回る独自の給与カットを行っている団体が相当数あります。知事や市町村長が、苦渋の決断の上、職員人件費を削減するため、みずから労使交渉を行い、職員の理解を求めることも珍しくありません。今や、国家財政もこれまでにない厳しい状況であり、国においても真摯な対応が求められてしかるべき局面ではないでしょうか。

 自民党政権時代も、財政難から人事院勧告の実施を見送ったことがあります。現下の厳しい財政状況をかんがみれば、もっと深掘りが必要であり、こうした対応は十分国民の理解も得られることであります。

 こうした状況で提出された本法案は、国民全体でなく、給与削減に難色を示す労働組合に配慮する法案となっていることも指摘をしておきます。

 次に、国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案についてであります。

 我々は、本法案は、少子化対策、地域の人材確保、ワーク・ライフ・バランス推進の観点から必要な措置であることから、これに賛成をいたします。

 ただし、本法等による改正は、地方公務員にも適用されるものでありますので、その施行に当たっては、以下の点について考慮を申し入れるものであります。

 地方自治体にあっては、その臨時・非常勤職員の勤務の実態や職種は多岐にわたる上、地域の実情、県、市町村の財政事情等もさまざまであります。

 そこで、我々は政府に、本法改正の施行に当たって、地方自治体の臨時・非常勤職員の育児休業取得による業務への影響及び処遇についての実態調査を行い、必要な措置を講ずるよう求めたいと思います。

 以上、給与法改正二法案に反対、育児休業法改正案に賛成の意見を申し述べ、私の討論とさせていただきます。

 なお、みんなの党提出の一般職職員給与法修正案に対しては、見解の相違から、反対をいたします。

 以上であります。(拍手)

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に対し、反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案は、過去最大規模の年収減となった昨年に続いて、平均九万四千円もの年収減を公務労働者に押しつけるものだからであります。

 また、五十五歳超の職員をねらい撃ちに、その月例給を一・五%引き下げることも重大です。職務給原則、能力・実績主義など公務員労働者の賃金原則に背くこのようなやり方は容認できません。

 地方公務員を初め、独立行政法人、国立大学法人、学校、病院等、約五百八十万人の労働者にも大きな影響を与え、さらに、民間労働者の給与、ボーナスにも波及して、国民の消費を一層冷え込ませることは明らかであります。

 反対理由の第二は、本法案は、菅内閣の国家公務員の総人件費二割削減の第一段階として、人件費削減を実行するものだからであります。

 菅内閣が次期通常国会に給与削減のための法案提出を明らかにしたことは、極めて重大です。

 人事院勧告制度が定着して以降、人事院勧告が出される前に、その年の給与削減を目的とし、いわば人事院勧告に枠をはめる法案が出されたことは、かつて一度もありません。まさに異常なやり方と言わなければなりません。

 国家公務員の労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告の役割を覆すこうした法案の提出は、到底認められません。

 総人件費二割削減は、国民生活を支える公務労働の役割を大きく後退させ、憲法が保障する国民の生活と権利を大きく脅かすものであります。また、公務員削減を印象づけることで、消費税を初めとする庶民増税への露払いの役割を果たすという点でも、さらには、出先機関の廃止を初め、財界がねらう道州制への道筋をつける点でも、重大です。

 なお、特別職給与法案については、内閣総理大臣や国務大臣等の給与、ボーナスは一般職職員と比べても高額であり、国民感情からもその引き下げは当然であり賛成、また、国家公務員育児休業法案についても、国家公務員、地方公務員の非常勤職員に育児・介護制度の適用を広げるものであり、賛成するものです。

 最後に、みんなの党提出の一般職給与法に対する修正案については、国税庁の民間給与実態調査との比較に基づいて人事院勧告の深掘りを行うもので、人件費の一層の削減を推進するものであり、反対の立場を述べ、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 初めに、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、階猛君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

坂本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 本法の施行に当たっては、地方公共団体の臨時・非常勤職員の職種や任用方法、処遇等が多岐にわたること及び各地域が置かれている状況に相違があることに十分配意し、地方公共団体の臨時・非常勤職員の勤務実態及び本法の施行に伴う影響について調査を行い、これを踏まえて地方公共団体に必要な助言及び情報提供を行うよう努めること。

 二 本法案に定めるもののほか、地方公共団体における非常勤職員の勤務条件の在り方について、実態に即した環境の整備に向け検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事柄につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十分散会


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